今春、市立中学校に入学した生徒の保護者の方から相談がありました。中学校の入学時には、学校指定の制服、体操服、通学かばんなど、一括して購入する必要のある用品が多数ありますが、その購入費用の負担が重くのしかかっているとの相談でした。この学校では制服としてブレザーを採用していることも要因かとは思いますが、入学初年度に要する指定用品等をすべてそろえるのに10万円近くの金額が必要になるとのことです。
各学校の指定用品については学校長の裁量により行っており、各学校によって金額の幅はあるようですが、学校選択制もなくなった今、公立の市立中学校であるのに費用が高額となっていること、また、学校によって購入費用にばらつきがあるのはいかがなものかと疑問に感じました。この件について、市教委としてどのような把握をされているのでしょうか。また、高額となる購入費用は保護者の皆様にとって大変な負担となります。特に、生活困窮世帯に対してはどのような助成を行っているのか、あわせてお示しください。
次に、大きな2点目、地方分権についての(1)義務づけ、枠づけの見直しに伴う本市の取り組みについてお尋ねいたします。
地域主権一括法の本年4月の本格施行を受け、法令による義務づけ、枠づけの見直しに伴う関連条例の制定、改正が始まっています。地方のことは地方で決める。そのための具体的な自治事務の改革として、これまで法令により国が全国一律に定めていた施設等の設置管理の基準を、地域の実情を踏まえた独自性のある基準として条例に定めることが可能となります。きめ細やかな住民サービスの提供や効率的な予算の執行など、この義務づけ、枠づけの見直しを地域再生の絶好の機会と捉え、戦略的な視点で地域の自立を目指していくことが重要です。
そこで、今回の義務づけ、枠づけの見直しに伴う本市の取り組みとして、1)条例の制定改正における市の基本方針、2)市独自の基準を設定した条例の割合、そして、3)独自の基準を設定する上での住民ニーズの把握や周知の方法など、手続のあり方についてお尋ねします。
次に、(2)
九州広域行政機構構想及び道州制に対する本市の考えについて伺います。
将来の道州制実現に向けた試金石、一里塚と見られていた国出先機関を地方移管するための関連法案は、さきの国会では提出が見送られました。地域主権改革は現政府与党の掲げる最優先課題、いわゆる1丁目1番地と位置づけられており、国出先機関を原則廃止とし、地方へ移管することは閣議決定を経ていたにもかかわらず、約束が果たされることはありませんでした。それぞれ受け入れの手法や考え方は異なりますが、出先機関の受け入れの準備を行っていた関西や四国、九州の知事会などは肩透かしを食らった格好となっています。その
九州地方知事会ですが、国出先機関の地方移管に積極的であり、出先機関の受け皿組織として
九州広域行政機構構想を発表しています。
国出先機関の地方移管については、市長会と知事会、また各自治体レベルでも賛否、さまざまな意見が見受けられますが、主に
九州地方知事会の動向を踏まえて
九州広域行政機構構想、さらに、その先に見据える道州制についての市の見解を伺いたいと思います。
次に、(3)分権時代における本市職員のあり方について。
これまで申し述べたように、この地方分権の流れが加速する中で今、地方自治体の行政組織は、これまでのように国の出先機関として全国一律に横並びで運営するのではなく、地域が独自に考え、決定し、責任を持って運営していく独立した経営体へと位置づけが変わってきました。そのような中、市職員についても、みずから考え行動する、みずから決めて実現する力が求められています。
分権時代に求められる市職員のあり方についての考え及びその人材育成の取り組みについてお示しください。
次に、大きな項目の3、市有財産の有効活用についての(1)
メガソーラー発電事業者への市有地の提供について伺います。
先日、高島町の市有地において、
メガソーラー発電事業に関する企画提案を募集することが公表されました。
再生可能エネルギーの利用拡大に向けた取り組みとして、
メガソーラー発電事業を担う民間事業者に対して、市有地を提供するなど支援を行うことは重要です。県及び県内の市町を初め、全国の自治体でも同様の取り組みが広がっています。今回、市が公募している土地は高島町の普通財産となっている遊休地ですが、市有地としては普通財産のみならず、行政財産においても
メガソーラー発電事業を誘致することで有効活用できる土地が見受けられます。例えば、
三京クリーンランド埋立処分場には、一定期間、特段の活用見込みがないまとまった土地があります。折しも他都市の事例として、浜松市では活用の見込みのない
一般廃棄物最終処分場跡地に
メガソーラー事業者を誘致するため、事業公募を実施されています。
再生可能エネルギーの利用拡大と持続可能な低炭素社会の実現に向けた取り組みを進めるためにも、市として
メガソーラー発電事業者に対する、さらなる市有地を活用した積極的な提案ができないか伺います。
次に、大きな項目の4
障害者福祉施策についての(1)
福祉就労障害者の工賃アップへの取り組みについてですが、先日、同僚議員からの同趣旨の質問に対し答弁があり一定の理解を得ましたので、この点については、時間があれば後ほど、別の視点から自席にて質問をさせていただきます。
最後に、
障害者福祉施策についての(2)障害者施設への受注機会の拡大について伺います。
さきの国会において、
障害者優先調達推進法が成立しました。同法では、障害者がつくる製品の優先的な購入を国などに義務づけ、就労機会をふやすことで障害者の自立を促進することを目的としています。
同法の趣旨を踏まえ、本市における
障害者施設等への物品購入等の発注実績の現状と、
障害者施設等の受注機会の拡大に向けた今後の取り組みについて伺います。
以上、本壇からの質問といたします。
=(降壇)=
3 ◯副議長(鶴田誠二君) 市長。
〔田上富久君登壇〕
4 ◯市長(田上富久君) 公明党、林 広文議員の質問にお答えします。
まず、2点目の地方分権についての(2)
九州広域行政機構構想及び道州制に対する本市の考えについてお答えします。
(仮称)
九州広域行政機構は、国が平成22年6月に閣議決定した
地域主権戦略大綱に盛り込まれた国の出先機関の原則廃止の方針を受け、
九州地方知事会が国の出先機関の事務、権限、人員、財源等を丸ごと受け入れる組織として設立を目指そうとするものであります。当面は、地域活性化と関連の深い
九州経済産業局、
九州地方整備局、
九州地方環境事務所の3機関の移譲を実現したい考えを表明しております。
このような中、九州市長会では、機構設置後、災害時に迅速な対応が行えるのか、想定されている
九州広域行政機構の仕組みで、円滑な意思決定や情報共有ができるのか、3層が4層になるだけではないのか、予算は確保できるのかなど、多くの疑問点が上げられております。一方、九州市長会では、
地方分権型社会の実現と持続可能な地域の発展を図るための最良の処方箋は道州制の導入であるという考えのもと、平成17年5月から九州における道州制である九州府のあり方について研究を開始し、ことし5月に主に県から基礎自治体への権限移譲のあり方や住民自治の充実についてなど、住民に身近な基礎自治体の立場や住民目線を重視した具体的な考え方を提示した九州府
構想推進計画報告書を取りまとめております。
ご質問の
九州広域行政機構についての見解ですが、機構の設立が九州府の実現に向けた第一歩という位置づけであれば一定理解できますが、それが示されていない中で、多くの問題点を抱えたまま、しかも、市町村との十分な議論もないままの受け入れは時期尚早であると考えています。また、道州制の考え方についてですが、道州制はより広域で、かつより身近でという、ある意味では逆方向に見える2つの時代の要請を受けての具体的な
地方自治制度の再構築案であると考えています。
「より広域で」の方向性については、九州府の実現によりまして、国から権限や財源などが移譲されること、また、行政エリアや財政規模が現在より大きくなり、県境を越えたオール九州で地域経済の活性化や災害対応に取り組めるなどのメリットが考えられます。
「より身近で」の方向性については、九州府の実現により、地域住民に最も身近な基礎自治体の権限が強化され、個性的なまちづくりやきめ細かなサービスの提供を可能とすることが重要と考えています。その際、自分たちのまちは自分たちでよくするという住民自治の感覚が基盤とならなければ、地域主権はうまくいかないと考えています。
道州制についての議論は、全国的にはまだまだ熟しておらず、知事会、町村会なども含めた今後の議論の活発化が必要であると考えています。
次に、2点目の(3)分権時代における本市職員のあり方についてお答えします。
地方分権時代において、行政を取り巻く環境が複雑かつ高度化、多様化している中、
職員一人ひとりがこれまで以上に高い専門知識や能力などを有することが必要となっています。このような中、第四次総合計画において、みずから考え、みずから発信し、みずから行動する職員を育成することを個別施策に位置づけております。また、
人材育成基本方針においては、自立した職員、時代の変化に敏感な職員、対話のできる職員、組織や人を育て管理運営できる職員、高度な専門知識を持った職員を求められる職員像とし、市民に信頼される市役所を目指すため、次の4つの基本的な考え方に沿い、これまで職員力向上に取り組んできました。
基本的考え方の1点目、職員の意欲を高め能力開発を支援するにおいては、視野を広げ、幅広い知識を習得させるため、国、県の団体や研修機関への派遣などに取り組んでおります。
また2点目、活力ある職場風土をつくるにおいては、その主な取り組みとして、改善が当たり前の職場風土を醸成するため、職員提案制度、
市役所はってん機構の充実を図っており、新たな視点、柔軟な発想で物事を考えることを促しております。
次に3点目、職員の能力、適性を生かした人事制度を確立するにおいては、職員に多様な経験を積ませることはもとより、みずからの能力適性の把握を目的としまして、採用後10年程度までに企画管理部門、窓口部門、事業部門などの性格の異なる所属を異動するジョブローテーションなどの取り組みを行っております。
最後に4点目、市民と協働して地域をつくるにおいては、民間の経営感覚を養うための異業種交流研修や新規採用職員を対象とした
地域等訪問研修などを実施し、市民との連携や、協働ができる職員を育成する仕組みづくりを進めております。
今後は、研修内容等をさらに充実させ、職員の能力向上を図るとともに、職員の意識も変えていかなければならないと考えております。そのためには、仕事に対する姿勢や考え方をさらに発展させ、取り組むべき仕事をみずから考え、立案する自立型に変わっていくこと、また、市民や企業と連携する協働型や、今の時代に合わせた仕組みやルールをつくり出す創造型をプラスして仕事に取り組むことが必要であると考えています。さらに、職場は市役所ではなく、長崎のまち全体が職場であるという意識へと変化していくよう、現場での実地研修や市民との意見交換などの取り組みについても充実させたいと考えております。常に市民起点で仕事に取り組み、成果を上げられる市役所になることを目指し、私自身があらゆる機会を通じて、市政に対する思いを職員に伝え、みずから考え行動できる自立した職員を育成し、より一層の
行政サービスの向上に邁進したいと考えております。
次に、3点目の市有財産の有効活用についての(1)
メガソーラー発電事業者への市有地の提供についてお答えします。
東日本大震災に伴う
原子力発電所事故をきっかけに、より安全なエネルギーを基盤とする社会への転換を図るとともに、環境負荷の少ない循環型で持続可能な低炭素社会の実現に向けた取り組みを進める必要性が高まっています。そこで、長崎市では
エネルギー消費の全体量を縮小させる省エネルギー、太陽光を初めとして風力、水力など自然の力を利用した
再生可能エネルギーを地域みずからでつくり出す
創エネルギー、市民生活や社会基盤に深く関わる
エネルギーシステムなどについて市民と一緒に考える論エネルギーという3つの柱に基づき、
再生可能エネルギーの利用拡大と低炭素社会の実現に向けた取り組みを推進しています。このような中、
再生可能エネルギーにより発電した電気を一定の価格で、一定の期間、電力会社に買い取ることを国が義務づける
再生可能エネルギーの
固定価格買取制度がことし7月1日から始まりました。平成24年度は、発電した電気の1キロワット
アワー当たり税込み買い取り単価が42円で、電力会社が20年間買い取ることとなっていることから、これを契機として、全国的に、いわゆる
メガソーラー発電事業が活発化しています。
