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決算特別委員長報告
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◯議長(高樋 憲) 第二百六十七回
定例会において
継続審査に付されました議案第十五号及び議案第十八号から議案第二十号までを
一括議題とし、
決算特別委員長の報告を行います。
決算特別委員会委員長、三十六番森内之
保留議員の登壇を求めます。──
森内議員。
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◯決算特別委員会委員長(森内之保留)
決算特別委員会の審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
当
委員会は、十月五日、第二百六十七回
定例会において委員二十三人をもって設置され、付託された議案第十五号及び議案第十八号から議案第二十号までの四議案は閉会中の
継続審査に付されました。
閉会中の
委員会は十月十四日、十七日及び十八日の三日間にわたって開催され、採決の結果、議案第十八号及び議案第十九号の二件は多数をもって、議案第二十号は
満場一致をもって認定することに決定し、議案第十五号は
満場一致をもって可決いたしました。
以下、審査の過程における質疑の主なるものについて、その概要を申し上げます。
「不適正な
経理処理の
再発防止策の徹底など、適正な
財務事務の執行に向けた
取り組み状況について伺いたい」との質疑に対し、「不適正な
経理処理の
再発防止策等については、平成二十一年二月に
予算執行の
適正化に係る
改善措置を策定し、これをもとに平成二十一年度から
取り組みの強化を始めたところであり、平成二十二年度の監査結果においてはおおむね適正と認められたところである。一方で、引き続き適正な
財務事務の執行に向けて組織的に取り組む必要があるとされたことから、
財務指導を所管する出納局として、さらなる指導の浸透を図っていかなければならないと考えている。このため、
財務担当者のみならず
管理監督者も含めた職員の研修により
公金意識の徹底を図るとともに、
監視機能の強化に向けて、年度当初の
事前巡回指導、すべての所属に対する
財務事務検査、
指摘事項等があった所属への
特別巡回指導を実施しているところである。また、組織みずからが防止、発見、是正するため、各所属の
自主的取り組みとして不
適正防止に向けた
アクションプランを策定し、これにより毎年
自己検査を実施しているところである。今後ともこうした
取り組みを強化させていく」との答弁がありました。
次に、「
法人事業税及び
個人県民税の
収入済み額が減少した理由について伺いたい」との質疑に対し、「
法人事業税は前年度と比べて四十億五百万円余の減収となったところであるが、これは、税制の
抜本改革において、
偏在性の小さい
地方税体系の構築が行われるまでの間の措置として
法人事業税の税率の
引き下げを行うとともに、国税として
地方法人特別税を創設し、その
収入額に相当する額を人口と
従業員数で再分配し、
地方法人特別譲与税として各
都道府県に対し譲与する制度が
通年適用となったことによるものであり、この
地方特別税を含めたベースで比較すると、前年より約十六億円の増となっている。さらに、実際に本県に収入となった
法人事業税と
地方法人特別譲与税の合計額で比較すると、前年より四十一億八千四百万円余の増収となっている。次に、
個人県民税については前年度と比べて十七億千九百万円余の減収となったところであるが、これは、定期賦課時における所得割額の八三・六%と大宗を占める給与所得が、景気低迷等の影響により前年度対比九四・四%と落ち込んだことによるものである」との答弁がありました。
このほか
一つ、八戸工業用水道事業の経営状況と今後の施設の更新計画について
一つ、病院事業会計決算における現金ベースの収支状況の推移について
一つ、平成二十二年度における県分及び市町村分の電源三法
交付金の交付実績について
一つ、十和田八幡平国立公園の南八甲田管理計画区域における登山道管理の状況について
一つ、陸奥湾産ホタテガイ高水温被害対策の
取り組みについて
一つ、
オーダーメード型貸し工場の活用状況について
一つ、青い森セントラルパーク低炭素型モデルタウン推進事業の
取り組みについて
等の質疑があり、それぞれ答弁がありました。
以上、審査の概要を申し上げ、報告を終わります。
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◯議長(高樋 憲) これをもって
決算特別委員長の報告を終わります。
ただいまの報告に対して質疑を行います。質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
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◯議長(高樋 憲) 質疑なしと認めます。
