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  1. 長野県議会 2019-03-04
    平成31年 2月定例会環境産業観光委員会-03月04日-01号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    平成31年 2月定例会環境産業観光委員会-03月04日-01号平成31年 2月定例会環境産業観光委員会 環境産業観光委員会会議録(その4) ●招集年月日時刻及び場所   平成31年3月4日(月)午前10時30分、議事堂第3委員会室に招集した。 ●出席した委員の氏名   委  員  長           荒 井 武 志   副 委 員 長           酒 井   茂   委     員           本 郷 一 彦      同              向 山 公 人      同              今 井   敦      同              中 川 宏 昌      同              百 瀬 智 之      同              堀 場 秀 孝      同              今 井 正 子      同              高 村 京 子 ●欠席した委員の氏名   な     し ●説明のため出席した者の氏名
     (観 光 部)    観光部長             熊 谷   晃    山岳高原観光課長         丸 山 賢 治    信州ブランド推進室長       斎 藤 政一郎    国際観光推進室長         宮 原   渉 ●付託事件   2月28日に同じ。 ●会議に付した事件  付託事件のうち、1、19及び観光部関係所管事務一般について ●開議時刻 午前10時28分 ●荒井委員長 開会を宣した。  ▲日程宣告    観光部関係の審査  ▲議題宣告観光部関係)    付託事件及び所管事務一般を一括して議題とし、委員の質疑等発言を許可した。 ◆高村京子 委員 さまざま御説明をいただき、観光振興に御尽力、御奮闘いただいていることに敬意を表したいと思います。長野県では、全国の平均を上回って外国人宿泊者が急速に増えていることについて新聞報道もありましたし、また、御報告もいただきました。そのような中で、県内または日本国内宿泊者数はどのような動向でしょうか。その点について、御説明、また、所見がありましたら伺いたいと思います。 ◎丸山賢治 山岳高原観光課長 国内の宿泊者数の動向でございますが、外国人延べ宿泊客数と同じく2月28日に観光庁により、宿泊旅行統計が速報値として発表になりました。外国人も含んだ全体の宿泊者ですが、長野県の延べ宿泊者数が1,821万1,000人であり、前年度比1.2%の増になっております。全国の順位は昨年度と同じ9位でございます。全国の動向は、災害等の影響もありますが、前年度比0.1%減ですので、長野県は全国に比べて高い伸びができたのでないかと思っております。また、県内の宿泊客数は具体的に数字では捉えておりませんが、平成29年の統計では、県内の宿泊客数が全体の約16.4%を占めております。 ◆高村京子 委員 ありがとうございます。外国人の方にインバウンドにより日本を知っていただく、長野を知っていただくことに力を入れ、いろいろな施策も力強く推進していただいておりますが、私は、長野県民が長野県の豊かさやすばらしさを認識することも必要ではないかと思います。長野県にはホテルや旅館組合が数多くありますが、ホテルや旅館の稼働率を上げるためにも、長野県民の皆さんがもっと長野県を知ろう、住んでいるところではない他地域を訪れてみようと思わせるようなアピールをする必要もあるのではないでしょうか。ホテルや旅館の稼働の状況と経営状況を、概括で結構ですので教えていただきたいと思います。 ◎丸山賢治 山岳高原観光課長 先ほどの答弁内容に追加させていただきたいと思います。日本人・外国人のどちらも含めた宿泊者数についてお話しましたが、内訳がございました。日本人の延べ宿泊者は、30年度の速報値で1,674万7,000人であり、29年度に比べて0.3%の伸びになっております。全国では2.2%の減ですので、全国に比べると2.5ポイントほど高い伸びになっている状況でございます。外国人宿泊者数については、新聞報道等でも出ていますが、前年に比べて13.5%の伸びであり、全国を大きく上回っております。  議員御指摘のとおり、地元の方に地元のよさを分かっていただき、地元を利用していただくということは大変重要な観点ではないかと思っておりますので、旅館ホテル組合会等を通じて、県内でいろいろなキャンペーンを行っております。また、ホームぺージ等に出ているものについては、県内の方が一番身近にわかっていただいておりますので、そのような取り組みを進めてまいりたいと考えているところでございます。  また、旅館・ホテル全体の概括的な経営状況についてですが、インバウンドに特化しているところもあれば、日本人の旅行者の方が多いところもあり、大型の旅館・ホテルから、個人経営までいろいろな形態があり、多様化しておりますので、一概には言いづらいです。倒産等を見ましても、昨年度の倒産件数は一定数あり、オリンピックの時期に設備投資した大型ホテル等が更新の時期を迎えていたり、いろいろな資金の需要もございますので、厳しい状況であることには変わりないと考えております。 ◆高村京子 委員 県民の皆さんの所得状況を考えると、全国では国民健康保険の世帯は約3割、長野県では30万世帯がいらっしゃいます。また、若者、働き盛りの皆さんの4割が非正規という状況がございます。3割以上の世帯において貯金・貯蓄がないこともありますし、ちゃんとした食事が食べられない、季節にふさわしい洋服が買えない子供達もいる状況もあります。  それでも、日々忙しく余裕がない皆さんにも、年1、2回は家族で県内で宿泊できるような観光振興も観光部で力を入れていただきたいと思っております。そのあたりについては、観光部として御所見がございますでしょうか。 ◎熊谷晃 観光部長 核家族化が進むことによって、世代間のつながり家族自体つながりが薄くなっている状況において、他部局ですが、健康福祉部等では、母子家庭の旅のような母子家庭父子家庭を中心とした地域の輪を広げる取り組みをしていることもありますし、引き続き観光部としても温かく応援していきたいと思っております。  このようなことについては、観光部だけで進めるわけにはいきませんし、社会全体の経済活性化につなげていかなければいけないこともあります。少子高齢化の中で、旅館業、サービス業を取り巻く状況は、国内では特に伸びがほとんどない中で頑張っておられるので、観光戦略推進本部の中でも検討していく余地があろうかと考えております。 ◆高村京子 委員 今回、観光部において10月の消費税10%にかかわる条例改正等はありましたでしょうか。 ◎斎藤政一郎 信州ブランド推進室長 銀座NAGANOの関係で、賃借料の負担行為について、2%増える分、上乗せして負担行為の追加をしております。 ◆高村京子 委員 そのあたりを視野に入れて来年度の予算計画活動計画をお組みいただいていることかと思います。観光振興にとっても、国内の観光の不振や、旅館・ホテル業の皆さんもぎりぎりという状況がある中での消費税10%は、観光事業へ厳しい打撃を与えるのではないかと思っておりますが、その点はどうでしょうか。 ◎丸山賢治 山岳高原観光課長 消費税が10%に上がることの影響でございます。消費面でいろいろな影響があるかと思いますし、政府でもいろいろな対策を練っているという話も聞いているところでございます。個々の旅館ホテル組合会の皆さんは、具体的に徴収をどうしていくのかもありますので、部会や組合会全体で準備を進めているところでございます。国の施策にあわせて、いろいろな誘客の施策を打ちながら、マイナスの影響が出ないよう、組合会の皆さん、観光にかかわる皆さんと連携を取りながら対応を考えていきたいと思っております。 ◆高村京子 委員 来年度の消費税10%を見込んだ予算も衆議院を通過し、1カ月たてば自然成立という状況であり、御準備もせざるを得ないこともありますので、ぜひ丁寧にお願いしたいと思います。ホテル・旅館等の宿泊事業、または外食産業について、お食事にかかわる消費税は全部10%になるかと思います。この辺りも視野に入れていただいて、事業所の皆様の思いを酌み上げていただきたいと思っております。  また、上田の旧北国街道の柳町についてですが、「真田丸」の影響により、毎日何十台ものバスが来ております。新しいお店もオープンし、バラエティーに富んだメニューを提供するコラボ食堂も人気があります。バス観光については、料金を値下げることもできないですし、長距離になると運転手を2人にするか、きちんと休憩時間をとる必要がありますので、観光バス離れしていると思っておりました。しかし、昔の町並みを歩きながらゆっくり楽しみたいシルバーの方がたくさん来ていただいており、うれしく感じているところでございます。柳町の皆さんには本当に敬意を表する次第でございます。  お店の皆さんは、自分のお店の持ち味をしっかり出していくことと、町全体でおもてなしをすることの両方でまちづくりをしております。また、来ていただいている方は、東京を中心とした関東の方で、日帰りが多いため、別所温泉や鹿教湯温泉に泊まっていただけないかと寂しく思っておりますが、それでも、都市部から来ていただき、中山道や北国街道の昔ながらの町並みをゆっくり散策して、日帰りで楽しんでいただくことも地域振興になっていくと思います。そのようなことに力を入れていただいているとは思いますが、街道について何かございますでしょうか。 ◎熊谷晃 観光部長 今、首都圏のバス会社といろいろな話をしております。首都圏のバス会社もいろいろな計画をつくり始めておりまして、今までの乗る人がいようがいまいが走る定期観光バスがフェードアウトしつつあり、インターネット等によりバスと宿泊をマッチングさせる動きが最近出てきております。バスでどこかに日帰りで行くことはこれまでもありますが、ここに宿泊を絡めていこうとなっており、これまでどおりのバスと宿泊だけではなく、ホテル周辺のものもセットにできないかということが求められております。例えば宿泊地の温泉だけではなく、近くでぶどう狩りや森の中の散策、街道のガイド、ワイナリーの見学・飲み歩きなどです。長野県では、東信地域の海野宿や佐久の酒蔵を回るといった町めぐりも非常に注目され始めています。  首都圏の皆さんにその町の雰囲気を楽しんでもらうといったことについて、観光誘客課が計画や交渉を始めておりますので、日帰りや軽い一泊の圏内として、長野県に首都圏からお越しになる方々をひきつける有力な力になるのではないかと期待しております。 ◆高村京子 委員 長野県には、文化・歴史、景観・風土、また、人々のおもてなしの心といった、首都圏の皆さんが首都圏では得られないものがたくさんあると思っております。そのようなところをより一層ブラッシュアップしていかなければいけないと思っております。  そのような中で、3月1日の信濃毎日新聞の「建設標」に農家民宿のことが書かれておりました。81歳の長野市の農業の方でして、田舎・ふるさとの豊かな自然と多様な文化に触れることは、感性あふれる子供たちに衝撃とも言える深い感動を与えると言ってらっしゃいます。それと同時に、農山村では元気を呼び覚ますそうで、子供たちの先生方は、子供の目が輝いたという感想を述べているのだそうです。農家の方も、別れの際には子供や孫とは違う絆を感じて、万感胸に迫る交流になるそうです。社会の中で疲れた思いを持っている大人や子供たちが、ふるさとの自然や田園風景を味わうことは本当に大切なことであり、農家民泊社会貢献活動でもあるということから、そこへ政策的・財政的な集中投資が必要だと言っております。  