田辺市議会 2014-09-11
平成26年 9月定例会(第2号 9月11日)
〇
出席事務局職員
議会事務局長 大 門 義 昭
議会事務局次長 杉 若 美津子
議会事務局主任 前 溝 浩 志
議会事務局企画員 榊 原 数 仁
開 議
○議長(塚 寿雄君) 定足数がありますので、ただいまからお手元に配付の日程により、平成26年第3回
田辺市議会定例会2日目の会議を開きます。
(午前10時00分)
――
―――――――――――――――――
◎諸般の報告
○議長(塚 寿雄君) この場合、事務局長をして諸般の報告をいたさせます。
議会事務局長、大門義昭君。
(
議会事務局長 大門義昭君 登壇)
○
議会事務局長(大門義昭君) 報告申し上げます。
本日付田総第170号の2をもって市長から本定例会の追加議案として、3定議案第21号 平成26年度田辺市
一般会計補正予算(第5号)など議案18件の送付がありました。いずれもお手元に配付いたしております。
以上でございます。
(
議会事務局長 大門義昭君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) それでは、日程に入ります。
◎日程第1 一般質問
○議長(塚 寿雄君) 日程第1 一般質問を行います。
なお、一般質問の通告は9月3日午後2時に締め切り、抽せんにより順位を決定いたしました。結果は通知申し上げているとおりであります。
それでは、質問順位に従って、一般質問を許可いたします。
12番、小川浩樹君の登壇を許可いたします。
(12番 小川浩樹君 登壇)
○12番(小川浩樹君) 皆さん、おはようございます。9月議会の一般質問の
トップバッターになりました。今回は、大きく3項目について通告に従い質問をさせていただきます。
まず1点目は、本市の今後の公会計についてであります。公会計とは官庁会計とも言われ、国及び
地方自治体で行われている会計のことを言います。一般会計、特別会計及び
公営企業会計の3種類からなり、会計の方法については法令により定められているところです。
自治体会計は長い間、
歳入歳出決算方式と呼ばれる資金の収入と支出を記録する形で行われてまいりました。自治体の財源を議会で承認された予算として執行するという仕組みを単年度ごとに、その適性を管理するには大変すぐれた会計です。
しかし一方、公共施設や
社会インフラ、地方債といった価値が変動する資産や負債の管理ができないという短所もありました。このため、事業や施設にかかる費用を把握し、正確な状況を評価するということがなかなかできないという状況がありました。戦後より高度成長期を経て、現在に至るまで各
地方自治体は多くの公共施設や道路、橋梁などの
社会インフラを整備してまいりました。これらの資産はこれから
老朽化更新の時期を一気に迎えることになりますが、今後、その更新、改修、維持管理などについて、長い将来を見据えて、綿密に行っていかなければ、
自治体財政に大きな影響を及ぼすこととなってまいります。
この観点から、総務省は現在の
歳入歳出決算方式、いわゆる
現金主義会計を補完する形でのこれら公共施設、
社会インフラ等の資産を適正に把握し、管理のできる新たな地方の公会計について議論を始めておりました。
本年5月23日、総務省内の研究会の提言を受ける形で、総務大臣が各知事、
市町村長宛に、今後の
地方公会計の整備促進についてという指針を出しました。その中身は、現金主義による予算・決算制度をもとにする現在の
地方公会計では、なかなか見えにくい事業別や施設別のコストや
資産ストックを把握することで、中長期的な財政運営の充実を図るために、
固定資産台帳の作成と複式簿記の導入を前提とした財務書類を平成29年までに整えていくよう
地方自治体に要請するものです。
そして、国は、そのための新たな全
自治体共通の会計制度のための
マニュアルを来年1月に示すというものでした。5年前の平成21年、総務省は財政指標を整備し、その公表の仕組みを設けました。このときは、それまでは考慮せずによかった第三セクターや公営企業の経営状況を明らかにすることなどが制度化されました。
これと並行し、総務省は
自治体会計の方式として、
総務省基準モデルを示したのですが、それは自治体が取り入れるには少しハードルが高いものでした。このため、少し簡素化された
総務省改訂モデルというものも同時に提示された結果、田辺市を含む82%の自治体がこの
総務省改訂モデルのほうを取り入れました。
総務省改訂モデルがほとんどの自治体に採用されたのは、何よりも財務諸表の作成が簡単だったからだと分析をされています。既存の決算統計を組みかえるだけなので、
基準モデルのように、日々の取引を
複式仕分けして記録する必要がありません。
総務省が
地方自治体の職員の事務負担に配慮し、簡素化した
改訂モデルだったのですが、それは事業別や施設別の
個別データを積み上げたものではないため、それぞれの
コスト把握やそれをもとにした財務分析を行えるまでには至らず、自治体の資産を管理するための
固定資産台帳も段階的に作成をすればよいとされ、将来にわたる
資産マネジメントに生かすほどのものではありませんでした。
そして、本年5月発表の総務大臣による指針で、いよいよ事業別や施設別のコストやストックを分析できる状況をつくり、将来の財政運営に生かすことを目的とした大きな
自治体会計への変革が促されることになりました。
そのポイントは、先ほども申しましたように、
地方自治体での
固定資産台帳の整備、そして各
自治体会計への複式簿記の導入、そして、全ての自治体に適用する新基準の会計制度の
マニュアルを国が打ち出すことの3点です。
新基準の会計制度は、少しハードルの高い既存の
総務省基準モデルに近いとされ、本市を含む
総務省改訂モデルを採用している多くの自治体が大きな変革を迫られることになります。
今後の田辺市の公会計について、その考え方や予定等について4点質問をいたします。
まず1点目、
固定資産台帳の整備についてであります。
今後、今回国が指針を示したように、事業別や施設別の分析を行うことを会計上可能にするには、そのコストやストックをさらに深く把握するために、現在の
現金主義会計を補完する形での
発生主義会計を掘り下げていかなければなりません。
そして、発生主義を掘り下げ、個別具体を把握することは
固定資産台帳がなければできません。
つまり固定資産台帳の作成は今後の
自治体会計を改善していく上で、最初の前提として必要不可欠なものだと認識をしております。
一般的に自治体が保有する資産は道路台帳、橋梁台帳のように、
担当課ごとの台帳にまとめられていますが、記載されているのは面積や構造などの物量情報だけの場合が多く、また、台帳に載っていない資産もある状況です。固定資産は
自治体財政の大きな割合を占めるため、取得年月日、取得価額、耐用年数、
減価償却累計額などの記載を基本とした台帳を整えることは、全庁的な
固定資産データの共有となります。
経年劣化の現状や更新の想定費用、売却する場合の価値などが明らかになることは資産の活用をめぐり、部局の枠を超えた議論や工夫も可能となるでしょう。この
固定資産台帳の作成についての当局の認識、お考えをお聞かせください。
次に、2点目、
発生主義会計と
複式簿記導入についてであります。
発生主義会計とは、従来の資金の収入や支出があったときに、その事実を記録するという、いわゆる現金主義に対し、資金の出入りがなくても、世の中の経済の変動や老朽化などによる資産価値や負債の増減をも記録していく考え方です。
例えば、自治体の抱える学校や公民館、体育施設などの資産価値は、老朽化などで年々、減少していきますが、これを
減価償却費として把握することや、また、例えば、職員に将来支払わなければならない退職金について、総額や年度内での変動を算定することなども可能になっていきます。従来の会計では、実際の資金の出入りがないことで見えにくかった、こうした変動がデータ化されれば、施設の更新や将来必要な支払いのための準備が適切に計画されているか、判断できるようになります。
複式簿記というのは、例えば、現金で固定資産を購入した場合、現金という資産が減ったという側面と、手持ちの固定資産がふえたという側面の両方どちらをも並行しながら記入していく方法で、現在の単式簿記では、現金の収支を見ることに重点が置かれていることに比べ、全体的な財産、損益の計算を把握できるという利点があるものです。
発生主義と複式簿記は元来、同じ概念のものではありませんが、今回の国の指針では、予算・決算制度に基づく現行の現金主義を補完する
発生主義会計を掘り下げていくには、
固定資産台帳を作成し、複式簿記の導入が必要であるという前提のものとなっており、そしてそれはコスト、ストックを把握し、将来の
資産マネジメント計画を立てるに当たっての材料となる正確な財務諸表を作成することを目的とするものであります。
この
発生主義会計・
複式簿記導入について当局の認識、お考えをお聞かせください。
次に、3点目、
公共施設等総合管理計画の策定についてお伺いをします。
本年4月総務省の
財務調査課から
公共施設等総合管理計画の策定要請が公表されました。そこでは、
自治体所有の公共施設の老朽化や人口減少による今後の利用者の減少などの状況、そして総人口や
年代別人口の今後30年をめどとする見通し、それからこれら施設の更新、大規模改修、維持管理をどのように対応していくのかについて分析、把握をした上で10年を超える長さの管理計画を策定するよう求めています。
本年5月の指針となった公会計の議論とこの
公共施設等総合管理計画策定の議論とは別物なのですが、多くの自治体は、この
公共施設等総合管理計画を策定する過程でのさまざまな問題を克服するには、各施設の今後の資産価値の変動や人口減による利用頻度の変化、利用に係るコストの変化等を把握しなければならず、新たな地方の公会計の変革議論と切っても切り離せないものと理解をし、取り入れようと努力をしています。
本市においても、
固定資産台帳の整備を始まりとし、変革する公会計を導入し、それをもとにしっかりとした
公共施設等総合管理計画を立てていかなければならないということになるかと思いますが、このことについての当局の認識、お考えをお聞かせください。
次に、4点目、今後の計画についてお尋ねします。
これら新たな公会計制度導入に当たり、庁内でもある程度の議論、意見交換がスタートしているものと考えているところですが、本市における今後の計画の予定、
スケジュール等についてお答えください。
以上、4点御答弁をよろしくお願いいたします。
(12番 小川浩樹君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 12番、小川浩樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
総務部長、中瀬政男君。
(総務部長 中瀬政男君 登壇)
○総務部長(中瀬政男君) 本市の今後の公会計についてお答えさせていただきます。
これまでも国におきましては、財政の効率化や適正化を図るため、
地方公会計の整備の促進に向けた議論がなされてきましたが、国際公会計基準や国の公会計の状況、
地方公共団体における
取り組み状況を踏まえる中、現行の現金主義による予算・決算制度を補完するものとして、
固定資産台帳の整備と複式簿記の導入を前提とした財務書類の作成の必要性が改めて確認され、その報告書が先般取りまとめられました。これに基づき、平成27年1月までに具体的な
マニュアルが示されるとともに、その後、作成の要請が行われる予定となっております。
また、全国的に過去に建設された
公共施設等の
老朽化対策が問題視される中、長期的な視点をもって、更新、統廃合、
長寿命化等を計画的に行うことにより、財政負担の軽減と平準化を図るため、自治体が所有する全ての
公共施設等の現況を把握し、将来的な見通しを立てるなど、施設の管理体制の充実が必要となっています。
このように新たな基準に基づく財務書類の作成における正確な固定資産に係る状況把握の必要性や
公共施設マネジメントの視点等から、
固定資産台帳の整備が各自治体に求められており、本市におきましても、新たな公会計の整備に向けて取り組むため、準備作業に着手したところであります。
そこでまず、御質問の1点目、
固定資産台帳の整備についてお答えいたします。
現在、本市で整備しております台帳は、
公有財産台帳と法定台帳がございます。
公有財産台帳とは、不動産や株式、出資による権利など公有財産の取得、管理運用、維持保全、処分などの経緯を記録したもので、法定台帳とは、道路・橋梁など各種法令に基づき調書や図面の保管が義務づけられているものです。
今回、新たに整備を進めることになります
固定資産台帳は、道路等の
社会基盤施設を含む本市が保有する全ての資産が対象となっているとともに、資産ごとに取得価額や
減価償却計算に必要な要素である施設の耐用年数、償却額、減価償却後の帳簿残高といった資産価値に係る情報の記録が必須となっております。
これを整備することによりまして、これまで個々に管理されていました資産状況が包括的に把握できるとともに、新たな基準に基づく財務書類に必要な情報を備えた補助簿としても活用でき、今後、公会計の整備や
公共施設等総合管理計画策定に向けての基礎となるものであると認識しております。
その作成に当たっては、
公有財産台帳など、既存の台帳のデータを活用すれば、比較的容易に作成可能な資産もあります。しかし、例えば、道路については路線ごとの工事等に関する履歴情報とあわせて、土地に関する情報も必要となるため、調査に要する業務量も相当ふえることになりますが、できるだけ効率的な作成に努めたいと考えております。
続きまして、
発生主義会計・複式簿記の導入に関する考え方についてお答えいたします。
地方公会計制度に基づく財務書類の整備につきましては、
ストック情報や
コスト情報を把握し、現行の会計制度を補完するものとして、平成12年度から取り組みが進められ、現在、各自治体で整備されております貸借対照表などの財務書類4表は、平成18年に示された国の作成基準に基づき、発生主義により
複式仕分けを行い、
固定資産台帳を備えた
基準モデルや既存の
決算統計情報を活用する
総務省方式改訂モデルのほか、独自の方法により作成されております。
このように、各自治体における作成方法の異なる財務書類が存在することから、全ての自治体において適用できる統一的な基準により財務書類を作成し、比較、検討が行えるよう今回、その基準が示されるものであります。
また、その内容は、現金の収入及び支出の事実に基づき、会計処理が行われる現金主義による現行の会計とは異なり、複式簿記の考え方が前提でありまして、現金の収支の有無にかかわらず、経済活動の発生という事実に基づきその発生の都度、会計処理を行う発生主義により作成することとなっています。
これにより、
現金主義会計では、見えにくいコストやストックを把握することで、中長期的な財務運営への活用の充実が期待できるほか、
現金主義会計による
決算情報等と対比させてみることで、財務情報の内容理解が深まるものと考えられています。さらに、資産、債務管理や予算編成、
行政評価等に有効に活用することで、
マネジメントを強化し、財政の効率化・適正化を図ることが期待できるとされております。
本市といたしましても、このような
地方公会計の整備の意義を十分認識した上で、財務書類の作成に必要な情報を備えた
固定資産台帳の整備と歩調を合わせ、新たな財務書類の作成に向けて、計画的に取り組んでまいりたいと考えております。
また、公表に当たっては、財務書類の公表だけでなく、現在も作成していますが、分析資料等を用いて、住民や議会等に対しまして、わかりやすく開示してまいりたいと考えております。
次に、
公共施設等総合管理計画について、お答えいたします。
先ほども申し上げましたが、既存の公共施設については、その
老朽化対策が全国的に大きな課題となっています。これから数多くの施設が更新時期を迎えることになるわけですが、
地方自治体においては、依然として厳しい財政状況が続いており、また人口減少などにより、今後、公共施設の利用需要も変化していくことが予測されます。
このため、公共施設全体の現状を早急に把握し、そうした需要変化も踏まえる中、長期的な視点をもって計画的に施設の更新や長寿命化、統廃合などを行うことが必要となっています。
こうした中、国においては、新しくつくることから、賢く使うことへの重点化が課題であるとの認識のもと、昨年、インフラ長寿命化基本計画が策定されており、地方に対しても、先般、
公共施設等総合管理計画の策定に当たっての指針を策定し、計画策定の要請が行われたところであります。
この
公共施設等総合管理計画においては、建物だけでなく、道路や橋梁、水道等の
社会基盤施設も含めた全ての施設が対象となっております。
また、本計画には、老朽化の状況や利用状況を初めとした公共施設の現況、維持管理や更新等に係る中長期的な経費の見込み等を記載するとともに、これらを踏まえ、現状や課題に対する基本認識を初め、今後の施設の点検、診断や維持管理、修繕、更新のほか、長寿命化、統廃合等の実施方針など、
