を議題といたします。
本件は、地方自治法第100条第13項及び
長崎市議会会議規則第128条の規定に基づき議員を派遣したので報告しようとするものであります。
その内容は、お手元に配付いたしております資料に記載のとおりでありますので、ご了承をお願いいたします。
次に
日程4
行財政の効率的運営及び重要施策の推進につい
て
から
日程8
議会運営について
まで、以上5件につきましては、調査事件を付託いたしました各常任委員会及び議会運営委員会の委員長から、いずれも調査を終了する旨の報告があっておりますので、これをもって調査を終了することに決定いたします。
なお、調査報告書につきましては、お手元に配付いたしておりますので、これによってご了承をお願いいたします。
次に
日程9
長崎駅周辺再整備について
から
日程11
定住人口対策について
まで、以上3件を一括議題といたします。
まず、長崎駅周辺再整備特別委員長の報告を求めます。32番中村照夫議員。
〔中村(照)長崎駅周辺再
整備特別委員長登壇〕
3 ◯32番(長崎駅周辺再整備特別委員長 中村照夫君) ただいま議題となりました長崎駅周辺再整備について、長崎駅周辺再整備特別委員会の調査の結果をご報告申し上げます。詳細につきましては、お手元に配付いたしております調査報告書のとおりでありますが、以下、その概要について申し上げます。
長崎駅周辺地区は、市民のみならず多くの人が行き交う場所であり、新幹線整備を契機として、
国際観光文化都市長崎の玄関口にふさわしい長崎駅周辺の再整備の推進に寄与することを目的として調査を行ったところであります。また、調査に当たっては、長崎駅周辺再整備に係る諸問題を把握し、利便性の向上や安全性の確保、交通結節機能の強化、周辺地区との連携などの諸方策について、長崎駅前
地区まちづくり協議会、JR九州及び各交通関係機関との意見交換会における説明や意見も参考にしながら、鋭意検討を行ったところであります。
まず、1点目の長崎駅周辺再整備事業について申し上げます。
九州新幹線西九州ルートにおいては建設の概要が示されたほか、
フリーゲージトレインについては平成26年12月から耐久走行試験が一時休止されておりますが、昨年11月に開催された
軌間可変技術評価委員会において、検証走行試験等の実施とコスト削減策の検討を行った上で、ことしの初夏をめどに取りまとめ、改めて同委員会を開催し、耐久走行試験の再開について評価するとの審議結果となったことを国から報告されたことから、市としては引き続き国の動きを注視し、情報収集に努めるとの考えが示されております。また、
JR長崎本線連続立体交差事業や長崎駅
周辺土地区画整理事業においては、その進捗状況などが示されております。
委員会におきましては、新幹線がフル規格で開業されるまでの間のおくれが及ぼす長崎の経済への影響を真剣に考えること、
フリーゲージトレインの開発が順調に進んでいないのであれば、開発のめどを示すよう国へ強く要望すること、
連続立体交差事業の対象とならない踏切に係る十分な安全対策の検討などを求めたのであります。
次に、2点目の長崎駅周辺再整備事業に関連する事業について申し上げます。
長崎駅周辺の交通渋滞の解消や将来の交通需要の増大などに対応するための
都市計画道路大黒町恵美須町線の整備並びに雨水施設などの整備による長崎駅周辺の浸水対策について進捗状況などが示されております。
次に、3点目の長崎駅舎・
駅前広場等デザイン基本計画について申し上げます。
本基本計画のうち、駅舎のデザインにおいては、港に近いという立地特性や新幹線と在来線双方が乗り入れる日本で唯一の終着駅であるという特徴を生かし、長崎でしか味わえない眺望を確保することなどの基本的な考え方について、また、駅前広場等のデザイン等においては、歩行者動線、市民の憩いの場やイベントとして利用できる広場、バスやタクシー乗り場などの基本的な考え方について示されております。
委員会におきましては、日常生活で長崎駅を利用している市民の視点が欠落しないよう、障害を持った方や高齢の方など、さまざまな方の意見の早急な聴取とその意見の設計への反映、長崎駅は終着駅であり車両を正面から見ることができる点が唯一ほかの駅とは全く違うことから、観光客の誘客につながることも視野に入れた駅舎デザインの検討、JR九州の見解が無理であるからと断念せず、利用者の利便性等を勘案し改札を2階に設置することについて実現するために努力することなどを求めたのであります。
次に、4点目の長崎駅周辺再整備地区と周辺地域との連携について申し上げます。
長崎駅周辺再整備地区で創出されるにぎわいを周辺地域へ波及させる施策などを定めている長崎駅
周辺エリア整備計画や長崎駅
周辺まちづくり基本計画などの概要のほか、周辺地区である大黒町、元船町及び旭町地区における交通や土地利用の現状と課題、長崎駅周辺再整備地区との連携に必要な方策などが示されております。
委員会におきましては、今後も積極的に長崎駅前
地区まちづくり協議会へ出向き、地域と行政の役割についてすみ分けを行いながら周辺地域とともに発展するような取り組みの実施、周辺地域の方とJR九州との連携のため行政が仲介役となり調整を行うこと、浦上川の右岸と左岸を一体とした人の流れについての検討などを求めたのであります。
次に、5点目の長崎駅周辺地区における交通結節機能のあり方について申し上げます。
新たに整備される駅前交通広場におけるタクシーやバス、一般車両等の乗降場の配置の考え方並びに通過型の路線バスや路面電車の停留所の位置及び駅舎からの歩行者動線などの検討状況について示されております。また、新たに整備される駅前交通広場に対する各交通事業者の考えとして、バス事業者においては西口のバス停では主に都心部を循環する路線での利用が中心となることや国道202号上の長崎駅通過型の系統は、これまでどおり国道上での処理が基本となることなどの考えが、また、軌道事業者においては、長崎駅部への乗り入れは困難であること、長崎駅前電停のバリアフリー化が必要であるが、電停を駅側に寄せるサイドリザベーションは、時間的なロスが課題であることなどの考えが、さらにタクシー事業者においては、西口、東口ともに一般車両とふくそうしない配置が必要であることなどの考えが示されております。また、理事者からは、長崎駅前における国道202号の平面横断について歩行者が横断できる十分な時間が確保できるのか、また、交通渋滞が発生しないかなど、信号サイクルの時間を複数のパターンで検証した結果、現状の交通量のままではその実現が困難であるが、今後、詳細な
交通シミュレーションを実施し、関係機関と協議を重ねた上で、平面横断の可否について最終的な判断を行いたいとの考えが示されております。また、分散されている駅前の路線バス停の集約や路面電車の軌道の3線化については、さらなる検討を進めるとの考え方が示されております。
委員会におきましては、長崎駅前の北に向かう交通量を軽減するための駅舎西側への車の誘導対策、駅前のバス停の集約や駅前商店街付近へのバス停の設置の検討、タクシープールの整備における必要台数の確認など、タクシー事業者との十分な調整などを求めたのであります。
次に、6点目の長崎駅周辺地区における広場計画について申し上げます。
新たに整備される駅前広場について、市民にとっての憩いと活動のメーン広場となる「街の広場」、現在のかもめ広場と同様に駅利用者と来訪者を迎える「驛の広場」及び公共交通への乗り継ぎや待ち合いなどのために東口及び西口に整備される「高架前広場」の概要や広場設計の進め方などが示されております。
委員会におきましては、JR九州が建設する新たな大型商業施設が既存の商店街とできるだけ競合しないようにするための調整、国道202号から駅前交通広場への車の進入スペース、バスベイやタクシーベイのスペースをより広く確保するため歩行者動線として整備する東西軸の幅の再検討、駅舎からは西口側の出口が近いことや団体客とそれ以外の方の混雑を整理するため、観光バスや貸し切りバスの専用駐車場の西口側への整備などを求めたのであります。
次に、7点目の関係機関等との意見交換会について申し上げます。
長崎駅周辺の再整備に関係する機関として、長崎駅前
地区まちづくり協議会、JR九州のほか、交通関係機関から
長崎電気軌道株式会社、長崎県交通局、
長崎自動車株式会社及び
一般社団法人長崎県
構内タクシー協会にお越しいただき、それぞれ意見交換会を実施いたしました。意見交換会では、各関係機関の考え方や課題、提案など率直な意見の聴取を行うとともに、その後の委員会では理事者と関係機関との意見の相違点について質すなど議論を深めた次第であります。
