田辺市議会 2021-09-13
令和 3年第5回定例会(第3号 9月13日)
〇
出席事務局職員
議会事務局長 松 本 清 子
議会事務局次長 松 本 誠 啓
議会事務局主任 古久保 修 平
議会事務局主査 松 本 早也香
開 議
○議長(北田健治君) おはようございます。
定足数がありますので、ただいまからお手元に配付の日程により、令和3年第5回
田辺市議会定例会3日目の会議を開きます。
(午前10時00分)
――
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◎報告
○議長(北田健治君) 11番、髙田盛行君から欠席の届出があります。
それでは、日程に入ります。
◎日程第1 一般質問
○議長(北田健治君) 日程第1 一般質問を行います。
1番、松上京子君の登壇を許可いたします。
(1番 松上京子君 登壇)
○1番(松上京子君) おはようございます。
1番、篤志会、松上京子です。通告に従いまして一般質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
大項目1点目、公共施設の
バリアフリー化についてお尋ねいたします。
バリアフリーに関する法は、これまで、平成6年のハートビル法、平成12年の
交通バリアフリー法、それら二つを一つにした平成18年の
バリアフリー新法などが施行、その後も改正を経て、病院、駅、デパート、ホテルなど不特定多数の人が利用する民間の建物、公共の建物、そして、鉄道、バスなどの
公共交通機関などが整備され、まちや建物の
バリアフリー化が促進されてきました。
平成30年にも改正のあった
バリアフリー新法ですが、幾つかの課題が見えてきたことから、今回さらに改正がなされ、令和2年6月に一部施行、令和3年4月に全面施行となりました。この改正では、これまでの
バリアフリー新法をより実践しやすく具体策が示された内容となっています。
最近で特に注目されるのは、新幹線の
車椅子用スペースの増加、
ネット予約等の改善などがあります。また、交通事業者への
スロープ設置基準義務づけなどソフト対策の充実が図られているのも特徴です。実際に車椅子生活を送る中、二、三十年前の状況と比べると本当によくなってきたというのが実感できます。
市に関係することとしては、
バリアフリー化を義務づける建物の対象に
公立小・中学校が追加されたことが上げられ、これにより市でも対応が必要となりました。
東京オリンピック・
パラリンピックの開催によりこういった流れは加速し、今後ますますハード・ソフト両面での
バリアフリー化が重要になってきます。取り組むべきことはたくさんありますが、今回はハード面での
バリアフリーに絞って質問をさせていただきます。
まず、一つ目は、学校施設の
バリアフリー化の現状と今後の計画についてです。
先ほどからお話しているとおり、令和3年4月の
改正バリアフリー法の施行により、公立の小・中学校の
バリアフリー化が義務づけられました。
エレベーター、
車椅子トイレ、段差解消の
スロープ設置などが求められており、新築はもちろんのこと、既存の学校でもできる限り整備を進めていかなければなりません。
参考資料を御覧ください。参考資料は、文部科学省の報告書「学校施設における
バリアフリー化の加速に向けて、誰もが安心して学び、育つことができる教育環境の構築を目指して」(概要版)です。ここには、学校施設の
バリアフリー化に関する整備状況として令和2年度の現状が示されています。校舎での
車椅子使用者用トイレ設置率65.2%、屋内運動場では36.9%、スロープ等による段差解消についての整備率については、門から建物の前まで、昇降口や玄関から教室などと分けられた数字となっています。実際の学校施設での
スロープ設置箇所はもっと細かく分類しにくい場所もありますので、おおよその数字になるかとは思いますが、それぞれの学校で大体6割から7割程度、段差解消がなされているという結果です。
エレベーターについては、まだまだ整備が十分とは言えません。
また、その令和2年度の現状とともにその右側には、令和7年度末までの目標案も示されています。本市でもこれらを受け、各学校の
バリアフリー状況の点検を行っていただいていることと思いますので、本市における小・中学校の
バリアフリー化の現状と今後の整備計画についてお聞かせください。
(1番 松上京子君 降壇)
○議長(北田健治君) 1番、松上京子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
教育次長、前川光弘君。
(教育次長 前川光弘君 登壇)
○教育次長(前川光弘君) 議員御質問の学校施設の
バリアフリーの現状と今後の計画についてお答えいたします。
令和2年5月に、共生社会の実現に向けた高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律が改正されたことにより、一定規模以上の新築等を行う場合に、
建築物移動等円滑化基準への適合義務の対象となる
特別特定建築物の範囲が拡大され、公立の
小・中学校等が新たに
特別特定建築物として位置づけられました。
それに伴い、令和3年4月以降に新築される公立の
小・中学校等については、改正法令への対応が必要となるとともに、既存の当該建築物についても同基準への適合の努力義務が課せられることとなっております。
そうしたことを受け、文部科学省では、公立の
小・中学校等における
バリアフリー化について、令和7年度末までの5年間に緊急かつ集中的に整備を行うための整備目標を定めるとともに、
バリアフリー化のための改修事業に対し国庫補助金のかさ上げや避難所に指定されている学校施設への緊急防災・減災事業債の活用などの財政支援の強化が図られているところであります。
市内の学校施設における
バリアフリー化の現状につきましては、学校によっては校舎の建て替え等を行う際に、和歌山県福祉の
まちづくり条例設計マニュアルに基づき、スロープ等による段差解消や
車椅子使用者用トイレなどの整備が既にできている施設もありますが、それ以外の学校では、
改正バリアフリー法に則した
バリアフリー化が十分でない施設も少なくありません。
一方、市内の学校施設の多くは避難所に指定され、地域の防災拠点として重要な役割を果たすとともに、近年、
特別支援学級に在籍する児童生徒が増加傾向にもあり、加えて、文部科学省からの学校施設における
バリアフリー化の一層の推進が求められる中、田辺市教育委員会としてもその必要性は十分に認識しているところであります。
今後は、それぞれの学校施設における
バリアフリー化の状況を詳細に把握した上で、学校ごとの特性などを踏まえ、国からの財政支援制度を積極的に活用しつつ、学校施設の
バリアフリー化を計画的により一層推進できるよう検討を進めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(教育次長 前川光弘君 降壇)
○議長(北田健治君) 松上京子君。
(1番 松上京子君 登壇)
○1番(松上京子君) 御答弁ありがとうございます。建て替えの際に整備をする、また、既存の建物に関しても必要に応じて整備を推し進めていくということで、
バリアフリー化の必要性について十分に認識をしているとの御答弁でした。
インクルーシブ教育の推進のため、これはみんなひっくるめてということですけれども、
インクルーシブ教育推進のため、障害のある子供たちが共に学べる環境づくりが必要であること、災害時には多くの学校が避難場所になること、また、選挙の際に投票所になったり、その他ふだんから様々な行事等で地域の人たちがよく訪れる場所であることなどから、学校施設の
バリアフリー化は大変重要なことです。各学校の事情に合わせ、要望を聞きながら、今後も計画的に整備を進めていただけるようにお願いいたします。
2点目に移ります。2点目は、公共施設の
バリアフリー整備体制についてということで、
公共施設全般のことについて2点伺いたいと思います。
まずは、
バリアフリーの進め方について。
本市では、このところ
スポーツパークや武道館など大きな施設の整備や
街なかポケットパーク、
市街地活性化施設tanabe en+(たなべ えんプラス)などの建築などが続きました。また、現在は新庁舎整備も進んでいるところです。このような公共施設を新築する際、あるいは改築する際には、一定の
バリアフリー基準に沿って整備されていることと思います。市において、公共施設の
バリアフリー整備をする際にどのような基準にのっとっているのか、また、どのような体制、手順で進めているのかをお答えください。
(1番 松上京子君 降壇)
○議長(北田健治君) 市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 議員の御質問にお答えします。
公共施設の
バリアフリーの進め方、特に建築設計等のプロセスにおける
バリアフリー化の考え方についてでありますが、本市では、基本的な設計指針として、和歌山県福祉の
まちづくり条例の整備基準や誘導基準を採用しており、通常は同条例に基づいて施設の
バリアフリー化を行っております。
さらに、近年では平成30年に
景観刷新事業に伴う障害者団体との意見交換会での御意見を参考にし、
多目的トイレの車椅子の回転スペースについて、福祉の
まちづくり条例では1.5メートルのところを車椅子の使用者が回転しやすい1.8メートルに改善し、新築物件についてはできる限りこの基準に基づき設計を行っております。
また、新庁舎建設に伴う設計段階においても、設計者、障害者団体の方との意見交換会や
既存公共施設の見学会なども行い、それらの意見を設計へ反映できる取組も行っております。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(北田健治君) 松上京子君。
(1番 松上京子君 登壇)
○1番(松上京子君) 御答弁ありがとうございます。今、市長のほうから
景観刷新事業の際には、車椅子の回転半径が1.5メートルから1.8メートルに、田辺はそういうふうにするのだというお話をいただきましたけれども、これ本当にありがたいなと当初思いました。1.5メートルというのは車椅子が回転できるという数字で、1.8メートルは回転しやすいという数字です。このできるというのとしやすいというのは、やっぱり全然違うものなのですね。ありがとうございます。
それで、和歌山県福祉の
まちづくり条例に沿い、担当課が中心にプロセスを進めていくということでした。指針があることで、スロープの傾斜角度、車椅子の回転半径、表示板の位置や個数など基準にかなったものが出来上がっていきます。どのような体制手順で進めていますかとお聞きしたのは、整備基準にかない、
バリアフリーだと言われている施設の中にも、実際使ってみると障害当事者には使いにくかったり、全く使えないものなどがあるからです。なぜこんなふうに造ってしまったのかと思うこともしばしばです。設計図の数値を満たしているので設計者が悪いわけではありません。ただ、条例やガイドラインの中には、障害者など実際に使う人がどう使うか、何に困るかまでは書かれていないのです。私は、造る前にもっと協議することができないだろうか。完成した後、検証はできないだろうかといつも思っていました。そこで、今の御答弁も踏まえ、こういった日頃の思いから次の質問をさせていただきます。
続いての質問は、(仮称)みんなに優しい
公共施設検討会議についてです。
これはどういったものかといいますと、公共施設を造るときに、設計の段階から直接担当する課だけでなく、関係する複数の課、障害当事者など、また、
バリアフリー建築の経験を多く持つ専門家などの意見も交えて検討できる課を越えた庁内組織のことです。
九州地方のある市ではこういった組織づくりをしているところがあります。そこでは、以前、
市民活動多目的交流施設を新築した際、新築でです。
多目的トイレの不具合があったこと、その後、絵本美術館の
多目的トイレでも車椅子が真っすぐ止めることができず、数日後に改修する事態になったことなどがあり、設計前に当事者の意見を聞く必要性を感じたとのことです。
バリアフリー新法では、設計段階から障害当事者の意見を取り入れることを優良事例としています。そこで、本市でもこのような組織をつくれないものか、見解をお聞かせください。
(1番 松上京子君 降壇)
○議長(北田健治君) 建設部長、衣田 克君。
(建設部長 衣田 克君 登壇)
○建設部長(衣田 克君) 議員御質問にお答えいたします。
今年の3月に改正された国土交通省の高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した
建築設計標準において、建築物の
バリアフリーに関する優良事例が追加されましたが、その中に設計段階から
障害当事者等の意見を取り入れた
設計プロセスの事例の項目がございます。
本市においては、改正前から、先ほど市長も申し上げましたように、建設に伴う計画段階において、当事者の意見を反映させる
意見交換会等の取組を実施したこともあり、その中で頂いた御意見や御要望をお聞きする中で、市としても当事者の方々の生の声をお聞きし、改めて
バリアフリーの重要性、多様性、さらに、私たちがふだん気づかない点を教えていただくなど貴重な機会にもなっております。
また、施設整備だけでは対応し切れない課題もあり、今後もこのような取組を継続してまいりたいと考えております。
議員御提言の当事者の意見のみならず、
学識経験者等の意見も取り入れることの必要性も認識しております。
今後もガイドラインにのっとって、関係部署、関係団体及び
学識経験者等の御意見が反映されるような、課を越えた組織や
仕組みづくりについて研究してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(建設部長 衣田 克君 降壇)
○議長(北田健治君) 松上京子君。
(1番 松上京子君 登壇)
○1番(松上京子君) ありがとうございます。今、新庁舎整備の際の意見交換会について触れていただき、ふだん気づかない点を教えていただく貴重な機会だというふうに言っていただきました。まさにそのとおりで、規模は全く違いますが、
東京オリンピック・
パラリンピックでは、新
国立競技場建設に当たりこの手法を用いました。障害当事者、そして
子育てグループの団体などが参加して、3年半をかけ、計21回のワークショップを開いて議論と検証を重ねたそうです。これほどの規模で基本設計から施設完成までのプロセスを実行できたことは国内では初めて、また、海外でも珍しい例だとのことでした。
先ほどの新庁舎整備における意見交換会では、視覚障害者、聴覚障害者、発達障害者の保護者の方々、
車椅子使用者などいろいろな障害当事者が集まり、会議室での話だけでなく、日を改めてBig・Uに行き、実地検証も行いました。
その実地検証のときのことですが、聴覚障害の方から、
エレベーターには窓をつけてほしい、音の情報がない自分たちは、災害時など外の様子が全く分からず不安で怖いという意見が出ました。これは私には全く気づかないことでした。そういう視点はなかったです。他の人たちも気がつかなかったことでしょう。この方の意見は設計に反映され、新庁舎東側の
市民用エレベーターにはガラス窓がつくことになりました。御答弁の中にもこれについてよかったとありましたが、参加者の方たちもまた喜んでおられました。こんなふうに自分たちの意見を聞いてくれる機会はなかった。本当にうれしいという声があったのが印象に残っています。
もちろん新庁舎整備や国立競技場建築のような大がかりなことは他の施設ではできません。小さな施設整備や改築などでは検討のための期間も限られますし、費用も多くかけられません。けれども、このような仕組み、組織をつくり、その中でプロセスを経て整備していくことを続ければ、よかったことや失敗、課題が積み上げられていきます。それは財産です。知見を重ねながら市民と共に
バリアフリー整備を進めていくことはすばらしいことです。市が目指す市民と協働のまちづくりという考えにも合致するものでしょう。課を越えた組織や
仕組みづくりについては研究したいとのお答えをいただきましたので、ぜひ庁内組織である(仮称)みんなに優しい
公共施設検討会議について、前向きに考えていただけるようにお願いいたします。
続いて、大項目2点目の質問に移ります。
2点目は、田辺市公式LINEアカウントのさらなる活用についてです。
田辺市LINE公式アカウントが本年3月に開設され、以来、お役立ち情報、お勧め情報、防災・緊急情報など、市民は手軽に、また迅速に様々な情報を受け取れるようになりました。最近では、特に新型コロナウイルス感染症やワクチン接種に関する情報がとても役に立っているようです。LINEアカウントの開設により、市からの情報発信は進んだと思いますが、活用の現状と今後のさらなる活用について幾つかお聞きしていきたいと思います。
まずは1点目です。LINEアカウントの現状と評価についてお聞きします。
本年3月にLINEシステムを導入してからこれまで、活用の状況やユーザー登録者数などはどうなっているでしょうか。また、この現状をどのように評価しているでしょうか。課題があればそれも併せてお聞かせください。
(1番 松上京子君 降壇)
○議長(北田健治君) 企画部長、山﨑和典君。
(企画部長 山﨑和典君 登壇)
○企画部長(山﨑和典君) 議員の御質問にお答えします。
市では、田辺市LINE公式アカウントを本年3月に開設し、運用を行っているところですが、このLINE公式アカウントには大きく4点の機能が備わっております。
まず1点目に、利用者一人一人が御自分に必要な情報を選んで受信いただけるセグメント配信。2点目に、子育てや防災、新型コロナウイルス感染症に関するよくある質問をジャンルごとに検索できるチャットボット機能。3点目に、トーク機能を用いたSNS相談。そして4点目には、自然災害等により被害を受けた建物の損壊状況の報告機能があります。これらの機能は、ツイッターやフェイスブックと異なり、一方的な情報の配信だけではなく、検索や双方向でのやり取りができるという特徴があります。
次に、LINE公式アカウントを用いた情報発信の効果についてですが、その一つとして市のホームページ上の広報田辺掲載ページのアクセス件数の増加が上げられます。LINE公式アカウントの運用開始後、約6か月間のアクセス件数が、昨年の同期間と比べ約2割増加しております。これは、広報田辺の発行をホームページのURLと合わせて配信することで、発行したという情報をまずはLINE公式アカウントから入手し、その後、ホームページにアクセスし、紙面の内容が確認できるといった具合に連動性を持たせた発信を行ってきた結果であると考えております。
また、セグメント配信につきましては、配信希望を登録している約8割の方が新型コロナウイルス感染症情報と防災・消防・救急情報を選んでおり、また約5割の方が観光情報と健康・福祉情報の配信を希望されております。市民の方がどのような情報に興味を持たれているかを把握できたこともLINE公式アカウントを開設した一つの成果であると考えております。
次に、登録者数についてですが、開設後約6か月が経過した8月末時点で1,818人の方にユーザー登録をいただいております。これは、平成24年7月に開設し9年余りが経過する市の公式SNSであるツイッターの2,935人、フェイスブックの1,198人というフォロワーの数や、令和2年5月開設の和歌山県のLINE公式アカウントのユーザー登録者数6,826人と比較しても、順調に増加していることがうかがえます。
こうした背景には、LINEアプリを国民の8割以上が既に利用していることで、新たにアプリのダウンロードをする必要がないなど、手間をかけずにLINE公式アカウントへの登録ができるということが考えられます。
一方で、LINE公式アカウントの運用の課題につきましては、先ほど登録者数は順調に増加していると申し上げましたが、LINEの利用率から考えますとその数はまだまだ十分ではありません。引き続き、LINE公式アカウントの認知度向上に取り組んでまいりたいと考えております。
また、LINE公式アカウントで提供している各種機能の周知を図っていくとともに、チャットボット機能の充実や相談窓口の拡張、他システムとの連携など、市民の皆様にとってより使いやすく役立つ機能の強化を図ってまいりたいと思います。
(企画部長 山﨑和典君 降壇)
○議長(北田健治君) 松上京子君。
(1番 松上京子君 登壇)
○1番(松上京子君) ありがとうございます。LINEの特徴や機能についての説明、そして、現状についてお答えをいただきました。ホームページ上の広報田辺へのアクセス数が増加したこと、それから、市民がどのような情報に興味を持っているかというのが分かったというような、LINE導入による成果があるということです。一定の成果がある一方で、また周知についてはまだ課題があるというお話でした。
8月末の時点で1,818人、登録者ということでしたが、私も時々数字をチェックしております。その後、1,900人を超え、今は2,000人に近づいているところで、少しずつですが増えていっているようです。
ただ、LINEアカウントを有効活用するためにはさらなる周知が必要でしょう。他の導入自治体の中には、導入の当初に路面電車へのラッピング広告や新聞広告など大規模な宣伝を行い、一気にユーザー登録者数を増やしたところもあります。電車へのラッピング広告というようなことは田辺ではできませんが、新聞広告や記事として取り上げてもらうことはできますし、広報田辺ホームページ、SNSでのお知らせももっとできるでしょう。
また、本市では、公民館でスマホ教室を開いているところもあります。こういった教室の際に田辺市LINE公式アカウントを紹介し、使い方を習ってもらうのもよいと思います。
それから、今は新型コロナウイルス感染症のこともあってあまり実施できていませんが、市政報告のときに各町内会を訪れたときや、あるいは高校生など若い世代の集まりがあるときなど、いろいろな機会を捉えて周知をしていただければと思います。
さらに、例えば、市内のお店などと提携したクーポンの抽せんなど新しい企画をするのも登録者数増に期待が持てる方法ではないでしょうか。ぜひ柔軟な考えで、今後もさらなる周知を図っていただけますようにお願いいたします。
2点目の質問にまいります。次は、道路管理における活用についてです。