公共施設等の総合的かつ計画的な管理に関する基本的な方針を盛り込むこととされております。
本市におきましても、以前から今後の公共施設の管理やあり方については、重要な課題の一つであると考えており、今回国から要請を受けた形にはなりますが、本計画の指針の趣旨も踏まえる中、市としての計画が必要であると考えております。
本計画の策定に当たっては、まず
公共施設等の現状を押さえる必要があることから、より精緻なデータを集約する上で、
固定資産台帳を有効に活用し、必要な情報を把握、分析するとともに、これを踏まえ、今後の公共施設の管理等に関する市としての基本方針を盛り込んだ長期的な計画を策定してまいりたいと考えております。
次に、今後の予定についてお答えいたします。
新たな基準による公会計の整備と
公共施設等総合管理計画の策定に当たっては、まず
固定資産台帳の整理に取り組む必要があり、本年度中に各課が保有しております固定資産の状況把握を行い、現行の台帳に登載されていない項目の調査も含めまして、データ入力し、平成27年度のシステム化を目指し、取り組みを進めてまいりたいと考えております。
また、公会計制度による財務書類の作成につきましては、今後、国から示される
マニュアルやその整理に当たり配布される予定のソフトウエアの時期などにも左右されるところですが、現在、国からの通知にもあります平成29年度末までに運用を開始したいと考えております。
公共施設等総合管理計画の策定につきましては、本計画の策定に当たっても、
固定資産台帳の整備により、本市の現状を把握し、長期的な見通しを立てる必要があることから、台帳整備の進捗状況等を見ながら、庁内関係課において計画内容の検討を始めるとともに、各分野の計画とも整合を図るなど、平成28年度末をめどに策定作業を進めてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、それぞれの整備には、膨大な時間と労力を費やすことが見込まれることから、効率的、効果的な取り組みとなるよう努めてまいりたいと考えております。
以上であります。
(総務部長 中瀬政男君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 小川浩樹君。
(12番 小川浩樹君 登壇)
○12番(小川浩樹君) 1点目の
固定資産台帳の整備については、ほぼ
地方公会計の変革の議論を取り入れていく中の一丁目一番地の
固定資産台帳の整備が大前提であるということ自体は、当局も深く認識をしていただいているのだと感じました。庁内で協議を持たれる段階に入ったということですが、多分、庁内全部にまたがっての
固定資産台帳の整備というのは、各部署相当仕事量の大きさも違いますし、本当に部署によっては大変な状況が生まれてくるのだと予想しているところですが、どうやら戦後から高度成長期にこれだけの資産、施設を抱えるようになり、その老朽化が一気に進む中で、将来の財政運営をしっかり
マネジメントしていく以上は、
固定資産台帳が必要であると大きく国が意思表示をしたと今回の総務省の指針を捉えております。
大変苦労をおかけすると思いますが、
固定資産台帳の整備をやり上げることをまず第一に仕上げていただきたいと思います。
2点目、
発生主義会計・
複式簿記導入については、再質問をいたします。
複式簿記導入が前提である国の指針に対して、一旦市がそのことを認識しているという御答弁でしたが、国の指針は
発生主義会計を掘り下げながら
複式簿記導入を促しながらも、企業会計のように日々仕分けを毎日行って、出と入りをつけて、毎日その評価、バランスを見ていくことができる状況をつくられれば理想だとうたっていながらも、片や期末一括仕分けでも構わないという幅も残した状況が今は総務省の通達の中にはあります。
本市といたしましては、日々仕分け、これも日々仕分けをするとなると財務当局は大変なことになると思いますが、確かに全国の中には既に東京を含めて、日々仕分けの公会計制度を導入しているところもあります。本市が将来
複式簿記導入に当たって、日々仕分けを取り入れるのか、一旦ハードルの低い期末一括仕分けを取り入れるのかについて、お考えをお聞かせください。
3点目、
公共施設等総合管理計画についてであります。
公共施設等総合管理計画は、本来はこの公会計議論とは別の形で出てきているものでありますが、
固定資産台帳を整えて、
発生主義会計を掘り下げた上でなければつくられない大前提のものです。つまり、逆に言えば、すごい数を抱えることになった固定資産や施設等についての財政上の将来計画を立てていく上で、発生主義・複式簿記が必要になり、そのことを分析できる財務諸表をつくれる状況ができ、その必要となる前提条件が
固定資産台帳の導入ということになっていくのだなと。
国自体も財務省の中の別の部局が
公共施設等総合管理計画の指針を促し、また別のところが地方の公会計改革を促しと、別のところが出ているのですが、どうやらこれを一つのものとして、考えて取り入れるべき状況にあるようです。
これら
固定資産台帳を整え、
発生主義会計を掘り下げて、財務諸表4表を分析が可能な中身にした上での
公共施設等総合管理計画をいつ立てるのかということになれば、具体的な計画、いつごろ立てられるということが今明言できる状態にはないのかと思いますが、最終的なゴールと考えます
公共施設等総合管理計画の策定がいつごろになるのか。それから国の指針では10年以上の期間にわたっての計画を立てろということになっていますが、10年を超えるスパンの管理計画を立てることが将来可能であるかという認識、3項目めについても再質問をします。
今後の予定については、一旦国が指針で示しました平成29年に新たな公会計に基づく財務諸表をつくっていくという意思表示をいただきましたので、それまでのスケジュールは、思っている以上に忙しいものになると思いますが、しっかりと計画を立てて、そのとおり進んでいっていただきたいと思います。
以上、2点目、3点目について再質問をいたします。
(12番 小川浩樹君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 総務部長。
(総務部長 中瀬政男君 登壇)
○総務部長(中瀬政男君) まず、複式簿記による会計制度の導入ということで、日々仕分けによって複式簿記を導入していくのか、期末で一括処理をして処理していくのかという考え方でございます。
地方自治体の会計制度は地方自治法、地方財政法により規定されておりまして、現金主義、単式簿記により会計処理が行われ、予算書、決算書の様式というのがこの中で規定されております。市としては、独自に日々仕分けによる複式簿記による会計処理を導入することになれば、現行の現金主義による予算執行後の決算等、会計、財務処理、全般にわたって発生主義による会計及び財務処理の二重の事務が生じることになります。また、それを行うための財務会計システムの新たな開発等、多額の導入経費、また職員の複式簿記を扱う知識の研修等の問題も出てくると思っております。
これらのことを考えますと、現時点では、独自に複式簿記を導入することは難しいのではないかと考えておりまして、今後、公会計におきましても、国から配布される予定のソフトウエアの活用による期末一括処理の仕分けにより対応を図っていきたいと考えております。
次に、
公共施設等総合管理計画の今後の見通し、また計画のスパンの問題でございます。先ほども答弁申し上げましたように、まず
固定資産台帳の整理ということで、平成27年度のシステム化を目指して取り組んでいるところでございます。これらも含めまして、平成28年度末を一つのめどとして、管理計画の策定をしていきたいというのが一つの目標でございます。
計画の中身につきましては、議員から10年ということも示されておりましたが、今のところ年数についてはまだ検討段階ということで、市全体の施設の管理計画ということになりますと、かなり長期的になると思いますので、相応の期間を要した計画になると考えております。
以上です。
(総務部長 中瀬政男君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 小川浩樹君。
(12番 小川浩樹君 登壇)
○12番(小川浩樹君) 再質問に対する御答弁をいただきました。
複式簿記導入、発生主義を掘り下げるということについては、この質問をするに当たり、私も少し勉強しましたが、大変難しい中身でした。いまだに理解をできずにいるのは、これだけ大事な地方の公会計改革の方向性を国が促し、
複式簿記導入をうたい、それは
地方自治体職員には大変御苦労をおかけしますが、日々仕分けが前提なのですと言いながら、期末一括処理を認めている幅を残しているというところに、今回も公会計改革を促しながらも、自治体職員の苦労を考えた上での最後の幅を残しているのかなと感じているところがあります。
来年1月の国からの
マニュアルが出てということになるのかと思いますが、どちらにせよ、私は地方
自治体会計が将来的には企業会計と同じように、日々バランスシートを作成していけるような会計制度になっていかざるを得ないのではないかと思っております。
どちらを採用するかについては、しっかりと庁内で議論をしていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
総合管理計画については、平成28年度末をめどに立てていこうということですので、逆に財務諸表をつくり上げる平成29年度以前に計画を立てていくと聞いて安心しました。それ以降になるのではないかという予想があったので、これもスケジュールどおり大変だと思いますが、進めていただきたいと思います。
平成21年に、一旦総務省から
基準モデルと
改訂モデルが出て、本市がその
改訂モデルを取り入れて、大変苦労をして、その
改訂モデルをもとに財務諸表4表をつくり上げたという過程がありましたが、その後、なかなか
固定資産台帳を作成するというところには至りませんでした。
ほとんどの全国の自治体が
改訂モデルを取り入れ、財務諸表は一旦つくり上げたものの、その後、
固定資産台帳をつくり上げるには至らないというのがほとんどの自治体の状況でありましたが、平成21年の総務省の指針では、
固定資産台帳を将来つくるとうたいながらも、一旦、財務諸表だけをつくり上げるということがゴールになってしまっていたのかなと。本来は財務諸表をつくり、
固定資産台帳をつくり上げた上で、将来の
マネジメント計画を立てるということに至るべきがゴールでしょうが、当時の平成21年の指針では、財務諸表4表をつくり上げるところがゴールになってしまったという感じを持っております。
そしてそれは自治体職員が悪いということではなくて、国が打ち出す公会計制度自体が、そうしなくてもいい必要のものであったという印象です。ところが、今回5月の総務大臣の指針からは、どうやら自治体の意思に関係なく大きく将来のことを見据えて、公会計制度を変革していくという意思があらわれていると感じております。
固定資産台帳の作成から本当に大変な苦労をする部局も出てくることと思いますが、将来必要であるということを認識して、
固定資産台帳の作成からこの公会計制度を取り入れるということについて田辺市も緒についてスタートするということを何とぞよろしくお願いしたいと思います。
これで1点目の公会計についての質問は終わります。
次に、2点目、半島振興法について質問します。
1985年、昭和60年に制定された半島振興法は、現在に至るまで30年、下北や能登などの23地域を半島振興対策実施地域とし、各半島の地域振興に大きく貢献してまいりました。
この紀伊半島地域においても同様に、ある一定の成果を上げてきていると認識をしていますが、法律制定の昭和60年以前、多くの方がその導入に尽力をしてきた歴史があるようです。過去より三方を海に囲まれた半島地域は幹線交通体系から離れているなどの制約のもと、産業基盤が弱く、生活環境の整備等についてもおくれがちになる傾向から多くの問題を抱えておりました。地域住民の生活の向上、国土の均衡ある発展の観点から、こうした半島地域の振興を図ることの重要性が指摘されるようになる中、半島を抱える県や自治体関係者からの切実な要望を受け、この半島振興法が制定されました。
特に、当時の和歌山県知事が地元選出の国会議員とともに、先頭を切っての旗振り役であったのは、この紀伊半島が日本最大の半島であり、ゆえに半島振興を最も切実に感じていたからだと考えます。
この法律に基づき、道路の整備、産業振興や雇用に対する措置、税制の優遇措置等が始まりました。当市域においても、これらの政策によりある程度の事業が行われてきたと認識をしていますが、1点目はこの半島振興法の果たしてきた役割と効果について当局のお考えをお聞かせください。
2点目は、その今後についてでありますが、半島振興法の内容には道路交通網や産業振興といったことばかりではなく、高齢者福祉や教育、防災への寄与についてもうたわれています。この半島振興法は、来年3月にその法期限を迎えることとなっていますが、私は福祉、教育、防災等、生活に密着する諸問題に寄与できる法律である限り、今後もこの法律が延長となり、この紀伊半島地域の振興に役立つものとして残ってほしいと考えております。
半島振興を促進して地域は高齢化や人口減少、若者の雇用等々現在も全国の平均に比べ厳しい状況にあり、地域関係者よりその延長に対する声が高まってきています。特に、今現在、和歌山県関係者などが旗を振る形で、その延長に尽力をされており、今後、その機運が盛り上がることを期待しているところです。
この法律の延長について、市当局のお考えをお聞かせいただくとともに、市としてもその延長に働きかける意思、その方策があれば、お答えください。
(12番 小川浩樹君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 議員御質問の半島振興法についてお答えいたします。
まず、半島振興法につきましては、三方を海で囲われ、急峻な傾斜地が多く、地理的に条件不利な半島地域の自立発展、地域住民の生活の向上及び国土の均衡ある発展に資するために、昭和60年に10年間の時限立法として制定。以降、平成7年3月と平成17年3月の法期限のときに、それぞれ10年間延長され、平成27年3月31日をもって3回目の法期限を迎えることになります。
これまでの間、田辺市では県道上富田南部線を初めとする主要県道を半島振興道路と位置づけ、半島振興法に基づく財政上の支援措置である有利な地方債を活用し、県とともにその進捗を図ってまいりました。
また、所得税及び法人税の特別償却制度や固定資産税等の特別措置の税制上の支援を受けて、田辺市に進出した企業もございます。
なお、この制度につきましては、平成25年度の税制改正により国税に係る租税特別措置が大きく見直され、半島地域における租税特別措置を受けるために、平成25年4月に半島振興を促進するための田辺市における産業の振興に関する計画を作成し、引き続き企業の誘致に取り組んでいるところでございます。
このように、田辺市でも半島振興法に係る各種支援制度を活用することで、インフラ整備や企業誘致にもある一定の効果があったものと認識をしておりますが、先ほど申し上げました地理的な条件もあり、全国的には半島地域とこれ以外の地方圏の人口減少率を比較すると、半島地域が大きく上回っており、本市におきましても、人口減少は深刻な問題となっています。
こうした中で、現在、私も副会長を務めている全国半島振興市町村協議会では、来年3月の法期限を見据え、仁坂知事が会長を務めている半島振興対策協議会や半島地域振興対策協議会議長連絡協議会と連携を図りながら、法の延長はもとより、現行の地方債における充当率及び交付税措置率の引き上げや半島振興事業に幅広く活用できるソフト事業の創設などの制度拡充について、国に働きかけているところであり、私も半島地域がゆえの課題を共有する全国の自治体とともに、精力的に取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 小川浩樹君。
(12番 小川浩樹君 登壇)
○12番(小川浩樹君) 御答弁をいただきました。半島振興法を継続してもらおうと要望している国会議員の動きが全国的にありますが、その勉強会の中では、今後の半島振興のあり方として引き続き産業や定住促進、道路環境などを要望した上で、さらに同法への拡充に向け、医療や福祉、生活に密着した振興策を盛り込む必要性を指摘するというような動きがあります。
側面は時代とともに変わってくると思いますが、この地域に必要な法律であります。どうぞ市としましても、今市長から答弁をいただきましたように、市長が旗を振る形で、この延長に御尽力していただきたいと思います。
以上で、2点目の質問を終わります。
続いて、3点目、吉野熊野国立公園ビジターセンターを天神崎に、について質問をいたします。
吉野熊野国立公園は、昭和11年に日本で9番目の国立公園として誕生しました。大変広い公園で、三重、奈良、和歌山の3県にまたがり、吉野参詣、修験道の大峰山やまた、那智山系や大台ケ原、それから熊野川支流にあります瀞峡、本市の川湯、湯の峰温泉郷などを抱えた上、海岸部には尾鷲市から串本町までさまざまな名所を抱えながら、その公園地域を誇っております。
