本日は、意向調査の結果の報告と、今後の取組についてご報告をさせていただきます。
それでは、
招致推進部長から資料の説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
◎小泉
招致推進部長 私から、意向調査結果の報告と、今後の取組についてご説明をさせていただきます。
初めに、意向調査結果の報告についてご説明をいたします。
資料の上段、左上をご覧いただきたいと思います。
本年3月に実施いたしました調査の三つの手法全てにおきまして、賛成が過半数という一定の支持を得る結果となりました。
右側に移りまして、年代別の傾向としましては、若年層から高い支持を得ている一方で、年代を問わず一定の反対の声が寄せられております。
次に、資料中段の郵送調査における賛否の主な理由と寄せられた意見では、賛成の主な理由は、8,168件のうち、
子どもたちに夢と希望を与えるが1,968件と最も多く、反対の理由では、6,238件のうち、他の施策に注力してほしいが1,247件と最も多くなっております。
また、賛成の自由意見は、1,451件で、経済・
まちづくりに関する意見が402件と最も多く寄せられた一方、反対の自由意見では、1,271件で、費用負担を懸念する意見が304件と最も多く寄せられました。
続きまして、資料下段の大会開催の賛否と大会概要(案)の理解の関係では、大会概要(案)の考え方について理解したと回答した層は、大会の開催についても高い賛成割合を示す傾向にありました。一方で、大会概要(案)の考え方について分からないと回答した層では、大会の開催についても分からない、もしくはどちらかといえば反対に偏在している状況でございました。
これらの結果を踏まえまして、今後は、大会概要(案)の考え方について分からないと回答した層を念頭に、大会概要(案)の理解促進として、様々な対話の機会を多く設け、不安や懸念を払拭する取組を進めてまいります。
あわせて、開催意義の議論を深め、広く発信するための取組としまして、皆様からより多くの理解と共感を得られるよう、この後ご説明いたします
プロモーション委員会での議論も踏まえながら、
各種メディアを通じた発信を強化してまいりたいと考えております。
次に、資料の2枚目に移ります。
まず、今後の取組についてご説明をいたします。
想定している
招致スケジュールについてですが、上段のIOCとの協議について、表の右端をご覧ください。来年の5月30日から6月1日までの日程で、インドのムンバイにおいて
IOC総会が予定されております。2030年冬季大会の開催都市につきましては、この総会において決定されることが先月20日に開催された
IOC総会において発表されました。また、これに向けた動きとしまして、左に目を転じていただきますと、今年の12月5日から7日までの日程で
IOC理事会が予定されております。現在、我々は、継続的な対話の段階におりますけれども、この理事会において、次のステップ、すなわち候補地の絞り込みに当たる狙いを定めた対話に移行できるよう、引き続き協議を進めてまいります。
これに従いまして、大会の開催準備として万全を期すために、閣議了解や国会決議、保証書の取得に向けた国との調整や、意向調査結果を踏まえて更新した大会概要の公表、従来の
立候補ファイルに相当する質問状に対する回答作成を進めてまいります。
また、機運醸成の取組といたしまして、市民対話やJOCとの連携事業のほか、
プロモーション委員会と連動して、国内や世界に向けた発信を進めてまいります。
続きまして、計画更新の方向性についてです。
まず、表の左側ですけれども、意向調査では、
子どもたちに夢や希望を与えたいという賛成の声や、
子どもワークショップにおいては、観客や
ボランティア等、何らかの形で大会に関わりたいといった意見を多数いただきました。
地元開催は札幌の未来を担う若い世代が様々な経験を積む絶好の機会となることから、若い世代が観戦、体験できる
プログラムを充実させ、大会の準備から開催までの一連の取組において参画できる
仕組みづくりの検討を進めます。
続きまして、表の右側になります。
北海道や札幌のPR、雇用創出をはじめとした経済効果への期待の声も多くいただきました。大会の持つ注目度を活用し、市民生活の
利便性向上のため、企業等の技術開発を支援する取組の検討を進めるとともに、観光客の増加や、大会後の
おもてなし文化の醸成に向けまして、効果的な
プロモーションと市民一丸となった
おもてなし体制の検討を進めてまいります。
一方で、反対の主な理由としまして、多額の予算が必要、他の施策に注力してほしい、また、不測の事態への対応など、不安の声も多くいただきました。そういった不安や懸念を払拭するためにも、様々なリスクへの具体的な対応策を検討することに加え、専門家の知見を加えながら、IOCとリスク分担の協議を進めてまいります。
また、
オリンピック・
パラリンピックの開催は、今後の
まちづくりとの関係においても大きな影響をもたらします。第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンの重要概念であるユニバーサル、ウェルネス、スマートと、大会がもたらすレガシーの4分野は密接に関連しておりまして、全庁一丸となり、より具体的なレガシーと、
レガシー構築のための取組の検討を進めます。
以上のことから、大会概要(案)の更新におきましては、多くの市民、企業の参画につなげていくことや、リスク対策の検討を進め、より不安の解消に努めていくこと、2030年以降を見据えながら将来のまちの姿を描いていくことを今後の方向性として定め、内容の丁寧な説明を通じて、計画を市民の皆様と共有してまいります。
次に、2030
オリンピック・
パラリンピックプロモーション委員会についてご説明いたします。
資料の3枚目になります。
まず、設立目的ですけれども、今後、招致の候補都市の絞り込みが本格化していく中、北海道、全国、さらには、世界に向けて、大会の開催意義や価値を伝え、より多くの皆さんの理解と共感を得ながら、
オールジャパンで招致を進めていくこととしています。
委員構成につきましては、地元の熱意を全国に示していくために
札幌商工会議所会頭の岩田圭剛氏に
委員会会長にご就任いただくとともに、
オールジャパンの観点から
招致関係者にご参加をいただいております。また、
オリンピアン、