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◎ 決算議案に対する討論
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◯議長(高樋 憲) これより討論を行います。
討論は、議題外にわたらないよう簡明に願います。
一部反対討論、二十番渋谷哲一議員の登壇を許可いたします。──渋谷議員。
20 ◯二十番(渋谷哲一) 民主党会派の渋谷哲一です。
会派を代表して、さきの第二百六十七回
定例会において
決算特別委員会に付託され、
継続審査に付された四議案のうち、議案第十八号「決算の認定を求めるの件」、議案第十九号「青森県工業用水道事業会計の決算の認定を求めるの件」に対して反対いたします。
我が民主党会派は、一貫して
オーダーメード型貸し工場にかかわる追加投資に反対してまいりました。
そもそも、国際競争、価格競争、そして設備投資と研究開発競争が厳しい液晶関連産業の
貸し工場を、行政が深くかかわり運営していくこと自体が大きな間違いであります。そして、この間違いを
県議会として正していくチャンスが三度ありました。
一度目は、クリスタルバレイ構想が浮上してきた平成十二年、
県議会に八十九億円もの
貸し工場建設のための貸付金に対する損失補償契約が提案されたときであります。民間金融機関は、この構想に対しては、青森県による損失補償なしでは資金を融資することはありませんでした。それだけリスクの高い事業だったのであります。
クリスタルバレイ構想事業可能性調査委託
報告書には、液晶産業での基盤を持たない青森県がこの分野への参入をするリスクが明記されているにもかかわらず、雇用や経済効果といった夢のような部分だけを強調し、
県議会でのしっかりした議論も経ないまま、自民党の賛成多数でクリスタルバレイ構想にゴーサインを出してしまいました。
これを主導し推進してきた蝦名前副知事は、クリスタルバレイ構想の中心的役割を担ってきたエーアイエス破綻時に、みずからの責任を問われ、「八十九億円の損失補償契約について議会に提案し、議会の議決をいただいて、21財団と契約して、これが実行されたということでございます」と、最終的には議会の責任だと責任転嫁しておりました。
オーダーメード型貸し工場の活用問題を正すための二度目のチャンスは、本年二月に、議案第四十九号として、
オーダーメード型貸し工場の活用促進を図るための貸し付けに要する経費が議会に提案されたときであります。
青森県にはこの時点で主に三つの選択肢がありました。一つ目は、
貸し工場を処分し、この事業そのものから撤退する、二つ目は、
貸し工場を売却し、事業を売却先にゆだね、県が直接関与することから撤退する、三つ目は、新たに
貸し工場のリース先を探し、事業を継続する。これら根本的な問題の議論もされないまま、県は早々に失敗した事業の継続を決め、おまけに後継企業を不透明な形で選定し、議会にしっかりした事業計画も提出しないまま、二十年で確実に二十九億円回収しますと豪語し、議会に追加投資を認めさせてしまいました。
本来であれば、入札やプロポーザル方式といった公平公正な選定が当たり前ではないでしょうか。一体、いつまで公金を支出し続け、損失を拡大させればよいのでしょうか。それほど自信のある提案なのであれば、知事みずからが二十九億円の個人保証をすべきではないでしょうか。一度失敗しているのです。同じ過ちを繰り返すのでしょうか。
木村前県政では、もちろんさまざまな功罪はありましたが、サッカー場建設の是非が問われたとき、少なくとも議会と県執行部では緊張感のある議論が交わされ、最終的に知事提案を否決するに至ったのであります。まさに是々非々であったと思われます。
そして、三度目のチャンスは、今まさに訪れております。
県が二十九億円もの公金投入の根拠としていた相和物産とサンテックの
合弁会社設立が破綻いたしました。破綻の事実が明るみになるのをさきの
決算特別委員会が終わるまで隠そうとし、新たな
合弁会社も相和物産を中心に設立しようとする不透明な進め方は、これらの問題を先送りしたいという県の姿勢を如実にあらわしております。
なぜ相和物産でなければならないのか、本当に青森県がこのまま
オーダーメード型貸し工場にかかわっていくべきなのかという根本的な問題に対しては一切答えが出されないまま、強引に事業だけが進められていきます。サンテックや翔栄に工場そのものを売却し、工場と従業員をそのままゆだねるという選択肢もあるのではないでしょうか。
私は、この問題をどう解決すべきかを青森市内の多くの企業家に聞きました。多くの方々の答えは、一度失敗した事業に県がかかわるべきではない、損切りをすべき、問題を先送りすべきではないということでした。損失を取り返すために新たな投資を行うことは、結果的には損失の拡大につながります。知事、県執行部の方々、そして
県議会の
皆様方、ここで立ちどまり、改めて
オーダーメード型貸し工場の活用問題に対して県民が納得いく議論を行うべきではないでしょうか。
