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  1. 熊本県議会 1988-02-01
    03月16日-08号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    昭和63年 2月 定例会┌──────────────────┐│  第 八 号(三月十六日)    │└──────────────────┘ 昭  和 六十三年  熊本県議会二月定例会会議録   第八号──────────────────────────昭和六十三年三月十六日(水曜日)   ――――――――――――――――――――   議事日程 第八号  昭和六十三年三月十六日(水曜日)午前十時開議 第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)   ――――――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)      ―――――――○―――――――出席議員(五十四名)                 大仁田 貞 夫 君                 松 村   昭 君                 高 野 誠 一 君                 水 野 秀 昭 君                 吉 本 賢 児 君                 村 上 寅 美 君                 草 村   照 君                 久 保 立 明 君                 福 村 三 男 君                 鬼 海 洋 一 君                 本 田 良 一 君                 前 田 貞 治 君                 池 田 貞 俊 君                 小早川 宗一郎 君                 前 畑 淳 治 君                 野 田 将 晴 君                 荒 木 詔 之 君                 島 田 幸 弘 君                 大 西 靖 一 君                 岩 下 榮 一 君                 中 島 絹 子 君                 中 島 隆 利 君                 倉 重   剛 君                 山 本   靖 君                 渡 辺 知 博 君                 西 岡 勝 成 君                 深 水 吉 彦 君                 阿曽田   清 君                 三 角 保 之 君                 山 本 秀 久 君                 永 田 健 三 君                 堀 内 常 人 君                 八 浪 知 行 君                 鏡   昭 二 君                 髙 田 昭二郎 君                 古 閑 一 夫 君                 大 森   豊 君                 馬 場 三 則 君                 古 閑 三 博 君                 平 川 和 人 君                 北 里 達之助 君                 金 子 康 男 君                 広 瀬 博 美 君                 柴 田 徳 義 君                 米 原 賢 士 君                 永 田 悦 雄 君                 小 材   学 君                 八 木 繁 尚 君                 幸 山 繁 信 君                 池 田 定 行 君                 水 田 伸 三 君                 小 谷 久爾夫 君                 今 井   洸 君                 酒 井 善 為 君欠席議員(一名)                 島 津 勇 典 君   ――――――――――――――――――――説明のため出席した者          知事     細 川 護 熙 君          副知事    山 内   新 君          出納長    伴   正 善 君          総務部長   佐 藤 達 三 君          企画開発部長 五 味 廣 文 君          福祉生活部長 小 澤   豪 君          衛生部長   星 子   亘 君          公害部長   佐 藤 幸 一 君          商工観光労働          部長     森   弘 昭 君          農政部長   松 村 敏 人 君          林務水産部長 藤 門 豊 明 君          土木部長   福 島 正 三 君          公営企業          管理者    道 越   温 君          教育委員会          委員長    安 永 蕗 子 君          教育長    田 嶋 喜 一 君          警察本部長  竹 内   隆 君          人事委員会          事務局長   成 松 史 郎 君          監査委員   木 原 章 三 君   ――――――――――――――――――――事務局職員出席者          事務局長   大 山 清 勝          事務局次長  前 田 利 郎          議事課長   大 間 照 男          議事課長補佐 山 下 勝 朗      ―――――――○―――――――  午前十時四分開議 ○議長(永田悦雄君) これより本日の会議を開きます。      ―――――――○――――――― △日程第一 一般質問 ○議長(永田悦雄君) 日程に従いまして日程第一、昨日に引き続き一般質問を行います。 吉本賢児君。  〔吉本賢児君登壇〕(拍手) ◆(吉本賢児君) おはようございます。自由民主党の吉本でございます。先輩議員各位の温かい御理解をいただき、本日、自由民主党県議団の一員として質問ができますことを大変光栄に存じているところであります。初めての登壇で、あるいは耳ざわりなところもあろうかと思いますが、自由民主党の一員として県勢の飛躍的な浮揚を願う熱意をお酌み取りいただきまして、しばらくおつき合いをお願いいたしたいと思います。 本定例会の冒頭に昭和六十三年度の県予算案が提案され、その規模が五千八百九十四億円、前年度比伸び率五・八%と、これまでの緊縮型から一転して積極財政型へと転換し、各分野に軒並み二百五十三件の新規事業を盛り込む等、知事の県勢浮揚に対する並み並みならぬ熱意が酌み取れ、昭和六十三年度の予算案に対して高く評価をするものであります。また、財政基金の取り崩しも、三年ぶり百億円の大台を割り込み九十億円にとどまる見込みだということでありまして、昭和六十二年度の財政基金の取り崩しも六十五億円程度で済みそうだということは、厳しい財政状況の中にも少しだけ光が見えてきたような気さえするわけでございます。しかし、歳入に占める自主財源の割合が三三%ということは、起債依存体質を変えることはできないわけで、その起債残高が五千億円を突破して五千三百四十三億円になり、県の六十三年度の総予算額に五百五十一億円と迫ったことも事実であります。 このような状況を考えますとき、少ない予算でいかに大きな経済効果を上げるかということがより大事なことで、幸いに六十三年度の予算案は投資的経費十六・八%の伸び、また、公共事業は一八・六%とかつてない大幅な伸びを見せ、県民一同大きな期待を寄せているところであります。予算の執行に当たっては、執行効率を高めることはもちろんのこと、予算の目的が十二分に発揮できるよう配慮して執行いただきますようお願い申し上げる次第でございます。 さて、最近知事は、国の経済審議会において、全国で唯一の都道府県知事として、農業の話や、新幹線問題の優先着工順位が争われている中、あえて総合交通体系論議など県政の重要課題について積極的な問題提起をなさっておられます。これらの問題は、いずれも県民として大変関心の高いものでございまして新聞等でも大きく取り上げられておりますが、知事としては、議会を初めとして県民の広い論議を期待されてのことだと解釈をいたしているところであります。 私としましては、知事の発言内容について、なるほどと教えられることばかりでございまして、その一つ一つの真意について質問の機会を得ましたこの席でお尋ねをしたいと思っておりましたが、既に代表質問や先輩議員の質問に対して知事から大変傾聴に値する答弁がなされましたので、本日は、知事が最近よく述べられている中から、一つだけお尋ねいたしたいと思います。 本議会冒頭での知事説明において、知事は、地方の活性化には何よりも国から地方への権限移譲、財源の再配分が不可欠であり、四全総が目指す多極分散型の国土形成を本気で実現していくためには、地方分権しかないと確信しているとおっしゃっておられます。 国と地方との関係のあり方については、戦後のシャウプ勧告以来多くの論議がなされてきたところでございます。すなわち、国と地方との責任の分担とそれに見合った財源の配分のあり方論議や、行政の広域化に対応する道州制論議や、最近の行政改革での論議などであります。その間、地方交付税率の引き上げによる自主財源の拡大や、地方自治法の改正による行政広域化への対応や、国の権限を一部地方におろす権限移譲の法改正などが実施されてきました。昨年は、地方自治法が施行されて四十周年ということで記念式典も開かれましたが、地方自治制度もそれだけの長い歴史を積み重ねてきたということでございます。その中で、我が国は今や国民一人当たりの所得さえ、世界第二位の経済大国と言われるまでに発展し、郷土熊本も順調な発展を遂げて今日に至っているわけでございます。これには、県行政当局自身の努力もさることながら、国からの補助事業や交付税制度に負うところが大であったのも事実でありました。特に、本県のように自主財源が少なく、かつ社会基盤の整備を積極的に進めなければならない公共団体においてはその傾向は大きく、県勢の発展にとりまして、今後とも国の公共投資をいかに多く本県に引っ張ってくるかがやはり大事なことではないかと、そのように思うものであります。 御船町の町議会議員として町行政に携わってきた経験から申し上げますと、市町村は県行政に比べて財政構造がさらに弱いわけであります。地域の活性化に向けて市町村としてもそれぞれ精いっぱいの努力を傾けておりますが、やはり地域が発展するには道路などの社会資本の整備がまず重要な課題であります。この点につきましては県当局に期待するところが極めて大きいわけでありますが、例えば市町村が独自に日本一づくり運動など何か新規に計画をしようと思いましても、自主財源が限られておりますので、どうしても国や県の補助金や起債に頼らなければ新しい取り組みはなかなかできません。 このような実情の中で、知事があえて補助金制度や起債などに対して批判をなさり、国に対して真っ正面から論議を展開されておられますが、その中で、遷都論は現実性のない話で、一省庁一機関の地方移転は、まるで二階から目薬を差すようなものであって、権限の移譲、財源の再配分こそ実質的な遷都だと言われておりますが、その権限の移譲はどの範囲までの移譲であるのか、また、財源の再配分にしてもどのような配分をするのか、お聞かせいただきたいと思います。 また、熊本県において、三次産業の進展等により県庁所在地の熊本市に人口が集中する一極化の傾向が強く、熊本市以外の市町村の経済の停滞化を招いておりますが、県の権限を市町村に移譲するお考えをお持ちかどうかについて、まず知事の所見をお伺いしたいと思います。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 権限の移譲、財源再配分の問題は、お話の中にもございましたように、地方にとりまして戦後のシャウプ勧告以来の懸案でございますし、これまで多くの提言がなされ、行革のテーマになってきたわけでございますが、実りは大変少なかったと率直にそんな思いがいたしております。 確かに、明治以来の集権的な政治、行政、経済のシステムは、これまでの日本の近代化、高度成長というものに大きく貢献をしてまいりましたし、御指摘のように、本県が今日まで順調な発展を遂げてまいりましたのも、国からの補助事業などに負うところが大変大きかったことは事実でございます。しかし、国民の価値観は多様化し、あらゆる分野での国際化、情報化が進み、今日では内需の拡大や均衡ある国土の発展が我が国経済政策の大きな課題になってきております。 そういう状況の中で、地域の活性化こそがそうした課題解決の決め手であると、私はそう思っているところでございます。これまでも各地域はそれぞれにさまざまな計画を立ててきたわけでございますが、その計画は、ほとんどの場合、単なる目標の設定にすぎませんで、それを実現しようとすると必ずぶつかるのが国の細かい規制と財源問題でございまして、結局、国とのたび重なる折衝、陳情を繰り返さなければならないというのが実態でございます。 権限の移譲に関しましては、総理の諮問機関である地方制度調査会の答申の中にも見られますように、国が関与してきた事業の中でも、都市計画など地方自治体に任せて何ら支障がないばかりか、かえって効率的、効果的にできるものがございますし、また、道路整備、河川の改修、海岸保全あるいは圃場整備や農道整備などにつきましても、事業執行上のいろいろな制約を緩和し、地方自治体に大幅に任せてもらうならば、それぞれの地域の戦略に従って事業の立体的な組み立てを考えることが可能となるものが幾つもございます。 財源の再配分につきましても、今日の極めて細分化されました補助金制度をできる限り統合し、一般財源化するとともに、起債に関する細かな制限を撤廃し、自治体が自分の責任で先行的な投資ができるように改めて、国と地方との財源配分につきましても多極分散を助長する方式を考えるべきだと思っております。 私は、地方分権というのは、単なる国と地方の権限争いではなくて、内需主導型経済を目指すこれからの日本の政治、経済運営の基本的な戦略であるという認識に立ちまして、知事会の活動等を踏まえまして、経済審議会等におきましても、地域活性化のためには、地域に密接に関連するような国の権限は地方に移し、それに見合う財源を配分し、その使い方も地方に任せてほしいということを国に対して繰り返し申し上げてきたところでございます。 また、市町村への権限移譲につきましては、市町村が住民に最も近い基礎的な団体であるということにかんがみまして、地域に密着した事務はできるだけ市町村へ移譲することが望ましいと考えております。  〔吉本賢児君登壇〕 ◆(吉本賢児君) 細川知事の若さ、斬新な発想、経済審議会地域・産業部会における発言は、現行制度の矛盾をついた実に鮮やかなものであったと心から賛辞を送りたいと思っております。確かに一部には暴言ではないかという異論も聞きますが、県下に五千ヘクタールあります荒廃地が、農振法、農地法を改正したからといってすべてゴルフ場に早変わりするわけでもないでしょうし、時には大胆に開発構想を展開していかなければ、いつまでたっても後進地域から脱却することは不可能であります。