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  1. 熊本県議会 1988-02-01
    03月14日-06号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    昭和63年 2月 定例会┌──────────────────┐│  第 六 号(三月十四日)    │└──────────────────┘ 昭  和 六十三年  熊本県議会二月定例会会議録   第六号──────────────────────────昭和六十三年三月十四日(月曜日)   ――――――――――――――――――――   議事日程 第六号  昭和六十三年三月十四日(月曜日)午前十時開議 第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)   ――――――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)      ―――――――○―――――――出席議員(五十五名)                 大仁田 貞 夫 君                 松 村   昭 君                 高 野 誠 一 君                 水 野 秀 昭 君                 吉 本 賢 児 君                 村 上 寅 美 君                 草 村   照 君                 久 保 立 明 君                 福 村 三 男 君                 鬼 海 洋 一 君                 本 田 良 一 君                 前 田 貞 治 君                 池 田 貞 俊 君                 小早川 宗一郎 君                 前 畑 淳 治 君                 野 田 将 晴 君                 荒 木 詔 之 君                 島 田 幸 弘 君                 島 津 勇 典 君                 大 西 靖 一 君                 岩 下 榮 一 君                 中 島 絹 子 君                 中 島 隆 利 君                 倉 重   剛 君                 山 本   靖 君                 渡 辺 知 博 君                 西 岡 勝 成 君                 深 水 吉 彦 君                 阿曽田   清 君                 三 角 保 之 君                 山 本 秀 久 君                 永 田 健 三 君                 堀 内 常 人 君                 八 浪 知 行 君                 鏡   昭 二 君                 髙 田 昭二郎 君                 古 閑 一 夫 君                 大 森   豊 君                 馬 場 三 則 君                 古 閑 三 博 君                 平 川 和 人 君                 北 里 達之助 君                 金 子 康 男 君                 広 瀬 博 美 君                 柴 田 徳 義 君                 米 原 賢 士 君                 永 田 悦 雄 君                 小 材   学 君                 八 木 繁 尚 君                 幸 山 繁 信 君                 池 田 定 行 君                 水 田 伸 三 君                 小 谷 久爾夫 君                 今 井   洸 君                 酒 井 善 為 君欠席議員(なし)   ――――――――――――――――――――説明のため出席した者          知事     細 川 護 熙 君          副知事    山 内   新 君          出納長    伴   正 善 君          総務部長   佐 藤 達 三 君          企画開発部長 五 味 廣 文 君          福祉生活部長 小 澤   豪 君          衛生部長   星 子   亘 君          公害部長   佐 藤 幸 一 君          商工観光労働          部長     森   弘 昭 君          農政部長   松 村 敏 人 君          林務水産部長 藤 門 豊 明 君          土木部長   福 島 正 三 君          公営企業          管理者    道 越   温 君          教育委員会          委員長    安 永 蕗 子 君          教育長    田 嶋 喜 一 君          警察本部長  竹 内   隆 君          人事委員会          事務局長   成 松 史 郎 君          監査委員   清 田   円 君   ――――――――――――――――――――事務局職員出席者          事務局長   大 山 清 勝          事務局次長  前 田 利 郎          議事課長   大 間 照 男          議事課長補佐 山 下 勝 朗      ―――――――○―――――――  午前十時四分開議 ○議長(永田悦雄君) これより本日の会議を開きます。      ―――――――○――――――― △日程第一 一般質問 ○議長(永田悦雄君) 日程に従いまして日程第一、一昨日に引き続き一般質問を行います。 本田良一君。  〔本田良一君登壇〕(拍手) ◆(本田良一君) 日本社会党の本田良一でございます。一般質問を今からさせていただくわけですけれども、先般は倉重先生、それから代表質問におきましては金子先生、酒井先生、今井先生とやっておられまして、私の質問が重複をする面もありますけれども、知事さんを初め執行部の皆さん方には何度もお答えをなさるということで大変御迷惑と思いますが、ひとつ御回答をお願いしたいと思います。 それでは、新幹線の建設について質問をさせていただきます。 既にこの問題ではそれぞれ代表質問等で意見が述べられておりますが、本議会での最重要課題と思われますので、私も私見を交えて意見を申し上げ、知事のさらなる今後の努力と執行部の努力をお願いすることとします。 私は、つい先般、四国に橋が開通したことを報じる熊日の朝刊を手にしました。その見出しはこうでした。「JR北海道―四国直通」というものです。私は、この見出しを見て、あれ、何か日本は間違っているな、日本列島は本来北海道―鹿児島までではないのかと。もっと国家の統治論的に言いますならば、北は北方領土から、南は尖閣列島までであります。しかし、これは鉄道の建設問題に関してでありますから、見出しについて何も言うことはないのですが、ここでふと思いましたことは、今日本が余りにも平和であるため、身にしみて日本列島の範囲を忘れてしまっている現実があるということであります。中でも、特に一国の総理を中心に、政治家及び中央官庁の行政マンたちにその意識が全然ないようであります。国を治める為政者が、まずその国を統治するという政治命題を持ったとき、鉄道という国民にとって多くの物と人を運び、文化を運び、地域の経済を活性化させ、安全で速いなどの利便を持つ輸送手段をどう建設するか、それはおのずとわかることであり、最初に国の背骨の端から端まで通すということを基本にしなければならないことであります。 今の鉄道は、まずこの政治命題で、しかも「汽笛一声新橋を」の国民の期待を担ってスタートしました。当時、明治のまだ国民総生産が現在の何百分の一しかないときで、農村では七反平均の田んぼしかなく、しかも三割の年貢を払い、家族十人が食べていた時代にであります。そしてついに二万二千キロの鉄道を日本列島に建設していったのであります。このくだりは、早坂茂三氏の田中角栄回想録によります。それと、この「汽笛一声新橋を」の鉄道に込められた期待は、ただ、さきに述べました鉄道輸送の利便性の恩恵をこうむるという地方の人々の期待ばかりでなく、やっと大きな変革を経て国としての機能を果たし始めた明治政府の権力が、遠い日本列島の隅々まで波が伝わってくるように及ぶのだという期待感、つまり中央政府は遠い地方の人々の存在価値を認めているという確信を与えることにもなったのであります。また一方では、統治する為政者にあっては、日本列島に一つの背骨を通すことの政治命題に着手できたという安堵感が得られたものと思います。 しかし、以上の政治命題を持って建設をされ、日本列島くまなく張りめぐらされた鉄道網も、今や時代の変遷と申しますか、皆様御承知のとおりでございます。でも新幹線は、やはり二十一世紀に向けて建設を願うもの、その期待にこたえるべく、為政者を初めこれに携わる行政マンに「汽笛一声新橋を」の期待が込められていることは今も変わることがないのであります。今後も「汽笛一声新橋を」のように、多くの期待を込めてその建設促進が訴えられ、実現の暁にはそのことがかなえられるプロジェクトであることは間違いありません。一、飛行機はどんなに増便しても、料金面を含めてでありますけれども大衆輸送ではなく、また安全性が問われるし、二つ目、リニアモーターカー、新高速網にしても、大量輸送と安全性を問われ――私なども助手席に乗って福岡まで行きますけれども、なかなか落ちついて眠ることができません。また、バスで行くにしましても、私は、バスの運転手がもしも眠ったときはもうこれでおしまいだと思って、運転手をずっと見て福岡まで行ったことがありました。まだ、この建設に当たっても新幹線同様の政治力にまつこと大きく、十年後のことと言われております。三、最後に、何といっても経済の活性化であります。これを大きく現在より前進させるものは、この新幹線以外にないものと確信をいたします。 今述べました項目の部分は既に整理され、新幹線建設促進ということで国会陳情も行われておりますので、現時点では中央政府の判断をいかに鹿児島ルートに促すかにあるわけですから、本論に返ることとします。 前より強調いたしております統治論をもっと強力に振りかぶってみたいと思います。あのイギリスとアルゼンチンの戦いになったフォークランド戦争を思い出してください。今の戦争は、人が多く住み、交通網も発達し、人々がひしめいているところでは発生しないのであります。人が住むことを拒んだ、中央政府の恩恵が伝播しなくなったところより起こるのであります。イギリスのフォークランド島政策は仕方がないにしても、これを見るごとく、人が住まなくなったところから紛争は起きる場合が多いのです。人が住まなくなるということは、中央政府、汽笛一声に見るような、時間がかかってもよいから、地方の存在をよく認識し、国の末端まで統治しようとしている姿勢が見えなくなったとき過疎という現象を引き起こし、ついにはここをねらって外国の侵略等という国と国の紛争に発展するものと思います。いかに陸続きでないとはいえ、鹿児島から奄美大島、種子島、屋久島、沖縄、ひいては尖閣列島へと日本人の心はつながっているのであって、これら南の方の日本人の心をつないでいるのは、やはり九州からでなければ、それも熊本や鹿児島の人間でなければ、つないでいくことはできないのであります。 そのためには、中央政府の、日本列島を端から端まで大切にするという政治姿勢が明らかになることが重要であります。新幹線をまず鹿児島ルートまで最初に通すことであり、これは東北と同時着工でもよいのであります。その後、政治力のある地方が着工促進運動を起こして建設していけばよいものと思います。 次に、この財源問題でありますが、今日本には財源は余るほどあります。保険会社や三十兆円の円高差益等を財源として工夫することであります。これらの財源を基金にして公団をつくり、公共事業方式でやるべきと思います。 以上申し上げましたが、こういうことを参考にしていただき、知事におかれましては大変と思いますが頑張っていただきたいと思います。 知事が御提案なさいました提案理由説明の中で、新幹線建設についての「建設実現を目指してまいりたい」との方針を出しておられましたが、前述の、将来の九州地域全体を展望した総合的な交通体系の中での新幹線の位置づけ等述べておられますが、ここのところが常に県民に論議を投げかけたところでございます。これにつきましては、自民党の金子政調会長に既にお答えになっておられますけれども、どうか再度この点を県民に明らかにしていただきたいと思います。そして決意を述べていただきたいと思います。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 新幹線の位置づけと建設への決意についてのお尋ねでございましたが、既に答弁の際にお答えを申し上げておりますように、全国一日交通圏の形成を目指した二十一世紀の国土の基幹的な交通体系を確立してまいりますためには、航空機、新幹線、高速道路などのそれぞれ特性を持った交通機関を複合的に整備をしていくことが重要であるということは改めて申し上げるまでもないところでございます。これからは、国民所得の向上や自由時間の増大によって、国民生活の広域化、多様化が進みますとともに、地域間の相互依存関係も一層強まっていくわけで、それに伴って幅広く選択できる高速交通への要請がますます高まっていくだろうと予想されるところでございます。 現在の九州あるいは県内における高速交通機関の整備状況を見てみますと、航空については全国の中でも早くジェット空港化が進んでおりますが、高速道路につきましては、御承知のように、三九州縦貫道が完成するまでに今後少なくとも十年はかかりますでしょうし、新幹線につきましても御承知のような状況でございます。実際問題として、熊本から東京へは飛行機ならば一時間半で行けるわけですが、時間的には隣の県が一番遠いという状況にあるわけで、九州の交通基盤の整備は他の地域に比べまして立ちおくれていると言わざるを得ない状況にあるというふうに認識をいたしております。 そういう中で、二十一世紀に向けて九州あるいは本県の一体的な浮揚、活性化を実現してまいりますためには、航空機、新幹線、高速道路というものをそれぞれどのような手順で整備をしていくのか。新幹線が九州内の高速交通機関としてどのような役割を果たすのか。あるいは九州新幹線が既設の新幹線と結ばれることによって、行動圏や経済圏が拡大されることに伴って、関西経済圏とのつながりが深い九州・本県にとりましてそれがどういう効果をもたらすのか。さらにはまた、新幹線建設が多極分散型国土の形成上、東京への集中による国土開発のゆがみや矛盾を是正する上にどのような役割を果たすのか等々につきまして、地域としても十分論議を尽くし、国が要請するであろう地方負担等につきましても、十分その考え方を整理をしておくことが肝要であろうというふうに考えているところでございます。 いずれにしましても、今後引き続き九州各県、県議会、経済界とよく連携をとりながら九州新幹線の実現を目指してまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  〔本田良一君登壇〕 ◆(本田良一君) 知事さんの決意を新たにした御答弁、どうもありがとうございました。 それでは、次の質問をさせていただきます。 「人間の原点は生きること」、私は新年に当たり、つれづれにこのようなことをある原稿にしたためてみました。政治家の私たちですら、過酷な条件のもとで生と闘っている生きざまをとらえることはそう多くはないようであります。しかし、現実は、それはそれは大変に過酷な中で生きている人がいるのであります。それは、行政の中でも、婦人相談所及び児童相談所へ持ち込まれる問題がそのことに該当するのではないでしょうか。