▼最初の箇所へ 午前10時00分開議
◯副議長(福間裕隆君)ただいまから本日の会議を開きます。
この際、御報告を申し上げます。本議会に提案されております議案第32号「
地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例の設定について」、第33号「
学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整理に関する条例の設定について」、第37号「職員の
特殊勤務手当に関する条例の一部改正について」、第38号「職員の退職手当に関する条例等の一部改正について」、第39号「鳥取県
公益的法人等への職員の派遣等に関する条例の一部改正について」及び第89号「職員の給与に関する条例の一部改正について」に対し、
地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を求めておきましたところ、同委員会からお手元に配付している写しのとおり回答がありました。
本日の議事日程は、県政に対する代表質問であります。
これより代表質問を行っていただきます。
29番前田八壽彦議員
◯29番(前田八壽彦君)(登壇、拍手)おはようございます。
鳥取県議会自由民主党の前田八壽彦でございます。
6年ぶりとなる代表質問ということで、この取りまとめに当たってはなかなか苦労しましたけれども、当面の課題あるいは将来の課題を知事と議論したい、このように思いましてまとめました。
それでは、本日は目次を見ていただきますと大項目で6項目取り上げていますが、午前中1、2、3と3番目までの質問並びに答弁を伺いたい、このように思っております。
それでは、質問に入りたいと思います。
1、平井県政3期目の最終年度を迎えるに当たって。
平井知事におかれましては、3年前の平成27年4月に
鳥取元気プロジェクトチャレンジ70を掲げて3回目の当選を果たされ、以来この3年間、鳥取県の元気づくりに精力的に取り組んでこられました。この3年間の県政を簡単に振り返ってみたいと思います。
まず、産業面では正規雇用1万人チャレンジを掲げ、
今井航空機器工業株式会社、
株式会社イナテック、
株式会社モリタ製作所、
共和薬品工業株式会社など、今後の成長が見込まれる自動車、航空機、医療機器各分野の企業を次々と誘致してこられました。観光分野では、一昨年10月の
米子-香港便の就航、同年12月の
米子-ソウル便の週5便化、境港への
クルーズ船寄港の大幅増などにより、
外国人宿泊者が年間10万人を超えるようになりました。農林水産業においても、平成26年度には653億円であった農業産出額は、昨年度は764億円に回復しており、年間100人以上の新規就農者や所得につながりやすい品目の支援を行ってきた成果が出始めています。
さらに、日本一の子育て王国の実現に向けて、第3子の
保育料無料化、低所得者世帯に対する第2子無料化、
小児医療助成の高校生までの拡大など先進的な施策を次々と打ち出されたほか、昨年度には2,000人を超えた移住施策の推進など、鳥取県らしい地方創生の実現に向けた取り組みを進められてこられました。
しかしながら、現在の県内情勢を見ると、これまでの施策効果が十分に発現されていないのではないかと感じる面もあります。例えば戦略的な企業誘致やきめ細かな
中小企業支援によって雇用情勢は好転していますが、雇用の
ミスマッチ等による人材不足は深刻化しています。また、一番問題であるのは社会減に歯どめがかからず、人口が減り続けていることです。中でも、10代、20代の若者が毎年1,000人単位で転出超過となっている状況を見ると、本県の将来の姿に大きな不安を覚えます。
本日の代表質問の冒頭に当たり、まず平井県政3期目のこれまでの総括と、最終年度を迎えるに当たっての意気込みをお聞かせください。
2、平成30年度当初予算編成に当たっての財政課題について。
本県の経済は、1人当たりの県民所得や製造出荷額が上向き始めるなど回復傾向にあります。
有効求人倍率は、
リーマンショック以降最も落ち込んだ平成21年6月の0.45倍から最近では1.7倍に回復するなど、雇用情勢も大きく改善しています。
しかしながら、こうした景気回復の動きが県税収入に反映されるにはまだ時間を要すると思います。事実、平成28年度は個人消費の低迷による地方消費税の落ち込みが顕著にあるなど、地方税収は伸び悩んでいるところであります。
このような状況の中、平成30年度当初予算編成に当たっては財源確保に平井知事初め執行部の皆さんは大変頭を悩ませ、御苦労されたことと思います。昨年の夏、財務省は各自治体の基金が増加していることに照準を当てて攻撃を開始し、
地方交付税削減論が大きく報道されたことは記憶に新しいところであります。昨年末の国の予算編成に当たり、地方消費税の配分基準を抜本的に見直し、財源が豊かな東京都の税収のうち1,000億円程度を削減し、その他の自治体に配分することが決まりました。このことで各自治体の基金に対する攻撃をやめ、結果、交付税総額を抑制したわけでありますが、平成30年度の当初予算に当たって本県への地方交付税の配分状況と財政運営に与える影響など、当面の財政課題について知事の所見をお伺いいたします。
地方交付税に関する我々地方の苦難は、小泉政権が2000年代に始めた
三位一体改革によって、全国知事会の反対意見にもかかわらず約1兆円が削減されたことに始まっています。このことを国や国会議員にもっと認識していただく必要があると思います。
地方の経済がよくなっているという財務省の認識は間違いであり、よくなっているのは東京都を初めとする大都市圏であります。私たちにとっての最重要課題は、税収の偏在を解消することであると思います。法人事業税の一部を地方へ再配分する
地方法人特別税・譲与税制度が2019年度に廃止される方針であるようでありますが、存続や拡充を国に働きかける必要があると思いますが、知事の所見をお伺いします。
大きな項目で、大交流新時代のかじ取りに当たって。
1、高速交通網の整備について。
(1)今後の鳥取県の高
規格幹線道路と公共事業のあり方について。
本県の長年の課題の一つは、鳥取県を全国の
高速道路ネットワークに組み込み、人や物の流動を促すことで経済を活性化させ、県民所得の向上等によって本県を飛躍させることでありました。
鳥取自動車道、
米子自動車道の開通によって
中国自動車道とつながり、
高速道路ネットワークにつながることができました。また、鳥取市と米子市を高速道路で結び県全体を一体化することも喫緊の課題でありましたが、山陰道は鳥取西道路19.3キロメートルと北条道路を残すのみとなり、ほぼ順調に事業が進められております。
私は、今後の展開を考えると、4車化の実現を最重要項目として国等への働きかけを強めることが必要であると考えております。
米子自動車道は先般、
江府インターチェンジから南側へ3.4キロの実質的な4車化に着工し、2020年度の完成を目指すことになりました。着工式に出席されていた
西日本高速道路株式会社の酒井副社長は、高速道路は往復4車線が整備されて初めて役割を果たすとおっしゃったと伺っております。
鳥取自動車道では、開通以来暫定2車線区間で重大な交通事故の発生が相次ぎ、また豪雪による通行どめがたびたび発生するなど、
付加車線設置の促進や4車線化への要望が日に日に強くなっております。無論、山陰道についても県の東西を結ぶ基軸となる道路として4車線化が必要であります。
県内高速道路の4車線化促進に向けた知事のお考えを聞かせてください。
また、
県民経済計算による
経済活動別名目GDPを見ますと、直近のデータである平成25年度の県内総生産は約1兆7,711億円であり、そのうち建設業は7.8%の1,384億円を占めています。また就業者数を見ると、県全体29万1,616人のうち建設業は約8%の2万2,619人となっているように、建設業は本県の基幹産業であります。大
規模プロジェクトがない状況で、関係者からは持続的な公共事業を確保してほしいとの切実な声が聞こえてきますが、今後の公共事業のあり方について知事の所見を伺います。
(2)鉄道高速化の諸課題について。
平成28年4月、
フリーゲージトレイン導入可能性調査結果が公表されました。その結果は、
伯備線ルートについては巨額の改良工事をかけても所要時間は現在よりも遅くなる。また、智頭・
因美線ルートについては1,506億円の工事費によって約1時間強早くなるが、現行でも接続ダイヤの改善によってほぼ同等の効果があるというものでした。換言すれば、現状の大変革をすることは現実的でないとの結論に達したわけであります。
ところで、智頭急行の
特急スーパーはくとが県東中部と京阪神とを結ぶ基幹鉄道として果たしている役割は今後ますます重要になると思います。以前から私が気になっているのが、開業当時に取得した車両が20年以上経過し、そう遠くない将来に更新時期を迎えるわけでありますが、その際必要となる巨額の費用に対する備えができているのだろうかということであります。
スーパーはくとの車両は平成6年の開業時に13両、平成9年から11年に13両、平成14年に8両導入して合計34両保有しています。各車両に355馬力のエンジンを2基装備し、最高速度130キロ毎時間、
制御つき振り子装置によって高速でカーブを通過できる高性能車両であります。当時の購入価格1両当たり2億円で計算しても、68億円の膨大な費用が必要となります。特急車両の耐用年数は通常30年程度とされており、今後10年から20年の間に順次更新する必要性が出てきますが、資金の備えに対してどのように対応されるのか、
智頭急行株式会社の株主である知事の所見を伺います。
(3)
鳥取-羽田便の利用促進について。
鳥取-羽田便は、国土交通省の
発着枠政策コンテストで1日5往復化が平成32年3月まで2年間延長されることとなっており、まずは一安心というところでありますが、本来はコンテストがあるかどうかにかかわらずしっかりと利用促進に取り組んでいくべきであり、特に県内の皆様へ利用を呼びかける必要があると思っております。
私が知る限り、
岡山-羽田便の運賃は旅割や特割を利用すると9,100円から1万4,600円程度と格安に設定されていることから、県中部や東部の岡山県に近いエリアでは企業を中心に岡山空港が利用されているのではないかと推測しております。鳥取空港の利用促進をさらに進めるためには、例えば商工労働部などの協力を得て鳥取空港の利用促進に協力する企業の会を結成したり、県内市町の協力を再度呼びかけて羽田便を利用したその
土地柄ならではの旅行商品を造成したり、誘客が一番多かった市町を表彰するなどの盛り上げ策をとっていくことも大切なことではないかと思います。いずれにしても、担当部局だけではなく全庁的に利用促進のアイデアを募るとともに、全職員が日ごろからみずからもセールスマンであるとの意識を持って県民に働きかけていく姿勢が必要ではないかと思いますが、知事の所見をお伺いいたします。
