鳥取県議会 2018-02-01
平成30年2月定例会(第6号) 本文
▼最初の箇所へ 午前10時00分開議
◯議長(稲田寿久君)ただいまから本日の会議を開きます。
この際、諸般の御報告を申し上げます。
監査委員から、平成30年1月の例月現金出納検査の報告が議長のもとに提出されましたが、その報告書は、既に配付している写しのとおりであります。
本日の議事日程は、県政に対する一般質問並びに議案に対する質疑であります。
それでは、議案第1号から第21号まで及び第32号から第92号までを一括して議題といたします。
これより、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。
15番濱辺義孝議員
◯15番(濱辺義孝君)(登壇、拍手)皆様、おはようございます。公明党の濱辺義孝でございます。通告に従い質問をさせていただきます。
初めに、障害者工賃向上について伺います。
鳥取県
小規模作業所工賃3倍計画は、皆様も御存じのとおり、平成18年4月に
障害者自立支援法、現在の
障害者総合支援法が施行されて、障害のある人が地域で安心して暮らせる社会を目指し、就労支援事業を創設し、福祉と雇用との関係機関がネットワークをつくり連携して、就労支援の強化を図ってまいりました。
平成19年度に工賃3倍計画を定めて、企業、団体などの各関係者の皆様と連携をとり、協力をいただきさまざまな壁を乗り越えて、障害のある方々の自立のための経済的な支援を強く推進してきました。
その結果、平成18年度県の平均工賃月額約1万1,000円から、平成28年度は約1万7,200円まで向上し、全国で第12位、上位の月額工賃の結果を出すことができました。事業所の努力、
県障害者就労事業振興センター、行政、企業の支援などオール鳥取のチームワークの力だと思います。
平成30年度
障害者福祉サービス等報酬が改定され、就労継続支援B型は平均工賃月額に応じた報酬に見直され、
目標工賃達成加算が廃止されて、各事業所の月額報酬は、上は4万5,000円以上から下は5,000円未満と7段階に分けて報酬設定がされます。
今回の報酬の見直しは、一つは、平均工賃月額に応じた報酬設定。あと一つは、工賃が高いほど、自立した生活支援につながることや、生産活動の支援に労力を要すると考えられることから、高い報酬設定としてめり張りをつけるとの基準をもとに行われます。
この報酬の見直しは、工賃向上に結果を出している事業所においては、改定前よりも報酬がふえるために、より事業所の力を発揮していただく活力になりすばらしいと思いますが、
目標工賃達成加算がなくなる事業所や平均工賃月額1万円未満の事業所は改定前よりも報酬が下がり、事業所の運営が厳しくなることが考えられることから、事業所の工賃向上に対する意識が下がり工賃向上につながらないと考えます。
この報酬の見直しをどのように考えておられるか知事に伺います。
この2月定例会で鳥取県工賃3倍計画の第3期(案)が示されました。今後の日程では、2月に実施した
パブリックコメントの結果も踏まえ、3月に
工賃向上計画策定委員会において審議、報告、4月に第3期鳥取県工賃3倍計画が開始になります。
工賃3倍計画について、国が倍増計画を打ち出したところ、本県では障害のある方々の自立に対する経済的支援への知事の思いからその上を行く3倍計画として強力な推進がスタートしました。
工賃3倍計画(案)の概要は、期間は平成30年度から平成35年度とし、目標工賃は3万3,000円以上、対象は
就労継続支援B型事業所の工賃を目指すというものです。
主な施策では、1つ、自主的な事業展開で工賃向上に向かう事業所、2つ、共同作業場などで行う高単価作業による工賃向上に向かう事業所、3つ、その他の自立支援の趣旨の理解を事業所に求め、その事業所の特徴に合った工賃向上に向かう事業所など、全体を3つの区分に分けて取り組み、推進するという方向性を示されました。
鳥取県工賃3倍計画において、第3期の取り組みは目標達成に向かい大きな役割を担うことになると思います。
そして、この施策を強く推進していくためには、
県障害者就労事業振興センターを中心とする専門的な人材の確保、支援体制の強化をする必要があると感じますが、どのように考えておられるのか知事に伺います。
次に、ひきこもり支援について伺います。
昨日の島谷議員の質問と重なるところがあるかもしれませんが、ひきこもり支援に対する思いを感じていただき、お許し願いたいと思います。
ひきこもり支援に対する質問では、平成27年11月定例会で東部、中部、西部への
生活支援センターの設置拡充、平成28年6月定例会では、市町村単位での人材の育成、
生活支援センターなどの支援体制の充実について質問をさせていただきました。
近年、ひきこもりの高齢化で、県機関、
生活支援センターへの相談件数が毎年ふえている傾向にあります。ひきこもり支援に対して強く推進することが必要と思い質問をさせていただきます。
健康政策課によりいただいた資料の中に東京新聞の掲載記事がありました。その記事によりますと、ひきこもりの全国調査は過去2010年、2015年と2回実施。主にいじめや不登校をきっかけに起きる子供や若者の問題として捉えられていたため、いずれも対象を15歳から39歳に限定、仕事や学校に行かず、半年以上、家族以外とほとんど交流せずに自宅にいる人は2015年時点で全国に推定約54万人。2010年時点よりも約15万人少なくなったものの、ひきこもりの期間は7年以上が34.7%と最多で長期化が進んだ。内閣府は、ひきこもりの長期化、高齢化が深刻となる中、2018年度に40歳から59歳を対象とした初の実態調査を行うことを決めた。
中高年層にひきこもり状態の人がどの程度いるかや生活状況、抱えている課題を把握、支援に役立てる狙いとのことでした。
鳥取県でも2018年度、40歳から59歳の中高年層のひきこもり実態調査を行い、課題解決、支援に役立てるよう取り組むべきと思いますが知事に伺います。
健康政策課より、近年のひきこもり相談件数をお聞きいたしました。県の
東部福祉保健事務所、各福祉保健局、
精神保健福祉センターでは、平成28年度の相談件数では延べ人数で1,300件、とっとりひきこもり
生活支援センターでの相談件数は延べ人数で1,444件とのことでした。
特に平成25年度、平成26年度より相談件数が延べ人数で1,200人、1,300人を超え、急激にふえてきています。
ひきこもりの長期化は、家族関係のねじれ、挫折感が深まり、就学、就労などの社会復帰の糸口、チャンスが減少し、ひきこもりからの回復がより一層難しくなります。
毎年相談件数がふえる現状を改善していくために、県が市町村をリードし、牽引力となって支援を強く推進することが重要と考えます。今後の取り組みについてどのように考えているか知事に伺います。
鳥取県では、とっとりひきこもり
生活支援センターが県からの支援の委託を受けて、鳥取方式の生活支援、社会参加、就労訓練などのひきこもりの人たちに寄り添い、すき間のない支援に取り組まれています。
先日、
生活支援センターの理事長、事務長にお話を伺いました。
年々相談件数がふえている。対応が大変だけれども、当事者、家族のお役に立てるように頑張っている。ひきこもりに対する活動をしてくれる団体などは少なく、活動しているNPO、団体も連携がとれていない。人材育成、人材の確保が重要。ひきこもり支援活動は、すぐに結果の出るものではなくて、結果の出るまでに何年もかかることがほとんどで大変との話を伺いました。
県内のひきこもり支援活動において、
生活支援センターに多くの負担がかかっていないでしょうか。
県内にひきこもりの支援活動に携わっていただいている団体、NPOなどはどの程度あり、どれだけの活動をされているのでしょうか。これらの団体、NPO等が
生活支援センターとネットワークでつながり、支援の幅を広げることが人材の育成、人材の確保につながると考えますが知事に伺います。
また、
生活支援センター、NPOなどだけではなく、市町村の社会福祉協議会の中で、総合的な相談窓口を設置していただき、ひきこもり支援に取り組んでいただいてはどうでしょうか。
先日、
県社会福祉協議会に地域の社会福祉協議会の活動の様子をお聞きいたしました。地域によっては活動をする人が少なく、地域での活動の負担が多くなっていることを心配されていました。しかし、地域の活動に積極的に取り組んでいるところもあり、そのような地域でモデル地域として取り組んでいただいてはどうでしょうか。知事に伺います。
若者のひきこもり支援では、教育委員会が取り組むハートフルスペースがあります。当初は、東部で始められましたが、平成29年度から中部、西部でも教室が設置されて不登校、ひきこもり支援が始まりました。
平成29年度、この1年で活動を通した結果、課題、また、今後の取り組みについて教育長に伺います。
次に、鳥取中部地震からの復旧・復興について伺います。
平成30年度当初予算に鳥取県中部地震からの復旧・復興をさらに推し進めるために生活復興支援の事業が新規で予算計上されています。
中部地震復興本部にお話を伺いました。
この事業は、県と市町村が連携し
生活復興支援体制を構築し、訪問調査による状況把握、個々に応じた生活復興プランの作成、専門家・支援窓口とのマッチングなど、きめ細かな支援が行われるというものです。
震災から復興・復旧に強く期待するものであります。
それぞれのステージで、多くの人材、支援に協力していただける人が必要と考えます。
どのように取り組まれるのか、知事に伺います。
次に、ツインポート促進に向けた魅力づくりについて伺います。
鳥取砂丘コナン空港一体化工事が終わり、空の港、海の港をつなぐ道路が開通し、いよいよツインポートとしての機能を発揮してスタートすることになりました。まだまだ空港の運営などさまざまな課題はありますが、これからの空港の利用者、にぎわいづくりを強く推進していかなければなりません。そのにぎわいづくりの中で、空の港、海の港をつなぐ道路は、大変重要な役割を担うと思います。
鳥取砂丘コナン空港と賀露港を結ぶ道路の愛称がかにっこ空港ロードと決定いたしました。鳥取港と蟹取県につながる言葉、鳥取県、蟹取県を表現したなじみやすいわかりやすい言葉の組み合わせ、覚えやすく呼びやすい名称、とのことから決定したようです。
県土整備部の報告資料によりますと、平成29年12月1日から1月21日にかけて募集を行い、809作品、県内370作品、県外439作品の応募の中から選ばれました。
応募作品の数が多いのか少ないかはわかりませんが、県内よりも県外の応募が多く県外にも注目されている様子に驚きました。
平成29年6月定例会において、
鳥取砂丘コナン空港の魅力向上について質問をさせていただきました。空港施設を利用する利用者のおもてなし、県産品の魅力あふれる取り組みについて質問をいたしました。その答弁の中で、海の駅である賀露のあたりと空の駅を結びつける2つの港、空の港、海の港で勝負してみようということです。ほかに余りない周遊ルートをつくるために、1.5キロメートルの道路に着手しております。向こう1年ぐらいで完成を見るとの答弁がありました。
道路の名称の応募に参加した友人がいます。
名称は選ばれませんでしたが、この道路は国外、県内外から客がふえることに活用していかなければいけないと強く語っておりました。私自身もそのことは強く感じました。
このかにっこ空港ロードは今後、空の港・海の港を結ぶ周遊ルートとして、地域のにぎわいづくり、まちづくりに大きく貢献する道路になります。以前より議員の皆様より、議会において砂浜のスポーツ、砂像の展示などさまざまな提案がありましたが、1.5キロメートルの道路の周辺まちづくりについて今後、どのように取り組まれるのか、今後の日程と展望について伺います。
以上で壇上からの質問を終わらせていただきます。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)濱辺議員の一般質問にお答えを申し上げます。
まず、障害者の工賃向上につきましてお尋ねがございました。
これにつきましては障害者の工賃に応じて報酬が引き下げられるところも出てくるのではないだろうか、どう考えているのか、また専門的人材の確保あるいは支援体制の強化をする必要があるのではないかと、こういうお尋ねでございます。
これにつきましてはたび重ねて濱辺議員とも議場でもやりとりをさせていただき、徐々に政策のバージョンアップを図りながら、現実にも工賃が上がってきております。私が就任したころは1万円ぐらいだったものが今1万7,000円を超えてきていますし、何より大きいのは工賃の支払い総額が2億円から5億円と2.5倍に上がっていることでありまして、それだけいろいろと売れる商品を工夫したり、また多くの障害のある方々が、チャレンジしてみようと、こういう作業所を活用されるようになってきていて、裾野が広がってきている。障害者の共生社会、社会参画が進んできている、そういうことが大変に大きい意義があるのではないかなと思っておりまして、今、議員からも御指摘をいただいたようなことを含めながら、さらに前進をさせていきたいと思います。
今回の報酬改定でございますけれども、全体で言うと障害者福祉は0.47%増という結果になりまして、社会保障負担の抑制がいろいろと財政当局から言われる中でかなり守ったほうだろうとは思います。
現実にも年明けに
衛藤晟一首相補佐官が来県をされまして、鳥取県内で毎年行われる
あいサポートフォーラムのほうに参加をされました。山本議員ですとか、公明党さんからも御参加があったところでありますが、そうした場におきまして衛藤議員もおっしゃっていましたが、かなり厳しい中で予算の総枠はとったということだと思います。
ただ、今回我々もありがたい話ではあるのですけれども、鳥取県が先行してやっておりました医療的ケアが必要な子供たちへの支援、例えば看護師の設置等そうしたことなどの新規の事業項目もあるからかと思いますが、どちらかというとB型の作業所については全体に抑制されているのではないかなというような印象がございます。
先ほどおっしゃいましたように、目標達成加算がございますが、これが廃止をされる。これはその支給のあり方について、なかなか震災等で立ち直ることは厳し過ぎるのではないかというようなことを言いに行ったら改善をするという話だったのですが、結果、丸ごと廃止になったということになったようでございまして、ただ、これは我々の県のように頑張って工賃を上げているところには作用していたことから影響はあるかなと思います。
また、工賃ごとに刻みを入れまして、その刻みに応じて報酬設定をするというやり方になったわけでありますが、その工賃の実際のでき
ぐあいによりまして作業所で損失が生じることにもなるところでございます。
我々は、なるべく上目のほうの工賃を得ようとやってきましたので、他県はかなり厳しいところが多いと思います。平均でも1万円、1万4,000円、5,000円ぐらいですかね。うちは1万7,000円ぐらい行っていますから、高目なので、全体としては高目の水準のところで報酬を得られるチャンスは他県よりは多いとは思うのですけれども、それでも県内にもばらつきがありますので、その工賃によっては厳しいところもあると思います。
実はそれぞれの作業所さんからも話は伺っていますが、不安の声がやはり強いと思います。ですから今後、我々としてもこの報酬が、今回適用されてどういうふうに実際に影響してくるのか、その辺は調査もさせていただきながら国に対して、次年度に向けてはもう難しいのかもしれませんが、今後に向けまして改善を求めていく、そうしたことは現場の声を反映してやっていきたいと思いますし、与党の中でもそういう現場に即した声を中枢のほうに入れていただき、政府・与党全体で改善を図っていただけると非常にありがたいと思います。
これにつきましてはさはさりながら我々も自助努力は必要でありますので、工賃向上をさらに進めるためにも3倍計画に基づいていろいろとやっていかなければなりません。例えば
ハートフルサポート事業補助金というのを当県は入れたり、また無利子融資を入れたりして新商品の開発や売れ筋をつくっていく、それによって障害者の皆さんがさらに高い工賃を得られるようにしてやりがいを持っていただく、こんないい循環を起こそうということを仕掛けていまして、こういうものを活用させていただくとか、今お話がありましたように専門人材、それから支援体制の強化なども必要であります。
共同の作業所がとりあえず東部で始まりまして、これが評判もいいし、実は工賃も上昇傾向になりましたので、中部、西部にもこれを広げていこうと。そうしたところでコーディネーターを配置して体制も充実してやっていこうということを新年度に向けて考えておりますし、また
フードアドバイザーであるとか、そうした専門人材、こういう方に施設のほうに行っていただいてサポートをする、それでいい業績につながるようにしていただく、こんなことを考えてみたり、また受注をさらに受け皿として進めていくためにも
コンタクトセンターというのを今、東部でとりあえず発足をさせていただいたところでありますが、西部のほうにも新年度これを設置しようと。こうやって体制強化や専門人材の派遣などのさらにてこ入れをしてまいりたいと思います。
次に、ひきこもりにつきまして何点かお尋ねがございました。
内閣府の調査のお話があって、ひきこもり、中高年の調査をしたり、課題解決に役立てるべきではないだろうか、さらに県が市町村をリードして相談などが進むようにしていくべきなのではないだろうか、また支援に携わる団体やNPO等どんなものがあるのか、またネットワークを拡充できないのか、さらに市町村社協を活用したりモデル事業等できないのか、こういうお話がございました。
調査等、実は昨日の質問とも大分重なるところもありますので、重複部分は簡潔に申し上げたいと思いますが、本県でも先月、市町村を対象にしてアンケートをとらさせていただいて、296名のひきこもりがいると確認されたというところを私どもとしては把握をしたところでございます。
そしてそういう中で今お話にあるような中高年の比率もかなりのパーセントあるということ、特に継続傾向が見られるということ、それから過去の履歴としては不登校等の経験者がその後の人生においてもひきこもりを再発しているというような傾向も見られたりすること、そうしたことなどがわかったところでございます。
ぜひこういうことを今後の我々の施策の中でも生かしていきたいと思いますし、内閣府が訪問調査をすることになりましたので、その訪問調査の結果も共有をさせていただき、私どもの市町村が調べたことと内閣府の調査員で調べていただいたことを接合させながらひきこもり対策を充実してまいりたいと思います。
その中で現在の関係団体等でございますが、中心になってやっていただいているのは
青少年ピアサポートのほうに委託を県からさせていただいております。県として設置をいたしましたとっとりひきこもり
生活支援センターがございますし、また
若者サポートステーションも、これは東部や西部、こうしたことで動いてくれています。
また、
県立ハローワークをこのたび拡充しようと、東部、中部の配置を考えておりますが、そうした施設もやはりこうしたひきこもり支援に今後、投入していけるだろうというふうに思います。
また、あわせまして明和会さんといいますか、渡辺病院さんのところ、あそこにもサマーハウスという施設がありますし、さらにこれは全国組織の一翼ということになりますが、
KHJ鳥取らくだ会という、これも家族同士で情報共有をしたり、相互支援をしたりする、そういう活発なグループもございます。
もちろん市町村であるとか、県の
精神保健センター、そうしたことなども支援機関として動いているところであります。
こういうところと一緒になりまして、議員がおっしゃるように市町村と協調しながら、県もある程度引っ張り役をして、このひきこもり対策をやっていくということだろうと思います。
現在のところ私どもで進めておりますのは、きのうもちょっとお話がございましたけれども、まず第1段階、それから結構やはりここは大事だということで家族支援ということがあります。そこで御家族の勉強会といいますか、相談会、これを中部、西部の私どもの
保健福祉センターで毎月実施をしていますし、また鳥取市のほうでも年に数回実施をされておられまして、今年度も20家族ぐらい御参加になっているというふうにも伺っております。こういう場がやはりまずは相談に行くきっかけになったり、そういう下支えになると思います。
ただ、現実にはやはりとっとりひきこもり
生活支援センターのほうへの相談件数はふえてきておりますし、そこからアウトリーチ型といいますか、訪問や電話での支援ということも徐々に厚みを増しつつございまして、こうした活動を通じて市町村にも働きかけながらやっていければと思います。
また、専門人材をつくることが大切でございますので、研修会等も、
精神保健センターなどの人材もおられますので、担当者の方々向け等にやっているところでございますし、こうしたことも今後、拡充をしてまいりたいと思います。
そして市町村社協の活用ということがございましたが、これにつきましては南部町で新年度からいよいよいくらの郷という居場所となるところがオープンをするということになりました。これはやはり実情に鑑みて南部町の皆さんが相談をされて、南部町の社協の中に相談窓口、相談センターをつくり、そしてこうしたいくらの郷という古民家活用の施設をつくることにされたわけであります。この相談センターのほうには精神保健福祉士を配置して、それで懇切丁寧に相談に当たっていこうということであります。
また、これは地域で包括的に社会サービスを提供するという一環ではあるのですけれども、琴浦町のほうでも国の助成制度を活用してセンターを設置するということがございまして、これもひきこもり支援にも貢献し得るものだろうと思います。
こんなようなさまざまな工夫が今、県内でも広がり始めているわけでございます。そうしたことを社協という、そういう社会的資源も使いながら活発化させていくことが大切だと思います。
そういう中、議員のほうからお話がありましたネットワークを強化していくということであります。
これも例えば教育委員会のひきこもりの支援施設等は、まだ県全体にありますひきこもり支援のネットワークには加入をしていないのですけれども、例えばそういうところも入ってもらったり、さらに
県立ハローワークとか、それから中間的就労施設、これは働き場所として社会復帰をしていくために無理のない形で就労をしていくというそういう施設でございますが、今、県内でも180カ所ぐらいにふえてきているところでありまして、そうしたところもこういうネットワークの中に入っていただくなどをして議員がおっしゃるようにみんなで地域で支えていくようなそういう体制の強化が必要ではないかと思います。この辺は呼びかけをさせていただいたり、皆さんと相談をさせていただきたいと思います。
次に、中部地震につきましてお尋ねがございました。
生活復興支援体制の構築について、どういうふうに取り組んでいくのかと、こういうことでございます。
現在でも住宅修繕が進んでいないところが540世帯あると数えられています。そうしたところについて支援をしていくわけでありますが、以前は補助金を用意して、しかも本県の場合は他地域よりは手厚い補助制度をつくりましたので、一部損壊なども含めて今8割、9割と、そういう交付になってきております。そういう形でどんどん物は進んできていますし、今では5%程度までそれも減ってきた、ブルーシートも減ってきたというふうに言われているわけでありますが、問題はこれからは丁寧な支援をしないとそうした被災された方々がなかなか立ち直ることにならないのではないだろうか、こんな問題意識が現場、そして私自身も含めて県庁サイドでも持っておりまして、そういう意味で市町村長や各種の地域団体と相談をしまして、こうした災害ケースマネジメントと言われる手法を鳥取県としても導入しようということになりました。現在予算とともに条例改正を提案させていただいております。