夫の酒乱、覚せい剤、借金等により、婦人に対する虐待、また、いたいけな子供に対する親の虐待やせっかん、または家庭崩壊による児童の過酷な生活等、本当にこれほどまでにして人間は生きなければならないのかを問う問題がここにはあるようであります。また、これらの人々に誠意を持って忍耐強く相談に応じ、一人でも多くの人をこのような生きざまから助け出すことを願って努力しておられる職員の皆さんがおられることを知ってもらうためにも、この問題を私は本議会で取り上げてみるべきだと思いました。そして政治の光を当ててみることとしました。 とかく政治は、都市計画について、交通体系について、公共事業について、教育・観光問題について等々論じられることはあっても、人間が苦しみながらも生きているこのような事象を取り上げ、問題提起することは余りないように思います。政治は、日の当たる人々にのみあるのではなく、これら過酷な条件のもとで生きている人々のためにもあることを証明しておきたいと思います。 幸いにして、議員各位とともに先般、議会の車で渥美清の「寅さん」の映画を見る機会を得ました。ところが、ストーリーは、御承知のごとく生きることで苦しんでいる人の場面です。この苦しんでいる人を寅さんが支える場面があります。見る者の目頭をじいんとさせます。すると、見ている議員の各位の目頭も熱くなっておられるのでございます。私はこの光景を見まして、やはり議員さん方の中には任侠道の心を持ち合わせた人が多いなと思い、うれしさを感じずにはおられませんでした。ここで私が申し上げますところの任侠道とは、日本のやくざにはやりの狭義の任侠道のことではありません。この任侠道は、もともと中国の正統馬賊の精神で、映画でいいますと、日本では三船敏郎演じる「七人の侍」、アメリカではユル・ブリンナー演じる「荒野の七人」であります。物とりの馬賊に困っている農民を、たまたま通りがかった浪人、旅人たちがおのれを捨てて守る。つまり、おのれを捨てて人のため世のために尽くすことの精神をいうのであります。私なども、どちらかといいますと、この中国の正統馬賊の精神、任侠道の塊のようなものであります。 さて、任侠道の説明はこれくらいにしまして、これから申し上げます事象をお聞きいただき、この解決に向け、政治と行政のお力添えを切にお願いする次第でございます。 事例。 相談者A子さん本人が直接相談所においでになっておられます。  主訴 夫の暴力のため県婦人相談所へ一時保護か母子寮及び母子住宅へ入所したい。  相談内容  本人は離婚歴のある現夫と恋愛結婚をし三人の子供を出産した。夫は結婚当時より職を転々と変わり生活も安定しておらず、それに覚醒剤で刑務所へ何回も服役歴があり、経済的と精神的な問題で夫の暴力と喧嘩がたえず家出をくり返している。   夫、短気で横暴  措置状況   県婦人相談所へ一時保護依頼   大江母子寮申請   夫、刑務所服役中   夫、出所後保護課担当職員と接触、離婚相談をしている。   夫の保護司にも連絡をとる。夫は出所後も家庭をかえりみず生活費もいれない。 ほかに、三十一歳の主婦ですけれども、  住むところがない  就職 ホテルメイド 四十二歳  夫の暴力(酒乱 覚醒剤)  京都婦相へ移送後就職 三十五歳  夫の蒸発  子供を施設に預け就職こういうものですけれども、夫の暴力、酒乱、こういうもので大体四十六件の相談があっており、この相談内容は、家庭問題が五五・六%で、大体夫の問題だと言われております。 私は、最もこのような厳しい生き方をしている婦人たちが相談に来る熊本市の婦人相談員を訪ねてみました。多種多様な問題で、婦人あるいは子供までが、夫や父親の暴力で生きることの厳しい状況に置かれていること、そして常に生命の危険すらあるようであります。ある婦人などは、髪はばらばらに切り落とされ、体じゅう夫から受けた傷を痛々しく残してふらふらになって相談に来たとのことでした。このような婦人は、熊本の病院に保護入院しても、また夫に発見され、生命の危険も伴うので、他県にお願いして保護の協力を頼むということであります。一方、この他県との協力関係では熊本が受ける場合もあるとのことであります。例えば大阪、横浜等全国からということであります。一度私も、このような婦人への暴力常習者より、妻子を保護しているのは市のどこの施設なのか聞いてくれと依頼を受けたことがあります。無論私はきっぱりと断りました。このように婦人相談の実態は数字で明らかでありますが、省略をいたします。 では、行政的にはこれら婦人相談に対してどのように対応しておられるかでありますが、婦人保護事業として位置づけ、昭和三十二年、売春防止法施行により、売春に係る要保護女子の転落防止とその保護更生を目的として取り組んでまいったのでありますが、最近の相談傾向は一般婦人からのものが多く、その内容は、夫の暴力や酒乱、覚せい剤、異性関係、借金等による問題の相談が多くなっているということであります。よって、その対応内容については、本県の婦人相談所の婦人保護の概要に報告されておりますので一部分を紹介したいと思いますけれども、余り時間がありませんから途中省略をいたします。 これが婦人保護の概要であります。(冊子を示す)婦人保護の概要。婦人保護事業は、昭和三十二年の売春防上法の施行により、この要保護女子の転落防止と保護更生に取り組んできたが、今や一般婦人からのものが多く、その内容は、夫の暴力や酒乱、異性関係、借金問題などによるものが目立ち、それが家庭紛争、離婚問題へとつながっているものと考えられる。このほか、子供の問題、無計画な生活態度など、正常な社会生活を営む上で障害となる問題を含むものが増加したという報告であります。この概要の中には、月別受付件数や主訴別、処理状況、一時保護所の状況、一時保護所入所者の処理状況など報告されております。 数字的には省略をいたしましたけれども、しかし、この数字は、大変な苦しみを持って婦人が生きていることの裏づけでもあります。この対応を行政がすべて誠意を持って行うには限度もあります。なぜなら、本人が生きるための心構えの問題もあるからであります。しかし、婦人が苦しみもがいて生きていることには変わりがないのであります。これを解決するに当たり、政治と行政が一体となってその対策に当たらなければならないと思います。さらに、これに対応するに当たり、日夜を分かたず誠意を持って前述のとおり努力しておられる行政関係職員の皆様に心より敬意を表するものであります。 ここで、婦人相談に対する取り組みについて私の意見を申し上げ、本問題を終わることとします。 まず、婦人相談の充実として、婦人相談キャンペーン及び移動相談等を実施し、婦人保護に関する広報活動を展開したらいかがでしょうか。また、婦人の人権擁護の広報活動を含めていただきたいと思います。二番目、母子寮の拡充と整備、三、就職等のあっせんの充実などの行政対応ができないものか、お伺いをいたします。特にこの問題は相談所へ持ち込まれず刑事事件となって表面化することもありますので、日常警察関係との御連絡を密にしていただきたいと思います。 次に、児童相談所における問題について申し上げます。ここでは特に虐待児童問題について述べることとします。 この問題は、いたいけな児童が、それも自分の両親や肉親から虐待をされ、傷つき、あるときは生命まで落としてしまう問題であります。 まず、事例から申し上げます。人権的なこともありますので簡単に申し上げますけれども、御推測で後お願いしたいと思います。 継父からの虐待  児童相談所にて一時保護後、姉妹ともに足が弱く歩行不安定につき虚弱児施設に措置  (継父が性格的に気が荒く日常暴力がある) 父親の暴力  児童相談所にて一時保護後、養護施設措置  (父が変り者、地域との交流もなし) 長男にたいする継母の折檻  長男を一時保護し、継母を説諭したあと引き渡す  (長男を継母がいじめる)ということでありますが、八代児童相談所に八十件、中央児童相談所に、三百五十九件となっております。 以上のとおりでありますが、親の虐待により児童が苦しみ命をも失っていく事例、胸が詰まります。このようなことがこの世の中に決してあってはならないことを望み祈るものであります。というものの先般の新聞にも、親のせっかんで子供が命を落としております。また、児童たちが家庭崩壊により学校にも行けない苦しい経済環境に置かれていることもあります。私が聞いたある小学生は、父親が覚せい剤中毒のため家に閉じこもって働かず、そのため子供は閉じられた玄関から出入りをせず破れた窓から出入りをして、一日十円の金もなく過ごしていたということでありました。しかし、行政的には、親が家にいるのでその子供の保護ができずに困っているというものでした。何と痛ましい児童の置かれている厳しい環境でしょうか。本来、児童は、親よりこのような虐待を受けるためにこの世に生をうけたのではないはずであります。すべての児童が、あるがままの親の愛を享受し、すくすくと成長すべく生をうけたものと思います。 そこで、以上のような児童相談に対して、行政はどう対応しているかでありますけれども、児童相談所の仕事として――これは児童福祉法によって行われておりますけれども、「児童に関するすべての問題について、家庭その他からの相談に応じる。」「児童を児童福祉施設に入所させ、又は里親等に委託する。」とか「児童の一時保護が必要と認められる場合に、一時保護を行う。」とか、いろいろきめ細かくやっておられます。以上が本県における行政対応でございます。この仕事も忍耐強く努力の要る仕事と思いますが、行政関係の皆さんは大変努力をしておられ、敬意を表するものであります。 では、この問題に対して、次のようなことをお願いしたいと思います。 児童相談の充実について。児童相談キャンペーン、マスコミ等により児童保護の広報活動を行う。一時保護及び里子制度の充実。要保護児童の家庭指導の強化。 これまで、二つの児童相談所における人間の生きることの厳しい状況について申し上げてきましたが、人間はこれほどまでに苦しみながらも生きているこの現実を直視し、最終的には、この人たちを政治が救わなければだれが救えるのか、行政が救わなければだれが救えるのかを自覚させられました。その反面、もともと弱い立場にある婦人に対してはその夫が、児童に対しては親が、おのれがしっかりして家庭を守っていかなければ、だれもこの妻、この子を守ってくれないという認識を自覚し、命を大事にすることが重要であるということを痛感いたしました。このことに執念ともいえる精神で生き抜いてもらいたいと思います。 最後に、この問題の原因の一つにもなっております覚せい剤について、県警本部長にお尋ねをいたします。 本県では、覚せい剤の検挙数が、五十五年四百二十四人、五十六年三百六十四人、五十七年三百六十八人と多く、それ以降六十二年まで下降ぎみにあります。この理由について御説明をいただきたいと思います。そして今後ともなお一層、白い粉の恐怖が市民、特に少年少女に及ばないよう強力な取り締まりと御指導をお願いするものであります。  〔福祉生活部長小澤豪君登壇〕 ◎福祉生活部長(小澤豪君) まず、婦人相談の充実についてお答えをいたします。 お話にございましたように、婦人保護事業に関する相談は、夫の暴力や酒乱あるいはサラ金、異性関係等その内容は複雑かつ多様化しておりまして、相談件数も増加の傾向にございます。 県といたしましては、婦人相談所が中心となりまして、婦人相談員、福祉事務所等が連携をとりながら、常に相談に応じられる体制づくりとケースに沿った相談指導の実施に努めているところでございますが、今後とも研修の一層の充実により婦人相談員の資質の向上を図る等ニーズにこたえてまいりたいと思っております。 また、広報につきましては、これまでもマスコミ等を利用しながら機会あるごとに行っているところでございますが、今後もより一層周知徹底を図るよう努力してまいりたいと思います。 母子寮につきましては、現在県下に三施設がございまして四十八世帯の入居が可能でございますが、入居率は八〇%でございまして一応数の上では充足されているのではないかと思っております。しかし、施設の中には老朽化して設備等も不十分なものがありますので、今後これらの施設の整備に努めていきたいと思っております。 相談者の就職のあっせんにつきましては、これまでも職業安定所等関係機関と相談をしながら、就職、再訓練等に努力をしているところでございまして、一応の成果を見ているのではないかと思っておりますが、今後とも一層努力をしてまいりたいと思います。 次に、児童相談の充実についてお答えをいたします。 児童相談の充実についてでございますが、児童保護の広報活動等につきましては、毎年五月五日からの児童福祉週間を中心に、新聞、テレビ、ラジオ等での広報を行うほか、各種大会や会議等におきましても制度の周知を図るとともに、市町村の広報誌等を通じ、広く県民の啓発に努めているところでございます。 また、児童に係る相談は、児童相談所のみならず、福祉事務所、市町村の関係機関、児童委員などが常時幅広い相談に応じておりまして、特に遠隔地等で来所相談が困難である地方には、児童相談所が毎年巡回相談を実施しているところでございます。しかしながら、現在の社会情勢を反映して、相談内容はますます複雑化し深刻になりつつありますので、各種相談所の統合を図るなど、今後なお一層きめ細かな対応を図っていくことといたしております。 一時保護及び里親制度の充実についてでございますが、従来から、両親や保護者による養育に問題がある児童を必要に応じ中央児童相談所において一時的に保護をし、学習指導やあるいは生活指導を行って積極的な保護育成を図っているところでございます。里親につきましては、現在県下に約五十人が登録されておりまして、これらの方々の研修等を行いまして、里親制度の円滑な運用ができるよう努力してきたところでございます。特に、昨年の民法改正で特別養子制度が創設されまして、また先般、里親家庭運営要綱が改正されましたので、その趣旨に沿い、里親の開拓と研修会の実施等により、養育機能の向上により一層努力をしてまいりたいと思います。 最後に、要保護児童の家庭指導強化につきましては、児童育成の基盤でございます家庭養育機能が低下している今日、児童相談所の児童福祉司による訪問指導、あるいは福祉事務所に置いております家庭相談員や母子相談員等による養育相談、保育所でやっております育児相談等を実施し、家庭養育機能の充実強化に努めているところでございますが、今後ともより一層指導強化に努めてまいる所存でございます。  〔警察本部長竹内隆君登壇〕 ◎警察本部長(竹内隆君) 覚せい剤の問題についてでありますが、本県において昨年、覚せい剤取締法違反で二百五十二名を検挙しておりますが、昭和五十五年の四百二十四名をピークに減少しており、これは県民の覚せい剤に対する意識が高まってきたのが原因ではないかと考えているところでございます。しかし、昭和五十二年以降、毎年二百五十名を超える検挙人員を見ており、しかも昨年は、一昨年の二倍弱の覚せい剤を押収するなど安心できる状況ではございません。 今後とも、暴力団を中心とする密売組織の壊滅、末端乱用者の徹底検挙、密輸入事犯の水際検挙を基本方針に強力な取り締まりを実施することといたしております。また、薬物乱用対策推進地方本部を初めとして、関係機関、団体との連携をさらに強め、覚せい剤の恐ろしさを県民一人一人に周知徹底するよう啓発活動を積極的に展開して、覚せい剤を拒絶する社会環境づくりにも努めてまいりたいと存じております。  〔本田良一君登壇〕 ◆(本田良一君) 福祉生活部長さんとそれから県警本部長さんの今後の御努力をよろしくお願いいたします。 それでは、農政問題について質問をいたします。 私が農政問題について意見を申し上げるには、その現状認識において余りにも素人であり、また、ある面において農業者の、あるいは農業の現場に疎い感じもあろうかと思いますが、アメリカが国力によってその受け入れを迫ったとでも申しますか、さきに決着をした農産物十二品目のガットでの採択受け入れ、また、目前に迫った牛肉・オレンジの日米交渉の成り行きなど、日本農業が危機に直面しているときでもありますので、一応勇気を持って意見を述べることとします。 まず、農政問題の現状認識から切り出してみることといたします。 今や農政論議は、教育論議と同様、それぞれが巨像を描くように、足から、耳から、鼻から等々あらゆる部分をとらえ分析し、描き出しております。ところが、細川知事が六十三年一月十四日の経済審議会で農業問題について発言をしておられ、特に農地の転用に関しては、積極的転用を促進したらどうかと勇気ある意見を述べておられました。私もこれを聞き非常に関心を覚えたところでありました。 