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  1. 鳥取県議会 2018-02-01
    平成30年2月定例会(第8号) 本文


    取得元: 鳥取県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-07
    ▼最初の箇所へ        午前10時00分開議 ◯議長(稲田寿久君)ただいまから本日の会議を開きます。  本日の議事日程は、県政に対する一般質問並びに議案に対する質疑であります。  それでは、議案第1号から第21号まで及び第32号から第92号までを一括して議題といたします。  これより、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。  20番内田隆嗣議員 ◯20番(内田隆嗣君)(登壇、拍手)皆様、おはようございます。会派自民党内田隆嗣でございます。  本日は、我が会派所属議員4名が登壇し、県民が未来に希望を持てる鳥取県を目指してを共通テーマに、県政の主要施策について、それぞれ質問をさせていただきます。  先日以来、森友学園に関して中央政治が停滞している状況を憂慮しつつ、まず当初予算編成と県政課題の解決に向けて質問をいたします。  平井知事3期目の最終年である平成30年当初予算が上程されました。当初予算は、後述する基本姿勢に基づいた編成をしたとの説明でありました。  まず、日本経済は、雇用・所得環境に改善が見られるものの、個人消費は力強さを欠く状況にあり、米国トランプ政権の経済・金融政策の動向など外的なリスク要因も多く、またTPP11、日欧EPAの発効など、日本を取り巻く状況は激しく変動しております。  政府では、人づくり革命の推進、生産性革命の実現に向けた設備や人材への投資などを重要な政策課題として位置づけ、経済再生と財政健全化の両立を実現する取り組みを引き続き進めようとしているという背景のもと、鳥取県としては、このような動きに機敏に対応しながら、鳥取県中部地震からの「福興」を着実になし遂げるとともに、地方創生の取り組みの推進や経済・雇用の安定、安心安全な暮らしの実現など、県政の諸課題の解決に取り組んでいくこと、TPP11、日欧EPA発効に向けた対策、働き方改革を初めとする現下の課題への対応も含め、県政の諸目標の着実な実現に向けて、機動的かつ効果的に政策を展開していくことが求められるとしています。また、平成30年度地方財政計画については、一般財源総額については地方税の増収を見込み、前年度を上回る水準が確保された一方で、地方交付税歳出特別枠が廃止されるなど、臨時財政対策債を含めた実質的な地方交付税は大幅に減額されることになり、鳥取県においては県税収入で約23.9億円の増収を見込むものの、地方交付税臨時財政対策債を合わせて約56億8,000万円の減収を見込むなど、前年度と比較すると約107億9,000万円の実質的なマイナスとなり、地方交付税依存度が高い本県財政に与えた影響は甚大で、鳥取県中部地震やたび重なる雪害などの災害対応による財政収支が大幅に悪化したことと重なって、予算編成における制約をさらに高めたとしています。以上が平成30年度予算編成の背景の説明でありました。  このような中で、平井知事鳥取県政を託された12年間をどのように総括し、今後どのような鳥取県の展望を持ち、どのような未来を想像して3期目最終年の予算を編成されたのかお聞かせください。  今年度の予算編成のキーワードは、知事が何度も使われるフレーズの14カ月予算編成という考え方、つまり、29年度の2月臨時予算171億円と30年度当初予算3,386億円を合わせて3,557億円を実質の当初予算とするものです。TPP11関連等、国の29年度補正予算を最大限に活用し、有利な財源を探し、先にとれるものはしっかりとるとの予算編成に対する姿勢を明確にすることで実質の予算額を確保されたことは、大いに評価するものであります。  実際に、TPP11関連の国補正予算を最大限に利用することで、本来は30年度で計上する予算も29年度補正で編成し、30年度予算の枠に余裕を持たせる、完全に攻めの予算編成になっています。  また、同時に公共工事についても29年度補正と30年度当初を合わせて600億円を超える予算編成をされ、500億円の堅持どころか20%増の予算を編成し、合わせて300億円の財政調整型基金の堅持、30年度当初予算ベースでの借入金残高3,000億円以下、当初予算ベースでのプライマリーバランスの黒字化という財政誘導目標に掲げた3項目を達成されるなど、知恵を絞って予算を編成されたことに対しても評価するものであります。  一方で、若干強引でもあり、国の補正の動向に左右されるアクロバティックな予算編成に見えるため、30年度以降の財政見通し財政運営について、多少なりとも心配するものであります。平井知事は今後の鳥取県財政をどのように俯瞰し、どのように導いていかれるおつもりか、御所見を伺います。  平井知事が平成19年に就任されてから12年間、当初予算は3,300億円から3,500億円で推移し、プライマリーバランスを意識した健全な財政運営がなされ、県財政は全国有数の健全財政です。時代背景はいろいろあったと考えますが、県当初予算が3,000億円を超えたのが平成2年、西尾県政のときであり、退任された平成10年が4,400億円と1.5倍になり、前任者の片山県政の1期目、平成13年の4,626億円でピークを迎え、1期目の平均が4,500億円を超える予算編成であります。2期目も平均で4,000億円を超え、基金も激減していました。財政運営平井知事片山知事では対照的に映るわけですが、4,600億円が3,300億円になったにもかかわらず、そんなに変わっていないような実感値であります。  実際、片山県政では、公共事業のピークが1,200億円で、やめるときが750億円であります。平井知事が就任されたときは670億円で、12年後当初で600億円です。基金残高も300億円強で、ほぼ変わっておりません。鳥取県民が平井知事の行政運営を評価しているのも、このような数字の裏打ちがあるからではないでしょうか。雇用に関する数字を見てもそうであります。  一方で、唯一、平井知事をしても解決していない課題が、人口減と若者の流出という課題です。平井知事は、この大きな課題に対し、どのような展望をお持ちでしょうか。また、30年度当初予算にどのようなエッセンスをちりばめられたのか、平井知事の御所見を伺い、登壇での質問といたします。
    ◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)内田隆嗣議員一般質問にお答え申し上げます。  財政問題を中心にしまして何点かお尋ねをいただきました。  まず、県政を託され12年間になろうかというところでありますが、どのように総括をし、そしてどのような未来を考えながら3期目の予算を編成したのかと、こういうお尋ねでございます。  これまで12年間でいろんなことに挑戦をしてきたところでございますが、やはり、いわば立ちおくれた部分をキャッチアップすることで、何とかほかの地域と競争をし得る土俵に乗せようということから始まりました。そういう意味で、高速交通網のことで申し上げれば、飛行機の便を香港便等も獲得をしたり、それからまた高速道路につきましても、平成18年度は供用率30%を切っておりましたが、今、鳥取西道路の全線開通が見えてきましたけれども、もし鳥取西道路が開通すれば、供用率が75%、4分の3になるということであります。これは、県政の構図が全く変わってくるということになります。そうしたことなど、まずは基礎的な条件を整えていくことから始めまして、産業の活力を興していく。これは、残念ながら、リーマンショックや大規模な企業の事実上の撤退等、非常に厳しい状況は続きましたけれども、新しいジャンルの産業を引き込んだり、特に、内田県議からもたびたび御指摘いただいておりますような経営革新等、中小企業の振興に力を入れるという、他県にはないやり方をしながら雇用をふやしてきて、現在では1倍を超え、1.68倍というところまでやってきました。  また、そうした中で、農林水産業についても従来とは違った風を吹かそうと、新しい特産物等を投入したり、また、林業で言えば路網整備であるとか、そうしたいろんなことにチャレンジした結果、農林水産業のほうも元気を今、取り戻しつつあると思います。それとあわせて住民生活のほうの安全安心をかち取ることが大切でありますが、残念ながら、鳥取県中部地震や多くの災害に見舞われたところでございました。  しかし、今も議員のほうでお話がございましたように、小さな鳥取県であるからこそ、早目早目の対応をする、それから、前例にとらわれずに対策をとっていく。今回の県議会のほうにも提出をさせていただいているところでございますけれども、私どものほうで災害ケースマネジメントというべき新しい手法を導入しようとか、あるいは一部損壊の住宅に対する制度の創設であるとか、さまざまなことを導入してまいりました。そういうこととあわせまして、議員のほうでも大分御指摘もありました子育て対策、これについては全国の中でも最先端を切るような施策を投入し、あるいは障害者福祉の観点でもあいサポート運動手話言語条例など、ほかにはない事業を始め、今ではこうしたトレンドが全国に広まっているということになってきております。同時にいろいろとそうした安全安心の基盤を図っていくことに力を割いたということではないかと思っています。  こういうことを立て直していく、県政の流れを変えていくために県政の改革に取り組んだわけでありまして、財源が乏しい本県でありますので、カイゼン運動を推し進めたり、また、さまざまな事業の創意工夫を凝らさせていただいたところでございました。これは県民の共同参画を得ながらやってきたところでございまして、その辺が今回、国のほうで森友学園問題のお話が冒頭ございましたが、ああいうこととは一線を画しまして、むしろ開かれた県政、県民参画基本条例を制定し、県民の皆様の参画のチャンスというのを広げた県政、このようにさせていただいた中でつくり上げてきた土俵でございました。  こんなような形で12年間を歩んでこれたのも皆様のサポートのおかげであり、ともに走っていただいた、歩んでいただいた、そして力を発揮していただいた、その成果でありまして、議場にいらっしゃる議員の皆様とともにつくってきた12年間だと感謝をしているところでございます。そういうようなことを総括しながら、どういうふうに今後を考えて、展望を開くような予算づくりを考えていくかということでございます。  残念ながら、なかなか今シーズンは厳しかったところでありまして、交付税が50億円以上減ることが見込まれるなど、非常に何かをやるには厳しい状況であったわけでありますが、そこは2月補正を活用することによりまして、大幅に補うという形になりました。それで、例えばハード的な事業も、こういうときは非常に減速するものでありますけれども、むしろ、2月補正を入れれば2割ほど伸ばすぐらいになりました。いろんな事業がございますけれども、典型的には境港の漁港の衛生管理施設高度衛生化事業でございますが、新しい市場をつくるため、このたびは42億円計上をしているところであります。あるいは江府道路、この地域高規格道路関係で8億円、さらに米子道路の4車線化に向けました関係で2億円余り等々、いろんなハード対策についても意を用いさせていただいたところでございます。あるいはCLTの新工場をオープンする経費でございますとか、あるいは大山満喫プロジェクトでございますとか、そうしたことなどを今回の予算に計上させていただいているところでございます。  それで、議員のほうから重ねて、鳥取県の財政をどういうふうに俯瞰し、どういうふうに導いていくのか、さらには30年度当初予算にある人口減や若者流出対策、そうした課題に対してどういう対応をとっているのかとお尋ねがあったところでございます。  財政の見通しは、正直申し上げて、不透明感がございます。ただ、平成31年に消費税の引き上げ、これに伴う地方の一般財源総額の確保が図られるでありましょうから、新年度予算は非常に編成が難しい中でも、平成31年度以降は別の風が吹けばというふうにも期待をするわけでございます。ただ、これも繰り返し議場で申し上げておりますが、税収増はかなり大都市部に集中します。それとあわせて大都市部も高齢化が進んできておりまして、私どもは高齢化先進県でありますから、先回りしてそうした事業をやってきましたが、大都市部も高齢化に差しかかってくる。それで、交付税のいわば需要額というものを膨らませまして、交付税の配分も都市部のほうに行きがちな傾向が出てきております。  ですから、非常にそうした意味で、本県が依存しております地方交付税やそれにかわる臨財債、こうしたものについて、どこまで期待が持てるのかということがございまして、消費税が引き上がることでの見直しの時期に、こうした地方の一般財源総額の配分に当たって、本県のような財政力の乏しいところ、税源の乏しいところに十分な配分がなされるようなスキームづくりが重要になってくると思います。これが新年度の一つの議論の焦点になってくるのではないかと思いますし、そのいかんによって本県財政の明暗も分かれかねないという危うさがございます。  そして、社会保障の経費等は膨らんでくるわけでございまして、必ずしもいい方向に行くわけではないかもしれません。ただ、そうした中でも、今まで財政努力をしてきた関係で、公債残高が減ってきている、それから、それに伴う公債費の支出減等も当面はあるわけでありまして、この辺が見込まれることは、一つのいい材料になってきている面はあるかなと思います。  正直申し上げまして、もう大分底を打ってきていまして、実は、臨財債の発行も膨らんでくるということもございましたし、それから、ある程度定常的な起債残高というのはあるわけでございまして、その辺の今、底を打ちかけているという状況でございまして、この後、大きくそこらが展開するかというと、なかなか俯瞰しがたいところがございます。  実は、いろんな工夫をしたり、あるいは財政の透明化を図ったりしてきたわけでございまして、財政規模自体は3,000億円台になっているように見えるわけでありますが、実は、以前の県政では、例えば商工融資等を、いわば歳入と歳出とをぐるぐる回すような形の融資、米子もやっているのですかね、そういうような予算の計上方法をやっておりまして、それで予算額の規模というのは膨らみ得るわけでございます。そういうことですとかさまざまなことがございまして、恐らく財政規模の本体自体、実質効果自体はそんなに大きく変わっていないはずだと思います。むしろ、財政余力を何とかつくろうとカイゼン運動をしたことなどを振り向けて、福祉系統や教育系統のほうに投資を回しているところがございまして、そういう意味では、むしろ財政影響は広がっているのではないかなというふうに思っています。  肝心なのは、私たちが次の世代にどういう県政を引き渡していくのかでございまして、そういう意味では借金をふやし過ぎないようにしなければいけません。以前の県政では、大体GDPとの比率でいきますと、2割を軽く超えるという規模でございました。そういう状態で引き継いだわけでありますが、現在では、この1~2年ぐらい、2~3年ぐらいですかね、対GDP比で20%を切り、18%、19%ぐらいの比率になってきています。そういうようなことを反映して、当初予算ベースでの公債費の支出は40億円ぐらいですかね、減額されるということになったわけであります。  ただ、ここらを恐らくキープしていくのが今後の財政における態度かなと思います。国もGDP比で見るというようなことをやっていますが、本県も基礎体力との関係で言えば、そこらが一つ焦点になるのかなと思います。これが今2割をようやく切れてきたところ、多分この辺が限界だと思いますので、この2割前後ぐらいをキープできるような形で持っていけば、余り深刻な財政負担につながらないのではないかなと思っています。この辺のオペレーションが可能な状態には来たと思いますが、さらに努力が必要だと思います。  公債費の支出でありますけれども、今年度は減りましたし、多分来年度も、また予算編成してみれば、計上額は減ってくるでしょう。しかし、恐らく32、33年度ぐらいになってきますと、もう極限まで行きまして、その辺からは、むしろ若干ふえる可能性があります。ですから、大分借金を減らすことで財政余力をつくることにはもう若干限界が来始めているということかなと思っておりまして、議員もおっしゃったように、これからの財政を見通したときに、今まで若干アクロバティカルにやってきた面はあろうかと思いますが、今後はそうした意味で、ぎりぎりまで努力してきた次はどういうふうに財政運営していくのか、そういう新しい姿を考えなければいけない時期に来たのかなと思っております。  そういう中、人口減や若者流出という課題がある中で、どういうふうに私どもとして予算を編成する努力をさせていただいたのか、今後についてどういうことを考えていくのかと、こういうお尋ねでございます。  現実から言いますと、大体2,700人ぐらい、2,697人の本来減るべきであったところから少し戻した形になって、今の人口の実数が出てきております。ですから、いろいろと議場で議論したことに基づいて、少子化対策移住対策に取り組んだことの一定の効果は2,700人程度はあったのかもしれません。  また、少子化対策にかなり先鋭的にやってきたこともございまして、例えば、米子市で言えば、合計特殊出生率1.87というようなかなり高いところに来ておりまして、それぞれの自治体ごとに見てみれば、有効に機能しているというようなところも出てきているかもなというふうに思います。そうした少子化対策でも今後考えていかなければなりませんのは、実際にお一人当たりの御夫婦がつくられるお子様の数、そうしたことでいくと、本県はかなり全国平均を上回ってきているところでありますが、残念ながら、生涯未婚比率というものは全国の傾向と同じように伸びてきておりまして、そういう意味で、出生数自体人口減少の局面にありますから、当然だといえば当然なのですけれども、それにさらに輪をかけるような形で晩婚化というものがきいてきているという分析があります。御夫婦になったときのお子様を持つ数から言えば、全国よりはかなり大きくなってきておりまして、つまり、少子化対策はきいてきていますから、御結婚されたとき、では、安心して子育てができるということで、そういうお子様をもうけられるということになってきているわけであります。  しかし、その前提のカップリングのほうが十分できていないという課題があります。ですから、えんトリーという事業がございますが、これをさらに強化していく、こうしたことが求められるなど、そうした対策が今後一つの焦点になっていくのかなと思います。これについては、例えばえんトリーの入会料を引き下げるであるとか、あるいは若者の皆さんにも協力していただいて、SNSの発信をやっていくとか、それから企業さんのほうにも呼びかけを強めていくとか、いろいろと対策を考えてみてはどうだろうかというふうに思います。えんトリーだけで全部をしょい切れるわけではなくて、大きな意味で、子育ての喜びとか家族を持つ幸せだとか、そうしたところをやはり多くの方々に共有していただく地道な努力が必要なのではないかなというふうに思います。  また、若い方々がこちらに定着するというのも人口減少少子化対策でも大事なことでございますが、例えば、新年度は普通科高校のインターンシップを導入しようというようにしておりまして、現在、学校当局と話し合いも進めさせていただいておりますけれども、倉吉西高校とか鳥取中央育英高校とか、そうしたところで取り組むというようなことが始まろうとしております。新年度にはこうしたことなど、少子化あるいは人口減少対策にも従来にない施策をいろいろと盛り込まさせていただいて、何とか局面の打開、そして状況の緩和を図っていければと考えております。 ◯議長(稲田寿久君)20番内田議員 ◯20番(内田隆嗣君人口減少と若者の流出についてですが、景気がよくなった実感がないとの声も県内あちらこちらで耳にします。また、子供の数が減って、地域に活気がないとも言われています。  人口と景気、活気は本当に密接に結びついております。