愛知県議会 2000-02-01
平成12年2月定例会(第2号) 本文
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ウィンドウで開きます) 平成12年2月定例会(第2号) 本文 2000-02-29 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ
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発言者一覧 選択 1 :
◯議長(
神戸昭治君) 選択 2 :
◯議長(
神戸昭治君) 選択 3 : ◯八十番(
小出典聖君) 選択 4 :
◯知事(
神田真秋君) 選択 5 : ◯五番(
吉川伸二君) 選択 6 :
◯議長(
神戸昭治君) 選択 7 :
◯議長(
神戸昭治君) 選択 8 :
◯議長(
神戸昭治君) 選択 9 : ◯七十五番(
波形昌洋君) 選択 10 :
◯知事(
神田真秋君) 選択 11 :
◯教育長(伊藤廉君) 選択 12 :
◯議長(
神戸昭治君) 選択 13 : ◯六十八番(
岩田隆喜君) 選択 14 :
◯知事(
神田真秋君) 選択 15 :
◯教育長(伊藤廉君) 選択 16 :
◯警察本部長(
古賀光彦君) 選択 17 : ◯六番(小林功君) 選択 18 :
◯議長(
神戸昭治君) 選択 19 :
◯議長(
神戸昭治君) ↑
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ヒット) 1: 午前十時一分開議
◯議長(
神戸昭治君) ただいまから会議を開きます。
直ちに
議事日程に従い会議を進めます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第一
一般質問
2:
◯議長(
神戸昭治君) これより
一般質問を行います。
通告により質問を許可いたします。
小出典聖君。
[八十番
小出典聖君登壇](拍手)
3: ◯八十番(
小出典聖君) 皆さんおはようございます。私は、自由民主党愛知県議員団を代表いたしまして、神田知事の今後の県政運営の基本姿勢について伺ってまいりたいと存じます。
知事は過日の今定例議会開会日の所信表明の中で、知事就任二年目に当たり、二十世紀から二十一世紀への新しい時代を迎えるということはこんなにも難しいことかと日々実感させられているとした上で、県民福祉の総合的な進展及びこの地域が大きく飛躍する基盤となる国際博覧会、中部国際空港等の主要事業を進める道のりは大変険しく困難なものでありますと、率直な発言をされました。立場こそ違え、私も全く同じ感慨であります。
昨年二月の知事就任以来、我が愛知にとって産みの苦しみのこの時期に、めぐり合わせとはいえ、知事という重責を担われ、県民と議会に対して率直に理解と協力を求める謙虚で誠実な、今話題の石原東京都知事とは対極にあるあなたの政治姿勢に好感と共感を抱き、あなたの知事就任を天の配剤と受けとめているのは、ひとり私だけではないと存じます。その姿勢は、新年度予算案にも強くうかがわれているところであります。知事の指導力に大いに期待するとともに、我が党県議員団としても全力で支えてまいる所存であります。
とりわけ平成十二年度は、地方分権一括法の施行や介護保険制度の実施など、地方行政が大きな転換期を迎える時期であります。本県においては、新世紀への飛躍の基盤となる主要事業の進捗においても極めて重要な、節目となる時期であります。主要事業の進捗に全力を挙げて取り組んでいくことはもとより、県土の均衡ある発展を図るため、社会基盤の整備や社会情勢の変化に対応した事業を積極的に進め、本格的な景気の回復と県民の福祉の向上を図っていかねばなりません。
そこで、私はまず冒頭に、就任二年目を迎える神田知事の県政運営に当たっての決意と基本姿勢について伺いたいと存じます。
それでは次に、今後の行財政運営と地方分権にかかわる諸問題について伺った上で、主要事業への対応方針、さらには県政を取り巻く重要問題について順次質問をいたしてまいります。
最初の質問は、行財政問題についてであります。
まず最初に、景気の動向と本県経済の見通しについてお尋ねをいたします。
我が国経済は、民間需要の回復力が弱く、厳しい状況を脱していないものの、政府による各種の政策が効果を上げるなど、緩やかながらも改善が続いているところであります。本県経済も、企業の業況感が着実に改善しているほか、新型車効果や輸出の回復による自動車生産の増加から総じて生産が持ち直し傾向にあるなど、国と同様、徐々に改善の動きが見られる状況にあります。
こうした中で、政府は、来年度の経済成長を実質一%と見込んだ上で、本年秋ごろには民需主導による本格的な景気回復が図られてくるとの見通しを明らかにいたしております。しかしながら、これまで景気を下支えしてきた公共投資には息切れが見られる上、景気回復の牽引役と期待される個人消費は、所得の低迷から足踏み状態にあり、設備投資も減少基調が続いております。さらに、自動車輸出の回復を主因とする生産の持ち直しは、一方で為替変動という不安要因を抱えておりますし、依然として厳しい雇用情勢などを考え合わせますと、景気の先行きにはいまだ不透明な要因が少なくないと思うのであります。
こうした状況を踏まえ、知事は本県経済の現状と見通しについていかなる所見を持っておられるのか伺います。
次に、県税収入の見通しについて伺います。
県税収入に影響を及ぼす最近の景気動向は、先ほども申し上げましたように、緩やかな改善が続いているとはいえ、個人消費が低迷しているなど民間需要の回復力が弱く、厳しい状況を脱していないところであり、税収を取り巻く経済環境には厳しいものがあると思われます。
平成十二年度の税収は、法人二税が恒久的減税の平年度化の影響を受けることや現在の景気動向などから、県税収入に多くを望むことはできないと思われますが、知事は来年度の県税収入をどのような見通しのもとで計上されたのか伺います。
また、この際、東京都の銀行業に対する法人事業税の外形標準課税の導入についてお尋ねしておきたいと存じます。
現下の地方財政は大幅な税収の落ち込みに加え、累次の景気対策の実施等により公債費が増嵩するなど、極めて厳しい状況にあります。今後における分権型社会に対応するためには、地方税財源の充実強化は大変重要な問題であり、国から地方への税源移譲や税収の安定的確保を図るため、法人事業税の外形標準課税の導入は、対象の吟味は必要ですが、原則として望ましいものと考えます。
こうした中、東京都の石原知事が全国に先駆けて課税自主権を行使して、一定規模以上の銀行を対象に、法人事業税の外形標準課税の導入に踏み切り、いわゆる銀行税の四月実施に向けて、特例条例案を都議会に提出したところであります。
知事は、このたびの石原都知事の外形標準課税の導入についてどのような評価をされているのか、また、本県においても導入の意向を持っておられるのか、伺っておきたいと存じます。
次に、今後の財政運営についてお尋ねをいたします。
本県財政は平成十年度に戦後初の赤字決算となり、平成十一年度においても、十二年度の収支不足を解消するための年度間の財源調整が必要であったという特殊事情を考慮いたしましたとしても、結果として赤字の解消はできず、赤字幅の縮小にとどまり、二年連続の赤字決算は確実な情勢となりました。さらに、県債残高は一般会計の予算規模を大きく超える額にまで増嵩しており、基金も枯渇するなど、本県財政は依然として極めて深刻な状況にあります。
こうした状況の中で、社会経済情勢の変化に対応していくための行政需要は今後ともますます増大していくことが見込まれます。県行政の円滑な推進のためには、一刻も早く財政を健全な姿にしていくことが喫緊の課題となっております。
知事は、こうした状況を踏まえ、今後の財政運営をどのように進めていかれるのか、基本的な考え方を伺いたいと存じます。
次に、行財政改革について伺います。
今日の厳しい財政状況は、単に行財政改革への取り組みだけでは解決できない構造的な問題が根底にあることは十分承知をいたしておりますが、行政運営を常に簡素効率化していくことは行政を預かる者の大きな責務ではないかと存じます。第三次行革大綱が平成十年十二月に策定されて以来、さまざまな合理化への取り組みが進められつつありますが、この間にも本県の財政状況は一段と厳しさを増し、困難な財政運営を余儀なくされております。
我が党は、来年度予算編成に関する要望に際して、本県の危機的な財政状況を打開するためには、第三次行革大綱の前倒しにとどまることなく、神田知事の行革ビジョン等を明確にして一段の行財政改革に取り組むとともに、中・長期的な財政運営の方針を示しつつ、過去の慣例にとらわれることなく、財政構造の抜本的な改革と財政の健全化を強力に推進されるよう、強く求めたところであります。
県政運営に関する県民の関心がますます高まってきている中で、今後さらに行財政改革の実を上げ、県民の理解を得ていくためには、神田知事の行革への新たなビジョンを明らかにしていくことが必要であると考えます。知事の所信を伺います。
次に、愛知県公文書公開条例の改正についてお尋ねをいたします。
知事は昨年六月議会において愛知県公文書公開条例の一部改正を提案され、八月から請求権者の範囲や公文書の公開範囲の拡大を実施し、さらに、対象情報の範囲、実施機関の範囲などの見直しを進められることなど、情報公開の推進に努力してこられたところであります。このたび、より開かれた県政、透明性の高い県政を目指して、条例の全面改正案を議会に提出されたところでありますが、この条例の具体的な適用に当たっては適正に運用されることが肝要かと存じます。
そこでお尋ねいたしますが、今日、県政を取り巻く諸環境や県民ニーズが大きく変化するなど、その把握と対応が難しくなっている状況の中で、本条例の実施に当たってどのような姿勢で望まれるのか、また、条例の具体的な運用に当たってどのような課題があり、それに対してどのように対処されるのか、知事の所見を伺います。
次の質問は、地方分権に伴う諸問題についてであります。
本年四月からいよいよ地方分権一括法が施行されますが、ここに至るまでには、平成七年の地方分権推進法の制定から、分権推進委員会での検討、勧告や、国の分権推進計画の策定、法制化など、さまざまな経過をたどってきたところであります。そして、今議会には地方分権一括法に対応する数多くの条例の制定、改廃が提案されているところでありますが、今回の分権改革の中で最も大きな注目点は、機関委任事務が廃止されることであろうかと存じます。国、県、市町村が対等、協力な関係に立つことが基本とされ、地方にとっては自主、自立が要請されることになり、また、施策展開に当たっては、創意工夫が求められることになります。
この点、行政を担っていく職員の意識改革が極めて重要になると考えますが、知事はこの課題にどのように取り組んでいかれるのか伺います。
さらには、今後の分権改革では、国と地方をめぐる税財源の問題など肝心な多くの課題が残されていますが、本県独自に推進できるものとして、基礎的自治体である市町村に対して、住民に身近な事務の権限を移譲していくことも、分権の大きな課題であろうと存じます。
そこで、市町村への権限移譲について、今後どのように取り組んでいかれるのか、伺っておきたいと存じます。
次に、地方分権に伴う今後の地域雇用対策についてお尋ねいたします。
地方の時代の幕あけとも言える大きな時代の転換期を迎えているわけでありますが、労働指標である有効求人倍率や完全失業率は、厳しい雇用情勢を反映した数字を示しております。こうした厳しい雇用情勢の中で、本県の雇用対策は、国、県一体となって取り組まれてきたところであります。しかしながら、地方分権の実施に伴い、職業安定行政については知事の指揮監督から離れ、この四月からは国の愛知労働局が直接執行することとなります。加えて、本県では第三次行革大綱に沿った部制再編が実施されますが、懸念されますことは、今後、地域の労働行政が後退するのではないかということであります。地域の行政水準を落とすことのないよう、今まで以上に国との連携が必要であると考えますが、知事は雇用対策について今後どのような方針のもとに、どのような体制で取り組んでいかれるか、伺いたいと存じます。
次の質問は、愛知万博、二〇〇五年日本国際博覧会についてであります。
ことしに入り、昨年十一月に来日したBIE(博覧会国際事務局)幹部と通産省との実務者会議のやりとりが報道されたことに端を発し、通産大臣、建設大臣等を初めとした政府や政党の要人の相次ぐ現地視察、BIEに対する博覧会の進捗状況の説明と意見交換、そして本年五月登録の延期など、愛知万博をめぐってまことに目まぐるしいさまざまな動きがありました。我が自民党は、こうした大きなうねりの中にあって、これも産みの苦しみと理解し、愛知万博の開催と成功に向けて引き続き一丸となって推進していく決意を新たにしているところであります。
ところで、そもそも今回の事態を招いた原因は、博覧会計画を立て、推進する立場にある国──通産省でありますが、愛知県、博覧会協会の三者の連携が不十分で、意思の疎通を欠いていたことにあることは否めない事実であります。一体どこに司令塔があるのか、まるで見えてこないのであります。この際、関係者は率直に反省すべきであります。早急に取り組み体制を強化し、博覧会の開催と成功に向けて、国、県、博覧会協会が三位一体となって取り組んでいかねばなりません。また、WWF(世界自然保護基金)など自然保護団体との話し合いについても、当然のことながら、三者が一体となって対処すべきであります。
そのためには、今後、こうした三者の連携とともに、三者を取りまとめていくことのできる強力なリーダーシップを国に求めていくことが必要であると考えます。知事はこの点をどのようにお考えなのか伺います。
次に、BIEへの登録時期の延期についてでありますが、私は、五月の登録を見送ったことはかえってよかったのではないかと考える一人であります。よりしっかりしたわかりやすい計画に熟度を高めることができることになるわけであり、知事が申されるように、各方面からの意見に、限られた時間ではありますが、真摯に耳を傾ける機会を得ることができるからであります。多くの県民の賛同が得られるよう期待いたすものであります。
そこで、登録時期が約半年ずれることによって、今後、登録申請の準備をどのように進めていかれるのかを伺います。
次に、焦点となっている海上地区の地域整備の手法についてでありますが、知事はさきの所信表明において、新住事業については幅広い検討を進める中で、事業の進め方に変更が生じた場合も柔軟に対応できるようにしたいと述べられたところであります。
私は、誘致の際に多くのBIE加盟国から高く評価された開催主題、里山を舞台に人と自然との新しい関係、その主題を熱い思いを込めて世界に提案したこと、このことをまずは大切にして進めていくべきであると考えます。地域整備の手法を検討していく中で、知事はどのような基本方針で進めていかれるのか、お伺いをいたします。
いずれにいたしましても、万博開催は後戻りのできない国際的公約であります。厳しい財政状況の中にありますが、先ごろ現地を視察された我が自民党の野中前官房長官も、国の財政支援について積極的な姿勢を示されたところであり、去る二十四日には、知事御自身が小渕総理に会われ、支援を取りつけられたところであります。我が党といたしましては、何としても愛知万博を成功させるべく、今後とも最大限の努力を傾注してまいる所存であります。
次の質問は、福祉問題についてであります。
まず、福祉医療についてお尋ねします。
福祉医療制度はこれまで愛知の福祉の重点事業と位置づけられ、障害者、老人、戦傷病者、乳児、母子・父子家庭など、社会的、経済的に弱い立場にある方々の生活の安定に重要な役割を果たしているところであります。とりわけ、障害をお持ちの方々は医療に依存する度合いが高く、また乳児については、少子化対策の観点から、乳児の健康を守り、安心して子育てができるよう、子育て家庭の経済的負担を軽減する意味からも必要不可欠な制度として定着していようかと存じます。
しかしながら、かつて経験したことのない厳しい財政状況にあって、あらゆる分野で歳出の見直しが求められている中で県民の福祉を考えるとき、真に必要な施策は何か、だれが本当に困っているのかということを十分に議論した上で、めり張りのある施策の展開が必要になってくると考えるものであります。
そこで、我が党といたしましては、昨年の十一月定例県議会の代表質問におきまして、福祉医療制度の対象者のほとんどが社会的、経済的に弱い立場にある方々であることから、これらの方々が引き続き必要な医療を安心して受けられるよう、見直しは必要最小限にとどめるべきであると、我が党の考えを表明したところであります。
知事は、来年度の予算編成に当たり、どのような考え方でこの課題に取り組まれたのか、伺います。
次に、いよいよ四月一日にスタートする介護保険制度についてお尋ねをいたします。
介護保険制度は、社会福祉の基礎構造改革の先鞭をつけるものと言われております。これまでの行政主導による措置を中心とした仕組みから、利用者みずからがサービスを自由に選択し、サービス事業者との契約に基づいて必要な介護サービスを受けるという、これまでとは全く異なった仕組みで行われるものであります。
介護サービスを受けるためには、要介護認定を受けて、さらに介護サービス計画、いわゆるケアプランの作成をする必要があります。これまでは、国の準備作業のおくれで、介護報酬や支給限度額が決まっていなかったため、ケアプランの作成ができませんでしたが、この二月に入ってようやくケアプランの作成をすることができるようになりました。
しかし、制度開始まで残すところあと一カ月となりました。非常に短期間で準備を進めていかねばなりません。四月以降のサービス利用について不安を抱いている高齢者も多いのではないかと推察いたすものであります。県や市町村などは、こうした方々に対して四月以降も必要なサービスを切れ目なく円滑に受けられるよう、万全の準備を進めていく必要があろうかと思います。要介護認定やケアプランの作成など、一連の手続は年度内に完了させなければなりません。
そこで、要介護認定の申請や、これに伴って居宅介護支援事業者が行うケアプランの作成及びサービス事業者への手配などの諸手続が行われる必要があります。これらの準備の状況はどうなのか。また、今後の見通しはどうなのかを伺います。また、こうした中で、要介護認定において自立と認定された方々や、ひとり暮らしなどで生活に不自由のある方々に対しては、日常生活を支援したり、要介護状態にならないよう予防するためにも、必要な対策を講じていくことが極めて重要であると考えます。
国においては、これらの方々に対する生活支援策や介護予防策が講じられるとのことでありますが、県としてはどのように支援していく心づもりであるのか伺います。
次の質問は、中部国際空港にかかわる諸問題についてであります。
中部国際空港は、成田、関空とともに、二十一世紀の日本の空の玄関としての役割を果たす国際拠点空港であります。当地域のみならず、我が国の将来の発展に必要不可欠な主要事業であり、目標どおり二〇〇五年には何としても開港しなければなりません。
