山梨県議会 2018-12-01
平成30年12月定例会(第5号) 本文
これまで本県ではこの施設がなく、対象となるお子さんや保護者の方にとって、待望の施設ということになります。
施設を整備する背景や必要性を知るためには、まず、現状を知ることから始めるのがよいと考えます。
そこで、施設が県内にない現在において、この施設の対象となっている子供たちは、どのような施設で治療を行っているのか、伺います。
3
◯議長(
河西敏郎君)知事、
後藤斎君。
(知事
後藤 斎君登壇)
4
◯知事(
後藤 斎君)ただいまの御質問にお答え申し上げます。
現在、本県には児童心理治療施設が設置されていないことから、専門的な心理ケアや服薬などが必要となるお子さんに対しましては、県内の児童養護施設や児童自立支援施設であります甲陽学園などで生活をしながら、こころの発達総合支援センターや精神科病院など医療機関におきまして、通院治療や入院治療を受けているところでございます。
また、子供さんの状況によっては、児童心理治療施設での対応が不可欠といったケースもあり、その際には、他県の児童心理治療施設へ受け入れを依頼するなど、お子さんや家庭にとって最も効果的な支援ができるように対応しているところでございます。
以上です。
5
◯議長(
河西敏郎君)永井学君。
(永井 学君登壇)
6
◯永井 学君 より深刻なお子さんが今、他県のほうで治療されている方もいるということで、この施設の重要性、より一層深まっていると思います。
次に、子供に対応していく職員についてですが、福祉関係の施設はとりわけ、運営していく職員の配置が重要であると思います。
この児童心理治療施設は専門的な治療・相談を行うと聞きますが、職員はどのような職員が配置され、どのような役割を果たしていくのか、伺います。
7
◯議長(
河西敏郎君)福祉保健部長、
小島徹君。
8
◯福祉保健部長(
小島 徹君)ただいまの御質問にお答えをいたします。
児童心理治療施設には、国が定める基準によりまして、医師や看護師を初め、心理療法を担当する心理士などの職員、生活指導を担当する児童指導員、家庭の支援を専門とする相談員、さらには栄養士等を配置することとされております。
児童心理治療施設では、施設内の全ての活動が治療であるという考え方で支援することが求められており、医師と心理士が協働して作成した治療方針のもと、さまざまな職種の職員が互いに連携し、それぞれの専門性を生かしながら、子供たちを支援することとしております。
以上でございます。
9
◯議長(
河西敏郎君)永井学君。
(永井 学君登壇)
10
◯永井 学君 お答えにあったような専門の治療相談を行う職員が、次に施設で行う取り組みについて伺いますけれども、この児童福祉施設の中でも児童心理治療施設では、子供と保護者の家庭を再構築していく家族療法という特徴的な取り組みがあるそうです。
具体的にどのような内容であるのか、また、新設されるこの施設でも行う予定はあるのか、伺います。
11
◯議長(
河西敏郎君)福祉保健部長、
小島徹君。
12
◯福祉保健部長(
小島 徹君)ただいまの御質問にお答えいたします。
家族療法は、親子関係の回復を図るため、施設を利用しているお子さんとその家族等を対象に、三カ月から六カ月を単位とした計画を立て、心理士による保護者の面接、施設内での親子宿泊、親子レクリエーションなどを行うものでございます。
県外の児童心理治療施設では、入所しているお子さんの多くが、虐待などの体験があると伺っておりまして、保護者への支援は子供の治療に不可欠であるだけでなく、治療後の家庭復帰につなげていくためにも大変重要でございます。
児童心理治療施設の開設に向けて、現在、運営に関するマニュアル等の作成を進めておりますが、具体的な支援方法の一つとして、家族療法につきましても盛り込んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
13
◯議長(
河西敏郎君)永井学君。
(永井 学君登壇)
14
◯永井 学君 ぜひ、盛り込んでいっていただきたいと思います。
県内初の施設設置です。設置されれば、対象の子供たちは、今までにないさまざまな治療の
選択肢を得ることになります。この家族療法もそうだと思います。
そこで、先ほど質問した設置前の子供たちには、設置後において、どのような効果がもたらされるのか、伺います。
15
◯議長(
河西敏郎君)知事、
後藤斎君。
16
◯知事(
後藤 斎君)ただいまの御質問にお答え申し上げます。
児童心理治療施設は、幼いながらも心に深い傷を負った子供たちが、入所や通所をしながら心理治療を受け、社会の中で生き生きと自信を持って生活が送れるようになることを目的としております。
その効果といたしましては、新設する施設では、これまでの児童養護施設などでの支援や通院治療等では、十分な効果が得られなかったお子さん方へのより専門的な支援が可能になります。
また、総合拠点の医療、福祉、教育の各分野が密接に連携することにより、迅速で一貫した質の高い支援を提供できるものと考えております。
以上でございます。
17
◯議長(
河西敏郎君)永井学君。
(永井 学君登壇)
18
◯永井 学君 この施設の新設によって、個々の子供たちの状態に応じた専門的な対応が図られるようになるということは、とても重要なことであると思います。
子供や保護者の方の大きな期待に応えられるように、職員の配置や研修をしっかり行っていただいて、万全の体制でオープンを迎えられるようにしてもらいたいと思います。
次に、特別支援学校について伺います。
児童心理治療施設に入所・通所する子供が通学し、学校教育とあわせて、障害による学習上や生活上の困難を改善・克服するための指導を行う特別支援学校。児童心理治療施設にいる子供たち専用というところが、普通にある特別支援学校とは違うところです。
まず、これから設置されるこの学校に入る子供たちは、この学校がない現在、どのような学校で学んでいるのか伺います。
19
◯議長(
河西敏郎君)教育長、
市川満君。
20
◯教育長(
市川 満君)ただいまの御質問にお答えをいたします。
新設する特別支援学校でございますが、児童相談所において心理治療や生活支援が必要と判断し、児童心理治療施設へ入所または通所する児童生徒を対象としております。
こうした児童生徒は現在、その状況に応じて、児童養護施設でありますとか甲陽学園など児童自立支援施設に入所等しておりまして、これらの施設の所在地を通学区域とする小学校または中学校の通常学級、もしくは特別支援学級、特別支援学校で教育を受けております。
しかしながら、これらの児童生徒は、学校だけでの対応では困難なケースが多いことから、医療機関などと連携し、生活上、配慮すべき事項について助言をいただきながら、教育活動を進めているところでございます。
以上でございます。
21
◯議長(
河西敏郎君)永井学君。
(永井 学君登壇)
22
◯永井 学君 心理的な治療を受けつつ、復帰したときのために並行してしっかりとした学習をするということは非常に重要なことであると思います。
そこで、この学校に配置される教員は、どのような免許を持った教員なのでしょうか。さらに、この学校は、どのような教育課程を行うのか伺います。
23
◯議長(
河西敏郎君)教育長、
市川満君。
24
◯教育長(
市川 満君)ただいまの御質問にお答えいたします。
この特別支援学校には、小学校または中学校の教員免許を保有し、かつ特別支援学校の教員免許を保有している職員を配置することとしておりまして、心のケアを必要とする児童生徒に対し、専門性の高い教育を行うこととしております。
また、教育課程につきましては、新設する学校が精神疾患など心のケアに対応するための特別支援学校であることから、小学校、中学校の学習内容に加えまして、障害による学習上または生活上の困難を改善・克服することを目的とした、例えば心理的な安定とか人間関係の形成等といった学習も行うこととしております。
以上でございます。
25
◯議長(
河西敏郎君)永井学君。
(永井 学君登壇)
26
◯永井 学君 専門免許を持つ教員による専門的な学習が提供されるというお答えでした。
今回、質問しませんが、特別支援学校全体を見ると、全体的に児童生徒の数が増加傾向にある一方で、特別支援の教育免許取得が追いついていないという課題があります。
本県は、全国でも特別支援の免許取得状況は高い水準にあって、教育委員会でも促進しているということは十分、承知をいたしておりますが、現場の先生方に聞くと、もっと速やかに取り組んでもらいたいという声もあります。
引き続き、免許取得の促進にも鋭意取り組み、子供たちへの専門的な教育の充実を重ねてお願いして、次の質問に移ります。
この特別支援学校は、本校として児童心理治療施設と一体となって設置される全国初の施設であると聞いております。
そこで、この学校の特徴とともに、先ほど質問した設置前の子供たちには、設置後においては、どのような効果がもたらされるのか、伺います。
27
◯議長(
河西敏郎君)教育長、
市川満君。
28
◯教育長(
市川 満君)ただいまの御質問にお答えをいたします。
この特別支援学校は、本校としての利点を生かし、迅速な意思決定のもと、福祉、医療と連携したきめ細やかな教育が実現できることが特徴でございます。
その効果といたしましては、児童生徒は、併設する児童心理治療施設で生活していることから、生活面での留意事項を的確に把握し、教育活動に反映させることができますし、また反対に、学校で把握した学習面や生活面での課題等を拠点内の施設と情報交換することで、有効な治療や支援につながるものと考えております。
以上でございます。
29
◯議長(
河西敏郎君)永井学君。
(永井 学君登壇)
30
◯永井 学君 この特別支援学校の設置により、子供たちは児童心理治療施設による対応に加え、適切な学習機会の提供も受けられるということになります。
また、これまで専門外の教育や指導を行ってきた一般の先生方については、大きな課題とされている教員負担の軽減につながるとも思います。
子供や保護者の方を第一に考えつつも、学校関係者の方にとっても、よりよい環境が得られるよう、新設校については適切な運営を行ってもらいたいと思います。
次に、幼児教育の充実について伺います。
幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、この時期に質の高い幼児教育が提供されることは極めて重要です。
子ども・子育て支援新制度の中でも「全ての子どもに質の高い幼児教育の提供を目指す」とあります。
文部科学省の幼児教育に関する研究会の報告において、ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン教授の「就学前に適切な教育刺激を受けておかないと、その時期にしか発達しない能力が十分に発達しない」という主張が紹介されています。
さらに、諸外国における幼児教育の研究成果として、「質の高い幼児教育が、その後における成績の向上や進学率の上昇、所得の増大、犯罪率の減少をもたらすなど、教育的・社会経済的効果を有する」としています。
ここで重要なのは、質の高い幼児教育が必要とされているという点であります。
私は、幼児期から詰め込み教育をした方がよいと考えているわけではありません。
まさに幼児期にこそ行うべき教育を、正しい方法で、専門的な人が行っていくということが、子供や社会の将来にとって非常に重要なことであり、このことは、子供を持つ保護者の方にとっても極めて、私も含めてですが、関心の高いことではないでしょうか。
文部科学省の動きを見てみますと、幼児教育の重要性を踏まえ、平成二十九年三月に幼稚園教育要領を改訂し、本年四月には既に実施されています。
そこで、まず、幼稚園教育要領の改訂のポイントはどのようなものなのか、伺います。
31
◯議長(
河西敏郎君)教育長、
市川満君。
32
◯教育長(
市川 満君)ただいまの御質問にお答えをいたします。
今回の改訂では、五歳児修了までに育ってほしい具体的な姿を、自立心、協同性、健康な心と体など十の項目で示すとともに、これを小学校と共有することで、幼小連携を推進することとしております。
また、子供たちが充実した幼稚園生活を送れるよう、さまざまな人や物とのかかわりを通して、多様な体験をし、心身の調和のとれた発達を促すことなどが、ポイントとして挙げられております。
以上でございます。
33
◯議長(
河西敏郎君)永井学君。
(永井 学君登壇)
34
◯永井 学君 答弁を伺いますと、これまで以上に、小学校との連携など、幼児教育の重要性が示されていると強く感じました。
具体的に言えば、教育は既に幼稚園からしっかりしなければならないということだと思います。
この幼稚園教育要領のポイントを踏まえた上で、次の質問に移ります。
これまで、本県でも、県や私学教育振興会幼稚園部会、保育協議会等が連携して、質の高い幼児教育を目指してきたと思います。
幼稚園教育要領に基づき、質の高い幼児教育を提供するためには、授業の内容もさることながら、幼児教育を行う先生方の指導力の向上が重要です。
一方で、質の高い幼児教育が行われていても、小学校に行って、その流れがとまってしまっては、意味がありません。
改訂された幼稚園教育要領の中に小学校学習指導要領が掲載されていることを見ても、国が積極的に幼稚園と小学校の連携、いわゆる幼小の連携を図っていることがわかります。
そこで、現状において、幼児教育を行う先生方の研修はどのように実施しているのか、また、保幼小の連携を図る取り組みとして、どのようなことを行っているのか、伺います。
35
◯議長(
河西敏郎君)教育長、
市川満君。
36
◯教育長(
市川 満君)ただいまの御質問にお答えをいたします。
県では、教育水準の維持向上を図るため、幼稚園等の教諭に対し、実践的指導力や幅広い知見を得るための研修等を行っているところでございます。
一方、保育所等に勤務する保育士等に対しましては、専門性の向上を図るため、乳児保育や幼児教育などに関するキャリアアップ研修等を実施しております。
また、保幼小の連携につきましては、小学校教諭と保育士や幼稚園教諭が、就学前の子供に関する情報交換を行っているほか、保幼小連携教育研修会というものを開催しておりまして、小学校入学当初のカリキュラムについて共通理解を図ることにより、円滑な接続が行われるよう努めているところでございます。
以上でございます。
37
◯議長(
河西敏郎君)永井学君。
