それでは,第1号議案中警察本部関係及び第48号議案中警察本部関係の2件を一括して議題といたします。
これより執行部の説明を求めます。
初めに,佐藤警務部長。
8 ◯佐藤警務部長 説明の前に,一言御報告を申し上げます。
昨日の本会議におきましても御報告したところでございますが,警察本部長,昨日早朝でございますが,病気のため急遽入院いたしましたことから,本部長にかわって御説明をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
さて,委員各位におかれましては,日ごろから警察運営の各般にわたりまして温かい御指導,御支援を賜り,この機会に厚く御礼を申し上げます。
今回の第1回定例県議会に警察本部から提案いたしております議案の概要について,御説明申し上げます。
初めに,平成9年度補正予算について御説明いたします。
お手元の資料6)綴,平成10年第1回
茨城県議会定例会議案概要説明書(第2綴)の 437ページをお開きいただきたいと存じます。
最初に,公安委員会費の 267万 2,000円の減額は,公安委員長の交代に伴う報酬の不足額の増額及び運営費の執行残として不用になった経費を減額補正するものであります。
警察本部費は,11億 8,948万 9,000円であります。増額するものは,警察職員の給与改定等に伴う職員給与費等,
共済組合負担金及び
公務災害補償基金負担金及び退職予定者がふえたことによる退職手当であります。
嘱託職員雇用費以下につきましては,それぞれ執行残額の減額をするものなどであります。
次に, 438ページの警察施設費の 4,133万 6,000円の減額は,
駐在所等建設整備費,
警察官待機宿舎建設費,
本部庁舎移転関連事業費の契約差金の減額及び建て替えや移転等に伴う施設の解体費を増額するものであります。
運転免許費の 2,116万 4,000円の減額は,免許更新者,受講者の減に伴い,減額補正するものであります。
恩給及び退職年金費の 392万 7,000円の減額は,支給対象者の減により残額を減額補正するものであります。
一般活動費の 1,179万円は,被留置者増加による不足額の増額を行うものであります。
装備費の 2,887万 2,000円は,警察車両の維持管理経費の不足額を増額するものであります。
刑事警察費の 2,457万 3,000円についてでありますが,刑事・
生活安全警察活動費は,通訳謝金,活動経費,捜査資器材の整備費を増額するものであり,科学捜査推進費,
捜査活動強化費及び
少年非行防止費は,それぞれの執行残を減額するものであります。
440ページの
交通指導取締費の 1,796万 8,000円の減額は,
交通安全施設整備費等の執行残を減額するものであります。なお,
交通指導取締費は,
交通事故防止活動を推進するための活動経費の増額を,
道路使用適正化センター業務委託費は,歳入の補正をするものであります。
以上,補正予算の総額は,11億 6,765万 7,000円であります。
続きまして,平成10年度予算案について御説明申し上げます。
まず,県内の治安情勢でありますが,
オウム真理教関係特別手配被疑者の追跡捜査という重要課題が依然として残されている中で,来日外国人犯罪やけん銃を使用した凶悪事件の増加,交通死亡事故の多発,少年の非行事案の深刻化等,厳しい情勢が続いております。
このような中,県警におきましては,治安維持の責務を全うし,県民の期待と信頼にこたえるため,平成10年の警察運営重点の指針を,安全で安心できる地域社会の実現とし,暴力団の壊滅と銃器・薬物事犯の根絶,悪質・重要犯罪及び
組織的外国人犯罪の検挙,交通死亡事故の抑止,少年非行防止と健全育成活動の推進,被害者対策の推進,地域の安全を守る活動の推進,公共の安全を害するおそれのある反社会集団対策の推進の7項目を最重点事項として,これに沿った警察活動を組織一丸となって推進しているところであります。
したがいまして,平成10年度予算編成に当たりましても,ただいま申し上げました重点事項を中心にして予算の確保に取り組んだところであります。
それでは,予算案の概要について御説明いたします。
お手元の資料3)綴,平成10年第1回
茨城県議会定例会議案概要説明書の 347ページをお開きいただきたいと存じます。
最初の公安委員会費 3,070万 9,000円は,公安委員3名の報酬と
自動車運転者等に対する行政処分,
各種営業許可事務等の運営に要する費用であります。
警察本部費は, 491億 2,990万円であります。職員給与費等は,警察官及び一般職員の職員給与費であり,
共済組合負担金及び
公務災害補償基金負担金は,職員に係るそれぞれの負担金であります。
嘱託職員雇用費は,交通相談員,交番相談員25人,警察署窓口嘱託40人等の経費を計上しております。
この交番相談員は,いずれもOBを嘱託することによりまして,県民から大変好評を得ていますとともに,若い警察官の実務教養にも役立っているところであります。
警察共済組合住宅等賃借料は,警察共済組合の資金により建設した職員住宅等の借入金の償還金と公租公課費であり,財産維持管理費は,庁舎公舎の維持費や車両にかかわる保険料,重量税等であります。
次のページの
ヘリコプター運航管理費は,「ひばり」「紫峰」の2機の運航に要する経費でありますが,10年度は,「紫峰」の 1,500時間の特別整備費も含まれております。
事務合理化推進費は,
電算システム経費と
OA機器導入費等であり,
地域警察運営費は,駐在所等報償費や交番,駐在所にかかわる運営費であります。
外国人対策費は,捜査等に当たる警察官の外国語現地教養及び国内での
ブラッシュアップ教養経費であります。
警察運営強化費は,迅速的確な警察活動を行うためのポケットベル,携帯電話の維持費等であります。
地域警察刷新強化費は,地域警察の
情報ネットワークシステム費,ファクス通信費及びテレビ電話等の管理運営費を盛り込んでおります。
新
通信指令システム導入費は,9年度,10年度の2カ年計画によるものであります。現在,建設中の新警察本部庁舎への移転に伴い,広域化,スピード化,ボーダーレス化している犯罪に対し,パトカー等の位置,活動状況をリアルタイムに地図上に表示し,効率的に車両を運用するカーロケーターシステム,逃走に対して緊急配備の候補地点を算出する
緊急配備指揮支援システム等,コンピューターを使用し,迅速的確な対応を行う新
通信指令システムを導入するものであります。また,あわせて誘拐事件,大規模火災事件等の重大,重要事案に対し,的確,組織的に対応するための総合指揮室を整備する経費であります。
なお,運営諸費は,交通信号機,警察庁舎の
電気料等光熱水費及び事務用品等の経費であり,
被害者対策推進費は,被害者の救援活動等に要する経費であります。
次の警察施設費は,12億 1,348万 5,000円であります。
