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  1. 埼玉県議会 2020-02-01
    02月26日-02号


    取得元: 埼玉県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-06
    令和 2年  2月 定例会二月定例会  第七日(二月二十六日)令和二年二月二十六日(水曜日)第七日 議事日程 一 開議  午前十時 二 諸報告  (1) 監査委員意見回答     第二十四号議案及び第二十八号議案  (2) 人事委員会意見回答     第三十六号議案  (3) 地方自治法第百八十条第二項の規定に基づく専決処分 三 知事追加提出議案の報告、一括上程    第五十二号議案~第七十三号議案 四 知事の提案説明 五 知事提出議案(第五十一号議案を除く。)に対する質疑並びに県政に対する質問(代表)    八十七番  小島信昭議員 六 特別委員会の設置    5か年計画等特別委員会 七 5か年計画等特別委員の選任 八 5か年計画等特別委員会正副委員長の互選結果報告 九 知事提出議案(第五十一号議案を除く。)に対する質疑並びに県政に対する質問(代表)(続行)    四十八番  岡 重夫議員 十 知事提出急施議案(第五十一号議案)に対する質疑 十一 知事提出急施議案(第五十一号議案)の各委員会付託 十二 次会日程報告     二月二十七日(木) 午前十時開議、質疑質問(代表)続行 十三 散会          ----------------本日の出席議員    九十名         一番  金野桃子議員         二番  岡村ゆり子議員         三番  平松大佑議員         四番  柿沼貴志議員         五番  高橋稔裕議員         六番  逢澤圭一郎議員         七番  山口京子議員         八番  千葉達也議員         九番  渡辺 大議員         十番  松井 弘議員        十一番  高木功介議員        十二番  深谷顕史議員        十三番  白根大輔議員        十四番  町田皇介議員        十六番  八子朋弘議員        十七番  杉田茂実議員        十八番  江原久美子議員        十九番  中川 浩議員        二十番  宮崎吾一議員       二十一番  関根信明議員       二十二番  木下博信議員       二十三番  藤井健志議員       二十四番  美田宗亮議員       二十五番  吉良英敏議員       二十六番  松澤 正議員       二十七番  橋詰昌児議員       二十八番  辻 浩司議員       二十九番  東間亜由子議員        三十番  守屋裕子議員       三十一番  松坂喜浩議員       三十二番  並木正年議員       三十三番  石川忠義議員       三十四番  宇田川幸夫議員       三十五番  浅井 明議員       三十六番  飯塚俊彦議員       三十七番  横川雅也議員       三十八番  内沼博史議員       三十九番  岡田静佳議員        四十番  細田善則議員       四十一番  永瀬秀樹議員       四十二番  安藤友貴議員       四十五番  前原かづえ議員       四十六番  秋山文和議員       四十七番  井上 航議員       四十八番  岡 重夫議員       四十九番  醍醐 清議員        五十番  日下部伸三議員       五十一番  小久保憲一議員       五十二番  立石泰広議員       五十三番  新井 豪議員       五十四番  荒木裕介議員       五十五番  岡地 優議員       五十六番  白土幸仁議員       五十七番  小川真一郎議員       五十八番  権守幸男議員       五十九番  萩原一寿議員        六十番  水村篤弘議員       六十一番  高木真理議員       六十二番  村岡正嗣議員       六十三番  鈴木正人議員       六十四番  武内政文議員       六十五番  中野英幸議員       六十六番  須賀敬史議員       六十七番  新井一徳議員       六十八番  梅澤佳一議員       六十九番  中屋敷慎一議員        七十番  木下高志議員       七十一番  諸井真英議員       七十二番  杉島理一郎議員       七十三番  齊藤邦明議員       七十四番  塩野正行議員       七十五番  蒲生徳明議員       七十六番  山本正乃議員       七十七番  木村勇夫議員       七十八番  柳下礼子議員       七十九番  神尾高善議員        八十番  岩崎 宏議員       八十一番  高橋政雄議員       八十二番  田村琢実議員       八十三番  小林哲也議員       八十四番  本木 茂議員       八十五番  宮崎栄治郎議員       八十六番  齊藤正明議員       八十七番  小島信昭議員       八十八番  小谷野五雄議員       八十九番  長峰宏芳議員        九十番  石渡 豊議員       九十一番  西山淳次議員       九十二番  浅野目義英議員       九十三番  田並尚明議員   欠席議員    三名        十五番  秋山もえ議員       四十三番  山根史子議員       四十四番  井上将勝議員地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   大野元裕  知事   奥野 立  副知事   飯島 寛  副知事   石川英寛  企画財政部長   北島通次  総務部長   小島康雄  県民生活部長   森尾博之  危機管理防災部長   小池要子  環境部長   知久清志  福祉部長   関本建二  保健医療部長   加藤和男  産業労働部長   牧 千瑞  農林部長   中村一之  県土整備部長   和栗 肇  都市整備部長   上木雄二  会計管理者   立川吉朗  公営企業管理者   岩中 督  病院事業管理者   砂川裕紀  下水道事業管理者   小松弥生  教育長   高木紳一郎 警察本部長             発言(質問)通告書  二月二十六日(水)議席番号 氏名      要旨 答弁者八十七番 小島信昭議員  1 知事公約の進め方について 知事             2 豪雨災害への対応について 知事             3 感染症対策について 知事             4 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの成功に向けて 知事             5 超スマート社会の実現 知事              (1) スマート農業の普及に向けて              (2) スマート行政の推進に向けて             6 職員の適正規模と確保策について 知事             7 埼玉高速鉄道線延伸について 知事             8 医療体制の強化について 知事             9 食品ロス削減に向けて 知事四十八番 岡 重夫議員  1 令和二年度の埼玉県一般会計当初予算案について 知事             2 埼玉県の危機管理体制の見直しについて 知事              (1) 危機管理の要諦について              (2) 埼玉県危機管理指針の見直し              (3) 国民保護に関する埼玉県計画の見直し              (4) 埼玉県地域防災計画の見直し             3 下水道BCPについて 下水道事業管理者             4 二〇二〇オリンピック・パラリンピック成功に向けたテロ対策・COVID-19(新型コロナウィルス感染症)の感染拡大防止対策について              (1) テロ対策 知事 警察本部長              (2) COVID-19(新型コロナウィルス感染症)の感染拡大防止対策 知事             5 教職員のわいせつ・セクハラ行為根絶に向けた取組について 教育長             6 高等学校防災拠点施設について 知事 教育長             7 児童虐待防止に向けた取組について 知事             8 スマート農業の推進について 知事          ----------------午前十時三分開議 出席議員    九十名     一番    二番    三番    四番     五番    六番    七番    八番     九番    十番   十一番   十二番    十三番   十四番   十六番   十七番    十八番   十九番   二十番  二十一番   二十二番  二十三番  二十四番  二十五番   二十六番  二十七番  二十八番  二十九番    三十番  三十一番  三十二番  三十三番   三十四番  三十五番  三十六番  三十七番   三十八番  三十九番   四十番  四十一番   四十二番  四十五番  四十六番  四十七番   四十八番  四十九番   五十番  五十一番   五十二番  五十三番  五十四番  五十五番   五十六番  五十七番  五十八番  五十九番    六十番  六十一番  六十二番  六十三番   六十四番  六十五番  六十六番  六十七番   六十八番  六十九番   七十番  七十一番   七十二番  七十三番  七十四番  七十五番   七十六番  七十七番  七十八番  七十九番    八十番  八十一番  八十二番  八十三番   八十四番  八十五番  八十六番  八十七番   八十八番  八十九番   九十番  九十一番   九十二番  九十三番 欠席議員    三名    十五番  四十三番  四十四番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(奥野) 副知事(飯島)   企画財政部長   総務部長    県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長    福祉部長   保健医療部長   産業労働部長  農林部長   県土整備部長   都市整備部長  会計管理者   公営企業管理者  病院事業管理者   下水道事業管理者 教育長     警察本部長 △開議の宣告 ○神尾高善議長 ただ今から、本日の会議を開きます。          ---------------- △諸報告 △監査委員意見回答(第二十四号議案及び第二十八号議案) ○神尾高善議長 この際、諸般の報告をいたします。 まず、本定例会に知事から提出された議案のうち、第二十四号議案及び第二十八号議案について監査委員に意見を求めておきましたところ、回答がありましたので、お手元に配布しておきましたから、御了承願います。〔参照-(四六一)ページ〕          ----------------人事委員会意見回答(第三十六号議案) ○神尾高善議長 次に、本定例会に知事から提出された議案のうち、第三十六号議案について人事委員会に意見を求めておきましたところ、回答がありましたので、お手元に配布しておきましたから、御了承願います。〔参照-(四六二)ページ〕          ---------------- △地方自治法第百八十条第二項の規定に基づく専決処分 ○神尾高善議長 次に、知事から専決処分の報告がありましたので、お手元に配布しておきましたから、御了承願います。〔参照-(四五一)ページ〕          ----------------知事追加提出議案の報告 ○神尾高善議長 知事から議案の追加提出がありましたので、御報告いたします。 議事課長に朗読させます。       〔議事課長朗読〕 財第五百二十五号  令和二年二月二十六日 埼玉県議会議長  神尾高善様                        埼玉県知事  大野元裕        県議会付議議案について 本議会に付議する議案を次のとおり提出いたします。 第五十二号議案 令和元年度埼玉県一般会計補正予算(第七号) 第五十三号議案 令和元年度埼玉県公債費特別会計補正予算(第一号) 第五十四号議案 令和元年度埼玉県証紙特別会計補正予算(第一号) 第五十五号議案 令和元年度埼玉県市町村振興事業特別会計補正予算(第一号) 第五十六号議案 令和元年度埼玉県災害救助事業特別会計補正予算(第二号) 第五十七号議案 令和元年度埼玉県国民健康保険事業特別会計補正予算(第二号) 第五十八号議案 令和元年度埼玉県就農支援資金貸付事業特別会計補正予算(第一号) 第五十九号議案 令和元年度埼玉県用地事業特別会計補正予算(第一号) 第六十号議案 令和元年度埼玉県県営住宅事業特別会計補正予算(第二号) 第六十一号議案 令和元年度埼玉県高等学校等奨学金事業特別会計補正予算(第一号) 第六十二号議案 令和元年度埼玉県公営競技事業特別会計補正予算(第一号) 第六十三号議案 令和元年度埼玉県工業用水道事業会計補正予算(第一号) 第六十四号議案 令和元年度埼玉県水道用水供給事業会計補正予算(第一号) 第六十五号議案 令和元年度埼玉県地域整備事業会計補正予算(第二号) 第六十六号議案 令和元年度埼玉県流域下水道事業会計補正予算(第一号) 第六十七号議案 埼玉県個人番号の利用等に関する条例の一部を改正する条例 第六十八号議案 埼玉県産業技術総合センター条例の一部を改正する条例 第六十九号議案 埼玉県森林環境譲与税基金条例 第七十号議案 埼玉県建築基準法施行条例の一部を改正する条例 第七十一号議案 警察署の名称、位置及び管轄区域に関する条例の一部を改正する条例 第七十二号議案 訴えの提起について 第七十三号議案 和解することについて ○神尾高善議長 ただ今報告いたしました議案は、お手元に配布しておきましたので、御了承願います。〔参照-(二九四)ページ〕          ---------------- △第五十二号議案~第七十三号議案の一括上程 ○神尾高善議長 知事から追加提出された第五十二号議案ないし第七十三号議案を一括して議題といたします。          ---------------- △知事の提案説明 ○神尾高善議長 知事の説明を求めます。 大野元裕知事       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 改めまして、おはようございます。 ただ今、御提案申し上げました議案につきまして、御説明いたします。 初めに、第五十二号議案「令和元年度埼玉県一般会計補正予算(第七号)」の主な内容について申し上げます。 まず、歳入についてです。 県税につきましては、海外経済の影響を受けた法人二税の減収や令和元年中の株式の売買等が減少したことにより、個人県民税の株式等譲渡所得割が減収となることを踏まえ、百十一億円の減額を計上しております。 地方交付税につきましては、交付決定額と既定予算との差など約七十八億円の増額を計上しています。 また、県債につきましては、臨時財政対策債及び減収補填債の発行可能額の決定や事業執行に伴う調整により、合計で約百五十四億円の増額を計上しております。 次に、歳出についてです。 国の補正予算に対応し、県立学校において高速大容量の校内通信ネットワークの整備などを行います。 また、給与費につきましては、執行見込額と既定予算との調整を行います。 公債費につきましても、執行見込額と既定予算との調整を行うものです。 その他の経費につきましては、国庫支出金の確定や年度内の執行見込みに基づく事業量の増減などに伴う補正を計上しております。 なお、財政調整のための基金につきましては、本年度の収支の見通しを踏まえて、一部取崩しを中止することとしております。歳入歳出予算以外では、年度内に完了する見込みが立たない事業について、繰越明許費の設定などをお願いしております。 以上の結果、一般会計の補正予算額は四百五十八億五千八百五十四万七千円の減額となり、既定予算との累計額は一兆八千八百九十八億五百四十四万八千円となります。 次に、その他の議案について御説明申し上げます。 第五十三号議案から第六十二号議案までの十議案は特別会計について、第六十三号議案から第六十六号議案までの四議案は企業会計について、それぞれ事業量の確定などに伴い、所要の補正をお願いするものです。 第六十九号議案「埼玉県森林環境譲与税基金条例」は、令和元年度から県に譲与が開始された森林環境譲与税を「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」が定める目的に従って活用するため、基金を創設するものでございます。 その他の議案につきましては、提案理由等により御了承いただきたいと存じます。 以上で私の説明を終わりますが、何とぞ慎重審議の上、御議決を賜りますようお願い申し上げます。          ----------------知事提出議案(第五十一号議案を除く。)に対する質疑並びに県政に対する質問(代表) ○神尾高善議長 これより、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を行います。 発言通告がありますので、順次これを許します。 自由民主党代表、八十七番 小島信昭議員       〔八十七番 小島信昭議員登壇〕(拍手起こる)
