平成17年 第3回定例会(9月)平成十七年九月二十日(火曜日
) ------------------------------ 議事日程第二号 平成十七年九月二十日 午前十時開議第一 第一四八号議案 (議題、提出者の説明)第二 一般質問及び質疑
------------------------------ 本日の会議に付した案件日程第一 第一四八号議案 (議題、提出者の説明)日程第二 一般質問及び質疑
------------------------------ 出席議員 四十四名 議長 荒金信生 副議長 阿部順治 日野立明 佐々木敏夫 三浦 公 元吉俊博 平野好文 佐々木哲也 油布勝秀 御手洗吉生 桜木 博 麻生栄作 首藤勝次 堤 俊之 田中利明 大友一夫 井上伸史 渕 健児 佐藤健太郎 近藤和義 志村 学 矢野晃啓 安部省祐 阿部英仁 和田至誠 牧野浩朗 古手川茂樹 長田助勝 平岩純子 吉田忠智 久原和弘 塙 晋 小野弘利 内田淳一 吉冨幸吉 高村清志 賀来和紘 佐藤博章 後藤史治 梶原九州男 伊藤敏幸 矢野征子 竹中万寿夫 加藤純子 欠席議員 二名 古田き一郎 江藤清志
------------------------------ 出席した県側関係者 知事 広瀬勝貞 副知事 石川公一 出納長 二宮滋夫 教育委員長 小寺 隆 人事委員長 楢崎孝貫
代表監査委員 阿南 馨 総務部長 福浦裕介
企画振興部長 武田 寛 企業局長 井上良司 教育長 深田秀生 警察本部長 鈴木章文
福祉保健部長 阿部 実
生活環境部長 堤 俊一郎
商工労働部長 角野然生
農林水産部長 渡辺節男
土木建築部長 渡辺浩志 県立病院 小矢文則 管理局長 国民体育大会・
障害者スポー 後藤州一 ツ大会局長
出納事務局長 片山仁之 労働委員会 小田哲生 事務局長 参事兼財政課長 二日市具正 知事室長 園田和男
------------------------------ 午前十時十分 開議
○
荒金信生議長 これより本日の会議を開きます。
------------------------------
○
荒金信生議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第二号により行います。
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△日程第一 第一四八号議案(議題、提出者の説明)
○
荒金信生議長 日程第一、第一四八号議案を議題といたします。
------------------------------第一四八号議案 不動産の売却について
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○
荒金信生議長 提出者の説明を求めます。 広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 ただいま上程されました追加議案について説明申し上げます。 第一四八
号議案不動産の売却につきましては、今年度末で廃止する大分香りの森博物館の施設等を有効に利活用するため、売却することにつきまして議決を求めるものであります。 当博物館につきましては、
行財政改革プランにおいて閉館を決定して以来、できれば、しかるべき団体が有効に活用してくれないかと模索を続けてまいりました。 こうした中、一回目の公募では、七件の応募を得ましたが、うち五件が辞退したため、さらに二回目の公募を行ったところであります。そこでは、二件の応募があったものの、一件がまた辞退となり、結果として、ようやく三件の提案が残ることになりました。この三件につきましては、
学校法人平松学園が二億円、その他は一億二千万円と一億円の応募価格でありました。
利活用審査会では、金額のみならず、事業計画の妥当性や経営の安定性などさまざまな観点から審議をいただき、先般、売却先の第一候補として平松学園が示されたものであります。 私といたしましては、これらの経緯を踏まえますと、これ以上先延ばししても新たな提案は見込めないこと、候補者が公共的団体でありまして、利用目的にも公益性があること、地域の方々にとっても施設廃止後すぐに利活用されることが望ましいこと、他方、時間の経過に伴いまして、施設の劣化が進み、資産価格がさらに低下することから、ここで売却を決定することが県民利益にかなうと判断したものであります。 なお、博物館の収蔵品につきましては、売却対象としておりませんで、貴重なものも多数含まれておりますことから、散逸することのないよう、県が管理して利活用を図ってまいりたいと考えております。 何とぞ、慎重ご審議の上、ご賛同いただきますようお願い申し上げます。
○
荒金信生議長 これをもって提出者の説明は終わりました。
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△日程第二 一般質問及び質疑
○
荒金信生議長 日程第二、第一一二号議案から第一四七号議案まで及び第四号報告を一括議題とし、先ほど議題となりました第一四八号議案を含め、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。 渕健児君。 〔渕議員登壇〕(拍手)
◆渕健児議員 自民党の渕健児でございます。 質問通告書に基づき、提言を交えながら、順次質問いたします。知事を初め関係部長には、明快な答弁をお願いしておきます。 質問に入ります前に、台風十四号は六日夕方から夜にかけて大分県に最接近し、竹田市倉木では四日午前五時からの総雨量が九百ミリを超えたのを初め、湯布院町や竹田市で記録的な豪雨となり、各地で土砂崩れや河川がはんらんし、死者一名、三名が行方不明になるなど大災害が発生いたしました。 被災されました皆様にお見舞いを申し上げますとともに、行方不明になっておられる方々の一刻も早い救出を心からお祈りをいたします。 また、復旧に当たって、県当局におかれましては特段のご配慮をお願いしておきます。 最初に、地方機関の再編についてお尋ねいたします。 県では、去る八月に
地方行政機関の再編案を発表いたしました。再編案では、これまで十二カ所あった地方振興局を六カ所に再配置し、県税事務所では、高田、竹田両県税事務所を廃止し、新たに豊後大野市に県税事務所を配置することとなっています。また、土木事務所は、道路、河川等の管理や維持補修、さらに災害時の現場対応があることから、現行の十二事務所体制を継続することとなっています。 特に、地方振興局は、昭和十七年に現在の十二カ所に地方事務所が配置されて以来、六十年以上が経過しております。その間、再編の動きもありましたが、さまざまな論議の中で今日に至っております。 地方分権が進められる中、本県では全国でもトップクラスの市町村合併を実現し、三位一体の改革と相まって、いよいよ真の地方の時代が訪れようとしております。また、それは地方経営の時代を意味するものであり、行財政改革の歩みをとめれば、自治体はすぐさま
財政再建団体に転落するおそれも出てきております。 このような状況において今回の
地方機関再編の基本的な考えは至極当然のことと考えますが、十二カ所の地方振興局を六カ所に集約するという案には、いささか疑念を挟まざるを得ません。なぜならば、ここまで行財政改革を進め、職員定数も一割削減する計画でありますが、先ほども述べましたように、地方は今よりさらに厳しい状況に追い込まれることは必定であります。その際にはさらに踏み込んだ職員定数の削減も予想されることから、地方振興局を思い切って三カ所ぐらいに集約してもよかったのではないかと考えています。 また、去る六月十五日から二日間、
地方機関再編を主要調査項目とする我が党の
総合政策調査会が広島県と愛媛県を訪問し、
地方機関再編と権限移譲について、県庁の担当者と直接、意見交換をしてきました。広島県では、平成十三年度に七カ所に再編し、県の
分権推進計画に基づき、平成二十年度を目途に、さらに三、四カ所に再編するとのことでありました。また、愛媛県では、昭和五十五年から五カ所の体制でありますが、平成二十年には三カ所に再編するということになっており、さらに、両県とも市町村への権限移譲を並行して進めるというものでありました。これらの調査結果も、私の三カ所への集約の論拠でもあります。 さらに、地方振興局が廃止される地域には、再編後四年間に
限り地方事務所を設置することとなっていますが、これは、今まで申し上げた状況を踏まえますと流れに逆行しているのではないかと思います。 もう一つ忘れてならないのは、市町村への権限移譲であります。 再編案では、市町村への権限移譲について、市町村合併の進展に伴い、新市の行政区域の拡大とともに、人的、財政的規模の拡充強化により行政能力が一層向上することを踏まえて、本県独自の権限移譲を積極的に進め、移譲するに当たっては、受け手である市町村の意向を十分に踏まえ、理解を得ることが重要であり、今後、県と市町村で
合同検討委員会を設置し、平成十八年度中に結論を出すこととなっております。 これについては、ぜひとも積極的な権限移譲を進めるとともに、可能な限り早く結論を出していただきたいと考えています。 以上、大きく三点について論じてきましたが、一点目の
地方振興局数については、今回の再編後、できるだけ早期に第二弾の再編に着手していただきたいこと、二点目は、地方事務所の設置が時代の流れに逆行しているということ、三点目は、市町村への権限移譲を積極的に、可能な限り早期に進めていただきたいこと、この三点について広瀬知事のご所見をお伺いいたします。 次に、教育事務所の再編についてお伺いします。 教育事務所については、教職員の人事や給与等の総務系業務や学校教育、社会教育における指導系業務の観点から見直しを行うとされたのみで、具体的な再編案は示されておりません。 私は、知事部局の
地方機関再編と軌を一にして、教育事務所も再編すべきと考えます。その論拠として、市町村合併が進み、合併新市が誕生し、従来の市の規模が拡大するなど、教育に関して権限移譲できる環境が整いつつあるからであります。 本来、義務教育は市町村を基本として考えられるべきですが、現行制度では、教職員の身分は学校を設置している市町村に属しておりながら、その給与費の負担や人事権は県に属しているという二重構造が市町村の教育行政に対する消極性や創意工夫の不足を生んでいるのではないかと危惧しています。 一方、他県に目を移しますと、三重県の教育委員会は、七カ所の教育事務所を全廃し、平成十八年度から教育事務所が担ってきた業務を本庁に一元化することを検討しています。市町村合併に伴い
教育行政体制を強化する市などがふえつつあるほか、地方分権の観点からも合併を契機に地域の実情に応じた主体的な取り組みを市町村教委に一層進めてもらうことが望ましいと判断したことによります。教育事務所の全廃は、今年度から実施した和歌山県教委に続き、全国で二例目になります。 実務的には解決すべき課題は多いとは思いますが、私は、このような思い切った取り組みが今こそ必要ではないかと考えるのであります。教育長のご所見をお伺いします。 次に、新
長期総合計画についてお伺いします。 新
長期総合計画は、去る九月七日、県民会議において最終案が公表されました。策定に当たっては、基本目標に「県民とともに築く安心・活力・発展の大分県」を掲げ、主役は県民の視点に立ち、構想段階から県民会議の参画を得て論議が進められてきました。我々県議会も素案作成段階からいろいろと意見を述べさせていただきましたし、執行部もそれに真摯に対応していただいたところであります。 計画では、新たな地域間競争に打ち勝っていくため、本県の特色に磨きをかけ、弱点を克服する取り組みとして、豊かな天然自然・磨き輝き戦略、おおいた
産業活力創造戦略、
ザ・オオイタ・ブランド確立戦略など八つの重点戦略が定められており、今議会で我々議員に説明がなされた後、策定委員会で最終決定される運びとなっております。 ここで、私の思うところを述べさせていただきます。それは、一村一品という言葉、ブランドであります。 ご案内のように一村一品は、平松守彦前知事が昭和五十四年に提唱し、三百以上の品目が登録され、うち販売額十億円以上のものが十八品目ありました。国内でも、東京を初め主要都市にその名が知られ、地元のデパートでは今でも物産展に「一村一品」のタイトルを冠しております。地元の経済界でも、一村一品のブランドは引き続き使ってほしいという声も耳にいたします。 また、この一村一品は、中国、韓国、台湾、マレーシア、フィリピンなど広くアジア諸国の関心も集め、各国の首脳が本県の視察に多数訪れています。 また、この運動がアジアの人材育成の拠点となる
立命館アジア太平洋大学設立の契機になったことは周知のとおりであります。 このように日本国内、さらにはアジア諸国に大分の産品のブランド名として定着している一村一品の文字が今回の新
長期総合計画には見当たりません。 さらに、ことしの七月六日にイギリスで開催された
主要国首脳会議において小泉首相は、
アフリカ支援策の一つとして、外貨獲得につながる特産品の輸出振興や産業人材の育成など民間活力を生かしてアフリカの自立を側面支援することとし、我が国がアジアの発展に寄与した経験を生かした、質重視の施策で世界への貢献をアピールしました。その中で、ガーナの化粧品用油脂やタンザニアのスパイスなどの特産品輸出を支援するアフリカ版
一村一品運動で外貨獲得を支援するほか、金融や
中小企業振興の分野で人材育成を支援することを表明しました。特に、
一村一品運動による特産品の輸出拡大に向けた商品開発や販路開拓の支援では、
ODA予算縮小の中、経済支援の額の大きさだけではなく、日本型の支援を強調しています。 私は、この記事を読んで、一村一品は日本の首相までもが認めたブランドではないかと感じ入ったところであります。実際、私が中国の上海市を訪問した折にも、「
一村一品発祥の地、大分県」で相手の理解を得るほど浸透していました。 そこでお尋ねします。 これほど国内を初めアジア各国に浸透し、ブランド力を持った一村一品を使わない手はないと考えます。県政の継続という観点から新
長期総合計画においてもその精神を継承すべきと考えますが、広瀬知事はどのような所感をお持ちなのでしょうか、お伺いをいたします。 次に、大分バスの再建についてお尋ねします。 先月十八日、大分バスは県に対して二千万円の出資要請をいたしました。 同社は、百十六億円の有利子負債を抱えて、実質的に債務超過に陥り、ことし一月に整理回収機構に私的整理による経営再建の調整を要請いたしました。その結果、
取引金融機関に三十億円の債権放棄を要請、資本金の一〇〇%減資、新たに県ほか取引先企業などに二億五千万円の出資を募るなどを主な柱に経営再建を続けております。 ここに至った原因は、バス部門の減収対策のおくれと小売業や宅地分譲など関連事業の失敗にあると言われています。特に、再建計画では、不動産事業などから撤退し、
バス事業中心に事業を再編することとし、従業員給料や役員報酬のカット、社長の退任、営業所の統合などを余儀なくされています。 現時点では西日本鉄道などが出資を承諾しておりますが、私が気にかかるのは、なぜ民間主導で再建できないのかという点であります。 例えば、熊本市の
九州産業交通の再建です。
産業再生機構は、七月二十五日、支援中の
九州産業交通のスポンサーを
大手旅行会社エイチ・アイ・エスなどが出資する九州産交投資組合に決定したと発表しました。同社は、九月下旬までに同機構が保有する九州産交株すべてを取得することになっており、「国際的に魅力の高い九州の観光産業の発展に協力できる」としております。 また、宮崎交通も同様に民間主導で、これも地場企業を主体に、全日空や西日本鉄道など交通や旅行事業にかかわる
県外大手企業も参加しての再建であります。 このように他県では民間主導で
地方バス会社の経営再建が進められていますが、大分バスとの違いはどこにあるのか。そして、大分バスへの出資の意義をどう考えているのか、お伺いします。 次に、大分バスは、去る五月、路線の廃止計画を
県バス対策協議会に提出しております。それによりますと、旧
国立大分病院である
大分医療センター線の一部区間を初め、二十一路線が廃止対象になっていますが、バスは県民に欠かせない足であり、そのために国、県の補助金も出しております。 そこで、大分バスの路線維持について、県が出資することとなれば、県内の他のバス会社以上に廃止路線を少なくしていくのが当然と考えますが、今後、どのように対処していくのか、お伺いをいたします。 次に、
大分トリニータの支援について伺います。
大分トリニータは、二〇〇二年の
ワールドカップ大分開催の招致活動を契機として、平成六年に県民、企業、行政が三位一体で設立した県民チームであります。 県リーグからスタートし、JFL、Jリーグ二部、J1と着実に成長を遂げてきました。ただし、途中、J1昇格には三年を要し、県民の期待の中で苦しんだ時期もありましたが、今では、ホーム競技場のビッグアイに毎試合平均二万人以上のサポーターを集め、県外から三千五百人ほどの観客が訪れるほどになっています。 また、十八歳以下の
サテライトチームの体制も整い、地域密着型の
県民サッカーチームとして定着しており、この大分の地に大きな
サッカー文化が芽生えております。このことは、全国的にも注目されています。 しかしながら、今期は十六位と成績も低迷し、リーグ途中の監督交代も余儀なくされております。多くの県民は、選手が経営危機に動じることなく、残り試合を頑張っていただき、何とかJ1残留を果たしてほしいと願っておりますし、私もその一人であります。 先般、
大分トリニータを運営する
株式会社大分フットボールクラブが外部有識者による
経営諮問委員会を設置し、同クラブの経営安定化の方策を諮問いたしました。 委員会は九月一日に第二回目の会合を開き、委員長の深
道春男大分大学教授は、会社の経営は危機的状況にあると発表しました。その主な要因は、胸スポンサーが長期にわたり獲得できなかったこと、そのため、昨年度は四億円を超える赤字が生じ、債務超過となり、民間からの融資は望めず、資金繰りが困難な状況にあるというものです。累積未処理損失は七億二千五百万円、債務超過額は三億四千四百万円に及んでおります。
経営諮問委員会では、九月十四日に第四回の委員会を開催し、
大分トリニータが県民、企業、行政による三位一体の支援を得るために必要な取り組みとして、収益構造や管理体制の見直しを柱にした経営改革、県民への適切な情報開示、県民の理解を得ながら選手強化などを行う中期八カ年計画の弾力的運用、役員会の機能充実を掲げ、これを確実に実行することを条件に、同社の存続は可能とする一次答申を出しました。 さらに、九月十六日に広瀬知事に対し、今月二十一日までに緊急に必要な給料などの運転資金二億円について公的支援を要請したところです。これに対し、広瀬知事は、大分県
文化スポーツ振興財団に緊急の貸し付けを要請し、昨日、十九日、理事会で支援を決定したと聞きました。 そこでお尋ねをいたします。 県として、
大分トリニータの位置づけをどのように考えておられるのか。そして、今後、トリニータをどう支援していくのか、広瀬知事のご見解を伺います。 最後に、
予算編成過程の透明化についてお伺いします。 行財政改革による経費削減の取り組みが進む中で、その成果は着実に上がってきておりますが、一方で、県予算は五年連続で減少し、これまで長年にわたり実施されてきた事業が廃止されるなど、予算の選択と集中が進むとともに、道路などのハード整備から、食の安全、安心などのソフト対策へと、これまでとは内容的にも質的にも大きく変わってきております。 知事は、県政運営に当たり、県民中心の行政を掲げ、ふれあいトークの実施などを通じて県民ニーズの把握に積極的に努められております。加えて、新たな大分県の
長期総合計画の策定においても、地域の方々やさまざまな分野の方々と数多くの意見交換をなされております。このようにして新
長期総合計画が策定され、その計画のもとに編成される来年度予算については、
三位一体改革の推進による
国庫補助金削減と税源移譲、
地方交付税改革や総人件費の抑制などさまざまな財政を取り巻く環境の変化が予想されます。 このような中で、今以上に県民意見を踏まえた予算編成を行うためにはどのような方法が考えられるのでありましょうか。 例えば、鳥取県では、すべての要求事業の概要を締め切り後、早期に公表するとともに、財政課長、総務部長、知事の各査定段階ごとにその状況を公表しております。また、同じ九州の佐賀県や熊本県でも、要求の締め切り後、早期に要求状況を公表しています。このように、各県とも何らかの形で県民に開かれた予算編成を行っているようであります。 一方、本県の状況を見てみますと、十月上旬に県政運営の基本方針が公表され、それを踏まえた
予算編成方針が各部に通知されています。その後、十一月中旬に予算要求が各部から行われますが、その要求状況が議会に明らかにされるのは二カ月後の翌年一月中旬になってからであります。その間には財政課における査定作業が行われているわけでありますが、そこでは、どのような事業が要求され、どのような議論が行われているのか、全くわからない状況にあります。 近年取り組まれている
事務事業評価、あるいは政策施策評価の結果が予算編成に活用されているとしても、それだけで県民の意見が予算編成に反映されたとは言いがたいのではないでしょうか。 そこで、これからは積極的に予算編成に関する情報を開示するなど、わかりにくい予算編成の過程を外部の人が理解できるような仕組みに変えていかなければならないと考えますが、今後の県の取り組みについてお伺いをいたします。 以上で私の質問を終わります。ご清聴、まことにありがとうございました。(拍手)
○
