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  1. 大分県議会 2005-09-01
    09月21日-03号


    取得元: 大分県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-13
    平成17年 第3回定例会(9月)平成十七年九月二十一日(水曜日)     ------------------------------ 議事日程第三号      平成十七年九月二十一日           午前十時開議第一 一般質問及び質疑     ------------------------------ 本日の会議に付した案件日程第一 一般質問及び質疑     ------------------------------ 出席議員 四十五名  議長     荒金信生  副議長    阿部順治         日野立明         佐々木敏夫         三浦 公         元吉俊博         平野好文         佐々木哲也         油布勝秀         御手洗吉生         桜木 博         麻生栄作         首藤勝次         堤 俊之         田中利明         大友一夫         井上伸史         渕 健児         佐藤健太郎         近藤和義         志村 学         矢野晃啓         安部省祐         阿部英仁         和田至誠         牧野浩朗         古手川茂樹         長田助勝         平岩純子         吉田忠智         久原和弘         塙  晋         小野弘利         内田淳一         吉冨幸吉         高村清志         賀来和紘         江藤清志         佐藤博章         後藤史治         梶原九州男         伊藤敏幸         矢野征子         竹中万寿夫         加藤純子 欠席議員 一名         古田き一郎     ------------------------------ 出席した県側関係者  知事      広瀬勝貞  副知事     石川公一  出納長     二宮滋夫  教育委員長   小寺 隆  代表監査委員  阿南 馨  総務部長    福浦裕介  企画振興部長  武田 寛  企業局長    井上良司  教育長     深田秀生  警察本部長   鈴木章文  福祉保健部長  阿部 実  生活環境部長  堤 俊一郎  商工労働部長  角野然生  農林水産部長  渡辺節男  土木建築部長  渡辺浩志  県立病院          小矢文則  管理局長  国民体育大会・  障害者スポー  後藤州一  ツ大会局長  出納事務局長  片山仁之  人事委員会          森 俊明  事務局長  労働委員会          小田哲生  事務局長  参事兼財政課長 二日市具正  知事室長    園田和男     ------------------------------      午前十時五分 開議 ○阿部順治副議長 これより本日の会議を開きます。     ------------------------------ ○阿部順治副議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第三号により行います。     ------------------------------ △日程第一 一般質問及び質疑 ○阿部順治副議長 日程第一、第一一二号議案から第一四八号議案まで及び第四号報告を一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。 江藤清志君。  〔江藤議員登壇〕(拍手) ◆江藤清志議員 おはようございます。きょうは、早朝から私の後援会の女性部長さん初め多くの皆さん、さらにまた、高次脳障害者のご家族の皆さんがお見えになっております。朝早くから済みません。皆さん方の気持ちをしっかり受けとめて、力いっぱい、広瀬知事初め、執行部の皆さん方にお訴えをさせていただきます。 それでは、改めましておはようございます。三十九番、新政みらいの江藤清志でございます。 まず、九月六日から七日にかけまして九州を直撃いたしました台風第十四号の被害を受けられました方々に対して、まずもって心からお見舞いを申し上げます。 死者一名、さらにまた、不明者三名、いまだ見つかっておりません。心からお悔やみと、一日も早く見つかることを願うものでございます。 また、被害処理や救援、また、捜査に当たられました消防団の方々、そして自衛隊の方々に対しても、本当に心からご苦労さんと申し上げたいと思います。 広瀬知事も早速、八日の日に竹田、湯布院を皮切りに県下の被災地を回られました。心から敬意をあらわすものでございます。広瀬知事のそうした心と姿勢が県民から八〇%以上の支持を受けているものと私は思っておるところでございます。 我が会派、新政みらいも早速、現地を見させていただきました。今度の場合、皆さんもお感じになったと思いますが、予想もしていない、考えられないところが大きな被害を受けている。このことに対して、私たちも自然の怖さを改めて痛感をいたしたところでございます。さらにまた、災害に対する考え方そのものをもう一回原点に立ち返って見直すべきではなかろうかというふうに感じているところであります。 私たち現場に行ったときにご案内いただき、詳しく説明いただきました振興局、土木事務所、それぞれの所長さん、局長さん、そして担当職員の皆さん方に改めて感謝とお礼を申し上げます。 さらにまた、先般行われました衆議院選挙、議員の皆さん、お互いにご苦労さまでございました。与党大多数の中で、大分県は三対三のイーブン、県民の常識ある判断に改めて感謝を申し上げる次第でございます。 それでは、通告に基づいて質問させていただきます。 私は、今議会で、まず高次脳機能障害に対する取り組みについて、大分県としての対応を問いたいと思います。 私が高次脳機能障害という言葉を聞いたのは、ことしに入ってからであります。その内容を知って、これは大変な問題だと感じ、私なりに勉強させていただきました。 高次脳機能障害は、交通事故や転落事故、スポーツ事故などによって脳に損傷を生じ、これに起因して、日常生活、社会生活への適応が困難になる障害であります。その症状は、物忘れがひどくなり、ミスが多くなる、計画を立てられない、我慢ができなくなる、突然、感情を爆発させる、とされております。こんな症状に苦しむ当事者や家族が、実にたくさん県内にいるのであります。 この障害は、救命救急医療の進歩によって、ようやく最近注目されるようになりました。しかも、その症状は、目に見えない障害とも言われ、医療関係者、福祉関係者、行政担当者でさえ理解している人が少なかったのであります。そのため、長い間、福祉の谷間に置かれ、多くの高次脳機能障害者が社会から孤立したまま、家族の大変な努力によって過ごしてきたのであります。 現在もその現実は全く変わっておりません。しかも、患者の中には小学生を初めとする若い世代の患者も数多くいるのであります。厚生労働省は全国で三十万人以上の患者がいると推測をし、今後もますますふえてくると予想しております。この数字からいたしますると、大分県には少なくとも千人ないし三千人前後の当事者がいると考えられております。 国では平成十三年度から全国十二カ所で高次脳機能障害支援モデル事業を実施しており、高次脳機能障害者に対する支援については、急性期、回復期、社会復帰に至る連続的な支援と、医療、福祉の連携による支援が必要との報告がされているところであります。 実際に他県では既に取り組みが始まっており、静岡県、東京都、長野県は、モデル県ではありませんが、平成十六年度から「医療相談や通所型リハビリテーションを開始」「高次脳機能障害の理解のために」「身近な障害を知ろう」というパンフを発行し、公共機関に備えつけ、普及に努めながら、高次脳機能障害者自立支援訓練事業を行っております。後で知事の方にお渡しいたしますが、こういうものです。 大分県ではこれまで患者会の要請に対して、「国の方針が決まっていない」「知見を集積する」などの回答にとどまっておりましたが、本年第一回定例県議会の平岩議員の質問に対して、「家族などの意向を聞きながら、実態把握や支援のあり方を検討していく」との部長答弁がありました。しかしながら、患者や家族が保健所など県の出先機関に相談に行っても、いまだに高次脳機能障害の患者や家族の抱える問題について十分に理解してもらえないのが実情であります。 家族の方々の話を聞きますと、「家族ともども大分で暮らしたいが、現状では先進県との格差が拡大するばかりで、先々を考えると他県への永住を検討している」という家族もいるのであります。 国の方針がどうであれ、困っている人、途方に暮れている県民がいるときに、法律や条例の限界があっても救う努力をすることこそ、ノーと言わない広瀬県政の心の対応であると私は思っております。どうして他の県でできることが大分県ではできないのか、私には理解ができないのであります。本県がとり得る早急な対策について知事のご見解をお伺いいたします。 ことしの七月には、脳外傷友の会、さらにまた家族の会から、高次脳機能障害連絡協議会設立総会の案内を兼ねて、健康対策課を通じて知事あてに要望書が提出され、総会には健康対策課長に出席いただきましたが、家族会の皆さんは、広瀬知事さんに自分たちの声が届いているのかと心配をいたしておるところであります。 高次脳機能障害対策は緊急を要する問題であり、本日は多くの家族会の皆さんが傍聴に来ております。皆さんがこれから先、安心して、希望を持って生活ができる答弁を重ねて知事にお願いをいたします。 次に、改正介護保険制度についてお伺いをいたします。 現在、私たちが予想していた以上に高齢化が急速に進展しております。国の推計によりますと、二〇二五年の高齢者世帯は二〇〇〇年時の約一・六倍の千八百四十二万世帯となり、全世帯の三七%を占めるとの推計がなされております。 また、本県の高齢化率は、昨年の十月現在、二三・七%で、二〇二〇年には三一・九%になると推計されております。全国より早いぺースで高齢化が進んでおります。 このような高齢化が進む中で本県の介護保険サービスの利用者も年々増加しており、ことし四月現在の利用者は、施設サービス利用者居宅サービス利用者を合わせて四万五千八百人で、介護保険制度がスタートした二〇〇〇年四月の利用者の約一・八倍近くに伸びております。 今回の介護保険制度の改正の主な内容は、利用者の負担増に加え、要介護度の軽い人に新しい予防給付を受けてもらう予防重視型システムへの転換や、地域密着型サービスの創設であります。 厚生労働省では、来年四月の施行に向け、運用の詳細を決める作業を行っているところですが、来月からは早速、介護保険施設の食費や居住費が利用者の負担となります。 これまで施設の入居者や職員はさまざまな地域活動に積極的に参加しており、地域にとって施設は欠かせないものになっております。 今回の改正により、年金のみの高齢者が多い農村地帯では、利用者にとって負担増となり、不安は大きいものがあります。また、施設にとっては収入が減り、今後、経営が困難になるのではないかと危惧をされているところであります。 そこで質問でありますが、今回の改正により制度そのものが複雑化し、利用者はもとより家族にもわかりにくく、社会福祉の専門職にも扱いにくいものになっていると思います。 来年四月の本格的実施に向けて、利用者や福祉施設関係者への改正内容の周知徹底をどのように行っていくのか、お伺いをいたします。 また、要介護者の住みなれた地域、地元で要介護者の生活を支えるため、今回、地域密着型サービスができました。これにより、市町村が地域の実情に応じてサービス事業者を指定したり、指定基準や報酬の変更を行うことができるようになっております。 今後、市町村は、介護保険事業計画に基づき、高齢者の介護や地域密着型サービスを進めていくことになるわけでありますが、その責任は大きくなってきております。市町村合併が進む中、市町村の財政力や政策の違いにより介護サービスの地域間格差が生じてくるのではないかと心配をいたしております。当局のお考えをお伺いいたします。 次に、消防団の組織強化についてお伺いをいたします。 消防団は、常備消防と同様に市町村の消防機関であり、その構成員である消防団員は、権限と責任を有する非常勤特別職の地方公務員であります。 一方では、ほかに本業を持ちながら、自分たちの町は自分たちで守るという精神に基づき、地域の安全と安心を守るために活動をいたしております。 県内には、四十五の消防団があり、一万六千五百四十九名の消防団員がおります。その活動は、消火活動だけでなく、地震や風水害など多数の動員を必要とする大規模災害時の救助救出活動、避難誘導、災害防止活動などの広範囲にわたり、さらに平常時においても、住民への防火指導、巡回広報など地域に密着した活動を展開いたしております。 昨年制定されました国民保護法においても、消防団は避難住民の誘導などの役割を担うことが規定されたところであります。 このように消防団は、地域における消防力、防災力の向上、地域コミュニティーの活性化に大きな役割を果たしておりますが、その一方で、近年の社会経済情勢の変化の影響を受けて、多くの消防団ではさまざまな課題に直面いたしております。最も深刻なのは、消防団員数の減少であります。本県でも消防団員は年々減少しており、十年前に比べて、千五百十七人、率にして八・四%も減少いたしておるところであります。 また、消防団員の高年齢化も進んでおり、四十歳以上の団員が四六・六%を占めるまでになっており、平均年齢は三十八・七歳であります。十年前に比べ、二・一歳高くなっております。加えて、消防団員のサラリーマン化も進んでおり、団員に占める割合は七一・九%にまで増加しております。 私の住む庄内町においても同様の傾向にありますが、過疎地域ほど状況は深刻になっているところであります。 このようなことから国においては、新時代に即した消防団のあり方についての検討を進め、平成十四年には地方公共団体職員に消防団への入団を促すとともに、平成十五年三月に示されました検討委員会の最終報告では、消防団員の確保に向けて、一つ、サラリーマン団員の活動環境の整備、二つ目、女性団員の確保、三つ目、若年層の入団促進と高齢者への対応などが指摘されているところであります。 特に私が心配いたしておりますのは、昼間の活動についてであります。団員が減少する中でサラリーマンの割合が高まると、昼間の活動に支障が生じるからでございます。サラリーマンの場合、地元に勤務している方は別にいたしまして、大分市や別府市などに通勤している団員が多く、昼間の災害時には間に合わないのであります。 現在、各自治区ともポンプ車はそれぞれ配置をされておりますが、昼間災害時には地元のポンプ車を稼働するのに十分な消防団員がいないのが現状であります。そのため、昼間においても活動できる体制づくりを急がなければならないと考えております。 そこで質問でありますが、昼間の消防団員の確保について県としてどのように対応しているのか、伺います。 次に、集落営農の推進についてお伺いをいたします。 国は三月に、今後十年間の農政の指針となる新たな食料・農業・農村基本計画を策定いたしました。これによれば、食糧自給率をカロリーベースで現在の四〇%から四五%にすることを当面の目標として掲げております。この目標の実現を図るための取り組みとして、意欲と能力のある担い手の明確化と施策の集中・重点化を挙げておりますが、この担い手の中心となるのは認定農業者と集落営農組織となっております。 全国的に水田集落においては担い手の減少や高齢化の影響により主業農家のいない集落が半分以上を占めており、これまでのように水田経営を継続し、多面的機能を維持していくためには集落営農の取り組みが不可欠となっております。 本県においては、販売農家のうち主業農家が占める割合は平成十六年度で一九・六%と九州最低になっており、また、稲作単一経営農家の割合は七二・九%と最も高く、稲作の水田農業経営が零細であるなどの課題を抱えていることから、農地の利用集積、農業機械の共同利用などによる集落営農を推進し、効率的な生産体制の確立が求められております。 九州農政局が六月に発表した本県の集落営農実態調査によれば、集落営農数は二百七十九で、前回、二〇〇〇年でありますが、調査時よりも二百ふえ、増加数は宮城県とともに全国一位となっております。 全国的に集落営農数が伸び悩む中、本県の集落営農の進展は著しいものがあります。その要因として、中山間地域等直接支払い制度や本県独自のむらづくりビジョン策定の取り組みが果たした役割は大きいと考えております。しかしながら、集落営農への参加農家数は二割弱にとまっております。 中山間地域等直接支払い制度は本年度から第二期に入り、従来の耕作放棄地の発生防止の活動だけでなく、集落営農の組織化や担い手への農地の集積など将来に向けた前向きな農業生産活動の取り組みが求められております。 このため、県では、農業の力強い担い手、経営体を育成するために本年三月に大分県集落営農推進本部を設置し、農業団体や市町村と協力して、平成二十二年までに二百の法人を含む六百の集落営農組織を育成する方針を決めております。 そこで質問でありますが、まず、集落営農におけるリーダーの育成についてお伺いをいたします。 集落営農の推進には、リーダーの育成が大変重要であると考えます。全国農林水産祭むらづくり部門で天皇杯を受賞されました宇佐市安心院町の松本集落を見てもわかるように、集落営農の成功している地区には必ず立派なリーダーがおります。 これまで千集落でむらづくりビジョンが策定されていると聞いておりますが、ビジョン策定を契機として活動が活発化した集落がある反面、ビジョン策定だけでとまっており、計画倒れの集落もあると聞いております。 ついては、県としてリーダー育成にどのように取り組んでいるのか、お伺いをいたします。 次に、農業委員の活動強化についてお伺いいたします。 農地の利用集積や法人化の促進には、集落にいる農業委員の果たす役割も大きいと思われます。しかしながら、農業委員の高齢化が進んでおり、また、市町村合併により来年には農業委員の数は約五百人と従来の半分程度になることから、集落の相談役として十分な活動ができないのではないかと危惧をいたしております。そのため、農業委員の活動の活性化に向けた取り組みが必要と考えておりますが、県としてのご所見を伺います。 最後に、新市発足後の課題についてお伺いをいたします。 本県では、来年三月に姫島村を除く東国東郡四町が新国東市として発足しますと、県内の自治体の数は十八市町村となります。この結果、本県は市町村減少率が全国第四位の六九%となるなど、全国的に見ても市町村合併の先進県となっております。このことは、県が積極的に推進した結果だと考えております。しかしながら、一方では、新市においてさまざまな課題が発生していることも否定できません。 例えば、七月十日の県西部における大雨による被害では、日田市において大雨洪水警報発令の伝達が旧上津江村でおくれるなどの事態が生じました。新市における災害時の連絡体制が万全であったのかどうか、新市の課題の一つが明らかになったと思います。 また、旧町村における道路維持費が大幅に削減され、市道、旧町村道でありますが、それの改修もままならないと聞いております。 今年度から県は旧町村部対策事業として予算総額三百六十億を措置しておりますが、新市においては、結婚祝い金や高齢者向けの配食サービスなど地域生活にかかわるきめ細かなサービスに対する予算が明らかに削られているのが実態であります。 合併を推進した立場の大分県として、合併によりこれまでにない新たな課題を抱えて苦闘している新市に対し、最大限かつきめ細かな支援をする基本的な姿勢が必要であると考えます。 そこで、県として、今後、平成十八年度の県政運営の基本方針が策定されると思いますが、策定に当たり、新市における課題にどのように対処し、反映させていくのか、お伺いいたします。 最後の最後、次に、合併新市の財政運営について伺います。 私の地元でも来月十月一日に由布市が誕生いたします。しかし、現在の財政状況を考えると、新市の船出は大変厳しいものになると考えざるを得ません。例えば、平成十五年度の三町の決算状況を見ますると、三町合わせて貯金がおよそ二十五億に対して、借金は百七十六億円と、およそ七倍となっております。 ○阿部順治副議長 江藤議員、簡潔にお願いします。 ◆江藤清志議員 (続)済みません。もう最後です。 また、財政の健全性を示す経常収支比率は、健全性の目安とされます七五%を大きく上回り、九五%前後となっております。月々の給料のほとんどが生活費に消えるような状況であります。 しかしながら、このような状況は由布市だけではないと考えております。竹田市、宇佐市などの新市が、合併後、県と同様に行財政改革本部などを設置し、財政の健全化に向け取り組んでおります。このことからわかるように、合併したからといって、決して財政状況が好転するわけでなく、合併を契機に改革に取り組まなければ財政再建団体に転落することを示しております。 そこで、県においては新市に対して助役を派遣しておりますが、今後誕生する新市に対し、財政運営に対する支援や指導をどのように行っていくのか、お伺いをいたします。 また、合併後、国から交付される合併市町村補助金が、由布市など二〇〇五年度に合併する団体に対して財務省は適用しない方針だと報道されております。 経過措置として認められると、由布市では三年間で三億九千万円が交付されるようになっておりますが、交付されないようだと新市の財政運営に大きな影響を及ぼします。