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  1. 大阪府議会 2021-09-01
    10月04日-02号


    取得元: 大阪府議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-19
    令和 3年  9月 定例会本会議(1)    第二号 十月四日(月)◯議員出欠状況(出席八十七人 欠席〇人 欠員一)      一番  中川誠太君(出席)      二番  前田将臣君(〃)      三番  牛尾治朗君(〃)      四番  坂 こうき君(〃)      五番  魚森ゴータロー君(〃)      六番  角谷庄一君(〃)      七番  三橋弘幸君(〃)      八番  西元宗一君(〃)      九番  松浪ケンタ君(〃)      十番  塩川憲史君(〃)     十一番  西村日加留君(〃)     十二番  須田 旭君(〃)     十三番  奥谷正実君(〃)     十四番  山田けんた君(〃)     十五番  野々上 愛君(〃)     十六番  内海公仁君(〃)     十七番  石川たえ君(〃)     十八番  中野 剛君(〃)     十九番  原田 亮君(〃)     二十番  うらべ走馬君(〃)    二十一番  原田こうじ君(〃)    二十二番  中井もとき君(〃)    二十三番  冨田忠泰君(〃)    二十四番  西川訓史君(〃)    二十五番  奥田悦雄君(〃)    二十六番  みよしかおる君(〃)    二十七番  中川嘉彦君(〃)    二十八番  岡沢龍一君(〃)    二十九番  山本真吾君(〃)     三十番  上田健二君(出席)    三十一番  永井公大君(〃)    三十二番  前田洋輔君(〃)    三十三番  中川あきひと君(〃)    三十四番  おきた浩之君(〃)    三十五番  紀田 馨君(〃)    三十六番  いらはら勉君(〃)    三十七番  河崎大樹君(〃)    三十八番  泰江まさき君(〃)    三十九番  西林克敏君(〃)     四十番  松浪武久君(〃)    四十一番  広野瑞穂君(〃)    四十二番  植田正裕君(〃)    四十三番  笹川 理君(〃)    四十四番  横山英幸君(〃)    四十五番  杉江友介君(〃)    四十六番  池下 卓君(〃)    四十七番  うるま譲司君(〃)    四十八番  徳村さとる君(〃)    四十九番  金城克典君(〃)     五十番  橋本和昌君(〃)    五十一番  杉本太平君(〃)    五十二番  徳永愼市君(〃)    五十三番  しかた松男君(〃)    五十四番  藤村昌隆君(〃)    五十五番  中村広美君(〃)    五十六番  山下浩昭君(〃)    五十七番  大橋章夫君(〃)    五十八番  肥後洋一朗君(〃)    五十九番  内海久子君(〃)     六十番  加治木一彦君(〃)    六十一番  八重樫善幸君(〃)    六十二番  西野弘一君(出席)    六十三番  川岡栄一君(〃)    六十四番  大山明彦君(〃)    六十五番  垣見大志朗君(〃)    六十六番  林 啓二君(〃)    六十七番  西 惠司君(〃)    六十八番  西野修平君(〃)    六十九番  和田賢治君(〃)     七十番  富田武彦君(〃)    七十一番  中野稔子君(〃)    七十二番  坂上敏也君(〃)    七十三番  中谷恭典君(〃)    七十四番  久谷眞敬君(〃)    七十五番  鈴木 憲君(〃)    七十六番  西田 薫君(〃)    七十七番  森 和臣君(〃)    七十八番  中司 宏君(〃)    七十九番   欠員     八十番  松本利明君(〃)    八十一番  土井達也君(〃)    八十二番  三田勝久君(〃)    八十三番  大橋一功君(〃)    八十四番  岩木 均君(〃)    八十五番  横倉廉幸君(〃)    八十六番  三浦寿子君(〃)    八十七番  三宅史明君(〃)    八十八番  奴井和幸君(〃)    ~~~~~~~~~~~~~~~◯議会事務局     局長         山本 讓     次長         川崎浩二     議事課長       瀬野憲一     総括補佐       佐藤 実     課長補佐(委員会)  高山泰司     主査(議事総括)   太上利宏    ~~~~~~~~~~~~~~~◯議事日程 第二号 令和三年十月四日(月曜日)午後一時開議    (補欠選挙当選議員の報告・紹介) 第一 議席の一部変更 第二 補欠選挙当選議員の議席の指定    (常任委員の所属変更の報告)    (常任委員の補欠選任の報告)    (新任行政委員の紹介) 第三 議案第一号から第三十九号まで、第四十一号及び報告第一号から第二十三号まで(「令和三年度大阪府一般会計補正予算(第七号)の件」ほか六十二件)    (質疑・質問)    ~~~~~~~~~~~~~~~◯本日の会議に付した事件 第一 日程第一の件 第二 日程第二の件 第三 日程第三の件    ~~~~~~~~~~~~~~~午後一時開議 ○議長(鈴木憲君) これより本日の会議を開きます。    -------◇------- ○議長(鈴木憲君) 議事に先立ち、一言申し上げます。 議場内は、パーティションを設置しており、また機械換気により空気を常時入れ替えておりますので、演壇での発言につきましては、発言を分かりやすくするためマスクを外して行っていただきますようお願いいたします。    ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(鈴木憲君) この機会に御報告いたします。 昨日、十月三日執行の大阪府議会議員貝塚市選挙区補欠選挙におきまして、牛尾治朗君が当選されました。 この際、当選された牛尾治朗君を御紹介いたします。牛尾治朗君。 ◆(牛尾治朗君) ただいま御紹介をいただきました牛尾治朗です。 昨日、投開票が行われました大阪府議会議員貝塚市選挙区補欠選挙におきまして、当選をさせていただきました。府民の皆様の負託を受け、本日より大阪府議会での議論に加えさせていただくこととなりました。新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、山積する府政の諸課題に取り組み、大阪府政の進展のため誠心誠意努めてまいりますので、皆様方の御指導、御鞭撻を何とぞよろしくお願い申し上げます。 甚だ簡単ではございますけれども、私からの御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○議長(鈴木憲君) 以上で紹介を終わります。    -------◇------- ○議長(鈴木憲君) 日程第一、議席の一部変更を行います。 会議規則第三条第三項の規定により、お手元に配付の議席変更一覧表のとおり、議席の一部を変更いたします。   (一覧表は巻末に掲載)    -------◇------- ○議長(鈴木憲君) 日程第二、補欠選挙当選議員の議席の指定を行います。 牛尾治朗君の議席は、会議規則第三条第二項の規定により、三番に指定いたします。    ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(鈴木憲君) この際、常任委員の所属変更につきまして御報告いたします。 去る十月一日、健康福祉常任委員のうるま譲司君から総務常任委員に、総務常任委員の坂こうき君から健康福祉常任委員に、それぞれ委員会の所属を変更したい旨の申出がありました。 本件につきましては、委員会条例第六条第三項の規定により、本日、議会運営委員会において変更することに決定いたしましたので、同条例第六条第五項の規定により御報告いたします。    ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(鈴木憲君) 次に、常任委員の補欠選任につきまして御報告いたします。 委員会条例第六条第一項の規定により、本日、議会運営委員会において、牛尾治朗君を健康福祉常任委員に選任することに決定いたしましたので、同条例第六条第五項の規定により御報告いたします。    ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(鈴木憲君) この機会に、新任の行政委員を御紹介いたします。 去る十月一日付をもって、再び教育委員会委員に就任されました井上貴弘君を御紹介いたします。教育委員会委員井上貴弘君。 ◎教育委員会委員(井上貴弘君) 先日、二十九日に皆様方の御同意を賜りまして、教育委員に再任されました井上貴弘でございます。 私は、民間企業の経営に携わっておりますので、企業経営のいいところ、そういったものを教育行政に少しでも活用できるよう提言をしてまいりたいというふうに考えております。特にデジタル技術を活用した教育のDX、そういったものには積極的に関わってまいりたいというふうに考えております。 また、私の従事するエンターテインメント業界、ほか運輸業界、様々な民間企業が大きな打撃を受けてます。その影響で、様々な影響が生徒に及んでいると考えてます。経済的なダメージを受けている生徒、また不安に駆られている生徒、そういった生徒たちが夢を諦めない、何か家庭の事情で夢を諦めていくというようなことを避けるようサポートしていきたいというふうに考えております。 そのためには、皆様の御協力と御指導が欠かせないというふうに考えておりますので、引き続きよろしくお願いを申し上げます。 ○議長(鈴木憲君) 以上で紹介は終わります。    -------◇------- ○議長(鈴木憲君) 日程第三、議案第一号から第三十九号まで、第四十一号及び報告第一号から第二十三号まで、令和三年度大阪府一般会計補正予算(第七号)の件外六十二件を一括議題といたします。    ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(鈴木憲君) この際、御報告いたします。 議案第二十二号から第二十四号まで及び第三十六号、職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例等一部改正の件外三件につきましては、地方公務員法第五条第二項の規定により、本職から人事委員会の意見を求めておりましたが、その回答文書は、お手元に配付いたしておきましたので、御了承願います。   (文書は巻末に掲載)    ~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(鈴木憲君) ただいまより上程議案に対する質疑並びに府政一般に関する質問を行います。 通告により笹川理君を指名いたします。笹川理君。 ◆(笹川理君) 大阪維新の会府議会議員団を代表し、府政に係る施策と諸課題に関して、知事及び理事者の皆様へ質問いたします。 新型コロナウイルスは、現代社会に生きる私たちに大きな苦しみと試練を与えています。府民、事業者の皆様には、感染予防の取組や緊急事態宣言等に係る様々な要請へ御理解、御協力をいただいておりますことに感謝を申し上げます。また、医療従事者の皆様には、府民の命を守るため、長期間にわたり、日夜、懸命に御尽力いただいておりますことに重ねて感謝と御礼を申し上げます。 そして、このコロナ禍において、府民の命と生活を守ろうと身を粉にして働いていただいている健康医療部をはじめ府庁内の全組織の皆様、そして吉村知事に敬意と感謝を申し上げます。引き続き、吉村知事には、リーダーシップを発揮していただき、府職員の皆様には、府民のため、それぞれの仕事を献身的に遂行していただきますようお願いいたします。 私ども維新府議団は、府民の命を守ることを最優先に、コロナ禍を克服するため、所属議員一丸となって総力を尽くし、この難局を乗り越えた先に大阪の成長発展があると固く信じています。しかしながら、コロナ禍による影響だけではなく、グローバル化の進展やデジタル化への対応など、日本社会の急速な変化の中で、行政においても多様化する諸課題への対応に迫られており、自治体経営行政サービス、学校教育、医療・福祉において、新たな価値観による施策展開やパラダイムシフトを伴う政策実行が求められています。 大阪が、世界に大きなダメージを与えているコロナ禍を克服し、グローバル社会の中で国際競争力を高め、日本の成長を牽引する大都市となり、府民一人一人が健康で、長寿で、豊かで、輝く人生を送ることができる未来を確かなものとするべく、発展し続ける大阪を創造していけるよう、維新府議団は全力を尽くしていく所存であります。 このような思いから、順次質問を行ってまいります。 まずは、新型コロナウイルスから府民の命を守る施策についてです。 第四波と呼ばれる感染拡大時において、大阪は、医療病床が危機的なほど逼迫するという事態を経験しました。その教訓から、府は様々な方策に取り組み、特に重症化を予防する早期治療の体制や病床確保などに力を入れたと認識しています。 スクリーンを御覧ください。 この表は、第四波と第五波の重症化率や死亡率、入院に関する状況などを数値で比較したものです。この比較から、第五波において、第四波の二倍以上となる一日三千人を超える新規陽性者が発生したにもかかわらず、病床を増やしたことで入院までの調整時間が短縮され、そのことで早期治療が可能となり、入院日数が短くなったことでより多くの患者を受けられることができ、高齢者等のワクチン効果も相まって、重症化率は三分の一以下に、死亡率は十分の一以下となったことが分かります。ひとえに、関係機関全ての方々の御努力、御協力のたまものであり、心から感謝をいたしております。 そこで、健康医療部長にお尋ねします。 私は、第四波の教訓を生かした病床数の確保と早期治療の体制を整えたことが、第四波を大きく超える陽性者数となった第五波であっても、大阪において多くの府民を助けることにつながったと考えています。部長は、第五波における医療・療養提供体制についてどのように総括しているのか、伺います。 ○議長(鈴木憲君) 健康医療部長藤井睦子君。 ◎健康医療部長(藤井睦子君) 第四波の教訓を踏まえ、第五波の基本的対応方針として、入院療養体制に加え、宿泊療養自宅療養体制を強化し、早期治療による患者の重症化予防を第一に取り組んできました。この方針を踏まえ、入院医療体制については、中等症・重症一体型病院など医療機能の分化を図った上で、医療機関の協力の下、現在、重症約六百床、軽症中等症約二千八百床を超える病床を確保いたしました。 また、入院を要しない患者は、原則、宿泊療養とし、療養者情報システムの導入による療養決定、搬送の迅速化を図るとともに、自宅療養については、訪問看護ステーションと連携した健康観察体制や、休日、夜間のみならず、平日、日中における往診体制を整備したところです。 さらには、抗体カクテル療法を実施できる外来診療病院を整備するとともに、宿泊療養施設における二か所のカクテルセンターや往診による投与体制を構築し、重症化予防に努めました。 これらの取組により、第五波においては、最大一日当たり三千人を超える新規陽性者が発生しましたが、入院搬送時間の長期化や病床のオーバーフローを生じさせることなく、また、結果として、第四波と比べて重症化率や死亡率、平均入院日数が大きく減少するなど、関係機関の御協力の下、必要な医療、療養を提供することができたと考えています。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。
    ◆(笹川理君) 第四波の教訓が第五波で生かされ対応できたという認識は、部長と同じ捉え方だと確認できました。 しかしながら、予想される第六波に備え、第五波の教訓を生かし、さらに万全の対策を講じる必要があります。そのために、二つの視点で対策を強化すべきです。一つは、大阪市保健所の業務逼迫への対策、もう一つは、自宅療養者への対応強化です。これまでの感染拡大において、府内の新規陽性者の多くが大阪市内に集中し、大阪市保健所では、疫学調査を行う職員一人当たりが対応する感染者数は、府内の他の保健所より断トツで多く、職員のマンパワーが不足することで業務が逼迫し、疫学調査等に滞留が生じ、迅速な療養決定を行うことができなかったと報告されています。 コロナ陽性者の重症化を防ぎ、医療逼迫を軽減させるには、府が大阪市保健所の業務逼迫を防ぐための積極的な支援を図り、多くの陽性者を迅速に医療・療養体制につなげる必要があると考えます。健康医療部長の所見を伺います。 また、早い段階で医療機関に受診できる体制を構築することや、かかりつけ医のいない自宅療養者でも受診できるよう、大阪府医師会の皆様とも連携し、医療機関による往診・治療体制の強化を図っていただくことが大事です。併せて健康医療部長の所見を伺います。 ○議長(鈴木憲君) 藤井健康医療部長。 ◎健康医療部長(藤井睦子君) まず、大阪市保健所の逼迫に対しては、入院、宿泊療養調整濃厚接触者の検査業務などを府に集約するなどの支援に併せて、陽性者へのアプローチが滞留しないよう、陽性者数や療養決定の状況について日々モニタリングを行い、具体的な改善要請を大阪市保健所に対して行ってきました。 保健所の体制強化については、設置市である大阪市において取り組んでいただく必要がありますが、府としては、引き続き具体的な課題を提示するなど、しっかり支援してまいります。 また、先日より、大阪市民を対象に、保健所から連絡が来る前でも直接、宿泊療養を予約できるコールセンターを試行的に実施するとともに、府医師会でも、独自のオンライン診療医療機関などの案内窓口を開設いただきました。引き続き、保健所の業務軽減と陽性者をできるだけ速やかに医療・療養につなげるための支援に注力していきます。 次に、自宅療養者に対する往診・治療体制については、これまで民間事業者による夜間、休日の往診体制を府域全域で整備するとともに、診療所などにおける往診や訪問診療の拡充に取り組んできました。府医師会の調査では、府域において五百七十を超える医療機関コロナ患者への往診を可能と回答いただいており、そのうち、かかりつけ患者以外も可能としているのは百七十か所を超えています。往診体制の強化に向け、府として、これまでの往診医師、訪問看護師に対する協力金の支援に加えて、新たに往診チームを編成した診療所にも支援を行うこととしました。 また、自宅療養者の早期治療を進めるため、国の協力により、全国で初めて往診による自宅での抗体カクテル療法を試行実施しましたが、九月二十日からは本格実施に移行しています。 今後とも、自宅療養者が身近な地域で早い段階で抗体カクテル療法などの初期治療が受けられるよう、直接医療機関にアクセスできる手法の確保と体制強化に取り組んでいきます。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 引き続き、よろしくお願いいたします。 また、飲み薬ができれば、今の状況が大きく変わります。飲み薬の服用に向けた支援も行っていただきたいと思います。 