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2012-09-19 長崎市:平成24年第4回定例会(5日目) 本文

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  1. 長崎市議会 2012-09-19
    2012-09-19 長崎市:平成24年第4回定例会(5日目) 本文


    取得元: 長崎市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-09-09
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1           =開会 午前10時0分= ◯副議長(鶴田誠二君) 出席議員半数以上であります。これより議事日程第5号により本日の会議を開きます。 日程1  市政一般質問 について、前日に引き続き市政一般質問を行います。  12番林 広文議員。       〔林 広文君登壇〕 2 ◯12番(林 広文君) 公明党の林 広文でございます。先日の日曜から月曜の連休中にかけて、九州沖縄では台風16号による被害が発生いたしました。本市でも死亡事故、浸水など被害が各所で発生しております。被害に遭われた市民の皆様に対しまして、心よりお悔やみ、お見舞いを申し上げます。  さて、2012年の夏は、全国はもちろん、九州、そして、ここ長崎でも本格的な節電の夏となりました。節電目標は使用最大電力のマイナス10%以上。ことしも猛暑の夏となりましたが、7月2日から9月7日までの平日、46日間にわたり、各所、各機関でさまざまな工夫で節電の取り組みがなされ、無事に不測の事態も招くことなく、節電要請期間を終えることができました。節電への献身的なご協力をいただきました市民の皆様、企業、商店街の皆様、そして、市役所を初めとする官公庁の皆様に対しまして、この場をおかりして心から感謝申し上げます。  ちなみに、我が家では、本市が推進した緑のカーテンづくりに挑戦。環境保全課からいただいたゴーヤとアサガオをプランターに植えて、拙宅のサッシ窓にネットを張りました。日当たりがよくなかったせいか、残念ながらカーテンのように全体を覆うまでには成長しなかったのですが、ゴーヤの実だけは大きく実りまして、先日収穫し、おひたしにしておいしくいただくことができました。  前置きが長くなりましたが、通告に従い、質問いたしますので、それぞれ知恵を絞り、汗をかいて節電に協力していただいた市民、企業の皆様に負けないよう、市長並びに理事者をして、その英知を結集した前向きな答弁を期待いたします。  初めに、1教育行政についての(1)いじめ根絶への取り組みについて。  先日公表された文部科学省による2011年度児童生徒の問題行動調査によれば、全国でのいじめの認知件数は7万件を超え、依然高水準にあるとのことです。また、自殺した小中高生は過去6年間で最多、前年度比44人増の200人。このうち自殺の理由については、「不明」とされたものが57.5%を占め、自殺の理由がいじめと断定されたのは中学生の4人だけでした。  私たちは文科省が公表したこの数字をこのまま信じることはできるでしょうか。未来ある子どもたちが、死をもって訴えようとした真実はどこにあるのか。声なき声に耳を澄まし、その奥底にある心のうちを必死で探らなければならないのは大人の責任であると思います。我がまちの子どもたちのかけがえのない未来を守るためには、学校現場はもちろん、行政、議会もこの問題に当事者として今こそ真剣に向き合う必要があると考え、この問題を取り上げました。  なお、本市の小中学校におけるいじめの実態、そしてその対応については、先日、同僚議員からの質問に対し、一定の答弁がありましたので、重複を避け、後ほど別の視点から自席にて質問させていただきます。  次に、(2)通学路の安全対策について伺います。  この件については、さきの6月定例会において、我が会派の同僚議員からも質問をさせていただいております。本年4月23日に京都府亀岡市で発生し、その後も全国で連続して発生した通学途中の児童らを襲った交通事故を受け、公明党市議団として通学路の安全対策を求める緊急要望を5月2日に市当局へ提出させていただきました。  当局におかれましては、5月から6月にかけまして、学校関係者はもちろん、教育委員会、土木部の皆様のご努力により、速やかな調査を行っていただいたこと、改めて感謝申し上げます。  今回は、学校目線で行った緊急点検の後、県を含めた道路管理者及び警察にも参加していただき実施された合同点検の調査結果及びその後の対応について伺います。また、安全・安心な通学路を確保するためには、今回行った一連の対策について、一過性のものにならないよう継続的な取り組みも必要と考えます。今後の通学路の安全点検はどのような形で継続していくお考えなのか、あわせてお示しください。  次に、(3)中学校入学時の指定用品購入費用の把握についてお尋ねします。
     今春、市立中学校に入学した生徒の保護者の方から相談がありました。中学校の入学時には、学校指定の制服、体操服、通学かばんなど、一括して購入する必要のある用品が多数ありますが、その購入費用の負担が重くのしかかっているとの相談でした。この学校では制服としてブレザーを採用していることも要因かとは思いますが、入学初年度に要する指定用品等をすべてそろえるのに10万円近くの金額が必要になるとのことです。  各学校の指定用品については学校長の裁量により行っており、各学校によって金額の幅はあるようですが、学校選択制もなくなった今、公立の市立中学校であるのに費用が高額となっていること、また、学校によって購入費用にばらつきがあるのはいかがなものかと疑問に感じました。この件について、市教委としてどのような把握をされているのでしょうか。また、高額となる購入費用は保護者の皆様にとって大変な負担となります。特に、生活困窮世帯に対してはどのような助成を行っているのか、あわせてお示しください。  次に、大きな2点目、地方分権についての(1)義務づけ、枠づけの見直しに伴う本市の取り組みについてお尋ねいたします。  地域主権一括法の本年4月の本格施行を受け、法令による義務づけ、枠づけの見直しに伴う関連条例の制定、改正が始まっています。地方のことは地方で決める。そのための具体的な自治事務の改革として、これまで法令により国が全国一律に定めていた施設等の設置管理の基準を、地域の実情を踏まえた独自性のある基準として条例に定めることが可能となります。きめ細やかな住民サービスの提供や効率的な予算の執行など、この義務づけ、枠づけの見直しを地域再生の絶好の機会と捉え、戦略的な視点で地域の自立を目指していくことが重要です。  そこで、今回の義務づけ、枠づけの見直しに伴う本市の取り組みとして、1)条例の制定改正における市の基本方針、2)市独自の基準を設定した条例の割合、そして、3)独自の基準を設定する上での住民ニーズの把握や周知の方法など、手続のあり方についてお尋ねします。  次に、(2)九州広域行政機構構想及び道州制に対する本市の考えについて伺います。  将来の道州制実現に向けた試金石、一里塚と見られていた国出先機関を地方移管するための関連法案は、さきの国会では提出が見送られました。地域主権改革は現政府与党の掲げる最優先課題、いわゆる1丁目1番地と位置づけられており、国出先機関を原則廃止とし、地方へ移管することは閣議決定を経ていたにもかかわらず、約束が果たされることはありませんでした。それぞれ受け入れの手法や考え方は異なりますが、出先機関の受け入れの準備を行っていた関西や四国、九州の知事会などは肩透かしを食らった格好となっています。その九州地方知事会ですが、国出先機関の地方移管に積極的であり、出先機関の受け皿組織として九州広域行政機構構想を発表しています。  国出先機関の地方移管については、市長会と知事会、また各自治体レベルでも賛否、さまざまな意見が見受けられますが、主に九州地方知事会の動向を踏まえて九州広域行政機構構想、さらに、その先に見据える道州制についての市の見解を伺いたいと思います。  次に、(3)分権時代における本市職員のあり方について。  これまで申し述べたように、この地方分権の流れが加速する中で今、地方自治体の行政組織は、これまでのように国の出先機関として全国一律に横並びで運営するのではなく、地域が独自に考え、決定し、責任を持って運営していく独立した経営体へと位置づけが変わってきました。そのような中、市職員についても、みずから考え行動する、みずから決めて実現する力が求められています。  分権時代に求められる市職員のあり方についての考え及びその人材育成の取り組みについてお示しください。  次に、大きな項目の3、市有財産の有効活用についての(1)メガソーラー発電事業者への市有地の提供について伺います。  先日、高島町の市有地において、メガソーラー発電事業に関する企画提案を募集することが公表されました。再生可能エネルギーの利用拡大に向けた取り組みとして、メガソーラー発電事業を担う民間事業者に対して、市有地を提供するなど支援を行うことは重要です。県及び県内の市町を初め、全国の自治体でも同様の取り組みが広がっています。今回、市が公募している土地は高島町の普通財産となっている遊休地ですが、市有地としては普通財産のみならず、行政財産においてもメガソーラー発電事業を誘致することで有効活用できる土地が見受けられます。例えば、三京クリーンランド埋立処分場には、一定期間、特段の活用見込みがないまとまった土地があります。折しも他都市の事例として、浜松市では活用の見込みのない一般廃棄物最終処分場跡地メガソーラー事業者を誘致するため、事業公募を実施されています。  再生可能エネルギーの利用拡大と持続可能な低炭素社会の実現に向けた取り組みを進めるためにも、市としてメガソーラー発電事業者に対する、さらなる市有地を活用した積極的な提案ができないか伺います。  次に、大きな項目の4障害者福祉施策についての(1)福祉就労障害者の工賃アップへの取り組みについてですが、先日、同僚議員からの同趣旨の質問に対し答弁があり一定の理解を得ましたので、この点については、時間があれば後ほど、別の視点から自席にて質問をさせていただきます。  最後に、障害者福祉施策についての(2)障害者施設への受注機会の拡大について伺います。  さきの国会において、障害者優先調達推進法が成立しました。同法では、障害者がつくる製品の優先的な購入を国などに義務づけ、就労機会をふやすことで障害者の自立を促進することを目的としています。  同法の趣旨を踏まえ、本市における障害者施設等への物品購入等の発注実績の現状と、障害者施設等の受注機会の拡大に向けた今後の取り組みについて伺います。  以上、本壇からの質問といたします。 =(降壇)= 3 ◯副議長(鶴田誠二君) 市長。       〔田上富久君登壇〕 4 ◯市長(田上富久君) 公明党、林 広文議員の質問にお答えします。  まず、2点目の地方分権についての(2)九州広域行政機構構想及び道州制に対する本市の考えについてお答えします。  (仮称)九州広域行政機構は、国が平成22年6月に閣議決定した地域主権戦略大綱に盛り込まれた国の出先機関の原則廃止の方針を受け、九州地方知事会が国の出先機関の事務、権限、人員、財源等を丸ごと受け入れる組織として設立を目指そうとするものであります。当面は、地域活性化と関連の深い九州経済産業局九州地方整備局九州地方環境事務所の3機関の移譲を実現したい考えを表明しております。  このような中、九州市長会では、機構設置後、災害時に迅速な対応が行えるのか、想定されている九州広域行政機構の仕組みで、円滑な意思決定や情報共有ができるのか、3層が4層になるだけではないのか、予算は確保できるのかなど、多くの疑問点が上げられております。一方、九州市長会では、地方分権型社会の実現と持続可能な地域の発展を図るための最良の処方箋は道州制の導入であるという考えのもと、平成17年5月から九州における道州制である九州府のあり方について研究を開始し、ことし5月に主に県から基礎自治体への権限移譲のあり方や住民自治の充実についてなど、住民に身近な基礎自治体の立場や住民目線を重視した具体的な考え方を提示した九州府構想推進計画報告書を取りまとめております。  ご質問の九州広域行政機構についての見解ですが、機構の設立が九州府の実現に向けた第一歩という位置づけであれば一定理解できますが、それが示されていない中で、多くの問題点を抱えたまま、しかも、市町村との十分な議論もないままの受け入れは時期尚早であると考えています。また、道州制の考え方についてですが、道州制はより広域で、かつより身近でという、ある意味では逆方向に見える2つの時代の要請を受けての具体的な地方自治制度の再構築案であると考えています。  「より広域で」の方向性については、九州府の実現によりまして、国から権限や財源などが移譲されること、また、行政エリアや財政規模が現在より大きくなり、県境を越えたオール九州で地域経済の活性化や災害対応に取り組めるなどのメリットが考えられます。  「より身近で」の方向性については、九州府の実現により、地域住民に最も身近な基礎自治体の権限が強化され、個性的なまちづくりやきめ細かなサービスの提供を可能とすることが重要と考えています。その際、自分たちのまちは自分たちでよくするという住民自治の感覚が基盤とならなければ、地域主権はうまくいかないと考えています。  道州制についての議論は、全国的にはまだまだ熟しておらず、知事会、町村会なども含めた今後の議論の活発化が必要であると考えています。  次に、2点目の(3)分権時代における本市職員のあり方についてお答えします。  地方分権時代において、行政を取り巻く環境が複雑かつ高度化、多様化している中、職員一人ひとりがこれまで以上に高い専門知識や能力などを有することが必要となっています。このような中、第四次総合計画において、みずから考え、みずから発信し、みずから行動する職員を育成することを個別施策に位置づけております。また、人材育成基本方針においては、自立した職員、時代の変化に敏感な職員、対話のできる職員、組織や人を育て管理運営できる職員、高度な専門知識を持った職員を求められる職員像とし、市民に信頼される市役所を目指すため、次の4つの基本的な考え方に沿い、これまで職員力向上に取り組んできました。  基本的考え方の1点目、職員の意欲を高め能力開発を支援するにおいては、視野を広げ、幅広い知識を習得させるため、国、県の団体や研修機関への派遣などに取り組んでおります。  また2点目、活力ある職場風土をつくるにおいては、その主な取り組みとして、改善が当たり前の職場風土を醸成するため、職員提案制度、市役所はってん機構の充実を図っており、新たな視点、柔軟な発想で物事を考えることを促しております。  次に3点目、職員の能力、適性を生かした人事制度を確立するにおいては、職員に多様な経験を積ませることはもとより、みずからの能力適性の把握を目的としまして、採用後10年程度までに企画管理部門、窓口部門、事業部門などの性格の異なる所属を異動するジョブローテーションなどの取り組みを行っております。  最後に4点目、市民と協働して地域をつくるにおいては、民間の経営感覚を養うための異業種交流研修や新規採用職員を対象とした地域等訪問研修などを実施し、市民との連携や、協働ができる職員を育成する仕組みづくりを進めております。  今後は、研修内容等をさらに充実させ、職員の能力向上を図るとともに、職員の意識も変えていかなければならないと考えております。そのためには、仕事に対する姿勢や考え方をさらに発展させ、取り組むべき仕事をみずから考え、立案する自立型に変わっていくこと、また、市民や企業と連携する協働型や、今の時代に合わせた仕組みやルールをつくり出す創造型をプラスして仕事に取り組むことが必要であると考えています。さらに、職場は市役所ではなく、長崎のまち全体が職場であるという意識へと変化していくよう、現場での実地研修や市民との意見交換などの取り組みについても充実させたいと考えております。常に市民起点で仕事に取り組み、成果を上げられる市役所になることを目指し、私自身があらゆる機会を通じて、市政に対する思いを職員に伝え、みずから考え行動できる自立した職員を育成し、より一層の行政サービスの向上に邁進したいと考えております。  次に、3点目の市有財産の有効活用についての(1)メガソーラー発電事業者への市有地の提供についてお答えします。  東日本大震災に伴う原子力発電所事故をきっかけに、より安全なエネルギーを基盤とする社会への転換を図るとともに、環境負荷の少ない循環型で持続可能な低炭素社会の実現に向けた取り組みを進める必要性が高まっています。そこで、長崎市ではエネルギー消費の全体量を縮小させる省エネルギー、太陽光を初めとして風力、水力など自然の力を利用した再生可能エネルギーを地域みずからでつくり出す創エネルギー、市民生活や社会基盤に深く関わるエネルギーシステムなどについて市民と一緒に考える論エネルギーという3つの柱に基づき、再生可能エネルギーの利用拡大と低炭素社会の実現に向けた取り組みを推進しています。このような中、再生可能エネルギーにより発電した電気を一定の価格で、一定の期間、電力会社に買い取ることを国が義務づける再生可能エネルギー固定価格買取制度がことし7月1日から始まりました。平成24年度は、発電した電気の1キロワットアワー当たり税込み買い取り単価が42円で、電力会社が20年間買い取ることとなっていることから、これを契機として、全国的に、いわゆるメガソーラー発電事業が活発化しています。  議員ご質問の市有地の有効活用策としてのメガソーラー発電事業者への提供につきましては、先ほど述べました再生可能エネルギーを地域みずからでつくり出す創エネルギーを推進する中で、太陽光発電事業へのさらなる支援策として、太陽光発電用地として適地となる市有地があれば、できるだけ民間事業者へ提供していくこととしております。  そこで、長崎市における1カ所目の取り組みとして、高島町にあります普通財産の埋立地約9万平方メートルについて、現在、公募によりメガソーラー発電事業者の選定を進めております。  一方、行政財産につきましては、平成18年の地方自治法改正により、余剰部分を貸し付けることも可能となりました。しかし、メガソーラー用地として提供しますと、長期間にわたり財産の使用が制限されることとなるため、その行政財産の本来の目的に支障がないかについて、個別に判断していく必要があると考えています。行政財産のうち、具体的にご質問のありました三京クリーンランド埋立処分場につきましては、地元の皆様から用地を借り上げ、1工区から3工区に分けて埋め立てを進めておりましたが、借り上げておりました民有地を平成19年度に買収させていただいております。そこで、メガソーラー用地として提供が可能かについてですが、まず、2工区については、現在、埋立中であり、提供することは不可能となっております。次に、1工区ですが、裁判で係争中の用地が1工区の中心部の多くを占めておりますので、これも現在は提供することは困難であると考えております。次に、3工区につきましては、将来の埋立用地として確保しておりますが、仮にメガソーラー用地としての供用期間が20年程度であれば、埋立計画に影響を及ぼすことはないと考えております。しかしながら、今後も三京クリーンランドの埋立処分場を地元の皆様と調整を図りながら円滑に運営するためには、埋め立て以外の目的で供用する場合は、地元の皆様のご理解が第一の前提であると考えています。また、廃棄物処理法上の最終処分場として位置づけられておりますので、これを埋め立て以外の目的として使用する場合の法的な問題についても整理する必要があると考えています。このように、幾つかの課題がありますが、関係する皆様との協議や、解決すべき問題の整理を今後行っていきたいと考えております。  以上、本壇からの答弁といたします。=(降壇)= 5 ◯教育長(馬場豊子君) ご質問の1点目、教育行政についてのうち、(2)通学路の安全対策についてお答えいたします。  今年4月、全国各地で児童が交通ルールを遵守していたにもかかわらず、悲惨な事故が連続して発生したことを受け、教育委員会といたしましては、5月末までに、市立小中学校の通学路の緊急点検調査を行いました。この調査は、学校現場からの視点のみの緊急的な調査であったことから、再度、学校そして市道を所管する市の道路維持課、国道・県道を所管する長崎県長崎振興局及び交通規制等を所管する警察による合同調査を6月8日から6月29日にわたり小学校分について実施いたしました。なお、中学校分につきましては、今回、小学校分を優先的に対応しているため、それらに一定のめどがつく10月に関係機関との合同調査の実施を予定しております。  小学校の合同調査の結果、何らかの改善が必要と思われる箇所が188カ所確認されました。内容別に見ますと、ガードレール42カ所、道路改良35カ所、路側帯設置など22カ所、信号機14カ所、白線塗り直しなど12カ所などとなっております。所管別に見ますと、長崎市所管分110カ所、長崎県長崎振興局所管分42カ所、警察所管分36カ所でございました。  ハード面での対応といたしまして、長崎市所管分110カ所のうち、対応可能と判断したものが88カ所あり、そのうち白線塗り直し等につきましては、ほぼ完了いたしております。残りの分につきましても、現在優先的に工事を進めており、ことしじゅうには完了予定でございます。次に、安全確保のために必要な手法の検討を要するものが15カ所ございますが、手法が決定次第、順次施工することといたしております。残り7カ所につきましては、道路幅が狭いことや駐車場の出入り口となっているため、ガードレールが設置できないなど、現時点では対応困難と判断いたしております。長崎県長崎振興局分42カ所、警察署所管分36カ所、計78カ所につきましては、現在、両機関とも鋭意、その対応を進めているとお聞きしております。今後の協議の中で実態を把握し、対応可能なもの、時間がかかるもの、対応困難なものに整理した上で、早急な対応に努めることといたしております。いずれの所管分でありましても、対応困難と判断されたものにつきましては、安全確保のための方策を再度検討することといたしております。  次に、ハード面ですぐに対応できないものにつきましては、ソフト面での対応として、学校及びPTA等に対し、安全確保のため、校門や交差点などで交通安全指導の協力要請を行なっております。