愛知県議会 2000-02-01
平成12年2月定例会(第6号) 本文
愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しい
ウィンドウで開きます) 平成12年2月定例会(第6号) 本文 2000-03-07 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ
ヒット発言 前へ 次へ
文字サイズ・別
画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール
印刷用ページ(新しい
ウィンドウで開きます) 別窓表示(新しい
ウィンドウで開きます) ダウンロード 表
ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択・
全文表示を切り替え
単文表示 選択表示 全文表示 発言者の
表示切り替え 全 99 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・
ヒット発言の
表示切り替え すべての発言
ヒット発言 選択表示を実行・チェックの
一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除
発言者一覧 選択 1 : ◯議長(
神戸昭治君) 選択 2 : ◯議長(
神戸昭治君) 選択 3 : ◯八十八番(
田中久幸君) 選択 4 :
◯総務部長(
御園慎一郎君) 選択 5 : ◯知事(
神田真秋君) 選択 6 : ◯八十八番(
田中久幸君) 選択 7 : ◯議長(
神戸昭治君) 選択 8 : ◯六番(小林功君) 選択 9 : ◯議長(
神戸昭治君) 選択 10 : ◯議長(
神戸昭治君) 選択 11 : ◯議長(
神戸昭治君) 選択 12 : ◯三十八番(鈴木愿君) 選択 13 : ◯副出納長兼
出納事務局長(太田哲男君) 選択 14 :
◯総務部長(
御園慎一郎君) 選択 15 : ◯知事(
神田真秋君) 選択 16 : ◯三十八番(鈴木愿君) 選択 17 : ◯議長(
神戸昭治君) 選択 18 : ◯三十四番(
原田信夫君) 選択 19 :
◯総務部長(
御園慎一郎君) 選択 20 : ◯三十四番(
原田信夫君) 選択 21 : ◯議長(
神戸昭治君) 選択 22 : ◯五十番(田中孝博君) 選択 23 :
◯総務部長(
御園慎一郎君) 選択 24 : ◯五十番(田中孝博君) 選択 25 : ◯議長(
神戸昭治君) 選択 26 : ◯二十四番(福田績君) 選択 27 : ◯企画部長(柳田昇二君) 選択 28 : ◯二十四番(福田績君) 選択 29 : ◯議長(
神戸昭治君) 選択 30 : ◯二十五番(鈴木孝昌君) 選択 31 : ◯企画部長(柳田昇二君) 選択 32 : ◯知事(
神田真秋君) 選択 33 : ◯二十五番(鈴木孝昌君) 選択 34 : ◯五番(吉川伸二君) 選択 35 : ◯議長(
神戸昭治君) 選択 36 : ◯議長(
神戸昭治君) 選択 37 : ◯副議長(柴田紘一君) 選択 38 : ◯三十五番(榊原康正君) 選択 39 : ◯企画部長(柳田昇二君) 選択 40 : ◯知事(
神田真秋君) 選択 41 : ◯副議長(柴田紘一君) 選択 42 : ◯四番(伊藤忠彦君) 選択 43 : ◯参事(佐宗政昭君) 選択 44 : ◯四番(伊藤忠彦君) 選択 45 : ◯副議長(柴田紘一君) 選択 46 : ◯七十番(米田展之君) 選択 47 : ◯参事(渥美栄朗君) 選択 48 : ◯警察本部長(古賀光彦君) 選択 49 : ◯七十番(米田展之君) 選択 50 : ◯副議長(柴田紘一君) 選択 51 : ◯三十九番(外山半三君) 選択 52 :
◯総務部長(
御園慎一郎君) 選択 53 : ◯企画部長(柳田昇二君) 選択 54 : ◯民生部長(大見賢治君) 選択 55 : ◯知事(
神田真秋君) 選択 56 : ◯三十九番(外山半三君) 選択 57 : ◯副議長(柴田紘一君) 選択 58 : ◯十七番(水野豊明君) 選択 59 : ◯企画部長(柳田昇二君) 選択 60 :
◯総務部長(
御園慎一郎君) 選択 61 : ◯副議長(柴田紘一君) 選択 62 : ◯二十番(沢田丸四郎君) 選択 63 : ◯土木部長(竹内義人君) 選択 64 : ◯副議長(柴田紘一君) 選択 65 : ◯二十八番(田島ひろし君) 選択 66 : ◯企画部長(柳田昇二君) 選択 67 : ◯知事(
神田真秋君) 選択 68 : ◯六番(小林功君) 選択 69 : ◯副議長(柴田紘一君) 選択 70 : ◯副議長(柴田紘一君) 選択 71 : ◯議長(
神戸昭治君) 選択 72 : ◯五十六番(小久保三夫君) 選択 73 : ◯環境部長(山下次樹君) 選択 74 : ◯五十六番(小久保三夫君) 選択 75 : ◯議長(
神戸昭治君) 選択 76 : ◯四十八番(久野知英君) 選択 77 : ◯環境部長(山下次樹君) 選択 78 : ◯知事(
神田真秋君) 選択 79 : ◯四十八番(久野知英君) 選択 80 : ◯議長(
神戸昭治君) 選択 81 : ◯五十五番(中村友美君) 選択 82 : ◯議長(
神戸昭治君) 選択 83 : ◯参事(佐宗政昭君) 選択 84 : ◯参事(渥美栄朗君) 選択 85 : ◯環境部長(山下次樹君) 選択 86 : ◯土木部長(竹内義人君) 選択 87 : ◯知事(
神田真秋君) 選択 88 : ◯五十五番(中村友美君) 選択 89 : ◯議長(
神戸昭治君) 選択 90 : ◯知事(
神田真秋君) 選択 91 : ◯議長(
神戸昭治君) 選択 92 : ◯議長(
神戸昭治君) 選択 93 : ◯九十九番(筒井タカヤ君) 選択 94 :
◯総務部長(
御園慎一郎君) 選択 95 : ◯九十九番(筒井タカヤ君) 選択 96 : ◯知事(
神田真秋君) 選択 97 : ◯五番(吉川伸二君) 選択 98 : ◯議長(
神戸昭治君) 選択 99 : ◯議長(
神戸昭治君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1: 午前十時二分開議
◯議長(
神戸昭治君) ただいまから会議を開きます。
直ちに議事日程の順序に従い会議を進めます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第一 第八十号議案平成十一年度愛知県一般会計補
正予算から第九十八号議案国の行う公園事業に
対する名古屋市の負担金の変更についてまで
2: ◯議長(
神戸昭治君) 第八十号議案平成十一年度愛知県一般会計補正予算から第九十八号議案国の行う公園事業に対する名古屋市の負担金の変更についてまでを一括議題として、これに対する質問を許します。
なお、第九十一号議案職員の給与に関する条例の一部改正について、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、この条例案は本委員会が行った給与勧告を踏まえて給与の改定を行うものの、危機的な財政状況が引き続く中にあって、財政再建に向けたさまざまな取り組みの一つとして実施時期を一部おくらせるものであると理解するが、人事委員会の給与勧告は最大限に尊重されるべきものであると考える旨の回答を受けましたので、御報告いたします。
通告により質問を許可いたします。
田中久幸君。
3: ◯八十八番(
田中久幸君) 私は、第八十号議案平成十一年度愛知県一般会計補正予算(第六号)について質問をいたします。
このたびの補正総額は四百六十九億四千五百五十一万二千円。このうちの主なものは、国の平成十一年度第二次補正予算に盛り込まれました経済新生対策を昨年十一月補正に続いて取り込んだもので、事業費総計四百八十六億三千三百六十二万一千円のうちの百七十八億二千六百万二千円と、ほかに債務負担二十一億四千五百四十四万六千円であります。
小渕内閣の経済新生対策の特徴は、公共事業等のばらまきで国と地方の借金漬けを一層進めるものと。その問題点については、昨年の十一月議会最終日、本会議での反対討論で述べましたので、ここでは繰り返しません。
本補正予算は、そういう公共事業偏重で組まれているために、歳入を見ますと、国庫支出金八十九億三千五百八十四万二千円に対し、県債百五十三億五千九百九十万円が計上されました。その結果、平成十一年度の県債発行総額は三千百九十三億一千四百五十六万六千円となり、バブル崩壊後、平成四年度以来続いている年間発行額三千億円台を今年度も超えることになりました。
こうして平成十二年二月補正後現計予算における県債依存率は一三・八%に、また、平成十一年度末県債残高見込みは二兆八千六百四十億六千三百三十二万九千円になると思いますが、まず、この数字に間違いはないでしょうか、確認を求めます。
さて、平成十一年度最終現計歳入予算二兆三千百三十九億五千三百六十四万四千円における自主財源比率は六五・五%、また、一般財源比率は五六・五%です。平成十一年度の国の地方財政収支見通しでは、県債依存率一二・七%、一般財源比率六四・九%でしたから、これと比べますと、本県財政の借金依存構造が強まっており、自主性に乏しくなり、硬直化が進んでいることを示していると思います。
一方、歳出予算を見ますと、借金の元利返済に充てる公債費は、補正前に比べ五・七%増の二千四百五十四億二千二百二十一万五千円となりました。平成十一年度の県税収入は一兆九十一億円の見込みでありますので、そのおよそ四分の一相当が借金返済に消えることになります。しかも、その公債費は今後ますます膨張すると見込まれています。
こういう状況を踏まえて、今後の行財政運営にどうかじ取りをしていかれるおつもりか、
神田真秋知事の所見を求めたいのであります。
私は、未曾有の危機と言われる本県財政の立て直しを図るためには、その原因を解明することが不可欠の前提だと考えます。そこで、
御園慎一郎総務部長に質問いたします。去る二月十六日付ある新聞にあなたのインタビュー記事が載っておりました。この記事のとおり、財政問題でインタビューを当新聞から受けたことに相違ありませんか、お尋ねいたします。
さて、その記事の一部を引用します。問い「空前の財政難。どうしてこんなに」、答え「税金が入ってこなくなり収入が減った。景気が悪いと企業の利益が減るから税金も減る」。問い「いきなり悪くなったわけではない」、答え「バブル経済がはじけて景気に陰りが出始めたときに徐々に支出を抑える方向にハンドルを切ればよかったのだが」。問い「県の考えに甘さがあったか」、答え「景気はすぐによくなる。大愛知がちょっとのことで揺らぐはずはないという過信があったと思う。だから、そのとき、後で返せると借金をふやしたり支出を先送りした。それが今になってきいてきた」。
以上はインタビューの前段部分でありますが、総務部長の発言の趣旨と違っていないでしょうか、質問します。
また、新聞紙上だけでなくて、この議場において改めて、県財政が今日の未曾有の危機に陥った原因についての所見を明らかにされるよう求めます。
あわせて、神田知事にも答弁をお願いしたいのでありますが、あなたが知事に就任されたときは既に財政非常事態宣言が出された後でありました。以来一年、神田知事が手がけた仕事といいますと、福祉、教育、職員給与などの削減、カットという、県民の恨みを買う損な役回りばかりで、恐らく不本意だろうと思うんです。そこで、知事は県財政の現状とここに至る経過等についてどんなふうに見ておられるんでしょうか、質問をいたします。
次に、今年度末二兆八千六百億円を超えるにまで膨れ上がった県債をどう減らしていくのかについて、現時点での方針について質問します。これは県財政の健全化にとって避けてはならない課題だからでございます。
去る二月二日、大蔵省は衆議院予算委員会に対して、「財政の中期展望」及び「国債整理基金の資金繰り状況についての仮定計算」、こういう二つの文書を提出いたしました。その内容を紹介しますと、まず、平成十二年度の国債発行計画は、前年度当初計画比二〇・七%増の八十五兆八千七百五億円、うち、借換債は五十三兆二千六百五億円であります。これをもとに試算をしておりまして、平成十四年度の国債発行額は百兆六百億円、うち、借換債は六十六兆六百億円になる。さらに、翌平成十五年度になりますと、国債発行額は百十五兆九千八百億円に。うち、借換債は七十八兆五千八百億円となり、その借換債だけを見ますと、平成十九年度には百十一兆七千百億円にまで膨れ上がるというのであります。
この試算によりますと、平成十五年度の国債費は前年度比一〇・四%増とされていますので、税収の伸び率、前年度比二・五%増を大きく上回っております。このため、同年度新規の国債発行額は三十七兆四千億円に達しまして、年一・七五%の経済成長率を前提にした場合の発行額三十五兆六千億円よりも大きくなるんであります。したがって、このままでは近い将来に深刻な財政破綻を来して、大増税か悪性インフレを招くという、国民にとって重大な事態となることは必至であり、小渕首相のように、世界一の借金王などとのんきなことを言っている状況ではないと思うんです。
ところで、県当局は昨年八月、財政中期試算を公表いたしました。その試算によりますと、平成十六年度まで毎年度二千億円を超える赤字が出る。県債を積極的に活用した場合、実は、私は、この積極的に活用という意味がよく理解できないんですね。借金を積極的にするというのはどういうことなのか、教えていただきたいんです。
いずれにせよ、積極的に県債を活用した場合でも、平成十六年度末の赤字は千七百億円に達するというものでございました。その大きな要因が公債費の膨張で、借換債を含め、平成十三年度二千七百五十億円、平成十四年度三千六百五十億円、平成十五年度四千億円、平成十六年度には四千百五十億円となっておりました。
しかし、この試算は、投資的経費については平成十一年度と同額程度とするという前提の話、つまり、万博と中部国際空港に要する巨額な経費は試算に組み込まれていません。
先ほど紹介した二月十六日付の新聞で、御園総務部長は、万博と空港が福祉、教育を圧迫しているという声もあるがと、この質問に対して、万博、中部国際空港のどちらも国の補助を使う公共事業が主で、起債、つまり借金で賄えると答えています。財政の責任者が認めているように、万博と空港事業が進めば進むほど、借金が膨れ上がっていくのは明らかであります。
新年度予算案では、両事業の推進費と関連事業費を含めて九百六十三億円を超える予算が計上されています。これからいよいよ巨大な投資と、その財源としての借金地獄が始まるわけですから、野方図な財政運営ではなく、慎重にしてかつ綿密な方針と見通しを持って事に当たらなければなりません。
総務部長は、去る二日の本会議答弁で、先が見えないと言われたように記憶しています。先が見えないでは済まされぬですね。しかし、本当に先が見えないのでありましたら、やみくもに突っ走るんじゃなくて、一たん立ちどまって、どうすべきか、どの方向に進むか、あるいは引くかも含めて考えるべきではないでしょうか。
今日の時点は、昨年八月に立てた見通しよりさらに厳しくなっていますので、私は万博と新空港事業に係る費用、当然、ある仮定を立てて結構でありますから、これを含めた県財政の中期的な流れを試算し、議会はもちろん、全県民的な議論に付すべきだと考えます。
ところで、先日の我が党林信敏議員の同旨の一般質問に対して総務部長は、現在、関係部署で精査しているので、その後でなければできないと言われました。しかし、こんなひどい話はないわけで、近い将来とんでもない事態になるかもわからないのに浪費を続ける。あとは野となれ山となれではありませんか。これでは、だれも理解や納得ができません。平成十一年度最終補正予算は平成十二年度予算と同時並行して編成するという異例の作業がなされました。その理由は、一つに新年度の歳入財源対策でございます。
昨年八月の中期試算でも、公債費の膨張が目立ちます。当然、公債費比率が高まっていくであろうことは容易に予測できるわけです。ですから、将来の公債費膨張を抑制するためには、毎年度の起債の抑制、県債残高の削減は不可欠の条件であります。
平成十一年度最終の補正予算を編成するに当たって、それらの点はどのように検討されたのか、総務部長の説明を求めますとともに、神田知事には改めて所見を質問いたしまして、第一問といたします。
4:
◯総務部長(
御園慎一郎君) まず、一般会計の平成十一年度二月補正後現計予算における県債依存率及び十一年度末の県債残高の見込みは、お示しの数字のとおりでございます。
それから、公債費の増嵩などを踏まえました今後の財政運営についてでございますけれども、歳入面では県税収入が低迷いたしまして、特に平成十年度以降大幅に減少する一方で、歳出面では、御指摘のとおり公債費、これ以外に人件費、扶助費等の経常的経費が増嵩して、大変厳しい状態にあります。税収が低迷している状況のもとでは、財源として県債に頼らざるを得ないという面があるわけでありますけれども、財政の状況等を見ながら、今後の公債費の動向にも留意して、大変厳しい道ではございますけれども、慎重に財政運営をしていかなければならないというふうに考えています。
それから、県財政の現状とここに至るまでの経緯などについてでございますけれども、今申し上げましたとおり、バブルが崩壊した後、県税収入の低迷が続く中で、人件費、扶助費、公債費といったような経常的な経費が確実に増加をいたしまして、県財政の圧迫をするという側面が出てまいりました。
この間、今から思い直せば、ほかの施策をとるという選択肢もあったかもしれませんけれども、当時としては、各種の行政水準を維持していくという要望にこたえるというためにも、基金を取り崩す、あるいは県債を活用するといったような手法をとることによって財政運営に努めてきたというふうに考えております。
ただ、平成十年度に入りまして、予想をはるかに超えた景気の悪化の影響を受けまして、県税収入が法人二税を中心に急激かつ大幅に減少したということによって、本県財政極めて深刻な状態に至ったものというふうに認識をしているところでございます。
新聞のインタビューでございますけれども、今申し上げたようなことと同様なことを述べたことが記事になったものであるというふうにお考えいただければというふうに考えているところでございます。
それから、県債の積極的活用とはどういうことだと、こういうことでございますけれども、これは、財源不足に対応するために歳入確保策の一つとして、通常から、通常の財政運営をする際にも、地方債の発行、これは当然組み込まれているわけですが、さらにその通常予定されている充当率、事業費に対して一定割合は地方債で賄うというのは、これは制度的に認められておりますが、それを上回って起債を充てるという活用、県債の発行の仕方、あるいは通常の財政運営が可能なときには、県債を充当しないで、一般財源で賄っているような事業についても、これを県債を発行して充てるといったような、今、県債の発行の仕方をしておりますが、このような手法につきまして、私どもは県債の積極的な活用というふうに申しておりますが、御指摘のように、県の借金である県債を増発するということでは御指摘のとおりでございます。
それから、平成十一年度二月補正予算の編成において、起債の発行などの点についてどういう検討をしたのかと、こういうことでございます。
県財政大変厳しい状況は、平成十年度から発生をしておったわけでございますけれども、平成十一年度の当初あるいは六月補正予算の編成に当たって、さまざまな分野における見直しを行う、こういう中で、基本的に予算のフレームワークというのは当初予算で決定をされるわけでありますので、十一年度予算につきましては、事実上の当初予算と言われるような予算の姿形を決定したのは六月補正だというふうにお考えいただければと思いますが、そういう中で県債についても慎重な検討をいたしまして、適切な計上に努めるという心構えで予算編成をさせていただきました。
で、二月補正予算の編成という段階でまず考えましたのは、少なくとも財政再建団体に陥らないということを最大の課題といたしまして、平成十二年度の予算編成もにらみながら、これは御指摘のとおりでありますが、平成十二年度の予算編成もにらみながら、平成十年度の決算赤字額、これを引きずっているわけですから、これの圧縮を目指して編成をしたところであります。
で、この中に御指摘のように景気の早期回復を図るための経済新生対策関連事業もあったわけでありまして、それを計上することによって、対応する財源として県債を活用しているわけでありますけれども、そういう中でも、県債の総額の抑制という観点からも配慮しておりまして、昨年度に比べて約一千億円少ない額の発行額ということでの補正予算の編成をしているという状況でございます。
5: ◯知事(
神田真秋君) お答えを申し上げます。
さまざまな補助金などをカットせざるを得ないことは不本意であろうと、こういうお尋ねがありましたが、まことに不本意であります。そのことは、この議場にお見えの各議員各位におかれても一緒のことだと思います。
厳しい財政下の中で、議会でも予算をお認めをいただき、十一年度そういう形でお認めをいただき、財政運営をしてきたところでございます。
さて、お尋ねの、県財政の現状とここに至る経過等についての御質問でありますが、現在の財政危機に立ち入りました要因として考えられますのは、言うまでもないことでありますけれども、景気の低迷。大変厳しい低迷の中で、法人二税を中心として大幅に歳入が圧縮したこと、一方、歳出につきましては、経常的な経費の増加あるいは景気対策、さらにはさまざまな社会基盤整備など県民ニーズに応じた支出をすることによって、そのギャップが大きくなってきた部分もあろうかと存じます。
で、それとあわせて、構造的な問題も当然あるわけでありまして、大都市圏を抱える都道府県におきましては同じような傾向が出ておりまして、これは制度的あるいは構造的な問題であろうと考えております。
いずれにいたしましても、そういう中身を十分きちんと認識した上で、これからの財政運営を考えていかなければなりませんけれども、当面、第三次行革大綱の前倒し、これはきちんと進めていかなければならないと思っておりますし、歳入につきましては、より財源確保に最大の努力を尽くしていく。また、歳出につきましても、これまで以上の適正な抑制を続けていかなければならないと思っておりまして、こうした問題については決して即効性ある特効薬はないと、地道なそういう取り組みしかないと考えております。
6: ◯八十八番(
田中久幸君) お二人から答弁いただきましたけれども、従来の見解とほとんど変わってなくて、極めて不満足であります。したがって、これからも繰り返し繰り返しその議論はやっていきたいと思っておりますので、あと、意見を述べて終わりたいというふうに思います。
私はですね、これまで何回か言いましたけれども、今後の愛知県財政の立て直しを考える場合に、物の見方、とりわけ景気の見方に対する甘さがある。いつも言いますけれども、今でもそう思います。
今議会の冒頭で知事は、所信表明の中で、いろいろ厳しい状況はあるけれども、景気は緩やかだが回復しつつあるというふうな見解を表明されました。
しかしですね、けさの新聞を私はずっと見てきましたけれども、例えばです、昨日総務庁が今年一月の家計調査を発表いたしましたけれども、国民の消費支出は昨年一月と比べて、名目で四・三%の減、実質で三・二%の減であります。昨年九月以来五カ月連続して減っていると、こういうことですね。
同じく経済企画庁が昨年の十月から十二月期のGDPの速報値を発表いたしました。正式には十三日に出されるようですけれども、堺屋太一長官の発表でも、二期連続マイナスが予想される、消費低迷がもとだというふうな見解が示されておりました。
また、同じく昨日、東京商工リサーチ名古屋支社が中部九県の二月の企業倒産動向の調査結果も発表したようですが、負債額一千万以上の倒産が二百十一件、負債総額は四百四十九億九千八百万円。二月の倒産としては、当社が統計を始めてから二番目に多い数字だ。前月比、一月に比べて三十一件もふえて、二カ月ぶりに二百件の大台に逆戻りしたと、こういうことなんですね。
同じく中部通産局は、ことし一月の金属工作機械需給高の調査結果を発表いたしました。これを見ると、前年同月比二二・五%の減、十九カ月連続前年を下回ると、こういう状況であります。
企業の業績で見ますと、確かに一部に業績の回復が見られることは確かです。しかし、よくよく見てみますと、リストラ、人減らしなどによる人件費の削減の効果でありまして、例えばトヨタ自動車でも、明確に減収増益というのが特徴であります。これでは、景気はですね、一時的に、ほんの一時期的にその会社にとってよくなるかもしれませんけれども、日本全体でこういうことが進んでいけば、さらに今よりもひどくなるような事態が来ることはもう目に見えております。
で、こういうときですから、私はですね、愛知県の財政再建をする上で、第三次行政改革大綱、これを根拠に、文字どおり弱者の福祉や、あるいは予算を見て驚くんですけれども、中小企業対策や農林水産予算というのはどんどん減っていますね。こういうことをやれば、ますます県民の購買力は冷え込ませるだけだ、逆効果だ。今大事なのは、景気回復をさせるためには、文字どおりこの冷え込んでいる県民の暮らし、福祉、教育、中小企業対策、こういうところに思い切った予算を回すことだ。そして、これと並行して財政立て直しのための、浪費をしない、見直すということだと思うんです。
私は、そういう意味で、万博、中部国際空港関連を優先させて、借金を膨れ上がせるというのは、まさに破綻の道でしかない、これは断言しておきたいと思います。私どもはこういうやり方の根本的な転換を求め、それが実現するまで、冒頭に言ったように何度でも議論を挑むつもりであります。このことを申し上げて、答弁は求めません。
以上申し上げて、質問を終わります。
7: ◯議長(
神戸昭治君) 以上で、ただいま議題となっております議案に対する質疑を終結いたします。
─────────────
8: ◯六番(小林功君) ただいま議題となっております議案は、さらに審査のため、それぞれ所管の常任委員会に付託されたいという動議を提出いたします。
[「賛成」と呼ぶ者あり]
9: ◯議長(
神戸昭治君) 小林功君の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり]
10: ◯議長(
神戸昭治君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております議案はそれぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
なお、議案付託表は議席に配付いたしました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第二 議員提出第一号議案県議会議員の報酬の月額
の特例に関する条例の制定について及び議員提
出第二号議案
愛知県議会委員会条例の一部改正