第五波では、その日の感染者が三千人を超えた日もあり、こうした状況を踏まえ、私ども会派から、医療人材や施設整備への十分な予算を確保した上で、臨時医療施設を早期開設し、運営可能な病床数からでも運用するよう要望しました。知事の判断により、軽症中等症患者一千名を収容できる大阪コロナ規模医療療養センターが設置されることとなり、先日、完成しました。 最近の一日当たりの感染者数や、軽症中等症病床や、宿泊療養施設の使用率などをもって、本施設の必要性や設置時期、コストパフォーマンスを問う声も出てきているようですが、維新府議団は、今後起こるであろう次の感染の波に備え、これまで以上に医療提供体制スピード感を持って充実させることが、府民の命を守るために必要だと考えています。 そこで、知事に、大規模医療療養センターの必要性や備える機能、開設の時期、そして今後の運用の考え方についてお伺いいたします。 ○議長(鈴木憲君) 知事吉村洋文君。 ◎知事(吉村洋文君) 大阪維新の会大阪府議会議員団を代表されましての笹川議員の御質問にお答えを申し上げます。 第五波においては、これまで経験したことがない感染爆発が起こり、軽症中等症病床の使用率は最大約九〇%に達し、自宅療養者も最大一万八千人に増加しました。さらに、感染者の急増に伴う保健所の対応の遅れや自宅療養中の家庭内感染、病状の急変事例も全国的に発生する事態となりました。 こうした状況を受けて、国から臨時の医療施設の設置を進める通知が出され、本府としましても、さらなる医療・療養体制の確保が必要と判断をしました。宿泊療養施設軽症中等症病床が逼迫した際の府民の命を守る最後のとりでとして、無症状者、軽症患者に加えて、中等症患者にも対応する大規模医療療養センターの整備を行ったところです。 なお、本施設については、一か月以上の長期にわたって感染が急拡大した第五波を教訓に、いつ起こるか予測できない災害級の感染爆発に備えて直ちに運用できる状態にするため、施設整備費など必要最小限の初期経費についてのみ専決処分を実施し、九月中に整備を完了させたところです。 最後に、今後の施設の運用については、開設・停止準備の基準に基づき、確保済みの宿泊療養施設または軽症中等症病床の逼迫状況を踏まえた上で適切に判断してまいりたいと思います。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 続いて、大規模医療療養センターの運営体制についてお尋ねします。 本施設は、九月中の整備を目標に、事業者公募から事業者との契約に至るまで、過去にないスピード感で進められたと感じています。事業者公募では、四者から応募があったと聞いています。運営事業者の選定に当たっては、どういった手続で選定を行い、選定した理由はどこにあったのか、危機管理監に伺います。 また、施設運営に当たっては、入所者が安心して治療・療養してもらえる体制を確保する必要があります。本施設での健康観察等の仕組みや、それに必要な医療人材の確保についてどのように行う予定なのか、健康医療部長に伺います。 ○議長(鈴木憲君) 危機管理監森岡武一君。 ◎危機管理監(森岡武一君) 本施設は、適切かつ確実な維持、運営に加え、九月中に整備を完了させる必要があったことから、運営の安定性、事業の迅速性・納期の確実性を基本要件に、事業者からの幅広い提案も募集し、外部の有識者も入った選定委員会での協議を経て、今回の事業者を選定したところです。 選ばれた事業者は、レッドゾーン内での警備、生活支援業務などの公募要件を満たすとともに、価格面に加え、看護師確保など効率的、効果的な運営に向けた提案がなされたことから契約の締結を行いました。 ○議長(鈴木憲君) 藤井健康医療部長。 ◎健康医療部長(藤井睦子君) 次に、健康観察などや医療人材の確保についてお答えいたします。 大規模医療療養センターのうち、先日完成した五百床については、二十代、三十代を中心とした無症状、軽症の患者を想定しており、感染者情報システムであるHER-SYSも活用しながら、現地の看護師による健康観察やオンラインでの医師の健康相談や処方の実施など、宿泊療養施設と同じ療養の仕組みを取る予定です。 これら業務に必要な人材については、運営受託者によるセンター勤務看護師の確保に加え、大阪府看護協会に御協力いただき、看護業務の指導などを担う看護師を確保する予定となっています。 また、医師については、宿泊療養施設オンライン医師が兼務するとともに、大阪大学に責任医師の就任に加え、日中の常駐医師の協力について依頼しているところです。 また、中等症病床を運用するに至った場合には、軽症、中等症Ⅰまでの患者を対象に、一時避難的な対応等を行う予定ですが、臨床経験を有するより多くの医療人材が必要となるため、関係医療機関や事業者などとの協議調整などにより確保について検討していきます。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 計画どおりに準備を進め、必要な医療人材の確保も含め、必要となるタイミングで期待されるパフォーマンスをしっかり発揮できるよう注力していただくことを求めます。 府では、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れるための病床確保に取り組んでおり、医療機関の合意の下、現在では重症病床六百床以上、軽症中等症病床二千八百床以上を確保していますが、現行の感染症法では、医療従事者や設備の確保が困難といった理由があれば、医療機関は病床確保の要請に応じないことが認められており、今回のように中長期にわたってパンデミックが続く場合、有事に備えた病床確保が可能となる法整備が必要であると維新府議団は考えております。知事もメディア等を通して、同様の趣旨の発言をされておられますが、知事は、現在の法制度における問題点や必要な法整備の具体像について、どのように考えておられるのか、お伺いいたします。 ○議長(鈴木憲君) 吉村知事。 ◎知事(吉村洋文君) 本年二月に改正されました感染症法において、医療機関に対し、協力要請に応じない場合の勧告や公表が可能となりましたが、正当な理由がない場合に限定をされています。このことから、実質的には知事の権限は任意の要請にとどまっていまして、パンデミックという有事の事態において、迅速かつ十分な病床確保が困難であるところに現行法制度の課題があります。私としては、今後も起こり得る新たな感染症に対し、非常事態においては、一定の強制力を持った病床や医療従事者を確保するための法整備が必要だと考えています。 一方で、有事においても、一般医療との両立を図ることも重要であり、また何より医療機関の理解と協力が欠かせません。そのため、府としても、地域全体での医療提供体制の在り方について検討を進めるとともに、各自治体の実情を踏まえた実効性のある法の整備を国に強く求めていきます。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) パンデミックという事態において、十分な病床と医療従事者を確保できる法整備が必要、一方、有事でも一般医療との両立を図ることも重要、何より医療機関の理解と協力が欠かせないとのお考えを示していただきました。おっしゃるとおりだと考えます。ぜひ、この内容を組み込んだ法整備を国へ求めていただきたいと思います。そして、府議会としても、このような法整備を国へ求める意見を発すべきだとも考えております。 次に、これからの時代にふさわしい行財政改革について質問します。 大阪府市において、副首都ビジョンのバージョンアップに向け、有識者を交え、議論がスタートされることに維新府議団は大いに期待しています。今後の日本社会は、人口減少が加速し、大阪も例外ではありません。こうした中、いかに大阪が東西二極の一極としてのプレゼンスを発揮し、日本の成長をリードしていくのか、また住民に寄り添える自立した府内市町村をどのように確立していくのかが大事であり、この観点も含め、若手の研究者や有識者などから新たな知見もいただき、副首都化への道筋を明確化していただきたいと考えます。副首都ビジョンをバージョンアップする狙いについて、知事のお考えを伺います。 ○議長(鈴木憲君) 吉村知事。 ◎知事(吉村洋文君) 副首都ビジョンの策定から五年を経まして、社会経済情勢は大きく変化しております。まさに、新型コロナウイルス感染症が発生する前と今とでは、違った世界と言っても過言ではないような状況です。コロナが都市の在り方をどう変えて、そして今後何が求められるのか、次世代を担う有識者も交えて、今年度じっくりと腰を据えて議論して、改めて副首都化の道筋を明らかにしていきたいと思います。 この中で、大阪府、大阪市を核にして、大阪、関西を成長させる広域行政をどのようにつくっていくのか、府内市町村の水平連携や合併、府による垂直連携等も含めて、市町村の行財政運営体制をどう強化していくのか、広域、基礎の両面から幅広に将来を見据えた議論を深めていきます。その上で、来年度以降、バージョンアップの議論を加速し、新しいビジョンの下、東西二極の一極を担い、世界で存在感を発揮する副首都大阪を全力で実現していきたいと思います。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 大阪における広域行政、基礎自治の在り方を含め、新しいビジョンにかける知事の意気込みを感じました。 住民の暮らしを支える基礎自治体の在り方については、維新府議団としても重要な課題だと考えています。本年八月に手交した施策提言の中でも、少子高齢化は自治体経営に深刻な影響を及ぼし、安定的な行財政運営や住民サービスの維持を難しくさせ、これからの社会変化や将来予測を見通し、持続可能な自治体運営を可能とする基礎自治体の在り方を検討する必要があると考え、財政基盤の充実強化や行政サービスの維持向上などを図るといった視点から、府内全ての市町村間で広域連携の動きが加速されるよう、メリット等を府民や自治体へ示す取組を積極的に行い、基礎自治体間での合併議論の機運が醸成されるよう取り組むことを求めました。 知事は、副首都大阪に向け、市町村合併・連携に関してどのように考えておられ、必要性をどう認識し、支援していかれようとしているのか、お考えを伺います。 ○議長(鈴木憲君) 吉村知事。 ◎知事(吉村洋文君) 副首都大阪の確立に向けて、成長を担う広域機能の一元化とともに、住民に身近な基礎自治体が持続的かつ安定的に住民サービスを提供できる機能、体制を持つことが重要です。そうした考えから、府では、市町村間連携や権限移譲などを通じて、市町村と共に基礎自治機能の充実に取り組んできました。 合併についても、基礎自治機能の充実に有効な方法でありますが、市町村が自主的に住民と議論を重ねつつ検討を進めていくことが重要だと思います。府としては、これまでの財政収支見通しなどの取組も踏まえながら、それぞれの地域で市町村の将来の在り方の議論が深められるように積極的に参画をしていきます。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 副首都化を進めるには、大阪府、大阪市の連携をより強くし、市町村間の広域連携や合併により基礎自治機能を強化することが重要です。その強化に向けた組織体制については、人口減少・超高齢社会の到来に伴う諸課題への対応として、困難な行財政運営に直面する市町村に対し、広域連携の取組などを積極的に支援し、基礎自治機能の充実を図るための組織を来年四月に総務部に設置するとの考えを聞いています。 知事は、基礎自治機能の強化を図るため、どのような組織体制を考えておられるのか、お伺いします。 ○議長(鈴木憲君) 吉村知事。 ◎知事(吉村洋文君) 令和四年度当初の組織改正では、より積極的に基礎自治機能の充実に取り組むため、市町村課を強化する形で組織再編を考えています。今後、副首都ビジョンのバージョンアップの検討状況も踏まえながら、市町村が効率的な行財政運営体制をはじめとして、この行財政の基盤の強化を図って持続的かつ安定的に住民サービスが提供できるように、新たな組織において、基礎自治機能の充実に向けてしっかりと取り組んでいきたいです。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 維新府議団は、これまでも議会や提言などにおいて、基礎自治体の在り方について取り上げてきました。今回の組織設置は、その方向性に沿ったものであると確認しました。基礎自治体の在り方は重要な視点であり、それにふさわしい組織体制の強化が必要だとの観点から、引き続き委員会でも議論を深めてまいりたいと思います。 今回、来年度当初に大阪の成長の司令塔となる組織を政策企画部内に設置するとも聞いています。その狙いはどのようなものなのでしょうか。 また、府庁の組織体制については、維新府議団の今夏の施策提言において、社会情勢の変化や多様化する行政課題に対応できる戦略的な府庁組織体制の構築や、大阪の成長産業を支える部局の再編、統合といった内容を求めています。 特に大阪の産業競争力を強化していくには、商工、環境、農林水産、健康ビジネスなどに関する部局の再編、統合が必要だと考えており、その意図の一つとしては、府庁組織のスリム化という視点があります。独法化や委託化などにより、府庁の業務はアウトソーシングが進んでいますが、前回の大規模な組織再編を行った平成二十一年度以降、IR推進局、スマートシティ戦略部、大阪港湾局などが新設され、部局数は九部局から十四部局に増加しており、今年度も十一月に大阪都市計画局、令和四年一月には万博推進局が設置されることで部局数はさらに増え、十六部局となります。 この間の共同設置組織などの部局の新設については、それぞれ必要な組織改正でありますが、部局数が増え過ぎれば、ポストの増加や指揮命令系統の細分化などの弊害もあると考えます。したがって、ビルドだけではなく、組織全体を見渡したスクラップという視点も必要だと考えます。 今回の組織改正案のうち、大阪都市計画局ができることで、都市整備部と建築部を統合することは、組織のスリム化という視点でも評価できますが、今後さらなる部局統合、再編も検討すべきではないでしょうか。大阪府庁において、組織の改廃はどのような考え方で行われているのか、総務部長に併せて伺います。 ○議長(鈴木憲君) 総務部長太田浩二君。 ◎総務部長(太田浩二君) まず、成長に関する組織の狙いについてでございますが、これまで各部局の業務は法令に基づく振興、規制などが中心となっておりまして、ビジネスという視点での取組は限定的であったため、社会の変化に対応し、大阪の成長を実現するためには、ビジネスを業務として明確に位置づけ、積極的に取り組むことが重要と認識しております。 このため、新たな組織を政策企画部に設置することにより、民間と協働しながら新たなシーズ発掘や施策化を行いますとともに、国際金融都市の実現に向けた取組を進めるなど、ビジネスの視点を持って全庁横断的に大阪の成長に取り組んでいく必要があると考えたものでございます。 次に、組織の改廃に関する考え方についてでございますが、これを検討するに当たりましては、例えば管理スパン、施策の重点化の状況、将来的な行政需要の動向など様々な要素を総合的に考慮しながら、その時々に応じた効率的で効果的な体制は何かという視点で行っておりまして、今回の組織再編につきましても、そういった視点から検討を行ったものでございます。 今後も、施策の方向性、行政需要の変化などに留意しながら、より効率的、効果的な業務執行体制の構築に努めてまいります。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 成長に関して新たな組織を設置し、大阪の成長に向けた取組を強化するということ、つまり稼ぐということは理解するところであり、しっかりと取り組んでもらいたいと思います。 一方、ビルドだけではなくスクラップも重要という視点から、組織の改廃、統合に関する考え方については、この約十年間で、アウトソーシング等により職員数が大きく減少していることなども踏まえ、今後に向けたさらなる部局再編、組織のスリム化に関して、引き続き議論させていただきます。 先月、国においてデジタル庁が発足しました。府では、デジタル化専門部隊であるスマートシティ戦略部を国のデジタル庁よりも先に創設しました。スマートシティ戦略部には、国のデジタル庁の動きとシンクロさせ、国を先導するような気概を持って、大阪全体のデジタルトランスフォーメーション--DXを全速力で進めていっていただきたいと思います。 一方、大阪のデジタル改革を進める上では、国のデジタル改革が抱えていることと同様に、様々な課題があると認識しています。例えば、府庁内の部局や市町村が同じようなシステムをそれぞれがばらばらで構築、調達しているために投資が重複していること、デジタル人材が自治体の組織内に不足していることなどによって、システム構築、運営を請け負うベンダーが固定化し、コストが高止まりになっているおそれがあることなどです。とりわけ、役所内のデジタル人材の不足は、デジタル改革を進める上で大きな阻害要因となっていると考えます。 デジタル庁が、職員六百人のうち民間から二百名の人材を採用したように、大阪府でも、スマートシティ戦略部を中心に、民間からより一層デジタル人材を確保していくことが重要だと考えます。もちろん、スマートシティ戦略部をはじめ、今おられる職員の皆さんのスキルアップも重要だとは思います。 しかしながら、採用に関して従来どおりの方法を行うだけでは、海外と比較してデジタル後進国と言われる日本の中でも、他府県と比べてデジタル化が遅れていると評価されている大阪において、この厳しい現状から脱却することはできません。ここは、既成概念にとらわれることなく、早急かつ大胆な方策で、いかに民間からデジタル人材を確保していくかが鍵となると考えます。スマートシティ戦略部長の所見を伺います。 ○議長(鈴木憲君) スマートシティ戦略部長坪田知巳君。 ◎スマートシティ戦略部長(坪田知巳君) 私は、就任当初から、大阪のスマートシティー化を進めていくためには、府の職員だけではなく、デジタル技術やビジネスに関する知識や経験を持つ民間人材を積極的に活用すべきであると考え、民間交流員の確保と増員に努めてまいりました。 現在、ICT系の企業を中心とした民間交流員が、コロナ対策のシステム開発やスマートシニアライフ事業の制度設計など様々なプロジェクトに関わり、成果を上げております。 しかし、今後、民間ビジネスで主導するスマートシティーモデルや府庁及び市町村の行政DXなどの大きなデジタル改革を成し遂げていくためには、公務員と民間交流員だけでは限界があり、議員お示しのように、民間の専門人材を職員として採用し、力を発揮してもらうことが、ぜひとも必要と考えております。 現実としましては、ICTに関する専門技術を持つ人材は、国のデジタル庁はもちろん、民間企業間においても奪い合いとなっております。自治体にとっては、報酬や勤務条件などについて、どのように考えるのかといった課題もございます。このため、府におけるデジタル人材の確保策について、国のデジタル庁や他自治体、さらには諸外国の先進事例も参考に、例えば公民共同出資の事業体の設置による人材確保といった可能性についても、有力な選択肢として検討を進めてまいります。