また、二月二十二日の熊日朝刊に、小材自民党県連会長みずからが、二月十九日に県立劇場で行われた「国際化時代の地域農業はどうあるべきか」の中で、今日の農政問題について大変興味ある発言をしておられました。これは、今議会で私が農政問題について質問するに当たり調査活動をしておりましたときだけに一段と関心を持ったわけであります。その内容を当日の新聞報道から紹介をしたいということでここに張っておりますけれども、時間がありませんので省略をいたします。しかし、小材会長のこの内容というのは――実は私も現在の農業問題をぴたっと言いあらわすことは何かないかなと思っていろいろ探しておったんです。ところが、これが本当にぴたりそのことを言っておられました。それで私も本当に勉強になりました。「以上が小材先生の講演要旨であります」と、こう書いております。私も大変啓発されることが多く、また意見を同じくする点の多い記事でもありました。 そこで、かねて私が関心を持っている幾つかの点について申し述べます。 今、本当に農政問題について打つ手はないのかということであります。政府は農林予算として、構造政策を柱に三兆一千七百億円の六十三年度予算を今国会に上程、審議中であります。特に目立つのは、国際化を意識した低コスト対策であります。これは現在、国の農政の指針とされ、また、二十一世紀へ向けての農政の基本方向を着実に実現するため、土地利用型農業を中心にした低コスト対策の新規事業であります。稲作を基幹とした水田農業の生産コスト低減を図るための高生産性水田農業実証モデル事業や、農機のリースを含む低コスト農業機械対策を行うものであります。しかし、この内容の多くが、従来の予算の焼き直しかあるいは組み替えみたいなもので、これからの農政危機を乗り切る勇気ある政策は残念ながら見出せない状態であります。 そこで、農業には素人であるがゆえに、恥を恐れずに私なりに農業問題に挑戦をしてみたいと思います。 まず、農業問題の中では、何はおいても自由化問題であろうと思います。この農産物の自由化問題については、既に今議会で先輩諸先生から質問があっております。しかし、食糧の輸入自由化問題は、県民の立場からも、食糧安全保障からしても、また、我が国農業の方向を決めかねない日米農産物輸入協定交渉の大詰めに来ている今日的状況からしても重要であり、私は、あえて自分の考え方を申し上げ、要望をいたしておきたいと思います。 農産物十二品目について、アメリカに攻められ、ついに我が国は受け入れる結果になったようでありますが、私は、このガット受け入れに当たって二つの力があると推測いたします。一つは、アメリカが競争原理の原則を振りかざし、これを日本へ押しつけてきた。二つは、日本国内の物価が高く、また、農業を取り巻く諸環境が複雑で流通機構等も改革を要するため、アメリカの外圧を利用して国内経済の大改革をするという作用があるのではないかと推測をしております。 アメリカは、競争原理を理由に、国内世論形成と法的整備を図ってやっておると思います。例えば、イギリスが世界の国々と何か事を構える場合、必ず法をもって相手の国に対して交渉に当たり、有利を保ってきました。アメリカも同様であります。このように、アメリカ世論に対応するには、日本の丸腰外交では役に立たないのではないかと思います。私は、ゲッパートが大統領候補でずっと演説をして回っていたあのテレビを見たんですけれども、ゲッパートも法案をつくることを言っておりました。そのとき、なるほどということを、このイギリスの過去の歴史からそういうことを思い出したんですけれども、イギリスも今言ったようなことなんですが、この後出ましたのが「公共工事で対日報復 米国、鹿島への発注拒否 ワシントンの地下鉄」と。これもやはりただ単に拒否をしたんでなくて、やはり一九八八米会計年度包括歳出法案に盛り込まれた建設市場開放条項によって、この鹿島建設のワシントン地下鉄の入札を拒否したわけですね。その法案というのは、包括法案の建設条項は今月末に発効の予定で、現時点ではまだ法的拘束力はないということであります。こういうものをもってアメリカは日本に迫ってきているわけですから、日本がどんなに頭を下げて「よろしくお願いします」と言っても太刀打ちはできないわけであります。よって、日本も法的な整備をやってかかっていくべきだと思います。政府は、競争原理を原則とした国内経済原則をつくり上げ、保護主義でない法をもってアメリカと対応することが必要であります。 また、日本と同様な問題を抱えている国はアジアの中にもあります。先般、台湾に参りましたとき、バスのガイドが言っておりました。アメリカの農産物、特に米の輸入を迫られ困っている、日本がもっとこれを阻止するため頑張ってくれと言うのであります。私がまず感心したのは、バスガイドが、日本のそれも熊本県議会経済委員会の阿曽田委員長一行に対しまして経済問題の現状説明をするのでありますから驚きました。この説明は強烈な印象を私に投げかけました。このような国と手を組み、同じ経済共同体としてECに見られるような組織をつくり上げ、アメリカに対して理解を迫るようにすべき時代を迎えたいと思います。 以上、ガット問題に対して、日本が早急に考えるべき問題についての私の提案を申し上げた次第であります。 最後に、このガット問題については、特に今後問題となります牛肉・オレンジ等の自由化は、今議会でも知事は絶対に受け入れない旨の心強い態度表明をされておられますので、ぜひその方向で国に対しても強く阻止を申し入れてもらいたいということを重ねて要望いたす次第であります。 次に、農業を取り巻く経済構造の大変革をすべきことについてであります。これはガットの自由化外圧に対応することにもなるわけですが、本当に政府は物価を下げることに徹底した英断を下すべきと思います。 今日の日本の物価は、表面は資本主義を旗印にしながらも、裏では統制経済をやっております。このままでは他の国からの観光客も入国しにくくなり、一種の経済鎖国をやっているような状態になるのではないかと思います。これだけ日本が経済的に強くなった今、そう簡単に国内経済が危機に直面することは将来においてもないと思います。もうほどほどに競争原理に徹した物価政策を政府は英断をもって実行すべきと思います。 まず、石油の値下げなどから始めるべきと思います。ところが、今回の税制改正案を見ますと、これを上げるようにしており、逆に値上げになる状態であります。値下げの商品については石油を例にしておきますが、車、トラクター、電気製品その他ありとあらゆる製造企業間の製品ごとのカルテルを、厳重に値下げになるよう競争原理に徹するよう指導すべきだと思います。 また、流通機構の改革をさらに強力に指導することです。物価あっての経済で、経済基盤の強化は物価の安定にあります。したがいまして、このような改革によって、農業で大きなウエートを占める機器、資材のコスト低下と価格安定が図られ、安定した農家経営が可能で、また競争力も出てまいります。そうした流通改善の条件整備こそが重要であります。 流通改善について、大上段に構えて物価問題を取り上げましたが、この他輸送、貯蔵問題や市場問題、また流通情報問題等、流通に関して多岐にわたる重要な課題があろうと考えます。要は、こうした大枠のところで改革を必要とし、そのことで生産者と消費者とが納得のいく価格の形成が、また農業基盤の強化ができるのではないかと考えます。 いずれにしても、国の所管するところが大きいので、県としては関係する範囲で、流通改善の姿勢で制度の改善や指導の強化に努めてほしいと考え、要望いたします。 なお、農業という側面で流通を考えた場合、農業県である本県も流通面で多くの課題を抱えているのではないでしょうか。聞くところによると、食管に支えられた米でも流通に苦労しており、よりうまい米づくりが最重要課題となっており、ミカン、野菜、畜産物などどれ一つとっても、過剰時代の流通は問題が多いのであります。私も市議会議員時代に、熊本市の野菜生産出荷安定法での生産地指定、消費地指定の取得に関係し、市場や流通をかいま見てまいりましたが、複雑多岐でありますが、いずれも流通は重要であります。熊本農業の活力を取り戻し飛躍する上では、各部門の流通を点検し、流通改善を進められることを切に要望いたします。 やや長々と私の農業に対する意見の披瀝や、私見として今日の農業の問題で重要と考えておりました課題について、要望として申し上げてまいりましたが、次に農業問題の設問を考えてみますと、究極のところ農地問題となります。これは、今後の農政を時代に即応した農政とするためには避けて通れぬ重要な課題です。よって、私は、あえて知事の発言の農地の転用等は積極的にやるべしとあわせ、お尋ねすることといたします。 御存じのとおり、農地を規制しているのは農地法と農振法の二法でありますが、前者は、農地改革、自作農創設という、戦後改革と国民食糧の絶対的不足という危機的状況の中で、耕作者の農地取得の促進と権利の保護並びに耕作者の地位の安定と農業生産力の増進を図ることを目的として制定されました。後者の農振法は、昭和三十年に始まる我が国経済の高度成長の中で、農業の振興を図るべき地域を保全、形成するなど、国土資源の合理的な利用を図ることを目的として制定されたものであります。 しかし、現在では、減反政策等により農家ではどうすれば生活できるか。夢も希望も喪失し、これまで営々と培われた農地は荒廃の一途をたどるかに見えます。特に山間僻地の農家では、老齢者の方々がわずかの土地を頼りに細々と農業を営んでいる状態でありますが、この土地も、その周辺の海、山、川、山林、原野等の美しい自然を一体として見てみますと、レクリエーションの場として十分に活用できるものでありますので、地域活性化を絡めて、土地利用については総合的見地から考えなければならないと思います。しかし、一般的には、まだ農地を他の目的に転用することはなかなか簡単とは言えない状況にあります。これは、農地を含めた国土の利用計画が最近の経済社会の急激な変化に対応し切れなかったことが、今日の矛盾した現象を生じる原因になったのではなかろうかと考えます。 したがって、農地・農振法に関しては、今日的要請に的確に対応できる法体系なり運用の早急な実現が図られるよう抜本的な見直しが必要な時期に来ていると私は考えておりますが、すぐに実現する話でもないので、当面農地の規制についてどのように対応されるのか、農政部長にお尋ねをいたします。 ここで、私の住んでおります花園のことを例にとってみますと、花園の農家の方から、この農振は取っ払ってくれ、市街化調整区域も外してくれと、こういう要望があるんです。ところが、この熊本市を中心とした中心街は、昔から熊本市の中心街であったわけです。ところが最近は大変購買力が落ちております。なぜかといいますと、この中心街の背後地は、家が張りつかず人口が張りつかずに購買力が落ちてきているわけです。その反面、健軍とか楠とか、こういうところに中心街と同じ町ができております。そういうことで、中心街の活性化のためには、ぜひともこの背後地の農振などを取っ払うことによってもっと背後地に人口が張りつくようにしていただくならば、中心街が今後潤うことになるんじゃなかろうかと思います。よろしくお願いします。  〔農政部長松村敏人君登壇〕 ◎農政部長(松村敏人君) 農地の規制についてのお尋ねでございましたが、食糧の安定的供給と農業の生産性向上を図るという観点から、農地のスプロール的壊廃を防止いたしまして、集団性を有する優良農用地を保全するために、農地法及び農振法の規定に従って、農業と農業外の土地利用を調整してきたところでございます。法令、通達等の運用に当たりましては、与えられました権限の範囲内で、できるだけ需要の実態に沿った処理をするように努めてきたつもりでございますが、昭和五十七年から六十一年までの五年間の県下での転用実績は三千三百ヘクタールに上っておりまして、これは本県の農地面積の二・三%に当たる数字でございます。 ただ、農業、農地を取り巻く環境は激しく変化してきておりまして、農地法、農振法制定当時からいたしますと経済的あるいは社会的背景も大きく変わってきておりまして、これに的確に対応いたしますためには、御指摘のように、法律、制度の改正が必要でございましょうけれども、それまでは集団的優良農用地の保全を図りますとともに、より有効な土地利用の要請に配慮しながら制度の運用を図ってまいりたいと存じております。  〔本田良一君登壇〕 ◆(本田良一君) それでは時間がありませんので、次に、中国残留孤児帰国者の永住対策について申し上げます。  戦争に敗れたとはいえ、彼らの犠牲は余りにも大きい。ソ連国内に抑留された者は、軍関係も含めると、六十万人といわれる(正確には七十万人)。氷雪に閉ざされた野の収容所生活では、約五万五千人の死亡者を出した。軍隊や男という盾を失った者は、収入もなく病魔にもさらされている。この状況下、子供を中国人に託したことを、無責任としてだれが責められようか。けれども肉親と別れた孤児の悲しみはこの時に始まる。来日した孤児の一人の言葉だが、みずからの生い立ちや、経歴を知るや、育ての親に感謝しながらも、「お父さん、お母さん」と大声で呼べる日を毎日待っていたということだ。残留孤児という重く覆いかぶさった運命も親恋しの感情こそあれ、うらむ気持ちには発展しなかったのであろう。  それにしても中国の名もない人たちが不幸な境遇の日本人の子供を引き取り、わが子のように育てたことに、隣人愛――人間らしさの深さを感じ、頭が下がる。儒教には仁、思いやりという意味の道徳が説かれているが、民族性に溶けこんだヒューマニズムは偉大である。  かつて、日中両国間には不幸な関係があった。中国にとって日本は敵国であり、かつ侵略者であった。旧満洲の日本人に寄せる感情にも微妙なものがあったに違いない。「怨みに報いるに徳を以てす」と言ったのは、国民政府総統蒋介石であったが、中国人の寛容さに思いをいたすとともに、国が何らかの形で、これにこたえる道を講じてほしいと考える。これは、私が熊本市議会で本問題を取り上げたときの熊日社説の一部です。たしか昭和五十七年三月の議会であったと思います。 当時、国民の目は、まだ残留孤児の肉親探しについてのみ向けられており、既に日本に帰国をして永住を始めた孤児の方々には全くといっていいほど知る由もなかったのであります。これは今も余り変わりません。それは熊本県でも同様でした。私がこの孤児の永住対策等について質問すると申し上げますと、えっ熊本市にそんなに多くの孤児の人たちが帰国しているのかと驚かれたものです。このような状態でありましたから、まずその行政面の対策といえば、市営住宅に入居してもらい、生活保護を支給しているくらいのものでした。まさに、かごの鳥の生活を強いられておりました。したがって、この質問を皮切りに、熊本県中国残留孤児対策協議会が当時の熊本市長星子敏雄さんを会長にして発足をしたのであります。 現在、日本と熊本に帰国残留孤児は何名おられるかを紹介してみましょう。今この会場にも二十名近くおいでいただいております。一九八一年から始まった訪日調査から今日まで、孤児とその家族は六百七十三世帯約三千人に上ります。この二年間だけで約三百世帯が帰国し、大量帰国時代に入ったようです。このうち熊本県内には八十一世帯二百二十一名で、その多くが熊本市に五十三世帯百四十六名、他市町村に二十六世帯六十九名が定住しておられます。 では、この家族の生活実態はどのようなものかといいますと、六十一年二月、厚生省援護局が行った調査によりますと、働きたくとも働けず、日本語の習得に悪戦苦闘している姿が浮かび上がってまいります。これは熊本市においてもしかりであります。そして就職ですが、働いている人は約六割、就業の状況は、工員が四一・四%と断然多く、第二位は労務作業や飲食・販売店員となっております。帰国後、最初についた職業を続けている人は四六%にすぎません。会社役員、通訳、中国語講師、鍼灸師等は、いずれも一・五%以下にすぎないのです。このため四三%が生活保護を受けている状態であります。 日本語も大きな問題で、帰国後四カ月は定着促進センターに入所し生活しますが、これで買い物等が日本語でできるようになる人はわずか二・一%、働いたことのない人の四一・一%が、その理由に「日本語が十分できないから」を挙げておりますので、いかに日本語が大きな壁になっているかがわかります。しかし、私は、日本語を学校に行って特別に教えるということはしない方がいいと思います。職業について働きながら生活の中で覚えていく、生きるために覚えていくというやり方を私はすべきだと思っております。また、生活環境の激変によって心の病に陥る人も多く、自殺等の悲劇まで生じております。これは熊本でもあっております。しかも、孤児についてこられた中国人の夫であります。