県として適用されるよう強く国に対して要望していただきたいと考えますが、現在の状況と今後の見込みについてお伺いをいたします。 若干時間が過ぎて申しわけございません。今後気をつけます。ありがとうございました。(拍手) ○阿部順治副議長 ただいまの江藤清志君の質問に対する答弁を求めます。 広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 冒頭、台風十四号に当たりましては、江藤議員初め議員各位、そしてまた、各会派の皆さん方に早速のお見舞いをいただき、また、対策についてのご指導もいただいております。このことにつきまして厚く御礼を申し上げます。 江藤清志議員のご質問にお答えを申し上げます。 まず、高次脳機能障害についてのご質問でございました。 議員ご指摘のように、高次脳機能障害は、交通事故などによりまして脳を損傷し、その後遺症として記憶障害や注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などで日常生活や社会生活に支障を生じるものでございます。 近年の救急医療の進歩により救命率が向上した一方、数年前からこういった障害の発生と問題点が社会的に認識されるようになりましたが、診断やリハビリテーション、生活支援等の手法がいまだ確立されるに至っていないのが実情であります。 そこで、国におきましては、このような障害者への支援施策を調査研究するために、平成十三年度から十五年度まで診断基準やリハビリテーション社会復帰支援プログラム等に関する研究モデル事業が実施され、検討が進められたところであります。この結果、本年七月に、モデル事業を行った地方拠点病院等で構成される地方支援拠点機関等連絡協議会におきまして、高次脳機能障害診断基準ガイドライン案標準的訓練プログラム案などが示されたところであります。 県ではこれまで、このような新たな障害者を支援するため、高次脳機能障害に関する研修に保健師などの専門職員を参加させるとともに、医療やリハビリテーションに直接携わる医療関係者などの研修参加を促進して、地域における相談や医療の体制整備に努めてきたところであります。 また、関係団体等の行う集会や研修会に関係職員を参加させて、全国的な調査、検討状況等をお知らせするとともに、ご家族など関係者のご意見を伺ってまいりました。 私は、八月の総会につきましては直接お聞きしておりませんけれども、皆さん方のご要望をお伺いした中で、まず、県内の高次脳機能障害に苦しむ方々の実態を早急に調査することや、調査とあわせて、精神保健福祉センターや県民保健福祉センター、保健所などで専門的な相談が受けられる体制を強化していくことが重要であると考えております。また、こうした障害があることにつきまして県民の方々に知っていただいて、障害者のことを理解していただくことも重要であると考えております。 以上のような点につきましては担当部局にも指示したところでございまして、新たな障害の問題として県としても対応を強化していかなきゃならないというふうに考えているところであります。 次に、県政運営の基本方針の中で合併新市の課題についてどう考えているのかというご質問でございました。 私は、合併後の新市の支援を最重要課題の一つとして位置づけておりまして、新市の円滑な立ち上げ、新市建設計画の具体化、そして旧町村部対策という三つの課題への対処方針を県政運営の基本方針に盛り込んで、全庁挙げて取り組んでいるところであります。 まず、最初の課題である新市の円滑な立ち上げについてでございます。 新たに生活保護業務を初めとする福祉業務を担う新市に対しましては、地域の要請に基づきまして職員の派遣等を行い、住民サービスが円滑に提供できる体制づくりを応援することとしております。 一方、財政面の支援として、現在、合併推進交付金による電子計算機システムの統合の支援などを行っているところでありますけれども、合併後の臨時的な財政需要に適切に対処するために、引き続き交付金により支援をしてまいりたいと考えております。 議員ご指摘のとおり、行政の基本とも言うべき住民の安心や安全の確保という観点から、合併直後でありましても災害防災体制に不備があってはなりません。したがって、さきの十四号台風の際には、新市の防災体制の徹底につきまして、特に県の方から注意をお願いしたところでございます。 多くの議員からご質問をいただきましたけれども、住民に対する避難勧告や避難誘導などの実態、あるいは新市の災害対策本部の本庁と支所等の連絡体制、あるいはまた、警察や消防との連携状況など合併に伴うご心配の点につきまして私どもも早急に調査を行いまして、必要があれば県として適切な対応をとってまいりたいというふうに思っております。 次に、二つ目の課題であります新市建設計画の具体化につきまして、新市の一体性の確立や均衡ある発展は、新市建設計画に基づき、各種事業を実施する中で達成されていくものであります。 このため、県といたしましては、県の合併支援プランに基づきまして道路整備等の社会基盤整備事業を重点的に実施するとともに、新市の行う新しいまちづくり事業に関する合併特例債の活用などを通じまして、その具体化を支援してまいりたいと考えているところであります。 最後に、旧町村部対策についてでありますが、旧町村部対策は、新市の周辺部となる住民の皆さんの不安や懸念に適切にこたえていく必要があること、また、旧町村地域の活性化なくして新市の振興、発展はないという考えのもとに取り組んでいるところであります。 このため、本年度、中心部と旧町村部を結ぶ道路整備や農林水産業等の産業振興などに優先採択、重点投資が可能な四十六事業、総額三百六十億円を予算化したところであります。 本年度じゅうには由布市、杵築市、そして国東市と市町村合併が進み、旧町村地域が増加することとなっております。 また、旧町村部対策事業を展開する中で、現場に出向き、皆さんの声をお聞きしながら得たさまざまなアイデアを来年度からの新しい施策に反映させていくことも重要であります。 したがって、来年度予算におきましては、旧町村部対策事業をより充実したものにしていきたいと考えております。 さらに、来年度は地方振興局の広域再編を行いますけれども、その目的は、統合することによって振興局の職員の専門性を高め、機能を強化することであります。この再編を通じまして旧町村部対策や普及指導の強化が図られて、ひいては新市の振興にも寄与するものと考えております。 旧町村部の皆さんを初め新市の皆さんが「合併してよかった」と思っていただけるように、来年度も引き続き全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えているところであります。 私からは以上でございます。その他のご質問につきましては、担当部長からお答えをさせていただきます。 ○阿部順治副議長 阿部福祉保健部長。  〔阿部福祉保健部長登壇〕 ◎阿部実福祉保健部長 改正介護保険制度に関する二つのご質問にお答え申し上げます。 まず、改正介護保険制度の周知についてでございます。 介護保険制度につきましては、法施行後五年を目途として全般にわたって検討を加え、必要な措置を講ずるとの法の規定を受け、制度の持続可能性の確保、明るく活力ある超高齢社会の構築などを基本的な視点として、大幅な見直しが行われました。 まず、十月から介護保険施設等における居住費と食費を利用者負担とする施設給付の見直しが実施されますが、県といたしましては、七月、八月にそれぞれ市町村担当課長会議等を開催いたしまして、制度改正の内容を説明申し上げるとともに、市町村広報誌への掲載などによる住民への周知徹底を図るように要請してまいったところでございます。 また、県の広報誌や新聞、テレビ等の広報媒体を活用いたしまして、改正内容の周知にも努めてまいったところでございます。 特に、八月十七日からの三日間、介護保険施設の担当者や居宅介護支援事業所のケアマネジャー等約七百人を対象に説明会を開催し、利用者との適正な契約が行われるよう、居住費や食費の設定手続に関するガイドラインや低所得者に対する負担軽減措置等について詳細に説明いたしまして、周知を図ったところであります。 また、来年四月から施行されます新予防給付等の具体的な内容や運用につきましても、国から詳細が示され次第、随時、説明会や各種広報媒体を活用した周知を行い、制度の改正の円滑な実施に努めてまいりたいと考えております。 次に、介護サービスの地域間格差についてでございます。 地域密着型サービスにつきましては、高齢者の住みなれた地域での生活の継続を支援するため、市町村が地域の実情に応じて柔軟なサービス提供ができるよう、小規模多機能型居宅介護や夜間対応型訪問介護、認知症高齢者グループホーム等が新たなサービス類型として整理、創設されたものであります。 また、同サービスにつきましては、市町村が介護保険事業計画の中で必要整備量を設定し、事業者の指定や指導監督を行うことができるようになるなど、これまで以上に市町村が主体的に介護保険事業の運営ができる環境が整備されました。 県では、市町村担当課長会議等を通じて地域密着型サービスについての理解を促すとともに、サービス拠点の施設整備に当たっては、今年度創設されました国の地域介護・福祉空間整備等交付金を積極的に活用するよう助言しているところでございます。 一方、市町村合併の進展によりまして、保険者の広域化が進み、介護保険財政の安定化が図られるとともに、従来よりも地域バランスがとれたサービスの提供が推進されるものと考えております。 県といたしましては、県民の皆様が安心して地域で生活できるよう、現在、市町村が取り組んでおります第三期の介護保険事業計画策定に当たって、その相談や助言に全力で取り組み、市町村の特性に応じた計画策定がなされるよう積極的に支援してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○阿部順治副議長 堤生活環境部長。  〔堤生活環境部長登壇〕 ◎堤俊一郎生活環境部長 消防団員の確保についてお答え申し上げます。 市町村の消防団員は、その区域内に居住する者、または区域外に居住する者であっても区域内に勤務する者をもって構成されるということになっております。事業所に対して、加入促進のパンフレットの配布や勤務者が円滑な消防活動ができるように働きかけを行い、消防団に対する理解を求めてまいったところであります。 また、地域コミュニティーとのつながりが深い女性の存在も大きいことから、消防団詰所や被服の整備、あるいは火災予防広報などに女性消防団員が活躍できるものですから、この環境を整えることにより女性の入団促進にも努めておるところであります。 また、公務員や郵便局職員などへの入団促進の働きかけも行っているところであります。 今後は、昼間の勤務時間帯だけ消防団員として活動し、消防車の運転など特定の活動に参加する機能別団員制度の導入促進を図るなど、昼間に活動できる消防団員の確保につきまして、市町村と連携を図りながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。 ○阿部順治副議長 渡辺農林水産部長。  〔渡辺農林水産部長登壇〕 ◎渡辺節男農林水産部長 集落営農の推進について二点お答えいたします。 まず、集落営農のリーダーの育成についてであります。 農林水産省の本年六月の集落営農の調査結果によりますと、組織化、法人化に当たっての問題点として、「集落リーダーが不在で組織化の体制が整っていない」が五七・六%、必要な支援策として、「リーダーの育成」が六六%とそれぞれ最も高く、集落営農の組織化を図る上で集落リーダーの確保、育成は喫緊の課題となっております。 また、国におきまして平成十九年から導入される新たな経営安定対策では、農業の担い手が認定農業者と将来法人化を目指すなど一定の要件を満たす集落営農組織に明確化されることとなっており、集落営農の法人化に向けた取り組みの重要性が増しています。 このため、集落営農法人の設立に向けた集落営農法人リーダー養成講座を前後期延べ八回開講することとしており、前期では延べ三百四十名と当初の見込みを大幅に上回る参加があり、リーダー養成などのニーズに対する確かな手ごたえを実感しているところです。 また、地域段階では集落営農の取り組みに温度差も見受けられることから、県下十二地域に集落営農推進支部を設け、研修会や集落座談会により、集落営農の必要性とあわせ、リーダーの確保、育成に向けた機運の醸成に努めています。 今後ともこれらの取り組みを着実に実践するとともに、集落営農のネットワークの構築による情報交換などを促し、集落営農リーダーなどの人材養成に努めてまいりたいと考えております。 次に、農業委員の活動強化についてお答えいたします。 農業委員会は、優良農地と担い手の確保対策など、地域農業にとって重要な使命を担っていただいております。 その構成員である農業委員は、市町村合併により委員数が減少し、一人当たりの活動範囲も拡大していることから、より一層の組織運営の効率化や活動の重点化が求められております。 このような現状を踏まえ、各農業委員会は、遊休農地の実態把握とその二〇%の解消、委員一人一年一ヘクタールの利用調整、認定農業者の掘り起こしとその支援などの目標を掲げ、農地の有効利用の促進や担い手の確保対策などを重点に、より実践的な活動を行っているところです。 特に喫緊の課題であります集落営農の推進については、各農業委員が担当集落を決めて、その実現を目指すこととしており、地域の実情に精通した農業委員の活動に大いに期待しているところであります。 県ではこれまでも、県農業会議等との連携のもとに、農業委員、事務局職員に対してブロック別や専門研修などの各種研修を実施するなど、農業委員などの意識改革と資質の向上を図ってきたところであり、今後とも引き続き農業委員活動の活性化に対する取り組みを強化してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○阿部順治副議長 福浦総務部長。  〔福浦総務部長登壇〕 ◎福浦裕介総務部長 合併に関連して二点お答えいたします。 合併新市の財政運営についてでありますが、市町村合併により新しく誕生する新市におきましては、合併直後、一般的に、類似の団体に比べて職員数は多く、また、行政の一体化や新しいまちづくりのための財政需要も増加するため、行政経費は割高となります。 これに対応するため、地方交付税の合併算定がえや合併特例債などの国の支援措置、さらには県の合併支援プランに基づく支援措置等がございます。 県としましては、新市の財政運営に当たりまして、こうした国や県の支援措置を十分活用するとともに、国の新地方行革指針に基づき、総人件費の抑制など思い切った行財政改革を通じ、行財政運営の一層の効率化が図られるよう適切な助言を行ってまいります。 また、来月合併して新市として誕生する由布市にありましては、例えば、他地域に比べ市税等の自主財源の割合が高いと考えられることから、徴収率の向上をどのように図るのかなどの個々具体の課題につきましても、県としてきめ細かな助言を行ってまいりたいと考えております。 最後に、合併市町村補助金についてでございますが、旧合併特例法の適用を受け、本年四月一日以降に合併する、いわゆる経過措置団体に関する合併市町村補助金の取り扱いにつきましては、県内では、四月一日合併の竹田市を初め、十月一日合併予定の由布市、杵築市、さらには来年三月三十一日に誕生いたします国東市の四つの市に共通する課題となっております。 このため、県といたしまして、昨年度から九州地方知事会や県政重点要望の機会等を通じまして、国に対して強く要望を行っているところでございます。 現状では、総務省と財務省が国の補正予算の編成に向けて協議を行っているというふうに伺っておりますが、いずれにしましても由布市を初め県内の経過措置団体すべてが対象となりますように、今後とも国に対して強く要望してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○阿部順治副議長 再質問はありませんか。--江藤清志君。 ◆江藤清志議員 時間が一般質問の段階で超過いたしましたんで、要望のみにさせていただきたいと思います。 そこでまず、総務部長、ぜひ合併の市町村に対する補助金、ひとつ全力を挙げてください。これだけはお願いします。 それから、福祉保健部長、実は高次脳機能障害の障害者連絡協議会が八月七日、コンパルホールでありました。その中で、医師が二十名、総計二百二十名が参加をされまして、次の日か、新聞、また、テレビ等で放映されました。特にNHKのニュースで、これだけのメンバーがそろっている協議会は全国では初めてである、こう紹介をされております。そういった中で、やはりこれまでは県民の皆さんがボランティアでずっとやってきた、このこともひとつぜひ頭に置いていただいて、そして先ほど知事から心ある答弁をいただきました。これから先、県内の実態調査をしていく、そして、それぞれ出先機関にも専門職を置いて相談を受けるような体制づくりをする、ぜひこれは力を入れてやっていただきたいと思います。 それから最後に、農林水産部長にお願いしておきたいんですが、集落営農は、私が危惧するのは、今ずうっとビジョン策定の中でそんとおりやっている地域はいいんです。しかしながら、私がこう見ると、大半が機械器具、農機具の補助金だけをもらうことに全力を挙げておって、実際にほんならビジョンに基づいてそれぞれの営農法人がそのとおりやっているんかどうか。やっていないところが多いんじゃねえか、補助金目当ての営農集落部分が多いんじゃねえかという感がしてなりませんので、そこをやはり指導方、チェックしていただきたい。 それから、もう一つ、地域振興局は半分になりました。それで、先ほどまた答弁されましたように、問題はやっぱり指導者なんです。今度、新市の中でそれぞれ地域振興局があります。ですから、昔のように県のやはり専門職は、知事も言われましたように、米なら米、果樹なら果樹、花卉なら花卉、そしてその専門員が市町村に入って、市町村の担当の職員と一緒にやはり農家に入っていって、昔のように泊まり込みで酒飲みながらでも真剣に生産者と腹突き合わせて、そしてこれから先どうすんのか、どれでもうかるんかという、ここまで入っていった指導強化をお願い申し上げておきたいと思います。 以上であります。ありがとうございました。
    ○阿部順治副議長 以上で江藤清志君の質問に対する答弁は終わりました。 近藤和義君。  〔近藤議員登壇〕(拍手) ◆近藤和義議員 十八番、自由民主党の近藤和義です。 今定例会に質問の機会を与えていただきました先輩、同僚議員の皆さんに心からお礼を申し上げます。 また、本日は、本県の農業教育を初め、香りの森に関心を持たれています多くの皆さん方が傍聴に駆けつけていただきました。お忙しい中、おいでいただきましたことに、厚く感謝、御礼を申し上げる次第であります。 質問に先立ち、今回の十四号台風で被災をされました方々や被災地域の皆様方に心からお見舞いを申し上げますとともに、行方不明者の捜索活動を初め、復興に向けて献身的なご尽力をされています多くの皆様方に衷心より深甚の敬意を表するものであります。 また、知事初め執行部の皆さんには、いち早く被災現場に出向かれるなど素早い対応をなされていますことに、被災地域の議員として心から感謝申し上げる次第であります。 台風災害は今に始まったことではありませんが、世界的な異常気象や記録を超える降雨量が地球温暖化のもたらすものであるとすれば、中山間で傾斜地の多い本県の今後の防災にとって極めて憂慮すべき事柄であります。 新たな防災対策はもちろんのこと、自然災害に対する県民の常なる防災意識の向上、避難システムの確立等は一刻も早く取り組まなければならない問題であり、まさに避けて通れない、県政にとどまらない重要な政治課題であります。 何かと厳しい状況下ではありますが、知事初め執行部の皆さんの、県民の安心、安全に向けての今後のさらなる対応を衷心よりお願いを申し上げ、早速、質問に移らせていただきます。 まず最初に、私の地元であります由布市に対する県の支援についてお伺いします。 ご案内のとおり、来月一日には、湯布院町、庄内町、挾間町が合併して由布市が誕生します。ここに、合併に際して賜りました広瀬知事初め県関係者の皆様方のご支援、ご尽力に対し、この場をおかりして深く感謝申し上げる次第であります。 今後は、由布市住民が総力を挙げて新しい由布地域の創造に全力で取り組んでまいりますので、合併後の由布市住民が抱いている不安や懸念を払拭できるよう、県の積極的なご支援をお願いいたします。 県では、このような合併後の旧町村部の活力を創造するため、今年度から合併地域活力創造特別対策事業を創設し、地方振興局を中心に積極的に取り組んでおり、既に幾つかの事業も認定されているようであります。私どもの大分郡地域においても、湯平地域を初め、幾つかの地域で検討がなされていると伺っており、その成果に大いに期待しているところであります。私も、この事業を活用して、川上地域の活力づくりのため、住民と事業を模索したいと思っているところであります。 ところで、県の旧町村部対策は、合併後における中心地となる旧町は除いているようであります。大分市や中津市のように周辺の町村を巻き込んで合併した中心地は、もともと都市部として栄えてきました。このような中心地を除くというのは一定の理解もできるわけでありますが、由布市においては、市庁舎が置かれる庄内町が大分市や中津市と同じ扱いになってしまいます。 ご承知のとおり、湯布院町は観光と農業、庄内町は農業、挾間町は商業と農業が地域の主力産業であり、今度誕生する由布市は、これらの地域産業をうまく融和し、連携を密にして力強い新たな地域産業とすることが求められています。 三町の中でも庄内町住民は、過疎町村として農林業を中心に地域発展に必死に取り組んできました。今回の合併により地域住民は、湯布院、挾間地域と一体となった振興を信じています。このような状況の中で、庄内地域は中心部であるため、県の支援は他の二町と差をつけるという考え方にはいささか疑念を感じざるを得ず、何らかの救済措置もご検討いただきたいと考えています。 