また、振り込め詐欺被害防止コールセンターは、コールセンターから高齢者に直接電話をかけるものであり、非常に攻めている防止策だと感じた。振り込め詐欺防止コールセンターが、実際に犯行グループにだまされかけていた高齢者の自宅に偶然かかり逮捕につながったという実績も少しずつ出ていると聞くが、どのような取り組みを行っているのか教えてほしい。
4: 【
生活安全総務課長】
振り込め詐欺被害防止コールセンターは民間事業者に業務委託して平成22年度から実施しており、本年度はオペレーター6人体制で運用している。
委託業務の内容については、犯人グループからの電話が集中した地域に対して、住民に直接電話で注意喚起することや、水際阻止のため、金融機関やコンビニエンスストアに対して具体的な犯行手口の情報提供などを行っている。また、犯人グループが使用する電話番号に対しては繰り返し警告電話をかけ、その電話の使用を困難にする対策をとっている。
今後も犯人グループからの電話が入った地域の的確な把握と分析及び犯人グループが使用する電話番号の無効化を強化するなど、効果的な運用を図っていく。
5: 【
河合洋介委員】
ぜひ継続して取り組み、効果があれば拡大した取り組みをお願いしたい。
このようなことは、対策をすればまた別の抜け道を探る。
愛知県の被害の中で、中国の吉林省から電話をかけてきたというケースも過去にあったと聞いており、サイバーだけの進化でなく、人間心理を突くような、本当に非常に悪質な場面もあると思うので、引き続き取り組みをお願いしたい。
現在、都道府県レベルでも条例化を進めて、詐欺被害に取り組んでいる例もある。埼玉
県では、特殊詐欺防止条例の運用が始まっており、大阪府では、大阪府安全なまちづくり条例の中に振り込め詐欺、特殊詐欺の条項を新たに追加して、県民、市民の啓発活動や、周知、意識をしっかり徹底しているので、ぜひ
愛知県もそれらを参考にしてほしい。市町村では半田市でも、振り込め詐欺等被害防止に関する条例があるので、本県も条例化を含めて検討してほしい。
最後に、先週、大分
県で、都道府県では全国初の特殊以外の詐欺の被害者支援についても言及する条例が全会一致で可決された。例えば、泣き寝入りをするようなケースにも、しっかりと声を聞く内容のようである。やはり家族に被害を打ち明けられないことや、だまされたことを家族から責められ、また、金額をだまし取られたことを人に言えないというのが被害者の中にもあるので、少しくらいの額ならいいかと泣き寝入りすることは、犯罪を助長することにもなるため、この大分
県の取り組みは、機微を得た取り組みだと思う。
条例案は全国でも研究されている。
愛知県としても、既にある
愛知県安全なまちづくり条例に、例えば、振り込め詐欺、オレオレ詐欺の項目を加えるなり、あるいは別立てで、
愛知県として取り組んでいくことも検討してほしい。
6: 【
中村竜彦委員】
運転免許証の更新事務について伺う。
アクセル、ブレーキの踏み間違いや逆走など、高齢者による交通事故が社会問題になっているが、これらの事故を少しでも抑制するために平成29年3月に改正道路交通法が施行され、高齢者の運転免許証更新時には認知機能の状況に応じた高齢者講習が行われるようになるなど、対策が強化された。
運転免許証更新時に必要な認知機能検査と高齢者講習は自動車教習所でそれぞれ別の日に受けることになったが、本県は高齢運転者人口が全国最多であり、自動車教習所が大変混み合い予約がなかなかとれず、検査等を受けるための待ち日数が全国ワーストワンであると聞いている。
そこで、こうした事態を改善するために、来年6月1日から認知機能検査を自動車教習所にこれまでのように委託するのではなく、警察署が直営で行うことになったが、その概要について伺う。
7: 【
運転免許課長】
今後、高齢運転者人口の増加が見込まれる中、現在、自動車教習所に委託している認知機能検査を警察が直接実施する、いわゆる直営化を行い、その実施数を増加させることで認知機能検査の待ち日数を短縮させる。また、この直営化により、自動車教習所の認知機能検査に係る業務負担を軽減し、高齢者講習に傾注させる環境を整備する。
具体的には、現在、運転免許試験場と東三河運転免許センターに各1室設置している認知機能検査室を、来年度には、さらに3室ふやし、計5室にする。また、運転免許更新を行っている25の警察署において、午前中の免許証更新事務を取りやめて、認知機能検査を2回行う。加えて、高齢運転者の多い地域などでは、自治体等の施設を借り上げて、警察職員を派遣し認知機能検査を行う。
8: 【
中村竜彦委員】