四全総においていかに多極分散型の国土形成を目指すとしても、あるいはどんな立派な構想を持っておりましても、地方では財源も苦しく、権限が中央に握られておってはなかなか思うように事は運ばないのではないかと思います。 ただいま知事から具体的な事例を挙げて答弁をいただきましたが、県でも均衡ある県土の発展に力を注いでいるように、国でも均衡ある国土の発展に意を用いるのは至極当然のことであろうと考えております。財政力の弱い地域に対する各種の補助金、助成金も、財政力の強い地域とは当然傾斜があってもいいはずであります。知事は、今後とも全国レベルの会合等で、ただいま御答弁の考え方をどんどん披瀝されまして、地方の声をより一層大きく結集していただきますようお願いをいたしまして、次に進ませていただきます。 次は、農協合併についてお尋ねいたしたいと思いますが、県下全農協は昭和六十四年三月三十一日を最終期限として大型合併を推進しており、県としても積極的に推進されているところでございます。 農協合併の目的は、高生産性農業を確立し、内外の競争に打ちかつとともに、営農指導の強化と組合員の生活向上を図り、社会経済の変化に対応できる農協をつくり上げることを骨子としており、私どもも一日も早い合併を望んでおるものでありますが、しかしながら反面、合併の必要性について十分理解が得られずに総会で合併が否決されたり、合併への取り組みのテンポが遅い農協も見られるようであります。 これらの理由についてはいろいろありましょうが、聞くところによりますと、なぜこの時期に合併をしなければならないのか、もっと後でもよいのではないか、広域合併になれば組合員は不便になり、意思の疎通が十分でなく、きめ細かなサービスができず職員が官僚化するのではないか、また、各農協は固定化負債を整理して合併するのか、もし合併後に問題が生じた場合はどうなるのか、あるいは合併しても役職員もさほど減らず本当に経費節約ができるのかといったようなことで、組合員のみならず役職員も合併についての不安を抱いているように思うわけであります。 その中でも、固定化負債問題と職員の官僚化については避けては通れないと考えるわけですが、とりわけ固定化負債問題については合併前に解決しておかなければならないと思います。 合併推進過程の座談会等において、固定化負債をどう処理するかという組合員の質問に対しては、契約更改、担保物の徴求等万全の債権保全対策を講じていただければいいというだけで、何ら固定化負債の解決にはつながらず、合併後の新農協がそのまま固定化負債を抱え込むということでは、真に基盤の強い農協はできず、組合員の苦悩を解決するには至らないと思われるのであります。 県は、その解決策として、農業経営再建特別対策事業として十億円を計上し、県信連に半年四・五%で預託、県信連はそれに九十五億円を継ぎ足して原資を造成し、その運用益をもって固定化負債の利子補給に充当しているところでありますが、五百億と言われる固定化負債を解決するためには余りにも現実とかけ離れた施策であると言わざるを得ないのであります。合併を推進しておられる県としては、あくまで負債農家の経営を再建するという立場を基調としなければならないと考えますし、そうすれば一体この問題の解決にどう対処されるのか、お伺いいたしたいのであります。 次に、職員の官僚化のことでありますが、元来農協は農協職員と組合員との強い信頼関係によって運営されてきたものと思うのでありますが、大型合併によって意思の疎通、信頼関係が損なわれた場合のことを組合員は懸念しているのであります。このことは何ら具体的な説明も弁明もないようでありますが、その懸念を取り払うためには県はどのような考えをお持ちか、お伺いしたいのであります。 また、このような合併を推進し実現したといたしましても、過去の例から見まして、事務処理や事業運営あるいは役職員間または組合員間で、合併の後に問題が生じた農協があるような話も聞きましたが、特に現在推進中の合併は、広域ということで市町村区域を越えることになるわけで、これまでとはまた違った複雑な問題も加わってくるものと考えます。このような合併後の諸問題の解決に当たっては、農協自身が取り組むべきことは当然のことでありますが、農協だけの努力では不十分な点も多く生じてくるものと思うわけでございます。合併後農協の活動が十分展開できなければ、組合員はもとより合併農協自身にとっても不幸をもたらし、また、本県農業の振興にも重大な影響を及ぼすことになりかねないわけであります。 そこで、合併が実現した農協に対する指導について、県としてどのようにしていくつもりであるのか、農政部長にお尋ねいたしたいと思うのであります。 次に、農業問題の第二点は、自立経営農業の確立についてであります。 熊本の農業は、昭和三十六年に農業基本法が制定されて以来、自立経営農家の育成を目指し、農業の選択的拡大を図りながら経営の拡大に努め、産地の育成に努力して、我が国有数食糧供給基地としての位置を確立してまいりました。まさに西日本一、日本一の農業県であり、現にイグサ、スイカ、メロン、アマナツミカン等々、生産においては日本一を誇る農産物が並び、これらは農業関係者のたゆまぬ努力のおかげであると存ずる次第であります。 ところで、県はさきに熊本農業の動向年報、いわゆる農業白書を発表されました。それによると、農業生産は昭和六十一年は順調に伸びたが、昭和六十二年の県の推計では伸び悩み、前年を下回る結果となっていると報告されています。 今農業に以前のような元気がないと言われております。確かに物余り現象で生産拡大ができない状況にあり、転作田の管理も十分でなく、農家は将来に対する不安から経営規模拡大への取り組みを控えている状況にあります。県の農業粗生産からもそのことがうかがえますが、過去十年前とそれ以前の四十年代に比べ、その伸びは鈍化しております。五十年ごろの農業粗生産額は約三千億円でありますが、六十一年の粗生産額は三千八百八十六億円と十年間で約八百億円伸びているわけですが、六十二年の粗生産額は三千五百九十八億円となり、近年の本県農業の厳しさは目をみはるものがあります。さらに、肝心の農業生産所得を見ると、昭和五十三年の千九百十九億円をピークとして、六十一年は千六百六十二億円にダウンしている状況であります。十年間で生産額は八百億円伸びたが、その手取りは横ばいどころかダウンしているわけであります。これは、つまり農業経営が悪くなっているということであります。その原因はどこにあるのか。その一つは、農産物の価格が不安定で伸び悩んでいる中で、農業資材費あるいは農業機械や設備の過剰投資等が大き過ぎてはいないか。そのために農家の手取りがそれだけ少なくなってきているということであり、言うなれば経営が圧迫されてきているというわけであります。 また一方では、農産物のガット理事会における自由化勧告の採択に引き続き、牛肉・オレンジ交渉、さらには基幹作物の米ですら外国から脅かされ、さらに価格もどれだけ下がるのか、目指そうとしても目指しようのない現状で、まさに八方ふさがりとなっていると思われるのであります。熊本農業をどうするのか。農業の役割、また県民とのコンセンサスを図りながら、若い青年の方々が将来希望に満ちた農業を目指すことができるような熊本の農業の飛躍を願うわけであります。 県では、昭和五十九年に「熊本・明日へのシナリオ」を策定され、今後十年後の三万戸の中核農家を育成、さらに農業所得は一千万円という大目標達成へ向けいろんな施策を積極的に推進されていると思いますが、最近、農家を初め農業関係者にとっては、三十一年ぶりの米価引き下げや七十七万ヘクタールにも及ぶ減反、ミカン価格の低落等、明るい材料は見当たらず、さらには牛肉・オレンジの自由化が現実の政治日程に上り、農家にとりましては将来への展望もなく、先行き不安でいっぱいであろうかと思います。 このような中で、中核農家なるものは達成できるのかどうか、また、自立経営農家の育成対策はどのように進められていくのか、農政部長の所信をお伺いいたしたいものであります。  〔農政部長松村敏人君登壇〕 ◎農政部長(松村敏人君) 最初に、農協合併の諸問題についてのお尋ねがございましたが、確かに組合員の中には広域合併に不安を抱いておられる方もあるわけでございまして、しかし、国内外との産地間競争に打ちかって農家の経営を守っていきますためには、農協の果たす役割が年々大きくなってきておりまして、農協の組織及び経営基盤の強化を図ることが農政上の重要な課題となっております。 そこで、御指摘のありました負債農家の経営再建についてでございますが、農業を基幹産業とする本県にありまして、農家が固定負債に苦しみ、農業への意欲を減退、喪失させることは、今後の農業を担う後継者にも悪い影響を及ぼしまして農業の衰退につながりますので、これは一日も早く解決すべき問題であると考えております。基本的には、農家の自覚と農協の金融・経営指導体制のいかんにかかっているわけでございますが、本県のように多くの農協が小規模で経営基盤も弱い状況にあっては対応が大変難しいわけでございます。このため、農協中央会が事業主体となりまして農業経営再建特別対策事業を実施することになりまして、再建可能な農家に対します債権棚上げのための資金として十億円の出資要請が県にございましたので、県もこれに応じますとともに、経営再建計画の策定及び実行について支援をしているところでございます。 合併推進過程におきます固定化債権の解消についてでございますが、各農協が合併までに固定化負債を解消することが理想でございますけれども、現実にはなかなか困難な状況にございまして、しかし、これが合併の障害になってはなりませんので、参加農協の間で財務内容の確認を行い、固定化負債につきましては、長期・低利の制度資金あるいは先ほど申し上げました特別対策事業を活用して解消に努めていただきますとともに、そのほか問題になるような債権につきましては、合併前の農協が貸倒引当金を準備し、同時に債権保全にも万全を期すなどによって責任の所在を明確にいたしまして、安易に固定化負債が新農協に持ち込まれまして新農協の経営に支障を来すことがないように指導をいたしているところでございます。 次に、職員と組合員の信頼関係につきましては、組織が大型化いたしますと親近感が薄くなるという懸念があるわけでございますが、御指摘のように、この関係が緊密に維持されることが農協本来の役割を果たすために不可欠でございます。このため、合併後は、本所が企画・管理部門を担当いたしまして、合併当時の農協本所及び支所を新農協の支所としてそのまま存続させまして、この支所で組合員と直結する金融、共済、経済、それから指導事業部門等を従来どおり担当することにいたしまして大幅な権限委譲を行い、あわせて、支所運営委員会、組合員集会、生産部会等の開催を通じまして支所中心の農協運営を行うことによって、組合員の参加意識の高揚、それから信頼関係の確立を図るように十分指導してまいりたいと存じます。さらに、農協職員が現在の農業情勢を深く認識して、組合員の協同活動推進のため率先して活動できるように研修を重ね、資質の向上を図ることも必要であろうと考えております。 最後に、合併農協に対する指導についてでございますが、合併前の農協の剰余金の一部を一定期間留保いたしまして、御懸念のような事態に備えますとともに、効率的な事務処理、合理的な事業運営を確保するための内部検査の制度、あるいは監事、監査の充実を図りまして、新たな問題の発生防止に努め、できるだけ早く合併のメリットが発揮できるように、農協中央会とともに指導を行ってまいりたいと存じております。 それから第二番目の、自立経営農業の確立についてでございますが、お話のように厳しい農業情勢にあるわけでございますけれども、本県が我が国の食糧基地といたしまして、基幹産業である農業を維持してまいりますためには、内外の産地と十分競争できる生産性の高い自立経営農家を育成することが農政の重要な課題でございます。 自立経営農家の所得目標は一千万円に置いているわけでございますけれども、これは、農業が魅力ある産業として自立できるためには、他産業従事者とおおむね均衡する所得を確保するという観点から試算したものでございます。この自立経営農家が必要といたします経営規模といたしましては、土地利用型農業では稲五ヘクタールと麦十ヘクタールを経営、それから施設型農業では施設面積一ヘクタール、肥育牛では百五十頭、果樹経営では二・五ヘクタール、乳牛部門では三十頭の規模が必要でございまして、これを実現することによって西欧先進諸国と同水準程度の農業経営に達するものと考えております。地域によって差はありますものの、現在既にこれに近い所得を上げている農家も見られまして、例えば本年の農業コンクール大会に参加された農家で一千万円所得水準にある者も多くございまして、本県のトップクラスの農家の実力からすると十分実現可能なものと考えております。 自立経営農家育成のためには総合的な対策を必要といたしますので、農業生産基盤の整備、農地の流動化、農業技術の開発普及、流通体制の整備等の施策を講じているところでございますが、特に、先導農家育成確保事業や地域の特性を生かして現地に適合した指導を行いますために、パイロット農業地区あるいは経営類型別に高生産性営農モデル農家を指定いたしまして濃密指導を行い、自立経営農家育成の拠点としているところでございます。今後ともできるだけ自立経営農家の育成に努めていく所存でございます。 なお、これら自立経営農家の母集団となりますいわゆる中核農家は現在四万二千戸余りでございますが、北海道に次いで本県は多くの新規就農者がおりますことなどから考えまして、十年後に目標とする三万戸程度の確保はできるものと考えているところでございます。  〔吉本賢児君登壇〕 ◆(吉本賢児君) 農協を大型化し、本来の目的の一つである営農指導の強化、資本力の増大を図っていこうとすることは、農業を取り巻く厳しい環境下にあってまことに時宜を得たものでありますが、事実は極めて難題であります。魅力のない農協では、せっかく大型化しても、いわゆる農民の農協離れを食いとめることは不可能であります。 牛肉の自由化阻止をめぐって全国の畜産農家と関係者が血眼になって論議を繰り返している中で、自由化後をにらみ、肉牛を生産する全国の大規模専業農家が独自の生産団体として全国肉用牛経営者安定会議を近々発足させようとしております。しかも、この組織は既存の農協組織と一線を画すことを明らかにして、生産コストの引き下げをねらい、牛肉の自由化何のそのと意気軒高であります。 さらに、金利についても、やがて自由化の波を避けて通れない状況であります。これまで農協職員と組合員の信頼関係で運営されてきた農協金融は、理事会の決定に基づいて金利もきちんと定められてまいりましたが、より強大な資金力を持つ民間金融の攻勢の前に太刀打ちできるかどうか、大型化によって職員の官僚化を招くことにでもなればいよいよお手上げであります。さらに、自立経営農家の育成に至っては、農産物の変動に大きく左右され、現在の計画でいけるかどうか甚だ疑問であります。 県が目指している中核農家は、昭和五十九年には三万戸、米麦中心で三・五ヘクタール程度の耕作で農業を営むということになっておりますが、これを本年を例にとって試算してみますと、米が反当収量八俵で計二百八十俵、一俵一万七千九百三円として四百九十八万四千八百三十円、麦が反当四俵として百四十俵、一俵一万一千二百九十円として百五十八万六百円、米麦合計六百五十六万五千四百四十円の粗収入と相なります。これから諸経費を引きますと三百十二万七百四十円というのが農家所得ということになります。したがいまして、一千万円の農業所得を目指すためには、米麦中心の農家では十ヘクタール以上の田畑が必要となってくるわけであります。もちろん単純計算でありますから、このとおりにはならないでしょうが、それでもかなり厳しいことだけは言えるのではないかと思います。