田辺市議会 2021-12-09
令和 3年第6回定例会(第4号12月 9日)
令和 3年第6回定例会(第4号12月 9日) 第6回
田辺市議会定例会会議録
令和3年12月9日(木曜日)
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令和3年12月9日(木)午前10時開会
第 1 一般質問
第 2 6定報告第 1号 専決処分事項の報告について
第 3 6定議案第 3号 田辺市職員の服務の宣誓に関する条例の一部改正について
第 4 6定議案第 4号 田辺市職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部改正に
ついて
第 5 6定議案第 5号 田辺市過疎地域における固定資産税の特別措置に関する条
例の制定について
第 6 6定議案第 6号 田辺市
キャンプ場条例の一部改正について
第 7 6定議案第 7号
田辺市立学校給食共同調理場条例の一部改正について
第 8 6定議案第 8号 工事請負契約の締結について
第 9 6定議案第 9号
工事請負変更契約の締結について
第10 6定議案第10号 訴えの提起について
第11 6定議案第11号 損害賠償の額の決定及び和解について
第12 6定議案第12号 田辺市
大塔富里温泉センターの指定管理者の指定について
第13 6定議案第13号 田辺市
大塔青少年旅行村の指定管理者の指定について
第14 6定議案第14号 田辺市龍神ごまさんスカイタワーの指定管理者の指定につ
いて
第15 6定議案第15号 田辺市
龍神丹生ヤマセミの郷の指定管理者の指定について
第16 6定議案第16号 田辺市
大塔百間山渓谷キャンプ村の指定管理者の指定につ
いて
第17 6定議案第17号 田辺市
近露観光交流館の指定管理者の指定について
第18 6定議案第18号 紀南文化会館の指定管理者の指定について
第19 6定議案第19号 令和3年度田辺市
一般会計補正予算(第7号)
第20 6定議案第20号 田辺市
国民健康保険条例の一部改正について
第21 6定議案第21号 令和3年度田辺市
国民健康保険事業特別会計補正予算(第
4号)
第22 6定議案第22号 令和3年度田辺市
介護保険特別会計補正予算(第2号)
第23 6定議案第23号 令和3年度田辺市
農業集落排水事業特別会計補正予算(第
1号)
第24 6定議案第24号 令和3年度田辺市四村川財産区
特別会計補正予算(第1号
)
第25 6定議案第25号 令和3年度田辺市
水道事業会計補正予算(第2号)
第26 6定請願第 1号
インボイス導入に伴う
シルバー人材センターへの支援に関
する請願
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〇会議に付した事件
日程第1から日程第26まで
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〇議員定数 20名
〇欠 員 1名
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〇出席議員
議席番号 氏 名
1番 松 上 京 子 君
2番 前 田 か よ 君
3番 久 保 浩 二 君
4番 加 藤 喜 則 君
6番 谷 貞 見 君
7番 柳 瀬 理 孝 君
8番 浅 山 誠 一 君
9番 宮 井 章 君
10番 福 榮 浩 義 君
12番 北 田 健 治 君
13番 橘 智 史 君
14番 尾 花 功 君
15番 市 橋 宗 行 君
16番 安 達 幸 治 君
17番 安 達 克 典 君
18番 小 川 浩 樹 君
19番 塚 寿 雄 君
20番 佐 井 昭 子 君
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〇欠席議員
5番 尾 﨑 博 文 君
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〇説明のため出席したもの
職 名 氏 名
市長 真 砂 充 敏 君
副市長 林 誠 一 君
副市長 木 村 晃 和 君
教育長 佐 武 正 章 君
企画部長 山 﨑 和 典 君
自治振興課長 北 尾 幸 生 君
土地対策課長 田 中 義 和 君
男女共同参画推進室長
福 田 文 君
総務部長 西 貴 弘 君
総務課長 狩 谷 賢 一 君
契約課長 新 谷 恭 伸 君
新庁舎整備室長 竹 中 孝 雄 君
危機管理局長 原 雅 樹 君
防災まちづくり課 的 場 大 輔 君
市民環境部長 中 村 誠 君
保険課長 岡 野 哲 士 君
保険課参事 新 谷 清 君
保健福祉部長 虎 伏 務 君
健康増進課 谷 本 あゆみ 君
子育て推進課長 久 畑 弘 幸 君
商工観光部長 丸 山 勝 司 君
農林水産部長 北 川 弘 泰 君
森林局長 宮 野 恭 輔 君
建設部長 衣 田 克 君
管理課長 前 溝 浩 志 君
土木課長 北 原 弘 之 君
龍神行政局長 前 田 敦 司 君
中辺路行政局長 一 岡 真 成 君
大塔行政局長 黒 田 真 照 君
本宮行政局長 山 下 義 朗 君
消防長 安 田 浩 二 君
警防課参事 横 矢 悟 君
教育次長 前 川 光 弘 君
水道部長 木 村 博 充 君
選挙管理委員会事務局長
鈴 木 隆 史 君
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〇
出席事務局職員
議会事務局長 松 本 清 子
議会事務局次長 松 本 誠 啓
議会事務局主任 古久保 修 平
議会事務局主事 山根木 大 輝
開 議
○議長(北田健治君) おはようございます。
定足数がありますので、ただいまからお手元に配付の日程により、令和3年第6回
田辺市議会定例会4日目の会議を開きます。
(午前10時00分)
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◎報告
○議長(北田健治君) 5番、尾﨑博文君から欠席の届出があります。
それでは、日程に入ります。
◎日程第1 一般質問
○議長(北田健治君) 日程第1 一般質問を行います。
16番、
安達幸治君の登壇を許可いたします。
(16番
安達幸治君 登壇)
○16番(
安達幸治君) おはようございます。
16番、
安達幸治です。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、1問だけでございます。各行政局の未来像についてお聞きをさせていただきます。どういうお答えが返ってくるか、本日胸をわくわくさせながら、そして、また行政局の長として本当に胸を張って、大きな声でお答えいただきたい、そのように思います。どうぞよろしくお願いいたします。
各行政局の未来像について。
平成31年3月議会において、行政局長の在職期間について、そして、本年の9月議会においては、行政局の在り方についてを質問させていただきました。市長答弁によりますと、行政局長の任命については、能力や知識、経験、意欲などを総合的に判断し、十分にその重責に堪えられる部長級職員を選抜して任命しており、職員とともに管区の実情や住民の思いを的確に判断し、地域に対する愛着と振興への意欲を持ってもろもろの施策の実行に尽力しているものと考えているとのことでした。その上で、予算に対しても、諸策に対しても思い切って上げてこい、責任が私が取る、そのお気持ちでよろしいですかとの問いにもうなずかれました。行政局長や行政局職員にとっては大変力強く感じることでしょう。
恐らく局長にしても、職員にしても、その町や村に対して思いを込め、全力で取り組んでおられることだと考えますが、ただ、一生懸命取り組んだとしてもやはり結果が求められます。予算投入はもちろんですが、職員全員の汗と知恵が必要です。安定を求め、冒険を怖がるようでは地域の未来は広がりません。
よく地方政治を変えられるのは、ばか者、よそ者、変わり者だと言われます。大変言葉は悪いですが、言い換えれば、いつも目線を変えて物事を行えという意味です。市の職員にあっては、ある意味そうあってほしいものと考えます。
現在、Iターンの方々のおかげもあり、その行政局管内においても新しい風が吹き込まれ、少しずつ地域の現状は変わりつつありますが、それに伴い各行政局におかれてはどのような将来像を描いていくのかが大きなポイントとなります。
そこで、各行政局長にお伺いいたします。各行政局は、今後、行政局長を中心としてどのような未来像を描いていくのかお示しください。また、現在、推し進めている施策があれば併せてお聞かせください。どうぞよろしくお願いいたします。
(16番
安達幸治君 降壇)
○議長(北田健治君) 16番、
安達幸治君の質問に対する当局の答弁を求めます。
本宮行政局長、山下義朗君。
(
本宮行政局長 山下義朗君 登壇)
○
本宮行政局長(山下義朗君) 行政局は、平成の市町村合併により廃止された旧町村の役場をそのまま
地域住民サービスの拠点として位置づけております。市の共通業務の窓口であるとともに、管内の諸事情を踏まえる中で課題を的確に把握し、本庁の関係各部課と連携し、課題解決に向けて取り組んでいるところでございます。
御質問の行政局の未来像についてでございます。
まず、本宮行政局におきましては、地域課題といたしまして、過去に何度も大きな水害に見舞われてきました。上流に利水ダム7基が設置されている熊野川本流や大塔川の流域など
洪水被害想定地域を抱えており、出水期における河川警戒やダム放流の情報伝達、住民及び観光客の避難誘導等、迅速かつ的確な対応が求められます。
このような状況の中、地域住民の生命・財産の保護を図るため、引き続き、国、県、関係機関と連携しながら防災・減災対策等に取り組んでまいりたいと存じます。
他方、当地域は、熊野信仰から始まる古い歴史と文化、美しい山河の大自然、湯の峰、川湯、渡瀬と心身ともに温まる温泉郷、そして、先人たちのたゆみない御努力を背景に熊野の中心として栄えてまいりました。
平成11年の和歌山県南部の当時で16市町村という広範囲において開催された
南紀熊野体験博では、熊野本宮の魅力を全国に発信いたしました。この体験博では、当時の癒しブームにも乗り、熊野古道・熊野三山など知名度アップに貢献し、その後、平成16年の
世界遺産登録紀伊山地の霊場と参詣道の大きな原動力にもなりました。加えて、当地域の観光資源の大きなアピールとなり、さらなる集客へとつながったところです。
その後、平成23年の紀伊半島大水害により落ち込んだ観光客数も、近年では、日帰り、宿泊者数ともに
インバウンド効果も相まって順調な回復傾向にありました。
しかしながら、昨年の
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、本年の宿泊者数も令和元年度に比べ約40%と激減し、観光業全体にとって過去に経験のない厳しい事態に見舞われております。
このような状況の中、昨年より
新型コロナウイルス感染症により低迷する地域の活性化を図ることを目的に、熊野本宮大社、
熊野本宮観光協会、本宮町商工会が中心となり、
近隣観光関係者を含めた熊野本宮よみがえり委員会を結成し、熊野本宮大社を中心とした町なか周遊や分散型の参拝等の誘客・PR等に努め、一定の成果を得ております。
また、令和4年は、熊野本宮大社が明治22年の大水害による社殿の遷座から130年の節目の年となるため、熊野本宮よみがえり委員会でもこの節目を機に、
新型コロナウイルス感染症対策を意識した誘客・PR事業を積極的に展開することとしております。加えて、現在、進めております湯の
峰温泉公衆浴場の建替えにつきましても、令和4年4月の営業再開を予定していますので、コロナ禍収束後、観光産業のV字回復が図れるよう、情報発信や観光PRを実施していきたいと存じます。
また、近年、当地域で話題となっておりますクマノザクラや清流大塔川の滝などの自然資源を活用した誘客にも力を入れていきたいと考えておりますので、併せて御理解を賜りますようお願い申し上げます。
(
本宮行政局長 山下義朗君 降壇)
○議長(北田健治君)
中辺路行政局長、一岡真成君。
(
中辺路行政局長 一岡真成君 登壇)
○
中辺路行政局長(一岡真成君) 議員の御質問にお答えします。
中辺路行政局におきましては、安全で住みよいふるさとづくりという思いを持ち、町内会をはじめ、各種団体の皆様の御協力をいただきながら、地域行政全般にわたり業務を遂行しています。
中でも力を注いでいるのは、
世界遺産熊野古道を核とした観光振興であります。観光業は、林業と並んで
中辺路行政局管内の主要産業の一つですが、現在、
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、宿泊業を中心に大きな打撃を受けております。行政局といたしましては、
アフターコロナを見据えた新たな旅の需要を喚起するため、中辺路町観光協会が観光庁の事業採択を受けて実施する
モニターツアーの取組をバックアップしております。
具体的には、11月末から来年1月末にかけて、2泊3日のツアーを3回行うものでありますが、熊野古道歩きの旅の中に地域資源を生かしたアカネ材の木工体験や伝統おけづくり、平安衣装体験、餅まき体験、野中の獅子舞やなかへち清姫太鼓の鑑賞、三体月観月会や清姫伝説の説話体験等、地域の暮らしや伝説、文化、風習との出会いを織り交ぜた、新しいなかへち旅の創出を目的としています。
ツアーに参加された皆様には、ゆっくりと中辺路のおもてなしを味わっていただき、旅の思い出や感動を御自身のSNSで発信していただくことも期待しております。
こうした新しいメニューにより、中辺路観光の魅力がさらに高まり、観光産業が再び地域経済を回す原動力となるように取り組んでいるところです。
加えて、力を入れて進めておりますのは、遊休資産となっている旧二川小学校の活用に民間活力を導入する地域活性化の取組です。旧二川小学校は、現在、地元住民団体による映画会やコンサート、バザー、
各種体験イベントなどの会場のほか、災害時の拠点避難施設として活用しておりますが、平成30年3月に策定しました田辺市旧
二川小学校活用基本計画では、活用の基本方針として、地域づくりに資する交流拠点の創出を掲げ、民間事業の導入も想定しております。昨年度からは、国土交通省や文部科学省が主催する官民対話の場や
インターネット等により、廃校活用について情報発信を開始しており、これまで、複数の企業、団体等からお問合せやアイデアをいただきました。現在は、こうした情報を元に民間活用に向けて課題の洗い出しや公募方法等について、関係部局と協議、検討を進めているところです。
以上、観光振興や遊休資産の活用について申し上げましたが、行政局は地域を担当する部局として、これからも地域の要望や意見を的確に把握し、本庁の各担当部局と連携しながら、諸施策の実現に努めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(
中辺路行政局長 一岡真成君 降壇)
○議長(北田健治君) 龍神行政局長、前田敦司君。
(龍神行政局長 前田敦司君 登壇)
○龍神行政局長(前田敦司君) 議員の御質問にお答えいたします。
龍神行政局におきましては、地域住民への基本的な窓口業務や保健福祉関係、道路や河川等の維持管理、防災関係など、地域住民の日常生活に密着した業務を行うとともに、人口減少が続いている状況の中、地域産業の振興や移住・定住の促進など、様々な地域課題について、本庁各部署と連携しながら取り組んでいるところでございます。中でも、龍神地域の活性化を図ることを目的として、龍の里づくり事業を進めています。
この事業は、当地域が
世界遺産紀伊山地の霊場と参詣道の地域から外れていることから、観光振興施策の潮流から取り残されてしまうという地元からの不安の声がある中で、平成30年4月に、管内の主な事業所など20団体の代表者で構成する龍の
里づくり委員会を設立し、龍神地域の資源と人材を生かした魅力的で活力あふれる龍の里づくりを実践することにより、地域の活性化を図ろうというものです。
また、委員会の中に企画部会を設け、管内で活動する様々な職種のIターンや地元の若者を中心とした約50人の部員が、テーマごとの班に分かれて議論を重ね、平成31年2月には、27項目の具体的な取組の提案をまとめた
調査研究報告書を作成し、市長への報告を行い、令和元年度から、当該報告書に登載した事業を中心に龍の里づくり事業を進めております。
令和元年6月には、当該報告書に登載された取組の一つである株式会社龍神村が地域住民の有志の出資により設立され、龍の
里づくり委員会で提案された事業を具現化し、発展させる取組をされております。
龍の里づくり事業の主なものといたしまして、一つ目は、龍神村龍の造形大賞であります。昨年度に第1回を開催し、全国各地から応募のあった137点にも及ぶ龍をテーマにした造形作品を
龍神市民センターに展示し、多くの皆様に鑑賞していただきました。また、本年9月1日からは、第2回の作品募集を行っており、来年2月末まで受付を行い、3月には作品展示を行う予定となっております。
そして、これらの作品については、龍神村柳瀬地内に整備を進めています株式会社龍神村の新社屋に併設する、(仮称)龍のミュージアムに展示することとしており、多くの方々に来訪していただける施設となるよう期待しているところでございます。
主な事業の二つ目といたしましては、高野山から熊野本宮大社へと続く、幻の熊野古道とも言われる奥辺路の整備であります。これまでに企画部員を中心にルート調査や道普請を行い、昨年度から、市の観光施策として案内看板や標識の設置を進めております。
今後は、この奥辺路を観光資源として活用し、新たな誘客につなげていきたいと考えており、田辺市
熊野ツーリズムビューロー等と連携しながら観光ツアーの企画を検討しているところであります。
また、観光振興施策につきましては、龍神観光協会をはじめ関係団体と連携し、様々な誘客の取組を行っており、日本三美人の湯として龍神温泉、群馬県川中温泉、島根県湯の川温泉と連携した
プロモーション活動などに取り組むとともに、閑散期における冬季事業として、南国紀州の雪遊びや、龍神温泉街を中心に、あかりが幻想的に龍神村をともす観燈祭等のイベントにより、広く龍神地域の魅力を情報発信しているところであります。
また、本年からは、コロナ禍においても密を避け、少人数でも楽しめる
電動アシスト自転車のレンタルをスタートさせるとともに、近年流行になりつつあるトレッキングに対応するため遊歩道整備を行うなど、
アフターコロナに対応した取組も進めております。
今後も、龍神地域の豊かな自然と温泉をはじめとする観光資源や
観光関連施設等を活用し、さきに申し上げました龍の
里づくり委員会や龍神観光協会をはじめとする関係団体と連携しながら効果的な
プロモーションに取り組み、将来にわたって、多くの方々に訪れていただける地域となるよう取り組んでまいりたいと考えております。