昭和50年から59年までの10年間、鳥取県人口はふえ続けました。県のGDPを見ても、昭和50年から59年ですが6,671億円から1兆3,052億円と倍増しています。その後、2兆1,902億円になる平成8年まで伸び続けます。実は、人口においても平成8年ごろがピークであり、この年を最後に減り続けています。  片山県政では、平成11年の2兆1,931億円がほぼピークで、その後、退任時は、平成18年のことですが2兆935億円で、微減といったところです。なぜなら、人口はこの8年間で1万人減ぐらいで済んだからです。  同様に、平井知事の任期、平成22年から29年までの8年間で比較すると、この8年間で人口が2万3,000人以上、つまり、倍以上も減っているにもかかわらず、GDPは平成26年を直近値とすると1兆7,700億円台で推移しています。人口減の中、必死でいろいろ対策をしてこられたからこそ一定程度、県内総生産を維持することができたというのが事実であります。このことも評価されるべきと考えますし、人口においても、国が予測していたよりも人口減の幅はかなり小さいという成果が出ています。先ほど米子市の合計特殊出生率1.87という数字から見ても、平井知事が県政でやってこられた諸対策というのは実際にきいてきていて、成果は出ているというのは間違いないことであります。  しかし、それにも増して、予想よりも人口減の幅は小さくなっているとはいえ、人口減という課題があるというのは否めません。今後もその人口減という課題には対峙していかないといけないと思うのですが、再度、平井知事はこの人口減に対してどのように対峙していこうと思われているのか、御所見を伺います。 ◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)内田議員から重ねて人口減少、そして経済への影響につきましてお尋ねがございました。  人口減少は、人口オーナスとも言われるものでございまして、その分、やはり経済のパイを小さくする、そして成長を滞らせるという非常に悪影響があると言われています。特に若手の人口、この辺の働き盛りの人口の増大か減少かというのが影響するというように言われていまして、今、東南アジアなどで経済成長が著しいのは、逆にそうした世代における人口増があって、人口ボーナスのほうが働いて、プラスに作用しているからだとも言われています。  本県は、そういう意味で非常に大きなハンディキャップを負っていますし、日本全体の問題にもなってきているところでございます。ですから、これを正していくためには、自然減と社会減の両方に手を打っていかなければならないわけであります。そうした意味で、自然減のほうからいきますと、高齢化が進んでいますので、人口の構成が高齢者のほうが若者よりも多いという形になってきておりますから、ですから、残念ながら人口減少にならざるを得ない、それは現勢から卒業される方々がふえてくるわけでありまして、その辺がどうしても防ぎようがないところであります。そうであれば、むしろ子供の生まれるほうをしっかりと若い方々の希望に従って実現できるようにしていく、こちらが要になるわけでありまして、やはりそうした少子化対策のほうに重点を置いた政策をとるのがいいだろうと我々は考えてきました。最近、政府のほうも政府・与党でそうした見直しをしようと動いてきているわけでありまして、新年度に向けて、そうした教育だとか保育等についての公費負担も含めた改革が議論されると思われますが、その辺は私どものこうした状況にも作用して、きいてくるだろうと思います。  あと社会増減のほうでございますが、これも移住者は確かにふえてきまして、昨年度は2,022人、それだけ確保することができたわけでございます。しかし、逆に流出するほうの問題があるわけであります。そんな意味で、先般も鳥取短期大学さんと、地域の5つの高等教育機関、商工会、商工会議所等の商工団体、それから行政等が一緒になりまして、協定を結びまして、若者の定着であるとか、そういう地方の高等教育機関を活用した対策をとっていこうという合意をしたところでございます。こんなようなことを都市部の大学とも協定を結んだりもしながら、若者のUターンであるとか、それから県内大学を卒業した皆さんの定着、高校生の定着等を考えていくわけであります。ですから、先ほど申しましたようなインターンシップであるとか、あるいは若者自身によって鳥取の魅力を語っていただくような若者による広報レンジャーの創設であるとか、いろいろとそうした方面も対策をとっていかなければならないのだと思います。  多分、時間がかかるだろうと思います。一朝一夕には出ないことではないかなと思いますが、ただ、そこをやっていかないと、これからどんどん減少に歯どめがかからないことになりますので、対策はしっかりと臨機応変にとってまいりたいと思います。  それとあわせて、議員がおっしゃった経済への影響ということでございますと、本県の場合、かつて2兆円規模だったGDPが、それを割り込んできている。さらには、製造品出荷額ベースでも1兆円ベースから今は7,000億円ぐらいになってきている。それは、JTさんだとか、また三洋さんだとか、そうしたところが抜けた穴が余りにも大き過ぎて、こういう形になっている面があるわけであります。  そこで今、これを取り戻そうということで、もちろん人口増を待つという手もあるかもしれませんが、それの前提としても、そうした産業の活力をつくって、若い方々が生きがいを持ってここで暮らしていただけるような、そういう職場環境もつくっていかなければなりません。そういう意味で、精力的に中小企業の振興とか、また企業の誘致等も今まで進めてきておりますし、本社機能の拡充などもやろうということで、呼応する企業さんも、アシックスさんであるとか、いろいろと出てきたところでございました。  現状を申し上げますと、例えば宇宙航空機系であるとか、あるいは医薬品系であるとか、そうした新しい企業の立地があって、倉吉のモリタさんとか、そうしたもので、恐らく今後、製造品の出荷額が出てくるだろうと思われます。  さらに、今、交渉しているところでありますが、これから近々まとめていこうという中には、鶴見製作所さんという米子のポンプの会社がありますけれども、こちらのほうもいろいろと我々のほうでもタイアップしながら、雇用の受け皿として拡張していただけるように働きかけもしてきたところでございますが、南部町のほうに鋳型の鋳造の砂型成形の研究機関を設けることなどの計画をつくってきているところでございます。  あるいは米子と日吉津の間にまたがる、これは王子製紙さんでありますけれども、こちらでも従来のパルプから紙をつくるというだけでない、新しい展開をしようと。これも本社のほうに我々もかけ合いに行きまして、いわば素材型の産業に展開をしていくという後押しをさせていただきました結果、このたび溶解パルプという素材を使って、これをもとにして、例えば、着る物、衣料の材料を生産する等、そうした展開を図ろうと、そのための設備の増強を図ろうというようなことも、ここに来てようやく出てきたところでございます。こうしたことなどを入れていって、何とか3,000億円といったような穴を埋めていくことができれば、1兆円の製造品出荷額に戻り、それの掛け合わせの中で、2兆円の実質GDPの回復も道筋に入ってくるということだと思っております。  そうして、先ほど50年から59年ごろの人口増の時代がございましたけれども、ちょうどバブルに向かっていったような、いい時代だったと思います。そういうようなところまでは現実はできないかもしれませんが、産業の活力というものが、大きな穴があいたところを埋めていくことで、それで将来的な人口増の、いわば、いい圧力になっていけばと考えております。 ◯議長(稲田寿久君)20番内田議員 ◯20番(内田隆嗣君)追及質問を続けさせていただきます。  知事が目標に掲げられている数字というのは本当にわかりやすいなというふうに思いました。先日、野坂議員の一般質問でも議論がありましたが、やはり県内GDPというのは県内生産年齢人口の増減に直結してきたりします。ちなみに、これは常任委員会資料なのですけれども、これはあくまでも人口予測ですが、2015年、32万5,107人ぐらいいた生産年齢人口は、高齢化が進み、2020年の時点では30万人ぐらいと予想され、2030年の時点では26万5,000人、そして2040年、22万6,000人と、かなりの勢いで減っていくことが予想されています。  一方で、先日来、議論のある農業生産高1,000億円ということを考えてみますと、大体今2万6,000人ぐらいの就業人口がいます。それで割り戻すと、大体1人当たり220万円から230万円の生産額になると思います。例えば生産年齢人口が10年後に2万6,000人が1万5,000人になっていった未来を想像すると、1,000億円という額は、単純計算ですが、1人当たり666万円ぐらいの農業生産高になります。つまり、何が言いたいかというと、労働生産性を引き上げていくということが県内GDPの維持には間違いなく必要なことであるということであります。  ここについてですが、これはどの分野にも当てはまっていまして、あらゆる分野でその生産性を向上させていかないと、先ほど言われた2兆円を目指すとか、現状の1兆7,000億円の維持であるとかということは、非常に難しい課題になります。人口減が進むということは間違いありませんし、労働生産性が上がらなければ、順次下がっていく未来というのが今後の未来だと思います。  ですから、そこにしっかりと焦点を当てて取り組んでいただきたいなというふうに思うわけですし、これも野坂議員の議論で少しありましたけれども、生産年齢人口というものの考え方自体を改める時期に来ているのではないかというように思います。70歳でもしっかり働ける人は働けるということを考えたときに、いわゆるその健康年齢までしっかりと働ける環境というのを整えていくことも一方で重要なのかなというふうに思いますが、そのあたりの生産性の向上や生産年齢人口についての考え方等、知事の御所見を伺えればと思います。 ◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)内田議員から重ねて労働生産性等につきましてお尋ねがございました。  例えば、農業で言えば、やはり付加価値を上げていくということが大切であります。そういう意味で、収益性の高いものに植えかえをしていく。従来、20世紀梨づくりという、一つの私どもの作付文化があったのだと思うのですけれども、それを打ち破ることが難しい中で、新甘泉などを植えかえていくと、それによって所得を上げていく、それで労働生産性というものが上がってくる。牛などは特にそうでありますが、今、非常に農家のほうも活気づいている。かつては子牛の価格は20万円だとか、そういうようなときもありましたけれども、今は全く時代が変わって、100万円を超えるようなこともざらにあるというようなことになってきました。ですから、それだけ収益性も高まってきているわけであります。  先ほどトータルでの764億円のお話がございましたけれども、実は、兼業農家的に、本業もあった上で農業もやっているという方々もいらっしゃいます。ですから、大事なのは、それだけで食べていくような、それで収益を上げているような方々が本当に暮らしていけるかどうかというところがベースラインでございまして、これを確保していくのが大切であり、そうした意味で、農林水産業の政策の転換というのを今、我々が取り組まなければならないと考えているところであります。  また、商工関係でも話は同様なのだと思いますが、やはり成長していくような産業をつかまえてこなければいけない。その意味で、構造転換を図るために、それに対する挑戦を支えるような経営革新を応援したり、企業を誘致するに当たりましても、そうした新しい産業構造に転換していくほうを優先させていただいたりということでやってきたわけでございますが、ここに来て、人手不足が問題にもなってきました。働き方改革については、その支援センターを新年度に設置しまして、県立ハローワークと一緒になって掘り起こしあるいは職場環境の改善を進めようというふうにしているところでございまして、例えば、高齢者の方も、そういう意味では十分戦力にもなり得るわけです。  ただ、高齢者の方の実情を伺っていますと、大もうけしようとは思っていないというところでございまして、むしろ、生きがいとして働いていくということを求めておられる方がどうも多いようでございます。そうすると、無理のない職場環境というのが大事になります。それの橋渡しをやっていくということがだんだんわかってきたところでございまして、そうしたことなどを進めていくことによりまして労働力不足を補ったり、また、生涯にわたっての活躍の場の確保につながると思われます。  また、女性の働き方改革等も大切なテーマでありますが、本県は、幸いにしてM字カーブのへこみが解消されてきております。この辺は子育て環境を整えるということが作用した面も大きいのではないかなと思われますが、そういうようなことなども進めることで労働生産性というのを上げていく、そうした道筋をつけてまいりたいと思います。 ◯議長(稲田寿久君)20番内田議員 ◯20番(内田隆嗣君)労働生産性の向上、つまり、1人当たりの所得の向上ということなのですけれども、所得の向上が図れれば、人口減に対して本当にてきめんの効果が出てくると思いますので、ぜひそのあたりをしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  そして、最後の質問にしますが、今度は逆に、いわゆる今あるストックをどうしていくかという議論です。  今あるストックというものの多くは、20年前、30年前もあったようなストックです。そのころというのは、大体人口増もピーク、GDPもピーク、20年前といったら98年ですから、96年がピークだとしたらそれぐらいになります。つまり、そのころの高校生の人口は、今の出生者数の倍ぐらいいた時代です。  つまり、これは、例えば高校の定員の話にもつながりますし、さまざまな県内のストックの話にもなるのですけれども、今、ゼロ歳の子たちの人数というのはもう決まっています。それをベースに高校、15年後、20年後にどれぐらいの定員がいるかというのは、もう明らかに需要予測が可能です。それを考えたときに、現定員を維持していくのか、8対2の公立と私立の割合を維持していくのかというのは、もうずっと在り方検討の中で議論をされているところですが、ある種、決断を出していかないといけない局面になっていると思います。前回の在り方検討の中では、学校減ではなくて学級減で対応するということでしたが、それもなかなか難しくなっていく未来というのがここ10年ぐらいで決まっていくことだと思います。このあたりについて、どのように人口減に対してストックを維持していくかということ、何を残していくのか、選択していくのかという大枠での考え方を知事にお聞きして、最後の質問とさせていただきます。 ◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)内田県議から重ねて人口減とそれから学校教育についてお尋ねがございました。この辺は、本来教育委員会のほうでお答えいただいたほうがよいのかもしれないなと思います。  私学との関係でいいますと、今、実は、子供たちが減っている局面ですから、私学のほうは経営もかかってくるわけでございますし、それぞれ独立した一校一校でありますので、公立高校でありますと、全体の中で教員人事をやったり、いわば地域丸ごとで経営するところがありますが、私学の場合はなかなかそうはいかないところはございます。そういう意味で、大体8対2ということを基本にこれまで定員の分け合いをやってきたわけでありますが、当然ながら、その辺が絶対のものではございませんで、子供たちの実数に応じて、また改めてそうした校長会であるとか私学協会であるとか、そうしたところとも今後は議論していくべきものだと思います。  最近の実情からいいますと、私学でも、例えばスポーツで活躍している学校であるとか、それから特別進学クラスをつくって努力をしたり、あるいは送迎のバスを出したりして、広域に生徒さんを集めてこられる、そういう学校は非常に堅調でありまして、経営もそうでありますけれども、入学されるお子さん方も確保されているところがございます。ただ、片方で、なかなかそういう経営に至らないところもあって、何とか改善をしようとして奮闘されているところもございます。  ですから、学校学校によって処方箋は違うのだと思いますけれども、その経営のやり方について、将来の子供の数をにらみながら、どういうような教育がこれから求められているのか、地域に必要な姿なのか、この辺をそれぞれの学校でも考えていただき、本県は全国でも一番高校補助の大きなところでありますので、そうした私学助成の制度も活用していただきながら応援をしていくことになろうかと思います。  公立高校のほうにつきましては、相対的な計画をつくりながら、学校のあり方あるいは学級の数のあり方、これを議論してきているところでございまして、その次の段階の計画づくりになってまいりますと、また今よりも深刻に、お子さんの数が減ってくるということが見えてくるだろうと思います。その辺で、では、どういうようにそうした高校等のあり方を考えるのかは焦点になるかと思います。  そういう中で、島根県がやっているような山村留学であるとか、そうしたタイプのお子様の需要というものを引きつけられるかどうかというのも、またそれに合わさった課題としてクローズアップされてこなければならないのだと思います。  この辺は、今、日野高校あるいは岩美高校などで独自の取り組みも始まってきていますが、残念ながら、今回の競争倍率を見て、そこが十分機能しているかどうかというのはまだわからないところだと思います。この辺は頑張っておられる方々もいらっしゃるのですけれども、なかなか学校当局とかみ合っていないとか、いろんな声も聞こえてくるところでございます。  ですから、そうしたことも含めて、教育委員会のほうで今後、高校のあり方について、慎重に、そして発展的な議論をしていただくよう、我々執行部としても応援してまいりたいと思います。 ◯議長(稲田寿久君)7番藤井一博議員 ◯7番(藤井一博君)(登壇、拍手)県民が未来に希望を持てる鳥取県を目指して、私は、地域包括ケアシステムと消防体制の2点について質問をさせていただきます。  まず、地域包括ケアシステムについて伺います。  平成30年度は、大いなる変革の年であり、医療、介護を取り巻く動向は、国においては6年ぶりの診療報酬改定と介護報酬改定が同時に行われます。また、県においては、医療では、鳥取県保健医療計画が策定され、介護では、第7期鳥取県老人福祉計画及び鳥取県介護保険事業支援計画が策定され、いずれも初年度を迎えます。これらの改定及び諸計画は、期間の長短はありますが、いずれも団塊の世代が全て75歳以上となる2025年を見据えての計画となっております。そのとき県人口は52万6,000人、うち65歳以上の高齢者人口は18万人と予想されます。また同年75歳以上の高齢者数は10.5万人となっております。これら高齢化の進捗は、都市部が中心になると予想されております。  このような状況のもと、医療においても介護においても患者や要介護者が住みなれた地域や自宅での療養や生活ができるように制度が進められています。国などの考え方の背景には、医療費や介護報酬の大幅な抑制施策が見られますが、私は、人として、住みなれたところで、家族や知人に囲まれながら一生を過ごしていくという考えは理解いたします。  制度の動機はどうあれ、今後在宅への移行が進むことは確実で、これからは生涯を通じて地域での生活が可能となるような地域づくりが必要であります。その基本は、地域包括ケアシステムの構築であります。このシステムが完全に完成して機能しないと、多くの構想が中途半端に終わってしまいます。県においては、第6期鳥取県老人福祉計画等を鳥取県地域包括ケア推進計画として位置づけ、また28年に策定した鳥取県地域医療構想の中でも病床機能の分化等を進める中で、鋭意取り組みの支援を推進してきました。  そこで、県内の市町村の地域包括ケアシステムの構築の状況として、地域包括支援センターの整備と地域ケア会議の普及が現在どこまで進んでいるのか知事にお尋ねいたします。  