パラリンピアンをはじめ、
スポーツ界、経済界、スポーツを通じたSDGsの推進に関する有識者など、次代を担う若者世代を含め、幅広い世代の共感を得て、招致への応援をいただけるような各方面で活躍されている方々にもご参加をいただいているところでございます。
次に、委員会の具体的な活動内容についてですけれども、一つは、定期的な会合を通じまして、
アスリートや有識者などから提言をいただきながら、日本国内及び世界に向けた大会の開催意義や価値について取りまとめを行ってまいります。
もう一つは、
招致応援プログラムによる
国内機運醸成といたしまして、ロゴや冠称、
ポスター等の
広報PRツールを活用し、札幌市やJOCと
競技団体等の関係団体が一体となって招致機運の醸成を進めてまいります。
続きまして、5月10日に開催した第1回の会議の概要ですけれども、大会招致に対して、各委員から様々なご意見をいただいたところでございます。今後は、これらの意見を踏まえつつ、大会のビジョンとして設定しているスポーツ・健康、経済・
まちづくり、社会、環境などをテーマとして開催意義の議論を深めてまいります。
最後になります。
JOCと連携した
招致機運醸成の取組としまして、
専用サイト等による情報発信や、
アスリートと連携した
招致応援メッセージの発信などの
各種PR事業を展開してまいります。
○
村上ゆうこ 委員長 それでは、一括して質疑を行います。
◆三神英彦 委員 私から、まず、先ほどの陳情をはじめとして、市民の意見というものについて質問します。
ここまでの流れをまとめると、昨年11月に2030
冬季オリンピック・
パラリンピックの大会概要(案)を公表して以降、札幌市では、
ワークショップや出前講座などを開いて、多くの方々に理解をいただくための取組を進めてきたところです。そして、3月には
市民意識調査を行い、調査結果は先ほど説明をいただいたとおり、過半数の賛成があったものの、反対の声も一定数上げられたということです。そこで、特に反対の自由意見というところになると、費用負担について、それから、除排雪とか
新型コロナウイルス対応という話になっているのですけれども、そして、今回の陳情、
オリンピック・
パラリンピック招致活動をやめることを求める陳情が提出されて、5月23日に
調査特別委員会に付託されたということです。
先ほどの陳情、一つ目は、市民の安全と暮らしを守ることが重要です、これを言い換えると、ほかにすることがあるでしょうという話ですね。それから、国際平和の危機、それから、今、国内経済の危機というような話になって、オリパラのタイミングとしてどうなのかという議論、これは問題提起としてあると思います。それから、IOCに対する不信感ですとか今回の意向調査に対しての批判的な意見だとかというものが主張されたのだと思います。これらのことは全て、市民の皆様が現に不安や懸念として感じている代表的なものなのだと思います。
質問ですが、このような陳情の提出をはじめ、市民が様々な意見を持っているということについて、どのように受け止め、今後どのような取組を進めていくのか、伺います。
◎小泉
招致推進部長 陳情をはじめとした市民の意見についてのご質問でございます。
これまで進めてきました取組におきまして、多くの方のお考えを聞いておりまして、市民の皆様には様々なご意見があるものというふうに認識しております。
市民意向調査におきまして、3割から4割前後の反対の声が寄せられたことは重く受け止めておりまして、理由として、大会経費に対する不安や、他の施策を推進すべきというような声が多くあったところでございます。
このことから、
施設整備費は、大会の有無に関係なく、改築・改修するものに要する経費であることや、
大会運営費には税の導入を予定していないこと、また、
オリンピック・
パラリンピックが様々な課題解決のきっかけになることを市民の皆さんと共有していくことが重要であるというふうに考えています。
そのため、出前講座など様々な機会を捉えまして、多くの方に大会概要(案)の考え方を丁寧に説明し、少しでも不安や懸念が解消できるよう取組を進めてまいります。
◆三神英彦 委員 市民の様々な懸念に対して、まだまだ丁寧にやっていかなければいけないということが分かったと思います。一方で、本当に分かっていただくために、外部の民間のノウハウだとか、とにかく市役所の外とのネットワークというのを上手に活用しながら、引き続き市民の不安払拭に努めていただくよう、最大限の努力をお願いするところです。
次に、このたび新設された北海道・札幌2030
オリンピック・
パラリンピックプロモーション委員会について伺っていきます。
3月の意向調査では、先ほど触れたとおり、一定の支持があったことから、市は、引き続き招致活動を進めていく中で、地元の機運醸成と並行して、これからは、全国に活動を広げていくために、北海道・札幌2030
オリンピック・
パラリンピックプロモーション委員会をJOCと共同で設置したとの報告が理事者側からありました。委員のラインナップを見ると、まさに
オールジャパンという感じになっていまして、
全国レベルで招致に取り組んでいく姿勢が表われているものと理解します。
東京2020大会の招致のときは、
全国レベルの
招致委員会が立ち上がり、海外での活動も含め、大々的な招致活動が行われてきましたが、その後、IOCも
招致プロセスを見直し、簡素な招致活動へと見直されているとも伺っています。
質問ですが、従来の
招致委員会との違いも含め、この
プロモーション委員会の狙いや役割について改めて伺います。
◎奥村
渉外担当部長 プロモーション委員会につきまして、従来の
招致委員会との違いも含め、その狙い、役割についてのご質問にお答えいたします。
東京2020大会では、複数の
立候補都市が競い合う形で招致活動を行い、最終的に
IOC総会での投票により開催都市が決まるプロセスであったことから、当時の
招致委員会は、法人格を取得し、寄附や協賛金など独自財源を集め、
国際プロモーションなどの広報活動を行ってきたところです。
一方、北海道・札幌2030
オリンピック・
パラリンピックプロモーション委員会は、IOCの
招致プロセスの見直しによる招致活動の簡素化などを踏まえ、
会議体組織として設置し、大会の開催意義や価値について議論を深め、全国的な機運醸成と国民の理解促進を目的とするものです。
こうした目的を踏まえ、
招致関係者はもとより、
