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  1. 熊本県議会 1998-09-01
    09月21日-05号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    平成10年 9月 定例会┌──────────────────┐│  第 五 号(九月二十一日)   │└──────────────────┘ 平 成 十 年  熊本県議会九月定例会会議録    第五号──────────────────────────平成十年九月二十一日(月曜日)   ────────────────────   議事日程 第五号  平成十年九月二十一日(月曜日)午前十時開議 第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) 第二 議案等に対する質疑(第一号から第三十七号まで) 第三 知事提出議案委員会付託(第一号から第三十二号まで) 第四 請願の委員会付託 第五 休会の件   ────────────────────本日の会議に付した事件 日程第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) 日程第二 議案等に対する質疑(第一号から第三十七号まで) 日程第三 知事提出議案委員会付託(第一号から第三十二号まで) 日程第四 請願の委員会付託 日程第五 休会の件      ───────○───────出席議員(五十四名)                 古 田   豊 君                 馬 場 成 志 君                 幸 山 政 史 君                 大 西 一 史 君                 平 野 みどり さん                 荒 木 義 行 君                 坂 田 孝 志 君                 荒 木 章 博 君                 小 池 美千代 君                 船 田 直 大 君                 早 川 英 明 君                 田 方 初 美 君                 小 杉   直 君                 中 原 隆 博 君                 田 上 泰 寛 君                 岩 中 伸 司 君                 堤   泰 宏 君                 篠 﨑 鐵 男 君                 前 川   收 君                 江 口 隆 一 君                 下 田 耕 士 君                 林 田 博 達 君                 園 村 敬 二 君                 河 端 俊 夫 君                 渡 辺 利 男 君                 鬼 海 洋 一 君                 竹 口 博 己 君                 土 屋 歳 明 君                 沢 田 一 郎 君                 坂 本 哲 志 君                 大仁田 貞 夫 君                 高 野 誠 一 君                 吉 本 賢 児 君                 村 上 寅 美 君                 松 村   昭 君                 児 玉 文 雄 君                 池 田 貞 俊 君                 前 畑 淳 治 君                 荒 木 詔 之 君                 島 田 幸 弘 君                 島 津 勇 典 君                 倉 重   剛 君                 山 本   靖 君                 杉 森 猛 夫 君                 山 本 秀 久 君                 八 浪 知 行 君                 髙 田 昭二郎 君                 古 閑 三 博 君                 北 里 達之助 君                 米 原 賢 士 君                 池 田 定 行 君                 小 谷 久爾夫 君                 広 瀬 博 美 君                 西 岡 勝 成 君欠席議員(なし)   ───────────────────説明のため出席した者          知事     福 島 譲 二 君          副知事    魚 住 汎 輝 君          出納長    河 野 延 夫 君          総務部長   望 月 達 史 君          企画開発部長 上 野 善 晴 君          健康福祉部長 冨 田 徹 也 君          環境生活部長 田 中 力 男 君          商工観光労働          部長     前 田 浩 文 君          農政部長   村 上 公 佑 君          林務水産部長 牛 島   浩 君          土木部長   島 田 健 一 君          国体推進局長 塩 山   隆 君          公営企業          管理者    古 城 芳 臣 君          教育委員会          委員長    岡 﨑 禮 治 君          教育長    佐々木 正 典 君          警察本部長  伊 藤 茂 男 君          人事委員会          事務局長   池 田   隆 君          監査委員   西   徳 義 君   ───────────────────事務局職員出席者          事務局長   吉 本 健 一          事務局次長  松 永 昭 次          議事課長   金 田 和 洋          議事課長補佐 船 越 宏 樹          議事課長補佐 野 田 克 巳          主任主事   小 池 二 郎      ───────○───────  午前十時二分開議 ○議長(八浪知行君) これより本日の会議を開きます。      ───────○─────── △日程第一 一般質問 ○議長(八浪知行君) 日程に従いまして、日程第一、十八日に引き続き一般質問を行います。 大西一史君。  〔大西一史君登壇〕(拍手) ◆(大西一史君) 皆さんおはようございます。熊本市選出の大西一史でございます。 昨年十二月の補欠選挙で当選をさせていただきましてから、早いもので、ちょうどきょうが丸々九カ月目のその日になります。本日初めての質問の機会を与えていただきました先輩議員並びに同僚議員の皆様方に厚く感謝を申し上げたいというふうに思います。また、私ごとになりますが、本年四月に他界をいたしました父、大西靖一が、長年この議会で大変お世話になりました。議員の皆様方並びに執行部の皆様方には大変御迷惑をかけたこともあったかとは存じますが、この場をおかりいたしまして、生前の御厚情に対し厚く御礼を申し上げたいというふうに思います。 さて、いろいろ議場の方からもお励ましをいただいておりますけれども、本日は六つの質問を用意させていただきました。何分緊張いたしておりますので、お聞き苦しい点も多々あろうかと存じますが、最後まで御清聴のほどよろしくお願いいたします。 時間の都合もありますので、早速通告に従って質問に入らせていただきます。 まず初めに、財政問題について、知事にお尋ねをいたします。 本県の財政事情につきましては、ことし三月定例会の代表質問にも取り上げられ、財政状況の厳しさ、また今後の財政運営の難しさが議論をされてまいりました。さらに、平成十年度当初予算におきましても、悪化する景気の動向にも配慮すると同時に、歳出をできるだけ抑え、県として取り得る対策を精いっぱい盛り込んだ内容のいわゆる緊縮型の予算になったわけでありますが、その後六月定例会において、景気の停滞状況に最大限配慮し、また国の十六兆円を超える過去最大規模の総合経済対策に呼応する形で、補正予算が可決をされました。また、今九月定例会においても、経済対策関連予算を含む百七十億円余の補正予算案が提案をされております。 六月定例会の補正予算の財源としては百七十九億円余の県債が発行され、さらに今議会においても八十二億円余の県債発行を予定した補正予算案となっております。国の経済対策に対応した補正予算でありますから、現下の我が国全体を取り巻く経済情勢の悪化を十分に考えれば、県債発行も含め、これらの経済対策関連予算措置は必要な措置であることは言うまでもありません。 しかし、平成十年度に入りましてから、やがて上半期も終わろうとしているわけでありますが、景気回復の兆しは一向にあらわれず、県内でも企業の倒産が後を絶たず、県外においても比較的大きな企業の倒産も重なり、現況はまさに危機的状況にあると感じております。さらに、本年度下期においても景気回復の見通しは全く立っておらず、これからも厳しい経済情勢が懸念をされております。 そうした中、八月には橋本内閣から小渕内閣へ政権も交代をし、小渕総理のこれからの経済運営に国民全体が注目をいたしておるわけであります。去る八月七日の国会における小渕総理所信表明演説の中で触れられておりますが、景気に最大限配慮して、六兆円を相当程度上回る恒久的な減税を実施するという旨の方針が示されましたことは御承知のとおりであります。また、所得税と住民税を合わせた税率の最高水準を五〇%に引き下げ、減税規模は四兆円を目途とするとのことであります。さらに、法人課税につきましては、実効税率を四〇%程度に引き下げるとの方針であります。景気に最大限配慮し、恒久的な減税が行われますことについては県民の一人としても歓迎をするものでありますし、減税に伴う財源確保についても、行政改革などにより、できるだけ国民に負担をかけないような配慮がされるものと期待をしております。 しかしながら、今回の減税で現在のところ示されているのは、所得課税四兆円、法人課税二兆円超という大まかな規模だけであり、そのうち、国と地方でどれだけの税を振り分けて負担するのかということについてはいまだ白紙の状態であります。つまり、その負担割合によっては、県並びに市町村の財政を大きく逼迫させることにもなりかねません。 本県においては、来年開催されるくまもと未来国体の開催のために、ここ数年その環境整備に向けた大規模な投資が実施をされてまいりました。これらの影響により、現在の県の財政事情は必ずしも良好だとは言えないのではないでしょうか。 このような厳しい財政事情の中、これから行われようとする恒久減税に対する議論に県民全体の関心が集まっていることは、新聞報道等によっても明らかであります。 具体的な減税関連法案は、次期通常国会に提出をされる予定であると伺っておりますが、これから年末にかけて議論が進む中で、県の財政を預かる知事は、これらの経済対策減税に対してどのように認識をしておられるのか、また、地方財政をできるだけ圧迫しないようにするために、国に対してどのように働きかけをしていかれるのか、今後の方針についてお尋ねをいたします。  〔知事福島譲二君登壇〕 ◎知事(福島譲二君) 本県では、第二次行政改革大綱に基づいてさまざまな行財政改革の取り組みを進めておりますが、景気の早期回復が何よりも優先すべき課題と考え、これまでもできる限り国の経済対策に呼応すべく努力してまいりました。 しかしながら、現下の財政状況は、低迷する税収に加えて、これまで景気対策として実施してきた事業についての公債費の累増等によって厳しさを増しておるのが現状であります。 こうした中で、小渕総理は、六兆円を超す大幅な恒久減税を表明されましたが、その減税については、個人住民税について、現在三段階である税率を二段階として引き下げる、あるいは法人課税実効税率を引き下げるため、法人住民税法人事業税について税率を引き下げるといった検討がなされていると報ぜられております。 減税の対象として検討されている住民税及び法人事業税は県における基幹的な税目でありまして、九州新幹線を初めとする社会資本の整備、高齢化社会に向けた総合的な地域福祉対策の充実等、今後ますます増大する財政需要に対応するために、その充実確保は極めて重要なことであります。