このように、帰国孤児家族は帰国後、一、就職、二、日本語、三、生活環境という三つの大きな課題にぶつかっているようです。 一方、本県においてはどのような状況かということになりますが、資料がありますけれども時間の都合でこれも省略していきたいと思います。熊本市内に七十四名就職をしておられ、他の市町村に二十四名。子供の学校については、鹿本農業高校、天明中学校、熊本准看護学校、球磨工業高校、熊本市立高校などに修学をしております。 では、前述の協議会の内容を一応ざっと紹介します。 努力目標が、一、生活指導、二、日本語学習、三、子弟の教育、四、就職問題、五、結婚問題、六、老人対策等を行い、中国帰国者の生活の安定と向上を目指すということで、今のようなことを事細かくやっておられます。しかし、孤児にとっては、幼いころより育ち学んだ中国から突然、社会構造の全く異なった日本、つまり祖国に帰ることができても、そう簡単に適応することは不可能であります。よって、この問題に行政が対応していくのには大変な面もあろうと思います。でも、この問題を放置するわけにはまいりません。不幸な生い立ちを生き抜き、苦難を乗り越えて祖国日本へ帰ってこられたのです。そのため、厚生省はこのほど、来年度から全国十カ所に日本語教室や就職相談員を置いた自立研修センターの新設を決めたようです。このセンターでは、八カ月間無料で日本語を学習できるほか、就職の相談を行うということです。 そしてまた、最も私が日本の国民、県民の方々に認識していただきたいのは、孤児の方は日本人であります。しかし、この人の夫あるいは妻は中国人であり、その子供さんもそういうことになります。この事実をよくよく考えていただきたいと思います。日本人の子供を、あるときは息も絶え絶えの日本人の親から預かり、あるときは草むらに捨てられ泣いていた赤ん坊を拾い上げ、みずからも苦しい生活の中から育ててくれた中国人、そしてまた、その孤児が夢にまで見た孤児の祖国日本へ帰りたいと言えば、今度はみずからの国を捨ててまで、その孤児に一生に二度も別れの、あるいは肉親と離れることのつらさを味わわせまいとついてきてくれた中国人、このことを認識していただきたいのであります。初めに引用しましたように、この中国人の民族性に溶け込んだヒューマニズムの偉大さを考えますと、日本人のだれもが学びたいことであります。 今、日中友好というきずなによって双方が訪問し合って、国と国、人と人との友情が深められており、すばらしいことと思います。しかし、日本人に、十億の中国の民の中から最も日中友好の偉大なヒューマニズムを証明してくれているのは、今日本に、そして熊本に永住せんと日本人の孤児についてこられた中国人ではないでしょうか。私たちは、まずこの方々に親切にすることが友好のスタートであり、ヒューマニズムの証明であると思います。この行為によって孤児一家の日本永住がうまくいくのだと確信をいたします。その最大の行為が、より一層の行政プラス政治の支援だと思います。 それでは、本県としては今後どう対応するかでありますが、まず、国にもっと孤児の永住対策を強力に具体化するよう要望していただきたいと思います。 国に対する要望事項として、まず六十歳以上の老人対策――年金がもらえるようにしていただきたい。これは日本人になられるわけですから、六十五歳以上になりますと年金はいただけるということであります。ただし、これは額が安いから、やはり本人も年金を掛けてそして高くもらえるような制度、こういうことをやっていただきたいと思います。それから、生活保護中心の対策を改めて自立対策をやっていただきたい。生活保護は自立には弊害であります。それから就職ですが、公的機関の開放をお願いしたいと思います。この公的機関というのは、今失対事業を主にやっておられますから、やはり公的な機関に採用していただくということが大切だと思います。里帰り制度の実現。この里帰り制度の実現も、既に里帰りは財団法人でやっておりますけれども、こういうことを孤児の方々は御存じありません。よって、国の機関のこういう改正があった場合は、孤児の方に的確な情報の伝達をやっていただきたいと思います。 二つ目、知事が中心となった対策協議会のような組織の実現。この中で、老齢年金、里帰り等の基金を募る組織をつくっていただきたいと思います。 最後に、本行政の窓口である援護課の関係職員の方々におかれましては、受け入れから定着、そして世話活動と親身になって努力していただいていることは、孤児の皆様にも伝わっており感謝をしておられます。今後とも大変と思いますが御努力をお願いいたします。  〔福祉生活部長小澤豪君登壇〕 ◎福祉生活部長(小澤豪君) お答えをいたします。 中国残留孤児帰国者の永住対策につきましては、お話にありましたとおり、本県には二月現在八十四世帯二百二十六名の方が帰国をしておられますが、定着、自立までには、日本語の習得の困難さであるとか、あるいは生活習慣などの違いもありまして容易でないということはよく推察をしているところでございます。そこで、県といたしましては、五十八年二月に設立されました、先ほどおっしゃいました熊本県中国残留孤児等対策協議会、さらには、業務委託をしております自立指導員が一体となって、帰国者の方々が一日も早く日本の社会に溶け込み、自立されるよう支援をしているところでございます。今後とも引き続ききめ細やかに対処してまいりたいと思っております。 さて、国に対する要望として四点ほどございましたけれども、年金制度につきましては、中国在住期間も年金の加入期間に算定するなど受給権について配慮されております。また、里帰り制度につきましても、現在国において財団法人の中国残留孤児援護基金が設立されて援助がなされているところでございます。自立促進につきましても、就職のあっせん等種々努力をされているところでございますが、それらの充実について今後とも要望してまいりたいと思います。 次に、中国帰国者対策のための組織づくりでございますけれども、お話のように現在熊本県中国残留孤児等対策協議会がございまして、県もその設立当初から関与いたして、日本語教室あるいは生活指導等の業務を委託するなど、その運営にも積極的に協力をしているところでございます。 また、県レベルでの老齢年金、里帰り等の基金づくりについてのお話でございましたけれども、先ほど申し上げましたように、国においても配慮されておりますので、今後はその周知徹底を図っていくことといたしたいと思います。  〔本田良一君登壇〕 ◆(本田良一君) どうもありがとうございました。今後ともひとつよろしくお願いをいたします。それから、執行部の方にはまことに申しわけございませんけれども、あとちょっと時間の都合がありますから順序を大幅に変えまして、熊本都市圏のこととそれからニューメディアの方に先に入らせていただきます。 熊本都市圏のことにつきまして土木部長さんにお尋ねをいたしますが、私、熊本都市圏の道路網の現況と将来についてという質問をいたしますけれども、その中で、特に熊本都市圏総合都市交通計画協議会がパーソントリップ調査を実施しておりますが――この冊子ですけれども、この冊子について詳しく意見を述べて質問をしたいと思っておりましたが、これもちょっと時間の都合で省略をいたしまして、お答えだけいただくということで、次のことを質問いたします。 都市計画道路についてお尋ねをいたします。 都市計画道路には、近見沖新線、本荘犬渕線、新土河原小島線、野口清水線、熊本駅城山線、熊本駅新外線、熊本駅北部線、上熊本細工町線、南千反畑大江線、上熊本藤崎宮線、上熊本法成寺線、新市街水前寺線、水前寺画図線、砂取健軍線、水前寺秋津線、東町空港線、大窪山下線とこうあります。よって、これにつきまして、その進捗状況、それから今後の状況についてお願いをしたいと思います。 次に、西回りバイパスの開通を市と協力し一日も早く実現していただきますようお願いをいたします。 それとまた、私は、熊本市の花園町いわゆる西部地区出身でございます。天水熊本線の道路拡張整備をお願いするものであります。何度も申し上げますが、この中間点に広い駐車場と展望台をつくられるだけで、熊本の夜景は百万ドルの夜景になります。今からこの一帯の開発に英知を結集することこそ熊本を制することになると思います。 このほか、永年、熊本市議会で私は八年間、花園一丁目・段山一帯を公共下水道処理区に入れていただくよう努力してまいりましたが、おかげで今着工中であります。今後も花園二丁目、三丁目から七丁目と実現していただきますよう要望いたします。特に小島処理場の建設を急いでお願いをしたいと思います。 一応、都市圏道路計画及び西回りその他の問題については、これくらいにしておきまして、このほか、一応その計画がマスコミ等にも発表されました熊本市交通センター開発計画、これは民間の開発でありますから行政が直ちにタッチということではありませんけれども、ひとつどうか行政の方で強力な支援をお願いしたいと思います。 それからまた、熊本市地下駐車場計画、坪井川ふるさとの川モデル事業――これは午後、公明党の広瀬先生が地元として御質問されますから、さわりだけでよろしゅうございます。県はどのように今後かかわっていくのか教えていただきたいと思います。 以上が私の熊本市選出議員としての都市圏についてのお尋ねでございます。 次に、高度情報通信について、意見を申し上げます。 情報資源都市構想について。私は、既に本県が進めているところの情報資源都市構想については質問を行っており、また、その構築に向けて執行部の方でも鋭意努力中であり、再度の質問も余り意義を持つものではありませんが、現状を整理する意味で再度取り上げることとします。 この構想は、究極のところ、本議会で知事が提案理由の説明にもありましたとおり、中央との情報格差を縮めることが最大の目的であり、一方では、地方都市・熊本が情報の受発信基地となることを目的としてその構築を進めていることは皆様も御承知のとおりであります。 一応、この構想に関連して、熊本における地域情報化施策をまとめていただきましたが、それによりますと、ニューメディア・コミュニティー構想、テレトピア計画を企画開発部企画課、地場情報資源活性化システムを商工観光労働部工業振興課、熊本県中小企業情報ネットワークシステムを商工観光労働部商政課、インテリジェントシティ構想を企画開発部企画課、熊本テクノプラザー情報センター建設計画を企画開発部企画課、マイ・タッチ計画を教育庁総務福利課、ニューメディア活用高等教育(ファインズ)計画を企画開発部企画課、熊本県統計データバンクシステムを企画開発部統計調査課、熊本情報プラザのシステム化を総務部私学文書課県政情報室というところで実施されております。このほか、ことし四月には検討委員会を発足させ、その全面見直しがなされようとしております救急医療情報システムもあります。また、基盤技術の整備とともに人材育成が重要であることから、昭和六十一年度から三カ年計画で実施されておりますマイ・タッチ計画について、その達成状況について整理することとします。 本計画の趣旨は、皆さん御承知のとおり、全公立の小中高校にコンピューターサイエンス教育を導入し、コンピューター分野のすぐれた人材を育成することを目的とするものであります。私は、この計画が、高度情報通信社会の構築を願う一人として、向かうべき二十一世紀のこの社会の人材の確保が最も大切な問題となると考えておりますので、この計画が実行され、その成果が上がることを期待し、これを提案、実行してこられた知事を初め関係執行部の皆さんの御努力に敬意を表します。 なお、この推進状況は次のとおりであります。マイ・タッチの導入ですが、パソコン導入が六十一年約七千百万、六十二年九千七百万、六十三年度予算案が一億九干二百万、六十一年度の教員研修三干二百万、六十二年度三千五百万、六十三年度三千五百万となっており、パソコンの導入状況は、小学校が千四百六十二、中学校九百十六、県立高校千二百八十九、合計三千六百六十七の導入をしております。以上のとおりであります。 しかし、この種の機器は、ややもすると導入はしたが宝の持ちぐされになる嫌いがあります。導入目的を達成するためにも教育研修などの指導面に対する強化も忘れてならないと思います。私も、この教育の成果を実際に調査してきましたが――これは天水町立玉水小学校の塚本哲雄校長のところに行ってまいりました。塚本校長先生は八浪先生と同級生ということを言っておられました。これを学んでいる生徒の目の輝きが違っていました。本当に教育的にも生徒の将来のためにも立派な計画であったと確信を持ったところであります。さらに、本計画は全国的にも例のない模範的な事業であり、熊本県が教育県としての評価をさらに向上させたものと考えます。 ところで、本題に戻り、情報資源都市構想について述べてみたいと思います。 本構想は、本県が大都市との情報格差を是正し、情報の集積、加工、蓄積及び流通加工の活性化を図り、情報化による効果を最大限に享受できる地域社会を築くため、情報感度の高い町づくり、人づくりを目指すものであります。しかし、情報化の現状は、情報の東京への過度の集中が一層進んでいるのが実態であります。 そこで、地域の情報化を促進し、県内外との活発な情報交流を目指す情報資源都市構想を推進するためには、地域情報システムの導入、地域データベースの構築及びオリジナル情報の創出、高度情報化に対応した人材育成を図るとともに、情報の受信機能の整備にとどまらず、情報を発信する機能を整備するなど、高度情報通信基盤の積極的な整備が望まれるところであります。 以上のことから、情報資源都市を支える大きな柱として、全国に先駆けて指定を受けたニューメディア・コミュニティ構想、テレトピア構想について、これらの進捗状況についてお尋ねをいたします。また、マイ・タッチ計画とともに、人材育成策として実施されているニューメディアを活用した遠隔教育システムであるファインズ計画の推進状況についてお尋ねをいたします。 大変はしょって申し上げて失礼ですけれども、よろしくお願いをいたします。  〔土木部長福島正三君登壇〕 ◎土木部長(福島正三君) まず第一点、熊本都市圏の都市計画道路についてのお尋ねがございましたが、熊本都市圏では都市計画道路といたしまして五十五路線二百三十キロが計画決定されておりまして、これまでこれらのうち百四キロの改良が行われ、改良率は四五%と相なっております。 現在実施中の主な路線といたしましては、北の方では新南部四方寄線、西の方では野口清水線あるいは近見沖新線、東北部の方で大窪山下線等々でありますが、このほか上熊本法成寺線、船場神水線などについても改良工事を進めてきたところであります。今後、新南部四方寄線を初めといたします緊急度の高い路線につきまして、逐次事業化に努め、整備充実の強化を図ってまいりたいと考えております。 次に、熊本市が計画されております地下駐車場についてお尋ねがございましたが、この計画は、市制施行百周年記念事業の一つといたしまして、国におけるNTT株の売り払い収入を活用した無利子融資制度を財源として進められるというふうに伺っております。六十三年度は、計画策定のため調査、検討を行われると伺っておりますので、県といたしましても種々の課題につきまして市の御相談に応じてまいりたいと考えております。 それから、坪井川のふるさとの川モデル事業につきましてお話がございましたが、この事業は、今後特に周辺の景観や地域整備と一体となった河川改修を施行いたしまして、良好な水辺空間の形成を図る必要のある川を、ふるさとの川モデル河川として指定しまして重点的に取り組むことといたしたものでございまして、全国で坪井川ほか三十八河川が指定されたものであります。今後、整備計画の策定並びにモデル事業の実施に当たりましては、関連をいたします公園計画などとの調和に配慮いたしますとともに、相互に円滑な推進が図られますよう十分に調整を行いながら進めてまいりたいと考えております。  〔企画開発部長五味廣文君登壇〕 ◎企画開発部長(五味廣文君) 情報資源都市構想についてのお尋ねですが、まず、ニューメディア・コミュニティ構想につきましては、卸小売を中心とした広域流通ネットワークを熊本都市圏に構築いたしまして、受発注、配送、決済などのオンラインサービスを行うというものでございますが、昨年の八月に、運営主体として県、市、地元経済界による第三セクター方式で株式会社熊本流通情報センターを設立しております。 このシステムの構築につきましては、基盤技術研究促進センターからの出資のめどもつきまして、現在モデルシステムの実験を実施しております。昭和六十三年度におきましては、この成果を踏まえてモデル企業による先行運用を実施いたしまして、昭和六十四年の熊本流通情報会館――仮称でございますが、この完成を待って本格展開を目指すということにしております。 