について並びに第一号議案平成十二年度愛知県
一般会計予算
11: ◯議長(
神戸昭治君) 次に、議員提出第一号議案県議会議員の報酬の月額の特例に関する条例の制定について及び議員提出第二号議案
愛知県議会委員会条例の一部改正について並びに第一号議案平成十二年度愛知県一般会計予算を一括議題として、これに対する質問を許します。
この際、第一号議案平成十二年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中、歳入全部について質問を許します。
質問に際しましては、款項を明らかにして発言されるようお願いいたします。
通告により質問を許可いたします。
鈴木愿君。
12: ◯三十八番(鈴木愿君) 私は、通告に従って、一般会計の歳入のうち、第十五款第一項県債について、若干視点を変えてお尋ねをいたします。
今定例会での代表質問あるいは一般質問を伺っておりますと、究極の焦点は、現下の県財政の再建問題にあったように思います。先日の片桐議員の質問に、神田知事は、この一年を振り返って、最も心を痛めたのは財政再建問題であったと、沈痛な思いで御答弁をしておられました。
十二年度一般会計二兆二千億円余の予算の中で、この歳入の中、県税、国庫支出金に次ぐ財源の一つである県債発行について若干お尋ねをいたします。
過去十カ年の県債発行の推移を調べてみました。平成二年度の県債発行は千七十六億円、最も多い平成十年度には三千九百五十三億円と、約四千億に迫る額となっておりました。この十カ年の総発行額は三兆六百三十九億円余となっております。平均しますと、毎年三千億余円の県債の発行を続けてこられました。これは、御案内のとおり景気の後退による県税収入額の補てん等、景気回復を図るため、国と協調しての公共事業等の追加のための県債の発行であり、やむを得なかったものと思っております。
景気の後退による県税収入の減収に対処するための県債は、当然、法的にも認められたものであり、財源確保策として有効な手段ではありますが、特に県債というものは、世代間の公平負担の原則からも、有効に活用すべきであります。
十二年度予算編成において、さきに総務部長は議案説明会の中で、抑制基調でいきたいが、財源がないので積極的に組んだ、こう申しておりまして、十二年度は前年度六月現計予算額に比べてマイナスの一二・九%の二千四百八十九億円余を組んでおります。
経済情勢も依然として厳しい情勢が続いており、歳出面においては、人件費、扶助費あるいは公債費といった義務的、経常的経費は少なからず今後も増加が見込まれ、昨年度に引き続いて極めて深刻な状況になっております。そのために、十二年度も引き続いて職員等の給与抑制や大幅な職員定数の削減など歳出の徹底した見直しを行い、優先的、重点的な予算配分をするなど、本県が財政再建団体に陥らないための最大限の苦渋の予算編成の跡が感じられます。
長引く景気の低迷等から、こうした厳しい財政状況は、本県を初めとした大都市所在の都府県のみならず、全国の地方公共団体に及んでいる状況にあります。このような厳しい財政環境の中、財源確保のために発行される国における国債を含め、大量の地方債の発行が予想され、債券市場での県債の消化が若干懸念されるところであります。
そこで、三点についてお尋ねいたします。
今日における県債の債券市場での地方債、大きく地方債などの引き受け状況についてお伺いいたします。どんな動向になっているか、まずお伺いいたします。
次に二番目に、近年、低金利時代が続いている状況にあり、県債についても低い金利で発行されていることと思いますが、十二年度の当初予算においても、世代間の公平負担の意味合いからも、借換債二百五十七億円余が計上してございますが、この借りかえによってどの程度利率が下がるのか、お伺いをいたします。
最後に、こうした低金利時代であるが、県債を発行しないことには当然こしたことはないと思いますが、今後、従来のような右肩上がりの税収というものは余り期待できません。また、出る方も、人件費、公債費など義務的なものも当然出てまいりますし、県民福祉の向上や、あるいは地域発展のための各種県民ニーズの需要については当然対応しなければなりません。こうした財政需要に対応するために、今後とも少なからず県債に頼らざるを得ない、こういうふうに基本的には考えておりますが、今後の県債の活用に対する基本的なお考えを改めてお伺いいたします。
以上で質問を終わります。
13: ◯副出納長兼
出納事務局長(太田哲男君) まず、今日の債券市場における地方債の引き受け状況についてでありますが、地方債につきましては、起債許可制度や地方交付税制度により国の支援体制がしっかりしていることなどから、その信用力は高く、債券市場において順調に消化されているところでございます。
しかしながら、今後も引き続き安定的な財源を確保するためには、投資家のニーズを十分把握し、商品性を高めるとともに、地方債を発行しております他団体との連携を密にするなど、地方債の流通性の向上に一層努めていくことが肝要であると存じております。
次に、借りかえによってどの程度利率が下がるのかとのお尋ねについてでありますが、平成十二年度に借りかえを迎える県債は平成二年度に発行したものでありまして、平成十二年度中の市場金利が現状のまま推移するといたしますと、五%前後利率が下がるのではないかと考えております。
以上であります。よろしくお願いいたします。
14:
◯総務部長(
御園慎一郎君) 県債の活用に対する基本的な考え方ですけれども、公共施設などを利用する将来の県民との間での世代間の負担の公平を図るということで、長期の資金借り入れを行うというのが基本的な考え方でございます。加えまして、県税収入が低迷をしておりまして、これに対応するために、財源調達の手法として有効に活用しているという側面もあることも御指摘のとおりでございます。
現在のような状況のもとでは、財源として県債に頼らざるを得ないということはあるわけでございますけれども、他方で、公債費などの義務的、経常的経費が増加的傾向にあるわけでありますので、財政構造の改革を図る中で財政健全化を図っていく。このためには、県債を極力抑制していくということが主要、肝心なことであるということ、またこれも事実でございます。
相反する二つの要請の中で今後の財政運営をしていかなければならないわけですが、いずれにいたしましても、極めて厳しい財政状況のもとでございますけれども、将来の公債管理の観点、そして県民福祉の向上のための予算編成、こういったいろんな観点をきちんと踏まえた上で、今後の財政状況あるいは財源の状況などを勘案しながら、その都度適切な計上に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
15: ◯知事(
神田真秋君) 公債管理は大変重要な点でありまして、基本的には、抑制方向へ努力をしなければならないと思っております。
また一方、この地域が真に大きく飛躍し、これから新しい時代に愛知県がそれなりの役割を果たし、県民の期待にこたえるための事業にはこの県債を積極的に活用することも必要でありまして、そのバランスに十分留意しながら、これから県債の運用を図っていきたいと思っております。
16: ◯三十八番(鈴木愿君) ありがとうございました。基本的には、私の考えておる同じ御答弁でございました。ありがとうございました。
ただいまの知事さんからお話がございましたように、基本的には抑制にこしたことはないんですが、確かに厳しいときでありますので、今後の社会基盤等、県民のニーズにこたえるには、当然こういった許される範囲内の県債というものは有効に活用すべきだと思っておりますので、今後の適正な財政運営を心から御期待申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
17: ◯議長(
神戸昭治君) 進行いたします。
原田信夫君。
18: ◯三十四番(
原田信夫君) 私は、歳入第一款県税第一項県民税から第十四項旧法による税、それから第五款地方交付税第一項地方交付税、第十五款県債第一項県債についてそれぞれ質問してまいります。
最初に、県税収入の見通しについてでございますけれども、私は、税収との関係で言えば、まず景気に関して、もう底を打った、あるいは打っていてほしいと、このように思っております。
それは、昨年の四月というのが有力な説でございますけれども、一説には、IT関連が突出いたしまして、その他の回復がおくれていること、生産回復がアジア中心の輸出主導で内需が弱い、物価の下落が下げどまらない、製造業の生産活動と需要の乖離などから、ことしの後半が底になるという恐ろしい指摘もあります。
製造業が中心の愛知県にとって、その認識が前者であれば、すなわち、もう底を打ったということであれば、今回の法人二税の計上額は十分に納得できるものでありますが、後者であった場合には、悲劇的な結果に終わることが想定されます。また、個人県民税につきましても、県民の給与所得の伸びという点から、若干危惧すべき点がございます。これまで民間企業では、不況に対応するために固定費を削減しようと、リストラを展開しておりますし、これが雇用面における失業者増、それから雇用者所得の伸び悩みの原因となってまいりました。
今新たに起きているのは、今後、企業が市場で抹殺されるか否か、勝ち組か負け組かに分かれる戦いに入っております。ムーディーズなどの企業格付で国際会計基準の導入を余儀なくされております民間企業は、連結決算の収益改善などあらゆる面での健全化に向けて、強力なリストラに再突入する動きがございます。これは、県民の雇用はもとより、所得の鈍化を引き起こしまして、個人県民税にとっても少なからぬ影響が出てくるものと私は考えております。やや悲観的かもしれませんけれども、そう考えております。
そこで質問ですが、今私が述べた幾つかの懸念も含めまして、今後の景気に対する認識と、それが法人二税や個人県民税にどう影響すると見ているのか、税収の見通しも含めて見解を求めておきたいと思っております。
次に、税収増と中期財政試算についてであります。
昨年八月、愛知県は、六月現計予算を下敷きにしながら、県債を活用しなければ毎年一千九百五十から二千五百億円の赤字が生じるという平成十二年度から十六年度までの財政中期試算──以下、これから試算と申し上げますけれども、これを発表いたしました。とりわけここで強烈なのは、県民に提供すべき行政サービスのかなめとも言えます投資的経費を向こう五年間据え置き、かつ今後の少子・高齢化への対応として強く求められる扶助費の伸びを最小限に抑えても、財政状況は悪化の一途をたどるという点であります。
こうした試算は、順風満帆の状態で推移してまいりました愛知県の財政状況からして、各種補助金の削減や経費の削減に向け、県の財政当局はもとより、職員、さらには議会に対し、もっと言えば、十二年度予算の編成に与えた影響は相当なものがあったはずであります。
ここで、来年度の予算とこの試算との対比で見ますと、試算の十二年度断面での歳入は、県債を活用しなかった場合二兆八百五十億円ですが、県税の約千二百億円増がきいた来年度予算における歳入規模は一千七百億円増の二兆二千五百五十億円となっております。一方、歳出面では、扶助費、県税交付金、その他経費が試算額を超えているものの、人件費が給与カットの復元を前提にした試算に対しまして、来年度予算は前年とほぼ同様の給与カットなどで四百億円減、さらには、投資的経費で二百七十億円の減と、それぞれ経費節減の努力を行っていることがうかがい知ることができます。
このように、昨年の試算発表から六カ月経過した今、見かけ上は税収が若干伸び、人件費や投資的経費の抑制が図られ、歳入、歳出の両面で試算初年度の厳しい関門を何とかクリアしたのかな、こういう受けとめができます。
しかし、増加を見込んでおります来年度の税収については、利子割が増加しても、その半分以上を市町村に交付せねばならないこと、それから、恒久減税の影響度合いなどを考慮いたしますと、必ずしも楽観できないどころか、依然厳しい状況には変わりがないとも判断ができます。
そこで質問ですが、試算との比較において若干の伸びを見せている県税収入に対する評価と試算が来年度予算、十二年度予算編成に与えた影響などについて県はどのように判断をしているのか。さらに、来年度のような、十二年度のような状況が継続した場合、試算そのものはどのように変化をしていくのかを聞いておきたいと思います。
続きまして、税収と地方交付税との関係についてであります。
愛知県は平成五年度以来地方交付税の交付団体となりまして、平成十年度までの六年間で合計約一千百億円の交付を受け、この十一年度だけで交付税の最終見込み額が一千四百七十億円、来年度は千四百億円の計上と、この二年間で、残念ながら大きく増加をしているところでございます。
今議会におきます知事、総務部長の答弁では、税収が伸びたとすれば、その八〇%相当額が減額をされ、県には残りの二〇%しか手元には残らない、こういうことであり、これを逆算してまいりますと、一千七百五十億円程度税収が伸びたときに初めて交付税はゼロになるということの計算になります。それが意味することは、愛知県が今後、努力に努力を重ねて県税収入をふやしたとしても、交付税がゼロになるのは、税収で一兆二千三百億円が求められまして、この水準というのは、過去最高の平成二年度の一兆一千六百六十八億円にあと六百三十億円を上積みしなければならないわけであります。
そこで質問ですが、この水準は、考えれば考えるほどめいってくる規模であります。今後、少々景気が好転したといたしましても、相当な努力と幸運がなければ、交付団体から脱出するのは至難のわざと受けとめざるを得ません。これに対する当局の見解を聞いておきたいと思います。
最後に、税収にこれは関連しての質問になります。外形標準課税についてであります。
私は、東京都の動きや評価については余り興味は持っておりません。むしろ、基本は、交付税を初め、国から財源をどう引っぱがしてくるかであり、それを担保した上でこれらを考えるのがオーソドックスなスタイルなんだろう、このように思っております。
さて、昨年の秋以降、
愛知県議会でもいろいろ議論をしてまいりまして、それに対する県の見解は、政府もその方向でもあり、地方の税制安定化という意味で好ましい旨の内容だったと受けとめております。
そこで、我々が今しっかり議論し、整理しておかなければならないのは、少なくとも昨年の七月に発表された税制調査会の地方法人課税小委員会報告を踏まえての愛知県としての考え方であります。報告で言う事業活動規模との関係、普遍性、中立性、簡素な仕組みと納税の事務負担などの基本的な考え方はもとより、外形基準としての四つの類型、すなわち、一つは事業活動によって生み出された価値、いわゆる付加価値、二つには、事業活動価値の七割のウエートを占める給与総額、三つには、給与総額と事業所の床面積、いわゆる人的側面と物的側面の組み合わせ、四つには、資本金と資本積立金の合計額といった資本などの金額を踏まえての研究であります。
例えば、付加価値を外形基準とした場合の、各都道府県の事業税額を一〇〇とした税収変動のある試算によりますと、好調だった平成二年度とバブルが崩壊した平成五年度におけるこの両年度の比較では、先進県と言われる東京、神奈川、愛知、大阪などが総じて八〇台から九〇台に位置しております。これは指数であります。従前の税額を維持できない、こういう報告があります。とりわけ、それによりますと、愛知県の場合は、平成二年度が七五・四で四十七都道府県中最下位、平成五年度は八〇・八%で四十六番目、ブービーであります。付加価値基準では、少なくても悲劇的な結果を招いてしまうことが予想されます。
ただ、これは一つの方法で実施したものであり、これをもってすべてを断じるのは極めて危険なことは承知しているわけでございますが、残りの三つの手法で試算をしても、多少の是正や緩和は期待できるものの、その傾向には余り大きな違いはないというふうに見ておく必要があるんだろうと、このように思っています。
また、今は税が欲しい側がいろいろと議論をしている段階でありますことから、利害の対立という側面を考慮に入れずに済んでおりますが、産業企業全体を対象として具体的な動きを示し始めれば、さまざまな摩擦や抵抗が出てくることが容易に想定されます。既に私のところにも、商工会議所から、最初に自治体の財政安定化がありきの導入は行政の合理化に水を差し、本末転倒と言い切った上で、制度上や赤字法人、中小企業にとっての問題点、さらには応益課税の観点などから、強力な反対の態度が打ち出されております。
そこで質問いたします。まず、県財政当局は、この外形標準課税の四つの類型につきまして、これまでシミュレーションを行っていたとしたならば、その結果を明らかにしてもらいたい。そうでなければ、単に県税収入の安定化に資するということと、国が決めたからという理由だけでは、これから先、この議論にかみ込む資格を失って、なおかつ、肝心の支払い側の企業への説得性をもなくしてしまいます。したがって、早急にその研究を開始すべきと考えますが、この点に対する当局の見解を聞いておきます。
以上です。
19:
◯総務部長(
御園慎一郎君) まず、来年度の県税収入の見通しについてでございますけれども、県税に影響を及ぼします経済ですが、個人消費の低迷、設備投資も引き続き減少。一方で、輸出が増加し、また、自動車を中心として生産に持ち直しの動きがあるといったようなことで、景気は国と同様、緩やかな改善の動きが見受けられるというふうに思っておりますし、また、政府による経済対策等の施策の効果が公共部門主導から民需主導へバトンタッチが円滑に行われて、景気が本格的な回復軌道に乗ることを、私どもとしても大いに期待をしているという状況であります。
そういう中で、県税の大宗をなす法人二税の予算計上に当たりましては、企業の聞き取り調査を行いました。そういう結果も踏まえ、また、企業収益の回復に、先ほど申し上げましたような景気認識の中での期待もしながら積算をいたしまして、恒久的減税の影響なども含みまして、十一年度最終見込みに比べて二・六%減というふうに見込んで計上しております。
また、個人県民税につきましては、課税対象所得が十一年分の所得になりますので、勤労者統計をもとに、実績出ている部分が大半でございますので、若干の推計も加えまして、給与所得の落ち込みを織り込んで、十一年度最終込み額に比べまして一・二%減というような見込みをいたしました。
しかし、御指摘のとおり、景気の動向、まだまだ確定的なことを言えるような段階ではないと思いますので、今後の財政運営に当たりましては、景気の動向に十分留意をしながら慎重な運営に努め、まずは計上税額の確保に最善を尽くすとともに、交付税を含めました、税、交付税を含めた一般財源の確保という点にも今後努力をする中で、財政運営の適正を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
それから、中期試算との関係での県税収入に対する評価でございますけれども、十二年度の県税収入、中期試算よりも、御指摘のように千百七十五億円増加する見込みを立てさせていただいています。これは、何回も申し上げておりますけれども、郵便局の定期預金の集中満期、これによる県民税利子割の大幅な増、あるいは景気が緩やかな回復にある中で、先ほど申し上げましたように法人二税が一定額確保できるというようなことによるものでございますが、県税収入全体としては増収になるわけですけれども、県民税利子割の増収は一時的なものであるのに加えて、五七%は市町村に交付するというようなことでございますし、景気の動向、依然として不透明でございますので、今後とも楽観は許されませんので、その動向に注目をしていかなければならないというふうに考えております。
それから、財政中期試算が予算編成に与えた影響でございますけれども、御承知のように中期試算は昨年の八月に、財政状況を見まして、県財政を考えるたたき台として出させていただきました。一定の条件をつけて、五年間ということで出させていただきました。
この結果、大幅な収支不足が見込まれましたので、平成十二年度予算編成において厳しいシーリング枠を設定するというような方策もとらせていただきましたし、第三次行革大綱の引き続きの実施というような内部努力も含め、聖域のない見直しを行った、あるいは基金を活用した十一年度、十二年度の両年度にわたる財源調整といったようなあらゆる工夫をして、何とか予算編成ができたという状況でありまして、厳しい、極めて厳しい状況の中で、何とかこうして予算編成をして議会に御提案できましたのも、県財政の状況と行財政改革の必要性を、職員一人一人はもとより、議員の皆様も初め、県民の関係各方面の皆様、御理解をいただき、御協力をいただけたからだというふうに考えておりますが、その中で、この財政中期試算は本県が構造的な財政危機の状況にあるということを県民の皆さんに広く理解していただくことに一定の役割を果たしたというふうに考えておりますし、また、職員が財政状況に対する認識を深めることに効果を持ったのではないかというふうに考えております。
それから、今後の財政見通しですが、何とか十二年度予算編成においては、中期見通しにおける、あるいは予算編成の当初の段階における歳入歳出のギャップを埋めて予算編成をすることができたわけでございますけれども、これは今申し上げましたようないろんな努力、それから、県民税利子割が増収となった、あるいはその十一年度、十二年度間の年度間の財源調整ができたといったような臨時的な要因があったというようなこと、それから加えて、職員の皆さんにも大変御迷惑はかけているわけですし、議員の皆様にも御協力いただいてますが、職員給与あるいは議員の歳費の抑制だとか、あるいは減債基金積立金の見送りといったような歳出の先送りといったような、ぎりぎりのさまざまな努力の中で何とか収支不足が埋まったということでございますので、臨時的な施策を毎年毎年とれるわけではございませんし、それから、先ほどから議論になっております県債の増発というのも、大幅なものを今後やっていくわけにいきません。また、歳出の先送りも、将来のことを考えると、いつまでもできるといったような状況ではないわけでありますので、いろいろ申し上げましたが、いろんなことを考えますと、今後の財政状況は、景気の回復が緩やかなものにとどまる限り、先ほど議員の方からも御指摘ありましたが、この厳しい状況がさらに続いていくというふうに言わざるを得ないというふうに考えているところでございますし、そういう中で、さきに示した中期試算よりも厳しい状況の中での予算編成を、予算編成作業をしなければならないということも予想しながら、私どもは財政運営をしていかなければならないというふうに思って、そういう覚悟もしながら、日々の財政運営に当たらなければならないというふうに考えています。
それから、不交付団体になる見込みでございますけれども、御承知のように平成五年度以降七年連続で交付団体になっております。十二年度は、十一年度に引き続き一千億を上回る交付税を受ける交付団体となるだろうということで予算計上しております。
税収が回復をして、かつての本県のように交付税の交付を受けることのない、不交付団体として財政運営をやっていけるようになることがやはり理想だというふうに私どもも思っておりますけれども、目下の経済情勢などから判断いたしまして、相当大幅な増収、税収増、御指摘のような大幅な税収増がない限り、当分の間、不交付団体となることは期待できないというふうに考えております。
それから最後に、外形標準課税についてのお尋ねをいただきました。
昨年七月の政府税制調査会の小委員会が行った外形標準課税についての報告を踏まえて、政府税制調査会の平成十二年度の税制改正答申におきましては、地方税のあり方として望ましい方向の改革であり、景気の状況等を踏まえて、できるだけ早期に導入を図ることが望ましいとしながら、具体的な課税の仕組みや導入に伴う税負担の変動、中小法人の取り扱い、雇用への配慮、適切な経過措置などの諸課題についての具体的な検討を進めていただいておりますし、私どももそれを十分認識をしておるところでございます。
また、先ほど議員からお示しのありました、本県が従来の税額を、外形標準課税を導入すれば維持できなくなるだろうという報告でありますけれども、これは、統計数値を一定の推定のもとに算出した一つの試算例であります。指標のとらえ方によって大きく変わる部分も出てくる、一つの目安となる試算だというふうに私どもはとらえております。
で、外形標準課税制度は、今言われておりますのは、増税を目的とするわけではなくて、税収の中立で導入するというふうにされておりますが、これは具体的にどの時点、いつの時点を基準年として税収中立だということで制度を組み立てていくのか、それから、あるいはどの期間の税収規模を前提にするのかといったような、制度を組み立てる際の前提がまだ明確にされていないという状況にあることは御承知のとおりだと思います。
したがいまして、政府においても全国ベースでの試算を公表しておりませんし、私どもは極めて概算で収入見込み額の算出などは検討はしておりますけれども、今申しましたように前提条件のセットの仕方によっていろいろと数字が動くわけでありますので、今申し上げました、そもそも外形基準を何にとるのかということ自体も、四類型に分かれていて、なおかつその詳細が決まってない、あるいは税率がどうなるのか、それから税収規模がどうなるかといったようなことが確定していない段階でございますので、具体的な数値をお示しすることは、私としたら、今の段階では避けた方がよいし、困難。正式にお示しするということは困難な状態だと、申しわけありませんが、言わざるを得ない状態だというふうに思っております。
ただ、今後におきましては、国などにおける議論、当然、慎重に見詰めて、見きわめてまいりまして、また、私どもとしても、本県独自の検討を当然精査をしてまいりますから、そういうことも踏まえる中で、改めて関係方面に向けて意見を言うなり主張するなり、また、皆さん方の御意見を聞きながら、私どもとしてのとるべき態度ということを検討させていただきたいというふうに思っているところでございます。
20: ◯三十四番(
原田信夫君) ただいま、総務部長の方から質問に対する答弁がなされたように、私はほぼそういう答弁で納得をいたしております。その意味で、再質問ということではなくて、要望をですね、一、二点申し上げておきたいというふうに思っております。
一つは、外形標準課税の関係については、やっぱりきちっといろんな試算をですね、難しい条件というのはよくわかるし、大変だろうと思うけれども、そこそこそういう試算などをですね、しっかり行っていきながら、議会もリードをしていってもらわないと、何をもとに議論をしていっていいかよくわからない。特に、新聞やテレビなどではどうしても上滑りな議論になりがちでございますから、その辺のリードについてきちっとお願いをしたいなということが第一点であります。