駐在所等建設整備費は,警察基盤の整備のため,交番駐在所の建て替え9カ所の整備費であり,
警察官待機宿舎建設費は土浦に1棟12戸の宿舎を建設するものであります。
警察施設改修費は,
つくば中央警察署,古河警察署の改修費,婦人警察官の夜勤配置交番の改修費,警察学校の高架水槽交換及び職員宿舎の改修費等であります。
警察施設解体費は,9年度の建て替えに伴う旧駐在所等の解体経費であり,
本部庁舎移転関連事業費は,新庁舎への移転に伴い,建設中に設置しなければならない
ヘリコプターテレビシステム等移設等の経費であります。
次に,運転免許費は,8億 232万 1,000円でありまして,これは
自動車運転免許試験,運転免許証作成,自動車運転免許の各種講習に要する経費であります。なお,
交通安全協会事業費の中で,
シルバーナイトスクール事業費補助は,高齢者の交通事故防止を図るため,高齢者に対する
実技体験型交通安全事業を実施するための補助であります。
次の恩給及び退職年金費2億 2,222万 5,000円は,退職した職員の恩給及び遺族の扶助料であります。
一般活動費は,7億 7,584万 4,000円でありまして, 110番にかかわる電話加入料及び地域警察の運営に要する活動経費と,留置場の管理費等であります。
装備費は,3億 6,378万円でありまして,警察車両及び警備艇の維持管理費及び車両の更新に要する経費であります。
次の刑事警察費は,3億 1,323万 4,000円でありまして,
犯罪捜査活動経費や捜査資器材の整備に要する経費であります。 350ページの
銃器対策推進費は,広く県民に銃器根絶をアピールするため,新たに
街頭キャンペーンを実施するための経費等であります。
高齢者保護対策事業費は,高齢化社会の進展に伴い,徘徊老人等の早期発見保護の促進を図るため,新たに
徘徊老人SOSネットワーク事業を行うための経費であります。
最後の
交通指導取締費は,58億 6,683万 6,000円であります。国の補助事業として行う
特定交通安全施設整備費及び県の事業として行う
交通安全施設整備費は,
交通安全施設等整備事業計画の3年次分として,信号機の地域制御化の拡大,国道50号線への道路交通情報板の設置,信号機 133基の新設, 140基の改良,既設信号機の系統化と高度改良,
本部交通管制センターの高度化移転,道路標識・標示の整備,非
常用電源設備等災害にも強い交通管理の推進等に要する経費であります。
交通指導取締強化費は,各種の取り締まり器材の整備費であり,
交通指導取締費は,交通違反者の取り締まりに要する経費及び交通事故処理に要する経費等であります。
自動車保管場所証明事務費は,法律に基づく
自動車保管場所証明書を発行するための
現地調査委託費等であります。パーキング・
チケット設置管理費は,水戸,日立,高萩市に設置しております施設の管理運用費であります。
交通安全対策費は,初心者の青少年運転者を対象に,
高速走行危険体験研修を行う
グッドドライバー育成事業及び交通安全運動の実施等に要する経費であります。
以上のとおり,歳出予算の総額は, 587億 1,833万 4,000円であります。うち特定財源は,総額75億 5,969万 1,000円,一般財源は 511億 5,864万 3,000円を計上いたしております。
以上が,警察本部としまして今回の県議会に御提案しております議案の概要でございます。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
以上であります。
9 ◯杉田委員長 次に,
平山生活安全部長。
10
◯平山生活安全部長 続きまして,平成9年中における
生活安全部関係業務推進結果と,本年の重要課題について申し上げます。
まず,けん銃摘発の推進について申し上げます。
平成9年中の県内でのけん銃発砲事件は,暴力団を対象としたものが1件,一般市民を対象としたものが2件の計3件発生しているほか,けん銃ようのものを使用した強盗事件が4件発生しております。
その主なものとしましては,水戸市内那珂川で発見された
殺人死体遺棄事件,常陸太田市茅根町
地内けん銃使用殺人事件があります。
全国的に見ても,昨年8月に暴力団山口組若頭等射殺事件や同事件に端を発した暴力団の対立抗争事件,現金輸送車をねらったけん銃使用の強盗事件が発生するなど,社会に大きな不安感を与えております。
このような情勢を踏まえ,平成9年中は,6月に茨城県知事を本部長とする茨城県
銃器対策推進本部を設置するなど,取り締まり及び施策の両面から総合的な銃器対策を推進してまいりました。その結果,2つの暴力団武器庫を摘発するなどして,16丁のけん銃を押収いたしました。
内訳としましては,暴力団が12丁,パーセンテージでいきますと全体の75%になりますけれども,暴力団以外からが4丁で,押収したけん銃のすべてが外国製で密輸入されたものであり,中でも,中国製のトカレフが大半を占めている現状にあります。県内には, 1,400人余りの暴力団員が把握されておりまして,けん銃事犯については,これらの暴力団が深くかかわっていることは明らかでありますが,近年の厳しい取り締まりを逃れるため,組織的な管理傾向が強まり,隠匿の手口もますます悪質,巧妙化し,銃器の潜在化がうかがえるところであります。
このような厳しい銃器情勢を踏まえ,警察といたしましては,暴力団の武器庫や密輸密売事犯の摘発に全力を挙げますとともに,広報啓発活動を積極的に展開するなど,銃器根絶に向けて,さらに努力してまいりたいと考えております。
次に,極めて深刻な状況にあります少年非行情勢についてであります。
平成9年中の刑法犯少年の検挙,補導人員は 3,533人で,前年に比べて 864人と大きく増加しており,強盗,強姦,放火などの凶悪犯に至っては,検挙人員が18年ぶりに50人を超えており,凶悪,粗暴化の傾向がより一層強まっております。
また,
覚せい剤乱用少年につきましては,33人を検挙しており,前年に比べて9人増加し,高校生2人を含む少年への覚せい剤汚染が,依然として拡大していることがうかがえるところであります。
一方,性にかかわる福祉犯の被害女子少年の補導は, 137人と大幅に増加し,このうちテレホンクラブを利用していたのは66人で,前年に比べて31人増となっております。
最近,全国的に,少年の刃物による殺傷事件が相次ぎ,少年の刃物所持問題がクローズアップされておりますが,これも昨今の極めて深刻な少年非行の象徴的な一面でありまして,少年問題には,複雑な要因が内在しているものと考えられます。
このような深刻な少年非行に対し,警察といたしましては,少年警察部門の体制の整備充実を図り,非行の早期除去のための少年事件やその育成を阻害する犯罪に係る捜査を強化するとともに,少年相談,被害少年対策などの心のケアを重視した活動も,あわせ推進したいと考えておりますが,少年の非行防止は,警察活動のみで実現できるものではなくて,家庭,地域,学校,関係機関の連携協力が不可欠であります。