さて、その空港事業の進捗状況についてでありますが、一昨年の平成十年五月に、地域の期待を集める中で、事業主体となる中部国際空港株式会社が設立をされました。以降、環境影響評価手続が行われ、また、常滑に建設事務所も開設され、さらに、利用者にとっても最も身近な施設であるターミナルビルについても、その基本構想が明らかにされるなど、これまでのところ着実に進展してきており、現在は現地着工に向け大詰めの段階を迎えていると理解しているところであります。二〇〇五年開港のために、工事に要する期間などを考え合わせますと、一日も早く工事に着手する必要があります。しかしながら、現状では、懸案の漁業補償については、まだ三重県漁連や野間漁協との調整が残されておりますし、埋め立て免許取得のための手続など、まだまだ課題は山積しており、いささか心配をいたしているところであります。
そこで、これらの課題に対する取り組みや今後の見通しについて順次伺っていきたいと存じます。
まず、漁業補償についてであります。
今月二日には三河の三支部との補償交渉が妥結し、野間漁協を除く愛知県漁連との調整が済んだところでありますが、考えてみますと、神田知事が就任された最初の議会である昨年のちょうど今ごろ、常滑市内の漁協との調整が進められていたわけであり、知事は一年近くも先頭に立って愛知県漁連との調整を行ってきたわけであります。いろいろと御苦労もあったのではないかと存じます。
そこで、まず、愛知県漁連との交渉を振り返って、今どのような感慨をお持ちなのか。また、残された三重県漁連や野間漁協との調整についてどのような見通しを持っておられるのか、あわせてお伺いをいたします。
次に、今後のスケジュールについてでありますが、現時点で漁業関係者との調整や埋め立て免許の手続が終了していないことを考えますと、工事に着手するまでにはまだまだ時間がかかるのではないかと思われます。また、工事着手後の建設工事期間も大変厳しい状況となっております。二〇〇五年の春の開港に向け、知事はどのような見通しを持っておられるのか、所見を伺います。
次の質問は、首都機能移転問題についてであります。
戦後五十年を経て、日本の発展を支えてきた行財政システム等が時代の変化に対応し切れず、十分に機能しなくなってきており、しかも、こうした状況に経済状況の低迷や少子・高齢社会の到来などが加わり、我が国は重大な転換期に差しかかっているのではないかと認識しているところであります。
首都機能移転は、地方分権や規制緩和等の諸改革と相まって、東京一極集中の社会構造を変えるきっかけとなり、新しい日本の進路を開く上で極めて重要な役割を果たす国家事業であり、その実現に私どもも大きな期待を寄せております。
首都機能移転問題につきましては、国会等の移転に関する法律に基づき設置された国会等移転審議会が三年間にわたり調査、審議を行い、昨年十二月二十日に移転先候補地の選定等について答申したところであります。御承知のとおり、この答申において、移転先候補地として岐阜・愛知地域と栃木・福島地域が選定され、また、三重・畿央地域が条件つきで将来移転先候補地となる可能性があるとされたところであります。
首都機能移転については、今後、国会に議論の場が移り、東京との比較考量などの検討を経て、移転先が決定されることとされております。私は、移転実現に向けては、国民の幅広い合意形成が最も大切でないかと考えます。
この地域は全国からのアクセスにすぐれており、国民的合意を最も得やすい地域であると考えておりますが、移転先候補地が複数あり、東京都などが移転反対の姿勢をさらに鮮明にしていることなどから、移転実現に向けて一層の取り組みを強めていく必要があります。
そこで、国会等移転審議会が岐阜・愛知地域を移転先候補地として答申いたしましたが、知事は答申の内容をどのように評価しておられるのか伺います。また、県として今後どのように対応していかれるのか伺います。
質問の最後は、道路網の整備についてであります。
昨年末の新聞報道によりますと、名古屋環状二号線と東海環状自動車道が大きく前進するとのことでありました。そこで、この二大環状道路について伺いたいと存じます。
名古屋環状二号線は、昭和四十年代の都市計画決定以来、北回り区間が東名阪自動車道として、名港トリトンなどの区間が伊勢湾岸自動車道として順次整備されてまいりましたが、御承知のとおり、いまだ文字どおりの環状に完成するには至っておりません。特に、西南部区間は整備手法上のめどが立たず、いつになったら環状という形で完成するのか、見通しがつかないという状況となっておりましたが、昨年末に開催されました国土開発幹線自動車道建設審議会において国幹道の基本計画区間に組み入れられたことで、高速自動車国道として建設されることが決まり、一つの大きな山場を乗り越えたものと考えております。また、緊急な整備が待たれる東部・東南部区間は、同じく昨年末に日本道路公団に対して施行命令が出され、待ち望んでいた本格的な工事着工が可能になったところであります。
一方、東海環状自動車道は、昭和五十年代に東海環状都市帯構想の軸となる道路として具体化が図られてきましたが、全長百六十キロメートルもの道路であり、二〇〇五年日本国際博覧会の道路アクセスの中心的な道路として位置づけられているものの、間に合うかどうか、危惧する声も耳にいたしておりました。しかしながら、この東海環状自動車道につきましても、平成十二年度政府予算案において日本道路公団による一般有料道路事業の導入が盛り込まれたことで、早期完成に展望が開けることとなったと承知をいたしております。
このように、名古屋環状二号線と東海環状自動車道については昨年末に大きな前進があったところであり、ここに至るまでには、知事初め関係者の並々ならぬ御尽力があったものと敬意を表する次第であります。
そこで、名古屋環状二号線と東海環状自動車道の今回の決定を受けて、名古屋圏を取り巻く広域道路網の整備は今後どのような方針で進められることになるのか。また、中部国際空港の開港と国際博覧会の開催に間に合わせる必要があるこれら二つの環状道路の整備については、具体的にどのように取り組んでいかれるのか、知事の所見を伺うものであります。
以上、私は、自由民主党愛知県議員団を代表して、神田知事の今後の県政運営の基本姿勢と県政各般にわたる重要課題について質問いたしてまいりました。本県を取り巻く課題は山積をいたしておりますが、こうしたときこそ、二十一世紀に向けて県民に明るい展望を示しつつ、活力と魅力ある地域社会を築くため、先導的かつ主体的な地域づくりに邁進する県政の姿勢が強く求められております。
冒頭にも申し上げましたが、我が党県議員団は、愛知新世紀のかじ取り役である神田知事を全力で支えてまいる所存であります。神田知事の明快なる御答弁を期待して、質問を終わります。(拍手)
[知事
神田真秋君登壇]
4:
◯知事(
神田真秋君) それでは、お答えを申し上げます。
初めに、県政運営に当たっての決意と基本姿勢についてお尋ねをいただきました。
これにつきましては、今議会開会日の所信表明でも申し上げたとおり、政治も経済も社会も大きな変革期にございます。そのことは、かつて経験したことのない課題に立ち向かうことを意味いたしております。戦後最大の財政危機に陥り、部局再編を初め、最大規模の行革を実施しているのもそのあらわれでありますし、最近多くのマスコミが取り上げ、BIE登録に向けてさらなる検討を求められている国際博覧会もそうであります。また、大詰めを迎えた中部国際空港の建設も、またしかりであります。教科書のない、あるいはこれまでの教科書が通用しない、本当に困難な時代を迎えたものだと考えているわけであります。
しかし、私どもは歯を食いしばってでもこの難局を乗り切らなければならないと考えております。そのためには、職員が一丸となり、さまざまな課題に対して勇気を持って挑戦することが重要であると思っているところであります。また、その実行のためには、県民の皆様方に適切に情報を提供申し上げ、謙虚に県民の皆さんの声に耳を傾けることも大変重要であります。そして、そのことが地方分権に真につながるものと考えております。
いずれにいたしましても、こうした困難な時代はまだ続くものと考えておりますし、さまざまな事業が今や最大の山場を迎えているわけであります。確実にこうした事業が前進できるよう、私ども全力で取り組んでまいりたいと考えておりますので、議員各位あるいは県民の皆様方のなお一層の御支援と御協力を心からお願いを申し上げる次第であります。
さて、行財政問題で、最初に、本県経済の現状と見通しについてというお尋ねであります。
本県の経済は、議員も御指摘のとおり、個人消費が低迷をし、設備投資も引き続き減少しておりますものの、輸出が増加をし、また、自動車を中心として生産の持ち直しの動きがあるなど、景気は、国と同様、緩やかな改善の動きが見受けられるところであります。
こうした中、政府では、経済新生対策の積極的な推進とともに、この一月の二十八日には八十四兆九千九百億円に上る平成十二年度予算案を国会に提出したところであります。本県では、そうした施策の効果によりまして、公共部門主導から民需主導へのバトンタッチが円滑に行われ、景気が本格的な回復軌道に乗ることを大いに期待をしているところであります。
しかしながら、雇用情勢はまことに厳しいものがございますし、円高が企業収益や生産に及ぼす影響など、懸念すべき要因も多々ございますので、今後の景気の動向につきましてはさらにしっかりと注意を払ってまいりたいと考えております。
さて、県税収入の見通しについてでございます。
県税収入につきましては、今申し上げましたような景気見通しをもとに、地方財政計画などを参考として、県税の大宗をなす法人二税につきましては、企業の聞き取り調査も実施した上で、企業収益の回復にも期待をしつつ積算したところでありますが、恒久的減税の影響もございまして、十一年度最終見込みと比較して二・六%減の三千五百五十二億円を計上することに相なりました。また、特別な増収要因といたしましては、郵便局の十年ものの定額貯金が集中満期を迎えることから、県民税の利子割で三・七倍の八百六十三億七千四百万円の計上を行いました。したがいまして、結果として、県税合計では、十一年度最終見込みと比較して四・八%増の一兆五百七十五億円を計上したところであります。
なお、県税収入に関連して、東京都の外形標準課税の導入についても御質問をいただきました。
大都市圏を抱える自治体が大変深刻な財政危機に陥っているのは御指摘のとおりでありまして、我が愛知にとどまらず、東京、大阪、神奈川など、そうした深刻な状況の中に現在ございます。そこで、財政基盤となります地方税の充実確保を図るために、東京都におきましては、地方税法第七十二条の十九の規定を用いて、銀行業を限定し、独自に導入を提案されたものであります。このことは、地方自治体の課税自主権を行使したという意味で一定の評価をすべきものと考えております。
ただ、法人事業税は、御高承のとおり全国的にも都道府県税収のおよそ三〇%を占める重要な基幹税目でありまして、納税義務者となる法人も大変多く、特に大企業におきましては、全国的に支店等を設置して事業活動を展開しておられる状況にあります。それゆえ、仮に自治体がそれぞれ課税自主権を行使して独自の外形標準課税を導入し、異なる税制を構築した場合には、税制に本来求められるべき公平、中立、簡素といった観点からさまざまな問題が生ずるのではないかと危惧をするところであります。
また、愛知県について申し上げますと、地方交付税をいわばいただく交付団体でありまして、仮に東京都と同様の外形標準課税を導入し、増収額が見込まれる場合でありましても、その増収額の八〇%相当額は、交付額の算定上、減額される仕組みになっております。したがいまして、実質的には大きな増収につながらない面もあるということが言えるかと存じます。
いずれにいたしましても、外形標準課税の問題は、私どもは全国規模で導入すべきが適切であると考えておりまして、去る二月二十一日にも、全国知事会を通じて改めて早期導入に向けて強く要望を申し上げたところでありますし、また、二月二十二日には、政府においても、東京都に対して慎重な対応をするよう、統一見解が示されたところであります。
今後、政府を初め関係機関において議論が予定されているところでありますが、それらの状況を十分見きわめますとともに、他の自治体とも連絡を密にする中で、この問題に対して適切に対応してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
次に、今後の財政運営の基本的な考え方についてであります。
御指摘のとおり本県を取り巻く財政状況は大変厳しいものがございます。私は昨年の二月に知事に就任させていただきましたが、こうした財政危機に対処するために、一層の財源確保、あるいは内部努力を初めとする歳出の徹底した見直しなど鋭意進めてきたところでございますし、この十二年度予算の編成につきましても、さまざまな方策を講じ、いわばぎりぎりの努力を続けてまいりました。
しかし、残念ながら、本県財政は今後も義務的、経常的な経費やその他の行政需要の増加が見込まれておりまして、景気の回復がこのような緩やかなものにとどまる限りは、この厳しい状況はまだ当分続くものと考えられます。そのために、やはり何としても財政再建団体に陥らないように、これからも引き続きさまざまな取り組みをしなければなりませんし、財政構造改革を今後も重点的に進めていかなければならないと考えておるところであります。
なお、今回の財政危機は決して一過性なものではなく、構造的なものでありますので、制度そのものにつきましては、今後とも国などに対して積極的に働きかけを続けてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
行財政改革についてお尋ねでございました。新たなビジョンをという御提言も含めての御質問でありました。
御高承のとおり、第三次行革大綱は平成十一年度から二十年度までの十年間の計画でございまして、現年度はその一年目、いわば緒についたところでございます。したがいまして、当面はこの第三次行革大綱を中心に据え、このスピードアップを図ることで積極的な取り組みを進めていきたいと考えております。
なお、これにあわせまして、今後は民間のさまざまな経営手法というものを導入することが必要だと考えておりまして、従来の量の改革、削減ということから、質の、あるいはソフト面での改革といった点についても十分意を用いてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
公文書公開条例の全面改正についての御質問でございます。
この新しい条例の実施に当たっての姿勢ということでございますが、とにかくできるだけ情報を県民の皆様方に適切に公開を申し上げていくということが、これから県政の信頼をかち得るためにも、あるいはさまざまな困難な事業を進めていく上でも大変重要なことであります。そうした観点に立って、このたび全面改正の条例を御審議をお願いを申し上げているところであります。
もちろん情報公開は大変重要なものでありますけれども、個人のプライバシーを尊重するという観点ももちろん大切なことでございますので、運用に当たってはこの点も十分留意をしてまいりたいと思っておりますし、また、今後の運用の課題でございますけれども、この条例が正しく運用されるためには、まず、県職員がこの情報公開の趣旨を十分理解をし、また、情報公開の必要性というものを十分認識するところからスタートしなければなりませんし、あわせて、膨大な量の文書をいかに整理し、これを管理するかという点も大変重要なことであります。その点を含めまして、職員の研修あるいは文書の管理など、これから十分対処してまいりたいと思っております。
また、これに関連して、地方分権一括法に伴う諸問題についても御質問をいただきました。
最初に、職員の意識改革ということでございますけれども、地方分権は、よく言われることでありますが、住民に最も身近な問題は身近な行政が直接判断し決定するという思想がその根本にあります。そのことは、言いかえれば、自己決定権と自己責任という考えであろうと存じます。自己決定することは、その結果について責任を持つということを意味しておりまして、その意味では、御指摘のとおり自治体の責任が大変重くなってくるわけでありまして、それゆえ、これに携わる職員の能力向上と意識の改革がすこぶる重要であります。
そのためには、不断の努力はもちろんでありますけれども、やはり職員研修ということが重要な要点であろうと考えておりまして、ちょうど過日、学識者や民間企業も入っていただいた職員研修ビジョンについての研究会から報告を受けたところでありますので、より充実した研修にも、こうした報告を生かすことによって努めてまいりたいと思っております。
また、この地方分権に関連して、市町村への権限移譲についてということでございます。
今回の地方自治法の改正によりまして、条例による事務処理の特例制度が創設されたところでございます。その活用等によりまして、市町村との十分な調整のもとに各種の支援措置を講じながら推進してまいりたいと存じております。具体的な取り組みといたしましては、現在、市町村に対して移譲を希望する事務について調査を行っているところでございます。今後、この結果等を踏まえまして、市町村との協議の場も設け、具体的な事務移譲の計画を策定してまいりたいと考えております。
同じく地方分権に関連して、今後の雇用対策の点であります。
地方自治法及び職業安定法の一部が改正されまして、職業紹介事業等が国の専管事項となり、県の手から離れることになりました。雇用対策は大変長い間、国と県が一体となって進めてまいりましたが、引き続き県がその役割を果たしていくことは重要だと考えておりまして、こうした制度の変革はございましたけれども、引き続き、従来にも増して国との連携を密にしながら取り組んでいきたいと考えております。
厳しい雇用情勢が続いておりますので、今月の初めに、経営者、労働者双方の代表者にお集まりをいただきまして、雇用創出・安定政労使会議を開催を申し上げ、私自身も出席をし、効果的な雇用施策をどう展開すべきかにつきまして意見交換を行ったところであります。今後も、こうした会議はもとより、新たに新設される国の労働局との密接な連携のもとに、就職面接会や職業指導教室の開催など、地域の雇用対策を積極的に進めてまいりたいと考えております。
このために、新年度の部制再編を機に、産業労働部に地域の雇用対策を担当するセクションを設けまして、国との人事交流、情報交換、相互連絡、協力のもとに雇用対策を進め、県民の皆様方の生活基盤の安定を図っていきたいと考えております。
国際博覧会についてお答えを申し上げます。
まず、冒頭、この博覧会につきまして、ことしに入ってさまざま目まぐるしい動きがございました。そして、多くの皆様方に多大な御心配をおかけをしてまいりました。大変心苦しく思っております。
そこで、御指摘がありました国、博覧会協会、県の連携ということでありますが、会場地の地域整備手法の検討は会場計画といわば密接不可分の関係にありますので、県と協会が、そしてそれに加えて国が一体となってこの事業を進めていかなければ、到底成功はおぼつかないものと考えております。従来もその点については注意を払ってきたつもりでございましたけれども、結果的にいろいろ至らぬ点があった点は反省しなければならないと思っておりますが、こうした連携を強め、一体的なこの問題に対する取り組みというものをより一層強めていく考え方であります。
また、国のリーダーシップとの点についてでございます。
もとより、国に対しましてはさまざまな支援、協力を求めていかなければならない状況にございまして、その意味で、国、とりわけ通産省に対しましては、積極的な指導力の発揮をお願いをしていかなければならないと考えております。
