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  1. 奈良県議会 2020-02-01
    03月06日-05号


    取得元: 奈良県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    令和 2年  2月 定例会(第340回) 令和二年        第三百四十回定例奈良県議会会議録 第五号 二月   令和二年三月六日(金)午後一時一分開議   --------------------------------          出席議員(四十二名)        一番 小村尚己          二番 樋口清士        三番 植村佳史          四番 川口延良        五番 山中益敏          六番 亀甲義明        七番 中川 崇          八番 小林 誠        九番 浦西敦史         一〇番 欠員       一一番 池田慎久         一二番 西川 均       一三番 乾 浩之         一四番 松本宗弘       一五番 大国正博         一六番 太田 敦       一七番 佐藤光紀         一八番 清水 勉       一九番 阪口 保         二〇番 井岡正徳       二一番 田中惟允         二二番 中野雅史       二三番 奥山博康         二四番 荻田義雄       二五番 岩田国夫         二六番 小林照代       二七番 山村幸穂         二八番 猪奥美里       二九番 尾崎充典         三〇番 藤野良次       三一番 和田恵治         三二番 国中憲治       三三番 米田忠則         三四番 出口武男       三五番 粒谷友示         三六番 秋本登志嗣       三七番 小泉米造         三八番 中村 昭       三九番 今井光子         四〇番 森山賀文       四一番 田尻 匠         四二番 山本進章       四三番 川口正志   --------------------------------        議事日程 一、当局に対する一般質問   -------------------------------- ○議長(粒谷友示) これより本日の会議を開きます。 会議時間を午後六時まで延長します。   -------------------------------- ○議長(粒谷友示) ただいまより当局に対する一般質問を行います。 順位に従い、一番小村尚己議員に発言を許します。--一番小村尚己議員。(拍手) ◆一番(小村尚己) (登壇)皆さん、こんにちは。私は、斑鳩町、安堵町、三郷町、平群町からなる生駒郡選挙区選出の自由民主党会派県議会議員の小村尚己です。 今、コロナウイルスにより、多くの県民が不安になっていることと思います。そして、そんな県民の不安を少しでも取り除こうと、できる限りの予防策をしようと、日夜寝る間を惜しんで県庁で戦っておられる。知事、杉中危機管理監鶴田医療政策局長をはじめとする関係部署の皆さん、県庁の皆さん、本当にありがとうございます。 テレビを見ていると、私は違和感を覚えるのですけれども、いろいろなコメンテーターが、コロナウイルスの対応について批判をされます。対応を検証すること、それ自体は非常に大事なことなのですけれども、でも、今ではないでしょと私は思います。今はそれよりも、対策をとり、最前線で戦っている医療現場の方々への後押しをすること、対策を提案することのほうが大事であると思っております。県民の皆さんにも最前線で戦っておられる県庁職員、市町村の職員の皆様、医療現場の皆様のことを少しご想像いただいて、ご理解をいただければありがたいと思います。 緊急事態、それぞれの立場でできることを精いっぱいして、この危機を乗り越えましょう。私自身、県民目線でしっかりと行政が抜け目がないかチェックする。先日も高校入試についての提案もさせていただきましたけれども、できることをしっかりと提案しながら、できる限り皆様が平穏な暮らしに戻れますよう努力してまいります。前置きが長くなりましたけれども、先ほど議長からお許しをいただいておりますので、通告に従って一般質問を始めさせていただきます。 今回は通告のとおり、一つ目、農業を支える担い手の育成・確保について、二つ目、AI技術等による業務の効率化について、三つ目、商工会等への支援について、四つ目、県立高等学校の入試制度についてであります。 まず、一点目でございます。奈良県農業を支える担い手の育成・確保についてお伺いいたします。 突然ですが、皆様が持っている携帯電話、私、この携帯電話というのは時代の流れを顕著にあらわしていると思っています。 私が生まれた一九八五年、これはポケベルが普及し始めた時期でございます。それから、インターネットが普及し、高校一年生のときにはiモード機能のついた携帯を私は持っていました。また、大学生のときにはiPhoneが発売され、スマートフォンが徐々に普及し始めてきました。次は5Gの世代がすぐそこに来ています。物すごいスピードで社会が変革しております。 しかし、決して変わらないもの、それは食べることです。食は私たちの生活に欠かすことができないものであるとともに、健やかな心と体を育むものであり、その大切な食を支えているのが農業です。私は、農業を命の産業と位置づけ、積極的に振興していく必要があると考えております。 私が選出していただいている生駒郡は、稲作を中心に都市近郊の立地条件を生かし、梨、ブドウ、ナス、トマト、イチゴ、イチジク、またバラや小菊などの花も生産する緑豊かな地域です。しかしながら、人口減少や少子高齢化の進行に伴い、生駒郡だけでなく、県全体としても農業を取り巻く情勢は非常に厳しく、特に担い手の不足が大きな問題になっていると思います。 平成二十七年の農林業センサスによりますと、主な仕事が農業である本県の基幹的農業従事者数は、約一万三千人と、十年前に比べて一七%も減少しております。平均年齢においても、全国値を上回る六十九歳となっており、高齢化が進む一方で、将来の農業を支える四十九歳以下の若い農業従事者はわずか七%と非常に少ない状況であります。 また、担い手の減少はさまざまな問題につながります。担い手がいなくなった農地は耕作放棄地となって土地の荒廃を招きます。平成二十七年の農林業センサスでは、本県の耕作放棄地は、三千六百三十三ヘクタール、率にして農地全体の二一%で、全国平均の一二%と比べても非常に高く、平成二十二年農林業センサスよりも増加している状況であります。さらに、昨今、自然災害が多く発生していますが、その中でため池等の施設の管理は防災としても重要であり、その管理をするためにも担い手の確保は喫緊の課題だと考えます。 今後、ますます農業従事者の高齢化が進み、近い将来、多くの農業者がリタイアすることが見込まれる中、担い手を確保することは容易なことではありません。新たに農業を始めたいと考えている方が参入しやすいようにした上で、しっかりと定着していただくことが必要です。 また、私は、近くに住む人同士が共同で農作業を行う集落営農に注目しております。個人経営では、一人で大変な農作業に向き合わなければなりませんが、集落のみんなで助け合い、作業を分担すれば個々の負担も軽減できますし、農業機械を共同で所有したり使ったりするため、維持管理に要する一人当たりのコストが削減できます。 今後、本県の農業が持続的に発展していくためには、新たな就農者や集落営農組織などの確保を進めるとともに、本県農業の牽引役となる意欲ある担い手が農業に従事できるよう、取り組みを強化、環境の整備をしていくべきだと考えます。 そこで、知事にお伺いいたします。 農業の担い手の育成や確保について、今後、県はどのように取り組んでいくのか、知事のご所見をお聞かせください。 二点目は。AI技術等による業務の効率化についてであります。 皆様もご存知のように、現在の日本は急速な高齢化と少子化が同時に進んでいます。子どもが少なくなり、高齢者が増加するということは、世の中の経済を支える十五歳から六十五歳未満の現役世代の割合が減少するということです。 国立社会保障人口問題研究所の将来推計人口によりますと、我が国の総人口は長期にわたって減少が続くと予測されており、奈良県においても国勢調査が実施された平成二十七年には百三十六万四千人であった県人口が、令和二十二年、二〇四〇年には百六万六千人にまで減少する見込みであり、平成二十七年人口から約三十万人、割合にしても、約二割も人口が減少するという推計がされています。 このように、本格的な人口減少社会となる二〇四〇年ごろには、十五歳から六十五歳未満の生産年齢人口の減少により、深刻な労働者不足となり、労働力の供給制約に直面することになります。これは、民間企業のみならず地方公共団体においても同様のことであります。もちろん、国も奈良県も少子高齢化、人口減少に取り組んでいただいていて、これからこの問題が解消されればいいと思っておりますし、私もいろいろな案を考えて行政に実行していかなければならないと思っております。 しかし、画期的な施策、ウルトラCみたいなものがあるわけではなく、また県内の市町村も子育て施策には予算を配分し、力を入れているものの、平成三十年の日本の合計特殊出生率は一・四二、これは人口の維持に必要な人口置換水準合計特殊出生率で言う、二・〇七を大きく下回っております。奈良県でも例に漏れず、合計特殊出生率は一・三七であります。 では、そういった状態でこれからの行政運営はどうやってやっていくんだ。税収が減る、でもニーズは多様化する、各地方自治体は頭を悩ましていると思います。私はこの解決策はもうICTしかないのではないかと思っております。 イノベーションによる生産性向上によってできる限り今の施策を維持していくことが大事でないかと思っております。総務省は、二〇一八年七月に高齢者人口がピークを迎える二〇四〇年をシミュレーションした、自治体戦略二〇四〇構想研究会第二次報告を発表しております。その中で、内政上の危機とその対応を述べられており、自治体行政はICTの活用を前提として展開する必要があると提言しています。 また、二〇一九年四月には、スマート自治体の推進についてという資料も発表されており、AI、RPAを含めたICT活用の進め方を提言しています。 スマート自治体とは、人口減少が深刻化しても、自治体が持続可能な形で行政サービスを提供し続け、住民福祉の水準を維持し、職員を単純な事務作業から解放して職員でなければできない、より価値のある業務に注力し、ベテラン職員の経験を人工知能等に蓄積、代替することで自治体の規模、能力や職員の経験年数にかかわらず、ミスなく事務処理を行える自治体のことを指し、このようなスマート自治体への転換が求められる時代に対する準備を奈良県も市町村もしていかなければならないと思っております。 奈良県においては、県と市町村が連携、協働して効率的な行財政運営を目指す、奈良モデルの取り組みの一つとして、県と五市町村が共同でAIチャットボットシステムの導入に取り組まれたところですが、自治体職員労働者不足が予測される中、AIやロボティクスなどの先進技術を積極的に活用し、自動化、省力化を図り、より少ない職員で効率的に事務を処理する体制が必要と考えます。また、その成功例を県庁内で出し、各市町村でも導入していただくようにしていくべきだと考えます。 そこで、総務部長にお伺いします。 今後、AIやロボティクス等の技術を活用し、さらなる業務の効率化を図ることが必要と考えますが、県はどのように取り組まれるのかをお聞かせください。 三つ目は、商工会等への支援についてでございます。中小企業は、住民の生活を支えるとともに、雇用の場としても地域経済の発展に重要な役割を担っています。また、各地域で中小企業の皆様が頑張って住民が笑顔になるようにとイベントや事業を行い、それぞれの地域をよりよくする活動を家族やプライベートの時間を犠牲にしながらでも行ってくださっています。そして、それが地域の活性化や活気となっております。生駒郡の各所でも、春の花見大会、平群では今年も四月二十九日に時代まつりも行われますし、夏の花火大会や盆踊り大会、秋の文化祭や冬のマルシェなど各地域でそれぞれの商工会の会員企業の皆様が頑張ってくださっています。 私も商工会青年部として、いろいろなイベントに参加したり、手伝いもさせていただいておりますけれども、本当に夏は暑い中、仕事を休んで炎天下の中、準備してくださったり、冬は寒い中、震えながら地元の特産品をPRするためにと頑張っております。 また、各地域によって特色のある祭りもされ、子どもたちの夏休みの絵日記などには必ずと言っていいほど、お祭りや地域行事が入っており、子どもたちの記憶には、こういった郷土の風景が刻まれ、郷土愛を育んでいるのだと思っております。 これらの中小企業の皆様のご努力が地域の経済を守り、また発信することになり、子どもたちに奈良県や各地域に対する帰属意識の醸成をするものだと思います。今後も中小企業の皆さんには頑張って、奈良県の各地域の経済を支えていただきたいと私は思っております。 しかし、その一方で近年の人口減少や高齢化の進展など社会の構造変化に伴い、地域経済は厳しい状況が続いており、経済センサス調査によると、奈良県の小規模企業数は、平成二十一年には約三万四千件だったものが、平成二十八年には約三万件に減少しております。 このような状況のもと、小規模企業においては、販路の拡大、事業承継、人材の育成及び働き方改革だけでなく、近年多発する災害に備える事業継続力強化計画策定など新たな課題に取り組む必要があり、なかなか企業単独では対応しにくい課題がございます。 このような小規模企業を取り巻く多様な課題を解決するため、商工会や商工会議所は、地域の商工業者の総合的な振興発展と中小・小規模企業の経営全般の支援を行う地域に密着した総合経済団体として、さまざまな活動に取り組んでいます。 そこで、産業・雇用振興部長にお尋ねいたします。 地域経済の発展、活性化を図るため、今後、奈良県として商工会や商工会議所にどのような活動を期待し、どのように支援していくのかをお尋ねいたします。 四つ目は、県立高等学校の入試制度についてであります。 高等学校は、義務教育を終えた子どもたちが社会に出たり、大学進学したりするなど、みずからの進路を考える段階にある学校と言え、子どもにとって非常に大切な教育の場であると私は思っています。今やほとんどの子どもたちが高等学校に進学をいたします。だからこそ、受験制度においては限りなく公平性、公正性を担保しなければならないと思っております。私は入学者選抜の方法については、さらに検討の余地があるのではないかと考えております。 