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09月07日-01号

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  1. 上越市議会 1999-09-07
    09月07日-01号


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    平成11年  第3回(9月)定例会        平成11年第3回上越市議会定例会会議録(1日目)                                  平成11年9月7日(火曜日)出 席 議 員    1番   杉  本  敏  宏  君       2番   大  島  武  雄  君    4番   吉  村  信  幸  君       5番   渡  辺  明  美  君    6番   近  藤  彰  治  君       7番   市  村  孝  一  君    9番   永  島  義  雄  君      10番   小  林  林  一  君   11番   樋  口  良  子  君      12番   牧野島      清  君   13番   宮  沢  武  男  君      15番   小  林  克  美  君   16番   鳴  海  寿  一  君      17番   石  平  春  彦  君   18番   西  沢  幹  郎  君      19番   早  津  輝  雄  君   20番     野     実  君      21番   船  崎  信  夫  君   23番   田  村  恒  夫  君      24番   本  城  文  夫  君   25番   山  田   力之助  君      26番   山  口     昇  君   27番   市  川  文  一  君      28番   小  林  章  吾  君   29番   渡  辺   一太郎  君      30番   新  保  清  司  君説明のため出席した者 市    長  宮  越     馨  君 副  市  長  山  口    司  君    副  市  長  永  井  紘  一  君 副  市  長  大  野     孝  君    副  市  長  藤  原   満喜子  君 副  市  長  高  畑   佳寿子  君    副  市  長  井  上  隆  邦  君 収  入  役  松  苗  正  彦  君    教  育  長  斉  藤       君 政策審議局長  横  田  直  幸  君    財務課長    三  上  雄  司  君 都市計画課長  野  口  和  広  君    農林水産課長  駒  沢  定  雄  君 介護・健康         仲  田  紀  夫  君    地球環境課長  寺  田  清  二  君 づくり課長 文化生涯         田  村     博  君    ガス水道局長  佐  田  克  巳  君 学習課長 教育委員会         小  池     衛  君 事務局長 総務課長    東  條  邦  俊  君 教育委員会         杉  山   百合子  君 委員長 監査委員    牛  木     実  君 農業委員会         松  嶋  敏  一  君 会    長職務のため出席した事務局職員 事務局長    伊  藤   三津雄  君    次    長  白  石  行  雄  君 調査係長    笠  原  和  雄  君    係    員  高  原   るみ子  君 係    員  川  瀬  ゆかり  君議 事 日 程  第1 会議録署名議員の指名  第2 会期の決定  第3 諸般の報告  第4 議案第67号より第98号及び報告第8号本日の会議に付した事件  第1 会議録署名議員の指名  第2 会期の決定  第3 諸般の報告  第4 議案第67号 平成10年度上越市一般会計歳入歳出決算認定について     議案第68号 平成10年度上越市国民健康保険特別会計歳入歳出決算認定について     議案第69号 平成10年度上越市診療所特別会計歳入歳出決算認定について     議案第70号 平成10年度上越市索道事業特別会計歳入歳出決算認定について     議案第71号 平成10年度上越市下水道事業特別会計歳入歳出決算認定について     議案第72号 平成10年度上越市老人保健特別会計歳入歳出決算認定について     議案第73号 平成10年度上越市直江津駅南地区土地区画整理事業特別会計歳入歳出決算認定            について     議案第74号 平成10年度上越市農業集落排水事業特別会計歳入歳出決算認定について     議案第75号 平成10年度上越市地域振興券交付事業特別会計歳入歳出決算認定について     議案第76号 平成10年度上越市ガス事業会計決算認定について     議案第77号 平成10年度上越市水道事業会計決算認定について     議案第78号 平成11年度上越市病院事業会計予算     議案第79号 平成11年度上越市一般会計補正予算(第3号)     議案第80号 平成11年度上越市国民健康保険特別会計補正予算(第1号)     議案第81号 平成11年度上越市下水道事業特別会計補正予算(第2号)     議案第82号 上越市病院事業の設置等に関する条例の制定について     議案第83号 上越市自前のまちづくり基金条例の制定について     議案第84号 上越市少子化対策基金条例の制定について     議案第85号 上越市公の施設の使用料の特例を定める条例の制定について     議案第86号 職員の懲戒の手続及び効果に関する条例の一部改正について     議案第87号 上越市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正            について     議案第88号 上越市老人デイサービスセンター条例の一部改正について     議案第89号 市道路線の廃止について     議案第90号 市道路線の認定について     議案第91号 工事請負契約の締結について(有田処理施設 土木・建築工事)     議案第92号 工事請負契約の締結について(有田処理施設 機械設備工事)     議案第93号 工事請負契約の締結について(津有中部処理施設 土木・建築工事)     議案第94号 工事請負契約の締結について(津有中部処理施設 機械設備工事)     議案第95号 工事請負契約の締結について(高士西部四辻処理施設 土木・建築工事)     議案第96号 工事施行協定締結について(下小町橋架換工事)     議案第97号 事務の委託の変更に関する協議について     議案第98号 訴えの提起について     報告第 8号 専決処分した事件の承認について(平成11年度上越市下水道事業特別会計補正            予算(専第2号))          午前10時0分 開会及び開議 ○議長(新保清司君) これより平成11年第3回上越市議会定例会を開会いたします。 各位には御多忙の折、御参集いただき深く感謝いたします。 これより本日の会議を開きます。 △日程第1 会議録署名議員の指名 ○議長(新保清司君) 日程第1、会議録署名議員の指名を行います。 本日の会議録署名議員は、会議規則第81条の規定により、議長において小林克美議員及び渡辺一太郎議員を指名いたします。 △日程第2 会期の決定 ○議長(新保清司君) 日程第2、会期の決定を議題といたします。 お諮りいたします。 今期定例会の会期は、本日より9月27日までの21日間といたしたいと思います。 これに御異議ありませんか。          〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(新保清司君) 御異議なしと認めます。 よって、会期は21日間と決定いたしました。 △日程第3 諸般の報告 ○議長(新保清司君) 日程第3、諸般の報告をいたします。 議会報告第8号継続費精算報告書について、第9号マリーナ上越株式会社の経営状況について、以上2件について市長から報告がありましたので、お手元に配付のとおり報告いたします。 △日程第4 議案第67号より第98号及び報告第8号 ○議長(新保清司君) 日程第4、議案第67号より第98号及び報告第8号を一括議題といたします。 提出者の説明を求めます。 宮越馨市長。          〔市  長  登  壇〕 ◎市長(宮越馨君) おはようございます。本日ここに、平成11年第3回市議会定例会を招集し、提案いたしました案件につきまして、その概要を御説明申し上げます。 最初に、市民並びに議員の皆さんの御理解を得て、副市長制の導入を初めとする行政改革を実践し、新たな体制で市政運営に取り組んでから、早くも2カ月が経過いたしました。それぞれの担当部門において、専門的な識見を有する副市長が先頭に立って行政執行に当たっているところであり、このたびの改革の効果が期待どおり発揮されるものと確信をしているところであります。 