ここ数年、青森県政では、次から次へと県事業の失敗による数十億円単位の損失補てんが発生しているにもかかわらず、だれも責任をとらないばかりか、知事
提出議案を
県議会は一〇〇%通過させてまいりました。これで
県議会としての役割を果たしていると言えるのでしょうか。この問題は青森
県議会の現状を象徴している事案と言わざるを得ないのであります。
結局、知事提案に対して不安や不満、疑問がありながらも、自民党の賛成多数で可決成立してしまうのであります。我が民主党会派は、すべてに反対しているのではありません。よいものは賛成し、県民目線で行うべきでない事業はやめるべきという是々非々の立場を貫いております。
きちっと経営状況を把握し、
リース料は回収するとしていた青森県は、エーアイエスの破綻までその事実を知らなかったと議会に説明いたしております。ところが、その青森県は、これから相和物産とサンテックの
合弁会社が設立されるのだから大丈夫、二十年かけて二十九億円に上る
リース料を確実に回収します、経営状況もしっかり監視しますと豪語しながら、その
合弁会社はスタートラインにも立てないまま頓挫いたしました。
破綻の経緯を議会が求めても、民間企業同士のことと詳細な情報を提供しようともせず、議会が
貸し工場の引き受け先は相和物産で大丈夫なのかと疑問視しているにもかかわらず、満足な説明もないまま相和物産の合弁先を新たに見つけ、今度こそは大丈夫と胸を張って議会に説明いたしております。
県執行部のなりふり構わない議会を軽視した強引な事業の進め方はもちろん問題ですが、それを正していくことができない
県議会にこそ問題があるのではないでしょうか。まさに
県議会の存在意義が問われているのであります。
このような進め方が許されるのであれば、これから
貸し工場を運営する相和物産と翔栄の
合弁会社が仮に二、三年後に破綻しても、新たな運営企業を探し、今度は二百年の
リース契約を結んでいけば、だれも責任をとる必要はないし、損失も損失と言わなくてもよい状況が生まれることになります。巨額な損失が発生しても、それを
リース料で回収していくとし、そして、その結果責任は、次の執行部、次の世代にゆだねられることになるのです。
今回の事案はオリンパスの損失隠しと似ています。問題が大きければ大きいほど失敗を認めることができず、問題の処理を先送りする、そして、そのことがさらなる問題と損失を生み出す、この悪循環を断ち切る勇気が必要であります。
県議会はその先頭に立たなくてはならないはずであります。
県議会でのこの問題に対する勇気ある決断を切に願います。
21
◯議長(高樋 憲) 一部反対討論、四十七番諏訪益一議員の登壇を許可いたします。──諏訪議員。
22 ◯四十七番(諏訪益一) 日本共産党の諏訪益一です。
議案に対する一部反対討論を行います。
議案第十八号「決算の認定を求めるの件」及び議案第十九号「青森県工業用水道事業会計の決算の認定を求めるの件」についての反対理由を述べます。
平成二十二年度の
一般会計の歳入に占める県税等の自主財源の割合は三五・八%と前年度より二・八ポイント上がり、地方交付税、
国庫支出金、県債等の依存割合が前年度の六七%から六四・二%となったものの、県民及び県内企業の置かれている事態の深刻さは依然として継続しています。
歳入の
国庫支出金には電源立地対策費等の原子力関係費が百三十三億円あり、
核燃料物質等取扱税百五十億円を含め、原子力事業関連に依存する体質が一層強まっています。
県債は一千九十一億円で、その残高は一兆三千億円に膨れ上がり、臨時財政対策債や新幹線建設対策債が押し上げています。地方交付税の削減や臨財債の増発、新幹線の地元負担、並行在来線の経営分離など、国の政策上の誤りと、それを
受け入れてきた姿勢には同意できません。
収入未済額は二百八十八億円で、そのうち県境不法投棄産廃処理の行政代執行分二百五十四億円があり、最終的に四百九十六億円が不納欠損となることの責任もまた問われます。
平成二十二年度は、金矢工業団地の負債処理に六十四億円補てんし、桔梗野工業団地の負債処理に三十億円の無利子貸し付けが行われ、また、東北デバイスへの債権放棄や、エーアイエスの自己破産に伴い、21産業支援センターに対する二十九億円の貸付金を議決しました。
ことし七月には合弁設立のめどが立つとしたものの、これが決裂し、
予算執行の前提が崩れました。なぜ決裂したのか、その検証作業をしっかりやらないと、県民への説明責任を果たしたとは言えません。
さらに、分収造林事業を公社から県に移管することにしましたが、それで三百五十四億円もの後処理に迫られています。
全体として見れば、県民の暮らしや福祉、教育、農林漁業、中小商工業を支えなければならないときに、逆に県民にツケを回すような事柄が余りにも多いのではないでしょうか。
平成二十二年度は六ヶ所再処理工場の本格操業を二年延期した年でもあり、その来年の十月は目前です。ガラス溶融炉は立ち往生し、技術的困難さに加え、福島原発の大事故は核燃料サイクル事業の是非を問う機会を与えています。高速増殖炉の実用化はもはや不可能となり、二〇一六年までに十六ないし十八基としたプルサーマル計画も極めて不透明な状況に陥っています。高レベル放射性廃棄物の最終処分事業は途方もなく困難です。