LINEアカウントのさらなる活用ということで提案になります。道路異常の通報については、以前にも別アプリでの活用が取り上げられたこともありましたし、LINEでの活用に関しては、令和元年12月の一般質問で浅山議員がLINEアカウント開設を提案したときに触れていたことです。そのときは、LINEシステムの導入そのものについて検討するという御答弁でしたが、アカウント開設が実現し半年たった今、改めて双方向からの情報のやり取りができるLINEの利点を生かし、道路の陥没や傷みなどを知らせてもらうなど、道路管理における活用を考えてみてはどうでしょうか。
この間、町なかの歩道を歩いていてつまずき、倒れそうになりました。歩道のタイルが浮き上がり、がたがたになっていたためです。県道でしたので、県の担当課に伝え、すぐに改修をしてもらうことができましたが、転んだらけがをしたり、車道に倒れてしまったら大きな事故にもつながりかねません。
今議会にも道路管理に関する損害賠償の専決処分についての報告があります。管理課で過去5年間の事故件数や過失割合をまとめたものを見せてもらいました。損害賠償に至ったものは1年に2から6件でそれほど多くはありませんでした。担当の職員さんたちには、見回り、点検など、市道の管理に関し日々御苦労をいただいております。
とはいえ、広い田辺市、1,375キロメートル余りの市道の管理は大変なことです。そこで、市民の皆様にも御協力をいただき、道路損壊の情報提供を受けてはどうでしょうか。現場の写真、日時、位置情報などを知らせてもらえれば、早く簡単に、そして正確に情報を得ることができます。個人情報を入力する必要もなく、時間に関係なく利用できるので大変便利な機能です。道路管理におけるLINEアカウントの活用について市の見解をお尋ねします。
(1番 松上京子君 降壇)
○議長(北田健治君) 建設部長。
(建設部長 衣田 克君 登壇)
○建設部長(衣田 克君) 議員の御質問にお答えします。
市道等の維持管理における道路の現状把握につきましては、建設部及び各行政局の土木担当職員が日常業務で市道等を走行する際、また、定期的に行う市道パトロールにおきまして、路面の状況等には常に細心の注意を払っております。
加えて、全職員に対しましても、通勤時等に道路の異状を発見した際には、建設部に通報するよう周知し、さらに地元町内会や一般市民の方からの情報提供もあり、早急な対応を心がけて道路の維持管理に努めております。
また、本市と郵便局は、平成18年1月に住民生活に係る情報提供に関する覚書を結び、郵便局職員が通常業務の中で道路及び道路附属物の損傷、街路樹の倒木などのほか、その他公共の施設において施設の損傷等を発見した際には、市に情報提供をいただくこととなっております。
議員御提案の道路管理におけるLINEの活用についてでありますが、SNSの普及等も相まって、情報の双方向という視点で勘案いたしましても、市民の方からの情報提供は有用であることから、今後、活用に向けて取り組んでまいりたいと考えますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(建設部長 衣田 克君 降壇)
○議長(北田健治君) 松上京子君。
(1番 松上京子君 登壇)
○1番(松上京子君) ありがとうございます。道路の管理に関しては、日々のパトロールや郵便局員さんたちの協力もあり、パトロールというかそういうことを細心の注意を払ってやっていただいているというお答えでありました。
また、その一方で、市民の方からの情報提供は有用である、活用に向けて取り組んでまいりたいと前向きな御答弁をいただきました。
先日の九州の豪雨災害を受けた自治体の議員から聞いた情報提供に関するお話を御紹介いたします。その市では、2年前から議会改革の一環として、各議員がタブレットを持つようになったそうです。それが今回生かされ、道路の被害状況、増水の度合いなど、刻々と変わっていく現場の様子をタブレットで写真に撮り、時間や場所を含めた情報が当局の1か所に集めることができました。複数の議員から、それぞれの地域の状況を細かく正確に伝えることができ、それによりここの場所は危険が迫っている、この先はもう通行止めにしたほうがよいといった判断が迅速にでき、的確な対応につながった。本当に役に立ったとお聞きしました。
今回の質問では、LINEアカウントの活用について、道路の管理ということに絞って見解をお聞きしましたが、今後はこういった災害時の活用、また、敷地内や道路で死んでいる小動物の情報などにも幅広く活用できると思います。どんな機能を追加していくのがよいか、市民の皆様にアンケートを取るなどして要望を聞きながら、さらなる活用に関しても前向きに検討をお願いします。
今回、一般質問二つの大項目において、私は二つ提案をいたしました。大項目の1では、
バリアフリー整備に関し当事者の声を聞ける仕組みをつくるということ。そして、大項目2では、LINEアカウントを利用して、市民の方から情報を届けてもらう。この2点で、どちらも市民と共にまちをよくしていこうという考えからです。前向きなお返事をいただけたと思っています。私自身も最大限協力をしたいと思っておりますので、ぜひスピーディーに取組を進めていただけますようよろしくお願いいたします。
以上で一般質問を終わります。ありがとうございました。
(1番 松上京子君 降壇)
○議長(北田健治君) 以上で、1番、松上京子君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(北田健治君) この場合、午前10時50分まで休憩いたします。
(午前10時37分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(北田健治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午前10時50分)
○議長(北田健治君) 続いて、13番、橘 智史君の登壇を許可いたします。
(13番 橘 智史君 登壇)
○13番(橘 智史君) 皆さん、こんにちは。
清新会の橘です。今回は大項目1点、コロナ禍における諸問題について質問をさせていただきます。
2019年に発生した新型コロナウイルス感染症は、現在も変異しながら猛威を振るっています。本年7月下旬頃から田辺保健所管内でも第5波であろう陽性者が出始め、お盆過ぎあたりから二桁、最高で23名の陽性者を出しました。現在では少し落ち着いてきましたが、夏休みが終わり、学校が始まるタイミングであることから、学校教育への影響について聞かせていただきます。
和歌山県教育委員会は、県立の高校や中学校を9月1日以降の新学期について、原則1日当たりの登校生徒は全校生徒の半分程度となるよう、1教室内の生徒数を20人以下として、各日ごとの分散登校とし、登校しない生徒はオンラインでの自宅学習とするよう各学校長に通知し、実施しています。
本市の小・中学校は、9月1日以降通常登校としていますが、昨年度、臨時休校時の対策として、小学校6年生と中学校3年生の卒業学年にオンライン授業の準備を進めていましたが、現在の整備状況はどのようなものか。
また、国では、学校で児童生徒等や教職員の新型コロナウイルスの感染が確認された場合の対応ガイドラインで、緊急事態宣言対象地域またはまん延防止等重点措置区域での出席停止の措置及び臨時休業について、学級閉鎖、学年閉鎖、学校全体の臨時休業を示されましたが、緊急事態宣言対象地域またはまん延防止等重点措置区域として指定されていない場合の休業についての市の対応と、昨年の緊急事態宣言時、学校が休業となり、児童を保護者が見とれない場合、学校での見守りをしていただきましたが、宣言が出ていない場合の学校が休業となった場合、同じ対応をしていただけるのか、3点についてお聞かせください。
(13番 橘 智史君 降壇)
○議長(北田健治君) 13番、橘 智史君の質問に対する当局の答弁を求めます。
教育長、佐武正章君。
(教育長 佐武正章君 登壇)
○教育長(佐武正章君) 議員の御質問にお答えいたします。
昨年度の緊急事態宣言下での臨時休業における対応といたしましては、卒業学年に当たる小学校6年生と中学校3年生へのタブレット端末の配備を進め、授業時数の確保及び学習保障の体制づくりを優先的に実施いたしました。
現在は、国が予定しておりましたGIGAスクール構想が当初の計画よりも前倒しで進められたため、1人一台のタブレット端末の整備は昨年度末に終了し、学校では本年度当初よりタブレットを活用した授業が始まり、ICT支援員による教職員の指導力向上にも努めてきているところであります。
また、昨年度、家庭での通信環境についての調査を行った結果、91%の児童生徒がネットワーク環境を利用できる状況にあり、通信環境が整っていない家庭につきましても、モバイルWi-Fiルーターの貸出しを行い、臨時休業時にはオンライン学習が行えるよう進めております。
オンライン授業の実施に向けたネットワーク環境の状況ですが、現在、利用が集中することで通信速度が低下する通信回線の接続トラブルが起きているため、通信環境の改善に取り組みたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
次に、2点目につきまして、ただいま議員が御質問で触れられましたとおり、文部科学省が8月27日に示したガイドラインは、緊急事態宣言対象地域、まん延防止等重点措置区域での保健所の業務が逼迫する状況下で、保健所の判断を待たずに学校が主体的に対応するように促した指針であります。
現在、緊急事態宣言対象地域、まん延防止等重点措置区域ではない田辺市としましては、県教育委員会、保健所と連携を取り、これまでどおり県の基準に従って出席停止の措置及び臨時休業の対応を行うこととしております。
県が示しております臨時休業の基準は、学校内で感染者が発生し、濃厚接触者が学級または学年内に限定される場合は、当該学級または学年の閉鎖となります。学校内で感染者が複数名発生し、複数学年にまたがり校内で感染した可能性のある場合は、当該学校が休業の対象となります。臨時休業の日数及び学校の再開につきましては、校内の消毒作業が完了することや最終感染者の確認など、感染の広がりがないことが条件となりますので、保健所と学校が連携した上で慎重に対応を進めてまいりたいと考えております。
しかし、児童生徒に陽性者の判明があった場合、感染拡大を防ぐために濃厚接触者の特定が急務となります。その場合、先に当該学校の臨時休業を行い、感染のリスクに合わせて段階的に休業を解除する指示も考えられ、先ほど述べたような目安で学級閉鎖から順次行われるようにはならない場合もありますので、御理解賜りますようお願いいたします。
最後に、3点目の御質問にお答えいたします。昨年の緊急事態宣言発出時に伴う臨時休業におきましては、校内や各家庭での感染がない状況であったことから、家庭で子供の面倒を見ることができない場合は、学校に御相談をいただいた上で、お子さんを学校でお預かりできるよう対応いたしました。
議員の御質問のとおり、緊急事態宣言が出ていない状況におきましても、各学校では、感染の状況により学級・学年閉鎖及び学校閉鎖による臨時休業措置を行う場合が考えられます。しかし、これは昨年の緊急事態宣言時の一斉臨時休業とは異なり、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐための措置であることから、原則、校内でさらに感染を広げないことが最優先のため、学校における児童の預かりは難しいと考えております。以上、御理解を賜りますようよろしくお願いいたします。
(教育長 佐武正章君 降壇)
○議長(北田健治君) 橘 智史君。
(13番 橘 智史君 登壇)
○13番(橘 智史君) 答弁ありがとうございました。新型コロナウイルス感染症による学級閉鎖等の出席停止措置や臨時休業は、これまでどおり県の基準に従っての対応、県の教育委員会や保健所と連携を取りながらとのことでした。
濃厚接触者の対応や施設の消毒以外は、例年の流行かぜやインフルエンザなどの感染症流行による措置と変わらない対応になるのかなと感じております。
宣言が出ていないときの学校での見守りの対応はできないとの答弁でしたが、臨時休業になった場合の翌日とか、どうしても見守れない家庭の事情がある場合において、児童が不利益にならないように臨機応変に対応していただきたいと思いますので、その辺もよろしくお願いします。
オンライン学習は、学習が行えるように進めているとの答弁でしたが、高校生の授業風景を見ていますと、授業に集中するかしないかは別として、少し慣れが必要かなと感じましたので、緊急時でもすぐに対応できるように日頃から使わせて、例えば、月に何回か、朝一のホームルームをオンラインで受けるとか、1限目をオンラインにするとか、自宅でのオンライン授業に慣れる環境づくりを検討いただけたらと思いますので、その辺もまたよろしくお願いします。
次に、2点目の、保育所、学童保育所への影響についてです。
第5波となる感染拡大が猛威を振るい、若年層の陽性者も増えてきました。県内では、幼児を預かる施設でクラスターが発生しているように、幼児の陽性者を確認できる日が増えています。当地域の保育園児や幼稚園児でも数名の陽性者が出ていますが、幸い親など同居家族からの家庭内感染で、園内でのクラスターは出ていませんが、陽性者はもちろん濃厚接触者でも自宅待機となるため、保護者は仕事を休まざるを得ず、長期の休職や休暇が取りにくいことなど、精神的にも待機期間中の生活も厳しくなることが予想されます。
厚生労働省の発表の資料によりますと、9月2日現在、全国でこれまで感染者が発生した保育所等の数は5,141か所、感染者数は職員5,229名、利用乳幼児5,829名で、全面休園している保育所は185園とのことでした。仕事を持っている保護者が多い保育所では休園することによる影響も大きく、保護者のクレームなども想定されるため、学校より学級閉鎖に対しても慎重になると思われます。
また、保育所の学級閉鎖や臨時休園の基準を定めている園は少ないと聞きますが、市として公立と私立、学童保育所も含め感染拡大による休業要請の考えはあるのかお聞かせください。
(13番 橘 智史君 降壇)
○議長(北田健治君) 保健福祉部長、虎伏 務君。
(保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
保育所や学童保育所は、保護者が働いており、家で1人でいることができない年齢の子供が利用するものであることから、必要な方に保育が提供されないことがないよう、原則として開所することを求められる施設です。そのため、昨年度の全国の緊急事態宣言発出時におきましても、保育所等の使用の制限は行わないものの、保育所等での感染リスクを抑えるため、御家庭で保育が可能な方につきましては御利用を控えていただくなどの御協力をお願いするとともに、保育所等においては、手洗い、うがい、手指消毒の徹底、空気清浄機やサーキュレーター等を活用した換気の実施、施設内の机や共有部分のアルコール消毒など、子供たちを受け入れるに当たって新型コロナウイルス感染症の予防に細心の注意を払いながら開所してきたところです。
学級閉鎖や臨時休園の取扱いにつきましては、保育所等の園児や児童、保育士等に新型コロナウイルス感染症の陽性者が出た場合において、保健所の指示の下、該当クラスまたは保育所を閉鎖することとしているところであり、施設内の消毒を行うとともに、保健所が濃厚接触者の特定を図り、対象となった方にPCR検査を受けていただくことになります。
また、保健所が園児や児童または保育士等が濃厚接触者に該当すると判断した場合は、検査結果が陰性であったとしても最終接触時より2週間を自宅待機、または出勤停止としており、本市の取扱いでも、園児や児童の保護者や同居の親族、保育士等の同居の親族等が濃厚接触者に該当した場合は、濃厚接触者の検査結果が出るまで自宅待機、または出勤停止としています。
民間保育所等におきましても、公立同様、保健所の指示により学級閉鎖や臨時休園の措置を取ることとなりますが、感染拡大を防止する観点から、市と情報共有を図りながら取り組んでいるところでございます。
(保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(北田健治君) 橘 智史君。
(13番 橘 智史君 登壇)
○13番(橘 智史君) 答弁ありがとうございました。
保健所の指示により、学級閉鎖や臨時休園の措置もあり得るとの答弁だったと思います。保育所の関係者にお聞きしたところ、ガイドラインに基づく感染防止対策は徹底しているが、小さな子供たちにマスクの着用は非常に難しいともおっしゃっていました。園児や保護者にとってコロナ禍の登園は、行事の中止や縮小等、制約も多くあり、大変厳しい保育所生活になっていると思います。
また、保育士にとっても感染対策に気を遣い、園児たちに飽きさせないような工夫を取り入れながらの保育は本当に厳しいものがあると思われますので、園児や保護者、また保育士さんが不利益にならないようにきめ細やかな御支援を要求して、次の質問に移りたいと思います。
3点目の質問は、農林水産業への影響についてです。
この項では、一次産業である農業、林業、そして、水産業のうちの漁業について質問していきたいと思います。
まずは農業について、本市の基幹産業を支える梅・ミカンでは、青果・加工品ともに大きな影響はないと聞いていますが、畜産業やイベント等が制限されている花卉の栽培業者さんへの影響は大きいと聞きますが、コロナ禍における農業への全体的な影響とこれまでの市の取組をお聞かせください。
次に、林業について、コロナ禍で外国産材の入荷がしにくいことからウッドショックと言われる資材不足での価格高騰が起こっているが、林業・木材産業への影響とこれまでの取組をお聞かせください。
次に、漁業について、コロナ禍から飲食店での消費が落ち込み、水産物の価格が上がらず、また、養殖部門では、消費の落ち込みから出荷ができず、飼料のコストがかかり過ぎる悪循環が起こっています。本市の漁業でいえば、まき網漁業でのアジ、サバ、一本釣り漁業でのイサギなどの魚価が上がらないと聞いております。カツオに至っては、豊漁の影響もあるのでしょうが、1キロ60円と燃料費にもならない価格で出漁への意欲も失われている現状ですが、コロナ禍における漁業への影響とこれまでの市の取組を併せてお聞かせください。
(13番 橘 智史君 降壇)
○議長(北田健治君) 農林水産部長、北川弘泰君。
(農林水産部長 北川弘泰君 登壇)
○農林水産部長(北川弘泰君) 議員の御質問にお答えいたします。
コロナ禍における農林水産業への影響についてですが、まず、農業分野におきましては、昨年は全国的に緊急事態宣言の発出により不要不急の外出自粛が要請され、イベントや催物が縮小される中で、花の需要が落ち込み、価格が大きく下落し、花卉農家に大きな影響があったほか、畜産関係においては、外食産業の低迷やインバウンド需要の減少により国産和牛の需要が低迷し、子牛の価格が急落しました。さらに、その他の農作物についても、直売所や観光施設などを販路としている農家では、観光客の減少に伴い売上げが大きく落ち込みました。
こうした中、市では、JAや県と連携しながら、当地域において経済的影響を受けた生産農家を中心に、国の事業である経営継続補助金や高収益作物次期作支援交付金を活用するとともに、雇用の維持や事業継続を支援するため、本市の実情を踏まえた中で、子牛生産農家経営継続支援補助金や農業労働環境整備事業費補助金といった、本市独自のコロナ関連施策を創設し、農家支援や産地維持に努めてきたところです。
本年の状況につきましては、今なお新型コロナウイルス感染終息の兆しが見えない状況ですが、花卉農家では若干の影響はありましたが、出荷の最盛期である春先にかけて、全国的に天候不順により生産量が減少したことから価格が持ち直したこともあり、農業経営が逼迫するような状況には至らなかったと伺っております。
一方、畜産関係では、1頭当たりの子牛の平均取引価格が昨年2月には50万円台まで暴落しましたが、同年11月以降の熊野牛子牛市場では70万円にまでに回復しており、現在では以前の好調期の状況に戻ってきているところであります。
本市の農業では、9月中旬から、極早生ミカンをはじめ、かんきつの販売がスタートしますが、新型コロナワクチン接種が進み、経済活動が正常化に向かってくれることを期待しているところであります。
次に、林業につきましては、昨年、丸太の輸出入がコロナ禍で低調になった関係などにより、全国的に丸太の需要や価格が低調になるという影響が生じたことから、市といたしましては、新たな需要開拓を目的としたインターネット木材入札システムの導入への補助や、雇用対策として市有林や経営管理権を取得した山林での間伐事業などに取り組んでまいりました。
一方、今年3月頃より顕在化したアメリカにおける住宅着工戸数の急激な増加等の影響で、国内において外材価格の高騰や品不足を引き起こしたウッドショックと呼ばれる事態が発生し、原料不足の影響から丸太価格は回復しつつあります。
次に、漁業への影響についてですが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、県民に対する不要不急の外出自粛要請をはじめ、本市周辺の飲食店やホテル・旅館といった宿泊施設の休業などの影響により魚の需要が減少傾向となる中、和歌山南漁業協同組合が運営する田辺地方卸売市場における落札価格につきましても下落しております。
具体的に申し上げますと、イサギの落札価格につきましては、令和元年4月の時点では、1キログラム当たり約1,200円でしたが、全国に緊急事態宣言が発出された令和2年4月には1キログラム当たり約800円にまで下落いたしました。また、ヒロメにつきましても、令和元年における年間平均落札価格は1キログラム当たり約850円でしたが、令和2年は約760円、今年は約690円となっており、価格の下落に歯止めがかかっていない状況となっております。
一方で、令和2年7月から開始されたGoToトラベルキャンペーンなどの取組により、一部魚種の価格は持ち直しましたが、いまだコロナ禍以前の価格までには回復しておらず、価格の低迷が続くことによって出漁自体を控える漁業者も出てくるなど、漁業を取り巻く環境につきましては、大変厳しい状況になっているものと認識しております。
こうした中、昨年度、漁業経営の継続を支援するため、新型コロナウイルス感染症拡大により影響を受ける漁業者に対して、漁業を営むために漁船へ給油した燃油の購入費用に対する補助を行っており、総額612万4,329円の補助金を交付したところでございます。
(農林水産部長 北川弘泰君 降壇)