最後に、長崎駅周辺再整備事業は100年に一度のまちづくりとも言うべき最も重要な事業であり、
国際観光文化都市長崎の陸の玄関口として、交流とにぎわいの都市拠点として、また、交通の結節点として、その機能を果たすべく計画を策定し確実に推進する必要があります。本事業は新幹線が開業する平成34年度に合わせて進めるべきものでありますが、特に
都市計画道路大黒町恵美須町線や
連続立体交差事業との関係はあるものの、
土地区画整理事業の整備においては、その進捗率が20%に達しておらず、事業を推進するに当たりさまざまな課題が山積している状況であります。そのような中、本委員会においては特に重要な課題として、次の5つについて早期対応を求める次第であります。
まず1点目は、駅舎が西側に150メートル移動することに対する交通結節機能の強化が十分とは言えないことであります。
本来であれば、駅前交通広場内に路線バスや路面電車、タクシーなどの二次交通の乗降場を集約して整備することが望ましい姿ですが、交通事業者からは、路面電車や路線バスを駅舎の近くまで入れ込むことは難しい、また、バス停については国道202号上での集約が望ましいとの意見が出されているところであります。バス停の整備に当たっては、観光客及び市民にとってわかりやすく安全でスムーズに乗りおりができることとあわせ、バス、タクシー、一般車両などがふくそうしないことや交通渋滞が発生しないことが必須であるため、バス停の整備にあわせた国道202号の拡幅についても検討を求める次第であります。
2点目としては、駅前商店街の振興や日本二十六聖人殉教地へ観光客を誘導するための歩行者動線の整備であります。
駅前の交通会館については、県において解体する考えもあるとのことであり、解体後の周辺の交通状況やにぎわいの創出も視野に入れて、バス停などの設置について県や長崎駅前
地区まちづくり協議会と連携を図りながら早急に検討を進められるよう求める次第であります。
3点目としては、
都市計画道路大黒町恵美須町線の整備について、進捗率も低く事業が進展していないことであります。
本道路整備は、長崎中央郵便局が移転して初めて事業が進展するものであるため、市は責任を持って移転先を確保し、事業の推進に努められるよう求める次第であります。あわせて、国道202号の交通渋滞解消のためには、本道路整備と並行して旭大橋の低床化が不可欠であるため、引き続き早期実現に向け県に対して強く働きかけるよう要望する次第であります。
4点目としては、長崎駅部の開発について全体の
事業スケジュールが見えない点であります。
駅部開発は、
交流拠点施設用地を有する長崎市と駅東側に換地を有するJR九州が中心的事業者でありますが、JR九州によると開発計画の内容はまだ決まっておらず、今後検討するとのことでありました。JR九州の開発計画やスケジュールを少しでも早く示していただくため、積極的に働きかけ、十分な連携が図られるよう求める次第であります。さらに、交通関係者から、駅前交通広場の
整備スケジュールや各年度における整備段階の姿を早く示してほしいとの意見が出されていたことから、関係機関等と十分な連携を図り、互いに情報を共有し、相互理解を深めながら計画的に事業を推進されるよう求める次第であります。
最後に5点目としては、新幹線の建設の問題であります。
フリーゲージトレインの実現について、先が全く見えない状況である一方、市は新幹線が開業する平成34年度に合わせ、交流人口の拡大やにぎわいの創出を見込んだ長崎駅周辺再整備事業を進めております。新幹線の整備効果を最大限に引き出すためには、乗り継ぎをすることなく関西圏まで移動ができる安全な新幹線の開業が重要であることから、理事者におかれては、地元自治体として、全線フル規格での新幹線早期開業について国へ強く働きかけるよう求める次第であります。
以上の要望を踏まえ、理事者におかれては、市民や関係者へ長崎駅周辺再整備事業について丁寧に説明した上でその意見を聴取し、十分な検討を重ね、将来にわたり市民が安心して安全に過ごせるまちづくり、多くの来訪者を迎え入れる温かいまちづくりを目指して、引き続き取り組まれることを要望いたします。
以上、長崎駅周辺再整備特別委員会の調査終了の報告といたします。=(降壇)=
4 ◯議長(野口達也君) 次に、
観光客受入対策特別委員長の報告を求めます。27番佐藤正洋議員。
〔
佐藤観光客受入対策特別委員長登壇〕
5 ◯27番(
観光客受入対策特別委員長 佐藤正洋君) ただいま議題となりました観光客受入対策について、
観光客受入対策特別委員会の調査の結果をご報告申し上げます。詳細につきましては、お手元に配付いたしております調査報告書のとおりでありますが、以下、その概要について申し上げます。
委員会におきましては、国内外の観光客の増加が予想される中、観光客の満足度を向上させるための現状と課題を把握し、観光客受入対策に係る施策の推進に寄与するため、
観光立国ショーケースの選定に伴う取り組みや本市独自の歴史や文化、夜景などを組み合わせた魅力創出のための方策について、鋭意検討を行ったところであります。
まず、1点目の本市の観光客受入の現状について申し上げます。
平成27年の本市の観光動向については、観光客数は前年と比較して6.1%増の669万3,800人、観光消費額についても、前年比10.1%増の1,368億3,446万円となっており、いずれも過去最高となっております。また、外国人観光客につきましても、延べ宿泊客数が前年比59.2%増で過去最高の33万8,282人泊となっており、これらの増加の要因として、明治日本の産業革命遺産の
世界文化遺産登録やクルーズ船の入港数増加の影響があるとの見解が示されたところであります。さらに、
東京オリンピック・パラリンピックが開催される平成32年度までの観光振興に係る施策体系を示した長崎市観光振興計画2020において、課題として長崎独自の観光資源のさらなる磨き上げ、戦略的な事業展開のためのデータ分析と効果的な情報発信やプロモーションの充実、増加する外国人観光客の受け入れやリピーター確保のための態勢整備とおもてなしの充実、観光消費の拡大に向けた仕掛けづくり、広域観光の推進に向けた他の自治体等との連携強化や受け入れのための交通基盤整備の推進、持続可能な推進体制の構築が挙げられ、それらの課題を克服する基本施策や重点施策などが示されたところであります。
委員会におきましては、外国人観光客へのアンケートにおけるニーズの掌握、商業や観光業を営む人たちの状況を把握できるような観光統計調査の実施、観光に係る予算の獲得と組織体制の強化などを求めたのであります。
次に、2点目の
観光立国ショーケースの概要について申し上げます。
本市は、平成28年1月に、北海道釧路市及び石川県金沢市とともに、
訪日外国人旅行者を地方へ誘客するモデルケースの確立のため、観光庁から
観光立国ショーケースに選定されたところであります。その具体的な取り組みとして、観光地域づくりのかじ取り役となる長崎市版DMOの確立などが示されるとともに、平成32年までの年次計画が示されたところであります。その中で、長崎市版DMOについては、平成30年までに国が定める機能及び組織体制のレベルとして最も高いレベル3を達成できるよう組織の確立を進めていくという考えが示されたところであります。また、長崎市アジア・国際観光戦略及び
アクションプランに基づく取り組みとして、グラバー園などの主要な観光施設や路面電車の全電停への
公衆無線LAN環境の整備、飲食店における多言語メニューの導入促進など、地域消費の拡大につながる取り組みを官民連携して進めたことが示されたところであります。さらに、誘致・情報発信については、長崎空港や福岡空港に直行便が就航する国・地域を対象に、市場の成熟度やニーズに応じた誘致・PRを行った結果、チャーター便誘致を初めとする誘客が促進されたという見解が示されたところであります。
委員会におきましては、世界遺産候補の外海地区などに力を入れたWi-Fi環境の整備、実際の就業者誘発数を把握するための事業者へのアンケート調査の実施、長崎を題材としたドラマなどのロケ地PRのためのパンフレットや案内板の作成などを求めたのであります。
次に、3点目の日本版DMOについての専門家との意見交換会について申し上げます。
委員会では、
国土交通省九州運輸局観光部観光振興課長を招聘し、日本版DMOについての意見交換会を行ったところであります。意見交換会では、まず、同課長から日本版DMOについて説明を受けた後、各委員と意見を交わしたところであります。その中で、同課長からは、まだ国としても日本版DMOについての具体的な方向性は決まっておらず、今後DMO候補法人にヒアリングする中で、DMOとして足りない点について把握しながら、地域が自立し、独自性を出せるよう支援していきたいという考えが示されたところであります。