知事は、三・一一以降、早くも六月八日に核燃料サイクル事業の確たる推進を経産大臣に迫り、今もなお、中長期的にぶれない方針を国に求め、核燃・原発推進の姿勢を変えていません。
しかし、冷静になって考えれば、核燃料サイクルとは一体どの場面で終結するのかだれも答えを出していないし、その後始末を含めて、どうしようもない深刻な問題を後世に残します。しかも、ひとたび大事故を起こせば、取り返しのつかない事態を発生させ、多数の人々の生存条件を奪ってしまうのです。それが現実です。
今や総決算のときです。東北電力では、女川原発、東通原発の計四基の原発が停止しても電力は供給されています。東京電力は、定期点検中を含め十七基の原発が全部とまるが、五千七百万キロワットというこれまで以上の供給量を確保できる見通しを発表しました。原発をゼロにしても、一〇%の節電と一五%の自然エネルギーの普及で未来に安全なエネルギーを保障していくことは十分可能です。要は、政治の責任で決断することです。
六ヶ所工業用水道事業は、平成二十二年度の純損失は一千百九十五万円で、累積で九千百九万円の損失です。平成二十二年度は、東北デバイスとエーアイエスの自己破産の問題があり、それぞれ新会社に移行しましたが、給水量がふえる見込みもなく、このまま推移すれば累積欠損はふえていくばかりです。クリスタルバレイ構想の破綻は工業用水道事業にも暗い影を落としています。
結びに、これまでの国の経済財政対策や国策と称するものの内実は、結局のところアメリカと財界に奉仕するものとなっていて、そこから抜け出さない限り、また、実体経済を攪乱するマネーゲームを規制しない限り、正常で健全な経済財政運営は成り立たないということを強調しておきます。
以上、一部反対討論といたします。
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◯議長(高樋 憲) これをもって討論を終わります。
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◎ 決 算 議 案 採 決
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◯議長(高樋 憲) これより議案の採決をいたします。
議案第十八号「決算の認定を求めるの件」及び議案第十九号「青森県工業用水道事業会計の決算の認定を求めるの件」、以上二件は委員長報告どおり認定することに賛成の方は御起立願います。
〔賛成者起立〕
25
◯議長(高樋 憲) 起立多数であります。よって、本件は認定されました。
議案第二十号「青森県病院事業会計の決算の認定を求めるの件」、本件は委員長報告どおり認定することに賛成の方は御起立願います。
〔賛成者起立〕
26
◯議長(高樋 憲) 起立総員であります。よって、本件は認定されました。
議案第十五号「青森県病院事業欠損金の資本剰余金による処理の件」、本件は委員長報告どおり可決することに賛成の方は御起立願います。
〔賛成者起立〕
27
◯議長(高樋 憲) 起立総員であります。よって、本件は可決されました。
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◎ 臨時の協議又は調整を行うための場の設置
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◯議長(高樋 憲) 次に、臨時の協議又は調整を行うための場の設置の件を議題といたします。
会議規則第百二十二条第二項に基づく臨時の協議又は調整を行うための場について、お手元に配付のとおり設置することに賛成の方は御起立願います。
〔賛成者起立〕
29
◯議長(高樋 憲) 起立総員であります。よって、さよう決定いたしました。
なお、ただいま設置されました議員説明会は、本日午後三時三十分より西棟八階大会議室において開催いたしますので、この席上より口頭をもって招集いたします。
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◎ 議 会 報 告
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◯議長(高樋 憲) 議会報告として、第一号「例月出納検査の結果について」、第二号「職員の
給与等に関する報告及び勧告について」、第三号「意見書の処理の結果について」、第四号「新幹線・鉄道問題対策特別
委員会経過報告について」、第五号「議員派遣の結果について」をお手元に配付してあります。
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◎ 本 会 議 休 会 提 議
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