これは弁護士などのリーガルサービスであるとか、それからファイナンシャルプランナーさんであるとか、それから宅建業界等々いろんな方々にもサポート役に入っていただきまして、それぞれの御家庭に応じたサポートをしていく。これはもちろん県や市町村も入るわけであります。事務局は県全体では統括的に県のほうで持たさせていただき、それで折に触れて、そうした支援の会議というのをやはりプロジェクトチームとして開いていこうということになりました。それぞれの市町村がまたさらにコアになって、現場でやっていかれるわけであります。
今月1日には、倉吉市でこの生活復興支援のための庁内会議が開催をされまして、市役所の中のいろんな部局が応援に入るということを申し合わされたところでございます。
こうして各市町でも体制が今、整い始めているところであり、同時並行で今、世帯の実態調査を進めているところでございます。年度が明けてくれば本格的にこうした支援を各御家庭に向けてやっていく、それでそれぞれの復興プランというものをつくっていく、こんなようなことに今後なってくると思います。
どういうようなことが具体的なネックになり得るかということでありますけれども、今まで我々のほうで経験してきた事案から言えばいろんなケースがあるわけです。例えば割と御高齢の方で余り大きなお金を使って屋根の修繕というのができない。それで屋根の修繕の見積もりはとったものの、もう諦めようかというふうに言っていたわけでありますが、それでそういう方々に住宅修繕支援センターのほうに、これは県で開設をして、建設業界と一緒にやっているところですが、そちらのほうに御相談に行かれて、それで改めてアドバイスを受けると。それで瓦の量とかそういうものを減らすなどの工法変更をして、リーズナブルな形で修理ができるようにプランを練り直すわけであります。その結果として住宅の修繕を終えられたという御家庭も例えばあるわけであります。
また、土地の形状もあると思うのですけれども、隣の家を通らないと家の工事ができない。それで300万円ほどの補助金はあるわけでありますが、それになかなかかからないという御家庭がありました。これは隣地との調整が必要なのですけれども、そこに市役所が入られまして、いろいろと調整をされた結果、この敷地の中を通った工事ができるようになる。それで工事が進んだというケースもあります。
ですから余りこうだという解決策が一つに決まっていないのですね。ここから先は、そうしたなぜとまったか、とまっているのかというところをほどいていかなければならないので、個別のアプローチが必要だということであります。
同じような問題意識は仙台市等東日本大震災の被災地でも持っておられまして、同様の取り組みをしているところもございます。仙台の場合は、社協とかそういうところなのだと伺っていますが、私どもはこうした形で条例上きちんと位置づけた上で、震災復興の一つの鳥取県型のパターンとして今後、整備を進めてまいりたいと思います。
最後に、かにっこ空港ロードにつきましてお尋ねがございました。
今後どういうふうに取り組んでいくのかと、こういうお尋ねでございます。
これにつきましてはこれまでも鳥取空港の利用を促進する懇話会であるとか、また地域の方々のいろんな御意見が入った懇談会であるとか、また賀露のほうでも鳥取港の協議会が開催をされたりしまして、いろいろとそれぞれの局面、局面におきまして意見交換をし、そういうものを取り入れながらこれまで事業化に向けてやってまいったところであります。
いよいよ今週末にかにっこ空港ロードが開通をすることになります。議員もおっしゃったように全国からいろんな応募も寄せられて、かにっこ空港ロードという名前が決まりましたけれども、県外の人がやはりカニと言ったところがある意味すばらしいなというふうに思います。私も最近あちこち出歩くわけでありますが、やはり蟹取県のイメージが大分広がってきていまして、昔は福井だとか、但馬だとか、ああいうところはカニというイメージでありましたが、鳥取、しかも賀露がカニの本場であると、そういうイメージが広がってきている証拠かなというふうにも思います。
海と陸、そして空を1本で結ぶルートとしてかにっこ空港ロードが整備をされるわけでありまして、いろんな意味でのゲートウェイになり、交流の軸になるということを期待しているところでございます。
今後もこれをまずはオープンさせた上で、順次整備も進んでいきます。例えば夏には空港ビルディングのほうも連接をさせる形になってきて、それでそこにテナントが入ったりしまして、にぎわいの拠点も整備をされてくるということになります。
それに向けまして空港側のほうの懇談会ももとよりでありますが、そうしたところでの意見を集約しながら、さらに2つの港双方の対話の場となるようなツインポートの懇談会といったようなものも開催をしていくということだろうと思います。そういう意味で空の駅化の懇談会あるいはツインポートの懇談会、こういうものを今後やりながら、それで夏に向けてオープンし、全部が一遍に仕上がるわけではないと思いますけれども、例えばイベントであるとか、盛り上げのいろんな工夫であるとか、地域全体で取り組んでいただけるようになればというふうに願っているところでございます。
実は観光業者等からも非常にユニークなツインポート化の取り組みだということでの御評価もいただいていまして、観光ルートを組むときにある意味組みやすいのだろうと思いますし、そうした意味で空港というか、鳥取に行くこと自体が何か海に行くようなそういうイメージにもなってくればありがたいのではないかなと思います。
空港のほうにもテナントが入りますので、また賀露とは違った魅力も、お買い物でもあると思います。そういう意味で車で訪れるお客様にも両方をめぐっていただいて、その鳥取のいろんな物産に触れていただいたり、コナンを体験していただく、こんなようなこともやりやすくなるのではないかなと思います。
そんな意味で今はまだちょっと空港のほうの整備はでき上がっておりませんが、とりあえずはまず今週末道路のほうをオープンさせ、いわばキックオフにできればというふうに考えております。
◯議長(稲田寿久君)山本教育長
◯教育長(山本仁志君)濱辺議員の一般質問にお答えを申し上げます。
私のほうには若者のひきこもり支援でハートフルスペース、今年度中部、西部にも拡大したのだけれども、この1年間の活動を通した結果、課題、また今後の取り組みについてのお尋ねがございました。
これまで東部1カ所で全県をカバーするという形で、中学校卒業からおおむね20歳までの若者のひきこもり支援というのをハートフルスペースでやってきたわけですが、今年度から中部、西部にもそれぞれスペース、居場所をつくって対応を始めるということで取り組み始めたところでございます。
実は走っているという部分はありまして、中部、西部についてはそういうスペースの改修も今年度行いながら仮の事務所で相談活動あるいは支援の活動を行っているという形で、まだフルの活動ができていない状況であるわけでございます。今年度、1月末で全県で107名の方の支援を行っておるところでございまして、そのうち東部が半分の55件ということで、残りが中西部ということになるわけです。これまで東部で中西部の案件を扱う数というのは非常に限られていましたので、そうした意味で中西部にもこうしたハートフルスペースを拡充したというのは、それなりに効果が上がっているのではないかと思っております。
その活動の中で定期的にこのハートフルスペースに通い始めたことで昼夜逆転の生活から抜け出すことができるようになったというような方があったり、高校で不登校ぎみで困っていた生徒が、学校訪問を通じてこのハートフルスペースというのを知って、そこで早い段階でつながったことで立ち直ることができたというような例もございます。また就労の気持ちがあったのだけれども、どこに相談をしたらいいかよくわからなかったというような若者がこのハートフルスペースの相談にちょうどつながって、
若者サポートステーションのほうにつなげたということで、そんな成果も上がってきているということでございますが、一方で、昨日も島谷議員の御質問もありましたが、まだまだ情報が行き届いていないという部分もありまして、ハートフルスペースのことがまだ十分に知られていないという現状があります。
また、引きこもっておられる方に会うところまでなかなか行かないと、家庭訪問は何回も繰り返すのだけれども、会うところまで行かないというようなことがあったり、ハートフルスペースに通うことができてもそこから先に就職したり進学したりというところの一歩を踏み出すというところにつながらない、そうした事例も数多くありまして、そうしたところの取り組みというものに難しさを感じているところでございます。
情報のほうにつきましては、昨日も御答弁を申し上げましたけれども、家庭訪問等を通じながらしっかりと情報提供をしていったり、あるいは市町村、あるいは学校、そうしたところを通じて、また最近では民生児童委員の研修会などに出かけていって、そこで説明をさせていただいたり、あるいは公民館にポスターなども張らせていただいたりということで幅広く情報提供をしたり、ホームページも充実したりということで、そこは力を入れて取り組んでまいりたいと思っております。また支援のノウハウをハートフルスペースの職員もしっかり学んでいく必要があろうというふうに思っております。今も例えば若者のサポートステーションでありますとか、就業・
生活支援センターなどと連絡会を開いて情報交換などを行っているわけでございますが、先ほど知事のほうからもお話がありました知事部局の
精神保健福祉センターが中心となっておられますようなひきこもり支援機関の連絡会、ここでは実際の相談事例でありますとか対応ノウハウなども話し合いの場で出されるようでございますので、今後そうした会への参加なども含めて支援の力をさらに高めるような手だてを検討してまいりたいと考えておるところでございます。
◯議長(稲田寿久君)15番濱辺議員
◯15番(濱辺義孝君)それぞれ答弁をいただきました。
それでは、順次再度質問をさせていただきます。
初めに、鳥取県工賃3倍計画について再度質問を予定しておりましたが、知事の答弁の中にそのような支援というか、ハートフル基金というか、そういうふうな受注に対する支援体制があって、そういう意味では十分な支援ができるのかなということで、そういう事業所に対して一定的に支援をということでお願いしましたが、これはしっかり進めていただきたいと思います。
それで私も県の障害者就労事業振興センターでお話を聞かせていただきました。今回のこの改正によって実際どういうふうになっていくかというのはわからない。改正して半年、1年、やはり一定の期間を見ないとその辺の状況はわからないところがあると障害者就労事業振興センターの方は言われていました。自分自身も改めてそれは感じることができました。
だからその後、そういう事業所に対してこういう受注とか仕事の支援をしっかり進めていただきたいと思いますので、これは強くお願いいたします。
それでひきこもりに関して、さらにお話をさせていただきます。
きのうの島谷議員の答弁でいろいろとお話を伺いました。これはあくまでも自分が感じたことですけれども、施策とかそういう制度、事業は結構いろいろあると思っています。でも肝心なのは引きこもっている方のところに出向いていく人なのですね。家族の方は、うちの家族がもう大変だからと窓口に行きます。行って、その後どうなのかということですよね。そこにひきこもりのこれからの支援をしていく大きな流れをつくっていかなければいけないと感じております。
それで自分がお願いしている、例えば社会福祉協議会、またいろいろなところでの窓口。大体本当に悩んでいる家族の方は窓口に行かれるのです。ところが話を聞くと、行って相談を受けて、その後が続かないのです。今、鳥取の
生活支援センターさんが地道に一人一人通って引きこもっている子供さんを外に出すという活動をされているのですが、進まないのです。
だから自分が言いたいのは、その人を育てるということに重きを置いていただきたいということなのです。この間も
生活支援センターの理事長と事務長と話をしました。NPO、それからいろんな支援をする看板を上げているところがあるかもわからないけれども、やはり行き着くところはそういう人材が育っていないために相談があっても追いつかない、こういう状態があるそうです。
ひきこもりの家族の方にちょっとお話を聞いてみました。これは72歳の御婦人の方ですけれども、息子さんが引きこもっておられると。息子さんは51歳です。中学校、高校のときに引きこもって、一旦社会に出たけれども、やはり社会になじめなくて、ひきこもりになってしまった。だからもう10年、20年、かなりの年数で引きこもっておられるのです。その方も初めに相談に行かれました。ところが後が続かないのです。だからずっと引きこもった。その御家庭は、その当時、親も生活をするために働かなければいけなくて、子供の面倒が余り見れないような状況であったと言われていました。だから子供に目をかけられなかった分、子供がいじめに遭ったりとか、またいろんな形で引きこもったのではないかという心配をされていました。でもそれはそのときであって、今こうやって社会的にそういうことが問題になった以上は、やはりそれに対してしっかりと取り組むことが必要ではないかということを言いたいのです。
そして大切なことは、いろいろな団体、それからいろんなところがあるけれども、実際にその家庭に、その当事者のところに行く人を育てないとこのひきこもりの支援というのは続かないということを強く言っておきたいと思います。支援の制度をもっともっとしっかりと充実させていただきたいと思います。ひきこもりに対してそれをお願いしておきたいと思います。
それで追及を用意していましたけれども、結構いろんな制度とか支援がありますので、それはそれでしっかりと充実をさせていただいて、その上でそういう人材を育てるということは直接ノウハウを知っている人材ではなしに、その人を育てるという意味でのお願いを知事にしておきたいと思います。
もう時間がなくなって済みません。
肝心な中部地震の震災復旧・復興ですけれども、倉吉市議会の1年生議員が去年の11月、震災から1年たったときに自分の足でブルーシートのかかっているところに歩いて調査をされた内容、本当に大変な状況を私は聞かせていただきました。
鳥取県も今回のこの支援を地元の被災者のためにしっかりと最後の最後までやり切っていただくという知事の決意を聞かせていただきたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)濱辺議員から重ねてのお尋ねがございました。
まず一つは、ひきこもりのことがございましたけれども、これにつきましては
青少年ピアサポート、
生活支援センターのほうとまたよくお話もさせていただき、どういうプログラムがいいのか、あるいは例えばコーディネーターの配置だとかそういうことなのかもしれません。ちょっとどういう対応がよいのか、また相談をしてみたいと思います。
これは昨日も申しましたように、やはり簡単ではないのですね。一旦社会との間に壁をつくってしまった方々、別に本人の資質に問題があるとかそういうことではなくて、そういう方々がいらっしゃって、この方々がどういうふうに社会参画をしていくのか。
ただ、先ほども申しましたように6割ぐらいの人は過去に不登校の経験があるとか、いろんな傷や思い出やらそんなものがあるのだということになりますが、そうしたことがやはり心の中心にあって飛び込めない。そんなときにどういうふうに打開をして氷を溶かしていったらいいのかというのはなかなか難しいわけでありますし、そこに至るまでにまずは御家族にもその役割を担っていただいたり、協力をしてやっていかなければなりませんので、まずは家族支援という段階があり、それから本人と直接接触する段階があり、さらに社会のほうへ出ていく、そういう社会との出会い、そして参画というふうに持っていかなければならないわけでありまして、おっしゃるように時間もかかりますし、回数を重ねなければいけませんし、人材も専門性が必要だということだと思います。
ですからそういうことでふさわしいようなそういう対応をとらなければいけないと思いますので、関係者とまずは話をさせていただき、今後、改善を一層図っていければと思います。
また、障害者就労事業振興センターのほうのお話もあったということでございますが、やはり刻みがあって、それで報酬が出ることのよしあしというのは正直まだよくわかりません。だから判断がつかないというのは、そういう意味だろうと思います。
本県は、恐らく高目に来ていますので、総体としては他県よりは有利な形で報酬を得るチャンスはあるだろうと思うのですけれども、問題はそうした意味で好む好まざる、いろいろあるとは思うのですが、障害者の方本人のためにもやはりそうした報酬が高くなるような工賃の向上というものを我々も応援をしていかなければいけません。そういう意味でそこの環境づくりは我々市町村とも共同してやっていく必要があるかなと思いますので、そちらのほうをぜひ今後とも取り組まさせていただきたいと思います。
また、被災地の復興でありますけれども、議員からも今、力強いお言葉がございましたが、まだまだやらなければならないこともあり、だんだんと年を経てそのやることの質が変わってきます。中身が変わってきます。もうすぐ東日本大震災の3月11日がやってきますが、今も連日のようにメディアがそれについて報道をしています。震災直後の救命救助という段階、あるいは遺体を捜すこと等々、あるいはさまざまな避難所生活、そうしたレベルから今はどちらかというとどうやってまたもう一回住宅をつくるのか、そういうように局面が変わってきていることを思わせるほど報道の中身も変わってきているわけであります。
ですから単線的に物事は考えられないわけでありまして、現場の状況をしっかりと捉えながら被災地に寄り添った活動を我々行政サイドも市町村と一体となって進めてまいりたいと思います。
これにつきましては公明党の山本香苗参議院議員がプロジェクトチームをつくられまして中央のほうでも頑張っておられますし、そうしたこととも我々多分相通ずるところがあると思います。今回のこの災害ケースマネジメントの手法の導入というのは、多分そうした今、国会等でも議論が始まっている、これからの災害復興のあり方のモデルにもなり得るのかなとも思います。ぜひ議員の皆様にも御協力をいただきながら被災地の一日も早い復興、そして幸福をつくり上げる福興に向けまして全力を投入してまいりたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)15番濱辺議員
◯15番(濱辺義孝君)最後に、ツインポートの促進に向けた魅力を追及させていただきたいと思います。
今回この道のロードの名前が決まりました。ただ、この名前を決めただけで終わらせるのではなしに、しっかりとこの地域づくり、また振興に活用をしていただきたいと思います。
そこで幅広い方々の声を聞くためにまちづくり協議会などの設置をして、魅力あるロードづくりに取り組むことが必要ではないかと思いますが、知事に伺います。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)濱辺議員からツインポートにつきまして重ねてお尋ねがございました。
これはやはり地域の中で活用していただいて初めて発展し得るものだと思います。その意味で地域の皆様が主体的に参画をしていく、もちろんその意見も反映をしていく、そうした体制づくりをやりながら全国の空港振興の中でも一つのモデルを目指すのが筋道ではないかなと思います。
そんな意味で例えば空の駅協議会といったようなものをまずは組織をするのかなと。これから単なる空港ではなくて、空の駅として私たちはリスタート、もう一度スタートをしようとしているわけであります。そこにいろいろと住民の関係者の方々等の声も反映されるような、そして一緒になって盛り上げていただけるようなそういう協議会組織が一つあったらいいのかなと。
さらには2つの海と空の港を結ぶものですから、非常に特殊性がありますけれども、そのユニークなところを通して両地域やその沿道のところがさらに発展するようなそういう方策を議論していただくようなツインポート振興協議会等でも言うべきものを組織する必要があるのかなと。先ほど申しましたように、空港側、港側それぞれに話し合いの場があり、両方をつなぐような話し合いの場があり、そういうものといわば共同歩調でいろんな事業を今後も展開をしていくと、こういう姿をつくれればほかの空港とはまた違った地域密着型の空港になるのではないかなと思います。そういう意味で今後、関係者ともすり合わせをしてまいれればと思っております。
◯議長(稲田寿久君)4番福浜隆宏議員
◯4番(福浜隆宏君)(登壇、拍手)皆さん、おはようございます。エネルギッシュな濱辺議員の後でかなり緊張しておりますが、頑張ります。
平成30年度、一体どんな年になるのでしょうか。一転して対話路線に大きくかじを切った北朝鮮、余りに行き過ぎとも思えるアメリカ・トランプ大統領の保護主義政策、国同士の利害が絡み合う国際情勢とは言いましてもいずれも有形無形に鳥取県にも影響が及びかねない問題で、先行きが見えないもどかしさも感じています。
転じて鳥取県、若者の流出ストップ、不安なき老後の実現、中部地震からの復興、いずれも道半ばで交付税の大幅減額という冷たい北風にさらされています。鳥取県が名実ともに春を手にするには、まだまだ相当時間がかかりそうな感じです。
しかし、海外を含めた入り込み客がふえ、U・I・Jターンも増加、有効求人倍率、出生率ともに上昇し、和牛肉質日本一など、この11年、平井県政が地道にまいてきた種が各方面で芽吹きつつあるのも事実だと思います。
第4次産業革命を初めとした未来のありようをしっかり見据えつつ、この先も知恵を絞りながらあの手、この手の挑戦と検証を絶え間なく不断に続ける姿勢が平成30年度にはこれまで以上に必要になってくるものと思われます。県民の安心、そして元気づくりを実現するという気概と危機意識を念頭に質問に入ります。
まずは、今議会に提案されています指定管理の見直しに関して知事に質問をします。
そもそも指定管理制度は、県民サービスの向上とコストの縮減。この2つを実現するために、民間ならではの新たな発想や効率化を組み込むためのものと認識しています。
この基本スタンスをもとに、おととしの5月に開催された第2回県有施設・資産有効活用戦略会議では、指定管理者の選定に当たっては競争性や透明性を高めていくため可能な限り公募を行うと決定され、私もこの方針には大いに賛同しています。
では、指定管理は公募すれば全く問題はないのかといえばそうとは言い切れません。過去、この議場でも文化施設、具体的には倉吉未来中心について公募にするのか、はたまた指名の継続か、議論が巻き起こったこともあります。また、県外の大手企業の参入から県内の企業や団体を守るという趣旨の産業振興条例との兼ね合いもあります。県が保有する施設、それぞれの特性や背景を念頭に、個々に判断すべきものと考えています。