(永井 学君登壇)
38
◯永井 学君 さまざまな研修や保幼小の連携を図る取り組みをこれまで行ってきたということは、よくわかりました。
ただ、教育要領の改訂に伴う対応としては、さらなる取り組みの強化が必要でないかと思います。そこで、次の質問に移ります。
幼児教育を行う先生等の指導力向上のための研修や指導を行う幼児教育センターというものがあります。その普及率は、全国一千九十自治体中四%と非常に低い割合です。
基本的には、都道府県が設置することが望ましいと考えますが、平成二十八年度の国の調査によると、都道府県で設置している例は、十一のみであるとのことです。本県にも残念ながら、まだこの幼児教育センターは設置されておりません。
一方で、幼児教育充実のため、このセンターのほかに幼児教育アドバイザーという方がいます。
これは、各園に赴き、教育内容や指導方法、指導環境の改善についてアドバイスをされ、きめ細やかな幼児教育体制には欠かせない方です。
文部科学省の明年度予算の概算要求の中に、幼児教育推進体制の充実・活用強化事業というものがあり、これは、幼児教育アドバイザーの配置や質の向上の取り組みに対して、補助が出るものです。
この補助を受けるには、二つの要件があります。一つは、幼児教育センターを設置していること、もう一つは、担当部局を事務のみでも一元化していることです。
概算要求段階とはいえ、明年度以降の国補助事業への準備としても、関係部局が協力し、センターの設置に向け、速やかに動き出しておく必要があるのではないでしょうか。
山梨県は、幼稚園や保育所、県内大学等の連携が、他県に比べスムーズにいっているというお話を伺いました。
であるならば、幼児教育推進先進県となれるよう、本県でもセンター設置を検討すべきと考えますが、御所見を伺います。
39
◯議長(
河西敏郎君)知事、
後藤斎君。
40
◯知事(
後藤 斎君)ただいまの御質問にお答え申し上げます。
本県におきましても、保幼小の連携及び保育士、幼稚園教諭指導力の向上は、重要な課題であると考えております。
このため、いわゆる幼児教育センターにおきましては、幼稚園や保育所などを所管する各部局が、協力して対応する必要があることから、過日、部局を横断した検討会を立ち上げたところでございます。
今後は、この検討会におきまして、既に導入しております県の運営状況や研修内容等を調査研究し、情報を共有した上で、センター機能について検討してまいりたいと考えております。
以上です。
41
◯議長(
河西敏郎君)永井学君。
(永井 学君登壇)
42
◯永井 学君 部局横断の検討会を立ち上げていただいたということで、これは大きな前進だと思っています。
先ほど、補助を受ける要件のうちの一つの中で、担当部局を事務のみでも一元化していることという部分があります。今、部局横断でようやく話し合いが始まりました。ぜひ、どの部局が担当するのかということも、あわせて検討いただきたいと思います。
子供たちに幼児期からすばらしい教育環境が提供されるよう、ぜひとも今後も鋭意取り組んでいただくことを切に希望して、次の質問に移ります。
次に、子どもの貧困対策について伺います。
昨年度制定されたやまなし子ども・子育て支援条例の前文では、「子どもたちの将来が、生まれた家庭の状況や育った環境によって左右されることのないよう」にとうたっております。
子供は可能性の塊です。家庭の貧困が子供の将来に影響し、豊かな人生を送ることができる可能性を、少しでも奪うようなことがあってはなりません。
私たち大人は、議会、行政に携わる者にあっては特に、貧困世帯の子供から憂いや苦しみを取り除く手だてを明確に示さなければならないと思います。
さて、厚生労働省が発表した国民生活基礎調査によりますと、平成二十七年の子供の貧困率は一三・九%と、十二年ぶりに改善しました。
しかしながら、ひとり親家庭の貧困世帯は全国で五〇・八%と、相変わらず高い値で推移しており、社会的に大きな問題であるということには変わりありません。
本県のこれまでの取り組みを振り返ってみますと、一昨年の三月にやまなし子どもの貧困対策推進計画が策定され、公表された平成二十九年度主要施策成果説明書によれば、昨年度は、やまなし子どもの貧困対策推進協議会の開催と、子どもの貧困実態調査を実施したとされています。
私は、子供の貧困対策は、児童扶養手当の給付といった全国一律の施策に加えて、本県の子供の貧困にかかわる地域実情を踏まえた施策をもっと積極的に実施すべきであると考えます。
また、地域実情を踏まえた施策の効果をさらに高めるため、市町村や関係機関との連携を図って実施することが不可欠であります。
これまでの県の取り組みの手順や手法を考えますと、昨年度、実態調査を実施したということは、本県の実情をまず把握し、これからは、実情を踏まえた独自の取り組みや市町村との連携を進めていくということだと思います。
そこで、具体的に、調査結果により実施した取り組みはどのようなものか、また、市町村などとの連携をどのように図ってきたのか、伺います。
43
◯議長(
河西敏郎君)知事、
後藤斎君。
44
◯知事(
後藤 斎君)ただいまの御質問にお答え申し上げます。
昨年度の調査から、大きく二つの課題が明らかになりました。一つ目につきましては、公的な支援制度が十分認知されていないということ。二つ目としては、支援制度や地域の事情を熟知し、適切な支援機関につなげる人材が不足しているということでございます。
このため、本年度は、さまざまな支援制度や相談窓口などをわかりやすく説明しましたリーフレットを約十四万部作成し、小・中・高校生や幼稚園・保育所に通うお子さんのいる全ての家庭に配付するとともに、新たに家庭とさまざまな支援機関等をつなぐ地域コーディネーターを養成し、全ての市町村に配置したところでございます。
この地域コーディネーターを中心として、民生委員・児童委員の皆さん、学校、さらには民間団体、そして行政とがネットワークを構築することで、地域の実情や各家庭のニーズに応じたさまざまな支援策が実施できるように、今後とも、県と市町村とがつくっております子どもの貧困対策推進協議会等を通じまして、相互に連携しながら取り組みを進めていきたいと考えております。
以上です。
45
◯議長(
河西敏郎君)永井学君。
(永井 学君登壇)
46
◯永井 学君 実情はよくわかりました。
今回、私が、子供の貧困対策を質問する動機は、県が多くの主体と連携し、地域実情に応じた取り組みをこれまでにも増して、また、ほかの施策に優先してでも、強力に推進してもらいたいという気持ちがあるからです。
その気持ちをさらに強くしたのは、高知県における子ども食堂に関する取り組みを知ったこと。さらに、先日の会派の視察で当地を訪ね、その取り組みを目の当たりにしたためであります。
地域における子供の貧困対策の推進に当たって、子ども食堂のような、家でも学校でもなく、自分の居場所と言えるような場所を提供する支援が重要視されています。
子ども食堂は、新聞報道によると、全国で二千二百八十六カ所、山梨県でも十二カ所あります。
その先進県である高知県では、まず子ども食堂を立ち上げてみたいという方にコーディネーターをつけて、開設・運営に関する指導などの支援をしています。
また、活動の継続充実のため、運営経費を補助したり、登録制度を創設し、活動の開催状況などの広報もしています。
さらに、自分では立ち上げないが、協力はしたいという県民の皆様方から幅広く寄附を募り、基金に積み上げて補助金の財源としており、充実した支援の仕組みを構築しています。
先日、甲府市にある子ども食堂を訪れ、子供たちと一緒に食事をつくり、食べさせていただきましたが、どの子供に聞いても「大勢で食べる御飯はおいしい」「子ども食堂のある日を楽しみにしている」と話していました。
ひとりじゃない、社会全体から守られていると感じられる子ども食堂は、まさに子供の貧困政策の肝だと私は思います。
本県でも、積極的にこの子ども食堂を支援すべきと考えますが、御所見を伺います。
47
◯議長(
河西敏郎君)福祉保健部長、
小島徹君。
48
◯福祉保健部長(
小島 徹君)ただいまの御質問にお答えをいたします。
子ども食堂の活動は、さまざまなお子さん方に対し、食育や団らん、地域における居場所確保の機会を提供する大変大きな役割を持っていると考えております。
この活動を進める上では、地域住民や教育・福祉の関係者など、さまざまな方の御理解と御協力が必要でありますことから、市町村や社会福祉協議会等を通じて、子ども食堂の周知を図ることに加えまして、先月には、子ども食堂や学習支援に実際に取り組んでいらっしゃる県民や学生の皆様に御参加をいただきまして、子供が安心して過ごせる居場所づくりなどについて意見交換をする場を設けたところでございます。
今後とも、市町村などと連携し、子ども食堂の現状を把握しながら、子供たちに寄り添った支援のあり方を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
49
◯議長(
河西敏郎君)永井学君。
(永井 学君登壇)
50
◯永井 学君 市町村と連携していただくことは非常に重要なんですけれども、この高知県のように、県がぜひ主導して、子ども食堂の普及に努めていただきたいと思います。
最後に、交通政策の充実について伺います。
交通インフラの乏しい本県では、バスを初めとする公共交通の充実が欠かせません。
また、自転車を利用して移動される方も数多くおられる中で、その体制整備も、進めていかなくてはならない課題であると考えます。
そこで、本県の交通政策の充実について幾つか伺います。
まず、自転車の安全利用のための保険加入について伺います。
昨今、自転車と人が衝突し、大けがや死亡につながる事故がふえてきています。
先日の新聞報道で、自転車保険への加入を義務づける条例を制定する動きが、全国で広がっているという記事がありました。全四十七都道府県と二十の政令市中、十二自治体が保険加入を義務づけ、十三自治体が努力義務としています。
昨年、全国では、自転車対歩行者の事故が二千五百五十件発生し、本県においても五件発生しています。
保険加入の義務化は、費用負担を求めることなど課題があることも承知いたしていますが、自転車に関する重大事故の賠償額が高額になっていることを考えると、本県でも、この自転車保険の義務化ないし努力義務についての検討を行ってみてはと考えますが、県の御所見を伺います。
51
◯議長(
河西敏郎君)リニア交通局長、岡雄二君。
52 ◯リニア交通局長(岡 雄二君)ただいまの御質問にお答えいたします。
自転車の事故は、長期的に見ますと減少傾向で推移しておりますが、自転車による重大事故で高額な賠償事例が発生し、被害者への賠償が行われないことなどが社会問題となっておりますことから、損害賠償責任保険への加入は、被害者の救済や加害者の賠償能力の確保の両面から重要でございます。
県では、観光はもとより、通勤通学などの日常生活とか県民の健康増進など、幅広い場面での自転車の活用を図っていくため、現在、自転車活用推進計画の策定を進めておりまして、今後、自転車利用の増加が見込まれますことから、自転車による事故の防止に一層取り組んでいきますとともに、保険加入のあり方についても検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
53
◯議長(
河西敏郎君)永井学君。
(永井 学君登壇)
54
◯永井 学君 自転車ブームで、乗る人がふえている今だからこそ、この推進計画等も踏まえた上で、ぜひ検討していただきたいと思います。
最後に、ユニバーサルデザインタクシーの普及促進について伺います。
公共交通が少ない本県において、バスと同じくらい重要な交通機関であるタクシー。観光客の利用のみならず、日ごろ、高齢者を初め多くの方の足として利用されています。
現在、国ではタクシーの車両を福祉や観光の面から、それらに対応するユニバーサルデザインタクシー、いわゆるUDタクシーの導入を推進し、購入する際の補助を上限六十万円まで行っています。
UDタクシーの価格はおよそ三百二十万円で、コンフォートと呼ばれる車両よりも百二十万円ほど高い。その差額の半分は国が負担をしてくれることになるので、車両更新はしやすくはなっています。
しかし、山梨県内にあるタクシー会社、およそ八十社全てが大きな企業ではありません。そのほとんどが、家族でやっているような小規模な会社です。差額の六十万円の負担も大きくのしかかってきます。
そんな中、全国では都道府県が独自に補助し、UDタクシーの普及促進を図っている県が多くあります。例えば、千葉県・長野県・奈良県では、差額に当たる六十万円を補助。国の補助と合わせて使えば、一般的なコンフォートを買う二百万円で購入することができます。
この補助制度は、主に平成三十二年度の東京オリンピック・パラリンピックに向けたものと聞いておりますので、今この時期を逃すと、新規の車両更新がより一層難しくなり、公共交通の弱体化を招きます。
地域にあるタクシー会社は、バス交通では補完できない部分をカバーする、まさに地域の毛細血管のようなものであり、そのタクシーをなじみに使う高齢者の方々も、たくさんいらっしゃいます。そのようなタクシー会社ほど、小さい会社が多いのです。地域の足となる公共交通を守るために、本県でも独自の補助を検討すべきと考えますが、県の御所見を伺います。
55
◯議長(
河西敏郎君)知事、
後藤斎君。
56
◯知事(
後藤 斎君)ただいまの御質問にお答え申し上げます。
国では、高齢者や障害者等の円滑な移動を促進するとともに、増加する訪日外国人旅行者の利用環境を整備するため、現行のセダン型のタクシーから、ユニバーサルデザインタクシーへの転換を促しているところでございます。
県といたしましても、ユニバーサルデザインタクシーは、高齢者の方々、障害者の方々、子育て世代の方々、また観光客など、誰もが利用しやすい車両であることから、その導入を進めていく必要があると認識しています。
今後、県民はもとより、観光客の皆さん方が利用しやすいタクシー、バリアフリー化を促進しながら、公共交通の利便性を向上させるため、ユニバーサルデザインタクシーの普及について検討してまいりたいと考えております。
以上です。
57
◯議長(
河西敏郎君)永井学君。
(永井 学君登壇)
58
◯永井 学君 先ほども申しましたが、東京オリンピック・パラリンピックまでにたしか二千五百万台という目標だったと思います。県も財政的な部分の支援もぜひ御検討いただきたいと思います。