それから二つ目は、税収等に関し、あるいは財政に対して、すべからく厳しい視点に立って考えておられるということで、これはある面で当然だというふうに思っておりますし、安心もしたわけでございます。少々のいろんなことがあってもですね、絶対この財政問題については手を緩めるべきではないし、もう一つは、いろいろな景気変動だとかそういう諸条件というのはいつ何どきいい方に変わるかもしれませんし、逆に悪い方に変わるかもしれない。いい方に変わるのはまだいい。しかし、悪い方に変わった場合にはですね、これは大変なことだ。だから、私は、財政当局含めて、議会もそうでございますけれども、全員がこの種の見通しに対して厳しい場合には柔軟な対応を、これから懐に幾つもそういう手法を持ちながら対応することを考えていただきたいということを要請いたしまして、要望いたしまして、私の質問を終わります。
21: ◯議長(
神戸昭治君) 進行いたします。
田中孝博君。
22: ◯五十番(田中孝博君) 第一款第七項自動車税、第十一項自動車取得税についてお聞きいたします。
平成十一年度税制改正において、景気に最大限配慮して、個人所得課税及び法人課税の恒久的な減税や住宅ローン減税など実施を含め、国、地方合わせ九兆円を超える過去最大規模の減税を実施され、これは皆さん御承知のとおりでございます。
経済においては、各般の政策効果もあり、実質経済成長率が十一年度上半期に前期比一・二%のプラス成長率となり、最悪期を脱し、緩やかながらも回復に向かっておりますが、依然として個人消費や設備投資など民間需要の回復力はまだ弱く、経済が自律的な回復軌道に乗ったと言える状況には至っておりません。公的需要から民間需要へ、本格的な景気回復を目指し、景気に配慮した政策が今もなお求められており、国、地方の将来の発展基盤を確立し、構造改革についても取り組まなければならない最近の状況であります。
財政の状況としても、自主財源である地方税は、地方の歳入の全体の約四〇%を占め、国庫支出金、地方交付税などの依存財源が大きな役割を占めており、平成六年度以降財政は多額の財源不足が続き、地方交付税特別会計において資金の借り入れ等を行い、必要な交付税総額を確保し、借入金残高は、平成十一年度末で約三十兆円、来年度予算を含めれば三十八兆円に達する見込みでもあります。地方交付税制度による財源保証機能そのものも、国、地方を含め、限界に達していると言わざるを得ません。
本議会におきまして知事からも答弁があったように、地方分権の進展に応じ、地方公共団体が自主的、自律的な行財政運営を行い、財政面における自己決定権と自己責任を確立することが重要であり、そのため、愛知県においては歳出規模に応じた税収の確保の観点に立ち課税自主権を確立し、地方税の充実確保を図ることが重要であると考えます。
そこで、まず、自動車税についてお聞きいたします。
自動車税は地方税であり、県民の個人負担課税といたしましては県税収入に対する貢献比率は高く、重要な役割を占めております。十二年度予算計上におきましても千二百二十二億円であり、非常に高い比率であることは言うまでもありません。しかし、この予算の裏腹には、個人負担課税ということで、何らかの理由により県民の未納額が多いということも見逃すわけにはいかないのであります。
十年度現年課税分の未納額は約二十一億円であり、この数字は今議会におきまして外形標準課税の導入の質問に対し、部長答弁の中にもありましたが、愛知県が銀行等に課税した場合の増収差額とほぼ同額になっていることであります。これもまた目をみはることではないかと思うのであります。
地方分権を推進し、さまざまな議論をしている中で、各議員からも、事務事業の効率化、民間感覚の職務体系の導入を指摘されておりますが、この事務の効率化だけを考えれば、現行の徴収方法を改善するべきではないかと思うのであります。四月一日において自動車を所有する者に対し課税をし、五月末までに納入すると言われております。これを二年に一度、いわゆる車検時に前納の一括納入をすることで未納額がなくなるのではないでしょうか。県税事務所におきましても、職員の体制が自動車税未納者の集金業務に追われており、一括納入制度を実施することにより、不効率がなくなるのであります。事務事業の効率化という点では、民間事業に劣らなくなるわけであります。
しかし、問題点もないわけではありません。徴収方法は、地方税法第百四十八条、百四十九条で定められており、改正しなくてはならないことであります。国に対して法改正を働きかけをしなくてはなりません。いかがでありましょう。また、車検時において完全納入制度を行えば、所有者に対して車検の実施を確認すると同時に、車両所有の確認もでき、車が手放されていることが確認できれば、所有者責任で明確化することができます。すなわち、車両の無謀放置がなくなるということであります。今、社会的な問題となっておる放置車両がなくなるということにつながると思うのであります。
自動車税の性格は、個別財産税的とも言われており、所有者責任を明確化しなくてはなりません。東京都におきましても、この自動車税につきましてさまざまな議論が繰り返されたと聞いております。地方税であります自動車税のあり方、運用の仕方について地方独特の運用をしていくことが、新しい時代を迎える真の地方分権につながるのではないかと思うのであります。
しかし、一括納入を運用すれば、問題点もないわけではありません。一括納入することで県民に負担が多くなるわけでありまして、この点についても考えなくてはならないことであると思うのであります。
フランスにおきましては、車齢、いわゆる車の年齢と馬力に応じ課税をし、自動車税を財産税と位置づけ、古い車ほど税は軽減化されており、減価償却的な考え方で運用されております。
次に、ドイツにおきましても、自動車課税は無鉛ガソリンや低公害車に対し差別課税の運用や触媒装置の取りつけを促進するための税控除の特徴があり、低公害化については触媒装置が一番合理的であり、排出ガスの低減率も高く、触媒装置と無鉛ガソリンの両方において環境に対する効率を上げております。また、課税免除の期間も設置し、低燃費車ほど優遇されております。
このように、フランス、ドイツのように税の軽減化をすることにより一括納入制度は可能と考えますが、いかがでありましょう。
次に、自動車取得税についてお尋ねいたします。
取得税は自動車税と違い、購入時に一括納入をされております。課税目的が道路破損負担に対しての課税であり、税の運用は、道路の改修、維持管理、建設に運用されております。愛知県自動車取得税収入の六六・五%は市町村へ交付金として道路事業に充当しております。しかし、自動車取得税が目的税であれば、役割を幅広く考えなければならない時期に来ているのではないかと思うのであります。それは、いわゆる環境対策でありましょう。東京都におきましても、一昨年から昨年にかけて、自動車税と環境に対してさまざまな議論がされたということで、環境対策減税として、愛知県におきましては、ハイブリッド自動車の軽減措置を行っていることは皆様御承知のとおりであります。
今、国におきましても、ハイブリッド自動車に係る自動車取得税の減税は時限措置であるため、延長することが検討されておりますが、愛知県におきましてさらにハイブリッド自動車の期限延長を行うのか、確認をさせていただきます。
自動車取得税は目的税であるため、道路破損目的のみならず、環境破損、大気破損目的に税の運用を定めることにより、さらなる県民の理解と協力が得られるのではないかと思うのであります。東京都におきまして環境と税制について議論されましたように、時代の変化に伴い、自動車取得税の使途に環境という観点を取り入れ、県民に対してさらなる課税を行わないため、県民の理解を得られると考えますが、いかがでありましょうか。
真の地方分権を推進し、地方から国を変えていく姿勢と真に県民生活を考え、積極的に運用することが、環境時代と言われる二十一世紀に取り組むときであると考えます。知事並びに環境部長に対しまして、自立と自己責任を持って行う答弁をお願いいたします。
23:
◯総務部長(
御園慎一郎君) まず、自動車税でございますけれども、現行の地方税法上、年税額で定められているわけで、毎年一回の納税でございます。で、車検時に一括徴収する制度に改正すれば、さまざまなメリットが出てくるということは御指摘のとおりだというふうに私も思います。
ただ、車検時徴収制度とした場合には、自動車重量税あるいは自賠責保険料などを加えますと、これも御指摘あったところですが、車検時の負担が著しくふえてしまうということがございまして、納税者の負担の面での理解が得られるかという、税制を仕組む際に一番考えなければいけない問題に当たってしまうというようなことも考えられますので、やはり私どもとすれば、これは国、地方を通じた税制度を総合的に見直す中で検討をされるべき課題ではないかというふうに思っているところでございます。
それから、納税者の負担がふえるということで、フランスやドイツの例での御指摘をいただきました。確かに、低公害車だとか低燃費車の自動車税の軽減をすれば、一括納税の問題について環境整備ができてくるだろうということ、これも一つの論だというふうに思いますけれども、ただ、これはすべての納税者に適用されることにはならないという問題があろうかと思いますし、また、当たり前のことですけれども、現行法上、自動車税一台につき幾らという定額で定められていますが、これは新車も中古車も同じ値段になっております。自動車の減耗の度合いによって減額されるということではないわけでありますが、税の理屈を申し上げますと、自動車税は単なる財産課税じゃなくて、道路損傷負担金的な性格もあわせ持っているというようなことからこういう仕組みになっているというようなことでございまして、そういうことを考えますと、御提案いただきましたが、一括納税制度の問題、先ほどと繰り返しになりますけれども、税制度の根幹にかかわる問題というふうに、私どもとしては把握せざるを得ない状況でございますので、やはりトータルとしての慎重な議論が必要ではないかというスタンスをとらざるを得ないところでございます。
それから、ハイブリッドの自動車取得税の税率の軽減措置ですが、これは御指摘のように適用期限を一年延長することを内容とした地方税法の改正法案、今、国会に出しております。この改正法案が成立して交付されましたならば、平成十二年四月一日からの施行に間に合うように、早急に県税条例の手当てをして、軽減措置が継続されるようにしていきたいというふうに考えております。
それから、今、自動車取得税を道路費用として充当しているわけですが、これを環境対策として幅広く活用できないかということでございますけれども、御指摘のとおり、自動車は多くの利便をもたらしますが、一方で大気の環境に対しては負荷を与えるという面があるわけであります。で、そのために生ずる社会的な費用は汚染者が負担するという点から、環境負荷の原因者に負担を求めていくという制度の構築も一つの検討課題であるわけでありますが、今、御承知のように国などにおいて環境関連税制について、国、地方の環境施策全体を視野に入れた、いわゆるグリーン税制を含めた幅広い検討がなされておりますので、私どももそういった議論を見守ってまいる中で、今の御指摘の御意見も十分頭の中に置いて、今後の対応をしていきたいというふうに考えております。
24: ◯五十番(田中孝博君) 御答弁いただきましたが、まさにそれは私も勉強した範囲で承知をしております。
昨日ですね、知事の方にこれぜひお願いしたいわけでございますけれども、自治省の方が大蔵省の方から、地方が独自でやる法律等に改正をすることを、法律を決しなさいというようなことがありまして、しかし、自治省の方はやはり地方の方をよく知っておりまして、地方税法の改正を見送ったという報道がなされております。これはやはり、地方分権を推進するという立場の中で、地方をよく知っている自治省の見解だというふうに理解するわけでございますが、やはりそういう法律も流れても、地方がそれを受け入れる体制をきちっととっていなくてはいけない。
そして今、私が自動車税と自動車取得税にお聞きしましたけれども、地方税の中の運用は、今までの、昭和二十五年、二十八年にいろいろ定められた法律の運用でありますが、目的が、使途目的税についても、今お話があったグリーン課税ですか、ありますが、いろんな場面でその環境というものは出るわけでございますけれども、しかし、やはり真に知事がリーダーシップを発揮することによって、愛知県独自の税を確立して、そして県民に理解を得られるリーダーシップ的な役割をぜひとも行っていただきたいと思うのであります。
きょうの新聞にも書いてありました、宮城県知事、三重県知事、東京都知事、今話題の知事になっておりますけれども、今議会でも知事のリーダーシップを求める意見がさまざまあったわけでございますけれども、再三言いますけれども、リーダーは早い時期に判断して、間違いない判断をして、そし検討して実行していく。そして県民を統率していく。そして新しい時代に納得ができる、安心して暮らせる本当の税制を確立をしていくべきだと思いますので、よろしくお願いいたしまして、御要望にかえさせていただきます。
25: ◯議長(
神戸昭治君) 次に、第一号議案平成十二年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中、歳出第一款議会費から第五款環境費までの質問を許します。
通告により質問を許可いたします。
福田績君。
26: ◯二十四番(福田績君) 歳出第三款企画振興費第一項企画振興総務費に関連をいたしましてお尋ねをいたします。
東部丘陵線につきましては、地下鉄東山線藤ケ丘駅と愛知環状鉄道八草駅を結ぶものでありますが、この路線は、愛知県が目指しております創造的な産業技術の中枢圏域づくりのために整備を推進いたしますあいち学術研究開発ゾーンの中核地区である名古屋東部丘陵地域の基盤となります交通機関として不可欠であります。地下鉄東山線と愛知環状鉄道を結ぶことによる当地域の鉄軌道系の交通ネットワークの形成のためにも、ぜひとも必要な路線であります。また、慢性的に交通渋滞が発生するこの地域の幹線道路、とりわけ県道力石名古屋線──通称猿投グリーンロードでありますが──の渋滞緩和にも大きく寄与するものであり、さらには、この地域において開催をされます国際博覧会の会場アクセスとしても大いに期待され、ひいては、この沿線地域の街づくりを推進する観点からも、早期に開業されることを強く希望するものであります。
こうした中、東部丘陵線の経営主体であります愛知高速交通株式会社が去る二月七日に設立をされ、いよいよ開業に向け具体的に動き出したものと考えております。この会社には、神田知事がみずから社長に、また、加藤長久手町長が副社長に就任されるなど、この事業にかける意気込みのほどが感じられ、本当に頼もしく思っておりますとともに、二〇〇五年の開業に向けて着実に事業が推進するよう期待するものであります。
また、事業化に向けまして、現在、環境アセスの方法書も縦覧されて、いよいよ都市計画、環境アセスの行政手続に向けて一歩を踏み出したというところであると考えております。
そこで、今後、東部丘陵線の事業がどのように進捗していくのか、軌道法の特許、都市計画、環境アセスの行政手続がどのようなスケジュールで行われていくのか、お伺いをしたいと思います。
次に、去る二月十六日、長久手町文化の家におきまして、東部丘陵線の計画概要及び環境影響評価方法書に係る概要説明会が開催をされました。この説明会は、東部丘陵線の概略ルート、駅の位置、導入機種などの計画が初めて地元住民に示された機会でありました。
このときの住民の方々の意見といたしましては、親が車で送り迎えしなくても子供同士で青少年公園へ行けるようになるので早くつくってほしい、HSSTの車体の色やデザインを沿線の風景にマッチしたものにしてほしいなどといったもののほか、事業の採算性や、東部丘陵線が道路上に建設されることにより現在の道路交通に支障が生ずるのではないかといったことを心配する意見などもありました。
中でも、地元の一番の不安は、電磁波についてではないかと思います。
導入機種であるHSST、機種としての公式の名称は、磁気浮上式システムというのだそうでありますが、これは電磁石が吸引したり反発したりする力により浮上し推進するものと聞いております。その際に多量の電磁波が発生し、身体に悪い影響を及ぼすのではないかという声も耳にいたします。実際に乗車をされる利用者のみならず、沿線の方々も不安な気持ちでおられるのではないかと思います。また、この沿線には病院等医療機関の多い地域でもあり、影響が心配されるところであります。
次に、このHSSTは浮上して走行するということでありますので、電力を大量に消費するのではないかという心配もあるようであります。
これらのことから、どうして東部丘陵線の導入機種としてHSSTが選ばれたのか。電磁波の人体への影響については心配はないのか。また、消費電力については他の候補となった機種と比べて大きくはないのかお尋ねをして、終わります。
27: ◯企画部長(柳田昇二君) まず、東部丘陵線の今後のスケジュールについてでございます。
ただいまお話にございましたとおり、本日の、この三月七日まで環境影響評価方法書を縦覧いたしているところでございます。そして、この三月二十一日まで方法書に対する皆様方の御意見を受け付けております。その後、この意見を参考に、環境影響評価準備書を作成いたしますとともに、都市計画案を作成してまいることとなります。
その後、都市計画の手続に合わせまして、軌道法に基づく特許の手続を進めてまいりたいと考えておりまして、平成十三年度を目標に、都市計画の決定、軌道法の特許取得へと進めてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、大変厳しいスケジュールでありますけれども、博覧会の開催に間に合うよう、二〇〇五年の開業を目標に、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
次に、導入機種であります磁気浮上式システム(HSST)についてでございます。
機種の選定につきましては、昨年、各方面の専門家から成ります東部丘陵線導入機種選定委員会におきまして、新交通システム、それから跨座式モノレール、そしてこの磁気浮上式システムの三機種についてさまざまな角度から検討されまして、東部丘陵線に導入する機種としてはこの磁気浮上式システムが最も適当であると提言を受けたものであります。そして、経営主体であります愛知高速交通株式会社の発起人会において機種が決定されるに至ったものであります。
選定の理由といたしましては、勾配のきついこの東部丘陵地域におきまして、加速性に非常にすぐれていること、それからまた、最先端の技術を採用していることから先進性にすぐれておりまして、あいち学術研究開発ゾーンの中心となる地域のコンセプトにも合っているということ、それから、騒音や振動が極めて少なく、環境に優しい乗り物であることなどでありました。
次に、電磁波についてでありますが、ただいま申し上げました導入機種選定委員会におきましても検討が加えられましたが、磁気浮上式システムから出る電磁波の量は、名古屋市南区にございますHSSTの大江実験線で測定した結果によりますれば、一メートル離れたところで交流磁界──これは推進あるいはブレーキ、制動に使うわけですが、交流磁界が〇・〇四七ガウス、直流磁界──これは浮上の方に使うわけですが、これが二・五八ガウスであります。この値は、WHO等のガイドラインをはるかに大きく下回っておりまして、各家庭で使われております掃除機や電気毛布等の家電製品と同程度でございまして、人体等への影響は全く心配ないと考えております。
いずれにいたしましても、環境影響評価項目の中で、電磁場として取り扱うことにいたしております。
それから、消費電力についてでありますが、御指摘のとおり、磁気浮上式システムは他の機種と比べますと電力は多く必要といたすわけでございますが、磁気浮上式システムがレールと直接接触しないで走行いたしますため、レールが摩耗するというようなことは全くなく、線路の維持あるいは補修にかかる費用が少ないわけでございまして、経費全体で比較いたしますと、他の機種とほぼ同程度となっております。
以上でございます。
28: ◯二十四番(福田績君) 御答弁ありがとうございました。電磁波については安心をいたしました。
そこでひとつ、一点だけ要望させていただきますが、さきの説明会以後、沿線の皆様が、用地がどのようにかかってくるのか、自分の家がどのようにかかるのか等々で不安を抱いておられる方があります。そういった面で、そういった委細の計画を早くつくっていただいて、それぞれの地権者にお示しをいただくようにお願いをして、質問を終わります。ありがとうございました。
29: ◯議長(
神戸昭治君) 進行いたします。
鈴木孝昌君。
30: ◯二十五番(鈴木孝昌君) 私は、通告がしてございます第三款第一項企画振興費のうち、愛知県地方計画推進計画並びに豊川水源基金の二つについてお尋ねをいたします。
「愛知二〇一〇計画」は平成十年三月に策定され、二〇一〇年を目標とした、新世紀における愛知の地域づくりの基本指針となる計画であります。策定当時は、バブル崩壊から始まった長期の景気低迷期に入り、楽観を許さない経済状況の中で、新世紀の夢を描くという厳しい状況であったと推測をいたします。
計画の中の、計画推進の基本姿勢についても、財政運営については、今後もより一層厳しい状況が見込まれることから、歳出全般にわたり、最小の経費で最大の効果を得るという基本に立ち返り、一層徹底した見直し、合理化を図る一方で、中・長期的、総合的な見地から財政運営を行うとしています。また、総合的な施策運営については、できる限り組織相互間の横断的な調整を行うとともに、先導的施策の企画立案や政策課題研究など、全庁的かつ総合的な観点から実施することが適当と考えられる課題については、全庁的に連携、共同して調査研究実施するとしています。さらに、計画の的確な進行管理については、当面、三カ年程度の推進方針等を示す短期実施計画を策定し、事業ベースの適切な進行管理を行うとされております。
恐らく計画策定時も将来の厳しさはある程度予測してはいたものの、現状の厳しさは予想をはるかに超えた非常事態であると言えると思います。このような非常事態であるからこそ、より厳しく気持ちを引き締めて施策運営を行わなければならないと考えるものであります。
このような状況を踏まえ、あえて「愛知二〇一〇計画」の実効性に対する認識と、計画を効果的に推進することなどを目的として計上されております地方計画推進費の内容と成果についてお伺いをいたします。
また、同計画の中では、三河港を中心とした国際複合機能ゾーンの整備など、東三河の拠点性を高める方向が打ち出されております。もちろん、県の置かれた状況を考えれば、愛知万博、中部国際空港などのビッグプロジェクトを何が何でも成功させなければならないことは一定理解をいたしております。しかしながら、その上で東三河地域の現実を考えれば、東三河縦貫道路を初めとする幹線道路網の整備のおくれ、三河総合保健センターや保育大学校の廃止など、地域の振興とは逆の方向に進んでいるような感を受けるのであります。
このような状況を踏まえ、地方計画の推進の中で東三河の拠点性を高めるために、今後県は何をしていこうとされておるのか、お考えをお聞かせください。
次に、豊川水源基金についてお尋ねをいたします。
豊川水系における治水事業は江戸時代から始まり、吉田藩の町を洪水の被害から守るため、豊川流域の各所につくられた霞堤に始まりました。今後においては、豊川上流部に計画されております設楽ダムなどの建設により、流域の安全の一部が確保されることになっております。
一方、利水事業については、その歴史は古く、室町時代に開かれたと言われる松原用水を初め、明治時代につくられた牟呂用水、今日の豊川用水事業は地域の人々に大きな恵みを与えてまいりました。
山と森が生み出す水は、川を経て下流の都市を繁栄させ、豊かな海づくりをも支え、そして再び山への自然界における循環システムによって保たれています。その上に人間の生活圏は成り立ち、あらゆる生き物、生命が共生する流域社会が形成されてまいりました。
しかし、二十世紀の経済と効率至上主義のもとにつくり出された工業化、そして都市化へと繁栄してきた下流文明は、上流を過疎化し、山と森の荒廃を招き、そして川を喪失さえもし、先人と自然界がはぐくんできた貴重な山村文化をも消そうとしております。運命共同体であったはずの流域社会に光と影をつくってしまいました。
こうした状況の中で、豊川水系における治水と水資源の確保が改めて重要な課題となっており、県を初めとした行政サイドからの努力がなされております。また、これら現行制度を補完するためにも、上下流地域が連帯して、治山、治水あるいは水資源の涵養に重要な機能を果たしている森林の保全並びに水源開発に伴う影響緩和のための措置を継続的に講じていくことが必要であり、そのために、財団法人豊川水源基金を設立をされました。そして今日、水源基金の果たしている役割は大変大きなものがあります。
その一方、愛知県は徹底した行政改革の一環として、課の統廃合による大規模な機構改革を実施しようとしているわけでありますが、東三河にとって水問題の解決は喫緊の課題であり、今回の改革の結果により、当地域での水行政の後退があってはならないと考えております。
こうした点に立って、愛知県政における東三河の水問題の位置づけについて再度確認するとともに、そうした考え方を今回機構改革にどのように反映をされたのか、お伺いいたします。
次に、東三河の水行政の推進に当たっては、豊川水系対策局と並び、水源林対策事業や水源地の振興事業を通じ、上下流のパイプ役を担ってきた豊川水源基金の果たしてきた役割は大きいものがあります。しかしながら、昨今の低金利の中で、果実による事業展開が難しくなっております。本来の基金としてのあるべき役割が果たせなくなってきているのも、現在の利回りはどうなっておるのか、お聞かせをください。
一方、東三河上流域の森林荒廃が進む中で、水源対策事業の強化は急務であり、また、設楽ダム建設の推進については、水特法でカバーできない部分への対応について、多く役割を期待されておる存在であります。
以上の観点から、組織創立二十周年を経た豊川水源基金の果たすべき役割を、発足の経緯に立ち戻り再確認するとともに、今後の東三河の水需要に対して、組織の強化等考え方があればお伺いをいたします。
次に、東三河では、流域をフィールドとして、NPO団体を中心に、民間諸団体や行政までも巻き込んで、二〇〇〇年代初頭を目標に、いわゆる森林博を開催しようと検討が進められようとしております。一方、豊川下流域からは、万博を念頭に置いた港と海のイベントの考え方も折に触れて示されており、両者が一致すれば、まさに豊川を軸に流域が一体となって実施する山と海の一大イベントに発展する可能性も含んでおります。
東三河の水問題は、一方においては上下流による一体化が課題であることは言うまでもなく、こうした点からは、今回のような広域の試みは愛知県としても大いにその醸成を図るべきと考えますが、今後における県のサポートの考え方についてお伺いをしたいと思います。
