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  1. 熊本県議会 1988-02-01
    03月17日-09号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    昭和63年 2月 定例会┌──────────────────┐│  第 九 号(三月十七日)    │└──────────────────┘ 昭  和 六十三年  熊本県議会二月定例会会議録   第九号──────────────────────────昭和六十三年三月十七日(木曜日)   ――――――――――――――――――――   議事日程 第九号  昭和六十三年三月十七日(木曜日)午前十時開議 第一 知事提出議案の上程(議案第六十九号から第七十三号まで) 第二 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) 第三 常任委員会に付託(第十八号から第四十四号まで及び第五十三号から第七十三号まで) 第四 委員会に付託(請願 陳情) 第五 休会の議決   ――――――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第一 知事提出議案の上程(議案第六十九号から第七十三号まで) 日程第二 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) 日程第三 常任委員会に付託(第十八号から第四十四号まで及び第五十三号から第七十三号まで) 日程第四 委員会に付託(請願 陳情) 日程第五 休会の議決      ―――――――○―――――――出席議員(五十五名)                 大仁田 貞 夫 君                 松 村   昭 君                 高 野 誠 一 君                 水 野 秀 昭 君                 吉 本 賢 児 君                 村 上 寅 美 君                 草 村   照 君                 久 保 立 明 君                 福 村 三 男 君                 鬼 海 洋 一 君                 本 田 良 一 君                 前 田 貞 治 君                 池 田 貞 俊 君                 小早川 宗一郎 君                 前 畑 淳 治 君                 野 田 将 晴 君                 荒 木 詔 之 君                 島 田 幸 弘 君                 島 津 勇 典 君                 大 西 靖 一 君                 岩 下 榮 一 君                 中 島 絹 子 君                 中 島 隆 利 君                 倉 重   剛 君                 山 本   靖 君                 渡 辺 知 博 君                 西 岡 勝 成 君                 深 水 吉 彦 君                 阿曽田   清 君                 三 角 保 之 君                 山 本 秀 久 君                 永 田 健 三 君                 堀 内 常 人 君                 八 浪 知 行 君                 鏡   昭 二 君                 髙 田 昭二郎 君                 古 閑 一 夫 君                 大 森   豊 君                 馬 場 三 則 君                 古 閑 三 博 君                 平 川 和 人 君                 北 里 達之助 君                 金 子 康 男 君                 広 瀬 博 美 君                 柴 田 徳 義 君                 米 原 賢 士 君                 永 田 悦 雄 君                 小 材   学 君                 八 木 繁 尚 君                 幸 山 繁 信 君                 池 田 定 行 君                 水 田 伸 三 君                 小 谷 久爾夫 君                 今 井   洸 君                 酒 井 善 為 君欠席議員(なし)   ――――――――――――――――――――説明のため出席した者          知事     細 川 護 熙 君          副知事    山 内   新 君          出納長    伴   正 善 君          総務部長   佐 藤 達 三 君          企画開発部長 五 味 廣 文 君          福祉生活部長 小 澤   豪 君          衛生部長   星 子   亘 君          公害部長   佐 藤 幸 一 君          商工観光労働          部長     森   弘 昭 君          農政部長   松 村 敏 人 君          林務水産部長 藤 門 豊 明 君          土木部長   福 島 正 三 君          公営企業          管理者    道 越   温 君          教育委員会          委員長    安 永 蕗 子 君          教育長    田 嶋 喜 一 君          警察本部長  竹 内   隆 君          人事委員会          事務局長   成 松 史 郎 君          監査委員   木 原 章 三 君   ――――――――――――――――――――事務局職員出席者          事務局長   大 山 清 勝          事務局次長  前 田 利 郎          議事課長   大 間 照 男          議事課長補佐 山 下 勝 朗      ―――――――○―――――――  午前十時三分開議 ○議長(永田悦雄君) これより本日の会議を開きます。      ―――――――○――――――― △日程第一 知事提出議案第六十九号から第七十三号まで ○議長(永田悦雄君) 日程に従いまして日程第一、知事提出議案第六十九号から第七十三号までが議席に配付のとおり提出されましたので、これを一括して議題といたします。 議案は、議席に配付のとおりであります。   ―――――――――――――――――――― 第六十九号 熊本県知事等の給与及び旅費に関する条例の一部を改正する条例の制定について 第七十号 熊本県議会議員に対する報酬等に関する条例の一部を改正する条例の制定について 第七十一号 熊本県報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例の制定について 第七十二号 熊本県特別職報酬等審議会条例の一部を改正する条例の制定について 第七十三号 熊本県教育長等の給与及び旅費に関する条例の制定について   ―――――――――――――――――――― ○議長(永田悦雄君) お諮りいたします。ただいま議題といたしました議案に対する提出者の説明は、これを省略いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(永田悦雄君) 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らうことに決定いたしました。      ―――――――○――――――― △日程第二 一般質問 ○議長(永田悦雄君) 次に日程第二、昨日に引き続き一般質問を行います。 高野誠一君。  〔高野誠一君登壇〕(拍手) ◆(高野誠一君) 皆さんおはようございます。昨年十二月、先輩議員各位の深い理解をいただき、自由民主党議員団の一員に加えさせていただきました八代郡選出の高野でございます。昨年四月の統一地方選におきまして多くの県民の御支援を得まして、初めて県議会に籍を置くこととなりましてから早くも一年が経過しようとしております。先輩議員初め執行部各位の御支援、御協力によりまして、私なりに県政全般にわたって理解を深めることができましたことを大変ありがたく思っております。さらに本日、一年生議員の私に質問の機会を与えていただきました諸先輩並びに同僚議員の皆さんに厚く感謝を申し上げます。 それでは、通告に従いまして質問を進めたいと思いますが、何分にも初めての経験でございますので十分意を尽くせない部分もあろうかと思いますが、知事初め執行部の明快な御答弁をいただきますようまずもってお願い申し上げます。 まず質問の第一は、県南地域の核としての八代地域の振興対策をどう進めるかということであります。 細川知事は、昭和五十八年の就任以来、県土の均衡ある発展を念頭に置いて県政の推進に当たり、各種の施策に取り組んでいくということを言明しておられます。特に年頭の記者会見では、ことしは県南地城の振興に力を入れていくということを表明されました。我々県南地域に住む者にとっては、この知事の発言に対し、大変心強く、また大きな期待を寄せているところであります。しかしながら、県土の均衡ある発展を図るためには、熊本都市圏への人や情報などの集中が進む中、八代市を初めとした県内各都市の整備がまず重要になってくるものと思うわけであります。つまり、熊本市と八代市を軸とした南北のバランスのとれた振興を図ることが言われておりますが、現実にはその格差は開くばかりではないかと心配しているところであります。 そこで、まず、県土の整備の方向について知事のお答えをお願いしたいと思います。 次に、いわゆる県南地域は、八代地域、人吉・球磨地域、水俣・芦北地域、天草地域とそれぞれ地域の特性を有し、農業を中心にしながら、日本一づくり運動を初めとして創意と工夫を凝らしながら地域づくりに精いっぱい努力を続けております。八代地域においては、九州縦貫自動車道インターチェンジ周辺の整備、臨海工業地帯と高速道路を結ぶ幹線道路を初めとした主要路線の整備が進められております。また、八代外港の整備、公共下水道建設、国道三号日奈久バイパスの建設計画など、都市施策の整備も着々と進んでおります。さらに農村部では、特産のイグサ、ショウガ、施設園芸など生産性の高い農業が営まれ、山間部では森林資源の有効活用や観光開発が期待されるのであります。六十四年度中には九州縦貫自動車道が人吉市まで開通する予定でありますし、水俣湾の埋立地も完成をいたします。 こうしたことは、県南地域の振興にとって確かにさまざまなインパクトを与えるものと考えられておりますが、しかし、県下全体を見た場合に、現在検討されているプロジェクトを例にしましても、荒尾地域では三井グループによる投資総額一千八百億円と言われるアジアランド構想、阿蘇地域では西武グループ大和ハウス工業等による投資総額二百億円と言われる高原リゾート構想などがあります。県南地域では、天草地域での西武グループを初めとした海洋リゾート構想天草コミューター空港建設などの動きがあるものの、正直に言いまして、知事の発言内容とは裏腹に、県北地域と県南地域とは相当な違いがあるように思えてならないのであります。 もちろん県南地域に対するこれまでのもろもろの施策はそれなりに大いに評価しておりますし、企業誘致を初めとして各種の地域開発を進める上でいろいろな制約条件があるということも承知しておりますが、最近の経済構造の変化等により、坂本村にあります西日本製紙が六十三年九月には閉鎖の予定であり、田浦町にあります東海カーボン田ノ浦工場では規模縮小により人員整理を余儀なくされておるという大変厳しい状況は皆さん御存じのとおりでございます。 さらに、県内に五十四の過疎市町村がある中で、昭和三十五年と六十年の人口減少率が五〇%を超える団体、つまり特定過疎団体とでもいうべきものは全部で三村あり、五木村が六二・七%の減、坂本村が五二・六%の減、泉村が五二・四%の減とすべてがこの県南地域であり、しかも三つのうち二つは八代郡で占められているのであります。ちなみに、昭和五十五年と六十年、この五年間の国勢調査人口の動きを見ますと、坂本村の場合、総数で六百八十七人の減、このうち十五歳から二十九歳までの若者が四百四十人の減と実に人口減少の六四%を占めており、また、泉村の場合、総数で三百三十七人の減、このうち同じく十五歳から二十九歳までの若者が百五十八人の減と人口減少の五〇%近くを占めております。これらを考えますと、八代地域においていかに若者の流出が激しいか、つまり将来を担う人材がいかにみずからを育てた地域に魅力を失っているかを示しているものであると言わざるを得ないのであります。 知事は、国の四全総に対してもその策定過程の中で、全国の知事のトップを切って、東京一極集中をますます助長するものだと厳しく批判され、過度の集中の害を指摘され、また、最初に申しましたように、年頭の記者会見でも県南地域の振興を言明され、せんだっての我が党の金子議員の代表質問に対する所見の中でもこのことに言及しておられますが、本議会冒頭の知事の提案理由説明の中には、県南地域の核であるべきこの八代地域の振興について何ら触れておられないのはまことに残念至極であります。 八代地域は、その中心に県下で第二の都市・八代市を抱え、この八代地域の振興を積極的に進めることが、とりもなおさず県南地域全体の振興に大きくつながるものだと私は信じて疑わないのでありますが、県南地域の核としての八代地域の振興についてどのように考えておられるのか、知事の所見をお伺いしたいのであります。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 望ましいあるべき県土のあり方についてのお尋ねでございましたが、お話にございましたように、国におきましても多極分散型国土形成のため、交流ネットワーク構想が示されたところで、地方におきましても中核都市と衛星都市をどのように有機的にネットワーク化するかということがこれからの大きな課題だというふうに思っております。欧米におきましても、それぞれ個性ある都市による地域間の競争や機能分担によりまして国全体の活性化が図られておりますし、国土の均衡ある発展が達成されている事例も多くございますが、これは我が国におきましても望ましい方向でありまして、また、県内の均衡ある発展という観点から見ましても、同じように、県内各都市間の機能分担によって県全体の活性化が図られていくものと考えております。 いずれにいたしましても、熊本市の人口だけが五十万から七十万になり百万になり、百八十万県人口の二分の一を熊本市が占めるようになってしまうというようなことはちょっと困るわけで、片や八代市を初めとするその他の都市の人口が十万から七万、五万と下がっていくという状況は決して好ましい姿だとは思っておりません。ただ単に人口がふえていくということだけが都市発展のバロメーターでは決してないわけで、それぞれの都市の持つ歴史的、風土的な特性を生かした衛星都市の整備を行っていくということが、私は本県におきましても望ましいことだと考えております。県土デザインでもお示しをしておりますように、熊本都市圏への都市機能の過度の集中を来さないように留意するとともに、一方で、八代市を初めその他の都市の特性を生かした機能の充実というものをできる限り心がけていきたいというふうに思っております。 それから、八代地域の振興についてでございますが、改めて申し上げるまでもなく、八代地域はイグサや施設園芸を中心にして生産性の高い農業が行われておりますし、工業につきましても県内におきましては集積度の高い地域でございます。また、九州縦貫道と今後整備される西回り自動車道の結節点にもなるわけでございますし、港湾機能も備わっておりますから、将来に向けての開発の可能性は相当に期待できるものと考えております。