折しも7月には地方分権一括法が成立・公布され、地方が本格的な「自己決定・自己責任」の時代を迎える中で、住民本位の効率的な自治体経営を実現するため、職員と一丸となって、さらなる努力を続けてまいる所存でありますので、市民並びに議員の皆様の御理解・御支援を重ねてお願い申し上げます。 それでは、提案いたしました案件につきまして、御説明いたします。 議案第67号は平成10年度上越市一般会計の、また議案第68号から第77号までは各特別会計の歳入歳出決算の認定についてでありますが、認定に付すに当たり、10年度の財政環境及び収支の状況と主要事業の成果について御説明いたします。 昨年1月19日に閣議決定された「平成10年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」によれば、我が国経済はいまだ景気の回復軌道に乗っていないものの、経済対策や特別減税の実施、金融システムの安定化措置などによって回復軌道に復帰してくるものと考えられるとし、国内総生産(GDP)の成長率は名目で2.4%、実質で1.9%程度になるとの見通しが示されました。 そして、国の平成10年度当初予算は、財政構造改革・集中改革期間の初年度に当たって、一般歳出を前年度当初に比べ1.3%減と、11年ぶりのマイナスで編成されましたが、それでも7兆1,300億円もの膨大な赤字国債の発行を余儀なくされるなど、財政状況は一段と厳しいものとなりました。 また、地方財政計画もおおむね国と同一の基調で策定され、公債費等を除いた一般歳出は1.6%減と、初めてマイナスとなりましたが、5兆4,000億円もの財源不足が見込まれ、それを地方債や交付税特別会計での借り入れなどで補わざるを得ないという大変厳しい内容となりました。 このような情勢のもとで平成10年度がスタートいたしましたが、金融機関の経営破綻に端を発した金融システムの動揺や雇用環境の悪化、個人消費の低迷など、景気は極めて厳しい状況となり、年度開始早々の4月24日には総額16兆6,500億円に上る総合経済対策が決定されたのであります。 しかし、景気はその後もさらに悪化・低迷を続け、10月にはGDP・実質成長率の政府見通しがマイナス1.8%と大幅に下方修正され、2年連続のマイナス成長が確実な情勢となりました。 こうしたことから、政府では11月16日に財政構造改革法の凍結を打ち出すとともに、総額24兆円に上る緊急経済対策を決定し、我が国経済を一両年のうちに回復軌道に乗せることを目指して取り組むことといたしました。 当市の平成10年度予算も、こうした厳しい財政環境のもとで市政全般にわたる総点検・総見直しを進めながら、「人・環境・まちづくり」を基本に据えて編成いたしましたが、国・地方が総じてマイナス予算とする中で、私は地元の景気に最大限配慮し、前年度当初に比べ2.3%増(一般会計)の「ふんばり型予算」を編成したところであります。 そして、景気対策特別資金など各種融資の利率の引き下げや工事の前倒し発注など、できる対策から早速実施に移すとともに、4月16日には各界各層の代表者から成る「上越市景気対策懇談会」を立ち上げ、市民生活や企業活動の現場における景気の実態をつぶさに把握しながら、一般会計・特別会計合わせて約90億円にも上る景気対策補正予算を組み、力いっぱい景気回復に向けた取り組みを続けてまいりました。この中で、公共事業の追加のみならず、雇用対策の新たな取り組みとして、就職未定者等を緊急暫定的に市で雇用する「緊急雇用対策特別採用職員制度」を創設したほか、住宅建設の促進を図るための住宅建築資金貸付金利子補給制度景気対策特別資金融資に係る損失補償制度の創設など、新たな視点での対策にも積極的に取り組み、さらには県内のトップを切って郵送による確実な方法で地域振興券の交付も開始するなど、一日も早い景気回復を願い、さまざまな対策を迅速に講じたところであります。 それでは、決算の概要及び特徴等について、一般会計を中心に御説明いたします。 まず、歳入でありますが、その根幹をなす市税は、当初予算を3億2,700万円余り(以下、万円未満省略)下回る193億1,508万円の決算となり、前年度に比べて3億9,979万円、2.0%の減少となりました。税目別に現年課税分を中心に説明いたしますと、個人市民税所得割は給与所得など総合課税分の所得が前年に比べ2.2%の伸びにとどまるとともに、総合経済対策の一環として特別減税が追加実施されたことなどにより、当初予算を3億2,600万円余り下回る56億3,998万円の決算となり、前年度に比べて6億9,281万円、10.9%の減となりました。また、法人市民税の法人税割は、製造業などの一部企業が伸びを示しましたが、景気の低迷を反映して建設業、卸・小売業等が総じて減収となりました。この結果、決算額は当初予算を7,800万円余り下回る21億8,923万円となり、前年度に比べて1億8,741万円、7.9%の減となりました。一方、固定資産税は前年度に比べ3億9,033万円、4.8%増、当初予算に対して7,053万円増の85億3,347万円となりました。内訳を申し上げますと、土地は課税標準額を段階的に評価額に近づける負担調整措置などにより2.1%増に、家屋については長期にわたる景気低迷により新増築の件数は前年度より減少しましたが、税額全体では6.0%増に、また償却資産ではガスパイプラインの敷設など一部企業で設備投資が進んだことにより7.5%増となりました。次に、市たばこ税は前年度に比べ2,006万円、2.3%増の8億7,951万円に、また軽自動車税は新規格軽自動車の発売に伴って四輪乗用車が引き続き好調な伸びを示し、前年度に比べて3.3%増の2億429万円となりました。このほか特別土地保有税は、税制改正により所有後10年を経過した土地に対しての課税が廃止されたことなどにより12.8%減の5,455万円に、また都市計画税は3.7%増の10億1,073万円となりました。 地方譲与税は、当初予算を2,400万円余り上回る4億7,765万円となりましたが、税制改正に伴って消費譲与税が廃止されたことから、前年度に比べると2億2,900万円、32.4%減少いたしました。 利子割交付金は、引き続く低金利環境にあって当初予算を106万円下回る1億5,093万円となり、前年度に比べ5,661万円、27.3%の減少となりました。 地方消費税交付金は、制度創設から2年目に入り平年度化されたことにより、前年度に比べ10億9,837万円の大幅な増となり、当初予算を7,700万円余り上回る14億1,733万円の決算となりました。 地方交付税は、当初予算を5億9,600万円余り上回る66億3,654万円で、前年度と比較すると6億2,840万円、10.5%の増となりました。内訳では、普通交付税が当初予算を4億6,600万円余り上回る55億3,639万円となりましたが、景気対策に伴う費用が算入されたことや上越地域広域行政組合し尿処理施設建設に係る事業費補正などにより、前年度と比べて10.9%増の交付決定となりました。また、特別交付税では、景気対策のほか、介護保険制度開始に向けての体制整備に係る経費が新たに算入されたことなどにより、前年度に比べ8.4%増の11億14万円となり、当初予算を1億3,000万円余り上回る結果となりました。 使用料は、当初予算を490万円余り下回る6億8,249万円の決算となりました。施設の運営に当たっても、常に経営感覚を持って点検・見直しを行い、今後とも一層市民の皆様が利用しやすい運営に努めていきたいと考えております。 国庫支出金は、児童数が増加している高志小学校の校舎増築に係る公立学校施設整備費負担金が1億205万円交付されたことなどにより、前年度に比べて2億5,204万円、6.9%増の38億8,355万円となりました。また、県支出金は本年4月にオープンした「くわどり湯ったり村」の建設などリフレッシュビレッジ事業に係る補助金などにより、前年度に比べ5億1,858万円、22.0%増の28億7,341万円となりました。 財産収入は、預金利子及び土地売払収入などで7,531万円の決算となりました。 繰入金では、各種事業の財源に充てるため財政調整基金から5億円を繰り入れたほか、減債基金から1億3,000万円を繰り入れて市債の繰上償還に充てました。また、上越科学館の運営財源の一部として上越社会文化施設運営基金から3,200万円の繰り入れを行いました。 市債は、前年度に比べて24.1%増の51億4,660万円となりましたが、繰り越し事業分を起債許可年度に戻して許可額ベースで比較いたしますと、平成10年度債は55億3,590万円で、当初予算と比較して16億1,460万円の増加となりました。これは、前段でも申し上げましたとおり、一日も早い景気回復に向けて、国庫補助事業も活用しながら積極的に景気対策事業を実施しましたが、その財源として14億5,390万円の市債を発行することとしたこと、また総合経済対策の中で特別減税の規模が拡大されたことに伴い、減税補てん債を3億4,420万円増額せざるを得なかったことなどによるものであります。一方、いわゆる通常分につきましては、市債の充当事業を厳選し、引き続き抑制努力を重ねたことにより、当初予算に比べて7,870万円を減額し、28億3,620万円の発行といたしました。