荒金信生議長 ただいまの渕健児君の質問に対する答弁を求めます。 広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 初めに、台風十四号についてのお話がございました。 台風十四号、大分県に猛威を振るいまして、大変大きな被害をもたらしたものでございます。亡くなられた方には謹んでご冥福をお祈りいたし、また、行方不明の方の捜索に引き続き全力を挙げていきたいと思っているところでございます。また、多くの被災された皆さん方に心からお見舞いを申し上げます。 この台風十四号に当たりましては、議員の皆さん方、あるいは会派として現地をご視察いただき、また、お見舞いもいただき、そして復旧対策についても大変貴重なご示唆をいただきました。改めまして、厚く御礼を申し上げる次第であります。 渕議員からのご質問に、何点か私の方からもお答えを申し上げます。 一つは、地域振興局の再編についてのご質問がございました。 時代の変化、あるいは県民のニーズにこたえまして、県が地域で果たすべき役割は、広域的、あるいは専門的な分野、例えば、新市の周辺部となった旧町村部への効果的な支援だとか、企業的農家への専門性の高い普及指導とか、あるいは大消費地をターゲットにした広域的な産地づくりなど、大きく変わってきているものと認識しております。このように新しい県の役割を適切に果たすために、また、県の行財政改革を推進するために、このたび地方振興局の再編を行うこととした次第でございます。 この再編案につきまして、何点かご指摘をいただきました。 まず、議員ご提案の第二弾の再編に着手することについてでございます。 私どもといたしましては、県が地域において果たしていくべき役割を考えますと、現在お示ししております六つの地方振興局案は、現場と県庁が一体になって県政の諸課題に取り組むために必要最小限のものと考えております。今後、速やかに新しい地方振興局の体制を確固としたものにし、今まで以上に職員が現場に出かけていき、むしろ体制が強化されたと評価されるようにしっかり取り組んでいくことが肝要と考えております。 次に、地方事務所の設置についてでございます。 現在、新市が立ち上がる過渡期にありまして、市町村合併を推進してきた県といたしまして、その行財政運営に十分な支援を行わなければならないと認識しております。こうした観点から、地方振興局がなくなる地域に平成二十一年度までの四年間に限りまして地方事務所を設置して、必要最小限の人員を配置することとしたわけでございます。地方振興局の再編過程における激変緩和措置と考えてもいいのではないかと思います。 なお、地方事務所には、パスポート発給、情報公開、簡易な申請書の受理等の総合窓口もあわせて担当させるなど、可能な限り住民の利便性の確保に努めてまいります。 最後に、権限移譲についてのご指摘もございました。 新市は、合併によりまして人的、財政的規模が拡充されまして、行政能力が向上していくことから、例えば、市町村において手続ができることにより住民の利便性や住民サービスが向上する事務、あるいは地域の特色を生かした自主的なまちづくりが可能となる事務等を市町村に移譲し、基礎的自治体としての役割を確固たるものにしていきたいと考えております。 その際、大事なことは、県が権限移譲によって仕事を市町村に押しつけるということにならないように、十分な市町村の受け入れ体制を構築することが必要でございます。このため、合併後の新市に対しまして、新たな福祉事務所のサービスを円滑に行えるように県職員の派遣を行っています。さらに、今後の権限移譲に際しましては、市町村における専門家の育成、職員研修等に対しまして支援をしてまいります。 今後進めていく移譲する事務の選定に当たりましては、新市の体制整備にも配慮して、受け手である市町村とも十分協議して、理解を得て、来年度じゅうに権限移譲計画を策定できるように努めていきたいと考えております。 次に、新
長期総合計画についてのご質問がございました。 昨年八月以来、多くの県民、有識者のご協力をいただきまして、今回、県民会議において最終案がまとまりました。この間寄せられました数々のご意見、ご指導に対しまして、深く感謝を申し上げる次第であります。 新長期計画案では、基本目標を「県民とともに築く安心・活力・発展の大分県」とし、県民が主役で、県民の多様な価値観を尊重し、県民の主体的な発想と活動を県は支援していくということとしております。 大きな変革期を迎えている今、これからますます厳しくなってくる地域間競争に打ち勝つためには、まず何よりも地域自体が自立し、みずからの主体的な活動によりまして地域の魅力を創造していくことが大切であります。 県民が主体となった活動が次々に生まれ、行政はそれをサポートしていくことで、より自由濶達な事業展開が行われ、また、効率的な行政が実現していくと考えております。
一村一品運動は、二十四年間にわたって行政の主導のもとに展開してまいりました。この運動により、麦じょうちゅうを初めとした産品が生まれ、また、アジアを中心に世界の各地域との交流が活発になっていることは議員ご指摘のとおりであり、また、我々の大きな誇りとするところであります。 こうして長い期間の活動により一定の成果をおさめ、民間主導の事業展開が進んでまいりましたことから、より民間の主導性を高め、県はこれを後方から支援していくということとした次第であります。 本年三月に財団法人大分県国際交流センターが解散した際には、同財団の運用財産である一村一品基金を、民間組織として事業を行うために設立されたNPO法人大分一村一品国際交流推進協会に移管したところであります。 時代は移り、現在は経済がグローバル化し、情報通信が非常に高度化していますので、常に全国市場、世界市場のマーケティングを視野に入れて、名実ともに全国、世界に通用する産品づくりが求められているわけであります。 こうしたことから、全国に通用する物産や観光の商品化に向けた首都圏アンテナショップを初め、爆発しようとしている中国市場をにらんだ上海での県産品プロモーション事業、そして、本年十一月に二十二の国、地域から数多くの学生が別府に集い、観光の未来の姿を追求し、大分の誇る温泉など豊かな観光資源を情報発信する世界観光学生サミットの開催など、県内外のさまざまな活動を通じて、全国、あるいは世界の市場に向けて挑戦をしてまいりたいと考えているところであります。 また、県にとりまして基幹的な産業である農林水産業の分野におきましても、大手量販店による大量仕入れ、大量販売、外食、中食産業の需要増など流通の大きな変化の中で大量、周年の需要にこたえるために、これまで狭い地域にとどまっていた産品づくりにかわりまして、広域、県域での生産流通体制の強化によって我が大分県の農林水産物の競争力ある産品づくりを進めていかなければならないという時代になっております。 今回の
長期総合計画では、このような視点に立ちまして、
一村一品運動から一歩も二歩も踏み出して、時代の風を先取りし、新たな地域間競争に打ち勝ち、全国、世界に向かって挑戦する大分県づくりを進めてまいりたいと考えているところであります。 次に、
大分トリニータの支援についてご質問がございました。
大分トリニータの試合では、ビッグアイに毎試合二万人以上が集い、たくさんの若い人たちやお孫さんの手を引いたお年寄りがトリニータと一体となって応援しており、特に次代を担う子供たちは、トリニータの選手の活躍に夢や希望を重ねて、ひとみを輝かせて声援を送っております。また、その活躍は、テレビ、新聞を通じまして全国に発信されて、大分県のイメージアップにつながっておりまして、スポーツ交流や観光振興など経済的な波及効果も大きくなっております。 おかげさまで、今やトリニータは県民チームとして県民の間に大きな位置を占めようとしておりまして、将来に残すべき財産の一つとなってきていると考えます。 そのトリニータが経営危機に陥った中で、県に対しまして
経営諮問委員会と大分フットボールクラブが支援の要請に参ったわけでございます。 私といたしましては、大分県民にとってのトリニータの意義については認めておりますけれども、公的にどこまでかかわっていくべきかにつきましては大いに悩んだところであります。しかし、一つは、トリニータが県民の元気の源の一つになっていること、二つ目は、今回の経営危機に当たって、県も要請して急遽設立された
経営諮問委員会におきまして、経営の状況、課題、将来の改善計画を審議し、県民を中心に企業、行政の三位一体の支援があれば何とか存続できるという結論があったこと、そして三点目に、資金ショートを目前にして、公的支援以外に手だてがないということなどの理由によりまして、大分県
文化スポーツ振興財団に資金の貸し付けを要請したところであります。 時間的な余裕がございましたら、県議会にあらかじめご説明し、ご理解を得て行うことが望ましいと思いましたけれども、
経営諮問委員会の答申が十四日、大分フットボールクラブからの支援要請が十六日、そして支払い期限が二十一日と差し迫っておりましたので、対応が先行した次第でございます。 財団におきましては、十九日に急遽、理事会を開催して、二億円の貸し付けを決定していただきました。財団が貸し付けるに当たりましては、返済が確実に行われるように、大分フットボールクラブ取締役による連帯保証とともに、Jリーグの分配金を担保にすると承っております。 今後のトリニータの支援につきましては、チーム設立の原点に立ち返りまして、県民、経済界、行政の三位一体の支援が成り立つかどうかにかかっていると思います。 まず、経営の再建のためには、トリニータがいかに県民に愛され、支えてもらえるかが大切であります。チケット収入の伸びが経営安定化のかぎを握っておりまして、県民の皆さんに一人でも多くビッグアイに足を運んで応援していただけるように、さらに魅力的なチームにならなければならないと思います。 次に、経済界からの支援もトリニータ経営安定化に不可欠でございます。このため、県内企業の皆さんのスポンサー支援などバックアップを得るように、これまた、会社に大いに努力をしてもらわなければならないと考えております。 県といたしましても、今後、大分フットボールクラブの中期八カ年計画の実行状況を検証しつつ、県民の応援や経済界の支援等の動向を見ながら、トリニータを盛り上げていきたいと考えているところであります。 私からは以上でございます。その他のご質問につきましては、関係部長からお答えさせていただきます。
○
荒金信生議長 深田教育長。 〔深田教育長登壇〕
◎深田秀生教育長 教育事務所の再編についてお答えいたします。 今回の見直しは、合併後の新市教育委員会との役割分担を整理、明確化した上で、教育事務所は高度専門的な教育課題等に重点的に取り組むことを基本に、業務の効率化、組織の簡素化を図ることを基本的な考え方としております。 小中学校教職員の人事や給与負担につきましては、現行制度では県が権限と責任を負っておりますが、できる限り市町村の権限と責任を強化するため、給与事務のうち扶養手当などの認定権限を市町村に移譲するとともに、事務職員の一人配置が大半を占める学校の事務を拠点校において共同で行い、給与・旅費事務の効率化を図ることとしています。 また、学校教育などの指導業務につきましては、教育課程や学習指導などの日常的な指導は市町村が主体的に行い、県は、研究指定校の指導や教職員研修の実施、学校危機管理の支援など、高度専門的な事項や学力向上など地域の課題に取り組むこととしております。 このような業務の効率化と組織の簡素化によりまして、六事務所合計職員定数を、現行八十七名でございますが、平成二十年度までに約二十名削減することといたしております。 こうした見直しにより県が取り組む業務を推進し、全県的な教育水準の維持向上を図るとともに、喫緊の課題でございます教育改革を着実に実行するためには地域や学校現場に密着した業務執行体制を確保する必要があることから、現行の六事務所体制を維持することといたしました。 なお、現在、中央教育審議会において、人事権の移譲を初め、義務教育の実施主体である市町村や学校に権限の移譲を進める論議が行われており、この論議の動向や国の制度改正、市町村の体制整備の状況等も見きわめながら、今後とも必要な見直しは行っていきたいと考えております。 以上でございます。
○
荒金信生議長 武田
企画振興部長。 〔武田
企画振興部長登壇〕
◎武田寛
企画振興部長 大分バスの出資についてお答えします。 まず、熊本県、宮崎県のケースとの違いについてですが、熊本県や宮崎県は直接の出資はしておりません。しかしながら、熊本県では、熊本市と共同で新たに
九州産業交通のバス路線に対する補助金を約四千三百万円増額しております。また、宮崎県は、中小企業等支援ファンドに二十億円を貸し付け、同ファンドから五億円を宮崎交通に出資しております。 このように、いずれも民間主導を基本としながらも、必要に応じて県が支援をしているという状況は本県と同様であると考えています。 次に、本県の出資の意義についてでございますが、大分バスは、県内のバス利用者数の五九%を占めるなど、地域交通に重要な役割を担っており、再建の成否が県民の足に及ぼす影響は甚大です。 出資には、大分バスが再建計画を着実に遂行できるよう、大分バスの公共交通機関としての位置づけをさらに明確にし、他の県内企業等からの出資の協力を得やすくするという意義があります。 また、出資によって、計画どおり再建を果たすことによりさらなる路線廃止の防止を図るとともに、今後、経営の安定と利用者の利便性向上のため、他のバス会社との相互乗り入れなどについて積極的に働きかけてまいります。 次に、バス路線の維持についてお答えします。 五月二十三日に大分バスから提出された二十一路線の廃止計画については、これまで二回、大分
県バス対策協議会を開催し、住民も参加する中で存続に向けた協議が行われました。その結果、二路線は廃止することで合意となりましたが、他の十九路線については、利用者の状況次第では存続の可能性がある路線もあり、何とか路線を残せないか、現在も地元自治体と大分バスとの間で協議が継続されています。 県としては、出資する意義を十分に認識し、バス会社と自治体、住民とのパイプ役となって、こうした協議の場に積極的にかかわり、路線を廃止しないで済む知恵や工夫がないかなど、きめ細かく調整を図ることにより、路線の維持ができるよう努力してまいります。 以上でございます。
○
荒金信生議長 福浦総務部長。 〔福浦総務部長登壇〕
◎福浦裕介総務部長
予算編成過程の透明化についてお答えいたします。 財政状況が厳しさを増す中、真に県民の求める施策を展開するため、これまでも
事務事業評価や政策施策評価を初め、選択と集中分野特別枠や部局枠予算を導入するなど、予算編成方法の改善に努めてまいりました。また、翌年度の予算編成の大枠をあらかじめ示すために、県政運営の基本方針を策定することとしております。 さらに、このほど新しい
長期総合計画を策定し、基本目標である「県民とともに築く安心・活力・発展の大分県」を実現していくためには、予算編成に関しても、より説明責任を果たし、その情報を県民と共有していく必要があると考えております。 このため、十八年度当初予算の編成に当たっては、まず、予算要求状況の公表時期を早めます。また、公表内容についても、部局別の要求方針や主要事業の概要、加えて、具体的な理由を付した廃止事業一覧をお示しするなど、充実を図ってまいりたいと考えております。 また、要求状況の公表後、県民からのご意見をお受けするとともに、意見に対する対応結果も公表してまいりたいと考えております。 今後とも、
予算編成過程の一層の透明化に向けての検討を深め、県民に開かれた県政の構築と県民協働による施策の推進に努めてまいります。 以上でございます。
○
荒金信生議長 再質問はありませんか。--渕健児君。
◆渕健児議員 権限移譲のことにつきまして、意見をちょっと申し述べてみたいと思うんですが、財源をつけて権限を移譲するということは、地方の立場になりますと、仕事を押さえつけられた、無理やり押さえつけられたという思いには私はならぬと思っております。申し上げたいことは、権限移譲することによりまして、受ける側は、それを受け入れるための体制、人材とかそういうものが早く育ってくる、このように思うわけです。育つのを待って渡すとかいうのではなくて、やっぱり権限をどんどんどんどん、財源をつけて移譲していくということによって、人材も育ち、市そのものも自立が進んでいく、活性化につながっていくと、このように思っておりまして、そういう面では非常に弾力的に考えて、慎重さも必要ですけども、弾力的に考えて運用してほしいと、特に強く要望しておきたいと思います。 それから、武田部長、さっきの答弁、ちょっと私、どうも見解が違うんですが、宮崎と熊本は、県は出資はしてないけども、路線の維持について補助金を増額しておりますんで、大分県と一緒でありますと、こういう答弁だったと思うんですが、私は全然違うと思うんです。大分県が出資をする立場、言ってみたら経営に参画するわけですから、そういう立場とサポートする立場とは全く私は違うと思います。部長がそんな感覚じゃ困る、こういう気持ちを持っております。この議場で議論をしようと思いません。またゆっくりしたいと思いますけども、私はそういう思いを持っております。ですから、やっぱり民主導ができれば望ましいということを考えとったわけですが、経過の中でやむを得ないとは思っておるんですけども、そういう感覚じゃちょっと困る、ちょっと見解が違う、こういう思いがいたしました。答弁は要りません。 それから、最後にトリニータのことでありますけども、知事の答弁を伺いながら、まさに苦渋の選択、これしかないのかなと、苦渋の選択であっただろうと。トリニータの存在も考えながら、そういう思いがいたしましたけども、ただ、私たちはある程度、
大分トリニータがそういう事態に立ち至っておるということは想定はできておりましたけども、一般の県民の立場に立ちますと、まさしく唐突に出てきて、そして、しかも、あしたあさって給料払うのに銭がないんですと、こういう形で突きつけられたような形になっておるわけでありますので、そういう面では県民もびっくりしたと思いますが、これに理解を得られるには、もう大変な作業が要る、こういう思いがいたしております。ですから、そういうことが一つ。 それから、あとはトリニータの、新聞情報でありますけど、ここに出ておりますが、トライバルキックスという小室哲哉さんの会社がありますが、七千万が未収になっておる、そのほか入れると一億ちょっとあるという、こういうものにトリニータとしてどのような努力をされたのか。 そしてまた、一方では、後援会の組織が、これほど幅広く県民の支持を得ようと思えば、選挙ではございませんけども、きめ細かく幅広くという形で後援会活動というのをやっていかないと県民の理解と協力は得られないと思うわけであります。知事の答弁にございましたように、三位一体の原点に戻って、後援会のそういう努力も、後援会もできる限りのことは精いっぱいやった、もうやることすべてやったけども、どうにもならない、大分県が何とかしてくださいというのが本来であれば筋だと、このように思うんですけども、この段に至っては、払う給料がないといったらとてもじゃないけど立ち行きませんので、もう苦渋の選択でやむを得ないかなと思ってはおりますけども、民間金融機関の立場からこの会社には融資ができないというような実態でありますので、県が出すお金が果たして回収もできるんだろうかという心配も一部には持っておるわけであります。 そういう面から見ましても、トリニータのそういう、改革的なことと申しますか、やるべきこと、例えば、サポーターが大分市を中心に、大分県じゅうでカンパを呼びかけるとかいう運動も大々的に広げて、それに私たち議員も加わってやるとか、そういうような県民の運動が出てこないと、なかなか県民の協力というのは簡単に得られないだろう、このように思うわけであります。そういう努力は必ずしも十分じゃなかった、このように思うわけでありまして、いろんな原因の中でこういう経過になった、このように思うわけでありまして、その辺はしっかりと
大分トリニータの方では努力をしてもらわんといかぬだろう。努力すること、やる順序が逆になったかなと思ってはおりますけども、これからの運営に関しまして県も二億ほどの融資もするわけでありますので、ちゃんとした回収もしなければいけませんので、きちっとした経営基盤を取り戻すためにもそういうことはきちっとやっていかないといけない、こんな思いを持っております。 したがいまして、その辺について、どの程度、事前に把握されて、どのようなやりとりがあったか、聞かれる範囲で結構ですから、お答えをいただければと思っておるところであります。 そういう努力を続けてくれば、何となく大分の企業も支援が少ないなんてささやかれておるわけですけれども、企業も安心してトリニータに賛助金を出そうかという形にもなってくると思いますので、そういう真の三位一体の体制づくり、これにもう尽きるんじゃないか、こういう思いもしておりますので、ぜひご努力もお願いしたいと思いますし、そういう対応もお願いしたい。ちょっとその辺をお聞かせいただければと思います。
○
