平成22年 11月 定例会(第300回) 平成二十二年 第三百回
定例奈良県議会会議録 第三号 十一月 平成二十二年十二月七日(火曜日)午後一時一分
開議 -------------------------------- 出席議員(四十四名) 一番 小林茂樹 二番 藤井 守 三番 井岡正徳 四番 岡 史朗 五番 大国正博 六番 尾崎充典 七番 藤野良次 八番 森山賀文 九番 松尾勇臣 一〇番 宮本次郎 一一番 浅川清仁 一二番 田中惟允 一三番 上田 悟 一四番 山本進章 一五番 畭 真夕美 一六番 奥山博康 一七番 森川喜之 一八番 高柳忠夫 一九番 中野明美 二〇番 山村幸穂 二一番 中野雅史 二二番
神田加津代 二三番 安井宏一 二四番 岩田国夫 二五番 荻田義雄 二六番 粒谷友示 二七番 丸野智彦 二八番 岩城 明 二九番 藤本昭広 三〇番 今井光子 三一番
田中美智子 三二番 国中憲治 三三番 辻本黎士 三四番 米田忠則 三五番 新谷紘一 三六番 出口武男 三七番 中村 昭 三八番
秋本登志嗣 三九番 小泉米造 四〇番 服部恵竜 四一番 田尻 匠 四二番 山下 力 四三番 梶川虔二 四四番
川口正志 -------------------------------- 議事日程一、当局に対する
代表質問 --------------------------------
○議長(出口武男) これより本日の会議を開きます。 --------------------------------
○議長(出口武男) ただいまより当局に対する代表質問を行います。 順位に従い、十五番畭真夕美議員に発言を許します。--十五番畭真夕美議員。(拍手)
◆十五番(畭真夕美) (登壇)議長のお許しをいただき、第三百回
定例県議会において、公明党を代表し、質問をいたします。 知事は開会日に、来春に実施される
奈良県知事選挙の対応について所信を述べられました。
平城遷都一三〇〇年祭で天皇皇后両陛下を迎えての式典も無事終えることができたと語られ、そしてこの四年間の業績を振り返り、特に
妊婦救急搬送事案についての対応や、平城宮跡の
国営公園化、
平城遷都一三〇〇年祭の成功のためなどに全力を挙げてきたと語られました。また、
公明党奈良県議団も、平成十九年八月、
妊婦救急搬送事案が起こった翌日、荒井知事と同時に、公明党の当時の太田代表に要望をいたしました。それを受けて、当代表が
厚生労働大臣に妊婦の
救急受入れ体制の整備について要望を行ったところであります。公明党は、奈良の強みを生かすため、奈良の持つ魅力を発信するための工夫や知恵をめぐらせながら、奈良がよくなるようにと行動する知事の姿勢については評価するところです。しかし一方、弱い立場の人の声や少数の人の声にも耳を傾け、時代の変化に伴い起きてくる新しい課題にも挑戦するといったきめ細やかでスピーディーな県政運営も一方で大切ではないかと考えます。そのような視点を持ち、公明党は県民のため一層の
取り組みを決意し、質問に入ります。 まず最初に、ポスト一三〇〇年祭構想について、知事にお伺いします。
平城遷都一三〇〇年祭の
広域交流事業として、十一月二十五日から二十八日まで、
東大寺鑑真和上像中国揚州への里帰り・奈良県
友好交流訪問が行われました。
奈良県知事を団長に、冬柴元
国土交通大臣を名誉団長に、県内外、経済界や企業家など八十八人が参加、私も神田議員、井岡議員とともに参加をさせていただきました。江蘇省揚州市は、人口四百六十七万人で、風光明媚な歴史のあるまちで、中国の中でも二千五百年に及ぶ長い歴史を持っています。古くから水運に恵まれ、北は准河、中部は京抗大運河、南は長江(揚子江)が悠久の流れを見せています。現在、日中関係がぎくしゃくしているときだけに、周りの人たちが大変心配してくれておりましたが、揚州挙げて
東大寺鑑真和上像の里帰りを大歓迎してくれ、
鑑真和上像展の開幕式や唐家前国務委員の「
鑑真和上と日中友好」と題する講演、さらに、唐家前国務委員も出席されての、中国を代表するバイオリンなど著名な音楽家による
鑑真里帰り歓迎の
記念コンサートの開催など、奈良県と揚州市の相互理解を促進し、
友好交流関係を深める訪問となりました。 日本へ戒律を伝授するという固い決意と大きな使命感のもと、幾多の困難を経て日本への渡航を果たしたのが、揚州出身の
鑑真和上であります。その偉業は日中交流の長い歴史の中でも特筆すべきものがあると、揚州訪問中に改めて実感をしたところです。七四二年、はるばる海を越えてやってきた二人の日本人僧が大明寺を訪れました。中国は唐の時代、日本では奈良時代のことです。仏教の規範である戒律を日本に伝えてほしい、彼らの願いを受け入れたのが、揚州に生まれ、そのときに大明寺の住職を務めていた高僧鑑真でした。だれも艱難辛苦を乗り越えて東国の日本に渡る者がいない、このような状況のもと、鑑真の述べた言葉が、「何ぞ身命を惜しまんや。諸人行かざれば、我即ち去くのみ」、仏法を広めるためなら、みずからの体や命を惜しんでなどいられるものか、だれも行かないのなら私が行くだけだと言われました。 鑑真はその後、日本への渡航を五回にわたって試みるが、ことごとく失敗し、旅の疲労により、ついには失明するという苦難を乗り越え、十二年目に六度目の航海でようやく日本にたどり着き、悲願を果たしたのです。鑑真六十六歳でした。日本で律宗の開祖となった鑑真は、その総本山として奈良に唐招提寺を創建したことで広く知られています。仏教だけでなく、書道や薬学、建築など、幅広い知識を日本に伝え、さまざまな面で日本文化に大きな影響を与えました。そして、祖国に戻ることなく、日本でその一生を終えたのです。改めて
鑑真和上の不惜身命の姿勢に涙し、一たん志せば決してあきらめない勇猛果敢な開拓精神こそが鑑真精神なのです。そのことを教えてくれた有意義な訪問交流でした。 知事は就任以来、
東アジアとの交流を積極的に進めておられますが、今までの成果及び今後の展開についてお伺いいたします。 次に、奈良の
歴史展示についてお伺いいたします。
平城遷都一三〇〇年祭もあと残すところ一カ月を切りました。十二月五日の
奈良マラソン二〇一〇は、好天に恵まれ、約一万八千人のランナーが古都奈良を駆け抜けました。私も沿道で精いっぱい声援を送らせていただきました。参加されたランナーはきっと奈良の魅力を満喫されたものと確信いたします。
平城遷都一三〇〇年祭の頭尾を飾るにふさわしい
奈良マラソンでした。次回の開催を楽しみにしたいと思います。
平城遷都一三〇〇年祭の
開催効果等についての第二回
中間まとめによりますと、
平城宮跡会場への入場者数は、当初の目標二百五十万人を大きく上回る三百六十三万人、巡る奈良事業の県内各地への来場者が一千三百八十万人で、合わせて約一千七百四十万人と発表されました。せんとくん効果も二百二十五億円と発表し、
来場者消費額も約九百六十七億円と試算されています。したがって、
経済波及効果についても大きいものと予測をするところです。これだけのにぎわいをもたらした
平城遷都一三〇〇年祭だけに、県民の皆様は、
平城遷都一三〇〇年祭が終わったら奈良はどうなるのかと心配をされています。このにぎわいが続くようにと、既に奈良県はポスト一三〇〇年祭構想として十六項目にわたる観光振興を進めていこうとされています。 その中の一つに、奈良の
歴史展示力強化があります。県は
歴史展示の現状を次のように認識をされています。奈良の価値、すなわち値打ちは、奈良が、一、国家基盤が形成された地、二、仏教が伝来した地、三、
東アジアとの交流が盛んであった地であるという
歴史そのものにある。そのような奈良の持つ歴史の意味を発掘、発見し、展示・保存する
取り組みを行うことは、歴史ある地域の義務である。しかし、遺跡からの出土品や
美術工芸品などの歴史物の展示はあっても、歴史の展示が不十分であるため、奈良の価値である歴史をだれもが体感できる状況とはなっていないことが大きな課題と、
歴史展示の現状をこのように分析し、まとめられています。 確かに私もそのような考えを持っていました。奈良はほっとするところ、県内各地は自然がいっぱい、四季折々の奈良の風情は言いようのないすばらしさ、三輪山に上る朝日、二上山に沈む夕日など、これだけでも、どこにもない魅力が奈良には満載です。さらに歴史が語られれば深い奈良になり、奈良を見る目が変わってくることでしょう。奈良の価値である歴史をだれもが体感できるように、
歴史展示を奈良全体で推進する必要があると考えます。現在の
取り組み状況及び今後の展開についてお伺いいたします。 次に、知事に、九月定例会に引き続き、
子宮頸がん公費助成を含む
がん対策、
がん予防について質問いたします。 今や死亡原因の第一位ががんです。がんはだれもがなり得る病気で、国民病とも言われています。しかし、早期発見でがんは克服できる病気なのです。超高齢社会を迎え、
がん対策は県民の命と健康を守るための喫緊の課題であり、また、急増する医療費を抑制する上でも重要であります。奈良県が昨年策定した奈良県
がん対策推進計画では、その柱として、
がん検診受診率を二〇〇九年度から二〇一二年度までの四年間で五〇%以上と掲げられましたが、奈良県の
がん検診受診率は、大腸がんは全国平均を上回っているものの、肺がん、子宮がん、乳がん、胃がんの各
検診受診率は全国平均を下回っている状況であります。 これらの状況を踏まえ公明党は、
がん対策、
がん予防の充実を求める要望を、九月の一カ月間で県内十四万三千五百十三人の皆様より賛同の署名をいただき、十月五日、
奈良県知事に提出いたしました。要望項目は、一、
がん検診受診率向上のため受診者の利便性を図ること(
総合検診方式の導入、休日検診の実施等)、二、
受診実施広報の充実・強化を図ること(個人通知の充実、未受診者への受診勧奨の実施等)、三、
子宮頸がん、乳がんの
検診無料クーポン制度の恒久化を図ること、四、
子宮頸がん予防ワクチン接種費用を全額公費助成することなどです。これを踏まえ、県としてどのように取り組むのか、お伺いいたします。
子宮頸がんについては、
ワクチン接種と定期検診により予防できる唯一のがんと言われています。特に効果の高いとされる十一歳から十四歳への接種となることから、二月
定例県議会で私は、教育現場における教師や保護者などへの正確な情報提供や啓発が大切であると訴えました。このことを受け、
県健康づくり推進課は、
啓発チラシを七万枚作成され、小学校六年生、中学校一年生から三年生まで、そして高校一年生の女子を持つ全家庭を中心に、
学校関係者や保健所など、関係部署に配布されました。 また、教育現場では、十月十四日、
県医師会学校医部会と奈良県
教育委員会が主催で、
子宮頸がんワクチンに関する研修会が開催され、「
子宮頸がんはワクチンと検診で予防できる」と題し、
県立医科大学産婦人科学教室教授の
小林浩先生が、医師会員、学校医、県内小・中・
高等学校関係者、
PTA関係者などに講演をされました。私も参加をさせていただきましたが、活発な意見も飛び出し、
学校関係者への
子宮頸がん予防ワクチンの理解を深めるための有意義な研修会となりました。
子宮頸がんは特に二十代、三十代の若年層で増えており、晩婚化や妊婦の高齢化もあって、妊婦検診で発見される場合も多く、中絶を余儀なくされたり、妊娠前に子宮を全摘出したりといった重大なケースも目立つようになってきています。欧米諸国では、出産、
子育て世代の女性を襲うため、
マザーキラーと呼ばれ、受診率が七〇%から八〇%前後と高いのに比べ、国内の関心は低いのが現状です。 平成二十一年度から始まった
子宮頸がん検診無料クーポン券の利用率は、
厚生労働省の
医療関係者による
子宮頸がん制圧を目指す
専門家会議の調査によれば、
子宮頸がん検診受診率が二十代で前年比四倍増、それ以外でも二倍以上に増え、
無料クーポンが契機となり、受診率が上がっていることがわかりました。特に二十代、三十代で増えている
子宮頸がんゼロを目指すには、検診と
予防ワクチンの併用が大切です。平成二十一年度から始まった
子宮頸がん検診無料クーポン券の配布後の二十代、三十代の県内の受診率についてお伺いいたします。 次に、
発達障害児(者)への支援について、
健康福祉部長にお伺いします。 学習障害や注意欠陥、多動性障害など、発達障害のある子どもが増える中、早い段階で発見しようという
取り組みを熱心に行っているのが、五條市や橿原市などです。五條市の
保健福祉センターに行ってお話を伺いました。集団の中での発見を通し、その子の状況を
すこやかノートなどに記録し、幼稚園から小学校、中学校、高等学校へと子どもの状況を申し送りするために、
すこやかノートを活用しておられます。橿原市においても、かしの木園で同様にノートの
取り組みをされています。このように
一人ひとりの子どもに視点を当て、途切れない一貫した支援体制が必要と考えます。 先日、亀山市に行ってまいりました。亀山市では、保健・福祉、教育、医療の関係職を配置した
子ども総合支援室を設置し、出生から十八歳までの一貫した、発達障害を含む、すべての子どもを総合的に支援し、情報の共有化や子どもの臨床について情報発信、企画、提言などを行っています。
子ども総合支援室は、
一人ひとりの状況を見逃すことなく、途切れない支援を続けています。担当者からは、
発達障害児支援は実は最もきめ細やかな
子育て支援であるということ、また、より早期からの
子育て支援は
児童虐待予防の第一歩であるとのお話を伺いました。 そこで、
発達障害児(者)への支援について、県ではどのような
取り組みを行っているのか。また、幼児期から成人まで保健・福祉、教育、医療など一貫した支援を行えるような
取り組みが必要と考えますが、
健康福祉部長にお伺いいたします。 次に、
児童虐待防止対策について、
こども家庭局長にお伺いします。
児童虐待防止法の施行から、十一月二十日で十年を迎えました。二〇〇八年四月、
改正防止法の施行により、明確に虐待と断定できない場合も通告対象に加え、相談所に対し調査を拒否する家庭には、裁判所の許可で踏み込める
強制立入権も与えました。大阪で起きた事例を受けて、
厚生労働省は
全国自治体に向けて、
児童虐待通報を受けた場合、四十八時間以内に児童の安全確認の徹底を図る旨を改めて周知するとともに、氏名がわからなくても、個々の事案に応じて、
出頭要求等の活用を念頭に置いた対応を図る旨の通知を出しました。全国の
児童相談所への
虐待相談件数は、平成二十一年、過去最多の四万四千二百十件で、集計を始めた平成二年度一千百一件から十九年連続で増加したことが、
厚生労働省の集計でわかりました。また、年間約六十人前後が虐待によって命を奪われ、そのうち約六割が〇歳児で、全体の九割は五歳以下の子どもとなっています。そして、加害者の六割は実母なのです。 奈良県の
児童虐待死亡事件においても、奈良市月ヶ瀬の事件は〇歳の子ども、桜井市の事件は五歳の子どもでした。桜井市の事件の後、県は検討会を設置しました。そこで防止策として、就学前の子どもの情報を統括管理し、未就園の子どもの実態把握を図る必要があること、また、乳幼児健診未受診の子どもの情報をシステム的に管理し、未受診の実態把握を図る必要があることなどを検討されました。さらに、私は、育児に対し不安を持つ母親を支援するため、出産後の
家庭訪問事業の拡充や、親
支援プログラム事業なども必要と考えます。既に、神奈川県茅ヶ崎市や大阪府摂津市など、多くの自治体で実施されています。また、生後四カ月までの乳児がいる全家庭を訪問する、こんにちは
赤ちゃん事業を、県内全市町村で実施することも大切です。一方、
児童相談所が慢性的な人手不足という現状があります。今回の
厚生労働省の通知を受け、より一層安全確認が強化されることを期待するところでありますが、これによって
