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  1. 徳島県議会 2003-02-01
    03月03日-02号


    取得元: 徳島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    平成15年 2月定例会   平成十五年二月徳島県議会定例会会議録(第二号) 平成十五年三月三日    午前十時三十四分開議      出席議員計三十八名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     重  清  佳  之 君     二  番     木  南  征  美 君     三  番     川  端  正  義 君     四  番     嘉  見  博  之 君     五  番     森  田  正  博 君     六  番     喜  田  義  明 君     七  番     須  見  照  彦 君     八  番     臼  木  春  夫 君     九  番     黒  川  征  一 君     十  番     古  田  美 知 代 君     十一 番     山  田     豊 君     十二 番     森  本  尚  樹 君     十三 番     岡  本  富  治 君     十四 番     藤  田     豊 君     十五 番     谷     善  雄 君     十六 番     庄  野  昌  彦 君     十七 番     橋  本  弘  房 君     十八 番     冨  浦  良  治 君     十九 番     久 次 米  圭 一 郎 君     二十一番     大  西  章  英 君     二十二番     長  尾  哲  見 君     二十三番     樫  本     孝 君     二十四番     来  代  正  文 君     二十五番     竹  内  資  浩 君     二十八番     吉  田  忠  志 君     二十九番     北  島  勝  也 君     三十 番     杉  本  直  樹 君     三十一番     佐  藤  圭  甫 君     三十二番     児  島     勝 君     三十三番     川 真 田  哲  哉 君     三十四番     遠  藤  一  美 君     三十五番     柴  田  嘉  之 君     三十六番     四  宮     肇 君     三十七番     元  木     宏 君     三十九番     大  西     仁 君     四十 番     阿  川  利  量 君     四十一番     谷  口     修 君     四十三番     榊     武  夫 君   ────────────────────────  出席職員職氏名     事務局長     佐  藤     功 君     次長       松  本  竹  生 君     議事課長     武  知  完  侍 君     調査課長     小  西     昭 君     調査課主幹兼課長補佐              八  木  利  昭 君     議事課課長補佐  滝     壽  郎 君     議事課課長補佐兼議事係長              木  村  輝  行 君     事務主任     多  田  清  治 君     同        張     功  人 君     同        大  屋  英  一 君     同        前  田  隆  司 君     主事       谷  本  か ほ り 君   ────────────────────────  出席速記者氏名     速記者      井  上  順  子 君   ────────────────────────  列席者職氏名     知事       大  田     正 君     出納長職務代理者副出納長              高  木  直  規 君     企業局長     中  村     稔 君     企画総務部長   迫  田  英  典 君     県民環境部長   飯  泉  嘉  門 君     保健福祉部長   谷  川  博  文 君     商工労働部長   神  野     俊 君     農林水産部長   錦  野  斌  彦 君     県土整備部長   上  総  周  平 君     財政課長     米  澤  朋  通 君     財政課課長補佐  坂  東  敏  行 君   ────────────────────────     教育委員長    山  下  直  家 君     教育長      松  村  通  治 君   ────────────────────────     人事委員長    岸     一  郎 君     人事委員会事務局長増  金  賢  治 君   ────────────────────────     公安委員長    武  田  克  之 君     警察本部長    北  村     滋 君   ────────────────────────     代表監査委員   四 十 宮  惣  一 君     監査事務局長   松  平     清 君   ────────────────────────  議 事 日 程   第二号   平成十五年三月三日(月曜日)午前十時三十分開議 第一 県政に対する一般質問         (四   名)   ──────────────────────── ○議長(川真田哲哉君) これより本日の会議を開きます。   ──────────────────────── ○議長(川真田哲哉君) 直ちに本日の日程に入ります。 日程第一、「県政に対する一般質問」を行います。 通告がありますので、通告の順序に従い、発言を許可いたします。 四十番・阿川利量君。   〔長池・福山・西沢・中谷四議員出席、大西(章)議員退席、出席議員計四十一名となる〕   (阿川議員登壇) ◆四十番(阿川利量君) 私は、ただいまから自由民主党・県民会議を代表して大田知事に質問をいたしたいと思います。 今議会は、大田県政が誕生してほぼ一年、そして、昨年の六月から始まった定例会が一巡する一周年の議会であります。また、我々議会議員も、今定例会を終えれば、県民の信を問わなければならない、四年に一度の最後の節目となる議会でもあります。 私はここで、個々具体のことはさておき、この一年大田県政とは何であったのか、なぜにこうまで混迷とあつれきをもたらしたのか、何をどうしなければならないのかをひもとき、解明しながら質問を進めたいと思います。 少しきついことを申すかもしれません。しかし、今、地方自治は、そして我が徳島県政は厳しい試練と転機に立っており、ここ数年の県政のかじ取りいかんが徳島の未来を、徳島の浮沈を決定すると言ってもいい、極めて重要なときであります。それだけに、たとえ耳に痛いと思われるかもしれませんが、あすの徳島のために、あえて論議を展開してみたいと存じます。 まず最初にお伺いします。 知事は、この一年を振り返って、県政トップとしての自分自身を総括してどう考えられるか、その評価と反省をお伺いいたします。 申すまでもなく、この一年、我々県議会と知事の間に横たわる各般の課題をめぐって長時間にわたる論議が繰り返されました。しかし、残念なことに、そこから新しいあすの徳島に結びつくものが数多く生まれてきたかと問われますと、直ちにイエスと言うわけにはまいりません。議論の対象も、「とめる、やめる」といった、どちらかといえば後ろ向きのものが多く、「変える、創る」といった、あすに向かって挑戦していく前向きのものは余り見られなかったように思われます。 新しい知事が誕生したのでありますから、次々新しい政策が打ち出されるのではないかと県民は大きな期待を持って注目していたはずであります。とりわけあのような不幸な事件があった後を受けてのものだけに、徳島発の、いや大田知事発の、全国モデルとなるようなインパクトと斬新さにあふれる事務や事業が提案されることを期待したのであります。 確かに、前知事の後始末も必要でした。しかし、それに余りにもとらわれ過ぎて、この大変化と大競争の時代に、あるべき徳島の未来像や理念、その戦略についてはもとより、具体的な施策についても余り見るべきものはなかったのではないでしょうか。前知事が組み上げた予算であるため、新しいことができにくかったかもわかりませんが、予算は幾らでも補正ができます。しかし、昨年の九月議会も、十一月議会でも予算補正はほとんどありませんでした。「とめる、やめる」に力が注がれましたが、結果は「とまらない、やまらない」で終わってしまったものが多いのであります。 新聞では、混迷する県政と言われました。口さがない人々の間に、徳島版失われた一年という言葉を言う人もあります。この一年の総括をお願いしたいと思います。 次に、汚職問題調査団の人選についてであります。 長々とは申し上げませんが、一月三十一日の臨時県議会において、人選に関して京都の弁護士を外すとの附帯決議をつけた上で予算を承認したのでありますが、その附帯決議はいとも簡単に無視されました。 知事はかねがね、県議会と理事者は車の両輪であり、議会の意思を尊重すると述べられてきたのでありますが、その議会の意思に目をつぶって突っ走るとは、一体どういうことでしょうか。 知事は、県民からさまざまな意見が寄せられ、熟慮された結果とだけ説明されたのでありますが、議会の意思が軽視されたという結果については、心外というよりも憤りを覚えるのであります。 一体どうしてこういう結論になったのか、また、議会の意思というものをどう考えておられるのか、お伺いをいたします。   〔大西(章)議員出席、出席議員計四十二名となる〕   (大田知事登壇) ◎知事(大田正君) 阿川議員の御質問にお答えをいたします。 これまでの一年をどのように総括しているのかとの御質問でございます。 昨年の三月四日に前知事が公共事業の汚職によりまして逮捕されまして、本日で丸一年が経過をいたします。この間、県政は大きく揺れ動きました。これまで経験したことのない、まさに激動の一年でございました。私自身にとりましても、知事就任以来、県民の信頼回復に向けた県政の改革や、新しい徳島づくりの取り組みなどに力の限り駆け抜けてきたと思っております。私は、県政を推進する上で県民の皆様との信頼関係が最も重要であると考えております。 汚職問題調査団につきましては、これまで県議会でさまざまな御議論をいただきましたが、今後、早期の設置に努め、汚職問題の調査と再発防止策の推進に全力で取り組んでまいりたいと考えております。 また、徳島空港拡張周辺整備事業マリンピア沖洲第二期事業など、民意が分かれる公共事業につきましては、県議会を初め、県民の方々の御意見を受けとめ、今後の方向性を示すなど、次の段階へ踏み出すことができたと思っております。 こうした課題につきましては、タウンミーティングの開催や整備手法検討委員会の設置など、民意を集約し、総合的に判断するための新たな手法を導入いたしました。そして、県民主権の県政を推進するため、知事対話集会「ほなけんど塾」をこれまで八回開催をしまして、述べ約四百五十名の方々に御参加をいただき、活発な御意見、御提言等をいただいたところでございます。 また、県政の透明性を確保するため、情報公開や広報の充実を図るとともに、審議委員会委員の公募制の導入やパブリックコメント制度の活用を図りまして、政策形成過程に民意を反映してまいったところでございます。 このほか、顧客志向に立った職員の意識改革や新たな行財政改革のための構造改革基本方針を策定するなど、本県の新たな行財政システムの構築を目指した改革に取り組むこととしております。 さらに、「もの」から「人」への価値観の転換を図りまして、生活者の視点に立った県づくりを推進するため、徳島創造プランを策定することにしております。 そして、今議会に提案しております平成十五年度当初予算におきましては、政策評価制度を活用しながら、「選択と集中」をキーワードに、限られた財源の重点的・戦略的配分に努めまして、緑の公共事業や少人数学級の導入など、新しいプランに盛り込まれた特色ある事業を積極的に推進してまいる所存でございます。 このように、私は県民主権の県政を基本としまして、県政の改革を推進し、新たな徳島の創造を図ることが私に与えられた最大の責務であると受けとめまして、これまで県政運営に懸命に取り組んでまいったところでございます。 しかしながら、この一年を振り返りますと、そのいずれもが緒についたばかりでございまして、県政の課題も多く、改革と創造の道筋は決して平たんなものではないと感じている次第でございます。 また、この間、県議会や県民の皆様方からはさまざまな御意見、御指摘をいただいておりまして、私自身何事においても、みずから反省をしながら改善を図っていくことを常に心がけていかなければならないと考えておるところでございます。 今後とも、県民の皆様の意向を十分踏まえながら、私自身がリーダーシップを発揮しまして、それぞれの取り組みが大きく実を結び、あすの徳島づくりにつながるよう全力で取り組んでまいりますので、議員各位を初め、県民の皆様方の御理解と御協力をお願い申し上げる次第でございます。 次に、汚職問題調査団の人選についての御質問でございます。 汚職問題調査団の人選につきましては、昨年の九月定例会以降のさまざまな御議論や会派からの御提案等を踏まえまして、私としましては、より透明性、公平性、客観性を確保するために、当初提案をさせていただいておりました五名に、徳島弁護士会から推薦をいただく二名の方を追加をしまして、七名の人員体制で行うこととしまして、去る一月三十一日の臨時会におきまして、そのための補正予算案をお認めいただいたところでございます。 その際に、附帯決議がなされた内容につきましては、先般の所信表明でも申し上げましたように、まず公平不偏に調査等が行われるよう誓約書を徴することは、三月上旬にも開催される予定の調査団の初会合におきまして、事情説明の上、御協力を要請してまいりたいと考えておるところでございます。 また、議論の中心になりました弁護士につきましては、法に基づく弁護士としての資格はもとよりでございますが、その経歴あるいはこの間の活動実績等から今回の調査をしていただく能力を十分兼ね備えておりまして、調査団のメンバーに入っていただくメリットは非常に大きいものがあると判断したところでございます。 この間、県民の皆様からも多くの御意見をいただきましたが、県政に対する信頼を回復し、県民の期待にこたえるために調査等の成果を上げることと、議会における附帯決議の内容を十分しんしゃくし、熟慮に熟慮を重ねた結果でございまして、決して議会の決議や意思を軽々に考えているわけではございませんので、議員各位におかれましては御理解いただきますようよろしくお願いを申し上げる次第でございます。   (阿川議員登壇) ◆四十番(阿川利量君) 御答弁をいただきましたが、まず第一問は評価と反省をお伺いしたのでありますが、評価ばかりで反省はほとんど見られませんでした。 政治家は、過去に対して学ばなければなりません。現在に対しては、判断力を駆使しなければなりません。将来に対しては、先見性を発揮しなければなりません。この三つはそれぞれに重要でありますが、中でも、とりわけ将来に対する先見性が欠かせない要件であります。心の中に常に未来の徳島県のあるべき姿を描き、その実現のため、日々反省を怠らないことがリーダーの心がけるべきことではないでしょうか。 第二点に関しましては、議会の意思が軽視されたということに対しての正面からのお答えがございませんでした。常日ごろ、理事者と議会は車の両輪であると申されている方の発言とは思えません。まことに残念であります。 しかし、時間が限られておりますので、今後の議論に譲りまして、質問を続けてまいりたいと思います。 大田知事の基本姿勢の中の基本であります、「民意に責任を持つ県政」について取り上げてみたいと思います。 民意とは何か、大田知事の民意とは何か、この件については、これまでも多々論議がされてまいりましたが、いま一つはっきりした結論が得られておりません。一般的に申しますと、民主主義は民意の反映であると言われております。私もそのとおりだと思いますし、またそうでなければなりません。しかし、それは民意の示すとおりに政策を打ち立て、それを行うということとイコールではありません。 民意を重んじるということは、為政者すなわち知事の心得、あるいは心構えとして理解されるべきものだと思います。県民を主人公として考えるという一つの基本姿勢にほかなりません。もしそれが県民の意向をそのまま政策に反映させることを意味するとすれば、大いに無理があり、県政は成り立たないと言えると思います。 私は決して県民を軽んじているわけではありませんが、県民の意向というものは、まず多彩であり、雲をつかむようにとらえがたいものであります。例えば、東環状大橋に見られるように、ともすれば民意は分裂しがちであります。民意を的確にとらえる手法、あるいは集約する方途はまだ開発されておりません。そして、たとえそれをほぼ正確にとらまえることができたとしても、その県民の意向というものは、とかく自分の思い込みやムードにとらわれていることが多いのであります。 こうしたことから、県民の意向によって県政のあり方を決めていくことは、理想としては掲げても、多くの場合、問題が多いと言っても過言ではありません。 もし、それでいいのであれば、極端に言えば、コンピューターを駆使して県民の意向の最適な集約方法を編み出し、それに従えばいいということになり、優秀なコンピューター技術者と統計学者がおればそれでよく、議会も知事も要らないのであります。 知事の考えられている民意とは何か。また、民意と知事のリーダーシップはどういう関係に立つのか、お聞かせ願いたいと思います。 次いでお伺いをいたしますが、大田知事就任以来、多くの出来事が議会で論議を呼びました。徳島空港の凍結問題、高速道路への態度、マリンピアをめぐる論議、副知事、出納長の選任問題、汚職調査団の設置、知事と県職員のすき間の拡大等々であります。また、本来なら論議すべきであったにもかかわらず、これらの課題に集中してしまったため論議に至らず、割愛されたものも数多いものがあったと言わなければなりません。 どうしてこのように論議を呼び、紛糾したのでしょうか。もとより、基本となる考えに相違があったことは否めない事実だと思いますが、それにもまして、知事が説明責任を果たさなかったために論議が無用の枝葉に迷い込んだり、焦点が定まらなかったことも多かったと言えば、言い過ぎでしょうか。 知事の説明を通して、県政に対する情熱がひしひしと我々に伝わり、十分に任せられる、知事に任せても大丈夫だという感触が得られたかどうかというと、残念ながらそうではなかったのであります。 これらのことすべてに知事の説明責任がしっかりと果たされていないこと、このことが大きなネックとなって、論議のための論議や反復、繰り返しの論議に県議会の貴重な時間が空費されたことは、まことに遺憾と言うしかありません。 最近、医療のあり方に関してよく言われておりますインフォームド・コンセント、説明と同意のように、まず知事からきっちりとした説明がなされ、議会はそれを受けて、同意を与えるかどうかについて大いに論議をする場でありますが、肝心かなめの説得力のある説明がなされないために不信や混乱を招いてしまったことが多かったのではないでしょうか。 説明責任とは、ただ長々と説明することではなく、また、同じことを繰り返すことでもないのは当然であり、ビジョン、構想から戦術や論理を情熱と自信を持って語れなければなりません。残念ながら、大田知事からビジョンや哲学、戦略が私どもに、そして県民に語られたことはほとんどありませんでした。それに加え、情熱と申しますか、人の心を動かすひたむきな熱意も十分には感じ取ることができませんでした。 長野県の田中知事は、情報公開、県民参加と並んで説明責任を県政推進の基本に据え、その信念を貫かれています。大田知事は説明責任ということについてどう考えておられるのか、また、今後それに対してどう取り組もうとされておられるのか、御決意のほどをお聞かせをいただきたいと思います。 次に、副知事、出納長の選任問題を取り上げたいと思います。 この一年近く、両者が不在というゆゆしき事態が続いております。国の会議などで知事代理が務まるのは三役という常識もある中で、まことに異常な事態であります。 御案内のように、知事は選挙戦の中で、副知事に女性を登用することを公約しました。そして、それは極めて大きな意味を持っていました。実質、選挙を闘った相手が女性であったからであります。そのために、女性副知事は選挙終了後も一つの公約以上の重みを持つことになりました。しかしながら、六月議会、九月また十一月議会ともに男性の副知事を提案しようと、水面下での選任事務が進められました。 ここで疑問を感じますことは、まず女性の副知事実現のためにどのように、どれだけ努力をしたのか、その足跡が見えてこない。努力した跡、汗をかいた跡が県民にも見えるくらい力を注ぐことが必要だったのではないでしょうか。すなわち、努力の跡が全然見えておりません。 また、男性を選任するのなら、なぜ女性がだめであったかを県民にきっちり説明した上で、公約違反を犯したことを、そして、その公約は単に選挙戦を有利にするための手段ではなかったことを県民に説明し、謝るべきではないでしょうか。 人事に関しましては、その性格上、内容に立ち入った説明がしづらい面があることは十分承知しておりますが、今からでも遅くありません。陳謝すべきところは陳謝して、新たなスタートを切るべきだと思いますが、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。   (大田知事登壇) ◎知事(大田正君) 民意についての御質問でございます。 私はこれまで、多くの働く人々を初めとしまして、県民の皆様方と触れ合い、ともに考え、行動してまいりました。このように地域社会で暮らす方々の視点を大切にすることが私の政治家としての原点でございます。その一人一人の思いや考えが、まさに生活者の声でございます。私にとっての民意であると考えております。 議員御指摘のとおり、多様な価値観が存在する今日にありましては、民意を把握することは容易なことではありませんが、特に県民世論が分かれる行政課題につきましては、民意を十分集約をしながら、そして、総合的に方向性を検討していくことが必要不可欠ではないかと考えているところでございます。 これまでも申し上げてきましたように、民意とは、私がリーダーシップを発揮し、政策決定を図る上での貴重な判断材料でございます。今後とも、県政が民意とかけ離れることがないように、絶えず民意の把握に努めてまいりたいと考えております。 民意を聞く姿勢とリーダーシップを発揮するということは、決して相反するものではないと考えております。今後とも、私自身が力強いリーダーシップを発揮して、民意を政策という形につくり上げまして、着実に実行してまいりたいと考えております。 次に、私の説明責任についての御質問でございます。 