議員御質問の未来像についてでありますが、龍神行政局といたしましては、龍神というこの神秘的な名称を生かし、(仮称)龍のミュージアムへの龍の造形作品の展示や、温泉街をはじめ地域の各所への龍神材を活用した龍の看板の設置など、龍にこだわった地域づくりを進めているところであり、今後とも、地域住民や自治会、各種関係団体との連絡を密にするとともに、本庁各部署と十分連携しながら、龍神地域のさらなる発展に精いっぱい取り組んでまいりたいと考えております。
(龍神行政局長 前田敦司君 降壇)
○議長(北田健治君) 大塔行政局長、黒田真照君。
(大塔行政局長 黒田真照君 登壇)
○大塔行政局長(黒田真照君) 議員の質問にお答えいたします。
大塔は、大きく鮎川、三川、富里と三つの地域があり、現在まで防災、福祉、産業、公共交通などの基本的施策の充実はもとより、それぞれの特色ある地域課題と向き合うと同時に、その将来像を模索してまいりました。
行政局では、現況と課題として、遊休公共施設の有効利用を局内で協議し、休園・閉校となっている小学校、保育園4施設の利活用、また休止、休業中の観光施設の運営再開、空きスペースの活用について、担当部局と協議しながら地域住民と地元ニーズの掘り起こしの話合い、局内外の横断的な情報収集を行ってきましたが、なかなか進捗が見られないのが現状です。
そういった中、三川地域につきましては、平成23年9月の台風第12号により甚大な被害を受けた熊野地区で、休園していた
百間山渓谷キャンプ村の来年度再オープンに向け準備を進めております。このキャンプ場の再開は、単なる施設の機能復旧という意味にとどまりません。被災10年を迎えてなお国による土砂崩壊部分の災害復旧が続く中、被災者慰霊祭の挙行、
市道木守杣谷線の開通で、復旧事業としては一定の区切りがついたと考えますが、地元住民の本当の意味での復興に向けた第一歩の象徴と考えます。
再開後の運営につきましても、これまで幾度となく地元協議を行った結果、熊野地区に御協力をいただく予定となっており、以前のように県内外からの大勢の観光客に来ていただき、地域ににぎわいが戻ることを地元住民とともに大いに期待しております。
特に釣り客や百間山や法師山、大塔山等のトレッキング客の拠点になれば、三川地域だけではなく富里地域への登山、釣り客等の増加が見込まれ、富里地域の活性化につなげていければと考えます。
いずれにいたしましても、三川、富里地域は主要幹線道路が通り抜けていないという立地が課題ですが、目的を持って来ていただけるように、大塔の豊かな自然や渓谷美を知っていただくための魅力ある拠点づくりとともに、今後も積極的なPRに努力してまいりたいと考えます。
また、鮎川地域につきましては、主要幹線道路である国道311号線が通っておりますが、地域内の区間が短く、立ち寄ることなく素通りされる状況等が課題でしたが、平成28年に熊野古道北郡越が世界遺産に追加登録されました。
熊野古道のルート近くには、ふるさとセンター大塔があり、また、鮎川は大塔の玄関口である地域ですので、ふるさとセンター大塔を拠点として、大勢の方が大塔へ訪れていただけるよう、熊野古道を中心とした地域の魅力づくりにより一層努力し、振興につなげていきたいと思います。
大塔行政局では様々な課題の解決に向け、さらに地域の方と交流を深め、話合いをし、住民、地域の実情を把握、関係部局と十分連携しながら、人と地域が輝き、未来へつながるまち田辺の実現に向け、職員全員で取り組んでまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
(大塔行政局長 黒田真照君 降壇)
○議長(北田健治君)
安達幸治君。
(16番
安達幸治君 登壇)
○16番(
安達幸治君) 行政局長の皆様には、本当に心から胸を張ってお答えいただきました。ありがとうございます。市長、うれしいですね、こんなにやっぱり皆様が胸張って地域のことを市長に代わり、そして、また本庁の皆様に代わって堂々とお答えいただく、本当によかったと思います。行政局それぞれに課題はあると思いますけれども、やはり課題をクリアするには、龍神とか本宮の場合は委員会を立ち上げられているという。官民共同ですので、やはり市としては予算を出していくのが本筋だと思いますけれども、今までのように予算だけで収まってたのでは、それは成り立たないと。やはり地域に入り込んで、土曜日や日曜日は、帰ったらもう市の職員ではなく民間の一市民だという意識を持っていただかないと、なかなか皆様が地方に入っても、よく言われるのは、管内の方々から、割と地域の交流が少ないとか、あるいはボランティア少ないとか言われますので、やはり委員会とか立ち上げていただいたり、必然的にその中に官民協働の力が働いていくというのが理想的だと思います。
今回、こうしてお答えいただきました。私自身があえてこうしろ、こうしろということはありませんけれども、これから私も各4町村、遠慮なしに回らせていただきます。そして、また皆様には、本当にどういう思いをされるか分かりませんけれども、時によってはまた口を出すこともあるかも分かりませんけれども、これも協力の一つの事例だということで、皆様に御理解をいただきたいと思います。
今後、ますます皆様方に、やはり率先して市民の代表として、行政局の代表として、そして、また村民が豊かな心で明日を迎えられるような、そういう村づくりをしていただきたいことを心からお願い申し上げまして、一般質問を終わらせていただきます。本日は本当にお疲れさまでした。御苦労さまでした。ありがとうございます。
(16番
安達幸治君 降壇)
○議長(北田健治君) 以上で、16番、
安達幸治君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(北田健治君) この場合、午前10時40分まで休憩いたします。
(午前10時29分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(北田健治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午前10時40分)
○議長(北田健治君) 続いて、18番、小川浩樹君の登壇を許可いたします。
(18番 小川浩樹君 登壇)
○18番(小川浩樹君) 皆様、おはようございいます。
それでは、通告に従いまして、大項目2点について一般質問をさせていただきます。
まず、1点目は産科医療体制についてです。
2019年12月、紀南病院が2020年4月より里帰り出産の受入れを休止するとの発表がありました。当時の紀南病院産科医のうち1人が体調不良となり、また、胎児エコーなどを担当する臨床検査技師も不足している状況から、全分娩の5分の1を占める里帰り出産を休止せざるを得ないというのが理由でした。以来、この田辺圏域では、里帰り出産は、それを受け入れる民間医院、または助産院での分娩ということになりました。
私も何件かの里帰り出産の相談を受けましたが、里帰り出産を受け入れている助産院も、地元の方の出産予定があり、実際はなかなか受入れが難しいようで、日高病院等他地域の病院にお願いをしてみるしかないといった状況となり、結果、日高病院での受入れが決まったケースも、里帰り出産を諦めたケースもありました。このように、本地方出身の妊婦さんが田辺圏域での出産を諦めざるを得なかったケースが多いのではないかと予想されます。
実家に戻り、この地方で出産できることは、この地方出身の妊婦さんにとっては、本当に安心できることで、私はこれを確保すべきとの思いで、医療関係者の方や助産師等にお話を伺う機会を持ちましたが、しかし、どうやらこれは単に里帰り出産だけの問題ではなく、近年言われている産科医の不足により、この地方においての将来の分娩体制そのものを維持できていくかという大変大きな問題であると認識をするようになりました。
そして、折しも、先日、新宮市立医療センターが分娩を休止するとの発表がありました。その内容を新宮広域の方にもお話をお伺いいたしましたが、この田辺市広域においても、将来出産ができないという状況がいつ起こってもおかしくないと強い危機感を抱いています。
将来のこの地域での分娩・出産を継続していくには、最終は産科医を確保できるかということに尽きるのかと思いますが、現状等を含め、5点について質問をさせていただきます。
まず1点目、紀南病院が里帰り出産を休止する前後での紀南病院の分娩数、うち里帰り出産数、そして、本地方民間医院、助産院での出生数、うち里帰り出産数について、そして、里帰り出産の現状認識について、当局のお考えをお答えください。
(18番 小川浩樹君 降壇)
○議長(北田健治君) 18番、小川浩樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
保健福祉部長、虎伏 務君。
(保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
田辺圏域での分娩を取り扱う施設は、紀南病院を含む医療機関が2か所と助産所が2か所あります。分娩件数について紀南病院に確認しましたところ、平成29年度742件、平成30年度685件、令和元年度617件、令和2年度498件との回答がありましたが、残念ながらそのうち里帰り出産の件数については、すぐに回答できないとのことであります。
また、田辺圏域全体の分娩件数を田辺保健所に確認しましたところ、こちらは1月から12月の年ベースとなりますが、平成29年1,012件、平成30年996件、令和元年879件、令和2年851件との回答で、田辺圏域全体を見ても分娩件数が年々減少傾向にあります。
里帰り出産についてでありますが、紀南病院につきましては、令和2年4月から、田辺圏域の周産期母子医療センターの機能を維持するため、やむを得ず里帰り分娩の受入れを休止していますが、田辺圏域では、医療機関が1か所と助産所が1か所の2施設で里帰り出産を受け入れており、両施設とも問合せが多いと聞いております。
里帰り出産の受入れにつきましては、紀南病院によるところでありますが、市としましては、住み慣れた場所で安心して出産していただくためにも、里帰り出産の必要は認識しております。
(保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(北田健治君) 小川浩樹君。
(18番 小川浩樹君 登壇)
○18番(小川浩樹君) 御答弁をいただきました。答弁にありました保健所管内での出産の数を聞くと、それは自然な少子化による年々の減と取れますが、それと比較して、令和2年度の紀南病院の出生数498件という大きな減は、里帰り出産の休止による減と捉えられるかと思います。
紀南病院に伺いますと、里帰り出産を休止した折と産科の体制は変わっておらず、再開したいのはやまやまだが、現状、地元の方の分娩がやはり最優先だとのことでした。本来なら、私も里帰り出産の再開ができるよう要望したかったのですが、現状、それが難しいことを納得せざるを得ない状況のようです。
続いて2点目です。里帰り出産の現状を聞きたくてお話をした助産師の方たちによると、里帰り出産の必要性は十分認識していながらも、これからの将来は、地元の方の出産を受け入れるための産科医療体制を果たして確保できるかという、もっと大きな問題だという認識でした。
先月、新宮市立医療センターが、来年3月以降、分娩を休止するとの発表がありました。新宮市立医療センターの産婦人科は、年間約300件の分娩を行ってきましたが、常勤医師2人のうち1人が急遽来年3月に退職することとなり、医師1人では安全を担保できないというのが理由だということです。
この報道を聞き、新宮の医療関係者や新宮市議会議員にお話を伺いましたが、最優先の課題は、この病院での出産を予定していた57名の妊婦さんの出産受入れ先を確保すること、そして、国や県に窮状を訴え、4月からの産科医確保に向けて各方面が奔走している状況にあるとのことでした。
新宮市立医療センターは、平成19年にも産科医が1名減となった折に、国の緊急臨時的医師派遣制度で産科医に来ていただいた経緯があるそうですが、今回の状況はそれ以上に厳しいものだそうです。
また、有田市圏域では、令和2年3月31日有田市民病院での出産を産科医退職により休止しました。以降は、年間60件の分娩受入れが可能な民間産婦人科医院での出産以外は御坊市の日高病院、または、和医大での出産をお願いしている状況にありますが、この60件の分娩可能な民間医院が今年度で閉じることとなっており、来年度以降、日高病院、和医大にお願いをしなければならない分娩数がさらに増加することが予想されています。
このように、一つの圏域での総合病院での分娩が休止されることにより、出産が可能な隣の圏域、隣の圏域へと玉突きのように分娩数が圧迫されていくこととなります。現状は、つまり海南市から新宮市までの紀南を含む地域の中で、新宮市立医療センターの出産が再開されなければ、出産が可能な地域拠点の総合病院は、紀南病院と日高病院の二つということになります。
もし将来、紀南病院での分娩が休止というようなことになると、本当に大変なことで、紀南地方の妊婦さんの分娩は、日高病院に受入れの余裕がなければ、和歌山市でしか出産できないということになります。
なるほど、里帰り出産をどうするかというような問題ではないと、本当に強い危機感を持つに至りました。
また、地域にある民間産婦人科医院や助産院というのは、それぞれの医院での出産を希望する妊婦さんについて、母子の健康状態や母親の精神状態等を診察し、リスクが高いと思われる出産については、医療施設が整っている地域の総合病院での出産を勧め、問題なく健康に産めそうな妊婦さんの受入れを決めます。そして、それでも予定の分娩が急遽リスクの高いものとなったときのために、連携医、連携病院を届出、確保しておかなければならないのがルールです。
つまり、地域の拠点病院に産科医がいなくなれば、民間産婦人科医院や助産院もその経営が成り立たなくなり、この点も大変憂慮されるところです。
2点目、新宮圏域や有田圏域で産科医が確保できず、地域総合病院での分娩ができなくなったことから、田辺圏域でも同じことが起こるのではないか、また、産科医との連携がなくなれば、民間産婦人科医院や助産院もその経営が成り立たなくなるのではないかという観点から、本市圏域の参加医療体制の現状と将来の認識について、当局のお考えをお答えください。
(18番 小川浩樹君 降壇)
○議長(北田健治君) 保健福祉部長。
(保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
周産期における母体と胎児の健康管理や、妊産婦及び新生児に高度専門的な医療を一貫して提供できる周産期医療体制の充実が求められていますが、県内では、医師不足等の理由により、分娩を休止する医療機関が増えているのが現状であります。最近では、新宮市立医療センターが、令和4年3月からの分娩休止を発表しており、本市も本宮行政局管内の市民に影響が出ると思われますので、今後の分娩再開に向けた病院の動向を注視してまいりたいと考えております。
産科医療体制についてでありますが、まず、県内の状況から申しますと、県内で分娩を取り扱う医療機関は、17医療機関ありますが、紀北地方に10医療機関と集中しており、紀南地方は5医療機関となっております。田辺圏域で申しますと、分娩を取り扱う医療機関は2か所あり、そのうち紀南病院につきましては、紀南地方で唯一、リスクの高い妊婦に対する治療や高度な新生児医療を行える産科と新生児科の両方が組み合わされた施設であります。地域周産期母子医療センターの指定を受けており、近隣地域の医療機関からリスクの高い妊産婦や胎児、新生児の受入れを24時間体制で行うとともに、地域の医療機関や助産所と連携を図りながら、紀南地方における産科医療体制の重要な役割を担っております。
今後の展開としましては、県は、和歌山県医師確保計画の中で、地域での病院間、病院と診療所間の連携を強化することで、安心して産み育てることができる医療提供体制を堅持することとしております。
市としましては、妊婦健診を含めた産前産後のケアの充実を図るとともに、安全・安心な出産のできる体制構築のため、引き続き医師の確保対策を国及び県に要望してまいりたいと考えております。
(保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(北田健治君) 小川浩樹君。
(18番 小川浩樹君 登壇)
○18番(小川浩樹君) 県内とこの田辺圏域の現状をお伺いをしました。1にも2にも紀南病院で産科医を確保できるかどうかということにかかっているという根本問題がありますので、それぞれの質問について具体論がどうしても乏しく、質問も抽象的になってしまうことをお許しをいただきたいと思います。
3点目、産後ケア事業と助産院の将来についてお伺いをいたします。
我が国では、妊産婦の出産における死亡率を下げることが長年の課題でした。死亡率は、1990年では、10万人当たり8.59人でありましたが、日本産婦人科医会等が中心となり、事例の抽出や再発防止の提言等を行いながら、2015年にこれを4分の1にすることを目標とし、取り組んだ結果、2014年には、10万人当たり2.79人まで低下し、現状では世界でも最も安全なお産ができる国になりました。
しかし、このような中、2005年から2014年の10年間での東京23区の妊産婦の死亡調査で、妊娠中23例、産後1年未満40例、合計63例の自殺が確認をされました。東京23区の自殺による妊産婦死亡率は、10万人当たり計算上8.7人となり、長年かけて努力をし、減少させてきた妊産婦死亡率を大きく上回っていることが分かりました。これが産後ケア事業が始まるきっかけとなった東京ショックと言われるものです。
産後鬱は、潜在的に大変多いことが予想され、自殺者をなくすために、まず、東京23区内で産後ケア事業が始まり、そして、現在は、全国の自治体でその取組がなされています。
本市においても、育児相談や指導、体調チェック、乳児の発達相談等がデイサービス型、宿泊型という形で手厚く行われ、産後のお母さんにとって大事なこの事業を本当によくやっていただいていると認識をしています。
この事業の担い手は、民間産婦人科医院や助産院となります。お話を伺った助産師によると、出産間もないお母さんの相談の中で、乳児にどう接したらよいか分からない、そして、そんな自身がふがいなく鬱状態となり、中には、いっそ自身か乳児がいなくなればよいと思ってしまうという方が想像以上に多いそうです。
産後の自殺者をなくすことはもちろんですが、将来の虐待やネグレクトをなくすためにも本当に大事な事業だと思っています。
この産後ケア事業を継続させていくためには、地域で助産院等が成り立っていることが前提となりますが、先ほど申しましたとおり、拠点となる総合病院に産科医が確保できなくなれば連携医と提携をできない助産院は経営ができなくなります。産科医不足により、将来この産後ケア事業が継続されていくのかについても心配をしておりますが、助産院の将来、産後ケア事業の現状、将来について、当局の見解をお答えください。
(18番 小川浩樹君 降壇)
○議長(北田健治君) 保健福祉部長。