したがって、県土デザインにおきましても、八代地域を県南における拠点地域として位置づけて施策の展開を図っていきたいと考えておりますわけで、西回り自動車道の八代日奈久道路の促進でありますとか、あるいは臨港線、それに接続する東幹線を初め域内における主要地方道の整備に取り組んでおりますほか、球磨川駅跡地の再開発あるいはまた県南運動公園の整備などにつきましても計画を策定いたしましてその推進を図ろうとしているところでございます。さらに、先日の金子議員の御要望に対しても申し上げましたように、現在、八代地域につきまして建設省に申請しておりますいわゆるステップ計画が認定をされますと、こうした基盤整備などにつきまして一層の促進が図られることになるであろうと期待をしているところでございます。 いずれにしても、高度情報機能を取り入れました新しい農業システムの構築などによりまして、付加価値の高い農業の促進を図ってまいりますほか、都市機能の充実や地場産業の振興を着実に進めることによりまして、県南の拠点地域にふさわしい整備が進むようにいろいろ知恵を絞ってまいりたいと思っております。  〔高野誠一君登壇〕 ◆(高野誠一君) 先日、熊日の社説で「熊本の一極集中の是正を」という見出しで書いてありました。少し紹介したいと思います。「県土の均衡ある発展という時、まず問題になるのは八代市を中心とした県南地域の浮揚対策をどうするかということだろう。地域振興が論議されるつど、熊本市と八代市を軸に南北バランスのとれた地域開発を進めるいわゆる〟二眼レフ論〝がいわれてきたが、現実には両者の格差はますます開くばかりだ。」とありましたので非常に心配をしていたところでございますが、ただいま知事から八代地域の振興について具体的かつ適切な御答弁をいただきまして大いに意を強くしたところでございます。我々八代地域としては、当初より細川県政を支援してきたという自負を持っておりますし、今後とも積極的に支援をいたしていく所存であります。いろいろ困難な問題もあろうかと思いますが、持ち前のアイデアと鋭い感覚で、県南地域の中核である八代地域の振興について格段の御配慮をいただきますよう重ねてお願い申し上げておきます。 次に、八代地方の農業、特にイグサと米に焦点を当てて質問を進めたいと思います。 熊本県のイグサ生産量は、四十三年に岡山県を抜いて日本一となり、四十六年に五〇%を超えたシェアは、現在では全国生産量の七八%を占めるに至っております。これを本県農業におけるイ業の位置づけという点から見ますと、農業粗生産額に占める比重も大きく、単品目としては六十年から米に次いで第二位の農産物に成長しております。昭和六十二年のイ業部門の農業粗生産額は、その一一%を占めて三百九十六億円に達する見込みで、米を初め多くの農産物が不振にあえぐ中でただ一つ好調を維持しておりまして、その重要性を再認識しているところであります。したがいまして、八代地方におけるイ業の比重は大きく、農業粗生産額に占める比重は、千丁町の八一%を筆頭に鏡町の七五%など、地域全体では六〇%に達し、農業分野はもちろん地域経済を支える重要な産業となっているわけであります。こうした中で、価格は好調に推移していますものの、需要の慢性的な停滞やイグサ・イ製品輸入の急増など内外に多くの課題を抱えていることを見逃すわけにはまいらないのであります。 そこで、このイ業振興に特にかかわりのある二点について農政部長にお尋ねしたいと思うのでありますが、まず、イ製品需要の拡大をどうするかということであります。 ここ数年、新築住宅に支えられた需要が今後とも安定的に継続するかというと甚だ疑問であります。加えて畳表の需要動向は、じゅうたんなどの敷物の普及や住宅の洋風化、小型化によって停滞傾向にある中で、イ産業の恒常的発展のためには、こうした底の浅い新築需要依存から張りかえ需要依存への切りかえが必要ではないか、そう思っております。全国い生産団体連合会の需要予測を見ますと、昭和六十二年産畳表の総需要量四千九百万畳のうち、新築需要と張りかえ需要の比重はほぼ五対五で、張りかえ需要は約二千四百万畳となっております。また、同じ資料から、現在使用されている全国の畳表の枚数を推定すると約六億畳となり、これを十五年に一度張りかえてもらうだけで四千万畳、十年に一度では六千万畳の安定需要を確保することができるわけであります。 こうした需要を掘り起こし、くまもと畳表の需要を拡大するためには、各種イベントヘの参加を初め、テレビやラジオ、広告の活用など幅広く需要を喚起することが必要と考えますが、県は需要拡大に向けてどのような施策を講じておられるのか、お尋ねいたします。 次に、イグサ・イ製品の輸入増加に関する対応、特に品質向上・コスト低下対策についてどう考えているかということであります。 御承知のように、このところイグサ・イ製品の輸入が倍々で増加しております。六十二年には一万三千九百トンに達し、生産農家はもちろん流通業界を含むイ業全体に不安を与えております。量的に日本一の熊本が品質でも日本一になり、「くまもと畳表」のブランドを確立するためには、イグサをさばくという生産体質から責任生産体制への転換が必要でありましょうし、特に輸入品に対抗するために重要なのが生産コストの引き下げであります。 御承知のとおり、イグサの労働には植えつけ時と収穫時の二つの作業ピークがあります。このうち後半の収穫時の作業につきましては、乗用ハーベスター大型乾燥機の体系的利用で大幅に短縮され、これに、地元竜北町で開発され、さきの農業コンクールで秀賞、農林水産大臣賞に輝いた注入式イグサ大量泥染装置を導入すれば、さらに労働が軽減されることになってまいります。しかし、植えつけ時の作業は、今なおその大部分を人手に頼っており、しかも、全労働――十アール当たり二百四時間の四〇%近い八十時間を要しております。イグサの植えつけ作業は、十二月の厳寒期に行われる労働強度の高い、きつい作業であります。農業就業人口の減少と高齢化が進行し、雇用労働力の確保が困難となっている中で、植えつけ作業の機械化、特に移植機の開発は、コスト低下の面ばかりでなく、イ業存続のためにも緊急を要するものと考えるわけでありますが、執行部は、この畳表の品質向上とコスト引き下げについてどんな対策を考えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。 引き続いて、米の問題でお尋ねしたいと思いますが、さきに発表された十アール当たりの農業所得額市町村順位をつけた統計資料を見ましても、九州管内では千丁町を筆頭としてベストテンに八代地域の五市町村が名を連ねておりますように、八代地域では、九州あるいは全国から見ても大変高いレベルの農業が営まれております。しかし、事米に関しましては大きな顔ができないようでありまして、八代地域の米につきましては、昨年の十二月、我が党の八浪議員から、八代のイグサ跡の米はどうもぼろぼろして食えないとの評判であり、このような不評の米を農家の皆さんにつくらせてはならないという厳しい御意見を伺いました。八代地域において少なからぬ波紋を広げているところでございますが、八浪議員の御意見は、農家に米をつくらせるなということではなく、うまい米づくりにもっと頑張れ、そして県も積極的な指導を展開せよという激励の気持ちであったろうと受けとめております。 ところで、八代地域での米の作付は約五千五百ヘクタール程度で、そのうち六四%に当たる三千五百ヘクタールがイグサ跡地の面積であります。もともと八代地域は、江戸時代から先人たちの知恵と努力で干拓が進められてきたところでありまして、そこにいいものをつくろうと思えば、まずはいい土づくりに力を入れなければならないと考えております。また、乾燥のやり方も米の品質に及ぼす影響は大きいものがありまして、これも県外の業者等からの話として、イグサの乾燥機で米を乾燥しているようではうまい米はつくれないということを聞いております。本来、草を乾燥させるための機械で米を乾燥させるのですから技術的には大変難しいことでありますし、六十二年産の八代地域の米で約六〇%が過乾燥であったということがそのことを如実に物語っております。 昭和四十三年に竜北地域において県下に先駆けてカントリーエレベーターが設置され、現在でも地域農業の中心的な施設として有効に利用されております。その後、県内では各地域で施設の設置が進められ、カントリーエレベーターが十六基、ライスセンターが三十五基設置され、隣の宇城地区では一つの町に二基も設置されている状況であります。八代地域では竜北に続くところがなく、共同乾燥施設については後進地域となってしまっておりますが、この際ひとつ、県下の穀倉地帯でもある八代地域にも共同乾燥施設をつくって、米の品質向上を図るべきではないかと考えるわけであります。 そこで、八代地域の米、イグサ跡の米についてどのような対策を考えておられるのか、お尋ねしたいのであります。 次に、米の品種についてでありますが、八代地域ではミナミニシキの作付が五八%となっております。最近、シンレイなどの面積も伸びてはいるものの、一品種の面積としては大き過ぎるのではないかと思われるのであります。品質保持、適期刈り取りのための収穫作業の調整という点を考えれば問題があるのではないか。とすれば何か新しい品種対策を研究すべきではないかと考えるわけでありますが、県としては平たん地における米の品種についてどんなお考えをお持ちなのか、お尋ねいたします。  〔農政部長松村敏人君登壇〕 ◎農政部長(松村敏人君) まず、畳表の需要拡大についてでございますが、イ業団体と一体となりまして、消費地での畳表求評会、取引懇談会の開催、国際見本市ほか各種イベントヘの参加、それから福祉施設での張りかえキャンペーン等の消費宣伝を実施しているところでございます。また、消費者に対しまして啓発用パンフレットを配布する一方で、消費者に対します品質保証と住宅供給公社等官公庁需要の拡大を図りますために、日本農林規格いわゆるJAS畳表の普及にも取り組んでいるところでございます。今後さらに関係団体との連携を密にしながら消費者へのPRを図りまして、畳表の需要喚起に努めますとともに、花ござなど畳表以外の製品の生産拡大を進めまして、イグサの用途拡大を推進してまいりたいと考えております。 次に、畳表の品質向上とコスト低下対策でございますが、おっしゃいましたように輸入品対策として極めて重要な問題でございますが、この畳表の品質とコストは、イグサの生産と畳表加工の相乗作用で決定すると考えております。イグサの品質向上を図りますためには、今後とも、県で育成をいたしました優良品質でございます「くまがわ」の普及を初め、施肥等の基本技術の徹底に取り組んでまいりたいと考えております。また、コストの低下を図りますため、これまでハーベスター等によりまして作業の機械化に取り組んできたわけでございますが、昭和六十四年にはイグサ移植機が実用化される予定でございますので、機械化一貫作業体系の普及に努めたいと考えております。 次に、畳表の加工につきましては、目下品質向上に主眼を置きまして、縦糸の抜き取り検査、県証糸導入事業、加工技術者養成研修などを実施しているわけでございますが、生産者の皆さんがみずから商品生産意識を高めていただくことが必要であると考えまして、六十二年度から実施中の畳表品質管理システム化事業をより一層機能させまして、品質向上に取り組んでまいりたいと考えております。 それから、米の問題でございますが、政府米といえども消費者に好まれるものしか売りにくいというような状況になっております今日、米についての評価が低いと言われております八代地域におきましては、特にうまい米づくりに努めていただきたいと考えております。 イグサ跡の稲作の問題点といたしまして、水田にチッソ分が多く残っていること、あるいはイグサの後になりますため水稲の作期がおくれるということなどが挙げられておりますので、県といたしましても、昭和六十三年度から新たに実施する予定の熊本県産米改善緊急対策事業の中で、イグサ跡の稲作の実験展示圃を設けまして、品種、施肥、水管理など、食味や品質をよくするための改善策を検討いたしまして、これをもとに普及指導を図ってまいりたいと考えております。また、御指摘のとおり土づくりも重要でございますので、深耕や有機物の投与を図りますとともに、作付体系の合理化を促進してまいりたいと考えております。 さらに、米の品質向上とコスト低下を進めるための施設といたしまして、カントリーエレベーターやライスセンターが重要な役割を果たすわけでございますが、御指摘のように、八代地域はこれらの施設の整備がおくれている状況でございます。現在管内では一地区でカントリーエレベーターの設置が具体化しつつあるわけでございますが、今後は、農家及び農業団体等に対します啓蒙啓発を図りながら施設の整備を促進したいと考えております。 次に、平たん地の米の品種についてでございますが、当面、ミナミニシキをシンレイ、レイホウなどの品種へ切りかえを指導してまいりますが、現在農業試験場で新しい有望な品種の選抜を急いでおるところでございまして、その結果をまって早急に転換を図ってまいりたいと考えております。  〔高野誠一君登壇〕 ◆(高野誠一君) 御承知のように、八代地方の農業を論ずる場合、イグサと米は避けて通れない問題であります。極言すれば、イグサと米は八代農業の浮沈を左右する重要な要素でございます。特にイグサは、全県的に見ましても最大の特産工芸作物としての地位を確保しておるところでございまして、執行部におかれましては、今後ともただいまの答弁の実現に向かって全力を傾注していただきますよう格段の御配慮をお願いしておきたいと思います。八代地方でイグサをとれば借金だけしか残らないというほど深刻なことでございますので、よろしくお願い申し上げます。 次に、大鞘川の湛水防除事業について農政部長にお尋ねしたいと思いますが、長い年月をかけて造成された八代平野の干拓地にできた大鞘川は、本来、水田二千数百ヘクタールの排水と竜峰山北西部斜面の水を集めて八代海へ流す、この地域の治水並びに水田かんがいに重要な役目を担う河川であります。ところが、無堤部分が多く、排水状態も悪く、雨季等には決まって起こる水害により地域農作物に甚大な被害を与えて、地域住民にとりましては頭痛の種であります。 昭和五十六年度に八代平野土地改良事業、昭和五十八年度には総工費三十八億九千六百万円の巨費を投じた大鞘樋門改修工事が完成したことにより大鞘川流域の湛水被害も大きく改善はされましたが、干拓地の宿命と申しましょうか、せっかく機能のすぐれた樋門に改修していただきながら、満潮時及びからま時に少しの雨が降れば、今までと変わりなく水害を受ける地域があります。それは千丁町古閑出地区と鏡町文政地区の一部でありまして、水害を受ける時期がしばしばイグサの一番大切な時期に当たるわけであります。濁流に洗われているイグサの情景を目の当たりにしますと涙が出るという人がおり、地元農家は大変困っているわけであります。特にこの地域はイグサが地域農業を担っていると言っても過言ではありません。したがいまして、その特産のイグサが将来とも良品質を保持していくためにはもちろん、その他の農作物を導入するにしましても、この湛水地域の解消がぜひとも必要であると考えているところであります。 これを解決するには、大鞘川流域に強力な排水機を設置する湛水防除事業が一番の近道ではなかろうかと考えておるところでありますが、町並びに地元の力だけではどうしても対応できない問題でございます。昨年十一月、八代市、鏡町、宮原町、千丁町の一市三町において、大鞘川流域農地防災事業促進協議会を発足させ、湛水被害解消の実現に向かって動き出しております。佐賀県の福富地区の湛水防除事業の現地も視察し、一層湛水防除事業の必要性を痛感しているわけであります。 聞くところによりますと、湛水被害防止のため、県執行部においても大鞘川流域の排水対策について調査されているとのことであります。その調査はどういうものか、また、地域住民の念願であります湛水の解消は果たして実現できるのか、農政部長さんの答弁をお願いしたいのであります。  〔農政部長松村敏人君登壇〕 ◎農政部長(松村敏人君) 大鞘川の湛水防除事業についてのお尋ねでございましたが、御承知のとおり、流域の地形並びに流況等を考えますと、局部的な排水対策のみではその所期の目的を達成することはなかなか難しゅうございまして、広域的な見地での検討が必要であると考えております。このため、昭和六十一年度から二カ年にわたりまして大鞘川流域総合農地防災計画を策定するための調査を行ってまいりましたが、六十三年度早々にはまとまる見込みでございます。 この計画は、大鞘川の湛水防除事業にとどまらず、隣接地域も含めました広域的な構想となりまして、関係諸団体、漁業関係者あるいは河川管理者等との調整が必要でございます。また、事業実施に当たりましては、相当の事業費と期間を要する見込みでございます。