環境省の中で、この吉野熊野国立公園の中に、紀伊半島中西部沿岸、つまり串本町からみなべ町の千里浜までを含めて広げようかという議論が現在なされております。もしこれが認定となれば、本市の沿岸部、ひき岩群、それから奇絶峡なども国立公園の範囲ということになりますが、もしこれが決定するのであれば、現在は、吉野熊野国立公園のビジターセンターは大台ケ原と那智勝浦町の宇久井、この2カ所にしかありませんが、ぜひ田辺市にビジターセンターをと考えるものです。紀伊半島全体の地理を考えても、アクセスを考えても、この国立公園の範囲が広がれば、新たなビジターセンターが必要でありますし、それは田辺市が最も適していると考えます。
そして、それをぜひ天神崎に、天神崎は御承知のとおり、多くの方の努力によるナショナルトラスト運動によって開発を免れ、自然環境を守ってきた地です。環境省が設置するビジターセンターとしては最適の場所ではないかと考えますが、当局のお考えはいかがでしょうか。国に対する働きかけも含めて御答弁ください
(12番 小川浩樹君 降壇)
○議長(塚 寿雄君)
市民環境部長、室井利之君。
(
市民環境部長 室井利之君 登壇)
○
市民環境部長(室井利之君) 議員御質問の吉野熊野国立公園ビジターセンターの誘致についてお答えします。
現在、全国28都道府県、65カ所に国立のビジターセンターが設置されております。市といたしましても、現在、国・県において進められている田辺南部白浜海岸県立自然公園区域が国立公園に格上げがなされた場合、これを機会に田辺市内へのビジターセンターの設置をお願いしてまいりたいと考えているところであります。
ビジターセンター設置の目的といたしましては、自然公園区域の魅力を紹介し来訪者への情報発信の拠点とするとともに、自然観察教室等を実施するなど、自然の大切さを学び育てるために活用されるものですが、田辺市内に設置することにより、市内の自然公園はもとより、県内の自然公園、紀南地方に存在する世界遺産熊野古道を代表とするさまざまな観光資源とも情報をリンクさせ、紀南観光のハブ的な役割を担う施設として、地域全体の魅力を発信していくことができると考えております。
また、設置場所といたしましては、議員の御質問にもございましたとおり、天神崎は日本のナショナルトラスト運動の先駆けとなったところでもあり、和歌山県の中央部で口熊野に当たることから、有力な候補地の一つとして考えられますが、今後、関係機関、団体等とも協議をしながら、検討してまいりたいと考えています。
さらに、全国の国立公園内に配置されている環境省の自然保護官の事務所としての位置づけをお願いするなど、当市へのビジターセンターの設置を国等の関係機関へ働きかけてまいりたいと考えていますので、御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
(
市民環境部長 室井利之君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 小川浩樹君。
(12番 小川浩樹君 登壇)
○12番(小川浩樹君) 御答弁ありがとうございました。時間がなくなってきたので、この3点目については書いてきた原稿が読めなかったのですが、あと3分あったので、振り返ると読めたようです。ざざっと走ってしまう質問になりましたが、御答弁いただきましてありがとうございました。国立公園に新たに拡大認定されることは、私たちも本当に心待ちにしておりますし、また、天神崎の保全活動で御尽力されてきた関係者の方々も心待ちにされている状況です。これが本当に決定すれば、観察研究や学習、自然に触れ合うことを目的に、この地を訪れる方がふえるであろうと認識しております。その方たちにぜひ天神崎を入り口としてこの田辺市を含む広域圏地域のよさを知っていただくために、ぜひビジターセンターを建てていただきたいと思います。
環境省が建てることなので、市とすれば要望する立場になりますが、ともにこの要望を行っていけたらと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上で、私の一般質問は終わります。ありがとうございました。
(12番 小川浩樹君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 以上で、12番、小川浩樹君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(塚 寿雄君) この場合、午前11時まで休憩いたします。
(午前10時50分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(塚 寿雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午前11時00分)
○議長(塚 寿雄君) 続いて、17番、出水豊数君の登壇を許可いたします。
(17番 出水豊数君 登壇)
○17番(出水豊数君) 皆さん、こんにちは。17番、公明党の出水豊数です。通告に従い、順次質問させていただきます。
市町村合併をして10年を迎えようとしています。合併当時、各自治体からの要望は、合併協議会を経て、最終課題として絞りに絞って出された事業114件、新市建設計画、新市まちづくりの基本として出され、出発されたと思います。私の地元中辺路町においては、そのほとんどが完了しているところですが、ただ1件、地元の事情でできない部分がありますが、ほぼ達成されているところです。
が、本庁及び各行政局、残っている事業の進捗状況、そのほか新市建設計画以外にも地域要望や災害等の多くの事業を進めてこられたと思います。
合併5市町村の新市建設計画の現状とその他主な事業の取り組み、そうした事柄の(1)この10年の検証をされているのか、お聞きします。
次に、合併以前ときょうまで、社会情勢は大きく変化しつつあります。10年間には、いろいろな出来事がありました。二度と来てほしくない東日本の大震災、また日本を根底から変える政権交代、今度は地元和歌山県全域を襲った12号台風による災害、この災害においては悲惨な状況下に置かれました。そうした災害のほか、一次産業の停滞、また今年度は消費税の増税等々、これからもめまぐるしく変わる社会情勢、そうした現状を踏まえ、課題への取り組み、この変化に対応しなければならないのは当然のことですが、これから先、本市においては当然のことですが、少子高齢化が進みます。高齢者や弱者が安心して暮らせ、若者が定住・定着できる町として取り組んでいかなければならないと思います。
そうしたことから、(2)として、社会情勢の変化による本市の現状や課題、将来像をお聞きいたします。
次に、本庁を含め、各行政局からの田辺市民の思いや願いは実質、把握されているのか。誰しも隣がよく見えるのです。山村部から見れば、旧田辺市がよく見える。私は議員として、今期で3期目を務めさせていただいています。10年を振り返ると、各事業は本当にバランスよく平等にされ、努力されていることはよくわかります。ただ、各地域から見れば、やはり自分の地域はおくれているように見えるのでしょう。私も各地域に足を運び、状況説明をいたしますが、余り聞く耳を持ってくれません。
そこで、各行政局内の特色、観光産業、農林水産業を生かした地域産業を明確にし、その地域の将来像をはっきりと示し、本庁や各行政局から発信させる必要があると私は思います。
今後は、本庁及び各行政局にしっかりとした役割を持たせ、地域地域の位置づけ、例えば中辺路においては観光産業、林業、耕作地の放棄から農産物の一次産業の掘り起しなど、こういった各地域ごとの目標を持たせ、その政策に取り組むといった方向性が必要ではないかと思います。
(3)本庁及び各行政局の役割と今後の方向性をどう考えているかお聞きいたします。
(17番 出水豊数君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 17番、出水豊数君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 議員御質問の合併10周年を控えた旧市町村区域の今後のあり方について、お答えいたします。
まず、この10年の検証はされているのかについてでありますが、来年5月に市町村合併10周年を控える中、新市づくりのための施策等の基本方針を定め、旧市町村における課題を解決するための事業や新市のまちづくりをより効果的に推進するための事業などを搭載した市町村建設計画につきましては、これまでの間、議会や市民の皆様方の御理解と御協力をいただきながら、計画の実現に取り組んでまいりました。
こうした中で、平成26年3月末現在、実施中の事業を含めた全体の進捗率は78.1%、4行政局管内におきましても75.4%の進捗となっており、各種の課題解消は進むとともに、合併後のまちの基盤は整いつつあると考えております。
しかし、一方では、具体化できていない事業も25件残されており、現在、これら事業の今後の方向性について、庁内で議論を重ねているところでございます。
また、合併後、中心市街地や山村地域の活性化に精力的に取り組むとともに、三四六総合運動公園整備事業など、新たに生じた課題にも対応するほか、地域審議会を初め、市長ふれあい訪問や市政未来ポスト、まちづくり対話の集い等で各地域における御意見や御要望をお聞きする中で、生活基盤の充実等を図ってきたところでございます。
こうした中、旧町村地域ごとに設置した地域審議会におきましては、平成27年3月末をもって設置期限を迎えることから、現在、これまでの取り組みを初め、各地域における諸課題や今後の地域のあり方について、合併後10年間の活動内容の総括を行っていただいている状況にあり、この取り組みを踏まえる中においても、旧町村地域における一定の検証は図られるものと考えているところでございます。
次に、社会情勢の変化による本市の現状や課題、将来像についてお答えいたします。
まず、合併後、10年を控える中で、合併前に比べますと、全国的にも金融・経済危機に伴う地域経済への影響や地球環境問題、少子高齢化など従来から懸念されていたさまざまな課題の顕在化が同時期に重なる中で、地方のあり方についても従来の発想や考え方を大きく見直すことが求められています。このような中、田辺市におきましても、人口減少に歯どめがかからない現状を踏まえ、合併以来、産業力の強化、文化力の向上、地域力の充実を中心とした取り組みを積極的に推進してきたところでありますが、各地域においては、農林水産業の振興を初め、過疎、高齢化が進む集落の増加問題やこれに伴う交通手段の提供や買い物対策、さらには多種多様な自然災害への対応や鳥獣害対策など、多岐にわたるさまざまな行政課題を抱えている状況にあります。
先ほども申し上げましたとおり、新市建設計画の進捗により合併後のまちの基盤は、一定整いつつあると認識しておりまして、本年はこの10年を総括する年であると同時に、次の10年を見据え、新しい局面を迎える年でもあると考えており、これまでの取り組みを踏まえるとともに、国の地方創生などの政策動向も十分見きわめながら、今後、各地域が将来にわたって活力を維持、向上させていくため産業力の強化を初めとする政策の三本柱と災害に強いまちづくりを推進するなど、地域住民が安心して快適で安全な生活ができ、交流人口や定住人口の増大と農林水産業を核とした地場産業の推進による活力ある、そして地域の個性と特色を生かしたまちづくりに向け、取り組んでいかなければならないと考えているところでございます。
次に、本庁及び各行政局の役割と今後の方向性をどう考えているのかについてお答えいたします。
田辺市は、熊野古道など自然・文化資源を中心とした熊野ブランド、特産品を中心とした紀州ブランドを初め、多くの地域資源を有しており、今後は、これらを生かした取り組みを推進し、地域の活性化を図る必要があると考えております。
このような中、すばらしい地域資源とともに、本市の魅力を市内外の多くの皆さんに向けて強く発信することにより、まずは本市を知っていただく。そして、このことが訪れていただくことにつながり、また、来たいと思っていただく。そして、住民が誇りに思う。こうした一連のサイクルを確立することが、これまでさまざまな場面で申し上げているPR元年ということであり、全国の中で選ばれる地域となることで、交流人口を増大させ、それを経済効果に結びつけ、さらには定住人口の増加に努めていきたいと考えております。
そのための施策として、本年度よりさらなる10年に向けて、田辺市そのものをブランド化していく価値創造プロジェクトを始動したところでございます。
議員御承知のとおり、当プロジェクトにつきましては、首都圏を中心とした戦略的なプロモーションを展開する一方、将来を見据えた田辺市の戦略ビジョンを策定し、そしてこのビジョンを推進していくための具体的な戦略プランを策定するものであります。
現在、この戦略ビジョンにつきましては、新たに設置した価値創造プロジェクト検討委員会へ、各地域における商工・観光関係者の方々にも御参画をいただき、地域資源の掘り起しなどを開始したところでありますが、今後、議論を重ねながら、田辺市の進むべき方向性などを確立し、これに基づき、引き続き策定される戦略プランの展開等を通して、5地域、それぞれの特色を生かした取り組みに期待するところでありますし、特に、旧町村地域における行政局の果たすべき役割も大きくなってくるものと考えております。
また、こうした一連の取り組みが、私自身、従来申し上げている地域それぞれの個性を生かしながら、市全体として調和のとれたまちづくりにつながっていくのではないかと考えているところでございます。
いずれにいたしましても、本市の5地域には、それぞれのほかの地域にない魅力があり、これらを有機的かつ戦略的に生かした価値創造プロジェクトなどを展開していく中で、市民の皆さんに誇りと愛着を持っていただける魅力ある田辺市を創造してまいりたいと考えておりますので、議員におかれましても、お力添えを賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 出水豊数君。
(17番 出水豊数君 登壇)
○17番(出水豊数君) ありがとうございました。項目1の今後の旧市町村のあり方について。(1)のこの10年の検証はされているのかというところで、これは要望したいと思うのです。建設計画残事業はできるだけ早く執行していただけるよう要望しておきます。
また(2)として、社会情勢の変化の中で、田辺市における現状、課題及び将来像はということで、厳しい財政状況の中ですが、田辺市の未来がかかっています。今後、努力していただけるようよろしくお願いいたします。
(3)の本庁及び各行政局の役割及び今後の方向性をどう考えているか。これから先、市長、各行政局長が中心となって、5市町村の地域産業を生かした各行政局の役割を明確にし、その地域の将来像をはっきりと示し、地域の役割、目的を常に住民にわかるよう発信しながら取り組んでいただくよう、これは強く要望しておきます。この項目についてはこれで終わります。
続いて、項目2番目の通学、通勤及び医療機関への通院に係る路線バスの利便性についてをお伺いします。
国道311号、民間事業者による路線バスは、このたび運行時間が改正されます。住民バスと路線バスの連携、医療機関との時間的な配慮などをされているのか。
(1)高齢者や社会的弱者に対する医療機関、通院に利用しやすい時間帯への配慮はされているのかお聞きします。
次に、通学や通勤時間帯が重なり、そうしたことからその時間帯だけが混雑し、大変な状況になっているようですが、改正後は路線バスの運行体制や混雑の緩和など、そういったことも含め検討し、取り入れられているのか。
(2)通学・通勤に利用しやすい時間帯への取り組みについてをお聞きいたします。
次に、高齢化社会になる中、市内はもちろんのこと、山間部における民間路線バスはきめ細かく走れない。もちろん住民バスも同様でありますが、思うように利用はできません。といったのが今の現状であろうかと思います。高齢者や社会的弱者が少しでも移動しやすくなるためにも、現在運行されているスクールバスの活用、また学生の送迎以外の時間帯のバスの活用ができないか。これは当然、お金がかかることになろうかと思います。
そういう取り組みができないのか。
(3)として、一般住民のスクールバスの利用についてお聞きいたします。
(17番 出水豊数君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 企画部長、松川靖弘君。
(企画部長 松川靖弘君 登壇)
○企画部長(松川靖弘君) 議員御質問の通学、通勤及び医療機関への通院に係る路線バスの利便性についてのうち、高齢者など社会的弱者に対する医療機関通院に利用しやすい時間帯への配慮及び通学や通勤に利用しやすい時間帯への取り組みについてお答えいたします。
