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1988-03-02 昭和63年第1回定例会(第2日目) 本文

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  1. 鹿児島県議会 1988-03-02
    1988-03-02 昭和63年第1回定例会(第2日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
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    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(原田健二郎君)ただいまから、本日の会議を開きます。       ─────────────    △ 総括質問(代表) 2 ◯議長(原田健二郎君)本日の日程は、県政一般に対する代表質問であります。  溝口宏二君に発言を許可いたします。    〔溝口宏二君登壇〕(拍手) 3 ◯溝口宏二君 昭和六十三年第一回定例県議会に当たり当面にする県政の諸問題について質問いたします。  もう皆さん御承知のとおり、現下の内外情勢は米ソを頂点とする平和と軍縮、為替レートの不安定と貿易摩擦、技術革新、急速な高齢化社会の到来等々多くの問題を抱えております。この重大な時期に我が党は竹下新総裁のもと、厳しい内外の諸情勢に適切に対応し、希望に満ちた明るい未来を,開くための諸施策を着実に実行し、もって国民、県民の負託にこたえんとするものであります。  それにしても悔しいのは昨年末の新幹線であります。知事を初め県当局が、経済界が、そして沿線の市町村、自治体が、そして県議会が一枚岩となってあんなに燃えたことがかってあったでしょうか。たぎる要望、切なる願いをくみ上げて、それを具現するのが政治でなくて何でありましょう。敵は大蔵省。財源がどうのこうのとこの期に及んで言わせてはなりません。一体何が均衡ある国土の形成で多極分散なのか、ふるさと創生むなしい響きであります。  日本列島に一本背骨を通す、その目的達成のためには国民世論の盛り上がりがどんなに大切かということもしみじみわかりました。熱心に取材をいただいている記者さん方、新幹線の発車はまだ早いとか、地域住民の新幹線に対する期待はかつてほど熱くないなどと社説に取り上げてくださることのないよう、県民の切なる願いを的確に東京に届けてくださるよう、どうぞお願いをいたします。八月に向けて仕切り直しといってもあと半年、六ヵ月、知事と一緒になって促進議員連盟、皆さんまた気張りましょう。  ところで、昭和六十三年度は四つの意味において極めて重要な年であると思うのであります。  その第一は、中長期的に見て、昭和六十三年、一九八八年次の辰年、すなわち十二年後は二〇〇〇年であるということであります。二十一世紀はまだ遠くのことのようにも聞こえますが、すでに第四次全国総合開発計画では、昭和七十五年、つまり二〇〇〇年を目標とした計画が策定されており、昭和六十三年度はこの四全総にとって、実質的初年度に当たるわけで、県政としても時代を先取りした施策の実施が要請されるところであります。  第二は、昭和六十三年度は竹下内閣にとって初めての年度であり、初めての当初予算編成を迎えたわけであります。幸い全国的な景気の回復に伴い、六十三年度政府予算案では一般会計は前年度に比べ四・八%増と五十七年度以来六年ぶりの積極型予算となっており、自主財源に乏しい国への依存度の高い本県にとって、まさに好機到来ということであります。  第三は、昭和六十三年度は県の新総合計画前期事業実施計画の四年目に当たるわけであります。四年目ということは計画された事業の大半が事業に着手され、残されたものも六十三年度中には期間内実施のめどをつけなければならない時期にきているということであります。  第四は、昭和六十三年度は鎌田県政にとって三期目の四年目、すなわち仕上げの年であるということであります。今期の冒頭において昭和六十年代の県政の躍進と、二十一世紀に向けた躍進の基礎固めのため渾身の力を奮って邁進する旨、覚悟を披瀝された公約を締めくくっていただかなければならないわけであります。このように国政としても党としても、また県政においても昭和六十三年度は極めて重要な年であるということを強く認識し、当面する重要課題について自民党県議団を代表して質問を行ってまいりますので、知事並びに関係部長の明快なる答弁をお願いいたします。  まず、行財政の問題についてであります。初めに知事に三期目の締めくくりについてお伺いをいたします。鎌田知事は昭和五十二年に就任されて十一年、第一次オイルショックに続く第二次ショック、対外経済摩擦などに運動する安定成長の過程の中で、しらががますますふえるほどに御苦労をいただきました。幸いにして六十三年度は国の財政も積極路線へと切りかえられ、国に依存することの多い本県としても、ここ数年続いた超緊縮型から一転、ロマンいっぱいなかなかいい予算とごろ合わせされるように、三期目有終の美を飾ってもらえることはうれしい限りであります。
     ついては、三期目、三年間を振り返って、六十三年度をどのように仕上げようと考えておられるのか承りたいのであります。  次は、六十三年度の経済見通しについてであります。政府の経済見通しによれば民間の消費支出、設備投資は前年度を上回る伸びが見込まれるが、住宅投資の伸びは相当低くなる。そうして国民総生産は実質で三・八%程度と前年度の三・七%を上回る伸びが見込まれるとしておりますが、年度後半に内需拡大ペースの鈍化、外需の減退等景気の息切れを心配する向きもあります。このような全国的な見通しの中で、本県における昭和六十三年度の経済見通しをどのように見ておられるのか、お聞かせ願いたいのであります。  次は、六十三年度の当初予算案についてであります。六十三年度の政府予算案は景気の回復に支えられるとともに、内需拡大のための積極型予算となっており、中でも公共事業費は一九・七%の増。およそ二割増しと、五十四年度以来の大幅な伸びを示しております。また地方財政計画では前年度に比べ六・三%増と国を上回る伸びを示しております。このような国の予算及び地方財政計画を踏まえ本県の場合、前年度の六・五%増と七年ぶりの積極予算で初めて六千億円台の予算が編成されました。その中で公共事業については一〇・六%増。県単公共事業は三四・六%増と大幅な伸びを確保いただいたことに高く評価するものであります。またその内容において、我が党がさきに申し入れた県政の重大重点事項、百八項目について十分な対応を示されたことに深く敬意を表するものであります。  そこで、お伺いする第一点は、国及び地方財政計画の伸びを上回る予算案を編成されるに当たっての基本的な考え方と厳しい財政事情のもとでの財政運営上の留意点。  第二点は歳入について、NTTの株式売却収入地方債資金としての活用の内容及び国民健康保険制度の改革に伴う見直しの内容と、これに伴う県負担増加分財源措置並びに六十年度からの国庫補助負担率の引き下げに伴う財源措置と民間活力の導入関係。  第三点は、公共事業について、国における一九・七%の伸びに比べて本県における県単公共事業の伸び三四・六%、公共事業の伸び一〇・六%はどのように理解すればよいのか。また六十三年度は前倒しの発注はないのではないかと一部報道されておりますが、景気対策の立場から、これが執行計画と昨年後半において資材の値上がり等に見られたことにかんがみ、円滑に公共事業を執行する上での留意点。  第四点は、今後の財政見通しであります。さきに公債費比率は昭和六十二年あたりがピークであるとお聞きしてまいりましたが、六十二年以降の見通しと、それに基づく財政健全化への取り組み。  第五点は、県庁舎の整備についてであります。大正十四年、当時の技術力を結集して完成した庁舎も今となっては四十七都道府県中最も古く、駐車場やその他県民サービスの点からも我が党は全面的な整備を急ぐべしと要望してまいりました。幸いに今回本年度の補正予算案の中に県庁舎建設基金五十億円を計上されるとともに、新年度予算案の中に県庁舎整備検討協議会の設置を計画されたことを高く評価するものであります。つきましては六十一年に設置された副知事を委員長とする県庁舎整備調査委員会での検討結果を踏まえて、今後の整備推進のための計画と建設基金積み立ての考え方を明らかにしていただきたいのであります。  行財政問題最後、第六点は行政改革の推進についてであります。県における行政改革の推進については、六十年の十月に行政改革大綱が策定され、県民サービスの向上と行政の効率化に努めていただいているところであります。その中で県の本庁における組織機構の再編は六十一年の四月に行われましたが、出先機関が残っているわけであります。この出先機関の改革については、新総合計画の地域別、振興計画の円滑な推進を図るとともに、地域の総合行政推進の拠点として総合事務所の設置が示されておりますが、要は地域住民に対するサービスの向上、充実を基本として地域の特性、特に離島や遠隔地への対応や、住民ニーズなどを十分勘案して実施してほしいとする立場から、この出先機関の再編など当面する行政改革締めくくりをいつどのように行おうとしておられるのか、お伺いをいたします。  次は、国際火山会議についてであります。火山と人との共存をメインテーマとして開催される鹿児島国際火山会議もあと四ヶ月余りとなってまいりました。昭和三十年以降五千五百回を超える爆発を続けている桜島を初め、七つの活火山を抱える本県として、この会議に寄せる期待は極めて大きいものがあります。関係機関、団体が一体となって会議の準備に万全を期し、世界各国の経験とすぐれた研究やアイデアを学び、火山についての知識を深め、火山災害の軽減や、火山資源の活用等についての意見を交換することにより、火山と人との共存方策を探ろうという会譲の目的が十分に達せられることをこいねがいつつ次の点についてお伺いをいたします。  第一点は、この会議の開催を間近に控え、参加の申し込みや、関連イベントの計画等の準備状況はどのようになっているのか。  第二点は、この会議が初めてで、終わりというのではもったいないという気持ちから、どこかに引き継がれ、二回、三回と続いて開催され、広がることを希望するものでありますが、どのようにお考えであるのか。  第三点は、会議の一層の成功を期するとともに、我が国の南の起点づくりを目指す国際交流の促進に資するため、世界各国から参加される研究者の方々を温かく迎え入れる、県民総参加の盛り上がりが必要だと思いますが、どのようにお考えであるのか。  第四点は、鹿児島大学に我が国初の火山学講座が今春開設されることはまことに時宜にかなったことであり、京都大学桜島火山観測所との共同研究が進展することを願うとともに、これが将来、火山学科、火山学部、そして火山研究所の開設へと発展することを望むものでありますが、このことについて知事の御所見を伺いたいのであります。  次は、情報公開条例についてお伺いをいたします。今回提案された鹿児島県情報公開条例案は、昭和五十七年その準備を始められてから長年にわたる慎重な作業を踏まえたものであり、その御苦労を多とするものであります。大切なことは条例の運用に当たって個人のプライバシーや企業秘密の保護、公正かつ円滑な行政の確保などに万全の配慮が払われなければなりません。このような観点に立ち、次の諸点についてお伺いをいたします。  まず第一点、条例制定の基本的な考え方及び既に実施されている二十三都道府県に比べて本県の条例案の特徴と情報公開懇話会の提言が条例案にどのように反映されているのか。  第二点は、原則公開の建前として、非公開の範囲は最小限にとどめるべきでありますが、一部に本県の条例案は適用除外事項が多いという意見もあるようでありますので、本県の適用除外事項はどのような考え方のもとに定められ、既実施都道府県とどのような差異があるのか、また自分の情報の開示を条例案で取り上げなかった理由と今後の取り組みの考え方についてお伺いをいたします。  第三点は、実施機関について、県の執行機関のうち、公安委員会が含まれておりません。公安委員会既実施都道府県のすべてが実施機関から除いているようでありますが、本県についてはどのように判断されたのか。  第四点は、対象公文書は文書、図画、写真及びマイクロフィルムとなっており、既に実施している県では磁気テープ、ビデオテープ、フィルムをも対象公文書としているところもあるようでありますが、本県の場合、これらを加えなかったのはなぜか、また当面公開されるものは昭和六十三年度以降のものが主体となるようでありますが、過去の文書はどのような取り扱いになるのか。  第五点は、公文書開示の方法であります。請求書に基づき十五日以内に開示の決定を行い、請求者に通知するものとありますが、忙しい世の中に簡単なものは当日請求して、当日見ることができないものか。なお開示請求を拒否された場含の不服申し立てに対する決定は公文書等開示審査会に諮問して行うことになっていますが、中立性確保のため委員の任命については、どのようにお考えであるのか。  第六点は、制度の運用についてであります。先行する関係都道府県情報公開制度は必ずしも当該制度の趣旨が十分理解、活用されていないところが見受けられることから、県民への制度の周知、普及、これを具体的に運用することになる職員一人一人の意識の啓発が必要と考えますが、その徹底のためにどのような方法をお考えであるのかお尋ねいたします。  続いて警察活動充実強化について県警本部長にお尋ねいたします。  近年における著しい都市化や、モータリゼーションの進展等に伴い、犯罪は増加し、広域化、悪質化の傾向を強めております。このため警察活動は、多様な対応を強いられることになり、新たに少年課を設置されることはまことに結構であります。治安のかなめとしての警察行政に対して、高まる県民の期侍にこたえていただくために、まず昭和六十三年における警察活動の重点目標をお聞かせいただきたいと思います。  ところで、効率的な警察活動のためには、通信施設や車両、資機材などの高度な整備はもとより、活動の拠点としての施設の整備を行うことが不可欠であると思うのでありますが、本県における整備状況をお教えいただきたいのであります。また、たびたび多発傾向が発せられている交通事故についてであります。さきに県警がまとめた昭和六十二年、一年間の県内における交通事故発生の状況を見ますと、交通事故件数八千九百八十二件、死者百二十九名、傷者一万六百七十七名、中でも死者の増加率五・七%は九州八県中ワースト一位で、全国でも十三位に入る芳しくない記録となっております。戦火の絶えないあのイラン、イラク戦争で敵味方合わせて七年間におよそ百万人の死傷者と言われます。比較すること自体あるいはそぐわないかもしれませんが、平和な我が国で昨年一年間の交通事故による死傷者が八十万人を超えたと聞くとき、まさに交通戦争の感を強くするものであります。交通事故の増加要因は一般的は自動車交通量の増大でありましょうが、また同時に県民の交通安全意識の欠如が指摘されると思うのであります。県警は交通死亡事故の抑止を重点に挙げておられるところでありますが、今後ますますのモータリゼーションの進展、急速な高齢化社会への移行を思うとき、安全で円滑な交通の確保の上から、街頭指導の強化、取り締まりの徹底を図るなど、交通安全対策の推進になお一層の取り組みを求める立場から、今後の取り組みについてお伺いをいたします。    〔知事鎌田要人君登壇〕 4 ◯知事(鎌田要人君)お答えを申し上げます。  ちょうど三年前、昭和六十年二月のこの定例本会議におきまして、私三期目のスタートに当たりまして、県政に取り組む私の基本的な姿勢、考え方といたしまして、四つの理念と四つの政策目標を掲げ、これを皆様方にお約束を申し上げた次第でございます。  すなわち、四つの理念は、第一が鹿児島ルネッサンスの実現、第二がハイテクランド鹿児島の創造。第三の自立自興と連帯のふるさと興しと、第四が南の起点づくりと、この四つの理念でございまして、またこれに基づきまして、技術と活力にあふれる地域産業づくりと、それから調和のとれた定住社会づくりと、それから県民の生涯を通ずる幸せづくりと、四番目が二十一世紀をつくり出すための人づくり社会づくりと、文化づくりと、この四つを基本的な政策目標といたしまして、昭和六十年度を初年度とする十ヵ年にわたる新しい総合計画をつくりまして、これに基づいて前期、後期それぞれ五ヵ年ずつの実施計画に基づいてこれを実現を図ってまいるということで今日に至っておる次第でございます。  また、同じ六十年の二月の二十日の日に鹿児島県行政改革推進本部、これを発足をさせまして、県の行政改革ということについても取り組んでまいっておる次第であります。幸いにいたしまして、県民の皆様方の御努力、また県議会初め、皆様方のお力添えによりまして、この実施計画あるいは新総合計画につきましても御指摘の新幹線を除きまして、おおむね軌道に乗りつつあるところでございますが、現実の情勢は厳しいものがございます。