議員ご質問の市有地の有効活用策としての
メガソーラー発電事業者への提供につきましては、先ほど述べました
再生可能エネルギーを地域みずからでつくり出す
創エネルギーを推進する中で、
太陽光発電事業へのさらなる支援策として、
太陽光発電用地として適地となる市有地があれば、できるだけ民間事業者へ提供していくこととしております。
そこで、長崎市における1カ所目の取り組みとして、高島町にあります普通財産の埋立地約9万平方メートルについて、現在、公募により
メガソーラー発電事業者の選定を進めております。
一方、行政財産につきましては、平成18年の
地方自治法改正により、余剰部分を貸し付けることも可能となりました。しかし、
メガソーラー用地として提供しますと、長期間にわたり財産の使用が制限されることとなるため、その行政財産の本来の目的に支障がないかについて、個別に判断していく必要があると考えています。行政財産のうち、具体的にご質問のありました
三京クリーンランド埋立処分場につきましては、地元の皆様から用地を借り上げ、1工区から3工区に分けて埋め立てを進めておりましたが、借り上げておりました民有地を平成19年度に買収させていただいております。そこで、
メガソーラー用地として提供が可能かについてですが、まず、2工区については、現在、埋立中であり、提供することは不可能となっております。次に、1工区ですが、裁判で係争中の用地が1工区の中心部の多くを占めておりますので、これも現在は提供することは困難であると考えております。次に、3工区につきましては、将来の埋立用地として確保しておりますが、仮に
メガソーラー用地としての供用期間が20年程度であれば、埋立計画に影響を及ぼすことはないと考えております。しかしながら、今後も
三京クリーンランドの埋立処分場を地元の皆様と調整を図りながら円滑に運営するためには、埋め立て以外の目的で供用する場合は、地元の皆様のご理解が第一の前提であると考えています。また、廃棄物処理法上の最終処分場として位置づけられておりますので、これを埋め立て以外の目的として使用する場合の法的な問題についても整理する必要があると考えています。このように、幾つかの課題がありますが、関係する皆様との協議や、解決すべき問題の整理を今後行っていきたいと考えております。
以上、本壇からの答弁といたします。=(降壇)=
5 ◯教育長(馬場豊子君) ご質問の1点目、教育行政についてのうち、(2)通学路の安全対策についてお答えいたします。
今年4月、全国各地で児童が交通ルールを遵守していたにもかかわらず、悲惨な事故が連続して発生したことを受け、教育委員会といたしましては、5月末までに、市立小中学校の通学路の緊急点検調査を行いました。この調査は、学校現場からの視点のみの緊急的な調査であったことから、再度、学校そして市道を所管する市の道路維持課、国道・県道を所管する長崎県長崎振興局及び交通規制等を所管する警察による合同調査を6月8日から6月29日にわたり小学校分について実施いたしました。なお、中学校分につきましては、今回、小学校分を優先的に対応しているため、それらに一定のめどがつく10月に関係機関との合同調査の実施を予定しております。
小学校の合同調査の結果、何らかの改善が必要と思われる箇所が188カ所確認されました。内容別に見ますと、ガードレール42カ所、道路改良35カ所、路側帯設置など22カ所、信号機14カ所、白線塗り直しなど12カ所などとなっております。所管別に見ますと、長崎市所管分110カ所、長崎県
長崎振興局所管分42カ所、警察所管分36カ所でございました。
ハード面での対応といたしまして、長崎市所管分110カ所のうち、対応可能と判断したものが88カ所あり、そのうち
白線塗り直し等につきましては、ほぼ完了いたしております。残りの分につきましても、現在優先的に工事を進めており、ことしじゅうには完了予定でございます。次に、安全確保のために必要な手法の検討を要するものが15カ所ございますが、手法が決定次第、順次施工することといたしております。残り7カ所につきましては、道路幅が狭いことや駐車場の出入り口となっているため、ガードレールが設置できないなど、現時点では対応困難と判断いたしております。長崎県長崎振興局分42カ所、警察署所管分36カ所、計78カ所につきましては、現在、両機関とも鋭意、その対応を進めているとお聞きしております。今後の協議の中で実態を把握し、対応可能なもの、時間がかかるもの、対応困難なものに整理した上で、早急な対応に努めることといたしております。いずれの所管分でありましても、対応困難と判断されたものにつきましては、安全確保のための方策を再度検討することといたしております。
次に、ハード面ですぐに対応できないものにつきましては、ソフト面での対応として、学校及びPTA等に対し、安全確保のため、校門や交差点などで
交通安全指導の協力要請を行なっております。なお、通学路の安全確保につきましては、これまでも日常的に各学校自体はもちろんのこと、子どもを守るネットワークを初めとする地域の方々のご協力を得ながら、その状態の把握に努めてきております。また、登校時などにおきましても、保護者、交通指導員、地域の方々のご協力のもと、
交通安全指導も実施されております。
今後とも、交差点などでの
交通安全指導を継続するとともに、パトロール等により指摘された箇所につきましては、関係機関と連携しながら、その都度対応していくこととしております。あわせまして、児童生徒に対しましては、自分の身は自分で守ることができますよう、安全教育のさらなる徹底を図ってまいりたいと考えております。
次に、(3)中学校入学時の
指定用品購入費用の把握についてお答えいたします。
中学校入学時には、それぞれの学校において指定された制服、体操服、通学かばん、上履きなどを購入することとなっております。その購入品の中でも、特に高額となります制服につきましては、デザインや購入金額も含め、PTA等と十分協議した上で設定しております。指定用品の品目や金額は、学校によってさまざまであり、毎年すべての学校について把握しているわけではございませんが、入学時の購入費用につきましては、おおむね6万円から8万円程度と認識しております。学校におきましては、入学時の保護者負担軽減のため、PTA等が中心となり卒業生の制服やかばん等を譲り合う取り組みを行ったり、小学校で使用していた物を中学校入学後も引き続き使用できるようにするなどの工夫をしている事例もございます。
教育委員会といたしましては、今後とも、入学時に保護者の過度な負担とならないよう、このような事例を紹介するとともに、指定する品目や金額などを保護者と十分協議するよう、学校に指導してまいります。なお、長崎市における新入学用品費に対する助成制度といたしましては、まず、生活保護世帯に対しましては、入学準備金として国の基準単価である4万6,100円が支給されております。また、準要保護世帯に対する就学援助制度におきましては、要保護世帯に対する新入学用品費の国庫補助単価と同額の2万2,900円を支給いたしており、給付額の引き上げにつきましては、現在のところ考えていないところでございます。
以上でございます。
6 ◯総務部長(橋田慶信君) ご質問の2点目、地方分権についての(1)義務づけ、枠づけの見直しに伴う本市の取り組みについてお答えいたします。
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律、いわゆる
地域主権一括法は、地方自治体の自主性を強化し、自由度の拡大を図ることを目的として、地方自治体に対する事務処理及びその方法に係る義務づけ、枠づけの見直しと条例制定権の拡大、基礎自治体への権限移譲を図るため、平成23年5月に公布された第1次一括法と、平成23年8月30日に公布された第2次一括法により、関係する多くの法律が一括して改正され、本年4月1日から本格的に施行されております。この
地域主権一括法の施行により、長崎市におきましても、平成24年度末までに、福祉施設、公営住宅、道路、都市公園などの設置管理基準を定める条例を初めとする44の関係条例について、制定、改正をする予定としております。
議員ご質問の条例の制定、改正における長崎市の基本方針につきましては、
地域主権一括法、その他関係法令の改正により、全国一律の基準が、条例の内容を直接的に拘束する「従うべき基準」、法令の規定を通常よるべき基準とする「標準」、法令を十分に参酌した結果であれば、地域の実情に応じて異なる内容を定めることができる「参酌すべき基準」の3種類に区分されたことに伴い、斜面地が多いという地形的条件、少子高齢化の進展などの長崎市の実情を考慮するとともに、これまで全国一律の基準の中で取り組むことができなかった事案についても検討を加えているところでございます。
次に、長崎市独自の基準を設定した条例の割合につきましては、平成24年2月議会から今議会までに提出している14の条例のうち、9つの条例において、国の基準とは異なる内容を規定しております。そのうち、5つの条例は、地形的条件を十分に考慮した規定を盛り込んでおります。例を申し上げますと、今議会に提出しておりますが、長崎市が新設、改築する道路の勾配と歩道の幅員、長崎市が管理する道路の警戒標識、都市公園の一部の規模に関する規定などでございます。なお、国の基準どおりの内容とした5つの条例におきましても、先ほどの基本方針に基づき、十分に検討を加え、取り組んできたところでございます。次に、独自の基準を設定する上での手続のあり方につきましては、制定、改正する条例の内容などに関して、その骨子や基本方針などを示しながら、パブリックコメントを実施し、広く意見を聴取することや、事業に関係する団体、機関と協議を重ね、意見をお聞きしながら事務を進めているところでございます。
今後とも、長崎市の実情、特性に応じた条例の整備に努め、きめ細やかな住民サービスの提供、効率的な予算執行などの地域主権改革に伴う条例制定権の拡大の意義、効果を十分に発揮することができるよう努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
7 ◯福祉部長(田中和博君) ご質問の4、
障害者福祉施策についてのうち、(2)障害者施設の受注機会の拡大についてお答えをいたします。
議員ご指摘のとおり、国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律、いわゆる
障害者優先調達推進法は、障害者就労施設等の受注の機会を確保するために必要な事項等を定めることにより、障害者就労施設等が供給する物品等に対する需要の増進を図り、障害者の自立の促進に資することを目的として、平成25年4月から施行されるものであります。地方公共団体におきましても、国と同様、障害者就労施設等からの物品等の調達方針の策定、調達実績の公表などが義務づけられておりますことから、同法の趣旨に沿った対応を講じてまいりたいと考えております。
長崎市におきましては従来から、障害者の施設への製品、作業の発注機会の拡大に取り組んでいるところであり、地方自治法の趣旨に基づき、あらかじめ公表した発注見通しに基づく障害者支援施設等との随意契約の締結を行っております。毎年度、障害者支援施設等に発注可能な業務や物品の購入などを全庁的に集約し、発注見通しを作成、公表した上で、施設の経営安定等に資するため、随意契約により発注を行うものでございますが、平成18年度には受注施設数が13施設、受注金額は約834万円であったものが、平成23年度の実績では24施設、約2,651万円まで拡大をしています。こうした取り組みにつきましては、今後も可能な限り拡充してまいりたいと考えており、また、
障害者優先調達推進法の施行にあわせ、国の基本方針及び調達方針が示される予定でございますので、国、長崎県及び他都市の動向等も見きわめながら、同法の趣旨を十分に踏まえ、適切に対応してまいります。
以上でございます。
8 ◯12番(林 広文君) 一通りの答弁をいただきました。いま少し理解を深めるために、自席から改めまして質問をさせていただきます。
まず、教育行政についての(3)中学校入学時の
指定用品購入費用の把握についてでございます。