博覧会に関連して、登録時期の延期に伴い、今後のその登録申請に向けての準備ということであります。
現在、海上地区における地域整備の検討と、そして会場計画の検討がさまざまな形でなされておりまして、これの中で制度的な問題点やら、スケジュール的に果たして可能かどうかという点も、今整理しつつあるところでございますし、あわせて入場者数、さらには建設費との関連も整理をし、また、新住事業の見直しも含めた幅広い検討を、国、協会ともども精力的に行っているところであります。またあわせて、自然環境団体を含めた幅広い層の理解を得なければなりませんし、そうした総合的な検討と整理の中で、早急に最善の案を固めていかなければならないと考えております。
延期は、時間的な余裕ができたようには思えますけれども、二〇〇五年の開催を考えますと、決して十分なゆとりがあるとは思っておりませんで、ここ数カ月がいわば正念場だと考えております。今申し上げました諸準備をこれからきちんとスケジュール管理しながら進めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
博覧会に関連して、地域整備手法についての御質問でございます。
今申し上げましたとおり、幅広い観点からの検討を進めているところでございます。で、御質問の中にもありましたとおり、この博覧会は、里山を舞台にして、「自然の叡智」をテーマにし、自然と人間とのかかわりのあり方を提示し、実証していくことがその中心的な命題でありまして、この点が高く評価されて、多くのBIE加盟国から愛知での開催の決定につながったものと考えております。
愛知県といたしましては、地域整備のあり方を検討するに当たりましては、海上地区の「自然の叡智」をどのように具現化していくかという課題にこれから真剣に取り組み、博覧会のテーマにふさわしい会場の確保を図ってまいらなければならないと考えているところであります。こうした博覧会のテーマ展開がしっかり図られる会場計画ができるよう、国、博覧会協会ともども、一体となってのこれからの検討を進めてまいりたいと思っておりますので、どうかひとつよろしくお願いを申し上げます。
福祉問題に移らせていただきますが、初めに、福祉医療についてであります。
今回の福祉医療の見直しにおきましては、制度の改正が県民生活に与える影響が大きいなどを考慮して、制度の対象とすべき方々の範囲や制度の受益者の公平な負担などについて慎重に検討を進めてまいりました。その結果、障害者医療と乳児医療に所得制限を導入する案につきましては、議員御指摘のとおり、障害のある方の医療への依存度の高さや少子化対策の観点を考慮するとともに、関係各方面からいただいた御意見も十分勘案し、見送ることにいたしました。
したがいまして、十二年度当初予算案におきましては、医療にかかる人とかからない人との負担の公平性という観点から、現在老人医療に導入されております老人保健法に準じた一部負担金を障害者、戦傷病者、乳児、母子・父子家庭の各医療に導入することにいたしたところであります。
ただし、社会的、経済的に弱い立場にある方々への配慮といたしましては、市町村民税非課税世帯の方々へ福祉給付金支給制度の中で一部負担金相当額を助成する方策を講ずることにいたしまして、実質的に現行制度を維持をしましたので、御理解をちょうだいしたいと存じます。
次に、介護保険制度についてでありますが、初めに、要介護認定の申請の状況についてでございます。
一月の末現在六万九千六百五十二件の申請がございまして、そのうち、五万百六十件の審査を終えております。本県の申請件数はおよそ九万件と見込んでおりますので、これまで約七六%の申請があり、約五五%の審査を終えたという状況でございます。
基本的には、三月の中旬には審査を終了する必要がございますので、正直なところ、やや審査がおくれがあると見ておりまして、おくれております市町村に対しましては、審査回数をふやすなど迅速な対応を今後ともお願いをしていきたいと思っております。
次に、ケアプランの作成やサービス事業者への手配などの準備状況についてでございますが、この二月十日にようやく介護報酬あるいは支給限度額等が決定して、本格的にケアプランの作成ができる状況になったところでございますが、残る一カ月という期間を考えますと、これまた大変厳しいものがございます。したがいまして、すべての手続が年度内に完了し、開始時には必要な方が必要なサービスを受けられるよう、さらに関係者に精力的な取り組みについて指導してまいりたいと思っております。
なお、時間的な制約により、ケアプランの作成が間に合わない場合には、当面、これまで受けていた介護サービスを引き続いて受けられるようなプランをつくるなど、簡便な方法を講ずる指導もしているところでございます。
いずれにいたしましても、三月末までにすべて手続を終える必要がありますので、再度関係の皆様方に十分よくお願いをしていきたいと思っております。
これに関連して、自立と認定された方々やひとり暮らしの方々への生活支援や介護予防策についてお答えを申し上げます。
こうした方々に対し、介護の予防や日常生活に対する支援が極めて重要であることは言うまでもないところであります。本県といたしましてもこれまで、ひとり暮らしの高齢者等に対して配食サービスや寝具の洗濯乾燥サービスなどの生活支援のための各種事業を実施をしてきたところでございます。今回国が示されました介護予防・生活支援事業は、自立と認定された方やひとり暮らしの方に必要と思われるサービスをメニューとして網羅しており、本県では、平成十二年度の当初予算に介護予防・生活支援事業費として予算十五億二千万を計上いたしました。各市町村がこの事業を活用して地域の実情に応じて積極的な取り組みを進めるよう、いろいろと指導、お願いをしていきたいと考えております。
中部国際空港にかかわる諸問題についてお答えを申し上げます。
中部国際空港に関する愛知県漁連との調整につきましては、正直なところ、当初予定をしておりましたスケジュールよりも時間がかかりました。しかし、何とか、多くの皆様方の大変な御努力のもとに、調整、理解をいただくことができたところでございます。今後は、三重県漁連との調整など残っておりますけれども、愛知県漁連が調整ができたということは、目標に向かって大きな一歩を踏み出すことができたものと、率直に喜んでいるところであります。
今後の三重県漁連との調整につきましては、今、関係者が協力して行っておりますが、具体的な窓口としては空港会社がそれに当たっておられまして、空港会社におかれましては、今、誠心誠意その努力を続けておられます。もちろん愛知県としてもこれに協力を申し上げ、一日も早くこの調整が日の目を見るように努力をしていきたいと思っております。また、野間漁協につきましても、現在鋭意継続的に話し合いを続けておりまして、早急に理解が得られるよう努力を継続していきたいと考えております。
で、二〇〇五年春の開港に向けての見通しはどうかという御質問であります。
スケジュール的に大変厳しいものがあると認識をいたしておりまして、二〇〇五年開港のためには、一日も早く現地着工が何よりも重要でありまして、そのためには、今申し上げましたような漁業関係者との調整、そしてこれに関連して埋め立て免許の手続など行政手続をきちんと進めていかなければならないと考えております。私ども先ほど申し上げたような決意で、関係者とともに、一日も早々の工事着工ということを目指して、これからも十分努力をしてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
首都機能移転問題についてもお答えをさせていただきます。
おかげさまで、昨年の十二月に国会等移転審議会が移転候補地として、この岐阜・愛知地域を選定をいただいたところでございます。私は、この地域はアクセスにも大変すぐれておりますし、また、名古屋など大都市の機能を活用することもできますし、移転するならば、日本列島の中央にあるこの地域は最適地であると考えておりまして、その考え方が認められたことは大変ありがたいことと考えております。
首都機能移転というのは、これからの行政やら政治のありようを新しい時代にふさわしいシステムに変えるための重要な契機になるものでありますし、また、東京一極集中の排除、あるいはさまざまな災害に対する対応という意味からも、大変意味があるものと考えております。これからは議論が国会の場に移るわけでありまして、息の長いこれからの取り組みが必要になるものと考えております。
そこで、本県の今後の取り組みでありますけれども、新年度から首都機能移転対策室を新たに設置をいたしまして組織の強化を図りますとともに、また、愛知県と岐阜県との連携を強化することが必要でありますので、この四月に、仮称でありますけれども、岐阜愛知新首都推進協議会を設置をいたしまして、新首都の構想の策定やさまざまな各方面の働きかけを行ってまいりたいと思っております。また、引き続きこの東海あるいは中部地方の各県との連携、経済界との連携などを深め、強力にこの事業の推進を果たしていきたいと考えております。
最後に、道路網の整備についてお尋ねをいただきましたので、お答えを申し上げたいと存じます。
道路網の広域ネットワークという御質問でありますが、従来の道路ネットワークは大都市を中心として、どちらかといいますと放射線状に道路が張りめぐらされるという形が多かったような気がいたしております。しかし、これからの都市づくりのありようを考え、あるいは道路環境を考え、さらに道路の利便性などを頭に置きますと、そうした放射線状のネットワークから環状型のネットワークへの転換が求められているものと考えているところでございます。
で、そうした中で、名古屋環状二号線と東海環状自動車道が、議員御指摘のとおり昨年末に国幹審で事業が採択された点は大変大きな意義があることでありますし、この地域につきましても、さまざまな意味で大きな効果をもたらすものと考えております。こうしたネットワークの早期整備に愛知県としても全力を傾けてまいりたいと思っているところでございます。
そこで、名古屋環状二号線と東海環状自動車道の今後の取り組みという点でございますが、名古屋環状二号線につきましては、東部・東南部区間の施行命令が出されたところでありますので、速やかに地元説明会に入りまして、二〇〇五年に間に合うよう整備を進めていきたいと考えております。また、東海環状自動車道につきましても、先ほどお話しのように、一般有料道路事業に採択されました豊田東ジャンクションから岐阜県の美濃関ジャンクションまでにつきましては二〇〇五年の整備が完了するよう、国にしっかりお願いをするとともに、愛知県としても、地元として事業が円滑に推進するよう、全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
以上、お答えにさせていただきます。ありがとうございました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
5: ◯五番(
吉川伸二君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
[「賛成」と呼ぶ者あり]
6:
◯議長(
神戸昭治君)
吉川伸二君の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり]
7:
◯議長(
神戸昭治君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時十八分休憩
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午後零時五十三分開議
8:
◯議長(
神戸昭治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
波形昌洋君。
〔七十五番
波形昌洋君登壇〕(拍手)
9: ◯七十五番(
波形昌洋君) 議長のお許しをいただきましたので、私は、
愛知県議会愛知クラブ民主連合を代表して、当面する県政の諸課題について質問いたします。
私たちは、昨年十二月十五日、
愛知県議会愛知クラブと愛知民主クラブ議員団がそれぞれ発展的に解散をし、新しく
愛知県議会愛知クラブ民主連合として新会派を結成いたしました。
現在、社会が少子・高齢化、高度情報化へ急激に進む中、一方では、経済の鈍化、県内基軸産業の成熟化、財政の逼迫等に直面しており、今後とも真剣に取り組み、乗り越えなければならない課題が山積しています。こうした中で迎える新世紀は、愛知が心豊かで活力ある地域として着実な前進をしていくために、我々県議会が果たしていくべき責務は一段と大きなものとなっております。とりわけ愛知県の行財政と県議会の改革を大胆に進め、多くの県民の期待に着実にこたえていかねばなりません。
私たちは、愛知クラブ民主連合を結成するに当たり、基本的な考え方を十の基本政策として取りまとめました。この基本政策にのっとり、県政の各分野において積極的な調査研究活動をし、地方分権を進める中で、愛知県政の進展に必要な諸施策の実現を図ってまいりたいと考えます。その基本政策とは、第一に、地方の権限強化と行政改革の推進、第二に、物づくりを基本に愛知から世界へ、第三に、県民のニーズにこたえる公共事業とコスト削減を、第四に、愛知の力の源泉、中小・下請零細企業への強力な支援を、第五、県民の安定した生活の実現と雇用確保に向け最大限の努力を、第六、活力を維持し豊かな高齢社会の実現を、そして第七として、情報公開を進め、行政への積極的な住民参加を、八、安全で快適な生活を目指した環境づくり、九つ、家庭、地域、学校が一体となり心豊かな子供づくりを、そして最後に、新たな時代に対応できる農林水産業への転換を、の以上十項目であります。
本代表質問では、私たちが提唱する十の基本政策のうちから、当面する諸課題について順次質問をしてまいります。
質問の第一は、地方の権限強化と行政改革の推進という観点から、初めに、行財政改革の推進についてお伺いをいたします。
二〇〇〇年の節目の年に地方分権一括法が施行され、自治体にとっては個々の力量が問われる地方分権時代が始まり、今後、行政運営能力の充実強化をいかに図っていくかが大きな課題となります。
しかしながら、本県は、県税収入の落ち込みにより、平成十年度の決算赤字が平成十一年度においても解消することができず、厳しい財政運営を余儀なくされております。バブル崩壊後、県税収入が大幅に落ち込んだ状況下で、財源を県債に求め、結果として公債費が増嵩し、財政の圧迫要因となってきております。
よって、できるだけ早く県債に依存しない財政構造への転換を図ることが望ましいと考えますが、既にここ数年、大胆な歳出の削減に取り組みつつも、今後さらに見込まれる大幅な収支ギャップの解消は、今までのような歳出の削減だけでは大変な困難が伴うと思われます。
幸いなことに、景気は緩やかながら回復過程に入ったと見られており、平成十一年度は二月補正予算で三百四十一億円の増額を、平成十二年度当初予算では県税収入を一兆五百七十五億円と見込むなど、県税収入を積極的に計上されておりますが、平成十二年度の予算計上額の確保の見通しについて、まず知事の御所見をお伺いいたします。
また、新しい地方の時代を迎え、極めて厳しい状況にある本県財政の基盤の強化が喫緊の課題でありますが、その実現に向けた財政の中・長期的な健全化計画を早急に策定すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、本県と同じく財政難に苦しむ東京都では、法人事業税の外形標準課税導入に向けた条例案を都議会に提案されました。外形標準課税については、税負担の公平性と安定的な税財源の確保が可能となるなど、政府においても検討が進められてきました。このたびの東京都の条例案に対しては、政府の統一見解が示され、解決すべき課題も多数指摘されていると伺っております。
一方で、地方税源の拡充についてもより積極的な対策が求められておりますが、知事は東京都における法人事業税への外形標準課税導入についてどのような認識を持っておみえになるのか、御所見をお伺いいたします。
次に、外部監査制度についてお尋ねをいたします。
御承知のとおり、地方分権の推進を図るため、地方公共団体みずからのチェック機能の充実が必要であるとの認識のもとに、地方自治法の一部改正により、各都道府県において包括外部監査の制度が義務づけられました。
法律上は、財政的援助団体等の監査については各団体の自主的判断にゆだねられておりますが、本県は条例で監査の対象を広げた対応をしており、このことは、さきに申し上げましたチェック機能の充実という目的にかなうもので、評価するものであります。
さて、この制度が今年度から導入され、外部監査人との契約に基づき監査が行われ、この一月十九日、その結果が報告されました。監査のテーマは、県立病院における一般的運営の事業管理についてと貸付金の債権管理事務についての二件であり、その概要では、県立病院の事業管理については、原価基礎データの整備、部門別等の原価計算を行い、経営分析をすべきである。また、債権管理については、滞納の未然防止に努めるとともに、回収の実効性を上げる必要があることなどが報告されています。
そもそもこの監査制度は、外部の専門家の視点で業務監査をすることにより、住民の信頼感向上と行政の透明性を確保することをねらいとした制度であります。その意味では、公認会計士の立場から詳細な監査が実施され、貴重な結果報告がなされております。しかし、制度の趣旨を生かすには、外部監査人からの報告がなされた後、県がどのような措置を講じていくのかがより重要であります。
そこで質問いたします。今回の監査結果に対して、知事はどのように受けとめ、今後、県としてどのように対応されるのか、お伺いをいたします。
続いて、市町村合併の取り組みについてお伺いいたします。
近年、住民の生活圏の拡大、地方分権の進展、少子・高齢化の加速、国、地方を通じる厳しい財政状況など、各市町村を取り巻く諸情勢は大きく変化をしております。そのため、基本的、基礎的自治体である市町村に対しては、行財政基盤の強化や広域的対応が強く求められ、市町村合併の推進は避けて通れない課題となっております。
このような状況を踏まえ、昨年八月に国から都道府県へ指針が示され、具体的な組み合わせ、いわゆる合併パターンを中心とする市町村の合併の推進についての要綱を本年十二月までに作成、公表することとなりました。
この要請を受けて、昨年十二月には徳島県において、県内を三地区に分けて、その地域ごとに、より広域性を重視したパターンと市町村間の親近性がより強いパターンの二つから成る全国初の要綱が作成、公表されたところであります。
一方、国においても、合併準備補助金として、法定合併協議会を設置した市町村ごとに五百万円を補助する制度と、合併市町村が実施するモデル事業に対し三年間補助する促進制度とが創設される予定であると伺っております。
本県も、昨年九月に学識経験者五名から成る要綱検討委員会を設置し、重要事項の検討に着手されており、二十一世紀の本県の姿をどのようにすべきか、県としてもみずからの問題として積極的な取り組みを進めるべき重要なテーマであると考えます。
そこで、市町村合併促進に対する県の基本姿勢並びに要綱検討委員会における検討状況と今後の取り組み予定、さらには、国の補助制度創設を踏まえ、県としての市町村合併推進のための新たな取り組みについてお伺いをいたします。