(保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
産後ケア事業は、出産後の母子に対して、一定期間、心身のケアや育児のサポート等を行うことにより、子供を産み育てやすい体制の整備を図ることを目的としております。対象者は、出産後1年未満の産婦並びにその新生児及び乳児であり、心身の不調または育児不安、育児支援の不足等があり、支援を必要とする母と子です。
事業内容は、授乳等の育児相談や指導、お母さんの体調チェック、乳房に関する指導管理、沐浴指導、乳児の発達チェックや子育てに関する相談、指導など必要に合わせてのサービス内容となっております。
実施方法は、宿泊型とデイサービス型があり、宿泊型は、実施機関の施設において、利用者を原則として7日以内の宿泊をさせ、休養の機会を提供するとともに心身のケアや育児サポート等の支援を提供しております。デイサービス型は、日中、実施機関の施設において、来所した利用者に対し、個別または少数で心身のケアや育児サポートを提供し、2時間以上3時間未満の支援を1回として14回まで提供しております。
令和2年度の実績としましては、デイサービス申請数173件、利用回数432回、宿泊申請数6件、利用日数26日となっております。
現在は、病院1か所、助産所4か所に事業を委託し実施いただいております。
現状の助産所と紀南病院との連携につきましては、市内の2か所の助産所が紀南病院と連携しており、妊娠期に切迫早産や胎児の発育不全などがある場合は紀南病院へ転院しております。また、助産所で出産した際に、緊急搬送が必要な場合は、紀南病院へ搬送しフォローを受けていると聞いております。
市としましては、先ほども申し上げましたが、安全、安心な出産のできる体制の構築のため、引き続き医師の確保対策を国及び県に要望してまいるとともに、今後も地域の医療機関や助産院との連携を図り、周産期の妊産婦への支援の充実に努めてまいりたいと考えております。
(保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(北田健治君) 小川浩樹君。
(18番 小川浩樹君 登壇)
○18番(小川浩樹君) 御答弁いただきました。将来、連携医がなくなれば、分娩ができなくなっても産後ケア事業などに特化して残ってくれる助産院はあるかもしれないという現場の声がありました。それでも施設を整え、宿泊型サービスの産後ケア事業を継続するのは難しいであろうという予想のお話もお聞きをしました。出産そのものだけではなく、出産後のお母さんをケアするという意味でも産科医確保、地域にとってこれがいかに大事かということを痛感をしています。
続いて、4点目です。新宮市立医療センターからの受入れについてですが、産科医での分娩を休止せざるを得なくなった新宮市立医療センターでは、57名の妊婦さんが出産を控えていたそうです。うち二十数名は新宮市の方、あとは那智勝浦町や串本町や、そして三重県の方だそうです。新宮圏域から最も近い熊野市の紀南病院も分娩は休止をしていて、三重県側で次に分娩できる施設は尾鷲市になるそうです。
このような状況を考えると、当然紀南病院にも受入れの打診が来ていることと思いますが、陣痛が起こってからの搬送では時間がなく、出産予定前に宿泊施設を確保して滞在できるのか等々課題が大変多いと伺いました。とにかくこの57名の方に無事に出産を迎えてもらうというのが喫緊の課題ということですが、この方たちの田辺圏域での出産受入れについて、どのような状況にあるかお伺いをいたします。
(18番 小川浩樹君 降壇)
○議長(北田健治君) 保健福祉部長。
(保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
紀南病院に確認しましたところ、新宮市立医療センターから協力依頼はあったとのことで、地域周産期母子医療センターとして、リスクの高い妊婦の受入れはもちろんのことでありますが、圏域の分娩に影響が出ない範囲で、可能な限り一般の妊婦も受け入れる準備があると聞いております。
市としましては、今後の分娩再開に向けた新宮市立医療センターの動向を注視してまいりたいと考えております。
(保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(北田健治君) 小川浩樹君。
(18番 小川浩樹君 登壇)
○18番(小川浩樹君) 御答弁をいただきました。紀南病院も地元の方を優先にということで、里帰り出産も控えている状態ですが、この57名の方のどれぐらいを受け入れるかということ、相当大きな悩みになるであろうなと思っています。新宮市のこの57名の方に無事出産を迎えていただきたいというのはもちろんですが、一つの圏域で分娩ができなくなるとこのような状況が起こるということを、将来田辺地域でも同じことが起こったときの方策、対処として一つの学習材料にしていただきたいと思っています。
次に、5点目です。自身の感じていること等々、4点質問させていただきました。これらは、将来にわたりこの地方で産科医を確保できるかにかかっていることです。産科医の方にもそれぞれその方の人生があり、この地域に来ることを望まない方がいるのも当然でしょうし、また、1人の産科医の方においても、それぞれの家族の事情などにより、ベテラン産科医となるまでこの地にとどまっていただけるかどうかも確かに不確定なものだと承知をしています。
しかし、この地方の産科医療を成り立たせ、将来もこの地域の方々がこの地で安心して出産することを確保していくためには、あらゆる方策を模索しながら産科医を確保し続けるという努力をしなければなりません。本当に紀南病院も大変な努力をしていると認識をしておりますし、行政も政治的な行動として、様々な方法を使って産科医の確保に動いていただきたいと、こういう思いです。産科医の確保に向けて当局のお考えをお伺いします。
(18番 小川浩樹君 降壇)
○議長(北田健治君) 市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 議員の御質問にお答えします。
医師の確保につきましては、産婦人科の医師のみならず、全国的に医師の都市部への偏在と診療科間の偏在があり、確保が困難な状況でありますが、市民の健康を支え、住み慣れた地域で安心して生活が継続できるよう医療提供を続けるためには必要であります。
県は、医師確保対策として、医療提供体制の維持のため、将来、県内の僻地医療機関や公的病院等の小児科・産科・麻酔科・救命救急センターで医師として勤務する方に対して修学資金制度を設けるとともに、和歌山県立医科大学に地域枠、近畿大学医学部にも和歌山県地域枠を設け、効果的に県内僻地診療所や公的病院に配置できるよう取り組んでおります。
また、周産期医療に携わる医師の地域偏在が課題となっていることから、産科・小児科における医師確保計画を策定し、周産期医療に携わる医師の地域偏在を解消し、安心して出産できる体制を堅持するため、県外からの確保を継続するとともに、県内において産科の専門研修を行う専攻医を確保することで、産科医師総数の増加を図ることとしています。
市といたしましても、引き続き、医師確保対策を国や県に強く要望してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(北田健治君) 小川浩樹君。
(18番 小川浩樹君 登壇)
○18番(小川浩樹君) 御答弁ありがとうございました。紀南病院でお話を伺った中身では、里帰り出産も再開をしたいし、新宮市からの受入れも1人でも多く受けてあげたい、そのことはやまやまであるが状況を見守っていくしかない。しかし、将来もう田辺市での出産ができなくなるというような事態は何としても避けたいというお話をしておりました。相当な努力をしているんだなというふうに感じております。
今回のこの1点目の質問は、紀南病院の人事に関わることもあり、質問も抽象的で答弁もお互いなかなか踏み込んだところに行けないという中身を承知でさせていただきましたが、自身が感じた危機感を皆様に共有してほしくて行いました。難しい問題ですし、特効薬があるわけでもありませんが、私も少しでもできることがあれば努力をさせていただくつもりです。
以上で大項目1点目を終わります。
続いて、2点目、子宮頸がん予防ワクチン勧奨再開に向けて質問をさせていただきます。
子宮頸がんは、子宮の入り口部分である子宮頸部にできるがんです。我が国では、今も年間1万人近くの女性が子宮頸がんにかかり、約3,000人もの女性が亡くなっています。特に、妊娠、出産を迎え、さらに子育て世代、働き盛りの20代から40代での発症が多く、95%以上の子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染経路は性的接触です。HPVは、ごくありふれたウイルスで、性交渉を経験する年頃になれば、男女問わず多くの方が感染するものとされ、性交渉の経験がある女性の50%から80%が感染していると予想されています。
通常、感染者のこのHPVウイルスは、時間がたてば体内から消えていくのですが、一部の女性にはこれが残り、感染細胞が異常な形に変形し、前がん病変を発症し、さらに強い病変に進行します。これら病変は、異なる形成、異形成と言われる状態ですが、これがさらに進行すると子宮頸がんに進行します。異形成と言われる状態での治療は、子宮頸部の一部切除が多く、これは、将来早産、流産のリスクが高まるなど、妊娠、出産に影響が出ることとなり、子宮頸がんまで進行すると、子宮や卵巣を摘出することや放射線治療、抗がん剤治療などを行うこととなり、将来の妊娠の可能性が大きく失われます。
しかし一方、この子宮頸がんは、HPVにさえ感染しなければ発症することはなく、ワクチンによる感染予防は大きな効果があり、最も予防しやすいがんとも言われています。
HPVワクチンは、国の2011年度からの基金事業を経て、2013年に定期接種となり、小学6年生から高校1年生相当の女子は、接種を希望すれば無料で接種が可能となっています。
しかし、一方で、接種による副反応の報告が相次ぎ、2013年6月より、国は国民に適切な情報提供ができるまでの間、積極的勧奨を行うべきではないと判断し、自治体に通知をしました。このことにより、この時期は、国全体では接種率は1%にも満たないという状況になりましたが、その後、令和2年10月、また本年1月に接種対象者への周知について通達が出されたことで少し接種率が戻っているという状況にあろうかと思います。ワクチンに不安が残るのであれば、接種を勧めないという姿勢は当然のことで、この国の措置が間違っていたとは全く考えていません。
しかし、厚生労働省の検討部会で、この8年間の研究等でこのワクチンがほかのワクチンと比較しても副反応の出る確率は同程度との見解の下、勧奨を再開するべきではないかという意見が出るようになったことで、数年前から産婦人科学会や小児科学会など、専門家、医療者有志の団体からの要望や接種機会を逃した市民からの署名など、HPVワクチンの積極的勧奨再開を求める動きが非常に大きくなってきておりました。そして、先日、11月26日、厚生労働省が積極的勧奨の再開を発表、各自治体は来年度よりそれに取り組むこととなりました。
私は、あらゆるワクチンの全面推奨派ではありませんし、ワクチンである以上、確率は低くても副反応が出る可能性があることで、打たないという選択をされる方がいるのは当然のことだと思っています。また、副反応の出た方への対応を充実させることもまた当然必要だとも思っています。
そして、その上で、子宮頸がんで死亡される方が現在も3,000人、また、手術により子供を産めなくなる方が大変多いとされる状況を改善するために、子宮頸がんの正しい知識を得て、それを防ぐためにワクチン接種の機会を選択する権利は対象女子にあるべきだと思っています。
私は、知人の中に、頸がんの前の状態である異形成と診断され、子宮を切除し、2人目の子供を諦めた方と頸がんにより子宮を全摘し、子供ができなかった方がいますが、その2人目の子供を諦めたお母さんが、自身の切実さから娘さんが中1のときに子宮頸がんという病気のことを伝えた上でワクチンを接種させたというお話を強く印象に持っています。
このHPVワクチンについて、国の積極的勧奨に寄せて3点質問をさせていただきます。
まず1点目ですが、HPVワクチンが定期接種化された平成25年以降の本市のワクチン接種件数、接種率、そして、それを踏まえ、本市としてこのワクチン定期接種についてどのように考えておられるかお考えをお聞かせください。
(18番 小川浩樹君 降壇)
○議長(北田健治君) 保健福祉部長。
(保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
子宮頸がんの原因の一つであるヒトパピローマウイルスの予防接種につきましては、平成25年度から予防接種法に基づく定期接種となり、小学校6年生から高校1年生の女子を対象としており、市では、国から示されております標準的な接種期間である13歳の属する学年である中学1年生から16歳の属する学年である高校1年生に対し、積極的な勧奨を実施しておりました。その後、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛が接種後に特異的に見られたことから、同年6月14日付の国からの通知により、適切な情報提供ができるまでの間、定期接種を積極的に勧奨すべきではないとされ、積極的な勧奨を控えておりました。
接種率につきましては、平成25年度、接種者数99人、接種率3.7%となっております。平成26年度以降につきましては、積極的勧奨を控えたことにより、接種者が非常に少ないことから、接種者数のみお答えをいたします。平成26年度3名、平成27年度9名、平成28年度3名、平成29年度4名、平成30年度2名となっております。
なお、積極的な勧奨を控えて5年を経過した令和元年度に、小学校卒業前の女子に学校を通じて個別に情報提供を行い、令和2年度には10月の国の通知を受けて、中学校1年生から高校1年生の対象者全員へ情報提供を行った結果、令和元年度18名、令和2年度158名、令和3年度10月末時点で147名となっております。
以上の接種状況から、令和元年度及び令和2年度の個別の情報提供により、接種者数が伸びており、対象となる方が、ワクチン接種についての情報を得て、接種を希望する選択ができることにつながっていると考えております。
令和3年11月26日付、国からの通知をもって、ワクチンの個別接種勧奨について、定期接種を積極的に勧奨すべきではないとされていた平成25年6月の通知が廃止されました。
現在、国において、具体的な対象年齢や周知方法、時期等について、令和4年4月からの実施に向けて検討されております。市としましても国の方針に基づき、適切に進めてまいりたいと考えております。
(保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(北田健治君) 小川浩樹君。
(18番 小川浩樹君 登壇)
○18番(小川浩樹君) 御答弁をいただきました。平成25年の接種者99名、接種率3.7%ということですので、単純計算をすると、全体の各学年対象女子は400人から500人、現在でもいるのかなと予想をします。学校を通じての通知で、令和2年158名、令和3年10月時点で147名ということですので、この病気についての知識を得て、接種選択の自由を与えることができれば接種率は伸びていくものというふうに思っています。来年度からの積極的な勧奨再開に合わせて自治体での取組をお願いしたいのですが、次に2点目についてお伺いをします。
積極的勧奨が再開されるに当たり、対象年齢を含めどのような方法で通知、啓発をしていくのかお答えください。
(18番 小川浩樹君 降壇)
○議長(北田健治君) 保健福祉部長。
(保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
先ほどもお答えしましたが、令和3年11月26日付の国からの通知をもって、ワクチンの個別接種勧奨について、定期接種を積極的に勧奨すべきではないとされていた平成25年6月の通知が廃止され、現在、国においては、令和4年4月から順次、個別の勧奨を実施することとし、具体的な対象年齢や周知方法等について検討されております。
市におきましても、今後、国の方針が決定した段階で対象年齢や周知方法などを検討し、令和4年度の実施に向けて準備を進めてまいりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
(保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(北田健治君) 小川浩樹君。
(18番 小川浩樹君 登壇)
○18番(小川浩樹君) 再質問です。対象者は中1から高1の女子となるでしょうか。それから、4月からの再開時は、毎年積み上げていく一つの学年に対しての通知ではなくて、一旦対象全部の学年に通知をすることになるのでしょうか。
(18番 小川浩樹君 降壇)
○議長(北田健治君) 保健福祉部長。
(保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
令和3年11月、国より、ヒトパピローマウイルス予防接種の個別勧奨及び接種を進めるに当たっての留意点が示されております。個別勧奨を進めるに当たっては、標準的な接種期間に当たる者、13歳となる日の属する年度の初日から当該年度の末日までにある女子に対して行うことに加えて、これまで個別勧奨を受けていない令和4年度に14歳から16歳になる女子についても、ワクチンの供給・接種体制等を踏まえ、年齢の高い者から順に、できるだけ早期に個別勧奨を進めることが考えられるとされております。
現在、国において具体的な方法について検討されているところでありますので、市においても国の方針に従いまして、準備を進めてまいりたいと考えております。
(保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(北田健治君) 小川浩樹君。
(18番 小川浩樹君 登壇)
○18番(小川浩樹君) 私としては、学校を通じての通知よりも、個別郵送での通知が効果があるのではないかなと思っています。先ほどから申しておりますが、このがんの特性を知っていただいた上で、保護者と当事者がしっかり話をしていただいて、このワクチンを打つか打たないかの接種の選択をするという機会が必要だと思っています。とはいえ、この時期に打っておかなければ防ぐことができないがんです。ということに鑑みても、学校を通じての一斉通知よりも個別通知、丁寧にやっていただきたいということを当局には御検討をお願い申し上げます。
次に、3点目、キャッチアップ導入時の周知対象、周知方法についてお伺いをいたします。