なお、通学路の安全確保につきましては、これまでも日常的に各学校自体はもちろんのこと、子どもを守るネットワークを初めとする地域の方々のご協力を得ながら、その状態の把握に努めてきております。また、登校時などにおきましても、保護者、交通指導員、地域の方々のご協力のもと、交通安全指導も実施されております。  今後とも、交差点などでの交通安全指導を継続するとともに、パトロール等により指摘された箇所につきましては、関係機関と連携しながら、その都度対応していくこととしております。あわせまして、児童生徒に対しましては、自分の身は自分で守ることができますよう、安全教育のさらなる徹底を図ってまいりたいと考えております。  次に、(3)中学校入学時の指定用品購入費用の把握についてお答えいたします。  中学校入学時には、それぞれの学校において指定された制服、体操服、通学かばん、上履きなどを購入することとなっております。その購入品の中でも、特に高額となります制服につきましては、デザインや購入金額も含め、PTA等と十分協議した上で設定しております。指定用品の品目や金額は、学校によってさまざまであり、毎年すべての学校について把握しているわけではございませんが、入学時の購入費用につきましては、おおむね6万円から8万円程度と認識しております。学校におきましては、入学時の保護者負担軽減のため、PTA等が中心となり卒業生の制服やかばん等を譲り合う取り組みを行ったり、小学校で使用していた物を中学校入学後も引き続き使用できるようにするなどの工夫をしている事例もございます。  教育委員会といたしましては、今後とも、入学時に保護者の過度な負担とならないよう、このような事例を紹介するとともに、指定する品目や金額などを保護者と十分協議するよう、学校に指導してまいります。なお、長崎市における新入学用品費に対する助成制度といたしましては、まず、生活保護世帯に対しましては、入学準備金として国の基準単価である4万6,100円が支給されております。また、準要保護世帯に対する就学援助制度におきましては、要保護世帯に対する新入学用品費の国庫補助単価と同額の2万2,900円を支給いたしており、給付額の引き上げにつきましては、現在のところ考えていないところでございます。  以上でございます。 6 ◯総務部長(橋田慶信君) ご質問の2点目、地方分権についての(1)義務づけ、枠づけの見直しに伴う本市の取り組みについてお答えいたします。  地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律、いわゆる地域主権一括法は、地方自治体の自主性を強化し、自由度の拡大を図ることを目的として、地方自治体に対する事務処理及びその方法に係る義務づけ、枠づけの見直しと条例制定権の拡大、基礎自治体への権限移譲を図るため、平成23年5月に公布された第1次一括法と、平成23年8月30日に公布された第2次一括法により、関係する多くの法律が一括して改正され、本年4月1日から本格的に施行されております。この地域主権一括法の施行により、長崎市におきましても、平成24年度末までに、福祉施設、公営住宅、道路、都市公園などの設置管理基準を定める条例を初めとする44の関係条例について、制定、改正をする予定としております。  議員ご質問の条例の制定、改正における長崎市の基本方針につきましては、地域主権一括法、その他関係法令の改正により、全国一律の基準が、条例の内容を直接的に拘束する「従うべき基準」、法令の規定を通常よるべき基準とする「標準」、法令を十分に参酌した結果であれば、地域の実情に応じて異なる内容を定めることができる「参酌すべき基準」の3種類に区分されたことに伴い、斜面地が多いという地形的条件、少子高齢化の進展などの長崎市の実情を考慮するとともに、これまで全国一律の基準の中で取り組むことができなかった事案についても検討を加えているところでございます。  次に、長崎市独自の基準を設定した条例の割合につきましては、平成24年2月議会から今議会までに提出している14の条例のうち、9つの条例において、国の基準とは異なる内容を規定しております。そのうち、5つの条例は、地形的条件を十分に考慮した規定を盛り込んでおります。例を申し上げますと、今議会に提出しておりますが、長崎市が新設、改築する道路の勾配と歩道の幅員、長崎市が管理する道路の警戒標識、都市公園の一部の規模に関する規定などでございます。なお、国の基準どおりの内容とした5つの条例におきましても、先ほどの基本方針に基づき、十分に検討を加え、取り組んできたところでございます。次に、独自の基準を設定する上での手続のあり方につきましては、制定、改正する条例の内容などに関して、その骨子や基本方針などを示しながら、パブリックコメントを実施し、広く意見を聴取することや、事業に関係する団体、機関と協議を重ね、意見をお聞きしながら事務を進めているところでございます。  今後とも、長崎市の実情、特性に応じた条例の整備に努め、きめ細やかな住民サービスの提供、効率的な予算執行などの地域主権改革に伴う条例制定権の拡大の意義、効果を十分に発揮することができるよう努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 7 ◯福祉部長(田中和博君) ご質問の4、障害者福祉施策についてのうち、(2)障害者施設の受注機会の拡大についてお答えをいたします。  議員ご指摘のとおり、国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律、いわゆる障害者優先調達推進法は、障害者就労施設等の受注の機会を確保するために必要な事項等を定めることにより、障害者就労施設等が供給する物品等に対する需要の増進を図り、障害者の自立の促進に資することを目的として、平成25年4月から施行されるものであります。地方公共団体におきましても、国と同様、障害者就労施設等からの物品等の調達方針の策定、調達実績の公表などが義務づけられておりますことから、同法の趣旨に沿った対応を講じてまいりたいと考えております。  長崎市におきましては従来から、障害者の施設への製品、作業の発注機会の拡大に取り組んでいるところであり、地方自治法の趣旨に基づき、あらかじめ公表した発注見通しに基づく障害者支援施設等との随意契約の締結を行っております。毎年度、障害者支援施設等に発注可能な業務や物品の購入などを全庁的に集約し、発注見通しを作成、公表した上で、施設の経営安定等に資するため、随意契約により発注を行うものでございますが、平成18年度には受注施設数が13施設、受注金額は約834万円であったものが、平成23年度の実績では24施設、約2,651万円まで拡大をしています。こうした取り組みにつきましては、今後も可能な限り拡充してまいりたいと考えており、また、障害者優先調達推進法の施行にあわせ、国の基本方針及び調達方針が示される予定でございますので、国、長崎県及び他都市の動向等も見きわめながら、同法の趣旨を十分に踏まえ、適切に対応してまいります。  以上でございます。 8 ◯12番(林 広文君) 一通りの答弁をいただきました。いま少し理解を深めるために、自席から改めまして質問をさせていただきます。  まず、教育行政についての(3)中学校入学時の指定用品購入費用の把握についてでございます。  先ほど答弁をいただきましたけれども、私自身も中学校に、生徒の皆さんが入学するのに大変な出費になるということで、大変だなということを保護者の方からお聞きしまして感じました。答弁の中で、指定用品の購入に要する費用がおおむね6万円から8万円ということだったんですけれども、私が伺った金額は10万円近くという金額とはずれがありますけれども、教材とか、そういった指定用品を含まないものも入っているかと思いますので、そこはよしとしたいと思いますが、やっぱり中学校の入学時に指定用品、制服でいいますと、どうしてもスペア、かえのものも買っておかなければならないとか、また、さらに部活動に入部した場合などを考えると、さらに高額の負担になることは間違いありません。もちろん、3年間にわたって使用するものでありますし、答弁であったように、学校と保護者、PTAの皆さんと協議した上での指定用品であるということは理解できるんですけれども、それにしても少し金額が高いんではないかなという感じがいたしました。  生活保護の国の基準が4万6,100円ということを考えますと、先ほどの答弁では6万円から8万円とありましたけれども、平均して7万円としても、それでもまだ2万円以上の開きがあります。私も、この相談を受けた方から、学校の制服の注文表の写しをいただきました。一部なんですけれども、客観的に高いか、安いかというのは大変難しいと思うんですけれども、冬のスラックスが1本8,400円、長袖のポロシャツが1枚4,200円、ポロシャツはかえも要るでしょうから、2枚買えば8,400円になります。夏服になりますと、今度はまたスラックスが7,700円、半袖のポロシャツが1枚で3,800円、これも2枚は必要となることから7,600円というふうになります。制服としては、このほかにもちろん、いろんなものも入っていますので、かなりの金額になるということなんですけれども、例えば、こういうシャツにしても、私も最近はこのポロシャツに2,000円以上かけて買ったことはありません。ちなみに、職員の皆さんがよく着ていらっしゃる「さるく」のポロシャツは1枚2,000円です。もちろん、学校の校章を入れたり、ひと手間入るのでしょうから、単純な比較はできませんけれども、保護者の方が感じる負担感も少しは理解できると思います。  そこで、この指定用品の購入費用をもう少し引き下げるような手だてはないのかという点をお聞きしたいんですけれども、例えば、学校指定用品のうち、カッターシャツとか、かばんとかシューズなど、各学校で使用が共通するものについては、地区別に学校を分けて共同購入を行うなど、価格の引き下げにつながるような取り組みはできないのかというふうに考えたんですが、この点についてお考えをお聞かせください。 9 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。  今、言われたように、近くの学校で共通して買うことができないかというご質問でございますが、例えば、補助バックみたいなものにつきましては、既製品に校章を入れているということで、既製品になっていることそのものが低価格に抑えられているというものでございまして、なるべくそのようなものを使って、特注的なものは避けるようなことは指導しております。  ただ、今回、ご質問があって調べたところ、確かに、学校ごとに開きはございますので、保護者の過度な負担にならないかという視点もしっかり考慮の上、指定品目、金額も設定していただきたいと思っておりますので、学校のほうには、今まで多分、よそとの比較というのは余りしていなかったと思います。そういう面では、全体的に各学校がこのくらいの費用で実施がなされているということは、全学校のほうにお知らせし、そして、過度の負担になっているのではないかという視点をもって、PTA等と協議をしていただきたいと思っております。  また、先ほど答弁でも申しましたとおり、PTA等で行われている譲り合いの制度を持っているところもございますので、ぜひそういうものも導入して、各学校で工夫していただけるようなことも指導してまいりたいと思っております。  以上でございます。 10 ◯12番(林 広文君) 次に、通学路の安全対策についてでございます。  答弁の内容なんですけれども、本当に速やかな対応を今回していただいております。本当に感謝申し上げます。また、なかなかこういった道路、安全対策というのは県、市、警察が連携して行うということはなかなかなかったことかと思います。そういった意味では、ここについても、きちっと連携した上で行っていただいたこと、大変に感謝をいたします。  答弁の中で、市の所管分が110カ所改善できる。また、その中で対応可能なものが88カ所、そして、何とかことしじゅうには完成できるというお話でございました。今回行った改善の工事等によりまして、例えば道路において、こういう問題があったけれどもこのように改善した、そういった特徴的なものの例示があればお示しいただきたいと思います。 11 ◯土木部長(本田 潔君) 再質問にお答えいたします。  今回の合同調査におきまして、学校現場からの要望に基づき調査を行ったわけでございますけれども、こういった中で、要望は要望として、例えば、ガードレールを設置してほしいとか、そういった要望があった箇所で現地を調査いたしましたところ、やっぱり駐車場があって、実際、現実には設置ができないとか、あるいは白線を引いてほしいといった箇所につきましても、そういった先ほどの箇所も含めまして、例えば、ここは白線をもっと伸ばしたほうがいいとか、路面表示をしていったほうがいいとか、そういったものについて改善というような対応はしているところでございます。そこは、現地に応じまして、安全が確保されるような方策を皆さんで考えながら、そういう対応を今行って、白線引き等につきましては、現在ほぼ完了しているということでございます。  以上でございます。 12 ◯12番(林 広文君) ぜひ継続的な取り組みをお願いしたいというふうに思います。  続きまして、いじめ根絶への取り組みについてお尋ねいたします。  先日の同僚議員の質問に対する答弁では、いじめの定義、いじめは人間として絶対に許されないとの基本姿勢、そして、直近のいじめ認知件数として860件であり、県内の認知件数の8割を占めることなどをお示しいただきました。教育長もおっしゃっておられましたけれども、件数が数多く認知されたことは、各学校がいじめの問題について高い危機意識を持ちながら、早期に発見した結果ではないかと分析しておられましたが、私もそのとおりだと思っております。特に、教育現場の教員の皆さんは、授業や生徒指導、進路指導、そして、クラブ活動とほぼ休みなしで頑張っておられる方、たくさんおられます。そういった中で、このいじめの問題についても、率先して当たっていただいていること、学校関係者の皆様には心から敬意を表するものであります。本壇でも申しましたけれども、行政、議会もこの問題に当事者として向き合う必要があると考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  さて、先日の8月6日に、衆議院の青少年対策特別委員会において、いじめ問題に関する集中審議がございました。この委員会には、3人の有識者の方が参考人として呼ばれておりまして、この中に、いわゆる夜回り先生として有名な水谷 修さん、今、大学教授であられますけれども、意見を述べらておられました。その中で、印象に残ったのは、いわゆるいじめには2種類のいじめがあるというお話でした。2種類のいじめのうち、1つは教育的な解決が求められるいじめであって、具体的には子ども同士の悪口や集団による無視、または物を隠すなどのいたずらなどが上げられますが、子どもたちの間に教師を初めとする学校現場の方が介入することによって、いじめがエスカレートするのを予防したり、解決できたりするパターンであります。そして、もう1つは、学校以外の他の機関の関与が必要とされるいじめで、脅迫や金品の要求、著しい人権侵害などで、速やかに警察や家庭裁判所、または人権擁護委員会などに通報することで解決を図ることができるパターンというお話でございました。問題は、文部科学省また自治体の教育委員会もこの対応方法が全く異なるこの2種類のいじめがあるということを認識することなく、すべてをいじめとして学校内や教育委員会の内部で判断し、処理してしまおうとするところに、非常に大きな問題があるというふうに水谷先生はおっしゃっておられました。私もまさに、的を得た話であるというふうに感心をいたしました。  先日の答弁でも、いじめが発生した場合の指導体制、マニュアル、いじめを受けた子どもさんや保護者の方への相談体制、そして、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの派遣など、きめ細かい体制でいじめ発生の防止、発生した場合の速やかな対処方針など、ご説明をいただきました。しかしながら、この2種類のいじめがあることを考えると、いじめが発生した、または学校現場でいじめが認識された場合には、そのいじめの状況がどのような段階にあるのか、教育的な関与で解決できるのか、それとも、警察などのその他の機関に介入、あえて介入と言いますけれども、介入があって解決できる事案なのかという線引きが非常に重要なところではないかというふうに感じます。もちろん、まずはいじめの予兆をつかむ、気づき、発見が大事であることは間違いありませんが、一線を越えるような案件については、内部処理に固執することなく、警察などへの外部機関への通報などを速やかに行う必要があると思います。手おくれにならないためのこの線引きの部分、ルール化の部分について、教育委員会ではどのように考えておられるのか、考えをお伺いしたいと思います。 13 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。  長崎市教育委員会で作成しました学校教育相談の手引きというのをつくっておりまして、これは毎年、手を加えながら皆さんにお配りしているものでございますけれども、その中でも、今、議員がおっしゃられましたように、相談を受けたいじめが一定の限度を超える場合は、加害者に対し出席停止の措置を講じたり、警察関係機関の協力を求め、厳しい対応策をとることも必要で、特に暴力や恐喝など、犯罪行為に当たるいじめの場合は、必ず警察と連携して対処するということを明記しております。しかしながら、事例ごとに1件、1件違いまして、その線引きを判断することは大変困難でございます。  そういう状況の中、市といたしましては、平成21年から教育委員会と警察との協定を組んでおりまして、いつでも情報交換ができるような対策をとっております。そういう意味では、犯罪行為と認識するまでもなく、その前の段階からの個人情報を踏まえた相談ができる体制をとっておりますので、非常にその部分では相談がしやすい体制になっております。また、警察OBの方が巡回しますスクールサポーターという制度がありまして、その部分も毎回、学校に警察OBの方が巡回してまいりますので、その時点で気軽に相談ができるということができておりますので、この部分につきましては確かに、学校内で対応できる限度もございますので、ぜひ、警察の方々のお知恵もお借りしながら、早期の対応に努めていきたいと考えております。  以上でございます。 14 ◯12番(林 広文君) 大津市での事案を見ますと、ある意味、学校、教育委員会が問題のすべてを抱え込んでしまって、身動きがとれなくなって隠蔽に走るという構図が透けて見えるわけであります。その時点では、学校、教育委員会も加害者になってしまうという大変不幸なことになってしまいます。こういったことを深く認識しながら、そのすみ分け、線引きというのをしっかり持っていただきたいと思います。  次に、いじめの原因の分析についてお尋ねしたいと思います。  いじめの恐ろしいところは、誰もが加害者にも被害者にもなり得るという点です。ある統計によれば、いじめをしたことがあると答えた生徒の9割以上がいじめに遭った経験があるというデータがあります。きょう、いじめの加害者であった子どもが、あすは被害者になるということが現実に起こっています。大津の事件では、加害者の生徒も家族も、学校、地域を追われ、社会的な制裁を受け、心に大きな傷を負うことは間違いないと思います。いじめには、加害者と被害者、そして、傍観者の3者が存在しますが、悲惨ないじめにかかわった人は皆、ある意味全員が被害者となる得ると思います。  そこで、考えますことは、学校現場において、いじめという不幸な現象がなぜ起こるのかという、ある意味、根源的な問いになりますが、いじめが起きる要因、背景には何があるのか、その原因の分析が大事ではないかというふうに思います。このことについては、もちろん専門家の方の意見とか、心理学的な分析などは既にあるかもしれませんが、一向にいじめがなくならない、いじめを苦とする自殺がなくならない現状を考えますと、教育の現場や家庭環境、さらに広く社会情勢も含めて、何か見落としている部分もあるのではないかというふうに感じております。教育委員会として、なぜいじめが起きるのか、原因について分析などは行っているのでしょうか、お聞かせください。 15 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。  いじめの原因はさまざまあると思いますけれども、やはり、相手の身になって考える、そういう力が大事だと思っております。また、専門家の言葉をおかりしますと、いじめは学級やグループなどの同一集団の中で構造化する問題であり、集団の病理とも言われております。具体的には、いじめる者、いじめられる者だけの問題ではなく、いじめをはやし立てる観衆、あるいは見て見ぬふりをする傍観者などがいじめを取り巻く集団のありさまが、いじめの原因として大きく左右されているという分析もございます。そこで、いじめの問題だけではなく、子どもたちの規範意識や信頼関係を育てるふだんからの学級経営、そういうものが大切になってくると考えております。見て見ぬふりをしない集団づくりを行うことで、いじめ根絶に努めてまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、やはり、いじめは決して許されないという、そういう認識をしっかり子どもたちにも定着するように努めてまいりたいと思っております。  以上でございます。 16 ◯12番(林 広文君) これで最後といたしますけれども、先ほど触れましたけれども、教育長がおっしゃったように、いじめは人間として絶対に許されないという認識を児童生徒の皆さんはもちろん、学校現場、教育委員会、保護者の皆さん、すべての大人が共有することが今、大事ではないかというふうに思います。私も子どもを持つ親として、このいじめについての根本的な認識として、いじめはいじめた方が100%悪いという認識をぜひ徹底していただきたいと思っております。これだけいじめについての報道や、さまざまないじめ解消に向けた取り組みがあっている中でも、いまだに、いじめでは、いじめられる側にも落ち度があるのではないかといった誤った認識が一部には残っているのではと感じております。たとえどんな理由があるにせよ、いじめは絶対悪ということをもっと徹底して浸透できるように私たちも頑張っていきたいと思っております。そして、本来、子どもたちの未来のすばらしい可能性を開花させるための場所である学校を、子どもたちの命を奪い去る場所には絶対しないというこの強い決意で、いじめ問題には立ち向かっていただきたいというふうに思います。  最後に、教育長の強い決意をもう一度伺いたいと思います。 17 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。  いじめは、やはり人間として絶対に行ってはならないことということを徹底して行っていきたいと思っております。
