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  1. 熊本県議会 1998-09-01
    09月18日-04号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    平成10年 9月 定例会┌──────────────────┐│  第 四 号(九月十八日)    │└──────────────────┘ 平 成 十 年  熊本県議会九月定例会会議録    第四号──────────────────────────平成十年九月十八日(金曜日)   ────────────────────   議事日程 第四号  平成十年九月十八日(金曜日)午前十時開議 第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)   ────────────────────本日の会議に付した事件 日程第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)      ───────○───────出席議員(五十一名)                 古 田   豊 君                 馬 場 成 志 君                 幸 山 政 史 君                 大 西 一 史 君                 平 野 みどり さん                 荒 木 義 行 君                 坂 田 孝 志 君                 荒 木 章 博 君                 小 池 美千代 君                 船 田 直 大 君                 早 川 英 明 君                 田 方 初 美 君                 小 杉   直 君                 中 原 隆 博 君                 田 上 泰 寛 君                 岩 中 伸 司 君                 堤   泰 宏 君                 篠 﨑 鐵 男 君                 前 川   收 君                 江 口 隆 一 君                 下 田 耕 士 君                 林 田 博 達 君                 園 村 敬 二 君                 河 端 俊 夫 君                 渡 辺 利 男 君                 鬼 海 洋 一 君                 竹 口 博 己 君                 土 屋 歳 明 君                 沢 田 一 郎 君                 坂 本 哲 志 君                 大仁田 貞 夫 君                 高 野 誠 一 君                 吉 本 賢 児 君                 村 上 寅 美 君                 松 村   昭 君                 池 田 貞 俊 君                 前 畑 淳 治 君                 荒 木 詔 之 君                 島 津 勇 典 君                 倉 重   剛 君                 杉 森 猛 夫 君                 山 本 秀 久 君                 八 浪 知 行 君                 髙 田 昭二郎 君                 古 閑 三 博 君                 北 里 達之助 君                 米 原 賢 士 君                 池 田 定 行 君                 小 谷 久爾夫 君                 広 瀬 博 美 君                 西 岡 勝 成 君欠席議員(三名)                 児 玉 文 雄 君                 島 田 幸 弘 君                 山 本   靖 君   ───────────────────説明のため出席した者          知事     福 島 譲 二 君          副知事    魚 住 汎 輝 君          出納長    河 野 延 夫 君          総務部長   望 月 達 史 君          企画開発部長 上 野 善 晴 君          健康福祉部長 冨 田 徹 也 君          環境生活部長 田 中 力 男 君          商工観光労働          部長     前 田 浩 文 君          農政部長   村 上 公 佑 君          林務水産部長 牛 島   浩 君          土木部長   島 田 健 一 君          国体推進局長 塩 山   隆 君          公営企業          管理者    古 城 芳 臣 君          教育委員会          委員長    岡 﨑 禮 治 君          教育長    佐々木 正 典 君          警察本部長  伊 藤 茂 男 君          人事委員会          事務局長   池 田   隆 君          監査委員   西   徳 義 君          地方労働          委員会会長  冨 永 清 美 君   ───────────────────事務局職員出席者          事務局長   吉 本 健 一          事務局次長  松 永 昭 次          議事課長   金 田 和 洋          議事課長補佐 船 越 宏 樹          議事課長補佐 野 田 克 巳          主任主事   小 池 二 郎      ───────○───────  午前十時三分開議 ○議長(八浪知行君) これより本日の会議を開きます。      ───────○─────── △日程第一 一般質問 ○議長(八浪知行君) 日程に従いまして、日程第一、昨日に引き続き一般質問を行います。 岩中伸司君。  〔岩中伸司君登壇〕(拍手) ◆(岩中伸司君) おはようございます。ただいまから一般質問をさせていただきますけれども、新社会党の岩中伸司でございます。よろしくお願いをいたします。 私も質問に立つのは六回目でございまして、市議会から通算すれば二十一回目になるんですが、質問は何回やっても、やればやるほど新しくなって、非常に難しくなるという気持ちでおります。今回も非常に緊張をしながら質問にかかるわけですけれども、ぜひとも皆さん方の御清聴をよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。 さて、それでは早速、時間の都合もありますので、質問に移らせていただきますけれども、まず質問の冒頭に、本日は、実は熊本県の地方労働委員会会長であられます冨永清美会長には、大変お忙しい弁護士という多忙な中で、その時間を割いて、変更していただいて、本日この議会本議会に出席をいただきましたことにつきまして、まず冒頭お礼を申し上げたいというふうに思います。ありがとうございます。 通告に従いまして、質問をいたしたいと思います。 まず最初に、労働委員会命令と五・二八東京地裁判決について質問をしたいと思います。 ことし五月二十八日、東京地方裁判所は、中労委救済命令を取り消す不当な判決を出しました。つまり、国労組合員のJR不採用問題をめぐって、採用選考のやり直しなどを命じた中央労働委員会救済命令を取り消すようJR六社が求めた行政訴訟で、救済命令を取り消す判決を言い渡したのです。結論から言えば、労働者を救済する機関であるはずの労働委員会制度を否定するという、労働者側にとっては極めて悪質な許しがたい判決と言わねばなりません。 労働委員会は、労働組合法により設置された独立行政法人で、労働者、使用者、公益の各代表者同数の委員で構成をされております。中央労働委員会労働大臣の所轄であり、地方労働委員会は、都道府県知事の所轄となっています。労働委員会不当労働行為の審査、さらに救済、労働争議の調整に当たりながら、労使紛争に純粋な司法判断を下すのではなく、正常な労使関係の回復に向け、お互いが知恵を出し合う専門機関としての役割を持っているのです。 国労の不採用問題は、地労委、中労委で、そのほとんどが不当労働行為の認定をし、国労勝利救済命令が出されております。皆さん御承知のとおりであります。 一九八七年の国鉄分割民営化から十一年が経過をいたしました。国鉄分割民営化を前にして、全国で七千六百二十八名の国鉄職員が新会社に不採用となり、再就職を必要とする職員として国鉄清算事業団に辞令が出されたところであります。そして、そのほとんどが国労組合員だったのです。 当時の政府の最高責任者である中曽根首相橋本運輸大臣は、所属組合による差別があってはならない、一人の職員も路頭に迷わせないと、国鉄改革法審議中に約束しておきながら、それが今も守られていません。清算事業団を解雇された千四十七名の人々は、職場復帰を求めてアルバイトや仲間のカンパで最低の生活を続けながら、ことし五月二十八日の東京地方裁判所での判決に大きな期待をかけていたのは当然のことであります。 ある家族は、この長い間、当時小学校一年生だった子供がもう既に高校三年生、そのような長い期間の闘いで、この東京地方裁判所に託した思いを語られています。老いていく親を安心させたい、私たちの思いをなかなか理解できない親、また理解できても心配が先に立ち、いろいろ言ってくる親と兄弟、いつの間にか肉親から足が遠のきました、いつかは胸を張って誇れる日が必ず来るはずだと思って頑張ってきました、しかし、五月二十八日の判決は、老いた親の思い、子供の思い、全国の仲間の思いが踏みにじられたのです、悲しくてたまりません、許せない思いに打ちのめされました、このように訴えられております。 ところで、熊本県地方労働委員会でも、一九八九年五月八日、国鉄がJRに移行した際、新会社に国労組合員が採用されなかったのは、組合間差別によるもので不当労働行為に当たるとして、国労と国労熊本地方本部などが、JR九州JR貨物組合員五十八人の採用を求めた救済申し立てで、国労側の主張をほぼ認めました。そして、JR九州JR貨物に対し、一昨年四月、つまり、新会社移行にさかのぼってJRへ採用をしなさい、そのようなことで、採用希望を出していなかった二人を除く五十六名に採用を命じる救済命令を出したのであります。 