この結果、平成10年度末における一般会計債の残高は、平成9年度末に比べて約19億9,700万円ふえて455億8,000万円余りに、またこのうち通常分は約2億3,000万円増加して314億800万円余りになりました。なお、特別会計の市債残高は、快適なまちづくりを目指して下水道事業を引き続き力いっぱい推進した結果、前年度より約61億4,600万円増加し、397億2,400万円余りとなりました。 続いて、歳出の概要を性質別の区分に従って御説明いたします。なお、決算統計における普通会計の数値とは異なる部分がありますので、御了承いただきたいと存じます。 まず、経常経費では、人件費が退職手当の減少などにより1.0%の減に、物件費は新たに介護保険制度準備費が増加したことなどで2.2%増に、また扶助費は保育所措置費や生活保護費の増加などにより5.2%増に、補助費は広域行政組合ごみ処理施設に対する負担金や本町大町地区土地区画整理事業清算交付金の増などで20.2%と、それぞれ増加いたしました。市債の元利償還金は49億8,458万円の決算となりましたが、定時償還分が前年度より4.1%増の48億3,106万円となり、これに加えて1億5,351万円の繰上償還を行いました。これらの結果、経常経費は全体で299億3,866万円となり、前年度に比べて4.0%の増加となりました。 積立金は、財政調整基金に2億円余りを積み立てるなど、全体で2億1,222万円の決算となりました。適切な財政運営に努めながら、今後の財政需要に備えて財政調整基金に積み立てをいたしましたが、その結果、平成10年度末における財政調整基金の保有高は21億5,600万円余りとなりました。 繰出金は、上越地域水道用水供給企業団及び直江津駅南地区土地区画整理事業特別会計に対する繰り出しが事業費の増加等に伴ってふえたことから、前年度に比べ4億3,176万円の増となりました。 貸付金は、景気に配慮した当市の融資施策の充実により、景気対策特別資金の貸し出しが大幅に増加するなど、前年度より38.7%、19億3,500万円余り増の69億3,885万円となりました。 普通建設事業費は、前年度に比べ14億2,185万円、16.0%増の103億3,585万円になりました。平成10年度も土地区画整理事業や街路事業などの都市基盤の整備を引き続き推進するとともに、建設を進めてきたリフレッシュビレッジ事業や多機能型拠点施設雁木通りプラザ」などを完成させることができました。また、一日も早い景気回復を目指して、農村活性化住環境整備事業や中通住宅の建設、高志小学校の校舎増築など、多くの事業に全力を挙げて取り組んできたところであります。 以上の結果、一般会計の決算額は、歳入総額529億6,887万円(前年度比11.1%増)、歳出総額513億7,413万円(前年度比10.7%増)となり、歳入歳出差し引きは15億9,473万円、ここから繰越明許費によって平成11年度へ繰り越した4億6,638万円を差し引いた実質収支では11億2,835万円の黒字になりました。 決算統計で分析された主な財政指標を見てみますと、経常収支比率は退職手当の減少などに伴って人件費で2.2ポイント下がった一方、広域行政組合への負担金が増加したことなどにより、補助費で1.2ポイント上がり、全体では前年度に比べて0.9ポイント低い78.1%になりました。公債費比率は、これまでの市債発行の抑制努力などにより、前年度より0.5ポイント下がって15.4%に、また公債費負担比率も0.6ポイント下がって15.4%になるなど、改善される結果となりました。 なお、国民健康保険や公共下水道など八つの特別会計は合わせて、歳入総額332億7,994万円(前年度比12.1%増)、歳出総額323億620万円(前年度比11.5%増)となりました。 当市にとって来る21世紀へ確かな第一歩を踏み出す重要な時期を迎える中で、平成10年度は「人・環境・まちづくり」を政策の基本に据え、のびやかJプランに掲げた「みどりの生活快適都市・上越」の実現を目指して、自然・生産、そして生活が快適に調和するまちづくりに全力を挙げて取り組んでまいりました。以下、その主なものについて御説明いたします。 まず、安心して暮らせる地域社会づくり、市民福祉と防災対策の充実についてであります。 少子高齢化が進む中で、安心して子供を産み育てることができる環境を整備するとともに、だれもが住みなれた地域で安心して生活していくことができる環境を早急に整えなければなりません。このため、「上越市社会福祉計画」に掲げた施策実現のスピードアップに努め、2年前倒しでその目標をほぼ達成いたしましたが、平成10年度もさらにデイサービスセンターの建設を初め、施設整備及びサービスの拡充に力いっぱい取り組みました。また、平成12年度からの介護保険制度に対しても万全を期して準備を進めたところであります。 当市における高齢化率は、平成11年3月末には1年前に比べ0.5ポイント上昇して18.8%となり、介護や支援を必要とする要援護高齢者の数も年々増加しております。このため私は、市内6カ所の在宅介護支援センターとも密接に連携を図りながら、支援体制の整備充実に努め、さまざまな施策を展開いたしました。 在宅福祉サービスでは、介護保険制度の施行も視野に入れながら、デイサービスを土曜・日曜や祝日にも拡大し、ホリデイサービスとして市内2施設で開始したほか、ショートステイでは延べ1万4,700人余りに、また訪問入浴サービスは延べ約3,700人に利用していただくなど、サービスの拡充を図りました。さらに、市内8番目のデイサービスセンターとなる「デイホーム三郷」の建設に着手したほか、痴呆対応型老人共同生活援助事業(痴呆性老人グループホーム)も開始いたしました。 また、自立支援、介護予防の面からの取り組みとして、75歳以上の高齢者を対象に、市内の公共施設の利用料を半額に減免する「シニアパスポート」を配布したほか、公民館の地区館等を利用して、ひとり暮らし高齢者や虚弱高齢者世帯を対象に「のびやかデイサービス」を開始いたしました。 なお、昨年10月にオープンしたシニアセンター「本町ふれあい館」は、高齢者の方々の創作活動の場として、また世代を超えた交流の場として多くの方々から利用していただいております。 障害者福祉では、障害を持つ人々が自立した生活を営み、主体性を保ちながら社会参加できるように、施設の整備や在宅サービスの充実など、さまざまな支援策を引き続き推進いたしました。 施設整備面においては、社会福祉法人が取り組んだ重度知的障害者の通所授産施設「南さくら工房」の建設を支援したほか、上越圏域22市町村が協力して糸魚川市内に建設を進めてきた知的障害者入所更生施設「メモリアルホームみずほ」も、この7月に竣工したところであります。 また、在宅の障害者やその家族に対してきめ細かなサービスの提供に努め、障害者生活支援事業を初め、介護者用自動車改造費助成事業及び障害者住宅リフォーム助成事業を引き続き実施したほか、障害者がみずから自動車を運転する場合の燃料費の一部助成も新たに開始いたしました。 さらに、重度心身障害者医療費助成事業では薬剤費の一部負担金についても助成し、本人負担の軽減に努めたほか、在宅介護手当支給事業や各種助成事業も継続して実施し、介護者の負担緩和にも意を用いるとともに、補装具や日常生活用具の給付、福祉タクシーの利用助成など、障害者の生活を支援する施策を力いっぱい展開いたしました。 児童福祉では、保護者の就労形態や保育ニーズの多様化が進む中で、安心して子育てができる環境を整備するため、「休日一時保育」や育児の援助活動を行う「ファミリーサポートセンター運営事業」を新たに開始したほか、病気回復期の児童を預かる「乳幼児健康支援一時預かり事業(がんぎ通り保育室)」も新設いたしました。また、乳児受け入れ施設の整備充実を推進するとともに、子育てにかかる家計負担を軽減するため、多子世帯や中間所得者層の保育料の軽減にも引き続き配慮をいたしました。 さらに、核家族化に伴う保護者の子育て不安解消を図るため「地域子育て支援センター事業」の充実に努めるとともに、遊びを通して子供たちの自主性や社会性を育てる「放課後児童クラブ」も、新たに高志児童館を加えて6カ所で実施いたしました。 次に、市民の健康づくりについてでありますが、健康で安心・安全・快適なまちづくりを目指して平成7年度から取り組んでいる「健康回復5か年計画推進事業」では、各地区の健康教育相談や小学校の授業等の中で無理なく健康づくりに取り組める「ヒント」を紹介したダイジェスト版やウオーキングマップを活用した健康教育を展開し、市民一人一人が健やかで充実した人生を送ることができるよう支援に努めました。そして、10月には市民7,000人の参加を得て「健康まるごとフェスタ'98」を、また12月には「食フォーラム」を開催するとともに、広報じょうえつに健康回復情報を掲載するなど、健康意識の高揚を図りました。 また、各種健康診査では検診を受けやすい体制づくりに努めるとともに、「30歳アニバーサリー健診」、「はつらつミディ女性セミナー」、「男性のためのがん予防教室」など、性別やライフスタイルに適した健康教育、健康相談を実施いたしました。 