    ◆八十七番(小島信昭議員) おはようございます。埼玉県議会自由民主党議員団団長の小島信昭でございます。 三十年ほど続いた平成が幕を閉じ、令和という新しい時代が幕を開けました。改元は世を一新すると言われています。本格的に進展する少子高齢化、人口減少や技術革新による第四次産業革命など、社会構造が大きく変化する時代の潮流をしっかり捉え、新時代をけん引する覚悟を新たにしております。 自由民主党議員団を代表いたしまして、新しい時代にふさわしい埼玉の未来を見据え、希望に満ちた活力ある新しい埼玉県を築いていく、そんな気概を持って質問をさせていただきます。 令和幕開け直前に、新一万円札の顔となることが決まった渋沢栄一翁が残した言葉に「夢なき者は理想なし。理想なき者は信念なし。信念なき者は計画なし。計画なき者は実行なし。実行なき者は成果なし。成果なき者は幸福なし。ゆえに幸福を求むる者は夢なかるべからず」とあります。これは、県政運営にも大いに通じるものがあると思います。是非、大野知事には、埼玉県が世界に誇る偉人、日本の近代経済の父の言葉をしっかりと受け止め、渋沢翁の精神を引き継いでいただきたいと切に願うものであります。 まず初めに、知事公約の進め方についてお伺いいたします。 知事は、昨年の夏の知事選では、「政策で選ぶなら大野元裕」と政策通をアピールし、「日本一暮らしやすい埼玉を実現する政策集二〇一九」として、十二分野に関して百二十八の政策を県民の皆様に明らかにし、約束をされました。そして、知事就任後の九月に庁内で議論し、「取組の方向性」を取りまとめ、十一月に示された工程表は、「取組の方向性を踏まえ、施策の進め方を県民の皆様に分かりやすく示したものであり、実施する内容は更に検討」と位置付けられました。 例えば、あと数マイルプロジェクトは、「令和二年度中に新たな検討を本格化し、今後四年間で道筋をつけるもの」とされ、主に公共交通の利便性向上策の検討などに取り組み、「令和二年度に有識者会議を設置し、課題の整理や方向性を検討する」とされています。 しかし、これには埼玉高速鉄道線など四路線の方向性、スケジュール感、実現可能性が全く示されていません。そもそも国の交通政策審議会の答申に示されているものと、そうでないものなど状況に大きな違いがあり、ただ有識者に丸投げでは、政策通を売りにした候補者の公約とは思えず、大野知事に期待して投票された方の中には、単なるアイデアだったのかと落胆された方もいらっしゃるのではないでしょうか。 公約策定の段階では、実現可能性を検討しなかったということなのでしょうか。知事は議会での就任挨拶で、「即戦力、突破力を存分に発揮し、困難な課題にも果敢にチャレンジしていく」と発言されました。即戦力、突破力を発揮されるのであれば、スピード感、実行力が問われるはずですが、最終的な実現時期の明示がなく、「道筋をつける」と言われてもビジョンを共有できません。 冒頭で御紹介した渋沢翁の言葉にあったように、県民の幸せに向け、計画は大切です。県民が公約の進み具合を理解できるようなスケジュールや数値目標などを早期に示すべきだと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 また、十二月定例会において我が会派の中屋敷慎一議員の、知事公約と今後の施策展開についての質問に対し、知事は「中長期のビジョン実現までには困難やうよ曲折もあろうかと思い、したがって、時には柔軟な対応も求められるかと思います」と答弁されています。今更、公約を実現できるものとそうでないものに分けるという意味なのでしょうか、その真意を知事にお伺いいたします。 次に、豪雨災害への対応について伺います。 平成二十九年には九州北部豪雨が、平成三十年には西日本豪雨が、そして令和元年東日本台風による記録的な豪雨が甚大な被害をもたらしました。大雨による災害は、毎年日本のどこかで発生し、多くの生命と財産が脅かされています。この理由として、雨の降り方が強まり、雨量が想定以上になっているだけではなく、繰り返される大雨でダムや遊水池、川の底に上流から流されてきた土砂がたまり、以前よりも水位が上がりやすくなったとの指摘もあります。災害時の被害を最小にするため、ハード面での備えがより一層重要になってきました。 我々は昨年十月の臨時会で、「本県は災害対策として防災・減災・国土強靭化緊急対策事業を実施しているものの、当該事業に係る今年度当初の起債予定額は約二十一億円と、全国の自治体の起債予定額の一パーセント程度であり、十分に活用しているとは言い難い状況」と指摘し、「様々な国の有利な制度を利用して災害から県民の生命と財産を守る県土強靭化を行う予算を確保し、災害が起こりにくい県土づくりに一層取り組むことを強く求める」と決議いたしました。 また、令和二年度までの三か年の緊急対策終了後も取組を続けるよう、国に意見書も提出いたしました。 来年度の国の予算では、治水対策の強化に向け、自治体が単独事業として実施する川底の掘削を支援する緊急浚渫推進事業費に呼応した特例債を活用した地方財政措置の創設なども検討されています。 激甚化、広域化する気象災害に対応するため、県にとって有利な国の制度をフルに活用し、災害に強い強靭な県土づくりを推進すべきだと考えます。知事の覚悟をお伺いいたします。 洪水時の被害を最小限にするためには、県民の方々に氾濫時や危険箇所や避難場所などについて正確な情報を提供し、水害リスクを認識していただくことが大切です。 洪水浸水想定区域図は、流域市町村などに洪水の危険性を知らせる洪水予報河川や、水位情報を伝える水位周知河川について、平成二十七年の水防法の改正で、大雨の基準を「百年に一度」から「千年に一度」に引き上げて作成、公表することが義務付けられております。その洪水浸水想定区域図に基づき、市町村は洪水ハザードマップを作成するわけですが、国管理河川は全て公表済みなのに対し、十八ある埼玉県管理河川は一つも公表されていません。 それが理由だと思いますが、県内の作成対象市町村四十九のうち、千年に一度のハザードマップを作成、公表しているのは、二十四にとどまっています。県管理の河川がある市町村は、県の洪水浸水想定区域図の公表を待たざるを得ないので、県の責任は重大です。 危険を想定して準備していくことが危機管理の大事なテーマだと思いますが、都道府県で埼玉県だけが公表されていない、公表していないという現状をどのように認識しているのか。また、洪水浸水想定区域図を作成、公表して、市町村のハザードマップ作成の支援をすべきだと思いますが、どのように対応するのか、知事にお伺いいたします。 災害が発生してしまった場合、関係団体との連携は被害の最小化につなげるため極めて重要であり、連携に向けた関係を平時から構築する必要があると思います。昨年の令和元年東日本台風の際に、国直轄河川、越辺川の決壊情報は、判明から三時間半も遅れて県に連絡がありました。市町村との情報共有体制、近隣都県等関係者との連携でも、今回見直すべきところは多いと思いますが、どのように改善していくおつもりなのか、知事にお伺いいたします。 次に、感染症対策について伺います。 中国武漢市に端を発し、海外にも急速に感染が広がっている新型コロナウイルスによる肺炎が、国際的に大きな問題となっております。 コロナウイルスで人に感染するものは六種類あり、このうち四種類は感染しても普段は風邪と診断され、残り二種類は重症の肺炎を引き起こすとして問題となったSARSとMERSで、今回のウイルスは、これに続く新型コロナウイルスとなります。感染源、感染経路、感染力、毒性、ウイルスの特徴など、まだまだ解明されていないことばかりです。潜伏期での感染に加え、感染しても症状が見られない無症状病原体保有者の存在や、症状だけでは風邪やインフルエンザと見分けがつかない状況が、急速な感染拡大に少なからず影響し、まるで見えない敵と戦っているようにも思います。 一月三十一日にWHOが、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態に該当する」と発表しました。我が国においては、二月一日に新型コロナウイルス感染症を指定感染症とする政令が施行され、更に国内各地で感染が相次いでいることを受け、二月十六日に開かれた政府の感染症対策専門家会議の初会合で、「国内発生の早期段階」とされました。翌十七日には相談・受診の目安が示され、相談・受診の前に心掛けてほしいこととして、発熱などの風邪症状が見られるときは、学校や会社を休み、外出を控えることなどが呼び掛けられております。 さらに、二十四日には、政府の専門家会議は、「これから一から二週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際」になるとの見解を示しました。封じ込めの兆しも見えず、多くの方が不安を募らせているようですが、WHOによると、「感染者の八割は軽症で済んでいる」とのことであります。うわさや報道に惑わされず、正確な知識を持って体調管理をするなど、正しく恐れていただく必要があります。それゆえに、正確な情報を積極的に発信することが大切です。 今回の新型コロナウイルスが問題となる前、医療関係者の方と感染症について意見交換をしました。その際、医療関係者の方は、「オリンピック・パラリンピック開催時には、様々な国から訪日客の更なる増加が見込まれ、感染症発生リスクが増加することが懸念される」とりわけ「侵襲性髄膜炎菌感染症」を心配されていらっしゃいました。 この感染症は、発症頻度は低いですが、発症すれば致死率が高く、飛沫感染で集団生活での濃厚接触はハイリスクとなります。国内での報告は年間二十から四十例と少ないのですが、二〇一五年には山口県で開催された世界スカウトジャンボリーで、二〇一七年には神奈川県内の全寮制の学校で集団発生しています。侵襲性髄膜炎菌感染症をラグビーワールドカップ日本大会観戦のために来日していたオーストラリア在住の五十代男性が日本国内で発症、男性は治療を受け、回復後に帰国しており、幸いにも感染は広がらずに済みました。 症例が少ないものや風邪との判断が難しいものなど、医師が患者を診察しても病名が分からない間に感染が拡大するケースが危惧されます。東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックも近づいてきました。県として、感染症対策にどのように取り組むつもりなのか、知事にお伺いいたします。 次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの成功に向けてについて伺います。 いよいよ東京オリンピックの開会式が行われる七月二十四日まで五か月、百五十日を切りました。三月二十六日には、オリンピックの聖火リレーが福島県をスタートし、四十五都道府県を巡り、七月七日には埼玉県内に入ります。開会式が近づくにつれ、期待が更に膨らんできます。 うれしいことに本県では、世界三大スポーツイベントと呼ばれる国際大会が、昨年のラグビーワールドカップに引き続き行われます。ラグビーワールドカップ日本大会は、ワールドラグビーのビル・ボーモント会長に「最も偉大な大会」と評価していただいたように、大成功に終わりました。 盛り上がりの要因の一つが、全国一万三千人の大会ボランティアの方々のおもてなしと言われております。大成功に終わったラグビーワールドカップのレガシーが一過性とならないよう、オリンピック・パラリンピックにどのようにつないでいくおつもりなのか、特に「熊谷の神対応」と言われたおもてなしを支えてくださったボランティアを「四年に一度じゃない。一生に一度だ」という大会キャッチフレーズのように、一生に一度で終わらせず、埼玉のおもてなしを根付かせるためには、動かす仕組みが必要だと思いますが、十年後、二十年後、どのように残していこうとされているのか、知事にお伺いいたします。 次に、暑さ対策と急な天候変化への対応について伺います。 まず、酷暑による熱中症です。 我が国の夏のように蒸し暑いと、気温だけで暑さは評価できません。熱中症に関する気温、湿度、ふく射、風の要素を取り入れた指標として、暑さ指数(WBGT)があります。日本スポーツ協会の熱中症予防運動指針によると、暑さ指数二十八度以上で厳重警戒、三十一度以上は運動は原則禁止とされております。 本県で競技が行われる七月二十五日から八月九日の昨年の該当日を見ると、さいたま市で三十一度を上回らなかったのは僅か一日だけで、最高は三十五・一度にもなっています。サッカーの試合が予定されている埼玉スタジアム二〇〇二へは、浦和美園駅から徒歩で会場に向かい、さらに会場前の待機列などで観客が密集した場所や帰り道でも、人混みになる環境悪化のリスクがあります。 また、昨年の夏、ゴルフのテスト大会が霞ヶ関カンツリー倶楽部で行われましたが、突然の雨に見舞われ競技が中断、会場にいた数百人の観客は売店やクラブハウスなどに避難したとのことであります。会場には最大二万五千人入ることができます。会場周辺の暑さに加え、雷等の荒天の際、観客をどう避難させるかといった課題もあります。暑さと急な天候の変化にどのように対応するおつもりなのか、知事にお伺いいたします。 次に、スマート農業の普及に向けてについて伺います。 第二百一回国会における施政方針演説の中で、安倍内閣総理大臣は規制改革に触れ、「IoT、ビッグデータ、人工知能。第四次産業革命の大きな変化の中で、デジタル時代の規制改革を大胆に進めます。本年から、無人自動運転を解禁し、中山間地域の皆さんに、安全で便利な移動手段を提供します。自動制御ブレーキを備えたサポートカーに限定した新たな免許制度を設け、その普及を拡大します」とおっしゃっております。 近年、技術発展の著しいロボット、AI、IoTなど先端技術の活用による生産性革命は、様々な分野で実証実験が行われ、成果が上がっています。これからはいかに普及を拡大し、その恩恵を多くの県民が享受できる環境を作るかが非常に大切です。特に農業分野では就業人口が減少の一途をたどっており、日本総合研究所の試算では、二〇一五年の約二百二十万人から、二十年後の二〇三五年には約百万人と半数以下に落ち込むことが見込まれております。 就農者数の減少、高齢化に対応するため、ロボット農機やドローンなど先端技術を組み合わせたスマート農業に対する期待が大きく高まっています。AI等の導入による生産性の向上とともに、経験豊富な働き手の熟練技術を見える化、可視化して、新規参入しやすくすることは、農業の担い手不足の解消、負担の軽減にもつながります。 例えば、農耕車の自動運転では、直進と旋回の自動運転を可能とする自動操舵システムの開発や、機体上部に衛星GNSS、いわゆるGPSから送られてくる位置情報を基に正確な自動運転が可能となりましたが、皆様方もカーナビで体験していると思いますが、衛星の位置、数などによって誤差が数十センチから一メートル近く生じる場合もあります。日本の狭いほ場や、日本人独特の境界線に関する考え方で、事故や近隣とのトラブルとなる可能性もあります。 そこで、これらの精度を更に高め、補正するリアルタイムキネマティック(RTK)というシステムで補正し、位置を数センチの測位精度で把握する取組などにより高精度な農業が可能となり、RTK、GNSSを備えた田植機では作業員が乗車せず、苗補給を一人で作業できる上に、高速で植付け作業を行っても、熟練者並みの直進精度が初心者でも得られ、少ない作業人数で高い精度を維持しながら、長時間作業や能率向上が期待できるなどメリットがあると言われています。 また、ドローンの利用でも高精度な飛行作業が可能となります。また、これまでデータを収集、集積したら活用は翌シーズン以降というサイクルでしたが、各センサーの進歩により、植付けをしながら土質や肥料分の分析をしたり、収穫しながら食味や水分量の確認を瞬時に行い、出荷に向けての調整で品質を高精度にすることが可能となりました。 そのほか、センシングデータ等の活用、解析により、農作物の生育や病害を正確に予測し、高度な農業経営が可能になるなどの効果が上がっていますが、実証実験と並行して、その効果をそれぞれの分野に普及できなければ意味がありません。 普及に向けた課題は何と言ってもコストです。自動走行トラクターであれば、一機一千数百万円、この秋に発売されるという自動運転田植機は約七百万円程度、ドローンは五百万円程度と高額なため、作付時期が異なる地域をまたぐ広域のリースやシェアリング、アウトソーシングなど普及に有効な手法を考える必要があります。 また、農場やハウス管理に便利なLPWAですが、主要な規格の一つSigfoxは、県内のほぼ全域で利用可能な一方、双方向性となっていないため、農場やハウスから送られてくるデータを見て人間が判断し、対応するために現場に足を運ぶという必要が生じます。産業労働部で平成三十年度から、十三市町におけるLPWAを活用した実証実験として取り組まれたのも、このSigfoxです。 これがその端末でありますけれども、これを現場に設置することによって、温度、湿度、あるいは明るさ、加速度、磁力のいずれかを選択して、それをLPWAの回線に乗せて、自分のスマートフォンやパソコンに送るシステムであります。 このSigfox以外に、昨年から別の規格、LoRa、こういうものも埼玉県内で今展開しておりますけれども、LoRaの場合は交互の通信が可能で、単純な動きなら操作が可能となり、農業のみならず、工業、商業分野など幅広い活用が可能であります。しかし、現在利用できるのは県内の極一部と、なかなか普及はしておりません。 また、GNSSを補正する先ほどのRTKでありますけれども、広域で利用可能なものはメーカー設置で、利用料金を年間数十万円、利用者から徴収しており、利用時間、期間を考えると割高感が否めません。さらに、現在市販の自動運転トラクターや田植機の多くは、機械とセットのRTKを自前でほ場ごとに三脚を立てて設置し、ほ場を移動するたびに移設するといった煩雑さもあります。 スマート農業実現のためには、LPWA、RTK基地局など、基盤整備としての支援も必要だと思いますが、スマート農業の推進にどのようなお考えをお持ちなのか、知事にお伺いいたします。 次に、スマート行政の推進に向けてについて伺います。 少子高齢化や人口減少に伴う労働力不足に備え、AI、IoT、RPAなど先端技術の活用で、少ない職員でも効率的に行政サービスを運営するスマート自治体への転換が求められています。全ての自治体で、業務の自動化、省力化につながる先端技術を徹底的に使いこなす必要があります。 総務省のAI・ロボティクスの活用事例は、三つに区分しています。一つ目は、観光案内多言語AIや、住民問合せの対応のようなAIを使って、住民、企業を応援するもの。二つ目は、保育所入所事務などでAIを活用して業務を効率化するもの。三つ目は、市民課、税務課などの業務にRPAを活用し、業務事務を効率化するものにまとめています。このほか様々な実証実験が行われています。 AI、RPAが処理できる事務作業は、全て自動処理することによって、職員は企画立案業務や住民への直接的なサービス提供など、職員でなければできない業務に注力することになるわけですから、スマート自治体への転換に伴い、職員に求められる能力も変容すると言われている中で、時代に合った、どんな職員を、どのように養成するのか、知事にお伺いいたします。 また、経済産業省の試算では、AIを搭載したソフトウェアやシステムの開発者、AIを活用した製品の企画者などのAI人材については、二〇一八年の国内の需要は四万四千人に対し、供給は一万一千人で既に三万三千人が不足しており、需給ギャップは更に拡大し、二〇三〇年には十二万人足りなくなる見通しとのことであります。 IT関連費用が高額になる傾向にある背景は、自治体におけるITデジタル人材の不足から、システムの調達、構築を関連業者への依存割合が高くなっていることや、仕様がハイスペック過ぎることが指摘されています。不足する専門職員などの人材をどう確保、育成するのか、知事にお伺いいたします。 また、市町村が住民の記録や税金、福祉などの業務に使っているコンピューターシステムは、これまで各自治体が導入したメーカーが独自にカスタマイズする傾向が続いた結果、自治体間での仕様が異なっているケースが多く、業務システムの維持管理にかかるコストや職員の事務負担が大きくなっています。財源や職員が少ない小規模自治体では負担が大きく、AIなどの導入がどうしても後手後手になってしまいがちです。 しかし、小規模自治体の方がスマート化のニーズは高いはずです。県として、標準化、共通化に積極的に関わるべきだと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、職員の適正規模と確保策について伺います。 上田前知事が就任した平成十五年度の知事部局の職員定数は八千百四十六人でしたが、毎年削減を続け、平成二十五年には六千七百五人となり、合計で一千四百四十一人、一七・七パーセントもの削減を行いました。削減の指針としたのは行財政改革プログラムです。