繰り返しになりますが、本当に地域の足として使われているタクシー会社は、小さな会社が多いのです。この地域の足となる公共交通を守るためにも、県の積極的な施策展開をぜひよろしくお願いしたいと思います。
以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
59
◯議長(
河西敏郎君)これより、永井学君の一般質問に対する関連質問に入ります。
この際申し上げます。関連質問についてはその冒頭に、関連する事項を具体的に
発言願います。
関連質問はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
60
◯議長(
河西敏郎君)関連質問を打ち切ります。
これをもって、永井学君の一般質問を打ち切ります。
暫時休憩いたします。
午後一時三十七分休憩
───────────────────────────────────────
午後一時五十四分再開議
61 ◯副議長(安本美紀君)休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第一及び日程第二の議事を継続いたします。
この際申し上げます。再質問における答弁は、自席において行うことといたします。
発言の通告により、猪股尚彦君に二十分の
発言を許します。猪股尚彦君。
(猪股尚彦君登壇)(拍手)
62 ◯猪股尚彦君 私は、自民党誠心会の猪股尚彦です。自民党誠心会の立場から、今定例会に提出されました案件並びに県政一般について質問させていただきます。
来年の四月三十日で天皇陛下が退位され、翌五月一日には皇太子さまが新天皇に即位されます。
消費税が導入され、ベルリンの壁が崩壊した平成元年から三十年、社会、自然が大きく変わりました。
本県の総人口は平成十三年をピークに減少に転じ、出生数も平成六年をピークに減少傾向が続いています。一方、高齢化は加速し、現在では県民の三人から四人に一人が高齢者となっています。
また、この三十年で災害も頻発し、阪神大震災、東日本大震災、熊本地震、台風被害など、最近では枚挙にいとまがない状態です。
本県においても、平成二十六年の記録的豪雪、先般の台風二十四号における被害は記憶に新しいところであります。
この三十年で、社会構造や家族のあり方が変化し、災害の多発による自然環境の変化も著しい状況であります。
今後の三十年を考えたときに、今まで以上に時代が急速に変化していくと想像できます。
本県としても、今後の多様な課題に対応するには、時代の変化を的確に読み取り、変化に即した対策に迅速に取り組んでいく必要があると考えています。つまりは、時代を読み取る力が重要だということです。
私は、時代の変化を読みつつ、県民の皆様が希望を持てる山梨を目指して、諦めなければ必ず道はある。必ず。の気持ちを胸に挑戦を続けてまいりました。
残された任期におきましても引き続き、地元のため、県民の皆様のため、誠心誠意、全力で取り組んでまいることをお誓いし、以下質問に入ります。
初めに、民有林の適切な管理についてであります。
本県は、県土の八割近くを森林が占める全国有数の森林県であります。
森林は、木材、キノコ等の生産機能だけではなく、山地災害の防止や水源の涵養、地球温暖化の防止、さらには生物多様性の保全など、さまざまな機能を有しております。
こうしたさまざまな機能によって県民の暮らしを支え、恩恵をもたらす、かけがえのない森林を健全な姿で次の世代に引き継ぐためには、着実な森林整備の推進が不可欠であると考えます。
しかしながら、本県森林の五三%を占める民有林においては、木材価格の長期的低迷による林業の採算性の悪化等により、森林所有者の森林・林業への関心や意欲が薄れ、手入れ不足の森林が多く見られるようになってきています。
私の地元甲斐市においても、山に行く機会がほとんどないことから、自分の山の位置や境界がわからなくなったという話や、相続等で森林を所有することになったが、自分では管理できないので、山を放棄したいなどといった声が聞かれます。
こうした状況が続くと、間伐などの森林整備が適切に行われず、利用期を迎えた森林資源が有効に活用できないばかりか、山地災害の防止など、森林の持つ公益的機能の低下も懸念されます。
私は、森林整備を着実に推進するためには、所有者の特定や境界の明確化を行いながら施業地を取りまとめ、効率的に森林整備を行う施業集約化を進めるとともに、所有者による手入れが行き届かず荒廃した森林の整備にも、しっかりと取り組んでいく必要があると考えます。
そこで、こうしたことを踏まえ、民有林が適切に管理されるよう、県ではどのような対策を講じているのか、また、今後どのように取り組んでいくのか、あわせて伺います。
次に、中小企業に対する事業承継に係る取り組みについてであります。
経済産業省が昨年十月に発表した資料によると、これから十年の間に、中小企業・小規模事業者の経営者のうち、二百四十五万人が平均引退年齢である七十歳を超えることとなります。
そのうち、百二十七万人は後継者が未定となっており、このまま十年後を迎えると、六百五十万人の雇用と、二十二兆円のGDPが失われる可能性があると言われています。
中小企業は我が国の全事業者の九九%を占めており、地域社会における雇用の受け皿であるとともに、時代の変化に対応しながら積み重ねてきた独自の技術やノウハウを持ち、経済活動の一翼を担う重要な役割を果たしています。
このため、中小企業をしっかりと次世代に引き継いでいくことが不可欠ですが、事業承継を進めるには、相続税や贈与税といった税負担への対応や、経営課題の把握、承継に備えた体制づくりなど、企業によって異なるさまざまな課題を解決していかなければなりません。
それゆえ、事業承継は、少しでも早く準備を始めることが必要となってきます。
国においても、二〇二〇年までを事業承継の集中実施期間とし、経営者の早期の気づきの促進から後継者とのマッチング、承継の実行などを支援する事業承継五カ年計画を策定しています。
私は、本県においても、このような国の動きに合わせて、事業承継が進んでいくように、しっかりとした体制づくりを行うなど、県を挙げて取り組めるような手だてを講じていくことが必要であると考えます。
そこで、中小企業に対する事業承継に係る県の取り組みについて伺います。
次に、若い世代の技術系人材の育成についてであります。
現在、我が国は人口減少・少子高齢化、社会や経済のグローバル化に加え、AIやIoTなどの目覚ましく進展する技術革新など、かつてない大きな変化に直面しております。
このような中で、県内企業においても、世界と競争していけるよう、これまでになかった最新の技術を取り入れることが必要となってきており、そのためには、新しい技術に柔軟に対応し、企業を成長させる若い世代の人たちを育てることが重要であります。
一方、昨年、県が実施したアンケート調査によると、本県の基幹産業である機械電子関連企業では、必要とする人材を十分に確保できていない企業が約六割、新規学卒者に至っては約七割と、技術系の人材不足の状況が明らかになりました。
また、本年、経済産業省が公表した理工系人材需給状況に関する調査によると、五年後に技術者が最も不足する分野として、機械工学が挙げられています。
私は、山梨に生まれ、育ち、これまで働いてきた、ふるさとのよさをよく知る一人として、山梨で生まれ育った若者には、この地に誇りと愛着を持ち、県内企業で活躍してもらうことが、本県産業の発展につながるものと考えます。
しかし、景気が緩やかに拡大する中で、大学卒業予定者を中心に大手企業志向や都会志向が高まっており、県内の企業が技術系人材を確保できるのか、非常に心配しております。
本県の技術系人材を育成する機関である産業技術短期大学校は、多くの県内出身者が学び、卒業生の九割近くが県内企業に就職しており、本県産業を支える技術者を数多く輩出してきましたが、それでもなお、人材不足は深刻さを増す状況にあります。
このため、人材育成には一層力を入れていく必要がありますが、一朝一夕にできることではないため、将来を見据えながら、継続的かつ着実に進めていくべきと考えます。
そこで、県では、県内企業がさらに成長し、本県産業が持続的に発展していくために、若い世代の技術系人材の育成について、どのように取り組んでいるのか伺います。
次に、台風二十四号を踏まえた都市部の道路・河川の管理についてであります。
今回の台風二十四号は、暴風域を伴った非常に強い勢力のまま本県に接近して、県内で最大瞬間風速四十一・九メートルを記録し、降雨も記録的短時間大雨情報が富士五湖地域で相次いで発表されるなど、県内各地で大雨を観測しました。
これにより、県内においても山間部を中心に、倒木や道路の路肩の崩落、河川の護岸の損傷が発生しました。
近年、大きな台風被害が少なかった本県において、このような災害が起こったことに対し、改めて自然の恐ろしさを痛感するとともに、県民が一刻も早く安全安心に生活できるよう、県には早急な復旧を期待するところであります。
一方、全国の台風被害を見ると、市街地において、広範囲の浸水や街路樹が倒れるなどの被害が多数発生しています。
県内においても、多くの街路樹が整備されており、今後、同様な台風の接近により、倒れる被害が発生した場合、道路利用者を巻き込む重大事故や都市交通機能が失われるような事態に発展することも予想されます。
道路施設の中でも、道路橋やトンネルなどは、法律により定期点検が義務づけられ、県では適切に管理されているとのことですが、私は、町なかに数多く整備された街路樹などについても、道路橋などと同様、道路の安全を確保する上で、適切に管理することが重要だと考えます。
そこで、県では街路樹について、どのように管理しているのか、まず伺います。
また、今回の台風では、甲府市の濁川や笛吹市の平等川などで氾濫注意水位を超えて、氾濫の危険が高まりました。
このような都市部の河川では、その多くが堤防形状をなしていることから、一たび水位の上昇に伴い河川が氾濫した場合は、浸水が広範囲にわたり、甚大な被害となることが容易に想定されます。
加えて、周辺には人口・資産が集中しており、洪水被害から県民の生命・財産を守るため、支障木の伐採や土砂しゅんせつなど、事前の防災対策を実施することが非常に重要であると考えます。
そこで、都市部の県管理河川の支障木の伐採や土砂しゅんせつの取り組み状況について、あわせて伺います。
次に、小瀬スポーツ公園の施設の老朽化対策についてであります。
小瀬スポーツ公園は、県内のスポーツの拠点として、昭和六十一年のかいじ国体に合わせて整備が行われ、県内で最も充実した複合スポーツ施設として、これまでも全国規模の大会が開催されるなど、本県のスポーツ振興に大きく寄与している施設であります。
また、東日本大震災の際には、武道館や体育館が被災者等の一時避難所として開設されるとともに、救援物資の受付場所となり、平成二十六年の豪雪時には、災害派遣された自衛隊の県内における活動拠点として、駐車場や体育館が活用されるなど、災害時における広域避難地・防災活動拠点としても大きな役割を担っています。
さらに、公園内にはさまざまな木々が植えられ、春の桜や秋の紅葉など、四季折々の美しい姿を楽しむことができ、夏には噴水が子供たちの水遊びのメッカとなるなど、県民の憩いの場として、また、県民の日の記念行事などさまざまなイベントの開催会場として、県内外から年間二百万人を超える多くの方々が集まる施設ともなっています。
一方、公園整備から既に三十二年が経過し、公園内のさまざまな施設は老朽化が進んでいますが、多くの人が集まる小瀬スポーツ公園は、今後もスポーツ振興や災害時の拠点として、確実に機能させていく必要があります。
さらに、全国では建物の天井板が落下するなど、施設の老朽化による事故が報告されており、劣化や損傷を未然に防止し、多くの利用者がこれからも安全かつ安心して現在の施設を利用していけることが、とても重要だと考えます。
そこで、近年の厳しい財政状況の中、施設の維持管理について、どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、甲斐市菖蒲沢地区の太陽光発電施設についてであります。
東日本大震災を契機に、再生可能エネルギーの導入を促進するために創設された国の固定価格買取制度により、太陽光発電は全国的に拡大し、本県においても、日照条件のよい中西部を中心に急速に導入が進んでいます。
太陽光発電を中心とする再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、地球温暖化防止の観点からも有効であり、また、災害時にも一定のエネルギー供給が可能であることなどから、今後も導入を進めていく必要性は私も認識しているところです。
しかし、国の発表によると、本年の西日本豪雨や台風二十一号等では、全国四十一カ所の太陽光発電施設において、土砂崩れによるパネル損傷等の被害が発生し、安全対策が大きな課題となっています。
また、台風二十四号では、県が各市町村を通じ調査したところ、三カ所の太陽光発電施設において、パネルが破損する被害があったと報告を受けたところです。
私の地元甲斐市では、現在、菖蒲沢地区において、出力一万八千キロワットの太陽光発電施設設置のための造成工事が行われています。
地域の皆様は、この計画については承知をしているものの、大規模な樹木伐採や造成工事を目の当たりにするにつけ、災害の発生等に不安を感じているところであります。
私は、太陽光発電施設の防災対策を適切に実施することは、再生可能エネルギー発電事業を長期安定的に行う上で、事業者にとって必要であると同時に、地域の安全を守る上で必要不可欠なことであると考えています。
そこで、現在造成中の事業地における工事の進捗状況とともに、のり面保護や排水設備等の安全対策がどのように行われているのか、また、地元の理解を得る手続がどのように行われてきたのか伺います。
なお、当地区では、現在造成中のもの以外にも、複数の太陽光発電の計画があると聞いていますが、県はその状況を把握しているのか、さらに安全対策等についてどのように対応していくのか、あわせて伺います。
最後に、社会情勢の変化に伴う自主防犯ボランティアのあり方についてであります。
昨年、県内における刑法犯の認知件数が戦後最少を記録するなど、犯罪抑止や県民の安全安心の確保という観点で、改善の兆しを感じています。
この背景の一因には、自主防犯ボランティアによる重点的なパトロール等、地域社会が関係機関と一体となった防犯活動を地道に行ってきた成果でもあると考えます。
