また、肥料のやり方につきましても、必要な場所だけに肥料を使用する局所施肥などの技術もございますので、このような技術の普及に取り組むとともに、長期的な視点では、県内の養鶏場から生じる鶏ふん堆肥等の利用により化学肥料の使用量を削減することができますので、JAをはじめ、関係団体と力を合わせまして耕畜連携の取組も進めてまいりたいと考えております。
7:
◯要望(
山口委員) 最後に、世界情勢の先行きが不透明な中、農業生産現場では、肥料価格のさらなる高騰に対する不安が大きくなっています。今後も価格動向をしっかりと把握し、適切な支援を継続するとともに、より長期的な視点で、農家への堆肥の利用促進など化学肥料の低減に向けた取組を積極的に支援していただくことを要望して終わります。
8:
◯質疑(
尾熊委員) 学校給食用牛乳価格調整緊急対策事業についてです。県内には約100の酪農事業者がある中、この事業の対象となるのは、生産者である酪農事業者だけで、販売業者や中間業者は含まれていないのでしょうか。
また、今回の補助率は定額で1本200ミリリットル当たり2円補助とありますが、経営規模に関係なく、本数に対する一律の補助となるのか、お伺いします。
9:
◯答弁(
総括官(
農水産
振興)) 本県の学校給食用牛乳につきましては、生乳生産量全体の約2割を占めておりますが、特定の酪農事業者が生産する生乳を供給しているわけではなく、県内で生産された生乳をプールし、その中から必要な量を学校給食用牛乳として供給しているため、全ての酪農事業者を対象にする一方、販売業者、中間業者は含んでおりません。
また、個々の酪農事業者に対する支援額につきましては、県全体の生乳生産額に占める事業者の生産量の割合と同じ割合で学校給食へも供給されるとの考え方で、それぞれの供給量を算出し、1本200ミリリットル当たり2円を支援することとしており、経営規模に比例して支援される仕組みとなっております。
10:
◯質疑(
尾熊委員) 酪農事業者にとっては一般的な牛乳消費の落ち込みの影響もあり、飼料高騰による生産コストの上昇分を価格転嫁することが難しいとお聞きしておりますが、この事業における1本当たり2円の補助額の根拠についてお伺いします。
11:
◯答弁(
総括官(
農水産
振興)) スーパーマーケットなどで販売される一般品用向けの生乳につきましては、生産者団体と乳業メーカーとの交渉により、今年11月から、1キログラム当たり10円値上げされておりますが、学校給食用牛乳向けの生乳につきましては対象となっておりませんでした。このため、学校給食用牛乳向けの生乳価格につきましても1キログラム当たり10円を支援したいと考え、1本200ミリリットル牛乳に換算し、2円の支援としたところでございます。
今年11月~来年3月までの間に供給される学校給食用牛乳を約2,000万本と見込み、支援額の4,000万円と事務費の50万円の合計4,050万円を予算要求したところでございます。
12:
◯質疑(
尾熊委員) 飼料に加え、資材や燃料、物流コストが高騰する中、支援額4,000万円を100事業者で単純に割ると1事業者につき、1か月当たり8万円の補助ということになりますが、本当に酪農事業者にとって効果のある支援になるのか、お伺いします。
13:
◯答弁(
総括官(
農水産
振興)) 円安や物価高騰に伴う経営支援につきましては、まず、配合飼料には国の価格安定制度による補填に加え、県でも6月及び9月補正予算により補填の追加支援、生産者負担金の軽減などを実施しているところでございます。また、粗飼料等の高騰には、国において国産粗飼料利用拡大緊急酪農対策が措置されており、コスト上昇分の一部が補填されております。
これらに加えまして、11月からの一般向け乳価の改定と、今回の学校給食用牛乳の支援により、県内の標準的な規模、約50頭規模の酪農事業者1戸につき、1か月当たり約30万円の収入増加となり、一定程度の影響緩和ができるものと考えております。今後の情勢も見極めながら酪農経営の安定に向けた支援について検討してまいりたいと考えております。
14:
◯質疑(
尾熊委員) 先ほど、市販用の乳価の引上げはされているとの説明がありましたが、なぜ給食用の牛乳は据置きなのか疑問に思います。6月補正予算で地方創生臨時交付金を使って、学校給食用の食材高騰等に伴う保護者の負担軽減が措置されておりますが、給食用牛乳の価格に転嫁できなかったのか、給食用の牛乳価格の状況についてお伺いします。
15:
◯答弁(
総括官(
農水産
