通告に従って、順次発言を許可いたします。
瀬戸口三郎君に発言を許可いたします。
[瀬戸口三郎君登壇](拍手)
3 ◯瀬戸口三郎君 おはようございます。
いよいよ一般質問最終日になりました。また、今回も質問させていただくことになりました。我が自由民主党県議団の御理解をいただきながら、そしてまた役員の方々に感謝申し上げまして、質問に入らせていただきます。
まず、産業おこし関連の新規事業について質問させていただきます。
昨年十二月二十七日に閣議決定された地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策によると、安倍内閣におきましては、これまで、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢から成る
経済政策アベノミクスを一体的に推進してきました。
こうした政策のもと、有効求人倍率は二十二年ぶりの高水準、経常利益は過去最高水準となるなど、経済の好循環が生まれ始めているところでありますけれども、最近の我が国経済は、平成二十六年七月─九月期の実質GDP成長率が年率換算でマイナス一・九%と二四半期連続でマイナスとなるなど、景気は緩やかな回復基調が続いているものの、個人消費等に弱さが見られるところであります。
このような現状認識を踏まえて、景気の状況に対応するため、政府は、経済の脆弱な部分に的を絞り、かつスピード感を持って対応を行うことで、経済の好循環を確かなものとするとともに、地方にアベノミクスの成果を広く行き渡らせることを目指し、一つに、地域の実情に配慮しつつ消費を喚起する。そして、二番目に、しごとづくりなど、地方が直面する構造的な課題への実効ある取り組みを通じて地方の活性化を促す。三番目に、災害復旧等の緊急対応や復興を加速化するという三点に重点を置いて、経済対策を取りまとめたところであります。
そのうち、地域の実情に配慮し、景気の脆弱な部分への対応を行う観点から、現下の経済情勢等のもとで厳しい状況にある生活者や事業者への支援を行い、地方の消費喚起や地域経済の活性化を図るために、国におきましては、地域活性化・
地域住民生活等緊急支援交付金を創設し、今年度の補正予算で二千五百億円を計上しているところであります。
県におきましても、国の補正予算に対応して、今年度三月補正予算において、
地域住民生活等緊急支援のための交付金を活用した県内の消費喚起を促進する事業として、四事業、約二十二億円を計上されております。
そこでお尋ねいたしますが、今回、補正予算で計上している、一つに、
かごしま国民文化祭開催記念─プレミアムお得旅促進事業、二つ目に、
直行便利用海外誘客特別キャンペーン事業、また、「本物。鹿児島の逸品」PR・販売促進事業、そして、
ふるさと名物商品販路開拓支援事業を実施することの狙いと具体的な内容について伺うものであります。
次に、大隅地域への観光客の周遊の促進について。
大隅地域は、豊かな自然環境や恵まれた食材を初め、かのやばら園や本土最南端の佐多岬などの景勝地、また、種子島と並び全国で二カ所しかないロケット発射場の一つ、
JAXA内之浦宇宙空間観測所など、魅力あふれる観光資源に恵まれております。
このうち佐多岬は、
霧島錦江湾国立公園内にあり、太平洋の黒潮に洗われた断崖と白亜の灯台がマッチして、すぐれた景観を呈しております。太平洋、東シナ海、錦江湾に面し、晴れた日には水平線のかなたに種子島、屋久島を眺望できるこの佐多岬においては、長年にわたり民間事業者が独自に開発を行い、観光事業を営んできましたが、平成十九年に、岬への唯一のアクセス道路である
佐多岬ロードパークを廃止するとともに、翌年には佐多岬園地事業からの撤退の意向を表明されました。その後、適切な維持管理がなされず、公園内の展望台、レストハウスは荒廃し、貴重な観光資源が生かされなくなる事態となりました。
このような中、県は、地元南大隅町や国立公園を管理する環境省と、この佐多岬が観光振興上極めて重要な地域であるとの認識のもと、連携して対策に取り組むとし、南大隅町においては、廃止された
佐多岬ロードパークを民間事業者から購入するとともに、町道佐多岬公園線として整備し、平成二十四年十月から無料化して供用を開始しております。
一方で、民間事業者においては、老朽化した展望台、レストハウスを撤去するとともに、跡地を一般に開放。この結果、これまで減少傾向だった公園への入り込み客数が増加に転じ、平成二十五年は、対前年比一・八倍の約六万九千七百人を数えたと聞いております。
引き続き、県は、佐多岬を観光拠点として新たな整備に取り組むことを表明し、
佐多岬観光整備事業として、公園部分を管理する環境省の直轄事業と連携し、平成二十五年度から調査・設計等に着手しますとともに、本年度は、環境省直轄事業により公園部分の展望施設の設計や遊歩道の工事、県事業では、観光案内施設等の設計や旧第一料金所の交差点改良の工事を実施しているところであります。
手つかずの自然が広がる現地は急峻な地形にあり、難しい工事が予想されますが、関係の皆様におかれましては、安全に万全を期して取り組んでいただきたいと思います。
そこで、まず第一点としてお伺いしますが、来年度の事業内容及び今後のスケジュールについてお示しください。
次に、佐多岬を観光された方々の話を聞きますと、「本土最南端まで来て感動しました。しかし、垂水・鹿屋方面から入って、帰るときも同じ道を帰るので、大隅半島を周遊できるコースが欲しい」とよく言われます。
JAXA内之浦宇宙空間観測所など太平洋側への周遊や、さんふらわあを利用するコースなど、特に大隅北部の観光地づくりがおくれていると思われます。今後、東九州自動車道、都城志布志道路が開通するに当たり、北部地域の観光スポットの開発も必要かと思います。
また、来年度から
大隅地域スポーツ合宿の拠点施設の整備に着手する予定となっております。近年、右肩上がりの本県でのスポーツ合宿の受け入れ数については、とりわけ大隅地域は、志布志港を発着港とするフェリーさんふらわあの活用や、それぞれの地元市町、観光団体による野球、サッカー、自転車競技などといった特徴ある競技での積極的な誘致の取り組みにより、県全体の三割程度を占め、県内でも最も多い地域となっています。
そこで、第二点ですが、佐多岬の観光地としての整備が進むことで、今後、周辺の魅力あふれる観光素材を生かしながら、本県有数の観光地である指宿や霧島などとの周遊性を高めるための取り組みが必要となってくると思われますが、どのように取り組むのか、お考えをお示しください。
次に、スポーツ振興についてお伺いいたします。
大隅地域スポーツ合宿拠点施設の整備について、県は、昨年末、
大隅地域スポーツ合宿の
拠点施設整備基本計画を公表しました。
スポーツ観光王国かごしまの一層の推進を図るとともに、
九州新幹線全線開業効果を大隅半島に波及させるためとして、一昨日に閉校されました有明高校敷地に、陸上競技のトレーニングに特化した
スポーツ合宿拠点施設を整備することとし、今後、地元自治体や関係団体と連携を図りながら、取り組みを進めることとしております。
計画の中で、施設については、陸上競技場を中心としたグレードの高いトレーニングの拠点施設とし、一流アスリートのニーズにも対応可能としております。また具体的には、基本的な施設として、一周四百メートル・八レーンの全天候舗装の日本陸連の第三種公認基準を満たすグレードの陸上競技場や多目的グラウンドに加え、空調設備を備えた室内直走路や専用の投てき練習場、また附帯的施設として体育館や
トレーニングルームなど、魅力ある特徴的な施設を一体的に整備するとしております。
また、同じ大隅地域には、約三十キロメートルの距離に国立大学法人唯一の体育大学である鹿屋体育大学がありますが、計画の中で、同大学とは互いの施設の有効活用に努めるほか、専門的な知識を有する同大学から科学的なサポートの提供を受けることができるよう、連携を図りたいとしております。
現在、鹿屋市は、スポーツ合宿の誘致に際し、この鹿屋体育大学と連携し、身体能力の測定や
トレーニングメニューの作成等の支援を行っており、選手から高く評価されていると聞いております。グレードの高い施設において、質の高いトレーニングを提供することができれば、誘致に際し、大いに効果があるのではないかと期待しているところであります。
また、県は、これまでも観光振興を県政の重要な柱の一つとして位置づけ、国内外から誘客を図る施策として
スポーツキャンプ等の誘致を掲げるとともに、地域レベルでも連絡会を設置し、関係団体や市町村と連携しながら、プロや大学等の
キャンプ・合宿誘致に地道に取り組んできているところであります。その結果、本県のスポーツ合宿の受け入れ人数は年々増加しているところであり、平成二十五年度における受け入れ状況は、延べ人数で見ますと、対前年度比七・八%増の十三万一千人余りとなっております。
交通手段で見ますと、バスに次いでフェリーさんふらわあが二番目となっていますが、特に大隅地域は、このさんふらわあを活用し、市町、観光団体と連携しながら積極的な誘致に取り組んでおり、その結果、スポーツ合宿の受け入れ数は県全体の三割程度と、県内でも最も多い割合となっております。
また、競技種目を見てみますと、陸上競技は、野球、サッカーに次いで三番目となっていますが、県の中では、これは奄美地区や鹿児島地区等における長距離走を中心とするものであり、大隅地区において、短距離走や跳躍、投てきを可能とする陸上競技の合宿を誘致することができるようになれば、新たな需要が生まれることも期待されます。
さて、二〇二〇年の
東京オリンピック開催まであと五年と迫りました。県では昨年四月、観光課内に新たな担当班を置き、情報収集を進めるなど、オリンピックの事前合宿誘致の取り組みを推進しておられます。同じ年には鹿児島国体も開かれることとなっております。
大隅地域スポーツ合宿の拠点施設の整備は、これにより質の高い合宿を提供することで、
スポーツ観光王国かごしまをアピールするとともに、鹿児島の魅力を発信し、国内外からの観光客誘致にもつなげていく絶好の機会であります。
大隅地域は観光資源に恵まれていますが、それらを活用した多様で個性的な魅力ある観光地づくりとともに、スポーツ合宿の取り組みの強化により、交流人口の増加が期待されるところであります。
そこでお尋ねいたします。
まず第一点は、整備に係る全体事業費、スケジュール、完成年度についてどのようにお見積もりか、お示しください。
次に第二点は、完成後の施設の管理運営についてどのようにお考えか、お示しください。
次に第三点ですが、施設利用に際しての宿泊は、原則として既存の民間宿泊施設を活用するとのことであり、合宿の受け入れに当たっては、宿泊や食事、送迎等のサービスのあり方は重要であると考えます。このあたりの民間事業者との調整をどのように図っていくおつもりか、お示しください。
最後に第四点は、集客対策、PRの取り組みについてどのようにお考えか、お示しください。
次に、マラソンについてお伺いいたします。
鹿児島市は、二〇一六年三月、
仮称鹿児島マラソンを開催すると発表されました。陸上競技を愛する私にとっても、また鹿児島県民は、六十年以上前から本県で五日間開催される県下一周駅伝など、いつも支援していただき、そして、菜の花マラソンも全国的な大会となりました。沿道の方々に夢と感動を毎年与えていただいている競技であります。
そのような中での今回の鹿児島マラソンの発表であります。コースは、磯地区の史跡や桜島の景観を楽しめるフルマラソンであり、参加者も一万人を見込まれております。四十二・一九五キロのフルマラソンと九キロメートルのファンランの二種目が想定されているようであります。県も当初予算で一千万円の支援をするとあります。
今後、実行委員会を立ち上げて進められると思いますが、現時点でわかる範囲で結構ですが、具体的内容とこの大会の狙いについてお示しください。
また、本県にはフルマラソン、ハーフマラソンを開催する地域がありますが、県として、これまでこれらの大会とどのようにかかわっておられますか、伺うものであります。
[知事伊藤祐一郎君登壇]
4 ◯知事(伊藤祐一郎君)大隅地域のスポーツ合宿の拠点施設についてのお尋ねでございます。
一昨日、閉校いたしました有明高校の敷地に建設する予定の
大隅地域スポーツ合宿の拠点施設につきましては、昨年十二月に策定いたしました基本計画をもとに、陸上競技の指導者の方々とも相談し、御指摘もいただきましたが、照明設備のある陸上競技場にあわせまして、室内直走路や傾斜走路などをあわせた第三種公認の基準を満たす施設として、また、鹿屋体育大学とも連携し、一流アスリートのニーズにも対応可能な陸上競技に特化した
トレーニング施設として整備することといたしております。
来年度は、施設の実施設計等を行うこととしておりまして、その中で事業費、整備スケジュールにつきまして検討することといたしておりますが、現時点では、設計に一年、建設に二年程度の期間を、また、事業費は、有明高校校舎の解体費を含めまして約三十億円台になると想定しているところであり、今後、整備に向けて着実に取り組んでまいりたいと考えております。
5 ◯観光交流局長(武盛武士君)地域消費喚起・
生活支援型交付金事業についてでございます。
この交付金は、景気の脆弱な部分にスピード感を持って、的を絞った対応を行う必要があるとの総理大臣の指示を受けて、地方の活性化を促すため、国の平成二十六年度補正予算として措置されたものでありまして、県におきましても、このうち、域外消費に資するふるさと名物商品及び旅行券等に係る経費を三月補正予算案として提案しているところです。
国は、インターネットの通販サイトを活用した割引販売を基本としていますが、これに加えて、県としては、全国との競争の中で本県にとってより効果的な消費を喚起するため、本県の強みを加味した取り組みも必要であると考えています。
このため、
かごしま国民文化祭開催記念─プレミアムお得旅促進事業については、ことし本県で開催される国民文化祭・かごしま二〇一五を記念して、旅行会社等との連携により、割引旅行商品やお土産クーポン等を発行することとしています。
直行便利用海外誘客特別キャンペーン事業については、鹿児島から直行便が就航している国や地域を対象に、現地旅行会社等との連携により、お土産クーポン等を発行し、観光客の誘致と消費喚起を促進することとしています。