執行部は、こうした諸般の状況を常に的確に把握されまして、その指導に遺憾のないよう格段の努力を強く要請しておきたいと思います。 次に、茶の生産と茶業試験場の整備についてお尋ねしてみたいと思います。 本県の茶業は、中山間地帯において、立地条件、気象条件に適合する作物として発展し、地域の特産物として定着しております。荒茶生産量二千五百四十トンは全国第七位にランクされておりまして、国内緑茶の供給県として主要な地位にあることは既に御承知のとおりであります。このことは、関係機関の適切な指導並びに生産農家のたゆまぬ努力の結果であろうと存じますが、緑茶を取り巻く動向を見てみますと、国内の消費量については年間約十万トンとほぼ一定しておりまして一応安定していると見られますが、一人当たりの年間消費量についてみますと、過去の最高量に比べ二百グラムも減退しているということであります。さらに、最近ではウーロン茶の輸入が年々増加しておりまして、昭和六十一年度には一万五千トンに及び、熊本県で生産される荒茶の実に六倍に当たる数量であります。ほかにコーラ等の清涼飲料水も相当量が消費されている状況を見ますと、緑茶の将来に少なからぬ不安があることは確かであります。 地元の例を引き出して恐縮でありますが、上益城地方における農業は、米、野菜、畜産、工芸作物の順の主要作目で経営されておりますが、この茶の生産は決して見落としてはならない地域の主要な特産物となっておりまして、矢部町の茶園面積二百三十五ヘクタールは県内第一位の広さであります。品質面におきましても、これまで開催された全国茶品評会や九州茶品評会において、矢部、御船のかまいり茶は数回にわたり上位入賞を果たしておりまして、産地評価も高い地域であります。中でも昨年熊本市で開催されました第二十三回九州茶品評会では、矢部町から農林水産大臣賞と産地賞が出ておりますが、こうしたことがすなわち本県茶産業の優位性を全国的にアピールしている証左でもあろうかと思います。 県内では、せん茶、蒸し製玉緑茶、かまいり茶の三種がそれぞれの地域の特性を生かしながら生産されているわけでありますが、国においては国内の需給動向に基づいて栽培面積の拡大を規制しているやに伺っておりますが、ほかに有望な作物が見当たらない山間地帯において、これから農業の自立を目指す上から、地域の特産物として本県茶業振興の持つ意義は極めて大きく、いたずらに国の施策に、はいそうですかとは言いがたい現実があるわけであります。県は、こうした状況下において、本県茶業の振興策をどう進めていこうと考えておられるのか、農政部長の所見をお尋ねしたいのであります。 また、さきに申し上げましたように、本県の茶業の生産性は、栽培管理、製造、品質保持技術等の向上によってかなり高い水準に達しており、全国的にも高い評価を受けております。したがいまして、他県の産地では、熊本を目標に努力、改善に力を注ぎ、いわゆる追いつけ追い越せと迫ってくるものと考えますと、本県の生産農家における技術開発への期待は極めて大きいものがあります。 これまでにも本県茶業試験場が技術開発の面で、また経営改善の面で本県の茶業振興に果たしてきた役割と成果は極めて大きいものがありますが、特にこれからは発展が期待されるバイオテクノロジー等の先端技術を駆使した新品種の開発を初め、安定した高い収益性を維持できる産地を形成するために、優良品種や高生産性技術の確立と普及に一層の活躍をしてもらわなくてはなりません。さらに、加工部門におきましても、安定的な需要を維持拡大するため、嗜好の変化に即応した品質向上技術の確立や消費動向を先取りした新製品の開発も必要となってくるわけであります。 今回、県では、農業関係試験研究機関を再編し、農業研究センターとして組織的に一元化を図り、研究の深化と総合力の発揮に重きを置いた整備が進められております。御船町滝尾地区に移転整備することになっております茶業部門については、既に六十一年度から基盤造成に着手され、現在試験圃場の造成が進んでいるようであります。地元はもとより、茶を基幹作目として精いっぱい営農努力を続けておられる県下の生産農家の方々は大きな期待を寄せながらその完成を待ち望んでいるところでございます。菊池郡合志町のセンター本場の研究本館につきましては、既に先般起工式も行われ、六十三年度末には竣工の運びとなるように聞いておりますが、この茶業研究部門の整備は今後どのように進められていくのか、また、整備された後の新しい研究所ではどんなふうに試験研究を展開していく考えなのか、あわせて農政部長の答弁をお願いいたしたいと思います。  〔農政部長松村敏人君登壇〕 ◎農政部長(松村敏人君) 茶業振興についてお答えいたします。 国内緑茶の需給状況は御指摘のとおりでございますが、近年、消費者の高級化志向等の影響から、上質茶についての需要は増加傾向にございまして、県内茶市場においても毎年高値で販売されている状況にございますので、上質茶生産に重点を置いた対策を推進してまいりたいと考えております。 まず、栽培対策でございますが、県内茶園の三〇%に及びます在来種園を優良品種園へ転換をいたしますため、昭和六十三年度から県単事業で茶産地合理化再編対策事業を創設いたしまして、優良品種園への転換を促進することといたしますために、今議会に所要の予算を提案いたしているところでございます。また、茶業経営上極めて重要でございます防霜施設の設置を促進いたしますために、従来の防霜ファン施設とあわせまして、生産者から要望が強かったスプリンクラー施設を新たに農業改良資金の対象に加えまして、融資制度の充実を図ってまいりたいと考えております。 一方、加工対策といたしましては、県内各地域の出品茶加工工場を拠点といたしまして、農業改良普及組織等を活用して加工技術の向上を図っていきたいと考えております。特に技術的には、普通せん茶及び蒸し製玉緑茶につきまして、大都市消費者が深蒸し茶嗜好の傾向にございますので、これに対応するため、蒸し工程技術の改善を進め、また、かまいり製玉緑茶につきましては、かまいり茶特有の香気が出るように、いり工程技術の改善を図ることにいたしております。 次に、茶業研究部門の整備についてのお尋ねでございますが、今後のスケジュールといたしましては、昭和六十三年度内に管理実験棟など主要建物施設及び試験圃場を完成させまして移転を行いたいと考えております。 それから、茶業部門の研究展開につきましては、特に、組織培養等のバイオ技術を活用した育種技術の開発、優良品種の組み合わせ等による上質多収技術の確立、適期摘採や省力化を目指しました機械化体系の確立、製茶技術の改善、それから消費者のニーズに合った新しい香りや味を持ついわゆる新香味茶の開発等にも取り組んでまいりたいと考えております。  〔吉本賢児君登壇〕 ◆(吉本賢児君) 茶の生産につきましては、先ほども申し上げましたように、上益城地方にとりましては以前から最大の特産物であります。その景気、不景気は農家経営安定の重大な要素となっておるわけでありまして、その試験研究機関を御船町に設置していただくことになったのは地域にとって大きな恩恵であり、それだけに期待も大きいものがあります。これからの茶業が産地間競争に勝ち抜き、より大きな国内外のシェアを確保するためには、何といっても品質の改善と生産技術の向上は欠くべからざるものでありまして、一日も早い研究機関の完成と、より強力な茶業振興策の展開をお願いして、次の質問に移りたいと思います。 次に、国民健康保険制度の改正についてお尋ねいたしたいと思います。 御承知のとおり、国民健康保険の市町村における累積赤字は実に千二百十億円に達しております。さらに、これから急速に進んでいくであろう老齢化と医療技術の高度化は、ますます医療費を引き上げていくであろうと予測されるところであります。六十五歳以上のいわゆる老齢人口の約七〇%が国民健康保険の被保険者であるという実態等も考え合わせますと、保険税のアップないしは地方自治体にその財政負担がのしかかってくることは必至であります。 国民健康保険の加入者は、全人口のおよそ三七・五%、四千五百万人と言われておりまして、その職業別内訳を見てみますと、農林水産業などのいわゆる第一次産業従事者を初め、自営業、年金受給者等がそのほとんどを占め、年収にしましても二百万円に満たない世帯が多いわけでありまして、保険税の生活費に占める割合も高く、これ以上の保険税のアップは、むやみに滞納者をふやすばかりではないかと憂慮されるところであります。 反面、その保険税の徴収率が上がらなければ国庫からの支出金が大幅にカットされることから、市町村ではやむなく一般会計からの繰り出しを余儀なくされ、財政の圧迫に拍車をかけているという悪循環と相なっているのが実情のようでございまして、全国でも六〇%に当たる千八百二十二の市町村が保険税のアップに踏み切らざるを得ないところにあるということであります。 しかも、私が最も憂慮しておりますことは、こうした厳しい状況下において、政府管掌健康保険の適用拡大の措置がとられることになったということであります。すなわち、昭和六十二年四月から、従業員三人以上の法人事業所はすべて政府管掌健康保険に加入することが義務づけられたことであります。したがいまして、今まで国民健康保険税の高額納税者、つまり一家の中心となって元気で働いていた人たちが、国民健康保険から離れて政府管掌健康保険へ組み込まれることになり、国民健康保険に残るのは中位以下の納税者で占められることに相なるわけであります。 また、昭和六十三年度の予算に焦点を合わせた国民健康保険制度の改革についてもいろいろ論議が行われてきたところでありますが、昨年十二月に示された国民健康保険制度改革の基本は福祉医療制度の創設でありました。この制度は、低所得者層の医療に要する費用については、低所得者が支払う保険税を限度として支払い、それ以上はすべて県、市町村が公費で賄うという制度となっておりまして、このことは国民健康保険制度の中に明らかに地方負担の導入を図っただけのことであります。本議会としても、地方負担導入については、政府に対して意見書を提出し、強力に反対の意思を表明してきたところであります。 そこで、お尋ねしたいと思いますのは、今回の国民健康保険制度改正の要点と、財政的な影響額はどれくらいと推測されるのか。また、県下の市町村の中で三十八市町村が公債費二〇%の危険ラインを超えるという状況の中で、今までの一般会計繰り出し以外に、さらに四分の一の負担増を強いられることになるわけでありますが、そうした市町村にとってどんな影響を与えることになるのか。また、六十三年度、六十四年度は当面交付税で見ることになっており、六十五年度に見直すということであるが、どんなふうに予定されているのか、あわせて福祉生活部長の答弁をお聞かせいただきたいと思います。  〔福祉生活部長小澤豪君登壇〕 ◎福祉生活部長(小澤豪君) お答えいたします。 今回の国民健康保険制度改正の趣旨は、高齢化社会に対応した市町村国民健康保険制度の基盤安定を図るため、新たに県、市町村が参画し、低所得者の問題、医療費の地域格差をどうするかという構造上の問題を是正することにありまして、その改正の要点は次の三点でございます。 その第一点は、保険基盤安定制度の創設でございます。第二点は、高額医療費共同事業の充実強化でございます。第三点は、高医療費市町村における運営の健全化でございます。 第一点の保険基盤安定制度の創設は、国保加入者には低所得者の占める割合が高く、財政不安定の要因となっておりますので、軽減保険料について公費で補てんを行い、保険基盤の安定を図ろうとするものでございまして、その負担割合は、国二分の一、県、市町村それぞれ四分の一とされております。 次に、高額医療費共同事業は、現在国保連合会において保険者の再保険という形で実施されておりますが、小規模保険者にとりましては非常に重要な事業でありますけれども、健康保険組合などと比べましてその内容においていまだしの感がありまして、第二点の高額医療費共同事業に係る改正は、それを是正するため、県が助成を行うことにより交付基準額の引き下げ等、事業内容の充実強化を図ることを目的として行われたものでございます。 第三点の高医療費市町村における運営の健全化でございますけれども、医療費の地域格差は医療保険制度全般にわたる大きな問題でございまして、その是正のために、厚生大臣が全国的に見て医療費の高い市町村を指定し、国、県、市町村が一体となってその適正化について努力することとなっております。その結果、地域的な事情等の要因を勘案しても国が定める基準を超える一定部分については、現行の国庫負担の対象外として、国、県、市町村がそれぞれ六分の一を負担することとされているのでございます。なお、これについては、六十三年度以降の医療費の実績に基づきまして六十五年度以降負担することとされて、その負担分については財政補てん措置は講じられないこととされております。 また、今回の制度改正に伴います影響額についてのお尋ねでございますけれども、第一点の保険基盤安定制度につきましては、県、市町村それぞれ約九億円を見込んでおり、第二点の高額医療費共同事業の充実強化に伴う影響額は、高額医療費の変動が激しく、その推計は非常に困難でございますけれども約三億四千万円ではないかと見込んでおります。これにつきましては、お話にありましたとおり、六十三、六十四年度につきましては地方交付税の特例加算措置で補てんされることとなっております。 なお、六十五年度の見直しにつきましては、現在国において医療保険制度の一元化等制度の根本的な改正について鋭意検討がなされておりまして、今後抜本的な改革が示されるものと理解をいたしております。  〔吉本賢児君登壇〕 ◆(吉本賢児君) 健康保険制度の改正について、ただいま福祉生活部長からるる御答弁をいただきましたが、改正に関する大義名分は、お聞きのとおり実に立派なものであります。これを受ける県はもちろん市町村においてはまことに深刻な問題であります。熊本市が八割を占めるとはいいますが、昭和六十四年度までに国保から政府管掌の健康保険に組み入れられるのは、県下で四百二十五事業所で計三千百三十三名に上ると言われております。残された国民健康保険では、医療費は変わらないのに収入は落ちるという最悪の事態に直面するわけであります。 思いますに、本来健康保険なるものは国レベルで運営をコントロールするのが本当の姿ではないかと思うのでありますが、今回の改正は、それにまさしく逆行するものと言わなければなりません。一、二年は国で面倒を見るにしても、その後には当然抜本的改正の必要に迫られること必至であります。乱診乱療を防ぎ適正医療の実を上げようとする意図もあるかしれませんが、いずれにしましても、執行部は、引き続き県下の国民健康保険の実態を正確に把握されまして、その健全な運営と随時適切な指導並びに必要な対応を怠らないよう特にお願い申し上げまして、次の質問にまいります。 次に、県有施設機能促進と管理運営の適正化について質問を続けてまいりたいと思います。 世にいう「仏つくって魂入れず」ということわざがありますが、県下のあちこちに設置されておりますいろんな県有施設は相当な数に上るものと思われます。その設置費、建設費を今の貨幣価値に換算すると、年間恐らく予算の数倍から数十倍に達するかもしれません。ところが、それらの施設が、設置された当時の目的を今現在完全に果たしているかどうか甚だ疑問であります。設置された当時は、珍しさも手伝って県民にもアピールし、施設も十分機能してきたものと考えられますけれども、月日がたち、時代がかわり人がかわるとだんだん機能を低下させているものがありはしないかと憂慮するものであります。私が住んでおります御船町にも、天君ダムと鳥獣保護センターという二つの県営施設がありますが、その例を見ましても、この際、見直しをしてみる必要がありはしないかと考えているものであります。 