高齢運転者が増加することが確実な中で、今回の認知機能検査直営化の対応で実施件数を確保することができるのか。
9: 【
運転免許課長】
認知機能検査を受けることになる75歳以上の運転免許証更新者数は、7年後に年間20万人程度まで増加し、その後、おおむね横ばいで推移すると想定している。
こうした中、警察直営化により、少なくとも年間22万5,000人程度の認知機能検査の受検者枠を確保できるよう制度設計しているので、認知機能検査の対象者の増加にも十分対応可能と考えている。
10: 【
中村竜彦委員】
認知機能検査がこれまでのように過度に待ち時間なく安定的に運用できることは理解した。
一方で、25警察署における一般の運転免許証更新事務について、これまでは午前と午後に行っていた事務のうち午前中が高齢者の認知機能検査にとられるため、午後しか運転免許証の更新事務を行わなくなり、これまでの時間が短縮される。免許センターを少しふやすようであるが、運転免許証の更新ができない事案が生じないか心配するがどうか。
11: 【
運転免許課長】
過去の警察署における運転免許証更新の実績によると、最も運転免許証更新者数が多いのは午前9時台の1時間で、更新者数全体の25パーセント程度に当たることから、運転免許証更新申請の受付時間として、午後に4時間を確保する。
認知機能検査を午前中に行う理由は、交通事故多発時間帯である夕方に高齢者を警察署等に集めることは望ましくないと考えたためである。
午前中に運転免許証更新を済ませたい人については、運転免許試験場や東三河運転免許センターの利用を促す。
今後、警察署等での認知機能検査の実施が円滑に行われるよう、周知を図っていく。
12: 【
柴田高伸委員】
県警察における死体取り扱いについて伺う。
本年6月に死因究明等推進基本法が成立して、来年4月に施行される。死因究明に関しては、これまで死因究明等の推進に関する法律が平成24年に成立したことを受けて、平成26年6月には死因究明等推進計画が閣議決定され、計画に掲げられた各施策について関係省庁が連携して取り組んでいる。
今回成立した死因究明等推進基本法は、死因究明等、つまり死因究明及び身元確認に関する施策を総合的かつ計画的に推進することによって、安全で安心して暮らせる社会及び生命が尊重され個人の尊厳が保持される社会の実現に寄与することを目的に掲げている。
現在、我が国における年間死亡者数は130万人を超えており、いわば多死社会を迎えている。国立社会保障・人口問題研究所が発表している将来推計人口によれば、2040年の死亡者数は約167万9,000人でピークを迎え、現在から約20パーセント以上増加すると見込んでいる。年々高齢化が進展し、また独居率も増加している。在宅において医療を受けるひとり暮らしの高齢者が増加する中、みとりが適切に行われないケースも生じていると聞いており、警察が死体を取り扱うケースが大変増加している。
我が国で検視の初動調査に当たるのは警察官であり、死因究明等の主体である警察と関係する機関とが総合的に協力しつつ、適切に死因究明及び身元確認業務を行っていくという体制の強化は、これからさらに重要になってくる。
県警察の死体取り扱い件数の現状について伺う。
13: 【
刑事総務課長】
昨年の県内の死体取り扱い件数については、過去10年で最多の7,665体となった。本年は11月末現在で6,802体であり、前年同期比で129体の減少、年間では7,000体を超えることが予想される。
14: 【
柴田高伸委員】
死体には、老衰死や通常の病死などの自然死と呼ばれるものと、不自然死と呼ばれるものがあって、その不自然死には、一つ目に死亡が犯罪によることが明らかな犯罪死と、二つ目に犯罪による死亡と疑いがある変死、そして、三つ目には犯罪死と変死以外のその他の死、いわゆる非犯罪死とに分けられるようである。
犯罪行為により死亡したと認められた犯罪死体については、犯罪捜査の手続として検証また実況見分が実施されて、犯罪行為により死亡したと疑いのある変死体については、検視が実施されている。また、犯罪による疑いが全くない不自然死についても、公衆衛生や感染症予防、身元の確認などの行政目的から死体を見分ける手続として検視を行う。
このような死体の死因を究明する検視を行うのが検視官であるが、県警察の検視体制の現状について伺う。
15: 【
刑事総務課長】
警察本部刑事部捜査第一課検視官室において、現在、室長以下34人の体制で県内全警察署の死体取り扱いに対応している。平成19年当時の体制は9人であったが、犯罪死の見逃し防止の強化を目的に平成20年には12人体制となり、年々体制を強化し、現在の34人体制に至っている。