     一方では、やはりいじめはそう言いながらも、現実にあり得る問題だということで、やはり、学校、家庭連携しながら、大人たちのアンテナをしっかり高く保つ努力も必要だと思っております。  それともう1つ、やはり命は大事なんだということは、自分の命も相手の命も大切に尊重すべきものだということにつきましても、力を入れて指導してまいりたいと思っております。  以上でございます。 18 ◯副議長(鶴田誠二君) 次は、23番小宮慶一議員。       〔小宮慶一君登壇〕 19 ◯23番(小宮慶一君) 明政・自由クラブの小宮慶一です。質問通告に従い、順次質問してまいりますので、市長並びに理事者の明快なご答弁を求めます。  長年の悲願でありました九州新幹線長崎ルートが起工し、10年後の全線開通が確実な見通しとなりました。これで駅前周辺の再開発計画は急速に加速し、加えて魚市跡には県庁が建て替えられ、駅の西側にはコンベンション施設の配置が検討されるなど、長崎駅周辺は大きくその姿を変えようとしております。一方、駅周辺の開発だけでなく、市役所や公会堂の建て替え、県庁の跡地活用や出島表門橋の復元など市民や観光客のまちなかへの回遊性を高める取り組みも進められており、交流人口の拡大だけでなく、定住人口をいかにふやすか、市街地周辺のまちづくりも重要となってまいりました。そういう意味では、今、まさにまちづくりの総合力が問われているときではないかと思います。  そこで、私は今回もまた地域の振興とまちづくりの問題を取り上げさせていただきました。  合併地域のまちづくりについては、長崎市第四次総合計画にも地域の資源を生かしたまちづくりの重要性がうたわれております。確かに、合併して6年あるいは7年が経過し、社会環境の変化とともに新たな課題も見えてまいりました。また、新聞報道にもありますように、人口減少に歯どめがかからない過疎地域の問題も深刻さを増してきております。市長はこれまで、合併地域の振興については、市町村建設計画を着実に推進することが重要であり、市町村建設計画を補完し、地域の特性を生かしたまちづくりを推進するため、地域ごとの振興計画を本年3月までに策定すると繰り返し述べてまいりました。ところが、その姿がいまだ見えてまいりません。聞くところによりますと、本年度末までかかるような話ですが、なぜなんでしょうか。  そこでお尋ねですが、今回の地域振興計画の策定はどのような視点で、また、どのような方法で策定しようとしているのか、その考え方と取り組みの進捗についてお示しいただきたいと思います。  次に、地域振興策の具体的な事例として、最初に野母崎診療所の施設活用計画の進捗と市の対応についてお尋ねいたします。  住民の暮らしと地域振興に大きなかかわり合いを持つ市立野母崎病院は、平成19年、医師不足による医療の縮小以来、紆余曲折を重ねてまいりましたが、平成22年、医療の存続を柱とする基本計画が示され、野母崎病院は市直営の診療所として転換、継続し、診療所以外の部分は老人保健施設等の福祉施設として有効活用を図ることが決まりました。その後、診療所は医師確保の努力が実り、平成23年4月から医師2人体制による直営の有床診療所として運営が続けられております。残る診療所以外の部分についても、地元の強い要望等を踏まえ、介護、福祉の複合施設としての活用が決まり、本年7月までに公募による事業者の選定を終えたところであります。地元では事業者決定の説明を受け、地域の振興と安全・安心な暮らしを思う安堵の気持ちとともに早期開設を求める声が寄せられているのであります。特殊な地域性もあり、開設、運営には幾多の困難もあると思われますが、本市の地域医療検討会の指摘にもあるように、過疎化が進む野母崎地域の限られた医療資源を補うためにも、行政の積極的な関与と財政支援によって地域の医療、介護、福祉の拠点施設として早期開設の実現を図るべきだと思います。計画の進捗と市の対応についてお尋ねいたします。  次に、野母崎地域の観光振興の拠点施設である野母崎海の健康村の経営改善についてお尋ねいたします。  私は、2年前にも長崎市野母崎振興公社の経営に関連して、同趣旨の質問をさせていただきました。ちょうど長崎市外郭団体等経営検討委員会が、野母崎振興公社は平成26年度までに赤字を改善できなければ廃止を検討すべきとする見解を示し、平成23年度までに提言書をまとめるという新聞報道がされた直後のことでした。ところが、その後、海の健康村の経営は改善どころか、平成19年度ごろから悪化をし、平成20年度以降、連続4年間、赤字に転じ、平成23年度末現在で3,265万円の累積欠損金を抱えるに至っております。健康村の経営改善がなければ、90人の地元雇用を抱える公社の運営改善もあり得ないし、野母崎地域の観光振興政策にも大きなダメージとなることは目に見えております。  野母崎海の健康村の経営の現状と改善策についてお尋ねいたします。  次の野母崎小学校閉校後の跡地活用については、時間があれば自席からの質問とさせていただきます。  次に、教育行政の質問に入りたいと思います。  まず、全国学力・学習状況調査の結果分析と本市の見解についてお尋ねいたします。  文部科学省は、8月8日、4月に実施した本年度の全国学力・学習状況調査の結果を公表しました。翌8月9日付の新聞報道によると、文部科学省は全体的に学力の底上げが図られ、地域間の格差も縮まったとする一方、例年どおり秋田、福井両県が小中とも好成績で上位県の固定化が続いているとも述べておりました。また、長崎県の調査結果については、全国平均との差に大きな変化はなかったが、小学6年生の算数が全国平均を下回っていたなどとする県の分析結果が報じられておりました。長崎市は、学校教育の指導方針で心の教育の充実と確かな学力の向上に努め、特色ある教育を展開する中でみずから学び、みずから考え、生きる力の育成を目指す方向を示し、長崎市第四次総合計画には、全国学力・学習状況調査は全国調査であり、長崎市の児童生徒の学力の傾向を分析できると考えられるため、文部科学省から提供される調査の結果をもとに毎年把握し、全項目で全国平均以上を目標とするという方針を掲げております。そこで、本年度の全国学力・学習状況調査の結果を受けて、本市としてどのような分析をし、児童生徒の学力の傾向、課題等について把握されているのかの見解を求めます。  次に、最後になりますが、野母崎小中一貫教育モデル校の考え方についてお尋ねいたします。  小中一貫教育校については、野母崎地区内4小学校の統合に伴い、野母崎地域の子どもたちの豊かな人間形成と活力のある学校づくりへの新たな挑戦とする地域の願いのもとに進められてまいりました。現在、施設一体型の校舎建設とともに、平成26年4月の開校に向けて、野母崎地区小中一貫モデル校開校準備地域懇話会が立ち上げられ、小中一貫校としての特色ある教育方針や内容、学校の名称や校歌、制服等の問題についても協議が開始されたところであります。  そこでまず、市教委はこれまで小中一貫教育モデル校という言葉を使われておりますが、このモデル校というのはどういう意味で使われているのか、また、小中一貫教育は市の教育方針の中でどのような位置づけになるのか、改めて見解をお示しいただきたいと思います。その上で、小中一貫校において、教育課程の内容等についてどのような教育形態を考えているのか、他都市のような教育課程特例校を申請する考えはないのか、小中一貫校に対する市教委としての基本的な考えについてお尋ねいたします。  以上、本壇からの質問といたします。=(降壇)= 20 ◯副議長(鶴田誠二君) 市長。       〔田上富久君登壇〕 21 ◯市長(田上富久君) 明政・自由クラブ、小宮慶一議員の質問にお答えします。  まず、1点目の地域振興についての(2)野母崎診療所の施設活用計画の進捗状況についてお答えします。  野母崎診療所は、平成23年4月に入院病床65床を持つ病院から19床の診療所に移行し、運営を行っております。病院から診療所への移行に際しましては、地元からの要望である入所、通所機能を持つ介護福祉施設等の複合施設として空きスペースを活用するという基本方針のもと、ことし5月に市内の医療法人、社会福祉法人を対象に公募を行いました。公募事業者につきましては、学識経験者や地元の代表などで組織する選考委員会での審査を経て、社会医療法人長崎記念病院に決定をしました。今回、事業者から提案された介護福祉施設の内容ですが、特別養護老人ホーム、ショートステイ、デイサービスの3つの機能を持つ施設となっています。直営診療所につきましては、医師2名体制を維持することとしておりますが、現在実施していますデイケアは民間事業者が行うデイサービスとして引き継ぐこととし、入院につきましては、実績が少ない状況もあり、民間事業者のショートステイにより一部の機能代替が可能なことから廃止することを検討しております。  現在の取り組み状況につきましては、厚生労働省が定める介護施設の基準に合わせた部屋ごとの配置や1階部分の診療所との区分調整などについて事業者と協議を行っております。また、施設の改修費用につきましては、公募の際、事業者からは長崎市に負担を求める旨の要望がなされ、そのことを前提に事業者の決定に至ったことから、長崎市が初期改修費用については補助を行うこととし、現在、病床転換に係る国庫補助金や過疎債等の有利な財源確保に向けた検討を行っております。  この介護福祉施設につきましては、地元からも大きな期待を寄せられており、選考委員会からも地域の特殊性を十分踏まえた中で、行政としても不退転の決意で経済的支援等のサポートを行ってほしいなどのご意見もいただいております。  長崎市としましても、選考委員会や地元からのご意見、ご要望を十分踏まえた上で、この施設が地域の活性化や安心できる暮らしに資するよう、残された課題を1つずつ解決しながら、平成25年度中の開設を目指し、取り組んでいきたいと考えております。  次に、1点目の(3)野母崎海の健康村の経営改善についてお答えします。  野母崎海の健康村は、平成12年度末に旧野母崎町の国民宿舎が老朽化によりまして閉館された後、平成13年の4月に旧野母崎町が温泉と宿泊を兼ねた野母崎地区の観光の拠点として建築をし、開館をしました。運営につきましては、財団法人野母崎振興公社が受託をしており、長崎市と合併後の平成18年度からは指定管理者として、平成27年3月まで引き続き管理運営を行うことになっています。施設の利用者数につきましては、オープンした平成13年度には約22万5,000人の利用者がありましたが、平成23年度には約12万人まで減少してきております。  次に、経営状況ですが、平成19年度までは順調な経営がなされていましたが、平成20年度から4期連続の赤字決算となっております。野母崎海の健康村の健全な財政状況を維持するためには、経営の黒字化は急務であると認識をしており、平成20年10月、指定管理者である野母崎振興公社と連携し、経営改善計画の策定を行いました。長崎市としましても、この経営改善計画に基づいて施設の改修整備を毎年実施しており、中でもレストランにつきましては、平成21年度に座席の不足により利用客に対応できない状況があったことから、レストランの増築を行いました。62席を88席にして、利用者の利便性の向上と収益の増加を図ったところです。また、伊勢エビまつりと連携した食事の提供を行うなど食との連携を図るとともに、海の健康村前桟橋から出航する船を利用して、15分で軍艦島まで行くことができることを前面に打ち出した軍艦島プランの販売を行い、利用者増を図っております。  このような経営改善の結果、平成23年度宿泊者数については、1万1,004人と対前年度比1,596人増加をしております。そのほか、光熱水費や人件費等の経費削減もあわせた結果、平成23年度の赤字額は約274万円となり、前年度より赤字額が約1,188万円減少しております。  そして、さらに経営改善を推し進めるために、現状により適応した新たな経営改善計画をことし8月に策定いたしました。新しい経営改善計画は、平成24年度以降の収支の黒字化はもとより、指定管理期間が満了する平成26年度までの安定した経営を目的としており、旅行代理店や各種保養所との連携による誘致推進、インターネットを活用した情報発信、受付予約、そして、職員の意識改革によるサービスの向上を柱としており、全従業員が一丸となって経営改善目標の達成に向け努力することとしております。  海の健康村は、野母崎地区において28名の地元雇用を生み出しており、野母崎地域における雇用の確保や地域の活性化にも寄与しており、地域振興の観点からも重要な施設であると認識をしています。  今後、海の健康村の温泉が国内でも珍しい天然炭酸泉であることや、大浴場を初め、すべての客室から端島のきれいな軍艦の形を見ることができる軍艦島が見えるホテルとしてアピールしていきたいと考えています。さらに、近隣にあります長崎県亜熱帯植物園や軍艦島資料館など周辺施設をめぐる観光ルートを確立し、また、高浜地区に四季を通じて海を楽しむ活動拠点として整備が予定されている新しい海の家との連携を図り、経営改善に向け、指定管理者である野母崎振興公社と協力して取り組んでいきたいと考えております。  以上、本壇からの答弁といたします。=(降壇)= 22 ◯政策監(西田憲司君) 1.地域振興についての1点目、合併地域の振興計画策定の進捗状況についてお答えいたします。  合併地域における地域振興につきましては、合併時に策定いたしました市町村建設計画の着実な進捗を図っているところでございますが、合併から6年ないし7年が経過し、市町村建設計画を補完する新たな振興策の必要性について地域の皆様からも求められておりました。  それで、平成23年度にそれぞれ地域ごとの特色を生かし、将来につながるまちづくり計画とし、状況の変化に伴う課題の解決をするために地域振興計画の策定に着手いたしました。各行政センターを中心に自治会やまちづくり団体などの皆様と一緒に会議を開催いたしまして、課題を共有しながら、資源や魅力の再発掘、将来ビジョンの確認を行いながら振興策を出し合い、7つの地区ごとに一定の取りまとめを行いました。この計画策定につきましては、地域の皆様とともにつくることで自分たちのまちは自分たちで考え、かかわっていく、いわゆる住民による住民のためのまちづくりを目指し、その仕組みをこれからも定着していくことも目的の1つとしておりました。そのようなことから、地域の皆様と議論を尽くすために時間を要し、最終的な計画策定まで至っていない状況でございます。なお、取りまとめた振興策は、今後、精査のための現地調査を行うとともに、7地区ごとに優先すべき事業、今後に向けて精査を要する事業、維持管理業務の範疇となるものなどの仕分けを行い、事業の所管課との調整に入っていくこととしております。  したがいまして、この作業を年内に完了させ、平成24年度末には7地区全体の地域振興計画の策定を完了させます。また、取りまとめた振興策のうち、最優先すべき事業や喫緊の課題として解決が急がれるものにつきましては、平成25年度から前倒しで実施できるよう取り組んでまいります。  今回の計画策定の作業を進める中で、地域の窓口としての行政センターの役割について、改めて住民の皆様と相互に理解し、信頼関係を築く方向に向かったこと、そして、住民の皆様が住民主体のまちづくりの会議をこれからも継続したいとの意向を示していただいており、この点については、各地域でまちづくりの一歩を踏み出すきっかけになったものと判断いたしております。合併地区の振興という点で、すぐに効果があらわれるような振興策は簡単に見出せないかもしれませんが、今後とも市町村建設計画及びそれを補完する地域振興計画の着実な推進を図るとともに、住民の皆様と連携し、ふるさとのまちづくりにかかわる人材の育成、自分たちのまちは自分たちで考え、まちづくりをしていこうとする風土づくりに取り組んでまいりたいと考えております。 23 ◯教育長(馬場豊子君) ご質問の2点目、教育行政について、(1)全国学力・学習状況調査の結果分析と本市の見解についてお答えいたします。  全国学力・学習状況調査は、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握、分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図ることを目的として実施しております。この調査は、教科に関する調査と生活習慣や学習環境等に関する調査の2つで構成されております。今年度は抽出調査で、教科に対する調査につきましては、例年の国語と算数・数学に理科を加えた3教科で実施され、長崎市では小学校27校、中学校24校、計51校が調査対象となりました。  学力の状況につきましては、全国の平均正答率と比較した場合、全体的には学力はほぼ全国平均並みと言えますが、少し詳しく見ますと、小学校では国語と理科がやや上回っており、算数がやや下回っております。中学校では数学がやや上回っており、理科はやや下回っております。その中でも、理科の電流や、算数・数学の説明を求める設問など正答率が低い問題などにつきましては、今後、特に注目して教科部会などを指導徹底していく予定でございます。  生活習慣や学習環境等に関する特徴といたしましては、小中学校ともに朝食を毎日食べている、人の気持ちがわかる人間になりたい、いじめはどんな理由があってもいけないことだ、人の役に立つ人間になりたいと答えた児童生徒の割合は毎年高い比率を維持していることが上げられます。逆に予習復習をしている、自分で計画を立てて勉強するの割合が低いことや、テレビ、ビデオ等の視聴時間が長いことなどは課題でございます。これらを総括しますと、小中学校ともに規範意識が高く、まじめさや良心的な気持ちを持つ子どもは多いけれども、主体的、計画的な学習は苦手であるという実態が推測されます。  このような状況を受けて、長崎市の子どもたちの学力向上のためには教師の指導力向上が重要であることはもちろんですが、その土台となる基本的生活習慣が備わっていなければ、確かな学力は身につかないと考えております。  そこで、指導力向上の取り組みとして、日々の授業の充実が学力向上の鍵であると捉え、あじさいスタンダードを作成しました。これは、教師の授業づくりの基礎基本をまとめたもので、すべての教師が授業改善の指針として活用しております。また、抽出校以外でもすべての学校で全国学力調査に取り組んでおりますので、それぞれの学校で結果を分析し、弱点克服のための具体的な計画を学力向上プランとしてまとめ、児童生徒の実態に応じた取り組みを進めるよう指導しているところでございます。さらには、学校図書館司書の配置や図書館環境の改善により、読書活動を活性化させることで学力の基礎であります言語能力や読解力の向上を目指しております。  次に、基本的生活習慣の定着につきましては、幼児期からのかかわりが大切だと考え、保育所、幼稚園、小学校の連携を進めております。その中で、成長に合わせて必要な時期に必要な生活習慣をきちんと教えるような体制づくりにも取り組んでいるところでございます。また、学校だけではなく、家庭も同じ方向を向いて進んでもらいたいと考え、現在、家庭教育の充実を図るためにファミリープログラムを取り入れた講座を実施しております。これは、保護者同士が話し合いの中で子育てについて学び合うものですが、18あるプログラムの中には家庭のルールづくりや家庭学習の習慣をつけるためにという内容もあり、学力向上の土台づくりとしての基本的な生活習慣の確立に大いに役に立つものと考えております。  子どもたちの夢の実現や可能性を広げていくためには、基盤となる確かな学力が必要でございます。そのため、教育委員会では第四次総合計画に学力向上を大きな施策として取り上げ、学校だけではなく、家庭、地域の方々と一丸となって継続して推進してまいりたいと考えております。  次に、(2)小中一貫教育モデル校の考え方についてお答えいたします。  長崎市では、子どもたちの学力の向上や豊かな心を育むために、学校図書館司書の配置を初め、学力向上プランなどすべての小中学校9年間を見通した小中連携の取り組みを積極的に進めているところでございます。  このような中、野母崎地区に長崎市で初となる施設一体型の小中一貫教育校を平成26年度に開校することといたしております。この野母崎地区小中一貫教育校では、長崎市内で現在取り組んでおります小中連携の取り組みをもう一歩進んだ形にし、小中9年間を小学校の1年生から4年生までの前期、小学校5年生から中学校1年生までの中期、中学校2年生、3年生の後期という、いわゆる4・3・2制を導入することや、小学校高学年から一部教科担任制をとるなど、施設一体型ならではの一貫教育を行ってまいりたいと考えております。  他都市においては、先進的に行われている小中一貫教育校におきましては、中学校1年生で不登校が発生しやすいことなどを指摘される中1ギャップへの対応や、学力の向上などに大きな効果があったという報告がなされておりますので、その検証を進めていきたいと考えております。  一方、子どもたちの成長のためには、小学校と中学校の段差を意識させることも大切だという指摘もなされております。そこで、野母崎地区小中一貫教育校では、小学校、中学校という現行制度のよさを残す教育も行っていきたいと考えております。野母崎地区小中一貫教育校で得られたさまざまな教育効果を長崎市すべての小中学校に広げるために、小中一貫教育のモデル校と位置づけたいと考えております。  他都市で既に先行実施されている小中一貫教育校の学校には、教育課程特例校と通常の教育課程を行う学校の2種類がございます。教育課程特例校とは、文部科学省へ申請を行い、国が定めていない教科を新設するなど独自の教育課程を実践している学校でございます。この教育課程特例校は、特色ある教育活動を行うことができるよさがある半面、この学校で実施したことが他の学校には反映しにくいという課題がございます。また、通常の教育課程で行う一貫教育校であっても、教員が小学校、中学校のどちらでも授業を行う乗り入れ授業が可能でございます。