オリンピアン、
パラリンピアンをはじめ、
スポーツ界、経済界、スポーツを通じたSDGsの推進に関する有識者など、様々な分野に強みを持った方々に委員として就任をいただいているところでございます。
次代を担う若者世代を含め、幅広い世代の共感を得て招致への応援をいただけるよう、
オリンピック・
パラリンピックが世の中にもたらす価値をしっかり議論し、全国に発信するとともに、委員の所属団体や特別会員などの関係団体の協力を得ながら、全国的な機運醸成を図ってまいります。
◆三神英彦 委員 近年の
オリンピック・
パラリンピックの招致には、住民、国民の理解や支持が最も重要というふうになっていて、IOCもそのような認識を示しているということですね。そのため、札幌、それから、北海道、日本、世界、どのサイズにおいても、日本でなぜ大会を開催するのかという
プロモーションに関して、委員会の中の議論、それから、委員の協力だとかというような部分で適切に発信していくということが重要になってくるのだと思います。国民の間に2030大会招致が広く浸透していくよう、JOCとともに努力していただきたいです。
質問ですが、
プロモーション委員会が今後具体的にどう活動していくのか、また、議論の成果をどう生かしていくのか、伺います。
◎奥村
渉外担当部長 プロモーション委員会の具体的な活動についてのご質問にお答えをいたします。
プロモーション委員会では、大会の開催意義の議論を深めるため、第1回会議での委員の意見を踏まえ、次回以降、例えば、共生社会、経済・
まちづくりといった具体的なテーマを設定し、
アスリートや
有識者委員の知見も生かしながら意見交換を行い、
メディア等を通じて発信することで、
招致応援プログラムの展開と合わせて全国的な機運醸成を進めてまいります。
具体的な進め方といたしましては、まず、年内までの狙いを定めた対話への移行を見据えた期間をいわゆる活動の第1期として、日本国内及び世界に向けた開催意義について議論を深め、取りまとめていく予定です。取りまとめた内容は、現在検討を進めている大会概要(案)の更新や、狙いを定めた対話に移行した後にIOCに提出が必要となる将来
開催地質問状への回答に反映させるほか、内容に応じて、札幌市の
まちづくり関連計画や、
開催地決定後の
大会準備計画に反映させることを想定しています。
なお、狙いを定めた対話への移行後につきましては、その期間をいわゆる第2期として活動することを想定していますが、具体的には、今後IOCから示される狙いを定めた対話での活動内容に応じて詳細を検討してまいります。
◆三神英彦 委員 これから市民の味方を増やしていくということに関しては、正しく
プレゼンテーションを行うことなのだと思います。説明して理解いただくというのは本当に頭の片隅で分かってもらうという話だけであって、いろんなものを駆使して、本当に分かってもらう人を、これから一緒に応援していこうという人を増やすというのは、ちゃんと、皆さんは日頃いろんな業界から
プレゼンテーションを受けている立場なのですから、外部のプレゼンの上手な人というのは分かっているはずなのですよね。そういったノウハウを持っているところとうまく組みながら、きちんと
プレゼンテーションという形での
プロモーション活動を行っていただきたいというふうに思います。
プロモーション委員会は、まさに麻生副総裁をはじめ、
オールジャパンという顔ぶれなのですけれども、対世界、対国内といった招致活動はもとより、対市内、本当に足元の皆さんに対しての招致というのを上手に活用いただけるよう策を講じていってほしいです。
◆恩村健太郎 委員 私からも、今回の報告を踏まえまして、前回の委員会に引き続き大会招致に向けた市民理解の促進について幾つか質問してまいります。
オリンピック・
パラリンピックの魅力というものは言うまでもございません。一流の
アスリートたちが4年間という年月をかけて、その努力の成果を発揮されて、全力で競技に臨む姿、これを目の当たりにできる、私はあの瞬間が一番好きでございます。大会の期間中は、様々な競技が舞台となっておりまして、多くのドラマが生まれ、世界中が毎日のようにわくわくしながら、選手たちの活躍から目が離せなくなります。
先般の北京2022
冬季オリンピック・
パラリンピック大会でも、
道内出身選手の活躍に、私をはじめ、恐らくご覧になられた多くの方の心が躍った、このことは記憶に新しいところだと思います。
今述べたことは大会の醍醐味ではありますが、ただ、そういった華やかな部分の裏側で大会を支えてくださっている人たちがいてこそ、将来にわたって語り継がれるすばらしい大会になるということを私たちは忘れてはいけません。
その中でも、開催期間中に大会を大いに盛り上げ、大会概要(案)で掲げているように、大会を
まちづくりのプロジェクトとしていくためには、地元住民の協力というものは欠かすことができません。
ボランティアをはじめ、海外から来る観光客の
おもてなしなど、札幌の魅力を内外に強く発信するためには、市民が一丸となった開催に向けた取組が大変重要となってきます。そのためには、今の段階から市民に大会の趣旨をしっかりと理解してもらい、地元の協力体制を構築するということが絶対に必要です。
そこで、質問ですが、
オール札幌で招致を進めるための取組についてどのように想定しているのか、伺いたいと思います。
◎小泉
招致推進部長 オール札幌で招致を進めるための取組についてでございます。
オリンピック・
パラリンピックは、
世界最大級の
スポーツイベントというだけではなくて、大会の開催や、それに至るまでの一連の取組が将来を見据えた
まちづくりのきっかけになるものと考えております。
まちづくりの取組の主役は市民でございまして、大会の準備の段階から様々な場面で参画をいただくことは必要不可欠なものであると認識しております。そのためには、市民の皆様が大会の内容を正しく理解し、2030年に向かって一人一人が何をやっていくのかを考える機会を創出することが大切だというふうに思っています。
このことから、従前から実施している出前講座について、企業への積極的な働きかけや、町内会へのさらなる周知を行いまして、多くの方に直接大会の内容を説明してまいりたいというふうに考えています。
このような地に足のついた取組を重ねることが市民の皆様の主体的な活動につながり、さらに、それに対して支援を行うなどの後押しをすることで、2030年に向け、官民一体となった体制を構築してまいりたいと考えております。