その一方、少子高齢化の進展により、自主防犯ボランティアの高齢化や新たな担い手不足から、活動の低下も懸念されるところであります。
私も地元甲斐市において、地域の安全は自分たちの手でという観点で、長年、自主防犯活動に携わってまいりましたが、担い手不足は今後の地域安全の確保に深刻な問題であると考えています。
担い手不足の背景には、高齢化のほか、若手世代の防犯活動に対する意識の変化や、各種活動参加への時間等の制約のほか、定年延長などの社会情勢から、担い手不足はますます深刻化するものと危惧しております。
この問題を克服するためには、地域における人と人とのつながり、連帯感を強めていくとともに、時代や社会情勢の変化を踏まえて、活動の束縛や負担が重荷にならない、参加しやすいものに変化させていくことが必要になってきていると強く感じているところであります。
県警察においては、自主防犯ボランティアとの合同パトロールや情報共有など、さまざまな支援や連携がされているところですが、自主防犯ボランティアの現状について、まず伺います。
次に、私が暮らす甲斐市においては、犬の散歩をしながら、子供の登下校時の見守りを行う団体を新たに発足させ、子供の見守り等の活動を開始しています。
県内においては、こういった、散歩をしながら、仕事をしながら誰でも参加できる「ながら見守り」が、ボランティア活動としての負担軽減や、継続させる手段でもあり、こういった活動を広めていくことが大切であると考えます。
また、重層的で息の長い活動を行っていただくためには、これまで以上に企業や団体、学生ボランティアなどの組織に着目した活動も重要であると考えます。
このような情勢を踏まえ、今後の自主防犯ボランティア団体の活性化等について、県警察の御所見を伺います。
以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。
63 ◯副議長(安本美紀君)猪股尚彦君の質疑・質問が終わりました。
これより当局の答弁を求めます。知事、
後藤斎君。
(知事
後藤 斎君登壇)
64
◯知事(
後藤 斎君)猪股議員の御質問にお答え申し上げます。
ただいまは、時代の変化を読み取り、変化に即応して迅速に取り組んでいく必要性についてお触れになりながら、県民の皆さんのため、誠心誠意、全力で取り組まれるとの御決意を示されました。
私も、情勢の変化に即応しながら、県政発展のために全力で取り組んでまいりますので、一層の御支援、御協力をお願い申し上げます。
初めに、民有林の適切な管理についてでございます。
森林の有する水源涵養などの公益的機能の維持増進を図るためには、森林面積の約半分を占めます民有林の適切な管理が不可欠であり、県や市町村は、これをしっかり支援していく必要があると認識しています。
このため、県では、森林環境税を活用し、所有者による手入れが行き届かず、荒廃した民有林の整備を支援しているほか、保有面積が小規模な森林所有者を取りまとめ、一体的かつ効率的に間伐等を行います施業集約を進めるため、森林組合等による所有者の合意形成や、境界明確化などの取り組みに助成をしているところでございます。
また、市町村において、所有者や森林の所在など、集約化に必要な情報を一元的に管理し、森林組合等に提供する林地台帳の整備を進めていることから、県では、台帳のシステム整備への助成や森林情報の提供などにより、市町村を支援しているところでございます。
今後は、こうした取り組みに加え、明年度から始まります市町村が主体となった森林整備の新たな仕組みを支援するとともに、集約化したエリアにおきまして、利用期を迎えた森林資源の活用を積極的に進めることにより、林業の成長産業化を図り、地域の活性化につなげてまいります。
続きまして、若い世代の技術系人材の育成についてでございます。
本県産業がこれからも発展をするためには、将来を担う若い世代の技術系人材の育成は、極めて重要な課題であると考えております。
このため、県では、産業技術短期大学校等におきまして、時代の変化や産業界のニーズに対応したカリキュラムや定員の見直し、インターンシップの実施、指導員の専門技術研修への派遣など、教育内容の充実に努め、県内企業への人材供給力の強化を図っております。
また、本年度、都道府県では全国初めてとなります県独自の就学給付金制度を創設し、産業技術短期大学校等を対象に、経済的に余裕のない世帯における成績優秀な学生の就学を支援しているところでございます。
さらに、平成二十八年度に設置いたしました、ものづくり人材就業支援基金につきましては、本年度から、奨学金返還の支援対象者の範囲を拡大し、理工系大学等の県内就職を促進しているところでございます。
また、甲府工業高等学校の全日制専攻科の設置につきましては、二〇二〇年四月の開設に向け、産業界と連携を図りながら、鋭意、準備を進めているところでございます。
さらに、本年六月に、学識経験者や産業界の代表者などをメンバーといたします山梨の未来を担う人材育成検討委員会を設置し、幅広く御議論をいただいており、本年度末には報告書を取りまとめていただくこととなっております。
今後は、報告書などを踏まえ、AI、IoT等の技術革新やグローバル化の進展などの環境の変化にも柔軟に対応し、本県産業の持続的な発展に貢献できる本県の技術系人材育成機関の充実強化を図ってまいります。
続きまして、台風二十四号を踏まえた都市部の道路・河川の管理についてでございます。
まず、県で管理をいたします街路樹につきましては、都市部の道路を中心に約一万八千本あり、日常のパトロールや定期的に行います枝の剪定時などに、生育状況や安全性を確認し、必要に応じて、専門家による詳細な調査を行い、植えかえなどを実施しているところでございます。
街路樹は、良好な都市景観を保つために必要な道路施設でありますが、一方で、強風による倒木も考えられることから、引き続きパトロールなどにより安全確認を行い、通行に支障を生じさせないよう、しっかりとした維持管理に努めてまいります。
続きまして、河川内の支障木の繁茂や土砂の堆積が著しい約百四十キロメートルのうち、市街地を流下する荒川や相川など、特に緊急を要する約四十キロメートルの区間につきましては、昨年十二月の補正予算により、対策を実施したところでございます。
また、残りの約百キロメートルにつきましては、五カ年集中対策プロジェクトとし、本年度は約二十キロメートルの対策を実施しておりますが、より一層の推進を図るため、明年度実施予定箇所のうち約十キロメートルを前倒しし、次期出水期までの完了を目指して、対応を進めております。
今後も、このプロジェクトを着実に実施するとともに、効率的かつ効果的な河川の維持管理に努め、洪水被害の未然防止に努めてまいります。
以上をもって、私の答弁といたします。その他につきましては、担当の部長等からお答え申し上げます。
65 ◯副議長(安本美紀君)エネルギー局長、
市川美季さん。
(エネルギー局長
市川美季君登壇)
66 ◯エネルギー局長(
市川美季君)猪股議員の甲斐市菖蒲沢地区の太陽光発電施設についての御質問にお答えいたします。
同地区で造成工事が行われている太陽光発電施設につきましては、事業者から提出された土砂災害や水害に対する安全対策などを、森林法に基づく林地開発許可制度の基準により審査した上で、平成二十九年十一月に開発を許可し、事業が開始されたところでございます。
県では、事業計画を把握した時点から、甲斐市と協力しながら、事業者に対し、安全対策等に係る関係法令の遵守や、住民への説明などについて指導してきたところでございます。
その結果、事業者は、これまで五回の住民説明会を実施するとともに、地元の要望を受け、林地開発許可制度の基準を上回る処理能力の排水施設を整備する意向を示すなど、地域に配慮した対応をしていることから、太陽光発電施設の設置には、地元において一定の理解が得られているものと認識しております。
工事につきましては、造成工事の終了後、発電設備の設置工事に移り、二〇二〇年の夏ごろには完了するものと承知しております。
また、同地区において、複数の太陽光発電事業が計画されていることは把握しておりまして、県といたしましては、引き続き、事業計画の進捗を注視し、太陽光発電施設の適正導入ガイドラインに基づき、関係法令の遵守、安全対策の徹底や、地元との合意形成について、市と緊密に連携しながら、事業者を指導してまいります。
以上でございます。
67 ◯副議長(安本美紀君)産業労働部長、佐野宏君。
(産業労働部長 佐野 宏君登壇)
68 ◯産業労働部長(佐野 宏君)猪股議員の中小企業に対する事業承継に係る取り組みについての御質問にお答えいたします。
中小企業が九九%を占める本県にあって、経営者の高齢化が進展する中、事業承継は、本県経済の持続的発展を図る上で、喫緊の課題でございます。
課題の解決におきましては、早期に経営者が事業承継の必要性を認識するとともに、経営者をサポートしていく商工団体や金融機関などの支援機関が、連携して取り組むことが必要でございます。
このため、県では、関東経済産業局や甲府財務事務所、中小企業基盤整備機構など国の機関を初め、商工団体や金融機関、弁護士や税理士など、事業承継にかかわる機関・団体からなります山梨県事業承継ネットワーク会議を本年七月に立ち上げ、これまでに二回の会議を開催したところでございます。
十一月に開催しました会議では、後継者の未定や不在といったケースごとの課題に対する各機関の対応状況や、他県の取り組み状況、事業承継に関する優遇税制など、幅広く情報共有を図ったところでございます。
あわせて、経営者が事業承継に取り組むきっかけとなる準備状況を判定する事業承継診断の重要性につきまして、意見交換を行い、各機関は経営者への意識啓発の必要性を改めて認識したところでございます。
県といたしましては、今後も事業承継ネットワーク会議の活動を一層活性化させ、課題等の共有を図りながら、各機関の役割に応じた経営者への積極的なサポートを通して、本県の中小企業における事業承継を進めてまいります。
以上でございます。
69 ◯副議長(安本美紀君)県土整備部長、垣下禎裕君。
(県土整備部長、垣下禎裕君登壇)
70 ◯県土整備部長(垣下禎裕君)猪股議員の小瀬スポーツ公園の施設の老朽化対策についての御質問にお答えいたします。
小瀬スポーツ公園におきましては、施設の劣化や損傷に対して早い段階から対応することで、長期間にわたりまして県民の皆様方に御利用していただけるよう、平成二十六年度に公園施設長寿命化計画を策定いたしました。
この計画のもと、定期的な点検により施設の状況を把握しながら、昨年度までに野球場の外壁及びスタンドの補修工事などを行い、現在は陸上競技場の外壁や体育館の床の補修工事などを着実に進めているところでございます。
また、大規模地震等の発生時には、速やかに施設の緊急点検を行う等、安全管理にも努めるとともに、引き続き、限られた予算の中でコスト縮減に努め、小瀬スポーツ公園が持ちますさまざまな拠点機能が、長期にわたり確実に発揮できるよう、計画的な維持管理に取り組んでまいります。
以上でございます。
71 ◯副議長(安本美紀君)警察本部長、原幸太郎君。
(警察本部長 原 幸太郎君登壇)
72 ◯警察本部長(原 幸太郎君)猪股議員の社会情勢の変化に伴う自主防犯ボランティアのあり方についての御質問にお答えいたします。
県内における自主防犯ボランティア団体は現在、三百三十団体あり、約二万三千名の方々に御協力をいただいております。
これらの方々には、地域における犯罪を抑止するため、主に小学校周辺での登下校の見守り活動や、青色防犯パトロールカーによる巡回などを行っていただいており、学校関係者や保護者からも、安全安心な地域社会の実現に大きく貢献していただいているとの声が寄せられております。
一方で、長きにわたり、自主防犯ボランティア団体の活動を支えてこられた方々の高齢化や、新たな担い手不足が深刻化し、活動の継続が困難となりつつある団体もあることを承知しています。
このため、ボランティアの皆様の負担の軽減につながり、世代や性別を問わず、さまざまな方が持続的に参加できる「ながら見守り、ながら活動」を、自主防犯ボランティア団体のほか、社会貢献活動を行っている企業等に対しても推奨しております。
また、自治体、関係機関等と連携しながら、ボランティア活動に必要な援助、合同パトロール及び情報提供などを通じた支援に努めるとともに、各企業・団体、学生等に働きかけ、自主防犯活動等に対する関心を高め、新たな活動主体を生み出すなど、自主防犯ボランティア団体の活性化に向けて取り組んでいるところでございます。
以上でございます。
73 ◯副議長(安本美紀君)当局の答弁が終わりました。
猪股尚彦君に申し上げます。残り時間がありません。
これより、猪股尚彦君の一般質問に対する関連質問に入ります。
関連質問はありませんか。桜本広樹君。
74 ◯桜本広樹君 台風二十四号を踏まえた都市部の道路・河川の管理について、関連質問させていただきます。
計画的に土砂のしゅんせつというようなことを答弁されましたが、ここで大事なのは、そのしゅんせつされた土砂の、公共事業に使えるものは周辺の公共事業で計画的に使えるという部分はあるんですが、それ以外の例えば草が混じったもの、あるいは泥状のもの、そういったものの管理、あるいは処理といったものを計画的な処理施設、あるいは置き場というものも管理しておかなければならない。そうしたものが進まなければ、計画的にしゅんせつというものができないと思うんですが、そういった一時置き場、あるいは処理の仕方についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
75 ◯副議長(安本美紀君)県土整備部長、垣下禎裕君。
76 ◯県土整備部長(垣下禎裕君)ただいまの桜本議員の土砂しゅんせつに伴いますその管理、処分の方法についての関連質問にお答えをさせていただきます。
議員御指摘のように、河川からしゅんせつしました土砂につきましては、さまざまな性状のものが含まれていることから、建設工事に利用できるもの等から、物によっては産業廃棄物として処理しなければいけないものまで、多様なものが含まれていると承知しているところでございます。
そうした中で、計画的にしゅんせつを進めていくために、まさに議員御指摘のとおり、しゅんせつから、それこそ仮置き、輸送、最終的な処分まで一貫したことも、しっかり計画を立てていくことが必要でございます。