まず、市では現在、路線バス事業者の事業再編計画による路線の減便、廃止に対処するため、特に廃止路線について応急的な対策を講じる一方、当計画も踏まえる中で従来とは違った視点も持ちながら、公共交通体系の再構築に取り組んでいるところでありますが、今後におきましても国道311号を初めとする主要幹線における交通手段は路線バスが基本になるものと考えております。
こうした中で、今も申し上げました路線バス事業者の事業再編計画等に伴いまして、特に国道311号におきましては、高校通学に伴う利用者数が多い時間帯について、現在、臨時便の追加運行で対応している状況でありますが、近々利用人数に対応できる車両に変更されるほか、また、紀南病院への通院に関して、利用しやすい時間帯への増便が10月1日から実施されることとなってございます。
また、龍神、中辺路、大塔及び本宮地域内で運行している住民バスにつきましては、各路線バス事業者の運行時刻改正に合わせまして、住民バスの運行に支障のない範囲内において、できる限り路線バスへの接続に配慮した運行時刻の見直しを随時実施しているところでございます。
しかしながら、先に述べました路線バス事業者による事業再編計画が着々と進められており、地域間の主要交通手段である路線バスの運行につきましては、大変厳しい状況でありますが、今後も路線バス事業者と十分に連携を図りながら、主要幹線を中心とする路線バスの利便性向上に努めてまいりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(企画部長 松川靖弘君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 教育次長、小川 鏡君。
(教育次長 小川 鏡君 登壇)
○教育次長(小川 鏡君) 議員御質問の3点目、一般住民のスクールバス利用についてお答えいたします。
現在、スクールバスの大半につきましては、国の補助金を受けて購入し、事業計画書に基づき運行しているところでありますが、スクールバスの一般住民への利用につきましては、文部科学省が示す住民利用に供する場合の条件や運行方法など、幾つかの解決しなければならない課題がございますので、今後、それらを精査し、関係各課とも連携しながら検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
(教育次長 小川 鏡君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 出水豊数君。
(17番 出水豊数君 登壇)
○17番(出水豊数君) ありがとうございました。今回の質問は、利用されている住民の皆さんと運行時間を検討され、その意見を取り入れられたのかという御答弁を若干いただきたかったのですが、この件はかなり難しい問題だと把握しているので、この答弁でいいかという感じをしています。
スクールバスの一般利用は非常に難しい問題であることは承知しています。しかし、できないと言い切るものではないと思います。努力をしてみる価値はあると思いますのでよろしくお願いします。もう一件は、これはお金のかかることですが、学生が今使われているスクールバス、この時間帯というのはもちろん利用できないけれども、各行政局でこのバスはずっと車庫に置いています。ただ、それをスクールバスと住民利用と分ければできるのではないだろうかという解釈をしていただいて、今後の検討課題にしていただければと思います。
いずれにしても、大変な技量、技術が必要になるかと思います。これも国がやろうとしている地方創生、過疎対策の一環、やればできるの思いで今後頑張って努力をしていただきたいと要望しておきます。この項目は終わります。
項目3番目、有害鳥獣、個体数の削減について質問させていただきます。
6月定例会において有害鳥獣について質問させていただきました。今回、9月議会に補助金の補正を組んでいただいています。本当にありがとうございます。少し手数がかかると思いますが、今回申し込まれて外れた方、こういう方も放っておくのではなく、連絡してあげるなど、耕作されている方々に周知徹底されるよう要望しておきます。
さて、今回の質問は県・市が本当に個体数を減らそうとしているのかをお聞きし、そうであるならば、個体数を減らすためには今の有害鳥獣、狩猟捕獲補助金のあり方を考え直す必要があるのではないでしょうか。
今回の補助金の見直しを要望された方は、今、猟銃を持ち、常に捕獲に協力している方のお話です。有害鳥獣の狩猟に関し、現状で銃の捕獲とわな猟の補助金を同じ金額にしてもらえないかというものでした。
わな猟では、捕獲にしても誰かにお願いをして処置をしなければならない。費用がかかるそうです。当然、その方々がそういうことは邪魔くさいからやめておこうという、捕獲意欲はなくなるということです。猟銃捕獲と同様の金額にしていただけないかというものでした。この方とは長時間お話をさせていただきました。
そういう熱い思いの中で今回、有害鳥獣について余りくどくど言いたくなかったのですが、再質問をさせていただきました。(1)として、現在の補助金のあり方を見直していただけないか、お聞きいたします。
(17番 出水豊数君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 産業部長、那須久男君。
(産業部長 那須久男君 登壇)
○産業部長(那須久男君) 議員御質問の有害鳥獣の個体数の削減についてお答えいたします。
まず、有害鳥獣の個体数削減計画についてでありますが、和歌山県では生息数が著しく増加し、農作物への被害が大きいイノシシ、シカ、サルの3種の獣類についてそれぞれ特定鳥獣保護管理計画を策定し、生息密度等のモニタリング調査や狩猟規制の緩和、個体数調整のための管理捕獲等を実施し、農作物被害の抑制と適切な生息数の管理を図っております。
また、田辺市においても鳥獣被害防止計画を策定し、この計画に基づき有害鳥獣の削減に取り組んでいるところであります。平成25年度においては、狩猟による捕獲と有害捕獲を合わせて、イノシシ1,156頭、シカ1,473頭、サル177匹を捕獲しており、平成26年度においても各地で有害捕獲を実施しております。
しかしながら、捕獲実績が伸びる一方で、生息数や被害金額は減少していないのが実情でありまして、今後、さらに対策強化を図っていかなければならない状況にあります。
議員御指摘の有害鳥獣の捕獲補助金についてでありますが、銃による捕獲については、イノシシ、シカで1万5,000円、わなによる捕獲については8,000円でありまして、サルにつきましては、銃で3万円、わなで1万8,000円となっております。現在、捕獲補助金については、国・県の補助を受け実施しており、この制度に上乗せする形で市の補助金を交付しております。
県の制度においては、銃とわなによる捕獲補助金額が異なっており、市の捕獲補助金額の違いにつながっております。田辺市としましては、わな、銃を問わず、捕獲者に同額の補助金が交付されるよう県への要望を行うとともに、より適切な捕獲補助金単価のあり方について、市・県及び各猟友会や農協、生産者等で組織する田辺市鳥獣害対策協議会の意見も参考にしながら、検討を進めてまいりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
(産業部長 那須久男君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 出水豊数君。
(17番 出水豊数君 登壇)
○17番(出水豊数君) 項目3番目の有害鳥獣の個体数の削減について、これは要望です。有害鳥獣においては何度も質問をさせていただきました。それだけ農業に従事されている、耕作されている皆さんは悲痛な思いをされています。少しでも協力できないかという思いで言わせていただきました。
今後、耕作者の皆さんが少しでも生産意欲が持てるように、今後とも努力をしていただきたいと思います。
これで今回の質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。
(17番 出水豊数君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 以上で、17番、出水豊数君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(塚 寿雄君) この場合、午後1時まで休憩いたします。
(午前11時31分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(副議長 佐井昭子君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時01分)
○議長(副議長 佐井昭子君) 続いて、14番、松下泰子君の登壇を許可いたします。
(14番 松下泰子君 登壇)
○14番(松下泰子君) 14番議員、松下泰子です。通告に従いまして、大きく三つの質問をさせていただきます。
初めに、1番、ジオパークについてから質問いたします。先月、8月28日、南紀熊野ジオパークが日本ジオパーク委員会より認定されました。ジオパークとは、ジオ、つまり大地とその恵みに親しみ、それらを楽しみ学ぶところであり、持続可能な地域の発展を目的としています。参考資料1枚目をごらんいただきますと、南紀熊野ジオパーク構想は、貴重で美しい地形や地質を含めた自然の宝物を保全するだけでなく、それらを地域の発展のために生かしていくことが大切ですとあります。
ジオパーク活動を通じて、地域のさまざまな交流を一層深め、地域活性につなげることができます。また、自然科学や防災などへの関心を高め、教育の充実にもつながります。さらに、地域の宝物を観光に利用して、経済活動に生かすこともできますと書かれています。
この南紀熊野ジオパーク構想は、和歌山県の呼びかけにより、平成25年2月6日に推進協議会が設立されました。資料の中の地図を見ていただきますと、四万十付加体というのは東は房総半島から赤石山脈、紀伊半島、四国南部から九州南部まで連なる幅100キロメートル、延長1,400キロメートルに及ぶ長大な地帯をなしています。その紀伊半島の四万十付加体の地域が南紀熊野と呼ばれている地域であるにもかかわらず、このジオパーク構想に田辺市が入っていないことが私は不思議でなりません。
熊野古道自体も古来から神仏の道を求める人々がこの地形がつくり出す深い森によって、修行の適地とされ、切り立った渓谷を左右にした尾根道を中辺路ルートとしていることからも、紀伊山地のジオなくしては生まれなかったと言えます。
参考資料の2枚目の写真を見ていただきますとわかりますように、田辺市内には既にジオパークとしての資源は豊富にあります。海岸線の天神崎、神島と鳥の巣、そしてひき岩群に加え、中辺路、本宮、龍神と旧大塔村の百間山渓谷などジオサイトの候補地はたくさんあります。百間山については、既によく調査・整理されていますので、多くの写真を提供いただきましたが、田辺市内を整理すればまだまだ出てくるということです。
今や田辺市にとって、この自然環境を生かした観光が主幹産業になっていますが、合併後、世界遺産の熊野古道から外れた旧大塔村と龍神村の観光振興が低迷していることに心を痛めている人たちがたくさんおられます。
龍神村では、小森谷渓谷や温泉街などの地形がジオパーク構想で新たな観光客や交流人口の増大につながることと思います。また、旧大塔村では、平成19年から熊野百間渓谷自然学校が、自然体験教室やキャンプ、トレッキング、エコツアーガイド養成塾など、さまざまな取り組みが行われています。
この自然学校は、地域資源や人材を活用し、人々に自然体験、農林業体験の機会を提供することによって、よりよい地球環境の持続を目指し、地域の環境保全と振興を図ることを目的に、カモン館を拠点に活動しております。このことから旧大塔村では、既にジオパークとしての受け皿ができているということになります。
南紀熊野ジオパーク協議会では、ジオパークを訪れる観光客にジオサイトの地層についてや歴史、文化や自然の恵みなどをおもしろく伝えるためのジオパークガイドの役割は大きいということで、ガイド養成講座が昨年から開かれております。
昨年の第1回目に、田辺市在住の方が既に4人受講され、試験に合格して修了証が交付されています。そして、平成26年度の講座がおととい9月9日から始まり、来年の3月までの全10回ありますが、受講生33人のうち、田辺市から5人が受講しております。
第1日目は、公開講座でしたので、私も受講させてもらいましたが、田辺から10人近くの方が来ていたように見受けられました。受講生の何人かとお話をしましたが、誰もが田辺市もこのジオパーク協議会に入って、田辺でジオパークガイドとして活動したいとおっしゃっていました。
このようなことから、田辺市のさらなる活性化のためには、南紀熊野ジオパーク協議会に参加するべきであると考えますが、なぜ田辺市はこの協議会に参加しなかったのか。その経緯をお伺いいたします。
次に、今後のことを質問いたします。
この南紀熊野ジオパーク協議会では、8月28日に日本ジオパークの認定が決まったことから、次は世界ジオパークの認定を目指すということです。平成25年2月の発足から1年半で日本の認定を受けて、国内では36地域となりました。この認定を機に、世界ジオパークを目指して歩み出そうとする今が、田辺市が協議会への参加表明をする絶好の時期ではないかと考えます。
現在、世界ジオパークの認定を受けているのは、洞爺湖、有珠山、糸魚川、山陰海岸、島原半島、室戸、隠岐の6カ所です。この世界ジオパークの認定を目指して、今後、2~3年後をめどに活動するそうですが、やはり田辺市の参加は必須の条件となるのではないでしょうか。その機を失うことのないように、すぐに動き出す必要があるのではないかと私は考えます。
田辺市としては、今後の参加についてどのようにお考えなのか、お聞かせください。
(14番 松下泰子君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 14番、松下泰子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
企画部長、松川靖弘君。
(企画部長 松川靖弘君 登壇)
○企画部長(松川靖弘君) 議員御質問のジオパークについてお答えいたします。
まず、南紀熊野ジオパーク推進協議会への参画についての経緯でございますが、当初、平成23年12月に和歌山県より紀南地方の地質やそこから生まれた歴史や文化を地域振興につなげていくという観点から、ジオパーク推進に係る協議会を設置したい意向があることの説明を受けるとともに、田辺市に対しまして、当該協議会への参画の呼びかけがございました。
市といたしましては、その趣旨については、一定の理解をいたしましたが、具体的な活動内容や取り組み等につきましての勉強会や周辺自治体との意見交換の場の設定などをお願いしたところでございます。また、これとあわせまして、庁内関係部署との協議を行い、ジオパーク推進に係る課題などについて、さまざまな角度から研究、検討を行うとともに、関係団体や専門家からも御意見をお伺いする中で、協議会への参画の是非について、慎重に議論をしてまいりました。
その結果、先ほども申し上げましたとおり、ジオパークの推進には、一定の理解をしつつも、関係団体との連携、協力体制が整うのかといった懸念等もございまして、直ちに協議会へ参画するのではなく、当面は協議会への参画を見送るという結論とさせていただいたところでございます。
続きまして、南紀熊野ジオパーク推進協議会への今後の参画についてでございますが、市といたしましても、当該協議会の取り組みにつきましては、今後、南紀熊野地域の振興に寄与していくものであると考えておりますが、和歌山県を初め、協議会の構成自治体等のお考えもございますでしょうし、取り組みの中途参画における要件であるとか、課題があることも想定されることから、そうしたことも含めまして、協議会の参画につきまして、和歌山県等と協議をしてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(企画部長 松川靖弘君 降壇)
○議長(副議長 佐井昭子君) 松下泰子君。
(14番 松下泰子君 登壇)
○14番(松下泰子君) 御答弁ありがとうございました。協議会への参画はまだはっきりいつという結論は出ていないということでしたが、確かに予算的なものとか、新たな事業への人員配置などすぐに決めることのできないところはあるかと思います。しかし、市長が田辺市の活性化のために目指している交流人口の増大のためには、まさにこの取り組みが新たな交流人口を生み出すことになるのではないでしょうか。また、けさほど出水議員の質問に市長がお答えいたしました価値創造プロジェクトというような中でも、新たな一要素として期待できる部分は大いにあるのではないかと考えます。
先ほども申し上げましたが、特に観光客の低迷している龍神村と旧大塔村の起爆剤として、絶好のチャンスになるのではないかと思います。先日も龍神の観光協会の方々とお話をしましたところ、1日何千人という観光客が来ても、トイレを借りるだけの通過していく人ではだめだということはわかっている。滞在時間の長い仕掛けをつくる必要があるのだけれども、今までできていなかった。ジオパーク構想の中でトレッキングやエコツアーなどを企画していくことが龍神村の活路になるのかもしれないとお話されておりました。