児童福祉司など
児童相談所職員に過度の負担がかからないよう、職員の配置も十分検討すべきです。児童虐待が年々増え続けている状況を踏まえ、
こども家庭相談センターの体制整備をはじめ、県としてどう対応していくのか、お伺いをいたします。 次に、
うつ病対策について、
医療政策部長にお伺いします。 今や国民病とも言われるうつ病は、有病者数が約二百五十万人と推測されています。日本の自殺者は年間三万人を超え、うつ病はその大きな要因の一つであり、その対策は急務です。うつ病は十五人に一人が、一生のうちに一度はかかると言われ、珍しい病気ではありません。
うつ病治療の一つとして、欧米を中心に広まっている
認知行動療法が注目を集めています。
認知行動療法は、対面式のカウンセリングで行う精神療法であり、医師と患者の対話の中で、患者の否定的な物のとらえ方や行動のくせを改めていく、そうすることで睡眠障害や自己の
過少評価といった症状が改善できるのです。 私は本年八月、先駆的に行っている
沖縄県立総合精神保健福祉センターを視察いたしました。二〇〇五年から、
うつ病デイケアという形で
認知行動療法を取り入れ、うつ病の改善に効果を発揮しています。ここには、医療機関で治療を受けている長期の
うつ病患者が集まっています。うつ病は、気分が滅入る、行動意欲の低下、倦怠感や食欲不振、さらに不眠などの症状が続く病です。一、二年休職している人や、働きながら通っている人、また、うつ症状があらわれて六、七年という人もいます。そのような中、ここで行っている
プログラムが効果を発揮しています。注目すべきは、重度、中度の
うつ病患者が、日常生活に支障のない程度にまで回復していることです。さらに、就職者の割合も、
プログラム参加前は二〇・七%だったのが、五二・八%に伸びています。こちらでは、陶芸や手芸などの
グループワークと
認知行動療法を併用しています。
認知行動療法は、
マイナス志向を
プラス志向に変えていくものです。これを身につけるため、講習を受ける参加者に宿題が出されます。日々どのような感情を抱いたのか、その感情がどう変わっていったのかを記すのです。これによって、治療を受けた九割の人に症状改善の結果が出ているということを、
沖縄県立総合精神保健福祉センターの
仲本晴男所長から伺いました。仲本所長は、
うつ病デイケア・認知行動療法普及の意義について、まず急増する自殺の最大の原因はうつ病であり、その対策強化が必要であると話されました。また、うつ病の自殺対策には、早期発見、早期治療とともに、
慢性うつ病の回復支援、
再発予防支援が重要であるということ、さらに
慢性うつ病の回復に
うつ病デイケア及び
集団認知行動療法が有効であるということを明らかにされました。 さて、公明党の推進で、四月から同療法に保険が適用され、実施者を養成する研修も開始されました。うつ病は現在、薬物療法が中心でありますが、薬物だけに頼らない同療法の普及が期待されています。そこで、今年四月から保険適用になっている
認知行動療法を県内に普及するとともに、なるべく身近な地域で診療と支援が受けられる体制が必要と考えます。また、専門家についても育成を図る必要があると考えますが、県の
取り組みについてお伺いいたします。 最後に、歩道の整備について、土木部長にお伺いいたします。 日ごろから、奈良県の歩道整備に関する県民の皆様からのご意見、ご要望は数多く寄せられています。県が管理する
道路整備率は、全国でも低く、それに伴う歩道についても全国平均四〇・一%に対し、奈良県は二五・一%という大変低い状況です。特に奈良県は、昔のままの町並みがそのまま残っている地域が多く、幅員の狭い道路の歩道整備は、確かに困難なところもあると思います。しかし、高齢者が増え続けるこれからの時代を考えると、日々生活する上での必要な歩道を優先的に整備していただく必要があると考えます。例えば、病院に行く道が車いすが通れないぐらい狭くて、でこぼこで何とかならないかなど、高齢者を介護される家族からそのようなお声を聞いています。また、
子どもたちの学校への通学路についても、安全な歩道を十分に確保すべきであり、さらに日常生活を営む上で買物に行く商業施設への周辺道路も、しっかりと整備するべきであります。さらには、観光地への
アクセス道路など、観光客が安全で歩行し、奈良を満喫していただけるよう整備されることを強く願うところであります。 そこで、観光客をはじめとして、高齢者、障害者、
子どもたちが安心して歩ける歩道の整備を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか、土木部長にお伺いをいたします。 以上で壇上よりの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(出口武男) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) (登壇)十五番畭議員のご質問にお答えいたします。 最初の質問は、ポスト一三〇〇年祭構想に関しまして、
東アジアとの交流を積極的に進めているが、これまでの成果及び今後の展開というご質問でございました。 議員お述べになりましたように、先月、
東大寺鑑真和上像揚州
里帰り事業として、冬柴元
国土交通大臣、
国営公園化などで
大変お世話になりました元大臣でございますが、冬柴元
国土交通大臣を名誉団長に、県議会の皆様とともに、
鑑真和上の
ふるさと中国揚州市を訪問いたしまして、大変熱烈な歓迎をいただいたところでございます。今回の訪問を通じて、
鑑真和上の崇高な精神を再認識いたしましたが、それとともに、
地方政府同士の交流は、
国家レベルで発生するさまざまな困難を乗り越えることができる、
東アジアの平和友好を推進できる力があると強く感じたところでもございます。 これまでのこと、就任以来のことを多少振り返ってみろということでございますが、
トップセールスとして官民一体の訪問団で、中国や韓国を三回訪問いたしまして、有意義な意見交換などが実施できたと思います。これらの交流は、中国の
胡錦濤国家主席や
唐家元国務委員のご来県につながり、奈良の
知名度向上に寄与したものと思います。また、奈良とゆかりの深い
中国陝西省とは、奈良県として初めてとなる友好提携の締結を目指しております。
韓国忠清南道とは、
平城遷都一三〇〇年祭、二〇一〇世界大百済典への相互出展を行うなど、交流を進めようとしております。さらに、よりよい
東アジア地域の未来に向けての多様な国際会議をコーディネート、お世話をさせていただきました。特に
東アジア地方政府間の友好と信頼を深めるために、本年十月、六カ国三十四地方政府の参加を得て、第一回
東アジア地方政府会合を開催いたしました。 また、将来の平和で安定的な
東アジアの地域の発展を考え、それに寄与する試みとして、知的なインフラを整備するという観点から、日本と
東アジアの未来を考える委員会を設置し、故・
平山郁夫委員に委員長になっていただきました。今月十八日と十九日にその
グランドフォーラム、最終的なイベントを展開いたします。日本と
東アジアの将来ビジョンとして、
平城京レポート、
平城京モデルという言葉をつくっていただきました。国際化の中での日本のモデルという意味でございますが、そのようなモデルをレポートとして採択、発表する予定でございます。大変珍しい高度の芸術が披露される予定でございますので、議員の皆様方にもぜひお越しくださいますようにお願い申し上げる次第でございます。今後、より多くの地方政府に呼びかけて、
東アジア地方政府会合を奈良で継続して開催することができたらと思っております。さらに、かつて留学僧が長安、揚州で
大変お世話になりましたので、今後アジアで将来中心的な役割を担う人材育成に少しでも寄与するという観点から、
東アジア・サマースクールを新たに実施できたらと思います。結果的に本県の経済や文化・観光、また奈良の誇りの伝播・発展につながるような交流として積極的に取り組んでまいりたいと思います。 また、ポスト一三〇〇年祭構想の中で、奈良の値打ちは歴史だと、その歴史の展示をどのように
取り組み、展開するのかというお問い合わせがございました。 冒頭、先週行われました
奈良マラソンのことにも議員がお触れになりました。
奈良マラソンが、好天に恵まれ開催できまして、大変好評でございました。警備関係者、四千人のボランティアのご参加を得て、成功することができたと思います。この席をかりて御礼を申し上げたいと思います。 さて、奈良の歴史の展示でございますが、飛鳥時代から奈良時代は国際交流の時代だと思います。
東アジアから文化・文明が伝わり、今日に至る我が国の国家の枠組みがつくられたと言われております。祝典のときの天皇陛下のお言葉にもそのように述べていただきました。奈良の値打ちは、このような
歴史そのものだと思います。国内外からの来訪者にこのような奈良の歴史の価値を理解してもらうことは、地元奈良県としての責務と思っております。しかし、議員お述べのように、奈良には仏像、寺院、遺跡、木簡等の歴史物の展示はたくさんございますが、
歴史そのものの展示という観点からは多少不十分であったように思います。奈良県では、歴史物の展示から歴史の展示へというキャッチフレーズの考え方で、歴史の意味や意義などをわかりやすく展示する
取り組みを始めようとしております。 奈良県全体で
歴史展示を推進するに当たりまして、まず明日香におきまして本年度実施計画の策定を進めております。明日香も歴史の宝庫でございます。明日香における
歴史展示の内容につきましては、国家の成立、仏教の伝来と交流、
東アジア文化の受容と変容の三つをテーマといたしまして、テーマごとに語り部を設定することとしております。また、
歴史展示の手法といたしましては、拠点施設と現地がネットワークされた
歴史展示のシステムの構築を目指しております。拠点施設と申しますのは、例えば、明日香におきましては万葉文化館を考えております。万葉文化館で、今申し上げました三つのテーマを映像等でわかりやすく説明するということも考えております。現地と申しますのは明日香村そのもので、各地でございますが、飛鳥京跡苑池の復原整備や、寺院、遺跡等での歴史的意義の説明がその場で受けられるといったような展示の方法に取り組もうとしております。明日香を皮切りに、平城宮跡を含む奈良エリア、ひいては奈良県全体の
歴史展示に取り組んでいきたいと思っております。 奈良エリアにおきましては、奈良のエリアの特性を踏まえて、拠点施設、平城宮跡というようなことが考えられますが、を含めた実施計画を策定したいと思います。また、テーマと語り部を設定して、わかりやすい展示としていきたいと思います。特に平城宮跡におきましては、その歴史空間を体感、感動していただけますよう、魅力発信をしたいと思いますが、既存施設を活用して宮跡内を歩くだけで奈良の歴史がわかるような、歴史回廊といったような仕組みづくりを考えていきたいと思います。その価値ある空間を有効に活用する方法に工夫を凝らしていきたいと思っております。県といたしましては、
平城遷都一三〇〇年祭で培った県内各地域の
取り組みと、奈良の値打ちであります歴史の展示を結び合わせて行っていくことで、国内外の来訪者により感動をしていただきたいというふうに思っている次第でございます。
がん対策、
がん予防についてのご質問がございました。 十月五日に要望書をいただきました。十四万人のご要望が入ってございました。ご要望の第一点の、がん検診の受診率向上でございますが、検診を受診する時間のない方が多いとされておりますが、一回ですべての検診が受けられる体制が望ましいと思います。また、検診の休日実施なども必要かと思います。がん検診の実施主体は市町村でございますが、このような検診の重要性にかんがみ、県がもう少し主導させていただいて、今年度からがん検診の利便性の向上に
取り組みたいと思っております。市町村や検診実施機関と協議いたしまして、がん検診と特定検診の同時実施や休日検診の体制整備などを進めたいと思っております。 二点目の検診実施の広報でございますが、市町村の二割から四割が、個人通知はせずに、一般広報のみで情報提供を行っておられますが、一方特定検診調査では、多くの市町村や医療保険者で受診券の個人通知が行われております。がん検診の実施情報も同時に通知すればいいかと思います。具体的な改善の
取り組みを市町村と検討していきたいと思います。 三点目の、
子宮頸がん、乳がんの
検診無料クーポン制度でございますが、五歳刻みの年齢の対象者に対してクーポンを配布する、国二分の一の補助事業がございます。制度の長期的、安定的な財源確保について、引き続き国に要望していきたいと思います。 最後の、
子宮頸がん予防ワクチンの接種費用の公費助成でございますが、幸い平成二十二年度補正予算で国の予算がつきまして、
子宮頸がんワクチン等の接種事業を支援する交付金が創設されました。都道府県に設置する基金を通じて、国が
ワクチン接種事業の二分の一を支援されます。市町村負担分の二分の一につきましては、交付税措置等の地方財政措置が図られる予定でございます。これにより、全額公費助成が可能なスキームとなっております。国が
ワクチン接種に対しまして経費の面では必要な措置をされますので、県におきましては、
子宮頸がんワクチン接種率向上のための対策を進めていきたいと思います。具体的には、中学一年から高校一年までという、国が示す全対象年齢に対する接種を推進したいと思います。また、居住地にかかわらず、県全域の医療機関でワクチンの接種が市町村を超えても受けられるようにしていきたいと思います。また、接種価格の県内の統一や、自己負担金の無料化について、市町村や医療機関との間で必要な調整を行っていきたいと思っております。 また、
無料クーポン券についてのお問い合わせがございました。平成二十一年度から
子宮頸がん無料クーポン券の配布が始まりました。その受診の状況でございますが、
子宮頸がん検診クーポン配布者は四万五千八百九十五人でございました。受診者数は九千六百八十五人でございますので、受診率は二一・一%、五人に一人という割合でございます。年齢別の内訳を見ますと、二十歳と二十五歳の受診者数の合計は、二千七十八人、受診率は一三%でございます。三十歳と三十五歳の受診者の合計数は、四千九百三十六人、受診率は二五・三%、四人に一人でございます。四十歳の受診者数は二千六百七十一人、受診率は二五・八%でございます。クーポン事業開始前の平成二十年度の
子宮頸がん検診の受診者数の推計と比較いたしますと、
無料クーポンの配布により、受診者数は、二十歳代で約八倍、三十歳代で約六倍に増加しておりますので、大きな効果があったものと思います。しかしながら、今申し上げましたように、二十歳代の受診率はまだ一三%と低い状況でございます。県におきましては、二十歳代、三十歳代の受診率の向上に向けて、十月十日をがんと向き合う日としておりますが、そのキャンペーンや県民だよりを通じて、普及啓発に今後とも力を入れていきたいと思います。 残余の質問は担当部局長にお答えをさせていただきたいと思います。 以上でございます。
○議長(出口武男) 杉田
健康福祉部長。
◎
健康福祉部長(杉田憲英) (登壇)十五番畭議員からの私に対するご質問、
発達障害児(者)への支援についてのお尋ねでございます。 発達障害につきましては、さまざまな種類があると聞いております。他者とのコミュニケーションがとりにくい自閉症、言葉のおくれはないが、こだわり行動等があるアスペルガー症候群、読む・聞くなどの学習能力の一部が困難ないわゆるLD、注意集中ができず多動であるADHDなど、個人ごとに障害状態もさまざまな特徴があるようです。現時点では、診断方法が確立されていないことから、その全体像を正確に把握することは困難でございますが、