そのため、県では、まずは仮置きが非常に重要な事業実施に当たっての大きなポイントとなることから、地元の方とも綿密に協議を行いながら、まずはしゅんせつした土砂を仮置きする場所の確保も、鋭意進めているところでございます。
またあわせて、再利用できるような性状の土砂につきましては、例えばそうした業者の方に引き取っていただくなど、さまざまな手法についても、同時並行に協議をしながら進めているところでございます。
以上でございます。
77 ◯副議長(安本美紀君)ほかに関連質問はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
78 ◯副議長(安本美紀君)関連質問を打ち切ります。
これをもって、猪股尚彦君の一般質問を打ち切ります。
暫時休憩いたします。
午後二時三十四分休憩
───────────────────────────────────────
午後二時四十九分再開議
79
◯議長(
河西敏郎君)休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第一及び日程第二の議事を継続いたします。
発言の通告により、渡辺淳也君に二十分の
発言を許します。渡辺淳也君。
(渡辺淳也君登壇)(拍手)
80 ◯渡辺淳也君 私は、自民党誠心会の立場から、今定例会に提出されました案件並びに県政一般について質問させていただきます。
私の一般質問も今回で八回目となり、一期目の任期の最後の質問となりました。
このような貴重な機会を数多く得られましたことに、後押しをしてくださいました多くの方々へ改めて心から感謝申し上げます。
初当選させていただいた日から今日まで、定例会での質問や委員会での質疑を初めとする議員活動を通じて、山梨県や地元の富士北麓地域のさまざまな課題に若手議員として積極的に取り組んでまいりました。
残りの任期も半年未満となりましたが、今後も初心を忘れず、山梨県の発展と県民生活の向上のため、全力で取り組んでいくことをお誓い申し上げ、以下、質問に入ります。
初めに、世界遺産富士山の保全について、お伺いします。
富士山は、ことしで世界遺産登録から五年の節目を迎えました。
富士山の世界遺産登録に際して、ユネスコなどから提示されたさまざまな課題の解決に向け作成した保全状況報告書は、第四十回ユネスコ世界遺産委員会で審査され、他の地域の模範となるとして、高く評価されました。
中でも、報告書に記載した富士山ヴィジョンでは、火山と共生し、日本を代表する観光地として利用されてきた歴史を踏まえ、人間と富士山との持続可能で良好な関係を築くことを理念に掲げており、保全の大きな方向性としてはすばらしいものだと思います。
私も、本会議の場で、富士山保全協力金の使途や協力率の向上、登山者のコントロール、世界遺産センターの運営のあり方などについて、繰り返し県の御所見をお伺いし、工夫や改善をしていただいたところであります。
こうした取り組みの進捗状況については、二回目の保全状況報告書として取りまとめ、先月、日本国政府からユネスコ世界遺産センターに提出されたと承知しております。
富士山ヴィジョンの実現に向けては、富士山保全協力金制度の導入や巡礼路の特定に関する調査研究、富士山景観配慮条例などのように大きく前進した施策もある一方で、登山などでの偏った利用の改善や、マナー啓発による適正な利用促進など、道半ばで残された課題もあろうかと思います。
富士山の価値や魅力を大切に守り育みながら、その恩恵を適切に活用し、地域全体が発展していけるよう、多岐にわたる保全の取り組みを着実に実行していただきたいと考えますが、残された課題に対し、県では、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。
次に、私立高校に対する支援についてお伺いします。
我が国は今、深刻な人口減少問題に直面していることは言うまでもありません。このような中、高校教育も、少子化に伴いまして、全国的にさまざまな改革を迫られております。
本県におきましても、新たな教育プログラムや公立高校の統廃合など、さまざまな施策が検討、実施されていることは承知しております。
一方、私立高校は、公立高校と異なり、生徒からの授業料を基礎とし、そこに各種補助・助成を受けながら経営を行っておりますので、生徒数の減少は、直接的に経営の基盤を揺るがすこととなり、結果として、地域に期待されている教育的成果を上げられない事態を招きかねないと考えます。
また、教育の多様化、大学進学率の向上の中、よりきめ細かい教育を行うためには、以前より多くの教員を採用しなければならず、さらに厳しい経営を迫られているのが現状であります。
もっとも、私立高校においても、独自の教育改革により特色を出し、中学生に選ばれる高校となるべく継続的な努力を行う必要があり、難関大学合格を目指した進学コースの設置や、部活動を充実させることによるスポーツの振興など、各校とも数多くの努力を行っております。
しかし、本県における中学生数減少率は全国平均を大きく上回っており、私立高校の自助努力のみで将来的な経営の安定化を図ることには、限界があります。
また、私の住む富士北麓地域は、私立高校が一校しかなく、仮にこのまま生徒数の減少が進み、経営が維持できなくなった場合、御坂山地を越えて国中地域に通学することの時間的、精神的、経済的な負担などを考えると、子供たちが私立高校へ進学するという
選択肢を奪ってしまうことになりかねません。
さらに、大切な県内中学生が、高校進学時に静岡県などの他県に流出するといったおそれもあります。
このような事態になると、地元の公立高校と私立高校が、高校教育のさらなる充実を目指し、互いに競い合い、地域の教育の質を向上させるといったことができず、将来の山梨県を担う人材を育成することに大きな支障が生じると考えます。
そこで、本県における私立高校に対する支援について、県の御所見をお伺いします。
次に、幼児期における自然体験活動の推進についてお伺いします。
近年、都市化や少子化、地域とのつながりの希薄化、さらにはスマホやゲーム機の普及といった社会の変化により、子供たちの自然体験の機会が少なくなってきております。
こうした中、子供たちの健やかな成長に向けて、幼児期における自然体験活動を積極的に推進することが、子供の体力づくりはもちろん、社会性や自己肯定感の形成などに大変有効であるとして、その必要性が提唱されており、本年四月に十年ぶりに改定された国の保育所保育指針や幼稚園教育要領においても、自然体験活動の重要性が盛り込まれております。
また、昨年十月に議員提案により制定された、やまなし子ども・子育て支援条例においても、県が豊かな自然環境を生かしながら、子供たちに自然と触れ合う機会を提供するために必要な施策を推進することが明記されております。
特に、本県は、富士山、南アルプスを初めとする日本有数の山々だけでなく、身近なところに里山や田畑、公園が多くあり、水と緑にあふれる豊かな自然環境を有しております。
こうした環境の中で、保育や幼児教育が展開されることで、子供たちが、自然の美しさや生物の大切さに気づいたり、仲間と助け合う体験等を通じて、他者を思いやる心を育むことができるのではないかと考えます。
しかし、現時点においては、積極的に自然体験活動に取り組んでいる保育所等はまだまだ少なく、そのすばらしさなどについて、多くの方々に周知を図ることが必要ではないかと私は感じます。
また、こうした活動を一層推進するためには、保育所等の積極的な取り組みが欠かせませんが、安全に活動を行うためのノウハウの習得や、保育士を指導する人材の育成も必要であると考えます。
やまなし子ども・子育て支援条例の前文にもあるとおり、未来を担う子供たちが、夢や希望を持って健やかに成長していくことは、県民全ての願いであり、そのために自然体験活動を一層推進していく必要があります。
そこで、自然体験活動を推進する上での課題をどのように捉え、県として今後どのように推進していくのか、御所見をお伺いします。
次に、富士・東部地域における回復期病床の整備についてお伺いします。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、団塊の世代が全て七十五歳以上の後期高齢者となる二〇二五年の我が国は、三人に一人が六十五歳以上、五人に一人が七十五歳以上となる見込みで、本県は、こうした全国の動きよりも先んじて高齢化が進行しているとされています。
このように高齢化が進行する中、県では、平成二十八年五月に二〇二五年における医療機能別の必要病床数等を示した地域医療構想を策定しました。
本県においては、特に急性期を経過した患者に対し、在宅復帰に向けた医療やリハビリを提供する回復期病床をふやすことが求められており、私の地元である富士・東部地域では、二百五十九床の回復期病床が必要になると示されております。
ところが、医療機関が病棟ごとの医療機能を報告する病床機能報告では、報告制度が始まった平成二十六年当時、富士・東部地域の回復期病床は、県内で唯一、ゼロという結果でありました。
私は、このままでは将来的な医療需要に対応できない状況が来るのではないかと思い、富士・東部地域の回復期病床の充実に向けた県の取り組みについて、平成二十七年十二
月定例会で質問したところであります。
知事からは、回復期病床の充実に取り組む病院に対し、リハビリ機器の整備などを支援する新たな補助制度を創設し、回復期病床への転換を積極的に支援していくと御答弁をいただきました。
回復期病床の整備に向けては、一時的な施設整備に対する支援だけではなく、その後の運営等に大きく影響する診療報酬による対応も必要なことから、国においても、この春の診療報酬改定において入院料等を見直し、回復期病床への転換を促しているところであります。
そこで、地域医療構想が策定されてから、二年半が経過したところでありますが、県ではこれまで、回復期病床の整備に向け、どのような取り組みを行い、その成果は、富士・東部地域において、どのようにあらわれているのか、あわせてお伺いします。
次に、若年層の県内企業へのU・Iターン就職に向けた取り組みについて、お伺いします。
地元の方と話をしていると、大学を卒業して東京圏の企業に就職した子供に戻ってきてもらいたいが、子供がUターン就職を希望しても、県内には就職したい企業が見つからないといった声をよく耳にします。
一方、地元の企業からは、ハローワークにずっと求人を出しているが、二十代、三十代の従業員がなかなか集まらないといった声も聞いております。
就職情報会社の調査によると、地元以外に進学した来年卒業予定の大学生が、出身都道府県にUターン就職を希望する割合は、全国平均で三三・八%であり、本県出身の学生については三七・八%で、四ポイント高くなってはいます。
しかし、学生に優位な売り手市場の中、都市部と地方との賃金格差、大手企業への就職希望などから、東京圏への若年層の流出が続いていることがうかがえます。
一方、別の調査では、就職した大学生のうち、三年以内に離職した割合は、三年前の卒業生で三一・八%であり、三人に一人は三年以内に離職しております。
離職に至る原因はさまざまであり、キャリアアップを図るためといった理由もあるとは思いますが、労働条件や人間関係、仕事の内容が合わないといった理由で離職した方もおり、中にはU・Iターンを希望する方も相当数いるのではないかと考えております。
私は、このような若年層を県内企業への就職に結びつけていくことも、県内企業の人材確保につながるのではないかと考えます。
そこで、県では、東京圏に在住している新規大学等卒業予定者や第二新卒などのU・Iターン希望者を県内企業への就職に結びつけるために、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。
次に、織物産業の振興についてお伺いします。
本年十月、富士吉田市西裏地域において、ハタオリマチ・フェスティバル二〇一八が開催され、市民のほか遠方から訪れた方々など約一万人が来場しました。
この通称ハタフェスでは、地域の産業である織物を核として、中心街の随所で、さまざまな展示や販売、トークショーなどの企画が行われました。
私には、このイベントにより、織物企業が、地元の商店や住んでいる人たちと一緒に、にぎわいを見せていたまちの姿を再現しているように思え、産業も地域も、ともに活性化し、発展していくことができる可能性を感じたところであります。
また、東京造形大学と連携したフジヤマ・テキスタイルプロジェクトによるハタオリ大学展では、学生が地元に就職した卒業生とともに運営しており、地場産業をきっかけに、移住定住への扉も開かれるのではないかという期待も感じました。
郡内地域といえば、かつて、甲斐絹の産地として一時代を築きましたが、時代の変遷とともに、絹織物の衰退や国外への工場移転が進み、機織りの会社も激減しました。
しかし、富士吉田市では、来年二月にパリで開催されるジャポニスム二〇一八において、日本の魅力の一つとして織物のまちの情報発信を行うなど、織物のまちづくりを通して、産業もまちも元気を取り戻しつつあります。
私は、このような復活の兆しを大切に育てていかなければならないと考えております。
本県の織物産業は、小規模企業が多く、依然として下請中心の業態でありますが、地域とともにさらなる高みを目指すためには、産地企業が技術力や品質を向上させながら、競争力のある新しい製品を生み出していくことが重要であります。
そのためには、行政も産地の取り組みをしっかりと支えていくことが、地方創生の観点からも必要なことであると思いますが、県では、織物産業の振興を図るため、どのように支援していくのか御所見をお伺いします。
次に、登山の安全の確保に関する条例の推進についてお伺いします。
県警本部で取りまとめた十月末現在の平成三十年の山岳遭難件数は百二十九件、遭難者数は百五十八人であり、遭難件数は昨年と比べて減少しているとはいえ、遭難者数は増加しており、取り組みの強化が必要であると考えております。
昨年制定された山梨県登山の安全の確保に関する条例では、登山者の責務として、登山が本来危険な活動であることを認識し、自己責任による十分な事前準備を行い、安全に登山するために登山計画を作成することとしております。
そして、登山の安全の確保を推進することが必要な安全登山推進区域に登山する際は、登山計画の届け出を努力義務とし、本年十月から実施されていると承知しております。
しかし、この登山計画の届け出の努力義務化について、登山届を提出した登山者であっても、知らなかったという人が多いという報道もなされております。