荒金信生議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 トリニータの件でございますけども、議員ご指摘のとおり、まことに唐突な感じを県民の皆さんはお持ちになったと思います。その点は大変残念だったわけでございますけども、私どももこういう問題が出てきそうだということで、急遽、会社の方に話をしまして、我々自身もお願いをして、経営諮問会議というのをつくっていただいて、そして、どこに問題があるのか、これからどうすればやっていけるのかということについて、つぶさに議論をいただいたと。そういう中で、先ほど申し上げましたような三位一体で努力をしていけば何とか再建ができるだろうという見通しも得たもんですから、今度、融資をお願いするということにした次第でございます。 その過程で、ただいまご質問のありましたトライバルキックスとの関係も一つでございますけれども、これは、スポンサーとして応援をしてもらうという契約があったのは事実でございます。その後、過去からの状況の変化で先方からの入金が途絶えているということです。滞っているという会社側のあれと、先方は、いや、もうお断りしたはずだということとの行き違いがあるわけでございまして、この辺は引き続き事実関係を明確にして、適正な処理をしてもらわなきゃならないと、こう思っておりますけども、そのことが今度の融資に間に合えば、それが一番よかったわけですけれども、なかなか時間のかかる問題だろうと思います。今回の資金ショートを救う手だてとしては、長の方においてやらざるを得ないなということでやったわけでございます。 今後、トリニータの会社と、それから先方の会社との間で処理をされるもんだというふうに考えておりますけども、私の感想としましては、トリニータ、スポンサーをこれからいろいろお願いする立場にあるわけでございますから、余りスポンサーとの間で事を荒立てるというのは適当でない、しっかりと話し合いをして解決をしていってもらいたいというふうに考えている次第でございます。 それから、今後の対応について、やっぱり大事なことは、一つは県民からの応援だろうというふうに思います。具体的には、後援会をしっかりと拡充し、また、できるだけ多くのファンの皆さんに来ていただくということが大事、最終的には入場料収入という形であらわれてくるということになるわけでございますけども、この件につきましては、やっぱりまだチームとして、会社として努力する余地があるんではなかろうか、地域に出かけていってファンをふやしていく、後援会を拡充していくというようなことも必要なんではないかというふうに考えております。 後援会長に坂本休氏を得まして、新会長が精力的に地域を回っておりまして、全県的な地域後援会をつくるというような努力をしております。既に幾つか地域の後援会としてでき上がったものもありますし、今、設立途上のものもあります。全県的な広がりを持っていくというようなこともまた大事なことではないかというふうに思っております。 もう一つは、経済界からの応援ということになりますと、これはスポンサー収入かかわるわけでございますけど、こちらの方は、やはりスポンサーとしてお金を出す、それも効果があれば高いお金を払うわけでございますから、やはりどれだけの魅力的なチームができるか、すばらしい試合ができるかということによるわけで、この点についても努力しながら、経済界の理解を得て、協力を得て、ふやしていくということが必要なんではないかというふうに思います。 三位一体の応援ということで、県、行政の方は二億円のつなぎ融資を何とかさせていただいたわけでございますけど、これからは、そういう県民、ファン、それから経済界の応援を得ていく努力を引き続きやってもらいたいというふうに思います。 順番としては前後した感はありますけども、これは緊急事態としてやむを得なかったということでご理解を賜ればというふうに思う次第でございます。
○
荒金信生議長 以上で渕健児君の質問に対する答弁は終わりました。 吉田忠智君。 〔吉田議員登壇〕(拍手)
◆吉田忠智議員 皆さん、おはようございます。社会県民クラブの吉田忠智でございます。 質問の機会を与えていただきました先輩、同僚議員の皆さんにお礼を申し上げますとともに、早朝から傍聴に来ていただきました多数の皆さんにお礼を申し上げます。 また、お茶の間からケーブルテレビやインターネットでこの本会議をごらんの県民の皆さん、まことにありがとうございます。 今後、身近で開かれた県議会づくりや、あるいは議会審議の活性化など議会改革に対しましても、微力ですが、私も全力で取り組む決意でございます。本会議をごらんになってお気づきの点はぜひ、意見などお寄せをいただきたいと思っております。 本日は当面する主要な課題につきまして質問させていただきますので、知事を初め執行部の皆さんの懇切丁寧な答弁をお願いします。 最初に、小泉構造改革とこれからの県政運営について質問します。 去る九月十一日に実施された衆議院議員選挙は、皆さんご案内のとおりの、予想に反した結果になりました。いまだ疲れのとれない方もおられると思いますが、それぞれの立場で奮闘された議員の皆さんに敬意を表します。 また、当然のこととはいえ、不偏不党を貫かれた広瀬知事の姿勢に対しましても敬意を表する次第でございます。 小泉首相が今回、衆議院を解散したことについては、投票率が前回を七・六五%上回り、六七・五一%となるなど、政治に国民の関心を向けさせたこと、このことは事実でありますけれども、郵政民営化法案が衆議院で可決をされ、参議院で否決されたにもかかわらず、あえて衆議院を解散して選挙を国民投票的な形で行ったことについては、私は、議会人の一人として、議会制民主主義の否定であり、日本の政治史に汚点を残したと言わざるを得ません。 九月十二、十三日に共同通信社が実施した世論調査によれば、選挙結果を反映して内閣支持率は八月の調査より一一・八%ポイント増加しましたが、郵政民営化法案の取り扱いについては、「慎重に検討すべきだ」が五三・四%で、「特別国会で成立すべきだ」の三七・一%を上回りました。選挙結果が必ずしも郵政民営化法案に賛意を示したものでないことは明らかであり、現在ある地方の郵便局がそのまま残せるよう、ぜひとも慎重な議論を求めるものであります。 さて、小泉首相が進める構造改革は、官が担っている業務を民間に開放することや規制緩和による自由競争領域の拡大によって民間需要を喚起し、経済の活力を高めることにつながるとの観点から進められてきましたが、そのことが非正規労働者の増加や所得格差の拡大、医療、福祉の国民負担増、企業の大都市集中、地方における産業の空洞化等を助長しています。 今回の選挙結果を踏まえ、小泉首相は自信を持って構造改革を推進すると思われますが、知事は、小泉首相が進める構造改革をどのように評価され、本県にとって今後どのような影響が出てくるのか、そしてどのように対応していかれるのか、ご所見を伺います。 二点目に、
地方行政機関の再編について質問します。 県は、検討を進めていた
地方行政機関の再編素案をまとめ、八月に発表しました。十二ある地方振興局を六つに再編するとともに、県税事務所を一減、土木事務所及び教育事務所については、組織の簡素化を行った上で現行数を維持するという内容です。また、再編によって約二百人の定数削減が可能で、
行財政改革プラン期間内に約二十億円の人件費削減効果があるとしています。 今回の再編は、一九四二年に現在の十二圏域に設定されて以来、六十四年ぶりの再編であり、素案発表に至るまでの知事を初め、担当者の皆様方のご苦労は言葉には言いあらわせないものがあったと拝察します。 そこでまず、これまでの経過と今後の対応策について伺います。 再編素案の根拠については、これまでいただいた資料で読み取ることができますが、振興局がなくなる圏域の皆さん方に対する思いと今回の素案策定に至った経過及び今後の対応策について改めて知事にお尋ねします。 次に、地方事務所の設置期限について伺います。 再編によってなくなる地方振興局については、四年間に
限り地方事務所を配置し、住民の皆様に不都合が生じないようにするとしています。 期限については、新市の行政運営状況を見きわめながら弾力的に対応すべきと考えますが、ご所見を伺います。 次に、地方事務所への農林水産技術職員の配置について伺います。 結果として土木事務所が十二カ所そのまま残るのに対して、農林水産部門は六カ所の振興局に集約される案が出されたため、各方面から一次産業軽視ではないかという声が上がっています。 一、合併後の新市の農林水産業務の執行体制が確立していない、二、農協の営農指導が弱体化している、三、普及業務については、直接、生産者に接して指導することが必要であるなどの理由から、地方事務所にも農林水産技術職員を配置すべきと考えますが、ご所見を伺います。 三点目に、豪雨災害対策について質問します。 去る七月九日から十日の未明にかけて、県西部は梅雨前線による記録的な豪雨に見舞われました。また、九月六日から七日にかけては、大型で非常に強い台風十四号が本県に接近し、強風と記録的な大雨をもたらしました。亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げます。 さて、去る七月、日田市上津江町では、土砂崩れが発生し、一瞬にして民家をのみ込み、二人が死亡、九重町湯坪でも、鉄砲水で一人が死亡しました。また、九重町では、「県道から車が川に転落した」との目撃情報をもとに、玖珠川一帯で警察や消防署、消防団員が捜索活動を続けたところ、一人が遺体で発見され、もう一人は、依然、行方不明のままです。 避難勧告三世帯、自主避難八十六世帯、全壊家屋三棟、床上、床下浸水二十五棟、土砂、がけ崩れ七カ所、県道の全面通行どめ十八カ所、農地の被害等、集中豪雨は深いつめ跡を残しました。 県防災センターによると、九重町では、七月十日午前三時から四時までの一時間に八十四ミリ、日田市中津江村でも午前二時から三時までの一時間に八十一ミリの猛烈な雨を記録したと報じています。 今回、七月の豪雨災害は、森林から流れ出た大量の流木が川をせきとめ、被害を大きくしたものであり、災害に強い森林づくりを目指し、林業施策を見直すことが必要であると考えます。 一方、台風十四号は、記録的な大雨をもたらし、佐伯市で高齢者の転落事故による死者一名、竹田市と湯布院町で土砂崩れによる民家全壊などで三名が行方不明となっています。今月十二日現在の被害額は約百十七億円で、水稲やキャベツ等の野菜、ナシやミカン等の果樹に大きな被害が生じました。また、大雨により道路が決壊したところもあり、豊後大野市緒方町上畑地区や津久見市長目・楠屋地区は県道の決壊により集落が孤立状態となり、住民に不安を与えました。 台風十四号は、時速五から二十キロ程度という自転車並みの動きの遅さであったため、大きな雨雲が長い間かかり、大量の雨をもたらしました。四日の降り始めからの降水量は、竹田市倉木で九百ミリを超えています。また、六日の雨量は湯布院町で四百二十一ミリを超えるなど、各地で日降水量の観測記録を更新しています。 我が社会県民クラブは、七月十九日と九月十三日に社会民主党県連合と合同で現地調査に伺いました。県職員の皆さんが迅速、的確な対応をされておられることを目の当たりにして、大変心強く思うと同時に、自然の脅威をまざまざと実感したところであります。その調査結果を踏まえて、質問させていただきます。 まず、新市における災害時の連絡体制等について伺います。 七月に発生した日田市上津江町の土砂崩れは午前三時三十分ごろ発生していますが、実際に警戒中の市職員が発見したのは、二時間後の午前五時三十分ごろと発見がおくれています。また、近隣住民の中には、「防災無線で避難勧告の指示がなかった。市の対応も見直してほしい」との声も出ています。 これまで村が単独で実施していた災害時における連絡体制とは異なり、職員間だけでなく、消防団を初めとする関係機関についても、合併後の連絡体制がうまく機能せず、被害が広がったとの見方もあります。 このように、今回の災害では、新市における災害時の連絡体制等の問題が浮き彫りとなっています。このことは新市における共通の課題と思われますので、災害時のマニュアルづくりや、職員を初め、消防団等関係機関への連絡体制の徹底など、今後、新市に対し、県としてどのような対策を講じていくのか、伺います。 次に、過疎地域の災害弱者対策について伺います。 今回発生した二つの豪雨災害で五名の貴重な命が奪われたほか、行方不明者は四名います。予期せぬ災害とはいえ、防ぐことができなかったのかと悔やまれてなりません。この人命が失われた今回二つの災害に共通しているのは、豪雨のため、過疎地域の山間部にある集落で地すべり等が発生し、高齢者が犠牲となったことです。 県や市町村は防災計画を作成し、災害時の対応や避難場所等について明記しています。最近では、ハザードマップを作成し、急傾斜地崩壊危険区域等の災害の発生の危険性のある場所を一枚の地図に落として、危険箇所の周知に努めています。しかしながら、今回の災害を検証してみますと、これらの取り組みが過疎地域にある集落では有効に機能しておらず、同じような災害を繰り返しているようにも思えます。 このような集落にあっては、災害時に被害を受ける方も、また、救出に当たる地域の方々も、ともに高齢化しています。いざというときに動ける人手は少なく、また、集落が点在しているところが多いため避難情報の伝達がおくれがちで、救援に手間取っているのではないでしょうか。 今回のような災害を防ぐためには、災害に備え、集落単位にきめ細かい防災計画を作成し、万一の際の対応を明確にしておくことが重要と思います。 特に、災害弱者である高齢者等に対しては早目の避難誘導がまず大切でありますが、高齢者や障害者の多くは自力では避難できず、避難誘導の手段をどのように確保するかといった課題についても具体的に決めておくことが必要であると思います。 ついては、今回二つの災害を教訓に、過疎地域にある集落に住む高齢者等災害弱者の命を守るため、県はどのような対策を考えているのか、伺います。 四点目に、悪質商法等の被害防止と成年後見制度の普及について質問します。 悪質な訪問販売によるリフォーム工事に関する高齢者の被害が社会問題になっています。国民生活センターによると、全国の消費生活センターには年間九千件前後の訪問販売によるリフォーム工事の相談が寄せられており、その内容も悪質で巧妙な手口が目立っているとのことであります。 また、県消費生活・男女共同参画プラザには、住宅リフォームに関する相談が二〇〇四年度九十七件寄せられ、半数以上の五十件は契約当事者が六十五歳以上の高齢者で、そのうち三件は認知症など判断能力が低下している方々でした。 こうした悪質な訪問販売の被害から高齢者などを守るため、国では、啓発活動や相談体制の強化、悪質業者名の公表などの対策を講じています。 県では、商品やサービスが複雑化し、新しい手口の悪質商法が多発するなどの社会経済情勢の変化にかんがみ、本年四月、大分県民の消費生活の安定及び向上に関する条例を改正したところであります。今後、条例の積極的な運用を行うとともに、関係機関がそれぞれの施策を講じることにより、悪質商法等から消費者、特に高齢者の被害防止に当たることが重要です。 まず、悪質商法等の被害防止の取り組みについて伺います。 悪質な取引については、特定商取引に関する法律や条例などに基づき、業者名を公表するなどの行政処分を行うことにより消費者被害の防止を図っていくことが必要と考えます。 ついては、悪質商法等から消費者被害を防止するための取り組みについてどのように進めていかれるか、伺います。 次に、高齢者のリフォーム工事における被害防止について伺います。 国民生活センターによると、高齢者の消費生活に関するトラブルについての相談は、家族からの相談に次いで、日常的に接しているヘルパーなどからの相談が多くなっています。独居老人や老夫婦世帯がふえている中、高齢者をリフォーム工事の被害から守るための具体的な取り組みをどのように進めていかれるのか、伺います。 また、悪質なリフォーム工事については警察本部としても対応していることと思いますが、県内における検挙状況及び被害防止のための取り組みについて伺います。 次に、成年後見制度の普及について伺います。 成年後見制度は、認知症など判断能力が不十分な人にかわって成年後見人が不動産や預金などの財産管理や物やサービスの購入などを行う制度です。 国では、介護保険法の改正に伴って、来年四月から各市町村に新設される地域包括支援センターで、各地域に住む高齢者の介護や人権擁護に関する相談のほか、成年後見制度についても相談を受け付けることとしています。 制度の利用に当たっては、法定後見開始の審判の申し立て、公正証書の作成、本人の判断能力の医師による鑑定などの費用負担と法的な事務手続がわかりにくいといった問題はありますが、本制度は悪質な業者から認知症など判断能力が不十分な人を守るための有効な一つの方法と考えられます。 ついては、本県での成年後見制度の利用状況はどうなっているのか、また、県としても制度の普及に努めるとともに、制度利用に当たっての支援を図っていくべきと考えますが、ご所見を伺います。 五点目に、地域給与について質問します。 国家公務員の給与等に関する人事院勧告が去る八月十五日に出されました。ことしの勧告では、本年度の給与勧告とあわせて、地域における官民格差を是正するとの目的で、基本給を平均四・八%引き下げ、一部の地域に地域手当を支給する、いわゆる地域給与の導入と査定昇給を初めとする給与制度の見直しが勧告されています。 この地域給与、給与制度見直しについては、昨年の「骨太方針二〇〇四」を踏まえ、地方の公務員給与の引き下げと同時に、地方歳出と地方交付税の圧縮を企図する財務省の政策に追随するものであり、さらには増税などの国民負担の増によって財政再建を進めるためのスケープゴートとして、政治の道具に扱われています。 政府が公務員給与を政治的に取り扱うことは、みずからが公務員の労働基本権を制約した上でつくり上げた現行の給与決定システムを否定するものであると言わざるを得ません。 また、八月九日に総務省の地方公務員の給与のあり方に関する研究会が「地方公務員の給与構造等の見直しに関する基本的方向性について」を報告し、地方公務員に対する今後の給与のあり方も議論されているところです。 地域給与が導入された場合には、中小・地場労働者や地域経済に波及し、地域経済の疲弊を招くことは明らかであります。 九州大学大学院の藪野祐三教授によれば、大分県内の国、県、市町村に働く公務員三万八千五百十九人、二〇〇三年度推計ですが、平均五%の給与引き下げが実施された場合のマイナス経済効果は五百七十七億五千五百万円になり、失業率も一・二一%押し上げられるとの分析結果が出されています。 また、配分では、若手係員クラスの引き下げはないものの、中高齢層では七%の引き下げとなり、教育費が重くのしかかっている世代の家計を直撃することになります。 さらに、行財政改革に主体的に取り組んでいる職員の士気にも影響が出るのではないかと懸念されます。 国の場合には、引き下げ分を原資にして、新たに新設する地域手当、本府省手当、広域異動手当に振り分け、人件費総額は保たれます。それらは、国家公務員の給与、手当の考え方であり、特に地方公務員になじむかという問題もあります。 そこで、今回の人事院勧告を踏まえ、大分県人事委員会としてどのように対応していかれるか、ご所見を伺います。 また、執行部としては、人事委員会勧告を待って検討することになると思われますが、今回の国の勧告をどのように受けとめておられるか、お尋ねします。 六点目に、大分空港駐車場の短時間無料化について質問します。 大分空港は、利用客の増大に対応し、本県の空の玄関にふさわしい施設とするため、二〇〇二年三月に大分空港ターミナルビルの大幅増改築を行いました。 空港ターミナルを管理している大分航空ターミナル株式会社、県出資団体では、空港ターミナルを単なる航空機の離発着施設としての利用だけではなく、空港ターミナルのロビー等空間を利用して美術品の展示会を開催するなど、空港利用者に愛されるターミナルビルを目指し、多様な活用を図っています。 大分空港の利用者は、一九九五年に二百万人を初めて突破し、以降、二百万人台を順調に維持してきましたが、二〇〇三年に海外で発生したSARSを契機として利用客の減少が続き、昨年の利用者は百八十万人台にまで減少しました。 空港ターミナルは、県内の代表的な産物が販売され、飲食店も充実しており、本県を代表する空の駅としてふさわしい内容を有しています。飛行機乗降客のみならず、国東半島観光に訪れる人たちや地域の人たちが立ち寄り、土産品を買ったり、食事をしたり、休憩に利用するなど、空の駅としてのさまざまな利用が可能です。しかしながら、現実は、国の外郭団体が管理する空港の駐車場が有料のため、このような空の駅としての利用はわずかにとどまっています。 来年三月には周防灘に新北九州空港がオープンすることとなっており、利用客が大幅に減少することが予想されます。 空港ターミナルの活性化を図るためには、空港アクセスの改善等により航空機利用客の減少を食いとめるとともに、新たに空の駅としての利用客の増大を図る必要があります。そのために、買い物客等の空港駐車場の短時間利用料金の無料化を図るべきと考えます。 また、空港ターミナルビル前の道路は狭いため、常に客を送迎するタクシーやマイクロバス、自家用車等で混雑しており、利用者にとっては危険な状況にあります。そのため、短時間利用者の駐車場無料化はターミナルビル前の交通混乱を防ぐためにも有効と思われます。 将来的には、空港駐車場の管理運営権を国の外郭団体から譲り受け、県や大分航空ターミナルが空港活性化のために直接管理するのが適当と考えます。 ついては、大分空港駐車場料金の短時間無料化についてご所見を伺います。 最後に、私の居住する地域の皆さんから強い要望のありました都市計画道路庄ノ原佐野線にじが丘二丁目交差点の安全確保について質問させていただきます。 にじが丘二丁目交差点は、都市計画道路庄ノ原佐野線、これは主要地方道大分臼杵線と重複しております、これと、庄ノ原から私の居住するにじが丘に抜ける市道が交差する交差点です。 本交差点は、一、高速道路大分インターチェンジの入り口に当たる、二、庄ノ原から大分市中心部に出るための主要な路線である、三、庄ノ原地区にある高齢者福祉施設利用者が通行している、四、賀来、医大方面から来る人たちのバイパスになっている、五、庄ノ原からにじが丘、高崎団地を経由して国道一〇号線に出るための主要路線である、六、大分市内で有数の都市近郊農業が営まれる庄ノ原からの主要な流通経路であること等から、交通量が非常に多くなっています。 特に、庄ノ原から庄ノ原佐野線に出る際には、交差点の直前で二本の道路が合流することに加えて、前方の見通しが悪いため、利用者は危険を感じながら通行しているのが実情です。過去に軽微な事故が数件発生しているとのことですが、大きな事故になっていないのが不思議なほどです。 本交差点は、大分市が計画している都市計画道路中島三芳線の計画路線上に位置していますが、事業実施の見通しは今のところ立っていません。そのため、当面、安全確保のための交差点改良を緊急に行うことが必要と考えますが、ご所見を伺います。 以上で私の質問を終わらせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。(拍手)
○
荒金信生議長 ただいまの吉田忠智君の質問に対する答弁を求めます。 広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 吉田忠智議員のご質問に対してお答えを申し上げます。 初めに、小泉内閣の構造改革路線についてのご質問がございました。 小泉内閣は、「改革なくして成長なし」「民間にできることは民間に」「地方にできることは地方に」の基本理念のもと、金融システムの改革、規制緩和、税制改革、歳出改革といった構造改革を進めてまいりました。小手先の改革ではなくて、真の改革を実行するためには、その過程で痛みを伴うこともあります。しかし、日本の社会、経済が真に健全さを取り戻して新たな発展を遂げていくためには、構造改革は避けて通れない課題であると考えております。 改革の実行に当たりましては、弱い立場にある者を切り捨てるものであってはならず、努力した者が夢と希望を持って活躍できるような改革でなければなりません。 特に、地方財政にとって影響の大きな三位一体の改革につきましては、地方の一般財源総額の確保や地方の自主性を高めることに努める一方で、税源の偏在がある中で本県のように財政力の弱い団体に一方的にしわ寄せするようなことがあってはならないと思っております。財源保障、財源調整の両機能を強化して、安定的な財政運営を可能にすることが何よりも必要ではないかと考えておるところであります。 私は、構造改革が避けて通れない道であるとするならば、受け身でこれに対応するということではなくて、地域間競争の時代にあって、改革を先取りすることこそが重要であると考えております。 本県では、既に中期的な財政収支の見通しに立った