次に、テレトピア構想につきましては、熊本情報案内システム、いわゆるキングスでございますが、これら五つのシステムが既に稼働開始しておりまして、いずれも順調な進展を見せておりまして、全国有数のテレトピア推進地域という評価を国の方からもいただいておるところでございます。特にキングスにつきましては、他の地域に先駆けて端末機設置数が百台を超えまして、アクセス数が月間七十ないし八十万画面ということで着実な歩みを示しております。 さらに、商品情報検索システムを初めとする新たなサービスについての開発研究あるいは全国キャプテンとの接続につきましては、これはNTTとの間で話が進められておりまして、活発な事業展開が図られております。 それからファインズ計画でございますが、これはニューメディアを活用した双方向機能を有する遠隔教育システムの構築ということを目指しまして、企業人教育と生涯教育を柱にしておりますが、企業人教育につきましては、熊本テクノ大学のカリキュラムにこれを取り入れまして六十二年度から事業化を図りました。今後さらに内容の充実を図ることにしております。生涯教育につきましては、六十二年度、電話会議システム、静止画装置などを活用して、県下四会場で放送大学などと共同で実験を行いました。六十三年度におきましても引き続きこの実験を本格的に行うということにしております。  〔本田良一君登壇〕 ◆(本田良一君) それではよろしくお願いをいたします。 次に、計量行政について意見を申し上げますけれども、今回の質問は、余りにも文章を長く書きましたため、はしょることが多くて申しわけございません。 計量行政について。 かつて歴史的には、度量衡の統一は、国家が統治されているかいないかのバロメーターでありました。計量の基準を定めるとは、計量の基準となる計量単位を確定することであり、計量単位を法定することは、商取引、徴税等の適正な遂行のために必要不可欠な要請であり、その意味で計量単位の確定は国家の根源的な機能の一つでさえあります。 このように国家の重要な機能の一つでありながら、世界的にも我が国においても計量単位は国によって必ずしも一様ではなかったのです。しかし、商品取引、学術研究等の分野における国際的交流に伴って、既に十九世紀末葉においてメートル条約が成立するに至り、その計量単位の国際的統一の機運が高まり、我が国においては明治十八年、同条約を批准し、いち早くこの機運に同調していったのであります。ただ、国内的には各種の隘路と経緯があったため、メートル系単位にほぼ統一されたのは昭和三十四年でありましたので、我が国の場合、計量単位の統一、メートル系単位への統一には一世紀を費やしてのこととなります。つまり世紀の難事業であったわけであります。 このように難事業であったメートル系計量単位の確定も、今や我が国に十分定着し、国家の重要な制度として機能しておりますことは広く国民の知るところであります。しかし、今日世界は急速な交流によって、人も物も、学術研究もスポーツも大きな変化を見せております。これに伴って、計量単位の確定も、より高度化され、より精度を増さねばならなくなりました。いや、ややもすると、このような急速な時代の変化に計量行政は対応できなくなるのではないかと不安すら持つものであります。よって、私は、この計量行政について質問をし、政治の目をこの行政に向けてみようと思った次第であります。 まず、計量の基本は、適正な計量の実施を確保することにあると思います。この適正な計量の実施を確保するとは、商取引、警察権、徴税権等によって代表される国家権力の発動、学術研究、生産管理、健康管理、スポーツなど社会生活のあらゆる面で行われる各種各様の計量について、その目的に即応した正確性をもって計量が実施されるべきことを法律的にいかに保証しているかにあると思います。そのため、我が国においては、これを計量法に定め、制度化しております。 この計量法は、つまり、計量法の目的、計量の定義、計量単位の定義、非法定計量単位の使用の禁止、取引、証明の定義、計量器の定義等について詳細に規定されております。中でも、自主的な計量管理を助長する方法によって適正な計量の実施を確保し、もって経済発展及び文化の向上に寄与することを目的としている点が、諸外国の計量に関する制度に比べ特徴的であると言われております。 この経済の発展及び文化の向上に関して特に論議されるところは、つまり消費者保護の問題があります。特に計量法は、法律の目的の中で消費者保護については明示していないからであります。それは、適正な計量の実施により計量法の目的が十分達成せられるなら、結果として、消費者が事業者との間の取引に際して、計量につき不利益をこうむることはあり得ないという論理的帰結からであります。 ○議長(永田悦雄君) 質問者に申し上げます。残り時間が少なくなりましたので、質問を簡潔にお願いいたします。 ◆(本田良一君) (続) ここで「文化」という言葉が出ましたので、これを私の体験を通していま少し掘り下げてみることといたします。計量は文化だということでありますけれども、昔、上げ底とか、パックをそのまま風袋込みでやるとか、こういうことがあって外国人から大変ばかにされた時代があります。こういうことで私は、計量は文化なりということ、上げ底とかいうことはやはりなくしていくべきだと。これは公正取引委員会の分野だと言われておりますから、計量法の中では余り言われないんですけれども、そういうことも注意をしていただきたいと、こう思います。 次に、問題を申し上げたいと思います。 特に、計量記念日を定めて諸行事を行い、計量相談等の実施。正量取引強調月間を設けていただきたいと思います。家庭計量器の普及と無料検査、消費者計量教室、計量主任者制度、計量職員の事業知識の強化、パブリックスケール事業を行っていただきたいと思います。計量法第七十五条を、事業者及び商人の方々に徹底、認識させるよう行政指導をお願いするとともに、県の考え方をお尋ねいたします。 ○議長(永田悦雄君) 残り時間が少なくなりましたので、答弁を簡潔にお願いいたします。――商工観光労働部長森弘昭君。  〔商工観光労働部長森弘昭君登壇〕
    商工観光労働部長(森弘昭君) 御指摘の趣旨からいたしまして、国、県におきましてもいろいろな計量行政に取り組んでいるわけでございますけれども、今後とも計量行政は県民生活に密接な関係を有するものでありますので、計量法の趣旨を踏まえ、適正な計量の実施の確保、業界の育成指導、消費者保護の立場から、いろんな機会をとらえまして計量思想の啓蒙普及に努めてまいりたいと思っております。  〔本田良一君登壇〕 ◆(本田良一君) どうも本当に先輩各位にはありがとうございました。知事さんを初め執行部の方々にもありがとうございました。傍聴席の方ありがとうございました。終わります。(拍手) ○議長(永田悦雄君) 昼食のため午後一時まで休憩いたします。  午前十一時三十四分休憩      ―――――――○―――――――  午後一時三分開議 ○副議長(平川和人君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 広瀬博美君。  〔広瀬博美君登壇〕(拍手) ◆(広瀬博美君) 公明党の広瀬でございます。党を代表しまして一般質問を行います。早速質問に入ります。 殿の山団地問題についてお尋ねします。 まず第一点は、県が熊本市長嶺町殿の山団地に計画している県営住宅建築についてお尋ねいたします。 御承知のとおり、この団地は、県住宅供給公社が一戸建て住宅用地として、昭和五十四年八月から五十五年三月にかけて郵政互助会と地権者より三万八千八百七十二平方メートルを六億三千万円で購入し、五十七年十月から分譲を開始しました。公社の計画では、三・六ヘクタールに百十五戸を建設、昭和六十年度には完売の予定になっていましたが、現在までの販売は六十五戸で、五十戸分が売れ残っている状態であります。このため、県と公社では売却のめどが立たないとして、六十一年末県営住宅六十四戸の建設を決め、県は昨年の六月議会に用地買収と設計費で四億二千八百万円を予算計上しましたが、団地住民の強い反対に遭い、県は着工を延期するため、三月補正で繰越明許の承認を受けたところであります。住民の主な反対理由は、一つ、契約の際には全区画一戸建ての住宅用地というので購入したのに約束と違うこと、二つ、県営住宅の建設計画をしながら何も事前に説明がなされなかった等であります。そのほか、許されないと思うのは、用地買収などが予算化された後も購入した人に契約のときには何の話もしていなかったこと、既にローンを組んだ後の最終確認のとき初めて知らされ、その人は詐欺に遭ったようだと怒っていました。 今度の問題はどう見ても公社側に非があると思いますが、その理由を私なりに挙げてみたいと思います。一つ、分譲に際して公社は「とっておきの住環境。健やかな暮らしをお約束します。住宅地の第一条件は暮らしやすさですね。」というパンフレットの内容で分譲したものでありますが、これはだれが見ても約束違反だと思いますし、民間企業でもこんな商売はいたしません。二つ、売れ残り五十戸分のうち十八戸分は売り出しもしていないこと。周囲の民間業者の分譲地は売れているのに公社が売れないのは理解できません。お役所仕事で販売努力が足りないと思います。三番目、計画のずさんさ、見通しの甘さ、親方日の丸的な体質、売れ残れば県が何とかしてくれるという甘えの構造があったことなどが指摘されると思います。この際、公社に対して猛省を促したいと思います。 そこで土木部長にお尋ねしますが、一つ、指導監督の立場にある土木部長として今回の問題についてどのような反省をしているのか、お尋ねします。 二つ目、今後住民と誠意を持って話し合うということですが、我が党としての意見を申し上げたいと思います。それは、建設に当たっては強引にやるのではなく、あくまでも住民の合意と住民の意思を尊重して対処してもらいたいと思いますが、今後の県の対応について土木部長にお尋ねいたします。  〔土木部長福島正三君登壇〕 ◎土木部長(福島正三君) 殿の山団地の件についてお尋ねがございましたが、お答えを申し上げます。 殿の山団地は、県の住宅供給公社が用地を取得、造成をいたしまして、百十五区画の戸建て分譲住宅として昭和五十七年十月から募集を開始したものでございます。今回、県営住宅用地として購入を予定いたしております土地は、この団地の中で南寄りの分二十九区画でございます。この土地は、その一部分につきまして昭和六十年九月に募集を行ったところでありますが、残念ながら一件も契約を見るに至らず、その後、残りのこの二十九区画分全体につきまして、公社が販売のためいろいろの工夫をいたしましたが、当初計画時点と比べまして周囲の環境や社会情勢が変化をいたしたため、これをすべて完売するということは到底困難であろうというふうに判断をいたしたものであります。そのため、この土地の利用につきまして公社及び県でいろいろと方策を比較検討いたしました結果、当初計画いたしました戸建ての住宅地にできる限り近い良好な住環境を保持しながら、当該用地を住宅用地として活用したいと、そういった観点から、当該用地を県が取得いたしまして県営住宅を建設するという計画を立てたものでございます。 確かに当初お示しをしておりました計画を変更することに相なりますが、片や住宅に困窮し、県営住宅に入居を希望しておられる方が多数おられる状況がございますし、また、この県営住宅の建設に当たりましては、周辺との調和並びに緑化、建物の高さ及び配置等に特段の配慮を行うことによりまして、地域の方々の御理解は得られるのではないかというふうに考えたわけでございます。しかし、現在までのところ、この計画変更に対しまして地域の方々の御理解を十分に得るまでに至っておりません。このことにつきましてはまことに重大なことであると真剣に受けとめております。今後の公社の事業計画の策定に当たりましては、こういったことのないよう、県としての指導監督を強力に進めてまいりたいというふうに存じております。 なお、今後の方針についてでありますが、県といたしましては、県営住宅の建設につきましてこれまで数回にわたり地域の住民の方々と話し合いを行っているところでありますが、引き続き今後とも住民の方々と十分話し合いを行いまして、県の考えを御理解いただくよう格段の努力を重ねていきたいと思っております。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) 殿の山団地の問題について部長から答弁をいただきました。たしか公社の理事長は、昔は知事が理事長で――今は違うようになっていますが、土木部長も理事の一人で、公社の計画、事業の推進についてはちゃんと印鑑を押される立場でございますので、今後公社が進める事業等についてはひとつ事業承認の際しっかりと見ていただいて間違いのない印鑑を押していただきたい、こういうふうに思います。この公社の計画当時の金利というのは大変高い金利でございまして、それを借りて六十年度に完売をする予定だということでしたけれども、今日振り返ってみますと大変な金利負担、相当な金利負担になっていると、こういうふうに思います。この金利負担も、ひいては県民にツケが回ってくると、こういうことになりますので、今後の事業の展開については、理事長、それから土木部長あたりにおきましては、しっかりとひとつ計画を見きわめていただいて誤りのない仕事をしていただきたいと、このようにお願いするわけでございます。 次に、知事にお尋ねします。 殿の山団地問題は、もとはといえば住宅公社の計画のずさんさと見通しの甘さ、親方日の丸的な体質から生じたものでありますが、企業であれば責任者は首になっていると思います。私は、この問題を教訓として知事に提案をしたいと思いますが、この種の問題は、公社だけの問題ではなく本庁内でもしばしば見受けられるところでありますが、自治体といえどもやはり企業経営だと思います。知事が、いつも職員に対して、コスト意識を持て、経営感覚を持てと言われている。また、知事みずからセールスマンとして熊本をよくしていこうと努力されています。今後こういう考え方がますます求められる時代だと考えます。 これらのお手本としてよく出てくるのが神戸市の例でありますが、御案内のように、神戸市は株式会社神戸市と言われるようにユニークな発想で有名でありますが、神戸市は慶応三年の開港以来、港湾関連事業を核として発展してきましたが、その後の産業構造の変化などに対応して、人工都市・ポートアイランドをつくりました。建設資金は、政府保証の外貨建て、西ドイツのマルクを四十三年から四十七年にかけて四億マルク約三百四億円調達したが、円高のメリット等で百億円ぐらいは得をしたと聞いています。そのほか、外貨債を利用して下水道事業を一気にやってしまったという実績もあるようです。ポートアイランドづくりは、西神戸の丘陵地帯を削って海に造成、土地の有効利用ということで、その土を取った跡地には須磨ニュータウンをつくり、五万戸の家を建設、人口十万人の町をつくり上げました。そして神戸市はポートピア'81を成功させました。このことが世界的にPRされ、その実績が買われてユニバーシアード大会の誘致を成功させています。 神戸市の発想は、何かのイベント事業を利用して、徹底して都市づくり、基盤整備をしていくという手法で成功しているように思います。例えば、ユニバーシアード大会を誘致して地下鉄を建設、選手村をつくるために市営住宅を建設、大会後は一般の市営住宅として利用しています。また、昭和六十四年には身障者環太平洋スポーツ大会の誘致をすることで身障者関係の施設を整備していく考えであります。また、職員の教育については、経営感覚、コスト意識を持たせるために、デパートや外郭団体へ出向させて、役人のカラーを破り、親方日の丸的な体質を変えようとしています。私が聞いたところでは、若い職員ですが、釣り堀に出向しているという人もおりました。職員の方も早く本庁に帰りたいために一生懸命仕事をして成績を上げるなど、職員にやる気が見られ、よい結果が出ているように思いました。 私も神戸市を二度ほど視察しましたが大変勉強になりました。学ぶ点としては、一つは、新しい都市づくりという発想の転換、二つ目は、資金調達の方法、三番目、土地の有効利用の仕方、四番目、イベントの誘致の仕方などが挙げられますが、そのほか、土地の有効利用で参考になったのが仙台市の例でございます。仙台市は、三十七億円を出資しまして市内のど真ん中に八階建てのビルを建設しました。その中に、市が婦人センターを設け、残りにデパート、地元商店が入居する第三セクター方式の多目的ビルをつくり、都市再開発をやり成功しています。