私は、当時の命令書写しをここに持っていますけれども、今回質問するに当たって、これを全部一読をしてみました。新たに、いろんな問題があったんだなということをつくづく感じているところです。例えば、先ほど申しました参議院の附帯決議中曽根首相橋本運輸大臣が、一人もやっぱり路頭に迷わせない、組合間の差別は行わない、このようなことを言ったこともこれに記されております。昭和六十一年十一月二十五日の参議院の日本国有鉄道改革に関する特別委員会、この中で、所属する労働組合によって差別が行われるものであってはならないというふうな答弁が運輸大臣からなされているところであります。同二十八日についても、同じようにそのような趣旨の内容が附帯決議として行われていることも明らかであります。 そして、国労の組合員が差別をされた中身については、この命令書の中につぶさに書かれてありますけれども、これを一つ一つお話していったら時間が足りません。職場の実態もここで出されております。 二、三ちょっと紹介をしたいと思いますけれども、熊鉄局内、熊本の中での問題ですが、私が所属をしておりました荒尾駅でもこんなことがあっています。これには、荒尾駅の当時の緒方駅長は、点呼時に「分割・民営化は、至上命題だ。今のうちに意識改革しないと新会社には残れません。」「分割・民営化反対とまだ言っている組合があるが、そんな組合にいると採用されない。自分のことは自分で考えるように。」こういうことを繰り返し荒尾の緒方駅長は職員に対して言っていたのであります。さらに、いろいろ、それぞれの職場、ほかの職場でも、熊本電力区の職場では「国労にいては新会社に残れない。国労を脱退しろ。」と、このような強要がなされてきたのであります。まだまだたくさんの事例がございます。 こういう事例に基づいて、熊本県の地方労働委員会救済命令を出したのでありますけれども、その経過の中で、組合員は極端にやっぱり減ってまいりました。実は、組合員数が一九八六年五月は全国的に十六万三千人だったのが、十一月には十一万人、分割・民営の時点では四万四千人に減っています。熊本では、一九八六年七月に二千二百四十七名、組織率八二%でございましたけれども、それ以降、八七年一月、半年ちょっとの間に約五分の一近くになって四百七十二名になり、新会社発足の時点四月では二百十九名と極端に組合員が減ってきている、これもすべて不当労働行為によるものだということが明らかになっているところであります。 そういう事実経過の中で、熊本県地方労働委員会も、このように労働者救済命令を出しているところでありますけれども、今回の五月二十八日に出された東京地方裁判所の判決に対して、熊本県地方労働委員会会長の見解をお伺いいたしたいと思います。  〔地方労働委員会会長冨永清美君登壇〕 ◎地方労働委員会会長冨永清美君) それではお答えいたします。 国鉄民営化に伴う国労組合員に係るJRの不採用事件につきまして、東京地方裁判所の判決は、本県地方労働委員会等が出しました、JRが責任を負うべきものという趣旨による不当労働行為救済命令につきまして、中央労働委員会が再審査した上で出しました同一趣旨の救済命令を取り消すものであります。 したがいまして、JRが責任を負うべきものとした本県地方労働委員会及び中央労働委員会の判断が支持されなかったわけでございます。まことに残念なことだというふうに思っております。 なお、中央労働委員会は、この判決を不服としまして、平成十年六月十一日に東京高等裁判所に控訴いたしました。そこで、本県地方労働委員会としましては、その審理の行方を注意深く見守ってまいりたいというふうに思っております。以上です。  〔岩中伸司君登壇〕 ◆(岩中伸司君) 答弁ありがとうございました。 地労委、中労委それぞれ救済命令を出したその決定について、今回の東京地裁では、それを否定するような内容になったということで、熊本県地労委会長としても非常に残念なことであるという表明がなされました。今後見守っていくということです。控訴されて、これから法の場で審議をされていくわけですから、それ以上の差し込んだ答弁もなかなかできないと思いますけれども、非常に残念だったという気持ちは私も全く同感でありますし、その思いを大切にしながら、ぜひとも、この国労問題については、差別を許さないという立場の中で、一日も早い解決、職場復帰、そのことを期待しておきたいと思います。 ちょっと振り返ってみますと、皆さん方の認識はどうかわかりませんけれども、分割・民営の問題については賛否両論いろいろあるところですけれども、私どもから言わせれば、これはやっぱり闘う労働組合の解体なんだということで、それはそのとおりになりつつありました。分割・民営の時点でも、国労組合員まだ三万人残っていましたので、よしそれで頑張れるぞというような決意で、今もまだ全国国労組合員は職場の権利を守るために頑張っているところでありますけれども、政府の側、権力の側にしてみれば、国労をたたくと、さらに総評や社会党を解体していく、このような政治路線がきちんと踏まれた、その一番最初のやり口が国労だったんじゃないか。国労のやり方が認められるとすれば、これはいろんな会社の中で名前を、社名を変えただけでその従業員は全部変えることができる、非常に使用者に一方的な、労働者の権利を全くじゅうりんをする、このようなことを許すということになると思います。 きのうの一般質問の中で、最終的には憲法改正をやらなくちゃいかぬという小杉県議の力強い自信に満ちた発言があっておりますけれども、私は非常に全く逆の立場でして、そうならないようにですね、やっぱりやらなくちゃいかぬ。しかし、この国労問題を端に発して、政治の流れがだんだん変わってきたのは皆さん御承知のとおりです。そしてもう行き着くところの憲法改正が近いぞと、こんな政治状況じゃないか、非常に私は心配をしているところであります。 何せこの国労問題、非常に重要なことでありますので、ぜひ職場復帰を求める組合員の一日も早い復帰を私も重ねて祈念をして、この質問を終わらせて、次に移らせていただきたいと思います。 なお、この質問、地労委の会長は大変申しわけなかったんですが、ちょっと事務局から聞いたんですが、三十七年ぶりに地労委の答弁を伺ったと。昭和三十六年、一九六一年三月議会で、たまたま私の大先輩であります国労の西島春雄県議が質問をされているそうです。後にも先にもこれが二回目だそうですけれども、それくらい重要な問題をこの国労問題は秘めていると思いますので、よろしく御理解のほどをお願いしたいと思います。 続きまして、県財政のあり方について質問をいたします。 国も地方も財政赤字を抱え、憂慮すべき事態を迎えている現状であります。自治省が昨年末、一九九八年度の地方財政収支見通し地方債計画を発表しましたが、それによりますと、地方の借入金残高は百五十六兆円に膨らむ見込みであることが明らかになりました。 国の財政赤字地方自治体財政赤字は密接なかかわりがあると伝えられております。以前よく使われた言葉に三割自治というのがございます。税収のうち七割が国庫に入り三割が地方自治体に入る。しかし住民サービスの提供ではこの関係が逆転をして、七割が地方自治体によって担われ、その穴埋めをするのが国から地方に交付される地方交付税交付金各種補助金です。 一九八六年秋の円高不況以降、多くの自治体で、公共事業拡大地域経済浮揚のために必要不可欠として、工業団地造成リゾート開発道路港湾整備、新空港、テーマパークの建設等々を推進されました。政府も、自治体の公債残高は国に比べればまだよい方だとして、公共事業費の多くを地方自治体に負担させてきました。一九八〇年には全体の六割を占めていた補助事業費の割合を、九五年には四〇・三%まで減らし、その分を地方単独事業費で賄わせるようになりました。 熊本県でも大型事業が立て続けに行われ、県財政を逼迫させているのが現状であります。中期財政見通しも心配なもので、県としての健全な財政運営のあり方について、県下全体を視野に入れた努力をしていただきたいと考えます。 次に、具体的に質問に移りますけれども、第一に、現在の県債の内容と今後の県債発行の考え方について伺います。 県債残高は、一般会計特別会計を合わせて十年三月末で一兆八十五億円になっています。一般会計での県債の借り入れ利率の最高と最低、さらに平均借り入れ利率は何%なのか、お尋ねをいたします。そのうち市中銀行は、本県の場合肥後銀行と思いますが、その借り入れ残高借り入れ利率を明らかにしてください。そして今後の県債発行健全財政の関係について考え方をお聞かせください。 次に、県土の均等な発展と予算配分について。 県土全体を見た場合に、一極集中の感を強く受けます。予算編成においては、弱い地域、そのような地域にも配慮をしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。 以上、総務部長にお伺いいたします。  〔総務部長望月達史君登壇〕 ◎総務部長望月達史君) 一般会計におきます県債の借り入れ利率でございますが、現在最高は八・五%、これは昭和五十年に国から借り入れました資金でございます。最低は二・〇%で、これはことしになって借り入れたものでございます。平均の借り入れ利率は約三・八六%でございまして、長引く景気低迷等の影響もあり、金利は低くなってきており、低利の借入金残高の割合が増加をしております。 なお、五%以上の残債、残った債務でございますが、このうちの大部分は、繰り上げ償還等が基本的に認められてはおりません国からの借り入れ、いわゆる政府資金でございます。また、市中銀行からの借り入れ残高は約三千四百億円で、平均の借り入れ利率は約三・四二%となっております。 県債の発行につきましては、特に平成四年度以降、国の数次にわたります経済対策に伴う補正予算債特別減税を補うための減税補てん債、また地方財政収支不足を補てんするための財源対策債、こういった起債を中心に全国的に増加をいたしておりますが、これらの県債につきましては、後年度その償還に応じて地方交付税により財源措置が講じられております。県債は世代間の負担の公平を図るという点から必要なものではございますが、それが後年度に公債費負担という形ではね返ってくることから、発行に当たりましては慎重に対応すべきものと考えております。 次に、予算編成におきます弱い地域への配慮はどうかということでございますが、生活者の視点と地域の視点に立ちまして施策の重点化を図ることを目指した熊本県総合計画「ゆたかさ多彩『生活創造くまもと」これにのっとりまして毎年度予算編成を行っております。これまでも、過疎化、高齢化などが進んでおります地域の産業や生活を支えるための社会資本整備充実過疎地域等において地域の活性化を進める市町村への支援強化など、可能な限り地域の特性に即しつつ、県土の均衡ある発展を図るべく努力をしてまいりました。 今後とも、限られた財源を有効に活用しながら、真に必要とされる事業に対して重点的、効率的な予算の配分に努めてまいります。  