○議長(北田健治君) 橘 智史君。
(13番 橘 智史君 登壇)
○13番(橘 智史君) 答弁ありがとうございました。林業のところで、ウッドショックによる異常な価格高騰が続けば新規住宅の買い控えも起こってくると思いますので、提案ですけれども、高騰分への補助等は考えないか。例えば、県が行っている紀州材で建てる地域住宅支援事業、20万円プラス5万円の補助なのですけれども、それへの割増し等とかできないか。
また、漁業のところでは、新型コロナウイルス感染症拡大に対する漁業者への支援策として、例えば、先ほど答弁ございましたけれども、下落した市場での落札価格の一部を補助するといったような、単に経済的な補償をするのではなく、なりわいを行えるように出漁しやすくする取組は考えられないか、2点を再質問させてください。
(13番 橘 智史君 降壇)
○議長(北田健治君) 農林水産部長。
(農林水産部長 北川弘泰君 登壇)
○農林水産部長(北川弘泰君) 議員の御質問にお答えいたします。
まず、ウッドショックの影響についてですが、全国的にウッドショックによる資材不足が住宅着工へ影響を及ぼしていると言われており、住宅用の木材を製造する製材業者においては、原料である丸太価格が高騰するという状況が発生しております。
議員御提言の木材価格高騰分への補助につきましては、丸太から住宅に使用される木製品に加工流通される過程は多段階にわたっておりまして、木材価格の高騰分を負担ししている対象者は市場の動向に左右されることから、市といたしましては、引き続き状況を注視し、必要な対策について調査研究してまいりたいと考えております。
次に、漁業における市場での落札価格の下落分に対する支援について検討すべきではという御指摘についてですが、市場での落札価格については、その日の漁獲量や水揚げされる魚の大きさ、市場での需要状況等によって変動する中、価格変動の要因が新型コロナウイルス感染症拡大によるものだけなのか、また、基準となる価格の設定方法や対象とする魚種選定の考え方を整理する必要があるとともに、市場競争へ介入することに対する社会的影響等についても慎重に見極めていく必要があり、現時点におきましては、議員から御指摘のあった支援策の導入はなかなか難しいのではないかと考えますが、今後も引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大がもたらす本市漁業への影響を注視しながら、必要に応じて支援策を検討してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(農林水産部長 北川弘泰君 降壇)
○議長(北田健治君) 橘 智史君。
(13番 橘 智史君 登壇)
○13番(橘 智史君) ありがとうございました。補助の件は案ですので、一度またお考えいただけたらと思います。コロナ禍のようなイレギュラーが起こった場合にスピーディーに御支援できるようにどのような支援が効果があるのか、前もって関係者とも協議していただきたいと思います。
もう一つ、漁業のところで答弁にもありましたが、昨年度、漁業経営の継続を支援するため、感染拡大の影響を受けている漁業者に漁船への燃料の補助をしていただけたのは大変ありがたいとの声を聞いております。燃料の補助は、黒潮の大蛇行など、漁業が遠く、出漁しにくい場合においても有効な取組であり、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う支援策として取り組むのではなく、恒常的な支援事業として、ぜひとも実施していただくことを強く要望し、次の質問に移ります。
4点目の質問は、商工観光業への影響についてです。
新型コロナウイルス感染症の影響は、飲食業など商工観光業に大きなダメージを与えています。感染拡大からの休業や時短営業、1か所コロナ陽性者が出れば町なかの閑散化等、事業継続の意欲もなくなるのではと考えてしまいます。秋からの大きなイベント、じもたびキャンペーン第3弾や、じも食べ応援食事の延期は縮小した事業を挽回する絶好の機会でしたが、それもすぐにはかなわずで、事業者にとっては喪失感でいっぱいだと想像するところです。
市では、困っている事業者を応援するために様々な経済支援策を講じ、その支援策によってたくさんの事業者が救われたと思いますが、これまでの取組やその利用者数を分かる範囲でお聞かせください。
(13番 橘 智史君 降壇)
○議長(北田健治君) 商工観光部長、丸山勝司君。
(商工観光部長 丸山勝司君 登壇)
○商工観光部長(丸山勝司君) 議員御質問の商工観光業への影響について、これまでの事業者支援の取組状況につきましてお答えいたします。
まず、昨年3月から新型コロナウイルス感染拡大の影響により売上げが減少し、事業継続に苦慮されている市内小規模事業者を下支えするため、直ちに小規模事業者事業継続支援給付金を創設いたしまして、2,132件に対し2億1,320万円の交付を行いました。
また、支援給付金と並行して、感染防止対策や新商品開発、新しいサービスの提供等に取り組んでいる市内小規模事業者を支援するための新型コロナウイルス感染症対策事業応援補助金を創設し、498件に対し4,124万円の交付を行いました。
昨年8月には、田辺保健所管内の新規感染者数が増加したことから、市内の飲食店、カラオケ店及び宿泊施設において、和歌山県のガイドライン等に沿った新型コロナウイルス感染症対策の励行と、その対策内容を事業者自らがお客様にPRしていただくことを促進するための新型コロナウイルス感染拡大防止奨励金を創設し、572件に対し2,860万円の交付を行いました。
さらに、今年1月及び4月の新型コロナウイルスの第3波、第4波と言われる感染拡大により、本市においても新型コロナウイルス感染症への警戒感が一層強まり、宿泊・観光関連業や飲食業、小売業や生活関連サービス業をはじめ様々な業種が直接的、間接的に影響を受けていたことから、農林漁業者を含む、法人、個人の中小・小規模事業者を下支えする産業経済緊急対策支援金を創設し、農業者30件、林業者14件、漁業者34件、商工観光業者1,770件の計1,848件に対し1億8,867万5,000円の交付を行いました。
次に、観光需要喚起を目的とする支援事業についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の影響により観光客が激減したことから、宿泊予約をキャンセルされた方などに対し、終息後には再び当地域を訪れていただけるよう、利用者特典や観光パンフレットと心からお持ちしている旨のメッセージを送付する取組を促進するための誘客促進事業支援交付金を創設し、52件に対し1,040万円の交付を行いました。
また、観光キャンペーン事業として、市内在住者対象の観光ツアーの催行及び2万円分の宿泊券を抽せんで1,000名の市内在住者に配付した、じもたびキャンペーン第1弾や、全国向けに2万円分の宿泊券を抽せんで2,000名に配付した、たな旅キャンペーンを実施しました。この二つの観光キャンペーンの宿泊券の利用期限につきましては、当初、令和3年2月末といたしておりましたが、国内の感染拡大による利用者状況を鑑み、令和3年度への繰越し事業として令和4年2月末まで延長しているところであります。
さらに、市内宿泊施設を利用した市内在住者を対象に地域活性化商品券5,000円分を配付する、じもたびキャンペーン第2弾を9月から実施いたしまして、6,291件に配付し、使用商品券の換金額につきましては3,144万5,000円であります。
加えて、8月に市内の消費喚起を目的に、中学生以下を除く市民を対象に額面1万3,000円の商品券を1万円で販売するとともに、中学生以下と妊婦を対象に額面5,000円の商品券を配布する地域活性化商品券事業を実施し、また、11月には市民を対象に額面5,000円の商品券を配布した市民生活応援商品券事業を実施いたしました。これら二つの事業の使用商品券の換金額につきましては12億2,395万5,000円であります。
このように、事業者への支援事業及び観光需要喚起、並びに消費喚起事業における給付額と使用商品券の換金額は、総額17億3,751万5,000円となり、これら支援事業につきましては、全国的な新型コロナウイルス感染症の感染状況を見ながら、国や県の動向も注視しつつ、その局面に応じて取り組んでまいったところであります。
(商工観光部長 丸山勝司君 降壇)
○議長(北田健治君) 橘 智史君。
(13番 橘 智史君 登壇)
○13番(橘 智史君) 答弁ありがとうございました。
経済緊急対策支援金の支給では、商工観光業だけではなく、農林水産事業者にも経済支援を広げていただきました。また、消費喚起を促す商品券の配布は、事業者だけではなく、市民全体に行き渡る意味でもありがたかったと思います。
一つ要望として、高齢の方から近くに大きなスーパーしかなくて商品券が使えないので買わなかったという意見もお聞きしました。制度的に難しいかもしれないのですが、今後、このような商品券の配付がある場合には、何かよい方法を考えていただきたいと思います。
今議会初日に異例の速さで経済対策を出していただきました。第5波で困っている事業者を支援するためにも本当に最善のタイミングだったと思います。今後も素早い対応をお願いして、次の感染対策について質問していきたいと思います。
小項目の5のア、緊急時の休業要請についてです。
新型コロナウイルス第5波は、当地でも7月下旬頃から出始め、8月のお盆あたりから新規感染者が増えている状況で、紀南病院でも満床に近い数まで増えていたと聞いております。
田辺保健所管内において、新型コロナウイルス感染症の新規感染者が増加傾向にある場合、市から県に対し国への新型インフルエンザ等対策特別措置法第24条第9項に基づく事業者への休業要請や県が和歌山市の飲食店などに要請をした時短営業をお願いするべきと考えています。休業や時短営業の要請は、観光地を抱える本市としてはリスクもあると思いますが、感染拡大を防ぐ予防的措置として、大型連休前や新規感染者数が増加傾向にある場合の緊急的な措置として、酒類の提供を伴う飲食業などへの補償を伴った休業要請はできないか、市の考え方をお聞かせください。
(13番 橘 智史君 降壇)
○議長(北田健治君) 市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 議員の御質問にお答えします。
本市におきましても、昨年からの全国的な新型コロナウイルス感染症の度重なる感染拡大の波により、市民生活や社会経済活動は大きな影響を受けております。
これまでも新型コロナウイルス感染症の感染防止と社会経済活動の両立を図るため、市民の皆様には御自身の健康管理の徹底と、日常生活の中で換気が悪い密閉、人が集まる密集、近くで会話するなどの密接、いわゆる3密の回避や、手洗い、マスク着用などの感染防止対策、ソーシャルディスタンスの確保等、新しい生活様式の実践をお願いするとともに、事業者の皆様にも業種別のガイドライン等に基づく感染防止対策を徹底していただき、安全・安心の確保をお願いしてまいりました。
そのような中、4月から新型コロナワクチンの接種を開始し、医療従事者の皆様方の御協力により順調に接種を進めているところであり、接種を希望される方には、ほぼ10月中、もしくは2回目が11月に入る方もいらっしゃるかもしれませんが、おおむね対応できるものと考えております。
また、新型コロナウイルス感染症に係る経済対策につきましては、これまでも長引くコロナ禍で苦慮されている幅広い業種の事業者に対しまして、新型コロナウイルス感染症の状況も見ながら、国や県の動向も注視する中で、それぞれの局面に応じ、スピード感を持って事業継続や地域経済を下支えするため、庁内各部署の連携の下、横断的な体制により事業を実施しているところです。
先般、第5波と言われる新型コロナウイルス感染拡大を受け、消費拡大による経済対策として予定しておりました市民の皆様への商品券配付や食事券の販売、観光キャンペーン事業の実施を先送りさせていただきました。
併せて、第5波の感染拡大による地域経済への影響に対応するため、今議会の初日に地域経済持続化支援金に係る追加予算を提案いたしましたところ、議員各位の御協力により即日可決いただきました。現在、速やかに支援を開始すべく申請受付を行っているところであります。
さて、議員御質問の新規感染者数が増加傾向にある場合の緊急的な措置としての事業者への休業要請については、議員の御説明にもありますように、新型インフルエンザ等対策特別措置法第24条第9項に基づき、県が事業者に営業時間の短縮要請を行う場合にあっては、法に基づく強制力と要請に伴う事業者への協力金の財源が措置されることとなっております。
そういった中、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出されていない地域におきまして、法的に権限のない市が独自に緊急的な対策として、事業者に対して休業、または、営業時間の短縮を要請することは大変困難であると考えます。
そうした要請を行うに当たっては、感染者の囲い込みが難しくなり、さらに感染拡大が増加するおそれが顕著となった場合であって、その判断は容易でなく、要請を行うことによって事業者の経済活動を制限することとなるため、感染を拡大させないという観点から、その根拠を明確にする必要があると思われます。まず、感染拡大の要因となっている業種は何なのか、どのタイミングで要請し、その期間をどの程度設けるのか、対象エリアをどうするのか、また、要請とはいってもあくまでもお願いであるため、その対策が実効性を伴うのかなど、多くの課題があると考えております。
こうしたことを踏まえ、緊急時における県への休業要請の要望、または市単独の休業等のお願いにつきましては、今後、県内や田辺保健所管内で新規感染者数が急増するような緊急事態となった場合には、県とも連携し、感染状況を慎重に見極め、社会的・経済的影響、新型コロナワクチンの接種状況なども考慮に入れながら、総合的に検討してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、先日、田辺市緊急アピールを出させていただきましたように、市民生活と地域経済の両方を守っていくのだという決意の下、議員各位のお力添えをいただきながら、市民の皆様と力を合わせてこの難局を乗り越えてまいりたいと考えております。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(北田健治君) 橘 智史君。
(13番 橘 智史君 登壇)
○13番(橘 智史君) 答弁ありがとうございました。
先日、田辺飲食業組合が市長に休業要請について嘆願書を提出したことを考えても、感染者が爆発的に増加傾向にある場合の取組としては有意義であるとともに、協力もしていただけるとのことですので、その際はよろしくお願いします。
今月から年末にかけて3連休や飛び石連休が毎月のようにあります。そのような活動が活発になる時期に増加する傾向ですので、その見極めを誤らないように、また、先を見越しての前もっての施策の考慮や発動に際しての基準を明確につくっていただいて、感染対策に努めていただきたいと思います。
それでは、最後の質問、小項目のイ、ワクチン接種の周知についてです。
ワクチンの接種については、SNS等での発言、発信が基でワクチン接種を受けない若年層が多くいると聞きますが、ワクチン接種は感染を防ぐ最良の手だてで、市民も多くの方が接種いただいているところです。
接種は任意でありますが、感染拡大の防止や罹患後の重症化を防ぐためにもメリット、デメリットを含め、正しい情報の周知ができないか、市の考え方をお聞かせください。
(13番 橘 智史君 降壇)
○議長(北田健治君) 保健福祉部長。
(保健福祉部長 虎伏 務君 登壇)
○保健福祉部長(虎伏 務君) 議員の御質問にお答えします。
本市では、ホームページにより、新型コロナワクチン接種に関する情報を周知しており、国のホームページ等にリンクを張るなどして最新の情報を発信しております。
また、ワクチンの有効性等の情報につきましては、ホームページのほかに国のチラシやワクチン製造会社の説明書を接種券に同封して周知しております。
SNS等では、ワクチン接種のメリットに関する情報よりもデメリットに関する情報のほうが多く報じられており、それによりワクチンのデメリットが大きく見えてしまい、ワクチンを接種しない選択をする若い世代が多いと言われております。
新型コロナワクチンについて様々な情報が発信されておりますが、若い世代の方には、専門家による科学的根拠に基づいた公的機関等からの情報を確認していただきたいと考えております。
ワクチンが守るのは、接種を受ける本人だけでなく、家族や友人も感染リスクから守る効果が期待できます。
本市の20代、30代の新型コロナワクチン接種状況につきましては、8月31日現在で1回目接種が3,342名で接種率が28.7%、2回目接種済みが2,671名で接種率20.7%となっております。さらなる接種率向上のためにも、市としましては、若い世代の方が新型コロナワクチンに関する正しい知識と情報を身につけ、積極的にワクチン接種を検討していただけるよう、引き続き情報発信に努めてまいりますので、御理解いただきますようよろしくお願いいたします。
(保健福祉部長 虎伏 務君 降壇)
○議長(北田健治君) 時間が迫っています。発言は簡潔にお願いします。
橘 智史君。
(13番 橘 智史君 登壇)
○13番(橘 智史君) 答弁ありがとうございました。
私ごとでお恥ずかしいのですが、高校生の娘がワクチン接種は怖いからしたくないと、死にたくないと接種当日の朝まで母親と言い争っていたのが印象的で、情報が錯綜している怖さを感じました。
国は、ワクチン接種者に規制を緩める方針を検討しているとのことですので、今後は若年層の接種率も上がるのではないかと考えていますが、接種するかしないかで差別的な言動や不利益が出ないようにも考えていかなければならないと思います。
最後に、先日、私の所属する関係先に県から新型コロナウイルス感染防止対策の徹底について、県民の皆様へのお願いとして郵便が届きました。郵送でも構わないのですが、担当の職員は頻繁に出入りしているのですから、本当に感染を防ぎたいのなら事務所に伺って、徹底されているかを指導するべきと感じました。それが感染防止になると思いました。市当局としてもその辺りの取組を徹底していただき、感染防止の周知と指導に努めていただきたいと思います。
今回は、新型コロナウイルス感染症に関連した質問をさせていただきましたが、早く元の生活に戻れることを願って私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
(13番 橘 智史君 降壇)
○議長(北田健治君) 以上で、13番、橘 智史君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(北田健治君) この場合、午後1時まで休憩いたします。
(午前11時39分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(副議長 尾花 功君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時00分)
○議長(副議長 尾花 功君) 続いて、2番、前田かよ君の登壇を許可いたします。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 皆さん、こんにちは。
2番、日本共産党、前田かよです。通告に従いまして、今回は大項目2点を質問してまいります。
一つ目は、動物の愛護と管理に関する取組についてです。
地球で初めての生命が誕生してから35億年かけて、私たち人間は地球上で様々な動植物と共生しています。人間は、進化とともに文明を開化させ、いつからか自分たちの暮らしをもっと便利に、経済の循環をもっと効率的にと追い求めるあまり、地球環境やほかの生命にも負担をかけるようになりました。人間は、他の動植物の命に頼って生きていますが、ほかの命に対する敬意や感謝の念を忘れたとき、身勝手な行動を取ってしまうことがあります。
日本国内の過疎化や高齢化、空き家問題などといった身近な地域課題においても、人間の都合によって実に多くの動物たちが命を翻弄させられている現実があります。とりわけ動物愛護センターに運ばれた犬や猫のうち、2019年度には約3万2,000匹が殺処分されています。こうした現実に対して、私たち人間には動物を愛護し、適切に飼育することが求められています。
では、基本に立ち返って、動物愛護とはどういうことか、またその目的は何かをお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 2番、前田かよ君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市民環境部長、中村 誠君。
(
市民環境部長 中村 誠君 登壇)
○
市民環境部長(中村 誠君) 議員御質問にお答えいたします。
動物愛護につきましては、環境省の動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針、和歌山県動物の愛護及び管理に関する条例に示されておりますとおり、人においてその命が大切なように、動物の命についてもその尊厳を守るということであり、動物の健康及び安全の保持、動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害の防止並びに生活環境の向上を図り、もって人と動物が共生する社会づくりに寄与することを目的とするものです。
(
市民環境部長 中村 誠君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 御答弁ありがとうございます。
環境省の動物愛護管理基本指針の基本的な考え方には、目的として、国民の間にその言動において、動物を愛護する気風を招き寄せ、命を尊び、友愛と平和の情操をゆっくり養い育てることとも書かれています。
では、それらを実現させる具体的な方法として、日本では1973年に動物愛護管理法が定められ、1999年には和歌山県で動物の愛護と管理に関する条例が制定され、その中で動物に対する適正な飼育が求められています。
しかし、和歌山県における2019年度の犬猫の収容数と処分状況を見てみますと、犬の収容頭数201頭、猫1,220頭、殺処分は犬が102頭、猫が542頭、犬、猫合わせて収容数は1,621頭、そのうち返還されたのが66頭、譲渡されたのが130頭、処分されたのが644頭ということです。