一つは四全総でも東京一極集中はいかんと、多極分散型の国土形成を図らにゃいかんと、こういうことをおっしゃっておられる。まことに私どももろ手を挙げて賛同しておるわけでありますが、現実はこれと全く裏腹ということでございまして、東京一極集中は依然として進んでおると、昭和六十年度の県民所得計算を見ましても、地域格差が逆に広がってきておると、こういう、これは鹿児島だけではありません。日本列島全体、東京一極集中の余波を受けて、地方の格差というものは逆に広がりつつあると、過疎現象というものが逆に新たなまた不気味な進行を始めつつある、どしこ言うてもこいがわからんわけであります。  それから、第二は、いわゆる日米経済摩擦等の中で、農産物の自由化と、こういう状況の中で、特にこれは農林漁業を基幹としますところの本県に対する打撃は非常に大きいと、そういう中でこれからどうとにかく鹿児島県のいわば発展を図っていくかということが残された私にとりまして、課された大きな課題、そのためにはやはり何と申しましても高速交通、通信手段、これによる本県の県土の構築を図っていかにゃいかん、これを私は特に新幹線、ことしの八月には決着がつくということで現在、鋭意検討が進められておるところでありますので、これにひとつすべてをかけてまいりたい。  また、高速道路網等の整備につきましても、第十次五計のいよいよ初年度でもありますので、これを的確に位置づけてまいると、こういう問題がございます。  また調和のある定住社会づくりにつきましてもテクノポリス、着々と緒に着きつつありますが、引き続きましてバイオにつきましても研究所、あるいはバイオ基金、こういったものでスタートを切ってまいりたい、あるいはアトムポリスにつきましても、この地域の活性化対策というものと含めてこれが計画の策定に当たってまいりたいと。  さらに、半島振興計画、これもおかげさまで国の財政対策も確立を見まして、これに基づく法律も今国会に出されておるわけでありますが、半島振興計画、これが具体化を図ってまいりたい。この中には先はど申しましたバイオポリスも大隅の柱になっておりますし、薩摩半島の方では今のアトムポリスと合わせまして、サンリゾート計画、これも具体化を図ってまいる。  さらに離島におきましては、奄美の法律がいよいよ来年の三月で期限が切れると、こういう大きな瀬戸際になってきておるわけでありますし、過疎法がまた再来年は期限が来ると、こういう時期になってきておりまして、これらの法の延長という大きな課題がございます。そういう中での離島、奄美の振興、あるいは鹿児島のこの宇宙基地というものを活用しましての宇宙産業、これをどのような具体化を図っていくかと、とにかく我々が常に前途に希望を失わず、ありとあらゆる知恵とエネルギーを出していけば大体世の中のことはよくなっていくことはこの十年間私も身にしみて体験をしておるところでありまして、やはり常に我々が勇気と希望を失わないということ、ただ勇気と希望だけじゃありませんで、やっばり脳みそを出していかにゃいかん。こういうことで県民一丸となって頑張ってまいりたいというふうに考えておる次第でございますので、この上とも県政の推進につきまして、皆様方の特段のお力添えまた御鞭撻をお願い申し上げる次第でございます。  次に、昭和六十三年度の経済見通しの問題でございますが、これにつきましては、最近一月の鉱工業生産指数、全国的にも対前年同期で六・二%、三%と、こういったような状況で、日本国全体としては景気はまことに良好といいますか、いい状況にあるようでございまして、ただこれが地域的に片回りをしておる、ただいまも申し上げたとおりでございますが、やはりこの大都市周辺、大都市あるいはその周辺というところにそういったところが集中してきておるということでございまして、全国的な状況と鹿児島県の状況というものは残念ながら格差があるということでございまして、そういった観点から特に六十三年度の県の当初予算の編成につきましても、なけなしの貯金を百億円取り崩してまで公共投資あるいは県単独の公共事業と、こういった面の拡充を図ってまいった次第でございます。  年度後半におきまして、国全体としての景気の息切れと、こういうことが大懸念される向きもあるわけでございますし、結局、今の景気がこれまでの日本経済と違いまして、内需で引っ張って来ておるということでございますので、この内需の牽引力が息切れを来さないかどうか、これはまことに我々にとりましても非常に関心の深いところでございまして、国全体としてそのような息切れということになりますれぱ、当然追加補正と、こういったこと等も出てまいりましょうし、本県の場合におきましては、そういった国全体の動きを見ながら、例えばこの交付税の傾斜配分等財源の確保に努力をしながら、息切れが生じないようにひとつ努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、ただいま若干申し上げたことでございますが、六十三年度の当初予算の編成に当たりましては、県税や地方交付税等の歳入の確保に全力を挙げながら、新総合計画、御指摘のとおり六十、六十一、六十二、六十三年度でありますから、四年度目ですね、四年度目でございますので、これの着実な推進を図ってまいる。また、特に社会資本の整備が本県はまだ立ちおくれておるわけでありますし、また新たな行政需要というものもございますので、これの適切な対応ということも考え、さらにはNTT資金臨時道路交付金の導入活用などによりまして、公共事業あるいは県単公共事業のできるだけの確保ということに努めまして、国の予算あるいは地方財政計画の伸びを上回る六・五%の伸び率を確保できたところでございます。しかしながら、財政状況は依然として厳しいわけでございますので、ただいまも申しました百億円の貯金の取り崩しをしておりますが、さらに歳出面の節減に引き続き努力をいたしますとともに、国に対して地方交付税等地方財源充実強化と、地域の実情に即した配分をお願いをしてまいる。究極的にはやはりテクノポリスを初め、本県の産業基盤の充実強化を図ることによりまして、県税取入の増を図ってまいる。いわゆる税源の涵養に当たってまいりたいと、考えておる次第であります。  次に、本県の民間活力の導入でありますが、本県のように経済力の弱い地方では、民活、民活と申しましてもなかなか容易でない面がございますが、できるだけ民間活力の導入にも努めなければならないと、こういうことで、例えば国際火山会議関連等におきまして、民間と一体となったイベントと、こういったものを活用してまいる。あるいは、海洋牧場実験、あるいはこれから進めてまいりますバイオテクノロジー、こういった面等につきまして、あるいはハイテクノロジーにつきまして、民間と協力して新技術の研究開発を進めてまいる。またこれから進めてまいります南薩サンリゾート、あるいは南種子の複合リゾート、鹿児島港のポートルネッサンス21と、計画調査と、こういった面等におきまして、民間資本の導入をどう図ってまいるかということをひとつ調査実現を進めてまいりたい。  さらに年来資金的な充実を図ってまいっております鹿児島県産業技術振興協会、これも十一億円余りの基金が積み上がりますので、これを活用した民間の研究開発を促進することによって、将来の芽を培っていくと、こういうことを考えておる次第であります。  次に、国民健康保険の問題でありますが、これにつきましては結論的には低所得者につきまして、保険料を軽減をしておる。保険料、保険税でありますが、この軽減が毎年毎年大きくなってまいりますと、結局、低所得者以外の保険税、保険料というものが負担が大きくなっていくわけであります。そこでこの低所得者にかわる軽減保険料につきまして、新たに国、県それと市町村の一般会計、これで分担をするという制度が導入されることによりまして、当面、保険料、保険税のこの負担が上がっていくことを食いとめると、こういう面から県としても協力をしようじゃないかと。それともう一つは高額医療費の共同事業につきまして、都道府県が参加をすると、それからこれにつきましては、いろいろとこれから物差しをしっかり決めていかなければならないわけでありますが、年齢構成による以外の要因による国民健康保険の医療費が高いと、これにつきまして、高い分について負担をすると、こういったこと等につきまして、二年間御指摘のとおり都道府県の負担導入ということで決着を見たわけでございまして、これによりまして、本県の負担を生じますものは先ほど申しました軽減保険料への補助と、それから高額医療費、共同事業、この二つでございまして、今年度における本県への影響額は十億七千万円と推計をいたしておる次第でございます。  なお、これにつきましては、全額地方交付税で措置をするということで昨年末の地方財政折衝で決着がついた次第でございます。  次に、昭和六十一年度来とられておりますところの国庫補助負担率の引き下げに伴う本県への影響額は、昭和六十三年度で約二百六十億円と推計をいたしておりまして、これにつきましては、前年に引き続き地方たばこ消費税の税率引き上げ措置の継続、地方交付税の特例増額及び建設地方債の増発によりまして、措置をすることとされております。次に、県庁舎の整備の問題でございますが、これにつきましては、広く県民の意向を反映した定義、提言をいただきますために、県議会の代表の方々や学識経験者の方々を含めまして、この協議会を新年度早々にも設置をいたしまして、その協議会におきまして、建設の位置、規模等県庁舎整備の基本的な事項につきまして、御論議を賜りたいと考えておる次第でございます。  また、庁舎建設基金につきましては、六十二年度三月補正予算で五十億円の新規積み立てを行うこととしておりますが、今後の積み立て計画といたしましては、建設の具体的なスケジュール、あるいは今後の財政見通しを見ながら、逐年積み立てに努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、県の行政改革のうちの出先機関の問題についてでございますが、現在、各出先機関ごとに地域の関連も考慮いたしまして、効率的な行政のあり方を考えながら、調査研究を進めているところでございます。一つは基本的な方向といたしましては、若干の県で効果を上げておられますが、地域振興局的に地域ごとの総合事務所というものをつくってまいる。そこに権限の思い切った委譲をやって、一々県庁までおいでにならなくても出先で用事が済むと、こういったことも一つの理想形といいますか、いうことで私どももあるべき姿ということで検討しておるわけでございますが、他方におきまして、本庁の機構改革と違いまして、出先の場合には、こう言っちゃ何ですが、どんなささやかな出先機関でも持っていかれちゃ困ると、こういった限りない愛着のお気持ちがございまして、大変ありがたいことでございますが、そういう地元感情というものをどう考えながら、しかしこれだけ交通状況もよくなってきておるわけでありますし、小さいものがばらばらとあるよりある程度それを束ねてやった方がこれは三本の矢よりも十本の矢でありますので、効率的な住民サービスの行き届いた行政というものができると、こういったことにつきまして、皆様方のまたお力添えもいただきまして、地域住民の方々の御理解をいただきながら、出先機関のこの問題に取り組んでまいりたいと考えておる次第でございますので、これまたよろしくお願いを申し上げる次第でございます。  次に、鹿児島国際火山会議、いよいよ七月の十九日ということで迫ってまいりましたが、現在三百七十件の論文の発表の申し込みがございます。そのうち海外からは二十七ヵ国、百七十七件の申し込みがございまして、現在会議のプログラムや運営方法の詰めを行うことにしております。  また、関連イベントといたしまして、活火山特別展といったようなものの開催、それから桜島ビジターセンターこれがいよいよでき上がりますので開設をいたします。  それから、国際消防救助隊、いわゆるレスキュー隊も参加をいたしまして、桜島火山爆発総合防災訓練、こういったものを実施をすることにいたしております。四月には、庁内に鹿児島国際火山会議実施本部を設置して、いよいよ追い込みの開催準備に万全を挙げてまいりたいと考えておる次第でございます。  このような大規模な国際会議、私ども、この三年来取り組んでまいりまして、非常に時間と労力がかかるということでございますが、現段階で二回目以降の開催について具体的な考え、私ども自身としては持っておりませんが、このような会議が、今後も定期的に行われるということで、世界の火山地域を抱え、火山問題に苦しんでおるところが、お互いに知恵を出し合い、力を貸し合うということは、これは非常に意義のあることでございますので、この会議が成功いたしますというと、こんないいものをまたやろうじやないかということが、鹿児島で二度と言われても、ちょっとこれは荷が重いところがございますが、ひとつそのような呼びかけもしてみたいと考えておる次第で、これはやはり基本は成功することが、それのかぎということであると存じます。  なお、海外からの参加者の接遇の問題でございますが、これは、ほんとにやはり鹿児島の温かい人情というものと自然をもって最大限に、余り銭金のキンキラキンの歓迎はできませんが、心のこもったほんとによか所じゃなあという、こういうやはりハートですな、ハートふうな接遇をして、鹿児島のファンを全世界につくりたい、それぐらいの気持ちで県民の皆様方にも、ひとつお力添えをお願いをする次第でございます。  私どもといたしまして、先ほどのようなイベント、こういったものにあわせまして鹿児島市でもふれあいフェスティバルを開催をしていただくとか、いろいろな催しもございますので、ひとつ会議参加者と市民との触れ合いというものを至るところでつくってゆくと、これがもうほんとのふだん着の国際交流ということでございます。  さらに、県民総参加の一環として県下全域の小中学生による火山をモチーフとした図画作品の募集展示も行うことといたしておる次第でございます。次に、火山会議を契機といたしまして、鹿児島大学にも火山学講座が開設されることでございますし、将来これを軸にしながら、やはり鹿児島は七つの活火山を抱えておる県でございますので、鹿児島大学とも連携を取りながら、大学の火山研究体制がますます充実をされまして、本県が世界の火山研究のメッカとなるように、ひとつ努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。  最後に、情報公開条例の考え方でございますが、これにつきましては、公正で開かれた県政の推進を図る、こういう観点から県議会におきましても、これまでいろいろな御論議がございました。そういった御論議を踏まえ庁内での検討、さらには情報公開懇話会での御提言を踏まえまして制度化をした次第でございます。  御指摘のとおり、この情報公開は、県民の公文書等の開示請求権を明らかにするものでございますが、同時に個人のブライバシーあるいは企業活動の保護、公正かつ円滑な行政の確保と、こういったものとの調和ということに十二分に配慮をしてまいる必要があると考えておる次第でございます。  また、情報公開制度の円滑な実施は、文書管理が前提でございますので、五十七年度以降文書管理体制の抜本的な整備に努めてまいりましたが、これを、この制度の実施段階で生かしてまいる、さらに電算による簡便な検索システムの導入を図ることとしておるところでございます。また、請求権者、対象情報、実施機関の範囲、あるいは適用除外事項の決め方など、制度の内容につきましては、情報公開懇話会の提言や既に実施をいたしております県での実例等を踏まえまして、社会通念上県民の理解を得やすい考え方をとっておる次第でございます。  それと同時に情報提供施設、情報収集活動の推進を条例に取り組みまして情報公開という問題を総合的に展開をすることといたしておる次第でございますので、よろしく御審議のうえ適切な御議決をいただきますようお願い申し上げる次第でございます。 5 ◯総務部長(澤井安勇君)NTT資金の活用についてでございますが、六十三年度の当初予算におきましても、道路、農業基盤、港湾などの諸公共事業の財源として、合計で約百五十九億円の資金を計上してございます。  次に、公共事業費及び県単公共事業の伸び率の問題でございますが、お話にもございましたように、公共事業費につきましては、地方財政計画の九・二%に対して一〇・六%、県単公共事業費につきましては、地財計画の一二・六%に対し三四・六%の伸び率で計上いたしております。この数と国の公共事業費としてよく言われております一九・七%との考え方の問題でございますが、まず、この一九・七%と地方財政計画の先ほど申し上げました補助公共の補助率九・二%、これに差があるわけでございまして、この差の大きな理由は、六十三年度に大幅に増加いたしました臨時道路交付金、これが国の予算では公共事業に分類されておりますことに対し、地方財政計画や本県の予算におきましては、単独事業に計上いたしてございます。  それから二点目といたしまして、国の公共事業費の先ほどの伸び率のカウントの中には県の予算には計上されておりません。