〔岩中伸司君登壇〕 ◆(岩中伸司君) ただいま総務部長から答弁をいただきました。県債発行、非常に私も、これまで一兆円を超える金額になっていますので、心配な面があります。 さらには、もっとこの具体的な内容もお聞かせ願いたかったんですけれども、これまでの借り入れ残高の具体的な問題については、後日調査をしていきたいというふうに思います。市中銀行三千四百億、三・四二%で現在推移をしているということでございますけれども、他の問題についても具体的な調査をしたいというふうに思います。 さらに、弱い地域、特に私は県北の一番福岡県寄りなんですけれども、荒尾は特に、何かひがみかもしれませんけれども、県の予算の使い方が少ないんじゃないかなというような感じでおります。熊本一極集中というのじゃなくて、県南、県北、いろんな地域にもぜひとも県の見える県政を行っていただきたい、このようにお願いを申し上げ、総務部長は市町村への支援、今後も積極的にやっていくということですので、よろしくお願いをしておきたいと思います。 次に、県庁舎の冷房について伺いたいと思いますが、時期を逸しているというふうに思います。担当の執行部の方も、もう冷房は終わりですからという話もございましたけれども、そうじゃなくて、来年のためにもぜひ質問をしておかないといけないなと思いながら、ぜひ改善を含めてお願いしたいと思いますが、御質問させていただきます。 県庁舎の冷房について伺いますが、地球温暖化防止省エネ対策として努力されている職員の皆さんには、敬意を表しますとともに、ことしの夏は大変苦労をされましたので、お見舞いを申し上げたいと思います。 ノーネクタイで上着も着用しないという服装については私も大賛成でございます。しかし、それはそれでよいと思いますけれども、冷房の温度は快適に仕事がやっぱりできるぐらいに下げたらどうでしょうか。特に地下の食堂などは、少し早い時期から昼食時前後はクーラーを入れるとか、庁舎についても汗ばむようなときは冷房を使うべきではないかというふうに思います。新庁舎の場合は特に温度が高く感じられているところです。 省エネを強調すれば、この観点もあると思いますが、新庁舎は三百億円もかけて空調を前提とした立派な庁舎が建設をされているのでありますけれども、ちょっとやっぱり不思議でたまりません。もっと当初から風通しのよい建物にするべきではなかったのではないでしょうか。空調を前提としたつくりになっていますので、新庁舎の場合、特にそこで働く県庁の職員の皆さん、さらには県庁への来客の皆さんは不愉快な思いでいられるんじゃないか。働きやすい快適な職場の環境や庁舎のお客さんサービス、そういう面でも二十八度にこだわらず、冷房を活用しなければならないというふうに思います。役所はどうも縦割りで、何日から何日までこうなんだ、これはこうだからという縦割り行政が生活の面まであるように感じます。私はやっぱりそういうことでなくて、非常に働きやすい環境をつくっていくということが大事じゃないか、そのように思います。 福島知事は、着任以来夏場は開襟シャツですか、すがすがしい服装だというふうに思いますが、福島知事のその行動は行動で、私はそれなりにいいというふうに思いますけれども、同時に、県庁で働いている職員の方々までそんな形になってはいけない。若い人は年配者よりもやっぱり暑さを強く感じるんですよ。年をとっていけば余り暑さは感じないということもあるというふうに思いますし、その部分もやっぱり考慮しなくちゃいかぬ。 それともう一つは、庁舎内で事務作業に一生懸命携わるそういう職員の方は非常に大変。例に出して申しわけないんですが、知事は大変公務多忙でありますので、知事室に、冷房二十八度にしたところにずっといるということは少ないんじゃないか、このような県職員の声も上がってきております。 本当の意味で働きやすい環境づくり、ことしはちょっと遅きに失しているわけですけれども、六月議会で質問できませんでしたので、ことしもまだ暑いときは冷房を入れながら快適な環境をつくるということ、これはもちろん地球温暖化防止については私も非常に関心が深いわけですけれども、二、三カ月の問題でありますし、何とかそこら辺は考慮すべきだと思いますが、これは知事にお尋ねをいたします。よろしくお願いします。  〔知事福島譲二君登壇〕 ◎知事(福島譲二君) 職員の執務環境の立場から、どちらかというと職員の立場に立っての御意見をいただいて、そういう意味では大変ありがたく思っております。 しかし、今回の措置は、夏の間は冷房設定温度を二度上げるということでありましたが、冬の暖房時期は逆に二度下げるということで、二、三カ月の問題ではなくて、年間を通して、県庁みずから地球温暖化防止のためにやれることはやっていこうという趣旨から出たものであります。確かに、暑くてかなわぬと嘆く職員の声も聞いておりますが、ノー上着、ノーネクタイ姿で二度の温度差はおおむね我慢の許容範囲だったのではないかなと思っております。 特に、本来冷え性で、かつ夏には弾力的というか、大変勇敢、大胆な薄着姿の女性にとっては、二度の温度の引き上げはありがたいという声が大変強く、日本の社会が室温の設定まで男性優位の状況であったのではないかと改めて悟らされ、思い知った次第であります。 一番御迷惑をおかけし苦情を言われるのは、むしろ外来の方々ではないかと心配をしておりましたが、これまた、むしろノー上着、ノーネクタイという姿が庁舎に逆に非常に入りやすい雰囲気だというような形で、理解をおおむねいただけたのではないかなと感じております。 職員や外来者の方々には御不便をおかけする面がないではないと思いますが、地球温暖化対策は、国民全体が早急に取り組むべき最も重要な環境問題の一つでありまして、県民の温暖化防止に向けた機運を盛り上げていくためにも、県庁みずからの率先行動を実施していかなければならないと考えておりますので、御理解、御協力をいただきたいと思っております。  〔岩中伸司君登壇〕 ◆(岩中伸司君) 知事の答弁をいただきました。 夏は二度上げ、冬は二度下げると、恐らく冬は夏のようなノーネクタイでなくて、防寒着で職員の方々は仕事をされるんじゃないかというふうに思います。もっとやっぱり、県庁は県民の一番の中枢だというふうに思いますので、知事は県民の声もなかなか聞きにくいと思いますが、県庁の職員の声をもっと聞いて、そういう中で地球温暖化の問題が問われるとすれば、マイカー通勤者はもっと少なくなるんじゃないかとも思うし、本当の意味で、地球温暖化防止ということの大前提があれば、なかなか言いにくい面もありますけれども、現代の文化的な水準の生活の中で、今そういう生活を求めても、特に若い人は難しいんじゃないかと。知事は戦中、戦後、ずっと生きてこられていますので、ちょうど戦前の、戦中の苦しみを味わった方は、意外とこの問題はすっといくと思うんです。私もうちへ帰りますと、暑い、暑いと帰ったら、お袋からやかましゅう怒られます。この冷たか風の来よって、どうしておまえは暑かかと、こんな話が来ますので、高齢者の方にとってはあんまりぴんとこない質問かなというふうに思います。 県庁は定年が六十歳以下の方ばかりですので、ぜひ、これは私は深刻な問題で、ずっと毎週一回庁内を回っていますので、旧庁舎、新庁舎、この職員の皆さん方の声は知事にぜひ届けてほしい、知事になかなか言われぬとですかね、県庁の中では。やっぱりそういう声がたくさん私に来ましたので、ぜひこれは検討していただきながら、来年の夏は、ぜひもっと快適な職場にしていただくようにお願いをして、次の質問に移らせていただきます。 情報公開に対する考え方について、これまた知事がいろんな発言をされていますけれども、質問をいたします。 情報公開については、議会のたびに議論になっていますが、当然のこととはいえ、時代の流れとして、政治の透明性が要求される最近の現状です。オンブズマンの活動が活発に行われ、情報開示請求が全国の地方自治体等で進められ、開示対象も拡大されてきているところです。 私は、一議員として、このオンブズマンの活動が大きく取り上げられていることに対して、みずからの力不足、議会としての機能が十分果たされていないことを残念に思います。本来ならチェック機関として、議会で県政の執行に対するチェックを強めること、つまり県民の代表として議席を与えていただいているわけですから、議会で議論し、県民に信頼される県政を確立するのが必要である、そのように思います。そういう意味からして、この議会のあり方が問われてくるのも当然だと言えます。 さて、熊本県としても、六月県議会で熊本県情報公開条例の改正が行われ、十月一日よりの施行が決まりました。一九八六年に制定された条例であり、十二年ぶりの改正で、情報公開については全国におくれをとっている現状ではないかと思います。 六月議会で知事は、情報公開について「公開を県政運営の基本として」きました。「開かれた県政を推進していく上では、県民の皆様方にできるだけ多くの情報を公開し、県政に対する理解を得、信頼を深めていただくことが大切であると考えております。そうした意味からも、情報の公開は、今後とも進めていかなければならない重要な課題であると認識をいたしております。」このように答弁をされています。 情報公開に対して積極的に進める姿勢が明らかにされました。しかしその後、開示請求が前向きに意味のある形でなく、一斉に多角的な請求がなされれば、通常業務も麻痺し、不必要な労力を費やすことになるなどと、オンブズマン活動に対する考え方も答弁されています。後者の知事の考え方も理解できないこともありませんが、公開を県政運営の基本とされる以上、もっと踏み込んだ対応をすべきだと考えます。 七月三十日に、熊本地裁は、県の食糧費を使って開かれる懇談会の出席者の公開について、民間人の懇談会出席は公務ではないが、公費による県職員との懇談会は公的会合であり、私生活に関する情報ではないとした判決を下し、県を相手取った原告が勝訴をいたしました。懇談会出席者名などの全面開示を命じた七月三十日の熊本地裁判決を不服として、知事は福岡高裁に控訴をされました。 そこで知事にお尋ねいたしますけれども、情報公開が基本と主張される知事のとるべき対応ではないと考えますけれども、控訴に対する考え方をお聞かせ願います。 二つに、判決とは関係なく、基本的にはすべての公文書は納税者である県民の共有財産であり、県民には知る権利があるという前提で、公平、公正、公明な県政の要件が満たされていくのではないでしょうか。もちろん県民の理解を得るような非開示事項もあると思いますが、あくまで県民の立場から判断すべきと思いますが、改めてお尋ねをいたします。  〔知事福島譲二君登壇〕 ◎知事(福島譲二君) 県の情報公開について、全国的におくれをとっているのではないかという御指摘がございましたが、先般の六月県議会で改正をいたしました現県の情報公開条例については、かなりの部分がむしろ全国水準からして先進的なものでありまして、決しておくれをとっているという御批判は当たらないと思っております。 