次に、羽田便の運賃についてであります。中国5県にある空港の羽田発着の
普通航空運賃のキロ運賃を比較しますと、安い順で石見空港40.6円、
山口宇部空港41.5円、米子空港41.6円、広島空港43.8円、鳥取空港46.2円、岡山空港49.2円、岩国空港49.8円となっております。特割運賃で見ると山陽側の空港は最安値が1万4,600円から1万8,300円であるのに対し、鳥取空港が2万2,600円、米子空港2万4,000円、石見空港2万5,500円となっております。山陽側が
ダブルトラックや新幹線との競争もあって格安となっているのに対し、山陰側は高く設定されているのは事実でありますが、中でも東京に一番近い鳥取空港は最も割高感があるのではないでしょうか。一概に山陽側と比較するのは無理でありますが、利用促進に一番効果があるのは運賃値下げであることは明らかであります。航空会社に対して働きかけを強めることが必要ではないかと思いますが、知事の所見を伺います。
2、来県する外国人と帰国者からの感染症対策について。
昨年12月15日、総務省は国際的に脅威となる
中東呼吸器症候群、MERSや
エボラ出血熱の流行国に滞在し、日本への入国・帰国時に監視対象となった人の63%は、
厚生労働省所管の検疫法の規定に基づく健康状態等の報告を遵守していないと公表いたしました。あわせて、2020年の
東京オリンピック・パラリンピックに向けて訪日外国人の増加が予想されていることから感染症の拡大が危ぶまれるとして、必要な改善措置を厚生労働省に勧告したとのことであります。
こうした状況の中、本県にも多くの外国人が訪れています。平時からしっかりとした対策を整備していくことが必要であると思います。
感染症とは、大気、水、土壌、動物等の環境中に存在する病原性の微生物、細菌やウイルスが人の体内に侵入することで引き起こす疾患で、感染は病原体が人間の体内に侵入、定着、増殖することで成立することとなります。感染しても症状があらわれる場合とはっきりした症状があらわれない場合があり、後者は知らない間に保菌者(キャリア)となって病原体を排せつし、感染源となって感染を広げる可能性があることからしばしば問題となっているところであります。
日本の感染症対策には、病原体の侵入を防ぐ水際対策と国内での拡大を抑える
蔓延防止対策とがありますが、水際対策は国の責務であることから、このたびは県の責務であると考える項目について議論したいと思います。
まず、患者への対応についてであります。
一口に感染症といっても多くの感染症がありますが、海外で流行しているのには
デング熱、エボラ出血熱、ジカ熱、SARS、MERSなど我が国では病原体が存在していないものがあり、いずれも
感染症専門医の診断を受ける必要がありますが、これらを診断できる開業医がどれくらい県内にいらっしゃるのか。
また、問診時等における外国人に対する多言語対応の状況はどのようになっているのか、知事にお伺いいたします。
また、伝染力の強い感染症については病院への入院措置が必要となりますが、県内病院における医師、看護師等の
受け入れ体制は整っているのかどうか、あわせて伺います。
次に、世界的な発生、感染が危惧されている
新型インフルエンザについてであります。
今年1月11日に香川県の養鶏場で発生した高
病原性鳥インフルエンザはH5N6型のウイルスであることが判明し、翌12日に鳥取県は
庁内連絡会議を開き、県内での防疫体制を再度徹底する方針を確認されております。また同日、国では
鳥インフルエンザの対応を協議する
関係閣僚会議を開催しております。
なぜ
鳥インフルエンザを極度に警戒するのでありましょうか。
鳥インフルエンザの被害の大きさは、感染性と病原性の相乗的な影響で決まると言われております。感染症と病原性の兼ね合いによって、例えば高い病原性を維持したまま
ウイルス自体の感染性は低くても人に感染し、結果的に人の体内でウイルスの感染性が高まることが予想されております。ウイルスの移動手段は限られておりますが、ホストとなる人間が飛行機、船、車等で高速大量移動することによってウイルスが一挙に膨大な数の感染先にアクセスして、世界的な大流行を起こしてしまいます。これが
パンデミック状態と言われております。最も病原性の高いH5N1型
鳥インフルエンザが人に感染したときの致死率は約50%で、ウイルスが変異して人から人へ感染するタイプに変わったとしたら先進国で7.5%前後、途上国では10%を超える致死率になると想定をされております。
鳥取大学の山口教授は、日本海新聞の紙上で中国では人への感染例もあるがとの問いに対して、中国で報告されているH7N9型の
鳥インフルエンザは死者も出ている。このウイルスはまだ中国から出ていないと推測されるが、日本に侵入すると家禽だけではなく人への影響も及ぼすおそれがあると言っておられます。外国との往来がますます激しくなっていくことからリスクも高まっていくと考え、平時からその対応を考えていく必要があると思います。
現在、
新型インフルエンザ等対策特別措置法によって国が
緊急事態宣言を行い、指定された区域の
都道府県知事が市民に不要不急の外出の自粛を要請したり、学校等の使用制限をする大きな権限が与えられることになっています。県では、平成25年度から
新型インフルエンザ等対策本部運営訓練を行っているところでありますが、
新型インフルエンザ等の発生を想定した県の対策と対応方針、訓練で浮き彫りになっている問題について知事にお伺いをいたします。
3、
訪日外国人増加に対応した警察活動のあり方について。
近年、我が国を訪れる外国人の数は飛躍的に増加しております。2017年の訪日外国人は2,869万人と推定されており、6年連続で前年を上回って過去最高を更新いたしました。本県でも、昨年の
年間宿泊者数は過去最高の14万人に届く見通しであるとのことであります。今後もこの増加傾向が続くとされている中、日本語や日本の制度にふなれな外国人が何らかのトラブルに巻き込まれるケースや事件、事故の被害に遭うケースの増加が懸念されているところであります。警察としても、訪日外国人が我が県の良好な治安を体験できるような環境を整備することが必要であります。
昨年8月、
地域振興県土警察常任委員会では、新潟県警における
訪日外国人増加に対する対応状況について調査を行いました。新潟県では、新潟空港及び新潟港に
国際定期航路を有していることや歴史的に
環日本海地域との交流が盛んであることなどを背景として、積極的な対応をとっておられました。例えば指定通訳官として49名、13言語に対応できる警察官の育成、
コミュニケーションを図るための14言語に対応した
外国人対応ボードの整備などであります。また、警察官の
コミュニケーション能力の向上のための各種教養にも積極的に取り組んでいる様子が確認できました。
本県における外国人の110番の通報は平成28年が76件、平成29年が61件となっており、全国的に見ると少ないかもしれませんが、今後さらに外国人からのニーズは高まっていくと思われます。外国人に対応できる人材の確保と育成は一朝一夕にできるものではありません。今後さらに
受け入れ環境整備に力を入れていくべきであると思いますが、現在の状況と今後の取り組みの方向性について警察本部長の御意見を伺います。
以上で第1回の質問を終わります。
◯副議長(福間裕隆君)29番前田八壽彦議員が行いました代表質問に対する答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)前田八壽彦議員の代表質問にお答えを申し上げます。
まず、これまでの私の3期目、皆さんとともにしております今の4年の任期、これを総括し、最終年度を迎えるに当たっての意気込みはいかがかと、こういうお話をいただきました。
今、議員のほうからもお話がございましたけれども、6年前に代表質問に立たれたということでございまして、考えてみますとこの6年で大分いろいろと変わってきたように思います。例えば観光客でありますけれども、6年前だとちょうど
国際まんが博をやったり
国際マンガサミットをやったころでありました。あのころが海外旅行客をふやそうという一つの転機になったところでございまして、あの年では海外の宿泊客数は大体3万9,000人、4万人近くになりましたが、平成19年の大体倍ぐらいになったところでありました。特に海外からの呼び込みをしようとして、香港からのお客様を呼ぼうと。そのときやってこられた
EGLツアーズの社長さんが私ども、今ちょうど鬼太郎列車の改装をしようという真っ最中でありますが、それに非常に感激をされまして香港のお客様にも鳥取の漫画テーストは売り込める。これをもとにして旅行商品を組んでみようということになり、それがいつしか香港便ということになりまして、香港からのお客様もふえてくるということになりました。
今、締めくくるに当たりまして海外からの宿泊客数、足元の数字で昨年1年間14万人に達する勢いであります。恐らく13万9,000人台の最後のあたり、14万人に行くか行かないかぐらいまでになろうかと思います。
6年前、4万人に達するかということで大変に沸き立ったわけでありますが、そこからさらに10万人積み上げたのがこれまでの6年間でございました。ここ3年の間、私たちが任期をともにしたこの間には香港便が空を飛び、そしてそのお客様がふえてきたわけです。実に、香港のお客様は昨年から比べまして8割以上ふえていることになります。さらにはベトナムのチャーター便もやってきましたが、ベトナムのお客様は、おととしから比べますと昨年は3倍ぐらいに伸びています。このように大分景色が変わってきたところでありまして、まさに前田議員のいろんな御指導をいただき、また議会でのさまざまな御議論をいただきながらこうして進めてきた結果ではないかなと思います。
ここ3年間の間に公約としてやってまいりましたことにつきましては、大体7割4分、4分の3ぐらいがほぼ達成ないし達成というところまで来ております。さらには順調に推移しているところも含めますと、97%ぐらい順調に動いてきている。
ただ、うまくいっていない、なかなか成果があらわれにくいのが少子化対策などでございまして、この辺は足元の数字をよくにらみながら対策を立てていかなければならないのだと思います。
議員も御指摘ございましたが、例えば雇用は随分とこの3年で向上しました。これは1.68倍の
有効求人倍率まで上がってきておりまして、さらに正職員、正社員の
有効求人倍率も1.08倍でありまして、いずれも過去最高レベルの水準に達してきているところでございます。
ここには議員も御指摘ございましたけれども、これから伸びていくような産業、先ほど
共和薬品工業を初め医薬品であるとか、さらには航空機あるいは自動車系等々、これから伸びてくる産業の誘致などのことがあったということがございました。
また、さらには