行財政改革プランを策定し、持続可能な財政運営の確立に向けて着実に実行しております。また、県民が夢と希望を持って心豊かに暮らせる地域を築くために、新しい
長期総合計画「安心・活力・発展プラン二〇〇五」を策定しております。 これらの政策、これらの改革を着実に実行に移して、構造改革を大分県のフォローの風にしていかなければならないというふうに考えているところであります。 次に、地方機関の再編についてご質問をいただきました。 聖域なき見直しの指針として策定いたしました
行財政改革プランで、地方機関の統廃合、簡素化を明記して以来、県議会、市町村、現場職員との意見交換を重ねまして、また、各分野の有識者の方々から構成される行財政改革推進委員会の意見を幅広く伺いながら、緊急行財政改革本部を中心に全庁的な議論を行ってまいりました。 こうした議論の中で、昭和十七年に県下十二カ所に地方事務所が設置された時代と比較いたしまして、時代が地域社会に求めるもの、そして地域社会で県民が求めるニーズが大きく変化し、地域社会を支えていく県の役割もまた大きく変わっているという問題意識につきましてはおおむね共有されていると考えております。 例えば、市町村合併後の新市の旧町村部振興のためには、より専門的な知識、技術、豊富な経験を持った職員を集約いたしまして、総合力、政策力を発揮できる体制を構築することが必要であります。 また、普及指導業務では、国内外での厳しい産地間競争が進む中で生産者の高度な技術ニーズに対応した専門化が求められております。 このように業務の今後のあり方、組織のあり方について個別に検討を進めました結果、地方振興局は六つの所管区域に広域化いたしまして、職員を集約配置することが必要という結論に至りまして、先月、素案としてお示ししたところであります。 長年にわたり親しまれてきた地方振興局がなくなる地域の皆様方のお気持ちは、地域を回る中でたびたびお伺いしたところであります。不安や寂しい思いを抱いておられる方もいらっしゃいました。これは、言いかえれば、地方振興局が県民の皆さんに頼りにされているということのあかしでもありますので、まことにありがたいことだと深く心に刻んだところであります。 今回の再編によりまして地方振興局が従来から持っていた専門性がより高くなりまして、その組織はより強いものになってくると思います。また、アクセスにも十分な配慮をして素案を策定していますので、より内容的に充実した地方振興局から今まで以上に職員が現場に出かけていきまして、県民の皆さんから「むしろ体制が強化され、現場と県庁が身近になった」という評価がいただけますように、職員一丸となって努力をしていきたいというふうに考えております。 なお、地方振興局がなくなる地域につきましては、平成二十一年度までの四年間、新市の行財政運営に十分な支援を行って、あわせてパスポートの発給、情報公開、簡易な申請書の受理等の総合窓口業務を担当させまして、県民サービスの確保に努めてまいりたいと考えているところであります。 吉田議員からは、災害対策、あるいは悪質商法等、大変貴重なご意見、ご質問もいただきました。これらにつきましては関係部長からお答えを申し上げます。
○
荒金信生議長 福浦総務部長。 〔福浦総務部長登壇〕
◎福浦裕介総務部長 まず、地方事務所設置の期限についてでございますが、今回の再編で地方振興局のなくなる地域につきましては地方事務所を設置することというふうにいたしておりますが、この設置の目的は、新市の行財政運営を支援すること、また、これにあわせて、パスポート発給等の県民サービスの確保を図ることにあります。 新市への支援につきましては、市町村合併後の新市が滞りなく行財政運営が進められるまでの過渡的なものでありまして、平成二十一年度までの四年間に限り設置することといたしております。この四年間で新市においては、より円滑な行財政運営が行えるよう充実した体制となっていただきたいと考えております。 なお、パスポート発給業務、県民相談等の窓口業務につきましては、今後取り組む市町村への権限移譲等を踏まえ、四年後までにその業務のあり方について結論を得たいというふうに考えております。 次に、農林水産技術職員の地方事務所配置についてでございますが、現在の農業普及指導業務では、十二カ所のセンターにおいて部門によっては一人しか普及指導員の配置がされておらず、先進的な農業者から要求される高度で専門的な技術ニーズへの対応、また、若手普及指導員の育成等に限界が生じております。 地方振興局の再編によって、普及指導員が集約化されることによりまして部門複数配置が可能となりまして、これによって担当部門を細分化することで専門技術指導力が向上し、その結果、高度な技術指導への対応や産地間技術への高位平準化、広域産地化が図られるものというふうに考えております。 また、再編によって、地方振興局長のもとに、商工、農業、林業、水産業が横断的に連携する組織を構築することとしておりまして、総合的な農林水産業の振興にも取り組むことができるものと考えております。 したがいまして、地方事務所に農林水産技術職員を分散配置すると、このような再編の目的を達することはできないと考えております。 今後は、農協の営農指導部門強化等を働きかける一方で、県としての普及業務の重点化、効率化を進め、これまで以上に現場に職員が出ていき、また、地方事務所の施設等も十分活用しながら、現場重視の普及指導業務を行うよう努めてまいります。 最後に、人事院勧告でございます。 議員ご指摘の地域給与の導入は、今年度の人事院勧告において地域の民間給与水準をより国家公務員の給与に反映させるためになされたものというふうに承知をしております。 県職員の給与は、これまでも人事委員会勧告を尊重すべきであるという基本姿勢に立ち、職員団体との話し合いを経て、議会の議決により決定をしてきております。 これから人事委員会勧告が出されますが、今年度におきましても、これまでどおり、人事委員会勧告を待って適切に対処してまいりたいと考えております。 以上でございます。
○
荒金信生議長 堤
生活環境部長。 〔堤
生活環境部長登壇〕
◎堤俊一郎
生活環境部長 合併新市の災害連絡体制についてお答えいたします。 七月の集中豪雨は、気象台でも予測が困難なほど突発的なものであり、また、発生時刻が深夜だったことから、避難勧告や情報収集におくれが出た大きな原因だったと考えております。 その一方で、新市になったことで防災体制に不備があったのではないかとの住民の不安の声も聞き及んでおります。 このため、直ちに合併新市における本庁と支所間の連絡体制や対応体制等の調査を行うとともに、住民避難等に素早く対応できるよう支所等における避難勧告の発令などについて助言を行ってまいりました。 また、住民や消防団などに対する情報伝達手段として市町村防災行政無線が極めて有効であることから、これらの早期整備について強く働きかけていくとともに、新市本庁と支所、支所と住民間や消防団等関係機関との連絡体制について、今後とも引き続き指導してまいりたいと考えております。 次に、過疎地域の災害弱者対策についてお答えいたします。 過疎化や高齢化の進む集落においては、災害時要援護者を支援する人手が少なく、避難誘導や救助体制の整備が困難であると思われますが、一方、地域における共同体機能が都市部に比べ維持されており、避難の際の声かけや助け合いなど、長所もあると考えております。 こうした地域の実情に応じて災害時要援護者に配意をした防災対策を講じていくためには、地域をよく知る住民みずからが主体となって、人材、資機材を備える消防団や福祉施設、あるいは事業所との連絡体制を確保するなど、地域ごとの防災体制をつくっていくことが重要であります。そのためには、住民が主体的に地域の防災について話し合うワークショップ手法が効果的であります。 ワークショップでは、協力体制を強化するためにも関係団体や防災関係機関が参加し、住民手づくりの防災マップ、災害時要援護者の避難誘導体制、関係機関の役割分担などを定めた地区の防災計画を作成します。 県では、防災リーダーの養成、災害弱者支援マニュアルの作成、ワークショップ手法を用いた防災地域づくり実践活動など各種支援を行い、災害時要援護者対策を進めてまいりたいと考えております。 次に、悪質商法の被害防止対策についてお答えいたします。 悪質商法の被害が依然として後を絶たないことから、県では、消費者が被害を受けずに、自主的、合理的な消費行動が行えるよう、消費者の自立支援のために、高齢者、勤労者等に対して、各地域に出向き、消費生活セミナーを開催し、年間八千人を超える参加を得るなどの啓発活動等による消費者教育の推進に努めております。 特に、本年度は、子供のころからの消費者教育が必要と考えて、小学校から高校生や大学生、若年勤労者までの各世代に対して、悪質商法や消費者金融などに関する体系的な消費者教育を実施しております。 また、アイネスで苦情や相談を受けたケースについては、クーリングオフの指導やあっせんなどを行い、早期解決に努めているところであります。 しかしながら、これまでの個別のあっせん、調停などでは被害の拡大を防げないことから、今後は、消費者被害の未然防止のために、特定商取引に関する法律や条例に基づき、悪質事業者の名称公表など、行政処分を含む指導監督を進めてまいります。 とりわけ、広域的に悪質な商取引を行う事業者に対処するために、福岡、佐賀、熊本、大分の四県で九州北部四県悪質事業者対策会議の立ち上げを計画しておりまして、各県との緊密な連携のもとで悪質事業者の行政処分を行い、被害の拡大防止に努めたいと考えております。 最後に、高齢者のリフォーム工事被害についてでございますが、県では、被害防止対策として、まず、各種広報媒体を通じて県内全域に対し被害防止の啓発を行い、注意を喚起いたしております。 本年六月には、市町村に対し、高齢者世帯等の消費者トラブルの防止について市報などへの掲載依頼を行い、市町村においても啓発が行われているところでございます。 また、ホームヘルプサービスを行う事業所などに対し、啓発用のチラシやパンフレットを作成配付し、高齢者への注意喚起等の協力依頼を行いました。 次に、消費者被害対策として、消費生活・男女共同参画プラザでは、苦情相談のほか、違法、不適切な契約についてクーリングオフの指導やあっせんなどによる早期解決に努めております。 また、県警、弁護士会などにおいても相談を実施しており、本年七月には県建築住宅課内にリフォーム相談窓口を設置し、事業者の選定、契約の方法などの相談、指導を行っております。 今後とも、関係機関と協働して、さらに効果的な啓発を引き続き行ってまいります。 加えて、先ほど申し上げましたように悪質事業者名の公表等の行政処分を含む指導監督を進めてまいります。 以上でございます。
○
荒金信生議長 鈴木警察本部長。 〔鈴木警察本部長登壇〕
◎鈴木章文警察本部長 高齢者のリフォーム工事被害についてお答え申し上げます。 県内における本年の検挙状況につきましては、昨日までに二つの事件を検挙し、被疑者三名を逮捕しております。 一件目は、中津警察署管内において、ひとり暮らしをしていた七十歳の女性に対し、「床下を補強しないと床が落ちるかもしれない」などとうそを言って、工事代金百万円をだまし取った詐欺事件で、八月に被疑者二名を逮捕いたしました。 二件目は、同じく中津警察署管内で、これもひとり暮らしをしていた八十一歳の男性に対して、極めてずさんな床下工事などを十数回にわたって繰り返し、合計一千万円以上をだまし取った被疑者を九月に逮捕し、現在も捜査を継続しているところです。 また、被害防止対策につきましては、警察官が高齢者の方々の会合に直接出向き、あるいはケーブルテレビへ出演して、具体的な手口を紹介し、その対応の仕方を説明するなど、被害防止を呼びかけております。 このほか、ひとり暮らしの高齢者が住む周辺の住民の方々に、高齢者の被害防止などについて協力依頼を行っているところであります。 さらには、警察署が定期的に発行している「交番・駐在所だより」などの広報紙を活用した情報提供など、きめ細かい広報啓発活動に努めております。 警察としましては、今後とも関係機関、団体との連携を図り、被害防止対策に努めるとともに、被害を認知した場合には積極的に事件化を図ってまいります。 以上でございます。
○
荒金信生議長 阿部
福祉保健部長。 〔阿部
福祉保健部長登壇〕
◎阿部実
福祉保健部長 成年後見制度についてお答え申し上げます。 この制度は、判断能力が不十分なために財産侵害を受けたり、人間としての尊厳が損なわれたりすることがないように法律面や生活面で支援を行う制度でございまして、県といたしましても機会あるごとに市町村や関係団体等を通じて普及に努めております。 また、身近に申し立てる親族がいなかったり、申し立て経費や後見人の報酬を負担できないなどの理由により成年後見制度を利用できない方を公的に支援するため、市町村長による申し立ての制度がございまして、この活用につきましても市町村の積極的な取り組みをお願いしているところでございます。 さらに、来年度から市町村に新設されることになっております地域包括支援センターにおきましては、成年後見制度の利用支援等、高齢者の権利擁護事業にも取り組むこととされております。 なお、本県の成年後見制度の利用状況についてですが、後見等の申し立て件数は、平成十二年度の制度開始から十六年度までの累計で七百八十五件となっております。 また、成年後見制度以外にも、県では、契約により福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理などを行います地域福祉権利擁護事業を実施しておりまして、現在、百八十二人の方が利用されておるところでございます。 今後とも、高齢者等が地域で安心して生活ができますよう、成年後見制度や地域福祉権利擁護事業の利用促進に取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。
○
荒金信生議長 楢崎人事委員長。 〔楢崎人事委員長登壇〕
◎楢崎孝貫人事委員長 人事委員長の楢崎でございます。 八月の十五日に国家公務員の給与に関する国の人事院勧告が発表されました。それに対して、大分県の職員の給料を勧告する大分県人事委員会はどのように対処するのかという吉田議員のご質問に対しましてお答えを申し上げます。 大分県の人事委員会では、国の人事院や各県の都道府県人事委員会と共同で実施いたしました職種別民間給与実態調査につきまして、現在、大分県内の最終的な分析、集計を行っておるところでございます。 大分県の人事委員会といたしましては、この調査結果を踏まえまして、人事院勧告、報告の内容や各県の動向等を勘案いたしながら、地方公務員法で定められた給与等の根本基準にのっとりまして、大分県民のご理解とご納得が得られる大分県職員給与をつくるべく、勧告に向けて鋭意、作業を進めてまいりたいと考えております。 よろしくご理解のほどお願い申し上げまして、以上の報告にかえさせていただきます。
○
荒金信生議長 武田
企画振興部長。 〔武田
企画振興部長登壇〕
◎武田寛
企画振興部長 大分空港駐車場の短時間無料化についてお答えします。 大分空港は、議員ご指摘のとおり、高速交通網の拠点機能だけでなく、県内のすぐれた観光、物産を紹介する情報発信機能や二階スペースを利用した音楽会、作品展の開催など地域の交流機能も有しております。今年度も、カボスフェアや別府アルゲリッチ音楽祭プレコンサート、地元小学生による家族の似顔絵展など数多くのイベントを開催しており、利用客の好評を得ております。 ターミナルビル前の駐車場は、財団法人空港環境整備協会がほぼ全国一律の料金設定で運営しております。 短時間無料化については、誘客や道路の混雑解消に一定の効果があると思われることから、県としても同協会に対して三十分無料化を要望してきたところです。しかしながら、短時間利用者の割合が高く、経営への影響が大きいということで実現には至っておりません。 今後も引き続き同協会に対して、三十分無料化が困難であれば、最初の一時間を百五十円から百円に値下げすることはできないかなど提案を行い、要望を継続してまいります。 また、大分航空ターミナルを初めとする空港関係者にも、例えば、空港で一定金額購入いただいた方に駐車券を配付するなど、空港利用拡大に向けた取り組みを働きかけてまいります。 以上です。
○
荒金信生議長 渡辺
土木建築部長。 〔渡辺
土木建築部長登壇〕
◎渡辺浩志
土木建築部長 大分市にじが丘二丁目交差点についてお答えいたします。 庄ノ原からこの交差点に接続する市道椎迫庄ノ原三号線は、都市計画道路庄ノ原佐野線が整備された際につけかえ工事が行われましたが、鋭角な取りつけになっているため、交差点に進入する車の進行方向が庄ノ原方面、にじが丘方面双方から確認しにくい状況にあります。 こうしたことから、県、警察本部、大分市で本年八月に協議した結果、当面の対策として、大分市が区画線の引き直し、停止線の位置変更や新たな誘導線の設置などにより交差点の安全性を高めることとしています。 なお、県としては、大分市に対して抜本的な交差点改良事業に着手するよう働きかけていきたいと考えています。 以上でございます。
○
荒金信生議長 再質問はありませんか。--吉田忠智君。
◆吉田忠智議員 何点か要望しまして、一点、知事にお伺いしたいと思います。 まず、地方機関の再編につきましては、大変つれない答弁でございましたけれども、これまで素案が出されまして、私もいろんな方に意見を聞いた、その集約したものを先ほど質問させていただきました。農林水産業軽視ではないかという声が、大変強く、私のところに寄せられました。また、これから成案に至るまで、十分、県民の皆さんの意見を聞いて決定をしていただきたいと思います。 それから、二点目の災害対策ですが、先ほど申し上げましたように、二回、七月の豪雨災害、それから台風災害、我が会派で調査にお伺いしました。余り、災害が起こってすぐ行きますとご迷惑かけますので、ちょっと間を置いてお伺いをしました。行ってみますと、確かに九重町の湯坪もそうでありますし、竹田市の旧荻町、さらには湯布院の湯平、こういうところで土砂災害が起こるのかというようなところで発生しまして、大変難しい、避難するにしても大変難しいということは思いますけれども、しかし、災害というのは避けられませんけれども、人命を守るということは、きっちり対応すればできるわけでありまして、そういうきめ細かい、先ほど答弁していただいた方向でぜひきめ細やかな避難対策を適時適切にできるように、難しいと思いますけれども、十分、それぞれの市町村とぜひ講じていただきたい。 なお、先般の台風十四号の際には、竹田市、それから湯布院町は避難勧告も出して、自治体としてできることは精いっぱいされたというふうに聞いております。そのことは申し添えたいと思っております。 それから、悪質商法についても、これも大変難しい。どこまでが悪質か。悪質というのは、極めてすれすれのところで、判定がしにくい形でなされるというのがこの悪質リフォーム工事の特徴であります。先ほど県警本部長から話がありましたように、明らかに明々白々でわかるのは検挙しやすいんですが、あと、そういうことをどのように判定するかというのが極めて課題だと思いますし、問題だと思っていますが、やっぱり身近な方がきちっと把握をして、問題が起こらないようにきちっと対処するというのが一番大事なことでありますから、そうした福祉の面でのフォローや、先ほど言いました成年後見制度、これについても主体的に、これが制度として効果を発揮するようにしていただきたいと思います。 それから、国の人事院勧告を踏まえての対応ですが、これまで人事委員会として立派に機能を果たしてこられたと思いますが、これまでの経過を踏まえて、慎重の上にも慎重に検討していただきたいと思っております。 それから、大分空港駐車場の短時間無料化についてですが、これは私の後援会の方から強く要望がございまして、きょう質問として取り上げさせていただきました。 最初のきっかけは、空港に送迎に行くときに、ちょっととめるのに、有料であればどうしてもそこの路上にとめると。心情として、駐車場までなかなかとめないということ。たとえ百五十円であっても、なかなかとめないわけであります。これが短時間でも無料化になりますと、きちっと駐車場にとめて、空港前の、皆さんご存じのとおりの混雑が解消される、渋滞が解消される、あわせて空港の活性化に資するというものでありまして、先ほど部長から答弁のありました、百五十円を百円にしたのでは余り効果が出てこないのではないかと思っております。 ぜひ、来年度に向けて、これが芽出しができるように、これから精力的に、いろんな知恵を絞って、国の外郭団体が相手ですからそんなにたやすいことだと思いませんけれども、ぜひ、県民の貴重な提案として真摯に受けとめていただきたいと思います。 最後に、交差点の改良です。 先ほどお話のございましたように、実施をするのは、聞いてみると、最終的には市がしなければならないということでありまして、先ほど部長から前向きな答弁もいただきました。ちょっと予算のかかることですから、市の方もすぐにはなかなかできない部分もあるかと思いますが、しかし、安全、安心を確保するという意味で、これもやっぱり緊急を要することだと思いますので、ぜひお願いします。 そこで、知事に、小泉構造改革との関係についてご質問させていただきます。 今回、衆議院選挙、不本意な衆議院選挙を私も戦って、私は特に二区で動き回ったんですが、やっぱり都市と地方というのはかなり温度差があるなというのを痛切に感じました。小泉さんが進める構造改革によれば、大分の、特に周辺部、過疎地域などはもう採算のとれない地域に切り捨てられていると思います。そういう意味では、本当に国土の均衡ある発展、県土の均衡ある発展をして、地方部にも定住条件が確保できるということのためには一定のコストがかかるのはもうこれ当然のことでありまして、それをもう、不効率なところはどんどん切り捨てるということにどんどん進みますと、これはやっぱり私たちが求めることとは逆行するわけでありまして、そういう意味では、知事が先ほどこの改革をフォローにすると言われましたけれども、今の改革を進める上で問題のあるところは問題ですよということはやっぱりきっちり知事の口から国の方に言っていただかなきゃいけないと思うんです。