質問の第二は、物づくりを基本に愛知から世界へという観点からお伺いをいたします。
初めに、国際博覧会にかかわる諸問題についてお伺いをいたします。
国際博覧会につきましては、長期的な街づくりと一体となって開催し、里山の森に自然と調和、共生した実験的な社会モデルを創出するなど、国際博の成果を継示していくことを目指してまいりました。
しかし、この街づくりと博覧会の会場づくりのベースとなる新住事業を展開し二千戸もの住宅地を開発するのは、「自然の叡智」をテーマとする国際博覧会の街づくりとしてはふさわしくない、あるいは研究施設等を中心としたもう少しコンパクトな街づくりとすべきといった意見や、環境団体からは、海上地区を公園とすべきといった意見などがそれぞれ報道されております。私どもも、跡地利用計画については、当然環境や自然との関係を十分考慮し、慎重に策定すべきであると考えております。
こうした状況の中で、知事は、早急に各方面からの意見を集約し、新住事業にこだわることなく、幅広い事業手法を含めて、何が最善の方法であるのか検討されると伺っております。
また、そのためには、国の主体的な関与をもっと強めていただくとともに、会場計画と基盤整備事業とを一体として、国、県、協会がより一層協力し合って、検討していく必要があると思っております。
こうした会場計画づくりと基盤整備事業の一体的推進については、博覧会協会の企画調整会議からも、跡地利用は博覧会のコンセプトと非常に密接に関連しており、積極的に提案をしていきたいとの発言も伝えられております。
他方、自然保護団体からもいろいろ提言がなされているところであり、県民各界それぞれの方面から代表者を加えた検討の場を早急に設置し、進めていく必要があるのではないかと考えております。
時間の制約がある中で、このような仕組みづくりから議論を進めることは大変難しいとは思いますが、こうした経過の中から、より合理的な会場計画案を得ることができるのではないかと考えますが、知事はどのように思われているのか、お考えをお伺いいたします。
次に、去る二月十六日、通産大臣と知事が協議され、BIEへの登録時期については、本年五月を十二月に延期するとの方針が確認され、私どもも妥当な判断と考えております。
しかし、その結果、これまで五月登録を目標に急ピッチで進められてきた会場計画や観客輸送計画などの各種策定作業が全体的に見直しが図られることになり、これに関連するさまざまの公共事業に大きな影響を与えることになるのではと強く懸念をしております。
それらの公共事業としては、例えば名古屋瀬戸道路等のアクセス道路整備を初め、愛知環状鉄道の輸送力増強対策や下水処理施設の整備などが考えられますが、このような大規模な事業は長期間の工期を必要とするもので、早目に整備を進めていかなければ、二〇〇五年の開催に間に合わなくなってしまうのではと考えますが、知事はこうした関連公共事業の着実な整備についてはどのような見通しをお持ちなのか、お伺いをいたします。
また、国際博は国家プロジェクトでもありますので、大規模な関連公共事業については、ぜひとも国の積極的な財政支援を求めるとともに、各事業の資金計画についても早急に積み上げていくことが大切であると考えております。
そこで、県としては、国際博の開催に支障が出ることのないよう、今後、国の財政支援を仰ぎながら、必要な関連公共事業をどのように推進していくお考えなのか、資金計画を含めお伺いをいたします。
次に、中部国際空港にかかわる諸問題についてお伺いいたします。
二〇〇五年三月の開港を目指している中部国際空港は、現在、埋め立て免許の手続が進められているところであり、現地での工事着手に向けて大詰めの段階を迎えております。
最大の課題となっておりました漁業補償交渉も、愛知県漁連の三河三支部につきましては去る二月二日に補償交渉が妥結し、漁連との正式な調印も終了したところであります。また、三重県漁連につきましても、一月から具体の交渉に入り、現在、本格的な調整が行われているところと聞いております。
そこで、このような状況の中で、当事者である空港株式会社と三重県漁連との調整状況、さらには野間漁協等との今後の交渉見通しについてお伺いをいたします。
次に、中部国際空港の経営という点についてお伺いいたします。
何かと私どもが比較し、参考としておりますのが関西国際空港でありますが、一月下旬の新聞紙面にその赤字経営の記事が載っておりました。その内容は、関西国際空港は開港以来毎年度赤字計上となっており、平成十年度末で累積赤字が千三百三十三億円に達したというものでありました。関西国際空港の収支については、開港後五年程度で単年度収支を黒字にする見通しと伺っておりましたが、現実にはなかなか厳しい状況のようであります。こうした関西国際空港の状況を見ますと、中部国際空港の収支見積もりは大丈夫なのか、いささか心配となります。
そこで、先行する関西国際空港株式会社の経験を踏まえ、中部国際空港株式会社はどのような経営方針と収支見込みを持ってみえるのか。また、そのことに対して知事はどのようにお考えになってみえるのか、お伺いをいたします。
質問の第三は、県民のニーズにこたえる公共事業とコスト削減をという観点からお伺いをいたします。
初めに、本県の社会基盤整備についてであります。
中部国際空港の建設や二〇〇五年の日本国際博覧会関連の大規模プロジェクト事業に関するアクセス道路の整備が重要課題であることは申し上げるまでもありません。これらの二大プロジェクトがそれぞれの役割を十分に果たすためには、高速道路ネットワークを形成する第二東名・名神高速道路、東海環状自動車道路等の高規格幹線道路の整備や、それに連絡するアクセス道路の整備を積極的に推し進めていく必要があります。
一方、県土の均衡ある発展を図っていくためには、地域住民に係る生活関連道路や山間道路など、地域交通網の整備もまた欠くことのできないものであります。
さらには、県民の生命、財産を守るための河川、砂防事業や、住環境の充実を図るための下水道や公園整備も、二十一世紀の高齢化社会を迎えるに当たり重要な基盤整備であると認識しております。
以上のとおり、本県の土木行政については多くの課題が山積している状況でありますが、昨今の大変厳しい県の財政のもと、既に事業着手している工事箇所での用地買収や工事の施工が果たしていつごろ完成するのか、地域住民にとりましては、大変不安な気持ちで見守っている状況であります。
そこでお伺いいたします。県当局は、厳しい予算編成の中で多くの基盤整備事業を推進していくためにはより一層の工夫が必要と考えますが、平成十二年度当初予算においてはどのような工夫をし、また、どのような事業実施方針をもって取り組んでいかれるのか、お聞かせ願います。
次に、公共工事のコスト縮減対策についてお伺いいたします。
本県において、平成九年十一月に愛知県における公共工事コスト縮減対策に関する行動計画を策定され、公共工事のコスト縮減に積極的に取り組んでいるということは、さきの六月議会で十年度の成果などをお聞きいたしまして、よく理解しておるわけであります。しかし、この行動計画は三カ年計画で、本年が最終年度であると聞いております。
そこで、十一年度の縮減率はどのくらいになるのか、また、十二年度以降はどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
質問の第四は、愛知の力の源泉、中小・下請零細企業への強力な支援をという観点からお伺いいたします。
物づくり愛知は、大企業もさることながら、中小・零細企業に支えられていると言っても過言ではありません。しかし、これら企業を取り巻く経済環境は依然として厳しいものがあり、しかも、従来のやり方では対応が難しい状況に置かれているのが現状であります。これからは、多様な中小企業の設備、技術、知識、技能等の経営資源の確保を、それぞれのニーズに応じ、きめ細かく支援していくことが重要ではないかと考えます。
国は、中小企業を機動性、柔軟性、創造性を発揮する我が国経済のダイナミズムの源泉と位置づけ、さきの臨時国会において中小企業基本法の改正を行い、中小企業政策の対象範囲を拡大されました。さらに、今通常国会では中小企業指導法を抜本的に改正し、これまでの中小企業政策を大きく方向転換されると伺っております。
このような国の動きを踏まえ、今後、本県において、地場産業を含めた中小企業支援のための体制をどのように整備されていかれるのか、お伺いをいたします。
質問の第五は、県民の安定した生活の実現と雇用確保に向け最大限の努力をとの観点からお伺いをいたします。
二月一日の総務庁が発表した九九年の年平均完全失業率は四・七%で、最悪と言われた九八年を〇・六ポイントも上回り、記録を更新いたしました。空前の好景気が続いているアメリカでは四・二%にとどまり、景気低迷が長期化している日本と明暗を分けております。
さて、本県の雇用情勢は、個人消費や民間設備投資は相変わらず低調であるものの、各種の緊急経済効果の浸透やアジア経済の回復などの影響を背景に、緩やかな改善の動きが見えますが、完全失業率は十月―十二月期四・二%と高水準であり、また、有効求人倍率は一月〇・五九倍と、これも低水準で推移し、厳しい状況が持続をしております。
さらに、産業構造の転換や経済のグローバル化に伴う競争力の強化を図ることを目標に、企業においては経営の合理化やリストラが進められており、今後、相当規模の従業員の削減、操業の縮小や工場閉鎖を伴う雇用調整等が懸念され、雇用情勢はさらに一段と厳しくなることが予測されます。
このような状況に対処するため、成長産業分野に雇用機会を創出して円滑な労働移動を図り、民間の教育訓練機関等の機能を活用してミスマッチを解消していく対策や、雇用調整助成金の高率助成や、一時的な景気変動による雇用調整に重点化を置くなど、緊急雇用対策がより一層求められている昨今であります。
また、夢や希望を抱いて社会へ巣立つ高校生、大学生に対する就職状況については、昨年十一月末時点での内定率が、高卒者では前年比六・六ポイント低下の六七・三%、また、大卒者は、昨年十二月一日現在において五・八ポイント低下の七四・五%と、超氷河期時代とも言われるほど、就職環境は大変厳しい状況となっております。
そこで、以下二点についてお尋ねいたします。
まず第一点目は、雇用調整助成金の活用についてであります。
今後、産業構造の転換、経済のグローバル化、少子・高齢化が進展する中で雇用の安定を図っていくためには、成長産業の分野で雇用創出を図り、企業間の労働移動を促進して労働力を吸収していくことが重要な課題ではありますが、企業内でのリストラを検討する前段階として、まずは雇用調整助成金制度を有効に活用して、雇用の維持、安定を図ることが重要ではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
二点目は、新規学卒者の雇用対策についてであります。
急速な雇用情勢の改善が望めない中で、新規学卒者の就職環境は厳しい状況が続くものと懸念されております。
そこで、学卒者の雇用対策について、県として今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
質問の第六は、活力を持続しつつ豊かな高齢社会の実現をという観点からお伺いいたします。
初めに、介護保険制度についてお伺いいたします。
二十一世紀の超高齢化社会においても安心して老後の生活を送ることができる、そうした社会を実現するためには、最大の不安要因である介護に関して、まずは介護保険制度を円滑にスタートさせ、住民のニーズに合ったよりよい制度として定着させていかなければなりません。
振り返ってみますと、平成九年に介護保険法が公布されてからもさまざまな議論がありました。昨年の五月には制度施行の延期論が、また、十一月には、高齢者の保険料を六カ月間は徴収しないことや、家族介護をした場合に慰労金を支給することなど、制度の根幹にかかわりかねないような議論も多々ありました。それだけに、県当局を初め各市町村など地方自治体の準備も大変であったことと推察しております。
また、介護報酬や介護サービスの支給限度額が今月に入ってから決定されたり、訪問介護における身体介護と家事援助の折衷型の新設やショートステイの別枠化などが実施間際になって決定されるといったように、最近になってようやく制度の全容が明らかになったところでもあります。
制度導入まであと一カ月、県及び市町村は施行に向けた最後の準備に余念がないこととは思いますが、このわずかな期間で要介護認定やケアプランの作成、保険料徴収事務の確認など一連の手続が滞りなく行われ、四月一日から切れ目なく利用者が介護サービスを受けることができるのか、大変心配をしているところであります。
そこで、市町村における準備状況と今後の見通しについて、さらに県介護保険事業支援計画の状況について、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、「新愛フルプラン」の策定についてお尋ねいたします。
本県では、平成五年七月にあいち8か年福祉戦略「愛フルプラン」を策定し、その目標達成を県政の最重要課題の一つとして、県民福祉の増進を図ってまいりました。その結果、本県の福祉は、県内市町村の努力と相まって、全国的にも極めて高い水準を維持してまいりました。
しかしながら、「愛フルプラン」の計画期間も残り一年となった今日、「愛フルプラン」の策定時に比べ、少子化、高齢化が一層進むとともに、ノーマライゼーションの考え方が浸透し、障害者の自立と社会参加のためのバリアフリー化が一層求められるなど、福祉を取り巻く環境は大きく変化をしていると思われます。
そこで、生活の基本を支える福祉分野において、県民の不安を可能な限り払拭し、一人一人が信頼感を持って、将来に夢と安心を見出すことができる新たな方向性と確かな指針を明らかにしていくことが必要だと考えております。
知事は、二十一世紀における本県福祉の進むべき方向を明らかにするため、「愛フルプラン」にかわる新しい中・長期の福祉ビジョンを策定し、来年度の公表に向け作業を進められるとお聞きしております。
そこでお尋ねいたします。知事は「愛フルプラン」にかわる新しい福祉ビジョンをどのような方針で策定するのか、その方針についてお伺いいたします。
質問の第七は、情報公開を進め、行政への積極的な住民参加をという観点からお伺いをいたします。
初めに、情報公開についてお尋ねをいたします。
知事は、より開かれた透明性の高い県政を目指して情報公開を進めていくため、まず、昨年六月議会で公文書の公開範囲の拡大など条例の一部改正を行い、さらに、今議会に愛知県公文書公開条例の全部を改正する条例案を提案されました。
この条例案は、実施機関に公安委員会と警察本部長を加えるとともに、フロッピーなど電磁的記録も公開対象に加え、また、出資法人等の情報公開の推進を指導する旨規定しているなど、従来の施策から大きく一歩踏み出したものと考えます。
そこで、二点お伺いいたします。
まず第一に、今回の条例の全部改正案はどのような考え方のもとに御提案されたのか、お尋ねをいたします。
次に、各種の県政情報の公開を求める県民ニーズに対応していくためには、この新しい情報公開条例をどのように運用していくかということが極めて重要と考えますが、知事は、今後、新条例の運用にどのように取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたします。
次に、県行政の情報化推進に当たっての危機管理についてお尋ねいたします。
一九九〇年代半ばにインターネットが我が国に導入されて以来、インターネットは、企業や行政を初め家庭に至るまで、社会生活のあらゆる場面で広く利用されております。
本県においても、平成八年に県のホームページを開設し、さまざまな県政情報を発信するとともに、昨年一月には、愛知県行政情報通信ネットワークの運用開始により、より質の高い県民サービスの向上と開かれた県政の実現に向け、行政の情報化に積極的に取り組まれておられます。
しかしながら、ネットワーク化の進展に伴い、最近、総務庁や科学技術庁など各省庁のホームページがハッカーと呼ばれる何者かによって書きかえられたりするなど、事件が相次いで起きました。
そこでお伺いいたします。
情報通信基盤を活用した県政情報提供の一層の充実について、その基本的なお考をお伺いをいたします。
二つ目に、電子化された県情報に対する安全性、信頼性の確保のための危機管理についてどのように考えてみえるのか、お伺いをいたします。
質問の第八は、安全で快適な生活を目指した環境づくりという観点からお伺いをいたします。
環境問題、特に、今日的問題でありますダイオキシン類対策特別措置法の施行に伴う県の対応についてお伺いをいたします。
国の調査によりますと、平成十年の全国のコプラナポリ塩化ビフェニルを除くダイオキシン類の年間排出量は約二千九百グラムから二千九百四十グラムと試算されており、その主な発生源はごみ等の廃棄物焼却施設であり、その他産業系発生源などからも排出されております。このような状況を踏まえて、さきの第百四十五国会におきまして、議員提案により、衆参両院の全会一致のもと、ダイオキシン類対策特別措置法が可決成立し、平成十一年七月十六日に公布され、本年一月十五日から施行されたところであります。
そこでお伺いいたします。
まず、この法律の施行に伴って県で把握されましたダイオキシン類の発生源がどれほどあるのか、お示しをいただきたいと思います。
次に、こうした発生源に対する対応やその他のダイオキシン類対策をどのように進められていくおつもりなのか、お伺いをいたします。
最後に、ダイオキシン類が物の燃焼過程で発生することから、ダイオキシン類の発生量を抑制するためにはごみを減らすことが最も重要であると考えられ、ごみ処理施設の集約化やごみ処理の広域化も進めるべき課題であると考えます。この法律の施行とあわせて、今後、県として、総合的にどのような取り組みを展開されていくのか、お伺いをいたします。
質問の第九は、家庭、地域、学校が一体となり心豊かな子供づくりをという観点からお伺いいたします。
本県の教育は、教育に対する県民の深い理解と支援のもと、子供たちに豊かな人間性や、みずから学び、みずから考える力をはぐくむことを目指して、社会の発展と充実に大きな影響を与えてきており、その役割と意義は今後も変わらないものと確信しております。
そうした中、教育職員養成審議会答申においては、変化の激しい現代にあって、心豊かに生きる力を持った子供たちを育成するためには、子供たちの教育に直接携わる教員の責任と役割が大変重要と指摘され、人物を重視した教員採用試験の改善、自発的、主体的な研修の奨励と支援体制の整備、初任者研修を初めとする研修の充実、さらには、教員を養成する大学と採用する教育委員会との一層の連携などについて、それぞれ提言がなされております。
そこで、これからの教育改革に向けて、教員に求められる資質及び能力を踏まえた教員のあるべき姿について、加えて、そのような人材をどのように育成されようとしているのか、さらには、得意分野を持つ個性豊かな教員の確保について今後どのように取り組んでいかれる方針か、教育長の御所見をお伺いいたします。
以上、私たち愛知クラブ民主連合が提唱する十の基本政策に基づき質問をしてまいりました。知事並びに理事者各位の積極的かつ前向きな御答弁を期待いたしまして、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事