現在、奈良県では高校入試の合否を判定するに当たり、中学校から送られる調査書の成績と当日の学力検査の結果の両方が使われております。この調査書には、学習成績とその他の活動などの記録が記入されており、学習成績の部分がいわゆる内申点と呼ばれるものです。内申点は、各中学校において絶対評価によりつけられていますので、中学校によって成績が全体的に高くつけられたり、低くつけられたりしてはいないのか、地域によって差はないのかなどという声を聞くことがあります。 このことについては、十二月議会においてもご答弁いただいておりますけれども、県教育委員会では、学校ごとに評価にばらつきが出ないように、郡・市代表の中学校長による評価のための委員会を開催したり、各中学校が作成した学習成績の一覧表を提出させ、分布状況を把握したりしているとのことでした。確かにそうすることで一定の公平性、公正性を保とうとしていることはわかりました。 現在、奈良県の高校入試で合否判定に用いられる内申点の割合は、内申点百三十五点に対して、当日点二百五十点と、およそ一対二の割合となっております。合否判定に用いる資料の三分の一を内申点が占めている状況でございます。私は、そもそもこの割合というのは非常に内申点の割合が多いのではないかと思い、近府県について調べてみました。 大阪府や兵庫県では、内申点と当日点の割合が一対一である一方で、和歌山県では内申点百八十点に対して当日点が五百点、一対三に近い割合のところもありました。総合的に見ると、一対二の奈良県はまだ内申点が高校入試における割合が低い方に、四十七都道府県を見て思ったのですけれども、奈良県はどのような考えのもとに、このような設定に内申点をされているのでしょうか。 次に内申点の内訳についてなのですけれども、百三十五点の内申点の内訳を奈良県では二年生からこの内申点がつくようになっております。二年生の一年間の成績で四十五点、三年生の一学期の成績で四十五点、三年生の二学期の成績で四十五点として、百三十五点をつけているわけですけれども、これもほかの都道府県を見てみますと、お隣の京都なんかですと、一年生から内申点がついたり、以前奈良県でも行っていたような副教科が二倍になる内申点がつく制度があります。また、調査書に記載されるその他の活動記録ですが、学習活動、特別活動、行動、スポーツ・文化活動の四つの記録を記述するようになっているようです。このような記載内容は、学習成績とは別の取り扱いがされているのだろうと思いますが、高校入試の合否判定においてどのように用いられているのでしょうか。これも各都道府県によって扱いが異なり、点数化もされていない都道府県もあります。 そこで、教育長にお尋ねいたします。 都道府県立高校入試では、それぞれの都道府県において、内申点と考査点の割合や、内申点に反映する学年成績の割合に差異がありますが、奈良県ではどのような考え方でその割合を定めているのか。また、調査書におけるその他の活動について、どのように評価し入試の合否判定に用いているのか、教育長にお尋ねいたしまして、私の壇上での質問を終わらせていただきます。 ご清聴、ありがとうございました。(拍手) ○議長(粒谷友示) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)一番小村議員のご質問がございました。 私に対しましては、農業を支える担い手の育成確保をどのようにするかというご質問でございます。 農業の恵みは担い手と自然との合作でございます。農業は天候等、自然条件に左右され、また農業者ごとに栽培する作物、また季節が異なるだけでなく、同じ農業者であっても、年数に応じて技術レベルや働く馬力、また経営規模が変化するといった特徴がございます。県では、就農者に対しまして、就農準備、新規就農、経営発展などの各段階に応じて幅広い高度な能力を持っていただくことを考えております。 まず具体的には、県下五カ所に各段階に応じて相談していただけるワンストップ窓口を設置し、簡便にご相談に乗ることにしております。とりわけ新規営農の方には相談が必要かと思っております。 次に、各段階でのご支援でございますが、新規就農準備におきましては、まず農業に親しんでもらうことも必要だと思います。農家でない方の新規農業就労もふえている状況でございます。先進農家でのインターンシップやNAFICや指導農業士などによる技術修得の機会を設け、研修などをするようにしております。 新規就農された段階では、準備段階を含め、最長七年間、年間最大百五十万円の資金を交付する制度がございます。また、農地の斡旋、施設等の初期投資に対するご支援、フォローアップ研修など、農業の展開をされる段階での支援をするようにしております。 また、経営発展が進みまして、法人化、集落営農などを目指される農業、高度な農業をされる方々に対しましては、専門家等による研修会や個別相談会を行い、県の農業リーダーの役割を担っていただくように、リーダー研修ということを心がけるようにしております。 また、組織的な営農を心がけられる法人化等を行われる方々には法人化の手続に対する資金の支援などを行っております。農業は家族だけでする農業から、家族でない方々と共同でやる農業というふうな展開も必要な面が出てきております。 こうした取り組みの効果もあったかもしれませんが、最近では毎年五十名前後の新規就農者が奈良県では確保できるようになっております。大変うれしいことだと思っております。 直近二カ年では集落営農組織は水稲の作業受託を中心に、五條市、曽爾村などで六組織、また法人組織はお茶や野菜を中心に奈良市、平群町などで十八法人が増加しているところでございます。 このように、農業の担い手は土地持ちで農地持ちでない方も含めて、就農意欲がある方がふえているわけである一方、効率的農業に資する農地は奈良県、不足気味でございます。耕作放棄地はふえる一方、農地として出てくる土地が少ないという、不思議な現象がございます。就農者の育成と農地の準備の二方面での施策が必要だと考えております。 引き続き、二方面での取り組みを進め、新規就農者の確保とこの方々を含め、牽引役となる意欲のある担い手の育成は議員おっしゃったとおりでございますが、それとともに農地の利用がそのような担い手、意欲ある担い手の方に回るようにしていきたいと思っております。そのようなことで本県農業の発展に努めていきたいと思っております。私に対する質問は以上でございます。 ○議長(粒谷友示) 末光総務部長。 ◎総務部長(末光大毅) (登壇)一番小村議員のご質問にお答えいたします。私にはAI技術等による業務の効率化について、今後どのように取り組むのかとのお尋ねがございました。お答えいたします。 議員お述べのとおり、人口減少に対応するため、AIなど新しい技術を活用して、業務の効率化を図ることは重要な課題と認識しております。本県の具体的な取り組み例としては、昨年十月から県と五市町が一体となって住民サービスの向上と職員の負荷軽減を図るため、AIチャットボットを導入し、業務の自動化に取り組んでまいりました。県としては、AI導入の成果を県内の他の市町村にも波及させていきたいと考えており、令和二年度もAIチャットボットで業務の自動化に取り組む市町村を新たに募集する予定となっております。 そのほか、AIやロボティクス等の技術活用として、手書きの申請書等の文字をAIに自動判別させて、デジタルデータへ変換するAI‐OCRの導入や、職員がパソコンで繰り返し行っている単純作業をロボティクスの技術で代行させるRPAの導入などを予定しております。 県として、AIやロボティクス等を積極的に活用し、より少ない職員で効率的に事務を処理できる仕組みづくりに努めるとともに、その効果を県内の市町村にも波及できるよう、市町村のスマート自治体への転換に向けた支援を行ってまいります。 また、新たな技術の活用に当たっては、既存業務の効率化にとどまらず、あわせて行政サービスの付加価値をふやしたり、新たに生み出したりすることも重要と考えており、こうした視点も持って引き続き行政サービスの向上に取り組んでまいります。以上でございます。ご質問、ありがとうございました。 ○議長(粒谷友示) 中川産業・雇用振興部長。 ◎産業・雇用振興部長(中川裕介) (登壇)一番小村議員から私に対しまして、県として商工会、商工会議所のどのような活動を期待し、どのように支援するかというお尋ねがございました。お答えをさせていただきます。 奈良県経済の好循環を図るためにも、商工会、商工会議所は地域の中小企業、小規模事業者を支える重要な存在であると認識いたしております。 県は中小企業の活性化のため、商工会等に求められる役割をしっかり果たしていただけますように、中小企業等経営改善普及事業として、経営指導員等の活動を支援させていただいております。また、商工会等が地域の実情に応じて必要な事業に取り組んでもらえるよう、提案型によります商工会等の積極的な取り組みを支援させていただいているところでございます。 具体的には、橿原ビジネスマッチならなどの商談会の開催、天理市や生駒市の商店街での販売促進の取り組み、天川村の満天土産・満天御膳などの地域ブランドの商品開発、広陵町の消費動向調査など、今年度は十九事業を支援させていただきました。 加えまして、来年度でございますが、商工会等が地域の市町村と共同して、中小企業等が災害に備える事業計画の策定を推進するなど、そのような取り組みに対しまして、県は新たに支援することといたしております。県といたしましても、引き続き商工会等と連携し、地域経済の発展、活性化に積極的に取り組んでまいります。以上でございます。ご質問、ありがとうございます。 ○議長(粒谷友示) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)一番小村議員のご質問にお答えいたします。 私には県立高等学校の入試制度について内申点、考査点の割合などをどのような考え方で定めているのかとのお尋ねでございます。 高等学校の入学につきましては、学校教育法施行規則第九十条に、調査書その他必要な書類、選抜のための学力検査の成績、この二つを資料として行う入学者の選抜に基づいて校長が許可すると定められております。 本県におきましては、調査書の成績は一つの学年で九教科ございますので、五点掛ける九で四十五点、学力調査の成績は、これは五教科で五十点掛ける五教科で二百五十点で、一般選抜におきましては、調査書と学力検査の比率は議員お述べのように、百三十五点対二百五十点、おおよそ一対二と、以前は一対一でございましたけれども、当日の学力をより重視をいたしました。 調査書の対象とする学年でございますが、全学年を対象とするケース、本県のように、二年と三年、それから三年のみを対象とするケースと、これは県によってまちまちでございますけれども、本県では中学校二年と三年の成績を用い、中学三年の成績を二倍として、合計百三十五点といたしております。一、二、三年をそれぞれ四十五点で合計百三十五点とする方法もございますけれども、やはり小学生が中学一年生に入った中一のギャップというものもございますので、こうしたことに配慮をし、二年と三年の成績を用いる。さらには、その上で本人の学力に近い三年の成績を二倍とさせていただいております。 県内の高等学校教育におきましては、多様な生徒の個性を伸長することが重要だと考え、特色ある高等学校づくりを進めております。特色選抜におきましては、各学校が求める生徒像を明らかにし、各学校、学科ごとに合計点に占める調査書成績の割合を三割から七割の範囲で変えることができるようにいたしております。 また、大和中央高等学校のように、不登校生徒にやはり配慮する必要がございますので、調査書成績を用いずに、学力検査結果のみを合否判定の資料とする学校もあり、全体としては柔軟な制度となっていると考えております。一方、調査書に記載されているその他の活動の記録につきましては、英検などの資格、また生徒会活動などで重視する事項を、これは学校や学科ごとに決めることができまして、二十点以内で点数化し、そして合否の判定に用いることができる、調査書の特別な扱いという制度を設けております。 今後とも受験生の能力、適性を多面的、総合的に評価できる入学者選抜となるように努力してまいりたいと思います。 以上でございます。どうもありがとうございました。 ○議長(粒谷友示) 一番小村尚己議員。 ◆一番(小村尚己) それぞれご答弁ありがとうございました。 順番が前後するのですけれども、まず教育委員会に関しまして、教育長に関しましてなのですけれども、この内申点制度は、そうやって法律で決められているもので、公立高等学校にはあるということなのですけれども、そもそも私立の高校受験に関しましては、内申点というのは点数化されていないわけだし、公立の方が内申点制度をしいているから、いい子どもたちが集まっていると言えるのかというと、それも疑問のところもあるので、内申点制度を廃止した方がいいのではないのかという親御さんも実はいらっしゃいます。それは人が人を採点する以上、必ず恣意的なものというのは入ってくるのではないのという疑問点からです。 私自身は、公立と私立を差別化するためにも、こういった多様な生徒をとっていくという意味で、この内申点は必要だと思っているのですけれども、この恣意的な要素が、少なからず入ってしまうとは思いますので、公平性、公正性を担保していくのであれば、内申点の割合を下げていくでありますとか、例えば大阪府ですと、チャレンジテストという形で各学校に加点したり、県内統一テストによって各学校の評定値の割合、つまり五は何人ぐらいですよ、四は何人ぐらいですよと割り振ってしまうという方法もあるのかと思います。そうすることによって、あの地域の方が内申点をとりやすいのではないのとか、そういった疑念が消えると思うのです。 教育長、前もおっしゃっていましたように、そんなに地域によって差はないんだよというのであれば、やはり公平性、公正性というのは保護者の方々にわかりやすいようにしていく方がいいのかと思いまして、このチャレンジテストですとか、県内統一テストによって傾斜をするとかということによって、公平性、公正性を担保する。それによって安心感、信頼感がこの内申点制度に高まっていくということはあり得ると思いますので、これはご提案させていただきたいと思いますので、すぐに変更する話ではないので、これはご提案だけさせていただきたいと思います。 また、知事からご答弁いただきましてありがとうございます。今年度の予算案でも、海外への展開だとか、これから農作物をブランディングしていって、またときのもりとかの新展開によって、物流をすごく高めていくということも、新年度予算に載っておりましたので、私も予算審査特別委員会に入っておりますので、この点はまた予算審査特別委員会でご質問させていただきたいと思います。 