この34人のうち、警察大学校における法医専門研究科を修了した専門的な知識を有する検視官は室長以下14人であり、24時間交替勤務で県内全警察署への臨場と指示に当たっている。
なお、本年、検視官が臨場した死体取り扱い件数は11月末現在で5,128体となっている。
16: 【
柴田高伸委員】
現在、県警察では検視官が14人おり、年間の取り扱い件数が約5,000体であるから、単純に計算すると検視官1人当たりの年間の取り扱い件数が約350体で、まさに激務だと言える。
犯罪事件となれば審問、公聴会、裁判などで証言を求められる重要な任務も担っている検視官は、臨場現場では、自然死か、事故死か、殺人死かを判断し、死因に異常が見られる死体を司法解剖するかどうかを決定する。犯罪死の見逃し防止は、この検視官の持つ法医学に精通した知識、実績、高レベルの分析力及びコミュニケーション能力にかかっている。
また、昨今、我が国では年間約3万人が孤独死していると民間調査会社が発表しているように社会問題となっている。この民間会社では、孤独死の定義を自宅で死亡し、死後2日以上経過した状態としているようだが、死後の時間経過は身元特定を困難にしている。日々さまざまな死体と向き合っている検視官がその業務上に抱える困難は、我々の想像を越えるものがあると思う。
検視官の死体取り扱い業務において問題となる点や課題について伺う。
17: 【
刑事総務課長】
県警察では、死体取り扱いの際には事件性の有無を判断する捜査という観点と死因究明等の調査という観点で業務を行っている。その際、医師の医学的な面からの助言を受けるが、死者の主治医がいない場合など、別途検視に協力してもらえる医師に立ち会いを依頼している。しかし、休日、夜間の場合や地域によっては医師が見つからず、捜査または調査に時間がかかるという問題が生じている。
また、県内の警察署には死因究明に必要な死後のCT検査を指示しているが、このCT検査を実施している病院が限られていることから、実施病院を探したり搬送するのに時間がかかるという問題もある。特に、三河地域は実施病院が少ないことから、三河地域の警察署におけるこの問題は顕著である。
その他、死者がひとり暮らしの場合は、引き渡し先が不明であるため、戸籍等を追跡調査する必要がある場合や、親族が明らかであっても、死者の発見まで長時間経過したことで顔の確認のみで身元の特定ができず、歯科医師による歯牙鑑定といった科学的根拠に基づく身元特定手続を実施する場合などの業務にも時間がかかっている。
それらの課題に対しては、県警察は、
愛知県死因究明等推進協議会を活用して関係機関への協力を要請するとともに、相互に連携した死因究明等への対応及び犯罪死の見逃し防止に取り組んでいく。
18: 【
柴田高伸委員】
死因究明等推進基本法においては、医師、歯科医師等の死因診断に対する意識やレベルの向上を求めており、また、警察庁が発した通達では、法医学の知見を有する検案医を確保して、死因調査体制を整備し、各種調査の積極的な実施、必要な解剖の確実な実施を求めている。
死因究明等に関して医療界に対しても、一般臨床医の死体検案能力の向上や放射線科医の死亡時画像診断能力の向上に資する取り組みを進めていくよう促していきたい。
加えて、多死社会を迎える中、特に独居者や高齢者のみの世帯については、かかりつけ医を持ち、その氏名や連絡先、服薬状況、既往歴などの医療情報を明記して持参あるいは保管または掲示することを啓発することが必要である。
また、在宅での最期の場面を想定した見守りやみとりなどの対応の仕方について、関係するケアマネジャー、ヘルパー、家族に対する啓発も必要である。県民に対して、これからどこでどのように最期を迎えるのかについてあらかじめ考えて、家族や周囲の人たちと話し合い整理しておくよう促していきたい。
こうした社会的要請と時代の要請と検視官業務の特殊性、重要性に鑑みて、計画的に人材、検視官の人材を育成することによって増強し、検視体制を強化するよう要望する。
加えて、検視官の教養がさらに充実するよう必要な研修を実施し、装備、資機材を充実させ、勤務環境を整備することなどによって処遇を改善していくよう、検視官の苛酷な勤務実態に配慮した改善、取り組みを積極的に進めていくよう要望する。
19: 【
長江正成委員】
小学生が犯罪に巻き込まれ先般多く報道された大阪市在住の小学6年生の女児が連れ去られた事件で、各種の報道からSNSで巧みに女児を誘い出していた状況が明らかになっている。