「本物。鹿児島の逸品」PR・販売促進事業については、関係団体等と連携した取り組みが高い評価を得ている国内外における物産観光展や鹿児島フェア等の対面販売を通じて、本県の誇るすぐれた一次産品を初めとする特産品のPRや販路拡大を図りたいと考えています。
ふるさと名物商品販路開拓支援事業については、鹿児島県商工会連合会が県内の商工会等と連携して、各地域の特産品のPRと販路開拓を図るため、全国商工会連合会のインターネットの通販サイトを活用した割引販売を行う取り組みに対し、助成することとしているところです。
佐多岬の整備についてでございます。
佐多岬は、本土最南端の地として全国的に有名であり、大隅地域の観光振興上、極めて重要な地域であることを踏まえまして、大隅地域へ観光客を呼び込む拠点となるような施設整備に取り組んでおります。
平成二十七年度は、県事業としては、トンネル手前の駐車場及び第二駐車場、南大隅町が新しく制作する北緯三十一度線モニュメントを中心とした展望広場のほか、観光客を佐多岬に誘導案内する観光案内標識等を整備することとしています。
また、トンネル出口から岬に至る公園部分については、環境省が直轄事業として、遊歩道等の整備を引き続き進める予定です。現状が急峻な地形にあるため難工事となることが予想されますが、今後とも環境省や南大隅町とも連携しながら、環境省が整備する展望施設を含め、全体としては平成二十八年度中の完成を目途としているところです。
大隅地域の周遊性を高める取り組みについてです。
大隅地域には、広大な照葉樹林や壮大な滝などの自然景観を初め、豊かな食、古墳群などの歴史遺産、宇宙空間観測所など、将来の観光かごしまを牽引できる魅力あふれる観光資源に恵まれています。
県では、佐多岬の整備に合わせまして、地元市町等と連携しながら、魅力ある
観光地づくり事業による大隅まるごと体験ラインを生かした域内のネットワーク化に加え、フェリー便で結ばれている指宿地区、大隅北部と近接した霧島地区からの
広域観光ルートづくりを進めているところです。
また、さんふらわあや東九州自動車道等を活用した修学旅行の誘致やスポーツ合宿の振興、さらには、航空会社との連携による
南九州キャンペーンバスおおすみ号の運行などにも取り組んでおります。今後とも、大隅地域の特性を生かしながら、周遊性を高める取り組みを進めてまいります。
鹿児島マラソンについてでございます。
鹿児島市によりますと、鹿児島マラソンは、史跡や景観などの魅力を体感できる冬の滞在型観光の推進を図ることを目的に、事業規模約三億円を見込み、来年三月、フルマラソンとファンランの二つのコースで開催する予定とのことです。特にフルマラソンは、
ウォーターフロントや緑化された市電軌道敷などの都市景観や、西郷隆盛銅像や仙巌園など薩摩の歴史、そして桜島や錦江湾などの自然を感じることのできるコースとして計画されています。
また、同大会は、今後、開催までに、日本陸上競技連盟による記録の公認が得られる大会とすることを目指しておりまして、これにより、国内のみならず、公認記録を求めて参加する海外からの多くの市民ランナーの参加も見込まれますことから、閑散期における本県全体のインバウンド対策としても大きな効果が期待されるところです。このため、県としては、この点に着目しまして、当初予算案に補助金として一千万円を計上したところです。
また、昨年度、県内におけるマラソン大会は、フルとハーフを合わせまして十件が開催されておりまして、このうち、
いぶすき菜の花マラソンやヨロンマラソンなど五件については、県として後援を行っているところです。
6 ◯知事公室長(福壽 浩君)
大隅地域スポーツ合宿の拠点施設の管理運営等についてでございます。
施設の管理運営に当たりましては、単に施設設備を提供するだけでなく、施設利用者のニーズに対応することが重要でありまして、鹿屋体育大学との連携による専門的なサポートなども含め、今後、関係者とも協議しながら、管理運営体制を検討することといたしております。
また、本施設の稼働率を高め、多くの競技者に利用されるためには、良質なトレーニング環境の提供とあわせ、お話がございましたように、宿泊、食事等のサービス提供も重要な要素となります。
このため、来年度から、空港等の交通拠点や宿泊施設からの送迎、
アスリート向け食事メニューの開発などについて、地元の行政機関や宿泊等の民間事業者等も含めた連絡協議会を開催するなど、合宿の受け入れに当たり、大隅地域全体で競技者をサポートする体制の構築を図っていくこととしております。
施設の集客、PR等についてでございます。
この施設は、一流アスリートも受け入れ可能なレベルの
トレーニング施設として、県内外からの陸上競技の合宿での利用を想定しておりまして、
スポーツ合宿誘致のための合宿セミナー等の開催に加え、指導者間のネットワークを活用したPRや合宿誘致も重要であると考えております。
これまでも、施設の検討に当たりまして意見を伺った県内外の陸上関係者、指導者等に、今般策定いたしました基本計画を直接説明してきているところでございまして、今後とも、地元自治体やスポーツ団体、観光関係者とも連携を図りつつ、さまざまな機会を捉えて、施設のPRや合宿の誘致に努めてまいりたいと考えております。
[瀬戸口三郎君登壇]
7 ◯瀬戸口三郎君 それぞれ御答弁いただきました。
大隅地域の観光については、今後、伸びていくのではないかなと思っております。今後とも、いろいろな可能性を求めて観光振興に努めていただきたいと思っております。
また、周遊性の促進には何としても、大隅地域は、県道が主要道路でありますので、土木部長におかれましても、大隅の現地を視察していただきながら、県道改良にも力を入れていただきたいと思います。
また、
大隅地域スポーツ合宿拠点施設は、
スポーツ観光王国かごしまの推進に大きく前進する施設であろうと思っております。スケジュールどおり完成いたしますようによろしくお願いいたしたいと思います。
また、私も鹿児島マラソンの成功を祈る一人でありますが、大会開催まではいろいろな課題も多いと思われます。昔の話で恐縮でありますけれども、県下一周駅伝一日目の一区、鹿児島市役所から谷山まででありますが、また、五日目の最終区は竜ヶ水─市役所であります。私もこの二区間を若いころ走ったことがありますが、大変沿道の声援は多いのでありますが、選手にとっては五日間で一番厳しいコースであります。それは道路が狭くて、特に磯、そしてまた鹿児島市内もそうですが、電車通りがあったりして、交通の安全面や、あるいは迂回路、そういったものが大変心配されるところであります。県としても支援していただき、特に県警の支援もよろしくお願い申し上げたいと思います。
次に、林業振興について質問させていただきます。
林業振興の中で、さきに柴立、西高県議からもありましたので、私は、再造林の推進に絞って質問させていただきます。
多様で健全な森林づくりの推進を行うとともに、平成三十二年度末、木材生産量百万立方メートルを目標として、木材生産の増大に努力されておりまして、既に平成二十五年度の木材生産量は七十万立方メートルで、うち針葉樹が五十九万立法メートル、広葉樹が十一万立方メートルと、さきの本会議で答弁いただきました。
木材生産量百万立方メートルに向けて、計画以上に早いペースで推進されていることは大変ありがたいことであります。中山間地の林業振興にほのかな明かりが見えてきたことは高く評価するところであります。
現在の県内の人工林の資源構成は、スギ・ヒノキの人工林は利用可能な資源として着実に充実しているとはいえ、バイオマス発電施設が平成二十七年度から本格的に稼働することや、大型木材加工施設の完成などで今後、大幅に県産材の生産量が増加の見込みであります。このままでいきますと、木材生産体制さえ確立できれば、来年度で目標の百万立方メートルは達成できるのではないかとさえ思います。
このように、急速に人工林伐採面積が増加する一方で、伐採跡地の再造林面積が三割台で推移しますと、県産材の安定的供給や森林の持つ多面的機能の発揮の点で、今後、大きな問題となるおそれがあると、昨年十二月議会で再造林の必要性について質問させていただきました。
二月二十一日の南日本新聞に、「県は、再造林率を現在の三〇%台から二〇二〇年度に八〇%にする」と報道されておりました。早速検討いただきありがとうございます。
伐採後の再造林を進める未来の森林づくり推進方針を策定し、造林コストの削減や苗木の安定供給体制づくりや造林保育に必要な労働力の確保、造林推進に係る体制づくりなど、具体的な展開方策が新たに策定されたとのことです。
さきの我が党の代表質問でも明らかにされていますが、今後、再造林を推進するための具体的施策についてお答えください。
まず第一点は、再造林に関する目標の考え方と平成二十七年度の再造林面積をどの程度見込まれているのか、お伺いいたします。
第二点は、再造林の推進に向けた取り組みについて伺います。
第三点は、特に、再造林の推進のためには優良苗木の安定供給が不可欠でありますが、どのように取り組まれるのか、お伺いいたします。それぞれお示しください。
森林は、県民の憩いの場として、また公益的な面を有しております。しかし、スギ・ヒノキが成熟し、その花粉が多く飛散し、スギ花粉症等に悩む方々が年々多くなってきております。今まで異常のない方も突然花粉症になることもあると言われております。今後、対策を講じなければ、山で働く人も、本県の観光振興にも、県民の私生活にも大きな支障を生じかねません。今後、苗木の育成に当たっては、できる限り花粉の少ない、あるいは花粉の出ない苗木の増殖をぜひ進めていただきたいと思います。
このことについては、県でもその方向で取り組みをスタートしたということでございますので、今回は要望にかえさせていただきます。
また、木材の利用が進むに当たって、畜産農家では牛の敷料になる、のこくずが不足しているということで、私ども畜産地域では大変困っております。昨年から価格は上昇しておりますが、今では、のこくずの原料となる木材が手に入らないようになっております。このことは西高議員が質問されましたので要望にかえさせていただきますが、今後ますます木材の下級品の取り合いが激化することが予想されますので、山にはいっぱい素材があるわけであります。間伐の推進を強力に進めることで解決するのではないかと思われますので、間伐の推進をお願い申し上げて、要望といたします。
次に、農業振興についてお伺いいたします。
この四月、大隅加工技術研究センターがオープンします。県政刷新大綱や行財政運営戦略に基づく厳しい財政運営が続く中、久々の大型プロジェクトであり、大いに期待しているところであります。
大隅加工技術研究センターについては、県は、六次産業化を志向する農業者や食品加工事業者が、加工技術の習得・高度化を図るとともに、商品開発力や販売力を高める場として積極的に活用してもらいたいとしており、これまで、大規模農家や食品加工事業者等に対し、機会あるごとに、拠点施設の整備目的や機能等について説明を行ってこられ、また、各種の広報媒体を通じて幅広く周知を図ってこられたと聞いております。
また、より一層の活用促進に向けた取り組みとして、昨年四月からは、施設利用を計画している方々に対する会員登録を進めるとともに、会員になられた方には、導入機器等の詳細や食品加工に関する情報などの定期的な提供などにも取り組んでこられたと聞いております。
大隅加工技術研究センターの機能として、県は、素材提供型農業から一次加工等による高付加価値型農業の展開を図るため、実需者のニーズに対応した新たな加工品等の研究・開発、鮮度・品質保持、長期保蔵、長距離輸送時の品質劣化防止技術等の研究・開発のほか、企画・支援機能として、各種相談へのワンストップサービスによる対応、市場動向等に関する情報収集・発信等のマーケティング支援、商談会や展示会等によるマッチング支援、研修会の開催等による人材育成など、川上から川下まで幅広い支援を行うとしております。
オープンに伴う組織につきましては、職員数を二十人規模とし、このうち所長と研究調整監は、専門的な知見を持ち、市場ニーズにも詳しい外部人材を登用するとしておられます。
さて、かつて三ちゃん農業という言葉がありました。戦後の高度経済成長は、それまでの農家の働き手である父ちゃんを都会へ向かわせ、あるいはサラリーマンとして会社勤めへと導くなど、農業の担い手は減少の一途をたどり、地方の農業はじいちゃん、ばあちゃん、母ちゃんにより営まれるようになりました。
日本が対外的に経済力を強めるのと裏腹に、国内の農業は衰退への道へと向かうわけでありますが、さらに今日では、補助金による保護や農作物の価格保証といった日本の農業政策に対し、撤廃を迫る国際的圧力が強まっているところであります。そして現在、日本の農業は、環太平洋連携協定─TPP─交渉という貿易自由化の波に直面しております。貿易自由化の中で生き残るには、農産物の付加価値を高める六次産業化への取り組みが不可欠であります。
国は、昨年改訂した成長戦略の中で、鍵となる施策として、特色ある地域資源を活かせば、付加価値の高いビジネスを行うことも十分に可能であるとし、多様な地域資源を活用した地域ぐるみの農林水産業の六次産業化の推進など、農林水産業の成長産業化の取組によって、地域に魅力ある雇用の場を創り出すことができるとしております。
六次産業化は、農家においては、ただ生産だけに専念するだけでなく、消費者のニーズを捉え、ニーズに合った商品の開発、さらには販路の開拓、情報発信などといった、それこそ全く畑違いの分野に取り組む必要があり、専門的で難しさを伴うものでありますが、農業経営者として乗り越えなければならない課題でもあります。
新たにオープンする大隅加工技術研究センターが、このような専門的かつ多岐にわたる課題に対し、的確に支援を行うことにより、農業者の所得増大につながり、ひいては本県農業の活性化につながることに大きな期待をいたしております。
そこでお尋ねします。
第一点は、会員募集に当たり、どのような周知等の取り組みを行い、また、会員としてどういった方々がなっておられるのか、お示しください。
第二点は、外部から登用する所長と研究調整監の二名は、どのような分野のどのような人材を考えておられるのか。また、専門的知見に対しどのような効果を期待しておられるのか、お示しください。
第三点として、農業開発総合センター、工業技術センター、かごしま産業支援センター等の機関との連携、役割分担についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