発達障害児は、小・中学校の通常学級の生徒の約六%の割合で存在するとも言われるなど、近年大きな問題となっております。発達障害者につきましては、本人の障害状態がさまざまであることから、まず第一に相談支援体制を充実し、早期に相談を受け、本人の状況に応じた適切な発達支援につなげることが重要です。このため県では、平成十八年一月に発達障害支援センターを奈良市の仔鹿園内に設置し、相談への対応、関係機関へのつなぎ、療育担当者や市町村担当職員に対する研修などを実施しております。センターの相談件数は、平成十九年度延べ千三百六十五件から、平成二十一年度で延べ千六百十九件と増加しております。今後も相談の重要性は増加することから、市町村の相談窓口の充実にも取り組んでまいりたいと考えております。 次に、発達障害者を含め、障害者への支援は、ご指摘のように、生まれたときから成人まで、ライフステージが変化しても途切れることなく、福祉、教育、保健、雇用などが連携した支援が必要でございます。このため、県では今年度から、障害者の個性、特性、生育歴や支援の実績、課題などを各支援機関で継続して共有できるようなツール開発を行うトータルサポート体制構築事業を実施しております。平成二十四年度から全県的に、関係機関が連携して総合的に支援する相談支援システムが展開できるよう取り組んでまいりたいと考えております。 以上です。
○議長(出口武男) 速水
こども家庭局長。
◎
こども家庭局長(速水安且) (登壇)十五番畭議員の私への質問は、
児童虐待防止対策について、児童虐待が年々増え続けている状況を踏まえて、県としてどう対応していくのかというお尋ねでございます。 児童虐待対策は、未然防止、早期発見、早期対応がまず第一と考えております。そのため、県、市町村をはじめすべての人が子どもと子育て家庭をみんなで見守ることが重要であると考えております。 まず、未然防止対策でございますが、県
こども家庭相談センターをはじめ市町村等におきまして、子育て相談窓口が設置されるとともに、市町村により、こんにちは
赤ちゃん事業をはじめ、親支援のための家庭訪問が実施をされております。こうした
取り組みをさらに充実させるために、新たに市町村の相談、あるいは家庭訪問を担当している職員を対象といたしまして、暴力や暴言を使わずに子どもを育てる手法を親に身につけてもらうトレーニング
プログラムの研修、また家庭訪問率を向上させ、親支援の質を高めるよう、先進事例を用いた研修等を実施する予定にいたしております。 次に、早期発見、早期対応のためには、気になることがあれば、だれでもためらわずに通報や相談を行っていただける環境づくりが何よりも重要であり、特に通報により子どもを無事保護できたケースも多く、通報は非常に重要であると認識をいたしております。そのため、母子保健部門の保健師など虐待を発見しやすい立場にある方々をはじめ、地域住民の方々にオレンジリボンキャンペーン等を通じまして、その重要性の啓発を強化していく考えでございます。 そもそも児童虐待の多くは、家庭という密室で起こり、発見は大変難しく、特に乳幼児で在宅のみで養育されているケースはその典型でございます。このことから県といたしましては、乳幼児に関して、検診未受診情報や未就園情報を一元的に管理をし、子育て家庭への支援に結びつけていく仕組みづくりを進めているところでございます。このため、市町村に対しまして、安心こども基金を活用してデータ管理システムの開発への助成を行いますとともに、家庭訪問時の
子育て支援スキル取得のための研修等の支援を行っていくことといたしております。 児童虐待は大変深刻な問題であり、県といたしましては、
こども家庭相談センターの体制の充実、具体的には虐待対応専従班の設置、三百六十五日二十四時間対応窓口の開設、さらに、毎年担当職員の増員等を図りまして、
こども家庭相談センターの体制の充実を図りますとともに、さまざまな対策を講じてまいっておりますが、今後も桜井市の児童虐待事件を契機に設置をいたしました奈良県児童虐待対策検討会での議論も踏まえまして、児童虐待への
取り組みをさらに強化してまいる所存でございます。 以上でございます。
○議長(出口武男) 武末
医療政策部長。
◎
医療政策部長(武末文男) (登壇)十五番畭議員の私に対する質問は、
うつ病対策の新たな治療法である
認知行動療法に対する県の
取り組みについてでございます。
認知行動療法は、米国において、薬物療法に匹敵する効果や、再発予防効果などが実証されたことで、うつ病はもちろんのこと、多くの精神疾患に対する治療法に広く行われるようになっております。我が国では、一九八〇年代の後半から注目されるようになりまして、治療の効果の検証が進んだことから、平成二十二年四月の診療報酬改定により算定できることになりました。しかし、県内の精神科病院への聞き取り調査を行ったところ、診療報酬の算定を行っているところはない状況でございまして、また、精神科の診療所でもまだ十分には知られてないような状況であると思われます。 そこで、県としては精神科医等に対して、
認知行動療法に関する専門情報を提供する機会をまずは設けることが必要だと考えております。そこで、県内の精神科医の先生方に
認知行動療法への理解を深めるための研修を実施することを計画しているところでございます。
○議長(出口武男) 川崎土木部長。
◎土木部長(川崎茂信) (登壇)十五番畭議員のご質問にお答えしたいと思います。 私には、観光客をはじめとして、高齢者、障害者、
子どもたちが安心して歩ける歩道の整備を進めるべきと考えるが、どうかというお尋ねがございました。 県内の歩道の整備の状況は、議員のご指摘のとおり、歩道が設置されていない道路が依然として多く残っており、県内の歩道整備率は全国的にも低い状況となっております。今後高齢化が進む中、安心して歩ける歩行空間の確保は、喫緊の課題というふうに考えているところであります。 このため、奈良の今後五カ年の道づくり重点戦略に基づきまして、おくれている歩行空間の確保を効率的かつ効果的に進めていくために、これはまだ仮称ではございますけれども、安心な歩行空間整備方針を策定することとしております。本方針では、選択と集中の考え方を取りまとめることとしており、例えば、重点的に歩行空間の確保を進めていく路線の抽出や、整備効果を早期に発現するための整備手法の考え方、その進め方等について整理をする予定でございます。この中で、重点的な整備を進めていく路線の抽出の基本的な考え方といたしましては、高齢者や身体障害者等多くの人々が利用する公共施設等の周辺や、児童の通学路、主要な観光地への
アクセス道路などが考えられているところであります。また、整備の手法といたしましては、市町村や地域住民、警察等と連携して点検を行うとともに、路肩のカラー舗装化、あるいは側溝のふたかけ等の用地買収を伴わない即効対策を行うとともに、地域の協力が得られる箇所につきましては、抜本的な
取り組みを行っていきたいと考えているところであります。 方針の策定に当たりましては、市町村や
学校関係者等からヒアリング等を行いつつ、今年度中に整備方針の案を作成し、来年六月を目途に取りまとめる予定であります。今後、この方針に基づき、観光客をはじめ高齢者、障害者や
子どもたちが安心して歩ける歩行空間の確保に取り組んでまいりたいと考えているところであります。 以上であります。
○議長(出口武男) 十五番畭真夕美議員。
◆十五番(畭真夕美) それぞれに対してお答えをいただきました。時間もあまり残っておりませんので、一点だけ再質問をしたいと思います。 それは、
子宮頸がん予防ワクチンについてでございます。先ほども申し上げましたが、私ども奈良県内で十四万三千五百十三人の方々から署名をいただきまして、
がん対策、
がん予防の対策を求める要望ということで署名を提出させていただきました。この署名についての、まず知事の受けとめといいますか、その思いとお考えをお伺いしたいと思います。 といいますのは、知事の今のお答えの中に、私ども要望の中で四点要望させていただいておりまして、その四番目の
子宮頸がん予防ワクチン公費助成をすることということで要望させていただきました。その知事の今お答えが、幸いにも国としての補正ということで予算が措置されたということで、十一歳、中学校一年生から高校一年生を対象に、そしてまた県内で市町村を超えて、県内どこの医療機関でも接種できるように、また全額公費助成ということで自己負担なくということで、県として今後調整を進めていくというふうにお答えになられたわけですけれども、これについては、国の補正が出たということで理解をしているわけですが、私どものこの十四万人の署名の重みについて、知事はどのように受けとめになっているのか、お伺いをしたいと思います。
○議長(出口武男) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) 十四万人というのは大変多い人数だと思いますが、
子宮頸がんの
無料クーポンの配布者は四万五千人でございます。しかも受診率が低いということで、実は健康について関心を持っていただく方が、対象者が関心を持っていただければ、健康度は十分上がると、実は持っていただくべき方があまり声が届かないというのが健康増進の最大の課題だと思っております。十四万人の方の中には、
子宮頸がんとは関係のない方もおられるかもしれませんが、
子宮頸がんの対象になっている方たちに声が届くように、その方たちの受診率が上がって、自分の体のご心配をしていただくようにもっとなればいいなというふうに思います。これは制度を超えて、健康を図るのは本人だということが大変な基本だと思います。改めて、本人に声が届くようにと願うところでございます。
○議長(出口武男) 十五番畭真夕美議員。
◆十五番(畭真夕美) 知事の今のお答え、私どもも十四万人の方に署名をいただく中で、いろいろ健康の話や、がんの話、そういったものをしながら賛同の署名をいただいたということで、知事のおっしゃるように、意識を持つことができたと思っております。若い女性の方にもたくさん署名をいただきました。そういうことで署名を通して健康に対する、またがんに対するそういった意識を持つことができた、向上させることができた、これは私ども署名活動をして大きな成果であったと思っております。それで、再度知事に、この
子宮頸がん予防ワクチンの奈良県におきます公費助成、自己負担なく公費助成で
予防ワクチンが接種できるように、おっしゃっている対象者は中学一年生から高校一年生ということですが、自己負担なく公費助成で
予防ワクチンが接種できるように県としてしっかり取り組んでいただきたいとお願いするわけでございますが、その点について再度ご答弁をいただきたいと思います。
○議長(出口武男) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) 全額公費という意味は、国が二分の一、市町村が二分の一ということでございます。だから、市町村で自分で裏負担があるにもかかわらずされない市町村があり得るということでございますが、しないところを県が応援するというのは理屈に合わないように思いますが、全部の市町村でそのようなことを実行していただくように県として努力していきたいと思います。
○議長(出口武男) 次に、二十四番岩田国夫議員に発言を許します。--二十四番岩田国夫議員。(拍手)
◆二十四番(岩田国夫) (登壇)議長のお許しを得ましたので、自由民主党「未来」を代表して質問させていただきますが、昨日より五会派の代表の議員が質問されておりますので、質問が重なる部分もありますが、私なりの視点で質問させていただきますので、ご答弁をよろしくお願いします。 最初に、
平城遷都一三〇〇年祭の観光振興についてであります。 十一月七日に
平城遷都一三〇〇年祭のメーン会場である
平城宮跡会場は幕をおろしましたが、来場者は予想を大幅に超える三百六十三万人となるなど、日々うれしい記録を聞くことができました。また、メーン会場だけでなく、県内各地で展開されております多くの社寺での秘宝秘仏の特別公開や伝統行事などにも、県内外から多くの方々にお越しいただいており、大成功のうちに
平城遷都一三〇〇年祭が終了するであろうことは疑いのないことであり、奈良県民の一人として大変誇らしく思っております。 知事は、就任以来、みずから先頭に立って県政運営を担ってこられました。例えば海外プロモーション活動です。知事は、幅広い人脈と外交センスを駆使して、
トップセールスに臨み、誘客の促進や友好交流にご尽力をいただきました。もちろんこの例だけではなく、幅広い分野で、これまでの経験や人脈を活用され、県政運営のために努力を重ねてこられました。その結果の一つが
平城遷都一三〇〇年祭の大成功であります。この
平城遷都一三〇〇年祭についても、当初の囲い込み有料制の博覧会方式から、県内全域を対象とした無料のイベントへの方向転換をされた知事の決断こそが、今日の成功につながっており、奈良県にとっても、記憶に残るとともに、記録にも残る二〇一〇年になったことを大変うれしく思いますとともに、知事をはじめ関係者のご努力に敬意を表したいと思います。 そして、いよいよポスト一三〇〇年の幕あけです。本年四月に県は、ポスト一三〇〇年祭構想を公表されました。構想は非常に幅広く多岐にわたっており、知事の意気込みと
取り組みの一端は、昨日の答弁でもお答えをいただいたところであります。私の住む天理市には、近年多くの観光客でにぎわっている山の辺の道がありますが、その周辺には崇神天皇陵をはじめ古事記や日本書紀ゆかりの場所が数多く存在しています。ポスト一三〇〇年祭構想の中にも、記紀・万葉による情報発信という記述がありますが、この
取り組みに私も大いに期待を寄せているところです。知事は来春に任期を終えられますが、先般、次期も出馬するという力強い表明をされました。ぜひ当選していただき、次の四年間も手腕を振るっていただくことを大いに期待しております。 そこで、知事にお尋ねいたします。
平城遷都一三〇〇年祭のメーン会場は閉幕しましたが、この国家的資産でもある平城宮跡について、他に類例を見ない世界遺産としての価値を高め、後世に残すための整備と活用についてどのようにお考えでしょうか。 次に、記紀・万葉を題材とした
取り組みですが、記紀・万葉という切り口は、古事記や日本書紀が編さんされた場所であり、またゆかりの地が多数存在する奈良県にふさわしい視点であると考えます。今後どのような方針で取り組んでいかれるのか、お聞きします。 次に、企業誘致についてお伺いします。 産業の活性化を図っていくためには、企業誘致は非常に重要であります。奈良県行財政運営プラン二〇一〇では、県民一人当たりの県内総生産は全国四十七位、県内就業者比率四十七位、工業系用地面積比率四十七位となっています。工業用地は少なく、県内企業数、すなわち働く場所が不足しているため、県外に就職せざるを得ないといった実態になっています。このような状況の中、活力ある産業づくりの施策方針の一つとして、企業誘致の推進を目標に掲げられています。そこでは、平成十九年から平成二十二年までの四年間で立地件数百件という目標を掲げられています。 知事就任から三年半がたちますが、企業誘致の実績を振り返ってどう評価されておりますか。知事は、フットワークは軽く、人脈も広く、知事みずから