登山計画の届け出の努力義務化を開始されたばかりで、その周知には時間を要するものであることは承知しておりますが、こうした状況に鑑み、さらなる制度周知の強化が必要であると考えます。
そこで、登山計画の届け出の努力義務化の周知強化の取り組みについて、まずお伺いします。
また、本条例では、来年度から、特に危険な安全登山推進重点区域に
厳冬期に登山する際は、登山計画の届け出を義務とすることで、登山計画作成の必要性を強く認識してもらい、細心の注意に基づく入念な登山計画の作成を促すこととしております。
登山計画の届け出が義務化される安全登山推進重点区域への登山においては、届け出された登山計画の事前確認や、県や警察、地元市町村、山岳関係団体による登山口での指導といった登山の安全の確保策が検討されていると伺っております。
私は、入念な登山計画の作成を徹底し、自己責任による安全な登山への意識啓発を図るとともに、登山者の安全性向上に寄与する体制が構築され、多くの登山者が、より周到に、より安全に登山する環境が整備されることを期待するものであります。
そこで、来年度の登山計画の届け出の義務化に向けて、どのような対策をとられるのか、あわせてお伺いします。
最後に、新たな御坂トンネルの早期整備についてお伺いします。
現在、富士北麓地域と静岡県を結ぶルートでは、東富士五湖道路とつながる国道百三十八号の須走道路、御殿場バイパスの整備が進んでおり、これが新東名高速道路と連結することにより、京浜方面や東海方面への連携強化が図られようとしております。
一方、私の地元の富士吉田市と国中地域を結ぶ最も重要な路線である国道百三十七号、御坂みちも、上黒駒バイパスや河口バイパス、新倉河口湖トンネル等の整備が進み、以前に比べ、両地域間相互のアクセスが格段に向上しました。
しかし、現在の新御坂トンネルは完成から約五十年が経過し、老朽化により維持管理に多額の費用を要することに加え、トンネルの前後は急なカーブが多数あり、道路の勾配もきついため、大型トラックが走りにくく、冬期のスリップ事故もたびたび発生するなど、ドライバーにとって大きなストレスになっております。
これを解消するため、現在の新御坂トンネルより標高の低い場所に新たなトンネルを掘るという計画の早期実現が望まれております。
この新たなトンネルの整備は、大規模災害発生時における富士北麓地域の住民の避難路としての機能を向上させ、より安全でスムーズな避難を可能にさせるだけでなく、リニア中央新幹線の整備効果を富士北麓地域へ広く浸透させるために必要不可欠であるといえ、物流の効率化や産業の発展により、富士北麓地域と国中地域の連携が強化され、相互の経済発展が大きく進むものと考えます。
また、新東名と富士北麓地域を結ぶ道路整備も進み、富士北麓地域に数多く訪れている観光客を、静岡方面ではなく、国中地域に誘客し、県内周遊観光を促進するためにも、その必要性や整備効果は極めて高いと言えます。
さらに、この新たな御坂トンネルの実現については、今まで数多くの先輩議員も提言している上に、地元の市町村長や経済団体等も再三にわたり要望していることから、計画実現に向けての機運は日に日に高まっており、富士北麓住民の総意として、一日も早い具体的な計画の策定が待ち望まれております。
そこで、新たな御坂トンネルの早期整備について、県の御所見をお伺いします。
以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
81
◯議長(
河西敏郎君)渡辺淳也君の質疑・質問が終わりました。
これより当局の答弁を求めます。知事、
後藤斎君。
(知事
後藤 斎君登壇)
82
◯知事(
後藤 斎君)渡辺議員の御質問にお答え申し上げます。
ただいまは、御自身の議員活動を振り返りながら、初心を忘れることなく、山梨の発展と県民生活の向上のため、今後も御尽力をいただけるとの力強いお言葉を賜りました。
私自身も、本県のさらなる発展と県民生活の向上のため、全力で取り組んでまいりますので、一層の御支援、御協力をお願い申し上げます。
初めに、世界遺産富士山の保全についてであります。
世界遺産富士山の保全に向けましては、全体構想としての富士山ヴィジョンや各種戦略を策定した上で、登山者による混雑を緩和するための目標設定などの対策、世界遺産センターや五合目展望園地の整備などに取り組んでまいったところでございます。
今後は、年間四日から五日程度、御来光前の数時間に限って発生している著しい混雑を抑制するため、より一層、きめ細かな情報提供を行うとともに、増加する外国人登山者の意識や行動を把握し、効果的な情報提供や登山マナーの啓発を積極的に行うなど、保全状況報告書の内容に沿った対策を実施し、残された課題にしっかりと対応してまいります。
さらに、富士山の環境保全や安全対策に資する協力金制度を見直し、使い道をこれまで以上にわかりやすくお示しするとともに、富士山の一体的な景観の維持向上のための景観配慮条例の適切な運用や、富士山の価値に関する理解を深めるための普及啓発などを積極的かつ着実に進めてまいります。
今後とも、地元関係者を初め、国や静岡県、学識経験者などとともに、丁寧な議論や調査を重ね、富士山の抱える課題解決に全力で取り組むことにより、世界が認めた富士山の価値を後世にしっかりと継承してまいります。
次に、私立高校に対する支援についてであります。
公教育の一環を担う私立高校は、多様な教育の機会を確保し、地域の教育の質を向上させるためにも、重要な存在だと認識しております。
このため、県では、授業料減免補助金や外国語指導助手の派遣など、さまざまな施策を展開しておりますが、特に教育条件の維持向上や経営の安定化を図ることを目的とし、各校に助成を行う運営費補助金につきましては、本年度の補助単価の引き上げ幅を過去十五年間で最大としたところでございます。
助成に際しては、学生数や教職員の数など、学校の規模に応じた算定を基礎とし、個別指導など、きめ細かな学習指導の推進や、すぐれたスポーツ・文化活動など、各校が特色のある取り組みを行った場合に加算をするなど、適切に評価しているところでございます。
さらに昨年度から、経営の改善に向けた計画を策定し、実施した場合には、経営の安定化につながる前向きな取り組みとして評価し、助成の上乗せを行っているところでございます。
今後も、こうした助成などを通じて、私立高校が建学の精神に基づき、特色ある教育を進め、地域に多様な教育の機会が確保され、さらなる充実が図られるよう、私立高校の支援に努めてまいります。
次に、富士・東部地域における回復期病床の整備についてでございます。
高齢化の進展に対応しながら、住みなれた地域で適切な医療を提供していくためには、地域に不足する回復期病床を着実にふやしていくことが必要であると考えております。
このため、地域医療介護総合確保基金を活用した新たな支援制度を創設し、病床転換の検討を行う病院に対しては、経営コンサルタントによる経営シミュレーションの実施や、回復期病床への転換に必要となる設備整備などへ助成を行ってきたところでございます。
また、二次医療圏ごとに全ての病院が参加する地域医療構想調整会議を設置し、各病院の今後の病床転換等の方針について、地域全体で情報を共有するとともに、県が創設いたしました支援制度の積極的な活用を呼びかけてきたところでございます。
こうした取り組みにより、富士・東部地域でも病床転換が進み、この地域の回復期病床数は、二〇一四年の病床機能報告では、県内で唯一、ゼロであったものが、昨年二〇一七年の報告では百七十四床となり、二〇二五年における必要病床数の二百五十九床に向け、着実に増加しているところでございます。
今後も、病床転換への取り組みを積極的に支援し、住みなれた地域で適切な医療が受けられるよう、回復期病床の整備に積極的に取り組んでまいります。
最後に、新たな御坂トンネルの早期整備についてでございます。
国中地域と富士北麓地域を結ぶ国道百三十七号は、広域的な道路ネットワークを形成し、安定的な人流・物流の確保や、リニア開業効果の波及にも重要な役割を担う路線であると認識しております。
しかし、本路線の新御坂トンネルは、老朽化の進行や、近年、大型化しているトラックへの対応、さらにはトンネル前後のヘアピンカーブなど、改善すべき課題があることから、新たなトンネル整備に向け、これまで水源や周辺環境への影響などの調査を進めてきたところでございます。
今後は、ことし新たに創設された重要物流道路の指定を目指すとともに、整備が完了しております河口湖側の新西川橋付近から、笛吹市藤野木地区までの区間を中心に、明年度には具体的な規模やルート案をお示しできるよう、検討を進めてまいります。
以上をもって、私の答弁といたします。その他につきましては、担当の部長からお答え申し上げます。
83
◯議長(
河西敏郎君)福祉保健部長、
小島徹君。
(福祉保健部長
小島 徹君登壇)
84
◯福祉保健部長(
小島 徹君)渡辺議員の幼児期における自然体験活動の推進についての御質問にお答えをいたします。
幼児期におきまして身近な自然を知り、これに親しむ自然体験は、豊かな感性と社会を生き抜く力が身につくことなどにもつながり、その後の健やかな成長にとって非常に大切でございます。
このため、県では、昨年十二月に県内の保育所等を対象として、自然体験活動の現状を調査いたしましたが、既に九割の施設で活動しており、このうち四割が、もっと取り組みたいと回答された一方で、実施に当たっての不安の声も多く、安全性の確保や保護者の理解の促進、職員のノウハウの習得などの課題が明らかになりました。
こうしたことから、本年度は、有識者を初め、保育・教育関係者や自然体験活動の実践者、保護者の方々などによる検討会を設置し、自然を活用して安全に取り組むことのできる活動プログラムの作成に向け、具体的な中身について検討を進めております。
プログラムでは、安全対策の方法や、効果的な活動を行う上での留意点などを掲載するとともに、自然体験活動に取り組んでいる保育所等の先進的な事例を紹介することとしておりまして、プログラムの作成後は、その活用を広く促し、県内全ての保育所等が積極的に自然体験活動に取り組んでいただけるよう努めてまいります。
さらに、市町村や保育所等と連携する中で、保護者の方々の理解の促進や、自然体験活動にかかわる保育士等の人材育成につきましても検討を進めるなど、自然体験活動の一層の推進を図りたいと考えております。
以上でございます。
85
◯議長(
河西敏郎君)産業労働部長、佐野宏君。
(産業労働部長 佐野 宏君登壇)
86 ◯産業労働部長(佐野 宏君)渡辺議員の御質問にお答えいたします。
まず、若年層の県内企業へのU・Iターン就職に向けた取り組みについてでございます。
本県産業の人材確保において、U・Iターン就職の促進は不可欠でありますが、東京圏の多くの若者に就職先として選ばれないことは、県内企業が余り知られていないことに原因があると考えております。
このため、県では、企業の特徴や経営者の思い、先輩社員の声など、学生の興味を引く内容を発信する情報サイトの運営や、企業の仕事内容や雰囲気に触れることができるインターンシップの推進、複数の企業から直接話が聞ける合同就職面接会の開催など、県外の大学生等が県内企業を知る機会を提供しております。
さらに、東京有楽町のやまなし暮らし支援センターにおける個別相談や、山梨で生き生きと働く若者の姿を紹介した冊子の配付などを通して、移住希望者や大学生等に対して、本県で働くことや暮らすことの魅力を発信しております。
また、県内企業の就職情報の提供体制を拡充するため、本年九月には、これまでの十九校に加えて、本県の出身学生が数多く在籍している首都圏の大学など十校と、新たに協定を締結したところでございます。
加えて、本年度から、訴求力の高い民間転職サイトに、県内企業の求人情報を一括して掲載することにより、第二新卒を初めとした二十代、三十代の若年層に県内企業の魅力を発信することで、本県への就職を強くアピールしております。
今後も、こうした取り組みを通して、東京圏の本県出身の学生や、地元企業への再就職を希望している第二新卒などの若年層に、企業情報や本県の魅力をしっかりと伝え、一人でも多くの若者が県内企業へ就職するよう取り組んでまいります。
次に、織物産業の振興についてであります。
富士北麓・東部地域には、長い歴史と伝統に育まれた織物作業があり、この本県を代表する地場産業を未来につないでいくことが重要であります。
このため、県では、ミラノで開催される世界的な展示会への産地組合による出展を支援してきており、郡内織物の高度な技術が、著名ブランドに認められ、産地の知名度も高まりつつあります。
また、国内においても、地元企業とのマッチングや地域の魅力をPRするための産地バスツアーの実施により、若手デザイナーなどとの新たな製品企画や受注の増加に結びつき、産地としての評価も向上してきております。
さらに、本年五月に富士技術支援センターでは、山梨大学と共同開発した特許技術により、これまで再現できなかった自然のこもれびを表現したオリジナル傘を発表し、消費者の大きな注目を集めたところでございます。
センターでは、このような新しい技術を活用した製品化を、それぞれの企業が行うことができるよう、技術支援ソフトの開発を進めているほか、本年四月に開所した研究開発支援棟においても、織物の高品質化のための技術指導等を強化し、付加価値の高い新製品開発を支援しているところであります。
県では、こうした取り組みに加え、国内外への新たな市場開拓など、産地の意欲的な事業を支援することで、織物産業のさらなる振興を図り、産地の活性化につなげてまいりたいと考えております。
以上でございます。
87
◯議長(
河西敏郎君)観光部長、弦間正仁君。
(観光部長 弦間正仁君登壇)
88 ◯観光部長(弦間正仁君)渡辺議員の登山の安全の確保に関する条例の推進についての御質問にお答えいたします。
努力義務化を知らなかった人の多くが、県外からの登山者であることを踏まえまして、県外の登山用品店へのチラシの配布や、登山情報サイト「コンパス」等への情報掲載を行うとともに、登山計画の作成を促す看板や登山ポストを増設するなど、継続的な周知を行い、強化を図っております。
また、明年度の義務化に向けましては、安全な登山の推進や遭難事故防止を図るため、地元自治体、山岳関係団体、県警察等と協力して、登山口において、登山計画や装備品などをチェックする指導・勧告体制を構築することとし、実施日時・場所等について協議を重ね、過日、覚書を締結したところでございます。