先ほど答弁をいただきましたけれども、私自身も中学校に、生徒の皆さんが入学するのに大変な出費になるということで、大変だなということを保護者の方からお聞きしまして感じました。答弁の中で、指定用品の購入に要する費用がおおむね6万円から8万円ということだったんですけれども、私が伺った金額は10万円近くという金額とはずれがありますけれども、教材とか、そういった指定用品を含まないものも入っているかと思いますので、そこはよしとしたいと思いますが、やっぱり中学校の入学時に指定用品、制服でいいますと、どうしてもスペア、かえのものも買っておかなければならないとか、また、さらに部活動に入部した場合などを考えると、さらに高額の負担になることは間違いありません。もちろん、3年間にわたって使用するものでありますし、答弁であったように、学校と保護者、PTAの皆さんと協議した上での指定用品であるということは理解できるんですけれども、それにしても少し金額が高いんではないかなという感じがいたしました。
生活保護の国の基準が4万6,100円ということを考えますと、先ほどの答弁では6万円から8万円とありましたけれども、平均して7万円としても、それでもまだ2万円以上の開きがあります。私も、この相談を受けた方から、学校の制服の注文表の写しをいただきました。一部なんですけれども、客観的に高いか、安いかというのは大変難しいと思うんですけれども、冬のスラックスが1本8,400円、長袖のポロシャツが1枚4,200円、ポロシャツはかえも要るでしょうから、2枚買えば8,400円になります。夏服になりますと、今度はまたスラックスが7,700円、半袖のポロシャツが1枚で3,800円、これも2枚は必要となることから7,600円というふうになります。制服としては、このほかにもちろん、いろんなものも入っていますので、かなりの金額になるということなんですけれども、例えば、こういうシャツにしても、私も最近はこのポロシャツに2,000円以上かけて買ったことはありません。ちなみに、職員の皆さんがよく着ていらっしゃる「さるく」のポロシャツは1枚2,000円です。もちろん、学校の校章を入れたり、ひと手間入るのでしょうから、単純な比較はできませんけれども、保護者の方が感じる負担感も少しは理解できると思います。
そこで、この指定用品の購入費用をもう少し引き下げるような手だてはないのかという点をお聞きしたいんですけれども、例えば、学校指定用品のうち、カッターシャツとか、かばんとかシューズなど、各学校で使用が共通するものについては、地区別に学校を分けて共同購入を行うなど、価格の引き下げにつながるような取り組みはできないのかというふうに考えたんですが、この点についてお考えをお聞かせください。
9 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。
今、言われたように、近くの学校で共通して買うことができないかというご質問でございますが、例えば、補助バックみたいなものにつきましては、既製品に校章を入れているということで、既製品になっていることそのものが低価格に抑えられているというものでございまして、なるべくそのようなものを使って、特注的なものは避けるようなことは指導しております。
ただ、今回、ご質問があって調べたところ、確かに、学校ごとに開きはございますので、保護者の過度な負担にならないかという視点もしっかり考慮の上、指定品目、金額も設定していただきたいと思っておりますので、学校のほうには、今まで多分、よそとの比較というのは余りしていなかったと思います。そういう面では、全体的に各学校がこのくらいの費用で実施がなされているということは、全学校のほうにお知らせし、そして、過度の負担になっているのではないかという視点をもって、PTA等と協議をしていただきたいと思っております。
また、先ほど答弁でも申しましたとおり、PTA等で行われている譲り合いの制度を持っているところもございますので、ぜひそういうものも導入して、各学校で工夫していただけるようなことも指導してまいりたいと思っております。
以上でございます。
10 ◯12番(林 広文君) 次に、通学路の安全対策についてでございます。
答弁の内容なんですけれども、本当に速やかな対応を今回していただいております。本当に感謝申し上げます。また、なかなかこういった道路、安全対策というのは県、市、警察が連携して行うということはなかなかなかったことかと思います。そういった意味では、ここについても、きちっと連携した上で行っていただいたこと、大変に感謝をいたします。
答弁の中で、市の所管分が110カ所改善できる。また、その中で対応可能なものが88カ所、そして、何とかことしじゅうには完成できるというお話でございました。今回行った改善の工事等によりまして、例えば道路において、こういう問題があったけれどもこのように改善した、そういった特徴的なものの例示があればお示しいただきたいと思います。
11 ◯土木部長(本田 潔君) 再質問にお答えいたします。
今回の合同調査におきまして、学校現場からの要望に基づき調査を行ったわけでございますけれども、こういった中で、要望は要望として、例えば、ガードレールを設置してほしいとか、そういった要望があった箇所で現地を調査いたしましたところ、やっぱり駐車場があって、実際、現実には設置ができないとか、あるいは白線を引いてほしいといった箇所につきましても、そういった先ほどの箇所も含めまして、例えば、ここは白線をもっと伸ばしたほうがいいとか、路面表示をしていったほうがいいとか、そういったものについて改善というような対応はしているところでございます。そこは、現地に応じまして、安全が確保されるような方策を皆さんで考えながら、そういう対応を今行って、白線引き等につきましては、現在ほぼ完了しているということでございます。
以上でございます。
12 ◯12番(林 広文君) ぜひ継続的な取り組みをお願いしたいというふうに思います。
続きまして、いじめ根絶への取り組みについてお尋ねいたします。
先日の同僚議員の質問に対する答弁では、いじめの定義、いじめは人間として絶対に許されないとの基本姿勢、そして、直近のいじめ認知件数として860件であり、県内の認知件数の8割を占めることなどをお示しいただきました。教育長もおっしゃっておられましたけれども、件数が数多く認知されたことは、各学校がいじめの問題について高い危機意識を持ちながら、早期に発見した結果ではないかと分析しておられましたが、私もそのとおりだと思っております。特に、教育現場の教員の皆さんは、授業や生徒指導、進路指導、そして、クラブ活動とほぼ休みなしで頑張っておられる方、たくさんおられます。そういった中で、このいじめの問題についても、率先して当たっていただいていること、学校関係者の皆様には心から敬意を表するものであります。本壇でも申しましたけれども、行政、議会もこの問題に当事者として向き合う必要があると考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、先日の8月6日に、衆議院の青少年対策特別委員会において、いじめ問題に関する集中審議がございました。この委員会には、3人の有識者の方が参考人として呼ばれておりまして、この中に、いわゆる夜回り先生として有名な水谷 修さん、今、大学教授であられますけれども、意見を述べらておられました。その中で、印象に残ったのは、いわゆるいじめには2種類のいじめがあるというお話でした。2種類のいじめのうち、1つは教育的な解決が求められるいじめであって、具体的には子ども同士の悪口や集団による無視、または物を隠すなどのいたずらなどが上げられますが、子どもたちの間に教師を初めとする学校現場の方が介入することによって、いじめがエスカレートするのを予防したり、解決できたりするパターンであります。そして、もう1つは、学校以外の他の機関の関与が必要とされるいじめで、脅迫や金品の要求、著しい人権侵害などで、速やかに警察や家庭裁判所、または人権擁護委員会などに通報することで解決を図ることができるパターンというお話でございました。問題は、文部科学省また自治体の教育委員会もこの対応方法が全く異なるこの2種類のいじめがあるということを認識することなく、すべてをいじめとして学校内や教育委員会の内部で判断し、処理してしまおうとするところに、非常に大きな問題があるというふうに水谷先生はおっしゃっておられました。私もまさに、的を得た話であるというふうに感心をいたしました。
先日の答弁でも、いじめが発生した場合の指導体制、マニュアル、いじめを受けた子どもさんや保護者の方への相談体制、そして、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの派遣など、きめ細かい体制でいじめ発生の防止、発生した場合の速やかな対処方針など、ご説明をいただきました。しかしながら、この2種類のいじめがあることを考えると、いじめが発生した、または学校現場でいじめが認識された場合には、そのいじめの状況がどのような段階にあるのか、教育的な関与で解決できるのか、それとも、警察などのその他の機関に介入、あえて介入と言いますけれども、介入があって解決できる事案なのかという線引きが非常に重要なところではないかというふうに感じます。もちろん、まずはいじめの予兆をつかむ、気づき、発見が大事であることは間違いありませんが、一線を越えるような案件については、内部処理に固執することなく、警察などへの外部機関への通報などを速やかに行う必要があると思います。手おくれにならないためのこの線引きの部分、ルール化の部分について、教育委員会ではどのように考えておられるのか、考えをお伺いしたいと思います。
13 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。
長崎市教育委員会で作成しました学校教育相談の手引きというのをつくっておりまして、これは毎年、手を加えながら皆さんにお配りしているものでございますけれども、その中でも、今、議員がおっしゃられましたように、相談を受けたいじめが一定の限度を超える場合は、加害者に対し出席停止の措置を講じたり、警察関係機関の協力を求め、厳しい対応策をとることも必要で、特に暴力や恐喝など、犯罪行為に当たるいじめの場合は、必ず警察と連携して対処するということを明記しております。しかしながら、事例ごとに1件、1件違いまして、その線引きを判断することは大変困難でございます。
そういう状況の中、市といたしましては、平成21年から教育委員会と警察との協定を組んでおりまして、いつでも情報交換ができるような対策をとっております。そういう意味では、犯罪行為と認識するまでもなく、その前の段階からの個人情報を踏まえた相談ができる体制をとっておりますので、非常にその部分では相談がしやすい体制になっております。また、警察OBの方が巡回しますスクールサポーターという制度がありまして、その部分も毎回、学校に警察OBの方が巡回してまいりますので、その時点で気軽に相談ができるということができておりますので、この部分につきましては確かに、学校内で対応できる限度もございますので、ぜひ、警察の方々のお知恵もお借りしながら、早期の対応に努めていきたいと考えております。
以上でございます。
14 ◯12番(林 広文君) 大津市での事案を見ますと、ある意味、学校、教育委員会が問題のすべてを抱え込んでしまって、身動きがとれなくなって隠蔽に走るという構図が透けて見えるわけであります。その時点では、学校、教育委員会も加害者になってしまうという大変不幸なことになってしまいます。こういったことを深く認識しながら、そのすみ分け、線引きというのをしっかり持っていただきたいと思います。
次に、いじめの原因の分析についてお尋ねしたいと思います。
いじめの恐ろしいところは、誰もが加害者にも被害者にもなり得るという点です。ある統計によれば、いじめをしたことがあると答えた生徒の9割以上がいじめに遭った経験があるというデータがあります。きょう、いじめの加害者であった子どもが、あすは被害者になるということが現実に起こっています。大津の事件では、加害者の生徒も家族も、学校、地域を追われ、社会的な制裁を受け、心に大きな傷を負うことは間違いないと思います。いじめには、加害者と被害者、そして、傍観者の3者が存在しますが、悲惨ないじめにかかわった人は皆、ある意味全員が被害者となる得ると思います。
そこで、考えますことは、学校現場において、いじめという不幸な現象がなぜ起こるのかという、ある意味、根源的な問いになりますが、いじめが起きる要因、背景には何があるのか、その原因の分析が大事ではないかというふうに思います。このことについては、もちろん専門家の方の意見とか、心理学的な分析などは既にあるかもしれませんが、一向にいじめがなくならない、いじめを苦とする自殺がなくならない現状を考えますと、教育の現場や家庭環境、さらに広く社会情勢も含めて、何か見落としている部分もあるのではないかというふうに感じております。教育委員会として、なぜいじめが起きるのか、原因について分析などは行っているのでしょうか、お聞かせください。