平成二十年度からの新プログラムでは、三年間で五百人の削減目標を掲げ、目標どおり五百人を削減、次の第三次プログラムでは、平成二十三年度からの三年間で三百人の削減目標を掲げて、三百人削減しております。これは職員を途中で辞めさせているわけではなく、単純に退職者の補充をしないだけでありました。その結果、人口当たりの職員数が全国最小となり、「最小・最強の県庁」と誇らしげにおっしゃっておりましたが、そのしわ寄せはなかったのでしょうか。 総務省でまとめている給与実態調査で、埼玉県の職員の四歳刻みの年齢構成を見ると、平成二十年四月一日では二十四歳から二十七歳が五パーセント、二十八歳から三十一歳も五パーセント台と若手が極めて少なく、新規採用が少なかったことがうかがえます。平成二十五年四月一日では三十二歳から三十五歳が六・四パーセント、その下の年代も六パーセント台と、二十代、三十台の若手中堅層が薄く、平成三十年四月一日では三十六歳から三十九歳が六・六パーセント、その前後も七パーセント台と中堅層が薄くなっています。 また、総務省の地方公共団体定員管理調査によると、埼玉県の農業等普及指導員は平成十七年度に八十六人でしたが、毎年減り続け、平成三十一年度には十五人と六分の一になりました。農林水産技師の数を加えても、平成十七年度の八百三十一人が、平成三十一年度には五百五十九人と三分の二となってしまいました。 特に技術系職員の削減と年齢構成のひずみの結果、現場での指導ができず、技術や知識の伝承が難しくなり、例えば農業職であれば、経験を積むしばらくの間は逆に農家から指導を受けているという話があります。職員削減のしわ寄せが、県民サービスの低下を招いているほんの一例です。 大野知事就任直後の台風、CSFのような大きな災害への対応には、少ない職員に大きな負担がかかっていることがよくお分かりになったと思います。人づくりのためには長期ビジョンを持ち、しっかり現場を見て職員を採用すべきです。 そこで、最小・最強の県庁で数字ありきの削減が行われてきたことに対する評価と、職員の適正規模について、知事の御所見をお伺いいたします。 今現在、必要な人材をすぐ採用できるのか。近年、総じて地方自治体は職員集めに悪戦苦闘しています。本県の上級試験の一般行政の辞退率は、ここ数年で四割程度で高止まりしており、職員の採用に苦労している現状を鑑みると、これまでにもっと計画的に採用すべきであったことは否めません。同じような環境にある千葉県の約三十四パーセント、神奈川県の約三十二パーセントと比べても、埼玉県は辞退率が高い状況であります。 本県の辞退者へのアンケートによると、就職先を選ぶに当たり重視することとして、「執務環境」を選んだ方が約六割、他の就職先の方が埼玉県より魅力的だとして、「働きやすい職場環境」を約三割の辞退者が選択しております。採用試験の辞退率が高い現状をどう分析し、どのように有効な確保策を講じるおつもりなのか、併せて知事にお伺いいたします。 次に、埼玉高速鉄道線延伸について伺います。 埼玉高速鉄道線は、平成二十八年四月、国の交通政策審議会が浦和美園から蓮田駅までの延伸を、「地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクト」と位置付け、幾つかの課題も示されました。これを受け、有識者で構成されるさいたま市の地下鉄七号線延伸協議会の鉄道分科会により、平成三十年二月に、浦和美園駅と岩槻駅間の延伸計画に関する需要予測パターンが五つ示されました。そのうち二つのケースで、国の補助制度の適用目安である費用便益比(B/C)が一を超えました。 更に平成三十年度からは、埼玉県、川口市、さいたま市の沿線自治体と埼玉高速鉄道株式会社、鉄道建設・運輸施設整備支援機構、東武鉄道株式会社、鉄道事業に知見を有する者、計六者による地下鉄七号線延伸実務関係者会議を立ち上げ、平成三十年度に二回、令和元年度にはこれまで三回開催し、答申の課題解決に向けた検討が行われています。 さいたま市の地下鉄七号線延伸事業特別委員会の資料によると、埼玉県とさいたま市は共同で課題解決のため、建設計画や運行計画の調査検討を実施し、その調査項目は快速運転の検討、地上高架区間の構造検討、地下鉄七号線岩槻駅の構造検討として、その建設費等のまとめとなっています。 一月十五日に公社事業対策特別委員会の視察で、神奈川県の相模鉄道を調査してまいりました。相模鉄道は都市鉄道等利便増進法に基づき、国と地方自治体が総事業費の三分の一ずつを補助し、残りを鉄道・運輸機構が資金調達して鉄道施設の整備を行い、営業主体が施設使用料を支払う受益活用型上下分離方式で延伸事業を推進しています。現在は相鉄・JR直通線が整備され、海老名方面からJR新宿駅を経由して、大宮駅や川越駅まで乗り入れが実現しております。 今後、相鉄・東急線直通線として新横浜、日吉まで延伸整備し、地下鉄南北線を経由して埼玉高速鉄道線への乗り入れも検討されています。両線とも埼玉、東京、神奈川の新たな広域ネットワークの構築となり、アクセスの向上とともに、地域間の連携と活性化につながります。 大野知事は、さいたま市地下鉄七号線延伸事業化推進期成会、埼玉商工会議所、学校法人目白学園の延伸についての要望に対し、「知事選の公約にしており、政治的な決断をさせていただきたく、関係部局と進めたい」と意欲を示し、さいたま市の清水勇人市長は定例会見で、「延伸の判断は、基本的に実現する方向で進めている。一日も早い、鉄道事業者による事業着手を目指したい」と、延伸実現に向けて取り組む考えを強調との報道がありました。 知事の「公約にしており、政治的な決断をさせていただきたく」とは、極めて重い言葉であり、県民の方々の期待も高まるばかりであります。リーダーシップを発揮し、延伸に向けた具体的なスケジュールを示して推進すべきだと考えますが、延伸に向けた知事の決意をお伺いいたします。 次に、医療体制の強化について伺います。 平成二十九年十月一日現在の人口十万人当たりの一般病床数は、埼玉県が四百九十七・四床で、全国最少、トップの高知県の一千百九・八床の半分以下です。埼玉県の第七次地域保健医療計画では、国への協議の結果、一千六百三十八床の増床が可能な状況となっています。これが言わば厚生労働省のお墨付きで、この計画がなければ、全く増床はできません。 病床の整備は病院整備計画の公募、各医療圏での地域医療構想調整会議での協議を経て、医療審議会で病床整備方針を整備しています。各医療圏の地域医療構想調整会議の意見を基に、各病院の整備計画の「整備を進める」「規模を見直す」「継続して協議」「協議から除外」の四つに区分します。整備可能病床数一千六百三十八に対し、平成三十一年二月に整備を進めると区分されたのは僅か二百二十七床、継続して協議が一千五百三十一床でした。 その後、継続して協議とされたものは、地域医療構想調整会議において改めて協議がなされ、令和元年十二月までに一千十四床の整備方針が出されました。整備可能病床一千六百三十八床に対し、合計で一千二百四十一床しか整備されないという状況です。埼玉県における整備可能な病床数があるのですから、それに向けて少しでも増やしてほしいというのは、県民の至極当然な思いであります。 地域医療構想調整会議は関係者二十名から三十名程度で構成され、地域医療の課題等が議論され、新設病床の病院の役割等を整理しています。しかし、聞くところによると、病院同士の利害関係から排除の議論も多いと聞いております。感情論ではなく、地域に必要な医療を第一として、病床整備が認められている地域に必要な病床を速やかに整備して医療体制を整えるべきだと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 もちろん病床整備が進んででも、医療スタッフが確保できなければ、県民の安心・安全にはつながりません。知事の公約には、「医師を増やし、県内に安心の医療ネットワークを作ります」とありますが、残念ながら公約には、医師を増やす具体的な施策はありません。本県の平成三十年十二月三十一日現在の人口十万人当たりの医師数が百六十九・八人で、引き続き全国最下位です。医師の増加数や増加率は全国でトップクラスだという話はよく伺いますが、医師不足の状況は全く変わりません。 厚生労働省は現在、将来人口を踏まえた医療ニーズに基づき、地域ごと、診療科ごと、入院外来ごとの医師の多寡を統一的、客観的に把握できる医師偏在の度合いを示す新しい指標を明らかにしました。この指標でも、埼玉県は四十四位と低位に位置付けられました。 知事の工程表を見ると、医師確保、派遣の推進の取組に位置付けられたものは幾つかありますが、新たに取り組むものは令和二年度スタートの「後期研修医の県内誘導・定着」だけです。今までやっていなかったのかと疑問に思いますが、予算編成の中で十分にブラッシュアップされ、新規としてふさわしいものになっていることを期待しています。 医師の研修医制度は、二年間に各診療所を幅広く経験する初期研修と、その後、三年から五年程度かけて専門知識を深める後期研修があり、例えば平成二十九年に初期研修を始めれば、二年後の令和元年から後期研修に入ることになります。本県の平成二十九年の初期研修受講者は三百三十一人、これが令和元年の後期研修受講者になると二百五十六人となり、二二・七パーセントも減少してしまいました。前年の二〇・三パーセントより悪化しており、関東一都六県では最も悪い数字であります。 初期研修を埼玉で受講した医師を中心に後期研修受講者を確保し、県内定着につなげていくのかが極めて重要であります。平成三十年通常国会において医療法及び医師法が改正され、県は医師確保計画の策定、医師偏在指標を踏まえた目標医師数の設定などが義務付けられています。 そこで、目標医師数設定の考え方と、目標実現可能な対策について知事に伺います。 県民の安心・安全につながる病床と医師確保でありますが、双方に有効なのが順天堂大学医学部附属病院及び医学系大学院等の整備であります。当初のスケジュールから三年遅れておりますが、二〇二四年開業が見込まれております。私ども自由民主党議員団も、順天堂大学の理事長を訪問し、意見交換をさせていただいております。推進には知事の強いリーダーシップが不可欠だと思いますが、整備に向けた知事の御決意をお伺いいたします。 次に、食品ロス削減に向けてについてお伺いいたします。 本来、食べられるのに捨てられる食品、いわゆる食品ロス。環境省などによると、日本では年間六百四十三万トンも発生しています。内訳は、食品関連事業者による廃棄物が三百五十二万トン、そのうち食品メーカーが三九パーセントを占めております。一方、家庭の廃棄物は二百九十一万トンです。六百四十三万トンという数字は、一日当たり十トントラックで約一千七百六十台分、国民一人当たり一日茶わん一杯の御飯の量程度の約百三十九グラムになるそうであります。「もったいない」を重んじるはずの日本人が、実は廃棄する量でアジアワーストワン、世界でも六位。処分に必要な税金はおよそ一兆円とも言われています。 食品ロス削減に向けた最大の課題は、消費者や企業の意識だと思います。おいしく食べることができる賞味期限と、期限を過ぎたら食べない方がよい消費期限の意味を、必ずしも消費者が正確に理解していないという現状もあります。これが食品業界の三分の一ルールという商慣行に影響しているように思います。いつも新鮮なものを食べたいという消費者のニーズに応えようと、二十年ほど前から、大手スーパーで始めた仕組みです。製造から賞味期限までを三分割するもので、例えば、賞味期限が六か月の加工食品の場合、製造日から二か月を超えた商品は小売店には納入できず、製造日から四か月経過した商品は店頭から撤去して廃棄するというルールです。そのため、多くの食品が新品のまま廃棄されております。 令和元年五月に「食品ロス削減の推進に関する法律」が成立し、十月に施行されました。この法律では、消費者、事業者、行政がスクラムを組んで推進していく重要性がうたわれ、政府として食品ロスの削減に関する施策の総合的な推進を図るための基本的な方針を定めることとされております。また、都道府県は国の基本方針を踏まえ、削減計画を定めることとしておりますが、この策定については努力義務となっています。さらに、国の基本方針、都道府県の計画を踏まえて、市町村も食品ロス削減の推進計画を策定するように努めることとしております。 食品ロス削減は、SDGsにも位置付けられるなど、国内だけではなく世界的な課題であります。埼玉でSDGsを実現する、埼玉版SDGsを公約に掲げられた大野知事には、埼玉県食品ロス削減推進計画を策定する意気込みをお伺いしたいと思います。 県民の皆様の声に真摯に耳を傾け、県民のニーズを的確に捉え、県政をリードする埼玉県議会自由民主党議員団という強い自負を込めて、質問させていただきました。埼玉県民の一人一人が安全を実感し、安心して将来に明るい展望を持てる新たな社会の構築につながる誠意ある答弁をお願いして、代表質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる) ○神尾高善議長 八十七番 小島信昭議員の質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 小島信昭議員自由民主党議員団を代表されましての御質問に、順次お答え申し上げます。 まず、御質問第一の知事公約の進め方についてのお尋ねのうち、公約のスケジュールや数値目標などを示すことについてでございます。 私は、知事就任以前に埼玉県を外から見たとき、このような施策があれば埼玉県はもっと良くなるのではないかと考えたものを公約として掲げました。 例えば、交通の利便性が高いことは本県の大きな長所となっています。私は「夢なき者は理想なし」の言葉どおり、「日本一暮らしやしい埼玉県の実現」という夢と理想を掲げ、本県の経済的発展の観点から、交通の利便性を更に向上させる施策を掲げました。工程表では、県の事業として着手し、実施していくスケジュールをお示ししています。今後は、県民の皆様により分かりやすく、事業の進捗状況について一定期間ごとにお示ししたいと考えております。 一方、私の公約に掲げた項目は、本県が更に良くなるために必要な施策をお示ししたものですが、県全体の施策を網羅しているわけではありません。したがって、本県の発展のためには、公約の項目を総合的かつ体系的に県の施策の中に位置付け、全体として整合性をもって取組を進めていくことが必要です。 そこで、今後、5か年計画や分野別計画の検討を進める中で、数値目標も具体化し、その目標に対する進捗を県民の皆様にお示ししていくべきと考えております。その検討を進めるときには、県議会の皆様とも十分な議論を行い、進めてまいりたいと考えております。 次に、「時には柔軟な対応も求められる」との答弁の真意についてでございます。公約に掲げた各項目は、本県の発展に必要であると考えており、これらの実現に向けて取組を進めるという点において、揺らぐことはありません。ただし、実現に向けてどのような手法が取り得るのかを専門家や県議会の皆様などの御意見を踏まえ、状況に応じて柔軟性を持って選択していかなければならないと考えております。 議員お話しの「あと数マイルプロジェクト」は、こうした視点から、公共交通網及び道路網の更なる利便性の向上という最終的な目標は変更せず、費用対効果や技術的見地などから最適な手法を選択してまいります。 本県は、人口減少や少子高齢化など大きな時代の変化に直面しています。こうした中でも先を見据え、目指すべきゴールとしてのビジョンはしっかりとぶれずに掲げつつも、中長期的であるがゆえに、そこに至る手法には柔軟さも求められると考えており、これが「柔軟な対応」の真意でございます。その上で、着実に、日本一暮らしやすい埼玉県を実現してまいります。 次に、御質問第二の豪雨災害への対応についてのお尋ねのうち、災害に強い強靭な県土づくりの推進についてでございます。 近年、自然災害は激甚化、頻発化しております。令和元年東日本台風により県管理河川では、堤防決壊に至った二か所を含め、合計五十七か所で越水、いっ水が発生したほか、内水氾濫と併せ、七千戸を超える浸水となりました。被害に遭われた県民の皆様に、改めてお見舞いを申し上げます。 このため、私が初めて取り組んだ令和二年度当初予算編成では、三つの柱の一番目として、「安心・安全しっかり確保」を掲げ、防災・減災対策の充実を進めていくことといたしました。この一環として、豪雨災害に備えるため、県土強靭化緊急治水対策プロジェクトを実施することとし、当初予算額として八十五億八百八十一万円を計上しております。このプロジェクトの財源については、国の交付金のほか、防災・減災・国土強靭化緊急対策事業債や、緊急自然災害防止対策事業債、緊急浚渫推進事業債を充て、地方財政措置のある制度を活用したところでございます。 本プロジェクトにより、洪水時の水位の低下を図るとともに、越水しても決壊までの時間を稼ぐ強固な堤防を構築し、県民の皆様の安心・安全を確保してまいります。 また、当初予算のみならず、令和元年度補正予算と併せ、早急に県土を強靭化していくことに加え、令和二年度より五年間予定されている地方財政措置を積極的に活用し、河川のしゅんせつを緊急的に実施するなど、中長期的にも治水対策にしっかりと取り組んでまいります。 次に、都道府県で埼玉県だけが大雨の基準を引き上げた洪水浸水想定区域図を公表していないことについてでございます。 県では、水防法で公表が義務付けられている十八河川を対象に、最大規模の降雨を想定した洪水浸水想定区域図の作成を進めています。併せて本県独自の取組として、水防法では義務付けられていない百四十八河川についても、洪水浸水想定区域図と同様な内容の水害リスク情報図の作成についても、取り組んでいるところでございます。 現在、浸水の深さなどを算定する氾濫解析で最終案が得られた河川から順次、関係する市町村に内容を説明するとともに、隣接する都県との調整を進めています。県内で激甚な水害が発生していることを考慮し、検討を加速させ、スピード感をもって取り組むことが必要と認識しており、本年五月末までを目途に全て公表する予定であります。 次に、市町村のハザードマップ作成の支援についてでございます。 県で作成した洪水浸水想定区域図と水害リスク情報図のデータを市町村に提供するとともに、技術相談窓口を設け、市町村からの問合せに対応してまいります。また、全市町村などで構成される減災対策協議会の場を活用し、早期避難が必要な区域などを表示した好事例や、国の交付金制度の紹介を行ってまいります。 次に、災害時における国や市町村などとの情報共有体制の改善についてでございます。 令和元年東日本台風のように、複数の河川で同時多発的に水位が上昇した場合、国・県・市町村との間で水位の状況や越水の発生といった河川情報を迅速に共有することが極めて重要となります。 そこで、県内全域を対象として、危機管理型水位計や簡易型河川監視カメラを増設し、沿川の市町村が自ら河川の状況を把握できるようにすることにより、河川情報の共有化を進めてまいります。特に甚大な被害を受けた入間川流域では、国や市町とともに、本年一月に策定した入間川流域緊急治水対策プロジェクトを進めております。この中で、既存の光ファイバーケーブル網を活用し、河川情報や河川監視カメラ映像などをリアルタイムで情報共有ができるネットワークを国や市町とともに早急に構築してまいります。県民の人命や財産を守るため、あらゆる災害に対して、安心・安全な県土づくりに取り組んでまいります。 次に、御質問第三の感染症対策についてのお尋ねでございます。 