そのほか、グリーン作戦で注目されているのが兵庫県のジャンボ作戦であります。本県でも緑の三倍増計画を進めていますが、兵庫県の場合は一億本植樹・植林大作戦を成功させています。私たちの環境を緑で包むためにとして、植樹四千万本、植林六千万本を目標とするもので、五十八年から四カ年計画で進め、県民一人当たり約二十本になります。さらに、県民の一人一本植樹運動も展開して、壮大な全県全土の公園化を進めています。空から見ますと、ちょうど緑の中に町があるというような感じがいたます。 今、いろいろなアイデア、また成功例を挙げましたが、我が細川知事も私は日本一の知事だと思っております。テクノポリス、日本一づくり、リゾート開発、自治体では初めてという貸借対照表などをつくり全国から注目をされています。相当熊本のイメージアップができたと思います。日本を代表する知事として何人か挙げられますが、大分県とよく比べられますが私は問題じゃないと、こういうふうに思っております。例えば知事の新幹線発言が反対のように思われましたが、本会議の答弁なんか見てみますと決して反対ということではなくて、知事は、将来の総合交通体系の上から判断するのが正しいと、そのような見方が必要だと強調されたと思いますし、私も知事の考え方に同感であります。 そこで、知事にお尋ねしますが、殿の山団地の問題を反省として、今後、県または外郭団体等で何かを計画する場合、総合的に見きわめるところ、あるいは判断、決定するといいますか、例えば、その計画が成功する可能性があるのかどうか徹底的にあらゆる角度から研究するシンクタンク的な機関を設置して、知事に具申するとか意見を言うとか、そういう機関がぜひ必要ではないかと考えます。そうすれば今度のような失敗が少なくなると思いますし、税金のむだ遣いにならないと思いますが、いかがでございましょうか。 次に、土地の高度利用、有効利用について、他県の例を挙げましたが、この問題について知事にお尋ねします。 この取り組みについては、熊本会館、旧物産館などにおいて既に採用されていますが、今後計画されています県の福祉会館、また、その跡地の利用についてお尋ねします。 いずれも場所は一等地にありますので、土地の有効利用が期待されます。例えば個別容積率割り増し制度なども考えられますし、その条件も十分整っていると思いますが、どのように有効利用されるのか。そのほか、県有施設を今後つくる場合、その有効利用のあり方等について、知事の基本的な考えをお聞かせいただきたいと思います。 次に、潤いのある町づくりとして、緑とポケットパークをふやすことについてお尋ねいたします。 近年、熊本市は急速に都市化が進み、中心部においては特にビルの高層化、高密化が進んでいます。そういう中で、用地を買収したり再開発して緑や公園をふやすことは不可能に近いと思います。そこで、緑や公園をふやす方法として、ニューヨーク市などで採用しております許認可行政の効果的展開を図ってはどうかと思います。それは、建築許可の際、容積率をふやすことを条件に、ポケットパークを設置してパブリックに公開してもらうことであります。今後、容積、用途の制度を大胆に変えていく中で、緑と公園がふえることは、知事が目指す新しい田園文化圏の創造に通じるものと確信しますが、いかがでしょうか。知事の所見を伺いたいと思います。 次に、外郭団体との人事交流についてお尋ねします。 現在、熊本県には二十一の外郭団体がありますが、県の外郭団体といっても、知事の方針とか精神が脈々と流れていなければ県民の負託にはこたえられないと思います。最近、外郭団体に停滞した状況が見受けられます。県にかわって事業をやってもらっていますが、あくまでも県と表裏一体、車の両輪の関係でなければならないと思います。ちょうど今、NHKのテレビドラマで「武田信玄」があっています。私も時たま見ておりますが、その中に、有名な「人は石垣、人は城」とありますが、洋の東西を問わず事業の成否を決するのは人であります。すべては人材で決まると言われています。今までは、ほとんど県庁の卒業生が第二の人生の仕事として天下りをしていましたが、今後は、県庁のOBだけでなく、本庁のやる気のある優秀な人材、例えば課長級を派遣して、活発な人事交流で外郭団体の活性化を図ってもらいたいと思います。また、いい意味での職員の研修にもなると思いますが、いかがでしょうか。知事にお尋ねいたします。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 社会経済情勢が大きく変化をし、また行政に対する県民のニーズが複雑多様化している昨今、県政の主要な施策だけでなく、その他の日常的な業務の執行につきましても、各部局を超えた広がりを持つ事案が多くなってきております。そうした課題に効果的な対応を図ってまいりますためには、御指摘のように、各部局間の連携をよく図りながら施策の総合性の確保を図っていくということが大変重要であると考えております。 県としては、こうした状況に対処するため、各部局に課長級の政策調整審議員を配置いたしますとともに、各部局の次長で構成するシナリオ推進次長会議を設けまして、横の連携と総合行政の推進に努めているところでございます。また、各部局の政策立案機能を高めるため、筆頭課には政策班を置いておりますが、また、これとは別に、縦の組織の枠を超えた若手職員の自主政策研究グループというようなものも設けまして、新しい行政対応についての立案能力の涵養にも努めているところでございます。 今後、しかるべきところからアドバイスを受けるとかいろいろお話がございましたが、そうしたお話なども十分踏まえながら、こういった行政の機能がさらに有機的に働いていくように努力をしてまいりたいと思っております。 それから、県有財産の有効利用についてのお尋ねでございますが、県有財産は、申し上げるまでもなく県民から負託された財産として、これを適正に管理し、有効に利活用する責務があるわけでございます。したがって、その管理運営に当たりましては、適正、適切を期するため、副知事を長として各部局長で構成する県有財産有効利用推進会議というものを適宜開催いたしまして、総合的、効率的な運営を図るように努めているところでございます。 そこで、未利用となる財産が生じました場合、県自体の行政目的のための検討のほか、地域開発あるいは市町村の振興など、その地域の実情に沿った活用も図っていこうということで検討を加えているわけでございます。 遊休地の有効利用の卑近な例として、今、花畑町にあります旧物産館跡地に、県内初の本格的なインテリジェントビルである熊本テクノプラザを全国の公有地土地信託第一号物件として建設中でございますが、これは県の高度情報化施策の一翼を担う情報センターとしての機能を持つもので、遊休地の効率的な有効利用であると考えているところでございます。 いずれにしても、県有財産は県民から負託されたものでありますし、その管理運営の適切を期することはもとより、遊休地などの有効な利活用につきまして、売却処分による財源確保も含めまして今後とも十分意を用いてまいりたいと考えております。 また、福祉会館につきましてもちょっとお触れになりましたが、福祉会館は六十五年度末までに移転の予定でございまして、跡地は、位置的に熊本の顔となり得る場所でもございますので、今後、周辺も含めまして、町づくりに資する有効な活用方策を幅広く検討していきたいというふうに思っております。 それから、潤いのある町づくりについてのお尋ねでございますが、国におきましても、社会情勢の変化に対応して、建築基準法などの規制の見直しを行っているところでございます。この基本的な考え方は、一律の規制緩和や撤廃措置を行おうとするものではなくて、個々の優良なプロジェクトについて優遇措置で対応しようとするものでございます。例えば、建築の際に、建物の周囲に緑地などの公開空地を設けることによって容積率を緩和できる総合設計制度などがございますし、県内でも既に幾つか実施されておりますが、今後こうした手法をできるだけ活用いたしまして、御提案のポケットパークなどを生み出し、緑と公園を配した潤いのある町づくりを進めていきたいと考えているところでございます。 それから、外郭団体について、県職員のOBを送り込むだけでなく、現職の職員を送り込んで、団体活性化と職員研修の効果をあわせねらってはどうかという趣旨のお話でございましたが、基本的には全く同感でございます。外郭団体への派遣は、現在、現職の者を知事部局から四十一名、教育庁から七名派遣をいたしておりますが、今後とも外郭団体の活性化と職員の研修という両面を考えながら、若手有能職員の派遣について検討してまいりたいと思っております。 なお、派遣職員数等につきましては、外郭団体のプロパー職員との兼ね合いもございますので、団体側とも十分話し合いながら進めていきたいと思っております。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) 知事から今答弁をいただきました。福祉会館の跡地、それから今度できる福祉会館につきましても、高度利用、有効利用ということをひとつ図っていただきたいと、こういうふうにお願いします。次に進みます。 次は、アスベスト問題についてお尋ねします。 問題となっているアスベストは、蛇紋石等から採取する繊維状の鉱物で、保温、断熱性にすぐれているため建築材料など用途が広く、三千種に及ぶと言われています。これが粉じんとなって大気にまざると大変な汚染物質となり、人間がこの粉じんを吸い込むと肺に突き刺さり、息切れや肺がんを起こすので、外国ではキラーダストとも呼ばれています。特に、肺がんの発生率では通常の七倍から八倍、たばこを吸う人は約五十倍になるとの研究も報告されています。アメリカでは一九八六年一月、代替品のある屋根材用フェルト、床材用フェルト、ビニール床タイルなど五つの用途を即時に禁止し、十年後の全面禁止を決定したところであります。しかし、日本では、ILOが示している気をつけて使うとの立場をとっていましたが、昭和六十二年八月、市販のベビーパウダーにアスベストが含まれていることがわかって回収されていますが、この事件をきっかけに、学校の教室、福祉施設、水道配水管に使用されている事例が全国各地で見つかり、大きな社会問題となっています。 そこで、まず教育関係についてお尋ねします。 県下の小中高の学校でアスベストを使用しているのは公立十五校で、小学校三校、中学校六校、県立高校六校となっています。県立高校六校の使用面積は五千八百六十四平方メートルで、そのうち熊本工業高校が一番多く四千三百六十二平方メートル、全体の七四%を占めています。さらに私立四校の計十九校となっていますが、父母からは子供に対する健康への影響を心配して撤去を急ぐ声が持ち上がっていますが、教育長としてこの問題をどのように認識しているのか。また、アスベストが現在もなお放置されたままになっているが、これは危険な汚染物質であり、子供の健康を守る立場から早急に撤去する必要があると考えますが、どのくらいの予算で、どこの学校から、いつごろまでに撤去する考えなのか伺いたいと思います。 次に、総務部長にお尋ねします。 一つ、県有施設の実態とその対策について。二、文部省の通達では、私立学校についてもアスベスト撤去について県が指導するようになっていますが、どのように取り組んでおられるのか伺いたいと思います。また、その実態はどうなっているのか、お尋ねいたします。  〔教育長田嶋喜一君登壇〕 ◎教育長(田嶋喜一君) アスベストの問題が提起されましてから、県教育委員会といたしましても、県下の教育関係施設における使用の実態について調査を進めてきたところでございまして、ほぼ実情を把握しております。 アスベストは、その粉じんを人が吸入した場合に有毒となる物質であるというふうに聞いておりまして、空気中に浮遊しない状態では健康障害を起こすことはないというふうに言われております。現在のところ、該当の学校施設は良好な状態に保たれておりまして、アスベスト粉じんが飛散しているといった状態ではございませんけれども、児童生徒という子供たちの施設でもございますので、早目に対策を講じた方がよいというふうに考えております。 対策といたしましては、国が指導しておりますように、封じ込め、囲い込み、除去、この三つの方法があるわけですが、基本的には、除去の方法を採用したらどうかというふうに思っております。具体的には、国の施策が三カ年計画でやるというふうになっておるのを踏まえまして、本県でも六十三年度から三年計画で実施する予定で、所要の経費を今回の予算に計上させていただいておるところでございます。実際の撤去に当たりましては、授業に支障を来さないよう配慮しながら、建築年度の古いものから逐次施行することを考えておるわけでございます。  〔総務部長佐藤達三君登壇〕 ◎総務部長(佐藤達三君) 県有施設におきますアスベストの使用実態といたしましては、知事部局百六十四機関のうち十四機関におきまして、ボイラー室、機械室、発電機室、倉庫など、学校施設等とは異なりまして比較的常時職員のいないところで使用されていると見られておりますが、アスベストか否かの判断は、一見類似の建築資材もあり判定が難しく、また、試験的に一部調査分析した結果からも、国の指導基準をはるかに下回るものと現実にはなっております。 ところで、本年二月一日、環境庁、厚生省連名で「建築物内に使用されているアスベストに係る当面の対策について」という通知がなされたところでもございますので、さらに建築資材でアスベストを含むか否かの確認を行うとともに、施工状況や大気濃度の測定を行い、現況についての正確な確認を行うことといたしております。また、アスベストは、良好な状態を保ち空気中に浮遊しない状態では健康障害を起こすことはないと言われておりますけれども、経年変化で劣化がひどく、損傷等がある場合におきましては、職員の健康に支障が出ないように対処してまいりたいと考えております。 次に、私立学校におけるアスベスト対策についての件でございますが、現在県で調査し掌握しているところでは、吹きつけアスベストを使用している私立学校は、高校二十二校及び中学校五校のうち二校、幼稚園百十八園のうち一園、専修学校四十八校及び各種学校三十校のうち五校、合計八校でございます。これらの学校では、春休み及び夏休みの期間を使いまして近く改修を行う予定、あるいは改善を図るため改修を計画ないしは検討中と聞いております。 なお、学校法人に対しましては、これらの改修に必要な資金について、日本私学振興財団で特別融資制度が設けられておりますけれども、本県といたしましても、社団法人熊本県私学教育振興会の貸付制度で、除去工事等に対する低利の特別融資制度を設けて対処することといたしております。また、私立幼稚園の吹きつけアスベストに伴う園舎改修につきましては、国において新たに昭和六十三年度予算で改修費補助制度が創設されることになっております。 なお、アスベストの除去等の改修工事に当たりましては、アスベストの環境大気中への排出抑制等について配慮し、適切な作業が行われるよう指導しているところでございます。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) それぞれ答弁をいただきました。特に、公立学校については良好な状態ということでありますけれども、児童生徒がちょっと壁をつつけばそこから広がりをもって飛散するというおそれも十分考えられますので、ひとつ教育庁にあっては早急に対策を講じていただきたいと、こういうふうに思います。 それから、総務部長の答弁の中で、県の機関、それから私立学校の実態、これらについてもひとつ早急に対策が講じられるよう指導を続けていただきたいと、こういうふうに思います。 次に、福祉生活部長にお尋ねします。 アスベストが県内三十五の社会福祉施設で使用されていることが実態調査で明らかになっております。今回の調査は、吹きつけ石綿の使用が禁止された社会福祉関係の四百七十二施設を対象に実施されましたが、この結果、保育所、精薄児施設などの施設三百六十八カ所のうち十五カ所、老人福祉施設五十九カ所のうち十六カ所、身障者福祉施設十二カ所のうち三カ所、精薄者福祉施設十カ所のうち一カ所でアスベストが使用されていることが調査で判明いたしております。これは全対象施設の七・三%に当たり、全国平均の二・四%を大きく上回っています。 ここでアスベストの使用状況を見てみますと、保育室や職員室、談話室など常時人が出入りする場所で使用されていたのは三十一施設、使用面積は五千二百平方メートルであります。