今、大隅半島では大型畑地かんがいの整備が進められ、曽於地域・肝属中部で一万ヘクタールを超える畑地に水が来ることになっております。それぞれの市町では通水後の営農ビジョンを作成し、そのビジョンの目標達成に向けて作物の栽培が推進されております。その中でも大幅に面積を伸ばしているのが、野菜であります。大型法人からは、「売り先が確保できればさらに面積拡大をしたい」という声も多く聞かれます。
しかしながら、今年の青果用の秋冬野菜、白菜は、活発な桜島の降灰により、特に他県産の白菜と比較すると、産地が鹿児島と表示されているだけで三分の一の価格で買いたたかれております。契約業者も、異物混入ということでキャンセルが相次いでいます。このため、農家の経営安定という観点から、販路を確保した上で加工業務用野菜の推進をこれまで以上に進めていく必要があると考えております。
また、大隅半島の野菜等は、大都市圏に近い県外の業者に素材として提供されております。特に、焼酎用サツマイモの三分の二は宮崎県の酒造会社に販売しているのであります。
県においては、素材提供型農業から高付加価値型農業の展開を図り、農業者の所得増大、ひいては本県農業の活性化を図るため、大隅加工技術研究センターでの県内食品加工事業者等の加工技術の習得・高度化や商品開発力、販売力を高めることと聞いておりますが、地域雇用を拡大し、地域経済の活性化を図るためには、食品関連企業の誘致も大変重要であると考えております。
つきましては、大隅加工技術研究センターの取り組みも生かしながら、食品関連産業の企業誘致に積極的に取り組むべきと思われますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
最後に、食と寿命についてお伺いいたします。
医食同源という言葉がありますように、医療と食は切っても切れない関係にあり、食習慣こそ医療にとって最も大事な一つであると考えております。一方、鹿児島県は、農水産物は全国トップクラスの生産量であり、食と健康や寿命をしっかり検証する必要があるのではないでしょうか。
以前から沖縄や奄美地方は長寿者が多く、沖縄・鹿児島両県とも長寿の検討をしてまいりました。奄美地方は世界ギネスに取り上げられた百二十歳の泉重千代翁や百十六歳の本郷かまとさんの出身地でもあります。また、長寿であるだけでなく健康であることが大切であり、健康寿命が今後、大切なことであると思います。
そこで第一として、食料供給県鹿児島の最近の寿命状況、健康寿命の状況についてお伺いいたします。
次に、野菜・果物は食物繊維が多く、また抗酸化力を示すポリフェノールが多いなど、人間の健康にとってとても大切な食物です。農水産物生産量の多い鹿児島県こそ、健康寿命となるべき県であると思います。
しかしながら、私は野菜の専業農家でありますが、以前から畑には余るぐらいのいろんな野菜をつくっているにもかかわらず、意外と野菜のメニューが農村部では少なく、かえって非農家の家庭の方が多品目の野菜を利用した食事をされているように思われます。
そこで第二として、全国的に野菜や果物の摂取が不足していると言われておりますが、その県内の摂取状況についてお伺いいたします。
また、魚には、認知症予防や記憶力向上に役立つDHAや、心筋梗塞、脳梗塞の予防などに役立つEPAやカルシウムを吸収するビタミンDなどが多く、まさに和食の柱であると聞きます。県民総ぐるみで健康寿命日本一、世界一を目指して頑張る必要があると思います。
第三として、鹿児島はブリ、カンパチ、ウナギ生産は日本一であり、ほかにもキビナゴ、トビウオ、カツオ、タイ、首折れサバなど魚の宝庫であります。海域も広いのでありますが、魚の購入量が全国に比べて低いと言われておりますが、近年の県民の魚の購入量についてお伺いいたします。
県として、本県の野菜、果物、水産物を中心にして、食育を推進し、健康寿命の向上を目指すべきと思いますが、それらへの取り組みについても伺います。
8 ◯環境林務部長(新川龍郎君)再造林に関する目標についてでございます。
今般策定した再造林推進のための方針においては、県森林・林業振興基本計画における百万立方メートルの木材生産目標や全国森林計画の人工造林の計画量、近隣三県の再造林の実施状況等を勘案し、平成三十二年度に、伐採見込み面積の八割に相当する年間九百ヘクタールの再造林を目指すこととしており、来年度は約四百ヘクタールを見込んでおります。
次に、再造林の推進に向けた取り組みについてでございます。
再造林推進のための方針においては、造林・保育コストの低減や労働力の確保・育成、優良苗木の安定供給、再造林の推進に係る体制づくりを森林・林業関係者と一体となって進めることとしております。
造林・保育コストの低減については、伐採から植栽までを一貫して行う低コスト施業の取り組みの支援や森林環境税関係事業による苗木やシカ侵入防止柵に対する助成などを行うこととしております。
また、労働力の確保・育成については、県林業担い手育成基金などと連携し、造林技術の習得や新規参入の促進などに取り組むこととしております。
さらに、再造林の推進に係る体制づくりについては、森林所有者に働きかけを行う森林施業プランナーの育成や林業事業体が連携した伐採・再造林の取り組みなどを促進することとしております。
次に、優良苗木の安定供給についてでございます。
再造林の推進に不可欠な優良苗木を安定的に供給するためには、生産量の増加と、需要と供給のマッチング機能の強化を図る必要があると考えております。このため、成長が早く花粉が少ないなど特性のすぐれたスギの採穂園を造成するとともに、植栽の省力化が可能なコンテナ苗などの生産施設の整備や新規生産者の技術習得の取り組みなどを行い、生産量の増加を図ることとしております。
また、生産者と需要者の代表で構成する林業用種苗需給調整会議において、森林経営計画等をもとに長期的な需給見通しの検討を行うなど、必要な苗木を計画的に生産・供給できる体制づくりを進めることとしております。
今後とも、関係者と一体となって、再造林の推進に努めてまいりたいと考えております。
9 ◯農政部長(福田博史君)大隅加工技術研究センターの整備についてでございます。
センターの施設利用を計画している方々の会員募集に当たっては、食品加工事業者や大規模農業法人等への戸別訪問を初め、市町村や各種団体等が主催する会合の場、県のホームページや県政かわら版などの広報媒体を通じて、広く周知を図ってきております。その結果、二月末現在の登録数は二百四十七件で、これを業種別に見ますと、加工事業者が約五割、農業者や農業団体等が約二割、市町村が約二割となっております。
センターの所長につきましては、食品加工・流通に関する専門知識と技術に精通し、研究・行政にも通じた強いリーダーシップを持つ方を、また、研究調整監につきましては、農産物の加工や貯蔵技術の研究などに関する実績があり、研究・開発現場のリーダーとしてふさわしい方を登用することとしております。このことにより、加工・流通技術に関する研究・開発のレベルアップと、最先端の研究に取り組む人的ネットワークの拡大などの効果が期待できると考えております。
大隅加工技術研究センターが有する機能を最大限に発揮し、事業効果の早期発現につなげるためには、関係機関等との連携が重要でありますことから、情報の共有化を図りながら、事業を展開することとしております。具体的には、農業開発総合センターとは、加工適性の高い露地野菜等の品種選定や栽培技術の確立について、工業技術センターとは、それぞれのノウハウや機器を生かした新技術や新製品等の研究・開発について、また、かごしま産業支援センターとは、各種セミナーの開催などによる人材育成や各種相談への対応等について、連携を図ってまいりたいと考えております。
本県の野菜、果物、水産物を中心とした食育の推進についてでございます。
県民の方々が望ましい食生活を実践するためには、本県の農林水産業を理解し、食に対する正しい知識を習得することが必要であると考えております。このため、県におきましては、本県の野菜や果物、魚などの多彩な農林水産物や郷土料理を盛り込み、食事の望ましい組み合わせやおおよその量をわかりやすくイラストで示した、かごしま版食事バランスガイドを作成し、関係機関・団体と一体となって普及啓発を図るなど、本県の農林水産物を生かした食育の推進に取り組んでおります。
今後とも、こうした取り組みを進めることにより、県民の方々の地産地消を基本とした健康で豊かな食生活の実現に努めてまいりたいと考えております。
10 ◯商工労働水産部長(田中和彦君)食品関連産業の企業誘致についてでございます。
県といたしましては、かごしま製造業振興方針におきまして、豊富な農林水産資源を活用した産地立地型の企業誘致の強化を掲げ、食品関連産業の企業誘致に積極的に取り組んでいるところでございます。
お話いただきました大隅加工技術研究センターの機能は、食品関連産業の企業誘致に当たり、新たなセールスポイントであると考えておりまして、同センターの整備段階から、企業訪問や企業立地懇話会などの企業誘致活動の場において、県外の食品関連企業等に対し、センター設立をアピールしてきたところでございます。
また、来年度は、食品関連産業を中心に県外企業の経営者を本県に招き、同センターや本県が誇る農林水産物、物流・交通インフラなど、本県の魅力ある立地環境等を直接売り込む事業にも取り組むこととしておりまして、今後ともこうした取り組みを通じまして、食品関連産業の企業誘致に積極的に取り組んでまいります。
11 ◯保健福祉部長(松田典久君)健康寿命等についてのお尋ねでございます。
厚生労働省が五年ごとに公表している平成二十二年の平均寿命は、全国は男性七十九・五九歳、女性八十六・三五歳、本県は男性七十九・二一歳、女性八十六・二八歳となっております。
また、厚生労働省の算出による平成二十二年の健康寿命は、全国は男性七十・四二歳、女性七十三・六二歳、本県は、男性七十一・一四歳、女性七十四・五一歳となっており、男女とも全国を上回っております。
成人一日当たりの野菜摂取量については、平成二十四年の国民健康・栄養調査によりますと、本県は二百八十六・七グラムであり、全国の二百八十六・五グラムと同程度でございます。
一方、果物についても、第二次健康増進計画策定時の調査によりますと、一日当たりの摂取量が百グラム未満の者の割合が、本県は六二・八%、全国は六一・四%と同程度となっております。
近年の魚の購入量について、県全体の統計はございませんが、総務省の家計調査によりますと、平成二十五年の鹿児島市の二人以上世帯の生鮮魚介類の年間購入量は約二十五・五キログラム、全国平均は約三十・六キログラムとなっております。
[瀬戸口三郎君登壇]
12 ◯瀬戸口三郎君 それぞれ御答弁いただきました。
林業振興の再造林については、持続的な林業経営や防災上の観点から、そういった必要性が今まで課題でありました。
また、二〇二〇年度目標面積九百ヘクタールの再造林ということでありますので、現在の二百五十四ヘクタールからいたしますとかなり大きな面積であります。母樹園も現在、大分少なくなっている地域もありますので、しっかりとした苗木の確保とコンテナ苗の生産にも力を入れていかれるようにお願いいたしたいと思います。
また、都会でも、特に関東ではスギ花粉を少なくする森林づくりが進められていると聞いております。県でもそういった品種を増殖されておりますが、県民が森を愛していただくことも大事でありますので、スギ花粉対策を生産現場からぜひ進めていただきたいと思います。二十年、三十年後には、鹿児島からスギ・ヒノキの花粉症で悩む方々ができる限りなくなるような取り組みを進めていただきたいと思います。
次に、畑かんにより、大隅はサツマイモなど野菜の生産が急速に伸びてくると思われます。それには安定した販路が最も大事であり、県が進める大隅加工技術研究センターを利用した加工施設の誘致や六次産業化の育成が不可欠であります。
また、鹿児島は、桜島などの火山灰とも共存していかなければなりません。県の畑かんの推進とともに、県内の食品関連産業の企業の育成と誘致に格段の努力をお願いいたします。
最後に、人間にとって一番大事なのは健康で長生きするということではないでしょうか。本県はまさに食材の宝庫であります。そして、奄美地方を中心に伝統的食文化があり、それで本県の健康寿命が保たれていると思われます。
食生活が洋風化する中で、今後の健康寿命を伸ばしていくためにも、長野県や東北地方では、塩分を控えた食習慣への取り組みや、野菜や果物、海産物を活用した食育を県民挙げて取り組み、その効果が顕著にあらわれております。本県もより一層の取り組みを要望いたしたいと思います。
私自身、典型的なメタボでありますので、深く反省し、努力することと、また、皆さんとともにこの壇上で地方活性化の議論ができることをお祈りいたしまして、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
13 ◯議長(池畑憲一君)次は、二牟礼正博君に発言を許可いたします。
[二牟礼正博君登壇](拍手)
14 ◯二牟礼正博君 おはようございます。
県議会議員として最後の本会議場での質問となりました。この間三十二年、幾つもの県政の課題について、さまざまな角度から議論を重ねてまいりましたが、どうしてもただしておきたいこと、改めて訴えたいこと、四点について質問してまいります。
まず、マリンポートかごしま二期計画の行方についてであります。
平成十一年十一月十五日に、マリンポートかごしまと名称が決まった人工島建設をめぐっては、県民世論を二分する激しい議論が巻き起こり、十一年十二月県議会には、人工島建設の賛否を問う県民投票条例の制定が直接請求されるとともに、人工島六十七ヘクタールのうち、一期事業二十四・七ヘクタールに係る護岸工事の請負契約議案も提出されました。
私ども会派は、計画されている国際会議場や見本市、展示場などの整備経費と運営主体も決まっておらず、経済効果も不明であるとして建設に反対しました。しかし、当時の知事は再三にわたって、「人工島整備は、二十一世紀における県勢の浮揚発展に必要不可欠な極めて重要な事業である。年間七十一億円の経済効果を生む」と答弁されてきたのであります。
平成十六年に当選された伊藤知事は、マニフェストに基づいて、マリンポートかごしまの在り方検討委員会を設置され、平成十七年十一月に提言を受けました。その内容は、一期事業は継続し、緑地空間として整備し、災害発生時の対応空間としての活用施設、急患搬送用ヘリポートを整備することを柱にしています。