さて、知事は、これからの大分県の発展は、地域が持っている資源に磨きをかけ、それを地域の活力として生かしていくことが大事であると常々言われております。 由布市の地域資源は、農業と豊かな自然を生かした観光です。合併後の新市は地域ごとにさまざまな要因を抱えており、特に由布市においては、産業、経済基盤も脆弱なことから、県の強力な支援が必要であります。私は自民党県連の活動を通じて県下を回っていますが、このような懸念は由布市だけでなく、同様な声が他の地域からも聞こえてまいります。 そこでお尋ねします。 旧町村部対策への取り組みは今年度から五カ年間程度継続されるようでありますが、これまで述べてきましたように、町村だけで新市となる中心部の支援に対する考え方について伺うとともに、市を含まない三町だけの船出となる由布市の現状を踏まえて、今後、由布市に対してどのように支援されていくのか、知事のお考えを伺います。 次に、単独の農業高校の存続等について伺います。 今、我が国の農業者の数は三百六十万人、漁業者が二十四万人、国民の人口一億二千六百万人からすればわずか三%にも満たない人々が国民食糧の四割を支えていますが、その農業従事者の年齢構成は六十歳以上が三分の二であり、その半数は六十五歳以上の高齢者であります。年齢別からすれば一番数の多いのは昭和四年生まれの七十六歳であり、日本農業の主役はまさに高齢者が担っているのであります。 本県の農業においても稲作農家の八割近くは六十五歳以上であり、農業産出額や新規就農者数は九州で最下位であり、このままの推移であれば、十年後、十五年後の県農業の姿がどのようなことになるのか、今こそここでしっかりと踏みとどまらなければならないとの思いは私一人ではないはずであります。農業、農村問題における県政の明確なるビジョンは待ったなしでありましょう。 「農業の振興なくして県勢の浮揚はない」という言葉を幾度となく聞いておりますが、最近はこのような言葉さえ聞かれなくなっております。急速に進む高齢化や担い手不足などから耕作放棄地など農用地や農業用施設の荒廃が一段と目につくようになっていますが、農業の衰退は、誇るべき豊かな農村環境の喪失であり、地域経済の枯渇につながるものであります。 知事が目指す「県民とともに築く安心・活力・発展の大分県」、新長期総合計画の中で本県の農業、農村、ひいては農林漁業者の果たさなければならない役割は極めて重要なものがあると思っております。 しかしながら、渡すべきバトンはだれなのか、受け取るべき担い手の育ち方が隣県の宮崎や熊本と大きく異なっていると私は思っていますが、これは一体何が原因でありましょうか。 両県の農業高校の中には定員の二倍近い志望者が押し寄せる高校もあると伺っておりますが、卒業後は農業で自立をできるという背景と展望があるからにほかならないことと思っております。 農業高校の志願者が減少するのも、農業後継者が減少するのも、時代の流れとして受けとめ、仕方ないとあきらめてよいものでありましょうか。先進諸国の中で食糧の国外依存率六〇%という並外れた高い数値と極端に低い自給率を是認してきた日本の国政にも責任があり、県政だけの力では限りはあるとしても、農業に活力が見えない県は地方の時代を先んずることはできないと思います。 県農業の推進に当たって今一番求められるのは、農業に興味を持つことのできる若者をどう育てるかということだと思いますが、県の施策としての大きな方針が打ち出されない限り、現状では優秀な担い手を育てることは難しいのではないかと考えます。 そこで、農林水産部長にお尋ねいたします。 農業の担い手育成に当たり、どのように教育委員会と連携を図り、対処されるお考えなのか、お示しをください。 次に、今年の三月に発表された高校改革推進計画によると、十八年度実施の第五通学区、二十年度実施の国東、宇佐地区では、いずれもが農業高校を中心に統合された総合選択制高校となっています。玖珠農業高校と山香農業高校も既に二学級の小規模校で、単独校として存続する可能性は絶望視されております。生徒数の減少に伴う高校の再編はやらざるを得ないことではありますが、地域の農業を担う人材を農業高校を通じてしっかりと育てるという理念を持っての再編でなければならないことは必定であります。 過去に本県では、和牛十万頭プロジェクトを推進する一方で、その担い手たる農業高校の畜産学科を全部廃止していますが、本県の畜産が思うように伸びないのも、このことが全く無関係と言い切れるでありましょうか。 農業高校に限らず、ものづくりあっての我が国であります。職業系高校の存続、充実は、県内企業の求めるところでもあるはずであります。 今回の高校再編計画は、農業高校本来のあり方からすれば、その存在感が大きく薄れてしまうという気がしてなりません。 そこで質問ですが、総合選択制高校で果たして十分な農業教育ができると考えておられるのか、教育長の所見を伺います。 次に、本県農業の将来を担う農業後継者は、即、地域の未来を支える人材でもあります。このような人材を一人でも多く育てることが農業高校には求められていると思っていますが、今日の現状では甚だ心もとないものがあると思わざるを得ません。生徒数に見合う高校再編も大切なことではありますが、普通科と違って、今日の農業高校に真に求められているものは、形ではなく、もっと違ったものがあるはずではないでしょうか。生徒数が減少するから統合、縮小では、悪循環が加速するばかりであります。 大分県政の中で本県の今後の農業をどのような位置づけにするのか、県としての大きな課題を明示することなくして、農業高校の体質改善、教育振興、ひいては県農業の展望は見えないと思っております。 急がば回れであります。厳しい財政状況ではありますが、人を育てる教育への投資や手間暇を惜しんではならないと思います。 そこでお尋ねします。 たとえ数校といえども、農業教育の推進を図る単独の農業高校の存続は欠かせないものであると思っております。教育長の明快な答弁を期待するものであります。 次に、不法投棄物対策についてお伺いします。 新聞やテレビ報道で、学校や地域、老人クラブなどで清掃活動を行う記事をよく目にします。きれいな町には美しい心がはぐくまれる、まさに徳育の原点であると考えます。 また、県建設業協会の青年部が不法投棄監視パトロールを始めたと新聞で報じられていました。広瀬知事が提唱するごみゼロおおいた作戦の民間主導の好事例として、まことに感じ入ったところであります。 しかしながら、不法投棄は私たちの身の回りからなかなかなくなりません。県民の自覚と不届き者を断固として許さない姿勢、世論の喚起が必要と考えます。 現在、美しく快適な大分県づくり条例では、環境美化の推進、環境への配慮を定め、ごみの投棄や自動車の放置などを禁止し、罰則も定めています。 聞くところによると、廃棄物は一般廃棄物と産業廃棄物に区分され、前者は市町村が管理し、後者は排出者の責任において処分するとのことであります。しかしながら、山や川に捨てられている不法投棄物は、一般廃棄物か産業廃棄物か区別がつきにくいのが現状です。 私の地元湯布院町は観光の町であります。また、県内にも数々の観光地があり、そういった場所にごみや不法投棄物が散乱することは大分県のイメージに大きなマイナスとなります。 そこで、不法投棄物の現状と対策について、美しく快適な大分県づくり条例の施行状況も含めて、具体的にお示しください。 また、今年度から導入された産業廃棄物税の使途の一つとして不法投棄物の撤去が挙げられていますが、具体的にどのように対応するのでしょうか。 原則、不法投棄物の撤去は原因者に費用負担させるべきであろうと考えますが、どのような場合に県が撤去するのか、お伺いをします。 次に、香りの森博物館についてお伺いします。 去る八月十九日に、博物館の利活用について検討していた大分香りの森博物館利活用審査会は、審査結果を知事に報告しました。内容は、売却先の第一候補を学校法人平松学園とするものであります。 審査会は、県の公募に応じて施設利用を希望した企業、団体からの提案三件について、適性や経営安定性、地元への波及効果などを検討し、順位をつけました。 平松学園が示した買い取り価格は二億円で、同学園が運営する幼稚園、高校、短期大学、専門学校の教育研修施設に転用する計画であります。 二番目は社会福祉法人で、三番目は化粧品製造販売会社でありました。 この報告に基づき、知事は、今月十二日に香りの森博物館を学校法人平松学園に売却することを記者会見で発表いたしました。 顧みますと、同博物館は、香りに関する情報を全国に発信する拠点として、平成八年に開館しました。ヨーロッパの古城を思わせる建物、庭園を備え、第三の文化と言われる香りに関する歴史と文化を紹介する施設として、開館当初は十六万人の入場者を数えました。特に、平成十二年の全国植樹祭では、同館を中心とする県民の森が会場となり、天皇、皇后両陛下のご臨席のもと、大分らしい演出で一大行事を無事終えたところです。 同館の場所の選定に当たっては、当初は集客が見込める別府市や湯布院町なども候補となっておりましたが、観光施設の一極集中は困る、地域的なバランスをとってほしいなどの要望が相次ぎ、観光施設のない豊肥地区に近い旧野津原町の県民の森に決まった経緯がありました。しかしながら、大分市内から車で一時間かかるという交通利便性の悪さなどから年々入場者は減少し、毎年一億円を超える財政負担から、行財政改革プラン策定における議論の結果、開館から九年目の昨年九月、休館に至りました。 私は、香りという第三の文化に焦点を当てたコンセプトは間違っていなかったと思います。ただし、立地場所についてはもう少し検討の余地があったのではないか、さらに、開館後の近隣市町村との連携や集客の工夫がもう少しなされていればと悔やまれてなりません。 また、財団法人大分香りの森博物館の理事として、これまで行財政改革の論議の中で、博物館の休館や廃止の決定、さらには財団の解散という一連の意思決定に参画してきました。特に、財団理事会の場では、施設の利活用について、多額の県費を投入しており、最後の結末は、県民が納得のいくような説明責任があるため、理事会が最後まで責任を持って対応すべきであることも申し述べてきました。それだけに、今回発表された県の方針が果たしてベストなのかという思いを持っております。 そこで質問いたします。 公募から売却に至るまでの経過と売却に対する考え方、さらに香りの文化の継承、存続という観点から、収蔵品の今後の活用についてどのように考えておられるのか、知事にお伺いをします。 最後の質問になりますが、先般、平成十六年度の普通会計決算見込みが発表されました。 前年度と比較すると、歳入決算額は七・五%減の六千一億円、歳出決算額は七・七%減の五千八百三十二億円となり、歳入は五年連続、歳出は四年連続で前年度を下回り、歳入、歳出とも過去最大の下げ幅となりました。 また、実質収支の黒字幅が拡大したことにより単年度収支が八年ぶりに黒字になっていますが、繰り上げ償還が大幅に減額されたことから、実質単年度収支は五千万円となり、わずかな黒字を確保したにすぎず、収支の状況は一層厳しくなったものと考えられます。 主な財政指標を見てみますと、経常収支比率は、前年度と比べ一・二ポイント低下し、九一・六%となり、五年ぶりに改善しております。 財政負担に占める公債費の度合いを判断する三つの指標については、前年度からは公債費負担比率が二・六ポイント、起債制限比率が〇・五ポイント、公債費比率が三・九ポイントそれぞれ低下するなど、すべての指標が改善するという結果になっています。 県債残高は、前年度からは八十二億円増加し、九千八百九十九億円となり、県民一人当たりに換算して、前年度から八千円増の八十万八千円となっております。 一方、平成十六年度の財政調整用基金の残高は四百二十七億円となっており、前年度から十三億円の増加、プラン試算額と比べますと百八十四億円の上積みとなるなど、行財政改革の効果があらわれてきたと言えます。 以上のことから平成十六年度の決算を私なりに総括してみますと、行財政改革プラン実行初年度の取り組みの成果が若干数字に反映されているものの、健全な財政構造にはまだ至っていないと言わざるを得ず、今後一層の行財政改革に取り組まなければならないと考えます。 そこでお尋ねします。 まず、過去最大の下げ幅となった平成十六年度決算額が本県の決算規模として適正な水準であるのか、また、経常収支比率を初め、各財政指標の全国での順位がどうであるかを含め、今回の決算をどう評価されているのか、お伺いします。 次に、私は、今回の決算の結果をいかに今後の財政運営に生かしていくのかが重要であると考えます。 そこで、今回の決算の結果を平成十八年度予算編成にどのように反映をさせていくのかもあわせてお伺いをします。 以上で私の質問を終わらせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。(拍手) ○阿部順治副議長 ただいまの近藤和義君の質問に対する答弁を求めます。 広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 冒頭、近藤和義議員には、台風十四号に関連いたしまして、災害対策についていろいろご指摘をいただきました。危機管理は県民の安心、安全のためにまことに重要なテーマでございますので、心して対応してまいりたいというふうに思っております。 広範なご質問をいただきましたけれども、私から二点お答えを申し上げたいと思います。 一つは、由布市に対する支援についてでございます。 合併をせずに今のままでいければ、それが一番よいと多くの皆さんが思う中で、地域の将来を考え、苦渋の決断をいただきました市町村長さんや議会議員、そしてその決断に理解を示されました地域住民の皆さんの思いをしっかりと受けとめ、こたえていくことが、これまで市町村合併を支援してきた県といたしましても大事なことではないか、むしろ県の責務であると考えているところであります。 県としましては、新市の一体的な振興、発展を図る新市建設計画の実現などに向けまして積極的に支援をすることとしております。 合併協議の中では、地域の振興を支えてきた役場の本庁機能がなくなることから、周辺部は寂れるという思いもありまして、特に町村だけの合併となります大分郡や東国東郡では、新市の事務所の位置が決まるまで多くの時間が費やされたと承っております。 このような地域の合併協議の結果を踏まえまして、新市を立ち上げていく中で事務所が所在しない地域の皆さんの不安や懸念にこたえていくために、合併地域活力創造特別対策事業を初めとした旧町村部対策事業に取り組むものでございます。 一つ目のご質問であります由布市の事務所所在地である庄内町への支援につきましては、そういった事情でございますので特別対策事業の対象とはなりませんけれども、議員ご指摘のように旧町が集まって合併新市ができるということ等を考えまして、他の施策、例えば、輝く地域創出事業を活用することなどによりまして個性豊かな地域づくりを応援していきたい、できるだけ知恵を出してまいりたいというふうに考えているところであります。 次に、二つ目のご質問であります由布市に対する支援につきましては、第一点として、新市の円滑な立ち上げを支援すること、第二点として、個性あふれる元気な地域が合併後もさらに輝きを増すようにさまざまな観点から応援していくことが県全体の発展にもつながるものと確信しております。 まず、第一点目の新市の円滑な立ち上げのための喫緊の課題は体制整備であります。このため、地域の要請に基づきまして、新設する福祉事務所の円滑な運営に向けまして、県民保健福祉センターで事前に職員受け入れ研修を実施するとともに、専門職員一名を派遣するなど体制づくりを最大限支援することとしております。 また、町だけの合併のため、新市の行財政運営が円滑に行われますように助言や情報提供にも努めていきたいと考えております。 次に、二点目の由布市がさらに輝くよう応援していくための地域の一体性の確立に向けて、最も重要なインフラ整備だろうと思いますけれども、これは、国道二一〇号線の庄内町内の交差点改良事業を進めるとともに、大分市から挾間町へ向かう田原地区の四車線化へ今年度着手したところであります。 また、由布市の観光振興は県全体の観光を活性化する上でも極めて重要な課題でありますので、県道鳥越湯布院線や別府湯布院線など観光振興に資する道路整備を進めるとともに、観光と地域づくりを一体的に進めるツーリズム環境創造・発展事業におきましても、ボンネットバスの運行支援などを行っているところであります。 折しも、由布市の誕生を祝うように、十月三日から湯布院を舞台とするNHKの連続テレビ小説「風のハルカ」が放送されますけれども、県としても地域の皆さんと一緒に全国への情報発信に最大限取り組んでまいりたいと考えております。 次に、地域の主要産業であります農業振興の観点からは、草地造成と畜舎整備等を進める草地林地一体的利用総合整備事業等に取り組むとともに、庄内湯平五期地区の農免農道整備を進めているところであります。 また、商業振興の観点からは、湯平温泉商店街の店舗改修事業等にも積極的に取り組んでおります。 加えて、安心、安全な県土づくりという観点からは、湯布院町の宮川河川改良事業や土砂災害の危険箇所の砂防事業を進めているところであります。 このように私は由布市の住民の皆さんが合併してよかったと思っていただけるように全庁を挙げて取り組んでまいる所存でありますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。 次に、香りの森博物館についてのご質問でございました。 香りの森博物館につきましては、まず、これ以上の出血をとめようということで、行財政改革プランにおきまして、十六年九月の休館、十七年度末の廃止を決定したところであります。 その後、せっかくの施設を有効に活用できないかということで、昨年六月、今年四月と二回にわたる公募を行いました。 募集に際しましては、県庁ホームページの掲載、新聞による広告、あるいは延べ二千三百通の企業、団体あてのダイレクトメールなどによりまして周知を図るとともに、可能性のあるところには県の内外を問わず職員を派遣して積極的に働きかけてきたところであります。 その結果、最終的に三件の提案が残りまして、学識経験者や文化関係者、経営の専門家などで構成する利活用審査会におきまして、事業計画や経営の安定性、地域への波及効果等について審査したところであります。 審査会からは、全員一致で、教育研修施設として利用するため二億円で購入するという学校法人平松学園の提案が最もすぐれているとの結論に至ったという報告をいただきました。 第二位は社会福祉法人からの提案で、社会福祉施設として活用するため一億二千万円で購入するもの、第三位は化粧品製造販売会社の提案で、香りの森博物館を承継するため一億円で購入するという内容でありますが、これらについては、資金調達、あるいは運営の継続性などに不安が残るということで評価が低かったと聞いております。 この報告を受けまして、私といたしましては、いろいろ検討いたしまして、また、県民の皆さんからも大変厳しいご批判を含めまして、いろんなご意見をいただきましたけれども、結局、平松学園に売却するという決定をした次第でございます。 これに至る思いといたしましては、これまで二回の公募を行いましたけれども、残ったのは審査の対象となった三件のみでありまして、これ以上待っても、これ以上、ダイレクトメールを出しても、これ以上、会社を訪問いたしましても、いい提案があるとは思えないということでございます。また、そのままにいたしましても、施設の劣化が進みまして、資産価値がさらに低下していくこと、毎年の維持管理費の支出などを考えると決断せざるを得ないという時期に来ているんではないかというふうに考えた次第であります。 そして、現時点で決定するのであれば、青少年の教育研修目的という公益性があって、提示価格も一番高くて、また、雇用も含めて地元への経済効果も期待できる平松学園が最も条件がいいと判断したところであります。 次に、売却価格でございますけれども、四十四億円を投入して二億円で売却するということに対しましては、まことに重く受けとめております。県民の皆さんの思いと私も全く同じ気持ちであります。 しかしながら、平松学園の二億円の提示額に対しまして他の二件がほぼ半額であることや博物館仕様の特別な建物であることなどから、いろいろな思いはありますけれども、このたび売却しようという決定をやむなくしたところであります。 なお、審査会からは少しでも高く売るようにとのお話がありましたんで、引き続き価格の交渉を行って、二億円の提示額から二千万円の上積みができました。 また、学園から博物館裏側にある傾斜地等もあわせ購入したいという申し入れがありまして、これは独立では処置しようのない土地でございますので、あわせてこれも売却するということにして、二億三千万円で売却するということにしたわけでございます。 次に、香りの森博物館の収蔵品につきましては、散逸させることなく、これは売却の対象ではありませんので、散逸させることなく、当面、県で管理いたしまして、より多くの人に香りの文化に触れていただけるように、また、地域の振興に資するように、これから利活用を図っていきたいと考えているところであります。 私からは以上でございます。その他のご質問につきましては、担当部長から答弁をさせていただきます。 ○阿部順治副議長 渡辺農林水産部長。  〔渡辺農林水産部長登壇〕 ◎渡辺節男農林水産部長 農業の担い手育成における教育委員会との連携についてお答えいたします。 農家子弟を中心とした担い手確保対策については、農業系学科のある高校、農業大学校、普及センターを構成員とする農業教育振興連絡会を設置し、担い手に係る情報交換などに取り組んできたところです。 しかしながら、本県が必要とする担い手の確保には至っていないのが現状であり、この背景には、農業サイドからの情報発信が十分ではなかったために若者にとって農業が魅力ある産業として映っていないことや、後継者を受け入れるだけの経営基盤が確立されていない農家が多いことなどが挙げられます。 