長野県の暮らし向きや農家の営み、自然風土が、首都圏の子供たちを癒してくれる、目を輝かせてくれるので、力を入れていただいているところだと思いますが、農家民泊の現状と、どのような方向でお取り組みいただいているのかお教え願いたいと思います。 ◎熊谷晃 観光部長 全体像については農政部でつかんでいるため正確には分かりませんが、農家、農村の癒し機能については非常に注目をされております。経済的、財政的な支援というお話もありましたが、例えば高村委員の地元である上田武石地域では、信州青春村という取り組みが始まって15年目くらいになるかと思います。1日1組、6人のお子さんを9時半から3時まで預かり、一人から3,000円徴収させていただき、農家に1,500円、事務局に1,500円を分配することにより、受け入れた農家では1日9,000円の収入になります。収入になってうれしいということだけではなく、委員御指摘のとおり、お子さんたち農村体験で感動できますし、逆に農家の皆さんへの刺激にもなるそうです。  もう農業をやめようかと思っていた高齢の農業者の方が、子供たちが来るのであれば、農作業のためにトマトや大根を植えてみようかと思ったり、せっかく来るのであれば、お漬物にして食べさせてあげようと思うような農家への効果もあるとのことです。農政部でも、農家民泊への支援は、非常に力を入れ始めているところですので、観光部としても非常に期待をしているところでございます。  データによりますと、国では、農家民泊へのいろいろな支援やソフトとハードの両面での整備がございます。昨年の平成29年から始まっておりまして、昨年が205地域、今年度が147地域の全国で352地域を採択しており、今後500地域にふやしていこうということで、新年度には150地域を採択予定のようでございます。長野県では、今までに13地域がこの支援を受けておりまして、観光部としても、観光誘客課を中心に農政部とともにこの支援を受けられるように対応していこうと今から動いているところでございます。 ◆高村京子 委員 この支援や、国の補助制度も含めて充実強化を行い、大切な農山村の風景や景観、営みを守っていくことにより、都会の子供たちとの交流促進を図っていただきたいと思います。上田でも、稲倉の棚田で子供たちに田植えや稲刈りに来てもらって一緒に楽しんだり、ろうそくをともして夜の風情、景観を感じたりするような御努力をしていただいております。また、私の生まれ育ったところは姨捨山の麓でして、松本から来て、トンネルを出たときの景色の広がり、千曲川の輝き、広い善光寺平の人々の営みの景観には、本当に言葉に尽くせない感動を覚えます。このようなことを本当に大事にして、支援していただきたいと思います。  ブラッシュアップという点では、心の癒しを求めている皆さんが長野県を訪れた際の自然との触れ合いや農山村の景色は、本当に癒しなると思いますので、美しい里山や農山村を守るといった点について環境部とも相談しつつ、規制をしたり、積極的な評価をしていただけないかと思っております。  また、景観については、長野県は大分力を入れて、全国と比較しても少なくなってきてはいますが、廃屋や荒廃農地などがありますので、農政部とも研究活動をしていただいて、各部の垣根を越えた意見交換をしながら、美しい長野県の癒しの風景を守るために御尽力いただきたいと思いますが、その点について御所見を伺って質問を終わらせていただきます。 ◎熊谷晃 観光部長 御指摘のとおり、まさに各部が連携して行うべき事業だと思います。観光戦略の方針は私どもで取りまとめておりますが、美しい風景は長野県の財産ですので、観光戦略推進本部などで十分検討していかないといけないと認識しております。 ◆今井正子 委員 教育旅行農家民宿について、青春村のお話が出ておりました。体験については、立科で行われることが多いかと思われます。こちらの方では、千葉県など都市部の人から、台湾のような海外の人まで、いろいろなところから来ております。学校行事として毎年中学生、高校生が来ているところもあります。青春村だけではなく、直接受け入れている人たちも結構多く、農業の体験をしてもらうことには大変意義があると思います。  ただ、長野県内にもなかなか体験したことがない子供たちが多いかと思います。体験活動としてはスキー体験等もあるかと思いますが、農政部や観光部、教育委員会をとおして、農業の体験も学校行事に位置付けていってはどうかと思っております。まずは長野県内子供たちに体験してもらい、次に長野県への観光客を増やしていくために県外の人に体験してもらうことはできないかと思いますが、いかがでしょうか。 ◎熊谷晃 観光部長 確かに、スキーも含めて県内のお子さんたちの利用が減ってきていることを非常に心配しております。教育長が一般質問でもお答えしましたが、小学校でのスキー教室の実施は9割を超えており、全国でもトップであり、長野県の伝統です。しかし、中学校・高校になると実施率が10%台になってしまうので、私どもスノーリゾート信州プロモーション委員会としても、教育委員会と相談してみると、学校行事として多様化が進んでいるため、時間の配分がとりにくくなっているそうです。特に今のいろいろな情報があふれている社会において、首都圏で学ぶような機会も増えており、子供たちの行事の日程が取りにくいこともあります。  ただ、何が大切なのか、何を学ぶのかという点でよく見つめ直す必要はあろうかと思います。せっかく観光戦略推進本部ができておりますので、各部連携の上で、子供や県民の県内利用について検討してまいりたいと思います。 ◆今井正子 委員 ぜひお願いしたいと思います。組んで取り組んでいかないと1部局だけではなかなか事が進んでいきません。都会の子供たちだけではなく、長野県の子供たちも経験ができるように取り組んでいただきたい。  それから、スキー教室の実施率が9割ということでしたが、中学に入ると1割になってしまうことについては、やり方次第で変えられると思います。小学校では2回、中学では5割以上が実施のように、目標を持って押していかないとなかなかできません。教育の世界は、周りから押してもらわないとできませんので、ぜひそのように進めていただき、子供たちがいろいろな感動体験をしていくと、いじめや自殺についても長野県がナンバー1やナンバー2といわれないようになるのではないかと思います。また、山岳も大事ですので、夏山登山についても取り組んでいただき、プロジェクトチームではないですが、計画を推し進めてもらいたいと思います。  立科でも、商工会を中心にほっとステイ事業に取り組んでおり、年間約4,000人以上の子供たちを受け入れております。やはり、組織を活用すると人は集めやすいかと思います。先ほどの国の支援事業について、今年度の採択件数について話がありましたが、長野県では13地域ということでした。この13地域はどこになるのでしょうか。調べていただいている間に、次の質問させていただきたいと思います。  資料5の営業本部設置事業において、農政部や産業労働部と一緒になると思います。いろいろな加工品や伝統工芸品をつくるところと連携し、いろいろなイベントにおいて売ったりすることを考えると、産業労働部と一緒に取り組むことになろうかと思います。マッチング支援、販路拡大等ありますが、観光部としてはどこから取り組んでいくのでしょうか。 ◎斎藤政一郎 信州ブランド推進室長 1番は、現在観光部が担当する物産振興産業労働部に動かして、産業全体で取り組むようにするところです。観光部としましては、物を中心とするというよりは、物を起点に来ていただくということが大切ですので、物のバックにある清流や山岳、高冷地などの情報との組み合わせについては観光部としてかかわってくるかと思っております。 ◆今井正子 委員 資料15以降にありましたが、食についても地域の物を使うなど、農政部と一緒になってやることになるかと思いますが、連携して取り組むことができると思います。いろんな部局が一緒になってできるものが多いと思いますので、せっかく1億円近くをかけてつくる本部ですので、お願いしたいと思います。  それから、子供たち農家民宿の話がありましたが、県民の方が、県内のいいところを見て回れるように、子供たちスキーチケットをくださるように、県民宿泊チケットをくれたり、抽選で当たったりするようになるといいなと思います。また、2つ、3つの市町村をグループとして組んで、その中で観光するような施策もおもしろいかなと思うですが、このようなことはできるのでしょうか。 ◎熊谷晃 観光部長 まず、県内チケットという話は、デスティネーションキャンペーンのときにも実は考えていました。ですが、旅館ホテル組合会から、同じ旅館に泊まっていながら、県民の人だけ優遇するのはどうだろうか、研究させてほしいという話があり、実現しませんでした。  また、二つ目に御指摘いただいた地域間の交流ですが、非常に有効ではないかと考えております。昔であれば、農業が終わったときや自治区で共有で持っている山の作業が終わったときには、もみじ狩りや少し足を延ばして旅館に1泊したり、お食事をするようなことがありました。最近はコミュニティの消失とともにそのようなこともなくなってきておりますので、例えば南信地域に住む人が北信へ泊まりに行くことや、その逆についても、意欲的に進められようかと思います。  ただ、その場合、旅館の宿泊には、お客さんが自分で予約する枠と、OTAというオンライントラベルエージェントが押さえている枠があったりするため、そのあたりの調整が必要になってくるため、全ての旅館では難しいかもしれませんが、幾つかの旅館・ホテルでは可能性が十分あろうかと思います。なので、いろいろなキャンペーンを組むにあたって、組合会とも検討はできようかと思います。 ◆今井正子 委員 観光部で率先して御検討いただければと思います。  次に、中山道の話になりますが、中津川市の馬籠観光協会が長野県の観光連盟に戻ってくるという話がありました。それに伴い、落合宿と中津川宿木曽路観光に来るという話も市長からあったそうです。そのような中で、26、27くらいのそれぞれの宿をつないだ大きな県全体の観光についてはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。 ◎丸山賢治 山岳高原観光課長 中山道の観光の関係ですが、一般質問観光部長からもお答えしたとおり、中山道の特に妻籠から馬籠にかけては、今、欧米の方が非常に多く訪れているということで、吸引力のある観光地になっておりますが、そこ以外にも街道沿いに魅力的な宿場はたくさんあります。なので、一つの宿だけではなく、中山道全体を売っていくためのブランド構築事業に、昨年度から観光機構を通じて取り組みを進めているところでございます。具体的には、海外の大きな団体に来ていただき、情報発信をしたり、在日外国人の方でモニターツアーをつくって来ていただくようなことも行っているところでございます。4月からは、トレイルやサイクルのモデルコースをつくる取り組みもすることになっております。  また、インバウンド以外のところでも、東信州の中山道連絡協議会が26年から取り組んでおります。新元号に変わるタイミングで、諏訪大社の参拝と和田宿の本陣に宿泊するツアーを組んで取り組んでおられます。  中山道の宿場も、非常に整備が進んでいるところもあれば、生活の場のような形で残っているところもあり、いろいろ違いはあるかと思います。全体をまとめる中で情報発信をしながら、観光誘客につながるような取り組みを進めてまいりたいと思いますし、アクティビティや食などの取り組みを進めていけるように、地元の方とも調整をしてまいりたいと思います。 ◆今井正子 委員 金比羅参りのように、白い衣装で歩いている人を見ると四国に渡ることがわかるように、長野県でも白い衣装のような同じ衣装を着て170キロを歩いて、中山道を歩いていることが分かるようになるといいなと思います。  また、中山道には、白いガードレールではなく、木のガードレールがあったらいいなと思っております。それぞれの場所でつくられるカラマツなどの県産材を利用して敷設できればと思います。  衣装の話に戻りますが、白とは言いませんが、何か決まったものを中山道を歩く人たちだと分かるようにつくることについては、どうでしょうか。 ◎丸山賢治 山岳高原観光課長 中山道観光については、観光の受け入れ環境を整えることや商品をつくっていくことが大事です。最近、映像やSNSの口コミ等の影響が大きく、委員がおっしゃられたことは一つの案かと思いますので、地元の方々と打ち合わせをする中で、皆さんがやっていきたいということであれば、やっていきたいと思っております。 ◆今井正子 委員 ブランド構築事業でもありますので、中山道を全て歩いていると1週間くらいかかってしまうので、25宿全部歩いたら、長野県として何かをあげるだとか、長野県を有名にしてくれるような事業をやってみてはいかがかと思っております。  続いて、資料10の(1)のウですが、観光業の外国人材採用支援事業はなかなか難しいことだと思いますが、これはいわゆる研修生のように外国人を迎えるという意味でしょうか。それとも、専門家として職員を雇うということなのでしょうか。新しい方を入れて、新しい形でPRしてもらうということもあるかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。 ◎熊谷晃 観光部長 資料10のウの観光業外国人材採用支援事業についてです。今、観光業を取り巻く人手不足は非常に深刻でして、昨年アンケートを取ったところ、観光業全体の46.1%の事業所で人手不足が生じております。その人々に、外国人を受け入れていますか、または、外国人を今後受け入れるお気持ちはありますかと聞いたところ、29%に及ぶ皆さんが非常に前向きな回答でした。今回は、プロポーザル方式で業者を決めまして、外国人の有料職業紹介を行うことができる企業のお力をお借りして、外国から必要な人材を受け入れるための面接を行っていきます。4月から国において特定技能1号が始まり、ほかの県でも非常に熱心な対応をしている県もありますので、観光部としても踏み込んでまいりたいと考えております。 ◆今井正子 委員 資料8にあるMICEの誘致推進員を1名入れることとは別に、銀座NAGANOにも臨時的採用者も大勢いるのではないかと思いますが、同じような形になっていくのでしょうか。 ◎熊谷晃 観光部長 これは、旅館・ホテルで不足している人材の確保のお手伝いをするということでありまして、県が直接執行する人材を入れるものではございませんので、そのようにご理解いただければと思います。 ◆今井正子 委員 高校でも観光コースをつくり、そこに進みたい生徒たちもいます。観光地の近くでは、中高生はバイトとして参加したりもしています。長野県は観光県でもありますので、県内の人材も使えるように考えていっていただきたいと思います。  資料11のインバウンドの関係ですが、いろいろなアイデアが出ております。4の事業内容ですが、売り込みテーマの中で、中山道にこだわると、東南アジアにはなく、欧・米・豪にはあります。これは、これまでこのようなテーマが多かったからという理由でこのテーマや事業内容を設定したということでしょうか。 ◎宮原渉 国際観光推進室長 テーマにつきましては、現地のプロモーションに行ったときや、JNTOの情報を入手する中で、その地域において非常に関心があることにテーマを絞りました。主な事業内容につきましては、どうやってその国・地域にプロモーションすることが効果的なのかを十分検討した上で、新年度においてはこのようなメニューを考えております。  先ほどの農泊についてよろしいでしょうか。13地域ですが、市町村で言いますと、北から、飯山市、信濃町が2カ所、松本市、朝日村、茅野市、立科町、あと辰野町、南箕輪村、上松町、南木曽町、飯田市、根羽村、これで13になるかと思います。 ◆今井正子 委員 ありがとうございました。最後に、資料11の長野県内周遊フリーパス造成事業を新しく国際観光推進室で取り組んでおられます。現状と課題については、先ほどお話もありましたが、これからクリアしていけるものなのでしょうか。鉄道事業者が連携していないために、外国人旅行者が県内を周遊しにくい状況であるということですが、私鉄やバスも含めてそこがしっかりしてこないと、フリーパスを造成しても、オリンピック等に向けての長野県全体の観光は見込めないのではないかと思います。このことについて、私鉄とは話し合っていないのでしょうか。状況を伺って終わりたいと思います。 ◎宮原渉 国際観光推進室長 資料11の別紙2にあります課題については、現状の課題ですので、今後、解決していきたいと考えております。現在、私鉄4社とは、おおむね合意が得られておりまして、2019年7月の発売時期に向けて、細かい部分の調整を進めているところです。今回は、初めて私鉄4社が協力してフリーパスをつくりますが、本当はバス等も含まれることがベストだと思います。なかなかそこまではすぐにはできないので、とりあえずこの4社としっかり連携し、沿線の市町村とも十分連携をとりながら、外国人旅行者が利用しやすいパスにしていきたいと考えております。 ◆今井正子 委員 ぜひ、コーディネートをする側が少し強力にやっていただきたいとお願い申し上げます。DMOもそうですが、北アルプス地域や南信州など進んで率先してできているところと、佐久や北佐久など、できていないところもあります。そのような連携等が遅れている地域についても、ぜひつないでいっていただきたいと思います。以上で終わります。 ○荒井武志 委員長 午後1時30分まで休憩を宣した。 ●休憩時刻 午前11時29分 ●再開時刻 午後1時27分 ○荒井武志 委員長 再開を宣し、委員の質疑等発言を許可した。 ◆今井敦 委員 営業本部設置事業についてですが、説明の中で、これを商社のようにしていきたいとありました。ここで一つお聞きしたいことは、事業概要の中で、マッチング、販路開拓、重点項目のマーケティングという3つに大きく分かれていて、それぞれに対象品目の考え方が記してございます。対象品目の考え方はわかるのですが、この考え方に基づいて、どのように選定していくのかを御説明いただけないでしょうか。選定の仕方次第では、企業から不満が出たりする可能性もあろうかと思いますので、御説明をお願いします。 ◎斎藤政一郎 信州ブランド推進室長 営業本部の関係で、重点品目の選び方について御質問をいただいております。資料にもございますが、生産振興担当部局において、事業者や製品の質、将来性等を把握しておりますので、そちらから推薦していただき、しっかり議論をし、必要に応じて外部の方の意見も聞きながら選んでいくことになろうかと思います。具体的には、細かい商品というよりは、品目をイメージしておりまして、そのようなものを県としてブランディングしながら進めていくという考え方を持っております。農産物は品種もいろいろありますので、もう少し細かくなるかもしれませんが、捉え方を細かい商品一つ一つとするかなど、くくり方をもう少し深めながら、ブランディングのしやすさも踏まえて検討し、選定しようと考えています。 ◆今井敦 委員 ぜひそのあたりについて、ある程度慎重にやっていただきたいと思います。一般質問でも少し触れさせていただいたのですが、営業本部に配属された方は、民間の感覚のようなものを身につけるいい機会かなと思っております。そのような職員に期待をすることについて、詳細に教えていただきたいと思います。 ◎斎藤政一郎 信州ブランド推進室長 営業本部に携わる職員の育成についてお話をいただきました。全く何も知識がない方によるスタートは難しかろうと思っておりますので、品目についてしっかり知識を持った職員が集まる前提を持っており、また、民間経験のある職員もおりますので、そのような方が中心になるように人事もお願いしております。そのような方を中心に、商品のブランディングできるようなよさや売り込みの仕方を学習した上で、民間の商社から来た方と一緒に、高級フルーツ店や銀座NAGANO周辺のレストランなどをターゲットとして、品物に可能性があるかといったことを探りながら、なおかつ出向いていきたいと思います。また、そのときにあわせて、季節感や品物などの相手のニーズをつかみ、情報を把握して現場にもつなげながら、さらに情報を集めていくことも必要になろうかと思います。  あともう一点は、民間から来ている参与さんが、失敗することも大変大事で、何でもうまくいくわけはないとおっしゃっておりますが、失敗をしっかり共有して、そこからさらに練りこんで、仮説を立てながら新しいチャレンジをして、結果を考察するというPDCAを行っていくという考え方で進めたいと思います。 ◆今井敦 委員 いろいろなタイプの人がいて組織全体はうまく回るんだと思っておりますので、全員が全員その民間的な感覚を持たなければいけないとは思いませんが、時代の大きな流れの中で、そうした感性や、現場を知っている人たちが求められていることも確かだと思います。ですので、そうした人材をしっかり育てて、それを活かす組織づくりといった方向性に持っていっていただきたいと思っておりますが、部長はどのようにお考えでしょうか。 ◎熊谷晃 観光部長 大変重要な御指摘をいただきました。私もまさに同感なのですが、部下の職員も見ておりましても、情報機器が発達してくると、メールで済ませてしまうことが多く、足を運んで人と出会って、熱意を伝えたり、相手方の思いを酌み取ることが行政では必要なのではないかと思います。人口減少下、財政も厳しい中で、これからの地方自治においていろいろな課題を切り開いていくためには、相手方のニーズを酌み取る、相手方の立場に立って考えるといった基本的なことが失われずにしっかり積み上げられていくことが重要だと思います。  そのような意味では、長野県の産品がいい物だと幅広い人に言って、無駄に過ごしてしまうよりは、本当に求めている人や本当に合う人をちゃんと見つけ、地域の実情を酌み取ったり、相手の立場に立って考えるという基本的なことを繰り返すことが重要なことだと思います。マーケティングのテクニックもまた重要ではあります。今までは、基本的なことがわからないままで、イベント偏重型のマーケティング担当部局が中心になっていたと思いますが、相手方の思いを酌み取り、こちらの熱意を伝えることにより、行政の基本に立ち返れるのではないかと期待しております。 ◆今井敦 委員 一生懸命でいいじゃないかと言われるような長野県職員を育てるという意識を持って、ぜひ営業活動とともに頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  次に、ユニバーサルツーリズムについて、お伺いします。受け入れ態勢の整備をしていくということで、人的サポートや実施体制、施設・交通機関でのサポート体制、安全対策などを総合的に考慮したモデルルートを造成するとモデルコース造成事業の中に書いてありますが、この中の施設とは、観光地にある遊覧する施設なのか、宿泊施設なのか、どのようなものをイメージした施設なのでしょうか。 ◎熊谷晃 観光部長 基本的には、ゆったり過ごしていただくため、旅館やホテルを基本に考えていこうと思います。旅館・ホテル以外には、いろいろあるものですから、すべてのところを最初からやることは難しいので、徐々に広げてまいりたいと考えております。 ◆今井敦 委員 宿泊施設に絞って考えますと、障害を持っている方には、目や足が不自由などのいろいろなケースがありますので、それによって施設も受け入れができるかどうかという違いがあろうかと思います。私は以前より、このようなことをデータベース化して、お客様のニーズに合った施設の情報を提供していくべきだと思っており、これを実施するとなればDMOで行うことになるのかなと思っております。DMOの形成支援として事業を行うのですが、特にDMOに対する基本理解と明記されていますが、そのあたりについても、イメージとして入っているのでしょうか。