今回、熊本地裁の判決に対して控訴いたしましたのも、ここ一両日何度かお答え申し上げましたように、改正前の条例に照らして、プライバシー尊重という趣旨から懇談の相手先は開示できないというのは一貫した従来の県の姿勢でありまして、残念ながら熊本地裁の判決では県側が敗訴いたしましたけれども、事実、その後の広島地裁、新潟地裁の判決では、全く同様の案件について県側が勝訴する、原告側が敗訴するという逆の現象が生まれております。広島、新潟地裁の判決に当たっては、それに先立つ熊本の地裁の判決は当然念頭に置かれた上、検討された上での判決であっただろうと思います。それだけからいたしましても、今回私どもが控訴いたしましたのは、むしろ当然のことではなかったかなと感じております。 また、私のさきの発言の中で、開示請求が前向きに意味のある形でなく一斉に多角的な請求がなされれば、通常業務も麻痺し、不必要な労力を費やすことになるというような形で申し上げました。申し上げましたとおり、前提がたくさんくっついておりまして、前向きに意味のある形でなく、また一斉に多角的な請求がなされれば、こういうことがあれば、非常に無用な労力を費やすという意味で、やはり県政に大きなマイナスを生ずるというように申し上げたわけであります。やはり今議員みずからおっしゃったように、議会としてのいろんな執行部のあり方に対する考査あるいは監査委員会も監査をしておられるわけでありまして、そういった議会や監査委員会の監査というものをやはり信頼していただいた上で、さらに一般の市民活動として、どのような形で情報公開を求めるかということにおいて、健全な活動が展開されることを私どもとしても期待をいたしております。 文書はすべて知る権利があるということでございましたが、情報公開の観点からは、私どもは県の条例に基づいた形において県民の皆様方は知る権利があるというように理解をいたしておりまして、そのような意味で、適切な情報公開の条例を、現在私どもとしては、前回改正の上保有をし、その条例に従って、適切な情報公開について、私どもとしても積極的に取り組んでおると考えております。  〔岩中伸司君登壇〕 ◆(岩中伸司君) 情報公開についての知事の考え方をお聞きしましたけれども、これからも情報については公開の原則というのは全く変わらないということだそうですけれども、基本的には条例に従っていくということですから、今回の裁判の判決につきましても、条例改正も含めて、今後ぜひ考えていただきたいなというふうに思います。 私は、ただ心配するのはマスコミですね、きょうもマスコミの方いらっしゃると思いますが、ずっと知事の発言については載ってきましたし、これは「こちら編集局」これは熊日さんですかね、これにも「情報公開発言でずれている知事」とか「知事の県民軽視」私はこの中身には非常にそれなりに賛同しますけれども、この後を見れば、その名前は匿名なんですね、ですから、こんなことじゃやっぱりいかぬなと。堂々と批判すれば、自分はどこのだれべえだということを言いながら、知事にちゃんと物を言うていかにゃいかぬというのが私の原則です。ぜひ情報公開について、前向きに取り組みをお願いしておきたいと思います。 続きまして、福祉行政についてお尋ねをいたします。 まず最初に、介護保険制度に関する諸問題について伺いますけれども、昨年十二月、介護保険法が成立をし、二〇〇〇年四月からの実施が決まりました。決定前の国会審議も不十分で、国民に対する十分な説明や情報開示もなく制定されたのが不安を残す結果となっています。 日本の社会保障は、税金と社会保険方式ですが、老人福祉、特に介護は税金で賄ってきました。それは、憲法第二十五条の生存権、国の生存権保障義務や老人保健法などの理念に基づいて権利を守り、公平性と普遍性の原則を守るということであります。税金方式を社会保険方式に変えるのは、国民に新たな負担をふやすことになり、国の責任を自己負担へと転嫁するものであります。 私は、今回の介護保険導入には反対をしてきましたし、今もその気持ちには変わりません、いつかまた、老人福祉が税金方式になるような政治にしなければならないと考えます。しかし、現実的には二〇〇〇年四月に介護保険が実施されます。県としても、介護保険制度は、家族介護から社会全体の仕組みとすることが大きなねらいであると、基本的な考え方を明らかにしています。介護認定審査会は、熊本市以外は県事務所単位でまとめて実施することも報告をされています。 介護保険制度の周知徹底については、昨日中原議員の質問に答えられていますが、介護保険だけに限らず、高齢者全般に対して、高齢者の皆さんの身近に置いておき、生活の手助けになるような簡単なパンフレットが隣の福岡県と県内市町村で作成をされています。このような「いきいき生活手帳」と題して……(資料を示す)中に大牟田市の分が挟んであります。このようなパンフレット、これは介護保険にかかわらず、高齢者のための、例えば、ここに書かれているのは「寝たきりゼロへの十か条」さらには「健康と生きがいづくりのために」云々、そのような高齢者のためのパンフレットがあります。高齢者の皆さんには大変喜ばれているようでありますし、施設の紹介などもあり便利にできています。熊本県としても、このような高齢者の役に立つ簡単なパンフレット等を検討することも一つの方法だと考えているところであります。 そこで、何点か健康福祉部長にお尋ねいたします。 第一に、市町村が実施主体になりますけれども、新ゴールドプランの平成十一年度末までには、全市町村が達成できるのかどうなのか、また、完全に達成しても介護保険のサービスは果たして受けられるのかどうなのか、県の見込みを明らかにしてください。 二つに、介護費用総額は約四兆二千億円と言われていますけれども、県全体の総額は幾らになるのでしょうか。 三つに、保険料は一人二千五百円になっていますけれども、市町村で保険料の差がつくことはない、変わらないというのが基本だと思いますけれども、今後、この制度が進行するに当たって、料金値上げも想定をされますけれども、どのように考えられているのか伺います。 四つに、低所得者の保険料、また保険料滞納者の取り扱いはどうなるのでしょうか。この点についてお伺いをいたします。 時間の関係で、次の障害者雇用促進についても続けてここで質問させていただきます。 障害者雇用促進についてお尋ねをいたします。 障害者雇用促進法が改正され、法定雇用率が一・六%から一・八%に引き上げられ、対象も従業員六十三人以上から五十六人以上の企業に拡大をされました。知的障害者の雇用も義務化され、七月一日から実施に移っています。長引く不況の中で、障害者の解雇は、職安に届け出のあった人だけで二千件、自主退職を含めるとその何倍にも上ると見られています。県内企業の実態と障害者雇用促進について、商工観光労働部長にお伺いいたします。 また、県では先般、今後の重点的な障害者施設事業について、くまもと障害者プランを策定し公表されたところですが、その中で、障害者の就業の促進、働く場の確保などについて、具体的な数値目標を掲げられております。例えば、福祉面における雇用、就業関係としての福祉工場は、現在県下で七カ所と聞いていますが、このような施設の整備など、福祉面からの支援をもっと強めるべきではないでしょうか。障害者にとって最終的な目標は雇用ということになると思いますが、福祉サイドからの支援策についてどのように考えられているのか、健康福祉部長にお伺いいたします。  〔健康福祉部長冨田徹也君登壇〕 ◎健康福祉部長(冨田徹也君) 県の老人保健福祉計画の計画期間は、平成六年度から平成十一年度までとなっておりますが、その達成状況について申し上げますと、施設サービスにつきましては、特別養護老人ホーム、老人保健施設では、平成十年度末の進捗率は九七%の見込みでございまして、目標達成は可能な状況でございます。また、在宅サービスにつきましては、目標達成度は市町村によってその進捗に差が出ている状況にございます。 介護保険制度導入まであと一年半でございますが、介護保険のサービスにつきましては、地域の介護基盤の整備状況に影響されますことから、より充実した在宅サービスが提供できますよう、市町村を十分指導してまいりたいと思っております。 次に、県全体の介護費用総額についてでございますが、市町村において、平成十一年度中に介護保険サービスの必要目標量及び介護費用の見込みなどを盛り込んだ介護保険事業計画の策定を行うこととなっております。この計画をもとに介護費用総額の見込みを積算することになっておりまして、したがって、現時点ではまだその積み上げができておりません。 次に、六十五歳以上の方の保険料につきましては、事業計画で見込みました介護費用総額をもとに算出いたしますので、介護を要する高齢者の方々の数や提供されるサービスの量によりまして保険料も異なってくることになります。また、市町村独自の取り組みとして、市町村特別給付や保健福祉事業を実施される場合には総介護費用が異なりますため、保険料も各市町村ごとに異なったものとなってまいります。この保険料の見直しにつきましては、介護保険事業計画の見直しが三年ごとに行われますので、常に地域の実情を反映したものになっていくものと考えております。 次に、低所得者の保険料につきましては、負担能力に応じた負担を求めるという観点から、所得段階別保険料とし、低所得者に配慮した仕組みとされておりまして、生活保護受給者につきましても、実質的な負担とならないよう配慮されることになっております。 保険料滞納者についてでございますが、保険料負担を確実に確保することは、被保険者間の負担の公平や制度の安定した財政運営等の観点から不可欠でございます。このため、十分な納付相談を受けることはもちろんのこと、さらに、現物給付の償還払い化、保険給付の一時差しとめなど、さまざまな措置を講じる制度となっております。 ②の障害者雇用促進でございますが、後段の部分、福祉サイドからの支援策につきましては、障害をお持ちの方々が生き生きと暮らせる社会をつくっていきますため、今後重点的に実施すべき施策、事業を掲げましたくまもと障害者プランにおきまして、障害者施策の方向性として四本の柱を立てております。その一つに、経済的な自立、社会的な自立への支援を掲げまして、障害者の方々の就業の促進、働く場の確保を図ることといたしております。 雇用に関連します福祉サイドの具体的支援策として、このプランでは、独立した生活のために必要な訓練を行い自活していただく授産施設、あるいは職場の設備、構造、通勤事情等のため企業に就職困難な障害者のための福祉工場といった社会福祉施設の収容人員をふやすことによりまして対応することといたしております。また、その推進に当たりましては、地域バランス等も考慮して進める考えでございます。 今後とも、労働、福祉の両面で十分な連携を図りつつ、障害者の雇用という目標に向けた施策の推進に努めてまいりたいと思っております。  〔商工観光労働部長前田浩文君登壇〕 ◎商工観光労働部長(前田浩文君) 障害者の雇用状況についてでございますが、平成九年六月一日現在の身体障害者雇用状況調査報告によりますと、本県の障害者雇用率は一・六六%で、法定雇用率一・六〇%を上回っておりますし、また全国平均の一・四七%を上回っております。