キャッチアップとは、国が勧奨を中止した平成25年以降、その無償での定期接種の機会を失い、現在は対象年齢ではなくなった方を拾い上げるという意味です。平成25年に高1だった方は現在24歳となります。現在の高2から24歳までの方たちの多くは、定期接種の対象であった当時、子宮頸がんについての知識を得ることなく接種の機会を失ったと考えられます。
先ほども申しましたように、ワクチン推奨再開の要望活動を行っていた中には、若い成人女性の方たちも多くいたというのはこのためです。
国は、現在、このキャッチアップについてもどのように対応するか検討中ですが、救済措置がある前提として議論が進んでいるようです。
本市としましては、その対象をどのように考えるのか、また、その通知方法についてお考えをお聞かせください。
(18番 小川浩樹君 降壇)
○議長(北田健治君) 保健福祉部長。
(保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
ワクチンの積極的な勧奨の差し控えにより接種機会を逃した方であるキャッチアップ接種の対象者につきましては、現在、国において、公平な接種機会を確保する観点から検討されております。また、対象者の範囲につきましても、接種による安全性と有効性とのバランス、接種年齢が高くなるほどワクチンの有効性が低くなることやワクチンの供給量も含めて検討されているところであります。
市としましては、個別に通知することも非常に効果的であると考えておりますが、国の方針が決定次第、実施方法を検討し、効果的な周知啓発に努めてまいりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
(保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(北田健治君) 小川浩樹君。
(18番 小川浩樹君 登壇)
○18番(小川浩樹君) 御答弁ありがとうございました。国が積極的勧奨を再開される今後、定期接種対象世代だけでなく、十分な周知を受けることもないまま接種機会を逃してしまったこれらの世代にもぜひとも同等の接種の機会を設けること、それについて努力をいただくようお願いを申し上げます。
いずれにしましても、対象となる全世代についての通知をきめ細やかに、丁寧に行っていただくようお願いを申し上げまして、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
(18番 小川浩樹君 降壇)
○議長(北田健治君) 以上で、18番、小川浩樹君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(北田健治君) この場合、午後1時まで休憩いたします。
(午前11時29分)
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再 開
○議長(副議長 尾花 功君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時00分)
○議長(副議長 尾花 功君) 続いて、8番、浅山誠一君の登壇を許可いたします。
(8番 浅山誠一君 登壇)
○8番(浅山誠一君) 皆様、こんにちは。
8番、大志会の浅山です。本日は、大項目1点について、自戒の念を込めながら質問させていただきます。
まず初めに、特定健康診査についてお伺いします。
日本全体で疾病全体に占めるがん、心疾患、脳血管疾患、糖尿病等の生活習慣病の割合が増加傾向にあり、死亡原因でも生活習慣病が死亡原因の約6割を占めていることから、糖尿病等の生活習慣病有病者や予備軍を減らすために、2008年4月から高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、特定健康診査、特定保健指導がスタートしました。特定健診は、いわゆるメタボ健診とも呼ばれ、皆様も御存じのとおり40歳から74歳までの公的医療保険加入者全員を対象に内臓脂肪症候群に着目した健診が行われています。
田辺市では、田辺市健康づくり計画「元気たなべ2013」において、特定健診、がん検診の2023年度時点の受診率について目標設定されていますが、参考資料にもあるように、2019年3月の中間報告時点、これは、2016年度の数字となるのですが、ほぼ全ての項目で目標値に大きく届かない結果となっています。
直近の実施率も、コロナ禍で落ち込んだ2020年度の速報値で25.0%、2019年度は30.7%となっており、特定健診の受診率は、現在、県下9市の中で9年連続最下位であり、県下30市町村の中でも過去5年間、28位から最下位という低い数値となっています。
ちなみに、全国平均では、最新の数字が2019年度となるのですが、全平均で55.6%、市町村国保でも38.0%となっており、田辺市の30.7%の低さが際立っています。
田辺市は、男女ともに平均寿命、健康寿命が県平均、全国平均に比べて短く、特定健診の受診率の低さはボトルネックの一つと言えると思います。
そこでお伺いします。田辺市では、特定健康診査の受診率が全国平均や県内他自治体と比べて特定健診がスタートされてから一貫して低い数字となっていますが、受診率が低くなっている要因をどのように捉えているのでしょうか、お聞かせください。
(8番 浅山誠一君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 8番、浅山誠一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市民環境部長、中村 誠君。
(市民環境部長 中村 誠君 登壇)
○市民環境部長(中村 誠君) 議員御質問にお答えします。
特定健康診査受診率の低迷については、御指摘のとおり、国の示す目標とすべき受診率とは大きく乖離した状況であり、さらなる対策が必要であると捉えております。
この受診率が低いことについては、何か一つの要因によるものではなく、多様な要因が積み重なった結果であると考えられる一方、受診率向上に向けては様々な取組を実施しておりますが、自分の健康は自分でつくり守るという意識の高揚、気運が、健康診査を受診するという行動を起こすまでに至っておらず、十分醸成されていないためではないかと推測しています。
(市民環境部長 中村 誠君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 浅山誠一君。
(8番 浅山誠一君 登壇)
○8番(浅山誠一君) 健康に対する気運が高まり切っていないという御認識でした。目標値には届きませんが、一昨年までは徐々に受診率が増加していました。健康経営という言葉もここ数年で市民権を得てきており、健康への意識は確実に向上していますし、人生100年時代において、健康と向き合うことは、個人にとっても社会にとってもますます重要度が増しています。
ただいま、現状認識についてお答えいただきましたが、続いて課題解決に向けた打ち手についてお聞きします。
「元気たなべ」の中間実績値の評価では、今後、健診の受診率向上に向け、健診の必要性を広く啓発するとともに、健診を受けやすい機会の提供等を考えていく必要があると明記しておりますが、これまでの未受診者対策として実施してきたことと、今後コロナ禍という社会情勢も踏まえて、受診率向上に向けてどのような取組を展開していくのかお聞かせください。
(8番 浅山誠一君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 市民環境部長。
(市民環境部長 中村 誠君 登壇)
○市民環境部長(中村 誠君) 議員御質問にお答えします。
特定健康診査を受けやすい機会の提供と未受診者対策につきましては、市民総合センター等を会場とした集団検診については、受診しやすいように土日を中心に日程を調整しながら、今年度23回の日程を設けました。個別医療機関での健診については、医師会及び各医療機関の御協力の下、現在、市内外47機関で受診することが可能です。
また、特定健診にがん検診等を加えた人間ドックを受診することも可能となっていますので、多くの受診機会を提供できるよう努めております。
さらに、特定健診の検査項目を国の基準以上に、心電図検査、貧血検査、クレアチニン検査、尿酸、アルブミン等の項目を追加した1万円以上の費用を要する検査を無料で行っています。
これらの周知については、市のホームページや広報田辺、地方紙へ受診啓発のための広告を掲載するとともに、今後はSNSを活用した周知についても考えていきます。
令和元年度からは、新たに、受診勧奨をAIを活用した勧奨通知の実績のある事業者に委託し、それに連動して在宅保健師の電話勧奨も行っています。
また、アンケート結果では、特定健診を受けない理由として、医療機関にかかっているとの回答が最も多かったため、平成29年度から、かかりつけ医からの情報提供によって特定健診受診とする事業も実施しております。
平成29年度策定の第2期田辺市国民健康保険データヘルス計画により、未受診者対策は、毎年自己評価を行いながら実施しており、健診対象者の受診率は徐々に増加し、令和元年度は30.7%となりましたが、令和2年度はコロナ禍の影響を受け、集団検診の11回、個別医療機関でも一部健診が中止となるなど、速報値の受診率は初めて前年度を下回る結果となりました。
被保険者の皆様には、疾病予防の重要性を認識し、コロナ禍であっても、まずは特定健診を受診することが重要と考えております。
コロナ禍での集団検診の実施に際しましては、受付時間を指定し、基本的な感染予防対策を徹底し、安心して受診していただける体制を取っております。
以上です。
(市民環境部長 中村 誠君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 浅山誠一君。
(8番 浅山誠一君 登壇)
○8番(浅山誠一君) 受診をしない理由を一つ一つ丁寧に潰されていらっしゃることが徐々に数字としては表れていたというふうに感じました。
私はまだ35歳ということで、こちらの対象年齢ではないのですが、今回、質問を通してチラシのほうも初めて拝見させていただきまして、非常に分かりやすい内容でしたし、少し若者言葉でいうとすごくコスパに優れているなというふうには感じました。
第2期田辺市国民健康保険データヘルス計画によると、年代別に受診率を見たときに、40代の受診率が田辺市では低い傾向にあります。現役世代ということもあり、時間が取れないことや、また、健康に自信があるため必要性を感じないということもあろうかと思います。また、内容やメリットをしっかりと把握されていないことも予想されます。
御答弁にもありましたように、SNS等でマスに投げかけることも大切ですが、連れもていこらの風土醸成もできればよりよいと思います。
例えばですが、消防団に入っている方は、農家さんや個人事業主さんなど国保加入者が多い傾向にあります。消防団とタイアップし、横展開できれば、地域に広がるのではないでしょうか。特定健診は受けたほうがよいよと1人でも多くの市民の方が周りの人に伝えていただけるように、引き続き取組をお願いします。
続いて、(2)特定保健指導についてお伺いします。
特定健診の結果から、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が多く期待できる方に対して、生活習慣を見直すサポートを行うというのが特定保健指導ですが、こちらの実施率についても目標値には届いておりません。コロナ禍の2020年の速報値では23.5%となり、県平均の19.7%よりも実施率が高くなりましたが、2019年は、県平均30.3%に対して23.4%と、2020年以前の過去6年間は県平均よりも低い実施率となっています。
そこでお伺いします。特定健康に続いて、特定保健指導の実施率が伸び悩んでいる要因を市ではどのように捉えているのかお聞かせください。
(8番 浅山誠一君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 市民環境部長。
(市民環境部長 中村 誠君 登壇)
○市民環境部長(中村 誠君) 議員御質問にお答えします。
特定保健指導の実施につきましては、健診結果を基に、保健指導の通知案内や電話による案内を行い、対象者が参加可能な日程の調整に努めながら、休日や夜間においても実施しておりますが、議員御指摘のとおり低い実施率であります。
この低実施率につきましては、様々な要因が積み重なったためと考えますが、幾つか事例を申し上げますと、初回、保健指導を受けた方が次回の保健指導を辞退し、継続した指導ができないことや、前年度に引き続いて保健指導対象となった方が参加されないことがあります。
また、自覚症状がないことで、自身の生活習慣に大きな問題はないという認識や仕事が忙しく時間が取れないなどの理由によるものと考えております。
以上でございます。
(市民環境部長 中村 誠君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 浅山誠一君。
(8番 浅山誠一君 登壇)
○8番(浅山誠一君) 様々な要因が積み重なり、低い実施率となっているという御認識でした。
それでは、特定健診と同じ質問となりますが、これまで実施率を上げるために取り組んでこられたこと。また、今後、コロナ禍という社会情勢を踏まえて、どのような取組を展開していくのかお聞かせください。
(8番 浅山誠一君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 市民環境部長。
(市民環境部長 中村 誠君 登壇)
○市民環境部長(中村 誠君) 議員御質問にお答えします。
未利用者対策としましては、まず1点目は、集団健診での受診時において、当日に判定できる結果から特定保健指導の対象となる方に、保健指導の必要性や自身の生活習慣を振り返り、今後の目標設定をしていただいた上で、特定保健指導への参加を働きかけております。
2点目は、医療機関健診の結果から対象となる方に対して、個別案内や電話連絡等で保健指導につなげるなど利用率の向上に向けた取組を行っております。
また、特定健康診査と同様に、第2期田辺市国民健康保険データヘルス計画に沿った年度ごとの評価目標を定め、さらに自己評価を行いながら、自身の健康状態や生活習慣の改善に関心が持てる個別の通知の作成と電話勧奨を実施しております。コロナ禍での事業実施については、感染予防対策の徹底を基本とした教室や個別指導を行っています。
今後も保健指導のプログラムや指導時に活用する資料の内容を見直すなど、実施率向上に向けた取組を進めてまいりたいと考えておりますので、御理解のほどお願い申し上げます。
以上です。
(市民環境部長 中村 誠君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 浅山誠一君。
(8番 浅山誠一君 登壇)
○8番(浅山誠一君) 今回、一般質問をするに当たり、現場の方々とお話をさせていただく中で、皆様共通して、田辺市は特定健診、特定保健指導の実施率が低くてというような反応をされていらっしゃいました。様々な対策を取られていながらも一貫して低い位置にあるというのは、現場の方にとって徒労感が増しますし、地域性などもあるのかもしれません。
しかし、この事業は、相手の行動変容を促す、相手の心を動かさなければ数字は改善されません。啓発や電話連絡をする際に、田辺市は数字が悪い、田辺市は特定健診や特定保健指導を受ける人が少ないという先入観を持ち過ぎると、あと一歩踏み出せずに終わってしまうこともあろうかと思います。ぜひそういった先入観というもの捨てて、粘り強く取り組んでいただけたらと思います。
続いて、(3)がん対策についてお伺いします。
先日、日本対がん協会などが実施した調査において、2020年にがんと診断された人が前年より9.2%減ったとする調査結果が発表されました。これは、
新型コロナウイルス感染症の影響で、がん検診の受診者が減少したことが理由で、主な5種のがんで約4万5,000人の診断が遅れたと推計されるそうです。その結果、今後は、進行したがんが見つかるケースが増えて、患者の予後の悪化や死亡率の増加が懸念されています。
そこでお伺いします。参考資料にもあるように、田辺市健康づくり計画「元気たなべ」では、がん検診についても目標値を定めて取り組まれておりますが、田辺市における直近のがん検診の受診率の推移はどのような変化となっているのでしょうか。また、市の死因別死亡数に占めるがんの割合は、国・県と比べてどの程度となっているのでしょうか、お聞かせください。
(8番 浅山誠一君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 保健福祉部長、虎伏 務君。
(保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
市では、市民を対象に健康増進法に基づく健康増進事業として、市町村の努力義務と位置づけをし、がんの早期発見、早期治療につなげていくことを目的にがん検診事業を実施しております。
がん検診の種類、対象者、受診間隔でありますが、胃がん検診は、50歳以上で2年に1回、大腸がん・肺がん検診は、40歳以上で年1回、乳がん検診は、40歳以上で2年に1回、子宮頸がん検診は20歳以上で2年に1回となっております。
直近、3年間の受診率の推移につきましては、胃がん検診が、平成30年度13.8%、令和元年度は11.9%と低下し、令和2年度には8.6%と下がっています。大腸がん検診は、平成30年度9.5%、令和元年度10%とほぼ横ばいで、令和2年度は8.2%と少し下がっています。肺がん検診については、平成30年度8.5%、令和元年度8.6%とほぼ横ばいで、令和2年度は5.9%と下がっております。乳がん検診は、平成30年度17%、令和元年度17.7%とほぼ横ばいで、令和2年度は15.1%と下がっています。子宮頸がん検診は、平成30年度20%、令和元年度20.2%、令和2年度は19.1%とほぼ横ばいになっています。子宮頸がん検診を除き、平成30年度から令和元年度まではほぼ横ばい状態であり、令和2年度は2ポイント程度の低下が見られます。
この要因は、
新型コロナウイルス感染拡大のため、6月から7月の集団検診の実施を中止したことや個別医療機関への受診控えもあり、受診率の減少があったものと考えております。
また、市の死因別、死亡数に占めるがんの割合につきましては、人口動態統計による令和元年の死因別死亡順位は、悪性新生物が26.2%で第1位であり、国27.3%、県25.7%と比べますと、国より低く、県より高いものとなっています。
さらに、人口10万対における部位別悪性新生物死亡率の順位は、気管・気管支及び肺、肝、胆のう等、大腸、胃の順となっております。
(保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 浅山誠一君。
(8番 浅山誠一君 登壇)
○8番(浅山誠一君) コロナ禍の昨年度は2ポイント程度の低下、子宮頸がんを除きというところでした。この数値というのが、後々がんの発症数の増加につながることを非常に懸念しております。