    ◎熊谷晃 観光部長 まさに御指摘のとおりでありまして、ホテル・旅館をどこに選んだらいいのかという問題が旅行者から提起されており、非常に難しくなっています。ヨーロッパでは以前より、部屋の大きさや設備、フロントでの対応、コンシェルジュが何をしてくれるのかなどによって、五つ星に分類をしたりしていますが、日本ではなかなか定着し得ません。  今、ユニバーサルツーリズムも含めて考えていることが、旅館・ホテルの機能表示をすることです。観光庁でも、4年前くらいから格付はどうだろうかと検討しておりますが、格付は団体からの理解が得られないということもあり、やはり機能表示の方向へ行こうとしているところです。なので、長野県としては新年度、旅館や宿泊施設等についての機能表示をどのように、どんな項目でやっていくのかという点について取り組んでまいりたいと思っております。  最後にDMOについてですが、これは旅館以外も含めて、障害の有無、年齢の多寡に関係なく、誰もが楽しめる環境をどのように作っていくのか、また、圏域に入って出るまでの間ストーリーとして楽しむことができるのかといったことをDMOが検討していくと一貫していると思います。単に機能表示を地域別に並べるのではなく、どちらからのアプローチでいくのかを新年度検討したいと思っておりますが、私自身は、やはりDMO単位で取り組んでいくことが極めて有効ではないかと考えております。 ◆今井敦 委員 ぜひまずは機能表示を充実させていただいて、お客様のオリジナルの要望に応えられるような体制を整備することが、DMOに期待しているところであります。これから形成支援をするということですので、そうしたことを含みながら進めていただきたいと思っております。  また、我々のように親が80歳も過ぎますと、最後に温泉くらい連れて行ってあげたいと思う人々もたくさん出てくるかと思います。そうすると、障害者のみならず、ユニバーサルツーリズムに対するニーズは非常に多くなってくるのだろうと思っています。例えば、介護用の機器がついたお風呂があることなども重要な視点になってきますので、そういった機能表示も充実させていただければと思います。  これは観光部ではなく建設部への要望となるのかわかりませんが、改修等を前向きに考えている施設に対して、改修のアドバイスや若干の補助などがあるといいと思いますが、検討などされているのかをお伺いします。 ◎熊谷晃 観光部長 国では、宿泊施設バリアフリー化促進事業という補助金を用意しておりまして、3月期に第1次募集、6月期に第2次募集があります。補助率は2分の1で上限1,000万円で、第2期になると2分の1で上限500万円や100万円となっておりますので、このようなことからPRしていきたいと思います。今、2020年東京オリンピック・パラリンピックがあるよい機会でもあり、国では国土交通省を中心に非常に熱心に台頭してくださっておりますので、県内の事業者が乗り遅れないようにしていきたいと思います。オリンピック・パラリンピックが終わったからといって補助を終わらせてしまうのではなく、県として国に働きかけを続けたり、県としてどうするのかをしっかり考えたりしてまいりたいと思います。 ◆今井敦 委員 ぜひお願いをしたいと思います。  次に観光業の就業促進・生産性向上対策について御説明いただきましたが、観光業だけでなく、建設業や製造業などいろいろな業種で人手不足だと言われています。人手不足と簡単に言っていますが、業者の方と直接お話をしてみると、スキルを持った人がなかなか見当たらないという話に最終的になってきます。このような状況の中で、日本学生観光連盟と連携したインターンシップ事業と、観光業の未来を拓くキャリアビジョン情報発信事業を新規事業としていますが、具体的にどのようなことをしようとしているのかをお聞かせ願います。また、受け入れ体制や受け入れた方々の生活の支援についてどう考えているのかお聞きしたいと思います。 ◎熊谷晃 観光部長 まずインターンシップ事業ですが、首都圏を中心とした大学が日本学生観光連盟を20年くらい組織しております。彼らはいろいろな地域の観光を勉強しており、現在はインターンシップに非常に関心があります。全旅連、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会がタイアップしておりますので、長野県では特にこういった若者をひきつけたいと全旅連に申し上げたところ、新年度の31年度は長野でやろうということになりました。8月末から9月の上旬にかけて、大体4泊5日くらいで学生が30名ほど実際に体験するということになりました。  全旅連は、宿泊代を2万8,000円補助しますので、私どもとしては往復の旅費を少し補助させていただいて、そのかわりに、インターンシップで行った旅館の働き方やシフトなど、若い視点でどう捉えたのかという意見をいただきます。これによって、旅館の皆さんに、若い人に来てもらうためにはどこを直していかなければいけないのかといった意見交換をしていただいたり、私どもでそれを吸い上げて県内の旅館にフィードバックすることなどを狙った事業になっております。 ◆今井敦 委員 非常に期待をしております。私が以前、立命館アジア太平洋大学へ視察に行かせていただいたときに、その学生さんたちが地元の温泉街でバイトとして働いておりました。他大学の学生さんも、留学生の方が多く働いているようでした。町と大学側がともにウィン・ウィンの関係でいるように見えました。イメージとしてはそのような感じのイメージでいいのではないかと思います。そこになおかつ全旅連が関係してくるのであれば、かなりいい成果が得られるのではないかと思いますので、ぜひいい形にしていただきたいと思います。また、これを一つのモデルケースとして、人手不足のほかの産業に対して、新たなアプローチなどを考えておられるかについてお伺いします。 ◎熊谷晃 観光部長 幾つかございますが、資料10の2の(1)のイにある未来を拓くキャリアビジョン情報発信事業については、観光業に対する夢や希望を抱いてもらいたいという思いがあります。今、旅館やホテルに行くと、不規則な長時間労働で、休めないといったことを感じてしまいます。今、山ノ内町や茅野、諏訪でも、若い経営者たちが意欲的に取り組んでいます。若い人たちがステップアップして旅館をはじめ、定休日を設けていこうといったこともあります。そのような新しい芽を学生たちに見てもらって、そこに希望を抱いて来てもらおうという取り組みは、介護や福祉、製造業などのほかの産業においても生きると思います。  また、ウにあります外国人材採用支援については、今回、観光部として初めて踏み出しております。旅館・ホテルの皆さんとも協議会をつくりまして、どの国をターゲットにするか、受け入れ人数は何人にするかといったことを協議します。日本文化を伝えるためには、どのくらいの自主規制基準をつくるか、受け入れた外国人の皆さんが生活や日本語などに対してコミュニティサポートを受けるのかといったことについては、観光業がどの産業よりも先んじて飛び込んでいくことになりますので、ほかの産業にも生かしていけるようにしっかりとデータをとり、実際にお越しになる外国人の方の意見も聞いて、他産業にも生かしてまいりたいと考えております。 ◆今井敦 委員 この取り組みを全体に広げていけるようにしていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。  それから、インバウンドについてお伺いしたいと思います。インバウンド推進協議会の設立総会が開かれたということですが、協議会の状況を見ますと、301団体の半数くらいが宿泊業や飲食業など直接的な業者の皆さんで、あとは旅行業や広告業などの間接的な業者の皆さんかと思います。この会員の皆様方はどのように集められて、また、どう発展させていこうとしているのかをお伺いしたいと思います。 ◎宮原渉 国際観光推進室長 会員の募集については、事務局である観光機構の会員の皆様にお声がけしまして、それ以外には市町村や市町村の観光協会等を通じて管内の関係する皆様に幅広くお声がけしたところです。先日の設立総会のテレビ映像により、広く知られたと思いますので、これからさらに会員を募集しまして、オール長野でインバウンドに積極的に取り組んでいける体制にしていきたいと考えております。 ◆今井敦 委員 会員の皆さんは非常に意識が高い方々で、積極的に取り組んでいこうとしている方々だと思いますが、これをどう広げていくのかは非常に難しいことだと思っております。インバウンド総合戦略の概要にも、インバウンド推進の重要性認知の醸成と書いてありまして、内訳をみるとキャッシュレスやWi-Fiなどいろいろなことが書いてあります。正直、キャッシュレス化についても、カードが使えないお土産屋さんも多くある状況の中ではなかなか難しいと思いますが、意識をどう変えていくのかということで、いろいろな取り組みをこれからされていくのだろうと思います。例えば、民間事業者とタイアップしたキャッシュレス緊急普及事業が出てきておりますが、これは具体的にどのように進めていくのか御説明願います。 ◎宮原渉 国際観光推進室長 意識を高めていくことは、確かに非常に難しいことだと思います。まず、今御質問ありましたキャッシュレス緊急普及事業ですが、今現在、かなり多くの多くのQRコード決済事業者が、盛んにテレビコマーシャルを放送し、会員を広げていっております。そのような事業者から、長野県内のキャッシュレス、特にQRコード決済を広げていくためにはどのようなことに取り組んだらいいのかについて、事業者の手数料の無料化や決済端末の無料提供などの御提案をいただきながら、長野県にキャッシュレスを普及するためのいい施策を県も一緒になりながら広めていこうと考えております。  意識をどう高めていくかについては、やはり成功例を見せていくことが非常に大切だと思いますので、今回、インバウンド推進協議会員に加入いただいた意識の高い人たちにどんどん引っ張っていってもらいます。その成功例をほかの人たちに見せて、そのようにやっていけば地域も活性化し、自分の商売ももうかるんだということをしっかり感じてもらえるように、取り組みを強化していきたいと考えております。 ◆今井敦 委員 インバウンドについて頑張ろうとしている人がいる中で、インバウンドに対して意識がない人や外国人に来てほしくないと思う人がいたり、千差万別な状況でありますが、外国の方々に来てもらうようにすることは大変重要な施策の一つだと思いますので、うまくやってもらいたいと思います。  そのような流れの中で、周遊フリーパスという事業も出てきておりますが、JR東日本とのタイアップとのことですが、木曽・伊那谷方面のJR東海とはどのようになっているのでしょうか。 ◎宮原渉 国際観光推進室長 今回は、JR東日本長野支社を窓口にしておりましたので、JR東日本を中心にしております。今のところ、JRパスの中でも、「JR TOKYO Wide Pass」、「JR EAST PASS」、「Hokuriku Arch Pass」の3つは確定しておりますが、一番大きな「JAPAN RAIL PASS」は、ほかの5社の合意が得られなければ難しいとのことで、今、JR東日本とともにほかの5社へ働きかけているところでございます。JR東海は中南信地区において非常に重要な路線ですので、連携を取れるように、今後、取り組んでいきたいと考えております。 ◆今井敦 委員 JR東海との交渉についてもぜひよろしくお願いします。  ウェブプロモーションについても、SNSで発信していくということは、インバウンド等を意識して行っていることかと思います。皆さんはいろいろな考え方でインバウンドに取り組まれているかと思いますが、考えとして多いのは、ゴールデンウィーク明けと夏休みが始まるまでの間や夏休み明けと紅葉が始まるまでの間、紅葉が終わってから雪が降るまでの間など、何もしなくても人が来てくれる時期と時期のすき間に、外国人の方が来てほしいという考えが多いと思います。外国人の方も、いいところを見たいと思いますので、なかなか難しいとは思いますが。そのあたりについてどのように考えておられるか、お願いします。 ◎熊谷晃 観光部長 まさにおっしゃるとおりでして、例えば中国の場合だと、春節という日本の節分にあたるころから旧正月が始まり、その時には、平日にたくさんのお客さんがお越しになります。