次に、4点目の長崎市版DMOの概要について申し上げます。
本市では、基礎自治体である長崎市を区域とする地域DMOとして、
一般社団法人長崎国際観光コンベンション協会が日本版DMOの候補法人として平成28年4月に登録されたところであります。その中で、DMO推進本部については、同協会のプロパー職員2名と民間からの派遣2名の計4名体制となっており、外部組織としてDMOの運営に係る意見集約や合意形成を図るため、関係団体の代表者で構成する協議会などを設置する考えが示されたところであります。また、長崎市版DMOの役割として、多様な関係者の合意形成、各種データの継続的な収集・分析、明確なコンセプトに基づいた戦略の策定及び
重要業績評価指標の設定などが挙げられたところであります。さらに、今年度末までに
インバウンド戦略を策定する考えが示され、マネジメントとマーケティングのほか、経営基盤と運営基盤の強化がDMOに求められる機能として示されたところであります。
委員会におきましては、長崎市版DMOの自主財源確保についての職員の現地派遣も含めた海外の先進的な取り組みの研究、国への財政支援の要請と県市の役割分担についての検討、さまざまな業種の方の意見を反映した現実的な観光地域づくり、食と観光を融合させた
水産物等拠点施設の設置に係る朝型観光も含めた具体的な検討、
バリアフリー観光案内所の設置、文化観光部と水産農林部が連携した上での民泊推進に係る地元との丁寧な協議、民泊に係る他の地域の事例調査やアドバイザーの導入、野母崎航路の軍艦島上陸船の大型化に係る観光地域づくりなどの観点からの地元業者や地域との協議などを求めたのであります。
次に、5点目の夜景観光の推進について申し上げます。
まず、本市の夜景観光の主な取り組み経過及び概要とともに、世界新三大夜景の認定などの成果が示されたところであります。その中で、県市が具体的な施策の検討を行うために設置された長崎の夜景の在り方に関する検討会の検討概要が示されるとともに、今年度末までを策定期間とする(仮称)
夜景観光推進基本計画策定の見通しが示されたところであります。また、今後の取り組みとして、
稲佐山中腹駐車場から山頂展望台までのアクセスを向上させるスロープカーの整備を平成30年度までに行う考えが示され、さらに、民間と連携し夜型のイベントの魅力向上を推進するため、飲食やショッピングなども楽しめる夜の
まち歩きコンテンツの造成支援などを行う考えが示されたところであります。
委員会におきましては、稲佐山電波塔の
イルミネーションショーの
ライトアップスタート時における音楽の演奏と市民への周知・啓発、稲佐山から見える海岸線の顕在化の優先的取り組み、
鍋冠山公園展望台のベンチの早急な整備、グラバー園から鍋冠山公園までの統一感のある手すりの整備、視点場の周辺の低木化など、手間のかからない管理の検討、民間施設におけるプロジェクションマッピングなどの積極的な取り組み、クルーズ客船の出港を活用した光と音の
イルミネーション実施の検討、テレビの企画として取り上げてもらうための積極的な取材要請などを求めたのであります。
次に、6点目の
観光立国ショーケースの選定に伴う取り組み状況について申し上げます。
まず、多くの外国人観光客に選ばれる
国際観光都市長崎の実現を目指す考えが示されるとともに、今年度における
観光立国ショーケースに係る主な取り組みとして、食と世界遺産をテーマとした滞在・交流コンテンツの企画・検討、
クルーズ貸し切りバスによる道路混雑解消に関する実証実験、タイにおける旅番組の制作と現地での観光・物産展開催によるPRなどが示されたところであります。その上で、まちの回遊性を高める環境整備について、まちぶらプロジェクトにおける継続的な取り組みとともに、さまざまなハード事業についても、国の重点的な支援を要望している旨の説明がなされたところであります。
委員会におきましては、伝統工芸品に係る情報発信と海外の方が手にとってみたくなるような商品開発、長崎市が運営する観光スポットにおけるキャッシュレス環境の前倒しでの整備、観光客の消費地の調査とその消費地への集中した方策の実施、行政もサポートしながらの中華街広場の清掃活動などの実施などを求めたのであります。
最後に、平成32年の
東京オリンピック・パラリンピックを見据えた
観光立国ショーケースの取り組みについて、長崎県などと連携をとりながら関連事業を進めるとともに、多くの外国人観光客に選ばれる
国際観光都市長崎の実現に向け、観光地域づくりのかじ取り役となる長崎市版DMOの確立、観光資源の磨き上げ、ストレスフリーの環境整備及び海外への情報発信などに着実に取り組まれるよう要望する次第であります。特に、長崎市版DMOの確立については、候補法人である長崎国際観光コンベンション協会、また、観光業にとどまらない多様な関係者との合意形成のもと、ビッグデータ等を活用し、確実に長崎市内で観光客に消費をしてもらう仕組みづくりを行うとともに、DMOの自主財源確保の方策について研究し、自立・持続的な運営に向け取り組まれるよう要望いたします。
本市においては、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産についても平成30年の登録が期待されており、クルーズ船の入港も引き続き増加が見込まれるなど、特に海外からの観光客の増加が期待されることから、
観光立国ショーケースに選定されたこの機会を生かし、日本における観光のトップランナーとなるため、引き続き本市独自の歴史や文化、世界遺産や夜景観光などを組み合わせた観光客受入対策を推進するとともに、長崎市ならではの強みを持った観光資源を創出していくよう強く要望する次第であります。
以上、
観光客受入対策特別委員会の調査終了の報告といたします。=(降壇)=
6 ◯議長(野口達也君) 次に、定住人口対策特別委員長の報告を求めます。20番久 八寸志議員。
〔久定住人口対策特別委員長登壇〕
7 ◯20番(定住人口対策特別委員長 久 八寸志君) ただいま議題となりました定住人口対策について、定住人口対策特別委員会の調査の結果をご報告申し上げます。詳細につきましては、お手元に配付いたしております調査報告書のとおりでありますが、以下、その概要について申し上げます。
長崎市が直面している若年層を中心とした市外への人口流出や少子化に伴う人口減少は、今後の市政の推進において重要な問題となります。そのため、人口減少やそれに伴う地域経済の縮小、若者の雇用の受け皿不足等の諸問題を克服し、長崎市が将来にわたって活力あるまちであり続けるため、人口減少の影響とその課題及び定住人口の減少に歯どめをかけるための諸方策について調査、検討を行ったところであります。
まず、1点目の長崎市の人口の現状について申し上げます。
長崎市の人口は、合計特殊出生率の低下などによる自然動態の減少が進むのと同時に、社会動態においても、進学や希望する就職先が見つからないなどを理由とする若年層を中心とした転出超過となっている状況であります。合計特殊出生率の低下の要因につきましては、未婚率の上昇が関係しており、独身にとどまる主な理由の1つに経済的な理由が挙げられていること、また、転出超過の要因につきましては、長崎市の産業構造においては第三次産業の占める割合が高く、就職先として希望の高い製造業などの第二次産業と第一次産業の割合が低いこと、さらに、第三次産業のうち、宿泊業、飲食サービス業における非正規雇用者の割合が突出して多いことが示されております。そのような中、平成28年3月に、目指すべき将来人口などを定めた長崎市まち・ひと・しごと創生長期人口ビジョンを策定するとともに、長崎市まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づく各種施策の推進により人口減少を克服し、平成72年の人口を推計の24万人から32万人とすることを目指す考えが示されております。
委員会におきましては、部局間で横のつながりを持って人口減少克服の取り組みを考え実行すること、結婚できない理由の1つに経済的理由が挙げられるが、特に医療・福祉分野の年収が上がるよう行政としてサポートをすること、県内の若い世代が長崎市で働いてみようと思うためのインセンティブが働くような仕掛けの検討、第一次産業を守るための対策を強化することなどを求めたのであります。
次に、2点目の定住・移住対策について申し上げます。