15 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。
いじめの原因はさまざまあると思いますけれども、やはり、相手の身になって考える、そういう力が大事だと思っております。また、専門家の言葉をおかりしますと、いじめは学級やグループなどの同一集団の中で構造化する問題であり、集団の病理とも言われております。具体的には、いじめる者、いじめられる者だけの問題ではなく、いじめをはやし立てる観衆、あるいは見て見ぬふりをする傍観者などがいじめを取り巻く集団のありさまが、いじめの原因として大きく左右されているという分析もございます。そこで、いじめの問題だけではなく、子どもたちの規範意識や信頼関係を育てるふだんからの学級経営、そういうものが大切になってくると考えております。見て見ぬふりをしない集団づくりを行うことで、いじめ根絶に努めてまいりたいと思っております。
いずれにいたしましても、やはり、いじめは決して許されないという、そういう認識をしっかり子どもたちにも定着するように努めてまいりたいと思っております。
以上でございます。
16 ◯12番(林 広文君) これで最後といたしますけれども、先ほど触れましたけれども、教育長がおっしゃったように、いじめは人間として絶対に許されないという認識を児童生徒の皆さんはもちろん、学校現場、教育委員会、保護者の皆さん、すべての大人が共有することが今、大事ではないかというふうに思います。私も子どもを持つ親として、このいじめについての根本的な認識として、いじめはいじめた方が100%悪いという認識をぜひ徹底していただきたいと思っております。これだけいじめについての報道や、さまざまないじめ解消に向けた取り組みがあっている中でも、いまだに、いじめでは、いじめられる側にも落ち度があるのではないかといった誤った認識が一部には残っているのではと感じております。たとえどんな理由があるにせよ、いじめは絶対悪ということをもっと徹底して浸透できるように私たちも頑張っていきたいと思っております。そして、本来、子どもたちの未来のすばらしい可能性を開花させるための場所である学校を、子どもたちの命を奪い去る場所には絶対しないというこの強い決意で、いじめ問題には立ち向かっていただきたいというふうに思います。
最後に、教育長の強い決意をもう一度伺いたいと思います。
17 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。
いじめは、やはり人間として絶対に行ってはならないことということを徹底して行っていきたいと思っております。
一方では、やはりいじめはそう言いながらも、現実にあり得る問題だということで、やはり、学校、家庭連携しながら、大人たちのアンテナをしっかり高く保つ努力も必要だと思っております。
それともう1つ、やはり命は大事なんだということは、自分の命も相手の命も大切に尊重すべきものだということにつきましても、力を入れて指導してまいりたいと思っております。
以上でございます。
18 ◯副議長(鶴田誠二君) 次は、23番小宮慶一議員。
〔小宮慶一君登壇〕
19 ◯23番(小宮慶一君) 明政・自由クラブの小宮慶一です。質問通告に従い、順次質問してまいりますので、市長並びに理事者の明快なご答弁を求めます。
長年の悲願でありました九州新幹線長崎ルートが起工し、10年後の全線開通が確実な見通しとなりました。これで駅前周辺の再開発計画は急速に加速し、加えて魚市跡には県庁が建て替えられ、駅の西側にはコンベンション施設の配置が検討されるなど、長崎駅周辺は大きくその姿を変えようとしております。一方、駅周辺の開発だけでなく、市役所や公会堂の建て替え、県庁の跡地活用や出島表門橋の復元など市民や観光客のまちなかへの回遊性を高める取り組みも進められており、交流人口の拡大だけでなく、定住人口をいかにふやすか、市街地周辺のまちづくりも重要となってまいりました。そういう意味では、今、まさにまちづくりの総合力が問われているときではないかと思います。
そこで、私は今回もまた地域の振興とまちづくりの問題を取り上げさせていただきました。
合併地域のまちづくりについては、長崎市第四次総合計画にも地域の資源を生かしたまちづくりの重要性がうたわれております。確かに、合併して6年あるいは7年が経過し、社会環境の変化とともに新たな課題も見えてまいりました。また、新聞報道にもありますように、人口減少に歯どめがかからない過疎地域の問題も深刻さを増してきております。市長はこれまで、合併地域の振興については、市町村建設計画を着実に推進することが重要であり、市町村建設計画を補完し、地域の特性を生かしたまちづくりを推進するため、地域ごとの振興計画を本年3月までに策定すると繰り返し述べてまいりました。ところが、その姿がいまだ見えてまいりません。聞くところによりますと、本年度末までかかるような話ですが、なぜなんでしょうか。
そこでお尋ねですが、今回の地域振興計画の策定はどのような視点で、また、どのような方法で策定しようとしているのか、その考え方と取り組みの進捗についてお示しいただきたいと思います。
次に、地域振興策の具体的な事例として、最初に野母崎診療所の施設活用計画の進捗と市の対応についてお尋ねいたします。
住民の暮らしと地域振興に大きなかかわり合いを持つ市立野母崎病院は、平成19年、医師不足による医療の縮小以来、紆余曲折を重ねてまいりましたが、平成22年、医療の存続を柱とする基本計画が示され、野母崎病院は市直営の診療所として転換、継続し、診療所以外の部分は老人保健施設等の福祉施設として有効活用を図ることが決まりました。その後、診療所は医師確保の努力が実り、平成23年4月から医師2人体制による直営の有床診療所として運営が続けられております。残る診療所以外の部分についても、地元の強い要望等を踏まえ、介護、福祉の複合施設としての活用が決まり、本年7月までに公募による事業者の選定を終えたところであります。地元では事業者決定の説明を受け、地域の振興と安全・安心な暮らしを思う安堵の気持ちとともに早期開設を求める声が寄せられているのであります。特殊な地域性もあり、開設、運営には幾多の困難もあると思われますが、本市の地域医療検討会の指摘にもあるように、過疎化が進む野母崎地域の限られた医療資源を補うためにも、行政の積極的な関与と財政支援によって地域の医療、介護、福祉の拠点施設として早期開設の実現を図るべきだと思います。計画の進捗と市の対応についてお尋ねいたします。
次に、野母崎地域の観光振興の拠点施設である野母崎海の健康村の経営改善についてお尋ねいたします。
私は、2年前にも長崎市野母崎振興公社の経営に関連して、同趣旨の質問をさせていただきました。ちょうど長崎市外郭団体等経営検討委員会が、野母崎振興公社は平成26年度までに赤字を改善できなければ廃止を検討すべきとする見解を示し、平成23年度までに提言書をまとめるという新聞報道がされた直後のことでした。ところが、その後、海の健康村の経営は改善どころか、平成19年度ごろから悪化をし、平成20年度以降、連続4年間、赤字に転じ、平成23年度末現在で3,265万円の累積欠損金を抱えるに至っております。健康村の経営改善がなければ、90人の地元雇用を抱える公社の運営改善もあり得ないし、野母崎地域の観光振興政策にも大きなダメージとなることは目に見えております。
野母崎海の健康村の経営の現状と改善策についてお尋ねいたします。
次の野母崎小学校閉校後の跡地活用については、時間があれば自席からの質問とさせていただきます。
次に、教育行政の質問に入りたいと思います。
まず、全国学力・学習状況調査の結果分析と本市の見解についてお尋ねいたします。
文部科学省は、8月8日、4月に実施した本年度の全国学力・学習状況調査の結果を公表しました。翌8月9日付の新聞報道によると、文部科学省は全体的に学力の底上げが図られ、地域間の格差も縮まったとする一方、例年どおり秋田、福井両県が小中とも好成績で上位県の固定化が続いているとも述べておりました。また、長崎県の調査結果については、全国平均との差に大きな変化はなかったが、小学6年生の算数が全国平均を下回っていたなどとする県の分析結果が報じられておりました。長崎市は、学校教育の指導方針で心の教育の充実と確かな学力の向上に努め、特色ある教育を展開する中でみずから学び、みずから考え、生きる力の育成を目指す方向を示し、長崎市第四次総合計画には、全国学力・学習状況調査は全国調査であり、長崎市の児童生徒の学力の傾向を分析できると考えられるため、文部科学省から提供される調査の結果をもとに毎年把握し、全項目で全国平均以上を目標とするという方針を掲げております。そこで、本年度の全国学力・学習状況調査の結果を受けて、本市としてどのような分析をし、児童生徒の学力の傾向、課題等について把握されているのかの見解を求めます。
次に、最後になりますが、野母崎小中一貫教育モデル校の考え方についてお尋ねいたします。
小中一貫教育校については、野母崎地区内4小学校の統合に伴い、野母崎地域の子どもたちの豊かな人間形成と活力のある学校づくりへの新たな挑戦とする地域の願いのもとに進められてまいりました。現在、施設一体型の校舎建設とともに、平成26年4月の開校に向けて、野母崎地区小中一貫モデル校開校準備地域懇話会が立ち上げられ、小中一貫校としての特色ある教育方針や内容、学校の名称や校歌、制服等の問題についても協議が開始されたところであります。
そこでまず、市教委はこれまで小中一貫教育モデル校という言葉を使われておりますが、このモデル校というのはどういう意味で使われているのか、また、小中一貫教育は市の教育方針の中でどのような位置づけになるのか、改めて見解をお示しいただきたいと思います。その上で、小中一貫校において、教育課程の内容等についてどのような教育形態を考えているのか、他都市のような教育課程特例校を申請する考えはないのか、小中一貫校に対する市教委としての基本的な考えについてお尋ねいたします。
以上、本壇からの質問といたします。=(降壇)=
20 ◯副議長(鶴田誠二君) 市長。
〔田上富久君登壇〕
21 ◯市長(田上富久君) 明政・自由クラブ、小宮慶一議員の質問にお答えします。
まず、1点目の地域振興についての(2)野母崎診療所の施設活用計画の進捗状況についてお答えします。
野母崎診療所は、平成23年4月に入院病床65床を持つ病院から19床の診療所に移行し、運営を行っております。病院から診療所への移行に際しましては、地元からの要望である入所、通所機能を持つ介護福祉施設等の複合施設として空きスペースを活用するという基本方針のもと、ことし5月に市内の医療法人、社会福祉法人を対象に公募を行いました。公募事業者につきましては、学識経験者や地元の代表などで組織する選考委員会での審査を経て、社会医療法人長崎記念病院に決定をしました。今回、事業者から提案された介護福祉施設の内容ですが、特別養護老人ホーム、ショートステイ、デイサービスの3つの機能を持つ施設となっています。直営診療所につきましては、医師2名体制を維持することとしておりますが、現在実施していますデイケアは民間事業者が行うデイサービスとして引き継ぐこととし、入院につきましては、実績が少ない状況もあり、民間事業者のショートステイにより一部の機能代替が可能なことから廃止することを検討しております。
現在の取り組み状況につきましては、厚生労働省が定める介護施設の基準に合わせた部屋ごとの配置や1階部分の診療所との区分調整などについて事業者と協議を行っております。また、施設の改修費用につきましては、公募の際、事業者からは長崎市に負担を求める旨の要望がなされ、そのことを前提に事業者の決定に至ったことから、長崎市が初期改修費用については補助を行うこととし、現在、病床転換に係る国庫補助金や過疎債等の有利な財源確保に向けた検討を行っております。
この介護福祉施設につきましては、地元からも大きな期待を寄せられており、選考委員会からも地域の特殊性を十分踏まえた中で、行政としても不退転の決意で経済的支援等のサポートを行ってほしいなどのご意見もいただいております。
長崎市としましても、選考委員会や地元からのご意見、ご要望を十分踏まえた上で、この施設が地域の活性化や安心できる暮らしに資するよう、残された課題を1つずつ解決しながら、平成25年度中の開設を目指し、取り組んでいきたいと考えております。
次に、1点目の(3)野母崎海の健康村の経営改善についてお答えします。