過日,日立以北のロータリークラブが,少年犯罪をテーマに話し合ったという新聞報道を拝見いたしましたが,少年の非行防止は社会全体で考え取り組むべきものでありまして,関係機関,団体に積極的にアプローチしてまいる所存であります。
また,先般,
バタフライナイフが有害器具に指定されましたが,このように,少年にとって有害なものや営業については,今後も積極的に指導取り締まりを推進してまいりたいと考えており,テレホンクラブについても,条例の一部改正を視野に置いた検討を進めているところでありますので,よろしくお願い申し上げます。
次に,
覚せい剤等薬物事犯の検挙状況について申し上げます。
薬物事犯の大半を占める覚せい剤事犯は,全国的に,ここ数年増加傾向にあります。少年を初めとする初犯者の検挙が増加し,末端乱用者のすそ野の拡大とともに,
イラン人薬物密売組織による末端密売の活発化など,第3次覚せい剤乱用期に突入している現況にあります。
本県における検挙状況は,前年に比べ,検挙件数,人員,押収量ともやや減少ぎみにありますが,少年や来日外国人の検挙が大幅に増加し,特にイラン人による薬物密売組織が形成されつつあるなど,大変憂慮される状況下にあります。
このような状況を踏まえ,警察といたしましては,供給源の遮断,需要の根絶を図り,暴力団及びイラン人など来日外国人の密売組織の壊滅と末端乱用者の徹底検挙,さらには,薬物根絶の社会環境づくりのため,広報啓発活動をより一層積極的に推進してまいりたいと考えております。
次に,地域安全活動の推進についてであります。
地域安全活動は,安全で住みよい地域社会の実現のため,日常生活に危険を及ぼす犯罪や事故などを未然に防止しようとするものでありまして,その基本とするところは,地域住民の「みずからの安全はみずから守る」との自主自発的な活動にあります。平成9年度におきましても,地域住民の安全確保のため,交番や駐在所を中心に警察独自の活動を強化することはもちろんでありますけれども,職域防犯組織や各種の
ボランティア組織などと連携を図りながら,諸施策の推進を図っております。
その主な事業といたしましては,1つは,
セーフティ・マイタウンチーム事業の推進であります。
セーフティ・マイタウンチームは,地域住民によって構成された自主防犯組織でありますが,平成9年度は,鉾田,江戸崎,境の3警察署に結成し,犯罪や事故に結びつく危険箇所のパトロールや地域の点検等の諸活動を展開しております。本年は,笠間,高萩,麻生の3警察署に結成を予定しておりますが,警察といたしましては,住民の自主活動の活発化,定着化が図られるよう積極的に支援,指導をしてまいりたいと考えております。
その2つは,児童の緊急避難場所,子供を守る 110番の家の設置促進についてであります。この 110番の家は,子供たちが声かけ事案等に遭遇した際に保護を求める場所でありまして,教育委員会や小中学校と連携を図りながら,通学路線に面した一般家庭や商店,コンビニ等に設定し,子供たちの安全と警察への早期通報をお願いしようとするものであります。
現在,13警察署,53学校区に 3,987カ所の避難場所が設置されておりますが,子供たちの安全を確保するため,関係機関や地域の方々には,具体的な対処要領,警察,学校などへの連絡要領をお願いしながら,なお一層の緊密な連携を図り,引き続き本年も設置の拡大,促進を図ってまいりたいと考えております。
本年は,これらの事業の促進を図るとともに,さらに,痴呆症により歩き回るお年寄りの
SOSネットワークシステムの構築を推進してまいりたいと考えております。高齢化社会の進展に伴い,痴呆症により歩き回るお年寄りが増加し,歩き回っている間に,凍死,溺死,あるいは交通事故に遭うケースもふえてまいりまして,これら痴呆症老人を抱える家族等の不安や負担は非常に高いものがあります。
こうした現状から,本年は,水戸,日立,土浦警察署管内において,市町村,消防,あるいはタクシー業,コンビニ,ガソリンスタンドなどとの間に
ファクスネットワークを構築し,早期発見と被害の未然防止を図るとともに,痴呆症のお年寄りを抱える家族等の負担や不安の軽減を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
11 ◯杉田委員長 次に,白田刑事部長。
12 ◯白田刑事部長 続きまして,刑事部関係の平成9年中における業務推進結果と本年の重要課題について御説明申し上げます。
初めに,平成9年中の犯罪情勢についてでございます。
治安のバロメーターを示します刑法犯の認知件数につきましては,近年,いわゆる右肩上がりの増加傾向を示しておりまして,平成9年におきましては,過去最高の3万 7,198件,これは10年前の昭和63年に比べまして1.25倍となっておる状況でございます。
地域別の状況で見てみますと,認知件数の占める割合,県全体の構成としまして多いのは,県南地域が約37%,人口の割合ですと33.4%になるわけでございます。次いで,県央地域が約25%,県西地域が約16%となっておりまして,人口の割合と比較してみましても,県南地域を中心に犯罪の広がりがうかがえるところでございます。
さらに,顕著な特徴としましては,凶悪犯が著しく増加していることであります。昨年中,殺人事件は49件で,前年に比べまして15件の増,強盗事件は66件で18件増でございます。放火が約64件で31件増と,それぞれ大幅に増加いたしております。これを10年前と比較しますと,実に 2.6倍となっておりまして,凶悪犯の犯罪率,これは10万人当たりの認知件数でございますが,これは全国第1位となっているわけでございます。
2つ目の特徴としまして,来日外国人による犯罪の増加でございます。昨年中,刑法犯及び特別法犯で検挙しました来日外国人は 478名で,前年対比51.3%,大幅に増加しております。これは,外国人に係る統計をとり始めました平成3年に比べ 4.6倍となっているわけでございます。
以上申し上げましたように,最近の県内の犯罪情勢は,全国的な情勢,傾向であります犯罪の多発化,凶悪化,国際化,そして低年齢化等の傾向,当県におきましても同様であると御認識いただきたいわけでございます。
次に,昨年中の推進結果と今後の課題等について申し上げます。
平成9年中は,暴力団の壊滅と悪質・重要犯罪の検挙を重点としまして,各種事件に対応したところでございますが,本年は,これに
組織的外国人犯罪の検挙をつけ加えます。この3つの柱を重要課題として,刑事警察一丸となって推進しているところでございます。
第1の重要課題は,暴力団の壊滅についてでございます。