新型コロナウイルス感染症については、先週二月二十一日に、県内において初めてのヒト-ヒト感染が疑われる事案が確認されました。感染の拡大が懸念されるところでありますが、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向け、感染拡大防止に全力で取り組んでまいります。 御質問の東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック開催に向けた感染症対策につきましては、本県での競技開催が決まって以来、対策や体制の強化に努めてきたところでございます。 本県では、六市四会場でオリンピック四競技、パラリンピック一競技が開催され、事前トレーニングキャンプも現時点で十五か国、十九市町での受入れが決まっております。またホストタウンは十三か国、十八市町が登録されており、オリンピック・パラリンピックの開催に当たっては、多くの国から外国人の方が県内に訪れることが予想されています。このため、新型コロナウイルス感染症のほかにも、普段我が国ではあまり発生していない感染症が持ち込まれる可能性はあります。 そこで、県内で事前トレーニングやホストタウン登録をしている国を対象として、感染症発生状況を分析するリスク評価を実施しています。その結果を国別、感染症別に分類し、注意すべき情報として県内医療機関などに提供し、注意喚起を行っております。このリスク評価においても、お話しの侵襲性髄膜炎菌感染症を注意すべき感染症としてマークしており、麻疹や風疹と併せて予防接種を推奨するチラシなどを市町村等に配布し、注意喚起をしているところでございます。 感染症対策では、重大な感染症の発生をいかに早く探知するか、原因を見落とさずに解明できるか、いかに迅速に対策を講じることができるかを感染拡大防止の観点から大変重要と考えております。大会期間中、常時行っている感染症発生動向調査に加え、薬局の調剤情報や県の救急の搬送情報を活用した強化サーベイランスを実施し、重大感染症の早期探知体制を強化することとしております。 また、検査において見落としを防ぐため、全ての遺伝子情報を解析できる次世代シーケンサーを平成三十年度に衛生研究所に導入いたしました。さらに、診療において感染症の見落としが生じないよう、地域の医師を対象とした研修なども引き続き実施してまいります。大会開催に向け、これらの対策を着実に進めてまいります。 次に、御質問第四、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの成功に向けてのお尋ねのうち、ラグビーワールドカップのレガシーをオリンピック・パラリンピックにどのようにつないでいくのかについてでございます。 ラグビーワールドカップの熊谷会場では、約一千三百人のボランティアが笑顔とハイタッチで、国内外からの観戦客を温かくお迎えになりました。また、会場では小中学生一万五千人が出場国の国歌を斉唱し、選手だけではなく、観戦客の心に大きな感動を呼び起こしました。ラグビーワールドカップで「熊谷の神対応」として世界から賞賛されたおもてなしを、オリンピック・パラリンピックでは「埼玉の神対応」と言われるようにしなければなりません。 そこで、ラグビーワールドカップでボランティアを経験された一千三百人のうち、約三百人には引き続きオリンピック・パラリンピックの都市ボランティアとして御活躍いただきます。またラグビーワールドカップの貴重な体験をオリンピック・パラリンピックの都市ボランティアにも伝えていただき、「熊谷の神対応」を全員で共有するための研修も進めております。例えば、熊谷ではボランティアがバスに手を振る姿が話題になりましたが、ボランティア経験者からは、「バスではなく、バスの中のお客様一人一人の目に届くように手を振ることが大切である」など、神対応の真髄を伝えていただいております。 議員からは、十年後、二十年後という将来にわたる視点から御質問を頂きました。私は、ボランティア活動をオリンピック・パラリンピックのレガシーとして根付かせるためには、ボランティアのマッチングをしっかりと行っていくことと、ボランティア精神を子供のときに身に付けていただくこと、この二つが重要であると考えています。 まず、ボランティアのマッチングですが、ラグビーワールドカップのボランティアのうち半数近い方からは、「災害や介護など様々な分野にチャレンジしたい」とのお声を頂きました。こうしたボランティアマインドあふれる方々の活躍の場を広げるため、これらの人材と、それを必要とする分野を的確に結びつけるボランティアバンクなどの仕組みを検討してまいります。 また、私は、多感な子供たちのボランティアの芽を育て、おもてなしの心をしっかり刻んでもらうことが大切だと考えています。オリンピック・パラリンピックの都市ボランティアには、十八歳以上という年齢制限がありますので、本県では独自に小学一年生から高校三年生を対象にボランティア体験プログラムを実施いたします。人々が互いに助け合うボランティア精神を将来へのレガシーとしてしっかりとつなぎ、東京二〇二〇大会の目標の一つである共生社会の実現に取り組んでまいります。 次に、暑さと急な天候の変化にどのように対応するのかについてでございます。 大会は、夏の猛暑の中で行われ、雷や豪雨など天候の急変も予想されますので、その安全確保にはそうした事態への迅速な対応が不可欠です。会場及びその周辺では、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会がその役割を担いますが、組織委員会では各会場に日差しを避けるテントや冷風機を設置する予定です。また、議員御指摘のゴルフ会場では、昨年夏のテストイベントを踏まえ、観戦客が滞留する場所に雷を避けるための装置を設置したり、突然の大雨に対応できる大型テントを設置すると伺っています。県といたしましても、最寄り駅から会場周辺までのルートにおいて、観戦客の安全を確保するための対策を講じてまいります。 例えば、浦和美園駅から埼玉スタジアム二〇〇二への徒歩ルートには、暑さ対策として日よけテントやミスト、雪で冷やした空気を活用したクーラーを設置します。このほか、射撃会場最寄りの朝霞駅周辺や、霞ヶ関カンツリー倶楽部周辺では、猛暑からいつでも避難できるよう冷房コンテナハウスを設置いたします。さらに、暑さ指数を観戦客に示し注意を喚起するとともに、全ての会場へのルートに看護師が常駐する救護所を設置して、観戦客やボランティアへの安全を確保いたします。 県では、本年二月十二日にゴルフ競技場に集中豪雨や落雷、突風により災害が発生した場合を想定し、消防、医療、防災航空隊が一体となった埼玉県特別機動援助隊、いわゆる「埼玉SMART」の合同訓練を実施しました。大会本番では、気象情報を常に把握しながら、大会組織委員会や地元市、消防、警察などと一体になって、猛暑や急激な天候変化に的確に対応し、観戦される皆様の安心・安全の確保に万全を期してまいります。 次に、御質問第五の超スマート社会の実現についてのお尋ねのうち、スマート農業の普及に向けてについてでございます。 労働力の減少など本県農業が直面する構造変化に対応し、その稼ぐ力を強めるためには、こうしたスマート農業技術について、農業現場へ導入、普及を進めていく必要があります。 そこで私は、知事選において「ドローンや無人運転トラクターの導入、AIを活用したスマート農業・林業支援を促進します」と公約に掲げさせていただきました。具体的には、ロボットや各種のセンサー技術などを導入することにより、農作業の省力化、効率化が見込まれます。また、IoTなどの技術を活用することにより、熟練農家の知識や技術がデータとして蓄積され、いわゆる見える化により次代を担う農業者がノウハウを円滑に習得できることも見込まれます。 ただし、スマート農業技術については日進月歩の状態です。このため、私は、本県の農業現場へスマート農業技術を導入、普及させていくためには、技術の進捗度合いと、品目ごとに導入の可能性を見極めながら進めていく必要があると考えております。 実用化された様々なスマート農業技術が既に存在する施設園芸などについては、現場への普及実装を進めることで大きな効果を上げることができると考えます。一方、露地野菜や果樹など、適用する技術の多くがいまだ開発段階の品目については、メーカーなどとも連携しながら、本県の状況に適した研究開発や技術実装を行っていく方向性が考えられます。 こうした考え方に立って、令和二年度当初予算においては、研究開発、技術実証、普及実装の大きく三つの段階に分け取り組むこととしております。 議員お話しのコスト面については、技術実証の中の取組として、リースやシェアリングなどの可能性を検討してまいります。またLPWAやRTK基地局といった基盤の整備については、ロボットトラクターのような自動走行農機などの導入効果を高めることが分かっており、その普及拡大に必要なものもあると考えております。このため、費用対効果の観点から、どのような通信環境の整備が本県農業にとって適正なのかを技術実証の一環として見定めた上で、導入支援について検討してまいります。 スマート農業技術は、本県農業を成長産業に大きく転換させることができる力を持ったツールとなると思います。今お願いしている予算におきましては、それぞれの品目に応じた効果的な実装を進めるために県としても取り組むものであり、より適切に費用対効果が上がるように進めてまいります。スマート農業技術の普及については、農家が取り組みやすい形で、品目と技術の進捗度合いに応じバランスよく進めることで、儲かる農業の推進を図ってまいります。 次に、スマート行政の推進に向けてのお尋ねのうち、職員に求められる能力が変容する中で、時代に合ったどのような職員を、どのように養成するのかについてでございます。 AIやRPAなどの新技術を行政サービスに取り入れていくためには、まずは職員に対して新技術を積極的に活用するための意識付けが必要です。併せて、議員御指摘のとおり、スマート自治体への転換を進めていくと、職員に求められる能力自体が変容していくものと考えます。 例えば、県民の立場に立った共感力や問題を解決する調整力、変革する時代に対応した企画力や行動力など、新たな技術での代替が難しい能力が今まで以上に求められると思います。こうした能力を持った職員を育成するためには、様々な経験を積ませることが非常に有用です。 そこで、県以外での業務や幅広い人脈形成の機会を通して職員としての視野が広がるよう、国や民間企業などへの派遣を行っています。さらに、業務以外においても様々な経験が県民目線の行政につながるものと考え、県以外の組織や人と交流することも促しています。また、特に役付職員の登用に当たっては、常に県民の立場に立ち、高い使命感を有し、新たな課題、困難な課題に積極的に挑戦しているかをこれまで以上に重視してまいります。 私は、県民の声に耳を傾け、常に県民に寄り添う「県民が主語の県政」の実現を目指しており、その実現には、新たな時代に対応する能力を自覚し、自ら努力する職員の育成が不可欠と考えています。継続して職員に様々な経験を積ませることで県の未来を切り開き、時代の潮流を見極めることができる職員を育成してまいります。 次に、IT、デジタル分野において不足する専門職員などの人材をどう確保、育成するのかについてでございます。 AIやRPAの活用により、一般の職員に求められる能力が変容する一方で、新技術を含めたICT化を進めるためには、専門的なスキルを持った人材の育成、確保も重要です。このため、県では全庁的なICT化に携わる情報部門の職員のスキル向上を図るとともに、外部専門家の知見も活用していくこととしております。 職員向けには、業務に必要なスキルを習得できるICT研修のほか、最新技術の知見を得るために民間企業のICT技術部門への長期派遣などを実施しています。また、情報システムの導入に当たっては、調達額や仕様の妥当性について、外部専門家の知見を踏まえた精査を行っております。さらに、令和二年度は専門家の知見を得ながら、セキュリティ対策の向上や職員への専門的研修、OJTなどを実施する予定です。 こうした取組を通じ、急速な技術の進展やICTの高度化、複雑化に対応できる専門的な人材の育成、確保に努めてまいります。 次に、市町村の情報システムの標準化、共通化に積極的に関わることについてございます。 市町村の情報システムの共同化は、コストの削減や業務フローの見直しによる業務効率化、高度なセキュリティの確保の観点から、大変重要なものと認識しております。国では、基幹システムの共同化を主眼とした自治体クラウドを推進しており、地方交付税措置などの支援を実施しています。こうした国の動きを受けて、県では全市町村が参加する電子自治体推進会議において、システム共同化を進めるための事例研究を行うなど、市町村への支援を行ってまいりました。 しかしながら、市町村による理解度には隔たりがあり、取組にも温度差があるのが実情です。さらに今年度から埼玉県市町村共同クラウドの構築を進めるとともに、メリットを市町村に丁寧に説明し、被災者証明など、より適した分野から取組を進めてまいります。 令和二年度は、クラウドに搭載するシステムや参加団体を拡充するため、市町村への情報提供や技術的な支援などの取組を一層強化し、理解の促進を図ってまいります。 一方、システム共同化を更に促進し、より多くの団体に参加していただくためにも、情報システムの標準化が大変重要であると考えています。国では、全国一律に事務処理を行うシステムの標準化を優先し、現在、住民記録システムの標準仕様書の作成に取り組んでいるところであります。 県といたしましては、国の動向を十分把握し、市町村に対して丁寧な情報提供や個別の相談を行うなど、きめ細かく支援してまいります。情報システムは行政サービスを提供する基盤として重要性が増す一方、より適した分野からの標準化、共同化を通じて、効率的な設計、維持管理に努めることも重要です。県としては、市町村が効率的で利便性の高い情報システムを活用し、住民に対してより良い行政サービスを提供できるよう支援を強化してまいります。 次に、御質問第六の職員の適正規模と確保策についてのお尋ねのうち、「最小・最強の県庁」で数字ありきの削減が行われてきたことへの評価と、職員の適正規模についてでございます。 議員お話しのとおり、県では平成十六年度から平成二十五年度までの間に、知事部局の職員定数を毎年度見直し、合計で一千四百四十一人を削減したところであります。これまでの職員定数の削減は、事務の集約化やICT技術の活用、市町村への権限移譲など、行政の効率化によって実現できたものと理解しております。このように効率化を図るとともに、県民の健康増進や子育て支援をはじめとする県政の重要課題には職員を重点的に配置するなど、めりはりを利かせて職員定数の見直しを行ってきたものと受け止めております。 近年では自然災害の頻発、激甚化やCSF、新型コロナウイルス感染症の発生に加え、児童虐待などに対応する件数も増加し、県民の生命、財産を守るため、万全の対応が必要とされています。また、これまで人口の増加が続いてきた本県も、間もなく人口減少社会に突入します。更には、七十五歳以上の高齢者が全国一のスピードで増加することが見込まれ、それに伴う働き手不足などの課題や、LGBTQなどの権利擁護、外国人住民との共生など、新たな課題も山積しております。こうした課題に対応していくため、必要に応じて適切でめりはりのある職員配置を行ってまいります。 令和二年度においては、児童虐待防止や災害対応の体制強化を図り、適正な規模を確保するため、八十一人を増員する議案を今定例会に上程し、御審議をお願いしているところでございます。一方、行政の効率化自体は常に求められるものであり、AIやRPAなど新技術を活用した取組も進めます。 今後も不断の改革を進めるとともに、増大する行政需要に対応した適切な職員定数の管理に取り組んでまいります。 次に、採用試験の辞退率が高い現状をどう分析し、どのような有効な確保策を講じるのかについてでございます。 令和元年度の上級一般行政職の最終合格者の辞退率は、現時点で三九パーセントとなっています。最終合格者の約四割が辞退する現状については、残念ながら辞退率が高い状況にあると考えております。辞退者に対するアンケートの結果によると、上級一般行政職の辞退者の就職予定先は、国家公務員が約五割、東京都特別区が約三割となっています。都心に近く、交通の便もよいという本県の特徴が、国や特別区の併願先として選ばれる要因の一つであると考えております。 同じアンケートの結果では、辞退に当たり、他の就職先が本県より魅力的であった点は、「業務内容」が約六割と最も高くなっています。 本県には高いポテンシャルがあり、大きなやりがいがある業務がたくさんあります。例えば、本県は交通の要衝として、公共交通網や道路網が発達しており、過去十年間の企業本社の転入超過数は七百四十三社で全国第一位です。多彩な地域資源があり、観光分野では蔵造りの町並みの小江戸川越、豊かな自然あふれる秩父や長瀞をはじめ、国の特別史跡に指定されることとなった埼玉古墳群など、すばらしい観光資源が数多くあります。農業のブランド化や先端産業創造プロジェクトなどにも取り組んでいきます。また埼玉スタジアム二〇〇二やさいたまスーパーアリーナ、彩の国さいたま芸術劇場など、世界に誇る施設もあります。 さらに今後は、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催や、新一万札の顔として、あるいは大河ドラマの主人公として深谷市出身の渋沢栄一翁が選ばれるなど、追い風も吹いています。 そうした中、埼玉県職員として採用される皆さんには、「埼玉版スーパー・シティプロジェクト」や「あと数マイルプロジェクト」など、やりがいのある仕事を私とともに進め、「日本一暮らしやすい埼玉県の実現」に取り組んでいただきたいと思います。 埼玉県職員として、こうした豊かなポテンシャルのある埼玉県の更なる発展に取り組み、新しい課題に果敢に挑戦していくことは、正にやりがいのある仕事であると考えます。 このような埼玉県職員としての業務のやりがいを積極的にPRし、優秀な職員の確保に努めてまいる所存でございます。 次に、御質問第七の埼玉高速鉄道線延伸についてのお尋ねでございます。 議員お話しのとおり、さいたま市が設置した地下鉄七号線延伸協議会では、試算した五つのケースのうち、二つのケースで費用便益比(B/C)が一を超える結果が示されました。 一方、今後取り組むべき検討課題として、まちづくりの実施、快速運転や岩槻駅での結節方法等についての鉄道事業者との調整などが示されております。協議会で示された課題を解決するためにさいたま市は、県と埼玉高速鉄道株式会社、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構などによる実務関係者会議を設置しました。この会議において、さきに示された課題の共有や整理を行い、解決案について調査や協議を行っているところです。 また、協議会で試算したB/Cが一を超えるケースは、まちづくりの実施が前提となっています。県としては、必要な需要創出のため、さいたま市にはしっかりと取組を進めていただきたいと考えています。 一方で、私は知事選に際し、あと数マイルプロジェクトを公約として掲げました。公約に記載した個別の路線は、交通政策審議会答申に位置付けられた路線もあれば、そうでない路線もあり、また事業性の評価も様々な状況です。 