トップセールスを行ってこられました。知事就任後、リーマン・ショックが起こり、それ以降の世界的な金融危機と同時不況により、奈良県をはじめ国内経済は深刻な売上げ不振と資金調達難に直面し、企業マインドは冷え切った状態になりました。今は若干戻りつつありますが、今般の円高で不透明感が出てきました。そういった厳しい状況の中で、これまで百件近くの企業を誘致されたことは、知事をはじめとした熱心な誘致活動の成果ではないかと考えます。しかしながら、立地した企業が売上げを伸ばし、定着するには時間もかかります。また、奈良県に定着されている企業には、引き続き奈良にとどまり、奈良で規模を拡大し、税収や雇用の面で貢献していただきたいと思っています。企業の活性化のためには、小さくても意欲のある企業への支援が必要で、競争力があり、不況にも強い、高い付加価値を生み出す産業への育成が必要となります。引き続き意欲ある企業に対する施策の継続を要望します。今後とも、奈良県にとっては企業誘致は重要な柱と考えます。海外を含めた厳しい誘致競争の中で、これらの企業誘致の考え方、方針について、知事の所見をお聞かせください。 次に、道路整備の予算の確保について、知事にお尋ねします。 知事をはじめ県におかれましては、厳しい財政状況の中、道路整備の推進に精力的に取り組まれており、感謝申し上げるところであります。知事が県政の重点課題として取り組んでおられる企業立地や観光振興による県の経済活性化のためにも、インフラ整備、特に道路整備は不可欠です。また、県民の安全で快適な生活のためにも、渋滞や交通事故、災害のない快適で安全に安心して通行できる道路の確保は不可欠です。このように道路整備の必要性が高いにもかかわらず、民主党政権のもと、来年度の予算編成に向けて、本県のこれからの道路整備を大きくおくらせる可能性が高いさまざまな議論がなされています。 まずは事業仕分けです。十月末に行われた行政刷新会議・事業仕分けでは、直轄事業や補助事業などの道路整備事業の予算要求を、今年度に比べて一割から二割圧縮すべきと取りまとめられました。今年度既に四年分の目標であった二割の予算削減を行っているのです。にもかかわらず、またさらに予算を大幅に減らすべきと言われています。具体的な事業の必要性を検証したわけでもなく、明確な理由も言わずこのような結論を出したことは大変遺憾なことで、怒りを感じざるを得ません。 一括交付金への移行もしかりであります。十一月二十九日の政府の地域主権戦略会議では、二年で一兆円強、来年度は五千億円配分すると、その規模は決まったと聞きます。しかし、配分方法は不明です。人口などの客観的な基準で配分するとのことですが、それでは都会に予算が配られるだけで、民主党の委員会の取りまとめでは、財政力や基盤整備の状況も踏まえるとされていますが、どのような基準をどのように踏まえるのか、具体的な考え方や方針は全く見えません。県では、道路整備のおくれを解消すべく、五カ年計画を作成し、選択と集中で頑張っているところです。継続事業も多くあり、またこれから整備に取りかかるところも多く残されています。 改良率一つとってもおくれているのは明らかです。奈良の国道の改良率は全国ワースト二位で低迷しています。おくれている道路の例を挙げると、南北の背骨となる京奈和自動車道です。全国の半分程度の割合しか供用されておらず、非常に整備がおくれています。さらに、大和郡山市・奈良市域の大和北道路や、橿原市域の大和道路など、本来整備が完了していてもよいはずの区間が、いまだ目に見えた整備がなされていない状況にあります。私は、まずは西名阪自動車道と大和高田バイパスを自動車専用道路で結ぶべきと考えていましたが、それもまだまだ先であります。来年度の予算編成に向けての国での議論からもうかがえるように、道路整備のための予算の確保は非常に不透明な状況です。国の道路整備予算が削減されれば、本県の道路整備がさらにおくれることになりかねません。このため、奈良県は都会と異なり、道路整備がおくれており、地域が困っていることをきちんと主張し、本県の道路整備の予算が確保されるよう国に強く働きかける必要があると考えます。 一年前にも質問しましたが、今回改めて知事にお伺いいたします。このように道路整備を取り巻く環境が非常に厳しい状況の中、本県の道路整備のための予算確保に向け、国にどのような働きかけをされているのか、お聞かせください。 最後に、道路に関して四点要望しておきます。 最初の一つは、現在整備を進めていただいている道路です。まずは天理市の国道一六九号の柳本北交差点です。この交差点は、右折レーンが全くありません。たとえ一台でも右折車があれば、後続の車は全く直進できません。長年、右折レーンの設置を要望してまいりました。このたび工事に着手していただくことになりましたが、近隣社寺への初もうで客がたくさん来られる正月までにぜひ工事を完了させていただくことをお願いしておきます。 次に、前栽踏切の改良です。現場を見ていただければ危険なことはすぐにわかってもらえると思います。車一台がやっと通れるぐらいの幅では、対向車があれば手前で待つ必要があります。その上、駅に近いため、その狭い道路をたくさんの歩行者が車の間を縫って通ります。現在、近畿日本鉄道に工事委託をするように進めていただいておりますが、一日も早く完成できるようよろしくお願いいたします。 続いて、新規の道路整備について、二点要望します。 一つは、天理環状線の柳本踏切付近の歩道整備です。この道路は、柳本小学校への通学路にもかかわらず、一部しか歩道はありませんが、多くの車がこの道路を通っている状態です。ぜひ歩道を整備して、児童が安全に安心して通行できるよう強く要望しておきます。 最後に、福住矢田原線についてです。この道路は、名阪国道から奈良市への最短の道路です。オメガカーブを避けて最短で奈良市に行ける道路です。しかしながら、産業廃棄物の問題から、一部未改良の区間が残されています。名阪国道が通行どめになった場合にも迂回路として利用できますので、ぜひ何とか整備に着手していただけるように強く要望しておきます。 次に、現在策定が進められている奈良県交通基本戦略についてお尋ねいたします。 この質問につきましては、ことし九月定例会の代表質問で中村議員からも質問があったところです。私からは、地域が直面する移動に関する課題に対して、今後どのように取り組まれるのかをお伺いしたいと思います。まず、歩行環境の整備についてです。本格的な高齢化社会を迎え、高齢者や障害のある方たちにとって、自宅から目標までの移動を支える歩行環境の整備は重要な課題だと考えております。県全体の高齢化率は約二三%、私が住む天理市も二〇%を超えており、今後一層この傾向が進むことを考えれば、歩道の新設や段差改良、道路標識の設置など、だれもが安全に安心して移動できる歩行環境を確保することは、真に地域住民の生活に密着した事業だと思う次第です。国においては、平成十八年にバリアフリー新法が施行され、市町村は鉄道駅周辺以外でも、病院、福祉施設等が集まった地域についてバリアフリー基本構想を作成することが可能になっております。しかしながら、現在この基本構想を策定しているのは、橿原市と葛城市のわずか二市だけだと聞いております。県においては基本構想の策定メリットをもっと市町村にPRしていくとともに、より一層、歩道をはじめとした歩行環境の整備を進めていただく必要があると考えます。 次に、地域住民の生活交通であるコミュニティバス等の運行についてです。現在、県下の市町村では、住民の意見、ニーズを取り入れながら、地域の実情に応じたコミュニティバスやデマンド型乗合タクシーが運行されております。天理市においても、公共交通空白地帯の解消と高齢者等の利便性向上を目指して、平成二十一年一月から、いちょう号の愛称でコミュニティバスが運行されております。このいちょう号は、市役所をはじめ市立病院や天理駅など主要な施設をめぐってはおりますが、介護・福祉施設等へは立ち寄っておらず、残念な思いをしております。私は、身近な公共公益施設をくまなく回ってこそ、市民のためのコミュニティバスであると考える次第です。このようなコミュニティバスをはじめとする生活交通は、地域住民の日常生活に必要不可欠な輸送サービスであって、継続的な運行が求められております。しかしながら、運行の実態を見ますと、多くの市町村においては利用者が伸び悩みの傾向が見られるなど、厳しい運行状況となっていると伺っております。 そこで、知事にお伺いします。奈良県交通基本戦略では、だれもが安心して安全かつ快適に歩行できる環境改善や地域の生活交通であるコミュニティバスの運行改善について、どのように取り組んでいこうとされているのか、お答えください。 次に、浸水被害対策についてお伺いします。 奈良盆地は昔から、日照り一番、水つき一番と言われるように、年間降水量が全国平均を大きく下回っているにもかかわらず、多くの支川が大和川一本に集中し、しかも奈良県から唯一の出口である亀の瀬が狭窄部となっていることから、梅雨や台風による集中豪雨では多くの浸水被害が発生しています。大和川流域はもともと保水力が弱い上に、昭和四十年代の急激な都市化の進展に伴い、保水力が著しく低下し、昭和五十七年には、床上、床下合わせ一万二千戸を超える戦後最大の浸水被害をこうむりました。このことを契機に、県では、国や流域市町村とともに、これまでどおり河川の拡幅などにより水を安全に流す流下型の対策に加え、新たな流域内のグラウンドやため池を利用し一時的に雨水をためる貯留型の対策を行う総合的な治水対策に方向転換し、事業を進めてきたところです。 一方、近年は全国各地で、予想が困難な突発的で局地的な豪雨、いわゆるゲリラ豪雨が毎年のように発生し、平成十八年は桜井市で二百戸、平成十九年は大和川流域の中南部で千戸を超える浸水被害が発生し、今年は田原本町で一時間に七十七ミリメートルの降雨を記録し、五十七戸の家屋が浸水しました。このようなゲリラ豪雨に対しては、河川や水路を拡幅するには限界があり、ため池などを利用した貯留型の対策が、浸水被害の軽減には最も効果的な手段だと私は思っております。 そこで、知事にお伺いします。このような状況のもと、たび重なる浸水被害を軽減するため、貯留型の対策について、現在どのような検討をされているのかお尋ねします。 また、二年前の十二月県議会において、天理市二階堂上ノ庄町及び二階堂南菅田町において浸水対策の
取り組みについて伺ったところ、県及び市、町による会議で議論を進め、早期にできる対策を念頭に積極的に関係者の調整を進めるとの答弁をいただきました。当地区では、ことしも二度浸水被害が発生しており、早急に対策を実施する必要があります。 そこで、土木部長にお伺いいたします。当地区における浸水対策について、その後どのような検討がなされているのか、現在の状況についてお尋ねいたします。 次に、農業振興に係る質問であります。 奈良の農山村では、日本の原風景とも言える棚田やため池、田植え風景、秋の風にたなびく黄金の稲穂などの美しい田園風景が数多く残されています。これまで、農業生産活動により引き継がれ農業振興にご努力されてきた先人の貢献によるもので、大いに感謝申し上げたいと思います。本県の平成二十年度の農業産出額は四百五十一億円で、その主なものとしては、野菜百十八億円、米百十六億円、果実七十一億円、畜産七十億円、花き四十一億円、茶二十三億円という状況であります。約三万戸の農家の方が、県下各地で一生懸命に生産をされています。 さて、本県のことしの気候は、三月末から五月にかけ、平年より気温が低く、特に中山間では霜がおりたり、また夏は一転、例年になく特に暑い日が続き、八月、九月には平年よりも二度以上高く、また九月末まで残暑が続くという記録的な猛暑になったことは、記憶に新しいところであります。こうした異常気象は、主要な農産物にも大きく影響を与え、農産物全般にできが悪かったと聞いております。春の遅霜により、柿や茶、菊に被害が出て、収量減収となりました。また、平たん部を中心として、水稲作については、生育前半の日照不足や出穂後の高温などによる悪影響により、収量減に加え、品質も米粒が白く濁るなど、一等米の比率が大きく低下しており、全国的にも一等米比率は下がっており、また、平成二十一年度産米在庫のだぶつきなどから、米価が急落していることなどが報道されているところであります。 現実、私の地元天理市では、柿の収量が三割しかなかった農家も見られたり、稲作農家では収量が減り、二等米ばかりで大幅な減収になっている、何とかしてほしいという声を聞きます。農家にとっては悲痛な思いであり、農業経営への影響が懸念されるところであります。本県の稲作農家の多くは、サラリーマン兼業農家がほとんどで、米のみで経営を行っている人はごくわずかですが、農産物全般においてこうした環境では、これからの奈良県農業を担う担い手も生まれません。農業者がみずから取り組む努力にあわせ、安定した農業ができるような後押しが必要だと考えております。 こうした中、県では、柿、茶、イチゴ、大和野菜などの主要な品目に特に力を入れて農家の後押しをなされているとお聞きしておりますが、どのような
取り組みをしておられるのか、また、水稲の高温対策については、技術指導も含めてどのような
取り組みをしておられるのか、あわせて農林部長にお伺いいたします。 最後に、警察本部長にお伺いします。 まず、県警察にあっては、
平城遷都一三〇〇年祭に伴う治安対策をはじめ、APEC観光大臣会合開催に伴う警備や、天皇皇后両陛下の
平城遷都一三〇〇年祭記念祝典ご臨席に伴う警衛警備などの大規模警備に対して、和田警察本部長陣頭指揮のもと、県警察が一丸となって無事任務を完遂されたことに対し敬意と感謝を申し上げます。 さて、奈良県の治安情勢でありますが、官民一体となった犯罪抑止総合対策に取り組まれた結果、刑法犯認知件数が、戦後最多になった平成十四年の三万二千件を、昨年はその件数を半数以下にまで抑えられ、本年上半期においても、刑法犯認知件数、検挙率とも前年の同時期に比べて相応の成果を上げておられると聞き及んでおり、大変頼もしく感じているところであります。しかしながら、現下の不安定な経済社会情勢の中で、犯罪がより悪質化、巧妙化しいることを日々報道などから感じております。 先日県警察が実施した警察活動等に関する県民の意識調査の結果が公表されましたが、この調査結果によると、治安に対する意識で、以前よりよくなったと回答された県民は前年度より減少したという結果が出ておりました。また、治安が以前より悪くなったと感じておられる県民の理由としては、県民の身近で発生する空き巣等の強盜犯の発生や、ひったくり等の街頭犯罪の発生が上位を占めているとの回答結果でありました。その他、犯罪被害に遭わないためにも、警察には警察官のパトロール強化や犯罪者の徹底検挙を望んでおられる県民が多く占めております。県民のより多くの方が治安がよくなったと感じる安全で安心して暮らせる地域社会の実現こそが、県警察に課せられた大きな任務であろうと思います。 そこで、警察本部長にお伺いします。県民が安全で安心して暮らせる地域社会の実現に向けた県警察の犯罪抑止対策についてお答えをお願いします。 以上で壇上からの質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(出口武男) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) (登壇)二十四番岩田議員のご質問がございました。 まず、
平城遷都一三〇〇年祭の観光振興についてのご質問が二問ございました。