東アジア、東南アジア、欧米や中南米においても、祭りや長期休業の期間がありますので、そのあたりを分析してうまくターゲティングしながら、デジタルマーケティングをしたり、海外のOTA、オンライントラベルエージェントを使いながら売り込んでいくことは極めて重要なことだと思います。  日本人は週末しか休みませんので、旅館は週末は混んでいるのに、平日はガラガラという状況です。なので、このあたりはこれから狙っていかないといけない部分ではないかと思っております。 ◆今井敦 委員 引き続きよろしくお願いします。いずれにいたしましても、営業本部が動き始めて、インバウンドを初めとした新しい事業に取り組まれますので、大いに期待しております。我々も応援できることは応援していきたいと思っておりますので、よろしくお願いをしまして終わります。 ◆堀場秀孝 委員 資料3について、案内標識設置の整備とありますが、県警などとの連携はどのようになっているのでしょうか。 ◎丸山賢治 山岳高原観光課長 今回事業化しております外国人にもわかりやすい案内標識については、主に駅前など、そこから歩いて移動する方に向けての標識を主として考えていますので、それらの整備について、道路に設置する場合には道路関係者の同意などが必要になりますので、計画を立てて実行する中でそれぞれ行っていきます。実際に県道や国道にある標識については、道路管理者の同意が必要になりますので、今回は対象にしておりませんが、必要になったところで道路管理者の方とご相談しながら、調整してつくっていこうと考えております。 ◆堀場秀孝 委員 ありがとうございます。資料4のサイクルツーリズムについて、ブランド化するとのことですが、他県などを参考にしていることなどあるのでしょうか。 ◎丸山賢治 山岳高原観光課長 自転車の関係で一般的に広く周知されていて、海外からもインバウンドが来るという点では、四国と中国を結ぶ「しまなみ海道」や、滋賀県は琵琶湖一周を「ビワイチ」という名前で売り込んだりしている事例がありますので、参考にしております。長野県には、「あずみのセンチュリーライド」や乗鞍の「ヒルクライム」など、一つ一つは非常に有名で参加者が多く集まるものがあり、バリエーションが非常にたくさんあるのですが、個々のイベントごとに一生懸命実施している状況でしたので、今回、「Japan Alps Cycling」という名前をつけて、全体としてブランド化していきたいということで立ち上げました。個々の事業者の方からも、ぜひやりたいというお声をいただいております。 ◆堀場秀孝 委員 ぜひ観光部主体で発信していっていただきたいと思います。資料6の3の(3)について、もう少し説明をお願いします。 ◎斎藤政一郎 信州ブランド推進室長 ONSEN・ガストロノミーツーリズムの関係で御質問いただきました。ガストロノミーには食と健康や観光、ツーリズムには歩いて食を楽しむといった意味合いがあり、ヨーロッパにはもともとそういったものがあります。日本では、健康にいいということでこれに温泉をくっつけまして、ONSEN・ガストロノミー推進機構という団体が立ち上がっております。ここ数年、全国各地でこれが盛り上がっておりまして、来年度は長野県でも1カ所、県内第1号として始まりまして、秋口にシンポジウムを県も共催で開催したいと考えております。 ◆堀場秀孝 委員 建設部も関係してくるのですが、温泉を扱うとすると、一つの温泉だけというわけにはいかないと思います。近場の温泉にマイクロバスで行ったり来たりして日帰りや長期滞在につながることを考えると、道路整備も必要になると感じましたが、お考えはいかがでしょうか。 ◎斎藤政一郎 信州ブランド推進室長 ONSEN・ガストロノミーは温泉地1カ所に集まり、その周辺を歩くことが中心になっており、10キロコースなど長いものもありますが、どちらかといえば食べ歩きに近いような楽しみ方をするという設定で開催されてきております。なので、遠距離を車で移動するものとは概念が違っております。 ◆堀場秀孝 委員 次に8の3の(3)のMICE誘致促進補助金ですが、人数はどのような目安があるのでしょうか。 ◎斎藤政一郎 信州ブランド推進室長 これについては、本県は少し乗り遅れていたのですが、国際会議等が行われるときに、ほかの県ではそこに集まる方の旅費を補助しておりました。それに関して、本県は少し遅れておりましたので、ようやく一歩踏み込もうとしている状況です。国際会議等の開催場所について、例えば石川県金沢市と長野県長野市のどちらで開催するか投票で決めるようなときに、選手団の旅費を補助できるかできないかといった点で決まる場合もあり、今まで負けているような場合もありました。  また、ほかの自治体ですと、大きなコンベンション施設を群馬や長崎でもつくっておりまして、ほかのところでもそのような計画があります。そこに負けてはいけないということで、遅ればせながら実施し始めるところです。今のところ考えていることは、参加人数が60名以上や、参加国が日本を含み3カ国以上、開催日数が2日以上といったことを決めながら、ほかの県に負けないように要綱を定めていきたいと思います。 ◆堀場秀孝 委員 わかりました。新規事業である観光情報戦略的発信強化事業について、資料9の2の②で、2020年を目標としているように捉えますが、リニアや万博など、その先のことについては、これが終わった段階で実施するという考えでよいのでしょうか。 ◎熊谷晃 観光部長 おっしゃるとおりです。ウェブサイトは今三つありまして、どれを見たらいいのかわからない状況なのですが、この3年間にわたってやってきた信州ディスティネーションキャンペーンで設けたサイトでかなり実験しまして、非常に効果が上がっております。ですので、今まで三つあったサイトを、今までの実験の成果を踏まえて一つにして、まずはことしの9月末ぐらいをめどに、ラグビーワールドカップに間に合うようにしたいと思っております。中長期的な2025年万博や2027年国体などは、その時代にまた変わっていきますので、とりあえずことしのラグビーワールドカップと、来年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて対処してまいりたいと考えております。 ◆堀場秀孝 委員 わかりました。次に資料10の2の(1)に、若者の視点で新たな観光業のあり方を探ると書いてありますが、熟年高齢者向けの視点は終わったという認識なのでしょうか、それとも、まずは若者からということなのでしょうか。 ◎熊谷晃 観光部長 高齢者の方や女性に対しても就業を促進していかなければいけないことはもちろんですが、熟年高齢者の場合は、老人大学やシルバーなどのシステムがあり、就業率を上げるために産業労働部で頑張っております。今、一番の急務は、若者など、県から都会に行ってしまった人々を、長野県の主力産業である観光業を中心としたサービス産業に呼び戻すことだと思いますので、高齢者や女性を忘れたわけではなく、平成31年度は特に若者のU・Iターンに力を入れてまいりたいと考えております。 ◆堀場秀孝 委員 わかりました。資料11の裏面に、教育旅行の誘致ということでいろいろ書いてありますが、呼び込むだけだと、おそらく無理があります。ですので、教育委員会も含めて、こちらからも行って、来てもらうといったことについての考えはいかがでしょうか。 ◎宮原渉 国際観光推進室長 長野県の高校も修学旅行でかなり台湾に行っておりまして、人数的にはことしの台湾から来た人数と長野県から行った人数はほぼ同じぐらいになっております。昨年9月に教育長が高雄市を訪問しまして、教育旅行に関する覚書を結んでおりますので、その流れは今後さらに進んでいくものと考えておりますし、観光部としても支援してまいりたいと思います。 ◆堀場秀孝 委員 インバウンド支援センター設置事業の予算が3,585万円ですが、これは足りるのでしょうか。 ◎宮原渉 国際観光推進室長 今回の事業を実施することに対しては足りると思います。 ◆堀場秀孝 委員 資料13にある有効回答数についてですが、配布数が把握されていますか。 ◎丸山賢治 山岳高原観光課長 今、手元にありませんので、調べて御回答させていただきたいと思います。 ◆堀場秀孝 委員 新聞で、上田市の匿名の市民から10億円の寄附があったことについて、全国的なニュースになっている中で、県としても、そのような可能性がないとも限りません。それについて、県はその市町村のことだからということで静観するのか、話し合ったりすることはできないのでしょうか。 ◎熊谷晃 観光部長 一般論のお話としてお受け取りさせていただきます。今回の10億円がふるさとへの思いであったのか、どのような思いだったのかは分析しないといけませんが、ふるさとに誇りを持ってもらうための取り組みをするには、一事業者だけでは無理だと思います。やはり、町を挙げて、町全体でお客様をお迎えする気持ちを出すなどが必要です。そんなことや、DMO全体でお迎えするようなストーリーをしっかり作り、おもてなしをすることが、行く行くは寄附も招いてこられるのではないでしょうか。また、そこに住まわれている方で、これから財産をどうしようかと考えている方が寄附していただけることもあろうかと思いますので、ここに価値があるんだという、ブランド価値を高める動きが大切なことかなと思っております。 ◆堀場秀孝 委員 わかりました。次にキャッシュレスについてですが、先日、長野市の「ぐるりん号」に乗っていたら、乗る人から「Suica」は使えないのかといった声がありました。周遊バスを運行することはいいのですが、リニアの開通や国体の開催を考えると、こまめにお金をかけるのであれば、システム自体を変えることも検討できないでしょうか。難しいことだと思いますが、多くの方が新幹線等をカードで乗り降りしていますので、そのあたりについてお考えがありましたらお願いします。 ◎熊谷晃 観光部長 これから、ワールドワイドに観光客は動いていく点では、極めて重要な点であります。私も、善光寺の門前を善光寺まで上がっていき、地元の名産品や伝統的なお土産を買おうとすると、現金しか使えず、がっかりしたりすることもあります。きょう、堀場委員の冒頭でお話がありましたように、どのように広めていくかということが問題になります。やはり、やってみてよかったと実感してもらうことや、こちらが率先して行っていくことが大切です。例えば、インバウンド推進協議会に参加したメンバーが引っ張って、すばらしい例を見せていくようなことが大切です。特に信州のものづくりや販売、サービス業の皆さんは、成功例を見るまでは非常に慎重な対応だと思います。確かに、世界中に口座番号がわかってしまうことも心配なことではあります。そのようなバランスも考えながら、安全で、お客様に喜んでいただけて、お店の皆さんもよかったと思えるような事例を一歩一歩ちゃんと示していくことが重要だと思っております。 ◆堀場秀孝 委員 予算について、観光費の中の戦略的バス活用事業の負担金が610万円となっておりますが、御説明をお願いします。 ◎熊谷晃 観光部長 着地型周遊バスなど、デスティネーションキャンペーンのときに導入したものが中心になっており、今のところは観光機構に委託し、各地域から上がってきた案に対して交付することになっております。以前は、500キロ規制が導入されたときに期間限定で3年間、長距離のものに対して補助を行いましたが、それを徐々に地域内の着地型周遊バスに切り替えているものです。これから、DMOの形成にあたって、極めて重要なツールになろうかと考えております。 ◆堀場秀孝 委員 わかりました。先ほどの教育旅行やスポーツ合宿に関連して、環境部で諏訪湖再生のためにヒシ取りなどを行っているのですが、運動部の合宿の中にヒシ取りを取り入れてアピールをすることはいかがでしょうか。長野県の高原に来ますと、朝から晩までその競技に没頭しておりますので、気分転換という意味も含めて、一石二鳥になると考えますが、いかがでしょう。 ◎熊谷晃 観光部長 私も個々の事例としてお聞きしたことがあります。