私ども会派は、この間の経過を踏まえて、平成十七年十二月議会において、この段階に来れば埋め立て継続はやむを得ないとして、以降のマリンポート整備には賛成する立場で議論に参加してきております。
その後、県では、一期二工区の緑地整備基本計画を策定するために、県民からの意見を募集し、芝生広場、ヘリポート、歓迎セレモニーゾーンなど六ゾーンと大規模災害発生時の対応空間として活用するとの計画が決定されたのであります。
二十一世紀の県勢の浮揚発展に必要不可欠な事業とされ、一期事業計画に平成二十五年度までに二百四十六億円をつぎ込んだ人工島は、芝生広場やヘリポートの整備に終わろうとしています。
知事は、人工島の当初計画がこのような現行計画になったことをどのように評価されているのか、率直な見解を伺います。
鹿児島港臨港道路の鴨池─中央港区間は、当初計画のマリンポートを通る案は見送られ、海上部分の約一キロを橋で結ぶルートが選定されました。
そこで伺います。
橋長約五百メートルの黎明みなと大橋は、着工から完成まで六年と聞いていますが、この臨港道路と橋梁部分の整備スケジュールはどのようになるのか。
また、今回選定された臨港道路計画は、マリンポート二期計画区域に隣接しておりますが、二期計画の工事を実施するとした場合、工事に支障があるのか伺います。
マリンポートかごしま二期計画について、知事は、「一期工事の竣工時において、社会経済情勢の変化や財政状況を十分勘案し、改めて検討したい」と答弁されていますが、どのような検討状況にあるのか。
また、知事は、「鹿児島市内に広大な空間がなくなった。この区域は改めてまた空間の創造に入らなければいけない」とも答弁されていますが、何か構想をお持ちなのか、お聞かせください。
私どもは、一期計画の施設整備の結果から見ても、新たに四十二ヘクタールもの埋め立てをする必要はなく、この際、二期計画は中止すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、脱原発社会への政策転換についてであります。
昨年十一月の臨時県議会における川内原発一、二号機の再稼働の判断は、余りにも拙速でありました。九州電力は、再稼働に向けて必要な工事計画と保安規定変更の認可申請に必要な手続で、原子力規制委員会から説明不足を指摘され、追加書類の提出に時間がかかり、その後、設備等の使用前検査にも時間を要するとのことで、再稼働は夏以降にずれ込む見込みと言われます。
これでは、九電が、必要な認可申請の書類も不十分なまま、再稼働ありきで伊藤知事や自民党関係者に働きかけを行ってきたとしか見えません。
福島原発の事故から四年が経過し、今日、荒れ果てた帰還困難地域、長引く避難生活、収束のめどが立たない事故現場の現状などを見るとき、私は改めて、原発に依存しないエネルギー社会への政策転換を訴えずにはおられません。
以下、六点について質問いたします。
第一は、原発から生じる高レベル放射性廃棄物─核のごみ─の最終処分についてであります。
川内原発を初め、原発が再稼働することになれば再び、今まで処分地が見つからない核のごみの最終処分が大きな問題となります。経済産業省はこの二月十七日、これに関する政府の基本方針の改定案を発表しました。改定案では、廃棄物の問題は将来世代に先送りせず、地中三百メートルより深く埋める地層処分を現世代の責任で進めることを確認しております。これまで最終処分地の選定は進んでいませんが、現在は自治体に公募しているものを、今後は、国が、科学的有望地域に申し入れるなど、積極的に関与するよう転換することとされております。
そこで伺います。
昨年六月、当時の経済産業省の後藤審議官は、鹿児島県内にも候補地があると言及しておられますが、知事はこれまで、「放射性廃棄物の処分場を県内に立地する意思がないことは明確である」と答弁されております。今後、国から鹿児島県に科学的有望地として依頼があった場合、これまでどおり断ることになるのか。断るとなれば、川内原発から出る核のごみの最終処分地は、他の都道府県において処分してもらうようお願いすることになるのか、対応方針をお聞きします。この問題は、我々県議会にも問われている問題であります。
原発の安全性についての議論は大変重要でありますが、原発にかわる電力供給源を確保できれば、原発の再稼働も新増設も必要ないのであります。日本は、世界的に高い技術力を蓄えており、政治の決断で脱原発への転換は可能だと思います。その観点から質問してまいります。
まず、再生可能エネルギーの主力である太陽光発電についてであります。
九州電力の平成二十五年度供給計画では、二〇二〇年の太陽光の導入見通しは約六百万キロワットで、平成二十五年夏の太陽光の供給力三十三万キロワットの比率から計算しますと、二〇二〇年時点では百五十七万キロワットとなり、川内原発三号機百五十九万キロワットに匹敵します。しかし、固定価格買取制度により、九電が昨年末で手続を完了した発電量は既に八百十五万キロワットとなっており、これからしますと供給力は二百十二万キロワットとなります。太陽光の欠点である気象条件は、蓄電池やスマートグリッドの活用によってさらに供給力は高まります。
太陽光、バイオマス、風力など、再生可能エネルギーの普及拡大と供給力の向上をどのように展望されているのか伺います。
第三点は、電力の自由化と新電力の展開についてであります。
昨年六月に改正電気事業法が成立いたしました。これまで大手電力会社によって地域独占されてきた家庭や商店向けの電力の小売販売が、二〇一六年四月から全面自由化され、七兆五千億円とも言われる電力市場が開放されます。経済産業省に登録した新電力の事業者は、ことし二月十三日時点で五百四十七社に達し、顧客の獲得競争が厳しさを増しています。
九電によると、企業や工場が新電力に契約を切りかえ、離脱したのは、ことし一月一日時点で契約数の七%、四千九百三十四件に上り、火力発電所一基分の約四十万キロワットの需要が消滅したとのことであります。
福岡県庁舎は、一般競争入札で新電力二位のF─Powerによる供給を昨年十月から受けており、年間約四百万円の電気料金削減を見込んでおります。
そこで、電力自由化による今後の電力供給の変化をどのように見ておられるのか。また、本県の県庁舎は新電力にどのように対応していかれるのか伺います。
第四点は、水素エネルギー社会の構築についてであります。
究極のクリーンエネルギーである燃料電池を使ったトヨタの車MIRAIが昨年末に発売され、ことしは水素元年とも呼ばれています。燃料電池車に先駆けて、既に家庭用燃料電池はコージェネレーションやスマートハウスとして実用化され、普及が拡大しております。また、地域全体でエネルギーを効率的に使うスマートコミュニティーの実証実験も成果を上げております。
水素は、天然ガスから取り出していたものから、水の電気分解や下水汚泥、バイオマスなどから水素を製造し、安全に貯蔵・輸送・供給する技術の開発、実用化が図られております。トヨタのMIRAI車は、七百万円の販売価格に二百万円の補助金が出ますが、一千台で二十億円、一万台で二百億円の補助金となります。金持ちのMIRAI車購入にこれだけの補助金を出す必要はありません。むしろ、家庭用燃料電池の技術開発や購入補助金、スマートコミュニティーの地域での水素製造や供給までのインフラ整備に予算をつぎ込めば、水素社会は一気に進みます。
そこで、水素社会についてどのように認識されているのか、その展望と、県として、家庭用燃料電池の購入補助金による普及拡大など積極的な取り組みが必要と思いますが、見解をお聞かせください。
伊藤知事は、原発についての基本的な考え方を、「原子炉の運転は原則四十年とするとともに、新増設は行わないこととした上で、二〇三〇年時点で脱原発を前提にしつつ、将来のエネルギー政策を検討すべき」と述べておられます。
この考えからすると、伊藤知事が描いておられる二〇三〇年時点での脱原発社会への工程表においては、稼働から三十年近くなる川内原発一、二号機の再稼働と、手続を凍結している川内原発三号機の新増設の取り扱いはどのようになるのか、明らかにしてください。
最後に、脱原発社会への政治の決断について伺います。
これまで申し上げましたように、日本は、太陽光やバイオマス発電、燃料電池や蓄電池など、世界的に高い技術力を蓄えており、LEDなどによる省エネの推進を加え、原発に依存しないエネルギー社会への転換を政治が決断すれば、産業界は新たなビジネスチャンスとして一斉に動き出し、経済成長の起爆剤になるはずであります。
既に、使用済み核燃料の再処理工場の建設と維持費に二兆二千億円を費やしても完成せず、福島の原発事故の処理や除染作業、復興と損害賠償、今後の廃炉の費用に何十兆円もの莫大な経費を支出し続け、新たな再稼働のための防災や事故対策に多額の財政支援を必要とすることになりますが、これらは全く生産的な経費ではありません。それよりも、脱原発社会の構築へかじを切り、それを勢いづけるために関連企業や国民への普及拡大への財政支援を行うことが生産的であり、それこそが未来に責任を持つ政治の責任と言えます。
現在、二〇三〇年をめどにした電源構成比率を議論する経済産業省の作業部会が始まりました。今、原発がストップしても混乱もなく生活している現実と再生可能エネルギーや新エネルギーの技術開発を踏まえ、今こそ、脱原発社会への政策転換を政治が決断するときであります。
知事の英断によって政府へ要請すべきと考えますが、見解を伺います。
[知事伊藤祐一郎君登壇]
15 ◯知事(伊藤祐一郎君)マリンポートについてのお尋ねであります。
マリンポートかごしまにつきましては、平成二年に県の総合基本計画に大型観光船埠頭の整備が盛り込まれ、平成五年には鹿児島港の港湾計画に位置づけられたところであります。
マリンポートは、私の最初の選挙の際の争点の一つであり、当時、その方向性について多くの意見がありましたことから、平成十六年に、在り方検討委員会を設置し、約一年間かけて議論を重ね、提言をいただき、さらに県議会の意見もいただきながら、一期事業を進めてまいりまして、平成十七年に、大型観光船埠頭とあわせて、県民や観光客が憩い、海と触れ合える緑地空間として整備するとともに、また、災害が発生した場合の対応空間及び急患搬送用のヘリポート等として活用するとの方針を決定し、整備を進めてきたところであります。
このうち一期の一工区につきましては、平成十九年に大型観光船埠頭などを供用開始し、これまで二百隻を超える観光船が寄港し、四百万人を超える方々が来園するなど、本県観光の振興に寄与するとともに、県民の憩いの緑地空間として親しまれているところであります。
現在、平成二十七年夏の一部供用に向け整備を進めております一期二工区につきましては、県民や観光客が雄大な桜島を臨む錦江湾を満喫し、憩う親水型の公園として、また災害が発生した場合の対応空間として、さらには離島等の急患搬送用のヘリポートとして整備を進めてきているところであります。
マリンポートにつきましては、建設当初からさまざまな意見があったところでありますが、今後、約二十四ヘクタールの空間を具体的にどう活用するかによって、本県の発展にとって大きな役割を担う都市施設になるものと考えているところであります。
二期事業計画の行方についてのお尋ねでございます。
マリンポートかごしまにつきましては、これまでのさまざまな議論や経緯を踏まえますと、二期計画は中止という選択肢があり得るものと考えております。一方、市街化が進む鹿児島市域におきましては広大な空間がほとんどなくなっておりますことから、都市の新たな展開に資する空間の創造も必要であり、鹿児島港旧木材港区の埋め立てなどを含め、どのような形で次の大きなプロジェクトの掘り起こしにつながる空間を創造するのかということは、日ごろから考えておく必要があると考えております。
現在、県は、旧木材港を埋め立て、アジアの急速な発展を念頭に置きまして、鹿児島の南部の都市機能の向上を図ることとしており、マリンポートかごしまの二期計画に着手する予定は全くありませんが、マリンポートかごしまを取り巻く情勢は日々変化することが予想されることから、その時点で適正な判断をせざるを得ないものと考えております。
16 ◯土木部長(久保田 一君)臨港道路の整備スケジュール等についてでございます。
鹿児島港の鴨池港区と中央港区を結ぶ臨港道路につきましては、走行性や経済性、事業の緊急性に加え、マリンポートかごしまの二期計画の工事への支障など、さまざまな観点から総合的に勘案した結果、先般、沿岸部に近接する海上ルートに橋梁形式で整備する案を選定したところであります。これに伴い、現行の港湾計画に位置づけられているルートを変更する必要が生じたことから、現在、関係機関と協議を行っているところです。
今後は、県や国の審議会に諮った上で、平成二十七年度のできるだけ早い時期の計画変更を目指すとともに、国とも連携を図りながら、早期事業化に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
17 ◯企画部長(古川仲二君)脱原発社会への政策転換について、まず、高レベル放射性廃棄物の最終処分についてでございます。
国は、第四次エネルギー基本計画において、高レベル放射性廃棄物については、国が前面に立って最終処分に向けた取り組みを進めるとしておりまして、県といたしましても、放射性廃棄物の処理について、国が長期的な視点に立って、しかるべき対策等を責任を持って樹立すべきであると考えているところでございます。
現在、国において、最終処分の取り組みの見直しに向けた検討を行っているところであり、先月十七日には最終処分に係る基本方針の改定案が示され、今後、パブリックコメントを経て閣議決定される見込みと聞いております。
県といたしましては、引き続きこうした国の動向を注視してまいりたいと考えております。
なお、本県におきましては、安心・安全な食の供給基地を形成するとともに、観光の振興で地域の発展を目指すという方向が定まりつつあると考えておりまして、高レベル放射性廃棄物の最終処分場について、鹿児島県において立地する意思がないという知事の考え方は、従来どおり明確でございます。
次に、再生可能エネルギーの普及拡大等についてでございます。
国は、第四次エネルギー基本計画において、再生可能エネルギーについては、二〇一三年から三年程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していくとしたところでございます。