中小企業対策、ここも経営革新という手法を導入して進めてきたこともございまして、そうした県内の中小企業さんでの雇用の確保も進んできているところでございます。
このなようなことで、産業面でいえばさらに農林水産業も雇用をふやしてきておりますし、特に和牛の躍進であるとか、それから果実、梨や柿などの新品種等々、そうした勢いで764億円の農業生産額まで回復してきている。これはここ10年の間に、かつての勢いをもう一度取り戻そうというところに今来ているところでございます。
また、I・J・Uターンなどもございますが、これは3年前に4年間の目標として4,000人というのを当初立てておりました。この4,000人はもう既に達成をしておりまして、昨年度1年度だけでも2,022人になっておりまして、4,000人をはるかに超えるレベルに来ているところでございます。
ただ、そこで見えてきている新しい課題、それから残念ながら起きてしまったことへの対処、これが逆にクローズアップされてきていると思います。それは地震が起きたことでございまして、中部地震の復興を仕上げなければいけませんし、さらに震災後へのふるさとづくりに向けまして一歩を踏み出していく。そういう局面に今来ていることでありまして、これが当面の重要な課題であり、4年間の任期を一緒に締めくくる上での大きなテーマになっているかと思います。
また、これは残り1年では解決できないかもしれませんが、議員が御指摘いただきました人口減少のこと、それから雇用のマッチング等のことだろうというふうに思います。そういう意味で、我々としても何か希望を持っていけるような社会の状況というのをつくっていかなければならないのだと思います。
確かに移住はふえてきておりますけれども、逆に若者が出ていって帰ってこないということがございます。そこで、新年度に向けましては企業のほうで有償のインターンシップをやっていただく、そういう長期有償のインターンシップを新たに制度として始めようではないかと。協賛する企業さんも大分集まりつつあります。
さらには、若い方々自身が鳥取のよさを発信したりいろんな情報を出していただく。そういう若者が広聴レンジャーになるそういう事業であるとか、新しい考え方も織り込まさせていただいたところでございます。
また、マッチングなどにつきましても、鳥取駅の構内に県立ハローワークをセットしてはどうだろうか。さらに、倉吉パープルタウンにも4月から開設してはどうだろうか。こういうことを考えております。いろいろな形で働き方改革も含めてそういう丁寧なマッチングを進めていき、企業の雇用ということに沿っていく必要があります。
実は今、全国的にこういう雇用の問題というものはクローズアップされてきておりまして、どこの地域でもこの雇用が足かせになり経済の成長、所得の向上のバリアになりつつある状況でございまして、これを鳥取らしく丁寧に対応し、いろんな企業さんにも協力をしていただいていく、そんな姿勢をつくっていくことが大切かなと思います。何とか新しい春を呼び込んでいく必要があるのかなというふうに思います。
今ちょうど梅の便りも聞かれるようになってまいりまして、太閤ヶ平に登っていくその山道の入り口のところ、梅鯉庵でも梅が咲き始めたということになりました。「梅が香にのつと日の出る山路哉」という芭蕉の句がございますけれども、そうした新しい時代の日の出というものをぜひ迎えたいものだと思います。
「梅さけど鶯啼けどひとり哉」という、そういう一茶の句がございまして、先ほどの芭蕉の句と比べますと対照的な感じもいたしますが、残念ながら梅が咲きウグイスが鳴いても人間が少ない、また働く人が少ないという、そんな春かもしれません。何とかともに力を合わせて打開を図っていければと思います。
次に、財政状況につきましてお尋ねがございました。本県への地方交付税の配分の見込み、あるいは財政運営に与える影響など、当面の財政課題はいかがか。さらには、
地方法人特別税・譲与税制度が廃止されるということだが、国にそうした地方財政の拡充を働きかけていく、それが大切ではないかというお話がございました。
議員も県庁の中でお仕事をされておられましたので、非常に財政力の乏しい本県の厳しさというものも身にしみて御理解をいただいているところでございまして、御心配をいただいたところでございます。
実は御指摘のとおりの状況がございまして、私どももいろいろと状況が変わっていってよくなるはずなのだけれども、残念ながら手元の財布の中は厳しいという、そういう矛盾を感じるようになってきました。本来であればあれだけ政府・与党でも努力をし、いわば厳しい世論とも十分な協議を繰り返しながら消費税の引き上げという勇断に踏み切ったわけです。これは社会保障がどんどんと経費的にも需要が高まってくることに対処していく大切な通り道であったと思います。それが生かされていけば、社会保障は地方財政も圧迫しておりますので、そうした意味で本来は地方財政の好転にもなり得る、下支えにもなり得るはずなのですけれども、ただ残念ながら大都市は確かに潤ってきましたが、地方はなかなか向上しない。
逆に、今御指摘の実質的な交付税と言われるそちらにおいては、逆に厳しい状況が生まれてきています。現実の数字を申し上げれば、実質的な交付税と言われるものの見込み、新年度は57億円減少する見込みであります。片方で税収のほうは20億円とか若干ふえるわけでありますが、はるかにそれを上回るだけいってしまうだろうと。特に目玉のように言われている消費税の配分基準の見直しということが言われていますが、これは確かに東京都が大幅にそれで消費税の幅を減らしますけれども、1,000億円減って、ふえるのは埼玉県であるとかそうした大都市部の周辺都市でございます。
したがいまして、鳥取県のほうでは本当に数億円、4億円とかそうしたレベルしかならないだろうというふうに言われていまして、余り大した効果はないということです。片方で、交付税は57億円減る。したがいまして、簡単な数字の計算でありますけれども、これほど厳しい状況になるということでございます。この57億円の減少というのは、実は地財ショックと言われたころに次ぐ減少幅でございまして、そういう意味でこのままでは非常に厳しいことになる。
したがいまして、これは本来であれば地方税収は法人課税、それから消費税収、さらには所得も含めて伸びていくだろうとも言われているわけです。それが税収の偏在がございまして、大都市部に集中している。片方でこの税収とトータルで地方交付税も含めた地方一般財源総額は変わらない。ですから膨らんでくる大都市部に財源が集中してきているということでありまして、本来であれば地方交付税なりなんなりで調整をしなければいけない。こういうことだろうと思います。
したがいまして、議員がおっしゃるようにここの調整を考えなければならない。そのために
地方法人特別税というものがございましたが、これは消費税が10%に引き上げられるときに最終的には廃止されることになっています。これは東京都の法人税を全国にいわばばらまく形で税収の偏在性を修正しようというものでありまして、譲与税制度とセットになっています。
これがなくなる一方で、国、地方の協議の中で生まれたわけでありますが、地方法人税を一部国税化しまして、法人住民税を交付税原資として配る。不交付団体には行きませんので、その分交付団体に理論的には重点的に行くはずであるというようなものをつくろうということであります。
これをいろいろと計算してみるのですが、恐らくこれでは合わないだろうと思います。ですから、結局東京都を初めとして大都市部への税収ないし財源の集中状況というのは変わらないことになろうかと思います。
議員も御指摘ございましたような、国のほうの基金が地方に積み上がっているという批判がありました。あれを5年前と比較してどうだこうだということも言われたわけであります。東京都の場合は、1兆3,000億円の基金が2兆6,000億円に倍増したのですね。だからここがほぼ占めているわけです。そのほかは神奈川とか愛知だとか大阪だとかそういうところであります。東京都は財政調整基金だけで基金を見てみても、4,000億円から6,000億円にふえています。片方で、私どもは何とかこの基金を減らすまいとして努力をしている。したがいまして、この5年のうちは横ばい状況でございます。
こんなような非常に対照的な地方財政の構図が生まれてきているわけでありまして、これは大都市、地方を問わず税収がふえてくる局面においてあるべき姿を考えようと。知事会でも十分議論する必要があると思いますし、国のほうにも働きかけていく必要があると思います。大きな今後のテーマになってくる。特に新年度はこの議論がクローズアップされなければならないときだと思いますので、議会と一緒になりまして声を上げてまいりたいと思います。
次に、高速道路の整備や公共事業のあり方につきましてお尋ねがございました。特に4車線化を高速道路で促進する必要があるのではないだろうかということ。それから公共事業のあり方、今後に向けてどういうふうに考えていくのかということでございます。
高速道路は前田議員にも現役時代からも大分御努力いただきまして少しずつ延ばしてきたわけでありますが、議員もお気づきのとおり特にここ10年ぐらいで急速に整備率が上がってきました。10年前は3割ぐらいで全国のいわば最下位を争っていたわけでありますが、今は7割程度に上がってきています。ただ、それでも8割ぐらいの全国平均には届いていないわけでありまして、平均以下というような水準であります。
ただ、そういう中、鳥取西道路であるとか、それから鳥取道であるとか、特に東部地域は米子道もなく高速道路のない地域であったところが一気に今その進捗を伸ばしてきているところであり、山陰近畿道も駟馳山バイパスの開通に続き岩美道路も浦富まで延びてきたということになりました。
ただ、まだ課題はあるので進捗を図る必要があり、この辺の事業量の確保を進めていかなければならないわけでありますが、急速にこの延長をしたときに国に働きかけてその進捗を図ったわけでありますが、どうしてもその延長をするほうが優先になってしまいまして、本来であれば高速道路の姿というのは4車線でありますが、その2車線2車線の4車線という姿での整備が後回しになった形になりました。
結果どうなったかといいますと、全国で4車線化は38%と言われています。本県は9%でありまして、米子道も含め山陰道も含めて大変におくれた状況でございます。ようやくここに来て、例えば交通事故、重大な事故が発生するという問題や、また除雪の課題などもクローズアップされてきました。今般も福井のほうでいろいろと議論がありました。去年は同じことが鳥取で起きていました。米子道も閉鎖が繰り返され、それがさらに風評被害となりまして広がった結果、皆生温泉は1億円の売り上げを失ったというふうに言われています。これは東部でも同じようなことがございまして、鳥取道は除雪がしにくいために閉鎖をしました。その勢いで下におりてきて、381号線の渋滞ということを引き起こしたわけです。