NTT資金活用事業のAタイプ、これは産技会計に属する産業特別会計に属する事業で、例えば地方道路公社などが行うことを想定したものでございますが、こういったAタイプの事業が国の先ほどの伸び率には含まれておると、こういうようなところから数字の差が出てまいりましたので、よろしく御理解いただきたいと思います。  次に、六十三年度の公共事業の執行についてでございますが、これについては今後示されるであろう国の執行方針などを踏まえまして適切に対処してまいりたいと存じます。  なお、公共事業の実施に当たりましては、御指摘にもございましたように、建設資材の需給動向、さらには価格の動向、雇用情勢などに十分留意いたしまして円滑な執行に努めてまいります。  次に、公債費比率の動向でございますが、国の財政中期展望などを参考として、一定の前提をおいた推計を行いますと、昭和六十二年度あたりが、そのピークと見込まれております。また、それ以降緩やかに減少してゆくのではないかというふうに私どもとしては考えております。この公債費のほかにも人件費、扶助費を含めましたいわゆる義務的経費全体の伸び率については低下してきておりまして、今後とも県債について、その発行ないしは既発行条件の見直しなどその適切な管理に努めるほか、既存の事務事業の見直しなどを進めることによって財政の健全化に一層努めてまいる考えでございます。  次に、情報公開の関係でございますが、まず第一点目の適用除外の考え方でございます。適用除外事項を定めるに当たりましては、原則公開という制度の趣旨に沿いまして、合理的な理由のある必要最小限度にとどめるという考え方を基本としております。  また、個々の情報の開示、非開示の判断基準となるものでございますので、恣意的な運用を避けるという考え方も必要でございまして、そういう意味からできるだけ具体的限定的に定めて九項目の類型を行ったと、こういう考え方でございます。  また、既実施県の中には合議制機関情報であるとか、非公開条件の情報についての規定がないという県も確かにございますが、これらの県におきましても運用上はおおむね適用除外の取り扱いをしておりまして、本県の取り扱いは大筋において他県と差異がないものというふうに考えております。  また、自己情報の開示につきましてはプライバシーに関する保護制度が十分確立されていない段階で、個人情報の開示という部分だけを取り入れるということは適当ではなく、また自己情報の範囲運用面での問題なども指摘されておりますので、今回は見送っているわけでございます。しかしながら懇話会の提言におきましても、できるだけ早い時期に自己情報の開示ができますよう努めるべきであるという御提言をいただいております。  また、国におきましても、いわゆる個人情報保護法の制定の動きもありますので、これらの推移を踏まえまして、今後適切に対処してまいる考えでございます。  また、磁気テープ、ビデオテープ等の取り扱いでございますが、これらにつきましては、開示できない部分、情報のうち開示できない部分を除外して公開するということが非常に困難でございます。また、特に磁気テープについてはデータ保護の観点から特別の管理が必要とされております。また、情報の出力には特別のプログラムを必要とするなどの問題点が存在いたしまして、現段階では、これらについては対象情報から除いております。  また、過去の文書の取り扱いでございますが、これについては、各実施機関において、保存機関ごとにまとまって検索資料が作成された段階から逐次対象としてまいりたいと考えております。  次に、開示の方法に関連いたしまして、閲覧方法の御指摘がございましたが、この閲覧については、請求に基づく閲覧につきましては、指定された期日におきまして、窓口で閲覧していただく、ないしは郵送による閲覧といいましようか、交付、これが原則となっております。しかしながら御指摘にもございましたように、ごぐ簡便なものについての取り扱いについてでございますが、これらについては、情報提供という形で、その窓口でのリアルタイムの閲覧という方法が考えられないか、今後検討してまいりたいと、こういうふうに思っております。  また、審査会の委員会の任命に当たりましては、審査の公正性が確保できますように、行政機関以外の学識経験者等から任命をしたいと考えております。  最後に、情報公開制度に関する県民への周知、職員への意識啓発の問題でございますが、この制度が目的どおりに適正に運用されるためには、利用する県民の皆さん、また制度を運用する県職員、これの双方が制度の目的、内容等を十分理解することが、不可欠な要件だと思っております。したがいまして、今後その運用手引きなどを作成いたしまして、あらゆる機会を通して県民の皆様、また職員に周知を図ってまいる考えでございます。  公安委員会実施機関から除いた理由でございますが、業務の特殊性から一般に犯罪捜査等にかかわる公開になじまない情報が、大変公安委員会の場合には多いわけでございます。また、他の都道府県警察との相互協力が義務づけられておりまして、本県のみが実施機関となることは、業務遂行上の統一性を欠くというような理由がございまして、他県同様実施機関から除外してございます。 6 ◯警察本部長(山崎 毅君)御指摘のとおり治安をめぐる諸情勢は年々厳しいものがございます。そのために県警では、昭和六十三年の運営重点目標を県民の期待と信頼にこたえる警察の確立ということを運営指針といたしまして強く、明るく、親切にをモットーに六つの重点目標、すなわち交通死亡事故の抑止、少年非行の防止、盗犯の予防と検挙の向上、これは泥棒の事案であります。暴力団組織の壊滅、覚せい剤事犯の絶滅、テロ、ゲリラの根絶を掲げまして組織を挙げて取り組んでいるところでございます。  また、こうした重点目標を効率的に推進をするためには、活動の基盤整備が必要でございますので、御指摘にありました少年課を四月一日に新設する予定にいたすなど組織体制の整備充実に努めておりますほか、コンピューターを活用した各種照会システムの整備拡充、微物鑑識のための高性能分析機材等の導入を図りますとともに警察車両の計画的整備に努めているところでございます。  また、活動基盤になります警察施設につきましても、長期的な展望のもとに計画的な整備を図ってきておるところでございますが、昭和六十三年、六十四年度に川内警察署を移転改築したいということで予算をお願いをいたしておりますほか、派出所、駐在所等の整備を行うことといたしておるところでございます。今後ともこうした基盤整備につきましては、県議会並びに県当局の御理解御支援を得ながら努力をいたしてまいりたいと考えております。  次に、交通安全対策でありますけれども、現下の厳しい交通情勢に対処するために、本年は従来からの諸施策の見直しと的確な事故分析の上に立って、交通の現勢に対応した諸施策というものを積極的に推進をして、交通事故の防止と交通の円滑が調和された安全で快適な車社会の実現に努めたいと考えておりますけれども、特に交通マナーと安全マインドというものを向上させる安全教育、それから高齢者対策、また安全施設の整備、合理的な交通規制、さらに若者を中心とした飲酒暴走など無暴運転の封圧、運転者対策の充実強化等を重点といたしまして、総合的効果的な交通事故抑止対策を関係機関団体との連携を、さらに密にしながら推進をしてまいる所存でございます。    〔溝口宏二君登壇〕 7 ◯溝口宏二君 それぞれ御答弁いただいてありがとうございました。  財政の関係でありますが、お話のとおり景気拡大基調の中で、本県も六十二億円という県税の追加補正ができる程度に回復してきているのかなあというふうにも思いますけれども、六十三年度の県税の伸びの七・一%というのは、地方財政計画でいうところの一三・九%、処およそ半分ということでありますから企業活動等のさらなる活発化の必要性を痛感いたします。しかも自主財源の割合は二七・九%、三基金の残高十六億円、県債の六十三年度末残高四千六百五十八億円という見込みなど、状況は厳しいものがあります。引き続き行財政の見直しの徹底、歳入の確保ということに努めていただくとともに効率的な、また着実な予算の執行によって鎌田県政三期目を円滑に締めくくっていただくことを重ねてお願いを申し上げておきます。  続いて行政改革の推進でありますが、特に出先機関の再編は地域住民に対するサービスの向上と、その充実を基本として私どもの意見も十分に反映していただくようお願いを申し上げておきます。  初めての国際火山会議、その成功に向けてぜひ頑張ってください。  なお、情報公開条例に関して議会の対応でありますが、議会は議決機関であって、執行機関とその性格を異にし既に本会議、あるいは委員会等の会議録もすべて公開されていることから、あえて実施機関になる必要性はないと、我が党は考えていることを申し添えておきます。  次に、企業誘致の推進であります。ことしもまた多くの若者がふるさとを後に県外に出て行く春がやってまいりました。社会人として旅立つ我が子に祝福を贈る気持ちと裏腹に別れの寂しさが込み上げて、御両親は複雑な気持ちでしょう。雇用機会の創出、そして確保が地域社会の活性化にとって、いかに欠かせないものであるかは、論をまたないところであり、とりわけ企業進出に対する期待は大きいわけであります。企業誘致は中央との時間、距離が大きく影響することから新幹線や高速自動車道などの整備を急がなければならない一方で、企業誘致の優遇制度を強化し、地域性を加味した工夫をこらす必要があるのではないかと考えるのであります。  例えば、我が党がさきに提案した用地リース制度の導入などの検討は、どのように進みつつあるものか、また本県の優遇制度は製造業とマイニングの工業に限って適用されておりますが、産業構造の三次産業化が進んでいる今日、その立地が真に地域の振興に役立つものであれば、門戸を広げてソフトウェア産業やレジャー産業などについても検討対処すべきではないでしょうか。昭和六十三年度の企業誘致の見込みについては、我が国経済が、拡大局面に入り、企業の設備投資意欲も旺盛であることから今後の企業誘致に明るい展望が開けてきたと思うのでありますが、いかがお考えでありましょうか。  また、農村地域における安定的な就業機会の増大を図る農村地域工業導入基本計画について見直しが近く正式決定されるやに聞いておりますが、改正のねらいは何か。また、質の高い優良企業の誘致を進めるには、先端技術の担い手となるすぐれた人材の確保を進める必要があり、人材育成センターや職業訓練短期大学校などの活用と並んで即戦力となる大都市からのUターン技術者の確保が望まれるわけであります。過去三回、このUターン調査が実施されてまいりましたが、調査結果はどのように活用されているのか。また昭和六十三年度新規のUターン対策相談員の配置に期侍するものでありますが、どのような対応になるのかお尋ねをいたします。  なお、国分上ノ原テクノパークについては、その立地展開のいかんが、国分・隼人テクノポリスはもちろん、本県工業の今後の展開に与える影響が大きいものと考えられることから計画的な立地が図られるよう特段の取り組みを強く要請しておきます。  次は石播の進出問題についてであります。  石川島播磨重工業の鹿児島臨海一号用地への本格的立地進出問題については、十二月議会でいろいろ議論がなされました。結論として石播に対し昭和六十三年十二月末までの早い時期に具体的利用計画の提出並びに速やかな着工が図られるよう、また、知事にはこれに対する善処方の要望決議がなされたわけであります。実情調査のため十二月九日に石播本社を訪問した県議会の代表に対し、鹿児島ブロジェクト検討委員会を、年明け早々にも発足されて早急に利用計画の立案をスタートさせたいとの説明があったことについて、約束どおり鹿児島プロジェクト検討委員会が設置されたと聞くところであります、ついては本検討委員会の組織及び活動の状況と今後の計画をお聞かせ願いたいのであります。  次は、教育における国際化への対応について教育長にお尋ねをいたします。  近年、経済や文化などあらゆる面での国際的なつながりが強まり、国際的総合依存の関係がますます深まっております。国際社会で生きてゆくために大切なことは、まず外国語の力を身につけること、そして、もっと外国のことをよく知ることが先決だと考えます。読み書きはできても話せない。日本の英語教育は、英語の奇形児をつくっているようなものだとする上智大学クラーク教授の指摘もあります。日本国内を自由に旅するように自由に外国を旅し、自由自在に話ができたらどんなにか楽しいことだろうと思います。英語教育の実効を上げるため、その先生にすぐれた人を得ることも大事であります。竹下首相はかって郷里の中学で英語教師の経験があるそうでありますが、さきの訪米中、私に習った生徒は気の毒だったとスピーチされておりますが、それでは困るのであります。本県では、現在外国人英語指導助手との共同授業が行われているところでありますが、少ない人数でどのように効果的な授業が行われているものか。また所期の目的達成のためには、それなりの人数が確保されなければならないと考えるのでありますが、今後の取り組みをお伺いいたします。  続いて青少年の健全育成と牧ノ原学園問題についてお尋ねいたします。  近年の目覚ましい経済繁栄の中で育った青少年は、過保護に育てられ、そのために年齢に相応した自立心が育っていない者が多く、また協調性、連帯感、思いやりの心、感謝の気持ちなどが乏しいことが指摘されております。青少年には無限の成長の可能性があると同時に、また無限の堕落の危険性も潜んでいる。そこに教育の持つ重要性があると思うのであります。  本県においては、これまで心身ともに健全な青少年を育成するために郷土の持つよき伝統や風土を生かした教育が推進されてまいりました。その中で郷中教育における健全育成の気風と異年齢──年齢の異なった──集団の中での切磋琢磨の伝統を現代に生かそうと、昭和五十五年度から青少年自立自興運動を提唱され、各種の事業を鋭意推進していただいておるところであります。問題は、これらの青少年教育や自立自興運動が本当に青少年の体の中に、心の中に定着し血となり肉となって青少年自身のものとして芽生え成長しているかということであります。本年度も今まさに大学入試の時期を迎えておりますが、本県は全国的に見て大学合格率はトッブを行くと言われている反面、合格後の留年もまた他県に比べ非常に多いことが報ぜられております。高校時代の詰め込み教育が本当に身に着いていない、先生に言われればするが、みずからはしようとしない世に、これらの若い世代を新人類といっているようでありますが、私ども旧人類とは相当違った人類であることを、まず認識する必要があると思うのであります。新人類の特質を十分わきまえた上で教育あるいは運動を検討し推進することの重要性について、旧人類の知事並びに教育長はどのようにお考えであるか承りたいのであります。  ここで一点だけ御要望を申し上げておきます。  それは教育委員会関係新年度も数多くの新規事業を意欲的に推進されようとしておられることはよくわかります。いわくサンライフ生き生きシルバースポーツ事業、自然にいどむ青少年の旅、無人島アドベンチャー、未来をつくる文化財ウォッチング、緑の心のふれあい事業等等であります。さすがに教育委員会、このネーミングは大したものだと敬服しているのでありますが、それでは、これまでの事業、例えば鹿児島の子供、朝読み夕読み、われは海の子大きな心。鹿児島の中学生一日一汗、山坂達者など発展的に拡大、あるいは組みかえられたものと十分見受けられるのでありますが、果たしてしりつぼみになったり、いつの間にか忘れさられてしまった事業はないでしょうか。スクラップ・アンド・ビルドということも、よく理解できますが、教育という観点からすれば息長く時間をかけて地味に続けてこそ、その効果も上がるのだということを、今一度振り返って新規のものばかりにとらわれることなく頑張っていただきたいのであります。  次に、牧ノ原学園の問題であります。  昨年十二月県立牧ノ原学園で園生が死亡し、これに関連して職員七人が起訴された事件は、社会に対する適応性を欠いた児童を社会の健全な一員として教育保護しなければならない施設で起った事件だけに、極めて残念な出来事でありました。県では学園の再建に向けて児童福祉に経験の深い職員や教職員経験者を教護職員として発令し、先月十九日には副知事を委員長とする牧ノ原学園対策委員会が学園の改善等に関する報告をまとめられました。そこで報告の中の、児童の処遇や運営改正の改善など学園の正常化と県民の信頼回復について御説明をいただきたいのであります。  なお、今後とも学園の状況を見守ってまいりたいと存じますが、根本の問題は青少年の非行を、どのようにしてなくするかということであります。その後における牧ノ原学園の状況が続出する無断外出の見出しで、地元紙に報ぜられておりましたが、竹刀でたたいても外出はとまらないし、これを緩くしてもまた外出はなくならない。問題は体罰の強弱ではなく子供たちの心に届く教育の強弱にあるのではないでしょうか。この点、濱里教育長はかねて心の教育を訴えられ、子供の心に響く対話を強調しておられますが、今回の牧ノ原学園問題を踏まえ青少年非行に対する対応についてお聞かせ願いたいのであります。  次に、特産品の振興についてお尋ねをいたします。  地場産業の振興は、企業誘致と並んで地域経済活性化のかぎを握るものとして期待され、このため県においては特産品の振興並びに地域産業興しをその柱として物産観光展や県産品紹介、ふるさと特産運動などを展開されているところであります。今や特産品による地域興し、むら興しは日本全国津々浦々血眼になって行われており、ただ単に物をつくりふるさとらしさを強調しただけでは売れる時代ではありません。同じ物をつくっても形、デザイン、ネーミングで売れ行きが大きく違う時代であります。