次に、水源基金の水源林対策事業については、林務行政とのかかわりは大変大きく、治山、治水のバランスを考えるとき、国土保全としての治山事業の重要性は十分認識をいたしておりますが、例えば、除伐、間伐をより積極的に行い、太陽光が適度に差し込む空間をつくることによって、草などが生えることによって雨を吸収することができ、水の涵養につながる治水の事業に今後多少多目にシフトを傾斜することも必要と考えますが、お考えをお聞かせください。
以上、私の一問目とさせていただきます。
31: ◯企画部長(柳田昇二君) まず、「愛知二〇一〇計画」に関する御質問であります。
この計画は、少子・高齢化の進展、あるいは経済のグローバル化、地球環境問題の顕在化など、社会経済の変化あるいは大きな時代の変化を踏まえまして、二〇一〇年までの愛知県の長期的かつ基本的な方向につきまして、地域の知恵を結集して策定いたしたものであります。
現在は、御指摘のありました厳しい財政状況のほか、福祉を初めとする各種制度の改革など大きな変化の中にございますので、地方計画の推進に当たりましては、まずは、現状を把握、分析し、地域社会の課題をしっかりと見きわめた上で今後の対応方向を明らかにしますとともに、新しい施策展開の芽を育てていくことが重要と考えております。
このため、今年度は地域づくりの課題等の把握、分析を行います地域づくり白書の取りまとめを行っているところであります。さらに、来年度、十二年度はこの白書などを活用しながら、基本的な政策課題について、有識者の参画を得て、中・長期的な観点から総合的に点検を行ってまいりたいと考えております。
また、計画の地域レベルでの着実な推進を図るため、県内九地区におきまして各市町村長さんの参加をいただきまして地方計画推進懇談会を設置しておりまして、十二年度も引き続き開催し、地域レベルでの計画の進行状況、課題の把握に努めることといたしております。
次に、「愛知二〇一〇計画」の推進を図る中で、東三河の拠点性をどのように高めていくかというお尋ねであります。
東三河地域につきましては、豊橋駅前拠点地区や豊橋のサイエンスコア周辺での産業業務拠点地区を初めとしまして、豊川、蒲郡、新城など七つの拠点地区の整備を大きな柱といたします東三河地方拠点都市地域の整備や、静岡、長野の両県との連携による三遠南信地域の一体的な整備など、従来から進めてきている取り組みをまずはしっかりと進めていく必要があると考えております。
そして、こうした取り組みとあわせまして、「愛知二〇一〇計画」で打ち出されました三河港を中心とした国際複合機能ゾーンの構想などにつきましても、地元市町村や経済界が進めておられます国際自動車コンプレックス構想の状況を踏まえまして、地元の御意見等もよくお聞きしながら、今後、その内容を十分に検討し、「愛知二〇一〇計画」の推進を図ってまいりたいと考えております。
次に、東三河の水問題の位置づけについてであります。
御案内のように、豊川水系では、ここ二、三年は幸い降雨に恵まれておりますが、最近の二十六年間で申しますと、実に二十三年もの間節水を余儀なくされておりますように、極めて水需給の逼迫している地域であります。したがいまして、東三河の水問題は将来の地域づくりを進める上から大変重要な課題として、水資源の確保に取り組んでいるところであります。
これまでも、豊川用水を完成させ、また、大島ダムを含みます豊川総合用水事業の着手など、水資源開発に努めているところであります。特に、設楽ダムにつきましては、万博や空港と並ぶ本県の大変重要なプロジェクトであると認識いたしております。
こうしたことから、今後、県といたしましては、水没される方々など関係される方々へのきめ細かな生活再建対策、あるいは設楽町の地域振興策などにつきまして、国や下流市町村と一体となりまして、連携して対応しまして、設楽ダムの推進に努めていかなければならないと考えております。
次に、第三次行革との関係であります。
豊川水系におきます水対策の総合推進を図るため、昭和五十四年に豊川水系対策本部を設けまして、その現地即応体制としまして、豊川水系対策局を東三河の総合庁舎内に設けました。そして、寒狭川導水路の着工、大島ダムの着工、設楽ダムの現地立入調査等の進展を見ておりまして、発足当時は六人の職員でありましたが、順次増員されまして、現在は九人体制でやっております。
今回の第三次行革が進められる中で、設楽ダムの重要性あるいは緊急性が御理解いただけまして、定数はこれまでと同様の人員で、地元要望事項の把握、情報収集あるいは連絡調整など、現地即応体制によりまして設楽ダム等の早期実現に努めることといたしております。
次に、水源基金であります。
豊川水源基金の利回りは、平成十一年度の果実収入を二千百十六万円と見込んでおりますので、基本財産が八億一千百五万円でありますから、運用利率を推定いたしますと、二・六%ほどになります。
本来、水源林対策事業につきましては、果実と県及び基金構成市町村の負担金を基金の助成財源に充てることとなっておりますが、このような低金利によりまして、財源に充てる果実を生み出すことは難しい状況となっております。このために、平成七年度からは、県と基金構成の市町村の負担金によって事業を推進いたしているところでございます。
一方、ただいま御指摘ありましたように、中山間地域では過疎、高齢化の進展から、森林の荒廃も進んでおりますので、水源林対策の推進も急務であると認識いたしております。今後とも低金利の状況は続くものと予想されまして、県の財政も大変厳しい状況でありますが、構成市町村とも協調しながら、水源林対策事業の果たす役割にかんがみまして、引き続き助成事業が実施できるよう努力してまいりたいと考えております。
それから、今後の組織強化等の考え方のお尋ねでありますが、設楽ダムの進捗状況に合わせまして、事業の推進に支障を来さないよう、県全体の中で必要に応じ努力してまいりたいと考えております。
それから、上下流の交流についてでありますが、こうした交流を促進することは水源基金の重要な役割の一つであると考えております。これまでも、豊川水源基金は水に関するシンポジウムを初めとする流域活動推進事業を実施してきたところであります。今後とも、上下流が一体となりましていろんな事業を開催することによりまして、水を媒介とした交流が一層促進されることになるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、水源基金の水源林対策事業でありますが、この事業は、基金創設以来二十余年にわたり実施されてきておりまして、この間に県内の八市町村の区域で行われ、人工造林、下刈り、間伐等の森林整備や作業路の新設事業に対しまして、また、上流の長野県の七町村の区域で行われます間伐などの森林整備事業に対しまして、両方合計で十億六千百万円余を助成してまいりました。水源林対策事業の本来の目的は、水源地域の森林の水源涵養機能を維持、増大させることでありまして、特に、除伐や間伐といった森林整備事業に助成してまいりますことは、山の保水力を増しまして、豊川流域の治水効果を増大させることにつながるものと考えております。
したがいまして、県といたしましては、この水源林対策事業の果たす役割の重要性を十分認識した上で、事業の円滑な推進のために、市町村とも十分に連携をとりながら、引き続き努力してまいる考えであります。
以上でございます。
32: ◯知事(
神田真秋君) 東三河の地域におきます大島ダムあるいは設楽ダムなど水資源開発は、この地方につきましては欠くことのできない事業でありまして、愛知県としても最重要の事業だと認識いたしております。
おかげさまで、鳳来町の大島ダムにつきましては、コンクリートの打設が終わりまして、本年秋ごろには試験湛水が開始されると伺っております。また、設楽ダムにつきましては、現在、調査の段階ということでありまして、水没される方々を初め、関係の方々の生活再建対策あるいは設楽町の地域振興策につきまして、誠意を持って対応し、水源地の皆様方の御理解のもとに、設楽ダムの一日も早い完成が図られるよう、取り組んでまいりたいと考えております。
33: ◯二十五番(鈴木孝昌君) それぞれ御答弁をいただきました。
一、二要望をしたいと思いますが、今、地方計画の部分で、九地区の市町村長の意見を聞く会だとか、そういうようなブロック性を求めた中で意見聴取をしていくというようなお答えでございました。
本来、構想があって、推進、実施計画が伴っていくのが、私は、県民に最もわかりやすい姿としてのありようだというふうに思っておるわけでございまして、そして、私ども議会にいたしましても、そうした実施計画がないということになりますと、その都度、単年度単年度の予算に計上されて初めて私どもにもわかってくるということにもつながるわけでございまして、そうしたことを考えますと、やはりまたこの計画の基本の中にも、開かれた県政を推進するため、さまざまな情報や取り組みをわかりやすい形で提供するということもあえてうたってございます。
そうしたことを十分にお考えの上、今後、速やかに推進ができていくような努力をなお一層図っていただきますことを期待をするものでございます。要望とさせていただきます。
そして、水源基金の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、間伐、除伐、そして治水、治山の部分でございますが、御承知のように、山の方へ行きますと、所によりましては大変赤土が多く、草もなかなか生えない状況のところもたくさんございます。そして、それは光が入らない、間伐、除伐が行き届いてないということでございまして、雨が、一たん水が降りますと、それが泥水として多く流れ込んでくる。そのためにまた治山をやらなきゃならないというようなことの危険性もあるわけでございまして、そういうことを考えますと、ぜひとも間伐、除伐を積極的に進めていただきまして、そして、そこに光が入り、草が生えることによりまして、先ほど申し上げましたけど、水の涵養にもつながり、そして、ひいては治山にもつながっていくというふうに信じておりますので、こういうことを積極的にやっていただきますことを要望させていただきまして、私の質問を終わらさせていただきます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
34: ◯五番(吉川伸二君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
[「賛成」と呼ぶ者あり]
35: ◯議長(
神戸昭治君) 吉川伸二君の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり]
36: ◯議長(
神戸昭治君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時五十七分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後一時十一分開議
37: ◯副議長(柴田紘一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
榊原康正君。
38: ◯三十五番(榊原康正君) 第三款企画振興費第一項企画振興総務費について質問いたします。
名古屋鉄道赤字鉄道路線の廃止問題についてであります。
三月三日の中日新聞報道によれば、名古屋鉄道は、愛知、岐阜両県内の赤字鉄道路線六線区について、ことし九月末までに廃止を運輸大臣に届け出る方針を決めたとして、その対象となる路線を岐阜県内では四線区、愛知県内で三河線の猿投―西中金八・六キロ及び碧南―吉良吉田十六・四キロの二線区を決定したとあります。名鉄は、この六線区を一九九八年十一月に不採算路線として廃止する方針を表明していました。いずれの路線も輸送密度が二千人未満の過疎路線で、赤字経営が続いているということが主たる理由であります。
この表明に驚いた碧南―吉良吉田沿線の二市二町の首長を初めとした各界代表は、一九九九年一月十二日、名古屋鉄道箕浦宗吉社長あてに、同区間の存続を要望する形で名古屋鉄道側の再考を促す要望書を提出しました。その要望書によれば、三河線は衣浦、西尾、幡豆地区を結ぶ唯一の鉄道で、利用者の大半は通勤通学の定期客が占め、廃止されると影響が大きい。高齢者、高校生などの交通弱者に不便が生じないよう維持存続に努力をと求めています。
これを受け、当時の交通事業本部長の木村操専務・現社長は、公共交通機関の役割として、ただ廃止とはいかない。バス転換を含めて存続策を地元と一緒に協議したいと答えています。
そして、一九九九年五月二十一日、名古屋鉄道交通事業本部長木村操専務は、沿線二市二町である西尾市、碧南市、一色町、吉良町の首長に三河線(碧南―吉良吉田)の対応について協議の場を持ちたいと働きかけて、その後、四回の協議がなされました。
この協議の場では、利用者増進と活性化について活発に協議されましたが、もし廃止になった場合の問題点として、沿線には県立高校もあり、自家用車を利用できない学生の通学、通勤の交通手段がなくなる。西尾市内では鉄道高架事業が完成したところである──この高架事業は地元の強い要望もあり、二十一億円余りを費やして一九九八年十一月に供用開始がされたところであります。三河鉄道大浜港(現碧南)から吉良吉田間は、大正十五年九月一日開通と古く、歴史があり、沿線住民にとって日常生活に溶け込んでいる等が取り上げられましたが、名古屋鉄道側としては、既にぎりぎりの合理化を続けているところで、これ以上の経営努力は困難であるというのが本音であります。
このように名古屋鉄道が赤字路線廃止の方針を打ち出した背景には、三月一日に施行された鉄道事業法の一部改正で、事業の退出について現行の許可制を改めて、原則一年前の事前届け出とするに変わり、鉄道事業者は運輸大臣へ廃止届けから一年で廃止することが可能になったこともあると考えられます。このように規制緩和が進展すれば、こうした問題が今後ますます発生してきます。
先般の一般質問にもあったように、東京、大阪と比較して、愛知県の場合は鉄道が交通機関として占める割合は非常に低いわけであります。環境問題、高齢社会への対応といったことも念頭に入れ、公共交通機関の充実は重要な課題だと思います。
そこでお伺いをします。一、三河線の利用実態について、二、三河線の二線区廃止問題について県はどう考えるか、この二点をお伺いをして質問を終わります。
39: ◯企画部長(柳田昇二君) 名鉄三河線の二線区の利用実態につきましては、名鉄の資料によりますと、平成五年度と平成十年度、この五年間の比較では、二線区とも年々減少いたしておりまして、一日当たりの平均的な利用状況を示す指標であります輸送密度で申しますと、碧南―吉良吉田間は千四百三十七人から千百十三人、二二・五%の減少、猿投―西中金間は千四十六人から七百六十人へ二七・三%の減少となっております。
この三河線二線区の廃止問題につきましては、地元自治体は名鉄による鉄道運営の継続を要望いたしておりまして、本県といたしましても、住民の足の確保という観点から、慎重に対処していただきたい旨を名鉄に申し入れております。しかしながら、先ほど申しましたように利用者数は年々減少しておりまして、利用者数の絶対数も極めて低い水準にあることなどから、大変厳しい経営状況にあることも事実でございます。
この三河線の二線区の廃止問題につきまして、本県といたしましては、今後の需要動向や地域づくりの方向性などを総合的に勘案しまして、地元自治体とも連絡をとりながら対応策を探ってまいりたいと考えております。
40: ◯知事(
神田真秋君) 鉄道三河線の二線区の廃止問題についてお答えを申し上げます。
規制緩和がさまざま言われておりますけれども、こうした負の、マイナスの面も現実には避け得ない状況になっております。
今議会、バス路線のお話などもありましたけれども、住民の皆様方の足の確保という点では大変重要な課題になっております。できるだけ地域の皆様方に、せっかくある公共交通機関でありますので、少しでも機会を見つけ御利用いただくことが、まず第一に必要なことでありますけれども、しかし、いずれにいたしましても、撤退問題は大変なことであります。現在、名鉄当局とそして地元自治体とが、さまざま協議、話し合いがなされていると聞いておりまして、愛知県としても、こういう場に参加することによって、住民の皆様方の足を確保するという立場でいろいろ協議に応じていきたいと思っております。
41: ◯副議長(柴田紘一君) 進行いたします。
伊藤忠彦君。
42: ◯四番(伊藤忠彦君) 私は、通告に従いまして、第四款県民生活費のうち、第一項県民生活総務費の中の国際交流費について質問をさせていただきます。
十一月の議会の一般質問でもさせていただきましたけれども、これからの二十一世紀は移動の時代と私は認識いたしております。IT革命の結果、情報の流れは想像を絶するほどの広さで激しい動きとなり、それがきっかけで、人、物、金、情報の移動も、本当に質、量ともにふえてまいりました。まさにこれが二十一世紀の経済の血脈となっておりまして、この動きが速いほどに体もしっかり動いてまいることと存じます。
事実、海外に出国する県民の数は年間約百万人でありまして、十年前の四倍になっております。また、名古屋空港の国際線も三十二の都市と結ばれ、海外との距離は大変近くなってきております。加えて、名古屋空港からの外国人の入国数も年々増加をいたしまして、平成十年には二十八万一千百六十二人になっております。また、この地域には、県民の一・八%の十二万四千九百十九人の外国人が居住いたしておりまして、県民が日常的に外国の方々と接する機会は増加をいたしております。
このような状況の中、いよいよ私たちの住む、日本の中では地方と呼ばれるこの地域でも、国際的な都市間競争の中に知らず知らずのうちに入って、独自の地域外交を推進することを求められていることは、多くの方が感じておられるところだと存じます。
特に、二〇〇五年国際博覧会や中部国際空港など国際的なプロジェクトを契機に、海外に向けて顔の見える愛知をPRするとともに、国際交流の意識の高揚や国際化に対応した人材育成に努めるとともに、外国人にとっても住みやすい環境を築いていくことが県政の重要な課題だと、私は考えております。
近年、国際交流は行政や経済界の限られた分野だけでなく、大学や研究機関から一般県民の草の根レベルまで、幅広いチャンネルで、きめ細やかで主体的な国際交流が行われております。愛知県の国際交流は着実に前進をいたしております。
確かに国際交流のきっかけづくりは、さまざまなきっかけがございます。行政の友好提携もその一つの地域外交の大切な形であり、今後ますます多くの世界の地域と友好提携を進めていくことは望まれるわけでありますけれども、県民の草の根の交際交流への関心の高さやその情熱がこの地域の国際交流を促進させていくことも見逃すことはできません。同時に、重要なこの地域のさまざまなレベルの地域交流を側面から支える重要な役割を果たしてきたのは、地方における外国公館の存在ではなかったかと思います。
外国公館が設置されることにより、この地域の情報がタイムリーに、正確にその母国へ伝わるだけでなく、関係諸国からのこの地域に対するリクエストや関心事も直接聞くことが可能となるなど、この地域と関係諸国を有機的に結びつける情報の受発信基地として機能をいたしております。
そこでお尋ねを申します。県としてこの外国公館の役割をどのように認識をしておられるのか、お伺いをいたします。
次に、現在、県内には韓国、ブラジルの総領事館と米国、カナダ、オーストラリアの領事館を初め、昨年八月には、英国通商投資中部事務所が格上げとなり、領事館となりまして、合計六つ領事の事務を行う外国公館があるほか、経済や文化面での交流を行う外国公館並びに県内の経済人の方々が拝命される名誉総領事を置く名誉総領事館が十五ございます。
県としては、国際化の進展に外国公館が大きな役割を果たすと考え、早くから在名の外国公館に対する活動の支援や、新たな外国公館を誘致するため、地元の関係機関と協力し外国公館支援協議会を設置をし、対応してきたところは評価をするところであります。しかし、外国公館の設置は一朝一夕にできることではなく、さまざまなレベルでの国際交流が重なり合って関係国との結びつきが強化され、ようやく実現するものであり、その道のりは時として大変長いものとなります。
先日、在名の領事が新聞紙上におきまして、日本の製造業の拠点で、社会基盤も整い、アクセスもよいこの地域が余り海外に知られていないことを指摘をし、もっと地域の知名度アップをされるべきではないかと提言をされていました。領事の話の中には、二つのことがうかがえます。
この地域の正しい情報を知りたいから、領事館を設置をした。もっと積極的に領事館設置のための情報を海外に提供し、そのことにより、この地域のポテンシャルは世界と共有できる。少しポジティブな私自身の解釈でありますけれども、領事館の設置は世界に開かれた地域づくりの上でも必要不可欠なものであり、特に、当地域に対する直接投資の上でも、情報提供機能や相談窓口機能を有していること、あるいは、その存在は海外の外国企業誘致にも効果があるものであると、私は確信をいたしております。
そのような観点から、外国公館の誘致は、本県の国際化のみならず、地域の活性化の上でも重要な課題であることが言えます。外国公館の誘致につきましては、既に県を中心とした関係機関で行われているところでございますが、何といっても幅広いチャンネルで諸外国に対して情報提供や情報収集を行うなど、地域の総合力を発揮して誘致活動を展開する必要があると考えております。
我が党議員団は、昨年十一月に国際交流推進議員連盟を立ち上げ、近隣諸国から広く世界に向けて、議員による地域外交の推進を進めており、先日もインドの国会議員の方々と意見を交換する機会を得て、国際交流のさらなる発展のためにも、当地に領事館の設置を要請をさせていただいたり、韓国の二〇一〇年の国際博覧会誘致委員会の市議会郡議会議長会の方々とも交流をさせていただくなど、活動を進めてまいりました。その活動の中でお会いした諸外国の方々から、愛知県のポテンシャルを高く評価をしていただくとともに、外国公館の設置には好意的な感触もいただいたところでございます。
今後とも、議員の国際交流を通じて、当県の海外の地方都市との友好提携と、外国公館の誘致に積極的にその役割を担い、活動していきたいと考えておるところでありますが、外国公館誘致は相手国の判断によるものであり、なかなか難しいことはよく理解をいたしておりますが、外国公館の数は、すなわちこの地域の世界の中での評価にもつながるわけでありますから、ぜひともこのことについては主体的に県も進めていただきたいところであります。
県として、今後、海外の地方都市との友好提携活動と外国公館の誘致活動について、愛知県としては世界に大きく窓が開く二〇〇五年に向けてどのように取り組んでいかれるお考えか。また同時に、このような考え方が新年度予算についてどんなふうに反映をされておられるか、お伺いをいたします。
43: ◯参事(佐宗政昭君) 外国公館の役割をどのように認識するかという御質問でございます。
外国公館の役割と重要性は御指摘のとおりでございまして、この地域に外国公館が設置されることによります効果は、直接、間接を問わず、大変大きなものがあると存じます。単に情報の交換が盛んになるだけではなく、それぞれの文化、歴史、伝統などの違いを乗り越えた相互の意思疎通を行うことによりまして、経済はもとより、教育、文化、芸術など幅広い分野で具体的な交流が進み、これまで当地域の国際化を進展させる上で大変大きな役割を果たしてきたと認識をいたしておるところでございます。また、今後ともそうであると考えておるところでございます。
それから、外国公館の誘致についてでございますけれども、従来から、本県と名古屋市、名古屋商工会議所、名古屋港管理組合で構成をいたします外国公館支援協議会を中心にいたしまして、外務省や在日大使館に対しまして、相手国の情報収集や本県の各種情報の提供を行いました。さらに、機会をとらえまして相手国へ公館の設置を要望に出向いたりいたしたところでございます。そういった誘致活動をいたしてきているところでございます。
しかしながら、外国公館の誘致は、相手国の事情あるいは外交政策などもございまして、御指摘のとおり外国公館の誘致は容易なものではございません。
ただいま御紹介をいただきました議員の皆様方の誘致活動につきましては、大変ありがたいお話でございまして、力強く感じているところでございます。外国公館の誘致活動が勢いづくとともに、地元の意向が相手国に伝わるという機会もふえ、そのことによって外国公館の設置の弾みになるものと思っておるところでございます。
県といたしましても、関係団体と一層の連携をとりながら、幅広く新たな外国公館の誘致活動に力を注いでまいりたいと考えておるところでございます。
また、友好提携についてでございますけれども、提携を結ぶに当たりましては、双方にとっての意義あるいは効果、さらには時点時点での国際情勢など慎重に判断してまいらなければならないという点もございます。当面は、本県との交流を希望いたしますケースが出てきた場合、双方が意義があるというふうに合意をいたした事項につきまして、その都度、相互理解を深めるべく協議を行いまして、それを実績を積み上げて適切に対応していくことが大切なことかというふうに考えておるところでございます。よろしくお願い申し上げます。
44: ◯四番(伊藤忠彦君) ただいま、国際交流、国際化に向けて県の姿勢を伺いまして、気分的には大変すばらしいことだなと思うわけでありますが、私は、これからの愛知県が本当に進むべき方向性を考えたときに、その数字であらわれますところの予算につきまして、国際交流費が四億二千七百七十五万六千円でありますけれども、本当にこれが、職員の方々の給与も含めましてのこの数字が妥当な金額であるか否かという点では、もっともっとこれを伸ばしていただきたいと強く思うものであります。
そしてさらに、その使い方が問題となってまいるわけでありますけれども、使い方につきましては、世界を相手にしていく構想力を持っていただきたいと思います。そのことを強く要望をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
45: ◯副議長(柴田紘一君) 進行いたします。
米田展之君。
46: ◯七十番(米田展之君) それでは、第三区分第三款企画振興費第一項企画振興総務費について質問をいたします。
最近は、急激なディジタル社会の進展で、各種のディジタルネットワークに絡む犯罪が急激に増加をしております。
この種の有名な事件として、一九九四年に十六歳の英国の少年が、インターネットを通じてアメリカ空軍の研究施設のコンピューターに百五十回以上も不正侵入をした事件がございます。最近、NHKの番組でも放映をされましたので、ごらんになった方もいらっしゃると思いますが、この少年は追及の手を逃れるために、中継基地として中南米やアジアなどのプロバイダーを何カ所も経由をしながら、この研究施設に不正侵入して、当施設が保有するアメリカ空軍の国家安全保障にかかわる重要機密データを盗み出し、さらには、ここから同研究所と接続していたアメリカ航空宇宙局──NASAでございますが、こういった多数のアメリカ政府機関にも侵入をしていた事件であります。