一方、母子保健では、乳幼児の健康診査における各種相談・指導を充実するとともに、安心して子育てができるよう、育児に関する情報提供や仲間づくりを支援するため「子育てわくわくフェスタ」を開催し、関係団体とのネットワークの構築に努めました。 さらに、疾病の早期発見や早期治療を促進するため、就学前までの児童にかかる入院医療費の助成事業も引き続き実施し、妊娠・出産から子育てに至る体系的な支援策の充実に努めました。 続いて、防災対策についてでありますが、阪神・淡路大震災を契機として3年計画で取り組んでまいりました防災アセスメントと上越市地域防災計画の見直しが完了したことから、防災計画書を作成し、各町内会を初め関係機関へ配布いたしました。また、防災マップを全戸に配布したほか、引き続き自主防災組織の結成・育成に努め、平成10年度末現在で161の組織が結成されるに至りました。一方、市職員の災害対応の迅速化と円滑化を図るため、災害時の行動マニュアルを作成し、職員の防災意識の徹底に努めたところであります。 また、施設整備の面では、消防器具置き場を3棟改築し、防火水槽や消火栓を新設・移転して消防水利の充実を図るとともに、小型動力ポンプ9台、積載車6台を更新配備するなど、その充実に努めました。なお、平成10年は7月、8月、9月と相次いで風水害が発生しましたが、消防団を初めとした関係者の迅速かつ懸命の対応により被害を最小限に食いとめることができたものと考えております。 次に、のびやかな感性を持った人づくり、教育文化の向上と人づくりについてであります。 学校教育の面では、次代を担う子供たちの豊かな感性や創造力、たくましく生きる力をはぐくむため、全小中学校で「のびやかスクールプロジェクト事業」に取り組んだほか、小学生を対象とした「上越子どもの船事業」や、地域の環境に親しみ、郷土の身近な自然に触れる「私たちの川・海ふれあい体験活動事業」を実施するなど、それぞれの地域の特性を生かした体験学習活動に取り組みました。そして、こうしたさまざまな体験活動等で得た学習成果の情報発信や他校との学習情報の交換など、コンピューターを活用した学習活動も推進いたしました。 また、これからの国際社会に生きる子供たちを育成するため、外国人指導助手を4人から5人に拡充して中学校の英語指導の充実を図るとともに、小学校の英語会話クラブにも講師を派遣するなど、基礎的語学力を身につけて国際的視野を広げる取り組みを推進いたしました。 さらに、いじめや不登校などの諸問題に適切に対処するため、家庭、地域、学校が連携を密にし、学校訪問カウンセラーによる児童生徒及び保護者や家庭への相談・指導などに積極的に取り組みました。 施設整備の面では、平成9年度から建設を進めてきた直江津中学校体育館を完成させたほか、給食調理室の衛生管理の徹底を図るため、高志小学校・富岡小学校に新基準のドライシステム方式を導入いたしました。また、景気対策の一環として補正予算を組み、宅地開発等に伴う児童数の増加によって教室が不足していた高志小学校の校舎増築や、障害を持つ児童の利便性の向上を図るための高田西小学校エレベーター設置工事、さらには老朽化した直江津中学校プールの改築にも取り組みました。このほか城北中学校など4校では、さまざまな悩みを持つ生徒が落ちついて気軽に相談できるように、間伐材を有効利用した心の相談室も整備いたしました。 次に、社会教育の面では、子供たちの考える力、生きる力、助け合う気持ちをはぐくむため「青少年チャレンジクラブ」を実施し、地域の自然環境について関心を高めるとともに、外国人との交流を通して異文化に対する理解を深めるなど、さまざまな活動を展開いたしました。 公民館では、子育て中の女性も気軽に学習できる体制を整えながら、さまざまな学習ニーズの高まりに対応して「ふるさと伝承料理」や「ハーブを育てる講座」など、新たに4講座を加え、陶芸、パソコンを初め、子育てセミナーや健康講座等の人気講座も継続して実施いたしました。 図書館では、ブックリサイクルも活用した蔵書の充実を図るとともに、夜間の開館時間延長試行などでサービスの向上に努めた結果、年間利用者数、貸し出し冊数ともに前年度に比べて11%ほど増加し、利用者は11万7,000人、貸し出し冊数50万8,000冊余りになりました。中でも「上越こども読書の日」制定1周年事業として開催した「図書館こども祭り」では、読書に励んだ子供たちを表彰するとともに、加古里子絵本原画展や記念講演会などの多彩な催しを行いました。さらに、山本晃マンガ原画展や歴史講座等も行いましたが、これら一連の事業展開が図書館に対する関心の高まりと利用者の増加につながったものと考えております。 総合博物館では、絵本作家として有名な「いわさきちひろ展」を開催し、3万1,000人もの方々から透明な画風に潜む愛と夢のメッセージを堪能していただくとともに、「齋藤三郎の芸術展」では高田の風土に生きた先人を回顧いたしました。また、雁木通り美術館では、美人画で知られる「伊東深水素描展」を開催いたしました。さらに、今世紀末最大の感動と言われた「タイタニック引上げ品展」は、多くのボランティアの協力をいただきながら、国内地方都市では唯一当市で開催することができましたが、当市出身の細野正文氏が事故直後につづった迫真の手記を初め、200点に及ぶ貴重な遺品類を広く紹介いたしました。 文化財保護関係では、春日山城跡の公有地化を引き続き推進するとともに、今後の整備指針となる「春日山城跡整備5か年計画」を策定いたしました。また、慶長3(1598)年、上杉景勝公が会津へ移封されてから400年の節目に当たることから、上杉氏の遺徳をしのぶ記念フォーラムを開催し、貴重な歴史遺産を後世に伝えていく方策について討論をいたしました。さらには、御屋敷跡の発掘や本長者原廃寺跡のレーダー探査を行い、今後の調査資料を収集するとともに、埋蔵文化財センター建設に向けた基本計画も策定いたしました。 また、上越教育大学が昭和53年10月の開学以来20周年を迎え、記念講演会や留学生と市民との交流会など、多彩な市民参加の記念事業が、当市も支援する中で開催されましたが、これからも市民と大学、そして行政が一体となって、人づくり、まちづくりを推進してまいりたいと考えております。 文化の振興については、これまでも最大限意を用いてきたところでありますが、平成10年度もさまざまな文化事業や文化施設の整備充実に積極的に取り組みました。 市民一人一人が心豊かに生きがいのある充実した生活を送るためには、自主的、自発的に生涯学習に取り組むことが重要であります。この学習活動を支援し、活動の成果を生かしたまちづくりを進めるため、「上越市生涯学習推進会議」を設置するとともに、これからの生涯学習社会のあり方や推進のための基本的施策の方向性を示した「上越市生涯学習推進基本構想」を策定いたしました。 上越文化会館では、世界屈指のピアニストであるアシュケナージが指揮する「チェコフィルハーモニー管弦楽団」による夢のコンサートを堪能していただくとともに、世界的なソプラノ歌手・崔岩光による公演など、七つの文化事業を実施いたしました。また、リージョンプラザ上越は、上越圏域のコミュニティー活動・文化活動の核として多くの方々から御利用いただいておりますが、全国各地から1,300人を超える参加者を迎えて開催された第2回「えちご・くびき野100kmマラソン」では、メーン会場として事業運営を支援いたしました。 坂口謹一郎博士顕彰事業では、「酒と文化の研究所」の基本構想を策定するとともに、「日本酒と地域文化」をテーマにした講演会を開催いたしました。また、当市出身の日本画家である小林古径画伯の旧邸復原工事に着手いたしましたが、古径邸は近代数寄屋建築の第一人者で文化勲章受章者の吉田五十八氏の作品であり、希少価値の高い文化遺産として評価を得ている建築物でもあることなどから、当市の文化の新たな拠点として、その完成が待ち望まれているところであります。 平成6年度から進めている市史編さん事業は、待望の「上越市史」第1回配本別編5「藩政資料一」を出版したほか、叢書「桑取谷民俗誌」及び機関誌を刊行いたしました。また、歴史資料を貴重な文化遺産として次代に継承していくため、引き続き全国各地に点在する資料の調査・収集に努める中で、新たに市史講座を開催し、調査研究の成果を広く紹介いたしました。 女性政策の面では、「上越市女性行動計画」に基づいて、女性も男性も性別にとらわれることなく、心豊かに生活できる地域社会づくりを積極的に推進いたしました。女性大学講座や女性大学院講座に加えて、新たに「男性講座」も開講し、男女共同参画についての理解を深めるとともに、「地域慣習ジェンダー研究会」を発足させ、家庭や地域を取り巻く女性問題の実態について調査研究を行い、問題解決の推進を図りました。さらに、広く市民の皆さんから女性問題や女性政策について理解を深めていただくため「じょうえつ女性シンポジウム」を開催したほか、女性政策情報誌を全世帯に配布いたしました。 次は、環境重視のまちづくり、環境対策の推進についてであります。 今日の環境問題を克服するためには、何よりもまず私たち一人一人が意識改革やライフスタイルの変革を図り、主体的な取り組みを実践することが求められております。このため当市では「人・環境・まちづくり」を基本理念に、美しい緑の自然と共生しながら、地域社会の豊かさや快適さを生かしたまちづくりを積極的に進めてまいりました。 