次に、かかりつけ医についてです。  県内の在宅医療提供体制によると、医科の診療所数は508カ所で、そのうち在宅療養支援診療所が77カ所、訪問診療を行う診療所は164カ所となっております。今後の在宅医療の増加による需要の増大に対して、この診療所の数が具体的に十分であるかどうか検証する必要があると思いますが、検証はされているのでしょうか、平井知事に伺います。  次に、訪問看護ステーションについてです。  現在、県内の訪問看護ステーションの数は57カ所です。在宅医療を支えるのがこの看護ステーションでありまして、求められるのは、24時間365日体制であります。しかし、統計によると、6割しかこの体制が整備されておりません。  保健医療計画の中では、スタッフの負担が大きい、コスト面に問題があるなど困難性が示されておりますが、早急な対策が必要であると考えます。今後の在宅医療を支える訪問看護ステーションの数は、県内でどれぐらい必要となるのか、試算されていたら教示願います。  次に、県保健医療計画の中で、診療所が在宅医療に取り組むためには、訪問看護ステーション等との連携が必要であるが、現在マッチングさせる仕組みがないということが課題となっております。第7期の老人福祉計画等では、県中部圏域において、ドクター&ケアマネタイムの作成等により具体的な地域連携の動きがあるようですが、診療所と訪問看護ステーションについてもこのような仕組みづくりが必要と考えますが、知事のお考えを伺います。  次に、みとりについてです。  高齢化の進捗は、別の面では亡くなる人が増加するということでもあります。厚生労働省の推計では、2025年に在宅医療を受ける人が100万人に達し、約10年間で1.5倍近くなるという数値が出ています。したがって、死者も2030年には約160万人となる推計であります。この現象を、報道関係では多死社会と表現しております。余り感心した表現ではないと思いますけれども、この現状は直視しなければなりません。  そこで、本県においても死亡する場所が問われます。本県のがん患者についてですが、平成28年度死亡数2,035人中、自宅での死亡数は348人、17.1%となっております。この割合は、手元にある平成23年以降、変化がありません。死亡場所では、病院が68.2%と高くなっていますが、今後は対応に限界が生じ、自宅など地域における死亡が増加していくものと予想されます。  そこで必要となるのが、在宅におけるみとりの体制です。地域包括ケアシステムの機能を高めるためにも、みとり医の確保は必要であります。現在の状況と今後の体制づくりについて知事にお尋ねいたします。  次に、超高齢化社会における消防体制について伺います。  団塊の世代が75歳以上となる2025年に向かって、地域社会の構造は、高齢者の独居や夫婦2人の所帯が増加していきます。また、これら高齢者の多くが医療、介護を必要とし、軽度の認知症患者も増加してきます。このような地域社会において必要なことは、安全安心の地域づくりであります。特に必要なことは、高齢者に対する防災対策であります。最近の新聞でも高齢者の住宅火災や火災に伴う犠牲者が目立ちます。犠牲者の多くなった原因としては、建材の問題もあると思いますが、まず、火の安全な取り扱いの知識、電池切れ等警報器の不備、消火器の使用訓練不足、近隣への連絡おくれなどが上げられます。  火災等に対処する自己管理が十分に期待できない状況に対応するためには、消防職員による支援が必要だと考えます。まず、消防による地域の高齢者情報の収集と情報に基づいた消防職員の継続した家庭訪問により、機器の点検及び家屋内の問題点の把握が必要であります。また、情報の収集に当たっては、地域包括センター、民生委員、地域防災リーダーなどの協力も必要です。住民密着の消防について、知事はどのように考えられるのか伺います。  次に、消防の広域化についてです。  国では、消防の広域化に関して、平成18年に市町村の消防の広域化に関する基本指針を示し、広域化を推進してきたところですが、25年には一部改正により期限を延長し、このたび再度2024年4月まで期限を延長しました。国内における再編が十分に進んでいないということであります。  本県においては、既に3消防本部に統合されていますが、この機会に3本部を統合し、1本部とすることを提言いたします。  その理由の1つ目は、各本部の規模についてであります。消防庁の基準では、管轄人口を30万人とする目標となっております。3本部について見ると、東部地区は22万9,000人、中部地区10万2,000人、西部地区23万3,000人となっており、いずれも30万人の基準は満たしていません。特に中部については10万人余りであります。人口規模が少ないということは、消防職員数を初め、機器など消防力が十分に整備されているとは言いがたいと思います。  理由の2つ目は、超高齢化社会に向けて、消防の広域化により消防力の強化を図る一方、効率化により余剰職員が地域に出ていって、高齢者を初め、住民に寄り添うことができると思うからであります。  理由の3つ目は、米子道、鳥取道、山陰道など高速道路の整備により、消防の運用が広域的になったこと、スマホに象徴されるように通信機器が発達し、遠隔地においても現場に対して指揮命令が可能となったことが上げられます。  近年、本県に係る地震、豪雪、水害などの災害規模が拡大しております。また調査研究推進本部情報によると、地震発生確率が30年以内にマグニチュード7~8クラスが70%程度で発生する可能性があるとされております。これら災害に即応できる消防力を持つ必要があると考えます。
     消防本部の統合は、県消防との連携が一層迅速性をもって図ることができると思われます。また、救急の面でも、近く県独自のドクターヘリが運用されることになりますが、一層の連携が求められています。  統合された消防本部は、県庁内に設置し、防災や災害、有事の際に共同して情報収集に当たり、共有しながら対策をとることが県民の安全にとって大切だと思います。消防の統合については、以前に知事からもその必要性を伺ったと思いますが、この統合に関する知事のお考えを伺います。  次に、消防団についてです。  本県における平成28年4月1日現在の消防団員数は、条例定員5,414人に対して5,081人で、充足率は93.8%となっております。平成18年4月1日時点の団員数は、条例定数は同じで、充足率96.5%、5,222人となっておりました。  この10年間に本県の地域社会は少子高齢化のますますの進展、人口減少に伴う過疎化など、大きく変化してきました。また高速道路網の整備、自然災害の発生状況など、取り巻く環境も大きく変化しております。このような状況のもと、消防団の役割も多様化しております。しかし、消防団員の条例定数には変化がありません。消防団の役割や機能を再度見直して、消防団員定数について検討するよう指導の必要があるかと思いますが、知事の所見をお伺いして、壇上での質問といたします。 ◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)藤井県議の一般質問にお答え申し上げます。  本日は、藤井県議は眼鏡を外して、課題を直視しようという、そういう姿勢にあふれる質問をされまして、敬意を表させていただきたいと思います。  私のほうに何点かお尋ねいただきましたが、まずは地域包括ケアシステムにつきまして、地域包括支援センターの整備、地域ケア会議の普及がどのように進んでいるのかというお話でございます。  これにつきましては、来年度中にいろいろなものを整えていかなければいけないところでございますが、本県はようやくここに来て、大分整備も進んできたと思います。地域包括ケアセンターにつきましては、これは全市町村で整いまして、例えば、倉吉の場合は5カ所設けておられます。市町村によって違いはありますが、多くのところは市町村1カ所ずつでありますが、そういう複数置いているところもあります。  また、地域ケア会議につきましても、これも全市町村での設置が整いました。例えば、北栄町であれば、この地域ケア会議をやった実績がございまして、これまで福祉関係者とか、それから施設だとか、また医療系も入りまして議論をする中で、個別のケースについて対策をとっていくと。これによって要介護の発生率を下げることができていまして、ここ10年で大体3%ほど減っているというようなことになっておりまして、全国のモデルケースになっています。こうしたやり方を全市町村にも広げていく素地ができ上がったところでございます。  これら以外にもこの地域包括ケアシステムをやろうと思いますと、在宅医療と介護の連携の仕組みをつくる、あるいは認知症対策で、初期に集中して対策をとったり、それから地域の支援のスタッフを設けていく、あるいは生活支援のコーディネーターを設置する、こうしたことなどを進めていく必要がございまして、新年度中にこうした体制をとろうと、今、各市町村でも御努力をいただいているところであり、我々もその人材育成などのサポートをさせていただいているところであります。さまざまな準備をして、地域包括ケアシステムへの移行が整っていくように応援をしていくことにいたしております。  そういう中、診療所につきましてお尋ねがございました。診療所の数が十分であるのかということでございますが、現在こうした在宅療養を行う診療所の数は77ございますけれども、これを平成32年までには83ぐらいまでふやす必要があるのかなというようにも思っております。これは、順次これから高齢化が進展をし、さらに在宅の重要性が高まってくる、そういう流れの中で、いわゆる診療所ももっと数があったほうが県内の患者さんのためにはよいのかなというふうに思われますが、算定をしてみますと大体そのぐらいの必要数というのも見えてくるところでございます。  また、訪問看護ステーションの数についてはどのぐらい必要となるかということでございますが、今、55カ所ございますけれども、平成37年度ベースで73カ所にふやしていく必要があるのかなと。これは、1,000人ほどそうした在宅の医療を求める方々がふえてくるのではないかということに基づいて、試算をしてみるとそうなるということでございます。その場合、今の訪問看護師の数も現状240人ございますところを37年度までに100人ふやしていく必要があるのかなと、そういう意味で、人材育成とか、そういう訪問看護の仕組みというのをつくっていかなければなりません。  この辺は、結局、東・中・西の医師会との連携が大事でございまして、それぞれの医師会に在宅医療の推進のための在宅医療連携拠点というのを設けていただいておりますし、またそうした訪問看護のステーションを看護協会のほうに全県組織としてつくっていただき、いろいろと紹介などもしていただいているところでございます。  こうした中で、ドクター&ケアマネタイムのようなマッチングの仕組みが必要なのではないかと、こういうお話でございます。  こうした包括ケアシステムの世界に移っていきますと、福祉と医療をコーディネートしたり、また医療の中でも診療所、かかりつけのお医者さんと、それと訪問看護ステーションで、在宅でケアをしてもらう、そういう仕組みがうまく連動していかなければいけないということになります。実は、中部のほうでは、今おっしゃったドクター&ケアマネタイムという取り組みがございまして、効果も上げているということでございます。これは、福祉とお医者さんとは、ふだん余り接点がないわけでありますが、お医者さんもお忙しいわけでありまして、そういうお医者さんとケアマネさんがいろいろと意見交換をして、個別のケースの取り扱い等を話し合うというものでございまして、こうしたことを地域包括ケアの中ではやっていかなければいけないわけであり、こういう中部のようなやり方というのはほかの地域にも広がっていけばいいのかなというふうに思います。  医療の中の在宅をつかさどる診療所さんとそれから訪問看護ステーションは同じ医療パートでありまして、多分、日ごろからおつき合いがなされていると思われますし、大切なのは、大きな病院から退院をして在宅に行くときに、一つのメニューをつくらないといけないわけですね、こういうような訪問看護のケアをし、診療所のほうにはこうした形でかかってくださいというようなことが必要になります。ここの道筋づくりが大切でありまして、先ほどの各医師会の医療連携拠点もそういう応援の役割を果たしたり、看護協会も訪問看護ステーションの応援の機能を果たしていくということもありますが、今、現実、県内のそうした病院でなされていることは、大きな病院から出ていくときに、そこに地域連携の組織があって、ソーシャルワーカーさんがおられ、そのソーシャルワーカーさんがいろいろとその退院のプログラムを関係者と話し合いながらつくっていくと、それが一番大事でありまして、それで、このお近くのところではこの診療所、この訪問看護ステーション、こういうところをコーディネートして、場合によっては診療所のほうにも出かけていかれて、そうした方策の話し合いをするというようなことをしているところでございます。こんなような中で、現実には診療所と訪問看護ステーションとのマッチングといいますか、話し合いができてくるのではないかなというふうに思います。  いずれにいたしましても、ドクター&ケアマネタイムのような、そういう意思の疎通を日ごろから十分図っていただくことが大切でございまして、その辺はこの地域包括ケアに当たりまして、各方面にいろいろと協議をしたり、御指導申し上げたりさせていただきたいと思います。  次に、自宅で亡くなられる方の数が増加する中で、みとりの体制づくりが必要だということでございます。  現実には、病院で亡くなられる方が本県は大体7割ぐらいで、それから御自宅で息をひきとられる方が1割ぐらいでございます。ただ、本県が他県と比べて非常に特徴がありますのは、介護施設などで亡くなられる方のほうが2割程度と多いです。多分、よその県と比べますと、我々の場合はそういう福祉系の施設が整っている県でございまして、高齢化ですので、他地域を先取りしながら、高齢化のサービスの幅が広がっていることがあろうと思います。そういうようなことでの違いはありますが、やはり、自宅でのみとりというのは非常に少ないのが現状です。  ただ、県民参画基本アンケートをとってみましたところ、5割か6割の方が自宅で最期を迎えたいと、そういうように思っておられるわけであります。これがただ現実にそうなるかどうかはまた別でありまして、実際には医療ケアを受けなければならない状況がありますので、なかなかそうそう簡単には実現するわけでないのでありましょうし、御本人もそれはわかった上で、ただ、最期は家族と一緒に自宅でという思いはあるというのが現実だと思います。そういう意味で、藤井県議がおっしゃるように、自宅で最期を迎えたいという方が迎えられるような、例えば末期がんのような場合でも、そうしたことに対するケアを在宅でも行えるような体制をとっていく、そんなことは我々の課題なんだろうというふうに思います。  先ほどの各医師会の医療連携拠点とも協力をしながら、今、研修やその体制についてのいろんな意見交換等、協議の場もそれぞれの東・中・西ごとにつくっておられているところでございます。そうした場なども活用しながら、そうしたみとりの体制づくりというのも今後整えていく必要があると思いますので、関係者ともよく協議をしてまいりたいと思います。  次に、火災における高齢者の被害が目立つところであるけれども、そうした高齢者、住民に密着した消防のあり方についていかがかということでございます。  これにつきましては、昨年は1年間で火災件数が182件ございました。残念ながら、その中で亡くなられた方が10名いらっしゃいました。その10名のうちの半分の5名が65歳以上の方でございます。議員がおっしゃるように、高齢者の方が巻き込まれるというようなことが現状からも見えているところでございます。そういう意味で、いろんな工夫をしていかなければならないわけであり、高齢者の方にもそうした防災について、知っていただく機会をつくっていくことが大切であります。  例えば、ことしに入りましても、1月18日に気高の宝木老友会で、そうした防災の研修をされるとか、各地域でもそういう自主的な取り組みをしていただいているところもございますし、御案内のように、町内会の自主防災組織などは、そういう意味では有効に機能し得るものだと思います。そうしたことをさらに広げていこうと、東・中・西の消防局もいろいろとその予防事業といいますが、火災が起きないようにする、そういう事業を進めておられるところであります。  中部の消防局さんは、地域包括支援センターあるいは民生委員さんと一緒になりまして、高齢者のお宅を訪問するということを進めておられます。なかなか手が回らないので、数が多いわけではございませんけれども、ただ、そうした事業をされながら、さっきおっしゃったような、例えば消防関係の報知機のシステムとか、そうしたところの点検なども含めて対応をされているところもございます。  ただ、そうやって消防署が絡むこと以前に、やはり自主防災のほうが多分、広がりもあると思われます。そうした自主防災の自治会活動の中でやっていく必要があるのかなと思います。  倉吉の駄経寺の自治会でも、昨年の11月に震災の経験も踏まえてそういう防災の行事を持たれたこともありますけれども、そうしたことなどを今後も各地で行われるように応援もしてまいりたいと思います。  次に、消防体制につきましてお尋ねをいただきました。  1つは、消防組織の統合についてでございます。  これについての考え方ということでございますが、これにつきましては、実は、平成19年に研究会を立ち上げまして、消防の在り方検討会と当時呼んでいましたけれども、こういう消防組織の統合も含めて、大分大々的に議論したこともございました。かなり突っ込んだ話し合いをし、例えば、無線設備等の更新時期ということもありましたので、そういうデジタル化などでお金がかかることも、統合すれば経費節減になるではないかというような話とか、いろいろと含めてやったわけでございますけれども、本県の場合は3消防本部も消極的でございまして、最終的には実現していないというような結論になりました。  ただ、先ほども期限を延長してというお話がございましたが、国のほうの消防庁がたび重ねてこういう消防本部の統合を呼びかけているターゲットの主たるところは、恐らく10万人以下の人口規模のところではないかなと思います。と申しますのも、消防庁の考えているところでは、人口が小さくなりますと、当然ながら職員の数も減りますし、それから装備ですね、高いビルがあったり、それからレスキューの問題があったり、いろいろございますけれども、そうしたことにそれ相応の機材を導入したりすることに限界があると。ですから、ある程度スケールメリットが必要ではないかということで、10万人よりも超えてくるような、そうした規模を目指されているというのが、多分、底流にあります。そうした意味では、現実には、一定の消防力はあるではないかというのがそれぞれの消防本部の考え方でございまして、最終的には統合のメリットもあるわけでありますけれども、例えば、先ほどおっしゃったような指揮系統のこととかいろいろあるわけでございますが、ただ、最終的には、そこのお話まではまとまらなかったということでございました。  ただ、改めて御指摘もございましたので、新年度に消防体制研究会とでも言うべきものをまた立ち上げてみて、大分時間もたってまいりましたので、消防体制をどういうふうにしていくのか、先ほど消防団のお話もございましたけれども、さまざまな課題も含めて、ちょっとそうした現場の皆様と意見を交換していくような機会を持つ必要があるかなと思います。中部地震もございまして、そのときに消防団も含めて、消防の活躍というのは非常に重要でございましたし、またさまざまな災害対策、そういう危険性も高まってくるわけでございますし、いろいろと議論すべき課題は10年前と比べて違ってきていると思います。そういう意味で、改めての消防体制の研究会を設置して、議論させてもらおうかなと、ちょっと消防本部等とも話し合いをしてみたいと思います。  一つ、今後現実的な課題にもなり得るかなと思いますのは、消防の統合自体もございますけれども、例えば、消防の指令システムを統合すると、先ほどの藤井議員がおっしゃったようなことの実質はとれてくるのかもしれません。