こうした中、来年度、平成30年度末をもって、指定管理が更新時期を迎える県の施設が33あります。現在の委託先を見ると公募で決定したものが16。一方、指名で決まったものが17ありますが、その17施設について平成31年度以降は一体どうなるのでしょう。去年11月に開かれた第3回県有施設・資産有効活用戦略会議で決定された見直し方針を見ると、指名から公募に切りかえるとしたのは、県立武道館と布勢総合運動公園の2つ。施設の民間譲渡を検討するとした施設が3つ。残る12の施設は、いずれも指名の継続と決定されました。
それぞれの施設ごとに、多角的な観点で判断されたものであり、決定を見直せと異論を申し上げるつもりはありません。ただ、押さえておきたい点がありますので、知事にお尋ねします。
公募ではなく指名の継続と決まった17施設の中には、特に県民にとって非常になじみが深い文化施設、具体的にはとりぎん文化会館、倉吉未来中心などが入っています。
指名の継続とした理由について、担当課の説明では、いずれの施設とも県の芸術文化の重要施策や事業を受託しているため、施設の管理と一体的に行ったほうが、より効率性が高いことから指名継続としたということで理解はできました。
ただ、指名継続となれば、競争原理が全く働きません。従前どおりでいいではないかという姿勢に陥りやすくなるのは必然です。
県民に対するサービスや事業が現状のままでいいのか見直し、全国にある文化施設のありようを学び、それによって内部の人材が育っていく。公募という名の競争原理が働くからこそ生まれるものと考えます。
実際のところ、平成31年度から指名から公募に切りかわる予定の布勢総合運動公園、現在ここを管理している県体育協会に話を聞きますと、今、全国のスポーツ施設の管理運営に詳しい専門家を、東京からたびたび招いて勉強会を開くなど、職員が相当の危機意識を持って、目の色を変えて見直しに当たっているということでした。これこそまさに公募の大きな効果だと思います。
文化施設が指名継続となるのは理解できます。しかし、指名であっても、こうした自助努力を促す何らかの仕掛けが必要ではないでしょうか。まず、この点について知事のお考えをお尋ねします。
では、具体的にどんな視点が必要なのでしょう。文化の振興という最も大切な肝の部分に関しては、両施設とも相当努力されていると感じています。とりぎん文化会館は、一流の舞台芸術を鑑賞できる機会を県民に提供するという開館以来の使命を果たしていただいています。
しかし、その一方で、イベントがあるから行く特別な場所というイメージから脱却できていない。何かあるわけではないけれども行ったら楽しい、わくわくする、文化に興味がない人も巻き込むという仕掛けに乏しいというふうに感じています。併設店舗や空間も最大限に活用して楽しさを演出して人を集める。広い視点で言えば、にぎわいを生み出すまちづくりの核として施設のありようを考える新たな発想、視点があってもいいような気がするのです。
この点、倉吉未来中心では、管理運営費の半分を倉吉市が負担してきた経緯もあり、例えば月末ごとにフリーマーケットが開かれたり、併設店舗との一体感や地域との融合も感じられます。しかし、こちらも5~6年先には、近くに県立美術館がオープンします。エリア全体のポテンシャルを最大限に高めて、これまで以上に県内外の広いエリアから人を集め、にぎわいを生み出す一大ゾーンとする、そんな新たな絵図を描ける人材の育成が必要になってくると思います。
また、とりぎん文化会館の場合は、市役所が移転した後の空間に、新たな仮に文化施設ができるとすると、こちらもエリアとまちづくりとの連携がこれまで以上に重要になってくると思います。
さらに申し上げると、いろんな文化団体がさまざまな事業を展開されていますが、その横のネットワークを考えるとまだまだ連携が薄いようにも見てとれます。これはあるいは県の文化政策にも問題があるのかもしれません。
スポーツと文化を比較すると、オリンピックを頂点として華やかなスポーツに比べ文化は非常に地味な存在ですが、我々の生活とは切っても切れない。文化が薫る地域に行ってみたいという観光的な要素も多分に含んでいます。
また、我々議会を振り返ってみてもスポーツ議連はあっても文化振興議連というものはいまだ存在はしていません。いい意味で県立美術館建設議論を次につなげていく意味でも文化全体をもっともっと盛り上げていくのだという機運づくりが必要なのかもしれません。
ですから指名継続とするならば、数年先を見越して外部人材との連携の強化。それが内部の人材育成にもつながっていく、こうした方向性になっていくようにお願いしたいと思います。知事のお考えをお聞かせください。
次に、教育のICT化について教育長にお尋ねしてまいります。
新しい学習指導要領は3年後の2020年度から小学校、翌年中学校、さらに翌年高校と段階に完全実施を迎えるわけですが、小学校での英語教育と並んで注目されているのがプログラミング教育の必修化です。積極的に学習面でICTを活用する方針が打ち出されています。
教育では長らく一人一人に見合った教育の実現が旗印になってきました。しかし、現実問題として1人の先生が一度に30人前後の児童生徒を相手にする一斉授業では、どうしても限りがあります。もちろん、教科によっては子供の理解度に応じてクラス分け編成をした学習形態もとられているのですが、それでも一斉授業の域を出ることはありません。
ところがICTのうち例えばタブレットの端末を活用した教育では、ドリル学習を例にとると、一人一人の理解度に応じた問題を提示することが容易になります。一斉授業ではちんぷんかんぷんで学ぶ意欲を失ってしまっていた子が、自分でもできる問題が次々に出てくれば、学習意欲をかき立てる、そんな大きな要素になる可能性を秘めています。逆に理解が早い子にとっても、自分のペースで学習を先に進める、あるいは深めることも可能になります。
新しい学習指導要領では主体的・対話的で深い学びの実現、これを目標に上げていますが、その面でもタブレットはさまざまな活用は考えられると思います。
まず教育長には、そもそも論として、このタブレット型端末の教育的な効果について、どう捉えていらっしゃるのかお尋ねします。
ところで、文科省では去年の12月、来年度から5カ年計画で、学校現場でのICT環境の整備を図る方針を示し、その必要経費として向こう5年間、単年度当たり1,805億円の地方交付税措置を講じるとしていて、かなり力点を置いていると読み取れます。
このうち、児童生徒用のコンピューター、いわゆるタブレットの整備方針を見ると、現在は1校当たり40台が国の目安になっていますが、この先5年間で、3クラスに1クラス分程度。1学年6クラスの高校をモデルとした場合、1校当たりおおむね2倍の80台にふやしていき、児童生徒が1日1回程度は1人1台の環境で学習ができるよう整備することを目指しています。
では、鳥取県での整備状況。現時点ではどうかといいますと、去年3月、文科省が行った全国調査を見ると、タブレットを含めた児童生徒用パソコンの整備台数は、小学校平均で5.3人に1台。中学校平均で4.5人に1台。高校は2.7人に1台と、いずれも全国平均を上回っていて、特に高校での整備率は佐賀県に次いで全国第2位にランクされていて、かなり先行しています。
県立高校については、今年度まで3年間かけて24校全てに、1校当たり40台のタブレットが整備されました。
ただ、先ほど申し上げたように、国は来年度から5年間で、高校であると、おおむね2倍の80台の整備を求めています。しかし、新年度予算を見ると、このタブレット関係では年度途中に期限を迎えるリースの更新経費は計上されていますが、タブレットを新たにふやす予算は計上されていません。せっかく他県をリードしているのですから、このスピード感を維持して、タブレットのさらなる整備を進めていただきたいと考えます。教育長のお考えをお尋ねします。
ところで県内の高校のタブレットがどの程度活用されているのか。調査結果を見ると、高校ごとにかなりばらつきが見られます。去年の7月時点で、授業でタブレットを使った先生の割合は、3人に2人の先生が使っている高校もあれば、5人に1人以下という高校もあって全体を平均すると3人に1人以下の先生しか使っていないというのが鳥取県内の現状です。
また、1週間当たりのタブレットの貸し出し回数を見ると、智頭農林高校や鳥取湖陵高校のように貸し出しの回転率が9割近くに達している高校がある一方、全体を平均すると回転率は2割を切っています。言葉は悪いですが、宝の持ち腐れ、そんな気もします。この実態では、緊縮財政の折、新規にタブレットを整備する予算要求はできなかったのではないかとも想像してしまいます。このように利用が進まない要因は一体何なのか、そして今後どのように改善される方針なのか、教育長のお考えをお尋ねし、壇上での質問とします。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)福浜県議から一般質問をいただきました。私のほうには県有施設の指定管理につきまして、指名指定の文化施設のあり方のお尋ねをいただきました。
エネルギッシュな濱辺議員の後、スタイリッシュな福浜議員の質問をいただきまして、私も気おくれをさせていただいているところでございますが、精いっぱい御答弁を申し上げたいと思います。
文化施設につきまして指定管理団体の内部をリフレッシュさせるような、人材育成にもつながるようなことが必要ではないか、外部人材との連携とか地域振興につながるような方向性とかはいかがだろうかと、こういうお尋ねでございました。
私は、議員のおっしゃることも非常によく理解できるような気がいたしますので、今後、議会の皆様ともいろいろと協議も詰めさせていただき、最終的にはこれは指定管理でございますので、指名指定のときの一種の契約を結びます。その中に何を書き込むかの中で今の話が生かせればというふうに思った次第でございます。
実は結構、倉吉未来中心などは特にそうなのですが、いわくつきでございまして、まだ放送局におられたとき横でごらんになっていたと思いますが、この県議会で二転三転することになりましたのが倉吉未来中心を公募にするか、あるいは指名指定にするのかということで大激論があったりしました。ちょうどそのときに実は労務管理の問題なども出まして、労働条件についての指導を受けたりということもございました。さまざまな問題点も出てきたわけでございまして、その辺を実は今日のこの指名指定ということもそうでありますし、またその指名の条件については、そうした過去の議会での議論や県民の皆様の御意見が生かされた形で入っているところであります。ですからそういう中で多分指名指定を受けた倉吉未来中心の文化振興財団のほうも大分気を使いながら、これまで事業を進めてきたところではないかと思います。
残念ながらこのたびは被災をしまして、それで事実上操業できない時期がございましたけれども、それを乗り越えることで逆に地域との結びつきも広がってきたように思いますし、梨記念館であるとか、あるいは図書館など、ああした一体の一つのにぎわいづくりへの切望感、こういうものも地域と連帯をしながら広がってきているように思います。
そんな中での指名指定ということでございまして、当然ながら今おっしゃったようなことも含まれていかなければならないだろうと思います。今後、美術館問題などもありますので、そうした地域との連帯をどうするのか、その辺も織り込んでいくテーマになるのかなと思います。
これはとりぎん文化会館も一緒でありまして、このかいわいもこれから大きく変わってくるだろうと思います。今、日赤病院のリニューアル工事をしています。これが5月にはリニューアルオープン、グランドオープンということになります。これは医療系でありますので、いろいろとやってくる人の形は違うかもしれませんが、そうした方々の隣に私どもの敷地があるわけであります。あるいは一種の何とかセラピーとか、そうしたこともあるのかもしれません。
さらに言えば、これもいろいろと激論があったことではありますが、市役所の建てかえということになりまして、早晩市役所の跡地がどうなるのか、この辺も議論の焦点に上ってくるだろうと思います。そうなりますと若桜街道の本通りのあたり、あちらともつながりながらどうやって市街地の中心部をなす、特に文化ゾーン、にぎわいゾーンとしての考え方を実現していくのか、それは市役所の建てかえ問題もいずれは絡みながら、このたびの指名指定の時期にはクローズアップをされてくるのではないかなというふうにも思われます。ですからそういうことを考えますと、いずれのサイトにおきましてもおっしゃるような観点というものをある一定の線で盛り込んでいく、これは議論をさせていただければと思います。
実は倉吉未来中心は、特殊な生い立ちもあったのだろうと思いますけれども、現在倉吉パークスクエア協議会というのがつくられています。これは発足した当時からございまして、あそこは図書館とか、これも被災しましたが、市民プールであるとか、さらに私どものなしっこ館、そして未来中心、そして我々のほうで直営でございますけれども、男女共同参画センターよりん彩があったり、いろんなものが実はあそこに詰まっているわけですね。それが区分所有というような形、あるいは同じ土地をシェアしているというような形でありまして、発足当初からせっかく一緒にいるのだから一緒にいろんなことをやろうではないかという趣旨でパークスクエア協議会というのがあって、それが実行委員会になりましてサマーフェスティバルというのを最近は毎年やっています。ああいうものがやはりにぎわいづくりになるわけでありまして、別に図書館に行こうが、なしっこ館に行こうが、どこに行ってもらっても結構なのですけれども、皆さんで要は地域のフェスティバルをやって、ここが私どもの地域の一つのプライドの中心であって、にぎわいの拠点であるということをやるわけですね。これはイルミネーションをやったり、さまざまなイベントもこうした協議会のもとに行われています。
恐らく今のお話を聞いていると、そうしたことが鳥取のサイトには欠けているのかもしれません。今、文化振興財団が一人でやっている形になっていますけれども、あそこも実は西尾県政の時代に図書館とか公文書館とかを合築されてつくっているところでありますが、残念ながらここの行き来が余りないように思いますし、せっかくの歴史だとか、あるいは教養、そうしたものも深めていけるスポットなのですけれども、そういう一体感がうまく生かされていない面もあるのかもしれません。そこに地域の商店街だとか、それから今後出てくるような市役所の跡地がどうなるか、また日赤病院があったりしますけれども、もう少しゾーンとして地域の活性化やお互いに協力し合いながら利便性を高めていくようなこと、できればそうしたパークスクエアのような形でフェスティバルをやるようなことなどもあってもよいのではないかなというふうにも思いました。御質問を伺っていて、そうしたアプローチもあろうかなと思いますので、今後、関係者とまずは協議をさせていただき、そして議会のほうにもいずれ条件設定をしますので、きちんと御説明、御協議を申し上げたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)山本教育長
◯教育長(山本仁志君)福浜議員の一般質問にお答えを申し上げます。
私のほうにはICTを利活用した教育についてのお尋ねがございました。
初めに、タブレット型端末について、その教育的効果をどう捉えているかというお尋ねでございます。
このタブレット型端末は、操作性が非常に変わっているといいますか、特性があるわけでございまして、従来はキーボードを通じてその画面を見ながらコンピューターを操作したというところから直接画面にタッチすることでいろんなアプリケーションが動かせたりというようなことがありまして、子供たちの興味関心を引きやすいという特性があるのではないかなというふうに思っています。そうしたことから学習意欲を高めることにつながったり、あるいは集中力が持続するといったようなそんな効果があるのかなというふうに思っております。
また、もう一つは、携帯性が非常にすぐれているということで、コードなどもありませんし、片手で持ち運びができるといったようなことで、通信環境等があればこれは屋外でも使えますし、場合によっては自宅でも使えるといったようなことで、そうした意味での効果があるのではないかなと。そこを上手に教育に使っていけば効果的に使えるのではないかなと。
通信機能を使って手軽にデータを収集したり、あるいは仲間同士で共有したりというようなこと、あるいはそうしたことを通じて発表などに利用したりということができるわけでございまして、そうした機能を使って表現力でありますとか、共同して学ぶといったような場面で非常に効果を発揮するのではないかというふうに思っております。
また、お話にもありました、いわゆるドリル学習によりまして一人一人の習熟の度合いに応じた繰り返しの学習ができるといった点で効果があるのではないかなと、このような教育効果があると捉えておりまして、非常に教員にとっても生徒にとっても効果的な機器ではないかというふうに思っております。
また、今、国のほうでも導入が検討されておりますデジタル教科書というようなそうした動きもありますので、今後なお一層その効果がデジタル教科書というような形になれば大きくなっていくということが予想されるわけでございます。
そうしたことでこれからの教育が目指す、さき方お話もありました主体的・対話的で深い学びを実現するためにこのタブレットも含めたICT機器を利活用していくということは、非常に大切というよりはもう不可欠になっているのではないかなと認識をいたしておりまして、そうしたICTの利活用が進むように環境整備に努めてまいりたいと考えております。
そうした中で、この機器の整備につきまして、国のほうの目標を今、鳥取県の県立学校では達成しているのだけれども、せっかく達成しているのだからスピードを緩めることなく次の国の目標に向かって取り組んでいくべきではないかと、あるいは実際に導入をしている機器が十分に活用されていないのではないか、その点についてどう改善していくのかといった点についてお尋ねがございました。
この県立学校におけるタブレット型端末につきましては、平成27年度から順に整備をしていったということで、平成27年度に整備をした学校はそれなりの期間がたっているのですけれども、平成29年度、ことし初めて整備した学校もあったりして、そういう意味でのまず学校間のばらつきが利用に関してあろうかというふうに思っております。
このタブレットに関してはそういうばらつきもあるのですけれども、ICT関係の機器全般で言えばかなり鳥取県の利用も進んでおりまして、プロジェクターというのが各普通科の教室にあるのですけれども、私もよく学校に訪問をさせていただいて授業なども見させていただきますと、かなりの割合でこのプロジェクターを上手に使って授業をしておられまして、そうした意味での利活用というのは進んできているというふうに思っておりますし、意識も大分高まってきているのではないかなというふうに思っております。このタブレットにつきましては、さまざまな取り組みは出てきておりますが、まだまだ途上というふうに捉えております。これは高校によっても、あるいは教科によっても使い方に差があるのだろうというふうに思っておりまして、一覧で眺めてみますと専門高校においては、さき方智頭農林高校とか鳥取湖陵高校の話を出されましたけれども、比較的利用、活用状況が高いですが、普通科高校においては低いという、そんな傾向にあるわけでございます。
また、校内に積極的に活用していこうという若い教員を中心にそうした教職員がおられる学校については、ほかの先生方も引っ張られて使っていくと、そんな傾向にあるのではないかなというふうに思っております。
そこでこのタブレット活用に向けては、本年度も例えば大阪の東百舌鳥高校あたりでは非常にこのICTを上手に活用して取り組んでおられるということをお聞きしておりまして、こうした先進校に、何校かの学校に視察に行かせるようなそんな取り組みも行っておりますし、またアプリケーションなどを開発している民間事業者などを講師に招いてそうした研修会を学校内で開催したりというような取り組みも始めてきております。
また、県教委のほうで学校現場でそれぞれ取り組んでおられるような事例を集めて、一つに活用事例集ということでまとめて、それをネットなどででも配信をしたり、冊子にしたりして配ったりというようなことで、できるだけその活用が進むような取り組みも始めてきているところでございまして、これは校内推進体制のこともあろうかと思いますので、そうしたこととあわせて研修をしっかり進めるというような形で意識を高めていく、そうした取り組みを強化しているところでございます。
このICTの利活用の推進は、インフラの整備と効果的な活用、これが両輪であろうというふうに思っておりまして、今はインフラの整備のほうが少し先行しているという形ですので、利活用をしっかり進めて、今の台数では教育をするのに十分な台数ではないというような状況がまず出てこないと次の段階になかなか進みがたいという部分もありまして、そうした利活用を進めるというところに来年度は意を尽くしてまいりたいというふうに、今そういうことを考えておるところでございます。引き続きこうした利活用も一方で図りながら、次の国の次期目標に向けての動きを加速化しつつ積極的にこのICTの利活用教育を進めてまいりたいと考えております。
◯議長(稲田寿久君)4番福浜議員
◯4番(福浜隆宏君)平井知事並びに山本教育長から御答弁をいただきました。
いずれも思いは共有できているというふうに感じ取れまして、非常に手応えを得ているところではございますが、指定管理のほうから改めて追及をさせていただきたいと思います。
先ほどは指定にすることによるマイナス部分についてお尋ねをしたのですが、次は、公募にする上でのマイナス部分についてちょっと焦点を絞って追及させていただければと思います。
先ほど申し上げたように、平成31年度以降指定管理が公募に切りかわる布勢総合運動公園についてなのですが、県体育協会が現在指定管理を受けておりまして、話を伺ってきました。
まず施設の開館時間なのですが、大会とか天候に応じてかなり柔軟に対応されています。例えば、大会当日の朝、気温が低くて雪が降っているとすると、選手が外で待つことになるため、体調を考慮して早く施設をあけている。また今度の日曜には鳥取マラソンが開催されて、私も出るのですけれども、午前4時にあけるというふうな話もされていました。利用者や選手第一に考えたら当たり前のサービスだというふうにもおっしゃっていました。こうした細かい配慮が、先ほど知事が申し上げられた募集要項に書き込めるかどうかというのは、なかなか難しいところもあると思うのです。果たして別の団体や企業が応募した場合、こういう細かい対応をしてくれるのだろうかなと甚だちょっと疑問に感じてしまいます。
融通がきかないときに、よくお役所仕事とやゆされるのですが、私は民間企業こそ、事業計画書に書いていないことまでする必要はないとすぱっと切られるのではないかなと、そういう恐れを感じております。サービスの向上が、利益の縮減につながるという面がありますから。つまり表向き経費節減が図られても、サービスが落ちてしまうと県民にはマイナスになってしまいます。
同じように、布勢の芝生に関して言いますと、私は日本トップクラスと断言していいほど質が非常に高いというふうに思っています。単に利用制限を設けて、芝生を維持するのではなくて、ぎりぎりまで県民、私たちに開放しながらも質を維持している点です。
布勢には全国各地から視察が相次いでいるそうです。一つは高速トラックで知られるイタリア・モンド社製のスーパーX目当て。そしてもう一つが芝生の維持管理方法です。ラグビーワールドカップのキャンプ誘致のために訪れた岐阜県関市、平成38年の国体開催に向けてことし1月に視察にやってきた宮崎県の関係者、さらにはことし2月に視察に来た栃木県の関係者。いずれも県民の芝生利用時間が多いにもかかわらず、日本トップの芝生が維持されている、この点に驚愕されたというふうに伺っていました。