また、二つ目の総務部長のご答弁であった、このRPAなのですけれども、現在、県庁内でも何部署かで実施されている、試験的に実施されているとお聞きしているのですけれども、何部署で今、実施されて、来年度はRPAのこの予算もついておりましたけれども、これをふやす予定があるのかというのをお聞きしたいと思います。 ○議長(粒谷友示) 末光総務部長。 ◎総務部長(末光大毅) ただいまお尋ねのありました、RPAですけれども、令和元年度につきましては、これは試行業務ということで取り組んでおります。部署としては五つの課でそれぞれ、例えばホームページの閲覧から情報収集をするですとか、そういったことを試しにトライしているという状況であります。そこで得られた経験等を踏まえて、来年度につきましては、さらにほかの所属にも活用してもらうために説明会なんかを行ったりしながら、どのような活用が可能なのかということを広げて検討していきたいと考えております。 ○議長(粒谷友示) 一番小村尚己議員。 ◆一番(小村尚己) 今現在もやられていて、これから展開されるということですので、できる限りこういったものを県で先進的に取り入れていただいて、市町村もこういった形で業務を効率化できるよという形でやっていただきますと、市町村の業務も効率化して、スマートシティーとか、今、私の地元の三郷町でもやっておりますので、そういった県庁で先進的なことを市町村に落としていくということも大事だと思いますので、どうかよろしくお願いします。 最後に、産業・雇用振興部長、商工会等への支援について、引き続き行っていくというご答弁でございましたけれども、近年、この商工会とか商工会議所に対しては政策推進加算という形で、各商工会議所や商工会連合会が予算の取り合いといいますか、提案していってやっていくということが始まっておりますけれども、できる限り、その現場の意見を聞きながら、こういったことを県としてもしてほしいという提示もしていっていただきたいと思います。 時間となりましたので、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(粒谷友示) 次に、二十一番田中惟允議員に発言を許します。--二十一番田中惟允議員。(拍手) ◆二十一番(田中惟允) (登壇)自由民主党会派、宇陀市宇陀郡選挙区選出の田中惟允です。議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。 課題の多い宇陀地域でございますので、ご理解を賜り、施策の光を少しでも当てていただきますよう心を込めて質問をさせていただきます。 最初に、各医療機関における情報セキュリティー体制の構築について、お伺いします。 コンピューターウイルスにコンピューターシステムが攻撃される事件については、以前から発生しています。例えば、今年に入ってからも日本を代表する大企業が攻撃を受け、個人情報及び企業秘密が流失した可能性があるとの報道の発表がありました。こうしたことから、さまざまなシステムが常に攻撃される危険性にさらされていると考える必要があります。 本県におきましても、平成三十年十月、宇陀市立病院において、電子カルテシステムがコンピューターウイルスに感染する事案が発生しました。この事案については、先日、宇陀市が公表した報告書によると、ウイルス感染により、電子カルテシステムの一部が一時的に参照できなくなったとのことです。事案が発生した原因としては、何らかのルール違反により、インターネットを通じて侵入を許してしまう結果になったことや、障害時の適切な運用体制が構築、運営されていなかったことなどに問題があったと結論づけています。 今後、電子カルテ化、さらにそれを使った病院間連携等のネットワーク化がますます進んでいくことが予想されます。今回の事案については、現時点においては個人情報の漏洩、あるいは悪用されたとの被害報告はないとのことですが、医療機関が保有する診療情報は、保護される優先度の非常に高い個人情報であると考えます。 こうしたことを踏まえますと、再び県内の医療機関が攻撃される事態を想定して、医療機関は強い危機意識を持って対策を講じるべきと考えます。 そこで、医療政策局長にお伺いします。 県として、各医療機関における情報セキュリティー体制の構築をどのように支援しておられるのでしょうか。 次に、みつえ高原牧場の整備について、お伺いします。 みつえ高原牧場は、県が御杖村に取得した約百ヘクタールの土地に奈良県の畜産振興を図る目的で、平成十三年にオープンしました。現在、宇陀市大宇陀から一部移転した県畜産技術センターでは、主に和牛の飼育技術や肉質の向上に関する研究が行われています。また、牧場施設に余裕のない県内の畜産農家を支援するため、奈良県畜産農業協同組合連合会が約六十四ヘクタールの牧場施設の一部を利用して、乳牛の預託・育成や和牛子牛の生産と販売を行っておられます。未利用となっている約三十四ヘクタールについては、平成二十七年度に今後の畜産振興及び東部地域振興の拠点として活用する方策を、御杖モデルとして検討を進めることとされました。あわせて、地元の御杖村とは平成二十八年九月に、まちづくりに関する包括協定を結ばれています。 県内の畜産関係者や地元住民の方々は、畜産振興、地域の活性化に繋がる取り組みとして、大いに関心や期待を持たれていることから、私は昨年、一昨年と具体的な活用策、スケジュールについて質問をさせていただきましたが、なかなか具体的な方向性をお示しいただけませんでした。 しかし、今回県が策定された、奈良新「都」づくり戦略2020の中の、豊かな「都」をつくるの戦略の一つとして、みつえ高原牧場の整備が盛り込まれるとともに、来年度の予算には畜産団地の整備に向けた具体的な予算が計上されています。みつえ高原牧場の整備により、県全体の畜産振興を図ることは畜産団地の整備による雇用の創出、地域への人や物の流入がふえることによる消費の創出など、地域の振興にも役立つものと期待しています。 そこで、農林部長にお伺いします。 奈良県の畜産振興を図るため、みつえ高原牧場の整備をどのように進めていくのか、お聞かせ願います。 次に、薬用作物の生産振興について、お伺いします。 日本書紀には、私の地元、宇陀地方において、推古天皇が、薬猟をされたという記述があります。また、日本最古の施設薬園である、森野旧薬園があり、今も二百五十種類の薬草を栽培するほか、薬問屋であった細川家の旧住宅である、薬の館が残っています。さらに、現在の笹岡薬品やツムラ、アステラス製薬、ロート製薬といった薬業の創設者を輩出しております。このように、宇陀と薬との関係は、推古天皇の時代から現在まで脈々と受け継がれております。 平成二十四年に、薬の発祥の地である宇陀市は、薬草を活用したまちづくりの一環として、薬草プロジェクトを始動しました。平成二十七年四月に、宇陀市薬草協議会を設立。市の広報を通じてヤマトトウキの栽培希望者に苗を配布し、本格的な栽培を開始しました。現在、会員数は六十八人で、栽培面積は八十アールとなっています。しかし、初心者が多く、栽培技術が未熟なこともあって、収量が低く、思ったような収益が上がっていないことが課題となっています。 今後、超高齢化社会を迎え、健康寿命の向上や未病対策の観点から、漢方が注目されており、その原料となる生薬の需要の増加が見込まれます。また、中国からの輸入に頼っている生薬価格の上昇や輸出制限等の不安があるため、国内での薬用作物の生産をより一層拡大する必要があります。 そこで、農林部長にお伺いします。 県では、平成二十四年十二月に、漢方のメッカ推進プロジェクトを立ち上げ、部局横断体制で漢方の振興に総合的に取り組んでおられます。その中で、県内で薬用作物を生産拡大するためには、生産者の収益向上を図る必要があると考えますが、県として薬用作物の生産振興にどのように取り組んでおられるのか、お伺いします。 次に、河川の堆積土砂の撤去について、お伺いします。 平成三十年、中国・四国地方を襲った西日本豪雨や、昨年十月、東日本に上陸した台風第十九号による豪雨など、毎年日本各地で記録的な豪雨による自然災害が発生し、洪水による被害が頻発、激甚化している状況です。このような状況に鑑み、国においては、防災・減災の対策として、河川の河道掘削や堆積土砂撤去などを重点施策として位置づけ、地方自治体でも、しっかりと取り組んでいただくこととされています。 私の地元である宇陀地域には、宇陀川や芳野川といった県管理の一級河川がございますが、一旦大雨になると、流れの速い水が、水位を上げて激しく流れていく光景を最近たびたび目にすることがあります。やがて、雨が過ぎ去った後、川の水位が平常に戻ると、局所的に土砂が堆積している状況が目立つようになります。地域住民の方々からは、堆積した土砂が川に残ったままでは、今度大雨が来たときに、川から水があふれ出てしまうのではないかという心配の声が上がっています。 そのような中、昨年の秋以降、宇陀川や芳野川などで、以前から河川内に堆積していた土砂を取り除く工事が宇陀土木事務所によって進められています。大型ダンプが相当台数、現場を行き交い、かなりの区間できれいに土砂を取り除かれているのを見て、今まで河川に溜まっていた土砂の量の多さに驚いているところです。 また同時に、私も含め地域の方々は、このような県による防災・減災対策の即効性のある取り組みが、しっかりと成果としてあらわれてほしいと期待を寄せております。 そこで、県土マネジメント部長にお伺いいたします。 宇陀地域をはじめ、県内各所で河川に堆積した土砂を取り除く工事が進められていますが、宇陀地域を含め、今年度の県管理河川における堆積土砂撤去の取り組み状況についてお聞かせください。 次に、国道一六五号の重要物流道路の指定について、お伺いします。 奈良県の道路整備に関しては、県を南北に縦貫する京奈和自動車道、県南部の紀伊半島アンカールートなどの骨格幹線道路や企業立地の支援、まちづくりを進める上で必要な道路などを中心に着実に進んでいます。 県東部地域においては、国道一六五号が住民の生活道路や東西の物流道路として、また名阪国道のリダンダンシーとして道路網の重要な役割を担っており、私は以前から高規格化に向けての検討を進める必要があると要望してきました。 国土交通省では、平成三十年三月に平常時・災害時を問わない安定的な輸送を確保するため、国土交通大臣が物流上重要な道路網を指定する重要物流道路の制度が新たに創設されました。そして、平成三十一年四月には、全国の高規格幹線道路や直轄国道などの供用中区間が重要物流道路に指定されました。県内では京奈和自動車道や名阪国道などが重要物流道路に指定されています。 私は、昨年八月に知事の政府に対する提案・要望活動に同行しました。要望書には重要物流道路への指定箇所が四路線あり、この中には国道一六五号も入れていただいており、大変喜んでいます。この要望が実を結び、国道一六五号が重要物流道路に指定されたあかつきには、今後重点的な整備への機運が高まっていくものと考えています。 そこで、国道一六五号の重要物流道路の指定について、現在の状況を県土マネジメント部長にお伺いいたします。 次に、宇陀市とのまちづくり連携協定について、お伺いします。 奈良県では、まちづくり連携協定に基づいた県と市町村との協働によるまちづくりを進めてこられ、現在、県下二十七市町村との間で包括協定の締結に至っていると伺っています。各市町村において、まちづくりプランの策定が進み、プランの実現に向けた動きも出てきており、県内各所で具体的まちづくりが見えつつあると感じているところです。 私の地元である宇陀市においても、四地区でまちづくりに取り組むとした包括協定が県と結ばれており、県と宇陀市がともに課題として向かい合うこととして、まちづくりを進めておられます。それぞれの地区においては、県、市の職員をはじめ、地元の自治会や関係団体も参加して、まちづくりのプランについて議論が重ねられていると伺っています。 その一方で、宇陀市では、平成三十年十二月に宿泊事業者誘致事業・公園整備事業における宿泊事業者誘致を断念し、近鉄榛原駅周辺地区のまちづくりの方針を見直す必要が発生したことから、まちづくり連携協定の基本構想について、宇陀市で見直す考えであることが県に対して示されたと聞いています。 しかしながら一年以上が経過した現在も、宇陀市から奈良県に対して、新たな方針についての相談がなされていないとも聞いています。 そこで、まちづくり推進局長にお伺いします。 県では、宇陀市とまちづくり連携協定を結んで、ともにまちづくりを進めておられますが、宇陀市が近鉄榛原駅周辺地区のまちづくりに関する方針を見直すことについて、県に報告があったのでしょうか。また、方針の見直しについて、これまでにどのような検討をされてきたのか、お伺いいたします。 次に、宇陀市室生東里地域の水道施設について、お伺いします。 奈良県の水道事業は、水源の確保が進み水量を賄えるところに達しており、県営水道と市町村水道の連携を充実させる段階であると考えています。新県域水道ビジョンが平成三十一年三月に策定され、県域水道一体化の検討が進められているさなかのことであることを理解していますが、今後の対応を推し進める必要のある個所として、宇陀市の東里地区、とりわけ、無山、多田、染田の地域があります。宇陀市では平成二十九年四月に十四の簡易水道事業及び四つの飲料水供給事業が上水道事業に統合されましたが、この地区は旧簡易水道施設によって水が賄われ、住民の方々は日々この水に頼って生活しています。 この地域では、毎年のように水量が不足し、給水車での生活用水の確保に追われています。旧簡易水道施設の水源地は笠間川に隣接する井戸に頼っているのですが、川幅が狭く水量が乏しいので夏枯れを起こしてしまう状況にあります。地域の生活者に対する水道水の水量、水質の安定確保に向けて検討していく必要があると考えます。そして、この水道水の不足している地域は、奈良市の山間を源流として奈良市内吐山を通過後、宇陀市内の旧東里村に入る笠間川の上流部で面積的に広範囲にわたっています。 上流部の奈良市都祁吐山地区と下流宇陀市室生笠間地区では、それぞれ布目ダム、上津ダムからの水源により、水道水の供給を受け、生活に困ることはないのですが、その中間にある無山、多田、染田地域では困難な生活を強いられています。渇水期には給水車によって水は補給されていますが、茶色く濁ることや、バスタブに砂利がまざることもあり、台所や体を洗うときに安心できないとの悩みが届けられています。 まずは、旧簡易水道の施設の改良で対処できるかどうかの判定が必要と考えますが、基本的に、笠間川の水量が少なく、毎年渇水期のトラブルが常態化していることから、他の水源からの送水ルートについても、検討を加える必要があると思われます。この地区の水道水不足を解決するためには、まずは宇陀市が主体的に考えることであるとはもちろんわかっているのですが、奈良県の積極的な支援が必要と考えます。 そこで、他水源からの送水管整備を行い、水量、水質を確保するなど、宇陀市室生東里地域における水道水の安定確保のため、宇陀市と連携した県の積極的な支援が必要と考えますが、水道局長のお考えをお伺いいたします。 