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  1. 札幌市議会 2016-02-29
    平成28年(常任)財政市民委員会−02月29日-記録


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-04-26
    平成28年(常任)財政市民委員会−02月29日-記録平成28年(常任)財政市民委員会  札幌市議会財政市民委員会記録            平成28年2月29日(月曜日)       ────────────────────────       開 会 午後3時16分     ―――――――――――――― ○小川直人 委員長  ただいまから、財政市民委員会を開会いたします。  報告事項は、特にございません。  それでは、議事に入ります。  最初に、議案第39号 札幌市税条例の一部を改正する条例案を議題とし、理事者から補足説明を受けます。 ◎遠藤 税政部長  私から、議案第39号 札幌市税条例の一部を改正する条例案について、お手元の資料の補足説明をさせていただきます。  このたび、地域再生法の改正により、東京23区から本社機能を移転する企業の固定資産税を軽減する場合、国が減収を補填する制度が創設されました。本市においてもこれを活用してさらに積極的な企業誘致を行うため、地域再生法における北海道知事の認定を受け、東京23区から札幌市内本社機能を移転する企業が新設した事務所などに係る固定資産税については、3年間、軽減措置を講ずることを定めるものであります。 ○小川直人 委員長  それでは、質疑を行います。  質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○小川直人 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  次に、討論を行います。 ◆伊藤理智子 委員  私は、日本共産党を代表して、議案第39号 札幌市税条例の一部を改正する条例案に反対の立場から、討論を行います。  この改正は、地域再生法に基づく固定資産税軽減措置についてですが、東京23区の企業が地方に本社機能を移転または拡充するに当たり、都道府県知事の認定を得た場合、税の優遇措置等を受けるとことができるという3年間の時限措置です。政府の総合戦略は、本社機能の移転等と一体に、政府の方針として地域限定正社員普及拡大を目標にしています。本社機能の移転と称していますが、その内容は、調査・企画部門情報処理部門研究開発部門国際事業部門管理業務部門などの事務所や研究所、研修所など、本社機能の一部を移転する場合でも固定資産税を減免するものであり、さらなる大企業支援策の一環です。  しかし、大企業の内部留保は、3年間で38兆円もふえ、300兆円を突破し、2年連続で史上最高の利益を上げているのです。これ以上、利益をため込んでいる大企業の支援を行うのではなく、体力のない地方の中小企業とそこに働く人の支援を強めてこそ地方の再生と活性化につながると考えます。
     本市が行うべきは、安定した良質な雇用としての正規雇用の拡大です。市税条例の一部改正は、さらなる大企業支援策と、地方創生労働条件格差拡大、雇用の流動化に利用することであり、認められないということを申し上げて、私の討論を終わります。 ○小川直人 委員長  ほかに討論はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○小川直人 委員長  なければ、討論を終了いたします。  それでは、採決を行います。  議案第39号を可決すべきものと決定することに賛成の委員の挙手を求めます。  (賛成者挙手) ○小川直人 委員長  賛成多数であります。  よって、議案第39号は、可決すべきものと決定いたしました。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後3時19分       再 開 午後3時21分     ―――――――――――――― ○小川直人 委員長  委員会を再開いたします。  次に、議案第51号 平成27年度札幌市一般会計補正予算(第5号)中関係分及び議案第55号 平成27年度札幌市公債会計補正予算(第2号)を一括議題とし、理事者から補足説明を受けます。 ◎平木 財政部長  私から、補足説明をさせていただきます。  まず初めに、議案第51号 平成27年度札幌市一般会計補正予算(第5号)のうち、財政局関係分につきまして説明させていただきます。  今回の補正予算は、一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施する対策など、国の補正予算に関連して、地方創生加速化交付金やその他の国庫補助を活用した事業のほか、オリンピック・パラリンピック基金の造成費を計上するとともに、予算の執行状況等を踏まえた所要の予算措置決算見込みに合わせた補正を行うものでございます。また、この補正予算に関連する事業も含めまして、年度内に執行困難と予想される事業につきまして、事業費の全部または一部を翌年度に繰り越すために繰越明許費の設定を行うとともに、工事の早期発注指定管理者の更新、さらには、年度当初から事業を円滑に実施するため、年度内に契約締結が必要なものに関して債務負担行為を設定するものでございます。  このうち、本委員会に付託されます財政局関係分といたしましては、歳入についてでありますが、補正予算に必要な一般財源19億4,663万8,000円につきまして、1款 市税として18億円、21款 繰越金として平成26年度からの決算剰余金1億4,663万8,000円を追加するものでございます。  続きまして、議案第55号 平成27年度札幌市公債会計補正予算(第2号)につきまして説明させていただきます。  この公債会計補正予算は、一般会計予算の補正に伴う市債の整理を行うものでございます。 ◎浅野 地域振興部長  私から、議案第51号 平成27年度札幌市一般会計補正予算(第5号)のうち、市民まちづくり局関係分について、まとめて説明させていただきます。  最初に、市民生活費のうち、区政費でございます。  これは、マイナンバーカード申請数増加に伴い、国が各市区町村に対し、カード交付事業費補助金として補正予算を追加したことに合わせて、札幌市において所要の予算措置を行うものです。  次に、同じく市民生活費のうち、区の総括及び連絡調整費でございます。  これは、コンビニ交付システム構築等事業費に関し、証明発行システム構築費等繰越明許費として次年度に繰り越すものです。  次に、都市計画費のうち、都心まちづくり推進費でございます。  これは、札幌駅交流拠点まちづくり推進費に関し、地下鉄札幌駅の南北線コンコース部建築工事実施設計費繰越明許費として次年度に繰り越すものでございます。 ○小川直人 委員長  それでは、質疑を行います。 ◆山口かずさ 委員  私からは、マイナンバー制度における通知カード保管状況マイナンバーカード発行状況についてお伺いします。  昨年10月5日に全国民にマイナンバーが付番され、札幌市では11月から12月にかけて各世帯に通知カードが一斉に送られてきました。この通知カードは、簡易書留で送られたため、配達の際に留守であった等の理由により、多くの通知カードが配達されずに郵便局から区役所に戻されたとの報道があったところです。  そこで、質問です。  区役所には何通の通知カードが戻ってきたのか、それは送った通知カードの何割くらいに当たるのか、お伺いします。  