県体育協会では、例えば年40回の芝刈りをすると事業計画に書いたとしても、実際には、その状態を見ながら1.5倍、2倍近く芝刈りのほうを委託業者に指示しているというふうに聞きました。芝生の管理は日本一を自負していると。そのプライドと情熱が布勢ブランドのベースになっていると私は思った次第です。
2年後にはジャマイカがやってきます。ジャマイカのために最高の芝生を用意するのはもちろんなのですが、ジャマイカ用に新たな経費を要求されたり、あるいは県民の利用制限が強められたりすることがないようにしなければなりません。
こうした面をしっかり担保するには、先ほど知事が申し上げられた指定管理を公募する際に、県が作成する募集要項のありよう次第だと思っています。県体協が事業計画にはない、サービスで行っている面をいかに酌み取って募集要項に反映できるか、ここがポイントです。
布勢に限った話ではありません。5年前の募集要項をもとに、コピペすればいいという意識の低い県の職員の方はいないとは思いますが、知事がよく言われるPDCAサイクルをきっちり回して募集要項をしっかり作成しなければ、あっ、この程度でいいのかというふうに判断されかねない面があると思います。この募集要項のあり方に関して、改めて知事のお考えをお尋ねします。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)福浜県議から重ねてお尋ねがございました。
今回、布勢総合運動公園、コカ・コーラウエストスポーツパークにつきましては、公募を前提に議案のほうも調整をさせていただいたところでございます。
もともと指名指定ということが続いていましたけれども、実は議会でも、ここ2~3年前ぐらいですかね、指名指定が続くのはいかがなものかと、何回かに1回ぐらいはやはり公募をするぐらい配慮もあってもいいのではないかとか、そういう御意見もございまして、委員会のほうでも指名指定か公募か改めて議論をするようにさせていただいたところ、公募ということで今回は出させていただいております。
しかし、福浜県議がおっしゃるように、せっかくいい管理をしているのであればそれの水準というものは担保してもらいたいということは当然でございまして、そうしたことをどういうふうに募集要項や、それに基づく仕様書というのがございますが、そうしたところで反映できるのか、今後、皆様の御意見も入れながら工夫してみたいと思います。
今回公募にはなりますけれども、体育協会さんのほうでも、先ほどの鳥取マラソンのお話もございましたが、アスリートファーストで物事を考える文化がございますので、ある意味そうした競技団体との親和性も高く、いろいろと融通もききやすいところもあったと思います。
また、あわせまして芝生の管理も公共機関の一翼を担うという自覚もおありで、かなり事細かにそうした芝生の管理についても発注をされていたということもございますし、例えばあの体育館のところに卓球台を設けて、皆さんでも使えるようになっていますが、あれは体育協会さんのほうの体づくり、健康づくりということで、いわばサービスで、通常のというか、仕様書以上の水準として提供していただいているところでございます。
ですから決して評価が悪いから公募にしたとかということではなくて、一つの節目としてやはり公募ということも考えるべきではないかという議論もございまして、このようにさせていただいたところであります。
利用者の立場でさらに前進させられるように、我々も募集要項や仕様書への工夫はぜひ考えたいと思います。もともと指定管理者制度自体が民間のノウハウも入れながら利用者サービスが向上すること、それとあと業務効率性が前進をすること、こうしたことを目標に設定をされた制度でございまして、その内実もそれに沿ったものになるようにこうした仕様書等で指示を出していきたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)4番福浜議員
◯4番(福浜隆宏君)知事から力強いお言葉をいただきました。
その事業計画書、本当に実態に即したもので、5年に1回節目が来るわけですけれども、私は公募でいいと思います。先ほども申し上げたように、東京から専門家を招いて改めて自分たちを見詰め直すという勉強会も開かれているというのは、やはり本当に公募にした一番大きな成果ではないかなと。その上でまた冷静に判断できるという場ができるということは非常にいいことで、それが県民サービスのさらなる向上につながるのであれば公募という形はありだというふうに私は思っております。
ただ、その上で改めてもう一つ質問したいのですが、指定管理候補が出てきた場合にどうしても指定審査というのが開かれます。その審査委員会のメンバーの中に、やはりこれから仮に大手が入ってくるということを考えていくと、その大手、全国的には140カ所、150カ所ぐらい指定管理をしているような企業もあると思うのですが、そこが出てくるかどうかもわかりませんが、そういう全国の実情もしっかりと踏まえた光と影の部分、こんなふうに書いているけれども、本当にこれをやってくれるのかどうかという、そういう事前の判断ができ得る全国の事情をしっかり知っている専門家もその審査委員会のメンバーの中に加わってほしいというふうに私は思います。
布勢に特化して言えば、芝生の管理が全国トップクラスですから、芝生の専門家もメンバーに入ったほうが、よりいい選考ができるのではないかというふうに考えます。
以上、審査委員会の委員の人選に関して知事のお考えをお尋ねします。
かわって教育のICTについて重ねて教育長にもお尋ねします。
働き方改革が叫ばれる中、なかなかICTに不得手な先生にとっては負担がふえるというふうにお感じになる点もあるかもしれませんが、先ほど教育長がおっしゃったように生徒にとっても先生にとっても最終的にはこれはプラスになる要素が多分に含まれていると思いますので、ぜひ前向きに取り組んでいただける先生がふえることを願っています。
ただ、ICTに不得手な先生だけをちょっと問題視するわけではないのですが、去年7月の調査結果を見ると、ICTの普及を図る情報推進リーダーを中心とした体制が校内にできていると答えた高校、24校中まだ10校と半分以下。校内研修を実施した高校は9校にとどまっているのが現状です。また教育アプリケーションを活用した授業をサポートする体制の整備については、去年の7月の段階ですが、今後も校内に整備する予定がないと答えた高校が実に10校にも及んでいまして、正直現場の受けとめ方の何か冷たさというか、どうなのでしょうか、愕然としたところです。国や県教委のほうが教育のICT化を懸命に旗を振っていっても、現場の関心が薄いようでは、本当に大丈夫なのでしょうか。
教育長、私は一斉授業からの脱却という新たなチャレンジを進めていくためには学校組織、そして先生の意識改革が何より必要だと思うのですけれども、そのあたりどのようにお考えなのか教育長のお考えをお尋ねします。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)福浜県議から重ねて指名指定のあり方につきましてお尋ねがございました。
詳細は行財政改革局長からお答えを申し上げたいと思いますが、平成31年には「みどりの愛護」のつどいも開催される会場にコカ・コーラウエストスポーツパークがなるわけでありますし、そうした意味で会場としての気品、品格ということもございますので、そうした芝生の管理等も大切なことではないかなと思います。
そうした各方面につきまして、いわば合格点が与えられるようなところに最終的に公募が決定するというのは望ましいことでありますし、またその後のフォローアップもまた大切でございまして、現実にそうした水準が維持され、芝生も含めて水準以上のものが担保される、そうしたことは県もかかわりながらこれから続けてまいりたいと思います。
詳細については、局長のほうからお答えを申し上げます。
◯議長(稲田寿久君)亀井行財政改革局長
◯行財政改革局長(亀井一賀君)指定管理の審査委員会等につきまして補足の答弁をいたします。
具体に指定管理者を選定する際の委員につきましては、年度が明けまして4月に具体の委嘱作業に入ってまいりますので、具体の委員につきましてはその際にいろいろ考えていくということになろうかと思いますけれども、現在その審査委員会で総合的に考えて判定をする。その後のフォローアップというのも大切だというふうに考えておりまして、現在は毎年指定管理者の運営の状況を報告いただいて、それを県のほうでしっかりと審査、確認をするということとあわせまして、指定管理期間の中間年が終わった後には今度は外部の委員さんにもしっかりとその運営の状況がどうであるのか、そういったことを見ていただくといったことでしっかりと今フォローアップをしているという状況でございます。
さらに布勢総合運動公園の芝につきましてでありますけれども、この芝につきましては指定管理をする際に当たりまして、平成13年から14年にかけましていろいろと外部の方の意見を伺いまして、芝をどのように管理すればすぐれた芝の管理ができるのか、そういった基準を定めております。現在指定管理を出すに当たりましては、芝についてはその基準をしっかりと守りなさいということを審査の要項、仕様、そういったことで定めておりますので、そういったことに従って今管理をしていただいている。さらにその上で現在の県の体育協会は、そこで定められた回数でありますとか、その仕様以上のことをしていただいているといった状況でございます。
今後、公募ということでどこがとるかわかりませんけれども、新たに指定管理者となられたところにつきまして今後、芝の管理が十分ではないのではないかといった意見があるようでありましたら、今定めております芝の基準がどうであるのかをさらに検討を加えるといったことも必要になるかと思いますので、そういった観点でのフォローアップをしっかりと今後もやっていきたいというふうに考えております。
◯議長(稲田寿久君)山本教育長
◯教育長(山本仁志君)福浜議員から重ねてお尋ねがございました。
確かにICTに対して、少しそれを使いこなしていくことに負担感を感じている教員もあるのではないかなというふうに思っております。これが必ずそれを使わなければならないという格好でこちらのほうで強制していくというのも、それをするのがいいのか、従来どおりに若干工夫を加えて授業をするほうが子供にとってどうなのかというところも一方でこの過渡期の時期には考えないといけないというふうに思っております。いずれにしましても今、アクティブラーニングの研修などもやりながら、自分たちの授業をこれまでの一斉授業だけではなくて、いろんな形での話し合いを通じてより理解を高めるような授業にしていかなければならないという意識自体は教員の皆さんの間にはかなり広まっていっているというふうに理解しております。そうした授業改革に向けてこのICTが非常に有効だということをきちんと説明をしていくということが必要ではないかなというふうに思っております。
今、教育委員会の事務局の中にチーム会議をつくっていろんなICTの利活用について議論を行っているところなのですけれども、例えばタブレット端末に関して利用に苦手意識を感じておられるような教職員の皆さんにはその効果が実際に実感できるようなアプリケーションだとか、その利用の仕方などを実際にやってみせるというか、やってみせてもらって実感をしてもらうという、そんな仕組み、取り組みができないかというようなことでありますとか、さき方も少し申し上げましたが、若手を中心にこのICTの利活用について意識の高い教職員を、これは意図的にそういう職員を多数つくっていって、そうした若手の職員、あるいは若手でなくても利活用を積極的に進めたいと考える職員を学校の中の中核になっていただいて広めていく、そんなアイデアなども今出し合っているところでございまして、そうしたさまざまな取り組みを含めてこのICTの利活用、当然タブレットもその中に入るわけですが、理解を深めて活用を広げてまいりたいと考えております。
◯議長(稲田寿久君)4番福浜議員
◯4番(福浜隆宏君)知事、教育長から御答弁をいただきました。
ICT関係で重ねてお伺いします。タブレットの整備率に特化してちょっと考えていくと、佐賀県のほうでは、2014年度から県立高校の入学と同時に、入学生7,000人が一部補助を受けて保護者負担でタブレットを全員が購入するということを続けています。早ければ来年度には今度は保護者購入ではなく、県の備品として購入またはリースをするというような方針もこの前報道されておりまして、私は県費で買うというよりもやはり保護者が買うというほうが家に持ち帰りが容易になるというか、責任をそれぞれ持つことになるわけです。何が言いたいかというとタブレットがあると予習、復習という家庭での教育と学校での教育というのが真反対にできる可能性も秘めていると思います。事前に知識習得を家でやってしまって、学校ではその得た知識をみんなでディスカッションをしながらさらに深めていくという、まさに今の教育とは真反対のやり方ができるわけですが、そういう部分での教育の可能性というのも感じているわけなのです。そういう佐賀県の現状もありますので、そういう個人持ちについての検討というのもあわせて深めていただきたい。先ほどチーム会議のほうで活用でありますとか、アプリの研究でありますとか、先生の研修とかもされているようですから、その部分を加えてちょっと今後、検討をいただけるかどうか、またお考えをお聞かせください。
あわせて、私も今度、中学3年生になる子供が1人おるわけですけれども、保護者がICTと聞くと、マイナスに、化け物ではないですけれども、とにかくICTはスマホを代表とするように、教育にとってはもうなるべく避けさせるべきものというふうな捉え方をしている向きが多いのかなというふうに思います。そうではなくて、ICTというのはこういう効果もあるよと、教育上こういうプラス面もあるよということはやはり保護者のほうにも情報リテラシー教育とあわせて、これもすごく大事なポイントで、それを踏まえた上で活用があるというふうには思っておりますが、その活用の部分の情報発信というものが保護者に対してまだまだできていないのではないかなというところもあります。
平成27年度から一部高校に導入されて、長いところではもう3年間使っていらっしゃるというやはり実績も鳥取県内にはあるわけですから、それをいい意味で小学校、中学校の保護者を含めて広報していくというようなことも新年度お考えいただけるかどうか、そのあたりを最後にお聞かせください。
◯議長(稲田寿久君)山本教育長
◯教育長(山本仁志君)福浜議員から重ねてお尋ねがございました。1人1台のタブレット端末の導入、佐賀県では既に県立学校で進んでいますが、実は同じ佐賀県にあります武雄市などは、先ほど言われた自宅に持ち帰って学習をしていって、学校に行ってさらに話し合いなどをやるという、いわゆる反転学習と言われる学習なども既に導入をされておるわけでございます。鳥取県でも実はモデル的な取り組みといたしまして鳥取湖陵高校の情報学科において既に1人1台ということで取り組みを始めております。平成27年度から始めておりまして、平成27年度のときは公費で1年生の分を整備したのですけれども、翌年、平成28年度からは個人購入ということで取り組みをさせていただいております。この個人購入にした関係もありまして、平成29年度、ことしからはアプリケーションで、これは家庭でも学校でも利用できるようなアプリケーション、学習支援クラウドサービスというサービスを導入しまして、学力保障などの実現に向けて取り組んでおるところでございます。
このモデル事業として始めました鳥取湖陵高校の取り組みは、広く県内の学校にも今紹介をしておるところでございます。実はこの個人端末を利用した学習支援クラウドサービスというのが非常にほかの学校でも興味がある、関心を引いている取り組みでございまして、これは各個人持ちのスマートフォンを利用してこういう取り組みができないかなというようなことも含めて今導入を検討している学校も出てきているという状況でございます。先ほどお話ししましたチーム会議の中でさまざまな点を含めてこうしたことにつきましても引き続き検討を深めてまいりたいと考えておりますし、あわせましてこの個人所有をするに当たって鳥取湖陵高校でも保護者の方から、これは中学生の保護者の段階で説明をしないといけませんので、いろんな導入の目的でありますとか、こういうことに使って、こういう効果が上がるのだというあたりをかなり丁寧に説明して個人購入をしていただいているというようなそうした事例もありますので、そうした事例なども参考にしながら、マイナスの部分だけではなくて、当然いい効果の部分についてもこれから保護者の方々、県民の方々にも広く情報発信をできるようなそんなことも考えてまいりたいと考えております。
◯議長(稲田寿久君)4番福浜議員
◯4番(福浜隆宏君)もう質問は終わりますが、最後にまとめをさせてもらいます。
今回は指定管理と教育のICT化について、特にタブレットの普及に関して知事と教育長に質問をさせていただきました。
指定管理の指名公募、それぞれプラス面、マイナス面、両方含んでいると思います。だからこそプラス面をどんどん高めていき、マイナス面をいかに打ち消していくか、この両方が必要なのかなというふうに思って質問をさせていただいた次第です。
また、教育のICT化、タブレットに関してなのですが、タブレットに限らず先ほどお話しされたようにWi-Fiが整備されないとタブレットももう本当に宝の持ち腐れになってしまいます。今よく話を聞くと、携帯用のWi-Fiを使う各教室に持ち込んでやっているというような現状だというふうなところもありまして、まだまだ整備のほうが追いついていないというのが現状なのかなというふうな感じもしております。その辺もどうしてもお金がかかるところもありますが、なるべくスピーディーに生徒1台というのが実現できるようにこれからも御尽力をいただければと思います。
以上で質問を終わります。
◯議長(稲田寿久君)暫時休憩いたします。
午後の本会議は、午後1時より再開いたします。
午前11時58分休憩
────────────────
午後1時00分再開
◯副議長(福間裕隆君)再開いたします。
引き続き、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。
27番広谷直樹議員
◯27番(広谷直樹君)(登壇、拍手)それでは、一般質問に入らせていただきますけれども、質問に入る前に、本日は3月8日ということでサバの日であります。そういうことで実は月曜日、5日にJR西日本が行っております井戸海水を使った陸上養殖の初出荷がありました。平井知事にもテープカットに出席をいただきましたし、ぜひこのサバの陸上養殖が軌道に乗って岩美町、鳥取県のPRにつながるように期待をしているところであります。
それでは、通告に従いまして、2項目について質問をさせていただきます。
まず、山陰海岸ジオパークの再認定の審査結果を受けてでありますが、山陰海岸ジオパークは、日本ジオパーク認定から10年、世界ジオパーク認定から8年を迎えようとしておりますが、去る昨年の7月31日から8月2日に2回目となります日本ジオパーク委員会の再認定の現地審査が行われ、9月にその結果が発表されました。高く評価された部分もありますが、御承知のとおり、2年間の条件つき再認定という大変厳しい結果でありました。
本年7月には、ユネスコ世界ジオパークの2回目となる再認定の現地審査が予定されており、昨年の日本ジオパーク委員会で指摘されました問題点を早急に解決する必要があります。
そこで、昨年11月議会の代表質問にもありましたが、山陰海岸ジオパーク内での広域的な連携が欠如しており、持続的な運営形態となっていないという指摘への対策として新年度から推進協議会の事務局体制を変えるということでありました。これは鳥取県、京都府、兵庫県との3府県で決めることでありますが、トップとしては学識があり、かつ3府県に対して公平な判断のできるマネジャーのような人材を充てる、また事務局には現在のような2年で交代する行政職員ではなく、経験豊かで交代の必要のない行政OBのような人材を充てるという大変思い切った組織改革案だと思います。
既にその解決に向けての対応策を実行に移していると思いますが、その後の3府県での協議の結果や、人選の進捗状況はどうなのか伺いたいと思います。
日本ジオパーク委員会からの詳細な審査結果報告書によりますと、事務局体制の連携の欠如の問題に深く関係しておりますのが山陰海岸ジオパークを将来に向けてどういう方向へ持っていきたいのかその方向性が見えてこないという指摘であります。
大変抽象的な表現がされておりますが、これは事務局体制という組織の問題よりも一層重要な問題ではないでしょうか。つまり最も大きな基本コンセプトが欠如している、曖昧なために、それにのっとった連携体制をどう構築するかわからずに迷っているとも言えるからであり、そのため、慣例的な役所仕事になっているのではないでしょうか。一生懸命に努力している事務局に対しては厳しい評価だと思いますが、報告書にそう記載されている以上真摯に受けとめなければなりません。またこれは単に事務局ばかりではなくジオパークエリア内の各団体や民間組織、住民への問いかけでもあると思いますが、このような大きなコンセプトをつくり出す議論のきっかけとするためにも、このコンセプトへの指摘について平井知事の所見を聞かせていただきたいと思います。
日本ジオパーク委員会からの指摘を受けて、推進協議会ではこれからの山陰海岸ジオパークについてみんなで議論を重ね再スタートを切るとして1月26日に京丹後市、2月4日豊岡市、2月19日鳥取市と計3回、地域の団体や住民が参加し、山陰海岸の未来を考えようというテーマのもとでジオパークステップアップ会議が開催されました。
この3回の会議によって、ジオパークに対する機運や理解は進んだのか、またこの会議を通して見えてきた課題など、知事の所見を伺いたいと思います。
日本ジオパークからの報告書によりますと、1年以内に解決すべき課題とされたものと2年以内の課題が上げられており、そのうち大変気になる指摘があったのがガイドについてであります。
ガイドについて、ガイドの説明内容に学術的に正しい情報に基づいていないところが見受けられるとあります。これは大変ゆゆしき問題でジオパークの質の水準や信頼性にかかわるものであります。このことは推進協議会のガイド部会や個々のガイド養成講座などではしっかりと指導され理解されているものと思いますが、さらに念を入れて普及させるべき課題であると考えます。このためにはユネスコIGGP、国際地質科学ジオパーク計画のガイドラインをしっかりと認識してもらうのがよいのではと考えます。
このガイドラインはユネスコの基本的な姿勢が記載されていてぜひとも身につけるべきものであると思いますが、一方ユネスコらしく大変厳格で、またかたい文章が書かれております。各地域のガイドはとても積極的に自主学習や研修会、交流会への参加など勢力的に活動しており、報告書でも高く評価されております。それだけにさきの指摘のようなことがあっては残念であります。
そこで、このガイドラインの重要性を損ねることなくわかりやすく説明、解説するような小冊子か資料のようなものを作成しガイド団体や関係者などに配布してはどうかと考えますが、知事の所見を伺いたいと思います。
次に、有害鳥獣対策です。