住民税や法人事業税を大幅に引き下げるような減税は、本県や本県市町村財政運営に多大の影響を与えるものでありまして、また、地方分権推進計画にも示された地方税源充実強化の方向に逆行するものと言わざるを得ません。 こういったことを背景として、全国知事会等地方六団体から、国に対して税制改正に関する緊急要望がなされました。また、先日、熊本県地方分権推進県・市町村協議会を代表する形で、私からも直接関係省庁に対して要望をいたしてまいりました。また、先月末、プライベートな懇談の中ではありましたが、竹下、橋本元総理、小渕現総理、そして自民党の税制調査会の重鎮であります山中貞則先生御一緒でございましたが、そのような趣旨を直接お話しする機会も持っております。 今後、減税の具体的な内容については政府税制調査会等において検討されることになりますが、県としても、その検討に当たっては、本県の事情や地方の事情が十分考慮されるよう、九州各県とも連携して国に対して強く要望してまいる決意でございます。  〔大西一史君登壇〕 ◆(大西一史君) 知事の御答弁ありがとうございました。 今回の恒久減税については、今までの経済対策減税とは全く異質なものであるということを私たちは認識しなければならないと思います。 御答弁の中で、地方税源充実強化の方向、それから地方分権の推進に逆行するという認識を示していただきましたが、これから将来に向けて地方分権が議論される中で、地方の立場、現状を十分国に認識してもらうように、知事におかれましても積極的に働きかけをお願いしておきたいと思います。 これは余談になるかもしれませんが、村山政権時代に私が官房副長官の秘書をしておることがありました。そのときに、福島知事が、水俣病問題で総理官邸の方にいらっしゃいまして、総理大臣に要望するというようなときに、私が官邸の玄関でお迎えをしまして総理執務室まで御案内をしたことがあります。そのときのことを知事は多分、どこの小僧かということで覚えてはいらっしゃらないというふうに思いますが、その御記憶にはないかもしれませんけれども、そのときの知事の水俣病問題の解決のための熱意、意欲、そういったものというのを、県民の立場を理解してもらおうと国に働きかけをしていただけるそういう姿勢というのは、ただ御案内をしておるだけでありましたけれども、私のこの背中の方にひしひしと感じられたわけでございます。ぜひともあのときの決意、熱意を直接同じようにぶつけていただければ、困難な問題にもいろいろ対処していただいて、国にも随分と十分な理解をしていただけるものであるというふうに私は期待をしておりますので、ぜひともよろしくお願いをいたします。 次に、中小企業の支援策についてお尋ねをいたします。 この議会においても、既にさまざまな支援策についての議論が重ねられてきましたが、それだけ経済の実態は厳しく、県民の関心が景気回復に集中しているということは明らかであります。 中小企業を取り巻く経営環境はますます悪化しておりまして、いわゆる金融機関の貸し渋り等により、仕事がとれる状況にあっても、資金繰りが悪化して倒産の危機にさらされている企業が多数あるというふうに聞いております。また、金融機関においても、金融ビッグバンなどいろんな施策によりまして不良債権の回収に努めているため、融資に対しても極めて慎重であります。新たな不良債権を生まないためにも、リスクヘッジに徹するため、なかなか企業のニーズにこたえるような融資ができない状況にあるという側面もあります。 ことし六月末現在での県の中小企業景況調査の報告内容を見てみますと、景気動向指数、これはディフュージョンインデックス、DIというふうに言いますが、その業況判断DIではマイナス幅が悪化をしております。産業別で見ますと、特に、建設業、それから製造業においては、前期よりも悪いという判断が拡大をしておりまして、平成六年の調査開始以来最低値を記録したということでございます。 こうした八方ふさがりの状況の中で、中小企業の経営安定のための措置として、県では、この議会において制度融資枠の拡大が提案をされております。また、この点に関しては、代表質問一般質問でもたびたび取り上げられております。引き続き融資に際してはできるだけ利用しやすい形で運用をお願いしたいというふうに思います。 さて、県の商工政策の中で、制度融資と並んで重要なものの一つに、経営指導、相談等による企業の支援がございます。本県においては、直接、間接的にさまざまな相談業務が行われているようでありますが、企業の相談件数、これ自体はそれほど多くないように聞いております。 これらの相談業務による指導、助言等によって、倒産を未然に防ぐことができる企業も多いはずであります。また、今後も景気動向はすぐには好転しないと考えられますので、制度融資における支援とともに、相談業務をできるだけ利用していただけるように周知徹底する必要があるというふうに考えております。 現在までの経営相談の状況と今後の取り組みについて、商工観光労働部長の所見をお尋ねいたします。  〔商工観光労働部長前田浩文君登壇〕 ◎商工観光労働部長(前田浩文君) 中小企業への支援についてでございますが、昨年十一月に国が示しました二十一世紀を切り開く緊急経済対策に呼応いたしまして、昨年十二月五日、本県におきます中小企業への金融支援相談体制の整備を柱とします県の中小企業経営安定対策を決定いたし、また、中小企業緊急相談窓口を開設いたしますとともに、商工団体や政府系金融機関等との中小企業対策連絡会議を設置いたしまして、同様の相談窓口の設置を要請するなど、中小企業への迅速な対応を行ってきたところでございます。 県の相談窓口には、金融相談を中心に、この窓口設置後、これまでに合計二百二十三件の相談が寄せられておりまして、各種制度融資の説明や手続紹介等を行っております。 また、小規模の事業者に対しましては、県下の商工会、商工会議所など二百十二名の経営指導員により、金融、税務、労務、経理など、経営全般にわたります巡回指導窓口指導を実施しておりまして、今年度も既に約五万四千件の相談実績がございまして、八月末現在累計の対前年伸び率は五・三%となっております。このうち約二万件が金融相談でありまして、金融相談の伸び率は二四・四%と大きく伸びております。 そのほか、倒産防止につきましても、県商工会連合会等から委嘱を受けました公認会計士、税理士、中小企業診断士等から成ります商工調停士によります倒産防止特別相談事業を実施しておりまして、今年度八月末までの相談件数は七十七件となっております。 このように、中小企業者への経営相談による支援につきましては、商工会、商工会議所などの指導機関を通じて取り組んでまいっております。県といたしましても、県内中小企業を育成していくためには、その経営資源であります人材、技術、情報、金融など総合的な支援を行うことが重要であるという認識から、これまで、工業技術センター中小企業振興公社、また県が参画をいたしております財団法人熊本起業化支援センターなどにより、それぞれ専門的な立場で、中小企業への情報提供、指導などを行ってきております。 今後とも、これらの機関とも十分連携をとりながら、中小企業経営基盤強化支援に努めてまいりたいと思います。  〔大西一史君登壇〕 ◆(大西一史君) 御答弁ありがとうございました。 今のお話、現状ではかなり幅広く相談窓口が設置をされているというようでありまして、少々安心をいたしましたが、一般の県民にとりまして、この県庁というのはなかなか敷居が高いところであるように思われているというふうに思います。 私は常々思ってまいりましたが、この相談業務もそうでありますけれども、せっかくいろんな相談窓口が設置されているわけでありますが、余り利用されていないというのは、やはり役所に相談しても、たらい回しにされたり、具体的なアドバイスがないなどと思われる向きも多いのではないかというふうに思います。 御答弁でも説明がありましたとおり、対策はきちんととっておられるわけでありますから、そこのところをもっともっと上手にPRしていただくことによってオープンな県庁というものを県民の皆さんに理解してもらえるように、引き続き御努力をお願いしたいというふうに思います。 次に、熊本都市圏交通渋滞緩和対策についてお尋ねをいたします。 私たち熊本都市圏で生活する者にとって毎日直面する問題が、この渋滞問題であります。県議会でもさまざまな角度から渋滞問題の解決に向けて質問がされておりまして、その関心の高さと問題の深刻さが議論されてきたわけであります。私もほとんど毎日車を運転しておりますが、朝夕のラッシュ時はもちろんのこと、平日の昼間でも激しい渋滞に直面することが当たり前のようになっております。十分注意をしていても、思わぬ渋滞で大事な会合におくれてしまうということもありがちであります。 熊本都市圏にはさまざまな都市機能が集中しているために、通過する車両も含めて交通需要が多く、国道三号、五十七号といった主要幹線道路、またそこへ流入している道路の渋滞は恒常化しているのが現状であります。 これらの解消のために、道路整備を中心としたハード面での取り組み、整備は着々と進められておりますが、予算もかかりますし時間もかかります。どうしても後手後手に回ってしまうのは、現在の制度上ある程度仕方がないことではないかなというふうに考えております。 慢性的な渋滞にはいろいろな原因が考えられますが、渋滞解消のためには、まずきめ細かな実態の把握と現状分析が重要だと考えております。 交通行政全般にわたりさまざまな施策により御努力をいただいておりますのは警察の皆さん方でありますが、これらの渋滞の現状と問題点について、その前線にあって、どのように認識をしておられるのかというのが質問の第一点目でございます。 次に、渋滞解消を考える場合、この議会でもたびたび取り上げられ議論をされておりますけれども、交通需要マネジメント、いわゆるTDMという考え方がございます。TDMについては皆さん方既に御承知のとおりでございますが、この考え方の根底にあるものは、自動車による道路の混雑を緩和し、大気汚染を減らす対策として生まれてきた考え方であります。そして、規制だけでなく、自動車以外の移動手段に誘導するために総合的な対策を講ずるという考え方であります。この考え方に対しては私も大賛成でありますし、今後そういう方向に取り組むことが大変重要であることは明らかであります。 パーク・アンド・ライドシステムの導入、時差出勤の導入、バス専用レーンの確保、交通接点の強化など、TDMの考え方を基本に複合的な渋滞対策を講じ、今後検討を重ねることが必要だと感じております。しかし、この熊本都市圏の現状を考えた場合、残念ながらなかなか効果を上げる対策が講じられないのが実情だと認識をしております。 実際のデータとして、県内の登録自動車台数の年別推移、これを見てみることにいたします。九州運輸局の資料によりますと、昭和六十三年が八十八万三千五百八十五台という登録台数でありますが、平成九年末には百十六万八千六百五十七台というふうに、これは右肩上がりに増加をしておりまして、昭和六十三年の指数を一〇〇とすれば、平成九年には一三二ということになってしまいます。実際ライフスタイルの変化、核家族化等に起因するかもしれませんが、一家に自家用車が一人一台という世帯が少なくありませんし、なかなか行政側での規制、啓発等を行っても自動車の総量自体を減らすことは不可能なことだと感じます。 公共交通機関が発達した大都市であれば、代替交通機関の利用がスムーズにいきますし、しかも、電車、地下鉄等大量輸送機関が発達しておりますので、車を持たないで生活することにさほど不便さを感じないわけであります。また、フレックスタイム制を企業が導入していることなどにより、時差出勤に対する一般市民の理解度も大変高いわけでありますが、本県での現状を考えてみますと、なかなか定着しないのが現状のようであります。 もちろんやればできるということでございますけれども、これらの対策については引き続き関係当局に御努力をお願いするわけでありますし、また、特に今回、こうして渋滞解消にいろんな取り組みがなされている中で、今回は、交通管理システムに関して絞って質問をさせていただきたいというふうに思います。 これは八月十五日付の熊日新聞の報道ですが、本渡市中心部の国道において、信号機の調節により渋滞が緩和されたという趣旨の記事が出ておりました。御存じの方も多いとは思いますが、内容を若干御説明いたしますと、本渡市中心部を通る国道三百二十四号の渋滞緩和に向け、本渡警察署が、同市役所から天草瀬戸大橋に向かう約一・五キロメートル区間の信号機を調節したところ、夕方のラッシュ時に最大三十分程度かかっていた通過時間を半分の約十五分にまで短縮をすることができたということでございます。 