一方で、県下でも、しっかりとした経営基盤があり、実績を上げている経営体では着実に後継者が確保されております。 また、最近では、都市と農村との交流が盛んになり、農業、農村の持つ魅力が幅広く理解されるとともに、農業が新たなビジネスチャンスに恵まれたやりがいのある産業として見直されてきております。 そのため、新農林水産業振興計画では、このような農業、農村の持つ多様な可能性を豊富な事例でわかりやすく描いており、多くの若者が農業に果敢にチャレンジしていただけるように思いを込めたところです。 今後とも、地域で活躍している先進農家による講義や農業体験研修などを充実するなど、学校現場と普及組織との連携をさらに強化して、就農に向けた情報の提供や相談などきめ細かな対応に努めてまいります。 以上であります。 ○阿部順治副議長 深田教育長。  〔深田教育長登壇〕 ◎深田秀生教育長 ご質問の二点についてお答えいたします。 まず初めに、総合選択制高校における農業教育についてお答えします。 総合選択制高校は、所属する学科の専門性を確保するとともに、生徒の興味、関心、進路希望等に応じて他の学科の学習もできる制度です。 例えば、三年間で学ぶ専門科目の単位数は、三重農業高校では平均四十単位となっておりますが、三重総合高校に設置する生物環境科においては三十九単位を予定しており、専門性が確保できるものと考えております。 また、生物環境科では、農業という基本は押さえつつ、生徒の学習ニーズに応じて、より専門性を深めたり、大学進学や資格取得にも柔軟に対応できることとしております。 さらに、所属する学科を超えて簿記やコンピューター、さらにはマーケティングの学習も可能であり、これからの農業経営者としての幅広い知識や技術を身につけることができるなど、従来の学科の枠組みにとらわれない新しい学科としての位置づけをしており、生徒にとってより一層魅力的な学習内容になるものと考えております。 このようなことから、総合選択制高校においては、新しい時代に対応した十分な農業教育ができるものと考えております。 次に、単独の農業高校の存続についてお答えいたします。 本県における平成十七年度の農業高校は、分校を含め八校であり、在籍生徒数は千六百三十四人となっております。第一学年は、十四学級、五百五十一人でございます。 各農業高校は、これまでも学科改編や教育課程の工夫などにより、時代の変化や社会のニーズに対応しつつ、生徒や地域の実情を踏まえて、それぞれの学校、学科の特徴を生かした農業教育を展開しております。 しかしながら、昨年度実施いたしました県民アンケート調査では、農業系学科への進学を志望する中学生や保護者は〇・九%でございまして、これは現在の定員数五百六十人に対しまして約百二十人の生徒数となります。また、毎年の中学生の進路希望調査や高校入試での定員割れの実情からいたしましても、農業高校に対するニーズは大変厳しいものがあると考えております。 教育委員会といたしましても、このような厳しい状況にはありますものの、本県の基幹産業でございます農業の振興や農業教育の必要性については十分認識いたしております。 平成二十一年までの再編整備計画におきましては、農業高校の配置についての議論の中で、数校に集約するよりも、農業に関する学科を県内にバランスよく配置し、それぞれの地域に根差した農業の担い手や農業関連産業への従事者を育成する必要があると考えたところでございます。 今後も、農業高校のあり方につきましては、農林水産部を初めとしまして関係部局や高校関係者と十分協議するとともに、関係団体等からのご意見もお伺いしながら、平成二十二年以降の再編整備計画の策定の中で検討していきたいと考えているところでございます。 以上でございます。 ○阿部順治副議長 堤生活環境部長。  〔堤生活環境部長登壇〕 ◎堤俊一郎生活環境部長 私の方からは、不法投棄物対策につきまして二点お答えいたします。 不法投棄物の現状と対策について、まずお答えいたします。 不法投棄の現状でありますけども、投棄量十トン以上の規模の大きな事例は、平成十六年度では、四件、百三十九トンとなっていますが、件数、量ともに、十四年度以前に比べ、大幅に減少しているところであります。 一方、家電製品やいわゆるぽい捨てごみなど生活系の廃棄物の不法投棄は依然として後を絶たない状況にあります。 このような廃棄物の不法投棄や不適正処理の防止に向けましては、これまでも県や警察本部などの関係機関、団体で組織します不法処理防止連絡協議会などの取り組みを初め、産業廃棄物監視員による巡回監視、ヘリコプターを利用したスカイパトロールなどを実施しておりまして、悪質な事例に対しては法に基づく厳格な対応を図っているところであります。 また、たばこの吸い殻や空き缶などのぽい捨てごみについては、美しく快適な大分県づくり条例に基づきまして、保健所の職員など七十一人を環境美化指導員に任命し、市町村職員とともに共同して巡回指導を実施するとともに、市街地や道路を中心に散乱ごみが目立つ場所など百十七カ所で定期的な監視を行っておるところであります。 さらに、県民一人一人が身近なところから周辺の環境美化に取り組むことが重要でありますので、環境美化の日を制定して、毎年八月と十月に県下一斉のごみゼロ大行動を実施しております。こうした中で、ごみゼロおおいた推進隊に代表されるようなNPO、ボランティア団体等の自発的な活動の機運も高まってまいりましたので、これらの行動と連携しながら、不法投棄防止に向けての啓発、広報に努めてまいりたいと考えております。 次に、産業廃棄物税導入による取り組みについてであります。 今年度から、産業廃棄物税を活用して、地域の美観を損ねるような不法投棄物の撤去事業を実施する等、不法投棄を許さない環境づくりを進めることとしております。 議員ご指摘のとおり、不法廃棄物は、一義的には不法投棄した原因者に撤去させるものですが、原因者が不明の場合が多く、そのまま放置された状態となり、また新たな不法投棄を招く状況が見られます。 このため、今回の撤去事業は、投棄者が不明であって、不法投棄場所が公道沿いであるなど公共性の高い場所を中心に、市町村とも連携しまして、三十四カ所の対象地区を選定したところでありますが、今後、早急に撤去にかかることといたしております。 以上でございます。 ○阿部順治副議長 福浦総務部長。  〔福浦総務部長登壇〕 ◎福浦裕介総務部長 十六年度決算に関して、二点お答えいたします。 まず、評価についてでございますが、平成十六年度普通会計決算額は、地方交付税等が減少する中、人件費や投資的経費の削減など徹底的な行財政改革を進めた結果、歳入、歳出とも大幅に減少いたしまして、バブル経済崩壊後、数度にわたる経済対策が実施される前の平成三年度の水準に戻ったところでございます。 この決算規模は、人口や財政力指数が類似をした宮崎県や山形県と同程度であること、また、国の「骨太の方針二〇〇三」におきまして、単独の投資的経費は平成二年度、三年度の水準を目安に抑制するとされていることなども勘案をいたしますと、現在の社会経済情勢におきましては、おおむね適正な水準にあるというふうに考えております。 各財政指標の全国順位ですが、経常収支比率が三十八位から十九位、起債制限比率が三十七位から三十六位、公債費比率が四十五位から二十八位、公債費負担比率が四十五位から三十八位と、いずれも改善はされておりますが、さらなる改善が必要であるというふうに考えております。 また、平成二十年度末における基金の残高見込みも九十三億円となりましたが、安定的な財政運営を行うためには三百億円は必要ではないかというふうに考えておりますので、今後も改革の手綱を緩めることなく、さらなる上積みを目指してまいりたいと考えております。 最後に、十八年度予算編成への反映についてでございますが、十六年度の決算では、各種財政指標が幾分改善されたとはいえ、財政構造の弾力性を確保するための努力がさらに必要であります。このため、平成十八年度予算編成においても、歳出では、引き続きあらゆる経費を聖域なく見直すことにより、特に経常経費の削減を図ります。また、経常経費の中で大きなシェアを占めます公債費につきまして、償還年数の延長による負担の平準化、また、できるだけ低利での資金の調達に努めます。 一方、歳入においても、経常一般財源の大宗は県税、地方交付税が占めますが、徴収率向上による県税の増収や滞納整理強化による貸付金元利収入の増収などによりまして、少しでも経常一般財源を確保することに努めてまいります。 このような取り組みによって、より弾力性を確保し、必要な事業への選択と集中をさらに徹底してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○阿部順治副議長 再質問はありませんか。--近藤和義君。 ◆近藤和義議員 まず、農業高校の問題について。 私が申し上げたいのは、農業高校に進学するような環境、ニーズがないと申しましたけども、ニーズがあるようなそういうものをどうやって県はつくるのかという、そういう一番大きなところを問うとるわけであります。なぜ宮崎にあって大分県にないのか、何が欠陥なのか、その辺のことをかちっとやらない限り、本当にこれは悪循環の繰り返しになる。大分県の農業、大変なことになりますよ。これは、県だけではありません。農業団体、農業従事者挙げて、全体的に考えていかなきゃならないことであります。その辺のところを県にしっかり旗振りをしていただきたいと、そういうことを私は申し上げておるわけであります。 次に、香りの森について申し上げます。 この結末の行方は、本当に県民から注目をされております。知事より懇切な答弁をいただきました。 私は、県議会を代表して、昨年は農林水産委員長という立場で同館の理事を務めておりました。現在は、同館の清算人をいたしております。したがいまして、公募された各社との交渉経緯や会社の内容、今後の見通し等について何度か説明を求めてまいりましたが、今は詳しいことを申し上げる段階ではありませんという答えしか私はいただいておりません。そして、結論を出す、審議をするのは別に設ける学識経験者で構成する審議会であるとお聞きして、不本意ながら、どのような結論が出るのか見守っておりました。 県民の代表である議員がだれ一人、最後の結末である重要な意思決定にかかわることなく、また、経過の説明もないまま、今回の知事の記者会見によって県としての方針が示されました。 学識経験者にゆだねられた結論をそのまま私どもがうのみをするようでは、私は、議会としての責任は果たせないと思っております。 将来に禍根を残さないためにも、はばかりながら私ども数名の議員で独自の調査をさせていただきました。学識経験者による審査とは、おおよそ反対の結論が出ております。廃止するのはたやすいことでありますが、せっかくの多額の県費を使って、二億そこそこでちょん切る結論が果たしていいのか。あの場で利活用を続けていきたいという会社があるではありませんか。その評価が低い。評価の仕方が私は間違っておりゃしないかと思います。何も私は会社から頼まれてはおりませんけれども、その会社はすごいノウハウを持った、また、二十一世紀型の会社ではありませんが、ここで続けたいと言うわけでありますから、ここで続けさせたら、後々、県にも税金としての収入が入りますし、何しろこの大分県の観光にとって相当にこれはプラスになることだと私は思います。 知事さん、野津原の山桜、ごらんになったことありますか。私は、野津原の山桜は、都市近郊にある山桜、日本一だと思っております。やがてはダム湖も完成をいたします。国道五七号線も大きな改良ができます。広域農道も、大野町に向けてやがて完成します。今はアクセスが悪いですけど、やがてアクセスはよくなります。この地域の観光のために設定した香りの森であります。わずかな金額の違いで、やったらもうこれでおしまいになります。後の展望が開けません。そういうことを考えたら、本当に、せっかく出された案ではありますけど、ここは知事さん、真の英断を発揮されまして、私ども議会と執行部とで真摯な討論の場を持っていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。 ○阿部順治副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 香りの森の件につきましては、先ほどご説明申し上げましたけれども、議員ご指摘のように、さる化粧品会社がこれを買って博物館の機能を継続するという案があったのは、先ほど申し上げたとおりでございます。議員も、そういう案で引き続きやってみたらいいじゃないかというお話でございました。 しかしながら、これまで県があれだけのお金をかけて、そして香りの文化発展のためにということでやってきた結果が出ているわけでございます。最初は十六万人いたけれども、今は六万人になってきている。年々、予算の投入をせざるを得ないという状況になっている。県がやって、これだけの努力をやって、うまくいかなかった。それと同じことを民間がやって、うまくいくかどうか。我々は失敗した経験があるわけですから、そういうことを踏まえて、きっと審査会は審査をされたんだろう、こう思います。継続ができれば一番いいわけですけども、それができなった、それを選択しなかったというのは、まさに失敗の歴史が重くのしかかってきてたんだろうというふうに思っております。 第二点の、これから議会としてしっかりと議論をしていきたいということにつきましては、私どももぜひお願いをしたいと、こう思います。 大変にこの問題につきましては、四十四億円をかけて建設をして、二億数千万円で手放さざるを得なかったということについて、県民の皆さんも大変に思いがあると思います。これはもう、大いにご議論をいただきたいと。したがって、私どももそういった意味で、しっかりと議題としてご提案を申し上げておる次第でございます。どうぞよろしくご議論のほどを、私どもも思うところをしっかりとご説明をさせていただきたいと思っておるところでございます。 ○阿部順治副議長 渡辺農林水産部長。  〔渡辺農林水産部長登壇〕 ◎渡辺節男農林水産部長 私どもの農業サイドからのメッセージがやはり不足していたということは否めないんじゃないかというふうに考えております。そういった意味で、先ほどもお答え申し上げましたが、新しい計画の中でいろいろと農業、農村の持つ魅力というものをしっかりと訴えて、具体の例を出しながら、このことをよく理解していただく、そういうことが必要じゃないかというふうに考えておりますので、私どもは、多くの若者がこの計画を見ることによって、あるいは各地で頑張っている農業者の姿を見ることによって、果敢にチャレンジしていただけるような、そういう思いを込めた計画でございますので、これからはその辺の思いが伝わるんじゃないかというふうな期待をしております。 以上でございます。 ◆近藤和義議員 議長。 ○阿部順治副議長 近藤和義君。 ◆近藤和義議員 農林水産部長、本当に期待をいたしておりますので、よろしくお願いいたします。 それから、香りの森は、私ども、東京の担当重役に急遽、大分に来てもらいまして、本当にひざ詰めた話し合いをしました。ところが、女性の重役でありますけども、知事さんに会わせてくださいということも言っておりましたが、知事さんは忙しいということで会わせてもらっておりませんし、もう、この審査の仕方によって逆転をするわけですから。そして、二億出してもよろしゅうございます、県がもう少し我々を歓迎するという姿勢があれば出してもいいという、そういう話も伺っておりますし、初めから県は、官がやってできないことを何であんた方ができますかと、もう最初から自分の会社は敬遠をされているような言い方でありましたと。なぜその人が公募したかといいますと、あの施設を見て、これだけのものを、こんな展示はもったいない、これではリピーターは来ませんと。改善をする余地が幾らでもあるから手を挙げたとおっしゃっておりました。そういうことですから、もっと、せっかく提案されてますけど、やっぱりしっかりと論議をやってやらないと県民は納得をしないと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○阿部順治副議長 以上で近藤和義君の質問に対する答弁は終わりました。 暫時休憩いたします。      午後零時三分 休憩     ------------------------------      午後一時三十五分 再開 ○荒金信生議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 佐々木哲也君。  〔佐々木(哲)議員登壇〕(拍手) ◆佐々木哲也議員 こんにちは。六番、自由民主党の佐々木哲也でございます。 平成十七年県議会第三回定例会において一般質問の機会を得ましたことに感謝申し上げますとともに、先輩議員各位のご配慮、ご指導に対しまして心より厚くお礼申し上げます。 また、何かとお忙しい中に傍聴においでいただきました私の地元の皆さん、まことにありがとうございます。 質問に入ります前に、このたびの台風十四号によりまして被害に遭われました皆様方に謹んでお見舞いを申し上げます。広瀬知事におかれましては、直ちに被災地に出向かれまして、まことに深く感謝申し上げます。 私の地元でも、県道緒方高千穂線の上畑で道路の崩壊があり、十五戸の民家が孤立をいたしましたが、昼夜を問わず早急に対処していただき、仮設道路を設置していただきました渡辺土木部長初め、三重土木事務所の河津所長以下、職員の皆様に心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。 それでは、本論に入らせていただきます。 広瀬知事におかれましては、先日の発表にもありましたように、県の二〇〇四年度普通会計決算見込みにおいて、歳入においては、三位一体改革に伴う地方財政計画の抑制を物ともせず、七・五%の減収にとどめ、歳出においては、行財政改革の成果があらわれ、七・七%の支出減と大幅な財政削減を実現されました。その結果、単年度収支で八年ぶりに一億五千六百万円の黒字に転じたとのこと、知事のご努力が実を結びつつあるものと敬意を表する次第であります。 これからも、行財政改革はもとより、産業の振興による税収確保にも力を注いでいただき、バランスのとれた県財政立て直しになお一層のご尽力をいただきますようお願いいたします。 それでは、早速、今申し上げました産業の振興、地方機関の再編など五点にわたり質問させていただきます。 まず最初に、地方分権の推進についてお尋ねします。 昨年来、国庫補助負担金の削減、税源移譲などの三位一体改革の動きが加速してまいりました。今年度の骨太方針においても、小さな政府への変革や公務員の総人件費の削減、地方交付税の削減などが盛り込まれるなど、迫りくる少子・高齢化社会に向けて新しい枠組みの構築が喫緊の課題となっています。 そのような中で、私ども地方で暮らす者にとりまして、平成十九年度以降の第二期地方分権改革を見据えた動きが大きく進むことに期待しているところです。 私は、その速やかな実施のためには、まず世論を味方にすることが必要であると考えますが、残念ながら三位一体改革や地方分権改革に対する世論の関心はさほど高まっていないのではないでしょうか。 世論の関心が高まらない背景には、地方財政制度など地方分権改革自体がわかりにくいという事情もあると思います。それに加えて、地方分権を進めることに対する住民の懸念、不安というものがあるのではないかと考えます。 地方分権は自己決定、自己責任が原則でありますが、権限と財源が付与される団体には自己責任を果たせるだけの一定規模の財政力、行政能力が必要であり、そのために県内では市町村合併によって基盤づくりをしていると私は認識しています。 また、市町村合併によって発足した新市では、合併に伴う事務処理や事業の調整に加え、職員の経験不足や専門性の違いから生ずるギャップを埋めていく作業が必要であり、新市が地方分権改革後の厳しい時代に立ち向かえる実力を備えるには、ある程度の時間がかかることも懸念されます。 しかしながら、地方分権改革を後退させることはできません。着実に推進していかなければならないものであり、そのためにも地方分権後にふさわしい行政能力の基盤を早期に確立させなければならないと考えます。 そこで質問ですが、このような住民の不安を払拭し、県民世論を味方にして地方分権を推進していくために、県としては今後どのように対処していくのか、お考えをお示しください。 次に、先日公表された地方行政機関の再編について伺います。 この再編案では、豊肥地区の地方振興局は竹田市に設置され、大野地方振興局は地方事務所になることとされています。 県が地方機関再編を行財政改革プランに盛り込み、今年度から本格的に検討を始めたことに伴い、地元では、かたずをのんで論議の動向を見守ってきました。特に、再編案の公表が近づくにつれ、大野地方振興局は廃止されるのではないかということが危惧され、七月十五日には大野局の存続を求める要望書を知事に提出し、さらに八月四日には、地方振興局の存続を求める豊後大野市民の会が三万五千人の署名を添えて存続を求める要望書を県に提出しました。 このように地元が危機感を抱くのは、豊後大野市は市を含まない町村だけの合併であるため、市としてのノウハウがないこと、さらに、地方分権時代に対応していくためには振興局の助言が欠かせないことも挙げられます。また、合併により周辺部となった地域の振興も重要な課題であり、そういう意味でも振興局の果たす役割は大きなものがあります。 そこでお尋ねします。 この再編案では、地方振興局は竹田市に設置する案となりました。豊肥地区における地方振興局の配置について、いま一度、その考え方をお示しください。 また、仮に大野地方振興局が廃止となった場合、県として豊後大野市の新市としての財政運営や農業、商工業などの産業振興、さらに周辺部対策などの地域振興に対し、どのように助言し、支援策などに取り組んでいくのか、知事のご見解をお伺いします。 