しかしながら、十分に障害者を雇用していないいわゆる雇用率未達成企業の割合は、本県では四二・六%であり、全国平均の四九・八%を下回っておりますものの、まだ高い数値を示しております。 平成九年度におきます障害者の解雇届け者数は、景気の低迷もございまして、全国では二千九十一名と、前年に比べて増加傾向にございます。本県におきましても、平成八年度四十四名、平成九年度五十六名と、増加をいたしております。 障害者の雇用対策につきましては、企業訪問などによる雇用率達成指導や障害者の解雇の事前防止のための継続雇用指導を実施してまいっております。 本年は、来年三月卒業予定者を対象に障害者雇用促進会を、この九月二十二日に約五十企業の参加のもとに開催することといたしておりますし、また、公共職業安定所に求職中の障害者の方々を対象にいたしました就職面接会を県下四地域で実施いたすことといたしております。 また、熊本県障害者雇用促進協会によります広報、啓発活動や障害者雇用コーディネーターを活用いたしまして、福祉行政機関を初めとする関係機関とも十分な連携を図り、障害者の雇用促進に一層努めてまいりたいと考えております。  〔岩中伸司君登壇〕 ◆(岩中伸司君) ありがとうございました。 積極的な取り組みをお願いして、時間の関係で、次の質問に移らせていただきます。 日米共同演習中止について。 八月六日、自衛隊西部方面総監部は、十一月に予定されている日米共同軍事演習を、大矢野原とそれから霧島の演習場で実施すると発表をいたしました。平和憲法を踏みにじり、新ガイドライン周辺事態法の先取りとして、今回日米共同訓練が計画されていることに憤りを覚えます。 矢部町の地元説明会では、十一月六日から四日間の日程で、日米それぞれ百五十人の計三百人で演習を行うとしています。 南九州では初めての日米共同訓練で、霧島と大矢野原に、陸上自衛隊第八師団の第二十四普通科連隊を中心に約千人、アメリカ側からは、沖縄の第三海兵師団、一個大隊約七百人が参加することになっています。地元住民の…… ○議長(八浪知行君) 残り時間が少なくなりましたので、簡潔に願います。 ◆(岩中伸司君) (続)反対の声も少しずつ大きくなっています。ぜひとも戦争への道を進むのでなく、平和のために日米共同演習を中止させたいと思いますけれども、知事の所見を伺います。  〔知事福島譲二君登壇〕 ◎知事(福島譲二君) 日米共同訓練についての私の考えは、昨日小杉議員にお答えしたとおりであります。 極力、演習の趣旨、内容等について住民の皆様方の理解と協力を得ながら、かつ住民の安全と日常生活に支障のないような十分な配慮の中でなされるよう、強く関係当局に申し入れをいたしておるところでございます。 戦争への道を進むのでなく、平和のために日米共同演習を中止させるべきだという御意見でございましたが、けさの新聞の中に、ある識者の論が載っておりましたが「日本は、アメリカに頼る以外に一億三千万の国民の生命を守る術のない悲しいまでに温和しい国、「平和は祈ることによって達成される」という現実離れした思想が残る国なのだ。」というような論が載っておりましたが、そのことを連想いたしまして、やはり、現実にみずからの国はみずからの手で守るという中で、現状においては、自衛隊が米軍との共同演習等の中で練度を高めて、しっかりとした精鋭の自衛隊となっていただくことがむしろ期待されるのではないかと思っております。  〔岩中伸司君登壇〕 ◆(岩中伸司君) 知事の答弁はきのうのとおりでございます。当然必要だと、訓練は。そのような考え方ですが、私はやっぱりそれに反対という主張をしながら、この熊本県議会にもそんなやつがいるかということの認識はぜひして、この新しい憲法の話というのができていますけれども、これについても紹介したかったんですが、時間がございません。 開会冒頭、北朝鮮問題についてのミサイル、これは……
    ○議長(八浪知行君) 所定の時間を超えていますので、質問を終結願います。 ◆(岩中伸司君) (続)ぜひとも考え直さなくちゃいかぬというふうに思います。ぜひ平和のために平和外交をお願いいたします。 以上で終わります。(拍手) ○議長(八浪知行君) この際、五分間休憩いたします。  午前十一時四分休憩      ───────○───────  午前十一時十四分開議 ○副議長(前畑淳治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 坂田孝志君。  〔坂田孝志君登壇〕(拍手) ◆(坂田孝志君) 皆さんおはようございます。八代郡選出・自由民主党の坂田孝志でございます。 今回四度目の質問の機会を与えてくださいましてまことにありがとうございます。きょうも多くの方々に傍聴いただきまして本当にありがとうございます。特に女性の方々も多数お見えでございますので、まず女性問題から入らせていただきます。知事初め執行部の皆さんの明快なる御答弁を御期待申し上げます。 まず初めに、男女共同参画社会における審議会等において、女性委員の登用促進について、任命権者であられる知事にお尋ねいたします。 現代社会では、少子化、高齢化が急速に進んでおる中で、女性の意識やライフスタイルも変化してきており、職場や地域社会など、いろいろな分野において女性の社会参加が活発になってきております。 このような動きの中で、女性の役割や能力に対する社会の認識が高まっており、今後、地域社会あるいは職場など、いろんな場において女性が果たすべき役割はますます大きくなってくるものと考えられます。 平成七年の国勢調査によりますと、県内で仕事に従事しておられる女性の数は約三十九万五千人で、そのうち自営業主、家族従事者を除く雇用者総数は二十九万一千三百七十四人で、男女を合わせた雇用者総数六十六万三千三百六十人のうち、女性の割合は四三・九%、つまり雇用者の四割以上を女性が占めているということであります。 また、農業に関しましては、県内の農業従事者、平成九年一月現在、約十二万四千人で、そのうち女性が約六万五千六百人と全体で五三%を占め、県農業を支える大きな柱となっております。 そして、この女性の方々は、家事はもちろんのこと、八代地域では、イグサ刈り、イ田植え、ござ打ちや施設園芸のトマト、メロン、イチゴの栽培、ナシやミカン、ショウガ、お茶等々、ありとあらゆる仕事や、あるいはお年寄りの介護や地域の行事等へ積極的に参加され、農村地域の活性化に大きく貢献されているところであります。 このような実情や実態を見る限り、今や女性パワーなくしては社会全体が成り立たなくなってきていると言っても過言ではないと思うのであります。 しかしながら、女性の社会進出や活動が大きく期待されている反面、女性の視点、立場から見てみると、重要なポストというか、物事を決めるという政策方針の場における女性の割合が非常に少ないという現実もまたしかりであります。 身近なところを考えてみましても、小中学校のPTA活動や地域の自治活動でも、日ごろは母親なり女性が中心となって活動をしているのに、PTA会長や自治会長、区長などの役員ともなると圧倒的に男性が多くなっております。我が県議会でも、五十六議席中女性議員は小池先生と平野先生お二人ですが、まあ両先生の日ごろの御活躍ぶりを見ておりますとそんなことは感じないんでしょうけれども。 このような現実を踏まえまして、国においては、女性と男性が社会のあらゆる分野に参画し、喜びも責任も分かち合える男女共同参画社会の実現を目標に、男女共同参画社会二〇〇〇年プランを策定するとともに、その根拠法ともなるべき法律案、男女共同参画社会基本法を来年の通常国会に提出する方向で検討中と伺っております。 私も、二十一世紀を間近に控え、この男女共同参画社会を実現していくことは、これからの地域社会のあり方を決定していく上で大きなかぎであると考えております。そのためには、多くの女性が政策方針決定の場に進出できるよう、行政はもちろんのこと、私ども議会初め県民の理解と積極的な取り組みが何よりも大切ではなかろうかと思います。 県におきましては、男女共同参画社会の実現を目指して、総合指針「ハーモニープランくまもと」を策定されるとともに、行政の各種審議会等の委員への女性登用促進を重要な要件として位置づけ、二〇〇〇年までに女性委員の登用を二〇%とする数値目標を掲げ、懸命に取り組んでおられるところでありますが、先般の新聞報道によりますと、女性委員の登用率は伸び悩んでおり、本年四月一日現在一四・二%にとどまり、目標が遠のいたという記事が載っておりましたが、この数字を見る限り、極めて残念なことであります。 九州管内を見ましても、福岡県の二七%、沖縄県が二五・九%、大分県も一六・八%と頑張っておられるようでございます。県としましても、目標達成のため積極的な取り組みを展開しておられると聞き及んでおりますが、前段でも触れましたとおり、国においても男女共同参画社会基本法制定の動きがあっておりますので、それらを踏まえて、各種審議会委員への女性の登用の現状に対しての知事の御所見を含め、今後の取り組みについてお尋ねいたします。  〔知事福島譲二君登壇〕 ◎知事(福島譲二君) 女性が積極的に社会に出て、持てる能力を発揮していただく社会、男女共同参画社会は、これからの我が国社会の健全な発展のために不可欠なことと思っております。 このため、平成六年に策定した総合指針「ハーモニープランくまもと」の中でも、審議会等の女性委員の登用率を平成十二年度までに二〇%にするという目標を掲げ、これまでも積極的な取り組みを展開してまいりました。その結果、平成元年にはわずか六・六%であった女性委員の登用率が、平成十年四月の調査では一四・二%まで上がってきております。 もちろん、この数字は決して満足できるものではなく、登用率二〇%という目標の達成は言うまでもなく、それ以上を目指した各種施策をこれまで以上に積極的に推進してまいりたいと考えております。  〔坂田孝志君登壇〕 ◆(坂田孝志君) ただいま知事より前向きな御答弁を賜り、意を強くしておるところでございます。 国では、男女共同参画社会基本法の中に、女性の参画を促す優遇措置、すなわちポジティブアクションを盛り込む考えを示されようとしており、女性枠を設定し、その動きを加速させようとするねらいがあるようです。国土庁も、来年度から快適な農村社会づくりへ女性を後押ししようと、女性主体の農村アメニティーづくりを支援することを決定されました。 また、視点は違いますけれども、九月十日には、福岡市で、女性理事の登用でJAの活性化を図ろうと、JA女性理事研修会が開かれまして、一つに、JAと女性組織の対話活動、二つ目に、女性の正組合員化、三つ目に、総代、参与、理事、各種委員会などへの選出枠の設立等を決議されました。福岡県内のJAには、二十人の理事と九人の参与の方が活躍しておられるようでございます。