また、2018年度の環境省の資料では、和歌山県の引取り数に対する殺処分率は、犬が58.58%で全国でワーストスリー、猫が93.47%でワーストツーということです。
猫の殺処分数の80%以上は産まれて間もない子猫だそうです。この背景は、猫の強い繁殖力と間違った飼育の仕方にあります。生後1年を過ぎる前から猫は既に生殖能力を持ち、雌は1年間に二、三回出産するそうです。雄雌2匹から1年後には40匹近くにまで増え、1人の飼い主が到底飼えることのできないほどの数、多頭崩壊というのですけれども、多頭崩壊して、保健所に保護されるケースが後を絶ちません。保健所で数日間預けられた動物は動物愛護センターに収容され、新しい飼い主に引き取られなければ殺処分となります。殺処分の多くは二酸化炭素での窒息死です。この方法は安楽死とは言い難い残酷なもので、殺処分を受ける犬猫たちは複数頭が一度に狭い部屋に閉じ込められ、恐怖とともに窒息に苦しみ、目を開けたまま絶命します。飼い主の下で幸福に一生を終えることができたはずの健康でかわいいペットたちが悲惨な方法でその生涯を終えています。
こうした現状を踏まえ、いま一度適正な飼育とはどういうことか、当局の見識をお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君)
市民環境部長。
(
市民環境部長 中村 誠君 登壇)
○
市民環境部長(中村 誠君) 議員御質問にお答えいたします。
議員御指摘のとおり、県によりますと現在、犬や猫の殺処分数につきましては、減少傾向にあるとはいえ、いまだ殺処分が行われている状況であります。
犬や猫の殺処分数を減少させるためには、まずこれらの動物の飼い主等が当該動物の本能、習性、生理等を理解した上で、人の生命等に害を加えたり、周囲に迷惑をかけないように適正に飼養するよう努めなければなりません。その上で、当該動物を可能な限りその終生にわたり飼養するとともに、飼養できなくなった場合には、自らの責任において新たな飼い主等を見つけること。また、当該動物が繁殖し、新たな飼い主等を見つけることが困難になるおそれがあると認められる場合には、その繁殖を防止するために必要な措置を取るよう努めることが基本であります。これに加えて、例えば、飼い猫の場合は屋内での飼養に努めることであったり、飼い犬の場合には鑑札を装着するなど、適正な飼養を行い、また、飼い主のいない猫には、不妊去勢手術を受けたことなどで生殖することができない猫のみに給餌等を行うことが重要であると考えております。
(
市民環境部長 中村 誠君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 県の条例にも3条に示されております適正な飼い方などを御報告いただきました。
補足として、これ県条例にないことですけれども、災害がいつ起こるかも分からないという昨今におきましては、災害対策として身元が確認できるようにしておくこと。そして、あらかじめワクチン接種や去勢不妊手術を施しておくこと。また、避難所にはペット用の物資はありませんので、ペット用の食事、水、ペットシーツ、ゲージなど必要なものを準備しておくことも大事です。
また、これは、ワンニャン会の会長さんから伺った話ですが、新たに動物を飼う際、犬や猫の平均寿命が15年ぐらいであることを考慮すれば、特に最近多い御高齢の方が新しく動物を迎える際、その平均寿命を考慮して迎えることが大切だとおっしゃっておりました。そして、万が一飼えなくなる場合、最近では新型コロナウイルス感染症のことも問題になっていますが、引取り先の約束をしておくことが大切と伺っております。
次に、市民の啓発の必要性についてお伺いします。
ここまで動物の愛護とその管理について、現状を踏まえたお話をお聞かせいただきました。では、こういったことを市民が十分認識できているかといえば残念ながらそうとは言い難い現実があります。市民に対しさらなる啓発が必要ではないでしょうか。御認識をお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君)
市民環境部長。
(
市民環境部長 中村 誠君 登壇)
○
市民環境部長(中村 誠君) 議員御質問にお答えいたします。
先ほど答弁させていただいているとおり、犬や猫の殺処分数を減少させるためには、犬や猫の適正な飼養、管理を行うことが重要であるため、飼い主への終生飼養の徹底や繁殖制限措置の実施、飼い主のいない猫への給餌に関することなどの市民啓発の必要性は認識いたしております。
(
市民環境部長 中村 誠君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 御認識のほどをお聞かせいただきました。既にお伺いしておりますが、担当課の方々には、市民の方々の相談活動など、いろんな業務をなさってくださっていることは既にお聞きしております。
和歌山県の動物愛護及び管理に関する条例第3条には、「県の責務として、県は、動物の愛護及び管理に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めるとともに、市町村及び県民による地域猫対策、その他の動物の愛護及び管理に関する活動の支援、または調整を行うものとする」と書かれています。動物の保護や処分といった直接的な取組の所管は県にありますが、動物愛護の取組主体は県だけでなく市町村にもあるということをうたっています。
それでは、本市における動物愛護の取組について、現状をお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君)
市民環境部長。
(
市民環境部長 中村 誠君 登壇)
○
市民環境部長(中村 誠君) 議員御質問にお答えいたします。
現在、本市における動物愛護の取組といたしましては、犬猫等による生活環境に関する相談への対応が主なものとなっております。その相談内容といたしましては、猫の場合は、ほとんどが飼い主のいない猫への餌やりとふん尿の苦情となっており、平成28年度から令和3年7月までの相談件数64件のうち餌やりの苦情が32件、ふん尿の苦情が23件となっております。また、犬の場合は、ふん尿と鳴き声の苦情が主となっており、相談件数25件のうちふん尿の苦情が15件、鳴き声の苦情が9件となっております。
このような相談への対応の流れですが、まず電話や来庁された方から相談内容を聞き取り、その後、田辺保健所と共に現場の確認や行為者等への接触及び聞き取り調査、必要に応じて指導等を行っております。
また、ふん尿の相談に対してふん尿防止の啓発看板が必要な方には市で貸出しを行っておりまして、平成28年度から令和3年7月までの間に85枚の啓発看板を貸し出しました。なお、市のホームページにおきましても啓発看板の貸出しについての周知とともに申請書の様式をダウンロードできるようになっております。
また、本市では、平成26年度から平成29年度まで、飼い主のいない猫に起因する様々な苦情や衛生上の問題を解決するための手段として、動物愛護団体が実施する不妊去勢手術にかかる費用の2分の1の補助を実施することにより、飼い主のいない猫を増やさない取組を行い、4年間の不妊去勢手術実績数は、平成26年度が91匹、平成27年度が146匹、平成28年度が100匹、平成29年度が68匹となっており、平成28年度から減少傾向にありました。
また、和歌山県では、平成28年度より殺処分される不幸な猫や飼い主のいない猫による生活環境被害の減少を図るため、地域猫対策を推進するとともに、新たな飼い主への譲渡を促進する不幸な猫をなくすプロジェクトの支援の一つとして、地域猫対策支援事業において、飼い主のいない猫の不妊去勢手術費用の全額助成を行っております。地域猫対策の理解も広がりつつある現状と4年間の実績から、平成29年度で市の不妊去勢手術補助制度は廃止し、そのような相談があった場合は、県の地域猫対策支援事業を紹介するとともに、市のホームページにおいても地域猫対策支援事業や譲渡の促進についての周知を行っております。
そのほかにも毎年9月20日から26日の動物愛護週間の広報事業の一環として、県作成のポスターを各保育所、幼稚園、小・中学校、公民館、行政局等の市の約100施設に掲示し、市民の皆様への周知活動を行っております。
また、狂犬病予防法に基づく取組といたしましては、所管が健康増進課ではありますが、田辺市内の犬の登録管理事務、狂犬病予防注射済票の交付事務、狂犬病予防集合注射を実施しております。これらの事業は、生涯を共にする飼い犬を狂犬病から守り、飼い主及び
近隣住民が安心して暮らすために必要なものであります。
具体的には、飼い犬の登録や変更手続を行う登録管理事務、予防注射を実施した犬へ注射済票を交付する狂犬病予防注射済票交付事務を行っており、狂犬病予防集合注射の実施については、開業獣医師協力の下、年1回、市内を巡回する形で実施しております。
その他にも、市内で飼い主不明の犬の収容があった際、田辺保健所の依頼により公示を行い、市民への周知を図っております。また、田辺保健所所属の狂犬病予防員と狂犬病予防注射未実施の飼い主等への訪問指導なども行っております。
(
市民環境部長 中村 誠君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 様々な取組をお聞かせいただきました。動物に対する考えや意識が様々に違う市民の間に入っての相談活動というのは、口でいうほど簡単ではなく、相当御苦労くださっていることは承知しております。そのことについては感謝と敬意を表したいと思います。
その上で、先ほどお聞かせいただきました内容は、主に法律の下における必要な事柄であったり、市民対応だったと思うのですけれども、それに加え、殺処分ゼロを目指す具体的な取組というのがもっとあってもよいのではないかと感じております。
和歌山県では、不幸な動物を減らし、殺処分ゼロを目標に掲げ、ボランティア団体の方々が、保護された猫や犬を新たな飼い主に引き渡す取組や、地域猫対策を行っています。本市内にはワンニャン会、どらごんワンコの会の2団体が懸命な活動をされています。
特に繁殖力が強く、殺処分数も多い猫に関しては地域猫対策をされています。この地域猫対策とは、野良猫によるふん尿被害、空き家などで生まれる子猫、猫が好きな人と嫌いな人の間でのトラブルなど、地域を悩ませている野良猫問題を解決する活動です。具体的には、野良猫に去勢不妊手術し、一代限りの命を全うさせるべく、町内会や地域住民の合意の下、一定の屋外でトイレを設置し定期的な餌をやり、適切な飼育をしながら少しずつ野良猫を減らす取組です。また、保護された動物の新しい飼い主をホームページやSNSで募集したり、講演会や学習会を通して適切な飼育を啓発しておられます。
こうした取組のおかげで田辺保健所管内の猫の収容頭数は、県の調査によれば、平成26年当初373匹だったのが令和2年には109匹と見事に減ってきています。こうした取組をもっと当局にもしっかりバックアップしていただきたいのです。
そこで、今後の取組においては、より主体的で積極的な啓発と動物愛護の活動に対する支援として三つのことを提案いたします。
一つ目は、健康増進課への主体的な啓発の提案です。犬の登録の際、人間の都合や無理解から不幸な動物が殺処分されている現状を伝え、動物の終生飼育、虐待や遺棄行為は法律により処罰対象であること。やむを得ない理由で飼えなくなった場合は、自らの責任で新しい飼い主を見つけると、先ほど当局の御答弁にもありました適切な飼い方を窓口に登録をされた飼い主に直接分かるような形でチラシなどを渡し、啓発することを提案いたします。
二つ目は、環境課への自主的な啓発として、広報紙やホームページ、SNSなどのツールを活用し、繁殖期や動物愛護週間、ちょうど今月20日から26日がそうですが、これに合わせた適切な飼育の啓発や、ここからが大事だと思うのですが、市民や町内会に対しても地域猫対策の周知、それから、相談活動と併せた県条例の周知、また、身近な相談役として、少し手続などがややこしい地域猫対策の助言や地域猫対策計画作成の援助などをしてはいかがでしょうか。以上、御答弁を願います。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君)
市民環境部長。
(
市民環境部長 中村 誠君 登壇)
○
市民環境部長(中村 誠君) 議員御質問にお答えいたします。
今後の取組につきましては、さきの答弁で申し上げたとおり、引き続き田辺保健所と連携しながら粘り強く相談等に対応し、必要に応じて指導するとともに、犬や猫の適正な飼養、管理について啓発を繰り返し行っていくことや、犬の登録手続の際には、飼い主への予防注射の実施義務、犬の鑑札と注射済票を犬に装着する義務について説明を行うとともに、未登録犬の飼い主への登録手続の督促を行い、未登録犬の減少に努め、犬が収容された際に飼い主を特定することができるようにすることなどで、殺処分の減少につなげてまいります。また、より効果的な啓発をはじめ、総合的な取組については、今後、研究、検討してまいりたいと考えております。
以上です。
(
市民環境部長 中村 誠君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 三つの提案と言いながら三つ目を飛ばしてしまったので、提案をもう一度させていただきます。
もう一つ、環境課への今度は市民団体の活動支援です。
動物愛護活動への支援として、去勢避妊手術や地域猫対策、保護された犬猫の譲渡活動には、大変な労力はさることながら、金銭面でも手術やワクチン、疾患があれば治療費、餌代、啓発に係る経費など様々な御苦労があります。活動団体はこれらを会費や寄附、バザーの収益などで賄っています。行政からの支援は、今のところ県の去勢避妊手術費の補助のみです。手術費は1万5,000円から2万円ほどかかるそうで、今はクーポン券による全額補助されていますが、予算枠に対して手術件数ははるかに多く、もうこの今の時期で予算は切れているということです。ワンニャン会ではクーポンが出ない場合は、飼い主のいない猫に対し、市民から事前連絡を受けた場合に限り5,000円の補助をしています。2020年度の手術実績は、県のクーポン券を使えたのが70件、会から補助をしたのが126件で、年間手術件数の約4割しか支援が受けられていません。
一方、新型コロナウイルス感染症の影響でイベントの中止が相次ぐ中、バザーの開催ができない状態が続いており、活動費の確保に困難を来しています。しかし、こうした団体の活動は、本市環境課にも相談が多い野良猫問題の解決、そして、殺処分ゼロという動物保護にはなくてはならないものです。それゆえ啓発活動の経費や去勢避妊手術費の補助など、活動を支援することで市民と協働による動物愛護の取組を提案いたします。御答弁願います。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君)
市民環境部長。
(
市民環境部長 中村 誠君 登壇)
○
市民環境部長(中村 誠君) 議員御質問にお答えいたします。
先ほどの答弁で申し上げたとおり、今後より効果的な啓発や総合的な取組については、今後とも研究、検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
(
市民環境部長 中村 誠君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 一度なくした補助をもう一度復活させるということは難しいのかもしれませんが、ぜひとも検討していただきたいと思います。
一つ、橋本市の事例を紹介いたします。こちらは動物愛護団体の熱意が担当課職員にも届き、見事に市民と協働されています。県の地域猫対策事業は多頭崩壊に対し、先行的に捕獲して避妊手術をして元の場所に戻すというこの一連の対応を素早くするために、申請書作成から許可までの手続が煩わしいのと手術対応可能数が県の事業では少ないことから、動物基金の行政枠を活用し、活動団体や行政の作業負担を減らしています。
また、猫の譲渡会を活動団体と共同で実施しており、譲渡会詳細を市のホームページにも掲載しています。協働事業だと活動に対する市民の受け止め方や印象が変わり、野良猫対策や動物愛護の直接的な啓発になっていますとのことでした。
地域猫対策は、事業の所管が県であっても市町村の地域課題でもあります。マハトマ・ガンジーの言葉に、国の偉大さや道徳的発展はその国における動物の扱い方で分かるというのがあります。動物への優しさは人への優しさにもつながります。人にも動物にも優しいまちを目指して取り組まれることを期待いたします。
それでは、大項目二つ目。持続可能な農業とより安心・安全な学校給食について質問してまいります。
私たち人間が健康に生きていくために食の安全は欠かせません。安心して食べられるものをというのは農業従事者、消費者の双方に共通する願いであると思います。でも、その度合いや栽培の仕方、商品の選び方によっては様々に変わってきます。
近年問題が顕著化している自然災害、地球温暖化、生産者の減少など生産基盤の脆弱化、地域コミュニティーの衰退、新型コロナウイルス感染症を契機とした生産、消費の変化など、直面する課題に対し、安定した食糧の供給と健康な食生活や持続的な生産、消費についていま一度見直していく必要があると考えます。
農林水産省は今年5月、みどりの食料システム戦略を策定しました。これは先ほど言いました直面する環境、食料、健康の課題に対し、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立を昔から伝わる技術や新しい技術を研究、活用することで実現させようとする取組です。
その中の一つに、2050年までに化学農薬の使用量を50%、化学肥料の使用量を30%、それぞれリスク換算で削減するとともに、有機農業に取り組む面積を耕地面積に対し25%まで拡大するなどの目標を上げています。このあまりにも大き過ぎるとも感じられる目標で、新技術搭載の器具や設備など、初期投資が必要なスマート農業との関係では家族農業を排除しかねない問題もはらんでいますが、こうした動向の中、本市農業の実情を踏まえつつ、自然環境との調和を図り、より安全で安心な農作物の生産体制や技術の普及、さらには地域の活性を願って質問してまいります。
まず、本市農業における農薬及び化学肥料使用の現状として、特に多く使われているものについて御報告ください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 農林水産部長、北川弘泰君。
(農林水産部長 北川弘泰君 登壇)
○農林水産部長(北川弘泰君) 議員の御質問にお答えいたします。
まず、農業で使用されている農薬については、品目や産地によって異なりますが、農薬を対象作物に使用する場合、農林水産省において農薬取締法に基づく登録された農薬でなければならず、希釈倍率や使用回数、収穫までの日数など、所管の研究機関において多様な試験研究の上、使用基準が決まっており、これに従って使用しなければならず、登録されていない農薬を使用することはできないこととなっております。
次に、栽培している作物については、地域や環境によって病原菌や虫の発生状況が異なることから、県の指導監修により、JAの営農指導員らによって栽培指針が定められ、この栽培指針の中に、主立った農薬や肥料が明記されており、農家はこの栽培指針を参考としながら、園地に作付している作物の品目等に応じて適した農薬や肥料を使い分けるとともに、気象条件や病害虫の発生状況を考慮しながら使用しているというところであります。
議員の御質問の慣行栽培で主に使用されている農薬、果樹では5品目、モスピラン顆粒水溶剤、スプラサイド乳剤、マイコシールド、スコア顆粒水和剤、ジマンダイセン水和剤などとなっており、また、水稲では、ビルダーフェルテラチェス粒剤、ダブルカットフロアブル、MRジョーカーEW、スタークル顆粒水溶剤、トップガン、それから野菜では、ダイアジノン粒剤、モスピラン顆粒水溶剤、フォース粒剤、ダコニール1000、アミスター20フロアブルとなっております。
以上でございます。
(農林水産部長 北川弘泰君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 日本の高温多湿の気候では病気や虫が発生しやすい環境であるため、それらから作物を守ろうとすれば農薬に頼らざるを得ないのが現状であることは理解できないわけでもありません。とはいえ、御報告された農薬の中には、モスピランやスタークルといった、近年生態系や人体への影響も危惧されるネオニコチノイド系のものもあります。
では、農薬及び化学肥料における人間や生態系の影響について、当局の見解をお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 農林水産部長。
(農林水産部長 北川弘泰君 登壇)
○農林水産部長(北川弘泰君) 議員の御質問にお答えいたします。
農薬の安全性に関しましては、先ほども申し上げましたが、農薬取締法に基づき審査され、安全が確保されるよう、使用時の安全性や農薬としての効果はもちろんのこと、農薬を使用して栽培された作物を摂取する人への安全性や、環境への影響に関する残留農薬基準が設定され、この基準を超えないよう希釈倍数や使用回数などの使用方法が定められております。
ただいま議員から御指摘のありましたネオニコチノイド系農薬、クロルピリホス、グリホサートが主成分の農薬については、国の研究機関において、毒性、作物への残留、環境への影響等に関する様々な試験成績に基づき、安全性の評価を行い、問題がないと判断された登録農薬になっております。
したがいまして、農業者が営農活動において、登録された使用方法どおりに使っていただいている中で、人への健康上の問題や生態系への影響はないものと認識しております。
なお、JA紀南では、消費者への安全・安心な農作物を提供するための対策として、農家が生産物を出荷する際には、品目ごとにどういった農薬や肥料を使用したかを記録した栽培履歴や農家によるGAP、いわゆる農業生産の工程管理に係る自主点検リスト、こういったものの提出を義務づけするとともに、営農指導員がこれを点検し、さらには、出荷物のサンプルを提出してもらい残留農薬分析を行うなど、様々なチェック体制の下、安全確認を行っております。