私は、この記事を読んで、このような対策が、熊本都市圏においても県下各地の渋滞問題においても効果を発揮するのではないかというふうに考えました。もちろん、本渡市と熊本市では、道路構造も違いますし、それから交通量も制御する信号の数にしても相当な違いはあると思いますが、このコンセプトを含めて交通管理システム全体を改善することにより、かなりの効果が期待されると考えております。 以上の観点から、現在までの交通管理システムに対してどのような対策を講じられてきたのか、また、今後の新たな取り組みについてお尋ねをいたします。 引き続きまして、第三点目として、来年にはくまもと未来国体が開催をされます。国体開催期間中には他県からの交通流入も増加し、主会場周辺においては、大会関係車両などによりまして渋滞が予想されるわけでございます。これは六月定例会の馬場先生のお尋ねの中にもございました。この件に関してどのように警察本部として対策を考えておられるのか。あわせて三点を県警本部長にお尋ねをいたします。  〔警察本部長伊藤茂男君登壇〕 ◎警察本部長(伊藤茂男君) お答えをいたします。 まず、交通渋滞の現状と問題点についてでございますが、熊本都市圏におきましては、国道三号、国道五十七号及び主要地方道であります熊本高森線等の幹線道路の主要交差点におきまして、朝夕の通勤通学時間帯を中心に、恒常的な交通渋滞が発生をしておることは御承知のとおりでございます。 これらの原因といたしましては、自動車交通の急激な増加に加えまして、官公庁、企業等が市の中心部の一極に集中する都市構造であること、これに伴いまして道路構造が市中心部を核とする放射状であること、さらには、通勤通学等の手段としての公共交通機関の整備が都市化の進展に十分対応できていないことなどが考えられるところでございます。 次に、交通管理システムの整備についてでございますが、事例として挙げられました本渡市につきましては、本年三月、国道三百二十四号広瀬バイパスの開通に伴いまして、同国道の交通量が急増をしたために、関係する九カ所の信号機の運用を見直したものでございます。 熊本都市圏におきましても、常に信号機の運用状況を点検いたしまして、交通実態に応じた信号機の整備を行っておるところでございますが、幹線道路と幹線道路が交差する主要交差点では、交通需要が交通容量を上回り、結果として交通渋滞が発生している現状でございます。 こうしたことから、県警といたしましては、国道三号及び国道五十七号の朝夕のラッシュ時における交通渋滞を緩和するために、まず熊本市内へ流入する交通量から渋滞の発生を事前に予測し、これに応じて早目の信号制御を行う交通需要予測制御システムといったものの導入整備を行ったのを初め、公共輸送機関でありますバスの定時性を確保するために、バス路線が集中する主要地方道熊本高森線におけるいわゆるバス優先システムの導入整備、さらに、きめ細かで迅速な信号制御を行うため、熊本都市圏の信号機を一元的に管理する交通管制センターの高度化、また、交通の分散、誘導を図るための交通情報板、路側通信システム等の計画的な整備、さらに、速度規制の緩和や朝夕の通勤通学時間帯における右折禁止規制の実施等、交通実態に対応した交通規制の見直しなど総合的な交通円滑化対策を講じているところでございます。 さらに、今後の取り組みといたしましては、新たな取り組みとして、交通渋滞等の情報をカーナビゲーションを通じてドライバーの方々に直接提供し、交通の分散、誘導を図ることを目的とした道路交通情報通信システムの導入について、現在検討を急いでいるところでございます。 三番目に、国体開催時における渋滞緩和対策でございますが、御指摘のように、来年の国体開催時には、国体会場及びその周辺での交通渋滞が非常に懸念されることから、関係機関、団体等との連携を緊密にしながら、交通総量の抑制や各会場への効率的な輸送交通の確立、会場周辺における効果的な交通規制の実施等総合的な諸対策を推進し、交通渋滞の緩和に努めてまいりたいと考えております。 なお、最後に、交通渋滞の緩和につきましては、ただいまの御質問にもありましたように、社会全体としての総合的な取り組みが必要不可欠であると考えておるところでございます。今後ソフト面での対策がますます重要となってくることから、県警では、御承知のように、率先して昨年九月から時差出勤制度も導入しているところでございます。今後、とりわけ熊本都市圏所在の官公庁、企業等におきまして、出勤時の車の相乗りなど、渋滞緩和に資する施策を積極的に導入、推進されるよう、関係各位及び県民各位の御理解、御協力をよろしくお願いするところでございます。  〔大西一史君登壇〕 ◆(大西一史君) 具体的な御答弁ありがとうございました。 御答弁の中で出てきましたけれども、交通渋滞等の情報をカーナビゲーションを通じてドライバーに直接提供する、いわゆるこれはVICSというものらしいんですが、これはカタログ、ちょっと私、そういうものがいろいろあるということで持ってまいりました。これは東京でも、私実は東京に住んでいるときに、人のに乗せてもらいましてちょっと使ったことがあります。自分ではちょっと高くて買えなかったわけでありますが、かなりこれは便利なものです。こうしたことを導入されることに当たっては予算も大変かかることとは思いますけれども、一日も早く運用が開始されますようよろしくお願いをいたしておきます。 また、信号の制御、それから規制につきましては、至るところでまだまだ現状の交通の流れに対応ができていないのではないかと私のところにも問い合わせが来ます。具体的にいろいろ申し上げると時間もございませんので詳しくは申し上げませんが、今後、これらの新しい新交通管理システムを利用して、渋滞の解消に向けて御努力をいただきますようお願いを申し上げておきます。 また、国体に関しましても、ことし開催をされております神奈川県の対策などを十分参考にしていただいて、何名かの方は視察に行かれているというふうに伺っておりますけれども、来年は混乱が生じないように、ぜひとも対策を考えていかれますよう、よろしくお願いを申し上げます。 それでは次に、廃棄物に対する行政の取り組みについてお尋ねをいたします。 近年、経済活動が大量生産、大量消費、大量廃棄という社会構造になり、廃棄物に係る量、質の両面からの環境負荷の増大が深刻な社会問題化していることは御承知のとおりであります。 大量に排出される廃棄物をめぐる問題点として、今申し上げたような社会構造の変化、そして飲料容器、古紙等に見られるような再利用、リサイクルの停滞、また最終処分容量の逼迫と後を絶たない不法投棄等の不適正処理、さらに廃棄物焼却炉からのダイオキシン等による環境汚染のおそれ、処理施設設置をめぐるトラブルの頻発などなど、問題の根は深く、また解決も容易ではありません。 特に行政の廃棄物に対する取り組みについては、この議会でも再三にわたり取り上げられ、議論をされております。それだけ県民の廃棄物行政に対する期待は大変大きいものでございます。 これはきょうの熊日新聞の朝刊でもまた廃棄物問題が載っておりまして、ここのところ毎日新聞をにぎわしておるというような状況でございます。 もちろん、すべてを行政の責任、企業の責任というように、責任を押しつけることでは廃棄物問題は根本的には解決をいたしません。毎日毎日大量消費、大量廃棄という社会構造の中において、その便利さ、恩恵を受けているのは私たち消費者であります。 NIMBY症候群、これはニムビー症候群と読むんじゃないかなと思いますが、という言葉、これは私は存じ上げなかったわけなんでありますが、これは、NOT IN MY BACK YARDという英語の略でありまして、自分の裏庭にごみは来てほしくない症候群というような意味でございます。我々消費者が、臭い物にはふたという、目の前からごみが消えればいいという意識を示す言葉であります。つまり、廃棄物をめぐる生活者の意識として、総論賛成、各論反対ということを端的に示す言葉であると思います。私たち消費者は、常にこうした意識を反省しながら、ごみの排出者としてリサイクルの責任を果たさなければ、一向に問題は解決しないわけであります。 これから将来に向けて物質循環型の社会を構築しなければならないのは、これらの問題点を見れば明らかでありますが、物質循環型の社会を構築するためにも、特に情報基盤の整備が重要ではないかなというふうに考えます。例えばドイツなどで実際に考えられているシステムなどのように、廃棄物及びリサイクルに関する排出事業者や処理主体等による情報の行政への報告や、一般への情報の公開を進めるとともに、これらの情報を社会的に共有していくための社会システムの整備は、さまざまな問題解決の上でも、住民の廃棄物に対しての認識を深める上でも非常に有効だというふうに思います。また、消費者のリサイクル意識の向上のためにも、県レベルでリサイクルにつなげるための情報交流が必要であるというふうに考えます。 そこで、県として、具体的にこうした廃棄物及びリサイクルに関する情報基盤の整備にどのように取り組んでおられるのか、今後の方針も含めてお尋ねをいたします。 続きまして、産業廃棄物の不法投棄対策についてお尋ねをいたします。 産業廃棄物の不法投棄対策については、六月定例会において、荒木詔之先生が質問をされておりました。また、その際の答弁でも、知事の廃棄物行政に対する積極的な取り組みが示されたところでございます。 不法投棄等の不適正処理は、県民の不安を増大させるばかりでなく、まじめに取り組んでいる産業廃棄物関連業者に対しましても誤解を招くものでありまして、いわゆる捨て得というようなことを断じて許しておくことはできません。 そして、最近になってまた不法投棄の問題が次々と発覚をいたしております。天草郡龍ケ岳町の町立上天草総合病院において、注射器やアンプル、点滴瓶などの医療系廃棄物を龍ケ岳町の山中に大量に不法投棄していたとのことでございます。しかも、昭和六十一年以前に投棄されたものではないかという情報もありまして、恐らく十年以上も経過してから発覚するという極めて残念なものでありました。さらに残念なことに、町立病院の関係者が投棄をしていたらしいということでございます。 この問題発覚をきっかけに、ぜひとも、保健所、市町村等を通じて、同様の事例がないのか確認をしていただきますよう強く要望をしておきます。 さて、六月定例会の荒木先生の質問以降、新聞報道において、廃棄物対策課に県警から助っ人が来たとの報道がなされておりまして、早速の具体的なアクションに県の力強い決意を感じたわけであります。そして、つい先週のことでありますが、その成果が早速報道をされておりました。 先日小杉先生の質問の中でも触れられておりまして、ちょっと紹介しますと、ことしの二月から合計十四回も益城町の空き地に無許可で建築廃材などの産業廃棄物を不法投棄していたというトラック運転手の容疑者を逮捕したというものであります。こうして、県と県警の連携によりまして、不法投棄の摘発がなされたことを大変高く評価させていただくのと同時に、今後積極的な摘発によりまして不法投棄に歯どめがかかることを期待しております。しかし、全国各地で発生しているこれら不法投棄の現状については、まだまだふえることはあってもなかなか減少する傾向にないようであります。 そこで、不法投棄の現在までの実態と県において今後こういう事例が発覚した場合の措置について、さらに、こうした問題を未然に防ぐためにも、改正廃棄物処理法の罰則のポイントも含めて、執行部としてどのように対応していかれるのか、より具体的な方針を環境生活部長にお尋ねをいたします。  〔環境生活部長田中力男君登壇〕 ◎環境生活部長(田中力男君) まず、廃棄物及びリサイクルに関する情報基盤の整備についてでございますが、廃棄物行政は、処理施設立地の困難性や不法投棄など多くの問題を抱えておりまして、その解決に向けて懸命に努力いたしております。 近年の地球環境問題の高まりは、廃棄物につきましても、これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄といった社会構造の見直しを求めておりまして、廃棄物の排出抑制、再生利用を基調とした循環型社会を構築することを廃棄物対策の目標として位置づけ、施策展開を図っております。そのための廃棄物の減量化、リサイクル等に関する技術や需給管理等の情報について、その基盤を整備することは必要不可欠であると思っております。 まず、産業廃棄物に関しましては、本年四月に第四次熊本県産業廃棄物処理計画を策定いたしまして、その中で、産業廃棄物に関する情報の把握、提供を重要施策として掲げております。 