定住・移住対策としては、ホームページやユーチューブなどのさまざまな媒体の活用やながさき移住サポートセンターなどとの連携による長崎で暮らす魅力の発信、民間の空き家・空き地等の紹介や地域住民と連携したお試し居住などの住まいに関する支援、地元企業の雇用に対する奨励金の交付等による地元就職の受け皿確保や農林水産業への新規就業者に対する各種支援によるUIJターン者の雇用の確保に取り組むことが示されております。また、長崎市への移住の現状を把握するため、関係者との意見交換を行い、ながさき移住サポートセンターからは、移住希望地域として長崎市を挙げる方が多い一方、移住支援策に不足を感じる人もいるなどの説明を受けるとともに、実際に長崎市に移住された方からは、空き家対策や子育てしやすい社会システム整備のため、事業者や行政の意識改革が必要との見解が示されたところであります。
委員会におきましては、移住定住希望者向けホームページとプロモーション動画を多くの人に見てもらうための拡散方法等の検討、空き家バンク登録物件増加のための活用可能空き家調査の方法や範囲、地域と連携した空き家の活用策の検討、空き家バンク登録物件に移住する際のリフォーム補助以外の支援、地場企業の周知や奨学金を活用した制度の整備など、学生が長崎に戻ろうと思えるような取り組みの検討、地場企業、農業及び漁業の育成や所得向上等について行政が率先して取り組むこと、移住希望者に対する市独自の助成制度や就労相談窓口の設置等の検討などを求めたのであります。
次に、3点目の地場企業の育成について申し上げます。
地場企業の育成としては、長崎市の産業振興と経済活性化を促すことで、地場企業の育成を支援し、雇用の拡大と所得の向上を目指すため、人材育成等の経営資源の充実・強化や人材確保等を図るための地場企業の経営資源の強化、域外からの消費の呼び込みなど交流を生かした地場企業の活性化と域内経済の循環の促進、商品の高品質化や高付加価値化などにより、競争力向上を図ることなどによる域外経済への進出に取り組む考えが示されております。
委員会におきましては、販路拡大という点で非常に役立つ制度である優れモノ認証制度の推進、観光客を呼び込み、そして、観光業、サービス業で働く方々が対価を得られるという構造へ転換していくために、学校教育においても観光を専門的に勉強し、給料をきちんともらえるような観光人材を育成するなどの施策をさまざまな分野で連携して行うことなどを求めたのであります。
次に、4点目の雇用対策について申し上げます。
雇用対策としては、農林水産業における経営安定化、消費・販路拡大、農家の労働力不足解消に向けた労力支援のマッチングなどによる活性化、地域の特性を踏まえた創業のための包括的支援を推進する創業の支援、企業立地用地の確保などによる市外からの企業誘致の推進に取り組む考えが示されております。
委員会におきましては、農業の担い手確保・育成等に関して、人・農地プラン戦略モデル地区の取り組みを進めているが、モデル地区以外の地区でも十分地域と連携し取り組みを進めること、遊休農地をふやさないための取り組みを農協と連携して進めること、農業従事者の所得向上のため、経費削減が可能な作物の研究・推進に取り組むこと、創業の支援については商工会議所と連携し、さまざまな業種、立場の人が集える交流の場の創出と創業後のフォローアップの検討を行うことなどを求めたのであります。
次に、5点目の子育て支援・少子化対策について申し上げます。
子育て支援・少子化対策としては、民間団体の婚活イベントの情報発信や効果的な出会いの場の創出などによる結婚の支援、妊娠・出産期の健康診査や保健指導などの実施による妊娠・出産の支援、子育て家庭のさまざまな負担の軽減、幼児期の教育・保育の量的拡大と質的向上、放課後の子どもの居場所づくりなどによる子育て環境の充実に取り組むことが示されております。
委員会におきましては、農林水産業の後継者への婚活支援の検討、市内での受け入れ態勢不足が問題となっている周産期医療に関する支援や子ども医療費の充実の検討、妊娠期から子育て期にわたるまで切れ目なく支援を行う子育て世代包括支援センターの設置の検討などを求めたのであります。
次に、6点目の高齢者及び地域コミュニティ対策について申し上げます。
高齢者及び地域コミュニティ対策としては、介護が必要になっても安心して住み続けられる地域づくりや体制が必要であることから、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けた地域包括ケアシステムの整備を目指すため、地域、医療、介護、福祉などの関係機関で構成する長崎市地域包括ケア推進協議会の設置と開催など、地域包括ケアシステム構築の取り組みを進めるための基盤の整備、医療、介護、福祉の連携により最適な在宅医療を提供する仕組みの充実や大学と連携した人材育成などの医療・介護の提供体制の充実、高齢者ふれあいサロンの増設などによる予防、健康づくりの推進、地域主体の支え合い体制の構築や、選択可能で安全な住み方の確保を目指した生活支援・住まいの対策に取り組むことが示されております。
私がやろうとしてきたことは、次の時代の長崎の基盤をつくることで、それはこの10年間ずっと変わっていません。
ことし8月、8年ぶりに世界中の都市の代表が集まる平和首長会議総会が長崎で開かれます。時代が変わっても変わらない、核兵器廃絶と恒久平和を求める世界の人々の強い思いを長崎に結集する会議です。ことしは、核兵器禁止条約が初めて本格的に国連本部で議論される年であり、また、2020年核不拡散条約(NPT)再検討会議の準備委員会が始まる年です。この大事な会議を経たタイミングでの開催となることで、世界の都市とともにどのようなメッセージを発するのか、ことしの「ナガサキ」が果たす役割は大きいと考えます。平和は長崎から。国内外の加盟都市やNGOと連携し、平和を市民社会からつくっていこうという力強いメッセージを長崎から発信する絶好の機会となるようしっかりと取り組みます。
長崎は世界に通じる価値、世界に発するメッセージを幾つも持つ稀有なまちです。そのまちづくりは、今、非常に大事な時期に差しかかっています。450年続く「港町ナガサキ」。ことしも歴史のバトンをつなぎながら交流の産業化を初めとする次の時代の基盤づくりをしっかりと進めたいと思っています。
2.平成29年度の予算編成
長崎市の財政状況は、これまでの行財政改革の取り組みなどにより、厳しいながらも徐々に好転していますが、中長期的に見ると生産年齢人口の減少に伴う市税収入の減少や人口減少に伴う地方交付税の減少、高齢化等に伴う社会保障関係の費用の増加などが市の財政状況に大きく影響することが予想されます。限られた財源と人員の中で、将来にわたって安定した市民サービスを提供するためには、選択と集中による事業の重点化と健全な財政基盤の確立を図る必要があります。
そこで、平成29年度の予算編成に当たっては、交流の産業化の推進による地方創生の実現と人口減少克服を目指す長崎市まち・ひと・しごと創生総合戦略や重点プロジェクト、各部局で定めた重点的取り組みを推進し、次の時代の長崎の基盤づくりなどの未来への投資や市民の暮らしやすさにつながる施策に配分するという考え方のもと、各施策を検証し予算編成に取り組みました。
3.平成29年度の主な取り組み
平成29年度における主な取り組みについて、第四次総合計画の体系に沿ってご説明いたします。
(1)個性を生かした交流の拡大
長崎には、ほかのまちにはない独自の歴史や文化があり、今も長崎と世界をつないでいます。これらの魅力を掘り起こし、個性をさらに磨き上げることで、市民が誇り世界の人々が訪れるまちを目指します。
まず、交流の産業化による長崎創生のさらなる推進に向け、新たな顧客や価値を創造するため、長崎のよさをさらに引き出し、訪問先としての魅力を高める仕掛けづくりと効果的な発信をシティプロモーションや地域活性化、日本や世界への情報発信などで大きな実績があり、長崎の近代化に欠かせない小山秀之進さんのご子孫である小山薫堂氏が代表を務める企画会社に委託することとしています。
次に、世界遺産に関連した取り組みについては、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産の平成30年の世界遺産登録に向け、関係機関と連携しながらユネスコ諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)の現地調査への対応を行うとともに、構成資産の保護を図るため、重要文化的景観、長崎市外海の石積集落景観の追加選定を進め、2つの世界遺産があるまちの実現を目指します。また、明治日本の産業革命遺産については、世界遺産登録時にユネスコ世界遺産委員会から示された8項目の勧告への対応に引き続き取り組むとともに、その構成資産の1つである端島炭鉱については、遺構調査や保全のための整備を進めます。