三位一体改革でも、中央省庁の皆さんのかなり、言い方悪いですが、抵抗に遭いまして、なかなか進まない、地方への権限や財源の移譲がスムーズに進まない。全然要望もしない国民健康保険の補助金をカットするとかいうことは勝手になされるわけです。こうしたことからすると、やっぱりいかに地方の声を国に上げていくか、そして構造改革を、知事も先ほど言われましたけれども、弱者に配慮したものにしていくのかということが一番大事だと思いますので、これから知事としてそういう意見反映をどのように国に対してされていかれるのか、そのお考えをお聞きしたいと思います。 以上です。
○
荒金信生議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 小泉構造改革についての再質問でございましたけれども、国全体として考えてみた場合に、やはりいろいろ、戦後六十年、制度疲労を来しておるようなものも多いから、そういった意味ではやはり、構造改革という大きな流れは一つの方向として考えていかなきゃならぬのじゃないか。ただし、そういう中で弱者切り捨てだとか、地方切り捨てだとかいうことにならないようにしなければいけないというのは、もう吉田議員ご指摘のとおりでございまして、例えば、
三位一体改革については、先ほど申し上げましたように、交付税の税源保障機能だとか調整機能といったようなことについて、財源保障機能や調整機能といったことを忘れないでくれといったようなことも議論をしております。 それから、社会インフラの整備につきましても、これは構造改革といいますと、途端に公共事業不要論みたいな議論が出てまいりますけれども、私は、社会インフラの整備については、構造改革、公共事業が要らないと言っているところにはぜひやらないで、その分は大分県に持ってきてくれという適正配置をむしろ主張しているというようなことで、やはり議員ご指摘のとおり、そういう中で、それをむしろ、この構造改革を大分県の利益に持ってくるような知恵と主張が必要なんだろうという意味で積極的な展開と申し上げたような次第でございます。 それから、せっかくご指摘がございましたから、この場でお答えをさせていただきますけれども、地方振興局の再編が農林漁業軽視ではないかという意見があるよというお話でございましたけれども、これは、先ほどから申し上げておりますが、農林漁業、非常に技術も変わってきております、流通形態も変わってきております。より攻撃的、専門的な識見を持って普及をしていくということが必要なんで、そういった意味では集約化した方がいいだろうと。ただし、道路もよくなっておりますから集約ができるわけで、逆に言えば、普及員もこれまで以上にあらゆる地域に出かけていって、現場の皆さんと意見を交えながらやっていくというようなことができるんではないか、それはもうぜひやってくれ、これまで以上にそういうところは気をつけてくれということが一つ。 もう一つは、それにしても、これまで振興局でいろいろ会議があって、いろんな関係者との打ち合わせ等もやっていた、振興局がなくなると不便だ、また遠くまで行かなきゃいけないというお話もよく承りますけれども、振興局はなくなっても振興局の建物はありまして、地方事務所が中心でそれを活用しているわけですから、これまた、会議だとか、いろんな準備等について、それはもちろん、その振興局跡をこれまで以上に活用していただけるし、その場に振興局から担当課が出てくる、行って会議をやるというようなことはもう当然のことでございまして、そんなことで、体制としてはむしろ旧体制を強化しているというようなつもりで私どももやっております。それだけ大分県にとって一次産業は重要な産業ですし、また、それが今、大きな曲がり角にあるということは認識しておりますので、執行体制を強化していきたいというふうに考えているところでございます。
○
荒金信生議長 以上で吉田忠智君の質問に対する答弁は終わりました。 暫時休憩いたします。 午後零時二十分 休憩
------------------------------ 午後一時三十分 再開
○阿部順治副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 三浦公君。 〔三浦議員登壇〕(拍手)
◆三浦公議員 議席番号三番、自由民主党の三浦公でございます。 平成十七年第三回定例会に当たりまして質問の機会を与えてくださいました先輩、同僚議員の皆様方に、心より厚く厚く、感謝、御礼を申し上げる次第でございます。 また、広瀬知事初め県執行部の皆様方におかれましては、平素より本県発展のために格段のご尽力をいただいておりますことに、心より感謝を申し上げます。また、先ほどは撮影ありがとうございました。 さらに、今回も私の地元東国東郡より大勢の皆様方に傍聴にお越しいただきました。心より感謝申し上げるとともに、今後とものご指導、ご鞭撻、心よりお願い申し上げまして、早速、質問に入らせていただきます。 まず、本県の農林水産物のブランド化戦略について質問いたします。 本県では、現在、新
長期総合計画の農林水産部門の計画として、おおいた農山漁村活性化戦略を策定中であります。その中において、知恵を出し、汗をかいて頑張る農林水産業者がもうかっていけるような農林水産業の実現、そして元気で魅力ある農山漁村の実現を目標に掲げ、その実現のために、消費者の立場に立った安全、安心ですぐれた農林水産物を生産し、これに、恵まれた自然環境、豊かな地域資源や美しい景観などの大分らしさを付加し、もって全国に通用するザ・オオイタ・ブランドの確立を目指すとしております。 農林水産物のブランドを確立することは、他産地との差別化を図り、商品の付加価値を増すために非常に有効でありまして、本県の第一次産業の振興、ひいては農山漁村の活性化に大きく資するものと私は大いに期待するところでございます。 そこで、ザ・オオイタ・ブランドの確立に向けた取り組みについて、以下三点ほど質問いたします。 まず、ザ・オオイタ・ブランドの確立戦略についてでございます。 全国を見ますと、既に多くの県で農林水産物のブランド化に向けた取り組みが行われているところでございます。例えば、宮崎県では、既に十数年前から東京市場をターゲットとし、宮崎産ブランドの野菜を積極的に売り込んでいるところでございます。また、千葉県では、知事みずからがテレビのコマーシャルに出演し、安全、安心な千葉県産エコ農産物の売り込みを図っているところでございます。 このように、既に多くの県が独自の認証制度などを設け、安全、安心、高品質を売り物に、関東、関西の大消費地に向け、ブランドイメージの定着に取り組んでおります。 農林水産物のブランド化については、いわば後発とも言える本県が、競合が激しい大消費地などでザ・オオイタ・ブランドのイメージを確立するために今後どのような戦略を考えているのか、知事のご所見を伺います。 次に、試験研究機関の活用についてでございます。 大分ブランドを確立するためには、他の産地と差別化を図っていく上で、より高品質、より消費者ニーズに沿った産品の開発、育成が重要でございます。 今回、指定戦略品目に選ばれましたイチゴをとってみますと、これまでは国の研究機関が開発した「とよのか」が生産、流通の中心でございましたが、他県で新品種が次々に開発される中で、色、形ともに劣る「とよのか」の価格が下がり、本県イチゴ農家に打撃を与えているところでございます。 イチゴを例にとるまでもなく、ブランドの確立のためには試験研究機関などの技術開発力が重要であり、そのでき、ふできが本県の農林水産業の将来を左右し、今回のブランド戦略の成功のかぎを握っていると言っても過言ではございません。 そこで、ブランド確立のため、試験研究機関を今後どのように活用しようとしているのか、県のお考えを伺います。 次に、地域ブランドの商標登録についてでございます。 これまで「大分しいたけ」や「関あじ、関さば」などの地名と商品名を組み合わせた、いわゆる地域ブランドにつきましては、全国的なブランドとして確立されていなければ商標登録を認められず、模倣品などの横行を許し、結果として本物のブランドイメージまでをもおとしめてきたところでございます。しかしながら、そのような地域ブランドを模倣品から守るため、このたび商標法が改正され、平成十八年四月より地域ブランドの商標登録がこれまでよりずっと容易となります。 また、これまでは、一部の例外を除き、地名と商品名を組み合わせた文字だけによる地域ブランドの登録は認められておらず、図形との組み合わせが必要でございましたが、今後は、知名度がある程度あれば、文字だけの登録が可能となります。 つまり、「大分しいたけ」などの文字を農協などの団体が申請すれば商標登録が可能となり、他者の使用ができなくなり、これにより模倣品から地域ブランドを守るとともに、地域ブランドを利用し、さまざまな地域おこしを行うことが可能となるわけでございます。 大分ブランドの確立を目指す本県におきましても、地域ブランドの商標登録の推進は今後の県のブランド戦略に欠かせないと私は考えます。 そこで、地域ブランドの商標登録につきましての県の今後の取り組み方針を伺います。 次に、テーマを変えまして、県と市町村との連携、とりわけ地方財政において今後さらに重要性が増すと考えられます地方税の徴収体制の県と市町村の連携について、私見を交えて質問いたします。 「地方にできることは地方に」という掛け声のもとに始まった国と地方の
税財制改革、いわゆる
三位一体改革がいよいよ大詰めを迎えているところでございます。 国、地方ともに大変苦しい財政状況の中で、行政サービスにおきましては最少の投資で最大の効果を上げなければならない。そのためには、これまでの国主導による全国画一的な行政運営から、地域の特性や課題に応じた行政サービスや施策を展開していくことが必要であり、現在、地方分権型の行政運営への移行が進められているところでございます。 国からのひもつき補助金や負担金を縮小し、かわって国から地方への税源移譲を行うという
三位一体改革は、地方の自主、自立を財政的にも促すものであり、地方分権の実現に向けて大きな一歩になるものと私は大きく期待しているところでございます。 改革の中身につきましては、国と地方、都会と田舎、さらには都道府県と市町村などなど、さまざまな利害関係が入り乱れ、迷走ぎみのようではございますが、県当局におかれましては、他の自治体との連携を強化し、その改革の理念のとおり、地方分権の実現につながるような実のある改革としていただきますことを心より願うところでございます。 さて、その
三位一体改革に伴って、いよいよ国から地方への税源移譲が行われようとしております。具体的には、現在、国税である所得税の一部が個人住民税という形で地方に移される見込みであり、その規模は約三兆円ということでございます。 今後、税源移譲により地方財政における地方税の重要性がこれまで以上に増す中で、健全な財政運営を行っていく上におき、県においてはこれまで以上に県税の確実な確保、つまり徴収率の向上及び滞納金の積極的な整理を行っていくことが必要と考えます。 そこでまず、本県の県税徴収率及び滞納金額の現状を示すとともに、県税の確実な確保に向けて今後どのように取り組んでいこうとしているのか、県のご所見を伺います。 ところで、今後、財政運営における地方税の重要性が高くなるのは、県のみならず、市町村も同様であります。市町村におきましても、健全な財政運営に向けて税の確実な確保に取り組んでいかなければならないわけでございます。しかしながら、一般的に市町村における税の徴収率や滞納整理の状況は都道府県と比較して低い傾向にあるようでございます。その要因は、高度な専門性を要する税の徴収事務に対応できる専門職員がいないことや税務職員の絶対数が不足していること、また、市町村では行政と住民との距離が余りにも近く、職員が住民に対する徴税に及び腰になることなどが挙げられ、いずれも市町村が都道府県と比較して行政基盤が小さいことに起因するものと考えられます。 本県におきましては市町村合併の進展により市町村の行政基盤の拡大がある程度見込まれますが、その規模はまだまだ小さく、私の地元東国東郡におきましても人口は約三万五千人程度であり、行財政改革により職員数の減少が進む中で、さきに述べた要因を克服することは困難と私は考えているところでございます。 さて、このような現状を克服し、地方税の確実な確保を目指し、茨城県では、県のリーダーシップのもと、県内全市町村を構成員として、市町村税の滞納整理業務を専門的に行う一部事務組合を設立し、徴収率の向上に一定の効果を上げているようでございます。同様の仕組みを既に三重県などが導入しており、また、本年八月には和歌山県がその導入を表明したところでございます。 また、静岡県では、地方税の確実な確保に加え、税務行政の効率化を目的とし、市町村税の滞納整理業務だけでなく、県税も含めた地方税の課税から徴収、滞納整理の一連の流れを一元化して行う県及び市町村を構成員とした一部事務組合の設立に向け、検討を進めているところでございます。 このようなことから、今後ますます重要となる地方税の確実な確保と税務行政の効率的な執行に向け、県がリーダーシップを発揮し、市町村との連携のもと、新たな地方税の徴収体制を構築していく必要が私はあると考えます。そこで、県のご所見を伺います。 また、厳しい財政状況のもとで、県も市町村も今後さらなる行財政のスリム化が求められているところでございます。 税務行政に限らず、県と県内市町村の枠組みの中で、または全市町村、一部市町村の枠組みの中で、例えば、県内の道路の維持管理など各自治体が個別に行っている類似の事務事業については、一部事務組合などを利用することにより極力統合し、もってこれまで以上に効果的かつ効率的な行政運営を県と市町村が一体となって構築していくべきであると私は考えます。 さらに、地方分権の実現のためには、県から市町村への大幅な権限移譲を図っていかなければなりません。そのためには、市町村も移譲された権限を執行できる体制を整えていく必要がございます。市町村は、合併により、その人的、物的基盤の強化がある程度なされております。そして、今後必要なのは、そのノウハウの蓄積でございます。しかしながら、ノウハウの蓄積は一朝一夕ではならず、ここに県と市町村との連携による共同事業の実施を進めていくことが効果的ではないかと私は考えます。そこで、ご所見を伺います。 次に、テーマを変えまして、本年第一回定例会において質問させていただきました職員互助会に対する県負担金について、再度質問させていただきます。 職員互助会に対する県負担金とは、地方公務員法に基づいて、本来、自治体が行うべき職員に対するさまざまな福利厚生事業を自治体にかわって行う互助会に対し、その必要経費の一定割合を公費から負担するものでございます。 先般の質問でも指摘しましたが、本県の前年度における互助会に対する県費負担金は職員一人につき四万四百円で、大阪府に次いで全国第二位、本年度当初予算では、これを一〇%削減し、三万六千四百円に見直したものの、依然として金額的には大変高い水準にございます。 また、その事業内容につきましても、その後の報道などによりますと、例えば、教職員互助会では、第二退職金、やみ退職金との批判がある退職慰労金が支給されていたり、県職員互助会では、個人的な生命保険に類する自治労共済の掛金助成が行われているとのことであり、見直すべきものも多々あるわけでございます。 もちろん、本県では
行財政改革プランに基づき、職員定数の削減や給与カットなど、職員の皆様方にとりましては大変厳しい改革を行っているわけであり、職員組合も諸情勢を見きわめ、厳しい状況をあえて受け入れているということも事実でございます。 このような中で職員の士気を落とさないような配慮も必要と私も考えておりまして、職員の福利厚生事業については公費で行うべきかどうかの精査をしっかりと行い、必要なものは県民の理解を得た上でしっかりと行うという姿勢も必要と考えるところでございます。 しかしながら、地方自治体の職員互助会への負担金や互助会事業につきましては地方公務員の厚遇問題として全国的な批判と関心を集めておりまして、本県におきましてもこのような職員互助会の状況について、果たして県民の理解が得られるのかと疑問に思うところであり、先般、その見直しを提案したところでございます。 さて、先般の私の質問に対し知事は、「十八年度以降の互助会負担金の取り扱いについて、県民の理解と納得が得られる制度となるよう、十七年度中に一定の方向性を出していきたい」と答弁されたところであり、早速、本年四月に労使の検討会を設置し、互助会負担金などの見直しに向けた協議を行っているところでございます。 そこで、互助会に対する県負担金及び職員に対する福利厚生事業のあり方について今後どのように見直しをしようとしているのか、その検討状況をお示しください。 次に、テーマを変えまして、学校教育について質問いたします。 言うまでもなく、新しい時代の国づくりの基盤となるのは人であり、学校教育はその人材育成の重要な役割を担っております。とりわけ義務教育段階は、子供たちが将来、みずからの力でみずからの道をたくましく切り開いていくための基礎となる、確かな学力と豊かな心を育成する上で極めて重要と考えます。 今、県教育委員会におかれましては、学力向上対策や教職員評価システムの導入を初めとした教職員の資質向上、高校改革推進計画の策定、また、学校、家庭、地域の協育ネットワークづくりなどを教育行政の重要課題に掲げ、教育改革に積極的に取り組んでおられます深田教育長初め、教育委員会の皆様方には心より敬意を表する次第でございます。 特に、県民の関心が大きい学力向上対策につきまして、本県では平成十五年度から県下一斉学力テストを実施し、また、国におきましても、すべての学校に対して児童生徒の学習到達度、理解度を把握検証する機会を提供することが必要であるとの認識のもと、平成十九年度から小学校六年生、中学校三年生の国語、そして算数、数学について全国学力テストを実施する方針を明らかにしたところであります。私もその成果に大いに期待するところでございます。 さて、去る平成十五年度に国が行った教育課程実施状況の抽出調査の結果を見ますと、学力向上におきましては、睡眠時間の確保、食生活の改善など家庭における生活習慣の改善などが不可欠であることが指摘されております。つまり、児童生徒の学力向上をより一層図っていくためには、学校、家庭、地域の連携が極めて重要であるということを示しているわけでございます。 そして、その三者が連携していくためには、各学校の教育情報を積極的に公開し、それを前提として保護者や地域住民が学校とともに学力向上を初めとする学校の諸課題に対してどのように取り組んでいくかという共通認識を形成していかなければならないわけでございます。 本県におきましては、県下一斉学力テストの結果をもとに、学校ごとに保護者も参加した学力向上会議を開催し、また、教育事務所ごとに市町村教育委員会や各学校の関係者が参加した地域学力向上推進協議会を開催するなど、県民一体となった学力向上に取り組んでいるところでございます。 しかしながら、その協議の前提となるべき学校の教育情報の公開に関しては、まだまだ十分とは言えず、今後さらなる取り組みを求めるところでございます。 このことについて、さきの第二回定例会において我が党の田中利明議員が「市町村合併を契機に、学力テストの結果公表を各学校単位に拡大し、もって自分の住んでいる地域での学校学力の実態を情報公開し、学力向上対策に地域一体となって取り組むよう前向きな方向づけを行うベきである」との認識を示し、それに対する教育長の所見を伺ったところでございますが、私も田中利明議員の意見に大いに賛同するところでございます。 教育長は、その答弁の中で「地域が一体となって、より学力向上に取り組めるよう、調査結果の公表のあり方について検討してまいりたい」とし、これまでより一歩踏み込んだ考えを示したものと私は受けとめているところでございます。 今後、学校、家庭、地域の三者が一体となって学力向上などを図るためには、県下一斉学力テストの結果については可能な限り詳細な調査項目を学校ごとに公表すべきと私は考えているところでございます。また、それは保護者を初め、県民多くの強い願いでもございます。教育長には、ぜひさらなる一歩を踏み出していただきたい。 そこで、改めて学力テストの結果公表に対する教育長の力強い答弁を求めます。 次に、テーマを変えまして、今議会に上程されました大分県国民健康保険財政調整交付金条例に関連しまして、市町村の国民健康保険に対する県の指導などについて質問いたします。 これまで各市町村を保険者とする国民健康保険は、被保険者からの保険料と定率の国庫負担、そして国からの財政調整交付金により運営されてきました。しかしながら、