神田真秋君登壇〕
10:
◯知事(
神田真秋君) 御質問にお答えを申し上げたいと存じます。
県税収入の見通しについて最初にお尋ねがありました。
御質問にもありましたとおり、最近の景気動向につきましては、個人消費の低迷あるいは設備投資の減少など大変厳しい環境下にはありますけれども、それでも緩やかに改善が見受けられるところであります。
新年度の県税収入は、こうした見通しのもとに、地財計画などを参考にしつつ計上したところでございます。特に法人二税では、企業の聞き取り調査なども実施した上で、恒久的減税の影響なども織り込むとともに、企業収益の回復にも期待をしつつ、積算を申し上げました。また、特別な増収要因として、県民税の利子割の増収分もございまして、トータルとして、県税全体で、十一年度最終見込みと比較して四・八%増の一兆五百七十五億円の計上となったところであります。
その確保ということでありますけれども、今後の景気には十分注意しながら、この確保に全力で取り組んでいかなければならないと考えております。
財政健全化計画のお尋ねであります。
昨年の経済危機に対応するさまざまな取り組みと、そして、新年度予算編成にぎりぎりのいろんな工夫を凝らし作業を続ける中で、いよいよ本県の県財政が大変厳しいことがより認識されてきたところでございます。こうした厳しい収支不足に対応するためには、お話がありましたように、中期、長期的な財政健全化計画の必要性は、重要であることは私どもも認識をいたしているところであります。
ただ、その収支不足は大変大幅なものであることは御承知のとおりでありますし、その不足に対処するためには、一層の財源の確保、そして、さらに内部努力を初めとするこれまで以上の構造的な改革が必要になってまいりまして、それを実行するためには、関係各方面の御協力を求めたり、御理解を求めたり、さまざまな調整なくしてできないことであります。そうした状況にありますので、いまだ計画をお示しする段階に至っておりませんことを御理解をいただきたいと思います。
したがいまして、当面は、今回の予算編成の結果や今後の財政需要の見通しを踏まえ、これに十分注意を払いながら、財政の健全化に取り組んでまいる所存であります。どうかこの点も御理解をお願いを申し上げたいと思います。
さて、これに関連して、外形標準課税導入についての御質問をちょうだいいたしました。
このたびの東京都の外形標準課税導入ということにつきましては、地方自治体の課税自主権を行使するという意味において、また、地方税の充実確保を図るための一つの方策として、一定の評価を申し上げるべきものだと考えております。
ただ、これにつきましては、都道府県税の重要な基幹税目である法人事業税にかかわるものでありますし、納税義務者となる法人は、都道府県の県域を越えてさまざま企業活動をしておられますし、支店なども全国に散在するわけでございますし、また、各県がそれぞれの業種あるいは規模を対象にして独自に税制を構築するということになりますと、公平、中立あるいは簡素といった観点でいろんな問題が生ずることも危惧されるところであります。
こうした標準課税の問題、外形標準課税の問題につきましては、やはり全国的な制度として整備されるのが本来の姿ではないだろうかと私どもは考えておりまして、全国知事会などを通じて、改めてそうした観点での導入について要望をしているところであります。また、先般は政府においても、東京都に対し、外形標準課税について慎重な対応を求める旨の統一見解が示されたところでもあります。
今後、政府等さまざまな場面で議論が出てくるものと考えますけれども、私ども愛知県といたしましても、他の府県とも連携を密にする中で、この問題については適切に対応してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
包括外部監査制度についてのお尋ねもございました。
この包括外部監査は初めての実施でありましたけれども、やはり大変意義があったものと考えております。その一つは、県の組織とは別の外の、外部からのチェックだということと、いま一つは、公認会計士といういわば会計の専門家の立場でのチェックだということで、いろいろと意義がある、また、実際にあったものと考えております。例えば病院会計におきましては、先ほども質問の中で指摘していただきましたが、原価計算の手法の導入など、こうした経営的な観点からの貴重な御提言もいただいたところであります。
今後の対応でありますけれども、一部実施可能なものにつきましては直ちに実施したものもございますが、今後、関係部局において早急にこの御提言の内容を精査いたしまして、できるものから速やかに改善をして、より効率的な行政運営に努めてまいりたいと考えております。
市町村合併の取り組みについてであります。
この市町村合併という問題については、まず基本的な考え方として、決してこれは無理に押しつけるものではなく、各市町村の自主的な判断が最も重視されるべきものだと、このように考えております。そのように考えた上で、御指摘のように、地方分権の進展など、市町村を取り巻く環境も大きく変化をいたしておりますだけに、市町村合併の論議はむしろ時代の要請と考え、それぞれの地域において大いに議論していただかなければならないと考えております。県といたしましても、そうした主体的な取り組みについてはきちんと支援をしていきたいと思っております。
そのため、愛知県におきましても、検討委員会を設置して要綱の作成に着手しているところでございまして、県民意識調査、あるいはすべての市町村議会議員の意向調査など実施し、その分析などを行っているところであります。
今後でありますけれども、各市町村長あるいは県議会を初めとする各界の御意見を踏まえながら、ことしの秋をめどにして要綱の重要事項について御提言をいただくとともに、ことしの十二月までに県としての要綱を作成してまいりたいと思っております。
なお、この当初予算におきましては、市町村や民間団体によるこの合併についての研究、啓発事業に対する補助制度を御提案申し上げておりまして、自主的な合併を推進するための新しい施策も展開してまいりたいと考えております。
次に、国際博覧会に係る諸問題についてお尋ねをいただきました。
まず冒頭、この博覧会につきましては、ことしに入りましてから、BIEの幹部と通産省との事前打ち合わせなどのメモが報道などに出てから、さまざまな慌ただしい動きの渦中にありまして、この間、多くの県民の皆様方には大変な御心配をおかけし、心苦しく思っているところであります。
その国際博についての跡地利用計画でありますが、御指摘ありましたとおり、会場地の地域整備の検討につきましては、国と協会と連携を密にし、博覧会の会場計画との一体性を十分頭に置いた上で早急に進めていかなければならないと考えているところであります。登録申請の時期が延びたとはいえ、決して十分な時間的ゆとりがあるわけではございませんので、自然環境団体初め、県民各層の皆様方の御意見を幅広く集約する中で、国のリーダーシップのもとに、地域整備の基本的な骨格を定める作業と会場計画の基本を定める作業とを精力的に進めていかなければならないと考えているところであります。
なお、これに関連して、この検討の仕組みづくりについてお尋ねがございました。
国と県と協会の三者が密接に連絡し合わなければならないのは御指摘のとおりでありまして、現に、現在、今そういう方向でさまざま検討作業に入ってるわけであります。そして、今後もなるべく速やかに、そして柔軟にこれに対応する必要があるとの観点から、協力体制を保持しながら、臨機応変あるいは適時適切に対応してまいりたいと考えておりますので、御理解をお願いを申し上げます。
なお、この国際博覧会と関連公共事業の整備の見通し、そして加えて、国の支援等についても御質問がございました。
この公共事業につきましては、二〇〇五年に向けまして、関連公共事業を引き続き着実に推進していくためには、登録を目標にして、見直し検討が進められている会場基本計画をまず少しでも早く固めることが先決であります。このため、本県といたしましては、国や協会と協力をいたしまして、会場基本計画等を策定するための閣議決定など国内手続が速やかに行われるよう最大限努力をしていかなければならないと考えております。
また、当面個別に整備が急がれる事業につきましては、平成十二年度当初予算におきましても、国の補助金を初め必要な予算措置をお願いを申し上げているところでございますが、今後、計画の検討状況を十分踏まえながら、国とも連携をとりつつ適切に事業を進めてまいりたいと思っております。
さらに、関連公共事業全般につきましては、二〇〇五年までに確実に整備をするために、できるだけ早い段階に国の関係省庁や関係自治体との調整を行いまして、関連公共事業全体についての事業内容や資金計画などを取りまとめ、BIE総会への登録承認後速やかに、国の関係閣僚会議の了解を得て、政府レベルでの認知がなされるよう努力をしてまいりたいと考えております。
中部国際空港に係る諸問題のうち、初めに、三重県漁連との調整であります。
三重県漁連との調整につきましては、事業主体であります空港会社あるいは企業庁、愛知県、そして三重県の協力なども得まして、今、その調整を図っているところでございます。三重県漁連からの要請もありまして、直接の窓口としては空港会社にお願いをいたしておりまして、現在、空港会社が鋭意その御努力を続けておられるところであります。これまでに漁業補償に関する説明や意見交換を地区ごとに行うなど、この話し合いも続けてきているところでございます。まだその渦中であります。愛知県といたしましても、空港会社のそうした調整には最大限御協力を申し上げていきたいと思っております。
野間漁協につきましても話し合いを継続的に行っておりまして、いずれにしても早い時期に理解が得られるよう、これまた全力で取り組んでいかなければならないと考えております。
中部国際空港の経営という点から御質問をいただきました。関西空港の例などを引用されまして、その経営の見通しなどのお尋ねでございます。
中部国際空港株式会社の経営方針でありますけれども、これは、会社において基本理念の一つとして、そして重要な方針として、効率的な事業運営に努め、健全経営を実現することを強く打ち出されております。
こうした経営方針のもとに、空港会社の計画によりますと、累積損失を開港後おおむね十年から十五年程度で解消することを目標とするとともに、より安定した経営基盤の確保の実現に向けて、事業費のコスト削減や開港後の収益向上策について鋭意検討を進めていると伺っているところであります。
空港会社は、民間のノウハウを生かしながら、また、ほかの先進事例なども参考にして、収益性に富み、競争力のある空港の実現に努めていかれるものと考えておりますし、私どもも、愛知県としてこれに御支援を申し上げていきたいと思っております。
本県の社会基盤整備という観点からの御質問であります。
限られた予算の中で社会基盤整備をどう行うかということでありますが、本県の財政は大変厳しい状況にございます。したがいまして、平成十二年度の予算編成に当たりましても、さまざまな工夫をしてきたところでありますが、こうしたインフラにつきましても、限られた財源の中でできる限り投資額を確保するために、国庫補助を受けられる公共事業の確保にウエートを置いた予算編成をいたしたところであります。
また、事業実施に当たりましても、事業実施箇所を極力厳選をいたしまして、投資効果の高い箇所に予算配分するとともに、公共事業コスト縮減対策に関する行動計画による一層のコスト縮減はもとより、効率的な執行にも努めてまいりたいと存じております。
なお、これに関連して、いわゆるコスト縮減の行動計画のお尋ねがございました。
国、県のこの行動計画は、御指摘ありましたとおり平成十一年度までの三カ年計画であります。そして、目標値は縮減率一〇%というものでございます。
それに対しまして、本県の十一年度の縮減率でありますけれども、昨年十月末現在の中間集計によりますと、事業の効率化などの直接的施策で七%ということになっております。また、工事に関連する制度の改善などの間接的施策の縮減率は、国からまだ示されておりませんけれども、こうしたものを合計すると、かなり目標に近づくものと考えているところであります。
また、国、県の行動計画はことしが最終年度でありますが、国におきましては、十二年度以降も新たな縮減対策を推進していく方向と聞いておりますので、こうした国の動向も見ながら、県といたしましても、なお一層のコスト縮減に努めてまいりたいと考えております。
中小企業支援のための体制整備でございます。
御質問にもありましたような国の動きを踏まえまして、本県におきましても、ことしの四月から、次代の地域経済の担い手となる中小企業の創業あるいはベンチャー企業の育成、経営革新の支援体制をより効果的に整備するため、中小企業総合センターの中小企業支援機能を愛知県中小企業振興公社へ移管、一元化をし、中小企業が抱えるさまざまな経営上の問題に迅速かつ円滑に対応できる体制を整備することにいたしました。
今後、この機関を核にいたしまして、国のナショナル支援センター、あるいは県内七カ所に設置を予定しております地域中小企業支援センター、さらには中小企業関係団体、中小企業向けの金融機関などと連携を密にする中で、中小企業への支援を充実強化してまいりたいと考えております。
なお、企業のリストラに関連しての雇用調整助成金の制度の活用についても御質問がありました。
産業構造の転換あるいは経済のグローバル化、少子・高齢化が進展をしております現在、産業界は、生産性の低い分野から高い分野へ、あるいは今後の成長が見込まれる新しい分野、例えば医療、福祉、環境などでありますけれども、こうした分野に新たな雇用が創出され、全体としてスムーズな労働移動を実現することが大変重要だと考えております。
このために、個々の企業におきましても、雇用調整助成金を活用して、人材育成を図るなどして、雇用の維持、安定を図り、さらには、成長が望まれる分野への事業転換を進めていくことも企業にとっては重要な取り組みであると考えております。
このため、本県といたしましても、雇用調整助成金を初めとする各種の助成金の活用について、多くの事業主の皆さん方に御理解をしていただき、積極的に活用していただけるよう周知、啓発に努めてまいりたいと思っております。
また、新規学卒者の雇用対策についてでございます。
ことし三月卒業の大学あるいは高校の就職内定率は、経済活動の停滞から大変厳しい状況になることが予想されておりまして、昨年の六月以降、企業の御協力などを得まして、合同説明会あるいは就職面接会など開催をし、少しでも内定率が高まるよう努力をしてきたところであります。とりわけ、就職内定率が低い高校生につきましては、昨年の十月に、教育機関、経済団体、職業安定機関を構成員とする愛知県高等学校就職促進協議会を設置をいたしまして、意見交換やら協議等行って、その促進に努めてきたところであります。卒業まではもうあとわずかでありまして、大変厳しい環境下にありますけれども、少しでも多くの皆様方に内定が得られるよう、あらゆる努力を傾注してまいりたいと思っております。
また、来年の春の学卒者の就職につきましても、この厳しい状況は恐らく余り変化がないものと考えられますので、県といたしましては、この四月に設置をされます国の愛知労働局や経済団体とも連携を密にいたしまして、就職準備セミナーや、あるいは就職面接会などを開催し、雇用促進に努めてまいりたいと思っております。
介護保険制度についてお答えを申し上げます。
いよいよあと一カ月ほどで実施を迎える大詰めの段階を迎えてまいりました。
ところで、市町村における準備状況と今後の見通しでありますけれども、要介護認定の審査にややおくれがあると見ておりまして、おくれております市町村につきましては、審査の回数を増やすなど、迅速な対応をしていただけるようお願いをしていきたいと思っております。
また、ケアプラン作成の準備状況でありますけれども、二月十日に介護報酬や介護度別の支給限度額が告示をされ、本格的な作成が可能になったところでございまして、準備のための時間は限られており、大変厳しい状況でありますので、県といたしましては、各市町村やら事業者に対して、全力を挙げて取り組んでいただけるよう御指導申し上げ、再度関係者に要請をしていきたいと考えております。
時間的な制約がございまして、ケアプランの作成が間に合わない場合には、差し当たって、現在利用しておられるサービスを引き続き受けられるようなプランをつくるなどの簡便な方法を講ずるよう、これまた指導をしているところでございます。
なお、県の介護保険事業支援計画の状況についてでございますが、県では、介護保険事業支援計画と老人保健福祉計画とを一体のものとして策定するために、愛知県老人保健福祉計画策定検討委員会において検討を重ねていただいておりまして、二月の二十一日に考えを取りまとめていただいたところであります。今後、検討委員会から示されたものを基本に、県計画としてつくっていきたい、作成していきたいと思っております。
「愛フルプラン」の関係でございまして、新しい福祉ビジョンの策定方針はどうかというお尋ねでございました。
現在、社会福祉のあり方をより新しい視点で整理した上で、長期的な展望のもとに福祉施策を計画的に推進できるように、愛知県社会福祉審議会において鋭意御検討いただいているところでございます。
この審議会におきましては、総論ともいえる福祉ビジョンの部分と、そして、子供や障害者、高齢者といった各分野の実施計画部分で計画を構成する方向で検討が進められておりまして、基本的な理念になるべきものは、障害の有無や年齢にかかわらず、家庭や地域においてだれもが安心した生活が送れるように、社会全体で一人一人の自立と自己実現を支えていくことの必要性が議論されております。これを新しい計画の基本方針とすることができるのではないかと今のところ考えておりまして、具体的な展開についてはこれから鋭意詰めていきたいと思っております。
情報公開についてお答えを申し上げます。今回全部改正をすることになったわけでありますが、その考え方はという点についてであります。
情報を適切に県民の皆様方に公開してまいりますことは、行政の信頼を確保するためには避けて通れない重要な課題だと考えておりまして、また、いろんな仕事を的確に滞りなく進めていくためにも、情報公開が重要な役割を果たす時代を迎えているものと認識をいたしております。
そうした観点で、このたび従来の公文書公開条例を全面的に改正をし、情報公開ということで大きく制度を変えることにさせていただきました。来年、平成十三年の春からは国の情報公開法も施行されるわけでございまして、こうしたものの整合性を図るという点についても留意をして今回の改正案になり、今議会で御審議をお願いをした次第であります。
なお、この運用に当たっての取り組みについてでありますけれども、運用に当たって最も重要なことは、言うまでもないことでありますけれども、これを実際に仕事を通じてその任に当たる職員の意識の改革と、そして、この情報公開に対する取り組み姿勢にあろうと思いますし、また一方では、日々作成される膨大な情報、文書といったものをいかに管理し、いかに保存するか、分類するかという点も重要な点であります。
また、今後は、いわゆる出資法人などにも情報公開を進めていかなければなりませんので、そうしたことの努力を引き続きしていかなければならないと思っております。