県議会におきましては、これまで徳島空港拡張周辺整備事業を初めとしまして、高速道路の南伸、汚職問題調査団の設置、さらには特別職の選任などにつきまして、さまざまな御意見、御提言、あるいは御指摘をいただいてきたところでございます。 私としましては、知事就任以来、公約の重みを真摯に受けとめまして、その実現のため、喫緊の行政課題に真剣に取り組み、本会議や委員会質疑などを通じまして、誠心誠意その説明責任を果たすために最大限の努力を重ねてまいりました。しかしながら、私自身の説明不足など、さまざまな御指摘をいただいていることにつきましては、これを謙虚に受けとめなければならないと考えているところでございます。 申し上げるまでもなく、知事の県議会や県民の皆様に対する説明責任は大変重く、あらゆる機会を通じて私の県政に対する思いや考え方を誠意を持って御説明をし、御理解をいただかなければならないと思っております。 このようなことから、県議会での幅広い議論はもとより、情報公開の徹底や広報の充実をさらに図るとともに、政策評価システムの活用などを通じまして、政策形成過程へ具体の施策を明らかにしながら、県民の皆様への説明責任をこれまで以上に果たしてまいりたいと考えております。そして、今後とも多くの県民の方々に理解され、支持される県政運営に努めてまいりたいと考えております。 次に、女性副知事の選任に関する御質問でございますが、副知事の人選に際しましては、副知事という職責にふさわしい能力、識見を備えた方を選任をすることが基本であると考えておりますが、その人材を女性に求めることができれば、斬新な視点からの施策提案や男女共同参画社会づくりの推進に貢献いただけるのではないかと、そのような思いから女性副知事の選任を私の公約に掲げてきたところでございます。 私は、知事就任以来、女性副知事の実現に向けまして、関係各方面など、特に行政に造詣の深い方を中心に、粘り強く人材を求めてまいったところでございます。これらの方々には、まさに真摯に御検討いただきましたが、職場の関係、あるいは家庭の関係、さらには私を取り巻く現在の県政の環境、このような諸般の事情から御協力をいただくことはできませんでした。結果としまして、副知事の人選に当たっては、女性に限定せず、幅広く人材を求めてまいりたい旨を既に表明をさせていただいているところでございます。 結果として、女性副知事が実現できていないこと、並びに副知事の選任を人事案件として提案するに至っていないことにつきましては、議員各位を初め、県民の皆様に改めておわびを申し上げる次第でございます。 申すまでもなく、副知事は私の補佐役として県行政の運営において極めて重要な職責を担っております。現在の県政を取り巻く厳しい状況を考えましたときに、早急に副知事を選任したいと強く認識をしております。 今議会中には副知事及び出納長の人事案件をぜひとも御提案できるよう、私自身最大限の努力をしてまいりますので、議員各位の御理解と御協力をいただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。   (阿川議員登壇) ◆四十番(阿川利量君) 御答弁をいただきました。 民意とリーダーシップの関係につきましては、学者の間でもいろいろな考え方があり、余りはっきりとした結論が出されていないだけに難しいものがあります。しかしながら、私は、民意も重要でありますが、それを知事のビジョンやリーダーシップで十分かみ砕き、再構築して、わかりやすく県民に説明し、理解を求める中で前進することこそ大切であるというふうに思います。 説明責任につきましては、みずからの説明不足を反省された面もあったように思いますが、県議会の中はもとより県民の中にも、知事の言動がわかりにくいという人が結構多いことを踏まえ、わかりやすい県政の推進に努めていただきたいと思います。 副知事、出納長の選任につきましては、今議会に提案されるとのことでありましたが、去る六月、九月、十一月にも同じことを言われて、結果は提案されませんでした。今議会には間違いなく提案されるのかどうか疑問が残りますが、それが間違いないのなら、そして、もし男性を提案されるのであれば、そのときには十二分に説明し、説明責任を果たしていただきたいと存じます。 いろいろと申し上げてまいりましたが、一言で申しますと、知事に必要なリーダーシップが発揮されてないということであります。リーダーシップを発揮しようとすれば、説明責任も果たさなければ前に進みません。リーダーシップを発揮している人には、丸投げや丸のみは無縁であります。 地方自治体は今、厳しい分水嶺に立っています。だからこそ、強力なリーダー、リーダーシップが求められており、その差が都道府県のエネルギーや活力の差になってあらわれつつあります。 知事の中には、卓越したリーダーシップのもとに次々と新しい発想による改革を成功させ、その存在を際立たせている方々がおられます。徳島もぜひその仲間入りができるよう、不退転の御努力をお願いする次第であります。 それに加え、「信なくば立たず」と言ったのは、郷土の生んだ大政治家、三木首相でありますが、政治家は信頼されなければなりません。人事案件を提案する場合、提案されている人の信が問われていることよりも、それにもまして提案した人の、すなわちあなたの、知事の信が問われておることを強く心に銘記されますよう付言いたしておきます。 県政運営における知事の基本姿勢について、知事が掲げております「ものから人へ」をキーワードとして議論を深めてまいりたいと思います。 知事は、今回提案されております平成十五年度当初予算案、あるいは徳島創造プランにおいて、「もの」から「人」への価値観の転換を全面に打ち出されています。確かに、先人たちのたゆまぬ努力によって築かれてきた現在の経済・社会構造が大きな壁に突き当たっている今の状況を見たとき、単なる物質的な豊かさを求めてきた社会のありようを、ここで一たん立ちどまり、改めて見直してみようというのは、私自身もまさに痛切に感じておるところであります。 しかしながら、徳島県という、いわば一国を任された為政者たる者の、そこには単に理念のみを先走りさせるのではなく、しっかりと今我々が置かれている現実、地域の実情を十分に分析、把握した上で、新たな地域づくりの理念を構築する必要があります。 知事は、昨年春の選挙戦から知事就任以降、これまでみずからの政治信条として、「ものから人へ」と繰り返し述べられておりますが、そのキャッチフレーズの中身が今の徳島をどうしたらよいと考えているのか、私にはどうしても見えてまいりません。 私自身の考えを述べますと、私は、徳島がまず踏み出す一歩は、「ものから人へ」ではなく、「ものと人と」であるべきだと考えております。情報インフラや文教施設、文化芸術施設、さらには道路や下水道など、県民が心豊かに満ち足りた生活を送るための社会資本整備は、その多くがまだ手つかずのまま残っています。また、地域の産業、経済の活性化を考えるとき、ものづくり、新しい何かを生み出す意味での「もの」は、これ以上に大切であります。 もちろん、厳しい財政状況の中ですべての事業をこれまで同様進めていくことは困難であり、事業の優先度を勘案しつつ進めていく必要はあります。しかしながら、今の徳島にとって、あるいは県民の多くの皆さんにとって必要としているものはまだまだたくさんあると思いますが、この件について知事の御見解を伺いたいと思います。 次に、十五年度予算に関し、四点ばかり質問をさせていただきます。 第一番目は、県債の依存度が一六・九%と昨年度を三ポイント上回り、総額でも八百七十七億円で、前年度に比べ二〇%伸びとなっていることであります。この件に関しましては、本来なら交付税で措置されるものが、国に財源がないために特例債に振りかえられたためとか、後年度に交付税措置されるとか、いろいろな言いわけはあるでしょうが、たとえどうあろうとも県債は、県債であります。 知事は、増大する県債を強く批判して、知事に当選されたのでありますから、自分で組まれた予算では、当然県債発行はゼロとまではいかなくても、前年を大きく下回ったものになるはずだ、私は考えておりました。ところが、ふたをあけてみますと、下回るどころか大きく上回ったのであります。 もう一度申しますが、発行の理由が国の政策のためであれ、後年度での交付税がどうであれ、県債は県債であります。それとも、選挙の時点では、県債に対する御自分の認識が十分でなかったとおっしゃるのでしょうか。この件をどう説明されるのか、それが第一点でございます。 第二に、全体を見ますと、限られた財源の中、事務的に一生懸命に工夫を凝らし、知恵を絞った跡は見えます。小さいながら新規事業も数多く出されています。ただしかし、大田予算としてはどうかといいますと、大田カラーといいますか、知事がリーダーシップを発揮して盛り込まれたと思われる事業がどこにあるのか、はっきりと見えてこないのであります。端的に言えば、小ぢんまりとまとまっているという感じを受けるのでありますが、それから一歩も出ていないのであります。 行政の継続性ということも重要でありますが、もう少し思い切って大田カラーを出さなければならなかったはずです。なぜそうしなかったかをお伺いしたいと思います。 第三に、どれだけ改革を行ったか。予算を見た限りでは、これはというものが見当たらないことであります。 長野県では、最高一二%の職員給与カットが始まります。東京都は、裁判で不利に立たされるとはいえ、外形標準課税の導入を進めてきました。道州制に取り組む岩手県、青森県、秋田県の東北三県、また庁内すべての課を廃止した三重県など、皆それぞれに決死の思いで行財政改革に取り組んでいます。 本県でも、間もなく仕上がる徳島県構造改革基本計画、基本方針などで改革の具体化づくりに取り組んでいることは承知していますが、今回初めて編成された大田予算を眺めてみましても、どのような行財政改革を進めたのか、少なくとも首を大きく縦に振るような改革は見られないような感じを受けます。 各般にわたり構造改革を進めると公約した大田知事でありますから、今回の初めての大田予算でもどのような改革が行われるのか、大いに県民は期待していたと思うのでありますが、その期待にこたえているとは思えないのであります。一体どのような改革を行ったのか。行えなかったとすれば、どこにネックがあり、今後それにどう対応していくつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。 第四点は、雇用対策についてであります。 この季節、既に県内の高校では卒業式が行われ、多くの有為の人材が希望に胸膨らませて社会に飛び出しています。厚生労働省が発表した平成十四年十一月末現在における四国内の高校新卒者の就職内定状況は、求職者数七千四百九十七人に対し、就職内定者数は四千五百八十一人であり、内定率は六一・一%、前年同期を実に四・五ポイントも下回っておるのであります。 知事は、初めて編成した来年度当初予算において、こうした県民の直面している切実な課題に、県内の若人の悲痛な叫びにこたえ、徳島の未来への確かな道筋を示せたとお考えでしょうか。私は、今まさに、待ったなしの課題である雇用対策の充実には、雇用のためのニューディール政策を打ち出した鳥取県の片山知事のように、思い切ってアクセルを踏み、そのためのハンドル操作が必要だったと思うのであります。 確かに、幾つかの新たな取り組みで産業のシーズを育てていこうという施策は散見されます。しかし、今の状況で求められているのは、即効性のある経済活性化に向けた強力な後押しなのであります。知事のおっしゃる緑の公共事業もいいでしょうが、現実問題としてこの事業が何人の新規雇用を生むのでしょうか。その効果たるや、非常に限定的と言わざるを得ません。 そこで、知事にお伺いをいたします。 知事は、来年度の予算編成を行うに当たって、本県の雇用状況をどのように認識され、どのような対策をとるよう指示されたのか。また、その結果が予算にどう反映されたのか、お聞かせをいただきたいと思います。   (大田知事登壇) ◎知事(大田正君) 「ものから人へ」ではなく、「ものと人と」であるべきであると、県民の多くにとって必要なものは、まだまだたくさんあるんだという御質問でございます。 今議会の冒頭でも申し上げましたとおり、私は県政の活力の源は、まさに人であり、県民の皆様が実感できる安らぎや潤い、安心や健康などにもっと軸足を置きまして、「もの」から「人」へと価値観の転換を図っていくべきであると考えております。この「ものから人へ」という理念につきましては、ものづくりや「もの」自体を否定してるわけではございません。あるいは、物不足の生活を甘受するということを意味するものでもございません。申すまでもなく、「もの」がもたらす利便性や安全性などは、人の幸せを実現する上で必要とされているものでございます。また、追求されているものでもございます。 しかしながら、我々はこれまで経済的な発展を追い求める余りに、いつの間にか「もの」の豊かさにとらわれ、地域のコミュニティーにおける人とのかかわりや、あるいは美しい自然環境の大切さを見失ってしまったのではないでしょうか。こうしたことを反省をしまして、人を中心に据えて、もう一度我々の生活を見詰め直さなければならないという思いを、この「ものから人へ」という言葉に込めて申し上げている次第でございます。 当然のことながら、社会資本を初めとする「もの」の重要性は十分認識をしております。県民生活の向上に必要とされる施策につきましては、今後とも計画的に進めていかなければならないと思っております。 以上、申し上げましたような観点に立ちまして、元気の出る、希望の持てる新しい徳島を県民の皆様とともに創造していきたいと考えているところでございます。 次に、県債に関する御質問でございます。 平成十五年度当初予算における県債発行の総額については、約八百七十六億円、一九・二%の増と前年度を大きく上回らざるを得なかったところでございます。 これは、地方財政措置における地方交付税の減額に伴う代替措置としての臨時財政対策債が百七十一億円増加したことなどによるものでございます。この臨時財政対策債は、地方財政における過去最大の通常収支の不足を補てんするためのものでありまして、地方財政全体における地方債の発行規模は二割程度の増と、大きく増加しております。 本県のような財政基盤の脆弱な団体におきましては、地方財政計画に沿った予算編成を余儀なくされることから、地方財政対策による県債の発行規模の増加はやむを得ないのではないかと考えているところでございます。 一方で、財政健全化推進プログラムにおきまして、発行を抑制しております県債につきましては、事業の選択と集中を図る中で、その規模を約三百七十二億円と、前年度を約二十億円下回ることとしまして、可能な限りその発行抑制に努めてきたところでございます。 十五年度当初予算の編成に当たりましては、地方交付税や県税の大幅な減収など、極めて厳しい収入状況の中で、歳入に見合った歳出の徹底した抑制と構造の転換に努めたところでございます。議員各位を初め、県民の皆様方の御理解をいただけるものと考えております。 次に、大田カラーについての御質問でございますが、十五年度は大変厳しい財政環境下ではありますが、新しい徳島を創造するための重要な年度でありますことから、予算編成に当たりましては、選択と集中を徹底する中で、私自身先頭に立ちまして、サマーレビューにおいて必要な指示を行うなど、懸命に取り組んだところでございます。 平成十五年度当初予算につきましては、緑の公共事業や少人数学級編制など、随所に工夫を凝らしながら、新しい徳島づくりにふさわしい予算として、私の思いが十分に反映できたのではないかと考えているところでございます。 新年度予算の改革についての御質問でございます。 平成十五年度当初予算は、国、地方を通じまして、極めて厳しい財政状況の中で構造改革を進めつつ、新しい徳島を創造するために必要な課題の解決を目指して懸命に取り組みました。予算編成過程におきましては、私自身先頭に立ちまして、めり張りのある効率的な予算編成をさらに推進することといたしまして、政策評価制度を活用するなど、選択と集中を徹底することといたしました。この結果、財政健全化推進プログラムにおける健全化目標につきましては、大変厳しい財政環境下ではありましたが、その達成を図ることができたところでございます。 まず、財源不足額の圧縮については、前年度予算に比べ三億円の圧縮を図るとともに、県債発行抑制基準についても対象となる県債の上限額を四百五十億円としておりますが、十五年度予算では三百七十二億円としております。これは、前年度十四年度予算に比べますと約二十億円の縮減を図ったものでございまして、上限額の八割程度の水準とするなど、極力抑制することといたしました。 さらに申し上げますと、公共事業につきましては、その総額を抑制する中で重点化や効率化を図るとともに、知事部局の一般行政部門職員数についても計画的な削減を進めております。予算編成過程を通じまして、本県のような自主財源が乏しく、財政基盤の脆弱な団体におきます厳しさを改めて痛感したところでございまして、歳入に見合った歳出の抑制と構造の転換にさらに取り組んでいく必要があると考えておるところでございます。 また、現在、徳島県構造改革基本方針を策定中でありまして、本県における構造改革を今後とも推進してまいりたいと考えております。 雇用対策についての御質問でございますが、本県の完全失業率は、平成十四年の平均で五・三%でありまして、本年一月の有効求人倍率は〇・五九倍となるなど、深刻な雇用情勢にあります。今後も先行き不透明な大変厳しい状況にあると認識いたしております。 知事就任以降、私自身で県内各地に出向きまして、県内の経済・雇用情勢を把握しますとともに、雇用対策や産業政策について県民の方々と意見を交換もしてきたところでございます。 また、厳しい雇用情勢を踏まえまして、新規学卒者、再就職者の積極的採用など雇用の確保について各経済団体に要請も行ってまいりました。 平成十五年度におきましても、厳しい雇用情勢に対応するために、再就職が困難な中高年齢者等を支援するための就業支援事業の実施、緊急地域雇用創出特別基金を活用した緊急地域雇用創出特別対策事業の実施、緑の公共事業の推進等による雇用機会の拡大など、引き続き雇用就業機会の創出に努めてまいりたいと考えております。 さらに、雇用の場を確保するためには、やはり産業育成が非常に重要でございます。コミュニティビジネスを初めとした新しい産業の創出、このたび本格地域へ移行することとなった知的クラスター創成事業等、産学官連携によります研究開発型産業の集積促進、ものづくり産業の活性化等による既存産業の振興などによりまして、経済の活性化に取り組んでまいりたいと考えております。   (阿川議員登壇) ◆四十番(阿川利量君) 御答弁をいただきましたが、「ものから人へ」に関しましては、私の質問に対する御答弁が少しずれがあったように思うわけであります。 大田知事は、NHKの四国四県知事会議の鼎談の中で、雇用に関しての発言の中で雇用のミスマッチについて触れられました。雇用のミスマッチとは、求人の方が求職者数を上回っておる業種もあることを示しておるわけであります。すなわち、企業がすぐれた近代的な能力のある者を求めていることをあらわしておるのではないかということではないかと思います。 そして、そのとき知事はテクノスクールの重要性、緊急性についても触れられておりますが、今議会の提案理由の説明の中では、テクノスクールという発言はゼロでありました。一体いつの時点での発言があなたの腹のうち、胸のうちなのかわかりません。わかりやすい説明責任を果たしていただきたいと思います。 私は、徳島にとって本当に大切なのは、「ものから人へ」といった二者択一的なものではなく、「ものと人と」をバランスよく調和させつつ社会のありようを形づくる、いわば「ものと人のシンクロシステム」が求められておるのではないでしょうか。 財政につきましては、大いに疑問が残ります。特に、県債に関しましてはすれ違いの答弁でありますし、改革につきましても財政を圧迫しただけの御答弁でございました。雇用対策にも問題は残ります。財政問題には、もう少し説明責任と知事のリーダーシップの発揮を求めておきます。 西洋のことわざに、「幸運の女神は前髪しかない」という言葉があります。幾ら後ろから追いかけて髪をつかもうとしても、幸運の女神は後ろ髪を持っていないのであります。どうか大田知事におかれては、十分に先見性を発揮され、走り去る女神の前に回り込んで、その前髪をしっかりとつかむべきであります。 ことしはひつじ年であります。えとでひつじとは、未来の「未」と書いてひつじと読ませます。未来を語る最高の年であると言われております。また、本来のひつじという字は「羊」という字で、さんずいをつけると太平洋の「洋」という字で大海原になります。羊はとてつもなく大きな集団になるからであります。なぜか、それはリーダーについていけば、枯れ野から食糧が豊かな大草原に行き着けることを、また、オオカミから身を守ることができることを知っているからであります。 今は大変化、大競争の時代であります。リーダーのいかんが全体の盛衰を決めると言っても言い過ぎではありません。後ずさりしたり、立ちどまったりしては時代に取り残され、他の地域に追い越されてしまいます。 今ほどリーダーがリーダーシップを求められている時代はありません。リーダーとは、しっかり先頭に立って、背中で民意を受けとめ、ひたすら理想郷を目指す姿が望まれていることを申し上げ、私のすべての質問を終わります。(拍手)   ──────────────────────── ○議長(川真田哲哉君) 議事の都合により、休憩いたします。      午前十一時三十七分休憩   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    午後一時三分開議      出席議員計三十九名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     重  清  佳  之 君     二  番     木  南  征  美 君     三  番     川  端  正  義 君     四  番     嘉  見  博  之 君     五  番     森  田  正  博 君     六  番     喜  田  義  明 君     七  番     須  見  照  彦 君     八  番     臼  木  春  夫 君     九  番     黒  川  征  一 君     十  番     古  田  美 知 代 君     十一 番     山  田     豊 君     十三 番     岡  本  富  治 君     十四 番     藤  田     豊 君     十五 番     谷     善  雄 君     十六 番     庄  野  昌  彦 君     十七 番     橋  本  弘  房 君     十八 番     冨  浦  良  治 君     十九 番     久 次 米  圭 一 郎 君     二十 番     長  池  武 一 郎 君     二十一番     大  西  章  英 君     二十二番     長  尾  哲  見 君     二十三番     樫  本     孝 君     二十四番     来  代  正  文 君     二十六番     福  山     守 君     二十七番     西  沢  貴  朗 君     二十八番     吉  田  忠  志 君     二十九番     北  島  勝  也 君     三十 番     杉  本  直  樹 君     三十一番     佐  藤  圭  甫 君     三十二番     児  島     勝 君     三十三番     川 真 田  哲  哉 君     三十四番     遠  藤  一  美 君     三十五番     柴  田  嘉  之 君     三十六番     四  宮     肇 君     三十七番     元  木     宏 君     三十九番     大  西     仁 君     四十 番     阿  川  利  量 君     四十一番     谷  口     修 君     四十三番     榊     武  夫 君   ──────────────────────── ○議長(川真田哲哉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 二十八番・吉田忠志君。   