中学校の教員が小学校高学年に対し、より専門性の高い授業を行うことや、中学校に小学校の教員が授業に入ることにより、細やかな学習支援が可能となり、子どもたちの学力向上につながるものと考えております。  したがいまして、今回、野母崎地区小中一貫教育校で検証して得られた効果につきましては、他地区の小中連携に取り入れ、施設一体型でなくてもできる小中一貫教育の推進につなげていきたいと考えております。  以上でございます。 24 ◯23番(小宮慶一君) 再質問をさせていただきます。  まず、順序がちょっと前後しますが、教育行政の問題について先に再質問させていただきたいと思います。  最初の全国学力・学習状況調査の結果とその対応についてですけれども、先ほどご答弁いただきました。  長崎市の場合、学力の状況はほぼ全国水準だということで、強いて言えば、小学校で算数がやや下回っているということと、中学校では理科が若干下回っているという状況があるということで、それについては、教師の指導力の向上とか、あるいは基本的な生活水準の改善とか、こういったことで、それを保護するような指導をしていきたいというようなお話でございました。確かに弱点を克服していく対策というのは、当然これは必要なことだというふうに思いますし、実行されてしかるべきだというふうに思います。ただ、もう1つ、あとのフォローということも大事ですけれども、もっと前にどうしたら全国の水準を超えていくのかと、これが第四次総合計画にも掲げられているわけですけれども、そのためにもう一歩積極的な指導方針なり、教育方針というのがあっていいのかなというふうに思います。そういった意味で、これは文部科学省が毎年発表しています、いわゆる常に上位校が固定をしてきていると、そういう傾向があるということが新聞報道されておりました。この点について、それをどういうふうに解釈をし、あるいは長崎市の教育方針の中で生かそうとされているのか、その辺の考え方をお聞きしたいというふうに思います。 25 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。  確かに全国学力調査を見ますときに、上位の県がいつも一緒という実態がございまして、それについてはいろんな分析もなされております。その分析を見ますと、やはり学力の面では基本的な分野につきまして、取りこぼしがないということが強くうたわれております。そういう意味では、基礎的な学力の定着に力を入れていく必要があると考えております。また、生活習慣の中では非常に古い日本的な気質がある、特に親の言うことはよく聞くですとか、あるいは宿題は必ずする、あるいは目上の方の言うことはよく聞くと、そういうふうな生活習慣的な基本的な考え方がしっかり定着がなされているということで、そういうものがしっかり備わっていれば、教えられたことを吸収する力が強いのではないかと、そういう分析もなされております。  そういう意味も含めまして、長崎市といたしましては、基礎学力の定着と基本的な生活習慣をしっかりつけようということに着目しながら、現在施策を進めているところでございます。  以上でございます。 26 ◯23番(小宮慶一君) 次の小中一貫モデル校との関係も出てまいりますので、一応この問題はここで切りたいというふうに思います。  そこで、小中一貫校のモデル校の考え方、先ほどお示しをいただきました。この問題は、お断りしておきますけれども、現在、地域で懇話会を開いて、その中で教育方針についても具体的に地域の皆さんと話し合いを続けていきましょうという取り組みが今されたところなんです。これが始まるところなんです。そこでじっくり協議を尽くしていただきたいというふうな気持ちがございますし、これまでの各委員の取り組みについては、私自身心から敬意を表し、感謝をしておるということをまず申し上げておきたいというふうに思います。  その上で、この問題についてはお聞きをしていきたいというふうに思うんです。といいますのは、これは地域の皆さんとお話しする大事な問題でもありますけれども、市の教育方針の基本の部分ですから、基本の部分というよりも大事なところですからね、ここでもはっきり市の教育方針の中での位置づけというのは明確にしておきたいと、そういった意味でお聞きいたしました。  それで、まず再質問ですが、モデル校については、これは市の教育方針の中に、先ほども言いましたように小中連携のモデル校と、そういう位置づけだというふうに言われました。確認ですけれども、これはたまたま地域のほうからそういう要望があったから、じゃ、やってみましょうと、こういうことではないと。市のしっかりした教育方針のもとにこの事業というのは進めていっているんですよと、こういうふうな理解でよろしいんですかね。 27 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。  今回のモデル校の考え方につきましては、先ほど答弁させていただきましたとおり、現在、長崎市内では小中9年間を見通した小中連携を大きな柱とさせていただいておりますが、それから一歩進んで、ぜひ小中一貫教育のモデル校として、このモデル校で出た効果につきましては、ほかの学校のほうにも取り入れて教育向上につなげていきたいと考えているところでございます。  以上でございます。 28 ◯23番(小宮慶一君) わかりました。  それで、これまで教育要覧とか、あるいは第四次総合計画の中での教育の方針については、小中連携という言葉が出てまいります。しかし、この小中一貫という言葉は一回も出てきたことがない、どこにも出てこないんですよね。これは今後どうするんですか。  小中連携教育の中で小中一貫校というものも目指していくということかどうか、その辺のお考えをちょっとお聞かせください。 29 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。  第四次総合計画の中にも小中連携をうたわせていただいております。これが一歩進んだ形の小中一貫教育ということにつきましては、今、指針をつくる準備をさせていただいております。これは、これから野母崎小中一貫校を準備するに当たりまして指針をつくった上で、全市的な考え方として整理をしたいと考えております。  以上でございます。 30 ◯23番(小宮慶一君) はい、わかりました。  では、具体的な中身の話をちょっとお伺いしたいというふうに思います。  答弁では、野母崎小中一貫教育校において、先ほど答弁されましたように9年間を前期、中期、後期、4・3・2制、こういった形で区割りをしていきたいということをおっしゃられました。  この4年、3年、2年という区切りですね、これはどういった意味というか、目的というか、そういうものがあるのか、考えておられるのか、この辺をまずご説明いただきたいと思います。 31 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。  今現在は6・3制で行われておりますが、これを4・3・2にする目的といたしましては、先ほど答弁いたしましたとおり、中1に特に発生する不登校などのさまざまな問題行動も含めまして、中1ギャップというのが指摘されております。そこの対応策という形でうたわれております。  また、4・3・2、実は全国におきましては、5・2・2でされているところもございます。5・2・2の場合は、中1ギャップ、要するに中学校1年生になる段差を少なくするという試みでされておりますが、それに加えまして、子どもの成長に関しましては10歳に1つの壁があると言われております。そういう成長段階のことを考えたときに、6年間を一つの固まりではなくて、4年生、5年生の間に一つ大きな成長の壁があるのではないかということもうたわれております。  また、学力の向上につきましては、先ほど申しましたとおり、高学年の教科によっては専科の先生の詳しい授業を行う、そういうことで学力の向上につながることも報告なされておりまして、全国で行われている現在の一貫教育校は4・3・2がだんだんと大きくなっている実態でございます。そういう意味も含めまして、長崎市では4・3・2制を取り入れて、学力の向上につなげていきたいと考えております。  以上でございます。 32 ◯23番(小宮慶一君) はい、わかりました。  それから、実際にやりますという言い方をされておりました一部小学校の高学年で教科担任制をしいていくと、これはもちろん実際にやっていきますということだと思います。それは、後のほうで教員の兼務発令も可能でありますので、いわゆる乗り入れ授業もできますという言い方になっているんですが、これはできるということは、やりますということで理解してよろしいんでしょうか。 33 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。  今回のモデルとして実施させていただきます一貫教育校の大きな目的といたしましては、乗り入れ授業ができることは大きな成果を求められると期待しているところでございます。  そのためには、中学校の専科の先生が兼務発令をすることで小学校の授業もできるようになります。また、小学校の先生はTTという形で中学校の授業に一緒に入ることもできますし、免許を持っていらっしゃる方については、兼務発令をすることで授業も可能となります。  これは、教諭の方々に説明して了解を得た上での発令となりますが、そういうことを組み合わせながら、効果的な授業につなげていきたいと考えております。  以上でございます。 34 ◯23番(小宮慶一君) はい、わかりました。  それから、いわゆる高い教育効果をこの中で期待していくということになると思うんですが、そのためにはそれなりの要員体制というか、人的な体制を含めてそうですけれども、そういうものが絶対必要だというふうに思います。  ここは、先ほどの答弁の中では管理職の配置ということが1つありましたけれども、管理職だけではなくて、例えば、乗り入れ授業なんかする場合にはそういうことを采配したり、企画をしたりするコーディネーターみたいな人も必要になってくるのかなと思っておりますので、小中一貫校に要する要員体制、これは人事権は県が持っていると思うんですけれども、県と協力関係、県も今、長崎市がやろうとしているこの事業についての理解、協力関係というのは担保されているという理解でよろしいんでしょうか。
    35 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。  この小中一貫教育校開設に当たりましては、今現在も県のほうともさまざまな協議をさせていただいております。そういう中で、人事配置につきましては、県下一定のルールの中でさせていただいておりますので、人員そのもののプラスアルファというようなものではございませんが、どういう配置をするかということにつきましては協議を行いながら、今現在、よりよい効果ができるような学校、あるいは人員配置に努めているところでございます。  以上でございます。 36 ◯23番(小宮慶一君) 地元では、やはりこういう新設校に対する期待というのは非常に大きいんですよ。端的に言いますと、とにかくいい先生を連れてきてほしいと、こういう声が上がっておりますよ。やっぱり教師力というのは、非常に大事な教育上の要素だというふうに私は思っているんですが、我々が選択するわけにはいきませんので、十分その辺は新しい体制で進むわけですから、それなりの体制はきちっと築いていただいて、効果が上がるような手だてをぜひ講じていただきたいと要望しておきたいと思います。  それから、この問題は、私が一番感心しているのは、学校づくりのために地域で当初は統合検討委員会、それから建設懇話会、今度は開設準備懇話会というのが立ち上がってきています。これまで4年間にわたって協議を重ねてきていただいておるんですよ。熱心に取り組みをしています。それは、まさに学校と家庭と、それから地域の皆さんが寄り集まって協議を重ねてきております。この姿というのは非常に大事だと思いますし、まちづくりの姿そのものだというふうにいつも感心しているわけですけれども、したがって、学校建設があって、開校したらもうそれで終わりというんじゃなくて、後々までそういう体制が継続されるような、そういう指導もひとつしていただきたい。  そうすることによって、先ほどいじめの話もありますけれども、いじめも後の対策も大事ですけれども、これは未然に防ぐ手だてにもなるのかなというふうな思いも実はしております。ぜひひとつ効果が上がるように精いっぱいの体制その他の努力をしていただきたいというふうに思います。  次に進みたいと思います。  まず、市長答弁をいただきました野母崎診療所の活用の問題ですけれども、これはこれまで市民健康部地域医療室の皆さんが一生懸命努力をされて、いわゆる事業者の選定というところまで来ているわけです。これから事業者と、どういう改修をして、どの程度の内容にしていくかという詰めた話がされていくだろうというふうに思っています。  そこには全面的な期待もしておりますし、我々もそばでじっと見ておる状況ですけれども、やはり地元には、ここまで来ますと一日も早い開設、運営というものを期待する声が非常に高いんです。  だから、先ほど平成25年度内に開設という答弁をいただきましたけれども、この辺はぜひ1日でも、あるいは1カ月で早く開設ができるような、そういう努力をしていただきたいというふうに思います。  特に、これは地域性もあって、選考委員会、あるいは地域医療検討会のご指摘にもあるように医療資源の非常に乏しいところなんですね。これをどう介護福祉施設で補っていくかという重要な課題でもありますし、そういうところに目をやっていただいて、積極的に行政が関与を深めることによって、これを実現していただきたいという要望をしておきたいと思います。  この辺については、担当部長のほうからもし見解があればお聞きしたいというふうに思います。 37 ◯市民健康部長(肉丸明弘君) 再質問にお答えいたします。  野母崎診療所の施設活用につきましては、去る8月22日に地元野母崎地区連合自治会のほうから、この施設が地元住民の安全・安心の拠点となり、また、地元振興策となるよう早期開設の要望を受けたところでございます。  長崎市といたしましては、今後、残された課題につきまして、事業者と十分協議を行いまして、平成25年度中の開設に向け、取り組んでまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。 38 ◯23番(小宮慶一君) この問題は、これまでの取り組みの経過もございますし、全面的に取り組みに期待をしているところなんですけれども、ぜひこれが実現するように運んでいただきたいなと重ねての要望をして、この質問については終わりたいと思います。  それから、次に海の健康村の経営改善の問題です。  これは時間もございませんから簡単に申し上げまして、いわゆる今後の経営改善計画をどうしていくかというところの話をさせていただきたいと思います。  とにかく言われたことは、旅行代理店や各種保養所との連携、インターネットの活用の情報発信、それから従業員の意識改革、経費の節減、こういったことで経営改善に努めていくと。  あわせて天然炭酸泉の温泉ですね、これのPR、それから軍艦島の見えるホテル、こういったものを売りにして積極的にPRを図っていこうということのようです。もちろん、これは経営改善をぜひ図っていただきたいという気持ちはあります。  ただ、私はこれだけでは不十分だというふうに思っているんです。現在、3,265万円の累積赤字を抱えております。ここからどう立ち直っていくか。これは先ほど申しましたように、公社との関係もあるんです。健康村からの繰り入れがなければ、90人の雇用を抱える振興公社の経営改善もあり得ないんですよ。  後ほど公社の経営管理については聞きますけれども、ぜひここは積極的に集客に努める手だて、政策が必要だというふうに思います。  1つ心配なのは、経費節減の中で食材費をかなり大幅に削るような、そういう方針にもなっております。食材費を削るというのは、地元の新鮮な魚介類を売りにして、今一定の評価をいただいて運営してきております。ここをかげんしていくということは、致命的な問題になりかねないというふうな心配を非常にしております。それが1つ。  それからもう1つは、外に打って出る政策として炭酸温泉の問題があります。これを積極的にPRしていくには、いま一つ、お湯をくみ上げるポンプに不安を抱えております。これを余り言いますと風評被害を逆に買うような心配もあるので、余り大きな声では言いたくないんですけれども、この不安を解消しないと積極的に炭酸温泉をどうぞと、これは療養温泉としても非常に高い評価がある温泉なんですよ。お湯に入るとシュワッとして、ビールの中に手を突っ込んだような感じがする非常に女性にも評判のいい炭酸温泉が出るところなんですね。  ですから、このポンプの不安をまず解消するというのが第一の先決問題じゃないかなというふうに思います。そのためには井戸をもう1つ掘ると、これをぜひひとつ実現していただきたい。  そして、健康村の経営を安定させて、公社、90人の雇用を抱える公社のほうの経営の安定にも連携をしていくと、つながっていくという、こういう形をぜひつくっていただきたいと思いますが、見解を求めます。 39 ◯文化観光部長(池田尚己君) 再質問にお答えいたします。  議員ご指摘の新たな温泉井戸の掘削についてでございますけれども、この海の健康村には、平成13年4月から、施設が始まったときから温泉井戸1本が掘られておりまして、ご指摘のように、湧出する温泉は国内でも非常に珍しい天然炭酸泉でございまして、細かい気泡が肌に付着し、血行促進の効果をもたらして、非常に美肌効果にいいと言われております。海の健康村の大きな魅力の1つであると認識しております。  それから、議員ご指摘のとおり、既存の温泉井戸はくみ上げ機能に一部問題を抱えておりますが、今後、安定した湧出量と良質な泉質を確保するためには、新しい井戸の掘削も1つの方法であろうかと思います。  特に、この炭酸泉というのは非常に大きな要素でもございますので、今後の活用方策、この温泉をどう生かしていくかということを含めまして、総合的な経営戦略の中でぜひ検討させていただきたいと思います。  以上でございます。 40 ◯23番(小宮慶一君) 総合的な経営戦略という言葉が最後に出てまいりました。その中で、これは具体的な検討がされていくものだというふうに信じたいと思います。  ぜひひとつ、今の実情、状況を把握した上でこの問題が実現するように、そして、炭酸温泉が全国的に積極的にPRできるような体制をぜひ築いていただきたいと強く要望しておきたいと思います。  それから、時間が絞られてきましたけれども、先ほど自席からということで申し上げておりました野母崎小学校の跡地の活用の問題です。  これは、時間がございませんので簡単に申し上げますと、小学校の跡地を公民館の機能をそこに移設してくださいというような要望、それから、移設した後は地域住民の声を十分聞いて、そして、その活用を考えていただくと。そのための懇話会みたいなのを立ち上げて、十分声を聞いてあげると。この2つの要望があったというふうに思います。  その後、進展したような話も聞いておりますけれども、確認のため、もう一度ご答弁をいただきまたいと思います。 41 ◯教育長(馬場豊子君) 今、ご質問の野母崎小学校の跡地の活用の問題でございますが、地域の方からもご要望をいただいております。野母地区の公民館が非常に耐震性がなく、耐震化を図るための工事を行った場合、利用がなかなかしにくい状況になるということを踏まえまして、ぜひ野母崎小中一貫校が開設した後は、今の野母崎小学校の跡地を公民館として活用する、そういう方向で市のほうも考えております。そういう意味では懇話会を設置しながら、やはり地域の方が使いやすい状況にするのが最も大切だと思っております。  そういう意味では、先月、懇話会の設立に向けた準備のための協議を開始したところでございまして、今後、地域の皆様とともによりよい跡地活用に向けた具体的な協議を重ねていきたいと思っております。  以上でございます。 42 ◯23番(小宮慶一君) ありがとうございます。これはモデルのようなケースですから、地域コミュニティ推進室の見解をいただきたいというふうに思っておりましたけれども、時間がございませんから、それは割愛をさせていただきたいというふうに思います。  最後に、地域振興計画の策定の問題です。  先ほどのご説明では、平成23年度までの約束が果たせなかった、今度、平成24年度いっぱいに計画の策定をしていきたいということでしたけれども、私が申し上げたいのは、これは単に平成23年度が平成24年度になったということだけの問題じゃないというふうに思うんですよ。  見ておりますと、この策定作業に当たってやっていることは、これは私の見た範囲ですから、いわゆる行政センターに投げて任せて、そこで地域の自治会長とか、あるいは漁協、農協の組合長さんとか、商工会長とか、そういう人たちのご意見を聞きながら、1つの案にまとめていくという作業をこれまではやってきていると思います。  私は、そうじゃないと思うんです。これは従来のやり方なんですよね。そうじゃなくて、合併して7年、8年目になるわけですから、それなりに見えてきたこともあるだろうというふうに思います。同じ手法でこれをまた策定するということにはならんだろうと。  6年、7年経過した中での見える視点、考え方というのもあるでしょう。また、この間から縦割り行政の弊害とか、いろいろ指摘があっております。きのうも外海の縦割り行政の批判がありました。そうですね。しかし、その前には高島の具体的な施策に対して、これから関係部局と協議しますとかいう答弁もまだ返ってきております。  こういう状況では私はだめだと思いますから、そういう意味では、やはり合併して7年目にできること、やらなければいかんこと、そういう視点、あるいは手法というのがあるだろうと思います。そういうことを我々としては期待をして、これまでにない全市的な捉え方でこの地域振興を考えていくような、そういう姿が私は今回出てくるというふうに期待をしておりましたけれども、これからそういうふうな方向ででもやっていきましょうという話もございましたから、そこには期待をしたいと思いますけれども、そういった意味では非常に残念ですけれども、今後に期待するしかないというふうに思っております。  以上です。 43 ◯副議長(鶴田誠二君) 休憩いたします。  午後は1時から再開いたします。           =休憩 正    午=           ───────────           =再開 午後1時0分= 44 ◯議長(板坂博之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。31番中村照夫議員。       〔中村照夫君登壇〕 45 ◯31番(中村照夫君) 市民クラブの中村照夫でございます。この質問に登壇いたしますのも久方ぶりでございます。議長就任中は、議員各位、理事者の皆様に大変お世話になり、重責を滞りなく終わることができました。ご協力に感謝申し上げ、これからも頑張ってまいりますので、ご指導方よろしくお願いをいたします。  質問通告に基づき、以下質問をいたします。田上市長の建設的で明快なご答弁をよろしくお願い申し上げます。  本会議の冒頭、田上市長より、サントス市姉妹都市提携40周年記念事業に伴うブラジル訪問団についての行政報告がなされたところでありますけれども、私も鶴田副議長を班長とする議員団4名とともに参加してまいりました。その報告を行いながら、今後のサントス市を初めとするブラジルとの文化、経済交流の展望について明らかにしたいと思います。  8月26日午後10時、成田を出発し、ヨーロッパ経由でパリまで13時間、パリで6時間半滞在し、さらにサンパウロまで11時間、合わせて30時間を要するブラジルの旅は、まさに遠い国の感がいたしました。しかし、サンパウロ空港には長崎県人会の皆様が多数お出迎えいただき、皆さんとお話を重ねるうちに、遠い国ブラジルはもうお互い長崎県人という深いきずなで結ばれておりました。今回のブラジル訪問にご尽力いただきましたブラジル長崎県人会、サントス日本人会の皆様に厚く御礼申し上げるところでございます。  サントス市は面積280平方キロメートル、人口42万人で、外海は長さ7キロに及ぶビーチフロントガーデンが広がり、海岸には高層ビルが建ち並ぶ近代都市を形成しておりました。その裏側の内海は波静かな昔からのコーヒーの輸出港ですが、こちらの町並みは老朽化が著しく、今、南アメリカの海の玄関口の貿易港として再開発が始まろうとしております。ブラジルは今後、世界的にも中国、インドに次いで発展が期待される国ですが、サントス市はブラジル、南アメリカの玄関口として発展が予想されます。ブラジルは地理的には地球の反対側に当たりますので、遠い国でありますが、そこには多くの日本人が生活している、多くの長崎県人が活躍しているという意味において、ほかの都市、ほかの姉妹都市とは違う有利な文化、経済交流の促進を確信いたしたところでございます。  サントス市との姉妹都市提携40周年記念行事においては、ジョアン・パウロ・タバレス・パパ市長を表敬訪問し、両市の文化、経済の交流発展を約束するとともに、原爆展の開催、サッカーの長崎中学生選抜チームとサントスFCジュニアユースとの親善試合を行い交流を図りました。  8月31日は長崎県の訪問団と合流し、サンパウロ州議会を訪問。その後、在サンパウロ日本国総領事館を訪問し、ブラジルの経済状況と日系社会の現状について説明を受けました。  ブラジルにおいては多くの日系、長崎県人の方々が活躍されております。  三井楽町出身の貞方賢彦さんは、ブラジルヤクルトの社長やブラジル日本商工会議所会頭を務められ、現在は長崎県人会やブラジル日本商工会議所、ブラジルヤクルトの顧問をされています。  平戸出身の山口さんは、太洋漁業の船員から、会社のブラジル進出に伴いブラジルに渡り、会社の撤退後も現地に残り、息子さんが長崎県の海外技術研修員事業で、セントヒル長崎で調理師の勉強を積まれ、今では長崎屋という看板で大きな日本料理店を経営されております。  吾妻町出身の朝永明人さんは、2,000ヘクタールの農場を経営され、ことし同窓会で日本に帰ったが、自分の農場が吾妻町の2倍の広さだと言っても誰も信じてもらえなかったと笑っておられました。ことしは北米の干ばつのため穀物が高騰し、経営はよかったと言われておりました。  パラグアイ長崎県人会の会長の中山ザビエルさんは、40代の2世の市会議員ですが、この方も長崎県の海外技術研修で県営バスの整備工場で研修され、今はパラグアイで自動車整備会社と飲食業を営まれ、2年後には市長に立候補する、当選は確信しているし、将来は大統領を目指していると言っておられました。  今、ブラジルは、全国的に市長、市議会議員の選挙の10月17日に向け真っ最中でしたが、多くの日系人の候補が出ておられました。長崎県人会の若い青年たちにとって、長崎県の海外技術研修員制度は大きな成果を挙げています。昭和48年から始まったこの事業で、ブラジルから84名の若者が長崎で研修を受け、ブラジル社会で活躍しています。この支援事業は大変すばらしい事業と考えますが、田上市長もご存じのとおり、近年、県の支援枠が縮小されたということで長崎県人会から受け入れ枠を広げてほしいという要望が出たところですが、長崎市としてもこのような事業をやっていくべきものではないかと思いますが、ご見解をお伺いいたします。  そのほか、県人会から出された要望は、経済交流においては、日本フェスティバルへの長崎産品の出展、小学校の交流事業、長崎がんばらんば国体への参加受け入れなどが出されましたが、田上市長のご見解をお伺いいたします。  9月2日に開催されたブラジル長崎県人会創立50周年祝賀会は大盛況でした。サンパウロの長崎小学校の児童は長崎の鐘を日本語で合唱、婦人部の皆さんによるがんばらんば体操、民謡部の皆さんののんのこ節の皿踊りなど、ふるさと長崎への熱い思いを感じながら、フィナーレは中村知事、田上市長初め、参加者全員で会場を皿踊りの輪で埋め尽くし、長崎県人のきずなを深めたところであります。今回のブラジル訪問の成果がさらに両都市の発展に結びつく施策の展開を強く要望いたします。  〔パネル表示〕写真を撮ってまいりましたので、この間から長崎の鐘が議題に取り上げられましたけれども、これは長崎の鐘を小学校の子どもたちが歌っておりました。これが県の代表と婦人部のがんばらんば体操でございます。これが婦人部の民謡ですね。これはのんのこ節を民謡の方が踊りまして、みんなで会場をこうして踊ったということでございます。  次に、長崎のまちづくりの中長期展望についてお尋ねをいたします。  長崎が目指す将来の都市像はどんなものであるのか。個性輝く世界都市、希望あふれる人間都市と言われておりますが、その形を市長はどのように考えておられるのか、具体的姿をお示しください。  田上市長は、きらりと光る存在感のある都市を目指すために、ほかの都市にはない強みと可能性を生かしながら、未来の基礎をつくる。さらに、変わらなければならないものとして、経済、まちの形、まちを支える仕組みと指摘されております。  長崎の経済は、内向き、待ちの傾向が見られるとして、内向きから外向きへと呼びかけられておりますが、その外向きの具体的施策はどういうもので、それは長崎の未来の基礎をつくるものとなっているのでしょうか、お尋ねをいたします。  九州の県庁所在地の人口推移を見てみましょう。昭和60年、長崎市は45万人に対し、大分市は39万人、宮崎市は28万人、佐賀市は17万人弱、鹿児島市は53万人でした。平成22年には、大分市は47万5,000人、8万4,000人ふえました。宮崎市は40万人で12万人ふえました。佐賀市は23万7,000人で7万人ふえております。鹿児島市は60万5,000人で7万5,000人ふえております。長崎市だけが44万3,000人で5,600人減であります。長崎県の高校生の県内就職率は64%、大学卒は42%であります。若者は仕事を求めて県外に出ていき、長崎市の高齢化率は24.9%で大分市を4.7ポイント超えております。  市民1人当たりの市民所得は、大分市が323万円に対し、長崎市は237万円で、長崎市は大分市の73%にすぎません。大分市は港をつくり、工業団地をつくり、水道料金はトン当たり50円に減免するなど、企業を呼び込み、若者の働く場をつくっております。長崎市の落ち込みはそうした具体的施策をやってこなかった結果が今日の停滞を招いていることは論をまちません。単に美辞麗句を並べるのではなく、具体的施策を講じることであります。  長崎港の現状を考えてみましょう。貨物の定期航路は釜山が週1便のみで、貨物取扱量は全国53位であります。1便の取扱量は、輸入がコンテナ55個、輸出がわずか7個であります。九州では、博多、北九州、大分、伊万里、三池、八代、川内にも及びません。長崎県は、ながさき海洋・環境産業拠点特区というものを目指すとしておりますが、松が枝の3バース化も三菱造船との関係で計画を縮小しながら、当初の高速物量は小ヶ倉から松が枝に変更、取り扱い目標も下方修正、上海以外の航路ができれば、その時点で拡張を検討するとしております。まさに計画は場当たり的で、ぐらぐら変わり、事業費だけは既に小ヶ倉で95億円を投入しております。長崎市はこうした県の事業を横で傍観するだけでしょうか。こんな長崎港の姿で、長崎がアジアに向けた日本の玄関口になり得るのでしょうか。  一方、工業用地のインフラ整備の現況を見てみましょう。  長崎県内の工業団地の状況は、既存工業団地は全体で192ヘクタール、そのうち県がつくった工業団地は112.4ヘクタールで、残り79.6ヘクタールは諫早、大村、佐世保、平戸、松浦が独自につくったもので、長崎がつくった工業団地は1カ所もありません。造成中のものも、県が佐世保に造成中の5ヘクタール、佐世保独自の16.7ヘクタール、松浦の6.1、波佐見の3ヘクタールであります。  企業が事業活動を行うには水がなければなりません。長崎市は水を使えば使うほど料金単価が高くなり、全国第3位と高いため企業が来ないのが大きな理由に挙げられます。諫早、大村は工業用水道事業を行っております。工業用水を持たないところも水道料金の減免、助成を行っております。諫早の工業団地と比較すると、長崎は6.6倍、大村の8.8倍であります。これをどうにかしなければ長崎の経済の将来はありません。田上市長は長崎の強みを生かし、水を使わない企業を呼び込むと言っておられますが、水を使わない事業活動はありません。そのことは長崎の大口水道利用上位30社を見れば明らかであります。大手造船関連の2社以外に病院、ホテル、商業施設、マンションが占めております。  まちの形では、人々の交流の拠点となる都市機能の充実や景観を守るという形で、駅周辺、連続立体、港湾整備、新大工から南山手に至るまちぶらプロジェクトというものを挙げておりますけれども、そうしたものを否定するものではありませんけれども、働く場所がない、住む家がないということで人口が減ったら、交流のまちをつくると言われておりますが、若者がいなければ、幾ら強みを生かして、あるものを磨いてもにぎわいはできません。  斜面地の再整備について多くの方が取り上げておりますけれども、これは長崎市民にとって大きな問題であります。こうした大きな課題をどう考えるのか、将来の展望をお尋ねいたします。  次に、市民病院における無料低額診療事業の導入についてお尋ねをいたします。  私は以前からこの問題を取り上げてまいりました。公立病院が担う任務として、救急医療、高度医療に取り組むことは当然でありますけれども、それをやるから低所得者の医療支援ができないということにはなりません。民間の病院でもそういったものに取り組みながら生活困窮者に対する医療免除も取り組んでおります。もっともっと民間の病院の努力に学ぶべきだと思いますけれども、所見をお伺いいたします。  環境行政の改革及び生活保護受給者の就労支援につきましては、時間があれば、自席にて取り上げますので、よろしくお願いをいたします。=(降壇)= 46 ◯議長(板坂博之君) 市長。       〔田上富久君登壇〕 47 ◯市長(田上富久君) 市民クラブ、中村照夫議員の久しぶりのご質問にお答えいたします。  まず1点目の、姉妹都市サントス市及びその周辺都市との文化・経済交流促進についてお答えします。  サントス市姉妹都市提携40周年に伴うブラジル訪問につきましては、本9月市議会定例会の初日に時間をいただき、行政報告をさせていただきましたが、今、改めて中村議員から詳しいご報告をいただいたことに感謝申し上げたいと思います。また、先ほど何枚か写真を使って、当時の状況、ブラジルでの状況についてのご説明がありましたが、その中になかった分で申し上げますと、県人会の50周年記念式典の中でアトラクションがありまして、その中で市議会議員団全員の皆さんと一緒に飛び入り参加をしまして、人間龍踊りをさせてもらったところ、非常に好評で、それが翌々日のサンパウロ新聞にも載ったということ、そして、その余興がアトラクションの流れを変えて非常にいい流れになったということが新聞に掲載されたということもあわせてご報告させていただき、議員の皆様のご協力に改めて感謝申し上げたいと思います。  また、今回の記念行事の中で、私自身、非常に多くの関係者の方とお話をさせていだたき、さまざまな話題について意見交換を行い、改めて都市間交流における人的交流の重要性を認識いたしました。  サントス市は、長崎市の姉妹都市の中でも距離的に最も遠い国にあり、交流に際して困難性を伴う部分もありますけれども、今回のこのような人的交流による成果に大きな貢献をしていただいたのがブラジル長崎県人会やサントス日本人会の皆様でした。今後もご協力をいただく中で、市民レベルの交流を一層深めていきたいと考えております。  そういった中で、文化・経済交流促進についてですが、まず、長崎県が実施している海外技術研修員受入事業につきましては、長崎県と密接な関係がある国から、前途有為な青年を受け入れ、本県の経済・社会・文化を学ぶことや、必要な技術の修得により派遣国の、この場合でいいますとブラジルの発展に寄与する人材を育成することなどを目的に実施をされております。この事業にはこれまでブラジルから84人の参加実績があり、直近の平成23年度の参加者は環境マネジメントを長崎大学で学んで帰国をされております。  長崎市の場合、ブラジルとの交流は姉妹都市であるサントス市との関係を軸に育てていきたいと考えていますが、親日的であるとともに、今後の発展の可能性が大きく、また平和活動を通じての連携などの可能性もあることを考えますと、今後より広い視点でブラジルとの交流の可能性を探る必要があると考えています。今後どのような人的交流ができるのか、県や大学などの関係者との連携の可能性を含めて協議をしていきたいと考えています。  また、毎年サンパウロ市で開催されている日本祭りは、在ブラジルの都道府県人会や日本企業がブースを出展し、開催期間中、約20万人の来場者がある大変大きなイベントとなっており、各県人会はそこで自慢の郷土料理を販売しています。そのイベントで長崎県人会もブースを設置しているということですが、長崎から特産品を提供することは、郷土に対する強い思いをお持ちの県人会の皆様の要望であると、希望であるとともに、長崎の食文化をブラジルで紹介するチャンスでもあると思われます。  今後、来年の日本祭りの開催に合わせて、長崎県の特産品の輸送等ができないか、県人会の窓口である長崎県との連携をとりながら業界との調整を行っていきたいと考えております。  このほか、教育的な交流につきましては、サントス市の中学校や訪問をしたサンパウロ州立長崎小学校との小中学校との交流を進めることで合意をしております。私自身、長崎小学校を訪問し、地域の皆様と一緒になっていい学校にしようと、地区的にいいますと、ブラジルは貧富の差がまだ大きい中で、どちらかというと貧しい地区の中の小学校であるというふうな説明を受けましたが、その中で、この小学校は絶対にいい小学校にしようということで地域の皆様と一緒になって取り組んでいる様子が非常によくわかりました。今後、この小学校と長崎の学校との交流は必ず将来につながる、未来につながるものというふうに考えます。  また、長崎県人会の皆様は、長崎がんばらんば国体に合わせての訪日を予定されているとのことであり、来崎の折は、ブラジル訪問時の返礼の意味も含め、長崎県と一体となっておもてなしの気持ちでお迎えしたいと考えております。  冒頭申し上げましたように、都市間交流は人的交流が非常に重要であり、今回の訪問で、サントス市や各団体が長崎市との交流を求めていることが確認できましたので、長崎県人会やサントス日本人会と今後さらに関係を深めるとともに、長崎県とも連携をとりながら、サントス市を初めとするブラジルとの交流を推進していきたいと考えております。
     次に、2点目の長崎のまちづくりの中長期展望についてですが、今、長崎市第四次総合計画で掲げております世界都市、人間都市という2つのビジョン、キーワードがございます。この世界都市、人間都市というのは決して美辞麗句という言葉だけの問題、テーマではありませんで、世界都市につきましては、例えば、1つは、世界と往来する都市という意味があります。この世界と往来する都市に向けて、まさに今、国際観光に向けた整備の充実を図っておりますし、そこに向けての市民の皆さんと一体となったさまざまな取り組みについてもノウハウを積み重ねてきております。  そして、2つ目に、世界に貢献する都市という意味合いで申しますと、まさに1点は、平和の構築によって世界に貢献しようという点でありまして、この点でも世界の都市と、あるいは国連などの組織、あるいは世界の政府と連携しながら核兵器廃絶を一日も早く実現する、このことを通した貢献もしたいと思っておりますし、また最近は特に長崎大学の原研、熱研といった世界に冠たる学問を通じて世界に貢献するという方向につきましても具体的にさまざまな連携をして取り組んでいるところであります。  また、世界から評価される都市という意味で申し上げますと、まさにことしから本格的にスタートしておりますまちぶらプロジェクトも、これはまちなかの魅力、もっと個性を発揮して長崎らしい、世界にここにしかないまちというのをつくっていこうとする試みでありますし、世界遺産の取り組みなどもこの流れの中に入るというふうに思っています。  また、4つ目の世界につながる都市という意味で申し上げますと、姉妹都市に加えまして、市民友好都市という仕組みをつくる中で、世界の中に仲間をふやしていく、その中で多くのまた次の世代を担う子どもたちが育っていく、そういった試みについても具体的に進めていることでありまして、決してこれは言葉だけのものではないというふうにご理解をいただきたいと思います。  また、人間都市の面につきましても、先ほどご質問がありましたように、長崎に合った義務づけ、枠づけのお話がありましたけれども、そういった長崎に合った暮らしやすさ、住みやすさというのを自分たちでつくっていくということが非常に重要でありまして、地域振興計画のお話もありましたけれども、そういったものをやはり長崎の中でつくり上げていく、そういう力を持つ。この制度変革の時代の中にあって、まさにその力が求められている、それを1つずつ手にしていこう、そういう試みも進めている中にあります。まさにそれは具体的な実践として取り組んでいるということをご理解いただきたいというふうに思います。  また、先ほど経済の面に関しまして、外向きという言葉、これが具体的に何を示しているのかというご質問もございました。これにつきましても、平成19年の経済成長戦略会議の中で指摘を受けたこと、また、その後の第二次経済成長戦略の中でも、引き続き長崎の経済の活性化に向けては非常に重要な問題点であるという指摘を受けております。そこに向けて、例えば、よその企業と提携するために必要なISOの資格を取るサポートをしたり、あるいはホームページ、国内、国外向けに発信する、そういった連携を深めるためのサポートをしたりですとか、あるいはトライアルオーダー制度をつくって長崎で生まれた製品を後押ししたりですとか、そういったことを具体的に積み重ねてきておりますし、まさに長崎サミットが同じテーマを共有しておりまして、外貨の獲得ということを長崎サミット後の最大のテーマとしております。その中では、造船を中心とする基幹製造業、それから観光、水産、大学という4つの重点テーマが掲げられて、まさにそこに向けて産学官一緒になって今取り組みを進めており、1つずつテーマが見つかり、また具体的な取り組みも既に動いております。そういう意味で、これらの掲げておりますテーマというのは決して美辞麗句ではありません。1つずつ具体的に進めているということをぜひご理解いただきたいというふうに思います。  2点目の長崎のまちづくりの中長期展望の中の(2)経済活性化と企業誘致に向けたインフラ整備についてお答えをしたいと思います。  長崎市の経済の活性化のためには、雇用をふやし、所得を向上させる必要があります。  企業誘致は新たな雇用機会を生み出すほか、設備投資による固定資産税等の税収増が期待されることから、大変重要な施策と認識をしています。  長崎市は企業誘致を進める上で、平地が少なく広い工業用地の確保が難しいこと、日本の西の端で大消費地までの物流コストがかかること、他都市に比べ水道料金が高いことなどの弱みを抱えております。  一方、強みもございます。工学系の大学や工業高校があり、製造業で重視される技術系の優秀な人材が豊富であること、全国的に見て、地震や津波のリスクが低いこと、日本の西の端で、成長著しい東アジアに近接していること、これまでの誘致企業から高く評価されている県市が連携したすぐれた誘致体制があることなどです。  特に東日本大震災以降、企業はリスク分散の必要性を強く意識しており、西日本に目が向いていると聞いております。  そこで、本市の強みを生かすため、対象企業は自動車部品、製造機械、電子部品の組み立てを行う中堅企業や情報通信企業といった広大な用地や大量の水を必要としない企業を想定して、戦略的な企業誘致に取り組んでいます。  しかしながら、議員ご指摘のように、企業立地を進める上でインフラが整った用地の確保は十分とは言えません。これまでにも用地不足がネックとなって立地を逃すことがしばしば起きております。  このように、環境の整った立地用地の整備は大きな課題と認識をしており、大規模な用地整備が地形的に難しい中、比較的小規模ではありますが、長崎南商業高校跡地を活用した用地整備につきましては、今議会に関連議案をお諮りしております。  水問題についても、長崎市は大河川や地下水に恵まれず、斜面地が多いという地形的特徴から、他都市と比較して多くのダムや浄水場、配水タンクなどの水道施設を建設、維持管理しなければならず、その費用が水道料金に反映しております。  また、水の消費を抑制し、合理的な使用を促進するため、使用量の増加に伴い、従量料金単価が高額となる逓増制料金を採用しておりますが、これが大量に水を必要とする企業にとっては負担に感じられているのも確かです。  