しかしながら、御指摘のように、地元一市三町によります大鞘川流域農地防災事業促進協議会が設立されまして、地元関係住民の皆さんの機運も盛り上がってきておりますので、県といたしましても、今後関係機関並びに地元関係者との協議、調整が整い次第、事業に着手したいと考えております。  〔高野誠一君登壇〕 ◆(高野誠一君) ただいまの答弁で、六十三年度早々に大鞘川流域の総合防災計画策定のための調査がまとまるということでございますが、排水計画だけでなく開発目的を含めて地域農業の確立を図っていくということを聞きまして心強く感じております。地元の年配の方々の生の声を聞くと、自分たちが生きている間に工事着工、そして完成はできるのだろうかと、何とも寂しいことを言っておられます。どうかそうした地域の方々の悲願を実現させていただきますよう強く要望申し上げておきます。 次に、道路整備、とりわけ山間部の整備についてお尋ねしたいと思います。 本県の道路網を見てみますと、熊本都市圏を核とする一点集中型の交通体系であり、また山間部においては極めて急峻な地形など、さまざまな要因による整備手法、コスト面での制約はあろうかと思いますが、その整備水準は低位にあると言われております。そこで、県では「熊本・明日へのシナリオ」を踏まえて、活力と潤いのある熊本をつくり上げていくため、未来へつなぐ調和のとれた基盤づくりを目指して整備課題を設けられておると聞いておりますが、県南の八代地方は、国道三号線と二百十九号線の幹線道路を初めとして、主要地方道や一般県道、さらに市町村道がそれぞれの生活圏域を有機的に連結しております。これら道路網の整備が、地域の産業、経済、文化の進展にとって必須の要件であることは従前よりだれもが認識しているところでございまして、特に近年の車社会においてはそのニーズも多様化し、より一層の必要性を痛感しているところであります。 そこで、今回は、八代郡内の山間部における道路整備について土木部長にお尋ねしたいと思いますが、御承知のように、八代郡の最も奥地となっております泉村は、九州中央山地にあって豊かな自然と風物に恵まれ、また、日本でも有数の平家落人の伝説を持つ美しい山村でありまして、柿迫・下岳・栗木地区と平家の落人が住みついたと言われる五家荘地区のいわば表玄関と奥座敷であります。主として林業や茶の生産により生計を立てておりますが、昭和三十年以来の急速な過疎化の進展に伴い、村当局におかれましても、何とか活性化の道を探るべくいろんな対応を検討されているようでありますが、その一つに観光面の活性化があります。平家の伝説を持つ秘境五家荘を背景に、その地域のイメージは極めて特徴的であり、全国的にも知名度が高く、近年は観光に訪れる人も増加しております。これをさらに大きく展開していくため、細川知事が提唱されております日本一づくり運動の一環として、活力と個性ある地域づくりを目指した平家伝説の里づくりを推進しているところであります。このようなことから今後ますます観光客が多くなるものと考えられます。 ここでまず考えられますのが、何よりも優先して取り組むべきことは道路の整備であります。御案内のように、道路整備は一朝一夕になし得るものではありませんが、少なくとも観光バスが通れるような道路幅は最小限必要であります。 そこで、お尋ねしたい第一点は、この地域の幹線道路である国道四百四十五号と、平家伝説の里へのアクセス道路である県道樅木小川線の現状と整備計画はどうなっているのかということであります。 次は、坂本村の県道の整備であります。この地域には六路線の県道が走っておりまして、それぞれに地域開発並びに日常生活に寄与すべきはずでありながら、このうち三路線が未開通となっております。それゆえに地域内の交流や隣接する地域間の交流にとっては回り道を余儀なくされている状況で、産業、経済、文化の振興にとって大きな足かせとなっているのが実情であります。 具体的に言いますと、未開通となっております県道久多良木横居木線、坂本人吉線並びに小鶴原女木線はいつになったら開通するのか、その現状と今後の整備計画について土木部長の明快な御意見をお伺いしたいのであります。  〔土木部長福島正三君登壇〕 ◎土木部長(福島正三君) 道路整備についてのお尋ねがございましたが、お尋ねのうち、まず国道四百四十五号でございますが、これは熊本市を起点といたしまして、矢部町、砥用町を通り、泉村、五木村を経て人吉市に至る実延長百二十三キロの道路でございまして、本県の中央山地部を縦断している広域的幹線ルートでございます。この路線は、昭和五十六年に国道に昇格したもので、昭和六十二年四月一日現在での改良率は五三%となっております。 この中で、お尋ねのございました泉村地内につきましては実延長が二十三キロとなっておりますが、御承知のように、ルートが九州中央山地の中に位置しておりまして、県内における最も地形的に急峻な地域でございまして、整備もほかの地域に比べるとおくれておる状況にあります。また、この路線は、広域幹線道路であると同時に、この地域の産業並びに観光にとりましても重要な役割を担っておりまして、県としても整備の必要性を痛感しておるところであります。 そこで、特に交通の隘路となっております箇所から逐次改良に取り組む方針でございまして、昭和五十八年度から泉村椎原地内におきまして改良工事に着手をいたしまして、本年度内には完成させることといたしております。さらに、泉村二本杉地内でも延長二千五百メートルについて本年度から改良事業に着手をいたしまして、用地買収並びに一部工事にも手をつけたところでございます。そのほか、災害防除事業や局部改良事業も実施しておりまして、今後とも計画的な整備を図ってまいる所存でございます。 続いて、県道樅木小川線についてのお尋ねがございましたが、この路線は、泉村樅木を起点といたしまして小川町の県道小川嘉島線に通じます道路で、沿線には泉村の役場等もございまして、熊本市、八代市方面からの唯一の連絡道路で、いわば泉村の玄関道路ということに相なっております。 そこで、県といたしましても、この整備といたしまして、熊本、八代方面から泉村役場までの間で未改良になっております白岩戸地区及び飛石地区におきまして、延長八百五十メートルの改良工事を継続して実施しておりまして、この区間の早期完成を目指しておるところであります。また、御質問にもございましたように、平家伝説の里へ通ずる道路でもございますので、筒井、一ツ氏、横手のそれぞれの地区におきましても、交通隘路部分を優先的に改良中でございます。今後、二重・河合場地区のネック箇所についても取り組んでまいる予定としております。また、泉村樅木地区におきましては、現在老朽化が著しく幅員も狭小であります新高橋、八々重橋の改築を実施しておるところであります。 しかしながら、いずれにいたしましても、この路線は御指摘のように未改良区間が非常に多く残されておりまして、全線の完全整備には相当の年月を要しますので、今後とも交通隘路部分を中心に逐次整備を図っていく方針でございます。 次に、坂本村の中で未開通となっております三つの路線についてのお尋ねがございましたが、まず県道久多良木横居木線でございます。これは坂本村久多良木と田浦町を結ぶ道路で、総延長七キロのうち未供用延長が昭和六十二年四月一日現在で約五百メートルとなっております。そこで、この未開通部分の解消を図るため、継続して現在改良工事を進めておりますが、今後とも早期開通を目指して努力してまいりたいと思っております。 次に、県道坂本人吉線でございますが、この道路は八代郡坂本村と球磨郡山江村並びに人吉市を結ぶ主要地方道でございまして、総延長四十一・九キロメートルでありますが、このうち未供用部分が五・五キロメートルとなっております。この路線は、現在、九州縦貫道八代―人吉間の工事と関連をいたしまして現道部分の拡幅改良を行っておりますので、未開通区間につきましては、これらの進捗状況を勘案しながら検討いたしたいと思っております。 最後に、県道小鶴原女木線でございますが、この道路は五木村小鶴地内と坂本村原女木地内を結ぶ道路でございまして、実延長が二十八・七キロメートルで、このうち自動車交通が不可能となっております区間が十・四キロメートル残されております。現在、一部林道を利用して通行されておるようでありますが、この道路沿線には下深水、上深水、岳などの集落もございますので、これらの対応も含めて今後地元の御意見も拝聴しながら、路線の選定に向けて研究してみたいと考えております。  〔高野誠一君登壇〕 ◆(高野誠一君) 山間部における道路整備は、都市部または平たん地のそれと比べると地形も険しく、経済効果についてもさほどではないかもしれませんが、沿線住民にとっては、生活文化の向上、産業の振興、さらには経済力の浮揚など、地域づくりのため必要欠くべからざる要素となるもので、ただいまの部長の答弁に心から敬意を表し、積極的な取り組みをお願いしておきたいと思います。 なお、二つほど要望申し上げておきたいと思います。 県道破木二見線は、坂本村破木地内の国道二百十九号と八代市二見地内の国道三号を結び、沿線には田上・久多良木・下大野地区などの集落が点在し、関係地域の産業道路としてはもとより、通勤通学路としても欠かせない道路であり、また、この路線は国道二百十九号の迂回路としての機能をも担っております。このようなことから、この道路に対する地元の期待は大きく、ぜひとも整備方をよろしくお願いします。 次に、県道中津道八代線でありますが、この道路は坂本村中津道と八代市を一級河川球磨川の右岸沿いに結んでいる県道であります。本路線は、坂本村西部地域の古田、小川、段、袈裟堂、横石などの集落と八代市を連絡する最短ルートでありますが、道路幅員が一メーター七百と狭く、普通乗用車一台がやっと通れるような箇所もあり、通勤や買い物のための八代市へのルートとしては、上流側の深水橋まで大きく迂回している状況であります。現在道路拡幅工事が進められておりますが、以上のような現状を踏まえられて早期完成を要望いたします。 次に、二級河川・氷川の環境問題についてお尋ねしたいと思います。 御承知のとおり、この河川は、平家伝説で有名な五家荘付近に源を発し、奥深い九州山地の水を集めて西流し、不知火海に注ぐ水清く美しい川でございます。流路の長さは約二十キロメートル程度でございますが、およそ四分の三は険しい山地を流れ、下流部に豊かな八代平野をつくっております。その昔に、この川の上流で火打ち石がとれたところから「火の川」と呼ばれ、後に現在の「氷川」と呼ばれるようになったと言われております。また、熊本は古代には「火の国」と言っておりましたが、その名の由来に深いかかわり合いがあるとも言われておりまして、まさしく歴史的にも意義ある河川であります。「母なる川」という言葉がありますが、氷川は、いつの時代にも八代地方住民の生活と深いかかわり合いがあり、地域の発展に大きな恩恵をもたらしてまいりました。その間、出水時には暴れ川と化し、再三にわたり大水害をもたらして治水面での苦労もありましたけれども、地域の住民にとりまして氷川は、深い愛着を寄せてきた郷土の川として、昔から大変身近で親しい存在でございます。 この河川の改修事業につきましては、さきの九月議会における久保議員の質問に対し、土木部長から答弁されておりますが、私は、改修を進める上での環境面の配慮についてお尋ねしたいと思うのであります。 氷川も近年では随分その姿を変えてまいりました。もちろん改修事業の促進により護岸整備などが図られ、水害防止の上で努力されておられることについては、地域住民の一人として大変感謝しておりますが、幾分、河川の風情と申しますか、河川への親水性が少なくなってきていると思うのであります。さらに、地元の皆さんから魚がすめるような川にしてもらいたいとの声も強いものがあります。 幸い氷川には、いまだ未整備の高水敷など河川環境づくりの要素はたくさん残されております。改修の促進もぜひとも図ってもらいたいと思っておりますが、この改修にあわせて、水に親しめる河川公園づくりを研究すべきではないかと思うわけであります。美しい水と緑の中で老若男女のだれもが気軽に伸び伸びと遊ぶ姿を思うとき、ぜひともその実現をお願いするものでありますが、氷川の環境整備について土木部長にお尋ねしたいと思います。  〔土木部長福島正三君登壇〕 ◎土木部長(福島正三君) 氷川の改修にあわせて河川環境整備をとのお尋ねでございますが、河川改修は、この川の上流部に氷川ダムが昭和四十八年三月に完成しまして、その治水効果は極めて大きいものがございますが、治水対策はダムの効用だけでは万全とは申せませず、下流の河道改修をあわせて推進することが必要でございますので、昭和四十八年度から下流部の河川改修にも着手しておるところであります。この間、改修事業は現在およそ五〇%程度の進捗状況と相なっておりますが、これまで洪水時危険な状態となっておりました箇所を中心に、川幅の拡幅、築堤、弱小堤の補強、ネックとなっておりました橋梁の改築等、いわゆる機能面での整備に重点を置いて進めてまいりました。 しかしながら、近年、お話にもございましたように、水辺空間に対する人々の関心が高まりを見せておりまして、河川を魅力ある町づくり、地域づくりの要素として再認識するようになってきております。幸い氷川の河道流下能力は、計画流量に対しまして現在でもおよそ九〇%の整備状況となっておりますので、御要望のございました環境面での取り組みにも着手することとしております。計画といたしましては、現在、改修事業で町道松本橋を改築中でありますが、ここには右岸側にかなりの面積の高水敷がございますので、橋と一体となった河川公園づくりを進めたいと考えております。 今後とも、地域の声を反映した画一的でない地域特性を生かした河川環境づくりに努めてまいりたいと存じております。  〔高野誠一君登壇〕 ◆(高野誠一君) これからの河川は、水がよく流れる、洪水を防ぐというだけでなく、河川環境を整備することによって生活環境も美化され、レクリエーションの場も確保するといった一石二鳥、いや三鳥の効果を生み出すことができると思うわけであります。土木部長から意のある御答弁を伺い、その実現を期待して、次の質問に進みたいと思います。 次に、中学校スポーツ選手の県外高校進学について教育長にお尋ねしたいと思います。 我が熊本県のスポーツ選手は、これまで国際的な大会を初め全国レベルの大会で数多くの好成績をおさめていることは既に皆さん御存じのとおりであります。中でも、ロサンゼルスオリンピック柔道金メダリストの山下選手や、ソウルのアジア大会女子水泳優勝の島雄選手、また今後大いに飛躍が期待される陸上長距離の西本、松野両選手など、優秀なスポーツマン、スポーツウーマンが数多く輩出しております。 細川知事は、かねてより日本一づくりを提唱され、本年度も日本一を獲得された四十七名の方々が熊本県スポーツ優秀賞を受賞されました。受賞された選手諸君はもちろんのこと、彼らを育てた指導者の日ごろの御努力に対して敬意と称賛を送りたいと思います。しかも、この受賞者の多くは中学、高等学校の生徒さんであり、今後を大いに期待される方々ばかりであります。しかしながら、昨年暮れに行われました全国高等学校駅伝大会において、新記録で準優勝して話題となった大牟田高校のように、七人の選手のうち六人までが本県中学の出身者であり、主力選手として活躍したことは皆さん御存じのとおりでございます。また、正月に行われました全国高等学校サッカー選手権大会で優勝した長崎県国見高校チームにも、本県出身の四名の主力選手が活躍している現況を思いますとき、むなしくつらい思いになってまいります。これら優秀な中学生の諸君が、これまでのように県外の高校へ進学するようなことになれば、知事が提唱されている日本一づくりにも思わぬ落とし穴があり、県民の士気を高める意味からも大きな損失となることを認識しなければならないと思います。 私の調査しましたデータによりますと、県外の高校へ進学した中学生は、五十九年度十八校二十四名、六十年度十五校十七名、六十一年度九校十三名と年々減少はしているものの三カ年間で五十四名にも及んでおり、まことに残念なことであります。このような状況の中で、昨年の沖縄で開催された国民体育大会では、天皇杯十七位と好成績をおさめるなど、過去十年間の平均順位が十八位と全国でも常に上位にあり、その原動力が高校生の活躍にあることを思いますとき、これら優秀な素質を持った中学生が本県にとどまってくれれば、本県の成績は飛躍的に向上するものと思われます。 先日の本定例会冒頭で、昭和七十四年開催の国民体育大会の招致が決議されたことは、県民にスポーツによる士気の高揚と活力を与える上から、私ももろ手を挙げて賛同いたしました一人でございます。いよいよ開催に向けて準備を進めることになると思いますとき、競技力向上対策も欠くことのできない重要な課題であろうかと思います。