その一つ、県営天君ダムは、上益城地区平たん地が例年必ずといっていいほど一ないし二度の水害に遭い、水田の冠水、家屋の浸水といった被害を繰り返しておったところから、矢形川の降雨時の流量を調整して、下流地域一千三百四十へクタールの水田その他の耕作地や農業用施設などの公共施設を被害から守るために、国の助成を得て、昭和三十六年から昭和四十五年にかけ、当時十三億四千万円の総事業費をかけて完成させた防災ダムでございます。 受益地とされる熊本市の一部及び三町の住民が寄せた期待は大変大きいものがありましたが、いざ機能し出してみますと、下流の町から苦情が飛び込んでくる始末で、防災機能を果たすまでには至っておりません。ダム自体の貯水量を満杯にするまで水をため、いざ放流というときには、下流の河川が既にはんらんして堤防いっぱいとなっており、ダムの調整機能を果たせなくなるばかりでなく、無理に放流すれば河川の水位が上がって堤防が決壊するという事態も招きかねないのであります。現在、矢形川の改修によって人災は出さずに済んでおりますが、ダムの放流によって水田の冠水期間が長くなるに及んでは防災どころではないわけでありまして、放水時のサイレンが聞こえず急に河川の水位が上がったために、そこに遊んでいた子供たちに危険が及ぶこともあり得るわけであります。また、完成してから十七年もたつと、ダムの機能を果たすべき諸施設も老朽化し、ダムの湖底には流れ込んだ土砂が堆積してまいります。昭和六十二年五月時の調査でも、その堆積土砂の高さは十六メートルに及んでいるという状態であります。 このようなことから、この天君ダムの防災施設、機能の維持保全並びに安全管理の対策は早急に講じていかなければならない問題ではないかと思うのでありますが、農政部長はどのように考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。 また、もう一つのくまもと野鳥の森は、野生鳥獣の保護思想の普及及び傷病鳥獣の救護を目的として、総事業費三億八千八百万円を投じて昭和五十六年十月にオープンさせ、当初県が直営で管理していたものを、五十九年度から御船町に委託しております。敷地面積は二十・七ヘクタールという広さもあり、阿蘇外輪山と熊本平野との接点、御船町飯田山のふもとに位置する熊本市の南東約十六キロの台地で、クヌギ、コナラ、山桃、ヒサカキ等、実のなる広葉樹林に加えて、水がわき出る池まであるという野鳥の生息には珍しいくらいの適地であります。四季折々に変化する緑と花、そして紅葉等もすばらしく、遠く熊本市街や雁回山、有明海、金峰山、大きく横たわる阿蘇外輪の山々と噴煙が一望できるまことに恵まれた自然環境にありまして、その完成後は多くの入場者も見込まれ、地元の御船町としても期待しておったわけでありますが、その施設の未整備と、各セットの鳥獣の種類と数が少ないため魅力に欠け、せっかく県民のためにつくられた施設もその目的を達成するまでに至らず、教育的性格が強い施設とはいえ、今では年間三千万円という多額の管理運営の経費を要しているのが現状であります。 聞くところによりますと、五月に開催される第四十二回愛鳥週間・全国野鳥保護のつどいの際には、常陸宮殿下もこのくまもと野鳥の森にお見えになると伺っておりますが、県は、この施設についてどういう考えをお持ちなのか、具体的にどんな対策を講じていこうと思っておられるのか。また、ただいま申し上げました全国野鳥保護のつどいについては県民も深い関心を持っておりますので、その催しの概要についても林務水産部長の答弁をお聞かせいただきたいと思います。  〔農政部長松村敏人君登壇〕 ◎農政部長(松村敏人君) お答えいたします。 県営天君ダムは、五十年に一回の大雨を対象といたしまして、ダム地点の最大洪水量毎秒九十七トンのうち六十一トンをこのダムによってカットいたしまして、調節後の放水量を三十六トンとして流下させる計画で建設をされまして、この計画に基づき建設省の承認を受けました天君ダム操作規程に従って調節、操作を行っているところでございます。このダムの完成によりまして、矢形川流域におきましては、計画時に予定いたしました効果は上がっているものと判断しております。 ただ、ダム完成後既に十七年を経過いたしました現在、ダムの堆砂現象が年々進んでいることは御指摘のとおりでございまして、昭和六十二年五月に調査いたしましたところ七万三千百立方メートルが測定されております。計画では、八十年間で三十二万一千立方メートルが見込まれておりまして、調査時点の計画量が六万八千二百立方メートルということでこれを若干上回ってはおりますものの、ダムの運用には今のところ直ちに支障はないものと考えますけれども、今後とも堆砂量の推移を見守りながら洪水調節に支障がないように、天君農地防災ダム管理協議会を初め関係機関と協議してまいりたいと存じます。 なお、当防災ダムの管理につきましては、関係一市三町で組織いたします天君農地防災ダム管理協議会が県の委託を受けて行うこととなっておりまして、ダム所在の御船町に実際の管理と操作に当たってもらっておるところでございますが、職員二名分の人件費を含みます管理費につきましては、その五〇%を県が負担し、残りを受益市町で分担することになっております。 御指摘のように、計測施設、警報施設等の更新の時期が参っていることでもございますし、また、年々増高いたします管理経費の節減を図る観点からも、これらにつきまして天君農地防災ダム管理協議会の意向を十分踏まえまして、河川改修等の諸条件の変化等を考慮しながら、ダム操作規程の見直しなどを含めました安全管理と防災施設等の機能の維持保全並びに経費節減等、適正な管理運営の方法について検討してまいりたいと存じます。  〔林務水産部長藤門豊明君登壇〕 ◎林務水産部長(藤門豊明君) まず、くまもと野鳥の森の整備及び運営についてのお尋ねでございますが、この施設は、鳥獣保護思想の普及啓発を図りますとともに、情操教育の場とするということを目的に設置したものでございます。 昭和五十六年に設置以来、利用状況は、有料入園者数が昭和六十一年度末までに十四万一千人で、年間平均二万三千人程度となっています。近年では利用者が減少傾向にございますが、一方、傷つきました鳥獣の治療等は年間百五十件程度で増加傾向にございます。 野鳥の森の現状につきましては、利用者ニーズの変化に応じた施設の改善を行う時期に来ていますことや、イベント及び広報活動の問題にあると考えております。このようなことから、さきに施設の見直しを行い、昭和六十二年度、六十三年度の二カ年で施設の整備を進めているところでございます。具体内な内容といたしましては、見て聞いて楽しいディスプレーの方法を取り入れました展示室の改装あるいはミニサンクチュアリーの設定、それから道路の修景緑化などをいたしているところでございます。 運営に当たりましては、同センター運営協議会の意見を聞きながら、地元御船町との連携をとりつつ実施いたしておりますが、基本的には、児童生徒の情操教育を重点に、楽しく学べるような行事、例えば定例的な探鳥会の開催など、こういうことを計画的に実施いたしますとともに、小中学校、市町村関係機関等に対します広報活動をさらに強化してまいりたいと考えております。 次に、第四十二回の愛鳥週間・全国野鳥保護のつどいの開催につきましては、野鳥に対します国民の理解と愛鳥思想の高揚を図りますため、毎年愛鳥週間の期間中、環境庁、それに財団法人日本鳥類保護連盟及び県との共同主催によりまして開催するものでございます。多くの県民の方々に愛鳥思想や自然の大切さを考えていただくきっかけとなりますよう、熊本らしく、楽しく、そして意義深いつどいにできますよう、主会場もグリーンピア南阿蘇のアスペクタを選定いたしております。来る五月十五日の式典は、常陸宮殿下、同妃殿下をお迎えいたしまして、千人コーラスなど音楽を主体にした演出によりまして、野鳥のつどいにふさわしい趣の行事にいたしますよう準備を進めておるところでございます。 また、記念行事は、初めての試みといたしまして、野鳥あるいは文化の専門家の方々によります野鳥・文化会議を行いますことを初めといたしまして、熊本市との共催で下通りなどで行います野鳥展、県下七カ所で「緑の電車は飛んだ」という題の子供のためのミュージカルの巡回公演や、菊池渓谷ほか六カ所で行う探鳥会など、県民の方々ができるだけ多数参加いただけるよう考えているところでございます。 このほか、県下各市町村に、つどい記念野鳥の森の設定を呼びかけましたり、記念誌「くまもとの自然に生きる鳥たち」の出版をいたしますなど、愛鳥思想の普及啓発に役立てるよう努めているところでございます。 残りあと二カ月足らずの短い期間でございますが、目的を十分果たせますよう鋭意努力してまいりたいと思いますので、県議会初め関係方面の御支援をよろしくお願い申し上げます。  〔吉本賢児君登壇〕 ◆(吉本賢児君) 時間も余りありませんので、急いでまいりたいと思います。 県有施設の機能促進、管理運営の適正化について、天君ダム、野鳥の森を例に挙げ、関係部課ではやり玉に上げられたとお思いでしょうが、私の近くに存在しているというだけで別に他意があったわけではございません。そのほかにももっとメスを入れなければならないのがあるんじゃなかろうかと思います。 天君ダム並びに野鳥の森については、それぞれに当面の対応をお考えになっているようでありますので、ぜひ早急に改善に取りかかっていただきたいとお願いしておきます。その他の施設につきましても、これから順次見せていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。 次に、加勢川改修の促進につきましては、これまで議会でもたびたび質問が行われ、執行部からも逐一答弁も行われておりますが、私なりに改修の現状と今後の計画についてお尋ねしてみたいと思います。 御存じのとおり、加勢川は、嘉島町と熊本市の行政境界を流れ、飽託郡天明町で緑川に合流する一級河川であります。しかしながら、左岸の嘉島町側には堤防がなく、しかも蛇行部分が多く、河床勾配も三千五百分の一と緩やかなため水の流れが悪く、一たび大雨となれば嘉島町ばかりでなく流域市町はそのたびに大きな被害をこうむってまいりました。中でも五十七年の集中豪雨は、嘉島町に家屋の浸水六百戸、水田の冠水八百ヘクタール、道路の冠水八キロに及ぶ被害をもたらしております。そのため、建設省は加勢川緊急改修計画を立てまして、十年をめどに現在工事が進められておるところであります。 まず第一段階として、五十八年から六十八年の十年間をかけ、毎秒百二十立方メートルから約三倍の毎秒三百三十立方メートルの流量を確保できるように改修し、三年に一回程度の出水に抑える。その次は、さらに五年から十年をかけて、毎秒六百五十立方メートルの流量を確保して、十年に一回程度の出水とする。そして最終の第三段階は、毎秒一千立方メートルの流量を確保するというものであります。ところが、計画から五年目の昨年七月、嘉島町ではまたまた家屋の浸水二百三十八戸、水田の冠水六百三十八ヘクタール、道路の冠水五・八キロメートルという水害をこうむってしまいました。加えて、加勢川の上流に当たる木山川で災害防止のための改修工事が進められることになり、加勢川は一段とその流量を増大することが予想されるところでありまして、大水害発生の危険度はますます大きくなっているのが現状であります。 こうした事態を考え合わせますと、五十八年からの緊急改修計画は早急に見直しを必要とするのではないかと考えるわけであります。国の直轄事業ではありますが、県土木部ではこの改修計画の見直しについてどう考えておいでなのか。 一般に公共工事については、用地買収に住民の同意が得られず、事業推進のネックとなっているということをよく耳にします。用地買収が終わればその計画は七、八〇%達成されたも同然だとも言われるくらいであります。加勢川改修の地元嘉島町では既に十三万一千三百平方メートルの用地買収は完了しております。このことから考え合わせましても、嘉島町関係地域の住民がいかにこの計画に大きな期待を寄せているか、その度合いをうかがい知ることができるのであります。そこらあたりを十分認識された上で、土木部長の明快な答弁をお願いするものであります。  〔土木部長福島正三君登壇〕 ◎土木部長(福島正三君) 加勢川の改修についてでございますが、加勢川は、緑川合流点の六間ぜきから大六橋まで十一・五キロメートルについて、建設省の直轄事業として昭和四十三年度から河川改修工事が進められておるところでございます。これまで川尻地区の工事を中心に野田ぜき及び新町橋を完了し、あわせてこの間の河道整備を概成しておるところであります。そのほか、中の瀬橋の上下流域区間につきまして既に用地取得が完了している箇所では、暫定掘削、水門の設置、築堤工事等が行われておるところであります。 お話の中にありましたような浸水状況を解消いたしますためには、全区間にわたる抜本的な改修が必要でございますが、この計画を達成するには相当な期間も要するわけでございまして、当面の応急対策としましては、お話にもございました加勢川緊急改修計画の早期完了こそが得策と考えており、県といたしましても用地取得等について全面的に御協力いたしておるところであります。 なお、この緊急改修計画の見直しにつきましてのお尋ねがございましたが、現在、建設省で六十二年七月の出水状況を踏まえまして見直しの作業中であると伺っております。ただ、現在進められております用地買収は、最終的な計画でございます毎秒一千トンの河道整備に必要な面積を取得しておりまして、緊急計画の流量を変更しましても用地の追加買収の必要はないものであります。 これまで県と建設省では、五十九年十月に締結いたしました用地の先行取得に関する契約、これをもとにいたしまして、五十九年度から六十二年度の三カ年にわたりまして総額三十億円の用地先行取得事業費を計上して、およそ十八・二ヘクタールの用地買収に努めてきたところでありますが、その際には、地元熊本市、嘉島町並びに加勢川改修促進期成会の一体となった御協力をちょうだいしたところであります。 現在、用地取得状況は、加勢川改修に要します用地の全面積四十三ヘクタールのうち、用地先行取得による十八・二ヘクタールを合わせまして二十九ヘクタールが買収済みでございまして、これは所要面積の約六七%に達しておるところであります。今後なお一層の促進を図りますため、県としては、さらに六十三年度も約十億円の用地先行取得事業費を計上いたしまして、本議会で御審議いただいておるところであります。 いずれにいたしましても、熊本南部地域の排水計画に非常に重要な関連を持つ加勢川改修の促進について今後とも努力してまいる所存でございますので、県議会並びに地元の皆様方の御理解、御支援をお願いをいたす次第であります。  〔吉本賢児君登壇〕 ◆(吉本賢児君) 県におかれましてもひとつよろしくお願いをいたします。 次に、道路整備の問題につきまして、土木部長にお尋ねいたしたいと思います。 私どもが物心ついて特に意識することもなく当然のこととして、そこに道路があり、それを利用していたというのが道路に対する実感であります。当時を考えますと、例えば熊本市内に買い物に出かけるとしても交通手段は路線バスでありまして、それも今のように舗装道路を走るのでなく、でこぼこの砂利道、しかも幅員も狭く、もちろん曲がりくねった道路で、所要時間も今の数倍を要していたものであります。次第に各般の近代化が進み、生産性も向上するにつれて地域の経済活動も活発になってきたように、道路もさまざまな歴史をたどりながら移り変わってまいりました。今日ではその整備も進み、市街部、集落部はもとより山間部においても舗装道路が走り、当時を考えますとまさに今昔の感があります。 