こうした中で、特に平成10年を「環境行動元年」と位置づけ、全国の自治体に先駆けて国際的な環境マネジメントシステムであるISO14001の認証を取得したのを初め、「地球環境シンポジウム」の開催や「地球環境都市宣言」、「上越市環境大賞」の創設など、地方自治体として先導的な役割を果たしてまいりました。そして、このような環境に対する総合的・体系的な取り組みを進めてきた結果、権威ある「地球環境大賞・優秀地方自治体賞」を自治体として初めて受賞するなど、各方面から高く評価されたところであります。特にISOの認証取得は、日本経済新聞社が全国の都市を対象に行った行政革新度調査の「効率化・活性化度」部門で上越市が1位にランキングされる大きな要因になりました。 こうした経過を踏まえながら、平成10年度は環境の保全・改善と継続的な環境改善活動の一層の広がりを図るための施策を推進いたしました。 まず、市民の自主的・継続的な環境活動の一層の広がりを図るため、市内3小学校区で「環境のまち整備モデル事業」に取り組み、多くの皆さんの参加を得て、大きな成果を上げることができました。 新エネルギーの導入促進の面では、住宅用太陽光発電システムや低公害車の購入に対する助成制度を新設するとともに、雁木通りプラザの太陽光発電システム設置や風力発電を導入するための風況調査など、省エネルギー及び新エネルギーへの転換に向けた取り組みを推進いたしました。 また、市民と事業者、そして行政が三位一体となって環境負荷の低減を実現するため、市民及び事業者の代表の皆様から提言をいただきながら、環境基本計画に基づいた「環境行動計画」を策定するとともに、環境に対する意識の高揚を図るため、環境人形劇や環境ミュージカル、さらには国際環境マンガ展を開催したほか、「環境家計簿」の取り組みも推進いたしました。 私たちの日常生活に密接なかかわりを持つごみの減量化、資源リサイクルへの取り組みでは、電動生ごみ処理機購入費補助制度を創設したところ、環境に対する意識の高まりの中、予想以上に反響が大きく、追加補正を組みながら、1,504台に補助いたしました。 このほか環境パトロール員制度を創設し、環境に優しい低公害車を活用して、不法投棄の防止やごみの分別方法の指導など、積極的に環境美化運動に取り組むとともに、ゼロ・エミッションを目指した資源循環型社会を形成するため、エコタウンプラン策定に向けた事前調査も実施いたしました。 「緑」は、都市を構成する重要なアメニティー要素であるとともに、環境問題においても重要な役割を果たすことから、「市民による身近なところからの緑づくり」に主眼を置いて各種施策を推進いたしました。 まず、二酸化炭素を多量に吸収し、木材にかわる紙資源として期待される環境植物「ケナフ」の試験植栽を行いましたが、刈り取りには多数の市民の皆様から参加していただくなど、環境意識の啓発に大きな成果を上げることができたほか、空閑地への植栽活動に対する支援も積極的に行いました。 また、雄大な自然環境の中で森林や生き物に触れ合い、自然との共生を目指す「市民の森」の基本計画を策定いたしました。 なお、公園等における除草剤の使用を全廃するなど、環境に配慮した快適で安全な施設の維持管理に努めました。 次に、グリーンアメニティー30万人都市機能づくり、拠点都市基盤の整備についてであります。 今当市では、高速交通網の整備を初め、数々の大型プロジェクトが着々と進展しております。 積年の悲願でありました北陸新幹線は、これまでの地方分権主義に根差した精力的な取り組みが実を結び、「長野・上越間のフル規格着工」が正式に決定され、昨年3月28日にJR脇野田駅構内において起工式がとり行われました。また、11月20日には上越市内での実質的な工事着手となる中心くい打ち式がとり行われた中、関係地権者の御理解を得て中心線測量も完了し、あわせて飯山トンネルの富倉工区では本格的な掘削工事が着手されるなど、建設工事は着実に進展しております。そして、財政構造改革法の抑制解除に伴い、長野・上越間が早期に完成する方向性も見えてきたことから、首都圏及び長野と北陸地方との連結点となる上越市の玄関口にふさわしい(仮称)上越駅周辺のまちづくり計画の策定にも取りかかりました。 また、上信越自動車道も本年10月30日に上越ジャンクションまでの全線が開通し、北陸自動車道と結節する運びとなりましたが、こうした基幹プロジェクトのインパクトを視野に入れ、景気対策にも十分配慮しつつ、総合的・体系的な都市機能づくりを力いっぱい推進いたしました。 新都市市街地機能強化事業では、地球環境時代における公共交通の利用促進や中心市街地機能の向上を図るため、信越線のあり方や鉄道連続立体交差化等を総合的に検討いたしました。また、山麓線及び山麓グリーンベルト整備事業では、山麓線沿線ゾーンにおける美しい環境・景観の創出について検討するとともに、南インター周辺整備事業では、先端技術産業・流通業務などの計画的なまちづくりを進めるために、土地の高度利用について検討いたしました。 まちづくり政策推進事業では、「上越市まちづくり市民大学」を引き続き開講するとともに、まちづくりコーディネート事業も実施いたしました。また、「みどりの生活快適都市・上越」を紹介するPRビデオを制作して、ふるさと上越ネットワーク会員などに広く配布し、「ひと・もの・情報」のネットワークづくりと情報発信に努めました。 生活環境の質的向上を図り、安全で快適なまちづくりを実現するためにはインフラの整備が欠くことのできない要素であります。このため、平成10年度も下水道や道路を初めとした都市基盤の整備を力いっぱい進めました。 公共下水道の整備は、平成8年度からスタートした第8次下水道整備計画の3年目に入り、事業認可区域を拡大して116.6ヘクタールの管渠整備を行い、新たに129.9ヘクタールの区域で処理を開始いたしました。この結果、平成10年度末における普及率は、前年度末より3.3ポイント向上して25.5%となり、流入水量の増加に対応するため、引き続き終末処理場の消化タンク・ボイラー棟の建設を進めました。なお、農業集落排水を含めた普及率では、前年度より4.2ポイント向上し、28.3%となりました。 道路整備事業では、身近な生活関連道路の整備を初め、山麓線や上越高田インターチェンジにアクセスする中田原下箱井線など地域幹線道路の整備を推進いたしました。また、県営南部工業団地の支援道路として国道石橋新田線の整備を進めたほか、消雪パイプの管理一元化と地下水の効果的な利用を図るため、消雪施設集中管理システムを導入し、冬期間の効率的な道路除雪に努めました。 都市計画事業では、都市の現況を把握するための基礎調査を実施したほか、景観条例制定に向けた作業に着手いたしました。市街地の活性化と市民の交流の拠点として早期の完成が待ち望まれておりました多機能型拠点施設は、太陽光発電装置も設置するなど、環境に配慮した工夫も取り入れながら建設を進めてまいりましたが、平成10年度で完成し、本年4月に多くの市民の皆さんの参加を得て、竣工式を行いました。また、名称につきましては、市民の皆様からの御提案を参考に「雁木通りプラザ」と命名いたしました。 土地区画整理事業では、高田駅前地区の建物移転を進めるとともに雁木風アーケードの建設に着手いたしました。また、直江津駅南地区の自由通路整備事業についても、景気対策に伴う追加補正を組みながら、早期の完成を目指して力いっぱい事業を推進いたしました。土地区画整理組合が実施してきた春日山地区の区画整理では、中屋敷藤野新田線の信越本線立体交差がようやく完成したほか、子安鴨島地区、木田新田地区の整備もほぼ完成するとともに、関川東部地区では平成5年から行ってきた事業が完了いたしました。 街路事業では、本町通り北谷内線で信越本線立体交差事業を進めるとともに、下小町橋の設計を行ったほか、直江津駅前通り線など3路線の改良等を進めました。 公園整備では、高田公園、五智公園などで修景工事や植栽を行うなど緑化を進めたほか、市民、事業者、行政が連携して緑の保全と緑化を推進するための指針となる「緑の基本計画」に関する策定検討委員会を設け、平成11年度の計画策定に向け、検討を行いました。 治水対策としては、平成7年の7.11水害を契機に、保倉川及び戸野目川では激甚災害対策特別緊急事業が、関川の上流部では災害復旧助成事業や直轄事業が集中的に取り組まれてまいりましたが、内水を排除する排水ポンプ車の配備や河川マリーナの整備などの新たな事業も進められ、市としてもマリーナの管理運営を担う第三セクター設立のために出資を行うなど、事業の円滑な実施に努めました。 直江津港では、ガントリークレーンなど港湾施設の整備が進む中で、昨年11月には中国丹東航路や韓国釜山航路に加え、新たに中国大連との航路が開設されるなど、環日本海の広域物流拠点として着実に進展しておりますが、さらに火力発電所の建設整備に向けてエネルギー港湾としての整備も新たに始動したところであります。 住宅整備では、景気対策に伴う追加補正を組み、中通住宅4号棟・5号棟24戸を完成させるとともに、U・J・Iターン者及び中堅所得者層を対象とした特定公共賃貸住宅の建設用地を取得したほか、既存住宅の駐車場舗装や下水道への接続、畳入れかえなど、快適な居住環境の整備に努めました。 次に、たくましい地域産業づくり、農業・商工業の振興と勤労環境の改善についてであります。 