具体的には、排出事業者によります廃棄物管理計画とその自己評価及び自主的な情報公開、産業廃棄物再生利用あっせんシステムの導入など施策展開を図ることで、廃棄物を出さない循環型社会づくりに努めていきたいと考えております。 また、一般廃棄物に関しましては、平成三年のリサイクル法を初め容器包装リサイクル法等関係法令の整備も進みつつありまして、リサイクルに向けての行動は、消費者の日常行動と企業の経済活動の両面において着実に根づきつつあると思っております。 県においても、リサイクルへの取り組みは、消費者、業界、行政一体となって進めることが重要でありますことから、平成四年に熊本県リサイクル推進県民会議を設立いたしまして、県民運動として取り組んでまいっております。 今後も、こうした取り組みによりまして啓発普及に努めますとともに、リサイクル活動を推進していくために、例えばリサイクル情報を提供するシステムについてもあわせて検討してまいります。 次に、不法投棄対策についてでありますが、産業廃棄物の不法投棄や不適正処理の発生が後を絶たないのはまことに残念であります。このようなことが県民の産業廃棄物処理に対する不信や不安を招いておりまして、処理施設の設置等に対する地域の理解が得られないなど、廃棄物を適正に処理していく上で障害ともなっております。 不法投棄の現状につきましては、保健所に配置しております廃棄物監視指導員を中心とした定期的なパトロールに加えまして、航空機を利用した上空からの監視などを実施いたしまして、平成九年度は百八十四件の不法投棄を発見したところでございます。 不法投棄対策は、まず未然に防止することが大事であります。そのため、排出事業者の適正処理意識の向上を図るべく、立入検査の実施などによる適正な処理委託の徹底や一定規模以上の排出事業者に対する廃棄物管理計画の作成、知事への提出など、指導を強化することといたしております。 事例が発覚した場合の措置につきましては、今回の法改正で、不法投棄に対する罰金額の大幅引き上げなど罰則の強化が図られておりまして、悪質違反者に対しましては、県警とも十分連携をとりながら、告発を前提として厳正に対処してまいります。また、不法投棄の行為者やその依頼者など、関係した企業名や氏名を公表することなどにつきましても検討しているところでございます。  〔大西一史君登壇〕 ◆(大西一史君) 御答弁ありがとうございました。 廃棄物行政は、常に先手必勝であるというふうに私も思いますので、状況を見ながらとかそういうことではなくて、常に先を見据えた施策を実行していただきますようよろしくお願いを申し上げます。 不法投棄問題について、かなり強い県の指導強化の方針が示されたことについては高く評価をいたしたいというふうに思います。悪質違反者についても実績ができましたけれども、告発を前提に法制度を厳正に運用するということでありますから、この問題について強い姿勢で取り組んでいただきますよう強く要望をいたします。 それでは次に、魅力ある県立農業大学校づくりについてお尋ねをいたします。 本県の農業につきましては、地域的に恵まれておりまして、これまで農業に従事されてこられました多くの方々の御努力によりまして、生産性が高く、質の高い農作物を有する国内でも有数の農業県でございます。 しかし、将来的にこれらの農業基盤を揺るがす問題としてたびたび議論されますのが、後継者の育成、確保についてであります。六月定例会においても、荒木詔之先生が新規就農者の育成、確保について質問をされておりますが、農政部長の答弁の中で、新たな取り組みに向けた具体的な方針が示されておりまして、この問題を危惧する者の一人として高く評価をいたしたいというふうに思います。 担い手確保の現状については、もうさきの質問で触れられておりますので具体的には申し上げませんが、部長答弁の中で、県立農業大学校について、魅力ある教育内容の充実や施設の継続的な整備というものを進めていきたい、さらに、農業大学校にUターン就農者等を対象にした営農技術習得のための研修コース開設の検討を開始するということでありました。 県立農業大学校は、農業後継者養成機関として大変重要な役割を果たしていると思いますけれども、入学者数がこのところ減少傾向にあるというふうに聞いております。平成七年、百十二名をピークに減少しておりまして、ことしは定員を三割程度割り込む七十一名というふうになっておりまして、創立以来最低水準ということでございます。 こうしたことの中で、このような現状を県としてどのように認識をしておられるのか、そしてまた今後の対策についてどのように考えられておられるのか、まず一点目をお尋ねいたします。 次に、新規就農者確保のための新たな取り組みについて御提言を申し上げたいと思いますが、今からちょっと御紹介をいたしますのは、奈良県の農業大学校で実施されている例でございます。農家の子息に限らず非農家の人も含めて農業後継者を幅広く確保しようと、新規就農希望者を対象に、プレファーマー養成講座というものを開設しているという新聞記事を目にしました。 具体的には、この受講期間は一年ということでございまして、野菜、花卉、果樹の三コースを開設して、週二日、年間八十日の研修を行うということであります。この受講者の中には定年退職者や主婦も含まれておりまして、農地を持たない非農家の人が九名いるということでございます。動機も目標も、それぞれ老後の生きがいにしたいとかさまざまでありますが、こうした取り組みが本県の農業大学校の活性化策として生かせるのではないかというふうに考えたわけであります。 実際の農業経営は、未経験の者がやるといってもなかなか難しいとは思いますけれども、現在大学で学ぶ生徒たちにも、こういう意欲のある人たちが新しく入ってこられることが非常によい刺激になるのではないかというふうに思います。 農政部長は、先日農大を視察されたというふうに聞いておりますけれども、その感想も含め、これらの新しい取り組みについての所見をお尋ねいたします。  〔農政部長村上公佑君登壇〕 ◎農政部長(村上公佑君) 県立農業大学校は、将来の本県農業を担うすぐれた農業者及び地域リーダーの育成を目的として、昭和五十三年に開校以来千八百二十六人の卒業生を送り出し、そのうち就農者が七割と全国第二位の高い就農率を誇るなど、新規就農者確保のための中核的研修機関として重要な役割を果たしております。 それだけに、県としては、教育内容はもちろん実習施設等の充実整備等に努めてきたわけであります。しかし、さきに農業大学校を訪れた際、学生寮についてはかなりの老朽化が目立ち、生活環境面で時代のニーズに合っていないことから、その整備が急務であろうと感じた次第でございます。 次に、農大の入学者数が減少していることについてでありますけれども、本県農業の担い手を育成していくためには、意欲と能力の高い学生の確保が重要であると考えております。 このため、今年度から、幅広い学生の入学促進を図るため、これまで農業高校からだけであった推薦入学枠を新たに普通高校まで拡大するなどの対策を講じてまいりました。 また、新規就農者の確保対策については、社会人等の就農希望者を対象とした技術習得のための研修コースや聴講生制度等の開設に向けて現在検討を進めているところでございます。 さらに、今後は、農大の恵まれた施設と機能を生かし、生涯学習の視点に立った幅広い新たな教育研修についても検討してみたいと考えております。 ○議長(八浪知行君) 大西一史君。──残り時間が少なくなりましたので、質問を簡潔に願います。  〔大西一史君登壇〕 ◆(大西一史君) ありがとうございました。 施設面での整備が着々と進められているとのことでありますけれども、やはり教育機関は、教育環境の整備も重要でありますが、その研修内容を充実させ、そこで学ぼうとする人たちのニーズにいかにこたえていくかが大事だと思いますので、今後とも、新規就農者の確保、育成に向けて農業大学校を活用していただきますようお願いを申し上げます。 残り時間がなくなりましたので、最後は要望に切りかえさせていただきたいというふうに思います。 NPO行政に関する今後の取り組みについてでございますけれども、本定例会において、NPO条例、特定非営利活動促進法施行条例というものが提案をされております。しかし内容を見てみますと、その名のとおり、認証手続等、特定非営利活動促進法から条例に委任された事項のみを規定したものでありまして、NPO法制定を契機として本県のNPO施策の高まりを期待した私にとりましては、いささか期待外れの感があります。 特定非営利活動促進法と行政の役割については、六月定例会で平野みどり議員が質問されておりますけれども、行政とNPOのかかわりを示す具体的な例として、一つ御紹介をいたしたいと思います。 先ほど私が質問をいたしました渋滞問題に関連をいたしますけれども、建設省が、渋滞緩和策を推進するに当たり、NPO団体の協力を得ることで渋滞緩和に向けて取り組もうとする動きがございます。 内容は、簡単に申し上げますと、先ほど申し上げた交通需要マネジメント施策、TDMを推進するために、ボランティア団体に今まで呼びかけられておったわけですが、これらをバックアップしようとしても、なかなかボランティア組織のために難しいということでありました。そのため、これらのボランティア団体に法人格を取得させてNPO団体とすることにより、活動費などの財政支援を行うということでございます。 このような例を見ましても、NPO法を活用した先進的な取り組みが検討されております。また、他県では、こういうNPO法人に対して、早くも法人県民税均等割を免除する方針を打ち出しているところもございます。今回提出されているような手続条例とは別に、NPO支援条例の制定を検討しているというところもあるように聞いております。何でも他県と同じようにするべきとは思いませんけれども、こうしたほかでの積極的な姿勢を参考にしていただきまして、本県においても、NPO法の制定を機に、今後のNPO行政については明確な哲学を持って取り組んでいただきたいというふうに考えております。 このやりとりの中で、やっぱりもうちょっと、後手後手に回って、前向きに取り組むというような姿勢は余り感じられませんでしたので、肥後のわさもんという言葉もございますけれども、前向きに先進的に、新しいものにどんどん取り組んでいただくような行政の姿勢に期待をいたしたいと思います。 時間もあと一分となりましたが、以上で私の質問、要望もすべて完了いたしました。大変緊張の中で、最初は声が上ずってしまいまして、お聞き苦しい点も多々あったかと思いますけれども、やっと落ちつきました。(「今からやれ」と呼ぶ者あり)今からもう時間がありませんので、きょうはこの辺で終結をさせていただきたいと思います。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(八浪知行君) この際、五分間休憩いたします。  午前十一時三分休憩      ───────○───────  午前十一時十二分開議 ○議長(八浪知行君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 前川收君。  〔前川收君登壇〕(拍手) ◆(前川收君) 菊池市選出・自由民主党の前川收でございます。 九月定例県議会の一般質問、きょうが最終日、そして私が最後の質問者ということでございます。先生方には大変お疲れと思います。簡潔にやりたいというふうに思っておりますけれども、私の地元にとりまして、またこの熊本県にとりましても大変大きな課題であります、今また大西先生からも質問がありましたが、産業廃棄物の問題、これを中心に幾つかの点について、知事並びに執行部の皆さん方に質問をしていきたいと思います。 昨年の九月県議会で、知事は、私の質問に対して「個人の権利や価値観が多様化している現在、その調整と統合はますます困難になりつつありますが、しかし、逆にまたその必要性もますます大きくなってきております。対立を調整し、安定した制度を、秩序を構築して統合していくことが政治でありますし、また、そのような共通な安定した秩序をつくり出し、維持するための制度の中心として議会制度があります」というようなお話がございまして、私も全くそのとおりだと思います。 法律や民意の間にはいろいろな矛盾があります。また、価値観の違いというものは、その矛盾を大きくさせているところであります。しかし、決してあきらめることなく、我々の人類の英知というものをしっかりと絞っていきながら、さまざまな、産廃だけではなくして、さまざまな問題の解決のために努力をしていく責任がこの議場の中にいる我々にはあるというふうに思っております。そのような気持ちを込めながら通告に従いまして質問をいたします。 