がんは、日本人の国民病とも言われておりますが、医療技術の向上や治療薬の開発などでがんを早期に発見できれば治る可能性も年々高まっています。だからこそ早期にがんを見つけ、早く治療を始めることが重要であり、その前提となるがん検診をいかにして受けていただくのかが大切だと思います。
国のがん対策推進基本計画では、早期発見に向け、検診の受診率を50%に目標と掲げておりますが、本市の状況はまだ乖離があります。市も「元気たなべ」において、効果的ながん検診推進のため受診率の向上に取り組む、特に未受診者を減らすことに重点を置いた周知啓発や受診勧奨を行うと掲げていらっしゃいますが、受診率向上に向けて、今後どのような取組を行っていくのかお聞かせください。
(8番 浅山誠一君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 保健福祉部長。
(保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
受診率の向上につきましては、4月当初に各種検診の対象者に検診案内とともに各種検診受診券やがん検診受診勧奨を分かりやすい漫画にしたものを同封し、個別に郵送で案内しております。
また、子宮頸がん検診は20歳の方、乳がん検診は40歳の方に無料クーポン券を発送するとともに、未受診者には再勧奨はがきを発送するなど、受診勧奨をしております。
そのほかの周知方法としましては、ホームページや広報田辺に受診啓発のための記事を掲載するとともに、特定健康診査で実施しております受診勧奨通知や在宅保健師による電話勧奨により、コロナ禍の状況の中、社会情勢を注視しながら、がん検診につきましてもさらなる受診勧奨をしてまいります。
(保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 浅山誠一君。
(8番 浅山誠一君 登壇)
○8番(浅山誠一君) 長引くコロナ禍で、本来なら病院に行くべき人が受診していないケースもあるだろうし、全国的には、自治体がワクチン接種などに追われ、がん検診にまで手が回っていなかったという指摘もございます。
また、高齢化の影響もあり、罹患率や罹患者数も高止まりしており、いまや国民の2人に1人が一生のうちにがんを発症する状況です。
今回は、がん検診の受診率向上について質問しましたが、主に学校教育の場でのがん教育や、大人向けのがんに関する知識の普及啓発も今以上に行っていかなくてはなりません。市民の健康増進のために、さらなる取組をお願いして、次の質問に移ります。
続きまして、HPVワクチンについてであります。こちらは、直前に小川議員が質問されましたので、質問を割愛させていただきますが、少し私の思いを述べさせていただきます。
子宮頸がんは、日本で毎年約1万1,000人の女性が罹患し、このうち約3,000人が死亡しています。最近では、20代から30代の若い女性に増えており、30代後半から40代がピークとなります。30代までにがんの治療で子宮を失う方も毎年約1,200人いる状況です。
WHOでは、HPVワクチンを子宮頸がんの重要な予防手段として認めて推奨しており、子宮頸がんを撲滅できるがんに位置づけています。ワクチン接種率は、2018年時点のデータで、カナダやイギリスでは80%を越え、アメリカでも55%であるのに対して、日本は0.8%と、積極的勧奨を差し控えたことで非常に低くなっていました。繰り返しますが、子宮頸がんは撲滅できるがんと言われています。
HPVワクチンの接種に関しては、接種するメリット・デメリットをしっかり理解した上で、接種する、しないの判断を当事者と保護者などの周りの方としっかりと相談した上ですることが何より大切です。接種の対象となる若い世代の方が、数年後、数十年後に子宮頸がんに罹患した際に、知らなかった、あのときに打っておけばとならないように、市は対象となる方々に対して正確な情報を届けていただくことを重ねてお願い申し上げて、最後の質問に移ります。
最後、ウ、ピロリ菌検査の実施についてであります。
WHOは、1994年にピロリ菌は胃がんの原因であると認定し、2014年には、胃がん対策はピロリ菌除菌に重点を置くべきであるとの発表を行っています。
また、胃がんの約9割はピロリ菌が原因という研究結果もあるなど、胃がんはピロリ菌の除菌によって、その発生が抑制されることが明らかであり、胃がんを見つけるよりピロリ菌保菌者を見つけることのほうが次世代への伝播防止の観点からもメリットは大きいと考えられます。実際に、和歌山市では、県からの補助を受け、胃がん予防対策として、40歳、45歳の成人を対象にピロリ菌検査事業が行われています。
さらに、ピロリ菌の除菌は、若い世代で行ったほうがより予防効果が高まります。
名古屋市では、若い世代の方にピロリ菌感染の有無から将来の胃がん発生のリスクを知っていただき、適切な治療を受ける等の健康保持につながることを目的として、20歳から39歳の市民全員を対象とした無料のピロリ菌検査を本年10月1日よりスタートしました。
このピロリ菌検査ですが、比較的簡単にできるようで、全国的には、学校の健康診断の際の尿検査や血液検査などを活用し、中学生を対象に実施する自治体も増えています。
ピロリ菌の除菌治療が保険適用で普及したこともあり、日本人の胃がんによる死者数は減少傾向が続いていますが、他の自治体のようにピロリ菌検査事業を導入し、将来的な胃がん発生リスクを抑え、胃がんの発症が減れば医療費の削減に結びつく効果も見込まれます。田辺市でもピロリ菌検査事業を導入すべきと考えますが、見解をお聞きかせください。
(8番 浅山誠一君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 保健福祉部長。
(保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
1994年、世界保健機構はピロリ菌を発がん性物質として認定しており、除菌により胃がんの発生率を3分の1に抑制し、予防効果があると発表しており、予防の観点から、有効な検査であると認識はしております。
日本では、ピロリ菌検査はピロリ菌に感染しているかどうかを調べる検査であり、胃がんの有無を直接検査する検査ではなく、ピロリ菌に感染した人の中で胃がんになる人はごく一部であり、また、死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分であるため、対策型検診として実施することは推奨されておりません。
市としましては、ピロリ菌検査を導入することについては、国の動向を注視し、引き続き調査研究をしてまいりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
(保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 浅山誠一君。
(8番 浅山誠一君 登壇)
○8番(浅山誠一君) ピロリ菌に感染した人の中で胃がんになる人はごく一部なのかもしれませんが、日本のがん患者数で胃がんは2位、死亡数も3位となっており、田辺市の死亡率は平均よりも高いと聞いております。そのため、その原因となるピロリ菌の保菌者を見つけることは、胃がん予防対策として有効だと思います。国のがん検診の在り方に関する検討会でも現在進行形で議論が進んでおりますし、平成29年度の国の調査によりますと、158の自治体で既に導入されているとのことで、現在も増えている状況にあろうかと思います。予防の観点で有効な検査と認識されているのならば、ぜひ前向きに検討いただきたいと思います。
今回、ピロリ菌検査の質問をさせていただいたのは、先日、大変お世話になった方を亡くしたことがきっかけでした。その方は、体調がすぐれず、胃の不調を訴えられ病院で受診したところ、ピロリ菌が悪さをしているとの診断となり、ピロリ菌の除菌を行い、当面の様子を見ることとなったそうです。しかし、一向に体調が戻らず、大きな病院でさらに精密検査を行った結果、他の部位でがんが見つかり、その時点でがんは相当進行しており、懸命な治療が行われましたが、2年足らずで帰らぬ人となってしまいました。もしあらかじめピロリ菌検査をしていればもっと早くがんが見つかり、治療できたのではないか、ピロリ菌検査を導入できれば、同じようなケースを減らせるのではないか、そのような思いから今回一般質問で取り上げさせていただきました。
田辺市民の健康増進に向けて、さらなる取組をお願いして、一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。
(8番 浅山誠一君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 以上で、8番、浅山誠一君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(副議長 尾花 功君) この場合、午後1時40分まで休憩いたします。
(午後 1時29分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(北田健治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時40分)
○議長(北田健治君) 続いて、2番、前田かよ君の登壇を許可いたします。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) こんにちは。
2番、日本共産党の前田かよです。
昨日、12月8日は、80年前に日本が自国だけで300万人もの死者を出した無謀な戦争に突入し、太平洋戦争が始まった日でした。戦争によって亡くなった御霊に哀悼の意を表すとともに、二度と再び過ちを繰り返さず、子供たちに平和な未来を手渡せるよう、平和憲法が守られることを心から願います。
それでは、通告に従いまして質問を行います。
今回は大項目を二つ。学童保育の拡充と指導員に対する処遇改善及びサポート強化について。2点目、新庁舎整備事業費についてを質問いたします。
では、1点目の質問です。
学童保育の拡充については、これまで一般質問で複数回取り上げてまいりました。この間、当局においては、待機児童の未然解消、利用者が増加する長期休暇中の指導員の確保、未設置だった3校の学校の子供が近隣の小学校で利用できるようになったなど、様々に御対応いただき、特に保護者の願いにお応えいただきましたことには感謝を申し上げます。
このように、進展がある一方で、未設置校区への対応や保育拡充のためのハード、ソフト両面での諸課題など、乗り越えていただきたい課題はまだまだたくさんあります。まずは、未設置校区における対応について、特に龍神、本宮におけるニーズをどのように把握しておられるのかお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(北田健治君) 2番、前田かよ君の質問に対する当局の答弁を求めます。
保健福祉部長、虎伏 務君。
(保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
龍神行政局管内及び本宮行政局管内における学童保育所設置の保護者のニーズにつきましては、平成31年に実施いたしました田辺市子ども・子育て支援事業計画策定に係るニーズ調査の結果に基づいて把握しているところであり、学童保育所の利用希望者数が本市の学童保育所開設基準である10人を下回っている状況です。
(保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(北田健治君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 平成31年1月に実施された第2期田辺市子ども・子育て支援事業計画策定に係るニーズ調査以降は、調査は行われていないということです。そして、ニーズの把握はされていないということだと思います。
今後の対応について2点お伺いします。残る未設置校区は龍神と本宮になるわけですが、5年に1回の調査では、保護者が諦めて、埋もれている本当のニーズはキャッチできませんし、要望する声が聞こえてきたというときは、恐らく保護者の願いは相当切実で、そこから調査するのでは設備整備や人員確保に時間を要しますから、保育が必要とされるときには間に合わないと考えます。せめて未設置の龍神、本宮におきましては、毎年調査をすべきではないでしょうか。これが1点目です。
2点目は、長期休暇中の学童保育所を開設することの提案です。現在、長期休暇中は、生涯学習課で居場所づくり事業が行われておりますが、もともとこれは龍神地区のお母さん方が自主的にグループで自分たちの子供の面倒を見合っていて、でもそれが大変だということで学童保育所を希望されたところから始まっていると伺っております。当時は、入所者20人以上という開設規定を満たさないので対応されませんでした。でも何とかこの要望に応えようと教育事務所の職員の方々が中心になって子供の居場所づくり事業を始められました。本事業は、今では毎年20人前後の子供が集まっており、長期休暇中のみだと学童保育所の開設要件を満たしております。通年開所の布石となるよう、試験的にでも行ってはどうでしょうか。そして、毎年、通年利用の意向を調査していけば、諦めていた保護者も利用希望するようになると考えます。最終的には、龍神と本宮の各拠点で1か所開設し、スクールバスかタクシーで送れるようにすれば、保護者は大変喜ばれると思います。
以上、提案についての御答弁をお願いいたします。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(北田健治君) 保健福祉部長。
(保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
まず、ニーズ調査につきましては、地域からの要望などの状況も踏まえながら調査の実施を検討することは考えられますが、現時点においては毎年調査を実施するというところには至っておりません。
また、龍神行政局管内及び本宮行政局管内において実施している長期休業期間の子供の居場所づくり事業については、一定数の申込者がいることは把握しているところではありますが、子供の居場所づくり事業の申込みには保護者が就労している等の要件は必要ありません。
しかしながら、学童保育所として長期休業日期間のみ開設するとなると、学童保育所の申請には保護者の就労等の要件が必要となることから、今まで居場所づくり事業を利用できていた児童であっても、学童保育所になることで利用ができなくなる可能性もあることから、慎重に検討する必要があると考えます。
龍神行政局管内及び本宮行政局管内における学童保育所の設置については、利用者数のみならず学童保育所の場所の確保や運営の仕方、指導員の確保といった問題もあることから、引き続き様々な角度から検討する必要があると考えております。
(保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(北田健治君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) ニーズの状況によっては調査については検討されるということでした。
現行の開設基準10人以上というのは、学校によっては、入所対象の1年生から3年生まで合わせても10人に満たない年もありますので、市内全域に一律にこの規定を適用させること自体、現状には即しておらず、これではいつまでたっても状況に進展が望まれません。
先ほど報告された2019年、平成31年度のニーズ調査の結果では、学童保育所の利用を望む保護者は龍神で1名のみだったということでしたが、龍神のお母さん方からのお声を紹介いたします。市街地で仕事をしているが、子供の下校に合わせて帰宅しようとすると仕事は3時までと働く時間を短縮せざるを得ない。本当はもっと働きたいのにそれがかなわないということです。学童保育所があればフルタイム勤務も可能になるでしょう。そしてもう一つ御紹介します。祖父母に預かってもらっているが、気も遣うし、迷惑もかけるので、やはり学童保育をしてほしいという御意見です。私も祖父母に子供を預かってもらうことがありますが、やはり老齢化する私自身の親に子供を預けるということは、親の体力であるとか、祖父母自体にもやりたいこと、しなければいけないこと、時間の制約をこちらの都合で奪ってしまう、このことに対しては非常に気も遣うという気持ちは、私は大変分かります。こういう意見です。こういうお声がある以上、先ほど調査のニーズの状況によっては調査もあり得るということでしたので、調査はすぐにでも行っていただきたいと思います。
放課後児童クラブ送迎支援事業、そして、小規模放課後児童クラブ支援事業など、国の補助事業活用も視野に入れながら、本来は、長期休暇中は、今行われているのは、もちろん就労の有無に関係なく受け入れていただいていますが、本来は、子育て支援ということを考えますと、1人でも利用希望者がいる地域においては、開設に向けた模索をぜひとも行っていただきたいと思います。
次に、指導員の処遇改善についてお伺いします。
先ほども御答弁にありましたが、学童保育所の拡充を考える際、指導員の確保に課題があるということは、先ほどの御答弁でも言及されております。では、要因が何であるかを考える必要があるのではないでしょうか。結論から申し上げると、責任ある仕事に対して決して待遇がよいといえる状況でないことが要因の一つであると考えます。そこで、処遇と離職についてお伺いしたいと思います。本市における指導員の給与状況についてお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(北田健治君) 保健福祉部長。
(保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えいたします。
学童保育所指導員は月額報酬である5時間勤務の指導員と日額報酬である4時間勤務の指導員がおり、それぞれ資格の有無により専門職A、B、Cに区分して任用をしております。
令和3年4月の報酬額を平均しますと、5時間勤務の指導員の平均月額報酬額は10万2,195円であり、4時間勤務の指導員の平均日額報酬額は3,961円となっています。
(保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(北田健治君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 給与体系について御報告いただきました。一般的に年収200万円以下、月額15万円程度の収入世帯は、ワーキングプアと言い表されることがあります。本市学童保育所指導員の年収は、4時間勤務の人で大体100万円前後です。5時間勤務の人でおよそ122万円ぐらいです。