続いて、豊後大野市の一次産業の振興についてお尋ねします。 豊後大野市は本県を代表する大規模畑作地帯であり、シイタケや畜産などとともに本市の今後の発展は第一次産業の振興にかかっていると言っても過言ではありません。これまで大規模稲作地帯である宇佐市とともに本県農業の牽引役を担ってきた地域であり、そのため両市には農業関係の総合試験研究機関である農林水産研究センターや家畜保健衛生所が設置され、さらに豊後大野市には農林水産研究センターきのこ研究所、農業大学校なども配置されてきたと認識しているところです。 しかし、昨今では当地域でも農業従事者の減少、高齢化などが著しく、基幹作目の一つである葉たばこ栽培の減少や木浦内ダムの建設中止など不安要因もある中で今回の地方振興局の統合案が出されたところであり、今後、当地域の一次産業振興に大きな役割を果たしてきた普及事業の低下が懸念されます。 当地域では、昨今、茶畑の面積拡大に伴う製茶工場の設置や、菊栽培を行う企業的経営者の県外からの参入、実需者と連携したしょうゆ用小麦の生産拡大に取り組むなど明るい兆しも出てきただけに、人員削減され、遠隔地の振興局から来る普及指導員は従来どおりの指導を行っていただけるのか、当地域にある試験研究機関が普及センターを補完するような役割を果たしていただけるのか等、今後の当地域に対する普及活動についてどのような考えをお持ちなのか、伺います。 また、本来、地域産業の振興という面からすれば、農林業振興は、基礎的な自治体である市が力をつけてくれば、農協や森林組合と一体となり、主体的に推進すべきものと考えますが、専門の普及職員を持たない新市が職員を育成するまでにはある程度の時間がかかるものと考えます。要請があれば、県としては技術職員の派遣も含め、マンパワーの支援を行う考えはあるのか、あわせて知事にお伺いします。 次に、商工会の役割と合併についてお尋ねいたします。 県下では、次々と新市が誕生しており、今日現在で、編入合併も含めて県下に九つの新市が誕生しました。また、今年度中にさらに三つの市が誕生することとなっています。 市町村合併が実施される前から、町村役場がなくなり、周辺部地域がますます疲弊するのではないかといった不安や懸念の声が聞こえますが、それに対し、各新市がどのように対応するのか、私も注目しておりました。 それぞれの新市の状況を見ますと、旧町村役場ごとに新市の支所を設置し、基本的な住民サービスはもとより、地域振興の拠点としての機能も持たせているようです。 さらに、県においても、周辺部地域の不安や懸念にこたえるため、周辺部対策事業を重点事業と位置づけ、広瀬知事以下一丸となって旧町村部の振興策を講じており、旧町村部地域の一員として厚くお礼を申し上げます。 しかし、この周辺部対策をさらに効果あるものにするため、さらに周辺部地域が活性化し、住民の不安や懸念を払拭するためには、県や新市の支援だけでなく、実際に地域の人々と一緒になり汗を流す地域活力の担い手が必要ではないかと思います。 この担い手としては、今まで町村役場がまず第一にその立場にあったと認識していますが、この町村役場にかわって、その役割を果たす団体として、旧町村単位にある商工会に今まで以上の役割と期待が求められているのではないでしょうか。 従来から商工会は、地域商工業の一層の振興を図るとともに、地域の社会的、文化的側面において重要な役割を果たすことが期待され、商工会法においても、社会一般の福祉の増進に資することが目的として規定されています。その意味からも、商工会が積極的に旧町村地域の活力の担い手となることが必要であると考えています。 そこで、県としては、商工会に具体的にどのような役割を果たしてほしいと期待しているのか、また、それに対してどのような支援をしようとしているのか、お尋ねします。 また、今回の市町村合併で、同一市内に複数の商工会が存在することとなりました。 新臼杵市には野津町商工会が単一の商工会としてありますが、ほとんどの地域で二つから八つの商工会があります。我が豊後大野市においても七つの商工会があります。 新市の旧町村単位に複数の商工会があることは、先ほどの旧町村地域の活力の担い手ということから、大変意義のあることだと考えています。 しかし、反面、商工会の厳しい財政状況や現状の商工会のままで地域総合経済団体としての役割を十分に果たせるのかなどといったことを考えると、商工会が財政基盤を強固なものにし、周辺部地域の振興、活性化に力を発揮するためには、合併は避けて通れないものと受けとめています。 県商工会連合会も今年一月に行政合併に対応する商工会行動プログラムを策定し、今年度から五カ年をめどに合併を目指す方針を打ち出したところです。 そこで、このような商工会の動向を踏まえ、県として今後どのように対処していくのか、お尋ねします。 次に、森林環境保全へのさらなる取り組みについてお尋ねします。 平成十七年三月三十一日に公布され、平成十八年四月一日から施行される森林環境の保全のための県民税の特例に関する条例、いわゆる森林環境税は、森林の有する多面的かつ公益的な機能の重要性にかんがみ、森林環境を保全し、森林に対する県民意識の醸成を図ることを目的とし、平成十八年度から二十二年度までの五カ年にわたり、個人県民税の均等割額に五百円、法人県民税の均等割額に五%を加算した額を徴収するものであり、その税収見込みは年間二億九千万円、税収は基金として管理されると伺っております。 この森林環境税により、県では、県民中心、県民参画の理念のもと、新たな手法で森づくりを進めることとしており、今年の六月から平成十七年度森林環境税を活用した新たな森林づくり事業提案募集を開始し、広く県民からの提案や意見を求めてきました。 新聞報道によると、一般県民やNPO、団体、市町村などから多くの事業提案が提出されたようですが、これは、森林に対する県民の関心の高さと森林環境税に対する期待の大きさのあらわれであろうと推察しております。 これらの事業によって、過去から何度となく繰り返されてきた水害が少しでも減り、県内の河川すべてが栄養をたっぷり含んだ水を海に届ける日が来ることを大いに期待しています。 しかしながら、この森林環境税の導入のみでは、将来にわたって本県の森林環境の保全を図ることは困難ではないかと思われます。なぜならば、木材は需要があって初めて経済法則にのっとった森林整備と循環が成り立つものであり、また、その価値が高まることにより次の森づくりへのサイクルが維持、増大されるものであるからです。 そのために今私たちがなすべきことは、これまでに取り組んできた県産材の利用促進対策の強化であり、これとあわせて、森林環境税の提案募集の対象事業である県産材や竹材の新たな需要拡大のための研究開発であると考えます。 そこでお尋ねします。 森林環境税の使途については、このたびの県民提案をどのように活用し、来年度から具体的にどのような森林環境保全のための施策を進めようとしているのか。また、従来から取り組まれている県産材利用促進策については、今後どのような取り組みを進めていくのか、あわせてお聞かせ願いたいと思います。 続いてお尋ねしますが、森林浴は人々をリフレッシュさせる効果やいやしの効果があると言われています。これは、木から発散されるフィトンチッドなどの成分が影響していると言われています。木材は、枯れてもなおフィトンチッドなどのさまざまな成分を長い間放出し続けるそうです。 木材には、抗菌効果、カビやダニの繁殖しにくい湿度環境をつくり出す効果、目に有害な紫外線を吸収し、残響音を残さないなど、人の生理や心理に穏やかに反応する特性が備わっているそうです。 各大学研究機関の調査によりますと、木造建築は鉄筋コンクリート建築に比べ、温かく、集中力を持続させる効果があり、疲労が少ないなど、人々に最適な環境を提供するそうです。 一時、木造校舎が取り壊され、鉄筋校舎へと建てかえられた学校も、今になってアスベスト問題やシックハウス問題がクローズアップされ、その危険性について議論されているところです。 そのような中、先日、知事から発表された、新設される三重総合高等学校の校舎を木造とするご配慮には感銘を受けたところであります。まことにありがとうございます。 そこで質問ですが、長年培ってきた木材の利用技術や加工技術を使った公共施設の木造化についての今後の取り組みについてお聞かせください。 最後に、豊後大野市に来年四月開校が予定されている県立三重総合高等学校についてお尋ねします。 私ども県議会議員、地元市長、教育長、農協組合長等で構成する豊肥地区教育活性化推進委員会は、七月二十五日に副知事と教育長に対し、同校に地域活性化コースを設置するよう強く要望いたしました。地域には、過疎化に歯どめをかけるため、地域の担い手育成をより強化する教育内容を求める声が非常に強いからです。 要望の趣旨は、総合選択制は安易な科目選択で興味本位の学習となる危険性があり、地域を担う優秀な人材は育ちにくいと指摘した上で、農業、園芸、国際農学、調理師、土木、介護・福祉の六分野で構成する地域活性化コースを設置し、地元に残る人材を育てる学校づくりを求めています。 その後、公表された設置学科は、普通科、生物環境科、メディア科学科、キャリアビジネス科の四学科となっています。 普通科では、文理クラスと総合進学クラスを設置し、国公立大学を初めとする生徒の進学希望に対応しています。 生物環境科では、園芸作物の栽培、管理や加工販売、家畜の飼育などの学習、環境に配慮した農業土木や農業生産に関する学習などを通じ、地域農業経営者の育成、農業技術者の育成による就職促進、農業系大学への進学に対応しています。 メディア科学科は、コンピューターや情報通信、映像などのデジタル処理の学習、マーケティング、販売促進の学習を通じ、コンピューターや情報通信技術者の育成、製造業やサービス業への就職、大学進学に対応しています。 さらに、キャリアビジネス科は、簿記や販売士の資格を取得させ、企業や販売業などへの就職と大学進学に対応しています。 これまでの三重高校、三重農業高校、緒方工業、竹田商業高校を統合して設置されるこれらの学科は、総合選択制のメリットを最大限に生かして、生徒の多様化する学習ニーズに対応していかなければなりません。そのためには、教職員はもとより、地元の行政や企業、地域の住民等が連携してこの学校を支えていくことが何よりも大事であると考えています。 そこで、数点にわたり質問いたします。 まず、新設校は総合選択制高校として出発することになりますが、さきに述べましたように普通科、商業科、工業科、農業科が再編整備されるわけであります。特に、農業については、地域の基幹産業でありながら、今まで農業科を卒業しても実際に農業に従事する生徒は少なく、農業の担い手をふやすことは並大抵の努力では実現できないのではないかと考えます。 農業施策の抜本的な見直しと担い手の育成を並行して進めない限り、光明は見えてこないのではないかと思います。この点につきまして、今後どのように進めていくのか、知事のご見解を伺います。 また、私ども豊肥地区教育活性化推進委員会が要望した地域活性化コースの設置はどのように受けとめられたのでしょうか。この点について教育長の答弁を求めます。 続いて、父兄の間で、新設校になると、現在ある指定校粋がなくなるのではないかと心配する声が出ています。従来から三重高校を初め三校で保持している大学や短期大学、専門学校等の指定校推薦についてはどのような扱いになるのでしょうか。ぜひとも維持しなければなりません。教育長の積極的な答弁をお願いいたします。 以上、大分県のさらなる発展と豊後大野市の産業育成、行政支援のための質問を述べさせていただきました。 貴重な時間を賜り、ご清聴いただきましたことに厚く感謝申し上げ、大分県政のかじをおとりいただく広瀬知事のさらなるご健勝とご活躍を祈念申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○荒金信生議長 ただいまの佐々木哲也君の質問に対する答弁を求めます。 広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 ただいまは佐々木哲也議員には、地方機関の再編、市町村合併の中で新しい役割を帯びてきた商工会の課題、そして森林保全、さらには新しく設立される三重総合高校への期待等につきましてご質問をいただきました。大変、県にとって重要な課題であると同時に、議員ご出身の豊肥地域にとりましても、また大きな課題でございます。私から順次お答えを申し上げたいと思います。 まず、豊後大野市への支援についてのご質問でございました。 豊肥地区の地方振興局の設置場所につきましては、地域住民の皆さんの多くの声をお聞きする中で、豊後大野市に置くか、竹田市に置くかで私も大いに悩んだところでございます。この間、豊後大野市の市民の皆さんの署名等もいただきまして、県民の声に耳を傾けながら県政を行っていくという立場から、大変に悩ましい選択でございました。最終的には、住民の皆さんや農業者にとりましてどちらがアクセスがいいかという点を重視しまして、竹田市に決断したところでありますけれども、農業普及業務等につきましては、統合によって能力向上を図りながら、現場主義に立って職員が今まで以上に地域に出向き、むしろ体制が強化された、今まで以上に普及が徹底してきたと評価されるように、職員一丸となって取り組んでいきたいと考えているところであります。 新市の当面の優先課題は、議員ご指摘のように市を含まない七つの町村による合併でありますから、新市としての体制整備が課題であります。 このため、地域の要請に基づきまして、新設する福祉事務所への専門職員一名の派遣、教育指導主事二名の派遣など、新市としての体制づくりを最大限支援しているところであります。 また、地方事務所を置き、新市と綿密な連携をとって、行財政運営の助言や情報提供に万全を期してまいります。 次に、地域の振興、発展に欠かせない社会基盤の整備についてでございます。 豊後大野市管内では、昨年十二月に犬飼バイパスが完成するとともに、地域高規格道路である中九州横断道路の整備も進み、来年度には犬飼-千歳間でも一部供用が開始される見込みでありまして、再来年度には千歳-大野間も完成する見込みとなっております。 また、豊後大野市役所から清川支所、緒方支所へのアクセス向上につながる国道五〇二号岩戸バイパスが来年度じゅうに完成予定であります。 加えて、三重新殿線バイパスや三重野津原線の整備も着々と進んでおりますことから、地域の発展に欠かせない道路交通網の整備が今後大きく進展していくものと考えております。 さらに、豊後大野市全体の面積の四分の三と大変多くを占める旧町村部対策であります。 合併で周辺部となる旧町村部の住民の皆さんの不安や懸念に適切にこたえていく必要があることから、また、旧町村地域の活力なくして新市の振興、発展はない、新市の振興、発展なくして県の発展はないとの考えに基づきまして取り組んでいるところであります。 豊後大野市管内におきましても、旧町村部対策事業の具体化のため、職員が現場に出ていき、汗をかき、また、知恵を出して取り組んでいるところでございまして、既に地域の特産であるカンショを使った事業が採択されたところであります。 これから一つでも多く旧町村部対策事業として仕上げていけるように、地域の皆さんと一緒に取り組んでまいりたいと考えております。 地域の将来を考え、市町村合併の実現のため苦渋の決断をいただいた市町村長さんや議会議員、そして地域住民の皆さんの思いにこたえるために私は、合併した新市の支援を県政最重要課題の一つと位置づけて、全庁挙げて取り組んでいるところでございまして、県が豊後大野市を応援する姿勢に、これまで同様、変わりがないことをお誓い申し上げる次第であります。 次に、豊後大野市の一次産業振興についてのご質問がございました。 豊後大野市は、普通畑の面積が県の二〇%を占める県内有数の畑作地帯でありますけれども、耕地利用率は八九%と広大な農地を十分に生かし切れておりませんで、また、米や葉たばこなどの土地利用型作物に長年依存してきたことから、農業産出額も、平成五年以降、十年間で約二割減少をしています。 しかしながら、近年、県外からの菊や茶に取り組む企業的農業者の参入や異業種からの新規参入も進むなど、新しい動きが出てきております。 また、本県を代表するブランド品の一つである乾シイタケの生産が盛んな地域でもありまして、圃場整備や畑地かんがい施設等の生産基盤も整備されておりますので、今後の発展の潜在能力と可能性の高い地域として、園芸、畜産分野の生産拡大を重点的に推進していきたいと考えております。 今回の地方機関の再編によりまして県下の農業振興普及センターを六カ所に集約し、豊肥地域については竹田市が拠点となりますけども、集約することで普及指導員相互の活発な情報交換や研さんが積まれ、若手職員への技術の伝承を着実に行う環境を整備し、むしろ現場の指導体制をより充実させていきたいというふうに考えています。 その中で企業的農業者に対しましては、専門性の高い普及指導を行うため、これまでの野菜担当を、イチゴなどを担当する果菜担当、里芋などを担当する根菜担当に細分化して高度な技術指導を行うとともに、中山間地域の農業に対しましては集落営農専門チームが出向いて支援を行うなど、より地域の実情に即した普及体制をとりたいと思っております。 さらに、今回新たに大分の顔となる産品づくりを推進する流通担当を振興局に設置することとしておりまして、消費者ニーズに沿った産地づくりに取り組んでまいります。 また、地元の農林家の皆さんが身近に技術相談も活用いただいている野菜・茶業研究所ときのこ研究所に産地技術のレベルアップに取り組む広域普及指導員を配置したところでございまして、専門の研究員とともに直接現場に赴きまして、協働して新技術、高度技術の普及を行ってまいります。 女性起業家や後継者の会合、営農計画、資金相談、土壌、病虫害の診断等につきましては、これまで同様に大野地方事務所での専用会議室を定期的に利用いただけるよう整備をいたしたいと考えております。 また、豊後大野市から要請があれば、新市の農業振興を育成、支援し、ともに汗を流すため、県の技術職員の派遣についても、もとより検討したいと思っております。 いずれにしましても、新農林水産業振興計画に掲げた、知恵を出し、汗をかいてもうかる農林水産業の実現を目指して、これまで以上に現場主義に徹し、豊後大野市の皆さんから「現場と県庁が近くなった」と評価されるように全力で取り組んでまいりたいと思っております。 次に、農業政策の見直しと担い手の育成についてご質問がございました。 農業就業人口の減少や高齢化が進展する中、本県の農業を将来にわたって維持、発展させていくためには、担い手の確保育成が極めて重要な課題でございます。議員ご指摘のとおりであります。 現在策定中の新農林水産業振興計画では、近年の消費動向の大きな変化に対応するため、これまでの生産者基点の考え方の発想を転換しまして、消費者の心をつかむ売れるものづくりにシフトするとともに、力強い担い手づくりなどによりまして、元気で魅力ある農山漁村、知恵を出し、汗をかいてもうかる農林水産業の実現を目指すこととしております。 とりわけ、力強い担い手づくりにつきましては、次の三点を重点として取り組んでまいります。 まず第一に、農業企業者の育成であります。 認定農業者五千人を確保し、これらの農業者が県農業の相当部分を担う農業構造にするとともに、平成二十七年度までに、このうちから四百万から五百万円の所得目標を達成できる農業企業者を三千五百人育成したいと考えております。そのために、育成すべき担い手の対象を明確化し、各種施策や支援の重点化を図る必要があります。育成対象リストを整備し、普及指導員による個別指導体制を確立するなど、農業企業者が育つ環境づくりに努めてまいります。 ちなみに、販売額と後継者の就農状況調査によりますと、県下では一経営体として販売額にして千三百万円程度、所得にして四百万円から五百万円を確保している農家には後継者が育っております。そういった元気な農家をつくっていけば、おのずと後継者も確保することができると考えております。 第二に、地域農業の組織的な担い手の育成であります。 米、麦、大豆を中心とした土地利用型農業の構造改革や中山間地域の活性化を図るため、集落営農組織の育成と法人化をさらに進めてまいります。 第三に、新たな担い手の確保であります。 県内優良農業法人の活用や異業種参入、さらに県外からの企業や企業的農家の誘致などに積極的に取り組みまして、幅広く担い手の確保を図っていく必要があると考えております。 また、新規就農者の確保につきましては、今後定年を迎える団塊世代も含めまして、県内外での就農相談会の充実や農業大学校での就農希望者の段階に応じた研修や就農支援資金の融通など、行政と農業関係団体が一体となって引き続き取り組んでまいります。 一方、将来の農業の担い手となる農業系学科の高校生や農業大学生に対しましては、教育委員会、普及部門が一体となった取り組みが不可欠であると考えております。農業への理解促進と関心の醸成を図るために、指導農業士や普及指導員が講師となって最先端の農業経営、地域農業の現状、農業のやりがい、生きがい、夢などについて講義を行ったり、先進農家の指導のもとに農業体験研修を行うことなどによりまして、農業系学科の高校生と農業大学生が農業に魅力を感じ、職業の重要な選択肢として意識してもらえるように体制を整えていきたいと考えます。 農業という産業は、生産から加工、流通までのすそ野の広い産業でありまして、工夫次第では地域資源を生かした新たなビジネスチャンスを見出せる可能性を多く秘めております。そういった魅力ある農業に若者がぜひとも果敢にチャレンジしてほしいと考えているところであります。 私からは以上でございます。その他のご質問につきましては、担当部長からお答えをさせていただきます。 ○荒金信生議長 福浦総務部長。  〔福浦総務部長登壇〕 ◎福浦裕介総務部長 私から二点お答えいたします。 