平城遷都一三〇〇年に当たることしは、国におきまして第一次大極殿院正殿を復原整備していただきました。また、国内外から多くの来場者が、平城宮跡という現に都があった場所、歴史空間にお越しになりまして、体感、感動をしていただきました。大変ありがたいことだと思っております。 今後とも、平城宮跡には多数の来訪者が予想されます。国営公園として整備されるわけでございますが、平城宮跡を訪れた人々がより快適に楽しく過ごしていただけるように、感動の場として発展させることが必要だと思いますが、国と地元が一体となって整備と活用に取り組んでいく必要があるかと思います。具体的なことはこれからのことでございますが、国営公園整備の主体でございます国土交通省が現在検討しておられますのが、平城宮跡の中心をなす第一次大極殿院の築地回廊等の復原・整備でございます。今、仮修景柵がございますところに、何倍も大きな築地回廊を整備するという壮大な構想でございます。また、平城宮跡の案内を行う展示施設の整備なども検討されておられると聞いております。 一方奈良県といたしましては、先ほど申し上げました
歴史展示の推進ということも大きな目標としていきたいと思いますが、現在遣唐使船と一緒に併設しております平城京歴史館を継続運営するということも大事かと思っております。また、大極殿院前広場や東院庭園などの既存の施設を活用して、集客力のあるイベントを開催するということも大事かと思っております。 現在、
平城宮跡会場は閉幕いたしましたが、引き続き多くの人が毎日訪れられております。一日平均三千人もの方が訪れられておりますので、バスで来られる方、乗用車で来られる方の駐車場を確保する必要があるわけでございます。駐車場を閉じるという約束でございましたが、そのような状況でございますので、引き続きバスターミナル、駐車場が確保できますように、文化庁、国土交通省、奈良市と協議・調整を進めているところでございます。また、それだけ多くの方が来られますので、トイレや休息休憩施設などの施設がやはり必要でございます。今後国営公園になりますと、本格的整備が行われるわけでございますが、多少の時間がかかりますので、それまでの間、トイレ、休憩所等の機能確保を県が暫定的に行うように申し出ているところでございます。 また、平城宮跡の今後の管理運営をどのようにするかは、
国営公園化になった上には大変重要なことでございます。現在、協議の場を早急に設定することを申し出ております。そのメンバーといたしまして、国土交通省、文化庁、奈良県、奈良市及び奈良文化財研究所の五者の協議の場を早急に設定して、今後の平城宮跡の適正な保存と利活用の管理体制を確立するような協議の場を県が申し出て、先日文部科学大臣のところまでその旨の陳情に行ってまいりました。県といたしましては、国と一体となって、今平城宮跡歴史公園という仮称で呼ばれております宮跡の整備と活用の推進に取り組んでいきたいと思っております。 記紀・万葉を題材にした観光振興についてのお問い合わせがございました。 古事記、日本書紀、万葉集や、地域に伝わる伝承などを題材とした
取り組みを自治体として全国に先駆けて行っていきたいと考えております。古事記、日本書紀編さんの地であり、ゆかりの場所が多数存在する奈良県の使命でもあると思っております。本年におきましては、記紀・万葉プロジェクト計画策定事業という名のもと、作業に着手しております。推進組織として庁内に検討委員会を設置して、研究者等への聞き取り調査などを行ってきております。その中でわかってまいりましたのは、例えば、記紀・万葉という素材に対しましては、文学の面、考古学の面、歴史学の面、各種の学問分野の対象でありますので、研究者の方々が別個の学問として考えてしまう傾向が強く、その結果、実にさまざまなとらえ方があるということがよくわかってまいりました。また、古事記、日本書紀については、現在は、一般の方々が楽しむという感覚で接する書物には、まだちょっと遠いようでございます。親しみの薄い分野と感じられておられるような点も課題ではないかと思われるわけでございます。 これまでのこのような調査を踏まえまして、平成二十三年度、来年度におきましては、二つの方向でのことを考えております。一つは、有識者、研究者などに記紀・万葉の素材を総合的に考えていただく場を提供する。もう一つは、一般の方々に記紀・万葉及び伝承への関心をもっと持っていただき、古代史を楽しむという雰囲気を醸成していただくような作業、試みが必要かと思います。そのため、シンポジウム、フォーラムを開催をして、県内外に向けた発信を行うことを中心的な事業として考えていきたいと思っております。あわせて、引き続き地元の関連情報の収集整理、蓄積を進めて、本県の歴史的な強みを存分に引き出すための下地を醸成したいと考えております。そういたしまして、古事記完成千三百年目の年でございます明後年、二〇一二年から日本書紀完成千三百年目の二〇二〇年に向けて、継続的に事業を展開するための諸準備にも来年度から着手したいと思います。 記紀・万葉を題材とする
取り組みは、
平城遷都一三〇〇年からさらに日本の歴史文化の源流にさかのぼっていくプロジェクトでございます。幅広い視野で深く取り組む必要があると思っております。そこで、古事記完成千三百年目の二〇一〇年を山場の年とするのではなく、むしろ日本書紀完成の千三百年目の二〇二〇年をも視野に入れ、日本人の心の原風景や文化の始まりについて考える壮大で長期的な
取り組みを奈良県から全国に発信するスタートの年と位置づけて、事業を展開していきたいと考えております。 現実的な話として、企業誘致の考え方についてのお問い合わせがございました。 平成十九年から四年間で百件の立地という目標を立てておりましたが、景気の停滞期に入りまして、心配なことでございましたが、平成二十二年上期までの三年半で、製造業で八十四件の立地をしていただきました。製造業は、機械設備を投資して二十年から三十年は稼動されますので、雇用などの効果が持続的でございます。県にとってはありがたく思います。県外企業の既存工場からの拡張・移転もありますし、県内企業による市場拡大に対応した増設投資という場合もございます。この厳しい経済情勢のとき、よく奈良に立地していただいたものとありがたく思っておる次第でございます。地域の経済活性化を図るためには、県内外からの新規の企業立地と県内の既存産業の振興が車の両輪と考えております。新規の企業立地がありますと、既存の県内の企業活動にも刺激を与えますので、そういう重要性もあろうかと思います。 これまで、私みずからが、企業の方々を対象に
トップセールスを行ってまいりましたが、この三年半ばかりの間に県職員が約千七百件の企業訪問を行ってもらいました。うまくいったところと、うまくいかなかったところもございますが、厳しいグローバル化の競争の中で、今後成長が期待できる業種に属する企業の投資計画を早期の段階で把握して、県の意向を的確にお伝えしておくのが非常に重要なポイントというふうな学習をしております。これまでの経緯と経験から、企業にとりましては、企業立地優遇制度も重要な要素でございますが、まずは便利で安く拡張余地のある用地が、投資の判断をする際にすぐに用意されているということが重要なようでございます。また、立地に際してのさまざまな手続等に行政全体として支援があることも重要視されていると思います。 奈良県の取り組みでございますが、産業用地が基本的に少ないのが奈良県の課題でございますが、現在都市計画の線引きの見直しをこの二年間かけて行ってきておりますが、来年五月を目途に約百ヘクタールを工業系用途地域として市街化区域に編入する予定でございます。また、南部地域の雇用の確保の観点から、(仮称)橿原南・御所インターチェンジ周辺における産業用地造成の可能性を検討しているところでございます。また、ワンストップ相談窓口を設けまして、企業の求める用地情報の提供、開発許可の円滑化、人材の確保について、きめ細かい支援を今後とも続けていきたいと思っております。 また、これまで企業が、奈良を選んで立地していただきました理由や、これからも立地を継続できる条件、また、去っていかれる条件などの分析も行った上で、交通インフラや産学官連携事業など、企業が求められる条件を反映した立地環境の整備ということを引き続き積極的に取り組んでいきたいと思います。議員お述べになりましたように、小さくても強い意欲のある企業の支援ということを肝に銘じて取り組んでいきたいと考えております。 道路整備予算の確保についてでございますが、来年度の道路予算をめぐる最近の国の動きについての言及がございました。 道路整備のおくれた本県にとりましては、不利にならないものかという心配をしております。仮に、国が事業仕分けの結果を受け入れた場合には、新規事業が凍結されたり、直近に供用を控えた路線にのみ予算配分される可能性が高いと心配をいたします。これにより、県が想定しております京奈和自動車道の整備スケジュールの大幅なおくれにならないかと懸念しております。さらに、一括交付金のことでございますが、その配分方法は客観的手法に基づく恣意性のない配分を導入する、条件不利地域にも配慮した仕組みを設けるという説明を国はされておりますが、本県のように道路整備のおくれについて、どのように一括交付金の配分の方法で考慮されるのかということは全く不透明な状況でございます。道路整備がおくれた地域やまちづくりの課題が大きく残っている地域に重点配分をしていただきたいと考えております。 このため、七月に続きまして十一月にも、最重点提案・要望項目といたしまして国及び県選出国会議員に、京奈和自動車道をはじめとする国直轄事業の整備の促進、国道一六五号香芝-柏原区間の新規事業化、地域の課題解決に適切に対応する一括交付金の制度設計について、強く訴えに参りました。また、多くの市町村長の方々にご参加いただいた道路整備促進期成同盟会や議員連盟の要望活動も行っていただきました。 今後も、国に対しまして、本県は厳しい財政状況のもと、選択と集中という工夫をしているということを強くきちんと説明していきたいと思っております。また、本県のように、道路に係る課題を多く抱える地域への重点的な予算配分が行われる仕組みづくりを望みたいと思います。さらには、本県の道路整備が進むような予算配分を引き続き、県議会、市町村などさまざまな立場の方々と連携しながら、要望活動を続けていきたいと思います。 本県の交通基本戦略についてのお問い合わせがございました。特に地域生活交通でありますコミュニティバスの運行改善への取り組みについてのご関心とご意見、ご質問がございました。 奈良県交通基本戦略は、本県でも進んでおります高齢化や地域公共交通の衰退といった人々の移動に関する課題や社会的要請を踏まえまして、これまでの県における取り組みやその成果を生かした形で、移動環境の改善に向けて、今後の県における交通施策に関する指針として策定するものでございます。この交通基本戦略では、徒歩や公共交通を含めた人々の移動に必要な交通環境を基本的なインフラ、一定のサービスを確保すべき社会基盤として位置づけたいと思っております。三つの基本方針を持っております。だれもが安心して暮らせる移動の利便性の確保、奈良の魅力を一層高める交通環境、持続可能な取り組み体制の構築の三つを重点的な取り組みにしたいと思っております。 歩行環境につきましては、県管理道路の歩道の設置率は約二五%でございまして、全国平均の約四〇%と比べて低い水準になっております。歩行空間の確保は重要な事項でございます。そのためには、地域の人々との協議、連携が不可欠でございます。市町村とバリアフリー基本構想の策定を協議いたしまして、その策定された計画に基づきまして、県管理道路の整備を促進するとか、高齢者等の外出サポートのためのベンチや上屋などの設置を県が行うとか、歩道のない通学路では、地域関係者と連携・協議を行って、その結果に基づき必要な即効対策を早期に着手するとか、連携と協議の結果に基づいて歩行環境の整備、空間の確保を図りたいと思っております。 また、地域の生活交通でございますコミュニティバスにつきましては、路線バスの休廃止や減便により、必要なサービスになってきておりますが、利用者数が低調であったり、行政負担の増加が課題となっております。県内の幹線の運行は県が、市町村内のコミュニティバスの運行は市町村がおおむね責任を持つという役割分担が基本だと思いますが、市町村が取り組むコミュニティバスについても支援を県として行っていきたいと思います。例えば、利用者の需要予測や役割分担、バスとタクシーの役割分担の調査・分析への支援でございますとか、大都市で見られますように、地元企業とか住民や地域が一体となって運行に取り組まれる活動に対する支援でございますとか、鉄道駅やバス停などの交通施設を整備して、それを中心としてまちづくりを図ろうとする市町村の取り組みなどに対する支援を行っていきたいと思っております。 交通基本戦略につきましては、今月中旬から県民へのパブリックコメントを実施して、幅広くご意見をいただきながら、年度内策定に向けて進めていきたいと思っております。 浸水被害対策についてのご所見とご質問がございました。 大和川流域では、流域の保水機能が低下してきております。洪水時の河川への流出水量が増加してきております。国、流域市町村と連携して、河川改修などによる流す対策と、グラウンドやため池を利用し流域にためる対策の、二本柱からなる総合的な治水対策の実施が必要と思われます。流す対策とためる対策の二本柱は議員がご指摘になった点でございます。 特に近年多発しているゲリラ豪雨による浸水被害対策につきましては、ためる対策が有効であって、即効性があるというふうに最近考えられております。河川改修とあわせてこれに力を入れていく必要があろうかと思います。昨年度より、浸水常襲地帯における減災対策といたしまして、流域の特性が異なります五つのモデル地区におきまして、既存のため池などの活用とその効果、県、上下流の市町村の役割分担についての検討を実施してきております。どうしても上下流の市町村の利害が衝突するケースが多いからでございます。 今後は、大和川流域の他の市町村に対しまして、これらのモデル地区の検討結果についてのご報告を行って、流域のためる対策の必要性、有効性を十分に認識していただきたいと思います。また、他の流域でも、このようなためる対策を実行、活用できるような方向での技術的な支援も行っていきたいと思います。また、ため池や管理されております水利組合や家庭におきましても理解・協力が必要なことかと思います。 私に対する質問は以上でございます。残余は関係部局長から答弁をさせていただきます。ご質問ありがとうございました。
○議長(出口武男) 川崎土木部長。
◎土木部長(川崎茂信) (登壇)二十四番岩田議員のご質問にお答えしたいと思います。 私には、浸水被害対策といたしまして、天理市二階堂における浸水対策について、現在の状況についてのお尋ねがございました。 天理市の下ツ道沿いには、過去から地域間のルールといたしまして、洪水時には東側から西側へ一定量以上の水が流れないように、水路の断面を小さくした坪と呼ばれる暗渠の管が二キロメートルの区間に十カ所設けられております。このため、議員お述べのように、二階堂上ノ庄町や二階堂南菅田町では浸水常襲地域となっており、早急な対策が望まれているところであります。 これらの地域の減災対策といたしましては、平成二十年度より関係市町村であります天理市、大和郡山市、川西町及び奈良県から成る下ツ道周辺浸水対策検討会議を設置いたしまして、流域内により雨水をためる対策が最も重要であるという共通認識のもと、これまで八回の会議を開催するとともに、モデル地区として検討を進めてきたところであります。検討に当たりましては、地元の方々と一緒に、ため池や水路網などの現地を広範に調査するとともに、基礎データの収集や現地測量などを実施し、効果的な対策案の絞り込みを行ったところであります。今年度は、早急に効果を発現する対策といたしまして、県におきましては、水路の新設や堆積土砂の除去を、また天理市におきましては、既設の調整池の治水容量を増加させる工事を実施する予定でございます。また、流域内にある二カ所のため池の治水利用について、今年度詳細な設計を実施するなど、ためる対策を重点的に実施する予定であります。今後も県や関係市町村と連携いたしまして、学校などの公共施設やため池などを利用し、流域内にためる対策について努めてまいりたいと考えているところであります。 以上であります。