平成6年以降4年連続の豊作や消費の低迷等により、持ち越し在庫米が増加したことから、国は平成9年11月に、2年間の緊急対策として、生産者の主体的な取り組みを基本とした「新たな米政策大綱」を決定いたしました。これに伴い、当市においても平成9年度より374ヘクタール多い1,576ヘクタール、水田面積の実に31%を超える生産調整目標面積が割り当てられ、稲作農家にとって極めて厳しい状況となりましたが、米の需給と価格の安定を図る生産調整を農業者がみずからの問題として取り組んだ結果、平成10年度においても目標を100%達成することができました。 このような厳しい情勢の中で、平成10年度も良質米の安定生産、米の消費拡大、園芸作物等への転換促進など、総合的・体系的な施策を力いっぱい推進いたしました。 まず、当市の転作の重点作物として位置づけられている大豆については、農家の労働力の軽減や安定生産及び高品質化を図る観点から、大豆コンバインの導入や乾燥調整施設の整備に対して高率の助成を行い、生産の拡大を支援いたしました。また、大区画圃場整備が進む中、稲作経営においても産地間競争に打ち勝つ良質米の生産供給基地を確立するため、機械施設の効率的な共同利用や担い手の育成などに助成をいたしました。 また、年々減少傾向にある米の消費量の拡大を図るため、市内の小学校6年生を対象に調理実習や試食会を行ったほか、小・中学校の米飯給食を週3回から3.5回にふやすなど、積極的に取り組みを進めました。そして、高校の米飯給食を実現する方策についても検討し、アンケート調査を行うと同時に、おにぎり模擬給食なども行ったところであります。 園芸については、平成8年度に策定した「園芸・特産品振興5か年計画」に基づき、ガラス温室やパイプハウスの導入を初め、運搬保冷車両や情報関連機器等情報の一元化、さらには集出荷作業等の共販体制の整備等に対して助成を行い、一層の振興のために支援をいたしました。 西部中山間地域において事業を推進してきたリフレッシュビレッジ事業では、施設整備が完了し、本年4月5日に「正善寺工房」と「ヨーデル金谷」が、そして4月25日には「くわどり湯ったり村」がオープンいたしました。また、これら3施設の管理運営を行うため、農林水産業関係団体や市民の方々からも出資をしていただき、第三セクター「リフレ上越山里振興株式会社」を設立したところであります。 農村活性化住環境整備事業では、アーバンビレッジ事業第1号として、横曽根・子猿屋地区で本格的に事業着手いたしましたが、新たに施行された「優良田園住宅の建設の促進に関する法律」に基づく基本方針を、本年6月に全国のトップを切って定めるとともに、平成12年度の分譲開始に向けて力いっぱい事業を推進しております。 特別会計で取り組んでいる農業集落排水事業では、保倉東部地区の処理施設が完成し、これにより5地区で供用が開始されましたが、新たに有田地区で事業を開始するなど、今世紀中の全地区着手を目指し、積極的に事業を推進いたしました。 なお、国の新たな「食料・農業・農村基本法」制定の動きにあわせ、上越市独自の農業基本条例を制定するために基礎調査を実施いたしました。平成11年度には、基礎調査の結果を踏まえ検討委員会を設置するなど、より広く市民の意見を取り入れながら、条例制定に向けて取り組みます。また、引き続き「地域環境にやさしい農業・農村に関する調査研究」を東京農業大学に委託するなど、今後の上越市における食料・農業・農村を考える上で重要な柱の一つである環境保全型農業の推進に向けた検討も進めました。 林業関係では、西部中山間地域の主要施設である南葉高原キャンプ場と中ノ俣牧場を結ぶ広域基幹林道南葉高原線を初め6路線の林道整備を行いました。さらに、南葉高原キャンプ場では、トイレの水洗化工事や飲料水ポンプ室の改良工事などを行い、利便性の向上に努めました。 また、国の緊急経済対策により新設された景気対策臨時緊急特別林業構造改善事業では、森林の有する水土保全機能の適切な管理及び森林行政の効率化を図るため、森林地図情報システムを導入いたしました。 松くい虫対策事業では、春日山林泉寺、高田公園、五智公園、海岸保安林等の防除を重点的に実施し、松林の保全に努めました。 水産業関係では、火力発電所から発生する温排水を利用した養殖漁業導入の可能性について調査を行ったほか、有間川漁港では平成11年度の事業完了に向け、防波堤、臨港道路の整備を行いました。 続いて、商工業関係では、中小企業の景気動向は、「平成10年度中小企業の動向に関する年次報告」によれば、生産指数等は低迷し、業況は厳しい状態のまま推移したとされております。また、当市が独自に行った市内の景気動向調査においても、売上高、設備投資のいずれもが前年度を下回るとともに、平成10年の企業倒産は、バブル崩壊以降、件数、金額とも最悪を記録し、上越公共職業安定所管内の有効求人倍率は、年間を通して1.0を割る状況が続いたのであります。 このような中、私は早い時期から景気が極めて厳しい事態に立ち至っているとの認識に立ち、平成10年度開始早々の4月には「景気対策懇談会」を立ち上げ、市民や事業者の生の声をつぶさに聞きながら、公共事業の大幅な追加や金融対策の充実、特別採用職員制度の創設、さらには地域振興券交付事業など、さまざまな対策を迅速に講じたことは、前段でも述べたとおりであります。 金融対策の充実の面では、景気対策特別資金や中小企業振興資金など、各種貸付金の利率をさらに引き下げるとともに、景気対策特別資金の受け付け期間を平成11年12月末まで延長したほか、より円滑な貸し付けを促進するため、新潟県信用保証協会が景気対策特別資金に対して行う信用保証について、新たに損失補償も行うことといたしました。また、小企業等経営改善資金について利子補給制度を新設し、小規模企業の経営安定に意を用いるなど、中小企業者の資金需要に柔軟に対応し、企業経営の安定化を力いっぱい支援したところであります。 一方、勤労者の住宅取得を支援するため、勤労者住宅建築資金低利貸付制度を平成10年度に創設いたしましたが、これについても既存の持ち家住宅低利建築資金貸付金及び克雪住宅低利建築資金貸付金とともにさらに利率の引き下げを行い、あわせて一定期間実質無利子となる利子補給制度も創設するなど、住宅建設を促すための対策も講じました。 企業の立地促進等の面では、環日本海交流拠点都市として、直江津港における国内外航路の充実や高速交通網の整備が着実に推進されている状況を十分に生かして、首都圏や長野県において優良企業の誘致とポートセールスを積極的に展開し、地域産業の活性化や新規雇用の創出に努めました。加えてその受け皿としての緊急流通業務団地整備では、基本設計や現地説明会を行うとともに、平成11年度の竣工を目指して下五貫野第二企業団地の造成事業に着手いたしました。また、新製品や新技術等の研究開発事業に対して融資や補助を行うとともに、新産業創出の気風を醸成するため、新たに「起業家養成塾」も開催するなど、中・長期的視点に立って産業育成に取り組みましたが、こうした一連の施策が高い評価を受け、民間調査機関が行った全国調査において、「起業しやすい都市」として全国693市区の中で第3位にランキングされたところであります。 一方、伝統的産業等のすぐれた技能者を「上越マイスター」として平成10年度は10人を認定し、「ものづくり」に対する社会的認識と地場産業の振興を図りました。 さらに、商店街の空洞化を防止し、市街地の整備改善と商業等の活性化を一体的に推進するため、高田、直江津の2地区において「中心市街地活性化基本計画」を策定したほか、新たに補助制度を創設して商店街振興組合が行う空き店舗活用事業を支援するなど、さまざまな対策を講じてまいりました。 次に、歴史文化都市の名にふさわしい観光拠点づくりと余暇・スポーツの振興、歴史・観光・余暇・スポーツ施設の充実についてであります。 当市の観光戦略の基本プログラムである「上越市観光振興5か年計画」に基づき、平成10年度も積極的に観光施設の整備を進めるとともに、各種イベントや誘客活動を展開いたしました。 まず、観光施設の整備では、金谷山公園の山麓線側東斜面にBMX(バイシクルモトクロス)コースを整備いたしました。大変すぐれたコースであると専門家から高い評価をいただいておりますが、昨年8月8日、9日には竣工記念事業として全日本BMX選手権大会を開催し、市民を初め全国各地から多くのファンを集め、ニュースポーツを楽しんでいただきました。金谷山公園につきましては、今後も「レルヒの杜」を基本コンセプトに、ファミリーレクリエーションゾーンとして整備をしてまいりたいと考えております。 また、親鸞ルートの起点として平成9年度に整備が完了いたしました親鸞聖人上陸の地に続いて、ゆかりの地である「鏡が池」の整備計画にも取りかかりました。 毎年多くの観桜客でにぎわう「高田城100万人観桜会」では、メーンイベントとして「越後・高田75万石時代まつり」や「忠輝公・五郎八姫婚礼行列」を開催するなど、上越観光コンベンション協会と連携を図りながら、各種イベントの充実に努めたところであります。 また、上信越自動車道の全線開通を視野に入れ、長野市及び甲府市とともに広域観光ルートを創出するための準備会を組織し、一層の誘客に努めるとともに、「松平忠輝公ゆかりの地」との交流を推進するため、伊勢市と諏訪市への市民訪問も実施いたしました。 