令和二年度は有識者会議を設置し、将来人口や需要、新技術の動向、これまでの経緯などを踏まえながら議論していただきたいと考えております。 その中で地下鉄七号線の延伸は、答申に明確に位置付けられた路線であり、長きにわたって地域の方々の強い熱意と期待が込められた事業であると承知しています。日本一暮らしやすい埼玉の実現に向けて、さいたま市に取組を促すと同時に、しかるべき時期に私自らが判断するためにも、まずは個別の課題の解決が早急に図られるよう、しっかりと取り組んでまいります。 次に、御質問第八の医療体制の強化についてのお尋ねのうち、地域に必要な病床の速やかな整備についてでございます。 現在、いわゆる団塊の世代の全てが七十五歳以上となる令和七年を見据えて、全ての都道府県が地域医療構想を策定し、将来の医療需要に見合った体制づくりが進められているところです。本県では、大幅な医療需要の増加と、特に急性期を経過した患者を受け入れる回復期の機能を担う病床の不足が見込まれています。 そこで、第七次地域保健医療計画で増床が可能となった医療圏では、地域の関係者による協議を基に回復期の病床を中心に整備することで、地域の病床のバランスを整えていくことといたしました。 回復期の病院には、急性期の病院と地域のかかりつけ医や介護施設などをつなぐ役割が求められます。今回整備を進めることとした計画以外には、こうした重要な機能を担うことが期待できる増床計画がありませんでしたので、結果として現在は約四百床の病床を整備できる余地があります。医療圏ごとの整備病床数の上限を定める基準病床数については、令和二年度に見直しを予定していることから、その中でこの四百床の活用についても、併せて検討してまいります。 今後とも客観的なデータを基に専門的な観点からの協議を地域で重ねながら、限られた医療資源がより効率的に機能するよう、地域の実情に合わせた過不足ない医療提供体制の構築に努めてまいります。 次に、医師確保計画の目標医師数の設定の考え方と、目標実現可能な対策についてでございます。 医師確保計画は、医療計画の一部として策定するものとされており、今議会に埼玉県地域保健医療計画の一部変更として提案させていただいております。 まず、目標医師数設定の考え方であります。国との協議を経て、医師確保計画はこれまでの医療計画と整合性を図るため、令和五年度を目標年度として、地域医療構想による医療体制を実現するために必要な医師を確保するという考え方の下、策定したものであります。 また、令和七年を見据えた地域医療構想から令和五年時点の医療需要を推計し、今後の医師の働き方改革の影響を考慮しつつ、その時点で必要な医師数を目標に設定いたしました。その結果、医療体制を確保するには、常勤換算で約九千七百人の勤務医が必要であると推計いたしました。平成三十年の勤務医師数の暫定値は常勤換算で約八千七百人であることから、令和五年度までに約一千人の医師を増やしていく必要があります。 次に、目標実現可能な対策についてでございます。 病院勤務医師を増やすための対策は、一つ目に、医療計画に基づく病床整備により、医療提供の基盤となる医師を増やしてまいります。 二つ目に、埼玉県医学生奨学金により医師を養成し、特定地域や特定診療科の医師確保に努めます。 三つ目に、後期研修医の獲得、定着を進めます。具体的には、新たな取組として優れた指導環境を整備するため、県外の大学病院から県内病院へ指導医と専門医をチームで派遣していただき、後期研修医を集めます。また、後期研修医になる方に対する日本最大規模の合同説明会への参加や、後期研修医に対する研修資金の枠を十人に増やすことにより、県内外からの後期研修医の確保に努めてまいります。 これらの施策を推進することで、医師確保計画に設定した必要医師の確保を着実に実現してまいります。 次に、順天堂大学医学部附属病院及び医学系大学院等の整備に向けた決意についてでございます。 順天堂大学附属病院の整備は、八百の病床、加えて医学系大学院など教育・研究機能も強化され、医療提供体制は量的にも質的にも充実します。また、誘致の最大の目的である県北地域などへの医師派遣を安定的、継続的に行っていただくことで、医師の地域偏在、診療科偏在の解消を目指します。私も、就任早々の九月と年明け一月に、学校法人順天堂の小川理事長と順天堂大学の新井学長にお会いし、重ねて医師の派遣をお約束いただいたところであります。さらに、国際的な人材を育成し、高度先進医療を提供するキャンパスの構想を直接お伺いいたしました。 県議会の御尽力により誘致できた八百床でございます。大変大きな事業ではありますが、県民の安心・安全に直接つながる病床の整備と、医師の確保をともに実現してまいる覚悟で臨んでまいります。 最後に、御質問第九の食品ロス削減に向けてのお尋ねでございます。 食品ロス削減について国は、本年二月十九日に関係六省庁と有識者による食品ロス削減推進会議を開催し、基本方針案を示しました。基本方針案では、消費者や事業者の役割と行動を示すとともに、自治体に対しては食品ロスの実態調査を踏まえた計画の策定を求めております。 これに基づき、埼玉県では食品ロス削減推進計画を取りまとめ、令和二年度中に実効性のある計画を策定することといたしております。 そのため、これに先立ち、昨年十一月に熊谷市と飯能市のごみ処理施設において実態調査を行いました。具体的には、市職員、環境科学国際センター研究員を含む県職員が、実際に家庭から回収したごみ袋を開封し、可燃ごみに含まれる手付かずの食品を調べました。その結果、可燃ごみのうち約六パーセントがまだ食べられる野菜や未開封の食品であることが分かりました。これを県全体のごみ排出量二百三十二万三千トンに掛け合わせると、約十五万トンの食品ロスが発生していると推計されます。 これらの実態を基に消費者団体や大手スーパーなどから、どのような行動や取組が食品ロス削減に効果的であるか、生の声を聴取しております。県の食品ロス削減推進計画には、こうした具体的な意見や提案を盛り込んでいきたいと考えております。 また、議員お話しのとおり、三分の一ルールなど、食品業界には様々な商習慣があります。県では、昨年十一月に県内六つの経済団体に直接訪問するなどして、食品ロスを発生させる商習慣の改善などを働き掛けました。さらには、令和二年度には県内の事業者に対し、製造、卸、小売、流通などの各段階における食品ロスの発生要因や削減の具体的な取組事例を調査する予定であります。 食品ロスの削減については、SDGsに二〇三〇年までに二〇〇〇年比で半減する目標が明確に定められており、待ったなしの、真摯に取り組むべき課題であると認識しております。実効性のある食品ロス削減推進計画をできるだけ早く策定し、県民、団体、事業者、市町村と県など、あらゆる主体がワンチームとなって取り組み、食品ロス削減につなげてまいります。          ---------------- △特別委員会の設置 △5か年計画等特別委員会 ○神尾高善議長 これより、特別委員会の設置の件を議題といたします。 お諮りいたします。 5か年計画及び各分野における基本的な計画の策定等に関する件につきましては、5か年計画等特別委員会を十八人の委員をもって設置し、これに付託の上、審査いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。       〔「異議なし」と言う人あり〕 ○神尾高善議長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。          ---------------- △5か年計画等特別委員の選任 ○神尾高善議長 次に、ただ今設置いたしました5か年計画等特別委員会の委員の選任の件を議題といたします。 お諮りいたします。 5か年計画等特別委員会の委員につきましては、お手元に配布しておきました名簿のとおり選任いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。       〔「異議なし」と言う人あり〕 ○神尾高善議長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 ただ今選任いたしました5か年計画等特別委員会の委員の方々は、次の休憩中に委員会を開き、正副委員長の互選を行い、その結果を報告願います。〔参照〕        5か年計画等特別委員会委員名簿 議席番号  氏名    会派名     議席番号  氏名    会派名  二十番  宮崎吾一  自民      二十五番  吉良英敏  自民  四十番  細田善則  自民      五十二番  立石泰広  自民 五十六番  白土幸仁  自民      六十四番  武内政文  自民 六十九番  中屋敷慎一 自民       七十番  木下高志  自民 七十二番  杉島理一郎 自民      八十五番  宮崎栄治郎 自民  十六番  八子朋弘  県民      三十二番  並木正年  県民 四十七番  井上 航  県民      四十四番  井上将勝  民主フォーラム 七十七番  木村勇夫  民主フォーラム 二十七番  橋詰昌児  公明 五十九番  萩原一寿  公明       十五番  秋山もえ  共産党          ---------------- △休憩の宣告 ○神尾高善議長 暫時、休憩いたします。午前十一時四十一分休憩          ----------------午後一時三分再開 出席議員    九十名     一番    二番    三番    四番     五番    六番    七番    八番     九番    十番   十一番   十二番    十三番   十四番   十六番   十七番    十八番   十九番   二十番  二十一番   二十二番  二十三番  二十四番  二十五番   二十六番  二十七番  二十八番  二十九番    三十番  三十一番  三十二番  三十三番   三十四番  三十五番  三十六番  三十七番   三十八番  三十九番   四十番  四十一番   四十二番  四十五番  四十六番  四十七番   四十八番  四十九番   五十番  五十一番   五十二番  五十三番  五十四番  五十五番   五十六番  五十七番  五十八番  五十九番    六十番  六十一番  六十二番  六十三番   六十四番  六十五番  六十六番  六十七番   六十八番  六十九番   七十番  七十一番   七十二番  七十三番  七十四番  七十五番   七十六番  七十七番  七十八番  七十九番    八十番  八十一番  八十二番  八十三番   八十四番  八十五番  八十六番  八十七番   八十八番  八十九番   九十番  九十一番   九十二番  九十三番 欠席議員    三名    十五番  四十三番  四十四番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(奥野) 副知事(飯島)   企画財政部長   総務部長    県民生活部長   危機管理防災部長 環境部長    福祉部長   保健医療部長   産業労働部長  農林部長   県土整備部長   都市整備部長  会計管理者   公営企業管理者  病院事業管理者   下水道事業管理者 教育長     警察本部長 △再開の宣告 ○神尾高善議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △5か年計画等特別委員会正副委員長の互選結果報告 ○神尾高善議長 この際、報告をいたします。 5か年計画等特別委員会において、委員長に八十五番 宮崎栄治郎議員が、副委員長に六十九番 中屋敷慎一議員がそれぞれ互選された旨の報告がありましたので、御了承願います。          ---------------- △質疑質問(代表)(続き) ○神尾高善議長 質疑質問を続行いたします。 無所属県民会議代表、四十八番 岡重夫議員       〔四十八番 岡重夫議員登壇〕(拍手起こる) ◆四十八番(岡重夫議員) 無所属県民会議代表の岡重夫です。本日は地元の皆様には議会傍聴に来ていただき、誠にありがとうございます。 それでは、会派を代表して質問をさせていただきます。 大野知事は昨年八月三十一日に就任されてから、CSF(豚熱)の対策や台風第十九号への対応、そして現在の新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策などに奔走されて、あっという間の半年ではなかったかと思います。 しかし、これまでの知事の様々な場面での判断力や行動力を見て、県民の多くは知事を高く評価していますので、引き続きあらゆる場面で強いリーダーシップを発揮されることを期待して、順次質問を行います。 一、令和二年度の埼玉県一般会計当初予算案について、まず予算案編成に当たっての知事のお考えを伺います。 大野知事が就任後初めて編成された令和二年度の一般会計予算案は、一兆九千六百三億一千五百万円で、昨年度対比三・八パーセント増の過去最大規模となっています。そして「安心・元気のスタートアップ予算」と銘打ち、災害に強い埼玉の構築と二〇二〇オリンピック・パラリンピックの成功に重点を志向するとして、「安心・安全しっかり確保」「持続可能な成長・発展」「誰もがいきいき活躍」、この三つの施策を最優先に取り組むとも言われています。 そこで、まず安心・元気スタートアップ予算の基本的な考えとして、「誰一人取り残さない」「どの地域も取り残さない社会」を実現するとありますが、現在、県内でも経済、人口格差など格差社会が広がりつつある中で、その実現はなかなか困難です。そのような中、取り残さない社会の実現に向けて、どのような施策に取り組んでいくのか、知事のお考えをお聞かせください。 次に、知事の公約「日本一暮らしやすい埼玉の実現」に向けて、今回の初年度予算案で、その基礎作りをどのようにするのか。その取組について知事に伺います。 また、予算案を編成する上で、上田前知事の考え方をどのように継承、発展させて大野知事の公約を実現しようとしているのか、併せて伺います。 次に、臨時財政対策債について伺います。 当初、平成十三年度から平成十五年度までの三年間の臨時で始まった、地方が国の借金を肩代わりする制度の臨時財政対策債は、恒常的に来年度予算でも続けられています。そして、昨年度に比べて七・六パーセント減少したとはいえ、一千四十億円の臨時財政対策債が計上され、その残高は一兆七千八百二十五億円まで膨れ上がり、実に県債全体三兆八千百四十七億円の四六・七パーセントを占めています。 埼玉県が臨時財政対策債を発行するかどうかは、形式的には県の意思に委ねられていますが、実質的には交付税であるため、県は発行せざるを得ません。また、その借金は県が責任を持って返済しなければならず、次の世代への負担の先送りになるおそれがあります。ましてや、これからの人口減少や高齢化社会が進み、日本の社会構造が大きく変化して、国や県の税収が減少するおそれがある中で、いつまでも国の借金の肩代わりをすべきではなく、速やかに従来の地方交付税の現金支給に戻すべきです。 そこで、これまで上田前知事は国に対し臨時財政対策債の廃止を求めてこられましたが、大野知事はこの制度をどのようにお考えか。そして、国に対して何らかの意見などを述べられるお考えがあるのか、お伺いします。 続いて、埼玉朝鮮学園への補助金の支給について伺います。 埼玉朝鮮学園の補助金は、平成二十二年度から予算が執行停止され、平成二十三年度の予算特別委員会では、「拉致問題などが解決するまで予算の執行を留保すべきである」との附帯決議が可決されました。その後、来年度の予算案まで予算執行の凍結と、予算計上の見送りが行われています。 そんな中、平成三十年に人権問題を扱う有識者の方々が、県庁記者クラブで朝鮮学校への補助金の再開を求める記者会見を開き、「政治的な問題と、日本で生まれ、日本で暮らし、日本で税金を納めている子供たちの教育を受ける権利は、全く関係がない」との声明を発表しました。 私は、埼玉朝鮮学園の補助金支給を再開するのは、まず北朝鮮が拉致被害者を全員返すことが先決で、人権問題を訴える有識者の皆さんこそが、北朝鮮に向かって日本人拉致問題の全面解決を訴えるのが先なのではないでしょうか。 ところで、知事のもとには、ほかの団体などからも補助金の再開を求める要望などが来ていると伺っています。そこで、来年度予算案では、補助金の計上が行われていませんが、知事の埼玉朝鮮学園への補助金支給に関するお考えを伺います。 二、埼玉県の危機管理体制の見直しについて伺います。 まず一点目は、危機管理の要諦について伺います。 最近の中東や朝鮮半島の政情の不安定化や、地球温暖化による異常気象、さらには感染症の状況や、国内の官公庁、企業へのサイバーテロなどを見ると、これまでは自然災害も少なく、感染症やテロなどの発生もなかった埼玉県の危機管理全般の環境が大きく変化していると思います。そのような中、二〇二〇オリンピック・パラリンピックも控え、あらゆる危機から県民の生命財産を守るために、これを機会に県の危機管理体制の見直しが必要と考えます。 そこでまず、知事は危機管理の専門家として豊富な知識と経験をお持ちで、昨年十月に掲載された県のホームページで、「私はこれまで危機管理の専門家として『人の命を守る』政治を心掛けてきました。そしてその方向性はこれからも変わることはありません」と述べられています。 しかし、これまでの国会議員の立場と、現在の県民七百三十三万人の生命と財産を直接守る役割がある県知事の立場では、その責任の大きさも、重さも違い、知事の危機管理に関する考え方が最も重要だと考えます。 私は日頃から危機管理の要諦は「想定外のことがない周到な準備」と「有事の際の最高責任者の優れた状況判断能力」だと考えています。 ところで、以前、旧陸軍の参謀で、戦後は伊藤忠商事の会長や故中曽根元首相の顧問など数多くの要職を歴任され、昭和の参謀とも呼ばれた故瀬島龍三氏と、警察官僚としてあさま山荘事件などを指揮し、初代内閣安全保障室長を務められた故佐々淳行氏が、それぞれ別々の会談で「危機管理の要諦は何か」と問われ、二人とも「悲観的に準備し、楽観的に対処することである」と同じ答えをされました。それは、災害などはあらゆる想定を行い、最悪の状態を考えて準備し、対処はその計画に基づき整斉と行え、ということです。 そこで、知事のお考えの危機管理の要諦とは何か、お聞かせください。 二点目は、埼玉県危機管理指針の見直しについて伺います。 平成十六年に策定した埼玉県危機管理指針には、埼玉県における危機管理の対応の基本的な考え方や、危機管理体制などが示されています。そして、そこには自然災害だけでなく、武力攻撃やテロ、大規模火災、さらには各種感染症など、これまでに想定されたあらゆる危機から県民を守るための基本的な考えなどが記載されています。 ところで知事は、来年度予算案で「災害に強い埼玉の構築」や「県民の安全強化」を重点に、危機管理体制の強化にも大きな予算を計上されています。また、本定例会初日の提案説明でも、災害などから県民の命と財産を守る体制の見直しなどに関する決意も述べられています。 そこでまずは、知事御自身が危機管理に関する基本的な考え方や体制などを示すべく、埼玉県危機管理の指針を早急に見直す必要があると思いますが、知事のお考えを伺います。 三点目は、国民保護に関する埼玉県計画の見直しについて伺います。 