特に夏に首都圏の学生たちが合宿に来たときに、朝にグラウンドの周りの掃除をしたり、お寺までの道に落ちているごみを拾ったりする交流は非常に重要なことだと思います。特に若者たちは最近、スポーツだけではなくて、地域活動や地域との交流を尊んでくれるようになってきておりますので、どのように進めていくのか、どのように知らせるのかを検討することも必要だろうなと思います。各観光協会でも、そのようなことを話題にできればいいなと思います。 ◆堀場秀孝 委員 今、バリアフリー化が進んでいますが、温泉旅館ではどうしても無理があるかと思います。ですので、バリアありで勝負しようと発信して進めているところがあったりしますが、そのあたりについてはいかがでしょうか。 ◎熊谷晃 観光部長 新しい感覚で旅館を直してくことは、極めて重要なことだと思います。特にその中で猛烈な少子高齢化が進み、高齢者が中心になる旅がふえてくると思いますので、障害の有無にかかわらず、高齢者が楽しめるという視点は極めて重要だと思います。なので、段差を解消する、手すりをつける、お風呂の構造を変えることなどは国の補助の対象になってくると思いますので、国土交通省等を中心に補助制度を拡充してもらうよう呼びかけてまいりたいと考えております。 ◆堀場秀孝 委員 質問の仕方が悪かったのですが、バリアありで勝負することについてです。補助金はありませんが、バリアを全くなしにするのではなく一段や二段は残った状態ということです。どこかでそのようなことをやっているところがあるとこの前聞いたのですが、そのような状態の旅館に行くために、半年ぐらい前から自分で階段を数段上がれるように日々努力するのだそうです。それが生きがいにつながって、みんなと一緒にお酒が飲めるといったことを目標に頑張ろうとする取り組みがあるみたいです。長野県の旅館において、補助をしてもらい、全くのバリアフリーにすることも確かに大事ですが、バリアを少なくすることによる誘客や長期滞在につなげるといった考え方は県としてどう捉えますか。 ◎熊谷晃 観光部長 信州型ユニバーサルツーリズムにおいて、長野県はほかの県と比べて山谷の多い県ですので、バリアフリーにすることは当然、限界があるという認識からスタートしております。長野県では、本当に意欲的な企業の皆さんが補助用具をつくってくださったり、旅をサポートする団体がどんどん増えてきておりますので、個人の、壁を乗り越えたいというお気持ちにも応えられるように、どの程度手を差し伸べるのかも含めて、いろいろな対応の仕方を考えていきたいと思います。今、御指摘いただいたことには、山谷を乗り越えるために、みんなに同じサポートをするべきではなく、人の思いによってサポートの仕方を変えるべきだというところもあろうかと思います。近々、ユニバーサルツーリズム推進会議の第3回が開催されますので、そのような方向性を忘れずに会議を進めてまいりたいと思います。 ◆堀場秀孝 委員 農家民泊と普通の民泊、旅館・ホテルの絡み、方向性は、観光部としてどのようにお考えでしょうか。 ◎熊谷晃 観光部長 いろいろなバリエーションの宿泊があることは、極めてその地域の魅力を発信するものだと思います。特に長野県の場合は、1万円弱から3万円の手前くらいの価格帯が多いので、どのように選んだらいいのかということが一つ課題になっております。宿泊施設がなかったような小規模な町や村では、子供たち体験活動はできるが、宿泊は隣の市の温泉街に泊まることもあったかもしれず、そうすると金額的に体験活動が続かない面もあったかと思います。民泊では、空き家を活用して組織的に管理して使うことになりますので、町や村の観光協会が組織化して、特に子供たちの自然体験学習等で自分の町や村に宿泊してもらえるように民泊を展開していくこともできるかと思います。また、昔は別荘街があったけれど、高齢化によりみんなが手放して活用できていないところを民泊に活用していくことなどは、十分あり得ると感じております。  農泊の場合には、午前中も御指摘がありましたように、自然と触れ合う、体験することには、大人の方にも仕事の疲れが癒される効果もあります。農家の高齢化も進んでおり、負担の関係もありますが、農泊できるところはたくさんありますので、物をつくるだけの農家ではなく、外の人と交流する農村にしていくことは地域にとっても大変重要ですので、進めていくべきではなかろうかと思います。  そのような中で、旅館・ホテルは日本文化をちゃんと出していくのか、温泉旅館としてのよさを出すのかのように、どのような道を選んでいくのかについては、温泉地Re・デザイン研究会でも研究を進めているところでして、それぞれのバランスをとりながら展開ができれば、宿泊についてすばらしいキャパシティーを持っている県になろうかと思います。 ◆堀場秀孝 委員 最後に、前回も聞いたと思いますが、ある市議会議員が「ポケモンGO」のことでいろいろ動いている中で、たかがと言っていたのですが、ゲームではありますが、集客に関しては結構ばかになりません。県で何かできないかみたいなことを言われたのですが、現状をお話しいただけますでしょうか。 ◎熊谷晃 観光部長 みんなで相談していることは、例えば百名山に登るとき、ピークあたりに行くとポイントがたまることや、観光地へ行ったときにポイントがたまるようなスマホの使い方があるのではないかということです。ただ、一つのキャラクターなど、流行に乗っていくという手もあろうかとは思うのですが、流行は山高ければ谷深きという部分もあり、忘れられてしまうことがあろうかと思います。ですので、ストーリー性を持ったものに、いかにデジタル技術がタイアップしていくかがポイントになろうかと思います。  特に、今、外国人にもわかりやすい看板表示の設置を進めようと思っておりますが、看板があるだけではなく、近づくとアバターのようなものが出てきて案内してくれるような機能があると、長野の文化とデジタルが合った使い方になっていくのではないかと思いますので、研究してまいりたいと考えております。 ◎丸山賢治 山岳高原観光課長 先ほどお答えできていなかった観光のアンケート調査のアンケート総数を申し上げたいと思います。資料13に有効回答数がございますが、宿泊施設につきましては、アンケート総数が2,020で、回答数が487でございます。鉄道事業者については、総数が5で回答数が5でございます。バス事業者は、総数が70で回答数が41でございます。それから、タクシー事業者は、総数が107で回答数が43、それから、索道事業者は総数が71で回答数が46。また、旅行業者は総数・回答数がともに19です。 ○荒井武志 委員長 午後2時50分まで休憩を宣した。 ●休憩時刻 午後2時34分 ●再開時刻 午後2時50分 ○荒井武志 委員長 再開を宣し、委員の質疑等発言を許可した。 ◆中川宏昌 委員 観光戦略2018が策定されて、1年がたとうとしております。この戦略では、本県の観光を取り巻く課題といたしまして、アンケート調査をもとに、日本人・外国人の旅行者の楽しみとして長野県が全国を下回っている項目として食事が1番になっております。食は非常に難しいと思っております。県外を目にすると、北海道では海産物や畜産物をすぐに連想できますが、長野県では、いい物はたくさんありますが、それをどのように表に、前面に出していくかが非常に難しく、観光部としても非常に悩まれていると思います。そのような中で、お示しいただきました資料15の信州の食のブランド化という取り組みにつながったと認識したところでございます。  私の近所に転勤族の人がいまして、これから転勤するそうですが、なれたところから離れることは当然嫌だと思います。ほかの転勤したくない理由には、新鮮な野菜が食べられなくなってしまうことや、おいしい水が飲めなくなってしまうこともあるそうです。長野県の食は一度経験したらわかっていただけると思うのですが、それをどう表現していくのかが非常に大変であり、大事なことではないかと思っております。  この資料でも指摘しておりますが、県民向けの特別な料理が多く、観光客のニーズにマッチしていないところがございます。感動健康料理をこれからどのように進めていくかは非常に大事でありますが、現時点でのお考え、また、今後の方向性をお示しいただきたいと思います。 ◎斎藤政一郎 信州ブランド推進室長 感動健康料理の今後の進め方について御質問いただきました。2月に東京でもやりましたが、その時に多くの御意見をいただく中では、もっとお酒に合わせたいといったことや、それぞれの講師先生の持っているイメージをつかむために、もう少しゆっくり食べたいといった御意見がありました。なかなか定義が難しく、片や調理師会の会長である湯本先生からは、あまり固定して決めすぎず、料理人の皆さんの創造性にも配慮しなければいけないと言われました。そのようなことから、コンセプトとして考え始めたところでして、来年度も継続していく中で広げていきながら、賛同してくれる人を増やし、バリエーションもふやしていくというステップを踏んでいこうということが今の考えでございます。 ◆中川宏昌 委員 ありがとうございます。何かにチャレンジしていくことによって、新しい方向性が出てくると思っておりますので、来年度1年間お取り組みいただいて、新たな方向性が少しでも出てくればいいかなと思っております。非常に難しいことですので、ぜひ積極的なチャレンジをお願いしたいと思っております。  それから、インバウンドの受け入れ環境の整備につきましては、今回、案内標識の整備をしていくとのことですが、この案内標識には、デジタルサイネージも含まれているのでしょうか。 ◎丸山賢治 山岳高原観光課長 今、検討を進めているところでして、いろいろなものが考えられると思います。一般的な例で言いますと、駅等において、多言語でさまざまな広域の情報を流したいとなると、一般的な標識だけではどうしても限界がありますので、デジタルサイネージも取り入れていったらいいのではないかという議論を、今、しているところでございます。 ◆中川宏昌 委員 デジタルサイネージも、項目の一つとしてぜひ検討してもらいたいと思っております。先ほど部長からもお話ありましたが、簡単に多言語の表示ができることと、クーポン券の配信や買い物の後押しをする照会もできます。また、地図や観光スポットの案内をスムーズにできるメリットがあります。  私が何でデジタルサイネージを長野県で取り入れてもらいたいと思っているのかというと、台湾から来ている外国人観光客が今、一番多いからです。台湾の事情を話しますと、日本に来ていただいている台湾人の方で、どの方面から一番来ていただいているのかというと、おそらく、北部のほうから一番来ていただいております。そこでの観光の状況は、国内観光客、外国人観光客に関わらず、駅前や空港において、デジタルサイネージを積極的に活用しております。さまざまな情報がそこで入手できることから、デジタルサイネージになっているのです。長野県には一番多く来ていただいているので、こうしたところに目をつけていくこともおもてなしの一つかと思います。インバウンド客のストレスをためない案内標識になるかと思い、提言させていただきました。  デジタルサイネージのほかにも、エアサイネージというさらに上のものもあります。Wi-Fiを使ってサイネージしていくこともありますが、デジタルサイネージにはいろいろ課題もあるかと思います。広告収入をどうしていくか、内容の切り替えは、専門家がいて常に更新していかないといけないことなどです。いろいろな課題はありますが、今の観光客の動向を見ると、非常に有効かと思いますので、これも項目に入れながら検討していただきたいと要望させていただきます。  それから、近年、温泉地が外国人観光客でにぎわっていることは一つの事実であります。実際、観光庁が訪日外国人にとったアンケートでは、訪日前から温泉に期待していた人は26.5%と低いのですが、実際に体験して満足した人は88.8%だったことから、体験することによって温泉を認めてもらっているのだと思っております。  温泉の魅力は3つあると言われておりまして、一つは、温泉の入浴とあわせた着物の着付けや旅館の宿泊などの消費が訪日旅行のスタイルとして定番化している点。