一方、警察白書で、昨年1年間にSNSをきっかけとして犯罪被害に遭った18歳未満の子供が1,811人で、過去最多であった前年からは横ばいで推移しているとあった。
そこで、本県の18歳未満の児童がSNSをきっかけに犯罪被害に遭った被害状況を伺う。
20: 【
サイバー犯罪対策課長】
昨年中、本県において、SNSをきっかけに犯罪の被害に遭った児童は129人であった。罪種別に見ると、
愛知県青少年保護育成条例違反の被害者が61人で最も多く、続いて、児童買春・児童ポルノ禁止法違反が57人となっている。このほか、略取誘拐や強制性交などの重要犯罪の被害者は6人で、前年に比べ3人増加している。
また、本年10月末における被害児童は161人、前年同期比で34人増加しており、罪種別では、児童買春・児童ポルノ禁止法違反の被害者が88人で最も多く、続いて
愛知県青少年保護育成条例違反が60人となっている。重要犯罪の被害者も9人に上っており、前年同期比で4人増加するなど、SNSをきっかけとした児童の被害は増加傾向にある。
21: 【
長江正成委員】
愛知県青少年保護育成条例では、平成25年7月1日からは、フィルタリングという携帯の機能を活用するなど、保護者が責任を持つことになっている。また、昨年の2月に施行された青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律では、携帯端末の使用者が18歳未満の場合は、有害サイトの閲覧を制限するフィルタリングの設定が原則義務づけられた。購入後にスマートフォンの操作によって設定変更することも可能である。
そこで、SNSに関連した児童の安全対策に関し、県警察としてどのように取り組んでいるのか伺う。
22: 【
生活安全総務課長】
県警察では、SNSをきっかけに児童がさまざまな犯罪の被害に遭っている現状を受け、各種法令を適用した取り締まりのほか、児童、保護者等に対する啓発や事業者と連携をした取り組みを推進している。
まず、児童に対しては、スマートフォンを使い始める小学校高学年を対象に、県警察が作成したゲーム形式の教材を活用して啓発したり、中学生以上を対象にサイバー犯罪防止講話で具体的な被害実態やセキュリティ対策を伝えるなど、年代に応じた啓発を進めている。
次に、保護者や学校関係者に対しては、保護者会、教員研修会等の機会に、サイバー空間に潜む危険性の周知やフィルタリングの普及促進を図るとともに、児童を犯罪被害から守るための必要な知識の周知にも努めている。
さらに、事業者と連携した取り組みとして、ツイッターサイトに掲出された児童買春等を誘引、募集する書き込みに注意喚起文を投稿し、被害の未然防止に努めている。
今後、県警察としては、被害実態や対応方法を紹介するDVD等を作成してこれまでの施策を強化していくほか、児童に比べて防犯講話を聴く機会が少ない保護者に対して積極的に啓発する場を設けるなど、SNSに関連した児童の被害防止に努めていく。
23: 【
長江正成委員】
この質問をしようと思ったきっかけは、いろいろな新聞報道の中で、大阪市の事件を受けて警察庁の松本次長が記者会見で、SNSに起因する児童の犯罪被害について憂慮すべき状況が続いていると記述があったからである。警察としては被害の実態に関する情報の発信、提供に努めていきたいという記事を読んだ時から、質問しようと考えていた。
そして、松本次長は、この問題は社会全体で捉えなければならないと答えているが、私も全く同感である。
現在、県警察では、今後の取り組みの中で、新たにDVDを作成したり、危機感のない保護者に対して啓発を行っているという答弁だったが、私からも一つ提案がある。フィルタリング機能について、いろいろと自分の中でも見直したところ、子供が初めてスマートフォンに触るのは、やはり販売会社、販売店だと思う。冬休みに入り、この時期は、携帯電話の販売会社のCMが少しふえる時期である。初めてスマートフォンを渡す保護者は、自分の子供は犯罪には巻き込まれることなくスマートフォンを使ってほしいという気持ちが絶対にあると思うので、この機会に販売店と県警察だけでなく、
愛知県も含めて、いろいろな意味で販売店と連携しながら注意喚起を促す行動をとってほしい。
県警察が行う注意喚起、啓発活動は限られてくるが、フィルタリング機能を外すことにより犯罪の入り口になってしまう、あるいは犯罪被害者にあってしまう可能性が高いということを伝えるという役目が県警察にはあると思うので考えてもらいたい。
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