このため、上下水道局では、第四次行政改革の推進や高金利の企業債の繰り上げ償還などのコスト削減を行ったことで、平成22年度には大口使用者の負担軽減を図り、企業支援策として逓増型料金体系を見直し、平均改定率3.14%を減額する料金改定を行っております。  引き続き、水資源の確保に努めながら、行政改革の積極的な推進等により、効率的で効果的な事業運営を行うことで、水道料金の安定に努めていきたいと考えております。  適地適産という考え方は、製造業の立地において十分に踏まえるべきものと思います。長崎の持てる強みを十分に生かすことで弱みを補完しながら、戦略的な誘致活動に努めることで、具体的な誘致の実績につなげ、産業の振興に努めていきたいと考えています。  以上、本壇からの答弁といたします。=(降壇)= 48 ◯商工部長(高比良 実君) ご質問の2.長崎のまちづくりの中長期展望についての(1)「日本の玄関口」に見合った港湾整備についてお答えいたします。  物流港としての長崎港の実績は、議員ご指摘のとおり、平成23年のコンテナ貨物量で69港中53位という位置にあり、開設航路も1航路、週1便のため、輸送コストや貨物の発注から到達までの時間であるリードタイムにおいて、北部九州の他港と比較しても大変厳しい状況にございます。  一方、旅客輸送、いわゆる人の流れの面では、近年、外航クルーズ船で横浜港や神戸港を上回る全国有数の入港実績を誇り、ことしは約70隻の入港が見込まれています。また、ことし2月からは上海への定期旅客航路が復活し、ますます人の流れが活発になっています。  このような中、長崎港の整備計画については、港湾管理者である長崎県において、20年後を見据えた長期構想が平成24年3月に策定されました。今年度はこの長期構想を踏まえ、おおよそ10年後を見据えた計画である港湾計画の改訂が進められています。この長期構想においては、長崎港の将来像として、アジアとの文化・観光・産業の新たな交流軸「新アジア軸」の核となる長崎港が掲げられています。また、港湾計画においては、松が枝地区において、競合する他港との差別化を目指し、世界有数の国際クルーズ発着港として、強みである人の流れをさらに促進するとともに、上海との定期航路の貨客船としての活用を想定し、高速物流の拠点として整備を図ることなどが議論されているところです。  一方、小ヶ倉、柳地区については、現在、平成26年4月の供用を目指した拡張工事が進められています。これは今後の貨物取扱量の需要の伸びを見込んで計画されたものです。完成後はコンテナヤードが75%拡張されるとともに、倉庫等の整備が進み、物流拠点としての機能拡充が図られ、客船建造などに伴う今後のコンテナ貨物の需要増にも十分対応できるものと考えております。  また、長崎港は平成22年8月に市議会のご協力もいただいて重点港湾の指定を受けたことに続き、昨年11月には日本海側拠点港の指定もいただきました。この折にも、長崎市及び長崎港活性化センターとして、国や関係機関等への要望活動を行ったところであり、この指定により今後の港湾整備において財政面からの国の集中と選択に基づく支援が引き続き期待されております。  いずれにしましても、九州新幹線西九州ルートの完成に向けて、その効果を高めるためにも、大陸との位置関係で優位性のある長崎港を国際観光及び高速物流の拠点港として発展させる必要がございます。長崎港の強みを生かし、特徴ある港湾としての存在感を高めながら、地域の重要な産業基盤として活用、発展させ、長崎市の経済成長につなげてまいりたいと存じます。  以上でございます。 49 ◯都市計画部長(藤本晃生君) ご質問の2点目、長崎のまちづくりの中長期展望についての(3)長崎の地形を生かした居住空間の再整備についてお答えいたします。  長崎市の地形は、山が多く平たん地が少ないという制約の中、長崎港へ注ぐ中島川周辺や浦上川沿いの南北に細く連なる比較的平たんな場所に商業や業務機能が集積し、山腹をはい上がるように斜面の住宅地が形成されております。  この斜面地は、既成市街地の約7割を占めていますが、若年層を中心とした人口の減少による高齢化の進行、建て替えが進まないことによる空き家、空き地の増加といった課題があったため、居住環境の改善や防災性の向上と人口定着を図る目的で、平成7年度から斜面市街地再生事業に着手し、現在8地区で取り組んでいるところでございます。  しかしながら、事業が長期化する中で、斜面地の状況は人口の減少や高齢化が進み、厳しさを増しております。今後も斜面地の居住環境改善に向けた取り組みは重要であると認識しておりますが、現在の斜面市街地再生事業の手法で、斜面地全体の道路整備などを進めていくことは困難でございます。  そこで、地域の個別課題に対応する整備と日常生活の支援につながるソフト施策を組み合わせていく手法へと見直しを図っていく必要があると考えております。  議員より以前ご提案いただいております河川や都市下水路を活用した道路整備も、そうした手法の中の有効な方策と考えております。  河川や都市下水路については、防災や維持管理のための開渠が原則でありますが、暗渠化する以外に緊急車両の通行可能な幅員を確保する方法がない場合など、暗渠化の公益性が高い場所については、これまでも水を流す機能の確保や防災面の支障がないこと、暗渠化後に市道として管理できることなどの条件が整った場合に暗渠化して市道整備を行っている事例もございます。  したがいまして、今後の斜面地における居住環境の改善につきましては、地域の個別課題に対応できる手法について、河川等の暗渠化による道路整備も含め、関係する部局との情報交換や連携を図りながら、実現性の高いものから検討を進め、斜面地に人が住み続けられるよう取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 50 ◯市民健康部長(肉丸明弘君) 4点目の市立病院における無料低額診療事業の導入についてお答えいたします。  無料低額診療事業は、社会福祉法で規定する第2種社会福祉事業として、生計困難者が経済的な理由により必要な医療を受ける機会を制限されることがないよう、無料または低額な料金で診療を行う事業でございます。  厚生労働省によりますと、全国で無料低額診療事業を実施している施設数は平成22年3月現在339施設でございますが、長崎県内では9医療機関が実施しております。このうち長崎市内では7医療機関において実施をされております。  また、無料低額診療事業につきましては、国民皆保険が整う前に無保険者などを対象に始まった事業であったことから、厚生労働省は平成13年にその必要性が薄らいでくるとの理由で抑制方針を打ち出しておりました。一方で、厳しい雇用状況の中、医療費を払いたくても払えない人が急増しているとの主張もありまして、現在、厚生労働省では事業のあり方そのものを検討中であると伺っております。  長崎市立病院は平成24年4月1日から地方独立行政法人に移行をいたしまして、長崎市が指示した中期目標に基づき、民間病院では対応が難しい高度医療、救急医療、小児周産期医療などの急性期医療や災害・結核医療などの不採算医療を実施するとともに、地域医療支援病院として地域の医療機関との機能分担により、病病・病診連携体制を構築し、地域ネットワークの中心的役割を担っております。さらに、ER型救命救急センターの整備を初めとした高度急性期医療の充実などを目指し、新病院の建設工事を進めるなど公的医療機関としての役割を担いつつ、民間の医療機関との一定の役割分担や連携を進めているところであります。  市立病院機構は、この中期目標を確実に達成することを第一の使命としていること、また、既に無料低額診療事業を実施している民間病院も複数あることなどから、市立病院への導入の有無につきましては今後の課題であるというふうに考えております。  なお、無料低額診療事業を実施している医療機関の一部から、積極的に広報したいとの協力依頼がありましたことから、教育委員会では就学援助世帯に対する通知文書に添付をして、医療機関が作成したリーフレットの配付を行っているほか、市役所の相談窓口においても周知を行っている状況であり、今後ともこういった情報の周知に協力をしてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。 51 ◯31番(中村照夫君) どうも答弁ありがとうございました。美辞麗句がどうも気に入らなかったようでありますけれども、要するに、今のことをしこしことやっているということは否定はいたしません。しかし、それが将来を展望する姿になっているのかと、そういうことをやっていけば将来長崎が輝いていくのかと、そういうことにつながる施策がないということなんですよ。港湾整備にしても先ほど指摘したとおりです。県の事業ですけれども、じゃ、長崎が一番その利益をこうむるわけですから、どうするかというのはやっぱり県に任せるということにならんでしょう。長崎市はどこが担当するんですか。長崎港の将来を展望するときにどうあるべきかというのは誰が考えるんですか。港湾の長崎市の担当は土木部河川課でしょう。河川を管理する課の一部が担当しているじゃないですか。港はどうあるべきかというのはそういう時点で考えるものじゃないんじゃないですか。長崎市にはそういう部署さえないんじゃないんですか。  強みを生かすと言われました。確かに工業、優秀な生徒がおります。工学部もあります。強みはあるけど、じゃ、強みは生かせているんですか。そういう学生たちはどこに行っていますか。長崎市で働いていないじゃないですか、働く場所がないから。県の主要立地企業の状況というのがここに出ていますけれども、長崎市に来た企業は賃貸オフィスビルで仕事をしていますよ。1カ所、上ノ島工業団地に来たのは全日本空輸の女性たちのコールセンターじゃないですか。賃貸ビルで働いているのは生命保険、国民年金の支払い云々、製造業に工業出身の、工学部の学生たちが働く場は長崎市にないですよ。諫早が工業団地をつくり、大村が工業団地をつくり、製造業を呼び込んで、そこで働いているのが現状じゃないですか。強みを全然生かせていないじゃないですか。  弱みを克服すると言っているけれども、先ほど都市計画の斜面市街地の問題をたくさん言われたけれども、7割も斜面市街地で占めていると。現状を把握しながらそこに対する、将来どうしたらそこに人が住めるかという方策を考えていないじゃないですか。だから、結果的に美辞麗句に終わるというふうに言っているんですよ。  田上市長はまだ6年ですけれども、そういうことを一つ一つ今まで取り組んでこなかった結果が、先ほども指摘したように、九州でどこでも7万人から10万人の人口が県都はふえているのに長崎だけが5,000名も減っているという、その差につながっているんじゃないですか。これが今から縮まりますか。ますます広がるでしょう、将来の展望をきちっとつくらないことには。そのことを私は言っているんですよ。  市長、今、補助金行政ですよね。今から地方の時代と、地方分権と言われていますよね。これはもう国の政治を見とったら、10年先か20年先の話じゃないでしょう、地方分権は。もうすぐそこまで来ているでしょう。ということはどういうことなのか。備えたところが将来は勝つんですよ、そうでしょう。今はまだ補助金行政だから、100億円の事業をしようと思ったら、自主財源で100億円つくらなくても事業はできるんですよ。しかし、5年後、そこら辺にはそういう事業は自治体ではできないんですよ。自分で100億円そろえなければできないんですよ。だから、どこの自治体も将来に備えてそういう港をつくったり工業団地をつくったり、企業を呼ぶために水問題を解決しているんでしょう。それをやっていないと言っているんですよ。その方策は今の答弁の中にも全然聞かれないじゃないですか。総括的にこれに対して市長の考えを。 52 ◯市長(田上富久君) 中村照夫議員の再質問にお答えいたします。  これまでの長崎の都市政策の流れが今の結果であると。それに対して、今、将来に対してどういう施策を打っていくのかというご質問だと思います。まさにその視点が今、非常に重要であるというふうに私も考えております。その中で、全部の都市があそこと同じになりたい、あそこと同じになりたいというふうに進む、これは地方分権のまさに後の都市の姿ではないというふうに思っています。それぞれの都市がそれぞれの持ち味、それぞれの個性を生かして、また強みを生かして発展していこうとする中で都市の個性が発揮されていき、また、例えば、先ほどお話にも出ました道州制などで九州全体をイメージしたときにも、やはり熊本と大分と長崎と鹿児島とというのはそれぞれに違った特徴があるわけで、その個性をいかに発揮していくか。その中で長崎はこういう個性があるから、道州制になった場合にもこういうところを強化していこうといったような形のサポートがまた受けられるんだというふうに思います。  その意味で、今まさにそういう個性をしっかり伸ばしていこうという時期ですし、工業誘致につきましても、そういう意味では広い敷地がある都市、あるいは豊富な水源がある都市とはまた違った形のものを求めなければ、同じような形の企業誘致というのは実際には難しいというふうに考えております。  その意味で、例えば、コールセンターなどの誘致が進んでおりますことも、先ほど申し上げませんでしたけれども、長崎に女子大学が複数あって、そして、そこから優秀な人材が輩出され続けているということは、企業誘致のときの実際に企業の方からお伺いする非常に重要な要素になっておりますし、そういったことも生かしながら、また、男性の雇用についても、長崎市内だけにとどまらず、少し範囲を広げてもそこに雇用先があればそれはそれで、時津町にある三菱電機も長崎としては一つの製造業としてプラスであるというふうな位置づけもできると思いますし、またそういったことも周辺の自治体との連携も少し広い視野でということも含めて、長崎の強みを最大限に生かしていくということがまず基本的な方向性であるというふうに思っています。  以上です。 53 ◯31番(中村照夫君) あんまり答弁になっていないと私は思うんですけれども、工業の生徒たちが長崎で働けんでも時津や大村やそこら辺で働ければいいじゃないかという考えなんですかね。人口は減っていっても、交流都市で生き延びれば、よそからたくさんの観光客が来ていただいて、おもてなしの心でにぎわえばいいじゃないかと。にぎあわないでしょう。年寄りばっかりになった都市でそんなにぎわいはできますかね。にぎわいのあるまちというのは若者がいるまちじゃないんですか。そういう具体的な姿というのが長崎市には今までもなかったし、今も見られないと。  先ほど、国のシステムのことですね、補助金行政から、今からすべて自治体が競争の時代で自力でやっていかんといかんというときに、備えがなかったら発展しないというのは明らかじゃないですか。工業団地はもう難しいと言い切っていますもんね。しかし、よそはそれをやっているじゃないですか。諫早市は工業用水つくりましたね。しかし、水があるからつくれただけじゃないですよ。工業用水をつくるのに60億円かけているんですよ。そして、45円で水を企業に供給をして9,000名からの雇用をつくっているんですよ。長崎市は地理的にできないんだ、できないんだと言って、そんなできないばかりじゃないでしょう。今までも民間が検討したのはいっぱいあるじゃないですか。  何年か前にバイオラボをやりましたけれども、バイオラボは田手原にあるゴルフ場跡地を、そこにバイオラボの会社をつくろうという将来展望を持っていましたよね。現川には長崎大学があそこに移転をしようかという話もありましたよね。あぐりの丘も、もともとはゴルフ場計画で始まった開発ですよ。そして、あぐりの丘を開発しましたけれども、長崎市は30億円ぐらいかけましたか。まだ3分の1やっていますかね、まだ広大な土地が残っていますよね。  三和町は町の時代にもゴルフ場計画がありましたね。長崎市に編入してから、これは全部長崎市に来たから、少し農地に変えましたよね。ないわけないじゃないですか、あるんですよ。しかし、金はかかる。それはどこでも金かけてやっていますよ。それを今、補助金行政の国のシステムの中だからそれがやれるんですよ。先にはもうやれないんですよ、今やっとかないと。そういうものを一つ一つ準備をしなければ長崎の将来はないということですよ。違いますかね。私の言うことは正しいと思いますけれども。違ったら、ちょっとここは違うんじゃないかと、それは無理じゃないかと、何で無理なのかということがあったら言ってください。市長。 54 ◯市長(田上富久君) 中村照夫議員の再質問にお答えいたします。  先ほども申し上げましたけれども、企業誘致の中で先ほどお話があったような大規模なものというのはなかなか難しいところがありますけれども、今おっしゃったような、長崎の中にもある程度の規模で企業誘致の可能性がある土地というのは幾つかあると思っています。その点については、今回の南商業跡地もそうですけれども、今後とも、そういった形で使えないかということについても十分、今も検討し始めておりますし、そういった使い方については今後とも検討していきたいというふうに思っております。  以上です。 55 ◯31番(中村照夫君) 南商業跡地を工業団地とは言わんでしょう。わずか1万坪じゃないですか。全然話にならん。  ところで、斜面市街地の再整備の問題ですけど、〔パネル表示〕これは以前取り上げた大浦の河川の脇の、もう人が住まなくて空き地になったところですね、こんなのずっとふえています。ここに道路がありますよね。バイクは行くんですよ。この河川を暗渠にすれば4メートルから6メートルの道路ができるんですよ。土地開発の道をつくるのに、まちなかの道をつくるのに、工事費というのは用地買収が8割というじゃないですか。建設費は2割というじゃないですか。こんなの用地買収全然要らないんですよ。10億円かかる工事は2億円で済むんですよ。ここが椎の木ですね、これは出雲町ですね。これ河川ですね。これは以前からちょっと話があっている、あたご自動車の道路を市に買い取ってくれないかという、こういうものですね。これも市で買い取れば周りに住宅はできるわけですね。こういうものを具体的に、今これをほっておいたら全く土地は死んでしまって人は住めません。長崎の土地の7割には住めなくなるんですね、ほっとけばですね。しかし、これに河川を暗渠にすれば道路ができるところ、一つ一つやっていけば、土地ができ、車が行くわけですから、家が建つ、人が住める、固定資産税が入る、ここを開発したら何軒の家が建つのか、何人の人が住めるようになるのか、そうすると費用対効果で幾ら金を投資して市にどれだけの税金が入ってくるのか、具体的なそういうものを試算なり研究なりプロジェクトを持って、研究もしないで7割のこの問題は非常に厳しいと。話を聞いていると、しようがないので、まちなかに誘導して住んでもらおうかと、こういう将来の展望のない考え方なんですよ。これじゃ長崎の将来像は見えてこないと思います。  ちょっと前段の報告が長かったので、十分考え方を引き出すことができませんでしたけれども、田上市長が今々のことを頑張っていることは否定はいたしません。しかし、将来、あなたも何年も何十年もやるわけでもないでしょうし、やっぱり将来の子どもたちなり、次に長崎を担う人たちにどういうふうなバトンタッチのあり方をしていけばいいのかということについては、もっともっと真剣に、もちろん真剣じゃないというふうには言いませんけれども、考え、そういう方策を具体的に指し示していかないと、もう長崎の将来は見えているというふうに思いますので、ぜひ今後とも一つ一つの事例を指摘してまいりますけれども、前向きに全力を挙げて理事者の皆さんも市政発展のために頑張っていただくようにお願いをいたしまして、20秒ありますけれども、終わります。ありがとうございました。 56 ◯議長(板坂博之君) 次は、9番中村俊介議員。       〔中村俊介君登壇〕 57 ◯9番(中村俊介君) 市政一般質問のトリを務めさせていただきます市民クラブの中村俊介でございます。  それでは、質問通告に沿って大きくは5項目の質問をさせていただきます。市長並びに関係理事者の皆様の明確かつ誠意ある答弁を求めるものであります。  1.平和行政について。  (1)被爆70周年に向けての取り組みについてお伺いをいたします。  現在、歳月とともに被爆者の高齢化や被爆体験の風化が著しく進んでおります。この状況を目の当たりにして、私は長崎市民のみならず日本国民、ひいては世界の人々に原爆の真実を今語っておかなければ、今残しておかなければ、数世代先の未来において平和都市長崎の姿はいかばかりかと危機感を感じているわけであります。  先月、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館において、「軌跡 原爆からの復興・NAGASAKI」と題する写真展が開催をされておりました。私は直接拝見することはできませんでしたが、写真展では被爆後と復興過程の写真が展示をされており、戦災復興中の写真は都市整備が急ピッチで進められた当時の様子、家や土地を失った人たちが建てた仮設住宅群、復活した長崎くんちなど、人々の暮らしぶりとたくましさを伝えていたそうであります。  私は被爆三世ではありますが、過去に行われた写真展や被爆者である祖父母の話から、原爆の惨禍からの復興の様子や戦争で失ったものの大きさを知り、現在の長崎の復興後の姿を重ねることで、争いのない平和な世の中が今ここに実現しているということを日々の生活の中で改めて実感しております。  長崎市においても、被爆体験証言の記録などにより被爆の実相を国内外に発信し、核兵器廃絶と恒久平和の実現を世界に訴え続けているところではありますが、被爆者の高齢化や被爆体験の風化が著しく進む状況下にあって、この取り組みをさらに進化させていくことが喫緊の課題であると考えております。  2015年は被爆70周年であります。私たちは被爆70周年という節目の年を3年後に迎えるに当たり、改めて被爆都市長崎として、その役割を再確認し、また、決意を新たにして国際平和都市づくりを進める必要があるのではないでしょうか。これからの3年間でどのように準備を整え被爆70周年を迎えるのかが、今日の長崎を築いた先人たちの勇気と努力に報い、国際平和都市長崎のまちづくりのもう1つの原点であると考えます。  これら状況を踏まえ、被爆70周年に向けての今後の取り組みについて市長のお考えをお伺いいたします。  (2)被爆遺構による実相の継承についてお伺いをいたします。  