最後に、ICT機器を活用した教育について、お伺いいたします。 今日、教育を取り巻く多くの課題解決のためには、まず物理的な面からの改善が何よりも必要であり、そのための人的配置の改善は、多くの課題に対応するばかりでなく、教育の質的な側面をも改善する大きな要素であることは間違いのないところであります。 とりわけ、へき地教育に関わり、教育現場における教職員の定数の改善は従来より何度も要望を繰り返されてきた願いでもあります。 一方、ICT機器やネットワーク環境の進展は目覚ましく、教育現場において、これらを利活用することにより、さまざまな課題が解決されるとも考えます。ICT機器を活用した遠隔教育などは最たる例ではないでしょうか。 学校教育において、遠隔システムを効果的に活用した教育活動を一層取り入れていくことにより、児童生徒が多様な意見に触れ、さまざまな体験を積む機会をふやすなど、教育の質のさらなる向上につなげることが可能となります。 ICTの強みの一つとして、距離にかかわりなく相互に情報の発信・受信のやりとりができることが挙げられ、遠隔教育はこの強みを生かすものとして、県として推進すべきであると考えます。 さて、安心と成長の未来を切り開く総合経済対策が令和元年十二月五日に閣議決定され、GIGAスクール構想の実現として、校内通信ネットワークの整備と義務教育段階の児童生徒一人一台端末の整備のため、二千三百十八億円の補正予算が計上され、国会で可決されました。 本県における学校ICT環境の整備状況は、本年度の県議会で何度も取り上げられているとおりであり、全国的には低位に甘んじています。この機会を逃すことなく、全市町村において、今回の補正予算を最大限に活用し、おくれている学校ICT環境の抜本的な改善に取り組むことを求めます。 また、整備するICT機器について、その必要性・重要性については、教職員のみならず、保護者にもしっかりと理解していただくとともに、全教職員が効果的に利活用し、本県教育の質がさらに向上するよう対策を講じることを求めます。その際には、教員のICT機器活用に対する慣れ、不慣れにより、子どもたちの教育機会の均等が損なわれることがないよう、万全の体制を整えていただきたいと考えます。 そこで教育長にお伺いします。 予測困難な変化の激しい社会を生きる子どもたちに必要な資質、能力を育むためには、教育におけるICT機器の活用は必要不可欠と考えますが、へき地教育におけるICT機器の活用についてどのように考えておられるのでしょうか。また、奈良県におけるICT教育をどのように進めようとしておられるのか、ICT機器を活用した授業に対する教職員への研修も含め、具体的な計画をお聞かせください。 以上で、壇上からの一般質問を終わります。 ご清聴いただきまして、誠にありがとうございました。(拍手)
    ○議長(粒谷友示) 鶴田医療政策局長。 ◎医療政策局長(鶴田真也) (登壇)二十一番田中議員より、私には各医療機関における情報セキュリティー体制の構築について、県としてどのような支援を行っているのかとご質問いただきました。お答えいたします。 県内医療機関の電子カルテシステ厶がコンピューターウイルスに感染した事例を受けて、まず平成三十一年三月に病院の経営者向けに研修を行い、情報セキュリティー対策への注意喚起を行いました。その上で、医療機関の情報セキュリティー体制の強化にも取り組んでおります。 具体的には、医療機関における情報セキュリティー体制の現状や課題を把握するため、モデル病院として三病院を選定し、専門家による情報セキュリティー評価を行いました。 その評価の結果として、電子カルテなどの情報システム上の資産が適切に管理、把握されており、ウイルス対策ソフトなどの導入をされていることが確認できました。一方で、システム管理を委託業者や担当者の能力に頼る部分があることや、外部から攻撃があった場合に早期収束に向けた行動について組織的対応ができない可能性があるなどの課題が明らかとなりました。 そこで、病院の情報セキュリティー担当者向けに、昨年十一月と本年二月に研修を実施し、課題に対する注意を促すとともに、危機発生時の対応シミュレーションを通して、危機対応力を持った人材の育成を支援しました。 さらに、組織対応への支援として、医療法に基づき、保健所が各病院に対して定期的に実施している立入検査の際に、今回の評価で得た知見をもとに、例えば危機発生時のマニュアルの整備や、職員研修の実施などを確認し、助言することにしております。今後もさまざまな課題を通じて、医療機関の情報セキュリティー体制の構築を支援してまいります。ご質問ありがとうございました。 ○議長(粒谷友示) 杉山農林部長。 ◎農林部長(杉山孝) (登壇)二十一番田中議員から、私には二問ご質問をいただいております。 まず一問目でございます。みつえ高原牧場の整備をどのように進めていくのかというご質問でございます。お答えをさせていただきます。 みつえ高原牧場は、平成十三年度のオープン以降、平成三十年度までの十八年間に約一千五百頭の優良和牛の素牛を生産し、県内の畜産農家に安定的に供給しております。また、畜産農家の乳用牛を一定期間牧場で預かることで、農家が余裕を持って農場を運営できるよう、支援しております。 平成二十八年度から約三十四ヘクタールの未利用地の活用について検討を重ねてまいりましたが、これまでの役割に加えて、県内産大和牛の生産及び育成拠点、地域の観光交流拠点として整備することとし、今般、奈良新「都」づくり戦略2020に位置づけたところでございます。 具体的には、県が造成をする三区画の団地に、畜産農家を誘致し、県のブランド牛である大和牛や乳用牛の生産拠点とすることで、本県の畜産振興、あわせて県東部地域の振興を図りたいと考えております。 このため、来年度は団地の運営に必要となる水源地調査を実施するとともに、団地への参入意向を示している畜産農家の方々と具体的な協議を進めることとしております。 なお、観光交流拠点のあり方については、衛生管理の徹底が畜産団地の運営に最も重要であることを十分踏まえた上で、まちづくりに関する包括協定を締結しております、御杖村の意見も伺いながら検討してまいります。 二点目でございます。県として薬用作物の生産振興にどのように取り組んでいるのかというご質問でございます。薬用作物の中で、本県にとって特に重要な品目であるヤマトトウキについて、令和元年の作付面積は三・二ヘクタールと、漢方のメッカ推進プロジェクトを立ち上げた平成二十四年に比べ、約二・七倍に増加しております。しかし、初めてヤマトトウキの栽培に取り組む生産者が多いことから、栽培途中で株を枯らすなどの要因により、単位面積当たりの収穫量、いわゆる収量が低く、十分な収益が上がっていないことが課題であると認識しております。 このため、県の農業研究開発センターでは収量を上げる追肥の方法や株枯れを防ぐ研究などに取り組んでおり、これらの技術をまとめたヤマトトウキ栽培マニュアルを平成二十九年度に作成し、各産地に設置した収量アップの展示ほ場や情報交流会等を通じて、栽培技術の普及指導を行っております。 また、ヤマトトウキのほか、大和野菜研究センターでは宇陀地域に適した薬用作物として、カノコソウの多収栽培や、トウスケボウフウの苗生産などの研究を進めています。来年度は新たにヤマトトウキの収量向上につなげるための排水対策を支援するとともに、ヤマトトウキ以外の薬用作物の展示ほ場を設置する予定でございます。 今後とも薬用作物の研究開発と、その技術の普及に取り組み、生産者のより一層の収益向上を図ってまいります。以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(粒谷友示) 山田県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(山田哲也) (登壇)私にも二点、質問がございました。 一つ目が河川の堆積土砂の撤去の取り組み状況についてでございます。河川の堆積土砂の撤去についてでございますが、河川の危機管理について県内各地域の方々からさまざまな要望をいただいております。堆積土砂撤去の考え方でございますけれども、水防上重要な河川では、河川断面のおおむね一割以上を阻害している箇所、その他の河川では阻害率の高い箇所において計画的に撤去を実施することにしてございます。これが考え方でございまして、特に今年度は維持管理費の県単独費を増額いただいております。本当にありがとうございました。このお金と国の防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策予算も活用しまして、堆積土砂が県全体で九十一河川、百七十四カ所、比率ですと、昨年度の三倍程度の土砂の撤去を予定しております。 議員お述べの宇陀川では二カ所で約一万五千立方メートル、芳野川では三カ所で約三千三百立方メートルの堆積土砂の撤去を昨年十二月から実施しております。芳野川の支川の宇賀志川、佐倉川においても同様に撤去を進めてございます。 河川の維持管理も含めまして、公共事業は安定的かつ計画的に実施することが重要でございます。今後とも必要な事業が着実に実施できるよう予算確保に努め、県民の皆様のご期待に応えられるように努力してまいります。 二点目が重要物流道路制度についての現状のお問い合せでございました。重要物流道路制度でございますけれども、いわゆる平常時も災害時もそれを問わずに安定的な輸送を確保するために、国土交通大臣が物流上重要な道路輸送網を指定する、そういう制度でございます。指定された重要物流道路は、整備や機能強化について国が重点的に支援を行うと定義づけられてございます。 今の状況ですけれど、昨年四月に全国でいわゆる高規格幹線道路とか、直轄国道で供用中の区間、今通っている区間が重要物流道路に指定されてございます。県内では西名阪自動車道、京奈和自動車道の郡山下ツ道ジャンクションから橿原北インターチェンジ及び橿原高田インターチェンジから和歌山県境など、いわゆる供用しているところを約百九十五キロメートル指定されてございます。県では先ほどお話がありましたように、昨年八月と十一月に知事に令和二年度政府予算要望を言っていただきまして、国道一六五号を含む四路線の指定を要望いただいております。 今後の見通しですが、聞きましたところ、事業中の道路や計画中の路線を含めた重要物流道路の指定は国土交通省からは今年度以降の予定になると聞いてございます。以上です。 ○議長(粒谷友示) 増田まちづくり推進局長。 ◎まちづくり推進局長(増田哲司) (登壇)二十一番田中議員から私には、宇陀市が近鉄榛原駅周辺地区のまちづくりに関する方針を見直すことについて、県に報告はあったのか、また方針の見直しについて、これまでにどのような検討してきたのかとのご質問でございます。 県と宇陀市は平成二十七年十二月に近鉄榛原駅周辺、宇陀松山周辺、うたの古市場周辺、室生寺門前及び室生口大野駅周辺の四地区においてまちづくりに取り組むことを定めた包括協定を締結しております。このうち近鉄榛原駅周辺地区につきましては、平成三十年十二月に宇陀市において、宿泊事業者の誘致を取りやめ、公園事業を見直す方針を決定され、まちづくりの方針も見直す予定との報告を市から受けました。しかし、その後、県からは定期的な進捗確認を行っているものの、市からは同地区のまちづくりの方向性についての具体的な相談がないまま現在に至っています。 今後、宇陀市において早期にまちづくりの方針見直しが検討され、県に協議あるものと考えておりまして、市の考えを十分にお聞きした上で適切に対応してまいりたいと考えております。以上でございます。ありがとうございました。 ○議長(粒谷友示) 青山水道局長。 ◎水道局長(青山幸嗣) (登壇)二十一番田中議員から私には宇陀市室生東里地域の水道水の安定確保について、宇陀市と連携した県の積極的な支援についてでございます。お答えいたします。 本地域の水道水の安定確保に向けましては、まずは既存の旧簡易水道施設の水源や浄水施設の改良による整備について、議員お述べのとおり、宇陀市が主体的に検討していただくことが必要と考えております。しかし、必要な水量の確保や適正な水質の維持ができない場合も想定されることから、県営水道や隣接する市など、他の地域からの送水方法もあわせて検討する必要があると考えております。 現在、奈良県では県域水道一体化について県と宇陀市を含む二十八市町村を構成メンバーとして、県域水道一体化検討会を立ち上げ、事業統合を前提とした浄水場の統廃合や送配施設の効率化について検討を進めております。 本地域のような旧簡易水道などの小規模水道が散在する中山間地域におきましては、例えば浄水場を廃止し、他の水源から送水した場合、送水距離が長くなるため、かえってコスト高になり、既存施設を適正規模にダウンサイジングして存続させる方が有効な場合があることから、費用対効果の観点からの検討も必要となります。上水道事業を行う二十八市町村には宇陀市同様、上水道に統合された旧簡易水道施設の課題を抱えている市町村が存在するため、まず県及び関係市町村で一定の整備方針を決めた上で県域全体での施設投資の最適化の観点からも検証していくことを考えております。 本地域における水道水の安定確保に向けて、経済的かつ安全性の高い整備手法について、今後、県域水道一体化の中で宇陀市や関係市町村とも十分な連携を図りながら、検討してまいりたいと考えております。以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(粒谷友示) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)二十一番田中議員のご質問にお答えいたします。 私にはICT教育の推進について、へき地教育での推進も含めてお尋ねでございます。 ICTを活用した新しい教育スタイルは、へき地教育の充実に大きく貢献するもので、来年度には三郷町と野迫川村で中学校技術の遠隔授業を実施し、専門性の高い授業の実現と、生徒の学びの質の向上を図ることといたしております。 また、文部科学省では、昨年十二月にGIGAスクール実現推進本部を設置し、子どもたち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育むICT環境の実現に向けた取り組みが推進されることになりました。 県教育委員会では、昨年十二月末に市町村教育長を集め、高速大容量のネットワーク、児童生徒一人一台の情報端末を整備する国の令和元年度補正予算について説明会を開催いたしました。 現在、ネットワークにつきましては、三十六市町村が令和二年度中に国の補正予算などを活用して整備する予定であり、このことにより、全ての普通教室でのICT機器の活用が可能となります。 今後、情報教育、教科指導におけるICT活用、校務の情報化、この三つの柱とする教育の情報化を推進するため、教育研究所に新たな部を設置し、延べ三千人の研修講座の開講を予定いたしております。