今、それぞれ3つの消防の指令があるわけでございますけれども、機材で運用をしているところが大きいのです。これも大体更新時期というのがあるのですね。そういう機材の年限のことを考えますと、もう6~7年ぐらいでそちらのほうを見直す時期に入ってこようかと思います。ですから、そうした際に、指令システムの統合という可能性もあるのではないだろうか。それによって、例えば、県内の部隊を一元的に動かしていく、それで大規模災害などに対応しやすくするとか、また指令のシステムも、今はバージョンアップしたものもいろいろございますので、ある程度高価な機材を導入する可能性も高まること、それから、そのシステムの更新で考えますと、大体1割から2割ぐらいコスト削減にもなるのではないかなというふうにも思われます。ですから、メリットも確かにあると思われますので、関係者とまた胸襟を開いた議論を再開させていただきたいと思います。  最後に、消防団員の定数につきましてお尋ねがございました。  この消防団員の定数でありますけれども、本県は1,000人当たり大体9人かそこらでございまして、全国の中位ぐらいです。また、実員のほうも同じぐらい、大体全国の中位ぐらいでございます。  この消防団員の定数でありますけれども、これは市町村に設定権がございますので、市町村のほうで御検討いただくことかと思いますが、いろんなやり方があるのも、実は、事実としてございます。例えば、中部で人数が多い三朝などは、大体350人ぐらいいて、人口当たり非常に多いのですね。湯梨浜の倍ぐらいですかね。同じように、やはり人口で比べると、結構定数の多いところもございます。  それで、三朝の場合は、特に地震発生時におきまして、これは町長が号令をかけまして、みんなその被災状況の見回りに回ったり、それから屋根のブルーシートの点検だとか、その設営の手伝いをしたり、それから大切なのは、人命救助にこの消防団組織が役立ちまして、今回の地震における死者が結局ゼロになったということもございました。そういうような意味で、やはり地域の中で消防団員がいらっしゃることの意義は大変に大きいと思います。  ただ、人数を確保することで言いますと、実は、報酬があるわけでありまして、報酬は、三朝町の場合は1万4,000円、対して湯梨浜とか倉吉は3万6,000円余りでございまして、大分そこに開きがあります。ですから、多分、三朝町さんは、数を確保しながら報酬のほうを抑えてやっているという考え方なのだと思います。それぞれの財政状況やあるいは地域の防災のあり方等もございまして、そうした意味で、それぞれの市町村が定数設定をし、また消防団の処遇や装備の配備等も調整をしているところでございます。  私どもとしては、こうした消防団活動は重要でありますので、消防団の装備であるとか、それから、例えば女性消防団の配置とか消防団員の配置だとか、そうしたことを交付金で応援をさせていただいております。いろいろと今回の震災の実情ということも見ながら、そういう消防体制のあり方、新年度にまた研究をする中で、こうした市町村にも改めて考えていただく機会を提供したいと思います。 ◯議長(稲田寿久君)7番藤井議員 ◯7番(藤井一博君)眼鏡を外すと視野が広がるかと思いましたけれども、余り変わりませんでした。視点がぼやけないように追及質問を続けていこうと思います。  在宅医療について、少し思うところを述べさせていただきますと、国の方針としては、増大する社会保障費を抑えるということも背景にあってか、病床数の適正化、本県では減りますけれども、在宅医療を進めていくという流れがあります。こういった一律のシステムを地域実情が異なるにもかかわらず当てはめていくと、各所で不協和音が起きていくのではないかなという懸念があります。本県で言えば、やはり過疎化がかなり進んでいて、住居も点在しているという地理的状況があって、医療従事者の数も潤沢とは言えない中で、本当に在宅医療が回っていくのかなという懸念はありますけれども、そこは国の方針がありますので、工夫して何とか県民の安全を守っていかなければならないのかなと思っております。  そういった意味で、先ほど知事が県民アンケートで、5割の方が在宅で最期を迎えたいとおっしゃっている結果を受けて、そうはいっても、そういった末期の状態の方も医療機器ケアが必要だという御理解をおっしゃいましたので、すごく安心したところであります。在宅医療一辺倒ではなくて、しっかりした病院の機能も維持しつつ、バランス感覚を持った医療構想を今後も検討していただきたいなと思いました。  システムに関連して追及を行います。  システムの構築において、多面にわたる医療の提供は欠かせないのですが、地域の医師数は限られております。また、山間地等僻地に住んでいる患者がある場合の往診には大変な困難が伴います。  今回の診療報酬改定のポイントとして、遠隔診療が上げられております。遠隔診療とは、情報通信技術、ICT、スマートフォンなどを用いて、医師がインターネットを介して遠隔地の患者を診療するシステムであります。2015年、厚生労働省が方針を明確にしてから全国的に普及してきております。基本的には対面診療が原則であります。その上で、その補完としての用途でありますし、対象疾患等も限定されておりますが、一層の遠隔診療の普及を促すために、今回の診療報酬改定ではオンライン診療科等が新設されております。そこで、本県における遠隔診療の実態はどのようなものかお尋ねします。本県のように医師の偏在や山間、僻地の多いところでは、このシステムは有用であると考えますが、県内における遠隔診療について、関係者と検討され、普及を推進していくことを考えてみてはいかがでしょうか、知事にお尋ねします。 ◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)藤井県議から重ねて医療につきましてお尋ねがございました。  地域包括ケアシステムは、これから始まるところでありまして、やはり委員がおっしゃるように、医療資源は限られている中で、中山間地も含めて、それぞれの人が選択できるような、そういう医療を提供するのはなかなか一筋縄ではないと思います。したがいまして、市町村や医師会等、さまざまな関係者と一緒につくり上げていかないと、鳥取県でも機能しないということになりかねないわけでありまして、先ほどみとりのお話がございましたけれども、患者さん、それから御家族の希望に沿えるようなきめ細やかな形を、それぞれの地域でも工夫をし、医師会やあるいは看護協会等の関係者も協力をしながらやっていかないといけないのではないかなと思います。単に国のほうの都合で医療費の総額を切り込むための材料としてそういう地域包括ケアシステムを導入するのであれば、それは国民にとって不幸なことになります。そうではなくて、地域の医療をみんなで支えて健康を守っていくようなふるさとをつくろうということになっていくように、我々もこれから新年度が正念場だと思いますので、市町村に対してサポートをしながら、医師会等とも相談をしながら進めていければと思います。  そういう中、鍵を握るのは遠隔診療等の技術ではないかという御指摘でございまして、私も非常に共感するところでございます。県内のいわゆる遠隔診療ということで言いますと、現在は総合療育センターがそれをやっています。まさに議員がおっしゃるようなパターンなのかもしれませんが、ああいう療育を行うような専門的なお医者さんの数が限られている中で、県内では総合療育センターがそのトップをなすところでございますし、一人一人の患者さん、お子様方は、症状も厳しいものがあり、それでいて在宅で家族と一緒に過ごすということも選択をされているわけでございます。そういう中で、例えば容体がどうであるとかいうように変わり得るわけですね。それでスカイプを活用しながら遠隔診療を行っています。スカイプですと、画面が出ますし、それから音声もあるわけでありまして、普通に問診をしているような形になります。これを医療機関的な話で言えば、電話によって再診をするという、そういう診療行為として現在実施をしているわけでございます。ただ、こうしたことなど本県にも若干の例がございますけれども、まだ決して多いわけではなくて、そういう一部で取り組まれているというのが現状です。  厚生労働省では、こうした遠隔診療の安全性だとか、それから診療行為としてどういうやり方が適切なのかということもございますので、そうしたことなどのガイドラインをきちんとしようというふうに動いておられまして、私どももそうしたことについて、また医療機関とも十分に徹底をしてまいりたいと思います。  ただ、こうした遠隔診療を行わずとも、いろんなところ、やり方があるわけでありまして、例えば、カルテの共有化をそうしたバーチャルな世界で行って、それで、遠隔において、いろんな指導をしたり、それから事実上そうした診断の支援をしたりということが可能なわけでございまして、本県も財政的にも支援をしながら、おしどりネットというのを始めているわけですね。御案内のように、鳥取大学が一つのキーとして今やっているところであります。もともとは鳥取大学と西伯病院を結ぶ、そういうシステムでありまして、そうした診断の材料を共有し、カルテを共有していく、これでいろいろと診断のよろしきを得ることもありますし、また違ったお医者さんにかかるときの便宜にもなると。今、この輪が広がっていまして、全県で65の診療機関、藤井政雄記念病院なども入っていただいておりまして、そういう形で広いネットワークになってきています。  後で知ったのですけれども、私自身も、実は、足をけがしたとき、レントゲンの画像などがあるわけでありますが、担当のお医者さんが、鳥取大学のほうに見せたみたいでして、それで鳥取大学のほうからも指導してもらいながら診療したというのが実際だったということでございました。そういうような形で県内でも十分こうしたシステムを活用されていて、空間を超えて医療従事者が協力をして、患者と向き合うような姿というのがございます。  これは健康づくりにも応用されていまして、最近は、なだばたという施設ができました。これはカフェなのですけれども、岩美町網代で浜の女性たちが新鮮な食べ物、ランチを提供するようなことをやっているのですけれども、そこに大きなスクリーンがございまして、これが町立岩美病院とつながっているわけです。そこでテレビ電話方式で健康相談をすることができるようになっています。ここの場合は、岩美病院のほうで、要は、来院する必要があるかどうか、病院に行く必要があるかどうかという段階までの相談をしていまして、診療報酬を取るという手前のところでとめているわけでありますが、まだよそでも余りやっていないような健康相談システムでございまして、注目もされているところであります。  議員がおっしゃるように、中山間地が多い、そういう意味で、なかなか患者さんがアクセスしにくいような状況の中で切り抜けていくには、そうした先端技術を活用することも大事でありまして、医療関係者と今後もいろんな話し合いをし、今後のいい方策があれば、それを支援してまいりたいと思います。 ◯議長(稲田寿久君)7番藤井議員 ◯7番(藤井一博君)知事が御自身のけがのときに遠隔診断を経験されていたということをお聞きして、本当に鳥取県は先進的に取り組んでいるのだなという証左でもあるし、すごくいいことだなと思いました。  おしどりネットに関しては、本当に理念もすばらしいものだと思いますので、機能面も含めて、強力に今後県としても推進というか、支援していただければと思います。  次の追及に移ります。消防団について追及で質問いたします。  消防団の充足率が落ちておりますけれども、充足率を上げるための検討をすることも必要だと考えます。あわせて団員の高齢化が問題となっておりますけれども、そういったことも踏まえて、交代ということも必要になってくると思います。  本年1月9日、総務省消防庁では、消防団員の確保方策等に関する検討会報告書を公表しました。その中では、消防団の役割の多様化への対応として、消防団員の確保と質の向上、必要な知識、技術を身につける訓練の実施、大規模災害団員の導入が上げられていました。団員の確保策として、女性、地方公務員、消防職員OB、学生等、多様な人材の消防団への参加を促すことが必要とし、団員の所属する事業所の理解促進などが上げられていました。  本県においても、消防団員の確保策として、女性、学生等の参加について検討してはと考えますが、知事のお考えを伺います。 ◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)藤井県議から重ねて消防団員の確保につきましてお尋ねがございました。  詳細は危機管理局長のほうからお答えを申し上げたいと思いますが、女性とか学生とか、そうした従来の消防団員とは違った方々に入っていただくことで、いわば団員の確保を図ったり、活性化をしようということは大事だと思います。  例えば、岩美町田後というところでは、皆さん、漁に出ているわけですね。ですから、男衆はいない中で、女性の消防団がもう30年以上、長きにわたって活躍をしています。それで、工夫もされるわけですね。例えば、男性消防団員であれば、ホースを二人がかりで持つところを3人で持つとか、そういうようなこともしまして、しっかりと現場の、例えばぼや火災とか、そういう現場に女性も駆けつけて、先般のぼや火災でも半分ぐらいは女性の団員であったというふうに伺っていますが、そういうように機能しているところはあります。  また、学生とか、それから啓発の意味で子供さんにもかかわっていただくことも大切でありまして、先般も藤田学院さんと会合を持ったときに、そうした学生への呼びかけ等に協力いただくようにお願いをしたり、また、米子のほうでも、例えば、福生東で少年団がありまして、少年消防クラブというところで、出初め式にも出てきたり、いろいろと参加をされる中で、消防の大切さを子供のうちから知って、将来の消防団員になってもらおうというようなことを進めたりもしておられるところでありまして、議員がおっしゃるように、いろいろと今後の重要なポテンシャルのある分野だと考えております。 ◯議長(稲田寿久君)安田危機管理局長 ◯危機管理局長(安田達昭君)女性、学生等の消防団員の確保につきまして、補足の答弁をさせていただきます。  知事が答弁申し上げましたように、消防団員数が減少し、また平均年齢が上昇していると、あるいは消防団の役割が多様化しているということに伴いまして、学生等の若者、そして女性団員の確保が重要だというふうに考えてございます。  学生等の若者の入団促進につきましては、来年度、国の消防庁のほうが事業を実施するということで、そちらの事業の実施を現在要望しておりまして、活動体験などを行って、入団につなげていきたいというふうに考えてございます。  また、鳥取大学、鳥取看護大学、鳥取短期大学に協力をお願いしております。さらに、将来の消防団員あるいは防災リーダーの育成を目的といたしまして、少年消防クラブの活動を積極的に支援しておりまして、米子市に続いて、今年度、江府町に少年消防クラブが結成されたところでございます。  消防女性団員の確保につきましては、県の交付金におきまして、報酬について財政支援を行っておりますし、来年度のこの交付金におきましては、消防団を強化する事業について、女性団員数に応じた加算を行いたいというふうに考えてございます。  引き続き市町村と連携いたしまして、消防団員の確保に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。 ◯議長(稲田寿久君)7番藤井議員 ◯7番(藤井一博君)御答弁、理解いたしました。鋭意団員数の確保に向けて取り組んでいただきたいと思います。  次の追及に移ります。大規模災害団員について追及で質問いたします。  大規模災害団員は、大規模災害時に新たに業務が発生したり、人手不足になる場合に限り出動するものです。例として、風水害では被害が広範囲に及び、避難勧告発令や避難所開設が必要な場合、地震、津波では震度5以上で避難所開設が必要となった場合等に出動するものです。本県においても市町村や事業所と相談して、大規模災害団員の設置を検討されてはと考えますが、知事の所見を伺います。 ◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)藤井県議から消防団員の新たな方策として、大規模災害団員のお話がございました。  これは正直言って、まだ本県で導入があるわけではございませんし、全国的にまだそんなに例もないのかなとも思われますが、先ほどの女性あるいは学生の参画とあわせて、こういうような形態もあるということで、消防団そして市町村のほうにそうした方策の紹介もさせていただく必要があるかなと思います。  これは、先ほどの消防体制の研究会の中でもこうしたことも取り上げてみてもいいのかなと思いますけれども、いわば自衛隊で言えば、予備役があるように、いつも消防団員であるわけではありませんけれども、大規模災害のときに出動する、そういう意味で、日ごろそうした意味の訓練はやっておられる、こうしたタイプの団員でございまして、例えば、いろいろ職場で働いていて、ふだんは消防団の招集がかかっても、なかなかすぐに行けない。しかし、大規模災害のときは、もうこれはみんなで助け合う、緊急時ですから、そういうときは自分は行こうと、こんなような志の方というのはおられるのかなと私も思います。したがいまして、そういう大規模災害団員という可能性もあるのかなと思います。  現場の伝統的な消防団員からしますと、いわば寝食をともにするぐらい一緒になって、命をかけてやっているということもございまして、そういう意味で、やはりそういうときだけ出てくる団員で大丈夫かなというような声は、正直あるわけでございますけれども、ただ、今回も、例えば防災士の皆さんがボランティアセンターで活躍をされたり、それから初動でいろいろとお手伝いをいただいたりということがございました。ですから、やるべきことをある程度考慮しながらそういう大規模災害団員というのを活用するというのは、一つの方策となり得るのかなというふうに思います。  ちなみに、大規模団員であっても、消防団員として、一種の公務員でございますので、何かあったときの補償を受けることも可能でございますし、それから一定の処遇を受ける、ですから、出動時に報酬が出るとか、そういうようなこともあるわけでありまして、そういう意味で、単なるボランティアに頼るだけでない災害時の対応のあり方として、市町村のほうでも検討いただき得るテーマではないかなと思います。今後その消防体制の充実、強化を図っていく中で、市町村や消防関係者と一緒に取り上げて議論もさせていただきたいと思います。 ◯議長(稲田寿久君)暫時休憩いたします。午後の本会議は午後1時より再開いたします。        午前11時55分休憩    ────────────────        午後1時00分再開 ◯副議長(福間裕隆君)再開いたします。  引き続き、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。  21番福田俊史議員 ◯21番(福田俊史君)(登壇、拍手)皆さん、こんにちは、会派自民党の福田俊史でございます。  本日は、我が会派の4人の議員が続けて登壇いたしておりますが、私は、農林水産分野について質問いたします。  質問の前に、平井知事にお礼を申し上げたいと思います。去る3月4日、日曜日、若桜鉄道に待望の観光列車「昭和」がデビューし、平井知事やこの列車のデザイナーである水戸岡鋭治先生にも御臨席を賜り、盛大に出発式が行われました。