野母崎海の健康村は、平成12年度末に旧野母崎町の国民宿舎が老朽化によりまして閉館された後、平成13年の4月に旧野母崎町が温泉と宿泊を兼ねた野母崎地区の観光の拠点として建築をし、開館をしました。運営につきましては、財団法人野母崎振興公社が受託をしており、長崎市と合併後の平成18年度からは指定管理者として、平成27年3月まで引き続き管理運営を行うことになっています。施設の利用者数につきましては、オープンした平成13年度には約22万5,000人の利用者がありましたが、平成23年度には約12万人まで減少してきております。
次に、経営状況ですが、平成19年度までは順調な経営がなされていましたが、平成20年度から4期連続の赤字決算となっております。野母崎海の健康村の健全な財政状況を維持するためには、経営の黒字化は急務であると認識をしており、平成20年10月、指定管理者である野母崎振興公社と連携し、経営改善計画の策定を行いました。長崎市としましても、この経営改善計画に基づいて施設の改修整備を毎年実施しており、中でもレストランにつきましては、平成21年度に座席の不足により利用客に対応できない状況があったことから、レストランの増築を行いました。62席を88席にして、利用者の利便性の向上と収益の増加を図ったところです。また、伊勢エビまつりと連携した食事の提供を行うなど食との連携を図るとともに、海の健康村前桟橋から出航する船を利用して、15分で軍艦島まで行くことができることを前面に打ち出した軍艦島プランの販売を行い、利用者増を図っております。
このような経営改善の結果、平成23年度宿泊者数については、1万1,004人と対前年度比1,596人増加をしております。そのほか、光熱水費や人件費等の経費削減もあわせた結果、平成23年度の赤字額は約274万円となり、前年度より赤字額が約1,188万円減少しております。
そして、さらに経営改善を推し進めるために、現状により適応した新たな経営改善計画をことし8月に策定いたしました。新しい経営改善計画は、平成24年度以降の収支の黒字化はもとより、指定管理期間が満了する平成26年度までの安定した経営を目的としており、旅行代理店や各種保養所との連携による誘致推進、インターネットを活用した情報発信、受付予約、そして、職員の意識改革によるサービスの向上を柱としており、全従業員が一丸となって経営改善目標の達成に向け努力することとしております。
海の健康村は、野母崎地区において28名の地元雇用を生み出しており、野母崎地域における雇用の確保や地域の活性化にも寄与しており、地域振興の観点からも重要な施設であると認識をしています。
今後、海の健康村の温泉が国内でも珍しい天然炭酸泉であることや、大浴場を初め、すべての客室から端島のきれいな軍艦の形を見ることができる軍艦島が見えるホテルとしてアピールしていきたいと考えています。さらに、近隣にあります長崎県亜熱帯植物園や軍艦島資料館など周辺施設をめぐる観光ルートを確立し、また、高浜地区に四季を通じて海を楽しむ活動拠点として整備が予定されている新しい海の家との連携を図り、経営改善に向け、指定管理者である野母崎振興公社と協力して取り組んでいきたいと考えております。
以上、本壇からの答弁といたします。=(降壇)=
22 ◯政策監(西田憲司君) 1.地域振興についての1点目、合併地域の振興計画策定の進捗状況についてお答えいたします。
合併地域における地域振興につきましては、合併時に策定いたしました市町村建設計画の着実な進捗を図っているところでございますが、合併から6年ないし7年が経過し、市町村建設計画を補完する新たな振興策の必要性について地域の皆様からも求められておりました。
それで、平成23年度にそれぞれ地域ごとの特色を生かし、将来につながるまちづくり計画とし、状況の変化に伴う課題の解決をするために地域振興計画の策定に着手いたしました。各行政センターを中心に自治会やまちづくり団体などの皆様と一緒に会議を開催いたしまして、課題を共有しながら、資源や魅力の再発掘、将来ビジョンの確認を行いながら振興策を出し合い、7つの地区ごとに一定の取りまとめを行いました。この計画策定につきましては、地域の皆様とともにつくることで自分たちのまちは自分たちで考え、かかわっていく、いわゆる住民による住民のためのまちづくりを目指し、その仕組みをこれからも定着していくことも目的の1つとしておりました。そのようなことから、地域の皆様と議論を尽くすために時間を要し、最終的な計画策定まで至っていない状況でございます。なお、取りまとめた振興策は、今後、精査のための現地調査を行うとともに、7地区ごとに優先すべき事業、今後に向けて精査を要する事業、維持管理業務の範疇となるものなどの仕分けを行い、事業の所管課との調整に入っていくこととしております。
したがいまして、この作業を年内に完了させ、平成24年度末には7地区全体の地域振興計画の策定を完了させます。また、取りまとめた振興策のうち、最優先すべき事業や喫緊の課題として解決が急がれるものにつきましては、平成25年度から前倒しで実施できるよう取り組んでまいります。
今回の計画策定の作業を進める中で、地域の窓口としての行政センターの役割について、改めて住民の皆様と相互に理解し、信頼関係を築く方向に向かったこと、そして、住民の皆様が住民主体のまちづくりの会議をこれからも継続したいとの意向を示していただいており、この点については、各地域でまちづくりの一歩を踏み出すきっかけになったものと判断いたしております。合併地区の振興という点で、すぐに効果があらわれるような振興策は簡単に見出せないかもしれませんが、今後とも市町村建設計画及びそれを補完する地域振興計画の着実な推進を図るとともに、住民の皆様と連携し、ふるさとのまちづくりにかかわる人材の育成、自分たちのまちは自分たちで考え、まちづくりをしていこうとする風土づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
23 ◯教育長(馬場豊子君) ご質問の2点目、教育行政について、(1)全国学力・学習状況調査の結果分析と本市の見解についてお答えいたします。
全国学力・学習状況調査は、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握、分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図ることを目的として実施しております。この調査は、教科に関する調査と生活習慣や学習環境等に関する調査の2つで構成されております。今年度は抽出調査で、教科に対する調査につきましては、例年の国語と算数・数学に理科を加えた3教科で実施され、長崎市では小学校27校、中学校24校、計51校が調査対象となりました。
学力の状況につきましては、全国の平均正答率と比較した場合、全体的には学力はほぼ全国平均並みと言えますが、少し詳しく見ますと、小学校では国語と理科がやや上回っており、算数がやや下回っております。中学校では数学がやや上回っており、理科はやや下回っております。その中でも、理科の電流や、算数・数学の説明を求める設問など正答率が低い問題などにつきましては、今後、特に注目して教科部会などを指導徹底していく予定でございます。
生活習慣や学習環境等に関する特徴といたしましては、小中学校ともに朝食を毎日食べている、人の気持ちがわかる人間になりたい、いじめはどんな理由があってもいけないことだ、人の役に立つ人間になりたいと答えた児童生徒の割合は毎年高い比率を維持していることが上げられます。逆に予習復習をしている、自分で計画を立てて勉強するの割合が低いことや、テレビ、ビデオ等の視聴時間が長いことなどは課題でございます。これらを総括しますと、小中学校ともに規範意識が高く、まじめさや良心的な気持ちを持つ子どもは多いけれども、主体的、計画的な学習は苦手であるという実態が推測されます。
このような状況を受けて、長崎市の子どもたちの学力向上のためには教師の指導力向上が重要であることはもちろんですが、その土台となる基本的生活習慣が備わっていなければ、確かな学力は身につかないと考えております。
そこで、指導力向上の取り組みとして、日々の授業の充実が学力向上の鍵であると捉え、あじさいスタンダードを作成しました。これは、教師の授業づくりの基礎基本をまとめたもので、すべての教師が授業改善の指針として活用しております。また、抽出校以外でもすべての学校で全国学力調査に取り組んでおりますので、それぞれの学校で結果を分析し、弱点克服のための具体的な計画を学力向上プランとしてまとめ、児童生徒の実態に応じた取り組みを進めるよう指導しているところでございます。さらには、学校図書館司書の配置や図書館環境の改善により、読書活動を活性化させることで学力の基礎であります言語能力や読解力の向上を目指しております。
次に、基本的生活習慣の定着につきましては、幼児期からのかかわりが大切だと考え、保育所、幼稚園、小学校の連携を進めております。その中で、成長に合わせて必要な時期に必要な生活習慣をきちんと教えるような体制づくりにも取り組んでいるところでございます。また、学校だけではなく、家庭も同じ方向を向いて進んでもらいたいと考え、現在、家庭教育の充実を図るためにファミリープログラムを取り入れた講座を実施しております。これは、保護者同士が話し合いの中で子育てについて学び合うものですが、18あるプログラムの中には家庭のルールづくりや家庭学習の習慣をつけるためにという内容もあり、学力向上の土台づくりとしての基本的な生活習慣の確立に大いに役に立つものと考えております。
子どもたちの夢の実現や可能性を広げていくためには、基盤となる確かな学力が必要でございます。そのため、教育委員会では第四次総合計画に学力向上を大きな施策として取り上げ、学校だけではなく、家庭、地域の方々と一丸となって継続して推進してまいりたいと考えております。
次に、(2)小中一貫教育モデル校の考え方についてお答えいたします。
長崎市では、子どもたちの学力の向上や豊かな心を育むために、学校図書館司書の配置を初め、学力向上プランなどすべての小中学校9年間を見通した小中連携の取り組みを積極的に進めているところでございます。
このような中、野母崎地区に長崎市で初となる施設一体型の小中一貫教育校を平成26年度に開校することといたしております。この野母崎地区小中一貫教育校では、長崎市内で現在取り組んでおります小中連携の取り組みをもう一歩進んだ形にし、小中9年間を小学校の1年生から4年生までの前期、小学校5年生から中学校1年生までの中期、中学校2年生、3年生の後期という、いわゆる4・3・2制を導入することや、小学校高学年から一部教科担任制をとるなど、施設一体型ならではの一貫教育を行ってまいりたいと考えております。
他都市においては、先進的に行われている小中一貫教育校におきましては、中学校1年生で不登校が発生しやすいことなどを指摘される中1ギャップへの対応や、学力の向上などに大きな効果があったという報告がなされておりますので、その検証を進めていきたいと考えております。
一方、子どもたちの成長のためには、小学校と中学校の段差を意識させることも大切だという指摘もなされております。そこで、野母崎地区小中一貫教育校では、小学校、中学校という現行制度のよさを残す教育も行っていきたいと考えております。野母崎地区小中一貫教育校で得られたさまざまな教育効果を長崎市すべての小中学校に広げるために、小中一貫教育のモデル校と位置づけたいと考えております。
他都市で既に先行実施されている小中一貫教育校の学校には、教育課程特例校と通常の教育課程を行う学校の2種類がございます。教育課程特例校とは、文部科学省へ申請を行い、国が定めていない教科を新設するなど独自の教育課程を実践している学校でございます。この教育課程特例校は、特色ある教育活動を行うことができるよさがある半面、この学校で実施したことが他の学校には反映しにくいという課題がございます。また、通常の教育課程で行う一貫教育校であっても、教員が小学校、中学校のどちらでも授業を行う乗り入れ授業が可能でございます。中学校の教員が小学校高学年に対し、より専門性の高い授業を行うことや、中学校に小学校の教員が授業に入ることにより、細やかな学習支援が可能となり、子どもたちの学力向上につながるものと考えております。
したがいまして、今回、野母崎地区小中一貫教育校で検証して得られた効果につきましては、他地区の小中連携に取り入れ、施設一体型でなくてもできる小中一貫教育の推進につなげていきたいと考えております。
以上でございます。
24 ◯23番(小宮慶一君) 再質問をさせていただきます。
まず、順序がちょっと前後しますが、教育行政の問題について先に再質問させていただきたいと思います。
最初の全国学力・学習状況調査の結果とその対応についてですけれども、先ほどご答弁いただきました。