平成十五年に国が事態対処法を成立させ、その対処に関して必要となる個別の法制の一つとして、平成十六年に国民保護法が施行されました。そして、その法律に基づき埼玉県が平成十八年にこの計画を作成、平成三十年十二月に変更されて、現在に至っています。 その計画を見ると、これまで国民保護のための各種訓練を積み重ね、さらには国や他県の状況なども参考に対処要領などが細部にわたり記載されています。しかし私は、武力攻撃等から県民を守るために一番大事なのは、事前の正確な情報と、できるだけ早く県民を安全な場所に避難誘導させることで、そのためには特に日頃から国を含めた関係機関との情報収集と共有が大切だと考えています。 その計画には、平素から国、市町村、指定公共機関などと相互連携を図る、とありますが、これまで武力攻撃などに対処するために、国を含めたそれらの機関などとの情報収集訓練や情報の共有のための会議などが行われたのでしょうか。 そこで、平時における情報収集体制の見直しや、その訓練や会議の必要性について、知事の御見解を伺います。 四点目は、埼玉県地域防災計画の見直しについて伺います。 この計画は、平成二十三年の東日本大震災や、平成二十六年の県北地域の大雪被害の教訓、さらには他県の災害などを参考に、平成二十六年十二月に埼玉県の防災会議で定められたものです。その計画には、複合災害や最悪事態なども含め、これまで考えられるあらゆる想定に対応できる計画になっています。 しかし、最近の豪雨災害、特に昨年の台風第十五号での他県の被害状況、そして第十九号での本県の被害状況や対応などを教訓に、内容の再検討を行う必要があると考えています。また、災害時の情報収集体制の確立については、現在の国や市町村、そして関係機関だけでなく、警備、ガス、電気などの業界との連携を検討すべきと考えます。 そこで、埼玉県地域防災計画の見直しについて、知事の御見解を伺います。 三、下水道BCPについて伺います。 下水道は水道、電気、ガスと並び、県民にとって日常生活に欠かせない大切なインフラの一つです。これまで全国的な大規模地震などの災害時に下水道が大きな被害を受けて、被災者の方々が長期間トイレを使うことができない、あるいは下水のいっ水などで不自由な生活を強いられてきました。 そこで埼玉県は、復旧までの時間を最小限にするために、平成二十八年三月に埼玉県下水道事業業務継続計画、いわゆる下水道BCPを作成し、これまで何度も図上訓練などを繰り返し、BCPを修正してきました。また、昨年埼玉県では、下水道BCP訓練が国土交通大臣から表彰されたと聞いています。 そこで、下水道BCPの実効性を上げるために、これまでどのような取組を行ってきたのか、下水道事業管理者に伺います。 次に、昨年十二月二十四日に県が行ったBCP図上訓練を視察しましたが、これまで行ってきたのは全て強い地震を想定した訓練だけで、下水道BCPには水害に対する対処要領などは記載されていません。今回の台風第十九号では、幸いにして県の下水道施設の水没などの被害がありませんでしたが、他県では大きな被害が出ています。長野県では千曲川の氾濫によって下水道処理施設が浸水し、処理機能が全面停止しました。そして、全面復旧にはまだ時間が必要であると聞いています。それらを考えると、今後は水害に対応できるBCPの見直しと訓練が必要と考えますが、下水道事業管理者の御見解を伺います。 四、二〇二〇オリンピック・パラリンピック成功に向けたテロ対策・COVID-19(新型コロナウィルス感染症)の感染拡大防止対策について伺います。 第一点目は、テロ対策について伺います。 この夏のオリンピック・パラリンピックの開催まで約五か月となり、先日行われた二〇二〇オリンピック・パラリンピック/ラグビーワールドカップ二〇一九埼玉県推進委員会の第六回総会でも、大会成功に向けた様々な県独自の取組などの準備状況が報告されました。そして、これからも大会成功に向けて引き続きテロ対策や暑さ対策、さらには感染症対策など多くの課題の解決に向けて、しっかりと取り組んでほしいと思います。 ところで、今年一月に公安調査庁が出した報告書「内外情勢の回顧と展望」に、東京オリンピック・パラリンピックでは、各競技場はもとより、公共機関などのソフトターゲットのほか、都市部などでもテロに警戒する必要がある、と記載されています。また、先月就任された松本光弘警察庁長官はある新聞社の取材に対し、「東京五輪に向け、国際テロの脅威は引き続きある。必要な体制は整っており、詰めの作業を進める」とコメントされています。 一方、県は国民保護に関する埼玉県計画に基づき、毎年、警察や自衛隊、消防などの関係機関と訓練を行い、去る二月十二日には坂戸市でオリンピック会場を想定した埼玉SMART合同訓練が行われ、関係機関の連携などが強化されました。 しかし、確かに対処訓練は大切ですが、現在、テロを未然に防ぐための情報収集の体制は十分なのでしょうか。それはテロ組織が何か月も前から日本に入国し、さらには埼玉県内に潜入して情報収集をしている可能性があることは、今回の日産自動車の元会長のゴーン被告の国外逃亡事件でも明らかです。 また、COVID-19の感染拡大にマスコミや県民の目が奪われているときこそ、テロに関する情報収集に力を入れる必要があります。そのためには、県は警察関係機関や公安関係機関などとテロに関する情報収集を行うことや、情報の共有化が大切です。特に米国とイランとの関係など世界情勢を見ると、テロ組織などの一部が既に日本に侵入している、あるいは侵入する可能性があるという前提で、テロに関する情報の収集や対処要領などに力を入れるべきだと考えています。 そこで、今回のオリンピック・パラリンピックを機会に、これからの大型イベントでのテロ防止のために、警察、公安関係機関などとの情報の共有の場、例えば(仮称)テロ対策埼玉県連絡会議などの場が必要と考えますが、知事の御見解を伺います。 次に、テロ防止のためには、日頃の警察署のパトロールや、警備業界やホテル業界、さらには住民などからの不審者情報の収集が大切です。 そこで現在、警察本部としてテロを未然に防止するために情報収集や共有など、どのような取組をしているのか、警察本部長に伺います。 続いて、テロ発生時の対処について伺います。 テロの対処は、本来警察の任務で、基本的には特殊急襲部隊(SAT)や銃器対策部隊が対処しますが、もし警察力だけで治安の維持や対処が困難な場合には、内閣総理大臣が自衛隊法に基づき自衛隊に治安出動を下命し、自衛隊と共同で対処するようになっています。 そこで、これまで埼玉県警察本部が自衛隊と治安維持に関する協定を結んで実働訓練が行われています。先日も陸上自衛隊朝霞駐屯地で、千葉県警も加わり合同訓練を行ったわけですが、その訓練の成果について、警察本部長に伺います。 二点目は、COVID-19(新型コロナウィルス感染症)の感染拡大防止対策について伺います。 昨年のラグビーワールドカップ二〇一九の開催時は、早い段階から国の関係機関等とも連携して、様々な感染症への万全な対策を行い、県内での感染症の発生はなく、大会を成功裏に開催することができました。 しかし、この夏のオリンピック・パラリンピック開催を前に現在のCOVID-19の感染拡大は、大きな懸念材料です。埼玉県内でも武漢市から帰国した四名の感染者が確認され、国内の各地に感染が広がりつつあり、昨日、新たに一名の死者が確認され、全国で五名の死者が出ています。そして、現在の国内での感染拡大の状況を見ると、当初の発生源とされる武漢市と全く関係ない人まで感染が広がり、埼玉県内でも人から人への感染が発生したことを考えると、感染経路を特定できないケースによる感染の拡大と、誰でも感染する危険性があることを想定しなければならない段階に来ていると思います。 このようなことから、県内の感染者が今後更に増えるおそれがあり、国との連携も必要ですが、最悪の事態を想定し、可能な限り埼玉県独自の感染の拡大防止対策をとるべきだと考えています。 県は去る二月二十日に新型コロナウイルス対策本部会議を開き、検査や相談体制強化などのために令和二年度予算に追加補正予算を計上することを決め、感染拡大防止に向けた更なる対策がとられると期待しています。 しかし、テレビ報道などによっては、自治体の感染者の数が違ったり、あるいは自治体のマスコミへの発表が感染者の国籍や移動経路などを発表する自治体と、そうでない自治体との違いがあり、さらには海外メディアが日本に関する様々な報道をしていることも、県民の不安に拍車をかけています。 そこで、次の六つの対策を要望します。 一つ目は、県内の感染者の正確な把握と、県民への正確な情報の提供。 二つ目は、県内の感染の拡大に備えた病院の受入体制の整備と、現在の体制では受け入れ切れなくなった場合の準備。 三つ目は、県民の不安解消のための相談体制の強化。 四つ目は、感染原因の解明と、感染者の移動手段、経路などの調査と結果の公表。 五つ目は、感染が終息するまでの間、県主催のイベントの全面中止措置。 六つ目は、可能な限り大量の検査キットの準備と、武漢市などの流行地域への渡航歴などがない人でも、医師の判断で検査を受けられる体制を早急に整えること。 以上、六点について、知事の強いリーダーシップを求め、見解を求めます。 五、教職員のわいせつ・セクハラ行為根絶に向けた取組について伺います。 昨年十二月二十五日の新聞各紙に、平成三十年度に教員のわいせつ行為やセクハラ行為で処分された全国の公立学校の教員の数が過去最多の二百八十二名で、被害者の半数は教え子との衝撃的な報道がなされました。また、埼玉県では九名が懲戒処分されたとあり、本年度に入っても教員のわいせつ行為などが多発している状況は、正に埼玉教育の非常事態で、このままでは県民、保護者、学校の地域の方々、そして子供たちの信頼をも失いますので、わいせつ行為などの根絶が急務です。また、それらの行為は教育に対する信頼の失墜だけでなく、被害に遭った子供の未来、そして人権の尊厳も奪い去ってしまうことを肝に銘じるべきだと思います。 県教育委員会では、これまで県立高校や県内の市町村教育委員会に対し、平成二十九年十月に教育長が「不祥事の根絶を目指して」と題したメッセージを、平成三十年七月には「不祥事根絶アクションプログラム」を、続いて平成三十一年一月に「不祥事根絶のための演習事例集」を出すなど、毎年次々と対応を行ってきました。さらにその後も、教職員のわいせつ行為などが発生していることから、「わいせつ行為等根絶 行動指針」を出して、児童生徒との交際禁止やSNSを使った私的な連絡の禁止など、具体的な指示を出しました。 しかし、教育委員会がこのような様々な努力をしても、残念ながらそれらの行為がなくなっていないのが現状です。 そこでまず、教育長の現在の思いと、特にわいせつ行為などがなくならない原因をどのように考えているのか、併せて伺います。 次に、性犯罪に関する様々な資料などを読んでいると、性犯罪の犯人の多くは、いわゆる性依存症という病気であって専門的な治療が必要だそうです。また、専門の医師は、子供も性の対象と考える、いわゆる小児性愛障害を持った人間は、常習性と衝動性が強く、他の性犯罪に比べて再犯率が高いとも言っています。そして、この小児性愛障害は、自分が性犯罪を犯しているという感覚がないことも特徴で、合理的に子供に接触できるよう小学校の教師や保育士を職業として選択する者もいる、という衝撃的なことを言う医師もいます。 このようなことから、教師の採用試験時点でそのような教師としての不適格者を見抜かなければなりませんが、現行採用試験では見抜くのはなかなか困難ではないかと思います。 しかし、専門医の中には、アンケート方式の質問の中に受験者が性依存症などの質問と分からないような項目を入れる方法もあるという医師もいます。 そこで、採用試験の面接試験や適性試験の中に、いわゆる性依存症や小児性愛障害などにより子供に特別な関心を持っている者が判別できる質問を入れて、不適格者を排除する方法を検討してはどうか、教育長の御見解を伺います。 また現在、新規採用や現職の教職員に対し、わいせつ行為などの根絶に向けた研修を行っていますが、更に内容などを検討し、強化を図ることが必要ではないかと思いますが、併せて教育長のお考えを伺います。 六、高等学校防災拠点施設について伺います。 ちょっと小さいですが、このパネル。これは、平成二十二年四月一日に県が作成したホームページをそのまま転記したものです。 ここにある高等学校防災拠点校は、平成七年一月に発生した阪神・淡路大震災の際、お年寄りや障害のある方々が不自由な避難生活を余儀なくされた教訓を踏まえ、災害時に学校が地域の防災活動の拠点として十分な役割を果たすことから、埼玉県は平成八年度から平成十一年度の四年間で、県立高校百七十九校のうち三十八校を防災拠点校と位置付けました。 また、避難場所としての機能を持たせるために太陽光発電設備やソーラー給湯設備、さらにはトイレやシャワーなどの設備など多数設置し、一校当たり約八億円、総額で約三百十四億円の予算をかけて整備を行いました。そして、この三十八校は当時、環境庁長官賞や通産大臣賞を受賞した、県が誇る防災拠点施設でもあります。 また県は、埼玉県地域防災計画に基づき、市町村の防災計画にも避難所として位置付けています。私も幾つかの市の防災担当課長に、この防災拠点校が市の避難所に指定されているか聞いたところ、全員が「避難所に指定しているが、これまで活用したことがない」と答えてくれました。 また、私は先月、県立蓮田松韻高校の設備などを視察しましたが、非常用設備や食堂など宿泊できる設備なども完備し、ある程度長期の避難生活が可能なことを確認しました。一方で、大雨の際には校庭が冠水するため、車両は駐車できないことも分かりました。確かに蓮田松韻高校は地震の際の避難所としては良いのですが、豪雨の際、校庭が冠水し駐車場として使えなければ、避難所としては適していません。 これらのことを考えると、当時、この三十八校の拠点校は大地震を想定した避難所として整備を行い、豪雨災害は想定されていなかったのではないかと思います。そのためか、昨年の台風第十九号では特に川越市、東松山市、坂戸市の三市が河川の堤防決壊などで多くの避難者が出たにもかかわらず、三市の高等学校を防災拠点が避難所として活用されたのは、松山女子高校だけでした。 そこでまず、台風第十九号の際になぜ川越高校、川越工業高校、そして坂戸高校が避難所として活用されなかったのか伺います。 次に、県はこれまで防災拠点校に関して、所在する市や町と、避難所として活用方法などの協議などを行ってきたのか、教育長に伺います。 続いて、この拠点校が整備されてから既に約二十年が経過する中で、県庁内でその地域的な偏りや活用方法などについて検証が行われてきませんでした。 そこで、今後、地震だけでなく豪雨などの自然災害の際、県民に役立つ防災拠点校としての在り方について検討が必要と考えますが、知事の御見解を伺います。 七、児童虐待防止に向けた取組について伺います。 埼玉県の児童虐待の相談件数も年々増加し、平成三十年度の相談件数は一万五千五百三十四件で、五年前に比べて三倍も増えており、児童相談所の職員の労働環境も更に厳しさを増しているのではないかと思います。 しかし、今後少子化が進む中で子供たちが健やかに育つ環境づくりは重要課題であり、児童虐待防止に向けてあらゆる努力を傾注しなければなりません。 さて、先般県は、埼玉県児童虐待防止対策協議会を立ち上げた、と発表しました。そして報道によると、会長に大野知事が、副会長に県医師会の金井会長が就任され、弁護士会など十三団体で構成され、児童虐待防止に向けて、情報共有や意見交換などを行うために年一、二回開催するとし、第一回目の対策協議会が去る二月五日に開催されたとありました。 ところで、現在、県内の市町村には要保護児童対策地域協議会があり、支援対象児童などの早期発見、適切な保護や支援を図るために、県の対策協議会と同じようなメンバーで構成され、情報の共有化や相互連携、あるいは役割分担の調整や責任体制の明確化も行っています。 そこで、まず二月五日に行われた県の対策協議会の成果と、今後の方向性について知事に伺います。 また、その成果を要保護児童対策地域協議会にどのように反映するのか、併せて知事に伺います。 次に、児童相談所職員の負担軽減策について伺います。 平成三十年に東洋経済社が独自に、政令指定都市を含む各都道府県の児童相談所で児童福祉司の残業時間などの勤務実態調査を行いました。それによると、埼玉県は月の残業の最大労働時間数は五十九・四時間で、三重県の九十七時間やさいたま市の八十六・八時間に比べると最大労働時間数は少ないのですが、それでも法律で定められた時間外労働の上限四十五時間をはるかに超えています。 また、児童福祉司一人が対応する件数では、埼玉県の七十三件は、大阪市の八十六件、さいたま市の八十二件、東広島市の七十七件に次ぐ全国第四位の多さで、都道府県では全国第一位の多さとなっており、現場の職員の負担がかなり大きいことが想像できます。 一方、国では平成三十年に児童虐待防止のための新プランを発表し、児童福祉司一人当たりの件数を四十件相当とするよう、人員配置と各児童相談所の管轄人口を見直す、とあります。 そこで県は、本年度七か所目の草加児童相談所を新設し、児童福祉司を三十五名増員し、百九十七名体制にしました。さらに来年度は、児童福祉司の増員や一時保護所の新設の計画がありますが、現場の職員の負担軽減のためには、業務の内容の見直しなど総合的な対策が必要です。 ところで、児童福祉司の現場では、朝九時から夕方五時の勤務体制がとりにくく、夕方以降、家庭訪問をし、夜間になって報告書の作成を行い、また夜間や土日に緊急対応をするという厳しい勤務状況にあります。そこで、職員の業務の効率化や負担軽減に向けた取組が大切です。 現在、児童相談所はICTを使った支援システムの改善に取り組んでいますが、今後職員のストレスの解消のための心のケアなど、勤務状況改善に向けてどのような取組を行おうとしているのが、知事に伺います。 次に、県内の児童相談所の児童福祉司は、これまでは緊急対応する「介入」と、その後のフォローをする「支援」を兼務していました。一方、国では昨年六月に児童相談所の機能強化を盛り込んだ児童虐待防止関連法を改正し、介入に当たる児童福祉司と、支援に当たる児童福祉司を分けることになりました。 しかし、現場では介入担当者の業務量が増えて、支援担当者との勤務状態の不均衡が生じるのではないかと危惧する声もあります。 そこで、本年四月から児童福祉司を介入と支援に分けた場合の業務量の不均衡などの課題をどのように解決しようとしているのか、知事に伺います。 八、スマート農業の推進について伺います。 四方を海に囲まれ食料の多くを輸入に頼り、食料自給率が僅か三十七パーセントの日本は、食料安全保障上も農業を守り、農業生産力を維持していかなければなりません。 しかし、埼玉県においても農業従事者の減少や高齢化が見込まれ、耕作されない農地の増加、さらには農業生産力の低下など、多くの課題を抱えています。 そこで、少ない人手で経営規模を拡大するためには、スマート農業の導入は不可欠だと思います。県もそれらの課題を解決するために、平成三十年度からスマート農業を推進して、ICT及びロボット技術の導入に向けた研究開発に取り組んでいます。 また、昨年十二月の定例議会で、「スマート農業の推進を求める意見書」を議会から国に提出しました。知事は、選挙公約の中に「スマート農業の支援の促進」を挙げられ、令和二年度中に新たな取組を本格化するとしています。