求人統計データによれば、全国の学童保育所指導員の仕事の平均年収は約307万円です。勤務時間や雇用形態などは様々ですので一概には言えませんが、やはり本市学童保育所指導員の給与は、子供の安心と安全を守り、かつ成長を支援するという非常に重要で責任ある任務でありながら、その給与はその仕事だけで生計が成り立つ金額とは言い難いものがあります。根底には、女性の非正規雇用率が多いなど、ジェンダー平等の視点の欠落と多様な子供たちを養護し、成長を支援する学童保育そのものに対する認識の不足があるのではないでしょうか。
次に、離職についてですが、担当課に事前に御提示いただいた過去5年間における指導員の退職状況を見てみますと、5年のうち退職者数が最も多かったのが平成29年度の18人で、全指導員数に対して退職者比率が40%、この退職者のうち在職3年未満の割合は83.4%、さらに1年未満の退職者割合が66.7%です。一定の処遇改善にもなったと考えられる会計年度任用職員制度開始の令和2年度では、退職者は13人で退職者比率が22.4%、この退職者のうち在職3年未満の退職割合は100%、さらに1年未満の退職者割合が61.5%です。これらから、在職3年未満の方の離職が多いことがうかがえます。
長く続けてもらえない要因はどういうところにあると分析されておられますか。お聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(北田健治君) 保健福祉部長。
(保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
指導員が退職される要因につきましては、あくまでも一身上の都合による退職であると把握しているところではありますが、これまでも、定期的な面接を行うなど、指導員からの聞き取りを通じて働きやすい環境づくりに取り組んできたところでございます。
(保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(北田健治君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 指導員の先生方のお悩みを聞きながら、働きやすい職場環境を整えてこられたという御答弁ですけれども、指導員の人材不足というのは、本市のみならず社会的な問題で、その要因の一端は離職率の高さだとも言われており、本市でもその状況が見てとれました。
大阪府を中心に和歌山県も含む6都道府県で学童保育所指導員232人のアンケート回答によりますと、指導員として働く上で困っていること、悩んでいることは、多い順に次のようです。トップは待遇、次いで、課題や困難を抱える子供への対応、自身の指導員としての能力、勤務体制、学童保育所運営の従うべき基準の事実上撤廃の動きがあります。まだまだほかにもありますがこれは割愛いたします。本市においてもそう大差はないのではないでしょうか。そして、これらを改善していくことが学童保育所の拡充とよりよい保育に向け必要かと考えます。
政府においては、介護職員や保育士、看護師など、いわゆるエッセンシャルワーカーの待遇改善の議論が始まり、保育士では、現行収入の3%程度に当たる月額9,000円への賃上げを目指すとしています。この目的は、この業種の人材不足の改善です。
この賃上げについては、これで十分ではないという指摘も様々あります。しかし、本市においては、保護者のニーズは認識しておられますが、それには応えられていないというのが現状で、そこには保育室の確保、指導員の確保に課題があるという御認識なのですから、その一つである指導員確保の課題解消の手だてとして指導員の給与アップとともに、今、全指導員は会計年度任用職員なのですけれども、せめて主任の指導員だけでも非正規ではなく正職員にされるなど処遇改善が必要ではないでしょうか。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(北田健治君) 保健福祉部長。
(保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
学童保育所指導員の処遇については、令和2年度より会計年度任用職員制度に移行しており、専門職A、B、Cの区分を使用し、処遇しているところですが、子育て支援員資格や放課後児童支援員資格を取得することで専門職AからBへ、BからCへとステップアップすることが可能な制度になっていることに加え、毎年昇給が行われることになるなど、処遇の改善を図っているところです。
また、指導員については、児童の放課後の時間帯をカバーする5時間及び4時間のパートタイム勤務が適していると考えておりますので、学童保育所指導員に正職員を配置するのはなじまないものと考えております。
(保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(北田健治君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 指導員の方の資格取得によってステップアップをしていかれている。それが処遇改善にもつながるということなのですけれども、私が求めたいのは抜本的な給与アップです。同じ、子供に対応する保育士さんは、保育園における保育士さんと学童保育所における指導員、時間こそ違いますけれども、内容というのは相当同じだと言えるぐらい重要な任務に当たっておられます。勤務時間が4時間、5時間の方しかおられないのですけれども、これが適切だというふうに先ほど部長の御答弁ありましたが、私は、様々な課題を抱える子供たちが一堂に集まる学童保育所で、個別対応を考えたりですとか、あとは準備をするためとか、あとは指導員の先生方で、チームで様々な打ち合わせであったり、対策対応などを話し合う時間を確保するなどを考えますと、やはり4時間、5時間ではとても足りない業種だと思います。これは、私の個人的な考えでもありますが、同じような御意見は指導員の先生からも伺ったことがあります。時間が足りないということでした。
次に、平成24年に文科省が実施した調査によりますと、小・中学校の通常の学級に6.5%の割合で学習面や行動面において困難のある児童等が在籍し、田辺市においては、2019年、平成31年度時点で同じ割合になっています。そして、発達障害者支援法第9条、発達障害児の利用の機会の確保を図るため適切な配慮をするものとする。この規定に基づいて保育が必要とされる子供を全て受け入れておられます。
そうした状況の中で、先ほど御紹介しましたアンケートによれば、指導員が困ったり、悩んだりしていることのトップにあった待遇に次いで多い事柄に、課題や困難を抱える子供への対応、自身の指導員としての能力というのがありました。この点での解決のため、中項目3、よりよい保育と学童保育指導員のサポート体制についてお伺いします。
感覚が過敏であったり、意思疎通がうまくできないなど、困難を抱える子供たちにとって、現在、過密化する保育部屋や指導員の人数など、本市学童保育所の環境は決してよいとは言い難いです。それゆえ、集団生活になじめず退所せざるを得ない子供がいることも事実です。配慮が必要と考えられる子供への対応はどのように行われているのでしょうか。また、指導員が保育の仕方や対応について、発達障害などに関わる専門的識者などによる相談体制はあるのでしょうか、お伺いいたします。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(北田健治君) 保健福祉部長。
(保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
配慮の必要な児童に対する対応については、加配の指導員を配置するほか、これまで県主催の研修に参加したり、市主催の研修を行ったりして指導員としてのスキルアップを図ってきているところであります。今年度は新たに県の発達障害者地域支援強化事業に係る研修制度を活用し、発達障害の特性に合わせた支援方法や関わり方についての研修を予定しております。今後におきましても継続して研修の実施に取り組むことで指導員のスキルアップに努めたいと考えております。
また、議員御指摘の専門的識者などに相談する体制についてですが、個別配慮の必要な児童の状況については、常日頃からそれぞれの小学校と連携し、円滑な保育が行えるよう取組を行ってきておりますとともに、発達障害などに関する相談については、保育士として長年勤めた職員を子育て推進課付の指導主事として任用することで、発達相談のみならず保育における様々な相談の窓口としているところでございます。
(保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(北田健治君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 県主催の指導員研修を年に2度ほど開催されておりまして、市の主催の研修もする中でスキルアップを図っておられると。これはもう和歌山県自体が、やはり発達障害に対する認識の向上があったゆえか、県のほうでも支援事業が開始されるということで、それの御予定もあるということです。
あと、相談体制については、学校の連携というふうにありましたが、それは学校によって本当に様々で、しっかり体制として備わっているとは、ちょっとなかなか言うには難しい状況かなと思います。
あと、指導主事の先生に相談をできるということなのですけれども、それも非常に重要なことではありますが、数多くある学童保育所でたったお一人しかおられないということで、なかなか日々の保育の中で困ったことをすぐに相談できるかと言えば、そんな状態でもないだろうなというふうには感じております。
様々な研修も指導員の方々は受けておられるということなのですが、一般的な子供の発達の知識を現場で様々な事象に生かすというのは、その指導員の先生御自身に豊かな経験が伴ってこそだと思うのです。指導員の中には、子供の発達に関する研究を自主的に行っておられる方もおります。子供を養護し成長を支援するには、先ほど御答弁いただいた頻度での研修だけでは心もとないからではないでしょうか。実際、指導員の方々からは、もっと勉強させてほしい、定期的な情報交換の場があるだけでも全然違ってくるという御意見があります。よりよい保育をしたいと業務に当たっておられる指導員のサポートをもっとしっかりと行っていただきたいと思います。
そこで、今回は、人材確保の課題解消の二つ目として、指導員の困り事、悩み事を軽減し、サポートするため、作業療法士との連携を提案いたします。お手元の参考資料は、岡山県で行われた学童保育作業療法士連携モデル事業の資料です。
1枚おめくりください。
作業療法士とはどういうお仕事をされている方かということなのですけれども、作業療法士というのは理学療法士、言語聴覚士、視能訓練士とともに、リハビリテーション職と称される医療従事者の一員で、その中でも子供を対象とする小児の作業療法士は、医学知識、発達心理学の知識を元に子供の発達障害を支援することで、その子の日常生活の過ごしやすさや、コミュニケーションの楽しさをとともに見つけたり、学校や園で困らないよう、その子に合った発達成長を促していく発達分野の医療従事者です。そして、先駆的に岡山県の学童保育連絡協議会と作業療法士協会が連携し、指導員の保育に対するサポート体制が構築されております。
主な内容は、次のページを御参照いただけたらと思うのですけれども、隣のページですね。3枚目のページになります。作業療法士がまず保育現場を訪問し、指導員が配慮が必要な子供などと接する様子を観察します。子供または指導員の困り事を指導員と話し合う中で改善策をアプローチし、指導員をフォローアップしていくというものです。既に宮崎県石巻市、大阪府泉南市、兵庫県明石市、大分県大野市、沖縄市沖見地区などで取り組まれ、和歌山市においては、今年市内に新しく保健医療大学が開校し、そこに協力を依頼して今年から取り組まれています。もともとアメリカでは、作業療法士は学校に専属で配置されているそうです。
指導員には保育士や教員の資格、経験を持つ人もおられますが、特別な資格が不要なため、未経験でこの世界に飛び込む方も少なくありません。たとえ保育士や教員の経験があったとしても、学びの場である学校と生活の場である学童保育所では、子供たちの振る舞いや障害の表れ方は大きく変わります。それゆえに、指導員は、時に困難を抱える子供の対応に戸惑いを感じることがあります。
そこで、作業療法士の視点と知識、経験に裏打ちされた評価と対応を知ることで、自信を持って子供たちと向き合うことができる、強いては離職率を抑え、人材不足の解消につながります。そして何よりも様々な困難を抱える子供たちが、指導員の的確な支援を受け、経験を重ねることで、集団での生活を続けることができるようになります。
指導員に安心して長く働いてもらい、保育のさらなる質的向上を目指し、作業療法士との連携をすることについての御見解をお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(北田健治君) 保健福祉部長。
(保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
児童に対する必要な配慮については、発達障害や身体障害、食物アレルギーといった医師の診断等があるものだけにとどまらず、診断はないものの個々の状況に応じた配慮が必要な児童もいることから、場面場面に応じた様々な対応が必要になってまいります。
そのため、繰り返しになりますが、先ほども申し上げましたように、小学校とも連携し、円滑な保育に取り組むとともに、これまでも実施してきました配慮の必要な児童への関わり方等の研修を今後も充実することにより、指導員としてのスキルアップを図っていくとともに、配慮が必要な児童への対応については、どのような連携を図ることが望ましいのか今後とも研究してまいりたいと考えております。
(保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(北田健治君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) どのような連携をしていくのがよいかということを検討されるということです。先ほど繰り返しの御答弁ということで、学校との連携のことを伺いましたが、先ほども申しましたように学校によって様々で、年間を通じて頻繁に行われている状況ではないと伺っております。もう年に数回、特に春にとか、そういう形で連携を取られているので、日々の保育の中で、今日はこんなことがあったからこういう対応にしたほうがよいよとかいう、本当にきめ細やかな連携というにはまだまだ至り切れていないかなというふうにも感じます。
文科省は、放課後児童クラブへの巡回支援事業として、子供たちの安全確保や自主性、社会性のより一層の向上が図られるよう、保育現場を巡回するアドバイザーを配置するための補助金を用意しています。そして、作業療法士を配置させることにも適用できるそうです。ぜひ積極的な活用を含めた御検討をお願いいたします。
いきなり連携が実現難しくとも、その取っかかりとして、まずは作業療法士にお越しいただいて講習会をするだけでも指導員へのサポートにもなり得ます。学童保育の拡充に向けた課題解決策を図るという視点でも、ぜひ前向きな御検討と研究をお願い申し上げまして、大項目1点目を終わります。
次に、大項目2点目、新庁舎整備事業費について質問いたします。
新庁舎整備においては、これまで店舗つき立体駐車場において、工事請負契約締結後に資材高騰による事業費の増額がありました。また、過日の新庁舎整備及びまちづくり等特別委員会では、庁舎棟建設においても今後、資材などの価格が高騰する場合のことについても触れられていました。そもそも人口が同じ規模の他市と比較しても事業費が高いために、億単位の増額は市民感覚からすれば理解し難い上に望まないといったお声があり、今後の本市財政に影響することの懸念もあり、質問いたします。
入札予定価格と変更契約についてお伺いします。
本市が発注する事業の入札予定価格は主にどのような基準に基づき設定されておられるのかお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(北田健治君) 総務部長、西 貴弘君。
(総務部長 西 貴弘君 登壇)
○総務部長(西 貴弘君) 議員の御質問にお答えします。
公共事業における予定価格は、公共工事の品質確保の促進に関する法律第7条第1項第1号において、公共工事の品質確保の担い手が中長期的に育成され及び確保されるための適正な利潤を確保できるよう、実施の実態等を的確に反映した積算を行った上で適正に定めることとされています。
田辺市では、令和3年度入札方針において、設計金額を予定価格とすることとしており、設計金額の算出は、国土交通省から出ております公共工事標準単価積算基準により価格を算出し、直接工事費、共通仮設費、現場管理費、一般管理費及び消費税の合計により算出した結果が設計金額となってございます。
(総務部長 西 貴弘君 降壇)
○議長(北田健治君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 非常に専門的な用語もありまして、なかなか理解に及ぶのが難しいのですけれども、一般的な入札価格の設定についてお聞かせいただきました。消費税も基準に入るということが御答弁にありましたが、本市における様々な入札価格の設定において、全てが答弁されたような基準に沿って行われているかといえば、やや問題に感じる事例があります。特に、地域の中小企業に対して、消費税が増税された年に増税前の予定価格と同金額で示されたり、物価の変動もある中、10年前と同金額で提示されるケースがあると事業者から指摘されております。どこの担当課というのはあえて申し上げませんが、いま一度適正な予定価格の設定というのを御留意いただきたいと思います。
次に、変更契約についてですが、賃金または物価の変動に基づいて請負金額の変更がされる場合、その取り決めとなる契約条項があるとのことです。今後、仮に新庁舎整備において、資材価格の高騰によって契約条項に基づいて請負金額が変更されるようなことがあった場合、その金額の決め方について確認をさせていただきたいと思います。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(北田健治君) 総務部長。
(総務部長 西 貴弘君 登壇)
○総務部長(西 貴弘君) 議員の御質問にお答えします。
本条項は、入札時点では予見できない賃金または物価の変化などにより、発注者または受注者が、請負代金額が不適当となったと認めたときは、契約の相手方に請負代金額の変更を請求することができると規定されており、通常合理的な範囲を超える価格の変動について、契約当事者の一方にその負担を負わせることは適当ではなく、受注者に無理を強いることは手抜き工事等の原因になることから、事情変更の原則を具体化したものとしてこの規定が定められております。
工期が1年以上の大規模な公共工事については、本条項を適用することができ、発注者または受注者から請求のあった日を基準として、残りの工事代金額に新年度単価による見直しが行えることとなっています。