また、通知カードを受け取れなかった場合は区役所通知カード受け取りに行くことになっていますが、現時点で区役所に保管されている通知カードは何通あるのか、そして、その保管されている通知カードについて今後どうするお考えか、お伺いします。 ◎浅野 地域振興部長  個人番号通知カードにつきまして、区役所に戻った通数と現在の保管状況等についてお答えいたします。  配達されずに区役所に戻りました通知カードは、全発送数の11%に当たる11万6,606通となっております。  次に、通知カード保管状況と今後の対応についてでございます。  昨年11月末以降、相当数の市民が区役所受け取りに来られておりますし、転居先が判明した場合には再送付をした結果、区役所で保管中の通知カードは、最新の2月23日現在で5万5,348通となっております。  現在、マイナンバー源泉所得税届け出関係で職場から求められたり、あるいは、各種の福祉関係の手続に使用するなどの機会に通知カードをとりに来られる方が多くおられますので、今後は、多くの市民に影響がある所得税の確定申告書マイナンバーの記入が必要となる平成29年3月までは引き続き区役所で保管したいと考えております。 ◆山口かずさ 委員  本市の通知カードの状況については、当初は11万通以上が戻ってきたものの、現在、区役所で保管している通知カードは5万5,000通余りと半分以下に減っているということでした。個人番号は、今後も税や福祉の申請等で市民が使用する場面がふえることが想定されますので、通知カード受け取りについてはこれからも市民に不便のないように対応していただきたいと思います。  次に、マイナンバーカードについて伺います。  通知カードには、マイナンバーカードの申請書が同封されていましたが、札幌市におけるマイナンバーカード申し込みがどのくらいあるのか、お伺いします。  また、全国的には、マイナンバーカード申請数住基カードの発行数を上回ったと聞いています。札幌市でも同様の状況なのか、お伺いします。  次に、報道によれば、マイナンバーカードの発行を管理する電算システムに頻繁に障害が発生しており、全国の自治体で影響が出ているとのことですが、札幌市を含む各市町村では、この電算システムを使ってどのような業務を行っており、障害の発生でどのような影響が出ているのか、お伺いします。 ◎浅野 地域振興部長  マイナンバーカード申し込み状況について、まず、お答えいたします。  札幌市におけるマイナンバーカード申込件数は2月23日現在で11万5,346件となっておりまして、ただいまご指摘がありましたような全国の傾向と同様に、昨年12月末に発行を終了いたしました住民基本台帳カード有効発行件数である9万9,709件を既に上回っております。  次に、マイナンバーカードの発行を管理する電算システムを使用して行っている業務と障害の発生による影響についてお答えさせていただきます。  市民の皆様からマイナンバーカード申し込みがありますと、地方公共団体情報システム機構が全国分を一括して作成し、でき上がったカードは各市区町村宛てに送られてまいります。区役所では、この電算システムを利用して、まずはカードに対して発行の事前登録作業を行うことになります。ところが、システムの障害によりまして慢性的な処理速度の低下が起きているほか、一時的にシステムが動かないこともありまして、この事前登録作業に想定を上回る時間を要しているところでございます。  次に、この事前登録作業が終わりますと、カードを申し込まれた方に対してカードがお渡しできることを通知いたします。この通知を受け取った後、カード申込者には、区役所に来ていただきまして、このシステムを利用して、カード住所変更などを行う際に必要となる暗証番号を登録していただいた上でカードをお渡しする、そういった手順になっております。ところが、システムの状況によってはスムーズに暗証番号を登録できないことがあり、長時間お待ちいただいたり、いらした当日中にカードをお渡しできないといった事態も生じております。  この結果、2月23日現在で、札幌市では、市民からのマイナンバーカード申し込み11万5,346件に対しまして、地方公共団体情報システム機構から区役所に送付されたカードは7万9,545件となったものの、ただいま申し上げたような事前登録作業に想定外の時間がかかっていることなどから、事前登録が終了したものは2万3,361件という数字になっております。 ◆山口かずさ 委員  本市においても、マイナンバーカード申請数住基カード発行件数を既に超えているということです。また、システム障害発生により、区役所での発行の事前登録作業におくれが出たり、窓口に来た市民を長時間待たせたりという問題が起きているようですけれども、今、札幌市としてはこのような問題にどのような対策をとっているのか、また、本来的にはシステムを管理している地方公共団体情報システム機構の問題であるとは考えてはいますが、札幌市として今後どのように対応していくつもりなのか、お伺いします。 ◎浅野 地域振興部長  電算システム障害発生に対する札幌市の対応等についてお答えさせていただきます。  マイナンバーカードの発行を管理する電算システムにつきましては、午前9時から午後5時の各市区町村による利用が集中する時間帯で特に処理速度の低下が見られます。このため、各区におけるカード発行事前登録作業につきましては、こうした時間帯を避けて、平日の午後5時以降や休日にも行っているところであります。また、申し込まれた方にカードを交付する際にシステム障害が発生した場合には、後ほど本人限定受取郵便で送付するなどの対応を行っているところであります。  一方、システムを管理する地方公共団体情報システム機構に対しましては、2月26日付の文書で、速やかにシステム障害が発生している原因を究明し、根本的な対策を講じるよう要請したところでございます。 ◆山口かずさ 委員  札幌市としては、区役所の窓口においては時間外に作業をしたり、カードを郵便で送るという対応を行っており、また、システムを管理する地方公共団体情報システム機構に対しても、しっかり対応するよう要請しているということでした。これから春の引っ越し時期を迎えて大変だと思いますが、今後もできるだけスムーズに申し込みをした市民にマイナンバーカードをお渡しできるように強く要望して、私の質問を終わります。 ○小川直人 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○小川直人 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  次に、討論を行います。 ◆伊藤理智子 委員  私は、日本共産党を代表して、議案第51号 一般会計補正予算に計上されているマイナンバー制度対応事業費3億2,091万2,000円に反対する立場で、討論を行います。  今回の補正は、マイナンバー制度対応のために、地方公共団体情報システム機構、J−LISで個人番号カードを作成し、自治体に郵送する事務委任の経費です。マイナンバー制度関連システムを運用する地方公共団体情報システム機構では、1月以降、カード管理システム障害が多発しており、2月22日までに7回のトラブルを起こしています。100以上の自治体から問い合わせが殺到し、窓口での混乱を未然に回避するためにカード交付スケジュールを見直す自治体も出ており、いまだにこの原因も解明されておりません。  本市では、個人番号カードを交付するために、1人に対応するのに想定を上回る時間を要しているということで、北区では1日100人までしか対応できないという実態で、システム的にも障害が多発し、サービスが低下しています。市民の個人情報を危険にさらすことやシステムふぐあいなど、不安が解消されていないことなどから国に中止を求めるべきであり、容認できません。 ○小川直人 委員長  ほかに討論はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○小川直人 委員長  なければ、討論を終了いたします。  それでは、採決を行います。  この場合、分割して採決いたします。  最初に、議案第51号中関係分を可決すべきものと決定することに賛成の委員の挙手を求めます。  (賛成者挙手) ○小川直人 委員長  賛成多数であります。  よって、議案第51号中関係分は、可決すべきものと決定いたしました。  次に、議案第55号を可決すべきものと決定することにご異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○小川直人 委員長  異議なしと認め、議案第55号は、可決すべきものと決定いたしました。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後3時37分       再 開 午後3時38分     ―――――――――――――― ○小川直人 委員長  委員会を再開いたします。  次に、議案第40号 札幌市消費者センター条例の一部を改正する条例案を議題とし、理事者から補足説明を受けます。 ◎芝井 市民生活部長  議案第40号 札幌市消費者センター条例の一部を改正する条例案につきましてご説明申し上げます。  これは、消費者安全法の一部改正を踏まえまして、内閣府令の定める基準を参酌し、同条例の改正を行うものでございます。  内容といたしましては、第1条に第2項を追加し、札幌市消費者センター消費者安全法上の消費生活センターであることを明確化するとともに、第2条の2の第3項及び第2条の3として、消費者センターの組織及び運営に関する事項を第2条の4として情報の安全管理に関する事項を追加するほか、第11条第4項において規定整備を行うものでございます。 ○小川直人 委員長  それでは、質疑を行います。  質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○小川直人 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  次に、討論を行います。  討論はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○小川直人 委員長  なければ、討論を終了いたします。  それでは、採決を行います。  議案第40号を可決すべきものと決定することにご異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○小川直人 委員長  異議なしと認め、議案第40号は、可決すべきものと決定いたしました。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後3時40分
          再 開 午後3時41分     ―――――――――――――― ○小川直人 委員長  委員会を再開いたします。  最後に、アイヌ住宅新築資金等貸付制度運用見直し及び債権放棄についてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。 ◎池田 市民まちづくり局長  本日は、アイヌ住宅新築資金等貸し付けにつきまして、制度の運用見直し債権放棄の案件についてご報告いたします。  まず、貸付制度運用見直しについてでございますけれども、近年、償還金の滞納額が累増しておりますことから、今年度、外部の有識者から成るアイヌ住宅新築資金等貸付運用検討委員会を設置して議論を重ねてまいりました。このたび、同委員会からいただいた意見書を踏まえて見直し案を取りまとめたものでございます。  次に、債権放棄についてでありますが、札幌市債権管理条例に基づき、市長において債権放棄を予定している案件につきまして、当該債権が高額でありますことから、事前にご報告をさせていただくものでございます。  なお、当該案件には適切な注意を欠いた事務処理も含まれておりまして、このことについては深く反省すべきものと考えております。  詳細につきまして、芝井市民生活部長よりご説明いたします。 ◎芝井 市民生活部長  私から、札幌市アイヌ住宅新築資金等貸付制度運用見直しについてとアイヌ住宅建築費等貸付金債権放棄の案件2件について、一括してご説明申し上げます。  初めに、アイヌ住宅新築資金等貸付制度運用見直しについて、お手元の資料に沿ってご説明いたします。  1の運用見直しの経緯をごらんください。  本制度は、アイヌ住民の厳しい生活実態を踏まえて昭和52年より運用しておりますが、償還金の滞納額が累増していることから、滞納整理事務を適切に実施することに加え、制度面からの運用見直しを検討することとしたものでございます。検討に当たりましては、外部の有識者3名から成るアイヌ住宅新築資金等貸付運用検討委員会を設置し、全部で3回の会議におきまして、専門的見地からの検討を経て、平成27年12月に意見書を提出していただきました。  検討委員会におきましては、本貸付制度審査基準について、借り受け者の相当数金融機関からもあわせて借り受けを行っており、その貸し付け審査も通過していることなどから大きな問題点があるとは考えられないとしながらも、借り受け人の要件あるいは違約金取り扱いなどについて具体的な意見をいただきました。この意見を踏まえまして、市において検討を行い、このたび、運用見直し案を策定いたしました。  2の運用見直し案をごらんください。  まず、(1)借り受け人の収入要件です。  現在、貸し付けの審査に当たっての借り受け人の収入要件は、1として年間総所得が生活保護基準の年間額を上回っていること並びに2として年間返済額年間収入額の25%を上回っていないこととしておりますが、いずれの要件も金融機関の基準との著しい格差はないことなどから大きな問題はなく、現在の運用のままとしたいと考えてございます。  次に、(2)借り受け人の年齢制限についてです。  現在は制限を設けておりませんが、一般的に高齢になるに従って収入が減少するリスクが高くなることなどから、市中金融機関の基準を参考にして、申し込み時の年齢を20歳以上、完済時の年齢を80歳未満という年齢制限を設けたいと考えております。  次に、(3)同居人の収入の合算です。  現在は、収入要件の審査に当たって、同居人の収入を合算する場合に特段の制限を設けておりません。しかし、収入合算に当たっては、合算者の収入がその家計において、長期間、安定的に見込めるのかという点からその可否を判断するべきであり、また、収入合算者はその責任を担保することが必要であります。  以上のことから、収入合算できる者の資格として、次のページに移りますが、三つの要件を定めたいと考えております。一つは借り受け者と同居して安定的な収入が見込まれる者、二つ目は完済時80歳未満の者、三つ目は連帯保証人となることができる者でございます。  次に、(4)違約金の徴収です。  アイヌ住民の厳しい生活実態に鑑みて、これまでは、原則、違約金を徴収しない取り扱いとしておりました。しかし、この取り扱いは、期限内に納付した者との間の負担の公平性を欠くとともに、長期の滞納を生む原因となる可能性があることから、今後は違約金を徴収することとして、申請により必要と認める場合は免除する取り扱いにしたいと考えております。  次に、(5)重複保証・共保証でございます。  本貸付制度においては、連帯保証人を2名定めることとしており、特別の場合に、うち1人の者が複数の保証人となる重複保証や、既に借り受けている者が保証人となる共保証を認めております。