◆恩村健太郎 委員 今の答弁にもございましたけれども、多くの方に直接説明される、本当にこれが大切になってくるのではないかなと私も感じております。そういった様々な取組を通じて、
オール札幌としての招致を実現していただきたいと思います。
私どもの会派としては、これまでも一貫して
市民理解促進について質疑しまして、市民が抱く懸念の払拭に努めて、市民の期待感を醸成するためにも、将来のまちの姿をどのように実現していくのか、丁寧な説明を行っていくことなどを求めてまいりました。
本日報告があった意向調査結果では、反対側の理由として、多額の経費がかかるというのが多かったとのことでもありましたが、その背景には、今でも大会の開催のために多くの税金が投入されると思っていらっしゃる方が一定程度いるからではないでしょうか。つまり、まだ
市民理解促進の取組には課題があると言えます。
経費については多くの方が注目するものでありますが、その仕組みがやや複雑であることに加えまして、東京2020大会の様々な報道の中で、
オリンピック・
パラリンピックは多額の税金が必要なものといった先入観が多くの人に根づいた影響というものもあるのではないかと推察するところでございます。
大会概要(案)において、大会経費は、
施設整備費と
大会運営費の2種類が示されております。そのうち、
施設整備費は約800億円、札幌市の負担額は約450億円と見込んでいますが、これは、既存施設の建て替えやリニューアルのための経費ということでして、大会の有無にかかわらず、将来的に必要となってくるものでございます。また、
大会運営費は約2,000億円から約2,200億円を見込んでおりますけれども、その収入は、組織委員会が自ら民間から集めるお金でやりくりされて、税金は投入されない計画となっております。そういったことを今まで以上にしっかりと発信されて理解してもらうことが多くの市民に受け入れられる
オリンピック・
パラリンピックの実現につながっていくものと考えております。
そこで、質問ですけれども、大会経費の市民理解を促進するためにどのような取組を行っていくことを想定されているのか、伺います。
◎小泉
招致推進部長 大会経費の市民理解を促進する取組についてでございます。
大会経費に対する市民の不安や懸念の声が多いことは承知しておりまして、多くの方に経費の内容をご理解いただくことは、大会招致に対する賛同を得ていく上で最も重要な要素の一つであると認識しております。
そのため、広報さっぽろ6月号におきまして、
施設整備費の解説ページを掲載し、7月号では
大会運営費の解説ページを予定しているなど、市民の皆様に広く、できるだけ分かりやすく説明を行ってまいります。
また、現在、修正している大会概要(案)の更新版におきましては、積算の考え方の解説を示すなど、多くの方に経費の内容をご理解いただけるよう検討してまいります。
◆恩村健太郎 委員 大会経費のことについては、やはり、私たち
市議会議員も正しい情報を市民の皆様にしっかりと説明していくことも必要だと考えております。
今の答弁ですとか、先ほどの説明の中でも、大会概要(案)の更新については、市民の皆様からいただいたご意見を基に検討を進められるというような趣旨だと思います。
オリンピック・
パラリンピックは、その開催地に対して大きな変化をもたらす分岐点でもありまして、1972年の札幌
オリンピックは、市民だけではなくて、多くの方から愛される今の札幌のまちをつくるきっかけになったと言われております。しかしながら、私もそうですが、今の現役世代の方というのは、札幌
オリンピックを経験していないか、もしくは、幼少期の記憶しかない方が大多数でして、2030年の
オリンピック・
パラリンピックがどのようにまちを変えるのかといった実感がなかなか湧いてきません。
大会概要(案)においても、大会において目指すまちの姿や、レガシーが示されてはいますけれども、抽象的な記載にとどまっていて、大会後の札幌のまちがどのような姿になっていくのか、なかなかイメージが持ちにくいと感じております。
市民の理解を得ていくためには、大会経費などに関する不安の解消はもちろんのことですが、大会によって我がまち札幌の未来がどのようになるのかをしっかりと共有していくことが必要と考えております。
そこで、質問ですが、今後、大会概要(案)を更新していく中で、大会でもたらされるまちの姿を示すに当たり、どのように検討を進めていくのか、伺います。
◎小泉
招致推進部長 大会でもたらされるまちの姿についてのご質問でございます。
委員のご指摘のとおり、将来のまちの姿につきましては、想像がつきにくいといったご指摘は様々な場面でいただいているところでございます。
大会概要(案)の更新に当たりましては、第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンの検討と引き続き整合を図っていくことで、計画の実現可能性を確保してまいります。
また、大会後のまちの姿を実現するための取組は、
オリンピック・
パラリンピックをきっかけとしまして、民間投資が活性化されるなどの様々な好循環により加速されることが期待されます。
具体的な取組の事例や数値化した取組目標などを盛り込むことで、市民の皆様に大会後のまちの姿を分かりやすくお示しできるよう検討を進めてまいります。
◆恩村健太郎 委員 やはり、具体的にどんなまちになっていくのかということをしっかりと示していただくことも市民の理解促進には必要だと思います。私自身は、
オリンピック・
パラリンピックによってどのようにまちの姿が変わっていくのか、とても楽しみにしている一人でもございます。ぜひともみんなで共有できるまちの姿、これを期待したいと思います。
大会の運営に関して言いますと、今回、日本は、東京2020大会という直近の大会開催の経験がありまして、その中でも、札幌市は、マラソンや競歩、サッカーの会場となった実績があります。国際
オリンピック委員会、IOCにおいては、札幌の運営能力を高く評価しているといった報道もありまして、このようなノウハウを生かして、円滑な大会運営が期待できるところでもございます。
しかしながら、イベントというものは常に不測の事態といったリスクがつきまとうものでありまして、コロナ禍で大会を1年延期することとなった東京2020大会の事例は、その分かりやすい例であったかと思います。