〔森本・竹内・中谷三議員出席、出席議員計四十二名となる〕   (吉田議員登壇) ◆二十八番(吉田忠志君) 自由民主党・交友会を代表しまして質問をいたしたいと思います。 本日の質問は、事前に質問の項目を通告をいたしてございます。したがって、質問の背景等については、既に知事は御存じだろうという前提で前置きを省き、そのまま直接、直截に質問だけお話しし、再問で知事の本音をお聞きいたしたいと思います。 それでは、始めたいと思います。 午前中の自民党・県民会議の阿川議員の御質問に一部は重複いたしますが、御答弁によって再問をかなり考えたいと思っておりますので、改めてお聞きをいたしたいと思います。 まず、平成十五年度予算についてお聞きをいたします。 平成十五年度予算編成を終えられ、公約してこられたことがこの予算に十分反映することができたかどうか、とりわけ選挙のさなかにも知事はおっしゃっていたように、公共事業のあり方、見直し、削減についてはどのように編成をされたのか、一点お伺いいたします。 二点目は、平成十四年度予算を知事は批判を選挙中にしてこられました。ところが、十五年度予算を発表になった後、新聞報道等でその論評を書かれることがありましたが、十五年度予算を見て、前知事の流れを踏襲する予算だと記事に書かれておりました。この論評に対して、知事の率直な御感想をお聞かせをいただきたいと思います。   (大田知事登壇) ◎知事(大田正君) 吉田議員の御質問にお答えをさしていただきます。 まず、十五年度予算への私の思いの反映について御答弁申し上げたいと思います。 平成十五年度当初予算は、大変厳しい財政環境のもとで構造改革を進めますとともに、新しい徳島を創造するために、政策評価制度の活用などを図りつつ、選択と集中を徹底してまいったところでございます。 予算編成におきましては、かねて申し上げておりますような「豊かな環境づくり」、「支え合うくらしづくり」、「元気な地域づくり」、「明日を拓く人づくり」などを重点分野といたしまして、私自身懸命に取り組んできたところでございます。 選挙時の公約も含めまして、私の思いといたしましては、新しい徳島を創造するため予算化を行った代表的なものを申し上げますと、森林整備を中心として総合的に推進する緑の公共事業や、人づくり施策として少人数による学級編制の導入、また、県就労支援プラザ設置事業を初めとする雇用対策、県民の安心と安全のための食や医療、あるいは南海地震等に関する施策、NPOを初めとする県民活動への支援施策などが挙げれるのではないかと思っております。 次に、公共事業の削減ということについてでございますが、平成十五年度当初予算の編成に当たりましては、本県の厳しい財政状況とおくれております社会資本整備の状況の双方を念頭に置きまして、県民の皆様方のさまざまなニーズや事業の継続性を加味するなど、「選択と集中」の観点から十分な時間をかけて検討しまして、総合的に判断した結果、前年度を若干下回る公共事業予算を提案させていただいたところでございます。 次に、十五年度は前知事の踏襲予算ではないのかという点についてでございます。 十五年度予算は、まさに激動の時代の中で、知事として私も初めて編成する当初予算でございます。極めて厳しい財政状況のもとで、私自身が先頭に立ちまして、サマーレビューを通じまして十分な時間をかけて知恵を絞るなど、最大限の努力を傾注してまいりました。新年度予算は、現下の大変厳しい経済情勢に的確に対応するとともに、県民生活の向上と新しい徳島を創造するため、県民の負託を受けたリーダーとして私の思いを織り込んだものでございます。 また、予算編成に当たりましては、前年度当初予算が構造改革元年予算として編成されていることを踏まえつつ、財政健全化を進めながら、県民の皆様方のさまざまなニーズや事業の継続性を勘案するなど、県政全般を預かる知事として総合的に判断したものでございます。 私といたしましては、十五年度予算は新しい徳島づくりにふさわしい予算になったものと考えているところでございます。御理解を賜りたいと思います。   (吉田議員登壇) ◆二十八番(吉田忠志君) 御答弁をいただきました。 正直言って、大変失望をいたしました。何よりも、平成十四年度予算を批判してこられた知事が、事業の継続性を理由にしたり、今年度予算の持つ意味を肯定した上で予算編成をしたということに驚いたわけであります。こんな言葉を聞きますと、六月議会から今日まで、この議場や委員会で口角泡を飛ばしてきたのは何だったんだろうと思いながら答弁を聞かせていただきました。 そこで、改めてお尋ねを申し上げます。 サマーレビューについて、あなたはお触れになられました。思い起こしていただければ幸いに思いますが、サマーレビューの制度を御提案を申し上げたのは平成六年秋の議会だったと思います。当然、知事さんはこの議場の私どもと同席のところにおいでたわけでございます。そのサマーレビューの制度を何とか導入してはどうかという一番大きな理由は、選挙をされた知事が県民の皆様にさまざまなお約束をして御当選なさったと。で、その公約を実現するためには、従来どおりの部局からの積み上げではなく、来年度予算に本格的に入る前に、実は早い時期から知事自身が来年度予算に対する要望──部局からじゃないんですよ、知事がこうしたいと、こうお約束したんだということで、部局に対してこういう事業をどうしても来年度にお約束したからにはやっぱりやると、その財源確保も含めてサマーレビューをしたらいかがかというお話をしたわけです。知事も思い出していただいてると思います。 そこで、改めてお尋ねするのは、今度のサマーレビューでは、あなたは部局に対して何を要望し、最も議論になったものは何だったんか、この際、具体的にお答えをいただきたいと思います。 また、先ほどの御答弁の中に、あなたが公約なさったものについての予算化の代表的な事例を挙げられておられました。少なくとも私どもの手元に届いた予算概要には、すべてマル新、すなわち新規事業で県単事業であります。ただし、しっかり見てみますと、その下敷きは、少人数学級を除き、すべてが国の事業もしくは奨励的なものであり、当然、国の財源的な措置もしくは事務費が出るのではありませんか。 そこで改めて、あなたが県民にお約束した、市町村と県がつながる元気な徳島をつくるために、県独自に何をなさったのか、代表例を挙げていただきたいと思います。   〔阿川議員退席、出席議員計四十一名となる〕   (大田知事登壇) ◎知事(大田正君) まず、サマーレビューについての御質問でございます。 サマーレビューにつきましては、平成六年から試行的に開始をしまして、平成十年三月作成の財政健全化推進プログラムにおいて、毎年度上半期を集中見直し期間として設定するなど、発展的に拡充をしまして現在に至っております。 これは、毎年度の予算編成手法を改善して、具体的な編成作業に入るまでの夏の準備期間を有効に活用することを主眼として、徹底した事務事業等の見直し及び新規事業の検討を行うというものでございますが、かつて議員から御提案をいただいたこのシステムにつきましては、現在では予算編成の制度として本県に定着をしておりまして、有効に機能しているところでございます。 また、厳しさを増します現在のような財政環境のもとにおきましては、その重要性がますます高まっていると考えております。今回の予算編成に当たりましても、政策評価制度を本格的に導入をしましてサマーレビュー作業の中で活用を図るなど、その充実にも努めてきたところでございます。 新年度予算につきましては、大変厳しい環境下での編成となりましたが、サマーレビューにおいて、私自身各部局からヒアリングを行いまして必要な指示を行うなど、新しい徳島づくりに懸命に取り組んでまいったところでございます。 また、サマーレビューにおきまして、特に意を配したといいますか、ものについてというお話でございます。 私は、選挙の公約で申し上げてきたいろんな公約等につきまして、このサマーレビューの中で見直し、あるいは来年度予算編成に向けてつなげていけないかということで、各部局にそれぞれ指示を出しました。 昨年の六月二十日の庁議がその第一回といいますか、私の予算編成あるいは構造改革に向けての庁議を開いた日でございますが、この日を皮切りに、その後、十月十八日には財政課からそのサマーレビューの結果、あるいは過程におけるいろんなレクをいただきました。さらに、総合政策室の方からも新規事業等の評価等につきまして、るる報告をいただきました。 また、十一月十一日には、このサマーレビューの結果によります新規の事業、あるいは重要な事業等につきまして御報告をいただいたわけでございます。そして、十二月二十七日に当初予算のレクが、財政課の方からレクがございまして、いろいろ財源の見通しであるとか、あるいは当初予算の特徴でありますとか、重要事項に係る協議等がございました。 こういったサマーレビューの中で、廃止をしてきました事業につきましては、件数で申し上げますと八十三件でございます。金額では、十四年度の予算ベースでいきますと十九億三千五十七万七千円ということでございまして、その代表的なものを申し上げますと、都市計画調査事業、これは徳島広域都市圏都市交通マスタープラン策定調査という事業ですが、そういったものでありますとか、中核産業創出研究開発事業費補助事業でありますとか、補助金あるいは貸付金事業等のもんでありますとか、あるいはがん予防対策事業等、こういったものにつきまして、計で八十三件の事業の廃止ということを行ってまいったところでございます。 また、休止事業というもんにつきましても十五件ほどございまして、金額、十四年度予算ベースでいきますと七億二千百万円余りでございますが、徳島県の健康福祉祭開催事業でありますとか、商業活性化事業費補助事業でありますとか、土地区画整理事業等々でございます。 こういったサマーレビュー等で見直しをする中で、いろいろと事業の廃止あるいは見直し、そして新規事業ということをいろいろ手がけてまいったわけですが、新規事業につきまして、議員御指摘がありましたように、確かに国の絡みの事業、そういったものが中心といいますか、そういう予算編成ということになっておりますが、今日の本県の財政事情の中で、私としてはやはり県民の皆さん方のできるだけ生活に目を配らなければいけない、あるいはニーズにこたえなければいけないという一方の思いと、あるいは継続事業であっても、それが一定巨大な事業でありましても、やはりせんだって記者会見等でも申し上げてきたわけですけれども、急ハンドル、急ブレーキということはなかなか切れないという状況の中で、しかし、限られた財源の中ではありますが、私の政策として掲げてきた新しい分野への予算配分というふうなことも含めまして、先ほど申し上げたような少人数学級でありますとか、緑の公共事業でありますとか、あるいは南海道地震対策、さらにはNPO等の活動への支援、こういったものに取り組む予算の編成をしてきたところでございます。   〔阿川議員出席、出席議員計四十二名となる〕   (吉田議員登壇) ◆二十八番(吉田忠志君) 御答弁をいただきましたが、私はわざわざ自分が提案したサマーレビューの話をあえてお話ししたのにもかかわらず、手続的に庁内協議といいますか、プロセスを述べられただけで、詳しくあなたが平成十五年度予算にどうしてもこれを部局にやっぱりやるんだと、財源がないじゃなくて、私はこれをやるんで、来年度は、これだけの予算を残してくれと、残してくれと、こういうふうに注文をしたのかと思いましたが、そうではない。この制度も、あなたは有効に機能しているとおっしゃいましたが、提案した私からしてみれば随分形も変わってしまったと。早く言えば、口が悪うございますが、いつの間にか性格が変わり、部局の積み上げを追認していただく場所になったんだろうかとさえ思うのであります。それは、いずれ委員会でまた問うてみたいと思います。 もう一点、先ほどお尋ね申し上げました代表的な事業につきましては、これみんなソフト事業でございます。あなたは、知事選を通して、そしてまた就任当時、ハードに自分の施策をきちっとしたものを御提示されるやのお話やらいろいろ聞いておりましたんで、ソフト事業を代表的な例に挙げられたのは、まことにもって寂しい限りでございます。 急ハンドル、急ブレーキはかけられなかったとお述べになられてますが、少なくともこの急ハンドル、急ブレーキにつきましては、県債発行について云々をマスコミの皆さんに聞かれた御答弁であったと思ってます。急ハンドル、急ブレーキについては、事業については、あなたの意思さえはっきりとあればできるわけでございます。どうも私どもがいろいろと事前に聞いておったさまざまなこととは姿勢が随分違うようでまことに残念でありますが、余りこれだけにこだわるわけにまいりませんので、次の質問に進めてまいります。 歳入問題です。 正直申し上げて、大変経済的に厳しい徳島の状況、これはまあ全国どこでもそうですが、そんなさなかに、実は歳入問題を持ち出して議論するのをちゅうちょいたしました。すなわち、歳入は税をふやすか、もしくは借金をふやすかしかないわけでございます。しかし、あえて私はこの歳入問題を持ち出そうと思いましたのは、改革知事と呼ばれたあなたが、予算編成をして歳入問題に全く触れずに、歳出のカットのみに全力を尽くされたことに大変不満を覚えておるからであります。 知事は事あるたびに、地方分権時代に自主・自立的な地方自治体をつくりたいと言いながら、歳入についてはまさに国並びであります。自主自立ということならば、たとえ県民に評判が悪くっても、この厳しいさなか、歳入問題を見過ごして歳出だけに全力を尽くすやということを考えられないのであります。 そこで、次の点、お聞きをいたしたいと思います。 歳出を抑えた、削減すると。この面においては、私は午前中の阿川県議の御質問であったように、一定の評価はいたしたいと思います。しかし、お話ししたように、歳入の面で全く触れなかった。とりわけ地方税についてじっくり現状を見た上で何らかの議論をする必要があったんではないか。予算編成時にこの地方税について担当部局なり、あなたのお考えで十分な議論をしたのか、あるいは地方債も含めて県債を抑えるだけでなく、違った形の県債も出せないかという議論をしたのか、お尋ねを申し上げたい。 二点目は、これは県債とかかわるわけですが、資金調達に各県とも大変な御努力をいたしております。本県は、午前中の議論を聞いておりましても、あるいは部局からの説明をいただきましても、従来どおりの県債発行を、まあいえば踏襲したと言われても仕方がないやり方をいたしました。大胆な改革を挙げながら、とりわけ県債について厳しい御意見を持っておられたあなたが、何の新たな取り組みをも示さず、そういうものに終始したこと、本当に残念に思います。もっと大胆にこの部分に議論をかけていくべきではなかったか。国の税財源移譲等を座して待つだけなのか、知事の御所見を、率直な御所見をお伺いいたしたいと思います。   (大田知事登壇) ◎知事(大田正君) 厳しい財政事情の中で、地方税、地方債の充実などについて議論がどうであったのかという御質問でございます。 地方分権の進展に伴いまして、地方公共団体の自主的、自立的な行財政運営、あるいは地方税財源の充実確保が今後の大きな行政課題となっております。 議員御質問の県債に関しましては、県債の円滑な発行や良質な資金の安定的な確保は極めて重要な課題であると認識しております。さまざまな観点から検討を加えているところでございます。 また、県税につきましては、地方税法によりまして地方公共団体に認められております課税自主権の活用として、法人県民税の法人税割の超過課税を既に実施しているところではございますが、現時点におきましては、広く県民の皆さんとの議論を踏まえた検討はできていないのが実態でございます。 次に、予算に係る歳入についての御質問でございますが、予算におけます歳入につきましては可能な限りの確保を図ることといたしておりますが、現下の厳しい経済環境などから、県税収入は前年度を下回る見込みとなったほかに、地方交付税につきましては、地方債への振りかえ措置などによりまして大幅な削減となったところでございます。 このような中、議員御指摘の歳入についてのあり方を検討することは、地方分権の進展に伴い、自主的、主体的な行財政運営を確立するため、大変重要な課題であると考えております。 このため、本県では、国への重要要望事項や、あるいは全国知事会を通じまして、税源移譲など制度的な見直しにつきましても働きかけを行っているところでございます。 特に、地方交付税制度に関するさまざまな議論が繰り広げられておりますが、地方の現状を踏まえますと、地方交付税による財源保障及び財源調整機能は極めて重要であると思います。このため、財源保障機能の堅持などにつきまして、機会あるごとに要望しているところでありますので、御理解を賜りたいと思います。 なお、県税等の超過課税等、県民の皆さんへの呼びかけ、あるいは制度の新たな研究等につきましては、今後十分検討してまいりたいと思っております。   (吉田議員登壇) ◆二十八番(吉田忠志君) 御答弁をいただきました。 ベテランの知事が淡々と、自信に満ち、財政運営はお任せくださいと言わんばかりのお話でした。私は本当は、もっとみずみずしい、新鮮な、もしかしたらこちらがはっとするような御答弁があるかもしれないと期待をいたしておりましたが、うまくかわされた感じがいたします。 そこで、改めてお尋ねを申し上げます。 これから検討なさるとおっしゃられましたが、これらの実態はどうなんかということを少し述べさせていただいて、知事の政治家としての、そしてまた、県政のトップとしての御所見をお伺いいたしたいと思います。 まず、先ほどの御答弁で、県債についてはさまざまな観点から検討を加えておられるということでしたが、具体的に何をどのように検討されているのか、お話しください。 また、これから検討するとおっしゃいましたが、私は現状の地方税、特に県民税について少し触れたいと思います。 先ほど知事の御答弁の中には、法人県民税の税割りのお話をされておりましたが、では個人住民税の均等割、法人住民税の均等割、あるいは平成十六年度から資本金一億円以上の本店のある企業に対して掛けられる外形標準課税について県の対応、それら実態を踏まえた上で知事はどんなふうにお思いになり、どんなふうに対応すべきか、お答えをいただきたいと思います。 先ほどの御答弁をお聞きしましても、やはり国への働きかけ中心でして、みずからこの歳入の厳しい折、何とかしてみようという姿勢に全く欠けておると思わざるを得ません。 午前中もお話出ました青森、岩手、秋田、北東北三県は、昨年から実は、資金調達のために共同で地方債を出そうじゃないかという取り組みを始めております。また、総務省においてもミニ市場公募債を許しております。それなら何をやっぱり示しているかっていうのは、とにもかくにも制度がきちっとはまるまで、自主的に、自立的に何とか地方も知恵を絞ってほしいという姿勢だからです。このまま座して国の制度改正をお待ちになるというのは、改革を標榜した大田知事にとって、姿勢としても私どもは承服しがたいのであります。この点について、改めて御答弁をいただきます。 また、県債についていろいろと検討なさったとお話しでございますが、例えば私どもが事業によっては、個人向けの地方債を発行してもいいんじゃないか、国債さえ個人向けの国債を発行している、ある意味では、事業によっては市町村と共同して地方債を発行してもいいんではないか、そんな思いも随分するわけです。あるいは、より広域的な事業については、四県で共同して市場公募債なり、一般の地方債を発行してもいいんではないかと思いますが、いかがでございましょう。再度御答弁をいただきたいと思います。   (大田知事登壇) ◎知事(大田正君) まず、地方税法で認められた課税自主権を活用して、なぜ県民税の超過課税等について議論をしていかないかというお尋ねでございます。 議員御指摘の県民と議論すべきであるということにつきましては、私もそのような認識でおります。大変貴重な御提言と受けとめさせていただいております。 歳入の果たす役割や、あるいは課税自主権の重要性につきましても、私自身本当に今回の予算編成等でひしひしと感じたところでございます。一方で、経済・雇用情勢が大変今厳しい状況にございます。また、来年度は御承知のように年金給付の引き下げ、あるいは医療保険の自己負担の引き上げなどが見込まれているところでございます。したがいまして、御提案の県民税の超過課税等につきましては、県民の皆さん方の御理解が得られることがまさに大前提であると考えております。 まずは、来年度から実施する構造改革の実効が得られるよう鋭意努力をするとともに、今までにもまして予算の効果的、効率的な執行に努める必要があると考えておるところでございます。そういった上に、県民の皆さんにいろいろと御議論をいただく必要があるのかなと思っているところでございます。 こういったことから、県民税の超過課税等を直ちに実施するということは、先ほども申し上げました経済情勢、雇用情勢等、あるいはその他の料金の引き上げ、引き下げ等々によりまして無理かと思いますが、議員御提案の趣旨を十分踏まえまして、本県における今後の行財政の課題の一つとして、県民の皆さん方から御意見をいただきながら研究を進めさしていただきたい、このように考えているところでございます。 次に、地方債の共同発行、あるいは事業によるコミュニティボンドなどによる資金調達についての御質問でございます。 県債につきましては、自主財源の乏しい本県にとりまして、限られた財源の重点的・効率的配分の徹底を図る中で、一定の有効活用を図らざるを得ないと思っております。 本県におきましては、政府資金の銀行等縁故債資金から資金調達を行っているところでございますが、県債残高が増嵩する中で、県債の円滑な発行や、あるいは良質な資金の安定的な確保は極めて重要な課題であると認識をしております。 議員御提言の地方債の共同発行や、あるいはコミュニティボンドを制度化したミニ市場公募債などによります県債における資金調達方式の多様化につきましては、地方債の共同発行は地方財政法第五条の七に基づく連帯債務となるため、他の地方公共団体の債務を連帯して負うこととなることにつきまして、県民の皆さんの十分な理解をいただく必要がございます。 また、ミニ市場公募債は、発行コストの問題でありますとか、県の公金のペイオフ対策としまして、当面借り入れる縁故債については原則として証書発行としていることなど、幾つかの解決すべき課題もあると考えておりますが、国や他県の動向の情報収集等に努めまして、安定的な資金調達を確保するため、今後とも、さまざまな観点から検討を加えてまいりたいと考えております。 また、県民税の均等割等、あるいは外形標準課税等の御質問につきましては、担当部長の方から答弁をさしていただきたいと思います。   (迫田企画総務部長登壇)