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 部長から答弁いただいたように、デジタル改革を大阪で成し遂げるには、民間の専門人材を職員として採用し、力を発揮してもらう必要がありますが、国内外の熾烈なデジタル人材の獲得競争を考えると実に難しい課題です。 しかしながら、大阪のデジタル改革を断行していかなければならず、その課題を克服するための手法として、部長が、今、有力な選択肢として示された公民共同出資の事業体の設置による人材確保という方策は、大いに期待できるものであると考えます。私ども維新府議団としても、その実現の可能性に向け、研究、検討を始めてまいります。 新型コロナウイルス感染症への対応のため、大規模な財政出動が続いています。コロナ禍から府民の命と生活を守るため、必要な対策は積極的に講じていくべきです。ただ、他の府民サービスもしっかり行っていく必要があり、コロナの影響による歳出増や税収の減少が、府財政に与える影響が懸念されます。このような認識から、現在の府の財政状況と今後の財政運営について、財務部長へ質問いたします。 令和三年度当初予算では、コロナの影響で府税収入の大幅な減少等により収支不足が拡大し、財政調整基金を九百三十五億円取り崩しました。さらに、補正予算でも多額の取崩しが生じていることを考慮すると、非常に厳しい財政状況だと言えます。 一方で、八月に公表された令和二年度普通会計決算見込みでは、普通会計の実質収支は三百五十億円と大幅な黒字となっています。そこで、現在の府の財政状況の認識について答弁を求めます。 また、今後も引き続きコロナ対策を積極的に講じていく必要がありますが、過去の財政運営の穴埋めである減債基金の復元も進めて行うことが重要と考えます。当初予算でも二百二十八億円の予算を計上していますが、コロナ禍であっても、令和六年度末の復元完了に向けて計画どおりに進んでいると考えていいのか、財政健全化に向けた今後の財政運営について、併せて財務部長の所見を伺います。 ○議長(鈴木憲君) 財務部長手向健二君。 ◎財務部長(手向健二君) 現在の府の財政状況ですが、令和二年度の決算見込みは、国交付金の歳入等により収支改善があり、最終予算で見込んでいた財政調整基金二百六十五億円を取り崩すことなく黒字となりました。これにより、当初予算及び補正予算の編成により取崩しを行っている財政調整基金は、決算剰余金の編入などにより六百八十二億円が確保できる見込みとなっております。 また、大幅な減収を見込んでおりました府税収入は、現時点では企業業績の悪化による影響は限定的であり、税収全体としては、当初の見込みに比べ堅調に推移しております。しかし、今後の感染状況等により、経済に与える影響や府の歳入歳出に与える影響などを見通すことが困難でございまして、また、令和四年度以降も多額の収支不足が見込まれることから、府財政は予断を許さない状況と認識しております。 コロナ対策に係る財政運営につきましては、府単独事業に活用できる地方創生臨時交付金が今年度新たに約三百三十五億円が配分され、感染状況に応じた機動的な対応や事業者の支援について最大限活用しているところでございます。コロナの影響は、全国的な問題であることから、地方の財政運営に支障が生じないよう、引き続き国において必要な財源が措置されるように求めてまいります。 依然として厳しい財政状況でございますが、将来世代に負担の先送りをしないことを基本に、減債基金の復元を令和六年度に向け着実に進めるとともに、税収動向を注視しつつ、年度を通じた効率的、効果的な予算執行により、財政調整基金の取崩し縮減に努めるなど、健全で規律ある財政運営を行ってまいります。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 今の答弁から、部長としては、府財政は予断を許さない状況だと認識されているということ、そして依然として厳しい財政状況だが、将来世代に負担を先送りしないことを基本に、減債基金の復元を令和六年度に向け着実に取り組み、財政調整基金の取崩し縮減に努めることで、健全で規律ある財政運営を行うつもりだということを理解しました。 このような財政状況とコロナ禍による影響を考慮すると、これからの時代にふさわしい自治体経営と行政の在り方を模索し、行財政改革を断行する必要があると考えます。 また、依然として厳しい財政状況の中で、今後も健全で規律ある財政運営を行っていくためには、あらゆる歳入確保に努めることも重要だと考えます。 現状、府には、幾つもの部局に幾つもの基金があり、府民や企業等の皆様からの寄附金を活用した施策を展開しています。 スクリーンで映し出されているように、例えば寄附金を募る手段としてのふるさと納税に関しては、府民が府外の自治体に寄附した額が、府外の自治体の住民からの府への寄附額を大きく上回っている状況、つまり大きく歳入を失っているということになっています。私は、思いのある府民や企業等の皆様に対して、御寄附をしたいと思っていただけるような効果的なメッセージや促しを行い、戦略性を持った寄附金の確保に取り組むことが必要ではないかと考えています。財務部長のお考えを伺います。 ○議長(鈴木憲君) 手向財務部長。 ◎財務部長(手向健二君) 今後も厳しい財政状況が続く中、様々な歳入確保に努めることは重要と認識しております。議員御指摘のとおり、事務事業の中には寄附金を財源とした基金を活用しているものもあり、各部局において、様々なアプローチをしながら寄附金の確保に努めているところでございます。 ふるさと納税につきましては、府の取組を支援したいという方々の思いを受け止められるよう、様々な分野の基金を一覧化し、府のホームページなどにおいて周知しているところでございます。 一方で、返礼品の充実につきましては、各市町村が工夫して取組を進めている中で、府もこれに参画すると、市町村の努力に水を差すこと、また府への寄附により市町村の税収にも影響が生じること、こうしたことから、府としては取組は行っておりません。 歳入確保に向けましては、基金への寄附金確保はもとより、府税収入の確保や府有財産の活用、売却など、様々な観点から取り組む必要がございます。そのため、予算編成要領において、各部局に対し歳入確保に向けた取組の検討を求めるとともに、「大阪府行政経営の取組み」においても各部局の取組を記載しているところでございます。 今後、戦略的な寄附金の確保という観点も含めまして、様々な歳入確保の取組を行ってまいりたいと存じます。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 部長から、戦略的な寄附金の確保という観点も含め、様々な歳入確保に取り組むと答弁いただきました。ぜひお願いいたします。 歳入確保策としては、五月定例会の一般質問の際に、新たな資金調達手法として、国内市場での外貨建て債の発行を提案し、財務部長から、市場条件が整えば、発行するよう取り組んでまいるとの答弁をいただいております。聞くところによると、今、市場条件が有利ではないとのことですので、条件が有利となったタイミングになれば、ぜひ発行いただくことを要望いたします。 次に、成長発展し続けるグローバル都市大阪の実現に向けて質問します。 大阪の再生・成長に向けた新戦略では、コロナ禍の影響を踏まえ、大阪の再生、成長に向けて取り組むべき方向性が示されています。本戦略では、経済・雇用対策として五つの重点分野が示されており、一、健康・医療関連のリーディング産業化、二、国内外の観光需要の取り込みの強化、三、スタートアップ・イノベーションの創出、四、新たな働き方等を通じた多様な人材の活躍促進、五、国際金融都市の実現に向けた挑戦により、さらなる成長へつなげるとされています。 これらの取組は、大阪経済の再生、成長につながる重要なものですが、加えて府内の中小企業の生産性向上につながる取組も必要不可欠だと考えており、企業規模が大きくなることで生産性が向上すると考えています。 例えば、業務のIT化を図るためのシステムを導入する場合、小規模な企業では、導入コストが重くのしかかり、投資に踏み切れないといったことを聞きますが、企業規模が大きくなれば、コストの負担感が下がり、投資へつながることで業務効率が高まり、生産性も向上しています。 このように、中小企業の生産性向上を図る上で、企業規模の拡大を促進することが重要であり、後継者不足を起因としない企業のM&Aも一つの手法ではないかと考えます。大阪経済の成長を図る一つの方策として中小企業のM&Aを促進し、生産性向上を図るべきではないでしょうか。商工労働部長の所見を伺います。 ○議長(鈴木憲君) 商工労働部長小林宏行君。 ◎商工労働部長(小林宏行君) M&Aは、企業規模の拡大や新規事業の展開を図る上で、ファンドによる外部資金の活用などとともに有効な手法の一つです。大阪商工会議所が、府と連携し展開している大阪府事業承継・引継ぎ支援センターや一部の商工会議所においても、M&Aを活用した支援が始まっています。 さらに、M&Aを実施した場合の設備投資減税、新分野展開や業態転換などを目指す中小企業への事業再構築補助金など、国の支援も強化されているところです。 M&Aは、企業規模の拡大により、生産性向上をはじめ、賃金引上げや休暇取得など労働環境の改善にもつながるポテンシャルを有しています。 一方で、専門性の高い知識と経験、事業者の理解などが求められることから、その促進に当たっては、金融機関、民間プラットフォーマーの活用なども視野に、中小企業へのM&A支援に関する府の役割について広く検討していくことが必要です。今後、大阪産業局や商工会議所と共に連携し取り組み、中小企業の生産性向上、さらには労働環境の改善につなげたいと存じます。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 企業規模の拡大により、生産性向上をはじめ、賃金引上げや休暇取得などの労働環境の改善にもつながると答弁された点が、まさに重要な視点です。府内の中小企業の生産性向上を図り、労働環境を改善させ、大阪経済の成長につなげていただくことを求めます。 私ども維新府議団は、これまでから大阪の成長の起爆剤として、世界最高水準のIRの誘致を目指してきました。先月、ついに大阪のパートナーとしてMGM・オリックスコンソーシアムが選定されました。事業者からは、一兆円規模の初期投資をはじめ、国内外の観光客を引きつける圧倒的なリゾート空間やハイクオリティーでユニークな国際観光拠点の創出など、非常に魅力的な提案があり、その実現に大きな期待を寄せています。 IRの誘致実現に向けては、今後、区域整備計画を策定し、議会の議決を経て、来年四月までに国へ区域認定の申請を行い、上限三か所となる区域認定を勝ち取らなければなりません。今後、世界との都市間競争も見据え、魅力的なIRをつくり上げていくために、MGM・オリックスコンソーシアムと共同しながら、どのように取組を進めていくのか、知事の御所見を伺います。 ○議長(鈴木憲君) 吉村知事。 ◎知事(吉村洋文君) 今回、事業者から、大阪の魅力や将来性を高く評価したすばらしい提案をいただき、大阪IR基本構想にも掲げてきた世界最高水準の成長型IRを実現できるものと考えています。 開発のコンセプトは「結びの水都」とし、日本最大級の国際会議場やスポーツイベント等も開催可能な展示ホール、グレードの異なる三つの宿泊施設、豊富なラインナップのライブ・パフォーマンス等を楽しめる夢洲シアター、さらには観光ゲートウエーとしての関西ツーリズムセンターや、大阪、関西の食文化を体験できる施設などを備えた非常に意欲的な提案となっています。 大阪府市としては、今回選定した事業予定者と共同し、提案内容の向上など確認、調整を行いながら、地域経済の振興に資する魅力的な区域整備計画の作成を進めていきます。 今後、年内を目途に、区域整備計画案を作成の上、議会の御議決をいただき、国への認定申請を行うなど必要な手続を着実に進め、圧倒的な魅力を備えたIRを夢洲に実現し、大阪、関西の持続的な成長につなげていきます。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 都市が成長するには、民のパワーが最大限に発揮されるよう、土台を整備することが公の役割だと考えます。 北陸新幹線及びリニア中央新幹線の全線早期開業は、大阪、関西のみならず、日本全体の成長発展にとって重要な高速交通インフラであり、スーパー・メガリージョン構想において、新大阪駅は西日本の核として、新幹線ネットワークのハブステーションとしての役割が期待されています。 現在、新大阪駅周辺地域は、都市再生緊急整備地域の指定を目指しており、府がリーダーシップを持って官民連携の下、将来的な視点によるまちづくりの検討と取組を進めていただくことを期待しています。 引き続き、国や関係機関に対し、北陸新幹線、リニア中央新幹線の具体的な駅位置の早期確定を求めていただくことをお願いいたします。 さて、その駅位置が確定すれば、速やかに駅前ロータリー、バス・タクシー乗り場等の再整備、歩行者空間の確保、駅周辺のまちづくり再開発、駅建設に必要な用地確保などが地域の理解を得ながら進められるよう、大阪市と連携し、準備、検討をしておくことが重要です。 また、トンネル工事による発生土の処理については、府事業での利活用を含め、どのように対応するのか、今から関係機関等と共に検討を始めておく必要があると考えます。 八月に開催された第五回新大阪駅周辺地域都市再生緊急整備地域検討協議会では、事務局から、新大阪エリアに導入する交流促進機能として、一ヘクタール規模のMICE施設等の大規模交流施設の導入や、十三駅と淡路駅の両エリアについては、オフィスや宿泊機能、大規模用地での新拠点整備等のイメージが提示されたと聞いています。 淡路駅から東海道本線にかけてのエリアには、柴島浄水場などの広い面積の公有地があり、この大きなポテンシャルを有する場所が活用されれば、その投資規模と波及効果は計り知れないものとなり、将来の大都市大阪がより一層の成長を果たすための起爆剤になると考えています。 そこで、田中副知事にお尋ねします。 北陸新幹線及びリニア中央新幹線の工事に伴う発生土の処理をどう考えていただいているのでしょうか。そして、新大阪駅周辺地域都市再生緊急整備地域協議会の会長として、淡路駅から十三駅に至る広い範囲に及ぶ新大阪駅周辺地域のまちづくりについての検討状況や、協議会で示された案に対する期待や思いについて、お伺いをいたします。 ○議長(鈴木憲君) 副知事田中清剛君。 ◎副知事(田中清剛君) 北陸新幹線及びリニア中央新幹線の早期全線開業を実現させるためにも、想定される課題には早い段階からの対応が必要と考えております。 お尋ねのトンネル工事等によります建設発生土につきましては、受入先の確保に向け、公共工事間の流用や既存の埋立地、さらには新たな埋立地の活用を探るなど、府としても協力してまいりたいというふうに考えております。 また、新大阪駅周辺地域のまちづくりにつきましては、検討協議会で大規模交流施設や高速バスターミナルの導入、デッキ等による歩行者動線の確保、これらに加えまして、十三駅、新大阪駅、淡路駅の各エリアで導入すべき都市機能などに関して検討を進めているところでございます。 現段階では、北陸新幹線の駅位置が明らかになっていないために、駅周辺の具体的な施設配置等については検討できない状況でございますが、大阪・関西万博の開催時期が近づいていることを考えますと、この大きく変わるまちづくりの姿を早期に示す必要があります。このため、まずは可能な範囲でまちづくり方針を作成していくこととしております。 新大阪駅周辺地域は、西日本のグローバル拠点として必要な機能の導入と、近接する十三駅や淡路駅の各エリアの個性を生かしながら、面的な連携力を高めていくことが重要であると考えており、その実現に向けて関係者とともに検討を進めてまいります。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 田中副知事、ありがとうございます。引き続き、よろしくお願いいたします。 私は、大阪が世界から国際金融都市として認められる未来を切望しています。経済の血液をこの大阪に引き込むことで、大阪という都市が大きく成長するための循環を生み出すことができると考えています。 国際金融都市の実現に向けては、五月定例会の一般質問において、戦略策定に当たっての視点やスケジュールを知事にお聞きしたところ、知事は、今年度の秋頃に戦略の骨子を取りまとめ、年度末には目標や重点施策などを盛り込んだ戦略を策定する旨の御答弁をされました。 このたび、国際金融都市OSAKA推進委員会の二〇二一年度第一回総会で、戦略骨子が取りまとめられ、「金融をテコに発展するグローバル都市」と「金融のフロントランナー都市」という二つの都市像が掲げられました。この戦略を実行することにより、エッジの利いた革新的な国際金融都市を目指していくことになりますが、それだけではなく、地域経済の発展や府民の豊かさにつながるものでなければならないと考えます。 知事は、戦略骨子で掲げられたこの二つの都市像にどのような思いを込めておられるのか、お伺いいたします。 ○議長(鈴木憲君) 吉村知事。 ◎知事(吉村洋文君) お示しの戦略骨子で掲げた二つの都市像は、今年三月の設立総会以降、官民一体の推進委員会で議論を重ね、大阪が国際金融都市として何を目指していくのかの共通理解を位置づけたものであります。 私としては、もちろんこの国際金融都市が一朝一夕で成るもんではないというのは十分分かっていますが、経済の血液とも言われている金融を活性化することで、国内外から大阪にチャレンジングな企業、技術、人材を集積させるとともに、アジア随一のデリバティブ都市を目指すなど、大阪の強みを生かして新しい技術を活用した資金調達手法や金融サービスなど、革新的でエッジの利いた取組により、国際金融都市としての独自の個性、機能を発揮していきたいと考えています。 これらの都市像を実現することが、地域の成長発展、ひいては府民の利益、幸福にもつながると考えておりまして、官民一体で着実に取組を進めることで大阪のさらなる成長につなげていきます。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 大阪が国際金融都市となることで、地域経済の発展や府民の豊かさにつなげていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。 国際目標であるSDGs--持続可能な開発目標は、十七のゴール、百六十九のターゲットから構成され、地球上の誰一人取り残さないこと、リーブ・ノー・ワン・ビハインドを誓っています。そして、その前文には、「全ての人の人権を実現し」という言葉があります。その目標達成と実現に向け、大阪・関西万博開催地として、積極的かつ先進的に取り組んでいかなければなりません。 府は、約二十年ぶりに大阪府人権施策推進基本方針の変更を予定していると聞いています。近年の社会意識の変化により、様々な人権課題が顕在化し、それらへの対応が必要であることから、新たな人権課題に関して追記され、人権施策の充実が図られるものと理解しています。基本方針が変更されることで、今後、府の施策がどのように展開されるのか、知事にお伺いします。 また、昨今、インターネット上の人権侵害、SNSでの誹謗中傷などの事象が深刻な社会問題となっています。