先ごろ農林水産省が発表しました2016年度の野生鳥獣による農作物被害状況は、前年比3%減の172億円とのことであり、数年前には被害額が二百数十億円あったことを考えますと、近年の捕獲強化によって減少傾向になっております。
県内では、中山間地を中心に被害が深刻化し、最近では海岸部へも被害が広がってきております。農産物の被害額は平成28年度で前年比55%増の8,990万円であり、近年は8,000万円前後で推移をしている状況であります。
そのような中、国は、平成25年12月ニホンジカ、イノシシの生息頭数を平成35年までに半減することを目標とした抜本的な鳥獣捕獲強化対策を策定し捕獲活動を強化してきております。
本県では、昨年4月、計画期間を平成29年4月1日から平成34年3月31日までの5カ年間の第2種特定鳥獣でありますイノシシとニホンジカの管理計画を策定しました。計画期間中の捕獲目標頭数はイノシシで年6,000頭以上、ニホンジカは年9,000頭に定めております。
昨年度の捕獲実績を見ますとイノシシは目標頭数の倍近い1万1,970頭、ニホンジカは目標頭数に達しておりませんが、7,274頭でありました。イノシシ、ニホンジカの管理計画を実施するに当たり、当然生息頭数を考慮した上で捕獲目標数であると思いますし、隣県とのかかわりも大きく影響してくると思われます。
県として今後の有害鳥獣捕獲事業をどのように捉えておるのか知事の所見を求めます。
また、平成27年度からは、国が創設しました指定管理鳥獣捕獲等事業に取り組み、ニホンジカの個体数調整として県猟友会に事業委託し、県内全域の奥山を対象に捕獲目標頭数を1,800頭で事業を行っております。
3年間実施した成果、効果はどうであったでしょうか。今後も指定管理鳥獣捕獲事業を継続していくのかお伺いいたします。
さらに、捕獲した鳥獣の処分についてでありますが、鳥獣保護法によりますと個体を埋設するか焼却しなければなりません。狩猟者の高齢化が進んでいる中、イノシシや鹿などの大型野生動物を埋設するとなると数メートル四方の穴を掘る必要がありその労力は大変ですし、運搬するのも大変であります。放置すると狩猟免許が剥奪されるとも聞きましたので、捕獲鳥獣の処理対策をしっかり整備されない限り有害鳥獣捕獲を奨励しても捕獲頭数はふえていかないと思います。捕獲した個体の処分の実態をどのように把握しているのか所見をお伺いしたいと思います。
聞くところによりますと、捕獲した数十キロもある大型動物を一般廃棄物としてごみ焼却施設で焼却しているとのことであります。法令的には適正であっても、一方ではジビエとして活用し地域振興に貢献する中、片や可燃ごみとして焼却していることに対して、一般感情からすれば抵抗を感じるのは私だけでしょうか。
やはり捕獲した大型動物専用の焼却施設の整備が必要と思いますが、平井知事の所見を伺いたいと思います。
以上、壇上での質問といたします。
◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)広谷県議の一般質問にお答えを申し上げます。
まず、3月8日というサバの日ということでございますが、先般、風雨の大変厳しい中、広谷県議、さらには福間副議長や島谷県議にもお出かけをいただきまして、サバの出荷式を行ったところでございます。
これは鳥取県生まれの井戸海水をくみ上げてやる、そういう陸上養殖のものでありまして、アニサキスフリーで安心して食べられる、そういうものでございますので、ぜひ多くの方々に新しい鳥取の名産品としてサバも認知をしていただき、お取引やお買い物、また食べに来ていただく、そういう展開ができればというふうに考えているところであります。
今回はJR西日本さんでありますが、JR西日本さん以外でも実は西のほうでもサバの養殖ということを手がけてもおられまして、今、新しい本県の目玉にもなり始めているところであります。
先般の様子もNHKが全国で取り上げたところでございまして、私も夜中の11時のニュースを見ていてびっくりしました。鳥取は砂漠ではなくサバ食うだという、こういう駄じゃれを言ったのですけれども、それをNHKのアナウンサーが真面目に解説をしてくださっていまして、NHKも変わったなと思ったわけでございますが、そうやってあらゆる手を尽くして私どももいろいろとアピールをし、水産業を盛り上げていければと思います。
次に、マネジャーの雇用や事務局長の雇用等ジオパークの組織体制、さらにはコンセプトの欠如と言われることへの対応、またジオパークのステップアップ会議の状況、またユネスコIGGPガイドライン、これを理解してもらう手法等につきましてお尋ねがございました。
この間のステップアップ会議、1月から2月に開催されました状況につきましては、これは生活環境部長からお答えを申し上げたいと思いますが、実は日本ジオパーク委員会のほうから非常に我々としてはショッキングなメッセージが寄せられたところでございまして、今、山陰海岸ジオパークは条件つきで承認という形になっているところであります。
それはどの辺が多分大きな問題かというと、先ほどコンセプトのことやガイドラインのことが指摘をされていましたし、組織のこともありましたけれども、もともと世界のジオパーク運動というのは、単一のNPOとか、あるいは一つの運営団体がありまして、それがジオパーク全体の管理をする、そういうイメージのもとにつくられているところがあるわけです。
それに対しまして日本の場合は、別にこれはうちだけではなくて、よそのジオパークもそうなのですが、どちらかというと実行委員会方式的なああいう若干曖昧な形で運営をし、かといって精度は落ちるわけではないのですけれども、そうした組織体制であったり、やや緩やかな形で運用をしているというところがありまして、世界標準からすると物足りないといいますか、若干評価が得られないところがあります。実は私どもは一遍世界ジオパークも落選をしていますけれども、3府県にまたがるジオパークなものですから、そうした統一的な運営主体がないといったような、そうした指摘は当初からあったところであります。
今回その条件つきになった一つは、役職員がころころかわって、しかも寄り合い世帯で、余りアカウンタビリティーがないのではないかと、こういう御指摘がございました。これは役所ベースではなかなか前に進まない状況もあったのですけれども、井戸兵庫県知事や山田京都府知事にも直接呼びかけまして、若干トップダウンで組織改革をやるべしということを申し上げ、中貝会長、豊岡市長にも相談をし、それで一つのフレームを今得たところであります。それが広谷県議がおっしゃる、会長代行と言われる、会長は中貝さん、豊岡市長がやっているのですが、実質上この全体を取り仕切るような形で全体を見渡す感覚のある学者的な方、そういうリーダーを会長代行としてミスター山陰海岸ジオパークになってもらうと、そういう構想でございます。
そして全体を束ねる意味で、役所出身のOBでいいのではないだろうかということなのですが、事務局長を設置しまして、全体の組織力というものを強くしようと、こういう考え方でございまして、これで関係先皆了解をし、今回予算にはそれぞれの府県でも提出をさせている中にこうしたことも盛り込まれているところであります。
具体的な人選は、今はまだ協議中であります。マネジャーに当たるようなミスター山陰海岸ジオパークの会長代行にふさわしい方はなかなかおられるわけではございませんで、例えば京都大学の総長をされていました尾池先生、この方は日本ジオパーク委員会の会長さんでもいらっしゃるのですが、こうした方々や日本ジオパーク委員会の中田先生などとも相談をしながらよき人選を得ようと今、中貝会長も含めてみんなで努力をしているというところであります。できるだけ早くこれを設置することを目指そうということで了解をしております。
また、事務局長につきましては、ほぼめども立ちつつあると思います。3府県のOBに当たるような人で、こうしたジオパークについても知見のある人、そういう人を事務局長で雇用しようということを今、目指しておりまして、4月から配置できるように今、最終的な人選の確定に入ったところでございます。
コンセプトの問題も非常に厄介でございまして、最初に落選したときも結局そこのところの学術的解明がなかなか進んでいないのではないかということもありまして、いろいろと難しさもあったところであります。
しかし、その後、一遍落選している間に我々もコンセプトを整えたところでございまして、ジオパークの基本方針や行動計画にも既に盛り込まれているところであります。
大きなフレームとしては、日本海が形成される過程、これがいろんな時代を通じて見てとれる、それが山陰海岸ジオパークであるというコンセプト設定でございますし、そこにこういう地形の豊かさがあるものですから、多様な生物相が見られる、生態系が見られるということも売りとして言われていることでございますし、過去の学術的なことで言っても松山逆磁極期地層という、これは豊岡にございます玄武洞で発見されたものが今、千葉時代ということも言われますけれども、ああいう学術研究のはしりになった、そういう大発見であったということも、このジオパークの一角をなしていること、こうしたことなどを我々としては一つの大きなフレームの中に入れまして、コンセプトとして磨いてきたところであります。これを改めて共有していくということだと思いますし、IGGPのガイドライン、これも共有化を図って、初心に戻るということだろうと思います。
ガイドラインとの関係では、先ほどおっしゃったようなガイドのことが言われました。これはどういうことかといいますと、ガイドラインの中に統一的に全体を管理できる、そういう主体が必要だということ、またそこに来た人たち、そうしたお客様のおもてなしをする、それからそこの地層を初め、ジオパークの魅力をお伝えをするような、そういう適切な能力を持たなきゃいけない。その適切な能力の中身として、ガイドの質ということも言われるということになります。ですから、例えばそうした地質学等々の専門家はジオパークの組織の中にもございます。そうした先生方にも協力していただきながら、ガイド研修をさらに活性化し、強化をしていくことなどを今後、展開していくことになろうかと思います。
実はこうした私どものさまざまな努力については、日本ジオパーク委員会のほうでも了承していただいているところでありまして、こうしたことをこれから年度がわりも含めて仕上げの段階に入ってまいりますが、新年度における審査がぜひとも成功するように、全力を傾けてまいりたいと思います。
次に、有害鳥獣につきまして、お尋ねがございました。この有害鳥獣の捕獲事業をどういうふうに捉えているのか、また3年間やってきたわけでありますが、指定管理鳥獣捕獲等事業を継続していくのか、またその捕獲した個体の処分のことにつきまして、お尋ねがございました。
処分等のことにつきましては農林水産部長からお答えを申し上げたいと思いますが、この有害鳥獣捕獲で、特にジビエでも活用が盛んになってまいりましたイノシシ、鹿、これが被害という面でも大きいところでございます。こうしたイノシシ、鹿につきましては、年々捕獲数もおかげさまで上がってきました。イノシシは1万2,000頭レベルまでいきました。また、鹿のほうも7,300頭でございまして、目標の9,000頭には届かないものの、年々ふえてきて過去最多頭数に上がってきています。ですから、ある意味、歯車はかみ合ってきまして、有害鳥獣捕獲等がしっかりと適正に行われてくるようになり、これが川下側になりますジビエの活用等にもつながっていまして、本県は比較的、個々いろいろと議会の御指導もいただきながら、いい方向に進み始めたところではないかなというふうに思っております。こうしたトレンドをさらに強めていかなければなりません。
そうした意味で、議員のほうから御指摘がございました指定管理の制度でございます。これは本県では鹿について導入しているのですけれども、鹿は逃げると奥山に行く習性があると。しかも非常に足が速いです。したがいまして、里に近いところでは有害鳥獣で捕獲をするということになると思いますが、奥山に逃げ込んだ後も、これも県のほうでお願いをする指定管理のやり方で猟友会のほうで捕獲してもらうということを進めてきました。昨シーズンは2,000頭余りに達しまして、おととしの10倍ぐらいに一気にふえたところでございます。結局こうした奥山の狩猟と、それから里の近くとを組み合わせて両方やっていかないといけません。したがいまして、この指定管理のやり方というのは成功してきていると思いますので、今後も継続するというふうに進めてまいりたいと思います。
議員のほうからも若干御指摘がございましたように、近隣の地域との連帯が大切でありまして、兵庫県、岡山県と一緒になってこうした有害鳥獣の捕獲を行っていくこと、これも年々体制が固まってきましたし、協調も高まってまいりました。10月をそうした強化月間にしようとか、そうしたふうにお互いのコミュニケーションをとれるようになってきました。中国5県もこれに倣ってさらに一緒にやろうということで呼びかけて、本県がその中国5県の一応取りまとめ役になりましたが、こちらのほうは今、実態の調査であるとか、全体の方向のすり合わせをしているところでございます。いずれにいたしましても、こうした形で近隣の地域とも連帯をしながら有害鳥獣捕獲を進めてまいりたいと思います。
◯副議長(福間裕隆君)酒嶋生活環境部長
◯生活環境部長(酒嶋優君)私のほうからは、山陰海岸ジオパークステップアップ会議の成果等につきまして、補足の答弁を申し上げます。
昨年11月にこの日本ジオパークの再審査の際の指摘事項といたしまして、地域間の連携や活動の方向性などが課題として指摘を受けられたところでございます。この指摘された方に対しまして、関係者だけではなく多くの住民の方々と議論を重ねることが重要であるということから、山陰海岸ジオパークステップアップ会議を開催したところでございます。会議は京丹後市、豊岡市、鳥取市の3会場で開催をいたしました。それぞれテーマを決めまして、議論を行ったというところでございます。
今回の会議では、さまざまな御意見をいただきました。例えば京丹後会場では、地域のことを語ることができるような、そういった地域にしていかなければいけないとか、あるいは稼げるジオパークにしていくにはどうしたらいいのだろうかとか、あるいは豊岡会場では、ジオパーク全体のガイドブックをつくってはどうだろうとか、あるいは連携する動機、メリット、デメリットを提示してはどうだろうと。あるいは鳥取会場では、市町の枠を超えた教育活動を行っていくことが大事だろうと、このような意見がございました。
一方、地域間の情報共有が必要である、あるいは地域の活動や意識に差がある、温度差があると、そういった課題も上げられたところでございます。今回の会議は結論を出すための会議ではございませんでして、改めてお互いをよりよく知り合って、山陰海岸について考えるための会議でございました。開催することそのものにも大変な意義がございますけれども、今後もさまざまな形でこういった意見交換を行う場を設けていきまして、お互いの顔の見える情報共有、あるいは情報発信を行うというふうにしてまいりたいと考えております。
◯副議長(福間裕隆君)岸田農林水産部長
◯農林水産部長(岸田悟君)私のほうから捕獲した個体の処分実態なり、焼却施設の整備について、補足の答弁をさせていただきます。
現在、捕獲個体の処分実態としましては、多くは埋設なり自家消費という部分が占めております。鹿、イノシシでございますが、捕獲総数が1万9,000頭程度ある中で、埋設、自家消費は80%程度、またジビエ利用が16%、また焼却については3%程度というような実態となっております。鳥取市では、この3月19日から神谷清掃工場で県東部1市4町全域の捕獲者の受け入れをするということとされております。また、料金も無料で受け入れる予定と聞いているところであります。
議員御指摘の焼却施設につきましては、平成27年1月から県東部の1市4町で広域の食肉加工処理施設、これは焼却施設を含む処理加工施設の設置を検討されているところでございます。しかしながら、現在の施設で活用状況の悪い施設があることから、新たな投資を懸念するような意見もあるということで、このお話が進展していない状況ということでございます。
ただ、処理施設と焼却施設を合わせて広域で設置をしてほしいという意見を持っている町も多いというふうに聞いております。県としてはこの東部の議論を今後、注視しながら、市町で話がまとまれば、必要な支援等、検討をさせていただきたいというふうに思っております。
◯副議長(福間裕隆君)27番広谷議員
◯27番(広谷直樹君)どうも答弁ありがとうございました。
まず、ジオパークについてでありますけれども、再認定についての組織体制づくりの中で、その会長なり事務局長がまだ決まっていないというような答弁でありましたけれども、次回の審査といいますか、調査が7月ごろにまた行われるということであります。余り期間がないと思いますので、そのあたりも含めてしっかりと人選するなり、またそれに向けての取り組みをしていただきたいなと思っております。
それで、ステップ会議のことも今、部長の答弁がありましたけれども、私も実は京丹後市の会議に出席をさせていただきました。50人余りのほとんどはジオパークの関係者だったと思いますけれども、やはりジオパークの取り組みに熱心な方がほとんどだと思っております。条件つきという中で、皆さんがそのあたりを心配しての会ではなかったかなというふうに思っておりますので、部長の答弁にもありましたけれども、今回に限らず、こういう会を引き続いてエリア全体で取り組んでいかないと、やはり一部の人間だけの取り組みになってしまうのではないかなというような気もしておりますので、しっかりとそのあたりも含めて取り組んでいただきたいなと思っております。
それで、追及として、当初予算に絡んだり、また山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館に関連して何点か伺いたいと思います。
まず平成30年度の当初予算の説明資料でありますけれども、外国人対応の職員を配置するなど国際化への対応や、山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館に博物館機能を持たせて、山陰海岸ジオパーク全体の中核拠点施設と位置づけられるということであります。その自然館のところ、渚交流館のエリアは、岩美ジオフィールドという名称もつけており、その水準向上に大変有益になると思います。今後その自然館の施設の機能や活動が、中核拠点施設ということで位置づけられるということでありますが、どのように変わってくるのか、そのあたりを伺いたいと思います。
そして、ツーリズムの推進ですけれども、地域全体で取り組むべき課題だと考えます。予算説明書には、自然体験指導者の育成の項目が上げられております。確かにアクティビティーのメニューは多彩で活発化しておりますけれども、それをさらにジオパーク、あるいは国立公園としてのすぐれた自然の学習の方向へ発展させて、教育旅行への誘致へつなげていく可能性を模索することもできるのではないかというふうに思っております。
新潟県では、新潟県内ジオパーク体験旅行誘致推進委員会を発足して、ジオパークを使った体験型教育旅行の誘致に力を入れているということであります。以前にも教育旅行の可能性について伺ったことがあり、本県も鳥取県教育旅行誘致協議会を立ち上げているというふうに思っておりますけれども、その現状、取り組みについて知事に伺いたいと思います。
さらに、山陰海岸ジオパークトレイルについてでありますけれども、昨年トレイルコースを延長して鳥取市から新温泉町まで延長されておりますけれども、先般開催されたトレイル協議会の総会で、香美町までの延長が承認されたとのことであります。トレイルは日本ジオパーク委員会から指摘された広域連携の模範的な事業となり得ますので、ぜひルートの延長を推進していくべきというふうに思います。この延長に向けての現在の協議の進み方、進捗はどのようになっているのか伺いたいと思います。
◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)広谷県議の追加質問にお答えを申し上げます。
まず、ジオパークについて何点かお尋ねがございました。事務局長等につきましては、事務局長はほぼめどがついているけれども、今言えないということでございまして、それに合わせてマネージャーに当たる人、これはちょっと人選が難しいところであります。ただ、もちろん7月に間に合うように、みんなで頑張ろうと、何人か名前も具体的に上げながら調整をしているという状況でございます。ステップアップ会議等であらわれたようなエリア全体での盛り上げというのを今後の大事な点として取り組ませていただきたいと思います。
そういう中、山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館でございますが、今後の施設の機能や活動がどういうように変わっていくのかと、こういうことであります。議員もいろいろと御見聞いただいたと思いますが、条件付き再認定の一つの焦点になりましたのは、中核施設が貧弱であるというかなり厳しい書き方をされたことであります。
その中核施設が今、新温泉町にございます施設なわけでありますが、これは町のほうでされているもので、そこにおられる方も物すごい熱心ですし、今までの経緯もありまして、各地域の方とのコミュニケーションもしっかりとっておられるところは皆さん評価をしていると思うのですけれども、ただ、何せ町営ゆえに展示物が全体を見渡したようなものなども余りなくて、実はそこで使っているジオラマも私どものジオパークの海と大地の自然館がお下がりで差し上げたものというようなのが実情でございます。それで3府県の知事で話をしたときに、いっそ鳥取県の県営でやっている海と大地の自然館のほうをそうした展示のメーン施設に位置づけてもらったらよいのではないか、それにふさわしい内容が実は但馬の海岸のところの足跡の化石とか、全体を見渡した展示にもともとなっていますし、それからそこには学芸員もいて、自然もそう、地質系や生物系、それぞれ研究し得る人材もいますので、そうしたところを活用してもらうのがいいのではないかというふうに申し上げ、それを兵庫県知事が、地元のこともあるので、ちょっと持って帰らせてくれということでお持ち帰りになられた後、ではそれでいこうということになったところでございます。
ですから、今後、審査の際は少なくともあそこは中核施設ということになりますので、非常に世界の中では注目される施設にもなり得るということですし、そこが中核施設となることによりまして、お立ち寄りになられるジオパークをめぐり歩く観光客や研究者の一つのポイントになると思われます。それにふさわしいものは、実は中身は今までも整備をしてまいりまして、今年度も3D映像の3本目を配置したなど、年々レベルアップを図っているところですし、研究や調査活動も活発に今は行っているところでございます。こうしたところにこのたび予算も出させていただいていますが、中核施設になるものですから、目につきやすいような看板であるとか、またジオパーク全体を見渡したようなさまざまな情報が得られるデジタルサイネージであるとか、そうした設備もさらに付加をさせていただこうというふうに考えております。
議員も若干御指摘ございましたが、あの辺は子供たちの教育も含めて重要なポイントにもなり得るところであり、お隣の渚交流館も県が補助をしながら更衣室を整備したところです。さらに下の川におりるところ、これも道をつけたところでございまして、このようにゾーンとしてあそこが中核機能を果たすように、これからも整備を強めていければと思っております。