    企画総務部長(迫田英典君) まず、地方税の中での超過課税のお話でございますけれども、現状ということで私ども承知しておる限りで申し上げますと、都道府県の超過課税、私ども徳島県で実施をいたしておりますのは、御存じのように法人県民税の法人税割でございます。それ以外にも、例えば大阪府では法人県民税均等割について実施をしておる。また、法人事業税につきましては、これの超過課税につきましては東京都ほか七都府県で実施をしているという現状がございます。 このような超過課税を現実にどのように実施をしていくかということにつきましては、ただいま知事の方から御答弁申し上げたように、何よりも県民の理解が必要という中で、経済社会情勢、あるいは私どもがみずから取り組むべき構造改革という形でどういうふうな結果、成果を出していくかというふうなことと密接に関係をする中で、議論が必要な場合には十分に議論していくというふうなことであろうというふうに思っております。 それから、外形標準課税につきましては、これも御案内のとおり、平成十五年度の税制改正におきまして、改正案がまさに現在、通常国会で御議論がされているところであろうというふうに承知をしております。一定の中小法人に対する配慮をしながら、十五年度の税制改正の中で国会でも御議論がされると思いますが、この税のポイントは、改めて申し上げるまでもないかもしれませんけれども、非常に景気に左右されやすい都道府県の税収構造というふうなものに着目をし、安定的な行政サービスをどういうふうに実現をしていくかということについて、まさに歳入面から国で御議論がなされているというところでございまして、こういうふうなものの議論の成り行きというふうなものについて十分注目をしていきたいというふうに考えております。 以上でございます。   (吉田議員登壇) ◆二十八番(吉田忠志君) 私は知事の答弁を求めておったつもりです。 実態を申し上げましょう。県民税の均等割は幾らだったと思いますか。年額ですよ。千円です。大沸騰して議論しなきゃならんほどの額と、正直言って言えるでしょうか。一生懸命検討するやいうほどのものでしょうか。あなたがこの実態を知った上で、どうだろうかで済むことなんじゃないですか。その実態も知らずに議論をしてないことが私は問題だと言っとんですよ。すぐ上げとかということは実は含んではないんです。 こういう実態を、地方税の中には現実に年で千円やいう税があることを何とかして少しでもふやして、まさにあなたの言うソフト事業に振り向けないのかと思うんです。御案内のように、ソフト事業は、少なくとも地方財政法五条によると、ほとんどが起債の対象になりません、御存じのとおり。しかし、ここでこのソフト事業が本当にいいものになるかどうかは、県民の皆さんに年額千円の均等割を少しでもいただいて、それをあなたが言う身近な生活者の視点に立ったソフト事業に使うという発想が実現できれば、もっと歳入と歳出、まさに受益と負担の関係が明確になるんではないでしょうか。私はそういう意味で、本当にこの地方税を何とかしてみようかなという──予算編成に当たってですよ、視点がなかったんだろうかと不思議でならないのでございます。 あえて、これは部長の答弁は要りませんから、知事でお答えくださいね。 重要要望事項の中に、留保財源の引き上げのことを国に要望しておられます。直接の要望事項については、都市と格差がつかないように配慮願いたいと、こういうのが重要要望事項の項目であります。問題は留保財源であります。少なくとも留保財源は、増税した分については、あるいはみずから努力してふえた分については、基準財政収入額に加えないというのが原則であります。そうしますと、そのふえた分は、本当の意味で自主財源として、あなたが標榜される事業に振り向けられることになるわけです。まさに、サマーレビューでそういう議論がちょうちょうはっしとして行われたのかなと。そうではない。 県債にしてもそうです。あなたはなぜ前知事のキャップにこだわられるのか。あなたは十四年度予算なり、少なくとも前知事がやってこられたことを、財政運営も含めて批判されたわけです。その政権で四百五十億円のキャップをなぜあなたがこだわるのか。午前中も堂々とこの場で、四百五十億円のキャップを下回って三百七十一億円しか起債しなかった。おかしいじゃないですか。どこに改革の意思があるのか、改めて問いたい。   ──────────────────────── ○議長(川真田哲哉君) 小休します。      午後一時五十七分休憩   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    午後一時五十九分開議      出席議員計四十名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     重  清  佳  之 君     二  番     木  南  征  美 君     三  番     川  端  正  義 君     四  番     嘉  見  博  之 君     五  番     森  田  正  博 君     六  番     喜  田  義  明 君     七  番     須  見  照  彦 君     八  番     臼  木  春  夫 君     九  番     黒  川  征  一 君     十  番     古  田  美 知 代 君     十一 番     山  田     豊 君     十二 番     森  本  尚  樹 君     十三 番     岡  本  富  治 君     十四 番     藤  田     豊 君     十五 番     谷     善  雄 君     十六 番     庄  野  昌  彦 君     十七 番     橋  本  弘  房 君     十八 番     冨  浦  良  治 君     十九 番     久 次 米  圭 一 郎 君     二十 番     長  池  武 一 郎 君     二十一番     大  西  章  英 君     二十二番     長  尾  哲  見 君     二十三番     樫  本     孝 君     二十五番     竹  内  資  浩 君     二十六番     福  山     守 君     二十七番     西  沢  貴  朗 君     二十八番     吉  田  忠  志 君     二十九番     北  島  勝  也 君     三十一番     佐  藤  圭  甫 君     三十二番     児  島     勝 君     三十三番     川 真 田  哲  哉 君     三十四番     遠  藤  一  美 君     三十五番     柴  田  嘉  之 君     三十六番     四  宮     肇 君     三十七番     元  木     宏 君     三十八番     中  谷  浩  治 君     三十九番     大  西     仁 君     四十 番     阿  川  利  量 君     四十一番     谷  口     修 君     四十三番     榊     武  夫 君   ──────────────────────── ○議長(川真田哲哉君) 再開いたします。   〔来代・杉本両議員出席、大西(仁)議員退席、出席議員計四十一名となる〕   (大田知事登壇) ◎知事(大田正君) 大変失礼いたしました。 吉田議員の方から、前知事の県債のキャップ制などにこだわるのはおかしいんじゃないかと、もっといわば大田色を出して予算編成をきちっとやるべきじゃないかと、こういった御指摘がございました。 私も正直申し上げまして、今回この県の予算編成というものを初めてやったわけでございまして、本当に私の発言の一言一言っていうものが非常に重たい、また影響を与えるということを本当に恐ろしい思いで感じてきました。そういった中で、本当にめったな口をきくべきではないといいますか、そういう本当に重責ということが改めてひしひしわかる状況でございました。 私は、圓藤前知事のこのキャップ制につきまして、基本的にやはり県債の増嵩というものを考えていきますと、やはり私の時代になっても守るべきものは私は守らなければいけないのではないかという思いがございます。 それは、やはり先ほども少し御答弁いたしましたが、県民の皆さん方のニーズというもの、大変多岐にさまざまにわたっております。このことをまさにこの県の財政状況を見ながら、県民のニーズというものを無視することもできない。さらには、先ほど午前中の議論の中で阿川大先輩からも言われましたけれども、とめる、やめるということばっかりを言って後ろ向きだったと、こういう御指摘でございましたが、そういったことも含めて、前知事の予算編成であっても、あるいはずっと継続してる事業であっても、もちろん断固としてやめざるを得ないことについてはやめるべきであろうと思いますが、私が少なくとも十五年度予算の編成に当たって各部局からいろいろヒアリングを受けて決断したことにつきましては、当面こういった予算をつけて事業を継続しなければならない、こういう思いもございました。 さらに、私自身が、まさに二十一世紀に向けて本県のあるべき姿といいますか、そこらに種をまくような予算につきましても、どうしてもこの十五年度予算の中で少しでもつけておきたい、こういう思いもありまして、今回のような予算編成になったところでございます。 議員が御指摘されました県税等の今後の対応につきましては、私もまさにそういった思いはございますので、今後十分検討してまいりたい、このように思う次第でございます。   (吉田議員登壇) ◆二十八番(吉田忠志君) 初めて知事から、私の質問に対してきっちりと答えをしていただいたとは思いませんが、ヘッドとしての真情を吐露していただきました。私はこっからでないといかんと思います。午前中から歯ぎしりした思いでやりとりを聞いておりましたのは、まさに部局の皆さんが、もちろんあなたも同席してでしょうが、部局の皆さんが積み上げてきたことをそのまま淡々と述べられることに大変腹を立てておったわけです。初めて、この議場であなたの真情の一たんを吐露していただき、改めて時間も余りないようですんで、お尋ねを申し上げます。 歳入問題につきましては、十分前向きに検討していただけるような御答弁でございましたが、私は何をするではなくて、そういう改革の姿勢をあなたに求めたことをお忘れにならないようにしていただきたい。個人住民税の均等割を千円から二千円にすることを直接求めたつもりはない。 しかし、地方分権化の中でそれぞれが必死になって資金調達、歳入工面をしているのに、厳しいと言いながら歳出カットばっかりして、県内経済にどんな影響を与えるか御存じにもかかわらず、「やめる、とめる」では県民の皆さんが浮かばれません。だからこそ、あえて、本当は我々も選挙を間近にしてお金を上げてやいう話は、もってのほかだと思います。しかし、やむにやまれず、改革と言いながら何にもしないでカットだけでは県民に対して申しわけないと思うから、あえて象徴的なお話をしたつもりでございます。 時間が余りないので、かなりはしょりましょう。 公共事業のあり方についてお尋ねするつもりでしたが、現下の雇用状況、経済状況を踏まえた上で、この部分にだけ短くお尋ねを申し上げたい。 午前中の阿川議員のお話にも出てきましたように、雇用の問題に若年の雇用と中高年の雇用がございます。あなたは中高年の雇用については、かなりやっぱり企業とのミスマッチがあるから技術習得を含めてテクノで対処したいと言ったように記憶をしておりますが、ならば、どうして今のままでテクノをそのまま使って中高年のミスマッチを直すことができるか。私はあえて申し上げるなら、マリンピアの二期事業にその埋立地を使うことになっておったテクノの用地を、いともあっさりと放棄をしてしまわれたのは、テクノをこれからどのようにこのミスマッチを解消するために使うかという視点が本当はなかったんではないかと、私は感じております。 大胆なことをしなければ、この雇用状況の希望をつかむことはできません。中央テクノをもし使うとするならば、本当に企業と一緒になって技術習得のための施策を展開しなければなりません。少なくとも、今までリストラされた皆さん平成八年から十三年までの間に二万人以上の方が、実は従業員としてやめられとるわけです。従業員から無職になられた。その中にミスマッチがどれだけあるかは私にも定かでありませんが、いずれにしても中央テクノを使い、技術習得をしていただき、そして、改めてその企業の皆さんたちにマッチできるやっぱり企業へ入っていただくと。それが十五年度にさまざまな事業として出された相談事業にのっていけることじゃないですか。すなわち、これからも厳しい人たちにとっては同じ状況があると思います。 それならば、一例ですけど、企業の皆さんと相談なされて、現在抱えておられる従業員の所得の六〇%を少なくとも企業に持っていただき、今ある所得の四〇%を県が一たんそれを受け取り、技術習得のためのさまざまなケアをその資金を使ってやられるとか、あるいは四割でなくても、その半分をいただいて技術習得のためにミスマッチの部分をケアしていくとか、それにテクノをどのようにはめ込んでいくかということを考えられたらどうですか。一つの方法でしょうか。 鳴門と徳島のテクノの統合をお話ししただけで、中嶋委員長に、統合なら不要不急の分だから要らない、当然二期事業のマリンピア埋め立ても必要ないと簡単に処理をされてしまったことに、あなた自身が何にも思わないで受けたこと自体、私は雇用問題についてのあなたの政策展望が全くなかったと言わざるを得ない。 改めて、時間がありませんから、この問題だけ率直な御意見なり、これからのテクノをどういうふうに利用するか、部長でなくあなたがお答えください。   (大田知事登壇) ◎知事(大田正君) 雇用のミスマッチを解消するための政策展望とテクノスクールの今後の活用についての御質問でございます。 長引くデフレ不況など厳しい経済情勢の中で、全国の完全失業率は平成十四年の年平均で五・四%、過去最悪となっております。本県も五・三%と大変厳しく、また、県内の有効求人倍率につきましても、午前中にも申し上げましたが、〇・五九倍と、依然として厳しい雇用状況が続いております。 このため、平成十五年度新規事業としまして、とりわけ再就職の厳しい中高年者等の円滑な就職を支援するために、県就労支援プラザをクレメントプラザビルに新たに設置をしまして、より効果的な情報提供を行うとともに、経歴や職歴の非常に高い相談員の方──キャリアカウンセラー有資格者によりまして、きめ細かな職業相談等を実施することによりまして安定した雇用の確保に努めてまいりたいと考えております。 さらに、労働局などと共催で実施しております合同就職面接会に参加する求職者等を対象に、自己の適性把握に、就職活動に必要な能力の向上等を目的とした就職支援セミナーを開催をしまして、早期就労を積極的に支援してまいりたいと思います。 このように、雇用情勢の悪化の大きな要因であります雇用のミスマッチを解消するために、今後とも、労働局など関係機関と連携協力を図りながら、適切な雇用施策の充実に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。 また、県立テクノスクールにおきましては、企業が求める職業能力を付与するために緊急離職者職業訓練対策事業を実施しておりまして、平成十五年度においてはIT関連や福祉分野における新規の訓練を予定しているところでございます。 さらに、平成十五年度からは県職業能力開発審議会の中に小委員会を設けまして、徳島、鳴門両テクノスクールの統合を初め、企業の求める人材育成につながる科目の再編等について集中的に審議を進めてまいりたいと思います。 今後とも、景気の回復の兆しがなかなか見えない状況にありまして、ハローワークなど関係機関と一層の連携強化をしながら、テクノスクールの充実強化を図ることによりまして、職業能力のミスマッチの解消に努めてまいりたいと思っております。 なお、マリンピアへのテクノスクールの立地の関係につきまして、マリンピア二期事業検討委員会の方から出されました御意見を丸のみしたではないかと、こういうお話でございますが、私はこの検討委員会の方からいただきました御意見というのは、不要不急のものだということではなしに、まさにここに、マリンピアにつくる必要があるのかどうかということでの御意見をちょうだいをして、今日の方針になっている、こういうことでございますので、御理解をいただきたいと思います。   (吉田議員登壇) ◆二十八番(吉田忠志君) 前段は、そんなことを聞いておりません。 一つ言っておきますけどね、知事さん、例えば県単事業で新規となっておられる県就労支援プラザ設置事業というのがありますが、よろしいですか、先ほど一番最初に御指摘したように、これらもちゃんと、キャリアカウンセラーというのはね、国の施策としてちゃんとのっとんですよ。ある意味じゃ、その国の大きな体系の中にのってきたことであって、しかも相談事業じゃないですか。私がお話ししたのは、本当に困っておるんだから、どうやって技術習得を企業と県がタイアップして、テクノを使ってやるかということをお尋ねしたんであって、どうするのかと。統合だけでない、そういう意味合いを持たせたら、早急にできることだってあるでしょうが。どうしますかとお話ししたんですよ。 時間がありませんので、経済委員会でだれかにしていただくようにしたいと思いますが、いずれにしましても、雇用状況っていうのは、有効求人倍率や、あるいは完全失業率だけ見て、余りぴんとこないところがあるんです。現実に、これ全国と徳島県との照合ですわ。事業所やら、従業員数やら、あるいは出荷額、販売額など、業種によって全部見てみますと、惨たんたる。何とかしょうやとおっしゃるんだったら、今から産業人と会って、あれこれ中期的な話をしたって仕方がないじゃないですか。テクノが使えるならば、十分それを使って、どうやってミスマッチの部分を技術、スキルアップしてもらうかということを皆さんと相談して、早速せにゃあならんのじゃないですか。 私は、そういう面では、経済にとって大変厳しい状況にもかかわらず、大変悠長なお話を、あるいは悠長な施策を十五年度に展開しておるんかと思って、これも承服しがたいもんがある。あとは経済委員会にお任せし、私の所掌する総務委員会ではそれに関係するお話をいたしたいと。 時間がなくなりましたので、これで私の質問は終わりますが、最後に、今期で勇退される谷口先生、四宮先生、本当に長きにわたり、県勢発展のために本当に御苦労さまでございました。 また、我々後輩のために、本当によき指導をしていただき、この場をおかりして心から感謝と敬意を申し上げます。 これからも、十分御健康に御留意されて、議場を離れましても、厳しいこの県政の実情を一番よく御存じですんで、地域の人、さまざまな人に一層の御指導や御鞭撻を重ねていただけるよう心からお願いを申し上げて、私のすべての質問を終わりたいと思います。 御清聴ありがとうございました。(拍手)   ──────────────────────── ○議長(川真田哲哉君) 議事の都合により、休憩いたします。      午後二時二十一分休憩   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    午後二時四十三分開議      出席議員計三十四名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     重  清  佳  之 君     二  番     木  南  征  美 君     三  番     川  端  正  義 君     四  番     嘉  見  博  之 君     五  番     森  田  正  博 君     六  番     喜  田  義  明 君     七  番     須  見  照  彦 君     八  番     臼  木  春  夫 君     九  番     黒  川  征  一 君     十  番     古  田  美 知 代 君     十一 番     山  田     豊 君     十三 番     岡  本  富  治 君     十四 番     藤  田     豊 君     十五 番     谷     善  雄 君     十六 番     庄  野  昌  彦 君     十七 番     橋  本  弘  房 君     十八 番     冨  浦  良  治 君     十九 番     久 次 米  圭 一 郎 君     二十 番     長  池  武 一 郎 君     二十一番     大  西  章  英 君     二十四番     来  代  正  文 君     二十五番     竹  内  資  浩 君     二十七番     西  沢  貴  朗 君     二十八番     吉  田  忠  志 君     二十九番     北  島  勝  也 君     三十二番     児  島     勝 君     三十四番     遠  藤  一  美 君     三十五番     柴  田  嘉  之 君     三十六番     四  宮     肇 君     三十七番     元  木     宏 君     三十九番     大  西     仁 君     四十 番     阿  川  利  量 君     四十一番     谷  口     修 君     四十三番     榊     武  夫 君   ──────────────────────── ○副議長(柴田嘉之君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 十七番・橋本弘房君。   〔森本・長尾・樫本・杉本・佐藤・中谷六議員出席、久次米・大西(仁)二議員退席、計三十八名となる〕   (橋本議員登壇) ◆十七番(橋本弘房君) 私は新風21を代表いたしまして、県政を取り巻く諸問題について質問をさせていただきます。 大田知事が誕生しておよそ十カ月が過ぎましたが、知事は就任直後から、徳島空港拡張周辺整備事業マリンピア沖洲第二期事業という大型公共事業に対する処理方針を新たな手法を駆使しながら決定するとともに、前知事の汚職問題につきましても、紆余曲折を経ながら、調査団の設置にこぎつけたところでございます。 大田知事には、失われた県政への信頼の回復と、さらなる県民福祉の向上に最大限の努力を傾注されんことを要請し、直ちに質問に入ります。 知事並びに理事者各位におかれましては、明快な御答弁をお願いをいたします。 最初に、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。 まず、新しい徳島の創造に向けた行動計画である「ものから人へ徳島創造プラン」並びに平成十五年度当初予算案についてであります。 大田知事は、知事就任後の昨年六月議会において、新しい徳島を創造するために新たなプランを策定することをいち早く表明され、これまで平成十五年度当初予算の編成と一体的に取り組んでこられました。