今回も福井で北陸道を閉めまして、国道8号に一気に行った。あちらは規格は全然大きいですけれども、高速道路を閉めた関係で規格のいい国道8号におりてもあの大渋滞になったわけでありまして、381号はふだんでも大型同士がすれ違うのはちょっと怖いところもある道路でありますが、それが不通になるということはやむを得ないような状況でもあったかもしれません。こんなようなことが繰り返されてはいけないわけでありまして、ぜひともそうした4車線化を進めていく必要があります。
現在予定されているところが全部できても16%です。ですから、もっとその工事箇所を広げていかなければなりません。議員がおっしゃった
江府インターチェンジ付近の着工式のときに酒井副社長等お見えになりましたけれども、そうしたときに率直に私も申し上げましたが、例えば三平山トンネル付近とかそうしたところにさらに4車線の工事を延ばしていく必要がある。こんなことを今関係機関にも働きかけているところであり、山陰道や鳥取道なども考えていかなければなりません。
また、最近クローズアップされてきましたのは、今、やわらかいポールを立てて仕切りをしていますけれども、ワイヤーロープ型の仕切りということも安全上よいのではないかという議論があります。ただ、これがなかなか難しいのは、鳥取道などは特にそうなのですが結構トンネルと橋が多いのですね。そうしたところではなかなか幅員がとりにくいのでいざというときの問題がありますので、どちらかというと盛り土型のある程度余裕がとれるようなところが向いていると言われています。これから北条道路も山陰道で高速道路を整備していくことに決まりましたが、例えばそういうところはずっと盛り土でつくっていきますので、いろんなそうした適正な箇所もあると思います。そういうワイヤーロープの導入なども含めて、国、関係機関に働きかけていければと考えております。
公共投資の関係でありますけれども、建設業だけで現在でも県内総生産の7.5%、さらに雇用の8%を占めていまして、重要な産業ということが言えます。ですから、そうした意味で産業政策としてもその発展を図っていかなければなりません。あわせて今申し上げたインフラストラクチャーの整備、そして雪のときも含めた災害時の対応、建設業の役割というのは最近とみにクローズアップされてきています。10年前はどちらかというと公共事業が余りよくないイメージで語られ、現に本県でも公共投資がどんどんカットされた時期がございました。今はそうしたことではなくて、そうした産業に対するエチケットとしてその産業にかかわる予算枠も確保しようというふうに企図転換を現在はしております。
当初予算では3,386億3,700万円と3.1%減しておりますが、それに加えて2月の補正予算を取りましたので、この2月1日の予算を組み合わせて1.8%の増を図っています。特にこういう公共投資関係は20%増を対前年でさせていただいておりまして、防災関連の事業を含めて伸ばしてきているところでございます。例えばそういう中、岸本バイパスの整備であるとか、そうした事業がございますし、また建築関係も含めていけば、例えば今、県立中央病院を最終的に仕上げていく。あるいは境港で市場の整備をする。さらには境港の整備であるとか、今後は美術館等々も含めて各種の実は公共事業、建築事業というのがこれからめじろ押しという形になってきております。財政の枠もございますが、そうしたところと上手に折り合いをつけ工夫をしながら、そうした必要な事業というものを確保してまいりたいと思います。
次に、高速鉄道につきまして、
スーパーはくとの車両整備につきましてのお話がございました。これにつきましては、これから10年20年という間に順次整備しなければならなくなってくると思われます。一番最初に整備をした車両が平成6年であります。それから仮に30年が耐用年数とすれば36年に更新をするということでありますが、これは順次段階的に車両を導入していきましたのでこの整備が言われるわけでございまして、今26両というお話がございましたが、それを整備しようというとそこそこのお金が必要になってくるわけでございます。失礼、34両ですね。34両ということでございまして、それが仮に2億円なら68億円という今数字のお話がございました。
その68億円でありますが、実は前に整備したときはふるさと融資だとか、それから金融機関の借り入れ、さらには実は関係団体が出資をしたり、それから補助事業を組んだりして整備をしたものであります。その後、今、特急の車両関連に使えるような営業収入というのが出てきておりまして、積み立てをしてきているところであります。もともと経営安定化のための基金をつくっておりまして、これは前の車両整備のときにもそれが活用されましたが8億円ほどございまして、それと合わせて黒字で今運営していますので、26億円くらいその使える基金もほかにございます。合わせて34億円。そうすると、さっき68億円とおっしゃいましたが、そのうちの半分ぐらいはキャッシュがあるということになります。さらに借り入れをしたりしていくことになろうかと思いますが、10年20年かかるスパンでありますので、その間の営業収入というのも見込んでいかなければなりませんし、乗客の増を図っていくことなどの戦略が必要であります。
今段階ではまだこれから中期の経営計画をつくっていこうという段階でありまして、その中期の経営計画を新年度に策定をしていく中で、そうした車両の更新についても視野に入れた計画づくりが求められることになると思います。現実にはそうした形でまず最初に買っていく車両から含めてそこそこの基金の活用も可能ではないかと思われますので、現実的にも更新に向かい得る状況は出てきているのではないかなと思います。
ただ、問題は鉄道事業をどうするかということ、それから高速化等の問題との議論の整合性をどう図っていくかということもあるわけでありまして、そうした議論も含めてこれから佳境に入っていかなければならないと思います。
例えば今、九州は大問題になっていまして、大分駅に乗り入れる特急や急行だけでも38の便が減便になる。これはJR九州の経営の問題があります。また、JR北海道も半分路線はもたないということを言い始めていて、三江線の問題もあるわけでございまして、JR西日本も決して他人事ではございません。
そういう中、
スーパーはくと等の主力がある中で智頭急行は好調に黒字を重ねてきていますけれども、これは実はJRのいろんな協力を得ながら黒字化しているという面もございます。もっともっとお客様にこちらに来ていただく。そうやってふやしながら、あるいはJRの路線を走っているところでも通勤車両として活用し得るとか、いろいろと時代も変わってきていると思います。ですから新しい時代を見据えた経営計画というのを考える中で、この車両更新というものを現実化していくということではないかなと考えております。
次に、鳥取空港の利用促進につきましてお尋ねがございました。その利用促進を図るためにさまざまなアイデアを入れたり、企業の協力を得たり、県民に働きかけていく必要があるのではないだろうか。さらに、運賃の問題として山陽側と比べて高い側面があり、航空会社に働きかけをしていかなければならないのではないか、こういうお尋ねでございます。
これにつきましては、皆様の御協力、御支援をいただいて鳥取空港の5便化継続が決まりました。なかなかハードルは高目の年間37万人にセットしておりましたけれども、恐らく今年度37万人行く勢いであります。12月までの段階で対前年で1万3,000人上回っておりまして、昨年が35万数千人でございますので、37万人というのは射程に入りつつあるというような状況でございまして、かつてから考えますと大分飛行機に乗っておられる状況になってきました。
正直、大きな電機産業の企業が事実上撤退するころはがくんと搭乗客が減りました。ビジネス客は減ったわけであります。また、砂丘観光を初めとして観光需要が衰え始めていたところがございまして、そこで伸び悩みということがございましたけれども、ここで5便化とあわせていろんな利用促進策を打ちました。例えば子供さん連れの旅をふやそうということで子供さんに対する運賃助成をしたり、それから移住を検討するためにこちらに来られる方、そういう方に対する支援をしようと。これを今議員がおっしゃいましたけれども企業さんと合同でやっているのですが、利用促進懇話会という懇話会を中心にしましてアイデアを出し合ってやってまいりました。その結果、最近はそういうキッズの旅行、また移住の搭乗というものも順調にふえてきました。
これは藤縄会頭がトップになってやっていただいているわけでありまして、商工会議所を初め関係先にも呼びかけていただいたり、それから例えば市役所でも利用を促進したりとか、それから但馬にも最近は目を向けておりまして、但馬の旅館関係者等々もこの運動にかかわっていただくようになってきています。5便化を何とか実現しようということで、一つのそうした企業や地域を巻き込んだ動きにつながってきているところであります。
そこに今、政策的に鳥取砂丘コナン空港への改称、さらには空の駅化を進める、また海と結んだツインポート化を図る。これを新年度に向けて今仕上げようとしていまして、まずは道路を今年度中に開通をさせ、そして建物を新年度夏に仕上げていく。こんなようなスケジュールも見えてきております。まさに売り込みどきなのだろうと思います。
実は、議員もお気づきのとおり最近大分お客様の数もふえてきたように思いますし、いろんな意味で今までやってきたことが功を奏し始めたのかなとも思います。
実は、ついせんだって全国知事会長の命令でアメリカの全米知事会に1晩だけのステイだったのですけれども弾丸で行ってまいりまして、全米知事会の皆さんに日本に来ていただく、そういうフォーラムをつくるという道筋をつけて帰ってきたところなのですけれども、そのときのキャビンアテンダントの方が、私がちょうど機内で一生懸命仕事をしておったら、書類を挟み込んだコナンのクリアファイルに気づいたのでしょうね。鳥取というところに行ってきたという話が始まりまして、何で行ったかというと鳥取砂丘コナン空港に興味があったと。これは実はデータ的にも出ていまして、来たお客様のアンケート調査をとりますと、12%の人はコナン空港という改称に興味を持ったというようなお客様です。特にやはり女性客というのがそれで出てきているのだろうと思います。それでどこに行ったのかという話をいろいろと向こうがしゃべり始めるわけでありますが、やはりすなば珈琲のお店、あそこに行ってお土産を買ったと。それからカニが食べたかったので、それはカニのシーズンですなというふうに申し上げましたら、どちらに行かれましたか。賀露かどこかかと思ったわけでありますが、びっくりしたのですけれども、駅の近くのお店に行きましたと言うのですね。何というお店ですか。何でしたっけね、かばとか言うのですね。かばにカニを食べに行くという発想は余り地元の人はないかもしれませんが、そうやっていろんな情報を仕入れて旅を楽しまれる。もちろん砂丘に行かれたりそういうようなことであったようでありますが、そういうふうに今やはり新しい旅の形、お客様が、私たちの努力がようやく実り始めてふえてきたのかなというふうに思います。