振興)) 先ほども申し上げましたように、一般用の飲用生乳につきましては生産者団体と乳業メーカーによる交渉で、今年11月から1キログラム当たり10円値上げされておりますが、学校給食用牛乳につきましては年間を通じて安定的に供給する必要があるため、毎年度、県が乳業メーカーから見積りを徴取し、当該年度分の供給価格を決定する仕組みが国において定められており、期中における価格改定が困難であったことから、学校給食用の生乳価格は据え置かれたという状況でございます。
また、教育委員会で取り組まれております学校給食用食材高騰に対する負担軽減につきましては、牛乳の価格は変わっていないことから、対象には含まれておりません。今回、酪農事業者へ1キログラム当たり10円の支援となるよう措置するため、補正予算を提案させていただいたところでございます。
16:
◯意見・
質疑(
尾熊委員) 酪農事業者をこのたびの事業のような形で支援することも必要な施策と思いますが、国と連携し、生産コストの変動に応じた価格設定の仕組みづくりについても検討していただきたいと思います。
給食からは離れますが、酪農事業者にとっては、牛乳の消費の落ち込みも影響が大きいと思います。JA全農でも酪農事業者を応援するため、全国で牛乳を飲もうキャンペーンを実施し、13会場で無償配布を行っているようです。生産コスト上昇分への支援に加えて、牛乳の消費拡大に向けたPRなどに対する支援も必要かと思いますが、いかかでしょうか。
17:
◯答弁(
総括官(
農水産
振興)) 県の消費拡大支援としては、微力ではございますが、県のホームページやフェイスブック、ツイッターといったSNSを活用した消費拡大PRを消費が低迷する時期を中心に実施しているところでございます。
また、6月1日が世界牛乳の日、6月が牛乳月間と定められており、これに合わせて広島県牛乳普及協会が知事を表敬訪問され、マスコミ等を通じた情報発信に一体的に取り組んでおります。
さらに、広島県牛乳普及協会では牛乳・乳製品料理コンクールや児童牛乳ポスターコンクール、食育推進活動などを行っており、これらについても連携して取り組んでいるところでございます。
県といたしましては、引き続き消費が低迷する年末年始などを中心に、地産地消の取組も含め、JAグループ等と連携しながら牛乳、乳製品の消費拡大を図ってまいりたいと考えております。
18:
◯要望(
尾熊委員) これからも酪農事業者が安心して経営できるよう、牛乳や乳製品の消費拡大に係る業界団体が行う広報などの取組について積極的に支援していただくことを要望して終わります。
(6) 表決
県第92号議案外2件(一括採決) … 原案可決 … 全会一致
(7) 当局説明(一般所管に係る報告事項の説明)
1) 食品安全安心担当監が報告事項(1)について、別紙資料1により説明した。
2) ため池・農地防災担当課長が報告事項(2)について、別紙資料2により説明した。
(8)
一般所管事項に関する
質疑・応答
19:
◯質疑(
山口委員) 高病原性鳥インフルエンザについて、今年は過去最多のペースで、全国各地で確認されております。農林水産省の家禽疾病小委員会では、全国的に過去に類を見ないほどに感染リスクが高い状況にあることを認識し、最大限の警戒感を持って対応すべきとの緊急提言をまとめ、自治体や養鶏関係者、住民も含めて地域が一体となって蔓延防止対策を徹底することを呼びかけております。
11月18日の
農林水産委員会において、県内での発生に備えた緊急消毒についての説明がありましたが、飼養農場における消石灰の散布状況についてお伺いします。
20:
◯答弁(
総括官(
農水産
振興)) 今シーズンは、国内で過去最も早い10月下旬から高病原性鳥インフルエンザが発生しており、12月14日時点で既に17道県、34事例もの発生が認められております。本県では、今シーズン国内初の発生が認められた時点で緊急消毒実施の準備を始め、100羽以上の家禽飼養者103戸に対し、11月14日から消石灰の配付を開始し、12月8日には全戸で散布が終わったことを確認しております。引き続き、飼養衛生管理基準の遵守を指導するとともに、消石灰等による定期的な消毒についても徹底してまいりたいと考えております。
21:
◯質疑(
山口委員) 発生防止には万全を期していただきたいと考えますが、もし県内で発生した場合、対応のための予算はしっかりと確保しているのか、お伺いします。
22:
◯答弁(
総括官(
農水産