三位一体改革に伴う国民健康保険法の改正により、国の財政調整交付金の一部がこのたび都道府県に移管されるとともに、税源移譲の対象となりました。 今、国保財政におきましては、被保険者の高齢化や、失業者、低所得者の増加など社会構造の変化に起因する財政基盤の弱体化が問題視されており、さらには、ご存じのように医療費の肥大化により、その安定的な運営が危惧されているところでございます。 今回の制度改正は、「都道府県は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるように、必要な指導をしなければならない」と定めた国民健康保険法第四条第二項のとおり、都道府県が新たに設けられた財政調整交付金の交付を通じ、国保財政の健全化や医療費の適正化に向けて、国、市町村との連携のもと、積極的に取り組み、もって国民が安心して暮らしていく上で欠かせない国民健康保険制度の安定的な運営を図っていくことを目的とするものであります。 また、この交付金は国保事業に対して一定の割合で交付しなければならず、今後、医療費がこれまでのように肥大化していけば、交付金もそれに比例して増加していくことになります。ただでさえ危機的な本県財政を圧迫していくことになりかねません。そういった意味で、本県におきましても市町村の国保事業の安定運営に向けて、これまで以上に積極的な取り組みを求めるところでございます。 そこで、本県の市町村国保事業の現状及び県による今後の指導などについて、以下、質問させていただきます。 まず、本県の市町村国保事業の財政状況についてであります。 さきに述べたように、市町村国保におきましては、さまざまな要因による財政基盤の弱体化により、その安定的な運営が危惧されており、赤字保険者の増加も問題視されているところでございます。 そこでまず、本県における市町村国保の財政状況についての現状認識をお示しください。 あわせて、県内の赤字保険者の数と県内市町村に占めるその割合は、他の都道府県と比較してどうなのか、お示しください。 また、国保事業は、医療給付に応じて定められる保険料と定率の国庫負担、そして地域の所得水準により定められる財政調整交付金により運営されるものであります。基本的には赤字となるものではないと私は認識しておりますが、赤字保険者が生じる理由をどのように分析しているのか、お示しください。 次に、本県の市町村国保事業における医療費の状況についてであります。 医療費の著しい増大が国保事業の安定的な運営を阻害していることは間違いのないところであり、その医療費水準の適正化はまさに喫緊の課題でございます。 医療費水準については、全都道府県間で約一・七倍、全国の市町村間で約四倍と地域的な格差が大変大きく、地域の特性に応じた医療給付の適正化への取り組みが必要であります。 さて、医療費の地域比較には、一般的に年齢構成の違いによって生じる医療費の格差を除外して数値化した地域差指数が用いられます。 そこでまず、本県の医療費の地域差指数をお示しください。そして、その水準は全国的に見てどのような状況にあるのか、全国順位などでお示しください。また、本県の地域差指数は高目であると聞いておりますが、その要因をどのように分析しているのか、お答えください。 市町村民を対象として、病気、けが、出産及び死亡の場合に保険給付を行う国民健康保険制度は、言うまでもなく、住民が安心して暮らしていく上で欠かせない制度でございます。 本県の市町村国保事業の現状を踏まえ、その安定運営に向けて、県として今後、具体的にどのように取り組んでいくのか、お考えを伺います。 また、その取り組みの実効性を高めることを目的として、このたび大分県国保財政調整交付金が新設されたものと私は認識しておりますが、これまで国による交付金には、市町村国保に対し、保険料の収納率の向上や医療費の適正化を促すためのさまざまな仕組みが設けられておりました。県の財政調整交付金におきましても当然それを踏襲されることと思いますが、県の裁量権の発揮という観点から、さらに地域の特性に合った独自の配分方法を打ち出していくべきと私は考えます。 そこで、具体的にどのような考え方のもと、交付金を配分していくのか、お考えをお示しください。 さらに、国では、国保事業について都道府県単位での再編、統合も視野に入れた議論もあると聞いております。この問題につきまして、県として、果たしてどのような考えを持っておられるのか、ご見解を伺います。 以上で私の質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。(拍手)
○阿部順治副議長 ただいまの三浦公君の質問に対する答弁を求めます。 広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 ただいま三浦公議員には、農林水産業振興から始まって各般にわたる諸施策につきまして、ご意見を交えながらご質問をいただきました。私の方から二点お答えを申し上げたいと思います。 まず、ザ・オオイタ・ブランドについてのご質問でございます。 県内には、生産者の高い技術と努力ではぐくまれたシロネギ、豊後牛、タチウオなどすばらしい農林水産物があります。しかしながら、産地規模が小さく、周年供給できないなど、多様化する流通や消費者ニーズの中で十分な評価が得られていない状況であります。こうした産品を関アジ、関サバ、乾シイタケに続くブランド産品として育て、大分らしさを付加、演出しながら戦略的に売り込んでいくため、ザ・オオイタ・ブランド確立を提案して、その実現に向けて取り組むこととしているところであります。 これまでの振興策はつくったものをいかに売るかという生産者基点の考え方に立ったものでしたけれども、これからは、売れるものをいかにつくるかという消費者基点の発想に転換して、産地づくりを進めていくことが必要であろうと思います。 そのためには、まず第一に、消費者の心をつかむものづくりが重要であります。 食の安全、安心に対する消費者の関心が高まっております。本県では安全性に対する生産者の意識は高い水準にあり、今後さらにこれを推進するために、「e-naおおいた」など本県独自の安全・安心農林水産物認証制度を進めてまいります。 第二に、流通販売面の強化であります。 大手量販店による大量仕入れ、大量販売、市場外流通の増加、外食需要等の高まりなど、流通環境が劇的に変化しております。そのため、県といたしましては、流通を担当する広域普及指導員を配置し、広域出荷の指導等に取り組んでいるところでありまして、多様なニーズにこたえ、大分の顔となる農林水産物を大量、安定的に供給できる体制を整備いたします。既に、首都圏の大手量販店におけるトマトやカボスの新規販売ルートの開拓に取り組んでいるところであります。 第三に、新たな付加価値の創造であります。 本県の変化に富んだ地形や気候、すぐれた人材の特色ある伝統産業、温泉を初めとする観光資源など恵まれた地域資源を生かして、付加価値の高い産品やサービスの創出に努めます。 日田市のつえエーピーは、「天然倉庫」という総合的なブランドのもとに、地域と一体となってユズ、ワサビなどの林間作物の生産、加工に取り組みまして、ユズはちみつが高い評価を受けております。また、安心院型グリーンツーリズムは、農村民泊という新しい農山漁村の可能性を産業連携という形で示しました。こうした地域の自主的な動きをさらに加速させるように支援を行います。 ザ・オオイタ・ブランドとは、いわば大分の地域の魅力がぎっしりと詰まった幕の内弁当であります。竹の皮を開くと、そこには関アジ、関サバ、豊後牛、温泉卵、大分シイタケなど大分の豊かな海の幸、里の幸、山の幸が見事に調和しておさまっております。大分弁当を食べた消費者が、その背景に大分の天然自然の豊かさや食文化、生産者の思いを感じることができれば、きっと大分のファンとなり、大分に行ってみたいと思うはずであります。そのためには、言うまでもなく、ザ・オオイタ・ブランドを支える産品が確かな品質でなくてはなりません。そして、地元で愛され、磨かれていくことで、本物として輝き、競争力を得ていくものと思っております。 ザ・オオイタ・ブランドの確立には、以上のような取り組みとあわせまして、長期的に進める総合的な戦略として、大分県のイメージアップも欠かせません。来年三月には首都圏アンテナショップがオープンしますので、そこに魅力ある大分県というすばらしい旗を掲げながら積極的に情報発信等を行いまして、大分ファンを着実にふやしていきたいと思っております。 私も先頭に立って、県民の皆さんとともに、ザ・オオイタ・ブランドを県内外に売り込んでいきたいと考えております。 次に、職員互助会のあり方についてご質問がございました。 互助会は、地方公務員法に基づく元気回復事業を県にかわって実施している面もありますので、その経費の一部を県が負担することは必要であると考えております。しかしながら、どの程度の負担が望ましいのか、どのような事業に県負担金を充当することがふさわしいのかという点につきましては、議員ご指摘のとおり、やはり県民の理解と納得が得られることが必要であります。 このような視点から、互助会のあり方につきまして、本年四月から労使で検討会を設置いたしまして、職員組合と話し合いを続けてまいりました。その結果、去る九月十二日、職員一人当たりの県負担金を十八年度は現行の三万六千四百円を一万五千六百円に減額するという内容で組合の理解を得ることができました。これは、本年度当初予算額と比較しますと、額で二万八百円の減額、率で六割近い大幅な削減となりまして、全国順位は二十四位に相当するものであります。 また、互助会事業につきましては、県負担金を財源とすることがふさわしい事業と会員の掛金のみで実施すべき事業の区分を明確にした上で、議員ご指摘の退職慰労金や自治労共済の掛金の助成を廃止するなど大幅な事業の見直しを行うこととしております。 このたびの見直しは、給料の二%減額、現業職の見直し、わたりの廃止に続くものでありまして、やむを得ないこととはいえ、職員の勤務労働条件を預かる知事の立場としては大変つらいお願いでありました。そのような中でありますけれども、組合としても諸般の事情を考慮した上で苦渋の決断をしていただいたと思っております。 他方、議員ご指摘のとおり、職員の福利厚生事業につきましては、必要なものはしっかりと行うという姿勢が大事であることも同感であります。 職員の定期健康診断の結果を見ますと、知事部局におきましては保健指導等の対応を要する職員が多数見受けられます。また、最近ではメンタル面による休職者も増加傾向にあります。これは、教職員におきましても同様であります。 このようなことを考えますと、職員の健康管理についても配慮が必要ではないかと考えますので、心身両面での病気予防に向けて、各種健康診断の充実や指導相談体制の整備に一層努力をしてまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。その他のご質問につきましては、担当部長から答弁をさせます。
○阿部順治副議長 渡辺
農林水産部長。 〔渡辺
農林水産部長登壇〕
◎渡辺節男
農林水産部長 試験研究機関の活用についてお答えいたします。 試験研究機関には、中長期的な視点に立って将来の農林水産業を見据えた技術を開発し、蓄積するという重要な役割があります。 例えば、本県で育成した水稲の新品種「おおいた11」の開発には十五年の歳月を要しております。また、環境への影響が少ない生産技術の開発、森林や水産資源のモニタリングなども重要な研究課題であり、継続して取り組むことが重要であります。 一方、安全、安心なものづくり、多様化する消費者ニーズへの対応といった今日的な行政課題を解決するための緊急的な技術開発を行うという役割も担っております。 そこで、本年四月に発足した農林水産研究センターは、予算や課題などの総合調整機能を持ち、研究課題と行政施策との整合性を図りつつ、大分の顔となる新品種の育成や新技術の開発の方向性を国や大学の有識者、生産者、消費者などを交えた新たな評価制度で検証し、大分ブランドづくりに向けた研究課題への重点化に取り組んでいるところであります。 また、ブランドづくりの基礎となる安全なものづくりを推進するため、安全農業研究所を新たに設置し、取り組みを強化したところです。 加えて、産業科学技術センター食品産業研究所との連携を図ることで、県内の食品産業が県産一次産品を活用した新商品を開発し、大分ブランドが確立されるよう支援してまいります。 試験研究機関が開発した技術については、広域普及指導員が研究員と現地に出向き、速やかに技術移転をし、ブランド化に取り組む産地を技術面で支援したいと考えています。 以上であります。
○阿部順治副議長 角野
商工労働部長。 〔角野
商工労働部長登壇〕
◎角野然生
商工労働部長 地域ブランドの商標登録についてお答え申し上げます。 地域名と商品名などから成る地域ブランドは、例えば、「夕張メロン」のように全国的な知名度がなければ商標として登録できず、また、「関あじ、関さば」のような新たな地域ブランドは、図形、図案などと組み合わせることが必要であったため、図案を少し変えることで便乗使用されてしまうといった問題がありました。 このため、国では、ことし六月に商標法を改正し、事業協同組合等が使用している地域ブランドについては、隣接都道府県に及ぶほど広く知られているような場合には、図案がなくても、文字だけでも登録できる地域団体商標の制度を新設したところであります。 県といたしましては、この制度の活用は地域の振興にとって大変有益であると考えておりまして、本年六月には地域ブランド連携推進会議を開催し、部局横断的に候補となる産品の選定に取り組んでいるところでございます。 また、生産者等のブランド意識の啓発が重要であることから、七月に特許庁による商標法改正の説明会を開催したほか、十月には日本弁理士会と共催で地域ブランドセミナーを大分で開催する予定であります。 本県には、「関あじ、関さば」や「大分乾しいたけ」のほかにも、「くにさき銀たち」「日田梨」「別府竹細工」など地域ブランドとしての魅力を備えた産品が数多く存在しております。こうした中から、品質の向上を図り、売れるブランドを確立していくことが重要であります。 今後、県といたしましても、知的財産に関する指針の策定を進め、地域ブランドについての取り組みを一層推進してまいります。 また、アンテナショップなどを活用したブランドの周知や販路拡大などにも積極的に取り組んでいきたいと考えております。 以上でございます。
○阿部順治副議長 福浦総務部長。 〔福浦総務部長登壇〕
◎福浦裕介総務部長 私から三点お答えいたします。 まず、県税の徴収率向上対策でございますが、平成十六年度の県税の徴収率は九七%で、前年度を〇・四%上回っております。また、収入未済額は約二十七億円で、前年度に比べ約一億円減っております。収入未済額のうち個人県民税が約十一億円で最も多く、全体の四〇%を占めておりまして、次に自動車税が約七億円となっております。このため、本年度は個人県民税と自動車税を重点に徴収対策を進めていくこととしております。 まず、個人県民税につきましては、賦課徴収を市町村が行っていることから、市町村に対し徴収強化の要請を行うとともに、必要に応じて徴収困難事案への助言や共同滞納整理などを行っていくこととしております。 次に、自動車税につきましては、昨年度は捜索・動産差し押さえの実地研修や県下一斉休日滞納整理等の税収確保対策を実施いたしまして、その結果、十二年ぶりに収入未済額が前年度に比べ減少したところでございます。本年度も引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 また、本年度は大分県税事務所に特別滞納整理室を設置いたしまして、県下全域の高額、困難な滞納事案を専門的に取り扱い、不動産の公売を実施するなどによって滞納額の縮小に努めております。 次に、地方税の徴収体制における県と市町村との連携についてでございますが、県下の市町村税の徴収率は市町村によってばらつきがございますが、市町村全体の平成十六年度の徴収率は九一・五%と見込まれておりまして、県税の徴収率に比べ、低い状況にあります。これは全国的にも同様の傾向にあります。 こうしたことから、幾つかの県で租税債権管理機構の設置や県職員の市町村への派遣、また、地方税法第四十八条に基づいて個人県民税の徴収引き継ぎなど、県と市町村が連携した取り組みが行われております。 議員ご指摘のとおり、
三位一体改革に伴う税源移譲が今後行われますと、地方財政における地方税の重要性はこれまで以上に増すこととなりますので、一層の徴収体制の強化が必要であると認識をしております。 このため、市町村合併によって、まずは市町村の徴収体制の強化が図られていくものというふうには考えておりますが、本県におきましても、今後、県と市町村との具体的な連携方策について、他県の取り組みも参考にしながら早急に話し合ってまいります。 最後に、県と市町村の連携についてでございますが、市町村におけるノウハウの蓄積を進める観点から、これまでも市町村合併に伴う福祉事務所設置や中核市移行に伴う保健所設置などの個別課題におきまして、人的支援に積極的に取り組んでまいりました。 また、市町村の要請に応じて市町村長を補佐するために助役を県から派遣してまいりました。 さらに、市町村職員の人材育成という点では、政策形成をテーマとした県職員と市町村職員との各種の合同研修を実施しております。 なお、権限移譲を進めるに当たって、議員ご指摘のようにノウハウの蓄積は避けて通れない課題でありますことから、人的支援も含めて具体的な方策を検討してまいります。 本県としましては、これらの手法を通じて県と市町村とのノウハウの共有を図ってまいりたいと考えております。 以上でございます。
○阿部順治副議長 深田教育長。 〔深田教育長登壇〕
◎深田秀生教育長 学力テストの結果公表についてお答えいたします。 実施三年目に当たる今年度については、児童生徒のプライバシーの保護等を考慮しながら、小学校の国語、算数、中学校の国語、数学、英語のすべての調査項目におきまして、学習指導要領の目標や内容に照らして、平均到達度、いわゆる平均点が一定の目標値を超えた学校名とその数値を公表したいと考えております。 調査項目につきましては、小学校国語を例に申し上げますと、話す力や書く力、言葉の決まりの知識、理解や文学的な文章の読み取りなどの十項目にわたっております。 また、早寝早起きなど基本的生活習慣と教科学力との相関関係等につきましても、あわせて公表してまいりたいと考えております。 このことによりまして、各学校が他校のデータも自校の学力向上対策に活用できることになり、児童生徒、教職員の学力向上への意欲や取り組みがより一層促進されるものと考えております。さらには、学校、家庭、地域が一体となって学力向上に取り組む機運がより高まるものと考えております。 以上でございます。
○阿部順治副議長 阿部
福祉保健部長。 〔阿部
福祉保健部長登壇〕
◎阿部実
福祉保健部長 国民健康保険事業にかかわりまして、五点ほどご質問いただきました。お答え申し上げます。 まず、市町村国民健康保険事業の財政状況等についてでございます。 市町村の国民健康保険財政を平成十五年度の単年度収支で見ますと、赤字保険者の数は四十八市町村で、その比率は、全国平均が七二・八%であるのに対し、本県は八二・八%となっております。しかしながら、不足分につきましては繰越金や国民健康保険基金の取り崩し等で対応しておりまして、今のところ実質赤字は一保険者のみでございますけれども、いずれにいたしましても県内市町村の国民健康保険財政は厳しい状況にあると認識いたしております。 赤字の生じる要因につきましては、高齢者医療費の増大や低所得者の増加等を背景といたしまして、医療給付に見合う保険税の賦課、確保が厳しい状況になっていることなどが考えられます。 次に、国民健康保険における医療費の状況についてでございます。 年齢構成の違いを除いた後の一人当たりの医療費の水準を示す地域差指数について、本県の平成十四年度の数値は全国平均の一・一四七倍で、全国順位は高い方から八位となっています。 本県の医療費の特性としましては、人口に比べて病床数が多いこと、加入者一人当たりの入院医療費が高いことなどがあります。また、本県の受診傾向を見ますと、虚血性心疾患、腎不全、糖尿病による入院等が全国でも上位にございます。 医療費の地域差を生み出す要因につきましては、医療費、生活習慣、医療機関の分布、予防事業の実施状況等の分析を行う必要がありまして、本県では、昨年十一月に大分県老人医療費適正化推進委員会を設置いたしまして、老人医療費の分析を進めているところでございます。 また、本年三月には、社会保険事務局、健康保険組合、市町村等の保険者等による大分県保険者協議会を設置いたしまして、老人保健のみならず、幅広く医療保険全般にわたる医療費の調査分析にも取り組むことといたしております。 次に、国民健康保険事業の安定化についてお答え申し上げます。 市町村国民健康保険の安定運営のためには、これまでも指導監査や担当職員研修等を通じまして保険税の適正な賦課徴収や医療費の適正化等について市町村に助言、指導してきたところでございますが、今年度から新たに都道府県調整交付金制度が創設されまして、地域の実情に応じたきめ細かい対応が可能となりました。 具体的には、国の定率負担四〇%のうち六%並びに財政調整交付金一〇%のうち一%、計七%の負担を都道府県に移し、都道府県調整交付金が新設されたものでございます。 県といたしましては、従来の助言、指導に加えまして、この県調整交付金を活用して市町村国民健康保険の安定運営をより一層支援してまいりたいと考えております。 次に、財政調整交付金の配分についてでございます。 県調整交付金七%のうち六%は、県普通調整交付金として、定率国庫負担の縮減によりまして市町村国民健康保険財政に急激な影響が生じないよう、これまでと同様、給付費に比例して配分する考えでございます。 一方、一%分につきましては、地域の実情に応じたきめ細かい対応をするため、県特別調整交付金といたしまして、引き続き保険税の収納率の向上、医療費適正化及び健康増進などの取り組みを支援してまいりたいと考えております。 また、県独自の取り組みといたしまして、市町村合併に伴う保険税の平準化等、国民健康保険財政の安定化に資する取り組みへの支援や、小規模災害の被災者等に対する本人負担減免などへの支援を検討しているところでございます。 最後に、国民健康保険事業の再編、統合についてお答え申し上げます。 国におきましては、平成十五年三月に医療保険制度改革に関する基本方針が閣議決定され、現在、社会保障審議会医療保険部会で、国民健康保険事業を含め、医療保険制度全般にわたって審議されているところでございます。 本県といたしましても、全国知事会と同様に、国はすべての医療保険制度を全国レベルで一元化する道筋を示すべきであると考えております。 また、一元化が実現するまでの間は、保険税の賦課徴収、被保険者管理等に実績のある市町村を引き続き保険者とすべきであり、その前提として、国が責任を持って財政支援を行うべきであるというふうに考えております。 県といたしましては、医療費の適正化に努めますとともに、県調整交付金の交付や保険税の賦課徴収への指導等、今後とも市町村国民健康保険財政の安定化のため必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。