緑の公共事業や少人数学級の導入など、知事が公約として県民の前に約束された施策がプランの中に持ち込まれ、なおかつ来年度予算案でもって肉づけされ、新プラン策定の最終段階を迎えているのであります。大田知事就任後一年も経過していない現段階で、徳島創造プランに掲げられた四十の重点テーマに沿って、これから取り組むべき重点的、戦略的な施策の全体像と向こう三カ年の具体的な目標を見ることができるのであります。 このように、大田知事のリーダーシップのもと、一丸となって、行政の各分野にわたる早急に取り組むべき施策を速やかに取りまとめられ、あわせて平成十五年度予算案とセットで県民の前に示されたことを私はまず敬意を表したいと思います。 また、プランの策定に当たっては、生活者の視点、成果の重視、ソフト重視という三つの視点を掲げられておられますが、今日の財政状況からして、従来にない発想と知恵が必要となることは必至であります。そうした上で、徳島創造プランの基本理念のもととも言うべき「もの」から「人」への価値観の転換について私なりに理解してみますと、私たちの毎日の生活や自然、環境、そして人に対してもっと優しく、もっと細やかな視点を持つべきであるということではないかと思うのであります。 私は、新しいプランの重点テーマを見るとき、これからの課題は知事が所信で述べられておるように、新しいプランを県民と行政が共有する目標とするため、どのように実施し、推進していくのかということが極めて重要であると考えます。 そこで、四点お伺いします。 大田知事の県政運営の基本となる「ものから人へ徳島創造プラン」について、現在の本県の置かれている状況をどのように認識され、どの方向に導こうとされておられるのか。また、これまでの県計画との違いはどこにあるのか、御説明いただきたいと思います。 次に、プランの中身はいずれも重点的な施策でありますが、特に「もの」から「人」へと軸足を移していくために知事が思いを込めて最重点で取り組むべき施策について、具体的にどのように考えておられるのか、御所見をお伺いします。 また、新たなプランの推進に当たっては、県民と行政とが真の意味でのパートナーシップを確立することが必要と考えますが、そのために知事はどのように工夫し、取り組んでいくお考えなのかもお伺いいたします。 さらに、プランと一体に取り組まれた平成十五年度当初予算案は、政策評価制度を本格導入され、「選択と集中」をキーワードに、限られた財源の重点的・戦略的配分の徹底を図られ、編成されたと所信で述べられましたが、政策評価がどのように生かされ、また、どの分野に施策の選択と集中をされたのか、お尋ねをいたします。 次に、二十一世紀初頭の本県の行財政システムを形づくる礎となる構造改革基本方針についてお伺いをいたします。 国においては、一昨年に小泉内閣が発足し、今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針を起点として、いわゆる聖域なき構造改革が進められております。しかしながら、景気・雇用情勢は一段と悪化しており、その傾向に歯どめがかからず、我が国経済は、いまだ先の見えない長いトンネルの中にあると言えます。 政府においては、国民が将来を安心できる確固たる経済社会を構築するため、昨年十月に示された改革加速のための総合対応策で金融システム改革、税制改革、規制改革及び歳出改革を四つの柱として構造改革を加速し、日本経済を再生するための政策強化を行い、デフレを克服しながら民需主導の自立的経済成長の実現を目指すことといたしております。 一方、本県におきましては、平成十五年度までの計画となっている現行の新行財政システム推進大綱を前倒しで見直すこととし、「県民とともに考え、ともに行動する県政の推進」を基本理念とした新たな県行財政の構造改革に取り組もうといたしております。これは、現在の経済社会の変貌のスピードが我々の想像以上であり、また、県民ニーズがますます複雑・多様化していることから、知事の県政運営の基本姿勢である「民意に責任を持つ行政」を実現しながら、県民の満足度を向上していくためにはぜひとも必要なことであると考えるのであります。私は、このような理念には大いに賛同し、評価するとともに、知事の構造改革に向けた意気込みに共感するところであります。 そこで、お伺いします。 国における構造改革の取り組みを踏まえ、どういった点に重点を置いて本県の行財政の構造改革に取り組まれようとしておられるのか、知事の御所見をお伺いします。 また、県行政の構造改革を進めていく上では職員の意識改革が何よりも必要であり、このことなくしては改革はあり得ないと思うのであります。そこで、職員の意識改革について知事はどのようにリーダーシップを発揮し、今後どのように取り組むおつもりなのか、具体的にお伺いをいたします。 次に、汚職問題の調査等についてお伺いをいたします。 前知事の汚職事件に端を発した汚職問題調査団の設置に関しましては、昨年九月の定例県議会以降さまざまな議論がなされ、また、県民の間でも署名活動やカンパ活動が展開されるなど、大きな反響を呼びました。そして、二度の定例会を経て、本年一月の臨時議会において調査団設置のための予算が認められたわけですが、余りにも遅きに失したと言えるのではないかと思うのであります。 県議会においてこれまで議論されてきた最大の焦点は、調査団を構成するメンバーの人選問題であります。人選に当たっての考え方としては、今回の調査等の性格や目的に照らし、適任かどうかということが最も重要なポイントであり、それは人の活動実績や業務遂行能力等から判断されるべきものであります。したがいまして、憲法などに保障された思想、信条の自由を侵したり、政治的な立場を判断基準とすることには大きな問題があると考えます。 元来、メンバーの人選はすべからく知事の執行権、裁量の問題であり、このことについて議会が膨大な時間をかけ、あたかも本質的問題であるかのように議論されてきたことは、結果的に問題を先送りしてきたと言わざるを得ないのであります。 また、公平、中立に調査等を行っていただくという名目のもと、誓約書を徴するということについては、今回委託する相手方は法に基づく資格を持った弁護士や公認会計士であり、公正、中立の立場で委託業務の実施に当たってくれることは申すまでもないことでありますし、委託契約書に公平不偏の原則に関する規定を設けていることで十分その目的は達せられると考えられます。 去る一月の臨時議会において附帯決議がなされた内容は、我々は反対の立場でありましたが、多くの県民からも県議会の良識が疑われたことになったと思います。 しかしながら、知事においては、議会の議論や提案のあった会派からの意見等も踏まえ、調査等の透明性、公平性、中立性をより確保する観点から、当初案の五名に徳島弁護士会から推薦いただいた二名を追加し、また、誓約書を徴することについても最大限努力しようとしており、調査団設置のため、譲るところは譲ったと思うのであります。つまり、執行権の問題とはいえ、調査等の成果を上げるとともに、県議会の附帯決議の取り扱いを遵守することを総合的に勘案、しんしゃくし、熟慮された結果であり、このことをもって直ちに議会軽視には当たらないと思うのであります。 知事も所信で言われているように、県政史上未曾有のこの事件を風化することがあってはならず、県民の県政に対する信頼回復は何よりも増して喫緊の重要課題であります。そこで、調査団を構成する弁護士等のメンバーが決まったわけでありますので、早急に調査団を立ち上げ、調査等にかかっていただき、一日も早く成果を出し、県政の信頼回復を図ってもらいたいと考えるところであります。 そこで、今後の調査等の具体的なスケジュールと知事の決意のほどをお伺いするものであります。 次に、子ども病院についてお伺いいたします。 知事は、去る二月十七日の定例記者会見で、県立子ども病院の開設について、独立した子ども病院を断念し、中央病院の改築に合わせて小児病棟を新設する旨の方針を示されたとの新聞報道がありました。 私は、大田知事の公約の一つとして掲げられた県立子ども病院の開設について、早々と断念すべきではないと考えますし、庁内の分析検討チームの報告の中で指摘のありましたマンパワーの確保や財政面での厳しい状況については、他の施設の建設や開設と異なる「選択と集中」の観点から、さらに検討をしていただきたいと思うのであります。 例えば、小児科であれば現在でも中央病院にありますし、病棟を新設するといっても、厳しい言い方をすれば、病院の中にさまざまな診療科がある中の一つにすぎませんから、基本的には現在の小児科と大きく違いはないようにも思われます。 少子化が進む中、次代を担う子供さんたちをいかに健やかにはぐくむか、このことに対する思いを今も大田知事はお持ちのはずです。このことは子を持つ親の切なる願いであり、県民の願いでもあります。県民が安心して子供を産み育てることのできる環境整備を図るべきと考えます。どうか本県小児医療のさらなる充実のために、知事の強いリーダーシップをお願いしたいと思うのであります。 そこで、お伺いします。 病棟型子ども病院について、知事の具体的な構想と、そのことによって次代を担う子供さんたち、あるいは親御さんたちの安心がどう確保されるのか、あわせて所見をお伺いします。 次に、緑の公共事業に伴い発生する間伐材の活用についてお伺いをいたします。 我が国は、国土の六七%が森林で、先進国の中でも最も森林率の高い国であると言えます。森の国のイメージが強いカナダでさえ五四%、日本より森林の比率が高いのはフィンランド七六%、スウェーデンの六八%といったところであり、イギリスでは一〇%、アメリカでも三二%であります。 文明国は国土の緑を犠牲にして土地を開発してきました。一万年前、メソポタミアで始まった西洋の文明は木を切り尽くす文明であり、地球の資源は無限であるという前提の上に無尽蔵に自然を破壊する文明だと思われます。 しかし、日本は森の中ではぐくんだ森の文化を持っています。人々は森を育て、森から資源をもらい、もらった分だけのエネルギーを森に返すという循環を繰り返してきました。 これまで、日本の森の危機は、古代、戦国時代の二回の建設ラッシュでした。次に、太平洋戦争では日本の森は略奪され、最大の危機でありましたが、大規模植林で見事に再生されたかに見えました。しかしながら、現在、日本の森は史上かつてないほどの危機に見舞われています。それは過去にあった略奪等ではなく、伐採されない危機、放置されたことによる危機であります。これは林業経営上の危機だけにとどまらず、日本の森林文化を初めとする日本社会が抱える大きな問題であります。 そこで、知事が提案されている緑の公共事業に関連してお伺いをいたします。 この事業では、間伐事業を初めとする林業政策で二百人の雇用の場の確保を図ろうとされておりますが、中山間地域において土木を中心とした公共事業以外で雇用の場の確保を図るという知事の姿勢は大いに評価されるものでありますし、このほか所信表明の中で、間伐等の森林整備を中心に森林管理、雇用対策、交流促進、県産木材の需要拡大を五つの柱として力強く推進してまいりたいと述べられました。私は、緑の公共事業をただ単に緑の雇用対策に終わらせることのないよう知事に提案をいたしたいと思うのであります。 この事業を名実ともに公共事業とするべく、間伐材から資材を幅広く活用するための事業推進体制を整備することで新たな循環型産業の整備を図る試みを行ってみてはいかがかと思うのであります。 それは間伐材でつくる公共空間であります。産地では、ダム工、カゴマット工、丸太柵工など実用化の可能な事業もあります。水辺では、既に多自然型自然工法として定着しつつある事業もあり、間伐材のくいと自然石を利用したビオトープ事業を実施しているとお聞きいたしております。また、道路、公園、さらには農業、畜産、漁業でも間伐材を活用した事例は多く見られます。 このように、環境や生態系に負担がなく、耐久性に富んだ建設資材の開発と公共工事の中で活用をさらに積極的に図ることで、一層の間伐促進と製品開発に伴う新たな産業振興につながることを確信するものであります。これらの事業は全庁的な取り組みが必要であり、県庁組織の見直しも含めて知事の御所見をお伺いをいたします。 御答弁をいただき、質問を続けてまいります。   〔福山議員出席、重清議員退席〕   (大田知事登壇) ◎知事(大田正君) 橋本議員の質問にお答えをいたします。 まず、「ものから人へ徳島創造プラン」につきまして、現在の本県の置かれている状況をどのように認識し、どの方向に導こうとしているのか、また、これまでの県計画との違いはどこにあるのかという御質問でございます。 我が国は、バブル経済が崩壊した後も、いわゆる失われた十年の後遺症に深く傷つくとともに、従来の社会経済システムが機能低下し、いまだに出口を見出せない状況にございます。こうした中で、今日の社会経済が抱える多くの困難に直面しながらも、人々は消費行動や生活スタイルについてみずからの価値観を持ち、身近な生活に即した尺度をもって判断を行う中で、「もの」の豊かさよりも「こころ」の豊かさを求める傾向が顕著になってきておるところでございます。 このようなことから、私は、これからの県づくりの大きな方向としまして、経済の物差しや効率性だけでははかることのできない、県民が実感できる安らぎや潤い、安心や健康などにもっと軸足を置きながら、「人」を中心に据えて、もう一度我々の生活を見詰め直す必要があるものというふうに考えております。そして、恵まれた自然や社会資本などの県民共通の資産を生かしながら、県民の皆さん一人一人の幸せを大切にして生活の質を高めることにより、真の豊かさが実感できる徳島の実現を目指してまいりたいと考えております。 このため、今回のプランでは、「人」を軸とした価値基準に基づいて重点施策を構成いたしますとともに、県政を取り巻く社会経済情勢の急激な変化に対応するために、三年間の行動計画としたところであります。 また、推進に当たっては、できるだけ目標値を掲げまして、毎年度その達成状況を点検しながら必要な見直しを行うなどによりまして、実効性を高めるための創意工夫を凝らした計画としたところでございます。 次に、特に「もの」から「人」へと軸足を移していくために、思いを込めて最重点で取り組むべき施策について、具体的にどのように考えているのかという御質問でございます。 今回のプランでは、「ものから人へ」価値観の転換を図り、元気の出る、希望の持てる新しい徳島を創造するために、計画期間中の三年間で重点的、戦略的に推進する施策を四つの基本方向のもとで、四十の重点テーマに絞り込んで取りまとめております。 盛り込まれました施策は、いずれも重点的に取り組むこととしておりますが、特に重点とするテーマといたしましては、基本方向の「豊かな環境づくり」では、自然環境が人々の命を維持し、安らぎや潤いをもたらす貴重な財産であることから、人と自然との共生を重点テーマに掲げまして、豊かな生態系や自然景観を回復するための取り組みなどを進めることとしております。 次に、「支え合うくらしづくり」では、障害の有無や年齢、性別等にかかわらず、すべての人にやさしいまちづくりを進めるため、「もの」が備えるべき機能についての考え方を、従来のバリアフリーからさらに一歩進めたユニバーサルデザインについての取り組みや、人の命などにかかわる南海地震対策の推進、あるいは食の安全の確保にも重点的に取り組んでまいりたいと考えております。 また、「元気な地域づくり」では、森林の持つ機能を広く活用していくために、森林の整備を中心に環境対策、雇用対策、都市交流の促進など、森林に対する各種の施策を緑の公共事業と位置づけまして展開いたしますとともに、現下の厳しい雇用情勢に対処するために、雇用のセーフティーネットの構築を進めることといたしております。 四つ目の基本方向である「明日を拓く人づくり」では、一人一人の個性に応じて生き生きと学ぶことができる多様な教育の仕組みを整えることを目標としまして、きめ細かで多様な教育環境の整備を掲げております。具体的には、少人数による学級編制の導入を柱とした「いきいき学校支援プラン」を来年度から実施することとしております。 以上、申し上げましたものを初めとしまして、それぞれの施策を推進することによりまして、元気の出る、希望の持てる新しい徳島を創造してまいりたいと考えております。 次に、新たなプランの推進に当たって、県民と行政とが真の意味でのパートナーシップを確立するため、どのように工夫し、取り組んでいくのかとの御質問でございますが、プランは真の豊かさを実感できる徳島をつくり上げるために県民と行政とが共有するべき目標として策定するものでありまして、これまでの行政主導によります施策の展開から、県民と行政とのパートナーシップを確立して、ともにプランを推進していくという観点が非常に重要と考えております。 既に、プランに関しましては、社会経済情勢の変化や価値観が複雑・多様化する状況の中で、これまで以上に県民の皆様の目線や感覚を大切にする必要があることから、策定段階よりパブリックコメントの実施や公募による委員を審議会に登用するなど、民意が反映されるための取り組みを進めてまいりました。 今後、プランの推進に当たりましても、ホームページなどさまざまな媒体を活用することによりまして正確で十分な情報を提供するなど、情報公開の徹底を図ることとしております。 また、県内各地においてプランについて県民の皆様と直接意見を交換するタウンミーティングを新たに開催いたしますとともに、施策の展開に当たりましては、NPOやボランティアグループとの連携も一層密にしまして、県民とともに考え、ともに行動する県政を進めてまいりたいと思います。 そして、政策評価の手法をプランの推進にも活用し、その成果を有効性、効率性等の観点から客観的に評価するとともに、県民から寄せられた御意見を今後の施策の展開に反映させていきたいと考えております。 こうしてプランに示しました重点施策を今後一つ一つ、着実に推進していくことによりまして、新世紀を歩み始めた県民すべての方々がひとしく生活の質を高め、真の豊かさを実感できる徳島を県民の皆様とともに築き上げてまいりたいと考えております。 次に、平成十五年度予算において政策評価がどのように生かされ、また、どの分野に施策の選択と集中をしたのかとの御質問でありますが、平成十五年度当初予算は、国、地方を通じて極めて厳しい財政状況の中で構造改革を進めながら、新しい徳島を創造するための取り組みを具体的にするため、知恵を絞り、工夫を凝らしまして、私自身懸命に取り組んだところでございます。 このため、予算編成に際しましては、今年度本格導入しました政策評価システムを活用することによりまして、施策のより一層の選択と集中を図ったものであります。 具体的には、継続事業全般につきましては目的、妥当性、有効性などの観点から、全庁を挙げて点検評価を実施しまして、改善、見直しの徹底を図るとともに、新規事業につきましては、当初予算に向けてのサマーレビュー作業におきまして、有効性や必要性等の観点から徹底した評価、検証を行ったところでございます。 予算編成過程におきまして、このような政策評価の作業を行った上で、「豊かな環境づくり」、「支え合うくらしづくり」、「元気な地域づくり」、「明日を拓く人づくり」の四つを重点分野に位置づけまして、新しい徳島を創造するための施策を盛り込んだところでございます。 その代表的なものを申し上げれば、人づくりの施策といたしまして、「いきいき学校生活支援プラン」の実施によりまして、少人数による学級編制の導入など、一人一人に応じた、きめ細やかな教育の一層の充実や、産業や雇用、環境などの観点から、緑の公共事業により森林の持つ多面的機能の発揮や山村の振興を総合的に展開することとしております。 さらに、生活者の視点に立ち、暮らしに関する安全、安心づくりの施策として、食や医療、南海地震対策等に取り組むことといたしております。 今後とも、政策評価などの活用によりまして、施策の選択と集中をより一層徹底する中で、創意工夫を凝らし、新しい徳島の創造のために着実に前進してまいりたいと考えております。 次に、本県の行財政の構造改革につきまして、どういった点に重点を置いて取り組むのかという御質問でございます。 議員御指摘のとおり、現在、国においては構造改革を進めるためのさまざまな議論がなされておりまして、国庫補助負担金の整理、合理化や地方交付税制度の見直しなど、現状の地方行財政制度に大きな影響を与えるものが数多く含まれております。 また、本県の財政構造は国の依存度が大きく、国の改革の影響を受けやすいことから、今後、さらに厳しい財政状況となることが予想されるところでございます。これまでどおりの行政運営を行っていくことは、もはや許されなくなってきている状況にあります。 このようなことから、新たに取り組む行財政の構造改革は、単なる効率性の追求にとどまらず、従来の延長線上の発想から転換をして、より一層の施策の選択と集中を図りながら、新しい時代の構造変化に的確に対応し、県民の満足度に主眼を置いた行政へ脱皮していくものでなければならないと考えております。 そして、県民を県政運営のパートナーとして位置づけ、県民自身が行政サービスの受益と負担の関係を実感し、行政サービスのあり方を県民みずからが選択し、納得できる行政の仕組みを構築していかなければならないと考えております。 新たな改革の重点をこれまでの「簡素で効率的な仕組みづくり」から「県民本位の仕組みづくり」に置き、改革を単に県庁内部の改革ととらえるのではなく、県民にとって身近な改革として、県民に具体的道筋をお示しし、県民とともに考え、ともに行動する改革として取り組んでまいる所存でございます。 徹底した情報公開を進めること、顧客満足度を向上させること、県の役割を明確にすることの三点を改革を進めるための新たな価値基準に置きまして、情報の提供に関する要綱の制定やパブリックコメント制度の本格導入、出先機関の再編、機能強化など、県民本位の行政の仕組みづくりに全庁一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。 職員の意識改革についての御質問でございます。 改革を進める上で職員の意識改革は、まさに不可欠なものであると考えております。改革を一過性で終わらせることなく、日々の業務を通じて持続させていくためには、改革の理念、ビジョンを職員全体で共有することが何よりも大切であります。職員一人一人の改革意欲を高め、現場からの主体的な改革として盛り上げていく必要があると思っております。 このため、私は、職員の意識改革を進めるための新しい県政創造運動として、顧客志向に立つ、職員みずからの改革としてとらえる、変革に挑戦するの三点を意識改革の視点に置きまして、職員一人一人が変わろうという意識を持って主体的に取り組む「とくしまさいこう運動」を展開することといたしました。 これは、もう一度日ごろの行政のあり方を見直しまして、これからの時代潮流に合った行政への転換を図り、県民志向に立った行政サービスを提供することによりまして最高の徳島を創造していこうというものでございます。職員一人一人が窓口サービスの質の向上に取り組むなど、意識改革に向けたさまざまな施策を展開していくこととしております。 既に、私と職員が今後の県政の創造について自由に語り合う「知事と語る県政創造セミナー」を実施したほか、庁内LANを使いまして私から全職員に対しまして意識改革に寄せたメッセージをメール配信するなど、新たな試みもしてきております。 