     例えば、今、あきた小町という新しい品種の米が売られているそうでありますが、これが農林○○号では、果たしてこのような人気が出たでありましょうか。また、森恵英やピエル・カルダンというような有名デザイナーのデザインを起用した商品が数多くあり、その売り上げが急増しているのであります。県においても特産品に対する評価の把握に努められていることにかんがみ、主要な評価、注文の内容と、これについてどのように取り組んでいかれるのか、しょうちゅうにかかわる酒税の改正や県産の本格しょうちゅうのシェアの低下、大島つむぎの依然として続く低迷などの厳しい情勢を踏まえつつ特産品の振興、特に販路拡大の方策についてお尋ねをいたします。  なお、特産品の販路拡大に当たっては、特産品の展示機能の拡充が欠かせないところから、産業会館の中に常設展示場の整備についてお伺いをいたします。  現在の展示場は場所が狭いため、新しい特産品を展示する余裕がありません。また、観光客の利用する大型バス等の駐車場もありません。車時代を考えるとき県外客は言うに及ばず県内の人々さえ利用しにくい状況にあります。県産品の総合展示場の整備は、新総合計画の後期計画で対応をされると聞いておりますが、後期の早い時期に建設するには、建設場所や内容を検討してもよい時期に差しかかっていると思います。でき得れば単なる品物の陳列場だけではなく実演や訪れた人々の試作実習もできる勉強の場をあわせた展示場を希望するものでありますが、どのような御意向を持っておられるかお伺いをいたします。    〔知事鎌田要人君登壇〕 8 ◯知事(鎌田要人君)企業誘致の問題でございますが、これにつきましては、今同じような状況にあります各県、いずれもしのぎを削っているところでございまして、そのようななかで優良企業の立地を促進いたしてまいりますためには、すぐれた工場用地の確保と優遇制度の整備充実が必要でございます。  工業用地リース制度でありますが、これは何と申しましても、企業にとりましては初期投資がそれだけ軽くて済むと、こういう利点がございますので、三月中に分譲を開始する国分上ノ原テクノパークを初めといたしまして、県あるいは県開発公社、鹿児島開発事業団が所有をしております工業用地につきまして、このリース制度を創設することといたしたいと考えております。  また、現在の優遇制度につきましても、創造的な技術蓄積の技術基盤の整備、あるいは産業のソフト化等への対応といたしまして、製造業のほかに研究開発施設やソフトウェア産業等も対象としておるところでございますし、今後とも企業のニーズに対応しながら優遇制度の充実に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、六十二年度の誘致企業件数でありますが、二月末現在で前年同期よりも二件多い十六件の立地が決定をしたところでございまして、年度末までには、さらに数件の立地決定が見込まれるところでございます。六十三年度におきましては、国内の景気も先ほどお話がございましたように拡大局面にございますので、県といたしましては優遇制度の充実など、誘致条件の整備を図るとともに市町村や関係団体とも一体となりまして、ひとつ粘り強く積極的な誘致活動を通じて、一社でも多くの企業を引っ張ってまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、このUターン意向調査の問題でありますが、昭和五十八、六十、六十二と県外で就職中の本県出身の研究あるいは技術者約五千人について、その家族を通じましてUターンの意向の有無を調査したところでございまして、回答率等の関係もございますが、この結果、全体トータルしまして千二百人を超えるUターン希望者がいることが明らかになっております。これらの調査結果につきましては、県産業技術振興協会を通じまして、Uターン人材を必要とする県内企業に対しまして、参考として情報提供を行ってきておるところであります。新年度からは県が行っておりますところのUターン意向調査等の結果を鹿児島人材銀行に提供いたしますとともに、同行それから東京、大阪、名古屋の県事務所に新たにUターン相談窓口を開設をいたしまして、Uターン希望技術者のためのあっせん体制を整え、これがUターンを、促進を図ってまいりたいと考えておる次第でございいす。  次に、石川島播磨工業の問題でございますが、これにつきましては、提案理由でも申し上げましたように二月一日に鹿児島プロジェクト検討委員会を設置したところでございますが、同委員会は副社長を委員長とする役員十二名で構成をされておりまして、その下部組織として関係部長十名で構成するワーキンググループが設置をされております。この委員会は毎月一回開催、ワーキンググループに対しまして具体的な作業内容を指示しながら同社が全社的に検討を行っております事業構造転換の見通しを踏まえつつ鹿児島での土地利用計画の検討作業を精力的に進めることとしている旨の連絡を受けておるところでございまして、なお私どもこれが督励に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、この新人類の特質を踏まえた青少年健全育成についての考え方でございますが、私も含めまして旧人類とか、旧石器人とか言われるわけでありますが、このいわゆる旧人類と新人類との決定的な相違というのを、実は先般もある教育専門の方と話をしておりまして、我々この旧人類の場合には、やはり梅干し弁当、貧しい時代に育って貧しい中から歯がみをしながら頑張ってくるということで、いわゆる貧しさとのつき合い方といいますか、貧しさにつき合う方法というのは、大変我々はこの豊かであります。それだけにこの豊かさに対応しては、ちょっととまどってしまう、新人類というのは、我々と違いまして、生まれたときから特に最近の世代は高度成長期の時代におぎゃあと生まれたと、こういった世代でありますというと、我々のように物がない、ないから我慢をすると、こういうことがない。あるいは子供さんも少ない中でありますので、親が過保護になるということで、どうしてもこらえしょうといいますか、これがない、あるいはちやほやちやほやでありますので、我がよりか上はおらん、自分中心と、こういうところ、したがって人の痛みがわからない。そういうところがあるわけであります。ただ、これは私はいつも言うんですが、昔の五千年前のエジプトから出た古文書の中にも、「今どきの若い者は」というのがあるんだそうです。でありますから、ある意味においては、父と子といいますか、親と子といいますか、この世代間のギャップというのは、ある意味においては、人間の宿命、それが特に高度成長の時代、あるいは豊かな時代というものがございますだけに、そのギャップは今非常に大きいと。しかし人間の基本というのは、私はやはり変わらないと思うわけでありまして、おべんちゃらを言うわけではありませんが、今のやはり若い者には我々にまたないいいものも持っております。物おじをしない、何でもチャレンジをする、こえなこっじゃ、げんなかどと我々が思うことも、げんなみちは知らんというところもありますので、いいところはいいところとして伸ばしてやってですね、何よりもやっぱり我々の時代と比べて我々のころは、情報がまことに足りない、あるいはこの化学の実験、理科の実験でもですね、実験道具なんというのは、これはなかなか貧しいものでありまして、ところが今は金さえあればあるという時代、そういう意味では、やはり私のいつも言うコンピューターのごとき頭を養うのにはいい時代ということでありますので、せっかく県として、いわゆる青少年自立自興運動を通じて、異年齢間の切磋琢磨と、こういったこと等も含めてやっておりますので、これをやはり若い者たちが、こういうことが必要だという、そこをどうこう納得をさせるかということでありまして、そこのところは我々のやはり務めと、家庭の務め、社会の務め、学校の務めと、そういうことで、やはり若い者たちを、自分たちの後を背負ってもろうのは、これしかいないわけですから、私は先般中国に参りまして、中国の人たちが異口同音に若い者たちに対する呼びかけを聞いておりまして、ああよかこっ言うもんじゃなあと、私もひとつ頂戴をして、拝借をしたいと思っておりますのは、「青年は我々の未来であります」と、こういうことを常に言うわけですね、これをやはり我々はかみしめながら青年たちも、また我々の未来だというこの期待にこたえてもろう、そういう面でのひとつ努力をしてまいらなければならない。メニューは私は口はばったいことを言うようでありますが、青少年自立自興運動の中で結集されておるメニューというものを立派にやれば、これは日本一、世界一の青少年が鹿児島から育っ立派な素地があるという気持ちでおります。  次に、牧ノ原学園の問題でございますが、時間の関係がございますので、かいつまんでどのような改善策を講ずることとしたのかということを中心にお答えを申し上げたいと思います。  まず、この第一は、処遇方針の確立の問題でございまして、個々の入園児童が持っている非行の原因背景等を踏まえまして、児童の個性を尊重した処遇方針というものを、これを個々の子供さんごとに確立を図ってまいると、これももちろんこれまでやっておったことでありますが、これをさらにひとつ緻密にやりますと同時に、やはり親御さんがその関係、あるいは出身学校の先生方との連携、これを一層密にすると、こういったことから、ひとつできるだけ来園の機会を多くしていただいて、子供との接触を多くしていただく、あるいはそのための学園だよりと、こういったものでひとつつないでまいるということが基本、それから日課についてでありますが、これは生活、学科、作業と三つの指導面があるわけでございますが、生活指導面におきましては、やはり学園生活の中で体を動かし汗を流す喜びや生きがいを見出せるように配慮をするとともに、児童のゆとりのある時間配分というものを通じまして、学園生活が楽しいと思えるような手づくりの夕食会、あるいは社会見学等の実施、あるいは作業指導分野、こういった面におきましても、木工、料理あるいは機械、解体、修理と、こういった新たな指導分野を増設をしてまいる、また学課指導の面におきましても、児童の能力性向に対応したクラス編成を行うほか、各寮における学童室の増築など学習環境の整備を図ってまいりたい。特に近年女子児童の非行増加傾向と相まちまして、その非行の内容も複雑多様化して参っておりますので、指導課を二課に分けまして、男女別の指導体制の充実を図ってまいりますと同時に、女性職員によるきめ細かな指導充実のために保健婦や女性教護職の配置など、女性職員の積極的な登用を図ってまいります。  また、教育委員会との人事交流を積極的に進めてまいります。  さらに、学園の適正な運営を図りますために、学識経験者からなる教護相談委員を設けまして必要な助言指導をいただくと、さらに職員の資質向上を図りますために研修機会の充実、さらにまた寮運営の責任体制を明確にするために各寮長を職制上格付けをいたしますと同時に、指導課職員の勤務体制を見直しまして、職員全体の意思疎通を図ってまいると、こういったこと等を中心に改善を大急ぎで進め、その効果の定着を図ってまいりますが、さらにまた、絶えず問題点をお互いに事前に発見をし、これに対して時を失せず改善を加えてまいる、改善是正を加えてまいることを通じまして、学園本来の使命が十分に達成できるよう常に努力をしてまいりたいと考えておりますので、特に関係機関初め県民各位の御理解と御協力を改めてお願い申し上げる次第でございます。  次に、特産品の振興の問題でございますが、これにつきましては御指摘のとおり鹿児島県の特産品として、つむぎ、しょうちゅうなど定着をしておりますものの、質の充実、あるいはデザインの改善と、こういったもの等での販路の拡大を図りますと同時に、新しい県産品をつくり出していくということが必要でございます。そのためにはせっかく県の工業技術センター、立派なものができ上がったわけでございますので、こういった工技センターなどの試験研究機関による研究開発、あるいは指導の充実、こういったものを図ってまいりますと同時に、関係の事業者の皆様方も積極的にこれを活用していただくということをお願いを申し上げたいのであります。  また、ふるさと特産運動等の推進によりまして、さらにひとつ新製品をつくり出してまいると、それと同時にファッションの時代、付加価値の時代でございますので、デザインの高度化を図ってまいると、せっかくいいものがあってもどうもやぼったいと、手が出ないと、こういうこともございまして、特に六十三年度におきましてはデザインの高度化のための事業を進めることにしております。  また、販路拡大につきましても、全国各地での物産展の開催、パンフレットの発行、あるいはふるさと小包便の推進、鹿児島の夕ベ等を通じましての薩摩大使の活用など、積極的にこれまでも取り組んできておりますが、これは合わせまして六十三年度は新たに大消費地における流通業者との商談会の開催、あるいは主要都市における本県特産品の取扱店、ガイドブックの作成、生産流通に関する情報誌の発行と、こういったこと等を通じまして、積極的な銘柄の確立と販路の拡大に努めてまいりたいと。  また、ことしは香港の商談会に続きまして、新しくマレーシアとの間も商談会を開催し、シンガポールとあわせまして東南アジアに対する県産品の売り込みということについても努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、県産品総合展示場の建設の問題でございますが、現在御指摘のような実演、体験等の機能を含む先進地の事例など、基礎的な資料収集等も行っておるところでございまして、できるだけ早い機会に基本構想を取りまとめまして新総合計画の後期におきまして、これが促進を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。 9 ◯農政部長(日高一夫君)農村地域工業導入基本計画の見直しについてでございますが、御案内のとおり、この計画は国の農村地域工業導入基本方針を受けまして、五年ごとに見直しを行っておるところでございます。本年度は第三回目の見直しということになりますが、見直しの要点といたしましては、近年における産業の高度化や情報化社会に対応いたしますため導入業種として従来の一般機械器具、電気、機械製造業種等に加えまして、技術先端型業種、エレクトロニクスあるいはメカトロニクス、こういった業種で雇用効果の大きな内陸型の業種、あるいは対事業所サービス業、こういったような業種の誘致をも図るということといたしますとともに、全国段階農工センターの立地情報システムの活用等を促進しまして、積極的な農村工業導入を図ることといたしているところでございます。 10 ◯教育長(濱里忠宣君)まず、外国人の英語指導助手による英語教育についてのお尋ねでございますが、英語指導助手は各学校を計画的に訪問いたしまして、英語担当教員のアシスタントとしてチームを組み、生きた英語の教育に当たっております。これは生徒の学習意欲を喚起するばかりでなく、担当の教員をも触発、刺激いたしまして、指導法の改善等にも大きな効果を上げ、活発な事業が展開されているところでございます。  この英語指導助手につきましては、国際化の進展に対応いたしまして、昭和六十二年度からその人数を二十五人に大幅に拡充したところでございますが、六十三年度におきましてもその増員を図り、教員の研修にもさらに活用するなどいたしまして、生徒が生きた英語力を一層身につけるよう努めてまいりたいと思っております。  次に、御指摘のございました現代の青少年の特質につきましては、青少年教育の大きな課題であると受けとめております。しかしながら、いつの時代でも人間としての基本的なあり方は変わらないと、そういった考えのもとに知、徳、体、調和のとれた人間教育を目指す全人教育を進める必要があると考えております。そのためにこれまで実施してまいりました青少年自立自興運動や、その一環としての一日一汗運動、あるいは朝読み夕読み運動などの諸事業につきましても、さらに充実、発展させてまいる所存でございますが、加えまして来年度は御指摘のございましたように新たに無人島で十日間の生活を体験させるといった事業など、青少年事業の新しい事業を実施いたしまして、自然体験を通して生きることの厳しさを学び取らせるなどいたしまして、この豊かな時代の青少年に何が欠けているかということを問い直しますとともに、これからの青少年教育のあるべき方向を探ってまいりたいと考えているところでございます。  