折しも、先月8月9日に城山小学校、旧城山国民学校を視察した野田首相は、被爆の実態と平和の大切さを後世に伝えることの重要性に言及するとともに、被爆遺構の保存について文部科学大臣に指示する旨の発言をされておられました。これも被爆の実相を国内外に発信したいとする趣旨から、旧校舎の一部を被爆校舎として保存した取り組みが功を奏したものであり、関係者の皆様のご努力に心から敬意を表するところであります。  被爆体験証言の記録、保存など資料による被爆の実相の継承のほか、被爆した物が今もその場所にそのまま残されているという存在意義は非常に大きく、見学に訪れた人々をそのまま被爆直後の長崎にいざなう大きな力を秘めております。  文化財といえば、長崎においては直ちに観光資源という認識があるように感じておりますが、そもそも文化財は文部科学省が所管する教育資源そのものであり、長崎に存在する被爆遺構はまさに全世界に訴えかけることができる貴重な平和教育資源であります。したがって、被爆遺構などについても改めて広範囲に調査を実施した上で国が守るべき貴重な宝として位置づけ、法律に基づき将来にわたって国とともに守っていくべきことを全世界に担保するべきだと考えますが、これについて本市のお考えをお伺いいたします。  2.行財政改革について。  財政状況が厳しさを増し、行財政運営の効率化が急務となっている中、行政においては住民サービスの向上を目指すとともに、財政負担の軽減を図らねばならないという難しい対応が要求をされております。このため、国や地方自治体の行政改革における経費節減など、経済性や効率性を追求する手法としてアウトソーシングの導入が国民やマスコミに広く認識されているところであります。  民間企業におきましては、営利性の追求という側面はあるものの、アウトソーシングの積極的な導入という点において、行政に比べてすぐれている面も多いことは事実であります。  一般的に、自治体におけるアウトソーシング導入の成果の物差しとしては、幾ら経費を削減したのか、あるいは何人の職員が減少したのかということで成果がはかられているように思います。  一方で、民間企業の先進的な事例を見ると、企業はアウトソーシングを活用することにより、経済性や効率性の追求だけにとどまらず、自社の最も強みを発揮できる部分に人や投資など経営資源を集約しようという趣旨から、それ以外の業務を外部に任せるという戦略的経営を展開しております。  住民の視点においては、公共サービスの提供主体がどこなのか、直接的に行政からなのか、あるいは行政からアウトソーシングをされ委託を受けた民間なのかという問題よりも、結果的にどれだけ質の高いサービスが受けられるのかが重要であろうと考えます。  公的サービスを何から何まで行政が担わなければならないということではなく、多様なニーズには多様な担い手があってしかるべきなのではないでしょうか。したがって、地方自治体においても、経済性や効率性といった量的削減にとどまらず、アウトソーシングの活用による戦略的経営を導入し、そのコア業務に経営資源を集約、行政サービスの質的向上に努める必要があると私は考えております。  これらを踏まえ、(1)本市のアウトソーシングの現状並びに(2)のアウトソーシングに対する今後の取り組みについてお答えください。  3.中部下水処理場廃止後の活用策について。  (1)スポーツ施設の充実。  世界平和を究極の目的にしたスポーツの祭典、ロンドンオリンピックが先月に閉会をいたしました。ロンドンオリンピックが始まってから、生活のリズムがすっかり狂ってしまった市民の皆さんも多かったかと思います。私もその中の一人でありまして、深夜まではらはら、どきどきしながら、日本選手団の熱戦に一喜一憂する日々が続きました。オリンピックとは、かくも人々を興奮させるものなのかと改めて感じた次第であります。  そもそも、オリンピックは世界平和を究極の目的としたスポーツの祭典であり、オリンピックを見ていると、勝敗を競いながら、それを超えてたたえ合う選手たちの姿に感動をするものです。事実、古代オリンピックでは3カ月の聖なる休戦が設けられており、戦争を中断してでも参加しなければならなかったと聞いております。  さて、市内松山にあります長崎市営ラグビー・サッカー場はたくさんの市民に親しまれており、利用者、利用団体も多くある現状であります。私自身も実際に団体に加入し、サッカーをプレーしたことがありますが、同競技場は交通の利便性が非常に高いこと、ラグビーとサッカーの2競技がプレー可能であることから、ラグビーを愛する人々、そして、サッカーを愛する人々から高い人気を博しており、希望する日時になかなか予約が入れられないということも少なくありません。  また、2つの種目の競技場を兼ねている宿命から、来る2014年のがんばらんば国体に向け、フィールドの天然芝への改修に当たり、ラインの引き方について、ラグビー、サッカー両団体間で協議が難航していると聞き及んでおります。競技にあっては、まさに競技に集中する余り、ラインの色を変え、区別をしたとしても、プレー中の競技において、どちらのラインが正しいのか瞬時の判断に苦慮することは容易に推測はできるわけであります。  そこで1つの提案として、中部下水処理場の跡地活用策でありますが、機能廃止後の活用策として、競技人口が多く、使用頻度の高さを勘案して、サッカーグラウンドとしての整備のお考えはないのか、本市の見解をお伺いいたします。  4.平和公園駐車場の利用促進について。  平和公園には近隣各県からの観光客が非常に多く、個人志向の高まりから旅行形態も団体旅行から少人数旅行へシフトをしながらも、平和公園を訪れる観光バスの数は依然として多いことが実情なのではないでしょうか。  しかしながら、これらのバスのうち幾つかのバスは、平和公園の地下駐車場や平和会館の駐車場を利用することなく、周辺エリアの国道などで乗りおりを行ったり、見学を終えて旅行客がバスに戻るまでの間、周辺の道路を周回しながら時間調整と、駐車場料金などバスツアーに要する経費の節減を行っている事例も見受けられます。
     このような要因について、バスの運転手並びにガイドの方々にお話を伺ったところ、料金が高いことなどが主な理由として挙げられるとともに、料金の精算機においても、バスのタイプによっては高さが合わず、バスの運転席の高さから使用しにくいことなどが挙げられております。この状況は国際平和都市、国際観光都市長崎の名折れであると言えないでしょうか。  以前は、観光バスが平和公園周辺の道路にあふれ、円滑な交通に支障を来していたことから、現在の駐車場が整備をされ、一定の効果を見ているものですが、このような国道付近での乗りおり、観光客を待つ間の観光バスの周回は、周辺の円滑な交通に支障を来すだけでなく、騒音の問題や高温廃熱を発することから、周辺の住環境にも悪影響を与えております。  また、平和公園駐車場についての案内についても数カ所の設置はあるようですが、実際にこの駐車場を利用した方々にお話をお伺いしますと、入り口が道路から少し入り込んだ場所にあり、1回ではわからず、入り口を通り過ぎてから気がついたなど、周辺道路をもう1周して入庫したという話を多く聞いております。  そこで、これら問題への対応策として、(1)料金体系のあり方並びに(2)わかりやすい誘導案内の2点について、本市の見解をお伺いいたします。  5.まちづくり主体の多様化について。  (1)住民説明手続の明確化。  長崎市政運営に当たって、市民の意向を的確に把握し、これを市政に適切に反映していくためには、それぞれの課題に応じて対象となる課題の内容や特質、重要性などを十分に検討し、その課題にふさわしい手法を用いていくことが大切であると考えます。  また、長崎市におけるさまざまな課題に適切に対応していくためには、その課題について市民の方々に必要な情報が提供され、また、さまざまな観点からの議論が行われる中で合意の形成が図られていくことが重要ではないでしょうか。  これらの状況から、長崎市政の運営に当たっては市議会での審議を初め、さまざまな附属機関を設け、パブリックコメントを実施、地域懇談会を開催し、市長みずからが意見交換を行い、説明会などを開催したりと、いろいろな形で市民との合意形成を図っております。一方で、長崎市のまちづくりにおいては、多様なニーズのもとに、さまざまな方々がそれぞれにまちづくりを実践しているのが現状であります。  この対策として、長崎市が直接実施しないものであっても、市民生活への影響が大きいと想定される開発行為や大型商業店舗の建設、そしてマンション建設などといった既定のまちづくり行為については、関係条例等に基づき市民への周知などについて規定され、適正に実施されているところであります。  しかしながら、近年においては既定の手続では想定し得なかった行為が見受けられます。  例えば、先ごろ長崎大学医学部キャンパス周辺地区で開催をされた感染症研究施設設置の可能性に関する説明会では、長崎市を大きく超えた世界的なニーズに対応しようとするものであり、世界の安全・安心に寄与するという点において異論を挟むものではございませんが、周辺住民の安全性を確保する観点からは、慎重過ぎるほどの議論があってしかるべきであったと考えた次第であります。  また、実施には至りませんでしたが、東日本大震災の影響で発生した震災瓦れきの処理の検討に関する市民参加のあり方についても、検討が必要であった事案ではなかったかと考えております。  これらを踏まえ、長崎市が直接かかわらなくとも市民への影響が大きいと考えられる事案について、住民参加の方法についての手続を創設するお考えはないのか、お伺いをいたします。  以上、壇上からの質問とさせていただきます。答弁によっては自席よりの質問とさせていただきます。=(降壇)= 58 ◯議長(板坂博之君) 市長。       〔田上富久君登壇〕 59 ◯市長(田上富久君) 市民クラブ、中村俊介議員の質問にお答えします。  まず、1点目の平和行政についての(1)被爆70周年に向けての取り組みについてお答えします。  長崎市では、平成23年度から平成32年度までの10年間の事業計画である長崎市第四次総合計画を策定しており、その中で、平和を願い、求め、つくるまちを目指すことを基本的な考えとして平和行政に取り組んでいます。現在、平成27年度までの5年間の前期計画に基づき、被爆の実相の継承、核兵器廃絶の世論喚起、平和な世界の創造といった3つの基本施策のもと、さまざまな平和事業を推進しております。  まず、被爆の実相の継承につきましては、現在、被爆者の平均年齢が77歳を超え、被爆者の数も4万人を切る状況となっており、今後、被爆者の声を直接聞く機会がますます少なくなっていくことが考えられます。このような状況の中で、被爆体験が風化することがないよう、原爆資料館や永井隆記念館などの施設の充実や、被爆証言、被爆資料の保存活用、平和学習の充実を図るなど、被爆体験の啓発や継承活動に取り組んでいきます。特に原爆資料館につきましては、被爆の実相を世界に伝える拠点施設であり、東日本大震災後の放射線への関心の高まりなど、新たなニーズにも対応できる施設となるよう検討していきたいと考えています。  次に、核兵器廃絶の世論喚起についてですが、被爆70周年に当たる平成27年には、核保有国を含む世界の190カ国が加盟する5年に一度のNPT再検討会議、核不拡散条約再検討会議が開かれます。この会議では、核兵器がこれ以上、世界に拡散しないための議論がなされるとともに核軍縮の議論も行われます。NPT再検討会議の結果は、その後の5年間の核兵器をめぐる国際情勢を左右することから、会議の成功に向けてこれから3年間の取り組みは大変重要になります。  これから3年間の注目すべき会議としましては、まず、平成25年3月にはノルウェーで核兵器の非人道性をテーマにした国際会議が開催されます。また、広島市では8月に平和市長会議の総会が開催され、世界各地から加盟都市の市長が集います。一方、長崎市でも、来年NGOの主催で「核兵器廃絶地球市民集会ナガサキ」の開催が計画されています。さらに、平成26年には広島市で軍縮、不拡散をテーマとして、軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)外相会合が開催される予定になっています。  こうした会議の成功は、3年後のNPT再検討会議にも影響を与えることから、長崎市は被爆地として、広島市と協力しながら核兵器廃絶と世界恒久平和の実現の世論喚起に努めていきます。  また、ことし4月、長崎大学に開設されました核兵器廃絶研究センターでは、核兵器をめぐる情報収集や分析、政策提言などに取り組む予定であり、核兵器のない世界を実現するための理論的な支柱となることが期待されます。長崎市としましても、センターとの連携に今後努めていきたいと考えております。  3つ目の、平和な世界の創造につきましては、NGOや自治体等との連携を広げて、グローバルな平和ネットワークを構築していきたいと考えております。そのために、現在、世界の5,400都市が加盟する平和市長会議のさらなる拡大を図るとともに、国内287都市が加盟する日本非核宣言自治体協議会の活動の充実や、市民友好都市提携についても取り組みを進めていきたいと考えています。  長崎市としましては、被爆70周年に向けてこの3年間の平和施策に取り組み、被爆地としての使命を果たす中で次世代への継承に努めていきたいと考えております。  次に、2点目の行財政改革についての(1)アウトソーシングの現状についてお答えします。  これまで長崎市では、急激に変化していく社会情勢や多様化する市民ニーズ、厳しさを増す財政状況に対応していくため、行財政改革を推進してきました。効率的な組織の構築、財政運営の健全化、市民の視点に立った行政サービスの提供、事業の合理化などの業務の見直しや職員給与の見直し等に取り組んできましたが、その中でも業務のアウトソーシングにつきましては、民間活力を有効に活用し、市民サービスの向上を図るため積極的に推進してきております。  具体的には、公園維持管理業務、下水処理場の維持管理業務、ごみ収集業務、学校給食調理業務等の民間事業者への業務委託、ブリックホール、科学館等の公の施設への指定管理者制度の導入、養護老人ホーム、保育所等の民間移譲など、現場の業務や施設の管理にかかるものを中心に行ってまいりました。  これらの実施によりまして、平成18年度から平成22年度までを計画期間とする第四次行政改革における正規職員削減数723名のうち、民間委託などアウトソーシングにより約300名の職員数を削減したところです。  次に、2点目の(2)アウトソーシングに対する今後の取り組みについてお答えします。  長崎市でも人口減少、少子高齢化の本格的な進展が予測されおり、高齢者の増加に伴う医療や介護等の財政負担の増や、就労人口が減少することによる市税収入の減は想像にかたくなく、限られた財源の中で市民サービスを提供していく必要があります。  そこで、昨年8月に長崎市行財政改革プランを策定しましたが、このプランでは「量」と「質」の2つの視点により改革を進めていくこととしております。  職員数や経費を削減し、経済効果を生み出す「量の改革」につきましては一定進捗しておりますが、今後もアウトソーシングについては、引き続き実施していくこととしております。  平成24年4月には、文書配送業務の民間委託を開始しましたが、今後も公の施設への指定管理者制度の導入や、ごみ収集業務の民間委託の拡大などの実施によりまして、職員数や経費の削減に努めていきます。  これまでも行財政改革の実施によりまして、経費や職員数を削減し、捻出した財源につきましては、総合計画を着実に推進するため、少子高齢社会の進展に伴う扶助費の増加への対応はもとより、乳幼児や障害者の福祉医療費に係る現物給付制度の導入など、特に住民福祉に直結する事業の推進やサービスの向上に振り向けてきました。さらに、地域経済の活性化のための観光施設の整備や投資的経費の確保などに努めてきております。  職員につきましても、新たな施策や重点事業に迅速に取り組んでいくため、アジア戦略室、地域コミュニティ推進室、まちなか事業推進室等の組織を設置し、職員を配置してきております。  また、今回の行財政改革プランでは、量の改革だけでなく、質の改革にも取り組むことにしております。  具体的には、課題の解決に向け成果を上げることを常に意識して業務に取り組むよう職員の意識改革を進めるとともに、前例にとらわれず仕事を見直し、新たな業務手法の導入により効果的に事業を進めていきます。これらを推進することにより、今後とも限られた財源や職員の中で重点事業や新たな行政課題に積極的に取り組んでいきます。  以上、本壇からの答弁といたします。=(降壇)= 60 ◯原爆被爆対策部長(黒川智夫君) ご質問の1.平和行政についての(2)被爆遺構による実相の継承についてお答えいたします。  長崎市におきましては、平成4年度から平成7年度にかけて、被爆建造物等に関する情報収集を行い、633件を調査いたしております。その中から、被爆の痕跡などの状況をもとに137件を被爆建造物等としてリストアップいたしました。  平成8年度の被爆50周年の節目には、原子爆弾の悲惨さ、核兵器の脅威を語り継ぐため、被爆建造物等の記録を作成し、刊行しております。  現在、被爆建造物等として128件を、被爆の痕跡の状況などによりAからDランクの4段階に位置づけております。特に、Aランクに位置づけております城山小学校被爆校舎につきましては、ことし8月9日、野田総理大臣が視察された際に、被爆の実態と平和の大切さを後世に伝える重要性を再認識したとの趣旨の発言があっており、総理みずから国として被爆遺構保存への関与を初めて示されており、今後は一刻も早く国の文化財となるよう取り組んでまいりたいと考えております。  また、これらの遺構は被爆の惨状を知り、被爆の実相を後世に継承する上で重要なものであることから、さまざまな事業や平和教育の場で活用しております。例えば、全国の青少年が長崎に集まり交流する青少年ピースフォーラムを実施しておりますが、その事業の中で、長崎の若い青少年ボランティアと一緒に被爆遺構をめぐるフィールドワークを行っております。また、市内の小学5年生は原爆資料館の見学とあわせ、被爆遺構めぐりを実施しているところです。  今後とも、原爆の惨状を次世代の子どもたちにわかりやすく伝えるため、被爆遺構を活用した継承に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 61 ◯市民生活部長(荒巻 征君) ご質問の3点目、中部下水処理場廃止後の活用策についての(1)スポーツ施設の充実についてお答えをいたします。  上下水道局所管の中部下水処理場は、供用開始から約50年が経過し、改築更新の時期を迎えておりますが、場内に改築するスペースがないことなどから、平成35年度末に処理機能を廃止する予定となっております。  廃止した場合は、現在、中部下水処理場で処理をしております汚水を他の処理場で処理する必要が生じることとなりますが、中部処理区で発生する大量の汚水を一気に他の処理場に送水することは難しく、既存の中部下水処理場内に流量調整槽を設け、流量を調整しながら他の処理場へ送水する必要がございます。  そのため、既存処理場の総面積約2万8,000平方メートルのうち約1万2,000平方メートルは、平成35年度の廃止後も下水道施設として利用する必要があり、他の用途に活用できるのは約6割の1万6,000平方メートルと見込まれており、この用地につきまして、上下水道局としては現段階で事業用地として活用する計画はないとのことであります。  一方、スポーツ施設の整備の状況でございますが、平成26年に開催する長崎がんばらんば国体に向け、長崎で開催する競技の会場につきましては、国体終了後の有効活用も見据え、競技団体のご意見等も踏まえながら整備を進めているところでございます。  ご指摘のサッカーグラウンドにつきましては、国体のラグビー競技を長崎市で実施することに伴い、松山町の市営ラグビー・サッカー場や総合運動公園かきどまり陸上競技場の改修を行いますので、一定レベルのグラウンドは確保できているものと考えております。  中部下水処理場の用地につきましては、平成36年度以降、使用できる部分をどのように活用するか現段階で全く白紙でございますが、平地が乏しい長崎市において市中心部の貴重な用地でありますので、時代のニーズを勘案しながら市全体で多方面から検討を行い、有効な活用策を見出す必要があると考えております。  以上でございます。 62 ◯都市計画部長(藤本晃生君) ご質問の4点目、平和公園駐車場の利用促進についてお答えいたします。  長崎市平和公園駐車場は、平和公園周辺に大型バスの駐車場が不足していたことから、路上駐車の解消と渋滞緩和を目的に、大型バス32台、普通車93台を収容できる地下を有する駐車場として、約45億円をかけ建設を行い、平成6年8月に供用を開始しております。  現在、平和公園駐車場の料金体系につきましては、大型バスは最初の1時間までが1,440円、1時間を超えると、平成13年度より導入しておりますパーク・アンド・ライドによりまして2,000円の定額制となっております。また、乗用車は最初の1時間が250円、上限を600円としていますので、時間をかけて観光される方々や市民の皆様からは好評をいただいております。  議員ご質問の(1)料金体系のあり方についてでございますが、長崎市の7つの市営駐車場は、建設や施設の整備に多くの費用を要し、そのほとんどが地方債により賄っております。平和公園駐車場につきましても、約45億円の建設事業費のうち約42億円を借り入れております。これらの借り入れにつきましては、駐車場の料金収入から償還を行っているところでありますが、近年の駐車場利用の落ち込みや建設債の償還ピークが重なるなどにより、毎年、一般会計から駐車場特別会計へ多額の繰り入れを行っております。このような状況におきまして、料金収入減となる料金引き下げは困難と考えております。  しかしながら、平成27年度には駐車場建設債の償還に一定のめどが立つ見込みでございますので、そのような状況となりましたら、議員ご指摘の点も含めまして、望ましい駐車料金体系について検討してまいりたいと考えております。  次に、(2)わかりやすい誘導案内についてお答えします。  平和公園駐車場は、国道206号から奥に入り込んだ、観光客には少しわかりにくい場所にございます。このため、国道から分岐する交差点付近に住吉方面及び長崎駅方面からの車両が確認できるよう、平和公園の入り口方向を示す案内看板を設置し、あわせて駐車場のサインを表示しております。