そのためには、さきに申しましたように、スポーツの優秀な中学生をどうしても本県内の高等学校へ進学できるようにしなければなりません。優秀な中学生がなぜ他県の高校へ進学するのか考えてみますとき、将来にわたっての進路保証や指導者を慕っての進学や、県境を越えた生活圏、経済圏の問題や入試に伴う学力などいろんな問題があるのではないかと思われるのであります。 さきにも申しましたように、本県からは優秀なスポーツ選手が数多く輩出し、全国で活躍しております。これらの方々を、知事が提唱しておられます優秀な頭脳のUターンの一つとして、本県スポーツ界の指導者として官民一体となって受け入れることは極めて重要なことではないかと私は思うのであります。また、スポーツ選手の中には勉学にすぐれた中学生もたくさんいるわけでございますが、中には練習熱心の余り勉強の時間が少なく、高校入試に無理をする優秀なスポーツ選手もいるやに聞き及んでいます。このような優秀なスポーツ選手の特技を生かすために何かの手だてが必要ではないかと思われます。勉学の時間の少ない優秀な選手本人の将来にとってはもちろんのこと、本県の選手強化、競技力向上の上からも、この際真剣に考えなければならない問題と思われるわけであります。練習に励みスポーツを楽しむ生徒は、精神的にも肉体的にも強いものを持っております。学力一辺倒で成績を判定するのではなく、体育実技などを加味しての判定ができないものであろうか。そうすることによって、これら中学生の県内高校進学が若干でも可能になるのではないかと思うわけであります。さらに、競技力向上対策には、人材の確保はもちろんのこと、選手が練習に専念できる施設設備の整備など多くの条件整備も必要であろうと思います。 そこで、教育長にお尋ねしたいと思いますが、県内の中学における優秀なスポーツ選手が他県の高校へ流出することについてどのように考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。  〔教育長田嶋喜一君登壇〕 ◎教育長(田嶋喜一君) 県内の中学校で育ちましたスポーツの優秀な選手が他県の高校へ進学して全国大会等で活躍していることは、できたら県内の高校生として活躍してほしかったと、そういう意味で大変残念でございます。 これらの生徒の進路についてでございますが、昨年発足した大津、松橋両高等学校での体育コースの入試に際しましては、体育の実技も加えた試験を実施しました結果、種目によっては他県高校への進学は減少したところでございます。そのほか、中高校生が一緒になって合宿訓練をするということや、特色ある学校づくりの中での外部コーチの招聘、指導力のある教員の配置、体育コースの充実などさまざまな方策に取り組み始めておるところでございまして、また、各選手がみずからの運動機能の把握をした上で競技力の向上が図れるようにスポーツドクターの指導、こういったことも取り入れるといったように幅広い条件整備に努めているところでございます。 本県におきまして二巡目の国体、これもいよいよ具体化の時期を迎えておるわけでございます。数多くの学校が競技力、指導力を高めるよう、必要な事業の予算も今回の当初予算に新規にお願いしているところでございます。これらの競技力向上対策と有機的に結びつけながら、有能な選手の本県での育成に努めてまいりたいと思っております。  〔高野誠一君登壇〕
    ◆(高野誠一君) 先日三月五日の新聞に「スポーツ省新設を」という見出しで、竹下首相の私的諮問機関であるスポーツの振興に関する懇談会の報告書の原案が提出されたことを報じておりました。ここに新聞を切り抜いて書いてきたわけでございますが、それによると、スポーツ強化を国策にすべきだとの立場を打ち出すとともに、スポーツ省の設置も提唱しております。メダリストに功労金を支給するなど思い切った提案を盛り込んであり、参加することにとどまらず勝つことを目指しているということを明らかにしてありましたが、国が国策にするという考えもあるわけでありますから、本県においても何か斬新的なスポーツ振興策を打ち出していいのではないかと思うわけであります。例えば、優秀な指導者を県内に定着させるために十分な生活の基盤を用意するとか、優秀なスポーツ選手には高校、大学、そして就職といったコースを準備してやるとか、十分な練習を思い切ってできる環境をつくってやるべきではなかろうかと痛感しているところでございます。 次に、高校生の中途退学についてお尋ねしたいと思います。 現在、中学卒業生の九五%を超える生徒が高等学校に進学しておりますが、せっかく高校に進学したのに学校生活が嫌になったりして途中でやめていく高校生が後を絶ちません。ここ数年の動きを見ると、全国では公立・私立高校在籍者の二・二%の高校生が退学をしております。本県では公立・私立高校在籍者の一・七%で、全国から見ると〇・五%少なくなっておりますが、それでも毎年約千二百名の生徒がやめております。大体千二百名と申しますと、大きな学校そのものがなくなっているという数字でございます。このように千人を超える生徒が毎年高校をやめていくということは、単に学校教育の問題ばかりでなく大きな社会問題でもあります。 途中でやめていく理由で最も多いのは、勉強についていけない、または学校生活がおもしろくない、あるいは別な方向へ進路を変更したいという子供たちであります。特に一年生のときやめる者が多いという原因の一つに、目的意識を持たないまま入学していることがあると思われるのであります。例えば、子供は勉強が嫌いだから高校に行くよりも何か技術でも身につけたいと言っているのに、親が高校くらいは出ていないと社会に出てから困るという考えを押しつけ、子供は親が言うからということで不本意ながら進学をするということや、単にテストの成績だけから進路を決定するようなことをしばしば耳にすることがあります。したがいまして、生徒の能力、適性、希望などを総合的に判断した進路の決定がなされるならば、このような中退者も減少するのではなかろうかと思われるわけであります。 さらに、高校に入学した後の教育についても、十分手を尽くされているとは思いますが、もっと生徒が持っている能力、適性を伸ばすために、もっと思いやりのある、教師と生徒間の信頼が深まる教育を必要とするのではなかろうかと思うのであります。中には、数学は苦手だが体育は得意だという生徒もいると思います。少しでも得意な面を見つけて褒めてやる。スポーツでも文化活動でも、あるいは掃除を一生懸命やるという行為でもいいから、認めてやることが必要ではなかろうかと思うのであります。釈迦に説法かもしれませんが、一人一人の生徒の長所、よさを見つけ、それを伸ばすことによって自信を持たせ、やる気を出させなくてはならないと存じます。退学する生徒の中には、勉強が嫌だ、学校がおもしろくないという理由のほかにも、学校の規則を守らなかったり社会のルールに従わない生徒や非行に走った生徒もいるようでありますが、このような生徒に対しても、退学という形でなく、間違ったことに対しては厳しく指導し、間違いに気づかせ、みずから立ち直るような指導も教育の大きな目的ではなかろうかと思います。 ある学校では、校内でたばこを吸ったら退学だとか、校外で吸ったら謹慎だとか、そういうおもしろい処分の仕方の学校もあると聞いております。何といっても、学校教育は一人の人間を立派につくり育てる上から最も重視しなければならない人生の一過程であります。 そこで、高校生の中退問題について教育長はどういうお考えをお持ちなのか、御答弁をいただきたいと思うのであります。  〔教育長田嶋喜一君登壇〕 ◎教育長(田嶋喜一君) 高校生の中途退学の問題についてでございますが、御指摘のように、退学理由の中で多いものは、学校生活への不適応、学業不振、進路変更でございまして、また一年生での退学が多いということでもありまして、これらの事態を深刻に受けとめておる次第でございます。 このような現状を踏まえまして、高校におきましては種々の対策を講じているところでございます。例えば、高校をよく知った上で中学生に進路決定をしてもらうために体験入学、そういうものを実施したりしておりますし、生徒の実態や進路に応じた教育課程をそれぞれの学校で編成したり、学習の習熟度に即した授業やおくれを取り戻すための補習、そういったことも行っております。そういったことで、すべての高校生が学校生活に適応できるように努力しているところでございます。そのほか、特に新入生に対しましては、青年の家等で寝食をともにしながら、先生と生徒、また生徒同士が心を触れ合い、学校生活のあり方などを話し合うといった機会を設ける宿泊訓練、そういうものも実施しておるわけでございます。 このような努力にもかかわらず、学業半ばで挫折していく生徒が多数出ている現状を見ますと、これまで以上に中学校と高校の連携を密にしながら、学習内容の理解や目的意識を持った入学など、適正な進路指導をさらに徹底させる必要があるというふうに思っております。また、高校入学後も愛情と厳しさを持った生徒指導に努めまして、学習と生活の両面にわたって、生徒のやる気と自覚を引き出すよう指導していかなければならないというふうに考えております。 今後とも中途退学者を少なくするよう特段の努力を払ってまいりたいと思っております。  〔高野誠一君登壇〕 ◆(高野誠一君) 中途退学者の対応について思い出されるのは、皆さん御承知の元プロボクシングのチャンピオン、ガッツ石松にまつわる逸話でございます。このガッツ石松は、学生のころからいわゆる悪ごろと言われる元気者であったと聞いておりまして、ある日校長室に座らされることになったそうでありますが、これを伝え聞いた父親が「子供のできが悪いのは親の責任だ」と言って、のこのこ校長室まで出かけて行き、石松と一緒に並んで座り込んだということであります。驚いてしまった石松は、おやじにこんなつらい思いをさせることを二度と繰り返すまいと心に誓い、以来今までの考え方を一変して、ひたすらボクシングに青春を見出したという話を聞いたことがございます。こうしたチャンスをつくってやった親の愛情と責任感が世界の石松を育てるきっかけとなったわけで、教育とはそのようなものではないかと考えるわけであります。言うなれば、教師の体当たりの愛情、子供を思う情熱こそ、横道にそれる子供の進路を正し、勉学の真の意義を理解させる基調をなすものと信じるものでありまして、直接教育に携わる学校現場の大いなる奮起を切望いたします。 私は、ある高校の校長先生と出会い、不思議な話を聞かせていただきました。ここで紹介したいと思います。高校受験の答案用紙に「先生、私を入学させないでください。合格させないでください。私はこの学校に来たくありません。」ということが書いてあったと聞きました。それはどんな意味があったのか。中学校の問題、あるいは両親の子供に対する話し合いが十分でなかったといういろんな問題があるかと思いますが、やはり本人が本当に学校に行きたくないというその真意を聞きながら、今後ますます核家族化の傾向にある中で、話し合いのできるそんな家庭を築いていかれれば、すばらしい学生生活、また中学生生活が送られるものと感じております。 初めての登壇でございまして時間を有効に使うことができませんでしたが、最後に、高校生の交通事故防止について要望をして終わりたいと思います。 三月一日の高校卒業式の日に、残念なことに大事な若い命を絶ちました。その十八年間、両親は一生懸命育てられましたし、また本人も非常なる夢があったと思いますけれども、この交通事故防止につきまして、今後教育委員会の方でも十分に検討されまして、一切事故のないそういう時代にしていただきたいと思っております。 本日は、長い間話を聞いていただきまして本当にありがとうございました。終わらせていただきます。(拍手) ○議長(永田悦雄君) 昼食のため午後一時まで休憩いたします。  午前十一時二十九分休憩      ―――――――○―――――――  午後一時四分開議 ○副議長(平川和人君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 大西靖一君。  〔大西靖一君登壇〕(拍手) ◆(大西靖一君) 十二番バッターでございます。私で最後でございますので、午後のお眠い中を申しわけありませんが最後までよろしくおつき合いのほどお願い申し上げます。自民党の大西靖一でございます。通告に従いまして質問申し上げますので、執行部の方にはよろしく御答弁をお願い申し上げます。副知事と出納長と福祉生活部長と公害部長さん以外は全部御登壇いただきますので、よろしくひとつお願い申し上げます。 ではまず、関係各議員代表質問から、ほとんど与野党を問わず先生方から御質問もありましたけれども、私も最後に九州新幹線の建設について質問を申し上げます。 九州新幹線については、交通通信対策特別委員会におきまして、大森、渡辺正副委員長を中心に委員各位の熱意ある論議を重ねてきたところであります。本年一月八日の委員会に続きまして、去る二月十二日には全員上京して県選出国会議員と懇談し、その一人一人の考えをお尋ねいたしましたが、全員が新幹線は積極的に推進すべきとの御意見を伺ったところであります。また、二月二十三日には鹿児島県議会とともに上京し、自由民主党交通部会長等に陳情を行い、さらに二月二十四日には県経済界の代表と懇談いたしましたが、その中では、地元負担をしてでも積極的に建設すべきとの熱意あふれる御意見であり、これまた大いに意を強くしたところであります。 私は、新幹線鹿児島ルート建設が本当に着工できるかどうか、地域の長年の悲願であるこの問題は、現在まさに正念場に立っていると思うのであります。ここで選択を誤れば、九州は掌中にしている一つの高速交通手段を手放してしまうおそれがあり、熊本県にとっても将来取り返しのつかぬ禍恨を残すのではなかろうかと心配するのであります。前々から、九州は一つだが各県の思惑にまとまりがなく、九州は一つ一つであると他の地域から言われているのも事実であります。そのような中で、今こそ九州が本当に打って一丸となって中央・東京に対して物申す具体的なプロジェクトは、この九州新幹線以外にはないと確信をするものであります。 東北、北陸と九州が整備新幹線誘致を強力に進めてきた中で、国は昨年来、在来線を活用した簡易新幹線、いわゆるミニ新幹線建設を打ち出したところでありますが、このミニ新幹線の方が新幹線より建設費が安いこともあって現実的であるという話もありましたが、このミニ新幹線を導入することに決めた福島―山形間の奥羽本線では、在来線のレールが撤去され、工事期間中はバス輸送、さらに予想もしなかった多額の地元負担が明らかになり、わずか三十キロのスピードアップのためには余りにも多くの問題点を抱えているとの新聞報道で、山形県では現在窮地に陥っているということがあったところであります。 また、近年、二十一世紀の高速鉄道の主役としてリニア鉄道が脚光を浴びております。リニアについては、聞きますところ、いまだ実験段階であり、実用化までにはまだ多くの技術的課題を抱えているとのことであります。私もリニア鉄道を国民が手にすることは将来できると信じるものでありますが、しかし、今から十五年、二十年後、東京と大阪を結ぶリニア鉄道は完成しているかもしれませんが、鹿児島ルートに建設されている可能性は、現運輸大臣の発言からも推測されますように極めて少ないと考えております。さらに、鉄道より高速道路整備が先だという話がありますが、これももっともなことで、地域にとって高速道路が建設されれば大変ありがたいし、道路建設が地域に及ぼす経済波及効果は一般的に鉄道より大きいことは改めて申すまでもないと思います。 しかし、昨年六月、国が発表した二十一世紀を目指した高規格幹線道路の建設は、国の財政事情もあり、全国一万四千キロが完成するのは何と三十年から四十年後とも言われております。県南地域の熱い期待を集めている南九州西回り自動車道をとってみても、この道路建設が国の直轄事業を中心に施行されることになれば、極めて多額の県負担金が予想されるというところでありますが、たとえそれを負担しても、その完成にはなお相当の年月がかかるものと思われます。 それに対して新幹線は、国の整備計画を受け実施計画も申請済みであり、後は政府が判こを押すばかりの段階まで来ており、路線もこれから調査するということと同次元、同列に論じることは私は疑問に思っているところであります。また、本会議でも何回となく審議されたことではありますが、五十万都市の表玄関であります熊本駅前の再開発事業が叫ばれて久しいが、なぜなかなか進展しないのか。私は、新幹線建設のおくれが事業の停滞をもたらした面があることも否めないことだと思うのであります。 