感染症についての2030年の見通しというものはなかなか難しいところではありますが、北海道、札幌市は、冬季大会の理想的な積雪寒冷地と言うことができます。その一方、冬季は常に大雪というリスクを有しておりまして、昨冬は大変な大雪によって交通機関などに大きな影響が及ぼされて、雪が解けた今でもあのときの状況というのは市民の記憶に刻まれているところです。大会の際に、大雪などの不測の事態が発生した場合、市民生活はどうなるのか、こういったご意見や不安の声が私のところにも届いております。
このような不測の事態については、やはり避けることというのは難しいと思いますが、ただ、そうなった場合においても、まちが対応できるよう、しっかりと事前に想定し、準備しておくことはできるのではないかと思います。
そこで、質問ですが、大雪などの現にあり得るリスクについて、どのように対策の検討を進めていくのか、伺いたいと思います。
◎小泉
招致推進部長 大雪などのリスクについてのご質問でございます。
リスクへの対応につきましては、円滑な大会運営のために備えることはもちろんのこと、それに向けた体制を構築することが、ひいては将来の市民生活の安全・安心の確保につながるものとしまして、市全体での対策が必要と認識しております。
また、IOCにおきましても、リスクへの対応についての関心が高く、今後、協議が深まるにつれ、関係機関と連携した安全確保に関する体制を構築する必要性があるものと想定しています。
特に、大雪への対応につきましては、現在、北海道や市におきまして、昨冬のような大雪であっても市民生活や社会経済活動を守っていくための対応策を検討しているところでございまして、これらを踏まえ、市民生活の確保と大会の円滑な運営を図るための検討が必要と考えているところでございます。
このため、今後検討を進める輸送計画におきましては、リスクを想定しつつ、交通事業管理者や道路管理者等との連携を密に図りながら、対応を検討してまいります。
◆恩村健太郎 委員 現在も進められている大雪のような不測の事態に対応する体制構築、これが大会の開催によってさらに加速されるようなことになれば、それこそが大会のレガシーとなって、大会後の市民生活に好影響をもたらすことも考えられると思います。そういったものが一つでも多く我々市民にしっかりともたらされることを期待しているところです。
この先、招致活動が佳境になってくればくるほど、道外ですとか海外の方、また、様々な関係者に対して、意を用いながら検討を進めていかなければならなくなることもあるかと思います。しかし、そのような場合であっても、常に札幌市民に寄り添いながら、決して市民目線を忘れないで取組を進めていただきたいということを強く要望いたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。
◆竹内孝代 委員 私からは、意向調査の結果を踏まえた今後の取組について、幾つか質問をさせていただきます。
さきの代表質問で、我が会派の丸山議員から意向調査における様々な市民の声を踏まえた今後の取組について尋ねたところ、市民の不安や懸念を払拭するために、市民、企業に対する出前講座の拡充やフォーラムの開催など、市民対話の機会を多く設けていくこと、また、他の年代に比べて支持率が高かった若者世代については、大会招致を踏まえた
まちづくりへの参画を促していくとの答弁をいただいたところであります。
我が会派は、招致推進については、様々な市民意見をしっかりと受け止め、市民に寄り添いながら、力強く取組を進めていくべきと考えていることを改めて申し上げておきます。
その上で、先ほどの理事者からの説明にあるとおり、若者世代が大会の準備から開催までの取組に参画できる
仕組みづくりが構築されれば、札幌の未来を担う世代が
まちづくりに主体性を持って参画するようになることが期待をされ、それは札幌市にとって貴重なレガシーになるものと考えております。
これまで、議会の場でオリパラ教育について取り上げて以来、一貫して推進してきた我が会派としては、こうした教育の機会が若者世代の高い支持率にもつながっているものとして受け止めております。また、これまで若者の声を大切にした政策を重要視してきましたので、本特別委員会でも取り上げてまいりました、若者世代の今後の取組に力を注ぐことを大事にしていただきたいと考えております。
現に、東京2020大会では、全国810もの大学と連携し、
ボランティアなど、多くの場面を通して学生の
参画プログラムが実施されていると聞いております。
そこで、1点目の質問ですが、代表質問でも答弁をいただいておりました若者世代の参画を促すためには、今後どのように取組を進めていくお考えなのか、示していただきたく、お伺いをいたします。
◎小泉
招致推進部長 若者世代の参画を促す取組についてでございます。
市民意向調査と並行いたしまして実施した北海道内の大学、短期大学、専門学校の学生を対象としたアンケートでは、34の大学から1,274名の回答を得て、64%の賛成意見があったところでございます。
また、
オリンピック・
パラリンピック開催で期待されるレガシーとして、インフラや心のバリアフリーに関する回答が最も多く、共生社会の実現に期待していることが分かりました。
2030年に社会の中核を担う若者が大会招致や共生社会の実現につきまして前向きに捉えていることを心強く思うとともに、早い段階から若い世代に大会招致を踏まえた
まちづくりに関心を持ってもらうことは大変重要であるというふうに考えております。
そこで、今後は、若者世代がこれからの
まちづくりを自分事として具体的にイメージしてもらうため、北海道内の大学、短期大学、専門学校にご協力をいただき、学生との
ワークショップなどを開催してまいりたいと考えております。
◆竹内孝代 委員 さきに実施した意向調査では、若年層を中心に、招致について過半数の賛同を得る一方で、30代から50代では約4割が反対するなど、現役世代の大会への理解促進については課題があると考えております。
反対の自由意見に目を転じてみましたところ、東京2020大会の例を踏まえて、
開催地決定後の費用増加、また、大会への税導入に関する懸念など、市が示した大会概要(案)のコンパクトで税を投入しないという大会コンセプトについての理解不足が見てとれます。