まず、地方分権の推進についてでございますが、地方分権に対する県民の不安を払拭するためには、県、市町村ともに分権型社会への移行を先取りした体制整備をいち早く進め、充実した県民サービスを提供することが何よりも重要でありまして、このことが地方分権に対する県民の理解にもつながるものというふうに考えております。 そこで、県としましては、まず行財政基盤の強化を図るため、行財政改革プランを策定し、その実行に取り組んでいるところでありまして、今後ともプランの目標額を上回るよう努力してまいります。 さらに、現在、新しい長期総合計画「安心・活力・発展プラン二〇〇五」を策定しております。このプランを実行することによって、魅力ある地域の構築に向けて、県民が夢と希望を持ち、心豊かに暮らせる大分県づくりに努めてまいります。 また、市町村においては行財政基盤強化を目的の一つとして合併が進められてまいりましたが、今後はさらなる基盤の強化を行わなければならないと考えております。そのためには、まずは新市みずからが行財政改革に積極的に取り組むことが必要でございますが、県といたしましても、人的支援を初めとした行政体制への支援、また、新市建設計画実現に向けての支援に最大限努めてまいります。 次に、豊肥地区の地方振興局配置についてお答えいたします。 地方振興局等の再編につきましては、これまでも県議会、市町村、各方面の有識者等のご意見をお聞きしながら検討を行い、さきに素案をお示ししたところでございます。その後もパブリックコメントを実施したほか、地域での説明会を開催して幅広くご意見をお伺いしております。 地方振興局の配置につきましては、一つは、既存の地方振興局庁舎を使用すること、二つは、アクセスに十分配慮して、地域の中心である旧町村役場まで六十分以内で最短時間になるよう庁舎を選択すること、さらに、これらで判断できない場合には、三つとして、地方振興局の主な業務であります農林水産業施策の展開に最も利便性が高い庁舎を選択するという、以上三つの方針で検討を行ってまいりました。 豊肥地区におきましてもこの方針に従って検討いたしましたが、旧市町村役場からの平均アクセス時間は、大野局までは二十六分であるのに対しまして、竹田直入局までの方がやや短い二十二分であること、また、豊肥地区全体の第一次産業振興の利便性という観点から豊肥地区内の各農業集落からのアクセスを調査しましたところ、六割から七割の農業集落にとって農業従事者数のベースでも耕地面積のベースでも竹田直入局の方が近いということから、現在の竹田直入局庁舎が望ましいという結論に達した次第でございます。 現在の大野局の場所には、平成二十一年度までの四年間、地方事務所を設置いたしまして、豊後大野市の行財政運営の支援に万全を期す一方で、農業普及業務や旧町村部対策については、職員が今まで以上に現場に出向き、むしろ体制が強化されたと評価されるように職員一丸となって取り組んでまいります。 以上でございます。 ○荒金信生議長 角野商工労働部長。  〔角野商工労働部長登壇〕 ◎角野然生商工労働部長 まず、商工会の役割についてお答え申し上げます。 商工会は、金融、税務等に関する相談、指導のほか、経営革新や創業支援に関する指導など地域の商工業の振興に重要な役割を果たしておりまして、県といたしましても、そうした取り組みを行う商工会に対し、必要な支援を行っているところでございます。 今年度につきましては、例えば、地域活性化のリーディング店舗として育てるべく、応募のあった二十二店舗に対し、専門家による個別指導などを行うほか、国が優秀な経営指導員として選定したシニアアドバイザーによる創業や経営革新に対する質の高い支援を行っているところでございます。 また、ジャパンブランド育成事業として、豊後牛、豊の活きぶり等を県産ハーブを使って加工した高級総菜を開発し、全国や海外への市場開拓を目指しているところでございます。 さらに、コミュニティービジネス支援事業では、野津町商工会が高齢者への宅配等を計画しておりまして、また、合併地域活力創造特別対策事業では、大田村商工会が地元産のギンナンやクリ等を炊き込んだお宝めしによる地域づくりに対しまして支援をするなど、商工会は周辺部対策事業にも大きな役割を果たしているところでございます。 県といたしましては、このように積極的に役割を果たそうとするやる気のある商工会に対し、支援をしてまいりたいと考えております。 今後も、市町村合併の中で過疎化、高齢化の進行が懸念される旧町村部の活力をどう維持していくかという問題は大変重要な課題でございます。地元にある地域資源をうまく活用したビジネスへの取り組みだとか、活力まちづくりなどに向け、地域の総合経済団体としての商工会の役割は旧町村部地域の活性化という点でも一層大きくなるというふうに考えておりますので、県といたしましても、その機能強化、支援のあり方につきまして、今後十分に検討してまいりたいというふうに考えております。 続きまして、商工会の合併についてお答え申し上げます。 大分県商工会連合会では、本年一月に策定した行政合併に対応する商工会行動プログラムに基づきまして、商工会合併問題研究委員会を七月に設置し、合併後の商工会のあるべき姿などに関して協議を始めたところでございます。また、それぞれの地域においても商工会合併研究会を立ち上げ、合併に向けての具体的な検討を進めているところでございます。 県といたしましても、各委員会、研究会に委員として参加し、情報提供や助言を行っているところでございます。 商工会の合併は、あくまでも当事者同士が地域の実情などを踏まえた上で自主的に判断していくものと認識しておりますが、他方、合併後の商工会が財政の健全性を確保しながら、地域商工業者のニーズにこたえ、かつ、新市における地域活性化のリーダーとして活躍することが期待されていることから、県といたしましても必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。 特に、現在、研究会などで議論されている課題としては、例えば、合併後の各商工会を本所・支所方式として体制を整備し、巡回指導の徹底や専門的な指導の強化によって会員サービスの向上を図ろうとする取り組みだとか、商工会役職員の資質向上のための人材育成や人事評価制度の導入といった取り組みがあります。 また、先ほども申し上げたとおり、新市周辺部における地域活性化へ向けた取り組みも重要な課題になっております。 県といたしましても、これらの検討状況に注目しておりまして、今後、各地域ごとの商工会合併研究会における協議の進捗度合いに応じ、具体的な支援のあり方を検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○荒金信生議長 渡辺農林水産部長。  〔渡辺農林水産部長登壇〕 ◎渡辺節男農林水産部長 森林環境税の使途と県産材利用促進策についてお答えいたします。 森林環境税を活用した新たな森林づくり事業提案につきましては、これまでに一般県民や企業、団体などから二百五十七件の提案をいただきました。 提案の内容は、荒廃森林の整備等に関するものが七十七件と最も多く、次いで森林ボランティアに関するものが六十四件、木材の研究開発などに関する提案が二十件などとなっております。 森林環境税の使途につきましては、県民中心、県民参画の理念に基づき、県民提案を最大限に反映し、災害が懸念される荒廃人工林や里山林の整備、木材の新たな用途開発等の県産材の需要拡大対策や森林ボランティアの支援などに取り組みたいと考えています。 いただいた提案については、地域の独自性を尊重しつつ、その事業効果や適正経費などについて森林づくり流域協議会や県民総参加の森林づくり県民会議で十分精査、検討いただき、来年度からの具体的事業として実施してまいりたいと考えております。 次に、県産材の利用促進につきましては、県内消費拡大と県外出荷推進の両面から取り組んでおります。 県内対策としては、これまで県産木造住宅や、朝地小学校、大野町物産館など公共施設の木造化に対して助成を行い、地域での消費拡大を図ってきたところです。 さらに、木材が子供の心身の健康や安全性の面で効果があることや、母親がそれを実感することで木造住宅への広がりが期待されることから、幼稚園、保育所の内装木質化にも取り組んでおります。 また、大分方式乾燥材は、内部割れがないなど材質的にもすぐれ、各方面からの高い評価をいただいております。品質のすぐれた住宅部材が求められている今こそ、これを消費拡大の好機ととらえ、大分方式乾燥材を使った住宅建設に取り組む工務店との連携を強化し、一層の需要拡大を図りたいと考えています。 一方、県外出荷については、工場間の品質格差をなくし、大量注文にこたえられる体制づくりを目指して、本年二月に発足した大分方式乾燥材に積極的に取り組む工場を会員とする大分県産材流通情報センターを支援し、今後、首都圏や関西などで展示即売を実施し販路拡大を図るとともに、インターネットを活用した受注販売にも取り組むこととしています。 森林環境税に寄せられた県民の期待にこたえられるよう、今後とも健全な森林環境の保全、県産材の需要拡大に積極的に取り組みたいと考えています。 以上でございます。 ○荒金信生議長 渡辺土木建築部長。  〔渡辺土木建築部長登壇〕 ◎渡辺浩志土木建築部長 公共施設の木造化についてお答えいたします。 議員ご指摘のとおり、木材は人の健康や環境に優しい特性を持ち合わせているとともに、県産木資材の活用は地場産業の育成に重要な役割を担っています。 このため、県では、土木工事において今年度から県産木資材の活用促進を図る地場産業育成モデル工事を実施し、木製ガードレールや木製デッキなどの設置に取り組んでいます。 また、建築工事においては、現在、豊後大野市の農業大学校学生寮を木造で建築中であり、県営住宅を初めとする公共施設においても内装材に県産材の活用を図ることとしております。 さらに、大分駅付近連続立体交差事業による大分駅舎の建設に当たっては、極力、県産材の活用を図るよう、JRに要請しているところです。 今後とも、公共施設の木造化については計画段階から用途や規模等を勘案しながら、その実現化を検討し、改修の際には内装の県産材活用等に積極的に取り組んでまいります。 以上でございます。 ○荒金信生議長 深田教育長。  〔深田教育長登壇〕 ◎深田秀生教育長 ご質問の二点についてお答えいたします。 初めに、三重総合高校の地域活性化コースについてお答えいたします。 三重総合高校の教育方針は、「人生への希望と誇り、そして自分に勝つ強い意志を持ち、豊かな生活を築くとともに、地域の文化、経済の発展の担い手として、また、平和的な国家及び社会の形成者として、たくましく生きる若者を育成する」としておりまして、地域を担う人材を育成するという地域活性化コース設置のご要望の趣旨にも沿うものと考えております。 具体的には、要望のございました地域活性化コースの各学習分野については、三重総合高校に設置する生物環境科において農業や園芸などの学習内容を取り入れるとともに、他の分野の学習内容につきましても可能な限り取り入れており、今後ともより充実させてまいりたいと考えております。 なお、議員ご指摘の総合選択制高校における安易な科目選択への懸念につきましては、三重総合高校では二年次から始まります教科、科目の選択に当たりまして、一年次の進路ガイダンスにおいて個人面接や保護者を交えました三者面談などを通して一人一人の能力、適性、興味、関心、進路希望等に応じたきめ細かい指導を行うことにより、適切な科目選択ができることとしておるところでございます。 次に、大学等の指定校推薦についてお答えいたします。 指定校推薦は、高等学校と大学等との今までの入学実績等と相互の信頼関係から行われているものであります。 新設高校は、現在の三重高校、三重農業高校、緒方工業高校、竹田商業高校の進学、就職実績等を踏まえた伝統や特色を引き継ぎながら統合するという発展的統合をもとに、新しい学校づくりを進めておるところでございます。 このようなことから、例えば、三重高校と関係大学の間において築かれてきました指定校推薦につきましても、三重高校と新設校が連携を密にしてともに関係大学に統合の経緯等を十分説明することにより、新設校にあっても従来どおりの指定校推薦が維持できるものと考えており、県教育委員会といたしましても十分な支援を行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○荒金信生議長 再質問はありませんか。--佐々木哲也君。 ◆佐々木哲也議員 再質問じゃございませんが、数点にわたりまして要望をお願いいたします。 知事におかれましては、懇切丁寧な答弁、まことにありがとうございました。 今、十分説明はいただいたわけでございますが、この豊後大野市は大変難しい合併を乗り越えて一つになった市でございます。非常に市民は、今回の行政改革、評価はしております。改革はやらなければいけないということは十分に皆さん認識しておるわけでございますが、総論賛成、各論になればというようなところがありまして、振興局がなくなるということに非常に不安を抱いていることは事実でございますんで、今答弁いただいたとおりで、本当にありがたい答弁いただいたわけでございますが、どうかこの地域の支援を、さらに支援をしていただきますよう強く要望いたしたいと思います。 それから、また、再度お礼申し上げますが、木材を利用して新設高校をつくっていただきました知事さんに対しまして、本当に心からお礼申し上げます。 一点だけ、この点につきまして、今、土木部長からご丁寧な答弁いただきましたが、木造の建築に対しまして、ひとつ私は、もう少し県が取り組んでいかなければいけないのは研究ではないかというふうに思っております。 木材のよさというのは皆さんが認めておるんですが、どうしても設計が非常に高いものになってくる。従来、日本で建築をされてきた技術であり、木材の強度というものは過去からきちっと示されてきておりますんで、もう少し設計段階でコストの安い住宅の建築が、どうも公共物になりますと設計単価が高くなりますので、そのあたりを十分に検討していただいて、木材でも十分強度はあるわけでございますから、もう少し安く設計ができるような研究もしていただければ、もう少し、木造建築も伸びていくんではないかというふうに思っております。 特に、大分県におきましても、林野面積は非常に広いわけでございますから、この分野を何としてでも何かの形で手をつけていただいて振興していただければ、必ず景気はよくなるというふうに思っておりますので、いま一度、木材に対する目を向けていただきたいというふうに思っております。 それから、農業につきましては、本当に今、懇切丁寧な答弁の中で、これからの農業に何か光が見えたというような感もいたしましたが、どうか、今、一生懸命、普及員、指導員も若い方が入っておりますので、こうした職員を十分教育をしていただきまして、やはり大分県の農業ここにありということを示していただきたいというふうに思っております。どうかよろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。 ○荒金信生議長 以上で佐々木哲也君の質問に対する答弁は終わりました。 小野弘利君。  〔小野議員登壇〕(拍手) ◆小野弘利議員 三十四番、社会県民クラブの小野弘利でございます。 さきの台風災害につきましては、昨日、我が会派を代表して吉田議員の方から申し上げましたので、私はもう割愛をさせていただきます。 九月十四日の合同新聞での、総選挙後の内閣支持率が一一%上昇して五九・一%という報道につきましてはいささか納得をしかねますけれども、同じ紙面で、広瀬県政支持八〇%、高水準キープという報道については歓迎をし、限りなく一〇〇%に近づくように期待をしながら質問をさせていただきます。 まず初めに、戦後六十年の歴史認識についてであります。 戦後六十年を迎えた今、改革の名のもとで戦後政治の総決算が声高に語られる中で、中国の反日デモを挟んで繰り返される我が国の政府首脳や現職閣僚の靖国神社参拝や教科書問題に関する時代認識を欠いた言動が日中関係の急速な悪化と日韓首脳会談の事実上の物別れという事態を招いています。 また、一九九九年の周辺事態法の制定に始まって、今続けられていますイラク・サマワへの自衛隊派遣、とりわけ今回の第七次の復興支援隊は、日本の自衛隊が占領軍と呼ばれるような非常に危険な批判を浴びる中で、北部九州から五百人、そのうち約六十人は県内の隊員、しかもこの隊を指揮する群長が私の高校の同窓生でもある武蔵町出身の岡崎勝司さんということを聞きまして、いよいよ戦争が身近なところまで差し迫ったなという感じを強くするこのごろであります。 また、九月十七日、佐世保市商店街で銃を携えた自衛隊員の武装行進が初めて行われたというような報道もありましたし、その翌日にはまた、模擬戦闘シーン中にヘリコプターが墜落というようなことも報道がありました。 戦後六十年間、太平洋戦争についてもいろいろと語られてきましたけれども、私は、なぜあのような目的もあいまいな戦争を三年八カ月も続けたのか、また、あの戦争とは何であったのか、どうして始まり、どうして負けたのか等についての歴史的検証が十分になされなかったし、国民に対する説明責任が果たされていないというふうに今でも考えています。 戦争というものは、もともと単純に善悪二元論で済まされる代物ではありませんけれども、あの戦争はどういう意味があったのか、何のために二千万人を超えるアジアの人々の命を奪い、また、三百十万人もの日本人が死なねばならなかったのか、このことをきちんと私たちは見据えなければならないし、戦後六十年に当たる今こそ、太平洋戦争の本質について考える最後のチャンスではないかとも考えております。 ところで、「韓流」という言葉まで生み出した日韓友好ムード、それに至る契機ともなった二〇〇二年日韓共催ワールドカップサッカーのために大分県民が払った巨額の財政投資の意義は何であったのか。また、本県は大韓航空や中国東方航空の大分空港乗り入れのためにも公費を投入しています。 このように考えますと、改めて東アジア各国の対日不信の持つ政治的、経済的影響について、この県議会の場でも議論をすることが必要であるというふうに考えます。 また、国民保護法に基づきまして、広瀬知事を会長とする大分県国民保護協議会が発足し、大分県国民保護計画の策定作業が始まるようでありますが、消防庁が作成したモデル計画を見ますと、弾道ミサイル攻撃などという、これまで私たち県民の暮らしに縁がなかった言葉が並んでいるようであります。いよいよ平和とか戦争とかが、真剣に考えなきゃならない身近な県民的課題になってきた、このような感じを強く持っています。 なおまた、今回の総選挙における小泉自民党の圧勝、さらには民主党の代表が交代等によって憲法論議等もこれから加速をされるんではないかというようなことも考えます。 そこで、県民の七割が既に戦後生まれとなった今、戦中生まれである広瀬知事の太平洋戦争に対する率直な思いと、戦後六十年の平和をめぐる歴史認識、そして大分県民が戦後六十年を語るときに必要とする視点、あるいは前提、これについて知事の率直なご意見をいただきたい、このように思います。 次に、教育改革を進める上での今日的教育課題についても知事にお伺いをします。 ゆうべのNHK「クローズアップ現代」でも取り上げられましたが、新しい歴史教科書をつくる会が主導する扶桑社の歴史教科書の採択率が、試算で〇・四%にとどまったということが明らかになっています。前回の〇・〇四%に比べると随分ふえたわけですけれども、つくる会が一貫してこれまで掲げてきた採択率一〇%にはほど遠い結果に終わって、大分県内においても、公立はもちろん、私立の四中学校においても採択はなかったようであります。 大分県内での採択がなかったことは、大分県民の良識に支えられた、つくる会教科書に反対する市民運動の勝利であって、県外における一部採択を見ても、現場教職員の評価が低いのに採択されたのは扶桑社の教科書のみであったことを見ても、子供や教育のためではなく、不当とも言える政治的な思惑によるもので、採択の撤回を求めたい、そういう思いであります。 今後の教科書採択におきましては、教育委員会の公平、公正な指導のもとで、直接指導に当たる教職員と子供や保護者の声が十分反映されるよう、現行の採択制度をさらに充実をさせる、そう努めることが教育の地方分権実現への道につながるというふうに考えております。 そこで、今から百五十年前、咸宜園教育において幾多の人材を世に送り出した私たちの先哲、広瀬淡窓先生の流れを引き、教育にも造詣の深い広瀬知事、そしてまた、教育委員の任命等教育政策においても重要な責任を持たれる知事として、教科書採択問題等も含めまして、教育改革をこれから進める上での今日的な教育課題、これについてもまたお考えをいただきたい、このように思います。 二点目は、教育行政の進め方についてであります。 まず、教育行政の独立性の確保についてお伺いします。 今、政治主導による教育改革が進められています。二〇〇四年八月、当時の河村文科相は、突然、六・三制の弾力化などを含む義務教育の改革案、いわゆる「河村プラン」を発表し、その後就任した中山文科相は、「蘇れ、日本」と題したプランを示し、また、小泉内閣による三位一体改革では、義務教育費国庫負担制度を見直そうという動きが始まっています。まさに、政治主導のトップダウンによる教育改革が行われているのであります。 私は、子供や教育を取り巻く課題に向き合っていくためには、トップダウンではなく、ボトムアップによる、保護者、子供、教職員、そして地域住民の協力、協働による学校づくり、地域に根差した教育改革こそが今求められていると考えます。 最近、全国各地で首長さんの一部に、教育委員会不要論を唱えて、みずから教育行政を担おうとする動きさえ見られます。また、教育委員会が学校教育を支援するという本来のスタンスをみずから放棄して、首長や議会による政治判断をまつというような状況が見受けられ、そのことが教育内容への不当な介入を許すという結果になっているんではないかと思います。 