次に、ことし11月の出島表門橋の架橋にあわせた取り組みとして、芸術文化事業、記念式典、特別企画展などからなる出島表門橋完成記念行事を実施するとともに、オランダを初め、かつてオランダ商館が設置されていた東南アジアの国々とのネットワークを強化し、学術・文化・経済交流を促進します。出島については、今後も完全復元に向け、国指定史跡の拡大などの準備を進めるとともに、市民の皆様はもちろん、国内外に世界とつながる出島、世界都市長崎の魅力を広く発信します。平成28年度に設置した長崎学研究所においては、長崎学に係る調査研究や普及啓発のほか、児童を対象としたコンクールの実施などによる後継者育成に努め、その成果を市内外に発信することで長崎学の特殊性・重要性を高めるとともに研究の裾野を広げます。ことしは坂本龍馬没後150年となる節目の年であることから、亀山社中記念館において特別展を開催し、龍馬にゆかりがある都市との連携・協力等により、龍馬の魅力や長崎での足跡をわかりやすく紹介します。
また、長崎の魅力ある地域資源を生かし、まちの質を高めるため、まちぶらプロジェクトによりまちなかの5つのエリアの個性や魅力の顕在化とエリアをつなぐ軸づくりを進めています。平成29年度は新たに、新大工エリアにおける地元の関係者と協力した商店街・市場や食を生かしたまちづくりの取り組みや、浜町・銅座エリアにおける銅座川プロムナードのにぎわい創出のための情報発信や路地の整備、東山手・南山手エリアにおける洋館への誘導のための情報板の整備などを行います。また、館内・新地エリアでは、唐人屋敷の歴史的価値の顕在化とそれを生かしたまちづくりを推進するため、地区のまちづくり協議会と連携し、土人堂前広場整備に向けた取り組みを進めます。中島川・寺町・丸山エリアにおいても、長崎の和の魅力の顕在化に引き続き取り組むとともに、これら5つのエリアをつなぐ軸づくりについても、市民や観光客の皆様が安心して歩く楽しさを実感できるよう民間施設のトイレの開放、誘導サインの設置などを行います。あわせて、まちぶらプロジェクト認定制度を引き続き実施することで、さまざまな分野が一体となった市民主体の取り組みやまちなかのにぎわいを創出する活動を支援します。また、魅力ある質の高い町並みにデザインは重要な役割を果たすことから、建築土木、デザイン、色彩等の専門家からの助言・指導による良好な景観の保全・創出に引き続き取り組みます。特に、路面電車の車両については、その利用促進につなげるため、質の高いデザイン化に対する支援を行っており、平成29年度には魅力的な電車が長崎のまちにお目見えすることになります。
近年、長崎港への入港が増加しているクルーズ客船は、平成29年には約300隻の入港が見込まれており、外国人観光客のさらなる受け入れ態勢の整備を図ります。あわせて、昨年1月に国から選定された
観光立国ショーケースによる官民連携したオール長崎での取り組みを加速し、平成32年度に開催される東京2020オリンピック・パラリンピックまでに世界から選ばれる国際観光都市を目指します。
観光立国ショーケースの選定に伴い、長崎市においては、
一般社団法人長崎国際観光コンベンション協会が観光のマネジメント・マーケティング機能を備えた長崎市版DMOとして観光地域づくりを推進していきます。長崎市版DMOの形成・確立については、地域の多様な関係者の合意形成を図りながら官民連携体制の構築を進めるとともに、平成29年度の具体的な活動としては、ビッグデータ等の継続的な収集・分析による
インバウンド戦略の構築やワンストップサイトの構築・活用による本格的なマーケティングの実施などを進めます。経済界では、MICE関連業務の地元受注拡大を図る組織の設立、誘致活動等への資金面からの支援など、さらなるMICE誘致に向けた取り組みが進められており、今後も産学官が一体となった誘致や受け入れなどの取り組みを推進します。
次に、住みたいまちとしての魅力を高め、移住・定住を促進するため、各地域で移住に関係する取り組みを行っている団体等と連携し、長崎市の相談窓口であるながさき定住支援センターの相談体制のさらなる充実を図るとともに、移住や地域交流を目的とした戸建空き家のリフォーム工事等への支援を行います。また、合併地区の魅力向上については、市町村建設計画及び地域振興計画に基づき、それぞれの個性や魅力を生かした振興策に取り組みます。
国際交流については、市民友好都市である中国・中山市との間で子どもたちの相互派遣を行い、個性輝く世界都市としての人的ネットワークを拡大するとともに、国際性を有する人材の育成を図る子どもゆめ体験事業を実施します。
(2)平和の発信と世界への貢献
ことし、被爆から72年目を迎え被爆者が年々少なくなる中で、被爆の記憶を広く伝え、核兵器廃絶と平和を求める思いを高めるため、被爆の実相の継承と平和の発信の取り組みをより一層充実します。
まず、核兵器廃絶に向けた取り組みについては、ことし5月にオーストリアのウィーンで開催される2020年核不拡散条約(NPT)再検討会議第1回準備委員会に出席し、長崎市民を代表して核兵器のない世界の実現に向けた取り組みの推進を訴えます。また、6月にアメリカ・ニューヨークの国連本部において開催される核兵器禁止条約に係る交渉会議に専門家を派遣し、禁止条約の早期実現を訴えます。
次に、被爆の実相の継承と平和の発信の取り組みについては、現在、若い世代を対象とした青少年ピースボランティアの育成や青少年ピースフォーラムの開催、平和活動に触れる機会の少ない子育て・就労世代を対象とした平和講座「ぴーすとーくカフェ」の開催など、各世代へ向けた取り組みを行うとともに、被爆体験を語り継ぐ家族・交流証言者を育成しています。平成29年度は、若い世代のさらなる平和交流を図るため、中学生から30歳未満の青少年を原子爆弾の第一投下目標地点であった北九州市へ派遣します。また、長崎県外の人に原爆の悲惨さ、平和の尊さを伝えるため、これまで被爆の実相に触れることの少なかった11の未開催県で、平成29年度から原爆展を計画的に開催します。さらに、原爆の痕跡を残す樹木や米国国立公文書館で収集した写真については、次の世代へ被爆の実相を伝える貴重な資料として保存・活用を図ります。平成28年10月に国史跡に指定された長崎原爆遺跡については、維持、継承、活用の指針となる原爆遺跡保存活用計画を平成29年度から2カ年かけて策定します。また、スポーツを通じて核兵器廃絶や平和のメッセージを発信するため、被爆75周年という節目の年である平成32年における長崎平和マラソンの開催に向けた検討を進めます。
(3)地域経済の活力の創造
長崎の経済発展のため、地場産業の競争力の向上を図るとともに、域外からの外貨の獲得と域内経済の好循環による経済成長の実現を目指します。
まず、地場産業の活性化については、人材確保に向けた知名度向上への支援として地場企業の紹介番組「長崎キラリカンパニー」を県の就職応援サイト等と連携し広く情報発信するとともに、市外に流出した若年者等の人材を呼び込むため、県や県内の21市町が共同で運営するながさき移住サポートセンターを初めとした国・県・関係団体と連携して、UIJターンによる長崎市での就職を促進します。
また、ものづくり企業の生産現場において中核となる人材の育成や次代の基幹製造業を担う新規採用者への技術・技能の伝承に対する支援を行います。あわせて、新規事業の創出に向けた研究開発を促進するため、地場企業が大学等と共同で行う新製品・新技術の研究に対する支援の期間を、これまでの単年度から複数年度に拡大します。また、創業者の確保に向け、事業の安定と持続化をサポートするため、広報宣伝への支援を拡大します。企業誘致については、受け皿の確保を図るため、現在取り組んでいる企業立地用地の整備を着実に進めるとともに、オフィスビル建設事業者に対する支援を行います。