特に問題の、アスベスト繊維が飛散するおそれがあるとして厚生省が危険と判断している表面剥離状態の施設は、児童福祉施設四カ所、老人福祉施設三カ所、身障者福祉施設一カ所の合計八カ所、総使用面積は約一千五十平方メートルとなっています。 厚生省では、危険な剥離状態の施設については早急に撤去するよう県に対して指示を出していますが、そこで福祉生活部長にお尋ねします。国がアスベスト問題を重視して新年度で予算を計上していますが、福祉生活部長としてどのように考え、どのように認識しているのか、お尋ねしたいと思います。  〔福祉生活部長小澤豪君登壇〕 ◎福祉生活部長(小澤豪君) 社会福祉施設におきますアスベスト処理対策についてのお尋ねでございますけれども、先生御指摘のとおり、福祉生活部所管の施設につきまして、本年一月、アスベストの使用実態調査を実施いたしましたところ、三十五の施設においてその使用が認められました。 社会福祉施設におきましても、去る二月一日付環境庁、厚生省連名通知の趣旨を踏まえまして、老朽化等で劣化の著しい施設につきましては早急に適切な処置をとる必要があると考えておりますが、ほとんどの社会福祉施設には常時多数の人々が生活されておりまして、その工事には特に慎重な配慮が望まれるというふうに思っております。 現在、さらに詳しい調査を行いまして、アスベスト除去工事の必要性、緊急性などを確認するよう指示しているところでございますが、今後厚生省とも十分連絡をとりながら、個々の施設との間で工事方法、実施時期あるいは経費等についてのヒアリングを実施するなど準備を進めまして、七月には国の補助要項が通知をされる予定でございますが、通知があり次第、早急に具体的な対応をとる考えでございます。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) 福祉生活部長から答弁をいただきましたが、国の方は新年度予算で予算も計上し早速対策に乗り出しているわけですけれども、今回の県の予算を見てみますと、このアスベスト対策の予算が計上されていない、こういうことでございます。福祉生活部長、県の対応としては、国が予算化をしているのに対して県がやってないと。補助要項が出ても、県は予算を組んでないのでその辺すぐ対応できるのかどうか、予算措置について具体的にお聞きしたいと、こういうふうに思います。  〔福祉生活部長小澤豪君登壇〕 ◎福祉生活部長(小澤豪君) 予算措置につきましては、財政当局と十分な相談をしながら早急な措置がとれるように努力をいたします。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) ただいま答弁をいただきましたが、どうかひとつ、アスベストの撤去につきましては、福祉施設の場合は老人、児童がいつも使っている部屋でございまして、国の補助要項あたりがはっきりしたら直ちに取り組んでいただきたいと、こういうふうに思います。 次に、公害部長にお尋ねします。 一月八日、庁内で第一回のアスベスト汚染対策に係る連絡会議が開催され、今後の対策が協議されたと聞きますが、その中で、一つは、連絡会議の目的は何か、それから県庁内で関係部課はどこになるのか、その辺について部長の考えをお聞きしたいと、こういうふうに思います。  〔公害部長佐藤幸一君登壇〕 ◎公害部長(佐藤幸一君) アスベスト汚染対策連絡会議についてのお尋ねでございますが、この会議は、アスベストが話題となりましたことから、緊急に庁内のアスベストに関係ありそうな部課に公害部が呼びかけて招集したものでございます。 御案内のとおり、アスベスト問題につきましては、国の関係省庁の通達に基づきまして、関係する部局でそれぞれに対応しているところでございますが、県として総合的に連携を図りながら対処すべき面もあることから、庁内のアスベスト関係の情報の交換を主な目的として設けたものでございます。なお、庁内の連絡だけでなく県民からの問い合わせ等につきましても、まず公害部が窓口となりまして関係各課の総合調整をしてまいりたいと思います。 さらに、第一回目の会合におきます部局でございますが、最初開きましたときは、衛生部、それから土木部、公害部関係、総務部、そういった部の出先を含めまして十三部局への呼びかけでございましたが、その後、福祉生活部などにも関係するところがあるということを後で知りましたので、第二回目からは、漏れないような総合的な対策をやっていきたいと、このように思っております。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) 庁内のアスベスト汚染に対する対策についての連絡会議が開かれて、そのときの議事録を見ておったんですけれども、県政の中で一番早く対策を講じなければならない福祉生活部がこの連絡会議に入ってないと。聞いてみたら、連絡をとるのを忘れたとこういうことでございまして、アスベスト対策に取り組む姿勢がいいかげんじゃないかなというふうに感じましたし、どうかひとつ真剣な取り組みをお願いしたいと、こういうふうに思います。 次に、衛生部長にお尋ねします。 県下の水道配水管の中にもアスベストを含むものが多く使用されていると聞きますが、石綿セメント管は全国の水道管の二〇%強を占めていると言われています。県下で見ますと四十の市町村が上水道事業を行っており、配水管総延長のうち一八・二%に当たる九百三十八キロに石綿セメントが使われているとのことですが、熊本市水道局が最近独自に行った水質検査によると、微量ながらアスベストと思われる繊維が検出されています。このような状況から、熊本市においても汚染防止という立場から撤去作業を進めています。 今、地下水汚染問題が心配されているときでもあり、県民の健康を守る立場からも、各市町村に対してアスベスト使用の水道管の撤去を強く指導すべきだと思いますが、衛生部長の考えを伺いたいと思います。また、県下の実態についての把握はどうなっているのか、お尋ねしたいと思います。 次に、厚生省の通達によると、保健所の役割について、建築物の所有者に対しても指導するようになっているが、その指導体制はどうなっているのか、お尋ねしたいと思います。  〔衛生部長星子亘君登壇〕 ◎衛生部長(星子亘君) アスベストの配水管の実態についてのお尋ねでございますが、昭和六十一年度末の県内の水道管の延長は五千百五十一キロメートルでございまして、そのうち御指摘のように九百三十八キロメートルにアスベスト管が使用されております。水道のアスベスト管による健康影響につきましては、昭和六十二年十一月十二日の参議院決算委員会での厚生省水道環境部長の答弁のとおり、健康被害については現在のところ問題はないとされているところでございます。 この水道管は、昭和三十年代から四十年代に布設されたものが多く、配水管からの漏水も多いため、早急に鋳鉄管等に布設がえを指導しているところでございます。給水人口の最も多い熊本市にありましては、当初六十八年度で布設がえを完了ということになっておりましたが、六十五年度末までに完了するように計画が変更されております。また、ほかの市町村におきましても漸次布設がえが行われておりまして、今後も指導を強化してまいりたいと存じております。 次に、建築物の所有者に対する指導についてでございますが、建築物における衛生的環境の確保に関する法律というものによりまして、多数の者が使用し、または利用する建築物の維持管理につきましては、保健所が環境衛生上の相談に応じ、必要な指導を行うことになっております。 アスベストにつきましては、先般調査しましたところによりますと、熊本市管内を除いて、法で定める三千平方メートル以上の建築物は県内に約七十九施設ありまして、これらの施設について各保健所ごとに実態調査を行いました。その結果、二十三施設にアスベストが使用されておりまして、その調査内容によりますと、使用箇所が機械室、天井裏、鉄骨、はり等まちまちでございまして、今後その実態を踏まえて、国が示した処理要領に従い適正処理の徹底を指導してまいりたいと考えております。 なお、撤去等に伴う廃棄物の処理に当たりましては、建設業協会、産業廃棄物処理協同組合等関係団体に対しましても、飛散流出防止措置を講じ、適正処理について万全を期すよう指導を実施しているところでございます。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) それでは、婦人問題について質問いたします。女性の地位向上と社会参加の促進についてであります。 我が国では、第百二回国会において政府提出の男女雇用機会均等法が成立し、女性の働く権利の確立と地位の向上にとって、内容としては不十分としても一歩前進が図られたところであります。一方、ケニアのナイロビで開かれた「国連婦人の十年」世界会議において、西暦二〇〇〇年に向けて「婦人の地位向上のためのナイロビ将来戦略」が採択され、平等、発展、平和の達成のため、各国が取り組むべき実践のための行動指針が示されています。日本でも、この将来戦略に沿って八七年六月に新国内行動計画が策定されました。これは、女性の人権がすべての分野において侵害されない社会を実現しようというものであります。この新国内行動計画を踏まえて、本県においても婦人政策をもう一歩前進させるためぜひ見直す必要があると考えるものであります。 そこでお尋ねしたいのは、女性の地位向上と社会参加の促進についてお尋ねしたいと思います。 一つは、審議会等への女性の登用についてでありますが、私は、社会の半分を占める女性の声が政策決定に反映されることは当然のことであると考えています。県によると、現在県の審議会は百六十五あり、うち女性委員がいるのは六十一会議で百九十七人、これは延べ数です。委員全体三千三百人のわずか六%と低い登用率で、全国的に見ても著しく立ちおくれています。県では、これを何とか打開すべく女性の人材バンク事業をやっているが、登録した人はわずか三百五十人程度にとどまっています。目標の二〇%に引き上げるためには最低千人の人材リストが必要となってきますが、計画の達成ができるのか大変心配されるところであります。また、審議会の規約で、委員の条件が団体の長、代表に限るとしていますが、それはそれで結構でありますから、女性を別枠として考えてほしいと思います。登用に当たっては、人材は広く一般に求めるべきだと考えます。一般の人の中に優秀な人材はいっぱいおられますし、また発想も豊かな人が多いと、このように思います。 次に、市町村に対して各種審議会への女性の登用促進についてどのようにするのか。 二つ目は、女子の役付登用について県の現状を見ますと、課長級以上ゼロ、補佐級十二人、係長級九十七人、合計百九人となっています。他県と比べてみますと、大分県二百七十三人、鹿児島県五百五人、佐賀県二百六十八人で、他県に比べて非常に立ちおくれているように思いますが、先日熊本市が行いました調査で見てみますと、女性に関する意識調査で、行政に登用を望むと、あらゆる機関で婦人の登用を積極的に進めてほしいと言う人が三五%もおられたということでございまして、今後県としてどのように対応されるのか、お尋ねします。 三つ目は、校長、教頭などの管理職への登用についてでありますが、男女同策の基準によって選考試験が行われているかということでありますが、その辺はどうなっているのか、また、女性の管理職登用について今後どのように進めていくのか、お尋ねします。 四つ目には、婦人対策課の創設についてお尋ねします。 婦人関係の政策の推進については、現在県民生活総室で対応されていますが、調査によると、全国的に見て熊本県と石川県の二県のみが婦人対策課がないということであります。婦人行政は非常に多岐にわたっておりまして、現在二十の課で対応しておりますが、今後婦人行政を総合的に推進するためにはどうしても婦人問題を専門に扱う婦人対策課の創設が必要であると思います。 五つ目は、育児休業制度の普及促進についてであります。 女性の社会への進出と男女共同の家庭責任が世界の潮流となっている今日、育児に対する国、社会の責任、親の責任を明確にし、施策を講ずることが急務となっています。特に三歳までが人間形成に重要な時期であることなどが医学的にも解明されてきた今日、育児休業制度は緊急かつ重要な施策としてぜひ制度化されなければならないと考えます。現在、育児休業法は特定職種に限られており、一般の働く女性には適用されていません。県としてどのように普及啓発をしていくのか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 女性の地位向上を図るためには、審議会等へ女性を積極的に登用することも大変大事なことで、昭和六十一年に策定をいたしました女性のための実施計画では、昭和六十五年度までに審議会の委員などへの女性登用率の目標を二〇%として掲げておりますが、婦人問題懇話会からもその早期達成に向けての実現を要望する旨の御提言をいただいているところでございます。 県では、この目標達成のための方策として、現在女性人材バンクの登録制度を設けまして、人材を広く一般から発掘し、啓発しながらその確保を図っているところでございまして、審議会の改選期などをとらえ、目標達成に向けまして鋭意努力をしているところでございます。 また、市町村における審議会などへの女性委員の登用促進につきましては、昭和五十八年以来機会あるごとに要請をしてきたところでございますが、今後も目標の設定などをいたしまして具体的に働きかけをしていきたいというふうに思っております。 それから、本県の女性役付職員が他県に比べて少なく、かつ課長級以上の職員がいないという御指摘でございますが、私も就任以来できるだけ女性の役付登用を図ってきたところでございます。 役付職員のとらえ方は、各県独自の職制の中で一様ではございませんが、本県では参事以上を役付としてとらえておりまして、これで見ますと五年前に八・九%でありましたものが現在一三・六%、今回の異動ではさらに一五%程度にはなろうかと思っております。もし、ほかの県のように主任以上を役付というふうにとらえて比較をいたしますと本県は三百七十二人で、その数はほかの各県に比べまして決して少ないものではないと思っております。確かに課長級以上の女性職員につきましては、現在のところ、ちょうど世代交代期でありまして残念ながら適任者がおりませんが、この新年度からは課長級の登用を考えておりまして、今後とも女性課長が輩出するように育成をしてまいりたいと思っております。 そういうわけで、ここ数年、女性職員につきましても、幹部職員に、要請されるさまざまな行政経験や海外視察などの研修機会を積極的に与えているところでございますし、また、女性職員の場合、職場経験が特定の職域に限られがちでございますが、今後は、できるだけ多様な行政経験をしてもらうため、市町村行財政指導でありますとか、あるいは消費者行政、日本一づくり、観光振興あるいはテクノポリス、さまざまな業務に至るまで幅広く登用を図って、積極的に有能な職員の育成に努めてまいりたいと思っております。 それから、婦人対策課の創設についてのお尋ねでございますが、婦人の地位向上のための取り組みは、家庭、地域社会、職場などあらゆる分野で、県民一人一人の意識の変革も図りながら進めていく必要があると思っております。そこで、県としてはこれまで、婦人指導者の養成のため、中国、ヨーロッパ、アメリカなどへの派遣や社会参加の促進、さらに働く女性のための条件整備などに取り組んでまいったところでございます。 また、婦人対策施策の総合的なあり方などにつきましては、婦人問題懇話会を設けまして、熱心な御討議の中からこれからの指針となるような御意見もいただいているところでございまして、今後、婦人対策を充実、具体化していくため、県としての体制を一段と充実していきたいと思っております。新年度から福祉生活部の中に婦人対策室を設けて、人員の充実も図りまして、県行政の中で重要な役割を果たしてもらうようにその整備を進めてまいりたいと考えているところでございます。  〔教育長田嶋喜一君登壇〕 ◎教育長(田嶋喜一君) 校長、教頭など学校管理職への女性登用についての質問でございますが、県下の公立学校の女性教師は現在四〇%を占め、県教育の充実向上に尽力しております。その中で女性の管理職は、小中学校で校長が十一名、教頭十名、県立学校では事務長一名でございます。 県教育委員会といたしましては、管理職として必要な教育的識見、指導・運営能力を備えた人物を男女同一基準で選考しております。あわせまして、女性教師自身が専門職としての自覚のもと、管理職としての能力の開発向上に努力され、積極的に管理職を目指すことを期待しておりまして、そのような管理職志願者の中から、男女雇用機会均等法の趣旨も踏まえながら、公平な女性管理職の登用に取り組んでいく所存でございます。  