     若桜鉄道の観光化につきましては、この議場で何度も議論を繰り返してきましたが、特に平成23年9月議会で事業化となった若桜鉄道ミュージアム構想事業や平成25年11月議会で事業化となった若桜鉄道SL社会実験などが大きな効果を発揮し、このたびの観光列車「昭和」につながっております。  本日は、若桜鉄道の社長、会長をお務めになられました小林昌司前若桜町長もお越しになられておりますが、平井知事には若桜鉄道に対するこれまでの御支援と御協力に心から感謝を申し上げ、園芸産地の維持発展と林業振興策について、質問に入ります。  政府は、昨年の12月21日、アメリカを除く11カ国による環太平洋経済連携協定TPPの新協定、TPP11の発効により、農家の生産額が最大1,500億円減少するとの試算を発表いたしました。また、日本と欧州連合EUの経済連携協定EPAでは、同じく1,100億円減少するとのことであります。この試算は楽観的な分析が前提となっておりまして、実際の影響は、より大きくなる見込みであります。我が鳥取県では、木材への影響が最も大きく、TPPの発効で、マレーシアなどから安価な合板が輸入され、県内生産額は7億2,100万円減少、EPAの発効により、EU諸国からの構造用集成材などに押され、4億3,600万円から8億5,600万円のマイナスになると試算をされております。次いで影響が大きいのが畜産関係で、豚肉が最大でTPP2億7,500万円、EPA2億6,100万円、牛肉が最大でTPP2億3,600万円、EPA1億5,400万円のマイナスと試算をされております。  こうした状況の中で、平井知事は2月臨時議会の一般会計補正予算に、TPP、EPAに向けた農林水産関係対策費75億円を盛り込まれました。また林業関係では約16億円が計上されており、期待が高まる耐震性の高い建築材、直交集成材のCLTの製造施設を整備する企業に補助したり、林道整備も進められたりすることになっております。  平成26年に制定された、県の森と緑の産業ビジョンでは、平成32年に38万立米を搬出する計画となっていますが、こうした大きな向かい風が吹こうとする中、まずは県内の林業をどう守っていかれるのか、平井知事の御所見を伺います。  次に、今議会では多くの議論がありましたが、県農業生産1千億円達成プランについて伺います。このプランは、県農業の維持発展と農家の所得向上を目指し、もともとあった県農業活力増進プランが改定されたものでありますが、5年後の2023年の農業産出額の目標を900億円、10年後の2028年には1,000億円に設定し、達成に向けた品目ごとの戦略が盛り込まれております。専業農家やJA関係者からは、非常にわかりやすい目標が産地の維持や拡大につながり、新規就農者の確保や農家所得の向上につながるのではないかと、大きな期待が高まっております。私からも1,000億円の大目標を設定されました平井知事に、改めて敬意を表したいと思います。  県の農業産出額の推移を見ますと、1995年は1,010億円、2000年は770億円、2005年は707億円、2010年は665億円、2014年が653億円と、この年が底で、2015年が697億円、2016年が764億円と、少し回復基調にあります。  農業産出額の目標は、現在の700億円以上をキープから2028年に1,000億円を目指すに上方修正され、当面の目標となる2023年の900億円達成を目指して、各品目の方策や目標数値も定められています。具体的には、米はきぬむすめへの品種転換などで4億円の増、野菜は低コストハウスの導入拡大などで15億円の増、主力となる肉用牛は、大規模牛舎の施設整備などで50億円の増を目指すことになっております。  ちなみに、平成7年と平成28年の米と果樹の農業産出額をそれぞれ比較してみますと、米は284億円だったものが137億円と、21年間で147億円の減、同じく果樹も184億円だったものが77億円と107億円の減となっています。こうした厳しい数字に加えて、これまで以上に農家の高齢化や人手不足、さらにはTPPやEPAなど、マイナス要因はあってもプラス要因はない中で、平井知事は5年後の900億円、10年後の1,000億円をどう達成していかれるのか、私は全面的に賛同し、応援する立場として、平井知事の覚悟と決意を伺います。  最後に、鳥取県ならではの民泊推進について伺います。民泊については、まちなか型と山村交流型を分けて考えなければなりませんが、今回は山村交流型について伺います。  農家や漁業者が宿泊施設を経営する動きが全国的に増加をしております。国内外の観光客に農山漁村の風景やその土地土地の伝統的な料理を楽しんでもらうことは、高い付加価値を生むことから、ぜひとも関係者が連携して農家の所得向上や地域の活性化につなげてほしいと思っています。  そして、このタイミングで農山漁村滞在型旅行、農泊の振興を通じて地域活性化を図る日本ファームステイ協会が先月7日に東京で設立され、平井知事がその会長に就任をされました。会長への就任を心からお祝い申し上げますとともに、今後の御活躍に期待をさせていただきたいと思います。  ヨーロッパなどでは、農家やワイン製造所が宿泊施設を経営し、観光客の長期滞在につなげるアグリツーリズムが定着をしております。しかし、これまでの日本の農業政策は、食糧自給率の向上に重点が置かれ、観光サービス業の展開は、イチゴ狩りなど一部にとどまっておりました。近年、農村などの風景や暮らしは訪日外国人観光客にとって魅力ある観光コンテンツとなっており、多くの外国人観光客が日本の農村を訪れております。  兵庫県篠山市では、地域活性化の目的で、農家が法人組織集落丸山を立ち上げ、あいた古民家を改修して、1棟貸しで旅行者に提供しています。宿泊予約を運営する一休によりますと、集落丸山のような農山村の宿泊施設は、空き家対策も兼ねて、全国各地に誕生しており、顧客は昔ながらの民家に滞在し、家族や仲間といろりを囲んでする食事などに、従来の宿泊施設にはない価値を見出しているとのことであります。  本日、皆様のお手元に配付をさせていただいております資料は、先週土曜日、日本経済新聞に挟まれたものでありますが、その5番目に集落丸山がノミネートされておりますので、御参照いただきますようにお願い申し上げます。  県内では、智頭町が森林セラピーに取り組むことを契機に、平成22年から民泊への取り組みがスタート。現在では55軒の民泊が元気に運営をされており、都市住民との交流機会の拡大や農山村社会における新たな収入源、さらには高齢者の生きがいづくりなど、智頭町の地域づくりの柱の一つになっております。政府は、訪日外国人旅行客の拡大策として、農村を楽しんでもらう農泊施設を東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに全国500地域で展開したい考えで、農林水産省は、農泊事業への補助金支援も昨年からスタートさせております。  このような観光の流れやトレンドの中、平成28年4月に県が主体として発足した山陰DMO、山陰インバウンド機構がどのようなマーケティングやリサーチを行ったのか、そこでインバウンドに向けた農泊の商品造成の取り組みはどういう状況なのか、その取り組み状況について、平井知事に伺いたいと思います。  私は、補助金よりも重要なのは、農泊施設の情報を集め、ノウハウを持つ民間企業に参入してもらい、国内外の観光客のニーズと結びつけることだと思っております。まさに金融機関も参画する山陰DMOの大きな使命と役割であり、また平井知事が日本ファームステイ協会の会長に就任されたこともありますので、県は山陰DMOとしっかり連携を図りながら、鳥取県ならではの民泊を推進すべきだと思いますが、新たな観光戦略として、平井知事の御所見を伺い、壇上での質問といたします。 ◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)福田県議の一般質問にお答えを申し上げます。  まず、3月3日に若桜鉄道がいよいよ昭和を運行し始めました。初日から大変なお客様がおいでになり、また、地元の皆様が1駅ごとに歓迎をされる、その姿が新しい農村型の観光、鉄道の旅を思わせるものとなりました。ここに至るまで小林前社長あるいは矢部現社長を初め、多くの関係の皆様に大変な御尽力をいただき、特に地元の皆様がそれぞれに工夫を凝らして踊りを踊ったり、あるいは地域の物産をお出しをしたり、また、いろいろなイベントに協力をされたりしました。これらが一つの願いとなって、この若桜から八東、そして郡家に至る谷の振興に大きなモーメントをつくったのではないかなというふうに思います。これからも鳥鉄の旅という事業を新年度予算の中でも組まさせていただいておりますが、こうした地域のプロジェクトを応援してまいりたいと思います。  まず、森と緑の産業ビジョンがあるわけでありますが、非常に大きな向かい風の中で県内の林業をどのように育てていくのかと、こういうお話でございます。  非常に今TPP11、それからEUとのEPAにおきまして、特に合板の扱いに自由化が見られることがございまして、これが県内の林業あるいは木材加工業等に影響を及ぼすのではないかという懸念があるところでございます。ですから、国際的な競争力を持てるような、そういう我が県の林業あるいは加工業をつくっていかなければいけません。  現実にもここ10年ほどで大分山の景色が変わってきたのは事実であります。10年前、素材の生産量が15万立米ぐらいでありましたものが現在28万立米ぐらい、ほぼ倍増しています。その背景には林路網を大分飛躍的にふやしたこと、それから間伐材の持ち出し、さらには川下における、そうした国産材、県産材の活用の振興、こういうことを進めてきたところであるからでございます。  このたび、2月補正予算も含めまして全部で16億円の大きな予算を林業関係で設けさせていただきました。ぜひこれからの荒波を乗り切って、向かい風をはね返していくような、そういう林業の成長をつくっていければというふうに思います。例えばCLTの新しいプラントを目指す、そういう鳥取CLTという動きがございます。こうしたところの新しい生産力増強を応援する事業でありますとか、また高性能の林業機械を投入する、さらには林路網の整備であるとか、そうしたことであります。  来年度に向けましてのいろいろな事業がございますが、例えばもうそろそろ皆伐をする、そういうところも出てくるだろうと。それを見越しながら、ただ、どうやったら経営として循環していけるのか、持続可能になるのかということもございますので、モデル的なそういう皆伐事業の支援事業をさせていただいたり、さらにカスケードと言われるような木材を余すことなく使う取り組みが日南町等でも始まっています。こうしたことをみんなで応援していくようなことであるとか、また、川下のほうでいえばオフィス等でも県産材を活用する、そういうモデルの木質空間の展示を兼ねてやってもらうというような事業を創設したり、さらに非常に好調で年々、助成金額や件数がふえております鳥取県の木の住まいをつくる住まいる支援事業でございますが、CLT等の新しい素材の活用も加算項目に入れて総額10万円まで補助しましょうというような制度をつくらさせていただいたり、いろいろと生産側から川下に至るまで今回も予算をとらさせていただいたところであります。  これからまた県の東部のほうでは1市4町でまとまって、そういう森林経営に向かっていこうという動きもあると伺っておりまして、ぜひこれから森林環境をめぐる新しい税制や譲与税が出てくること、また、森林バンクが始まることなどもにらみながら、そういう新しい動きを応援してまいりたいと思います。  次に、園芸産地の維持、発展につきまして、園芸産地であるとか、5年後の900億円、それから10年後の1,000億円というものをどうやってつくっていくのかというお尋ねでございます。  これにつきましては、特に主力で伸び得るかなと考えておりますのは畜産系、それから野菜、これらは最近、生産額を伸ばしてきています。片方で米であるとか果樹、この辺はつくり手の減少等もございまして、最近伸び悩んでおりましたが、今そこをしっかりと新しい品種なども組み合わせながら、反転させようとなってきたところでございます。そのほかにも花卉、花もそうでありますが、これも大分減らしてきたところでございますけれども、それを新しいペチュニアですとかそうした品種で頑張ろうという農家さんも出てきています。こんなことで、かつて平成12年、ですから西尾県政の最後のあたりで持っていたような770億円レベルの生産額にようやく戻したというところでありまして、それも一気にここ数年で戻すことができました。  何とかそういう農業の活力を高めようと、例えば新規就農者の開拓を進めてきたり、親元就農の応援をしたり、あるいは畜産経営の応援をしたり、そうしたことをいろいろと展開をしてきたわけでございますが、例えば丸山武さんという方ですね、全農とっとりから出られた後、御自身で梨等の経営をされて、今中核の農家になっておられる方がいらっしゃったり、先般の全共では岸本真広さん、智頭の方ですけれども、これも非常にいい成績で和牛全共第7区の肉質ナンバーワンに大きく貢献をしていただきました。この岸本さんも若手でいらっしゃいますけれども、このたび仲間を糾合して、青谷のいかり谷のほうに新しい畜舎をつくろうと、こういうことになりまして、私どももそれを応援させていただいているというようなことでございます。こんな形で農家で頑張ろうというような方々を応援していくということが一つあるのかなというふうに思います。  八東谷のほうでは柿もございまして、先般も東京に一緒に売りに行かさせていただきましたが、ああいう花御所柿などもございますけれども、これもGIを今、目指そうとされたり、またあんぽ柿など、西条柿も実に最近、引き合いがあるなということを実感するようになりました。そうしたいろいろな果樹生産につきましても、後継者の問題とか、それから販路開拓を一つ一つ解決していくことによりまして、また果樹は、ずっとつくり手の減少等で栽培面積も含めて減少傾向が見られた中でありましたけれども、今、元気が出かけておりまして、これを反転させていく、そういう大事な時期ではないかなと思っております。  最後に、農泊につきましてお尋ねがございました。山陰インバウンド機構が仕掛けている、そういう農泊の商品造成の取り組み、それから鳥取県ならではの民泊といったような戦略はいかがかと、こういうお尋ねでございます。  先ほど丸山さんのお話は、NPOのNOTEが絡んでいますが、全国でも指折り、パイオニアの農泊の例が出されておられました。そのほかにも山梨のほうで大黒屋というカフェがございまして、これもやはり外国人の方が好んで行かれるようなところになってきていますと。  実は最近、県内もでもそうした例も出てきていまして、青谷のほうの橋本商店さんが長和瀬にございますけれども、そこで民泊をされているわけであります。仕出しをされるのですけれども、民家を活用して、そういう事業を始められたわけであります。その際、英語でのホームページであるとか、あるいはおもてなしのやり方として体験型を大分入れられたのですね。そしたら、外国人の方も相次いで来られ、結構にぎわっていると言っていいと思います。それで、すばらしい体験をしたというふうにSNSに書くわけですね。それがまたお客さんを呼んでくるような形で、いい循環が始まってきているわけです。長和瀬ですから、ちょっと外国人の方は交通が不便でありましょうけれども、JR青谷の駅で送迎をされるのだそうです。JR青谷の駅に来る観光客って多分珍しいと思うのですが、それが結構、外国人だったりするように今なってきているわけでございまして、そんなようなことで広がってきているところもございます。  どうしてそういう現象が見られるかというと、外国人の方の訪日観光の魅力が変わりつつあるんじゃないかということです。それは東京などの大都会のにぎわいだとかエンターテインメント、それから買い物、ショッピングを目指すということだけでない日本の姿というのが今、非常にクローズアップされてきている。それで山陰インバウンド機構もいろいろな調査をされているわけでありますけれども、山陰に来られる方々の一番の目的というのは自然とか景観だそうです。2番目ぐらいに温泉があったりして、それから伝統文化だとか食だとか、あるいはさまざまな生活体験だとか、そうしたことでございます。ですから、大都市とはちょっと目指すところが違うのですね。しかも6回以上とか、そういうリピーターの方が実は山陰は多いということもわかってきています。  中心となるのは、それぞれの国籍によって違うところがありまして、台湾、香港の方々ですと自然とか景色、名勝というのを好まれる傾向がありますが、欧米方のほうでは逆に伝統文化とか生活体験とか、そうしたものを好まれて第1順位、第2順位に上げておられると、そういうことがインバウンド機構さんでもいろいろと調査をされる中でわかってきているところでございます。ですから、そうしたところにターゲットを当てたのが先ほどの橋本商店さんのようなところでありまして、橋本商店さんの場合は農業体験、例えば田んぼに入るとか、それから漁業体験とかサイクリングだとか、そうした体験メニューを用意していますね。そういったところに欧米系の方々も興味を持って入ってきたり、そういうことでございまして、単に都会の民泊のような、もうホテルがとれない、高過ぎる、だから民泊でマンションの一室を泊まる場所にして、そこに泊まる、そういうのとは大分タイプの違った民泊、農泊のあり方が鳥取県内では恐らくターゲットゾーンになってくるのではないかというふうに思われます。  そんなような意味で都会とは違った、そういう民泊の戦略があるのではないだろうか。このたび全国でも農泊の会、組織を立ち上げたところでございますけれども、そうしたところでいろいろとノウハウの共有をしたり、あるいは具体的に海外のお客様を引っ張ってくる、そうしたツールをつくったり、これから取り組んでいこうということになったところであります。現在でも県内では、第一次産業観光利活用推進協議会というのを農業者の方々なども入られてつくったところでございますし、現実にも関金のほうに教育旅行が入ってくる。さらには佐治もそういう組織がある。あるいはいんしゅう鹿野まちづくり協議会であるとか、それから船岡の組織であるとか、そういうように各地に受け皿となるところが出てきているところでございます。  ぜひそうしたことを今後とも広げていくことで、鳥取県の場合、ほかの都会地とは違った民泊のあり方を追求できるのではないかなと思います。そんな意味でガイドラインを今つくろうかと考えており、有識者の御意見もまとめながら、この後かかっていこうかと思っていますが、都市部のほうはどちらかというと規制型で一定の自粛ということを求めたりして、日にちの規制であるとか、特に学校周り、住居専用地域というところのことについて抑制的にする。逆に農泊、体験交流型というところは、これはいろいろと便宜を図る。例えばワンストップサービスで、そういう農泊をやりたいという農家のおじいちゃん、おばあちゃんたちに応えられるように体制を整えていく、そのようなことをこれからやっていこうというふうに考えております。 ◯副議長(福間裕隆君)21番福田議員 ◯21番(福田俊史君)平井知事よりそれぞれ力強い意気込みや御答弁をいただきました。  先般、ある会合で県農協中央会の谷口会長にお目にかかりまして、この1,000億プランの話になったわけでありますが、谷口会長からは平井知事がかなり大きな目標を掲げられたということで、JAとしてもメンツがあると、しっかりその期待に応えて全力で努力すると、こちらも強い意気込みを語っておられました。これからもぜひともJAグループと一緒になって、県農業の再生に努めていただきますようにお願いを申し上げまして、次の質問に入ります。  平井知事は平成19年に初当選されて以来、「食のみやこ鳥取県」というスローガンを掲げられて、県産品を全国に発信し、ブランド化に努められてきました。これは関係者のみならず、県民誰もが高く評価をするところであります。私自身も平成23年の初当選以来、農家所得の向上を目指しまして首都圏での農産物の市場開拓やブランド化を政治活動の一つの柱としてきました。平井知事にも大きな協力をいただきながら、日本一の高級果物店であります東京、京橋千疋屋の店頭に我が県産の梨や柿を展開することに成功し、昨シーズンで3年目となりました。これは、先ほど平井知事が御紹介していただいたとおりであります。  梨は新甘泉と二十世紀で、柿は花御所でありますが、1年目、2年目とそれぞれ1玉1,296円であったものが、3年目の昨シーズンは花御所柿が1玉1,620円とさらに値を上げましたし、昨シーズンからは、初めて八頭町で製造されているあんぽ柿も6個で6,480円という高値で取り扱いがスタートいたしました。平井知事におかれましては、毎年、このシーズンになりますと、千疋屋の店頭にお立ちをいただきましてトップセールスを行っていただいておりますが、これまでの御努力に心から敬意と感謝を申し上げる次第であります。  