私はこの番組を見ていて、ディジタル犯罪というのは、現代の情報社会に対して個人がごく簡単な方法で、テロ国家によるテロよりもずっと甚大な影響を与え得る極めて悪質な犯罪だなと、背筋が寒くなったのを覚えております。
このように、他人のパスワードを盗用するなどして外部からコンピューターシステムを操作し不正侵入して、データを盗んだり破壊したりする犯罪は、ハッカーと呼ばれております。このハッカーにターゲットとしてねらわれる企業は、当然ながら、先ほどのアメリカ空軍研究施設のような公的機関の場合もあれば、民間企業の場合もございます。民間企業の場合には、人事管理データとか経営戦略にかかわる金になるような機密データがねらわれるわけです。
また、もう一つ我が国の例を挙げておきますと、この一月末でございましたけれども、科学技術庁や総務庁などの国の機関がインターネット上に開設していたホームページが黒塗りをされて使えなくなった事件が発生しました。この事件は、公的機関のホームページ等の公開情報が書きかえられて使えなくなったという、どっちかというと、いたずらに近い犯罪だと思います。
ところで、犯罪側のハッカーも、今や単なる好奇心の強い個人ではなくて、競争企業がハッカーを得意とする集団に相手企業の情報入手を依頼して行う例もあるようですし、欧米社会などのように情報合戦をインテリジェントゲームのように考える傾向の強い国々では、国家の情報機関を通じてハッカーに精出す国々も当然ながら多いわけであります。
現代の情報社会というのは、情報通信技術の革新を通じて企業間取引コストの削減、あるいはこれによる経済成長の大幅な伸び、こういった数々のメリットがございますけれども、これからも、経済面以外でも、考えられなかったような新しいベネフィットが生まれてくるとは思いますけれども、一方では、私どもにとって随分と緊張を強いられる社会になりそうだなと、こういう印象がいたします。
そこで質問いたします。本県でも、平成八年度からホームページ等を開設し、数多くの情報を県民等に提供しておりますが、不正アクセス等に対してどのような対策を講じているのか、お伺いをいたします。また、LAN、WAN上の安全対策が、どのようになっているのかについてもお伺いをいたします。
それから次に、先般、防衛庁や建設省、郵政省等の国の機関が情報ネットワークを構築した際に、旧オウム真理教のようなテロ集団が経営するプログラム会社に、何次下請になるかは知りませんけれども、外部委託をしていたという事件が報道されておりました。本県では、平成十年度に行政情報通信ネットワークが整備をされて、システムの開発、導入が進められましたが、このシステムの開発、導入に当たって、業者への委託がどのように行われたのか、あわせて質問をいたします。
最後に、私が第五区分の第十款警察費第二項警察活動費として議長に上げておりました議案質疑を、知事部局に対する今の質問と全く同じ内容で、関連質問としてこの場で警察御当局にお伺いをしたいと思います。
以上でございます。
47: ◯参事(渥美栄朗君) ホームページへの不正アクセスに対する対応であります。
本県のホームページにつきましては、知事部局、警察部局、教育委員会の情報を事務管理課のサーバーと呼ばれるコンピューターに一元化して蓄積し、情報を提供いたしております。愛知県の情報を広く、迅速に提供するというホームページの性格から、ハッカーなどに改ざんされることなく、県民の方々に正確な情報を提供することが、信頼性を保持する上で重要なことと考えております。したがいまして、県のホームページが入っているサーバーには、情報を見せるだけのサービスに限定する機器を設置したり、ホームページの書きかえに暗証番号を必要とするなどのセキュリティー対策を講じておりります。
また、LAN、WAN、すなわち愛知県行政情報通信ネットワークは県が独自に構築したものであり、さまざまな情報がやりとりされておりますので、セキュリティーの確保は大変重要であるというふうに考えております。具体的には、関所の役目をしますファイアウォールと呼ばれる機器を導入して情報の流出を防止するほか、システムごとに暗証番号による利用者制限を行うなど、でき得る限りの機密保護措置を講じております。しかしながら、情報通信技術は日々進歩しておりますので、常にセキュリティーに関する情報を収集し、対策を強化してまいりたいというふうに考えております。
次に、ネットワーク構築の外部委託についてであります。
本県では、事務処理に係るシステムの開発等を外部に委託する際には、信頼性の高い業者を選定し、委託契約を行っております。さらに、契約先の業者が一部の業務を別の業者に再委託することを禁じており、やむを得ず委託しなくてはならないような場合でも、書面で協議をすることになっております。このことは、この行政情報通信ネットワークの構築に係るシステムの開発におきましても同様であります。
今後、情報化をより一層推進させることは、システムの開発の外部委託も増加していくものと思われますので、今まで以上に慎重に対応するように注意をしていかなければならないというふうに考えております。
48: ◯警察本部長(古賀光彦君) 警察本部のホームページにつきましては、先ほど御紹介がございましたように知事部局のサーバーコンピューターに登録されているところでありますが、適宜監視を行い、万一に備えておりますが、運用管理、安全対策につきましては、今後とも知事部局と緊密な連携をとりつつ、必要な施策を尽くしてまいりたいと思っております。
次に、県警が運用しております情報管理システムにつきましては、事務の性格上、その安全確保には意を用いているところでございますが、具体的には、回線といたしましては専用回線を用い、回線には、ハード、ソフトの防御装置を施すための措置を図っているところでございます。また、インターネットとも接続しておらず、したがって、ハッカーによる侵入、データの改ざんなどの可能性は極めて低いものと認識をいたしているところでございますが、その万全には引き続き努力を重ねてまいりたいと考えております。
次に、下請受注についてでございますが、システムの構築につきましては、基本的には、県警の職員で行っているところでございます。外部委託をする場合には、発注先の選定につきましては、厳格に審査をしているところでございます。現在までの調査では、オウムの関連会社といったものが関係したという事実がうかがわれるものはございませんでした。
49: ◯七十番(米田展之君) それでは、最後に若干の要望をさせていただきまして終わりたいと思います。
それは、情報ネットワークの構築にいたしましても、ハッカー対策にいたしましても、コンピューター分野のすぐれた人材、特にエンジニアリング能力を持った人材を各執行機関の内部で、そう多くなくてもいいと思いますけれども、確実に育てていっていただきたいということであります。すべては人材に尽きるわけであります。
そうでないと、いろいろトラブルが出てまいります。ハードを含めたトラブルになりますけれども、例えば、情報ネットワークを構築する場合も、当方が達成したい目標に対して適正な品質と適正な価格になっているのかどうかと、こういった面、あるいは将来の構想、将来構想を構築する、情報ネットワークの構想を構築する面からも、本当によいものはできないと考えるわけであります。
どこかの町でありましたけれども、せっかく外部委託してつくったコンピューターのシステムが現実の行政ニーズに合っていないとか、あるいは内部の行政マンが存分に使いこなせないとか、こういった困った事態が起こってくるわけであります。トラブルが発生したときでも、あるいはハッカー対策などの予防的、こういった対策を講じるときでも、自分たちがある程度のことができるようになっていること。内部組織に、外部委託したコンピューター会社とエンジニアリングの面でほぼ対等に話ができる人材がいないと困った事態になるわけであります。
一点、私が身近で実感したことをお話しさせていただきたいと思いますけれども、私はかつて自動車会社に勤めておりました。十数年前になりますけれども、その会社はアセンブリーメーカーとして身内の、先端部品である半導体ですね、エンジンとかミッション、重要機能部品に使われておりますけれども、こういった半導体を使ったユニット部品メーカーに対抗してといいますか牽制をして、従業員が五、六百人ぐらいの半導体工場を建設をして立ち上げました。
それは、実際にその重要機能部品を購入する際に、厳しい値段の交渉、これがあるわけでございます。その際に、部品メーカーに価格交渉の主導権を握られない、自分たちで価格交渉の主導権を握っていくと、こういった面から、わざわざ半導体の工場を立ち上げた。
それともう一つは、その重要機能部品については、将来の自分の企業の死命を制するわけでございますので、商品開発のセンスを磨いておくと、こういった意味から、わざわざ半導体工場をつくって、本来であれば、私ども部外者の考え方からすると、何で系列会社のグループ内の企業に任せておかないのかなと、こういうわけでありますが、わざわざそういう工場をつくって価格交渉の生産技術とかあるいは技術の側面のセンスを磨いていく、こうやって将来の競争の厳しい時代に備えたと、こういった体験をしております。
情報ネットワーク社会も、同じようなことが県の中で言えると思います。どうかそういった面で、内部のエンジニアリング能力、これを持った人を数名、本当につくっていただいて、遺漏がなきようにお願いをしたいと思っております。
以上でございます。
50: ◯副議長(柴田紘一君) 進行いたします。
外山半三君。
51: ◯三十九番(外山半三君) 私は、第二款より三款、四款、順を追って四問について質疑を行います。
最初に、二款一項の県史の発行についてでありますが、御案内のように、愛知県史全六十巻の構想の中で、現在、刊行が進んでいるわけであります。管見の限りでは、長野県史が昭和四十六年に発行して、十五年間かかって七十巻、七十四冊というのが県史の中では一番多い県史ではないかと、ほかにもあるかもしれませんが、そんなふうに思います。県下の市町村史では、最近では、豊田市、岡崎市の二十数巻というのが多い方であります。そこで、六十巻というのはやはり県史の中では最高の巻数を有するというふうに思います。
ところが、現在刊行のペースで言いますと、一年で一冊ぐらいしか刊行できないような状況であるようでございます。これは、現段階では資料収集とかそうした面があっておくれていることも考えられるわけでありますが、それにしても一年に一冊のペースというのは、これはちょっと大変なことでございまして、万一そのようですと、六十年間過ぎないと全巻が刊行されないということであります。
神田知事さんも、きんさん、ぎんさんぐらいのお年にならないと全巻を手中にしていただけないと、こんなことになっては大変であります。私なんかは、恐らくその四分の一、せいぜい十五巻ぐらいを手にしただけで、あとは見ることができないではないかというふうに思います。
そこで、もう少しやはり、当初の計画は恐らくもちろんそんな計画でもありませんし、現在もそうでないと思いますが、どのあたりで完結ができるのか、お伺いをいたすものであります。
次に、二款一項の西庁舎の耐震改修の実施設計費が計上されておりますが、耐震の調査はいつごろなさってみえますか、お伺いをいたしたいと思います。
県下の地震というのは、明治以降で言いますと、御案内のように明治二十八年十月二十八日の濃尾震災、そして近く、近くといっても、もう五十五、六年前になるわけでありますが、昭和十九年の十二月七日の東南海、そして翌月の昭和二十年一月十三日の午前三時三河地震というのが県下の大きな地震でありまして、私もこの十九年、二十年の両地震は実際に身をもって体験をしたわけであります。
しかし、あの平成七年一月十七日の阪神の大震災というのは、まさに今までの地震のイメージを全く覆すというような大変な地震であったわけでありまして、東南海、三河地震が震度六というふうに言われておりますけれども、実際に私が現地へ一月三十日に行ってみた限りでは、とてもそんな震度を比較しての被害状況では全くありません。そうしたことを考えますと、こうした時宜を得て西庁舎が耐震改造、改修をされるということは、まことにいいことだというふうに思います。
しかしながら、以下につきましては、本庁舎について触れますので、現況の非常に厳しい財政状況の中で、今すぐというのは大変難しい状況であるというふうに認識をしておりますので、強い要望ということにとどめますが、本庁舎は、私の手元のこうした資料によりますと、参考までに、まことに僭越かもしれませんが申し上げますと、敷地面積が約一万坪、そして当時の──当時というのは昭和十三年当時でありますが、三百万の建築費でこの本庁舎が建てられました。起工が昭和十年十月二十四日、竣工が昭和十三年三月二十二日、間もなく満六十二年になるわけであります。非常にここを見ましても、鉄骨鉄筋コンクリートの耐震・耐火構造にしてというふうな表現がございますように、当然ですが、耐震ということも当時の技術では最高の設計によって建設をされたというふうに理解するものでありますけれども、しかし、あの阪神大震災の惨状を見ますと、本当に本庁舎はあれで大丈夫かな、そんな思いがいたします。
それで、伺ったところによりますと、本庁六階に災害対策本部、このはがきで言いますと、正庁というところであるようでありますが、そこに災害対策本部が設置されるやにお聞きしております。それはよくわかりませんが、六階というのは、ほかにスペースがないからそこに設置されているのか、あるいは六階なら大丈夫だろうということで設置されているのか、いずれかわかりませんが、いずれにいたしましても、七百万県民の安全、安心、信頼の中枢であります。一朝有事の際は、やはり一番の大切な機能を有するところであり、危機管理の中心でもあるわけであります。
ですから、もちろんバックアップシステムというのも考えていらっしゃると思いますが、やはり現況ですぐ対応できないならば、少なくともより安全なところにバックアップシステムを私は構築すべきではないか、そんなふうに思いますので、それは要望にとどめておきます。
次に、首都機能移転問題の調査費についてでありますが、石原都知事が外形標準課税を特定の銀行に対して課税する方針を打ち出されましたけれども、これは企業の本社、本店がまさに一極集中の東京都であるから有効な課税ではないかというふうに思います。しかしながら、現時点では、万骨枯れることはありませんけれども、やっぱり一将功成りてというような雰囲気が日本じゅうにあるわけであります。
そういうことを考えながら、一方では、それはまさに一極集中の東京都の現状を打ち出している、そういうふうな感じも私はしておりますので、首都機能移転とこの外形標準課税というものの関連について、私は、大いに関係があるんじゃないか、首都機能の一つのバックアップの資料になるではないかと、そんなふうに考えますので、お考えを伺わさせていただきます。
それから、ちょっと蛇足かもしれませんが、きょう地下鉄で参りますと、首都機能移転のポスターが地下鉄の車内にありました。それには、「首都」とありまして、ちょっと「首都」が斜めになりまして、この愛知、岐阜の地域へピースとしてはめられると、そういうふうなことでありますが、国会と書いてあるんですよね、そのピースに。で、私は最初、あれっと思って、どういうことかなというのを若干思いました。で、すぐわかったんですが、やはりあれなんかは、首都機能でありますので、国会移転ではございませんので、「首都」というピースをはめ込むような、そういうポスターの方がよりわかりやすいのではないかというふうに私は思いました。
いろいろ県政広範にわたる中で、わかりにくいこともややあるわけでございますけれども、やはりわかりやすいシンプルな、そうした表現というものが、より県民は求めているんではないかと、そんなふうに思いましたので、申し上げた次第であります。
次に、戦争資料館の建設についてお伺いをいたします。
新年度予算に百四十万の戦争に関する資料館調査費が計上されております。私は本年一月、先輩の加藤議員、寺本議員とともに沖縄へ調査視察に行ってまいりました。沖縄の高速道路、さらにはサミット会場、嘉手納基地、そして摩文仁の丘の愛知県の戦死者を弔う「愛国知祖の塔」を参拝してまいりました。私ごとで恐縮ですが、私も、父が比島で戦死をしておりますので、はるか洋上に向かって手を合わせてまいりました。
そして、戦争資料館を見学いたしました。これは、いわば沖縄戦で言えば小規模なところでありまして、現在、摩文仁の丘では、新しい広大な沖縄戦争の資料館が完成間近でありました。また、沖縄戦で亡くなられたこれは彼我、アメリカの方、そして韓国の方、朝鮮の方、そして台湾の方、もちろん沖縄の方を中心とした日本の方の本当にもう見渡す限りと言っていい、ああこれだけのたくさんの方が沖縄戦で亡くなられたんだな、本当に今思い出しても目頭が熱くなる思いでありますが、私のすぐ近くの三浦大禮さんという方のお名前も私は発見いたしまして、手を合わせてまいった次第であります。
愛知県下では、過ぐる大戦には多くの兵士、軍属を異国で失い、県内ではたびたびの空襲で多数の人命が失われ、とうとい膨大な財産が破壊され、消失をされました。私も、旧制中学の一年、十月一日から三菱重工名古屋発動機製作所へ学徒動員として参りました。忘れもしません。昭和十九年の地震直後、十二月十三日午後一時、初めて名古屋にB29の爆弾攻撃がありました。一瞬のうちにクラスメート六人が爆死をいたしました。
その後私は、四月からは常滑市鬼崎の旭大隈、そこへ配属されまして、艦載機からの機銃掃射も受けました。また、昭和二十年二月には、名鉄の有松駅のプラットホームの真正面で、B29に日本の戦闘機が体当たりするさまも目の当たりにいたしました。名古屋の上空でも特攻攻撃があったわけであります。先日、神戸議長さんにお伺いいたしましたところ、神戸議長さんは戦争中は特攻機の体当たりの要員のお一人であったと、そんなことも伺いました。
しかし、こうした戦争経験を持つ人は年々歳々減少し、戦後五十五年を経まして、悲惨な戦争も風化しつつあります。私自身も、沖縄へ行き戦跡をめぐって思いを新たにしてまいりました。
そこで、現在の財政状況のもと、困難かと思いますけれども、一層資料集めに努められ、一日も早く戦争資料館の建設を望みます。現状と今後の見通しについてお伺いをいたしまして、質問を終わります。
52:
◯総務部長(
御園慎一郎君) まず、県史の刊行計画についてでありますけれども、当初の目標は、平成二十年までの間に全六十巻を刊行することとしておりました。通史編が十巻、資料編が三十八巻、別編で十二巻でございます。
ただ、まず、予想を超える膨大な資料の調査、これに時間がかかっておるということ、それから、御指摘もありましたが、極めて厳しい財政状況であるというようなことで、今申し上げました当初の刊行計画を数年間は延長せざるを得ないというふうに考えているところでございます。
ただ、御指摘のように、県史編さん事業の重要性についても十分認識をしているところでございます。そのためには、まずは貴重な資料の調査、収集をする必要がありますので、まずその視点から、この事業の着実な推進についてできる限りの努力をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
それから、西庁舎の耐震改修計画でございますけれども、平成七年度に設計図書により耐震診断を行ったわけですが、耐震性が低かったということで、平成十年度に詳細な現地調査と耐震補強計画の調査を実施をいたしまして、その調査に基づいて耐震補強工事の基礎設計を行ったところでございます。
西庁舎も、これも防災の拠点施設であるわけでございますので、いろいろと検討させていただきまして、耐震改修を行うこととしたところでございます。
53: ◯企画部長(柳田昇二君) 首都機能移転についてでございますが、現在の我が国は、国土面積の三・六%にすぎない東京圏──これは東京初め四都府県でありますが、東京圏に人口で二六%、資本金十億円以上の大企業の本社機能と情報発信量ではともに五八%と、過度に集中いたしております。
こうした中、東京から首都機能を移転することによりまして、東京を頂点とする序列意識とかあるいは国土構造が変化しまして、東京へ集中が集中を呼ぶというメカニズムが打破されるものと期待されますとともに、全国各地の独自性とかあるいは個性がより発揮されまして、分散型の国土構造が実現すると期待されております。また、万一の場合、政治行政と、それから経済の中枢の同時被災が避けられるなど、首都機能移転は新しい日本の創造を促す重要な事業であると考えております。
こうしたことから、本県といたしましては、昨年十二月の審議会によります岐阜・愛知地域を移転先候補地の一つといたします答申を受けまして、岐阜県と連携して積極的に取り組むこととしております。また、関係市町村と連携しながら、県民向けの啓発活動等を強力に展開してまいります。
また、ただいまポスターについてのお話をいただきましたが、法律も国会等の移転に関する法律とか、審議会も国会等移転審議会ということで、まず中心が国会だということで、ああしたポスターを作成させていただいたわけでありますけれども、県民にわかりやすいという御視点で貴重な御意見をいただきましたので、今後の対応を、よく御指摘の点を頭に入れて考えて対応してまいりたいと、そんなふうに考えております。
54: ◯民生部長(大見賢治君) 戦争に関する資料館についてのお尋ねでございますが、この資料館は愛知県と名古屋市が共同でつくっていこうという構想になっておりまして、御案内のように明年度の予算では、県と市が共同で設置しております戦争に関する資料館調査会の経費として百四十万円を計上させていただいているところでございます。
大変厳しい財政状況の中にございますので、現時点で戦争資料館の建設の見通しをお示しすることはできない状況にあるわけでございますが、戦争に関する資料の収集につきましては、本年度に引き続き積極的に取り組んでまいりますとともに、県民の皆さんには、収集、整理をいたしました貴重な資料をインターネット等でごらんいただけるよう、さらに準備を進めてまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
55: ◯知事(
神田真秋君) 耐震工事の関連について少し触れさせていただきますが、阪神・淡路大震災以降、建物の安全性が特に指摘をされているところでございまして、本県におきましても、学校教育施設を初め、順次計画的にこれまでも進めてきたところであります。
で、西庁舎でありますけれども、調査いたしましたところ、耐震性にいろいろ問題があるということが判明してまいりました。ここは県民の皆様方が、多数の方が出入りされる場所でもありますし、それから、いわば防災の拠点の一つでもありますので、今回、実施設計をお願いし、本格工事に入りたいと考えているところであります。
免震工法という手法をとりたいと考えておりまして、これは、現在の状況そのまま、いながらにして工事ができるという点、あるいは従来型の工法に比べて工事費が大変安くできるという、そうした点も加味してのものでございます。
いずれにしても、今後、この西庁舎だけではなく、順次、危険と指摘されるものがたくさん今後出てまいる予想もありますので、計画的にきちんと安全確保を図ってまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
56: ◯三十九番(外山半三君) 要望いたしたいと思います。
沖縄で資料館を拝見しているときに、こんなことがございました。中学生の女の子でありましたんですが、今風の茶髪で、そしてリングをつけて、厚化粧をしてルーズソックスでと、そういういでたちの女の子でありました。
で、その前の写真は、防空ごうの中で一家五人が一つの手りゅう弾で爆死をして、もちろん一個の手りゅう弾では全員が死ぬことができません。のたうち回っている、そうして死んだ、そうした写真でありました。若い人には、もちろんその情景はなかなかわかりかねたようであります。私が、手を合わせまして説明をいたしましたところ、その子たちも一緒に、「ああ、それでは手を合わせよう」と言って一緒に手を合わせて、その写真を拝んでくれました。
そうしたところを見まして、私も、ああ、若い人たちはこうした格好をしていらっしゃるけれども、本当にいい子ばかりだな、日本の前途は心配ないな、そんなことも思いましたし、資料館は、ぜひ戦争を知らない子供たちにもわかりやすい、そうした資料館にしていただきたいと思います。
それから、「愛国知祖の塔」で名刺をささげてまいりました。そして、十日ほどたちました。そうすると、県の民生部から、「愛国知祖の塔をよくお参りいただきました」という礼状が参りました。私は本当にびっくりしました。ああ、いろいろ今県は大きな問題をたくさん抱えているけれども、本当にこうした温かい、心の通う県政をしていらっしゃるんだな、そんなことを民生部の便りで私は強く感じました。
どうかこれからも、知事さんを先頭にして、温かい県政を進めていただきますようにお願いをいたしまして質問を終わります。ありがとうございました。
57: ◯副議長(柴田紘一君) 進行いたします。
水野豊明君。
58: ◯十七番(水野豊明君) 私は、第三款企画振興費第一項企画振興総務費と、第四款県民生活費第四項防災費について質問させていただきたいと思います。
東部丘陵線につきましては、先ほど福田議員が詳しく質問をされたわけでありますけれども、私も、愛知高速交通株式会社が設立された問題で、若干中身について具体的にお示しを願いたいというふうに思います。
事務所を名古屋市千種区井上町住友生命星ヶ丘ビルに置き、資本金二億九千二百万円で、事業内容は軌道法による一般運輸業及び関連する一切の事業とされ、東部丘陵線のルートは、名古屋市名東区の地下鉄藤ヶ丘駅付近から豊田市八草町の愛知環状鉄道八草駅付近までとされております。藤ヶ丘駅からは、一・四キロは地下式で、延長八・九キロの走行は常電導吸引型磁気浮上式リニアインダクションモーター推進方式(HSST)とされております。
現在、東部丘陵線の環境影響評価方法書の縦覧が関係市町で始まっておりますが、周辺の住民でつくる「東部丘陵線のルート変更を求める会」からは、電磁場が与える影響が懸念されている声が上がっております。
東部丘陵線は、あいち学術研究開発ゾーンの中心となる名古屋東部丘陵地域にとって極めて重要な路線と位置づけられておりますし、二〇〇五年日本国際博覧会の開催に向け、開業目標を二〇〇五年(平成十七年)とされております。
最近は、国際博は大丈夫か、あるいは東部丘陵線は間に合うのかと、よく質問されますが、私も一抹の不安を抱いている一人であります。