私は田辺市が協議会へ参加することを否定しないのであれば、その時期を逃してはならないと思います。遅くなれば、他の町村の足を引っ張ることにもなりますし、田辺市内でも追加認定に向けて、準備を進めているガイドの方々の期待を裏切ることにもなりかねません。何とか市長の早い英断をお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
以上で、1番目の質問は終わります。
二つ目に公民館だよりについて質問いたします。
平成22年9月議会の一般質問におきまして、合併後、旧町村において行政が遠くなったように感じるという声が大きいことから、もっと多くの地元の情報が欲しいと言われている方々のために、行政局だよりを発行してはどうかという提案をしました。
それに対して、公民館だよりを活用して、よりきめ細やかな情報提供を行っていきたいという御答弁をいただきました。その後、それを期待して、公民館だよりに注目してきましたが、それほど情報量がふえたように思えないという声を今回いただきました。
そこで、まずお伺いいたしますが、その後、公民館だよりにおいて、どのようなところが改善されたのでしょうか。お伺いいたします。
二つ目です。今回、この質問をするに当たり、今年度になってからの各公民館だよりを拝見させていただきました。それぞれの公民館で、独自に工夫され、地域の活動をかいま見ることができました。公民館内の保育所や公立幼稚園、小学校、中学校からの便りがあったり、サークル活動や俳句、短歌や老人クラブの活動など、さまざまな活動が載せられています。それらは毎月のことですので、大体それぞれの間でパターン化されているようですが、主に館長さんと主事で作成しているようです。
主事の中には、2館担当している人もおりますので、それは大変な仕事であることは推測できます。この公民館だよりの役割を考えますと、その地域の活動がわかり、先ほどの1番目に出ましたように、きめ細やかな情報提供というものが大事になってくるのではないかと思います。館長さんの御意見を載せることも時には必要かもしれませんが、できるだけ多くの情報を皆さんに伝えることが肝要であると思います。
そこで公民館だよりの編集に広報委員を配置してはどうでしょうか。各公民館で編集に関心のある方に広報委員になってもらい、地域の情報を集めてもらったり、いろいろな活動の様子をレポートしてもらったり、写真を撮ってもらったりしてはどうでしょうか。多くの地域の方々が公民館だよりにかかわっていただくことにより、情報量は多くなり、マンネリ化することもなく、公民館だよりが充実していくのではないかと思います。
公民館だよりに広報委員を配置することについて、市としてはどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
(14番 松下泰子君 降壇)
○議長(副議長 佐井昭子君) 教育次長、小川 鏡君。
(教育次長 小川 鏡君 登壇)
○教育次長(小川 鏡君) 議員御質問の1点目でございます。平成22年9月議会での一般質問後の改善点ということで、議員からは公民館報の充実について、その後どうなっているのかという御質問をいただきました。
平成22年の9月議会で一般質問をいただきましたが、各行政局におきます公民館報につきましては、それまでも地域の情報等につきましては、掲載している状況にございました。議員から御質問をいただきました後、行政局の内部で各部署からのお知らせや地域におけるさまざまなイベントや行事などについて、公民館報に掲載するという会議を開くなど、公民館報の掲載につきまして、充実するよう努めているところでございます。
現在も公民館報の毎月1回の発行については変わってはございませんが、公民館報以外につきましても、広報たなべであるとか、市のホームページへの掲載もございますし、それ以外に独自にポスターやチラシなどでイベントを周知している、そういう努力もしているところでございます。
今後につきましても、公民館に関する記事以外のスペースの活用といった、紙面の制約はどうしても出てまいりますので、その点は制約がございますが、記事の内容につきまして、精選するなど、できる限り必要な情報提供に努めてまいりたいということで、行政局管内の会議についても充実してまいりたいと考えてございます。
それから、2点目でございますが、各公民館へ広報委員を配置してはどうかという御質問をいただきました。現在、合併10周年を迎えるに当たりまして、公民館長と主事の間でこれまでの公民館の取り組みを振り返りつつ、今後の公民館の果たすべき役割やよりよい運営方法について、協議を進めているところでございます。
その中で、公民館報の内容や作成の方法などについても、検討を加えるということになってございます。この取り組みの一環といたしまして、公民館報の充実に力を入れている先進地の調査を行いましたところ、積極的な住民参画のもと広報委員会を設置し、官民協働による記事作成や紙面の編集により公民館報を発行しているところもございました。
議員からも御質問の中でお話がございましたけれども、公民館報を作成していくプロセスの中で、自分たちの地域を知ることができ、ひいては地域のさまざまな活動の活性化にもつながっているという御意見も聞かせていただいてございます。
現在、田辺市においては、地区公民館単位におきまして、公民館長と主事によりまして、公民館報を作成しているところでございますが、先進地の事例等を参考にし、また各公民館の実情も勘案した上で、よりよい公民館報の作成に向けて、今後、公民館関係者の中で、十分協議してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
(教育次長 小川 鏡君 降壇)
○議長(副議長 佐井昭子君) 松下泰子君。
(14番 松下泰子君 登壇)
○14番(松下泰子君) ありがとうございます。広報委員の配置につきましては、先進地の事例も参考にして、各館で考えていくというような一応前向きな御答弁をいただきました。行政発信の情報はもとよりさまざまな視点から今までにない情報や活動報告が載せられることにより、公民館活動の活性化にも役立つことと思います。
さらなる公民館の充実に期待して、この項の質問は終わります。
3番目の自閉症の人たちが安心して暮らせる社会のためにについて質問いたします。
7年前の9月22日、佐賀市の知的障害のある25歳の青年が作業所からの帰り道、自転車で蛇行運転をしていたとして、走行中のパトカーに車上マイクから停止を命じられました。しかし、彼はそれを無視し、自転車を走行したため、サイレンの音とともに追尾され、交差点で停止していた原付バイクに衝突し、転倒したところを警察官に取り押さえられ、その後死亡いたしました。遺体には100カ所近い打撲傷がありましたが、父親が訴えていた裁判の結果、ことし2月に敗訴が決まりました。
この死亡事故を考える会では、「もし警察官が障害について理解をしてくれていたら」、また「障害に配慮した声のかけ方をしてくれていたら」こんな事件は起こらなかったのにと障害への理解を広げようと運動をしています。
同様に、この田辺市においても、自閉症の人の中には、よく不審者と間違われて通報されるケースがあります。そのお母さんは、その都度、仕事中であるにもかかわらず、すぐに警察や現場にかけつけるそうです。現代社会では、奇異な行動をする人を見たら不審者とみなし、すぐ通報することがよしとされていますが、それが障害者である場合もあります。
確かに、アルコールや薬物による自転車の蛇行運転や不審な行動、奇声を上げるなどの場合、それを見た子供たちは怖がってしまいます。子供が不審者と思うことは仕方ないことかもしれませんが、警察や周りの大人が障害のある人への理解が多少でもあれば、声かけ一つで、両者が怖がることなく気持ちよく過ごすことができます。
この障害への理解の中でも、特に自閉症については、一見健常者と変わらないため、ときにさまざまなトラブルが起きたりします。現在、身体障害、知的障害、精神障害と発達障害の4障害の区分の中でも発達障害の歴史が浅く、まだまだ理解が進んでいないのが現状です。発達障害の中でも、知的障害を伴わない高機能自閉症は、言葉のおくれ、興味や関心が狭く、特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害です。
先ほどの佐賀市のような事件が起きた背景に、この高機能自閉症や知的障害を伴う場合も含めた自閉症の人たちへの無理解があることを強く感じます。
日常生活の中で、スーパーへ行ったときなど、パニックを起こしている子供や大声で走り回る子供を見ることもあります。これは親のしつけが悪くてだだをこねているのではありません。親がその障害について理解していない場合もありますが、家族は日々精いっぱい頑張って暮らしています。
このような障害者への理解のために、社会福祉協議会では、福祉教育として学校などから依頼があれば、出前講座を行っています。身体障害者の方々への理解は、割合わかりやすいのですが、発達障害、特に自閉症への説明が難しく、個々人によって特性が異なるため、どのように接したらよいのかもそれぞれ違ってきます。しかし、そういう子供、人がいることを知ってもらい、思いやりを持って接していただけるよう啓発していくことが大事であると思います。
平成17年から施行された発達障害者支援法の中では、国及び
地方公共団体の責務として、早期発見や支援などがうたわれ、国民の責務としても発達障害者の福祉について理解を深めるとともに、社会連帯の理念に基づき、発達障害者が社会経済活動に参加しようとする努力に対し、協力するよう努めなければならないとしています。
そこでお伺いいたしますが、発達障害について、特に自閉症の理解のための啓発活動などは具体的にどのように行われているのでしょうか。また、自閉症の方々が不審者とみなされることについて、市の認識はあるのでしょうか。また、どのように考えておられるのかをお伺いいたします。
次に、先ほど挙げましたように、自閉症の方が不審者として通報され、死亡事件となるようなことが起こらないようにするために、自閉症など障害を持つ子供の親御さんたちがいろいろと考えておられます。まずは、警察官が理解してほしい。学校教育の中でも取り組んでほしい。地域の人たちが彼、彼女らに進んで声かけをしてもらいたい等々があります。
そして、一つの手だてとして、不審者として見られやすい人に新たな障害者マーク、または通っている作業所のマークをつくり、バッグなどの持ち物や自転車に張ってはどうかという意見が出ました。
一方、親御さんの中には、このような新たな障害者マークをつけるということは、差別を助長するのではないかという慎重な意見もあります。確かにメリットもありますが、そのことによって、新たなデメリットも起きてくるのではないかとも思います。しかし、不審者扱いされる人にとって、対応策の一つとしては有効であると考えられます。
これは、自閉症であるからできるだけ皆それを示すマークを張りましょうというものではなく、不審者に間違われて困っている人たちが、自分にはこれが効果があると思った人だけが張ればいいものです。それにはその意味を広く知ってもらう必要もあります。
今後、このような運動を行っていこうとしていますが、市としてはどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
(14番 松下泰子君 降壇)
○議長(副議長 佐井昭子君) 市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 松下議員御質問の自閉症の人たちが安心して暮らせる社会のためにのうち、啓発の必要性についてお答えいたします。
市では、市総合計画の基本理念に、「一人一人が大切にされ、幸せを実感できるまちづくり」を掲げ、まちづくりの基本方針の一つである「安心して暮らせるまち」で、「障害者が安心して暮らせるまちづくり」として障害者福祉の各種施策に取り組んでいます。
そして、これらの各種施策を効果的に実施するため、また、障害者が地域で安心で安全な生活を送るためにも、障害及び障害者に対しての市民の理解を進めるための啓発は大切なことでありますので、市においてもさまざまな形で実施しているところであります。
具体的には、市ホームページでの4月の世界自閉症啓発デーや12月の障害者週間の取り組みの広報や障害者週間に市内スーパーでの街頭啓発などに取り組んでいます。
また、小・中学校での福祉教育の取り組み、小学5年生を対象とした福祉読本「ともに生きる」の配布、各公民館や社会福祉法人に委託をして、実施しているボランティア活動支援事業での障害に関する講演会の開催等に取り組んでいます。
そして、これらの講演会では、幅広い多様な障害の理解に対応できるように、講演の内容や講師の選定に努めているところであります。
障害には、身体障害を初めとする多くの種別がありますが、それぞれの障害の種別によりその特性はさまざまであります。特に、自閉症の場合には、対人関係上の困難さがあり、言葉やコミュニケーション能力には困難をきわめ、手順や道順等に固執するこだわりなどにその特徴がありますが、それらの特性のあらわれ方は個人によって差があり、個人に合わせた対応が必要となりますので、啓発においても、そうした特性を踏まえた内容のものにする必要があると考えています。
今後も、啓発につきましては、自閉症や発達障害を初めとする多用な障害を理解することができるように、障害の特性も踏まえ、内容にも工夫を重ねながら対応してまいりたいと考えております。
以上です。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(副議長 佐井昭子君)
保健福祉部長、田中 敦君。
(
保健福祉部長 田中 敦君 登壇)
○
保健福祉部長(田中 敦君) 議員御質問の障害者マーク等についてお答えいたします。
障害や障害者に関係するマークにつきましては、障害者に配慮した施設であることを示すマーク、またそれぞれの障害についてわかりやすく示すマーク等目的別にさまざまなものがあります。
それらのマークの中で見る機会の多いのが駐車場等に書かれている車椅子マークの障害者のための国際シンボルマークや、盲導犬などの身体障害者補助犬の啓発のための「ほじょ犬マーク」ですが、マークにはこうした公的な場所や制度の中で使用されているものだけでなく、障害者団体が独自に提唱しているものもあります。その代表的なマークの一つが「ハートプラスマーク」で、これは心臓や呼吸器等の内部障害や内臓疾患が外からわかりにくいため、マークで視覚的に示し、理解の第一歩とするために、内部障害者の団体がつくったマークです。このマークは、障害者用駐車場に車をとめる際に、フロントガラスに掲示したり、電車での優先座席利用の際に、かばん等に掲示したりして、障害のあることによりそれらの施設等を利用することの理解を求めるマークになっています。
また、自閉症に関係するマークでは、発達障害に関してのマークが長野県や新潟県でつくられています。これらのマークはいずれも県民に発達障害への理解と支援を広げるためのもので、県が発行する冊子に印刷したり、イベント等のチラシに掲載したりするシンボルマークになっているようです。
そこで、議員御質問のマークをつくることについてでありますが、今回の障害者マークは、先ほどのハートプラスマークのような障害者本人がマークを掲示することにより、障害のあることを周囲に示し、周囲の人の理解を求めるマークであると思われます。
そうしたマークを作成する場合には、想定する場面での適切な効果が期待できるのか、悪用される等デメリットはないのか、保護者の思いだけでなく、利用者本人がマークをつけることを了解するのか、利用者本人がマークを適切に利用することが可能か、また、周囲の人にマークの意味を理解してもらい、協力を得るための啓発活動をどのような形で取り組むのか等を十分検討する必要があるものと考えます。
また、マークではありませんが、和歌山県がNPO法人和歌山県自閉症協会などの関係団体と協力し、コミュニケーションボードを作成しています。コミュニケーションボードは、自閉症などの言葉によるコミュニケーションが苦手な障害者をサポートするために、絵記号を利用してコミュニケーションを行うもので、県のホームページに掲載され、県民に利用を呼びかけています。
このコミュニケーションボードとその使用方法を記載した解説書である、「私たちの伝えたいこと」を適切に活用することが自閉症のある障害者に対しての理解を深める一つの方法でもあると考えます。このように、障害に対する理解を得る取り組みにつきましては、マークのほかにもさまざまな方法が考えられますので、多面的な検討が必要であると考えます。
以上でございます。
(
保健福祉部長 田中 敦君 降壇)
○議長(副議長 佐井昭子君) 松下泰子君。
(14番 松下泰子君 登壇)