しかし、この取り扱いは、連帯保証人の役割を十分に果たすことができない可能性が高いことなどから、今後は重複保証、共保証を認めない運用としつつ、一方で、連帯保証人2名を確保することが困難な実情に配慮して、十分な保証能力を確認した上で1名としたいと考えております。  次に、(6)連帯保証人収入要件です。  現在、連帯保証人収入要件を借り受け人に準じる収入を有する者としていますが、収入額だけではなく、負債の支払い状況も含めて債務負担能力を有することが必要であるため、連帯保証人になろうとする者に住宅ローンがある場合は、その返済状況などについて一定の要件を加えたいと考えております。  次に、(7)抵当権の順位です。  現在は、貸付金の担保となる抵当権は、市を第1順位とすることを原則としつつ、特別の場合に後順位とすることを認めております。これは、本貸付制度の上限額のみでは物件の購入費用に足りず、金融機関からの貸し付けを利用せざるを得ないケースが多い実態などに鑑みた運用でありまして、仮にこの取り扱いを認めないとした場合、事実上、本貸付制度は利用困難な制度となってしまうことから、現時点ではこの運用を続けざるを得ないと考えております。  次に、(8)貸付金利についてです。  制度創設以来、金利を2%に固定しておりまして、当時は有利な金利でしたが、近年、市場金利の低下に伴って、金融機関の商品と比較した場合、高金利となる場合がございます。しかしながら、長期間の固定金利ということで比較すれば、金融機関貸付金利と大きな差はなく、また、市場金利が再び上昇した場合には、元来低廉な本貸付制度の金利水準がセーフティネットとしての役割を担うことになります。こうしたことから、当面は2%のままとしたいと考えております。  最後に、3の今後のスケジュールについてですが、今申し上げた内容で要綱及び運用方針を見直し、平成28年4月1日より施行したいと考えております。  アイヌ住宅新築資金等貸付制度運用見直しについては以上でございます。  続きまして、アイヌ住宅建築費等貸付金債権放棄についてご説明いたします。  もう一つの資料をごらんください。  最初に、1 放棄する債権の内容についてです。  放棄する金額は、1,623万644円であります。  この債権の内容ですが、借り受け人Aと札幌市が平成9年10月に交わした債務承認支払い契約に基づく元本及び利息でありまして、債権管理条例における非強制徴収債権に当たります。  なお、当初の債権は、その下の1から3に記載しております昭和56年の宅地取得及び新築資金、昭和58年の改修資金にかかわる貸付契約に基づくもので、これらの債務を一本化したものでございますが、その件につきましては後ほどご説明いたします。  次に、2 債権放棄の理由についてです。  本件債権及び連帯保証債務につきましては、破産法などの法令の規定により、主債務者や連帯保証人らがいずれもその責任を免れており、札幌市債権管理条例第16条第1号の要件を満たしております。加えて、本債権に関して、担保すべき物件が存在しないことから、債権の全部について放棄するものでございます。  まず、(1)の債務者等の状況についてご説明いたします。  アの主債務者についてですが、借り受け人Aは、本貸し付けを借り入れ後、自営業の不振などの理由によりまして償還金の納付が困難な状況となり、市から納付督励等の働きかけを行ったものの、完納に至らず、平成26年6月に自己破産による免責が確定しております。  次に、連帯保証人1についてですが、当初の貸し付けの一部に抵当権が設定されていなかったことと、後に当初設定していた抵当権を抹消したことが、民法第504条の債権者である市の故意または過失による担保の喪失に当たるとする連帯保証人1の主張を認めて、平成25年3月に全額免責としております。この経緯につきましても、後ほどご説明させていただきます。  次のページをごらんください。  次に、ウの連帯保証人2についてです。  ご本人は、平成21年1月に死亡しておりまして、その相続人はXとYの2名でございます。しかしながら、いずれも破産免責許可決定の確定により免責となってございます。  次に、(2)の担保不動産についてご説明いたします。  1から6まで、時系列で整理しております。  まず、1ですが、借り受け人Aに対する貸し付けは、1ページ目の1の(2)にありましたとおり、昭和56年の宅地取得及び新築資金と昭和58年の改修資金の3本の契約に基づくものであり、いずれも南区の対象不動産に抵当権を設定する旨の契約となってございました。このうち、宅地と新築資金につきましては抵当権が設定されたものの、改修資金につきましては、契約に反して抵当権が設定されておりませんでした。  次に、2ですが、昭和59年12月に借り受け人Aが南区の当該対象不動産を、市に事前に相談なく、抵当権を抹消する契約で第三者であるBに売却いたしました。これに関連しまして、昭和60年5月、札幌市は、当該不動産を購入したBに対しても宅地取得及び新築資金貸し付けを行っておりまして、これらの貸し付けにかかわる抵当権の設定がなされました。  資料にはありませんが、本貸付制度の要綱では、貸し付け物件の売却を原則禁止しておりまして、貸付金の全部を一時償還させることができますが、借り受け人Aに売却収入が払われた時点で償還されるものと考えて、当時、同一物件への貸し付けを認めたものと推定されます。この後、借り受け人Aから本市に対する返済がなされなかったため、結果として、当時、同一の物件に2人分の抵当権が設定されることとなりました。  次に、3と4ですが、その後、借り受け人Aの滞納が長期間にわたったことなどから、先ほどご説明しました平成9年10月に、本市はAとの間で当初の貸付金にかかわる残債務を元金とする債務承認支払い契約を締結し、連帯保証人を1名追加いたしました。その後、平成10年3月に、この債務承認支払い契約に基づいて、主債務者Aが豊平区に所有する別の不動産に第3順位の抵当権を設定した後、当初の契約に基づく南区の対象不動産の抵当権を抹消いたしました。  なお、抵当権の抹消と、先ほど1で述べた抵当権の一部未設定が、先ほどご説明いたしました連帯保証人1にかかわる民法第504条による免責の原因となったものでございます。  この南区の物件に2人分の抵当権が設定されたことにつきましては、基本的には、Aが抵当権を抹消しなかったというBに対する契約不履行によるものでございます。一方で、札幌市といたしましては、同一物件へ二重の貸し付けを認めたものの、借り受け人Aからの償還がなされず、抵当権も二重のままとなっていたこと、さらには、第三者Bは、融資後、良好に償還していたため、Aの滞納を理由にB所有の物件の抵当権を実行することは現実的に困難であることなどを総合的に勘案して、南区物件のAにかかわる抵当権の抹消を認めたものでございます。  次に、5と6でございますが、新たに抵当権を設定した豊平区の不動産につきましては、平成25年に裁判所より不動産競売開始決定がなされ、契約されたことから、市の抵当権は消滅いたしました。  なお、このとき、本市への配当はありませんでしたので、本件債権に関して担保すべき不動産は存在しておりません。  説明は以上でありますが、今回の債権放棄につきましては、債務者の破産を主な原因とするものではありますけれども、事務処理の過程におきまして、抵当権設定の確認不足あるいは二重に貸し付けを行ったことなど、適切な注意を欠いた事務処理があり、深く反省すべきものと考えてございます。今後は、要綱や運用方針などを遵守することはもとより、徹底した納付督励や法的な措置を適時適切に行って、滞納額の縮減や新たな滞納を発生させないよう努めていきたいと考えております。 ○小川直人 委員長  それでは、質疑を行います。 ◆宗形雅俊 委員  私から、今の報告に関して質問させていただきます。  