○議長(出口武男) 冨岡農林部長。
◎農林部長(冨岡義文) (登壇)二十四番岩田議員のご質問にお答えいたします。 農業振興について二点ご質問がございました。 まず一点目は、柿、茶、イチゴ、大和野菜などの主要な品目に関しまして、農家の後押しにどのような
取り組みをしているのかでございます。 本県の農業は、小規模な農家が多いことから、県といたしましては、一つ一つ丁寧にブランド化を図り、小さくとも元気な農業経営が行われることを目指しているところでございます。そのため、マーケティングコスト戦略に基づき、県産農産物の高付加価値化、高品質化によるブランド化や販路の開拓等に取り組んでおります。 具体には、今後とも本県農業を牽引するリーディング品目として、柿、茶、イチゴ、菊を選定し、意欲ある担い手と協定を結び、重点化して支援していきたいと考えております。柿やお茶は、樹齢四十年を超えます老木園の若返りを図る改植事業を強力に推進するとともに、選果場、荒茶加工施設などの更新を推進しております。また、イチゴについては、産地の再興を図るため、アスカルビーや新品種古都華について、新たな担い手の育成・確保、生産力の高い優良な苗の安定供給、かがんでする作業をなくして、立ったままで楽に作業ができる高設栽培の技術導入などを推進しております。さらに、菊については、一層の規模拡大を図るため、薬剤防除が難しい害虫を防ぐネットハウスの普及、手作業にかわる収穫機の開発などに取り組んでおります。 一方、将来の成長品目として育成を図るチャレンジ品目として、大和野菜、切り花ダリア、サクランボ、有機野菜を選定し、生産拡大等を着実に推進していきたいと考えております。特に大和野菜では、品目ごとに意欲的な生産者の組織化により、ロットの確保に努めるとともに、東京まほろば館での季節の旬ごとの販売プロモーション活動、さらには協定直売所やレストランなど新たな販路の開拓に取り組むこととしています。また、ダリアは、現在の夏秋収穫に加え、冬春収穫に適応した品種を導入することにより、周年栽培を確立するとともに、PRイベントの開催などに取り組む予定をしています。県といたしましては今後とも、本県農業の足腰を強くしていくため、マーケティングコスト戦略に基づいた農業の振興施策を着実に展開していきたいと考えております。 二点目は、水稲の高温対策について、技術指導も含めて、どのような
取り組みをしているのかでございます。 議員お述べのとおり、本県のことしの水稲作は、平たん部を中心に、高温などの影響により、作況指数はやや不良となり、一等米比率も昨年より下がっている状況であります。このため県では、来年の良品質米生産に向けた
取り組みを強化していきたいと考えております。 まず、平成二十二年産水稲の品質低下の原因と今後の技術対策として、稲を健全に育てる施肥管理、稲株の体力消耗を防ぐための適切な水管理などを内容とする対策マニュアルを作成し、県のホームページやJAならけん広報誌を通じ周知を図っているところでございます。また、来年の生育時期には、ことしの教訓も生かし、その時々の気象状況に応じ、きめ細やかな技術指導を実施する予定をしております。さらに、農業総合センターでは数年前から、高温障害が問題となっております九州各県の技術対策や品種の更新動向などの情報収集に努めてきたところであります。こうした情報を参考にしながら、平たんの早生品種キヌヒカリや、主要品種であるヒノヒカリについて、高温障害が出にくく、また食べておいしい代替品種の検索やその現地試験に取り組んでいるところであります。本県における顕著な高温障害は、本年初めての経験でありましたが、温暖化は今後とも続くと思われることから、品種更新も視野に、考えられる各種対策を講じてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(出口武男) 和田警察本部長。
◎警察本部長(和田昭夫) (登壇)二十四番岩田議員のご質問にお答えいたします。 私に対するご質問は、県民が安全で安心して暮らせる地域社会の実現に向けた県警察の犯罪抑止対策についてのお尋ねでございました。 まず、県下の犯罪情勢でございますが、議員ご指摘のとおり、刑法犯認知件数は平成十四年をピークといたしまして減少を続けており、本年も十月末現在で一万二千五十八件と、前年同期比で一千二十六件減少しております。一方、検挙率につきましても、本年十月末現在、四五・一%と、前年同期比で五・九ポイント上昇しているなど、犯罪抑止総合対策は効果を上げているところであります。 また、先般実施いたしました警察活動等に関する県民の意識調査、これにおきましては、以前よりよくなったと回答された方が前年よりわずかに減少いたしましたが、以前より悪くなったと回答された方も年々減少しており、体感治安は全体として改善傾向にあると判断しております。一方で、空き巣やひったくりなどの犯罪が発生していることを、治安が以前より悪くなったと考えている理由に挙げている方が多いなど、これらの犯罪が県民の皆様に不安を与えていることがうかがわれるところであります。そこで県警察といたしましては、これら犯罪の発生状況や県民の皆様のご意見、ご要望も踏まえつつ、各種対策、施策を推進しているところであります。 具体的には、犯罪の発生が多い地域や時間帯を選定いたしまして、制服警察官によるパトロールなどの街頭警察活動を強化しております。また、県民の皆様が犯罪の被害に遭わないよう、犯罪の傾向や具体的な手口について、交番・駐在所だより、あるいは情報配信メールなどの広報媒体を活用いたしまして、タイムリーな情報提供に努めているところであります。さらに、大学生の方々をはじめとする若い世代の方々によります防犯ボランティア団体の結成、万引き防止キャンペーンなどの展開、こういった施策を通じまして、犯罪の起きにくい社会づくりに努めております。県警察におきましては、県民の皆様が安全で安心して暮らせる地域社会の実現のため、今後とも総力を結集し、官民一体となった犯罪抑止総合対策に鋭意取り組んでまいる所存でございます。 以上でございます。
○議長(出口武男) 二十四番岩田国夫議員。
◆二十四番(岩田国夫) それぞれご答弁ありがとうございました。 少しだけまた要望しておきますが、知事、観光でありますけれども、今回初めて奈良公園見学というか足を延ばされた方は、私は本当に感激をしておられると思います。私自身、自然公園としては日本では一番かなというような思いをしております。そんな中で、東大寺、興福寺とか、春日大社、いろいろ自分らの領域がありますけど、この辺は県が中心になってやはり整備と管理をこれからも引き続き十二分に行っていただくことをお願いしておきます。 また、交通基本戦略の中で、駅というのも、今いろいろバリアフリーをやっておりますけれども、五千人以上の乗車のところからということですけど、桜井線では、天理市には柳本駅、檪本駅とありますけれども、このほかにも同じような駅舎があると思いますけれども、もう急な階段で上り下りの線をみんな、お年寄り、また障害のある方も、それを今渡っているわけです。これは本当にお年寄りにはもう苦痛でしょうがないということをいろいろ聞きますけれども、この交通基本戦略の中では、五千人以上の駅みたいに書いているんでなかなか、駅をやっているのはわかるんですけど、そこまで急には手が届かない、だけど、何とかその辺また考えていってほしいなということをお願いしておきます。 それと、農業振興でありますけれども、現在国ではTPPの協議を進められておりますけれども、TPPは関税撤廃の例外を認めない貿易自由化を目指した交渉であります。本県農業に与える影響は大変なものがあると思いますので、このため、国においては必ず日本農業の将来の方向を示した上で慎重に取り組まれることが必要であると考えますが、県としてもこの姿勢を踏まえた対応をひとつよろしくお願いいたします。 最後になりますが、私たち三人、自由民主党「未来」こぞって、知事の再選に対して全力でご支援していきたいと思いますので、健康に留意をされて頑張ってくださいますことを最後に、質問を終わります。(笑声)
○議長(出口武男) しばらく休憩します。
△午後三時二分休憩 --------------------------------
△午後三時十九分再開
○副議長(藤本昭広) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、四十三番梶川虔二議員に発言を許します。--四十三番梶川虔二議員。(拍手)
◆四十三番(梶川虔二) (登壇)新創NARAを代表いたしまして、社会民主党の梶川が質問をさせていただきます。
平城遷都一三〇〇年祭は、人の動員など、大きな成功を得たと言えます。荒井知事をはじめ関係者の皆さん、ご苦労さまでございました。今日の我が国は、三百四十万人の失業者で、雇用環境は一向に改善されません。私たちは雇用創出を叫んでおりますが、右肩上がりの経済発展、雇用創出はもうあり得ないのではないかでしょうか。つまるところ、ワークシェアリングしかないのではと思います。高い退職金や報酬などを見直し、雇用に回さなければならない時代に入ったのではないかと思います。また今日、国家的事業としてNHKが中心になってテレビのデジタル化を進めておりますが、低所得の方など、思うほど対策が進んでおらず、七月二十四日のデジタル切りかえは困難ではないかという声も聞こえてきます。場合によっては延期も必要になってくるのではないか、県も県民の状況を把握して、必要に応じて物を言うべきではないかと思います。 質問に入ります。第一点目に、関西広域連合についてお尋ねをいたします。 兵庫県や大阪府の主導でスタートした関西広域連合に、奈良県は参加せず、福井県などと連携して、ふるさと知事ネットに加わったのは、憲法、地方自治法が掲げる地方自治の本旨の観点から、高く評価をいたします。大阪府知事は、この関西広域連合の延長線上に道州制を想定しており、加入すべきでないと私は思っております。荒井知事の見識に対して、大いなる敬意を表します。実際、現状の国と地方の関係を前提に置いて、広域圏を掲げた場合、住民と自治体の距離はさらに遠くなり、大都会の場合にはそれによる不都合は顕著にあらわれませんが、奈良県のように、吉野郡、宇陀市をはじめとする広大な山間部や過疎地を持つところでは、当該地域の住民生活や地域の文化・歴史を見捨てることになりかねません。これは、県全体で世界文化遺産を保護する責任からも、同意できないと言わざるを得ません。 しかし一方で、なぜ、奈良県だけが関西広域連合に入らないのかと言う人もあります。奈良県の産業振興の点から、大阪などと連携するほうが得ではないかという思いがあると思います。しかし、広域連合になれば、産業廃棄物や放射性廃棄物の処理など、奈良県に押しつけられる危険性はないのでしょうか。今の政治の仕組みは、国の法律があり、県でそれを受けて条例化し、市町村がさらに条例化し、それぞれ議決します。そこに関西広域連合という議員を持った議決機関が新しくもう一層屋根ができることになります。費用をかけて何をするのか定かでないし、選択加入制ですから、加入を見合わすという府県があってもしかるべきです。医療のドクターヘリは、和歌山県や大阪府と連携し、経費も割安にやっています。県民の心配に対し、どのように考えているのか、既に九月県議会でも触れておられますが、重ねて不参加の理由や、参加しなくても大丈夫だということについて、知事にお尋ねをいたします。 次に、無縁社会に対する
取り組みをお尋ねいたします。 無縁社会とは、高齢や病気になっても頼る人がおらず、すべてを一人でやらなければならない人が増える社会を言うそうです。ことし一月のNHKドキュメンタリーをきっかけに、関心が高まっています。この番組によると、身辺整理のできなくなった人に対する死後の身辺整理や埋葬する専門業者やNPO法人が急増しており、自治体や将来を考えた人から生前予約があるようです。ドメスティックバイオレンスを受けた被害者が、家族や縁者から身を隠したり、施設など引き取り手のない人たちの死を考えるとき、私は、我が国の現行の住民管理制度が十分に機能していないのではないかという疑問を持ちます。また、戸籍制度は、非嫡出子の権利を擁護してこなかったし、同性愛者の準婚姻としてのパートナーシップに対応できない点など、時代の変化に間に合わなくなっています。このまま法務省、総務省、地方自治体の二重・三重行政が存続させられることは、国全体のコストパフォーマンスからも問題が多過ぎます。住民に対するセーフティネットを充実させることを第一義とする自治体の側から、居住地とのリンクを基本とする住民基本台帳のあり方を要求してもおかしくない時代に来ていると思います。 そして、無縁社会に対するいま一つの課題は、住民間のつながり、特に高齢者の地域における見守りであり、地方自治体が取り組むべき課題であります。ひとり暮らし高齢者や高齢者夫婦の世帯が増加し、その半数が自宅での死を望んでおり、日常生活の支援を必要としております。これにこたえるためには、今の介護保険制度だけでは不十分で、自治体によっては夜分に緊急通報装置でヘルパーを呼び出し介護をするなどの
取り組みが始まっています。高齢者が孤立することなく、安心して暮らすためには、地域の支え合いを復活させ、高齢者の見守り体制の構築が必要と思いますが、いかがでしょうか、知事にお尋ねをいたします。 次に、県道椿井王寺線の自動車事故対策を、命を大切にする立場からお尋ねいたします。 この道路は、王寺町から三郷町を経て平群町の椿井交差点まで通ずる二・七キロメートルほどの道路です。この椿井交差点から国道一六八号へと接続します。 冒頭、この国道一六八号で要望しておきます。国道一六八号における上庄バイパスは、生駒市との境界である秋津橋まで完成しました。結果、平群町内四キロメートルにおいてラッシュ時には渋滞が発生をしております。かんぽの宿平群荘のある上庄台団地の一番奥の袋小路に住む主婦は、十数年前、平群で一番静かなところと思い、わざわざ家を買いかえたのに、今では家の真上に上庄バイパスの上庄橋がつくられ、しかも、その短い橋に継ぎ目が二つあり、トントンと騒音がして、平群町で一番うるさい団地になったと言っていました。渋滞対策と騒音対策をされるように要望して、県道椿井王寺線の問題に入りたいと思います。 イラストをつくってきましたので、ちょっと支援者にかいていただきましたので、これは三郷町の夕陽ヶ丘の辺をあらわした図面でございます。それで、こっちが生駒方面、こっちが王寺方面ですが、ここに三郷町三室、三郷町夕陽ヶ丘、平群町北信貴ケ丘二丁目、こっちが一丁目、東信貴ケ丘と団地がありまして、ここにブロックを置いて歩道を確保しております。追加工事で、夕陽ヶ丘地区だけポストコーンというこういうのを立てて、それで溝ふたを側溝にして、歩道を確保しています。これはわずか四メートル九十センチの通過道路なんですけど、しかも、このブロックが一メートル七十センチおきに置かれているために、大型規制がかかっていますけど、向こうから四トン車ぐらいが走りますので、あ、車が来たと思って左へよけたときに、ここのブロックにひっかかって、車がバーンと横転したり、いろんな事故を起こすわけです。こういう状態でございますので、これを見せて、質問していきたいと思います。 この危険区域で八年ぐらい前、県道近くに住む主婦が、そして七年ぐらい前には、道路際に住むおばあちゃんが、自動車事故で亡くなりました。この十月三日には、道路近くに住む三十九歳の青年が、三人目の自動車事故死亡者になりました。