次に、地場企業の販路拡大の取り組みについては、域内需要が縮小していく中、商品の価値を高めることで価格に反映させ購買力のある消費者へターゲットを絞った販売を行うことで、事業者の収益向上につなげていくことが重要になっています。平成28年度から実施しているこだわり逸品育成支援においては、多品種・希少性、長崎らしさを生かした商品の開発・改良から、販路拡大までをトータルでサポートしており、福岡の百貨店での販売につながるなどの成果があらわれ始めています。その成功事例をもとにさらなる販路拡大を図るため、福岡以外の大消費地もターゲットとして加え、引き続き意欲のある事業者に対する支援を行います。あわせて、このような商品価値の向上や事業者の強みを生かした販路拡大の取り組みとともに、観光客を初め、交流人口のニーズに対応する商品・サービスの提供などの取り組みについて、これまで以上に効果的なものとするため、専門家の知見を得ながら、施策の検証や見直しを行います。特産品の需要拡大については、全国的にそのPRの場として、ふるさと納税を活用する自治体がふえており、その注目度も年々高くなっています。長崎市においても、水産加工品などの特産品や宿泊観光を取り入れた新たな謝礼品を加え、情報発信の強化に努めており、平成28年は寄附額が増加しました。今後もさらなる寄附額の増加や地域経済の活性化を目指し、謝礼品の充実や積極的な情報発信に努めます。さらに、地方創生の取り組みを加速するため、国において企業版ふるさと納税の制度が創設され、長崎市においても稲佐山公園スロープカー整備を対象事業として選定し、国の認定を目指しています。既に事前の寄附の申し出もいただいており、今後さらにご協力いただける企業を募っていきます。
次に、長崎が全国の誇る食材である、長崎の魚、長崎和牛・出島ばらいろ、ビワの優良品種であるなつたよりについては、生産者の経営安定を図るため、関係団体や生産者と連携して知名度向上と消費拡大を図ります。長崎の魚については、昨年10月から提供を開始した、新・ご当地グルメである長崎ソップ、サバサンド、ド・ロさま海鮮パスタの定着化に取り組むとともに、四季ごとの旬の魚の一体的な情報発信により、魚の美味しいまち長崎の魅力を発信します。また、まちなかにおける長崎の魚や水産加工品を生かした
水産物等拠点施設については、関係団体等と連携し、民間活力を生かした整備・運営方法の検討を進めます。日本一の生産量を誇るビワは、組織的な共同販売が開始されてから100周年を迎えます。これからのビワ産地の活性化に向けて、生産者、JA、長崎県、長崎市が一体となり、びわ共販百周年記念大会を開催し、全国にビワの魅力をPRします。
次に、水産業の振興については、荷揚げ作業の効率化及び待ち時間短縮による漁獲物の鮮度向上や労力の軽減による就労環境の改善を図るため、漁業者や関係団体が行う設備等の整備を支援します。また、マガキの養殖業者の経営安定を図るため、低コストかつ効率的な種苗生産や実入りがよく形状が優れた一粒種のマガキの生産などを試験的に行います。
次に、農林業の振興については、地域農業・農村の未来の設計図である人・農地プランの実現に向け、戦略モデル地区4集落において策定した整備計画に基づき、生産基盤の整備、担い手の確保、農地集積など具体的な取り組みをさらに進めます。また、有害鳥獣対策については、猟友会、JA、長崎市等で組織する長崎市有害鳥獣対策協議会による捕獲体制を強化した結果、捕獲実績が増加するなどの効果が見られたことから、さらなる迅速な防護対策の支援や地域ぐるみによる捕獲隊の活動支援等を進め、関係者が一体となった被害防止対策の充実強化に努めます。
(4)環境との調和
環境と調和する潤いのあるまちを目指し、環境負荷の少ない持続可能なまち長崎を次の世代へ引き継ぐための取り組みを進めます。
まず、持続可能な地域づくりに向け、活動を担う人材を育成する、ながさきサステナプロジェクトにおいて、平成28年4月に開設した市民主体の環境活動拠点「サステナプラザながさき」を中心に、温暖化防止活動に加え循環型社会の形成に向けた活動を一体的に進めます。平成29年度は新たに、家庭で不要となった日用品や粗大ごみとして出された自転車をリユース(再利用)する仕組みをつくり市民の環境意識の醸成を図ります。また、環境活動を通じて社会の多様性やつながり、協働の大切さを学び合うため、市民ネットワークながさきエコネットに参加する学校と地域住民や市民団体が連携した取り組みへの支援を充実させます。
次に、環境負荷の少ないまちの実現に向けた廃棄物の適正処理については、今後のし尿処理に係る収集運搬及び施設整備を効率的に進めていくため、生活排水処理基本計画を改定します。また、ごみの減量化については、昨年7月からのごみの分別方法の変更に加え、今まで埋め立てていたマットレスやソファーを金属資源と燃やせるごみに解体分別することにより埋め立てごみを減らし、三京クリーンランド埋立処分場の延命化を図ります。あわせて、新たに建設した西工場のごみ焼却熱を利用した余熱利用施設が完成し、プールと浴室を備えた「長崎市民神の島プール」として平成30年1月から供用を開始します。
(5)安全・安心で快適な暮らしの実現
地域ごとに都市機能が集約されたまとまりのよい生活環境の中で、誰もが安全で安心して暮らすことができるよう長崎に合った暮らしやすいまちづくりを実現するため、ネットワーク型コンパクトシティ長崎の実現に向けた取り組みを進めます。
市街地再開発事業については、新大工町地区と浜町地区において、関係する権利者の皆様を中心に進められており、長崎市の経済・消費活動を担う中心市街地の活性化を促進し、市全体のにぎわいの創出を図るため、今後も市街地再開発の取り組みを積極的に支援します。斜面市街地については、安全安心な居住環境づくりのため、現在、斜面市街地再生事業で着手している生活道路の一日も早い完成を目指します。東長崎地区の住環境の改善については、国道34号の混雑解消や将来のまちづくりに資するため、都市計画道路東長崎縦貫線の整備を進めます。道路ネットワークの充実については、平成28年に長崎自動車道と国道34号新日見トンネルの完全4車線化が同時に事業化されており、今後は国や県などと連携しながら早期完成に向けて取り組みます。また、長崎市と佐世保市を約1時間で結ぶ地域高規格道路の長崎南北幹線道路と西彼杵道路は、県南北の観光資源の連携など交流人口拡大を図る上で重要な道路であり、未整備区間の早期事業化に向け、県などへ積極的に働きかけます。南部地区の幹線道路である長崎外環状線は、平成28年に新戸町から江川町間の事業が着手されており、今後も早期完成に向けて働きかけるとともに、その他の幹線道路についても放射環状型幹線道路網の早期実現に向け国や県などと連携して取り組みます。地域と地域を結ぶ道路については、虹が丘町西町1号線、江平浜平線などの整備を、都市計画道路については、観光地とまちなかの歩行環境向上のため、新地町稲田町線、銅座町松が枝町線などの整備を進めます。また、車みち整備事業については、白鳥町油木町1号線ほか3路線が完成し、平成25年度の事業開始以降9路線が整備され、車が入ることで住民の利便性が向上し、家族や知人の訪問もふえるなど、斜面地の暮らし方に変化があらわれ始めています。今後、さらなる事業進捗を図るため、整備要件の見直しを行い、これまで以上に積極的に整備を進めます。
ネットワーク型コンパクトシティ長崎の実現のためには、都市機能が集まった拠点と周辺の生活地区の間で公共交通による連携も重要です。人口減少、高齢化が進む中、公共交通はますます重要な役割を担うことから、その維持、確保を図るため、将来を見据えた持続可能なあり方についての計画策定に着手します。
平成28年4月に発生した熊本地震は、これまで地震が少ないとされてきた長崎市において、災害に対する備えの重要性を痛感させる出来事でした。そこで、安全安心な建築物の普及を促進するため、引き続き耐震診断の実施が義務化されている病院、店舗、ホテル、旅館のほか、木造戸建住宅の耐震化に対する支援を行います。
長崎市空家等対策計画における2つの基本方針である、「特定空家等にしない」、「特定空家等をなくす」に基づき、居住する地域に住み続けられるよう住宅の改修工事への支援を行い、利用できる空き家の活用を促進するとともに、老朽危険空き家の除却を進めます。
地震以外の災害も含めた防災対策については、防災情報の伝達手段を充実するため、防災行政無線のデジタル化に向けた実施設計に取り組みます。また、地域においてともに助け合い、支え合うことが減災につながることから、長崎市保健環境自治連合会との連携による自主防災組織の結成促進と活動の活性化や地域と連携した避難所の運営に取り組みます。あわせて、地域防災力の中核である消防団については、消防団員の安全を確保するための装備品を充実させ災害対応力の向上を図るとともに、平成28年度に養成した指導消防団員を中心に消防団、市民防火組織及び地域住民が連携し、地域に密着した防火防災訓練の実施を推進します。
生活に不可欠なライフラインの1つである上下水道事業については、収益の減少が見込まれる中、老朽化した施設の更新や耐震化を効率的に実施するため、第11次配水施設整備事業計画などの策定に取り組むとともに、将来にわたり安定的かつ持続可能な経営基盤の確立を図るため、アセットマネジメントシステムの導入に向けたデータ整備などを行います。また、熊本地震を教訓として、2カ所の浄水場に給水車への注水設備を設置するなど、災害時の緊急拠点の整備や復旧体制の強化を図ります。