ぜひ関係機関とも力を合わせていきたいと思いますし、いろんなアイデアを庁内でも募りたいと思います。ポイントは観光だと思いますし、それからやはりビジネスのベースができますとビジネス客ができます。それから産業振興ということ、それから移住者がふえてくれば当然ながらその往復もふえてくるわけであります。そうしたことは庁内全体にまたがることでありますので、議員の御提案もございましたいろんなアイデアを庁内的にも募ってまいりたいと思います。
そして料金の問題でありますが、これも毎回毎回のように実は全日空さんに働きかけをしております。11月10日にもそれこそ藤縄会頭や坂口会頭等とも一緒になりまして東京のほうに行き、平子社長のほうにもお願いに行ったわけでございます。これは長年やってきて、これも6年前に質問されたころと比べていただければと思いますが、大分その後状況も変わってきているのですね。特にやはり
ダブルトラック化がいっときあって、そのときが契機になってぐっと下がった感じがあります。平成26年、
ダブルトラック化のちょっと後でありますけれども、あのときには1万円を切る旅割の運賃がこの山陰路線にも適用されまして、米子だけでなくて鳥取も含めてそういうようになりました。また、今年度からは旅割75といった新しいジャンルも含めて8,900円というレートも出てきていまして、この旅割などがやはり利用客をふやしているというふうに全日空側も分析をしています。我々は、売り残しがあるのだから料金を下げてでも売ったほうが得ですよというようなことも言ってきたものですから、そんなような状況も今見てとっていただいているのかなというふうに思います。
ただ、残念ながら特割と言われるような直前まで使える割引を中心にいたしまして、やはり山陽側は2万円切ってきているのに対してうちは2万円台でございますし、3日前とか制約も山陰側のほうが厳しい状況がございます。この辺はやはりこの航空機の旅をふやすということを働きかける意味でも、料金というのは大事なのだということを改めて航空会社にも強く働きかけをしていきたいと思います。
最後に、感染症につきまして何点かお尋ねをいただきました。
デング熱あるいはSARS、MERS等々、感染症の専門医の診断を受ける必要があるけれども、開業医はどれぐらい県内にいるのか。また多言語対応、外国人の対応はどうなのか。さらに、感染症の入院措置が必要だけれども、医師や看護師等の
受け入れ体制はどうなのか。そして、
新型インフルエンザに対する対応方針や課題についてお尋ねがございました。
これにつきましては、大変に厳しい疾患が世界中にも広がっています。例えば
エボラ出血熱であるとか、さらには
デング熱やMERS、SARS、そうしたものがございまして、本県も決して他人事ではございません。現在はそうした感染症が疑われる場合に備えまして全県的に医師会にも御協力をいただきながら、お医者さんあるいは医療機関にそういう感染症についての理解を広げる研修等々をやっているところでございますし、例えば感染症が発生したときのその最終診断、これは何という病気かというところ、
エボラ出血熱等は国立感染症のセンターのほうになりますが、それ以外の疾患について、MERS、SARSなども含めてこれは県の衛生環境研究所のほうで確定的な診断ができるように体制も整えてきているところであります。
ただ、なかなかこうした感染症の見きわめも難しいところがありまして、議員がおっしゃる感染症の専門医の養成というのが大事でありますが、現在県内には6名いらっしゃいます。そのうちの3名は鳥取大学附属病院でございまして、あとは山陰労災、それから米子医療センター、またもう一人は開業医として開業されている方でございます。最近も鳥大で2人養成がなされて1名から3名になったり、さらに米子医療センターに
感染症専門医の方が着任をされてそれでふえたという形になったり、それでようやく今6名です。これが十分かどうかというと十分ではないと思いますが、ただ現実がこうでありますので、それに対応しながら対策をとっていかなければならないわけでございます。
入院等の措置はどうなのかということでございますが、これについては一類感染症という
エボラ出血熱などは、これは県立厚生病院のほうが感染症指定病院として受け入れることになっています。厚生病院は陰圧室、ウイルスが外に出ないように細工をしているそういう構造の特殊な部屋、そういう入院できるところもつくっているところでございまして、県内で唯一そうした一類の感染症の指定病院となっています。
また、県立厚生病院とそれから中央病院、さらには鳥取大学附属病院、済生会病院、この4病院が二類の感染症の指定病院に指定されています。これらのところで受け入れるように訓練をしたり研修をしたりしておりまして、例えば患者が来たときにどういうふうに対応するかというような手順などを確認したり、また感染症の専門医等も鳥大病院などはいますので、対応していただくということになります。
ただ、これで十分かというと十分でないと思います。
エボラ出血熱の場合は、国のほうの国際医療研究センターのほうからそれ専門の方が来られる手はずになっています。それ以外のところにつきましては一昨年に鳥取大学と協定を結びまして、あそこには
感染症専門医が3名いらっしゃいますので、そういうときには
感染症専門医を派遣してもらうことを約束事として協定させていただきました。
また、さらに今、ちょっと話し合いを深めているところなのですけれども、例えばICTを使ってカルテ情報を共有するとか、いろいろと機動的に動けるようなそういう体制をもっと強化をする必要があるかなと考えておりまして、そうした話し合いも今しているところでございます。
新型インフルエンザ等のことにつきましては、これは平成21年、22年のときに我が国でも大分大きな課題としてクローズアップされました。世界的にも流行が始まったわけであります。これにつきましては、議員もおっしゃるようにパンデミックが起きるのではないかというようなことも言われます。ことしもH5N6亜型の
鳥インフルエンザが見られたりしているところでございまして、我が国にも入ってきています。これはH5というものでございまして、この分は人間には直接取りつけない構造のウイルスでございまして、これが直ちに人に感染する
新型インフルエンザになるかというと、そこは否定的に見られています。
H7N9型が議員も今おっしゃったところで、山口先生もおっしゃっている中国でも見られる型ということでありますが、これはもともとH7というのは人同士で感染する型だったものが逆に鳥に入りまして、それで鳥に今度感染しやすい型に変異していったものであります。これは実は変異していますので、すぐにそれが人に感染する型になるとも考えられていないとも言われています。ただ、感染例はあるのですね。それはあそこが割と鳥と濃厚接触をする国でありまして、生きている鳥をマーケットで買ってきてさばいて食べるというような文化がございますので、そんなことで接触の度合いが日本とは違うものがございます。したがいまして、そういう濃厚接触した場合にまれに感染例があるというようなものでございます。
ただ、いずれにせよどういうふうにウイルスが変化するかわかりません。それでパンデミックが起こるかわかりません。したがいまして、
新型インフルエンザ対策を十分にとっていかなければなりません。
平成21~22年のときは、日本では神戸で最初に
新型インフルエンザが確認をされました。神戸は本県からとっても近いです。毎日のように買い物に行ったり仕事に行ったりする人がいるところでありまして、先ほど飛行機でというようなお話がありましたが、飛行機は使わなくてももう車で、あるいは電車ですぐに行けるところでございます。したがいまして、そういう意味で我々も脅威を感じました。
当時、大分早急な対応をしたものでございまして、県内感染が始まる前までにもう10数回対策会議をつくり、そしてその中でもいろんなことを話し合いました。例えば、総合発熱相談支援センターというのをつくろう。それから、熱が出たときは発熱外来のほうに行ってください。そのときは必ず保健所にまず連絡をしてください。すぐに病院には行かないでください。そうしたことなどのいろんな呼びかけの工夫を当時したものでございます。
また、問題になりましたのはなかなか確定診断が出にくいということでございまして、PCRで陽性ということが出た場合にはもうそれをみんなで情報共有をし、世間の人にも知っていただいて備えていただく。その上で確定診断を待つ。こんなようにタイミングもずらそうとか、それから全庁的な体制であるとか、当時の対策会議にも医師会や山口先生を初めとした鳥の専門家やあるいは感染症の専門家、伊藤先生だとかそうした方にも入っていただいて、かなりレベルの高い対策本部を組織するようになりました。
こうした経験を踏まえて平成26年に行動計画をつくり、それからマニュアルというものも整備をいたしまして、年々
新型インフルエンザ対策の訓練も重ねてきております。いろいろと課題もあるところであろうかと思いますし、特にどういうことが今後起こるかわかりませんので、我々としても備えていく必要があるだろうと思います。議員のほうのいろんな御指摘をきょうもいただきましたので、ぜひそうしたことも踏まえて対策のバージョンアップを図ってまいりたいと思います。
◯副議長(福間裕隆君)井上警察本部長
◯警察本部長(井上悦希君)(登壇)前田議員から、
訪日外国人増加に伴う県警察の
受け入れ環境整備の現状についてお尋ねがございましたので、お答えいたします。
鳥取県を訪れる外国の方が安全・安心に滞在していただけるよう、県警察としても適切な対応が求められているというふうに認識しております。
そこで、これまで県警察では3つの柱に基づく取り組みを進めているところでございます。
1つ目は、外国人との
コミュニケーションの円滑化であります。これまで31言語に対応する翻訳アプリを登載したタブレット端末、これを鳥取、倉吉、米子、境港の各駅前交番と砂丘と大山寺駐在所の計6カ所に配備しております。また、日本語を解さない外国人からの110番通報時には、語学能力を有する警察職員を介して三者通話システムで対応することとしております。また、交番勤務員等に対します外国人への対応を想定した訓練も継続で実施しているところでございます。
2つ目は、制度、手続等のわかりやすさの確保ということでございます。複数言語に対応する遺失届など窓口資料の整理ですとか、パトカー、交番、駐在所などへ「POLICE」の表記、さらには一時停止標識への「STOP」併記などを進めておるところでございます。