特にへき地においては、ウエブで研修できる環境を構築する準備も進めております。 本県教員のICT活用能力は、全国ランクで依然として四十位台と低位にございます。来年度新たに三つの取り組みを実施し、その向上を目指します。 一つ目は、グーグルによる新学習指導要領に向けたクラウド準備セミナー@奈良を開催いたします。 二つ目は、教員採用の二次試験でICT機器を活用した模擬授業を校種、教科に応じて段階的に導入してまいります。 三つ目は奈良県版教員のICT活用指導力チェックリストを作成し、活用を促します。 これら三つの取り組みで教員の意識改革に全力で取り組んでまいります。以上でございます。どうもありがとうございました。 ○議長(粒谷友示) 二十一番田中惟允議員。 ◆二十一番(田中惟允) ありがとうございました。 宇陀市の医療のカルテの問題ですけれども、実は市の職員が自殺を図るという衝撃的なことがありました。そういうことが生じるぐらい、やはり内部で問題に対する認識の違いであったり、解決策の十分図られてないものがあったりとか、必ずしも地方自治体の中でこういう問題に対する対応の仕方というのがきちっとできてないという感想を持っているがために質問をさせていただきました。 特に医療の問題については、そういう感想のもとに質問させていただいたのですが、宇陀市立病院でこういう問題が発生しましたので、県立医科大学附属病院は大丈夫かという気持ちがございますので、具体的なことを申して恐縮ですが、県立医科大学附属病院についてもう少しどういうふうな形でやっているのか、ご答弁をいただけたらと思います。 ○議長(粒谷友示) 鶴田医療政策局長。 ◎医療政策局長(鶴田真也) 県立医科大学附属病院のセキュリティーシステムがどうなっているのかということでご質問をいただきましたので、回答させていただきたいと思います。 県立医科大学付属病院の電子カルテシステムは、インターネットとつながっていない独立したネットワークで運用しています。また、システムに接続する各端末にはウイルス対策ソフトを導入しているほか、USBメモリーなど、外部記録媒体は利用できない仕組みを導入しているなど、複合的なコンピューターウイルス対策を実施しております。 また、情報セキュリティー体制につきましては、副理事長を法人全体の統括責任者とし、病院長を附属病院部門の責任者とした体制を既に構築し、しっかりしたガバナンスの体制のもとで行っています。この体制のもと、情報セキュリティーに関する基本方針と対策基準などの見直しや職員研修の実施などの各種セキュリティー対策を継続して徹底して取り組んでいるというのが県立医科大学附属病院の状況になります。私からは以上です。 ○議長(粒谷友示) 二十一番田中惟允議員。 ◆二十一番(田中惟允) ありがとうございました。 まだまだ発展する可能性をたくさん抱えている課題の多い宇陀地域でございますので、理事者の皆様におかれましては、どうぞ政策の光を宇陀に当てていただきますよう、お願いいたしまして終わります。 ○議長(粒谷友示) しばらく休憩します。 △午後二時二十九分休憩    -------------------------------- △午後二時四十九分再開 ○副議長(森山賀文) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、十八番清水勉議員に発言を許します。--十八番清水勉議員。(拍手) ◆十八番(清水勉) (登壇)では、議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。 県議会二期目ではございますが。初めて一般質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 まず、この本でございます。紀伊半島大水害のときを契機に、平成二十六年三月に発刊されました、歴史から学ぶ奈良の災害史です。この巻頭で荒井知事は次のように述べられております。一部分を紹介させていただきます。 紀伊半島大水害は、明治の十津川大水害と台風の進路や大規模な土砂災害が多発した点など酷似していました。災害は繰り返すと言われていますが、私たちはこの災害で経験したことを教訓とし、次世代に継承することが重要なことを改めて知りました。過去の災害を知り、災害に備えることは、危機管理上欠かせないことだと思います。もう一度言います。過去の災害を知り、災害に備えることは、危機管理上欠かせないことだと思います、こう記されております。そして、この奈良の災害史の監修をされました牛山素行静岡大学防災総合センター教授は、奈良県の自然災害史から学ぶこととして、巻末で次のように記されております。 奈良県においても、過去には実にさまざまな災害が起こっている。自分が居住する地域の過去の災害の経験や伝承は大変重要なものだが、それだけではごく限定的な知見しか得られない。広くほかの地域で発生した事象に関心を持ち、自然の姿を知ることが大変重要である。中略をいたします。 自然災害に伴う被害の中で、最も主要な被害は人的被害(死者・行方不明者)であると言って過言でない。 人的被害の軽減には、犠牲者がどのように遭難したかを詳しく知ることが重要である。災害時の人的被害発生状況に関してはイメージが先行して被害実態とずれていることが少なくない。 例えば、積極的に避難が行われたから犠牲者が出なかったという話は災害時によく聞きます。しかし、本当に避難したので犠牲者が出なかったのか、犠牲者が出るような現象がそもそも発生していなかったのかは、はっきりとはわからないことも多い。災害のときには避難所へという固定的な考え方を脱却する必要があることも近年は強調されている。災害時にどのような行動をとることが適切かは、災害の種類や状況によって異なる。被害を軽減していくためには、過去の災害に学ぶとともに、それぞれの土地がどのような地形にあるのか、どのような災害が起こり得るのかを知っておくことが大変重要であると、こう締めくくられております。 荒井知事の巻頭挨拶と同じく、牛山先生も過去の災害、地形、災害発生のリスクについて述べられております。 次に、最近の奈良県で発生しました水害のほんの一部を振り返り紹介させていただきます。 昭和五十七年七月三十一日から八月三日にかけて発生しました水害、土砂災害、大和川大水害発災時は、死者十四人、行方不明者二人、負傷者三十八人、建物被害一万三千五百三十棟でした。このときの奈良での雨量は、三十一日から一日の一回目が累積で約百六十ミリメートル、二回目の降雨ですが、二日から三日にかけて累積約百五十ミリメートルでした。 平成二十三年八月三十日から九月四日にかけて発生しました水害、土砂災害、紀伊半島大水害発災時の死者は十四人、行方不明者十人、負傷者六人、建物被害百八十四棟で、残念でございますが、今もなお行方不明の方がいらっしゃいます。 平成二十五年九月十六日の台風十八号では、大和川藤井地点観測所水位が九・一二メートルとなり、過去最高を記録しております。 平成二十九年十月二十二日から二十三日にかけての台風二十一号では、県内各所で浸水被害が発生し、私の地元でございます王寺町でも、床上浸水三十棟、床下浸水六十六棟の被害が発生しました。この日の王寺地点水位観測所では昭和五十七年の大和川大水害時の最高水位七・五四メートルを上回る最高水位八・一四メートルを記録しております。このときの奈良県の累積降雨量は二十四時間で百九十六・五ミリメートルでした。 そして、昨年の十月十二日から十三日にかけての台風十九号、消防庁が本年二月十二日に発表しました内容を申し上げます。災害関連を含む死者九十九人、行方不明者三人、負傷者三百八十一人、住家被害では全壊三千二百八十棟、半壊二万九千六百三十八棟、一部損壊三万五千六十七棟、床上浸水七千八百三十七棟、床下浸水二万三千九十二棟、公共建物被害が百八十七棟、住家以外が一万三千五百五十棟、被害地域にあっては実に東北地方から兵庫県まで十三都県の広範囲に及んで、多くの地点で過去最高の降雨量を記録しております。一例を申し上げますと、神奈川県箱根町では累積一千一・五ミリメートル、静岡県伊豆市湯ケ島では七百六十ミリメートル、埼玉県秩父市秩父では五百四十五・五ミリメートルなどです。長野県に住んでおります私の知人はリンゴ農家を経営しておりますが、洪水により壊滅的な被害を受け、復旧には数年を要することが必要だと、こう聞き及んでおります。 国土交通省近畿地方整備局は、水害への意識を高め、命を守る行動をするために平成二十八年五月に想定最大規模の大和川洪水浸水想定区域図を公表され、同時に奈良県におきましても、大和川水系十四河川流域の洪水浸水区域を公表いたしております。 皆さんには配付している資料をご覧いただきたいと思います。 王寺町藤井地域から斑鳩町目安付近までの想定最大規模の洪水浸水想定区域図が資料一でございます。そして計画規模洪水浸水区域図が資料二であります。浸水継続時間図が資料三をつけさせていただいております。想定最大規模の前提となる雨量は十二時間で三百十六ミリメートル、計画規模の前提となる雨量は十二時間で百六十四ミリメートルとして作成されていますが、いずれの場合もこの地図を見ていただいたらわかりますが、王寺町の大和川と葛下川に挟まれている部分の多くは、どちらの条件であっても、この条件の降雨が発生すれば広範囲に浸水被害が発生することを示しております。 三番目の浸水継続時間では、大規模遊水地が計画されております斑鳩町目安付近、図面にもございますが、一日もしくは十二時間から一日の間で浸水は解消する。このブルーの濃い部分です。そして、王寺町舟戸、久度、王寺本町一丁目地域は、一日から三日間を要する。そして、右岸側の三郷町では三日から一週間の地域があることを示しています。オレンジ色の場所です。凡例が小さくて非常に読みにくいのですが、その凡例を参考にしていただいたらと思います。 そして、計画規模の雨量は百六十四ミリメートルに対する説明書で二百年確率降雨相当と示されております。実は二百年確率だから二百年に一度しか発生しないと誤解をされている方が多いかもしれません。確かに計画規模では、統計計算上、確率が二百年に一度でございます。十二時間で百六十四ミリメートルの雨が降れば、必ず洪水が発生して浸水被害が起こることを示していることもご理解いただきたいと思います。 もし、昨年の台風十号のコースが数百キロメートル西側に進んでいたと、これはあくまで仮定ですが、奈良県と同じ内陸県であります、先ほど紹介しました埼玉県秩父市秩父での二十四時間降雨五百四十五・五ミリメートルと同様の雨が奈良県北部に降り注いだかもしれません。そのときは、大和川水系に今までにない甚大な被害を起こしていたものと想像されます。 これらのことを踏まえまして、質問に入らせていただきます。 まず一問目は、荒井知事に、九年前の東日本大震災の教訓と今後において、いつかは必ず発生する南海・東南海沖大地震に備え、令和二年度予算においても、引き続き五條市内に大規模広域防災拠点の整備計画の予算を計上されております。その概要は、主として五條市内のプレディアゴルフ場を計画地として、第一期が広域防災拠点の応援要員受け入れ機能、そして空輸機能を確保するために平場を確保することとなっており、第二期は複数の回転翼機が同時に運用できるよう六百メートル級滑走路を有する大規模広域防災拠点を計画されています。そして、第三期は大量の物資輸送が可能となる固定翼機が利用可能となる二千メートル級滑走路を有する大規模防災拠点へと拡大するとされており、同時に京奈和自動車道五條西インターチェンジから広域防災拠点を経由して国道一六八号にアクセスする道路計画も計上されております。 この拡張計画は、リニア中央新幹線からの発生残土の利用、国道一六八号における山岳トンネル工事等からの発生残土利用、そして京奈和自動車道大和北道路地下トンネル部分からの発生残土の利用、さらに河川浚渫工事土砂などの再利用を行うことで、広域防災拠点の盛り土材料として利用を計画されております。それぞれの工事の工程と合致しなければ、これらを利用することは非常に難しいかもしれません。計画段階であり個別の詳細は多少の変更があるかもしれませんが、第一期、第二期、第三期、アクセス道路別の事業手法と財源計画について、現時点でのお考えを知事にお伺いいたします。 第二問目は、先ほども一部を紹介しましたが、昨年十月十二日から十三日にかけて伊豆半島に上陸しました台風十九号、名称はハギビスですが、これは、長野県、関東地方、東北地方に甚大な被害を及ぼしております。奈良県内の大和川直轄部分及び県管理河川において、既に河川整備計画がそれぞれ策定されていますが、今後において昨年の台風十九号を上回る勢力の超大型台風の発生も危惧されております。平成の緊急内水対策とあわせて大和川流域市町村が一体となって市街地における浸水を含めた内水対策に取り組み、保水力の向上をさらに図る必要があると考えております。 そこで、県土マネジメント部長にお伺いいたします。 奈良県内の大和川流域全体の治水安全度の向上と市町村の内水対策の個別課題に対応するためには、現在推進されています平成緊急内水対策事業、実施中の総合治水対策事業を含めて、さらなるためる対策のグレードアップが必要と考えます。そのためには、水田貯留や既存の農業用ため池の気象状況に応じた事前放流による保水力の向上をさらに推進することも必要と考えます。 また、今後、各市町村個別の内水対策に対処するためにも、公共下水道事業による貯留施設の整備が最も財源的に有利だと考えますが、県として大和川流域市町村に対して、ためる対策を推進していくのか、どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。 また、二〇二二年には生産緑地制度が当初指定から三十年が経過いたします。農家の高齢化、後継者不足による離農によって、生産緑地指定を解除されると同時に、土地の宅地化が進むものと予想されます。 そこで、保水力の確保や災害時の空地確保が必要と判断される市に対して、所有者からの買い取り申し出があった場合の支援体制などについて検討することも必要ではないでしょうか。 昨年四月一日時点で、生産緑地は県下十二市において五百七十一・八五ヘクタール、三千三十六カ所が指定されております。それぞれ全てに田んぼダムの構造を適用すれば、かん水高さ十センチメートルの保水力があると仮定すれば、約五十七万トンもの保水が可能となりますので、ぜひとも生産緑地制度保持による保水力保全の制度設計を含めた研究を、部局を超えて実施していただきますよう要望しておきます。 次に、逃げる対策について伺います。 洪水に対しては、多くの地点での水位計増設や可視化を推進していただいたことにより、各市町村は正確な避難勧告や避難指示の発令時期の予測が可能となっております。