(6)ともに支え合い、いきいきと暮らせる地域社会の実現
長崎のまちが誰もが住みなれた地域で暮らし続けられるまちとなるよう、暮らしに必要な支援やサービスを提供する仕組みや地域の特性に応じた環境を整えます。
まず、暮らしに必要な支援を提供する仕組みの1つである長崎版地域包括ケアシステム構築については、地域ごとに医療・介護・福祉の専門職が一体となって地域を支援する体制づくりに取り組むとともに、高齢者の自立支援に向け在宅支援リハビリセンターを設置します。また、高齢者に限らず子育てや障害、貧困など、さまざまな課題を複合的に抱える方にワンストップで対応する多機関型地域包括支援センターの充実に努めます。
次に、支援が必要な方々への取り組みとして、障害者支援については、障害福祉センターを中心とした療育支援体制の充実に努め発達障害児の早期発見と適切な療育を図るとともに、視覚及び聴覚に障害がある方が意思疎通や移動を行う際の支援に取り組みます。
生活困窮者等への支援については、貧困の連鎖を防止するため、生活保護受給世帯及び生活困窮世帯の中学生を対象とした学習支援事業について、現在市内中心部1カ所で開催している学習会の開催場所をふやし、参加しやすい環境を整えます。また、生活保護受給世帯の就労に向けた支援については、新たに長期未就労などの求職者の就労能力に応じた生活能力向上訓練やボランティア活動による社会参加を行う就労準備支援を就労支援と一体的な取り組みとして実施します。
被爆者援護については、高齢化が一段と進む被爆者に対する援護施策のさらなる充実を強く国に要望します。また、被爆体験者支援事業の対象合併症に脳血管障害を追加するとともに、国に対し、高齢化し病気に苦しむ被爆体験者の救済及び被爆体験者支援事業の充実を要望します。
次に、市民が安心できる地域医療体制の充実については、医療需要の変化などに対応した医療提供体制を確立するため、関係機関と協議を行うなど検討を進めるとともに、医療資源が少ない地域において市民が安心して生活できる医療環境の整備を図るため、地域の病院が行う医療機器の更新等を支援します。また、ことし1月末に駐車場棟の運用を開始し、全ての建設事業が完了した長崎みなとメディカルセンター市民病院が、今後とも地域の中核的な医療機関として高度医療、救急医療、感染症医療などの役割を果たすことができるよう、引き続き支援を行います。がん検診や特定健診については、あらゆる世代にわかりやすい情報発信を行うとともに、受診機会の充実を図ります。あわせて、家庭で発生する子どもや高齢者の事故を未然に防ぐため、実例を題材とした絵本やリーフレットを作成し、絵本の読み聞かせや講座等に活用するなど予防救急の普及啓発に取り組みます。さらに、外国人観光客や在留外国人の増加を踏まえ、急病などの緊急時における119番通報などの際の多言語通訳について、対応言語数を5カ国語から7カ国語へ拡充します。
次に、人口減少の要因である少子化対策については、安心して子どもを生み育てることができるまちとなるよう、結婚、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援が必要となります。そこで、子どもの健康保持と子育て家庭の経済的負担の軽減を図るため、子どもの医療費助成について、平成29年10月から中学生の入院も助成対象とするとともに、多子世帯における保育所、幼稚園等の保育料の軽減について要件を緩和し、その対象を拡大します。あわせて、子どもの病気の発生と蔓延を予防するため、幼児に対するB型肝炎ワクチンの任意予防接種について、平成29年1月から開始した接種費用の一部助成を引き続き実施するとともに、平成29年度は、全ての市立小学校でフッ化物洗口を実施し、保育所、幼稚園、認定こども園、市立中学校への拡大を図ります。また、市中心部における保育ニーズに対応するため、市内における認定こども園移行のモデル園として、ことし4月1日から市立長崎幼稚園を幼保連携型認定こども園へ移行し、ゼロ歳児から5歳児までの保育に対応します。また、放課後等における子どもたちの安全安心な居場所づくりを推進するため、放課後児童クラブの量の確保と質の向上を図るとともに、放課後子ども教室については、地域の方々に参画していただき実施する小学校区を拡充します。
こうした子育て支援とあわせ、結婚を望む方々への支援については、企業・団体の独身男女グループ同士のマッチング支援の対象を近隣市町へ拡大します。また、民間事業者が実施する婚活イベントとの連動を図るとともに、長崎県や県内の自治体及び関係団体と連携した取り組みを推進するなど、さらなる出会いの場の創出を図ります。
(7)創造的で豊かな心の育成
ことし1月、長崎市の教育に関する方向性を明確にすることを目的として、新たに長崎市教育大綱を策定しました。学校、家庭、地域、行政などのさまざまな主体があらゆる分野において連携・協力し、長崎のまちが一体となるつながりと創造という基本姿勢のもと、これからのまちをつくり次の世代に引き継ぐ人材を育成するため、長崎の未来をつくるひとづくりに取り組みます。
まず、国際理解教育については、次代を担う子どもたちがみずから進んで外国人とコミュニケーションがとれるよう、外国人講師を市内の保育所等に派遣するモデル事業を実施し、英語の歌やゲームといった活動を通じて外国人と交流する機会を提供するとともに、中学校における英語寺子屋事業の実施校を拡大します。平和教育については、これまでの指針を見直し、長崎から平和をつくっていくというメッセージを発信できる子どもを育成するため、被爆の継承、平和の発信に平和の創造を加えた新しい平和教育の指針を作成します。さらに、長崎ならではの体験活動の推進については、長崎のよさを実感し、ふるさと長崎に誇りを持ち、長崎が持つ世界的な価値を発信できるような子どもを育てるため、長崎の歴史や世界遺産を学習する長崎の宝発見発信学習事業を拡充します。また、さまざまな分野で活躍している第一線の人材を講師として学校に招き、その出会いや交流を通して、子どもたちの将来の夢を育み、展望を持たせるキャリア教育を推進します。
次に、子どもたちによりよい教育環境を提供するため、通学区域の見直しや学校の統廃合による学校規模の適正化と適正配置に取り組み、特に、教育上の課題が顕著である複式学級を有する過小規模校の早期解消に努めます。また、保護者の経済的な負担軽減を図るため、遠距離通学等への支援として実施している通学費補助の補助率を、現在の4分の3から全額補助へ拡大します。あわせて、平成30年4月に小学校へ入学を予定している子どもの保護者のうち、経済的な理由により就学援助が必要な方に早期支援を図るため、新入学用品費を入学前の3月に支給します。学校給食については、献立の充実、食物アレルギーへの対応、給食施設の老朽化等の課題に対応するため、学校給食センターの整備に向けた検討を進めます。学校建設事業については、小島養生所跡遺構と併存する仁田佐古小学校を初め、外海地区の中学校及び伊良林小学校の新校舎等の建設や老朽化が著しい小島小学校の改築に必要な取りつけ道路の整備に向けた取り組みを進めます。科学教育の振興については、子どもたちの科学への興味や関心をより高めるため、科学館の展示室のリニューアルについて、平成28年度に策定した基本・実施設計をもとに、平成30年度にかけて展示物の製造を行います。また、長崎半島で発見された恐竜化石の活用を図るため、野母崎田の子地区における恐竜博物館の建設に向けた基本構想の策定に取り組みます。スポーツの振興については、平成31年に開催されるラグビーワールドカップ2019において事前キャンプを実施するスコットランドとラグビーを通じた交流をさらに深めるとともに、平成32年に開催される東京2020オリンピック・パラリンピックのキャンプ誘致に取り組み市民のスポーツへの関心を高め地域活性化につなげます。文化の振興については、長崎のまちなかににぎわいを生み出してきたまちなか音楽会に、舞踊、ダンス、演劇のジャンルを取り込んだNagasakiまちなか文化祭を昨年に引き続き開催し、市民の芸術文化活動の発表や鑑賞の機会を創出します。
(8)多様な主体による地域経営
まちづくりの主役は市民一人ひとりであり、市民を初め企業、大学、行政など多様な主体が互いにつながり、自分たちのまちは自分たちでよくする仕組みづくりを進めます。