長崎市の場合、学力の状況はほぼ全国水準だということで、強いて言えば、小学校で算数がやや下回っているということと、中学校では理科が若干下回っているという状況があるということで、それについては、教師の指導力の向上とか、あるいは基本的な生活水準の改善とか、こういったことで、それを保護するような指導をしていきたいというようなお話でございました。確かに弱点を克服していく対策というのは、当然これは必要なことだというふうに思いますし、実行されてしかるべきだというふうに思います。ただ、もう1つ、あとのフォローということも大事ですけれども、もっと前にどうしたら全国の水準を超えていくのかと、これが第四次総合計画にも掲げられているわけですけれども、そのためにもう一歩積極的な指導方針なり、教育方針というのがあっていいのかなというふうに思います。そういった意味で、これは文部科学省が毎年発表しています、いわゆる常に上位校が固定をしてきていると、そういう傾向があるということが新聞報道されておりました。この点について、それをどういうふうに解釈をし、あるいは長崎市の教育方針の中で生かそうとされているのか、その辺の考え方をお聞きしたいというふうに思います。
25 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。
確かに全国学力調査を見ますときに、上位の県がいつも一緒という実態がございまして、それについてはいろんな分析もなされております。その分析を見ますと、やはり学力の面では基本的な分野につきまして、取りこぼしがないということが強くうたわれております。そういう意味では、基礎的な学力の定着に力を入れていく必要があると考えております。また、生活習慣の中では非常に古い日本的な気質がある、特に親の言うことはよく聞くですとか、あるいは宿題は必ずする、あるいは目上の方の言うことはよく聞くと、そういうふうな生活習慣的な基本的な考え方がしっかり定着がなされているということで、そういうものがしっかり備わっていれば、教えられたことを吸収する力が強いのではないかと、そういう分析もなされております。
そういう意味も含めまして、長崎市といたしましては、基礎学力の定着と基本的な生活習慣をしっかりつけようということに着目しながら、現在施策を進めているところでございます。
以上でございます。
26 ◯23番(小宮慶一君) 次の小中一貫モデル校との関係も出てまいりますので、一応この問題はここで切りたいというふうに思います。
そこで、小中一貫校のモデル校の考え方、先ほどお示しをいただきました。この問題は、お断りしておきますけれども、現在、地域で懇話会を開いて、その中で教育方針についても具体的に地域の皆さんと話し合いを続けていきましょうという取り組みが今されたところなんです。これが始まるところなんです。そこでじっくり協議を尽くしていただきたいというふうな気持ちがございますし、これまでの各委員の取り組みについては、私自身心から敬意を表し、感謝をしておるということをまず申し上げておきたいというふうに思います。
その上で、この問題についてはお聞きをしていきたいというふうに思うんです。といいますのは、これは地域の皆さんとお話しする大事な問題でもありますけれども、市の教育方針の基本の部分ですから、基本の部分というよりも大事なところですからね、ここでもはっきり市の教育方針の中での位置づけというのは明確にしておきたいと、そういった意味でお聞きいたしました。
それで、まず再質問ですが、モデル校については、これは市の教育方針の中に、先ほども言いましたように小中連携のモデル校と、そういう位置づけだというふうに言われました。確認ですけれども、これはたまたま地域のほうからそういう要望があったから、じゃ、やってみましょうと、こういうことではないと。市のしっかりした教育方針のもとにこの事業というのは進めていっているんですよと、こういうふうな理解でよろしいんですかね。
27 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。
今回のモデル校の考え方につきましては、先ほど答弁させていただきましたとおり、現在、長崎市内では小中9年間を見通した小中連携を大きな柱とさせていただいておりますが、それから一歩進んで、ぜひ小中一貫教育のモデル校として、このモデル校で出た効果につきましては、ほかの学校のほうにも取り入れて教育向上につなげていきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
28 ◯23番(小宮慶一君) わかりました。
それで、これまで教育要覧とか、あるいは第四次総合計画の中での教育の方針については、小中連携という言葉が出てまいります。しかし、この小中一貫という言葉は一回も出てきたことがない、どこにも出てこないんですよね。これは今後どうするんですか。
小中連携教育の中で小中一貫校というものも目指していくということかどうか、その辺のお考えをちょっとお聞かせください。
29 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。
第四次総合計画の中にも小中連携をうたわせていただいております。これが一歩進んだ形の小中一貫教育ということにつきましては、今、指針をつくる準備をさせていただいております。これは、これから野母崎小中一貫校を準備するに当たりまして指針をつくった上で、全市的な考え方として整理をしたいと考えております。
以上でございます。
30 ◯23番(小宮慶一君) はい、わかりました。
では、具体的な中身の話をちょっとお伺いしたいというふうに思います。
答弁では、野母崎小中一貫教育校において、先ほど答弁されましたように9年間を前期、中期、後期、4・3・2制、こういった形で区割りをしていきたいということをおっしゃられました。
この4年、3年、2年という区切りですね、これはどういった意味というか、目的というか、そういうものがあるのか、考えておられるのか、この辺をまずご説明いただきたいと思います。
31 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。
今現在は6・3制で行われておりますが、これを4・3・2にする目的といたしましては、先ほど答弁いたしましたとおり、中1に特に発生する不登校などのさまざまな問題行動も含めまして、中1ギャップというのが指摘されております。そこの対応策という形でうたわれております。
また、4・3・2、実は全国におきましては、5・2・2でされているところもございます。5・2・2の場合は、中1ギャップ、要するに中学校1年生になる段差を少なくするという試みでされておりますが、それに加えまして、子どもの成長に関しましては10歳に1つの壁があると言われております。そういう成長段階のことを考えたときに、6年間を一つの固まりではなくて、4年生、5年生の間に一つ大きな成長の壁があるのではないかということもうたわれております。
また、学力の向上につきましては、先ほど申しましたとおり、高学年の教科によっては専科の先生の詳しい授業を行う、そういうことで学力の向上につながることも報告なされておりまして、全国で行われている現在の一貫教育校は4・3・2がだんだんと大きくなっている実態でございます。そういう意味も含めまして、長崎市では4・3・2制を取り入れて、学力の向上につなげていきたいと考えております。
以上でございます。
32 ◯23番(小宮慶一君) はい、わかりました。
それから、実際にやりますという言い方をされておりました一部小学校の高学年で教科担任制をしいていくと、これはもちろん実際にやっていきますということだと思います。それは、後のほうで教員の兼務発令も可能でありますので、いわゆる乗り入れ授業もできますという言い方になっているんですが、これはできるということは、やりますということで理解してよろしいんでしょうか。
33 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。
今回のモデルとして実施させていただきます一貫教育校の大きな目的といたしましては、乗り入れ授業ができることは大きな成果を求められると期待しているところでございます。
そのためには、中学校の専科の先生が兼務発令をすることで小学校の授業もできるようになります。また、小学校の先生はTTという形で中学校の授業に一緒に入ることもできますし、免許を持っていらっしゃる方については、兼務発令をすることで授業も可能となります。
これは、教諭の方々に説明して了解を得た上での発令となりますが、そういうことを組み合わせながら、効果的な授業につなげていきたいと考えております。
以上でございます。
34 ◯23番(小宮慶一君) はい、わかりました。
それから、いわゆる高い教育効果をこの中で期待していくということになると思うんですが、そのためにはそれなりの要員体制というか、人的な体制を含めてそうですけれども、そういうものが絶対必要だというふうに思います。
ここは、先ほどの答弁の中では管理職の配置ということが1つありましたけれども、管理職だけではなくて、例えば、乗り入れ授業なんかする場合にはそういうことを采配したり、企画をしたりするコーディネーターみたいな人も必要になってくるのかなと思っておりますので、小中一貫校に要する要員体制、これは人事権は県が持っていると思うんですけれども、県と協力関係、県も今、長崎市がやろうとしているこの事業についての理解、協力関係というのは担保されているという理解でよろしいんでしょうか。
35 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。
この小中一貫教育校開設に当たりましては、今現在も県のほうともさまざまな協議をさせていただいております。そういう中で、人事配置につきましては、県下一定のルールの中でさせていただいておりますので、人員そのもののプラスアルファというようなものではございませんが、どういう配置をするかということにつきましては協議を行いながら、今現在、よりよい効果ができるような学校、あるいは人員配置に努めているところでございます。
以上でございます。
36 ◯23番(小宮慶一君) 地元では、やはりこういう新設校に対する期待というのは非常に大きいんですよ。端的に言いますと、とにかくいい先生を連れてきてほしいと、こういう声が上がっておりますよ。やっぱり教師力というのは、非常に大事な教育上の要素だというふうに私は思っているんですが、我々が選択するわけにはいきませんので、十分その辺は新しい体制で進むわけですから、それなりの体制はきちっと築いていただいて、効果が上がるような手だてをぜひ講じていただきたいと要望しておきたいと思います。
それから、この問題は、私が一番感心しているのは、学校づくりのために地域で当初は統合検討委員会、それから建設懇話会、今度は開設準備懇話会というのが立ち上がってきています。これまで4年間にわたって協議を重ねてきていただいておるんですよ。熱心に取り組みをしています。それは、まさに学校と家庭と、それから地域の皆さんが寄り集まって協議を重ねてきております。この姿というのは非常に大事だと思いますし、まちづくりの姿そのものだというふうにいつも感心しているわけですけれども、したがって、学校建設があって、開校したらもうそれで終わりというんじゃなくて、後々までそういう体制が継続されるような、そういう指導もひとつしていただきたい。
そうすることによって、先ほどいじめの話もありますけれども、いじめも後の対策も大事ですけれども、これは未然に防ぐ手だてにもなるのかなというふうな思いも実はしております。ぜひひとつ効果が上がるように精いっぱいの体制その他の努力をしていただきたいというふうに思います。
次に進みたいと思います。
まず、市長答弁をいただきました野母崎診療所の活用の問題ですけれども、これはこれまで市民健康部地域医療室の皆さんが一生懸命努力をされて、いわゆる事業者の選定というところまで来ているわけです。これから事業者と、どういう改修をして、どの程度の内容にしていくかという詰めた話がされていくだろうというふうに思っています。
そこには全面的な期待もしておりますし、我々もそばでじっと見ておる状況ですけれども、やはり地元には、ここまで来ますと一日も早い開設、運営というものを期待する声が非常に高いんです。
だから、先ほど平成25年度内に開設という答弁をいただきましたけれども、この辺はぜひ1日でも、あるいは1カ月で早く開設ができるような、そういう努力をしていただきたいというふうに思います。