そこで伺いますが、自信を持てる御答弁を期待をいたしたいと思います。以下、数点にわたり質問させていただきます。
一つとして、事業費は約四百五億円とされておりますが、建設費や運営費用を具体的にお示しを願いたいと思います。
二点目は、株式会社に対する出資企業と市町についてお伺いをいたします。
三点目は、用地買収の目安と用地買収の面積。
四つ目は、具体的な建設年度をお示しを願いたいと思います。
最後に、想定乗降客三万二千名の根拠と、新住事業計画の人口はこの想定乗降客に含まれていないかの点であります。
続いて、歳出第四款県民生活費第四項防災費第一目防災総務費の新総合通信ネットワーク整備事業についてお伺いをいたします。
先週の土曜日にプレイステーション2が発売をされ、若者が前日から長蛇の列をなして求めている姿が放映されておりました。ゲーム機の発売がニュースになるほど、世の中の電子メディア化への関心は急速に高まってきておりまして、インターネットを利用した電子商取引やキャッシュカードで買い物をするといった生活面の利便性を追求するシステムがこれからどんどん普及してくると考えております。
そうした社会環境の中で、行政機関も電子メディアを活用して情報の高度化を図り、県民の負託にこたえていくことが必要ではないかと考えております。
こうした気持ちから、期待を込めて新総合通信ネットワーク整備費についてお伺いをしたいと思います。
まず、この事業はどういう事業であるのか、そしてどんなシステムになっているのか、お答えを願いたいと思います。
また、事業費は説明書に記載されている平成十二年度分だけではなく、全体事業費は約二百億円と伺っておりますが、これだけの大金を投資する事業でありますこの事業の実施に伴い、どのような効果があるのかお伺いをいたしまして、再質問はしませんので、明快なる御答弁をお願いしたいと思います。
59: ◯企画部長(柳田昇二君) 東部丘陵線の事業費でございますが、大きく分けますと、支柱、けた等のインフラ部と呼ばれますものと、それ以外のインフラ外部とに分かれまして、東部丘陵線の経営主体となります第三セクター愛知高速交通株式会社が負担いたしますのは、後者のインフラ外部についてでありまして、その金額は、ただいまお話ございましたように約四百五億円と見込んでおります。
内訳は、現在のところ概算ではございますが、軌道、駅施設、車両基地、変電所等の建設、車両の購入、運行に必要となる通信電気施設の建設に係る費用が全体の約九割、三百六十億円程度でありまして、残りの約一割が開業までの第三セクターの運営に係る人件費や事務諸経費などの経費であります。
続きまして、経営主体への出資団体でありますけれども、東部丘陵線の経営主体であります愛知高速交通株式会社には、長久手町、名古屋市、豊田市及び瀬戸市の沿線四市町は既に本年度から出資をしていただいております。さらに、日進市につきましても平成十二年度から事業に参画していただけることになり、十二年度の当初予算案において、経営主体に対する出資について計上されているとお聞きしております。
したがいまして、日進市を含めた五市町全体で最終的な官の資本金予定額四十二億円、これは出資総額の五一・八五%でありますが、そのうち十七億円を負担していただく予定としております。また、出資の割合につきましては、各市町の財政規模、路線延長等を指標として算出いたしております。
民間企業等の出資についてでありますが、出資者は十九社、主な出資者は名古屋鉄道、中部電力、東海銀行、トヨタ自動車、日本政策投資銀行などでありまして、最終的な民間企業等の資本金予定額三十九億円を負担していただく予定といたしております。
続きまして、用地買収についてでございますが、東部丘陵線につきましては、基本的には、道路空間を活用して計画することといたしておりますが、必要となる用地買収の面積につきましては、今後、ルート等の詳細な設計を行う段階で確定してまいることと考えております。
いずれにいたしましても、用地買収に当たりましては、所要の諸手続を経て、関係者の協力を得ながら進めてまいりたいと考えております。
次に、東部丘陵線の建設計画であります。
現在、環境影響評価方法書を、きょう三月七日まで縦覧いたしているところでありまして、今後、環境影響評価、都市計画、軌道法に基づく特許取得といった行政手続を経まして、平成十三年度を目標に都市計画の決定、軌道法の特許取得へと進めてまいりまして、できる限り早期の工事着手を目指してまいりたいと考えております。
それから、需要でありますが、開業時約三万二千人と見込んでおりますが、これは現在最も一般的なこうした交通需要を推定いたします需要予測の方法であります四段階推計方を用いて算出したものでありますが、また、こうした予測手法とは別に、個別の要因ごとに見ますと、現在東部丘陵線沿線を運行しております路線バスとか、あるいは沿線に立地しております大学や高校のスクールバスの利用者が約二万人以上に及んでおります。これに加えまして、自家用車の利用者からの転換とか、あるいは沿線にあります青少年公園、陶磁資料館、トヨタ博物館などの大規模集客施設への利用者などが見込まれますし、バス路線の再編成やパーク・アンド・ライド駐車場の整備を図っていくことによりまして、三万二千人の需要は確保できるものと考えております。
なお、御指摘の新住地区の需要でありますけれども、この計画が八草駅までの計画であることや、東部丘陵線の開業時期と新住事業の開発時期の違いによりまして、開業時におきます一日約三万二千人の需要の中には、新住地区の需要は含まれておりませんので、御理解を賜りたいと思います。
60:
◯総務部長(
御園慎一郎君) 新総合通信ネットワーク整備でありますけれども、これは、現在運用してます地上型の防災行政無線の電波が、平成十四年十二月、これで使えなくなるということで、再整備をすることにしたものでありまして、で、再整備をすることになりましたので、あわせまして市町村に衛星系の通信設備を整備して通信の多ルート化を行う。そして、防災対策の一層の充実を図るとともに、行政の高度情報化を促進するために、県の機関や県と市町村間、あるいは市町村間の情報を、無線のディジタル多重回線を駆使して、質、量ともに円滑な行政運営ができるようにするためのものでございまして、いわば行政の高度情報化に向けた基盤づくりの事業というふうに考えております。
で、どういうシステムかということでございますけれども、高度情報化に欠かすことのできない映像なりデータ通信を行政機関同士でできるようにするために、県庁と防災上の主要地方機関である県事務所とか土木事務所とか農地開発事務所、それから市町村のそれぞれに多くのデータ容量の交信のできる多重無線局を整備いたしたいと思っています。
それから、地震に強い衛星無線局をあわせて整備して、情報伝達手段の多ルート化を図っていく。また、このシステムでは、防災対策を重視するということも重要な観点として持っておりますので、保健所だとか自衛隊、これに加えまして、新たに消防本部だとか鉄道、電力、通信といったような防災関係機関にも一斉指令だとか簡易なデータの送受信ができる単一無線局を設置して、災害時に最も必要な情報の収集伝達がスムーズにできるように。このシステムが整備されると、今申し上げたような機関にも新たに情報伝達ができるようにしていこうというものでございます。
効果ですが、最大の効果は、今申し上げましたように、十四年の途中から現在のシステムが使えなくなるものですから、その制度の切りかえに対応して、今よりグレードアップした伝達手段を整備するということがあるかと考えておりますが、そのほかの効果ということになりますと、例えば、現在の防災行政無線は音声とファクシミリしかできないわけでありますけれども、加えまして行政上で使える回線数が少ないということもありまして、実態を申し上げますと、通話中に優先権のある一斉指令──一斉指令の方が優先的に流れるようになっておりますから、そうしますと、一方的に切れてしまうというようなこともございますが、あるいは回線が使用中でつながらなくなってしまうというようなこともあるというような実態があるところでございますけれども、新しい新総合通信ネットワークになりますと、先ほどから申し上げておりますように、データ通信だとか映像の情報が可能になるばかりでなくて、データ容量が大きいといった多重回線の特性がございますので、今申し上げましたような現行のシステムが持っている欠点は解消されて、スムーズな情報の伝達ができるということで、一番大事な災害時の状況把握には非常に威力を持ってくると思いますし、通常時に使用することになるであろう行政全般の情報のやりとりというものに関しても、さらに効果的な使用ができるものであろうというふうに思っております。
61: ◯副議長(柴田紘一君) 進行いたします。
沢田丸四郎君。
62: ◯二十番(沢田丸四郎君) 私は、第三款企画振興費第一項企画振興総務費のうち、中部国際空港に関連してお尋ねをいたします。
空港建設及び地域開発用地埋め立て造成事業については、現地着工を目指して鋭意各種の手続が進められていることは承知しております。とりわけ漁業補償については、関係者の間において慎重かつ真剣な取り組みが進められているようでありますが、困難な状況にあると認識しております。
現在は、三重県漁連及び野間漁協に交渉は移っておりますが、まず私は、この一年間の漁業補償の交渉経過について簡単に振り返ってみたいと思います。
知多支部委員会北部部会への補償額の初回提示日は、おおむね平成十一年三月中であり、知事の最終調整日は七月十三日、対策協議会の合意が八月十九日、そして契約日は一週間後の八月二十六日でありました。南部部会の契約日は十月五日でございました。
その後、西三河、東三河、渥美、各支部委員会への交渉へと移り、初回提示日は九月中旬であり、知事の最終調整日は一カ月後の十月二十日、対策協議会の合意が十二月十三日、そして契約日は、本年平成十二年二月二日でありました。
こうした経過を見て、大きく分けて知多と三河となるわけですが、特徴として挙げられるのは、以下のとおりであります。
知多においては、補償の初回提示日から知事最終調整日までほぼ四カ月、三河においては一カ月しかかかっておりません。しかるに、その後の対策協議会の合意から契約日までの期間は、知多においては一週間であり、三河では七週間かかっております。
ここで一つ認識しておきたいのは、知多は消滅補償地区も含めた、いわゆる空港直下及び直近であり、三河は空港からは遠いところであり、空港の補償に関係があるのかという疑問があるのが一般市民感情であります。もちろん、空港建設が漁業者に御迷惑をおかけし、漁業補償の正当性は十分承知をいたしております。知多と三河とは、ほぼ同じ期間交渉をしておりますが、私は、率直に言って三河との交渉になってからおくれ出したなと実感をいたしました。
先年九月二十八日には、常滑市議会においていわゆる埋申の賛成議決がなされ、十一月には、地元常滑市長選において、空港との共生、空港の推進を訴えた石橋市長が、反対系の候補に圧勝もいたしました。さあこれで交渉も一段と進み、年度内着工も、厳しいスケジュールの中にも、いけるかもしれないと思った次第でございます。とにもかくにも、さまざまな事情があったとは推察いたしますが、昨年九月からの三河との交渉から相対的に随分とおくれを生じてきたわけでございます。
そこでお尋ねをいたしますが、中部国際空港関連の公有水面埋め立て免許手続の進捗状況及び今後の見通しについて見解をお伺いをしておきます。
次に、知多横断道路についてでございます。
二〇〇五年の開港を目指す中部国際空港へのアクセスの中でも、特に重要である知多横断道路は、名古屋都心を初めとする各方面からのアクセスになくてはならない道路であります。
この知多横断道路は、現在供用されている知多半島道路と国際空港とを結ぶ新たな自動車専用道路として、半田常滑インターチェンジから仮称常滑インターチェンジの区間が計画されたもので、平成十年六月から都市計画案の縦覧を皮切りに手続が始められ、平成十一年十一月の都市計画地方審議会において議決されたと聞いているところであります。しかるに、現在までになかなか決定に至っていないと聞き、これを推進する立場の者の一人として憂慮しているところであります。
道路が埋め立て部分を通過することから、公有水面埋め立て免許手続の進展が直ちに道路の都市計画決定手続に影響するとのことでございますが、今後の都市計画手続の見通しについてお伺いをいたしまして、質問といたします。
63: ◯土木部長(竹内義人君) 中部国際空港関連の公有水面埋め立て免許手続の進捗状況及び今後の見通しについてのお尋ねでございますが、埋め立て免許につきましては、昨年八月二十四日に県として出願を受け付けたわけでございますが、その後、出願の告示、縦覧、地元常滑市からの意見聴取等、認可申請に必要な諸手続がおおむね終了いたしておるところでございまして、今後、漁業補償交渉の進捗状況を踏まえまして、最終的に免許できることと判断した上で、運輸大臣及び建設大臣あて認可申請をいたすことといたしております。
認可申請いたした後は、運輸、建設両省におきます審査、及び環境庁長官の意見を聞く等の手続を経て認可がなされることになっておりますけれども、いずれにいたしましても、できる限り早期に認可申請をしなければならないというふうに考えているところでございます。
次に、知多横断道路の都市計画決定についてでございますが、この道路につきましては、議員御指摘のとおり、空港対岸部等の埋め立てを前提とした計画になっておりますことから、都市計画の手続上、公有水面埋め立て免許の手続と、都市計画決定の手続とをあわせて行うことになっております。
議員御指摘のとおり、知多横断道路に関します都市計画地方審議会の審議は既に終わっておりますことから、公有水面埋め立て免許の認可申請ができることとなった時点で、直ちに都市計画の認可申請を行うことになっておりまして、できるだけ早い時期に認可申請を出していきたいというふうに考えているところでございます。
以上でございます。
64: ◯副議長(柴田紘一君) 進行いたします。
田島ひろし君。
65: ◯二十八番(田島ひろし君) 私は、第三款企画振興費第一項企画振興総務費、PFI事業推進検討調査費についてお伺いをいたします。
これまでの一般質問の中でも、複数の議員がこのプライベート・ファイナンス・イニシアチブ、すなわちPFI事業について触れておられますが、行政改革の必要性が叫ばれている昨今、積極的に推進することを必要とする事業と思いますので、私もお尋ねをいたします。
知事は、行政改革の推進と透明性の高い県政を目指すといたし、今日の構造的な財政危機を乗り切るために、また、新しい時代におけるさまざまな課題に適切に対処できる行政システムを構築するためにも、さまざまな分野で時代に合った、思い切った見直しが必要とされました。
また、今後は、組織、予算などの仕事を進める体制の整備、ハード面での改革のみならず、行政運営の手法や職員の意識のありようといったソフト面での改革も進めなければならないと訴えておられます。
さらに、スピーディーな対応、大胆な発想、徹底したコスト意識、柔軟なリスク管理といった点で、民間に学ぶ点は積極的に取り入れながら、改革に大胆に取り組むとのお考えも語っておられます。
このような観点から、PFIの導入につきましても、民間資金を活用した効率的な社会資本の整備の方策として、引き続き本県における活用の可能性について調査検討をすると述べられました。
PFIは、公共施設等の設計、建設、維持管理及び運営に民間の資金とノウハウを活用し、公共サービスの提供を民間主導で行うことにより、効率的かつ効果的な公共サービスの提供を図る手法で、英国で成果を上げて注目をされております。
我が国では、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI促進法が平成十一年七月二十三日に成立し、同年九月二十四日施行されております。本県でも、平成十一年六月に研究チームを発足させ、調査、検討が行われてきております。
これまでPFI推進法は、内閣総理大臣が定めることになっている基本方針が未決定であり、適用事例がありませんでしたが、今後、国においてこれが決定されますと、法に基づきPFI事業を実施することが可能になり、公共事業の民間委託が進んでまいるものと思います。特に、国以上に財政事情の厳しい地方自治体で導入意欲が強いものとされます。
平成十二年度の我が国の一般会計予算は、八十四兆九千八百億円、史上最大規模と言われ年度内の予算成立が見込まれております。公共事業により景気を下支えして民需を喚起し、景気浮揚につなげ、年間実質経済成長率一%を達成したいといたしております。
しかし一方、全国都道府県の平成十二年度当初予算案が二月二十九日出そろったところによりますと、一般会計の合計額は約五十二兆九千億円、今年度当初に比べ〇・三%減り、十七都道府県で今年度当初を下回る予算案が組まれており、とりわけ、地方自治体独自の財源で進める単独事業は、大部分の都道府県が今年度より抑制しており、財政再建に力点を置いているのが目立っております。本県でも例外でなく、一一・二%の減額であります。
こうした折こそ、民間の資金、技術力、経営力を活用する手法で社会資本の整備を進め、公共施設のサービスの充実を図ることが必要と考えます。
日本と財政状況のよく似た英国では、社会資本整備の一〇%以上がPFIとして実行されています。現在、我が国の公共投資額は、年間で四十兆円規模と推定をされます。これを参考に考えますれば、日本でも、公共事業の一〇%から二〇%がPFI事業として実行される可能性があります。
以下御報告いたします東京都、神奈川県のPFI事業説明会には、いずれも百社以上の企業が参加しており、この事業の積極的推進に寄せる期待の大きさがうかがわれます。
私は、本年一月にPFIをモデル事業として取り組んだ東京都水道局、神奈川県のPFI事業の推進の状況を調査してまいりました。
まず、東京都水道局では、金町浄水場に発電施設を整備するに当たりPFIを導入いたしました。民間が設立した金町浄水場エネルギーサービス株式会社との間において、電力及び蒸気の供給契約を締結したのであります。
この事業の概要は、金町浄水場内にコージェネレーションシステムを設置、運営し、水道局に電力及び蒸気を供給するものであります。水道局は供給されます電力及び蒸気に対する料金を支払い、事業会社には、この料金により建設資金などの初期投資額や人件費、燃料費の運営経費を賄うものであります。
ビルド・オン・オペレートといい、サービス購入型のPFIで、事業が終了したとき、事業会社はみずからの費用で設備を撤去いたします。事業期間は平成十一年十月から平成三十二年十月までで、経費として二十年間の予定額、約二百五十三億円を事業会社に支払うものであります。
東京都が、都の全浄水場を稼働させるに支払う年間の電力料金百億円の一部を賄うことを目的として、また、蒸気は熱源として浄水処理の工程で生じる河川水に含まれる土や砂の脱水に使うものであります。これらは水道財政の安定に資するものとして期待をされているものであります。
次に、神奈川県では、神奈川県立保健医療福祉大学──仮称でございますが、これにPFIの事業として推進してまいっております。公募により民間事業者から高度な技術とノウハウを生かした設計、施工、資金調達及び維持管理の業務に関する一括提案を受け、最も有益な提案を行った事業者を選定することとし、プロポーザルを平成十一年十月十九日から開始しました。
平成十二年四月下旬には事業者の選定をし、平成十五年四月開校を目指す事業で、建設費の上限は百八十億円といったものであります。事業者は、平成十五年一月末までに建設を完了し、県に学校の施設を引き渡し、所有権の移転を行うものでございます。ビルド・トランスファー・オペレート方式となります。
この扱いで最も特徴的なことは、事業者に資金を調達させた上で、期間三十年の割賦で県は年二回ずつ償還資金を事業者に支払うことになります。割賦金利の条件は、LIBORベースで五年、ロンドン・インターバンク・オファード・レートの金融用語で、金利スワップレートに事業者のスプレッド、利ざやを乗せたものであります。
PFIで実施する理由としましては、県が直接事業を実施した場合より、総合的評価として四億九千万から三十八億四千五百万円の幅で公共負担額削減効果が認められるとしております。このようにケース・バイ・ケースでいろいろな応用ができ、効果的、効率的な事業推進が可能とされております。
塩野七生さんのローマの歴史をつづった書籍「ローマ人の物語」に、ローマ帝国が低い税金で今のEU(欧州連合)の三倍もの広大な帝国を一千年もの間維持できたのは、当時、中央と地方の役割分担が明確であったこと、さらに、民活の利用により中央の負担を軽くした分権社会であったことだと言われております。私たちも、こうした歴史に学びながら、改革の推進の努力をしたいと思います。
そこで、以下の七点について質問をいたします。
まず一点は、私が申し上げた東京、神奈川の例のほか、他団体でのPFIの検討状況はどうか。PFI導入事業あるいは導入予定事業にはどのようなものがあるか、お伺いいたします。
次に、二点目は、他団体でのPFI導入事業あるいはその検討状況を踏まえ、PFIを成立させるための条件、課題にはどのような点があるとお考えでしょうか。
三点目は、約一年間の調査検討の結果、本県におけるPFI事業の活用の可能性について、どのようにお考えでしょうか。
四点目は、民間事業者は県のPFI導入に期待しております。検討の対象となる本県事業規模はどの程度と考えておられるのでしょうか。
五点目は、来年度はさらに調査を進めていかれるとのことであります。PFIはいつまでにといったように時限を決めて導入するというものではありませんが、今後の検討はどのようなスケジュールで進めていかれるのでしょうか。
六点目は、どんな事業になじむのか、どんな事業に活用するのか、こうした検討が必要であると考えますが、その選択に当たっては、良質な事業であることもさることながら、PFI導入の先導となる事業、時宜を得た事業の選択が望まれますが、どのようにお考えでしょうか。
最後に、七点目として、具体的な事業へのPFI導入に当たっては慎重な検討が必要でありますが、民間事業者に新たな事業機会を与え、その結果、利益を拡大し、さらに、行政のスリム化の視点からも積極的な対応が望まれるが、いかがでしょうか。
以上、お尋ねいたします。
66: ◯企画部長(柳田昇二君) PFI事業につきまして、まず、他府県の検討状況に関するお尋ねでありますが、全国の四十七都道府県のうち、昨年末の時点で二十三都道府県が本県と同じようにPFIの庁内の研究組織を設置いたしております。しかしながら、具体の導入予定事業を対外的に公表する段階に至っている事案は限られておりまして、御指摘の東京都、神奈川県のほかでは、三重県が紀北、紀南の二カ所で整備を予定しております東紀州交流拠点施設と、茨城県常陸那珂港の公共コンテナターミナル整備がございます程度であります。また、市町村段階では、廃棄物処理施設や廃棄物発電施設のPFI化が全国幾つかの市町村で検討、具体化の段階にあります。
次に、他団体での取り組み状況を踏まえまして、PFIの成立条件、課題にはどのようなものが考えられるかという点であります。
先行事例がまだ少ない中で、確たることを申し上げる段階にはございませんが、現状では、御指摘のように公営企業が経営する浄水場の一部施設あるいは県立の大学の建物など、国庫補助を受けないタイプの事業が先行してPFI化されているという状況にございます。これは、国庫補助事業をPFI化した場合の国における取り扱いが今のところはっきりしないためではないかと存じております。また、幾つかのケースでは、民間シンクタンクとのコンサルティング契約や、関連の調査に数千万円の費用をかけているようであります。
こうした点をいろいろ考慮し、本県におきましても、具体の事業でPFI化を進めることになりますと、リスクの分担をどうするか、長期の事業収支、契約の法律面はどうかなど、多岐にわたる調査が必要になると考えられます。
次に、本県におきますPFIの活用の可能性についてでありますが、昨年六月庁内に研究チームを設置し、八カ月余り検討した結果では、現在のところ、PFI化に適当な事業を特定する段階には至っておりません。
しかしながら、本県といたしましては、さまざまなタイプの事業の導入可能性を検討しておりまして、十二年度予算案に新規計上いたしましたPFI事業検討推進調査費を活用し、専門調査機関の知恵もかりながら、事業の種類や形態ごとに民間の参入意向や法制度上の問題点などを調査し、PFIをどのような事業から導入していけるか検討してまいりたいと存じます。
次に、事業規模はどの程度と考えられるかというお尋ねであります。
一般にPFIは事業収支や事業リスクに関する検討あるいは契約をめぐる法律面の検討などに相当費用を要するため、ある程度以上の金額、規模の事業でないと、その部分が賄えないと言われております。また逆に、現段階の日本では実験的な導入となることから、事業規模の著しく大きなものは予期されない問題が生ずる危険が多くなるのではないかと言われております。
本県といたしましては、今後、こうした点も考え合わせましてPFIを導入する事業を検討してまいりたいと存じております。
最後に、今後の検討スケジュール及びそれに関連し、時宜を得た事業選択が望まれるがどうか。あるいは新たな事業機会の創出、行政のスリム化の視点から積極的な対応をすべきではとのお尋ねであります。
県の事業へのPFIの導入は、効率的で資質の高い公共サービスの提供とか、あるいは民間事業者への新たな事業機会の創出につながるものでありまして、積極的に対応してまいりたいと考えております。
このため、今年度の基礎的な勉強を踏まえまして、来年度は専門的な調査を実施いたしますとともに、この調査を通じて具体的にどのような事業から導入できるか検討を進めてまいりたいと考えております。
67: ◯知事(
神田真秋君) PFIの関連について申し述べたいと存じます。
民間のノウハウ、知恵、それからあるいは資産、そうしたものを積極的に活用するという有効な手法としてPFIがあるわけでありまして、私ども愛知県といたしましても、ぜひともこれを具体化したいということで、職員にも指示をいたしているところであります。
まだ法律ができたばかりでありますので、正直なところ勉強段階というところでありまして、新年度も引き続き、よりその熟度を深めるために調査を進め、具体的な事業を何とか見出したいというような考え方でおります。
で、PFIでありますけれども、先ほど、他の都道府県の例を挙げていただいたわけでありますが、御説明、御質問の中にもありましたとおり、いわゆるBOT──ビルト・オペレート・トランスファー、あるいはBTO、つまり民間の方が、そうした施設、建物をつくり、一定の回収後それを無償で公共部門の方に譲渡するという形か、あるいは今のつくったものを順次対価とともに引き渡していくというような形のものが、国内的にはどうも試みられているようでありまして、純粋のPFIとは若干ちょっと形態が違うようであります。そうした恐らく日本の状況に合ったものが、これから具体化されていくんではないだろうかと思っております。