振興)) 万が一、県内で発生した場合の予算措置につきましては、発生時の迅速な対応を可能とするため、初動対応に必要な炭酸ガスボンベをはじめとする防疫資材の備蓄については、当初予算で確保しているところでございます。
なお、その後の蔓延防止としての現地作業、例えば焼却、埋却作業や消毒ポイントの管理など、業者への業務委託や移動制限に伴う周辺農場の損失補償など事業者支援に必要な予算につきましては、発生農場の規模や移動制限区域、搬出制限区域内に含まれる家禽飼養農場数によって大きく異なることから、予備費や補正予算により確保することとしており、防疫措置に支障が出ることのないよう速やかに対応してまいりたいと考えております。
23:
◯要望(
山口委員) 今後も鳥インフルエンザの発生予防に努めるとともに、発生した場合に備え、蔓延防止対策を迅速、円滑に実施できるよう事前準備を徹底していただくこと、また、発生時おいては国とも連携し、影響を受けた周辺農場を含め、しっかりと支援していただくことを要望して終わります。
24:
◯質疑(
尾熊委員) ため池総合対策についてです。福山市内では、ため池の低水位管理や埋め立てて廃止するといった対策が進んでおり、本当に頑張っていただいていることに感謝しております。
一方で、届出の状況を見ると農業用ため池は80.3%、防災重点ため池は96.7%となっておりますが、届出の進捗について、どのように受け止めているのでしょうか。
25:
◯答弁(ため池・農地防災担当課長) 届出のないため池は、現在約3,000か所ございますが、航空写真による位置調査で位置が確認できたものが約3割、宅地化や森林化などにより現在消失しているものが約3割、航空写真では確認できず継続調査中のものが約4割となっております。
なお、位置が確認できたものでも、農地が利用されておらず管理者が不在であるものや、共有地となっていて誰が代表者になるか調整が進まないことなどにより、届出に至っていない状況もあると分析しております。
26:
◯質疑(
尾熊委員) 所有者不明のため池等では調査など様々な御苦労があるかと思います。そういった所有者不明のため池を廃止するのか、また農業用として存続するのか、市町との調整とともに調査を継続し、令和5年度末までに完了するべく作業を進めるとのことですが、作業完了の時期を来年の取水時期に前倒しすることは考えていないのか、また、診断の進捗への影響はあるのか、お伺いします。
27:
◯答弁(ため池・農地防災担当課長) 防災重点ため池につきましては、安全確保のための低水位管理などの適正な管理を、市町やため池支援センターと連携しつつ、遅くとも来年の取水期までに届出を終えることができるよう進めてまいります。診断につきましては、全ての位置が判明していることから、計画どおり令和5年度中に完了できる見込みでございます。
その他のため池につきましては、本年度内に存在の有無を確認し、令和5年度末を目途に、市町と連携しながら管理者の把握や届出を促してまいります。
28:
◯質疑(
尾熊委員) 届出と診断の状況が浸水想定区域図の公表時期に関係するのか、お伺いします。
29:
◯答弁(ため池・農地防災担当課長) 届出や診断の状況にかかわらず、迅速な避難行動につなげていただくことを優先して、一定の条件で決壊した場合の浸水想定区域図につきましては、県のホームページで昨年6月までに公表しているところでございます。
それとは別に、届出状況につきましては、ため池管理保全法に基づき、ため池の名称、位置、諸元などと併せ、広島県農業用ため池のデータベースとして県のホームページで公表済みです。また、診断結果につきましては、管理者等への情報提供や説明を終えておりますので、速やかに県のホームページで公表する予定としております。
30:
◯要望・
質疑(
尾熊委員) 既に県で把握できているため池については、県のホームページで公表し、管理者へ結果を説明済みとのことですけれども、未届けのものもあるようですので、利用実態の把握に努めていただきたいと思います。
また、防災重点ため池の診断については、令和3年度分の2,613か所の状況が示されましたが、耐震診断そのものが23か所しか実施されていない中での、耐震診断C判定が10か所ということです。劣化診断や豪雨診断と比較して、耐震診断は進捗が遅れているのではないかと思うところですが、耐震診断の遅れの理由とともに、23か所のうち10か所でC判定となっている結果についての受け止めをお伺いします。
31:
◯答弁(ため池・農地防災担当課長) 近年、豪雨災害が度々発生していることから、防災重点ため池については豪雨や劣化の診断を優先して行っております。耐震診断につきましては、調査期間や費用がかかるため、下流の状況などから優先的に行うものを選定して順次進めているところでございます。また、耐震診断の対象は、これまでの改修履歴なども考慮しながら選定しているため、築造年代の古いため池が比較的多く、これらは近代の設計基準や施工技術で築造されていないことから、C判定になるものが多い傾向にあると分析しております。
32:
◯質疑(
尾熊委員) こういったC判定の危険なため池について、すぐに対策を講じることが難しいということは当然理解するのです。その中で、パトロールや地元の方への簡易補修の研修指導に当たる広島県ため池支援センターについては、スマートフォンや遠隔監視などにより管理強化を図るとのことでありますが、人員体制の拡充予定はないのか、お伺いします。
33:
◯答弁(ため池・農地防災担当課長) 広島県ため池支援センターは、現在、広島県土地改良事業団体連合会の本部に3名、県内3つの事業所に2名ずつ、合計9名で業務を行っております。今後、ため池診断の結果を受け、管理者等への研修会や現地パトロールが必要な箇所の増加が見込まれることから、国に国庫補助事業の上限額の引上げを要望するなど、体制強化について検討しているところでございます。
34:
◯要望(
尾熊委員) 広島県は全国で2番目にため池が多く、福山市ではため池の決壊によって亡くなった方もいらっしゃいます。100%の届出完了はもとより、対策にもしっかり取り組みつつ、国に予算要望するなどパトロールを担う広島県ため池支援センターの体制強化にも取り組んでいただくことを要望して終わります。
35:
◯質疑(小林委員) みどりの食料システムについて、環境負荷を低減する取組が必要ということは理解しますが、県が市町と連携して基本計画を作成するとなっており、国の役割や支援については言及していません。一体、国は何を考えているのか、お伺いします。
36:
◯答弁(食品安全安心担当監) 国は、2050年のCO2ゼロエミッション化に向け、みどりの食料システム戦略を策定しました。その上で、例えば化学肥料・農薬の使用量の削減、CO2やメタンガスといった温室効果ガスの抑制、そのほかプラスチックごみの削減といった環境負荷の低減を図るため、みどりの食料システム法において認定制度を創設し、農林漁業者の積極的な取組を促そうとしているところでございます。
37:
◯質疑(小林委員) 要するに、国は金を出す気はないということですか。
38:
◯答弁(食品安全安心担当監) この認定制度には、補助金といったものはございません。農林漁業者が活動に必要な機械等を購入した際に、税制の優遇を受けられる、あるいは借金の償還期間の延長のほか、国の他の事業において優先的に採択されるといったメリットがあると聞いております。
39:
◯要望(小林委員) 県内23市町の協力を得て計画を作成することはできても、現場は動かないと思います。簡単にCO2の削減、化学肥料の削減と言いますが、結果的に絵に描いた餅になると思います。作成すればいいのではなく、慎重に取り組まないといけないと思います。国が汗をかかないといけないのに、何もしないのだから、こんなものは作成できませんと突き返すような類のばかげた話です。市町は、県に言われたら仕方がないということになるかもしれませんが、現場が迷わないように進めなければ、独り歩きして大変なことになります。乳牛、和牛豚、鶏のふん尿をどうするのか、簡単に計画で表すのは難しいです。広角的に適用できるかどうか認識した上でやらなければなりません。私は慎重になるべきだと要望します。
種子の管理についてですが、種子法がなくなって、広島県を含めて32道県が条例を制定しています。広島県は、このたびジーンバンクを廃止して、広島県に有用な品種は東広島市の農業技術センターで管理し、その他の品種は農研機構でナンバリングした上で管理してもらう形に変更するとお聞きしておりますが、これはすばらしい取組だと思っております。ただ、県民からジーンバンクの廃止による心配事について相談を受けると、県民は引き続き農業技術センターや農研機構で種子が管理されることまで知らないのです。もう少し県民に丁寧な説明をしてください。
(9) 陳情については、別紙「陳情送付表」を配付した。
(10)閉会 午前11時28分
発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...