今後、招致活動を進めていくに当たっては、より多くの市民の賛同を得ることが重要であり、
開催地決定後の大会準備においても、市民、企業、行政といったこのまちの関係者が一丸となって取組を進めるという観点からも重要不可欠であると考えております。そのためにも、未来のまちを支える若者はもとより、このまちの現在を支える働き手である現役世代に大会招致を正しく理解をいただくことが重要であります。
札幌市では、これまでも、経済団体と連携をして招致に関する機運醸成を進めてきたところであり、3月には招致に賛同する市民の10万人を超える署名を経済団体が集め、提出したことは記憶に新しいと思います。
また、
全国レベルの機運醸成を進める横断的な組織体である
プロモーション委員会の活動に当たっても、その代表に札幌商工会議所の会頭が就任するなど、市と経済団体は一体となって招致を進めていると認識しています。
今後、市内の企業で働く現役世代へのアプローチを強化し、大会招致への理解を促進するためには、これまで以上に経済団体との連携を強め、取組を進めていくべきと考えます。
そこで、次の質問ですが、市内の機運醸成に向けた経済団体との連携強化について、今後どのように進めていくつもりなのか、伺います。
◎小泉
招致推進部長 経済界と連携した取組についてのご質問でございます。
大会の招致に当たりましては、札幌商工会議所が事務局を務めています
冬季オリンピック・
パラリンピック札幌招致期成会に札幌市も参加するなど、当初から経済界との連携を重視してまいりました。
昨年度は、招致期成会と連携しまして、市内経済界の要人と市長が大会の開催意義や
まちづくりにもたらす効果を語り合うシンポジウムを開催するなど、特に市内の機運醸成について共に取組を進めてきたところでございます。
また、経済界の大会への期待の高さといたしまして、委員からもご紹介をいただきました
冬季オリンピック・
パラリンピック招致サポーターズクラブによる署名活動に加えまして、招致実現に向けた要望書を79の団体からいただいたところでございます。
今後は、経済団体と協力いたしまして、加盟する企業への出前講座を新たに実施し、そこで働く皆さんに、大会開催の意義や運営費などについて理解を得る取組を進めてまいります。
さらに、新たに作成した招致ロゴや
ポスター等の
プロモーションツールをイベント時や関係施設の装飾に活用するなど、各団体が主体となり、様々な場面で招致をPRいただけるよう働きかけを強めてまいりたいと思っています。
◆竹内孝代 委員 最後に、
オリンピック・
パラリンピック招致に係る共生社会の実現に向けた取組について伺いたいと思います。
我が会派は、かねてより大会招致を契機としたバリアフリーの推進を強く要望してきたところであり、さきの代表質問においても、市民が肌で感じることのできる取組を早急に進めるべきと主張をさせていただきました。市長からは、都心や競技会場周辺エリアにおいて、新たな取組を優先的に進めるなど、ハード・ソフト両面から取組を加速させるとの方針が示されたところであります。
こうした取組は、大会時の
利便性向上に寄与するだけではなく、将来にわたって市民の財産になるものであることから、大会の開催時期に合わせて取り組むのではなく、今すぐにでも着手することが将来の
まちづくりのためであると思います。そして、効率的・効果的に事業を進めるためには、行政単独で進めるのではなく、民間企業や商店街、学生など、官民が一体となって取り組むことが必要です。
東京2020大会においても、行政がインフラのバリアフリー化を進めるのに合わせて様々な企業が独自の技術やノウハウを用いてバリアフリーに係る新たなサービスの開発、提供を行うようになり、学校教育や企業研修の場においても、障がい者理解に向けた取組が進められ、心のバリアフリーが広く浸透したと聞いております。
札幌においても、大会招致の早い段階から企業や地域を巻き込んだ取組が必要であると考えます。
そこで、質問ですが、共生社会の実現に向けて、どのように官民協働の取組を推進していくのか、お伺いいたします。
◎小泉
招致推進部長 共生社会の実現に向けた官民協働の取組についてのご質問でございます。
民間事業者や地域の協力を得るためには、大会招致の早い段階から具体的な目標を定め、それを共有することが重要であると考えております。
その上で、ホテルなどの民間施設や、バス、タクシーのバリアフリー化に対する支援の拡充を検討するなど、民間が協力しやすい素地をつくってまいります。
また、
オリンピック・
パラリンピックの世界への発信力を背景とした新たな技術やサービスの開発にも期待しているところでございまして、その先駆けとして、民間企業と共同で車椅子利用者の移動経路等を示すアプリ開発に着手したところでございます。
あわせて、学校や企業、商店街などと連携しながら、パラスポーツ体験や接遇研修等を通じて心のバリアフリーを促進するなど、地域と一体となった取組を推進してまいります。
◆竹内孝代 委員 早速進めていただいているということで、よろしくお願いいたします。
答弁をいただきましたこうした取組に加えて、世論の形成に当たって大きな影響を持つのは、新聞、テレビ、SNS等のメディアの分野であり、大会招致については、これまでもメディア各社が様々な報道を行っています。
この大会の招致は、雪国の大都市である本市の魅力と活力を高めるとともに、世界が目指すSDGsの理念を踏まえた共生社会の実現を加速させ、世界都市である札幌のさらなる飛躍のためには絶好の機会であります。このことをメディア業界の方々にもよくご理解をいただき、お持ちの発信力を発揮していただけるよう、本市による丁寧な関わりが必要であることを申し上げておきます。
今後の
開催地決定に向けては、住民の理解と賛同の拡大が特に重要であります。本日答弁で示していただきました様々な取組を力強く推進されていくよう求めまして、私の質問を終わります。
◆長屋いずみ 委員 私からも質問をさせていただきます。
先ほどの本会議にて、我が党が提出した2030北海道・札幌
オリンピック・
パラリンピック冬季競技大会招致に関する住民投票条例案が否決されました。我が党は、圧倒的に多くの市民の賛同がなければ成功はできないと考えております。
1点目は、北京五輪の直後に行った意向調査についてです。