3つ目は、基盤の整備であります。平成29年度からは警察官採用試験に語学検定等の取得状況に応じた資格加点制度を導入しております。また、これまで警察大学国際警察センターですとか海外語学研修への派遣、外国語技能検定の受検奨励等、人材の確保、育成に努めているところでございます。
これまで現在の県警察の通訳人体制は、部内通訳人が7言語33名、部外通訳人が18言語47名でございます。
議員が紹介されました新潟県警察の例のとおり、現在全国警察はその対応に取り組んでおるところでございます。本県警察におきましても、他県の取り組みを参考としながら今後タブレット端末のパトカーなどへの配備拡大の検討など今申し上げました取り組みを継続、発展させるとともに、知事部局を初め関係機関、団体とも連携して
受け入れ環境整備の充実に努めてまいりたいと考えております。
◯副議長(福間裕隆君)29番前田議員
◯29番(前田八壽彦君)御答弁ありがとうございました。よくわかりましたが、あと数点お伺いをしたいと思います。
まず、平成30年度当初予算編成に当たっての財源課題についてであります。
さっき知事が答弁されましたように、地方交付税全体で見たらそう減っていない。ただ、個別で見ると鳥取県は54億円も減っていたということなのですが、そこで臨時財政対策債の扱いだと思っております。たまたま月曜日の衆議院の予算委員会を見たのですけれども、私は初めてでした、この臨財債を取り上げていました。その主張はやはり一緒で、そのずっと臨時財政対策債を発行しておるのだけれども、本当に大丈夫ですかということを議員が質問されておりました。野田総務大臣は、やはり法定率を上げるのが筋だと。しかしながら国の財政は厳しいので、赤字財政対策債に頼らざるを得ない、こういう表現でございました。
ただ、後年度100%交付税措置されるといっても巨額になっていますから本当に心配なわけでありますが、その論点としてはやはり財務省が地方は基礎的財政収支は黒字が続き財政収支も黒字、国は赤字だけれども地方は黒字でないかと。こういう論点で来られるわけでありますが、国は赤字国債を発行して補填はできるのですけれども、地方自治体は赤字地方債は発行ができません。唯一臨財債のみが許されておるわけでありまして、非常に不公平な感じがいたします。今の地方自治体というのは臨時財政対策債なしに財政運営ができない追い詰められた状態だと思っております。
国会議員は本当に認識しておるのかなと思ったのですけれども、月曜日の衆議院予算委員会では臨時財政対策債をかなり議論されていましたから、ある程度安心しました。国会議員も知っているのかなと思っていたのですが、知っておったということで安心はしたのですけれども、ただまだ深みは浅い。国会で議決する予算ですから、地方財政の今逼迫した情勢をぜひともしっかりと国会議員に訴えていただきたい、このように思っております。
富裕県と貧乏県というのがあるのですけれども、さっきおっしゃいましたように大都市圏の数県は財政運営が非常に楽。あとの地方自治体は本当に爪に火をともすような財政運営をしておる。この矛盾をぜひとも改正をしていかなければ、この臨時財政対策債みたいなことでずっと補っていくしかない、このように思っておるわけです。そのためには、やはり地方財源が富裕県に集中してたまるという構造をぜひとも直していただきたい。そうすれば47都道府県が均等にその財政運営ができるのではないかな、このように思っております。知事の所見をお伺いいたします。
◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)前田議員から、重ねてお尋ねがございました。
議員がおっしゃるような視点のとおりだと思います。臨時財政対策債は財源の振りかえでございまして、交付税で本来交付すべきであるけれども、交付する今現ナマがないのでそれは借金をしてもらって、そのかわりそれを返す段階で100%国がその分を交付税に充填しましょう、こういうような制度でございます。一見それはそれでいいようにも聞こえるのですけれども、ただ現実問題今どんどんその残高が累増しておりまして、これが本当に将来、国家財政が例えば破綻すれば連鎖倒産を地方もするのではないかというようにも思えてくるところでございまして、要は借金をしたときに約束した、返すときにはちゃんとやりますよという証文が空証文になってしまうのではないかということでありますし、全額でなくても半分だけとか割り引かれたらいけない。つまりリスクを抱えながらでありまして、やはり真水で交付されるべきものであります。
特に、実は臨時財政対策債であろうがそのほかの例えば公共事業のための起債であるとか、あるいは退職手当のための起債であるとか、そうしたものは結果は全て例えば銀行から借り入れたお金であることには変わりないわけでありまして、借金の残高自体は見た目はやはりふえるわけであります。それは片方で税収等の引き当て、毎年の確実な引き当てと比べますとだんだん見劣りが悪くなってくる。特に現在、本県でいえば大体借金の残高の半分近くまで臨財債が膨らんできていますので、こんなことが果たしてよいのかどうかということです。
実は、もっと5年前6年前のそうした段階では臨財債の発行額が多かったです。特に、都市部よりも地方部のほうに臨財債を発行させたのですね。これは本県も含めてやはりおかしいということを言いに行きまして、現在ではむしろ財政力がある都市部のほうに臨財債を寄せて発行させるように交付税配分が変わってきてはいるのですけれども、それでも百数十億円台ぐらいにはなる。ですから、この状況は何とか消していかなければなりません。国のほうに重ねてこれを訴えていくべきだという御議論でございまして、ぜひそれを国会議員やあるいは政府のほうに働きかけをしていきたいと思います。
また、それとあわせて財政構造全体を変えていく今一つの分かれ道に来ておるわけでありまして、議員からも御指摘がありましたように富裕団体と、それから財政規模団体があるという現実をもっと広く世の中の人にも認識してもらい財源の遍在性を是正し、そして標準的な行政経費があまねく全国どこでも提供できるような体制を保障していくべきだと、この議論を強めていきたいと思います。
このままいけば、来年10月とかいったようなタイミングで消費税の10%引き上げということがなされるわけでありますが、その途端に8%から10%になり国の財源もふえるし、それから地方の財源もふえるわけでありますが、ただこのときにふえただけでは全部東京都等におさまってしまいますので、それを地方のほうと分けていくためにはこのふえた分がむしろ地方のほうに回るようにというふうにしないと、今ただでさえ偏在が来ていますので、ここの配分の段階でこれをならしていけば東京都も確かに減りはしないかもしれない。それで地方のほうもふえる。だからみんなそういう意味で従来の財政的な構造問題というものを解消するチャンスにもなるわけであります。
ただ、これはかなり荒療治になる可能性がございます。今、そういう意味で東京都と含めて、その辺の調整を政府全体がしていかなければならない局面に恐らく新年度はなるでしょう。その中で、知事会を初めとして地方団体が胸襟を開いて協議をする場、その重要性は高まってくると思います。
それは地方税収をふやしてそれで地方の財政自立を進めようというこの大義は東京都もそれから地方部も共有できるものであろうかと私は思いますし、その辺のコンセンサスはひとつ大事にしながらも、ただそのときに地方のほうの今の税源遍在、財源遍在に極端な差があること、これを是正していくいろんな手だてを考えていくべきではないかということもいわゆる大都市部には理解してもらわなければならないだろうと思います。
税制もそうなのですが、今、例えば世界各地で問題になっているのはアマゾン・ドット・コムであります。アマゾンは世界の国境を越えて売り上げを取ってしまうわけですね。インターネットでありますので、日本の法人であってもアマゾンであってもあれはアメリカの会社でありまして、そういうように売り上げが遍在してしまうわけです。インターネット社会になりますとそういうことが起きてくるわけでありますが、これは実は都道府県間でもそうであります。たとえ鳥取の人が買い物をしていても、それは東京なり大阪の会社がインターネットで売ったものとなりますと消費の額の判定にしてもそうですし、それから法人の売り上げ所得ということでもそうでありまして、法人税や消費税等遍在する可能性があるわけですね。これがどんどん広がっていまして、現実のものになっています。
さらには会社自体のつくり方も変わってきて、持ち株会社、ホールディングスというのが当たり前になってきています。このホールディングスのほうで自由に投資活動をするためにその所得のほうはそちらに集中をさせ、そのほかのところは経費と売り上げが釣り合うようになっている。ですから赤字すれすれのところでやる。それが地方都市に視点として存在をするようになる。
そうなりますと、ほとんど税収が入らなくなるわけです。それに加えて大都市は従来地方のほうに従業員の数に応じて配分していた税収を配らなくてもよくなりますので、それはもう大都市に集中してしまう。現実に私どもでもそういうことがあって、鳥取県だけでもある会社で数億円一気に減収したことがございました。こんなようなことは今全国各地で起きているわけであります。
いろんな問題が複雑に絡み合っていまして、税制の問題、それから財政制度の問題を含めてもう一度ゼロから議論しなければならないのではないかなというふうに考えておりまして、新年度のそうした税財政の議論、ぜひ本県からも声を上げてまいりたいと思います。
◯副議長(福間裕隆君)29番前田議員
◯29番(前田八壽彦君)次に、鉄道のことについて追及質問をさせていただきたいと思います。
JR伯備線の特急やくもについてであります。先ほど言いましたように、伯備線をフリーゲージで抜本的に高速化するというのはもうだめだよという報告書が出たので、私たちはでは手をこまねいて伯備線の問題を放置していいかということであれば、絶対それはならない。今の伯備線の特急やくもは、新聞報道によりますと耐用年数の40年が来ておる、こういうことでございます。
そこで、JR東日本の189系というのも2月25日の日経新聞に出ていましたが、型がほぼ一緒なのですね。JR東日本の189系は振り子式ではない自然体の車両、それから伯備線のやくもは同じ型なのですけれども自然振り子式ということでございます。189系は全編成引退だとこういうことが報道されておりますから、もう伯備線の車両も全車両引退の時期が来ているのではないかなと、これは想像できるわけでございます。ただ60両ありますから、恐らく3億円ぐらいするのでしょうから、JRにとっては180億円ぐらいの投資金額になる。ところが、先ほど知事がおっしゃいましたようにJR西日本というのは赤字ローカル線も抱えておりますし、新幹線の台車の亀裂の問題で新たな設備投資をしてその検査能力を高めなければならない。そういう事情もよくわかりまして、これは大変な話だなと思うのでありますが、まず知事がこの間、急遽JR西日本本社に行かれまして社長と面談されたということでございますが、その内容を教えていただきたいと思います。
◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)前田議員から、重ねてやくもの新型車両導入可能性につきましてお尋ねがございました。
これは議員も先ほどおっしゃいましたように、本来であれば伯備線あるいは因美線経由も含めて鉄道の高速化をやっていくフリーゲージトレインというような議論もございましたけれども、なかなかそれは九州ですら今頓挫していまして、なかなか難しい状況になってきました。そこで現実味を帯びるのは、むしろ現在の車両の更新をしたり、現実可能な高速化をどういうふうに図っていくかというところになりつつございます。もちろん将来的には新幹線構想などもあるわけでありますが、まずは今できることをやっていかなければならないところでございます。
これにつきましては、斉木会長を初め3県の議員の皆様が議連をつくられまして、JRともいろんな協議、働きかけをされておられますことに感謝を申し上げたいと思います。その議連のほうでのJRさんとのいろんなお話し合いの中でも、どうも年末ぐらいに空気が変わったというようなお話もございました。それから、私も正月早々に実はJRの米子のほうに参りましたときにそうした風向きの変化というのを自身で感じることもございまして、それでお願いをして急遽でありますけれども1月26日にJR西日本の本社を尋ねまして、来島社長やあと真鍋会長、それから担当の方々を交えて率直なお話もさせていただいたり、我々から要請文を提出させていただいたりしました。中身としては、これは平成30年から34年までの中期の投資計画が策定される見込みなのですが、そういうところにぜひやくもの更新を盛り込んでもらいたいということ。それから、あわせて例えば米子駅の南北一体化を初めとしたそうした事業の推進とかデスティネーションキャンペーンであるとかいろいろとほかのことも含めて、お願いや相談をさせていただいたところでございます。
そのときにいろいろとこちらで地元の考え方も申し上げました。やはりお客様の快適な旅というのをつくっていくために、車両も新しくする必要があるのではないだろうか。これはある方から伺ったことをそのまま実は申し上げたのですが、やくもで乗って米子に着くころ、自動車でも酔わないのに電車で酔うというようなことを言われますよと。そうしたら結構向こうは受けていまして笑っていましたけれども、これは実は理由があるわけで、あちらもよくわかっているのですが、振り子式の電車になったわけですね。これは自然振り子式でございまして自然に列車が傾くわけでありますが、この傾いてカーブを回るときに減速を少なくすることができるのですが、それが例えばカーブを回り切った後でちょっと逆に振れたりすることがございますし、それからこの振れ方が必ずしも体のバランスと合わない形で振れていく。それがどちらかというとちょっと体調に影響を与えるということがございまして、実は最近の振り子式というのは制御付き自然振り子式と言われる、その振れ幅や振れ方をコントロールして、いわゆるハイテク技術も駆使しながらやるもので、他の振り子式電車でも導入されてきています。ですからそうした技術なども入れていけば大分その乗り心地は改善されますし、スピードの面でもいろいろと工夫もできようかと思います。
そのとき来島社長がどう言ったかというお話でございました。ある程度そのまま正確に申し上げれば、実はやくもの車両は60両くらいあったでしょと横の人に言いまして、そうですということでございまして、60両だとちょっと大変ですと。それを一遍にということはまず無理な数ですし、ただきょうこうして知事が来られたり地元のお話も伺いましたので、その必要性については十分認識をしています。ですから、段階的にでもそうしたことができるように検討させてくださいというのが額面どおりの言葉だったところでございます。
これからまだ中期の計画づくりが多分この春ごろが佳境になるのかなと思いますが、その中でぜひ盛り込んでいただけるように我々としても引き続き要請活動をしていきたいと思います。
来島社長がそのときにおっしゃっておられたのは、ただその車両の更新だけで済むかどうかということもある。やはり鉄道の高速化というといろんな工夫も必要ではないだろうかと思われ、今後地元とも協議しなければならないことも出てくるかもしれない。いろいろと今後も十分に
コミュニケーションをとらさせてください、こんなようなお話でありました。ですからすかっとやりますと言ったわけではないのですけれども、ただかなり前向きなお話にトーンが変わってきたかなと思います。
実は、新幹線車両の損傷という重大インシデントが発生したことがございまして、それで何を優先するかということでJR内でも議論があったのかもしれません。また、いずれにせよ地元のほうでも議会も動かれ、そして私も行ってまいりましたが、これはやはり大事なことだということで社長みずからも会っていただけたことにもなりましたし、私どもとしては期待をさせていただきたいと思っております。
◯副議長(福間裕隆君)29番前田議員
◯29番(前田八壽彦君)ありがとうございました。
かなり態度が変わられたということなのですが、耐用年数はもう来ていますから。それで60両で15往復ということで、この便数を減らすわけにもならないということも考えますと、3県、要は岡山県と鳥取県と島根県の大動脈であるということは事実でございまして、ふと思ったのは
スーパーはくとです。今、
スーパーはくとは御存じのとおり智頭線を通るときにはいいのです。JR線を通るときにはJRから車両使用料をいただいておるということで経営基盤が安定しておるのですけれども、例えば30両を3県で金を出してJRに貸す。あとは毎年使用料で返してくれと。こういうようなことをすればJR西日本が厳しい財政事情の中で案外乗ってくるのではないかなと思ったりするのですが、どうでしょう。思いつきで申しわけないですが。ですから、30両掛ける3億円で90億円を3県で均等に割ると30億円。それを貸して、10年ぐらいで年賦割で返していただくというようなこともできないのかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。
◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)前田議員から、重ねてお尋ねがございました。それも一つのアイデアだろうとは思いますけれども、この間、来島社長やあと真鍋会長も同席されていましたが、そのときの印象から申し上げれば、今の斉木会長を初め議連で推していただいている車両をJRとして再整備していただく。この方向性で我々もいろんな形で協力していくというほうが、スムーズに話が進むかなと思います。ただ、いずれにいたしましても結果が出なければいけませんので、結果が出るように今後も引き続き働きかけをしてまいりたいと思います。
◯副議長(福間裕隆君)29番前田議員
◯29番(前田八壽彦君)次に、感染症についてでございます。
しっかりと県の体制として整備をしているということをお聞きしまして、安心はいたしました。この冬も、今もですけれども、インフルエンザが非常に蔓延しております。A型インフルエンザというのはもともとが豚由来のインフルエンザということで、前はB型だったのですがA型になって、今、日本に入ってきてAとBになったわけであります。私が怖いなと思うのは、もともとA型インフルエンザもH1N1ということで豚由来のインフルエンザというのがこんなに蔓延しておりまして、症状もかなり厳しいのであります。事ほどさように感染症というのは隠れた存在ですけれどもいつ出てくるかわからないということで、平時のその対策が必要だとこのように思っておるわけです。
それでその訓練の中身を担当から聞きましたけれども、医療機関などと連携した訓練というのはされておるのでしょうか。実際起こったときの対応について、その問診が本当にタブレットでできるのかなと思ったりするのですが、いかがでありましょうか。
それと、先ほど言いましたように
新型インフルエンザというのはいつ発生するかわからないということで、現在は鳥の腸の中で体温が42度ぐらいの中でウイルスが育っておるということですが、人間の喉にまず取りつくのだそうです。人間の体温が34度ぐらいだそうでしてなかなか取りつくことはないと思われるのですが、何かの拍子で人間に取りついたときにはウイルスが凶暴化して非常に病原性の強いウイルスになる。こう言われておりますから、その新型インフルの怖さといいますか、おそれをふだんから県民に対して注意を呼びかけるべきだと思っております。
養鶏場の消毒と殺処分は、防護服を着てするのですけれども、なぜ防護服を着るのだろうかなというのが、私も今回勉強するまでは余りぴんとこなかったのですが、まさに鳥のウイルスが人間にさばりつくのを防護するためにああいう防護服を着ているのです。県民はその意味がわかっていないのではないかな。あれぐらい怖いのだよということをこれは広報すべきでないのかなと思っていますし、子供たちが野鳥の死骸にさわらないようなことも広報すべきでないのかなと思ったりします。
また、先般私のほうの常任委員会で宮崎ブーゲンビリア空港に行ったのですけれども、ボーディングブリッジのところに必ずマットが敷いてありました。やはりきちっと鳥インフルの対策を宮崎空港ではしておったのですが、ここらあたりもやらなければならないのではないかと思いますが、知事の御答弁をお願いします。
◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)前田議員から
新型インフルエンザ対策、さらに
鳥インフルエンザ対策につきまして重ねて具体的なお話をいただきました。
新型インフルエンザ対策は非常にやはりパンデミック、しかも今インフルエンザが非常に強力化したときにどういうふうに対応していくのか。幸い平成21~22年のときは弱インフルエンザでありましたが、今度は狂暴化したらどうなるかというのは全く変わってくるだろうと思います。
したがいまして、本県でもふだんからの備えをしているところでありまして、今、県内でもそうしたときに備えて400床ぐらい、年間予算でも5,000万円ほど取りましてそういう空床保証をして、いざというときは患者さんの感染が広がらないようにする。そういうことを進めているところでありますし、また10万6,000人分の治療薬の備蓄をし、22万人分のサージカルマスクとかそうしたものを配備し、かなり数としても大きく備えているところでございます。