いろいろ申し上げましたが、現下の交通技術の進歩のスピードは速く、私も二十一世紀の交通機関を正確には想像できませんが、私見を述べさせていただくなら、二十一世紀には、空の面ではマッハ五のスピードを持つ超音速ジェット・オリエントエクスプレスが登場すると言われていますし、また船舶では、スクリューを必要としない超電動電磁推進船も実用化を目指した研究開発が進められていると新聞に報道されております。 知事も、これまでいろいろな講演の場でリニアに対するお考えを披露されておりますが、二十一世紀の陸上輸送の中心となると言われているリニアが既に実用化の段階にあるのなら、私は、例えば九州・長崎から熊本、大分を結び、さらには豊予海峡を渡り四国につなぎ、大阪から紀伊半島、名古屋、東京と結ぶ一大リニア構想の考え方もあると思います。ちなみに、この間の距離は約一千キロ程度であり、リニアの毎時五百キロのスピードをもってすると、九州―東京は二時間から二時間半で到達することができるわけであります。幸い熊本は九州の地理的中心にあり、細川知事は九州をリードする知事として、二十一世紀の高速交通基盤のあるべき姿を積極的に発言できる立場にあられると思いますし、ぜひ知事におかれましては、九州の二十一世紀に向けた交通の夢を大いに語っていただきたいと思うのであります。 しかし、私は、福岡から鹿児島までは現実的な新幹線で建設すべきであると思いますし、今議会において、新幹線をめぐる与野党議員の先生方の質問に対して知事が、新幹線鹿児島ルートの建設実現を目指すとの強い決意を表明されたところであり、衷心から激励を申し上げる次第であります。また、本議会開会当日には、熊本商工会議所連合会、熊本経済同友会等の地元経済五団体から、地元負担をしてでも九州新幹線鹿児島ルートの早期着工を図るべきであるとの要望が知事及び議長になされたところでもあり、このようなことをしっかり受けとめられて、今後、知事初め県執行部がこの問題についての取り組みを強化されますとともに、県選出の国会議員各位の大同団結を得て、九州が一丸となって強力に推進を図っていただきたいと思うものであります。 そこで、今後、東北、北陸と競争して建設着工を目指すわけで、決着がなされるこの八月に向けてどのような具体的な取り組みを考えておられるのか、熊本県の企画開発部長の五味廣文部長にお尋ねをしたいと思います。  〔企画開発部長五味廣文君登壇〕 ◎企画開発部長(五味廣文君) 一番バッターで答弁をさせていただきます。 まず、八月に向けての具体的取り組みというお尋ねでございますが、ちょっと経緯から御説明をしますと、現在、政府・自民党の整備新幹線建設促進検討委員会のもとで、財源問題をどうするか、それから着工順位をどうするか、これらについて専門委員会を設けて検討が進められております。その中で、地方公共団体あるいはJR九州の意見というのも求められることが予想されます。つまり、財源問題等専門検討委員会では、六十二年度のJR各社の決算などを参考とした各社の負担の可能性及び程度の見きわめ、各種の財源についての検討を踏まえた具体的な財源の決定、仮に公共事業方式とする場合のシェア配分の具体的方法、それから、国、地域及び会社負担の比率並びに地方負担にかかわる問題点、輸送の実態の検討を踏まえた並行在来線の廃止の可否及びその具体的方法、財源問題等の検討を踏まえた保有主体のあり方等々の項目につきまして検討がなされるということでございますが、さらに、おのおのの項目について細分化されました具体的な検討項目というのが予定されているわけです。 例えば、その中の一つでございます国、地域及び会社の負担の比率及び地方負担にかかわる問題点、これについて見ますと、鉄道事業における助成のあり方、あるいは大規模公共施設における建設財源の現状、地域負担の可能性と問題点、それから開発効果などによる税収増等はどうかというように、いろいろ具体的な検討がなされるということになっております。これらの具体的な問題は、事柄の性質からいたしまして、本県独自の考え方ばかりではなく、沿線の各県が統一した認識のもとに各種の問題点を整理しまして、東北、北陸ルートに比べても十分耐え得るような理論構築をしておく必要があるわけでございます。 そのような視点に立ちまして、現在の具体的な取り組みの状況を御説明申し上げますと、まず九経連、鉄建公団、そして沿線の各県の企画担当部長、これらをメンバーといたします九州新幹線建設推進研究会というものを二月の初旬に設置をいたしました。そしてこの研究会で、先ほど長々と触れましたいろいろな項目につきまして現在鋭意検討を進めております。その検討の成果の一部につきましては今月末にも成案を得たいというスケジュールで進めております。 ところで、国の方の検討委員会の今後の日程でございますが、中央の政治日程や何かが絡みますので必ずしも明らかにはされておりませんが、当初はおおむね月一回程度の開催はしたいという申し合わせになっておりました。第二回目の着工優先順位専門委員会は今月末に開催される予定になっていると伺っております。この専門委員会では、現在運輸省が行っております昭和五十九年の東北、北陸、鹿児島ルートの三線の需要予測、収支見通しなどについての見直しを行ってその結果を報告するということであると聞いておりまして、これについては県としても大変関心を持っております。 そこで、今後でございますけれども、九州知事会、九州の県議会議長会、そして九州・山口経済連合会などと連携をしながら、早期着工がなされるように関係機関に対して働きかけをしてまいりたいと思いますが、その材料として、今申しました研究会の研究というのをとにかく鋭意どんどん進めていきたいと思っております。 それから、県内におきましても、地域全体としての新幹線に対するコンセンサスというものを得ることが何よりも重要でございまして、これまでも既に県議会において活発な御審議をいただいておりますが、沿線の市町村と連携をして、さらに熊本県商工会議所連合会あるいは熊本経済同友会など経済五団体との協力のもとに各種の議論を深めるということが必要であろうと思っております。このような議論をいたしますために、実は今年度予算をいただきまして、三菱総合研究所に委託して調査をしておった事柄がございます。これは、九州新幹線の本県に及ぼす経済効果などを中心に試算をしてもらっておったんですが、この辺の結論などを盛り込みました「新幹線の現状と課題」というような冊子をつくる、あるいは県民に向けてわかりやすいパンフレットをつくるというようなことで、こういうものをコンセンサスづくりの材料にして議論をしていただこうということで、これらの作成を急いでおります。これらのうち一部につきましては今議会中にも公表できるのではないかというふうに考えております。 また、県民各界各層の議論の場といたしまして、来年度の予算案に御提案をしておりますけれども、交通問題についての討論会などを年度明けには開催いたしまして、県内のコンセンサスづくりを図って、来るべき八月において、東北、北陸と十分競争できるような足腰の強い体制づくりを図っていきたいと考えておりますので、県民各位、特に議会の御協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。  〔大西靖一君登壇〕 ◆(大西靖一君) 今「新幹線の現状と課題」という冊子をつくられたということでございますが、時間もたくさんありませんけれども、簡単にその冊子の内容をお聞かせいただきたいと思います。  〔企画開発部長五味廣文君登壇〕 ◎企画開発部長(五味廣文君) 冊子の内容でございますけれども、これは実はあすの交通通信対策特別委員会に間に合うようにということで一生懸命つくっておりまして、ついさっきでき上がったばかりで、実はまだ総合的に御説明できるような準備はしておりませんけれども、お尋ねでございますから、ちょっとこの場をおかりして簡単にかいつまんだ御説明をしたいと思います。 つくりました趣旨は、県民の論議に資するためということでございまして、九州新幹線建設推進研究会、先ほど申しました九経連を中心にした研究会での検討資料など、あるいは本県で独自に行いました調査などを取りまとめております。全体といたしましては、総合交通体系あるいはその中での新幹線の必要性というようなものを既存の資料なりでまとめまして、さらに、新幹線の需要ですとか経済効果、あるいは必要な財源はどうか、この辺を既存の資料あるいは新しい試算によってお示しをしております。 その中で幾つか御紹介をしますと、総合交通体系と新幹線の役割に関しましては、運輸政策審議会あるいは先般の四全総、このあたりで出されております考え方を紹介しておりまして、結論は、知事の答弁にも出てまいりましたけれども、それぞれの交通機関の特性を生かした相互補完的な整備が総合交通体系でして、そういう中で新幹線も位置づけられると、こういうことになっております。 それから、新幹線の需要見込みですとか時間短縮効果などもJR九州の試算などを中心に既存資料をまとめております。御存じの方も多いと思いますが、例えば需要につきましては、これはJR九州の試算でございますが、新幹線が開業いたします場合と開業いたしません場合とでは旅客に一・五倍の開きが出る。つまり、開業いたしませんと昭和七十五年で旅客の数は一日一万人ということですけれども、開業いたしますと昭和七十五年には一万四千六百人になるということでございますので、比較をすると新幹線開業によって旅客は一・五倍になるというような試算、これはJRの試算でございますが、こんなものが出ております。 それから、ポイントになると思いますのは、先ほど答弁の中で触れました三菱総研に委託をいたしました調査の結果でございますが、これは地元負担問題とも非常に密接に関連しますが、経済効果はどうかという話になります。これにつきましては、もちろん五十九年の試算によりまして四千億円という投資が九州地域になされますから、その直接の生産誘発効果はあるわけでございますが、それとは別に、新幹線が通るということでどんな経済効果があるかという試算で、新幹線の整備に伴う県内総生産は、新幹線ができた場合とできない場合でどう違うかという比較をしたものでございますが、これは昭和七十五年で県内総生産は新幹線ができますと約一%引き上げられる、金額にいたしますと五十九年価格で千二百四十億円の県内総生産の増加があるということでございます。この試算では、昭和五十五年の県内総生産三兆九千億円でございますが、昭和七十五年には、新幹線がある場合であれば県内総生産は十兆七千億円余りになる、新幹線がない場合であると十兆五千七百億円程度ということでございまして、端数まできれいに差し引きいたしますと一・一七%、金額で千二百四十億円の効果があるというような試算が出ております。 こういうような総生産の増加がありますから、当然これが県税の増収効果をもたらすであろうということでこの辺の試算をしてみますと、同じ昭和七十五年度には五十九年度価格にして三十一億円の県税の増収効果があるという試算結果が出ております。このあたりは、地元負担ということを仮にいたしました場合、その負担の根拠、裏づけになる経済効果ということになりますので、いろいろこれから御議論いただく場合の材料にぜひしていただきたいと考えております。 これらのほかに、在来線の取り扱いですとか、あるいはリニア方式をとった場合、鉄建公団で試算いたしましたいろいろなデータがございますが、そのようなもの。あるいは俗に言われますミニ新幹線、先ほど先生が御質問で触れられましたミニ新幹線というのは、どんなもので幾らぐらいかかるかとか、既存の資料でございますがいろんな資料を取りまとめてございます。これは八月までにいろんな議論をみんなでしなくちゃいけないということで取り急ぎまとめたものでございますので、まだまだこれから、先ほどの九経連の研究会での検討の結果など出てまいりましたらどんどん充実をさせてまいりたいと思っております。  〔大西靖一君登壇〕 ◆(大西靖一君) とにかく高規格道路も西回り高速道路もいろいろ大切でございますが、まだまだ先のことでございますから、目の当たりの新幹線について県執行部の全力投球を心からお願い申し上げます。 例えば、ちょっと外れるかもしれませんが、九電の電気料金は北海道に次いで全国で二番目に高い。もう少し安くしてもらえば、新幹線の方ももうちょっと、よその東北とか北陸より、経済効果じゃないけれども効果が上がるんじゃないかというふうに思いますし、そういうこともいろいろ考えておるきょうこのごろでございます。時間がありませんので次に入らせていただきたいと思います。 次に、知事にお尋ねしたいと思います。「超魅力くまもと」キャンペーンの取り組みについてお伺いします。 近年、観光は、地域のイベントや特産品を活用し展開することにより、地域活性化の主軸としてその役割がますます大きくなってきております。本県でも昭和五十七年度以来「情熱発見くまもと」や「友・誘・遊くまもと」キャンペーンを官民一体となって継続的に展開してこられ、その結果、昭和六十一年は入り込み客で二千九百八十万人、宿泊で六百六十六万人と過去最高を記録しているわけでありますが、本県の観光消費額に伴う経済波及効果は四千億円にも及ぶものと推定されており、その効果は、地域の雇用から一次産品や土産物の消費等、一次から三次産業まで広範囲に及び、集客産業としてあるいはまた総合産業として観光が本県経済に果たす役割は大きなものがあります。さきに発表されました「明日へのシナリオ・一〇〇のターゲット」にも、観光客総数三千五百万人達成が掲げられていますが、この目標達成のためには官民一体となって繰り広げるキャンペーンの継続が不可欠であり、昭和六十三年度から装いを新たに「超魅力くまもと」キャンペーンがスタートすると聞いております。 幸いにも「超魅力くまもと」キャンペーンがスタートする初年度の重点事業として、九月から十二月までJRグループとタイアップして全国的な規模でデスティネーションキャンペーンが実施され、JRグループが六十万人、また各旅行エージェントも熊本へ向けて重点的に送客すると伺っております。この九州で初めて実施されるデスティネーションキャンペーンの成功に向けては今後万全の体制を組まなければならないと思います。JR九州でも、阿蘇駅や三角駅などの県内各駅を改装し、観光駅としての衣がえを図っておられるようですし、また秋には、熊本の情報を満載した熊本発の日本一周列車も走ると伺っており、ぜひ成功させていただきたいと念じております。 今後、二十一世紀に向けて余暇時間は増大し、滞在、スポーツ、体験、創造といった能動的な観光ニーズに一段と拍車がかかり、個性的な観光地づくりが求められてくることと思います。それだけに各地域間の競争も激しくなるわけで、一観光セクションのみの対応では限界があると思うのであります。物産関係者ともタイアップしなければなりませんし、イベント一つ実施するにいたしましても、地元やエージェントの協力はもとより、庁内関係機関をも含めたより広範な協力が得られなければ成功しません。また、道路整備や景観整備等のハード面も充実しなければなりません。 まさに魅力ある熊本を演出するためには、観光セクションだけが行うのではなく、県庁各部各課、職員の一人一人が「超魅力くまもと」のコンセプトを理解し、全組織がそれに向けて取り組まなければ十分な効果は期待できないと考えるわけでありますが、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 今日、余暇産業の市場規模は既に五十兆円を超えたと言われておりまして、特にその中で、集客産業と言われる観光産業の果たす役割は一段と重要性を高めてきております。そこで、今後は一層、一ひねりも二ひねりも工夫を凝らした集客施策の展開が求められているところでございます。そういう認識に立ちまして、昭和六十三年度から新たにキャンペーンをスタートさせるわけでございますが、これは単に観光くまもとをPRするということでなくて、熊本が本来持っております歴史や文化、あるいは豊かさや安らぎといったさまざまな要素を総体的に文字どおり魅力を数倍増して全国へ向けてアピールしていこうと、こういうことでございます。 今後、労働時間の短縮あるいは高齢者の増大等の社会的な変化や多様化、あるいは高級化する観光のニーズにこたえていくためには、より多くの人たちに、行ってみたいとか住んでみたいとか思ってもらえるような熊本をアピールしていく必要がありますでしょうし、そのためには、お話にもございましたように、一観光セクションだけでの取り組みではなくて全庁的な取り組みで、また市町村や民間の方々とも十分に連携をとって進めてまいらなければなるまいと思っております。特に、ことしはJR各社と協力して、九州では初めてのキャンペーンや、熊本のイメージを満載して走る日本一周列車の実施を計画しておりますし、ぜひともこういうものを成功させまして「超魅力くまもと」のイメージを全国に定着させていきたいと考えているところでございます。  