SNSやインターネットは、拡散性や匿名性などの特性から、一旦書き込みが行われると、完全に削除することは困難であり、被害者がその削除を求めた際には大きな負担を強いられてしまっているのが現状です。このような状態では、人権侵害された被害者の心理的苦痛は計り知れないものであり、個人の力だけでは何とかなるものではありません。この問題に対して、ぜひ府が積極的に取り組んでいただき、インターネット上の人権侵害がない社会の実現を目指していただきたいと考えます。あわせて、知事の御所見を伺います。 ○議長(鈴木憲君) 吉村知事。 ◎知事(吉村洋文君) 大阪府人権施策推進基本方針の変更案においては、性的マイノリティーや感染症に関する人権問題など、新たな課題にもしっかり対応することとしています。今後、全ての人の人権が尊重される豊かな社会の実現を目指して、人権施策のさらなる推進を図ってまいります。 また、大変深刻な問題となっていますインターネット上の人権侵害については、表現の自由とも関わることから、国において統一的な考えの下、早急に対処すべきだと考えています。 そこで、私自身が法務大臣と総務大臣に直接お会いをし、インターネット上の人権侵害情報が速やかに削除されるように、法改正をはじめ具体的な提案を行ったところです。両大臣からは、さらなる取組に向けて前向きな発言をいただきました。インターネット上の人権侵害に苦しむ人がなくなるように、私としても提案の実現に向けて、引き続き国へ強く働きかけを行うとともに、啓発や相談をはじめ被害者の救済にしっかりと取り組んでまいります。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) よろしくお願いいたします。 大阪人権博物館「リバティおおさか」は、昨年六月に休館し、関係者間の和解によって建物が撤去され、土地は大阪市に返還されましたが、博物館内で展示や保存されていた三万点にも及ぶ収蔵品は、現在、大阪市の施設で一時保管されているものの、保管期限は二〇二三年三月末となっており、その後の保管や活用の方法が定まってはいません。これらの収蔵品は、大阪府を含め関係者が協力し、苦労して収集保存したもので、公開資料として啓発にも活用されてきたものです。 府は、これらの収蔵品の価値をどのように考えておられるのでしょうか。また、これらの歴史的価値の高い貴重な人権関係資料が散逸してしまってもよいと考えておられるのでしょうか。世界的に様々な場面で人権尊重がうたわれている今日、貴重な資料である収蔵品を府民の共有財産として、将来にわたりしっかりと保存管理し、教育、啓発において活用するべきではないかと考えます。府民文化部長の所見を伺います。 ○議長(鈴木憲君) 府民文化部長江島芳孝君。 ◎府民文化部長(江島芳孝君) 府民一人一人が人権の意義や価値について理解を深め、全ての人の人権を尊重することができるよう、その歴史や現状を学ぶ人権教育を推進することは、極めて重要なことと考えております。 お示しの大阪人権博物館におきまして、展示、収集、保存されてまいりました資料は、これまでから児童生徒の人権学習や府職員等の研修など様々な機会を捉え、教育啓発に利用してきたところであり、大変貴重なものであると考えております。 この間、保有している財団から当該収蔵資料の保存管理などについて相談を受けており、今後、関係者とも協議調整を図りつつ、府として何ができるのか、しっかりと検討してまいりたい。また、府民への啓発や人権教育におきましても、積極的に活用してまいりたいと考えております。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 次に、子ども輝く未来都市・大阪の実現に向けて質問いたします。 子どもへの虐待は、重大な人権侵害であり、法律上も禁止されている許されない行為です。昨年一年間に大阪府警が受理した児童虐待をめぐる通報は九千七十件で、このうち七千百三十六件について虐待と認知され、府警が虐待被害の疑いで児童相談所に通告した子どもの数は一万二千二百九十四人、七年連続で全国最多だったとのことです。通告理由として最も多かったのは、子どもの前で夫婦間の暴力を振るうなどの心理的虐待であり、全体の七割以上を占めているということですが、このほか児童虐待による検挙件数は百七件と過去最多で、半数近くが傷害事案だったと聞いています。 先日、摂津市で三歳の男の子が熱湯を少なくとも五分以上浴びせ続けられて殺害されるという、言葉を失うほど痛ましい事案により、母親の交際相手の二十三歳の男が逮捕されました。逮捕された男は容疑を否認しているとのことですが、この嫌疑が事実であれば、私自身が同じ年頃の子を持つ者として、この子があり得ないほどの苦痛を受けながら息を引き取ったことに許せない気持ちでいっぱいになります。この子は、このような人生と苦痛を受けるために生まれてきたはずがありません。せめてもの御冥福をお祈りし、哀悼の誠をささげます。 摂津市の会見では、この事件が起こる前の今年五月、母親は市役所へ、交際相手が子どもをたたいたと話していたとのことであり、この六日後に市の担当者が自宅を訪れ、母及び容疑者と見られる母親の交際相手と話をしたとのことです。また、保育所から虐待を疑わせる情報提供や母親の知人からも保護を求める相談もあり、市は、この家庭について、要保護児童対策地域協議会において、府の児童相談所と情報を共有していたということですが、結果としてこのような痛ましい事件が起こりました。 全国的に重大な児童虐待事件が後を絶たない中、府子ども家庭センターでは、全ての児童虐待通告事案の全件を警察に共有する仕組みを運用していると聞いてきました。子どもを守るのは大人の責務であり、子ども家庭センターには、無責任な大人から子どもの命と生活を何としてでも守っていただきたいと強く願っています。 そこで、要保護児童対策地域協議会における関係機関の情報共有や、現在取り組んでいる警察との全件情報共有の仕組みについて、そして今回の事案が警察へ情報提供されなかった理由について、福祉部長に伺います。 ○議長(鈴木憲君) 福祉部長松本正光君。 ◎福祉部長(松本正光君) まず、亡くなられた子どもさんに対し、心より御冥福をお祈り申し上げます。 要保護児童対策地域協議会、いわゆる要対協は、市町村の福祉、教育、保健部門や府子ども家庭センター等の関係機関が連携し、地域の要保護児童等について情報共有や支援内容の協議を行う組織であり、府内の全市町村が設置をしております。 要対協においては、事例ごとにリスクアセスメントを行い、市町村か府子ども家庭センターのいずれかを主担とすることを決定して、支援の状況などを報告し、適切な支援内容の協議等、進行管理を行っております。市町村が主担となっている事案であっても、重症度や緊急度が高まり、一時保護などの対応が必要と考えられる場合には、府子ども家庭センターへ事案の送致が行われ、虐待通告として受理しております。 警察との全件情報共有については、府子ども家庭センターと警察が、適切な役割分担の下、児童の安全確認、確保を迅速かつ的確に行うため、平成三十年八月より、府子ども家庭センターが受理した虐待通告事案について、市町村からセンターへ事案の送致があったものを含め実施しております。 このたびの事案については、市から府子ども家庭センターに送致されなかったため、仕組みとして警察に情報提供する対象にならなかったものでございます。 児童虐待を防止するため、これまで様々な取組を行ってまいりましたが、このような痛ましい事件が起こったことを重く受け止め、事案が生じた原因や背景等について検証し、このような事態が起こらないよう、一層取組を強化していきたいと考えております。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 警察との全件情報共有の仕組みについては分かりましたが、この仕組みの中で警察との情報共有の外にあった子どもが亡くなっています。今回の事件について、点検・検証専門部会において検証を行うと聞いています。私ども会派としても、この子の命を救う方策や仕組みはなかったのか、しっかりと検証すべきだと考えています。 子どもを虐待から守る取組に関しては、コロナ禍による家庭内の環境変化によって、児童虐待の増加や深刻化が危惧されていることから、今年八月に維新府議団から知事へ手渡した施策提言においても、保護等の判断に当たっては、子どもや保護者の状況等を知る学校等の在籍機関、医療機関、警察等の関係機関との連携をさらに強め、情報収集及び共有を密に行うこと。そして、どこの部署の指揮と判断で子どもを守る行動を取るのか、責任の明確化を図ることを求めてきました。 大阪において、児童虐待は極めて深刻な問題です。この問題を解消しない限り、子どもが輝く都市・大阪の実現はあり得ません。今回の痛ましい事件を踏まえ、子どもを虐待から守るため、どのように取り組んでいくのか、重大な児童虐待ゼロを目指しておられる知事の御所見を伺います。 ○議長(鈴木憲君) 吉村知事。 ◎知事(吉村洋文君) 今回、この痛ましい事件で亡くなられた子どもさんに対して、心から哀悼の意を表します。本当につらかったというふうに思います。言葉が出ないというほど残酷な犯罪であったと思いました。許せないという気持ちです。 今回のこの事件につきまして、弁護士、それから医師、学識経験者で構成されます児童虐待事例等点検・検証専門部会を立ち上げいたしました。事実の把握と関係機関における情報共有の在り方など、子ども側の視点に立って事案が生じた原因の分析等を行い、必要な対策などを取りまとめ提言をいただくことにしています。 また、子ども家庭センター及び市町村においては、それぞれが担当する事案について、改めて必要な対応ができているのか、緊急の点検を行います。 このような痛ましい事件を二度と繰り返さないためにも、いただいた提言を基に再発防止策を講じ、府内市町村や関係機関と緊密に連携を図りながら、府域全体の児童虐待の対応力をより一層強化してまいります。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 大阪府として、より一層、児童虐待防止の取組と組織的対応力を強化していただくことをお願いいたします。 今年度から、重層的支援体制整備事業が、市町村の任意事業として始まりました。本事業は、社会的孤立やダブルケアなど制度のはざまに陥った方や、複合化、複雑化した課題を抱える方に対して、高齢福祉、障がい福祉、児童福祉、生活困窮等の各分野の支援機関等が協働し、課題解決に結びつける支援と見守り続ける伴走支援を行っていくものであり、府内市町村には積極的に取り組んでもらいたいと考えます。 このような各分野の取組が、制度の枠を超えて横断的に連携することによって、制度のはざまが埋められていくものと認識していますが、こうした仕組みを構築するためには、関係機関の協力と支援に当たる方々の各制度への理解が必要となります。このため、重層的支援体制整備事業の仕組みを構築する市町村職員と関係機関が制度への理解を深めるとともに、支援に直接当たる方々のスキルアップに向けた人材の養成が重要となってくると考えます。 重層的支援体制の整備が市町村で進むよう、分野を超えた連携促進や人材養成について、府がどのように支援していくのか、福祉部長に伺います。 ○議長(鈴木憲君) 松本福祉部長。 ◎福祉部長(松本正光君) 複合化、複雑化した課題を抱える方々を地域でしっかりと支援するためには、市町村におけるそれぞれの支援機関が制度の枠組みを超えて連携できる仕組みづくりと、この仕組みの下で直接支援に当たる方の人材養成が重要と認識をいたしております。 このため、府としては、制度の理念や体制整備の具体的手法等を学ぶ全体研修会を開催しており、昨年度は、府内四十二の市町村と三十五の市町村社会福祉協議会の職員等に参加いただいたところでございます。加えて、今年度は、各分野の支援機関で支援に当たる方々を集めたブロック別研修会を開催し、意見交換の場の提供による市町村間の交流や関係者のネットワーク構築等を進める予定でございます。これらの取組を通じて、府内全市町村において重層的支援体制整備事業が展開されるよう、しっかり支援してまいります。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 課題を抱える子どもへの支援体制を強化するには、学校をプラットフォームとした対策を推進し、子どもたちが抱える課題や貧困問題に対応できるよう、教員の力だけではなく、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった方々と一緒になって、まさにチーム学校として児童生徒を支えていくべきです。 しかし、府立高校では、全校にスクールカウンセラーを配置しているといえども、ほとんどの学校が一校当たり年間十回という配置になっています。一方、私学では、スクールカウンセラーが常勤し、生徒たちと様々なコミュニケーションを取っている学校もあると聞きます。また、スクールソーシャルワーカーについても、配置されている府立高校は一部の学校に限られており、大幅に拡充させていくべきです。 府立高校におけるスクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの配置拡充について、教育長は今後どのように取り組んでいかれるのか、所見を伺います。 ○議長(鈴木憲君) 教育長橋本正司君。 ◎教育委員会教育長(橋本正司君) 貧困を含め様々な背景のある生徒を支援するためには、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった専門家を活用し、組織として子どもたちを支えていくことが必要でございます。スクールカウンセラーにつきましては、全ての府立高校に月一回配置することを基本としつつ、各校のニーズに応じ、追加配置を行うなど、弾力的な対応を行ってきたところであり、今後もより適切な配置ができるよう努めてまいります。 スクールソーシャルワーカーにつきましては、現在、エンパワメントスクールや定時制高校など三十二校に配置をいたしておりますが、生徒を取り巻く環境が複雑化、多様化する中、未配置校の案件にも対応できるよう、今後さらに充実させていく必要があるというふうに考えております。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) さらに充実させていく必要があると教育長は答弁されました。生徒たちのために十分な予算を確保し、府立学校においてスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置を拡充させることを強く要望いたします。 現在、大阪府内の高校生の約四四%、中学生の約一〇%が私学に在籍しています。公立高校と私立高校が互いに切磋琢磨し、公教育の質を向上させることが、教育日本一・大阪を実現することになると考えています。後期中等教育である高校においては、グローバル社会で活躍する人材の育成や安全で安心な学びの場の提供、またICT学習環境の整備など、様々な場面で多額の経費が必要となっています。 しかしながら、私立高校を運営する上で必要不可欠な経常費補助金については、大阪府における生徒一人当たりの単価が国の財源措置額を約二万五千円下回っており、全国では下から二番目、近畿圏では最下位となっています。 令和二年度には、国の就学支援金が引き上げられ、年収五百九十万円未満の世帯への私立高校授業料実質無償化制度が全国で展開されていることもあり、このままでは他府県と比べ、大阪府内の私立高校に通う生徒の教育・学習環境に影響を及ぼすのではないかと危惧しています。 私ども会派の今夏の施策提言においても、このような現状が私学教育に与える影響について検証を行っていただきたいと求めました。教育長の見解を伺います。 ○議長(鈴木憲君) 橋本教育長。 ◎教育委員会教育長(橋本正司君) 私立高校に対する経常費補助金でございますが、学校収入の約三割を占め、授業料収入に次ぐ重要な財源となっており、私立高校におけます教育条件の維持向上、ひいては大阪の教育力の向上を図るためには、適正水準の補助を行うことが必要だと考えております。 府の経常費補助金の補助単価は、府立高校におけます生徒一人当たりの所要経費を基に算出した標準教育費の二分の一というふうにしておりますけれども、御指摘のとおり、国の財源措置額を下回っております。一方、全国では、三十七の都道府県が国の財源措置額を上回る補助単価を設定いたしております。今後、他府県の補助単価の算出方法等、その考え方を調査いたしますとともに、こうした状況が府内私立高校の教育に与える影響につきまして、私立高校の教育コストや財務状況などを基に検証を行ってまいります。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 公教育の質を向上させるため、スピード感を持ちつつヒアリングも行い、しっかりと検証し、その結果をお示しいただくことを求めます。 私ども維新府議団は、これまでも府立高校の在り方に関して議会の場で幾度と教育長と議論し、さきの二月定例会の討論においても、これからの府立高校の在り方を検討するに当たって、抜本的な改革と主体的な再編整備を求めてきました。令和三年度入試において、志願の二極化と急速な少子化により、府立高校の三校に一校に当たる四十校が募集志願割れとなり、十六校が三年連続定員割れとなりました。この状況は、構造的な問題、システムエラーを抱えていると考えます。 府立学校条例第二条二項には「入学を志願する者の数が三年連続して定員に満たない高等学校で、その後も改善する見込みがないと認められるものは、再編整備の対象とする」と規定されています。この規定に従えば、その後も改善する見込みがあると判断される高校を除いて、三年連続定員割れした高校は再編整備の対象となると理解しています。 さきにも述べましたが、三年連続定員割れした府立高校は十六校です。しかしながら、先日、教育庁が教育委員会会議で示した再編整備の対象校は、島本高校、茨田高校、泉鳥取高校の三校です。また、昨年度時点で再編整備の対象校となっていた岬高校と枚岡樟風高校の名前はありません。また、志願割れ数を見ると、今回示されている募集停止校の一つ--募集停止校は三校あるんですけれども、その中の一つが、ほかに比べて大幅に定員を満たしていない高校もあることが分かります。もちろん、再編整備は募集停止だけではなく、機能統合や学科再編など、そういった手法もあると理解しています。 先日、校名の上がった三校以外の三年連続定員割れとなった高校は、どのような判断を行ったのでしょうか。今回示されている再編整備案が、どのような理由や判断でこのような府教育庁案となったのか、橋本教育長に見解を伺います。 ○議長(鈴木憲君) 橋本教育長。 ◎教育委員会教育長(橋本正司君) 現在の再編整備計画は、平成三十一年度から令和五年度までを計画期間とし、将来の中学校卒業者数の推計等を踏まえ、府市合わせて八校程度の募集停止を公表することとしておりまして、これまでに三校の募集停止を公表しておりますことから、残りの募集停止公表予定は五校となってございます。 