私は、民主的な教育行政を推進するためには、政治選挙とは区別された教育選挙によって、住民の教育的意思をなるべく、直接、純粋に結集しようとした、かつての教育委員の公選制の復活を望んでいるところであります。 そこで、県教育委員長は、教育行政の独立性を確保し、教育行政への不当な介入を防ぐための手だてについてどのように考えておられるか、お伺いをします。 次に、当議会では会派を超えて共通認識に立った対応ができております義務教育費国庫負担制度の本来的な意義について再確認したいと思います。 今、小泉政権が進めている三位一体改革は地方分権の推進を名目にしていますが、その目的は、国家財政の縮減であり、公共サービスの低下、そして地方切り捨てにほかなりません。 ところで、地方の教育環境はますます後退をし、都市部との格差が広がっている中で、義務教育費国庫負担制度の見直しの動きが強まっています。 本来、義務教育制度とは、憲法第二十六条に基づくすべての国民に教育を受ける権利を保障するという制度であって、義務教育費国庫負担制度はまた、教育の機会均等と教育の水準を確保する上で必要不可欠な制度であります。つまり、義務教育費国庫負担は、地方への国からの恩恵的なものではなくして、国が地方で行われる義務教育に共同責任を果たす、そのために義務的に国が支出をする、そういうものだろうと私は理解をしています。 私は、子供、保護者、そして地域に直接責任を持つ学校及び教育委員会が地域の実態に応じたよりよい教育を行うためにも教育の地方分権の推進が一層必要であり、さらには、教育は未来への先行投資であるという考えに立って、義務教育費国庫負担制度を堅持した上で、教育予算増、そしてまた、三十人以下学級などの教育条件整備を早急に行うべきだと考えます。 そこで、教育委員長は、義務教育費国庫負担制度の本来的意義をどうとらえておられるか、また、この制度を堅持するための今後の取り組み方についてもお伺いをします。 三つ目は、地域に根差した教育改革と教育条件整備についてであります。 今、政府が進めている構造改革は、多くの分野で二極化の状況を生み出しています。しかも、すべての分野に市場原理が持ち込まれ、自己責任が押しつけられ、人々の暮らしと生き方に格差が生じ、閉塞感と孤立感が社会を覆い尽くしています。 そうした日本社会の影響を子供たちも直接受けて、依然として後を絶たないいじめや少年犯罪、引きこもり等の実態を見るときに、従来の社会常識や社会規範では考えられない追い詰められた子供たちの危機的状況が色濃くあらわれています。 また、若者の失業率は高どまりしたままで、職業社会への円滑に移行するシステムが崩壊をして、ニートという新たな社会現象をも生み出していますが、そうした社会全体の責任を教育のみに押しつけようとしており、その象徴が教育基本法の見直しであると思います。 しかし、今本当に求めなければならないのは、責任の所在を明らかにすることよりも、子供たち一人一人を大切にした教育改革を地域、保護者、教職員、子供が一体となって進めることであり、そのために国や地方自治体がなすべきことは、その教育改革実現に向けた教育条件整備に全力を挙げることであります。 ところで、文部科学省は、四十年ぶりに、二〇〇七年度から、公立学校の小六、中三全員を対象にした全国学力テストを復活させる方針を固めたと聞いています。全国規模の一斉学力テストは一九五六年度から行われましたが、多くの問題を生じ、十年で廃止された経緯があることを私たちは忘れてはなりません。 中山文科相の言うように、学力テストの目的が競い合い、切磋琢磨する心をはぐくむことにあるとするならば極めて問題は大きく、画一テストではかれる学力だけで子供や教職員を評価する傾向に拍車がかかるおそれが多分にあります。特に、全児童生徒を対象とする、いわゆる悉皆調査は、その弊害が深刻であることを見逃してはなりません。 そこで、次の三点について教育長の見解を伺います。 まず第一点は、これから議論が加速されるであろう現行教育基本法の見直し論議についてどのように受けとめておられるか、お考えをいただきます。 次に、今、国や県が進める教育改革において、教育分野への株式会社の参入など教育の民営化、また、高校改革推進計画における併設型中高一貫教育校の設置や通学区の拡大など、明らかに教育現場に競争主義、市場原理が持ち込まれようとしていることについてどう考えておられるか、お聞きをします。 三つ目は、全国一斉学力テストの復活をどう受けとめておられるか、また、現在、県が実施している学力調査の今後の取り扱い方についてもお伺いします。 なお、昨日、三浦議員の質問に教育長は、テストの結果を学校ごとに公表するとの答弁でしたけども、私の質問にまた答弁をいただいた後で、再質問でまたこの点については伺いたいと思います。 三つ目の質問は、市町村合併の現状と課題についてであります。 けさほど江藤議員の質問にもありましたが、視点を変えて伺いたいと思います。 二〇〇五年三月三十一日を一つの区切りとして、平成の大合併は、終盤での駆け込み合併や土壇場での破綻を繰り広げながら、その第一幕をおろしました。 合併に当たってはさまざまな形で論じられましたが、帰するところ、財政上の効用が合併論の背景にありました。 率直に言って、今回の市町村合併は、国策による強制合併であり、住民にとっては、詐欺合併とまでは言いませんけれども、こんなはずではなかったと当て外れ合併であり、職員にとってはまさしく行革合併と言わざるを得ません。 ところで、過疎、少子・高齢化の進展する中で市町村合併は避けて通れない課題であるという認識で、明確に反対と言い切れなかった私たちでありますけれども、ここで合併の現状と課題について考えてみたいと思います。 平成の大合併第一幕の結果、我が大分県は十四市三町一村となり、合併チャンピオンにはなり得なかったけれども、合併先進県の雄であることは、けさほど江藤議員が言われたとおりであります。しかし、この合併先進県であることを単純に喜んだり、自慢してはならないと思います。 というのも、県内における合併後の新市の状況を見ますと、具体的に列挙する時間は今ありませんが、過疎対策事業の縮小、高齢者福祉の後退、教育関連予算の削減、また、祭りやイベントなどの地域伝統事業の存続か廃止の問題、さらに、地域特性を生かした産業政策など、旧町村時代の制度廃止やシステム変更など多くの問題点が各地で指摘されています。つまり、本来の合併理念が大きくぶれて、合併したことによって、かえって住民負担がふえ、行政サービスが低下をする、こういう結果を招いているのが現状ではないかと思います。 今後、合併に至るまでの経過の検証、あるいはまた、合併後の評価が行われて、合併した自治体はもちろんですが、合併を指導、推進した県の責任についても厳しく問われることになるかと思います。 そこで、次の五点について総務部長の見解をお伺いします。 第一点は、合併市町村が行った合併前の住民の合意形成や民主的手続等についてどのように評価されているか。 次に、県内市町村に交付される二〇〇五年度の普通交付税も決定されたようでありますが、合併後の新市に対しては、県としてどういう視点で定員管理や事業、あるいは財政運営などについての助言、指導を行うのか、また、新市の今年度の予算については県としてどう評価しているか、お伺いします。 第三点は、八月三十一日に公表されました新市町村合併支援プランの内容はどうなっているか、また、県として、新特例法に基づいて、姫島村など、今後の合併をどのように進めるか、お伺いをします。 第四点は、小泉政権が進める三位一体改革により合併優遇措置が将来にわたって維持されるかどうか、大変不安でありますが、三位一体改革の今後の見通し、そしてまた、合併優遇措置や新市建設計画への三位一体改革が及ぼす影響についてもお伺いをいたします。 最後に、五点目は、合併方式や自治体規模などの違いにより各新市において旧町村部対策に濃淡が見られますが、県として現状をどのように受けとめているか、お伺いをします。 また、旧来の文化や伝統を尊重し、周辺部住民の意思を新市政に反映させるための地域審議会等のいわゆる地域自治組織の設置状況、そして今後の取り組み方についてもお伺いをします。 最後の質問は、自殺の現状と背景及び自殺防止のためのうつ病対策についてお伺いします。 私は、二〇〇二年の第三回定例会の一般質問で自殺の実態とその予防対策について質問して以来、自殺問題について何度か発言をさせていただきました。しかし、まだまだこの自死遺児救済事業等、若干の前進はあったものの、国、県、市町村における取り組みは十分とは言えず、効果があらわれていません。 そこでまず、自殺の現状とその背景について伺います。 警察庁の統計によりますと、年間の自殺者数は、昨年まで七年連続で三万人を超え、交通事故による死者数の約四倍にもなります。十万人当たりの自殺者も二〇〇三年には二十七人、これは先進国では突出して高く、自殺社会とも言える異常事態が続いています。 大分県の自殺者数も、昨年は三百三十四人、十万人当たり二十七・五人と全国平均を上回り、ここ五年間三百人台が続いています。 自殺者の増加の背景には、経済情勢の変化や能率主義、成果主義に基づく人事評価に追い詰められる労働職場での人間関係の悩みや、仕事へのプレッシャーなどによるストレスの高まり、また、過重労働による過労で心の健康を損なう人がふえております。命を断つ前の心理状態は、極度なうつ状態にあることが多いと言われています。また、厚生労働省によると、うつ病などの気分障害で医療機関を受診した推計患者数は、一九九九年の四十一万人から、二〇〇二年には七十一万人、わずか三年間で倍増しています。 そこで、大分県内における自殺の現状について、また、その背景についてお伺いをします。 二点目は、自殺予防対策についてであります。 七月十九日、参議院厚生労働委員会の自殺に関する総合対策の緊急かつ効果的な推進を求める決議を受けて、国では、自殺予防総合対策センターを設置し、地域の行政機関やNPOと連携して全国的なネットワークをつくるなど、総合的な自殺防止対策に乗り出すとのことであります。 既に、自殺者が比較的多い北海道、また、東北三県では、うつ病を早期に見抜くなどの自殺予防策を書いたチラシを共同で作成したり、ストレスやうつ病に関する住民意識調査の実施など、相談や治療を受けやすい環境をつくることで自殺者を減らす取り組みが行われ、一定の成果を上げているようであります。 また、生産性本部のメンタル・ヘルス研究所の調査で、残業が月に六十時間を超すと自殺を考えたことのある人の割合が急にふえるというような結果が出たということを考えるときに、企業等の労働現場に対する行政の対応が今後必要になってくると思います。 そこで、本県としてもうつ病の早期発見、早期治療に向けた対策など県民の心の健康保持、増進を図る取り組みを行っているわけでありますが、今後、痛ましい事態を防ぐためにも、うつ病に対する偏見を取り除き、正しい理解を深めるための啓発と早期発見、早期治療など、うつ病対策の充実を目指して関係部局を横断した総合的な取り組みが望まれるところで、県としての取り組み方についてお伺いします。 なお、現行の自死遺児救済事業の実績と今後の取り組み及び自死遺児等関係者の心のケア対策についてもお伺いをします。 最後になりましたが、過疎、少子・高齢化が進む中で、我がふるさとを守るために日夜努力をされている後援会の皆さんに改めて敬意を表したいと思います。 また、きょうは、秋の農作業の大変忙しいときにたくさんの方の傍聴参加をいただいたことに心からお礼を申し上げて、質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。(拍手) ○荒金信生議長 ただいまの小野弘利君の質問に対する答弁を求めます。 広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 ただいま小野弘利議員には、平和に対する歴史認識、あるいは教育の問題、さらには市町村合併の課題、そして自殺の問題と、大変広範に、かつ、基本的な事項につきましてご質問をいただきました。順次、お答えを申し上げます。 まず、戦後六十年の平和に対する歴史認識等についてでございます。 さきの大戦では、全国で三百万余、そして本県におきましても四万一千余の方々がとうとい犠牲になられました。戦塵に散り、戦禍に倒れた方々の無念を思い、あるいは、戦後、遠い異郷の地で亡くなられた方々の強い望郷の念を考えるときに、我々は二度と戦争を起こしてはならないと強く思うのであります。 「歴史をかがみとし、未来を見据えていく」ということが言われます。我々は、さきの不幸な戦争の歴史をまさにかがみとして、二度と過ちを繰り返さないようにしなければなりません。 戦後六十年、我が国は一度の戦火も交えることなく、大砲よりバターを選択しまして、このことが国民に大きな福利と繁栄をもたらしました。改めて、平和のとうとさに思いを至すところであります。 また、忘れてならないのは、さきの戦争で我が国が、特にアジア諸国の人々に多くの災いをもたらしたということであります。戦後は、このことにしっかりと向き合いつつ、経済協力等によりまして、こうした国々の経済発展にも寄与しているところであります。今後とも、お互いの歴史や文化を相互に尊重、理解し合いながら、未来に向かって友好のきずなを深め、確かなパートナーシップを築き上げなければならないと考えております。 さらにまた、我々は、なぜ我が国があのような戦争に突き進まなければならなかったかということについても学ばなければならないと思います。 列強間の激しい資本、資源の争奪戦という国際情勢はあったものの、我が国が余りにも国際的に孤立状態に陥っていったということが大きな背景にあります。こうしたことへの反省から、我が国は、戦後、米国との同盟や国連を中心とした国際的な協調体制の中で、平和主義のもとに国際平和への取り組みを進め、今日の国際的な信頼と地位を得てまいりました。 しかしながら、東西冷戦を経て新たな国際秩序が築き上げられた中で、米国同時多発テロというような新たな脅威も出現してまいりました。こうした事態に対して、我が国としても危機管理体制の整備など今日的な課題に取り組んでいかなければならないと考えております。 戦後六十年という節目に当たりまして、二度と戦争への道を歩んではならないということを国民、県民が改めて共通の認識とするとともに、現在の平和を確実に次世代に引き継いで、未来を見据えて平和な社会を築き上げる努力をたゆまなく続けなければならないというふうに考えております。 小野議員には、いつもながら大変難しいテーマにつきましてご質問をいただきます。教室の口頭試問を受ける感じで謹んでお答えをさせていただきましたが、果たして合格点がとれたかどうか、心配であります。 次に、教育改革における諸課題についてのご質問もございました。 教育は、国家百年の大計に立って取り組むべき最も基礎的なテーマであります。現代社会におけるさまざまな課題の解決に当たりましても、教育、すなわち人づくりが重要なキーポイントになると考えております。そのため、先般取りまとめられました新たな県の長期総合計画におきましても、あすを開く人づくり戦略として、教育改革の推進を重点的、戦略的に取り組むこととしております。 議員からご紹介いただきました広瀬淡窓が江戸時代の咸宜園で実践した平等主義や実力主義などの教育方針、例えば、入門時に年齢、学歴、身分の三つを奪い、皆ひとしくスタート台に立って学び始めるという三奪法や、塾での学習の成果を厳格に評価する月旦評、個性尊重といったようなものも現代の人づくりに相通ずるものがあると考えております。 もとより教育とは子供たち一人一人が持っている能力や個性を最大限に伸ばすことでありまして、子供たちはその能力に応じてひとしく教育を受ける機会を与えられる中で互いに切磋琢磨を繰り返して成長していくものと考えております。 現在、県では、教育委員会を中心に、三十人学級の導入、学力テストの実施などによる小、中、高等学校を通じた学力向上対策、高等学校の再編整備や通学区域の拡大などの高校改革、学校評価システムなどの開かれた学校づくり、そして教職員評価システムの導入などによる教職員の資質、能力の向上などに取り組んでいるところであります。 教育改革を推進するに当たって大切なことは、学校、家庭、地域がそれぞれの役割を果たしていくとともに、三者が連携して一人一人の子供たちに目を注ぎ、慈しみ、はぐくもうとする教育の輪を広げることであります。そうした趣旨を実現するため、このたび、おおいた教育の日が制定されましたので、これを契機に、その取り組みを県民総参加の運動に高めていきたいと考えております。 なお、議員ご指摘の教科用図書の採択につきましては、関係法令に基づきまして、市町村教育委員会が文部科学大臣の検定を経た教科書の中から採択することとされておりまして、本県においても採択権者である市町村教育委員会が、その権限と責任のもと、公正かつ適正な手続を経て決定したものと認識いたしております。 私からは以上でございます。その他のご質問につきましては、関係部長から答弁をさせていただきます。 ○荒金信生議長 小寺教育委員長。  〔小寺教育委員長登壇〕 ◎小寺隆教育委員長 教育に関連する二点のご質問にお答えいたします。 まず、教育行政の独立性についてでございます。 教育委員は、教育委員会に党派的対立が持ち込まれる弊害を解消するため、公選制が廃止され、議会の同意を得て、首長により任命されることとなり、良識ある判断を持って教育の進むべき方向や施策について決定する重要な役割を担っております。 私は、子供たちの学力の低下、いじめや不登校、学校の安全管理などさまざまな教育課題に対し、中立性、継続性を確保しつつ、住民意思を行政に的確に反映する、首長から独立した合議制の執行機関である教育委員会の制度は有効に機能しておると考えております。 現在、中央教育審議会では、本制度にかかわる教育行政の中立性、安定性、継続性や意義、役割等についての検討が進められており、その動向を見守ってまいりたいと考えておりますが、私といたしましては、今後とも、あらゆる意味において中立性をしっかりと確保しつつ、住民の多様な意見を時宜に応じて的確に把握し、多様な教育問題に見識を持って対応していきたいと考えております。 次に、義務教育国庫負担制度についてお答えをいたします。 議員ご指摘のとおり義務教育国庫負担制度は、子供たちがどこに住んでいようと安心して全国一律で同じ教育を受けることができるよう、教育の機会均等と最小限の教育水準を確保する上で国が責任を持つべき必要不可欠なものであると考えております。 これまで義務教育国庫負担制度の堅持について全国都道府県教育委員長協議会等を通じての要望や関係機関への働きかけを行ってまいりましたが、県教育委員会といたしましても、文部科学省を初め、関係省庁へその制度の堅持を強く要望してきたところでございます。 また、早ければ来月末ごろにも、中央教育審議会から答申がなされるやに聞いております。私は、この制度が堅持されることを念願しておりますので、引き続き関係省庁への要望を行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○荒金信生議長 深田教育長。  〔深田教育長登壇〕 ◎深田秀生教育長 ご質問の三点についてお答えいたします。 まず初めに、教育基本法の見直しについてお答えいたします。 現行の教育基本法は、昭和二十二年の施行以来、半世紀を経ております。この間、社会が大きく変化し、教育全般にさまざまな課題が生じていることから、国の中央教育審議会は、平成十五年三月、同法の普遍的な理念を大切にしつつ、公共に主体的に参画する意識や態度の涵養など今日極めて重要と考えられる理念や原則を明確にするとともに、これを実現するための教育振興計画の策定を提言し、現在、国において改正案の作業が進められているところであります。 県教育委員会といたしましては、教育基本法が我が国の教育の根本を定める重要な法律であることにかんがみ、より多くの方々に関心を持って十分論議を深めていただくことは極めて重要かつ意義のあることと受けとめております。今後の国の動向や論議の行方に注目してまいりたいと考えております。 なお、議員ご指摘の教育行政をめぐる論議につきましては、これまでの最高裁の判決でも、「教育内容に対し行政はできる限り抑制的であることが要請されるが、教育の機会均等を図る上から全国的に一定水準を確保するなど必要かつ相当な範囲で行政は教育内容について決定することができる」とされておりまして、私も同様と考えております。 次に、教育における競争、市場原理についてお答えいたします。 平成十九年度に県立大分豊府高校に導入を予定しております併設型中高一貫教育は、中学校と高等学校の六年間の教育指導を計画的、継続的に行うことにより、生徒一人一人の個性や創造性を伸ばし、社会性や豊かな人間性を育成することを目的としておりまして、中学校、高等学校教育のより一層の多様化が図られるものと考えております。 また、通学区域の拡大は、生徒の学校選択の幅を広げ、県下のどの地域に住んでいようとも、みずからの適性や進路希望に応じまして主体的に学校を選択することができるようにすることを目的といたしております。 また、民間会社によります学校の設置につきましては、教育の質の確保や継続性、安定性等に対する対策も含めて、現在、構造改革特区において取り組みが行われているところであり、その推移を見守っていく必要があると考えております。 いずれにいたしましても、こうした取り組みは、グローバル化、情報化、少子化など社会構造の急激な変化や国民の意識と価値観の多様化が進む中で、これまでとかく硬直的、画一的といった批判のある学校教育のあり方を見直し、より柔軟性と多様性に富むものとするため進められているものでありまして、それぞれの学校が互いに競い合い、特色ある学校づくりに努めること、そのことによりまして学校教育全体の質の向上が図られていくものと考えております。 最後に、全国一斉学力テストと県の学力調査についてお答えいたします。 学校週五日制のもと、教育内容の削減や国際学力調査の結果などを背景に児童生徒の学力低下が懸念される中、文部科学省は、平成十九年度に全国すべての小学校六年生と中学校三年生を対象に全国的な学力調査を実施する方針を固めたところであります。 