スポーツ振興の面では、Jカップ野球大会を初めとして、市民が生涯を通してスポーツに親しみ、健康と体力の保持・増進に資するため、各種競技大会やスポーツ教室を開催してスポーツの振興と普及に努める一方、競技力の向上を図るため、体育協会と連携し、全日本チャンピオンクラスの選手を招聘して講習会を開催するなど、ジュニア層の強化に力を入れた事業を展開いたしました。また、施設整備の面では、高田公園野球場のフェンスに防護マットを設置したほか、少年野球場に観客席を建設するなど、利用者の安全確保と利便性の向上に努めました。 続いて、市民に開かれた市政、世界に開かれたまちづくり、地方主権の確立・国際化の推進についてであります。 本年7月8日、「地方分権推進一括法」が成立し、平成12年4月1日から施行されることになりました。地方主権社会の実現に向けて大きな一歩が踏み出されたのであります。 私は、これからの本格的な「地方の時代」に適切に対処するため、「オープンシステム(開かれた市政)」、「マネジメントシステム(経営体としての市政)」、「マーケティングシステム(住民ニーズにこたえる市政)」、「テクノクラート(専門家集団としての市政)」、「アカウンタビリティ(行政責任を持つ市政)」という五つの科学的な行政スタイルを提唱し、行政の大いなるイノベーションを推進しているところであります。 権限と責任を明確にするとともに、より安いコストで、より市民に近い行政、よりスピーディーな行政を行う、いわゆる「安・近・短」行政の実現を目指して、「複数副市長制」を導入したところですが、平成10年度においては「上越市行政改革・地方分権推進委員会」での審議や専門家の助言、関係機関との協議を経ながら、市民フォーラムも開催するなど、広く市民の理解・支持を得る中で、その実践に向けた取り組みを続けてまいりました。 また、行政の一層の透明性を確保するため、市の諸制度や事務事業の検証評価を行う「行政監理委員会」を設置したほか、「のびやかJトークポスト」を新設して市民との対話を一層拡充するとともに、市民の日常生活にかかわる情報や災害時の緊急情報を伝えるコミュニティー放送局・エフエム上越の設立に参画するなど、開かれた市政をさらに推進いたしました。 このような中で、今後市民と行政とが一体となってまちづくりを推進していく上での拠点施設となる「(仮称)市民プラザ」については、計画段階から市民の皆さんに参画していただき、地域の将来を担う中学生・高校生の皆さんを初め各界各層の方々からそれぞれの視点で提言をしていただきながら基本計画を策定いたしました。 国際交流の面では、平成9年8月に開催された日ロ沿岸市長会の折に招請を受けたロシア・ブラゴヴェシチェンスク市へ経済界の皆さんとともに訪問し、ロシア極東地域での新たな交流の輪をつくることができました。そして、本年6月には同市から少年少女民族舞踊団と代表団が当市を訪れ、市民との交流も行われるなど、交流のきずなは確実はものになりつつあります。 また、オーストリア・リリエンフェルト市へ23人の市民の皆さんから訪問していただくとともに、韓国・浦項市では中学生の皆さんからホームステイを通じて異文化を体験する中で理解と交流を深めていただきました。中国・琿春市からは留学生、研修生を引き続き受け入れるとともに、同市が当市との交流の拠点としている琿春賓館の整備に対して、上越国際交流協会を通して支援したところであります。 さらに、世界的な環境都市であるドイツ・フライブルク市へも訪問し、環境政策やまちづくりなどを広く視察・調査するなど、「環境」をキーワードにした交流にも取り組みました。 また、上越市の国際化推進の一環として、外国人の皆さんにも暮らしやすい環境を整備するため、英語圏から青年1名を国際交流員として採用し、各種事業に従事してもらうとともに、外国人向け生活ガイドブックの5カ国語翻訳版も作成いたしました。 なお、世界的に対応が迫られているコンピューター西暦2000年問題では、不測の事態から市民生活を守る危機管理の立場で早い時期から計画的に対応いたしました。そして、民間事業所等に対する啓発活動にあわせて、庁内のコンピューターシステムの改修を行うとともに、危機管理計画を策定し、本年3月30日には準備完了宣言を行いました。 以上、平成10年度における財政状況と主要事業の成果などについて述べてまいりましたが、地方が本格的な「自己決定・自己責任」の時代を迎える中、自治体を適切に運営していく上で私が常々提唱している「シティーマネジメント」、すなわち「自治体経営」の視点がますます欠くことのできないものとなっております。 このため、これまでさまざまな改革に取り組み、実践してきたことは、先ほども申し上げたとおりであり、財務・会計の面においても、こうした理念に基づき、既に事業別予算方式の導入や事業ごとの経費内訳と事業執行に必要な財源を関連づけて明示した予算書様式の大胆な改善も行ったところであります。 そして、こうした取り組みの一環として、このたび平成10年度決算等について、企業会計的な手法による分析も試み、参考資料としてお配りしたところであります。統一された分析手法や評価基準がない中での試行的な取り組みであり、解決すべき課題も残されておりますが、市民の皆様から市の財務内容等をより一層理解していただく資料の一つとして、また職員のコスト意識や経営感覚の向上を図るための取り組みとして、今後も研究を重ねてまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、私は今後とも開かれた市政のもと、市民の声を最大限に反映させながら、「のびやかJプラン」に掲げた将来都市像「みどりの生活快適都市・上越」の実現を目指して、経営感覚を持って全力で市政運営に当たる決意でおりますので、議員並びに市民の皆様の一層の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。 議案第76号、第77号は、平成10年度上越市ガス事業会計及び水道事業会計の決算認定でありますが、実施事業と経営状況の概要につきまして御説明いたします。 国内の景気は、下げどまり感があるものの、依然として厳しい状況の中、保安対策の充実、安定供給の確保と需要家サービスの向上を目指し、ガス・水道事業の推進に努力してまいりました。 まず、ガス事業会計についてであります。ガス販売量は、一般供給が前年度に比べ2.2%減少いたしましたが、大口供給の通年化により、全体では前年度比0.2%の微増にとどまり、総収益は34億4,592万円で、これに対する総費用は原料ガスの購入費やマイコンメーター取りつけの保安対策費など合計33億5,482万円となり、収支差し引き9,110万円の純利益を計上いたしました。 建設改良工事では、供給所の計装設備の更新など施設の整備拡充に努めるとともに、昨年に引き続き低公害車の天然ガス自動車を2台導入したほか、供給区域拡大に伴う導管の新設7,947メートル、非耐震性老朽管の改良・入れかえ2万2,081メートルの管網整備など、総額17億4,058万円を投入し、安定供給の拡充に努めてまいりました。 次に、水道事業会計でありますが、給水量は前年度に比べ0.9%減少し、総収益は33億1,708万円となりました。これに対する総費用は、上越地域水道用水供給企業団からの受水費や浄水場を初めとする施設の修繕費など総額32億8,848万円となり、収支差し引き2,860万円の純利益を計上いたしました。 建設改良工事では、昨年からの継続事業で進めてきた和田浄水場の増設工事を完成し、城山浄水場の非常用自家発電設備建設に着手するなど、災害に備えた設備の拡充を図る一方、浄水場間の連絡幹線及び新規需要に備えた配水管の新設9,098メートル、石綿管など老朽管の改良・入れかえ3万8,159メートルの管網整備を実施するなど、総額38億50万円を投入し、安定給水の確保に努めてまいりました。 両事業とも利益決算となりましたが、11年度には水道事業では純損失が見込まれるなど、経営環境は一段と厳しくなっており、今後とも健全経営の確保と需要家サービスの向上に最大限努力してまいる所存であります。 議案第78号は、平成11年度上越市病院事業会計予算であります。 地域医療の継続・充実のため国立高田病院の資産を譲り受け、新たに「上越地域医療センター病院」を平成12年3月1日に設置することとし、関係条例案の提案とともに、平成12年3月分の予算を計上いたしました。内訳では、収入として医業収益を、また支出として医業費用をそれぞれ7,168万円といたしました。なお、本会計は病院の開院にあわせて平成12年3月1日から開始するものであります。 議案第79号は、平成11年度上越市一般会計補正予算であります。 歳入歳出予算総額に15億7,496万円を追加し、予算規模を551億509万円といたしました。 今回の補正では、国の少子化対策臨時特例交付金の内示を受けましたので、家庭の事情等で一時的に保育を必要とする幼児のために、新たに市立幼稚園でも預かり保育を実施することとしたほか、私立保育園や幼稚園の設備等の充実を図ることといたしました。また、介護保険制度のスタートに向けて、介護保険関連施設の緊急整備事業として国の補助採択を受けて、新たに大貫地区と直江津地区で老人デイサービスセンターの建設整備に取り組むことといたしました。 