高校の募集停止の決定は、受験生に与える影響が大きいというふうに認識しておりまして、受験環境の激変による中学生の混乱を避けるため、計画的に進める必要があり、今回の対象校は四校、うち募集停止は三校とする案といたしました。令和三年度選抜時点で、三年連続して志願者が募集定員に満たない高校は、現再編整備計画におきまして改編を進めております工科高校二校と能勢分校を除きますと十三校となります。 募集停止校のうち島本高校と茨田高校は、共に三クラス規模で募集定員未充足というふうになっておりまして、泉鳥取高校は、二クラス規模での募集定員未充足という状況に加えまして、同校生徒の主な出身行政区におけます今後の中学校卒業者数の減少見込みが、府全域と比較しても最も大きいという状況となってございます。 このようなことから、大阪府立学校条例第二条に規定する改善する見込みがないと認められるものというふうに判断をし、募集停止をいたしましても、対象校に通っている生徒の出身地域に在籍する中学生の就学機会が確保できるということも併せて確認し、募集停止校案として決定したものでございます。 残る九校につきましては、今後、令和四年度選抜を含む志願者数の推移や、今回案として公表しております再編整備の影響等を勘案し、再編整備について引き続き検討してまいります。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 再質問いたします。 今回示された三校の募集停止案の考え方については、教育長の今見解をお聞きいたしましたけれども、この考え方についてはこれまでの再編整備とほぼ同じ方向性だと思います。 述べられていました答弁の中で--ちょっとパネルを戻していただきたいんですけども、パネルの七ですかね。このスクリーンを見ていただければ、今示された募集が足りていませんよというような数値がありましたけども、そのほかの学校も大きく同じような状況で定員割れしていることが分かります。ありがとうございます。 これまでは、その年度において、三年連続定員割れした高校は数校だったので、当該校を再編整備、募集停止するかどうかの判断だけで済んでました。しかし、今年度の三年連続定員割れ校は、これ十年間の再編整備計画で示されている校数を上回っている数となっていまして、これまでと違って、どこの高校を募集停止し、どう再編整備するのか優先順位をつけて、地域バランスを考慮しながら実行する必要に迫られているんだなと考えています。 スクリーンを御覧ください。 三年連続定員割れしている普通科系高校をマップに示すと、固まった地域に多くあることが分かります。例えば、かつての学区ごとに見ても、旧三学区は最多の五校が三年連続定員割れとなっています。調べたところ、旧学区ごとの中学三年生千人当たりの公立高校数は、旧一学区が二校、旧二学区が二・五校、旧三学区が二・八校、旧四学区が二・五校となっていることから、旧三学区のエリアは高校が飽和状態であり、定員割れ校が多くなっているのではないかと考えられます。しかし、今回示された募集停止校には、旧三学区の校名はありません。そして、先ほどもパネルで御覧いただいたんですが、そこに示している大幅に定員割れしている高校が、この旧三学区にあります。 また、旧学区エリアだけではなくて、地域ごとで見た場合にも偏りがあることが分かります。府内のどこの地域に住んでいるかという地理的条件により、中学三年生が進学先として希望する高校の選択数に相当な差があると言えます。 府立学校条例二条において、注目していただきたい言葉は、「機会均等を図りつつ」の部分と、「地域の特性その他の事情を総合的に勘案し、効果的かつ効率的に配置されるよう努める」との部分です。この条文をどのように解釈するかによって、再編整備の進め方、対象校選定の優先順位も変わってくるものと思われます。 今、三年連続定員割れの高校が十六校あり、その校数以下の募集停止、これが計画で示されてますけども、それを選定するとなれば、優先順位をつけて募集停止を選定することになります。第二条二項の前提となる本箇所の条文を踏まえて、当該校が募集停止となることによるその地域の中学生の進学先の選択肢の数や通学コスト、高校の地域偏在性を勘案した募集停止校の選定を行うべきではないかと考えます。 今回示された募集停止校三校の選定は、このような考え方が含まれているのか、教育長に伺います。 ○議長(鈴木憲君) 橋本教育長。 ◎教育委員会教育長(橋本正司君) 具体的な募集停止校の検討に当たりましては、府立学校条例の「改善する見込み」を判断する必要がございます。改善する見込みということについて判断するに当たりましては、先ほど申し上げましたとおり、定員未充足数の大きさ、また当該地域の将来の中学校卒業者数の減り具合、この二つを基本的な要素として判断をし、さらに学校の特色、地域の特性なども加味して総合的に判断をしたところでございます。 募集停止校の決定に当たりましては、募集停止をしたとしても、対象校に通っている生徒の出身地域に在籍する中学生が、通学コストの問題や進学先の選択肢がなくなることにより、高校の就学を断念するようなことが生じないかどうかといったことも確認をし、決定をしているところでございます。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 三年連続定員割れした高校のうち、改善する見込みの判断をその地域の中学生数の推計、つまり少子化しているかどうかが基準の上位となれば、府内の中心部ではなく人口減少エリアから募集停止校が優先的に選定され続けることになります。そうなれば、効果的かつ効率的な配置とはならず、システムエラーが拡大することを危惧します。 条例に基づき再編整備を推し進めるためにも、バージョンアップした考え方による戦略的な実行計画が必要です。この件に関しては、今後、検証と議論を深め、次期府立高校再編整備計画の策定に向け、実効性のある提案をしてまいる所存です。 今夏に維新府議団から知事へ手交した施策提言において、二〇二四年度以降に適用される次期府立高校再編整備計画の策定に当たって、現在の府内の乳幼児数から二〇三五年頃の生徒数を推計し、その数値を基に高校の地域偏在を考慮した上で、府立高校の総数を百校として、一校に複数学科・コースを設置するなどの多様性を確保し、地域において様々な進路選択や特性を活かせる高校を設置することを求めています。 大阪府における二〇一九年の出生数は六万二千五百五十七人です。今の十五歳が生まれた二〇〇六年の出生数は七万七千六百四十一人であり、二〇三五年には、今より十五歳人口は約一万五千人も減ることになります。 また、私立高校授業料無償化により、年々私立高校に進学する比率が増えてきており、今年度、府内の私立高校に進学した生徒は三万人を超え、さらに、在籍数が全国で二万人を超えるようなN高校のような新しいスタイルのネット通信制高校の人気も高まってきており、全国で十六人に一人の高校生が通信制高校に進学しています。 現在、府内の高校の公私の在籍数の比率はおおむね四対三ですが、前述のような傾向が続くと、公立高校入学者は約三万人となることもシミュレーションでき、二〇三五年に府立高校を百校とすることは可能だと考えます。 本来、府立高校の再編整備の推進は、生徒にとっての学びの環境や学校生活の質の向上に資するものでなくてはなりません。現在、府立高校の多くの校舎が老朽化しており、施設の天井の落下、トイレ環境の悪さ、インターネット環境の脆弱さなどの問題を抱えています。たとえ校舎の長寿命化を図り、単純に築七十年まで使用できるよう大規模改修等を行ったとしても、校舎の建て替え等の支出を先送りにしているだけにしか思えません。いつか、多くの学校施設に対して多額の費用で建て替えを行うのか、大規模改修するかの決断に迫られます。 このような問題と府の厳しい財政状況を鑑みると、加速的な再編整備と建て替え、大規模改修をセットにした戦略的な総合計画が必要不可欠だと考えます。大事なことは、府立高校の校数を今の三分の二にすることで捻出される財源を、校舎の大規模修繕や建て替え、ネット環境など時代に合った学習環境の整備、感染症対策の観点からの教室内等の空調、換気対策、教員、学校スタッフの配置拡充などに充当し、一校当たりの予算を大幅拡充するということです。つまり、選択と集中の概念を持ち、資産マネジメントの視点を持った地域偏在にも考慮した戦略的な再編整備を推進し、生徒の学習環境と学校生活の質の向上を迅速に図るということです。私ども会派のこのような考えに対する教育長の所見を伺います。 ○議長(鈴木憲君) 橋本教育長。
    ◎教育委員会教育長(橋本正司君) ただいま御指摘のとおり、生徒減少期を教育環境、教育条件等の教育の質的向上を図る好機と捉え、教育内容の充実と併せて適正な府立高校の配置を推進していくものというふうに考えております。 今後も少子化が進む中で、現計画以降も引き続き計画的に再編整備を進める必要があるというふうに認識をいたしております。再編整備を進めるに当たりましては、募集停止とした学校校地の売却益等も含めて財源を確保し、同時に教育環境の充実を図っていきたいというふうに思っております。 次期計画におきましても、現計画と同様に、今後の中学校卒業者数の推計を踏まえて試算を行い、計画期間内の募集停止校を算定し、お示しをしてまいります。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) この件に関しては、知事にもお聞きします。 生徒の安全の確保や学習環境の質を担保するために、府立高校の校舎、施設を長寿命化させる改修や建て替えなどに必要な予算を捻出することは、府の厳しい財政状況であっても、次世代への投資を掲げる維新の会として放置することはできない課題だと考えます。この課題に対し、これまでの当たり前の考え方ではなく、大胆で革新的な方策を用いて、老朽化対策を検討していくべきです。知事のお考えをお伺いいたします。 ○議長(鈴木憲君) 吉村知事。 ◎知事(吉村洋文君) 現在、築後五十年を超える学校が二割を超えています。十年後には七割を超えることになります。そのため、老朽化に対応した施設整備の財源確保方策を含め、整備手法について検討していく必要があると考えています。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 知事の考えをお聞きしました。財源確保方策を含め、整備手法を検討していく必要があるとの認識も示されました。 維新府議団は、これまでも公設民営学校を創設することにより、大阪全体の教育力を向上させることを求めてきました。この手法は、地方公共団体が校地、校舎を譲渡、または貸与や出資を行い、共同で学校法人を設立し、大学や専門学校などを運営する学校法人、社会福祉法人、教育関連の事業者や先進的な企業などに運営を任せるというものです。 この公私協力方式による公設民営学校は、多様な価値観や専門性の高い分野の教育が提供できます。また、府立高校の土地建物を活用し、民間が私立高校として運営することにより、民の力による施設改修が期待でき、老朽化の進む府立高校の改修費を抑えられるという資産マネジメントの観点からも、今の再編整備の手法に加え、再編整備の新たな手法として実施していくべきと考えます。 これからの時代の大阪にふさわしい高校の在り方の一形態として、公私協力方式による公設民営高校の創設を前向きに検討し、計画していくべきと考えます。教育長に、現在の研究、検討状況を伺います。 ○議長(鈴木憲君) 橋本教育長。 ◎教育委員会教育長(橋本正司君) 公設民営学校の検討に当たりましては、府として、設置の意義やメリットを整理していく必要があるというふうに考えております。 先日、開催をしました学校教育審議会では、公私協力方式により、平成三年四月に、不登校生徒等への支援を目的とした高等学校を開設した岡山県の事例について、ヒアリングを行いました。今後、例えば情報や福祉など専門性の高い教育分野に関する公設民営学校方式による教育効果や資産マネジメントの観点から、府にどのようなメリットがあるかなどにつきましても、さらに研究を深めてまいります。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) この件に関しても、知事にもお聞きします。 公設民営高校の創設は、維新の会が進める民でできることは民での考え方にも合致します。府立学校の施設老朽化は、極めて深刻な問題です。たとえ長寿命化しても、大規模改修や建て替えを先延ばししているだけで、時が来れば多額の公費投入が必要となります。府の財政状況を考慮すれば、この問題に対して今から手を打っていく必要があります。 その方策の一つとして、PFIのような手法で校舎施設の改修や建て替えを促進できる公私協力方式による公設民営学校を創設して、この問題を解決していくべきではないかと考えます。そして、この手法を再編整備の一つとして大阪の教育力を高めていくべきではないでしょうか、知事のお考えをお伺いします。 ○議長(鈴木憲君) 吉村知事。 ◎知事(吉村洋文君) 府立高校の老朽化対策として、民間活力の活用を検討することというのは重要な視点だと認識をしています。現時点において、お示しの公私協力方式による公設民営学校が校舎施設の建て替え等を行うことは、全国的にもほぼ例がないと聞いていますが、この実現可能性も含めて、教育庁において設置意義やメリット、その手法などを研究してもらいたいと思います。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 前向きな御答弁をいただき、ありがとうございます。ぜひ、実現したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。 今年六月、千葉県において、見通しのよい直線道路で、下校中の児童の列にトラックが衝突し、五名が死傷するという痛ましい事故が起きました。 私の地元東淀川区においては、この事故を受け、区内の小学校全十六校の通学路で、東淀川警察署と地域団体の皆様が横断歩道や交差点などに立ち、登校する児童の見守り活動を実施してくださいました。二人の息子を地元の小学校に通わせている保護者としても、本当に感謝をいたしております。 ただ、このような痛ましい事故を二度と起こさせないために、通学路において、車等のスピードが出やすい場所や事故の危険性が高い場所、保護者や地域住民から改善要望があった場所など危険な箇所において、道路拡幅を含む歩行者空間の確保やガードレールの設置等の安全対策の強化が必要です。 府管理道路における通学路の安全対策については、十分な予算確保を行い、取組を進めていく必要があると考えます。都市整備部長のお考えを伺います。 また、市町村道にも危険箇所があることから、市町村ともしっかり連携協力し合いながら取り組むべきと考えます。併せて、都市整備部長に所見を伺います。 ○議長(鈴木憲君) 都市整備部長谷口友英君。 ◎都市整備部長(谷口友英君) 千葉県八街市での児童の死傷事故を受け、令和三年七月に国から通知があり、現在、市町村教育委員会及び各小学校が抽出した危険箇所を対象に、警察、道路管理者などを加えた関係者において、通学路の緊急合同点検が行われているところでございます。 この結果を受け、市町村教育委員会及び各小学校が、関係機関と協議した上で対策案を作成し、それぞれの関係機関は、その案に従って計画的に対策を実施することとなっております。 お示しの府管理道路につきましては、道路管理者として安全対策が必要な箇所において、歩道整備やガードレールの設置、歩行者の退避スペースの確保、減速を促す路面標示などに取り組むこととしており、今後これらに必要な予算の確保に努めてまいります。 また、市町村道につきましても、府管理道路と一連の安全対策が必要な箇所について連携協力し、対応していくとともに、それ以外の箇所につきましても、市町村との会議の場等の機会を通じて技術的助言を行ってまいります。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 次に、今定例会に上程されている大阪府暴力団排除条例の一部改正案に関して、お尋ねします。 六代目山口組と神戸山口組の暴力団対策法に基づく特定抗争指定暴力団への指定に伴い、府内では大阪市と豊中市が暴力団対策法に基づく警戒区域となっており、区域内では組事務所の使用や新設などが禁止されているものの、府民にとっては、住居地域内に組事務所があることや新設されることで、大変な恐怖や身の危険を感じます。 私ども会派としては、府民生活の安全や平穏を確保するために、府警本部の皆様には、より一層の対策や取組を行っていただきたく、とりわけ学校近辺や通学路など、子どもが多く利用する空間においては、心理的安全性の確保も含め、取組を強化していただきたいと考えております。 そこで、本条例を改正する目的と意義及び施行後の効果をどのように考えておられるのか、警察本部長にお伺いいたします。 ○議長(鈴木憲君) 警察本部長井上一志君。 ◎警察本部長(井上一志君) まず、大阪府暴力団排除条例の一部を改正する目的と意義についてお答えいたします。 大阪府暴力団排除条例は、府民の生活や社会経済活動の場から暴力団を排除することを目的として、平成二十三年四月一日に施行され、十年が経過いたしました。その間、平成二十七年八月に始まった六代目山口組と神戸山口組の対立抗争が激化し、令和二年一月以降、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に基づき、両組織を特定抗争指定暴力団等に指定し、現在、大阪市及び豊中市をはじめ全国で二十の市と町を警戒区域として定めて、警戒区域内における暴力団事務所の立入り等を禁止しております。 そのような中、一部の組織が警戒区域外へ暴力団事務所を移転する動きを見せている状況にあります。現条例では、青少年の健全な育成を図ることを目的として、学校等の保護対象施設から二〇〇メートル以内の区域における暴力団事務所の開設または運営を禁止していますが、その規制にかからない場所への移転、新設が懸念されております。 よって、本条例の一部改正により、都市計画法で定められた住居系用途地域等を新たに規制範囲に追加することで、青少年をはじめ府民の生活や経済活動の拠点に暴力団事務所が進出することを阻止して、さらなる暴力団排除を推進し、その結果、対立抗争の防圧等によって府民生活の安全や平穏を確保することができると考えております。 次に、改正条例施行後の効果についてお答えいたします。 今回の改正では、都市計画法で定める住居系用途地域、商業系用途地域及び工業専用地域を除く工業系用途地域を新たに暴力団事務所の開設または運営の禁止区域に追加したいと考えております。 これにより、規制範囲となる用途地域は、大阪府下の市街地の大部分を占めることとなり、例えば大阪市内であれば約八五%の範囲で暴力団事務所を造ることなどができなくなります。 よって、今後、暴力団が大阪府下で新たに暴力団事務所を開設または運営することは非常に困難となることから、府民生活の安全や平穏の確保につなげることができると考えております。 ○議長(鈴木憲君) 笹川理君。 ◆(笹川理君) 本条例改正により、府民生活の安全や平穏の確保につながるとの答弁をお聞きし、必要不可欠な改正だと理解しました。警察の皆さんの日々の活動により、私たちは安心して生活を送ることができていると感じることがあります。