新庁舎建設工事におきましても、こういった事態が生じました場合は、この条項に基づき、相手方の請求に対して新年度単価により手順にのっとり、慎重に精査をした上で適切に対応することとなります。
(総務部長 西 貴弘君 降壇)
○議長(北田健治君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 変更契約について、工事請負契約第26条というのがあるそうで、事前にお示しもいただきました。そこに書かれておりますことで1点確認をさせていただきたいのですけれども、物価変動前に残っている工事代金と変更後に残っている工事代金の差額の1.5%分を超える額については、請負代金の変更に応じなければならないと御答弁ありました。変更前と後の残りの工事代金がそれぞれ幾らかによって変更金額が決まってくるわけですが、その残工事代金は、物価指数等に基づき発注者と受注者とが協議して決めると書かれています。この協議して決めるということは、例えば、どれこれの資材にその変動を反映させるのかとか、何か発注者と受注者の間で高度な交渉が発生するのかということなど、あるいは高度な交渉なしに両者が算出された額を確認する程度で済むのか、どのような解釈になるのかお示しいただけますでしょうか。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(北田健治君) 総務部長。
(総務部長 西 貴弘君 登壇)
○総務部長(西 貴弘君) 議員の御質問にお答えをさせていただきます。
まず、工期が1年以上の大規模な公共工事については、先ほどの条項が適用されることになります。その場合、その日を基準として残工事代金額について、新年度単価にして見直しを行うということと、加えまして、入札で決定している場合については、再度見積りを徴収し、その中できちんと精査をした上で決めていくということでございます。
以上です。
(総務部長 西 貴弘君 降壇)
○議長(北田健治君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) ではその見積りをもう一回し直して額を決めるのに、綱引きになるような交渉というのは、そういうのが起きないのでしょうか。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(北田健治君) 総務部長。
(総務部長 西 貴弘君 登壇)
○総務部長(西 貴弘君) 議員の御質問にお答えします。
交渉というよりもその見積りがきちんと精査されたものかどうかを確認した上で、協議を行うということになるということで御理解をいただきたいと思います。
(総務部長 西 貴弘君 降壇)
○議長(北田健治君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) では、余り駆け引きのような交渉はないというふうに認識をいたします。でも、コロナ禍において資材の価格高騰は双方にとって予期せぬことなので、受注者に大きな負担を負わせるわけにはいきませんが、市にとっては、新型コロナウイルスの影響で特に自主財源の減収もあったりしますので、地域振興と財政健全化の均衡を保ち、抜かりのないというか、妥協のない見直しというのを求めますが、御見解をお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(北田健治君) 総務部長。
(総務部長 西 貴弘君 登壇)
○総務部長(西 貴弘君) 議員の御質問にお答えします。
妥協というのはもちろん行いませんけれども、双方きちんとした整理された中での審査をして、解決していきたいというふうに考えております。
(総務部長 西 貴弘君 降壇)
○議長(北田健治君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 先日の新庁舎整備及びまちづくり等特別委員会で、そのときの変動は物価スライドによるものではなかったのですけれども、そのときもやり方を変えて、ここの部分は変更するが、この部分は少しこらえていただきたいみたいな、そういうことをしていくというようなことが御答弁の中にあったのですけれども、もしそんなことがあるのでしたら、ぜひともしっかりと御協議していただきたい。それによって適切な変更額というのを出していっていただきたいと思います。もう質問はいたしません。
今後、もし事業費が上がれば、人口減少と少子高齢化対策、防災・減災対策、山村地域の過疎対策など、多くの行政需要を抱える本市にとって、行財政にマイナスの影響を与えることはないのでしょうか、お聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(北田健治君) 総務部長。
(総務部長 西 貴弘君 登壇)
○総務部長(西 貴弘君) 議員の御質問にお答えします。
大規模な公共工事においては、工期が長期にわたるため、その間の事情の変更等により事業費が増加することも想定されますが、現時点におきましては、庁舎整備に係る事業費の増加が確定したものはないということは一つ御理解いただきたいと思います。
併せまして、市といたしましては、今後におきましても、事業費の抑制にできる限り努めてまいりたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。
さて、議員の御質問にございました、少子高齢化対策や防災・減災対策、山村地域の過疎対策等についてでありますが、本市におきましては、各種施策の実施に当たり、田辺市総合計画に基づく実施計画や予算編成過程におきまして、事業の必要性や優先度を見極める中、事業の実施を判断しているところであります。
今後におきましても、庁舎整備に係る事業費が増加するしないにかかわらず、少子化対策事業や防災・減災事業等につきましては、その必要性や市民生活に及ぼす効果等を見極めながら、的確に対応してまいりたいと考えております。
以上です。
(総務部長 西 貴弘君 降壇)
○議長(北田健治君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) マイナスの影響は出ないというはっきりとした御答弁ではなく、適格に優先順位を見極めて行っていかれるということでした。
交通弱者の移動手段確保、本日求めました学童保育の拡充などをはじめとする様々な子育て支援など、これまで様々な住民要求を求められておりますが、いずれも当局の見解は、市財政全体との関わりの中で検討する必要があるといったものがほとんどでした。今後の新庁舎整備の動向によって、先ほども事業費は確定されたものではないということで、変化もあり得るということなのですけれども、将来的にも住民福祉の増進に影響が出ることのないよう、適正に事業を進められますよう求めまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(北田健治君) 以上で、2番、前田かよ君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(北田健治君) この場合、午後2時40分まで休憩いたします。
再開の際は議案書を御持参ください。
(午後 2時30分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(北田健治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 2時40分)
○議長(北田健治君) 続いて、6番、谷 貞見君の登壇を許可いたします。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) 皆様、こんにちは。
6番、くまのクラブの谷です。今定例会、一般質問最後の登壇者となります。あとしばらくお付き合いのほどよろしくお願いします。
議長のお許しをいただきましたので、質問させていただきます。
今回は、大項目2点の質問をさせていただきます。
それでは、1点目の選挙における投票率向上について質問させていただきます。
今年4月に市長選挙と市議会議員一般選挙が執行されたわけですが、投票率については、市長選挙、市議会議員一般選挙ともに59.36%であり、これは、市町村合併後では最低の投票率でありました。市議会議員一般選挙において、旧市町村別の投票率は、旧田辺市が56.57%、旧龍神村では77.67%、旧中辺路町では73.20%、旧大塔村では71.48%、旧本宮町では75.90%と、山間地である旧町村のほうが投票率が高い結果となっております。
市長選挙や市議会議員一般選挙は、市民にとって一番身近な選挙でありながら約6割しか投票を行っておりません。投票率の低下の要因としましては、よく言われる無党派層の増加や政治離れ、あるいは政治への無関心などといった政治参加意識の低下もそうですが、本市にあっては、高齢化率が高くなってきていることも考えられるのではないでしょうか。
そこで、投票方法について少し幅を広げることができないかと私の考えも交えながら何点か質問させていただきます。
まず1点目ですが、去る10月31日に執行されました衆議院議員総選挙においてお伺いします。
本市における投票率及び年齢別投票状況について。投票日以外の期日前投票を含め、他の投票方法での投票状況はどうだったのか、それらの結果を踏まえ、分析をされているようであればお答え願います。
2点目は、本市における投票を呼びかける広報活動等の取組状況についてです。
市広報紙や広報無線、SNS、新聞広告など、あらゆる手段を用いて行っていることは承知しておりますが、今後、さらに考えられる手段があればお答え願います。
3点目は、若年層の投票率向上についてです。
平成27年6月、公職選挙法の一部が改正され、それまで満20歳以上の選挙権年齢が満18歳以上に引き下げられました。これは、少子高齢化、人口減少社会を迎えた日本において、若い世代がより早く選挙権を持つことで、社会の担い手であるという意識を持っていただき、主体的に政治に関わる若者が増えてほしいとの願いもあり、世界的に見ても18歳までに選挙権が認められている国が9割以上あり、世界の流れに沿ったものであると認識しております。
しかしながら、全国的に見ましても、引き下げられた年齢層の投票率は低下、もしくは低い水準に位置している傾向にあります。
総務省の抽出調査によりますと、選挙権拡大後の平成28年7月の参議院議員通常選挙での18歳から19歳の投票率は46.78%であり、このときは20歳から24歳までの33.21%を上回りましたが、平成29年10月の衆議院議員総選挙では40.49%、令和元年7月の参議院議員通常選挙では32.28%と低下し、先般執行された衆議院議員総選挙では43.01%で、前回の衆議院議員総選挙よりは2.52ポイント高くなっております。
今回の衆議院議員総選挙での和歌山県における結果は、18歳と19歳を合わせた投票率が45.22%、これは全ての投票所ではなく、各市町村において抽出した投票所での数値と伺っております。一方、田辺市全体の結果は32.25%であり、これは、令和元年の参議院議員通常選挙、さきの市長選挙及び市議会議員一般選挙と比べて上昇はしているものの、県下の数値よりは大幅に下回っております。特に、和歌山県下では、南部に行くほど投票率が低い傾向にあると聞いた記憶もあり、これは、大学や専門学校に進学した場合、どうしても通学には支障を来すため、住民登録を移さないままで県外の進学先に住んでいることも原因であると推測されます。進学先の居住地からの不在者投票も可能です。
有権者としての自覚、政治参画意識をどう養うか、政治的中立性を確保しつつ学校現場での主権者教育も重要となってまいります。
田辺市においては、成人式などの機会を通して、また、学校教育の中での啓発事業に取り組んでおられるのは承知しておりますが、さらに選挙に対する関心を高めるために、投票所に入ることができる子供の範囲が拡大され、児童生徒、その他の18歳未満の者も入場できることから、親子や家族で投票所に出向き、投票する様子を見ることで意識づけを図ることができると思いますので、機会を見つけて親子や家族での投票を呼びかけてみてはいかがでしょうか。
また、高校生に対して、模擬議会の開催、議会傍聴の呼びかけを行ってはどうかと提案いたします。
田辺市政10周年のときには、中学生を対象とした模擬議会が開催されましたが、市内各高等学校から広報田辺の高校生レポーターとしての活躍をいただいて、つながりもできている関係もあり、次代を担う高校生が選挙や政治、また、身近な地方行政への関心を高めるために、加えて、高校生の目線からいろいろな考えや意見も聞けることにも期待をし、高校生議会を開催してはどうか。それと、議場の様子を知ってもらうために議会の傍聴も推奨してみてはいかがでしょうか。このことについての当局の見解をお伺いします。
4点目は、高齢者層や障害を持つ方々への投票支援についてお伺いします。
この件の質問につきましては、平成30年3月定例会において、松上京子議員が一部同様の質問を行っております。松上議員は、投票所の統合により遠距離になった問題や、投票所への移動の確保といった問題をただしました。もちろん、山間地においては、人口減少により、投票所の統合による課題も出てきております。私の住む地域の高齢者の方が、投票には行きたいのだが、投票所までは歩いていくのが困難、子供が、仕事が休みで帰ってきてくれれば投票所まで連れていってもらえるのだがとの話を聞いたことがあります。
しかし、高齢のために足腰が弱っているだとか、障害があるなどの理由で外出が困難である、また、投票所までには距離があり、しかも交通手段がないといった方は、何も山間地だけではなく、市街地に住まわれている方にもおられると思います。
当時、松上議員の質問に対し、当局の答弁は、支援を講じるまでには至っていない状況であるとのことで、その答弁を受け、さらに松上議員から、平成28年執行の参議院議員通常選挙において、共通投票所の設置や期日前投票時間の弾力化が行われるとともに、大学、高等学校や商業施設等への期日前投票所の設置が増加したほか、投票所等への移動支援や移動期日前投票所の設置が行われたことの参考事例を提示し、メリット、デメリットを含め紹介し、田辺市においての実現可能な方策についてただしました。
それに対し、当局の答弁は、公職選挙法の改正により、地域に応じた取組が始まっていることを理解した上で、今後においては過疎地域を中心とする投票区に対する支援について、期日前投票所の増設等、他の自治体の事例を参考にし、公平性を担保した上でどのような支援が有権者の方々にとって投票しやすい方法となるのか研究してまいりたいと考えているとの答弁でございました。
田辺市全域の投票率を向上させるためには、過疎地域、山間地域だけを考えるのではなく、市街地においても同様の対応を考えなければならないと思います。私なりの考えとしましては、巡回型無料送迎バスの運行や住民バス等の無料乗車券の配布などでの移動支援の導入を行うとともに、旧市町村の各役所に設置されている期日前投票所については、少なくとも旧田辺市においては、田辺市役所本庁舎1か所だけなので、人口数を考えたときに、2か所以上は必要ではないかと思いますし、新庁舎に移転すれば、今よりも交通量も多い場所ですので、混雑解消にもつながると思います。また、より投票環境が向上する自動車を活用した移動期日前投票所の開設が有用であると考えます。
冒頭にも述べましたように、今年4月に執行されました市長選挙、市議会議員一般選挙は、市町村合併後最低の投票率でありました。そのような中で、松上議員が質問されてから3年余りが経過しましたので、改めて当局の見解をお聞かせいただければと思います。
以上、よろしくお願いします。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(北田健治君) 6番、谷 貞見君の質問に対する当局の答弁を求めます。
総務部長、西 貴弘君。
(総務部長 西 貴弘君 登壇)
○総務部長(西 貴弘君) 議員の御質問の選挙における投票率向上についてお答えします。
1点目の先般、執行された衆議院議員総選挙についてですが、令和3年10月31日に執行されました衆議院議員総選挙の小選挙区選出議員選挙における本市の投票状況は、投票率56.08%と前回の平成29年執行時の53.17%と比較して2.91ポイント上昇したところでございます。
また、年代別投票状況につきましては、市全体の投票率に近い投票区での抽出となりますが、田辺第3投票区の田辺第二小学校体育館では、18歳、19歳の10代が25.93%、20代が37.78%、30代が34.91%、40代が55.43%、50代が65.37%、60代が68.44%、70代が69.47%、80代以上が45.95%となってございます。
次に、投票日以外の期日前投票を含めた他の投票方法での投票状況ですが、投票者総数3万4,237人のうち、投票日当日の投票者数が2万3,563人、68.82%で、期日前投票者数が1万275人、30.01%、投票日以外の投票方法として期日前投票のほかに不在者投票がございますが、不在者投票者数が399人、1.17%となっております。
投票結果に基づく分析ですが、年代別投票率を見ますと、10代、20代、30代の投票率は平均投票率と比べると低く、40代以上から平均投票率を上回っており、この傾向は他の選挙においても共通しております。
また、旧市町村別投票率は、旧田辺市が53.73%、旧龍神村が75.33%、旧中辺路町が65.82%、旧大塔村では63.42%、旧本宮町では70.86%となっており、4月の市議会議員一般選挙と同様、旧町村のほうが投票率は高い傾向にあります。
旧田辺市におきましても山間部の投票所は60%代後半から70%を超える所がありますので、市全体として平均年齢が高い山間部のほうが投票率は高い傾向にあります。
2点目の選挙の広報についてですが、投票を呼びかける広報活動等の取組状況として、議員がおっしゃるように、選挙時においては、市の広報紙及び新聞広告の掲載、防災無線やツイッター、フェイスブック、LINEといったSNSでの発信のほかに、ポスター、のぼり等の掲示、啓発物資の配布、FMラジオでのスポット広告、フリーペーパーへの広告掲載及び各種団体への投票参加の呼びかけを行っております。
選挙時以外では、新成人に対し、成人式の参加者へ投票参加のリーフレットとタオルの配布、また、小・中学生に選挙への関心を持ってもらう取組といたしまして、公益財団法人明るい選挙推進協会、都道府県・市区町村選挙管理委員会などが主催する明るい選挙啓発ポスターコンクールへ市内小・中学校から作品を募り、応募しております。
今後におきましても、現在実施している啓発活動を継続しつつ、議員からの御提案のあった親子での投票参加などの取組も含め、他の自治体の取組を参考にしながら、投票に結びつく効果的な啓発活動を研究してまいりたいと考えております。