で、まだ私どもも十分勉強できておりませんけれども、国の補助制度のあるものというのはなかなか、これをどう調整していくのか難しい問題があると思います。日本はまだ、特に英国などと比べて社会的なインフラの整備がおくれていると言われておりますので、その促進のために国などが、その補助金制度でインフラを進めようという基本的な考え方があるわけでありますけれども、そうしたものとうまくかみ合うようなPFIのあり方、あるいは日本の場合は地価が大変高こうございますので、事業費の多くが地価の方へ回ってしまうということをどう克服するのか、そういう問題もあるような気がいたしております。
いずれにしても、愛知県も大変財政状況が悪うございますので、ぜひともこのPFIあるいはBOT、いろんな手法を積極的に検討して、より愛知県にふさわしい事業を見出し、これを実行したいと、そんなような考え方でおります。若干時間がかかるような気もいたしておりますけれども、努力をしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
68: ◯六番(小林功君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
[「賛成」と呼ぶ者あり]
69: ◯副議長(柴田紘一君) 小林功君の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり]
70: ◯副議長(柴田紘一君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午後二時五十二分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後三時四十一分開議
71: ◯議長(
神戸昭治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
小久保三夫君。
72: ◯五十六番(小久保三夫君) それでは、第五款環境費第一項環境対策費第二目の廃棄物処理対策費の合併処理浄化槽設置補助金についてお尋ねをいたします。
県では毎年、国に対して、伊勢湾、三河湾等の水質浄化対策の促進方を重要要望事項としているところであります。これらの要望の中で、下水道事業等の積極的な整備促進のため、所要の事業費の確保を図るよう取り上げ、合併処理浄化槽の整備拡充と、窒素、燐の高度処理技術開発についても触れられ、県の水質浄化への取り組みの意欲を反映していると思われます。
御案内のとおり閉鎖性水域である伊勢湾、三河湾は生活排水や産業排水の流入量も多く、赤潮や苦潮が多発するなど、水産物の被害が生じたり、場所によっては悪臭も発生する状況であります。三河湾では、海の汚れを示すCODの平成十年度環境基準達成率は五七%であり、家庭から流される生活排水の割合が年々増加の傾向にあり、汚れの半分以上を占めているところであります。
県では、下水道事業等に力を入れているところでありますが、名古屋市を除く普及率は、平成五年度末で二一・四%であったものが平成十年度末では三二・四%と、努力の跡は見られますが、全国レベルでは低いところにあり、一層の促進を図るべきであります。農業集落排水施設は、平成五年度末〇・六%であったものが平成十年度末一・三%として、農村集落地域での普及をそれなりに上げていると思われます。
では、合併処理浄化槽についてでありますが、平成五年度末九・〇%から平成十年度末九・二%と、それほどの普及とは考えられません。小型の合併処理浄化槽の開発、実用化は、単にトイレの水洗化のためだけの設備ではなく、生活排水対策という社会的な環境面での効果を担うことが期待されるものとなっております。
以前、合併処理浄化槽は、下水道、農業集落排水施設などの整備されるまでのつなぎ施設として考えられてきたところでありますが、最近では、地域の条件によって下水道、農業集落排水事業とすみ分けを行う方向で施策が展開されるようになってきておると思います。今や、下水道事業、農業集落排水事業と並んで、生活排水対策のための施設として大いに期待され、積極的に合併処理浄化槽の普及整備を図っていくことが肝要のことと考えます。
本県では、合併処理浄化槽の補助制度の発足は昭和六十三年度に、他県より先駆け、早く取り組みをしたと言われております。
ところで、仄聞するところ、合併処理浄化槽新設率は全国都道府県中四十番台であると聞いておりますが、これの認識と御所見をお尋ねをいたします。
また、補助制度創設以来の設置、補助実績と合併処理浄化槽の普及活動等はどのように取り組みであったか、今後の設置促進の方途についてもあわせてお尋ねをいたします。
次に、県では、合併処理浄化槽補助制度創設以来、平成八年度、平成十一年度と二回にわたり補助率の変更をしてきたところであります。今日、大変県財政事情の厳しい中、県は平成十二年度どのような補助制度をとられ、市町村に対処されるお考えか。本定例会にも提案されていますが、平成十一年度中に七百基に及ぶ合併処理浄化槽の追加補正を組むなど、市町村の要望にこたえているところでありますが、平成十二年度も弾力的に対応される考えをお持ちか、あわせてお尋ねをいたします。
以上でございます。
73: ◯環境部長(山下次樹君) 最初に、合併処理浄化槽の新設率でございますけれども、平成十年度の実績で申し上げますと一七・四%。全国の平均が四八・七%でございますので、低い状況でございます。また、この新設率の順位、全国都道府県中四十位台であるということも事実でございます。
この原因でございますけれども、まず、合併処理浄化槽の設置費補助制度におきまして、補助対象地域が原則として下水道事業計画区域を除外している。そして、本県は他県に比較しましてこの下水道事業計画区域が比較的ウエートが高いということが考えられます。また、下水道事業計画区域内の方々におきましては、いずれ下水道が敷設をされるわけでございますので、どうしても単価の高い合併処理槽よりは単価が安い単独槽を選ぶ傾向が見られると、傾向があるというふうに考えております。
それから、補助制度創設以来の補助実績と合併処理浄化槽の普及活動、今後の設置促進の方途についてでございます。
まず、合併処理浄化槽の補助実績でございますが、昭和六十三年度にこの制度始まりまして、平成十年度までに一万八千四百三十一基補助いたしております。十一年度の予算上の数値を加味しますと、十一年度末では二万を超えると考えております。
合併処理浄化槽の普及活動につきましては、これまで市町村広報誌や保健所便りによる広報、それから啓発パンフレットの作成、配布、さらには、県内各地で開催されます催し物、生活排水セミナーとか各種のイベントを通じまして、合併槽の必要性につきまして啓発に努めておるところでございます。
また、平成九年に、愛知県の浄化槽指導要領というのを私ども持っておるわけですが、その指導要領を一部改正いたしまして、合併処理浄化槽の設置を努力義務とする規定を新たに追加いたしまして、市町村、浄化槽関係団体などの協力を得ながら、合併処理浄化槽の整備促進に努めております。今後とも積極的に普及啓発に努めてまいります。
それから、平成十二年度の合併処理浄化槽の補助制度でございます。
平成十年度の補助率を一〇〇といたしますと、十一年度は六三%ということになっておりまして、現在御審議をお願いしております予算案は、平成十年度の六三%の補助率で審議をお願いをいたしております。補助対象基数は、市町村から要望がありました全基数三千五十基、補助金額は総額三億九千六百五十一万六千円と相なっております。
それから、十二年度におきまして、今後の追加要望への対応でございますが、御質問にもございました合併処理浄化槽は、下水道、農業集落排水処理施設などとともに生活排水対策の重要な柱であるというぐあいに考えておりますので、今後も合併処理浄化槽の整備促進に向けまして、国の予算措置内容を、これ、国庫補助が絡んでまいりますので、国の予算措置内容等の状況の中でできる得る限りの対応を図ってまいりたい、このように考えております。
以上でございます。
74: ◯五十六番(小久保三夫君) 今、るるお答えをいただきましたが、私の手元にある資料によりますと、従来、単独処理槽というのは、例えば平成九年度は、愛知県下では約一万八千基ばかり埋設されて設置されたわけですけれども、そのうち合併処理槽が三千三百五十ということで、そういう数字を過去にたどっていっても、意外と多いわけでありまして、常にその差というのはあるわけでありますから、そりゃ、地域によっては公共下水ですとか流域下水が間近に入るから、この合併処理槽は補助金の対象にはなりませんよというのはあるかもしれませんし、それと、補助金が五十二槽以上は対象にならないんで、そういうこともあるかもしれませんけれども、ちょっとその開きが、私は大き過ぎるな、こんなふうに受けとめておりますし、そして、これが先ほどちょっと言われなかったんですけれども、この浄化槽のメーカーさんというのは今どういう状態かといいますと、これは国の方からも、厚生省の指導もあったりしまして、単独の処理浄化槽を製造を中止するようにということで打ち出しをしている現在でありまして、これは昨年のたしか四月ごろ、そういうことをきちっと打ち出しをされて、愛知県下でも、浄化槽メーカーはそれに従って単独浄化槽というのをつくらぬようになっているわけです。
だから、目下そういう状況でありますから、今後、合併処理槽しかないという方向になっていきますんで、この補助金の額で、いわゆる補助基数でいいかというのが、ひとつ私は念頭にあります。
そして、私はきょうの質疑をするにつきまして、同僚の議員の皆様方にも、おたくの市はどんな状況か聞いてみてもらえぬかというような、市、町、村、こういうところをちょっと聞いていただいたんですよ。そうしたら、やっぱり十二分に県は把握をして確かにおやりになっている。そのときはそのデータでいいかもわかりませんけれども、もうちょっと時間が過ぎますと、やはりもうちょっと必要だなという声が、どこの市、町、村でも聞こえてきたわけでありますから、これは、今補助金の補正を、次期に向かってどうのこうのというのは、大変当初予算に不見識でありますけれども、そういう状況であるということをひとつ御認識をしていただきたいな、こんなふうに思います。そんなことを含めまして、私は今後もひとつぜひ取り組みをしていただきたい。
この十一年度の七百基の補助金の取り組みというのは、これは担当者の方、私はよくやってくれたと思うんですよ。今までにない私はことをやっていただいたと思うんですよ。しかし、今言ったような条件がかかわってきましたんで、今後もこの必要性というのは十分、私は出てくる、こんなことを申し上げたい、こんなふうに思います。
あと、小型の合併処理浄化槽は、例えば五人槽の場合ですと、スペースがちょっと普通の浄化槽よりも広くとるとか、設備費が一基七十万台から八十万台ですとか、普通の浄化槽だと三十万前後ですとか、そういう高いものですから補助してやろうと、こういうことでありますが、維持費も若干高いわけでありますけれども、しかし、これはぜひ進めていただきたい。
そして、流域下水道とか公共下水道に比べて、この合併処理浄化槽というのは一番自然に優しい。これはなぜならば、自分の宅地で処理をし、側溝なり自分の宅地の中でこの水というのが処理できて、言うならば、また自然の、大自然の地中に帰っていく要素というのはたくさんあるわけでありますから、そういう意味では、私は、この合併浄化槽というのは、一番自然に親しみやすい、環境に応じた一番いいものだと私は思っております。
今申し上げましたところをよく酌んでいただきまして、今後ともぜひ取り組みをしていただくよう要望して、終わります。
75: ◯議長(
神戸昭治君) 進行いたします。
久野知英君。
76: ◯四十八番(久野知英君) 私は、第五款環境費のうち、第二項自然環境費第一目自然環境保全費の説明欄二の(四)、希少野生動植物・生態系保全対策調査費についてお尋ねをいたします。
国際博覧会会場の予定地は、古くから人がさまざまに利用してきました。窯業の盛んな瀬戸では、ここから焼き物の燃料となるまきを切り出しておりましたが、その結果、森は何度か荒廃し、江戸時代には山崩れや洪水などの災害も発生。その後、治山、砂防事業によって復旧され、人と深くかかわることで、現在の環境を維持してきたと言われております。
このように、国際博会場予定地は、一般的に里山と呼ばれている環境にあります。また、会場予定地には、オオタカやシデコブシなど、環境庁のレッドリストに掲載され、希少種と言われている野生動植物を初めとする多様な生物が多数生息、生育しているなど、豊かな自然環境となっております。
こうした里山は県内に多く存在し、県が一定の基準を設けて平成八年度に調査した里山全県調査では、県内で三十四市町村、七十地区、五万七百八十九ヘクタールあるとされており、最近では、身近な自然として、さらに多様な生物の生息環境としても、この里山が見直されてきております。
また、この豊かな自然環境をかけがえのない財産として将来に受け継いでいくため、平成九年八月には、持続的な発展が可能な社会を構築していくことを目的とした愛知県環境基本計画が策定されているところであります。
以上のことを踏まえて、次の二点について質問いたします。
まず第一点目に、この計画の中では、目標達成のための課題別施策の中で、本県における生物の多様性を確保するための総合的取り組みの推進を掲げており、その具体的施策の一つとして、県内の野生生物の生息、生育状況を把握し、その希少性を評価づけした愛知県版レッドデータブックを作成する調査を平成八年度から実施しているが、この調査結果をまって、今後、希少種の保全についてどのような考え方で取り組まれるのか、お尋ねをします。
次、第二点目に、自然との共生を掲げる国際博覧会の会場予定地は里山であり、その保全がテーマの一つとなっている。県内のさまざまな環境の保全には、個体の保護ばかりでなく、今後は里山などの生息環境全体を見据えた生態系としての保全が必要と考えているが、県はこうした考えのもとで里山保全について具体的にどのように対応しているのかお尋ねし、質問とします。
77: ◯環境部長(山下次樹君) 愛知県版レッドデータブック、御質問にもございましたように平成八年度から調査を始めておりまして、県内の野生動植物につきまして、その生育、生息情報や分布状況を把握し、種ごとに絶滅のおそれの程度の評価づけを行うという作業を進めております。この調査によりましておおむね、県内の絶滅のおそれのある野生動植物種、希少種がおおむね把握できますので、今後はこれらの希少種をその生息環境、成育環境に応じまして、里山などの生態系ごとに保全を図っていくための基本的な方針や保護策などを検討することとし、県内の希少野生動植物、生態系の保全に努めてまいります。
次に、里山の保全についてでございますけれども、一般的に里山は都市近郊に位置することから、開発の対象とされやすい。その一方で、県民の方々にとりましては身近な自然として親しまれる、そういう環境でありますので、保全の必要性の高い生態系と考えております。
里山生態系では、まず、里山に住む生物の中で、植物連鎖の頂点に位置いたします猛禽類につきまして、その希少種の営巣環境などの保全策を策定することにより、猛禽類のえさとなる小動物を初め、それにつながる昆虫、植物など、里山生態系全体の保全を図ることができますので、平成十二年度はこの具体的な保全策策定を目指しまして予備調査を行ってまいりたいと、このように考えております。
78: ◯知事(
神田真秋君) 自然環境の保全につきましては、人と自然との共生を図ることを前提に、幅広い視野に立って対処する必要があると考えております。あわせて、今回の博覧会をめぐるさまざまな議論の中でも、そうした広い視野での検討と対応が必要だということをまさに痛感したところでございます。
希少な野生動植物の保全、それには、その生息環境である生態系を総合的に保全することがまことに重要でありますので、愛知県といたしましては、その中期的な保全方法を策定をし、希少種の適正な保全と生物の多様性の確保を図ってまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
79: ◯四十八番(久野知英君) それぞれ御答弁をいただいたわけでありますけれども、まず、レッドデータブック。
実は、私自身もレッドデータブックそのものを拝見したことがなかったもんですから、図書室に借りにいって、今回の質問に備えようというふうに思ったわけでありますが、実は、借りることは借りたんですけれども、中をぱらぱらっとめくって、うんざりしました。やっぱりあれは、普通というか、特別にそういうふうなレッドリストという形で載っておるものですから、一般的な人が見るものというふうな扱いではない。専門的な方が見てよくわかるようになっておるというふうに理解したわけでありますけれども、県内版でつくっていただく場合は、もちろんそういったものも、種類が多いものですから必要だというふうに思うんですけれども、普及版という形で、みんなに親しみやすいカラー写真入りのような形でそういうのをつくっていただくと非常に親しみやすくて、しかも、ああ、こういうものが希少種かということがわかるわけでありますので、どういった形で選択するかということは掲載するものを選択するかということは、当局の判断になるわけでありますけれども、そういった形で、子供さんにも親しみやすいような形のものをつくっていただくことが一番ではないのかなというふうに思うわけであります。
特に、その希少種というのは、案外、その希少種というものを写真に載せたりなんかすると、いや、これは希少種で金になるのかなというふうな、そういうふうな変な考えを起こす人が中にはおるのかもしれませんけれども、そういう人たちはほとんどゼロに近いというふうに思うわけでありますが、子供さんなんかはそういうのを見て、特にこういうものは希少種だからこれは大切にしなければというのを目から訴えるということも非常に大切だと思いますので、その辺は要望しておきます。
それから、里山ですけれども、今調査していただいたこの数字、三十四市町村、七十地区という、かなり私は多いなというふうに感じたわけでありますけれども、五万ヘクタール余でありますので、広大な面積であります。たまたまこの里山、それから希少種というのが、海上の森だけにどうも目が行っておるようでありますけれども、県内にも七十地区もあるわけであります。そうしたところにも希少種が当然あるわけでありますが、里山というのは、やはり人がかかわり合ってこそ里山でありましょうし、やはり全然人が入らない山というのは死んでしまうわけであります。もちろん、一般的に植林したところもそうでありますけれども、そうでない自然形のところも人が入らなければ死んでしまう。昔は、何といいますか、まきだとか、それから、私どもの方では、ごかきといって、枯れ落ち葉、そういうのをかいてきてはたきものに使ったわけでありますけれども、今はそういうものが全然ないわけでありますので、昔はそういうことからキノコが出たり、それからいろんなものをきれいにすることによって山が生きておったと思うんですけれども、そういう手が入らないと、全く違った形で暗くなってしまって死んでしまう。
ですから、こういった形でピックアップしていただいたところは積極的に、お金がないときに余り使う話はいかぬわけでありますけれども、積極的に前向きな形で里山を保全するということは、特に子供さんたちも週休二日制になるわけでありますので、ただ、そういったところを遊び場とするような形もできれば、もっともっとすばらしい人間教育がしていけるんではないかというふうに思いますので、しっかりと御努力をいただきたいという要望をして、終わります。
80: ◯議長(
神戸昭治君) 進行いたします。
中村友美さん。
81: ◯五十五番(中村友美君) 議長のお許しをいただきましたので、私は、歳出第四款県民生活費第一項県民生活総務費に関連して質問いたします。
私は、昨年の六月議会の代表質問の中で、開かれた県政の実現に向けて、情報公開への積極的な取り組みと県民参加による行政の推進という観点から、広聴体制の充実について質問させていただきました。その結果、今議会では、県民の知る権利が明記された愛知県公文書公開条例の全部を改正する条例案が提案されています。
また、広聴体制のさらなる充実に向けて、コミュニケーション広報費二千九百六十万円が新規事業として計上されていることは、大変評価できるものであります。
私は、情報公開、広報広聴の一層の取り組みは、県民と情報を共有し合うことであり、共有し合うということは、県民から行政への働きかけが当然出てくるものと思っております。県民と行政はパートナーであり、上下主従とは違い、対等の県民として県政に参画する中で話し合い、協力体制のもとで行政を進めていかなければならないと思っております。
今議会でも、知事は、情報公開を進めていくことが県政の信頼を得るためにも、的確に県の仕事を進めていくためにも大変大切であるということや、謙虚にその声に耳を傾けていくことが必要などと発言されておられます。知事の積極的に県民の声を聞いていく姿勢が、今議会においてひしひしと伝わってくるわけですが、知事、実態はそうではありません。
まず、知事を囲む懇談会の開催についてです。
県では、県民の方々と知事が県政に関して話し合いを行う知事を囲む懇談会が、テーマを決めて、名古屋地域、尾張地域、西三河地域、東三河地域と四つの地域で開催されています。参加の顔ぶれは、例えば名古屋地域の場合、県医師会、歯科医師会、薬剤師会、社会福祉協議会、中部経済連合会など肩書のきちんとある方ばかりです。これはこれで、各界の代表との懇談も県政を進める上で重要なことでしょう。であるならば、もっと懇談会の性格をはっきりさせ、例えば各界代表との懇談会とされた方がわかりやすいと思います。一般的に県民の側からすれば、一県民、言ってみれば名もなき県民の方にも開かれた懇談会との印象を与えます。
実は、懇談会の開催を知った私の友人は、参加をしたいと私に相談をしてきましたが、体裁よく県に断られてしまいました。肩書がないと入れてもらえないものなのか、残念でなりません。例えば、一般県民の公募による懇談会を企画されることも検討されてはいかがでしょうか。御所見をお伺いをいたします。
また、コミュニケーション広報費の中には、知事と県民との対話が事業目的の一つとなっていますが、どのような形での県民との対話をなさろうとしておられるのか。私の先ほどの指摘も含め、お伺いをいたします。
話は高知県へ飛びますが、高知県では、知事の仕事を身近で見てもらうことにより、実社会の体験と政治や行政について、あわせて学生の視点で県政に対する意見や提言をしてもらう、知事のそばでインターンシップ制度を実施しており、ことしは海外を含めて七十七名の応募があり、その中から四名の方に参加をお願いしたようであります。このようなことをそのまま実施してくださいとは言いませんが、私なりのやり方で頑張りたいと諸課題の取り組みについての発言をされた知事。知事自身の発想で新しいものを考え、知事のそばにはいつも県民がいるという姿を示していただきたいと強く思いますが、県と県民のあり方について知事にお伺いをいたします。あわせて、情報の双方向性の観点から、電子メール、ファクスなどから直接県民の提言を聞くシステムを知事室に設けることを望むわけですが、いかがでしょうか。お伺いをいたします。
関連して、審議会等への公募制の導入についてもお伺いをいたします。
この件につきましては、私ずっと質問をしてまいりました。しかし、いまだに肩書のある方々が県側から選ばれています。広く一般県民にも審議会によっては参加する道を開いていくことがやっぱり重要と考えますが、御所見をお伺いをいたします。
次に、歳出第五款環境費第一項環境対策費についてお伺いをいたします。
今議会でも、地球温暖化対策等の観点から、自動車の排ガス対策についてさまざまな議論がなされました。また、このたびの東京都のディーゼル車NO作戦は、温室効果ガス対策あるいは都民の健康を守る行政の施策として、私自身評価をし、その実績に期待を持っています。環境対策は、国の対策の強化を待つだけでなく、地域の環境管理に責任を有する地方自治体として力を発揮していただきたいと思っております。
建設省道路審議会は平成十一年十一月二十九日、地球温暖化を防止するため、自動車の利用に伴う二酸化炭素の恒久的な発生削減につながる効率的な国土利用と環境負荷の少ない道路利用への転換と、よりよい環境創出を目指して道路政策を展開していく方向について答申を出しました。
そこで、まず、答申された内容について、環境部としての御所見をお伺いをいたします。
二点目、本県は環境に優しい自動車のあり方を示した環境にやさしい自動車利用指針を平成四年三月に策定をし、その取り組みを深めてきました。
そこでお伺いをいたしますが、平成四年三月から八年経過をいたしましたが、その成果と今後の課題についてお示しをください。同時に、県公用車への低公害車の導入はどうなのかもあわせてお伺いをいたします。
三点目に、環境時代にふさわしい、地球環境への負荷の少ない道路政策についてお伺いをいたします。
私は昨年十二月十七日、道路沿道の自動車排ガスを浄化するため自然界の土壌が有している浄化機能を応用した土壌による大気浄化システムと、太陽の光だけで沿道の汚れた大気を浄化する光触媒によるNOx浄化建材など、大気を直接浄化する新しい手法を実用化している大阪府へ見学に行ってまいりました。小雪の舞う肌寒い日ではありましたけれども、一生懸命説明をしてくださった大阪府職員の熱意を感じ取ることができました。
先ほども少し申し上げさせていただきましたが、土壌による大気浄化システムは、自然界の土壌が有している浄化機能を利用して自動車排ガス等で汚れた空気を浄化するシステムで、汚れた空気は送風機により風道から通気層を経由して土壌層に送り込まれ、土壌を通過する間にバクテリア等の作用により浄化していく。簡単にいえば、汚れた空気を土に通してきれいにする、最も単純なシステムです。
浄化に使用される土壌は特別なものではありません。一般的に園芸用として市販されている黒ボク土、真砂土に腐葉土及び通気性を制御するため土壌改良材のパーライトを混合し、その土では植栽や野菜づくりも可能であります。土壌層は約四十センチ。私が出かけたときは、トマトも植えてありました。
大阪府は、そのシステムを幹線道路沿道の緑地帯(沿道型システム)と、トンネル換気塔敷地内(トンネル型システム)に設置され、普及に向けたさまざまなデータを蓄積しています。
トンネル型システムによる大気汚染物質の除去率をここで述べさせていただきます。二酸化硫黄は、トンネル入り口では〇・〇〇四ppmが、出口では〇・〇〇一ぐらいのppm、これは除去率九六・六%。窒素酸化物は、入り口〇・七八七ppm、出口〇・〇四四ppm、除去率は九四・四%。二酸化窒素は、入り口〇・〇四九ppm、出口〇・〇〇一ppm、除去率九八・九%。一酸化炭素は、入り口で二四・二ppm、出口で〇・四九ppm、除去率九八%。浮遊粒子状物質は、入り口で〇・一〇二ppm、出口で〇・〇〇八ppm、除去率九二・三%。大変な成果が出ております。