○阿部順治副議長 再質問はありませんか。--三浦公君。
◆三浦公議員 丁寧な答弁、ありがとうございました。 ちょっと、教育長、確認したいんですが、答弁につきましては、学力テスト、平均点が一定の目標値を超えたような学校名とその数値について公表するというようなことでよかったですか。よければ、うなずくだけでいいんですが。ある程度公表するというようなことでよかったですね。--ありがとうございます。 教育長には、このたび、学力テストの公表につきまして大きな一歩を踏み出していただきました。心より敬意を表する次第でございます。 また、互助会につきましても、大変、知事の英断をいただきました。心より敬意を表する次第でございます。しかしながら、ぜひ互助会につきましては、県財政も大変厳しい折でございますんで、現状に満足せず、さらに見直しを進めていただきたい。 さらに、学力テストの公表につきましては、今回はテストの結果のよいところだけ公表するというようなものでございましたが、やはりいいところも悪いところも含めたすべてについて各学校ごとに公表していかなければならない。そうでなければ、やはり学力向上対策の協議の下敷きになっていかないと私は思っておりますんで、ぜひ今後ともさらなる検討をお願いいたします。要望です。 答弁につきましては、前向きなもの、そうでないもの、いろいろございましたんで、いろいろ勉強させていただいて、また必要であれば再度質問させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○阿部順治副議長 以上で三浦公君の質問に対する答弁は終わりました。 井上伸史君。 〔井上議員登壇〕(拍手)
◆井上伸史議員 自由民主党の井上伸史です。 質問の機会を与えていただきました議員各位の皆さん方に感謝を申し上げます。 質問の多くが地元のことで、退屈もするかと思いますけども、よろしくお願いしたいと思います。 さて、七月十日の豪雨は、私の地元日田市上津江町と九重町で死者四名、行方不明者一名を出す大惨事となりました。また、今月六日に九州に上陸した台風十四号でも、佐伯で死者一人、竹田で行方不明者二人、湯布院で行方不明者一名が出るなどの人的被害をもたらしました。 ここに、七月の豪雨と台風十四号で亡くなられた皆様のご冥福を謹んでお祈り申し上げます。 特に広瀬知事におかれましては、七月の豪雨の翌日、すべての公務をキャンセルして上津江の現場に駆けつけて地域住民を励ましていただきましたことに、地元の県議として、この場をおかりし、改めてお礼申し上げます。 また、我が自由民主党は、七月の豪雨災害発生後、直ちに阿部順治副議長を会長とする消防防災対策協議会メンバー十名が現地調査に入り、七月十四日には県に対して、ライフラインの早急な復旧、交通網の確保、復旧計画のための調査の促進を申し入れました。 本日、私が質問に立ったのは、この豪雨災害が起こったからであります。 自然の力は、時に人間の知恵、文明、科学をも凌駕します。しかし、私たちは、今回の惨事を教訓として、新たな対策を考え、同じ被害を出さないようにしなければなりません。 午前中の吉田議員からの災害の質問と重複しますが、視点を変え、災害対策を中心に質問をいたします。 本日は、地元よりたくさんの方が傍聴に来ておりますので、知事初め執行部の明快な答弁をお願いいたします。 さて、七月八日から十三日までの断続的に降り続いた豪雨は、県内で死者四名、行方不明者一名を出す大惨事となりましたが、日田市上津江町でも裏山の崩壊により親子二人が犠牲となりました。 被害額も、河川、道路などの土木関係、山林の地すべり、林道の損壊などの農林水産関係を中心に百十億六千八百万円に達しております。本県において一度の災害でこれだけの犠牲者を出したのは、死者七名を数えた平成五年の台風十三号以来であり、被害額も過去十年で最悪であります。まさに、梅雨末期のゲリラ的な集中豪雨の怖さを思い知らされました。 上津江町で犠牲になった親子も、ふだんは、大雨が降り、避難指示が出ると必ず公民館に自主避難していましたが、指示が出ていなかった今回は避難していませんでした。そこに、高さ百メートルにわたり裏山が崩壊し、住宅を押し流しました。 市町村合併後の日田市の上津江振興局長は、「正直に言って、予想ができなかった。大雨警報が出たのが午前二時半。それから勧告を出しても、夜中の避難はとても危険だった。最終的には住民の自主判断に任せるしかない」と話していましたが、地元住民は、「六月末からの毎日の雨により地盤がかなりの水を蓄えていたところに、九日の大雨と十日未明の集中豪雨により山林の崩壊が起きたと思う。このことから、九日の大雨洪水警報の時点における総雨量で、一時、洪水警報の解除はあったとはいえ、行政は避難の指示を出すべきではなかったのか」と、二人の死を悔やんでいます。 私が上津江村長をしていた平成五年の集中豪雨で、パトロール中の役場職員二名が土砂崩れに巻き込まれ、亡くなりました。村長として、職員を失ったことは断腸の思いでありました。このように、豪雨の際の住民や行政の動きは非常に難しい場面もあります。 しかし、私が懸念するのは、市町村合併により、今回の災害で警報の連絡体制、指揮命令系統に緩みが出たのではないかという点であります。これまでは、県から市町村へ直接、警報が伝達されていたのが、合併後は、日田市を経由し、五つの振興局に伝達されるようになっております。このように情報伝達にかかわる人数がふえ、市役所に登庁する時間がかかるなどして、警報の伝達におくれを生じさせたのではないかと思うのです。 例えば、日田市中心部と上津江との距離は三十キロ以上離れており、地理的な条件が日田市中心部とは大きく違っています。この距離感の認識不足、現場の状況の不明確さ等も、情報伝達、指揮命令の発動におくれが生じる一因ではなかったかと考えられます。このようなことを担当者は念頭に置くべきだと思います。 そこで質問ですが、これらのことは日田市内部の問題でありますが、合併前は、役場より直接、現場に出動、対応が可能であったことを考えると、今まで以上に県と市町村との連絡、連携を密にし、実情に応じた対応が必要であると思うのです。 県では、災害後の八月二十八日に総合防災訓練を実施していますが、形ばかりのものでは困ります。この訓練の課題、反省を含めて、災害警報伝達と指揮命令系統についてどのように考えておられるのか、ご所見をお伺いします。 九州を襲った七月の豪雨で死亡したのは、県内四人、長崎一名の五名となっておりますが、その内訳を見ますと、上津江町では九十一歳の母親と五十七歳の息子、鉄砲水に襲われた九重町の男性は八十一歳、同じく同町の崩れた県道から車ごと転落した女性は六十一歳、その娘さんは、依然、行方不明であります。長崎県諌早市で用水路に転落死した男性は八十歳となっております。五人のうち三人が八十歳以上の高齢者であります。 内閣府のまとめでも、昨年の自然災害による死者、行方不明者は全国で三百六名、その約半数が六十五歳以上の高齢者です。そのうち、昨年七月に新潟県や福井県を襲った豪雨でも、二十人を超える犠牲者の大半が独居老人や体の不自由な人たちでした。 豪雨被害に対する備えは、台風と違い、前もって予想を把握しがたいところに難しさがあります。このことが、さらに判断力、行動力が劣る災害弱者である高齢者に重大な影響を与えます。 県の地域防災計画においても災害弱者対策を重視していることと思いますが、今回の被害を教訓に、今後、災害弱者対策をどう進めていくのか、地域防災計画の見直しの観点も含めて、お伺いをいたします。 次に、今回の災害で最大の特徴は流木被害であります。七月十日の豪雨では、玖珠川水系の水量が一気に増水し、上流から多量の木材が流出し、橋などに引っかかって堆積し、せきのような状態になったことにより被害を拡大させました。特に、国土交通省や林野庁の職員も現地調査を行っており、全国的にも特異なケースであることをうかがわせています。 県では土砂や木材をせきとめるダムの新設を打ち出していますが、治山ダムとスリットダムとの組み合わせで土砂災害をどの程度抑止できるのか、技術的にも難しい問題であろうと思います。 特に、県西部では平成三年の風倒木被害から十四年が経過し、倒れた木の根が腐る速さと新たに植林した木の根が張る速さから計算すると、今が山の地盤が最も弱い時期という専門家の指摘もありました。 また、近年、木材価格の低迷により間伐などに手が回らないことから、植林は根が浅く、崩落しやすい状況になっております。国土交通省の専門家も、「山林の手入れが行き届いていれば、崩壊を抑える要素になると思う」と語っていました。 特に、近年では、林業の採算がとれないため、数百ヘクタールに及ぶ大規模伐採が行われる事例も少なくありません。伐採後の山は植林もされず放置されており、これがまた林地崩壊を招くおそれがあるのです。 このようなことから、今回の多量の流木発生は、豪雨対策だけでなく、林業施策にも一石を投じることとなったのではないでしょうか。 私は、治山ダムやスリットダムの設置だけでは流木被害は防ぎ切れず、これまでの林業施策からさらに一歩踏み込んだ対策も必要ではないかと考えるものです。 日田市の森林組合などでつくる林業木材産業緊急対策会議が八月二日に広瀬知事を訪ね、公有林の出荷調整と補助制度の拡充の要望をいたしましたが、今回の災害の状況を踏まえ、制度拡充を検討いただきたい。 これらの要望の背景には外国材の輸入と木材の需要低迷があり、ことし六月の日田地区原木市場の杉素材価格は七千七百円と、五年前の半額に落ち込んでいます。その後も価格は低迷しており、採算ラインを大きく割り込み、これでは日田の林業は壊滅状態に追い込まれてしまうのではないかと悲壮感さえ漂っている状況です。 このような場合、農産物では、国や県の価格安定制度が用意され、農家の経営安定に大いに役立っています。さらに、中山間地域の農業が国土保全、環境保全等に果たす役割に着目し、中山間地域等直接支払い制度も創設されております。 一方、木材価格の安定は、森林の維持とともに、国土の保全につながることから、木材にも価格安定制度や、林業における直接支払い制度とも言える現行の森林整備地域活動支援交付金制度の拡充ができないのか、真剣に検討すべき時期に来ているのではないかと考えます。 そこで、流木対策も含め、災害に強い森づくりをどう進めていくのか、また、林業を取り巻く情勢が厳しさを増す中、木材の価格安定制度の創設、森林整備地域活動支援交付金制度の拡充についてのご見解を広瀬知事にお伺いをします。 次に、日田・玖珠地方で甚大な被害を出した今回の豪雨に係る道路や河川、農業などの被害状況と復旧の見通しについて、予算措置を含め、
農林水産部長、
土木建築部長にお伺いをします。 災害対策の最後に、被災者の住宅再建支援についてお伺いします。 報道によりますと、記録的な豪雨や台風に見舞われた昨年、風水害の被災者の住宅補修などを支援するために十二府県が独自に、延べ二万三千三百六十七世帯に約九十五億一千万円を支給していたことが判明をいたしました。これに対して、国の被災者生活再建支援法は制約が多く、昨年の風水害での支給は千五世帯、約六億円にとどまっています。 被災地の自治体は、「国の制度は水害に対応していない」として、独自の制度づくりに乗り出しているわけです。 平成十六年には、豪雨や台風が相次ぎ、消防庁によると全国で四万棟以上が床上浸水しました。新潟、京都、静岡など十一府県が災害後、住宅、生活再建を支援する制度を創設し、うち九府県は昨年だけの特例措置としています。 例えば、同年七月の豪雨で全半壊百九十六世帯などの被害を受けた福井県は、住宅が全壊した世帯に再建費用などとして最高四百万円、床上浸水した場合には最高五十万円を支給する制度を創設しました。 十二府県の支給総額は、国の制度による支給額の約十六倍、対象世帯は約二十三倍に上っています。 また、同法は、住宅補修や再建、購入費用は公費による私有財産の形成につながるとして、借入金利息などの間接支援しか制度化していませんが、制度を新設した府県のうち九自治体が住宅再建を認めています。 特筆すべきことは、兵庫県が今月一日から住宅再建共済制度を新たにスタートをさせたことです。これは、国や県の公的支援を補完する共助の制度として、掛金は年五千円、地震のほか、豪雨、高潮などあらゆる自然災害が対象となっております。加入者の家屋が全半壊した場合は六百万円、補修には被害の程度に応じて二百万円から五十万円を支給するものです。今後、この制度がどこまで住民に浸透するものか、注目されています。 このように多くの府県が住宅再建に独自の制度を創設していますが、県としてこの問題にどのように取り組んでいくのか、知事のご見解を伺います。 次に、地方機関の再編に関して質問をいたします。 先月九日に県は、緊急行財政改革本部において、
地方行政機関の再編成案を決定し、公表をいたしました。来年四月から、現在十二ある地方振興局を六つに再編し、十八年度から三カ年で職員数を二百人削減し、約二十億円の人件費削減効果を見込んでおります。 会議後、記者会見した広瀬知事は、「今ある振興局を存続すべきという意見をいただいているが、新市の周辺整備対策や農林水産業の振興などを専門的、広域的に実施できる組織とするために再編を決めた」と話しておられました。 私は、再編は避けて通れないものだと思いますが、肝心なのは職員の仕事の進め方にあるのではないかと考えます。言いかえますと、今までどおりの発想で仕事をやっても解決できない分野があるということです。 例を挙げますと、農林水産業の普及指導員であります。 戦後はや六十年、農業、林業の技術の進展は目覚ましく、その間の普及指導員の役割大なるものがありますが、現在の地域の先端的農家の技術水準は普及指導員の専門性を超えている場合も少なくありません。このような場合、普及指導のターゲットをどこに絞るかが問題になります。
地方機関再編の執行部の説明では、野菜でも、イチゴなど品目ごとに担当者を決めて職員の専門性を高めるという説明でしたが、果たして先端農家の技術に追いつけるものか、疑問が残ります。私は、むしろ、技術指導から流通戦略にシフトしていくべきではなかろうかと考えるものであります。一次産品は総じて、生産者が価格をつけることが難しい市場任せの産業です。したがって、流通、市場の動きを把握して、生産にフィードバックする体制が必要です。 林業の面でも同じことが言えると思いますが、戦後の拡大造林による植林も伐採期を迎え、膨大な森林蓄積を抱えています。技術指導も欠かせないものですが、伐期を迎えた山林をどうするのかが急務だと考えます。したがって、林業普及指導員も流通面にシフトし、企業任せのみだけでなく、ともに考え、現在の林業の難局を乗り切るべきと考えてはいかがでしょうか。 そういう意味で、今回の
地方機関再編において、農林水産業への普及指導方針を含めた普及指導員のあり方をどのように考えておられるのか、知事にお伺いをします。 地方機関の再編に続き重要なのは、市町村への権限移譲であります。 今回の再編素案では、「市町村合併の進展に伴い、新市の行政区域の拡大とともに、人的、財政的規模の強化により行政能力が一層向上することを踏まえて、本県独自の権限移譲を積極的に進める」とあります。ただし、受け手である市町村の意向を十分に踏まえる必要があるため、県と市町村で合同の検討委員会を設置し、平成十八年度に結論を出すこととしています。 一方、政府は、昨年末、公務員のスリム化などを盛り込んだ行政改革方針を閣議決定し、これを受けて総務省は、ことし三月に新地方行革指針を都道府県に通知するとともに、市町村への権限移譲を含む集中改革プランを速やかに策定するように求めております。 また、市町村合併が進んで基礎的自治体の役割が高まる一方、道州制論議が地方制度調査会などで具体化する中で、現行の都道府県制度が大きく変容を迫られるのは必至の状況であります。 現在、市町村への権限移譲は、平成十二年の地方分権一括法の施行に伴い、みずからの権限に属する事務を市町村が処理できることとするという事務処理特例制度で行っています。権限よりも事務の移譲がほとんどを占める状況の中で、苦難の末に合併した新市にとって独自の地域づくりのための権限として活用できるものは、一体、果たして幾つあるのでしょうか。 そのためには、市町村に何が必要かという視点が重要となってくるのです。言いかえますと、住民に最も身近な市町村が行政サービスの中心的な役割を担い、事務、権限の内容や性質等から市町村に適さないものを県や国が担うという考え方が必要ではないでしょうか。 また、法令や条例で明記された県の権限の一部を移譲するのでなく、例えば、介護保険に関するものはすべて権限移譲するなど、権限とそれに付随する一連の事務を一括して移譲することが重要ではないでしょうか。 そこで質問ですが、市町村への権限移譲を今後どのように進め、地方機関の再編にどのようにつなげていくのか、お考えをお伺いします。 最後に、地元、日田天瀬町五馬地区に計画されている堆肥化施設についてお伺いします。 この施設は、岡山市に本社のある事業者が五馬地区に約六ヘクタールの敷地を確保し、下水道汚泥などを一日当たり約三百五十トン処理する計画であり、輸送車両は十トン車で一日当たり六十台に及ぶと聞いております。 日常生活で発生する下水道汚泥の処理施設は必要なものであり、堆肥化のように再利用を目的に廃棄物を処理するということは資源の循環的利用という観点からも有意義と考えられますが、地元住民は、操業に伴い、悪臭や汚水が発生するおそれのあること、特に、県外の廃棄物を処理するものとなっていることから、四千名に上る反対署名を携えて日田市長に建設反対の陳情を行っております。 また、既に日田市では、生ごみや家畜ふん尿を処理し、発電までできる施設を建設中であり、地域の廃棄物を循環利用する体制ができつつあります。 この住民の反対陳情を受けて、環境日本一を目指す日田市は、事業者に対し、進出断念を求める意見書を提出し、また、地元住民は県に対して、この堆肥化施設の事業許可をしないよう陳情を行ったところであります。さらに、今月十四日には、県議会議長あてに陳情書を提出いたしました。 そこで質問ですが、この堆肥化施設の設置計画について、事業者は、今後、県や日田市に対してどのような行政上の手続を行うのか、また、県は事業者に対してどのような指導を行うのか、お伺いします。 法律の解釈だけでなく、地元住民の心情も踏まえて、県として事業者に進出断念を求めることを切にお願いし、以上で私の質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。(拍手)
○阿部順治副議長 ただいまの井上伸史君の質問に対する答弁を求めます。 広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 ただいま井上伸史議員には、林業、あるいは災害に強い県土づくり等々、いろんな面についてご質問いただきました。私から何点かお答えを、まずさせていただきます。 まず、災害に強い森づくりと林業経営安定対策についてご質問がございました。 七月の大雨、先日の台風十四号によりまして亡くなられた方には心からご冥福をお祈りいたしますとともに、被害を受けられた皆様方に心からお見舞いを申し上げます。 本県の豊かな森林は、先人が大切に守り育ててきたかけがえのない県民共通の財産であります。木材生産に加え、水源涵養や県土の保全、地球温暖化防止などの多面的機能を維持して、この豊かな森林を次世代に引き継いでいくことは私たちの重要な責務であると考えます。 しかしながら、山村の過疎化、高齢化に伴う担い手の減少や木材価格の低迷などによりまして、本県の森林、林業をめぐる状況は厳しさを増しております。これにより、間伐などの管理が行き届かない森林や、伐採後、植林がなされていない森林が増加しておりまして、林地崩壊に伴う流木被害の発生の一因にもなっております。 このため、災害に強い森林づくりの観点から、次の三点について重点的に取り組んでまいりたいと思います。 まず第一点目は、針葉樹と広葉樹をバランスよく配置し、多面的機能を持続的に発揮する長期育成循環林への移行や、森林の地理的条件に応じ、自然植生等を活用した多様な森林整備を進めてまいります。 二点目は、治山ダム、スリットダム等の治山施設を計画的に配置して、砂防事業とあわせて、流域を一体として整備していきます。 三点目は、森林整備や治山施設の設置といったハード対策に加えまして、市町村などとの連携を強化して、山地災害危険地区の住民への周知徹底など防災意識を高める対策を実施してまいります。 これらの対策を進めることによりまして、安全、安心な県民生活の確保に努めてまいりたいと考えております。 次に、林家の経営安定対策についてご質問がございました。 木材需要の低迷や外材の輸入などによりまして木材価格が長期にわたって下落する中で、林家経営は大変厳しい状況にあります。こうした中、日田地域におきましては、林業・木材産業緊急対策協議会が設置されまして、生産、流通、バーク処理といった広範にわたる協議がなされております。 経営安定対策は、林業関係者と行政が一体となって各方面にわたるさまざまな施策を組み合わせながら実施することが重要でありまして、次の四点について強力に進めていきたいと考えております。 一点目は、持続可能な森林の整備の推進であります。 通常の造林や間伐に対する支援に加えまして、抜き切りを繰り返すことで再造林コストの低減と再造林の放棄を防ぐ長期育成循環林への転換を図り、木材生産と公益的機能を両立できる森づくりを進めてまいります。 二点目は、低コストな丸太生産を推進することであります。 施業の集約化や高性能林業機械の導入によりまして、作業の効率化、作業道等の整備を図ってまいります。 三点目は、木材需要の拡大であります。 消費者ニーズにこたえられる木材を生産し、販売していくことや、公共施設等の木造化を強力に推進することが必要であります。特に、各方面から高い評価を受けている大分方式乾燥材につきまして、その生産を拡大するとともに、県内の木造住宅への普及を図り、さらには首都圏など県外への売り込みにも力を入れてまいります。 四点目は、バークを初めとする木質バイオマスの有効活用であります。 木材生産の過程で発生するバークを土壌改良剤として果樹園、茶園などで利用拡大するとともに、ボイラーや発電の燃料としての活用を検討しております。 なお、議員ご指摘の森林整備地域活動支援交付金は林家の森林整備に不可欠でありまして、本県では、約四十万ヘクタールの民有林面積のうち、七万六千ヘクタールの森林管理に活用されております。 