県内のJAには三人の役員がおられ、JA熊本市では、ホームヘルパー養成事業などを実施され、七十人の資格者を養成されたそうでございます。 各地でいろんな動きがあっております。来年は知事選でありますが、来年の知事選に、福島知事は三選出馬をこの場で表明をされました。その決意に心からの声援を送りたいと思います。知事に対しての、あるいは県政に対して、最近の一連の報道を初め、いろんな批判勢力の動きもあるようですが、それに憶することなく勇猛邁進していただきたいと思うのであります。 また、時を同じくするのか、従来どおりなのか、我々も選挙があるわけであります。選挙ともなれば女性の力は絶大であります。昨年六月、国際結婚されました江口先生なんかは、奥さんが会合に出席されると大変盛り上がると、非常に喜んでおられるようでございます。私どもも十分心して取り組むべき課題であることを申し上げ、次の質問に入らせていただきます。 農業は国のもとをなすことは、県民問わず国民の周知するところでありますが、農業を取り巻く情勢は目まぐるしく変化しておる中で、農政は、それらに対応することのみに追われ、国家百年の計としての施策が展開されてこなかったことがあったとすれば、政治に参画している者の一人として大いに反省とするところであり、我が身を奮い立たせるところでもあります。 従来の農業基本法が、他産業に匹敵する農業所得の確保を目標において、農業構造の改善や農業生産の選択的拡大を進めてきたことは御案内のとおりであります。その結果として、我が県では、米を中心とした農業生産から、野菜、果樹、工芸作物、イグサ、畜産といった多彩な農業生産へと移行し、農業粗生産額も、昭和三十五年の全国十九位から平成八年には第五位となるほど、全国有数の食糧生産県へと発展を遂げてまいりました。 しかしながら、この間、我が国の経済社会の変動は著しく、とりわけ農業は、食生活の変化、自給率の低下、農業の担い手不足等に加え、国際化の進展、環境問題、さらには国民の農業に対する多様な要請の高まりなど、取り巻く環境が大きく変化してきております。 このようなことから、国におかれては、昨日まで、食料・農業・農村基本問題調査会において、新たな基本法の制定に向けての議論が行われてまいりました。 さきの六月議会でも、我が党の荒木詔之先生から御質問もございましたが、その最終答申が昨夕、小渕総理に提出されました。ここにあります。「食料・農業・農村基本問題調査会答申」──うちの執行部大したものですね、きのうの総理の答申が、もうここにちゃんと製本して届けてあります。 これまでの議論となってきたその主な論点として、一つには国内農業生産を基本とする食糧政策の確立、二つに食糧自給率の目標設定、三つ、株式会社の農業参入、四つ目には中山間地域への直接所得補償、いわゆるデカップリングの導入等が盛り込まれております。中でも、株式会社の農業参入問題と中山間地域へのデカップリング政策に関しては、具体的な推進方法にさまざまな議論があり、国民の合意形成が大きな課題であるとうたわれております。 中山間地域に有する公益的機能は、試算によりますと、全国で年間で三兆円にもなり、洪水防止、水資源涵養、土壌浸食、土砂崩壊防止等、水と国土と森林を保全する大きな機能を有しており、それらが、都市住民を含めた国民一般に対して、人間生活を営む上での最も大事な水と空気を満遍なく供給し続けております。しかし、少子・高齢化の進展による担い手不足により、耕作放棄地の増大、農地の荒廃により、上流部での農業の公益的機能が十分発揮できないおそれがあり、下流域の都市住民を含んだ国民生活全体に甚大な影響が生じることも予想されます。そのため、公益的機能を維持する有効な手段として直接所得補償方式を導入するということは、至極当然のことであろうと考えるのであります。 また、我が国の食糧自給率でありますが、昭和三十五年にはカロリーベースで七九%あったものが、どんどこどんどこ落ち込み、平成八年には四二%。各国を見渡しても、農業大国のフランス一四三%、アメリカ一一三%、旧西ドイツ九四%、イギリス七三%と、先進国中最低となっており、今や食糧大量輸入消費国に成り下がってしまいました。 世界の食糧不足が叫ばれている今日、主要穀物などの輸入を特定国に偏っている我が国として、一たん緩急の場合に食糧を確保できるかどうか、危惧される状況にあります。食糧の安定的供給の確保は、国家の基本的責務であり、食糧安全保障の観点からも、国民にわかりやすい具体的な食糧自給率を政策目標として設定することは極めて重要なことであろうと考えます。 先日、九月十日の本九月議会の開会日に、県農協中央会と県農政連の連名をもって、新農業基本法制定に向け、国に対し意見書を提出していただくよう議長あてに請願がありました。請願の中では、前段で触れました四点のほかにも、イグサ等地域特産物の振興を国の施策の中に位置づけることにも述べておられます。私も農政委員の一人として、請願の趣旨がかなえられるよう、精いっぱい努めてまいりたいと思っているところであります。 この新農業基本法は、今後の本県の農業、農村の振興はもとよりでありますが、これまでの農業施策のあり方を大きく見直し、農業者のみならず、県民全体で取り組んでいくべき課題ではなかろうかと思うのであります。 この新しい農業基本法の制定に向けて、県におかれましては、これまでどのような取り組みをしてこられましたのか、また、今後どのような取り組みをされようとしておられるのか、農政部長にお尋ねいたします。  〔農政部長村上公佑君登壇〕 ◎農政部長(村上公佑君) 農業は、国民生活に不可欠な食糧の安定供給を初め、国土や自然環境の保全等の公益的な機能を有しており、新たな基本法の検討は、単に農業関係者にとどまらず、国民全体の合意を得ながら行われるべきであると考えます。 このため、県においては、農家、消費者を初め、県議会、農業団体、市町村等各界の代表から成る県農政懇話会を設置し、新たな基本法の方向や具体的な施策について御意見を伺ってまいりました。また、広く県民から御意見を伺うため、県政モニター等に対してアンケート調査を実施いたしました。 県としては、このような御意見等を踏まえて、去る八月三十一日に、国の食料・農業・農村基本問題調査会及び県選出国会議員に対して、第一、農業、農村の役割を評価し、農業所得対策を確立すること、第二、国内生産を基本とし、政策目標としての食糧自給率を設定すること、第三、担い手の経営安定対策を確立すること、第四、株式会社の農地取得を規制すること、第五、中山間地域が有する公益的機能を維持するため、直接所得補償制度を導入すること、第六、スイカ、イグサなど地域特産物の振興について、国の施策の中で明確に位置づけることなど要請をしてまいりました。 国においては、昨日基本問題調査会の最終答申が出され、これを受けて新しい基本法制定へ向けて本格的な検討が行われ、来年一月の通常国会に法案が提出される予定と聞いております。 県としては、国における検討状況を見ながら、今後、県議会や農業団体等と連携し、国や県選出国会議員に対して積極的な要望活動を展開してまいります。さらに、九州各県とも連携を図りながら、九州知事会等を通じて、重ねて要望を行ってまいる考えであります。  〔坂田孝志君登壇〕 ◆(坂田孝志君) 農業大国のフランスでも、新農業基本法、正式には農業の方向づけに関する法律の策定が進んでいるそうであります。既にフランスでは、条件不利地対策などで、いち早く直接所得補償を導入した実績があり、その折地域対立を引き起こした苦い経験を持つため、今回の政府案には地域を限定せず、農業の多面的機能に報酬を払うという画期的な考えを取り入れようとしております。 日本もこの追い風に乗り、国内生産を基本とする食糧安全保障の確立、また農業、農村が持つ多面的機能の維持、この達成こそが安全と安心を求める国民の要望にこたえることにつながるとの強い信念で、国民全体の視野に立った農業の再構築に、本県も一体となって取り組んでいかなければならないことを申し上げ、次の質問に入ります。 続きまして、イ業の振興について何点かお尋ねいたします。 毎回この件につきまして質問を重ねておりますが、昨年よりもまた一段と厳しい状況下に置かれております。 平成十年の県内の栽培農家戸数は、昨年を二百八十六戸下回る二千八百三十一戸、ついに三千戸を割ってしまいました。作付面積も、昨年を五百ヘクタール下回る四千百三十一ヘクタールで、全盛期の四〇%近く減少し、価格も前年七月対比で二百七十六円安い九百九十五円と、産地としての維持存続すら危惧される、まさに危機的状況に追い込まれております。 私どもは、イ産業の振興を図るべく、関係の十四名の先生方でい業振興議員団を結成し、高野先生を会長として今日まで活動を続けておりますが、こんなときだからこそ行動を起こさなければならないと決意し、さきの三月二十七日、イグサ発祥の地千丁町で、生産者の生の声、JAを初めとする団体の考えあるいは県、市町村行政の取り組み方を集約すべく、イ業振興を語る会を開きました。六百名以上の参加でありましたが、もろもろの立場での悲痛な叫びを肌で感じとりました。 特に、中国産の輸入規制や需要拡大の観点からの住宅政策等の問題は、国に働きかけをしなければできない事柄でありますので、直ちに、連休明けの五月七日、い業振興議員団、市町村長、市町村議長、生産者団体の代表五十名余りで上京し、農林水産省、建設省、通産省、そして県選出国会議員を交え、諸問題解決のため緊急要請集会を行いました。その中で、イ業という一つの産業で、一地域に限定し、生産者の中から驚くほどの数の犠牲者が出ておることに、事務方の最高責任者としての責任は感じないのか、その対策はどうなされようとしているのか等々、激しく詰め寄ってまいってきたところであります。 六月には、本議会において、イ業経営緊急支援対策として、借入金の返済猶予、イグサ農家償還支援緊急資金の創設、国体関連民泊等の畳張りかえの補助、テレビ、新聞のマスメディアを利用した需要拡大、既に九月十日から関東、関西、こちらでもございますが、ばってん荒川さん出演によるテレビ放映でPRがなされております。あるいは他作目への転換支援等、県で相当の予算措置を講じていただき、まことにありがたく感謝を申し上げておるところでございます。 また、七月十六日には、園村農政常任委員長を先頭に、産地視察として、炎天下のもと、鏡町、千丁町のイグサ刈り取り真っ最中の圃場に入り込んで、地元のイ業部員、青壮年部員から切実な意見をいただくなど、議会としても精力的に取り組んでまいったところであります。 一方、生産者団体としては、六月に中国を訪問され、高野先生も御一緒でございました。寧波市勤県の人民政府、輸出公司と日本中国藺製品生産連絡会議を開き、四項目について合意されたと聞き及んでおります。その内容として、一つ、定期的な日中会議を開き制度化する、二つ、次回の会議を九月、日本で行う、三つ、平成十年度の輸出枚数を一千万枚以内に抑えるよう中国国内で調整する、四つ、平成十一年度の植えつけ面積を調整するとなっておるようでございます。 