これまで千疋屋でのあんぽ柿の販売は福島県産が主でありましたが、東日本大震災以降、供給がストップしておりまして、現在は富山県産のものが扱われております。これは千疋屋のみならず、都内の高級フルーツショップや百貨店でもほぼ100%富山県産のものが扱われております。千疋屋の担当役員さんから伺ったのですが、昨シーズン鳥取県産あんぽ柿の正式採用が決まり、200ケースをオーダーしたが、結局、対応いただけたのは10分の1の20ケースだったということでした。あんぽ柿というのは一度ブランド化が進みますと、市場に固定しやすい類いのものだそうでありまして、千疋屋に供給できなかったというのは大変残念でもったいない話であると私は思います。  このように、高級志向の市場に売り先はできた、その市場からのさらなるニーズもある。しかしながら、物が足りない、つくる人がいない。平井知事は急激にブランド化を進め、市場開拓に成功してきた一方で、供給体制や農業後継者の育成に課題を残してきたのではないかと思いますが、平井知事の御認識を伺いたいと思います。  こうした背景からか、さきの臨時議会においてあんぽ柿の乾燥施設整備への事業費2億円が盛り込まれましたが、この施設がフル稼働することで、千疋屋を初めとする首都圏や関西圏への安定供給は可能となるのか。そして乾燥施設ができても、加工のもととなる西条柿農家が激減しておりますし、千疋屋でブランド化が進む花御所柿農家も高齢化しております。各産地は後継者不足の危機感を抱きながらも、その処方箋を描けずにいたというのが現状ではないかと思います。  今回、県は産地の将来ビジョンを作成し、産地の維持管理や後継者の育成、確保を目指した園芸産地継承システムづくり支援事業が創設されました。今、現場で問題となっているのは高齢化等の影響によって、リタイアして後継者のいない優良園地がこれを維持管理するのに多大な経費や労力が必要なことから、そのまま廃園になっていることであります。今回の県の事業はまさにこの部分に光を当てて、後継者のいない優良園地についてJA生産部が維持管理を代行しながら後継者を募集し、その間の維持管理コストを県と市町村が支援するという、これまでにない画期的な制度であろうかと思います。  この制度は、フルーツの町、我が八頭町あたりをモデルに制度設計されたと伺っておりますが、今後どのように農地を維持し、後継者を育成されようとしているのか、具体的な方策につきまして平井知事に伺います。 ◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)福田県議から重ねてお尋ねがございました。  今いろいろとお話があったように、やはり生産力というのをしっかりととっていかないと、販売戦略をやっても、その実りが地元にもたらせられないことになります。そういう意味で後継者を確保したり、園地を継承していくということが重要になってくるわけであります。本県でもアグリスタート研修を始めて140名余り、既に実績が出てきているところでありますし、これも定着率が高く、今動いているところでございますが、いろいろと関係者でも努力をしながら、そういう道筋をつけているところであります。  八東谷といいますか、若桜谷といいますか、あの八東川に沿って広がる柿園につきまして非常に市場、マーケットの評価も高く、福田県議の御尽力でこのたび、あんぽ柿の取引も始まったところでありまして、6個で6,480円てどんなものかなと思いますけれども、見てみると、いつも買っているのと余り変わらないものでございまして、またはそういう値段で売れるだけの価値が実はあったのだということを私たちも感じるわけですし、花御所柿にしても1,200円ぐらいで売っていたものが、この間売ったときはよく見ると1,600円になっている。ちょっとインフレが高いぐらいでありまして、それぐらい市場で、マーケットで人気が出ているということだろうと思います。このようなことを我々も一つの追い風として、生産体制をこの際しっかりしていかなければならないのではないかと思います。そういう意味で2月補正で皆様にもお認めをいただきましたけれども、産地パワーアップ事業で柿の加工施設につきまして御採択をいただいたわけでございます。あんぽ柿の加工あるいは豪華な見ばえのある個包装に新しい力が投入されることになりまして、今度は、では、そのつくる中身のほうだということになるのだろうと思います。  これにつきましては、JAの八東果実部長さんが石破さんという研修生を受け入れられたということがきっかけになりまして、新しい継承のやり方が今、広がってきているところでございます。このケースでは、園地を若手に引き継ぐようなことに最終的にはなるような園地の継承と、新しい就農者の育成とセットにした、そういうやり方でございまして、これを組織的にやろうと。JAいなばの谷口会長のお話もございましたが、1,000億円を目指す中でぜひそうした後継者づくりや産地の継承の事業を果実部みんなでやろうではないかと、こういう機運が盛り上がっているところだったものですから、我々も、では、応援しましょうということにさせていただいたわけでございます。  果実の生産が、最近はもう下げどまってきていますけれども、なぜ生産額が落ちてきたかというと、やはり放棄をされると、だんだん山が荒れてくるわけですね。梨農家もなかなか大変ですから、後継者がいない、そういうことが大きく影響したと思われます。そこで、もしもう次に引き継ぎたいなというような園地がある、そういうものを果実部のほうでまた面倒を見ながら、その手入れをしながら、例えば新甘泉に植えかえても4年、5年と月日がかかるわけです。その間はもうからないですから、いきなり新規就農者が入ってきても、たちまち食べられないということになります。ですから、そうやって守りをしながら、例えば高接ぎをして収益性の高い園地に変えていく。その間はもう赤字でありますので、この辺は地元で協力しながら果実部にやっていただこうということで、それを引き継いで技術研修をしながら、その園地を今度使ってもらうと、こんなような大まかな流れを考えてやってみようということです。そのための実際上のプランを新年度つくってみて、それで組織的なこういう産地で丸ごと継承したり、人材育成をする事業というものを実際動かしていこうと、これが今の構想でございまして、若桜から八東にかけてのこの谷のあたりはそういうモデルケースになるのではないかと期待をいたしております。 ◯副議長(福間裕隆君)21番福田議員 ◯21番(福田俊史君)平井知事からこの柿、特に花御所柿の後継者のこと、そしてあんぽ柿のこれからの供給体制のことについて、これもまた力強く答えていただきました。千疋屋のみならず、昨年あたりから関西の高級市場でも、有名百貨店の地下でも花御所柿を見るようになりました。あるショップの店長さんにお話を聞いたところ、京橋千疋屋が大田市場で八頭町の花御所柿を全て押さえていると情報を得たということで、非常に関心を持ったと、やはり関西の市場も必ず大田市場をかなりチェックをしているようでございます。非常に千載一遇のチャンスがどんどん続いていますので、後継者と供給体制をしっかりとこれからもよろしくお願い申し上げます。  それでは、民泊について続けます。  これまでなぜ日本にアグリツーリズムや農家民泊など、農山漁村をテーマにした観光ビジネスが広がりを見せてこなかったのかといえば、それは農林水産分野や中山間地の担当者だけが推進をしてきたからだと私は思っております。先ほども申し上げましたが、今や農山漁村というのは訪日外国人観光客にとって魅力ある観光コンテンツであり、観光分野が率先をして取り組むべき大変重要なテーマであると私は思っております。  平井知事は興治議員の代表質問で、農林水産部、観光交流局、生活環境部など部局横断型のプロジェクトチームで、この民泊の課題について検討していくと答弁されたわけでありますが、先ほど言われたガイドラインをつくるというのはここだと思います。その検討の先には、観光交流局内に農林水産部も協力した農泊担当の新たなセクションをつくってみてはどうかと私は思っています。例えば商工労働部と農林水産部の共管となっている食のみやこ推進課のようなイメージであります。  平井知事が日本ファームステイ協会の会長に就任されたことでもありますので、県庁内に新たな農泊推進のセクションをつくって、この鳥取県から日本の農泊ビジネスやグリーンツーリズムを牽引していくべきだと思いますが、平井知事の御所見を伺います。  先ほども御紹介をいたしましたが、平成29年3月に閣議決定された観光立国推進基本計画におきまして滞在型旅行、いわゆる農泊に取り組む地域の支援や国内外のプロモーションの強化を図り、農泊をビジネスとして実施できる体制を持った地域を平成32年までに全国で500地域を創出するとされたところでありまして、農林水産省では平成29年度に209地域を農泊推進対策地域として採択されたとのことであります。県内では鳥取市の五しの里さじ地域協議会、八頭郡のふなおか共生の里づくり推進協議会や若桜谷活性化協議会など、6つの地域が選定されたと伺っております。  先日の日本経済新聞でも取り上げられておりましたが、大江ノ郷自然牧場を運営するひよこカンパニーはふなおか共生の里づくり推進協議会の一員として、昨年3月に閉校いたしました旧大江小学校を、訪日外国人を視野に入れた農泊施設として改修する計画を立てられております。現在、大江の魅力の再発見に向け、大江地区の人たちと具体的にどんな農村体験ができるのか、ワークショップを開催しているところだというふうに聞いております。ただ、インバウンドにも対応する宿泊施設ということになりますと、昔の学校そのままの和式便所というわけにもなりません。地域住民のよりどころとしての小学校という素材を生かしつつ、地域活性化の拠点として、魅力ある観光コンテンツとして磨き上げる作業を行っているということでありました。  ひよこカンパニーは、おととし4月にレストランなどの大型複合施設を開設されたところでありますが、急激に拡大する中での新たな挑戦ですので、苦労の連続だったと伺っております。小さな企業の大きな挑戦はまだまだ続くようでありますが、今やひよこカンパニーは若桜谷の観光拠点として、また、夢のあるふるさとづくりに欠かせない存在となっております。  そこで、インバウンドにも対応した観光宿泊施設等についても、従来の製造業だけではなくて、地域を牽引する付加価値の高い事業であれば、私は企業立地補助金で支援をすべきと考えますが、平井知事の御所見を伺いたいと思います。 ◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)福田県議から重ねて農泊につきましてお尋ねがございました。  農泊を推進する体制づくりでございますけれども、これについては民泊のPT、プロジェクトチームをつくらさせていただき、ガイドラインづくりだとか、それから、その中に幾つかチームをつくった上で観光活用の推進のプロジェクトとか、そういうものを走らせてみたいと思います。具体的には、組織の中では観光戦略課等がその中心になるかと思いますけれども、その課の中にもニューツーリズムの推進の部局もございまして、こうしたところをコアにして今の農泊を担当させるというようなことをやってもいいのかなと今お話を聞いていて思いました。いずれにいたしましても、そうした組織体制も整えながら進めていくことにしたいと思っております。  現実も今、若桜谷と、それからふなおか共生の里づくりと、あるいは五しの里のお話がございましたが、それ以外にも最近も県内で広がりが出てきています。例えば先月は北栄町のほうでやはり民泊の推進の協議会ができまして、これが関金のほうでやっています体験型教育旅行の組織とある意味つながっていまして、関西から大きな学校を受け入れるときに関金だけでは終わらないものですから、北条平野のほうでも受け入れるようなことを一緒にやろうではないか。それから、そうしたことを皮切りにして農泊ビジネスというものに乗り出していこうと、今、会も立ち上がったりしました。また、日南町のほうでも、町長さんがまた再選をされましたけれども、木下家住宅の活用や、あるいはかつみやという、宿泊施設もございまして、農泊ということ、あるいはそうしたグリーンツーリズムに取り組もうというように今、政策を打ち出そうとされているところであります。  こういう中、船岡では厚みのある話が出てきまして、今月は百戦錬磨の社長さんが来られてセミナーをされるというお話でございますが、その百戦錬磨さんが実は農泊の全国組織の今まさにど真ん中の方でいらっしゃいます。ですから、そういうところでどうやったら農泊ということが本当に中山間地に恵沢をもたらすものになり得るのか。また、マーケットのほうでも評価されるような農泊にならなければならないわけでありまして、そのための仕掛けづくりとか、そうしたことを地域でも共有しようというふうになってきているのは、大変にありがたいことだなというふうに思います。こうした素材づくりやそうした組織づくりなどももちろん応援をさせていただきながら、具体のプロジェクトにはそれぞれ農泊の応援のための事業も新年度予算に組まさせていただいていますので、そうしたものを御活用いただければありがたいかなと思います。  大江ノ郷さんは今、東部地域の一つの観光のスポットになっていますし、また、それはどちらかというと中山間地の中に立地をする、自然と共生するタイプで食べ物がおいしくて、卵の話があるわけでありますが、そうした特産品とも結びついた、いかにも都会ではない田舎的な、そういう魅力を持った観光拠点となり始めています。小原社長を初め、皆様のほうで大変に頑張られた結果だと思いますけれども、こういうところで今、目指しておられるのが大江小学校の跡地を活用してのものだということでございまして、これからプランが練られるでありましょうから、それを具体にお聞きをしながら、県としても地元と協調して御支援を考えていきたいと思います。一つは、今おっしゃるような企業立地補助みたいなやり方もあるかもしれません。このたびの予算の中でも、そういうグリーンツーリズムも入り得るような仕組みにさせていただいておりますし、また、中山間地のそうした廃校舎などを活用したビジネスモデルをつくるような事業とかもございますし、そうしたさまざまな事業をメニューとしては考え得るのかなと思っていまして、どれが実態に即すのか、また、大江ノ郷さんのお話も伺って応援をさせていただきたいと思います。 ◯副議長(福間裕隆君)21番福田議員 ◯21番(福田俊史君)平井知事が日本ファームステイ協会の会長にもなられましたし、大江ノ郷さん、またふなおか共生の里づくり協議会がこれまでやってこられたこと、地域における影響やまた県外への発信力、これは私が言うまでもなく、平井知事が一番御存じのとおりだと思います。私は、大江小学校をインバウンド向けの宿泊施設にすると聞いたとき、小原さんのあの情熱を持った話しぶりで聞いたとき、成功するのではないかなと思いました。先ほど御紹介しましたけれども、これは日本経済新聞の10選に恐らく小原さんが手がける宿泊施設は入ってくると私は思っています。ぜひとも山家の小さな企業と、それから地域の皆さんの挑戦にお力添えを賜りたいと思います。  続きまして、林業の振興策について伺ってまいります。  先ほども申し上げましたが、鳥取県では平成32年に素材生産量38万立米を目標に掲げ、私の地元であります八頭中央森林組合でも、目標の達成に向けて地域が一体となって森林整備を行っております。しかし、報道でもありましたように、全国で九州の面積に匹敵するほどの境界、所有者不明地があって、これが大きな問題となっております。  このような中、林野庁が新しい森林管理システムを提示され、所有者が森林管理を行う義務の明確化と、所有者が管理できない森林は市町村に信託する内容となっております。また、その管理する経費を、新たに創設される環境税を使って森林整備の加速を図るとされています。鳥取県では森林整備を重要視し、他県に先駆け、多くの施策を実施されておりますが、新しく始まる制度は市町村に直接、予算配分され、市町村の実行力が必要となってまいります。  八頭中央森林組合では、複数の行政が管内となっておりまして、広域的な連携を深めていくことが必要不可欠であろうかと思います。そして、この新しい森林管理システムを取り入れるべく林業成長産業化モデル地区への指定に向け、これは先ほど知事がおっしゃっておられましたけれども、1市4町3森林組合が中心となって国に申請をいたしております。  昨年9月に奥原農林事務次官が八頭中央森林組合の若桜町の諸鹿地区を視察されました。組合の取り組みと若桜町が取り組もうとしている、所有者が不明な森林の整備の説明をお聞きになり、今、まさに私が考えていることだ、自信を持って次の施策の参考にさせてもらうとおっしゃったそうであります。  県としても、モデル団地の指定に向けたバックアップ、新しい森林管理システムを実のあるものにするための市町村の林業専門職員の配置、現場がよくわかっている森林組合との連携をとった体制づくりの指導を徹底すべきだと思いますが、平井知事の御所見を伺いたいと思います。 ◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)福田県議から重ねてお尋ねがございました。  これにつきましては、今、国全体で森の姿を変えていこうと、そこに市町村も大きくかかわりながらやっていってはどうだろうか、こういう動きになってきて、さらには資金的にも森林環境譲与税というものを導入する、こんな立て方になってきています。  平成31年度に入りますと、森林環境譲与税が配分されるようになります。この主な行き先はおっしゃったように市町村でありまして、県もある程度は来ますけれども、大きな額にはならないと思います。市町村のほうがそれを得て、では、何をやるかでありますけれども、森林バンクの制度がやはり平成31年4月から始まる予定になってきております。3月6日にその森林バンクの法律が閣議決定されまして、これから国会で審議を仰ぐということになりますが、これが可決されれば、予定では平成31年度、そうした森林バンク制度がスタートをするということになります。これは、いろいろな山がありますけれども、それを市町村のほうで中間管理法人のような形でお預かりをし、そして森林の経営管理権を例えば地元の方だとか、あるいは業者さんになるかもしれませんが、そうしたところに与えていくと。そうやって、山が今、手入れができない状態を変えていこうというものでございます。  法律案の中では、県も、そういう経営管理権の募集に都道府県もあずかるというような役割分担になっているわけでありまして、中心は市町村でありますけれども、都道府県もそれを広域的にサポートをするという形が想定されています。本県でも、このような状況を見越しながら、例えば林政アドバイザーという人を雇う自治体も出てきました。これは江府町が今やっておられますし、そのほかの市町村でも検討されているところが出てきていまして、交付税措置もあるものでございます。さらにこれから法案が通ってくる等で我々も市町村にいろいろと説明をしたり、お話をしなければいけないかなと思いますけれども、やはり森林組合がかみながら地域での協議会をつくって、いわば森の経営が持続可能な形で多様な主体が入って行われるように変えていかなければなりません。そのための地域協議会といったようなものもつくっていかなければならない等々、これからやるべきことが新年度に入りますと、いろいろ出てくるだろうと思います。  そういう中、小林前町長が音頭をとられまして、若桜町役場のほうといいますか、鬼ヶ城のところ、ここで28ヘクタールほど森林をまとめまして、それを何とか手入れをしようじゃないかということを始められたわけでありますが、これはそうした今の森林バンク制度といいますか、そうしたものを先取りするようなパイオニアだったのではないかなと思います。こういうようなことで、先ほどお褒めの言葉もあったということでありますけれども、いろいろと我が国の林政が目指すべきそういう取り組みも今、緒についてきたと思います。今これから東部の1市4町でそういうモデル事業を応募しようという動きになってきておりまして、ぜひ関係者一丸となって、こういう新しい仕組みの中で日本のそうした森の手入れをリードしていくような、そういうよき事例が生まれることを我々も後押しをしてまいりたいと思います。 ◯副議長(福間裕隆君)21番福田議員 ◯21番(福田俊史君)森林管理システムをしっかり実のあるものにしていただくために、とにかく市町村では森林関係の技術者、専門家が足りないということでありますので、先ほど江府町では森林アドバイザーをつくったという話がありましたけれども、県にはたくさん専門家の方がいらっしゃるわけですから、足りないところはまたぜひとも市町村に派遣をするなり、御協力をいただきますようにお願いをしたいと思います。  最後に、首都圏でのブランド化によって優位で、高値で販売することができます。高値で販売することによって農家の所得が上がります。農家の所得が上がれば、やはり後継者につながっていきます。そして農家民泊が少ない所得を補完する。いろいろなことを言われますけれども、農家民泊というのは一番大きな6次産業だとも言われております。そんなことで平井知事におかれましては、ぜひともこういう好循環を確立していただいて、農業や農村による地方創生を鳥取県がしっかり築いていってほしいなと、推進してほしいなと思います。  終わりに何かありましたら、お願いいたします。 ◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)福田県議から重ねて農業や農家民泊につきましてお尋ねがございました。  先般、若桜鉄道の「昭和」の開業のときに私も参りまして、ちょっと所用がありましたものですから、私は並行して車で移動していたとき、「昭和」の青い車体がこの八東谷、八東川のほとりを走っていく姿を拝見させていただきまして、昭和という名前のとおり、何か時空を超えたような、そういう光景に目を奪われたものでございます。考えてみますと、ちょうど山が迫った真ん中に川が流れていて、全てが見渡せるのですね。それが若桜から郡家に至るところの特徴なのだろうと思います。ちょうど秋ごろになりますと、色づいた柿がその実をたわわにしているその色が非常に鮮やかに、この風景にマッチをします。その山に沿った形で民家が並んでいたりしている中、汽車が走ったり、あるいは車で行く人もいらっしゃいましょうし、そういうような光景に触れることができます。これは当たり前のようでありますけれども、1枚の写真にしてみれば、非常に日本の原風景のような形になってくるわけですね。  先ほど外国人の方が日本の、特に山陰に期待するものは自然であったり、景観であったり、またそうした生活体験であったり、そうしたものなのだということを申し上げましたけれども、外国の方がお客さんとして来られて、そこに泊まり、農業の体験などをすると、それは一生の思い出になると思いますし、我々のふるさとのいいイメージを世界に向けても発信することになるのではないかなと思います。ですから、生産農家の就業促進やあるいは果樹園、園芸の振興とあわせまして、そういう農泊の可能性というのを今、船岡あるいは若桜谷で探り始めているところでありまして、ぜひそれで新しい中山間地のあり方を呼び込んでいただければ、ありがたいなというふうに思います。  「草の家に柿十一のゆたかさよ」、これは芥川龍之介の句なのですけれども、草の家、いわば余り豪華な家ではありません。しかし、そういうところに柿が11なっている、そうしたたわわに実っている、それはふるさとの豊かさであり、家族の豊かさであり、また、心の豊かさになってくると思います。そんなようないい意味での農泊振興、そして農業とともに生きていくような里のあり方、それをモデルとして追求していただくことを、我々鳥取県としても全面的に応援してまいりたいと思います。 ◯副議長(福間裕隆君)23番藤縄喜和議員 ◯23番(藤縄喜和君)(登壇、拍手)4番目になりました。冒頭に、議長からお許しをいただきましたので、緊急に質問させていただきます。
     きのうのテレビニュース、また、けさの新聞報道は、財務省のあってはならない公文書の書きかえ問題一色であります。真実であれば許せないものであり、国民の皆さんから国の行政への大きな不信を招いたことはまことに残念であります。平井知事の率直な所感を伺います。  それでは、通告に従い、2点お尋ねいたします。  先週、3月9日から平昌パラリンピックが開幕し、3月18日まで熱戦が繰り広げられます。どんなドラマが生まれるのか、日本人選手の活躍を期待するところであります。パラリンピックに先立って開催された平昌オリンピックでは、多くの日本人選手が大活躍し、日本中が沸き立ちました。いまだその興奮冷めやらずの感であり、スポーツの持つ力を改めて認識した次第であります。開会式に参加された平井知事は格別の思いがあるのではと察するところでありますが、日本人選手の活躍についてどのように評価されているのか、伺います。また、改めてスポーツの持つ力について平井知事の所感をお聞かせください。  去る3月1日、オランダで開催された男子競輪のトラック世界選手権で、琴浦町出身の河端朋之選手が銀メダルを獲得いたしました。日本人選手では25年ぶりのメダルで、快挙であります。地元出身選手の世界レベルの活躍に、県民として誇りを持つことができました。平井知事の所感をお聞かせください。  長い歴史の中、鳥取県の選手、チームが残したすばらしい実績は数知れずあります。にもかかわらず、それらの歴史と情報は、競技団体等かかわりの深い方々には共有されているものの、広く県民の皆さんに届いているかは疑問であります。鳥取県に縁の深い選手、チームが残された実績、歴史、情報を世に知らしめ、後世に伝えるべきと考えます。平井知事のお考えをお聞かせください。  次に、鳥取県広域連携課の資料によりますと、平井知事は2月23日からアメリカ、ワシントンDCで開催された全米知事会議ウインターミーティングに参加され、1995年、平成7年を最後に中断している日米知事会議について、全米知事会議のブライアン・サンドバル会長、ネバダ州知事、スティーブ・ブロック副会長、モンタナ州知事と協議を行い、ことしの夏に日本で日米知事フォーラムを開催する方向で合意したということであります。1908年、明治41年に設立された全米知事会議は、全米50州とサモア、グアム、北マリアナ諸島、プエルトリコ、ヴァージン諸島の海外領土の知事によって構成され、連邦政府との間で重要な公共政策に関して連絡協議する団体とされています。我が国の全国知事会より約40年も早く設立された歴史と実績を持つ組織と伺っております。この日米知事会議を再開するため、平井知事は2015年7月、2016年7月と渡米され、再開の交渉に当たられていますが、その実現に至るまでには相当の御苦労をされたのではと察するところであります。今回の渡米の目的と成果について、改めてこの議場において平井知事から御披瀝いただければと考えます。  今議会の質問戦の答弁で、平井知事は、来年10月の消費税再増税のタイミングを見据え、都市部に税源が偏在している現状を打開するため、全国知事会で声を上げるなどなど、全国知事会の場を最大限活用し、その実現に向けて発言をされています。先ほどの日米知事会議再開については、現会長の山田啓二知事、京都府知事に全権委任された任務と伺っており、山田知事の信頼も厚いのではと拝察いたしております。この際、積極的に全国知事会のトップとなって、税源偏在を是正し、地方のため、鳥取県のために汗をかかれるべきと考えますが、平井知事の決意を問うものであります。  以上、壇上での質問といたします。 ◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)藤縄県議の一般質問にお答えを申し上げます。  まず、森友学園問題につきましてお尋ねがございました。  これにつきましては、この週末を挟みまして事態が大きく動きました。先週末には残念ながら自殺された方がいらっしゃったということが報道をされ、その途端に今の佐川国税庁長官が辞職をするということになり、また、その後の世論の動きもあって、週明けには財務省のほうで調査結果を再度、明らかにすると。週末に出したことでは解明に至らなかったというようなことで、そして昨日のようなことになりました。実に14の文書にわたって修正がなされていたということでございまして、国民ひとしく憤りと驚きを覚えたということではないかと思います。実はきょうになりましても、国の他の所管大臣からも徹底究明を求める声が上がったり、それから政府だけでなくて与党の中でも、国会に対して政府としてきちんと解明してもらわないといけない、責任を果たしてもらわなければいけないというような声が与党サイドからも上がるようになってきており、今後これがどうして書きかえられたのか、どういうことであったのか、その辺が今後、焦点になってくるのかもしれません。今いろいろ国会のほうでもその調査のあり方等も議論され始めておりまして、いわば政治に対する国民の信頼にかかわることであると大きく取り上げられているところでございます。  幾つかの課題、問題点があろうかと思いますが、1つは、我々行政組織の中では文書主義という言葉があります。この文書主義というのは、別に日本に限らず、アメリカでもレッドテープというようなことをちょっとやゆして言ったりするわけでありますけれども、要は文書を中心にして仕事をするというやり方、これはどういうことかといいますと、公正に仕事を行うために、文書に記した上で、決裁を回して、みんなで合議をするわけです。その間、その文書を修正すべきは修正することをしたりして、最終的には一つの決定に至るものでございます。これをいわゆる公文書と称しまして、次にこの公文書が保存をされることで後世に対して、これはいわゆる前例踏襲の場合の前例になってみたり、また、公文書館まで行けば、こういう古き時代にこんなことがあったという歴史の証左になったりするわけでございます。こういうようなことで、いわば文書中心主義、文書主義と言われるような慣行が行政一般には世界あまねく行われているところでございまして、この文書に対する重みというものが失われているところがございます。そういう意味で、こうした公文書の保存だとか、それから作成プロセス全体について、いわば国の中枢である財務省が禁を犯していたということになりますので、果たして、では、ほかは大丈夫なのかみたいなことでありまして、信頼が大きく揺らぎかねないということになります。これは、行政機関のあり方に対する信頼性の問題ということがあろうかと思います。  2つ目には、今回、この決裁文書等がどうしてこれほどクローズアップされてきたかというと、国政上の課題があったからです。一つのイシューがあって、そのイシューをめぐって、では、役所はどういうふうにこれにかかわったのかということが議論になったわけです。その際、国土交通省も同様に国会のほうに呼ばれて答弁をしたりしていました。当時、財務省からは佐川理財局長がたびたび答弁に立ったわけでありますが、あのころのことでいえば国交省は結構おろおろするといいますか、行ったり来たりするわけでありますけれども、佐川局長はすっきりと答弁をするわけでございまして、さすが財務省は力量が違うみたいなことを言われたり、新聞に書かれたりしたわけであります。しかし、その国会という、国政調査権を発動する場においてなされた答弁に沿った形で文書を書きかえていたと、昨日、財務大臣がおっしゃったわけでありますけれども、そうであると、一体それは何を信頼して国会審議をしたらいいのかということになるわけであります。ですから、これは民主主義に対する信頼が揺らぎかねない、民主主義の根幹を実はそういう官僚たちが破ろうとしているのではないだろうか、そういう課題を次にまた惹起させているわけであり、これが大きな政治問題に今後なってくるのではないかというふうに思われるわけでございます。  こういうような、さまざまな波紋を投げかけながら、今この森友学園をめぐった議論が広がっているわけでありますけれども、我々鳥取県で実務に当たっている立場からすると、ちょっと解せない事態だろうと思います。そもそも決裁文書自体は、それはいろいろな理由づけだとか関連の文書も含めて、みんなを納得させるために稟議が回るわけです。その稟議で回ってきたものを全部総括した上で、一番上の表紙というふうに言いますけれども、その稟議の結論である意思決定がなされている、その前提のところを後から都合によって、しかも国会での答弁に合わせるためと、財務省は説明していますが、いわばつじつまを合わせるためにやっているということはまずはあり得ない話であります。それは鳥取県の場合は電子決裁化しておりまして、現実には今は100%不可能です。添付文書も含めて、みんなデータの中に入っています。ですから一旦、決裁を固定してしまえば、それを廃棄しない限りは後から一部を差しかえて修正するということはあり得ないわけです。  ただ、財務省は昔かたぎの仕事のやり方をしていたということで、そこを差しかえたくなったのでしょうけれども、それはこうした行政としてはルール違反であることは疑いないと思います。また、それを答弁に合わせるために書きかえたというような説明がなされているわけでございますけれども、なぜ事実を書きかえなければならないような答弁をしなければいけなかったのか、むしろそちらに次の焦点が移るのではないかと思います。したがいまして、そういうような意味で、そういう偽った答弁あるいは事実を少し曲げて陳述するような答弁で、それに合わせるために、書類上の整合性を持たせようとして、決裁文書を14文書にわたって訂正をしたと、修正をしたということでありまして、これはいわば真義に対して虚偽といいますか、偽りといいますか、中身が真正であるかどうか、それに対して疑念を抱かざるを得ないような状況ということになりますし、また、その状況をつくり出した原因は一体何なのかということに、解明が進まなければいけないのではないかなというふうに思います。これは国の行政の問題であり、しかも財務省の中の問題ではありますけれども、私どもとしても、こうした行政に対する信頼とか民主主義の根幹が揺らぎかねないことに対しまして、警鐘を鳴らす意味でも徹底した解明をしていただきたいと思いますし、こうしたことが起こらないようにやはり国家の中枢としてきちんとした手だてをとっていただく必要があると思います。  本県は、先ほど申し上げましたように電子決裁化されていますので、現在そういうこと自体があり得なくなっていると考えてはおりますけれども、ただ、さまざまな文書の保管等もございますし、先般、国全体で大きくクローズアップされているような優生手術の問題の文書というふうなこともございます。ですから、今、庁内のそういう文書管理についての会議等もございますので、今回の事態の解明に伴いまして庁内にも注意を徹底してまいりたいと思います。  次に、平昌オリンピックでの日本選手の活躍を見て日本中が沸き上がったということでございまして、開会式に参加した立場でもそういう選手の活躍をどういうふうに見るか、スポーツの持つ力はどうか。また、河端朋之選手の銀メダル獲得、地元の選手の活躍についてどういうふうに考えるか。さらに鳥取県のスポーツ選手の活躍、それを世に知らしめ、後世に伝えるべきではないかと、こういうお尋ねがございました。  私自身も平昌オリンピックに友好交流の一環で崔文洵知事に招かれまして、他の友好地域とともに出席をさせていただきました。やはり一流のスポーツ選手がそろい、そして本気でぶつかり合う、そこに人間の可能性と美しさを感じるのがオリンピックという特別な期間ではないかと思います。その中で、日本選手団も金4、銀5、銅4の13の史上最多のメダルを獲得し、大活躍をしたわけでありますし、また、その応援に行った日本人も含めて、いろいろな声が寄せられたことは我々としても誇りに思うことがたくさんありました。  例えば小平奈緒選手と李相花選手の友情の物語もございますし、また、世界中を魅了したような羽生結弦選手の活躍もありました。実は海外では羽生結弦選手を応援する日本の女性たちに対する称賛も寄せられたというのですね。それは羽生選手ばかりが出ているわけではなくて、順番に演技をしていくわけでありますが、他の国の選手が出てきたときに、その国の旗を取り出して応援をしていたと。こういうことは見たことがないと、いかにも何か日本らしいような感じがするのですけれども、そういうようなことで真に友情、エールの交換をしながらスポーツを楽しみ、また、この世界が一つである瞬間というのを味わう、それがオリンピックの本当に大きな成果だったのではないかなと思います。  その末に今回、トランプ大統領が急遽、金正恩氏と会談をするという日程が浮上してきたわけでございますが、それに至るような国同士の対話もオリンピックと同時並行で進んだのではないかなというふうに思うところでございます。  また、河端選手は非常に苦労された方でいらっしゃるわけでありますけれども、今回ついに銀メダルを獲得したと、それも世界選手権という晴れ舞台で獲得をしたわけでございます。これは自転車連盟の皆様等々、関係者の皆様の大変なお力添えもあり、ここまで選手を育ててくださったということだと思います。もともと倉吉工業高校で自転車を始めたわけでありますが、クラブの先生に誘われてしたようなことでありますけれども、熱心に練習に取り組み、ついにはプロの競輪選手になり、今回こういう栄冠に至ったところでございます。  レース展開のすばらしかったのは、その試合運びだったなというふうに思います。どちらかというとずっと最後尾のほうに近いところで走り、いわば力を温存したわけであります。それでラストにおいて右側にふわっと出て、前に躍り出ると、横から抜き去ろうということでありまして、さすがに1位までは抜けなかったですけれども、その当時の2位までの選手をざあっと抜いて、最後のゴールの瞬間に銀メダルを決めたということでありまして、本当に一瞬のタイミングを見て一気に勝負を仕掛けていく、非常に戦略的な競輪の試合だったというふうに思います。これはフランス出身のブノワコーチに教えられたことだそうでありまして、全力で駆け抜けるタイプの河端選手ですけれども、力がありますので、温存をして最後に仕掛けるというパターン、これを練習した成果があらわれたのではないかなと思います。このように、原石が磨かれることによって世界の一流選手になっていくわけでございます。  例えば三上紗也可選手、飛び込みの選手でありますけれども、先般の国際代表の選考会におきましても、シンクロ飛板で見事に1位になりましたし、また、高飛び込みで2位に輝きました。この三上選手も米子南校の方でいらっしゃいますけれども、安田コーチの教えを受けながらやってきたわけであり、また、その娘さんの安田舞選手も今、中学生ですけれども、頭角をめきめきあらわしているところであります。また、競泳におきましても石田華子選手がおととし、世界選手権のほうに出られましたけれども、本県出身の競泳としては本当に画期的なことでございました。こんなようなことが今、水泳界でも相次いでいまして、その関係者の皆様の大変な御尽力のたまものではないかと思います。  こうしたスポーツのすばらしさは、県民に勇気を与えてくれます。特に河端選手は中部地震の被災地のど真ん中で育ったわけでございまして、その選手の活躍が今回、輝きをもたらしてくれたと思いますし、東京オリンピックまでこのまま走り抜けてもらえば、東京オリンピックのすばらしい成績で被災地にまた勇気を与えてくれるのではないかなというふうにも思うところでございます。  こうした選手たちのすばらしい活躍がございますけれども、いろいろな記録がございまして、写真であったり、もちろんそのときの新聞記事であるとか、特に油野体協会長は学者さんでいらっしゃいますので、結構スクラップをしたり、保存をされたりしているものもございます。昨年ですかね、ちょっとコレクションを展示されたときもございましたけれども、議員の御指摘もございましたので、何らかの形を考えてみてもいいのかなと思います。ただ、余り大がかりなことをする必要まではないかもしれませんが、東京オリンピック・パラリンピックが終わって、こういうような本県選手の活躍があっとか、そうしたものを捉えてやるとか、あるいは国体を目指して機運を盛り上げるというような意味でやるとか、いろいろな目標があってこういう展示をするのが、また若者が続いていく、子供たちが希望を持つという意味でもいいのかなというふうに思いながら伺っておりました。  現在、布勢のコカ・コーラウエストスポーツパークにおきまして、陸上競技場でジャマイカの展示をしています。