昨年は,神戸市内で発生しました山口組内部の対立抗争事件に起因しまして,全国でけん銃発砲事件が多発したところでありますが,当県においては,この事件に関する抗争事件の発生はありませんでした。しかし,殺人事件を初めとします数多くの各種事件が発生したため,暴力団総合対策を強力に推進した結果, 711名を検挙しました。暴力団対策法に基づく中止命令も35件を発出いたしまして,前年を75%上回ったところであります。
また,自殺を装った松葉会系暴力団組長代行等による殺人事件,それから松葉会系暴力団幹部による覚せい剤,けん銃不法所持事件,それから住吉会系暴力団組長等による競売入札妨害事件と,多種多様な事件を検挙したところでございます。その結果,県内における暴力団勢力は,前年に比べまして,3組織,50人ほどが減少しておりまして,現在は, 121組織,約 1,400人となっております。
しかし,最近の暴力団は,暴力団対策法や捜査の網の目から逃れるために,標榜右翼への転身,あるいは仮装離脱等により組織実態の隠ぺい化を進めつつ,バブル崩壊後の社会情勢を反映して,金融不良債権等の回収過程に巧妙に介入するなど,知能暴力化の傾向を一層強めているほか,つくば市あるいは土浦市でのけん銃使用による殺人未遂,殺人事件のように,旧態依然とした抗争も発生しているところでございます。
このため,本年は,この重点を,先日埼玉県警と合同捜査により検挙しました暴力団幹部らによる茨城県同和地区中小企業振興資金制度を悪用した多額詐欺事件に見られるような金融不良債権事犯等に指向した取り締まりを徹底しまして,その存立基盤となっております構成員,資金源,けん銃等武器を寸断するような総合対策を,引き続き積極的に推進してまいります。
第2の重要課題は,悪質・重要犯罪の検挙についてでございます。
平成9年中は,JA北つくば本店におきます多額現金強奪事件を初め,殺人事件,放火事件,あるいは航空機の接触墜落事件等で7件の捜査本部を設置しましたほか,冒頭で御説明しましたとおり凶悪事件の増加が著しく,結城市及び神栖町において相次いで発生しました外国人による凶悪な殺人事件等を検挙するなどしまして,90%以上の検挙率を上げたところでございます。
一方,県民が身近に脅威と感じる重要窃盗犯は,常習者による広域的な犯行が多くなっておりますほか,来日外国人が組織的に貴金属店等を対象に多額窃盗事件を敢行している状況であるため,昨年は,県間,いわゆる県と県の間,それから県内各署間の共同合同捜査を効果的に推進いたしまして,覚せい剤常習者グループによる高級乗用車等対象の広域自動車盗事件,これは千葉県と合同捜査を進めました。それから,イラン人窃盗団による貴金属店等対象の多額出店荒らし事件,これは警視庁と合同共同捜査をいたしました。こういうものを検挙したところでございます。
最近の重要犯罪及び重要窃盗犯は,犯行の広域化,スピード化,国際化が年々進行しているところでありますが,きょうの報道にもございますが,捜査本部を設置し捜査中の水戸市内における薬物使用の昏睡強盗事件のように,女性が情夫とともに酒に寄った男性をねらいましたり,老女を引き込んだ犯行など,通常予想されない形態の犯罪が発生するなど,ますます複雑化,巧妙化しているところでございます。
本年は,このような情勢に的確に対処するため,本部と警察署の緊密な連携を図るとともに,新しい形の犯罪に対応する科学捜査を推進して,事件検挙に取り組んでいるところでございます。
さらに,重要知能犯罪につきましては,昨年中,元常陽銀行美野里支店の支店長代理による多額詐欺事件,龍ケ崎市長選挙における候補者買収事件検挙を初めとしまして,社会の不正等を乱す事件,並びに金融関連事件等の検挙に努めたところでありますが,ますます潜在化傾向が進んでいるところでございます。
本年は,参議院等重要な選挙を控えておりますため,公正を求める県民の期待にこたえるべく,悪質で重要な知能犯事件等に指向した取り締まりを徹底してまいりたいと考えておるところでございます。
第3の重要課題は,
組織的外国人犯罪の検挙についてであります。
外国人犯罪は,殺人,強盗,窃盗等の刑法犯及び薬物事犯,不法滞在事犯等の特別法犯は言うに及ばず,当県におきましても,集団密航,さらには暴力団との結びつき等,組織化の傾向がうかがえます。また,検挙人員も,冒頭に申し上げましたとおり大幅に増加しておりますため,当県の今後の治安を左右する大きな懸念材料と考えているところでございます。
このため,昨年3月刑事部に国際犯罪対策室を設置しまして,8月より県警察一丸となった外国人犯罪対策プロジェクトチームを編成しまして,これまで強力な取り締まりを実施いたしまして, 400人の不良来日外国人を摘発しているところでございます。
この結果,来日外国人による事件発生は小康状態になっているところでございますが,ただ,本年に入りましても,中国人5名による輸入ブランド品等の販売店に対する窃盗目的の建造物侵入事件,これは水戸署管内でございます。それから,八千代町におきますパキスタン人同士の自凶器強盗致傷事件など,
組織的外国人犯罪が発生している状況から,その対策は喫緊の課題であると認識しておりますので,本年も,さきに申し上げましたプロジェクトの継続等,総力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
以上でございます。
ですから,予算ということもございますけれども,今つくる住宅というものは,一般でも,子供1人に対して1人の部屋をつくってやると,それがいい悪いは別としましても,そのくらい住宅にゆとりのある環境整備がされていると。そのとき,警察官舎だからといって今までのようなつくり方でなくて,もう少しゆとりのあるものを建てるべきであるし,また40年代につくった古いものは建て直して,入居される警察官の方々があしたの仕事に意欲が燃えるような状況にしてほしいなと思いますので,この予算,今年度はこれだけの予算でございましょうけれども,厳しい中でも,そういうものをこれから知事部局と折衝をしながら予算化もやるべきであると,このように思いますので,しっかりやっていただきたいと思います。
78 ◯杉田委員長 ほかに。
長谷川(修)委員。
79 ◯長谷川(修)委員 2点質問して,1点要望させていただきたいと思います。
3月の定例会において,一般質問で一番出たことといいますと,女子と少年の犯罪について,今の学校教育のあり方等々,主に教育庁でございますけれども,質問があったように思っております。
まして,今,社会問題化している,学校においてナイフ,刃物で殺人事件が起こるということでございまして,これは学校教育だけの問題ではない,家庭が一番重要ではないかと。さらには,地域と連携を深めてやるべきではないかと。これは,一般質問での千葉県警本部長の御答弁にありましたように,我々としても,全体として反省をしなければならないことが多々あると思っております。
そういう中におきまして,今回お伺いしたいのは,いわゆる刃物,ナイフについて,これについての販売の問題について伺いたいと思っております。当然,これは規制があると考えております。その規制について,または売る側の条件について,これが今どうなっているのか,まずお伺いをしたいと思います。