さらに、この民間合意を実効あるものにするため、七月中旬、農水省の西川畑作振興課長、小平課長補佐が訪中され、中国政府と秩序ある貿易に向け、必要に応じ話し合いを行うことで基本合意が交わされました。農水省の実務担当課長がみずから出向いて、日本の通産省に当たる中国対外貿易経済合作部と課長級会議を開いたということは、我々のあの強い訴えがやっとの思いで実ったのかなと、一つの光明を得たような思いであります。 中国も、日本市場での価格下落により、主産地の浙江省では深刻な経済問題となっております。また、イ製品は、中国政府の自主割り当て品目に入っており、これはどういうものかと申しますと、中国の安定的な貿易のためには、中央政府が輸出規制できる品目を定めたもので、中国政府の判断で輸出量を調整できる仕組みであります。これらがよりよい方向に作用し、今度の合意に至ったのではと思っております。 私は、これまで中国からの無秩序な輸入が行政の監視のもとに置かれることになったことは、私どもが今まで一番主張し続けていた二国間による政府間交渉の実現であり、今ここに大きな前進ができたのではないかと思っております。 そこで、県として、今後の対中民間交渉及び政府間交渉の行方をどのように把握しておられるのか、また、どんな形でフォローアップし推し進めていこうとされるのか、お伺いいたします。 また、農業団体が九月七日に中国側と会議を持たれたようですが、その内容はどういうものだったのか、また、需要に応じた供給体制の観点からも、国内の生産調整をどうされようとしておられるのか、イグサ栽培農家の経営規模の目標は立てておられるようですが、県内の栽培面積をどこらが適当と考えておられるのか、あるいは畳表入札の最低価格を設置される考えはないのか、お尋ねします。 さらには、短いイグサはほとんどが廃棄焼却処分されておりますが、畳マットや畳床、壁材、天井材への利用は考えておられないのか。また、やむにやまれぬ状況で、どうしても作目転換をせざるを得ない農家、今産地では、葉たばこやトマト、イチゴの施設園芸、ネギ、キャベツ等の露地野菜などをやっていこうとされる方々がたくさんおられます。これらの方々に対しての支援はどうされておられるのか、あわせてお尋ねいたしたいと思います。  〔農政部長村上公佑君登壇〕 ◎農政部長(村上公佑君) イ業を取り巻く厳しい環境の中、本年六月、県議会い業振興議員団の高野会長を初め、農業団体、執行部で中国を訪問し、中国当局と日中の栽培状況等について情報交換を行いました。また、農林水産省においても、本年七月、畑作振興課長が中国を訪問され、イグサ・イ製品に関する意見交換や情報交換をされたところであります。その結果、中国からの輸入数量や植えつけ面積を調整することで基本合意がなされました。高野議員を初めい業振興議員団の皆様の御労苦に対し、心から感謝を申し上げたいと思います。 県としては、今後、日中両国の信頼関係を醸成しつつ、国及び農業団体とも十分な連携をとりながら、イ産業の安定に寄与できるよう、さらに努力をしてまいる考えであります。 次に、九月七日、八代市で開催された第二回日中藺製品生産連絡会議の合意内容についてでありますが、日本側においては、一つ、畳表需要量の拡大に努めること、二つ、イ製品市場において最低価格である敷値以下では販売しないこと。中国側においては、一つ、一千万枚の計画出荷を実施すること、二つ、最低価格制度を設けることの計四項目でございました。なお、次回の会議は十月末、中国の寧波市で開催されることになっております。 次に、イグサの生産調整についてでありますが、イ製品の需要拡大策について、現在鋭意努力しておるところであり、また、中国との基本合意に基づき、植えつけ面積の調整を行う必要があることから、現在のところ考えておりません。しかしながら、今後の栽培面積については、少なくとも国内需要量の五〇%は確保すべきだと考えております。 次に、畳表の入札についてでありますが、現在、市場では、最低価格である敷値を決めて入札が行われているものの、敷値を下回る価格で落札されている状況もあり、このようなことがないよう、指導を徹底してまいる考えであります。 次に、新たな需要拡大に向けた取り組みについてでありますが、本県のイ製品は、九九%が畳表に加工されております。最近、トンネル内での排気ガスの浄化やビルの空気浄化等、その浄化作用があるということで、産業資材としての活用が注目をされております。本県においても、起業化に向けた取り組みができないか、具体的に検討してまいる考えであります。 最後に、イグサ栽培からトマトやたばこなど他の作目に転換を計画されている農家に対しては、農業改良普及センターを中心に、関係機関と十分な連携を図りながら、今後とも資金面や技術面での支援をしてまいる考えであります。  〔坂田孝志君登壇〕 ◆(坂田孝志君) 先ほど触れました畳マットというのはこれでございます。(資料を示す)短いイグサを利用しているものですから、真ん中で接いであるわけです。裏にはラバーを張ってあるものですから滑りません。この上から踏んだ感触も最高で、畳の間が減ってきておりますので、板の間に五枚、六枚、七枚、八枚と敷き詰めて、一つの間を畳の間と板の間と両方楽しむことができるのではないかと思います。 私もこの前購入しまして敷きましたが、大変子供にも好評でした。卸で三千五百円ぐらいだそうです。この前、農水省の農蚕園芸局にもPR用として送りましたが、こんな利用方法もあるんですねと感心しておりました。総理官邸の野中官房長官にも届けて、閣僚懇談会で披露してもらおうと思いましたが、今ミサイルで忙しそうです。生産者の方々は必死になって活路を模索しておられます。県としても、いろいろな施策を講じていただいて、さらなる御支援を強くお願いいたします。 次に、中小企業支援対策、特に金融面のことについてお尋ねいたします。 国民の中に景気の先行き不透明感が広がっている中、ここ数年私は、売り上げ不振、受注減少に悩む企業経営者の窮状を訴える相談を受けたり、リストラにおびえる中高年の声を聞き、また失業者が増加傾向をたどる新聞報道に接するたびに、依然として我が国は先の見えない不況のさなかにあると痛感いたしておりました。 その折、昨年秋、北海道拓殖銀行、山一証券等の大型金融機関の相次ぐ破綻、一般企業における大型倒産の急増等々、長銀問題もしかりであります。平成不況は急激に悪化の一途をたどり、本県におきましても、一昨日の西日本リース興発の会社更生法適用など、不況の影響は広範に及び、中でも信用力、資金力の乏しい中小企業は大変な苦境に立たされているのが実情であります。 このような事態を踏まえ、先日、我が党を代表して倉重先生が、本議会において制度融資の充実や保証協会の対応の姿勢について強く訴えられたところであり、私も心から共鳴を覚えたところであります。 県の制度融資の中で、売り上げ減少で経営に支障を来している中小企業者を対象とした経営支援特別資金、貸し出し金利一・七五%を新設され、当初予算で三億七千五百万、融資枠十五億、六月補正で十一億二千五百万の予算額で四十五億の融資枠、合わせて六十億の融資枠の拡大で、これには善良な中小企業の方々は大変助かっておられまして、七月の末で八十一億余りの貸し付けがなされており、今九月議会で二十億プラスして融資枠百二十億、全部合わせますと百八十億の融資枠を設けられましたことは、まさに機を見るに敏なる対応であると評価をするものであります。 また、今触れましたのは、むしろ借り手側が借りやすい状況をつくっていただいたと思いますが、今度は、貸し手側の金融機関が金を出しやすい局面をつくり出すことが必要ではなかろうかと思います。そのためには、万一借り手側に事故があった場合には、それを担保とするいわゆる信用保証協会の代位弁済という形の信用補完制度の充実であり、信用保証協会の基本的財産を充実させることにより、その保証能力を高めることが肝要であります。 そのため県では、当初予算で一億一千二百万、六月補正で一億六千百二十七万、今回の九月補正で一億六千七百四十万と、合わせて四億四千六十七万円の出捐金を出しております。これは、平成九年が一億九千三百十五万ですので、本年は倍以上の出捐金の増額がなされるわけで、多くの申し込み需要に対応でき得るものと賛意を示すものであります。 その信用保証協会の利用状況でありますが、以前には、融資を受けられる際に、信用保証協会の保証つきにしてくださいと言われると、自分の企業が下位に見られたとして気分を害したもっこす経営者も時々おられたようですが、しかし、ここに来て金融機関の貸し渋りが深刻な問題になっている中、そんな悠長なことは言っておられぬ、保証つきでも何でも金ば貸してもらわんばと、保証つき融資がかなり伸びてきていると聞いております。 その背景として、前段にも申し上げましたが、保証つき融資であれば、万一事故があった場合の代位弁済が受けられることで、不良債権化する心配がなく、加えて、平成十年三月の自己資本比率の基準改正により、信用保証協会の保証つきであれば、リスクウエートが一〇%に引き下げられた点、すなわち、一億円保証つきで融資を受けられた場合には、その一〇%の一千万円しか分母に加算されないため自己資本比率が下がらないということで、金融機関が着目してきたことがあると思われます。 しかし、まだまだ県内では、中小企業への浸透度、すなわち保証協会利用企業者数が低い位置にあります。平成九年度の熊本県内の浸透度は二二・五%、九州平均は二五・九%、全国の平均は三二・三%で、大きく下回っております。私は、この比率を高めていくことは大きな使命であろうと思います。 このような状況を踏まえ、善良な中小企業者に対する制度の周知を含め利便性を高めるため、信用保証協会にどのような方策を講じさせようとしておられるのか、お伺いします。 また、政府において、中小企業を取り巻く金融環境は一層厳しいものになっていることにかんがみ、八月二十八日、中小企業等貸し渋り対策大綱が閣議決定されております。それによりますと、別途二十兆円の保証規模を設け、貸し渋りを受けた中小企業者に対し積極的な保証を実行すべく、保証要件を緩和し、保証料率を引き下げた特別の保証制度を十月一日を目途に創設するとされています。 全国五十二カ所の保証協会が平成九年度中に保証承諾を行った保証承諾額の合計が十五兆二千七百五十九億円ですので、今後実際どの程度の数の申し込みが行われるのか推測に難しいところですが、現在の状況と比較して、業務量が物すごく増加するのではないかと考えられます。私は、善良な中小企業者の方々の切なる需要に迅速に対応できるか、重大な懸念を持つものであります。 そこで、新たな国の貸し渋り対策については、県は信用保証協会にどのような対応を講じさせようとしておられるのか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。  〔商工観光労働部長前田浩文君登壇〕 ◎商工観光労働部長(前田浩文君) 中小企業者が金融機関から融資を受ける際、その信用力、担保力を補完して融資を受けやすくするために、信用保証協会の保証が利用されております。 