具体的な実施方法等、詳細はまだ明らかにはされておりませんが、そのねらいは、全国的な学習到達度、理解度を把握、検証し、各学校における教育指導の改善充実に生かすとともに、国における教育施策の成果と課題の検証を行うこととされており、意義あるものと考えております。 次に、県が平成十五年度から実施しております基礎・基本の定着状況調査につきましては、すべての小学校五年生と中学校二年生を対象に、全国水準に照らした学力水準や児童生徒一人一人の学習のつまずきを客観的に把握し、各学校ごとに個に応じたきめ細かな指導に役立てるとともに、学校、家庭、地域が一体となった学力向上への取り組みを促進することとしております。 また、これまで蓄積された調査結果と比較検討すること等によりまして本県における学力向上に係る施策の改善に生かすなど、県独自の目的があることから、引き続き実施してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○荒金信生議長 福浦総務部長。  〔福浦総務部長登壇〕 ◎福浦裕介総務部長 市町村合併に関連して、五点お答えをいたします。 まず、合併前の住民の合意形成に関してでございますが、県としましては、県内の市町村合併につきまして、研究会や任意協議会を経て、法定合併協議会を設置し、十分な議論、検討を重ね、しっかりと合意形成がなされ、実現したものというふうに認識をしております。 例えば、東国東地域では、各町村ごとに区長等の住民代表から成る検討組織を設置し、協議、検討を行うとともに、広報誌の発行、ホームページの開設、三年間で延べ百四十回を超える住民説明会の開催、全世帯を対象とした住民意向調査の実施など積極的な情報提供に努め、住民の声を踏まえた合併協定項目の協議や新市建設計画の作成に取り組んだものと考えております。 また、本県の合併が実現したすべての地域において、法定協議会設置及び合併関連議案、いずれの議案につきましても、地域住民の意向を踏まえて、関係市町村議会での慎重審議の上、可決されたところでございます。 したがいまして、合併に至るまでの手続についても適切であり、問題はなかったものと認識しております。 次に、合併新市の行財政運営でございますが、合併直後の新市は、一般的に、類似の団体に比べて職員数が多くなるなど、行政経費は割高となります。そのため、合併新市はみずから積極的に行財政改革に取り組み始めているところであり、国の新地方行革指針に基づき、適正な定員目標の明示など具体的な取り組みが盛り込まれた集中改革プランを策定、公表することとされております。 その際、県としましては、類似の団体と比べて職員数は多過ぎることはないか、また、総人件費の水準は適正かなどの視点から助言を行ってまいりたいと考えております。 また、本県では四月までに新しく九つの合併新市が誕生したところでありまして、これらの新市では七月までにすべて、新しい議会の審議を経て、最初の本格的予算の編成が行われました。 新市においては、厳しい財政状況を踏まえて行財政改革に取り組む一方で、道路や情報通信網など新市の一体性を確保するためのインフラ整備等の行政課題にも、国や県の支援措置を活用しながら、着実に取り組んでいるものと考えております。 次に、新市町村合併支援プランと今後の合併についてでございます。 まず、国がさきに公表しました新市町村合併支援プランについてでございます。大きくは二つの点で、従来のプランと異なっております。 第一点は、支援プランの対象であります。 新プランは、平成十七年四月一日施行の新合併特例法に基づく合併市町村及び同法に規定されております合併構想に位置づけられた市町村が対象となっております。 二点目は、従来の合併特例債を初めとした一部の財政支援措置が廃止、縮小されている点であります。 次に、新合併特例法に基づく市町村合併の進め方についてでございますが、旧合併特例法の適用を受け、本県の市町村合併は全体としては一段落したものと考えております。 ただ、しかしながら、津久見市のように合併を希望する団体もありますし、姫島村のように環境が整えば合併に向けた自主的な取り組みが始まると予想される地域などもありますので、それぞれの地域の実情に応じ、適切な支援を行っていく必要があると考えております。 四点目でございます、三位一体改革の合併優遇措置への影響についてでございます。 昨年秋の政府・与党の合意におきまして、平成十七年度及び十八年度は、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保するとされました。さらに、税源移譲についても、おおむね三兆円規模を目指すとされているところでありますが、県としましては、この内容が確実に実施されますよう、知事会等を通じ、国に対して積極的に働きかけを行っております。 また、平成十九年度以降につきましても、地方交付税の合併算定がえや合併特例債などの合併優遇措置は法律に明記をされているものであり、制度的には将来にわたって維持されるものであります。 ただ、しかしながら、地方交付税制度の大幅な見直しも懸念をされますので、交付税依存度が高い市町村が多い本県としましては、交付税制度の財源保障機能、また、財源調整機能の堅持を今まで以上に国に対して働きかけていく必要があると考えております。 最後に、新市における旧町村部対策と地域審議会でございます。 合併した新市においては、旧市町村との情報格差を埋めるため、旧野津地区にケーブルテレビの整備を進めている臼杵市のような例もありますし、また、ワンコインバスの対象エリアを旧佐賀関地区、野津原地区に拡大した大分市のような例もあります。 また、豊後高田市や中津市のように新たに郵便局のネットワークを活用して住民票等の交付に関するサービスを導入する新市や、旧市の蔵書を生かして新市全体で利用できるシステムを整備している竹田市のようなケースもあります。 新市はいずれも発足したばかりであり、まずは新市としての行財政基盤の強化に力を入れるとともに、新市の財政状況や合併協議における経緯等を踏まえまして、それぞれの事業に取り組んでいるものであります。 県としては、合併方式などが理由となって、いわゆる旧町村部対策に濃淡が見られるということはないというふうに考えております。 新市の取り組みには当然のことながら違いはありますが、新市建設計画の具体化を通じ、新市の一体性の確立と均衡ある発展が図られるものというふうに考えております。 しかし、新市における新市建設計画の具体化には時間を要することなどから、現在、県としても旧町村部対策に取り組んでおります。 次に、地域審議会につきましては、合併して誕生した九市及び今後誕生予定の三市、合計十二市の中で九市において設置することとされております。また、設置を予定していない三市においては、議会議員の在任特例制度を適用して旧町村部の議員が引き続き在籍することから、当面は旧町村部の住民の意向は市政に十分に反映できるものと考えております。 新市においては、今後、新市建設計画に基づき、地域審議会の機能を有効に活用しながら、旧町村部を含む、均衡のとれた発展に取り組んでいくものというふうに期待をしております。 以上でございます。 ○荒金信生議長 阿部福祉保健部長。  〔阿部福祉保健部長登壇〕 ◎阿部実福祉保健部長 自殺に関する四点のご質問のうち、三点について私の方からお答え申し上げます。 本県の自殺の現状と背景についてでございますが、自殺者の実態につきましては、議員ご指摘のとおり、平成十六年は三百三十四人と、前年に比べ十八人減少しているものの、五年連続して三百人を上回る状況が続いております。 自殺者の性別を見ますと、男性が二百三十六人で全体の七一%を占めており、全国と同様の傾向にございます。 また、年代別に見ますと、三十代以下では全国平均よりも低いものの、六十歳以上は全国平均並みの三四%、五十歳代と四十歳代は合わせて四六%と全国平均よりも高く、中高年の自殺が多い傾向が示されております。 その原因では、全国と同様、病苦と経済生活問題が最も多く、男性では経済生活問題、女性では病苦がそれぞれ第一位となっております。 自殺者の多くは、心の悩みや抑うつ状態、うつ病などの精神医学的問題を抱えていると推測されており、その背景には、本県においても過労や倒産、リストラ、社会的孤立といった社会的な要因があると考えられております。 次に、自殺予防のためのうつ病対策についてでございます。 厚生労働省によりますと、国民の五十人に一人が過去十二カ月以内にうつ病を経験しており、そのうち四分の一程度が医師の診察を受けていますが、残りの四分の三は、病状で悩んでいても病気であると気づかなかったり、医療機関を受診しづらかったりして医療を受けていません。 うつ病等心の病気の多くは、家族や周囲の人々がその兆候に早く気がついて医療に結びつけることが重要であります。このため、県では、本年度から新たにうつ病に対する正しい知識の普及と病気の早期発見、治療に向けての対策を講じるため、うつ病等対策推進事業に取り組んでいるところでございます。 具体的には、精神保健福祉医療関係者、老人保健・介護保険関係者、母子保健関係者等分野別に研修会を開催するほか、県民の心の健康状態を知るための実態調査を行うとともに、うつ病についての広報や講演会の開催、保健医療福祉関係者向けのうつ病対策マニュアルを作成することにいたしております。 今後とも、経済生活問題や雇用問題などを所管する関係部局や市町村、産業保健等の関係者とも連携しながら、県民の心の健康の維持増進に努めてまいりたいと考えております。 最後に、自死遺児等関係者のケア対策についてお答え申し上げます。 自殺は、本人だけの問題ではなく、関係の深かった人々に深い心の傷を残し、多くの人の心の健康を脅かす深刻な問題ともなっております。 愛する人が自殺で亡くなって、かなりの時間がたった後でも、不安障害、PTSD、いわゆる心的外傷後ストレス障害やうつ病などにかかり、専門の治療が必要になる方もおられます。特に、残された方が児童である場合は、より深刻な影響が懸念されるところであります。 このような自死遺児等関係者の方々の心のケアにつきましては、精神保健センターや県民保健福祉センター、保健所で行っております精神保健福祉相談の中で対応いたしております。 今後は、この相談窓口をより一層周知するとともに、遺族の方々が接すると思われる関係機関へのパンフレットの配置等についても検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○荒金信生議長 堤生活環境部長。  〔堤生活環境部長登壇〕 ◎堤俊一郎生活環境部長 自死遺児救済援護事業についてお答えさせていただきます。 自殺により保護者を亡くされた子供、いわゆる自死遺児に対して、交通事故遺児相談等援護基金を活用しまして、平成十六年度から大分県青少年育成県民会議を通して支援を行っております。 十六年度の実績は、小学生十七名、中学生十名、計二十七名に対しまして、小学校、中学校それぞれの入学祝い金や中学卒業祝い金、また、修学旅行や家族ふれあい旅行、スポーツ・文化事業鑑賞への助成のほか、クリスマスプレゼントなどを差し上げたところであります。 平成十七年度、九月初め現在では、新規受給者四名を含め、小中学生二十六名に支援をいたしております。 今後とも、自死遺児の心の支えとして引き続き支援してまいるとともに、県民みんなで温かく自死遺児を支えていく地域社会づくりに努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○荒金信生議長 再質問はありませんか。--小野弘利君。 ◆小野弘利議員 お疲れのところですが、若干、時間をいただきますが、私は、もともとテストは嫌ですので、点をつけるようなことはちょっと差し控えさせていただきますけども、ことしの九月九日の大分県戦没者追悼式、ずうっと出席をさせていただいておりますけども、とりわけことしは六十年というようなことで、今までと違った感じを受けました。遺族代表の小野幸子さんの、悲しみに耐え、必死に生きてきたというような叫び、あるいは、知事や議長の方からも恒久平和の確立のためにと、ああいう言葉を式の中で聞きながら、この六十年を大事にしなければというような思いがありましたし、そういうところから、身のほども知らず質問させていただいたわけです。 特に、最近気になるのは、一戦争一立法というのに限界が来たと。つまり、アメリカが何か事を起こしたら、日本で法律変えてということで来ておるけど、もう限界が来て、憲法まで変えろというようなところまで来た、そういう状況を非常に私は心配をしているところです。 そういう中で、角谷という政治ジャーナリストが、政治家にはリーダーシップがぜひ必要だと。しかし、それ以上に、過去、現在、未来に対しての複眼的な視点で物を、過去、現在、未来を見るその力、歴史を絶えず検証しながら、歴史を踏まえて現実の政治を進めていく、これが本当の政治家だというようなことを言っているのをいつか読みました。まさに、大分県の最高指導者として知事には、ぜひこの歴史の事実に裏打ちされた、しっかりした歴史認識に立って県政の推進に今後とも努力をしていただきたい。ぜひ一〇〇点にしていただきたいというふうに思っています。 さらにまた、ことしの八月は国東の中学生が二十人、国東の遣唐使という形で中国に、夏休み、四泊五日で行って交流を、杭州を中心にしましたけども、ああいった民間レベルといいますか、アジアの人たちとの交流を図っていく非常に大事な取り組みだったと思いますし、県も幾ばくかの支援をしておるというふうに思いますが、さらにこういった事業が大きく発展をするような、そういう手だてもぜひ、平和という視点でよろしくお願いをしたいと、このように思っています。 学力テスト問題ですけども、これについてもいろいろ議論がなされています。全国一斉の学力につきましても、私はちょうど新卒二年目のときに、学力テストの答案、問題用紙を子供に配った経験があるわけですけども、当時からあの問題について言われていまして、最近も、塾の経営もしながら教育評論をやっている小宮山さんという方もこう言っています。学力テストだけの競争というのは、学校の中身ではないんだと。この学力テスト、今度、文科省が出している学力テストというのは、これはやり過ぎで勇み足だというような批判をしています。 さらにまた、教育評論家の尾木直樹氏等についてはもっとひどく、時代錯誤というような言葉で、だめだというようなことを言っていますし、きのうの教育長の答弁から、大分大学の山岸教授の、お読みになったと思いますけども、まさに教育が踏み込んではいけない一線を超えたんじゃないかというような厳しい指摘もされていますので、こういうところをぜひ受けとめていただいて、この問題については、十分、慎重な配慮をいただきたいと、こういうふうに思います。 きのうの答弁でも、この学力テストというのは、大分県の学力テストも大きな成果があったというようなことをはっきり言っていました。先ほども、全国学力テスト、意義があるというような答弁でしたけども、私が聞きたいのは、確かにいい面もあると思うんですが、こういう事業というのは光の部分と影の部分というのがどうしてもあるわけで、光のところは強く、教育長、今まで言われてきたんですけども、影の部分として、この学力テストについて、どんな配慮というか、心配をしなきゃならぬかという、ここ辺についていま一度お考えをお聞きしたいし、六月の議会で、田中議員の質問で検討しますとやって、今度の九月で公表と、こうなった。この何カ月間の中で具体的にどんな検討をどういうところでやられたんだろうか、このこともお聞きをしたい。 これを始めるときに教育長が言っておった、当初の趣旨と今進めようとしている方向というのは何かこう乖離したような感じがしてならないわけで、そういうところについても、本当に個人のつまずきを何とかしたいというところから一歩踏み出すような感じがしてなりません。そこらあたり、私が心配せぬでいいようなお言葉をいただきたいというふうに思います。 さらに、一定の目標値を超えた学校について公表と、ここら辺のところ、中身がちょっと私どもわかりにくいんですが、説明をいただきたい。 県教育委員会に対して、私どももそれなりの信頼を持ってこれまでずっと来ました。この信頼のきずなというか、それを薄くしたくない一心でありまして、そういう意味から、県民にとっても納得のできる、そういう方向をぜひ、説明責任も含めてやっていただきたいと、このように思っています。 本当に、県民、あるいは保護者が願っているのは何なのかと。この尾木さんの調査でも、三千人を対象にして調査したけども、学力というのは、順位としては随分下の方に。それよりも、助け合うことができる優しい心を持った子供に育ってほしいとか、そういったところが非常に強いわけですから、この学力テストを本当に、うん、いいことじゃ、やれと言う人たちがどういう人たちなのかということもしっかり考えていただきたいと、このように思います。 それから、市町村合併の問題につきましても、もう簡単にいきますけども、順調にいっているというような答弁のようにありますが、課題がたくさんあると思いますし、これからも、合併が求められた背景は何だったのか、それから、その合併を求める理由は何だったのか、そして、どんなことをこの合併で我々は期待をしたのか、そして、その合併、期待と同時に不安も大いに県民は持ってこれまで取り組んできましたから、こういったこれまでの流れをいつもきちっとしながら、これから合併評価をしていかなきゃならぬと思いますし、その評価の基準もきちっと県として持っていただきたい。地域の一体性が本当に保たれているのか、あるいはまた、住民自治がうまく機能しているか、こういったところも大きな、大事な視点として、この合併問題については対処していただきたい。このようなことを申し上げて、教育長にちょっと何点か、回答いただきたい。 ○荒金信生議長 深田教育長。  〔深田教育長登壇〕 ◎深田秀生教育長 ご質問、数点ございましたんで、順番は必ずしも順番にならないかと思いますけども、ご了承いただきたいと思います。 まず一点の学力でございますけども、私どもやはり、学力につきましては、学校教育、知、徳、体、これの総体が学力と考えております。その中の一つの学力を高める、確かな学力を高めるということは、やはり重要な位置づけにあると、このように認識いたしております。 それから、二点目でございますけども、当初の十五年の公表から変わってきたじゃないかというお話でございますが、確かに当初は、郡市別の偏差値というものを公表しておりました。しかし、これ三年目になりましたら、やはり、より学力向上を図るため、保護者、県民の方々の、学校ごとに公表して、そういうご要望もかなりございます。 確かに、三年になりまして、学力向上を図るためには、具体的に学校ごとに、昨日申し上げましたように、例えば国語でしたら、書く力とか、話す力とか、それから文章の読解力とか、そういう幾つかの、国語、十項目と申しましたけども、十項目の中を公表することによって、いい学校につきましては、各学校のいろんなデータを入手しまして自校の学力向上に役立つことができます。学力向上につきましては、年を追うごとに、より精度を増したデータを提供して、より学力向上を図る、こういう日進月歩の世の中でございますので、始めのとおりを必ずしもしなければならないと、そういうことはない、と申しますより、前より積極的に進めるべきじゃないか、このように認識しているわけでございます。 それから、三点目の目標値でございますけども、これは、例えば国語でございましたら、学習指導要領に照らしまして、当然、児童生徒が到達してほしい基準、児童生徒がこのラインまで達していた場合、学習指導要領から見てもおおむね満足という状況のラインが目標値として設定されているわけでございます。 それから最後に、論議の過程で光と影がという話がございましたけども、私どもといたしましては、このことをすることによりましてより多くのメリットが出てくると認識いたしております。 ただ、いろんな関係者の話の中で、きょうの新聞に出たかもしれませんけども、例えば、成績が振るわない児童生徒に対しまして教員が欠席を促すとか、それから、肩身の狭い思いをするとか、そういうようなことがあるじゃないかという、私どもはそう理解しませんけども、そういうお話もあったところでございますけども、私どもといたしましては、そのようなことではなくて、よく児童生徒、保護者にこのテストの意義を理解していただくことが大事じゃないかということを考えておりまして、こういう点につきましては、私どもはメリットとかいうことは考えません。むしろ、正しく、教師、関係者がきちっと対象児童、保護者にこのテストの意義を説明していただければ、必ず理解していただけると、このように認識しております。 以上でございます。 ◆小野弘利議員 議長。 ○荒金信生議長 小野弘利君。 ◆小野弘利議員 時間ありませんから、もういたしません。 ぜひ、文教委員会の中、等でも徹底した論議をしていただきたいとお願いをして、終わります。ありがとうございました。 ○荒金信生議長 以上で小野弘利君の質問に対する答弁は終わりました。 お諮りいたします。本日の一般質問及び質疑はこの程度にとどめたいと思います。これにご異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○荒金信生議長 ご異議なしと認めます。 よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。     ------------------------------ ○荒金信生議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。 日程は、決定次第通知いたします。     ------------------------------ ○荒金信生議長 本日は、これをもって散会いたします。      午後三時五十分 散会...