○14番(松下泰子君) 御答弁ありがとうございました。障害者マーク等に関しましては、確かにもろ手を挙げて賛成できるものか、まだまだいろいろな場面を想定した議論が必要になってくると思います。しかし、ここに障害を持つことで困っている人がいることを認識し、何らかの手だてを考え、解決につなげていきたいと思います。
佐賀市であったような死亡事件につながることのないように、行政を初め、皆で考えていかなければならない課題であると思います。
以上をもちまして、私の質問は終わります。ありがとうございました。
(14番 松下泰子君 降壇)
○議長(副議長 佐井昭子君) 以上で、14番、松下泰子君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(副議長 佐井昭子君) この場合、1時50分まで休憩いたします。
(午後 1時38分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(塚 寿雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時50分)
○議長(塚 寿雄君) 続いて、11番、安達克典君の登壇を許可いたします。
(11番 安達克典君 登壇)
○11番(安達克典君) 11番、紀新会、安達克典です。地域の発展を願い、市民の声を市政へという強い思いで今回も一般質問に臨みたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、通告に従いまして、一般質問を行います。7月5日、6日、世界遺産登録10周年記念式典として、サンティアゴ・デ・コンポステーラ市との観光交流協定覚書調印式を初め、さまざまな行事がとり行われました。改めて、「癒しと蘇りの地熊野」を世界に発信する10周年にふさわしい記念式典であったと思います。これにより、今後海外からの観光客も増加していくものと思われます。
昨年、日本を訪れた外国人旅行者やビジネスマンの数が、初めて1,000万人を突破し、1,036万3,904人となり、2003年以降、訪日外国人旅行者1,000万人を目標にビジット・ジャパン・キャンペーンなどにより、訪日外国人数はこの10年でほぼ倍増したことになります。さらには、ことし7月の時点では、753万人となっており、年間トータルで1,400万人を突破すると予想されています。
この増加の背景には、中国人向けや東南アジア諸国連合、ASEAN向けの観光ビザ発給要件緩和のほか、入国管理手続の改善など受け入れ体制の整備、格安航空会社LCCの就航拡大、増便などが挙げられます。
空港ターミナルでは、英語、中国語、ハングル語の案内表示を充実させ、外国人観光客へのおもてなし体制が充実しつつあります。また、2013年は、アベノミクス効果で急速な円安が進んだことも追い風になり、訪日外国人にとってツアー料金や日本での購入商品に割安感が生じていることも考えられます。
一方、海外からの観光客が求めるものは何か。言語対応、Wi-Fiの整備、交通情報等が挙げられます。逆に言えば、この3点を整備し、情報発信をしていけば、訪日する外国人観光客の不満が解消され、増加へとつながると思われますが、今後の事業展開について答弁を求めます。
次に、その中の一つである交通体系についてであります。
先日、8月21日から23日まで長崎市で開催された日本PTA全国研修大会に参加してきました。関空から長崎空港までは飛行機で1時間15分、空港から市内までは高速道路を経由し、シャトルバスで50分、そして最後は路面電車で目的地まで乗り継いでいきました。さすが観光都市長崎だなと感心しました。その路面電車もいろいろな車種がありましたが、緑色のレトロな車両が印象的でした。残念ながら田辺市には路面電車は走っておりませんが、長い歴史を誇る路線バスがあります。龍神温泉、また本宮方面へは海外からの観光客のみならず、田辺駅に到着した観光客は路線バスを乗り継ぎ目的地へと向かいます。
しかしながら、高野熊野世界遺産といわれる高野山から龍神を経由して本宮への二大聖地を結ぶ交通手段が確立されていないのが現状であります。数年前からはピンポイントで営業されていますが、やはり定着しなければ海外からの観光客にとって観光ルートの選択肢にはなりにくいと考えられます。
平成27年、高野山は弘法大師空海の手で密教の道場が開かれてから1,200年を迎えます。この記念すべき年に高野山では4月2日から5月21日までの50日間、弘法大師空海が残した大いなる遺産への感謝を込めて、大法会がとり行われます。
海外からの観光客を含め、国内からも多くの観光客が高野山を訪れるものと予想されます。この観光客を取り込んでいくためにも、高野山から熊野を結ぶアクセスバスをこれを機に運行すべきだと考えますが、当局の答弁を求めます。
次に、スポーツ合宿と修学旅行の誘致についてであります。平成27年開催の紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会に向け整備中の三四六総合運動公園の愛称が、「田辺スポーツパーク」に決定したようであります。リハーサル大会も各競技ごとに行われ、先日、弓道競技大会の参加チームアンケートを読ませていただきました。中でも、「真砂市長の歓迎スピーチで田辺市の特徴がよくわかりました。」や、「田辺市の印象は開会式での市長のお話で十分わかりましたが、何分時間がなく別の機会にもう一度足を運びたいと思いました。」と回答した人もいました。
本大会を前にして、よいところに加え改善すべき点も幾つかありました。スポーツ選手にとって、長期の滞在で重要となってくるのは、洗濯であります。コインランドリーの場所を明確にすること。営業時間についても大会期間中は配慮が必要と思われます。これは、ほんの一例ですが、こういったきめ細かい配慮が選手たちにとっては試合に集中できたり精神的なプラスアルファにつながります。今後、このアンケートは重要な役割を果たすものと考えられます。
また、各競技団体ごとに使用される器具等も幅広く重要なポイントになってきます。整備する上では、十分な調整が必要と考えられます。そういったことも踏まえて、完成が待ち望まれる田辺スポーツパークの国体終了後の利用がどうなっていくのか。合宿等の誘致に向け、取り組みについて当局の答弁を求めます。
また、平日であれば修学旅行生の受け入れも可能かと思われます。市内には秋津野ガルテンや季楽里龍神といった施設もあります。世界遺産の地、田辺市を修学旅行先として市内全体で受け入れる体制がとれないか、現段階での取り組みについて、答弁を求めます。
また、現在、田辺市の子供たちが修学旅行で訪れる場所についてもお聞きいたします。それはなぜかというと、先日、お世話になった静岡県島田市では、世界農業遺産に登録されたお茶を修学旅行先の京都でPRしているお話を聞きました。しかも、海外からの観光客を相手に、英語で質問し宣伝するというすばらしい取り組みに感動しました。
当地方の世界農業遺産登録の審査が始まりました。田辺市の子供たちにもぜひ地域産業についてしっかりと学んでいただき、宣伝活動に取り組んでもらいたいと思います。あわせて当局の答弁を求めます。
次に、ライブカメラを使った情報発信についてであります。
現在、龍神行政局管内では、龍神行政局、龍神温泉、ごまさんスカイタワーに計3台のライブカメラが設置されています。このライブカメラへのアクセスの現状はどうなっていますか。特に、あゆつり客は日高川の状況把握をするためにチェックしていると思われます。また、スカイタワーに設置されているライブカメラは冬場の道路状況を確認する手段として、重要な設備となると考えられます。しかしながら、老朽化と通信回線が不十分なため、十分な情報発信がされていない現状にあります。ライブカメラは今後、観光面での効果も高いことから、機器の更新が望まれます。関係機関との調整を含め、今後の対策について当局の答弁を求めます。
次に、高野龍神国定公園内の小森谷渓谷の遊歩道の現状について、どのように把握されているのでしょうか。
小森谷渓谷は、日高川の源流にあり、平維盛が隠れ住んだと言われるお屋敷跡を初め数多くの滝や渓流が点在しています。これからのシーズン、紅葉の絶景スポットとして多くの観光客を引き寄せる場所であります。その観光客が安全に歩ける状態にあるのか、宿泊関係者は非常に不安を感じています。
自動車が入らない場所だけに、整備も大変であると思われますが、その反面自然を存分に満喫できるパワースポットでもあります。今後の対策を含め、積極的な当局の答弁を求めます。
次に、日本三美人湯のサミットとドラゴンサミットについてであります。
全国の「龍」「竜」の文字がつく市町村が集まり、相互交流を目的に結成され、昭和63年に秋田県八竜町において記念すべき第一回大会が開催されました。平成6年には、龍神村において第7回大会が開催されました。その後、平成17年以降、市町村合併により交流が遠ざかっているように思われますが、これまでの経過についてお答えいただければと思います。
そして、日本三美人の湯サミットについてであります。龍神温泉は、弘法大師空海が難陀龍王の夢のお告げによって開かれたことから龍神温泉の名がついたと伝えられる空海ゆかりの温泉であります。江戸時代には、徳川家の別荘、温泉地として栄えた経緯もありますが、ここ近年、大幅な減少傾向にあります。地域では、さまざまなイベントが開催されて観光客の増加に向けた取り組みがなされています。龍神温泉の売りである日本三美人湯のブランドをさらに高めていくためにも、三美人の湯がさらに連携を深めていくことが大切であると考えられます。
最近、TBSの「いっぷく」、MBSの「ちちんぷいぷい」といった情報番組でも龍神温泉が紹介され、一定の宣伝効果が出てきているものと考えられますが、合併10年を迎えるに当たり、島根県出雲の湯の川温泉、群馬県の川中温泉に呼びかけ、これからの日本三美人湯のあり方について、未来志向の三美人湯サミットを開催できないか、当局の答弁を求めます。
次に、合併10周年記念として、田辺市全体の魅力を伝える新しい観光ブック、マップについてであります。先ほども申し上げましたが、リハーサル大会でいただいた貴重なアンケートを無駄にしないためにも、田辺市の魅力をより多くの人に伝え、満足していただけるガイドブック、マップの作成ができないかと感じました。
今、全国各地でガイドブックが話題となっています。その中でもPerfumeが表紙を飾った広島・究極のガイドブック「泣ける!広島県」が話題沸騰しています。かつて県の広報資料がこれほどまでに話題になったことがあるでしょうか。2014年7月広島県の新観光キャンペーン「泣ける!広島県」の発表とともに発行されたガイドブック「泣ける!広島県」が大好評につき増刷することとなったようです。
東京の広島ブランドショップTAUや大阪の広島県大阪情報センターなどで再配布されました。何と広島では、配布前に100メートル以上の長蛇の列ができ、1,000冊が30分で配布終了したようです。ガイドブックは126ページの大ボリュームで、広島の名所やグルメスポットなど見どころがたくさん、しかもおもしろい切り口で紹介されています。
広島県出身のPerfumeが表紙を飾り、撮りおろしグラビアやインタビューも行われるなど、県によるガイドブックとしては異例の斬新なアプローチとなっています。また、東京の下北沢の「しもきた商店街振興組合」では、「しもきた商店街ガイドブック作成コンペ」を開催し、「家に帰って読み返すと、また下北沢へ来たくなる」をコンセプトに下北沢に関するガイドブックを作成しています。
参加条件は、下北沢が好きなこと、下北沢に打ち合わせに来られること、組合の要望を聞いてくれることで、居住エリアや年齢、職業は一切問わず、コンペ優勝者には事業費予算として108万円を用意するそうです。
ここ最近、田辺市においても、江川のちゃんぽん・かき氷など、注目を浴びているスポットや日ごろ大変お世話になっている味小路、乾杯条例にもなっている梅酒・梅干しの販売をするお土産店、道の駅、各温泉施設、ホテル旅館、キャンプ場、スポーツ施設、歴史的名所等全ての田辺の魅力をぎゅっとまとめたガイドブックを合併10周年の記念事業の一つにしてはどうかということで、当局の答弁を求めます。
以上、よろしくお願いいたします。
(11番 安達克典君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 11番、安達克典君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 議員御質問の1点目、海外からの観光客と路線バスについては私から、そのほかは担当部長からお答えいたします。
本市の外国人宿泊客数の推移につきましては、5年前の平成21年が1,647人で、昨年は5,480人と3倍を超える増加となっております。また、田辺市熊野ツーリズムビューローにおける海外からの旅行予約件数は、平成23年度に比べ、昨年は10倍を超える大幅な伸びとなっております。
さらに、本年5月にスペイン国サンティアゴ・デ・コンポステーラ市と観光交流協定を締結し、世界に2例しかない巡礼の文化的景観を持つ熊野古道とサンティアゴ巡礼の道を、今後共同で世界発信することを確認しました。こうした取り組みを通じて、本市の海外での認知度も高まり、特に、ヨーロッパを中心に、海外からの観光客がさらに増加することを期待しているところでございます。
さて、議員の御質問にもございましたように、海外からの観光客の受け入れ地としての対応としましては、言語対応が重要であると認識しております。これまでも田辺市熊野ツーリズムビューローと共同でホームページ及びパンフレットの多言語化、宿泊施設における指さしツールやエリアマップの作成、英語併記の看板類の設置、バス時刻表の英語併記、外国人観光客対応レベルアップセミナー等、ハード、ソフト面において受け入れ体制のレベルアップに取り組んでまいりました。
また、外国人観光客につきましては、長期滞在される割合が高いことから、田辺市熊野ツーリズムビューローにおいて外国人観光客に満足いただけるような旅行商品を今後も開発していくとともに、さらなる情報発信に取り組んでまいりたいと考えています。
次に、Wi-Fiの整備につきましては、海外からの観光客が気軽にインターネットに接続できるよう現在、田辺市観光センター、世界遺産熊野本宮館、田辺市文化交流センター及び道の駅2カ所に設置しております。今後も増加するであろう外国人観光客のニーズにも対応するために、計画的にWi-Fiの設置箇所をふやしていければと考えています。
次に、高野山と熊野の二大聖地を直接つなぐアクセスバスにつきましては、本市の観光戦略の上からも大変重要なルートであると認識しているところでございます。
現在、4月から11月までの週末及び観光シーズン期間中の運行となりますが、高野山から熊野本宮まで移動するには、まず高野山から護摩壇山まで南海りんかんバスで移動し、次に、護摩壇山から虎ヶ峰を経由して紀伊田辺駅まで龍神バスで移動し、さらに紀伊田辺駅から本宮方面行きのバスに乗りかえる必要があり、乗りかえを含め移動に約7時間かかります。
これまで市としましても、高野山と熊野を直接つなぐアクセスバスの運行について検討を重ねてきており、平成22年には、観光圏整備事業において3カ月間毎日運行する試験運行を実施しました。また、昨年は和歌山デスティネーションキャンペーン推進協議会において高野山から龍神、中辺路を通り、熊野本宮へ向かう高野・熊野アクセスバスを秋の行楽シーズンに9日間運行いただいたところでございます。
さらに、本年も和歌山デスティネーションキャンペーン推進協議会において、9月13日から11月3日の土曜、日曜、祝日の延べ20日間、高野・熊野アクセスバスが運行されます。本路線での移動時間は約4時間となり、現行での紀伊田辺駅経由の移動時間と比べると、3時間も短縮され、観光客の利便性が格段に向上するものと考えております。
特に、来年は高野山開創1200年記念大法会がとり行われますので、外国人を含め多くの観光客が高野山を訪問されることが予想されます。高野山を訪れた観光客が熊野に移動しやすいように、来年度以降も高野・熊野アクセスバスは必要不可欠であり、継続した運行の必要性を強く感じているところでございます。
こうしたことから、高野・熊野アクセスバスの運行につきましては、これまでの試験運行の結果を踏まえ、和歌山県を初め、交通事業者、関係機関とも連携を図りながら取り組んでまいりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 教育次長、小川 鏡君。
(教育次長 小川 鏡君 登壇)
○教育次長(小川 鏡君) 議員御質問の2点目のうち、スポーツ合宿の誘致についてお答えいたします。
スポーツ合宿の誘致につきましては、紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会後を見据えて、各スポーツ施設の効率的な運用を図るとともに、交流人口の拡大と地域の活性化を図るため、広域連携によるスポーツ合宿誘致を推進していく組織として、西牟婁振興局管内の4市町で、南紀エリアスポーツ合宿誘致推進協議会を昨年度に設立し、取り組みを進めております。