そういう中、教育旅行の可能性についてお尋ねがございました。本県は自然の豊かなところですし、またその世代になじみのあるような「名探偵コナン」や「ゲゲゲの鬼太郎」などの素材があったり、また地震からの復興を頑張っているという教育的にもそこに子供たちが行く意味のあるスポットもあったり、そんなことで最近ようやく教育旅行の働きかけも実るようになってきました。平成26年度は7校だったのですが、昨年度は33校までふえていて、4,000人の生徒さんがこちらのほうに教育旅行で来られるようになっています。その中にはよく知られた学校では、甲陽学院さんという兵庫県の高校がございますけれども、あちらのほうもこのジオパークサイトを高校の修学旅行先に選んでもらいまして、砂丘や、それから松島遊覧等を体験して帰られました。また最近はカヤックの利活用もふえていまして、これも教育的にも体験授業として重宝されているところではないかなと思います。
また、東浜では伝統的に兵庫県立鳴尾高校が毎年臨海学校を行っておられるように、その美しい自然が子供たちの教育の場として活用されているところであります。こういう可能性は非常に強いものがありまして、ジオパーク運動を進めていくこともこうした教育面でも寄与するものになるだろうと思います。さまざまなアクティビティーが整備をされてきていますし、それからいろいろとそれを理解するための展示施設なども整備されてきています。ですから、なお一層今、上り調子になってきましたが、教育旅行の誘致に生かしていければと思います。
あとはジオパークのトレイルにつきましてはどうかと、こういうお話がございました。このジオパークトレイルにつきましては、今順次延ばしてきて、県内の県境までまず行きまして、それが香住のほうに行きまして、香住から佐津のルート、これが今13キロ、こういうふうに申請したらどうかという地元自治体との調整が始まったところです。佐津に至る新しい13キロのところは山陰本線のほうに沿っていくルートでして、山陰近畿道に沿っていくというよりは鉄道と一緒に海の周りを海に沿って動いていく、そんなトレイルルートになっています。幾つかまだオプションがありまして、その最終的な調整が必要でありますけれども、こうやってずっと佐津までやってくるということになりました。
さらに京丹後のほうに向けまして、まずは豊岡、そして京丹後ということになりますが、今、豊岡のほうでももともとのトレイルルートの設定があり、ここに来て京丹後のほうも大分機運も盛り上がってまいりまして、こうしたジオパークトレイルのルートが全海岸にわたって延びていく、その素地は大分固まってきたと思います。ただ、一遍にはできませんので、年を追って延伸をしていくということで、今関係者と協議をしているところでございます。
◯副議長(福間裕隆君)27番広谷議員
◯27番(広谷直樹君)答弁ありがとうございました。
まず、海と大地の自然館についてでありますけれども、中核拠点施設ということで、ジオパークエリア内のメーン施設で今後もレベルアップをという話でありました。自然館の中で調査研究活動という答弁がありましたけれども、その中で1点お尋ねします。平成30年度の当初予算の事業の中で、研究・教育活動の推進ということで、鳥取大学などの学術関係者と自然館学芸員とが共同で調査・研究を行うとありますけれども、ジオパークは地球科学を基礎としており、学術的な研究は大変重要だと思っております。それだけにこの研究の実績・成果は大変貴重なものだというふうに思いますが、これを大学や行政内部だけに保存しておくだけではなくて、ガイドや関係者、住民にもぜひこの成果を利用できるように、また楽しめるような方策をとっていただきたいというふうに思っております。単年度でそうした成果を得るのは難しいのかもしれませんが、印刷物、あるいは小冊子などで県民に還元できるよう、返せるよう、またそれを全国に発信してジオパークの理解を深めてもらうツールとするなど、中長期的に取り組んではと思いますけれども、知事の所見を伺いたいと思います。
それで、このジオパークの審査でありますけれども、実は山陰海岸ジオパークと同じ時期に現地調査をした阿蘇ユネスコジオパークも条件付き再認定という結果だったようであります。指摘された点が、人材不足による事務局体制の弱体化が課題であり、協議会のガバナンスが見えてこない。地域全体での情報共有が不足しており、ジオパークを使ってどうしたいのか、世界に対してどのような貢献をしたいのかわからないというような指摘だったと思いますし、また10月、11月の現地調査の件では、茨城県北ジオパークというのが認定取り消しというような結果になっております。山陰海岸は認定取り消しというようなことにはならないと思いますけれども、ぜひそういうこともあり得ますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。そのあたりも含めて知事の所見を求めたいと思います。
◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)広谷議員から重ねてジオパークについてお尋ねがございました。
まず、海と大地の自然館の調査研究についてお尋ねがございました。実はジオパークの再審査を控えていますが、その再審査を受けるときに毎度一つの焦点になりますのは、この間、どういう研究成果なり、調査なりが共同で、これは共同でというのがまた一つ大事なポイントになっているようなのですが、共同で進められているかということが問われます。私どもの学芸員、研究員と、それから鳥取大学、物によってはほかの大学も含めて、実は一緒にやっていますし、兵庫県立大学の指導をいただくこともあるのですが、そうしたコラボレーションによる研究というものを活発化させようと今、てこ入れをしたところでございまして、これに基づいて直近のところでも研究成果が出てきているところであります。
例えば地質系の研究員のほうが中心になりまして大学と一緒にやったのは、白兎海岸とか小沢見のあたりがあります。あのあたりの地質の調査をしまして、その岬だとか、ああいうところの形状とか特質から日本海が形成されたときに水辺にあった火山、その活動の成果であるということを解明し、また白兎神社のところの池がありますけれども、あの池ができたその地質学的な意味合い、その解明というものを進めるという研究をしたところであります。
また、ナマコ等のいろんな生物が岩美町の海岸のところにいるわけでありますけれども、これを大学等と自然系の研究員で調査をしまして、30種ぐらい、山陰では初めて観測されるようなものも見つけ出し、うち1種は新種と思われるナマコであるということでございまして、そういう発見もあったところであります。
ですから、まだまだ宝の山なわけですね。それから学術的な興味としても地質学的アプローチや生物学的アプローチ等といろいろとあるところでございます。今こういうものをホームページ等でまずは成果を公表することから始めているところでありますけれども、議員がおっしゃるように、この研究成果が積み上がってくれば冊子化して一つの読み物になったり、一般の手引書になったりということもできようかと思いますし、ガイドブックなどにもこうした研究成果を反映させることもできようかと思います。いろいろと工夫をして情報発信に努めてまいりたいと思います。
また、ほかの地域のことに触れられまして、それで鳥取県を含む山陰海岸ジオパークも認定取り消しにならないように組むべきではないかということでございます。これにつきましては議員も御指摘ありましたが、阿蘇のほうで体制の不備を指摘されたり、また深刻なのは茨城県北のジオパークでありますけれども、取り消しということになってしまったり、ほかでもそういうところが生まれてきています。若干その審査も厳格にやって厳しいなというところも関係者はあると思いますけれども、その審査の理由をいろいろ伺っていますと、茨城県北の場合は、あそこは大学が事務局でやっているジオパークだったのだそうであります。その学長が会長をするというような形で、それで担当の教授が退官をされますと、結局そのジオパークのことがおろそかになってしまったと、こういう評価だったようであります。
ですから、私どもとしては、それを反面教師とするのであれば、先ほど申しましたように、しっかりとした体制をつくって、そこに学術顧問会議のようなものとか、それから3府県をまたいだ広域連合との連携の場だとか、そうしたものをこれからきちんと制度上も位置づけて、永続的な形で発展をしていく、そういうジオパーク運動につなげていかなければいけないということだろうと思います。
そういう意味での組織改正等も含めて、年末までにプログレスレポートというのを山陰海岸ジオパークのほうから提出をさせていただきまして、この提出は日本ジオパーク委員会のほうでも中身を了承してもらい受け取ってもらったところであります。また、今月中にアクションプランを作成しまして、山陰海岸ジオパークでそうしたプログレスレポートで報告したような今後の改善の方向性をこうやって実現していきますよというものを提出することにいたしております。関係者一丸となりまして、このジオパーク認定漏れということにならないように訴えかけてまいりたいと思います。
◯副議長(福間裕隆君)27番広谷議員
◯27番(広谷直樹君)どうもありがとうございました。しっかりと山陰海岸ジオパークの取り組みについては取り組んでいただきたいというふうに思っております。
有害鳥獣捕獲事業についてお尋ねしますが、県内の今までの有害捕獲頭数の状況を見てみますと、イノシシ、鹿とも大体平成22年から急激に有害捕獲がふえてきております。
それで、本質問でも言いましたように、国は平成35年を目標にして、国内全域で半減をさせるという目標を立てておるわけです。なかなか目標どおりにはいかないかもわかりませんけれども、何年か後には有害鳥獣捕獲事業、対策事業自体が縮小されてくるのではないかなというふうに思っております。
というのは、有害捕獲の数が年々右肩上がりでふえてくるということは、まずあり得ないと思いますし、そうなればジビエのビジネス化というのがだんだんと縮小するのかなと、自分なりに思ったりするところであります。先ほど知事の答弁にもありましたけれども、鳥取県のジビエは本当に全国的にも大変進んでおりまして、先般の報道でもありましたように、都道府県別で見ると鹿は全国2位の利活用だといいますし、イノシシを含めても全国で8位のジビエとしての利活用だということで、さらにいなばのジビエ推進協議会が農林水産大臣表彰を受賞したりということで、大変ジビエの取り組みが進んでいるところではありますけれども、処理加工の面で、県内に今現在、規模の大きい、小さいはあったとしても、12カ所の処理加工施設があります。4月にも新たに智頭町にオープンするということでありますけれども、これから鳥取ジビエのブランド化を進めていくのであれば、やはりけもの肉の処理計画をしっかりした上で、処理施設の整備や、それから家畜ではないので狩猟者がとめ刺しして、放血をしないといけないということがあります。やはりそういう技術や、それから衛生面、それからどうしても野生の鳥獣肉ですので、肉質のばらつきが絶対あると思うのです。そのあたりをしっかりと統一した肉質でないと、やはり消費者にはなかなか勧められないということになってくると思います。そのためにも今後のジビエの取り組み、処理加工場の整備も含めて、しっかりとしていかないとと思いますけれども、そのあたりの所見について、知事の所見を伺いたいと思いますけれども。
◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)広谷県議から重ねて有害鳥獣捕獲につきましてお尋ねがございました。
議員のほうからもお話しいただきましたように、ジビエとして鳥取は一つのメッカになり始めており、注目も集まってきています。最近も銀座のKAIRADAというお店のオーナーシェフも鳥取の鹿肉がやはり非常においしいと。何せ銀座でありますので、非常にお客さんの層も高目のところでございますが、そうしたところでもお取引いただくような、そういう流れになってきております。
この背景にありますのは、やはり地域を挙げて、単にしとめて、そしてさばけばいいということではなく、お客様にも満足してもらえるような、そういうジビエとして流通するように川下のことも考えて、その前のほうからつくっていこうということにしたところであります。河戸さんという人物も得ながら、わかさ29工房があって、そこで非常にいいお肉ができるようになっていますが、これとあわせて山の中で、そのしとめるときのことも大切になってまいります。
そこで、県のほうでは今、講習会をやっていますけれども、そういうとめ刺しであるとか、放血とか、そうした手順をしっかりそれぞれでやってもらって持ち込むというようなことをできるように、そういう研修を始めているところでありますし、さらにジビエにも及ぶような形で、新年度は講習の内容を充実していこうというふうに考えております。
こうしたことをさらに広げていく上でも、今、河戸さんのところで、若桜でやっていますけれども、今度は智頭のほうで河戸さんのところにいわば弟子入りをされておられる方が今度その処理場をつくろうと。大体500頭ペースの処理施設をつくろうではないかというようになっていまして、こうなってくるとまた優良な鹿肉の供給源ができるところであります。また、伯耆のほうでもジビエの推進協議会ができまして、大山ではイノシシを、これは猟友会等が中心になってつくっていこうということをしたり、また緑水園のほうでもその頭数ということを考えていこうとか、こうやってだんだんと県内でも広がりが出てきています。大切なのはやはり実はその前行程のところが品質に響くということでありまして、狩猟技術の向上も我々のほうでも研修の中に取り込ませていただいて、今、議員がおっしゃるような、いい供給源となれるように産地全体の向上を図ってまいりたいと思います。
◯副議長(福間裕隆君)27番広谷議員
◯27番(広谷直樹君)ありがとうございました。
ジビエの振興、ブランド化というのはしっかりと取り組んでいただきたいと思いますけれども、私もわかさ29工房のパートさんから話を聞いた中で、食肉として利用できるのは生体の3割程度だということです。例えば50キロ、60キロのイノシシだったり、鹿だったりしたら、10数キロ、20キロ余りしか肉として出せない。ということは、残りは残渣として処分しなければ産業廃棄物ということで、県外に持っていって焼却処分しているという話も聞きました。やはり本問いでも言いましたけれども、個体の処理もそうですけれども、この処理施設はつくったはいいけれども、残渣の処理ができないということでは、やはりこれも困ってくると思います。そういうことも含めて、今後そのあたりも含めて検討するよう要望して、質問を終わります。
◯副議長(福間裕隆君)9番野坂道明議員
◯9番(野坂道明君)(登壇、拍手)通告に従いまして、3点についてお尋ねします。
初めに、鳥取県元気づくり総合戦略の成果と課題についてお尋ねします。
鳥取県元気づくり総合戦略は、本県の最大の魅力である豊かな自然や人とのきずな、そして時を楽しむ、これら3つの強みを総合戦略の基本として各施策を総合的に推進することで人口減少に歯どめをかけ、人口減でも持続的で活力ある地域をつくることを目指しています。
そこで、お尋ねしますが、本県の最大の魅力である豊かな自然や人とのきずな、時を楽しむについてですが、日本の田舎町は全国似通った風情を持っており、鳥取県の独自性をどのように定義されているのか知事の御所見を伺います。
次に、元気づくり総合戦略が策定された平成27年は、くしくも春の統一地方選挙において県民から負託を受けた年でもあり、このたびの4年の任期は平井知事を筆頭に地方創生の取り組みとともにあったと感じております。マニフェストも元気づくり総合戦略の評価も、9割以上の項目でおおむね順調とのことで、地方創生の第1弾ロケットが無事に打ち上げられたと大いに評価するところでありますが、2017年の人口移動調査によると、人口は前年比で4,385人減り、21年連続の減少、社会減は1,164人で16年連続の転出超過になったと発表されました。データが示すとおり、東京への一極集中を是正するのは大変困難であり、このトレンドは東京オリンピック・パラリンピックを契機に当分の間、加速するのではと懸念するところですが、今後の見通しについて知事の御所見を伺います。
また、元気づくり総合戦略では、10年間で人口の社会減を均衡させ、2030年には希望出生率1.95を達成するとしていますが、鳥取県の取り組みだけではなかなか困難だと思われます。政府機関や企業、大学などの地方移転を含め、国の施策や役割が不可欠だと思いますが、今後どのように働きかけを強めていかれるのか、知事の御所見を伺います。
次に、鳥取県の元気づくりを牽引する観光施策についてお尋ねします。
日本政策投資銀行の訪日外国人旅行者の意向調査によりますと、欧米豪において訪日旅行の需要が増加しており、世界32の旅行先の中から今後どこの国に旅行したいかとの質問に、41%の欧米豪の人々は日本と回答しています。これは調査の中でも6番目に高い数字で、欧米豪での訪日旅行に対する関心の高さがうかがえる結果になりました。
観光庁と日本政府観光局は、2018年より「Enjoy my Japanグローバルキャンペーン」を開始しました。この取り組みの背景には、欧米豪で訪日旅行の人気が高まっていることが関係しており、「コト消費」を重視する点や、旅行支出が大きい点などを考慮すると、欧米豪は日本のインバウンド市場にとって最優先で誘致すべきターゲットだとしていますが、本県の取り組みはどのようになっているのか、知事にお尋ねします。
また、欧米豪の人々は、日本の歴史・文化に関心が強く、日本の原風景を求めて地方へ足を伸ばす傾向が見られることから、文化財や関連施設の環境整備が重要になると思います。この点についてどのような対応がなされているのか、教育長にお尋ねします。
次に、活力あふれる産業と働き方改革についてお尋ねします。
初めに、活力あふれる産業についてですが、鳥取県の豊かな自然を背景にして、鳥取県の農林水産業を先端産業に押し上げるべく、農業生産1,000億円達成プロジェクトを含め、多くの取り組みがスタートしております。中でも近年の和食ブームを追い風にして社会的規模で魚食文化が拡大しつつあり、気候変動や海洋汚染によって水産資源が減少する中で、資源保護や安定供給の観点からも、とる漁業から育てる漁業への転換が喫緊の課題だと思っております。
本県では、平成23年度、美保湾でのギンザケ養殖企業を誘致したのをきっかけとして、平成28年度に琴浦町でギンザケ陸上養殖企業、平成29年度には岩美町でマサバ陸上養殖企業が起業するなど、徐々に養殖業が拡大してきており、育てる漁業への転換が図られております。また、境港では、高度衛生管理型漁港・市場の整備が進められており、国内外に向けて世界基準に合致した供給体制が整いつつあります。このような状況の中で、有望な海洋資源や活用方法について専門的に研究する機関設置が必要になってくるのは当然の流れであり、農林水産業を先端産業へ押し上げる本県の目標とも合致するものであります。
また、鳥大医学部の生命科学科が持つ遺伝子工学やゲノム工学などの研究開発、あるいは鳥大獣医学科が持つ食品加工衛生分野と連携した食品加工などの研究開発の実績も強みになると思います。研究機関の設置について調べてみると、鳥取県内4市と鳥取大学の連絡協議会において、平成25年、翌26年と2カ年にわたり境港市が同様の趣旨で学部、学科の新設要望をされたそうですが、その後の具体的な動きには結びついておりません。
しかしながら、先ほども述べたとおり、境港や本県を取り巻く環境は当時と一変しており、鳥取県の水産業を先端産業に押し上げるためにも、水産学部の新設に向けていま一度、可能性を追求してみてはと思いますが、知事の御所見を伺います。
次に、働き方改革についてお尋ねします。
平成29年度版高齢社会白書によると、要支援、要介護認定を受けている高齢者は、65歳から74歳までの前期高齢者で4.4%、75歳以上の後期高齢者では32.5%となっています。裏返せば、それぞれ95%以上、70%弱が自立して活動できるということで、その労働力を十分に活用できていない実態が透けて見えてまいります。2012年の総務省統計局の就業構造基本調査によると、就労意欲のある65歳以上のホワイトカラー層のおよそ3人に2人が未就労で、その原因として、人と仕事のミスマッチを上げており、厚労省では雇用・就業環境の改善が不可欠とし、生涯現役社会の実現に向けた雇用・就業環境の整備に関する検討会を立ち上げ、報告書も取りまとめとなっております。
本県では、平成27年、とっとりいきいきシニアバンクを立ち上げ、現在1,000名以上の登録者を有しておりますが、シニア層の生きがいづくりや生涯学習が主な目的であり、労働力としての位置づけは希薄だと言わざるを得ません。実際に、とっとりいきいきシニアバンクから
県立ハローワークに来た求職登録の紹介事例は皆無であり、この点についても抜本的に見直す必要があると思います。急速な高齢化と人口減少を迎える中で、労働力としてのシルバー層の活用は喫緊の課題だと思いますが、知事の御所見を伺います。
次に、国立公園満喫プロジェクトの取り組みと課題についてお尋ねします。
環境省は、全国34カ所の国立公園の中から8つを選定し、世界基準のナショナルパークとしてブランド化し、2020年には現在の2.5倍に当たる訪日外国人1,000万人の目標を掲げております。選定された8つの国立公園のうち、特に5カ所の国立公園については管理事務所が設置され、所長以下5名の職員を配置することとなっており、その一つが大山隠岐国立公園です。
また、環境省では平成28年度補正で102億円、平成29年度当初予算で101億円を予算化し、平成30年度当初においては117億円が予算計上され、官民が連携した取り組みが本格化しております。特にことしは大山開山1300年祭のメーンイヤーを迎え、さまざまなイベントがめじろ押しですが、多くのイベントは一過性のものであり、持続的な活力にどのようにつなげていくのか、依然として大きな課題だと思います。
そこで、お尋ねしますが、大山隠岐国立公園の魅力や国立公園満喫プロジェクトに選定された意義、そして目指すべき姿はいかなるものか、知事の御所見を伺って、壇上の質問といたします。
◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)野坂県議の一般質問にお答え申し上げます。
まず、鳥取県の元気づくり、地方創生につきまして何点かお尋ねがございました。鳥取県の独自性をどういうふうに考えているのか、また東京への一極集中を是正するのは困難であるけれども、今後の見通しはいかがかということ、それから政府や大学、企業等の地方移転など、国の役割が大切だけれども、どういうように今後、働きかけていくのかというような点でお尋ねがございました。
この地方創生もだんだん年数がたってきましたけれども、やはり国全体で見ますと東京への一極集中がまだやんでいないというのは事実なのだろうと思います。先ほどもちょっとお話もございましたけれども、地方創生が始まってからの状況を見ても、東京のほうでは相変わらず人口の流入、転入のほうが多いところでありますし、地方への転出はむしろ減少しているということでございまして、転入は加速する、転出はさらに停滞する、減速するというようなことでございまして、そんなようなことで、なかなかよくならないというのが正直なところなのだろうと思います。