現代社会は車社会と呼ばれているように、私どもが何かの行動を起こす場合、車なしでは到底考えられない昨今でございまして、だからこそ道路に関する住民のニーズも変化し、その整備に対する期待は大きく、かつ多様化しているものと考えるのであります。よく耳にすることでありますが、企業を誘致する場合、必ず第一に企業側が着目してくるのは、地域の受け皿といいますか社会基盤の整備状況であり、とりわけ道路の整備状況であります。 さらに、道路の持つ役割として見逃してならないのは、公共的空間の確保があると思います。水道、ガス、電線類等の公共物は、この地下に埋設されてその機能を発揮しておりますし、また、これによって細川知事が提唱されている町並みの景観対策にも大きく貢献しているのではないかと考えるのであります。そのほかにも、地震時の避難場所や火災時の防災ベルトなどの防災的空間としての役割をも持つものと思います。 そこで、このように極めて多様な役割を持つ道路の整備について、三点だけお尋ねいたしたいのであります。 まず第一点は、主要地方道大津甲佐線及び宮原甲佐線の国道昇格の問題であります。 本県の中央部に縦長く位置している大津町、菊陽町、熊本市・益城町・御船町、甲佐町、中央町、泉村、東陽村、宮原町の十市町村は、この主要地方道大津甲佐線及び宮原甲佐線で結ばれ、地図の上から見ましても本県の中心となっております。「熊本・明日へのシナリオ」にも、この路線は、県南地域から熊本空港への連絡進入道路として位置づけられておるところでございまして、御船町、甲佐町を初めとする県南各地域にとって極めて利用度の高いものであります。 また、観光面においても、清流をたたえる縁川及び氷川水系の観光施設、日本一の三千段の石段、歴史と自然美にあふれる五木五家荘県立公園等が点在する重要な観光路線でもあります。そしてまた、この路線は、大津町において国道五十七号及び三百二十五号とつながり、宮原町では国道三号と連結しているほか、御船町においては九州縦貫自動車道ともつながり、その存在意義は極めて大きいものがあります。さらには、最近国道三号の交通渋滞が激しくなる一方であることと考え合わせますと、この路線の整備によって本県幹線交通の円滑化に対する貢献度は極めて高いものと言わなくてはなりません。 こうしてこの路線の持つ意義並びに利用の頻度増大をあわせて考えますとき、もはや一地方道ということではなく、十分に国道としての機能を果たす展望が見られるのでありまして、関係市町村では、いち早くこうした現状を踏まえ、既に期成会も結成して、ぜひ国道昇格の実現をということを各関係方面に働きかけているところでありますが、県土木部ではこのことをどう受けとめておられるか、また、県道大津甲佐線の現在の整備状況もあわせてお答えいただきたいと思うのであります。 次は、国道二百十八号矢部バイパスの問題であります。 御承知のように、この路線は、下益城郡松橋町で国道三号から分岐し、途中、豊野村、中央町、砥用町、矢部町、清和村、蘇陽町を通り宮崎県延岡市に至る広域幹線道路で、本県の中央部を東西に横断する唯一の国道であります。沿線には、それぞれの町村役場を初め主要な公共施設があるほか、地域住民の日常生活に密着した性格を持つものでありまして、本路線全体の整備については計画的に着々とその実効を上げておられるところで、地域住民にとってまことにありがたく、関係各位の御尽力に深く敬意を表するものであります。 ただ、その中で、矢部町内の現在の位置が町の真ん中を通っている関係から、通過交通と地域内交通が混入した形となっております。加えて道路幅も狭く、車の流れを阻害して交通事故の危険性も高く、この対応が本線整備の大きなネックとなっております。現在バイパス工事が進められておりますが、その早期完成は地域住民のみならず利用者にとっても悲願であります。このバイパスは、いつごろになったら供用開始できる見通しなのか、工事の現況とあわせて土木部長の答弁をお願いいたします。  〔土木部長福島正三君登壇〕 ◎土木部長(福島正三君) 道路に関しまして三点ほどお尋ねがございましたが、まず第一点の国道昇格の問題でございます。 一般国道は、道路法第五条の規定に基づきまして、道路審議会の議を経て政令で指定されることになっておりまして、最近におきましては五十六年四月三十日にその政令が制定されまして、全国で八十三路線、延長五千五百四十八キロメートル、本県においては四路線百七十四キロメートルが追加指定を受けまして、五十七年四月一日に施行されたところであります。従来おおむね五年ごとに国道の指定は行われてまいりましたが、現在のところ、次の追加指定がいつ、どれくらいの規模で行われるか明らかになっておりません。しかし、お尋ねのございました主要地方道大津甲佐線、宮原甲佐線の国道昇格につきましては、地元の熱心な御要望も承知をいたしておりまして、沿道状況、機能性、経済性、道路網等をよく検討いたしまして、国の動向を見極めながら取り組んでまいりたいと考えております。 次に、主要地方道大津甲佐線の整備についてでございますが、この路線につきまして、まず現在取り組んでおります益城町寺迫地内につきましては、通称第二空港線と接続する部分の延長二千六百メートル間を本年度から着手いたしまして、用地買収を行っておるところでございます。 次に、御船町高木地内では、現道が人家連檐地区を通っておりますので、延長二千九百メートルのバイパスを計画いたしまして、継続して事業に取り組んでおるところであります。現在、用地買収と並行して改良工事も実施しておりますが、今後とも地権者の方々の御協力をいただきながら早期完成を目指したいと考えております。また、同路線の甲佐町早川地内では、延長千三百メートルにつきまして昭和五十五年度から改良工事に着手し、来年度内には完成させたいと考えております。 ○議長(永田悦雄君) 答弁者に申し上げます。残り時間が少なくなりましたので、簡潔にお願いいたします。
    ◎土木部長(福島正三君) (続) 続いて国道二百十八号でございますが、本路線のうち現在取り組んでおります矢部地内でございますが、この地域につきましては現道拡幅が困難でございますので、矢部町白小野地区から町の北西部を迂回し、上畑地区までの延長五・七キロメートルのバイパスを計画して施行しております。これは直轄施行とあわせて取り組んでおります。県の方では本年、牧野トンネルや上司尾橋等の工事の促進に努めておりまして、昭和六十四年度を目標に完成させたいと考えております。直轄の方で施行いただいておる区間につきましても、一部において用地未解決の箇所もあると聞いておりますが、同時完成に向けて鋭意進捗が図られておるところでございます。  〔吉本賢児君登壇〕 ◆(吉本賢児君) 時間がございませんので、要望は割愛させていただきます。 知事並びに執行部の皆さん、そして先輩の先生方には、私のなれない質問に長い間おつき合いをいただきましてありがとうございました。心より感謝を申し上げまして私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(永田悦雄君) 昼食のため午後一時まで休憩いたします。  午前十一時三十四分休憩      ―――――――○―――――――  午後一時四分開議 ○副議長(平川和人君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 柴田徳義君。  〔柴田徳義君登壇〕(拍手) ◆(柴田徳義君) 日本社会党の柴田でございます。通告の順に従って質問をいたします。執行部の簡潔な答弁をお願いいたします。 まず第一に、宮崎県えびの市に建設が予定されているVLF送信所についてお尋ねいたします。 このことについては、昨日共産党の中島議員が知事の見解をただしました。しかし、我が党の酒井議員が六十一年二月定例会の代表質問でこの問題を取り上げ、VLF送信所の持つ危険性を指摘の上、建設が取りやめられるよう知事に善処方を要請しております。そこで、知事がどのような処置をされたか、改めてお伺いいたします。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 六十一年二月の議会におきまして、酒井議員から、戦争誘発の危険性のある通信施設の設置の反対要望につきまして、その後どのような処置がなされたかというお尋ねでございますが、先月四日にVLF通信基地建設反対九州実行委員会からVLF通信基地建設に関し申し入れのあった件につきまして、先月十六日、熊本防衛施設支局へその写しを渡しまして、申し入れの趣旨を説明いたしますとともに、県議会におけるこの問題に関するもろもろの論議もあわせてお伝えをしたところでございます。  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) VLFの持つ使命については、酒井議員が指摘したとおり、極東海域で作戦行動中の潜水艦に対して作戦指示を行う通信施設です。この施設を宮崎県えびの市の国有林に設置するというのです。当初防衛庁は、福岡県の岡垣町の国有林を候補地として調査を進めてきました。しかし、住民の強力な反対運動で断念せざるを得なくなり、次の候補地としてえびの市を選んだのです。防衛庁は市民団体の反対を押し切って、昨年八月から現地調査を開始、本年二月八日、営林局に対し保全調査の結果を提示、営林局も今月十一日承諾の内示をしたと聞いております。 防衛庁の計画によると、計画区域は約二百四十四ヘクタール、うち国有地二百四十三ヘクタール、民有地一ヘクタール、そのうち、VLFの鉄塔、局舎、道路などに係る造成面積は四十ヘクタール、開発のため伐採する国有林は約五十三ヘクタール、造成に伴う土工の量は切り土約四十一万立米、このうち約十六万立米を造成の盛り土として利用し、残りの約二十五万立米は計画地内に捨てるという計画です。さらに、建設されるVLFの本体は、高さ百五十メートルから三百メートルの鉄柱八本、鉄柱を支えるアンカー百数十本、それに鉄柱の土台八個、アンカーの取りつけ台二十四個となっております。この数字を見ただけでもVLF建設そのものに大きな問題があることがはっきりします。 まず、五十三ヘクタールの国有林が伐採されます。そのほとんどが植林後二十年ないし三十年を経たヒノキだと言われています。全林野の組合の試算によりますと、これまで植林に要した額が約三億円、林道整備に要した額が約二億円、そして十五年ないし二十年後の伐採期には三十億円以上になると言われております。林産物の安定供給を初め、国土の保全、水資源の涵養、自然環境の保全など重要な役割を果たしている五十三ヘクタールの国有林を、軍事施設のため伐採するというのはとんでもないことです。このことを知事はどう考えておられるか。 次に、去る昭和四十七年の水害で、えびの市の真幸の部落が埋没して大きな被害をこうむりました。また、その後の水害で人吉営林署のマイクロバスが水に流され、五人の職員がとうとい犠牲になったことも皆さんの記憶に新たなことと思います。このような災害の起こりやすいところに、さきに述べたような開発を行うことはむちゃです。切り土の四十一万立米が計画地内とはいえ移動するのです。何らかの災害を起こさないと考えるのが無理な話です。しかも、建設地の斜面の大部分は、えびの側ではなく人吉側で、もし雨で土砂が流出するとすれば大きな被害をこうむるのは人吉なのです。 さらに、この斜面に高さ百五十メートルから三百メートルの鉄柱を八本も立てるというのです。高さ三百メートルの鉄柱の土台や、これを支えるアンカーの取りつけ台はどのようなものになるのか。恐らく岩盤に届くまでの掘削が必要になるでしょう。それがまた自然破壊、地下水の汚染などを招くことが当然心配されます。なお、この施設にはアースの取りつけが必要です。この取りつけにも問題があると言われておりますが、このようなことについて知事はどう考えられるか。 ところで、防衛庁は地元えびの市に対して、この施設は自衛隊専門だから米軍使用の心配はないと説明しています。ところが、今月九日の衆議院予算委員会の分科会において、我が党の馬場議員の質問に対し防衛庁長官は、日米共同使用もあり得ることを明確に示唆しております。最近、九州における大規模な日米合同演習が次々と行われております。これに対して、仮想敵国とされているソ連の海軍司令官が、ソ連への奇襲攻撃の脅威を否定できないと表明していることは新聞報道で御存じのとおりです。将来VLFが日米合同演習の中核施設として活用されることは間違いありません。そうなると有事の際には核攻撃の第一の目標になるのです。宮崎、熊本、鹿児島の三県民は、その不安を背負い続けなければならなくなります。そうでなくても、山中に設けられるVLFは過激派の攻撃目標になるおそれが十分にあります。ここには自衛隊員約三十名が駐在すると言われていますが、過激派の攻撃に備えて常時武器を持った警備が行われることになります。さらに、えびのや人吉でも公安の目が光ることにもなりかねません。そうなったら国有林のワラビとりもできないばかりか、市民の日常生活にも不安が生じることになります。このことについて知事はどのように考えられますか。 熊本県側の人吉・球磨は山紫水明に恵まれた土地です。豊かな自然を生かした自然公園都市を目指す人吉市を初め幾つかの町村で非核平和都市宣言が行われております。きょうは髙田議員の地元の球磨郡の皆さんが勉強のためにはるばる傍聴に来ていただいておると聞きますが、このような平和なそして豊かな自然の中に住民の不安を呼び込むような軍事施設は無用です。 なお、過疎に悩み、基地周辺整備で大きなメリットを期待して設置に賛成したえびの市議会も、その後の折衝で、冷たい防衛庁の態度に困惑していると言われ、現在では市民の半数以上が設置に反対だと言われております。 以上、VLF送信所設置の問題点について述べましたが、防衛庁としては計画に当たって、関連する隣接の自治体に対して了解を求める責務があると考えますが、えびの市より影響の大きいと思われる人吉市を初め球磨郡内の町村に対しては何らの説明もないと聞いております。県に対しても担当官から簡単なあいさつ程度の説明があっただけと聞いております。影響の大きい隣接町村や県を無視した防衛庁に対して強い憤りを覚えるものですが、自然破壊を初め県民の命にもかかわる問題を知事は黙視してよいのですか。防衛庁から詳しい説明がなければ、知事の方から、VLF送信所の持つ使命、施設の内容、自然破壊の有無、県民に対する影響などを詳細にただすこと、そして県民にとって危険なものであればはっきりと反対の意思表示をする、それが百八十万県民の生活の安全を預かる知事としての責務ではないですか。これに対する知事の明快な答弁を求めます。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 初めに、お答えの順序が少し逆になるかもしれませんが、送信所建設についての説明を受けたかということでございましたが、去る二月二十九日並びに三月八日、防衛庁側から建設に係る環境保全対策の概要について、環境への影響はほとんどない旨の説明がございましたし、また、三月十一日には送信所設置場所の決定通知を受けたところでございます。 国有林の伐採、造成に伴う保全対策につきましては、福岡防衛施設局による環境保全調査が行われまして、計画に当たっては、極力現場の地形を利用し、樹木の伐採や土地の形質変更を最小限にとどめる、防災堰堤等の防災施設を設ける、こういったような保全対策に万全を期するからということで、また、熊本営林局におきましてもそうした点について十分に検討が加えられ、その結果、VLF送信所設置場所についての内諾がなされたというふうに聞いております。国におきまして十分責任を持ってなされたことでございますし、県としても信頼してかかるしかないと考えております。 