同協議会では、広域の利点を生かした戦略的な受け入れ体制の構築や情報発信を行うこと、施設稼働率の低いオフシーズンの平日にスポーツ合宿を誘致することを基本方針として確認し、本年度においてはスポーツ合宿を誘致しやすくするための予約の受付時期や受付方法、宿泊施設との連携、また合宿の際に必要な器具類の充実など、専門家や合宿を多く取り扱っている旅行会社等にも御意見をいただきながら、具体的なプランづくりを進めているところでございます。
来年の紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会には、選手、競技役員を合わせて延べ4,000人以上、チーム関係者や応援の方々を合わせますと、さらに多くの方が田辺市を訪れる見込みでございますので、市といたしましては、スポーツ合宿PRの最大のチャンスであると捉えております。
そこで、効果的なPRができるよう、これまでに専門家等からいただいた御意見のほか、議員からもお話がございましたが、弓道を初めとする国体リハーサル大会での参加者アンケートでいただきました御意見等も踏まえ、観光や特産品、交通関係の情報だけでなく、コンビニやスーパー、コインランドリーなど、スポーツ合宿関係者が必要とする情報を、スポーツ合宿専用のホームページやパンフレット等により提供していきたいと考えております。
さらに、スポーツ施設の連携利用、広域連携によるPRやプロモーション、また宿泊施設におけるサービス向上などにも取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
(教育次長 小川 鏡君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 産業部長、那須久男君。
(産業部長 那須久男君 登壇)
○産業部長(那須久男君) 私からは、まず2点目のスポーツ合宿と修学旅行誘致についてのうち、修学旅行誘致についてから残りの部分をお答えいたします。
田辺市内の小中学校の修学旅行の行き先につきましては、小学校では近畿圏内の京都、奈良、大阪方面がほとんどで、中学校は東京方面が多く、一部広島、沖縄にも行っております。また、修学旅行先での学校間の交流活動を行っている学校はございませんが、幾つかの学校におきましては、田辺市の特産品である梅のPR活動等を行っていると聞いております。
さて、田辺市では平成22年より田辺市教育旅行誘致協議会を設置し、民間事業者等と連携しながら、農家民泊での宿泊体験、ミカン狩り、梅もぎ体験等の農業体験、ミカンゼリーづくり、ジャムづくり等の加工体験、熊野古道道普請体験等の体験型修学旅行の情報提供を含めた誘致活動を行っており、関西方面を中心に今までに10校程度を受け入れております。
今後は、世界遺産である熊野古道を初めとする豊かで多様な地域資源を生かしたメニューの充実と、友好都市等の学校との交流も視野に入れ、修学旅行の受け入れについて取り組んでまいりたいと考えております。
次に、3点目のライブカメラを使った情報発信についてお答えいたします。
ライブカメラにつきましては、龍神行政局管内に3台設置しており、このうち龍神行政局と龍神温泉に設置しているのが市の所管で田辺市のホームページからアクセスでき、日高川等の状況を見ることができます。
この2台のライブカメラへのアクセス数につきましては、平成25年度で龍神行政局カメラが約4万7,000件、龍神温泉カメラが約3万8,000件となっており、特に5月から10月にアクセスが集中していることから、あゆ釣りシーズンの日高川の情報を収集していることが伺えます。
また、もう一台につきましては、ごまさんスカイタワーに設置しており、高野龍神スカイラインの冬期におけるスカイタワー周辺の道路状況の把握と、その情報発信を目的に県が設置したもので、現在の運営は龍神観光協会が行っております。
このカメラにつきましては、一般の電話回線による通信であることから、リアルタイムの情報を収集できる状態にはなっておりません。
ライブカメラの利点は、リアルタイムで河川や道路の状況など、自由に情報を得ることができるもので、観光地としての情報発信はもとより、防災面での利活用も期待できるもので、重要な機器であると認識しております。
龍神行政局管内に設置しているライブカメラにつきましては、いずれも型式が古いため、アクセス数が限られることやリアルタイムな情報を提供できていないことから、今後は県及び関係機関と協議しながら機器更新について検討してまいりたいと考えております。
次に、4点目の小森谷渓谷の現状について、お答えいたします。
当渓谷内に整備している遊歩道につきましては、高野龍神国定公園内に位置し、手つかずの大自然が残る日高川源流域の散策コースであり、四季折々にまた天候や時間帯によっていつも変化する豊かな自然の表情を楽しむことができます。また、平維盛伝説ゆかりの地として遊歩道沿線には、維盛とお万の悲しい恋物語にちなんだ白壷、赤壷、お万ヶ淵などの歴史的な史跡や伝承も豊かで龍神地域の重要な観光資源の一つであります。
しかしながら、平成23年9月に発生しました台風12号災害におきまして、遊歩道はもとより、渓谷に通じる林道も甚大な被害を受け、現在も復旧には至っておりません。
遊歩道の状況といたしましては、入り口から白壷にかけて崩土や倒木があるとともに、遊歩道の一部崩壊により歩行する際、危険を伴う箇所を数カ所確認しており、白壷から赤壷までの間につきましても、同様に崩土や倒木が見受けられる一方、木橋につきましては、破損等が見受けられない状況でございます。
また、本渓谷に通じる龍神村大熊から県道・市道を経由し、渓谷に通じる林道小森1号線につきましては、昨年9月の台風18号豪雨により、路肩が決壊した箇所があり、また、本年8月の台風11号豪雨により、遊歩道入り口手前約800メートル付近での崩土により、車両が通行できない状況になっておりまして、そのほかにもところどころ落石が見られることから、現在、通行どめとなっております。路肩復旧につきましては、本年9月から工事を開始し、来年3月末の完成を予定しているところでございます。
高野龍神スカイラインから渓谷に通じる林道小森2号線につきましては、森林所有者による施業の計画もなく、冬季の積雪や凍結により落石等も頻繁に発生していることから、安全のため全面通行どめとしているところでございます。
こうした状況により、今シーズンの紅葉時期には観光客が本渓谷を訪れることは難しい状況にありますが、自然愛好者層への誘客に努めるべく今後、遊歩道の改修に向け、計画的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、5点目の日本三美人の湯サミットとドラゴンサミットについてお答えいたします。
まず、ドラゴンサミットのこれまでの経過につきましては、辰年の昭和63年に秋田県八竜町の呼びかけで自治体名に「龍(竜)」の文字が入った全国の15市町村による交流事業として、地域間の交流と活性化を目的に第1回サミットが開催されましたが、市町村合併に伴い「龍(竜)」の文字がなくなった自治体が続出し、龍神村も平成17年4月30日をもって脱退したものであります。
なお、第17回サミットを開催した茨城県龍ケ崎市が平成18年3月に今後のあり方を各自治体に打診したところ、全自治体から発展的な解散がふさわしいとの回答があり、18年の歴史に幕が下ろされることとなりました。
次に、日本三美人湯サミットにつきましては、龍神温泉を有する龍神村が平成元年に当時の島根県斐川町「湯の川温泉」、群馬県吾妻町「川中温泉」に呼びかけ第1回サミットを開催し、平成16年の最終サミットまで計7回各町村持ち回りで開催してまいりました。
最終サミットにおいて3地域合意のもと、行政主導のサミット開催については発展的に解消することとし、今後については民間の交流を中心に事業展開していくことを確認し、平成19年に三温泉郷の関係者による民間主導の連携事業について協議が行われましたが、具体的な事業実施には至っていないのが実情であります。これまでの経過を踏まえ、まずは地元関係者の御意向を把握するとともに、先方様の現時点の考え方などをお聞きしてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、田辺市の重要な観光資源である龍神温泉のブランドは極めて価値の高いものであることから、今後においても美人の湯を全国へ発信する取り組みを進めてまいりますので、御理解を賜りますようお願いいたします。
次に、6点目の新たな観光ブック、マップについてお答えいたします。
田辺市では、現在、熊野古道を初め、市全域の観光スポットや特産品及び食べ物等を紹介した総合観光ガイドブック、「熊野路田辺」を作成し、観光客の皆様がそれぞれの目的に応じた旅を楽しんでいただけるよう田辺市観光センター、世界遺産熊野本宮館を初め、市内の各観光施設に配布しているところでございます。
また、県を初め、各観光協会や南紀みらい株式会社、飲食業組合等の団体におきましても、それぞれの地域の観光スポットを初め、宿泊施設、休憩施設、飲食施設等を掲載するとともに、最近では穴場スポットであるとか、口コミで人気が出ているお店を紹介するパンフレットも作成されております。
議員御質問のとおり、1冊で田辺の全てがわかるガイドブックがあれば、観光客の皆様にとりましては、大変便利であると思いますが、広大な市域であるがゆえに、田辺、龍神、中辺路、大塔、本宮とそれぞれにあるさまざまな詳細情報を掲載するとなると、ページ数も相当ふえるとともに、情報は常に更新する必要があることから、その都度費用が発生するものと思われます。
このようなことから、田辺市全体の魅力を伝えるガイドブックの作成につきましては、まずは現在発行されているガイドブック、パンフレット等を収集・整理し、今後、関係者の御意見も賜りながら、総合的な見地から検討してまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りますようお願いいたします。
以上です。
(産業部長 那須久男君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 安達克典君。
(11番 安達克典君 登壇)
○11番(安達克典君) 御答弁ありがとうございました。地域の特性に即した観光行政について質問させていただきました。
今回は、高野山から熊野を結ぶ路線に特化しましたが、市内にはそれ以外にも重要な路線がたくさんあります。内陸部を旅する人にとって路線バスはなくてはならない移動手段です。しかしながら、さまざまな要因で路線バスの存続が厳しい状況にあるルートがあります。これは観光客だけではなく、一般市民の移動手段としても大きな影響が出てくるものと思われます。
特に、高齢者にとっては病院への通院や市街地への買い物など、移動手段をどのように確保するのか、重要な問題であります。本市にはさまざまな地域があり、駅やバス停に近い好立地で暮らしやすい人、住民ばかりではありません。また、たとえ自動車を保有している方でも加齢による身体機能の低下により自動車の運転を続けるのが困難になってきている場合もふえてきています。
中には、運転免許証を返納される方もふえてきています。駅から遠く、自動車を保有していない高齢者にとって重要な移動手段となるのは路線バスです。乗客数の減により不採算路線については維持できなくなってきている路線があり、生活を支える路線バスを維持していくことは重要な課題であります。観光も含め、総合的な施策を今後求められていくものと思われます。そのポジションを担う企画部のこれからの施策については、厳しいチェックを議会全体で行ってまいる必要があると思いますので、全議員の皆様、よろしくお願いいたします。
そして、ライブカメラは観光面での効果に加え、増水時の防災面でも効果を発揮するものと思われます。このことを踏まえ、機器の更新について検討していただくよう要望いたします。
小森谷渓谷は何よりこの田辺市勢要覧の15ページを見ていただいたらわかると思うのですが、つり橋を歩く2人のモデルの写真が掲載されています。台風12号災害から3年、いまだ復旧されていない現実は非常に厳しいものがあります。早期復旧に向けて取り組んでいただきたいと思います。
最後に、合併10周年事業として観光部門で取り組んでいかなければならない事業とは何か、再度関係機関と協議をしていただき、平成26年度補正予算、またさらには平成27年度当初予算に向けて、これからの調整を行っていただきたいと切にお願いを申し上げ、今回の一般質問とさせていただきます。
御清聴まことにありがとうございました。
(11番 安達克典君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 以上で、11番、安達克典君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(塚 寿雄君) この場合、午後2時40分まで休憩いたします。
(午後 2時31分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(塚 寿雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 2時40分)
○議長(塚 寿雄君) 続いて、16番、中本賢治君の登壇を許可いたします。
(16番 中本賢治君 登壇)
○16番(中本賢治君) 皆さん、こんにちは。16番議員の中本賢治でございます。通告に従いまして、質問させていただきます。
ことし5月に民間の有識者で組織されました日本創生会議の人口減少問題検討分科会が昨年国がまとめられた将来推計人口のデータをもとに、2040年には日本の人口が減り続け、全国の896の市区町村が消滅の危機に直面するとの試算結果を発表しました。その理由は、若年女性の人口移動が原因で、2040年には、20歳代から30歳代の女性の数が2010年と比較して半分以下に減る自治体、消滅可能性都市が全国の49.8%に当たる896市区町村にのぼり、さらにこのうち、523の自治体が2040年には人口が1万人を切ることも予想されます。消滅可能性都市は、北海道や東北地方の山間部などに集中しており、秋田県の96%、青森県が87.5%、島根県が84.2%、岩手県が81.8%と割合が高く、和歌山県は76.7%で、県内30市町村のうち4分の3が消滅するのではと言われております。この日本創生会議の試算には、推計方法等に賛否両論があり、本当に2040年には和歌山県内の4分の3の自治体が消滅するのか、田辺市はどうなっていくのかわかりません。
しかし、合併直後と比べて確かに人口は減少してきているように思われますので、まず市の人口は合併時と比べ、どのぐらい減っているのか教えてください。そして、減少した要因については、幾つかあると思いますが、一番の原因は何だと考えるのかお聞きします。
また、これまで田辺市としても、人口増加に向けた企業誘致や空き家対策、そして他地域からのIターン等にも取り組んできましたが、取り組みの効果はどうだったのか、教えてください。
一方、この日本創生会議の推計を受け、全国の自治体では人口減少対策ということで、ベビーカーを押しやすくするための道路環境の整備や保育所、小学校、中学校の一定区域内への集約、また農家においては、女性(嫁)が農作業をしなくても、他の仕事に専念できたり、ハッピー出会い創出事業ということで、婚活イベントの企画や3人目以降の子供への公費負担拡充を図ったりするなど、子育てや働く女性が住みやすいまちづくりを紹介してきました。田辺市においても人口減少対策として各課で取り組んでいることがあれば教えていただきたいと思います。
来年は、合併して10年を迎えます。これからの田辺市を見据え、いろいろな事業を考えていることと思いますが、この人口減少対策については、市全体の問題として、具体的な取り組みをしていくことも必要ではないかと思います。田辺市は、面積が広く、地域内に点在して住んでいる住民の方もおられ、人口が減少していく中で、災害対応や行政サービス等が十分に行き渡っているとは考えにくく、地域住民の方々に十分な行政サービスや迅速な対応ができるよう、コンパクトなまちづくりを目指していくことも必要ではないかと思うので、その点も踏まえ、市の考え方をお聞きしたいと思います。
次に、扇ヶ浜海水浴場についてでありますが、この質問は今回で3回目の質問になります。1回目は海水浴場の1期工事について、2回目は海水浴場の利活用について、そして今回は海水浴客をふやしたい。市長の考えている交流人口をふやすということで、質問させていただきます。
この海水浴場は皆さんも御存じのとおり、平成17年にオープンし、以前ありました三壷崎海水浴場と違い海水浴場の近くに409台駐車できる駐車場があり、またJR紀伊田辺駅からも徒歩10分ぐらいで来ることができることから、田辺市のみならず、県内、県外からも大勢の海水浴客が訪れているところであります。そしてまた、この海水浴場には平成21年度からイルカと触れ合うイベントが行われ、年間1万人を超える来場者があり、この海水浴場の魅力の一つとなっております。