〔商工観光労働部長森弘昭君登壇〕 ◎商工観光労働部長(森弘昭君) 育児休業制度の普及啓発についてでございますが、一昨年四月一日に施行されました男女雇用機会均等法におきまして、事業主に対しましてその実施に向けて努力するよう求めているところでございます。国におきましては、この制度を取り入れた事業主に対する奨励金制度の創設あるいは育児休業指導員の設置等によりまして普及啓発を図っているところでございます。 県におきましても、五月の育児休業制度普及促進旬間を中心にいたしまして、熊本婦人少年室など関係機関との連携のもとに、広報誌、ポスター、パンフレットによります広報、地区別説明会の開催など普及啓発に努めているところでございます。 国の調査によりますと、この制度を取り入れております事業所は全国で一四・六%でございますが、本県の場合、無作為抽出によりまして県内事業所約千三百カ所を対象に昨年実施しました女子労働事情調査結果によりますと一〇・七%程度でございまして、まだ十分に普及しているとは言えない面がございます。 今後、育児休業制度を初め女子労働者福祉増進につきまして広く理解を深めるため、事業所で働く人や労使の代表者、学識経験者、行政担当者等の参加を得まして設置予定の女子労働問題懇話会及び働く女性のセミナー等を通じまして、あるいは関係機関と一体となって、さらに制度の普及啓発を図ってまいりたいと思っております。  〔広瀬博美君〕 ◆(広瀬博美君) それでは、時間も余りありませんので次に進みます。 次は、老人保健施設についてお尋ねします。 高齢化社会の進展は、核家族化の進行とも相まって、多くの寝たきり、ひとり暮らし老人を生み、社会問題化しております。そこで、きょうは特に在宅の老人福祉で問題になっている中間施設についてお尋ねします。 老人保健法の改正で制度化した老人保健施設は、寝たきり老人に軽度の医療と介護サービスなどを提供し、家庭復帰を訓練する中間施設であります。 そこで、質問の第一点は、この施設は、今後の要介護老人対策のかなめとなる施設として創設されたものでありますが、新年度の予算で全国七十三カ所が認められています。そのうち熊本県は二カ所指定を受けましたが、いつごろ、どの地域にどのような形でつくられるのか、お尋ねします。 質問の第二点は、老人保健施設の対象者についてはまだはっきりしていないようでありますが、対象者の範囲をどこまでするのか、お尋ねします。 第三点目は、施設の利用料についてはどの程度の費用負担になるのか、お尋ねします。 第四点目は、次年度以降の計画についてお尋ねします。厚生省によると、寝たきり要介護老人は、現在の約六十万人から、十二年後の七十五年には百万人を突破すると予測されています。国の方針では七十五年までに三十万床を整備する方針ですが、その場合、熊本県として何カ所の中間施設をつくって対応されるつもりなのか、お尋ねします。 第五点目は、この老人保健施設は今後老人医療の核になってくると思うが、その場合、周辺に授産施設などをつくり一大福祉ゾーンにしてはどうかと思いますが、部長の見解を伺いたいと思います。 第六点目は、国の考え方は在宅ケアに力を入れる方針と聞きますが、老人保健施設が老人デーケアの地域拠点となっていくことが考えられるが、その辺はどのように考えているのか、お尋ねします。 第七点目は、中間施設が有効に活用されるためには送迎手段が確保されなければならないが、施設が自前のサービスを行うにしても限界があるので、行政の援肋が必用と思うが、その辺はどうなるのか。 以上の点について衛生部長にお尋ねをいたします。  〔衛生部長星子亘君登壇〕 ◎衛生部長(星子亘君) 御承知のように、寝たきり等要介護老人対策、これは長寿社会に向けての緊急課題となっております。老人保健施設は、これらのお年寄りに対しまして医療と日常生活サービスをあわせて提供し、病院と家庭や特別養護老人ホームの中間に位置づけられまして、家庭復帰を促進する施設として六十一年度から制度が創設されたものでございます。 国は、六十二年度の国庫補助対象施設として全国に七十六カ所を内示いたしましたが、本県では二カ所の医療法人が内示を受けております。本県の施設は、いずれも熊本市内で、入所と通所の両機能を兼ね備えた病院併設型の施設となっており、既に着工または着工の準備を進めているところでございますが、オープンはことしの秋ごろになる見込みでございます。 対象者といたしましては、病状が安定しており入院治療する必要はないけれども、リハビリテーション、看護、介護を中心とした医療ケアを必要とする寝たきり老人等が対象となってまいります。 また、施設療養費等の額につきましては、現在中央社会保険医療協議会に諮問されているところでございますが、その内容は、入所者施設療養費として一カ月につき二十一万円で、その負担割合は、保険者七〇%、国二〇%、県五%、市町村五%となっております。ただし、食費、おむつの洗濯代、理容・美容代、日常品代などの利用料は五万円程度と見込まれておりますが、これは本人負担となります。 今後の本県の施設整備につきましては、国の整備方針を踏まえ、さらに適正配置という観点から、在宅の寝たきり老人等要介護老人数、特別養護老人ホームや病院のベッド数などを勘案いたしまして、関係機関と連携を図りながら段階的に整備したいと考えております。何年までに何ベッドというところまでは現在作業中でございます。 また、老人保健施設におけるデーケアについてでございますが、老人保健施設は、在宅の寝たきり老人等やその家族に対する支援機能を果たすため、積極的に通所によるデーケアの実施に努めるということになっておりまして、御指摘のとおり、老人保健施設は、地域における老人デーケアの一つの拠点になり得るものと考えております。 なお、デーケアにおける送迎手段の確保につきましては、利用者にとって重要な問題と考えますので、今後関係機関との調整を図ってまいりたいと思います。 福祉ゾーンの構想につきましては、貴重な御提言といたしまして今後検討させていただきます。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) それでは次に、東稜高校問題についてお尋ねいたします。 四月に開校します東稜高校は、熊本大学木島教授の設計で、緑豊かな学びの森の中に、県産材をふんだんに使い、教師と生徒の自由な触れ合いの場・キーステーションを設けるなど、二十一世紀を担う人材を育成する新しい高校づくりを目指しています。そして地域文化の新しい拠点としての今後の役割が大いに期待されるところであります。そして教育の内容も、細川知事が目指す国際化時代に通用する人材を育てようということで、県下で初めての国際コース、また、情報化時代に対応した情報科学コースを設けるなど、ユニークな高校として注目され、大変期待されているところであります。 しかし、聞くところによると、四月開校はするものの肝心の校舎の工事が大変おくれているようであります。地元では、本当に勉強ができるだろうかと心配をいたしております。そのほか、体育施設の運動場、体育館、プールの建設が大幅におくれて体育の授業ができないということで心配をいたしていますが、今まで開校に間に合わなかった例として北高校がありますが、北高校の場合は、用地交渉が難航して江津高校の仮校舎でスタートしたということでありますが、東稜高校の場合は、農政部から教育庁に譲ってもらったもので全用地が県有地であり、開校に間に合わないというのはおかしいと思います。たとえ国の委託試験があったとしても前からわかっていた問題で、よその場所でできるわけで理由にはならないと思います。四月開校は早くから発表されていたことで、最初からきちんと計画されておればおくれることはなかったと思います。まさに計画性のなさが問われる問題ではないでしょうか。 そこで、三つの点についてお尋ねします。 一つは、校舎の進捗状況はどうなっているのか。四月開校に間に合うのかどうか。二つ目は、運動場、体育館、プールについて、いつまでに完成させるのか、お尋ねしたいと思います。三つ目は、体育の授業は当面どこの施設を借りて行うのか、お尋ねします。 次に、生徒募集の問題について。 県立高校の募集が二月十九日に締め切られましたが、東稜高校の目玉の一つと言われ、また、細川知事の肝いりでできた情報科学コースが定員割れとなり関係者にショックを与えておりますが、開校初年度から定員割れというのは前代未聞であります。どの辺に問題点があったのか。原因は何か。また、二次募集をするのかどうか。二次募集しない場合、成績とは関係なく全員入学させるのかどうか、お尋ねしたいと思います。  〔教育長田嶋喜一君登壇〕 ◎教育長(田嶋喜一君) 初めに、東稜高校の校舎建設の進捗状況でございますが、四月開校に合わせて建設を計画しております教室と職員室等につきましては予定どおりでございます。三月末までに完成の運びでございます。その他の施設につきましては、茶業試験場の移転計画と調整しながら整備することとしておりまして、お尋ねの体育館は本年末までに完成する予定でございます。また、プールにつきましては来年夏完成の予定でございます。運動場及びその他環境整備を含めましてすべての整備を来年中に完成するよう鋭意努力してまいります。このため、体育の授業につきましては、生徒、教師に多少不便をかけることになりますけれども、必要な場合には、近接の消防学校の協力を得ながら消防学校施設を使用することによって急場をしのぐことといたしております。 次に、東稜高校の生徒募集の問題についてでございますが、この学校の特色について県民に十分理解してもらうため、学校当局はもとよりでございますが、県教育委員会としても積極的な努力を払ってきたところでございます。その結果、学校全体で一・七四倍の競争率となり、東稜高校への期待の大きさが示されたものというふうに思っております。ただ、情報科学コースにつきましては定員割れを生じたわけでございまして、その原因については今後研究してみたいというふうに思います。 なお、高校入学者の選抜は、基本的には各学校の責任において行うことになっております。それぞれの学校や学科には、おのおの設置の趣旨というものがありまして、県教育委員会といたしましては、設置の趣旨が生かされるよう指導してきたところでございます。具体的な対応は各学校において行うこととなるわけですが、特に二次募集につきましては、入学後の生徒の心情等も配慮いたしまして、熊本県立高等学校入学者選抜要項では全日制課程では二次募集はできないということになっております。したがって、東稜高校もその趣旨に沿って処理されるものというふうに思っております。 入学者の決定の問題についても同様でございまして、現在学校において入学者選抜の事務処理を行っている途中でございます。選抜に当たりましては、学校、学科設置の趣旨も勘案しながら、学校当局において適切な判断が下されるものというふうに信じております。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) それでは次の質問に移ります。 外国人留学生対策についてお尋ねします。 日本の教育、文化、ハイテク技術、経済などを修得しようと、大学や高専、専修学校で学ぶ在日外国人留学生は一万八千六百三十一人で、十年前に比べると三倍以上にふえています。また、これら留学生の前の段階として、日本語学校で学ぶ目的で入国した留学生予備軍である就学生も急増し、一昨年一年間で一万二千人を突破、留学生と就学生を加えた広い意味での留学生は三万人を超えています。これを出身国別に見ると、地理的、文化的に日本に近いためか、中国、台湾、韓国などアジア地域からの留学生、就学生が圧倒的に多く、留学生で八三・六%、就学生で七四・四%がアジア系で占めています。 ところで、在日外国人学生に対して、大学院レベルで月額十七万五千五百円、学部レベルで十三万三千五百円の奨学金が出ています。また、民間アパートを借りる場合にも家賃補助があり、権利金、敷金の一定額を肩がわりしてもらえるなど国費留学生は恵まれていますが、その数は三千人程度で、留学生、就学生全体のわずか一割にしかすぎないということであります。私費留学生の場合は、学費、生活費ともすべて自分持ちで、その負担は大変であります。特に最近の急激な円高は留学生に深刻な打撃を与えています。もともと日本の諸物価は国際比較で高い上に、円レートが四〇%も目減りし、また、最近の地価高騰によるアパート代値上げがダブルパンチになり、留学生の生活はもはや限界ぎりぎりに追い込まれています。 これは、アジア人留学生たちがみずからを対象に昨年まとめた円高影響調査ですが、それによると、対象留学生は二十数カ国二百六十六人、このうち九〇%以上の留学生が円高に困っていると答えています。一日の食事代は、千円以下が五一%、このうち二十一人は七百円以下となっています。また、寄宿舎や寮が少ないため、八割近くが民間アパートを借りています。家賃は月三万円以上が四八%を占めています。 ところで、昨年十月に起きたバングラデシュ青年の餓死事件も、こんな生活環境が原因となった悲劇であります。この人は、バングラデシュからコンピューター技術を学びたい一心で来日し、木造アパートの四畳半一間に住んで日本語学校へ入学準備中だったムニール・シャリフ君、当時二十八歳が、入国三カ月目に生活苦のため栄養失調で衰弱死した事件は、改めて留学生、就学生の八割を占めるアジア系の学生、青年の円高下における衝撃的な出来事でありました。このため、学業よりも学費、生活費を捻出するためアルバイトに傾きがちになり、結局は、志ありながら日本留学半ばにして修学を断念、帰国する学生が後を絶ちません。こうした在日留学生の窮状を見過ごしにすることは人道上からも許されないことであります。 ○副議長(平川和人君) 質問者に申し上げます。残り時間が少なくなりましたので、質問を簡単にお願いいたします。 ◆(広瀬博美君) (続) 時間がありませんけれども、通告をいたしておりましたので、今私が質問した段階までひとつ答弁をお願いしたいと、こういうふうに思います。  〔総務部長佐藤達三君登壇〕 ◎総務部長(佐藤達三君) お尋ねの外国人留学生支援対策のうち、特に私費留学生におきましては、お話がありましたとおり極めて厳しい生活条件にありますので、民間団体に対しまして宿舎提供の協力を求めていたところでありますけれども、企業数社及び熊本青年会議所を通じての個人からの宿舎の御提供をいただきまして、県分と合わせまして今のところ約二十戸弱程度を当面の対策として、先般各大学への情報として提供したところでございまして、今後とも企業の御協力を賜ってまいりたいと考えております。また、六十三年度におきましても、留学生の衣食住等についての各種の生活状況調査等を行い、今後の支援対策に反映させてまいりたいと考えております。 このほか、先生からいろいろと示唆に富んだ御提言をいただいているようでございますので、その点につきましては、去る三月八日設立し、来る四月一日から発足させることになっております熊本国際交流活性化連絡協議会においても十分その辺を踏まえて対応してまいるとともに、県としてもその事務局を預かっておりますので、積極的に参加し、支援してまいりたいと考えております。 また、御質問通告にあります女子大の減免措置についても、この議会の先議案件として既に条例の改正をお願いしているところでございますので、現在それを踏まえまして具体的な対応を進め、六十三年度から実施に移してまいりたいと考えております。以上です。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) 時間の配分が悪くて時間がなくなってしまいましたが、今総務部長から答弁をいただきましたが、御案内のように、円高で留学生の方が大変厳しい生活環境にありまして、私たちもいろいろお話を聞くわけでございまして、日本が昔貧しかったころ、外国に留学しまして外国のお世話で大変立派な人材を育てていただきました。その恩返しとして日本の果たすべき役割、こういうものもございますので、どうかひとつ留学生対策については十分なる対策をお願いしたいと思います。御清聴まことにありがとうございました。(拍手) ○副議長(平川和人君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明十五日は午前十時から会議を開きます。日程は、議席に配付の議事日程第七号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後二時三十四分散会...