それから、送信所のもたらす脅威についてのお尋ねでございますが、この点につきましては、国の防衛論議として国会の場で論議をされておりますし、繰り返し申し上げますように、国の専管事項でもございますので、これに言及することは差し控えさせていただきたいと存じます。  〔「ソ連には何も言い切らんでアメリカにばかり言いなすな」と呼び、その他発言する者あり〕  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) いろいろ注文が出ておりますが、もしソ連が熊本に何かをつくると言ったら絶対に反対をいたします。それがないために何も言えないわけでございます。 ところで、知事さん、あなたは緑の三倍増を強く訴えています。私も知事の提案に共鳴して、本議会でも緑の保全について何回か取り上げました。今県内で小さい子供たちが、特に緑の少年団やお年寄りが、知事の呼びかけに応じて苗木の一本一本を丁寧に植え込んでおります。きょうも恐らく町では青い羽根の販売が行われておると思います。そして二十年後、三十年後を夢見ながら大事に育てているのです。そんな心情を考えるとき、二十年、三十年と大事に育てた五十三ヘクタールのヒノキを、軍事施設のためとはいえ伐採するということが許されますか。このこと一つを考えても知事は承認できないはずです。それに、いざというときは核攻撃の第一目標になり、県民にはかり知れない犠牲を与える軍事施設の建設に賛成するというのですか。このことは、極端な表現と言われるかもしれませんが、百八十万県民を断頭台に乗せることにもなりかねないのです。知事の反省を強く求めて、次の質問に移ります。 次は、障害者の雇用促進についてお尋ねいたします。 毎年六月一日に実施される労働省の身体障害者の雇用状況調査によりますと、本県の場合、調査対象となった常用労働者六十七人以上の企業数四百十社、常用労働者の総数は八万九千七百六十人、うち身体障害者数は千三百四十一人で、平均雇用率は一・四九%、全国平均の一・二五%に比べると高くなっていますが、法定雇用率の一・五%を達成した昨年度、一昨年度より〇・〇一%の減少となっております。 問題なのは、雇用率未達成の企業が全体の三七・六%、昨年より二・六%増加しているということです。一・五%ということは従業員二百人の企業で三人です。それも、必ずしも重度の障害者でなくてもいいし、重度の障害者を雇用した場合は二倍に数えるのですから、その気になれば達成できないはずはありません。来年度からは精神薄弱者も加えて雇用率が一・六%となりますが、まずは未達成の企業をなくすること、そのため執行部はこれまでも努力を続けていますが、特段の努力をされるよう強く要望するものです。 特に、以前にも指摘しましたが、松橋の希望の里に開所した希望の里ホンダは、障害者十五人の就労のために敷地を除いて二億円を費やしております。これに対して、雇用率未達成の企業が一名ずつ雇用すれば百五十名以上になるのです。極端な言い方をすれば二十億円の価値が生ずるということになります。 次に、地方公共団体の場合、非現業、現業とも雇用率を上回っていますが、県の場合どちらも昨年度よりわずかですが下回っております。私は、企業に対して雇用の促進を指導する県が思い切って障害者の雇用をふやすことを要請したいと思います。県の仕事には障害者に適するものが幾らでもあります。県がまず雇用率日本一を目指して努力する、そのためにぜひ枠外採用の制度を設けてほしいのです。そうすれば県下の市町村も企業も頑張ってくれると思います。しかも、このためには特別の予算も必要としないのです。知事の考えを聞かせてください。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 障害者の方々の雇用の場の確保は重要な問題でございますし、県としては、お話にもございましたように、重度身体障害者の方々が生きがいを持って働くことのできる希望の里ホンダを初め、身障者の福祉工場あるいは授産施設の充実など、できるだけ雇用機会の創出に努めているところでございます。 また、お話の県職員としての採用につきましても、身体障害者雇用促進法によりまして一定の雇用の義務づけがなされておりますが、本県の場合、これまで法定数を上回るよう配慮してきたところでございます。県職員につきましては、限られた職員定数の中でもありますし、また制約もあろうかと思いますが、広く障害者の雇用の促進という観点から、今後とも雇用対策の推進に努めてまいりたいと思っております。  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) 雇用の確保に努めるということでございましたが、ただいまの答弁には枠外採用については御答弁がなかったと思いますが、ぜひ枠外の雇用を実施して、それによって雇用をひとつふやしていただきたい。そのことについて再度知事の答弁を求めます。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 先ほども申し上げましたように、いろいろ枠の問題もございますし問題があろうかと思いますが、今後検討させていただきたいと思います。  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) 今後検討するということでございますので、ぜひひとつ一般採用試験と別枠の障害者の雇用について考えていただきたいと思います。企業の障害者雇用は、これは実質的には枠外雇用なんです。やはり企業にとっては障害者よりも健常者を雇用した方が効率はよいのです。それを、法の趣旨に照らして、あるいはボランティア精神から、枠外に障害者の採用をやってもらっておるわけです。そういうことを考えますと、やはり県も枠外採用をやる、そのことで初めて本当に企業に対する指導ができるのではないかと、こういうことを考えるわけです。ぜひ実現してください。 次に、先日の本会議で、精神薄弱者のための通所小規模作業所、生活寮及び福祉ホームの整備についての倉重議員の質問に対し、福祉生活部長から、今後地域福祉対策の一環として取り組みを検討する旨の答弁がありました。倉重議員が訴えましたように、一般企業に就職できない障害者をどうするかは大きな問題です。このような障害者を雇用に結びつけるための条件整備としても、これらの施設を県下各地へ配置することが必要です。福祉生活部長の答弁は、恐らく単県事業としても推進したいとの含みがあるものと聞きました。ぜひ強力に取り組んでもらうことを私からも重ねて要望いたします。 なお、障害者の職場定着のためにぜひ実現してしただきたいこと。御存じのように、障害者雇用に対する助成は、特定求職者雇用開発助成金として、軽度の場合は賃金の三分の二を一年間、重度の場合は賃金の四分の三を一年六カ月、別に重度障害者等職場適応助成金として、重度の障害者一人につき月三万円、三年間となっております。したがって助成は、軽度の場合一年、重度の場合も三年で終わりということになります。これが障害者の職場定着を困難にしている原因の一つです。 そこで、助成が切れた後も何らかの名目で助成が継続されないものか、ぜひ労働省なり厚生省に強く要請をしてほしい。それが実現するまで単県での助成を実施されるよう強く要望したいと思います。知事ひとつぜひ検討をしてください。 次に、一月二十六日に明るみに出た軽油売買の特約業者の軽油引取税過少申告事件についてお尋ねをいたします。 事件の内容については、熊日紙上に詳細に報道されていますから詳しく繰り返すことは省きますが、菊池郡合志町の有限会社合志石油と熊本市東本町の三和石油株式会社熊本支店の二社が県税の軽油引取税を過少申告し、合わせて七百万円余の更正処分を受けたというものです。二社とも既に解散しておりますが、合志石油の取引期間は六十一年十一月から六十二年三月まで、三和石油熊本支店が六十年十月から六十一年二月までのわずか五カ月足らず、その間に取り扱った軽油はそれぞれ約一万八千キロリットルと約二万九千キロリットル、県内のガソリンスタンドの月間軽油取り扱い量は三十キロリットルから四十キロリットルといいますから、これに比べるとそれぞれ四百五十倍、七百二十倍という異常さです。これが課税の対象となる軽油として販売されていたとすれば、純粋な脱税額だけで合志石油が四億六千万円、三和石油熊本支店が七億円、合計十一億六千万円。県内の六十一年度の軽油引取税額は七十二億四千万円ですから、全体の一六%に上る額となります。二社のうち、合志石油が六十一年十一月一日設立登録、六十二年二月二十八日解散、三和石油熊本支店も六十年十月二十五日に開設登録、六十一年一月二十五日廃止となっているところから見ても、明らかに納税手続の盲点をついた悪質な脱税行為と言わねばなりません。 この事件で問題になるのは、なぜ県が未然にこれを防げなかったかということ。さらに、この事件の真相解明のためどこまで追及するのかということです。そこで、次のことについてお答えを願います。 一番目、二つの会社の特約業者としての登録の申請に対し、どのような審査を行ったのか。特に、三和石油熊本支店がわずかの期間で解散した後申請された合志石油の場合、さらに慎重な配慮がなされなければならなかったと思うが、どのような配慮がなされたか。 二番目、更正処分の後、執行部は国税犯則取締法に基づく調査を進めているというが、どこまでやる気か、告発も辞さないのか、県のこれに対する基本的な構えについてお知らせください。 三番目、捜査は現在どこまで進んでいるのか、これまで明らかになった点についてお示しください。 四番目、このような大がかりな脱税には政治力が必要だと言われております。事件の背景をどのように考えているのか。 五番目、登録の段階や捜査の段階で政治的圧力はなかったか、あるいは事件の内容についての問い合わせなどはなかったのか。 以上の点について明確な答弁を求めます。  〔総務部長佐藤達三君登壇〕 ◎総務部長(佐藤達三君) 三和石油及び合志石油の軽油引取税についての御質問でございますが、本件につきましては、かねてより地方税法に基づきまして税務調査を進めてきたところでありまして、過少申告が判明したものにつきましては更正処分を行ったところでございます。取引は、県外の広域にわたるとともにその量も相当に上り、また、その手口が極めて悪質であると見られるところから、いわゆる脱税嫌疑事件として、去る一月末より国税犯則取締法に基づく犯則調査に移行したところでございます。 調査の概要を申し上げますと、裁判所に令状を請求いたしまして、関東、中部、関西、四国、九州の八県にわたって散在いたします関係者の事務所等三十数カ所から、証拠書類等ダンボール十四個分を押収、領置するとともに、関係者から事情聴取を並行して行っているところでございます。 今後、押収、領置した書類や聞き取りを行った調査等を徹底的に分析、解明し、必要に応じさらに調査するとともに、関係者からの事情聴取を続け、犯則の心証を得たときは通告処分、当局への告発等、法に照らして厳正に対処してまいる考えでございます。 以上のように、現在税務当局において鋭意調査中であり、具体的な事柄、局面等について申し上げることは差し控えさせていただきたいわけでありますが、両社の登録について申し上げますと、三和石油につきましては昭和六十年十月に申請がなされましたが、当時このような事件は九州地域ではほとんど知られていなかったことから、特に問題のある申請としては扱われず、書類上の審査及び聞き取りで受理されたようでございます。また、合志石油につきましては昭和六十一年十二月に申請がなされたものでありますが、同社の場合、売却先、取り扱い数量、給油施設等について具体的な申述があり、これに基づき受理されたものであります。しかしながら、合志石油は実際には給油施設を入手することなく、また、結果として両社が脱税の疑いを生ずるような取引を行ったことは、県としてまことに遺憾なことでございます。 県といたしましては、現在、こうした遺憾なケースが生じないよう県事務所を指導し万全を期すとともに、各県とも連絡を密にすることとし、昨年六月、九州各県の打ち合わせ会議を本県主唱で開催したところでございます。事実、昨年九月以降、ある業者が、要件に不備があるにもかかわらず両社の事例を引き合いに登録を強く迫ってきた例がございましたけれども、県といたしましては断固断るとともに、他県と連絡をとりながら、その業者が他県で不正を働くおそれを未然に防止した経緯もあり、今後こうした遺憾なケースが生じないようさらに万全を期してまいる所存でございます。 ところで、軽油引取税の特別徴収義務者の登録は、石油販売会社等が石油精製業者や商社等の元売会社との契約に基づき、軽油を継続的に引き取るという要件を満たしていることを事後的に確認するものであり、営業開始のための要件ではないので、要件を満たしていれば受理されるものでございます。また、その流通経路等が極めて複雑な軽油の取引実態においては、給油施設を有しない業者も常態的に存在して商取引を行い、現実に特別徴収義務者に指定されている事実があるのも国会答弁で述べられているとおりでございます。また、現在の軽油引取税の制度、仕組みは、申告が取引の翌月末であるため、その間二カ月の時間的なずれがあり、しかも申告の際、過少に申告すれば、実際の取引が判明するのはさらに時間がかかることになり、こうした短期間のうちに大量に軽油を取引すれば、現行の制度では脱税を防止することはなかなか困難な面があることも事実でございます。 このようなことから、国の予算委員会におきましても、今後、脱税防止のための税制度と仕組みを検討するとともに、適切な商取引の確立のための改善等について取り組む旨の通産、自治両省からの答弁もなされており、早急にその制度改善がなされることを期待しているところでございます。 さらに、こうした事件の背景への認識及び今回の事件の背後についての御懸念の点がありましたが、税務行政に課された最大の使命は、租税負担の公平、公正を期すとともに、県税収入を円滑に確保することでございまして、税務行政の執行は御懸念のようなことによって左右されるものではございません。 いずれにいたしましても、今回の事件につきましては、国税犯則取締法に基づき現在真相究明のため徹底調査中であり、犯則の心証を得たときは通告処分、当局への告発等、法に照らして厳正に対処してまいる所存であります。  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) 事件の経緯について、あるいは県のこれからの対策について、相当詳しく決意をもって述べられました。ただ、やはり気になるんですが、業者の登録をもう少し慎重にやっておったらこの事件は起こらなかったと、私はそう思うわけです。法的に規制がないといいますけれども、少なくとも先ほど述べましたように継続的な取引を行うことが条件となっているものです。それを確かめるためには事業所や事務所を調査するのは常識ではないでしょうか。二つの業者の事業所には、給油所も貯蔵所も全くなし。事務所は、一方は農家の離れに、一方はアパートの一室に電話があるだけ、こういうふうに聞いております。しかも、合志石油の申請の前に、既に三和石油熊本支店の廃止がなされているのです。そうしたら当然合志石油の場合だけでも慎重な審査が行われなければならなかったのに、先ほど幾らかありましたが十分な審査は行われていないのではないですか。 私は、このことについての九州各県の対応について調べてみました。後で担当から、九州各県はうちの事件が起こってから厳重になりましたと、こういう話も聞きましたけれども、大分県で早くから基準を設けて厳格な審査を行っているという報告がありました。他の県でも、給油施設も貯蔵施設もなく事務所も整っていない、そういうところに登録を認めることはないという返事が返ってまいっております。 梶山自治相も、本月九日の予算委員会第三分科会で、我が党の馬場議員の質問に答えて、県のチェック体制に落ち度があったということを認めております。