菊池市柏地区の産業廃棄物焼却施設についてでありますが、この問題につきましては、これまで登壇のたびごとに質問をしてまいりました。ことしは、菊池市市制施行四十周年の記念すべき年であります。知事には、その記念式典にもお見えいただきまして、市民の一人として心より感謝を申し上げますが、この産業廃棄物の問題は、間違いなく菊池市四十年の歴史の中で最大の政治問題であります。 昭和五十六年、菊池川の源流である菊池渓谷の隣接地に、最初はミカンの皮やタケノコの皮を捨てるということで始まったこの施設が、既にことしで十七年の歳月が経過し、その規模は、熊本で一番、西日本でも有数の産廃処理場となりました。この間、操業当初と平成元年にも大規模な反対運動がありましたが、残念なことに、この処理場はその施設を充実させながら拡張を行い、営業を続けてまいりました。 我々菊池市民は、現在のような文明社会の中で生活をしている以上、産廃の処理場は、あっては困るがなくてはならない施設であるということを十分承知いたしております。だからこそ、民間だけに任せるのではなく、公共関与による埋立終了後の管理体制の確立や情報公開を求めてきたわけでありますが、また、一地域に、ましてや水源地に長期的に偏在してしまうことの危惧を訴えてきたわけであります。 しかし、このような市民の心配をよそに、平成八年に、この処理場内に、さらに日量百トン、二十四時間稼働可能な大規模な焼却施設の建設計画がなされ、設置許可申請に至ったわけであります。その後の現在までの市民挙げての反対運動については皆様御承知のとおりであります。 本議会において、産廃反対市民同盟から一万八千人を超える市民の反対署名を添えて反対請願が提出され、平成八年十二月県議会において全会一致で採択されました。機関委任事務である廃棄物処理の許可行政で、議会が明確な反対意思を示した本県において初めてのケースであったと思います。請願採択の背景にあったことは、菊池市民の熱意はもちろんですが、本県における廃棄物行政のあり方に対する議会の不満、これはいまだに払拭されていないと思いますが、これが大きかったと思います。 いずれにしましても、県は、県民の代弁機関である県議会の意思に反して、平成九年七月十八日に、県が立会人となって市と業者で結ぶ環境保全協定の調整案を市に提出しておりながら、その結論をまつことなく設置許可をおろしてしまいました。 私のこの間の問題に対する昨年九月県議会での質問に対して、知事は、要綱に基づく一連の手続が「しゃくし定規と言われたような県の対応に改善すべき要素がないではなかったのではないか」という反省の弁と「設置者に対しては、」「円満な解決に資するために、当分の間着工を見合わせるよう、今後とも強く指導して」いくという答弁をいただきましたが、大変残念なことに、本年一月六日に業者は着工届を県に提出し、円満な解決とはほど遠い結果となりました。 もちろん、十月に住民側が設置許可の取り消しを求める行政訴訟を起こし、さらに十二月には処理業者が反対派市民に対して損害賠償を求める訴訟を起こすなど、大変厳しい環境であったことはよく承知しておりますが、結果として住民の理解を得ることなく強行的に着工されたことを大変残念に思いますし、また、県議会の請願採択にもかかわらず許可をおろした県に対して、住民には裁判以外に残された方法がなかったこともぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。 そこでまず、産廃焼却炉許可取り消し行政訴訟について、環境生活部長にお尋ねいたします。 この裁判は、菊池市の産廃処理場の増設に反対する市民約一万六千五百人が、県の許可手続に瑕疵があり、ダイオキシン抑制対策も不十分という理由で、県の設置許可取り消しを求める行政訴訟を熊本地裁に起こしたものであります。 新聞報道によりますと、一万六千五百人を超える原告数は、全国的に見ても過去最大の行政訴訟であるということでありますが、そのことよりも、菊池市の有権者の約七六%が原告になったということが、この裁判の重要性を物語っていると私は思っております。どうか、議場の中の先生方、そして執行部の皆さん、一つの自治体の全有権者の四分の三の住民が原告として闘う裁判を想像してみてください。私は、民主主義が多数決の論理だけで成り立つものではないとは思います。しかし、これだけの住民の思いがなぜ行政に受け入れられないのかと、どうも納得がいきません。 さらに、ことし三月十六日に行われた第一回の口頭弁論において、県は、設置許可取り消し訴訟の場合に必要とされる当事者適格について具体的な理由がないと住民側を門前払いにし、さらに、県の紛争予防要綱違反に関しては、仮に違反していたとしても設置許可に影響を及ぼすほどではないということで、請求の却下を求めました。 私は、この答弁書を見て、果たして県は県民のことをどう考えているのか、大変な疑問と憤りを感じました。県は、昨年の私の質問に対して、法律だけで手続を行おうとすると、地域住民の方々との間で紛争が生じるおそれがあることから、県では、事前に住民の方々へ計画内容が周知され、紛争が未然に防止されることを期待して、この紛争予防要綱を定めたと御答弁されました。 県の紛争予防要綱に基づく手続に過ちがあったと訴えた裁判で、要綱そのものを否定するような答弁書を出すということは、みずから、法律だけでは住民紛争のおそれがあるから紛争予防要綱を定めたという県としては、全く自己否定をしているようなものだと私は思っております。今後この要綱は機能しなくなるのではないかと、つまり許可申請を行う業者に対する指導ができなくなるのではないかと思います。私はどう考えてもこの答弁書の内容が理解できません。 今回のこの裁判は、廃棄物行政のあり方を問う全国注目の裁判でありますが、機関委任事務に対する訴訟でありますので、国の法律との関係もあるわけであります。許可権者である県としてこの裁判に臨む陣容と県の立場について、さらに今後の紛争予防要綱の運用についてお尋ねいたします。 次に、住民同意の問題についてお尋ねいたします。 この問題についても以前から取り上げてまいりましたが、本年六月より施行された改正廃棄物処理法でも、大変残念なことに、住民同意は必要としない内容となりました。もともと本県の産廃指導要綱には、平成五年以降住民同意の条項は消されたままでありますが、全国の都道府県には、要綱や条例を持っていない東京、沖縄、和歌山を除く四十四都道府県の中で、三十二道府県に住民同意条項が設けてあります。 厚生省は、六月の改正法の施行前に、各自治体に対して、住民同意の独自規定は改正法の規定を超えるものだとして撤廃を求めていました。しかし、六月の全国調査でわかったことは、従前より住民同意を必要としていた三十二道府県の中で二十二の道府県が住民同意を残すこととし、十の府県が検討中であるということでありました。 そして、この質問をするに当たり、さらに、検討中であった十府県に対して私が独自に調査をしましたところ、住民同意を残すことに決定した県がその後二県、残す方向で検討中が五県、なお白紙検討中が二県、撤廃した県がわずかに宮城県ただ一県でありました。つまり、厚生省の通達があったにもかかわらず、住民同意条項を持つ三十二道府県中二十九道府県が住民同意を残すことに決定もしくは残す方向で検討中であり、撤廃を決定したのはただ一県であったということであります。 これまで住民同意の必要性を説き、本県の要綱にも住民同意を盛り込むべきだと訴えてきた私としましては、今回の改正廃棄物処理法の内容では、産廃問題の一つの大きな側面であります住民紛争の解決にはつながらないし、また、菊池市のケースを考えても、住民同意を許可の前提にすることによって、業者もそして許可権者である県も、より慎重に、そして柔軟に説明、説得に当たって合意を得るための努力をしていくということであると思います。何よりも県民の立場に立った行政が行われ、今回のような住民から県が訴えられるという県にとっては最悪の訴訟に至ることはなかったと思います。 今回の改正廃棄物処理法に対する他の道府県の対応は、明らかに国の法律よりも住民の立場を大切にするというものであり、私は熊本県もそうあってもらいたいと願っております。今回の国の法律改正と他県の住民同意への対応について、環境生活部長の所見をお尋ねいたします。 さらに、菊池市の問題の今後の対応についてお尋ねいたします。 まず第一点、現在の工事の進捗状況と事実上の営業に至るまでに必要な今後の手続について、環境生活部長にお尋ねします。 また、県は現在、市民から許可取り消しを求め、裁判に訴えられているわけでありますが、裁判の結論をまつよりほかにこの紛争状況を打開する方法はないのか。県としては裁判を望まれたわけではないわけでありますし、話し合いによる円満解決に向けて努力するとの答弁もされていたわけであります。裁判以外の方法でこの問題を解決する方法はないのか、知事の御所見をお尋ねいたします。  〔環境生活部長田中力男君登壇〕 ◎環境生活部長(田中力男君) まず、この裁判と県の立場についてでありますが、県と県民の方々との間で裁判の場で争う形になっておりますことはまことに残念なことと思っております。 産業廃棄物処理施設の設置許可に関する事務は、国から知事に委任されました機関委任事務でございまして、この設置許可申請に対しまして、廃棄物処理法に基づいて国の立場で許可を行ったものでございます。 この機関委任事務に係る訴訟は、国の利害に関係ある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律というのがございますが、この法律に基づきまして法務大臣が一切の訴訟指揮をとることになっておりまして、具体的には、福岡法務局、熊本地方法務局の訴訟指揮のもとで、知事の指定代理人として、課長以下五名で対応いたしております。 次に、要綱の運用についてでございますが、県の紛争予防要綱は、住民の方々の意見をできるだけ取り入れまして、紛争が未然に防止されるよう定めたものでございます。むしろ可能な限り設置業者に対しまして地元住民の理解を得るための措置を求めているものでございます。 また、訴訟に関して、第一回口頭弁論において県が主張しましたことにつきまして、要綱をみずから否定しているようなものではないかとのお話がございましたが、これは、要綱どおり行われなかったから違法とする原告の主張に対しまして、この要綱は行政指導のため制定したものであること、法廷の場でその有効性が争われた場合には法が優先することを説明したものでございます。 今後も、基本的にはこれまでどおり紛争予防要綱の手続を踏むことによりまして、情報の提供や計画への住民意見の反映を図るなど、地域住民の合意形成に向けて努力してまいりたいと考えております。 次に、今回の廃棄物処理法の改正では、法に定める施設につきましては、その設置許可申請書の提出に当たり、生活環境影響調査書の添付を義務づけること、また最終処分場と焼却施設については関係市町村と住民は意見を述べることができること、さらに許可に当たっては専門的知識を有する者からの意見を聞くことなどが新たに定められました。 この改正で、既に県の要綱に定めております公告縦覧、関係者の意見の提出などは法律に取り込まれることとなりましたが、説明会の開催や住民意見書に対する設置者からの見解書の提出などの規定は定められておりませんので、要綱を引き続き運用していく必要があると考えております。 今回の法の改正とそれに伴う平成九年十二月の厚生省からの通知を受けまして、各県が住民同意の取り扱いについて検討いたしましたことは承知いたしておりますが、本県としては、今回の法の改正の趣旨にのっとり適正に対応してまいりたいと考えております。 次に、工事の進捗率につきましては、会社からの報告によりますと、八月末現在八五・五%であります。このままのペースで進みますと、本年十一月上旬に工事が終了する予定でございます。この会社は既に廃棄物処理業の許可を取得しておりますので、この焼却施設が完成しますと、試運転を経た後に、廃棄物処理法第十四条の三の規定により、届け出をするだけで営業することができることとなります。  〔知事福島譲二君登壇〕