この十月三日の死亡事故の起きたところは、夕陽ヶ丘のKさんの家の前で、この四月十五日にも、ワゴン車がブロックを乗り越えて、レッカー車出動で移動しましたが、廃車になったようです。そして、同じく三月十八日にも、車が横転して、レッカー車が出て、これも廃車と、実にこの六カ月で三つの事故が起こっております。三つ目は死亡事故です。この十年間を累計してみますと、七十六件の事故が発生しており、ほっておけば、事故はこれからも後を絶ちませんし、今も起こっているかもわかりません。 十月三日の事故は、被害者の両親から、梶川さんはこの道路で一生懸命やってくれるからと言って、連絡をいただきました。私はすぐにお家を訪問し、お話を聞かせていただきました。即死ではなく、救急救命センターに運ばれて、十月六日に亡くなられました。座骨などを骨折し、出血もひどく、輸血してもだめで、三時間かけて包帯をし、苦しみながら、最後には五十八キログラムの体が腫れ上がって六十八キログラムぐらいになり、亡くなったと聞かされ、両親の無念な思いははかり知れませんでした。そして、被害者のご両親は、今のブロックをやめてガードレールにし、このような痛ましい事故は今回限りにしてほしいと、遺族としての意思を示されました。 そこで質問ですが、この道路は、周辺住民のワークショップにより、拡幅計画があります。沿線住民からは、早く私の宅地を買ってほしいという要望もありますが、高齢化した住民の間には十年は先になるだろうとあきらめムードもあります。完成の見通しを聞かせていただきたいと思います。 家の買収を進めようとする一方で、新築する業者があり、法的にはやむを得ないらしいが、これらの対応も含め、七十軒からの家を買収する必要があり、早期の工事推進のために、事業予算の確保に加え、担当される郡山土木事務所の体制も強化する必要があると思うが、いかがでしょうか。 また、暫定的に、住民合意を得て、早急に安全対策を講じる必要があると考えますが、いかがでしょうか。 以上、土木部長にお尋ねをいたします。 次に、四点目に、国勢調査についてお尋ねをいたします。 五年ごとに行われてきた国勢調査については、都度問題が指摘され、改善が求められてきました。私たちは基本的には、国勢調査の役割は終わったと思っております。国勢調査で得られる統計は、法定人口と呼ばれ、行政施策の基礎資料として利用されていますが、有効に機能していると思っているでしょうか。膨大な費用をかけて、悉皆調査、一人残らずやる調査をするよりも、サンプリング調査で間に合うと思います。今回の調査では、封筒を密封にしたり、郵送提出も可能になり、奈良県内で三十年にわたり運動してきた人たちの成果だろうと思います。 五年前の調査では、記入してくれない人を含め、聞き取り調査をした人は四・四%もあると総務省は発表しています。少なくない人たちが国勢調査に協力しようとしない背景には、調査員とのトラブルが繰り返し惹起してきたからではないか。今回もA町で、調査協力に消極的であったBさんに対し、調査員が、あんたは日本人ではないのですかと暴言を吐いたという相談が、社会民主党に寄せられました。国勢調査は定住外国人も対象になっており、その点でも調査員の認識不足も甚だしいと思います。調査員に最小限の人権研修も行われていないのではないか。前回には、C町の自治会長を兼ねる調査員のDさんが、回収した調査用紙を自宅でコピーをして役所に届けた事例があったことが明らかになりました。国勢調査員の選任に当たっては、不適格な調査員を再任しないようなチェックはなされているのでしょうか。いかに国の仕事とはいえ、地域に密着した自治体の住民を対象にして行われる調査だから、県の指導をさらに徹底すべきであると考えます。総務部長にお尋ねをいたします。 次に、労働問題についてお尋ねをいたします。 今年度の奈良県の最低賃金は、十三円上がり、時給六百九十一円となったが、一日八時間労働、年間労働日数二百六十日で計算すると、年収は百四十四万円で、これでは結婚も子育てもできません。例えば、学園前のUR団地の一DKに入居すれば、家賃と共益費だけで九万円、年間百八万円が必要となり、生活保護の水準をはるかに下回る生活を強いられる場合もあります。無論、直接的には最低賃金の決定に県が関与しているわけではありませんが、このような人たちを含め、労働者が勤務先での賃金や労働条件に関し相談する窓口として、県では中小企業労働相談所を設置しているが、どのような相談が寄せられているのでしょうか。内容によっては、県が開設している三カ所は、企業に立ち入ったり指導したりする権限がないが、どのように対応しているのでしょうか。今後、さらに相談を望む人が増えてくると考えるが、どのように周知し、対応するのか、お尋ねをいたします。 また、独立行政法人雇用・能力開発機構が廃止されます。リストラなどで解雇された人が再就職する場合、手に職があることが絶対的に優位であります。雇用・能力開発機構の業務のうち、再就職を目指す求職者を対象にした技能・技術を教えるところは独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が受けるが、これまでどおり機能するのか、そして、県が受けて充実させるべきではないか、産業・雇用振興部長にお尋ねをいたします。 次に、学校の空調施設の設置についてお尋ねをいたします。学校といえば、公立の小・中・高等学校と私立の小・中・高等学校及び県立の特別支援学校ということになりますが、ここでは県
教育委員会の仕事である県立高等学校、特別支援学校の空調施設の設置についてお尋ねをいたします。 最近の異常気象で、ことしは三十度Cを超える気温は六月中旬から九月二十日まで、いずれも夏休みの前後で、五十日は登校時期に入っております。私は、運動会の練習にかかわって、ある市の親から、この暑さの中で練習はどうなっているのか尋ねられました。そのとき、ある小学校に電話をしたついでに、教頭先生に、空調施設に対する意見を聞いてみました。教員室は空調をしており、ほかに一部屋ぐらい空調室があり、生徒が気分が悪くなるとそこに入ります、全面的に空調設置をしてほしいけれども、私たちから言うのはどうもはばかると、遠慮した物の言い方でした。教育施設のたぐいで言えば、私立の小学校、中学校、高等学校、幼稚園、保育所、そして公立では保育所に、空調設置ができています。公立幼稚園はできておりません。 私は九月県議会で、国に対し公立学校の空調施設設置に対する三分の一補助、高等学校はないようですが、これを二分の一補助にかさ上げを求める意見書を提出し、県議会は満場一致でこれを国に上げたところであります。一方、県立高等学校は、校長会から空調設置要望が出されていると聞いています。学校施設については、耐震対策もあるが、空調も必要と思います。県立高等学校、特別支援学校の空調完備について、県
教育委員会はどのように考えているのか、教育長にお尋ねをいたします。 最後に、奈良市中町の駐車場について要望いたします。
平城遷都一三〇〇年祭において活用した奈良市中町の駐車場については、用地買収費が十九億円、整備費が三億円を含め、約二十二億円の費用をかけて整備を行っており、無駄遣いになっているのではないかと、去る八月三十日に毎日放送が放映をしておりました。私は、奈良市のいわゆる有識者から、デジタルビデオを撮って、人を介して議会で取り上げてほしいと要望を受けました。県からは、将来的に整備を考えている中町の駐車場を
平城遷都一三〇〇年祭で有効活用したものであり、今後検討を重ねて、早急に恒久整備に着手していきたいと聞いております。 そこで私は、その整備について要望しておきたいと思います。最近はやっている農作物の直売所として、また、近くにある梅林公園、農業協同組合朝市、近畿大学農学部との連携などにより、地場産業の活性化や子どもの遊び場、私がかねがね提案をしているドッグランの整備など、県民のためにしっかりと検討して有効活用されることを強く要望しておきます。 以上で私の代表質問をひとまず終えたいと思います。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤本昭広) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) (登壇)四十三番梶川議員のご質問でございます。 まず、関西広域連合についての不参加の理由、参加しなくても大丈夫かというお伺いがございました。 関西広域連合に参加を見合わせた理由につきましては、既にさまざまな機会に述べておりますが、関西広域連合には次のような三つの課題があると、まず思っております。 一点目は、組織面での課題でございます。議会を設置するような新たな自治体を国と県の間につくることは、屋上屋を架すことにつながるように思います。寄り合い世帯ですので、責任の所在があいまいです。組織の基本経費も増加いたします。知事の全員合意が前提なので、意思決定に時間がかかり、業務におくれが生じるおそれがあると懸念しております。 二点目は、業務面での課題です。わざわざ経費のかかる新しい組織をつくらなくても、広域連携で十分実施できますし、現に既に行っているものがほとんどでございます。また、本県にとってはそのほうが経費がかからず、安上がりになる事業が多いわけでございます。災害出動などで緊急な措置が迅速に行えない可能性もございます。 三点目は、地方自治、地方分権から見た課題がございます。広域連合は、参加する府県から事務を持ち寄り、権限も移譲されるのが本来の姿だと思いますが、議員お述べのように、住民への行政はできるだけ住民に近い行政組織で行うべきであるという住民自治の観点からは問題だと思います。また、奈良県の現状から見ても、中南和の離れた地域まで目が届く行政にはなかなかなり得ないのではないかというふうに懸念をいたします。 このような課題につきましては、これまでも関西広域機構・分権改革推進本部会議の場で指摘してきましたが、懸念がなくなるところまでの検討はなされなかったように思っております。 参加しなくても大丈夫かというご質問ですが、奈良県としてはこれまでどおり、他府県との広域連携によりさまざまな業務に積極的に取り組んでいくことで大丈夫だと考えています。例えば、大規模災害発生時の相互応援や合同防災訓練の実施、ドクターヘリの共同運航、広域観光対策など、従来から府県間の協定や協議会の方法により連携、実施をしてきました。なお、観光の振興対策につきましては、観光地はそれぞれが競争相手でありまして、奈良のように独自の味わいのある観光地については独自の観光振興対策を中心に行っていくほうがよいと現在では思っております。 今後、関西広域連合ができることによって、枠組みが変わる業務や、新たに連携が必要な業務が出てきた場合には、関西広域連合を通じた連携などの手法で対応したいと思います。関西広域連合においても、参加していない自治体との連携を想定し、規約にも明記されておりますし、知事様たちにも直に確認をしております。参加しないということが県民の皆様のデメリットになることはないと判断できましたので、設立時の参加は見合わせることにいたしました。関西広域連合ならではの成果を上げる事例がたくさん出てきて、経費との見合いで参加のメリットが見えてきた場合には、その状況を見きわめ、議会での議論を踏まえた上で、参加すべきかどうか、慎重に判断したいと考えています。 関西広域連合に加わらないことに関する県民のご心配に対し、どのように考えているのかというご質問もございました。関西広域連合に対する本県の考え方を県民だより奈良十一月号に掲載いたしましたが、県民の皆様から、県の考え方に納得したという声も多く寄せていただきました。一方で、もっと詳しく説明してほしい、参加しないことで奈良県が出おくれるのではないかというご意見もございました。これらの声にお答えするために、先般、県ホームページで、こちら知事室ですのオピニオン欄に詳細な説明やQ&Aを新たに掲出し、情報提供をしています。また、なら県政出前トークのテーマに関西広域連合を追加し、県民の皆様からの申し出に応じて、直接担当部局から本県の考え方を説明することにしました。行政の組織を新たにつくるということでございますので、活動が始まるまでは、その実態がわかりにくいという面がありますが、今後ともさまざまな機会を通じて、奈良県が関西広域連合に参加しないことへの疑問や不安を解消したいと考えておるところでございます。 次に、地域の支え合い、高齢者の見守り対策の構築という大変重要な事項について、無縁社会という言葉をお使いになりながら、ご質問がございました。 本県におきましても、全国と同じトレンドでございますが、高齢者のみの世帯は二〇二五年、十五年後には総世帯数の約三割を占めます。中でもひとり暮らしの高齢者世帯がその半分、全体の一割五分を占める見込みでございます。議員お述べのとおり、無縁社会への対応として、高齢化のピークを見通して、高齢者の孤立化対策に取り組むことは、極めて重要な課題であると思います。高齢者の孤立を防ぐ取り組みとしては、議員もお述べになった点でございますが、二つあるように思います。見守りと居場所づくりでございます。見守りは、地域で支援が必要な高齢者に気づき、サポートすることでございます。居場所づくりは、高齢者が生きがいを持って過ごすことができる場所をつくることでございます。地域での支え合い、きずなをつくることを、地方自治体が応援する仕組みが現在必要かと思います。 見守りにつきましてでございますが、現在、民生委員の方々が地域福祉の観点から献身的に大変よくやっていただいておりますが、委員ご自身の高齢化、また個人情報の入手が困難になってきておること、また業務が増加しておることなど、大変切実な課題が発生しております。来年度には、民生委員の業務に対する実態把握を行い、民生委員を助けるように、具体的な課題の一々細かいことを解決するような取り組みを、その実態把握から見つけ出していきたいと思っております。また、新たな支え手があらわれている面もございます。NPOや民間のボランティアの方たちでございます。そのような方たちの地域の見守りの連携ネットワークを構築するということも、地方公共団体の一つの役割になってきているように思います。例えば、郵便や新聞、宅配便の配達、電気、ガス、水道の検針、またヤクルトなどの家庭を訪問する事業者と連携いたしまして、新聞がたまっているなど異状があれば市町村に通報していただくような協定、仕組みを検討していきたいと考えております。 次に、居場所づくりでございますが、ひとり暮らしの高齢者の閉じこもりが大変問題だと思います。外に出てきていただく、家の外の居場所づくりが大変重要だと思います。そのため、小学校区の単位等身近な場所で気軽に集まれる居場所づくりに取り組んでまいりたいと思います。そのような場所が、高齢者の方々のさまざまな活動ができて、地域で人と人がつながるきずなの場、交流の場として活用されることを期待するものでございます。また、高齢者の豊かな社会経験などが地域の活動に反映される生きがいの場としても活用できたらと思うところでございます。 先般成立いたしました国の補正予算におきまして、地域の日常的な支え合い活動の体制づくり事業というものが入っております。この事業の予算を活用して、本県独自の居場所づくりに
取り組みたいと思っております。また、このような居場所づくりは高齢者の孤立問題だけでなく、住民の協働、防犯、防災の組織、スポーツ振興など、地域の支え合い、きずなづくりの必要な諸課題について、小学校区など一定のエリアを範囲とする自主的な
取り組みを県と市町村が連携して支援するという形が基本になると思いますので、今後奈良県におきましては、地区単位の