今後とも、関係団体や関係機関と連携しながら、義務化施行の周知方法等について検討を深め、登山者の安全意識の一層の高揚を図ることを通じて、登山の安全の確保に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
89
◯議長(
河西敏郎君)当局の答弁が終わりました。
渡辺淳也君に申し上げます。残り時間がありません。
これより、渡辺淳也君の一般質問に対する関連質問に入ります。
関連質問はありませんか。桜本広樹君。
90 ◯桜本広樹君 若年層の県内企業へのU・Iターン就職に向けた取り組みについて、質問させていただきます。
少子化対策の中でも、提言書の中で、若者の県内就職の大事なところは、山梨における産業構造の見直しということを強く訴えているところであります。
県外から、あるいは県外の働く場所の、若者たちの就職先の希望というのは、第三次産業、サービス業が特に目的、目標となっているところであります。
工場は海外に移転しながら、なかなか工場の誘致をしながら就職先をと、あるいは、今ある企業のところに若年層といっても、難しさがあります。
やはり根本は第三次産業、サービス業をどのようにふやしていくか。特に観光業における山梨の優位さとか、あるいは農業生産法人といっても、一次産業、二次産業、三次産業の中でも、三次産業を大きく目指すようなところを誘致していくとかですね。
あるいは、今ある企業も、形態を徐々に変えていくというような、新たな新規産業に移っていくというような、企業も変わっていかなければならないといった時代を迎えている中で、そもそもその根本たる産業構造の見直しについて、県当局はどのような見通しを持っているのか、お答えください。
91
◯議長(
河西敏郎君)産業労働部長、佐野宏君。
92 ◯産業労働部長(佐野 宏君)桜本議員の産業構造の見直しについての関連質問について、お答えさせていただきます。
今現在、山梨県内におきましては、電子機械産業を中心に、いろいろな産業が発展しているところでございます。今、お話になられた第三次産業につきましても、サービス産業等につきましては今後、進展していく可能性があるというふうにも考えております。
県といたしましては、いろいろな産業関係団体とも連携しながら、今後の産業構造等につきましても、いろいろな推進施策等を推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
93
◯議長(
河西敏郎君)ほかに関連質問はありませんか。永井学君。
94
◯永井 学君 幼児期における自然体験活動の推進について質問させていただきます。
御回答の中で、検討会の中でプログラムをつくって、全ての保育所へ配付をし、そのプログラムを活用していくというのは、非常に前向きな前進したお答えであると思います。
これは、あくまでも一般的な幼稚園、保育園に自然保育を普及させるには、大きな前進であると思いますが、より深く自然体験活動を体験したい、活動を学ばせたいという方に、「森のようちえん」という幼稚園がございます。
これに対する県の支援というものが、当然、両輪でやっていかなければいけないと思うんです。県の支援はどのような形で、また、「森のようちえん」について、県はどのように考えられているか、御所見を伺います。
95
◯議長(
河西敏郎君)福祉保健部長、
小島徹君。
96
◯福祉保健部長(
小島 徹君)ただいまの関連質問にお答え申し上げます。
自然体験活動は、先ほども答弁をさせていただきましたように、県内のさまざまな幼稚園、保育所、認定保育園等で行っているところでございまして、かなり深く浸透していると思っております。
しかし、なかなかそれが安全性に不安を感じるというふうな方々もいらっしゃるということでございますので、私ども、プログラムをつくったりとかいろんな方法で進めていきたいと思っております。
一方で、御指摘ございました「森のようちえん」でございますけれども、当然、これも自然体験活動をするということでは、非常に特化したところでございまして、こうした「森のようちえん」も含めて、本県の幼児期における自然体験活動がさらに深まるよう、一層の検討を進めてまいりたいと思っております。
以上でございます。
97
◯議長(
河西敏郎君)ほかに関連質問はありませんか。白壁賢一君。
98 ◯白壁賢一君 先ほど知事から、新御坂トンネルの前向きな御答弁いただきました。一日に人口の数倍規模の観光客の皆さん、年間には一千六百万近い人たちが富士北麓地域に来られるということで、これは本当に安全安心につながるということで、明年度ということでありますから、ぜひ期待したいと思いますし、多分、あしたの新聞には相当取り上げてくれるのではないかと思います。
それはそれといたしまして、私立高校に対する支援、教育長になると思うんですが。
先ほど淳也議員からもお話がありまして、いわゆる建学の精神はもちろんなんですけれども、米百俵の精神。戊辰戦争で新潟の長岡で行われた米百俵なんてのは、食べてしまえば同じことであって、それを教育に使うと一般的に言われていますけれども、本当はその心は、先々のことをしっかり考えてものをしようかというのが、この米百俵の精神であります。
そういったことを考えていきますと、画一的とまで言いませんけど、高校の教育、いわゆる公立の高校の教育というものと、私立の教育というものが、例えば神奈川県では今、徐々に力点を私立に移しているという情報もございますし、一つは、私立と公立では、私立のほうがやはり助成、補助というのは少ないんだ。財政不如意な中でいくと、私立を少しふやしてやることによって、公立が多過ぎるので、それをうまくすることによって、公立と私立のバランスがとれるんだという考え方もあるようでございます。
教育長にその辺をお伺いしたいと思います。決してニーハチに早くしろとか、他都府県並みにシブロクにしろということは言いませんけれども、こういった捉え方というのは、これからの山梨県の発展を考えていく中で、教育の捉え方、公教育の捉え方としては重要だと思います。一言御意見をお伺いしたいと思います。
99
◯議長(
河西敏郎君)教育長、
市川満君。
100
◯教育長(
市川 満君)ただいまの御質問にお答えをいたします。
現在、教育委員会におきましては、県立高校の整備の構想というのを今、検討しているところでございまして、十年間を視野に入れたものということでありますが、先ほど御質問にありましたとおり、県立高校は学生数が減っているという中で、本県の教育が将来にわたって維持・発展していくためには、どうしたらいいのかということを、まさに長期的な視点に立って考えるということでございまして、その中の一環として、私立高校とどう共存していくのかということも、大きな課題であるわけでございます。
さまざまな施策を考えていくわけでありますけれども、原点に立ち返れば、子供たちが魅力のある教育といったものが受けられる。その体制をどうつくっていくのかということでありますので、これは公立高校だけが頑張ればいいというものではありませんので、これまでのさまざまな私立の伝統、特性といったものも十分考慮していく必要があるということで、私ども教育委員会と知事部局一体となって、その点について鋭意検討してまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
101
◯議長(
河西敏郎君)関連質問を打ち切ります。
これをもって、渡辺淳也君の一般質問を打ち切ります。
───────────────────────────────────────
102
◯議長(
河西敏郎君)次に、議案の付託について申し上げます。
ただいま議題となっております第八十号議案ないし第百二十六号議案については、お手元に配付の議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
───────────────────────────────────────
平成三十年十二
月定例会
付 託 表
総務委員会
第八十号 山梨県文化芸術基本条例制定の件
第八十一号 山梨県知事、副知事、公営企業の管理者、教育長及び常勤監査委員の通勤手当及び期末手当支給
条例中改正の件
第八十二号 山梨県議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例中改正の件
第八十三号 山梨県職員給与条例及び山梨県一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例中改正の
件
第八十五号 山梨県警察職員給与条例及び山梨県一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例中改
正の件
第八十七号 平成三十年度山梨県一般会計補正予算第一条第一項歳入歳出予算の補正額及び歳入歳出予算の総
額、同条第二項歳入各款及び歳出中総務委員会関係のもの、第三条債務負担行為の補正中総務委
員会関係のもの並びに第四条地方債の補正
第八十九号 平成三十年度山梨県集中管理特別会計補正予算
第九十三号 指定管理者の指定の件
第九十四号 指定管理者の指定の件
第九十五号 指定管理者の指定の件
第九十六号 指定管理者の指定の件
第九十七号 指定管理者の指定の件
第百二十五号 当せん金付証票発売の件
教育厚生委員会
第八十四号 山梨県学校職員給与条例及び山梨県一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例中改
正の件
第八十七号 平成三十年度山梨県一般会計補正予算第一条第二項歳出中教育厚生委員会関係のもの及び第三条
債務負担行為の補正中教育厚生委員会関係のもの
第九十八号 指定管理者の指定の件
第九十九号 指定管理者の指定の件
第百号 指定管理者の指定の件
第百十八号 指定管理者の指定の件
第百十九号 指定管理者の指定の件
第百二十号 指定管理者の指定の件
第百二十一号 指定管理者の指定の件
第百二十二号 指定管理者の指定の件
第百二十三号 指定管理者の指定の件
第百二十四号 指定管理者の指定の件
農政産業観光委員会
第八十七号 平成三十年度山梨県一般会計補正予算第一条第二項歳出中農政産業観光委員会関係のもの、第二
条繰越明許費の補正中農政産業観光委員会関係のもの及び第三条債務負担行為の補正中農政産業
観光委員会関係のもの
第百四号 指定管理者の指定の件
第百五号 指定管理者の指定の件
第百六号 指定管理者の指定の件
第百七号 指定管理者の指定の件
第百八号 指定管理者の指定の件
第百九号 指定管理者の指定の件
第百十七号 指定管理者の指定の件
土木森林環境委員会
第八十六号 山梨県屋外広告物条例中改正の件
第八十七号 平成三十年度山梨県一般会計補正予算第一条第二項歳出中土木森林環境委員会関係のもの、第二
条繰越明許費の補正中土木森林環境委員会関係のもの及び第三条債務負担行為の補正中土木森林
環境委員会関係のもの
第八十八号 平成三十年度山梨県恩賜県有財産特別会計補正予算
第九十号 平成三十年度山梨県流域下水道事業特別会計補正予算
第九十一号 契約締結の件
第九十二号 契約締結の件
第百一号 指定管理者の指定の件
第百二号 指定管理者の指定の件
第百三号 指定管理者の指定の件
第百十号 指定管理者の指定の件
第百十一号 指定管理者の指定の件
第百十二号 指定管理者の指定の件
第百十三号 指定管理者の指定の件
第百十四号 指定管理者の指定の件
第百十五号 指定管理者の指定の件
第百十六号 指定管理者の指定の件
第百二十六号 契約締結の件
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103
◯議長(
河西敏郎君)次に、請願の付託について申し上げます。
今回受理した請願は、お手元に配付の請願文書表のとおり、総務委員会及び教育厚生委員会に付託いたします。
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平成三十年十二
月定例会
請 願 文 書 表
教 育 厚 生 委 員 会
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│受理番号 │ 第三十─六号 │ 受理年月日 │ 平成三十年十一月二十日 │
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│ │ │ │ │
│ │身体障害者手帳の様式の変更│請願者の住所 │ │
│件 名│ │ │ (略) │
│ │に関することについて │及び氏名 │ │
│ │ │ │ │
├─────┼─────────────┴─────────┴────────────────────┤
│ │ │
│ │【請願の趣旨】 │
│ │ │
│ │ 山梨県が発行する身体障害者手帳の様式を、プライバシー及び住所変更時の利便性に配慮した │
│ │ │
│ │ものに変更すること。 │
│ │ │
│ │【説明】 │
│ │ │
│請 願 の│ 現行の身体障害者手帳(以下「手帳」)の様式では、本人確認時のプライバシー及び住所変更時│
│ │ │
│ │の利便性に、次の問題がある。 │
│ │ │
│要 旨│ よって手帳の様式の変更を求める。 │
│ │ │
│ │一.写真と山梨県印の面を提示しようとすると、同時に障害名も提示することになる。手帳で利 │
│ │ │
│ │ 用できるサービスは多岐にわたるが、全てのサービスで障害名を提示する必要はない。 │
│ │ │
│ │二.住所変更の欄が写真の裏にあるため、住所変更をすると本人確認のたびにカバーを外して、 │
│ │ │
│ │ 裏面を提示しなければならず、利便性を損なうことになる。 │
│ │ │
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│ │ │
│紹介議員 │小越 智子 │
│ │ │
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総 務 委 員 会
┌─────┬─────────────┬─────────┬────────────────────┐
│受理番号 │ 第三十─七号 │ 受理年月日 │ 平成三十年十一月二十六日 │
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│ │法務局、更生保護官署、入国│ │ │