いずれにしても、こうした新たなスタートをすることになりましたので、どうか本議会におきましても積極的に御支援と御理解をちょうだいしたいと思っております。
なお、県行政の情報化の推進に関連して、情報提供の一層の充実という御指摘をいただきました。
インターネットの普及は、今や情報革命あるいはIT革命と言われているように、とどまることを知らず、私たちの生活の中に日々どんどん入り込んでいる現状にあります。より透明性の高い開かれた県政を実現するためには、したがって、こうした新しい情報通信基盤も有効に活用していくことが大変重要であろうと考えております。
愛知県におきましては、県民の方々がインターネットやあるいは電話、ファクスなど複数のメディアを利用して、県政や県民生活にかかわる情報を迅速に入手していただくとともに、県営のスポーツ施設の予約、申し込みができる愛知県民情報システムを開発してきたところでありまして、本年四月から土木部所管の施設について運用する運びになっております。
今後は、県民の方々のニーズに即した情報を迅速かつわかりやすく提供できるように一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
情報の危機管理という点についてであります。
昨今マスコミをにぎわしておりますハッカーの存在は、大変難しい問題を提供しております。毎日のように、今、この問題がマスコミもにぎわしておりますけれども、私どもも、情報が高度化するにしたがって、こうしたものに十分注意をしていかなければならないと考えておりまして、最新技術の情報収集にも努め、可能な限りの対策を講じていく所存でありますので、よろしくお願いを申し上げます。
最後に、ダイオキシン類の対策についてでございます。ダイオキシン類に関連して、県内の発生源である特定施設についてお尋ねをいただきました。
政令市、中核市を除く範囲で、平成十二年二月現在でありますけれども、大気関係の廃棄物焼却炉など八百五十一施設、水質関係の廃ガス洗浄施設など百七施設の合計九百五十八施設となっております。
なお、ダイオキシン類の対策ということでございますが、特別措置法の趣旨の周知徹底に万全を期すため、今後とも、説明会あるいはいろいろと協議の場を積極的につくっていきますとともに、発生源に対する対応といたしましては、県内の全特定施設に立入検査を実施し、廃棄物焼却炉の焼却管理やダイオキシン類の効率的除去装置の設置等を指導し、排出基準の遵守、指導に努めてまいりたいと思っております。
また、ダイオキシン類分析室を今年度中に環境調査センターに整備をいたしますが、計測手法にも意を用い、より一層の分析精度の管理に努めるとともに、従来からの監視体制を充実、拡充いたしまして、大気、水質、土壌等の環境の汚染の状況の的確な把握に努めてまいりたいと考えております。
また、ダイオキシン類対策の総合的な取り組みということについてでありますが、ダイオキシン類を削減するためには、特別措置法を適正に運用するということはもとよりでありますけれども、まず発生を抑制することが重要でありまして、そのためにはより一層のごみの減量化とリサイクルを推進することが不可欠であります。
県といたしましては、平成十年十月に作成いたしました愛知県ごみ焼却処理広域化計画に基づきまして、ごみ処理の広域化を推進してまいりますとともに、さらに、現在国において検討されております新たな循環型社会を構築するための法制化を視野に入れた上で、循環型社会づくりを目指して、各種の廃棄物の発生抑制、再使用、リサイクルの推進などについて、関係団体と連携しながら総合的に取り組みを進めてまいりたいと考えております。
以上、お答えといたします。ありがとうございました。
11:
◯教育長(伊藤廉君) 教育者としての的確な資質と能力を有する教員の確保と育成についてでございます。
教員にとって望まれる資質はさまざまでございますが、大切なものは、子供の成長を助け、その成長する姿を心から喜ぶことができることであるというふうに考えております。
子供は社会の変化に敏感で、その姿は社会を映し出しているとも言われておりますが、こうしたことをしっかり認識し、教員みずから自己研さんに努め、新しい時代に対応できる教育を実現していこうとする真摯な姿勢や実践などが特に求められているというふうに思っております。
こうしたことから、教員の採用に当たりましては、受験者の人となりを一層多面的に把握できるよう、面接、試験などの工夫、改善に努めてきているところでございますが、さらに、大学での教員養成をも的確に行われるよう大学との連携を図るとともに、現職研修などの充実をしていきたいと考えております。
いずれにいたしましても、教育者としての自覚と能力をしっかり持つとともに、子供が社会で将来、人とともに生きていけることを指導できる教員の確保、養成に努めてまいりたいと考えております。
12:
◯議長(
神戸昭治君) 進行いたします。
岩田隆喜君。
〔六十八番
岩田隆喜君登壇〕(拍手)
13: ◯六十八番(
岩田隆喜君) 私は、公明あいち県議団を代表いたしまして、県政各般にわたる重要課題について質問いたします。
本日最後の質問でありますので、多少重複する点もあろうかと存じますが、私どもの立場からの質問でありますので、お許しをいただきたいと存じます。
質問の第一は、景気の現状と見通しについてお尋ねします。
最近の我が国の経済情勢は、公共投資の増加や住宅投資の下支えなどこれまでの政府の経済対策により、企業の業況感や収益が上向き、雇用についても徐々に回復の兆しを見せてきております。また、各種の経済指標も景気回復を裏づける動きを示していることから、景気はやや改善しているという見方が広がりつつあります。
一方、こうした明るさの見られる反面、所得環境の悪化などによる消費者の買い控え等により、個人消費は依然として足踏み状態にあり、設備投資も減少基調が続いております。また、これまで景気を引っ張ってきた公共事業も、各自治体の財政難から減少し、息切れが懸念されるなど、期待される景気の本格的な回復に向けては、遺憾ながら決定打を欠く状況と言わざるを得ません。さらに、経済企画庁が発表した昨年の七―九月期の国民総生産が三期ぶりにマイナスに転じ、十―十二月期もマイナスになると予想されるなど、底を打ったとささやかれている景気が依然として厳しい状況にあることをうかがわせております。
このように景気の先行きになお不安が残る中、本県経済の現状と見通しについて知事はどのような認識を示されているのか、所見をお伺いいたします。
質問の第二は、行財政問題についてであります。
まず、税収の見通しについてお伺いします。
我が国の経済は緩やかな回復基調にあるものの、個人消費や企業の設備投資とも低調に推移しており、依然として厳しい局面から脱しておらず、特に本県では工作・一般機械産業の比重が比較的高いため、企業の設備投資抑制の影響が他の地域より深刻な状況にあり、景気回復のテンポを遅くさせている一因となっております。
このため、本県では、県税収入を初め、財源の確保に積極的に取り組まれているところでありますが、こうした中、各党の代表質問にもありましたように、東京都では新年度から、一定規模の金融機関に的を絞って、法人事業税に五年間の時限措置とした外形標準課税の導入を打ち出したところであります。
外形標準課税についてはこれまでさまざまな議論がされてきており、今回の東京都の独自措置についても各方面から賛否両論の意見が出されておりますが、今日の地方財政が景気低迷の影響を受けて、財源の確保が大変厳しい状況にある中で、自治体にとって自主財源の確保の一つの方法としては評価すべきではありますが、一方で、税の公平性、中立性を損なうのではないか、また、今後、他の自治体の追随の動きによっては金融不安解消への影響が懸念されるなどの問題もあり、導入に当たっては十分に議論を尽くす必要があるものと考えます。
私どもといたしましては、政府税制調査会で検討されている外形標準課税について、早期に導入を行うべきであると考えておりますが、その実施に当たっては、外形標準課税を含めた税制全般について、地方分権にふさわしい、地方の要請に沿った見直しを行うよう政府に求めてまいりたいと考えているところであります。
さて、本県の税収の見通しでありますが、平成十二年度の当初予算案では、県税収入が一兆五百七十五億円計上されておりますが、景気が緩やかながら回復過程に入ったと見られる反面、恒久的減税の平年度化等の影響も考えられ、なお厳しいものが見込まれますが、知事はどのような見通しのもとに計上されたのかお伺いします。
次に、中・長期的な財政健全化に向けた取り組みについてお伺いします。
本県財政は、歳入の大宗をなす県税収入が、先ほど申し上げましたように、恒久的減税の影響などを考えますと、今後も大きな期待はできず、さらに基金が枯渇し、県債残高を考えますと、県債の活用にも限界がありますので、歳入面において余り大きく期待することはできない状況にあると思います。
一方、歳出面においても、歳入不足を補うために平成四年度以降大量に発行した県債の償還のため公債費が急増するなど、義務的経費が増加いたしますので、今後も大幅な収支不足が予想されるところであります。
さらに、二〇〇五年日本国際博覧会の開催や中部国際空港などの大規模プロジェクトの推進を初め、本格化する少子・高齢化に向けた福祉施策の充実や、国際化、高度情報化に伴う社会経済情勢の変化への対応など、二十一世紀に向けたさまざまな課題に対処していかなければならないために、今後も極めて厳しい財政運営が続くものと思われます。
県では、平成十二年度の予算編成においては、事務事業全般にわたり厳しいシーリングを設定し、大幅な事業の見直しや、第三次行革大綱をさらに前倒しして職員定数の削減や職員給与の抑制を行うなど、さまざまな歳出抑制努力がなされたところでありますが、今本県が直面している最重要課題は財政基盤の再建であり、そのためには、毎年の予算編成の中での取り組みにとどまらず、将来展望を切り開くための計画が必要であり、財政の健全化に向けた計画や具体的指針を示す必要があると考えますが、知事の所見をお伺いします。
次に、行政改革の取り組みについてお伺いします。
二十一世紀を目前にした現在、少子・高齢化、高度情報化、国際化など、社会経済状況は著しく変化してきております。また、介護保険の開始など新たな制度の導入や、行政ニーズの一層の多様化、高度化、さらには分権型社会の進展など、県行政を取り巻く環境は大きく変わってきております。
本県では、このような社会経済状況の変化に的確に対応し、県民の期待に一層こたえるための新たな行財政体制の整備を目指して、平成十年十二月に愛知県行政改革推進計画、いわゆる第三次行革大綱を策定され、平成十一年度からの十年間を取り組み期間として、行政システム全般にわたる抜本的な改革に取り組まれているところであります。今、本県の財政は未曾有の危機的状況に陥っており、この財政危機を乗り切っていくためには、財政の健全化に向けた早急な取り組みとあわせて、行革についてもより一層推し進めていく必要があるものと考えます。
知事は第三次行革大綱の取り組みの一年目を務められたわけでありますが、今後、行政改革の取り組みを進めていく上では、現時点での進行状況をきちんと把握し、見直すべき点があれば見直し、さらなる改革に結びつけていく必要があるものと考えます。
そこで、知事にお尋ねします。知事は一宮市長時代から第三次行革大綱の策定にかかわっておられましたが、現在、その推進役として先頭に立っておられる立場から、これまでの行政改革の取り組みを振り返られたときに、その内容と効果についてどのように評価をされておられるのでしょうか。また、今後の行政改革の取り組みについてはどのような方向で進めていかれるのか、お伺いします。
質問の第三は、首都機能移転についてお尋ねいたします。
首都機能移転につきましては、地方分権や規制緩和など国政全般の改革の契機となるとともに、東京一極集中を是正し、災害対応力の強化にも役立つ二十一世紀の新しい日本を象徴する歴史的大事業であり、ぜひとも実現しなければならないものと考えるものであります。
国の国会等移転審議会は、三年間にわたる調査、審議を踏まえ、昨年十二月二十日に小渕首相に対し、首都機能の移転先候補地として、栃木・福島地域とともに、岐阜・愛知地域を選定し、さらに、三重・畿央地域も候補地になる可能性がある地域として答申をされたところであります。これにより首都機能の実現に向け一歩前進したことになりますが、ただ、候補地は複数あり、また、東京都を初め、埼玉県、千葉県、神奈川県等の強い移転白紙撤回の動き、さらに、県民の関心が高まっていないことや、財政問題、環境問題などの課題が山積しております。
そこでお尋ねいたします。
一点目は、今後、移転議論の本格化に伴い展開する誘致活動に向けて、どのように取り組んでいかれるのか。
二点目は、いまだ県民の関心、意識は薄く、誘致に向けて県民の合意形成が必要と思われますが、どのように取り組まれるのか。
三点目は、当地域の場合、移転費用が四兆一千億円の規模になると試算されており、本県も相当の負担を伴うことが考えられますが、どのようにとらえておられるのか、お伺いいたします。
質問の第四は、中部国際空港にかかわる諸問題についてお尋ねします。
二〇〇五年春の開港を目指す中部国際空港にとりましては、当面の最大の課題となる現地着工に向けて、まさに大詰めの段階を迎えつつあるものと認識しております。
この現地着工に向けての大きなハードルである漁業関係者との調整については、愛知県内の漁業関係者について、野間漁協を除いて、昨年の十二月初旬までに補償金額が合意に達し、二月二日には漁業振興策についても合意され、決着したところであります。残る野間漁協や三重県漁連についても、現在懸命に調整が続けられていると聞き及んでいるところであります。
しかし、現地着工に当たって必要となる公有水面埋め立て免許については、昨年の八月に事業主体から愛知県知事に出願がなされたものの、免許に向けた大きなステップである国への認可についてはいまだ申請がなされておらず、申請から認可まで数カ月を要すると言われていることから、本年度内の現地着工どころか、免許取得も、残り日数を考えますと、残念ながら困難ではないかと考えざるを得ません。このような現状を見ておりますと、目標とする二〇〇五年開港についてもいささか不安に思っているところであります。
そこでお尋ねいたします。知事はこのような現状をどうとらえられているのか。また、漁業関係者との調整が延びたことに伴う事業への影響と、今後の事業のスケジュールについてどのような見通しを持っておられるのか、お伺いします。
次に、空港対岸部の埋め立て造成事業についてお伺いいたします。
まず、空港対岸部の埋め立て造成計画についてお尋ねします。
埋め立て造成事業については、空港の開港に伴い、空港を支援、活用するために必要となる用地及び空港のインパクトを地域に波及させる都市機能の配置としての用地として、約百二十三ヘクタールを整備していくものであると承知しておりますが、これら用地の用途別内訳及び必要面積の根拠をお示しいただきたいと思います。
また、造成完了後はこうした土地を売却していくわけでありますが、今後、造成工事から土地の売却までのスケジュールについてどのように考えておられるのか、お伺いします。
次に、造成完了後の土地売却についてお伺いします。
本県の空港対岸部と同じような事例として、関西空港のりんくうタウンがあります。このりんくうタウンは約三百二十へクタールが計画されまして、平成二年から売却を開始し、現時点で五割強しか売れていないと聞いております。バブル経済が崩壊し、景気の低迷が続いている中で、企業の投資が控えられているという事情があるにせよ、売却開始後約十年近くを経て、こうした状況であります。
こうした状況を見るとき、本県の空港対岸部については大丈夫かという心配が先に立ってしまいますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。また、土地売却の見通しをどのように考えておられるのか、知事の御所見をお伺いします。
質問の第五は、二〇〇五年日本国際博覧会にかかわる諸問題についてお伺いします。
最初に、BIEへの開催登録に向けてのスケジュール関係についてお伺いします。
知事は、二月十六日の深谷通産大臣との協議で、登録時期について、目標としていた五月のBIE総会での登録を見送り、次の十二月に予定されているBIE総会での登録を目指すことで合意されたところであります。これは、二月十日と十一日にパリで行われた日本国側とBIE幹部との意見交換で、BIE側から、会場計画や博覧会終了後の跡地利用計画、資金計画などについて一層の検討を求められたことにより、時間的に五月の総会での登録に間に合わないということで結論に至ったものと理解しております。
そこで危惧されるのですが、登録時期が半年ほどおくれることにより、二〇〇五年の開催に向けて、諸準備にかかわるスケジュールが一段と厳しくなる中で、当面の問題として、世界各国等への参加出展要請が当初計画よりおくれる点であります。
御案内のとおり、本年六月一日から十月三十一日まで、ドイツのハノーバー市で二十世紀最後の国際博覧会が開催されます。このハノーバー博において、博覧会協会が中心となって、二〇〇五年国際博覧会のPRを初め、五月の登録を踏まえ、世界各国に参加招請を行う計画であると承知しているところであります。しかしながら、十二月の登録を目指すことにより、参加招請が自動的に十二月以降にずれ込むことになるわけでありますが、登録時期の先送りによる参加招請に与える影響について、知事の所見を伺います。
次に、会場建設費についてでありますが、昨年十一月末に博覧会協会から千八百億円という会場建設費の概算額が公表され、三カ月が経過しております。この間、名古屋商工会議所や中部経済連合会など地元経済界からは、厳しい経済情勢を反映して、協会に対して会場建設費の圧縮を求める声が相次いで上がっております。また、知事も、昨年の十一月議会で、会場建設費のさらなる圧縮が図られる方向で努力したいとの答弁をされたところであります。しかし一方で、協会内部には、現場として千八百億円でも厳しいとの意見があるようであり、また、一部の報道では、協会は会場建設費を最大で約三千億円と試算していると取り上げられております。
こうした一連の動きを総合的に見ますと、会場建設費を負担する本県など自治体や経済界等の関係者と協会との間にはかなりの温度差があると感じられるのであります。
こうした中、今回のBIEとの意見交換を踏まえ、十二月登録を目指して、地域整備の見直しと一体となって会場基本計画の見直しが行われると聞いておりますが、それに合わせて、会場建設費についても県民の納得のいくものとなるような十分な検討が必要であると考えております。
特に、景気回復に多くを期待できない経済情勢の中にあって、不況に悩む経済界や、財政状況に苦しむ本県にとりましては、会場建設費への負担の増大は避けなければならない課題であると考えます。
そこで、県として、今後大詰めを迎える会場基本計画の策定作業に取り組む中で、どのような基本姿勢で会場建設費を検討され、どのようなコスト縮減の努力をされるお考えか、知事の所見をお伺いします。
次に、跡地利用計画についてお伺いします。
跡地利用計画につきましては、県では、新住宅市街地開発事業による街づくりを計画されているところであり、この計画の策定に当たっては、水系の保全など、これまでにない環境への配慮が検討されておりますが、BIEからは、この跡地利用が博覧会のテーマにふさわしいものであること、また、計画が受け入れられるよう、自然保護団体を含め広く理解を得るよう努力すべきであることなどの意見があったと聞き及んでおりますが、こうした指摘にこたえなければ、博覧会の開催は困難になると思われます。