そのため、県においては、県の制度融資の周知とあわせまして、関連する金融機関、商工会、商工会議所及び市町村に対し、日ごろから説明会や研修会を通して信用補完制度の周知徹底を図ってまいっております。 信用保証協会でも、申し込み窓口となります金融機関等に対して、独自に同様の業務説明会等を開催され、また、機関誌やテレビなどマスコミを通じてPRを図っておられるところでございます。 現状の金融環境において、信用保証協会が果たすべき役割はますます重要になってくると見込まれますので、中小企業者に対してより一層の周知を図ってまいりたいと思います。 加えてまして、信用保証協会も、保証審査に要する期間の短縮など、増加が見込まれる保証申し込みに対応すべく努められておりまして、さらに中小企業者の利便性を高めるよう協力をお願いしてまいりたいと思います。 次に、貸し渋り対策についてでありますが、八月二十八日に閣議決定されました中小企業等貸し渋り対策大綱に基づき、今国会において関連法の改正案が審議され、中小企業者に対し保証要件を緩和し、保証料率を引き下げた特別の保証制度が十月一日をめどに創設される予定であります。 これによりまして、全国で二十兆円の特別保証枠が確保されることになりますが、各信用保証協会への配分や審査の方法など、詳細な部分については現在まで県に届いておりませんが、この保証制度が実施されれば業務量が相当増加すると見込まれますため、信用保証協会においては、他の部署からの応援や管理職による対応など、その準備を進められております。 県といたしましても、情報収集に努め、信用保証協会、その他の関係機関との連携を図りますとともに、中小企業者に対する広報など、この特別保証制度が円滑に運用されますよう万全を期してまいりたいと考えております。  〔坂田孝志君登壇〕 ◆(坂田孝志君) 通産省は、全国の信用保証協会に対して、中小企業向け保証条件の大幅な緩和を柱とする貸し渋り対策の強化を指示しました。 その中で、融資基準の見直しでは、保証料の料率引き下げ、保証条件の緩和、会計処理の特例措置あるいは貸し倒れ率の上限を現在二%から一〇%に引き上げ、この分の予算措置を二次補正で二千億円計上し、自治体を通じて保証協会に補助することにしました。また、保証条件が決められていた指針も撤廃し、債務超過や不正行為がなければ原則として保証を認める、いわゆるネガティブリスト方式を採用することにもしました。言うなれば、ある程度のひっかかりも覚悟の上のことであります。 先日保証協会を訪ねました。応接室の壁に協会の理念が大きく掲げてありました。「我々は、公的機関として「信用保証」により、中小企業の活力ある明日を応援し豊かな郷土の発展に貢献します。」と。この理念に恥じないよう、貸し渋りどころか保証渋りとならないよう一層の努力を期待します。 次に、新全総計画を踏まえた八代海沿岸地域の取り組みについてお尋ねします。 この件につきましては、平成七年九月議会でも、有明海・八代海湾岸開発構想として知事に質問をいたしましたが、その後の動きがあるようですのでお伺いいたします。 本年三月三十一日に新しい全総計画が閣議決定されました。この新全総計画において、熊本県が提唱しておりました六つの地域連携軸、中でも九州ハートランド構想が盛り込まれたわけであります。これについては、知事初め関係者の並々ならぬ御努力のたまものであり、本県の諸プロジェクトの推進にとって大きな前進であると同時に、県政に携わる者の一人として、心から感謝を申し上げる次第でございます。 さて、この新全総計画を踏まえて、本年度は、さらに地域ブロック版とも言える新しい九州地方開発促進計画が国土庁によって策定されるやに聞き及んでおります。本計画は、新全総計画の地域整備編の詳細版になるものであり、二十一世紀初頭における九州の方向づけを行うものになると思われますが、近年の国等の厳しい財政事情を勘案しますと、本県が提唱しておられる八代海沿岸道路を初めとした交通基盤の整備やもろもろの各種プロジェクトについて、重点的に、より強力的に事業の推進を図っていくためには、国の広域的計画に明記されることが何よりも肝要ではなかろうかと思うのであります。 そこで、九州地方開発促進計画の策定に当たって、現在の取り組み状況について、企画開発部長にお尋ねします。 次に、八代海沿岸地域開発構想についてであります。 八代海は、遠浅で干満の差が大きく、浅い海域は貴重な資源を有しており、また、八代海沿岸地域では肥沃な干拓地農業が営まれており、さらには、重要港湾、歴史、文化、観光資源にも恵まれ、今後の発展に大きなポテンシャルを有しております。しかし、若年層の流出による人口減少、過疎化、高齢化が顕著であり、就労機会の確保や各種社会資本の整備が課題であります。 こうした課題に対処するため、現在取り組んでおられる九州新幹線鹿児島ルート、西回り自動車道の交通基盤整備や拠点都市整備の社会資本整備を着実に進める必要があり、特に八代海沿岸地域における広域的な開発構想が必要であります。 そのような中、八月二十六日に、八代市で、八代海北部沿岸都市地域連携会議が発足されました。これによりまして、八代海南部環不知火海共同体とあわせて、八代海一帯の市町村による広域的な連携による取り組みが今まさに始まることに相なりました。こうした市町村の動きを踏まえ、今後県として八代海沿岸の活性化のためにどのように取り組まれるのか、企画開発部長にお尋ねします。 また、その中にあって、中心的な役割を担う八代海沿岸道路の取り組みについてお聞きします。 この道路は、ハートランド構想の一部を構成するものであり、県議会においては、米原先生を中心に、八代海湾岸道路建設議員連盟を結成したところであります。 県都熊本市と八代市を結ぶこの道路は、八代市の拠点性の向上や沿岸地域の振興に大きく寄与するとともに、県内の物流拠点としての整備が進められている八代港の物流機能を大幅に高める重要な役割を担う路線と確信をいたしております。 熊本市から大牟田市は候補路線になりましたが、熊本市から八代海沿岸部はいまだ空白地帯になっておりますので、この八代海沿岸道路について、今後どのように取り組まれるのか、土木部長にお尋ねいたします。  〔企画開発部長上野善晴君登壇〕 ◎企画開発部長(上野善晴君) 九州地方開発促進計画は、九州地方開発促進法に基づきまして、九州地方における資源の総合的開発を促進するために必要な基本的事項を盛り込んだ計画でございまして、九州地方における一体的かつ均衡ある発展のために重要な地域振興計画と認識をいたしております。 本県としては、これまで、新たな全国総合開発計画にその趣旨が盛り込まれました六つの地域連携軸構想やこれらの地域連携を支える道路などの交通基盤整備など、さまざまな施策について本計画に明記されるよう、本年八月に国土庁長官との意見交換を行ったほか、本計画策定のため開催された国土審議会の特別委員会などにおいて要望を行うなど、これまで国等に対し強い働きかけを行ってまいりました。本計画は、本年度末に閣議決定の見込みであると聞いておりまして、今後とも機会あるごとに国等に対して要望してまいりたいと考えております。 次に、八代海沿岸地域における開発構想につきましては、六つの地域連携軸の一つでございます環有明海・八代海広域開発構想の一部を構成する重要な構想と認識をいたしております。 この環有明海・八代海地域は、さまざまなポテンシャルを有しておりまして、まさに九州の心臓部、ハートランドとも言うべき地域でございます。 この沿岸地域につきましては、これまで本県単独で開発の可能性や構想策定に向けた基礎調査を行ってまいりましたが、平成九年度より、本県の働きかけによりまして関係五県で連携を図りつつ、具体的な広域開発のための調査を実施しております。この調査におきまして、この地域の発展可能性を最大限に発揮していくため、交通体系、産業、環境など、幅広い観点からの地域ポテンシャルと開発課題の抽出を行うとともに、それらを踏まえた広域的な視点からの地域活性化の基本方向の検討など、総合的な検討を進めております。 今後とも、八代海沿岸地域の開発構想につきましては、関係機関や地元市町村などとも連携を図りながら、具体的な広域開発構想策定の中で調査検討を進めてまいります。 ○副議長(前畑淳治君) 土木部長島田健一君。──残り時間が少なくなりましたので、簡潔に願います。  〔土木部長島田健一君登壇〕 ◎土木部長(島田健一君) 八代海沿岸道路につきましては、今後とも、地域高規格道路の指定が得られるよう、強く国に要望してまいります。  〔坂田孝志君登壇〕 ◆(坂田孝志君) 私は、これからの開発構想は、地元の振興はもとよりでありますが、対アジア、対世界に向けての戦略を視野に入れて取り組むべき課題であろうと思います。 そういう意味において、この有明海、八代海を八の字で結ぶいわゆるハートランド構想は、まさにその典型となり得るものであろうと確信をいたしております。この有明海・八代海湾岸道路の延長上に九州国際空港が存在すると思われます。南九州、中九州、西九州、各県がさらに連携して、力を合わせて推し進めていかれますよう強く申し上げまして、通告しました質問を終結します。 最後にちょっとだけ所感を申し上げさせていただきます。 キリンがビールをつくり、ライオンが歯みがきをつくり、タイガーがポットまでつくった。はたまたカメの子がタワシをつくったのはどこかのはなし家の世界でありますが、実は、タワシをつくったのはたる洗いの青年でありまして、消しゴムつき鉛筆は貧乏な絵かきが発明しました。有刺鉄線を発明したのは貧しい羊飼いの少年でした。向学心に燃えて仕事中に本を読んで勉強していたところ、羊がさくを越えて逃げたため親方から大目玉をくらいました。そこで彼は、安心して本を読んでいられるようにと、有刺鉄線を発明しました。 必要は発明の母と言いますが、ここでの必要は、自分にとっての切実な問題意識があると言えます。しかも、見逃せないのは、問題意識に明確な具体性のあることであります。ただ漠然と日々を過ごしていたら何の問題意識も抱かず、何の発想もできません。県民のために何をなすべきか、何が必要とされているのか、そういう切実な問題意識を持つことが、その解決のための糸口となるのであります。 お互いに、常々そういう問題意識を持ちながら、県民の福祉の向上と熊本県発展のため全力を尽くそうではありませんか。 長い間御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(前畑淳治君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明十九日及び二十日は、県の休日のため、休会でありますので、会議は来る二十一日午前十時から開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第五号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後零時十五分散会...