それから青少年非行に対する対応についてでございますが、今回の牧ノ原学園の事故につきましては、私ども教育に携る者が、それぞれの立場から謙虚に受けとめるべき深刻な問題であると考えます。  非行を犯す子供たちが最も必要としておりますものは、深い人間理解に立った真の教育愛であると考えられます。県教委といたしましては、今回の痛ましい事故を教訓としながら、子供たちが何を悩み、何を求めているのか、その訴えを共感的に受けとめまして、子供の心に届く教育を一層充実してまいりたいと考えております。特に困難な問題を抱えている学校に対しまして、重点的な取り組みを進めますとともに、各学校における指導体制の確立に努めまして、触れ合い活動であるとか、あるいは対話活動といったものなどを進めまして、師弟同行の気風を学校に大きくつくり出しまして、児童生徒の非行を減らすよう、一層の努力を重ねてまいる所存でございます。    〔溝口宏二君登壇〕 11 ◯溝口宏二君 それぞれ御答弁をいただいてありがとうございました。  最後の教育長の青少年の非行に関する御答弁も理解いたしたつもりでありますが、何はともあれやはり牧ノ原にお世話をかけるような児童生徒を、それぞれの学校が出さないと、それが私は根本ではなかろうかというふうにも思いますので、どうぞひとつ教育長の、子供の心に届く教育、その実践にさらに打って一丸となって努力をしていただきたいとお願いを申し上げたいと思います。  また、この牧ノ原学園の問題についてでありますが、亡くなられた児童の御冥福を心からお祈り申し上げます。ただここで申し上げておきたいことは、起訴された七名の元職員がそのとき私利私欲、私憤、私怨といったようなことから、その行為に及んだものでは全くなかったと理解するものであります。今回の事件にめげることなく、対策委員会の報告に沿って、新しい運営体制のもとで御苦労も多いとは存じますが、本来の指導に一層精出していただくよう御要望を申し上げておきます。  この際、ここでつけ加えて申し上げてみたいことがあります。それは県職員の活性化、つまり中級職、初級職並びに女子職員の適切な登用についてであります。  なるほど県庁に採用されるときは中級であり、初級であっても、その後の努力によって上級職をしのぐ人材も少なくないと思うのであります。女性においてもまたしかりであります。適切な登用に裏づけされたいい意味でのお互いの競争が全職員の奮起を促し、職場の活性化に、ひいては県勢の発展に大きく寄与することと考えます。今、ちょうど人事異動の検討中かとも存じますので、特段の御配慮をお願い申し上げておきます。  さて、この議会が終わりますと、ことしもまた幾人かの職員の方々が後進に道を譲って勇退されていかれます。人生の最も見どころの三十有余年を県職員としてひたすら県勢発展に御尽力いただいたことに心からの敬意と謝意を表したいと思います。今後はくれぐれも御自愛いただき、貴重な体験を生かして、それぞれのお立場で直接、間接、県勢の一層の発展のためにお力添えくださるようお願いを申し上げます。  二十一世紀、鹿児島新時代の実現に向けて、お互いにさらに頑張りましょうと申し上げて、自由民主党県議団の代表質問、午後は上妻議員にお願いして、ひとまず午前の部を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 12 ◯議長(原田健二郎君)ここで休憩いたします。  再開は、おおむね午後一時十分からといたします。         午前十一時五十五分休憩       ─────────────         午後 一時  十分開議 13 ◯議長(原田健二郎君)再開いたします。  上妻宗正君に発言を許可いたします。    〔上妻宗正君登壇〕(拍手) 14 ◯上妻宗正君 午前中に引き続きまして、農林水産問題、企画建設問題、福祉問題などについて、自民党県議団の代表質問を続けてまいります。  初めに、大きく揺れ動いている農政問題のうち、本県農業についての基本姿勢についてお尋ねをいたします。農業を取り巻く厳しい状況は、農産物輸入自由化の圧力の高まりや、円高に伴う農産物の内外価格差の拡大及び農産物輸入自由化の増大、農産物需給緩和基調などに伴う生産調整や、農産物行政価格の引き下げなど枚挙にいとまがありません。本県の場合さらに経営規模の零細性、農業就業者の高齢化といった構造的な問題を抱えており、行き先どうなるのか、どうすればよいのか、農家の不安はきわめて大きいものがあります。例えばせっかく農地の基盤整備をしても何をつくればいいのか、そして同じつくるにしても生産コストを大幅に引き上げるためにはどうすればよいのか、需給緩和のもとで地域間競争に打ちかって、よりよく販売するためにはどうすればよいのか、資金繰りに追われ生産意欲も低下し、後継者も確保されない農家が多い中で、南の食糧供給基地を目指している本県の農業について、知事はどのような認識をされているのか、まずお伺いをいたします。  ところで六十一年に出された農政審議会答申の二十一世紀へ向けての農政の基本方向は、産業として自立し得る農業の育成について方向づけを行っておりますが、その中で農業生産性の向上と合理的な農産物の価格の形成を目指し、より一層コスト意識に立脚した効率性の高い生産構造の実現を求めております。このことから本県の場合最重要課題である規模の拡大に取り組むとともに、地域輪作など営農体系を早急に確立、農家の生産意欲にこたえていけるような営農指導体制の確保が急務であります。同時に食生活の変化に対応して農産物生産の増大のみではなく、流通加工促進のための産地戦略を立てなければならないと思うのであります。このような視点に立ちながら、最近において一層厳しさを増しつつある実情に即し、これまでの取り組みをどのように総括、二十一世紀へ向けて産業として自立し得る本県農業の確立のために、当面する農政をどのように推進されようとするお考えか、具体的に承りたいのであります。  次に、農産物自由化問題についてお尋ねをいたします。  第一点はカンショについてであります。ガット理事会は二月二日、日本の農産物十品目については、自由化勧告を採択したところでありますが、日本政府としてはでん粉と乳製品の二品目については、現在の輸入数量制限を維持することとしております。しかしながら農産物の輸入自由化圧力は一層強まり、果たして我が国政府の方針をどこまで貫き通せるか、一抹の不安を禁じ得ないのであります。我々はあくまで本県農業に壊滅的打撃を与える一方的な自由化には反対であります。ついてはガット理事会の裁定についてどのように受けとめておられるのか承りたいのであります。二月十五日県におかれましてはカンショ対策本部を設置されるとともに、新年度の新規事業として加工食品用原料芋類安定生産対策事業や、サツマイモ利用高度化施設整備事業、畑作総合改善事業などを初め、前年度の二倍半の予算を計上されたことはまことに時宜を得たものであり、今後に期待するものが大きいのであります。ところでカンショ対策本部では今後のカンショの生産から流通、加工に至る総合的な方策と策定を、これから効率的な推進を図ろうとされていますが、これが具体的な取り組みをどのように進められるのか、お伺いをいたします。  第二点は、牛肉、オレンジについてであります。アメリカはガット提訴をちらつかせながら、早期完全自由化を強く要求しております。ミカンや肉用牛などを基幹作目としている本県の農家は、当該交渉の推移に強い関心を持っているところであります。そこで県は現在肉用牛にかかる経営体質の強化、特に生産コストの低減に向けてどのような取り組みをなされているのか、また新たな状況に対応して今後どのような方針でその生産振興に取り組まれるのか、お伺いをいたします。  次に、オレンジ関係については六十二年産の温州ミカンが価格が暴落して、生産者の手取り価格は生産費を償えない、時にはキロ当たり五円以下にも下がり、生産者は大変な窮地に追いやられている状況であります。そこでオレンジの自由化に対応する基本的な考え方と、長期的展望に立った振興方策をお伺いしますとともに、今回の価格暴落に対する生産調整などを含めて、県の対応を明らかにされたいのであります。また今後消費者ニーズに対応した落葉果樹など、かような果樹の振興が課題になると考えられますので、これらの振興方策についてお伺いをいたします。  次に、農業協同組合に対する指導についてお尋ねをいたします。農業者の拠点である農業協同組合の果たす役割は、ますます重要性を増してきております。したがって組合のニーズに十分に対応し、農業をめぐる重要課題に適切に対処していくためには、経営基盤の強化を進めるとともに、健全な業務執行体制が求められるわけであります。昨年はいわゆる旧鹿児島市農業協同組合問題をめぐり、県の検査指導や農協の内部監査体制のあり方などいろいろ議論したところであり、農業協同組合の健全経営の確保についても、その後どのような対応をなされているのか、大きな関心を持つものであります。このような観点から以下数点お尋ねをいたします。  まず、県は旧鹿児島市農協の問題以降農協に対する検査指導の充実強化策について、どのように努められておるのか。  次に、鹿児島市農協との合併後の昨年十月、田上農業協同組合において不正融資横領が発覚して、支店長が逮捕されております。旧鹿児島市農協問題解決のための当事者である田上農協自体において、このような不祥事が発生したことは、これまでの議会における審議経過からしましても、まことに遺憾のきわみであります。この事件の概要と知事の御所見を伺いたいのであります。  また、この不祥事は旧鹿児島市農協問題の円滑な処理についても重大な影響を及ぼすことが懸念をされます。現在の田上農協の経営状況をどのように把握され、今後どのように対応されるおつもりか。さらに旧鹿児島市農協から引き継いだ債権についてのコープファイナンスと、田上農協における回収状況と、元役員に対する損害賠償請求状況並びに全国系統農協などの支援処置についても明らかにされたいのであります。  次に、森林計画の推進についてお尋ねをいたします。県は七月策定された国の全国森林計画を受けて、地域森林計画の策定をすることになりますが、どのような方針で策定されるのか、基本的考え方とスケジュールについて、また森林整備計画を作成する市町村に対して、県としてどのような指導がなされるのかをお伺いいたします。なお、地域森林計画が策定された場合、これを具体化するためには多くの課題があるように思いますので、これについて二点ほど伺いたいのであります。  まず第一点は、林業木材産業の情勢は内需拡大策などによる住宅着工戸数の増加もあって、昨年後半木材価格は一時的に上昇したものの、合板など木材製品の関税引き下げなどによる外材シフトの進行など、依然として厳しい状況にありますが、このような中で今後木材需要拡大及び木材産業の体質の強化、並びに流通体制の整備にどう取り組まれるのか。なお鹿児島市の一木材市場において、宮崎県都城市の木材見本市が開催され、木材品の集積はもとより多くの県内の木材業者が買い付けに集まり、見本市は盛大なうちに終了したということであります。かねてから大分県、宮崎県など他県産材の移入量の増大が問題とされておりますが、この見本市が端的に示しているように、我が鹿児島県の木材製品の供給体制はお隣の宮崎、大分県に比べて著しく立ちおくれていると言わざるを得ません。林務水産部長はこの見本市開催の件をどう把握されておられますか。木材製品の供給体制についての本県の現況、今後の対応について、あわせてお答えください。  第二点は、全国森林計画では複層林施業と天然林施業の増加を求めていますので、県内の状況と今後の取り組みについて伺いたいのであります。  次に、資源管理型漁業の推進についてお尋ねをいたします。本県では県新総合計画において昭和七十年を目標にした栽培漁業の地区別構想があり、それに向けて各種の事業が展開され多くの成果を上げているところでありますが、これらの具体化を図っていく上にはまだ多くの課題が指摘されております。  まず、この地区別栽培漁業の構想を具体化するためには、各地区ごとの実態を十分踏まえた課題を抽出し、それに基づく長短期の具体的な計画を作成をして、積極的に推進することが必要と考えるのであります。現在県並びに地区ごとに栽培漁業推進協議会が設置されていますが、その後の取り組みについてお伺をいたします。  次に、魚礁の設置と種苗の量産体制についてであります。地区別栽培漁業の構想を具体化するためには、適切な魚礁の投入と優良種苗の量産が必要であります。魚礁の投入については、昭和六十三年度からスタートする第三次沿岸漁業整備開発事業の効率的な執行に大いに期待をしているところであり、ついては甑島周辺海域礁設置事業を初め、県下における魚礁の設置計画についてお示しをいただきたいのであります。  また優良種苗の増産については、県栽培漁業センターにおいて魚介類の種苗が生産されていますが、ヒラメやイシダイなどの生産は需要に追いつかない状況にあると聞いております。ついては県内種苗の需給状況と今後の種苗の量産体制の充実に向けての取り組みについて伺いたいのであります。  また昨年開催された全国海づくり大会は、成功裏に終えたところでありますが、これを一過性に終わらせることなく、これを出発点としてさらに本県の水産業の振興に取り組んでいくため、県内海づくり大会を開催するなど、積極的な推進をお願いをいたしておきます。    〔知事鎌田要人君登壇〕 15 ◯知事(鎌田要人君)再三申し上げておりますように、農業は本県の基幹的な産業ということでございまして、農業あるいは農家の生産性所得が上がっていくということが、県勢発展の大きなかぎを握るものでございますので、私も知事就任以来農村振興運動を積極果敢に展開する中で、鹿児島県の農業の明るい展望というものを築き上げるべく頑張ってきたところでございます。御指摘のとおり厳しい状況の中で、今後ともこの農村振興運動の一層の拡大定着を基軸といたしまして、まず第一はこの生産性向上のための基盤整備、水利用こういった基盤的な面の整備がおくれておるところでございますし、また施設面の整備というものがおくれておる、これが本県の農業の条件整備のやはりこの二つのおくれであります。それから三つ目はやはりこれも御指摘になりましたが、零細規模のものが多いと、こういったことから規模の拡大ということをねらいといたしましての農地流動化の推進を図ってまいる、あわせましてたくましい担い手の育成と、後継者の確保ということを考えてまいらなければならないわけでございます。さらにバイオテクノロジーなど新たな技術の開発と普及、特に本県は南北六百キロメートルに及ぶ西南暖地というこのすばらしい好条件を持っておるわけでありまして、これを含めましてまだまだこの持てる力を出し切っておらないという感じが非常に強いわけでありまして、そういう意味でリレー出荷体制と、リレー生産、リレー出荷ということも唱えて、これが実現を図ってきておるわけでございますが、こういったことを生かしてまいらなければ産地間競争に打ちかつことはできない、実は一月の下旬寒い日でございましたが、早く起きまして東京の築地の青果市場に参いりまして、鹿児島の青果物のひとつセールスマンをやってきたわけでありますが、そのときにこの鹿児島のソラマメ、キヌサヤ、こういったものが出ておりまして、これはもう全く鹿児島の独壇場ということでありまして、やはりこういったものを他産地にも先駆けて出せる、こういったものを中心にですね、よそものが出てくる前に身どこいを取ってしまうと、こういったような積極性ということも必要でございまして、そういうことも含めましての流通問題、あるいは加工問題、こういったことを総合的、計画的に展開をしてまいりまして、国際競争力のある産業として自立のできる足腰の強い農業というものを、鹿児島からこの展開をしてまいるということを努力してまいりたいと考える次第でございます。  次に、ガット裁定につきましては、提案理由でも申し上げましたように、このでん粉、牛肉調整品を含む十品目の自由化の勧告が採択をされましたことは、まことに遺憾千万、残念至極でございます。特にこのでん粉につきましては、カンショでん粉につきましては本県のカンショでん粉が全国のおよそ九割ということでございますだけに、またカンショ作の農家は本県農家の半分を占めておりますだけに、非常にこれは農業あるいはこのでん粉工場を通じまして、地域経済に与える影響も大きいということから、私も深刻に受けとめておる次第でございます。これにつきましてはでん粉、乳製品につきましては、日本国政府は自由化の留保を声明をしておるところでございますし、またその他の品目の自由化につきましても、今後のアメリカとの交渉という問題があるわけでございますが、当然この関係農業、農家、あるいは関連企業等の安定した経営が図られるように、国として万全の対応をしてもらわなければならないわけでありますし、私どももその点につきまして国に対して要請を既に再三再四やってまいったところでございます。