また、生産者はこうした安全基準を守り、安全・安心を第一に考えながら、消費者に喜んでもらえるよう農作物を丹精込めて栽培していただいていると理解しております。
(農林水産部長 北川弘泰君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 様々な基準でありますとか制約、法に基づく規則にのっとって使われているということであれば大丈夫と、行政の立場ではそう言わざるを得ないと思うのですけれども、影響はゼロではないと私は考えております。残留農薬基準は、海外と比較してみますと、例えば、報告にもありました製品名でいいますと、モスピランの主成分であるアセタミプリドの残留基準は、キャベツではアメリカの約3倍、EUの4倍、キュウリはアメリカの4倍、EUの6倍、トマトはアメリカ・EU両方の10倍と基準値が緩いのが実態です。残留農薬基準は作物別に設定されていますが、ほかの殺菌剤を併せて使うと毒性が数百倍から1,000倍に増幅したり、生体内に入ってから毒性が強くなる例もあるようです。
こうしたことから海外では厳しい規制が行われています。フランスでは全てのネオニコチノイド使用を中止し、ドイツ、イタリア、アメリカ、カナダ、ブラジル、韓国、台湾などでも品目により使用規制または禁止されています。このように海外では規制が厳しくなる一方、日本では2015年に残留基準が変更され、作物によっては10倍、1,000倍と緩和された農薬もあります。
ネオニコチノイド系農薬とは、中毒性がある有機リン系に代わるものとして90年代に開発された虫の神経伝達を阻害する殺虫剤で、虫には効くが人や環境には優しいと期待され使用されています。しかし、1990年初めからヨーロッパ諸国でミツバチの大量失踪が問題になり、2009年、日本でもミツバチの大量死が相次いで報告されました。多くの研究がなされ、ネオニコチノイド系農薬が主原因だと分かってきました。
人への影響でいいますと、参考資料を御覧ください。これは発達障害と農薬の相関関係が表されたものですが、単位面積当たりの農薬の使用量は日本は世界で一、二を争う量であり、近年、多動や注意欠陥、自閉など発達障害の増加とほぼ並行していることを示しています。国内の研究では、3歳児の尿中に有機リン系、ネオニコチノイド系が検出されたという報告があり、発達障害児の急増は、遺伝要因よりは環境要因が大きいことが分かってきているそうです。
また、免疫細胞を活性化する腸内細菌叢の変化により、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患、それに関節リウマチなどの自己免疫疾患を増やすことも指摘されています。
ほかにも除草剤ラウンドアップ、これは田辺市内のお店でもよく見かけます、成分グリホサートの商品ですが、発がん性や急性毒性、自閉症などの発達障害、生殖系への影響や妊娠期間の短縮、パーキンソン病などを引き起こすという報告がなされ、使用禁止や規制が世界の流れとなっています。
このように農薬や化学肥料は、生態系や人体への影響が国内外での研究で指摘され、土壌環境にも影響しています。化学肥料が慢性的に使われた土壌は微生物が死滅し、植物病原菌や病害虫が繁殖しやすくなり、それがまた農薬の使用を招くという悪循環に陥っています。これを見直そうと、微生物の力で土壌環境をよくし、環境への負荷を減らす取組として、農林水産省は環境保全型農業を推奨しています。これは、化学肥料や農薬の使用量をリスク換算で原則5割以上減らすとともに、地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い営農活動です。平成23年度から事業支援されており、本市でも展開されています。
農林水産省は来年度予算の概算要求に、環境への負荷軽減に向け、地域単位で支援する交付金の新設を盛り込みました。こうした流れを受け、本市においても有機農業をはじめとする環境保全型農業のさらなる推進についての御見解をお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 農林水産部長。
(農林水産部長 北川弘泰君 登壇)
○農林水産部長(北川弘泰君) 議員の御質問にお答えします。
市では、平成23年度から、化学肥料や化学合成農薬を県の慣行レベルから原則5割以上低減する取組と併せて、地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い有機栽培などによる営農活動への支援として、環境保全型農業直接支払交付金事業を実施しているところです。
現在、田辺市におきましては、この事業を活用し営農を行っている団体につきましては、事業要件の関係で14戸の農家で構成した1団体だけでありますが、これ以外にも独自に47戸の農家の方が梅やミカンを中心に化学合成農薬や化学肥料を使わない有機栽培や、これらの農薬肥料を5割以上低減した特別栽培に取り組んでおります。
こういった有機栽培など、いわゆる環境保全型農業により、有機農産物は慣行栽培と比較して一般的に販売単価が高いというメリットがありますが、一方で、地域や気象条件等により病害虫などの影響を受けやすいことから、生産性や品質が不安定な上、栽培管理に手間暇がかかるなど様々な課題もあることから、積極的に取り組む農家は少ないというのが実情であります。
こうした中、国では、議員から御指摘もありましたが、脱炭素社会の実現に向けて、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするといった方針が示されており、これに併せて農林水産省では本年5月に農業の環境負荷低減と生産性向上、持続性の両立の実現を目指すみどりの食料システム戦略を策定し、2050年までに化学農薬の使用量の半減、化学肥料の使用量の3割減、さらに有機農業を全農地の25%、100万ヘクタールまで拡大させることなどといった政策方針を打ち出しております。
この中で有機栽培に関しては、2018年時点の国全体での有機での栽培面積2万3,700ヘクタール、全耕地面積の0.5%でありまして、目標達成に向けては相当な推進体制や予算の確保が必要で、特に、日本国内での有機栽培による品種別の栽培体系を確立することが急務であるとともに、市場での取扱いを行う流通関係者や購入される消費者の意識改革など、多くの問題や課題を解決していく必要があると考えております。
いずれにいたしましても、市といたしましては、こういった農業を取り巻く情勢の変化への対応は必要であるというふうに認識しておりまして、生産者にとりましても、やりがいの持てる持続可能な農業構造の実現と消費者にさらなる安全・安心な農作物を安定的に提供するためにも、今後の国・県の動向に注視しながら、生産者の営農に関する窓口となっておりますJAとの連携を密にし、情報収集や啓発に努めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(農林水産部長 北川弘泰君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 環境保全型農業の難しさというのは、私もいろんな方の取組などを見ましても承知しています。そして、消費者として、そのような苦労の中、作物を作ってくださっている農家さんには、本当に感謝の思いがあります。いきなりJAS認証取得や有機農業というのは、雑草や病害虫との戦いで、また地域との意識の違いから来る難しさとかいうのもあるそうですが、農林水産省の調査によれば平成23年度に環境保全型農業直接支払交付金が実施された前後あたりから有機農業の取組面積は、先ほど0.5%とおっしゃいましたが、穏やかに増えてはきています。新規参入者のうち有機農業に取り組んでいる人の割合は2割から3割と高い傾向だそうです。また、慣行栽培をする650人を対象にしたアンケートでは、慣行栽培から有機栽培や特別栽培等への取組への意向は、取り組みたいが11.4%、どちらかといえば取り組みたいが43.7%と約半数というふうに関心が高い状況です。
みどりの食料システム戦略が絵に描いた餅にならないように、市町村の具体的な取組が重要ではないかと考えます。行政が有機農業や環境保全型農業の実践者、研究者、そして農業委員会、JA、消費者などから成る協議会を立ち上げ、地域の実情に沿った促進が必要ではないかと思います。
また、昔から伝わる自然資源の活用法を継承しながら新しい技術を導入して促進するために、新規参入者が学べる場も必要です。これは、以前、議会の農業クラブでもJAの若い農業従事者の方からも伺いました。
丹波市では有機農業を研究推進する企業と連携して全日制のオーガニック農業学校を設立し、栽培技術・農業経営・農村文化を座学と実習で学んでもらい人材育成をしています。先ほど新規参入者は有機農業志向者が多いことを紹介しましたが、そうした方たちの多くは比較的若い世代が多く、移住者の呼び込みにもつながる可能性があります。また、エコツーリズムといった、少し夢は広がりますが、そんなことにも発展させられるような起爆剤でもあると私は考えております。
少し夢を語らせていただきましたが、環境保全型農業の課題は、もう一つ大事なのは販路の確保です。そこで学校給食への導入を提案いたします。
本市の学校給食は、米飯中心で地産地消も意識され、1日の献立が和食、洋食、中華など系統がしっかりされていることなど、すばらしいなと一保護者として思っております。息子も給食はおいしいと言っています。野菜嫌いで家ではあまり食べてくれませんが、学校の給食はきっちりと食べてくれているので親としても安心しています。
化学肥料と農薬を使った農業が慣行化した50年の間に、野菜の栄養価は、例えば、ニンジンのビタミンA含有量はおよそ3分の1、ホウレンソウのビタミンC含有量は4分の1以下に減っているそうです。土壌が痩せてしまったことの表れですが、微生物がしっかり働く土壌には野菜の成長に欠かせない無機物が自然のサイクルの中で提供され続けますから、土壌が肥えて野菜の栄養価も高まります。
農薬の人体への影響について、先ほど免疫細胞を活性化する腸内細菌叢の変化により花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患が引き起こされているとお話をしましたが、この腸内細菌叢が増えるとアレルギーが改善されていくことが研究で分かってきています。保育所などで有機野菜を取り入れ、家庭と協力して栄養価の高い食事に改善することで子供のアレルギーが治ったり、集中力や意欲が増してきたという事例はたくさんあります。もちろんアレルギーや発達障害の改善は生活の様々な関係の中で改善されていくものですが、食べ物が体をつくる、有機食材が子供の健康発達にも深く関わっているとも考えます。
そういうことから、有機食材と子供の健康や発達との関係について、当局の御認識をお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(北田健治君) 教育次長、前川光弘君。
(教育次長 前川光弘君 登壇)
○教育次長(前川光弘君) 議員御質問にお答えいたします。
学校給食につきましては、全ての調理場において、日頃から子供たちの健康や体づくりのことを考え、栄養価を鑑み、バラエティーに富んだ献立づくりを心がけ、毎日、十数種類の食材を調達しているところであります。
議員御質問の有機食材と子供の健康や発達との関係についてですが、有機食材を使用した食事によりアレルギー等が改善したなどの事例は、オーガニック食の推奨者や実践者から紹介されていることは認識しております。
一方、栄養士や保健所への聞き取り調査等ではありますが、有機食材を摂取することで何らかの病気を防ぐことを明らかにした研究に係る学術論文は確認することができませんでした。
ただ、このような中でも、教育委員会といたしましては、子供たちが摂取する食材は、子供たちの健康や発達に欠かせないものの一つであるとも認識しておりますので、科学的、医学的な見地からの専門家による有機食材と子供の健康や発達に関する見解や研究の情報等を注視しながら、引き続き、法規に定められた厳しい安全基準を満たす食材を使用し、安全・安心な給食の提供に努めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(教育次長 前川光弘君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 食と健康に深く関わっているという御認識をいただいていることはうれしく思います。
このような有機食材が様々な病気予防改善につながるというような研究というのは、正直なところ、農薬との関係でなかなか研究者は科学研究費が取りにくいというような問題もあって、研究の論文が出てきにくいというのはそういうところも関係していると思います。ですので、実例が様々に報告されているということは、私としてはそれを信じたいと思ってます。
そして、こんな好循環を生み出すためにも、子供たちにより安心で安全な学校給食に向けて、有機食材の導入を求めたいと思いますが、見識をお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 教育次長。
(教育次長 前川光弘君 登壇)
○教育次長(前川光弘君) 議員御質問にお答えいたします。
学校給食の提供に際しましては、常日頃より、安全・安心な食材の選定及び確保は、最も重要な条件の一つと考えております。
そうした中、食材の購入に当たりましては、保護者の皆様にお納めいただく給食費をその原資とする限られた予算をもって、必要な栄養を満たし、そして、安全・安心な食材を確保できるよう業務に当たっているところであります。
御質問の学校給食への有機食材導入につきましては、安全・安心な学校給食を安定的に提供できることが大前提であることから、有機食材の安定的な供給体制が図れるのか、また、食材費を御負担いただく保護者の有機食材に対する認知度やコスト高になることへの理解が得られるのかなど、幾つかの課題があるのも実情であります。
そうしたことからも、今後、有機農産物の生産者や生産団体による有機農産物の認知度向上や消費拡大の啓発活動が進む中で、全国の事例研究も含め、有機食材導入について研究してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(教育次長 前川光弘君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 有機農産物の導入は、行き着くところ安定的な量の確保と費用の課題ということです。保護者の中には、野菜などが無理であれば、おみそやしょうゆなどの調味料を有機原料のものにできないかという要望もあります。輸入小麦などから作られる調味料、おみそとかもありますが、しょうゆもそうなのですけれども、グリホサートなどのホストハーペストといいまして、収穫後の農産物に殺菌剤を散布するという、これに対する残留が問題視されているからです。より安心で安全なものをというのは、保護者のみならず給食関係者皆様の共通の思いであると思います。知恵を出し合い、予算に関しても、事例を見ますと、高級なお肉、牛肉なんかはやっぱり単価が高いと思いますけれども、そういう割合を少しでも減らしてよいものに変えていくというような予算の工夫もされているみたいです。そんなふうに知恵を出し合い、実現に向かって少しでも歩み寄れればと願っております。
有機農業など環境保全型農業は、栽培の難しさもありますが、販路確保も課題になります。そこで、学校給食に地元産の有機米や野菜を導入する動きが始まっています。千葉県いすみ市は全国に先駆けた事例として大変注目されています。2012年に有機米を学校給食に使うことをゼロからスタートし、食育を通して地産地消推進と作付面積拡大を図り、スタートから3年で小・中学校全13校の1か月分に当たる有機米4トンを導入、さらに2年後には全量42トンを導入しています。そしてさらに、ブランド米いすみっ子としてJAなどで販売しています。ほかに兵庫県丹波篠山市では、今年7月に初めて33の小・中全校で4,000食分の有機野菜を提供し、保護者からも好評で2学期も継続して提供されています。また、愛媛県今治市、千葉県木更津市などでも取り組まれています。こうした公共調達は大変有効で、地域振興の起爆剤にもなります。課題は様々ありますが、本気で取り組めば実現できるのではないかと感じております。
そして、その過程で市民と行政が子供たちの健全な育ちを願って様々に取り組む、また、自分たちの地域を元気にするために知恵を出し合い実践することそのものが、楽しくて活気のあるまちづくりにもなると思います。ぜひとも前向きに研究を重ねられますことを期待いたします。
日本共産党は、今月1日に気候変動を打開する日本共産党の2030戦略を打ち出し、来る総選挙の大争点に据えています。その中に本日取り上げた環境保全型農業の推進を含んでいます。
今回は、私は食の安全性からのアプローチをいたしましたが、今後は私自身も環境との関わりの研究をさらに深め、本市の持続可能な農業、環境保全型農業の推進に向けた取組をしてまいりたいと思います。
以上をもちまして、本日の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(副議長 尾花 功君) 以上で、2番、前田かよ君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(副議長 尾花 功君) この場合、午後2時10分まで休憩いたします。
(午後 1時58分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(北田健治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 2時10分)
○議長(北田健治君) 続いて、15番、市橋宗行君の登壇を許可いたします。
(15番 市橋宗行君 登壇)
○15番(市橋宗行君) 皆さん、こんにちは。
紀新会の市橋でございます。議長から登壇のお許しをいただきましたので質問させていただきます。慣れない一問一答ですので、想定時間を多めに取っておりますが、最後までお聞き届けいただきますようによろしくお願いいたします。
また、項目の表示についてなのですが、大項目ありまして、小項目1番、エまでは関連なのですが、すみません、オは少し視点の変わった質問として、カのほうは総括的な質問になりますので、その点どうか御容赦いただきたいと思います。
さて、今回の質問に至った経緯ですが、以前より小・中学校での校務の円滑化というのは重要な課題として取組なされておりました。もとより、この取組は児童生徒の学校生活でのより一層の充実を図るためと理解しておりますが、その中身というのはよく分からない点もあり、特に校務支援システムなどのインターネットを駆使した新たな取組については、より分かりづらいものとして、現場の先生方も外部の我々からしてもブラックボックスのようなものであります。今回はその校務支援システムを含む校務支援全体を見ながら、御苦労いただいている過去から現状への経過を含め、昨今のコロナ禍も視野に入れた、将来に向けた校務支援の在り方をお聞きしたいと思います。
特に、この議論のやり取りの中では、インターネット関連の用語が出てまいりますが、私も専門家ではありませんので、なるべくかみ砕いて分かりやすくお聞きしたいと思いますし、また、御答弁もなるべく分かりやすくお願いしたいと思います。
それから、今議会の補正では、GIGAスクール構想における情報通信環境円滑化事業が上程されておりますが、連動している部分もあるかもしれませんが、あくまで校務の視点からの質問でありますので、御理解をいただきたいと思います。
そのGIGAスクール構想については、先日の地元新聞の報道にもあったように、新たな回線を設置して通信の混雑化をなくす取組として紹介されていましたが、校務支援システムは、従来どおりサーバーに接続する集約型接続方式を利用しているようです。その接続については、当初、ある小学校に設置されていると聞いていたサーバー、小学校用、中学校用学習系サーバー計2台と、小学校用、中学校用校務系サーバーの計2台の合計4台のサーバーは、いずれもどこかに移設されて運用されているようです。
私のイメージでは、サーバーといえば金庫のようなもので、特に校務用サーバーの中には、生徒さんたちの出席データや成績表やらの教務系情報や健康診断などの保健系情報など非常に大事な情報が保管されていると思われます。
そこで、まず1点目の質問として、今、サーバーはどこにあり、どのような接続方法で、どのような管理運用がなされているのか。過去においてもサーバーがダウンしたという話がありますので、そのような状況が発生した過去の状況から現在までの経緯をお示しいただきたいと思います。
以上、1回目の質問を終わります。
(15番 市橋宗行君 降壇)
○議長(北田健治君) 15番、市橋宗行君の質問に対する当局の答弁を求めます。
教育長、佐武正章君。
(教育長 佐武正章君 登壇)
○教育長(佐武正章君) 田辺市における教育ネットワークについてお答えをいたします。
田辺市が所有するサーバーにつきましては、学校が保有する情報資産のうち、学校・学級の管理運営、学習指導等の教職員のみがアクセスすることができる校務系と、学校における教育活動に活用する情報資産で、教職員及び児童生徒がアクセスすることができる教育系の2系統に分かれております。さらに小学校と中学校で分かれており、計四つのサーバー群で構成しております。それぞれのサーバー群では、校務データの保管、パソコンにログインするユーザー情報の管理などを行っていることから、個人情報が含まれる生徒名簿や会議録等については校務系に該当し、限られたパソコンのみがアクセスできる状況となっております。
議員御指摘のとおり、過去に田辺市所有のサーバーの故障により校務に影響が生じるということがありました。そのため、より高度に管理ができ、かつ安全な場所にサーバーを移設いたしました。
接続方法としましては、サーバーを設置するデータセンターと各学校間は安全性を担保するために、限られた利用者のみが利用可能で、不特定多数から直接アクセスを受けない仮想的なネットワークで接続しております。その管理については、24時間365日のシステムによる監視及び定期点検を行っており、不具合が発生したときには、教育委員会に連絡が入る体制を取っております。
校務支援システムにつきましては、田辺市用に構築している、いわゆるプライベートクラウドになります。校務支援システムでは、出席簿や指導要録などを管理しております。中学校には平成30年3月から、また小学校には令和2年11月から導入をしております。