地区公民館については、市民がより使いやすく、集いやすい地域コミュニティの拠点施設とするため、ことし4月から式見地区公民館を、10月から土井首、木鉢、晴海台の地区公民館をそれぞれふれあいセンターとして設置するとともに、今後も地域との協議が整った施設から順次ふれあいセンター化を進めます。地域コミュニティの核となる自治会については、昨年、長崎市と長崎市保健環境自治連合会が不動産関係団体との間で自治会加入促進に関する協定書を締結したことを機に、アパートやマンションの入居者に対して地元自治会と連携を図りながら加入の働きかけを行います。また、市民活動団体など多様な主体同士がまちづくりの担い手としてつながりを強め、お互いに協働できるよう努めます。長崎伝習所事業では、若い世代が社会的課題に向き合う市民活動の担い手として活躍できるよう若者が自由に話す場を設けるなど、若い世代の意欲や発想を生かした取り組みを推進します。
次に、地域を応援するための市役所の仕組みとして、支所や行政センターを含めた市役所の体制を見直し、地域住民の相談・手続や地域が行うまちづくりの窓口である地域センターと土木や保健、生活保護など、住民の生活に密着した仕事を行う職員の拠点である総合事務所を整備し、それぞれが連携して地域全体を見渡し、支える体制をつくります。地域活動を支える地域コミュニティの仕組みについては、地域の担い手不足などさまざまな課題が生じている中、地域の力を合わせて暮らしやすいまちをつくるため、地域の担い手を対象とした講座を開催し、リーダーの発掘・育成に取り組むとともに、よりよいまちづくりに向け話し合う場づくりを支援することにより話し合う文化の醸成を図ります。また、市民の皆様の地域活動を応援するためには職員の育成も重要であることから、まちづくりを支援する職員の資質向上に取り組みます。
公共施設マネジメントについては、取り組み自体への理解を図るとともに、地域を一番よく知っている市民の皆様と話し合いの場を持ちながら地区ごとに施設の再配置や復号化などの考え方を示す地区別計画の策定を順次進めます。また、これからは単独の自治体での取り組みではなく、結びつきが強い近隣の自治体と連携し、それぞれの地域資源などを活用しながら地域の暮らしやすさを守っていくことも大事になります。昨年12月、長崎市と特に結びつきが強い長与町、時津町との間で、行政区域を越えて広域的に連携するための協約を締結しました。ことしは、その目指す将来像をまとめた連携中枢都市圏ビジョンを策定し、連携の具体的な取り組みを進めます。行財政改革については、これからの市政を取り巻く環境を踏まえながら引き続き市民サービスや業務の質が向上する取り組みと健全な財政運営に向けた取り組みを進めます。まず、社会情勢の変化に的確に対応し、市民起点で現場の課題を捉え、着実に成果を上げる市役所をつくるため、職員一人ひとりの基礎力や考える力、管理職員の組織マネジメント力を高める取り組みを進め、チーム全員で仕事に取り組む職場づくりを推進します。
次に、市民ニーズに合った市民サービスの提供については、マイナンバー制度開始に伴い、昨年1月から住民票などの証明書の一部をコンビニエンスストアでも発行しており、今後もマイナンバーカードの普及を促進するため、地域に身近な公民館等にカード申請の臨時窓口を開設します。自主財源の確保に向けては、市税等の現年分の徴収向上や滞納処分の強化に努めるとともに、その他の債権の全庁的な管理の徹底や新たな未収金の発生抑止と滞納繰越分の整理を推進し、収納率の向上を図ります。さらに、市有財産の売却、エレベーター広告など市有財産の活用やふるさと納税のPRなど、自主財源をふやす取り組みを行います。
以上、申し述べました方針に基づいて編成した平成29年度予算は、一般会計2,096億7,000万円、特別会計1,220億9,502万9,000円、企業会計454億5,965万8,000円、合計3,772億2,468万7,000円となっています。
4.終わりに
時代の流れとともに、長崎のまちも大きく変化してきました。今後、本格化する人口減少社会、少子化・高齢化の進行など、社会経済情勢の変化に的確に対応し、持続的に成長可能な長崎のまちの実現を目指すためには、多くの市民の皆様に当事者としてまちづくりに参加していただくことが重要です。
長崎のまちを構成する多様な主体が、長崎のまちをみんなでつくる、自分たちのまちは自分たちでよくするという長崎市よかまちづくり基本条例の考え方を共有し、世界都市、人間都市の実現に向け、それぞれができることを出し合いながら、協働によるまちづくりを進める必要があります。特に、平成29年度は、新庁舎建設や交流拠点施設の検討など、今後の長崎市に必要な節をつくる大型事業が動き出す年です。これらの大型事業や地域の仕組みづくりについては、さまざまな機会を通じて市民や市議会の皆様に情報をお示しし、ご意見をいただきながら進めたいと考えています。
引き続き、市民の皆様並びに議員各位の大いなるご支援とご協力を賜りますよう心からお願い申し上げまして、平成29年度の施政方針といたします。=(降壇)=
16 ◯議長(野口達也君) 次に
日程15
第3号議案 平成28年度長崎市一般会計補正予
算(第7号)
から
日程66
第55号議案 包括外部監査契約の締結について
まで、以上52件を一括議題といたします。
市長の説明を求めます。市長。
〔田上富久君登壇〕
17 ◯市長(田上富久君) ただいま上程されました議案52件について提案理由をご説明いたします。
まず、平成29年度当初予算に係る議案からご説明いたします。
第9号議案「平成29年度長崎市一般会計予算」でございますが、予算編成に当たっての考え方、主な取り組みにつきましては、先ほど施政方針の中でご説明申し上げたとおりでございます。
第10号議案「平成29年度長崎市観光施設事業特別会計予算」は、グラバー園及びロープウェイの運営に係る経費などを計上しています。
第11号議案「平成29年度長崎市国民健康保険事業特別会計予算」は、被保険者に係る保険給付や国民健康保険診療所の運営に係る経費などを計上しています。
第12号議案「平成29年度長崎市土地取得特別会計予算」は、公共用地取得のための経費などを計上しています。
第13号議案「平成29年度長崎市中央卸売市場事業特別会計予算」は、中央卸売市場の運営に係る経費などを計上しています。
第14号議案「平成29年度長崎市駐車場事業特別会計予算」は、市営駐車場の運営に係る経費などを計上しています。
第15号議案「平成29年度長崎市財産区特別会計予算」は、財産区の管理に係る経費などを計上しています。
第16号議案「平成29年度長崎市母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計予算」は、母子及び父子並びに寡婦の福祉資金貸付金などを計上しています。
第17号議案「平成29年度長崎市介護保険事業特別会計予算」は、介護保険の保険給付に係る経費などを計上しています。
第18号議案「平成29年度長崎市生活排水事業特別会計予算」は、集落排水事業などに係る経費などを計上しています。
第19号議案「平成29年度長崎市診療所事業特別会計予算」は、池島診療所、小口診療所及び野母崎診療所の運営に係る経費などを計上しています。
第20号議案「平成29年度長崎市後期高齢者医療事業特別会計予算」は、後期高齢者医療広域連合納付金などを計上しています。
第21号議案「平成29年度長崎市立病院機構病院事業債管理特別会計予算」は、長崎市立病院機構に係る病院事業債の管理に係る経費などを計上しています。
第22号議案「平成29年度長崎市水道事業会計予算」は、水道施設の維持管理に係る経費や建設改良事業費などを計上しています。
第23号議案「平成29年度長崎市下水道事業会計予算」は、下水道施設の維持管理に係る経費や建設改良事業費などを計上しています。
以上が平成29年度当初予算に係る議案でございます。
次に、平成28年度補正予算に係る議案についてご説明いたします。
第3号議案「平成28年度長崎市一般会計補正予算(第7号)」は国の未来への投資を実現する経済対策に伴う国庫補助事業費や減債基金積立金などを計上するものでございます。
第4号議案「平成28年度長崎市国民健康保険事業特別会計補正予算(第3号)」は、事業勘定における国庫支出金等過年度分返還金などを計上するものでございます。
第5号議案「平成28年度長崎市土地取得特別会計補正予算(第1号)」は、土地開発基金借入金償還金などを計上するものでございます。
第6号議案「平成28年度長崎市財産区特別会計補正予算(第1号)」は、財産区管理費積立金などを計上するものでございます。
第7号議案「平成28年度長崎市後期高齢者医療事業特別会計補正予算(第2号)」は、後期高齢者医療広域連合納付金などを計上するものでございます。
第8号議案「平成28年度長崎市下水道事業会計補正予算(第2号)」は、新ネットワーク管布設工事に係る債務負担行為などを計上するものでございます。