しかし、鳥取県はいろいろといいところもあるわけでございまして、一つには自然の豊かさと、鳥取のすばらしいものというものがある。それから、鳥取県の人のきずな、そのきずなの中で住むことの喜びを感じられる。また時の経過、ゆったりとしたストレスの比較的少ない、そういうライフスタイルというものを感じることができる。この辺が鳥取の特徴ではないかということで、私どもの地方創生の戦略である元気づくり戦略というのをつくり、それをいろいろと今、国の事業も引き出しながら進めてきているところです。
最近のそうしたトレンドを裏づけるような意味でも、データとして出てきているところでは、例えば通勤、通学時間ですけれども、1日当たり往復でのこの平均をとりますと57分、これは全国1位ということでございます。こういうようなことなど、時間も比較的しっかりと使えるということがありますし、また自然のほうでも日本一の鳥取砂丘を我々標榜していますが、その砂丘を目指す、そうしたお客様もたくさん訪れていただけますし、地震をはね返していくようなきずなの力というのも今回、中部地震のときもあらわれていた。いろんな意味でそうした特性を裏づけるものが最近も出てきているところかと思います。
特にこれから先を見越した場合、入ってこられる、そういう移住者の中心は20代、30代でございまして、この方々は子育てに大変に関心があって、それで転入してくるという、そういうケースが多いわけであります。したがいまして、こうした子育て政策、安心・安全ということを私どもも一つポイントに置いて今後も展開していくということなのかなと思います。
このような努力が実った部分がございまして、人口ビジョンをその地方創生の計画と一緒につくりましたが、人口減少の局面ではありますけれども、そこでの数値、かつて試算をした数値からは2,700人ぐらい上回った形で下げどまっているというような状況がございます。したがいまして、今まで打ってきた政策のところが一定程度は実っている面があるのかもしれません。ただ、まだ本質のところ、特に若者が流出するというようなところ、それからどうしても女性の数自体も全体の人口が減っていますし、男性もそうでありますが、そんなようなことが影響しているのだと思いますが、出生数の総数自体はどうしても減るということはございまして、出生率は上げているわけでありますが、出生数のほうの停滞が見られるとか、いろいろと人口を反転させていくにはまだまだ課題があるということです。
そんな意味で、議員もおっしゃいましたけれども、国に対して働きかけを強める必要があるのではないかということでございまして、一つには今、職業能力開発総合大学校がこの春やってくることになりまして、実現する部分もありますが、さらに大学の地方へのサテライトキャンパスのことなどを国も今、応援の政策として打ち出してきています。現在、青山学院を初め、首都圏や関西の大学にも働きかけをしているところでありますが、例えば青学さんでいえば、鹿野のところで、鳥の劇場がございますけれども、ああした実践活動と結びつけながら、学生が滞在するようなタイプのサテライトキャンパスというものを目指してもいいのではないかと、そんなような話し合いも始まったところでございまして、いろいろと実現に向けてまだまだ多くの課題があり、いろんな大学それぞれの言い分もあるのですけれども、粘り強くやっているところであります。
こうしたことをやはり国も本気になって応援してもらいたいというのが私どもの本当のところであります。国に応援してもらうところでは、こういう子育て関係というのは非常に大事だと思っていますし、教育関係も大事だと思っているのですが、今2兆円のプランというのが出されて、3,000億円は企業が経団連などへ負担をするということになっておりますけれども、そこで3歳から5歳の保育料支援であるとか、それから大学の授業料等の支援であるとか、いろいろ今、8,000億円だとか、具体の数字がそれぞれ飛び出してきたりして、これから各省での研究会であるとか、政治的な討議の中で煮詰まってくるのだと思いますけれども、この辺はやはり仕掛けが大きいものですから、国としても性根を入れてやっていただく必要があるのではないかと思います。1年、2年では終わることではない話でありまして、地方創生という旗を掲げたからには、持続的に、そして力強く国には推進してもらう必要があると思っていますし、そうしたことを働きかけてまいりたいと思います。
次に、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、そうしたところでの訪日旅行を引き込んでいく、そうした本県の取り組みはどうかというお話でございます。
アジア系ほどではないですが、欧米豪も少し改善してきているところでありますけれども、なぜか山陰は入りが悪いのですね。広島等ですとアジア系ももちろん来ますけれども、欧米系の比率が結構高い。割と山陽新幹線の沿線というのはそういう傾向があります。本県のほうにはなかなかまだ目が向いていないということかもしれませんが、野坂県議がおっしゃったように、欧米豪の人たちはどちらかというと自然に対する興味や、日本の独特の歴史や伝統、それから安全・安心なおいしい食べ物、そうしたものへの興味というのはアジア系よりもむしろ強いかもしれないわけです。どちらかというとディズニーランドに興味があるわけではなかったりしますし、そういうことからしますと、買い物などの魅力を横へ置けば、山陰は実は未開拓の地ということがあるのではないだろうかということです。
我々も粘り強くそこを掘り下げていこうとして、一つのアプローチとしてやりましたのが、ミシュランガイドでのグリーンガイドへの登載でありまして、このほど実現をしたところであります。さらに料理関係のミシュランにつきましても、その登載を働きかけているところでございます。このグリーンガイドに載ったところなどはもう欧米の人たちにも一つの標準として伝わるところでありまして、星がついているのもあれば、星がついていないのもありますが、星がついていなくてもリストアップされること自体に実は意味があったりしますので、このようなことをまずは手始めにやり、それをお披露目する意味で大手町でイベントをさせていただき、私も参りましたけれども、欧米のメディアが多数来ていました。
また、MATCHAという割とページビューの多い、そういうSNS系の情報発信のメディアもこちらに来てもらって、美しい映像を撮ってもらって、そうして働きかけてみたり、オーストラリア系の方に来ていただいたり、そうやって地道にやっておるとだんだんと広がりが出てきているのは事実だと思います。
また、今回、山陰インバウンド機構のほうでも英語での山陰両県の美しいスポット、それを動画でつくったところ、これが500万ビューですかね、かなり大きな数で見られるようになりまして、こちらに来られるそうした観光客にアンケートをとりますと、見て来ている人たちが少なからずいるということもわかっています。ですから、こうしたことでだんだんと知名度を上げていく、それから旅行会社や航空会社ともタイアップをして商品を組んでいくことが大切ではないかと思います。
実は全日空さんと新しい欧米向け等のツアーを始めておりまして、まだ在日外国人が中心になっていますけれども、次は向こうから直接引っ張ってくるというようなことを今、仕掛けていたり、それからJALさんの機内誌の中で、このたび3月号で鳥取を取り上げていただいたり、いろいろと我々としても働きかけを強めてまいりたいと思います。
現実にも、つい先日、ベルベリアンさんという方ですけれども、フランスのクルーズ会社でありますポナン社から来られ、この鳥取港を見てもらったのですね。マルセイユに本社があるのですが、高級な船の旅で知られるところでありまして、お客様は欧米系、そしてオーストラリアが中心で、余りアジア系は多くない会社ですなのですけれども、実は5年前は境港に来てもらいまして、その後、境港に入港するようになり、それで定着してきたところなのです。鳥取港もどうだろうかということで、今回見に来てもらったところであります。ごらんになって非常に関心を持っていただいたのは鳥取砂丘、これはやはりユニークなものでありますし、観光地としても成熟している。そういう意味で欧米の人はここが気に入るという評価をいただきました。
また、鹿野のその町並みを生かしたようなところ、特に食事、すげがさのところなど、そうしたところもまたごらんいただきましたけれども、そこはやはり非常に評価も高かったようであります。どういうように旅行商品を組んでくるかちょっとわかりませんが、そうやって見てもらうと、この辺、フランス人が見てもおもしろいな、多分行きたいなというところはあるわけでありまして、もっとそうした魅力を掘り起こしてクローズアップし、商品化していく。これを地道にやっていく必要があると思います。
次に、鳥取大学に水産学部をというお話がございました。
これにつきましては、これまでも議場でも何度も出てきた時期もございますし、実はそのたびに持ち出して鳥取大学とも話をさせていただいています。先ほど境港市のお話もございましたが、県もまた同様でございますけれども、結局、大学としては教授陣もそろえて施設もつくり、恐らく実習船なりなんなり、そうした体制も整えるということになりますと、水産学部はかなりそういう意味で投資が大きいということなのだと思います。なかなか前に進まないところであります。
そこで、実は我々としては、最近はそうした大学側とタイアップをしながら、要は何をやるべきかというと、養殖の技術を磨き上げるとか、それからマグロ漁を盛んにできるような、そういう分析をするとか、そうしたことなどとあわせて水産系の人材育成、こうしたことでもというのが本来の意味合いでありますので、それをそれぞれちょっと切り分けながら、大学と連携をしていこうということを進めてきているところであります。現実にも、あちらにも例えば難波先生とか西村先生とか、そうした先生方もいらっしゃって、水産学部はなくとも、今はそうした実質上の動きをし、協力もしていただいているというような状況でございます。
最近もお話がございましたように、養殖などが実際に整ってきたのも私どもの栽培漁業センターを初め、そうした県の持っている資産とそうした研究者、それから業者の皆さん、この辺を連携させながら進めてきたその成果でございまして、こうした形で水産学部がない穴は地域としても埋めようとしているというのが実情であります。これは、改めてお話もございましたので、また鳥取大学側にもこうした議論はお伝えをさせていただき、また御検討もいただければというふうに思いますが、現実を申し上げますと、なかなかお金の問題など、これまでもいろいろと問題点を私も直接言われたこともございますので、難しさもあるのかなというふうに思います。
例えば福井県などは福井県立大学に水産学部をつくっておられて、日本海側では唯一の水産学部ということでありますが、140億円ぐらいお金がかかって設置をしたところでございますし、またあそこの場合ですと、原子力発電所があるものですから、私も当時のことを覚えていますが、50億円ほどぽんと関西電力から寄附してもらって、それで大学をつくったというのが実際であります。ちょっとうちには手が届かない話ではないかなというふうにも思うところでございまして、ただ、いずれにしましても、そうした地域の要望もあることでありますので、御検討いただくのとあわせて、その実質的な機能をやはり地域としても形づくっていけるように、大学の御協力をいただくように働きかけてまいりたいと思います。
次に、とっとりいきいきシニアバンクを活用するだけでなくて、
県立ハローワークというのもあるので、労働力としてシルバー層を活用するように転換していくべきではないかと、こういうお尋ねでございます。
これにつきましては、順次そういうように今動いてきているかなと思っているところでありまして、まずはシルバー層の活躍の舞台というのをつくる意味でシルバー人材バンクをつくりまして、お話がありました1,000人を超える規模で今、登録も出てきて、ようやく定着してきたかなと思いますし、県の社協のほうでそのシニア人材の窓口というのもつくり、充実を今、図っているところでありまして、公民館活動であるとか、いろんな場で活躍される高齢者の方も見え始めています。これは有償のボランティアも含めてあっせんをするというようなものでありまして、お金がかかるというのも含まれてやってきたところであります。
ただ、議員がおっしゃるように、これは職業としてのものを求めるところまでいっていませんし、そこは労働法規の規制もございまして、マッチングができないところでありました。今回、
県立ハローワークができましたので、この
県立ハローワークが橋渡しになりまして、こういうシニアの皆さんの働く場の実現をする、そういうマッチングも始めてきたところであります。現実申し上げますと、今、境港と米子で動いておりますが、マッチングされたところのうちの15%が65歳以上、高齢者でありまして、1年前とは打って変わって、現実の職業選択としてやっていただけるところが始まったところであります。こういうのをさらにふやしていけないかという需要がございます。
実は今のようなことが実現したのは、例えばつばめタクシーさんのようなところで、とにかく運転手さんがいないし、お年寄りでも要は人間性の問題もありますので、お客様が満足してもらえるような形で接してもらうには、別に若い者でなければいけないということはないわけでありますから、そういうことで時間を制限しながら働くというような条件をつけて実現してきているわけであります。ですから、フルタイムということに必ずしもこだわらずにやるということでございまして、こういうような職場が実は幾つかございます。
そこら辺を束ねまして、これだけ求職もあるという中で、私どもでこのたび境港におきまして、こうした生涯現役お仕事相談会というのをやらせていただきました。これは
県立ハローワークの出張でございます。出張ハローワークの中でやりましたところ、結果を申し上げれば20名余りの高齢者の方が求人、求職登録をそこでされたということでございますし、これから具体的にマッチングがどうなるかということかなと思います。その場で出てこられた高齢者の方々のお話としては、やはり目立ちましたのは、別に収入に困っていないと。生きがいとしてそうしたもう一度自分を生かせるようなことをやってみたいというお話でございまして、ですから無理に何か四六時中会社人間で働くというようなことではどうもなさそうでありまして、高齢者のそうしたライフスタイルの問題としてこうした働くということを一つの形にしていく、それを今、始めてはどうかと思っているところでございます。ぜひ御趣旨に従いまして進めてまいりたいと思います。
最後に、国立公園満喫プロジェクトにつきましてお話がございました。大山隠岐国立公園の魅力、さらには国立公園満喫プロジェクトの意義や目指すべき姿、その辺はどういうものかと、こういうことでございます。
この満喫プロジェクト自体はアメリカのナショナルパーク運動を多分念頭に置いたものでありまして、多くの方々に来ていただく環境づくりをして、それを外国人の来訪にも役立てていこうというものであったと思います。大山、そして三徳山も今、エリアに含まれていますが、どちらも共通するのは低いところから一気に上に上がるのですね。ですから、林相、林、森の形が違うのです。例えば大山でいえばブナ林が生育するところ、あれが通常よりも300メーターほど標高がずれるのですね。このようなことであったり、また頂上のほうにダイセンキャラボクがありますが、ああいう低木林の育成が始まるのも、それも比較的低目から始まります。なぜかというと、海から吹きつけてくる季節風の影響がありまして、そういうことで通常の山々とは違った植生というのがあそこにあり、さらに海から頂上まで20キロぐらいのことでございますから、それこそ海辺の松林から始まって、ずっといろんな林相のものが頂上に向けていくということでありまして、そういう多様性があります。だからこそ野鳥であるとか、それからシジミチョウ、ゼフィルスを初めとした、そうした昆虫類とか、そういうものが、やはりこれも多様性がありまして、日本の中でも指折りのサンクチュアリーになります。
同じようなことはやはり三徳山にもあるわけであります。あそこも通常とは違った林相があるところでありまして、その林相の違いがまた投入堂などの道筋と非常に実は関連があるというふうにも思えるところでありまして、ここだからこそああいう修行の場所というのができたのかもしれないなというふうにも思わせるようなところもあります。こんなような意味で、非常にユニークなものであり、そこには宗教施設もあればおいしい食べ物、特徴ある食べ物があったり、また最近はダウンヒルサイクリング等々いろんなスポーツイベントもできるようになってきておりまして、そんなところは我々の売りのところかなというふうに思います。
そうした意味で、登山も含めてお楽しみいただけるようなことにする、そういうトータルな新しい国立公園の姿を具体的に施設整備から始めてやっていこうというのが今回の目指すところであります。例えばトイレの整備であるとか、登山道を登りやすくする、丸太を入れて段差をもう少し緩和していくとか、それから大山を見渡せるような、そういう展望施設を弓ケ浜のほうに設置をして、一つのエリアとして大山を楽しんでもらう、こんなようなことなど、いろいろと今、施設整備を精力的に進めているところでございます。
◯副議長(福間裕隆君)山本教育長
◯教育長(山本仁志君)野坂議員の一般質問にお答えを申し上げます。私には、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアの方々の誘客に関連をいたしまして、文化財や関連施設の環境整備が重要ではないか、そのあたりの取り組みがどうなっているのかといったお尋ねでございました。
文化財の利活用の一つ、文化財は保存、活用ということで、従来は保存のほうにどちらかというと力点が置かれてきたわけですが、最近はこの利活用のほうにも力を入れて取り組んでいこうということで、特に近年、文化財を外国人の観光客にも楽しんでもらうための取り組みも、これは国を挙げて行われておりまして、日本遺産というのがまさにそういった発想で設けられた制度であるわけでございます。その際にはお話のとおり、文化財、あるいは関連施設を初めとしてさまざまな環境整備が必要になってくるであろうと考えております。本県でも基礎的な環境整備といたしまして、例えば外国人の観光客の方々でも利用可能な無料の公衆LANの整備でありますとか、あるいは多言語のホームページ等による観光情報の発信でありますとか、あるいはこれも終わりましたけれども、地域限定特例通訳案内士の養成、そうしたことを初めとして、これも知事部局のほうで環境整備をしていただいておりますが、日本遺産に認定された地域を初めとして、主な文化財、あるいは関連施設においても個々の施設の案内に係るパンフレットでありますとか、リーフレット、それからホームページ、そうしたあたりの英語を初めとする多言語化を行っておりますし、三朝の日本遺産では文化財の紹介映像なども多言語でつくられております。また、展示の解説板でありますとか、そこに至るまでのサイン、そうしたことについても徐々にではございますが、配慮がなされつつあるといったような現状にあります。
こうした取り組みの結果、三朝温泉におきましては全体の入湯者というのは減少傾向にある中で、この日本遺産の認定後は外国人の宿泊者数が増加しているといったことで、一定の効果が上がっているのではないかなというふうに思っております。ただ、こうした例もあるわけですが、総じて本当に限られた局所的な取り組みでございまして、強力にこの欧米豪を初めとする外国人の観光客を呼び込むための体系的なものとはなっておりません。そのあたり、教育委員会の力だけでは少し難しい部分もありますので、観光部局の協力もいただきながら、ある意味戦略的に取り組みを進めていく必要があるのではないかなと思っておりまして、そのあたり連携を強めて取り組んでまいりたいと思っております。
◯副議長(福間裕隆君)9番野坂議員
◯9番(野坂道明君)それでは、追及の質問をさせていただきます。
知事も答弁のほうでありましたけれども、この地方創生の取り組みが本格的にスタートして3年間、鳥取県は今、数字でもお示しがありましたけれども、非常に頑張っているというふうに私も考えております。しかしながら、壇上でも言いましたけれども、国がきちんと役割を果たしていただかないと、地方だけの力でこの大きな流れにあらがうことはできないというのが基本的な私の理解です。したがいまして、例えば政府機関であり、さまざまな企業も含めて、国の本気度も試されると思いますよ、地方をしっかり元気にしていくという気があるのであれば。ですから、地方と国と、我々地方がやっていく役割というのをある程度きちんと役割分担をして、やはり国にもっともっと声を大きくしていくというのが重要だろうと思います。多少のお金をぶら下げて、地方と地方を競わせるようなことをやっていたって始まらないと、私はそんなふうに思いますので、知事は知事会でも発信力が大きい存在ですから、皆さんで連携をとって国のほうにもしっかりと言っていただきたいと、こんなふうに思います。
文化財とか関連施設も最後におっしゃいましたので、ぜひとも観光部局との連携を深めて、総合的に見ていってくださいよ。文化とか文化財というのは目に触れなくなると消えていくというふうにおっしゃった方がいます。ですから、いろんな戦争のときも、まず最初に行う破壊というのは文化財ですよね。だから、やはりたくさんの人に見てもらうというのは物すごく重要なことであろうと、それが持続性につながっていくだろうと、こんなふうに思いますので、きちんと文書をつくって、協議の場をつくってやっていっていただきたいと、こんなふうに思います。
元気づくりの成果と課題について、知事のほうで御答弁がありました。私なりにこの豊かな自然、人とのきずな、時を楽しむというのはどこから来るのかなと思ったときに、やはり本県の弱みである人口の少なさとか、あるいは広くない県土とか、あるいは都会に比べて弱い経済力、こういったようなところから結果として生じてくる人と人の顔が見える関係、人と人との助け合う関係、こういったようなものが生まれてきているのではないかなと私は思います。ですから、これからの地方の時代というふうに考えたときには、そこの今まで弱みだったところが、逆に考えれば強みになっていく。そこら辺を知事も戦略的に打って出ているところというのはおありだろうと、こんなふうに思います。ただ、もっとその発信を強めていただきたいと、こんなふうに思っております。
そのような観点からいいますと、一番小さな鳥取県だからこそ、官民の連携というのは不可欠だと思います。あるいはわずか19ですか、自治体の顔も見える、このような自治体間の連携も不可欠であります。そして、人に優しい施策も重要だと思います。官民連携については、日本初の水力発電のコンセッションが進んでおります。これはすばらしいことだと私は思います。さきの2月臨時会で日野川第一発電所のリニューアル概略検討業務が可決成立しました。これは昨年11月定例会の議論から本当に時間がないところで予算計上されたということで、これは湊企業局長を初め、企業局の皆さんの御努力、そして知事の英断、これを大きく評価したいと思います。湊企業局長の姿が、ああ……(「指名質問か」と呼ぶ者あり)いや、これは私の意見でございますので。
次に、質問ですけれども、初めに人に優しい施策についてからお尋ねします。
さきの11月定例会でも取り上げましたが、ファミリー・サポート・センター事業です。これは重なるので割愛しますけれども、要は自治体を超えてもサービスが受けられるように工夫が必要だと思います。この点について再度、知事の御所見を伺います。