県といたしましても、同計画を踏まえて策定した再生可能エネルギー導入ビジョンにおきまして、本県の地域特性や利用可能量等を踏まえ、平成三十二年度における新たな導入目標を設定したところであり、主な導入目標といたしましては、太陽光発電を平成二十四年度対比で六・八倍の百万キロワット、小水力発電を四・八倍の約三万キロワット、バイオマス発電を一・五倍の八万九千キロワットなどとしているところでございます。
今後とも、同ビジョンに基づき、引き続き各般の施策に取り組み、本県の地域特性を生かした再生可能エネルギーの普及拡大に努めてまいりたいと考えております。
次に、電力自由化の影響と県の対応についてでございます。
国は、平成二十五年十一月に成立した改正電気事業法で定めた改革プログラムにおいて、段階的に電気事業に係る制度の抜本的な改革を進めておりまして、電気の小売業への参入の全面自由化につきましては平成二十八年を目途に実施することとし、これまで所要の法改正が行われたところであります。
さらに、国は、発電事業者や小売電気事業者が公平に送配電網を利用できるよう、電力会社の送配電部門の別会社化による中立性の一層の確保や電気の小売料金の全面自由化などを実施する電気事業法改正案を今国会に提出し、成立を目指すと聞いております。
こうした制度改革を着実に実施することにより、電気の安定供給の確保や電気料金の最大限の抑制、需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大などが実現すると考えているところでございます。
なお、平成二十六年度の鹿児島県庁舎で使用する電気の調達につきましては、一般競争入札により、いわゆる新電力と呼ばれる特定規模電気事業者と契約しているところでございまして、平成二十六年四月から本年一月までの十カ月間における電気料金は、一般電気事業者の標準料金と比較いたしますと、六百万円程度の削減となっております。
次に、水素社会への展望と普及拡大への取り組みについてでございます。
国は、第四次エネルギー基本計画を踏まえ、昨年六月、水素社会の実現に向けて、目指すべき目標と取り組みの時間軸を明示した水素・燃料電池戦略ロードマップを策定したところでございます。
県といたしましては、国のロードマップを踏まえ、来年度、水素エネルギーの利活用に向けた総合的かつ一体的な取り組みを推進するための協議会を設置し、今後の取り組みの方向性を協議・検討することといたしておりまして、所要の経費を補正予算に計上いたしております。
県内における水素エネルギーに関する民間事業者の具体的な取り組みといたしましては、三島村の薩摩硫黄島で、地熱発電を活用した水素の製造、貯蔵、輸送の実用化に向けた検討が行われておりますほか、鹿児島市では、家庭用燃料電池エネファーム等の設置を建築条件とする住宅分譲地の造成が進められておりまして、こうした民間の先駆的な取り組みも十分に参考にしながら、水素エネルギーに係る実効性のある利活用方針の協議・検討に努めてまいりたいと考えております。
次に、脱原発社会への工程と政策転換の要請についてでございます。
川内原子力発電所一、二号機につきましては、再稼働の前提となる安全性の確保やエネルギー政策に占める原発の必要性など諸般の状況を総合的に勘案し、再稼働はやむを得ないと判断したところであります。
また、知事の三期目のマニフェストでも明らかにしておりますとおり、知事在任中、川内原子力発電所三号機の増設に係る諸般の手続を凍結するという伊藤知事の考えは、一貫しているところでございます。
県といたしましては、今後のエネルギー政策につきましては、国の新たなエネルギー基本計画において、原発依存度については、再生可能エネルギーの導入などにより可能な限り低減させるとの方針のもと、我が国の今後のエネルギー制約を踏まえ、安定供給、コスト低減、温暖化対策等の観点から、確保していく規模を見きわめるとするなど、今後二十年程度のエネルギー需給構造を視野に入れ、エネルギー政策の方針をまとめているところであり、このことを踏まえますと、当分の間は原子力発電を活用しつつ、おおむね二〇三〇年代の時点において、将来のエネルギー基本政策を検討すべきであると考えております。
その際には、再生可能エネルギーの普及状況や産業社会への影響、エネルギーの安全保障等を考慮し、どのようなエネルギーミックスが可能かを国を挙げて検討することが重要であり、いわゆる脱原発の方向を模索しつつ、国の最も基幹的な政策の一つであるエネルギー政策として、その時点での最善の方策を検討すべきであると考えております。
国におきましては、現実的かつバランスのとれたエネルギー需給構造の将来像について検討するため、総合資源エネルギー調査会長期エネルギー需給見通し小委員会を設置し、エネルギーミックスに関する検討を本年一月から開始したところでございまして、県といたしましても、引き続きこうした議論の動向を注視してまいりたいと考えております。
18 ◯二牟礼正博君 自席から、一つ質問いたします。
原発はトイレなきマンションと言われております。川内原発の再稼働に同意する方々は、核のごみの処分まで責任を持つべきであると思います。今の答弁では、国が責任を持って解決してほしいとのことでありますけれども、その国が、その国の責任において鹿児島県内に科学的有望地として選定し、依頼することがあるわけであります。
これを断るのであれば、他の都道府県に対して、鹿児島では引き受けられませんので、おたくの県でどうか引き受けてくださいと、知事みずからが仁義を切って丁重にお願いするのが県の責任であると思います。それは九電と国の仕事だということでは、再稼働を認める方々は余りにも虫がよ過ぎませんか。鹿児島が嫌なものは、どこの都道府県も本県と同様に嫌なわけですよ。この問題をどのように解決されるのか。引き受け手がないもの、解決方策のめどがないものを排出する原発の再稼働をすべきではないと思いますが、再度、見解を求めます。
19 ◯企画部長(古川仲二君)高レベル放射性廃棄物の最終処分地についての再度のお尋ねでございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、国は、第四次エネルギー基本計画において、高レベル放射性廃棄物につきましては、国が前面に立って最終処分に向けた取り組みを進めるといたしておりまして、県といたしましても、放射性廃棄物の処理について、国が長期的な視点に立って、しかるべき対策等を責任を持って樹立すべきであると考えているところでございます。
現在、国において、最終処分の取り組みの見直しに向けた検討を行っているところでございまして、先月十七日には最終処分に係る基本方針の改定案が示され、今後、パブリックコメントを経て閣議決定される見込みであると聞いておりまして、このような国の動向について、今後とも引き続き注視してまいりたいと考えております。
[二牟礼正博君登壇]
20 ◯二牟礼正博君 それぞれ答弁いただきました。
人工島建設が浮上して以来二十五年、四分の一世紀を過ぎようとしていますが、社会経済情勢と国・地方、鹿児島県の財政が好転する状況にはなく、新たに埋め立てをする条件が生まれてくるとは考えられません。知事の答弁にもありましたように、中止があり得るということでありますので、この際、伊藤知事の判断で中止されることを強く求めるものであります。
原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物の処分地選定は、既に先送りできないところまで来ております。この解決方法が見つからない中での原発再稼働は無責任と言わざるを得ません。これは今後、鹿児島県議会としても問われることになる課題であります。その覚悟を県議会議員も持つべきだと思います。
原発は、人間の科学技術が生み出したものであります。原発にかわる新しいエネルギー源の技術開発は、既に世界最高水準にあります。実用化も進んでおります。今こそ、脱原発社会への政策転換を政治が決断するときであります。それがこれからの世代に対する我々の責任であります。
次に、志布志事件の教訓と全面可視化の推進について伺います。
いわゆる志布志事件において、違法な取り調べを受けたなどとして住民が県に損害賠償を求めた国家賠償請求訴訟が、提訴から八年を経て昨年十二月十九日で結審し、もう一つの国賠訴訟とあわせて、判決は三月末にも言い渡される見通しとなっております。
平成十五年四月の県議選で公選法違反事件が発生した直後の八月、私ども当時の社民・無所属連合県議団は、事件の舞台とされた志布志町四浦集落を訪問し、逮捕・勾留されている方々の家族や被疑者として警察で取り調べを受けた方々から直接話を伺いました。
その内容は、任意同行の段階から長時間、長期間にわたって自白を強要する強引な取り調べが行われ、精神的にも肉体的にも相当なショックを受けたという切実な訴えでありました。アリバイがはっきりしており、物的証拠もないままの見込み捜査であると無実を確信いたしました。
現金買収の被疑者であった中山信一県議は、六月四日に逮捕され、起訴されましたが、一貫して容疑事実を否認し続け、再三の保釈請求にもかかわらず、勾留は実に十三カ月間にも及んだのであります。
我が県議団は、本会議での質問や総務警察委員会での質疑、住民の人権を守る会による住民集会や公判傍聴への参加などを取り組み、不当な捜査のあり方をただし、中山信一氏の早期釈放と事件の真相究明を求めてきました。
そして平成十九年二月二十三日、鹿児島地裁は、中山信一氏ら十二名全員に無罪判決を言い渡しました。また、いわゆる踏み字事件に対しても厳しい判決が下されたのであります。
判決結果を受けて県警察は、県議会総務警察委員会から、県民の信頼回復を図る上で、内部検証を踏まえた再発防止が求められたために、いわゆる志布志事件の無罪判決を受けた再発防止策についてを公表しました。それ以降、県警察としては、二度と同種の事案を発生させることのないように、緻密かつ適正な捜査の徹底に努めてきておられると信じるものであります。
そこで伺います。
種部本部長は、志布志事件をどのように認識され、その教訓は県警察活動にどのように生かされているのか、その現状と今後の取り組みの基本姿勢について伺います。
また、志布志事件から十二年、この間、被告や被疑者とされた方々が最も要求しているのは、県警察本部長の直接謝罪であります。ぜひ、悲痛なこの訴えにこたえてほしいと思いますが、見解をお聞かせください。
この志布志事件をきっかけに、取り調べの可視化が大きくクローズアップされ、全面可視化の制度化が求められるようになり、検察庁は二〇〇六年から、警察庁は二〇〇八年から、一部の事件で一部可視化の試行を始めました。
そのような中、昨年九月に国の法制審議会は、警察と検察による可視化の義務づけや司法取引の導入、通信傍受の対象拡大を柱とした法改正要綱を法務大臣に答申し、通常国会に刑事訴訟法などの改正案を提出する方針と言われます。
取り調べの全過程可視化を二〇一三年度から八県警が試行しているとの報道がありました。本県では、裁判員裁判対象事件と知的障害の被疑者に係る事件の試行を行っているとのことでありますが、志布志事件の教訓を踏まえるならば、鹿児島県警こそ率先して全過程の可視化を推進すべきと思いますが、見解を伺います。
次に、本県の行財政改革と県職員の役割についてであります。
私は、昭和五十八年四月の県議選で初当選いたしました。立候補のきっかけになったのは、公務員労働者の運動によって人事院勧告が完全実施されるようになったにもかかわらず、当時の鈴木内閣によって昭和五十七年、国家公務員の人勧が凍結され、地方公務員まで自治省通達で凍結が押しつけられる事態になったことにあります。公務員とその家族の生活の糧であり、公務員の労働基本権の代償措置として尊重されるべき人勧が、財政赤字を理由にして一方的に踏みにじられることに、県内の公務員労働者の怒りが爆発し、県議会に籍を置くことになりました。
当選後の九月議会で初めての一般質問に立ち、財政赤字の原因と責任、人勧の完全実施を求めたのであります。
その後のバブル景気は、一九九〇年─平成二年─を頂点として崩壊し、構造不況の中で規制緩和による企業間競争が激化、リストラが広がることになりました。平成十三年に小泉政権が誕生し、十六年には三位一体改革を断行、本県は、地方交付税が三百十五億円削減されて、これが大きな要因となって四百五十一億円の財源不足が生じました。
平成十六年に当選された伊藤知事は、早速、県政刷新大綱を策定し、徹底した歳出削減に取り組まれました。知事は、鹿児島県の財政赤字の原因と責任について、私どもの質問に対し、「国による経済対策への対応など公共事業等に多額の予算が計上され、県債残高が累増し、類似県と比較して四、五千億円も多く、国の責任にあわせて、従来の財政運営が余りにも大胆だったことも要因である」と述べておられます。
この間、県政刷新大綱に基づく行財政改革によって、平成二十三年度から財源不足は実質解消されました。しかし、県職員の人件費抑制や、県民と業界・団体への改革の痛みを伴う改革によっても、なお今日、厳しい財政運営を余儀なくされております。
その原因と責任はどこにあると認識されているのか伺います。
平成二十四年三月に策定された行財政運営戦略においては、一兆六千億円を超える県債残高に対して、公債費が類似県と比較し二百億円程度多いとして、臨時財政対策債等を除く本県独自に発行する県債残高を一・一兆円程度にするよう努めるとされ、平成二十七年度末の県債残高は、臨時財政対策債を除き、一兆一千六百二十六億円となる見込みであり、目標値に近づいております。
一方、平成二十七年度末の国債残高は八百七兆円を超します。政府は、国と地方のプライマリーバランスの平成三十二年度黒字化を目指しておりますが、内閣府の試算では九・四兆円の赤字が出ると言われ、社会保障費や地方財政の歳出削減圧力が一段と強まることが予想されます。
もはや本県においては、県職員の給与のカットや人員縮減といった人件費抑制は、業務量や県民サービスの上からも限界にあります。今後は、歳出面における事務事業の見直しによる一層の峻別・重点化、歳入面における地方税財源の拡充、交付税の法定率の引き上げなど、総額確保による財政基盤の確立が求められております。
この間の行財政改革の評価と今後の課題、取り組みについてお示しください。