あのようなイメージで、いわゆるスポーツの殿堂みたいなタイトルもつけて、例えば布勢のどこかでそういうような飾るスペースを探すとか、そうしたこともあり得るのかもしれません。もちろん競技自体が目的でございますので、その競技の環境を十二分に整えた上で、余力のある部分でそうしたスポーツの実績を展示するというようなことをして、訪れた選手たちあるいは指導者たちにまたいろんな教訓を与えてくれるような、そういう存在になれば有効なのではないかなというふうに思います。  次に、全米知事会議につきましてお尋ねがございました。  これにつきましては、このたびワシントンDCで開催されました冬の全米知事会議、全米知事会議は夏と冬と2回、大きな会議をやっています。その冬の会議のときには全米知事会議の出席メンバーがホワイトハウスに行ったり、そうしたことでいわばロビー活動もやるというような位置づけの大会になります。現実に43州の全米の知事が集まるというようなことになりました。この大会には、全米知事会としても今、日本がアプローチをしているということも考えながら、国際的な連帯をもっと全米知事会も強めていこうというように、軌道転換を始めています。ここに至るまで結構、私どもも山田知事会長の命で働きかけをやってまいったのですけれども、ようやくそうした段階にまで来ました。  今回はオーストラリアのターンブル首相であるとか、またガーナ共和国の大統領とか、そうした国賓級の人たちもこの会場のほうに来られたりしましたし、オーストラリアやメキシコ、カナダ、そうした知事や首相たちも来られまして、親しくお話もさせていただき、私自身もそういう経済交流だとか、こうした地方政府間のサブナショナル、準国家的なレベルでの交流のあり方についてのセッションに参加をさせていただき、私たちの立場を主張させていただいたりという機会もございました。  その中で今のサンドバル全米知事会長、それから次期の知事会長となりますモンタナ州のブロック知事、こうした方々などと順次話もさせていただき、全米知事会のメンバーが日本に来て交流のフォーラムをするということについて、具体的に今回は話が進んだと思います。今後まだ交渉がございますけれども、今の方向性としては夏の終わりごろぐらいをめどにそういうミッション、代表団を向こうで組もうというようなことを話しているところでございまして、これが実現すれば、長くこの全米知事会議と日本の知事会との交流が断絶していましたけれども、それが本格的に復興していくということになろうかと思います。  また、あわせまして、この機会にバーモント州のスコット知事もお見えでございまして、話をさせていただきました。それでバーモント州と鳥取県とは、かねて環境をめぐっての青少年交流であるとか、それから鳥取大学とバーモント州立大学の医学部との交流とか各方面にわたって交流を行い、日本のほうからも高校生がバーモント州のほうに研修旅行に行って、向こうで英語のブラッシュアップの滞在をすると、そのようなことをやってきているところでございまして、いわゆる姉妹提携のような形にさらに位置づけられないかという率直な話もさせていただきました。向こうの州政府とこちらとで今、事務折衝をしておりますけれども、スコット知事も非常にそこは前向きに考えてくださったというふうに思います。今こうした国際情勢が非常に流動的な中だからこそ、実はいろいろな議論があったのですけれども、そこで日本とアメリカとのパイプの再開、さらに我々も地域レベルでそうした交流のきずなを築くことができれば、意義が将来に向けて出てくるのではないかなと期待をいたしているところであります。  最後に、小職につきましてお話がございまして、知事会のトップとなって税源偏在をただすべきではないだろうかというお尋ねでございました。質問には2つあって、トップになるかということと税源偏在の是正を目指すということと両方あると思いますが、後者については、これはぜひそれが実現するように新年度さまざまな議論をしてまいりたいと思います。  私は、自分がというようなことでこの知事職をあずかったこともないつもりでございますし、いろんな公職におきましても、果たしてこれが地域の役に立つだろうかということも考えながらお受けをしてきているところでございます。今、知事会の中では鳥取県も発言力が大分出てきたかなと思っておりまして、例えば地方分権の委員長をさせていただいたり、それから、さまざまな戦略を練る場に出させていただいたり、そういう意味で、山田会長のもとで鳥取県も発言力をいただいているというように思っております。問題はこうした鳥取県の実情が知事会の意思決定に反映されるようになることが一番大切でありまして、私のポストのことよりはそちらを優先して考えたいと思っております。今、仲間の知事らともいろいろな話をしているのですけれども、必ずしも私たちが会長職を目指さなくても、むしろほかの方にやっていただきながら、そこでこうした我々のような地域の実情を反映させてもらうという枠組みをしっかりと考えていただくと、そういうほうが得策ではないかなというような議論を今お互いにはしているところでございます。いろいろとお声もかけていただいて恐縮ではありますし、また、5人ぐらい推薦人を集めて立候補することは、それは多分できなくはないのですけれども、ただ、戦略的にやはり鳥取県と県民のためにどういうような知事会の中での我々のポジションを得ていくかということのほうが大事かなというふうにも思っておりまして、我々としては税源の偏在是正であるとか、それから子育て環境の充実であるとか、地方創生の推進であるとか、今の知事会の課題にむしろ47人の知事が一丸となって取り組んで成果を上げられるような、そういう体制をいろいろと話し合って目指していきたいと考えております。 ◯副議長(福間裕隆君)23番藤縄議員 ◯23番(藤縄喜和君)御答弁いただきました。財務省の件は、書きかえ問題解明を一番望んでいるのは国民の皆さんだと思っております。見守っていきたいと思っております。  スポーツの力、オリンピックの力は、知事の思いと共有するものがありました。きょうの中央紙のスポーツ欄に井上康生さん、日本柔道の代表監督がこの平昌オリンピックについてコメントしておられますので、ちょっと紹介します。試合前に、リンクの状態を問われたときの小平奈緒選手の自信に満ちた受け答え、いろいろあって、最後は、冷静柔軟で、かつ強い心を忘れず、再び頂点に立った羽生選手らは2020年に向かう我々にも多くのことを教えてくれたというようなことがコメントされております。ぜひとも東京オリ・パラに続くようなことになればと願っております。  河端選手ですが、きょう4時からスポーツ顕彰を授与されるということのようです。非常にめでたいことであります。時間も気にしながらと思っておりますが、自転車競技連盟会長は上村会長でありまして、副会長が伊藤保議員とこうなるわけであります。紹介させていただきました。  飛び込みの話が出ました。三上紗也可と安田舞 これは安田コーチ、本人たちの努力もさることながら、県の取り組み、オリンピックプログラムによる支援が大きかったというふうにも思っております。海外遠征もしましたので、その成果を選手が発揮したということだろうと思っております。  幾つか鳥取県にまつわるスポーツのことを紹介させていただきます。先ほど鳥取県体育協会の油野会長の話がありました。先般、御自宅にお邪魔しました。自宅を改装されて1階、2階、3階ともう蔵書の山でしたね。まだ段ボールから出していないような蔵書もたくさんあって、陸上競技を中心に約3,000冊あるそうで、これはリストアップは全部できているのですね。この書物はどこから出た、いついつ出たというのが全部リストアップできていて、感動いたしました。蔵書だけではなくて、国体だとかオリンピックだとか、多くのアイテムも残しておられます。メダル、バッジなどなども大変な財産でありましたが、これはちゃんと保管して県民の皆さんに見ていただくところがもしもできたら、お譲りしますということも言っておられましたので、そのことも御紹介させていただきます。大変ありがたいことだと思っております。  先般、智頭に上がってまいりました。綾木長之助展をやっておりました。この綾木さんは日本で初めてのマラソン大会、当時20マイルだったようですが、神戸から大阪までの第1回マラソン大会の優勝者、これは智頭の方でありまして、今、展示がされておられます。また、智頭町というと大坪敏郎さん、この方は東京オリンピック、高飛び込みで8位に入賞しておられます。智頭農林で体操しておられて、日体大に進まれて、飛び込みにかわられて8位入賞、智頭町の方であります。  また、マラソンといえば一番思い出すのが森下広一、山下佐知子。森下さんはバルセロナで銀メダル、山下さんは4位というようなことがありました。  また、オリンピックでは、北京オリンピックで山本隆弘さん、バレーボールのスーパーエースとして出場をされております。  野球に目を転じますと、夏の甲子園、高校野球の前身であります全国中等学校優勝野球大会、これは第1回が大正4年に行われておりまして、全国で10校出場しております。豊中のグラウンドで行われたそうでありまして、第1試合の1回戦が鳥取中学対広島中学、この試合の第一球を投げたのが鳥取中学の鹿田投手、この試合は14対7で鳥取中学が勝っております。西高に連絡しまして当時の何か残っていますかということを聞きましたら、甲子園歴史館のほうから問い合わせがあって、甲子園歴史館のほうにグローブとボールとスコアブックを貸しているというようなことでした。2年更新で問い合わせがあるようであります。  もう一つ高校野球でいえば、第32回春の選抜、昭和35年決勝戦、米子東高校と高松商業9回裏、高松商業の山口キャプテンのさよならホームランで米子東は準優勝に終わっております。私が小学校3年のときでありまして、おじが電器屋をやっておりましたから、お下がりのテレビで春休みに見ておりました。NECのぼろぼろテレビでしたけれども、悔しくて泣いたことを覚えております。そのときのピッチャー、宮本洋二郎さんは、早稲田大学に行って6大学のエース、そして巨人軍に入っております。米子東高校にも連絡させていただきました。このときのアイテムは何か残っていますかと聞きましたら、準優勝旗が玄関にあるそうです。米東の議員の皆さんは御存じでしょうか。それで、そのほかのアイテムは残っておりますかと聞きましたら、やはり甲子園歴史館から問い合わせがあったと。だけれども、米東には準優勝旗しかなくて、ほかのアイテムは出しておられませんということでありました。  プロ野球は小林繁、角盈男、川口和久、加藤伸一、最高の選手は米田哲也、境高校出身でありまして、実に阪急ブレーブスを中心に350勝を上げています。金田さんの400勝に次ぐ第2位の記録を境高校出身の米田哲也さんが持っておるということでありまして、やはり知事がおっしゃられたように、これらをスポーツの殿堂として県民の皆さんに知っていただきたい。知事がおっしゃるように、そのことが子供たちの次への気力、やる気、誇りを持てるようになると思っております。  先般、和歌山に行ってまいりました。和歌山にスポーツ伝承館、これはNPO法人で運営しておりますけれども、平成24年に開館されて年間4万人程度入るということです。結構多いなと思っておりますが、和歌山県はベルリンオリンピック、200メートル平泳ぎで優勝した前畑秀子さんの出身地、また野球どころでもありますので、いろいろな野球選手も出ております。侍ジャパンの監督をやった小久保裕紀さんも和歌山、さかのぼりますけれども、東京オリンピックときのニチボー貝塚のサウスポーアタッカー、宮本恵美子さんも金メダルをとられた方で、その人の金メダルが伝承館に置いてあるのですね。それを触れることができるのです。ひもが切れてはいけないので、メダルを下に持って切れないようにしてくださいねというような感じで持たせてくれるのです。小久保さんのユニホームも着れるのです。小久保さんの使ったグローブも持てる、バットも持てた、そんなような伝承館でありまして、非常に感動して帰ったものであります。知事が今、前向きな答弁をしていただきましたので、ぜひともそういったことも参考にしていただければと思っております。  あと1点、御案内のように、アシックス創始者の鬼塚喜八郎さんは鳥取市の出身でありまして、私は中学校のときからバスケットボールをやっていました。オニツカタイガーのバスケットボールシューズを履くのが夢で、憧れでありまして、このシューズの会社が今、世界のアシックスになっておるのですけれども、ここのミュージアムも大変参考になりましたので、連携するとか参考にされてはと思っております。  もう一度、伝承館、殿堂について知事の御所見を伺います。 ◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)藤縄県議から重ねてスポーツの顕彰施設につきましてお尋ねがございました。  今、ずっとこれまでの鳥取県の輝かしいスポーツ史について御解説をいただきまして、改めてやはり先人たちの大変な業績に敬服するとともに、そうしたことがまたこれを目指す若者、子供たちの夢にもつながればというようにも思いました。今お話がございましたように綾木選手とか、ちょうど今、智頭でもやっているということでございますが、そういう先人たち、あるいは森下選手や、そうしたさまざまな方々がいらっしゃるわけでありますし、小林投手のことだとか米田選手だとか、いろいろプロ野球でもおなじみの方々もいらっしゃるわけです。最近でもアーチェリーであるとか今回の自転車であるとか、そうしたいろんな競技でも活躍の目覚ましいところでありまして、もっともっとそうしたスポーツの輝きが鳥取県内から生まれてくるのではないかなというふうに期待をいたしております。  今おっしゃった和歌山県の場合は、よく仁坂和歌山県知事からもお話は伺うのですけれども、島精機さんという、非常に地元に協力してくださる地元の大企業といいますか、成功者の方がいらっしゃって、そこがスポンサーになっている、そうした施設のいいところを貸してもらって運営しているということでありまして、そういうようなことがあればいいのですけれども、ちょっと今考えたところでは、ないかもしれないなと思いながらも、ただ、後半でおっしゃったアシックスさんは一つあるところでございまして、私も社長さんに案内されて神戸のアシックスミュージアムへ行きました。もちろんシューズの歴史でありますが、そこにいろいろなスポーツ選手が登場しまして、日本の技術と、それからスポーツの歩みが重なり合ったような非常に特徴ある展示になっていました。  ああいうものを、ミュージアムファクトリーというものを、鳥取県でもというふうに実は社長さんに申し上げたわけなのです。その末に今、境港の工場が新しくできましたけれども、そこに実は展示施設がありまして、最後のパートのところがミニ博物館になっているところでございます。そこにはダルビッシュ有選手のシューズであるとか、いろいろ皆さんもおなじみの方々のシューズが並んでいたり、そういうモデルがいろいろあったり、それもそれで大変に見応えがありまして、こちらでうまくアレンジができれば、そこを見せてもらえるような段取りになっていますので、一つそういうところは活用できるのかなと思います。  そこはそこでまた活用しながら県のスポーツ施設をどこかしらのところに、先ほど申し上げましたようなスポーツの殿堂とでもいうべき展示をつくって、余り大きなお金をかけるわけでもなくてできるかなと思いますので、そうした油野会長などの御協力もあるのではないかという御示唆もございますので、関係者ともよく話し合ってみたいと思います。 ◯副議長(福間裕隆君)23番藤縄議員 ◯23番(藤縄喜和君)まさに全米知事会議での活躍だと思っております。中国5県の正副議長会議に出席した折に、広島県の湯崎知事も、伊原木知事も平井知事のことを大変評価しておられました。そうして褒められれば、こちらも鼻が高いわけです。おととしですか、湯崎知事と一緒に全米知事会議にも行っておられるようでありますので、5県ももちろんですけれども、他の知事の皆さんと連携していただきたいと思っております。  2月2日に白兎会館で、海洋エネルギー資源開発促進日本海連合が主催で日本海海洋資源フォーラムがありました。テーマはメタンハイドレートでしたけれども、知事がホストでおられ、そのときに山田知事も来ておられて、初めてツーショットを見させていただきましたけれども、いい雰囲気だったなというふうに思っております。日本海側、山口から青森までの12府県の中でもそういった連携ができておることも、これはありでありまして、多くの仲間がおられるのだなということを実感したわけであります。  先般、3月4日に山口議員の最長永年勤続を祝う会がありました。そのときに発起人としての知事の挨拶の中で、全国議長会の会長になられ、財政窮乏県連盟を立ち上げて、交付税増額をかち取ったという挨拶もありましたので、純粋に今度は平井知事の番だなと思うわけですよ。  再来年、2019年からは骨太の方針でも一般財源の総額は大変厳しくなる、不透明だということもあり、そして消費税の増税も来年、2019年ということになれば、平井知事はこの際、運命、天命、宿命だと思っていただいて、トップになってほしいということでありますが、そうはいってもここでもう一度、では、わかったという答弁はないでしょうから、思いがにじみ出るような答弁をお願いしたいと思います。 ◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。  平井知事 ◯知事(平井伸治君)(登壇)藤縄議員から重ねてのお尋ねがございました。  先般、メタンハイドレートの会議がございまして、それで実は鳥取の沖合のところに非常な大きなメタンハイドレートの鉱脈といいますか、メタンプルームが出るようなガスチムニーが立っているということも明らかになったわけでございます。実は日本海側の連帯でできておりまして、山田会長が日本海連合を発足させたわけでありまして、その成果として今、少しずつではありますけれども、国のほうの関心が太平洋側だけでなくて日本海側のほうにもメタンハイドレートの研究費や調査費が割かれるようになってきました。実際、日本海連合を立ち上げて地方の声を糾合していった成果ではないか、こういうように、そこに出席された参議院議員の先生などもおっしゃっていまして、私どももこうした活動をやはり地域の連帯の中でつくっていくことが国を動かすことではないかなというふうに思います。  実はその会合に先立ちまして山田会長といろいろとお話をしたときがございましたけれども、そこの中で山田会長のほうから日本海連合のほうは鳥取県のほうであずかってもらえないだろうかというようなお話がございました。そういうことで今、関係者とも話をしておりますが、山田会長の志を受けて、そうしたメタンハイドレートの、日本海連合の振興に向けて、微力ながら私のほうでも力を発揮させていただければというふうに思います。時代は山田会長から次の世代へと移っていくわけで大きな流れはありましょうけれども、どんな形であれ、そうした地方の連帯の中で国を動かしていく、そういう力が生まれるものでありますし、幸い鳥取県の場合はここにこうして議会の同志の皆様も多数いらっしゃいまして、いろいろな意味で、地方から国を動かしていこうという運動に大変に御協力をいただいている、よい環境にあると思います。これからもメタンハイドレートのことのみならず、全国知事会の活動の中でも鳥取県が大きくクローズアップをされて、そして私たちの中から地方分権改革や地方創生が立ち上がってくる、そんな時代をつくることに私の身も投じてまいりたいと思います。 ◯副議長(福間裕隆君)23番藤縄議員 ◯23番(藤縄喜和君)にじみ出る答弁をいただきまして、心強い限りでございます。先ほど山口議員を祝う会で発起人にもう一人、石破代議士も来ておられました。あのテーブルを見て、平井知事は全国知事会会長、そして9月の総裁選は石破総理総裁誕生、これが県民に一番大きな希望だと思っておりますので、興治議員も実現するよう応援されるそうですから、党派を超えて応援したいと思っております。終わります。 ◯副議長(福間裕隆君)本日の議事日程は全て終了いたしました。  これをもって散会いたします。        午後3時00分散会    ────────────────...