法や制度に不備があったら、それを補完するのが行政の責務ではないですか。このことについては、総務部長から遺憾であり反省をしているという答弁がありましたので、これ以上もう答弁は求めませんけれども、今後このようなことが二度と起きないように厳重にやっていただきたいと思います。 なお、みずからの責任で起きた事件は、みずからの手で解決しなければなりません。この事件には政治家が絡んでいるのではないかという疑いを強く持たれております。自治相も、県が毅然とした態度をとることが必要、県が告発まで考えているなら自治省としても応援すると表明しております。さらに、多くの県民がこの事件の行方を見守っておるのです。会社の表面的な処理だけではなくて、ぜひ背後にあるものを含めて徹底的に究明してもらうことを強く求めて、次の質問に移ります。 次は、教育予算問題についてお尋ねをいたします。 六十三年度当初予算の主要、新規、重要施策の概要を見ますと、外人英語教師の招致やマイ・タッチ計画、全国高等学校総合文化祭の開催、新設東稜高校の整備など各種の事業を掲げ、いかにも教育に力を注いでいるように見えますが、肝心の教育予算の県予算に対する比率は下がりっ放しです。五十一年度に三二・八%であった教育委員会所管の予算が、バナナのたたき売りではないけれども、翌年から三〇・八%、二九・一%、二七・三%、二六・八%、二六・二%、五十七年度にちょっぴり上がって二六・九%、後はまた二六・四%、二六・〇%、二五・三%、二五・四%、二四・八%、そして六十三年度の予算案ではついに二三・八%まで落ちております。とどまるところを知らぬ勢い、どこまで下がるか心配です。 これを九州各県の予算に対比しますと――九州各県と比較する場合に一般会計の対比が必要となりますので、熊本も一般会計の対比にすると六十二年度は二六・四%、これに対し福岡は二九・〇%、大分二七・四%、宮崎二七・一%、長崎二六・七%、鹿児島は二六・一%、佐賀は二四・〇%と低くなっていますが、熊本が九州で低位にあることは間違いありません。 次に、五十九年度文部省の調査によりますと、全国の高校生一人当たりの教育予算の平均は六十九万九百三十二円、本県は六十三万九千四百四十六円で三十六位、全国平均を五万一千四百八十六円下回っております。ちなみに、最高の高知県は本県より二十三万二千五百円も上回っているのです。 逆に、県の教育予算と裏腹の関係にある家庭からの学校徴収金は全国十一位。本県高教組の調査によると、六十一年度に県内県立高校でPTA会費、後援会費、校友会費などの名目で徴収された団体費は約十三億八千万円と推計されております。この中には、授業料、修学旅行費、教科書、辞書などの費用や課外費などは含まれておりません。しかも、この中には本来県費で負担すべき支出が九億八千万円に上ると推計されております。予算は年度によって変動しますので単純な比較はできませんが、この数字を見る限り、少なくとも教育が重視されているとは言えません。 十二月定例会で、本県高等学校の公立大学合格者が九州各県に比べて悪いことが指摘されました。このことについては率直に認めて反省しなければなりません。しかし、教育予算の低位が学力に影響していることも否めないことではないでしょうか。各学校に学力の向上を求めることはもちろん必要ですが、あわせて他県に劣らぬ教育予算を保証する、そのことが教育委員会の務めではないでしょうか。教育長のこれに対する見解を求めます。  〔教育長田嶋喜一君登壇〕 ◎教育長(田嶋喜一君) 御質問の教育予算の確保につきましては、毎年度の予算編成方針を踏まえつつ、活気のある教育活動が営まれるよう、学校当局等の意見を聞きながらその確保に努めているところでございます。 ところで、教育予算の際立った特徴は、人件費のウエートが極めて高いということでございます。教育委員会予算の実に九〇%強を教職員等の人件費が占めておりまして、その金額は六十三年度当初予算で千二百七十億円に達しておるわけでございます。このことが教育予算全体の動き、つまり教育予算の伸び率とか県予算に占める構成比、そういったことに圧倒的に大きな影響を与えているわけでございます。 御指摘の昭和五十年代は、日本経済が安定成長期に入りまして、そのため消費者物価も安定的に推移し、給与のベースアップも落ちついてきた時期でございます。一方、五十年代は、戦後の引き揚げや戦後の教育改革期に大学を卒業して新規に採用された教員が停年退職期に差しかかった時期でございまして、新陳代謝による人件費の当然減も年々生じているわけでございます。また、四十人学級の推進など教員定数の改善も計画的に進められていますが、児童生徒数の減少に伴い、教員定数の伸びも低くならざるを得ない状況にございます。 以上のような幾つか述べた要因によりまして、教育予算の大部分を占める人件費の伸びが低くなっておりまして、このことが教育予算全体の伸びや県予算に占める構成比が低くなった基本的な要因であるというふうに考えております。 この間、教育関係の建設投資といたしましては、昭和五十三年度の江津高校の建設に引き続きまして、八代南高校、大津養護学校、熊本北高校、それに現在建設中の東稜高校のほか、県立総合体育館、県立図書館、豊野少年自然の家など、体育、文化、社会教育などの施設整備が積極的に行われております。また、施設以外では、マイ・タッチ計画、英語指導助手の招致、学校活性化のための諸施策など、他県からも注目を浴びるような教育活動が積極的に展開され、他県と比べて特に劣悪な状態にあるというふうには考えておりません。 しかしながら、本県は今、新しい教育立県へ向かって意欲的に踏み出そうとしておるわけでございまして、人件費のウエートが極めて高いことに基づきます構造的な減少、それを補うのは難しいといたしましても、教育施設や教育施策の面で今後とも知恵を絞りながら、本県教育、文化の活性化のために活発な事業展開を図っていく所存でございますので、どうかよろしく御支援のほどをお願い申し上げます。  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) 答弁をいただきましたが、これまでも委員会その他で教育委員会にこのことを何回か指摘しましたが、そのたびに今のような答弁が返ってまいります。もしそのとおりだとしても、教育予算が少なくて済むときにこそ、教材や教具を初め研修の旅費など学校運営を充実するための予算を増額する絶好の機会ではないですか。日ごろ先生方から要望の強い、そして先ほども指摘しました父母負担の軽減、臨採教師の本採化、図書館司書の充実、実習教師の給与の改善、定時制高校や障害児学校への訪問旅費の予算化、僻地教員の給与差別の撤廃など、数え上げれば切りがありません。減少してないからそれでいいなど、そんな消極的なことでは学校現場の意欲もわかないと思いますが、それに対する教育長の見解をお聞かせください。  〔教育長田嶋喜一君登壇〕 ◎教育長(田嶋喜一君) 教育行政を預かります教育長といたしましては、知恵を絞って予算要求を今後とも続けていきたいと思います。県全体の予算の中で何%を占めておるかとか生徒一人当たりがどうかと、そういったことでは知事部局から予算をつけていただけないわけでございまして、具体的な事業としていろいろ知恵を絞りながら予算要求に努力してまいりたいと思います。  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) 財政当局との予算獲得のテクニックにもお触れになりましたが、教育予算の占める比率が高いときには、なかなか財政当局も小さいところに気を配ってくれないと思います。教育予算の比率がどんどん下がってくる、全体の子算の中で教育予算が下がってきた、そのときこそこういうもろもろの問題について解決を図る一番いい時期だと、そういうふうに考えるわけです。今まで何回かこういう小さい問題についても教育委員会に対して話し合いをしましたけれども、他県がちゃんとやっているのに熊本県ができてないのがいっぱいあります。こういう問題をぜひひとつ解決していただかなければならないと思います。やはり予算もうんと出さなければ学校現場の意欲もわかぬのじゃないですか。現場にやる気を起こさせるためには、かけ声だけではなくて、予算も九州各県に負けないように増額すること、そのことを強く要望して、次の質問に移らせてもらいます。 次は、メラミン食器についてでございます。有毒性が指摘され、最近問題になっている給食用のメラミン食器についてでございます。 現在、小学校、中学校で給食に使用されている食器はアルマイトが最も多く、本県でも小学校七三・八%、中学校七〇・一%となっております。ところが、アルマイトの食器は、熱い汁物を入れると手で持てずに犬食いになる、脂肪分が食器にこびりついて汚い、ただ食べているだけの冷たい感じがするなどの理由で、メラミン食器に切りかえる学校がふえてきました。メラミン食器は熱を伝えにくいため、熱い物を入れても手に持つことができて食事マナーの改善に役立つ、陶器に似た感触を持っている、カラフルなため給食が楽しいものになるなどがその理由となっております。 ところが、メラミン食器は、メラミンとホルムアルデヒドを主原料とするプラスチックであります。このホルムアルデヒドは、かなり強い毒性を持っており、動物実験でも発がん性が明らかになっていると言われております。なお、ショウジョウバエにホルムアルデヒド処理したえさを与えると突然変異を起こすとも言われております。さらに、メラミンそのものもアメリカで膀胱がんを引き起こすという報告がなされております。このような物質が溶出して食品に付着する可能性があるというのです。特に、古くなると表面が弱くなって溶出しやすくなり、小さな破損でも溶出しやすくなるということです。 ところが、厚生省は、ユリア樹脂からホルムアルデヒドが溶出して社会問題になった際、公定検査を定めております。その際、アセチルアセトン法を採用しながら、検出限界の〇・二ppmを大きく上回る約四ppmを限界値としております。これは、採取した検料を二十倍に薄めて分析するためこのような数字が出たと言われておりまして、この基準は甘過ぎると言わなければなりません。 次に、学校給食の食器は、使用後、殺菌保管庫で高熱殺菌されます。ところが、アルマイトの場合は百度以上に加熱されますが、メラミンは高温に弱く表面が傷むため八十度程度にしか温度を上げることができないそうです。さらに、ぬれた食器を殺菌保管庫に入れて加熱しても、熱を伝えにくいため内部の温度がなかなか上がらない。そのため、積み重なった食器の内部は温度が十分上がらずに湿気も残って、逆に菌の繁殖を促すということになりかねません。そしてこれを防ぐために温度を高くすると、傷みが進んでホルムアルデヒドやメラミンの溶出量がふえるという悪循環を繰り返すわけです。 さらに、メラミンのようなプラスチック食器は、使用するに従って表面の傷が黒ずんで汚くなります。そのため、業者は漂白剤の使用を勧めておると言われております。ところが、食器に漂白剤を使用すること自体に大きな問題がある上、漂白剤の使用で食器の表面の傷みはさらに進み、有毒物質の溶出を促進するということになるのです。しかも、メラミン食器の価格はアルマイト食器の二倍から三倍、耐用年数は半分だと言われております。 ところで、学校給食を考えるとき、まず子供にとって安全であること、疑わしいものは使用しないというのが大原則です。本県では百一校の小中学校で使用されていると言われていますが、教育委員会は直ちに他の安全な食器に切りかえるよう指導すべきだと考えますがいかがですか。全国的にもたくさんの市や町で切りかえが進められていると言われております。教育長のお考えを聞かせてください。  〔教育長田嶋喜一君登壇〕 ◎教育長(田嶋喜一君) メラミン食器の安全性について異論が出ていることは承知しております。しかしながら、メラミン食器におけるホルムアルデヒドは、食品衛生法上の規格基準による検査に適合しておりまして、安全性につきましては厚生省の基準に基づいて対処しているところでございます。あわせまして、関係機関、地域の人々、保護者の意見や調査資料等に基づきまして、食事にふさわしい食器への取り組み、そういったことを進めております。 本県におきましては、現在アルマイト使用が先ほどお話しのように大部分を占めております。メラミン食器を保有している学校は、小中学校七百二十一校のうち百一校ほどでございます。こういった学校もアルマイトもあわせて持っておるというふうな状況のようでございます。今後、食器の使用等につきまして、関係機関の指導を受けながら対応していきたいというふうに考えております。 また、県産の木製食器につきましても一部実施した町村がありまして、その成果を期待しているところでございます。さらに、県産品愛用、地場産業とのかかわり合い、そういったことも考慮しながら、地域の特性を生かした学校給食のあり方、そういったことも検討していく必要があるというふうに考えているわけでございます。 学校給食は、学校教育の中でも極めて重要な分野でございます。その教育的効果も広い範囲に及ぶということから、今後とも児童生徒の健康に留意しながら、よりよい学校給食の実現に努めてまいりたいというふうに思います。  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) メラミンの使用について、厚生省の基準以下であるからオーケーと、こういうことのようでございますけれども、やはり厚生省の基準がこれが絶対ということはないんです。厚生省よりも、やはり児童生徒の健康が優先されなければならないと思うんです。したがって、やはり疑わしきは使用せず、その大原則に立つことが大事だと思います。 他県では既に、ほかの食器にかえているところがたくさんございます。有田では有田特産の陶器を、そしてその周辺の佐賀県内の学校にもそれが広がりつつあると聞いております。そのほか各地で、木製や磁器強化ガラスなどそれぞれの地域に即した食器が取り入れられておるわけでございます。県産材の木製食器なども考慮しようということでございますけれども、やはり子供の健康第一というそういう点について、メラミン食器に対する考え方をもう一度、教育長ひとつはっきりさせてください。  〔教育長田嶋喜一君登壇〕 ◎教育長(田嶋喜一君) 学校給食における食器の採用というようなものは、本来それぞれの市町村でやっておるわけでございまして、県教育委員会としてメラミン食器を使用しなさいといったような指導はこれまで一度もやっておらないわけでございます。先生の御質問は、それをやめるように指導せよということでございますが、そういったことになりますと、やはり厚生省の基準、そういったところの基準に基づいて県教育委員会としては対処するほかはないというふうに思っておるわけでございます。  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) 今の教育委員会として、やめろという指導はできなくても、考えてくださいという訴えはできると思うんです。県内でも既に上益城や阿蘇で木製食器が採用されていることも御存じのとおりでございます。本県林業振興のために木製食器にするもよし、あるいは天草の陶土を生かした陶器にかえるもよし、ぜひひとつ本当に子供の健康に一切害のない食器に切りかえが進むように、何らかの方法でひとつ指導あるいは助言をしていただきたいと思います。 メラミン食器を他の食器に切りかえた教育委員会の関係者や子供たちの声を聞きますと、有田の陶器に対しては、アルマイトのときよりもおかずがおいしく感じられ、自分の家で食べてるような感じがすると。あるいはアルミに比べて割れやすいし重い、しかし取り扱いが丁寧になり、重いのでみんなの力を合わせる助け合いの精神が育っているなどと先生方も評価をしております。