3点目の若年層の投票率向上についてでございますが、主権者教育の取組として、高校生に対しては、県選挙管理委員会主催による模擬投票へ市としても参加しております。選挙に行くことの大切さを県職員が講義し、その後、投票を身近に感じてもらえるよう実際使用している記載台や投票箱を用いて行っております。
議員御提案の高校生議会の開催、議会の傍聴につきましては、有権者としての自覚及び政治参加意識を養う上で有効であると考えますので、若年層の投票率向上につなげるためにも、他の自治体の事例を参考にし、県選挙管理委員会とも連携しながら検討してまいりたいと考えております
4点目の高齢者層や障害を持つ方々への投票支援についてですが、投票所及び期日前投票所までの移動手段の確保につきましては、議員のおっしゃるとおり高齢化が進み、投票所へ行くのが困難な方々が山間部だけでなく市街地においてもいらっしゃるものと認識しております。
このような状況は、本市だけでなく全国的な傾向でもありますので、投票所や期日前投票所への送迎、巡回、臨時バスの運行や乗車券の発行など各種移動支援に取り組む自治体が出てきております。
ただ、全ての自治体とは申しませんが、移動支援を実施している自治体の多くは、投票所を統合する代替手段として移動支援を実施していると伺っています。
本市の場合、合併時には旧市町村の120か所の投票所を全て引き継ぎ、その後、統合を行った8か所のうち、有権者数の減少により投票所の存続が困難となった5か所については、統合の際、公用車での送迎等を地元と協議してまいりましたが、地元のお考えもあり支援を講じるまでには至っておりません。
現在のところ、本市における投票の利便性につきましては、まず有権者の皆様の身近にあります112か所の投票所の維持、運営を行うことが重要であると考えております。
しかしながら、今後、人口減少等により投票所の維持が困難な地区の増加が予想されることから、議員御提言の移動手段の確保について、他の自治体の事例も参考にしながら研究してまいりたいと考えております。
次に、期日前投票所の増設についてですが、既に市役所本庁は、旧田辺市地域の期日前投票所として有権者の皆様に浸透しているところでございます。
また、投票日直前の金曜日、土曜日は、時間帯により多少お待ちいただく場合もありますが、その他の日については、それほど混雑するような状況ではございませんので、増設よりも期日前投票所の利用促進に一層努めていく必要があるものと考えております。
なお、新庁舎における交通混雑解消も含めた期日前投票所の増設につきましては、現時点においては考えておりませんが、貴重な御意見として承らせていただきます。
今後、運営が困難となる投票所の増加や高齢者及び障害者の方々への支援が必要になる際には、移動期日前投票所または移動支援どちらで対応することが有効であるのかを先進地等の取組を参考にしながら研究してまいりたいと考えております。
(総務部長 西 貴弘君 降壇)
○議長(北田健治君) 谷 貞見君。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) 御答弁ありがとうございました。今週日曜日に紀の川市長選挙が行われましたが、紀の川市においても投票率が58.85%で過去最低の投票率であったとの報道がありました。どこの自治体においても投票率の低下が表れてきております。
答弁では、市当局の投票率向上対策についての説明もいただきましたが、何も行政、選挙管理委員会だけが投票率の向上対策に取り組むのではなく、議会議員にも常日頃から有権者との対話、交流があればおのずと政治への関心も得られ、議員候補に民意を託すため投票所にも出向くことにもなるもので、私自身の行動についても責任ある立場であることを肝に銘じなければなりません。
高校生議会については、私の30年来の友人が岩手県盛岡市の議会事務局長をされていたこともあり、平成29年度から行ってきた高校生議会の話を聞かせていただきました。質問にも述べましたように、次代を担う高校生が選挙や政治、また、身近な地方行政への関心を高める目的であるとのことですが、選挙権年齢の引き下げにより選挙を身近に感じるようになった高校生が市政に対する提案等を行うことを通じて、地域に関心や愛着を持ち、まちづくりに参加する意識を高めることにもなり、魅力あるまちづくり、将来にわたって住み続けたいと思えるまちづくりに生かすことにつながると開催する意義は大いにあるとのことでした。
先月、令和2年国勢調査の結果が示されました。5年前の前回調査と比較し、人口減少数では、和歌山市の7,425人に次いで田辺市が2番目に多い4,900人でありました。田辺市人口ビジョンにも示されているとおり人口の減少は明白であります。
今回の調査で注目する点は、和歌山県における男女の25歳から39歳までの年齢階級別未婚率の推移であります。25歳から29歳までの未婚率は、男性では70.7%、女性では59.1%、30歳から34歳までは、男性では47.0%、女性では35.50%、35歳から39歳までは、男性で35.0%、女性で24.1%と全てにおいて前回調査よりも未婚率が上昇しております。この結果から、平均寿命が延びたから高齢化率が上昇しただけではなく、未婚率が引き起こす高齢化率の上昇原因が見えてきます。
答弁では、3年9か月前に行った松上京子議員の質問からも、今回の私の質問からも、現時点では対応方法については研究段階とのことですが、国勢調査の結果からしましても、65歳以上の高齢者の人口割合が4割に到達することも不思議ではなくなってきており、投票に行かない人ではなく、行きたくても行くことができない人が多くなってくると思います。
また、移動期日前投票所の開設や移動支援を充実することは、旧町村での投票所の開閉時刻を繰り上げることが可能となり、それは、旧町村から開票会場まで投票箱を送致する時刻が早くなるため、開票会場まで来なくてはならない投票管理者たちの不満解消にもつながり、成り手不足の解消にもつながるのではないでしょうか。どうか早急に研究を進めて、投票する環境の整備に努めていただきたいと思います。
続きまして、大項目の2点目、災害時の孤立防止対策について質問させていただきます。
お手元に位置図を示した参考資料を配付させていただいております。
和歌山県に上陸した台風は、昨年はゼロで今年は9月に台風第14号が有田市付近に上陸しましたが、人命に関わる被害もなく、新型コロナウイルス感染警戒期と重なることもなく本当によかったと思います。
本宮町曲川地区では、平成23年9月の台風第12号による紀伊半島豪雨災害に続き、平成30年8月の台風第20号でも道路が寸断され、孤立状態になりました。寸断された道路間に物資を搬送するワイヤーロープを渡す作業が完了する間、本宮行政局職員が食料品や生活用品、プロパンバス、ガソリンなどを背負って、別集落から山道を越えて届けたと聞いております。これは、曲川地区に通じる道路が1路線しかなく孤立する結果となりました。現在着工している林道桧葉曲川線開設工事が一刻も早く完了することを祈るばかりです。
そこで、集落に通じる道路が1路線しかなく、道路が崩壊することで孤立する集落はあるのかお答え願います。
また、集落に通じる道路が2路線以上あるが、通行止め等で不通のため、現在は1路線のみの集落はどれぐらいあるのかもお答え願います。
旧大塔村、現在の田辺市下川上の日置川の支流、安川に架かる桑原橋から上流域にある集落は、県道下川上牟婁線沿いにあります。県道から林道安川大塔川線へと接続され、本宮町静川までつながっております。
林道安川大塔川線は、旧大塔村と旧本宮町をつなぐ広域基幹林道として、昭和48年度に町村境である大杉トンネルが完成し、開通となりました。この林道は、安川渓谷や弘法杉がある大塔渓谷といった自然林と渓谷が織りなす深山幽谷であり、景観美を誇っています。その林道が、旧本宮町側の大塔川最上流付近で地滑りにより道路が崩壊し、現在、和歌山森林管理署の所管により復旧工事が行われております。この復旧工事が行われている箇所の復旧見込みはいつ頃になるのかお答え願います。
なぜ復旧時期を問うたかといいますと、先ほど申し上げました安川に架かる桑原橋から上流域にある集落は、桑原橋から上流域で県道が不通となった場合、現在、林道安川大塔川線が不通のため、たちまち孤立することになります。市町村合併協議での市町村建設計画では、下川上の安地区から安川に架かる箕谷橋から桑原橋までの左岸に林道の整備を上げておりましたが、当時、土地を所有する地権者から土地の提供に至らず、今日まで道路の開設を見ることはありませんでした。
しかしながら、孤立するおそれのある集落に在住する住民の方々やその下流域に在住する方々からも対岸への道路開設を望む声を聞きます。災害時に孤立することがないよう、迂回路としても重要な役割を担うものであり、今後、開設の重要性について当局のお考えをお聞かせ願います。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(北田健治君) 危機管理局長 原 雅樹君。
(危機管理局長 原 雅樹君 登壇)
○危機管理局長(原 雅樹君) 議員御質問の災害時の孤立防止対策についてのうち、孤立が想定される集落についての集落に通じる路線が1路線のみの集落と集落に通じる路線が2路線以上あるが、通行止め等で不通のため1路線のみの集落はどれくらいあるのかについてお答えいたします。
まず、集落に通じる県道や市道等の主要路線が1路線しかなく、その道路が崩壊することで孤立すると考えられる主な集落については、田辺地域1か所、龍神地域3か所、中辺路地域3か所、大塔地域1か所、本宮地域に7か所あります。
次に、集落に通じる県道や市道等の主要道路が2路線以上あるものの、通行止めのため、令和3年11月末現在では1路線のみとなっている集落については、中辺路地域1か所、大塔地域2か所、本宮地域が1か所となっております。
(危機管理局長 原 雅樹君 降壇)
○議長(北田健治君) 森林局長 宮野恭輔君。
(森林局長 宮野恭輔君 登壇)
○森林局長(宮野恭輔君) 議員御質問の下川上の桑原橋上流域集落の孤立対策についてお答えいたします。
まず、大塔行政局管内、下川上の桑原橋より上流の集落につきましては、県道下川上牟婁線の沿線に位置し、西は鮎川方面、東は林道安川大塔川線を経由し本宮町静川方面と行き来することができます。しかしながら、議員御指摘のとおり、林道安川大塔川線は、本宮行政局管内の国有林の山腹崩壊により被災し、現在、通行止めとなっております。
山腹崩壊箇所につきましては、国有林であることから林野庁和歌山森林管理署により復旧治山事業として復旧工事が進められており、令和5年度の完了を予定していると伺っております。なお、当該林道は基本的には通行止めとしておりますが、緊急時における車両の通行は可能というような対応をしております。
次に、県道対岸の道路整備についてですが、議員のお話にもありましたとおり、市町村建設計画には林道桑原野山線として位置づけられておりましたが、国庫補助採択要件を満たさないこと、土地所有者の協力が得難いこと、水源への影響が懸念されることなど、様々な事情から事業化に至っていない状況にあります。
多くの山間地を有する本市におきましては、土砂災害による集落の孤立対策は大変重要な課題であると認識しているところでありますが、先ほど危機管理局長から回答させていただきましたこれ以外の地区も含めまして、それぞれの地域の地理的状況等を踏まえ研究、検討を深めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
(森林局長 宮野恭輔君 降壇)
○議長(北田健治君) 谷 貞見君。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) 答弁ありがとうございました。今回の質問では、旧大塔村の集落を取り上げました。質問するために現地へ足を運ぶとともに、大塔行政局及び森林局の職員の方々にも協力をいただき、資料の提供もいただきました。
地元の方からの説明では、地権者が反対したことにより事業が未実施になっているとの話だけでしたが、事業計画地の周辺には、林道箕谷線、林道野山谷線、林道熊野下川線が存在し、利用区域が確保できないため国の補助事業採択基準に合致しないことや、下川上地区の水道水源が計画路線沿線に存在することも判明し、諸課題があることが分かりました。林道の開設は困難であるということになりますが、今後、作業道や市道開設といった観点から検討していただくことを要望いたします。
しかしながら、冒頭、危機管理局長からの答弁では、集落につながる主要道路が1路線しかない集落は、市全体で15か所、集落につながる主要道路が2路線以上あるものの通行止めにより、現在1路線のみとなっている集落が市全体では4か所とのことでした。意外と多くあるものだなと感じたわけで、集落全体が孤立する以外にも集落内には、集落内を通る市道、農道等があり、それらが寸断された場合においても小規模の孤立も想定されます。
災害時の孤立を1か所でも未然に防ぐために、今回、提示しました下川上地区を含め、今後計画を持って取り組まれることを切望します。
最後に、林道安川大塔川線は、令和5年度まで復旧工事がかかるとのことですが、深山幽谷のルートであり、四季を通じて趣があります。水中写真家である内山りゅうさんも澄み切った水のすばらしさに、眺めているだけでも心洗われると話をされております。まだ通ったことがない方にもぜひとも訪れていただければと紹介をして、今回の私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(北田健治君) 以上で、6番、谷 貞見君の一般質問は終了いたしました。
以上をもちまして一般質問を終結いたします。
◎日程第2 6定報告第1号 専決処分事項の報告について上程
○議長(北田健治君) 続いて、日程第2 6定報告第1号 専決処分事項の報告についてを上程いたします。
この場合、お諮りいたします。
本件については、会議規則第37条第3項の規定により委員会の付託を省略し、後日審議願うことにいたします。
これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(北田健治君) 異議なしと認めます。
よって、6定報告第1号については、委員会の付託を省略し、後日審議願うことに決しました。
◎日程第 3 6定議案第 3号 田辺市職員の服務の宣誓に関する条例の一部改正についてから
日程第25 6定議案第25号 令和3年度田辺市
水道事業会計補正予算(第2号)まで一括上程
○議長(北田健治君) 続いて、日程第3 6定議案第3号 田辺市職員の服務の宣誓に関する条例の一部改正についてから、日程第25 6定議案第25号 令和3年度田辺市
水道事業会計補正予算(第2号)まで、以上23件を一括上程いたします。
ただいま上程いたしました23件については、過日、既に当局の説明が終了しておりますので、これより総括質疑に入ります。
質疑はありませんか。
(「なし」の声あり)
○議長(北田健治君) 質疑なしと認めます。
それでは、ただいま議題となっております23件については、会議規則第37条第1項の規定により、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
各常任委員会の付託事件は、配付いたしております議案付託表のとおりであります。
◎日程第26 6定請願第1号
インボイス導入に伴う
シルバー人材センターへの支援に関する請願の上程
○議長(北田健治君) 続いて、日程第26 6定請願第1号
インボイス導入に伴う
シルバー人材センターへの支援に関する請願を上程いたします。
紹介議員の説明を求めます。
17番、安達克典君。
(17番 安達克典君 登壇)
○17番(安達克典君) 一般質問終了後の貴重な時間をいただきまして誠にありがとうございます。
平成15年、当時の龍神村議会議員になり、そして、平成17年新田辺市に合併以来、市議会議員として活動してまいりまして計19年になりますが、請願の紹介議員となるのは今回が初めてであります。それだけに大変重みを感じております。
それでは、請願の趣旨及び請願の理由につきましては、請願書を朗読させていただき、説明に代えさせていただきます。
請願番号、令和3年6定請願第1号。
受理年月日、令和3年11月26日。
件名、
インボイス導入に伴う
シルバー人材センターの支援に関する請願。
請願者は、田辺市末広町5番32号、公益社団法人田辺市
シルバー人材センター、理事長、後藤 昇氏であります。紹介議員は、私、安達克典です。
1、請願趣旨。消費税制度においては、小規模事業者への配慮として、年間課税売上高が1,000万円以下の事業者は消費税の納税義務が免除されているところであり、少額の収入しかない
シルバー人材センター(以下「センター」という。)の会員の手取り額がさらに減少することなく、センターにおいて安定的な事業運営が可能となる措置を要望します。
2、請願理由。
シルバー人材センター(以下「センター」という。)の会員に対して、形式的に個人事業者であることをもって、インボイス制度をそのまま適用することは、地域社会に貢献しようと努力している高齢者のやる気、生きがいをそぎ、ひいては、地域社会の活力低下をもたらすものと懸念されます。制度が導入されると免税事業者であるセンターの会員はインボイスを発行できないことから、センターは仕入れ税額控除ができなくなり、新たに預かり消費税分を納税する必要が生じます。しかし、公益社団法人であるセンターの運営は収支相償が原則であり、新たな税負担の財源はありません。センターの新たな税負担を回避しようとすれば、会員の配分金を引き下げ対処せざるを得ず、そうなれば会員退会等でセンター離れが生じ、センターの存続問題になりかねません。
つきましては、少額の収入しかないセンターの会員の手取り額がさらに減少することなく、センターにおいて安定的な事業運営が可能となる措置を取っていただけるよう、意見書の提出を要望いたします。
令和3年11月26日。請願者。田辺市議会議長、北田健治様。
以上であります。御審議の上、御採択いただきますよう、よろしくお願いを申し上げまして、提案説明とさせていただきます。
(17番 安達克典君 降壇)
○議長(北田健治君) 紹介議員の説明が終了いたしました。
それでは、本請願は、会議規則第142条第1項の規定により、その審査を所管の文教厚生委員会に付託いたします。
お諮りいたします。
本日の会議はこの辺にとどめ散会し、明日12月10日から12月20日までの11日間は休会とし、12月21日、午後1時から再開いたします。
これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(北田健治君) 異議なしと認めます。
よって、さよう決しました。
散 会
○議長(北田健治君) それでは、本日はこれをもって散会いたします。
(午後 3時25分)
地方自治法第123条第2項の規定により署名する。
令和3年12月9日
議 長 北 田 健 治
副議長 尾 花 功
議 員 福 榮 浩 義
議 員 橘 智 史
議 員 市 橋 宗 行...