観光地化されていない日本らしい雰囲気が温泉地で味わえる点。それから、ウェルネストラベルという、禅や和食など、心と体の健康を保つものが観光資源となって非常に注目を浴びているとのことです。この三つにより人気があると言われております。ただ、温泉については、インバウンド対策も非常に大切でして、一つはタトゥーのあるお客様への対応、それから、入浴のマナーをどう伝えていくか、また、温泉は割と奥まったところにあるので、鉄道・バス等の交通手段の確保の三つが大きく挙げられる対策が必要なことだとお聞きしております。このような視点も踏まえながら、外国人観光客の温泉地への誘導を積極的に検討していっていただきたいと思っておりますが、見解をお伺いいたします。 ◎宮原渉 国際観光推進室長 長野県は非常に温泉が多い県でございますので、外国人観光客を温泉に誘導するため、ホームページ等で入浴のマナーを外国語で表示したり、実際の温泉にも外国語で入浴の仕方を表示できるような環境整備を、インバウンド推進協議会においてしっかり進めていきたいと考えています。 ◆中川宏昌 委員 温泉地のインバウンドへの対応は、しっかり行っていかないとこれまでの国内旅行者までもが離れていってしまうことがあると思います。インバウンドの対応をしっかりしていく中で、初めてふえると思いますので、多くの外国人観光客が長野県の温泉に触れられるよう、対策をぜひお願いしたいと思っております。  最後になりますが、今回の委員会では、観光人材をどうしていくかという議論が非常に多くなされております。観光を実際に担当しているのは、市町村やDMO、個々の観光事業者の方だと思うのですが、具体的な解決に向けてどうしていこうかと悩んだ時に、専門性の高い人を派遣してもらい、教えてほしいという希望が非常に多いと思っております。観光と言っても、ただ人を集めればいいということではなく、マーケティングやプロモーション、ITやウェブなど、さまざまな分野で仕込んでいくことで観光客に来ていただけるようになります。そのような時代の中ですので、専門人材が必要であり、その専門人材の派遣を地域の人々は望んでおります。  そのような中で、観光機構に設置した観光サポート人材バンクがあるかと思いますが、この人材バンクの現在の活用状況や課題等ありましたらお教えいただきたいと思います。 ◎熊谷晃 観光部長 今年度から始めた事業として、御指摘の観光サポート人材バンクがございまして、今、11名の方にお願いをしております。どのような方かといいますと、実際にホテル経営をしており、そこでITなどを生かしながら非常に革新的・効率的な経営を実践されている方や、いろいろな団体で観光地域づくりに取り組んでいる方、広告代理店やコンサルティング会社で専門に御相談に乗っている方などがおります。実際に連れてきてどこかへ行ってもらうというよりは、市町村の皆さんに紹介して、活用してもらっております。個々の事業者でお願いしている部分については、把握できていないところもありますが、まだまだ知られていないところもございますので、これからどんどん活用していかないといけないと思っております。  ただ、マネジメント人材の研修会などはかなり力を入れており、成功例等を知っていただいておりますので、そのようなところから人材バンクの人々を知ってもらい、活用を始めているところであり、これからもっともっと使ってもらうべきだと思っております。 ◆中川宏昌 委員 ありがとうございました。まだまだ知られていない環境の中で、実際に地域を歩くと、もっと知恵をいただきたいという思いもお聞きしますので、広く広めていただくことをぜひお願いしたいと思います。  これからの2020年、また、2020年が明けたときが長野県の観光として一番大事なときになっていると思います。そこに向けて、仕込んでいく年が来年であると思いますので、さまざまな課題に取り組んでいくことによって、長野県の観光はさらによくなっていくと思いますので、一層の取り組みをお願いいたしまして、以上とさせていただきます。 ◆百瀬智之 委員 まず資料11のインバウンドについてお伺いしたいと思います。インバウンドについては、御紹介いただいたとおりの施策かと思いますが、サプライヤーとなる県内の旅行会社の方々と、外国の旅行会社の方々をつなぐような場を設けたり、あるいはサイトをつくることなどが今後必要になってくるのではないかと思いますが、そのあたりの取り組みについて御説明いただけますでしょうか。 ◎宮原渉 国際観光推進室長 県内の旅行会社と海外の旅行会社をつなぐ取り組みについてでございます。観光機構を中心にプロモーションに行くときに、近くの観光事業者さんにもお声をかけて、一緒に行っているのですが、その際にセミナーや商談会だけではなく、旅行会社を回る取り組みも行っております。JNTOの資料から、この国にはどういった旅行会社があるのかをしっかり調べて、訪日旅行に積極的なところを回るようにしています。 ◆百瀬智之 委員 お声がけというのは、こちらのほうで決められたものにしたがってしているのでしょうか。 ◎宮原渉 国際観光推進室長 市町村と市町村観光協会には、このようなプロモーションをすると紹介して、その市町村や観光協会から地元の事業者に声がけをしてもらっていると思います。 ◆百瀬智之 委員 これから地元の生産者や旅行会社がますますふえていくかもしれませんので、より一層の働きかけを強めていただきたいと思います。
     経済産業省で、ホテル・コンシェルジュによる地域の魅力発見・発信事業を行っていると聞いております。外国の方々は、日本で一体どこに行けばどのようなものがあるのかわからないので、ひとまず東京や京都に行くのだけど、ではその先ほかの地域へどうやってつないでいくのかということから、都内のホテルのコンシェルジュに働きかけを仲介役としてやっていただいております。地域にはこだわりを持った地域資源がありますので、生産者や職人のこだわりであったり、また、地域固有のストーリーをうまく一つのラインにおさめていくということだと思います。かねてより、富裕層への働きかけを強めていただきたいと申し上げておりますが、そのような場合に、特に必要になってくるのではないかと思いますので、このあたりについて、どのような認識でいらっしゃるのでしょうか。 ◎宮原渉 国際観光推進室長 東京や大阪の有名なホテルのコンシェルジュさんとの連携は非常に重要なことだと思います。去年、その事業の中で、小布施町にコンシェルジュを招いて勉強会を行ったとのことですが、必要だという認識はございますので、新年度、長野県インバウンド推進協議会でチームを組んで、コンシェルジュさんを回って長野県の旅行商品をしっかり紹介していただけるような絆づくり、関係づくりに努めていけたらと考えております。 ◆百瀬智之 委員 海外には、旅行で何十万、何百万と使う方が普通にいらっしゃるということですから、そのような方をどう誘導してくるのか、あるいは、そのような方を対象にした旅行会社もあるようなので、どのように働きかけをしていくのかということについて、事業に落とし込んでいただけるといいのではないかと感じました。  次の話題ですが、この間、冬に京都に行く機会がありまして、研修の合間に、町を歩いてみました。東山など、いろいろ歩いてみたのですが、今になって気づくことがありました。テレビでは、オーバーツーリズムと言って、観光客が来過ぎてしまってごみや騒音の問題がたくさんあるとのことですが、私が行ったときは本当ににぎわっている感じを受けました。いくつか気づいたことは、あそこに行くと、特に目的がなくても、体験などいろいろなことができます。また、歴史や文化に触れながら非日常を味わえます。このようなことが大変重要なことなのではないかと思いました。  京都へ行くと、八ツ橋や漬物だけではなく、七味や梅酒など、この辺でも売っているものがうまくブランド化されて売られています。また、体験と言えば、抹茶をたてることや座禅、陶芸等の体験が歩いているだけで見つかります。普通のことでも、あのトータルなデザインの中で、あの空間の中で体験すると、特別な感じを得ることができると思い、トータルデザインという意味では、大変参考になるものがあると思いました。信州ブランドという枠組みの中でどのようにこれを体現していくのかが、信州にとっては一つの課題になっていくのではないかと思った次第でございます。  そこでお聞きしますが、今回の事業「信州の食」ブランド価値向上ということで信州の食がありますが、私が東京で暮らしていたときと比べると、日々食べる物もおいしい気がしますし、隣の農家のおじさんがつくったスイカなどの作物が特においしく感じます。地域にはそのように感じる人が多いと思います。あの人がつくるスイカだから食べたい、あの人がつくる長芋だから食べたい、のように、誰がどこでつくっているのかといったことまで掘り下げてブランド価値を向上させる仕組みがまだできていないのではないかと思いました。  今回の事業も、会議を開いていただいたりしている中で、この先どういったところに持っていくのかが非常に大事だと思います。原産地呼称管理制度のような発想にもう一歩踏み込んで、どこでつくっていて、誰が作っているのかを分かるようにします。そういったものにこだわりを持って飲食や旅館で、またはスーパーで出てくるものにも表示をしていきます。これはもう観光の域を脱しているかもしれないのですが、そういったことにもこだわりを持って食を描いていかないと、健康と長寿という枠組みだけでは次のステージに行けないのではないかと思いますので、このあたりのビジョンについてお願いします。  もう一点について、京都を歩いていて思ったことですが、そこに歩いている人が町の景色の一部になっていると感じました。今、特に若い女性が自分で着物や振り袖を着て、町を歩いてインスタ等を撮って京都に来たことを発信しております。日本人だけではなく、中国人や東アジアの方もそのような着つけをしていると思いますが、そのような方々が風景の一部になっていることも、観光地としては大変大きい要素ではないでしょうか。  我々、長野県民も、思い起こしてみれば、善光寺や松本城の城下町や門前町で、昔はもう少し和装の方々がいらっしゃったのではないかと思います。今も、松本では浴衣を着ましょうと活動している方々がいますし、そのような方々と連携して、和装をプロモーションすることは、観光地、地域をつくるという意味では大事な視点になってくるのではないかと思います。以上2点について、お伺いいたします。 ◎熊谷晃 観光部長 大変貴重な御指摘でございます。例えば沖縄のコンベンション協会に話を聞いてみますと、2カ月前にどのくらいのお客さんが入ったのかについて、国籍もつまびらかに統計をとった情報が出てきます。なぜかというと、沖縄はやはり、観光で食べていかないとやっていけないという覚悟が県民の中にしみわたっていまして、船や飛行機で来る人をどうおもてなしするのかが、時間をかけてまちづくりとともに形づくられているという感じがいたします。  京都もまさにそのとおりで、観光のための場所であって、観光でどうお客様に楽しんでもらうのか、楽しんでもらいながら気がつくとお金をたくさん使っているという地域のつくり方は、現代に始まった話ではなく、室町時代からそのような対応をしていたわけで、やはり時間をかけて地域をつくっているところは強いと感じております。  そのようなことを前提に考えますと、食でこだわりを見せていくことは、どこの県でもやっております。例えば、東京のあるバーガーショップではきょうのピクルスやトマト、肉はどこでつくっているのかしっかり表示しているところもございます。やはり私どもも、そこはベースにしなくてはいけないのだと思います。まちづくりについても、おもてなしの気持ちや、誰がどのようなこだわりでその食材をつくっているのかを伝えることは、基本的なベースの部分だと思います。  