府警察の皆様の職務遂行に敬意と感謝を申し上げ、引き続き府民の安全安心の確保に御尽力いただきますことをお願いいたします。 ○議長(鈴木憲君) この際、休憩いたします。午後三時六分休憩    ◇午後三時三十分再開 ○副議長(杉本太平君) これより休憩前に引き続き質疑質問を続行いたします。 通告により上田健二君を指名いたします。上田健二君。 ◆(上田健二君) 大阪維新の会府議会議員団の上田でございます。笹川議員に引き続きまして、我々会派の代表質問を行わせていただきます。 東京オリンピック・パラリンピックが終了し、選手の皆様の御活躍により、国民に大きな感動がもたらされたところでありますが、無観客開催であったため、日本の魅力を世界へ直接発信できなかったことは残念でありました。 ポストコロナの一大イベントとして、国家プロジェクトである二〇二五年大阪・関西万博において、大阪、関西の歴史や文化、企業の技術力やSDGsの取組等、広報、機運醸成を大阪、関西にとどまらず、世界へ向けて戦略的に実施していくことが重要であると考えています。 この十月からドバイ万博が開催され、十二月十一日のジャパンデーには、可能であれば吉村知事もドバイに直接行かれると聞いていますが、各国要人が多数来場されることから、大阪・関西万博への参加招請活動のまたとない機会となります。知事の所見はいかがでしょうか。 また、現在、国や博覧会協会、民間企業、府や市町村の各イベント等において広報が実施されておりますが、単発的な印象があり、連携し効果的に対応していくべきだと考えています。 二〇二三年度にはチケットの先行販売も始まることなども踏まえ、関係機関と連携して段階的な広報活動、機運醸成を進めていくためのアクションプラン等を早期に策定するとともに、知事自らPRを行うなど、効果的に取り組むべきと考えますが、併せて知事の所見を伺います。 ○副議長(杉本太平君) 吉村知事。 ◎知事(吉村洋文君) 大阪維新の会大阪府議会議員団を代表されましての上田議員の御質問にお答えを申し上げます。 ドバイ万博におけるジャパンデーにつきましては、新型コロナウイルスの感染状況等も踏まえて検討することになりますが、できれば私自身も赴き、パレードやステージイベントを通じて、開催都市大阪のプロモーション活動を行うとともに、各国に対する参加招請活動を行いたいと考えています。 また、大阪・関西万博の成功に向けて、多くの方々に万博への興味や関心、期待感などを高めていくためには、戦略的な広報が重要です。いよいよ公式キャラクターのデザイン決定や開催千日前イベント、入場券前売り販売などが順次始まっていくことから、年度内を目途に府市一体となって広報やプロモーション活動のアクションプランを取りまとめるとともに、様々な機会を捉えて、国や博覧会協会と連携をして機運醸成に取り組んでまいります。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) 次に、大阪パビリオンについてお伺いいたします。 大阪パビリオンについては、先日、パビリオン推進委員会総会が開かれ、レガシーとなる建物の一部を残すことも含め、出展基本計画案が承認されました。大阪パビリオンは、内外に広く大阪を発信するとともに、万博の成否にも関わる重要な役割を担うものと考えています。計画案では、生まれ変わりを意味するREBORNをコンセプトに、健康の観点から、ライドでの未来診断体験、未来の医療、未来の食といった様々な未来社会の体験が検討されており、大いに期待しています。ただ、健康や若返りは、どうしても中高年が対象といったイメージが強いため、誰もが楽しめるものになるか、懸念もあります。 さきの推進委員会では、知事からは、再生医療でのミニ臓器の展示などの提案もあったと聞き及んでおりますが、子どもや家族連れから若者も含め、あらゆる世代が楽しみながら、明るい未来を感じることができるパビリオンになるよう、展示コンテンツについて検討いただきたいと考えていますが、知事の所見はいかがでしょうか。 また、本万博では、SDGsへの取組を掲げており、大阪パビリオンにおいてもSDGsに貢献する観点が必要です。この夏、開催された東京オリンピックの会場では、積極的な木材利用が図られていました。例えば、有明体操競技場では、全長百十七メートル、幅九十メートルの木造の大屋根を使用するなど、映像を見るだけでも技術力の高さを感じることができました。現在、木材利用の取組は、ほかの多くの自治体でも推進されている状況であり、二〇二五年の万博開催時には、さらに加速しているものと思われます。 万博開催の意義であるSDGs達成に向けた取組を加速させる機会とするためにも、脱炭素社会の実現に向けた木材利用の積極的な取組が望まれます。大阪パビリオンにおいても、コスト面も考慮しつつも積極的に木材利用をしていくべきと考えておりますが、知事の考えを併せて伺います。 ○副議長(杉本太平君) 吉村知事。 ◎知事(吉村洋文君) 大阪パビリオンは、「いのち」や「健康」の観点から未来社会のモデルを提案するとともに、大阪の活力や魅力を世界に伝えていくということを目指して、今検討を進めているところです。 本パビリオンに一人でも多くの方に来場していただくためには、中高年層だけでなくて、子どもから若者、ファミリー層まで、誰もが楽しみながら学び、そして未来を体感できるパビリオンにしていく必要があると考えています。 このため、例えばiPS細胞を使った、人の力、人の技術でつくった臓器、これを展示できないかなど、これがもしできれば、将来、人間は臓器の病気で死なない時代が来るかもしれません。そういった最新のiPS細胞なんかを使ったミニ臓器が展示できないか、そういったことも検討していきたいと思いますし、これはまだまだこれからですけども、そういったチャレンジングな展示も検討していきたいと思います。 それから、VRやARなど最先端技術の活用や体験型の展示、エンターテインメント性を加えた複数の展示コースの設定など、今後さらに工夫を凝らして、未来を感じられる魅力的なパビリオンにしていきたいと思っています。 また、木材利用については、SDGsの掲げる低炭素社会の構築に貢献するだけでなく、その見た目や感触は、人に癒しや心地よさを与えるなど、まさにREBORNや健康にもつながるものです。そこで、大阪パビリオンにおいては、基本設計を進める段階から会期後のリユース、リサイクルの観点やコスト面も考慮しながら、再生可能な資材である木材を最大限に活用できるよう取り組んでいきます。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) iPS細胞を用いた人の臓器には、大勢の方が興味を持っていただけることと思います。また、VRやARなどの先端技術の活用や建物においては木材を利用するなど、工夫を凝らしていただきますようお願いいたします。 大阪府と大阪市は、大阪・関西万博において、輸送手段として活用が期待される空飛ぶクルマの大阪での実現に向け、機体開発を進めるスタートアップ企業、SkyDriveと九月十四日に連携協定を締結しました。実現のためには、国による新たな制度構築が必要である一方、既に約四百種類の機体デザインが公表され、世界各国で開発競争が激化している状況であり、予約販売も開始されていると聞き及んでおります。 また、全世界で二〇四〇年までに空飛ぶクルマの市場規模は百六十兆円規模になるとの試算もあり、在阪の企業にとっても、この新たな事業分野としての期待が高まっており、機体開発等で大阪の企業がビジネスチャンスを逃すことがあってはならない、世界から後れを取ってはいけないとの思いがあります。ぜひ、機体の開発などに大阪の中小企業が参画し、優れた技術を生かすことで大阪の産業の活性化につなげたいと思うが、いかがでしょうか。 また、一日も早く万博での実現に目途をつけ、万博の際にはできるだけ多くの人に体験、体感してもらい、その後の普及拡大につなげていけるような将来像を描いてもらいたいと考えています。 そこで、府として、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事のお考えを伺います。 ○副議長(杉本太平君) 吉村知事。 ◎知事(吉村洋文君) 次世代モビリティーとして期待が寄せられています空飛ぶクルマについては、未来社会を象徴する乗り物だと思います。こうした新たな分野に大阪の中小企業の優れた技術が生かされることは、大阪の産業の活性化、あるいは空飛ぶクルマのビジネスの裾野の拡大につながるというふうに期待をしています。 そこで、今年度において、大阪での実証実験を踏まえ、官民の関係者が集まる大阪ラウンドテーブルにおいて、空飛ぶクルマがもたらす社会像と、その実現に向けたアクションプランを大阪版ロードマップとして取りまとめます。今後、様々な機会を活用して、空飛ぶクルマの活用イメージや地域社会が受ける恩恵などを大阪の中小企業や府民と共有することで、企業の挑戦意欲と府民の期待を高めていきたいと思います。産官学のメンバーそれぞれが強みを生かして一丸となって、大阪で空飛ぶクルマが一日も早く実現するよう取り組んでいきます。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) ぜひよろしくお願いいたします。 大阪が世界をリードするというぐらいの心意気で取組を進め、一日も早く空飛ぶクルマの実用化を図っていただき、大阪において空飛ぶクルマのビジネスモデルを確立していくことを求めます。 そのためにも、今年度、取りまとめるロードマップには、空飛ぶクルマの具体的な活用イメージや普及拡大につなげていけるような将来像を示すとともに、今後とも、空飛ぶクルマの実現に向けた民間企業等による実証実験の取組が着実に進められるよう、府としてもしっかりサポートされるよう要望しておきます。 次に、ブルー・オーシャン・ビジョンについて御質問いたします。 二〇一九年六月、G20大阪サミットにて共有された海洋プラスチックごみによる新たな汚染を、二〇五〇年までにゼロにすることを目指す大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの実現に向け、おおさかプラスチック対策推進プラットフォームの取組が重要であり、積極的な姿勢で取り組み、市町村や業界等を通じた検討の成果の発信も最大限していただきたいと思います。 また、私たち会派からの要望に対して、大阪での開催を目指している全国豊かな海づくり大会は、万博の翌年の二〇二六年となっています。海洋プラスチックごみを削減するためには、大阪府の取組を通じて、陸域におけるプラスチックごみの発生を削減することが、有効な解決策となります。一日でも早く、一つでも多くのプラスチックごみを削減していく取組を期待しています。 大阪・関西万博が、海洋プラごみを考える大きな転換点とすることができると考えていますので、世界からも多くの方が来阪され、注目されるこの万博の機会を捉えて、会場内でのプラごみゼロを実現するという目標設定を行っていただき、大阪がSDGsの実現に貢献すべきと考えますが、府としてどのように取り組むのか、環境農林水産部長に伺います。 ○副議長(杉本太平君) 環境農林水産部長南部和人君。 ◎環境農林水産部長(南部和人君) 二〇二五年大阪・関西万博の開催を、プラスチックごみ削減に関する府民の意識と行動を大きく転換させるチャンスと捉え、プラスチックごみ削減を飛躍的に進めることが重要であると認識をしております。 このため、万博会場内におきましては、リユース可能なボトルや容器の利用を徹底するなど、博覧会協会に対し、プラスチックごみゼロの万博の実現に向け具体的な提案を行い、意見の交換を行っているところです。 また、お示しのプラットフォームで得られたプラスチック代替品の新素材や、斬新な3Rの仕組みなど、実証的導入についても同協会に提案し、その後の府域への展開、定着を加速させることにより、SDGsの達成に寄与するとともに、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの実現を目指してまいります。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) 今、御答弁いただきましたとおり、民間とも連携を行い、海洋へのプラスチックごみの流出を防ぎ、自然環境を守るための取組のために、対策をさらに充実していただきますよう要望いたします。 続きまして、大阪と兵庫の連携について、要望を一点させていただきます。 今年八月、二十年ぶりに交代されました兵庫県の知事に、齋藤知事が就任され、早くも行財政改革に邁進されているとの報道も目にしております。 齋藤知事は、三年間、大阪の改革に一緒に取り組まれてきた方であり、齋藤知事が兵庫県知事に就任された機会を捉え、連携を密にしていくことが重要と認識しています。関西には、広域課題に対応する組織として関西広域連合が設立されており、構成する十二府県市の合意形成の下、イノベーションを次々と生み出していくスタートアップ・エコシステムの推進や、ドクターヘリの活用等による広域救急医療体制の充実など、様々な取組が行われていることは承知しておりますが、よりスピード感を持った対応も重要です。 時期を捉え、経済圏が隣接する兵庫県との間で、例えば産業連携や阪神港の強化などの取組が進むことが、大阪、兵庫双方の成長につながると考えますので、状況に応じて連携に向けての対話を進めていただくことを要望いたします。 次の質問に移ります。 グランドデザイン・大阪とグランドデザイン・大阪都市圏の考え方を整理、統合し、大阪全体のまちづくりの方向性を示す新しいまちづくりのグランドデザインについては、本年八月三十日に開催されました第三回副首都推進本部会議において検討体制が示され、知事、大阪市長、堺市長と共に、市長会や町村長会にも参画いただき、新たに推進本部会議を立ち上げ、十一月に設置される大阪都市計画局が中心となって検討を進めると聞いております。 新しいグランドデザインの検討に当たっては、市町村と連携して進めていくことが重要であると考えますが、策定の趣旨や今後の進め方について、住宅まちづくり部長の所見を伺います。 ○副議長(杉本太平君) 住宅まちづくり部長藤本秀司君。 ◎住宅まちづくり部長(藤本秀司君) 新しいまちづくりのグランドデザインは、大阪・関西万博のインパクトを生かし、東西二極の一極を担う副首都大阪として、さらに成長発展していくため、二〇五〇年に向けた大阪全体のまちづくりの方向性を示すものです。検討に当たっては、都心部と共に府内各地域の特性を生かし、大阪全体のまちづくりを進めることが重要であることから、推進本部会議には、市長会、町村長会に参画いただくとともに、全ての市町村と意見交換を行うなど、市町村の意向や地域資源等を把握し、連携して検討を進めることとしています。 今後、府内各地域の特色あるまちづくりの推進、地域資源を生かした連携型まちづくりの推進、テクノロジーの積極的な導入等による新しい生活スタイルを先導するまちづくりの推進などについて、市町村と連携して検討を進めることで、大阪全体の成長発展につながる計画を示してまいります。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) 新しいまちづくりのグランドデザインは、二〇五〇年に向けた大阪全体のまちづくりの方向性を示すものとのことですが、その方向に向けてどのように実行していくのかが重要であると考えます。検討に当たっては、大阪全体の成長発展につながる計画となるよう取組を進めていただくことを要望いたします。 続きまして、府民の森の活性化とマウンテンエリアの魅力向上についてお伺いいたします。 大阪は、市街地が海と山に囲まれた自然豊かな地域です。海側のベイエリアは、古くから様々な開発、整備が進み、都市ならではの重要な施設や魅力ある集客拠点が集積しています。一方、周辺山系に目を向けると、府民の森において豊かな自然が保護されているだけでなく、四季折々の花や風景を楽しむハイキングイベント等、自然を生かした取組は進められていますが、周辺地域を含むまちづくりにはまだまだ生かされていません。この地域をベイエリアと対をなすマウンテンエリアと捉えて、地域全体の魅力づくりを考えていくことが必要であると考えています。 そこで、府内に九つある府民の森をマウンテンエリアの中核を担う地域の資源として、一層充実し活用を図ることによって、そのエリア全体のさらなる魅力向上につなげていくべきと考えます。 既に、交野市では、年間九十万人の来園者を誇るほしだ園地を含めた地域の観光資源を活用した観光振興が検討されており、また年間百万人以上の登山者がある金剛山に位置するちはや園地でも同様の取組が期待できます。マウンテンエリアの魅力向上に向け、民間のアイデアや活力を生かした、にぎわいのある府民の森の実現と周辺地域との連携が重要と考えます。環境農林水産部長の所見を伺います。 ○副議長(杉本太平君) 南部環境農林水産部長。 ◎環境農林水産部長(南部和人君) 府民の森のさらなるにぎわいづくりを通じて、周辺エリアの活性化やその魅力向上につなげていくことが重要と認識をしております。このため、ほしだ園地ほか六園地では、指定管理者に対し、子どもから大人まで楽しめるアクティビティー施設の整備等への投資を求め、現在、公募手続を進めております。また、ちはや園地につきましても、民間のアイデアを踏まえた利活用の方向性を検討するため、周辺施設も考慮した新たな魅力づくりを求めるサウンディング型市場調査を実施しているところです。 今後とも、民間のアイデアや活力を生かし、府民の森の集客力を高めるとともに、地元自治体と連携を深めることで、周辺山系を含むエリア全体の魅力向上につなげてまいります。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) 質問でも申し上げましたとおり、民間のアイデアや活力を生かした取組を行うことは非常に重要であると考えています。行政として、その活力を生かすための課題整理とその解消に取り組むことも重要です。そういった視点も含め、マウンテンエリアの魅力向上に取り組んでいただきますようお願いいたします。 次に、クレセントリンク・おおさかベイをコンセプトとする大阪広域ベイエリアまちづくりビジョン案の実現のためには、堺泉北港を含めた港湾部の発展、活性化が重要であると考えており、安心安全を第一としつつ、二〇二五年大阪・関西万博を一つの起爆剤として取組を進めるべきであります。 加えて、多様な地域資源やストックを連携させ、利活用することにより、まちの魅力を高め、ベイエリアの活性化を促進することも必要です。 そこで、ベイエリア全体の発展、活性化に当たっては、府がしっかりとリーダーシップを取り、港湾と隣接県を含めたまちが密接に連携し、一体的に取組を進めるべきであり、まずは二〇二五年までの具体像を早急に示すことも必要だと考えています。ついては、大阪広域ベイエリアの一体的な発展に向け、どのように取り組むのか、大阪広域ベイエリアまちづくりビジョンを所管する住宅まちづくり部長に伺います。 ○副議長(杉本太平君) 藤本住宅まちづくり部長。 ◎住宅まちづくり部長(藤本秀司君) 夢洲における大阪・関西万博等のインパクトや泉州地域沿岸部の地域資源を活用し、ベイエリア全体の活性化、さらには大阪、関西の発展につなげるため、本年八月、様々な主体の取組の基本的な方向性を示す大阪広域ベイエリアまちづくりビジョン案を取りまとめたところです。 