    ◎知事(福島譲二君) 産業廃棄物処理施設の設置について、住民が反対する事例が全国各地に見られ、廃棄物行政を進める上で大変難しい問題になってきております。 菊池市での問題が裁判に至ったことはまことに心が痛むことでありまして、何とか円満な解決の道はないものかと模索をいたしております。 宮崎県の小林市においては、産業廃棄物処理施設の設置について、市民が会社に対し建設中止の仮処分を申請し、現在も係争中でありますが、市民を保護することになるとの判断から、宮崎県が立会人となり、先ごろ市と会社が公害防止協定を締結した事例がございます。 菊池市の場合も、焼却施設の完成が近づき、年内の営業運転も予想されること、さらには会社は県に対し話し合いに応ずる意向を示していることなどから、市と会社が早急に環境保全協定を締結し、より適切な施設の管理運営及びチェック体制が確立することによって、市民の皆様方の生活環境の安全確保を図ることが菊池市民のために最善の方策であると考えられますので、その方向で最大の努力を払ってまいりたいと考えております。  〔前川收君登壇〕 ◆(前川收君) それぞれの問題につきまして御答弁をいただきました。 まず最初に、許可取り消しを求めた住民から訴えられた訴訟についてでありますけれども、部長の御答弁では、この裁判の指揮はすべて法務大臣が訴訟の指揮をとっていると、つまり県行政に対してはその裁量権がないというようなお話だろうと思いますけれども、一切の訴訟の指揮を法務大臣、具体的には福岡法務局及び熊本地方法務局がやっているということでありまして、少し私は安心をいたしました。といいますのは、許可行政の許可権者である県が県民から訴えられた訴訟に対して、県民の皆さん方がみずからの生活に不安を持っていると、ダイオキシン対策で。そのような訴訟が打たれたときに、あなたたちにその裁判を起こす権利はありませんよというようなことを、具体的にわかりやすく言えばそう言われたわけでありますし、また、公害防止、住民との紛争を未然に防止するためにつくったとおっしゃった要綱についても、この要綱は行政指導でありますから、結果的に従わなくても、法律の方が優先しますから従わなくても問題はないんですよと、問題がないことはないかもしれませんけれども、法律的には問題がないんですよという自己否定をされたということであるならば、本当に、いろいろな業者がこれからさまざまな行動を起こしていくときに、単に産廃の問題だけじゃなくして、県の要綱とか条例というものがきちんと機能をしていかないんじゃないかというようなことも考えていたわけであります。しかし、指揮権が法務大臣にあろうと、県民は熊本県の菊池市民であります。県民であります。どうか県民の立場に立ったという、先ほどから何回も言っておりますけれども、ことについては考えていっていただきたいなということを思っております。 また、住民同意という問題につきまして、各県の事例を挙げてお話をしました。残念ながら熊本県では住民同意の規定というのはないわけでありますが、ほかの県が、厚生省から通達があって、その要綱を撤廃しなさいという指導があったにもかかわらず現在残しているということ、これは事実であります。多分今までの国と地方との関係であれば、そのような通達があれば、一般的には素直にその条項に盛り込んである住民同意という要綱を外したでしょう。外したと思います。しかし、これはいいか悪いかは別として、今の日本の政治の中に一つの象徴的なこととしてあらわれていることが、住民の立場に立つか、もしくは法律の立場に立つかというその瀬戸際の中で、昔はすべて法律の立場でありましたが、今は住民の立場に立ちますという主張をし始めた自治体もしくはその自治体の長というのが明らかに出始めてきたということであろうと思います。 その問題については、これからも私は、基本的には住民同意を盛り込むべきだという主張に基づいて、また議論をしていきたいというふうに思いますけれども、そのことが、法律をとりますか、県民をとりますかと問いかけられたときに、どのような答えになってくるのかということが非常に難しい問題であろうと思います。できれば私は、県民の立場に立って、たとえ業者から、許可をおろさないことによって、業者から行政手続上の瑕疵があるという形で訴えられたとしても、業者から訴えられた分は堂々と受けて立っていただきたかった。なぜならば、熊本県においては、その根拠となる県議会請願の採択ということをしていたわけであります。県民が認めて、県議会が認めて、この許可についてはしっかり考えていけよと、簡単にはできないぞということを県議会が全会一致で認めて請願採択をしていたわけでありますから、仮に法律に基づいて業者から県が訴えられたとしても、その訴えられたことにこたえていくための県民のコンセンサスというものは、議会を通じて私はとられていたというふうに思います。終わったことを言っても仕方ないわけでありますけれども、そのようなことも大変心配をいたしている者の一人であります。 また、現在の工事の進捗については八五・五%と、十一月上旬には工事が終了して、あとは届け出をするだけで営業ができるというようなお話でございました。大変残念なことであります。どうか、その営業をなさるまでの間、試験運転というのが恐らくあるんだろうと思います。この裁判の一つの、取り上げられている問題の一つはダイオキシンに対する不安というもの、これが解消されていないということが訴訟の中で争われるわけでありますので、どうか徹底した事前の調査というものをしていただいて、徹底した情報公開をしていただき、本当に何も出てないのであれば住民は安心していただけるのかもしれません。そういう意味では、徹底した事前の検査、調査、それから情報公開については、この場から部長にぜひよろしくお願いしたいという向きでお願いを、要望をいたしておきます。 そして、最後の裁判以外の解決法について、ただいまの知事の御答弁では、市と会社が早急に環境保全協定を締結することが菊池市民のために最良の策と考えており、県として最大の努力をしてまいりたいということでありました。宮崎県小林市の例も挙げられましたが、小林市の場合と違い、菊池市民と県が係争中であります。小林市の場合は、市民が業者を訴えております。県と市民のその違いがあるわけでありますけれども、裁判とは別の問題として、県が市と会社の間に立ち、市民を保護するという立場で環境保全協定の締結を目指すということなのか、最大の努力の内容について、再度知事に御所見をお伺いいたします。  〔知事福島譲二君登壇〕 ◎知事(福島譲二君) 県が県民の安全を考えていくのは当然のことでありまして、何よりも大事なことと認識をいたしております。 県の許可手続に瑕疵があったとして係争中ではありますが、市民を保護するという立場で、県が菊池市と会社の間に立って、操業の期間と監視体制等を盛り込んだ環境保全協定が締結できるように精いっぱい努力してまいります。  〔前川收君登壇〕 ◆(前川收君) 原告の菊池市民は、今回の行政訴訟を今後も誇りを持って闘ってまいります。また、ごみ問題の根幹をなすごみ減量化、リサイクル、ひいてはごみゼロ運動についても粘り強く展開していくと思います。 私もこれまで、地方議会の一員として、また住民の代表として、与えられたすべての権限とあらゆる可能性を探りながらこの問題に全身全霊をかけて取り組んでまいりました。この間、住民から提出された請願の採択や意見書の提出など、県議会の皆様の御理解ある御協力のおかげで住民の意思を議会で反映することができたことを大変ありがたく、心より感謝をいたしますとともに、熊本県議会議員の一員であることに大変な誇りを感ずるものであります。 しかし現実は、十一月には焼却施設ができ上がるそうであります。今回のケースでは、法律と民意の壁は大変厚く、県議会の総意をもっても民意を生かすことが大変厳しい状況となりました。今残された解決の可能性は行政訴訟に勝訴する以外ありません。しかし、客観的に見て、裁判でありますので、一〇〇%勝てるという断言をすることはできませんし、また、裁判が長期化する可能性もある中です。今裁判以外の次善の策、最善とは申しません。次善の策として、住民を守るという立場で、明確な操業期間、何年まででやめるよという明確な操業期間や住民が安心して見守っていけるような監視体制というものをしっかりと確立して盛り込んでいただく公害防止協定を、県が立会人となって市と会社が締結することは、裁判で勝利するまでの補完措置として、補う措置としては知事の御提案を了とするものであります。 どうか、住民を保護する行政の責任において、住民に少しでも安心感を与えていただきますよう、知事が先頭に立って御努力いただきますようにお願い申し上げますとともに、私も全力で取り組んでまいりますことをお誓い申し上げ、次の質問に移ります。 次に、日本電信電話株式会社、いわゆるNTTの再編成についてお尋ねいたします。 昨年六月に、国の進める第二次情報通信改革の一環として、NTT関連の三つの法律の改正法が成立いたしました。このことによって、NTTは、来年夏までに、新たに設立される持ち株会社のもとに、東日本会社、西日本会社、そして長距離国際会社の三つに分割されることになったのは御承知のとおりでございます。 同時に、電気通信市場における規制緩和が推し進められることになり、NTTの新会社は、これまで手がけることができなかった国際通信分野に進出が可能となる一方で、NTT以外の電気通信事業者、例えばKDDなどは国内通信事業へ参入することが可能となるなど、電気通信分野における競争条件の整備が一挙に進んでおります。 NTTは、分割・再編成とこれらの競争条件の変化等を受け、分割・再編成の期限である来年夏までに、既存の組織、機構を大幅に見直すという方向を打ち出しております。その中で、NTTが全国の各ブロックに配置している支社の見直しも含まれており、熊本に配置している九州の拠点である九州支社も見直しの対象になっていることを明らかにしたところであります。 NTTは日本有数の企業であり、また、情報通信産業は二十一世紀のリーディング産業として、その将来性に期待を寄せる人も少なくありません。その九州支社は、九州各県にある支店を統括するという大きな機能を持ち、また、熊本で勤務する九州支社の社員数はおよそ千人という多数を数えております。加えて九州支社が熊本にあることによって関連会社の多くが熊本に拠点を置くなど、九州支社の存在は極めて大きなものであります。 国の情報通信改革を受けての見直しであるとはいえ、このような九州支社が廃止されることになれば、本県の地域経済社会に大きな影響をもたらすことは容易に予想され、県としてもしかるべき適切な対応が必要であることは言うまでもないことであります。 議会としても、平成七年の十二月県議会で、NTTの全国一社体制を堅持することを求める意見書を採択する中で、九州支社が熊本から移転することに対し強い懸念を表明いたしました。 また、去る六月には、八浪議長には、知事と一緒にNTT本社を訪れられて、本社幹部に対して、NTTの分割・再編成後においても引き続き熊本に九州の拠点を残すよう強く要請いただきました。 ただ、NTTにとって組織の見直しは企業の高度の経営戦略であり、その明確な説明や中途での検討状況はほとんど県民の前に公表されることはなく、多くの県民が、現状はどのようになっているのか、また県としてどのような対応をしているのか、対応は十分なのかということについて情報を得ることができず、大変もどかしい思いをしているというのが実態であると思うのであります。 たとえ民間企業に関することとはいえ、熊本にとっての事の重要性から考えると、可能な限り現状や経過を明らかにすることはぜひとも必要であると思います。 執行部としては、これまでNTT九州支社の存廃という問題に対してどのように対応されたのか、また、熊本にどのようなNTTの機能が維持されることになるのか、知事にお尋ねいたします。  〔知事福島譲二君登壇〕 ◎知事(福島譲二君) ただいま御指摘のような形でのNTT再編成は、来年夏までの実施が決まっております。それまでにNTTの現行組織の見直しが行われるということになっておりますが、その中には、NTTが全国の各ブロックに配置している支社の廃止を検討することが含まれておりまして、熊本の九州支社もその対象となっていると伺っております。 九州支社の存廃は、本県にとっても大きな問題であり、再編成の方向が決まった昨年以降、県経済界の方々と連携した対応を図ると同時に、私自身も、九州支社の幹部とお会いし、九州支社が存続されるよう検討を要請してまいりました。 また、本年六月には、県議会、熊本市、経済団体のそれぞれの代表の方々と御一緒に東京のNTT本社を訪れ、本社幹部に対し、県、市、経済界連名の要望書を手渡し、九州支社の存続は県民だれもの願いであり、仮に現在の支社の存続が不可能としても、実質的に従来に近い形で九州の拠点機能を熊本に残されるよう、強く要請してまいりました。さらに八月には、再編成作業が大詰めとなる前に再度要望する必要があると考え、支社幹部とお会いし、六月の要望の趣旨をぜひ実現していただくようお願いしております。 一連の要望の際、NTTからは、今回の見直しは国の進める第二次情報通信改革に伴うものであり、全国一律で進めなければならない内容が多いものの、県や経済界の要望やこれまでのつながり、あるいは電電公社時代から熊本に九州の統括支社を配置してきた経緯等に十分配慮して、再編成後においても熊本を九州の重要拠点と位置づけ、各種の取り組みを展開していくという答えをいただいております。 