80
◯平山生活安全部長 御質問の部分で,特に
バタフライナイフの話が全国各地で出ておりますけれども,もともと刃物を規制しようとする法律そのものは,いわゆる銃刀法というところから来るわけであります。今度は,条例の中に,有害器具といいますか,その中で指定されたものが,今度は条例で販売を禁止するといいますか,そういう2段構え,3段構えになってくるわけであります。
つい過日,
バタフライナイフという部分については,県担当課の方で上申いたしまして,審議会で諮りまして,それが有害器具ということで指定されております。これを今度は,未成年といいますか,未成年に乗して販売するということになりますと,これが条例で処罰されると,こういう段取りになるわけであります。
でありますから,ちょっと話は延長線の話になりますけれども,一般的に刃物が禁止される,法律で販売を禁止されるというそのものは,ちょっと法律的には,具体的な部分として引っかかるものが今のところないというのが,一般的な表現でお話するならば,そんな感じでございます。
81 ◯長谷川(修)委員 当然,家庭でも刃物があるわけでございまして,包丁がなければ家庭で料理はできない。または,いろいろなところで,今,女性の皆さんなんかは,例えば万能ナイフなんかお持ちの方もいらっしゃる。ですから,刃物というだけで規制をするということは難しいと思います。
ただ,私が申し上げたいのは,要は,子供たちが親の知らないところで何がしか刃物を購入する,それができるという今の世の中。例えば昔ですと,雑貨屋さんでしょうか,そういうところに行って対面販売をするわけです。そうすれば,お互いどこどこのだれだれとわかっている。または,中学生,そういう未成年には売っちゃいけない,売れないという風潮がありましたけれども,今は通信販売なんかもあるわけで,相手も当然わからない,そういう状況がある。それを何とか歯どめをかけられないかということなのです。
例えばたばこの自動販売機なんかは,11時から5時まで買えません。あれも1つ,未成年の喫煙を防止するような措置でしょうか。または,12月の定例会だったと思いますけれども,井手委員が,コンビニエンスストアにおける有害図書に対する扱い,それを何とか野放図に売らないようにできないかということで,御質問なさったように記憶しておりますけれども,私が申し上げたいのはそこでございまして,それは県警本部だけではできません。いろいろなところと連携をとらなければならない。その情報発信に
平山生活安全部長になっていただけないかと,その歯どめをかけるような努力をしていただけないかと。これは何も,法律,条例というものではなくて,そのほかに何か手段はあるのではないでしょうかと。そういう点で,なお一層の御努力をいただけないかということでございます。
82
◯平山生活安全部長 長谷川(修)委員のおっしゃるとおり,まさにそのとおりだと思います。
実は,きのうですか,警察庁から早速全国一斉にばたばたと,期せずして類似事件がありまして警察庁も緊急対策会議を開きまして,もちろん中心は刃物の問題も入るのですけれども,これら事象に対して,全国各県警強化期間をすぐに展開してくれと,3月24日から。とにかく警察が動かないと,動いてくれるところはないんじゃないかというぐらいのつもりで動いてほしいと。こういう通達が,きのう夕方,緊急通達として参りました。
これに基づきまして,当然,茨城県警も,旬間という形で10日間の強化期間,なぜこの期間に設けたかといいますと,この時期春休み等もございます。また,無法性のところもあります。ですから,一気にやりなさいと。
その中で,項目として,長谷川(修)委員の御提案,御教示いただいた部分も,警察が幅広く声をかけて,いろいろな関係機関団体,あるいは関係業者,そういうところを巻き込んでやってほしいと,こういう趣旨の内容が盛られております。これで,即刻展開していきたいなと考えております。
83 ◯長谷川(修)委員 ありがとうございました。
次は,県警からの知事部局,さらに市町村への派遣といいますか,出向といいますか,そういう扱いに対してですが,オウム真理教の事件があってから,命と財産を守ってくれるのは警察だと,そういう意識が,県民の間,国民の間にも私は定着したと思っております。そういう意味では,最後の頼みが県警本部の皆さん方だということになりますけれども,今,産廃の課題等,いわゆるごみの問題等でも,いろいろ市町村でも困っておりまして,県警本部で培われた能力,技量,そういうものを要求する市町村が多くなっているのではないかなと考えております。
そういう中において,知事部局とは,交流といいますか,表現はちょっと適切ではないかもわかりませんけれども,そのようなものがあるというお考えを伺っておりますけれども,平成10年度でそういう計画があるのかどうか,お伺いしたいと思います。
84 ◯佐藤警務部長 警察職員と申しますか,知事部局あるいは市町村等地方公共団体への警察官の派遣等の関係ですが,従前までは,県庁との間で,消防防災課,産業廃棄物を対策する担当の課,そして交通安全対策室というところに派遣をしてまいりました。この県の方の派遣については,今後とも継続してまいります。県の知事部局の方でも,産業廃棄物の問題については大変力を入れているということで,なお今,1名が警察から行っているわけでありますが,さらに人員をもう少々ふやしてくれないかという要請等も来ておるところから,これについては前向きに検討してまいると,こういうことを考えておるところであります。
そのほかに,市町村のレベルということになりますと,今まで市町村の方に対しては,警察官を派遣するということは全くされておりませんでした。しかしながら,例えば交通事故の問題で申しますと,市町村がそれこそ本腰を入れてやってもらわないと死亡事故もなくならないということもございます。そういうことで,本年平成10年度からは,水戸市と牛久市の方に,交通行政を担当するということで,課長補佐クラスの立場で警察官それぞれ1名ずつですが,派遣をしたいということで,現在その作業を推進している状況にございます。
以上でございます。
85 ◯長谷川(修)委員 各行政単位,市町村でもニーズが高まりつつあると思います。そういう中においては,きょう県警本部長体調を崩されてお休みでございますけれども,大変激務が続くと思います。そういう中において,ぜひとも市町村のそういう要望といいますか,ニーズにも今後もおこたえをいただきたい。今回,10年度でそういうことを水戸市と牛久市でなさるというお話でございますけれども,これは一過性のものではないと私は考えております。1回だけではなくて,ある程度継続された方がその効果は高いと考えますので,大変な中ではございますけれども,ぜひともそのニーズにこたえていただきたいなと思っております。