以上により、教育ネットワークを管理、運用をしております。
以上です。
(教育長 佐武正章君 降壇)
○議長(北田健治君) 市橋宗行君。
(15番 市橋宗行君 登壇)
○15番(市橋宗行君) お答えをいただきまして整理させていただきますと、学校が持っている情報資産というのは、生徒さんらのものと先生方用のものとの2系統に分かれておりまして、さらにそれぞれ小学校と中学校に分かれているために、以前より聞いていたとおり四つのサーバーの塊になっているということでした。さらに、別の系統で校務支援システムが組まれ、いわゆるプライベートクラウドというものを構築した中でのやり取りをなされているということが分かりました。
このことは私自身も初めて知りましたし、ほかの先生方もどれだけシステム構築について御存じかは知りませんが、知っている先生方は少ないのではないかと思われます。ただ、この校務支援システムのクラウドについては、提供先の企業パッケージになっていると思いますので、セキュリティー状況も万全かと思います。
ただいま、御答弁いただいたとおり、既存の情報資産のサーバーにつきましても厳格に24時間365日と管理を厳密にされているという御答弁をいただきました。
それでは、その中で答弁いただいたサーバーの中身のセキュリティーについてお伺いをしたいと思います。
答弁の中では、データセンターという言葉が出てまいりましたが、データセンターというのは、IT機器設置場所に特化した場所の総称を意味すると思いますが、サーバー内のデータ、いわゆる情報資産に関してどのような管理がなされているのかお聞かせください。
(15番 市橋宗行君 降壇)
○議長(北田健治君) 教育長。
(教育長 佐武正章君 登壇)
○教育長(佐武正章君) 議員の御質問にお答えいたします。
情報資産の管理につきましては、教職員の立場によりアクセス制限を設定しており、また、管理運営上、保守業者のサポートが必要になったときには、教育委員会の指示による適切な取扱いをしております。
以上です。
(教育長 佐武正章君 降壇)
○議長(北田健治君) 市橋宗行君。
(15番 市橋宗行君 登壇)
○15番(市橋宗行君) セキュリティー上の話でもありますので、厳密にどこという話にはなりませんが、しっかりと管理がなされていると。そして、その中身のデータについても、もちろん同じように管理がなされているという御答弁であったと思います。
それでは、次の質問ですが、先ほどの話にもあったとおり、いかにすばらしいシステムを構築しても、そこに接続する機器によっても運用状況が変わるかと思います。ここでは特に業務のメインとなるパソコンについてお聞きしたいと思います。
文部科学省への報告にも、校務支援システムに使用する校務用パソコンについて、パソコンの動作が遅過ぎるのでスムーズに動くようにしてほしいといった要望を確認いたしました。同じように、以前ある先生からも、校務用パソコンから校務支援システムサーバーに接続する際、遅いとか止まるなどの状況が出ていることを聞きました。サーバーはもちろんその一つの学校だけが接続するわけではありませんので、全ての学校においてそのような事象が発生しているだろうということになるわけですが、それはなぜ起こるのかという点について、教職員用パソコンの型番が導入時点で型が古く、スペックが低いのではないかという話も聞いております。パソコンのスペック、いわゆる性能や仕様については十分なものが配備されているのか。また、その性能や仕様が十分でもシステム自体の強固なセキュリティー、例えば、ファイアウオールなどのセキュリティーの設定が高過ぎて、通常使用に支障のないパソコンでもその壁をスムーズに越えられなかったり、パソコン本体の容量がそこに消費されてしまって動かなくなったりしないのかなど心配されます。そのような状況に陥っていないか、校務用パソコンとのシステムの整合性についてお答えください。
(15番 市橋宗行君 降壇)
○議長(北田健治君) 教育長。
(教育長 佐武正章君 登壇)
○教育長(佐武正章君) 議員の御質問にお答えいたします。
学校現場で教職員が使用する校務系のパソコンについては、5年をめどに更新を行っております。購入するパソコンの仕様を決定する上で、コンピューター全体の制御・演算を行うCPUの性能が重要になります。パソコンの更新の際には、学校でのパソコンの使用状況を鑑み、その都度、最新のもので仕様を決めております。しかし、令和元年度には世界的な半導体不足により、当初予定していたCPUではパソコンを納期までに調達することができず、仕様を廉価版のものに変更し、調達せざるを得ない状況となりました。しかしながら、廉価版であっても、校務支援システムの提供業者とも確認する中で、校務に必要となる文書やメール作成をはじめ、十分に校務支援システムを活用できる性能となっております。
また、セキュリティーを担保するために設置するファイアウオールにつきましては、ネットワークを構成するパソコンとは別の機器となります。そのため、パソコンの性能というよりも、学校における通信速度を検討する上で、ファイアウオールの性能は重要になります。
GlGAスクール構想の推進とともに、児童生徒のみならず教職員においても校務のICT化が進むことが予想されますので、今後につきましては、そのような状況を踏まえ、引き続き適正な性能のパソコン配備とシステムとの整合性を図ってまいりたいと考えております。
以上です。
(教育長 佐武正章君 降壇)
○議長(北田健治君) 市橋宗行君。
(15番 市橋宗行君 登壇)
○15番(市橋宗行君) お答えいただいたとおり、パソコンに関しては十分なCPUの性能を担保して、廉価版であっても性能上は問題ないということで、それからまたセキュリティーのファイアウオールに関しては別物ということで理解させていただきました。
当時、令和元年、世界的ないわゆる半導体の不足というのは私も存じ上げておりますので、その中で5年更新であってもやはり性能の担保されたパソコンを配備するというのはなかなか大変なことだったとは思いますが、それがなされているということで、次の質問をさせていただきます。
次に、昨今のコロナ禍の状況を踏まえた対応について、校務支援としてのオンライン会議の状況をお聞かせください。
新型コロナウイルスの蔓延に伴って、国内でも様々な業界が在宅勤務を取り入れ、オンラインを駆使した仕事の方法に移行しております。田辺市の秘書課から上がってくるフェイスブックにも、例えば、本日市長はオンラインでの会議をしていますなどの投稿も数多く見受けられるようになりました。
ところが、教育現場では、予定していたオンライン会議が中止になったり、取りやめになったりという話を耳にしましたが、これまでの中止回数などの経過を含め、現状の状況をお聞かせください。
(15番 市橋宗行君 降壇)
○議長(北田健治君) 教育長。
(教育長 佐武正章君 登壇)
○教育長(佐武正章君) 議員御質問のコロナ禍でのオンライン会議についてお答えいたします。
まず、コロナ禍によるオンライン会議の実施と中止に至った事例について御説明をいたします。
令和3年4月22日から6月6日、8月16日から8月31日までの期間、田辺市主催のイベント・会議等の開催に関する基準に従い、オンライン会議を4回、動画配信を4回、合計8回実施しました。多くの会議や研修につきましては滞りなく終了いたしましたが、5月の校長会につきましては、当日の通信量が大幅に増えたため、オンライン会議システムが停止し、動画配信に切り替える事例がございました。市主催として中止となった事例はこの1件となっております。
これまでに使用しましたオンライン会議システムにつきましては、安全性で高評価のCisco(シスコ)社のWebex(ウェベックス)を使用しております。
今回、コロナ禍による対応策として、動画配信等による会議・研修を実施いたしましたが、学校現場からは、内容を繰り返し見ることで理解が深まったや、時間の制約がなくなったため、ゆとりのある時間に視聴ができたといった思わぬ成果を得られることもできました。
今後は、対面の通常どおりの会議や研修の形態を大切にしつつ、必要に応じてオンラインでの動画配信等の会議も融合させていくことを検討していきたいと考えております。
(教育長 佐武正章君 降壇)
○議長(北田健治君) 市橋宗行君。
(15番 市橋宗行君 登壇)
○15番(市橋宗行君) この状況を聞いたときちょっと時系列が分かりにくかったので確認させていただきましたが、今ちょうどGIGAスクール構想がスタートしたときとかぶってくるということで、そのために通信の障害が出たのかなというふうに理解させていただきました。
その際に、すぐに動画配信という手を打っていただいて、それに伴って会議など進めていただいていることと理解しましたけれども、この辺り、いわゆるリアルタイムでなければならないものはそれで全然いいのかなと。それから動画配信との併用を今後考えていくということでは、有用な一つの手段を見つけたことになるかなと思いますので、この辺りは非常に評価できるところかなと思っております。
次に、校務支援システムの評価についてお聞きいたします。
ここまで、サーバーに関しての接続、システムなどの全体的なこと。それから、そのサーバーなどに接続するパソコン本体について、またその接続がどのくらい円滑に行われているのか状況などを聞かせていただきました。
今回の質問準備に当たっては、文部科学省がユーチューブにアップしている令和元年度統合型校務支援システム導入実証研究事業成果報告を参照させていただきました。まだ導入初期の事例ではありましたが、メリットや問題点なども述べられており、非常に参考になるところがありました。実感する効果の例としては、統計業務の大幅な簡素化、成績処理のミスが減る、朝礼や会議の時間削減、ペーパーレス、事務負担の減少、学校を超えての連携の素地ができるなど。逆に直面する課題としては、自動化されている点をどこまで信頼すればよいか判断がつかない、誤操作入力を発見しづらい、もう一つは、ICT活用に対する不安、事務負担が増えた。そして、これまでの手書きでのローカルルールに対応できていないなどがありました。
システムのソフトに対しては、もともとパソコンなどに慣れていて、対応できる先生からするとそんなに難しくないのだろうと思いますが、逆に苦手な先生との差はどんどん開くことになっているのではと思います。その慣れの差とは別に、ICTのハードシステムや端末に対して絶大な信頼が置けるかというと、相手が機械だけに壊れたとき、データが消えたとき、どうしようと思う不安を払拭できないこともよく分かります。このことからも、校務支援システムは、サーバーをはじめとする各学校の周辺機器の安定運用と信頼の置ける体制構築になるのではと思いますが、教育委員会の評価はいかがでしょうか。
(15番 市橋宗行君 降壇)
○議長(北田健治君) 教育長。
(教育長 佐武正章君 登壇)
○教育長(佐武正章君) 議員御質問の校務支援システムの評価についてお答えいたします。
校務支援システムにつきましては、本年度から小・中学校そろっての本格実施がスタートいたしました。校務の効率化という点では、一定の効果が得られたと評価をしております。例えば、出席簿では、手書きからデータ入力に変わり、資料としての保存や全体の集計などの効率化が図れております。
また、指導要録等において、これまで手書きによる記入は教職員にとって大変苦労する点でもありましたが、パソコンによる文字入力に変わり、作成にかかる時間が大幅に短縮されました。
しかしながら、デジタル化されたことにより、入力ミスが発生してしまうというおそれも含んでおります。この点を回避すべく、これまでも教諭、管理職でダブルチェック、トリプルチェックを行ってきているところでありますが、引き続き発生の防止に努めるよう周知していきたいと考えております。
また、苦手な教員に対しまして、各校のICT教育担当者を中心とした教職員同士の協力態勢を整えるとともに、運営会社のサポートセンターとも連携をし、学校現場の支援につなげてまいりたいと考えております。
最後に、安定運用につきましては、学校における操作に関するトラブルが発生したときには、連携を取れる保守体制を整えております。しかし、現在、児童生徒が使用する学習者用端末の通信量により、校務支援システムの通信に影響を来すことが全国的な課題とされています。これまでも使用時間の調整を図りながら、通信の集中を避けて対応しているところですが、引き続き改善に向けて取り組んでいきたいと考えております。
なお、現在、校務支援システムにつきましては機能面でも日々改善されており、本年度からは保健機能面の充実がなされ、養護教諭の負担軽減にもつながってきております。今後もより効率的な活用に向け、検討を重ねていきたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
(教育長 佐武正章君 降壇)
○議長(北田健治君) 市橋宗行君。
(15番 市橋宗行君 登壇)
○15番(市橋宗行君) 評価についての御答弁をいただきました。これについて数点質問したいと思います。
答弁のとおり、支援システム導入後、集計などかなり効率化も見えてきたのだろうと思います。ただ、気になるところとしては、御答弁にあったとおり、チェック機能として管理職がダブル、トリプルに確認作業をしなければならないといった、負担としては多くなった部分があるのかなと思われますが、入力等の確認の仕事量が増えていないか。その点はいかがでしょうか。
(15番 市橋宗行君 降壇)
○議長(北田健治君) 教育長。
(教育長 佐武正章君 登壇)
○教育長(佐武正章君) 議員の御質問にお答えいたします。
校務支援システム導入以前の手書きによる作成をしていた頃から、記入ミスについてはダブルチェックやトリプルチェックが行われていたため、過去と比べ教職員や管理職に係る負担が増えているとは考えておりません。また、校務支援システムへ入力が必要となる作業につきましても、学校の教職員、管理職の確認が必要となりますが、入力後の処理面で大幅に効率化がなされておりますので、校務支援システムの導入により、教職員や管理職の負担が軽減されるものと考えております。
以上です。
(教育長 佐武正章君 降壇)
○議長(北田健治君) 市橋宗行君。
(15番 市橋宗行君 登壇)
○15番(市橋宗行君) 負担が増えたところというのは確かにあろうかと思いますが、それ以上に軽減されているという御答弁でありました。効果が実感されているところだと思います。
それからまた、小学校はまだ導入から時間経過は少ないのでこれからという面はあろうかと思いますが、実際の効果として、例えば、有給休暇取得率等の数字についての効果は表れているものがあるのか。また、先ほど答弁にもありました養護教諭の負担軽減というのが、全面的に支援システムの本格稼働はしていないような状況も聞いておりますが、その評価等について、全体的なところお教えいただきたいと思います。
(15番 市橋宗行君 降壇)
○議長(北田健治君) 教育長。
(教育長 佐武正章君 登壇)
○教育長(佐武正章君) 議員の御質問にお答えいたします。
現段階において、校務支援システムと有給休暇取得率の因果関係を判断することはできかねますが、一方では、超過勤務時間につきましては、校務支援システムが本格運用された本年6月や7月と導入前の昨年の同月を比較すると、平均超過勤務時間が減少しているという報告を受けています。
次に、保健機能について評価されている点につきましては、田辺市養護教諭研究会からの報告によりますと、校務支援システムの導入により、子供の健康管理プログラムを使用しなくても成長曲線を印刷できるや、一度の入力で、家庭へのお知らせ、職員報告、健康診断表などに反映されるので効率的である。歯の検診結果を入力すると、現在の歯の数や未処置数などの合計が出たり、家庭へ通知をすぐに印刷できたりするのがありがたい。また、サポートデスクがあるので、電話ですぐに教えてもらえるなどの点で好評価をいただいております。
いずれにしましても校務の環境が整い、活用の習慣が身についてくることで、今後、実感する効果が多く表れ、懸念や心配事が少しずつなくなっていくものと考えております。
(教育長 佐武正章君 降壇)
○議長(北田健治君) 市橋宗行君。
(15番 市橋宗行君 登壇)
○15番(市橋宗行君) ただいま御答弁いただいたところ、有給休暇等と連動して評価というのは、なかなかまだしにくいというところではありますが、超過勤務の減少が見られるというところで、まだこれから目に見えた数字に表れてくるのかなというふうに思っております。
それから、1点、養護教諭のお話の部分なのですが、その辺り、システムの評価としてのお話であるのかなというふうに思います。まだちょっと本格稼働してないところの話をお聞きしていますので、まだ今後も、稼働したときにどうなのかというところが多分出てきますので、その辺りのところを注視していただきたいと思います。
次に、ここまで支援という枠組みでお聞きしてきましたが、その関連としてICT支援員に求めるスキルについてお聞きしたいと思います。
ICT支援員については、過去の一般質問でも何度となく答弁でお聞きしておりますので、皆様も大体のイメージはあろうかと思います。令和3年3月議会での佐井議員への答弁には、「ICT支援員は、授業中のICTの操作補助やICTを活用した教材作成の支援・助言などを行い、ICT教育環境の充実と学校全体のICTリテラシーの向上を目的としている」という答弁や、前回の6月議会での髙田議員への答弁にも、「今年度につきましては、指導体制の充実に向けてICT支援員事業を開始し、先生方のICT活用スキル及び活用機会の充実を目指し」少し中略しますが、「現在、各校で一度目の派遣が完了したところではありますが、各校からはICT活用の機会が増えた、また先生たちも前向きに活用するようになったという意見を頂いております」という答弁もありましたが、その後すぐにボトルネックという事象を答弁されておりました。私自身は、この答弁を聞いて、まだハード整備が十分整っていないような環境下で先生らが前向きになるようなICT活用の機会があるだろうかというふうに思いました。
国がICT支援員に規定する主な業務内容としては、授業計画の作成支援、ICT機器の準備と操作支援、システムの活用支援、メンテナンス支援、研修支援等があります。細かなレベルの詳細まではよく分かりませんが、それなりの専門性が必要なのだろうと想像しますが、現在のICT支援員のスキルについて御説明をいただき、先生方に対してもICT支援員からどのような校務支援がなされているのか、御答弁願います。
(15番 市橋宗行君 降壇)
○議長(北田健治君) 教育長。
(教育長 佐武正章君 登壇)
○教育長(佐武正章君) 議員御質問のGIGAスクール構想におけるICT支援員に求めるスキルについてお答えいたします。
文部科学省のGIGAスクール構想の実現に向けたICT活用指導力の向上及び指導体制の充実では、ICT支援員の業務内容として、授業支援や校務支援、環境整備、校内研修などが上げられております。
田辺市では、昨年度導入した端末の効果的な利用を図ることや、教員のICTを活用した授業力を高め、併せて子供たちの学びの質が向上することを目的にICT支援員事業を進め、本年度より田辺市内全小・中学校に3名のICT支援員を派遣しております。
本事業を5月から着手するに当たって、ICT支援員に求めたスキルにつきましては、これまで授業に携わった経験から、子供の発達段階に応じたICT機器の利用に関するアドバイスができること、教育的な配慮をした上で子供たちとコミュニケーションが取れること、小・中学校の学習内容を熟知していること、この3点を重視しております。
また、ICT支援員からどのような校務支援がなされているかという点につきましては、主に授業支援を中心に実施しております。1人1台端末が導入され、GIGAスクール構想が本格的に始動する本年度につきましては、各校教員のICTを活用した授業力の平均水準を底上げすることや、児童生徒が学習内容をより分かりやすく理解し、意欲につなげていくことなどが大切であると考えております。
文部科学省によるICT支援員の育成・確保のための調査研究事業の成果報告書には、機器のトラブルやネットワーク環境に係る専門的な内容について、ICT支援員の業務内容から切り離し、専門的な業者に委ねるほうが効率的であると示されていることから、現在派遣をしていますICT支援員には、ICT機器のトラブルに関する対応といったシステムエンジニアのような働きは想定しておりません。
実施間もない事業ではありますが、1学期末に市内全小・中学校対象にアンケートを実施したところ、市内全小・中学校39校中21校が満足、15校がやや満足と、全体の87%の学校から肯定的な意見を頂いております。
また、先日開催されました全国市町村教育委員会オンライン協議会にて、ICT支援員の役割の一つとして、各校でICT教育の軸となる教員の意欲を高めることにより、周りの教員の指導力向上に大きく関わっているという説明を文部科学省担当者より伺ったところでもあります。
今後は、教職員のICTを活用した授業力と意識を向上させられるような取組及び校内研修の充実を進めるとともに、ICT支援員の業務内容の充実を図ってまいりたいと考えております。
これらGIGAスクール構想に係るICT支援員やハード面等の事業につきましては、議員さんも御存じのように、当初5年間での整備を予定していたものが大きく前倒しとなり、令和2年度1年間で整備し、開始がなされました。そのため、現在浮き彫りとなっている整備や運用面での諸課題を整理し、改善や解決に向けて、本事業の推進に努めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
(教育長 佐武正章君 降壇)
○議長(北田健治君) 市橋宗行君。
(15番 市橋宗行君 登壇)
○15番(市橋宗行君) 御答弁いただきまして、そもそも5年計画というところが前倒しになって、なかなか人材の不足する昨今でございますので、大変なことだと思います。
ただ、このことは、支援に関しましては、児童の保護者の方からのお話を複数リサーチいたしまして聞いた話でもありますので、子供たちが支援員さんに聞いたところ返答がなかったとか、あと年齢的にも確か60代の方というふうに聞いておりますので、やはりそういった部分で子供たちのほうが知っている部分があるのかなというところもあろうかと思いますが、その部分でしっかり子供たちの授業支援なり、学校全体の支援につながるようになっていけばなというふうに思っております。