その内容としては、NTTの事業活動の基盤である通信設備について、現在九州支社及び各県の支店が持っている各部門を熊本に集約する方向であると伺っております。具体的には、九州全域を対象とする設備の計画、設計等を行う設備構築部門、設備運営部門、通信のネットワークコントロール、監視・制御部門、工事支援管理部門、設備関係の開発部門等を熊本に配置することが示されております。 また、これらの業務の集約及び強化によって、熊本におけるNTTの社員数は、再編成後においても現在と同程度となる見込みであると伺っております。 来年夏の再編成に向けて、NTTはこれから大詰めの見直し作業に入られると思いますが、熊本にしっかりとした九州の拠点機能が維持されるよう、今後も強く要望してまいります。  〔前川收君登壇〕 ◆(前川收君) 御答弁をいただきました。 熊本をずっと見てきていますと、どうも福岡に負けていると、どうもじゃなくて間違いなく負けているんでしょうけれども、負けていると思います。福岡は、支店経済で日本でも大変有数の経済発展を遂げた地域であります。NTTの九州支店がなくなるというのは、別に福岡との争いの中で関係のある話ではないと思います。全国的な話と思いますけれども、ぱっと直感するのが、とりあえず九州支店はなくなって、その後に本部的な機能が結果として福岡に集約されていくんじゃないかなということを県民の一人として大変危惧を持つものであります。 ただいまの知事の御答弁では、熊本を九州の重要拠点と位置づけるということでありましたし、大変興味がありましたのは、その熊本におけるNTTの社員数、これは再編後においても現行と同じ、大体千人ぐらいいらっしゃるそうでありますけれども、同じ程度になるということでございます。 常に福岡との比較の中で、熊本が経済的に負けていると言われてしまっている現状の中であります。NTT、大変大きな、民間企業ではありますけれども、大変大きな地域経済における波及効果を持った企業でありますので、この後もどうか、本当に拠点的なものを熊本にそのまま残していただいて、熊本の地域経済に影響が出ないような計らいを行政として御努力をいただきますことをお願い申し上げ、次の質問に移りたいと思います。 第二十四回全国菓子大博覧会についてお尋ねいたします。 第二十三回全国菓子大博覧会が先般岩手県で開催され、その会期中の五月十六日に盛岡市で開催された全国菓子業者大会において、次期開催地として熊本が満場一致で承認、決定されたことは、既に新聞でも報道されるなど御案内のとおりであります。今のところ平成十四年の開催が予定されており、もしそうなれば、九州で開催されるのは昭和四十八年の鹿児島以来、実に二十九年ぶりということになります。 この博覧会のねらいとするところは、要綱に書かれた文章をそのまま読みますと「全国の菓子産業並びに菓子関連産業の成果を広く一般に公開し、国民の生活文化の向上に資すると共に、菓子の品質及び製菓技術の向上を図り、菓子の消費拡大と菓子産業の振興・発展に寄与する。」ということになっております。 これまでの歴史を顧みますと、明治四十四年に第一回が開催され、自来九十年の間に一都二府十九県でほぼ四年ごとに連綿と開催されてきました。まさに歴史と伝統を誇るイベントであります。 その実施体制は、これまでの例によれば、名誉総裁に三笠宮殿下が就任され、総裁には農林水産大臣、また実行委員会には菓子工業組合、県、市、関係団体の長で構成しております。 岩手県で開催されたことしの菓子博においては、二十四日間の会期中に四十五万人もの集客を行い、また、四年前の石川県での菓子博では、二十三日間で七十四万人もの集客を行うなど、規模といい内容といい、極めて卓越したイベントの一つであると理解をいたしております。 聞くところによりますと、業界の関係者が一丸となり、全国規模の博覧会を長期間にわたり開催しておられるのは、数ある業界の中でも菓子業界以外にはなく、そういった意味でもまことに貴重な催しであり、関係者の皆様の御努力に対し深く敬意を表するものであります。 しかしながら、一方で、この菓子博は、観光業や交通産業、メディア関連など広範にわたる関係業界とよく連携を図り、一体となった取り組みが行われなければその円滑な実施が極めて困難な性格を有しており、かつ本県菓子業界の組織及び財政面での体力を勘案すれば、準備からその事後処理に至るまで、一貫していろんな面での県、市の支援協力は不可欠であると考えます。 菓子博の開催によりもたらされる効果という面でも、広く地場産業全体の振興も図られ、本県への全国からの誘客に伴う経済波及効果など、県としても政策的見地から積極的に地域活性化の有力かつ効果的な手段として位置づける意義は十分にあると考えます。 そこで、県として、菓子博覧会をどう認識し、どのような支援措置を考えておられるのか、御所見をお伺いいたしたいと思います。  〔商工観光労働部長前田浩文君登壇〕 ◎商工観光労働部長(前田浩文君) 菓子博覧会につきましては、平成十四年に本県で開催されることが決定をいたし、誘致の取り組みを行ってこられました県菓子工業組合からは、県に対して支援の要請があってございます。 県といたしましても、博覧会の開催によりまして、新商品の開発や技術の向上及び業界の活性化が図られ、また、食品産業及び関連産業全体へもよい意味で刺激ともなり、本県産業の振興に寄与するものと考えているところでございます。 特に、これまでの大会の実績からいたしましても、入場者数が五十万人から六十万人と見込まれておりますことから、博覧会開催の経済波及効果も大きく、二十一世紀初頭を飾る重要なイベントになるものと考えております。 そこで、菓子博への支援についてでございますが、これまで誘致活動の段階から主体的にその役割を担ってこられました県菓子工業組合では、現在企画委員会を設置され、大会の事業規模、資金計画、組織体制などの検討が鋭意行われております。それらの詳細な内容をお伺いした上で、熊本市や関係機関ともよく協議をいたし、県としての適切な対応を行ってまいりたいと思います。  〔前川收君登壇〕 ◆(前川收君) 第二十四回全国菓子大博覧会熊本大会でございます。私も最初は、菓子博というものについての認識が全くありませんで、この名前の上に大博覧会とついていることを少々照れくさく読んだわけでありますけれども、どうもその実態を調べていきますと、今回の熊本県の場合は違うわけでありますけれども、他県の場合は、例えば市制施行何周年とか、そういう周年事業とか地域の特別な事情に合わせたイベントとして全国的にずっと展開しているイベントだそうであります。 今回の熊本大会の場合は、菓子業界の皆さん方が主体性をもって誘致をなさいました。さっきお話ししましたように、六十万人もの集客を図れるイベントというのは、ただ一業界でやっていらっしゃる、普通の何か菓子を並べて売っているようなものとは違うということをどうか御理解をいただきたいと思います。 そういう意味では、今部長の御答弁がございましたとおり、二十一世紀初頭を飾る重要なイベントということで位置づけをいただきながら、適切な対応をしていくということでありましたので、たしか世界男子ハンドボール大会のときの集客が二十万人というふうにお話を聞いております。二十万人ちょっとだったということから考えれば、二十日間ぐらいでその倍ぐらいの人が集まってくるという大変大きなイベントでありますから、一菓子大博覧会というイメージではなくして、熊本の地域経済に大変大きな波及効果をもたらすイベントとしての位置づけをしていただきながら御協力をしていただければというふうに思います。 最後に、菊池地域の河川及び道路について、土木部長にお尋ねをいたします。 まず、菊池川河川改修工事についてでありますが、この事業は、昭和六十二年に事業採択以来既に十一年を経ていますが、いまだに本格工事には至っておりません。この間、平成二年、平成五年、それから昨年と、大雨に見舞われるたびごとに床上浸水を含む被害を受けながら、河川改修計画があるために暫定的な復旧工事しかできておりません。 また、この河川は、河川本来の自然環境の保全、創出や周辺環境との調和を図りつつ、地域整備と一体となった河川改修を行い、良好な水辺空間の形成を図ることを目的とするふるさとの川整備事業の認定を平成四年に受けております。県内では、坪井川と水俣川が認定を受け、整備が進んでおりますが、今のところ菊池川がふるさとの川整備事業にふさわしい整備計画があるようには思えません。また、工事区間の上流にある中洲については都市公園として整備するという計画もありますが、菊池川河川改修工事のふるさとの川の整備事業の計画と具体的な工事着工時期について、さらに、工事区間下流の農業用水の赤星堰について、具体的にいつ着工なさるのか、お尋ねいたします。 次に、国道三百二十五号についてでありますが、現在大津・旭志地内において四車線化に伴う用地買収が進行中でありますし、また、七城・鹿本地区においても四車線化計画が進んでおります。 いよいよ菊池市付近についても具体的な計画づくりが始まるものと期待をいたしております。現況の国道三二五号は、菊池市の市街地を通り、菊池市の活性化にとって大変重要な役割を担っている道路であり、今後の路線計画次第では、菊池市の将来に大きな影響を及ぼす道路でもありますが、今後の国道三二五号の菊池市付近の計画についてお尋ねいたします。 さらに、県道三路線についてお尋ねいたします。 まず、鯛生菊池線についてでありますが、この路線については、竜門ダムの関連施設道路として、穴川地区まで建設省及び県の負担金により整備されましたが、穴川より大分県境まではいまだバスが通らない状況であります。竜門ダムによって水没し、生活環境が大きく変わるダム周辺地区の皆様の生活再建のための基本的要求事項にもその早期完成が要望されておりますし、ダム本体やダム湖、班蛇口湖という名前でありますが、周辺住民の生活再建のための観光地として活用する上において必要不可欠な道路であります。 いよいよ来年は班蛇口湖において国体ボート競技が開催されます。平成七年の質問でも、国体までに大分県境までのバスが通るように改良していただきたい旨お願いをいたしましたが、現在の進捗状況について、さらには全線改良に向けた今後の計画についてお尋ねいたします。 さらに、菊池赤水線藤輪橋の整備についてでありますが、この橋は、菊池川本流にかけられた橋であり、この橋を挟んで前後の菊池赤水線については既に改良済みでありますが、藤輪橋部分だけが未改良で、大型車がすれ違えない状況であります。先ほど述べました菊池川河川改修工事にあわせて橋のかけかえ事業に取り組んでおられると聞いておりますが、具体的な計画の内容についてお尋ねいたします。 さらに、日生野隈府線についてお尋ねいたします。 この路線については、地域住民にとって日常生活の主要道路であり、子供たちの通学路でもあります。陣床地区の約百メートルが用地問題でまだ改良できておりません。前後が改良済みであるために、出会い頭の事故が多発いたしております。先日用地問題が進展しているやに聞いておりますが、工事着工の予定についてお尋ねをいたします。 さらに、日生野─原本村間についても未改良であり、歩道もありませんし、普通車でも離合できない状況であります。ぜひ一日も早い改良をお願いしたいと思いますが、今後の計画について、土木部長にお尋ねいたします。  〔土木部長島田健一君登壇〕 ◎土木部長(島田健一君) まず、菊池川の河川改修工事についてでありますが、下流側の用地買収にめどがつきましたので、平成十一年度から工事に着手する予定でございます。 また、ふるさとの川整備計画の内容ですが、菊池市が中洲に計画している菊池川水辺公園整備や北宮阿蘇神社の周辺景観と一体となった自然石を使った護岸、魚類や蛍などに配慮した水生植物の植栽など、魅力ある水辺空間をつくり出すこととしております。 このため、学識経験者、住民の代表や漁業協同組合などの関係者で構成する河川懇談会を設置し、その意見を反映しながら取り組んでまいります。 また、赤星堰の改築につきましては、今後改築のための調査、設計を行い、堰の管理者である土地改良区と協議を進め、平成十二年度着工をめどに努力してまいります。 次に、国道三百二十五号の計画についてでございますが、菊池市内につきましても四車線化が必要であると考えております。現在菊池市で平成十一年度までに都市計画マスタープランを作成予定であり、今後、このプランを踏まえ、地元協議や都市計画の手続を進めながら、事業採択に向けて努力してまいります。 