それと同時に我々としては何ができるかということで、御指摘になりましたように、カンショ対策本部をいち早く発足をさせまして、このでん粉に過度に依存しておるこのカンショ作というものを青果用、あるいは加工用、あるいは飼料用と、こういった面での多面的な利用ということも含めまして、ひとつこの事後対応措置というものに万全を期してまいりたいと考えておる次第でございます。引き続きまして牛肉、オレンジの日米あるいは日豪間交渉、これもアメリカが自由化をいつやるかということをはっきりしなければ交渉には臨めないといったような状態で、新聞等に報道されておりますような状況でございますだけに、我々としても絶えず情報を的確につかんで、これに有事即応の対応をしてまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、肉用牛の振興の問題でございますが、御指摘のとおりコストをどう軽減を図ることによって、納得の得られる価格形成というものを図っていけるかということが基本でございますので、このために飼料基盤の充実、あるいは家畜導入事業等の活用による経営規模の拡大、あるいは生産率の向上による子牛の安定生産、あるいは授精卵移植技術などの新しい生産方式、新しい技術の導入、それから最近子牛の価格が高いということから、また新たな問題が発生をしておるわけでありますが、地域内経営内の繁殖肥育一貫生産の促進、こういったこと等で生産コストを二割ないし三割方軽減をするということを目標に、肉用牛の振興を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、オレンジの問題でございますが、これにつきましても牛肉同様私ども県といたしましては、関係県機関とも一体となりまして輸入自由化の阻止、輸入枠の拡大の阻止の運動をしてまいりますが、それと同時に果樹産地の生産基盤から流通にわたる総合的な対策の樹立を図ってまいりたい。本県の果樹振興につきましては、特に温州ミカン、過剰基調にございますので、極わせ温州などの優良品種への更新、あるいは施設栽培の拡大、また次に申し上げますが、ビワとか落葉果樹等の他の有望の樹種等への転換を進めまして、産地間競争に打ちかつ生産性の高い産地の育成を図ってまいりたいと考えております。特に当面六十二年産の温州ミカンは、まことにこれは豊作貧乏を絵に書いたようなものでございまして、この十一月以降価格が暴落をしておる、こういう状況に対処いたしますために、県といたしましては、果汁向けのミカンを当初契約の七千トンから一万四千三百トンと倍以上にふやす計画の措置を取りまして、これに必要な助成を行うことにしておるところでございます。本県のビワ、落葉果樹につきましては、先ほども申しました豆類と同じで他県に先駆けて出荷できると、こういう先発の有利性がございますので、樹園地造成あるいは優良種苗の導入、生産流通施設等の整備を行いつつ、産地の形成を図っているところでございますが、特に果樹試検場の北薩支場、これを現在移転整備を進めておるところでありますが、ここを落葉果樹の拠点の試検研究機関といたしまして、ひとつ育て上げてまいりたい。これを基軸にしまして本県の落葉果樹の発展を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。またビワにつきましては既存産地を初め、特に最近におきまして三島、十島あるいは熊毛地域、奄美と、こういった新興産地ができつつありまして、この地域の生産拡大を図りまして、奄美から出水地域に至るそれこそリレー出荷体系というものを確立してまいりたいと、それとあわせましてこの亜熱帯果樹の問題でありますが、六十一年度から大島支場でパッション、パパイヤ、グァバ等の試験を実施中でございまして、この試験研究結果と消費動向を踏まえまして、特産果樹として産地の育成を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、田上農協の不祥事発生でございますが、これにつきましては支店長が権限を乱用いたしまして、客の貯金を勝手に取り崩し、またその処理を牽制すべき立場にある事務長も一部共同して行われたということでございまして、まことに遺憾にたえない事態でございます。田上農協におきましては、現在合併再建に向けて懸命の取り組みを行っているこのきわめて大事なときに、このような不祥事が発生をいたしましたことにつきましては、私どもといたしましてもまことに残念にたえないところでございまして、検査あるいは指導の強化に努めながら、さらに役職員の研修等を通じ内部牽制組織の確立について指導をしてきたところでございますが、さらに内部牽制組織の強化、あるいは人事管理の適性化、職員のモラルの向上など、組織体制の見直しや事務処理体系、こういった面につきまして、さらに強く指導をいたしておるところでございます。要はこのような人様の金を預ってそれを適正に運用すべき立場にある者が見境のないことをやると、全くこれはもうモラルの低下、自覚がないということの一語に尺きるわけでございまして、やはりこういった問題に遭遇いたしますたびに、私どもの指導監督ということの一層の徹底を痛感いたしますが、それに先立ちまして、やっぱりしっかりした人間を取ってもらいたい、しっかりした人間をしっかりしたポストに充ててもらいたい、それと同時に内部のやはり監査体制こういうものをしっかりしてもらいたいと、でないと農協にうかうか金が預けられんと、こういったことにもなりかねないわけでありまして、これだけ金融の自由化という時代のときに、あまりにもこれは無神経なことではないかと、怒りに燃えておる次第でございますが、ただここではらけてもこれは仕方のないことでありますので、この怒りを今後の指導の徹底に生かしてまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、地域森林計画の問題でございますが、これにつきましては御指摘のとおり第八期全国森林計画に基づきまして、本県も変更を行わなければならないところでございますが、その基本的な考え方といたしましては、各地域ごとの自然条件、あるいは社会経済的な諸条件を十分配慮いたしまして、伐採齢の多様化、長期化、あるいは複層林、育成天然林の造成、並びに森林空間の総合的な利用等を背景といたしまして、新たに木材生産、水源涵養等、各種機能別森林整備の目標、複層林及び育成天然林の取り扱いなど、森林施業の基準、保安林及び保安施設等森林の土地保全に関する事項等を明らかにいたしたいと。  今後のスケジュールでございますが、大隅地域森林計画にありましては、今年度中に対応いたしたいと、ほかに南薩を初め五つの森林計画がございますが、これにつきましては六十三年度中に変更を行いたいと。さらにこれに基づきまして、今後七十の市や町におきまして森林整備計画を作成することとなりますが、これにつきましても、ただいまの私どもが計画変更を行います地域森林計画との整合性を保ちながら、適性な森林の整備の育成保全が図られるように指導をしてまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、木材の需要拡大の問題でありますが、これは私知事就任直後に県並びに地域ごとに木材需要開発協議会を設けまして、県自体といたしましても庁内各部、教育庁の関係課で木材利用推進庁内連絡会も発足をさせるなどいたしまして、公営の木造住宅、学校施設こういったものへの利用、あるいは木造畜舎等の建設促進を図ることといたしまして、かなりの成果を上げてきておるところでございますが、今後ともこの需要の開発、拡大にひとつ努めてまいりたい。また国産材の供給基地づくりを目指しまして、林道作業道等の生産基盤を整備することによりまして、コストの低減を図ることが必要でございますが、これとあわせまして流通加工体制の整備について低利の金融対策、こういったものを活用しながら製材工場の過剰設備の廃棄、生産方式の合理化等業界の体質改善を計画的に進めてまいりたい。また県内十八市場で組織されております木材市場連絡協議会等を通じまして、原木市場の拡充強化や製品市場の機能の充実に努めることといたしております。また昭和六十三年度におきましては新たに県単事業でこの川上、川下一体となりました林業木材産業振興対策といたしまして、木材産業活性化特別対策事業も実施することといたしておる次第であります。  次に、地域別の栽培漁業の具体化への取り組みの問題でありますが、御指摘のとおり昭和六十一年に鹿児島県栽培漁業協会の下部組織といたしまして、県下の八つの地区に地域栽培漁業推進協議会を設置をいたしまして、その意見も踏まえながら鹿児島湾のマダイ放流を初め、北薩、大隅地区のクルマエビの放流、西薩地区のヒラメの放流、南薩、熊毛地区へのトコブシの放流など、海域特性に適した種苗の放流を実施をいたしておるところでございます。また奄美地区の放流につきましては、六十三年度から水産試験場でシラヒゲウニの種苗生産技術開発に取り組むことといたしております。今後の計画といたしましては、短期的には量産可能な種苗の放流を豊かな海づくり事業で行う、長期的には量産技術の未開発な漁種の種苗生産技術の開発研究を進めながら、放流海域を年次ごとに県下全域に拡大をいたしまして、栽培漁業構想の達成に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。 16 ◯農政部長(日高一夫君)まずカンショ対策本部の具体的な取り組みでございますが、お話にございましたようにこのカンショ対策本部にでん粉部会、加工食品部会、青果用部会、飼肥料部会を四つの部会を設けたところでございますが、それぞれの部会での具体的な取り組みといたしましては、このでん粉部会におきましてはでん粉原料用カンショの計画生産、代替作物への転換こういったことの検討、さらにこのでん粉工場の経営並びに加工技術の改善、こういうような検討をいたします。また加工食品部会におきましては、加工食品用カンショの生産技術改善の問題、加工食品の開発研究及び需要拡大のこれらの研究、検討、それから青果用部会におきましては、青果用カンショの生産技術並びに産地拡大の問題、青果用カンショの需要拡大、こういった問題の検討、最後にこの飼肥料部会におきましては、カンショの飼料化及びカンショかすの飼肥料化、飼料と肥料これへの研究開発といったようなこと等につきまして、それぞれの部会で検討を進めていくことといたしております。対策本部におきましては、これらの部会の検討成果をもとにいたしまして、今後の方策を作成し実践に移していくことといたしておりますが、方策といたしましては短期的なものと中長期的なものに分けまして、短期的な対策につきましては六十三年度前期までに樹立をいたします。中長期的にわたる対策につきましては、六十三年度中に策定を樹立するというような方向で取り組んでまいりたいと考えております。  次に、農協の検査指導の充実強化の問題でございますが、特に本年度からは外部確認や現物実査の範囲を広げますとともに、予備検査の充実及び本検査におきます精査範囲の拡大等によって検査の強化を図っているところでございます。さらに検査の結果、特に指導を要する農協につきましては、本年度から事後の確認検査を実施し、徹底して指摘事項の改善を図らせることといたしております。また農協の健全経営のためには農協自体の自助努力が基本でございます。農協みずからが業務執行体制の強化を図ることが必要でございまして、県といたしましてはその取り組み状況を検査で確認をいたしまして、指導を強めていくことといたしております。なお、農協役職員の資質の向上につきましては、県農協中央会におきましても研修の充実強化を図っておられるところでございますが、県におきましても六十三年度からは独自の研修会をふやすことといたしておりまして、今後とも一層農協運営の健全化に努めてまいりたいと考えております。  次に、田上農協の経営の現状と見通しでございますが、合併後の田上農協の経営状況といたしましては、貯金など主要勘定の取り扱い高につきましては、おおむね事業計画に沿いまして推移を見せておるようでございますが、この経営環境の厳しい状況からいたしまして、今後役職員一体となった一層の努力が求められているところでございます。県といたしましても県農協中央会等関係団体と連携を密にしながら、健全な経営が図られるよう指導を強めてまいりたいと考えております。  次に、特別貸し付け債権の回収状況と損害賠償請求状況でございますが、御案内のとおり特別貸し付け債権等の回収につきましては、債権の管理回収を専門といたしますコープファイナンスにおいて回収を鋭意図っておるところでございますが、六十三年一月末におきます回収状況といたしまして二十五億二千万円の回収が図られておるところでございます。今後とも回収につきましては最善の努力を持って対処するよう指導してまいりたいと考えております。  旧役員に対する損害賠償請求につきましては、五億八千三百五十万円に関連をいたしまして、白坂元専務等に対し六十一年五月二十七日、その他の役員に対しましては六十二年七月二十九日に提訴されてございますが、さらに別の融資案件につきまして六十二年十月十二日に旧役員全員に対しまして、総額十五億円余の損害賠償請求訴訟が提起されておりまして、それぞれ審理が行われておると、こういう状況にございます。  それから、その支援の処置についての状況でございまが、これにつきましては全国段階におきましては農林中金、全国相互援助制度、貯金保険機構、こういうところからの支援、さらにまた地元段階での支援といたしまして各農協、各連合会等からの支援、こういうのがあるわけでございますが、これらにつきましては既に支援が決定されておるところでございます。これらの支援につきましては、それぞれ各機関におきまして三月末までに実行がなされるというふうに伺っているところでございます。 17 ◯林務水産部長(萩之内照雄君)まず、他県材の木材見本市の問題と他県材製品の移入の現況と今後の対応についてでございますが、木材見本市につきましては、お話にございましたように二月五日鹿児島市内の木材市場におきまして、都城地場産業振興センターの主催によりまして、見本市が実施をされております。そこで製材品約一千五百立方メートルが出品されまして、そのうち一千立方メートルが即売をされております。また昭和六十一年度の本県におきます製材品の移出入の状況は、生産量四十九万四千立方メートルのうち十七万立方メートル移出をされておりまして、逆に県外から十七万三千立方メートル移入をされて、県で四十九万七千立方メートルが消費をされております。これは本県におきます森林は、まだ幼齢人工林が多く資源成熟の過程にあること、さらにまた施業規模の零細性と資産保持的経営が多いということから、地域一帯の供給体制が不十分なこと等がございまして、県外製材品の移入がふえているというふうに理解をしているところでございます。このため今後の対応といたしましては、木材産業の体質強化及び流通体制の整備を図るほか、森林資源の充実に対応した木材需要の拡大に引き続き努めてまいりたいと、このように思っております。  次に、複層林施業及び育成天然林整備の現況と今後の取り組みについてでございますが、本県の複層林の現状につきましては、昭和六十一年度から複層林整備パイロット事業を導入いたしまして、大口市の市有林におきまして、本年度までに四ヘクタールを造成をいたしておりますが、このほか一部の篤林家等によりまして十ヘクタール程度が造成をされております。複層林施業につきましては、特に高度技術、高密度の路網整備及び風害対策等に配慮する必要がありますことから、当面は事業を導入しやすい公有林とか、あるいは篤林家等を主体に実証的展示的に整備を図りながら一般林家への普及を推進する考えでございます。  また、育成天然林の整備につきましては、従来川薩及び奄美地域を主体に六十二年度までに二千一百ヘクタールが整備をされる見込みでございますが、今後さらにこれを全県的に拡大いたしまして、本土地域におきましてはコジイ、カシ類タブの木等、また奄美地域におきましてはイタジイとか、イジユ等の優良広葉樹林の整備を積極的に推進する考えでございます。  次が水産の問題でございますが、魚礁の設置の計画、種苗の需給状況と量産体制の取り組みの問題でございす。  本県におきましては、第二次沿岸漁場整備開発事業で並型魚礁、大型魚礁、人工礁などおおよそ二十八億円を投じまして、県内百四十八ヵ所に設置をして、漁場の整備拡充を図ってきたところでございますが、さらに昭和六十三年度からスタートいたします第三次沿岸漁場整備開発事業におきまして、新たに甑島周辺海域に、天然礁に匹敵をいたします十五万空立米以上の大規模な海域礁を設置をいたしますほか、県内の適地に並型魚礁、大型魚礁、人工礁等を設置をいたしまして、自然管理型漁業を目指した漁場づくりを計画的に実施することといたしております。  県内の放流用種苗は、現在県の栽培センターと日本栽培漁業協会が中心となって生産供給をいたしておりますが、阿久根市の栽培漁業センターなど地域におきましても、一部の種苗の生産供給が行われております。