県政刷新大綱に基づく歳出削減は、歳出の三八%と最も大きなウエートを占める人件費の抑制が大きな柱とされ、平成十六年から、地域振興局への組織再編や現業職の民間委託などによって、この十年で一千三百人を超す職員が削減されるとともに、給与構造改革や本県独自の給与カットなどが続いてきました。その結果、業務量がふえる中で労働環境は厳しくなり、給与水準も、以前の九州中位から下位に位置している現状であります。これは、教職員、警察官においても同様であります。働いた分の対価が長年にわたって支払われないのでは、やはり職員の士気に影響が出ます。
今年度は、わずかに給与引き上げがあったと思いきや、この四月からは給与制度の総合的見直しによって平均二%の引き下げとなります。国の人事院勧告を踏まえた県の人勧によるものでありますが、京都府や熊本など全国五府県の人事委員会は、国と異なる勧告を行っております。これこそ地方分権であります。
県職員は、県民福祉の向上と県勢の浮揚発展にみずからの力を発揮し、県民の役に立ちたいとの目標を持って県に採用され、県政の事務事業推進のため懸命に努力しております。そのような県職員にとって、長引く給与カットや人員削減への率直な気持ちは、「長年協力してきた。いつまで赤字財政のツケを負わなければならないのか」との思いが強いのであります。働きやすい労働環境と処遇改善を図ることは、職員の士気を高め、行政サービスの向上と優秀な人材確保の面からも重要なことであります。
県職員の人件費抑制の結果をどのように認識され、職員の思いにどのようにこたえられるのか伺います。
21 ◯警察本部長(種部滋康君)事件に対する本部長の認識についてでございます。
いわゆる志布志事件につきましては、供述の信用性の吟味、客観的証拠の収集による供述の裏づけ、相手方の事情等に配意した取り調べ、捜査幹部による的確な捜査指揮について、反省・教訓とすべき事項があるものと認識しているところでございます。
次に、再発防止取り組みの現状等についてでございます。
県警察といたしましては、志布志事件の捜査についての教訓を踏まえまして、刑事企画課を新設して指導体制の充実・強化を図るとともに、適正捜査の推進に関する通達の発出、警察署に対する巡回指導、捜査担当課長会議等による研修、警察学校等での教養に取り組んできたところでございます。引き続き、これらの取り組みをより一層徹底し、緻密かつ適正な捜査を推進してまいります。
次に、元被告の方々への直接謝罪についてでございます。
直接の謝罪につきましては、元被告人の方々において、県警察が犯罪の嫌疑がないことを知りつつ事件をつくり上げたものであると主張されている点など、本件捜査の経緯などについて、元被告人の方々と県警察との間で必ずしも主張が一致していないものと認識しており、元被告人の方々がこうした点について謝罪を求めているのであれば、県警察といたしまして、直接お会いをして謝罪することは極めて困難であると認識しているところであります。
次に、全過程可視化の推進についてでございます。
県警察におきましては、警察庁の方針も踏まえ、公判において裁判員に対してわかりやすい立証が求められる裁判員裁判対象事件、捜査員に迎合しやすい傾向があるような知的障害者を被疑者とする事件について、捜査への支障の有無等を慎重に判断して、取り調べの録音・録画を実施しているところであります。
平成二十六年中は、これら録音・録画対象事件のうち約九割について、録音・録画を実施し、これらの中には全過程の録音・録画を行ったものも含まれております。
県警察といたしましては、今後も、個別の事案ごとに捜査への支障の有無や立証上の有効性などを検討した上で、全過程の録音・録画について実施してまいりたいと考えております。
22 ◯総務部長(寺田雅一君)厳しい財政運営となっていることの原因と責任についてでございます。
本県におきましては、国の経済対策への対応を含め、公共事業等に多額の予算を計上してきた結果、平成七年度末に約八千六百億円であった県債残高が毎年一千億円程度増加し、平成十五年度末には約一兆六千億円となったところでございます。
全線開通までの整備費は、鹿児島・熊本両県合わせておおむね一千三百億円程度と聞いており、本年度の予算が前年度の補正を含めて百九十五億円余りでありますから、今後、毎年度二百億円程度の予算を確保できれば、あと六年ないし七年で全線開通になると予想されます。熊本県側の整備が終わった以降も二百億円程度の予算をキープすることが必要であります。
一方、北薩横断道路でも、広瀬道路と泊野道路で着々と整備が進められておりますが、いまだ北薩トンネルが開通しておらず、出水地域の大きなネックとなっており、一日も早い開通を願うものであります。
県では、昨年十二月に、高尾野から南九州西回り自動車道の阿久根北インターに向かうルートを決定していただきました。このルートに三県架橋路線がつながることになり、出水地域の高速交通ネットワークの全体像が明らかになったと思っております。
地元では、ルートを決定していただいたことで新規事業化の機運が高まっており、現在整備中の広瀬道路、泊野道路の事業費もここ二、三年がピークとのこともあり、この路線の整備を途切れなく進めるためには、新規事業化の手続に入る時期に来ているのではないかと考えます。
特に、広瀬道路は、整備区間指定を受けてから最初の工事発注まで約三年かかっているということでありますから、その期間を考えますと、平成二十八年度に新規事業化してもらえば、事業がスムーズにつながるのではないかと思っております。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、先月二十五日に着手された阿久根─川内水引インター間の新規採択時評価手続はどのように進められるのか、お示しください。
第二点は、南九州西回り自動車道は、全線開通まで最終段階に入ったと思いますが、そろそろ目標年度を考えた要請活動に切りかえる時期と考えます。九州地方整備局は、開通予定年度を開通見通しという形で公表していますが、熊本県側の整備が終わる前の早い時期に全線についての開通見通し年度を示してもらうことが、予算確保の大きな担保になると思います。強く要請していただくことを含めて、御所見をお伺いいたします。
第三点は、北薩横断道路の北薩トンネルを含む泊野道路の供用開始の見通しについてお聞かせください。
第四点は、今回、ルートを決定していただいた北薩横断道路の高尾野から南九州西回り自動車道の阿久根北インター間の今後のスケジュールをお聞かせください。
次に、三県架橋構想についてお伺いいたします。
三県架橋構想の経緯を見てみますと、昭和五十三年、鹿児島県総合計画に長島から天草間の架橋建設が盛り込まれたのをきっかけにして、昭和六十一年に熊本県の計画に、鬼池・口之津架橋、牛深・長島架橋構想の推進が盛り込まれて、昭和六十二年の九州・沖縄知事サミットで島原・天草・長島架橋構想の推進を確認したことから始まり、三県選出の国会議員の推進に向けた議員連盟の結成、建設促進にかかわる期成会が相次いで設立され、昭和六十三年には、三県及び地元期成会等で組織する島原・天草・長島架橋建設促進協議会を設立して、構想実現に向けた具体的な活動に入りました。
促進協議会設立後の活動状況を見ますと、昭和六十三年から平成十年まで東京で構想推進大会を、平成十年から平成二十一年までは、構想推進地方大会を沿線持ち回りで実施し、平成二十二年からは、構想推進講演会の実施や三県架橋議員連盟の国会議員や地元自治体の首長、三県知事などによる意見交換会の開催など、構想実現に向けた努力がなされてきました。
その成果として、平成十年には新全国総合開発計画において構想が明確に位置づけられ、これらの活動と並行して、国土交通省、三県合同の基礎的調査が着実に進められてきたと考えておりますが、東京での推進大会は、構想推進地方大会、講演会に切りかえられ、私は毎回参加してきましたが、最近は三県選出の国会議員の出席も少なく、推進活動が形骸化し、後退しているようにさえ感じます。
既に鹿児島県の総合計画に盛り込まれてから三十五年、新全国開発計画に位置づけられてから十六年余りが経過しており、構想を現実のものにするためには、国に対して一層強力な要請をする時期に来ていると思います。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、これまで構想実現に向けて国と三県合同で基礎調査を実施してこられましたが、これまでの調査内容及び今後の取り組みについて伺います。
第二点は、毎年、三県架橋議連の国会議員と地方自治体の首長、知事等との意見交換会が開催されてきておりますが、構想推進に向けてどのような意見交換がなされてきたのか、お聞かせください。
第三点は、今後、実現に向けて国に対し、三県の建設に対する強い意欲を訴えるためにも、推進大会を東京ですべきと考えますが、見解を伺います。
第四点は、三県架橋の連絡道路は地域高規格道路で整備されることになっていますが、島原天草長島道路は候補路線のままになっております。当路線が計画路線に指定されることが構想実現を推進する大きな要素となると考えますが、見解をお聞かせください。
次に、獅子島架橋の建設について伺います。
長島と阿久根を結ぶ黒之瀬戸大橋が開通したのは昭和四十九年で、昨年、開通四十周年を迎えました。長島と阿久根は、日本三大急流と言われる黒之瀬戸海峡に閉ざされ、橋がかかる前は阿久根の黒之浜港から長島の瀬戸港を結ぶフェリーだけがただ一つの交通手段で、非常に不便な島でしたが、橋がかかったことで半島地域に変わり、長島は飛躍的に発展してきました。
さらに、長島の北にある伊唐島には、農林水産省の農地整備と橋がセットになった事業が導入され、平成八年に伊唐大橋が完成しました。完成当時、ある週刊誌が伊唐大橋を取り上げ、国の無駄な公共工事の最たるものとして痛烈な記事が掲載され、島民もショッキングな記事に不快な思いをしましたが、橋がかかったことによって伊唐島は大きく変わり、今では赤土バレイショと養殖ブリの産地として後継者も帰ってきて、長島ではこの地区だけが子供もふえ、活気あふれる地域になっております。改めて、橋ができることによって島が大きく変わることを痛感しております。
長島には、伊唐島の北に、本県の最北端に位置する獅子島があります。伊唐島に橋がかかることが決定したのをきっかけに、次は獅子島にとの機運が高まり、町では、平成六年に町単独で獅子島地区深浅測量と経済効果算定を外部に委託したのを皮切りに、同じ年に獅子島架橋建設促進期成会を発足させ、平成七年以降今日まで毎年、県に対して建設促進の要望が行われております。また、平成二十五年四月に、県の離島振興計画に初めて獅子島架橋の文言が記載されたことで、地元では実現に向けた期待が大きく膨らんでおります。
獅子島は、ブリ、アオサの養殖漁業と甘夏等のかんきつ類の生産が盛んな、人口約七百五十人が住む自然豊かな島です。また、約一億年前の白亜紀の地質が露出し、トリゴニアと呼ばれる三角貝の仲間や巻き貝の化石が多く見られ、アンモナイトが発見されるなど、日本有数の化石の産地でも知られています。二〇〇八年には幣串の海岸で、体長六メートルはあったと考えられる海中にすむ大型の爬虫類クビナガリュウの左下顎が発見され、話題になった島でもあります。ただ、島民の最大の不安は、一軒も病院がないことです。
獅子島架橋は、延長千八百メートルぐらいと予想されており、町は、平成十四年に財団法人海洋架橋・橋梁調査会が建設事業費を算出し、その試算をもとに、物価上昇率等を考慮して、三十年後の事業費を四百億円程度と見込んでおります。
事業としては、県道か市町村道での整備が考えられるとのことでありますが、町では、市町村道として交付金事業で実施した場合、四百億円のうち六五%の二百六十億円を国が、残りの百四十億円が町の負担となり、町負担分の八割は辺地債の交付税措置を受けられるため、町の実質負担は二十八億円と見込んでおります。
この二十八億円を基金造成することにして、平成二十四年三月に夢追い獅子島架橋基金を創設して、町民一人一万円の積み立てと町内外からの一般寄附も受け付け、三年たった今年度末には既に七億円の基金が造成されるとのことであります。このペースでいきますと、あと十年程度で二十八億円の目標が達成されることになります。島民の橋に対する熱い思いと不便さを考えますと、三十年後といわず、できるだけ早く実現してやりたいという思いに駆られます。
そこでお尋ねいたします。
長島町が進めているこの壮大なプロジェクトの早期実現のために、県も全面的にバックアップして国に対して強く要請していただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
次に、風景街道の登録について伺います。
そもそも風景街道の発想は、国民の道に対するニーズの多様化の動きを受けて、平成十七年十二月に、当時の奥田日本経団連会長を中心に日本風景街道戦略会議を設立して、この会議でまとめた日本風景街道実現に向けてが平成十九年四月に国土交通大臣に提言され、これを受けて、全国各地の道を舞台としたさまざまな活動に対してできる限りの支援をすることにより、多種多様な風景街道を実現し、日本風景街道を国民的運動として全国に展開することを目的に、風景街道を公募したことにあります。
九州では、九州風景街道として十三ルートが登録されております。鹿児島県では、桜島と薩摩半島の錦江湾から東シナ海に沿った地域が、かごしま風景街道として登録されております。インターネットを見ますと、このルートの観光地や名所旧跡等が紹介されており、観光振興、地域の活性化、道路の景観などの改善につながるのではないかと興味深く拝見させていただきました。
残念ながら北薩地域は白地であります。阿久根では、国道三百八十九号を花を咲かせ隊というボランティア団体が沿道に花を植える活動をしておりますし、長島町は、町を挙げて石積みフラワーロード事業で花に満ちあふれたすばらしい道路景観づくりに取り組んでおります。出水には武家屋敷もありますし、長島から国道三号沿いの牛ノ浜海岸、西方海岸は東シナ海を望む県下でも屈指の景勝地であります。ぜひ、長島、出水、阿久根、薩摩川内を網羅した風景街道のルートを登録してもらいたいものであります。
登録されたルートごとに周辺の観光スポットや名所旧跡、特産品等を盛り込んだパンフレットを作成して県内外にアピールすることが、本県経済の発展、観光振興につながるものと考えます。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、風景街道の登録の取り組み状況について。
第二点は、街道登録の所管は土木部でありますが、観光振興の観点から観光交流局との連携が大事だと思いますが、御所見をお伺いいたします。