知事は、今議会の提案説明で、新住事業については幅広い検討を進める中で柔軟に対応していくとの表明をされておりますが、我が党としましては、博覧会を開催するためには新住事業は見直さざるを得ないと考えております。したがって、財政面、資金面について、国において適切な対応をされるよう働きかけを行う必要があると考えますが、県としてどう取り組まれているのか、お伺いします。
また、国の支援を受けていくためには、地元国会議員を中心としたバックアップ体制による働きかけがなければ困難ではないかと考えます。こうした中、新たな議員連盟あるいはワーキングチームを模索する動きがあるやに聞いておりますが、こうした動きに積極的に働きかけていくことが大事であると考えますが、知事の所見をお伺いします。
次に、東部丘陵線についてお伺いします。
国際博覧会のアクセスとしても期待されている東部丘陵線の経営主体である愛知高速交通株式会社の創立総会が去る二月四日に開催され、いよいよ実現に向け動き出すこととなりました。
知事は昨年の十一月定例議会において、東部丘陵線の経営見通しについて、開業時の輸送人員を一日三万人程度と見込んでおり、単年度の黒字転換を十から十五年程度、累積黒字も二十から二十五年程度の後に達成できると示されましたが、首都圏では、第三セクターによる鉄軌道新線事業が不況の影響などにより沿線開発計画が進まないため、乗客数が当初の目標に届かず、また、建設費が予想以上に膨らんだため、収支が悪化し、苦境に陥っているところもあると聞き及んでおります。
本県においても、想定していた輸送人員を大幅に下回っている桃花台線では赤字経営が続いており、平成十年度末で累積赤字が四十三億円にも及んでおり、知事はこれに対し、公の立場からの支援策について検討するとの見解を示されておりますが、今後の見通しについても決して明るさが見られず、厳しい経営が予想されるところであります。
このように、鉄軌道新線の経営の悪化は、社会経済状況の変化の影響とともに、当初の経営見通しの甘さも影響しているのではないかと思われるのであります。
東部丘陵線の経営見通しについても、厳しい条件のもとで見通さなければ、将来に大きな負担を生み出しかねないおそれも考えられ、桃花台線の二の舞になりかねないと危惧されますが、東部丘陵線の見通しについて、どのような条件のもとで経営見通しを立てられたのか。今、各地における第三セクターの鉄軌道新線が苦境に陥っているため、あえて東部丘陵線の将来の経営見通しは大丈夫かどうか、お尋ねいたします。
また、二〇〇五年の国際博覧会に向け、知事は開催に間に合うよう全力で取り組んでいくと表明されておりますが、一部には、開催に間に合うかどうかは微妙との声も聞こえてまいります。工事に着手したものの、国際博覧会開催に間に合わず、工事が進められている事態となった場合、観客輸送、特に県道力石名古屋線等の渋滞等、道路輸送に大きな影響を及ぼすのではないかと懸念されるところであります。
東部丘陵線は将来に向けた本県交通網の一環として整備すべき重要な路線に位置づけられているものの、国際博覧会開催前に着工するかどうかを判断するに当たっては、国際博覧会に間に合うのか間に合わないのかが大きな要因となると考えますが、御所見をお伺いいたします。
質問の第六は、福祉行政についてお伺いします。
国では、安心して子供を産み育てる社会の実現を目指し、西暦二〇〇〇年度から二〇〇四年度までに重点的に推進すべき少子化対策の具体的な実施計画として新エンゼルプランを策定いたしました。これまでのエンゼルプランは、一九九五年からおおむね十年間に少子化に歯どめをかけようと、社会全体で子育てを支援するために取り組むべき基本政策を策定したもので、全国のすべての都道府県においてこれに呼応した特色あるプランが策定され、本県でも、平成八年度に福祉の総合計画である「愛フルプラン」の具体的な実施計画として愛知県保育対策等推進計画が策定され、低年齢児保育、延長保育、一時的保育などの充実に努めてこられました。しかし、保育対策の実施主体となる全国の市町村においては、いわゆる地方版エンゼルプランの策定が遅々として進んでおらず、平成十一年六月時点では、策定中も含めて五百八十五市町村で、全市町村の約一八%にすぎない状況にあります。
自治省のまとめによりますと、平成十一年三月三十一日現在、十五歳未満の年少人口は一五%で、前年に比較して〇・二七ポイント減少しており、年々減少する傾向にあって、本県も同様の状況が続いております。しかし、二十一世紀を支えるのは子供たちであり、高齢化対策と同様に、少子化対策についても重要な課題として、国、都道府県、市町村が、それぞれの立場で取り組んでいかなければならないと考えております。
そこで、知事にお尋ねします。
第一点目として、全国の市町村での取り組みがおくれている地方版エンゼルプランの本県の実態をどのようにとらえているのか、お伺いいたします。
第二点目として、少子化は急速に進行しており、「愛フルプラン」愛知県保育対策等推進計画を見直し、国の新エンゼルプランに対応した本県の新たな総合的少子化プランを策定するお考えがあるのか、お伺いいたします。
次に、介護保険制度についてお伺いします。
制度の導入を一カ月後に控えて、県、市町村及び介護サービス事業者など関係者はその円滑な実施に向けて懸命の努力をされているものと承知しております。
そこで、実施を目前にしての特に重要な点について、以下お伺いいたします。
まず、一点目は、苦情や相談に対する対応についてであります。
介護保険法の実施に伴い、高齢者の介護サービス利用は、従来の措置を中心とした仕組みから契約による仕組みへと大きく変わります。この新たな仕組みを利用者本位のものとして定着させていくには、介護サービスに対する苦情や要望に対応するための体制づくりが大変重要であり、各市町村においてもそれぞれの実情に応じた仕組みをつくることが必要であると考えます。
そこでお尋ねいたします。市町村レベルでの苦情処理窓口について、昨年九月定例議会で我が党の米田議員が県の考え方について質問をしたところでありますが、現在の県内市町村の状況及び市町村指導など、本県の取り組みについてお伺いいたします。
次に、要介護認定で自立と判定された高齢者については、介護保険のサービスは受けることができませんので、こうした自立と判定された方やひとり暮しの方に対して何らかの支援が必要であると考えます。国においては、これらの高齢者に対し、介護予防・生活支援対策として、新年度予算に三百六十七億円を盛り込んでおり、また、市町村でも独自に、自立と判定された高齢者に対する介護予防・生活支援対策を打ち出しているところもあります。到来する高齢社会に向けて、高齢者が地域の中でいつまでも元気に暮らしていけるよう支援策を講じることにより、健康な高齢者がふえ、長い目で見れば、財政負担の軽減につながるのではないかと思われます。
そこでお伺いいたします。現在まで、自立と判定された高齢者はどれくらいになるのか。また、本県として、国の基準枠の拡大や県独自の事業実施の考えはあるのか、あわせてお伺いいたします。
質問の第七は、中小企業金融対策についてお尋ねいたします。
中小企業を取り巻く環境は、不況型の企業倒産が高い水準で推移していることや金融機関の貸し出しが減少を続けていることから、依然として厳しい状況にあるものと認識しております。
そのため、我が党では、中小企業の回復なくして日本経済の本格回復はないとの視点に立って、今後の中小企業政策の立案に生かしていこうと、この二月から一カ月にわたって、中小企業の業況判断、雇用判断、資金繰りなどに関しての全国規模での実態調査を行っているところであります。
一方、国においては、中小企業の厳しい資金繰りに対処するために、平成十年十月から全国の信用保証協会による中小企業金融安定化特別保証制度を実施しており、本年一月末までに全国で十九兆五千億円余りの利用がされ、愛知県信用保証協会においても八千六百三十億円もの利用があったと聞き及んでおります。さらに、昨年秋の臨時国会において、この特別保証枠が十兆円増額されるとともに、取り扱い期間が来年三月末まで一年間延長されたところであります。
日本商工会議所では、この特別保証制度により年間七千件の企業倒産が防止され、六万人の雇用が維持されたと試算しており、貸し渋り対策として大きな効果を上げていると評価しております。
しかし一方では、資金繰りに苦しむ中小企業に対して無担保で大口の高利資金を貸しつける、いわゆる商工ローンの返済をめぐる被害も急増しており、昨年秋以降、大きな社会問題となっております。
この厳しい金融環境の中で、本県においても、資金繰りに苦しむ中小企業はまだ多いと思われますが、県として、今後どのように中小企業金融対策を推進していくお考えであるのか、お伺いいたします。
質問の第八は、教育行政についてお伺いいたします。
最初に、不登校問題についてお伺いします。
我が国では、不登校児童生徒が年々ふえ続けており、文部省の調査によりますと、平成十年度に、不登校を理由に年間三十日以上学校を欠席した児童生徒は、小中学校合わせて十二万七千六百九十四人で、前年を二〇・一%上回る調査開始以来最多となっており、本県でも同様で、学校基本調査によりますと、児童生徒数が年々減少している中で、平成十年度の不登校の児童生徒は、小中学生合わせて七千七十三人で、前年に比べ千二十一人も増加するなど極めて深刻な事態となっております。
不登校児の多くは、学校に行けなくて悩んだり苦しんだりしているわけですが、私は、このように不登校に陥り悩んでいる子供や保護者がふえ続けていることに心を痛めているところであります。
こうした不登校問題への対応の一つの例として、過日、埼玉県三郷市の取り組みが新聞報道されておりましたが、三郷市では、小学校の余裕教室に適応指導教室を開設するとともに、教育相談室も併設し、カウンセリングから実地の授業までを一貫して行う支援体制をつくり、保護者を含めた不登校児対策を充実させており、これによりもとの学校に復帰を果たす子供が出るなどの教育効果が着実に上がっているとのことであります。
この例にもありますように、学校とは別の施設を設け、別のステップを踏んで学校に戻れるような受け皿をつくることも大切であると思いますが、本県の不登校児童生徒対策の現状と今後の取り組みについて、教育長にお伺いします。
次に、児童生徒と高齢者や地域住民との交流を促す学校施設の整備についてお伺いします。
近年、我が国においては高齢化が急速に進展し、高齢者の数が増加しているにもかかわらず、都市化や核家族化の進行により、日常の生活において子供たちと高齢者との交流の場が少なくなり、つながりが希薄になってきております。
平成九年六月に出された中央教育審議会第二次答申「二十一世紀を展望した我が国の教育のあり方について」におきましても、高齢社会に対応する教育のあり方として、学校、家庭、地域社会における教育の充実を図り、子供たちに豊かな人間性をはぐくむとともに、子供たちと高齢者とが触れ合いを通じて、子供たちは高齢者から学び、高齢者には生きがいを得る機会とすることは意義あることだと述べられております。そして、学校においては、子供たちが高齢者と触れ合い、交流する体験活動を重視すべきであり、そのための方策として、学校施設と高齢者施設との複合化や、余裕教室の活用等を通じて、学校内に子供たちと高齢者が触れ合うことができる地域に開かれた場の確保についても検討するよう提言されております。
この提言を踏まえまして、文部省は昨年六月に、高齢者との相互交流を重視した学校施設の整備のあり方に関する報告書「高齢者との連携を進める学校施設の整備について」をまとめ、全国の都道府県に通知したと承知しております。その報告によりますと、小中学校の余裕教室の有効活用の一方策として、余裕教室を地域の高齢者の社会教育施設やデイサービスセンター等の高齢者福祉施設等に転用するなどの事例が紹介されております。
そこでお伺いします。今後、高齢社会を迎えるに当たり、学校においても、高齢社会に対応する教育の一環として、高齢者との交流を積極的に進めていくことが必要であり、そのための場を確保する方法として、近年各小中学校で生じております余裕教室を高齢者との交流スペースや高齢者施設などに活用し、地域に開かれた学校づくりを進めることが必要であると考えますが、教育長の所見を伺います。
質問の最後は、薬物乱用の実態と対策についてお尋ねします。
覚せい剤の乱用につきましては、現在、第三次覚せい剤乱用期の真っただ中にあると言われております。
警察庁のまとめによりますと、昨年は、全国で過去最大級の覚せい剤密輸事件が相次いで摘発され、押収された覚せい剤は千九百七十六キロと、二トンに迫る押収量で、平成八年に記録した年間最多押収量の約三倍に当たり、平成十年までの五年間の総押収量を上回る史上最高の量となったとのことであります。
また、マスコミにおいても薬物関連の事件が連日報道さており、覚せい剤を人気歌手が所持していて逮捕されたり、母親が隠し持っていた覚せい剤を幼児がなめて中毒症状を起こした事件など、覚せい剤汚染が国民各層に深く浸透している実態が浮き彫りになっております。しかも、乱用される薬物は、覚せい剤を初め、大麻、コカインなど多様化しており、これら薬物が人の心身をむしばみ、人生を台なしにするだけでなく、家庭の崩壊や、社会全体に大きな悪影響を及ぼすことが懸念されるところであります。
薬物乱用を社会から根絶するには、一人一人が薬物による弊害を強く認識するとともに、警察による強力な取り締まりが必要であると考えますが、県内における薬物の情勢について、その実態はどのようなものであるのか。また、この薬物情勢の中で、県警としてはどのような対策をもって取り組んでいかれるのか、警察本部長にお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
[知事
神田真秋君登壇]
14:
◯知事(
神田真秋君) それでは、御質問にお答えを申し上げます。
初めに、景気の現状と見通しということでございます。
本県経済は依然として、個人消費が低迷をし、設備投資も減少しているなど、厳しい環境下にありますけれども、政府の切れ目のない景気対策などの効果もありまして、企業の業況感も改善し、生産も持ち直すなど、緩やかながら改善の動きが見受けられるところであります。
我が国の景気について、この三月に公表予定の昨年の十月―十二月期のGNPの統計が、昨年七月―九月期の統計と二期連続でマイナスになるのではないかという厳しい見通しもあるわけでありますけれども、政府においては、経済新生対策など強力に、今、景気浮揚のための政策を展開しておられるところでありますので、今後、公共事業中心から民需拡大へと本格的な景気回復、自律的な回復につながるよう、県としても強く期待をいたしているところであります。
いずれにしても、雇用などを考えますと、あるいは為替相場などを考えますと、大変不透明な要因もあるわけでありますけれども、景気の動向についてはしっかりと注意を払っていかなければならないと考えているところであります。
これに関連して、税収の見通しについてお尋ねであります。
今申し上げました景気の見通しをもとにし、さらに、地財計画などを参考にして、県税の中心的な法人二税につきましては、企業の聞き取り調査なども実施した上で、企業収益の回復にも期待をしつつ積算をしたところでありますが、恒久的減税の影響などもございまして、十一年度最終見込みと比較して二・六%の減の三千五百五十二億円を計上するということになったところであります。
また、特別な増収要因といたしましては、県民税の利子割、この増収分を見込みまして、県税合計では、十一年度最終見込みと比較して四・八%の増の一兆五百七十五億円を計上したところであります。
中・長期的な財政の健全化に向けて、計画あるいは具体的な指針をというお話でありました。
大変今厳しい環境下にありますし、今年度の予算につきましても、ぎりぎりの努力のもとにやっと編成が終わったというような厳しい環境下にございまして、こうした厳しさはこれからもしばらくは続くことも予想されます。それだけに、県財政の健全化は最重要の課題でありまして、大幅な収支不足に対応するためには、これまで以上に構造的な改革が必要であります。
それを実行するためには、関係の皆様方の御理解と御協力が必要でありますし、それを求めるためには、さまざまな調整も積み上げていかなければならないわけであります。したがって、現在のところ、具体的な計画や指針をお示しをするに至っていない状況にあることを御理解をいただきたいと存じます。
したがって、当面は、今回の予算編成の結果あるいは今後の財政需要の見通しを十分踏まえながら、財政の健全化に取り組んでまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
行政改革の取り組みについてお答えを申し上げます。
この第三次行政改革、行革大綱でありますけれども、平成十一年度、現年度から平成二十年度までの十年間を見通した行革の基本になる計画であります。いわば私の知事一年目がその初年度に当たるわけでありまして、その十年のスタートを切ったという、今、段階であります。
この策定作業にも市長時代かかわったということから、その評価やら今の考え方をお尋ねでありましたが、率直に言って、これだけスピードをアップしなければならない事態になろうとは、当時は予測もしなかったところであります。
十二年度の当初実施予定のものも含め、現年度とこの二カ年を考えてみましても、組織再編の前倒しあるいは職員定数の二年間で五%というような大きな削減、こうした合理化も、したがって当初よりはるかに大きくスピードアップをしなければならない、それほど危機的な状況にあったということでございます。また、県の関係団体も、三十七団体から二十五団体まで統廃合をすることになりまして、これまでなかなか手をつけることができなかった分野にも積極的に手をつけれたことは一つの成果であろうと考えておりますし、あるいは、さまざまな補助金、予算の重点化などもそれなりに実施できたんではないかと思っております。
しかし、こうした行革によりまして、県民の皆様方には少なからずさまざまな影響があったことも事実でありまして、大変心苦しく思っているところでございます。しかし、歯を食いしばって何とかこの行革をきちんと遂行することによって、この難局を乗り切ってまいりたいと考えておりますので、どうかひとつ御理解と御協力をお願いを申し上げます。
次は、首都機能移転についてであります。
首都機能の移転についての今後の取り組みでありますけれども、候補地に選定されましたことを踏まえて、岐阜との連携がこれからより重視されることになろうと思っておりまして、現在まだ仮称でありますけれども、両県の関係各層から成る岐阜愛知新首都推進協議会をこの四月にでも設立をして、連携をより密にした取り組みを展開してまいりたいと考えております。また、従来からも連携をいたしておりますけれども、東海四県、あるいは中部の県、市、さらには経済界ともこの関係をより密にしながら、国土の中央地域への移転実現を目指していきたいと考えております。
これに関連して、県民の合意形成が必要だという指摘のもとに、どのように取り組む予定かと、そんな御質問でありました。