最後に,1点,御要望でございますけれども,今回の予算を見ますと,Fネットを利用した徘徊老人の保護とか,さらには,新しい県庁舎に伴いまして,新
通信指令システムという予算項目がございます。定員が決められている中において,どんどん事件が複雑化していく,さらにはスピードを要求される,そういう状況でございます。県警本部,各27の警察署も当然そうでございますけれども,駐在,交番の本当のごくごく少ない人数で,交通事故が起きたら行かなきゃならない,強盗が来たら行かなきゃならないということで,少人数で大変な御苦労をしていると思うのです。
そういう中において,ようやくファクスが入りました。そして,コピーもある程度整備された。ただ,それもファクスの機器を利用しながらコピーをされるという話を伺っておりますけれども,いわゆるOA化を進めていかなきゃならない。OA化を進めていけば,警察官の皆さん方が,より本来の仕事,業務に当たれると思っております。
どこもかしこも,今,予算というのが,財政というのは厳しいのですけれども,ぜひともOA化の推進というのを,特に小さい交番とか駐在とかを進めていっていただきたいなと御要望いたします。
以上でございます。
86 ◯杉田委員長 ほかにございますか。
大和田委員。
87 ◯大和田委員 最近問題になっているのは,やはり犯罪の女子を含む低年齢化ということであると思いますが,この問題については,一般住民も,どうしたらいいか,どうやったら防げるか,それを考えなければいけない問題でありますが,警察としても,21世紀を担う子供たちが少しでも犯罪に走らないようにするために,報道とかいろいろな対策について,よい方法や考え方があるのかどうか,まずお聞きしたいと思います。
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◯平山生活安全部長 冒頭の業務推進の説明の中でいろいろ申し上げましたけれども,そういう意味で繰り返しになろうかと思いますけれども,前年に比べまして,去年1年間の刑法犯は,特別法犯といいますシンナーとかそういうのを抜きにして,窃盗事件だとか刑法典にあるそれだけをとらえて比べただけでも,32.4%増加している。今度は,強盗だとか放火だとか,いわゆる警察の中で言う凶悪犯,これが何と18年ぶりに50人を超えておるという状況。これは,まさに何度も繰り返しになりますけれども,本当に将来大変な問題であると。
あわせて女子の問題も,今,委員おっしゃいましたけれども,まさにこれから数年後には世の中のお母さんになるわけであります。紛れもなくなるわけであります。そうなってきますと,できた子供はどうなるのだという先々の話が当然出てまいります。それやこれやを考えてみますと,それこそじっとしていられないぐらい大変な現状であるということを申し上げたいわけであります。
先ほども申し上げましたように,その辺の実態というのを,刃物だけの話だけではなくて,警察庁から昨日緊急通達が参ったと。そういう背景を踏まえて,各県警で一気に立ち上がってくれと,ちゅうちょするなと,こういうことであります。
それで,我々が今考えていきたいと思うのは,要するに,今できること,今から計画して半年後にこういうことをやろうとか,そういうものはもちろんのことでありますけれども,今,あすできることは何だということを考えていきたいと思います。あと3カ月後にどうするんだ,半年後にどうするんだ,1年後にどうするんだと,そういう段取りでやっていきたいなと思います。
もちろん,何度も繰り返しますけれども,事警察だけでできるものではなくて,家庭からスタートして,社会環境も含め,あるいは少年の特性を害する風俗環境の浄化の問題,あるいは学校の先生方との緊密な連携,あるいは少年指導委員だとか,中には,ロータリーライオンズなんかも,青少年の健全育成というスローガンの1項目を当然掲げられております。この方々の御協力を仰ぎながら,展開していくつもりで考えております。
89 ◯大和田委員 その点を含めまして,昨年度の予算額が減額になっていますね。それで,本年の予算を有効に使うということで……
少年非行防止費,そこが使っていないようですね,昨年は。本年は昨年度の予算よりも減っているようですが,やはり力を入れるためには予算も必要じゃないかと思うのですが,いかがなものかと思います。
90 ◯佐藤警務部長 確かに,活動する上では,金は裏づけとなる大変大切なものでございますから,私どもは1円でも多く獲得したいということで,県当局の方と粘り強い折衝をしたのでありますが,平成10年度予算編成の大変厳しい折から,軒並み削減の憂き目に遭ったところでございます。
委員おっしゃるとおり,私ども1円でもお金を欲しく,その裏づけで立派な活動もしたいと考えております。しかし,たとえ金がなくても,警察としては,豊富な人材と旺盛な気力とやる気がありますので,金の少なくなった分については,その辺で十分にカバーしてまいりたいと考えておりますので,御了承賜りたいと思います。
91 ◯大和田委員 たとえ金がなくても,精神力と行動力で頑張っていただきたいと,そう要望します。
92 ◯杉田委員長 小田木委員。
93 ◯小田木委員 1つだけお伺いしたいのでありますけれども,質問の前に,今たまたま同じ委員会でありますけれども,鬼沢委員と私と監査委員ということで務めさせていただいております。当然,警察署の方も,2年に一度ということで,ことし半数の監査をさせていただいて,私と鬼沢委員と2班ですから,そのまた半分ということでありますけれども,各署を歩かせていただいた所感をちょっと述べさせていただきたいと思います。
いつもこの委員会で本部長から聞かされております警察の目指す大きな柱,交通死亡事故抑止,あるいは暴力団対策,外国人犯罪の防止あるいは抑止,少年非行化の防止ということにつきまして,本当にそれぞれ,私がお邪魔した署は数は少ないですけれども,本部長あるいは本課の部課長さんたちと一本の筋が通って,署長以下必死になって取り組まれている姿勢を見せていただいて,大変厳しい状況はありますけれども,県民の安全を守っていただいているんだなという認識を強くしております。
特に交通死亡事故につきましては,署の名前を挙げてはまずいのかもわかりませんけれども,ひたちなか東署については昨年度死亡事故ゼロだったと。私の方も,そこで報告を受けるまではわからなかった。警察署にしてみれば,比較的小さな所管区域の署かもわかりませんけれども,過去には,やはりこの席で,暴走族であるとか,爆音族であるとか非常に話題を提供した地域において死亡事故ゼロであったと。こういう実績を築かれたことは,本当に大変な努力があったのではないかと,高い評価をしたいと思いますし,敬意を表しておきたいと思います。
それから,先ほどから意見として提起されておりました外国人の犯罪の防止,抑止,あるいは滞在外国人の把握に至るまで,地域によってはかなり精度の高い把握の状況が出てきていると,やっとここまで来てくれたのかなという思いがしないでもありません。