そして、自治体間連携ということについては、上下水道事業の広域化や官民連携など、たびたびこの議場でも議論させていただきました。施設の老朽化や厳しさを増す行財政運営から見ると、これも待ったなしの課題であると、私はこんなふうに思っております。自治体間の調整が必要なだけに、県の出番、あるいはやる気が試されると思いますが、改めて知事の御所見を伺いたいと思います。
◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)野坂議員から重ねて地方創生についてお尋ねがございました。
議員がいろいろと御主張される基本的なコンセプトは、まさにそのとおりだと思います。この地方創生という大仕事はそれぞれの自治体だけでは処理できない、つまり、例えば東京からの移住ということを現にやろうと思えば、東京サイドに我々が直接働きかけることは非常に難しいです。そういう意味で、国の政策でそこを運営したり、あるいはそうしたいろんなチャンスを東京と私たちの間でつくっていただくとか、いろいろと考えなければならないわけでありまして、議員がおっしゃるように、それぞれがプランを持ち寄って、コンテストをやって、そこでよかったからそこにお金が出て終わりということでは多分ならないところだと思います。ですから、そういう意味で本気を出していただく必要があるだろうと思いますし、知事会等でもそうした国の今後の動向をフォローするとともに、今後もしっかりとした地方創生を推進してもらうように強く働きかけてまいりたいと思います。
鳥取県の場合は確かに人口規模であれ、面積であれ、決して大きな県ではございませんし、私もよく壁にぶち当たりますが、やはり経済力がそんなに強いところではありませんので、この中だけで何か始末ができるということにはならない。それだからこそ人の顔が見えるネットワークを生かしたり、官民連携や市町村との対話、さらにはそれぞれの人を大切にするようなまちづくり、こういうようなことがむしろ差別化できる要因になるのではないかなというのは全くそのとおりであり、賛成するところであります。
官民連携の話として、コンセッションにつきましてお話をいただきました。これにつきましては、先般も日本計画研究所でセミナーが開かれたときに、姿が見える湊企業局長が、そちらに参りまして講師を務めたぐらい、今や全国でこの鳥取県のコンセッションは話題になっています。別にそういう場合に限らず、こんな金融人からとかいうようなところから鳥取はコンセッションをやっているのだよねというような話が入ってくる。そういうようになったきっかけは野坂県議がつくっていただいたものでありまして、それを我々としても花開かせていきたいというふうに考えております。
恐らく声が聞きたいという趣旨だと思いますので、ちょっと湊企業局長のほうから少し決意をまた改めて述べさせていただきたいと思います。
ファミリー・サポート・センター事業についてでございますけれども、これはいろいろと県外でも確かに域外の市町村から受け入れている自治体もあります。実はこういうからくりでございまして、基本はその市町村で集めるわけでありますが、50人とかそういう規模設定がありまして、それをクリアすることが求められるわけであります。しかし、それがクリアできないときには、周りの市町村も含めて要件をクリアしてもいいですよという制度設計になっています。裏を返しますと、その自治体の枠を超えて、そうした対応も可能なところでございまして、自治体の枠を超えて今やっているファミリー・サポート・センターがよその市町村の人を入れることも可能であります。ですから、制度設計はそうなっていますので、これも自治体間で連携したいという地域もあるかもしれません。ですから、市町村にもそこのところの趣旨を徹底させていただきたいというふうに思います。〔副議長退席、議長着席〕
次に、上下水道の広域化等につきましてもお話をいただきました。
詳細は生活環境部長から申し上げたいと思いますが、正直、我々も呼びかけて研究会もやりますし、それも働きかけていますが、我々もだんだんわかってきましたけれども、市町村はどちらかというと、自分の市町村内の下水を統合するとか、それから上水とかん水をくっつけるとか、合併の余韻もまだもありますし、また国のほうの補助金制度の転換などもありまして、そちらのほうでやや手いっぱいなのかもしれません。ただ、地域によってはこうした上下水道の統合等が有利に働くところもありますので、しっかりとこれは新年度にまた研究活動を市町村の担当の方にも入っていただいて、進めてまいりたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)酒嶋生活環境部長
◯生活環境部長(酒嶋優君)私のほうから上下水道の広域化等につきまして、補足の答弁を申し上げたいと思います。
この上下水道の広域化でありますとか、官民連携に向けての本県の取り組みにつきましては、野坂議員からこれまでも御意見をいただいております。そういったことも踏まえまして、まず下水道について、今後のあり方検討の研究会を立ち上げました。これは副市長さんでありますとか、管理者である管理職級の方にもおいでいただきまして、まずは研究会を2月6日に立ち上げたというところでございます。その中では、国土交通省のほうからもおいでいただいて、全国の具体的な事例、広域化、あるいはコンセッション、そういったものの紹介もいただきましたし、先ほど知事も御説明いたしましたが、各市町村の取り組みの現状についても紹介をし、意見交換をしたというところでございます。まずはこの研究会を立ち上げまして、市町村と課題、あるいは全国的な動きについて情報の共有を始めたというところでございます。
今後もこの立ち上げた研究会をベースにいたしまして、他県の成功事例なども共有する研修機会を持つとともに、なかなか先ほども御答弁申し上げましたが、まだまだ市町村内の統合という大きな課題を抱えている状況でありますけれども、例えば流域単位でそういった施設の統合、あるいは管理の共同化、そういった具体的な課題を設定し、可能なところから可能な流域単位なりから、そういった検討を進めていくということを考えております。県といたしましてもしっかりコーディネートをし、検討が深まるよう、県の役割をしっかり果たしていきたいというふうに考えております。
◯議長(稲田寿久君)湊企業局長
◯企業局長(湊正彦君)私のほうから補足の答弁をさせていただきます。
水力発電所の民間活力導入につきましては、ことしの1月に開催いたしました県有施設・資産有効活用戦略会議におきまして、小鹿第一、小鹿第二発電所の建設についてはPFI方式を導入すると。それから、小鹿第一、小鹿第二発電所に加えて舂米発電所の管理運営については、運営権対価の設定に留意の上、コンセッション方式の導入をすることが有効というふうな結論をいただいております。また、日野川第一発電所につきましては、リニューアルの事業性を検討し、PFIコンセッション方式の導入対象に加えると。FIT認定が前提ではございますけれども、採算性が見込めればPFIコンセッション方式の導入に加えるという結論をいただきました。
今議会におきましては、いわゆる必要な予算を提案をさせていただいております。あわせて企業局の組織の体制を強化するために、経営企画課内に民間活力導入推進室の設置をあわせて提案をさせていただいているところでございます。現行のFIT制度のタイムリミットまでは非常にタイトなスケジュールではございますけれども、新設できれば民間活力導入推進室を中心として企業局総力で取り組んでまいりたいと思います。また、その際に基本的な考え方としましては、三方よしということで、売り手よし、買い手よし、世間よし、いわゆる売り手、県にとってもいい、買い手、民間事業者にとってもよい、そして世間、県民にとっても、県内の経済にとってもよい、そういったコンセッションを目指してまいりたいと思いますので、頑張ってまいりたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)9番野坂議員
◯9番(野坂道明君)質問ではなかったのですけれども、知事の御配慮に感謝を申し上げたいと思います。
事業の説明がずっとありまして、湊企業局長はまじめな御性格だなと感じたところであります。最後、三方よし、これが一番重要だと思いますので、全力を挙げて今後もしっかりといろんな角度から御意見賜ればと、こんなふうに思います。
続きまして、働き方改革について質問します。
東京大学先端科学技術研究センターの研究チームは、労働市場のミスマッチをICT活用で解消するモザイク型就労というのを提案しており、経験や知識においてすぐれる高齢者の労働資源を積極的に社会に還元し、不安定な逆ピラミッド構造を再びピラミッド構造に戻そうとする試みをチャレンジされております。モザイク型就労とは、時間モザイク、空間モザイク、スキルモザイクの3つのタイプに分類され、時間モザイクとは高齢者一人一人が働ける時間を組み合わせ、ある仕事に要求されるスキルのある高齢者をICTを活用してリストアップし、求人側が設定する就業時間枠に割り当てていくものだということです。
次に、空間モザイクとは、仕事の現場から空間的に離れた場所にいる高齢者がインターネットを介して仕事を行うことで、例えばウェアラブルデバイスを装着した若い労働者が退職した熟練労働者による遠隔指示や指導に従って仕事をするということであります。
最後に、スキルモザイクでは、複数の高齢者の異なるスキルを組み合わせ、要求されるスキルを全て備えたバーチャル労働者の合成を目指すもので、これらのモザイク型就労により健康寿命の延伸にも効果が期待できるとされております。
また、モザイク型就労は、若い非正規労働者や育児中の男女、副業や趣味、習い事など、フルタイムの就業が難しい人に多様な働き方を提供することが可能となり、特に労働力の確保が困難な鳥取県において大変有益な就労システムだと思いますが、この点について知事の御所見を伺います。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)野坂県議から重ねてお尋ねがございました。
モザイク型就労のその情報通信技術、ICTも活用して今、開発しようとしていることは注目に値すると思いますし、まだ研究途上、実証実験といいますか、そういう実験をやっているところでございまして、それを我々としても注目をし、今後取り入れられるところがあればまた研究させていただきたいと思います。
先ほどもちょっと申し上げましたように、境港でまず出張
県立ハローワークということをさせていただきましたが、結構そういうことでも人が集まってくるような需要があることが見てとれます。特に今、人手不足でございまして、どういうようにして生産性を確保するのか、それは企業の課題にもなってきているところでございます。ですから、いわばその空間を超えて、また人と人とをつなぎ合わせながら、モザイクを埋めるかのように就労を行っていくという、そういうやり方というのはこれからの鍵になるところかもしれません。
ただ、当面我々も経験的に今、思っているのですけれども、というのはフルタイムで全部働かせようとしていると、特にシニア世代等は難しさが残ります。また、オランダでももちろんその前提としては同一賃金、同一労働という原則があるわけでありますが、その働き方改革にもつながるわけでありますが、ワーク・ライフ・バランスをとっていくためにも就業時間というものをある程度コントロールさせながら、それで全体としてもちゃんと仕事のつじつまが合うようにしていく。そういうような実践をしている国もあるわけであります。
ですから、先ほどつばめタクシーの例を申し上げましたけれども、そういうような企業と一つ一つのマッチングを丁寧にやって、それでモザイクというよりはアメーバ状に、その労働時間というものや仕事の内容というものを自由な形で設定をして、それが合意をとられた形でまずはつなげていくという、そんな形の労働の形態というのがこれから一つ伸びてくるのかなという経験値を持ったところであります。
ですから、そうしたことで、いきなり空間を超えてモザイク型までいけるかどうかということはありますが、そういう一つのシステムをヒントにさせていただきながら、高齢者の方も働きがいのある、生きがいを感じられる、そういう就労に向かえるように
県立ハローワークでも工夫をさせていただいて、仲立ちをとらせていただくことから始めてまいりたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)9番野坂議員
◯9番(野坂道明君)国のほうでは、外国人の就労の規制について緩和して、これから不足していく労働力をいかに補っていくのかという議論がされております。それはそれで否定するものではありませんけれども、いろんな問題や課題があるというのは私も理解するところであります。
これから人口減少で日本の労働力、さらに持続的に発展していこうと思えば、やはりシルバー層とシニア世代と女性の活躍というところが不可欠だろうと、こんなふうに思っております。一足飛びにバーチャルなところにいくとは思いませんけれども、知事の母校の研究センターが頑張っているところですから、ぜひとも参考にしていただいて、鳥取県版をぜひともつくってください。お願いします。
続きまして、国立公園満喫プロジェクトの取り組みと課題についてお尋ねします。
3月1日の予算委員会でも質疑され、1,000万人の目標達成のみならず、民間投資を呼び込み、観光資源として磨き上げるという環境省の新しい試みを力強く進めていただきたいとの丸川前環境大臣の質問に対し、中川環境大臣が、自然環境を持続的に保全していくためには観光資源を磨き上げ、利用者の増加を図るとともに、これにより生じる利益を環境保全に還元していく仕組みが必要とし、具体的な取り組みとしてはキャンプ場の改革や直通バスの運行、ビジターセンターの民間開放、体験プログラムやガイドツアーの充実などを上げ、これから得られる収益の一部を環境保全に充てる仕組みを構築すると答弁されております。大山隠岐国立公園でも同様な取り組みがスタートするわけですが、この大きな国のプロジェクトを確実に成果に結びつけていくためにも、地元自治体が計画しているステップアッププログラムの実行が私は求められるだろうと思います。
そこで、知名度の低さや不利と言われるアクセスについてですが、観光庁によりますと、2017年の外国人宿泊者数のうち、地方が全体の40.9%を占め、伸び率も3大都市圏を15.8%上回ったとのことです。ゴールデンルートから地方へのトレンドについてですが、言いかえれば、これは知名度が低く、アクセスの悪いところへ向かうというトレンドでもあり、そういうことになりますと、知名度が低く、日本一小さな鳥取県が、それ自体で訴求力を持つのだと考えております。
交通アクセスについてですが、選定された8公園の中で羽田から一番早く行けるのは日光だと思われがちですが、実は大山隠岐国立公園です。このような観点から考えますと、漠然とマスに打つ発信方法ではなくて、ターゲットを絞り込み、その層に効果的に届く情報発信が重要になると思いますが、知事の御所見をお尋ねします。
次に、大山周辺のにぎわいについてですが、国立公園の最大の魅力は自然そのものにあり、過度な利用と開発は自然を破壊し、観光資源としての価値そのものを失ってしまうことになります。したがって、保護と活用の観点から、それぞれの区域を明確にゾーニングすることが不可欠だと思われますし、自然への影響を適切にモニタリングする体制整備も必要だと思います。
また、観光客数についてですが、入り込み数の多寡ではなく、消費額全体で考えることが重要だと思います。そのためには高付加価値の体験を提供するようなエリアと、あるいはマス利用を多くの人に利用してもらうようなゾーン、これらを想定したゾーニングですね、これも必要になってくると思いますが、あわせて知事の御所見を伺います。
最後に、廃業した店舗、あるいは廃屋、これらを撤去して、また電柱の地中化を促進するなど、景観上のマイナス要因を取り除く、いわゆる引き算の景観改善も急がれると思いますが、知事の御所見を伺います。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)野坂県議から重ねてのお尋ねがございました。
詳細は生活環境部長のほうからもお答えを申し上げたいと思いますが、議員がおっしゃったように、いろいろとターゲットを絞った情報発信、それからゾーニングであるとか、またマイナスといったような意味での景観整備、そうしたことがこれから大事になってくるのかなと思います。
例えば今、私どもでも外国人向けにいろいろと工夫を凝らして発信をして、例えばブロガーだとか、そういうのを引き込んでやっていますけれども、その層を絞ったところでいいますと、富裕層にターゲットを置いたような形での旅行商品というのも結構ヒットするようになってきました。
例えばオーベルジュ天空ですね、ちょっと山へ入ったところ、大山を上がったところに大変おいしいフランス料理を食べさせるところがあります。こうしたところなど、日本人が泊まっても結構な値段を取りますけれども、高級志向の外国人向けで1泊8万5,000円のツアーでも売れるのですよね。そういうようなところで、一つターゲットを絞って売り込んでいく。大山の大山寺のところでもとやま旅館さん、こちらも大富豪が行く旅館ということで、お料理もおいしいお料理を出すのだということで、実はこれ、旅行商品化されていまして、お客さんも行かれています。ですから、大分売り方によって、その下のターゲットを絞って売り込んでいくということは、おっしゃるように効果的な面もあるのではないかなというふうに思います。
大山山麓でも最近はFBIという、グランピングという豪華志向のキャンプ、最近はFITの個人旅行客もいわばレンタカーで行かれるものですから、このようなところが一つあるのかなというふうにも思いますが、そうしたものを確かに効果的に発信することが大切だと思いますし、ゾーニング、これはアメリカのナショナルパークでもやっていることでありますが、多くの方が行かれるゾーンと、限られた人数の人が行くゾーン、これを上手に区分けをしながらやる。本県でいえば、今、大山の夏山登山道のところがいわばメーンストリームであります。それ以外のところは余り多くの人は行かれない。こうした実態に即して整備をしたり、誘導をしたりというようなことがこれからのテーマになるのかなというふうに思います。
景観づくりも今、廃屋や廃店舗などの利用を進めていると同時に、電線の地中化なども進めているところでございますが、財源の問題などクリアしなければいけない課題もいろいろございます。ただ、そういう中で、最近でもファミリーさんが旧の旅館を生かして、そこに豪円湯院というのをつくられたところ、結構お客様でにぎわうようになり、今では経営も黒字化されてきたというようなことでございまして、そうした意味で、いろいろとやってみるチャンスはあるのだろうと思います。
ただ、なかなか難しい課題などもいろいろございますので、地元の方々ともよく調整をしながら、そういう景観をさらに向上させることができるように、関係者ともよく協議をしてまいりたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)酒嶋生活環境部長
◯生活環境部長(酒嶋優君)私のほうから国立公園満喫プロジェクトの取り組みに係るゾーニング、あるいは引き算の景観改善等につきまして、補足の答弁を申し上げたいと思います。
大山では、この山頂の木道を立ち入り結界の役割とする、そういったことなど、ゾーニングの先駆けであるというふうに考えております。また、大山の夏山登山道に集中整備を行いまして、学校利用を含む登山客の多くをそちらのほうへ誘導して、他の登山道については最小限の整備ということで、人の手が入らない厳しい条件を好む上級者の誘導と、そういったゾーニングも行ってきているというところでございます。
また、消費を考慮したゾーニングですが、大山の貴重な自然、歴史、文化につきましては、訪問客に感動を与えるポテンシャルを有してございます。大山開山1300年祭でもさまざまな体験プログラムが用意されておりますけれども、今後も参加者等の声を聞きながら、高い付加価値のメニューも含めて幅広いインバウンド需要に対応できるよう関係者とともに取り組みを進めてまいりたいと考えております。
また、引き算の景観改善でございますが、この満喫プロジェクトの有識者会議の委員でありますデービット・アトキンソン氏、これが昨年度来県された際に、この大山寺の参道一帯の閉鎖店舗の利用や、この廃屋の撤去、それから博労座駐車場からの大山眺望の支障となっております電線の地中化計画、これについて高い評価をいただいております。電線の地中化につきましては有識者からこの大山情報館から大山の眺望の障害となる部分も指摘されておりまして、32年度までに整備できるように、その方策を現在、関係者と検討しているところでございます。こういったマイナス要素の排除とあわせまして、案内板の多言語化等も進めておりまして、ガイド育成などソフト面の強化とあわせまして大山の魅力を発揮するための基盤づくりを加速させていきたいというふうに考えております。
◯議長(稲田寿久君)9番野坂議員
◯9番(野坂道明君)御答弁いただきました。
マイナスの景観改善ということですけれども、中心市街地の活性化においては、やはりシャッターをおろしている店舗があったら活性化にならないのですよね。ですから、これは点から線、線から面へと全部お店を何らかの形で活用していくというのが私は基本だろうと思います。
ところが、大山においては自然そのものが一番の魅力ですから、例えば何とか利用するというような有効活用があればそうなのでしょうけれども、これは積極的にとっていくというのも、一つの方法、自然の何もない状態に戻していくというのも一つの方向性だろうと思うのです。
電柱の地中化につきましては、平成28年ステップアッププログラムで位置づけられて、それで満喫プロジェクトがスタートして5年間の取り組みの中で、平成28年から今年度当初予算まで予算化が見送られているのですよ。要するに交付金が当たらないということで、平成28年も平成29年も予算化がされていない。これは県の部分ですから、大山町の部分でいくと、参道ですよね。この参道になってくると、さらに長い延長の部分の取り組みが全く進んでいないということであります。
今、国交省においても無電柱化推進計画案を策定して、パブコメをとっているということでありますけれども、これが当たるのか、当たらないのかは別として、最終的には単費を投入してでもやっていくという決意、気概が必要になってくると思いますけれども、最後に知事のお考えをお聞きして、質問を終わりたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。時間がありませんので、簡潔にお願いします。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)これにつきましては、財源をいろいろと工夫しながら実現できるように努力してまいりたいと思いますし、地元ともよく調整をさせていただきたいと思います。最終的に単費だけでやるかどうかということにならないように、できるだけ財源の調達をしてまいりたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)本日の議事日程は全て終了いたしました。
これをもって散会いたします。
午後3時18分散会
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