御指摘のとおり合意形成が必要でありますけれども、まだ国民の盛り上がりに欠けていることも率直に認めなければならないと思っております。これは、なかなかまだ現実のものとして国民の皆様方が受けとめていないということもありましょうし、さまざまな要因があってこうした県民の盛り上がりに欠けるという点はございます。
そこで、これからの移転実現のためには、やはりこうした県民の理解と協力を求めなければなりませんので、さまざまな講演会、パンフレットの作成、いろいろ啓蒙、啓発活動に努めていかなければならないと思っておりますし、また、先ほど申し上げたこの四月に設立を予定しております協議会においては、新しい首都のイメージといったものもつくり出すことによって、より県民の皆様方が理解しやすい形での運動を展開してまいりたいと思っております。また、いわゆる地元の市町村で構成する西三河北部地域首都機能移転連絡調整会議、ここと連絡をいたしましてシンポジウムも開催していくなど、合意形成を図っていきたいと考えております。
なお、移転費用のことに関連をするわけでありますけれども、先ほどの御質問にもありましたとおり、四兆一千億円という試算が国会等移転審議会の事務局によってなされております。このうち、公的負担が二兆五千億、民間投資負担が一兆六千億とされているところであります。現在のところは、まだ具体的な経過が何ひとつつまびらかになっておりませんので、この数字は超概算のものであります。
また、言うまでもないことでありますけれども、首都機能移転は国家的なプロジェクトでありますので、本来、国が主導的にこれをお進めになるものと考えております。また、移転といいましても、大変長い期間をかけて段階的に進んでいくものと考えております。したがって、こうした数字も、これからより具体化してくるでありましょうけれども、地元としても、街づくりとの関係で、応分の負担が今後出てくることも当然予想されております。
次に、国際空港に係る諸問題について、初めに、漁業補償交渉の関連であります。
漁業補償交渉につきましては、三重県漁連や野間漁協との調整が残されているなど、工事に取りかかるまでにはもうしばらく時間がかかるものと考えております。これは、当初の予定から見ますと、スケジュール的には大分おくれたことも事実でありまして、今後の工事などを考えますと、大変日程が逼迫していることも素直に認めなければならないと思っているところでございます。
しかし、二〇〇五年の開港という大きな目標は、関係者が一丸となって取り組むことによってまだ十分可能だと思っておりまして、工事日程の合理化、工夫など十分意を用いて、円滑なこの工事の進捗にも意を用い、目標どおりの開港ができるよう、今後とも最大限の努力を払っていきたいと考えております。
これとの関連で、いわゆる空港対岸部、前島の埋め立て造成事業についてお尋ねがございましたので、その開発用地の用途別内訳についてお答えを申し上げます。
空港への道路、鉄道アクセスのために必要となる交通施設用地が約二十六ヘクタールであります。それから、埠頭用地が約四ヘクタール、航空貨物や地域貨物のための流通施設用地が約十八ヘクタール、それから、空港運営に必要な警察、病院等の庁舎や、あるいは国際交流、ビジネス活動のための必要とするオフィス等のいわば商業・業務施設用地が約四十五ヘクタール、空港活動に伴う資材等の生産や空輸型産業のための製造業用地が約十六ヘクタール、そして、人工海浜、既存市街地との緩衝のための緑地などが約十四ヘクタールであります。こうした面積の算出につきましては、空港が開港することによって生ずるさまざまな需要について、貨物量、出荷量、来訪者数、従業員数などをもとに需要推測を行ったものでございまして、必要な面積として百二十三ヘクタールを計画したものでございます。
なお、今後、この造成から売却までのスケジュールはどうかという点でございますが、埋め立て免許が取得できれば、速やかに現地工事に着手をしたいと考えておりまして、二〇〇五年の空港開港までの建設スケジュールに合わせて用地を順次造成し、できるだけ早く売却していきたいと考えております。
それから、こうした開発用地が、りんくうタウンとの関連で、今後の需要についてお尋ねがございました。
企業庁が進めております対岸部と空港島の開発用地は、両方合わせまして二百三十ヘクタールになりまして、これはりんくうタウンの七割程度であります。需要推計を補強するためのアンケートやらヒアリングなども行っておりまして、土地利用に見合った需要があるものと、これは期待を申し上げておりますし、そのようにある程度考えられると思っておりますが、問題は、造成後、どのような企業を誘致していくかという点がもちろん重要な点でありまして、現在、それに向けて、土地利用の用途、建ぺい率、容積率などを決める基礎的な調査も実施いたしております。こうした成果が明らかになる中である程度のイメージが出てまいりますれば、企業にとりましても具体的な立地についての検討が可能になりまして、この誘致活動の促進を図っていくことができるのではないかと考えております。
もちろん、こうした用地をユーザー側にとって魅力あるものにしていかなければなりませんので、事業費のコスト縮減を図りましたり、分譲方法やらPR方法についても十分検討をし、確実な売却につなげていかなければならないものと考えております。
国際博覧会についてお答えを申し上げます。
このたびの博覧会をめぐる慌ただしい展開と動きにつきまして県民の皆様方に何かと御心配をおかけし、大変恐縮に思っているところでございます。
BIEの登録申請につきましては先送りをすることになりましたので、各国に対する参加招請にどう影響があるかというお尋ねでございました。
国際博覧会条約によりますと、日本政府が各国へ正式に参加招請を行うことはこの登録後ということになっております。しかし、これは正式な参加招請ということでございまして、御質問にもございましたとおり、この六月からはハノーバー博が開催になるわけでありますので、協会が中心になりまして、日本政府館において、会期中を通じてPR活動などは展開してまいりますし、また、各国の博覧会関係者が集まるさまざまな機会を見つけ、国、県、協会が連絡、連携をいたしまして積極的にPRをし、着実に参加招請活動につなげていきたいと考えております。
また、会場建設費についてでございます。
私は、この会場建設費が幾らになるかは、大変重要な、この博覧会の今後のポイントになるものと考えておりまして、御質問にもありましたとおり、一千八百という現段階での協会の数字が示されておりますけれども、今後、地域整備計画あるいは会場基本計画などを検討し精査する中で、国、県、協会あるいは名古屋市、経済界、こうした関係者の皆様方とともに、御納得のいただける金額に収れんをさせていかなければならないと思っております。特に、大変厳しい環境下にありますので、コストの抑制に努めるなど、できるだけ合理的な会場建設費にしていかなければならないと思っているところでございます。私ども愛知県としても、この点についての努力をしてまいりたいと思っております。
また、跡地利用計画につきましては、現在、海上地区の地域整備をどのように図っていくのか、新住事業も含め幅広の検討を進めているところでございます。これはもう少し時間がかかるものと思っておりますけれども、この方針がきちんと定まるまでは新住事業の工事着手は控え、今後、その検討結果に応じられるように柔軟に対応してまいりたいと思っているところであります。
そのために、現時点におきましては、国に対してどのような形で何を要請するかについては、まだ具体的に固めていない状況であります。これが当然固まってまいりますれば、国家的なプロジェクトとして、国に対してもいろいろと御支援を求めていかなければならない点も出てこようと考えているところであります。
なお、この点に関して、新たな議員連盟をというお話でありました。
国に対してさまざまな御要望を申し上げることは、国会の先生方にももちろん御協力を求めていかなければなりませんが、御承知のとおり、現在国会の先生方による推進議連をつくっていただいております。いずれにしても、私ども、今後とも国との関係がより深く、そして強くなっていくわけでありますので、こうした議連なども十分活用させていただく中で、より積極的に国に働きかけていきたいと考えております。
国際博覧会に関連して、東部丘陵線についても話をいただきました。
御質問の中でありました桃花台線につきましては、開業以来大変厳しい経営環境の中にありまして、大変申しわけことと思っております。
そのような事態にならないようにという御心配のもとに、現在いろいろと検討を進めておりまして、東部丘陵線と桃花台線とは路線の条件がかなり違うことも御理解をいただけるものではないかと思っております。
言うまでもなく、東部丘陵線は路線の起点が藤ケ駅でございまして、地下鉄東山線と連絡をいたしておりますし、また、その終点の八草駅は愛知環状鉄道と連結をいたしておりまして、いわば鉄軌道系のネットワークを形成をするという形になっております。
また、東部丘陵線の沿線は単なる住宅地というにとどまらず、大学あるいは高校、そして愛知青少年公園やらトヨタの博物館など集客施設も立地しておりまして、双方向からの利用が期待できる路線という点も特色がございます。
また、さらには、現在運行いたしておりますバス路線、あるいは大学や高校のスクールバス、こういったものの転換も計画的に図っていかなければならないと考えておりますし、パーク・アンド・ライドという観点での駐車場の整備も今後積極的に推進していかなければならないと思っておりまして、こうした中で、桃花台線のように大きな経営上の損失が生じないように、我々、準備段階から注意を払っていきたいと考えているところであります。
なお、この東部丘陵線の開業時期についてという点でありますけれども、現在、この環境影響評価方法書の縦覧がなされているところでございまして、今後、こうした環境影響評価、都市計画決定、軌道法上の特許取得、あるいは現場では用地買収、こうしたさまざまな行政上の手順が待っているわけであります。したがって、二〇〇五年の供用開始というのは大変厳しいスケジュールであることは率直に認めなければならないわけでありますけれども、国際博覧会の開催に間に合うよう、二〇〇五年の開業ということを目標に、関係者ともども取り組んでいく考えでおります。
次は、福祉行政についての御質問にお答えを申し上げます。
少子化対策ということで、地方版エンゼルプランの状況でありますが、これにつきましては、現在策定中のものも含めて十六市町でありまして、愛知県におきましても、全国同様、低い状況になっているのが現実であります。
しかし、県の策定をいたしました保育対策等推進計画はおおむね順調に推移をいたしておりますことを考えますと、実務上は、それぞれの市町村において保育対策の推進に努力をされているものと認識をいたしております。
今後の対応でありますけれども、今般国において新エンゼルプランが策定され、地域の実情に応じた少子化対策の計画的な推進を求めておりますので、市町村に対しましては、地方版エンゼルプランの策定についてこれからも指導をしてまいりたいと考えております。
それから、本県の新たな総合的少子化プランにつきましてでありますが、現在、平成十二年度をめどに、二十一世紀における福祉の進むべき、中・長期的なビジョンの策定中でありまして、その中で国の新エンゼルプランも踏まえた内容を盛り込んでいきたいと考えているところであります。
介護保険の制度について、その中でも、市町村の苦情相談窓口の設置状況についてお尋ねがございました。
こうした苦情や相談というものは、第一義的には、保険者である市町村、また、複雑困難な案件につきましては県の国保連合会に設置される苦情処理委員会が対処するなど、重層的な取り組みをすることにしております。
このうち、特に市町村の関係でありますけれども、これまで御指導申し上げてきましたが、苦情相談窓口を設けて対応しておりますのは六十九市町村となっております。引き続き全市町村での実施に向けてお願いをしていきたいと考えております。また、今後は、県、市町村、あるいは事業者、連合会など関係機関が連携を図りまして、相互の協力のもとに適切に対応していきたいと考えております。
また、要介護認定の関係で、自立と判断された方はどのくらいかという御質問でありますけれども、一月末現在では、認定審査総数、これは五万百六十人のうち、四・六%に当たる二千二百九十三人の方が自立と判断されたところであります。
こうした方々に対しましては、これまでもひとり暮しの高齢者等に対しましては配食サービスなどを実施してきたところでありますが、今回、国が示した介護予防・生活支援事業は、こうした方々に必要と思われるサービスをメニューとして網羅しておりまして、本県におきましては、平成十二年度の当初予算案に予算十五億二千万円を計上いたしましたので、市町村がこの事業を活用していただき、地域の実情に応じて積極的な取り組みを進めるよう、これから御支援をしてまいりたいと考えております。
私からの答弁の最後になりますけれども、中小企業金融対策についてお答えを申し上げます。
景気の低迷の中で資金繰りにお困りの中小企業の方々にとってこの金融対策は大変重要な意味を持つものでございます。平成十二年度当初予算におきまして、県制度融資の目標額、融資目標額を対前年度比一〇一・〇%の六千二百四十二億四千五百万円とし、厳しい経営環境に置かれております中小企業の資金需要におこたえを申し上げることにいたしております。
特に、その中でも経済環境適応資金につきましては、融資目標額を前年度対比一〇三・一%である一千九百三億六千五百万円と増額するほか、新たに経営革新・事業転換資金を創設するなど、中小企業金融対策の充実強化に努めてまいったところでございます。
今後とも、こうした中小企業向けの金融対策につきましては適時適切な対応をしてまいりたいと考えておりますことを申し上げ、答弁とさせていただきます。
15:
◯教育長(伊藤廉君) 不登校対策についてでございます。
児童生徒の不登校の問題は、一人一人の子供の心の問題と深くかかわってきておりますので、子供の置かれている状況に応じまして、担任の方を初め先生方の懐の深い、息の長い対応をするよう指導しているところでございます。
具体的な対応といたしましては、これまでもスクールカウンセラーやこころのアドバイザー等の教育相談の専門家の協力を得て学校の相談活用を充実させてきているところでございますが、受け皿となる市町村教育委員会が設置いたします適応指導教室の積極的な活用をも図るよう指導しているところでございます。
不登校問題への対応は、まず、学ぶことの楽しさが味わえ、気持ちよく通える学校づくりに努め、また、保護者、関係機関と連携して取り組むことが重要でありますので、さらにさまざまな実践をも参考にしつつ、県教育委員会としても取り組んでいきたいと考えております。
次に、余裕教室の高齢者との交流スペース等への活用についてでございますが、学校は、家庭や地域社会に開かれたさまざまな交流の拠点として機能していくことも期待されていると考えております。県内の小中学校におきましても、地元の伝統芸能継承活動、老人クラブとの交流給食会、外国人を講師に招いての体験学習などが行われているところでございますが、県教育委員会といたしましては、文部省が定めました余裕教室活用指針などにも基づき、余裕教室の有効活用を図るよう、市町村教育委員会を指導してきているところでございます。
さらに、高齢者との交流スペースなどへの転用につきましても、設置者である市町村におきまして、それぞれの地域の実情あるいは将来展望を踏まえまして、工夫、検討をされ、地域に開かれた学校づくりを推進していっていただきたいと考えております。
16:
◯警察本部長(
古賀光彦君) まず、薬物情勢についてでありますが、終戦直後のヒロポン時代でございます昭和二十九年をピークとした第一次覚せい剤乱用期、中毒患者による凶悪事件が多発いたしました昭和五十九年をピークとする第二次覚せい剤乱用期を経て、現在、議員お示しのとおり、外国人密売人参入を特色とする第三次覚せい剤乱用期が継続している状況にございます。
薬物事犯の全国の検挙人員の推移を見てみますと、平成八年、九年はおよそ二万一千人、平成十年は一万八千五百人、平成十一年は一万九千八百人余りの検挙となっており、当県につきましては、平成八年に千人を超えて以来四年連続して千人台で推移しており、平成十一年中における薬物事犯の検挙人員は一千六十六人で、前年に比べ六十五人増加しており、このうち、覚せい剤事犯による検挙が九三%余りを占めております。
一方、押収の状況につきましては、お示しのように全国の覚せい剤の大型密輸事件が増加しておりまして、覚せい剤の押収量が約二トンに迫る中で、当県におきましては、黒く着色いたしました覚せい剤の密輸密造事件で覚せい剤をおよそ百キロ押収いたしましたほか、名古屋港において、コンテナ貨物を利用した乾燥大麻の密輸入事件で乾燥大麻を四百二十キロ押収するなど、いずれも過去最高の押収量となっております。
また、最近における薬物事犯の特徴といたしましては、十代、二十代の若者が半数以上の五五%余りを占めていること、暴力団やイラン人を初めとした来日外国人が薬物事犯に深くかかわっていること、さらには、密売の手口が、注文を路上で受け、引き渡しは距離を置いた別の場所に待機させてあるワンボックスカーに連れ込んで行うとか、あるいは携帯電話で注文を受け、人通りの少ない場所を指定して引き渡しをするなど、巧妙化をしていることなどが挙げられようと思います。
次に、薬物事犯の対策についてでありますが、私どもといたしましては、薬物事犯は治安の根幹にかかわる問題であることから、警察活動の最重要課題の一つととらえまして、需要の根絶、供給の遮断、不法利益の剥奪を三本の柱といたしまして、強力な取り締まりを推進しているところであります。
また、覚せい剤などの薬物乱用は、少年を初め一般市民層にまで拡大しておりますので、こうした薬物乱用に歯どめをかけるために、小・中・高校生を対象とした薬物乱用防止教室を平成十一年の四月から三百八十回余り開催いたしましたほか、関係機関、団体の方々と連携をいたしました薬物乱用防止キャンペーンを行うなどして、薬物を許さない社会環境づくりを積極的に進めております。
なお、本年は、組織を挙げた取り組みの結果、昨日現在で四百十六人を検挙しておりまして、前年同期に比べましておよそ二倍の人員を検挙しているところでございます。今後とも、各部門の枠を超えた総合力を発揮して取り締まりを一層強化するとともに、第三次覚せい剤乱用期の早期終息に向けて努力を尽くしてまいりたいと考えております。
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17: ◯六番(小林功君) 本日はこれをもって散会し、明三月一日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
[「賛成」と呼ぶ者あり]
18:
◯議長(
神戸昭治君) 小林功君の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり]
19:
◯議長(
神戸昭治君) 御異議なしと認めます。
明三月一日午前十時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後三時三十四分散会
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