昭和六十二年度の種苗需給状況は、マダイ、トコブシ、クルマエビにつきましては需要に対応できておりますが、ヒラメ、イシダイ、ウニ等につきましては、まだ十分対応できない伏況でございます。  このために、県の栽培漁業センターにおきましては、不足する種苗の量産技術開発研究に鋭意取り組みますとともに、六十三年度に温泉熱利用によります種苗生産施設の整備拡充を図ることにいたしております。  なお、今後とも日本栽培協会や地域栽培漁業センターとも連携を図りながら、種苗の安定供給ができるよう努力してまいる考えでございます。    〔上妻宗正君登壇〕 18 ◯上妻宗正君 農業、林業、水産業についてそれぞれ御答弁をいただきましたが、農業については、米、カンショ、サトウキビ、たばこ、酪農、鶏卵、ミカン、豚、軒並みに生産調整と価格下落の中で、輸入自由化が進展をしつつあります。  先ほどからお尋ねしますように、行き先どうなるかと農家の不安はその極に達していると言っても過言ではありません。そこでこのたび、カンショ作については、甘しょ対策本部を設置して、カンショ作の維持発展に努めようとされていることは時宜を得たものであります。高く評価をするものであります。しかし、この際、畜産も果樹も含めた農業全体の振興対策本部を設置して、本県の農政について農家が安心して取り組める方向を示し、生産意欲の向上と生産性並びに所得の引き上げに資するべきではないかと思うのであります。  日本の農政については、政府も日本農業の置かれている現況を正しく理解をして、農産物輸入自由化については、外交上仕方がないのだ、諸外国からこう要求があれば、あれもこれもそれに従うというような弱腰の場当たり、そういう農政ではなくて、営々として働き、国民の食糧を生産し続けている農家を先導する政策を樹立して、農業の危機を打開をすべきであると思うのであります。また、政府、県にのみ依存をするだけでなくて、各農業団体、各組織、各農家それぞれの連携を保ちながら、自助努力をしながら、自由化に耐え得る体制をつくるべきではないかと考えるのであります。  水産業については、農林業がまことに厳しいとき、本県は広い漁場に恵まれており、今こそあらゆる施策によって近海、沿海の活用をして、水産振興に努めるべきであろうと思います。  林業についても、林業を取り巻く環境については、特に留意をして、育成途上の森林の管理に十分配慮するとともに、販売可能な生産材については、他県に負けないように森林組合ともども販路拡大に力を入れるべきであると、このように考える次第であります。  時間の関係で、一部割愛さしていただきまして、九州新幹線についてお尋ねをいたします。  九州新幹線鹿児島ルートの着工促進に向けての対応についてでありますが、まずもって昨年末の県民挙げての大規模な陳情にもかかわらず、結果として整備新幹線着工の問題は、その焦点が均衡のとれた国土の構築論議から経営採算論議に一方的にシフトされ、八月まで先送りされることになりました。昭和六十二年度の政府予算に係る申し合わせ並びにこのことに係る着工凍結閣議決定の解除など、これまでの諸般の事情にかんがみ、遅々として進まない現状に、知事の心中察するに余りあり、私どもも怒り心頭に達するものであります。  このようになったことは、直接的には政府の裏切りでありますが、わが党内の一致がなかったことは深く反省すべきであります。政治は信頼であります。政権与党が約束した公約が実行されないようでは、私どもは何を県民に訴え、約束できるでしょうか。  山陽新幹線が福岡まで延長されてから既に十三年、その間、東北地方においては新幹線が盛岡まで伸び、縦貫道も青森まで通り、青函トンネルも近く開業、四国には橋が次々とかかっております。二十一世紀への国土づくりの指針として、多極分散型の国土形成を図ろうとする第四次全国総合開発計画は、南九州は何によってその成果を実現しようとするのでしょうか。南九州が最もおくれている交通通信基盤の整備が最優先されるべきことは言うまでもありません。  ともあれ、仕切り直しとなったからには、今までの経緯を踏まえつつ、昨年末の政府自民党の合意を十分検討し、態勢を立て直し、これまで以上に積極的に取り組まなければなりません。  さて、問題は今からの取り組みであります。県の対応をどう方向づけ、また、どう体系づけるか。九州地方の実情や必要性が十分に理解されていなかったことについて、きちんとした反省を行い、今後の対応を考えるべきだと思うのであります。九州新幹線は、本県のみの論理ではなく、九州が各界各層一体となって取り組まなければならないものであること。また、その建設の理論構築に当たっては、全国的な世論の形成、誘導に十分なる配慮が欠かせないものであることなど再確認をする必要があります。  九州は一つ、九州の浮揚には整備新幹線は不可欠であるとの認識をさらに九州全体のものにするため、本議会は熊本県議会初め沿線各県への働きを積極的に展開を始めました。幸い知事は青森、富山両県知事とともに着工優先順位専門検討委員会の参考人として発言をする機会を与えられましたが、九州における体制はこのように再編強化されつつあります。JR九州の姿勢も一部自前の負担を検討されるなかで、非常に前向きであり、本県のみならず九州全体を巻き込んだ新たな運動を展開しなければなりません。再出発に当たっての知事の今後の見通しと御決意のほどを伺います。  次に、地域計画の推進についてお尋ねいたします。
     第一点は、半島振興法の推進についてであります。薩摩半島、大隅半島両地域の半島振興計画に対する地域住民の期待は極めて大きいものがあります。県は、計画の実効性を確保するためには、財政上の支援措置が欠かせないとして国に強く要請されてきたところであり、昭和六十三年度政府予算案において半島循環道路、コミューター空港などについて、財政上の支援措置が一部実現をしているわけであります。そこで、この支援措置と相まった計画の着実な実施を期待する立場から、今回提案された当初予算において、両半島振興に係る予算の状況についてお教え願いたいのであります。  第三点は、奄美群島振興開発特別措置法の延長問題についてであります。本年度、県においては、奄美群島振興開発特別措置法が昭和六十三年末で期限切れとなることから、これまでの事業の成果の集約と今後の振興方策を探るための奄美群島振興開発特別総合調査を実施していますが、その調査結果の内容を明らかにされるとともに法延長についての対応について伺いたいのであります。  第三点は、過疎地域特別措置法の延長の問題についてであります。過疎地域の振興については、県下の七十三市町村が対象となっており、昭和四十五年の過疎地域対策緊急措置法の制定以来、諸事業諸施策が着実に実施され、県内の過疎債の累計額は一千三百三十二億円、昭和六十二年度の過疎市町村の過疎計画は七百五十七億円、県の事業は七百九十八億円に達するなど、大きな成果を上げてきております。  しかしながら、過疎地域の現状を見ると、財政的基盤は依然として脆弱であり、非過疎地域との社会的、経済的格差はなお是正されるに至っておらず、これらの問題を解決するためには、今後とも過疎対策の円滑な実施を期待せざるを得ないのであります。したがって、六十四年度末で失効する過疎地域振興特別措置法については、その延長を図るべきであり、厳しい財政状況のもとでは、早目に延長へ向けての対応を考えなければならないと思うので御所見を伺いたいのであります。 19 ◯議長(原田健二郎君)質問があと十項目ぐらい残っておりますので、御答弁の方は簡潔にお願いしたいと思います。    〔知事鎌田要人君登壇〕 20 ◯知事(鎌田要人君)九州新幹線鹿児島ルートの着工促進に当たりましては、昨年末の政府予算編成時を初め、今日まで皆様方には特に絶大なる御支援、御協力を賜っておりますことに心から感謝を申し上げる次第でございます。  既に六十一年十二月に着工が決定していたにもかかわりませず、今回、本格着工が先送りになりましたことはまことに残念でございますが、既に発足をいたしております官房長官を長としますところの建設促進協議会、あるいはそれの内部組織でございます優先順位の決定の専門委員会、財源問題の専門委員会、これが三月の四日に初会合を開くようでございますが、いずれにいたしましてもこの八月までが鹿児島ルートの運命をかけた、まさしく正念場でございますので、引き続きまして皆様方を初め、県民一丸となって、ひとつ九州選出の国会議員の先生方、関係各県との連携、結束も一層強化しながら、鹿児島ルートの優先着工のための理論武装をしながらひとつこれが実現のために渾身の努力を傾けてまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、半島振興計画でございますが、これにつきましては、先般国の財政上の特例措置に関する法律も提案を見たようでございます。本県の事業といたしまして、六十三年度では、交通基盤整備の面におきまして、南薩横断道路、大隅縦貫道、南薩縦貫道、こういった整備あるいは調査を進めることとしておりますほか、半島を循環する道路、幹線国道等へのアクセス道路で国が指定するものにつきましては、補助率の特例が創設されることとなりますので、これの適用を受けて整備の促進を図ってまいる。コミューター航空につきましては、枕崎空港が採択を国においてされておりますので、六十三年度から着工をいたしますが、県といたしましても初年度一億円の助成を行ってまいりたい。  そのほか、六十三年度予算では、薩摩半島では南薩少年自然の家の建設、あるいは県営の総合土地改良、営農団地、農道等の基盤整備、吹上海浜公園、大規模自転車道等の整備、南薩リゾート開発などを推進してまいります。  大隅半島におきましても、国営総合農地開発、大規模土地改良等の基盤整備、大隅広域公園シンボルゾーンの建設、バイオポリス構想の推進などを進めてまいる予定でございます。  さらに、奄美群島振興開発計画につきましては、御指摘のとおり、現在総合調査を実施いたしておりますので、六十三年度末の期限切れに合わせまして地元市町村とも一体となり、皆様方の御協力をいただきながら、法延長による次期対策の実施について、これが実現を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。  最後に、過疎振興法の問題でございますが、これにつきましても、私が会長をいたしております全国過疎連盟でも、関係市町村に対するアンケート調査等も行っておりますし、この過疎地域の現状にかんがみまして、これにつきましても法延長の理論武装をしながら、ひとつ六十五年三月の期限切れに合わせまして法延長に向けまして、本県はもとよりでありますが、関係府県、市町村一丸となって法延長のために努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。    〔上妻宗正君登壇〕 21 ◯上妻宗正君 新総合計画や九州新幹線など計画問題について御答弁をいただきました。  九州新幹線については、その必要性、緊急性の理解が十分でなかったことを残念に思うのであります。態勢を立て直して、それこそ最後の正念場に向けて知事の固い決意表明がありましたが、議会といたしましても促進議員連盟を結成し、最大の努力をしてまいりたいと思っております。  次の質問に入ります。  次に、高齢化社会対策についてであります。本県においては、高齢者対策は県政の重要課題として、これまで老人クラブの育成や高齢者教室の開催など、高齢者の生きがい対策を推進するとともに、特別養護老人ホームなどの整備、家庭奉仕員の派遣など、福祉の充実に努めてこられました。また、昨年三月は、高齢化社会対策指針を策定し、本県における高齢化社会対策の基本的な考え方と、今後の施策の方向を示されたところであります。  本県は、全国平均を十数年上回って進行している全国第三位の高齢化県であり、特に過疎地域では、倍近いぺースで高齢化が進行していることや、独居老人世帯の割合が全国の約二倍にもなっていることなどから、今後は高齢者の健康を増進するとともに、高齢者が地域社会で孤立することなく、その豊かな経験と能力を活用して、地域の産業起こしや伝統文化の伝承活動に積極的に参加できる環境づくりが必要であり、大切であると思うのであります。  そこで、このような観点から、今後の高齢者対策にどのように取り組まれるのか。また、痴呆性老人対策について、川辺郡の大浦町と笠沙町を対象にパイロット事業が行われていますが、これは在宅の痴呆性老人の共同介護のあり方を検討する上で、極めて重要な試みともなると思われますので、これまでの経緯及びこれを踏まえた昭和六十三年度の取り組みについてお聞かせ願いたいのであります。  第二点は、特別養護老人ホームについてであります。特別養護老人ホームについては、これまで入所希望者の実態を考慮しながら整備が進められてきた結果、六十五歳以上の人口に占める定員の割合は、全国平均の約一・五倍と高い水準に達しておりますが、まだ五百人以上の入所希望者が家庭などで待機していることから、さらに整備を推進していく必要があると思うのであります。  また、本年度から制度化された小規模特別養護老人ホームは、五十人以上の入所者を確保することが困難な離島に限って設置が認められているということでありますが、高齢者の多くは、住みなれた地域で生活したいと望んでいることから、高齢者のこのようなニーズに即応できる特別養護老人ホームの地域的な整備が今後の課題となるものと考えられます。  そこで、過疎地域を多く抱える本県の実情を考慮して特別養護老人ホームの整備について、設置基準の見直しを合めた積極的な対応を行う用意はないのか。  また、在宅の虚弱老人やその家庭を支援するために、デイサービスやショートステイなどのように、老人福祉施設が地域住民に開放されることが肝要であると考えますが、どのように対応されるのか、基本約な考え方をお伺いいたします。  第三点は、老人保健施設についてであります。  国においては、昭和七十五年までに全国で二十六万から三十万床を整備する計画で、本年度は七十六ヵ所の整備に着手したところであり、本県においても指宿市と大口市で整備が進められております。  そこで、老人保健施設へ入所できる要介護老人とは、どのような人が対象となり、費用負担はどうなるのか。また、老人保健施設における運営などに対して、県はどのような指導を行うのか。そして今後どのような方針で老人保健施設の整備を進められるのか、お尋ねをいたします。  次に、医療保健問題についてお尋ねいたします。  第一点は、腎バンクの設立についてであります。  本県における慢性腎不全による人工透析者は一千三百人にも及んでいますが、御承知のとおり、人口透析は対症療法にすぎず、現在の医学では、腎臓移植が最も有効な治療法と考えられているところであります。  このような折、新年度予算案の中で明らかにされた腎バンク開設は、県内の腎不全で苦しんでおられる患者やその家族に大きな夢と希望を与えるものであり、これを県政の重点事項として知事申し入れを行った我が党といたしましても、心から歓迎するものであります。そこでこの腎バンクの事業内容及び運営方法についてお尋ねいたします。  第二点は、成人T細胞白血病いわゆるATL対策についてであります。現在までのところ感染経路については主要なものとして母乳による母子感染が指摘されるところまで究明が進んでいるようで、鹿大医学部の調べによると、妊婦のATLウイルス抗体陽性者率は五・四%で沖縄の六%に次ぐ高率であると報ぜられております。そして母親が感染者で母乳保育をする場合、その子供は二〇%という高率で抗体保有者になっているデータも示されていることから、ATL対策、特に母子感染予防についての対策についてお尋ねをいたします。  第三点は、桜島降灰に伴う健康対策についてであります。  国や県は、桜島の火山活動に伴う降灰などが住民の健康に及ぼす影響を調査するため、昭和五十三年度以来健康検診や各種の調査研究事業を実施されてきましたが、幸いにして桜島の降灰などと直接因果関係にある疾病は認められないということでありました。しかしながら、桜島はその後も活発な活動を続けており、国の環境基準を大きく上回る亜硫酸ガスなど、住民の健康への影響が心配をされ、今後も健康状態について総合的、継続的な調査が必要と思われますので、どのように対処されるのかお尋ねをいたします。  第四点は、地域医療体制の整備についてであります。  鹿児島保養院と鹿屋病院の整備はおくれ、ようやく六十三年度予算案に保養院の改築に伴う基本設計費が計上されているところであり、鹿屋病院についてはその整備構想さえ策定されておりません。  そこでまずお伺いする第一点は、保養院の整備内容とスケジュールについてであります。  第二点は、鹿屋病院について地域保健医療計画のもとに、県立病院を中核とする秩序のとれた医療体制の確立が求められているところであり、一日も早く整備構想の策定が急がれるべきだと思うのですが、どのように考えているのか明らかにしてください。  次に、長年の懸案となっている救命救急センターの建設についてでありますが、鹿児島市においては、いよいよ六十三年度当初予算に設計費を計上したとの報道がなされております。