│ │ │請願者の住所 │ │
│件 名│管理官署、少年院施設の増員│ │ (略) │
│ │ │及び氏名 │ │
│ │の実現に関することについて│ │ │
├─────┼─────────────┴─────────┴────────────────────┤
│ │ │
│ │【請願の趣旨】 │
│ │ │
│ │ 法務省の所掌する行政事務の適正かつ迅速な処理及び国民の期待する行政サービスの充実強化 │
│ │ │
│ │並びに職員の労働条件の改善を図るため、法務局、更生保護官署、入国管理官署、少年院施設の │
│ │ │
│ │職員の増員が実現するよう請願する。 │
│ │ │
│ │【理由】 │
│ │ │
│ │ 私たち全法務省労働組合は、国民本位の法務行政確立のためには、職員の増員が必要であると │
│ │ │
│ │訴え、運動を進めている。 │
│ │ │
│ │ 具体的に法務局では、政府方針である「登記所備付地図の整備」や平成十八年に創設された筆 │
│ │ │
│ │界特定制度の運用に全力で取り組みつつ、近年における社会情勢の変化とこれに伴う政府の構造 │
│ │ │
│ │改革などにより、不動産登記・商業登記の事件処理も複雑・困難化しているほか、個人の登記申 │
│ │ │
│請 願 の│請手続の増加などに伴う登記相談にも、厳しい定員削減を受けながらも奔走している。 │
│ │ │
│ │ また、法定相続情報証明制度、長期相続登記未了土地解消作業及び自筆遺言証書保管制度の創 │
│ │ │
│要 旨│設など新規事業の導入による業務量の増大や法令改正により職務が複雑困難化してきており、そ │
│ │ │
│ │れらにも十分対応できる要員体制の整備が急務となっている。 │
│ │ │
│ │ 私たちはこうした現状を改善するため、従来から職員の増員に関する国会請願に取り組み、こ │
│ │ │
│ │れまで関係各位の御支援を得て、国会において、「法務局、更生保護官署、入国管理官署、少年院│
│ │ │
│ │施設の増員に関する請願」が、一九八〇(昭和五十五)年から三十年以上にわたり採択されてき │
│ │ │
│ │ているが、依然として見るべき改善が図られていない状況にある。 │
│ │ │
│ │ ついては、国において、法務省の所掌する行政事務の適正かつ迅速な処理及び国民の期待する │
│ │ │
│ │行政サービスの充実強化並びに職員の労働条件の改善を図るため、法務局、更生保護官署、入国 │
│ │ │
│ │管理官署、少年院施設の職員の増員が実現するよう、本請願を採択し、地方自治法第九十九条の │
│ │ │
│ │規定に基づき、国(衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、法務大臣)宛てに意見 │
│ │ │
│ │書を提出するよう請願する。 │
│ │ │
├─────┼────────────────────────────────────────────┤
│ │ │
│紹介議員 │皆川 巖 土橋 亨 望月 利樹 │
│ │ │
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総 務 委 員 会
┌─────┬─────────────┬─────────┬─────────────────────┐
│受理番号 │ 第三十─八号 │ 受理年月日 │ 平成三十年十二月六日 │
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│ │日米地位協定の抜本的改定を│ │ │
│ │ │請願者の住所 │ │
│件 名│求める意見書提出を求めるこ│ │ (略) │
│ │ │及び氏名 │ │
│ │とについて │ │ │
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│ │ │
│ │【請願趣旨】 │
│ │ │
│ │ 新日本婦人の会は創立以来五十六年間、女性と子供の幸せを願い、全国で活動している国連N │
│ │ │
│ │GOの女性団体である。 │
│ │ │
│ │ 全国知事会は二〇一八年七月二十七日、日米地位協定の抜本改定を含む「米軍基地負担に関す │
│ │ │
│ │る提言」を全会一致で採択した。全国知事会が日米地位協定の改定について提言するのは初めて │
│ │ │
│ │のことであり、画期的なことである。提言では、米軍機による低空飛行訓練等について「国の責 │
│ │ │
│ │任で騒音測定器をふやすなど必要な実態調査を行なうとともに、訓練ルートや訓練が行なわれる │
│ │ │
│ │時期について速やかな事前情報提供」を求める、「日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境 │
│ │ │
│ │法令などの国内法を原則として米軍にも適用させること、事件・事故時の自治体職員の迅速かつ │
│ │ │
│ │円滑な立ち入りの保障などを明記すること」、さらに「基地の整理・縮小・返還」の促進を求めて │
│ │ │
│ │いる。 │
│ │ │
│ │ 提言がまとめられるまでには、米軍基地がある十一道府県の知事をメンバーに「全国知事会米 │
│請 願 の│ │
│ │軍基地負担に関する研究会」を発足させ、研究者や外務省から意見を聞き、イタリアやドイツの │
│ │ │
│ │地位協定について現地調査した沖縄県からも意見を聞き取っている。 │
│要 旨│ │
│ │ 沖縄県は、二〇一八年一月~二月、イタリア、ドイツを訪問し、元首相、軍幹部、周辺自治体、 │
│ │ │
│ │航空当局らから聞き取り調査を実施して、中間報告を公開している。その内容においては、「米軍 │
│ │ │
│ │の活動にも国内法が適用される」、「受入国側に米軍施設への立入権が明記されている」、「受入国│
│ │ │
│ │側に訓練計画に関与する仕組みがある」など、日本と著しく違いがあることを紹介している。こ │
│ │ │
│ │うした調査研究をもとに研究会がまとめ、全国知事会に提案し、提言の採択に至った。 │
│ │ │
│ │ 日米地位協定は一九六〇年に締結されてから、日本政府が改定を提起したことがなく、他国と │
│ │ │
│ │の比較においても異常なほど不平等なものである。山梨県には北富士演習場があり米軍演習にも │
│ │ │
│ │使用されている。横田基地からの訓練機の飛来もあり事故などの心配の声があがっている。以上 │
│ │ │
│ │により、次の項目で国会への意見書を提出していただくようお願いする。 │
│ │ │
│ │【請願項目】 │
│ │ │
│ │一.国は、全国知事会の総意である日米地位協定の抜本的改定を求める提言を重く受け止め、早 │
│ │ │
│ │ 急に日米地位協定の抜本的改定に取り組むこと │
│ │ │
├─────┼─────────────────────────────────────────────┤
│ │ │
│紹介議員 │小越 智子 │
│ │ │
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総 務 委 員 会
┌─────┬─────────────┬─────────┬────────────────────┐
│受理番号 │ 第三十─九号 │ 受理年月日 │ 平成三十年十二月十日 │
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│ │ │ │ │
│ │国に対し「消費税増税中止を│ │ │
│ │ │請願者の住所 │ │
│件 名│求める意見書」の提出を求め│ │ (略) │
│ │ │及び氏名 │ │
│ │ることについて │ │ │
│ │ │ │ │
├─────┼─────────────┴─────────┴────────────────────┤
│ │ │
│ │【請願趣旨】 │
│ │ │
│ │ 私たちの暮らしや地域経済は今、大変深刻な状況である。八%増税によって戦後初めて二年連 │
│ │ │
│ │続で個人消費がマイナスになった。増税と、年金カット・医療・介護など社会保障費負担増、そ │
│ │ │
│ │して賃金低下、物価上昇の三重苦のもとで、「これ以上節約するところがない」と悲鳴が上がって│
│ │ │
│ │いる。大規模な自然災害も相次いでいる。自治体の財政も消費税が大きく圧迫している。 │
│ │ │
│ │ ところが政府は、二〇一九年十月の消費税率一〇%への引き上げをあくまで行う姿勢を崩して │
│ │ │
│ │いない。税率一〇%への引き上げで五・六兆円の増税となり、「軽減」分を差し引いても四・六兆│
│ │ │
│ │円=一世帯当たり八万円の増税という試算も出ている。このような状況で消費税を引き上げれば、│
│ │ │
│ │税率が五%から八%になったときの大不況が再来する。 │
│ │ │
│ │ 加えて税率引上げと同時に実施を狙う「軽減税率」には、重大な問題がある。飲食料品と週二 │
│ │ │
│ │回以上発行の新聞代は税率八%に据え置かれるが、運送費や加工費、広告宣伝費など一〇%の分 │
│ │ │
│ │の値段は値上がりする。また八%と一〇%の線引きは単純ではない。そして、二〇二三年に導入 │
│ │ │
│ │される「インボイス(適格請求書)制度」は地域経済を担う中小業者にとって大きな負担となり、│
│請 願 の│ │
│ │免税業者が商取引から排除されるという重大な問題がある。 │
│ │ │
│ │ そもそも消費税は、所得の少ない人ほど負担が重く、貧困と格差を拡大する根本的な欠陥を持 │
│要 旨│ │
│ │つ税制である。増税されるたびに消費税の滞納額がふえ、国税滞納額に占める消費税の割合が高 │
│ │ │
│ │くなっているのはその証拠である。 │
│ │ │
│ │ 日本国憲法は応能負担原則に則った税制の確立を要請している。 │
│ │ │
│ │ 消費税増税ではなく、税金の集め方、使い方を見直し、大企業や富裕層を優遇する不公平税制 │
│ │ │
│ │を正すべきである。軍事費や不要不急の大型公共工事への歳出を減らし、暮らしや社会保障、地 │
│ │ │
│ │域経済振興優先に税金を使い、内需主導で家計を温める経済政策をとるべきである。そうすれば、│
│ │ │
│ │社会保障制度の拡充も、財政再建の道も開かれる。 │
│ │ │
│ │ 私たちは、住民の暮らし、地域経済、地方自治体に深刻な打撃を与える消費税増税を中止する │
│ │ │
│ │ことを強く求める。 │
│ │ │
│ │ 以上の趣旨から次の事項について請願する。 │
│ │ │
│ │【請願事項】 │
│ │ │
│ │一.二〇一九年十月の消費税率一〇%への引き上げ中止を求める意見書を政府に送付していただ │
│ │ │
│ │ くこと │
│ │ │
├─────┼────────────────────────────────────────────┤
│ │ │
│紹介議員 │小越 智子 │
│ │ │
└─────┴────────────────────────────────────────────┘
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104
◯議長(
河西敏郎君)ただいま付託いたしました議案及び請願は、お手元に配付の委員会日程表によって審査を願います。
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委 員 会 日 程 表
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│ │ │ │ │ │
│ 委 員 会 名 │ 月 日 │ 開会時刻 │ 委員会室名 │ 備 考 │
│ │ │ │ │ │
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│ │ │ │ │1) 警察 │
│ │ │ │ │ │
│ │十二月十三日│ │ │2) 総合政策、県民生活、リニア交通│
│総 務 委 員 会│ │ 午前十時 │第一委員会室 │ │
│ │十二月十四日│ │ │3) 総務、防災、出納、人事、監査、│
│ │ │ │ │ │
│ │ │ │ │ 議会 │
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│ │十二月十二日│ │ │ │
│教育厚生委員会 │ │ 午前十時 │第二委員会室 │1) 福祉保健 2) 教育 │
│ │十二月十四日│ │ │ │
├─────────┼──────┼──────┼───────┼─────────────────┤
│ │ │ │ │1) エネルギー、企業 │
│ │ │ │ │ │
│ │十二月十三日│ │ │2) 産業労働、労働委 │
│農政産業観光委員会│ │ 午前十時 │第三委員会室 │ │
│ │十二月十四日│ │ │3) 観光 │
│ │ │ │ │ │
│ │ │ │ │4) 農政 │
├─────────┼──────┼──────┼───────┼─────────────────┤
│ │十二月十二日│ │ │ │
│土木森林環境委員会│ │ 午前十時 │第四委員会室 │1) 森林環境 2) 県土整備 │
│ │十二月十四日│ │ │ │
└─────────┴──────┴──────┴───────┴─────────────────┘
───────────────────────────────────────
105
◯議長(
河西敏郎君)次に、休会についてお諮りいたします。
十二月十二日ないし十四日及び十七日は、委員会等のため休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
106
◯議長(
河西敏郎君)御異議なしと認めます。よって、休会については、お諮りしたとおり決定いたしました。
以上で、本日の日程は全部終了いたしました。
来る十二月十八日、会議を開くこととし、本日はこれをもって散会いたします。
午後三時三十七分散会
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