当ビジョン案に基づき、物流拠点としてのさらなる港湾機能の強化を図るとともに、大阪・関西万博を契機として夢洲や堺旧港等の拠点のにぎわいづくりを進め、それらを含め、大阪湾内の各拠点等を相互に結ぶ海上交通ネットワークを形成することにより、にぎわいの創出や交流機能の充実を図り、ベイエリアの魅力向上、活性化につなげていきます。 また、二〇二五年を短期の目標年次と設定し、各主体の取組を示しており、その具体化を図るため、民間主導という基本的な考えの下、関係部局や沿岸市町等と推進体制を整え、ベイエリアに関わる関係者や隣接府県とも連携しながら、クレセントリンク・おおさかベイの実現に向け、大阪広域ベイエリア全体の活性化に取り組んでまいります。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) よろしくお願いいたします。 続きまして、府営公園を含む大阪パークビジョンについてお伺いいたします。 大阪府と大阪市の大規模公園におきましては、PMO型やP-PFI型など新たな管理運営制度が導入され、魅力向上に向けて取り組まれています。大阪を代表する公園緑地においては、それぞれの特性を生かしながら取組を連携し、府域全体にその連携を広げていくことが重要と考えます。 昨年の九月議会で我々会派の質問に対し、知事より、大阪市の大規模公園と府営公園、府民の森などを対象に、互いのノウハウを生かした方向性について、府市一体で大阪パークビジョンとして取りまとめるとの答弁をいただきました。 まずは、大阪府、大阪市で検討を進めていくとのことですが、府内には市町村が所管する大規模公園も数多くあり、策定の効果を最大限発揮させるためには、ビジョンを府域に浸透させていくことが重要であると考えています。 そこで、大阪パークビジョンに期待することや市町村への今後の展開について、知事に伺います。 ○副議長(杉本太平君) 吉村知事。 ◎知事(吉村洋文君) 大阪パークビジョンにおいては、府市連携による取組を推進し、大阪府と大阪市が進めてきた民間活力導入のノウハウを、互いの公園緑地の整備、管理運営に効果的に生かすことで、一層の魅力向上を図り、より多くの府民に利用していただく、そういった公園づくりを目指すものです。 市町村の公園緑地にも、こうした連携の取組を広げていくことは重要と認識をしておりまして、今後、本ビジョンを府内市町村と共有し、連携による相乗効果を波及させて幅広い世代にわたって、身近に憩い、楽しんでもらえるよう、府域全体の公園緑地の魅力向上に向けて取り組んでいきます。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) 次の質問に移ります。 大阪が経済的に成長発展していくためには、多くの企業が大阪に立地することが重要であります。大阪府内への企業立地や移転に関しては、年間五十件程度、府に対し問合せがあると聞いています。しかしながら、府が関与した産業用地ついては、ほぼ誘致を終え、現在は幹線道路沿道などの立地特性に優れた産業用地創出を図っているところですが、企業のニーズに十分応えているとは言えない状況があります。 加えて、府内の投資意欲あるものづくり企業においては、中長期的な経営戦略を策定し、事業拡大する動きがあることから、継続的に府内に工場等が立地するための環境整備が必要となります。その受皿となる産業用地の確保については、府内への企業立地促進や府外への流出防止にもつながることから、大阪の成長に向けた重要な取組であり、企業動向も踏まえた産業用地創出など、戦略的に確保していくべきと考えます。商工労働部長に見解を伺います。 ○副議長(杉本太平君) 小林商工労働部長。 ◎商工労働部長(小林宏行君) 大阪経済の牽引役である製造業をはじめとした企業立地の促進は、大阪の成長発展に必要な取組であり、工場や研究施設などが立地する用地の確保は重要です。 また、産業用地の確保については、新たな用地の創出とともに既に工場等が立地している区域を引き続き維持促進していくことが課題です。この観点から、府では、産業用地の確保を求める市町村と連携した取組を進めるために平成三十一年三月に策定した企業立地に向けた取組方針に基づき、産業集積を目指すまちづくりに市町村と共に取り組んでいます。 具体的には、土地区画整理事業などを活用し、産業用地の創出を図るほか、工業集積の維持促進を図る地域に対しては、府が産業集積促進地域として指定し、産業集積促進税制や企業立地促進補助金を活用できるよう環境整備を行うなど、企業立地を後押ししています。 今後とも、市町村との連携をより密にすることで、地域の動向を捉え、地元の意向を踏まえた取組を府をはじめ関係者が一体となり進めます。そして、各地域で用地創出の動きが活発となるよう情報発信にも努め、産業用地に対するニーズに応えられるよう取り組んでまいります。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) 具体的にお示しいただきました土地区画整理事業の活用や産業集積促進地域の税制優遇といった企業にとって有益な点について、移転や事業拡大を考えている企業にしっかりと認知していただけるよう、分かりやすい情報発信に取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 次に、大阪の農業についてお伺いいたします。 先ほど、大阪・関西万博の質問でも触れましたが、近年、SDGsの達成や脱炭素社会の実現への機運がこれまで以上に高まっています。さらに、今般のコロナ禍によって、府民の価値観やライフスタイルにも様々な変化が起きています。とりわけ農業の分野では、身近なところで栄養豊かな農産物を買い求めたり、農業体験や自家菜園などの形で暮らしに農を取り入れる府民が増加するなど、農への関心がこれまで以上に高まっています。 国においても、二〇五〇年の脱炭素社会の実現を視野に、農林水産業でのCO2ゼロエミッション化などを柱としたみどりの食料システム戦略を策定されました。 このように、社会情勢や府民の価値観が大きく変化していく中、スマート技術等を活用し、無駄のない生産管理や効率的な物流網の構築といった取組を進め、大阪農業の成長産業化と脱炭素社会の実現の両立を目指すなど、大阪農政の変革を進めていく必要があると考えます。どのように取り組まれるのか、環境農林水産部長にお伺いいたします。 ○副議長(杉本太平君) 南部環境農林水産部長。 ◎環境農林水産部長(南部和人君) 脱炭素社会への機運の高まりやデジタル技術の進展といった社会情勢の変化、コロナ禍で生まれた多様な価値観などを踏まえた上で、大阪農業の成長産業化を図っていくことが重要と認識をしております。このため、現在、有識者等の御意見も伺いながら、おおさか農政アクションプランを見直し、年度内の成案化に取り組んでおります。 新たなプランでは、再生可能エネルギーを活用したスマート農業の積極的な推進やアグリビジネスのスタートアップ支援、マルチワークによる担い手の確保など、新たな取組や目標値を位置づけたいと考えております。 社会の潮流の変化を的確に捉え、ポストコロナ社会における大阪の再生、成長につながる大阪農業のさらなる発展を目指してまいります。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) 今、御答弁をいただきましたアグリビジネスのスタートアップ支援やマルチワークによる担い手の確保、これは農業の成長に大きな役割が期待できると思います。これも、先ほどと同じように、実際に取り組もうとしている個人や事業者に対し、分かりやすい情報発信や具体的なサポートが必ず求められると思います。目標値を位置づけられるとのことですので、数値管理をしっかり行っていただきますようお願いいたします。 続きまして、中央卸売市場の再整備に関わるサウンディング型市場調査結果についてお伺いいたします。 府では、食品流通構造の変化や卸売市場法の改正等により、市場間競争が激しさを増す中、将来にわたり、府民に安全安心な生鮮食料品を安定的に供給できる市場の在り方や市場機能の強化方策について、昨年度から本格的に調査検討を進めてこられました。 府市場は、開設後四十年以上経過し、施設や設備の老朽化が進行しています。我々会派としましても、再整備に当たっては大きな投資となることから、数十年先を見据え、しっかりと検討した上で判断すべきであると申し上げてまいりました。今年度は、昨年度の調査検討をさらに深めるため、府市場の再整備に関するサウンディング型市場調査を実施されましたが、提出のあった意見についてどのように受け止めたのか、環境農林水産部長に伺います。 ○副議長(杉本太平君) 南部環境農林水産部長。 ◎環境農林水産部長(南部和人君) 今年度実施をいたしました中央卸売市場の再整備に係るサウンディング型市場調査では、改修・増築、全面建て替えの双方について、その実現可能性や民間資本の活用手法、投資意欲、事業の実施期間などについて広く民間事業者に意見を求めたところ、ゼネコンやデベロッパーなどから様々な提案をいただいたところです。その中で、施設の改修・増築による市場機能の強化は、費用対効果の面から現実的でなく、これを推奨する事業者は一者もございませんでした。また、建て替えにより生み出される余剰地等の活用について多くの事業者が興味を示し、民間資本の投資意欲が極めて高いことを改めて感じた次第です。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) 今回の調査におきましては、民間投資の意欲が高いと認識されたということでした。 府市場は、開設以来四十年以上にわたり、大阪北摂地域を中心に生鮮食料品の安定供給の役割を果たしてきており、今後も府民にとって欠かすことのできない公共インフラであります。このような府市場を今後どのように再整備されていこうと考えているのか、知事の所見を伺います。 ○副議長(杉本太平君) 吉村知事。 ◎知事(吉村洋文君) 今般、実施をしましたサウンディング型市場調査では、圧倒的な立地優位性を評価する事業者が多く、民間資本の投資意欲も高いことが確認できたところです。このため、来年度以降、民間資本を活用した建て替え再整備の具体的な検討を進めていきたいと思います。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) 多くの事業者の関心が高い再整備ですので、なるべく詳細に情報共有を今後も行っていただきますよう要望しておきます。 続きまして、府が整備する建築物における木材利用について、これまで平成二十三年十二月に策定しました大阪府木材利用基本方針に基づいて取り組んでおり、社会情勢の変化や近年クローズアップされる脱炭素社会の実現等の課題を踏まえ、府有施設における木造化や内装の木質化を一層推進するべく、耐火性能等の基準が緩やかな三階建てまでの低層建築物は木造を原則化するなどの内容を盛り込んだ同方針の改正についての検討をされると聞いております。 しかし、府有建築物を見ても、警察署や学校、府営住宅において、そのほとんどが四階建て以上であること、また鉄筋コンクリート造の建物であれば、将来解体する際に解体コストが高くなることから、四階建て以上であっても、コストとの兼ね合いもありますが、木材使用の割合や数量を定めるなど、現状を踏まえ、実効性のある方針へと改正するべきであると考えております。環境農林水産部長の見解をお伺いいたします。 ○副議長(杉本太平君) 南部環境農林水産部長。 ◎環境農林水産部長(南部和人君) 木材を利用することは、CO2の固定につながるだけでなく、人の心を和ませたり、湿度の変化を緩和させるなど、様々な効果が期待できるものと認識をしております。 本年六月の公共建築物等木材利用促進法の改正も踏まえ、大阪府木材利用基本方針の改定を検討しているところです。具体的には、府が整備する全ての建築物において木材利用を進めるため、その使用量の基準を設定するとともに、設計の段階から当部と協議をすることをルール化するものでございます。 また、耐火構造など厳しい基準が求められる四階建て以上の建築物等についても、新たな部材や工法の導入により木造化を検討することとしております。年内を目途に同方針を改正し、速やかに適用することで、府有建築物の木造化をはじめ木材利用を積極的に推進してまいります。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) ありがとうございます。我々も、変更点をしっかりと注視していきたいと思います。 続きまして、住宅政策についてお伺いいたします。 令和三年二月議会での私たち会派の代表質問と一般質問におきまして、公的賃貸住宅の量的縮小に向けた取組についての質問に対し、住まうビジョン・大阪において、長期的に住宅セーフティーネットとして必要な公的賃貸住宅の量を示し、府営住宅ストック総合活用計画において、十年後の管理戸数の見通しを示すとの答弁をいただきました。このたび、住まうビジョン・大阪案におきまして、三十年後の公的賃貸住宅全体の戸数は、現時点から約二割減、府営住宅の戸数は約三割減との指標が示され、またストック計画案において、府営住宅の十年後の管理戸数の見通しは十万五千戸と示されました。 戸数指標の設定は、民間賃貸住宅を最大限活用することを前提に、三十年後に最低限必要となる公的賃貸住宅を確保することとされています。その上で、府営住宅については、再編整備を通じ、管理戸数の適正化、良質なストックの形成、まちづくりへの活用に一体的に取り組むこととされており、公的賃貸住宅の戸数縮減をしっかりと進めながら、ストックの再生と併せてまちの再生に取り組むことは、非常に評価ができるものであります。 しかしながら、これが絵に描いた餅にならないようにするためには、民間賃貸住宅をしっかりと活用していくことが重要であります。市場に流通していないものも含め、府内に多くある空き家も活用し、住宅セーフティーネットとして活用できる民間賃貸住宅ストックをさらに増やしていきながら、公的賃貸住宅の戸数の縮減に着実に取り組んでいただきたいと考えています。 公的賃貸住宅の戸数縮減を進めながら、ストックの再生と合わせてまちを再生していくためには、長い期間が必要であり、非常に大きな事業になると思いますが、どのような決意でこれから取り組んでいかれるのか、住宅まちづくり部長に伺います。 ○副議長(杉本太平君) 藤本住宅まちづくり部長。 ◎住宅まちづくり部長(藤本秀司君) 平成二十二年の財政構造改革プラン案で示された府営住宅の将来管理戸数の半減を目指すとの政策目標について、その後の議会での議論も踏まえ、人口、世帯数の減少や、民間賃貸住宅市場の伸長など、時代や状況の変化に対応すべく、具体的施策をもって、三十年後の公的賃貸住宅の戸数をお示ししました。 具体的な施策として、まず府内一円に立地する民間賃貸住宅を活用し、居住支援体制のさらなる強化を図り、民間での住宅セーフティーネット機能を充実させる取組を進めます。さらに、数多く存在する市場に流通していない空き家の活用も進め、公的賃貸住宅の再編整備における入居者の移転先をはじめ、セーフティーネットとして活用できる民間賃貸住宅の充実を図りながら、公的賃貸住宅の必要戸数について、五年ごとの検証などにより継続的に見直しをしてまいります。 その公的賃貸住宅については、府、各市町、公社、URの各事業者がしっかりと連携し、再編整備を通じて、量的縮小による将来管理戸数の適正化を図り、ストックの再生と併せて、地域に必要な施設の導入など課題の解消、地域再生に資する事業展開を行っていきます。なかんずく、府営住宅については、昭和五十年代以前に建設された団地を対象に、この方針の下、取り組んでいきますが、事業実施に当たっては、入居者の居住の安定を確保しながら丁寧に進めていく所存です。 このように、本施策は、大変長期にわたる大きな事業であり、社会情勢の変化への対応をはじめ、公民の適切な役割分担、居住支援などソフトの充実、各事業者間の連携、地域のまちづくりへの貢献など、組織の総力を挙げて取り組み、府民がより安心して生活できる住まい環境を着実に実現してまいります。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) 今部長から御答弁いただいたように、量的縮小というのは一朝一夕にできるものではありませんし、丁寧さと着実という、これを両立して取り組まなければ、ただの目標で終わってしまう計画であると思いますので、五年ごとの検証をしっかり行っていただきますよう、そして目標をしっかりと進めていけるようによろしくお願いいたします。 続きまして、水道の一元化について伺います。 府域一水道については、平成二十四年三月に策定した大阪府水道整備基本構想「おおさか水道ビジョン」で、大阪広域水道企業団を核とした府域水道のさらなる広域化を推進することとし、大阪市を含む府域一水道を目指すとされ、これまでに、令和六年度統合予定の能勢町を含めると、府内の三分の一となる十四団体が企業と統合したことになります。 新たに、十団体が最短で令和六年度の統合を視野に入れ、検討、協議を行っており、十月には大阪広域水道企業団により、将来の経営シミュレーションを含めた最終報告が出される予定となっております。統合を検討している十団体には、中核市の東大阪市、八尾市の大規模団体も含まれ、府内市町村の半数以上の二十四団体、給水人口では二百万人を超える規模となります。 企業団との水道事業の統合に向けての検討、協議に関する覚書の締結に当たっては、各団体が今後市議会へ表明を行う予定であり、今がまさに今後の水道一元化に向けた重要なタイミングであります。これらの団体の統合が実現されるよう、府としても可能な限り取組を通じ全面的に後押ししていただきたいと考えていますが、知事の所見を伺います。 ○副議長(杉本太平君) 吉村知事。 ◎知事(吉村洋文君) 府域一水道については、財政基盤や組織運営体制の強化を図ることで、将来にわたる水道料金の上昇幅を抑制して、水道事業を持続可能なものとするためにも重要だと認識をしています。 この十団体の統合によって、中核市を含む半数を超える市町村の水道事業が統合し、給水人口は府域の約四分の一となり、大阪市に次ぐ大規模事業体となることから、他団体への影響も大きく、さらに府域一水道が加速すると大いに期待をしています。 そのため、企業団及び統合検討団体と連携を図りつつ、住民理解の促進や国交付金の確保など、府としても推進役として統合に向けた支援、後押しをしていきます。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) 引き続き、企業団への参加を検討する市町村が今後も増加するよう、各団体との協議を綿密に行っていただきますよう要望いたします。 続きまして、下水道事業について伺います。 府内市町村の下水道は、供用開始から五十年を経過する市町村が三割を超えており、二十年後には八割に達します。今後、施設の老朽化に伴う改築更新事業が増加するほか、担い手となる職員の不足や人口減少に伴う使用料収入の減少など、市町村の下水道事業を取り巻く状況はさらに厳しさを増すことが想定されます。 