救命救急センターの整備については、県はどのように対処しようとしておられるのか。  また、離島における医療の確保については、県は僻地中核病院の整備を図り、巡回医療など計画的に実施するとともに、医療情報システムの導入などを進めていますが、県立施設のない熊毛地域における医療需要の状況はどうなっているのか。熊毛地域における医療体制の充実について今後県はどのように進められるのか、お尋ねをいたします。  さらに、経営移譲が予定されている国立医療施設について一部地域にあっては地区医師会においてこれを引き継ぎ、地区の中核的医療施設として整備したいとする意向があるやに伺っていますが、このことに対する県の基本的な対応を明らかにしていただきたいのであります。  次に、下水道の整備についてお尋ねをいたします。まず、新年度予算に志布志湾流域別下水道調査費が計上されておりますが、その内容について教えてください。  さらに、鹿児島湾奥下水道の整備計画についてお尋ねをいたします。  県は、鹿児島湾の水質保全のための計画として、また湾奥で行われる各種の環境利用行為を適正に誘導するためのガイドラインとして、新鹿児島湾ブルー計画を推進中でありますが、湾奥部の下水道については、県と関係市町との努力にもかかわらず、今日まで着工するに至っておりません。ハイテクランド鹿児島を目指すテクノポリスの中の都市にあって、先端技術産業の集積地として進出企業の誘致に当たって下水道の整備は不可欠であります。聞くところによりますと、国分・隼人、姶良・加治木ともに整備計画体制づくりが前進しつつあるとのことでありますので、現在まで県と関係市町において進められている協議内容についてお聞かせください。  次に、ウミガメ保護条例についてお伺いします。  海ガメの保護については、昨年の九月議会において、本県でも放置できない問題であるということで質問をいたしたところでありますが、今回、全国で初めてのウミガメ保護条例が今議会に提案されたことについて、知事に条例制定に当たっての基本的考え方と、条例の実効性をどのように確保していくお考えなのか、お伺いをいたします。    〔知事鎌田要人君登壇〕 22 ◯知事(鎌田要人君)全国三番目の高齢者県でございます本県といたしましては、すべての高齢者の方々がそれぞれの健康状態に合わせて、世代を超えた幅広い分野にわたる活動に積極的に参加をしていただくことは、高齢化社会の活性化のためにも、また、高齢者御自身のためにも極めて重要なことでございます。何よりもやはりこの健康の保持が第一と、それとやはり社会参加と生きがいを持っていただくということの二点に尽きるわけでございまして、そのような観点から、これまでも県といたしましては、いろいろの施策を実施してまいっておりますが、本年度は、特に厚生省の提唱によりまして、兵庫県で全国健康福祉祭と、お年寄りの方の国民体育大会みたいなもののようでございますが、これにもひとつ本県から出ていただくと、こういったことなども含めまして、先ほど申しました高齢者の健康の増進、あるいは社会参加意識の高揚を図るための諸般の施策を実施してまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、腎バンクについてでありますが、腎バンクを今般県民総合保健センターに設置をいたしまして、当面腎臓提供者の募集、登録、腎臓病予防の普及啓発を主たる事業として行うことといたしております。今後とも関係機関団体はもとより、広く県民の皆様の御協力のもとに腎バンクの円滑な運営と機能の発揮を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、救命救急センター、これにつきましては、昭和六十年から鹿児島市立病院で、既存施設を利用しながら県下全域を対象とする施設として運用してまいったところでありますが、鹿児島市におかれましては、市立病院の機能充実、救命救急センターに円滑な運営を図るために新たな施設の整備を計画をしておられまして、六十三年度から設計等具体的準備に取り組むこととされているようでございます。  県といたしましては、このうち救命救急センターの整備に係る分につきましては、応分の負担をしなければなりませんので、鹿児島市において施設整備に入る段階で、必要な予算措置を講じてまいるように考えておる次第でございます。  次に、国立医療機関の統廃合の問題でございますが、県といたしまして、これまでも再三申し上げておりますように、県、地元関係市町からなる国立医療機関存続等対策協議会というものを通じまして、これまで国の手による維持存続ということをお願いをしてまいっておるわけでございますが、御指摘のような地元の意向等もあることは伺っておりますので、この協議会の場で地元の御意向も伺いながら、今後とも私どもはやはり国においてこれが運営の継続と、その一層の機能充実という基本的なお願いのまだ旗はおろしておりませんので、ひとつ十分に相談をしてやってまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、湾奥下水道の問題につきましては、国分市と隼人町を一つの処理区、姶良町と加治木町を一つの処理区とする一部事務組合方式で整備をするということで詰めを進めておるところでございまして、今後県といたしましては、計画策定、事業実施及び県の支援も含めました財源対策などにつきまして、国あるいは関係市町と協議を進めながら、早期に事業着手ができるように努力してまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、海ガメの条例制定につきましては、これは条例の目的にもございますように、海ガメが世界的にも絶滅の危機に瀕しており、本県は海ガメの主要な産卵地でございますし、また県内のほとんどの海岸で産卵が見られること等を勘案いたしまして、県内の全海岸を規制対象区域といたしまして、県民あるいは県外から鹿児島に来て滞留をされる方一丸となり、また、行政体としても県、市町村一丸となって保護をすると、こういう考え方でこの条例を制定をいたした次第でございます。  したがいまして、この条例の実効性の確保につきましては、基本的には県民、滞在者一人一人がこの趣旨を十分に理解していただき、保護意識を高めていただきますと同時に、監視体制につきましても、主要産卵地の市町村に、県の補助制度によりまして監視員を設置すると、あわせて県職員による重点地区の保護パトロール、こういうことと、さらに警察にも取り締まりの協力をお願いしなければならない。  さらに、地元の方々やボランティアの方々にも引き続き御協力をお願いいたしまして、県民総ぐるみで海ガメの保護、ひいては自然を大切にする心を育ててまいりたいと考えておる次第でございます。 23 ◯県民福祉部長(松林康文君)御指摘の痴呆性老人対策パイロット事業は、在宅で痴呆性老人を介護しておられます家族の負担軽減を図ります上での、具体的方策を検討しようというわけで、本県痴呆性老人対策研究会の意見を聞きながら、鹿児島大学医学部の協力も得まして、昨年十二月から本年二月までの三ヵ月間実施した事業でございます。川辺郡大浦、笠沙両町内の在宅痴呆性老人およそ十人の方々を大浦町の老人福祉センターに集まってもらいまして、それぞれの家族が当番制で面倒を見ようという試みでございました、これには家庭奉仕員OB等の指導なども受けまして介護を続けたところでありますが、その結果は、まず家族にとりましては、当番以外の日は手がすいてほっと一息つけたと、そして家庭のことに専念できるというふうに大変喜んでいたたきました。  また、老人は、家に閉じこもりがちであったのが、世間に出て仲間と一緒に過ごす機会を持つことによって、気分も性格も急に明るくなったといったような効果が得られたところでございます。  この結果を踏まえまして、六十三年度は痴呆性老人等地域支援対策モデル事業といたしまして、県内四地区でこの事業を実施し、さらにボランティアの協力態勢を整備するなど、介護家族の負担軽減のための具体的方策を確立することを計画しているところでございます。  また次に、特別養護老人ホームの整備や施設の地域開放についてのお尋ねでございましたが、まずお話にございました小規模特別養護老人ホームは、現在のところ制度の上では、同一島の中に既設の老人ホームがない離島だけにつきましては、単独設置が認められておりますが、本県離島の厳しい条件を考慮いたしまして、この基準を緩和いたしますとともに、離島とほぼ同一条件下にございます本土内の特に過疎現象の進んでいる、例えば半島地域などにつきましても、この制度を適用するよう、国に対しまして強く要望しているところでございます。  また、開放施設という面につきましては、県といたしましては極力デイサービス事業やショートステイ事業の拡充に努めますとともに、施設を利用して入浴、給食のサービスを提供する在宅福祉メニュー事業を単独で実施しているところでございますが、六十三年度からは、新たに在宅寝たきりの老人とその家族が組みになりまして、老人を三週間程度、家族は四、五日間、一緒に特別養護老人ホームに滞在し、在宅中の介護技術等を習得するホームケア促進事業といったようなものも計画しているところでございます。 24 ◯保健環境部長(有川 勲君)老人保健施設についてでございますけれども、この施設に入所できます老人は、老人保健法によります医療受給者でありまして、傷病あるいは疾病を持っていて、寝たきりの状態にある老人またはこれに準ずる状態にある老人ということでございますが、病状が安定期にありまして、看護医学的な管理のもとで介護及び機能訓練その他必要な医療を要する老人でございます。費用負担額は現在国において検討中でございますけれども、保険者等が負担いたします施設療養費は月額おおむね二十万円、入所者本人の利用料はおおむね月額五万円というふうに聞いております。  老人保健施設の運営につきましては、法に定めのございます基準に従いまして、施設本来の機能が生かされますよう、指導監督に万全を期してまいりたいと思っております。  それから、老人保健施設の整備に当たりましては、要介護老人数とかあるいは病院の病床数とか、こういったいろいろの点を勘案して行いますけれども、基本的には国の整備計画に準拠いたしますとともに、地域的なバランスを考えながら、適正な配置を進めることにいたしたいと思っております。  次に、ATL対策でございますが、その感染経路は血液を介する感染、異性間の感染及び母子垂直感染などがございますけれども、この中でも特に近年の調査研究によりまして、母乳を介しての母子垂直感染が問題となってきております。しかし、母子母乳保育はしかし、母と子の間の情緒面での長所もございまして、このATL対策との関連で社会的な関心事になっております。こういったことから、国におきましては、ATL予防対策に関する研究班を設置いたしまして、特にATLウイルスの母子垂直感染の調査研究などを本格的に開始したところでございます。  なお、本県でございますが、他県に先駆けまして六十年度からATL調査研究委員会を設置いたしまして、独自に調査研究を行ってきたところでございますけれども、今後とも引き続き鋭意ATL対策に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、桜島の降灰に関する健康問題でございますが、これにつきましては、国が行いました各種の調査研究の結果、今後とも住民の健康状態に継続的な監視が必要であるという報告を踏まえまして、県では昭和五十八年以降、住民の健康状況の把握に鋭意努めたところでございますけれども、このうち呼吸器症状を主としました健康調査につきましては、国立公害研究所の協力を得まして、その取りまとめを急いでおるところでございますけれども、これまでのところ降灰等に直接起因していると考えられる特異な疾病は発見されていません。  しかしながら、桜島の火山活動が依然として活発でございますので、不安を解消するといったこと、あるいは降灰の人体影響につきまして、国との協議を行いながら、関係市町村とも連携をとりまして、今後とも適切に対処してまいりたいと考えております。  次に、鹿児島保養院、県立鹿屋病院のことでございますが、保養院の整備に当たりましては、本県におきます精神保健医療の中核的病院といたしまして、公的精神病院としての基本的な役割を強化いたしますとともに、老年期や思春期の精神障害対策にも新しい分野として取り組んでまいりたいと考えております。整備スケジュールにつきましては、六十二年度の地質調査に引き続きまして、六十三年度は基本設計を行うことといたしておりますが、今後、地域住民の方々の理解も得ながら、六十四年度は実施設計、六十五年度には建築工事に着工できるように進めてまいりたいと考えております。  また、県立鹿屋病院についてでございますが、県の保健医療計画を踏まえまして、新総合計画の後期事業実施計画の検討を行います過程におきまして、その整備構想を取りまとめてまいりたいと考えております。  最後に、熊毛地域におきます医療体制についてのおただしでございますが、近年熊毛地域におきましても、改善の方向にございますものの、医療施設数、病床数あるいは医師数とも少ないことから、他の地域に依存する割合が高い現状にございます。しかしながら、最近地元の医師によります病院の整備計画が具体的に検討されるなど情勢の変化もあると聞いておりまして、県といたしましては、自治医科大学卒業医師の派遣など医師の確保に努めますほか、昨年策定いたしております地域保健医療計画に沿いまして、地元の市町村あるいは医師会関係機関団体との連携を図りながら、引き続き地域医療の改善向上に努めてまいりたいと考えております。 25 ◯土木部長(興 信雄君)志布志湾流域別下水道調査はどんな内容のものかというお尋ねでございますが、公害対策基本法に基づきまして、水質環境基準の類型指定がなされている水域につきまして、各市町の下水道整備計画の上位計画となります総合計画を策定するため、これまで鹿児島湾奥それから八代海及び川内川流域につきまして実施してまいっております。今回は鹿屋市外二市、それから十四町、これらの志布志湾流域につきまして、六十三年から六十四年の二ヵ年間で調査をしようとするものでございまして、六十三年度は土地利用や人口あるいは産業などの基礎調査を実施するほか、下水道整備計画を作成するための将来予測を行うものでございます。    〔上妻宗正君登壇〕 26 ◯上妻宗正君 福祉保健問題について御答弁をいただきました。高齢化社会については全国第三位の高齢化県であることを踏まえて、老人福祉についてはよく対応されておるんじゃないかと考えておりますが、さらに進行する高齢化社会に向けて積極的な対応をお願いをいたしておきます。  保健問題については、御答弁をお聞きしましたが、腎バンクが広く活用されること。桜島降灰に伴う健康調査の実施について、そして鹿児島保養院の改築、鹿屋病院の整備のほか、私の生まれた熊毛地域における医療体制の充実について十分配慮してほしいと御要望申し上げます。  答弁の問題もありまして一部新総合計画を抜きましたので、もう申し上げません。  午前中に引き続きまして、自由民主党県議団を代表して当面する県政の重要課題について質問を行ってまいりました。最初に申し上げましたとおり、昭和六十三年度は日本にとってもまた鹿児島県にとっても極めて重要な節目の年であると思うのであります。二〇〇〇年まで後十二年、中にはまだ十二年もあるという方もおれば、もう十二年しかないんだという方もおられます。そして今から十二年間、二十一世紀に向けて県勢発展の基礎固めを行い、次の時代にすばらしいぬくもりに満ちた偉大なふるさと鹿児島を引き継がなければなりません。県政を取り巻く環境は決して平たん、平穏ではありませんが、昭和六十三年度は辰年にちなんで飛躍的な県政の振興を期待するものであります。  以上、午前中からいろいろ申し上げましたが、知事には三期目の最後の踏ん張りをお願い申し上げますとともに、私どももまた県民の信頼と負託にこたえるべく全力を傾注していくことを申し述べ、自民党県議団を代表しての質問を終わります。  答弁との関係もありまして、質問できなかった事項もございますので、その件につきましては、個人質問でお願いすることにいたします。  終わります。(拍手) 27 ◯議長(原田健二郎君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ─────────────    △ 日程報告 28 ◯議長(原田健二郎君)明日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、県政一般に対する代表質問であります。       ─────────────    △ 散  会 29 ◯議長(原田健二郎君)本日は、これで散会いたします。         午後二時五十五分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...