〔大西靖一君登壇〕 ◆(大西靖一君) やはり観光は熊本の目玉でありますから、ぜひ頑張っていただきたいと思います。 次に、私立高校の受験のことについて教育長と総務部長にお尋ねをいたします。 ことし私立高校の試験が二月十六日と十七日の両日行われたわけでありますが、男子校は両日に少し分かれてやりましたけれども、女子校は二月十七日にすべて行われたということであります。それはどういうことかというと、県立高校とかける場合、二校しか受けられないということであります。従来は、去年までは三校ぐらい受けられておったということであります。ところが女子は、ことしは一校しか受けられない。だから、それに通らなくて県立高校に落ちれば浪人ということになりますし、特に女子の浪人というのは、また違った精神的な面があるというふうに思うわけでございます。 だから、私はそれをちょっと教育長にお尋ねしたいんですけど、それを学校関係者に聞きましたら、一日でやるということは――確かに判定会議というのを私立高校でやるわけですね。三百人募集のとき、五百人ぐらい合格させるかとか六百人合格させるかとか。千人ぐらい受けるわけですが、県立高校が後で試験がありますから、そうしないと抜けてしまうわけであります。だから、三百人募集して三百人合格させると後で百人も来なかったなんていうことになりますから、おおむね五百人とか五百五十人とかとるわけで、どこで切るかという手間が、私立を二校も受けられて県立を一校受けられると、その判定が非常に難しいんです。だから手間は、確かに高校側にとっては今度の場合省けたかもしれません。 しかし、それと同時に、その高校関係の方に聞きましたら、中学の先生のたっての強い要望であったということであります。じゃ進路指導の先生たちは何をやっとったかと私は言いたいわけであります。手間暇は省けるかもしれません。幾つも受けるというのに、いろいろ書いてやるだけでも大ごとでございますから、そういう点で手間暇は省けるかもしれませんけれども、受ける一番大切な基本というのは、その受験をする生徒が一番望むところに行きやすい環境をつくってやることではないかというふうに私は思うわけであります。その点について中学校の進路指導ということでどのような進路指導をされておるのか。 例えば偏差値というのがありますが、Aという高校に大体偏差値四十八点ぐらいで行くだろうといって受けさせて、もう一つ滑りどめというと失礼になりますが、もう一つちょっとレベルの落ちた高校を受けさせる。いつもはこういうことをやるわけですが、今度はできないんです。そういうことで、そのAという学校は四十八とか四十七ぐらいの偏差値で受けさせとったのが、五十以上じゃないと受けさせない。だから、いつもよりレベルを上げて進路指導をしているわけです。そういうことになると希望の学校に行けなくて、泣く泣く一〇〇%通るようなところヘランクを一つ下げて今度は受けたという現状があるわけです。だから、こういうことが今後あってはいけないし、四十億も五十億も私学に対しては助成金も出していることだし、この点のことについては来年からこういうことのないように、またもとに戻ってやれるように、総務部長もぜひその関係者にいろいろと働きかけていただきたいと思います。 その点について、中学校の受験とか進路指導についてどうなのかということと、それから総務部長には、そういう私学の高校に対しての御意見をお聞かせいただければと思います。  〔教育長田嶋喜一君登壇〕 ◎教育長(田嶋喜一君) 中学校におきます進路指導についてでございますが、この進路指導は、働くことの意義を理解し、将来の職業生活への展望を持って進学とか就職をするように基本的に指導しておるわけでございます。一年生から三年生までそれぞれの段階に応じた指導を行っておるわけでございますが、特に進路の決定に当たっては、テストの成績に偏することなく、本人の希望、それから保護者の考え、そういうものを大切にし、能力、適性、そういったものを総合的に判断して決定するように指導しているところでございます。 具体的には、学級指導とか教育相談、そういった中で学級ごともしくは生徒一人一人について進路指導を行っております。進学や就職先の調査とか、先輩の経験を聞く会といったものも開きまして、啓発的な学習を重視した進路指導を行っているところでございますし、職業系高校への進学につきましては、体験入学や職業高校の紹介パンフレット、そういうものも活用して、十分な理解と将来への展望を持って進学するように配慮しておるわけでございます。 しかし、この進路指導というのは先生がやるわけでございます。そういうわけで、指導する教師の認識、指導力、そういうものが極めて大切でございます。そういうことで担当教員の研修には特に意を用いております。文部省が行う進路指導講座に派遣いたしますとともに、全部の中学校を対象に中学校進路指導担当者研修会を実施いたしまして、一人一人の生徒の実態に即した指導ができるような先生づくりにも努めておるところでございます。今後とも生徒や保護者の将来の希望がかなえられますようなそういう進路指導に努力していく所存でございます。  〔総務部長佐藤達三君登壇〕 ◎総務部長(佐藤達三君) 私立高校の受験機会の増加についてでございますけれども、本年の熊本市内の私立高校の一般生を対象とした入学試験において、女子高校の志願生徒に対する受験の機会が、入試日の設定が集中したことによりまして従来に比べて減少したことは御指摘のとおりでございます。 従来から私立高校におきましては、特に私学を希望する生徒のために推薦制度や専願制度を設け、公立高校に比べまして私立高校を希望する生徒に対する受験機会をより多く設けるなど創意工夫を凝らしていることは御承知のとおりであると思います。本年は、この制度により、募集定員の四三%に当たる受験生が一般入試以前に志望校に合格を決めている実情にございます。試験日の設定は、現実問題といたしまして、私立高校や公立高校が多数存在している状況の中では、希望する生徒の確保という面において、私学にとっては学校運営上の根幹にかかわる重大な事項であると受けとめられているようでございます。 私立高校の入試期日は、公立高校あるいは他の私立高校の入試期日とも密接な関係を有しているところでございますが、その決定に当たりましては、お話のとおり高校サイドだけでなく中学校側ともさらに協議を重ね、受験生や保護者の希望などをできるだけ組み入れたものとなるように、校長会等を通じて要請してまいりたいと考えております。  〔大西靖一君登壇〕 ◆(大西靖一君) 総務部長に再度お尋ねしますが、二次募集を今やっている学校も一、二校はあるようでございまして、ことしもやるというふうには聞いておりますけれども、もう少し二次募集を明確化できないかということを一つお伺いしたいと思います。 それから、教育長は御答弁はいただかぬでもいいですが、なかなか難しい九州各県間のあれもあるようでございますが、公立高校の試験日が今は三月十日ですか、もう少し試験日を三月初旬ぐらいに繰り上げて――たしかあしたが発表だと思いますが、あしたの十日ぐらいに発表すれば、私立その他で二次募集をする期間が十分にあるんじゃないかというふうに思います。そういうこともまた今後の検討課題として教育長もぜひ、九州各県の同じ日にやるとかいう取り決めもあるようでございますから、その辺も踏まえて一考していただければと思います。 総務部長へのお尋ねは、二次募集というか、それをもう少し奨励というか具体化した積極的な二次募集を各学校ができないかどうか、ちょっとお尋ねしたいと思います。  〔総務部長佐藤辰三君登壇〕 ◎総務部長(佐藤達三君) 私立高校におきます二次募集についてでございますけれども、二次募集につきましては、これまでも幾つかの高校で実施され、また本年においても計画されているところでございます。ただ、いずれにいたしましても、今の点も含めまして今後の入試制度のあり方につきましては、学校サイドだけでなくて受験生や保護者の希望等に十分配慮をされた内容で決定されるよう、なお一層要請してまいりたいと考えております。  〔大西靖一君登壇〕 ◆(大西靖一君) まだ少し私学のことは申し上げたいことがありましたが、時間がありませんので次に移らせていただきます。 つくり育てる漁業の今後の展開についてお尋ねいたします。 我が国の漁業をめぐる諸情勢は、国際的な二百海里体制の定着化に加え、円高に伴う水産物の輸入の増加並びに水産物の需要の伸び悩みなど、国内外における社会的、経済的情勢の変化によりますます厳しさを増しております。県では、これまで水産物の安定供給と漁業者の経営安定のために、生産基盤となる漁場の整備開発を初めとして、種苗生産や放流等各種の施策を積極的に進められておりますが、昨今の厳しい経営環境を考えますとき、これまでの施策に加え、さらに新たな視点に立って重点的な漁業振興への取り組みが急務と考えております。 私は、これまでも数回にわたりこの本会議の質問におきまして、いわゆる干潟漁業、浅海漁業の振興策についてお尋ねをしてまいりました。したがいまして、あるいは重複するところがあるかもしれませんが、再度、本県のつくり育てる漁業の今後の展開について、林務水産部長にお尋ねいたしたいと思います。 まず、種苗生産に伴う技術開発の問題であります。 これまで漁業資源を維持し、かつ増大するために、沿岸漁業の主要魚種であるマダイ、ヒラメ等の種苗生産を行い、放流や養殖用種苗として漁業者に提供され、さらには、新しい魚種として市場性の高いシマアジ、アカウニ等についても技術開発の研究に取り組まれたところであります。しかしながら、今後の展望といたしましては、消費者のライフスタイルの変化に対応し、ニーズに合った需要価値のある鮮度の高い魚種を生産し、安定的に供給することが必要と思います。そのために、従来の魚種に加え、シマアジ等新しい魚種の種苗生産技術の開発や、近年水産分野でも研究開発が進められておりますバイオテクノロジーを応用した、成長の早い品質のよい養殖種苗の生産と生産コストの低減が図られるような新しい技術の開発が必要と思いますが、これらの技術開発について今後どのような取り組みがなされるのか、これが第一点であります。 次に、海域の有効利用と漁場の開発であります。 本県の利用海域は、養殖の過密化や長期間にわたる漁場の使用により老化が進んでおります。本県の特色ある沿岸海域の生産力を高めるためには、この際、新たな漁場の整備開発の方策を展開することが重要と考えるのであります。海面漁業の生産基盤となる増殖場、魚礁の造成については、これまで沿岸漁業整備開発事業を実施し鋭意努力されてきたところでありますが、地先単位の整備にとどまっている向きもありますので、今後は海域全体を対象とした総合的な沿岸漁場の整備開発を進めるべきではないかと考えるわけでありますが、執行部はどういう見解をお持ちなのか。  〔副議長退席、議長着席〕 第三点は、漁港整備の問題であります。 これまでの漁港整備は、入り江や湾等の地形、自然的条件、既存漁業の実態に応じたいわゆる泊地の整備に重点が置かれてまいりましたが、今後の水産業の方向を考えるとき、漁港も漁業生産体系の変革に即応できる機能を持ったものでなければならないと考えるのであります。すなわち、つくり育てる漁業を推進していくためには、地域内の漁業の特性に応じた生産、流通、加工関連施設の用地を確保した整備、さらには、養殖、蓄養の機能をあわせ持つ漁港が必要と考えますが、県は今後の漁港整備の方向についてどういうお考えをお持ちなのか、林務水産部長にお尋ねいたします。  〔林務水産部長藤門豊明君登壇〕 ◎林務水産部長(藤門豊明君) つくり育てる漁業の今後の展開について三点お尋ねでございます。 お尋ねの第一点、種苗生産技術開発の例といたしまして、飼いつけ漁業実験のため、シマアジの種苗を音波を出してならしながらえさを与える方法によりまして中間育成して放流しているところでございますが、現在ほとんど居ついております。海洋牧場の有望魚種としてこれを育てますために、親魚の育成でございますとか採卵等の技術開発に取り組みたいと考えております。また、市場価格の高いアカウニも種苗生産が可能となりましたので、栽培漁業協会で量産化を図りますとともに、バイオ技術の応用によりますヒラメをすべて雌にしてしまう技術とか、あるいはマダイの三倍体づくり、あるいは成長ホルモンによります成長促進技術の開発など、優良魚種をつくり出す作業でございますとか、養殖の生産コストの低減等を目指して今後とも一層努めてまいりたいと考えております。 第二点の、海域の有効利用と漁場の開発につきましては、まず、養殖場の過密化を緩和いたしますために、消波堤の設置など新しい養殖場の造成に努めておりますが、なお収容力等の問題がありますので、明年度から三カ年で沖合養殖パイロットファーム開発事業に着手したいと考えております。この事業は、沖合に自動的にえさを与えることができます装置などを載せました海上基地と、大型の波に耐え得ます生けすをつくりまして、風波に強い養殖施設の構造でありますとか素材などに関する開発を進めるものでございます。 また、海面漁業の生産基盤につきましては、これまで沿岸漁場整備開発事業によりまして、主に地先単位について整備してきました向きがございますので、昭和五十八年度からの主要魚種生態調査あるいは設計調査の結果を踏まえまして、六十二年度からマダイ等を対象といたします大規模な海域礁設置事業や、魚、アワビ、イセエビ向けの磯根漁場造成事業を進めておるところでございます。明年度からスタートいたします第三次沿整事業では、本県の三海域を類型化いたしまして、海域のそれぞれの特色を生かして相互に関連づけながら、魚礁でございますとか増殖場の造成などを進めてまいりたいと考えております。 第三点の漁港の整備についてでございますが、これまで基本施設を重点に進めてまいりましたが、御指摘のような今後の漁業生産体系の変革に対応できますように、長期の見通し、目標設定のもとに、各地域の漁港の特性に応じまして、つくり育てる漁業に即応した漁港づくりに努めていきたいと考えております。このため、六十三年度を初年度といたします第八次整備計画におきまして、従来の漁港機能施設の整備拡充に加えまして、安全・快適性を勘案しました整備を目指し、使いやすい係船岸壁でありますとか、蓄養殖業の利用実態に即しました作業基地、あるいは流通加工のための各種関連用地の整備、また、漁業集落の活性化を図りますための集落整備、漁村再開発用地の確保など、新規施策を盛り込んだ事業に取り組むことといたしております。  〔大西靖一君登壇〕 ◆(大西靖一君) 新しい漁場の開発のために、新年度から沖合養殖パイロットファーム事業に着手されるようでありますが、待って久しかった近海漁業振興の担い手としてその成果に大いに期待をいたしますので、ぜひ頑張ってほしいと思います。 さて次に、当面する林政の重要課題である木材の需要拡大について質問をいたします。 林業、木材産業を取り巻く情勢は、住宅建設の回復やパルプ需要の増加から、木材需要の動向にはやや明るさが見られるものの、全体としては依然として厳しい基調で推移しております。このような状況のもとで、本県では、来るべき国産材時代に備えた木材の需要拡大策に取り組まれ、公営住宅の木造化、学校施設の木質化、道路、公園の外構施設への木材利用等、県下十一地域の木材需要拡大推進協議会を中心に官民一体で普及啓蒙活動が意欲的に進められており、また、木造住宅建設資金に対する割り増し融資制度や、木材利用開発のため必要な事業資金融資制度の創設、木材の安定的な供給を図るためのくまもと型新木造住宅推進事業の実施等、木材の需要拡大に対する県の努力には関係業界を初め県民からも大きな期待が寄せられているところであります。 しかしながら、厳しい現状を打開し、森林、林業、木材産業の活性化を図るためには、木材の需要拡大はいよいよ重要な課題と思われますので、木材の復権と木造住宅の振興を図っていくため、今後木材需要の拡大をどのように推進していかれるのか、お伺いしたいと思います。 また、今まで申し上げてきましたことを着実に実施し、実効を上げていくためには、林業、木材関係業界の自助努力はもちろんのことでありますが、県におかれましても執行体制の充実を図る必要があるのではないかと思われます。 知事が本定例会における当初予算の提案理由の中で、くまもと型新木造住宅のモデル住宅の建設展示とその普及、木材産業を中心に大工、工務店等の異業種間の連携を強化し、地域材の利用を促進する、また、新たに開発された木製品やシイタケ等の販路を開拓するため流通対策にも積極的に取り組むと申されておりますが、これらの流通対策をきめ細かく実施していくためには、その推進の母体となるべき組織の一層の強化が必要ではないかと考えます。