また、各市町村では洪水ハザードマップなどで広く住民に周知されていますが、多くの災害で実証されていますように、自分は大丈夫という正常性バイアスにより、適切な避難が行われない現状がございます。この正常性バイアスを防ぐため、逃げる対策について、さらなる仕組みづくりに市町村とともに取り組む必要があると考えますが、その際、避難所などの場所によっては単独の市町村だけで検討するのではなく、隣接する市町村同士の連携も必要と考えます。災害時における正常性バイアスを防ぎ、適切な避難が速やかに安全に行われるよう、逃げる対策にどのように取り組むのか、市町村への支援策を含め、危機管理監にお伺いいたします。 四点目の質問は、西和地域において二次救急を受け入れる重要な中核病院であります西和医療センターの今後についてお伺いします。 西和医療センターは、昭和五十四年四月一日に県立三室病院として開院してから四十一年になりますが、西和地域の中核救急病院として地域の県民に今も広く愛されております。平成三十一年四月一日現在の西和医療センターの概要は、病床数三百、医師五十二名、看護師三百十四名をはじめ全職員四百七十七名体制で二十三科の診療科を運営されております。敷地面積は一万九千七百四十四平方メートル、センター本館建築面積一万八千七百九十六平方メートル、駐車台数百八十五台の規模で、平成三十年度の一日平均外来患者数は六百二十九人です。この西和医療センターのあり方検討が令和元年度から実施されておりますが、関連して次の各点について医療政策局長にお伺いいたします。 一点目、病院本館南病棟の耐震応急対応の設計費が令和二年度予算に計上されましたが、応急対応により現状の耐震性能D判定からどの程度の改善が期待できるのでしょうか。また、応急工事の実施に当たっては、入院患者の方々への配慮が必要と考えられますが、どのような対策を考えられているのでしょうか伺います。 二点目です。あり方検討では、病院の移転も含めて検討されるとのことで、移転先の候補地として王寺駅周辺地区まちづくり基本構想で王寺駅南側電車留置線部分を含めて候補地として検討されています。ところが、王寺駅周辺を含めて王寺町の大和川と葛下川に挟まれた部分の大部分が大和川洪水浸水想定区域であります。先ほどお見せしました図面のとおりでございます。一定の降雨により洪水が発生する地域であることを理解した上で奈良県が候補地の一つとしてされているのか伺います。 三点目は、移転候補地であります王寺駅南の周辺道路の令和元年度路線価についてお話させていただきます。 周辺道路は、一平方メートル当たり十五万五千円、坪当たりに直しますと、約五十一万円になります。商業地域でもあり、仮に西和医療センターと同等の床面積二万平方メートルの事業系、住宅系の建築物ができれば、自治体にとっての生命線であります地方税、固定資産税や住民税などの一定確保が図られることとなるわけですが、王寺駅周辺地区まちづくり基本構想の策定に当たって、西和医療センターは地方税法弟三百四十八条の規定に該当する施設であり、固定資産税を課することができないことを王寺町は了解済みなのでしょうか、また、その議論をされたのか伺います。 昨日、荒井知事は奈良県下の市町村の財政状況が悪いことに対して、自治体のお財布状況について述べられました。出を制し、入りを量ること、いわゆる歳出を抑制し、独自財源を確保すること、これが各自治体のお財布をよくする、こうおっしゃっておりました。全く私も同感でございます。私は駅前の商業地域に大きな財源となるであろう事業系施設の建設を計画すべきではないかと、こう考えております。 テレビをご覧の方に地方税法第三百四十八条の書き出しの部分、一部だけを紹介いたします。 同法の第一項に、市町村は、国並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合、財産区及び合併特例区に対しては、固定資産税を課することができない、こう記されております。 四つ目です。西和地域の二次救急を受け入れる中核病院であります西和医療センターを日当り乗車客約二万四千人が集中する奈良県の西の玄関口でありますJR王寺駅南側にもし全部移転をする場合の大きなメリットは何なのでしょうか。 私は、人が集中する場所には、今回の新型コロナウイルスなどの感染症に対するリスクが非常に大きいと考えます。先ほど申しました受診されます六百人以上の外来患者さんにとっても、同じ不安要素ではないでしょうか。 最後に、西和医療センターは西和地域の方々が主に利用されておりますが、今後、王寺駅南に移設を計画する場合には、事前に奈良県、王寺町、そして王寺駅周辺関係市町での議論が必要と考えますが、この点について、いかがでしょうか。 最後に、受動喫煙対策について要望をいたします。 二〇一八年七月に健康増進法の一部を改正する法律が成立しました。本年四月一日より全面施行され、事業者の皆様だけでなく、国民の皆様におかれても、望まない受動喫煙を防止するための取り組みがマナーからルールに変わります。たばこ一箱の税負担は実に六三・一%です。奥山議員、ありがとうございます。 第一種施設、第二種施設においても、適切な対策を実施されるよう全ての関係者へ周知徹底されるよう要望して壇上での質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(森山賀文) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)十八番清水議員のご質問がございました。私に対しては大規模広域防災拠点整備についてのご質問でございます。お答え申し上げます。 災害の歴史を振り返られまして、他市に学ぶ、歴史に学ぶ必要性を強調されました。想定しております大規模災害拠点は紀伊半島を襲ったことのない規模の災害を想定しており、奈良県の災害の歴史だけでは間に合わない、南海トラフ巨大地震の場合は想定を超える災害が発生すると思いまして、東日本大震災の教訓から学ぶというのが一つのポイントでございます。その大規模性と空からの救難救助という点が入っております。このような大規模災害発生時に備えまして、救助要員の集結、救護物資の集積・配送機能などを有する広域防災拠点の整備はぜひとも必要であろうと思います。 また、紀伊半島全体の後方支援拠点としての立地も可能だと思いますので、大量の物資を搬送できる最新の輸送機の離発着ができる滑走路を有する大規模広域防災拠点の整備は空からの救難救助という観点から、新しい必要な方式だと認識しております。南海トラフ巨大地震を想定していると申し上げましたが、議員お住みの王寺近辺の大水害の場合にも、空からの救助は発動できるものでございます。海上保安庁の空からの救助の能力をよく知っておりますが、海上での救助は陸上の救助に比べてはるかに難しいものでございます。陸上の人を救難救助するということも必要なことが発生することを想定しております。ボートで救助されました乾議員もヘリコプターで二階から救助される可能性も想定して、この大規模広域防災拠点の整備を取りかかりたいと思っております。ちょっと重さが違いますが。 当該事業は大規模な盛り土工事が想定されます。ちゃんとできるのかというご質問でございます。全体の整備にはまた時間を要しますので、三期に分けて段階的に整備をする構想を持っております。防災拠点の効果を早期に発現することが必要でございます。南海トラフ巨大地震に襲われない前に、少なくとも防災拠点の整備ができないかと念じております。そのため、一期、二期、三期に分けてということでございますが、一期、二期の事業を優先的に進められないかということで、地元の調整に入っているところでございます。その際の財源確保でございますが、現行の緊急防災・減災事業債の延長や対象事業の拡充を引き続き国に要望していきたいと思っております。また、事業間の連携・調整により、他の公共事業で発生する建設残土の有効活用を行うなど、コスト削減方策も検討しております。 議員もお述べになりましたように、公共工事からの発生土砂を利用するというのが一つのポイントでございます。一期におきましては、プレディアゴルフ場近辺の切り土、盛り土を利用したいと思います。二期工事におきましては、今、事業化が決まり、工事着手の調査を行っております近隣の国道一六八号の新天辻のトンネルの土を利用したいと思っております。三期になりますと、大きな土砂が要りますので、リニア中央新幹線の発生土砂、またこれは七年後ぐらいの工事が開始されますけれども、その前に環境影響評価の土砂も発生する可能性もございます。また、京奈和自動車道の大和北区間のトンネル部分の土砂なども利用できたらと思っております。 さらにこの地域を見てみますと、国道一六八号と京奈和自動車道、五條西インターチェンジに大変直結性がございます。京奈和自動車道の五條西インターチェンジから市街地を経由しないで、この二見という郊外を経由して大規模広域防災拠点につながり、国道一六八号に継続するアクセス道路があれば、大変いい道路になるということから、アクセス道路の整備も必要かと考えております。このようなアクセス道路につきましては、五條市長からも必要性を要望されましたので、五條市で事業実施に向けた関係者の協力について調整をいただけるということも確認できてきておりますので、昨年十一月に県の調査路線として決定いたしました。現在、具体的なルートや構造の検討を進めているところでございます。 このような南海トラフ巨大地震発生のリスクが指摘されておりますので、地元五條市と緊密に連携し、一刻も早い防災拠点の整備、その機能の発現を目指して大規模広域防災拠点の整備を進めたいと考えております。私に対する質問は以上でございました。 ○副議長(森山賀文) 山田県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(山田哲也) (登壇)私には大和川水系の水害対策ということで、平成緊急内水対策事業とか、総合治水対策事業も含めて、さらなる対策のグレードアップをどういうふうにするのかと、具体的に水田貯留、ため池の事前放流、公共下水道事業による貯留施設の整備という提案もいただきました。どのように進めていくかというご質問だと思っています。 県では、これまでも大和川流域の浸水被害軽減について、ながす対策とためる対策を組み合わせて推進してございます。ためる対策につきましては、お話にもありましたが、平成三十年度より奈良県平成緊急内水対策事業を推進しており、現在、百年に一度の大雨にも耐えられることを目標にグレードアップの検討も行っているところでございます。 議員からお話のありました、まず水田貯留でございますが、平成二十九年から着手して、今、二十二カ所で実施してございます。ため池の事前放流による空き容量の確保も現在二十カ所強ぐらいで実施されていると聞いてございます。また、お話にありました公共下水道事業による貯留施設でございますけれども、緊急対策としては全体計画の策定手続等に時間を要するという課題はございますけれども、昨年十二月に市町村長サミットを開催してございまして、その中でも、ためる対策のグレードアップ対策メニューの一つとして、市町村にお話はさせていただいてございます。今後、平成緊急内水対策事業のグレードアップも含めまして、大和川流域全体の治水安全度を向上するため、引き続き、市町村とこういった対策とか、取り組み事例を共有することと、あと市町村の意向も踏まえながら、計画策定、そういったところに技術不足の市町村もございますから、技術的な支援を行うなど、連携をさらに強化して、ためる対策に取り組んでまいりたいと考えてございます。以上です。 ○副議長(森山賀文) 杉中危機管理監。 ◎危機管理監(杉中泰則) (登壇)十八番清水議員のご質問にお答えいたします。私に対しては、災害時の逃げる対策にどのように取り組むのかというお問い合せでございます。 昨年の台風十九号による関東甲信地方、東北地方を中心とした災害では、ハザードマップや避難先についての理解不足、また避難をしない、避難が遅い人が多かったことなどが被害を拡大させました。現在、進めております奈良県地域防災計画の改定では、近年の災害でも大きな課題となりました避難を一番のポイントとしております。いわゆる正常性バイアスによる避難のおくれが生じないよう、みずからの命はみずからが守る意識の徹底と、正しい避難の行動を周知すること、地域の危険性についての理解促進のため、ハザードマップの内容が正しく住民に伝わるよう努めることなど、県、市町村、住民が取り組むべき内容を取りまとめています。 既に新しい取り組みといたしまして、昨年九月に桜井市の忍阪地区におきまして、専門家の助言のもとに、住民が参加して、地域の災害リスクや避難経路を確認するなど、実際の災害を想定しました実践的な避難訓練を行っております。 県では、この訓練結果を取りまとめまして、市町村や住民の皆様が避難訓練を実施する際の手引きとして活用できますように、避難訓練マニュアルを作成しております。今後、このマニュアルを活用しまして、県内各地で実践的な避難訓練を実施することにより、住民の皆様の意識醸成を図り、適切な避難行動を身につけていただくことを期待しております。これからも地域防災計画をもとに、市町村と連携して、みずからの命はみずからが守るという意識の徹底、正しい避難行動についての周知啓発、避難訓練などの取り組みの継続的な実施を通じまして、県民の大切な命を守る取り組みを進めてまいります。以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(森山賀文) 鶴田医療政策局長。 ◎医療政策局長(鶴田真也) (登壇)十八番清水議員より、私には西和医療センターの今後について、耐震をどのように進めるのか、また移転先の候補地である王寺駅周辺へ移転を考えた場合の各種論点についてご質問いただきました。順次お答えさせていただきます。 西和医療センターの病院本館南病棟の耐震対策については、今年度、外来や入院患者への影響や診療機能の制限をできるだけ抑えるため、応急に対応が必要な箇所、工法の調査を実施し、対応策をとりまとめました。病院を稼働させながら工事をすることから、安全対策や騒音、振動などをできるだけ抑制し、患者の皆様のご理解を得ながら進めてまいりたいと考えております。 令和二年度予算に応急対応策に基づく詳細設計費用を計上させていただいており、設計完了後早期に工事を開始したいと考えております。これにより耐震性能は計算上Is値〇・三以上〇・六未満のC、今がDですので、DからCに改善される見込みです。 移転の場合の候補地である王寺駅南側は、議員お述べのとおり、大和川洪水浸水想定区域となっており、大和川が氾濫した場合、三メートルから五メートルの浸水が想定されています。公的医療機関には災害に強い病院であることが求められていることから、水害発生時における災害拠点としての役割をどう確保するのかも課題の一つと考えております。 