特に、これは地域性もあって、選考委員会、あるいは地域医療検討会のご指摘にもあるように医療資源の非常に乏しいところなんですね。これをどう介護福祉施設で補っていくかという重要な課題でもありますし、そういうところに目をやっていただいて、積極的に行政が関与を深めることによって、これを実現していただきたいという要望をしておきたいと思います。
この辺については、担当部長のほうからもし見解があればお聞きしたいというふうに思います。
37 ◯市民健康部長(肉丸明弘君) 再質問にお答えいたします。
野母崎診療所の施設活用につきましては、去る8月22日に地元野母崎地区連合自治会のほうから、この施設が地元住民の安全・安心の拠点となり、また、地元振興策となるよう早期開設の要望を受けたところでございます。
長崎市といたしましては、今後、残された課題につきまして、事業者と十分協議を行いまして、平成25年度中の開設に向け、取り組んでまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
38 ◯23番(小宮慶一君) この問題は、これまでの取り組みの経過もございますし、全面的に取り組みに期待をしているところなんですけれども、ぜひこれが実現するように運んでいただきたいなと重ねての要望をして、この質問については終わりたいと思います。
それから、次に海の健康村の経営改善の問題です。
これは時間もございませんから簡単に申し上げまして、いわゆる今後の経営改善計画をどうしていくかというところの話をさせていただきたいと思います。
とにかく言われたことは、旅行代理店や各種保養所との連携、インターネットの活用の情報発信、それから従業員の意識改革、経費の節減、こういったことで経営改善に努めていくと。
あわせて天然炭酸泉の温泉ですね、これのPR、それから軍艦島の見えるホテル、こういったものを売りにして積極的にPRを図っていこうということのようです。もちろん、これは経営改善をぜひ図っていただきたいという気持ちはあります。
ただ、私はこれだけでは不十分だというふうに思っているんです。現在、3,265万円の累積赤字を抱えております。ここからどう立ち直っていくか。これは先ほど申しましたように、公社との関係もあるんです。健康村からの繰り入れがなければ、90人の雇用を抱える振興公社の経営改善もあり得ないんですよ。
後ほど公社の経営管理については聞きますけれども、ぜひここは積極的に集客に努める手だて、政策が必要だというふうに思います。
1つ心配なのは、経費節減の中で食材費をかなり大幅に削るような、そういう方針にもなっております。食材費を削るというのは、地元の新鮮な魚介類を売りにして、今一定の評価をいただいて運営してきております。ここをかげんしていくということは、致命的な問題になりかねないというふうな心配を非常にしております。それが1つ。
それからもう1つは、外に打って出る政策として炭酸温泉の問題があります。これを積極的にPRしていくには、いま一つ、お湯をくみ上げるポンプに不安を抱えております。これを余り言いますと風評被害を逆に買うような心配もあるので、余り大きな声では言いたくないんですけれども、この不安を解消しないと積極的に炭酸温泉をどうぞと、これは療養温泉としても非常に高い評価がある温泉なんですよ。お湯に入るとシュワッとして、ビールの中に手を突っ込んだような感じがする非常に女性にも評判のいい炭酸温泉が出るところなんですね。
ですから、このポンプの不安をまず解消するというのが第一の先決問題じゃないかなというふうに思います。そのためには井戸をもう1つ掘ると、これをぜひひとつ実現していただきたい。
そして、健康村の経営を安定させて、公社、90人の雇用を抱える公社のほうの経営の安定にも連携をしていくと、つながっていくという、こういう形をぜひつくっていただきたいと思いますが、見解を求めます。
39 ◯文化観光部長(池田尚己君) 再質問にお答えいたします。
議員ご指摘の新たな温泉井戸の掘削についてでございますけれども、この海の健康村には、平成13年4月から、施設が始まったときから温泉井戸1本が掘られておりまして、ご指摘のように、湧出する温泉は国内でも非常に珍しい天然炭酸泉でございまして、細かい気泡が肌に付着し、血行促進の効果をもたらして、非常に美肌効果にいいと言われております。海の健康村の大きな魅力の1つであると認識しております。
それから、議員ご指摘のとおり、既存の温泉井戸はくみ上げ機能に一部問題を抱えておりますが、今後、安定した湧出量と良質な泉質を確保するためには、新しい井戸の掘削も1つの方法であろうかと思います。
特に、この炭酸泉というのは非常に大きな要素でもございますので、今後の活用方策、この温泉をどう生かしていくかということを含めまして、総合的な経営戦略の中でぜひ検討させていただきたいと思います。
以上でございます。
40 ◯23番(小宮慶一君) 総合的な経営戦略という言葉が最後に出てまいりました。その中で、これは具体的な検討がされていくものだというふうに信じたいと思います。
ぜひひとつ、今の実情、状況を把握した上でこの問題が実現するように、そして、炭酸温泉が全国的に積極的にPRできるような体制をぜひ築いていただきたいと強く要望しておきたいと思います。
それから、時間が絞られてきましたけれども、先ほど自席からということで申し上げておりました野母崎小学校の跡地の活用の問題です。
これは、時間がございませんので簡単に申し上げますと、小学校の跡地を公民館の機能をそこに移設してくださいというような要望、それから、移設した後は地域住民の声を十分聞いて、そして、その活用を考えていただくと。そのための懇話会みたいなのを立ち上げて、十分声を聞いてあげると。この2つの要望があったというふうに思います。
その後、進展したような話も聞いておりますけれども、確認のため、もう一度ご答弁をいただきまたいと思います。
41 ◯教育長(馬場豊子君) 今、ご質問の野母崎小学校の跡地の活用の問題でございますが、地域の方からもご要望をいただいております。野母地区の公民館が非常に耐震性がなく、耐震化を図るための工事を行った場合、利用がなかなかしにくい状況になるということを踏まえまして、ぜひ野母崎小中一貫校が開設した後は、今の野母崎小学校の跡地を公民館として活用する、そういう方向で市のほうも考えております。そういう意味では懇話会を設置しながら、やはり地域の方が使いやすい状況にするのが最も大切だと思っております。
そういう意味では、先月、懇話会の設立に向けた準備のための協議を開始したところでございまして、今後、地域の皆様とともによりよい跡地活用に向けた具体的な協議を重ねていきたいと思っております。
以上でございます。
42 ◯23番(小宮慶一君) ありがとうございます。これはモデルのようなケースですから、地域コミュニティ推進室の見解をいただきたいというふうに思っておりましたけれども、時間がございませんから、それは割愛をさせていただきたいというふうに思います。
最後に、地域振興計画の策定の問題です。
先ほどのご説明では、平成23年度までの約束が果たせなかった、今度、平成24年度いっぱいに計画の策定をしていきたいということでしたけれども、私が申し上げたいのは、これは単に平成23年度が平成24年度になったということだけの問題じゃないというふうに思うんですよ。
見ておりますと、この策定作業に当たってやっていることは、これは私の見た範囲ですから、いわゆる行政センターに投げて任せて、そこで地域の自治会長とか、あるいは漁協、農協の組合長さんとか、商工会長とか、そういう人たちのご意見を聞きながら、1つの案にまとめていくという作業をこれまではやってきていると思います。
私は、そうじゃないと思うんです。これは従来のやり方なんですよね。そうじゃなくて、合併して7年、8年目になるわけですから、それなりに見えてきたこともあるだろうというふうに思います。同じ手法でこれをまた策定するということにはならんだろうと。
6年、7年経過した中での見える視点、考え方というのもあるでしょう。また、この間から縦割り行政の弊害とか、いろいろ指摘があっております。きのうも外海の縦割り行政の批判がありました。そうですね。しかし、その前には高島の具体的な施策に対して、これから関係部局と協議しますとかいう答弁もまだ返ってきております。
こういう状況では私はだめだと思いますから、そういう意味では、やはり合併して7年目にできること、やらなければいかんこと、そういう視点、あるいは手法というのがあるだろうと思います。そういうことを我々としては期待をして、これまでにない全市的な捉え方でこの地域振興を考えていくような、そういう姿が私は今回出てくるというふうに期待をしておりましたけれども、これからそういうふうな方向ででもやっていきましょうという話もございましたから、そこには期待をしたいと思いますけれども、そういった意味では非常に残念ですけれども、今後に期待するしかないというふうに思っております。
以上です。
43 ◯副議長(鶴田誠二君) 休憩いたします。
午後は1時から再開いたします。
=休憩 正 午=
───────────
=再開 午後1時0分=
44 ◯議長(板坂博之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。31番中村照夫議員。
〔中村照夫君登壇〕
45 ◯31番(中村照夫君) 市民クラブの中村照夫でございます。この質問に登壇いたしますのも久方ぶりでございます。議長就任中は、議員各位、理事者の皆様に大変お世話になり、重責を滞りなく終わることができました。ご協力に感謝申し上げ、これからも頑張ってまいりますので、ご指導方よろしくお願いをいたします。
質問通告に基づき、以下質問をいたします。田上市長の建設的で明快なご答弁をよろしくお願い申し上げます。
本会議の冒頭、田上市長より、サントス市姉妹都市提携40周年記念事業に伴うブラジル訪問団についての行政報告がなされたところでありますけれども、私も鶴田副議長を班長とする議員団4名とともに参加してまいりました。その報告を行いながら、今後のサントス市を初めとするブラジルとの文化、経済交流の展望について明らかにしたいと思います。
8月26日午後10時、成田を出発し、ヨーロッパ経由でパリまで13時間、パリで6時間半滞在し、さらにサンパウロまで11時間、合わせて30時間を要するブラジルの旅は、まさに遠い国の感がいたしました。しかし、サンパウロ空港には長崎県人会の皆様が多数お出迎えいただき、皆さんとお話を重ねるうちに、遠い国ブラジルはもうお互い長崎県人という深いきずなで結ばれておりました。今回のブラジル訪問にご尽力いただきましたブラジル長崎県人会、サントス日本人会の皆様に厚く御礼申し上げるところでございます。
サントス市は面積280平方キロメートル、人口42万人で、外海は長さ7キロに及ぶビーチフロントガーデンが広がり、海岸には高層ビルが建ち並ぶ近代都市を形成しておりました。その裏側の内海は波静かな昔からのコーヒーの輸出港ですが、こちらの町並みは老朽化が著しく、今、南アメリカの海の玄関口の貿易港として再開発が始まろうとしております。ブラジルは今後、世界的にも中国、インドに次いで発展が期待される国ですが、サントス市はブラジル、南アメリカの玄関口として発展が予想されます。ブラジルは地理的には地球の反対側に当たりますので、遠い国でありますが、そこには多くの日本人が生活している、多くの長崎県人が活躍しているという意味において、ほかの都市、ほかの姉妹都市とは違う有利な文化、経済交流の促進を確信いたしたところでございます。
サントス市との姉妹都市提携40周年記念行事においては、ジョアン・パウロ・タバレス・パパ市長を表敬訪問し、両市の文化、経済の交流発展を約束するとともに、原爆展の開催、サッカーの長崎中学生選抜チームとサントスFCジュニアユースとの親善試合を行い交流を図りました。
8月31日は長崎県の訪問団と合流し、サンパウロ州議会を訪問。その後、在サンパウロ日本国総領事館を訪問し、ブラジルの経済状況と日系社会の現状について説明を受けました。
ブラジルにおいては多くの日系、長崎県人の方々が活躍されております。
三井楽町出身の貞方賢彦さんは、ブラジルヤクルトの社長やブラジル日本商工会議所会頭を務められ、現在は長崎県人会やブラジル日本商工会議所、ブラジルヤクルトの顧問をされています。
平戸出身の山口さんは、太洋漁業の船員から、会社のブラジル進出に伴いブラジルに渡り、会社の撤退後も現地に残り、息子さんが長崎県の海外技術研修員事業で、セントヒル長崎で調理師の勉強を積まれ、今では長崎屋という看板で大きな日本料理店を経営されております。