また、先般開催をしました構造改革推進本部においても、基本方針の最終的な策定に向けまして、幹部職員に対し、私自身の改革への強い決意を示すとともに、積極的な取り組みを指示したところでございます。 改革は、職員一人一人の変革へのチャレンジでございます。現状の閉塞感漂う社会経済情勢を乗り越えて、輝かしい本県の未来の扉を開いていくためには、何よりもまず、私たち行政に携わる者みずからが新たな行動を起こしていくことが大切でございます。今後とも、私みずからが力強いリーダーシップを発揮しまして、また、私自身先頭に立って、県民とともにもう一歩前へ踏み出してまいりたいと考えております。 次に、汚職問題の調査等についての今後のスケジュールと私の決意についてということでございます。 汚職問題調査団につきましては、三月上旬にも初会合が持てるように、現在、七名の先生方との日程調整を鋭意進めているところでございます。調査団の初会合では、私から今回の業務委託の趣旨、経緯等を御説明するとともに、調査方法及び作業スケジュール等につきまして協議していただくことを考えております。 また、委託契約の締結までに時間を要しましたことから、年度内に委託業務を完了することは物理的に困難な状況にありますので、あす、明許繰越費を追加提案することといたしております。 このようなことから、調査団によります本格的な調査などの作業は新年度からになると思われますが、六月末までには成果物としての報告書をいただけるようお願いしたいと考えております。 なお、調査団から報告書の提出がありましたら、県民の皆様に公表いたしますとともに、議会での御議論を踏まえながら、県として実施すべき再発防止策等を取りまとめてまいりたいと考えております。 これによりまして、今回のような汚職事件が二度と起こることのないようにその再発防止に万全を期するとともに、県民の皆様の県政に対する信頼を回復し、誇りと自信を持って県政運営に当たることができるように、全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。 病棟型子ども病院の具体的構想と、本県において安心して子育てができる環境がそれによりどう確保されるのかとの御質問でございます。 私はこれまで、急激な少子化が進む中で生まれてきますすべての子供が健やかに育ってほしいとの思いを強く持っております。機会あるごとに、そのことを申し上げてまいりました。そのためには、次代を担う子供の健康や幸せな成長を願う親御さん方に安心して子育てしていただけるよう、とりわけニーズの高い医療面での整備充実を図っていくことが極めて重要であると考えております。 私は、子ども病院の全国状況や本県小児医療の動向調査、あるいはその分析結果や有識者の御意見なども踏まえまして、本県において果たしてどのような整備充実が必要なのか、また可能なのか、さまざまな制約条件を考慮しつつ、何とかできないものかと、熟慮をしてまいったところでございます。 全国の先進事例を見ますと、初期投資のほか、毎年多額の繰り入れを伴い、その経営はかなり厳しい状況でございます。一方、本県におけます小児医療は、主要な病院を中心に役割分担と連携によりまして、かなりの分野がカバーされている状況にございます。 しかしながら、本県の新生児・乳幼児死亡率は全国ワースト一位あるいは三位であるなど、周産期医療体制に課題があること、また小児救急に対する県民ニーズは極めて高いことなど、まだまだ充実しなければならない分野もあります。県としては、やはり他の医療機関では実施できない分野、また、一層の充実が望まれている分野を担うべきであると強く感じているところでございます。 このようなことから、私は本県の人口規模や財政状況などを勘案をしまして、本県の実情に合った形で子ども病院を設置すべきではないかと考えまして、改築を検討している新中央病院において病棟型子ども病院を整備したいと考えております。 病棟型子ども病院の構想といたしましては、新生児や母体胎児の集中治療管理室を備えた本県周産期医療の拠点施設を設置することと小児救急体制のさらなる充実を図るということを中心とするものであります。 また、病棟型子ども病院のほか、最近社会問題化しております児童、生徒の不登校や小児心身症など、いわゆる子供の心の問題につきましても、教育、保健、福祉、医療など各現場の関係者によりますネットワーク会議を新年度に立ち上げまして、行政分野におきましても積極的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、小児医療あるいは小児のさまざまな課題解決のため、私みずから強いリーダーシップを発揮して、県民の皆様方が安心して子育てしていただける環境整備に総合的に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、建築資材の開発と公共工事での間伐材の活用を、県庁組織の見直しも含めて全庁的に取り組んではどうかとの御質問でございます。 間伐材を初めとした県産木材の利用拡大は、林業、山村、木材産業の振興と森林整備の促進にとって重要な施策であるとともに、生態系にやさしい建設資材である間伐材等の利用は、環境に配慮した公共事業の推進にも重要でございます。 このため、県といたしましては、県産木材の需要拡大を緑の公共事業の主要施策の一つに位置づけまして、積極的に取り組むこととしております。 具体的には、県内の公共土木事業における間伐材等の使用量を、平成十七年度には平成十三年度実績の約二倍となる八千立方メートルに目標を定めまして取り組みを強化してまいりたいと考えております。 間伐材の利用促進につきましては、木材利用推進連絡協議会などを設置しまして取り組んできたところでありますが、この目標の実現に向けましては、これまでにも増して全庁的な取り組みが必要であると認識をしております。 私としましては、緑の公共事業を推進するに当たり、全庁を網羅した推進本部の設置が必要であると考えているところであります。その中で、議員御指摘の製品の開発や工法の検討も行えるような体制を整備しまして、間伐材の利用を着実に推進してまいりたいと考えております。   〔久次米議員出席、吉田議員退席〕   (橋本議員登壇) ◆十七番(橋本弘房君) 御答弁をいただきましたが、それぞれ大変御丁寧なといいますか、長い答弁でございましたので、時間の関係でコメントにつきましては最後のまとめのときに申し上げたいと思います。 直ちに、次の質問に入ります。 昨年も質問いたしましたが、新しい障害者福祉サービスの仕組みであります支援費制度について、三点ほどお伺いをいたします。 障害者福祉サービスにつきましては、本年四月から二十一世紀にふさわしい福祉サービス利用制度ということで、これまでの措置制度から支援費制度に移行することになっております。 支援費制度については、利用者である障害のある人みずからが、サービスの提供者との対等な関係に基づき、みずからサービスを提供する事業者や施設を自由に選択し、契約によってサービスを利用することになり、障害のある人の自立と社会参加を促進することに加え、サービスを提供する事業者や施設が福祉サービスの質を向上させていくことになることなども期待をされております。 このように、支援費制度の仕組みについては非常にすばらしい考え方のもとに進められておりますが、一方、これまでの国の対応のおくれ等により、援護の実施者と位置づけられている市町村での支給決定やサービス提供基盤などの実態面を見てみますと、なお大丈夫なんだろうかという不安の声が聞こえてくるのも、また事実であります。 この不安の声の中で、私が最も危惧いたしております点の一つに、市町村での支給決定の前にされる聞き取り調査があります。 特に、施設サービスの聞き取り調査の場合は施設の職員もいるので、ある程度は大丈夫かなと思いますが、居宅支援サービスの場合には市町村の職員と申請者やその家族だけという状態でありますから、十分な聞き取り調査ができるのであろうかと思うわけであります。特に、知的障害者からの聞き取り調査の場合には、知的障害者の事務そのものが、これまで福祉事務所で行われており、町村にとって全く初めての事務となっております。 また、聞き取り調査は、居宅支援サービスの場合においても、障害の程度に応じて支援費を三区分あるいは二区分に分ける前提となる重要な事務であります。 そこで、まずお伺いしたいのは、居宅支援サービスに関する聞き取り調査の場合、県は援護の実施者である市町村に対してどのようにサポートしていかれるのか。また、市町村間で判定、支給量のばらつきが生じないのか。さらに、介護保険制度のスタート時にあった苦情処理に対する市町村への指導は十分されているのかという点であります。 また、支援費制度に関してサービス基盤の整備の関係があります。支援費制度では、障害を持った人がサービスを主体的に選択できるところが最大の特徴と言われておりますが、障害者の在宅での支援を直接行うホームヘルプサービスは、施設から在宅へという大きな流れの中にあって、今後、特に充実が望まれるサービスではないかと考えております。そして、ホームヘルプサービスはマンパワーがサービス提供の基盤であり、支援費制度が始まる今の時期にこそ、障害者の特性に対応できるホームヘルパーの養成、確保が重要な課題となってきております。 そこで、次にお伺いしたいのが、県は障害者の障害特性に対応できるホームヘルパーを今後どう養成、確保していくのかという点であります。 さらにもう一点、最近、市町村の担当者から、これまでの市町村が国から補助を受けて実施してきた事業の中に、来年度から国庫補助がなくなり、交付税措置に切りかわる事業が幾つかあり、本当に困っているという声をよく耳にします。 その一つに、市町村障害者生活支援事業があります。先般、徳島県障害児教育諸学校保護者連絡会から、この事業が後退することなく一層充実するよう要望書が出されました。この事業は、市町村が障害者生活支援センターに委託して、地域の障害者のさまざまな相談に応じるというもので、今後、支援費制度のもとで契約によって障害者サービスを受ける上で、利用者にとって大変心強い事業であります。 市町村にとっても、その事業の重要性は痛感しているものの、国庫補助の廃止に伴い市町村の経費負担が大きく膨らむことから、予算措置に大変苦慮しているという実態があるわけであります。国の施策の方針が変更になったということでございますが、市町村だけにしわ寄せが行かないよう、県としてどのように対応していくのか、お伺いをいたします。 以上の三点について保健福祉部長の御所見をお伺いいたします。 最後に、教育問題についてお伺いいたします。 小中学校においては、本年度から完全学校週五日制のもと、新しい学習指導要領に基づいて教育が行われており、その新年度の一年が経過しようといたしております。今日、各報道機関はもとより、社会全体が児童、生徒の学力低下に対する懸念を抱いていると認識いたしております。 国においては、平成十三年度小中学校教育課程実施状況調査の結果が公表されました。また、本県においては昨年七月、徳島県基礎学力定着化検討委員会において、独自に小学校五年生と中学校二年生の全員に基礎学力調査を実施し、昨年末に「基礎学力の定着化に向けて」と題する報告書が出されております。 そこで、本県の基礎学力の定着状況や学力向上策に関して、二点ほど教育長の御見解をお伺いいたしたいと思います。 まず第一点は、基礎学力調査報告書の中で、本県児童、生徒の基礎学力の定着状況はどう分析されているのか。また、その分析結果についての教育長としての所見並びに基礎学力の定着化や学力向上に向けた本県の取り組みについて御見解をお伺いをいたします。 もう一点は、学級における児童、生徒が抱える個々の問題についてであります。 各学校においては、基礎学力の定着や学力の向上への学校の取り組みにおいて大変御苦労されていることがあると認識いたしております。いわゆる学習障害や高機能自閉症等と呼ばれるもので、全般的な知的発達におくれはないものの、学習内容により限られたものに基礎的能力のおくれが見られるとか、多動的で落ちつきのない児童、生徒や、集団のルールがわからなかったりと特別な支援を要する児童、生徒が同じ学級の中でともに学んでいるという厳しい状況があるようです。各学校においては、担任の先生はもとより学校を挙げてこのような現状の中で基礎学力の定着はもとより、確かな学力の向上に日夜熱心に取り組まれているわけであります。 私は、学力低下問題については、時間数の減などの一面的な側面からではなく、このような現状を含めて多面的に考察するとともに、さまざまな施策を複合的に実施していく必要があると考えますが、学習障害等の児童、生徒が抱える個々の問題について、教育委員会としてどのように取り組んでいるのか、また、今後どのような支援策を考えておられるのか、教育長の御所見をお伺いします。 御答弁をいただきまして、まとめに入ります。   (谷川保健福祉部長登壇) ◎保健福祉部長(谷川博文君) 支援費制度の市町村指導に関する御質問でございますが、支援費制度では、県は実施主体である市町村に対し、支給決定に関する支援あるいは情報提供など、円滑な制度施行に対する支援を行うこととなっております。 居宅支援サービスに関する聞き取り調査の場合には、御指摘のように、施設サービスと異なりまして、障害者やその保護者等が心身の状況や介護の状況等を市町村に対し十分に説明できない場合もあると考えられますので、市町村といたしましても、こうした点には十分注意する必要があると思います。 このため、県といたしましては、今年度、市の福祉事務所及び県の各福祉事務所ごとに、それぞれ五回、ブロック会議を開催いたしまして、市町村職員に対し、制度の周知や実務上の処理方法の研修、さらには聞き取り調査の模擬実習などを行い、支援費制度の円滑な施行に向けて特別の指導を行ってきたところでございます。 平成十五年度におきましても、制度発足期であり、また市町村の職員の異動等も考えられることから、再度ブロック会議を開催し、事務処理上の疑問点や聞き取り調査の実体験を市町村の担当者とともに検討研究することにより、制度の円滑な実施に向けた支援を行うとともに、市町村間での判定や支給量のばらつきが生じないよう十分指導してまいりたいと考えております。 また、苦情処理に対する市町村指導につきましては、これまでも全体説明会やブロック会議等におきまして事務処理方法等を説明してきたところでございますが、今後とも県の福祉事務所や障害者更生相談所等とも連携を図りながら市町村の指導に努めてまいりたいと考えております。 次に、障害者の障害特性に対応できるホームヘルパーに関する御質問でございますが、障害者に対するホームヘルプにつきましては、現在、高齢者介護を日常業務の中心にしたホームヘルパーが対応いたしております。 県といたしましては、これまで、視覚障害者及び全身性障害者のためのガイドヘルパーの特別な養成は行ってまいりましたが、今後は、これまでのホームヘルパーのノウハウをより高度化し、広く障害者の特性に対応できるホームヘルパーの養成が求められております。支援費制度が施行されます平成十五年度からは、御指摘のように、施設福祉から在宅福祉への流れの中で、ホームヘルプのニーズが一層拡大していくものと考えております。 このような認識のもと、県といたしましては、来年度の県単独新規事業といたしまして、障害者ホームヘルパー育成研修事業を実施し、身体障害及び知的障害のそれぞれの特性に専門的に対応できるホームヘルパーを養成してまいりたいと考えております。 次に、市町村障害者生活支援事業について、県としてどのように対応していくのかとの御質問でございますが、市町村障害者生活支援事業につきましては、在宅の障害者に対する福祉サービスの利用援助や各種相談を初め、支援費制度における情報提供、相談支援機能など、地域における障害者福祉の推進に大きな役割を果たしていると考えております。 本県におきましては、平成九年度の事業開始以来、順次整備が進められ、現在、県内で九カ所設置されておりまして、すべての市町村でこの事業が実施されているところでございます。平成十五年度からは、この事業の国庫補助が廃止されまして市町村への交付税措置に移行することから、この事業は市町村単独事業として実施されることとなっております。 こうした国の方針を受けまして、県といたしましては、去る一月に市町村にお集まりをいただきまして、この事業を平成十五年度以降も引き続き実施していただけるようお願いしたところでございます。 今後におきましては、市町村の財政状況を踏まえ、この事業の円滑な運営を図っていくために、関係機関とも協議をしながら、国に対しまして財政的措置について十分配慮するよう要請してまいりたいと考えております。   〔吉田・大西(仁)両議員出席、出席議員計四十名となる〕   (松村教育長登壇) ◎教育長(松村通治君) 基礎学力の定着化に向けた取り組みについてのお尋ねでございますが、昨年十二月に徳島県基礎学力定着化検討委員会から、基礎学力定着化の方策について報告書の提出をいただいたところでございます。 まず、報告書における分析につきましては、設問は国語、算数、数学ともに目標平均正答率を八〇%と想定しておりましたが、いずれの教科も結果は、小学校五年生では約七〇%、中学校二年生では約七五%であり、目標平均正答率を下回っておりました。また、目標としておりました正答率八〇%を超える児童、生徒は、小学校で約三割、中学校で約五割でございます。 一方、正答率が六〇%に達していない児童、生徒は、ともに約二割となっており、この学力層の児童、生徒は自分で学習することが苦手であったり、わからないときにもそのままにしておく等の特徴が認められました。 次に、この分析結果に対する所見につきましては、残念ながら全体として児童、生徒の基礎学力の定着状況は十分満足できるものではないと受けとめております。特に、正答率六〇%未満の児童、生徒に対して十分な対策を立てていくことが大きな課題であると認識をいたしております。 今後の取り組みにつきましては、まず検討委員会の提言も踏まえ、平成十五年度から基礎学力定着化プロジェクト事業を推進してまいります。この事業では、理解のおくれがちな児童、生徒に繰り返し指導する等の補充的指導の充実や小学校における教科担任制の研究など、個に応じた指導の充実を図るため、研究校を指定し、基礎学力定着の方策を研究することといたしております。 さらに、教員の指導力の向上を図ることはもとより、少人数学級の導入とともに少人数グループ指導やチームティーチング指導など、一人一人に応じたきめ細かな指導を一層充実させるための「いきいき学校生活支援プラン」の推進を通して学力向上に取り組んでまいります。 次に、学習障害等の児童、生徒が抱える個々の問題に対する取り組みの状況と今後の支援策についてのお尋ねでございますが、近年学習障害、注意欠陥多動性障害、高機能自閉症など、特別な支援が必要な児童、生徒に対する支援のあり方が大きな課題となっております。 このため、文部科学省におきましては、平成十二年度から学習障害児に対する指導体制の研究事業を始めたところでございます。 本県におきましても、平成十三年度から小学校二校を研究指定校に指定し、学習障害に対する支援のあり方について研究を進めてまいりました。 先日、二年間の研究成果を冊子にまとめ、市町村教育委員会及びすべての学校に配布するとともに、その成果を踏まえて研修会を実施したところでございます。 さらに、来年度からは学習障害に加えて注意欠陥多動性障害、高機能自閉症などを対象とした特別支援教育推進体制モデル事業を実施し、各学校において中心的な役割を担う特別支援教育コーディネーターの育成や専門家による巡回相談の実施を通じて指導方法の確立を図るなど、支援体制のあり方についてさらに研究を進めてまいりたいと考えております。 県教育委員会といたしましては、こうした取り組みとともに校内における支援体制の確立や教員の理解啓発と指導力の向上、さらに福祉、医療等の関係機関との連携を図り、その支援の充実に努めてまいります。   (橋本議員登壇) ◆十七番(橋本弘房君) それぞれ御答弁をいただきました。 本日の代表質問の中で、あれもこれもと昨年に引き続き考えておりました。昨日の新聞で、本県は不況型倒産が第一位というふうな、そういう報道もございました。経済・雇用対策の観点から御質問と思っておりましたし、また、男女共同参画にかかわる問題についても質問させていただこうと思っておりましたが、時間の関係で、あすの我が会派の庄野議員の一般質問の中にゆだねたいと思う次第であります。 まず初めに、何点かちょっと感想を述べたいと思います。 まず、子ども病院について申し上げたいと思います。 先ほども申し上げましたとおり、安心して子供を産み育てることのできる環境整備というのは、子供を持つ親の本当に切なる願いでございます。本日、知事が答弁された新生児や母体胎児の集中治療管理室を備えた拠点施設を設置することということと、小児救急体制のさらなる充実を図りたいということを申されましたけども、どうもこれ私なりに思いますと、漠然として、具体的なイメージがちょっとよくわからないなと、正直申しまして思う次第でございます。 これは、恐らく知事御自身が先般の中央病院改築推進懇話会に出席をされて病棟型子ども病院の検討を要請しているということから、なかなか現時点では知事から具体的な内容を説明しにくいのかなということも推測されるわけでありますけども、ただ昨日の徳島新聞の「日曜レポート」ちゅうんですかね、これ、徳島赤十字の病院の取り組みということで大きく、二十四時間体制で専門医が七人というふうな記事が載っておりました。一月には千六百人ですかね、千四、五百人ですか、の子供さんたちがいわゆるこの日赤に来られたということと、患者は月平均、知事、六百三十人もおいでるということでありまして、夜間は二時間待ちというのがざらであったり、また、県西部から拠点病院ということで日赤までわざわざ子供さんを連れて、神をもすがる思いで病院の方へ来られておるということであります。中央病院の改築にあわせて、いわゆる病棟型を設置するということももちろん大事でありますけども、それまでの間に、さらにこの状況をどう改善するかということも一方で考えてほしいなあと思う次第でございます。 もう一点は、市町村の障害者生活支援事業について、関係機関との協議をしながら国に対して財政的措置について十分配慮するように要請していかれるとのことでありました。これ来年度からと言いますが、来年度からこういう国庫補助が交付税措置に切りかわるということについては、この事業もそうでありますけども、今後そういう傾向がますます拍車がかかると思うわけであります。そのときに県としてどういう形で市町村をサポートしていくのか、支えていくのかというのをぜひ大田知事のカラーの一つとして、今後、大いに検討してもらいたいと思う次第でございます。 またさらに、学習障害児を抱える児童、生徒についての支援策として、支援のあり方についての研究やその成果の周知、また、モデル事業、コーディネーターの育成とか巡回相談等々をやっていくという御答弁が松村教育長からございました。 私は、この問題の深刻さ、そして対応の困難性の一つに、児童、生徒個々それぞれの学習障害等の多様性があると考えるわけであります。障害等の症状や程度が個々に、一人一人違っておるということでありますから、画一的なそういう周知や指導というのではなくて、現場の柔軟で、かつ継続的な、そういう熱心な取り組みをさらに広げてほしいなあと思う次第でございます。 それでは、時間もあとなくなりましたので、まとめに入ります。 