取り組みを促進し、暮らしやすい奈良県づくりを進めていきたいと考えているところでございます。 残余の質問につきましては、関係の部局長に答えをさせていただきたいと思います。ご質問ありがとうございました。
○副議長(藤本昭広) 川崎土木部長。
◎土木部長(川崎茂信) (登壇)四十三番梶川議員のご質問にお答えしたいと思います。 私には、県道椿井王寺線の安全対策等についてのお尋ねがございました。 県道椿井王寺線の椿井工区は、椿井橋から県道信貴山線までの約一キロメートルの区間で、歩行者の安全確保、車両のすれ違い困難な箇所の解消を目指す事業であります。この工区は、住宅地内での現道の拡幅となるため、多数の沿道の住宅地の買収が必要となるため、平成十六年度から平成十七年度に道路計画の策定段階から地元住民にも参加をいただき、計画策定を行い、平成十八年度より事業に着手しております。その後、平群町域や三郷町域の地籍が著しく混乱していることが判明いたしました。これまで、法務局及び郡山土木事務所によりまして地図訂正を進めており、一部を除き今年度内に完了の予定であります。また、来年一月より、事故が多発している危険な区間から補償調査に着手をいたしまして、平成二十三年度からは用地買収に入る予定であります。約七十件の用地買収が必要となり、移転や建替えが必要な場合には時間を要することとなろうと思います。そのため、用地の買収には少なくとも五年は必要と考えており、去る十一月に開催いたしました地元説明会でも、その旨を説明したところであります。この工事の内容といたしましては、現在の県道を拡幅していくものでありまして、できるだけ早期に安全性を向上するため、交差点間で沿道の用地買収ができた区間から段階的に拡幅をしてまいりたいというふうに考えております。この工区は重点的な整備が必要な区間であるということから、必要な事業予算を確保した上で、早期の用地買収に努めていく考えであります。なお、着実な整備を進めるためには、平群町、三郷町の協力を得ながら、土木事務所と本庁が連携して、組織的に取り組んでまいりたいと考えております。 なお、議員ご指摘の暫定的な安全対策につきましては、間隔のあいている歩車道の境界ブロック、これを連続したものに改善することとしており、地元自治会と合意が得られましたので、早期にその対策に着手してまいりたいと考えているところであります。 以上であります。
○副議長(藤本昭広) 稲山総務部長。
◎総務部長(稲山一八) (登壇)四十三番梶川議員のご質問にお答えいたします。 質問は、国勢調査について、調査員の選任に当たって不適格な調査員を再任しないようなチェックを行っているのか、また、住民を対象として行う調査であるため、県からの指導をさらに徹底するべきと考えるが、どうかとのお尋ねでございます。 国勢調査は、すべての人や世帯の実態に関しての統計を提供するものであり、少子・高齢化対策や医療、福祉等の各般にわたる行政施策を立案、実施する上での基礎資料として不可欠なものであって、県政運営の情報基盤として最も重要な役割を果たしているものの一つでございます。 国勢調査の調査員は、調査を実施するために、住民の住まいに直接訪問し、国勢調査の説明、調査票の配布や回収を行う役割を担っております。この調査員の選任につきましては、市町村の推薦を受けて、県が総務省に報告し、総務大臣が任命しております。その推薦に当たりましては、責任を持って調査事務を遂行できること、秘密の保護に関し信頼がおけることなどが選任の要件とされており、県といたしましては、二回にわたる市町村との事務打ち合わせ会におきましてこれを指導してきたところでございます。また、市町村では、過去の調査での業務遂行状況において、秘密の保護に関する世帯とのトラブルや苦情があったかなどをできる限り把握し、このような人の選考を避けるなどしているところでございます。 次に、調査員への指導でございますが、県としては、市町村との事務打ち合わせ会におきまして、国勢調査の趣旨、世帯との対応、封入提出、調査票の厳重な管理、プライバシーの保護などを調査員に徹底するよう指導してきたところでございます。また、県では、住民からの相談などに応ずるために、九月二十日から十月三十一日まで相談窓口を設置しており、その中で調査員に関する苦情や相談があった際には、市町村を通じ、事実確認を行い、調査員に対する指導や助言を行ってきたところでございます。今後も、調査員が適切に調査を実施していくよう、市町村に対する指導をさらに徹底してまいりたいと考えております。 以上でございます。
○副議長(藤本昭広) 福田産業・雇用振興部長。
◎産業・雇用振興部長(福田将人) (登壇)四十三番梶川議員からのご質問でございます。 私には、雇用問題につきまして二点のご質問でございます。 まず最初に、中小企業労働相談所へどのような相談があるのか、また、周知をどのようにしているのか、具体的な対応はどうするのかというご質問でございます。 県では、県内中小企業における労働問題について相談に応じ、健全な労使関係の確立に資することを目的として、雇用労政課、奈良労働会館及び中和労働会館内に中小企業労働相談所を設置しているところでございます。過去十年間の年間平均相談件数は二百十三件、平成二十一年度には二百四十四件の相談に応じているところでございます。この平成二十一年度の相談内容といたしましては、労働条件に関するものが最も多く、全体の約六割を占めておりますが、そのうち賃金の未払い等に関する相談が約三五%、以下、解雇、退職勧奨に関する相談が約二〇%、退職金等に関する相談が約一三%となっております。 相談を受けました場合、その相談内容によって、相談者みずからが解決できるものにつきましては、法的な説明も加えたアドバイスを行っております。また、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律によりますところの助言、指導、あっせん、こういったものが必要な場合には、それらの機能を有しております労働委員会、あるいは労働局に誘導するなど、ケースに応じた対応を行っているところでございます。 また、ご相談いただきましたその内容につきましては、内容別に分類をいたしまして、次の相談に活用しておりますほか、よくある相談内容につきましては、その回答を県が年四回発行しております労働時報や県のホームページにおいて掲載をしているところでございます。さらに、こういった労働相談窓口は、国や県などの行政機関のほか、民間団体等においても開設をされておりますため、相談者がより利用しやすく、より有効に機能をするために、関係機関・団体で構成をいたします労働相談個別労働紛争解決制度関係機関連絡協議会というものを開催いたしまして、各機関・団体での解決の事例ですとか、他の機関・団体を紹介する場合の方法等について、情報交換や意見交換を行って連携を図っているところでございます。 なお、中小企業労働相談所の周知につきましては、労働時報や県のホームページに掲載しておりますほか、関係機関・団体が発行しておりますリーフレット等への掲載をお願いいたしますとともに、今後とも各機関・団体等と一層の連携強化を図りまして、相談体制の充実に努めてまいりたいと考えております。 次に、雇用・能力開発機構が廃止され、その業務を県が引き受けて充実すべきではないかというご質問でございます。 独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案がさきの国会に提案されておりましたけれども、継続審議となりました。この法律によりますと、同機構が橿原市内に設置しております職業能力開発促進センター、通称ポリテクセンターでございますが、これが独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に移管されるというふうになっております。そして、このポリテクセンターが実施しております職業訓練のうち施設内職業訓練につきましては、移管を受ける高齢・障害・求職者雇用支援機構が引き続き実施をすることとなっております。また、民間教育訓練機関を活用した施設外職業訓練につきましては、既に平成二十一年度以降順次県に移管をされておりまして、平成二十三年度にはすべて県で実施するという予定になっております。施設内、施設外のいずれの職業訓練におきましても、訓練の総定員は本年度と同程度確保される見込みでございまして、求職者への影響はないものと考えております。 次に、この法律案によりますと、都道府県が希望すれば、ポリテクセンターを県に移管されることとなっておりますが、その移管条件は、その機能の維持を前提といたしまして、施設の譲渡額及び運営費補助額につきましては、雇用・能力開発機構の職員を県が引き受ける割合に応じて決まること、また、運営費補助は県への移管後二カ年度間であるということが示されているところでございます。このため県では、一昨年からポリテクセンターの移管につきまして、国と地方で十分協議をすること、施設の無償譲渡と移管後の管理運営に必要な経費について確実かつ永続的な財源措置を講じること、そして職員の採用については県が主体となることを強く要望してきているところでございます。今後このようなことが受け入れられるのであれば、移管について国と協議をしてまいりたいと考えているところでございます。 以上でございます。
○副議長(藤本昭広) 冨岡教育長。
◎教育長(冨岡將人) (登壇)四十三番梶川議員のご質問にお答えいたします。 私には、県立高等学校、特別支援学校の空調整備についてどのように考えているのかというご質問でございます。 ご指摘の課題に対しまして、十月一日現在で調査を行った結果、県立高等学校、特別支援学校における全体の空調設備の設置率は、それぞれ二五・三%、七六・三%となっております。内訳としまして、高等学校ではパソコン室、図書室、視聴覚室等の特別教室には二五・五%、職員室等には八一・三%設置しておりますが、普通教室の空調設備設置は、体温調節が困難な生徒が通学する特別な事情があった二校、これは法隆寺国際高等学校と王寺工業高等学校でございますが、二校の二教室となっております。一方、特別支援学校では、特別教室や職員室等への空調設備の設置は、高等学校と同様でございますが、普通教室につきましては体温調節の困難な児童がいる場合などが多く、七六・二%の設置率となっております。 しかしながら、高等学校では近年、夏期休業期間の短縮や、補習授業の実施など、実質的な夏期休業期間が減少していることや、この夏のような異常な暑さを考え合わせますと、生徒の快適な学習環境を確保するためには、高等学校、特別支援学校の普通教室への空調設備設置について、導入手法を含めた検討が必要になっていると認識しております。ただ、当面の重要課題として、高等学校及び特別支援学校では、現在耐震化を鋭意進めているところであり、まずこの整備をできるだけ早期に完了していきたいと、そのように考えております。 以上です。
○副議長(藤本昭広) 四十三番梶川虔二議員。
◆四十三番(梶川虔二) それぞれ答弁いただきました。ありがとうございます。 おおむね了としますが、ちょっと順序はいろいろですが、まず、県道椿井王寺線のことですが、私は、被害者、この前亡くなった人の遺志を受けて、ブロックでなしにガードレールにしてほしいというのが思いなんです。それは、しかし、物理的にというか技術的にというか、下に側溝があるから、そこにガードレールを建てるのは困難ではないかという見方もあるわけですけど、ただ、ちょっと土木部長に実情を知っておいてほしいのは、あそこの道路というのは、私はこのようにしてイラストにかいてきたんですけど、この点々を打っておるところが車道面で、こっちが歩道面なんですけど、ここに十センチメートルの差があるんです。車道は高くて、歩道は低い。そうすると、車がここへぽーんとタイヤで当たると、これがぽーんと向こうへ飛んでしまうんですね。朝の散歩なんかして歩いていると、もう何本も飛んでいる石があるわけです。ちょうどその事故が起こるところでそういうようになっておるから、ほかのところはどっちも同じ平面という実態になっているんですけど、そういうこともあるんで、ブロックを置いたらいいかというと、ある日車がそこへ当たったら、またぽーんとブロックが壊されていく。それと、車が乗り上げてしまったら、こっちが低いからタイヤが届かないのか、自力で出られないのです。そういうこともあるから、細かい話ですけど、そこらをやっぱりよく見て、そこらの対策も含めて、コンクリートでいくんやったらいくということをきちっとしないといかんというように思いますので、その点、ちょっと意見を聞かせておいてほしい。そういうことでありますので、住民合意を得たというけど、県が出して、それを住民合意もらったんか、住民のほうからそうしなさいと言われたのか、それは私もわかりませんけどね、そういうことがあるということだけ指摘しておきますので、お願いします。 それから、関西広域連合、これは確かに、県民もいろいろそうおっしゃいますけど、知事の今の意見を聞いて、私は納得をしました。崇高なご意見で、ぜひ頑張ってほしいと思います。組織をつくればいいというものじゃなくて、ややもすると、こういう公務組織というのは、できてしまって、役割が何かわからんけど、そのままあるというようなのがよく見受けられますので、よく見きわめた上でのことで加入ということにそのときにはなるかと思うんですが、やっぱり当面は知事の今おっしゃった意見で頑張っていただきたいと思います。 それから、無縁社会の件ですが、民間への新聞販売所やらいろんなものと協定するということですが、公的サービスなどが長年使われてないと、今の百歳をなんなんとする人たちが行方がわからんというのがありますけれども、そういった公的サービスを受けているか受けてないかというようなのもやっぱり見守りの一つになるし、そういったことを含めて、県でやっぱり一定の、今プライバシーの問題があってなかなか民生委員さんも活動しにくい。そこらを含めて、条例をつくっている町が、きのうかの朝日新聞の社説を読んでいたら、杉並区かどこか、まあ東京と奈良みたいなところと違うかわからんけれども、そういった民生委員が活動しやすいような条例をつくってあるような町もあるようですし、そこらを研究していただいて、条例化というようなものも考えていただきたいと思います。 それから、あとの幾つかの答弁に対しては了解をしますが、特に学校の冷房、空調施設の設置というのは重要な課題だと思いますので、耐震化とあわせて頑張っていただきたいと思います。 以上です。
○副議長(藤本昭広) 川崎土木部長。
◎土木部長(川崎茂信) 県道椿井王寺線の椿井工区につきましては、これは郡山土木事務所が現地の自治会と、今買収を始めるということもありまして、地元との話し合いをしている中で、先ほど連続ブロックでどうかという話を聞いております。しかし、議員からのそういうご指摘もありましたので、再度確認の意味も含めて、その整備の方針について、地元の自治会と相談をするように伝えたいと思っております。
○副議長(藤本昭広) これをもって、当局に対する代表質問を終わります。 --------------------------------
○副議長(藤本昭広) 六番尾崎充典議員。
◆六番(尾崎充典) 本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。
○副議長(藤本昭広) お諮りします。 六番尾崎充典議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。 (「異議なし」の声起こる) それでは、さように決し、明、十二月八日の日程は、当局に対する一般質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。
△午後四時十九分散会...