[知事伊藤祐一郎君登壇]
37 ◯知事(伊藤祐一郎君)三県架橋構想の推進についてのお尋ねであります。
本架橋構想は、九州新幹線等と一体となりました九州西岸軸の交通体系の形成や、大規模災害時におけます代替道路や避難道路としての機能の構築によります災害に強い国づくり、環黄海経済圏との交流・物流などに対応するための交通基盤の形成等の観点から、九州の一体的な浮揚を図る上でも、次の時代の重要なプロジェクトであると考えております。
本架橋構想の基礎調査につきましては、御指摘ございましたが、国におきましては、平成八年度から十九年度にかけて、波浪や地震などの調査とあわせまして、環境基礎調査や経済調査などが実施されたところであります。また、鹿児島、熊本、長崎の三県共同で平成八年度から継続して、風や地震、地質などの調査を実施いたしております。
本架橋構想の実現のためには、島原天草長島連絡道路の計画路線への格上げが必要でありますことから、三県共同の基礎調査を継続いたしますとともに、島原・天草・長島架橋建設促進協議会や県開発促進協議会等を通じまして、本道路の計画路線への格上げにつきまして、国に対して今後とも要望してまいりたいと考えております。
38 ◯土木部長(久保田 一君)北薩地域の高速交通網の整備についての御質問のうち、南九州西回り自動車道の新規事業採択時評価手続についてです。
南九州西回り自動車道の唯一事業化されていない薩摩川内水引から阿久根間については、去る二月二十五日、国から、平成二十七年度予算に向けた新規事業採択時評価の手続に着手すると発表されたところであります。
国においては、県から提出された意見や学識経験者等で構成される社会資本整備審議会の意見を聞いた上で、今後、新規事業化の妥当性についての評価を取りまとめる予定とされております。新規事業化が妥当と判断されれば、新年度予算成立後に新規事業箇所として発表されることになると考えております。
南九州西回り自動車道の開通見通しの明示についてです。
高規格幹線道路の開通見通しの明示については、国が用地取得の進捗や工事の工程などを見きわめた上で公表されており、用地取得のめどが立ち、工事が進捗しております出水阿久根道路では、全区間にわたり供用予定が示されております。一方、芦北出水道路の本県域については工事に未着手であり、供用予定年次は示されておりません。
県としては、沿線市とも連携し、用地取得への協力など整備促進に取り組むとともに、県開発促進協議会等を通じて、残る区間の供用予定年次の明示と所要の事業費の確保について、国に対し強く要請してまいりたいと考えております。
北薩横断道路の整備についてです。
北薩横断道路については、これまで、紫尾道路の一部や薩摩道路などを合わせて約十四キロメートルを供用しており、これに続き、現在、広瀬道路と泊野道路の整備を進めているところであります。
泊野道路においては、これまでに北薩トンネルについて掘削を終え、現在、湧水対策を行っており、橋梁については十一橋のうち八橋が完成するなど、鋭意整備を進めているところであります。
県としては、引き続き、整備に必要な予算を確保し、泊野道路の早期供用に努めてまいりたいと考えております。
紫尾道路から南九州西回り自動車道の阿久根北インター間については、今後、事業化に向けた環境調査や予備設計など、必要な調査等を進めることとしております。
北薩横断道路は、南九州西回り自動車道と一体となって、広域的な幹線道路ネットワークを形成する重要な道路であることから、早期完成に向け、引き続き重点的な整備に努めてまいりたいと考えております。
次に、風景街道の登録等についてです。
日本風景街道は、地域の民間活動団体と道路管理者がパートナーシップを組織し、美しい景観の形成や観光振興につなげていく取り組みであり、九州では十三ルート、県内では、鹿児島市や南薩を中心とした地域が、かごしま風景街道として登録されております。
現在、阿久根市など、北薩地域の国道三号と三百八十九号を中心とした地域においては、花を咲かせ隊などのボランティア団体による活動が盛んに行われており、昨年十月には、地元の活動団体や県も参加して、新規登録に向けた組織体制づくりを始めたところであります。
風景街道の取り組みは観光振興にも資することから、県としては、登録に向けて必要な助言を行うとともに、景観整備や観光案内標識の設置などについて、関係部局とも連携してまいりたいと考えております。
39 ◯企画部長(古川仲二君)三県架橋構想推進に向けた取り組みの状況等についてでございます。
鹿児島、熊本、長崎の三県と各地元期成会は、島原・天草・長島架橋構想の実現に向けた機運醸成のため、構想推進大会を開催いたしますとともに、国会議員や地元自治体の首長等と意見交換を行ってまいりました。
意見交換の場において、三県架橋は、九州西岸軸の交通体系の形成や大規模災害時における代替道路等としての機能の構築による災害に強い国づくり、環黄海経済圏との交流・物流など交通基盤の形成等の観点から、九州の一体的な浮揚を図る上でも重要なプロジェクトであるといった意見が交わされてきたところでございます。
県におきましては、平成二十六年六月に閣議決定された国土強靱化基本計画において、三県架橋を含む海峡横断プロジェクト等が記載されている国土形成計画につきましては、必要な見直しを行いながら取り組むこととされていることから、今後とも、国の動向を注視しつつ、長崎・熊本両県や各地元期成会と連携しながら、三県架橋構想の推進について取り組んでまいりたいと考えております。
なお、構想推進大会については、当初東京において開催しておりましたが、同様の大会についての全国的な見直しの動きの中で、平成十二年から三県持ち回りによる地方大会となったところでありまして、御提案のございました開催地や開催方法等については、今後、関係県等と意見交換を行いながら検討してまいりたいと考えております。
次に、獅子島架橋建設についてでございます。
長島町の獅子島架橋については、町が想定している構想によりますと、全長約一千八百メートル、事業費約四百億円という極めて大規模なプロジェクトであります。県といたしましては、長島町が、架橋の実現に向け、平成二十四年三月に夢追い獅子島架橋基金を創設するなど、地元の熱意が強いことなども踏まえ、平成二十五年度から平成三十四年度を期間とする県離島振興計画の地域別振興計画に、このような町の動きがある旨を記載いたしたところでございます。
同構想の実現に当たりましては、多額の事業費が必要であり、国や地方の厳しい財政状況などを考慮いたしますと、現実的に非常に難しい面もあると考えておりますが、国の公共事業予算の取り扱い等にも留意しながら、架橋建設に向けた長島町の強い思いについては、しっかり国に伝えてまいりたいと考えております。
[中村 眞君登壇]
40 ◯中村 眞君 それぞれ御答弁いただきました。
南九州西回り自動車道の全線開通は、出水地域、特に新幹線も通っていない阿久根にとっては、地方創生を推進する上で、ほかの地域と対等に競争できる最低の条件だと考えております。全線開通の年度を示してもらうことによって、地域の振興にも弾みがつくと思います。
先ほど部長から、土地取得などで見通しが立ったときにというお話がありましたけれども、私が心配しますのは、環境アセスのときのように、工事がストップして全線でシフトしてもらえばいいですけれども、熊本県が終わった時点でその予算をカットされれば、全線開通は先送りされるという心配をするものですから、きょうの質問になった次第でございます。ぜひそういうことを頭に入れて、今後、国に対して要請活動していただくようにお願いしておきます。
三県架橋については、知事から直接答弁もいただきましたし、企画部長からもいただきました。
全国で六カ所、海峡横断の長大橋が計画されて、その中で今でも熱心に調査し、推進しているのは、この三県架橋だけだと聞いています。阿久根は、牛深、天草との交流が非常にある地域でありまして、この路線がつながることによって、経済の交流、観光の振興、そういう面では非常に大きな経済効果があると考えております。長大橋そのものが観光資源になりますし、それによって地域が活性化する、そういう思いがいたしております。ぜひ今後、非常に大きな問題ですけれども、推進していただくようにお願い申し上げておきます。
獅子島架橋についても、実は長島町の予算が百五億円程度でありますから、その町が四百億円の獅子島架橋に挑戦するというすごい勇気だと思っていますし、何とかしてやりたいという、離島に住む人じゃないとわからない苦労もあるわけですから、そういう面で私は毎年、推進活動の一環として年賀状をいただいております。
二、三紹介しますと、「獅子島に橋がかかっておらず、店や病院に行くのがとても大変です。ぜひ獅子島に橋をかけてください」。これは小学校五年生か六年生の子供からです。それと、「台風などが来たとき、橋をかけておけば、食料やけがをしたとき阿久根や出水の病院に行けるので橋をかけてください」。もう一つすごいのは、「獅子島に橋をかけてください。中村さんの力があれば橋はできると思います。よろしくお願いします」という、こういう願いを込めたはがきももらっております。
長島は、先ほど言いましたように、長島と阿久根、それに長島と伊唐、こういう橋がかかって半島地域になって、橋のありがたさを本土の人より、最もよく実感している地域だと思います。そういう面では、非常に大きいプロジェクトですけれども、何とかしてやりたい。政治は夢でありますから、その夢に向けて、県も全面的にバックアップしていただくようにお願い申し上げます。
それと同時に、獅子島は有人離島の中で唯一、本土とつながる可能性のある橋でありますから、そういう面では、離島から半島にという面でぜひ考えていただきたいものだと思っております。
風景街道については、出水も取り組んでいただいているということで、こういうものをどんどんどんどん仕掛けることによって、地域の経済あるいは観光の振興につながっていく、北薩地域は観光の面からしても余り目が向いていないような感じがしますので、ぜひ進めていただいて、早く登録されるようにお願い申し上げます。
次の質問に入ります。
ブリの完全養殖体制の推進についてであります。
本県の養殖ブリの生産は全国一位で、特に長島町は、東町漁協を中心にして県内最大の産地であります。しかし、平成二十一年と二十二年に大規模な赤潮が発生して、この二年で東町漁協だけで二百四十万尾に近いブリがへい死する甚大な被害を受け、再起も危ぶまれる状況に追い込まれましたが、県、国の手厚い支援とその後の相場の回復もあって、以前の活気を取り戻してきております。
東町漁協では、この赤潮被害を教訓にハード面の対策を進める一方、平成二十三年から、国の独立法人であります水産総合研究センター西海区水産研究所五島庁舎の協力を得て、同センターが生産した人工種苗を導入して完全養殖の実証実験に取り組んでおります。同センターで生産した種苗を海水温の高い南種子漁協で三カ月中間育成した稚魚を、長島町の生けすに移して出荷サイズまで養殖する方法で、現在も継続して実施されております。一回目に導入した三万尾と二回目に導入した六万尾は、既に新星鰤王のブランドで市場に出荷され、市場でも高く評価されているとのことであります。
これまでの実証実験は極めて順調で、人工種苗のメリットは、供給面では、天然種苗に比べて時期、サイズ、量的にも計画的に安定供給が可能なこと、飼育面では、ふ化の段階から配合餌料で餌づけするため、稚魚期の生残率が高いこと、赤潮に弱い三年魚から比較的強い二年魚での出荷が可能になること、また、三年魚の産卵期に起こる身質の低下が少なく高品質化が図られること、一方、将来的には、養殖に適した増体率、餌料要求率がよく、肉質のよい親を選抜して育種改良することによって、生産性の向上と食材としての高品質化が期待できること、資源保護や養殖魚のトレーサビリティーに敏感な海外への販売拡大につなげられることなど、大きなメリットがあると聞いております。
現在、東町漁協の年間販売尾数は約二百万尾、一万二千トンですが、当面、輸出用を含めて、人工種苗による完全養殖物を四十万尾、二千トン生産することを目指しているところであります。
問題は、現在、水産総合研究センター五島庁舎の種苗生産は、農林水産技術会議プロジェクト研究事業で実施されており、この事業は平成二十八年で終了し、それ以降の種苗生産は予定されていないとのことであります。これまで、同センターでの種苗生産技術の開発は一定の成果が得られており、国は、公設、民間を問わず技術移転を模索しているとのことであります。
東町漁協では、既に人工種苗で完全養殖したものを新星鰤王のブランドで販売しており、人工種苗の生産が終了すれば種苗の供給が受けられなくなり、東町漁協の事業にも支障を来す一方、対外的な信用も失墜しかねないことになります。
本県は、全国一のブリの生産県でもあり、来年度には仮称水産物輸出促進協議会を設置することとし、既に本年度の補正予算に新規事業として、かごしまのさかな海外市場拡大事業費を計上して、これまで以上に積極的に取り組む姿勢を明らかにされております。
ブリは、本県の水産物輸出の九割を占めており、将来に向けて最も有望な輸出商材であると考えます。国も、人工種苗生産の技術移転の意向を示しており、本県が全国の先陣を切って名乗りを上げ、ブリの完全養殖の構築に向けて人工種苗の生産に取り組むべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。
次は、資源管理型漁業の推進について伺います。
漁船漁業を取り巻く環境は、水産資源の減少、価格の低迷、燃費の高騰等で非常に厳しい状況にあります。特に、水産資源の減少は漁業者にとって深刻な問題です。近年、阿久根近海も魚が少なく、「油代にもならない」と漁を見合わせる人が多いと聞いています。阿久根では、瀬つきのアジを一本釣りしたものを阿久根の華アジのブランドで販売してきました。この数年ほとんど釣れなくなり、ブランドそのものが消滅しております。
水産資源の減少は、GPS等先端技術を駆使した漁法の進歩や磯焼け、気象の変化等いろいろな要因が重なって、現在の状況になっているのだろうと思います。