現在、三つの目指す姿を掲げた大阪府市下水道ビジョンを大阪府と大阪市が連携して策定を進めていると聞いておりますが、さきに示した課題に対応していくためには、府による市町村への支援が非常に重要になると考えます。知事の所見を伺います。 ○副議長(杉本太平君) 吉村知事。 ◎知事(吉村洋文君) 府民の安全で快適な暮らしを支える下水道については、府が実施する流域下水道と市町村が実施する公共下水道の双方の事業を、将来にわたり効率的に運営していくことが必要です。 このため、市町村支援に当たっては、古くから公共下水道事業に着手し、そのノウハウを有する大阪市と連携をして取り組むことが重要であって、その取組の方向性を示した大阪府市下水道ビジョンの策定を進めているところです。 本ビジョンを踏まえ、大阪府と大阪市の下水道事業の発展はもとより、市町村事業の持続性確保に向けた支援を行い、安定した下水道サービスの提供を通じて、府民の安全で快適な暮らしに貢献してまいります。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) 下水道事業の市町村支援に関して、知事から力強い答弁がありました。府内には、下水道の整備がまだ進んでいない地域もあることから、普及促進についても、しっかりと市町村と連携し、支援していただきますようお願いいたします。 次の質問に移ります。 今年七月に発生した静岡県熱海市の土石流災害を踏まえ、国では、盛土による災害防止のための関係府省連絡会議が設置され、今般、全国の都道府県に対し、関係省庁連名による盛土による災害防止のための総点検の依頼があったところであります。 これまで、府内の盛土行為に対しては、森林法などを所管する環境農林水産部や、砂防法などを所管する都市整備部、また宅地造成等規制法などを所管する住宅まちづくり部の各部局で、行為への指導や巡視による違法行為の早期発見、是正指導を行ってきたと認識しております。国からの依頼を受け、盛土行為を規制する各法令を所管する部局にて、盛土の総点検を行うと聞いておりますが、どのように点検を進めるのか。また、点検の結果、新たに危険な盛土が確認された場合、府民の安全安心に向けてどのように取り組んでいくのか、田中副知事にお伺いいたします。 ○副議長(杉本太平君) 田中副知事。 ◎副知事(田中清剛君) お示しの盛土の総点検ですが、土地利用規制等を所管します都道府県や市町村が、国の点検要領に基づき、人家等への影響がある重点点検対象エリア内などの盛土点検箇所を抽出しております。 また、許可届出資料から確認しました盛土や、国土地理院より提供されました盛土可能性箇所データを参考に抽出した箇所につきまして、法令違反や崩壊の危険性等の異常がないか、十一月をめどに現地点検を行うこととしております。 その結果、新たに法令違反や異常が確認された場合には、市町村と連携し、人家や公共施設等への具体的な危険性を踏まえ、行為の停止、防災措置の実施といった行政指導や行政処分を速やかに行い、府民の安全安心の確保に努めてまいります。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) この代表質問をつくるに当たって、この分野に関しても何度も会議をさせていただきましたけども、やはり専門的な分野であって、とても難しい問題だなということを思いました。また、府民にもやはり分かりづらいのが盛土問題だと思っています。 今後、自信を持って盛土崩壊による災害の心配はありませんと府民に伝えられる状況を結果としてつくっていくことが肝要です。今後も、部局を横断した取組により、府民の安心安全の確保をよろしくお願いいたします。 次に、熱海市で発生した土石流災害において、行方不明者の情報が公表されたことにより、多くの情報が寄せられ、所在が分からない方の把握や、円滑な捜索活動につながったと報道等でも取り上げられました。私たち会派としましても、大規模な自然災害により人的被害が発生した際には、警察、消防、自衛隊等の救助機関に対して必要な情報を提供することで、救助、捜索活動を円滑に進めることができると考えております。 府内市町村等と連携し、行方不明者等の氏名などを迅速に公表することで、円滑な救助、捜索活動を行うことができるよう、府としての対応方針を早期に策定する必要があると考えますが、危機管理監に伺います。 ○副議長(杉本太平君) 森岡危機管理監。 ◎危機管理監(森岡武一君) 災害時の行方不明者などの氏名等公表につきましては、国に対し全国統一的な基準の作成を求める意見や、地域の実情、被災の状況を踏まえ、知事が判断すべきという意見があるなど、各都道府県の考え方が様々であったことから、公表判断の参考となるよう、本年六月に全国知事会において、災害時の死者・行方不明者の氏名等公表に係るガイドラインが策定されました。 本府としても、行方不明者などの氏名等公表は重要と考えており、同ガイドラインを踏まえた府のガイドライン案を作成し、現在、情報収集主体となる市町村や警察と調整を進めているところです。 また、個人情報の取扱いにも留意する必要があることから、そのための手続を経た上で、速やかに府としてのガイドラインを策定してまいります。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) 調整を進めていただいているということですので、よろしくお願いいたします。 次に、移ります。 治水対策について質問いたします。 令和元年台風第十九号や令和二年七月豪雨、さらに今年七月、八月には、全国各地での大雨特別警報の発表や観測史上一位を更新する大雨など、近年、毎年のように降雨災害が頻発しています。このような中、昨年七月の国の社会資本整備審議会の気候変動を踏まえた水災害対策の在り方についての答申や、今年四月の気候変動を踏まえた治水計画の在り方の提言において、これまでの河川整備等を加速させるとともに、流出抑制対策の充実や水害リスクを踏まえたまちづくり、避難体制の強化など、流域のあらゆる関係者が協働して流域全体で行う流域治水への転換と、それらの取組の推進などが示されました。 また、これまで我々会派の代表質問でも取り上げてきました大戸川ダムについて、淀川水系の治水対策を強化するため、国はダム本体工事着手の方針を決定したところであり、このダムが完成すると、大阪市の北部や東部を中心とした被害想定地域の被害をなくすことが可能となります。 こうしたことからも、流域治水対策に取り組むことが重要と考えますが、国の動きなども踏まえ、大阪府においてはどのように取り組むのか、都市整備部長の見解を伺います。 ○副議長(杉本太平君) 谷口都市整備部長。 ◎都市整備部長(谷口友英君) 大阪府では、これまでからハード・ソフト一体となった治水対策を進めているところですが、今般、国が示す流域治水の考え方を取り入れ、さらに取組を強化する必要があると認識しております。 ハード整備につきましては、河川整備等を加速するため、国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策なども活用し、河川改修やダム、地下河川などの早期完成に向けて着実に進めてまいります。 加えて、ため池の治水活用による流出抑制対策やタイムラインなどの住民の避難行動支援、水害リスクを踏まえた市町村の立地適正化計画の策定支援などを強化するため、市町村や関係者などで構成する協議会等により連携を深め、ハード・ソフト一体となった流域治水に取り組んでまいります。
    ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) 力強い御答弁をいただきましたので、どうかよろしくお願いいたします。 次の質問に移ります。 コロナ禍の経済対策について。 本議会には、国の補助金を活用し、府民が府内旅行をする際の宿泊料金等を割り引く事業を実施するための補正予算案が計上されています。新型コロナウイルス感染症の状況が落ち着いていることが前提ではありますが、ぜひ多くの府民の方に利用していただき、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている観光関連事業者の支援につなげていただきたいと考えています。 今回の事業では、昨年度の「いらっしゃいキャンペーン」では、キャンペーンの対象となっていなかった旅行会社が造成する観光バスなどの交通手段つきの日帰りツアーが対象となっていますが、宿泊施設が提供する日帰りプランに、人混みを避けて自家用車などで行かれる方も多いと思われるので、こうしたプランもキャンペーン対象にしてはいかがでしょうか。また、国の補助対象となる旅行の実施期間は十二月末までとなっていますが、仮に十一月から実施できたとしても、利用期間は僅か二か月間だけとあまりにも短く、利用したくても利用できない方も多くなってしまうのではないでしょうか。 観光関連事業者を支援するためにも、こうした点を改善し、より多くの府民の方が利用しやすい事業にすべきと考えますが、府民文化部長の所見を伺います。 ○副議長(杉本太平君) 江島府民文化部長。 ◎府民文化部長(江島芳孝君) 本議会に補正予算案を提案させていただいている観光消費喚起事業は、新型コロナウイルス感染症により大きな影響を受けている観光関連事業者の支援につなげるため実施するものでございます。そのため、できるだけ多くの府民の方に御利用いただけるよう工夫を凝らし、その事業効果を高めることが重要と認識しております。 そうしたことから、今年度は、新たに旅行会社が造成する観光バスなどによる日帰り旅行につきましても、事業の対象に加えたところでございます。しかしながら、コロナ禍により密を避けるために、自家用車を利用した旅行のニーズが高まっている状況などを踏まえ、宿泊施設が造成する日帰りプランを本事業の対象とすることにつきましても、検討を進めてまいりたいと思います。 さらに、国の補助対象となる旅行の実施期間についてでございますが、国に対し延長を要望しているところであり、引き続き粘り強く働きかけを行ってまいります。 今後とも、多くの府民の方に本事業を御利用いただき、観光関連事業者の支援につなげられるよう、しっかりと取り組んでまいります。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) 対象については見直していくという御答弁を、今検討していただけるということで御答弁いただきましたので、またこれ始まるとしたらもうすぐですので、そのあたりの情報発信、また決まったら情報共有、情報発信、よろしくお願いいたします。 次の質問に移ります。 感染防止認証ゴールドステッカーは、掲示により各飲食店で感染対策に取り組んでいると発信ができることは、飲食店を利用する方にとって安心材料となることは理解できます。これまでの休業要請などにより厳しい経営状態となっている事業者も多く聞いており、希望する方がワクチンを接種された後の食の大阪の強みと活力を取り戻す府の応援姿勢が重要です。 そこで、感染防止認証ゴールドステッカーを取得された飲食店に対してのインセンティブをどのように働かそうとされているのか、伺います。 また、取得されたものの、感染対策に違反している事業者を抜き打ちでチェックし、違反の事実が確認された際には、取消しについても速やかに行っていただきたいと当初より要望してまいりました。この点についてどのように考えているのか、併せて危機管理監に伺います。 ○副議長(杉本太平君) 森岡危機管理監。 ◎危機管理監(森岡武一君) 感染防止認証ゴールドステッカーの認証店舗は、感染防止対策が講じられ、安心して利用できる店舗であり、より多くの府民の方に利用していただくためのインセンティブの付与は必要であると認識しています。 今般、十月一日より緊急事態宣言が解除され、国の基本的対処方針を踏まえ、ゴールドステッカー認証店舗については、酒類の提供を可能とするとともに、二十時までであった営業時間についても、二十一時までとしたところです。 また、今議会の補正予算で、「Go To Eat大阪キャンペーン・プレミアム食事券」への上乗せや、観光消費喚起事業が提案されており、これらの事業の対象となる飲食店は、ゴールドステッカーの認証店とする方向で検討されるなど、府民の方がより積極的にゴールドステッカー認証店を御利用いただくきっかけになると考えております。 次に、書類審査、現地確認により認証されながら、その後、ゴールドステッカーの基準を満たしていない店舗については、事前予告なしの現地への調査や通報により確認し、その後の改善要請に従わない場合や、営業時間短縮等の要請を遵守していない場合は、実施要綱に基づき、認証の取消しを行っているところです。 今後とも、適正な認証事務に取り組むとともに、認証後も基準が遵守されるよう、しっかり対応してまいります。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) 緊急事態宣言が解除されたことで大阪府独自の時短要請を行い、十月一日から飲食店での酒類を提供する際は、ゴールドステッカーの認証店であることが条件とされることとなりました。駆け込みによる申請者数も増加していると聞き及んでおります。審査や訪問の体制強化も含め、申請のあった事業者に対しての迅速な対応をお願いいたします。 本当にここが一番、今、各議員、事業者さんから相談受けてるとこじゃないかなと思います。以前は申請中の方も対象であったのが、今回は認証済みでないと、時間の猶予であったり、酒類の提供をしてはいけないというルールになっています。ただ、やっぱり申請は結構前にしてるけども、現実まだ連絡がないであったりとか、ステッカー届かないとか、そういった声というのは、各議員、今一番受けているのが実情じゃないかなと思います。 だから、やっぱりこれまで協力してきていただいて、ようやく再開ができるという中で、水を差すことにならないためにも、先ほども申し上げましたが、審査や訪問の体制強化、これは必須です。どうかよろしくお願いいたします。 続きまして、飲食店の見回りでは、これまで休業要請等の未協力店舗に対して、府職員による実地調査を行い、命令等の法的措置を実施していますが、これまで四月二十五日から六月二十日までの緊急事態措置期間中に命令を出した四十一店舗のうち、三十二店舗の命令違反を確認。そのうち三十店舗について、裁判所へ過料事件通知済みとされています。多くの飲食店が要請などに協力していただいている中で、堂々と違反を続ける店舗に対して命令を出すことについて、我々はこれまで求めてきたことでありますが、現在、このような違反店舗数と対応状況はどうなっているのか。 また、長期間にわたっての要請に対応してきていただいた事業者さんに納得していただくためにも、毅然とした対応をしていただきたいと考えておりますが、危機管理監に伺います。 ○副議長(杉本太平君) 森岡危機管理監。 ◎危機管理監(森岡武一君) 飲食店への要請に未協力の店舗に対する法的措置については、四月二十五日から六月二十日までの緊急事態措置期間中に営業時間短縮要請に従わず、裁判所へ過料事件通知を行った三十店舗のうち六店舗については、裁判所が過料の決定を行ったことを確認しています。 また、八月二日から九月三十日までの緊急事態措置期間においても九十八店舗に命令を行い、命令に応じなかった八十五店舗のうち二十五店舗について、裁判所へ過料事件通知を行ったところです。 引き続き、命令に応じなかった残り六十店舗についても、裁判所への通知に向けた協議を進めるなど、法に基づき適切に対応してまいります。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) 一点、要望をさせていただきます。営業時間短縮協力金については、申請期間の錯誤によって申請期間内の提出に遅れた事業者や、不備書類があるとの連絡を府から受けたことで、勘違いをして申請キャンセルのクリックをしてしまい、不備書類が整ったものの再申請できなくなってしまった事業者等がおられます。そのような方々への救済措置として、ぜひとも再申請の機会を設けていただくことを御検討いただきますよう要望いたします。 続きまして、緊急事態宣言が解除され、飲食店営業時間短縮等協力金の支給額の水準が下がるなど変更が生じておりますが、今の補正予算で適切なのか、財務部長に伺います。 ○副議長(杉本太平君) 手向財務部長。 ◎財務部長(手向健二君) 本議会に提出している第七号補正予算案は、今後の感染状況の変化等に対応するために編成しておりまして、飲食店に対する協力金につきましても、時短要請等に柔軟に対応できるよう、緊急事態措置を前提とした二か月分を予備的経費として計上したところでございます。 緊急事態宣言は九月末で解除されましたが、今後感染が急拡大した場合に、機動的に対応できるよう本予算を活用してまいります。 また、予算については、その執行状況等を踏まえまして、二月補正において最終的な必要額を精査してまいります。 ○副議長(杉本太平君) 上田健二君。 ◆(上田健二君) 最後に、数点要望させていただきたいと思います。 時短協力金につきましては、吉村知事の号令の下、担当課の皆様の努力のかいもあり、開始当初と比較すると数段スピード感を持って支給していただいていることは理解しております。ですが、審査途中で追加の提出物が必要になった方や、何かしらの事情により審査の承認が下りずに、かなりの日数、審査中とだけ伝えられ、不安な思いをされている事業者が相当数いらっしゃるのも実情です。 これまでも会派として提案してまいりましたが、途中段階での審査状況の見える化やコールセンターの受付体制の増強、支給予定日の目安日の見える化といった事業者の皆様の不安が少しでも解消できるための取組に取り組んでいただきますよう、よろしくお願いいたします。 また、その反面、質問でも触れましたが、時短要請に従わず、酒類の提供も行ってきた事業者に対しては、毅然とした対応を行うことで、府からの要請をしっかりと守った上で営業してきていただいた皆様が納得できる大阪府となるよう、スピード感を持って対応していただきますよう、よろしくお願いいたします。 新規感染者数が減少傾向となり、このまま終息に向かってくれることが全員の願いであることは言うまでもありませんが、これまでの第五波の経験を踏まえ、第六波が到来してしまった際に、どれだけ行政としてこれまでの教訓を生かし、各分野で改善をしていけるかが試されています。我々大阪維新の会府議会議員団といたしましても、府民の声、事業者の声をしっかりと聞き取り、今後の状況の変化にしっかりと対応できる大阪府の確立に全力で取り組むことをお誓いし、私たち会派の代表質問を終わらせていただきます。御清聴いただきまして、ありがとうございました。    ~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(杉本太平君) お諮りいたします。本日はこれをもって散会し、明十月五日午後一時より会議を開きたいと思います。これに御異議ありませんか。   (「異議なし」「異議なし」) ○副議長(杉本太平君) 御異議なしと認め、そのように決定いたします。 十月五日の議事日程は、当日配付いたしますので、御了承願います。    -------◇------- ○副議長(杉本太平君) 本日は、これをもって散会いたします。午後四時四十五分散会...