まず、債権放棄、収納対策、制度の見直しについて、大きく分けて三つの質問をさせていただきます。  質問する前に、これはアイヌ住宅についてですが、私は決してアイヌの方々を差別しているということではなくて、今のお話を聞いて、公平性、信頼性、透明性という観点から質問させていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。  まず、債権放棄につきましては、今、部長から詳細に説明いただきました。昭和56年にAという方がこの資金を借りて、2年後の58年に改修資金をプラスして借りていることと、昭和59年に契約の内容を無視してBに売却している、そして、そのBが半年後ぐらいにアイヌ住宅新築貸付金を借りています。きっとこの間はきちんと支払いをしていたのだろうと思います。まず、いろいろな事情があって2年後に改修することもあると思いますが、普通だと、2年後に改修資金が必要だというときには合理的な理由が必要だと思いますので、それが一つです。  それから、契約上はできないはずの売却を勝手にして、そのためにBさんが借りに来たときに、それがAさんの物件であれば、契約には違反していますけれども、売却した詳細な理由にかかわっていくと思うわけです。売却したということは何らかの理由があって売却するのですが、例えば、東京かどこかに転勤になってもう住まないということで売却するようなことはあると思いますが、この件では後年度に豊平に家を買っていますので、そういうことではないと思います。  そこで、この間、市は、AとBとどのようにかかわりを持っていたのか、その辺の経緯を教えていただきたいと思います。 ◎芝井 市民生活部長  改修や転売にかかわる理由の把握などについてです。  当時の書類といたしましては、貸し付けにかかわる起案は残っておりますが、通常の手続にのっとった内容となっておりまして、改修あるいは転売についての特別な理由等の記載がなく、細かな内容は把握できておりません。 ◆宗形雅俊 委員  結果的に、全部を回収できれば全く問題ないということになるのでしょうけれども、30年前のことですから、当時の聞き取りというのは非常に難しいと思います。また、そのころは債権条例というのはないので、将来に向けた対応などはしていなかったのかもしれません。ただ、契約に反して売却したというのは、いわゆる契約の不履行をしているわけですね。今まで払っていたけれども、売却したというのは、そこには何かあるのだろうと世間一般の普通の方だって思うわけですよね。そうすると、その後の支払いがどうだとか、売った理由とか、先ほど部長が言っていたように、本来、それを売って債権に充当してもらうことが一般的だけれども、そうならなかった、そこに何かがあったのだろうと思うわけです。ただ、今は詳細なものが残っていないということです。先ほど、制度の信頼性や透明性という話をしました。市民から見れば、きちんと対応していればいたし方がないですが、債権条例ができて、見込みがなくなったからそうしますよということだけだと、何か非常に解せないものがあると感じます。1年や2年前だと調査できるのでしょうけれども、30年前ということで、起案だけがある、そして、当然、起案して決裁になっているから、その辺は合理的判断をしてきたのだろうということしか今は言えないのかもしれません。ただ、世間一般の捉まえ方からすると、私はそこにずさんさが見えるのではないかと思います。  これに対して、先ほど部長からもいろいろな話がありましたし、今後のこともいろいろありますので、危惧されるものについては、経過というものがやはり必要だと思います。これは、市の対応によってこうなってしまったのか。当然、借りた方が返さなかったということに一義的な責任があろうかと思いますが、今後の再発防止のためにも、その辺の責任をどう感じていらっしゃるか、改めてお聞きしたいと思います。 ◎芝井 市民生活部長  今回の債権放棄の主な理由につきましては、先ほども少し申し上げましたが、主債務者の破産免責が主な理由ではありますけれども、抵当権の設定の確認不足であるとか、二重に貸し付けを行ったことなど、適切な注意を欠いた事務処理があり、こうした要因が重なって最終的に債権放棄に至ったと認識しております。このように、市民の貴重な財産を失ったことについては、大変深く責任を感じているところでございます。  今後につきましては、このようなことが二度と起こらないように、より適正な事務処理に努めていきたいと考えております。 ◆宗形雅俊 委員  債権放棄の条例にかかわることについての質問は、これで終わります。  次に、今後の収納対策についてお聞きしたいと思います。  アイヌ住宅新築貸付金の件につきましては、平成25年の決算特別委員会でも私から質問させていただきました。その当時、平成24年度末時点で滞納債権額が4億7,999万円でした。その1年前が4億6,000万円と聞いておりますので、この1年間で2,000万円ぐらい増加しています。そして、債務者110名中、78%に当たる86名が滞納者であるという報告があったところでございます。そのとき、当時の部長に今後どうするかと聞いたところ、平成25年度からの新たな取り組みとして、定期的な催告書の発送や夜間相談、それから専任の係長を設置して、平成24年度上半期、25年度上半期については、過年度分の回収がそれぞれ589万円、957万円の納付効果があったということで、債権額は少し減少している、効果を上げているということでございました。しかしながら、今の説明を聞きますと、平成26年度末の債権は約4億8,900万円とまたふえていて、そのときはよかったけれども、効果は上がっていないということでございます。  そこで、質問したいのですが、平成26年度末の実績が約4億8,900万円になっていて、今年度末の数字はまだ出ておりませんけれども、この増減の見通しはどうなのか。それから、最初は縮減に向けて効果があったようですが、これからどう取り組んでいくのか、この点についてご質問したいと思います。 ◎芝井 市民生活部長  まず、平成26年度末の滞納額は、委員からもありましたが、約4億8,900万円でありまして、累積償還率は75.1%となっております。2年前にご質問いただきましたときと比較しますと、26年度単年度の収納額自体は約1.5倍の4,400万円強となっており、累積償還率は、0.9ポイント上がっております。しかしながら、ご指摘がありましたとおり、滞納額は約900万円増加している状況でございます。  それから、平成27年度の増減の見通しですが、まだ1月末までしか集計が済んでございませんので、最終的にどうなるかは見通せない部分が多いですけれども、今のところ、滞納額はやや縮減するのではないかというふうに見込んでおります。 ◆宗形雅俊 委員  収納率は上がっているけれども、過年度の納付は滞っているということで、入ってくるものと新たに発生するものとの行ったり来たりの話になっているのかなと思いますが、額としては結果的にはふえております。  やはり、先ほどから言いますように、信頼性ということを考えると、ここを何とかしていかないと、結局は堂々めぐりをしているなと感じます。そして、危惧するのは、先へ進んでいくと今回のような債権条例に基づく債権放棄になっていくのかなということで、その辺はしっかりとやっていただかなければなりません。  それから、先ほど聞いたことの答弁がなかったのですが、催告書の送付や専任係長の配置で一時的に効果を上げているということですけれども、要するに、今後、体制を含めて、効果を上げてほしいということなのです。責任論もあるかもしれませんが、世間一般からして、これを少しでも減らしていくことが大事だろうと思いますので、体制、また、新たな取り組みをどうされていくのか、改めてお聞きしたいと思います。 ◎芝井 市民生活部長  失礼いたしました。  体制も含めて、滞納の縮減に向けた取り組みと成果ということでございます。  先ほど申し上げたとおり、滞納がふえていることについては大変深刻な事態でありまして、今年度から専任の課長1名と係長1名を増員してさまざまな収納対策に取り組んでいるところでございます。具体的には、滞納者全員と面談することを目標に置いて、催告書を送り、電話がけあるいは臨戸訪問を行うなど滞納者との折衝に努めた結果、これまでに滞納者73人中48人と面談を行い、収入状況、生活状況などの確認を行って、さらには返済計画の策定を進めているところでございます。  また、札幌弁護士会の協力を得て、法的な問題を含む滞納ケースについて定期的に相談、協議を進め、滞納整理方針について助言を得ておりますほか、対応が困難な案件につきましては平成27年12月から債権回収業務の弁護士への委託を始めております。  これらの取り組みの結果、平成27年4月から1月までの数字でございますが、滞納繰越分の収入は前年に比べて1.8倍の約2,090万円となってございます。今後とも、滞納額の縮減に向けて取り組みを徹底していきたいと考えております。 ◆宗形雅俊 委員  ぜひ、頑張っていただきたいと思っております。  収納対策についての質問はこれでやめまして、最後に、制度の必要性についてお話しさせていただきます。  平成25年の質疑のときにも、この制度の役目はもう終わったのではないかという主張をさせていただきました。この制度は、昭和36年に、北海道において、当時のアイヌの方々の住宅環境の劣悪さの中で福祉的要素ということでスタートしました。この間、昭和48年には国からも援助金を得まして、札幌市は昭和52年からこれをスタートさせておりますが、このときのスタートについてはよかったのだろうと思っています。それからずっと経過してきた中で、私は、劣悪な環境というか、バラックに住んでいるとか、外形上ではそんな方はもういらっしゃらないのだろうと思っています。  それから、公平性という観点からすると、最近はよく貧困などと言われていて、アイヌの方々だけではなくて、一般の札幌市民の方々にも住宅を求める者などがいます。今の金利は安いから2%というものもあるかもしれませんが、それでも長期のことを考えていくと増減がありますから、そういう中では、一般の方も借りられないのかということが片方であると思っております。  そこでまず、制度として見直したということですけれども、直近の新築資金の貸付金の利用状況は、今、札幌市でどうなっているのか、教えてください。  それから、同じような対策をとっているような近隣の市町村がどんな状況になっているのか、わかればお示し願いたいと思います。 ◎芝井 市民生活部長  近年のアイヌ住宅貸し付けにかかわる利用状況でございます。  まず、札幌市の近年の利用について、過去5年間の状況を申し上げますが、平成22年度は新築1件、宅地1件、平成23年度は新築1件でありまして、平成24年度以降は貸し付けの実績がございません。  次に、札幌市以外の団体における利用状況です。  近隣ということではなく、北海道全体ということで申し上げますと、現在、札幌市を含む全道51市町で実施しておりますが、その貸付実績につきましては、過去3年分を把握しておりまして、平成24年度は改修3件、平成25年度は改修3件、宅地1件、平成26年度は新築1件、改修2件となっております。近年、市場金利が低下してきていることが利用の低調な理由の一つと考えております。 ◆宗形雅俊 委員  札幌市においては、平成24年度以降の利用がない、それから、近隣においては、新築、宅地などは数件あるけれども、改修が多いという実績だと思います。部長からも金利の問題があるのかなという話がありましたが、借りられるためにいろいろ運用見直しをしたということでありますけれども、先ほどから言っているように、私は、やはり役目はもう終わったのではないかと。改修が多いということであれば、今、札幌市でも改修に対して別な事業をやっていますね。ですから、改修についてはそうした制度を利用してもらうこともできます。それから、アイヌの方というよりも、公平性という意味で札幌市全体のことを考えていくと、福祉的要素ということは十分理解できますけれども、こちらにはスポットを当てて、片方ではスポットが当たっていないですから、当たっていない人にするとある意味で不公平感が出てくるわけです。また、先日、北海道がアイヌの方々に対するいろいろな調査をされまして、その調査ではいろいろなことでまだまだ必要だということになっているのかもしれませんが、札幌市内の方々はどうだったかというところは見えてまいりません。そういうことを考えたり、今の実績を考えると、私が平成25年に主張したように、見直しはしたけれども、この制度の役目はもう終わったのではないかという気がしますし、改修については札幌市の別な制度を利用していただくようにしてはどうかと思います。そして、過去の債権については、先ほどおっしゃったように、回収の努力をしていただくという格好で行くのがいいと思います。  それから、これは、国と道から8分の1ずつもらっていますけれども、事業主体は市町村であり、市町村が決めるということになっておりまして、札幌市が決定権を持っておりますから、そういったことに鑑みると、事業の役目は終わったということで考え直してはどうかと思いますが、いかがか。 ◎芝井 市民生活部長  委員からもありました平成25年度の北海道アイヌ生活実態調査などによりますと、アイヌの方々と一般市民との間には、住宅の保有状況では遜色がなくなってきておりますが、収入状況あるいは進学率などさまざまな面でいまだに格差がある状況でございます。  この貸付制度は、アイヌの方の先住民族としての歴史、あるいは現状での生活格差を背景にして、生活向上に関する施策の一つとして、国、北海道の制度のもとに全道的に展開している事業でありまして、札幌市もこの枠組みの中で事業を実施しているものと理解しております。近年、貸付実績はないものの、毎年、貸し付けの相談はありまして、制度のニーズはなお失われていないと認識しております。今後も、アイヌの若い世代が家庭を持つ場合、あるいは、市外から転居してくる場合に住宅を新築する、あるいは、現在居住している住居の老朽化に伴って改修を行うといった需要に向けて、引き続き本制度は必要であると考えてございます。
     したがいまして、市民理解をいただけるような運用の改正や収納対策の努力を行った上で、当面は制度を維持していきたいと考えているところでございます。 ◆宗形雅俊 委員  これで最後にしますが、信頼性などのことがいろいろあります。アイヌの方々から見たらそうでしょうけれども、そのかわり、一般の市民の視点から見ると、今、貧困などの話題もこの議会でよく話題に上っていまして、そういった方々にすると、公平性がなく、不公平になっているのではないかと。それなら、それに向けた制度をつくればいいということになってしまうかもしれませんが、アイヌの方々の文化継承といったことはあくまでもしっかりやっていただく中で、一市民が見るとそういう見方があるということもぜひ受けとめていただきたい、また、公平性、信頼性、透明性ということについては、それを揺るぎないものとするためにも、我々議員もそうですけれども、皆さんも債権回収や運用ということをぜひ検討していただきたいと思います。また、役目が終わったのではないかということについては、それぞれの意見の相違かもしれませんけれども、そのことを申し述べて、終わりたいと思います。 ◆山口かずさ 委員  私からは、債権放棄の件について、主に担保保全の観点から質問いたします。  