本市が行った2014年11月の意向調査で、賛成、どちらかといえば賛成とした人は66.7%でした。2018年に、2026年招致を2030年招致へと変更しました。秋元市長は、さきの代表質問で、2026年招致の際から、様々な機会を通じて市民の声を把握し、議会とも議論を重ねながら招致活動を進めてきたところと、このように答弁されました。しかし、3月の意向調査で、市民の賛成、どちらかといえば賛成は52.2%です。
また、北海道新聞が行った市民に冬季五輪の賛否を尋ねた世論調査では、賛成、どちらかといえば賛成と答えた人は、2020年は55%、2021年は48%、2022年、今年は42%と下がっています。一方で、反対、どちらかというと反対と答えた人は、2020年は43%、2021年は50%、2022年は57%と増えています。8年間、様々な機会を通じて市民にアピールしてきたはずですが、市民意識は高まっていません。
賛成意見が低下していることをどのように受け止めておられるのか、まずお伺いいたします。
◎小泉
招致推進部長 賛成割合が低下していることについての受け止めということでございます。
今回の調査における反対の主な理由を見ますと、大会経費の増嵩に伴う市民負担への懸念、新型コロナウイルスに対する先行きの不透明感、雪対策をはじめとするその他の施策に注力してほしいというような理由が挙げられています。2014年のアンケートと比べまして賛成割合が低下したことは、こうした要因が影響したのではないかというふうに推察しているところでございます。
今回の調査では、郵送、インターネット、街頭という三つの手法全てにおいて過半数の支持が得られた一方、年代を問わず一定の反対の声があることは真摯に受け止めまして、今後も市民の皆様と丁寧な対話を重ねながら、反対の方が抱いている不安や懸念を払拭するための取組を進めてまいります。
◆長屋いずみ 委員 払拭していくということでした。しかし、67%が52%です。下がっていることを重く受け止めるべきです。また、意向調査については、回答をゆがめるおそれがある手法だと専門家や朝日新聞などは社説で指摘しておりました。公正さに欠けていても賛成は下がっていたということです。
また、コロナ感染症、そしてウクライナ情勢、さらに物価の高騰と、社会情勢は劇的に変わっております。意向調査の反対の理由では、ほかの施策に注力してほしい、これが最多でした。このような声に真摯に向き合っていただきたいと思います。
2点目は、市民が危惧する経費の問題です。
先ほども出ておりました、広報さっぽろ6月号に、
オリンピック・
パラリンピックの経費解説ということで、先ほど部長もおっしゃられました前編が掲載されておりました。
施設整備費、札幌市の負担分約450億円の算出の前提条件をどのように見込んでいるかという説明でした。物価上昇率は0.4%、2030年までの9年分を乗じて計算しているとしております。消費者物価指数は、4月時点で2.5%まで上昇し、6倍です。
施設整備費だけではなく、運営費、さらに、本市の公共工事全般にも影響を及ぼすような事態にもなるのではないかと懸念します。さらに経費が膨らむ可能性はないのか、伺います。
◎小泉
招致推進部長 今後、経費が膨らむ可能性についてのご質問でございます。
大会概要(案)でお示しした経費につきましては、増加した後の東京大会の予算を参考にしながら、IOCと対話を重ね、現状で可能な限り必要な経費を見込んだものでございます。その中では、一定の物価上昇分についても見込んでおりまして、現状においては大幅な経費の増嵩はないものというふうに認識しております。
ただし、建設資材の高騰など、今後予期できない物価上昇に対しましては、
施設整備費につきましては、その都度、経済状況等を把握しながら、市民の負担が増えないよう検討するとともに、
大会運営費につきましては、得られる収入の範囲の中で対応をしてまいります。
◆長屋いずみ 委員 得られる収入の中でとおっしゃいました。ただ、厳しい状況だということを指摘しておきたいと思います。
1960年以降の五輪は、全て関連費用が予算を超過し、平均で2倍以上にもなったとの大学研究もありました。東京大会の場合もほぼ倍です。不安定な社会情勢だからこそ、多くの市民が費用負担を心配するのは当然であり、福祉灯油も実施しない、大雪対応不十分、市民への施策が不十分な中で、多額の公共事業を伴う五輪へ突き進むことに対して、本日の陳情者のように市民は懸念をされていると申し上げて、質問を終わります。
○
村上ゆうこ 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
村上ゆうこ 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
ここで、陳情第141号の取扱いについてお諮りいたします。
取扱いは、いかがいたしますか。
(「採決」と呼ぶ者あり)
○
村上ゆうこ 委員長 それでは、陳情第141号について、本日結論を出すことにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○
村上ゆうこ 委員長 異議なしと認め、陳情第141号については、本日結論を出すことといたします。
それでは、討論を行います。
◆三神英彦 委員 自由民主党を代表し、当委員会に付託された陳情第141号 2030年札幌市
冬季オリンピック・
パラリンピック招致活動を止めることを求める陳情について不採択とすべき立場で、討論を行います。
オリンピック・
パラリンピック競技大会は、本来、世界の人々の相互理解と友好親善を推進する世界最大のスポーツ・文化の祭典であり、だからこそ、今、この原点に立ち返って行われるべき大会であると認識しています。
札幌での開催は、スポーツ振興、国際交流の促進はもとより、青少年の育成ですとか、大会そのものや関連する投資を通じた経済効果の狙いなど、本市が、未来に向けて、未来の人たちに向けて、札幌の魅力や機能を新たな次元に高め、冬の生活を具現化する国際都市としてさらに飛躍していくためのレバレッジとして絶好なものであると捉えます。こうした考えの下で、本市議会においても議論を重ね、3月の
市民意向調査の結果なども踏まえて、議会として総合的に判断して招致の決議を行ったところです。
我が会派としては、さきの招致決議に対し、しっかり責任を持って向き合うことが幅広く市民に対する議員としての責務だと認識しており、そのためには、少しでも多くの方に
オリンピック・