また、この海水浴場には、シャワー室や脱衣室があり、監視員室には何人もの監視員がおり、安全で安心して泳げる環境も整っており、この海水浴場の規模から申しますと、もっと利用者がいても不思議なことではないと考えるところであります。
そこで、質問です。1、海水浴場の利用客数の推移について。2、これまでの広報宣伝活動について。3、ファミリービーチとしてのPRの強化について。以上3点をお聞きしたいと思います。
これで1回目の質問を終わります。
(16番 中本賢治君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 16番、中本賢治君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 中本議員御質問の1点目、人口減少社会を見据えたまちづくりについては私から、そのほかは担当部長からお答えいたします。
まず、田辺市の人口ですが、住民基本台帳をベースに申し上げますと、平成17年の新市発足時には8万5,667人であったのに対し、平成26年8月末現在では、7万8,803人と6,864人の減少となっております。この人口減少の要因といたしましては、田辺市のみならず、全国的な少子化により出生数が死亡数を下回っていることと、転入者数よりも転出者数が多いことが挙げられますが、本市におきましては、他の地方都市と同様に若年層の修学や就労による都市部への流出が大きく影響していると考えられます。
そうした中、市では、これまで企業誘致などによる地元雇用の場の確保や移住・交流推進事業に取り組むなど、人口流出の食いとめと定住や移住の促進を図ってまいりました。
具体例を幾つか申し上げますと、まず企業誘致については、平成14年度の企業立地促進条例制定以降、これまでに製造業が3社、情報通信業が3社、特定サービス業が1社の計7社が新増設されるとともに、事業規模拡大に伴い、製造業1社が移設され、創出された雇用は延べ100名以上となっております。
また、移住・交流推進事業では、都市圏での移住交流セミナーに参加し、移住希望者との情報交換を行うとともに、実際に移住希望者を現地に招く現地体験会を開催し、空き家見学や地元住民との田舎暮らし体験を行ったり、移住後、空き家を改修する際には、改修費の一部補助を行ったりすることで、平成19年から平成25年の7年間で延べ68世帯127人が移住されております。
中には、新たに起業される方や単身移住後に結婚され、子供が誕生している方もおられ、地域の担い手として積極的に地域とかかわっていただいております。このように、それぞれの取り組みにおいて、一定の効果を上げているところですが、人口減少への対応については、今後も取り組んでいかなければならないと考えており、ほかにも安心して子供を産み育てやすい環境づくりという観点からは、妊娠から出産、子育て期にわたる切れ目のない総合施策であるみんなで子育て応援プログラムをよりよいものにしていくとともに、若者の地域への定着という観点からは、Uターン就職を支援する合同企業説明会の開催や都会から農業従事を希望する女性を対象に農家の男性を紹介するアグリパートナーサポート事業等にも引き続き取り組んでまいります。
さらに、今年度から新たに設置したたなべ営業室を中心として、全庁一丸となり、田辺市の魅力を全国の皆様に知ってもらい、そのよさを余すことなくPRすることによって、田辺市の認知度を高め、交流人口の増大や地域経済の活性化につなげていこうと価値創造プロジェクトに鋭意取り組んでいるところでございます。
人口減少に一気に歯どめをかけることは難しいかもしれませんが、人口減少のカーブを緩めることは可能だと考えております。そのためにも、市民の皆様にとって、より暮らしやすく、そしてこれからの田辺市への移住をお考えの皆様にとって、より魅力のあるまちとなるよう、全庁横断的に取り組んでまいりたいと考えております。
また、この広い市域においては、子育て、医療、交通、仕事、経済等がある程度地域内で完結することを目指すことも住みよいまちづくりの実現に向け、必要という考え方もありますが、それがコンパクトな拠点やネットワークの形成を示すものであるのか、今後、地域の実情にも応じて、考えてまいりたいと思いますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 産業部長、那須久男君。
(産業部長 那須久男君 登壇)
○産業部長(那須久男君) 議員御質問の2点目、扇ヶ浜海水浴場についてお答えいたします。
扇ヶ浜海水浴場は、扇ヶ浜総合整備事業の一環として、県営事業により整備され、平成17年度に開設いたしました。
まず、海水浴場の利用客数の推移についてですが、平成17年度は4万3,000人、18年度は4万5,000人、19年度は4万6,000人、20年度は6万1,000人、平成21年度には初めて10万人を超え、11万4,000人、22年度も10万5,000人と増加したものの平成23年度については、東日本大震災の影響も受け、5万3,000人と大きく下回り、24年度は9万人、25年度は7万1,000人、本年度は7万5,500人となっております。
本年7月は、昨年を大きく上回る3万9,000人の人出となり大いに期待していたところですが、8月に入り、台風上陸等の影響もあり、最終的には7万5,500人にとどまりました。利用者数が昨年を上回る結果となったことに関しましては、明るい材料として来年度に向け、さらなる集客に取り組みたいと考えております。
次に、広報宣伝活動についてですが、毎年7月1日の海水浴場のオープンに合わせ、市や田辺観光協会のホームページへの掲載やフェイスブック、ツイッター等のソーシャルネットワークを活用しての情報発信を行うとともに、田辺観光協会主催の海水浴場安全祈願祭には、扇ヶ浜周辺の保育園児や小学生による初泳ぎを大きくマスコミに取り上げていただくなど、海水浴場オープンの情報発信を行っております。また、海水浴場の誘客のターゲットを関西圏でのファミリー層としていることから、6月には関西空港近くの大型ショッピングモールや大阪駅、及び京都駅でのPRを実施しており、例年海水浴場オープンに合わせた広報宣伝活動を積極的に行っております。
さらに、海水浴場オープン期間中に開催しております扇ヶ浜まつり、ビーチバレーボールフェスタ、フリースタイルフェスタ等のイベント情報につきましても、機会あるごとに情報発信に努め、より多くの皆様に海水浴場へ来訪できるよう、取り組んでいるところでございます。
次に、ファミリービーチとしてのPRについてですが、ショッピングモールや駅頭でのPRの際に配布するチラシやソーシャルネットワークの画像につきましては、家族連れをイメージしたデザインによるファミリービーチを前面に出し、充実した設備のビーチハウス、良好な交通アクセス、安価な駐車場に関する情報もあわせて発信しております。
また、平成21年度から開催されているイルカふれあい事業実行委員会によるビーチサイドドルフィンイン扇ヶ浜も海水浴場と一緒にPRしており、特に家族連れの皆さんに好評をいただいているところでございます。
今後におきましても、田辺扇ヶ浜海水浴場は安全で安心して泳げる海水浴場であることを積極的にPRし、扇ヶ浜海水浴場がファミリービーチとして認知いただき、夏場の観光スポットとして、より多くの皆さんにお越しいただけるよう取り組んでまいりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
(産業部長 那須久男君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 中本賢治君。
(16番 中本賢治君 登壇)
○16番(中本賢治君) 御答弁ありがとうございます。市長もこの人口減少問題に対し、私どもよりもっと深く認識され、対応されていることと思います。全国でも同じような人口減少に悩んでいる自治体がたくさんあると先ほど紹介させていただきましたが、その中で、田辺市では、今年度からたなべ営業室を設置し、価値創造プロジェクトによる田辺の魅力を全国に発信することによって、交流人口の増大やそれに伴う経済活性化策に取り組み、一定の成果もあらわれているように思われます。そして、また国では、地方創生担当相が新しく設置され、新しい地方の幕あけとなる地方の時代がやってこようとしております。
そういうことで、国の施策を見きわめつつ、これらの組織と連携して、田辺の魅力を今後も発信していただきたいと思います。大いに期待しておりますので、頑張っていただきたいと思います。
また、田辺市の人口が減少傾向にある中で、交流人口をふやすというのも大事なことですが、まずは今住んでいる方が満足していただけるような施策も必要かと思います。今、住んでいる方が田辺はいいよと思わないと、幾ら田辺市から情報を発信しても、効果は上がらないと思います。今後も、交流人口をふやすことはもちろんですが、市民の皆さんが住みよい、また魅力を実感していただけるような、まちづくりに取り組んでいただくことを祈念しまして、この項を終わらせていただきます。
次に、扇ヶ浜海水浴場についてでありますが、海水浴場ににぎわいをもたらすことを考えてみますと、先ほどの質問で交流人口の話がありましたが、旧田辺市で観光地で交流人口をふやすとなると、大勢観光客を呼び込めるということでは、扇ヶ浜海水浴場しかないように思います。毎年、夏が来て、海水浴場に目をやりますと、ぽつんぽつんとパラソルが立っているだけで、土曜日、日曜日になっても、にぎわいがなく、本当に寂しい限りであります。
一方、白良浜はといえば、毎日朝のテレビ番組で写し出されるのですが、浜いっぱいにパラソルが乱立して、まだ朝早いというのに、すごいにぎわいであります。ことしで扇ヶ浜海水浴場は開設10年になりますが、一向に効果の上がらない現状にしびれを切らしています。
現状を打破すべく、私なりの提案をいたしますので、どうか耳を傾けて検討をお願いしたいと思います。
まず、この海水浴場の魅力はと申しますと、何といってもイルカ事業にあります。全国どこを探しても、イルカと遊べるところなどないからです。公務員の方はよく、一民間事業者に必要以上の協力はできないという固定観念を持っていたりします。その固定観念を捨てて、イルカ事業に協力してほしいのです。協力することで、効果が上がるのだったら私は積極的に協力すべきだと思います。
まず、協力の一つ目は、これは以前にも質問の中で言いましたが、ベビーカーでイルカのいけすのところまでスムーズに行けるように、舗装してほしいということです。二つ目は、イルカのいけすの横のスペースにくつろげる場所をつくってほしい。ちょっとした椅子や机、パラソルを置いて休憩できるようにしてほしい。そうすれば、炎天下でもイルカを見に来る人がもっとふえると思います。イルカ事業が順調に伸びていけば、おのずと海水浴客もふえてくると思うわけでございます。
それから、大きな項のもう一つは、名称を扇ヶ浜ファミリービーチに変更をお願いしたいと思います。わざわざ家族連れをイメージしたPRをしなくても、家族主体のビーチだと名前でわかるし、そのほうがインパクトが強いと思うわけであります。白良浜は若者、扇ヶ浜はファミリーといったすみ分けをすれば安全で、安心して泳げるとか、水がきれいとか、すぐ近くに駐車場があるとか、駐車場が格安であるとかといったように、今までPRしていたことがよりわかりやすく伝達できたりするわけでございます。そういうことで、大阪あたりの経済感覚のすぐれた家族は、間違いなく扇ヶ浜を選択してやってくると思います。
それから、もう一つ最後に高速道路の田辺のインターチェンジあたりに、扇ヶ浜ファミリービーチという大きな看板をつくってほしい。そして、インターチェンジから海水浴場に来るまでの案内版を何カ所かにつけてほしい。それだけすれば、間違いなく海水浴客がふえると思います。私の勝手な提案でありますが、一度耳を傾けていただきまして、実践していただけないかと思うわけでございます。
扇ヶ浜海水浴場をいっぱいにして、田辺市の経済活性に寄与でき、そして田辺の中心市街地が活性できることを祈念いたしまして、私の質問を終わります。
御清聴、ありがとうございました。
(16番 中本賢治君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 以上で、16番、中本賢治君の一般質問は終了いたしました。
◎日程第 2 3定議案第21号 平成26年度田辺市
一般会計補正予算(第5号)から
日程第19 3定議案第38号 平成25年度田辺市
水道事業会計利益の処分及び決算
についてまで一括上程
○議長(塚 寿雄君) 続いて、日程第2 3定議案第21号 平成26年度田辺市
一般会計補正予算(第5号)から、日程第19 3定議案第38号 平成25年度田辺市
水道事業会計利益の処分及び決算についてまで、以上18件を一括上程いたします。
ただいま上程いたしました議案18件は、本日、市長から提出のあったものであります。
提出者の説明を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) ただいま上程されました議案は、予算に関するもの1件、決算に関するもの17件でございまして、その概要について御説明申し上げます。
まず、議案第21号 平成26年度田辺市
一般会計補正予算(第5号)につきまして、その概要を御説明申し上げます。
今回の補正額は4,374万円で、ふるさと田辺応援寄附金の寄附申込件数が大きく増加していることから、紀州田辺・梅の香りお届け事業費補助金を補正するもので、今回の補正に要する財源としましては、地方交付税をもって充てることにしております。
議案第22号 平成25年度田辺市
一般会計歳入歳出決算についてから議案第37号 平成25年度田辺市
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特別会計歳入歳出決算についてまでの16議案は、いずれも平成25年度各種会計の決算につきまして、地方自治法の規定により議会の認定をお願いするもので、議案第38号 平成25年度田辺市
水道事業会計利益の処分及び決算については、平成25年度田辺市水道事業会計の決算に伴う利益を処分することについて地方公営企業法の規定により議会の議決をお願いするとともに、当該会計の決算につきまして、議会の認定をお願いするものであります。
なお、お手元に、決算書及び監査委員の意見書とともに、主な施策の成果に関する報告書等を提出いたしております。
以上、提案いたしました議案について御説明申し上げましたが、詳細につきましては、関係部課長から説明いたさせますので、よろしく御審議の上、御賛同賜りますようお願いいたします。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 続いて、補足説明を求めます。
産業部長、那須久男君。
(産業部長 那須久男君 登壇)
○産業部長(那須久男君) それでは、議案書に基づきまして、補足説明をさせていただきます。
1ページをお願いします。
3定議案第21号 平成26年度田辺市の
一般会計補正予算(第5号)は、次に定めるところによる。
第1条 歳入歳出予算の総額に歳入歳出それぞれ4,374万円を追加し、歳入歳出予算の総額を歳入歳出それぞれ476億9,931万5,000円とするもので、内容につきましては、3ページの歳出をお願いします。
農業費、農業振興費につきましては、多くのテレビや雑誌などで紹介をいただいたことで、ふるさと田辺応援寄附金の申し込み件数が3,000件を超え、今後も大幅に増加することが見込まれるため、市外在住で年間1万円以上の寄附金をされた方に対して梅干しを贈呈する紀州田辺・梅の香りお届け事業費補助金、6,000件分の増額を行うものです。
なお、補正の財源といたしましては、地方交付税を充てています。
以上をもちまして、補足説明を終わらせていただきます。よろしく御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
(産業部長 那須久男君 降壇)
○議長(塚 寿雄君) 以上をもって、提出者の説明が終了いたしました。
お諮りいたします。
ただいま議題となっております18件については、既に提出されている他の議案と同様に後日審議願うことにいたします。
これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(塚 寿雄君) 異議なしと認めます。
よって、さよう決しました。
お諮りいたします。
本日の会議は、この辺にとどめ延会し、あす9月12日午前10時から再開いたします。
これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(塚 寿雄君) 異議なしと認めます。
よって、さよう決しました。
延 会
○議長(塚 寿雄君) それでは、本日はこれをもって延会いたします。
(午後 3時11分)
地方自治法第123条第2項の規定により署名する。
平成26年9月11日
議 長 塚 寿 雄
副議長 佐 井 昭 子
議 員 真 砂 みよ子
議 員 久 保 浩 二
議 員 北 田 健 治...