ただ,そういう中で非常に危惧されますことは,今,大和田委員の方からもお話がありました少年犯罪が極めて増大傾向にあると。警察そのものは教育指導する機関ではありませんので,健全育成という大きな目標は持っておりますけれども,子供たちの教育指導という部署ではありませんから,別なところで,こういう実態というものを極めて厳しく認識をして,1つの大きな社会の問題だと思いますので,対応していかなきゃならないのではないかなと。
刑法犯の逮捕者の中に占める少年の率の増大,ましてや虞犯少年といわれる人たち──これは予備軍ですかという質問をさせていただいたこともありますけれども──の,駅頭あるいは街頭等においての非行につながる少年の指導人数を見せていただくと,これは本当に大変な時代だなと。もちろん教育機関である学校,あるいは家庭の人たちも,こういうことを早く認識できるような状況をつくっていかなければ大変なことになってしまうのではないかと感じているところでございます。
ただ,その署の方で私申し上げてきましたのは,たとえそれが少年といえども,日本の法律あるいは社会の秩序というものを大きく乱すというおそれがあれば,それはやはり厳しく対応しなければならないのではないかと。将来のある少年だからという配慮を持ちながらも,やはり社会の秩序を乱すものは一種の犯罪だという考え方で,対応しなければならないのではないかということを申し上げてまいりました。いずれも,本当に少ない人数,限られた人数の中でよく頑張っていただいているなという感じをいたしました。今後とも,県民の安全のために御努力をいただきたいと思います。
それから,1つ聞いておきたいことなのですが,過日新聞によって,東京の方で逮捕された不法滞在者,不法侵入者と言った方がいいのでしょうか,多分中国人だったと記憶しておりますけれども,それがどうも北茨城の大津港の方から入ってきたようであるという報道がありましたけれども,そのことについて,その後新聞以上の情報があれば聞かせていただきたいのですが。
94 ◯藤田警備部長 委員御指摘のあれは警視庁でやった事件だと思いますが,関係資料が見つからないのですけれども,多分1月の中旬に手入れしたのですが,大津港に入ったという供述で,逮捕後数日たって警視庁が実況見分に参りまして,我々も気づいたのですが,中国人の集団密航事件です。
これの端緒と申しますと,昨年の12月ごろ,都内のある倉庫に2名ほどの中国人がとらわれていまして,そこを暴力団が監視していたと。それを警視庁がたまたま職務質問か何かで発見しまして,供述をやっていましたら,取手と埼玉の三郷の方に貸し倉庫を借りているということがありまして,その倉庫を見張っていて,たまたま三郷に来た段階でやろうとしたら,勘づかれまして,その日のうちに,あらかじめ借りておいた取手の倉庫,常総線の新取手駅ですか,あそこの北方 800メートルぐらいの新興住宅地のところに,間口10メートル,奥行き20メートルぐらいの倉庫がありまして,それをあらかじめ借りておいたらしいのです。これは暴力団組織なのですが,そこに移して,間もなく警視庁がそこを手入れしたと。やったのは警視庁外事課です。
実は,御理解いただきたいのは,集団密航者が昨年急増したのです。昨年は, 1,360名ぐらい集団密航者が日本に来ました。かつては日本海沿岸に全部上陸していたのですが,最近は太平洋側に来たと。
なぜかと申しますと,航海技術も発達したと思うのですが,中国から 200トンぐらいの船でやすやすとここに来まして,日本からその辺の港にある小さなイカ釣り船みたいな4,5トンの船で迎えに行ってドッキングできると。なぜかというと,GPS,自動航海装置というよりも,今のカーナビゲーションの小さいやつ,これが発達したということ。これは,今,登山する者も,6万円ぐらいで小さいのを売っていまして,山に行くと自分の位置が高さから何から全部出ますね,その6万円のやつで。多分それよりも高度なやつを彼らは持っていまして,その中国船と両方で持っていますから,わずか数十メートルの誤差でドッキングできるということで,昨年からこちらに多くなった背景は……何か入管あたりでは,香港返還で取り締まりが緩まったとか,先ほど申しました中国の賃金格差の問題だとか,いろいろありますが,いずれにしても,日本に相当魅力があるということで,一昨年の 500何十名かの倍に昨年はなったのです,中国人は。
日本に入ってくる密入国者は,空から来るのと密航者,船で上がるのとでは,どちらかというと飛行機で来たのはわずかです。昨年本県で,水戸市内の蛇頭組織,警備部で逮捕しましたが,11名ありまして,茨大の替え玉事件の学生も逮捕しましたけれども,それを調べてみますと,偽造パスポートでやすやすと空から成田から入ってきていまして水戸に来ていたと,何名かおりまして,それは,入った段階立証できないと密入国のあれでは事件化できないのです。ですから別な罪名でやりまして,強制送還されておりますけれども,そういうことで,最近は非常にこっちの海岸線に来ていると。
最近は,なりふり構わずに接近してきていまして,海上保安庁第3管区が管轄ですけれども,海上保安庁の船が見ている中で,密航船が行ったり来たりしているのですね。本邦の場合は,難民認定法の入管法,略しまして入管法では,本邦の領海は16海里ですか,メーターで申しますと22.2キロメートルぐらいです。距離的に申しますと,これは水戸から常陸太田ぐらいの距離なのです。その距離から出たら海保は一切手を出せないと。海保は,空と陸と哨戒艇から何から全部総動員してそれを監視しているのですが,行ったり来たりのらりくらりして,夜中,夜陰に乗じてどこかへおろすという方法を最近とっていまして,ことしになってからも,この鹿島沖に来ているということで,何回も密航情報が本県にも入っています。
そういうことで,この事件も,実は,本県に当然上陸するのではないかという関心で昨年から見ていまして,この 184キロメートルの海岸線を管轄する7つの警察署に,沿岸警備警戒協力会というのを設定いたしまして,かなりの数,例えば漁協関係者とかいろいろな公的な関係の機関も含めまして,ホテル,タクシー業者,駅の関係とか全部含めまして通報体制をお願いしています。海保からそういう情報が入りますと,我々はファクスでその関係の協力会に密航者情報,密航船情報を,今,鹿島灘沖にこういう船が来ているからということでお願いはしているのですが,彼らは非常に巧妙で,暴力団の組織ですので,今回逮捕された警視庁のグループも。日本人の手引き者が10名おりまして,それも逮捕されました。ですから,27名プラス10名ですから,37名ぐらいが逮捕されました。
特に,最近は,集団密航罪規定が重くなりまして,入ってきた者の罰則は3年以下の懲役ですが,手引きしたやつとか蛇頭組織は,罰金が 1,000万円,懲役も5年以下ということで,罰則加重されているのですが,逮捕覚悟でやっているんですね。