パラリンピック招致が本市の将来に向けた飛躍のために絶好の機会なのだということを理解していただけるよう努めていくことが重要だと考えます。
市役所に対しては、このオリパラ招致が市政向上の絶好の機会だからこそ、市民などから、ほかにやるべきことがあるだろうだったりだとか、やっていないことがあるだろうだとかという指摘がされることがないように、
オリンピック・
パラリンピックの案件のみならず、全施策において、全局挙げて市民の信頼を得るためのさらなる研さんをしっかりと取り組んでいただくよう求めます。
その一方で、陳情第141号が求めている2030年札幌
冬季オリンピック・
パラリンピック招致活動をやめることについては、ここまで述べた経緯、市議会の経緯、会派の考え方などから、不採択とすべきものと考えます。
以上を申し上げまして、討論を終わります。
◆恩村健太郎 委員 私は、民主市民連合を代表して、本委員会に付託されました陳情第141号 2030年札幌市
冬季オリンピック・
パラリンピック招致活動を止めることを求める陳情については不採択とすべきとの立場で、討論いたします。
札幌市が目指す2030
冬季オリンピック及び
パラリンピック競技大会の招致は、激動する世界情勢の下、その開催の意義、役割は大きなものがあると考えます。
また、
オリンピック憲章が掲げる世界平和への実現と地球環境の保全に大きく寄与するものであり、札幌市にとっても、今後のスポーツ振興、青少年の育成や地域経済の発展をもたらし、冬季スポーツを牽引する国際都市として、未来を担う
子どもたちに希望と誇りを与えるものと考えます。
札幌市は、当初、2026年大会の招致を目指していましたが、2018年の北海道胆振東部地震の影響、さらには、北海道新幹線の札幌延伸や札幌駅周辺の再開発の計画を踏まえ、2030年大会の招致へと方針を転換しました。
札幌
冬季オリンピック・
パラリンピック開催概要計画では、
冬季オリンピック・
パラリンピック大会という世界的なイベントをアジア最高峰、世界屈指のスノーリゾートの形成に向けたインフラ整備に活用することが掲げられています。
また、2030年以降の大会には、温室効果ガスの削減量が排出量を上回ることが求められています。大会の開催を契機に、再生可能エネルギー利活用の社会実験や、新たな環境技術の導入、森林等の自然環境保全を推進するなど、2030年までに温室効果ガス排出量を減らし、将来的には実質ゼロといったような成果を上げることができれば、札幌発の環境レガシーを世界に広めることができます。
我が会派は、札幌市が行った意向調査において、好意的な評価が過半数を超え、
子どもたちの夢や札幌の将来への貢献などを期待する道民・市民の声を受け、さきの第1回定例市議会において採択された2030札幌市
冬季オリンピック・
パラリンピック競技大会の北海道・札幌招致に関する決議に賛成し、招致を目指す意思を表明したところです。
一方、費用負担などの面から不安を抱く市民の声があることも事実です。大会に過大な期待を寄せ、実現が不可能な巨大な経済効果を信じて、必要以上に豪華な施設建設や過剰な公共事業を行うと、それが負の遺産として長期間にわたって都市財政を苦しめることになります。将来にわたり持続可能な
まちづくりを進める上でも、身の丈に合った事業を行うことが大会後の経済効果にも波及するものと考えます。
つきましては、陳情141号は不採択としますが、市民の多様な声を真摯に受け止め、今後も、引き続き、大会のコンセプトや開催経費の考え方を丁寧に説明し、理解を求めることが肝要です。大会招致の意義や考え方と将来の
まちづくりについて市民と共有し合うことが招致機運の醸成になると確信しまして、私の討論を終わります。
◆竹内孝代 委員 私は、公明党議員会を代表して、陳情第141号 2030年札幌市
冬季オリンピック・
パラリンピック招致活動を止めることを求める陳情については不採択とする立場で、討論を行います。
少子高齢化社会の到来による人口構造の変化は、働き手の減少を招き、まちの経済規模の縮小にもつながる可能性があるほか、高齢者割合の上昇に伴う福祉的経費の増加など、将来にわたり札幌市が発展を続けていくために解決すべき課題は山積しております。
その上で、陳情者からの説明にもありました都市インフラの整備をはじめ、除排雪や福祉等、市民生活を支える行政サービスを将来にわたり持続させていくことは、行政にとっての重要課題であると認識しております。
また、昨今直面しております新型コロナウイルス感染症への対応をはじめ、北海道全域が未曽有の被害に見舞われた北海道胆振東部地震など、市民生活の安定に大きな影響をもたらす不測の事態への備えについても、行政にとって大切な課題であると考えております。
招致に反対される市民の方々が懸念をされているこうした市民生活に直結する課題を解決する取組を着実に進めていくためには、まちが発展し、財源を生み出すとともに、活力のある札幌のまちを持続させていくことが重要であり、札幌市が目指す2030北海道・札幌
オリンピック・
パラリンピック冬季競技大会は、まさにそうした
まちづくりを加速させるものであると考えております。
特に、先ほどの質疑でも取り上げましたとおり、大会準備の中でインフラのバリアフリー化が進むほか、
パラリンピックの開催を通じた障がい者理解の促進により、心のバリアフリーが大きく進展することで、市民の誰もが暮らしやすい共生社会の実現を推し進めるものであり、大会招致推進は重要な取組であると考えます。
招致の推進に当たっては、3月、市民・道民を対象に意向調査を実施し、道内他市町村や若い世代から多くの賛同を集め、札幌市民からも過半数を超える賛成を得たほか、経済団体等からも招致を望む要望や多くの署名が寄せられ、本市の
まちづくりを支える各業界からの賛同も得ているものと判断をしております。
そうしたことからも、陳情者をはじめ、招致に反対である市民の方々の不安や懸念を払拭できるよう、本市は、今後より一層、市民に寄り添った丁寧な説明機会を設けて理解を広げることが非常に重要であると考えます。
札幌市議会は、令和4年度第1回定例会で、2030年
冬季オリンピック・
パラリンピックの北海道・札幌招致に関する決議を可決いたしました。これは、様々な形式で行ってきた市民対話をはじめ、
調査特別委員会の設置による調査と議論、長年にわたる議会議論を経て、市が行った意向調査を踏まえて、大会の意義と目的を議会として示した決議であります。