昨年の大田知事誕生の最大の要因、県民の期待は、冒頭申し上げました失われた県政の信頼回復と県政の改革であり、大田県政に課された最大の課題であります。今後とも、大田知事を先頭に、県政改革に向け、全庁職員一丸となった取り組みを期待するものでございます。 私たち新風21議員全員、厳しい審判を受け、再び大田県政をお支えすることを強くお誓いを申し上げ、私のすべての質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手)   ──────────────────────── ○副議長(柴田嘉之君) 議事の都合により、休憩いたします。      午後三時五十二分休憩   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    午後四時十七分開議      出席議員計三十八名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     重  清  佳  之 君     二  番     木  南  征  美 君     三  番     川  端  正  義 君     四  番     嘉  見  博  之 君     五  番     森  田  正  博 君     六  番     喜  田  義  明 君     七  番     須  見  照  彦 君     八  番     臼  木  春  夫 君     九  番     黒  川  征  一 君     十  番     古  田  美 知 代 君     十一 番     山  田     豊 君     十三 番     岡  本  富  治 君     十四 番     藤  田     豊 君     十五 番     谷     善  雄 君     十六 番     庄  野  昌  彦 君     十七 番     橋  本  弘  房 君     十八 番     冨  浦  良  治 君     十九 番     久 次 米  圭 一 郎 君     二十 番     長  池  武 一 郎 君     二十一番     大  西  章  英 君     二十二番     長  尾  哲  見 君     二十四番     来  代  正  文 君     二十五番     竹  内  資  浩 君     二十六番     福  山     守 君     二十七番     西  沢  貴  朗 君     二十八番     吉  田  忠  志 君     二十九番     北  島  勝  也 君     三十 番     杉  本  直  樹 君     三十一番     佐  藤  圭  甫 君     三十二番     児  島     勝 君     三十四番     遠  藤  一  美 君     三十五番     柴  田  嘉  之 君     三十六番     四  宮     肇 君     三十七番     元  木     宏 君     三十九番     大  西     仁 君     四十 番     阿  川  利  量 君     四十一番     谷  口     修 君     四十三番     榊     武  夫 君   ──────────────────────── ○副議長(柴田嘉之君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ──────────────────────── ○副議長(柴田嘉之君) 本日の会議時間を延長いたします。   ──────────────────────── ○副議長(柴田嘉之君) 一番・重清佳之君。   〔森本・樫本・中谷三議員出席、福山議員退席、出席議員計四十名となる〕   (重清議員登壇) ◆一番(重清佳之君) 海部郡選出、自民党・県民会議の重清佳之でございます。 私は、日ごろ思いをめぐらせ、心を痛めている課題や問題について、与えられましたこの機会を最大限に生かすべく、心して質問をさせていただきます。 私は、海部に生まれ、海部に育ったことに誇りを持っております。大田知事も、みずから生まれ育った東祖谷に人生の原点があるといった意味のことを語っておられます。かつて、「ふるさとは遠くにありて想うもの」と歌った詩人もいます。しかし、今の時代、感傷に浸っている暇はありません。海部郡全体を合わせて約二万七千人です。人口が少なく、お年寄りが多くとも、私のふるさとはやはり海部しかありません。 この場で、私は次のように宣言したいと思います。「ふるさとはそこに住み、そして熱く語るもの」であると。このように海部に誇りを持って住む一人の人間として、平成十五年度当初予算や新しいプランを見る限り、全く県南に元気と希望を与えてくれないのです。こちらの胸に響いてくるものがありません。 御承知のように、上灘、下灘で市町村合併の具体的な動きが進んでいます。また、海部郡内の高等学校の再編統合の問題が慌ただしく検討されています。さらに、昭和二十一年の南海地震を上回る地震が、今後三十年間で発生する高い確率で予想されています。多くの人命と財産が一瞬にして失われる心配から逃れることはできないのです。 また、日和佐道路や阿南バイパスの整備が進んでいますが、県の北部を東西に走る高速道路が県南にまで伸びることは夢のまた夢であります。とにかく明るい材料がないのです。このような状況の中で、知事が元気な地域づくりに取り組むと言っても、県南の人間には実にむなしく聞こえるのです。 私は、民意とは、知事の考えと言葉で表現されて初めて現実の意味を持つと思います。極端かもしれませんが、県民の意見は十人十色です。その異なる意見をうまく束ねていくことを県民は期待しております。県民の意見を聞くことで知事の仕事は終わらないのです。 知事は就任当初、県南に高速道路を伸ばすことに消極的でありました。民意に責任を持つ県政を掲げる知事であるなら、人口が少ないけれども、自然がある県南を元気にし、希望の持てる地域としていく、その中身をきちんと県民の前に提示してもらいたいのです。残念ながら、知事の手による予算や新しいプランから県南の元気な姿を読み取ることはできません。 そこで、知事にお伺いいたします。 国において高速道路の整備手法が揺れ動いていますが、県南地域の希望である地域高規格道路などの交通網の早急な整備と、この地域の将来の姿をどのように結びつけて考えておられるのでしょうか。 また、新たなプランを推進するに当たり、特に海部郡など県南地域に住む者が希望の持てるようにするため、県全体、県民全体のリーダーとして、今後、阿南から海部に至る県南地域をどのように元気づけ、希望の持てる地域としていくつもりなのか、お伺いいたします。率直に御自身の言葉で御答弁をいただきたいと思います。 さらに、新プランでは県南地域のよさやおくれている社会資本整備の状況に全く触れられておりません。「もの」から「人」へという知事の考えを県南地域でどのように進めるのか、元気で希望の持てる県南についての知事の考えを三カ年のプランの中に具体的に盛り込んでいただきたいのですが、この点についてお答えを願います。 答弁をいただき、質問を続けます。   (大田知事登壇) ◎知事(大田正君) 重清議員の御質問にお答えをさせていただきます。 まず第一は、県南地域の希望である高速道路などの交通網の早急な整備と、この地域の将来の姿をどのように結びつけているのか。また、プランを推進するに当たり、阿南から海部に至る県南地域をどのように元気づけ、希望の持てる地域としていくつもりなのかというお問いでございます。 高速道路を初めとする交通網の整備につきましては、経済の発展や観光の振興、地域の活性化はもとより、災害時の緊急対応や、あるいは緊急医療への対応など、地域の住民の方々の生活を支えまして、安全や安心を高める上でも非常に重要でございます。このような観点から県南地域への高速道路等の整備は喫緊の課題でありまして、最重点で取り組む必要があるものと考えております。 先ほど、県南への高速は夢のまた夢と、こういうお話でございましたが、夢のまた夢に終わらせないために最大限の努力をお互いにしていきたいもんだというふうに考えております。 また、県南地域は室戸阿南海岸国定公園を形成する海岸線や海部川の清流などの美しい自然環境、豊かな海洋資源に恵まれておりまして、今後、こうした資源を生かした交流の活発化や、あるいは産業の発展が大いに期待されているところでございます。 こうした意味からも、高速道路の交通網は県内のみならず四国及び近畿圏との交流や流通を促進するものでありまして、県南地域の有する潜在力を引き出していくために将来の発展につながるためには不可欠なものと考えております。 このため、プランでは農山漁村と都市との交流促進を重点テーマの一つに掲げております。四国横断自動車道及び阿南安芸自動車道の整備の推進をその重点施策に位置づけることによりまして、これらを強力に推進してまいりたいと考えております。 また、農山漁村体験など多様な交流機会の創出を進めるとともに、地域の魅力を広く情報発信することなどによりまして交流をさらに促進し、地域の活性化を図っていくこととしております。 次に、「ものから人へ」という考えを県南地域でどのように進めるのかを三カ年のプランの中に具体的に盛り込むようにとの御質問でございます。 今回のプランでは、人と暮らしに重点を置いて、計画期間中の三年間で重点的、戦略的に推進する施策を取りまとめておりますが、特に県南地域にかかわるものを申し上げますと、まず何よりも県民の皆様の生命と財産を守ることが行政に課せられた最大の責務であるとの認識のもとに、特に、県南部で早急な危機管理体制の整備が求められております南海地震対策の推進を重点テーマの一つに掲げております。防災対策のための基盤整備、津波浸水予測データの作成及び自主防災組織の結成促進など、ハード、ソフト両面から震災対策を推進することといたしております。 また、高度な医療体制づくりとして、地域における医療の基幹的な役割を果たしております海部病院におきまして、総合的な医療情報システムを導入しまして医療サービスの一層の向上を図ることとしております。 さらに、にぎわい観光徳島づくりでは、日和佐「道の駅」の整備を初めとしまして、地域の魅力を生かした観光地づくりを進めるとともに、徳島ブランドづくりとして地域から出荷される阿波尾鶏のブランド化の推進を図るなど、産業面におきましても地域の発展に向けて重点的な取り組みを進めてまいります。 以上、申し上げましたものの以外にも、竹ケ島海中公園の自然再生への取り組みなど、県南地域の振興に向けた施策を展開することとしておりまして、これらの円滑な推進に向けて、議員各位を初め、地域の皆様の御支援、御協力を賜りたいと考えております。   (重清議員登壇) ◆一番(重清佳之君) 答弁をいただきました。 知事、私は今のあなたの答弁を聞きながら心に響く、琴線に触れるものがありませんでした。県南地域のことをどう考えているのですか。確かに自然はあります。しかしながら、徳島市周辺部の一応はそろっている状況とは本質的に違うのです。ここのところを知事、あなたは理解していない。 そこで、県南地域の住民にとって生命線である道路について質問いたします。 現在、地域高規格道路は、日和佐から由岐町までの間は工事に取りかかっておりますが、それから先の宍喰町までが何の計画もない区間になっております。この区間について、今後どのように努力、整備するのか、お伺いいたします。   (大田知事登壇) ◎知事(大田正君) 日和佐道路以南の調査状況、今後の計画はどうなっているのかという御質問でございます。 日和佐道路以南につきましては、阿南安芸自動車道全体の整備促進を図る観点から新たな調査区間を指定していただきまして、南からも整備を進めていくことが必要と考えております。これまでも重要要望に盛り込みまして要望してまいりました。 国土交通省におきましては、新たな調査区間指定に向けて、ルートの調査やコスト縮減の観点から、構造、施工方法等の検討が進められていると伺っております。 県といたしましては、引き続き要望を行いますとともに、日和佐道路の一日も早い供用が日和佐道路以南の事業展開に大きな後押しとなりますので、今後も積極的に国土交通省に協力をしまして、日和佐道路の早期供用に努めたいと考えております。   〔阿川議員退席、出席議員計三十九名となる〕   (重清議員登壇) ◆一番(重清佳之君) ちょっと知事、違いますけど。 宍喰から日和佐までの空白地帯、ここをどのようにするのか。委員会でもいろいろ言っておりましたが、国の方でも地元でも、名前をつけて調査区間に指定したらどうかと。あとは県だけの、決めるかどうか、こうなっとんですけど、ここら辺は全然聞いてないんですか、名前をつけるとかどうかというのは。どうですか。   〔福山議員出席、出席議員計四十名となる〕   (上総県土整備部長登壇) ◎県土整備部長(上総周平君) 日和佐から宍喰までの道路につきまして、まだ調査区間になっておらないわけでございます。これについて名称をつけて、さらにその調査促進を図ろうという話は、知事に詳細まだ御相談してないところでございます。 この宍喰までの道路、これは大変県南のためにも大事な道路であることは、先ほど知事からお答えしたとおりでございます。また、知事ともしっかりと議論しながら、これのさらに促進に努めてまいりたいと思っております。   (発言する者多し)   (重清議員登壇) ◆一番(重清佳之君) 県土整備部長、この対応は何なあ。いつまでこんなん時間かかってんですか。国もつけてもええ言よんでしょう。地元もつけてくださいと。あとは県だけでしょう。知事の決断だけで済むんでしょう。こんなんもよう決断せんのですか。地元とも協議しとんでしょう。知事、どうですか。   〔阿川議員出席、出席議員計四十一名となる〕   (大田知事登壇) ◎知事(大田正君) 私も十分このことをお聞きしてなかったわけですけども、今、部長の方からお聞きしますと、若干海部郡内の方々とも話をしておるようでございまして、宍喰までの間を、これは例えばのことですが、海部道路というふうな名前にしようかとか、そういった議論はされているようですから、こういったことにつきまして地元の方々も含めて、早急に取りまとめていくようにしてみたいと思ってます。   〔久次米議員退席、出席議員計四十名となる〕   (重清議員登壇) ◆一番(重清佳之君) 地元と協議してないんですか。私が聞いたところは、議長会とかそういう町村会と話ししとると聞いとんですけど、県だけ違うんですか。今から地元と協議するんですか。 これは後で委員会でまたやりますけど、もう時間ちょっとオーバーするので……。 続きまして、地域と雇用の問題であります。 元気な地域をはかる一つの目安は、地域の雇用力にあります。徳島全体が厳しいわけですが、中でも県南、とりわけ郡部は大変厳しい状況にあります。昨年十二月の有効求人倍率は、徳島では〇・七九ですが、阿南や牟岐はともに〇・五六です。実感からすれば、もっと開きがあるように思います。知事は仕事興しフォーラムを実施していますが、その成果はどこにあるのでしょうか。 緑の公共事業は知事の公約です。これを県南地域で展開していくのかどうか。国の緊急雇用対策を活用して、県が市町村と力を合わせ地域の雇用をつくり出していくべきだと思います。あるいは、知事が提唱された生活に密着した公共事業の転換が図られ、少しでも多くの雇用が生まれることを期待したいのです。 しかし、予算案の説明を受けた率直な感想としては、予算案はあっても雇用対策について知事のメッセージが聞こえてきません。地域の切実な雇用の問題を国だけに任せるわけにはいきません。各部がばらばらに事業を実施するのでは、効果に疑問があります。 厳しい雇用状況を克服するため、知事がリーダーとなって具体的な目標を掲げ、県が一丸となって地域のための総合的な雇用対策をどのように進めるのか、知事の考えをお聞かせください。 また、県南地域の産業や就業構造の特徴を踏まえ、県南地域を元気づけるための雇用施策にどのように取り組むつもりなのか、あわせて知事の考えをお伺いいたします。   (大田知事登壇) ◎知事(大田正君) 地域のための総合的な雇用対策をどのように進めるのかについての御質問でございます。 本県における経済・雇用情勢は大変厳しいものがあります。平成十四年の県の年平均完全失業率は五・三%、依然として高い数値を示しております。このような状況に対応するため、私自身が先頭に立ちまして、「元気な地域づくり」を目標に掲げて、各部局の各種事業を総合的に実施することで効果的な雇用対策に取り組まなければならないと考えております。 このことから、平成十五年度予算におきましては、緊急地域雇用創出特別基金事業を活用しました雇用創出を図る一方、知的クラスター創成事業の推進、産学官の連携によります研究開発型産業の集積など、新産業の創出支援と持続ある産業競争力の確保によりまして、本県産業の活性化に努めてまいりたいと考えております。 また、緑の公共事業を推進することにより、林業就業者の育成と雇用機会の拡大を図ることともしております。 さらに、雇用のセーフティーネット構築のため、新たな雇用創出や多様な就業形態の提供が期待できますワークシェアリングの普及啓発や、再就職の困難な中高年齢者等の円滑な就職支援にも取り組んでまいりたいと考えております。 次に、県南地域の雇用施策についてでありますが、県南地域の状況は、議員御指摘のとおり、市部に比べまして雇用情勢が極めて厳しい状況でございます。 県南地域の特性といたしましては、総生産に占めます農林水産業の比重が全県的に見ても大変高く、美しい自然景観が残されていることが特徴でございます。こういった地域特性を踏まえまして農林水産業の振興に努めることから、経営感覚にすぐれた農林水産業の経営体の育成を初め、担い手の育成確保などを図るとともに、日和佐「道の駅」の整備に合わせた観光交流拠点の整備を支援して、県南部の豊かな自然や伝統文化を生かした魅力的な体験プログラムの創出など、観光交流の促進を通じた県南地域の振興と雇用の確保につなげてまいりたいと考えております。   (重清議員登壇) ◆一番(重清佳之君) 答弁をいただきましたが、海部郡の第一の産業は第一次産業ですが、ただいま交流の促進に努め、担い手を育成すると言われましたが、それだけですか。緑の公共事業、海部郡で何人ふえるのか、また、農業、漁業に対してはどのような雇用対策をするのか、具体的内容についてお伺いいたします。   〔森本・大西(仁)両議員退席、出席議員計三十八名となる〕   (錦野農林水産部長登壇) ◎農林水産部長(錦野斌彦君) 県南部におけます第一次産業の雇用施策と、こういった御質問についてでございますが、県南地域は多様な農林水産業が営まれておりまして、農業では温暖な気候と豊かな自然を生かし、キュウリや花卉等の施設栽培、春ニンジン、ブロッコリー等は県下でも有数の産地となっております。 また、温暖多雨な気候と林木の生育に適した森林土壌に恵まれた林業は、杉、ヒノキを中心とした素材生産が活発でございますし、水産業は多様性に富んだ魚種に恵まれ、沖合漁業や定置網漁業が盛んです。 しかしながら、最近の就業構造を見てみますと、重清議員御指摘のとおり、海部郡内では就業人口全体の農林水産業への就業率は約一七%まで落ちております。こうした農林水産業は家族を主体とした経営が大半でありますが、花卉栽培の農業法人であるとか、またブロイラーの大型経営を行っている農業協同組合とか、また地域の雇用につながり県下でも有数のすぐれた経営体となっております、そういった法人、協同組合に加えまして、杉のプレカット加工に取り組んでおる協同組合の事例もあります。 現在、担い手不足とか輸入農林水産物の急増などで県内の農林水産業は非常に厳しい経営状況にありますが、経営感覚にすぐれた経営体の育成はもとより、女性や高齢者など多様な農業者を育成することから新たな技術導入を図ろうとする認定農業者、女性・高齢農業者グループなどの取り組みを総合的に支援する「元気な阿波の農業人支援事業」を創設するなど、担い手対策に積極的に取り組んでまいりたいと、このように考えております。 また、環境にやさしい農業を進める観点から、資源循環型農業・食品産業総合支援事業、これは県南地域においてでございますが、それを創設しまして、有機性資源の堆肥化処理施設や機械の導入支援などにより循環型農業の推進を図ることとしております。 林業では、緑の公共事業の推進、これはもちろん進めていくわけでございます。県南地域の森林は、人工林率が約六九%と県平均の六三%を上回り、杉、ヒノキの人工林は三万一千七十八ヘクタール、それでまた、非常に三十六年生以上の森林が四九%を占めると、そういった資源を蓄積しております。そういったことで、緑の公共事業にはそういった森林に対応するため、積極的に推進してまいりたいと、このように思っております。 なお、そういったことで事業が実施されますと、やはり山間部における森林整備は約八〇%を雇用と、こういったことがございますので、雇用の供給、雇用の確保に努めていけるものと考えております。 また、水産業では、新たな市場開拓とか漁村振興整備事業支援に取り組んでまいりたいと、このように考えております。 また、グリーンツーリズムなどにも取り組んで、地域の活性化にも支援してまいりたいと、このように考えております。   〔森本議員出席、出席議員計三十九名になる〕   (重清議員登壇) ◆一番(重清佳之君) 質問しよる意味わかりませんか。 一回、海部郡に行ってください、知事も部長も。今どんな現状か。早急にしてください、これは。 次に、もう時間があれですので、地震対策に質問を移します。 約五十年前、大きな被害をもたらした東南海・南海地震は、今世紀前半の発生が懸念されています。専門家によると、過去のデータから今後三十年間で発生する確率は、南海地震が四〇%、東南海地震が五〇%と分析しています。さらに、国の中央防災会議は、二つの地震が同時に起きた場合、最大約七千四百人の死者と約二十七万七千棟が全壊するとの想定を発表しています。このような大災害の危険性が高まっているにもかかわらず、本県の対応は危機意識が薄く、県の対応が極めて鈍いように思うのです。 そこで、第一の質問は、昨年平成十四年七月の東南海・南海地震に係る防災対策推進特別措置法の公布を踏まえ、この際、本県の地震防災対策にすきがないよう、現在の消防防災安全課を中心として防災体制の強化を図るべきであるとともに、また、同時に大規模災害に対しても的確かつ迅速に動くことができるよう災害発生の想定、県民への防災情報の提供、発生状況把握と分析、災害応急、関係機関との連携など一連の動きを万全なものとするため、地震防災の組織体制の整備を急ぐ必要があると考えます。明快な知事のお答えを期待いたします。 次に、第二の質問は、必要となる被害想定調査などの早急な実施、そして、これを踏まえた防災計画の迅速な見直しについてであります。 私は、去る一月十七日付の高知新聞をたまたま目にしました。記事の内容は、隣の高知県では南海地震の被害想定について既に中間報告をまとめたとの報道がなされているのであります。この調査は、平成十三年に国が発表した南海地震の長期評価に基づき、平成十四年、十五年で実施するもので、その中間報告であります。平成十五年度には津波や液状化現象の条件も加えた被害想定を行う予定とのことであります。また、この想定をもとに、東南海・南海地震対策特別措置法の成立を受けた県の地域防災計画の見直し案を高知県防災会議に提出し、可決されているのです。 