今回,警視庁に聞きましたら,警視庁もなかなか情勢教えてくれなかったのですが,聞きましたら,1人 300万円,本国で振り込みがあるまで倉庫に監禁していたわけです。取手市内の倉庫ですが。倉庫の中で監禁して,段ボールで仕切った場所で大便から何から全部やって,電話は引き込んであったのですが,シャッターのところに小さいのぞき窓ありまして,これで外国人を見ていたというのですが,付近の住民は,一切空き倉庫と思っていたということです。中には暴力団がいて,木刀とか持って監視して,本国での送金があったときだけ釈放していくと,こういうやり方だったのです。
非常に最近,そういう集団密航がなりふり構わず本邦に押し寄せてくるということで,そこに1枚暴力団がかんでいるという現状でございます。
95 ◯小田木委員 対策まで含めて聞かせていただきましたが,前から, 180キロメートルの海岸線を持ち……私どもは,今,部長が言われたような機器の発達ということはわかりませんでしたけれども,単純に考えて,裏日本は厳しくなってだめになったと,だんだん表日本に回って,向こうの方も厳しくなってきたからだんだん手薄の北の方に上がってくるのかなと,船はほんの1日ぐらい長く走れば済むことですから。ということになると,我が県なんかは一番ねらわれやすい地域になってしまうんじゃないかという心配は持っていたわけです。そこに,いきなり警視庁の方で逮捕したよと。しかも,大津港から上がったらしいということがあったものですから,心配していたことが現実化したなと。
考えてみれば,地域の署長ともちょっと話したのですが,例えば大津港にしても川尻にしても,あの近辺に入りますと,非常に高速が近いですから,入ってくるやつは,今の部長の話ではありませんけれども,入ってくるときは速やかに入ってくるのでしょうから,恐らく夜陰に乗じてということでしょうけれども,入ってきて10分もしないうちに高速に乗ってしまうと。そういう条件を考えると,極めていい条件の場所なんですよね。
そういう海岸線が茨城県には長くあるということになると,中国ばかりではなくて,今の東南アジアの政治状況あるいは経済状況を見ますと……日本もかなり厳しい,本年度の県の予算を見ましても厳しいんですけれども,日本よりも東南アジアはもっと厳しい。ということになると,そこではみ出した人間が,やはり行くところは日本しかないというような標的にされる心配があるし,今後,海岸線のそういう面での防備というものも,1つの大きなテーマになっていくのではないかなという感じをしております。
本当に限られた人数で,しかも,これは人のいないとき……暗いとき船は動けるのかなどというばかみたいな話を私は聞いたことあるのですが,夜走っている船はみんなライト消して走っているから大丈夫でしょうなどということで,そうしてみると,やはり24時間体制で海岸線を警備するというわけにはまいりませんので,大変だろうとは思いますけれども,1つ大きなテーマができたのかなという思いをしておりますので,今後,対応策を含めて御努力をいただきたいとお願いをしておきたいと思います。
96 ◯杉田委員長 ほかにございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
97 ◯杉田委員長 ないようですので,以上で質疑を終了いたします。
───────────────────────────────
98 ◯杉田委員長 それでは,これより付託案件について採決をいたします。
採決は一括して行います。
第1号議案中警察本部関係及び第48号議案中警察本部関係について,原案のとおり可決することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
99 ◯杉田委員長 御異議なしと認め,原案のとおり可決することに決しました。
───────────────────────────────
100 ◯杉田委員長 次に,請願の審査を行います。
警察本部関係の請願は,継続1件であります。
お手元に請願調査表を配付しておきましたので,御参照願います。
それでは,8年第26号 北茨城警察署設置に関する請願について審査願います。
101 ◯杉田委員長 御意見等がありましたら,お願いをいたします。
〔「継続」と呼ぶ者あり〕
102 ◯杉田委員長 継続審査との声がありますので,本件は継続審査とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
103 ◯杉田委員長 御異議なしと認め,継続審査にすることに決しました。
続いて,お諮りをいたします。ただいま継続審査と決しました本件につきましては,閉会中の継続審査に付されたい旨議長に申し出ることにしたいと思います。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
104 ◯杉田委員長 御異議なしと認め,そのように決しました。
以上で,警察本部関係の審査は終了いたしました。
───────────────────────────────
105 ◯杉田委員長 この際,委員会を閉じるに当たりまして,一言御挨拶を申し上げます。
御案内のとおり,我々委員の任期は,今期定例会をもって満了することになっております。この1年間,議案審査や県内外調査など,委員会活動に当たりましては,委員各位の御指導,御協力と,千葉本部長さんを初め,警察本部の皆様の適切な御説明,御案内によりまして,円滑な委員会運営を図ることができました。心から感謝を申し上げる次第であります。
顧みますと,この1年間は,中学校体育館放火事件や包丁による傷害事件など,少年犯罪の凶悪化や交通死亡事故の多発,外国人犯罪の多様化,下館市における現金輸送車の襲撃といった強盗事件など,さまざまな犯罪が発生し,県警察本部の皆様方におかれましては,大変な御苦労が多かったことだったと思います。
このような事件が起きている中,本県の治安を守る県警に対する県民の期待は,ますます大きいものがございます。我々委員も,県民の負託にこたえるべく,引き続き努力をしてまいりたいと思いますので,県警の皆さんにおかれましても,委員各位から示された意見等を十分配慮の上,今後とも,平穏で安全な県民生活の確保に御尽力されるようお願いを申し上げまして,御挨拶とさせていただきます。
───────────────────────────────
106 ◯杉田委員長 本日はこれをもちまして委員会を閉会いたします。
なお,明日は10時30分から本委員会を開き,教育庁関係の審査を行いますので,よろしくお願いいたします。
長時間にわたりましてありがとうございました。
午後2時38分閉会
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