また、多くの観光客が訪れるゴールデンウイークにおきましては、高速道路のサービスエリアに当駐車場を含む市内駐車場の駐車場マップを設置するなど、県外からお越しになる方々への周知を行っているところでございます。  今後とも、わかりやすい誘導案内に心がけ、駐車場の利用促進に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 63 ◯総務部長(橋田慶信君) ご質問の、5点目のまちづくり主体の多様化について、(1)住民説明手続の明確化についてお答えします。  住民説明は、住民と施設、建築物等の設置者との間の紛争の防止、地域住民に対する情報提供、施設等の円滑な設置のために必要とされているところです。  長崎市における住民説明手続の現状についてですが、長崎市中高層建築物等の建築紛争の予防に関する条例において、近隣の住環境の保全と建築紛争の予防を図るため、マンション等大規模な建築物及び大規模店舗、遊技場等を建設する場合について、建築主に建築確認申請前に隣接住民への説明等を義務づけているところです。  また、長崎市開発許可に関する条例において、開発行為を行う場合に、開発事業者に対し開発行為をする場所に隣接する住民等へ開発行為の計画の説明を義務づけています。  このほか、長崎市が主体となって行う事業につきましては、地域住民の生活に影響を及ぼすと考えられる場合については住民説明会を開催しているところです。  ご質問の、民間の取り組みも含めた住民生活に大きな影響を及ぼすと考えられる事案に係る住民説明の手続の創設についてですが、地方自治法第14条の規定において、「普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。」こととなっています。  このようなことから、施設を設置する者等に対しまして、事業を開始しようとするとき事前に住民説明会を行うことを義務づけようとした場合には、条例により住民説明に関係する規定を整備する必要があると考えています。  条例におきましては、住民説明会を開催する必要がある施設の対象、住民説明会を必要とする住民の住居の範囲などの規定が必要となってきますが、民間が取り組む事業に対し一律に住民説明会等の一定の義務を課すことは、事業者に対し過度の負担を強いることとなります。  また、適法な施設であっても、一部の住民等の反対で施設の設置が困難になったり、さらには手続の長期化も懸念されるところです。  複雑、多様化する地域の課題に対し、迅速かつ的確に対応するためには、お互いの信頼関係を構築する情報の共有を図ることは欠かすことができないものと考えており、その必要性は十分に認識しておりますが、住民説明の手続を義務化することは、今申し上げたような問題点もあることから、民間が行う事業に対して一律に住民説明の手続を義務化し、条例で定めることは困難であると考えております。  以上でございます。 64 ◯9番(中村俊介君) 一通りのご答弁をいただきました。ありがとうございました。  それでは、再質問をさせていただきたいと思います。ちょっと順番が前後するかと思いますが、ご了承いただきたいと思います。  まず、平和行政についてお伺いをいたします。  先ほど市長の答弁の中で、東日本大震災での東京電力福島第一原子力発電所、原発の事故の影響に起因する放射線に対する関心の高まりによる新たなニーズということをおっしゃっておられました。  それから、私も原爆資料館の研究機関としてのあり方というものには着目をしております。原爆資料館には、被爆者の方々が命をかけて受け継いできた平和への思いがこもった、かけがえのない、そして世界最後としなければならない貴重な資料がたくさん保存をされております。こういった貴重な体験、資料というものは、世界中の方々に平和や放射能から命を守るための研究材料として、世界平和のために余すところなく周知を行って活用されなければならないと私は考えております。  そういった観点から、原爆資料館を博物館レベルの研究機関として、さらなる進化を図る必要があるのではないかなと私は感じております。平和と放射能に関することは長崎に聞けと言われるぐらいの研究機関をつくることで、世界中から多くの研究者が集って、交流をして、さらに発展させる。そうすることによって、平和はもちろんのこと、市長の言われました新たなニーズにも応えることが可能となるのではないかなと考えておりますけれども、その点についてお考えをお伺いいたします。 65 ◯原爆被爆対策部長(黒川智夫君) 中村俊介議員の再質問にお答えします。  原爆資料館は、被爆の実相と長崎市民の平和への願いを広く国の内外に伝える施設として、昭和30年に国際文化会館として建設をされ、被爆50周年事業として平成8年に原爆資料館と改称して現在に至っております。  資料館では、被爆及び平和に関する資料の調査や収集、さらには収集した貴重な資料を館内で展示するとともに、長年にわたってこれを保存するという業務を行っております。  原爆資料館においても、平和や放射能に関して研究機関としての機能を持つべきではないかとのお尋ねでございますが、平和や放射線については極めて高い専門性が求められます。現在も資料館で放射線に関する展示を行っておりますが、このコーナーの設置に当たりましては、昭和37年に長崎大学医学部の中に設立され、これまで放射線の人体への影響に関する総合的基礎研究を長年積み重ねてこられた原爆後障害医療研究施設、通称原研と呼ばれておりますが、この機関の監修協力を受けて展示を行っている状況でございます。ことしで設立50周年を迎える歴史ある機関ですが、昨年の東京電力原発事故の際も、いち早く被爆地長崎から福島へ放射線防護や緊急被爆医療での支援に赴かれたのも原研の先生方でございます。  さらに、長崎には原爆の影響を専門的に調査研究する機関として放射線影響研究所もございます。また、平和に関しましては、本年4月、長崎大学に学問的調査分析を通して、核兵器廃絶に向けた情報収集や提言を行う核兵器廃絶研究センター、通称RECNAという部門が設立されております。  これまでも原爆資料館では緊密な連携を図ってまいりましたが、新たな機関の設立もあっておりますので、これまで以上に協力体制をとりながら、資料館における展示や情報発信の充実を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。 66 ◯9番(中村俊介君) 今おっしゃられたように、原研ですとか、RECNAという機関と協力をされて今後もその取り組みを進めていただけるということであれば、なかなか博物館のレベルまで高めるというのは、早急には無理にしても、近い将来、何とか私が申し上げたような博物館としての機能も充実させていただければなということで、これは要望としてとどめさせていただきたいと思います。  それから、被爆者の方々が減少する中で、被爆証言の記録、そしてその記録の保存というのが非常に大切であると考えております。これらの記録などの今後の保存ですとか、活用の望ましいあり方としては、どのように本市として考えておられるのかという点についてお伺いをいたします。 67 ◯原爆被爆対策部長(黒川智夫君) 再質問にお答えいたします。  資料館の役割として、資料の保存、活用、展示ということを申し上げましたが、被爆証言の記録に関しましては、平成15年7月に開館をいたしました国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館において、主に国の事業として取り組んでいただいております。平成24年8月9日現在、4万4,863人分の被爆体験記が公開されており、また、祈念館内に設置されているパソコンを利用することで、被爆体験記のうち、既に登録作業の終わった証言、音声及び映像、およそ1,100人分を自由に検索して閲覧ができるようになっております。また、原爆資料館においても図書室で証言集の閲覧などができますので、長崎市といたしましては、これらの貴重な被爆証言を被爆体験の継承に活用していただけるよう周知を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。 68 ◯9番(中村俊介君) はい、ありがとうございます。今ご答弁いただいた証言の記録、保存数、活用方法については、被爆遺構と同じように国を代表する貴重な資源であると考えておりますけれども、文化財への位置づけについても今後ぜひとも検討をしていただきたいと思います。  関連しまして、被爆遺構の平和教育への活用について、ここで教育長のお考えも確認しておきたいと思いますが、教育長いかがでしょうか。 69 ◯教育長(馬場豊子君) 再質問にお答えいたします。  被爆遺構や現在、小学校、中学校で行われています語り部の方々の被爆の実体験をもとにしたお話、こういうものは、原爆の悲惨さや平和の尊さを子どもたちに実感させるために大きな力を持っているものと思っております。子どもたちは本物に触れることで平和の大切さが心に響き、体で感じております。  そういう意味も込めまして、このような本物が持つ伝える力というのを十分活用しながら、今後の平和教育に生かしていきたいと考えております。 70 ◯9番(中村俊介君) はい、ありがとうございます。前向きな答弁であったというふうに理解をしておりますけれども、原子爆弾の投下によって市民の多くが被爆するという悲劇を体験した長崎市において、死没者に哀悼の意をあらわすこと、それから被爆者に対する援護は平和への取り組みの原点でありまして、これらをより充実すべきことは、これはもう言うまでもありません。一方で、被爆者の体験を未来に語り継ぐということは、被爆に遭われた方々の尊い命を未来につなぐという意味があると思います。
     体験を受け継ぐということで、私たちはその人たちの魂を受け継ぐわけでございますから、そこにはやはり血の通った取り組みが必要であると思いますし、被爆遺構を残しても、そこに体験も含めて継承をしていかなければ、いつかは風化をしてしまいます。何よりも大切なことは、被爆者の方々が命をかけて受け継いできた平和への思いというバトンを次世代につなぐ仕組みをより強固にすること、それから命がけで暮らしを守った方々、体験談、そして被爆遺構にもっと光を当てることだと私は考えています。  こうした貴重な体験や遺構を継承しつつ、被爆70周年をもう1つの原点としていただきまして、一日も早く世界平和が訪れるよう、市民はもとより国も絡めながら、世界の人々や都市との交流、連帯を進めていただきますように、市長におかれましてもなお一層の取り組みをお願いいたします。  続きまして、行財政改革について質問をさせていただきます。  これまでのアウトソーシングの取り組みについて、経費の面などからご説明をいただきました。量的削減においては大きな成果を得ていることがわかりましたけれども、現在、行政サービスの質的向上については今後取り組んでいくということではありますけれども、確認の意味も込めまして、具体的にどのように寄与していくのかという点についてお聞かせください。 71 ◯総務部長(橋田慶信君) 再質問にお答えします。  これまでのアウトソーシングも含めた行革によって得られた財源、それから職員につきましては、先ほど市長が具体的に申し上げましたように、新たな政策課題とか、住民福祉に直結する事業の推進に振りかえてきたということです。そのほかにも、コールセンターの開設でありますとか、税のコンビニ収納など市民サービスの向上等にも反映をさせてきたところです。  また、これまで定型的な業務に追われていた職員がより高度化、複雑化する業務への対応に専念できるといったようなことも期待できるのではないかというふうに考えております。  したがいまして、アウトソーシングの実施が長崎市の行政サービスの質的向上に一定寄与しているという認識を持っておりますので、今後とも可能なものについては積極的に進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 72 ◯9番(中村俊介君) では、ことしの2月議会において、私が固定資産税の評価事務の民間委託について、推進の立場から質問をさせていただきました。これについて、平成24年度においてどのような方向性で取り組んでおられるのか、その後の進捗状況についてお聞かせを願いたいと思いますが、いかがでしょうか。 73 ◯理財部長(安田静馬君) 再質問にお答えいたします。  固定資産税の課税業務の民間委託についてでございますが、2月議会の議員の質問を踏まえまして、他都市の民間委託の事例につきまして中核市40市及び県庁所在市4市に調査を行いました。  調査の結果といたしましては、土地は一定の民間委託が行われており、評価がえに対応する路線価付設業務や、地価下落に対応する路線価の見直し業務などを委託しておりました。これは長崎市でも現在委託しているところでございます。  次に、家屋につきましては、実地調査やそれに基づく評価業務について民間を委託している自治体はございませんでした。これは公権力の行使である固定資産税の賦課処分と一体となす事務ということから、なされていないということでございます。  そのほか、民間委託を実施している事例といたしまして、家屋の取り壊しや増築などを確認するすべての家屋の調査の事例が1市、航空写真撮影による現況把握の事例が14市、その他、評価図面の作成及び計算書作成の事例が2市などでございました。これは、平成19年の総務省からの通知に民間委託が可能な例として示されているような補助的な業務に当たるものでございました。  市税につきましては、自主財源の根幹をなす重要なものでございまして、また、税負担の公平性の観点から、財源の確保のための有効な手段として、民間委託の業務があれば取り組んでいく必要があると考えておりますので、長崎市といたしまして、他都市の調査結果を踏まえ、委託可能な業務について今後、費用対効果も含めて検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。 74 ◯9番(中村俊介君) 徐々にではありますけれども、一定の動きは始められているというふうに私は今、認識をしたわけでありますけれども、市民サービスの質的向上を財政負担の軽減のもとに実現をするためには、個々の業務のマネジメントの方向性ですとか、適切な組織形態を導き出すことと同時に、アウトソーシングの活用によって、人的な行政資源を最大限に発揮させて行政サービスの質的向上を図ること、これが非常に重要であると思います。  また、行政サービスの向上を図るに当たっては、最も市民のニーズを熟知している方々、実際に窓口に立ったり現場を訪れたりして、日々市民に接しているセクションの職員の方々であるかなと私は思っています。アウトソーシングの導入によって、市民のニーズを熟知している、そういった人材が、政策を立案する立場となって機能をし始めることで、やがて市民サービスの質的向上が図られるのではないかなと。よりアウトソーシングが進むことで、いわゆる市場経済にもよい影響をもたらすと、民間の人材の幅も広がるものと私は考えています。  このアウトソーシングの導入に当たって、固定資産税の評価1つを事例にとってみても、さまざまな問題がございます。なじむもの、なじまないもの、先ほどおっしゃいましたけれども、そういったもの、私も理解をしております。ですから、導入する際には基本的な考え方を一旦整理していただいて、早急に対象となる業務の選定をする、可能性のあるものから積極的に導入を図っていただく、それから人的な行政資源を最大限に発揮させた行政サービスの質的向上を図っていただきたいと、このように思います。  以上のことを踏まえていただきまして、平成25年度の予算策定に当たっては、さらなる調査研究を引き続き行っていただくことを強く要望いたしまして、次の質問に移ります。  それでは、住民手続の明確化について再質問させていただきます。  この手続の条例化は、民間事業に対する過度な負担ですとか、手続の長期化が懸念をされると、そのため困難であるとおっしゃっておられましたけれども、建設紛争の予防に関する条例、それから開発許可に関する条例においても、民間事業者に対するそういった懸念がありながらも、現在、制定に至っております。今回できないとした理由との明確な違いについて教えていただけますか。 75 ◯総務部長(橋田慶信君) 再質問にお答えいたします。  現在、住民説明を義務化している2つの条例でございますが、この条例において住民説明の対象となる住民、これは中高層建築紛争の予防に関する条例を例にいたしますと、日照障害や電波障害等の具体的な被害のおそれのある方々でありまして、事業の実施によって直接的に生活環境等を侵されるおそれがある方々となっております。また、住民説明を行う範囲も限定的な範囲となっています。  一方、民間の事業に対し一律的に住民説明会を義務づけた場合、まず対象となる事業、あるいは施設が明確でないということがございます。それに伴いまして、事業の実施によって直接、生活環境等を侵されるおそれがある住民の方々を特定できないため、住民説明を行う範囲が広範囲に及ぶ可能性もあると。現時点で今このような違いがあるのではないかと。したがいまして、条例化については慎重であるべきだというふうに考えております。  以上でございます。 76 ◯9番(中村俊介君) それでは、行政が直接的にかかわらない場合であっても、地域住民が自分たちの公益を増進するために自由に意見を述べる、また、自立的、主体的に行動して、場合によっては地方行政機関と協力して問題の解決を図っていくことが地方分権における真の地域主権であることに異論はないかと思います。  ですが、市民のそういった行為を保障する、担保する必要はないんでしょうか。例えば、住民説明や参加のあり方について、現在検討中の自治基本条例の中に盛り込むのも1つの方法であると考えます。  重ねまして、同条例の制定後の周知の方法についても、わかる範囲でお答えをいただければと思います。 77 ◯企画財政部長(武田敏明君) 再質問にお答えいたします。  自治基本条例は自治体運営の基本原則を定めた条例でございまして、名称や規定内容につきましては明確な要件が定められているわけではございません。しかしながら、住民自治や自主的な地域づくりの理念、そのための原則などを定め、住民や行政、議会の責務、住民参加や協働、コミュニティー活動、行政運営の原則などを規定しているものが一般的でございます。  この自治基本条例における住民参加の考え方についてでございますが、一般的には住民のまちづくりへの参画につきましては、権利であり責務であるというふうに位置づけられ、まちづくりは行政のみならず、市民、NPO、企業、大学等の多様な主体の参画と協働で行うというのが基本的な考え方になるものというふうに考えております。  このような住民参加の考え方の中で、議員ご質問の住民説明等のあり方、これは一律に義務化するというのは、この条例におきましても規定するのは困難というふうに考えておりますが、こういったまちづくりへの多様な主体の参画と協働、こういったものが求められている中で、情報の共有、双方向のコミュニケーションを図るということは大切なことであるというふうに考えておりますので、今後、自治基本条例の制定に向けた作業を進めていく中で、条例の中にそのような考え方を盛り込めないか検討させていただきたいというふうに考えております。  それから、住民の方に対しましても、自治基本条例制定の過程、それから制定後につきましても十分に周知を図っていく必要があるというふうに考えております。  以上でございます。 78 ◯9番(中村俊介君) ちょっと時間がございませんので、最後に、先ほどの平和公園の駐車場の利用促進に関連して、ちょっと市長のご意見を伺いたいんですけれども、実は今回、時間の関係から平和公園に限定してお話をさせていただきましたけれども、実はほかにも、長崎市各所の駐車場、これは不足の問題でございますけれども、多々問題があります。例えば、亀山社中エリアですね、ここに行かれる観光客の方、以前は風頭の矢太楼さんで下車をしておったと。ところが、もう最近はそれもかなわないということで、市民会館の横で乗りおりをされているという実情がございます。これはやはり、おもてなしの心という側面から考えても大変利便性の悪いものではないかなと思いますけれども、最後に市長として、こういった面における改善方法、対処方法がありましたら、何か意気込みも含めてお願いいたします。 79 ◯市長(田上富久君) 中村俊介議員の再質問にお答えいたします。  確かにそういう状況ございます。つくれるものはつくって、また、つくれないところもありますので、そういった部分は小さな車で行くとか、あるいはそこにおろして、また下で迎えるとか、さまざまな工夫も加味しながら、今後もおもてなしの心をそういった面でも発揮していきたいと思います。  以上です。 80 ◯議長(板坂博之君) これをもって市政一般質問を終了いたします。  次に、 日程2  平成23年度決算に基づく健全化判断比率及び資  金不足比率の報告 については、お手元に配付いたしております報告書のとおりであります。  本件は、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の規定により報告されたものでありますので、同報告書によってご了承をお願いいたします。  次に、 日程3  長崎市議決事件に該当しない契約についての報  告に関する条例に基づく報告 については、既に配付されております報告書のとおりであります。  本件は、同条例の規定により報告されたものでありますので、同報告書によってご了承をお願いいたします。  以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。  次回の本会議は9月28日午前10時から開きます。  本日はこれをもって散会いたします。           =散会 午後3時2分= ──────────────────────────────────────────────   上記のとおり会議録を調整し署名する。   平成24年10月26日                               議  長 板 坂 博 之                               副議長  鶴 田 誠 二                               署名議員 山 本 信 幸                               署名議員 岩 永 敏 博 長崎市議会 ↑ ページの先頭へ...