県では、資源回復のために、魚種別、漁業種別、資源管理措置等を定めた管理指針を作成して、資源管理型漁業の推進に積極的に取り組んでいただいております。特に、甑島のキビナゴ漁はその成功例として広く知られております。本県の漁業の将来を考えますとき、徹底した資源管理型漁業を実践する以外に、安定した漁業を維持していくことはできないだろうと考えております。一方、漁法による漁場のすみ分けも徹底し、そのルールを漁業者が遵守する体制をつくらなければ、零細な一本釣り漁業は成り立たなくなるおそれがあります。零細漁業者が生活できるような繊細な資源の管理も考慮すべきだろうと考えます。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、県はどのように資源管理型漁業を推進しておられるのか、また、実際に資源や漁獲の回復は見られているのか。成功例を含めてお示しください。
第二点は、資源管理型漁業の推進上の課題についてお聞かせください。
第三点は、今後の取り組みについても伺います。
最後に、磯焼け対策について伺います。
資源回復を図る上で、磯焼けの解消は非常に大きな要素だと考えます。県の水産技術開発センターでは、磯焼け解消のために積極的に試験、調査、研究に取り組んでおられることに敬意を表しております。
磯焼けの原因は、食害、温暖化、生活排水等いろいろ指摘されておりますが、いまだ抜本的な対策が確立されていないと認識しております。
藻場は、魚が繁殖する大事な場所であり、資源回復を図る上で避けて通れない最も大切な課題であると考えます。阿久根では、ウニの漁期が終わった後、藻場の食害防止のためにウニやヒトデ等食害動物の駆除をして、次のシーズンに備えて藻場を守る努力をしていると聞いております。県では、藻場造成事業を初め、磯焼けした海岸の藻場回復のため各種試験を実施しているようでありますが、本県の漁業振興を図る上で藻場造成の技術の確立が喫緊の課題だと考えます。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、本県の磯焼けはどのような状況にあるのか、お聞かせください。
第二点は、県ではこれまで試験・研究を重ねてこられておりますが、その成果をお聞かせください。あわせて、藻場造成の技術は確立されてきているのか、見解を伺います。
第三点は、漁業者の話では、藻場の造成には山石の投入が効果的であると聞きますが、県内における山石等自然石を用いた藻場造成の取り組みについてお聞かせください。
41 ◯商工労働水産部長(田中和彦君)ブリの完全養殖体制の推進についてでございます。
ブリの人工種苗を活用した養殖は、食の安全・安心や持続可能な養殖生産の実現、また、輸出拡大による養殖経営の安定化など、ブリ養殖の振興を図る上で重要な取り組みであると考えております。
国は、独立行政法人水産総合研究センターにおきまして、これまで、ブリの人工種苗を用いた効率的な養殖技術の開発に取り組んできておりまして、お話がございましたように、東町漁協において、この人工種苗を用いた養殖が行われております。また、一部民間企業や大学においても、人工種苗の生産とその種苗を用いた養殖に取り組んでいるところでございます。
県におきましては、ブリの人工種苗生産については実績がないことから、種苗生産に取り組む場合には、水産総合研究センターから技術移転を受ける必要があり、また、種苗生産に対応可能な新たな施設が必要になると考えております。このようなことから、ブリの完全養殖の構築に向けた人工種苗の生産・供給につきましては、国や関係機関、養殖関連業界等と連携しながら、今後、事業化に向けた可能性や採算性など、必要な調査・研究をしてまいりたいと考えております。
資源管理型漁業の推進及び資源の回復についてでございます。
本県の主な漁業資源であるマアジ、マイワシ、サバ類につきましては、国が漁獲可能量制度に基づきまして漁獲量の上限を設定し、資源管理を行っております。また、アオダイやハマダイ等のマチ類につきましては、関係県が連携して、南西諸島海域における小型魚の保護や禁漁区の設定などの広域資源管理方針を策定し、資源管理に取り組んでおります。
本県におきましては、マダイ、キビナゴなど十魚種については、従来から漁業者みずからが漁獲サイドの規制などに取り組んでおります。さらに、一部の魚種につきましては、県におきまして平成二十二年度に、漁獲量や資源の状況などを踏まえ、資源管理目標等を定めた鹿児島県資源管理指針を策定し、これに基づきまして、平成二十三年度からは漁業者みずからが資源管理計画を策定し、休漁や網目の制限等を行っておりまして、その履行状況につきまして、県、県漁連等が一体となって確認しているところでございます。
資源や漁獲の回復状況につきましては、サバ類のように減少傾向に歯どめがかからない魚種がある一方、マイワシのように資源が増加傾向とされている魚種もあり、禁漁区の設定等によりアオダイは漁獲量の減少に歯どめがかかっており、ハマダイは増加傾向にあります。また、マダイは、継続的に漁獲サイズの規制や種苗放流に取り組んできたこともございまして、資源、漁獲量は増加いたしております。
資源管理型漁業の推進の課題及び今後の取り組みについてでございます。
資源管理型漁業の推進上の課題につきましては、これまで多くの漁業者が資源管理に取り組んできておりますが、資源回復が見られない魚種もあるところでございます。このようなことから、県としては来年度から、計画策定後三年を経過した資源管理計画につきましては、出漁一日当たりの漁獲量等の科学的な調査を実施することとしておりまして、その結果に基づいて、効果的な資源管理の手法や程度について検討することとしておりまして、この成果を踏まえながら、県漁連、漁協等と一体となって、資源管理型漁業の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
磯焼けの状況と藻場造成技術等についてでございます。
藻場は、魚介類の餌場や産卵場として、また、水質浄化作用など環境保全においても重要な役割を果たしております。本県の磯焼けの現状といたしましては、鹿児島湾の一部において、近年、ホンダワラ類の藻場が回復傾向にございますが、離島や薩摩・大隅半島などの外海域の多くでは、昭和四十年代前半ごろから藻場の消失が見られ、現在も磯焼けが継続している状況でございます。
水産技術開発センターでは、藻場造成技術に係る各種試験に取り組んできたところでございまして、波の影響で魚の食害を受けにくい場所に核となる藻場をつくり、周辺に藻場を拡大させる核藻場型藻場造成技術や、海底から少し高い位置に張った網に海藻を固定することにより、長期間にわたって周辺に種を供給する中層型藻場造成技術など、静穏度の高い海域における藻場造成技術を開発したところでございます。
しかしながら、外海域や開放的な海域での藻場造成につきましては、食害対策など多くの課題がございますため、引き続き水産技術開発センターで技術開発に取り組んでいるところでございます。
自然石を用いた藻場造成の取り組みについてでございます。
藻場の回復や拡大を図るための基盤整備として、平成十四年度から、市町村を事業主体とした漁場環境保全創造事業を実施してきておりまして、これまで長島町など五市町の十二カ所において整備を進めてきたところでございます。
本事業は、魚介類の餌場や産卵、幼稚魚の保育場としての機能に加え、環境浄化機能を有する藻場の造成等により漁場環境の維持・保全を図るものでございまして、海藻類が定着するための基盤として、漁業者等からの要望の強い山石や溶岩などの自然石を用いております。
今年度は、指宿市、長島町、いちき串木野市で事業を実施しているところでございまして、今後とも、市町村や漁協等とも連携しながら、藻場造成のための基盤整備に取り組んでまいります。
[中村 眞君登壇]
42 ◯中村 眞君 それぞれ御答弁いただきました。
人工種苗の生産については、事業化へ向けて前向きな答弁と受けとめております。ただ、国の事業が平成二十八年度で生産をやめるということになっておりますので、できるだけ早く体制をつくっていただくようにお願い申し上げます。
きょうは皆さんのお手元に二枚のコピーを差し上げました。
一ページ目は、二〇〇九年、一〇年に発生した、先ほど申し上げました赤潮の被害であります。この状況をごらんいただければ、死ぬブリが三年魚、大きいものほど被害に遭う。そのため被害額も非常に大きくなる。そういうことを言われておりますし、漁協の皆さんもこれをどう回避するか。これまではハード面の整備としては、生けすを深く沈めるとか、生けすを牽引してほかの場所に移す対策はできますけれども、それ以外に対策がなかなか見つからない。
そこで、人工種苗を活用した養殖をしますと、次のページにありますように、生けすに入れるサイズが非常に大きくなります。それと、天然の種苗は、これはモジャコといいまして、ブリは産卵して、切れた藻に隠れて回遊するという性格を利用して、捕獲して生けすに入れる。したがって、産卵期が違いますからサイズが非常にばらばらで、生けすに入れるときにそれを振り分け、選別する。そういう手間もかかると聞いています。
産卵期を人工的に早くすることによって、この写真の上が天然種苗で下が人工種苗ですけれども、入れる時点でこんなにサイズが違う。天然種苗は餌づけが非常に難しいのに対して、小さいときから人工餌料で餌づけしますから、餌づけも非常にいいということで、生残率が非常に高いというメリットもあると聞いています。
その下の表は、人工種苗で早く育成することによって赤潮の前に出荷ができる。これが一番大きなメリットです。ちょうど赤潮の発生後に、天然の場合は十一月、十二月が出荷の時期に入りますので、それを七月の赤潮前に出荷ができるという面では赤潮の被害を回避できる。積極的に私は進めていただきたいということをお願い申し上げておきます。
現在の輸出市場を見ますと、養殖魚はノルウェー、チリ産のサーモンが主力で、日本でも近くのスーパー等で手軽に買える状況にあります。私も時々買って食べますけれども、東町漁協の職員に言わせますと、「そんなものを何で食うのか」ということで相当、競合商品のため叱られておりますけれども、そのくらい出回っております。
国では、平成二十五年度の水産の輸出額千七百億円を、平成三十二年のオリンピックの年には八千五百億円に増大する目標を掲げております。養殖ブリはサーモンに対抗できる無限の可能性を持つ、最も有力な養殖魚商材だと思っております。ぜひ全国の先頭に立って、全力を挙げて取り組んでいただくようにお願い申し上げます。
有望な産業には県も積極的に投資する。そのことが大事だと思いますし、それが一次産業の振興につながり、雇用につながる。こういうものにどんどんどんどん予算をつけて応援する。それが行政の役割だと私は思っております。ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
それと、水産資源の管理型漁業あるいは磯焼けの問題は共通する問題ですけれども、ぜひこれからも磯焼け対策、本当にまだまだ研究途中だと思いますけれども、沿岸漁業の振興のためには非常に大きな課題ですので、今後とも前向きに取り組んでいただくようにお願い申し上げます。
私も今期で引退することになりました。二十四年間、支持いただいた阿久根市民、長島町民の皆さんに心から感謝とお礼を申し上げます。
振り返って何をしたかと言われますと、何もしていないのかな。私は選挙に出るときに、人が変われば阿久根が変わるというキャッチフレーズで出馬いたしました。結果は、二万八千九百人いた人口が二万二千人に減り、水産業も非常に疲弊している状況で、時代の流れにさお差して振興を図ることはできなかったのかという思いがあります。非常に難しい時代の県政ですけれども、これから立候補して当選されてこられる皆さんが、本当に鹿児島の将来をどうするかということを真剣に考え、議論していただきたいと思います。
この長い間、執行部の皆さんに本当に親切丁寧に対応していただきました。心から感謝申し上げます。また、議場の皆さんにも本当にお世話になりました。心から御礼申し上げます。
私も来年は後期高齢者になります。きょう午前中に、健康年齢が七十一・四歳という話がありました。私はそれをとっくに超えておりますので、これから健康年齢、何年あるかわかりませんけれども、私なりに地域のために一生懸命に協力しながら、地域をよくしていきたいと思っております。
皆さんのこれからの御活躍と鹿児島県のますますの御発展を祈念して、私の一般質問を終わらせていただきます。
本当にありがとうございました。(拍手)
43 ◯議長(池畑憲一君)以上で、通告による質問は全部終了いたしました。
これで、質問は終結いたします。
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△ 議案第一号─議案第六二号及び報告第一号委
員会付託
44 ◯議長(池畑憲一君)次に、議案の委員会への付託の件を議題といたします。
今回提出されました議案のうち、議案第一号から議案第二六号まで、議案第三八号から議案第六二号まで及び報告第一号は、配付いたしております議案付託表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
お諮りいたします。
議案第二七号から議案第三七号までは、予算特別委員会に付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり]
45 ◯議長(池畑憲一君)御異議なしと認めます。
よって、そのように決定いたしました。
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46 △ 報 告
◯議長(池畑憲一君)ここで、報告いたします。
ただいま常任委員会に付託いたしました議案のうち、議案第三八号、議案第三九号、議案第五六号及び議案第六一号につきましては、当席において、地方公務員法第五条第二項の規定に基づき、人事委員会の意見を求めましたところ、配付いたしております写しのとおり、意見書が提出されております。
これで、本日の日程は終了いたしました。
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47 △ 日程報告
◯議長(池畑憲一君)三月二十日は、午前十時から本会議を開きます。
日程は、議案及び請願・陳情の委員長報告、質疑、討論並びに表決などであります。
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48 △ 散 会
◯議長(池畑憲一君)本日は、これで散会いたします。
午後三時十分散会
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