やはり、一番重要なことは、あなたにとって私の野菜がどう役に立つのか、あなたが私のお店に来たらどう楽しんでもらえるのかという、発信者目線だけでなく、お客様がどのような感覚を持ってもらえるのか、お客様がどのようなニーズを持っているのか、お客様にどう貢献していくのかといった視点を、一事業者のみならずその地域にいる人々が受信者目線で考えられると、その地域のストーリーとして、雰囲気のよさがあらわれてくるものだと思います。御指摘のとおり、簡単にはできない時間のかかる問題だと思いますが、お客様に楽しんでもらって、私どもはこの町で稼いで、生きていき、地域活性化を子・孫の代まで続けていくのだという合意形成が重要なのだと思います。  善光寺も本当にすばらしく、浴衣で歩くといいなと思いますし、忍者がガイドするようなことがあってもいいのかなと思います。その町の中に、例えば通りの中に住居が構えられていたり、全然雰囲気の違うものがあるような、町の調和の中で、全体で雰囲気を出していくことは御指摘のとおり重要なことだと思います。一つの手段がだめだっただけで絶望してはいけないと思います。行く行くはDMO的な考え方になるかと思いますが、一つ一つの積み重ねをしながら、町の雰囲気やまちづくりも含めて、やはり住民の合意が存続の命運を握るという気持ちで考えてまいるべきではないかと思っております。 ◆百瀬智之 委員 トータルのデザインの関連で、温泉地のRe・デザインも一言いただきたいと思います。温泉地にもかなり困窮しているところがありまして、どうしていくかと考えた際に、忘れてはいけないのは、温泉地をどうするかという視点に加えて、街並みとセットで温泉街としてどうやって立て直していくかという視点が大切なのではないかと思っています。  有名な話ですが、草津温泉の湯畑の隣の駐車場を、駐車場ではないものに生まれ変わらせて町を歩かせることによって、若者にも大変人気の土地になり、写真を撮ったりして楽しめる地域になっています。地域の資源を核としながら、歩いて楽しめる街並みをつくっていくことも大変重要だと思っています。なので、温泉地Re・デザインには大変期待するところでありますが、温泉街についても何かあるのかと期待しておりますが、いかがでしょうか。 ◎熊谷晃 観光部長 おっしゃるとおりであり、同じ温泉街でも草津は違うと思います。湯畑の隣の大きな展開や、湯畑の周りに古い木造の旅館があり、その横丁を楽しむことができ、その周りには大きなホテルがあるといったまちづくりは規律がとれていると思います。長野県には温泉が数多くありますが、B級グルメやゆるキャラブームのように、なにか一つ温泉があればいいということではなく、どのような個性がある温泉なのかが重要です。温泉があることはまちづくりにとっては、普通の都市と比べて非常に個性があることですが、その温泉自身の個性が何なのか。また、周りの例えば農業や職人のわざ、もしかしたら医療や教育も絡むかもしれませんが、それらと組み合わせると強烈な個性が出てくるかもしれません。ほかの地域とは違うんだというものが、いわゆるそこに住んでいる人の文化であり、どのような生き方をしていたのか示していくことが重要かと思いますので、御指摘のとおり、その温泉だけではなく、温泉の活用だけではなく、その町の個性や文化を生かすことが極めて重要だと考えております。 ◆百瀬智之 委員 今お話しがありました、地域だけではなく、周辺の農業や文化などと融合しながらうまく地域づくりを進めていくことは大変重要だと思います。長野県はこれまで、特に市町村の数が多かったので、それぞれにいいところが当然あるわけです。ただ、観光となったときに、それがぶつ切りになっていて、それぞれは大変いいところなのですが、そこに一日中いることはできないので、宿泊等と組み合わせたり、周辺市町村と組み合わせる中で、一体どういったことができるのかが、特に県外の人にはわかりづらかったのではないかと思っています。今回の広域型DMOにより、そのあたりも解消しながらやっていくとは思いますが、さらに広域のもっと広域をつくっていくこともできるのではないかと思っております。  その理由は、コンテンツ自体は多彩であればあるほど、地域の魅力になると思っているからです。例えば、北アルプス地域もDMOが進んでいて、大変すばらしいと思っています。一方で、この3市村にわたるDMOも、世が世なら一つの自治体の中でできたことかもしれません。北アルプスの地域から南に行って、木曽まで含めて中信平全域でどのようなことができるのかを具体的に発信することが、これからは特に必要になってくるのではないかと思っています。  DMOをめぐっては、観光客の方が2泊、3泊する中で、では次にどこへ行こうかと思ったときに、県外に出られてしまうこともあり、長野県の中にもう少しいていただくために、こういったこともできると発信するためには、もう少しスケジュール感を大きく持ったほうがいいのではないかと思っています。世界的に、本場のアルプスを見ても、アルプスの山々だけではなく、町並みと一体の中でいろいろなことができます。ワインの名醸地にいっても、町並みとあわせて、郊外のワイン畑とあわせていろいろなことができるというスケール感も参考にしなくてはならいないと思います。そのような意味では、DMO間での連携や、もう少し大きな圏域づくりについて、観光部長から一言お願いしたいと思います。 ◎熊谷晃 観光部長 私たちもよく考えるのですが、旅行する人はどのような感覚で動いているのだろうかと思います。特に欧米・オーストラリアの方に見られるパターンとしては、白馬に12連泊して、金沢に行ってみたり、スノーモンキーを見に行ってみたり、松本で食事をしてみたり、東京に戻ってみたりなど、結構ダイナミックな動きをします。  日本人でも、2泊3日や4泊5日など、長めに時間がとれる人は、割合欲張り型で、長野で善光寺を見たら金沢へ行って、帰りに軽井沢へ寄って東京へ帰るような、ダイナミックに動く方もいますし、バスで日帰りしたり、1泊で1カ所へ行って帰る人もたくさんいます。いろいろな体験がありますので、どれを捉えてどうあるべきか考えた際に、全てをおなじように捉えるわけにはいかないという気がしています。  これから働き方改革が日本でも進んで、休暇が長期化したり、欧米・オーストラリアの皆さんがたくさん入ってくることが間違いなくあろうかと思いますので、どのような類型であるべきかを、一つ目の類型である白馬を足がかりにしながら、県内を広く旅してもらいます。金沢や高山に行くこともいいのですが、長野県のいろいろなところをデスティネーションとしてもらうことが極めて重要なことではないかと思います。  まずは、いきなり大きいものをつくるというよりは、各地域でデスティネーションをつくり始める。いわゆる旅行商品として、行ってみたい場所をたくさんつくることがまずは重要です。今度はそこでオペレーションするときに、例えばAに行ったらお金をとられ、Bに行ったときもまたお金をとられ、移動するときにもお金をとられるというように、都度お金をとられていくよりは、ある地域内であれば、移動費や宿泊費、途中の食事代も全てパッケージになっている、または、合算で精算できる仕組みをDMOの中につくっておきます。今度は、そのようなDMOが県内にたくさんあって、DMO同士を渡り歩く楽しみが出てくるといった取り組みを全国で先んじて長野県でできればと思っております。  このためには、まずDMOで地域の担い手をつくることが重要でございます。今までのような高度経済成長期のような、大規模ホテルチェーンが運営するよりは、各地域でリスクを分散して、魅力を地域ごとに高めていく。これによって、地域間を渡り歩いて県内で連泊するといった楽しみがいいのではないかと考えております。まず地域を存続させるためにも、各地域ごと、谷ごとのDMOを形成し、デスティネーションを明確にしていきます。お客様にとっては、AのDMOに行ったらBに、その次にはCのDMOに行くような、いわゆる信州合衆国のような観光圏が、集合体のような長野県をつくっていくことを理想に考えております。 ◆百瀬智之 委員 各地域でまずはデスティネーションをつくりながらということなのですが、私もそうなのだろうと思います。ただ一方で、地政学的に平らというものを見たときに、やはりそれぞれのつながりがあって、産業的にも、観光だけではなく、農業であったり、山岳という意味でも、つながりがありますので、その地域の味わいを、そこに行けば満喫できる状態をつくっていきたいと思うわけです。今、おっしゃっていただきましたので、部長の頭の中には既にいろいろあるかと思いますが、資料だけでは伝わりませんので、お聞きしてよかったと思います。  先週、環境部には手厳しく指摘させていただきましたが、一方、観光部の事業はとてもいいのではないか、期待が持てると思います。特に鍵括弧つきの事業は一般の人が見ても何をやるかわかり、期待が持てるものですから、今回いろいろ指摘させていただいたこともお含みおきいただいて、今後切り開いていっていただくことを切に願い、質問を終わります。 ○荒井武志 委員長 ほかに御発言もあろうかと思いますが、以上で観光部関係の質疑を終局いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  御異議ありませんので、観光部関係の質疑を終局いたします。  ただいまから、議案の採決に入ります。  最初に、第1号「平成31年度長野県一般会計予算案」中、第1条「第1表 歳入歳出予算」中、歳出 第8款 商工費 第1項 商工費の一部 第2項 観光費 第2条「第2表 債務負担行為」中の一部について、採決いたします。本案について、討論はありますか。 ◆高村京子 委員 私は今回、予算の中で消費税の負担についてこだわって、いろいろ検討させていただいております。今回、観光部として、県民の皆さんに負担を求める部分がない信州首都圏総合活動拠点賃借料ということについての債務負担行為だけだということを確認させていただきましたので、観光部にかかわる部分については、賛意を示させていただきました。以上です。 ○荒井武志 委員長 以上で討論を終局いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  御異議ありませんので、討論を終局いたします。本案、原案のとおり可決すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  御異議ありませんので、本案は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、第57号「平成30年度長野県一般会計補正予算(第6号)案」中、第1条「第1表 歳入歳出予算補正」中、歳出 第8款 商工費 第2項 観光費について、採決いたします。本案、原案のとおり可決すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  御異議ありませんので、本案は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  以上で観光部関係の審査を終局いたします。  あいさつをした。 ○酒井茂 副委員長 あいさつをした。 ◎熊谷晃 観光部長 あいさつをした。 ○荒井武志 委員長 本日の審査はこの程度とし、明5日は午前10時30分から委員会を開会し、産業労働部及び労働委員会関係の審査を日程といたします。   散会を宣した。 ●散会時刻 午後3時38分 △採決結果一覧(観光部関係)  (付託議案)   ▲原案のとおり可決すべきものと決定したもの(簡易採決)     第 1 号 平成31年度長野県一般会計予算案中        第1条 「第1表 歳入歳出予算」中          歳 出            第8款 商工費              第1項 商工費の一部              第2項 観光費        第2条 「第2表 債務負担行為」中の一部     第 57 号 平成30年度長野県一般会計補正予算(第6号)案中        第1条 「第1表 歳入歳出予算補正」中          歳 出            第8款 商工費              第2項 観光費...