ただ、それがうまく機能するかどうかというのは大事でありまして、この辺は幸い弱いものでありましたけれども、平成21年のときの経験もあり医療機関もある程度そこで学習したこともございまして、それをもとに医療機関も含めた訓練も行っています。また、子供たちも含めていろんな周知徹底をしていくことは大事であります。
あのとき経験をして皆さんも見ていただけたかと思うのですが、例えば感染力が非常に強いものですからやはり人が集まるイベントだとか学校だとか、そうしたところを適時閉鎖したり中止したりということが非常に重要であったりします。また、数が広がっていくわけでありまして、こうして患者の数が広がりピークを迎えてくるのですが、どこかでまたおさまってくるわけでありますが、この始まりを遅くし、そしてこの山を低くする、それから重症化を抑える、これが大事であります。
本県はかなり早いタイミングでいろんな手を打ったこともありまして、山の到達がおくれて低目になりまして、重症化率は当時は0.68、国全体で1.2を超えていたと思います。ですからかなり低目に重症化も抑えられた形になりましたので、やはりあのときにやったようにみんな総がかりで家庭や学校や職場も協力して進めていくということが一番大事なのだろうと思います。
流行が始まる初期の段階は結構病院も受け入れる余裕がありますけれども、もしこれがパンデミックで広がってきますと余裕がなくなってくるので、重症患者以外は家で療養してもらうことが見込まれるようになります。その辺のさばきをどうするかとかいろんな課題もある中でありますので、やはり訓練をやることは重要であります。
さっきそうした症例の判定だとかそうしたいろんなタブレットの活用などのお話もございました。医療機関とも毎年訓練もしていますが、その精度をさらに高めていって実効性があるものにし、また住民の皆様にもその状況をよく知っていただけるようにしたいと思います。
また、
鳥インフルエンザはその前提となるような話でありますし、あわせて家禽類に大変な被害をもたらし、産業面にも大きな影響を与えます。したがいましてこれにつきましてもいろんな対策をとらさせていただき、現在では中国5県での連携をしようということにさせていただき、例えば出動する場合の人の資源とか防護服だとか、そうしたものの情報等々を5県で共有するようにし、実は鳥取県がそのセンターに今なっています。
また、周知徹底のことでも野鳥が死んでいたらさわらないとか、それから関係部局に通報していただくということを徹底しておりますし、特にそれをメディアの方々にも報道していただけるようにいろいろと御協力をいただいたり、ニュースとしての工夫を我々もさせていただいております。幸いそういうこともありまして、
鳥インフルエンザが発生したとき県内で死んだ鳥についての通報件数はやはりぐっと上がりますし、学校での通報も出てきております。ぜひこの辺も徹底していければと思います。
あと防疫体制のことでありますが、これは鳥取県も当然ながら対策をとっております。例えば境港でDBSクルーズフェリーであるとか、韓国からお客さんがやってきます。また米子鬼太郎空港、これも海外からのお客さんがやってきますし、鳥取空港もチャーター便でやってくる。中には感染地域もあるわけです。したがいまして、そういうところでは消毒マットを置いたり、そうした防疫体制を本県としてもとっております。
宮崎ブーゲンビリア空港に行かれたということでありまして、そこで防護マットがあったのに鳥取空港はないなというお話ではあるのですけれども、実は国際線だけ我々はやっているのですね。宮崎の場合はかなり深刻な事件がありまして、家禽類、これは口蹄疫も含めて家畜が相当やられました。そういう意味で、あそこは国内便も対象にしてやっているということであります。本県は今のところそこまでの防疫措置はとっておりませんけれども、当然ながら流行状況によってはそこは機動的にやっていかなければならないと考えておりまして、肝に銘じてまいりたいと思います。
◯副議長(福間裕隆君)暫時休憩いたします。午後の本会議は、1時より再開いたします。
午前11時57分休憩
────────────────
午後1時00分再開
◯副議長(福間裕隆君)再開をいたします。
引き続き代表質問を行っていただきます。
29番前田議員
◯29番(前田八壽彦君)(登壇)4番目の鳥取県の元気づくりに向けてからを質問いたします。
4、鳥取県の元気づくりに向けて。
1、今後の民間活力導入のあり方について。
今年7月に、県営鳥取砂丘コナン空港でコンセッション方式による運営が始まる予定です。やるからには民間の創意工夫を最大限に活用し、空港の利用促進や空港を拠点としたにぎわい創出が一刻も早く実現することを期待しております。
また、昨年から県立美術館へのPFI導入や企業局水力発電所、天神川流域下水道へのPFI、コンセッション方式の導入などがたびたび議場で議論されるなど本県においても民間活力導入に向けた議論が活性化していますが、空港を初めとする住民生活に直結し安全性と継続性が最優先される施設については、しっかりとその担保がなされるように今後の作業を進められることを期待しております。
さて、一般的に美術館などの集客施設のPFI導入については、その事業規模にもよりますが民間事業者に設計、建設、その後の維持管理を任せることでそのノウハウを生かしたサービス向上や建設コストの縮減が図られることが行政にとっても大きなメリットであると言われております。
県では、西部福祉保健局の移転新築を民間活力の導入によって進める方向で検討しておられます。従来、県の直営事業では起債によって資金を調達してから発注していましたが、PFIは民間事業者が調達することになります。結局分割払いする点は同じですが、PFIの導入でコストが圧縮されるのであれば、例えば改築を先延ばししている畜産試験場の本館での導入や、そのほかの老朽化が進んでいる庁舎、県営住宅等への導入を前向きに検討することが必要ではないかと考えますが、知事の所見を伺います。
2、産業人材の確保と育成について。
本県経済は、
リーマンショックや鳥取三洋電機等中核となっていた電機・電子企業の再編、撤退、さらには公共事業費の減少等により大きく落ち込んでいました。しかし、政府の経済対策や県による成長分野の戦略的な企業誘致、
中小企業支援などによって回復の兆しが見え、雇用情勢も改善しています。
一方、経済の回復基調に伴い、本県の構造的な課題となっている若者の県外流出、生産年齢人口の減少、さらには企業が要望する人材の不足等によって県内企業における人手不足感は高まっており、人材の確保と育成が喫緊の課題となっております。
平成27年における県内高校生の県外進学者数は2,464人となっています。また、本県出身者が多い県外45大学への進学者のうち、昨今のUターン率は32.8%とのことであります。積極的な働きかけによって、郷土の企業への就職を促進する必要があります。
さらに、県内の大学等、高等教育機関卒業生の県内就職率の低さも問題であります。私は、高校、大学を卒業して就職活動を行っているいわゆる既卒生とお話しする機会が多くありますが、働くことの意味や働くためには技術や資格が必要なことをわかっていないなど、しっかりとした人生の目的を自覚していないのではと痛感しております。特に、高校生の在学者のキャリア教育を促進する必要があります。
また、本県の労働生産性は全国最下位と低迷しております。労働生産性の低さと賃金の低さとは密接に関連しており、労働生産性を高めることで企業収益が高まれば労働者の賃金を上げることで収益の分配につながることは自明の理であります。
第4次産業革命の急速な進展は著しく、この流れに乗れない企業は撤退を余儀なくされる情勢とも言われております。
企業内部での人材育成でございますが、先般、鳥取商工会議所からもお話がございまして、中小企業ですので一つ一つの企業で一から十まで研修がなかなかやりづらいと。入社式もこれありでありますが、入社式から始まって研修のプログラム、例えば接遇であるとかいろいろとやっていくのは大変だと。それで、コンソーシアムをつくって官民協働でできないかというお話がありました。これは早速そうしたことでのプラットフォームをつくらせていただき、商工会議所とか、あるいは県だとか、関係先も入って協働での研修運営だとかプログラムづくりなどを手がけてみたいと思います。そういうようなことで、企業内部での人材育成も図ってまいりたいと思います。これはもちろんポリテクセンターや県の研修機関の活用、それから職業能力開発総合大学校なども束ねて進めていきたいと思います。
米の輸出についてでございますけれども、これもまだ本県はわずかであります。現実には香港のイオンに持って行っていまして、キヌヒカリが、正直な話、岡山のお米よりは割と取引もよく出ました。ただ、問題は県内の生産体制でありまして、米については輸出するほどつくっていないと。梨やスイカは割と輸出もロットがとれるのですけれども、米はなかなかとれない。ただ、そういう中でも、そうしたきぬむすめなどの実例もでき始めましたので、これをまた関係先と協力して広げていければと思います。
あと、先ほど東洋ライスのお話を申し上げましたが、東洋ライスさんは今シンガポールで、金芽米のシリーズで健康にいいお米として結構向こうでのマーケットをとり始めています。ですからJA鳥取いなばがそことつながっていくことで、そうした輸出米についての流れもできるかもしれません。議員が長い目で見て考えろということでありましたが、そうしたことを地道に年々積み重ねてまいりたいと思います。
最後に、大山の登山道についてでありますが、夏山登山道、私も登ったときに思いますが、確かにちょっと足の長い人向けの部分がございまして、なかなか頑張らないと上がれないところもあります。ですから、そこをどうするかということですが、丸太の階段、これを活用できないかというのは一つのアイデアだと思います。今、実は登山者、関係者と細部を詰めていまして、どうやったら登山道を整備できるか、これはトイレの問題も兼ねておりますけれども、そうした夏山登山道の整備、これを平成32年度に供用できるように今頑張って進めているところでありまして、今の丸太のアイデアもぜひ取り入れさせていただき、登りやすい登山道を整備してまいりたいと思います。
◯副議長(福間裕隆君)29番前田議員
◯29番(前田八壽彦君)本日は、長時間にわたってありがとうございました。
知事と私たちの任期はあと1年となりましたが、県政の課題は次々と浮上してまいります。引き続き車の両輪としてしっかり頑張っていきたいと、このように思っております。
また、6年ぶりということで、うちの会派の皆さんに御配慮いただきまして質問の機会をつくっていただきました。最後になりましたが、お礼を申し上げて終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
◯副議長(福間裕隆君)本日の議事日程は全て終了いたしました。
これをもって散会いたします。
午後3時04分散会
────────────────...