木製の場合にも、音がしないので行儀がよくなった、熱くなくて持ちやすい、木目がきれいでおいしいと。あるいは強化ガラスについても、レストランみたいだ、ごちそうがおいしそうに見える、前よりも大事にするようになったと、このようなことが言われております。少々お金がかかっても教育としての位置づけをした学校給食を考えねばと、先ほど教育長も同じことを言われましたけれども、その精神をひとつぜひ生かして、危険な疑いのあるものは使用せずという原則に立った指導をぜひお願いしたいと思います。 次に、県が発注する公共工事の入札についてお尋ねをいたします。 このことについては、昨年十二月県議会において、公明党の永田議員が詳細な数字を挙げて執行部の考えをただしました。永田議員の質問のねらいは、入札の指名が各業者に公平に行われるようにということだったと思います。 永田議員が指摘したように、六十一年度の県の土木工事の登録業者は、熊本土木事務所管内でA、B、C、D、E各クラス合計七百九十五業者、これに対して工事発注件数は五百三十七件、年間一回も指名がなかった業者が三百六十六業者となっています。しかも、多い業者は年度内に五十四回も指名を受けており、四十回以上指名を受けた業者が十社以上にも上っているということが指摘されております。これでは執行部がどんなに弁解しようとしても、結果的に不公平になっていると断ぜざるを得ないわけです。 前回、永田議員の質問を受けて、その後この問題について部内の論議が行われたものと思いますが、執行部は、これまでの入札業務について適正に執行され、不公平だと指摘されるようなことはないと言われるのか。あるいは、検討の結果、公平さを欠いていると考えられているのか。もし公平を欠いているとお考えならば、今後どのような是正をしていかれるつもりか、お考えをお聞きします。  〔土木部長福島正三君登壇〕 ◎土木部長(福島正三君) 県工事の発注に当たりましては、受注機会の公平さとともに適正な施行の確保という観点から、工事に応じた技術、資力、信用等を中心に業者を選定するという基本的な考え方は前回の議会でお答え申し上げたとおりでありまして、その後の検討におきましても、やはり適正な競争の確保、建設業の健全な発展を考えれば、これにかわるより適正な方法は現在見当たらないものと考えております。 具体的な例として挙げられました熊本土木事務所管内の土木工事に対する入札について申し上げますと、入札参加資格申請者数は、御指摘のとおり七百九十五業者でございますが、これは制度的に現在のところ申請がなされますとすべてこれを受理すべきことに相なっておるわけであります。 しかしながら、これらの中には、過去二年間土木工事の完成工事が一件もない業者や、他に建築工事や専門業種である電気工事、管工事、造園工事、とび・土工工事事業を主体としているため、土木工事の完成工事高が少額となっている業者の方、さらにこのほか、労働安全衛生法で規定している作業主任がおられない業者の方、あるいは各種法令に基づく講習会を受講しておられない業者の方々等が相当含まれておりまして、こういった業者の方々につきましては、先ほど申し上げました県工事の発注に対する基本的な要件からは指名自体が困難であるわけでございまして、その結果、御指摘のような指名のない業者の方々も発生したというふうに考えております。 このような弊害をなくしますために、六十二年度から入札参加資格者申請書の受付に際しましては、土木工事の実績のない方々については指名願を出されないよう行政指導するなど、制度運用の改善を図っておるところでございます。  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) 永田議員があれだけの資料を提示して追及したのに対して、全くの反省もないようでございます。私は、現在の入札制度そのものに矛盾や弊害があることを指摘したいと思います。 まず、仮に最低価格制をとった場合、指名業者がそれぞれの価格の入札を行い、最低価格の業者に発注するわけですが、その弊害については皆さん御存じのとおりです。業者の中には、資金ぐりのため採算割れの入札も出てくるでしょうし、手形の期限に追われる業者の場合には、むちゃな入札も考えられます。こういうことが続いたら業界は混乱に陥るのではないでしょうか。 さらに、公共事業の場合、安かろう悪かろうでは困るということにもなります。そこで、現在、県はそのようなことがないように、原則として最低制限価格制をとっております。この場合、工事の予定価格の八〇%を制限価格としていますが、予算も制限価格も業者が知り得なかった場合、結果はほとんど抽せんに近い形になるのではないでしょうか。どの業者も同じような計算をしてくるわけです。たまたま制限価格に近い金額になったものが受注することになる。したがって、別に規制がないとすれば、運のよい業者は何回も落札し、運の悪い業者は落札できないということになります。これでは困るので、業者間で協調という名の談合が行われるわけです。もしこれが行われなかったら、これも業界を混乱に陥れることになるでしょう。そこで、厳密に言えば違法となる話し合いに対しても執行部は目をつぶらざるを得ないということになるわけです。しかし、この話し合いに実力者が物を言うということで業者間に強い不満の声が聞かれるのです。 いずれにしても、公平な入札を期待することは無理なんです。このことは執行部も知り尽くしていると思いますし、これまでも建設委員会や決算委員会で論議されたと聞いております。恐らくその論議の中の一つとして取り上げられたものと思いますが、私は、ここで一つの方法を提起して執行部の考えをただしたいと思います。 実に単純な方法ですが、業者のランク別に抽せんで順位を決め、その順位に従って指名を決定、受注業者を外して次の指名を行うという方法です。工事によって金額に差が出ますが、それは点数制を併用することによって大方調整できます。すべての業者に一律にということになれば、業者によっては工事が粗悪になるという心配もあるでしょう。しかし、それを防ぐために、まず業者の登録の審査を厳格にする。次に、粗悪工事に対しては、工事のやり直しはもちろん、程度に応じて指名停止あるいは登録抹消など厳重に対処することによって防ぐことができると思います。もちろん、この方法にもいろいろと矛盾が出てくると思いますが、それは応用動作を考えれば解決できるでしょう。少なくともこの方法で永田議員が指摘した不公平は一応なくなります。 それに、入札行為にはいろいろなうわさが乱れ飛びます。実力者の介入が言われることもあります。入札工事に絡む汚職事件も後を絶たず、毎日のように新聞をにぎわしております。本県に起こった多くの不祥事件についても皆さんが御存じのとおりです。このような不祥事件を防ぐためには、この方法以外にはないと考えます。また、いわれなき疑惑を一掃するためにもこの方法が最善だと考えますが、執行部の考えを聞かせてください。  〔土木部長福島正三君登壇〕 ◎土木部長(福島正三君) 入札制度のあり方につきまして御提案をいただいたところでございますが、ただいま御提案いただきました方法は、一応数字的な公平性は保たれるかとも思いますが、一方、企業にとりましては、技術や経営など何らの努力も要せず一定の受注が可能となり、いつまでも同程度の能力の企業が存続するということに相なりまして、企業者間の有効競争を通じて意欲と能力を持った業者が育ってくるということが期待できなくなるというふうに考えられます。 現在県で行っております入札制度は、公共事業の円滑、適正な実施という独自の目的を有しまして、公費の公正かつ効率的な使用と適正な施行の確保を基本的な理念といたしまして、昭和二十五年以来構築、運用され、その中でいろいろな意見や要請によりまして合理化されてきたものでございまして、国を初めとして各地方公共団体で採用されてきているものでございます。したがいまして、私どもといたしましては、現在の入札制度を基本に、今後ともより厳正かつ公正な指名が保持できるよう運用してまいりたいと考えております。  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) 部長が何と答弁されようと、現在の入札に対して、業者を初め関心を持っている人たちは入札が適正に公平に行われていないと思っているんです。年に四十回も五十回も受注する業者にとっては今の制度が歓迎でしょうが、他の業者は、現状ではやむを得ないと考えている者はいても、適正、公平であるとは考えていないんです。関係者の間でも、県の大きな工事は東京で決まるとか、あるいは、選挙で勝った方についたら工事がとれるようになった、負けた側の業者は歯を食いしばって次の選挙に備えるなどといったうわさも耳にしております。私は工事関係に無関係でございますので、このような事実が確かにあるかどうかは全くわかりません。しかし、一生懸命努力しても執行部が疑われるような入札はやめにして、そのようなうわさの余地のない方法に切りかえることが必要ではないでしょうか。部長が心配された優秀な技術者あるいは優秀な業者、このことについては、いろいろと基準を設けて点数制を応用するなり、そういう方法があると思います。知事も部長も、今の土木行政に不信を持っている県民がたくさんいるということを考えてください。一生懸命努力しても不信を持たれる、こんなばかげたことはないでしょう。私は、適正で公正な行政の執行にひたむきに努力をしている関係職員の皆さんのためにも知事、部長の決断を求めて、次の質問に移ります。 次に、県と苓北町が建設を進めている県営都呂々ダムのコンクリート打ちが三月一日に始まりました。企業局の計画によると、総工費約八十八億円、六十四年十一月完成、六十五年三月給水開始となっております。完成後の給水は、苓北火電に七千トン、その他の工業用水に千五百トン、簡易水道用水に千七百四十九トン、これまで使用していた農業用水分として六千四百八十三トン、新規の農業用水分五百四十五トンとなっております。一方、給水量の半分近くを使用する苓北火力発電所の建設は、当初計画より大幅におくれ、一号機が本年八月着工、六十八年四月運転開始、二号機は六十八年十月着工、七十二年三月運転開始の予定となっております。 そこで、ダムの給水を開始する六十五年三月から一号機の運転開始の六十八年四月までの三年間は、火電用水の一日七千トンが全く使われなくなります。さらに、二号機運転開始の七十二年三月までの四年間は、一号機分四千七百トンだけの使用で、毎月二千三百トンがむだになるのです。 もともと都呂々ダムは苓北火電の工業用水確保のため計画されたものですが、上水道用水や農業用水が絡んでいるためダムの建設をおくらせるわけにはいかない。となると、この空白の責任は当然苓北火電の建設をおくらせた九電がとるべきで、この間の企業局の損失はすべて九電が補償すべきだと考えますが、いかがですか。 ところで、もし空白の責任を企業局がとるとすれば、現在工業用水と有料道路で約九十億円の赤字を抱えたその上に、さらに膨大な赤字を重ねることになります。このようなことは許されません。また、仮に九電が一〇〇%補償するとしても、その分は電気料金に加算されるということになります。いずれにしても県民の負担になるのです。このような状態を、一貫して火電建設の推進に努力してきた執行部としてはどう考えておられるか、お考えをお聞かせください。  〔公営企業管理者道越温君登壇〕 ◎公営企業管理者(道越温君) お答えいたします。 都呂々ダムの建設のきっかけは、確かに苓北火電に工業用水を供給することにあったのでございますが、天草地域の水資源の確保ということを考えまして、生活用水、農業用水をもあわせて開発することにいたしたわけでございます。 その後、苓北火電建設計画がおくれることになりましたために、ダムの建設計画も変更することを検討いたしましたが、生活用水等はできるだけ早く供給すべきであると考えまして、ダムの建設は予定どおり進めることにいたしたわけでございます。ただし、工業用水専用の施設でございます導水路等は、工業用水が必要となる時期を勘案しながら建設を進めることにいたしておりまして、したがって、ダムが完成すれば直ちに工業用水が供給できるという体制になるわけではございません。 しかしながら、苓北火電の建設計画が変更になったことに伴いまして工業用水道事業が赤字になるというようなことがあってはならないわけでございますので、九電とも協議をいたしまして、九電にも対応をしてもらい、工業用水道事業に損失を生じないように対処してまいりたいと考えております。 また、そのようなことが電気料金に加算されるのではないかという御懸念でございますが、電気料金の値上げをせざるを得ないような影響を与えるものではないというふうに考えております。 いずれにいたしましても、工業用水道事業を経営いたします企業局の立場からいえば、苓北火電の建設がおくれることなく当初計画どおり進められるよう望んでいたことは否めないところでございますが、今後、私どもといたしましては、苓北工業用水道事業経営の健全化に努めまして、損失を与えることのないよう適切に対処してまいる所存でございます。  〔柴田徳義君登壇〕 ◆(柴田徳義君) いずれにしても、このことでダム関係に絶対にマイナスがないように、ひとつ的確な措置をしていただくことを特に要望しておきます。 なお、電気料金に影響しないと。もちろん、これだけで電気料金が一円上がるとか二円上がるとかいう問題はありませんけれども、こういうものが積み重なって結局電気料金を上げていくということになるわけでございまして、その辺のことを指摘したわけでございます。 時間がございませんので、最後に要望をいたします。県道田迎木原線の改良工事の促進についてです。この件については、これまで繰り返し取り上げてきましたので多くは申し上げません。 一昨年十月、字城北部地区広域農道の城南橋が開通しました。そして現在の田迎木原線、幅員五メートルから六メートルのバス道路の車の交通が非常にふえました。そのため、小中学校の児童生徒の登下校にも危険を伴っておりますし、児童の事故が起きたことも指摘しました。その後、軽度でありますけれども、もう一件起きております。 そして、ことし一月、緑川―木原間の改良工事が完了しました。同時に緑川の釈迦堂橋が開通しました。この車も現在の田迎木原線に流れ込んできます。さらに、加勢川改修に伴う木部橋の工事が進んでおります。これが完了すると、いよいよバス道路はラッシュ時にはパンク状態になることが予想されます。緑川に新しい橋が二つもできて道路は手つかず、これではどうなりますか。結果はわかっているはずです。受け入れの道路を完了した後、橋をつくるのが常識ではないですか。工事そのものが無責任だと言わざるを得ません。 ○副議長(平川和人君) 残り時間が少なくなりましたので、質問を簡潔に願います。 ◆(柴田徳義君) (続) しかし、橋は開通しています。とにかく改良工事を促進して、緑川と国道五十七号バイパス間の開通を早期に完成することです。執行部の強力な取り組みを要請いたします。 なお、バス道路の交通安全対策として歩道の工事が進められておりますが、年間工事がわずか四、五十メートル、今年度は用地交渉のため工事なし、これでは交通事故を座して待つようなものです。重大事故が起きてからでは間に合いません。急いてください。このことを強く要望して、私の質問を終わります。御協力ありがとうございました。(拍手) ○副議長(平川和人君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明十七日は午前十時から会議を開きます。日程は、議席に配付の議事日程第九号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後二時三十五分散会...