この制度は平成十八年度で終了することとなっておりますけれども、十九年度以降の制度継続や交付対象の拡大等につきまして引き続き国に対して要望を行ってまいりたいと考えております。 また、価格安定制度は、価格の変動が大きくて、国民の台所に直結する一部の野菜とか畜産物に限定して、安定供給の観点から設けられておりまして、同様の制度を木材に設けることにつきましては、果たして国民的合意が得られるかどうか、なかなか難しい点があるんではないかというふうに考えております。 もとより、森林の整備は林業関係者のみの取り組みだけでは限界があります。来年度から導入を予定しております森林環境税の効果的な活用やNPO、ボランティア団体との協働などによりまして、県民総参加の森づくりを進めてまいりたいと考えております。 次に、被災者の住宅再建支援についてのご質問でございました。 災害から県民の生命、財産を守ることは行政に課せられた最重要課題と位置づけて、自然災害に取り組んでおるところでございます。 災害が発生した場合、「あわてずスピーディーに、騒がず着実に」をモットーに対応することが重要でありまして、そのために必要なことは、正確な情報収集、迅速、的確な意思決定、そして着実な行動であります。こうしたことを念頭に、今後とも市町村と一体となって災害対策に万全を期してまいりたいと考えております。 被災者の住宅再建支援についてでありますけれども、全国知事会等におきまして働きかけてきた経緯もありまして、昨年三月には、国と都道府県とが一体となって支援する生活再建支援制度に、従来の生活必需品購入等の経費に加え、新たに被災住宅の撤去経費など居住関係経費が追加されたところであります。 大規模な災害が発生した場合、被災者の住宅再建の支援には巨額の財政負担を伴うことから、一地方自治体のみで対応するには限界がありまして、全国的な施策として対処すべきであると考えておりまして、今後とも全国知事会等を通じて制度の拡充等を国に働きかけてまいりたいと考えております。 議員ご提案の県単独での住宅再建支援制度や住宅再建のための共済制度につきましては、被災された方々の窮状やお気持ちを察するに、制度を創設して一日も早く救済したいというふうに考えますけども、一番目に、住宅等が私有財産であるという観点から、あくまで自分自身で復旧することが基本ではないか、行政がどこまで支援すべきかという問題があります。 また、二番目に、そうはいいながら、地域の実情等を考えた場合に、村を守り、町を守るために国の制度を補完する何らかの支援策が必要でないかということも考えられます。 また、三番目として、仮にそういった制度をつくる場合に、公平性の観点からどのような制度にするのか、また、それに伴い、どれだけの財源が必要になるのか等、いろいろな論点があるわけでございます。 私といたしましては、県民の安心の確保の観点から、県としてどういう形で再建支援することが適切か、できるかどうかも含めまして、研究を行ってまいりたいと考えております。 次に、農林水産普及指導員のあり方についてのご質問もございました。 現在策定中の新農林水産業振興計画では、県下の生産者が懸命にはぐくんできたすばらしい産品を全国に通用するザ・オオイタ・ブランドに高めるため、次の三点に着目した戦略を提案しております。 まず第一点目として、安全、安心への要請など消費者が本当に求めているものをしっかりととらえ、こたえていくこと、二点目として、意欲ある担い手の確保に努めるなど、新しい時代に対応できる合理的で持続的な生産システムを再構築すること、三点目として、身近にありながらその可能性に気づいていない地域資源を生かして付加価値を高めることであります。これらの戦略を実現するためには、農林水産の普及指導体制の再構築が必要であると考えます。 私は、県内各地のふれあいトークで地域のさまざまなお話をお伺いする中で、普及指導員に対する期待の大きさを改めて感じたところであります。 そこで、今回の
地方行政機関の見直しに当たっては、県が地域で果たしていくべき役割は、広域的、専門的分野、例えば、大消費地をターゲットにした広域的な産地形成や企業的農家への専門性の高い普及指導など、大きく変わってきたものと認識しております。そのため、農林水産普及指導員を集約・広域化するとともに、専門家集団として技術指導力を発揮できる体制を構築して、時代の変化や県民のニーズにこたえたいと考えております。 農業普及につきましては、まず第一に、流通販売面の指導体制の強化です。 戦略品目を中心に、全県域を対象に活動する広域普及指導員を本庁に増員するとともに、新たに地方振興局にも流通担当の普及指導員を配置することとしております。 普及指導員みずからが市場情報や消費者ニーズを収集して生産現場に的確に反映させるとともに、地域の産品を大手量販店や食品加工産業などに直接売り込んでいくなど、新しい販売ルートの開拓に積極的に取り組んでまいります。 第二は、高度化、多様化する農家の技術ニーズに対応して、安全で高品質な産地づくりのための技術指導体制を強化することであります。 どんなにすばらしい産品ができても、安定的に供給できる体制が整備されなければ大都市の市場では相手にされません。そこで、産地の技術をレベルアップして力強い担い手による広域出荷体制を構築するために、個々の普及指導員の高い専門技術が発揮できるように担当分野の細分化を行うなど、指導体制を構築することとしております。 林業普及につきましても、県産材やシイタケのブランド化を全力で進めるため、専任の森林木材担当とシイタケなど特用林産担当の普及指導員を振興局に配置いたします。 低コストでの利用間伐の推進や原木流通の改善、工務店への大分方式乾燥材の販売促進、公共施設の木造化、木質化の推進など県産材の需要拡大対策に取り組むとともに、シイタケの生産拡大や販路開拓にも積極的に対応できる体制にしたいと考えます。 また、水産普及については、養殖技術や漁法、経営、流通など、より高い専門技術やコーディネート能力が発揮できる組織とするため、担当分野を細分化して、関アジ、関サバに続く新たなブランドづくりに取り組んでまいります。 個々の普及指導員には、これまで以上に現場主義に徹し、生産者とともに汗を流してもうかる産品づくりに取り組むよう徹底し、県民の皆さんの期待にこたえてまいりたいと考えているところであります。 私からは以上でございます。その他のご質問につきましては、担当部長から答弁させていただきます。
○阿部順治副議長 堤
生活環境部長。 〔堤
生活環境部長登壇〕
◎堤俊一郎
生活環境部長 私の方から三点についてお答えさせていただきます。 まず、災害警報の伝達と指揮命令系統についてでありますが、災害発生時には、市町村長は、住民等に災害情報を伝達するとともに、管内の応急対策の指揮をとることとなっております。県は、こうした市町村長の判断をサポートするための各種の情報提供や応急対策の支援等を行っております。 このたびの災害では、合併直後ということもあり、こうした市町村長の権限が効果的に発揮できなかったのではないかとの意見も聞かれるところでございます。 新市における災害警報については、気象情報伝達システムや土砂災害警戒システムにより新市の支所まで伝達されております。 県は、七月の大雨災害を受け、新市の防災体制を確認するために、新市本庁と支所間における連絡体制、対応体制などの調査を行うとともに、市民避難等に素早く対応できるよう支所等における避難勧告の発令などについて助言を行ってまいりました。 今後は、市町村長の避難勧告などの発令のあり方や避難勧告などの支所への権限移譲等、また、災害時における本庁と支所間の指揮命令体制や情報伝達の確立、市内防災関係機関との円滑な連携などについて重点的な取り組みを促してまいります。 さらに、八月の総合防災訓練の検証等も踏まえ、県と新市が連携して防災対策が効果的に機能するよう努めてまいりたいと考えております。 次に、災害弱者対策についてであります。 高齢者等の災害時要援護者は、迅速な行動が困難であり、風水害の発生時には、より早い避難行動の開始が必要です。 また、迅速かつ的確な避難には、平素から要援護者の支援体制を整備しておく必要があり、県、市町村の防災部局と福祉部局の連携及び消防団などの防災機関と社会福祉協議会などの福祉関係者の協力が不可欠であります。 本年七月に国の防災基本計画が修正され、避難勧告や避難指示の発令の前に、災害時要援護者に対して事前に避難行動を開始することを求める避難準備情報の活用など、新たな災害時要援護者対策が規定されました。 これを受けまして県では、災害時要援護者の避難支援対策の充実強化など、防災対策推進のため、地域防災計画の見直しを行うとともに、市町村に対しても見直すよう通知したところであります。 また、今年度から県では、防災部局と福祉部局の連携のもと、災害弱者支援マニュアルやリーフレットの作成、講演会の開催などを通じて、県民に対し、災害弱者対策の啓発を行うことにしております。 さらに、市町村や市町村社会福祉協議会等が中心になり、自治委員や民生委員、あるいは児童委員、消防団、ボランティアなどの協力のもとに、日ごろから地域で見守り支援を行い、災害発生時には避難情報の伝達や避難の介助などを行う住民主体の災害弱者地域見守り支援体制づくりの推進に努めているところです。 次に、日田市の堆肥化施設についてでございます。 先般、地元住民から施設設置反対の陳情を受けまして、現地の状況、日田市や地元の意向については十分承知しておりますが、現段階では事業者からの具体的な手続等は行われておりません。 この施設は廃棄物処理法の許可対象外の施設ですが、十月から施行されます産業廃棄物適正化条例では事前協議の対象となります。 また、事業に着手するためには、このほかに、日田市環境保全条例に基づく土地開発の協議を初め、林地開発、農地の転用や土地の開発許可など他法令の手続が必要となります。 特に、市道を初めとするアクセス道路等の問題もあるようですので、今後、日田市や関係部局と緊密な連携をとりながら対応してまいりたいと考えております。 以上でございます。
○阿部順治副議長 渡辺
農林水産部長。 〔渡辺
農林水産部長登壇〕
◎渡辺節男
農林水産部長 災害復旧の見通しについてお答えいたします。 七月の大雨災害の被害につきましては、農地、農業用施設の十八億七千九百万円など農業関係が十九億三千九百万円、林地崩壊の二十億一千九百万円、林道の九千五百万円など林業関係が二十一億一千六百万円、農林水産業全体で被害総額は四十億九千五百万円となっております。 地域別には日田・玖珠・九重地域で被害が大きく、三十四億二千六百万円で、総額の八四%を占めています。 直接、農業活動に支障を来す水利施設の復旧などは、国の査定を待たずに応急工事として迅速に対応するとともに、国の災害査定の早期の完了を図り、復旧工事の早期着手に努めているところでございます。 農地、農業用施設や林道の復旧は既決予算で対応することとしており、九月九日に激甚災害の指定を受け、国庫補助率のかさ上げなどがなされることとなっております。 また、林地崩壊については、日田市上津江町や九重町など緊急に復旧工事が必要な箇所を本年度中に着手することとしており、既決予算で不足する災害関連緊急治山事業等については本議会において補正予算をお願いしているところです。 以上であります。
○阿部順治副議長 渡辺
土木建築部長。 〔渡辺
土木建築部長登壇〕
◎渡辺浩志
土木建築部長 災害復旧の見通しについてお答えいたします。 七月八日から十一日にかけての大雨により、日田・玖珠地域では、県と三市町合わせて二百六十九カ所、五十三億二千二百余万円の公共土木施設災害が発生しました。 そのうち、県管理の道路では、日田鹿本線の日田市中津江村合瀬を初め十一路線、十九カ所で全面通行どめが発生しましたが、現在、飯田高原中村線の二カ所を残すのみとなっており、早期の通行再開に向け、仮復旧工事に取り組んでおります。 八月末に行われました第一次災害査定では、日田・玖珠地域において宝珠山日田線や上野田川など百十三カ所の工事費が決定されましたので、早期に工事の発注を行い、県民が安心して暮らせるよう、一日も早い復旧に向け、全力で取り組んでいきます。 また、浸水被害が発生した九重町の石原川、松山川の二河川は、抜本的な改良を行うため、砂防災害関連事業として実施することとしています。 さらに、甚大な被害をもたらした九重町の土砂災害については、既に国に対し、緊急砂防事業四件、緊急急傾斜事業一件を申請しましたので、採択後、早期に工事に着手します。 なお、予算措置は、既決の予算で不足が生じる砂防災害関連事業及び緊急砂防事業について補正予算を今議会に上程しているところです。 以上でございます。
○阿部順治副議長 福浦総務部長。 〔福浦総務部長登壇〕
◎福浦裕介総務部長 市町村への権限移譲についてでございますが、市町村合併による新市の発足によりまして、従来、県の権限と位置づけられていた郡部の福祉事務所業務などが新市に移管されたところであります。 さらに、これに加えまして、今後は本県独自の判断に基づく権限移譲を行うことを検討しておりまして、本年四月から総務部内にプロジェクトチームを設置したところであります。 移譲に当たりましては、一つは、市町村において手続ができることによって住民の利便性や住民サービスが向上する事務、二つは、地域の特色を生かした自主的なまちづくりが可能となる事務などを選定していきたいと考えております。 なお、その際、県が権限移譲によって仕事を市町村に押しつけることにならないよう、十分な市町村の受け入れ体制を構築することが大事であります。このため、合併後の新市に対して、新たな福祉事務所のサービスを円滑に行えるよう県職員の派遣を行っております。 さらに、今後の権限移譲に際して、市町村における専門家の育成、職員研修等に対して支援してまいります。 今後、移譲する事務の選定に当たっては、受け手である市町村の意向を十分に踏まえ、理解を得ることが何よりも重要でありますので、県と市町村で合同の検討組織を設置し、来年度中に権限移譲計画を策定できるように努めてまいります。 次に、権限移譲と地方振興局等の再編についてでございますが、例えば、新市の周辺部となった旧町村部への効果的な支援、企業的農家への専門性の高い普及指導など、時代の変化、県民のニーズにこたえて、地域で県が果たしていくべき役割を勘案すれば、現在お示しをしている地方振興局等の体制は必要最小限のものというふうに考えている次第でございます。 以上でございます。
○阿部順治副議長 再質問はありませんか。--井上伸史君。
◆井上伸史議員 合併のことを言いますと、まあぼやきに聞こえるというような、加藤さんの、この前、お話でございました。単なるぼやきに終わっては困るんで、どうかひとつ、執行部の方もしっかりよろしくお願いしたいと思いますが、それでは、四点ばかし、ちょっと質問したいと思います。 特に、合併して、いろんな連絡、連携というのが非常に私は悪いと思っております。特に、広域消防署があるところと警察署のあるところ、いわゆる中心部といいますか、と、ないところが一緒になったわけです。そうしたときに、何かあったときにはやっぱり、いわゆる中心部からの指令というのが、どうもその辺の、現地での把握が十分できてないというふうに思っていますんで、そこ辺のところをどうも心配するわけです。 特に、山林火災ですね。火災があった場合に、とにかく下から、連絡して来たら、四十分ぐらいかかると、いわゆる火災の場合、もうずうっと火が広がっているというような状況になるわけでありますから、だから、先ほど言いましたように、とにかく現地で、やっぱり振興局長が権威を持って、ぴしっとその辺のところは絶対やると、そういう体制をぜひとも早くつくっていただきたい、そういうふうに指導していただきたいというふうに思っています。これ、新市のことだと思うんですけども、しかし、そういう指導はしていただきたいというふうに思うわけでございます。 それから、住宅再建の場合、本当言うと、家が壊れたのは津江の方で二軒ぐらいあっておるんです。ところが、いろんな条件が折り合わず、支援できないというようなことでございました。それで、市営住宅あるちゅうようなことでやったんですけど、これもまた新市のことでございますけれども、くじ引きで、空きを待たんと入れぬというようなことで、家のなくなった方がくじ引きで待つのも、これどうかなというふうに思うんでございますけども、そういった状態が起きているということだけ把握していただきたいというふうに思います。 それから、申しおくれましたが、消防の関係につきまして、いわゆる職員が単独では出動できない。というのが、いわゆる長の決裁がないときというようなことであろうと思うんですけども、自分勝手に行ったら、何かあったときに公務災害の適用がないんですね。それをどうも裏では心配していらっしゃるんじゃないかというふうに思うわけで、その辺の責任の所在というのもぴしっとやっぱり明確にしながら、すぐ出動できるようにひとつお願いいたしたいと思います。 それから、最後ですけども、堆肥施設につきましては、きょうたくさんの方が傍聴もお見えでございますけれども、いわゆる、今後、事業者が申請書を出す場合に、市長の意見書が恐らく義務づけられるんじゃないかと思うんです。そうした場合において、市長が反対、不適格だというようなことになった場合についても、県としてはやはり法的に準じて許可せざるを得ない状況になられるのか。その辺のところがちょっと気になるところでございますし、その辺のところ。 それから、何と申しましても、やっぱり進出断念を求めるという思いでございまして、とにかく、県外のごみがいっぱい来るのがどうも市民の感情としても納得がいかないんじゃないかというふうに思って、市町村から出るごみは市町村で処理するというのが原則じゃなかろうかというふうに思うわけでありまして、今後、やっぱり法律改正もして、そういったことで自分の捨てたごみは自分ところで処理するということをひとつ法律でも決めてもらうようにお願いをいたしたい、国の方にも伝えていただきたいと、そういったことですので、よろしくお願いします。
○阿部順治副議長 堤
生活環境部長。 〔堤
生活環境部長登壇〕
◎堤俊一郎
生活環境部長 堆肥化施設の件でございますが、先ほどのをちょっと補足させていただきますと、許認可の関係でいきますと、まず、土地を開発できるところから始まります。そうしますと、まず、土地の利用を、農地を転用する、あるいは土地を、土をいじくって造成する建物を建てられるべき土地になるかどうか。この審査に、ちょっと先ほど答弁の中で申し上げました道路という意味は、十トントラックが走って、一般の方の交通とうまく、きちんと離合していける道になっているかどうかというのも一つの審査基準になります。 したがいまして、もともと、その土地、予定している土地にこういう建物を建てて営業していいのかどうかというのが、都市計画法に基づく土地利用調整といいますか、開発行為の許可がその審査基準になります。 片一方、この基準を満たさないと農地の転用というのも認められないということで、他方の規制が実はいろいろちょっと絡んでおりますんで、どれが一番だということは言えませんけども、いずれにせよ、今の状態のままで十トントラックが六十台、毎日通ってできる土地ではないというふうに私どもは理解しておりますので、まずその点から最初に開発調整の際にお話が出てくると思います。 ここら辺は、日田市が道路改良を行うというようなことがありますと、そういうことがなくなるんですが、そこら辺のいろんな各法の調整につきましても、現地の振興局と今、連絡を密にとっておりますので、いろんな情報が出てきた場合に、私どもで調整させていただきながら、市、それから県の地方振興局、それから私どもの部が窓口となって全庁的な調整も行ってまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。
◆井上伸史議員 議長。
○阿部順治副議長 井上伸史君。
◆井上伸史議員 だから、市長の意見書というのは、どうですか、反対した場合においての、範囲というか、効力というか、その辺のところは、全然、もう出しただけで終わりなんですか。そういうことですか。
○阿部順治副議長 堤
生活環境部長。 〔堤
生活環境部長登壇〕
◎堤俊一郎
生活環境部長 地元の方の陳情書を既に私どもいただいております。また市長さんからも意見書ということになりますと、いろんな、各、地元の中の調整が法令で義務づけられている部分については、当然、地元の調整が成った上でということになろうかと思います。 それで、私がどこまでということは、権限は有しておりませんでわかりませんが、いずれにせよ、かなり各法の中で、今、いろんな事業活動を行う場合は、地域と共生して、あるいは地元からの反対を受けて、それがあるのにするということはなかなか難しかろうということは一般的には言えると思います。 ただ、今回の場合、私どもの方にまだ実際の申請が出ておりませんので、今の段階で私が具体的に申し上げるということはちょっと控えさせていただきますが、先ほど申し上げたように、少なくとも道路交通上の問題等々は今から想定できるんではなかろうかという意味でございますので、もちろん、出てくれば、市長さんの意見書、あるいは地元の住民の方の陳情書をいただいておりますので、その点も十分念頭に入れながら対応させていただきたいというふうには思っております。 以上でございます。
○阿部順治副議長 以上で井上伸史君の質問に対する答弁は終わりました。 お諮りいたします。本日の一般質問及び質疑はこの程度にとどめたいと思います。これにご異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○阿部順治副議長 ご異議なしと認めます。 よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。
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○阿部順治副議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。 日程は、決定次第通知いたします。
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○阿部順治副議長 本日は、これをもって散会いたします。 午後三時二十八分 散会...