そして、公約実現に向けた工程表には、スマート農業技術の実証について令和元年度に体制を検討し、令和二年度には研究会などの設置、そしてアクションプランを策定する、とありますが、このアクションプランについて知事の構想を伺います。 続いて、国は令和元年度のスマート農業関連実証事業の予算として約四十七億円を計上し、全国で生産現場が抱える課題解決に必要なロボットやICT等の先端技術を導入して実証するグループを公募し、営農管理やデータ収集などの取組を行いました。これには埼玉県内から生産者やメーカーを含めた三つのグループが応募しましたが、残念ながら三グループともに不採用でした。ちなみに近隣では、茨城県では二グループ、栃木県は三グループ、千葉県は一グループが採用されています。 しかし、この国の公募に関して二つの応募グループに県が参画したものの、三件とも採用されなかったことに関しては、喫緊の課題としてスマート農業の推進体制を強化することが必要だと考えています。 そこで、本県が今後とも本格的にスマート農業を推進し発展させるために、生産者はもとより新規就農希望者に至るまで、スマート農業技術の周知や導入支援を行うため、農林部の態勢の強化を図ってはいかがでしょうか。 また、農業大学校には稲作や露地野菜栽培などへのスマート農業の取組などを教える科目を新設してはいかがか。この二点について、知事の御見解を伺います。 以上、八項目について質問を行いましたが、これからも県政の様々な課題に会派一丸となって正面から取り組むことを改めて決意して、無所属県民会議を代表しての質問を終わらせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手起こる) ○神尾高善議長 岡重夫議員に申し上げます。 質問項目六番、高等学校防災拠点施設についてのうち、台風第十九号の際になぜ川越高等学校等が避難所として活用されなかったのかについて、答弁者の指名がございませんでしたが、知事でよろしいでしょうか。 ◆四十八番(岡重夫議員) 知事で。すみません。 ○神尾高善議長 四十八番 岡重夫議員の質問に対する答弁を求めます。       〔大野元裕知事登壇〕 ◎大野元裕知事 岡重夫議員の無所属県民会議を代表されましての御質問に順次お答え申し上げます。 まず、御質問第一の令和二年度の埼玉県一般会計当初予算案についてのお尋ねのうち、取り残さない社会の実現に向けて、どのような施策に取り組んでいくのかについてでございます。 本県は、人口減少社会の到来という時代の大きな転換点を迎えております。活力の低下が懸念される時代だからこそ、県民一人一人が誰一人取り残されることなく、生き生きと活躍できる社会の構築が必要です。 そこで、令和二年度当初予算案の柱の一つとして、「誰もがいきいき活躍」を掲げ、一人一人が抱える課題の解決に向けた施策に取り組んでまいります。 例えば、児童相談所の職員を大幅に増やすとともに、北部地域において児童相談所と一時保護所を一体的に整備することで、虐待から子供を守る体制や機能を強化してまいります。 また、いわゆる就職氷河期世代については、国に先駆けて実施している就職支援に加え、本県でも新たに職員採用枠を確保するなど、活躍の場を広げてまいります。 さらに、女性、シニア、LGBTQの方についても、それぞれの課題に応じた支援に取り組みます。 加えて、「誰一人取り残さない持続可能な発展・成長」を目指し、部局横断による庁内推進体制を構築するとともに、県内の企業、団体と連携しながら、埼玉版SDGsを進めてまいります。 こうした取組を進めることで、個人や地域が輝ける社会を構築してまいります。 次に、「日本一暮らしやすい埼玉の実現」に向けて、初年度予算案でその基礎作りをどのようにするのかについてでございます。私は、公約に掲げた、日本一暮らしやすい埼玉県を実現するための最初の予算案を「安心・元気のスタートアップ予算」と名付けました。先ほどの「誰もがいきいき活躍」に加えて、「安心・安全しっかり確保」「持続可能な成長・発展」の三本柱を掲げ、それぞれの施策に最優先で取り組むことといたしました。 「安心・安全しっかり確保」の柱では、災害ごとの被害や事態を想定したシナリオを作成し、図上訓練を繰り返すことで、関係機関と協力体制を構築する埼玉版FEMAなど、危機管理の態勢を強化してまいります。また、台風第十九号で特に甚大な被害を受けた入間川流域などにおいて、河川インフラの強靭化など治水対策に取り組みます。 「持続可能な発展・成長」の柱では、令和二年度に開催する東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの成功に向けたイベントや、この大会を契機とした本県経済の活性化などを着実に進めてまいります。 また、埼玉版スーパー・シティプロジェクトでは、都市機能の集約化、新技術の活用、災害に強いインフラの観点から、超高齢化社会に対応したまちづくりの方策を検討してまいります。 今後とも、日本一暮らしやすい埼玉県の実現に向け、全力で取り組んでまいります。 次に、予算を編成する上で、上田前知事の考え方をどのように継承・発展させて公約を実現しようとしているのかについてでございます。 上田前知事が取り組まれてこられたシニア、女性など多様な主体の活躍により社会を活性化するという方向性は、しっかりと継承するとともに、より視野を広げた取組を進めていくべきと考えております。 例えば、埼玉県コバトン健康マイレージでは、スポーツクラブとの連携などにより参加者を更に拡大し、健康寿命の延伸と医療費の抑制を図ります。また、埼玉版ウーマノミクスプロジェクトでは、男性の育児休業取得を促進するとともに、女性のキャリアアップのための実践的な支援を追加するなど、取組を強化してまいります。 一方、近年、ICTやAIなどの新技術は急速に進化しており、私はこうした技術を活用した取組を今までよりも更に積極的に取り入れることで、人口減少社会の課題を解決したいと考えております。 例えば、自動制御技術やドローンなどの活用により、作業の省略化や効率化を進める農林業のスマート化などに積極的に取り組んでまいります。 また、行政改革においても、AIを活用した業務アシスタントの導入や働き方改革の入り口としての庁内のペーパーレス化などに、私自らが率先して取り組んでまいります。 さらに新たな観点として、一つ一つの投資が足し算以上の効果を生む「一足す一が三」になる取組を積極的に推進いたします。例えば、これまで各所属で対応していた定型業務などを集約化して処理するスマートステーション「flat」は、業務の効率化とともに、職員が創造的な業務に専念する時間を創出し、さらには障害のある方の活躍の場も生み出すものであります。 私は、時代の変化を的確に捉え、新たな視点の下に施策に果敢に取り組んでまいります。本県の置かれている状況を十分に踏まえ、必要な施策に総合的、重層的に取り組むことで、日本一暮らしやすい埼玉県を実現してまいります。 次に、臨時財政対策債についてでございます。臨時財政対策債は、地方交付税の言わば振替として、平成十三年度に三年間の時限的な措置として始まりました。その後、延長措置がとられ、現在は令和元年度を期限としておりますが、その期限を令和四年度まで三年間延長する法改正が、ただ今国会で審議されております。 臨時財政対策債は、後年度の地方交付税で元利償還金の全額が措置されるため、発行されることにより財政運営に支障が出るものではありませんが、議員御指摘のとおり、国が地方交付税で措置すべきところを地方が肩代わりしている状況には変わりがなく、地方交付税制度の本来の姿とは到底言えないと思います。 本県はこれまで、臨時財政対策債は廃止し、地方交付税に復元すべきとの考えの下、税源移譲や地方交付税の法定率などの抜本的な改革が必要であると訴えてまいりました。また、全国知事会や九都県市首脳会議、関東地方知事会などにおいても、同様の趣旨の要望活動を実施してきたところです。このような要望に応える形で国も随時、地方交付税の質の改善に向けた見直しを行っております。令和二年度の地方財政計画においても、臨時財政対策債の抑制と地方交付税の増額がなされたところです。 本県の臨時財政対策債発行額も、平成二十二年度の二千二百十億円をピークに、令和元年度は一千六十一億円、令和二年度予算でも一千四十億円とピーク時のほぼ半分まで減少しております。このように地方交付税については、一定の質の改善が図られておりますが、臨時財政対策債の廃止というところまでは至っておりません。 私といたしましても、臨時財政対策債の廃止に向け、国に対し引き続き粘り強く要望していきたいと考えております。 次に、埼玉朝鮮学校への補助金についてであります。 埼玉朝鮮学校への私立学校運営費補助金については、平成二十二年度から不交付としており、平成二十五年度以降は予算計上を見送っております。令和二年度についても予算の計上はいたしておりません。 埼玉朝鮮学校への補助金再開を求める動きや要望があることは、議員御指摘のとおりです。私は、知事就任直前に埼玉朝鮮学校を訪問し、保護者の方ともお話をいたしました。本来、子供たちの教育と政治的な問題に関係があってはならないと考えます。 しかしながら、国の就学支援金裁判において、朝鮮総連の朝鮮学校への影響力や、朝鮮総連と朝鮮学校との関係性についての懸念が示されています。国は裁判において、朝鮮総連と朝鮮学校との関係性が、教育基本法で禁じる「不当な支配」に当たらないことの十分な確証が得られないと主張しています。全国五か所で行われている裁判では、国の主張がいずれも認められており、東京、大阪の裁判では、最高裁判所での国の勝訴が確定しています。また、平成二十四年三月の予算特別委員会における「拉致問題等が解決されるまで予算の執行は留保するべきである」という、県民の代表である県議会による附帯決議もございます。 令和二年度予算についてもこのような状況を踏まえ、補助金を支給する環境にはないと判断し、予算を計上しないとしたところでございます。 次に、御質問第二の埼玉県の危機管理体制の見直しについてのお尋ねのうち、危機管理の要諦についてでございます。 昨年八月の知事就任以来、CSF、台風第十九号、新型コロナウイルス感染症など、埼玉県に大きな影響を及ぼす危機や災害の事案が連続して発生いたしました。御質問において取り上げられた佐々淳行初代内閣安全保障室長とは、四年間にわたり共に危機管理講座を運営させていただいた先輩で、その薫陶は今も私にとって大切なものであります。 このことも踏まえて申し上げれば、備えるべき危機や災害は様々でありますので、私は危機管理の要諦は準備にあると考えております。危機管理は、危機が発生したときにいかに危機をマネジメント、コントロールできるかを日頃から準備しておくものだと考えています。そのためには、あらかじめ起こり得る災害を想定し、対応する組織などを定め、実施すべき行動を取り決め、訓練を繰り返すことが何よりも大切であります。 現在、危機や災害ごとに対処すべき具体的なシナリオを作成し、図上訓練を重ねながら、専門的な知識や能力を有する様々な官民の機関、組織を連結させていく埼玉版FEMAの検討を進めていくところです。 その上で、実際の危機に際しては「疑わしいときは行動せよ」「最悪事態を想定して行動せよ」「空振りは許されるが見逃しは許されない」という三つの行動原則、いわゆるプロアクティブの原則に基づいて対応することが重要と考えています。 今後とも危機、災害に備えた事前の準備を着実に進めるとともに、県のトップとしてしっかりと使命を果たしてまいります。 次に、埼玉県危機管理指針の見直しについてでございます。 埼玉県危機管理指針は、本県の危機対応についての基本的な考え方を定めたものであり、県の危機管理体制、平素から準備すべき事前対策、危機発生時の応急対策などを示しております。私は、外交官、防衛大臣政務官として長年にわたり危機管理の分野にも携わってまいりました。この経験から、公約として埼玉版FEMAを立ち上げ、災害や被害の状況に応じて必要な組織が連携できる体制を作り上げることと、災害発生時の県、業務継続計画の抜本的見直しを掲げさせていただきました。危機管理の準備は、より実践的なものでなければなりません。 現行の指針についても、こうした観点から、より実効性のあるものに見直してまいります。 次に、国民保護に関する埼玉県計画の見直しについてでございます。 国民保護に関する埼玉県計画では、実施体制や関係機関との協力体制、情報収集・伝達体制などが定められております。議員お話しのとおり、国を含めた関係機関との情報の共有はとても大切です。このため県では、この計画に基づいて情報収集・伝達体制を構築するため、毎年度、実動訓練や図上訓練を実施しております。 また、消防、警察、自衛隊との連携強化を図るため、埼玉県危機対策連絡調整会議を設置し、毎年度開催しております。この会議では、危機に関する情報交換や初動体制の確保などについて話合いを行っています。現在、国からも武力攻撃などについて国民保護法に基づき必要な情報が提供される体制が整っているとともに、サイバー攻撃についても同様に情報共有の仕組みがCERT等を通じて講じられております。さらに、内閣官房などとも情報の共有を図るべきだと考えております。 事態への的確な対処には、平時において、いかに体制を整えられるかが極めて重要であります。今後も訓練や会議などを通じて、関係機関としっかりと連携を図ってまいります。 次に、埼玉県地域防災計画の見直しについてでございます。 地域防災計画につきましては、大規模災害が発生した際に得られた教訓や、国の防災基本計画の改正などを踏まえて見直しを行ってまいりました。平成二十六年十二月に改定を行いましたが、その後、平成二十八年四月の熊本地震や平成三十年七月豪雨など、毎年全国各地で大規模な災害が発生し、その都度様々な教訓を得てきたところです。 さらに昨年、本県を直撃した台風第十九号の災害対応では、情報の収集や共有、県民への広報、市町村との連携などの課題が浮かび上がりました。こうした教訓などを踏まえ、来年度の地域防災計画改訂に向けて、現在準備を進めているところでございます。 警備、ガス、電気などの業界と連携した情報収集体制の確立について、県では埼玉県警備業協会と協定を締結し、警備員が得た被災情報を提供していただくこととしています。 また、ガスや電気などのライフライン事業者とは、大規模災害時に県の災害対策本部へ職員を派遣していただくとともに、災害オペレーション支援システムを活用して、被害や復旧状況について情報を共有いたします。 議員御指摘のとおり、業界と連携した情報収集体制が災害時にしっかりと機能するよう、地域防災計画の見直しの中で仕組みを充実してまいります。 現在、台風第十九号の県の災害対応について、市町村職員や県の災害対策本部に派遣された国の職員にアンケートやヒアリングを行いながら、検証作業を進めているところであります。また、国においても台風第十五号や台風第十九号をはじめとした一連の災害に係る検証を進めており、年度末を目標に結果を取りまとめると聞いております。こうした検証結果などを踏まえ、地域防災計画の見直しに取り組んでまいります。 次に、御質問第四の二〇二〇オリンピック・パラリンピック成功に向けたテロ対策・COVID-19(新型コロナウィルス感染症)の感染拡大防止対策についてのお尋ねのうち、これからの大型イベントでのテロ防止のための情報共有の場についてでございます。 議員お話しのとおり、国際情勢が不安定な中、世界各地で様々なテロが発生しており、残念ながら本県でもテロが生じる可能性は否定できません。このため、必要な情報の共有や訓練を含めた事前の周到な準備が非常に重要でございます。特に御指摘のような事前に潜入するスリーピングセルの把握や、サイバーインシデントの背景を把握するアトリビューションなどには、特に情報共有の在り方が問われることとなります。 現在、県警察本部が中心となって国、県、関係市、公共交通機関、ライフライン事業者など六十を超える関係団体から成る「二〇二〇オリンピック・パラリンピックテロ対策『彩の国』ネットワーク」が組織されております。この枠組みを通じて、テロ対策への情報共有や図上訓練を行い、顔の見える関係の構築を図るとともに、二〇二〇オリンピック・パラリンピックの会場が、テロを起こしにくいターゲット、いわゆる「ハードターゲット」となるべく、安全確保に努めてまいります。 オリンピック・パラリンピック後についても、こうした関係機関の緊密な連携体制が維持、継続できるよう取り組んでまいります。 次に、COVID-19(新型コロナウィルス感染症)の感染拡大防止対策についてでございます。 まず、感染患者の正確な把握と、県民への正確な情報の提供についてです。患者が発生した場合、保健所が感染経路や濃厚接触者をしっかりと把握し、正確な情報を提供しております。 次に、感染拡大に備えた受入体制と、受け入れ切れなくなった場合の準備についてであります。 原則は、軽症の方を含め全ての患者を感染症指定医療機関の感染症病床に入院させることになっています。緊急その他やむを得ない場合には、感染症病床以外に入院をさせることとしております。 今後、感染が拡大した場合、高齢者や基礎疾患がある方の重症化を防ぐことが最も大切であり、重症化のおそれがある方を中心に、高度な医療提供が可能な医療機関に入院させることができる体制づくりが重要です。このため、感染が拡大した場合の軽症者の取扱いや、感染症指定医療機関以外の一般医療機関での受入れなどのルールの明確化について国に求めてまいります。 次に、県民の不安解消のための相談体制の強化についてであります。 県民の皆様への相談窓口といたしましては、保健所や♯七一一九を活用した二十四時間対応の電話相談窓口を他の都道府県に先駆けて一月二十四日から開設しております。相談件数は現在までに一万件を超え、県民の方々の不安や関心が高いことがうかがえます。このため、来週三月一日から県民サポートセンターを新たに立ち上げ、県民の皆様の相談に一元的に二十四時間対応する体制に変更してまいります。 次に、感染原因の解明と感染経路の追跡の徹底であります。 保健所では、感染症が発生した際には、患者の症状や行動履歴、濃厚接触者などを調査、把握し、感染原因の解明と感染経路の追跡を徹底的に行っております。現時点での県内感染確認事例は、全て武漢市からお帰りになった方々で、感染経路や濃厚接触者を県としてしっかりと把握しており、更なる感染の拡大が見込まれない状況のため、行動履歴などは公表しておりません。 しかしながら今後、不特定多数に感染するような状況が見込まれる場合などにおいては、それぞれ総合的に判断し、適切に公表してまいります。今回の新型コロナウィルス感染症についても、他の感染症同様、しっかりと患者や濃厚接触者の調査を行ってまいります。 次に、県主催のイベントについてであります。 全ての社会的機能を停止させることになれば、その影響には大きなものがあります。このため、個々の事情を勘案しながら、個別に判断する必要があると考えております。したがって、まずは多数の人が参加し密着する状況が見込まれるイベント、高齢者など重症化するリスクが高い方が集まるイベントなどについて中止又は延期の検討を行います。 最後に、検査キットの準備と流行地域への渡航歴などがない人でも検査できる体制についてです。 県においては、PCR検査機器の増設と検査試薬の更なる確保により検査体制の強化を図っておりますが、流行が拡大した場合、現在の体制では対応し切れない場合も想定し得ます。