行政改革、職員削減に努力し、着実にその成果を上げておられることは承知いたしているところでありますが、緊急不可欠の部署にはそれなりの英断をもって対処されるべきだと思いますが、この点、流通対策組織の強化充実を図るお考えはないのか、林務水産部長の所見をお伺いしたいと思います。  〔林務水産部長藤門豊明君登壇〕 ◎林務水産部長(藤門豊明君) 木材需要拡大についてお尋ねでございましたが、お話のとおり、林業、木材産業の現状におきまして、なお今後県産材の供給能力は飛躍的に増大することが見込まれますので、木材の需要拡大を図ることは、林業、木材産業を含めます地域産業の活性化のため、ひいては地域振興にも大きく寄与するものであると考えるところでございます。そのため、庁内関係部局、関係団体の御協力を得ながら、従来から進めてきております各種施策を通じまして、公営住宅の木造化でございますとか、公立学校、公共建築物等について積極的に県産材の使用を促進いたしておるところでございます。 明年度におきましては、従来からの各種施策の継続はもとより、木材需要の大部分を占めます木造住宅の振興を図りますため、昨年度木材供給側の立場から開発いたしました工法に基づきますくまもと型新木造住宅のモデル住宅を展示し、普及啓蒙を図りますとともに、その部材供給体制を整備いたしますため、新たに地域材流通加工システム高度化事業に取り組み、今後加工流通コストの切り下げ、商品性の向上に努めたいと考えております。 また、現在、内需拡大施策の中、住宅の増改築がふえておりますので、そのための内装材等の木製品を開発するとか、あるいは加工技術の研究を推進するというようなことを進めますとともに、建物以外の分野での木材利用を図りますことも必要でございますので、市町村や林業、木材業関係団体と一体となりまして、需要の拡大について一層努めてまいる考えでございます。 次に、御指摘の執行体制についてでございますが、これまで部内の流通木材係を窓口といたしまして、行政、関係団体との連携を図りながら、地域では木材需要拡大推進協議会を中心といたしまして、市町村、関係団体が協力して各種施策を実行してきたところでございますが、これまで以上にこれら各種対策に取り組む必要がありますため、執行体制の充実強化は不可欠であると考え、現在、木材流通対策を担当する専門組織の設置について検討いたしておるところでございます。  〔大西靖一君登壇〕 ◆(大西靖一君) 部内の強化のために木材流通対策室を設置されるということでございますが、大いに期待をいたしておりますので頑張ってほしいと思います。 次に、熊本港に触れたいと思います。 私は、これまでも幾度となく本席をかりて熊本港についてのお尋ねをし、また、熊本港がどうあるべきかについて私なりの意見を述べてまいりました。県におかれましても、港湾計画策定後十数年を経過した今日の社会経済情勢の変化等を踏まえ、昨年十二月に港湾計画を改定され、物流主体の港湾から、マリーナや海浜公園など県民の憩いの場としての要素を兼ね備えた、より現実的な港湾へと計画を変更されたことについては皆さん御承知のとおりであります。その点、執行部の英断に敬意を表するわけでありますが、熊本港建設の最大のポイントは、何といいましても、生活の基盤である漁場を失ったり制限されたりする漁業者の皆さんの協力と理解をいかにして得られるかにかかっていると思います。幸い、港の本体ができる沖新町については、漁業者の皆さんの協力と理解のもとに、昭和六十年に漁業補償交渉が妥結し、これにより熊本港の建設が大きく前進したことは御承知のとおりであります。 しかしながら、まだ漁業補償が完全に終わったわけではありません。漁業補償が終わったとお思いの方も多数おられますが、まだ多くの問題が残っております。船舶が出入りする航路の問題や、河内から網田に至る関係漁業協同組合との影響補償の精算の問題などが残っているわけであります。このことは昨年の六月議会でも触れ、その折、本年度中に妥結を図るべく努力を重ねてまいる所存であるとの執行部の答弁をいただいたわけであります。県におかれましては、それらの問題の解決に向けて日夜努力を重ねておられると思いますが、現在どのような状況にあるのかお尋ねしたいと思います。 次に、熊本港の工事の状況についてお尋ねいたしますが、昨年の六月議会での私の質問に対して、執行部から、第一段階として二千トン級岸壁と一千トン級フェリー岸壁の整備を進め、四十九ヘクタールの用地造成を目的としたケーソン据えつけ作業を行っており、六十二年から六十四年にかけて外周護岸、フェリー用のマイナス五メートル岸壁を、六十四年からは航路及び泊地のしゅんせつに着手する予定であるとの答弁をいただいたわけですが、その後の工事の進捗状況がどうなっているのか。また、六十三年度は具体的にどのような工事を予定されているのか、あわせてお尋ねしたいと思います。 また、熊本港は昭和六十五年度に一部開港を行うとのことですが、そのためには、船会社や市内との路線バス会社等の誘致はもちろんのこと、航行安全のための航路標識の設置や海図の整備等、施設整備のハードな面ばかりでなく、手続等のソフト面についても万全の準備が必要であります。施設が完成しているのに路線バスが走っていなかったり、航路標識が不備なためフェリーの航行ができないなどという、お笑いぐさにもならない事態となっては大変であります。このようなソフトな面での開港の準備が進められているのかという点についてもお尋ねしたいと思います。 続いて、熊本港アクセス道路の整備について土木部長にお尋ねいたします。 熊本新港は昭和六十五年に一部開港されるわけでありますが、これに伴い流通機能が拡大され、港を初め関連するもろもろの施設が立地するものと期待されておりますが、これらにとって欠かすことのできないものとして道路網の整備があります。 まず、県道熊本港線でありますが、この道路は、国道五十七号の東バイパスと連結する形で熊本港と国道三号を結ぶものでありますが、現在、新港と主要地方道大牟田熊本宇土線の間について改良事業がなされており、昭和六十三年度には完成すると聞いておりますが、残り区間の主要地方道大牟田熊本宇土線と国道三号間の整備計画についてお尋ねいたします。 また、この熊本港線の全線整備は、新港の一部開港には到底間に合わないため、当面の対応として、県道大牟田熊本宇土線を通り熊本玉名線を利用するルートが考えられるところから、このルートの中で隘路となっている県道大牟田熊本字土線の小島地区の改築について、四年ほど前に幸山先生も質問されましたが、幸山先生ともどもこの地区についての改築を御提案申し上げて、現在執行部において鋭意取り組んでいただいているところでありますけれども、ここは人家が密集している箇所でもあり、非常に努力されているようでありますが、現在の進捗状況はどうなっているか、お聞かせをいただきたいと思います。  〔土木部長福島正三君登壇〕 ◎土木部長(福島正三君) 熊本港につきましては、これまで大西議員を初め県議会の各議員の皆様方には大変お世話になりました。また、多くの御提言等をいただいたことに深く感謝申し上げておるところでございます。 おかげさまをもちまして、港湾計画の改定も昨年の十二月に完了いたしまして、工事もただいま順調に進んでおります。しかしながら、航路の問題や、河内から網田までの関係漁業協同組合との影響補償の精算の問題等が残されているのも事実でございます。これらの問題の早期解決に向けまして、漁業者の方々の御協力と御理解を得べく鋭意努力中でございまして、昨年の十二月に関係漁業協同組合に影響補償の精算額を提示いたしまして、各漁協ごとに説明を行い、それ以降精力的に関係者との交渉を行っておるところでございます。今後とも一日も早い妥結に向けて努力してまいりたいと考えております。 お尋ねの二番目にございました工事のことでございますが、関係者の方々の御協力、御理解のもとに順調に進んでおります。六十五年度の一部供用開始に向けて、現在六十三年度は六十二年度に引き続きまして、外周護岸、フェリー用のマイナス五メートル岸壁と新たにフェリー用可動橋、臨港道路、水道の受水施設等、総予算額およそ五十五億円で事業を進めたいと考えております。なお、国の直轄事業としては、引き続き南防波堤、七百トン級岸壁、二千トン級岸壁の整備が予定されております。いよいよフェリー岸壁の本体工に着手し、駐車場や旅客ターミナルとなる箇所の埋め立てにも着手するわけでございまして、また外周護岸については、ほぼ締め切りが完成するところまで工事が進捗し、六十四年度には、泊地、航路等のしゅんせつ土を受け入れて本格的な埋め立てを行う予定であります。 お尋ねの三点目でございますが、港を供用開始するに当たりましては、御指摘のとおり、施設面の整備だけでなく、船会社やバス会社の誘致の問題、航路標識や海図の整備、電気、水道、電話等のサービス施設の整備の問題、また将来的には、税関、検疫、出入国管理といったさまざまなソフト面の整備が必要であります。 これらの問題につきましては、運輸局、海上保安部などの関係官庁や民間の関係会社等との協議、調整が必要でございまして、項目によりましては手続期間等の関係で急ぎ検討を要するものもございますので、庁内の関係部局ともよく相談をいたしまして、関係する国の機関、地方公共団体、民間会社との連携をとりながら、円滑な供用開始に万全を期してまいりたいと考えております。 次に、港にアクセスする道路の整備についてのお尋ねがございましたが、県道熊本港線は昭和四十九年に県道として認定をされまして、五十年に都市計画決定された道路で、お話にもございましたように、熊本新港から主要地方道大牟田熊本字土線までは、現在昭和六十三年度完了を目途に改良工事を実施しておるところでありますが、主要地方道大牟田熊本宇土線から国道三号に向けては、引き続き事業に取り組むべく準備を進めておるところでございます。なお、この中で国道三号周辺については、密集市街地を通過することともなりますので、事業の計画、手法等について真剣な検討を行っているところであり、地域住民の意向も踏まえて対応してまいる所存であります。 次に、県道大牟田熊本宇土線の小島地区の整備状況についてお尋ねがございましたが、この地区は人家が密集し、あわせて道路幅員も狭く、御指摘のルートの中で最も隘路となっており、この解消に向けて昭和六十年に拡幅改良を計画し、まず白川より右岸側の延長六百五十メートル区間について現在継続事業として取り組んでおるところであります。用地買収並びに家屋の補償交渉を行っておりますが、現在の進捗状況は、家屋四十二戸のうち十三戸の補償を終えたところであります。今後とも地権者の方々の御協力をいただきながら事業の促進に努めてまいることといたしております。  〔大西靖一君登壇〕 ◆(大西靖一君) ただいま土木部長から、現在工事が順調に進んでいること、六十三年度にはいよいよフェリー用の岸壁に着手し、六十四年度からは本格的に埋立工事に着手する予定であること、また、供用開始に必要なハード面だけでなく、船会社やバス会社の誘致の問題や、検疫、出入国管理などのさまざまなソフト面での検討も始められている旨の答弁がございましたし、熊本港は本当に現実のものになってきたなという感触を得て意を強くした次第でございます。 新幹線が陸の玄関として大きな期待が持たれているように、熊本港は海の玄関として、本県の物流体系の改善、産業の振興、地域の発展など多くの役割を持つとともに、熊本都市圏の西南部地域の発展に大きく寄与することは間違いありません。アクセス道路につきましても前向きの御答弁をいただきましたが、一層の御努力をお願い申し上げます。県におかれましては、一日も早く一部供用開始ができるよう、残された課題に積極的に取り組まれ、将来の県勢発展の基礎を築かれんことを要望しておきたいと思います。 昨年六月議会においても提案を申し上げました有明湾岸道路の構想でありますが、これは玉名・荒尾方面並びに宇土・天草方面をにらんだ将来の広域的幹線道路網を考えますと、松尾地区から坪井川と白川に橋をかけ、小島地区、沖新地区、海路口地区を通る新設道路が将来必要になってくるのではないかと考えるものであります。現道の大牟田熊本字土線が、先ほど御答弁いただいた小島地区並びに平木橋付近において改築中であり、将来この路線の再改築が必要となった場合、私の提案しましたルートが生きてくるのではないか。また、この主要地方道大牟田熊本宇土線は国道昇格の要望もなされており、将来国道に昇格しますと、より質の高い道路が必要であろうと思います。このような観点から、当該地域の道路網計画の中で今後ぜひお考えいただくよう強く要望いたしておきます。 さて次に、熊本北警察署の改築計画について県警本部長にお尋ねをいたします。 県警察におかれましては、百八十万県民の平穏な生活と治安維持のため、昼夜を分かたず全力を挙げてその職務に精励されている御労苦に対して心から感謝を申し上げるわけでございますが、最近における治安情勢を見ますと、我が国の都市化、国際化への進展、高度情報化社会への移行による社会構造の変化は、住民の連帯意識の希薄化並びに規範意識の低下をもたらし、犯罪のスピード化、広域化、悪質化の傾向を一層強めております。本県でも全く同様な様相でありまして、とりわけ交通死亡事故、少年非行の増加、暴力団犯罪の続発、銃器使用等による凶悪な犯罪の増加など、犯罪の量的な増大と質的変化をもたらしておりまして、まことに憂慮すべき状況下にあると存じます。このように警察活動を取り巻く環境がますます厳しさを増す中にあって、県警察におかれましては、暴力団抗争事件を初め、最近の女子高校生殺人遺棄事件等、県民の耳目を集めた凶悪重要事件を早期に解決されるなど、その活動成果は高く評価されるところであります。 ところで、熊本北警察署管内の現況でありますが、県下総人口のうち約三分の一に当たる熊本市とその周辺地域を含む人口六十万の都市圏を管轄区域とする熊本市内三警察署の中にあって、その市街地区中心部と周辺を管轄する県下最大の警察署であります。管内には、中央統轄官庁を初め、証券・金融機関、大型店舗など商業地域が集中し、さらに県下最大の歓楽街が密集し、その中にバスセンターが存在するなど、あらゆる面で県警察の中枢であります。また、治安面はもとより警察行政全般にわたってその果たす役割は非常に大きく、県警察から見ても大きなウエートを占めていると思われます。 その熊本北署管内の昭和六十二年中の治安状況を調べてみましたが、まず、熊本市内の三警察署管内の犯罪、交通事故発生状況、少年補導状況などと北署とを相互に比較してみますと、刑法犯発生状況で総数の四六%、同検挙状況は五三・五%を占め、刑法犯少年補導状況は五六%を占めております。また、交通事故発生状況は四〇%を占めるなど、いずれも熊本市を中心とする都市圏で発生する犯罪、少年問題、交通事故等、警察対象事案のおよそ五〇%程度の業務を熊本北署が占めている現況であります。さらに、これを県下の刑法犯認知及び検挙件数、人員に占める割合を見ますと、それぞれ県下全体のおおむね四分の一を占めているという状況であります。 このような治安状況下にあって、熊本北署の庁舎は昭和三十八年に新築以来二十五年を経過しておりまして、その間、警察対象事案等の変遷に伴い、署員数も著しく増員され、警察の装備資器材等の整備とも相まって、現庁舎は極めて狭い庁舎となっております。全般に執務室が狭い上に、特に取調室、会議室などが不足し、警察活動に著しく支障を来していると聞いております。加えて、交通機関の発展に伴い車による外来者も多く、その駐車場が極めて狭く大変迷惑をかけているようであります。 このような中にあって、今回、熊本県警察の中枢署としての熊本北署の改築が計画されておりますが、その構想等はどのように考えておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。  〔警察本部長竹内隆君登壇〕 ◎警察本部長(竹内隆君) 熊本北警察署につきましては、お話のような問題が種々ございまして、今回、同署の建てかえに必要な施設整備費予算をお願いしているところでございます。 基本構想でございますが、県民に親しみの持てる、明るく気軽に入りやすい庁舎を念頭に、周囲の景観との調和にも配意しながら進めてまいりたいと存じております。 庁舎の規模につきましては、地下一階、地上五階で総面積は約七千八百平方メートル程度でございます。総事業費は約二十億円で、昭和六十三年度から六十五年度まで三カ年計画で予定いたしております。なお、昭和六十三年度の建設費として、全体の約一〇%強に当たる二億六千五百二十一万円をお願いしているところでございます。  〔大西靖一君登壇〕。 ◆(大西靖一君) 本部長にもう少し詳しく北署のことをお聞きしたかったんですけれども時間がありませんので、またほかの機会にお尋ねをしたいというふうに思います。後で北署を北の方につくって、今の北署を中央署にするなりしていただければ一番いいんじゃないかと思いますので、そのために十分な将来を踏まえた現在の北署の改築をしていただきたいと思います。 次に、健康づくり対策についてお尋ねをいたします。 県民の健康づくり対策について衛生部長にお伺いしたいと思いますが、今や我が国は人生八十年と言われる時代を迎えましたが、その中にありまして本県は、先般厚生省から発表された都道府県別平均寿命によりますと、女性が全国第三位の八十一・四七歳、男性は全国十六位の七十五・二四歳と全国有数の長寿県であります。このように長寿県であることはまことに喜ばしいことでありますが、ただ長寿であるばかりでなく、健やかに生き生きとした毎日が送られる老後でなければならないと思うわけであります。高齢化が進んでも地域の活力が失われるようなことがあってはならない。健康は県民一人一人の問題であるとともに、地域活力の根源であると言っても過言ではありません。また、国民健康保険等の現況を見ますと、健康対策は市町村財政運営面での重要な課題でもあります。 ところで、昨年八月新聞報道された財団法人日本病院会発表の全国都道府県別の人間ドック調査結果によりますと、熊本県民の健康は全国最悪であるとされております。全国有数の長寿県でありながら、一方では県民の健康が全国ワーストワンということではまことにゆゆしき問題であります。 そこでまず、この調査結果についてどのような認識をされているか。また、本県における健康度の実態と問題点についてお尋ねをいたします。 次に、昭和六十一年版の厚生白書によると、全国的に見て死因の第一位が悪性新生物であり、第二位が心疾患、第三位が脳血管疾患となっており、このいわゆる三大成人病による死亡が全死因の約六割を占めております。 人間は、ある日突然成人病により病に倒れるわけではありません。成人病は、若いころからの悪しき生活習慣の蓄積に起因することが極めて大きいと言われております。成人病予防対策としては、健診による早期発見、早期治療が肝要でありますが、近年、健康づくりの概念も変化してきており、単に予防によって病気から身を守るというだけではなく、栄養、運動、休養のバランスのとれた日常生活を実践するといったより積極的な健康づくりとなってきております。 そこで、成人病対策とあわせて、県民の健康を増進し、健やかな地域社会を形成していくことが必要であると思いますが、今後、健康づくりの推進についてどのような施策を講じておられるかお尋ねいたします。  〔衛生部長星子亘君登壇〕 ◎衛生部長(星子亘君) お尋ねの第一点でございます財団法人日本病院会が発表しました人間ドックの調査結果についてお答え申し上げます。 この調査は、全国で約九千八百の病院がある中で、この財団が人間ドック病院として指定しました三百三十七病院での検査結果を集計したものでございます。一部の新聞で報道されましたが、本県の県民の健康度が全国最悪であるということなので、当財団に対しまして調査内容と見解を明らかにするように申し入れをいたしました。文書で回答がございましたが、それによりますと、人間ドック調査は少ない施設からの少数の回答を集計したもので、統計的に成立しないサンプル数であり、都道府県別の順位づけをしたものではないと答えてまいりました。 いずれにしましても、不十分な資料を公表し、いたずらに県民に不安を生じさせることがないよう、当財団に対し強く申し入れを行ったところでございます。 次に、県民の健康状態と問題点についてでございますが、厚生省は先月の二十六日に、昭利六十年の主要死因別訂正死亡率というものを発表いたしております。この訂正死亡率といいますのは、各県の年齢別人口構成が異なっておりますので、そのままでは死亡率の比較ができません。そこで、人口構成が全国的に同じであると仮定した場合の死亡率でございます。この順位を見ますと、全死亡で本県は男性が三十一位、女性が四十一位でございまして、全国平均より良好な状況にございます。このうち三大成人病につきましては、本県も全国と同じ傾向で死因の六割を占めておりますが、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患のいずれも、男女とも全国の二十九位、四十三位でございまして極めて低い状況にございます。また、昭和六十一年の国民生活基礎調査結果では、人口千人当たりの有病率、病気になっている率は、全国平均が二百八十七・八人、本県は二百六十九・九人と下回っております。さらに、市町村が実施しております老人保健法による住民の健康診査、これを昭和六十一年度で見てみますと、一般健康診査の結果で、全受診者のうち医療を要すると判断された者は、全国平均は二八・六%、本県は二一・〇%とこれも低くなっております。このように、平均寿命や死亡率、有病率、健診結果などから総合的に判断すると、県民の健康は全国的に見て劣っているとは言えないものと認識いたしております。 なお、県民の健康上の問題点としては、やはり三大成人病による死亡が多いことが第一でありまして、また、他県に比べて本県の死亡率がやや高いものは慢性の肝疾患及び肝硬変でございます。この事実につきましては、今後原因を見きわめて対策を立てていく必要がございますけれども、まずは酒を飲むときに無理強いをしないというようなこと、それから献杯や返杯もやめて新しい習慣をつくる、そういうよい習慣を持つということはいいことではないかと考えております。今後とも県民の健康状態が全体的に向上するように努力してまいる所存でございます。 第三点の、健康づくりの推進についてでございます。 御指摘のように、成人病予防対策も含めまして、県民一人一人が健康な生活習慣を身につけることが最も必要で、健やかに社会生活を送ることができ、活力が感じられる地域社会の形成を目指して、県民の意識啓発を図ってまいりたいと存じております。 具体的には、人生八十年時代が現実のものとなった今日、六十三年度から新たに「くまもと80ヘルスプラン」ということを実施することといたしまして、所要の予算を本議会に御提案申し上げているところでございます。内容といたしましては、全国のモデルとなるような健康づくりの総合的な取り組みを行う市町村支援事業や、健診率の向上、高血圧対策、上手な酒の飲み方など、地域の実態に応じて重点課題を絞って、健康づくりを推進する市町村支援事業とか、それから各保健所ごとに保健計画をつくりまして着実に市町村の健康づくりを推進するそういう事業、このようなことを地域の住民組織、ボランティア、それから住民相互の扶助グループ、こういうものの育成も図りながら実施してまいりたい、そのように考えております。  〔大西靖一君登壇〕 ◆(大西靖一君) 時間がありませんので、屋外広告物の問題と地下水対策について両方一遍に質問をいたしますから、御答弁も順次お願いをしたいというふうに思います。 屋外広告物条例の改正についてお尋ねいたします。 最近、特に屋外広告物がより大きく、より高く派手になってきており、自然景観、都市景観を大切にしております本県にとりましては非常に憂慮すべき状態であります。さきに知事から今回の屋外広告物の条例の改正に至った経緯についての説明があったところでありますが、私は、十分な準備を経て今回の条例改正に至った点、その努力をよしとするわけでありますが、土木部長に条例改正のねらい等につきまして二、三お尋ねをいたしたいと思います。 まず第一点といたしまして、屋外広告物行政の今後の具体的な取り組みについて。 第二点として、良好な景観形成のための規制の強化を改正の大きなねらいとしておりますが、新たに禁止地域にしようとしているのはどこか、目に見えるように具体的な例でお答え願いたいと思います。 第三点として、規制一辺倒では良好な景観が創出されるとは思われませんが、今後行政面でどのようなことをしようとされているのか、その考えについて。 以上三点、土木部長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。 続きまして、熊本地域の地下水保全対策についてお尋ねいたします。 熊本周辺地域の地下水保全の問題につきましては、昭和五十九年、六十年両年度で県と熊本市が共同で実施した熊本周辺地域の地下水調査の結果を踏まえて、県におかれましては、その後積極的な姿勢で取り組まれ、各種の施策が推進され、特に六十三年度には熊本市と共同で地下水対策を進められるという具体的な体制が確立されたことに関して、その敏速な対応に心から敬意を表します。さらに、県と関係十九市町村で組織する熊本地域地下水保全対策会議に引き続き、熊本地域地下水保全対策委員会も発足させ、国の関係機関と学識経験者も加えて、この地域の保全対策を総合的かつ効率的に進める体制を固めるなど、水問題を最重要課題として対処する行政の体制が整ったことはまことに喜ばしいことであります。 さて、熊本地域の地下水保全につきましては、我が党の代表質問に知事からの答弁がありましたが、私はここで補足的な質問を行いたいと思います。 質問の第一は、水資源に関する県市民の意識高揚のための施策についてであります。「水は天からもらい水」と、我が郷土熊本は、従来から豊富な水量、良質の水に恵まれ、まさに無限の富として私たちの感覚の中に今日まで生き続けてまいりましたが、調査の結果、有限の域にあることを知らされました。したがって、広く県市民に水の大切さと将来の展望を認識させる必要があります。どのような啓発のための施策をなされるか、お伺いしたいと思います。 第二に、今後の水量を確保するために人工涵養が必要と考えられますが、この場合に重要なことは、水質の問題に配慮すべきことであります。今日、自然環境の保全について県市民の関心が高まっており、特に発がん性の疑いのあるトリクロロエチレン等による水質の汚染が取りざたされておりますので、その対応に苦慮されていると思います。そこで、人工涵養の推進に伴う水質面の配慮についていかなる対応をなされるのか、お伺いしたいと思います。 次に、代替水源の開発及びその検討についてであります。地下水依存度の高い当地域におきまして、経済社会の発展に伴い水需要は増大する一方であります。これに対応するためには、地下水の保全とあわせて、地下水以外にその水源を求めなければならないことは当然の課題であり、今後の対応策をどのようにお考えか、お伺いをいたしたいと思います。 なるべく簡単で結構でございますから、よろしくお願い申し上げます。  〔土木部長福島正三君登壇〕 ◎土木部長(福島正三君) 屋外広告物に関連をいたしまして三点お尋ねがございましたが、まず第一点につきましては、当面、本年十月一日からの実働開始に向けまして、広告塔、広告板、屋外広告物の高さや広さの基準の改正と、屋外広告物の総量規制を盛り込んだ屋外広告物条例施行規則の改正を行い、加えて、新たに禁止区域となる県道等の指定作業を進めることとしております。さらに、一般の広報活動とあわせ、特に広告主、広告業者等に対し、今回の改正の趣旨をさらに十分徹底してまいりたいと考えております。 第二点目に関連をいたしましては、面的には、第一種住居専用地域、阿蘇国立公園内の南阿蘇一帯、市房山などの国定公園の一帯及び景観条例により景観形成地域に指定された地域を考えております。線的には、熊本空港から俵山を越えて南阿蘇へ通じる県道、さらに宇土半島の南岸道路を予定しております。 最後に、第三点目といたしましては、県民の屋外広告物に対する理解をより一層深めるための実験場、つまり他のモデルになるような広告景観形成モデル地区を選定いたしまして、ここで質の高い広告景観づくりの方策等について勉強いたしまして、よりよい景観形成を目指してまいりたいと考えております。  〔企画開発部長五味廣文君登壇〕 ◎企画開発部長(五味廣文君) 御質問の第一点の水資源に関する意識高揚でございますが、新年度熊本市と共同で、八月の水の週間の期間中に、水に関する展示会あるいはシンポジウムを開催しまして、節水機器展示等も含め、県市民の水に対する認識を深めていただくことにしております。それから、小学校四年生程度を対象に水についての副読本をつくりまして、でされば六十四年度には各学校に配付したいということで、六十三年度はその原稿をつくることにしております。 人口涵養に伴う水質面への配慮につきましては、新年度に実施を予定しております浸透式の雨水流出抑制池を用いてのモデル実験におきまして、浸透量の把握とあわせて、流入水の水質調査あるいは浸透水の水質変化について調査、検討を行うことにしておりますなど、従来同様意を用いてまいりたいと思っております。 代替水源の開発検討につきましては、長期的な観点から安定的な水資源を確保するということが必要であると考えておりまして、当面、緑川水系におきます多目的ダム建設のための適地調査を国に要望しておりまして、国においても現在可能性調査を行っていただいておるところでございます。  〔大西靖一君登壇〕 ◆(大西靖一君) 最後に、県産品の販売戦略と商品計画センターについてお尋ねしたかったんですけれども、時間がありませんので要望に切りかえさせていただきたいと思います。 とにかく東京で熊本県産品を買おうとすると、展示即売をしているところはないと。東京事務所その他東京の銀座熊本館に聞いても、どこに行って買ってくださいということだそうです。東京の八重洲口にある鉄道会館には、四十ぐらいの県が直売店を持っておって、県の職員が五時までおって販売をしているそうであります。熊本もおくれてはならぬと思いますから、ぜひそれに続いて展示即売をするようなところを、銀座の物産館でも何でも結構ですからやっていただきたい。 それからまた、第三セクターとして熊本県商品計画センターが設立されるようでございますが、これもすばらしいことだと思いますから、二、三年は赤字だろうと何だろうと徹底的にやって、県産品の啓蒙、販売を全国にぜひ広げていただきたいと心から要望を申し上げます。 ちょっと超特急で新幹線並みにまいりましたので、なかなかろれつの回らないところがありましたけれども、これで私の質問を終了させていただきます。本当に長い間御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(永田悦雄君) 以上で通告されました一般質問は全部終了いたしました。これをもって一般質問を終結いたします。      ―――――――○――――――― △日程第三 議案第十八号から第四十四号まで及び第五十三号から第七十三号まで(委員会付託) ○議長(永田悦雄君) 次に日程第三、目下議題となっております議案第十八号から第四十四号まで及び第五十三号から第六十八号までにつきましては、さきに配付の昭和六十三年二月熊本県定例県議会議案各委員会別一覧表(昭和六十三年度当初)のとおり所管の常任委員会に、第六十九号から第七十三号までにつきましては総務常任委員会にそれぞれ付託して審査することといたします。  〔各委員会別一覧表は付録に掲載〕      ―――――――○――――――― △日程第四 請願及び陳情 ○議長(永田悦雄君) 次に日程第四、今期定例会において本日までに受理いたしました請願は、議席に配付の請願文書表のとおりであります。これをそれぞれ所管の常任委員会に付託して審査することといたします。 陳情は、議席に配付の陳情一覧表のとおり所管の常任委員会に付託して審査いたします。 なお、後日会期中に受理いたします請願及び陳情については、議長において所管の常任委員会に付託することといたしますので、さよう御承知願います。  〔請願文書表及び陳情一覧表は付録に掲載〕      ―――――――○――――――― △日程第五 休会の件 ○議長(永田悦雄君) 次に日程第五、休会の件を議題といたします。 お諮りいたします。明十八日は各特別委員会開会のため、十九日、二十二日及び二十三日は各常任委員会開会のため、二十四日は議事整理のため、それぞれ休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(永田悦雄君) 御異議なしと認めます。よって、明十八日、十九日及び二十二日から二十四日までは休会することに決定いたしました。 なお、二十日は休日のため、二十一日は振替休日のため休会であります。 ○議長(永田悦雄君) 以上で本日の日程は全部終了いたしました。 明十八日から二十四日までは休会でありますので、会議は来る二十五日午前十時から開きます。日程は、議席に配付の議事日程第十号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後二時三十六分散会...