北海道が7年ごとに行っている北海道アイヌ生活実態調査によると、先ほども出ていましたが、所得や進学率などの点において、今なお生活の格差が存在するアイヌの方の現状が明らかになっており、今日においても生活関連施策として貸付制度が必要なことは変わりなく、制度の継続が望まれているものと考えています。しかし、市民に広く理解される制度であるためには、当然のことながら、適切な運用が求められているものであり、今回のような事案はあってはならないことだと考えています。  先ほど、債権放棄に至る経緯について説明がありましたが、今回の債権放棄の大きな原因としては、抵当権の一部未設定や抵当権の抹消など、債権に係る担保の保全が不十分だったことが挙げられると考えています。このことを踏まえた上で、担保保全における問題点について、少し掘り下げて質問いたします  最初の質問です。  当初の物件である南区の不動産の一部に抵当権が設定されなかった理由は何なのか、また、本件のように抵当権がついていないものはほかになかったのか、現在の状況について、あわせてお伺いします。 ◎芝井 市民生活部長  貸し付けに伴う抵当権設定などのことについてお答えします。  今回の貸し付けに伴う抵当権設定は、通常、契約書におきまして借り受け者が設定しなければならないと定めておりまして、具体的には、借り受け者に登記手続きをしてもらって、完了次第、登記簿を提出してもらう取り扱いとしておりました。本件におきましては、借り受け人が契約に違反して抵当権を設定せず、市もその確認を怠ったものと考えております。  今年度、残っている物件全てについて改めて確認しました結果、本件のほかにも未設定のものが4件あったことが判明いたしましたが、そのうち3件については既に抵当権設定登記を完了しておりまして、残りの1件も手続を進めているところでございます。現在は、金融機関住宅ローンなどと同様に、融資実行と抵当権設定を同時手続とするよう事務を見直しておりまして、今後は同様なことは起こらないと考えてございます。 ◆山口かずさ 委員  ただいまの答弁で、抵当権を設定する方向に向かっているけれども、ついていなかったものがあったことがわかりました。今後貸し付けとの同時設定を徹底していってほしいと思います。  次に、今回の事案において債権放棄に至った最大の要因と思われる一つの物件に二重に抵当権が設定されたという問題についてです。そもそも、債務者であるAが市に無断で第三者に転売したことは貸付要綱及び契約に反する行為であり、市としては、転売を知った時点で、契約解除を行い、一時償還を求めるべきだったのではないでしょうか。  そこで、質問です。  札幌市として転売の事実を把握したのはいつなのか、そしてまた、借り受け人Aとの貸付契約を解除することなく継続した理由は何であったのか、詳しくお伺いします。 ◎芝井 市民生活部長  まず、転売の事実を市が把握した時期でありますが、当時の起案によりますと、昭和60年5月の第三者Bからの資金借り受け申請時におきまして、既に借り受け人Aと第三者Bが昭和59年12月に売買契約を終えてしまっていることを把握したと思われます。  契約解除あるいは一時償還を求めなかった理由についてですが、現在残っている書類からは詳細には確認できないものの、借り受け人Aと第三者Bとの間の売買契約書の中にはAがBから全代金を受領すると同時に抵当権を抹消する旨を定めておりましたことから、転売による売却額によりまして抵当権抹消の前提となる市への完済が果たされると考えていたのではないかと思われます。 ◆山口かずさ 委員  事情はわかりましたが、転売により得られた収入で市への償還がなされると考えたのは、やはり甘いと感じます。債権を保全する観点から、厳正に対処すべきだったのではないでしょうか。  最後の質問ですが、今回、あわせて運用方針の改正の説明がありましたけれども、これによって、今後、今回のような事案は防げるのでしょうか。  また、再発防止策として何か考えているのか、お伺いします。 ◎芝井 市民生活部長  今回の運用方針の改正につきましては、新たな滞納を抑制する観点及び債権の担保を図る観点の大きく二つの視点から行うものでございます。改正後の貸付要綱や運用方針を遵守して貸付事務や債権管理の一つ一つを確実に行うことで今回のような事態を防ぐことができると考えてございます。  また、先ほども述べましたが、物件への抵当権設定を貸し付けと同時履行する事務の改善は既に行っておりまして、加えて、今回の運用方針改正において、連帯保証人住宅ローン残高などの担保能力の要件を厳格化する方針でございます。さらに、先ほどの質問でも一部お答えしましたが、今年度から札幌弁護士会の滞納整理チームと定期的に貸付案件に関する相談などを行っておりまして、今回のような法律的に難しい案件についての取り組み体制も整っていると考えているところでございます。 ◆山口かずさ 委員  このたびの債権放棄の案件については、貸し付け時にきちんと審査をしていれば、二重抵当権の発生といった事態が起こることは考えられず、ずさんな対応だったと言わざるを得ません。冒頭に申し上げましたが、制度を継続していくには何よりも市民の理解と信頼を得ることが不可欠です。  今回の制度運用の見直しを契機に、今後は新たな滞納を発生させることのないよう、貸し付け時にはしっかりと審査を行うとともに、万一、滞納が発生した場合は迅速に対応するなど、滞納整理を一層強化することを強く要望して、質問を終わります。 ◆前川隆史 委員  私からは、今回の債権放棄の件について、主に納付督励の視点から簡潔に質問させていただきたいと思います。  今回の債権放棄に至った件については、貸し付け時のずさんとも言える事務処理や担保の保全が十分ではなかったことが大きな要因と考えられますが、一方で、滞納が長期化したことも根本的な要因だったのではないかと考えます。  そこで、今回の事案における納付督励と市の働きかけの状況について質問させていただきたいと思います。  今回の債権放棄の額は1,623万円とのことでしたが、そもそも借り受け人Aに対する債権の総額と最終的な償還額は幾らか、また、借り受け人Aに対する納付督励等の働きかけは十分だったと考えているのか、あわせてお伺いしたいと思います。 ◎芝井 市民生活部長  借り受け人Aに対する債権総額と最終的な償還額についてでございます。  新築、宅地、改修の3種類の貸付金は、合計で1,300万円となっておりました。また、平成9年度に交わした債務承認支払い契約も含めて考えますと、最終的に元利合計で約1,840万円の債権総額となるものでございます。また、これに対する最終的な償還済み額は、元金と利息で214万円余りの状況でございます。  次に、借り受け人Aに対する納付督励等の働きかけについてでございます。  督促や催告に加えまして、時効の進行をとめるための債務承認を含む滞納状況調査を適宜行っていたと確認しているところでございます。加えまして、長期間の滞納に対して、厳正な償還を確保するための債務承認支払い契約の締結、あるいは、借り受け人に破産のおそれがある場合に債権保全のための履行期限の繰り上げなど、さまざまな働きかけを行ってきたところでございます。  しかしながら、滞納が長期化した後に破産免責となってしまったことから、結果としては十分ではなかったと受けとめているところでございます。 ◆前川隆史 委員  今のご答弁では、定期的な納付督励をさまざまにやっていたということでございましたが、借り受け人Aに対して、生活状況の確認とか資力、財力の調査等を行っていたのか、また、連帯保証人に対してしっかり請求していたのか、あわせてお伺いしたいと思います。 ◎芝井 市民生活部長  借り受け人Aに対する生活状況や資力の状況につきましては、残っている書類によりますと、定期的な督促、催告に合わせて行っておりました滞納状況調査により確認しておりまして、具体的には、自営業の不振や転退職による収入減などにより資力が回復していないものと把握していた状況でございます。  