ここにGIGAスクール通信というのがあるのですが、今まで6号まで出ていると思います。令和3年の6月に4号が出ております。タブレットのことで分からないことがあればどんどん聞いてくださいというふうに書いております。これは保護者にも行き届いている書類だと思いますので、これを基に、やはりそういったICT支援員さんのスキルについてもちょっと話題が出ているということは御認識いただきたいと思います。
最後に、今後の校務支援の在り方についてお聞きいたします。
先ほども申し上げた文部科学省がユーチューブにアップしている令和元年度統合型校務支援システム導入実証研究事業成果報告において、校務支援システムについて、次のような意見や要望がなされており、現場の先生方の正直な声ではと思うところがありました。その中の幾つかを紹介すると、特定の教員に負担が多くなり仕事が増えたや、そもそも使いこなす自信がない、使えるまでのストレスや費やす時間がかなり必要などの意見、また、ソフト・ハード両面でトラブルが起きたとき迅速に対応できる人材の確保や、トラブル対応に関して明確にしてほしいなど、その周辺のバックアップ体制に不安を感じている先生などもおられることが報告されております。
田辺市の学校教育の中ではどうでしょうか。IT環境に対しての認識や慣れのレベルは先生方の年代や個人差もかなりあるとは思います。ふだんの私生活でもパソコンやスマホを手にするだけで誰でも簡単に扱えるというものではありませんし、インターネットという仕組みがいかに複雑で危険性を含んでいるかの認識についても、教える側の先生方もばらばらであるはずです。それだけにインターネット関連のシステムに慣れるまではかなりの時間を要するかもしれません。これからの新たなデジタル化に伴う校務支援の在り方として、より効率化を求め、また、子供たちによりよい学びの場を提供していくにはどのような在り方がよいのか、教育委員会の見解をお願いいたします。
(15番 市橋宗行君 降壇)
○議長(北田健治君) 教育長。
(教育長 佐武正章君 登壇)
○教育長(佐武正章君) 議員御質問の今後の校務支援の在り方についてお答えいたします。
これまで、教育委員会では校務支援を含む業務・授業のデジタル化に向けて、様々な取組を行ってまいりました。
まず、2年前より、ICTに精通された地元IT企業のエンジニア、小・中学校の教員や指導主事等で構成する勉強会を立ち上げ、リモート会議等で今後の田辺市におけるICT教育の在り方について議論し、教育委員会としての展望を検討してまいりました。
また、8月に開催しました市内全小・中学校の校長、教頭、そしてICT支援員を対象とした研修会では、元KDDI研究所会長より、今後のICT教育の必要性や子供たちに育てたい力、懸念される危険性、校務の効率化などについて御講演をいただきました。管理職やICT支援員に、これからのICT教育の在り方の理解を深めるとともに、学校での取組を積極的に進めていくよう周知いたしました。実際、管理職からの感想には、誰一人取り残さないことやチームで取り組むことの大切さ、働き方改革の推進、管理職の運営力の必要性という力強い言葉やキーワードが多く見受けられ、大変心強く感じたところです。
新しい事業として校務支援のデジタル化が始まったことで、最初は教職員が戸惑いや抵抗を感じる面もあるかと考えておりますが、現在、各校の管理職の運営の下、効率的で効果的なシステムの運用方法に関して積極的な研究が重ねられ、これらが定着することで多くの業務が効率化されることになると考えます。
教育委員会としましても、教職員が安心して利用ができ、一人一人が学校というチームの中で協働する一員であることを意識できるような校務支援体制の整備を図っていきたいと考えております。
今後、校務支援の効率化は、教職員が今まで以上に子供たちと関わる時間や授業研究に費やす時間を確保することにつながるとともに、子供たちだけではなく教職員も自ら情報活用能力を身につけることで、教職員の業務が軽減される働き方改革にも大きく寄与するものと考えております。御理解賜りますようによろしくお願いいたします。
(教育長 佐武正章君 降壇)
○議長(北田健治君) 市橋宗行君。
(15番 市橋宗行君 登壇)
○15番(市橋宗行君) 教育長からは、最後に働き方改革という言葉も出てまいりましたが、今回質問に至ったという経過の一つで、いろいろ先生方のお声も聞かせていただいたのですけれども。私自身もそのときあれっと思った事象がありまして、それが冒頭申し上げたサーバーの移設というところがありました。サーバーというのは、私のイメージでは、金庫のようなものと言いましたけれども、その大事な金庫がどこかに移された。それ自体は管理上は何もできていれば問題ないのですが、それを周りの先生方とか父兄が知ったときに、何でかなというところの理由が誰に聞いても何も分からないというところから始まりまして、その後、サーバーのダウンとか、今回起こっております、いわゆるボトルネックという事象、いわゆる通信不能に陥ったりという事象がある中で、どうしてどうしてという疑問が膨らんで今回聞こうというふうに思いました。
教育業界、今日本の全体の話ですが、日本の教育界は、世界から見てもICTの後進国と言われております。それがたまたまなのですが、このGIGAスクール、先ほど申し上げた5月に発行されている第2号に載っております。ICT機器を学習に使うことは、日本ではあまり浸透していませんというふうに書かれているのですが。日本の教育業界では、数学やら科学分野というのは世界でもトップクラスと言われておりまして、それからあと小・中学生がパソコンとかスマホとか、要は端末に触れる、ゲーム機も含めてですが、そういう機会も世界トップクラスと言われております。そういう機材が今リアルタイムに新しく更新され、いろんな性能の高いものがどんどん出ていく、それを使う機会は大人よりもはるかに子供のほうがやっぱり多い現状。それに大人がついていって、例えば、校務の支援に資するときに、それなりのキャリアの開きというのがやっぱりあるように感じております。一親としてもそういうふうに思いますし、そういった現状を、ICTに関わっていく中でいろんな端末を使うだけではなくて、ソフトを分かるというだけではなくて、そのハード整備がどういうふうになされているかということも周知が一つ必要なのかなというふうに思いました。それによって先生方も安心感を得て、安心して現場で子供たちを指導することができるのではないかと思いました。
今回の質問で、その現場、補正の予算も組まれておりますので、よい方向に必ず向いていくと私は確信をしておりますが、高校では、もう既に金融リテラシーという授業が始まっているそうです。そういったリテラシーという部分、いわゆるICTに当てはめればICTリテラシーというものでありますが、与えられた材料や情報などを正しく理解・分析し、活用する能力と言われておりますが、それをこのグローバルな世界を生き抜くためにどうやって身につけていくのかというのを、今後教育現場でもしっかり子供たちに教えていただきたい。そういった中で、先生方の校務の効率化によって改善された現場があってほしいというふうに願っております。これからの子供たちの成長に資する教育の実現を願って今回の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
(15番 市橋宗行君 降壇)
○議長(北田健治君) 以上で、15番、市橋宗行君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(北田健治君) この場合、午後3時10分まで休憩いたします。
再開の際は議案書を御持参ください。
(午後 2時59分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(北田健治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 3時10分)
○議長(北田健治君) 続いて、8番、浅山誠一君の登壇を許可いたします。
(8番 浅山誠一君 登壇)
○8番(浅山誠一君) 皆様、こんにちは。
8番、大志会の浅山です。本日は大項目2点について質問させていただきます。少々横文字、略語が多くなりますがお付き合いください。
それでは、まず1点目、自治体におけるDX推進についてであります。
DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略称で、日本語に直訳するとデジタル変革という意味となります。よくICT化、ICT化と耳にされていたかと思いますが、DXとICT化とはよく似て異なるものです。ICTとは情報通信技術のことで、アナログな業務やインフラをICTに代替していくことを指します。したがって、その目線は業務本位で、業務効率化、人員削減、経費削減といった言葉と親和性があります。一方でDXとは、自治体や住民がデジタル技術も活用して住民サービスを向上させていくこと、デジタル技術も用いて新しい価値を生み出し、行政の仕組みや在り方自体を変えていくことであり、その目線は基本的には住民本位であり、住民接点、住民体験、個別最適化といった言葉と親和性があると言われています。
新型コロナウイルスは、我々の暮らしに様々な面で大きな影響を与えましたが、その対応の中で、日本全体のデジタル化の遅れが顕在化しました。国では、デジタル化の遅れに対して迅速に対処するとともに、制度や組織の在り方等をデジタル化に合わせて変革していく、言わば社会全体のデジタルトランスフォーメーションを推進するために、2020年12月、デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針を掲げ、同時に自治体が重点的に取り組むべき事項、内容を自治体DX推進計画として策定しています。概要については、参考資料の表面も確認いただきたいのですが、このDX推進計画では、自治体の役割は極めて重要であると位置づけられ、自らが担う行政サービスについてデジタル技術やデータを活用して住民の利便性を向上させるとともに、デジタル技術やAI等の活用により業務効率化を図り、人的資源を行政サービスのさらなる向上につなげていくことが求められています。本計画の期間は2021年1月から2026年3月となっており、計画は既にスタートしています。
さらに本年7月には、自治体が着実にDXに取り組めるよう、参考資料の裏面にある自治体DX推進手順書も発表され、今月からデジタル庁が発足するなど、国主導でのDX推進が加速しており、期間が決まっている以上、田辺市も取組を進めなくてはなりません。
そこで、本日の一般質問では、自治体DX推進計画に沿って幾つかの重要なポイントについてお伺いさせていただきます。
まず初めに、認識についてお伺いします。
自治体DXを進めることは、行政サービスや庁内での業務にどのような変革をもたらすと考えているのでしょうか。また、推進する意義について、市としてどのように捉えているのか、その御認識をお聞かせください。
(8番 浅山誠一君 降壇)
○議長(北田健治君) 8番、浅山誠一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
企画部長、山﨑和典君。
(企画部長 山﨑和典君 登壇)
○企画部長(山﨑和典君) 議員の御質問にお答えします。
議員の御質問にもございましたように、自治体デジタルトランスフォーメーション推進計画、いわゆる自治体DX推進計画では、自治体において、まずは自らが担う行政サービスについて、デジタル技術やデータを活用して住民の利便性を向上させるとともに、デジタル技術やAI等の活用により業務効率化を図り、人的資源を行政サービスのさらなる向上につなげていくことが求められております。
自治体DXの推進により、行政サービスにおきましては、マイナンバーカードの活用や紙・対面での手続のオンライン化により、曜日・時間帯や場所の制約が緩和されるとともに、省力化・迅速化が図られ、住民の日常生活における利便性の向上を実感していただけるようになるものと考えております。
併せて、庁内業務においてもシステムの標準化・共通化、デジタル化による各種電子データの効果的な活用等により業務の効率化が図られることで、人口減少、少子高齢化、災害や新型コロナウイルスの対応など、自治体が抱える課題が山積する中、職員でなければできない企画立案業務や市民の皆様との協働など、新たな価値の創造の取組に注力することができるようになり、行政サービスのさらなる向上につなげていくことができるものと考えております。
国は、昨年12月25日に閣議決定したデジタル社会の実現に向けた改革の基本方針の中で、目指すべきデジタル社会のビジョンをデジタルの活用により一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会、誰一人取り残さない人に優しいデジタル化と示しており、住民に身近な行政を担う市区町村の役割は極めて重要であり、自治体DXを推進する意義は大きいとされております。
本市におきましても、自治体DXの推進は、単なるデジタル化だけではなく、デジタル技術を手段として活用することで、行政サービスの在り方を変革する取組であるとの認識の下、このビジョンの実現に向けて取組を進めてまいりたいと考えております。
(企画部長 山﨑和典君 降壇)
○議長(北田健治君) 浅山誠一君。
(8番 浅山誠一君 登壇)
○8番(浅山誠一君) 行政サービスのさらなる向上につながる行政サービスの在り方を変革する取組等の御認識をいただきました。
それでは、ここからは、どのようにして進めていくのかという点について幾つかお伺いします。
自治体DX推進計画は、各自治体で独自の運営をしていた情報システムを令和7年度末までに全国一律で標準化、共通化していくことや、行政手続のオンライン化など、極めて多くの業務に関係する取組を短期間で行う計画です。それらを実現するためには、全庁的、横断的な推進体制を取る必要があり、速やかに体制整備に着手することが望まれています。
福島県磐梯町では、2019年11月に地方自治体では全国で初めてCDO、最高デジタル責任者を設置し、デジタル変革戦略室を立ち上げ、外部人材を招聘しながら実績を積み重ねる自治体DXの先進地として知られています。限られた予算や人員の中、組織の壁を越えて大型プロジェクトを推進するために、他の自治体では磐梯町のようにDX推進担当部門を新設するところもあれば、既存の情報政策担当部門が担うところもありますが、田辺市において自治体DXを推進するために、総合的に取り組む部署はどの部門となるのでしょうか。お聞かせください。
(8番 浅山誠一君 降壇)
○議長(北田健治君) 企画部長。
(企画部長 山﨑和典君 登壇)
○企画部長(山﨑和典君) 議員の御質問にお答えします。
自治体DXの推進体制につきましては、多くの部署、業務に関係する取組を短期間で実施する必要があることから、全庁的なマネジメント体制の構築が不可欠となります。
これまで、本市においては、平成21年度に情報システム検討委員会を設置し、情報システム導入に係る総合的な調整を図ってまいりました。また、平成27年度には、社会保障・税番号制度実施本部を設置し、マイナンバー関係の業務の全庁的な方針決定等を行ってまいりました。いずれも副市長をトップとして情報政策課が事務局を担当しております。
本市における推進体制につきましては、本推進計画のスケジュールに沿った取組を可能とするために、これらの組織を自治体DXを推進する組織に再編し、情報政策課を中心に、本市にとって最も効率的で実効性のある体制づくりを進めてまいりたいと考えております。
(企画部長 山﨑和典君 降壇)
○議長(北田健治君) 浅山誠一君。
(8番 浅山誠一君 登壇)
○8番(浅山誠一君) 情報政策課を中心に進めていきたいとのことでした。
以前、私の一般質問で、人材育成についてお伺いした際に、一般事務職は定期的な異動を行い、ゼネラリストとして成長してほしいとの答弁をいただいたことがあります。情報政策部門の技術革新のスピードは非常に早く、他の部門にいた人材が異動後すぐに活躍できるような業務ではありません。総務省のアンケートでは、情報政策部門の専門的な知識を有する人材の確保が課題と考える市区町村が63.6%にも上り、自治体によっては情報政策に精通した職員が少なく、実態はベンダーに丸投げというケースも多いと聞きます。
そこでお伺いします。現在、田辺市において、自治体DXを推進するに当たり、専門的な知識を有するデジタル人材はどの程度いらっしゃるのでしょうか。お聞かせください。
(8番 浅山誠一君 降壇)
○議長(北田健治君) 企画部長。
(企画部長 山﨑和典君 登壇)
○企画部長(山﨑和典君) 議員の御質問にお答えします。
現在、情報政策課は、課長を含め正職員9名、情報処理システム専門職の会計年度任用職員1名の計10名体制となっております。そのうち6名は民間IT企業での実務経験者となっており、他の職員につきましても、データベースやプログラミング、情報セキュリティー等に関する研修を受講することで知識を習得しております。情報政策課への配属期間につきましても、業務の専門性等により他部署と比較して長く、採用後一貫して情報政策課に配属されている職員もいる状況でございます。
今後は、自治体DX推進の観点において、さらに幅広い知識やプロジェクト管理能力が必要になると考えており、研修等による人材育成を進めるとともに、新たな人材の確保についても検討してまいりたいと考えております。
(企画部長 山﨑和典君 降壇)
○議長(北田健治君) 浅山誠一君。
(8番 浅山誠一君 登壇)
○8番(浅山誠一君) 類似団体と比べると実務経験の長いスペシャリストがそろっていらっしゃるとお見受けいたします。とはいえ、技術革新の早い領域ですので、ぜひ人材育成に積極的な投資をお願いできればと思います。
また、新たな人材の確保についても言及がございました。例えば、京都市では、新たに民間経験者の採用枠にICT・デジタル枠を設け、ICTを活用した業務改革に関する企画・立案、プロジェクトの参画経験、情報システム・ネットワークの開発・保守・運用経験のある人を対象として、年齢不問で即戦力人材の募集を行っています。田辺市でも建築技術職のように個別採用を検討すべき時期に入っているのではないでしょうか。
実際この春から、情報政策課の職員が教育委員会に配置転換され、GIGAスクールの推進に向けて活躍されているとお聞きしました。情報政策に精通した職員が各部門に配属されることは住民サービスの向上につながります。加えて、発注者側、上流工程に移ることは、SEの転職において人気の条件ですので、経験者の個別採用についてもぜひ御検討をいただければと思います。
併せて自治体DX推進計画は、期間の定められた計画となるため、期間限定での人材確保についても考えなくてはなりません。今回、田辺市では、情報政策課を中心に展開していくとのことでしたが、既存の業務を抱えながら短期間で計画を推進していくためには、マンパワーの限界を迎えることも考えられます。そこで、国では、十分な能力、スキルや経験を持つ職員を配置することが困難な場合には、期間限定での外部専門人材の活用を検討することを求めており、財政措置も準備されています。
そこでお伺いします。自治体DXの推進に向けて、田辺市では外部専門人材を登用する考えはあるのかお聞かせください。
(8番 浅山誠一君 降壇)
○議長(北田健治君) 企画部長。
(企画部長 山﨑和典君 登壇)
○企画部長(山﨑和典君) 議員の御質問にお答えします。
自治体DXの推進には、デジタル分野の知識・経験を持ち、各担当部署と連携しながら取組を推進することのできる職員の配置が必要となります。
このことを進めるために、議員の御質問にもございましたように、国においては、地域情報化アドバイザー派遣制度、地方創生人材支援制度、企業版ふるさと納税・人材派遣型、また県においては、デジタル行政専門人材派遣制度などの制度が創設されております。短期間でより効果的なものとするため、本市における推進体制の再編と並行して、国・県の人材派遣制度やICT専門人材を有する事業者への業務委託などによる外部人材の活用について前向きに取り組んでまいりたいと考えております。
(企画部長 山﨑和典君 降壇)
○議長(北田健治君) 浅山誠一君。
(8番 浅山誠一君 登壇)
○8番(浅山誠一君) ぜひ前向きに外部専門人材の活用に取り組んでいただければと思います。ただし、全国各地で人材の獲得合戦がスタートするため、採用が苦戦することも予想されます。プロジェクトマネジメントができ、パブリックマインドを持つデジタル人材というのは本当に希少です。民間企業では、副業を認める企業も増えておりますので、働き方や関わり方について、物理的な制約があっても参画できるような体制を整えていただければと思います。
また、田辺市は紀南の中心ですので、紀南地方の発展のためにも、場合によっては広域でデジタル人材を受け入れるという視点も忘れないでいただければと思います。
先ほど、情報政策課の育成についてお話がございましたが、自治体DXを推進していくためには、利用者目線でBPRを実施し、仕事の仕方や組織文化・風土そのものを変革していくことが必要となります。旗を振る首長や幹部職から実務を行う業務担当職員まで、情報政策に関わる専門的な職員だけではなく、それぞれのレイヤーで自治体DXに取り組むために相互理解や育成が必要となります。
そこでお伺いします。田辺市では、全庁的にDXへ取り組んでいくためにどのような育成方針を持っているのかお聞かせください。
(8番 浅山誠一君 降壇)
○議長(北田健治君) 企画部長。
(企画部長 山﨑和典君 登壇)
○企画部長(山﨑和典君) 議員の御質問にお答えします。
自治体DXを円滑に推進していくためには、さきに述べました全庁的なマネジメント体制の構築もさることながら、職員個人が自治体DXの意義について深く理解し、意識と行動を変えていくことが必要であると考えております。
今後は、現在、管理職や実務担当職員など全職員を対象に実施している情報セキュリティー研修に合わせて、自治体DXに関する研修を計画するとともに、自治体DXに中心的に関わる職員や特別職については、地方公共団体情報システム機構など外部機関が実施する人材育成研修に積極的に参加してまいりたいと考えております。
(企画部長 山﨑和典君 降壇)
○議長(北田健治君) 浅山誠一君。
(8番 浅山誠一君 登壇)