次に、一般県道鯛生菊池線につきましては、平成八年度から、大型車の通行ができるような緊急対策として、十一カ所の急カーブの解消を進めておりますが、今年度中に八カ所を完了する予定でございます。 残る三カ所につきましても、今後用地の取得や保安林指定の解除手続が必要でありますが、平成十一年度完了に向けて努力してまいります。 また、全線的な改良につきましては、現在穴川地区のバイパス整備を行っておりますが、平成十三年度末の供用を目指しております。 残りの未改良区間につきましても、今後事業計画を検討してまいります。 ○議長(八浪知行君) 残り時間が少なくなりましたので、簡潔に願います。 ◎土木部長(島田健一君) (続)次に、主要地方道菊池赤水線の藤輪橋につきましては、三つの橋に分かれておりますが、特に幅員の狭い第三藤輪橋について現在詳細設計を行っており、平成十一年度に工事着工する予定でございます。 次に、一般県道日生野隈府線につきましては、残る二名の地権者との用地買収交渉を鋭意進めており、地権者の協力を得て早期の工事着工に努めてまいります。 また、日生野地区から原本村地区までの未改良区間につきましては、今後菊池市域全体の道路整備状況を見ながら検討を進めてまいります。  〔前川收君登壇〕 ◆(前川收君) 熊本県の土木部にかかわる菊池市の関係のいろいろ難航している場所について総括して質問をさせていただきましたところ、ある程度明快なお答えをいただきまして大変ありがたく思っております。 すべての地域の問題が、住民の皆さん方から一刻も早くその改修や改良を求められている路線の問題であります。菊池市だけではない、熊本県下たくさんの、九十四市町村あるわけでありますから、それぞれに問題が多いところであろうと思いますけれども、地元の人間の一人として、ぜひ早期完了をよろしくお願い申し上げます。 先日、環境対策特別委員会で、管内視察で苓北町に行ってまいりました。苓北町の苓北火電を、九州電力の苓北火電を見てきたわけでありますけれども、きれいな海岸線を埋め立ててつくってあるあの大規模な火力発電所、敷地の半分は実は、約半分と言っていいと思いますけれども、半分ぐらいは、あれは産業廃棄物の最終処分場なんです。半分は灰で、そこで出た焼却残渣で海を埋め立ててやる産業廃棄物の最終処分場でありました。 もちろん、あの処理場をつくるときには大変大きな問題があったと思いますし、現在でもいろいろ問題があるのかもしれませんけれども、私どもが客観的に見たところにおいては余り問題がないのかなと思いました。といいますのは、御承知のとおり、あの発電所ができたおかげで、苓北町には固定資産税、平成八年度ベースで、固定資産税で約三十億弱、それから電源三法交付金で約三億一千万円という財源が、今までとは別途の形で地元の自治体に支給されているということでありますので、苓北町は熊本県唯一の不交付団体になりました。その中に産業廃棄物の処分場も一緒に包含されているということは、私は、これから先の廃棄物行政の中にはかくあるべきという部分をかいま見たような思いをいたしました。 まだ毎日新聞を躍っているその廃棄物行政であります。どうかこの後住民が納得できるような形での行政が運営されますように私も一生懸命頑張ってまいりたいと思いますけれども、執行部の皆さん方も、ともに知恵をあわせて、議会の意見も聞いていただきながらやっていっていただきたいと思います。 時間が参りました。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(八浪知行君) 以上で通告されました一般質問は全部終了いたしました。 これをもって一般質問を終結いたします。      ───────○─────── △日程第二 議案等に対する質疑(第一号から第三十七号まで) ○議長(八浪知行君) 次に、日程第二、目下議題となっております議案等に対する質疑を行います。 質疑の通告があっておりますので、発言を許します。 なお、発言時間は十分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。 沢田一郎君。  〔沢田一郎君登壇〕 ◆(沢田一郎君) 日本共産党の沢田一郎でございます。 議案の二十八号専決処分の報告でありますが、文書開示拒否処分取り消し請求事件の控訴について、私はこの控訴については反対であります。 八六年に制定された県情報公開条例は、公文書の開示を求める県民の権利及び県民福祉の向上に必要な情報の積極的提供を目的とする条例であります。昨今の公文書の開示に対する県の姿勢は、この目的からして余りにも裁量権の拡大解釈が過ぎてはいないだろうか、かねがね私はこうした疑念を強く抱いておりました。 質疑の第一は、今回の熊本地裁判決は、知事の従来からの持論を心機一転して、積極的に県民の知る権利に奉仕する、得がたいきっかけになったはずであります。控訴によって機を逸したと思う。控訴は取り下げ、方針の転換を図るべきだと考えますが、所見をお述べください。 第二点は、知事の提案説明を伺い、先日来の議会答弁を聞いていまして、論点は二点かなと聞きました。一つは、懇親会参加者のプライバシーを守ること、二つ目に、接待した相手への心遣いと信頼関係であります。したがって、新潟、広島の判決を見て控訴し、争うというものであります。 この論点には、基本的な観点が欠けていると思います。素朴に県民の感情からいって、懇親会のその費用はだれが出しているのだろうか、県民の税金でありましょう。納めた税が、地方自治の本旨であるべき住民の安全、健康、福祉に正当な使われ方をしているのか、県民の知る権利であります。ここに公文書開示の必要性があり、つまり、国民主権、県民こそ県政の主人公という立場を認めるか否かの分岐があります。 県民の立場から言えば、情報を共有してこそ地方自治体の行政機関にかかわる不正、不当な行為を県民の立場から監視もし、誤りあれば是正を求めることが可能となります。まさに民主主義の出発点であります。したがって、条例の第三条においても「公文書の開示を請求する権利が十分保障されるようにこの条例を解釈し、運用するものとする。」と明記されているところであります。つまり、原則開示を基本としなければならない「情報公開事務ハンドブック」同時に、個人の尊厳及び基本的人権の観点を明確にして、個人に関する情報をみだりに公にすることのないように、具体的に思想、心身の状況、職歴、学歴、成績、親族関係、所得や財産の状況などを列挙し、指針をも示しているところであります。 しかし現実には、条例実行者の裁量権が拡大解釈され、あれもだめ、これもだめとなっているというのが実情ではありませんか。この是正が求められているのではありませんか。知事の御発言には、なぜか知る権利についての論及がありません。 このように見てまいりますと、社会の進歩、発展に伴って、国民的権利である県民の知る権利は、自由と民主主義を支える根幹の役割を担うものであります。 知事におかれましては、県民の知る権利を最大限保障されるという御認識なのか、この際伺っておくものであります。 以上二点についてお答えください。  〔知事福島譲二君登壇〕 ◎知事(福島譲二君) 熊本地裁の判決に対しての控訴した理由については、沢田議員の御発言の中で具体的に指摘された二つの論点のとおりであります。 控訴は、熊本地裁判決後、広島、新潟両地裁の判決が、全く異なった形で判決されたという事情を考えましても、むしろ当然のことと考えております。 しかし、せっかくの機会でありますので、沢田議員の見解と若干異なるところを申し上げたいと思います。 そもそも公文書公開請求権は、憲法に由来するものではありますが、直接憲法の規定に基づいて発生するものでなく、本県条例によって創設された権利であって、その権利の内容も本県条例によって定めるものであるということは、熊本地裁の判決でもオーソライズされたところであります。 この権利を認めた情報公開条例を、その規定に従って適正に解釈、運用していくことこそ重要でありまして、これまでも、こうした考え方に基づいて条例の適正な解釈、運用に努めてまいりました。条例の規定を裁量権の拡大によってどうにでもしているかのような御指摘は全く当たっておりません。あれもだめ、これもだめと何もかも非開示にしているような御意見でありましたが、決してそのようなことはありません。 私が、ただ一点と言ってよい懇談会の相手を公開できないと申し上げておるゆえんは、たびたび申し上げておりますように、決して職員をかばう、あるいは不当な行為を隠ぺいしようというものではさらさらなく、そのことが個人のプライバシー尊重という人権尊重の基本精神と、また県全体の利益を損なわないゆえんと考えるからであります。 たまたま昨日の朝刊に、意見広告の中に映画の大林監督の談が出ておりました。このように大きなスペースでありますが、冒頭に「ちかごろ情報公開という言葉をよく聞きますね。情報公開の基本は、お互いの信頼関係にあります。」ということからスタートをいたしておりまして、全く私も同感であります。 信頼に根差さない関係からスタートすれば、どのような公開をしてもどこまでも不信感が残るだけであって、大変不幸なことではないかなと感じております。 ○議長(八浪知行君) 沢田一郎君。──残り時間が少なくなりましたので、簡潔に願います。  〔沢田一郎君登壇〕 ◆(沢田一郎君) 県の条例は、憲法の二十一条に基礎を置く知る権利を保障するものとして情報公開の請求権を確定したものでありましょう。その際に、個人が識別できる情報は開示しないことができるとあることを盾に拡大解釈していきますと、県民の情報公開請求権は狭い範囲のものにならざるを得ないではありませんか。 では申します。県の執行された食糧費、九四年度の決算は八億五千万円、一般会計分であります。九五年度はそれが四億五千万円、九六年度は二億一千万円でありました。(発言する者あり)議会内外の──そうです、世論がですね。このようになぜ県民の知らないところで使われるのかということもありました。 予決算は、議会の審査を受けて、監査も受けてと申されますが、監査だってこれらのむだの解明はありませんでしたし、議会にだって細かく使途について出されない仕組みを続けているところであります。県警の裏金づくりについても、私は緊急に再監査のあり方を求めてきましたが、その後調査なされましたか。やってないでしょう。だから、条例の請求権をもって県民各位が求められるのは当然のことであります。それにどうこたえるのかこそ首長たる者の政治姿勢が問い直されるところであります。 控訴を取り下げ、社会進歩の立場に立たれることを求めるとともに、プライバシーの保護を運用解釈にとどめず、プライバシー保護条例の制定に向けて検討されることを提起し、質疑を終わります。(拍手) ○議長(八浪知行君) 以上で通告による質疑は終了いたしました。 これをもって質疑を終結いたします。      ───────○─────── △日程第三 知事提出議案委員会付託(第一号から第三十二号まで) ○議長(八浪知行君) 次に、日程第三、目下議題となっております議案第一号から第三十二号までにつきましては、さきに配付の平成十年九月熊本県定例県議会議案各委員会別一覧表のとおり、所管の常任委員会にそれぞれ付託して審査することといたします。  〔各委員会別一覧表は付録に掲載〕      ───────○─────── △日程第四 請願の委員会付託 ○議長(八浪知行君) 次に、日程第四、今期定例会において受理いたしました請願は、議席に配付の請願文書表のとおりであります。 これをそれぞれ所管の常任委員会に付託して審査することといたします。  〔請願文書表は付録に掲載〕      ───────○─────── △日程第五 休会の件 ○議長(八浪知行君) 次に、日程第五、休会の件を議題といたします。 お諮りいたします。 明二十二日は、各特別委員会開会のため、二十四日及び二十五日は、各常任委員会開会のため、二十八日は、議事整理のため、それぞれ休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(八浪知行君) 御異議なしと認めます。よって、明二十二日、二十四日、二十五日及び二十八日は休会することに決定いたしました。 なお、二十三日、二十六日及び二十七日は、県の休日のため、休会であります。      ───────○─────── ○議長(八浪知行君) 以上で本日の日程は全部終了いたしました。 明二十二日から二十八日までは休会でありますので、会議は来る二十九日午前十時から開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第六号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後零時二十六分散会...