一方で、西和医療センターの患者は約九〇%が西和七町と香芝市、広陵町から来院されておりますので、移転することにより、病院へのアクセス、利便性の向上が図られること、また医療従事者の確保の面で通勤アクセス向上によるメリットがあることから、今後これらの観点も考慮して検討していく必要があると考えております。 王寺町は平成三十年五月に策定された王寺駅周辺地区まちづくり基本構想において、王寺駅南側エリアに西和医療センターの移転を含めた構想を示されております。現在、県及び病院機構が連携して西和医療センターのあり方検討を実施しており、その立地はまだ検討中ではありますけれども、県あるいは地方独立行政法人が所有する固定資産については地方税法第三百四十八条に基づき、固定資産税の課税ができないことは、王寺町は認識された上で基本構想を策定されたと伺っております。 西和医療センターのあり方検討の内容を踏まえ、来年度以降、地元市町村、関係機関などと意見交換を行い、立地場所を含めた西和医療センターの整備の方向性の検討を深めていきたいと考えております。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(森山賀文) 十八番清水勉議員。 ◆十八番(清水勉) 残された時間が少ないので、ちょっとだけ再質問をさせていただきます。 まず、一点目なのですが、知事は今まで財源に有利な起債を求めるということで、県債残高一兆円をせっかく今、切ったわけです。ところが、広域防災拠点をつくりますと、先ほどもおっしゃったように、奈良県だけではなく、近隣県の救援も含むということでございますので、これはもうできるだけ有利な予算を確保する必要があると思います。緊急防災・減災事業債は期間が今のところ限られておりますので、今後についてどういうふうに進めていかれるのか、そしてもう一点、自衛隊の誘致についても、知事はお考えだと思っております。自衛官、充足率ただいま約九二%です。昨年の奈良県からの自衛官が入隊されたのは八十八名、こういうことも含めて改善する必要があると思いますが、この二点について、知事にお伺いします。 ○副議長(森山賀文) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 財源でございますけれども、今、緊急防災・減災事業債を利用したい、また緊急防災・減災事業債の延長を要求しておりますけれども、またこれほどの大きな事業費の緊急防災・減災事業債はまだ適用されたことがございません。延長とこの大規模事業への適用というのは緊急防災・減災事業債の活用の課題でございますが、緊急防災・減災事業債は相当有利でございますので、できれば緊急防災・減災事業債が適用できたらと思っております。議員お述べのように、この事業は奈良県のためだけではなしに、紀伊半島全体のためを想定して後ろの方にある奈良県の立地を災害、防災、救助のために利用していただくということでございますので、和歌山県、三重県などからも、早くつくってほしいという要望があるぐらいでございますので、そのような国の補助が適用されますように、財源についても要望していきたいと思いますし、また新しい財源の仕組みの知恵が出ないかどうか、国と一緒に考えていきたいと思っております。 また、自衛隊の誘致の活動から始まったことでございますので、自衛隊はここに県が想定している基地ができましたら、大変誘致に乗ってくると、行きたいという意向は事実上、毎年陳情に行っておりますので、そのような話は伺っております。 防災拠点がありさえすれば、いざとなれば、自衛隊は来てくれるわけでございますけれども、基地になりますと、常駐ということになりますので、いろいろな組織上の課題もあるわけでございますが、陸上自衛隊自身は大変乗り気になっていただいているように感じているところでございます。 ○副議長(森山賀文) 十八番清水勉議員。 ◆十八番(清水勉) 先ほど言いました、新規入隊数が八十八名しかおりませんので、これに対する知事のご所見をいただいたらと思います。よろしくお願いします。 ○副議長(森山賀文) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 奈良県は自衛隊の基地が唯一ない県でありますし、それとの関係もあるかもしれませんけれども、自衛隊の志望者が少ない、リクルートが少ない県であります。やはり紀伊半島大水害では本当に助けていただきましたので、十津川とか南の人はもう感謝の横断幕を張られたわけでございますけれども、そのような、来ていただくと、親和性が発生いたします。また、日ごろの自衛隊の活動を拝見されますと、また自衛隊の意義を若い人も含めてわかっていただけることがあろうかと思います。 もう一つ、自衛隊の方々は割と若い間に卒業されるわけでございますので、その自衛隊に基地の駐屯をお誘いしている中で、駐屯されましたら、卒業されても、この五條近辺、南和で働いていただけるとありがたいと、労働力として利用すると、こういうことも申し出ており、どういう仕事をするのかということになりますので、私は不足している森林などの作業労働はありますよと申し上げて、きこりは嫌だとおっしゃった幹部の方もおられますけれども、山の労働というのは自衛隊の人、大変力になられると思いますので、その仕組みなどはこの基地が現実化してまいりますと、自衛隊の方が来られて、あと、南和、吉野方面を引き続き愛されて、家族とともに働いて老後を送られる仕組みも知恵を出していけたらと思っているところでございます。 ○副議長(森山賀文) 十八番清水勉議員。 ◆十八番(清水勉) 最後に、西和医療センターについてですが、今後も慎重な検討を加えていただきたいと私は思います。 昨日、秋本議員が災害時の障害を持たれた弱者の方のことを例に出して、おっしゃいました。特に病院は災害時、本当に弱者を抱えることにもなりますので、慎重なご検討をご期待申し上げます。以上で終わります。 ○副議長(森山賀文) 次に、九番浦西敦史議員に発言を許します。--九番浦西敦史議員。(拍手) ◆九番(浦西敦史) (登壇)皆様、こんにちは。吉野郡選挙区選出県議会議員、所属会派創生奈良の浦西敦史です。どうぞよろしくお願いいたします。 まずもって九月、十二月と今回二月議会と、三回連続一般質問の機会、チャンスをいただきました、所属会派創生奈良の先輩議員の皆様、本当にありがとうございます。しっかりと頑張っていきたいと思っております。今回、四点質問させていただきます。 まず初めに農林部長に奈良県産材の利用促進についてお尋ねします。 いにしえから私たちは自然の恵みである木材を使って文化・文明を発展させてきました。私たち奈良県が誇る世界遺産も、木の文化が根底にあります。また、建物や道具だけではなく、紙、薬、燃料など私たちの生活様式の進歩とともに数限りなくその形を変えてきました。最近では、大型公共建築物にも木が積極的に取り入れられています。中でも東京オリンピック・パラリンピックのメーンスタジアムとなる国立競技場は、杜のスタジアムをコンセプトとして国産材をふんだんに使用した木の温もりが感じられる空間に仕上げられています。軒ひさしには、四十七都道府県から木材が集められ、私たちの奈良県産材も活用されています。世界の方々に森林国、日本をアピールするシンボルができ上がったのは大変喜ばしい限りです。本県においても、今年四月一日に開業する奈良県コンベンションセンターにおいて、メーンのコンベンションホールなどに計三百立方メートル以上の吉野杉が使われています。内装には吉野和紙や吉野杉がふんだんに使用されています。吉野の木工職人が精魂込めて手がけたデザインあふれる吉野杉のべンチや装飾には目を引く存在となっています。世界から会議に参加されるゲストの皆様に、吉野杉に囲まれた空間を通して奈良を十二分にご堪能いただけるものと思います。二〇一五年には、国連で持続可能な開発方針である、持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダが採択されました。そこには持続可能な開発目標SDGsが盛り込まれ、誰ひとり取り残さない世界の実現のため、全世界が取り組み始められています。 木は生物由来の有機的な循環資源です。環境に配慮したサスティナブルな材料としての活用や脱化石燃料の流れから再び燃料として用いられるなど、新たな活用方法が広がっています。県内では、大淀町内で木質バイオマス発電が行われ、また天川村では木質バイオマス発電を生かした地域内エコシステムが行われています。これまで山に放置されてきた未利用間伐材の受け皿として、これからの伸びが大いに期待されています。 この時代の流れは、技術革新とともに二〇二〇年代も拡大していくことは間違いありません。県では令和二年度に奈良県林業・木材産業振興プランの期間満了を契機に見直しを行うと聞いています。今後、中長期的には人口の減少と住宅ストックの増加により、新設住宅は減少に向かうと予想される中、住宅以外での奈良県産材の利活用も含めて幅広く検討、推進することが必要だと思います。 そこで、農林部長にお伺いします。 奈良県産材の利用を促進するため、今後県としてどのように取り組むのかお聞かせください。 次に、南部地域の県道整備について、県土マネジメント部長に二点お伺いいたします。 主要地方道高野天川線は和歌山県高野町から奈良県野迫川村、五條市大塔町を経て天川村に至る紀伊半島中央部を東西に結ぶ主要なルートであり、古くからは高野七口の一つである大峯口とよばれる、高野山と大峯山の二大霊場を結ぶ高野・大峯街道すずかけの道として多くの巡礼者が往来した歴史の道です。 平成十六年に霊場及び巡礼路が文化的にふさわしいと世界的に評価され、紀伊山地の霊場と参詣道として世界遺産に登録されました。高野・大峯の二大霊場は日本の心のふるさととして内外の注目を集めることとなり、沿線市町村の観光と文化の拠点を結ぶ主要ルートとして、その重要性が高まっております。年間交流人口では、高野山地域が約百九十九万人、天川地域が約六十四万人であり、高野山の歴史性を求めて多くの外国人が関西国際空港から高野山へとダイレクトに訪れている現状に鑑み、高野山を入り口とした奈良県南部地域のインバウンド観光の振興も可能性を帯びており、また、平成二十七年四月の高野山開創千二百年の記念大会中には約六十万人の多くの参詣者が訪れ、弘法大師の高野山開創のルートである県道高野天川線の注目度も高まりました。 こういったことから、道路の整備を望む声は非常に高く、その整備促進は地域観光の振興に直結するものと考えますが県道高野天川線は、あまりにも狭く見通しのきかないカーブが多いため、観光バスの通行は困難であり、世界遺産吉野・大峯と高野山の二霊場間は約四十八キロメートル、一時間程度と比較的近距離にありながら、往来する観光客は非常に少ない現状であります。沿線市町村の恵まれた自然環境や、文化的景観等豊富な地域資源を広域的に周遊するに至っておりません。 高規格幹線道路である京奈和自動車道や、地域高規格道路である南阪奈道路や、国道一六八号等の整備が進捗し、新たなアクセスルートが形成されることとなり、観光面だけではなく防災面においても、最近の異常気象による土砂災害、今後想定されている地震等の災害に対し、広域的な救助を速やかに受けることができ、県道高野天川線沿いの各地で発生が予想される孤立事案を防止、減少を見込めます。 実際、平成二十三年に発生した紀伊半島大水害で、野迫川村等で災害による停電が発生した際、通行可能であった本路線を電源車が通行し、電気の早期復旧ができたなど、観光のみならず生活道路、災害時の機材、物資の輸送路として、なくてはならない道路です。県道高野天川線の整備により観光バスの通行が可能となれば、高野町と天川村への約二百四十万人に及ぶ来訪者が二大霊場を往来する最短ルートとなり、新たな観光の流れが創出され、各沿道市町村への観光客の増加が見込まれると考えます。まだまだ未改良の箇所が多くある当路線の狭隘箇所の早期整備の実現により、バスや来訪者等の地域間の安全通行を通して、インバウンド観光の振興、南部地域よりの観光客の流出入の促進により、雇用の創出と地域力の向上を図り、自然、歴史、文化の香りの高い真に住みよい地域づくりの実現及び災害に強い道づくりができると考えます。 そこでお伺いいたします。 地域の住民や観光客にとって重要な道路である県道高野天川線における野迫川村及び天川村の事業中箇所について、現在の進捗状況をお聞かせください。 次に、県道洞川下市線の整備について伺います。 主要地方道路、県道洞川下市線は、起点を天川村洞川、終点を下市町下市とし、下市町、黒滝村、天川村を結ぶ道路であり、周辺の住民の生活の利便性を高め、地域の振興を図る上で重要な役割を果たしています。同地域には国道三〇九号が主要幹線道路として地域の生命線となっていますが、平成二十九年の台風二十一号による道路災害により寸断され、長期にわたり通行不能となった際には、代替道路として、県道洞川下市線が地域住民の命の道として機能しました。 しかしながら、当路線には狭隘な箇所が多く、緊急車両や高齢者の移動手段として活用される路線バスの往来にも支障をきたしている状況であります。人口減少、高齢化の進む地域において、観光振興、林業及び木材産業の再振興、移住・定住の促進への取り組み、また過疎の山間部の集落を維持していく上で、地域住民の安心・安全を支える災害に強い道路ネットワークが必要不可欠と思われます。 安心・安全を支える災害に強い道路、大規模災害時における国道三〇九号の代替機能確保や集落の孤立化を防ぐ広域的な道路ネットワークの構築、住民の生活を守るインフラ、緊急車両の通行等の確保や観光振興、林業及び木材産業の振興、吉野地域の豊かな自然や世界遺産等の歴史的風土を生かした観光まちづくりと連携したアクセス道の整備、木材搬出コストの低減による木材生産の推進ができ、また県が取り組んでおられる御所インターチェンジ周辺、京奈和自動車道に整備される産業集積地への通勤圏拡大により、吉野地域における移住・定住への促進につながり、公共交通の維持、確保による住民生活環境の向上に期待できます。 そこでお伺いいたします。 地域振興を図る上で重要な役割を果たす県道洞川下市線の事業中箇所について、現在の進捗状況をお聞かせください。 次に、子どもへの虐待防止についてお伺いいたします。全国の児童相談所の児童虐待相談対応件数は、年々増加の一途をたどっています。このような事態を受けて、昨年二〇一九年六月の児童福祉法の改正で、親のしつけに際する体罰を禁じましたが、体罰としつけはどう違うのかをはっきりさせるために、厚生労働省は、体罰等によらない子育てのためにの素案を十二月三日に発表しました。体罰とは、体に何らかの苦痛や不快感を引き起こす行為であり、肉体に苦痛を伴う行為、例えば長時間正座させたり、食事を与えない、そして子どもの存在を否定する暴言や無視も同様とみなすというものです。体罰は軽微なものでも該当するとされ、法改正で禁止の対象にならなかった暴言なども体罰同様に扱うことにしました。 