しかし、本県の場合はどうでしょうか。知事が掲げる「ものから人への徳島創造プラン」には、南海地震対策は重要な課題として位置づけられております。ところが、問題はその対応とスピードです。高知県では既に中間報告を行っている新しい被害想定について、本県では平成十六年度にようやく策定するというのです。 こうした対応が遅いことを知事はどのように認識されているのでしょうか。いつ発生するかわからない状況の中で、災害に対応する基本となるビジョンの策定は、一日も早く策定するべきです。今からでも遅くはありません。一年でも早く、せめて半年でも早く南海地震対策の基礎となる被害想定調査の作業目標を前倒しして取り組むべきであると考えます。この点について、震災・防災対策のトップである知事の賢明な判断をいただきたいと思います。 第三の質問として、高知県より明らかにおくれている南海地震対策を思い切って進めるため、その財源を特別に確保する南海地震防災対策基金を新たに設けることを提案いたします。 これまでの対応のおくれの原因を解明した上で、県民の生命と財産を守る行政本来の役割を果たすためには、それなりの予算が必要です。今後、財政がさらに厳しくなるのは明らかです。基金を設け、県民が安心できる震災対策をきちんと進めるための財源を確保する必要があると考えますが、この点について県の見解をお伺いいたします。   (大田知事登壇) ◎知事(大田正君) 地震防災対策についてのお尋ねでございます。 まず、本県における地震防災の組織体制の整備に関してでありますが、今後三十年以内に発生する確率は四〇%程度とされます南海地震は、過去、本県に甚大な被害をもたらしております。県民の皆さんの生命及び財産の保護と県土の保全を図るためにも、各種の施策を早急に実施する必要があると考えております。 本県では、これまで及び今後、南海地震対策としまして、津波浸水予測図等の作成、地震振動被害想定調査など災害発生の想定への対応を行うとともに、徳島県総合情報通信ネットワークシステムを整備するなど県民への防災情報の提供に努めまして、さらには災害ボランティア活動環境整備事業を実施をしまして、災害発生時における応急体制の充実を図るなど、これら諸施策を積極的に今後展開することといたしております。 また、平時には県民の皆さんに対する防災意識の啓発施策とするとともに、大規模災害時には本県の災害対策活動の拠点として機能を有します消防学校・防災センターも本年度中に竣工予定となっております。これら事業の円滑な推進を図ることを初め、南海地震対策事業をより効果的に展開するため、大規模災害時に一体的かつ機動的に活動できる組織体制の整備を図ってまいる所存でございます。 次に、南海地震対策に係る被害想定調査についてでございます。 南海地震の被害につきましては、津波によるものと地震動によるものとが想定をされます。 まず、津波の被害に関しましては、当初、本県沿岸を北部と南部に分けまして、津波の早急な到達が想定される南部沿岸域を先行調査する予定でありましたが、最近における南海地震の発生をめぐる諸情勢から北部と南部との同時調査を行い、津波浸水予測図等を平成十五年度中に作成してまいりたいと考えております。 次に、地震の揺れ、いわゆる地震動による被害に関しましては、液状化を初め、道路、橋梁、建物などの各種の被害想定や、それぞれの地域における危険度評価、これらを踏まえた本県の防災ビジョンの策定を行うこととなります。より正確な被害想定などの調査結果を出すためには、県下全域に及ぶ地質地盤状況や建物、交通、ライフライン、施設等に係る基礎資料を収集しますとともに、詳細な地震動の計算を行うことが必要でございます。 このため、技術的、時間的な制約の中で最大限の調査促進を図りまして、平成十六年度中には被害想定を完成させ、津波浸水予測調査とあわせて今後の地震防災対策事業に活用してまいりたいと考えております。 次に、南海地震防災対策基金を新たに設けてはどうかとの御提案でございます。 まず、災害発生の財源として基金を設けることにつきましては、災害対策基本法でも、災害対策に要する臨時的経費に充てるため、災害対策基金を積み立てなければならないと規定をされております。本県でも、災害救助法に基づく災害救助基金、平成十三年度末で約三億三千四百万円が設置されているところであります。 一方、災害に備えるための事業の特定財源としての基金は、都道府県単位でも全国的にも事例が見受けられませんが、南海地震対策につきましては、本県の最重要課題として、厳しい財政状況の中で、平成十五年度予算で重点的な対応をいたしております。今後、基金の必要性の有無も含めまして、研究してまいりたいと考えております。   (重清議員登壇) ◆一番(重清佳之君) それぞれ御答弁をいただきましたが、知事は、南海地震対策は本県の重要施策として位置づけしていると日ごろから言われております。しかし、私の質問に対する答弁では、今こうして無事で何も起こらないことが今後ますますの発生の確率を高め、危険な状況に一歩一歩近づいていることがおわかりなのか。高知県より明らかにおくれている地震対策をより確かなものとする必要があるのです。 海部郡は、前回の地震で大きな被害を受けております。地震が来る、津波が来ると、県民は不安になっております。それなのに、なぜ対策が遅いのか。対応が遅い。本当に遅いです。安心して生活できる、そういう地域をつくりたいと、常々知事はそのように言っているんではないんですか。このような状況で県民が本当に安心して生活できると思っているんですか。この点について、もう一度お伺いいたします。 そして、次は高齢者福祉、具体的には日和佐老人ホームについてであります。 知事も御存じのことと思いますが、日和佐老人ホームは県下で十八カ所ある養護老人ホームの中で唯一の県立直営の施設であります。本県の、さらに海部地域において、居宅での生活が困難なお年寄りの生活の場として日々の暮らしを支え、生きがいをもたらしてきたかけがえのない施設であります。 聞くところによりますと、知事は一月二十六日、日和佐のコミュニティーホールで開催された「ほなけんど塾」の折にこの施設を訪問されたとのことであります。そのとき、この老朽化した建物を御自身の目でごらんになり、そして、そこで暮らすお年寄りの姿にじかに接して、どのような印象や感慨をお持ちになったのでしょうか。 私は、経済的にも家庭的にも恵まれないお年寄りの多くが暮らすこの施設について、耐震性を初めとした防災面から、また暮らしの快適性の確保の観点からしても、早急に改築する必要があると思います。 そこで、人の幸せ、心の充足感や安寧を何よりも重視する知事に、この改築について知事の率直な考えをお伺いいたします。   〔久次米議員出席、出席議員計四十名となる〕   (大田知事登壇) ◎知事(大田正君) さきの答弁で少し発言を訂正をさせていただきたいと思います。 消防学校・防災センターの竣工予定というのを「平成十五年度中」というふうに言うべきだったんですが、私、「本年度中」というふうに発言したようでございますので、訂正をお願い申し上げたいと思います。 安全、安心ということをよく口にしているけれども、対応が遅いという御意見でございます。 私もそのように思ってます。今まで、重清議員の先輩に当たります西沢議員、この議場でもたびたびこの南海地震対策等について、あるいは津波対策等について前の知事さんともよく議論を交わされておりました。私自身も、少し観点は違いましたけれども、この地震対策について、私が議員の時代に前知事とも議論をしてまいりました。なかなか行政も御承知のとおり、本当に限られた予算の中でいろんな施策をやっていかなければならないわけですから、遅々として進まない点が本当に歯がゆい思いを私自身も持ってます。 ぜひこれからは重清議員の方からもいろんな御提起もいただきながら、県南地域のこういった安全、安心の対策等についてどうしていくべきなのかという、まさに地元でおられるわけですから、より詳しい、私どもが知識にないようなものも含めていろいろ御提言をいただけるんではないかと、このように思っておりますので、今後ともひとつよろしくお願い申し上げたいと思いますし、まさに南海地震等については喫緊を要する課題ということは私も認識をしておりますから、今後ともいろいろ議論を重ねる中で、整備をできるだけ早くいろんな形で図っていかなければいけないというふうに思っているところでございます。 それから、日和佐老人ホームの改築についての御質問でございます。 日和佐の老人ホームにつきましては、昭和四十三年の建築ということで三十四年間がもう経過をしているということでございます。御指摘ありましたように、私も一月二十六日に施設へ参りました。施設の職員の皆さんからも、知事、ここを歩いてみてくださいと、何か廊下でありながら走るような気がしませんかとかいろいろ言われました。確かに、この施設は老朽化をしていると思います。あそこで暮らしておられます方々にとって必ずしも快適だというふうには言えないというふうに思っております。 そういった状況の中で県としては、県下の養護老人ホーム十八施設あるようですが、この十四施設が公立で運営されておりまして、その多くが全部老朽化してる、建てかえの時期を迎えてるということでございます。まさに各自治体とも大変厳しい財政状況から、改築の財源確保等に大変苦慮しているという状況であります。 また、在宅福祉サービスの機能の併設を初めとしまして、時代に即した施設運営等への積極的な取り組みが十分に図られていないという指摘もございます。 こうした状況を踏まえまして、市町村立も含めた公立の老人ホーム全般の諸課題を検討する必要があると考えまして、昨年の十月に徳島県公立養護老人ホーム等のあり方協議会を設置しまして、施設の形態や運営方法も含めて、将来的なあり方について検討を行っているところでございます。できるだけ早期に取りまとめてまいりたいと考えております。 県といたしましては、この協議会における検討結果が出次第、日和佐老人ホームの運営方法も含めて、今後のあり方について検討を開始してまいりたいと考えております。   〔大西(仁)議員出席、出席議員計四十一名になる〕   (重清議員登壇) ◆一番(重清佳之君) 日和佐老人ホーム協議会の中で結果を取りまとめて、そしてまた、今後あり方について検討を開始する。市町村も含めてですが、県立のこの養護老人ホームは日和佐だけでしょう。市町村も含めて、今、全部建てかえてやるんですか、市町村の分も。こういう検討をしているのか。 県立のこのもう三十四年もたった古い、傾いとる、バリアフリーもできとらん老人ホーム、これだけをなぜ先に考えんのですか。市町村の分も建てかえるんやったら、それは構いません。そうではないんでしょう。運営を考えるんやったら、建てかえてから施設、中身を民間委託するとか、今いろいろ検討したらどうですか。建てかえるいうたら一年、二年で建てれんのでしょうが。 時間もありません。最後に、教育問題についてお伺いいたします。 私がお聞きしたいのは、地元海部郡内の高校の再編についてであります。 海部郡も他の地域と同様、少子・高齢化が進み、今後地元の高等学校がどうなっていくのがよいのかということは、地域住民の大きな関心事となっています。 県教育委員会は、この一月十五日に海部郡内県立高校の再編試案を公表し、二月十日から三月九日までの期間に意見募集をし、この三月の段階で再編統合案を決定、公表するという非常に慌ただしいスケジュールで事を進めております。この動きは、いかにも性急過ぎるという印象を受けるのであります。 県教育委員会が再編に踏み込むよりどころとなっておりますのは、小学校四年生から中学校二年生までの海部郡内の保護者を対象にしたアンケートだけであります。それにもかかわらず、住民全体の支持を得たかのように錯覚して事を進めているとしか思えないのであります。 御存じのとおり、日和佐町議会及び宍喰町議会は、このことについて反対決議をしております。この決議は非常に重みのあるものであります。教育委員会はこのことをどのように受けとめておられるのか。 また一方で、再編後の統合試案についていろいろと要望、質問がPTAからされております。子供のことを考えれば、当たり前のことです。 地域住民の考えは、「県教委は既定路線のごとく進める。再編により地元に県教委がお題目のごとく言う、魅力のある行きたい学校ができるのか。今までの県教育委員会の対応では、地元の意見を十分に酌み取らず事が進められていくのではないか」。その不安は子供を持つ親なら、だれしも抱く不安です。 そこで、教育長にお尋ねします。 海部郡内高校の再編を具体化するに当たって、どのように地域の小中学校、住民と力を合わせて進めていくのか、そして、その結果について責任を持っていただけるのか、教育長の所見をお伺いいたします。 次に、少子化の対応を迫られているのは何も海部郡だけではないわけであります。それにもかかわらず、高等学校の再編に関し海部郡だけが焦点化されているような気がしているのは私だけではないと思うのであります。私の調査した範囲では、県下全体の普通科高校の再編計画といったものは全く説明されていないと思うのであります。場当たり主義と言うほかありません。まずもって、県としての再編の全体計画があってしかるべきであります。 そこで、教育長にお尋ねします。 なぜ海部郡だけが統合のやり玉にされているのか、そして県全体の再編計画はあるのか、またいつ発表するのか、教育長の明快な所見をお伺いいたします。   (松村教育長登壇) ◎教育長(松村通治君) 再編を具体化するに当たってどのように地域の小中学校、住民と力を合わせて進めていくのか、また、その結果について責任を持つのかとのお尋ねでございます。 生徒数の急激な減少と郡外への流出により、海部郡の高校教育を取り巻く環境は極めて厳しいものがあり、このままではすべての高校が分校化するおそれがあることから、早期の再編統合が必要であることを再編協議会や各町ごとの意見交換会などの場で御説明申し上げるとともに、アンケート調査を実施し、新たな高校像を含め、幅広い御意見を伺ってまいりました。 こうした中でいただきました御意見を踏まえ、設置学科や規模、特色ある教育内容などを含む再編統合試案をお示しするとともに、現在、試案に対する意見募集を行っているところでございます。 また、去る二月二十八日には海部郡PTA連合会から再編統合試案に対する賛同の決議に加え、早期の開校と統合高校の魅力づくりに向けたさまざまな御要望をいただいたところでございます。 こうした御意見に対し、県教育委員会では魅力ある学校づくりに向け、具体的な検討に着手しているところでありますが、今月下旬の再編統合案の決定後、できる限り速やかに開校準備のためのプロジェクトチームを立ち上げることといたしております。 また、統合高校をより魅力的で特色あるものとするためには、議員御指摘のとおり、地域の小中学校や住民の方々と力を合わせて進めることが大切であると考えております。このため、今後、プロジェクトチームの設置とあわせ、統合高校の開設準備に向けて保護者や児童、生徒、地域住民の御意見を幅広く反映できる仕組みづくりを検討してまいります。 いずれにいたしましても、今回の再編統合は海部郡のよりよい高校教育の環境を確保するためには必要不可欠と考えており、県教育委員会を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。 次に、高等学校の再編に関し、なぜ海部郡だけを統合の焦点としているのか、そして県全体の再編計画はあるのか、また、いつ発表するのかとのお尋ねでございますが、県教育委員会では昨年二月に策定いたしました徳島県高校教育改革推進計画におきまして、多様な教育の展開や学校行事、部活動など高校としての良好な教育条件を確保するため、本校としての最低規模基準を学校全体としては二百四十名、一学年としては八十名といたしました。 海部郡内におきましては、県全体の減少数を大きく上回る急激な生徒数の減少と郡外流出が続く中、既に郡内四高校のうちの三高校につきましては、この統合基準を下回っており、今後なお一層の小規模化に伴い、すべての高校が分校化するおそれがあることから、早期の再編統合が必要であると判断したところでございます。 なお、他の地域において生徒数の推移によっては再編統合の必要が生じることがありますが、その際には、推進計画の統合基準に従って適切に対応してまいりたいと考えております。   (重清議員登壇) ◆一番(重清佳之君) それぞれ御答弁をいただきました。しかし、その内容は具体性に乏しく、保護者の不安が現実のものになりはしないかという危惧がますます深くなってきました。 プロジェクトチームを立ち上げ、地域住民の意見を幅広く反映できる仕組みをつくったとしても、新しい高校入試の一次選抜が二月上旬に実施されれば、中学三年生に対しては遅くとも夏休み明けには再編後の高校の具体的内容を提示しなければならないはずです。出口の見えない不安から、二月二十八日にPTAの方々が要望、質問を行ったのです。私は、再編後のあるべき姿をまず地元に提示し、知恵を出し合い、さらにそれに対する具体策があってしかるべきはずだと考えます。 しかし、教育委員会を挙げて取り組むのでは何の保障もないのです。保護者の不安は解消できるはずがありません。この観点から、早急に具体化しなければならない点について確認したいと思いますので、再度明確な御答弁をお願いします。 まず第一点目は、高校再編の結果の責任を持つということは、県教委挙げて取り組み、教育の保障をするということなのか。また、新設校に二百名入学してくれるのか。 次に第二点目は、新しく新設される高校の校長、また教員はどうするのか。そして、募集停止する高校をどのように維持していくのか。 三点目として、統合して新設される高校の部活動、また廃校となっていく部活動はどのようにするのか。 四点目として、地域に根差した高校をより確かなものとするため、PTAから要望された寮と食堂の設置の考えはあるのか。 そして五点目として、宍喰商業、日和佐高校は地域の核として今もなお町の中心的な施設として役割を果たしていることから、これらの高校が廃校となれば、町の衰退は時間の問題と考えられます。 特に、宍喰商業は開校当時、町の予算一億八千万円のとき、約半分の八千七百万円で校舎、建物、土地、すべてのことを町がやっております。それに対して申し合わせ事項として、第六条で、「甲(徳島県)が将来独立学校の施設設備を教育施設としての用途廃止した場合は、乙(町)が無償で寄附する敷地建物その他一切の設備は、無償で乙に返還する」。また、第十条で、「この申合わせに定めるもののほか、この申合わせの履行に関し、必要な事項は甲乙協議して定める」。この件について、教育委員会は宍喰町に対し相談をしたのか。返還についての必要な協議を宍喰町としたのか。開校に当たって、宍喰町の土地の提供、建設費等の協力に対して、このたびどのような配慮をしたのか。協議もせずに断行することは、行政的、政治的な面において問題があると思う。廃校になったとき、宍喰町の不利益を考えたことがあるのか。廃校後の再開発費用補償等についてどのように考えているのか。 この件について、もう一度教育長にお伺いいたします。   (松村教育長登壇) ◎教育長(松村通治君) 五点お尋ねをいただいたわけでございますけれども、まず第一点目の県教委挙げて取り組み、教育の保障をするというのかというお尋ねでございます。 先ほどお答えをいたしましたとおり、再編統合を通じて海部郡においてよりよい高校教育の環境を確保してまいります。その際、県教育委員会を挙げて取り組むことはもとより、地域の小中学校や住民の方々と力を合わせて、魅力ある学校づくりを進めてまいりたいと考えております。 その次のお尋ねでございますが、統合高校の校長あるいは教員、どういうような形になるのかというお尋ねであるわけでございますけれども、新しい統合高校におきましては、既存の三高校が長年にわたって培ってまいりました伝統や資産を受け継ぎ、さらに発展させるとともに、多様な生徒のニーズに応じた特色ある学校づくりを進める必要がございます。こうした特色づくりを進めるに当たりましては、学校長を中心に教職員が一丸となって取り組む必要があり、リーダーシップのある校長を配置したいというように考えております。 また、統合高校と海南高校は同じ施設で教育を展開することから、調和のとれた効果的な学習を進めるためには、教職員は両校を兼務することが適当であるというように考えております。 次に、残された高校の在校生に対するアフターケアについて、具体的な教職員配置や部活動の運用方法などを含め、どうなっているのかとのお尋ねでございました。 統合高校における魅力ある学校づくりと同様に、残された高校の在校生に対する適切な教育環境を確保することは、大変重要な課題であると認識をいたしております。特に、年を追うごとに在校生が減少いたします日和佐高校、宍喰商業高校につきましては、卒業までの間今まで受けることができた教育環境を可能な限り確保するための配慮が必要であると考えております。 そのため、教職員体制につきましては、定数法で定められた教員数に加えまして必要な教員を配置いたしますとともに、近接する高校との間で協力体制を整備してまいりたいと考えております。 また、部活動につきましては、それぞれの部活動の実態を踏まえ、その活性化を図るため、統合高校を含めた合同チーム設置の適否や具体的な練習場所、練習時間、練習方法等につきまして早急に検討を行うことといたしております。 いずれにいたしましても、入学した生徒に対してしっかりとした教育を行い、卒業をさせることが私ども教育委員会と学校の責務であると考えておりまして、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。 次に、統合高校を設置した場合の寮及び食堂の整備についてどのように考えているのかとのお尋ねでございます。 寮につきましては、現時点では寮を必要とするような遠距離通学となる生徒が比較的少ないと考えておりますが、部活動での活性化などにより通学できない生徒が生じる場合には、民間施設等の利用を含め、幅広く検討をしてまいります。 また、食堂につきましては、既設の施設を活用することになるわけでございますが、生徒が増加することによる対応のほか、メニューをふやすなど、新しい統合高校にふさわしい対応を考えてまいりたいと思います。 最後に、日和佐高校、宍喰商業高校の跡地利用について、また、特に宍喰町と県とで交わした申し合わせ等についてどういうように考えておるのかと、こういうお尋ねでございます。 日和佐高校、宍喰商業高校の跡地利用につきましては、地元の意向を尊重しながら関係部局との協議を進める中で、有効活用を図っていく必要があるというように考えております。 なお、宍喰商業の施設設備等に関しまして、徳島県と宍喰町との間で交わされました申し合わせ事項につきましては、これを踏まえまして町との協議を進める中で、誠実に対応してまいりたいというように考えております。   ──────────────────────── ○副議長(柴田嘉之君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。   ──────────────────────── ○副議長(柴田嘉之君) 本日は、これをもって散会いたします。      午後五時二十四分散会   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━...