吾妻町出身の朝永明人さんは、2,000ヘクタールの農場を経営され、ことし同窓会で日本に帰ったが、自分の農場が吾妻町の2倍の広さだと言っても誰も信じてもらえなかったと笑っておられました。ことしは北米の干ばつのため穀物が高騰し、経営はよかったと言われておりました。
パラグアイ長崎県人会の会長の中山ザビエルさんは、40代の2世の市会議員ですが、この方も長崎県の海外技術研修で県営バスの整備工場で研修され、今はパラグアイで自動車整備会社と飲食業を営まれ、2年後には市長に立候補する、当選は確信しているし、将来は大統領を目指していると言っておられました。
今、ブラジルは、全国的に市長、市議会議員の選挙の10月17日に向け真っ最中でしたが、多くの日系人の候補が出ておられました。長崎県人会の若い青年たちにとって、長崎県の海外技術研修員制度は大きな成果を挙げています。昭和48年から始まったこの事業で、ブラジルから84名の若者が長崎で研修を受け、ブラジル社会で活躍しています。この支援事業は大変すばらしい事業と考えますが、田上市長もご存じのとおり、近年、県の支援枠が縮小されたということで長崎県人会から受け入れ枠を広げてほしいという要望が出たところですが、長崎市としてもこのような事業をやっていくべきものではないかと思いますが、ご見解をお伺いいたします。
そのほか、県人会から出された要望は、経済交流においては、日本フェスティバルへの長崎産品の出展、小学校の交流事業、長崎がんばらんば国体への参加受け入れなどが出されましたが、田上市長のご見解をお伺いいたします。
9月2日に開催されたブラジル長崎県人会創立50周年祝賀会は大盛況でした。サンパウロの長崎小学校の児童は長崎の鐘を日本語で合唱、婦人部の皆さんによるがんばらんば体操、民謡部の皆さんののんのこ節の皿踊りなど、ふるさと長崎への熱い思いを感じながら、フィナーレは中村知事、田上市長初め、参加者全員で会場を皿踊りの輪で埋め尽くし、長崎県人のきずなを深めたところであります。今回のブラジル訪問の成果がさらに両都市の発展に結びつく施策の展開を強く要望いたします。
〔パネル表示〕写真を撮ってまいりましたので、この間から長崎の鐘が議題に取り上げられましたけれども、これは長崎の鐘を小学校の子どもたちが歌っておりました。これが県の代表と婦人部のがんばらんば体操でございます。これが婦人部の民謡ですね。これはのんのこ節を民謡の方が踊りまして、みんなで会場をこうして踊ったということでございます。
次に、長崎のまちづくりの中長期展望についてお尋ねをいたします。
長崎が目指す将来の都市像はどんなものであるのか。個性輝く世界都市、希望あふれる人間都市と言われておりますが、その形を市長はどのように考えておられるのか、具体的姿をお示しください。
田上市長は、きらりと光る存在感のある都市を目指すために、ほかの都市にはない強みと可能性を生かしながら、未来の基礎をつくる。さらに、変わらなければならないものとして、経済、まちの形、まちを支える仕組みと指摘されております。
長崎の経済は、内向き、待ちの傾向が見られるとして、内向きから外向きへと呼びかけられておりますが、その外向きの具体的施策はどういうもので、それは長崎の未来の基礎をつくるものとなっているのでしょうか、お尋ねをいたします。
九州の県庁所在地の人口推移を見てみましょう。昭和60年、長崎市は45万人に対し、大分市は39万人、宮崎市は28万人、佐賀市は17万人弱、鹿児島市は53万人でした。平成22年には、大分市は47万5,000人、8万4,000人ふえました。宮崎市は40万人で12万人ふえました。佐賀市は23万7,000人で7万人ふえております。鹿児島市は60万5,000人で7万5,000人ふえております。長崎市だけが44万3,000人で5,600人減であります。長崎県の高校生の県内就職率は64%、大学卒は42%であります。若者は仕事を求めて県外に出ていき、長崎市の高齢化率は24.9%で大分市を4.7ポイント超えております。
市民1人当たりの市民所得は、大分市が323万円に対し、長崎市は237万円で、長崎市は大分市の73%にすぎません。大分市は港をつくり、工業団地をつくり、水道料金はトン当たり50円に減免するなど、企業を呼び込み、若者の働く場をつくっております。長崎市の落ち込みはそうした具体的施策をやってこなかった結果が今日の停滞を招いていることは論をまちません。単に美辞麗句を並べるのではなく、具体的施策を講じることであります。
長崎港の現状を考えてみましょう。貨物の定期航路は釜山が週1便のみで、貨物取扱量は全国53位であります。1便の取扱量は、輸入がコンテナ55個、輸出がわずか7個であります。九州では、博多、北九州、大分、伊万里、三池、八代、川内にも及びません。長崎県は、ながさき海洋・環境産業拠点特区というものを目指すとしておりますが、松が枝の3バース化も三菱造船との関係で計画を縮小しながら、当初の高速物量は小ヶ倉から松が枝に変更、取り扱い目標も下方修正、上海以外の航路ができれば、その時点で拡張を検討するとしております。まさに計画は場当たり的で、ぐらぐら変わり、事業費だけは既に小ヶ倉で95億円を投入しております。長崎市はこうした県の事業を横で傍観するだけでしょうか。こんな長崎港の姿で、長崎がアジアに向けた日本の玄関口になり得るのでしょうか。
一方、工業用地のインフラ整備の現況を見てみましょう。
長崎県内の工業団地の状況は、既存工業団地は全体で192ヘクタール、そのうち県がつくった工業団地は112.4ヘクタールで、残り79.6ヘクタールは諫早、大村、佐世保、平戸、松浦が独自につくったもので、長崎がつくった工業団地は1カ所もありません。造成中のものも、県が佐世保に造成中の5ヘクタール、佐世保独自の16.7ヘクタール、松浦の6.1、波佐見の3ヘクタールであります。
企業が事業活動を行うには水がなければなりません。長崎市は水を使えば使うほど料金単価が高くなり、全国第3位と高いため企業が来ないのが大きな理由に挙げられます。諫早、大村は工業用水道事業を行っております。工業用水を持たないところも水道料金の減免、助成を行っております。諫早の工業団地と比較すると、長崎は6.6倍、大村の8.8倍であります。これをどうにかしなければ長崎の経済の将来はありません。田上市長は長崎の強みを生かし、水を使わない企業を呼び込むと言っておられますが、水を使わない事業活動はありません。そのことは長崎の大口水道利用上位30社を見れば明らかであります。大手造船関連の2社以外に病院、ホテル、商業施設、マンションが占めております。
まちの形では、人々の交流の拠点となる都市機能の充実や景観を守るという形で、駅周辺、連続立体、港湾整備、新大工から南山手に至るまちぶらプロジェクトというものを挙げておりますけれども、そうしたものを否定するものではありませんけれども、働く場所がない、住む家がないということで人口が減ったら、交流のまちをつくると言われておりますが、若者がいなければ、幾ら強みを生かして、あるものを磨いてもにぎわいはできません。
斜面地の再整備について多くの方が取り上げておりますけれども、これは長崎市民にとって大きな問題であります。こうした大きな課題をどう考えるのか、将来の展望をお尋ねいたします。
次に、市民病院における無料低額診療事業の導入についてお尋ねをいたします。
私は以前からこの問題を取り上げてまいりました。公立病院が担う任務として、救急医療、高度医療に取り組むことは当然でありますけれども、それをやるから低所得者の医療支援ができないということにはなりません。民間の病院でもそういったものに取り組みながら生活困窮者に対する医療免除も取り組んでおります。もっともっと民間の病院の努力に学ぶべきだと思いますけれども、所見をお伺いいたします。
環境行政の改革及び生活保護受給者の就労支援につきましては、時間があれば、自席にて取り上げますので、よろしくお願いをいたします。=(降壇)=
46 ◯議長(板坂博之君) 市長。
〔田上富久君登壇〕
47 ◯市長(田上富久君) 市民クラブ、中村照夫議員の久しぶりのご質問にお答えいたします。
まず1点目の、姉妹都市サントス市及びその周辺都市との文化・経済交流促進についてお答えします。
サントス市姉妹都市提携40周年に伴うブラジル訪問につきましては、本9月市議会定例会の初日に時間をいただき、行政報告をさせていただきましたが、今、改めて中村議員から詳しいご報告をいただいたことに感謝申し上げたいと思います。また、先ほど何枚か写真を使って、当時の状況、ブラジルでの状況についてのご説明がありましたが、その中になかった分で申し上げますと、県人会の50周年記念式典の中でアトラクションがありまして、その中で市議会議員団全員の皆さんと一緒に飛び入り参加をしまして、人間龍踊りをさせてもらったところ、非常に好評で、それが翌々日のサンパウロ新聞にも載ったということ、そして、その余興がアトラクションの流れを変えて非常にいい流れになったということが新聞に掲載されたということもあわせてご報告させていただき、議員の皆様のご協力に改めて感謝申し上げたいと思います。
また、今回の記念行事の中で、私自身、非常に多くの関係者の方とお話をさせていだたき、さまざまな話題について意見交換を行い、改めて都市間交流における人的交流の重要性を認識いたしました。
サントス市は、長崎市の姉妹都市の中でも距離的に最も遠い国にあり、交流に際して困難性を伴う部分もありますけれども、今回のこのような人的交流による成果に大きな貢献をしていただいたのがブラジル長崎県人会やサントス日本人会の皆様でした。今後もご協力をいただく中で、市民レベルの交流を一層深めていきたいと考えております。
そういった中で、文化・経済交流促進についてですが、まず、長崎県が実施している海外技術研修員受入事業につきましては、長崎県と密接な関係がある国から、前途有為な青年を受け入れ、本県の経済・社会・文化を学ぶことや、必要な技術の修得により派遣国の、この場合でいいますとブラジルの発展に寄与する人材を育成することなどを目的に実施をされております。この事業にはこれまでブラジルから84人の参加実績があり、直近の平成23年度の参加者は環境マネジメントを長崎大学で学んで帰国をされております。
長崎市の場合、ブラジルとの交流は姉妹都市であるサントス市との関係を軸に育てていきたいと考えていますが、親日的であるとともに、今後の発展の可能性が大きく、また平和活動を通じての連携などの可能性もあることを考えますと、今後より広い視点でブラジルとの交流の可能性を探る必要があると考えています。今後どのような人的交流ができるのか、県や大学などの関係者との連携の可能性を含めて協議をしていきたいと考えています。
また、毎年サンパウロ市で開催されている日本祭りは、在ブラジルの都道府県人会や日本企業がブースを出展し、開催期間中、約20万人の来場者がある大変大きなイベントとなっており、各県人会はそこで自慢の郷土料理を販売しています。そのイベントで長崎県人会もブースを設置しているということですが、長崎から特産品を提供することは、郷土に対する強い思いをお持ちの県人会の皆様の要望であると、希望であるとともに、長崎の食文化をブラジルで紹介するチャンスでもあると思われます。
今後、来年の日本祭りの開催に合わせて、長崎県の特産品の輸送等ができないか、県人会の窓口である長崎県との連携をとりながら業界との調整を行っていきたいと考えております。
このほか、教育的な交流につきましては、サントス市の中学校や訪問をしたサンパウロ州立長崎小学校との小中学校との交流を進めることで合意をしております。私自身、長崎小学校を訪問し、地域の皆様と一緒になっていい学校にしようと、地区的にいいますと、ブラジルは貧富の差がまだ大きい中で、どちらかというと貧しい地区の中の小学校であるというふうな説明を受けましたが、その中で、この小学校は絶対にいい小学校にしようということで地域の皆様と一緒になって取り組んでいる様子が非常によくわかりました。今後、この小学校と長崎の学校との交流は必ず将来につながる、未来につながるものというふうに考えます。
また、長崎県人会の皆様は、長崎がんばらんば国体に合わせての訪日を予定されているとのことであり、来崎の折は、ブラジル訪問時の返礼の意味も含め、長崎県と一体となっておもてなしの気持ちでお迎えしたいと考えております。
冒頭申し上げましたように、都市間交流は人的交流が非常に重要であり、今回の訪問で、サントス市や各団体が長崎市との交流を求めていることが確認できましたので、長崎県人会やサントス日本人会と今後さらに関係を深めるとともに、長崎県とも連携をとりながら、サントス市を初めとするブラジルとの交流を推進していきたいと考えております。