次に、連帯保証人に対する働きかけといたしましては、平成9年度に、借り受け人のみではなく、連帯保証人に対しても納付の働きかけを行っております。加えまして、平成25年にも連帯保証人に対して滞納額の通知を行っておりますが、請求までは行っていない状況と確認しております。 ◆前川隆史 委員  この借り受け人については、市に無断で転売を行っていたり、また、ほかに例のないような貸付契約の結び直しまでしている方なので、早期に法的な手段に訴えるなど徹底した働きかけが必要だったと考えます。このような問題の再発を防止するためには、今回の事案を踏まえた納付督励等の強化が必要ではないかと考えます。  そこで、最後の質問でございますが、今後、滞納を防ぐ、あるいは、滞納が発生しても長期化させない対策として何か考えているのか、お伺いしたいと思います。 ◎芝井 市民生活部長  今後、滞納を防ぐ対策などについてお答えいたします。  まず、制度の運用面からでありますが、今回の運用方針の見直しによりまして、原則、違約金を徴収することに取り扱いを変更いたしますので、これにより、早期納付の意識が向上して、滞納を防ぐ効果が一定程度あると考えてございます。また、今年度から専任の課長1名、係長1名を増強して、より一層の納付督励などの取り組みを行っているところでございまして、滞納等があった場合でも、個々の滞納者の状況に応じて文書や電話、訪問によるきめ細かな対応を迅速に行うことによりまして滞納の長期化を防いでいきたいと考えてございます。加えまして、今年度は法的に難しい案件を中心に弁護士に債権回収業務を委託しておりまして、今後、このような外部の力もかりながら、徹底した収納対策を進めてまいりたいと考えております。 ◆前川隆史 委員  この制度は福祉的な性格の制度でございますが、どこまで行っても契約に基づく債務でありますし、市民の貴重な財産でございますので、今後しっかり取り組んでいただきますことを要望して、質問を終わります。 ◆伊藤理智子 委員  今回報告された債権放棄については、二度と再発しないように防止策をしっかりと行うよう求めておきたいと思います。  私からは、アイヌ住宅新築資金等貸付金制度について質問いたします。  先住民族として暮らしてきたアイヌの人々が、北海道の地で、苛酷な労働や不平等な交易など、差別と偏見の中で大変な生活を強いられてきた実態があります。現在は、アイヌの伝統文化を守り、伝えていこうと、国、北海道、本市がさまざまな施策に取り組んできていますが、アイヌの人々の生活保護の受給率や大学の進学率など、ほかの人たちより大変な状況になっているのがこの間の生活実態調査で明らかだと考えます。  その後、アイヌの人々の暮らしが急激によくなっているとは思えませんが、現在の生活実態がどうなっているのか、改善されてきていると考えているのか、伺います。 ◎芝井 市民生活部長  平成25年度に行われた北海道アイヌ生活実態調査の内容についてお答えいたします。  この調査の実施結果によりますと、アイヌ居住市町村での比較でございますが、生活保護率では、全体で33.1パーミルに対して、アイヌの人たちは44.8パーミルでございます。それから、進学率の状況でございますが、高校への進学は全体で98.6%に対してアイヌの人たちは92.6%、また、大学、短大への進学は全体で43%に対してアイヌの人たちは25.8%となっておりまして、依然としてアイヌの人たちと一般市民の間には格差があるというふうに考えております。 ◆伊藤理智子 委員  本市が行っている実態調査の結果を見ても、アイヌの人々がどれほど大変な状況に置かれ、苦労してきたかが明らかであり、改善されたとは言いがたい状況だと思います。  2月26日付の道新で、アイヌ民族に対する差別や偏見があると思うと答えた人は、アイヌ民族を対象にした調査では72%だったのに対して、国民全体では約18%にとどまったと報道されておりました。続いて、27日付の道新では、道内のアイヌ民族は、民族への理解が進んでいないと懸念しております。なぜアイヌの人々の生活実態が改善されていないのか。この調査でも明らかなように、いまだに差別や偏見がなくなっていないことが大きな原因となっているというふうに考えます。  アイヌの人々と国民の間で、差別に対する乖離があることについてどのように受けとめているのか、本市の認識をお伺いいたします。 ◎芝井 市民生活部長  先ほどの生活実態調査などから格差があるということ、それから、新聞報道も確認いたしまして、今現在はまだアイヌ民族への理解が進んでいないことがこうした格差を生んでいる原因ではないかというふうに考えております。 ◆伊藤理智子 委員  この道新の記事の中で、菅官房長官は、国民全体ではアイヌ民族に対する理解が不十分だと、2020年に白老町に開設するアイヌ文化振興の拠点整備や普及啓発に取り組む考えを強調しています。アイヌの人々が、先住民族としての誇りを持ち、今後も次世代へ歴史や文化を継承していくために、若い世代などが札幌に住み続けられるように支援すること、市民にアイヌ文化のすばらしさや先住民族としての誇りある歴史を学校教育なども含めて広く伝えること、差別や偏見をなくしていくこと、こうした取り組みに自治体として力を尽くしていくことが重要だと考えます。  アイヌ文化と歴史の保存を伝承していく上でも、アイヌの人々の生活を支えるための支援制度は必要だというふうに思いますがいかがか、伺います。 ◎芝井 市民生活部長  生活関連施策に関する必要性ということかと思いますが、先ほどのご質問にもありましたとおり、生活あるいは教育などのさまざまな面でいまだに格差があり、私たちもさまざまな支援が必要だというふうに考えてございます。ただし、アイヌ施策につきましては、札幌市にとどまらず、全国的な課題も多いと認識しておりますので、国や北海道による政策の方向性を見きわめ、適切な連携を図りながら展開していく必要があるというふうに考えてございます。 ◆伊藤理智子 委員  2007年9月13日に、先住民族の権利に関する国連宣言が採択され、2008年6月には、国会においてアイヌ民族を先住民族とすることを求める決議を全会一致で採択しました。この決議では、「多数のアイヌの人々が、法的には等しく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされたという歴史的事実を、私たちは厳粛に受け止めなければならない。全ての先住民族が、名誉と尊厳を保持し、その文化と誇りを次世代に継承していくことは、国際社会の潮流」としています。アイヌの人々が差別と偏見の中で貧窮状態に追い込まれてきた歴史的事実を、私たちは真摯に受けとめるべきだと考えます。  その上で、アイヌの文化と歴史を次世代に継承していくためにも、アイヌの人々が札幌に根差して活動していくためにも、本市がしっかりとアイヌの人々の歴史と文化を伝承するために施策を実施していくこと、また、東北学院大学の榎森 進氏は、歴史はもちろん、経済格差など、現代アイヌの生活実態も含めて学校で教えるべきだと述べておりますように、今後、学校教育の中でもアイヌの文化や歴史についてさらに学習していく必要があるということを強く求めて、私の質問を終わります。 ○小川直人 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○小川直人 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  以上で、委員会を閉会いたします。     ――――――――――――――       閉 会 午後4時39分...