○8番(浅山誠一君) DXを進めることによって、例えば、今までは仕事に合わせてシステムを構築していたと思うのですが、それが180度変わり、システムに合わせて仕事を変えていくということが多々発生してきます。それを面倒と捉えるのか、住民サービスの向上のために前向きに捉えるのかでは全く異なってきますので、答弁にもありましたように、全庁的に理解が進み、意識と行動変容につながる取組をお願いします。
続いて、(2)の自治体DX推進に向けた計画的な取組についてお伺いします。
先ほどから述べているように、自治体DX推進計画は期間が決まった計画です。例えば、自治体の行政手続のオンライン化では、令和4年度末を目標に、子育てや介護など31の手続について、マイナンバーカードを用いてオンラインでの手続を可能にすることや、令和7年度までに現在使われている基幹系17業務システムを国が策定する標準仕様に準拠したシステムへ移行させることなどが設定されています。これらの計画を一定の期間の中で実現するためには、全庁的、横断的な推進体制を整え、現行のシステムの調査やスケジュール策定をはじめとして導入に向けた計画的な検討を行うことが必要となります。他の自治体では、まず全体方針を定め、DX推進のビジョン及び工程表を策定し、動き出す自治体も出てきていますが、田辺市では、自治体DXの推進に向けて、どのように計画的に取り組んでいくのかお聞かせください。
(8番 浅山誠一君 降壇)
○議長(北田健治君) 企画部長。
(企画部長 山﨑和典君 登壇)
○企画部長(山﨑和典君) 議員の御質問にお答えします。
自治体DX推進計画においては、デジタル人材の確保・育成も含めた全庁的・横断的な推進体制の構築、自治体の情報システムの標準化・共通化、マイナンバーカードの普及促進、行政手続のオンライン化、AI・RPAの利用推進、テレワークの推進、セキュリティー対策の徹底の6項目の重点取組事項、地域社会のデジタル化、デジタルデバイド対策、書面・押印・対面の見直しやオープンデータの推進などの自治体DXに併せて取り組むべき事項が盛り込まれております。
本市におきましては、情報ネットワーク技術の進歩に伴い、今後必須となってくることが予想される電子申請や電子交付の行政手続のオンライン化に対応するため、平成30年度に現業務システムを刷新し、システム全体の最適化を行うシステムオープン化計画を策定しております。令和2年度には、同計画に基づき、住民基本台帳システムをオープン系新システムへと移行しております。
また、自治体DX推進計画の重点取組事項となっている自治体情報システムの標準化・共通化への本市の取組につきましては、さきのシステムオープン化計画を令和7年度末までに標準化準拠システムへの移行を完遂するようスケジュールを見直しており、現在は税務・情報システムにおける業務手続の調査や業務仕様の策定等を行っております。
また、行政手続のオンライン化につきましては、現在、マイナンバーカードを活用した児童手当の申請など子育て関連の手続、住民票の写し及び印鑑登録証明書のコンビニ交付、体育施設予約、図書館蔵書検索・予約、斎場予約のサービスを実施中であり、本年10月からは、工事入札事務においてもオンライン化する予定となっております。
また、田辺市LINE公式アカウントにおいて、災害時の罹災証明書発行を効率的に行うため、住宅等の被害状況を報告する機能を実装しております。
今後は、推進体制を早期に再編するとともに、本年7月に公表された自治体DX推進手順書を基に、これまでの取組を踏まえながら、重点取組事項に位置づけられた項目から一つ一つ取組を進めてまいりたいと考えております。
(企画部長 山﨑和典君 降壇)
○議長(北田健治君) 浅山誠一君。
(8番 浅山誠一君 登壇)
○8番(浅山誠一君) 現在もできるところから一つ一つ進められておりますが、御答弁にもありましたように、早期に推進体制を整え、さらに加速していただければと思います。
また、AI・RPAの促進も重点取組事項に位置づけられておりますが、田辺市では実績がないと伺っています。投資対効果の面で難しいところもあろうかと思いますが、市民ニーズが複雑多様化し、業務量が増加する中で、職員さんにしかできないコア業務に集中できる環境づくりは大切です。限られた経営資源の中で持続可能な行政サービスを提供し続けていくためにも、AIやRPAの積極的な導入・活用もお願いします。
続きまして、(3)番、マイナンバーカードの普及促進についてお伺いします。
先ほども申しましたが、令和4年度末を目標にマイナンバーカードを用いて、子育てや介護など31の手続についてオンライン化を進める方針が掲げられています。その計画を実現するためには、広く市民の方々にマイナンバーカードを取得いただかなければなりません。そのため、国では、令和4年度末にほぼ全国民にマイナンバーカードが行き渡ることを目標に掲げています。
そこでお伺いします。現在、田辺市でのマイナンバーカードの普及率はどの程度となっているのでしょうか。また、令和4年度末にほぼ全市民にマイナンバーカードが行き渡るために、今後どのように普及促進していこうとお考えなのかお聞かせください。
(8番 浅山誠一君 降壇)
○議長(北田健治君)
市民環境部長、中村 誠君。
(
市民環境部長 中村 誠君 登壇)
○
市民環境部長(中村 誠君) 議員の御質問にお答えいたします。
1点目、マイナンバーカードの交付率は、令和3年8月末現在で、田辺市で32.3%、和歌山県全体で33%、全国で37.6%となっております。
2点目の令和4年度末に向けての普及促進策でございますが、本市では、令和元年10月に国で示された普及促進を目的としたマイナンバーカード交付円滑化計画を策定し、本計画に基づき、マイナンバーカードの申請及び交付を受けやすい環境づくりを行うため、本庁においては毎週木曜日の夜間延長窓口や令和2年1月から毎月第2日曜日に休日開庁の実施、対応する職員の増員、受付ブースの増設を行っております。また、令和3年度からは、各行政局においても不定期ではありますが休日開庁を行っております。
その他にも、新型コロナウイルス感染症対策を行った上で、マイナポイント決済事業者と連携しながら、商業施設での出張申請サポートも実施しております。
また、JA紀南の協力の下、旧田辺市内だけではありますが、JAの各支所ごとに組合員様向けの出張申請サポートの実施、田辺商工会議所の連携により、市内の各種企業への出張申請受付の実施、税務署との連携による市内病院職員への出張申請サポートも実施しております。
今後におきましては、新型コロナウイルスの感染状況を鑑みながら、企業及び各町内会への出張申請サポートを実施するなど、マイナンバーカードの交付率の向上につなげてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
(
市民環境部長 中村 誠君 降壇)
○議長(北田健治君) 浅山誠一君。
(8番 浅山誠一君 登壇)
○8番(浅山誠一君) 夜間延長や休日開庁、各種団体との協力体制を敷かれておりますが、数字上では国・県の平均よりも低くなっています。これは、年齢構成や産業構成にも影響されている部分はあろうかと思いますが、今後、マイナンバーカードを活用することで利便性が高まる世の中になっていきますので、引き続き交付率の向上につなげる取組の推進をお願いいたします。
続いて、この項目最後の質問に移ります。
デジタルデバイド対策について質問いたします。
デジタルデバイドとは、インターネット等の情報通信技術を利用できる者と、利用できない者との間にもたらされる格差のことで情報格差とも言われます。現在社会では、インターネットやスマホが普及し、情報媒体としてSNSの利用が当たり前の社会になりました。急速なデジタル化は、我々の生活の利便性を向上させる一方で、デジタルデバイスを活用できずデジタル化の流れに取り残されている情報的な弱者も生まれています。デジタルデバイドが広がることで、教育、経済、社会における格差の拡大、緊急時の対応遅れや犯罪が起こるリスクの増加、高齢者の孤立といった問題が助長されると言われています。
また、自治体DXを推進する中で、高齢者はデジタル活用に不安のある方が多く、また、電子申請ができること自体を知らない等の理由により、オンラインによる行政手続等の利用が進んでいないというユーザー側の課題も浮き彫りになりました。
そこで、自治体DX推進計画では、デジタルデバイド対策についても自治体に対応を求めておりますが、田辺市としてはデジタルデバイド対策にどのように取り組んでいくのか、これまでの取組と今後の方針についてお聞かせください。
(8番 浅山誠一君 降壇)
○議長(北田健治君) 企画部長。
(企画部長 山﨑和典君 登壇)
○企画部長(山﨑和典君) 議員の御質問にお答えします。
先ほども御答弁申し上げましたが、自治体DXにおいては、「デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実感できる社会、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」という目指すべきデジタル社会のビジョンが示されております。そのビジョンを達成していくためには、デジタルデバイド解消は重要な課題であると認識しております。
本市では、平成29年度に、市内のNPO法人が田辺市地域保健福祉推進補助金を活用し、高齢者向けに情報端末の基本的な操作方法と便利な活用方法、情報端末を使った見守りサービスや相互見守りなどについて学ぶ勉強会を開催した事例がございます。
また、令和2年度には、公民館の自主的な取組として、公民館のLINEアカウントを開設するとともに、スマートフォンの使用方法やSNSの利用についての講座を実施しましたが、こうした取組が全国で実施できるよう、国におきましてもデジタル活用支援推進事業が創設されたところでございまして、地域におけるデジタルデバイド解消の取組がさらに進むものと考えております。
また、他市の事例ではございますが、全国的に導入された新型コロナウイルスワクチン接種のインターネット予約において、操作に不慣れな高齢者がスムーズに予約手続ができるよう、富山県南砺市においては、自治会と公民館、社会福祉協議会を一本化して設立した地域づくり協議会がその代行予約を行ったという事例もございます。
今後は、各種制度の活用や他自治体の取組事例を参考にしながら、民間事業者の協力も得て、デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができるよう、各種取組を進めてまいりたいと考えております。
(企画部長 山﨑和典君 降壇)
○議長(北田健治君) 浅山誠一君。
(8番 浅山誠一君 登壇)
○8番(浅山誠一君) 公民館での自主的な取組は好評とのことですが、行っている公民館が限られているとお伺いしました。お話のあったデジタル活用支援員推進事業は、補助率100%となっていますので、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化に向けて、全市的にスマホ教室などが展開できるよう積極的に活用いただければと思います。
今回、自治体DX推進計画に沿って幾つかの質問をさせていただきましたが、計画を進めるために何よりも大切なことは、参考資料の裏面、「ステップ0」にあるように、DXの認識共有と機運醸成といった土台をしっかりつくることです。住民サービス向上のために全庁的に取り組んでいただくことをお願いして、この項の質問を終わります。
続いて、コロナ禍における市の情報発信についてお伺いします。
インターネットの広がりにより、我々は簡単に情報へアクセスできるようになりました。あらゆる情報にフラットにアクセスできるインターネットですが、人々は自分に都合のよい、自分の考えを支持してくれる情報ばかりを積極的に収集しようとするため、それにより偏った思想がより強化されていく傾向があり、その結果、コミュニティーや人々を分断するリスクもはらんでいます。
特に、コロナ禍という先行きの見えない不安や、感染やワクチンの副反応に対する恐怖心を克服するために、我々はあらゆる情報を集めようとしますが、発信者の中には、アクセス数を伸ばすために人々の不安をあおる過激な表現をするケースも多々あり、インターネット上にはデマやフェイクニュースもあふれています。だからこそ、人々が正しい情報を得て、あらゆる行動の取捨選択ができるようにするために、法的機関からの正しい情報発信の必要性がより一層高まっています。
そこでお伺いします。市では、ホームページでの特設ページの設置、LINE公式アカウントによるプッシュ型の情報発信など様々な広報チャネルを用いて、新型コロナウイルス感染症関連の情報発信に努めていますが、この間、どのような広報戦略の下、どのような工夫をし、市民への情報提供を行ってきたのかお聞かせください。
(8番 浅山誠一君 降壇)
○議長(北田健治君) 企画部長。
(企画部長 山﨑和典君 登壇)
○企画部長(山﨑和典君) 議員の御質問にお答えします。
新型コロナウイルス関連の情報につきましては、広報紙、ホームページ、SNS、防災行政無線に加え、報道機関への情報提供や取材対応、テレビ・ラジオへの出演など、それぞれの媒体の特徴を生かした発信を行っているところでございます。
これまでの取組を申し上げますと、まず、広報紙では、感染対策や市の支援施策を紹介する記事を特集やその他のコーナーで取り扱うとともに、目につきやすい裏表紙にも掲載し、さらには支援施策の紹介や感染防止等の啓発チラシを折り込むなどの対応を行ってまいりました。
また、ホームページでは、新型コロナウイルス感染症に関する様々な情報をまとめたページを設け、感染者の発生状況やコロナワクチンの情報、感染防止に向けた市の対応、個人や事業者向けの支援情報等、分かりやすく分類するとともに、支援制度につきましては、市の制度だけでなく、国・県・関係機関の制度と併せて紹介し、当該ページへのリンクを張ることで、より使いやすい構成にしております。
さらに、即時性に優れたSNSを利用することで、市民の皆様が、まずは、情報の概要をSNSを通じて受け取り、その後、ホームページで詳細を確認していただけるよう誘導するなど、それぞれの媒体の特徴を組み合わせることで、より効果的な情報発信を行ってまいりました。中でも、今年3月に運用を開始したLINE公式アカウントのプッシュ型の配信により、ツイッターやフェイスブックと比べてより早くその情報を確認いただけるようになっております。
また、防災行政無線では、感染状況に応じて放送の頻度や時間に配慮しながら、感染拡大の防止・啓発や注意喚起を行ってまいりました。
そして、報道機関への情報提供につきましては、緊急を要する場合には、臨時記者会見を開催するほか、テレビ・ラジオにも積極的に出演するなど、報道機関を通じ、市長が直接発信できるよう取り組んでまいりました。
以上のように、これまでも各媒体の特性を踏まえた情報発信を行ってまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の収束がいまだ見通せない中、今後とも、より広く迅速に、そして、正確な情報を市民の皆様にお届けできるよう努めてまいりたいと考えております。
(企画部長 山﨑和典君 降壇)
○議長(北田健治君) 浅山誠一君。
(8番 浅山誠一君 登壇)
○8番(浅山誠一君) 担当課におかれましては、土日、祝日関係なく感染者情報等の発信をしてくださり本当に頭が下がります。セキュリティーの関係上、どうしてもホームページの更新などは登庁して作業をしなければならないと伺っています。ホームページの更新は、技術的には在宅でもできる業務です。自治体DXを進める中で、在宅でもできる仕事については、条例改正を含めてテレワークができる環境の整備もお願いできればと思います。
それでは、最後の質問に移ります。
新型コロナウイルス感染症対策に関する保健行政は、基本的に県の管轄ではありますが、住民から一番近い基礎自治体からの情報発信や呼びかけは必要不可欠です。その中でも、特に感染拡大期において、私は市長からのメッセージが市民に対して一番訴求効果が高くなると考えています。自治体によっては、パネルやモニターを活用しながら頻繁に記者会見をしたり、首長自らのSNSによる発信やユーチューブの活用などを取り入れたり、様々な工夫が見られます。
田辺市でも先日、初の試みとして行われた「田辺市緊急アピール」は、各メディアにも大々的に取り上げられ、その効果は大きかったと思います。当日、田辺市でも初めてパネルを活用し、視覚的にも訴えをされていて、直感的に分かりやすいなと感じました。残念ながら新型コロナウイルス感染症の収束までにはまだ時間がかかりそうで、これからも様々な状況変化があろうかと思います。今回の「田辺市緊急アピール」のように、状況を見極めながら、これからも市長自ら市民へ語りかける場を積極的に設けていただきたいと思うのですが、今後の市長によるメッセージの発信について、その在り方、方針についてお考えをお聞かせください。
(8番 浅山誠一君 降壇)
○議長(北田健治君) 市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 議員の御質問にお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、これまでも、議会はもとより、市民の皆様からの御理解と御協力をいただきながら、可能な限り迅速に対応してまいりました。
打ち出した感染防止対策や支援施策等の各種施策につきましては、適宜、報道機関への情報提供を行うとともに、緊急を要する案件等につきましては記者会見を行うなど、市民の皆様に新聞やテレビ、ラジオを通じた情報発信・周知に努めてまいりました。
そのような中、先日、田辺保健所管内において、新型コロナウイルスの感染がこれまでにない勢いで拡大していることを受けて、私からも直接メッセージをお伝えすることが大切であるとの思いから、臨時記者会見を開き、「田辺市緊急アピール」を発出させていただきました。会見では、新型コロナウイルスに関する様々な情報があふれる中、市の方針や取組を簡潔により分かりやすく、そして、市民の皆様に御理解をいただくためにはどのような方法が効果的であるかと考え、パネルを用いて発表をさせていただきました。
また、私からのメッセージとは少し違うかもしれませんが、これまでもホームページの「市長の部屋」に活動の記録や市長のコラムのページを設けたり、市の公式フェイスブックとは別に開設した秘書課のフェイスブックを活用し、活動の様子などを発信してまいりました。
今後も引き続きホームページやフェイスブックを活用していくことはもちろん、他の自治体の事例も参考にしながら、新聞、テレビ、ラジオなどのメディアを通じて、市民の皆様により分かりやすくメッセージが伝わるような発信に努めてまいりたいと考えております。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(北田健治君) 浅山誠一君。
(8番 浅山誠一君 登壇)
○8番(浅山誠一君) 少しそれますが、個人的に「市長の部屋」はよくのぞいておりまして、宣材写真が変わったなであったり、市長のコラムの表現の仕方や情報の読み取り方が勉強になるなであったり、一市民として更新されることを楽しみにしています。過去は年に複数回あったコラムの更新が、最近は1年に一度程度となっておりますので、ぜひ更新頻度を上げていただければありがたいと思います。
日頃から企画広報課の皆様を中心にパブリシティー活動はされていますが、新型コロナウイルス関連情報だけにとどまらず、全ての政策に対してどのように報道されればより分かりやすく伝わるか、情報発信の頻度とタイミングは適切か、政策の背景や政策に込めた思いが届いているか、ビジュアルマーケティングの手法を取り入れ、視覚的にも情報を伝えられているか、といった広報戦略をさらに追及いただきたいと思います。また、今回の「田辺市緊急アピール」で活用したパネルを用いて思いを伝える手法も、今後ぜひ継続して取り組んでいただければと思います。加えて、障害をお持ちの方にも正しく情報が伝わる御配慮もお願いします。
これからの時代は、市役所と市民の皆さんとの共創、協力がより求められ、市も小規模多機能自治など新たな展開を模索しています。多くの皆さんに市政へ参加していただくためには、市役所と市民との信頼関係が構築されていなければ実現しません。そのためには、市やトップからのメッセージがきちんと市民の皆様に届き、市は市民のために頑張ってくれている。だから自分も市の力になりたい、そう感じていただくことが大切だと思います。これからも市政発展のために伝え方、伝わり方にこだわった情報発信をお願いして、一般質問を終了します。御清聴ありがとうございました。
(8番 浅山誠一君 降壇)
○議長(北田健治君) 以上で、8番、浅山誠一君の一般質問は終了いたしました。
以上をもちまして一般質問を終結いたします。
◎日程第 2 5定議案第 1号
工事請負契約の締結についてから
日程第29 5定議案第29号 令和2年度田辺市特定環境保全公共下水道事業会計利
益の処分及び決算についてまで一括上程
○議長(北田健治君) 続いて、日程第2 5定議案第1号
工事請負契約の締結についてから、日程第29 5定議案第29号 令和2年度田辺市
特定環境保全公共下水道事業会計利益の処分及び決算についてまで、以上28件を一括上程いたします。
ただいま上程いたしました28件については、過日、既に当局の説明が終了しておりますので、これより総括質疑に入ります。
質疑はありませんか。
(「なし」の声あり)
○議長(北田健治君) 質疑なしと認めます。
それでは、ただいま議題となっております28件については、会議規則第37条第1項の規定により、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
各常任委員会の付託事件は、配付いたしております議案付託表のとおりであります。
お諮りいたします。
本日の会議はこの辺にとどめ散会し、明日9月14日から9月23日までの10日間は休会とし、9月24日、午後1時から再開いたします。
これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(北田健治君) 異議なしと認めます。
よって、さよう決しました。
散 会
○議長(北田健治君) それでは、本日はこれをもって散会いたします。
(午後 3時52分)
地方自治法第123条第2項の規定により署名する。
令和3年9月13日
議 長 北 田 健 治
副議長 尾 花 功
議 員 柳 瀬 理 孝
議 員 浅 山 誠 一
議 員 宮 井 章...