そこで、環境部にお聞きいたしますが、このシステムについてどのような評価をお持ちでしょうか。
また、関連して、土木部にも質問をさせていただきます。
最初に申し上げました建設省道路審議会の答申の中には、地球温暖化防止に取り組むに当たって、地球環境への負荷の少ない道路利用となるようにさまざまに創意工夫を行い、従来にない取り組みを図ることも必要となること、積極的に新たな施策の導入を図っていく必要も述べられております。知事も、これからは環境がキーワード、先を越して環境問題に取り組む、取り組みたいとおっしゃられました。
自動車排ガスの都市交通の問題は大きな問題となり、沿線住民も環境汚染を大変心配をしています。また、今議会では、私どもの地元を通ります環状二号線を二〇〇五年までに開通させる答弁が土木部よりありました。環状二号線は、地元の強い要望もあった反面、住宅地のど真ん中を突き走り、小学校、特養施設もあり、沿線住民の不安の声が高まっていることも事実です。
そこで、土木部にお聞きいたします。
まず、一点目、土木部として建設省道路審議会の答申をどのように受けとめ、環境への負荷の少ない道路施策についてどのような御所見をお持ちでしょうか。
二点目に、先ほど申し上げました新システムの採用についてどのようにお考えでしょうか。特に環状二号線にはぜひ採用していただきたいと思いますが、国への働きかけも含め、お伺いをし、質問を終わります。
82: ◯議長(
神戸昭治君) 理事者各位に申し上げます。議員の質問が多岐にわたっておりますので、質問の要旨を十分把握して、的確簡明に答弁されるようお願いいたします。
83: ◯参事(佐宗政昭君) まず、知事を囲む懇談会につきまして、一般県民の公募を企画してはどうかというお尋ねがございました。
現在の知事を囲む懇談会は、県民の皆様と知事が時期時期におきます県政運営に係ります一定のテーマを持って意見交換をするということにしてございまして、参加者の方々は、原則としてそのテーマにかかわりの深い団体や、実際に活動されている方々などから選定をさせていただいております。
本年度は、二十一世紀の愛知の福祉をテーマといたしまして開催をさせていただきました。医師会や社会福祉協議会を初め、実際に福祉に携わっておられます団体あるいは福祉の対象となっておられます方々から貴重な御意見をいただいたところでございまして、こうした御意見をそれぞれ県政に取り入れることといたしております。当懇談会のこうした趣旨を御理解賜りたいと存じます。
次に、コミュニケーション広報についてのお尋ねでございますが、従来の「広報あいち」などの広報は、御存じのとおり、県の施策や行催事などを新聞紙面を通じまして、どちらかといいますと一方通行での形でのお知らせ的に行ったものでございまして、そう申し上げてよろしいかと存ずるわけでございますが、コミュニケーション広報では、県の施策の進め方やこれからのあり方などにつきまして、県民の方々からいただいた声などを取り上げながら、双方向性を持った広報を目指してまいりたいというふうに存じておるところでございます。
次に、インターネットやファクスなどを利用いたしました広聴を行ってはどうかということでございますが、こういったことをやっておられます府県もありますけれども、こういう場合に、意見要望がもし集中した場合の対応、あるいは提出された意見、要望の内容によって、それに対する対応、回答の仕方など、大変多くの問題もあるというふうに伺っているところでございます。
しかしながら、今日のような情報化の時代にありましては、インターネット等を十分利用いたしまして、直接県民の方々の提言や御意見をお聞きすることは大変重要であると存じておるところでございますので、まずは、広聴手法につきまして、これからきちっとしたシステムづくりを検討してまいりたいというふうに存じておるところであります。
84: ◯参事(渥美栄朗君) 審議会等附属機関の委員を人選する場合、公募制の導入についてのお話であります。
附属機関は、御承知のように、法令や条例により必置のものや任意に設置するものなど、その設置目的はさまざまであります。また、附属機関の中には、秘密保持やプライバシーの保護を必要とするものもありますし、専門家や各界各層の代表者の御意見が必要な場合もございます。したがいまして、従来から、附属機関を所管するそれぞれの部局におきまして、附属機関に必要とされます知識や経験を有する方々の中からふさわしい方を選任をいたしております。
しかしながら、一部他団体では、幾つかの附属機関について公募制が導入されていることも伺っておりますので、従来の選任方法に加えて、より広く県民の御意見をいただくという観点から、どのような附属機関が公募制になじむかといったことや、その公募方法、選考方法など、他団体の事例も参考にしながら公募制について研究をしてみたいというふうに考えております。
85: ◯環境部長(山下次樹君) まず、道路審議会からの答申内容でございますが、御指摘のとおり、地球環境への負荷の少ない道路利用へ転換し、よりよい環境を創出していくための今後の道路政策の基本的な方向が示されたと、このように考えております。答申に示されておる対策も、公共交通機関の利用促進や、都市内での自転車、徒歩への転換などを促進するもので、地球温暖化対策、大気汚染対策として大変有効であるというふうに考えられます。
したがいまして、これら対策の早期実現に向けまして、行政、事業者、県民、さらには環境活動を行うNPOなど民間団体が幅広く連携をしまして、効率的、効果的に対策に取り組んでいくことが必要であると考えております。
次に、環境にやさしい自動車利用指針の成果と今後の課題、それから県公用車の低公害車への導入についてのお尋ねでございます。
まず、この指針に基づきまして、アイドリング・ストップや物資輸送の効率化、さらには低公害車の普及など、幅広く県民の方々に啓発をしております。
その結果、アイドリング・ストップにつきましては、県政モニター調査結果を見ますと、約半数の方が温暖化対策を推進する上で必要であるというぐあいにしておりまして、認識が高まってきていると考えております。さらにこの取り組みの定着を図るため、現在、アイドリング・ストップモデル事業を実施しまして、効果的な普及手法の検討を行っております。
また、物流対策につきましては、貨物自動車の大口使用者に対しまして、自主管理指導要領を定め、物流の合理化等により窒素酸化物排出量を平成十二年度までに五%以上削減すると、そういう指導をいたしております。
低公害車でございますが、平成十年度末で県内に三千七百五十六台導入されております。この台数は全国一位でございます。県公用車につきましては、平成十一年度末で六十九台導入をいたしております。
いずれにいたしましても、自動車交通対策を推進するためには、県民一人一人が地球市民としての自覚に立って取り組むことが不可欠なことでございますので、今後とも、国などの関係機関はもとより、県民、事業者と一体となって、効果的な自動車対策を積極的に推進してまいります。
次に、土壌による大気浄化システムでございます。
道路沿道におけます大気環境の改善の方法といたしまして、土壌浄化法や光触媒浄化法などがあり、このうち、土壌浄化法については、浄化装置の設置に当たって相当の土地の確保が必要であること、ランニングコストなど運転管理上の課題はございますが、御指摘のとおり窒素酸化物等の浄化効果は認められております。
光触媒浄化法につきましては、本県は平成八年度及び九年度に、岡崎の国道一号線沿道におきまして実証試験を実施いたしまして、窒素酸化物浄化効果が長期間持続することなどを確認いたしております。現在、一部幹線道路沿道におきまして、道路管理者により実用化に向けた実験が進められております。
いずれにいたしましても、大気環境の改善のため、引き続きこれらの浄化システムについて情報収集し、研究してまいりたいと考えております。
86: ◯土木部長(竹内義人君) 環境への負荷の少ない道路政策についてでございますが、昨年十一月の道路審議会の答申につきましては、先ほど環境部長から答弁があったとおりでございまして、県といたしましても、その答申の趣旨を踏まえまして、今後一層地球環境への負荷の少ない道路行政の推進に努めてまいりたいと考えております。
次に、土壌による大気浄化システム等の新システムの採用でございますが、現在、このシステムにつきましては、建設省等におきまして、その有効性に関する検討が行われておりますが、コストに対する効果の分析等さまざまな検討事項もありまして、県といたしましては、この検討の方向を見守りながら、その実用化について研究してまいりたいと考えておるところでございます。
次に、環状二号線への新システムの採用でございますが、名古屋環状二号線は、議員御指摘のとおり、この地域におきまして極めて重要な路線でございますので、既に審議されました環境アセスメントに従いまして、環境保全に万全の対策を行いつつ、整備を促進してまいりたいと考えておるところでございますが、御指摘の新システムの採用につきましては、先ほど申し上げましたとおり、現在、建設省等においてさまざまな検討が行われておりますことから、その成果を見ながら、適用の可否につきまして、国とともに研究してまいりたいと考えておるところでございます。よろしくお願い申し上げます。
87: ◯知事(
神田真秋君) 県民とのかかわりについて御質問と御意見をいただきました。
御質問にもありましたとおり、県民とはよきパートナーでなければなりませんので、そのためには、情報の公開などによってきちんと県が保有するさまざまな情報を提供するとともに、その提供しました情報に基づく御意見あるいは反応というものをきちんと受けとめなければならないと思っております。
残念ながら、身一つでありますので、多くの県民の方となかなか会えないのも現実のことであります。したがって、できるだけ幅広く御意見を伺うためには、広聴機能を組織的にどうシステム化するかということが重要であります。この十二年度、新年度から、部制再編成の中で県民生活部というものを新たに設けるわけでありますけれども、その中に、広報広聴課という新たな課制をしきまして、広報と広聴を一体的に対応していこうと、また、この課の中でいろいろと充実を図っていこうと考えているところであります。
また、きょう御指摘がありましたインターネットなど新しいメディアを積極的に活用しなければならないと思っておりまして、こうした新しいメディアについても工夫を凝らし、より多くの県民の方々から御意見を聴取できるような体制をつくっていきたいと思っておりますので、お願いいたします。
88: ◯五十五番(中村友美君) 知事にもう一点お聞きしたいことがありますけれども、その前に、私は、知事を囲む会を別に否定をしているわけではありませんので、そういう各界各層の方々ならそういうふうなことでやっていただいて、また新たに一般の方々ともやっていただければいいんじゃないかというようなことをお聞きしたわけですけれども、答弁としては、大変残念な答弁が返ってまいりました。
それから、審議会の公募制についてですけれども、このことについては、以前に質問をさせていただいたときから若干一歩前に出たのかなと。審議会によっては検討していくという御答弁がありましたので、一刻も早くそのことについては、審議会等の公募制については導入をお願いをいたしたいと思っております。
そこで、実は、このことを知事さんに申し上げようかどうしようか迷っておりましたけれども、実は、三月一日の一般質問の際に、私のあるグループ四十名ぐらいが、実は傍聴に来ました。いつもテレビでしか知事さんを見ていないので、一度知事さんを見に来たいと、そういう方が大半でして、来られました。
その方が口々におっしゃられたのは、理事者の方の答弁は張り切って答弁をされてたけれども、知事さん元気がなかったと。本当に何か万博の問題等で心悩んでおられるのかなとおっしゃられておりましたし、そういう方なんだろうかと、そういうふうに悩んでもおられましたけれども、直接知事さんを自分たちが選挙で選んだという気持ちがあるので、とっても寂しい気持ちになったと。私たちの誇れる知事さんであってほしいということもおっしゃっておられましたし、議会に傍聴に来て知事さんの答弁を聞くのも、県民に向かって話す一つのチャンスだと思いますので、自分の言葉で語りかけてほしいと、そういうこともおっしゃっておられました。これは、一、名もない県民の方々の少しの意見ではございましたけれども、もしこのことに関して何かお言葉があればお聞かせをいただきたいと思います。
89: ◯議長(
神戸昭治君) 答弁時間が経過をしております。答弁は簡明に願います。
90: ◯知事(
神田真秋君) 若干誤解があるようでありますので、誤解も解きたいと思いますが、知事を囲む会の懇談会は、実は今、福祉ビジョンの策定に入っておりまして、介護保険も導入されるということで、各団体の皆様方に積極的にいろんな意見を聞きたいということで行いました。したがいまして、どうしても福祉関係のいろんなグループ、団体の方が多くなったり医療機関の方が多くなりました。もとよりそうした組織の方々に限定しているわけではなく、テーマに応じては臨機応変にやっていきたいと考えております。
それから、この傍聴の方も含めてのことですけれども、できるだけ自分の言葉でというお話がありました。元気を出してやらなければならないと反省しておりますけれども、御理解いただきたいのは、できるだけ自分の言葉でというのは一貫して心がけているつもりで、事務方の文書は読まないようにできるだけ自分の言葉でということで、この本会議でも今まで努めてきているところであります。一層努力したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
91: ◯議長(
神戸昭治君) この際お諮りいたします。会議中時間経過のおそれがありますので、時間を延長することに決しまして御異議ありませんか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり]
92: ◯議長(
神戸昭治君) 御異議なしと認めます。よって、時間は延長することに決定いたしました。
進行いたします。
筒井タカヤ君。
93: ◯九十九番(筒井タカヤ君) 発言通告に従って、第四款県民生活費第二項文化振興費を通じ、県政の基本をただしてまいります。
私は、愛知県芸術文化センターの運営の調査に向かいましたところ、こういった一つずつの経験をいたしました。
私の車の運転席に県議会の駐車証を置いて、公用車用の駐車場に入りました。公用車用のその駐車スペースに入れましたところ、係員らしき人より、どこから来たのかねと尋ねられましたので、県庁から公務で参りましたと答えました。あなたは運転手さんかと聞かれましたので、ええ、私が運転してきましたと答えました。彼は、どうもどうもと言ってくれました。気のいい人だなと思ったわけであります。そして、私は用務先に向かおうとしたところ、ちょっとちょっと、どこへ行くのかと呼びとめられました。再び私は用務の内容を答えました。だれを迎えに行くのかと聞かれましたので、いえ、これも公務ですということで答えたところ、この車はここにとまっちゃいかぬよと、有料駐車場へ置くようにと言われました。係員は、私の黒色の車を県庁の公用車と間違えたようであります。全く紛らわしい車を、黒い車を乗って来るなというような、さも態度でありました。私も、公務だからきょうはと思ったのがいけなかったと内心反省をし、そして、係員の言うとおり有料駐車場にとめたわけであります。
ここの、いわゆる愛知芸術文化センターの専用車のスペースであるということを知ったわけであります。調べてみると、愛知芸術文化センターには二台の黒塗りの役員用の、利用する車があるということの存在を知りました。
そこで、以下お尋ねいたしてまいります。
愛知県はこれまで経験したことのなかった深刻な赤字財政となり、昨年及びことしも県職員の全員が給与、賞与の削減の実施もしている状況であります。さらに、本議会においても、福祉・医療費にまで至る歳出の削減を実施をすることについて幾多の論議があります。このような状況下にあっては、人員の配置の見直し、効率的な物事の運営とむだを排することが必然的に必要なのであります。県民の福祉の費用まで削減する中にあって、バブル時期に完成したあの愛知芸術文化センターの運営には、何かと批判の対象となっていることを私も承知をし、皆さんもそのことをよく認識されているところだと思います。
そこで、私は、愛知県芸術文化センターの黒塗りの乗用車の使用について質問いたします。この車の主なる利用者はだれなのか。二台もなぜ必要なのか。現在の県財政を考え、県芸術文化センターの立場を考えたならば、返上すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
私は、この件を機会に、県地方機関の施設及び県関係団体における黒塗りの利用する乗用車、主にその機関の代表者用の専用車の状況も調査をいたしましたので、参考に資料を発表させていただきます。
まず、愛知芸術文化センターに二台、それから、東京事務所に、県立大学に、身障者コロニーに二台が配置されております。これからは一台ずつあります。自治研修所、県事務所九カ所、県税事務所九カ所、不動産評価事務所、消防学校、芸術大学、看護大学、陶磁資料館、環境調査センター、保健所十七カ所二支所、総合保健センター、総合看護専門学校、中小企業総合センター、工業技術センター、食品工業技術センター、農地開発事務所八カ所、名古屋労政事務所、愛知障害者職業能力開発校、土木事務所九カ所、港務所二カ所、河川工事事務所、建設技術研究所、がんセンター、城山病院、愛知病院、尾張病院、農業総合試験場、教育センター、スポーツ会館、体育館、武道館、水道事務所五カ所、衣浦港・三河港工事事務所二カ所、合計九十六台。それから、県本庁集中管理が六十一台。うち、議会の車が十台。
県関係団体における代表者専用車の調査も行いました。愛知県国際交流協会一台、会長鈴木礼治前知事。愛知公園協会三台、理事長千田邦男さん、前出納長。あいち女性総合センター一台、理事長武村正男さん。それから愛知県文化振興事業団、理事長佐治正之さん、前副知事。愛知県厚生事業団一台、理事長川口泰晴さん、前総務部長。愛知県中小企業振興公社一台、理事長三輪優さん、前の農業水産部長。愛知県労働協会三台、兼職で河内副知事。名古屋高速道路公社二台、理事長青山英次さん、前副知事、副理事長山本邦夫さん、前土木部長。愛知県道路公社一台、理事長千田勲さん、前参事。愛知県土地開発公社一台、理事長井上銀次さん、前労働部長。愛知県下水道公社一台、理事長石田さん、元尾張事務所長。愛知県都市整備協会一台、理事長伊佐治敏さん、前土木部長。愛知県住宅供給公社一台、理事長川路さん、前国体局長。愛知県教育サービスセンター二台、理事長久留宮さん、前参事。愛知県学校給食会一台、理事長山田繁夫さん、前議会事務局長。愛知県スポーツ振興事業団一台、理事長中島さん、前参事。二十八団体、外郭団体、県関係団体がある中の十八カ所に二十三台の車がありました。合計でいきますと、百八十台あります。ここには、国庫補助事業で車両を購入しています県警本部の車は除いてあります。
私が主張したいのは、県に関係するお役人、責任者が、人は減らされるわ、給料は下がるわ、もうやってられないよと。せめてお役人気分をさせてもらっているのは、黒塗り専用車だけという気持ちをぬぐい取ってもらいたいという気持ちからであります。何で交通利便な総合保健センターやあいち女性総合センター等も含めて黒塗りの車の専用車が必要なのか。もう、あきれて物が言えないのが、私の率直な心境であります。知事はもっとこれらの実態を見詰めて、公用車のあり方を検討してほしいと思います。
何も私は、即時、これらの黒塗りの乗用車を即時廃止せよと言っておるのではありません。こんな時期だからこそ、責任者はあえて公共交通機関及びタクシー、ハイヤーを利用すること。現在ある車は、責任者以外が、車の利用を必要とする一般県職員が利用すること。運転手さんも効率的に県政に厳しく参加している意欲を認識するようにしていただきたい。
行く行くは大幅に減車する方向となり、お役人のお偉方が黒塗りの車で送迎される姿がなくなることを願い、民間出身の神田知事が、お役人の常識、一般社会の非常識を変革されるよう、県政の発展を期待し、以上で終わります。
94:
◯総務部長(
御園慎一郎君) 黒の公用車の御質問をいただきましたが、まず最初に御質問のありました芸文センターのことでございますが、御指摘のように二台配置をしております。
公用車、総長、副総長、それから、御承知のように芸文センターは名城地区の図書館も、それが組織の一端になっておりますので、それも含めて施設の各部門の長あるいはいろいろと、美術館、それから芸術劇場ホール、それから情報センター等ございますので、そういうところにお客さんがお見えになります。そういう方々の送迎用だとか、それから、もちろん総長たちだけが専用に使っているわけではありませんので、芸文センターでいえば二台を集中管理として、その各施設の業務用としても共同利用しているという実態でございます。
また、それ以外の、県の中で保有をしておる黒の公用車の御指摘もいただきました。御指摘のとおり、十一年度におきまして、二月末でございますが、百八十台の黒を持っております。公用車は別に、御指摘ありました役人意識を満足させるために乗っているということではもちろんないわけでありますし、一応専用車というような形になっておりますし、当然使用頻度の高い人、それからそうでない者おるわけですが、基本的にはその他の業務にも使っておるところでもありますが、いずれにいたしましても、御指摘のように大変厳しい状況下でございます。十二年度、十一年度に引き続き全面的に、十一年度からもうやっておりますが、黒塗りの公用車の更新は、新たに買いかえるといったようなことは、当然これは見送っておりますし、それから、第三次行革に基づきまして、まずは、知事部局等の本庁において、十二年度からの部制の編成にも合わせて、公用車につきましても集中管理をしていくといったようなことで、さらに効率的な利用の促進、それから台数の削減というようなことを考えておるところでございます。
今あって、走れる車があるわけでございますので、まずは今申し上げましたように効率的な利用に努めていきたいと思っておりますけれども、さらに、地方機関なり県関係団体の御指摘もいただきましたが、利用実態なりあるいは必要性というものを考えまして、今後、地方機関の再編等の検討もしているわけですが、こういう中で、公用車の配置のあり方の見直し、今も検討しておりますし、そういう検討結果も踏まえながら、削減の方向でいきたいと思います。
それから、タクシー、ハイヤーといったような御指摘もいただきましたが、これも最終的に、メリット、デメリットといったようなものも、今私どもも検討しておりますので、そういう検討も含めて、今後、公用車の効率的な運用、今御指摘いただいたような点も踏まえて、私どもとしてのあり方を検討し、方向性を出していきたいというふうに思っているところでございます。
95: ◯九十九番(筒井タカヤ君) 知事からも御答弁があるやに思ったわけでありますが、ぜひ私は、県のこれからの基本的な姿勢にかかわることだと思って、小っちゃなことでありますけれども、ただしたわけでありますので、もし御感想があればお述べをいただければと思います。
愛知県の方は火の車であります。しかるに、お役人の、県庁のお偉方は黒の車であります。これまでは愛知県も豊かな県財政を誇り、そしておおらかな形で、そして運営をしてまいりました。私は、この際こういったような姿勢は、私は改めるべきだと思います。
どんなにこの県政を必死になって頑張っておりますと言って述べたとしても、一見にして、この現状の姿を見ておりますと、黒い車に乗ってふんぞり返っているとは言いませんけれども、そんなような車で後ろに堂々と乗っておられる方を見て、本当に県民は拍手をもって「頑張ってくださいね」という声がかけられるでしょうか。私は、そんなことはないと思います。
今お話が総務部長からありました。お偉い人だけの専用車ではない。効率的に使うんだ。一般の職員も使ってもらおうとおっしゃったわけであります。ところが、「はい、そうですか」と言ってのこのこと乗る人間が果たしているでありましょうか。まず、責任者は乗らないということになったとしたならば利用はしますよ。そんなような状況ではいけないから、私は、責任者は乗らない、こういった方法の一つの提案も示したわけであります。
私だってこんな話を本当はしたくはないんでありますが、どう見ても、本当に謙虚に真剣になってやっているんだという姿勢がひしひしと感じられない。そのことだけは、私は一つの象徴として、皆さん役人の方に態度を改めるべきだ、もっと謙虚にあるべきだということを主張したかったんであります。
感想があれば述べてください。
以上です。
96: ◯知事(
神田真秋君) 公用車の黒塗りの車の削減についてお話がありました。
先ほど部長申し上げたとおり、順次、今削減に向けていろいろと準備を進めているところでございまして、部局再編に伴う集中管理ということも努力をいたしておりますし、それから、外郭につきましても、統合という中でできるだけこうした削減が図れるよう努力をしているところであります。
それから、あわせて、黒塗りだけにかかわらず、いわゆる公用車と言われているものすべてに効率的な運用というものはかかわるわけでありまして、その点についても意を用いております。
さらに加えて、これも部長触れたかと思いますけれども、更新という問題もございまして、昨年度も見送ったことは、議員御承知のとおりでありますし、そうした、いわゆる行革の中で私どもも今一生懸命取り組んでいるわけであります。
御指摘いただいた点を十分頭に置き、さらにこれからもこうした行革の実が上がるように、公用車の運用管理についてもさらに努力をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
97: ◯五番(吉川伸二君) 本日はこれをもって散会し、明三月八日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
[「賛成」と呼ぶ者あり]
98: ◯議長(
神戸昭治君) 吉川伸二君の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり]
99: ◯議長(
神戸昭治君) 御異議なしと認めます。
明三月八日午前十時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時五十九分散会
発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...