このため、全国知事会を通じて、簡易検査キットの開発と提供を国に緊急要望したところであります。 二月十四日に閣議決定された国の新型コロナウィルス感染症に関する緊急対応策においては、PCR検査における民間検査機関の活用と、簡易検査キットの開発着手が盛り込まれております。検査の実施に当たっては、本県においては既に必ずしも政府の定める基準に基づかない場合、例えば武漢などに渡航歴がない場合でも、臨床医の判断に基づく等により弾力的に既に検査を行っております。新型コロナウィルス感染者の状況変化に的確に対応した感染症対策に引き続きしっかりと取り組んでまいります。 次に、御質問第六の高等学校防災拠点施設についてのお尋ねのうち、台風第十九号の際に川越高校、川越工業高校、そして坂戸高校が避難所として活用されなかった理由についてでございます。 台風第十九号では、川越市が市内六十三か所の避難所のうち二十八か所、坂戸市が二十二か所のうち十六か所を開設いたしましたが、議員お話しのとおり、川越高校、川越工業高校及び坂戸高校は活用されておりません。 その理由といたしまして、川越市では「近隣の小中学校を避難所として開設することで対応可能であったため」と伺っております。一方、坂戸市では「坂戸高校が浸水想定区域内にあるため、避難所として活用することを考えなかった」と伺っております。 次に、県民に役立つ防災拠点校の在り方についてであります。 防災拠点校は、阪神・淡路大震災の教訓から、大地震の際に被害が想定される地域に人口割合などに応じて設置された経緯があります。これまで本県には、大規模な災害が比較的少なかったことから、実際に防災拠点校の設備が活用された事例はほとんどありませんでした。しかし、今回の台風第十九号では防災拠点校十六校が避難所として開設され、うち十三校が実際に利用されました。近年、自然災害が激甚化、頻発化しており、いざというときに県民の方が安心して避難できる環境の整備が重要です。 防災拠点校は、地震を想定して整備したところから水害時には活用できない施設が存在することや、整備されて二十年以上が経過し設備の老朽化が進んでいることなど、防災施設としては課題が存在することも認識しております。また、災害時の実効性を確保するためには、地域住民と共同で訓練を行うなど、日頃から地域の防災活動と連携した取組も大切であります。 今後行う防災拠点校の活用等の検証結果を踏まえ、市町村からも丁寧にニーズを聞きながら、地域の中で機能し有効に活用されるよう、防災拠点校の在り方について検討を進めてまいります。 次に、御質問第七の児童虐待防止に向けた取組についてのお尋ねのうち、児童虐待防止対策協議会の成果と今後の方向性、その成果を要保護児童対策地域協議会にどのように反映するのかについてでございます。 児童虐待防止対策協議会は、県医師会、埼玉弁護士会など、県内において児童を取り巻く様々な分野で御活躍をいただく団体の代表をメンバーにしております。県内の関係団体の代表が一堂に会し、情報の共有や施策への意見交換、提言などを行い、ワンチームで県全体の児童虐待防止に取り組むために設置したものであります。第一回の会議では、虐待事案について「地域ごとの特徴を分析するべきではないか」「市町村間の転居の際に虐待情報について統一した引継方法を検討するべきではないか」など、有意義な御意見を賜りました。こうした御意見は、今後の児童虐待防止策に役立つ大変有効なものでありました。 今後の方向性につきましては、情報共有や意見、提言だけではなく、児童相談所が抱える困難な事案について委員の幅広い知見を積極的に活用させていただき、児童の安全確保につなげていきたいと考えています。 なお、早速ではありますが、今般発生いたしました困難な事例につきまして協議を行わせていただいたところ、今後の対応方針について委員から、専門的知見に基づく貴重な御助言をいただいたところでもあります。 要保護児童対策地域協議会への反映については、虐待防止施策への提言や困難事案に関する対応のうち、市町村に参考になるものを積極的に情報提供してまいります。 次に、児童相談所職員の心のケアなど、勤務状況改善に向けた取組についてでございます。 議員お話しのとおり、虐待事案に的確に対応していくためには、職員の増員とともに業務の効率化が不可欠です。現在、業務の効率化を図る取組としては、リスクの低い案件の安全確認について民間団体の力を活用しています。また、虐待情報について児童相談所と警察署とを直接リアルタイムに結ぶシステムを構築し、本年一月二十七日から都道府県では初めての運用を開始したところです。 今後は、虐待対応にAIを活用している三重県の先進事例の研究や、児童福祉司が重篤な案件に注力できるよう、担当業務のうち事務職でも対応可能な業務の切り分けなどを検討してまいります。 職員の心のケアについては、一人で抱え込まずに相談しやすい職場づくりが重要です。若手職員に対し先輩職員が業務上の相談やメンタル面のフォローを行うブラザー・シスター制度や、メンタルヘルス研修などを充実させてまいります。 また、威圧的な親への対応として、全児童相談所に配置した警察OBによる家庭訪問への同行や、警察と連携した実践的な捜索訓練を引き続き実施いたします。職員一人一人が持てる力を十二分に発揮できるよう、業務の効率化、負担軽減を図ってまいります。 次に、児童福祉司を介入と支援に分けた場合の業務量の不均衡などの課題をどのように解決しようとしているのかについてでございます。 介入と支援に分けた場合、介入については担当する職員が保護者との関係悪化を危惧することなく、子供の安全確保のためちゅうちょなく一時保護することが可能です。支援については介入とは別の職員が担当するため、保護者との対立関係を持たずに保護者の立場に立って効果的な指導を行うことができます。 業務量が不均衡になることがないよう、業務内容を丁寧に分析し適正な人員配置を行うとともに、必要に応じて柔軟に組織的な対応を行います。 私は、子供を虐待から守るという強い決意の下、児童虐待の防止に全力で取り組んでまいります。 最後に、御質問第八のスマート農業の推進についてのお尋ねのうち、アクションプランの構想についてでございます。 議員お話しのとおり、本県農業においても農業従事者の減少や高齢化に加えて、耕地面積の減少などといった課題を抱えています。こうした課題を解決するため、ICTやロボットなどの先端技術の活用による省略化や効率化を図り、IoTなどの技術を活用したベテラン農家の熟練技術の見える化により、スマート農業を推進していきたいと考えています。 こうした考え方を踏まえ、専門家や関係者の意見を頂きながら試験的な取組を実施し、新技術の実装に向けて代表的な品目など、埼玉農業の特性を踏まえたアクションプランを作ってまいります。 次に、周知や導入支援を行うための体制の強化についてでございます。 スマート農業技術は農業従事者ばかりでなく、職員にとっても最先端の技術であり、また絶え間なく技術開発が進んでいる分野であります。県においてもそのスピードに遅れず、職員が新技術や開発状況を把握し、取組を推進していく体制の強化が必要であると考えています。 そのため、令和二年度からスマート農業技術の実証や普及を担う職員を増員することとしています。また、農林振興センターと農業技術研究センターと併せて九か所にスマート農業相談窓口を設置し、農家からの相談に対応できるようにしてまいります。さらに、職員が国や民間の最先端の開発技術に触れる機会を可能な限り増やしてまいります。 次に、農業大学にスマート農業の科目を新設することについてでございます。 就農後、スムーズにスマート農業技術が導入できるよう、農業大学校に関連技術について学べる科目を設けることは重要だと考えています。 そこで、平成三十年度からキュウリなどの施設栽培で、インターネットを通じて得られた温度や二酸化炭素濃度などのデータを活用した栽培管理を実習や講義に取り入れています。これにより、作業時間の削減や生産量の増加を実感した学生がスマート農業への理解を深め、データを見て能動的に農作業を行うなどの効果が表れております。議員の御指摘を踏まえ、今後は稲作や露地栽培の分野でも、スマート農業に触れて学べる機会を創出できるよう、教育環境を整えてまいります。       〔砂川裕紀下水道事業管理者登壇〕 ◎砂川裕紀下水道事業管理者 御質問三、下水道BCPについてお答え申し上げます。 まず、下水道BCPの実効性を上げるために、これまでどのような取組を行ってきたのかについてでございます。 下水道は県民生活にとって重要なライフラインの一つであり、被災した際にその機能を維持又は早期に回復させる必要があります。 下水道局では、平時から災害に備える活動や被災時の対応を取りまとめた下水道BCPを策定し、その実効性を高めるため、災害対応に関する実動訓練と図上訓練を継続的に実施しております。実動訓練では埼玉県下水道公社のほか、災害協定を締結している民間団体にも参加していただき、支援要請や現地での応急対応手順を確認しております。また、図上訓練では、参加者が事前に被害情報を知らない状況で様々な判断を求められるブラインド型ロールプレイング方式により、臨機応変に対応できる能力の向上を図っております。 これらの訓練を継続的に実施し、市町村をはじめ県内全ての下水道関係者との連携を強化しながら、発災後の業務継続力の向上を図り、BCPの実効性を高めております。 さらに、平成三十年度から流域下水道の管路情報をデジタル化し、併せてタブレット端末を活用して被災状況を視覚的に共有する仕組みを整備したことで、より迅速で的確な意思決定が可能となりました。この取組は令和元年度国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞」として表彰され、一定の評価が得られたものと認識しております。 今後とも各種訓練を継続的に実施し、県内の下水道関係者とともに災害への備えを進めてまいります。 次に、水害に対応できるBCPの見直しと訓練が必要ではないかについてでございます。 本県の九つある水循環センターでは、水害対応の事前準備として各設備の稼働確認や資器材の確認・調達、非常用発電設備の状態把握などのタイムラインを作成し、実践しております。また現在、台風第十九号での災害対応の課題検証を進めながら事前準備のタイムラインを見直しており、今後、水害発生時の優先業務の設定や行動計画の作成、執務体制の確認を行ってまいります。 さらに、国土交通省では、これまでの地震や津波を想定した下水道BCP策定マニュアルに水害想定を加え、今年度内に自治体に提示する準備を進めております。下水道局では、国土交通省から提示されるマニュアルを参考に埼玉県BCPと連携しながら、水害想定を追加した下水道BCPの改定に取り組むとともに、各種訓練を速やかに実施してまいります。       〔高木紳一郎警察本部長登壇〕 ◎高木紳一郎警察本部長 御質問四、二〇二〇オリンピック・パラリンピック成功に向けたテロ対策・COVID-19(新型コロナウィルス感染症)の拡大防止対策についての(一)テロ対策のうち、埼玉県警察本部としてテロ未然防止のための情報収集や共有など、どのような取組をしているのかについてお答えいたします。 テロは極めて秘匿性の高い行為であり、断片的なものであっても幅広い情報の収集と共有は、テロを未然に防止するために極めて重要であります。そのため、警察では日頃実施しているパトロール、多数の者が集まる催事、ソフトターゲットの警戒等の警察活動を通じた情報収集に加えて、テロを企図する者の入国も視野に入れた官民一体となった情報収集体制を確立しております。 具体的には、テロリストが利用するおそれのあるホテル、旅館、民泊等の宿泊施設、インターネットカフェ、レンタカー事業者を個別に訪問し、例えばスマートフォンを見ながら宿泊者名簿等を記載するなど、具体的な不審動向を教示した上で、そのような不審者が訪れた場合には直ちに警察に対して情報提供がなされるよう、協力体制を確立しております。 また、インターネット上には具体的な手製爆弾の製造方法が掲載されており、国内でも実際に学生が手製爆弾を製造した事件が発生している現状を踏まえ、爆発物の原料となり得る化学物質を販売している薬局やホームセンター等の事業者、同種化学物質を使用・保管している高校、大学等に対して、盗難防止等の指導・教養を実施しているところです。 なお、オリンピック・パラリンピックに向けた官民連携の枠組みであるテロ対策「彩の国」ネットワークには、埼玉県警備業協会や宿泊事業者にも参画いただいており、テロ対策や危機管理に関する講演等を通じて、危機意識の醸成及び共有を図っているほか、参画事業者、団体と連携し、各種イベントにおける広報啓発活動を実施するなど、テロの未然防止に向けた取組を推進しております。 次に、陸上自衛隊、千葉県警察との合同訓練の成果についてでございます。 万が一、テロが発生した場合の対処は警察の任務であり、主として銃器対策部隊がその対処に当たることになります。しかし、強力な殺傷力を有する武器を所持した武装勢力等によるテロが発生し、警察力をもって治安維持が困難と認められる場合は、内閣総理大臣の命令により治安出動した自衛隊と共同対処することとなります。 そのため、本県警察では、平成十四年に陸上自衛隊第一師団と「治安出動の際における治安の維持に関する現地協定」を締結し、平素から自衛隊との緊密な連携を図っております。また、平成十九年からこれまでに十一回の共同実動訓練を実施し、警察と自衛隊の情報共有や連携要領を確認することで相互理解が深まっているものと考えております。 今後も訓練を通して得られた教訓事項を基に、更に訓練を積み重ねるなどし、オリンピック・パラリンピック時はもちろんのこと、様々な事態に迅速かつ的確に対応できるよう、更なる連携の強化を図ってまいります。       〔小松弥生教育長登壇〕 ◎小松弥生教育長 御質問五、教職員のわいせつ・セクハラ行為根絶に向けた取組についてお答え申し上げます。 まず、私の思いとわいせつ行為などがなくならない原因についてでございます。 今年度処分したわいせつ事案は十三件で、過去十年で最多の件数となり、極めて憂慮すべき状況であると認識しております。被害者となった児童生徒や県民の皆様に対して、大変申し訳なく思っております。 特に学校内でのわいせつ行為は、閉じられた空間の中で大きな権力を持った教員が、弱い立場の子供に対して行う卑劣極まりないものです。私が教育長に就任して以来、できることは何でもやるとの方針を掲げ、不祥事根絶アクションプランを策定し、教職員の意識改革や研修の充実、教員採用試験の工夫改善など様々な取組を実施してまいりました。昨年三月には、教育長緊急メッセージとして「児童生徒を性の対象として見ているのであれば、教師という職を辞してもらいたい」という強い思いを全教職員に対して発したところでございます。 これらの取組を行ってまいりましたが、教職員一人一人に確実に伝わっていない、また定着していないのではないかという大変悔しい思いを持っております。 わいせつ行為などがなくならない原因については、規範意識の欠如、自分は大丈夫という過信、一方で自制心が利かないという弱さ、さらには性に対する依存症に起因するものもあると考えております。 次に、子供に特別な関心を持っている者を排除する方法を検討してはどうかについてでございます。 議員お話しのように、子供に接触することを目的に教師という職業を選択する者がいるのであれば、決して許されないことです。平成三十年度実施の教員採用選考試験から個人面接の際に具体的な処分事例を基にした質疑を行い、受験者の観察を行っております。加えて、今年の夏に実施する試験から、女性の面接試験員を増やし、より多様な視点で選考することを計画しております。 御提案の面接試験や適性検査で不適格者を排除することにつきましては、性犯罪に詳しい医師や臨床心理士などの意見を参考に、何ができるのか、どういった質問が効果的か、検討してまいります。 次に、わいせつ行為などの根絶に向けた研修の強化についてでございます。 県教育委員会では、学校向けのホームページに多様な研修資料を掲載し、職員研修会で活用することで教育公務員の自覚を高めるよう指導しております。わいせつ行為などの根絶に向けては、既に実施している研修に加え、犯罪防止の専門家の知見を取り入れた研修などを実施する必要があると考えております。 また今月、岡山県に職員を派遣し、不祥事を原因別に類型化し身近なものとして捉えさせる研修など、外部有識者の知見を生かした先進的な取組を学んでまいりました。これら他県の取組も参考にしながら、研修を更に充実、強化してまいります。 さらに、被害を受けた子供たちは、将来にわたり深い傷を負うことになるため、性犯罪に巻き込まれないよう性に関する正しい知識を身につけるための指導の充実にも努めてまいります。 県教育委員会としては、あらゆる手段を尽くして、わいせつ行為の根絶に全力で取り組んでまいります。 次に、御質問六、高等学校防災拠点施設についてのうち、これまで防災拠点校に関して所在する市町と避難所としての活用方法などの協議を行ってきたのかについてお答え申し上げます。 防災拠点校の活用方法については、従来は大地震を想定し、地域住民や地元市町の職員に対して非常時に使う施設や設備を実際に動かしながら説明するなど、理解を深めていただいておりました。 一方、水害など地震以外の自然災害時の活用方法といった視点では、必ずしも十分な協議ができておりませんでした。そのため、昨年の台風第十九号による大雨を受けて、防災拠点校を含め、避難所に指定されている県立学校及び教育機関に対し、市町村の防災担当課と連絡を取り、万全の態勢を期するよう指示いたしました。その結果、市の防災担当者とともに現地を確認しながら、実際の避難を想定した施設の状況把握を行うなど、連携の強化につながっております。 今後ともこれまでの活用状況なども検証し、市町村との連携を深め、災害の種類を問わず防災拠点校が県民の安心・安全の確保に資するよう努めてまいります。          ---------------- △知事提出急施議案(第五十一号議案)に対する質疑 ○神尾高善議長 これより、急施を要する第五十一号議案に対する質疑を行います。 発言通告がありませんので、質疑は終了いたしました。          ---------------- △知事提出急施議案(第五十一号議案)の各委員会付託 ○神尾高善議長 次に、急施を要する第五十一号議案の付託を行います。 本定例会に提出された議案のうち、急施を要する第五十一号議案につきましては、お手元に配布しておきました付託表のとおり、各所管の委員会に付託いたします。〔参照-(一三)ページ〕          ---------------- △次会日程報告 ○神尾高善議長 以上で、本日の日程は終了いたしました。 企画財政委員会、環境農林委員会及び県土都市整備委員会においては、本日の本会議散会後、各委員会を開き、付託案件の審査を願います。 明二十七日は、午前十時から本会議を開き、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を続行いたします。          ---------------- △散会の宣告 ○神尾高善議長 本日は、これにて散会いたします。午後二時三十四分散会          ----------------       〔本会議散会後、企画財政委員会、環境農林委員会及び県土都市整備委員会が開かれた。〕...