一方、しつけは言葉や見本を示して子どもが理解できる方法で伝えることであり、子どもをサポートして社会性を育む行為と定義づけしております。しつけを口実にした親権者による理不尽で身勝手なお仕置き、体罰を防ぐために作成した厚生労働省のガイドラインを契機に、一九九四年、日本が批准した子どもの権利条約の精神に盛り込まれた子ども観や子どもの権利をあらためて位置づけし直し、考える必要があると思います。 ご存じのように、子どもの権利条約で強調されたことは、子どもは一個の人格を備えた人間であり、人間らしく扱われる憲法的保障をすること、つまり子どもを権利の主体と認め、一人の人間として尊重し、人間として扱っていこうという考え方、姿勢が強く貫かれました。大人を基準にして、子どもは未完成な大人にすぎないという考え方は間違いがあると批判しています。 しかし、ある公益社団法人が二〇一七年に行った全国二十歳以上の男女二万人を対象としたインターネット調査結果によると、しつけのための体罰について五六・七%が容認すると回答しています。子どもが相手だと大人の考えや価値観を押しつけ、思うようにならなければ口で言うより手が出てしまいがちになります。これをしつけと勘違いしていないでしょうか。子どもはみずから選びながら自分をつくり成長していくので、子どもを独自性、固有性において捉える必要があります。生存権、自己決定権、学習権などはそのための保障であり、最良の教育環境が必要です。 そこで、こども・女性局長にお尋ねします。子どもの人権を守るために、子どもの権利条約の理念を社会に普及啓発する必要があると考えますが、いかがでしょうか。また、体罰の未然防止のために、子育て中の保護者の相談窓口を充実する必要があると考えますが、今後どのように取り組むのかお示しください。 最後に、義務教育学校の導入についてお伺いいたします。南部地域は奈良県内でも特に、人口減少、高齢化が激しく、二〇一五年十月一日の国勢調査人口から二〇一九年十月一日までの人口減少率で、全国一千七百四十一市区町村の人口減少率ランキング全国ワースト百位以内に、県南部東部の八町村が入り、子どもの数も減少し、町や村は活気が失われつつあります。この地域は、林業を中心とした地場産業の不振による経済不況は常態化し、少子化、過疎化に伴う児童生徒数の減少や学校統廃合の問題など多くの課題を抱えています。住民の高齢化問題と学校の地域活性化に果たすべき役割も変化が生じています。 また、別の指標として奈良県のへき地指定校で学ぶ児童生徒数を見ると、へき地教育振興法制定当時である昭和二十九年度と平成三十年度を比較すると、小学校で一万五百二十五人だったものが四百七十四人へ、中学校で五千六百八十七人だったものが二百七十一人へと、それぞれ以前の五%にも満たさない大幅な減少となっています。 一方、文部科学省の資料によりますと、少子化等に伴って学校自体が小規模化し、クラスがえができない規模の学校や、多様な教職員集団からの指導を受けられない規模の学校が相当数に上っており、小学校と中学校がそれぞれ小規模化して、単独の小学校及び中学校では十分な集団規模を確保できず、教育上のデメリットが顕在化している地域も多くなってきており、こうした背景のもと、小中一貫教育の取り組みを進めることで多様な異学年交流の活発化、より多くの多様な教員が児童生徒にかかわる体制の確保、中学校校区を単位とした地域の活性化による地域の教育力の強化などにより、学校教育活動の充実を図ることへのニーズが高まっていることも、小中一貫教育の導入が広がっている重要な背景、理由の一つとの見解が示されています。こうした小中一貫教育の一つの類型として、国が新たな学校種として制度化した学校に義務教育学校があります。本県においても、来年度から天川村や上北山村など三地域で義務教育学校がスタートすると聞いております。私としてもとても関心をもってその動向を注視したいと考えています。 そこで教育長にお伺いいたします。 本県において、来年度から義務教育学校が新設されると聞いていますが、県として義務教育学校の制度の導入について、どのようにお考えでしょうか。また今後、導入を検討している市町村に対してどのような支援をされるのか、お聞かせください。 以上で壇上からの質問を終わらせていただきます。ご静聴、ありがとうございました。(拍手) ○副議長(森山賀文) 杉山農林部長。 ◎農林部長(杉山孝) (登壇)九番浦西議員から私には奈良県産材の利用を促進するため、今後どのように取り組むのかというお尋ねでございます。回答させていただきます。 県では、平成二十七年度に奈良県林業・木材産業振興プランを策定し、これまで県産材の国内外への販路開拓や住宅等の建築物をはじめ、多用途での県産材の利用促進に取り組んでまいりました。吉野材に代表される品質のすぐれた奈良の木のブランド力をより高めていくために、首都圏や海外等への販路拡大に向けたセールスやPR活動を行い、商業施設や公的施設、家具等の付加価値の高い木製品など幅広く県産材の利用拡大を図っているところでございます。 来年度においては、新たな取り組みとして、公共建築物での県産材の利用を促進するために、木造、木質化に関するノウハウの蓄積、情報の共有化に向けた建築関係者等による検討会を開催いたします。また、県産材の流通拡大を図るため、素材生産事業者や製材事業者、建築設計者等とともに、川上から川下までの事業者の連携体制構築に向けた調査、研究に取り組んでまいります。 現行の奈良県林業・木材産業振興プランは、令和二年度で計画期間が満了となり、また今議会に提案をさせていただいております、奈良県県産材の安定供給及び利用の促進に関する条例につきましては、本年四月の施行を予定しているところでございます。今後、新条例に基づく施策を実現するための新たなプランを策定し、県産材の利用促進に向けた取り組みの強化に努めてまいります。以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(森山賀文) 山田県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(山田哲也) (登壇)私には二点、道路整備の質問がございました。 一点目が県道高野天川線についてでございます。県道高野天川線でございますけれども、和歌山県から野迫川村を通って天川村に至る路線でございます。奈良県内では見通しが悪く、すれ違い困難な場所が多いので、視距の改良や待避所設置などを組み合わせたいわゆる一・五車線の整備を順次進めているところでございます。 ご質問のありました野迫川村でございますけれども、平成二十二年度より上から池津川にわたる約五・五キロメートル、十一箇所で現在事業をしてございまして、さきほどの一・五車線が二カ所で完了して、さらに一カ所は視距改良をこの三月下旬に完成する予定でございます。 天川村でございますけれども、塩谷から九尾の約十五キロメートル区間で十四カ所事業をしてございまして、九尾工区は平成三十年度に一カ所視距改良が終わって、令和二年度は庵住工区の部分供用を目指して整備してございます。その他の場所も調査、設計、用地買収を進めているところでございます。引き続き沿道市村の観光振興や地域のまちづくりと連携しながら、一・五車線での早期整備を目指して着実に取り組んでまいりたいと思います。 続きまして、もう一つが県道洞川下市線でございます。お話がありましたように、国道三〇九号に接続する路線でございます。下市町域でございますけれども、ここも幅員が狭隘で車の離合が困難な箇所、見通しの悪い箇所がございます。沿道に集落のある箇所から順次整備してございます。これまで立石地区と間戸地区で二地区完成してございまして、今は才谷地区というところで、〇・七キロメートルの区間で先ほど申しました一・五車線の整備をしてございます。平成三十年度までの用地買収状況ですけれど、六割の用地買収が終わってございます。令和元年度は県道才谷吉野山線との交差点付近で拡幅工事を進めてございます。引き続き、地元の地権者のご協力を得ながら用地買収と用地買収が済んだところから、下市町側から順次、拡幅工事をさせていただきたいと思ってございます。以上です。 ○副議長(森山賀文) 橋本こども・女性局長。 ◎こども・女性局長(橋本安弘) (登壇)九番浦西議員のご質問にお答えします。 私には子どもへの虐待防止について、子どもの権利条約の理念の普及啓発についての考え方、また体罰の未然防止の取り組みについてのお尋ねでございます。お答えします。 子どもは、大人と同様に一人の人間としての人権を有しており、安心できる環境の中で健やかに育まれるべきであるということが、子どもの権利条約の理念であると認識しております。昨今、相次いで発生している児童虐待事案は重大な人権侵害であり、子どもの権利条約の理念に反するものでございます。 今回の児童虐待防止法改正により、体罰の禁止が盛り込まれました。妊娠期から子育て期の保護者や地域住民等を対象に、体罰によらない子育ての啓発に取り組むことは、子どもの権利条約の理念の普及啓発の一環であると考えています。 具体的には、市町村と協力しながら、広く県民に対しホームページや広報誌での普及をはじめ、子育て講座等において体罰によらない子育てを啓発してまいります。また、体罰の未然防止のための子育支援につきましては、市町村の子育て窓口の担当者に対する研修会において新たに体罰によらない子育てに関するテーマを加え、理解を深めていただくことにより、保護者への相談支援がさらに充実されるよう努めてまいります。 このような取り組みにより、子育て中の保護者による体罰によらない子育てが進むよう、社会全体で子どもの人権を尊重し、子育てを支える奈良県を目指してまいりたいと考えております。以上でございます。ご質問、ありがとうございます。 ○副議長(森山賀文) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)九番浦西議員のご質問にお答えいたします。 私には義務教育学校の制度導入についての考えと支援について、お尋ねでございます。 義務教育学校は九年間の義務教育を一貫して行う学校として、平成二十八年度に制度化され、本県では来年度から曽爾村、天川村、上北山村で導入されます。山間等の小規模校では少人数によるきめ細かな教育のメリットを生かしつつ、児童生徒の多様な異学年交流や運動会などの学校行事の活性化を図るなど、少人数による教育課題の改善のため、義務教育学校の制度導入を県教育委員会としても推進しております。 また、小学校と中学校の学習方法や授業の進度の違いなどによる不安、いわゆる中一ギャップの解消に向けても、義務教育学校では教員が小中それぞれのカリキュラムや指導方法を工夫し、円滑に接続を図ることができるメリットがございます。県教育委員会ではこれまでから、小中学校がそれぞれ一校の地域等に対しましては、小中一貫教育の実施を推奨してまいりましたが、例えば中学校の教員が小学校の教科を指導する場合には、教員に兼務発令が必要であるなど、やはり校種間の壁が存在しておりました。しかし、義務教育学校では小学校、中学校間での教員交流、学年間での指導内容の入れかえなどのカリキュラムの工夫、また学年区分を四・三・二制や五・四制とすることや、その場合の英語や理数などの教科担任制の導入などは校長の任命により可能となり、人的資源を最大限に生かせる学校制度だと考えております。 今後、県教育委員会といたしましては、義務教育学校の導入を目指している地域ごとに、例えば南和地域でしたら、南和義務教育学校連絡会議を設置し、最大の課題でございます複数免許を有する教員配置のあり方と小学校課程での教科担任制の実施に向けて必要な支援をしてまいります。以上でございます。どうもありがとうございました。 ○副議長(森山賀文) 九番浦西敦史議員。 ◆九番(浦西敦史) 丁寧なご答弁、ありがとうございます。まず、奈良県産材の利用促進についてなのですが、今後、県内でも多くの公共事業や公共施設の工事があると思われます。そういったところでまた奈良の木ブランド課だけがこの奈良の県産材を管理するというのではなく、全ての部局と連携して、奈良の木を大いに使っていただけたらと思います。 今、天理市でなら歴史芸術文化村が建築されていると思いますが、その中でも奈良県産材が使われると聞いております。そして今、桜井市で県営住宅が建設されていると思いますが、そういった中でも、桜井市も木材の町でもありますので、そういったところで県産材を大いに活用していただければと思います。 続いて、南部地域の道路整備についてですが、先日、川口議員の計らいで南部振興議員連盟の視察で村井副知事はじめ、多くの部局長が川上村、上北山村、下北山村に来ていただきました。そのときに、道中の道路は、皆さん、どうだったでしょうか。カーブや狭隘な場所が本当に多かったように思います。バスに乗って感じていただけたと思います。 今回、質問をさせていただいた道路は本当にカーブや狭隘な場所が多い上に一車線のところであります。南部地域では一本一本の道がたとえ人一人が歩けるほどの道であっても、住民さんにとっては命の道であります。生活、物流、防災、観光と全てにおいて重要な吉野地域の道路を今後ともどうぞよろしくお願いしたいと思います。 次に、子ども虐待防止についてでありますが、やはりこの子どもの権利条約というところを親御さんにしっかりとわかってもらうことが必要なのかと思います。この親にしても、しつけのあり方というのが理解を求めるのが大事かと思いますので、その点について、また県でもチラシや冊子等を作成して、配っていただければありがたいと思いますので、検討をしていただければ、努めていただければと思います。 そして最後に、義務教育学校の導入についてでありますが、県としてしっかりとバックアップしていただけると、答弁をいただきました。大きなメリットがいろいろあるとも説明をいただきましたが、まだまだ各市町村の小中一貫校と義務教育学校の違いが理解されていないかと思います。そういった点をまた、特に住民さんに伝わるように県から、また各市町村の教育委員会にしっかりと伝えていただければと思います。 それらのお願いを申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。(拍手)   -------------------------------- ○副議長(森山賀文) 十八番清水勉議員。 ◆十八番(清水勉) 本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。 ○副議長(森山賀文) お諮りします。 十八番清水勉議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。     (「異議なし」の声起こる) それでは、さように決し、次回、三月九日の日程は、当局に対する一般質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。 △午後四時十二分散会...