さらに、新たな環境施策として、家庭から出る廃食用油を燃料化して再利用するための事業に取り組むこととしたほか、本年4月25日にオープンいたしました「くわどり湯ったり村」が大変盛況となっておりますので、日帰りで御利用いただく皆様にもゆっくりとくつろいでいただけるように増築するための経費を計上いたしました。 このほか総合博物館では年々増加する貴重な資料や展示備品類等を適切に収納管理し、市民の皆様からゆっくり鑑賞していただけるように、展示室等の増築に取り組むことといたしました。 なお、春日山土地区画整理組合から、区画整理事業が完了したことに伴い、寄附金をいただきましたので、新たに基金を設けて積み立て、自前のまちづくり事業に活用することといたしました。 それでは、歳出から款を追って説明いたします。 議会費は、211万円の補正でありますが、委員会記録の作成業務を委託するための経費を計上いたしました。 総務費は、7億6,904万円の補正であります。 一般管理費は、依然厳しい雇用情勢に積極的に対処するため、「緊急雇用対策特別採用職員」を追加採用することとし、あわせて市内の環境美化を推進するための委託料等を計上したほか、シティーワーク推進員に係る人件費及び職員の退職手当を計上いたしました。 財産管理費では、平成10年度決算剰余金の状況や今後の収支見通し等に基づいて、6億円を財政調整基金に積み立てることといたしました。 企画費は、消防庁の事業採択を受けて、災害時に活躍してくださるボランティアの活動を円滑に調整するコーディネーターの養成に要する経費を補正するほか、新都市市街地機能強化事業では連続立体交差の詳細計画の策定と県調査への格上げを期して、鉄道高架化基本計画の検討を行うための補正を行うものであります。 また、春日山土地区画整理組合から、区画整理事業が完了したことに伴い、寄附金をいただきましたので、「のびやかJプラン」に掲げた「みどりの生活快適都市・上越」の実現を目指し、市民参加に根差した自前のまちづくりを推進するための基金を設置し、これに積み立てることといたしました。 文化振興費では、昨年度から小林古径邸の復原工事に取り組み、本年度は古径邸に隣接するアトリエの復元工事も予定したところでありますが、その後、当時の画室の写真が見つかったことなどから、当初の計画を見直し、アトリエを往時の姿により一層近づけるとともに、アトリエ内の有効利用と市民の皆様の使いやすさなども考慮した結果、事業費を追加して資料庫の整備等も行うものであります。なお、工期の関係から、アトリエの工事期間を本年度と来年度の2カ年に変更し、本年度事業費を減額する一方で、債務負担行為限度額を追加いたしました。 また、上越地方に古くから言い伝えられている物語である安寿と厨子王及びその母と山椒太夫の物語が「伝説の能「婆相天」」として500年ぶりに復曲、上演されることになりましたので、これを支援するための経費を計上いたしました。 選挙執行費は、去る4月11日に執行いたしました県議会議員一般選挙の委託金が確定したほか、農業委員会委員の選挙が無投票となりましたので、それぞれ予算の整理を行うものであります。 民生費は、4億3,162万円の補正であります。 社会福祉総務費では、当市の融資制度の充実等もあって、持ち家住宅低利建築資金の借り入れ希望並びにその金利負担軽減を図るための利子補給補助金の申請が、当初の見込みを大きく上回る状況にありますので、引き続き景気対策の一環として住宅建設の需要喚起を促すため、補正を行うものであります。 老人福祉費は、平成12年4月の介護保険制度スタートに向けて、2カ所のデイサービスセンターの整備が、介護保険関連施設の緊急整備事業として前倒しで補助採択されましたので、所要額を補正するものであります。なお、このうち1カ所につきましては古城小学校の余裕教室を内部改造して整備をするものであります。 次に、児童福祉総務費でありますが、少子化が大きな社会問題となっている中、当市ではいち早く少子化対策に取り組み、さまざまな子育て支援を行ってまいりました。大切な子供の命を交通事故等から守ろうと、本年度から開始いたしましたチャイルドシート購入費に対する助成制度が大変好評であり、今後とも多くの申請が見込まれることから、所要額を補正するものであります。 また、国の補正予算で創設された少子化対策臨時特例交付金の内示を受けて、新たに少子化時代における子育て機運の醸成や子育て支援体制などについて考える「少子化対策講演会」を、「子育てわくわくフェスタ」と同時に開催するとともに、平成12年度及び13年度に実施が見込まれる「こどもの国」整備などの事業に活用するための基金を設置することとし、所要額を補正するものであります。 保育所運営費では、少子化対策臨時特例交付金により、市立保育園に電動生ごみ処理機を配備し、環境負荷の軽減に努めるとともに、私立保育園にも電動生ごみ処理機のほか、保育遊具などの整備に対し、助成を行うことといたしました。 児童福祉施設費では、昨年9月にスタートしたファミリーサポートセンター事業が当初の見込みを上回る利用をいただいておりますので、所要額を補正するものであります。 衛生費は、6,459万円の減額であります。 環境衛生費は、資源の再利用を積極的に推進するため、家庭から出る廃食用油の燃料化事業に取り組むこととし、プラント整備等に要する経費を計上いたしました。 清掃総務費では、上越地域広域行政組合し尿処理施設建設事業等に対する負担金について、事業費の決定等に伴って減額するものであります。 塵芥処理費は、市民生活の利便性の向上とリサイクル活動の充実を図るため、順次資源ごみ常時回収ステーションを増設しておりますが、美しい環境のまちづくりに向けて間伐材を活用し、景観に配慮したステーションをモデル的に3カ所設置するための費用を計上いたしました。 農林水産業費は、5,861万円の補正であります。 農業振興費は、「くわどり湯ったり村」を日帰りで御利用いただく皆様からゆっくりとくつろいでいただけるように休憩スペースを確保するため、来春のゴールデンウイークまでの完成を目指して増築を行うこととし、所要額を補正するものであります。 林業振興費では、乾燥木材の供給体制の整備を図るため、県の補助を受けて新たに木材の薫煙乾燥処理装置の導入に対して補助を行うこととしたほか、県補助金の内示にあわせて「くわどり湯ったり村」周辺の散策道整備費等を追加するものであります。 土木費は、2,509万円の補正であります。 道路新設改良費は、各路線の事業費組み替えを行うものであります。また、克雪総合計画費では、新たに地中熱を利用した融雪システムを研究実験する無散水消雪施設整備事業が、県の「豊かで快適な雪国づくり推進事業」に採択されましたので、所要額を計上するとともに、持ち家住宅低利建築資金と同様、克雪住宅低利建築資金貸付金等について補正を行うものであります。 河川総務費は、県が「くわどり湯ったり村」のわきを流れる谷内川の環境整備を進めることになりましたので、その負担金を計上いたしました。 街路事業費では、新しい直江津駅舎の供用開始にあわせて、駅前に電光掲示板を設置するための経費を計上するとともに、公園費では高田公園内の民家の移転に要する経費を補正するものであります。 都市下水路費は、御殿山都市下水路について事業費の組みかえを行うものであります。 住宅管理費では、地域に根差した特色ある住まい・まちづくりの推進に向けて、地域環境に負荷をかけずに住環境の快適性を確保するなどの施策を研究・発信するため、国庫補助を受けてフェスティバルを開催するものであります。 教育費は、4,637万円の補正であります。 私学振興費と幼稚園費では、国の少子化対策臨時特例交付金を受けて、私立幼稚園における預かり保育に必要な遊具などの購入経費等を助成するとともに、市立幼稚園においても新たに預かり保育を実施することとし、子育て支援の充実を図ることといたしました。 公民館費では、老朽化した三郷分館老人趣味の家を解体する経費を計上いたしました。 文化財保存調査費は、新潟県が施行する愛宕谷地区県営水環境整備事業の実施に伴い、県の委託を受けて埋蔵文化財の発掘調査を行う経費を補正するものであります。 博物館費では、年々増加する資料や展示備品類を適切に収納保管するとともに、市民の皆様にゆっくり鑑賞していただける展示スペースの整備が急務であることから、現在進めている古径邸の復原にあわせて、収蔵庫・展示室の増築等を行うこととし、設計費等を計上する一方、当初予算に計上しておりました出入り口の改造工事等の見直しを行うなど、関係経費を補正するものであります。 なお、7月1日に実施しました職制の見直し及び人事異動による各費目の職員給与費につきましては、あわせて整理を行いました。 歳入につきましては、地方特例交付金、地方交付税及び繰越金の決定に伴い補正を行うほか、交付内示等に伴う国・県支出金の補正及び老人デイサービスセンター建設等に係る市債などの補正を行うものであります。また、春日山土地区画整理組合からの寄附金を計上いたしました。 以上の結果、今回の補正では差し引き3億520万円の歳入超過となりましたので、これを予備費に計上して収支の均衡を図りました。 第2表は、債務負担行為でありますが、老人デイサービスセンター建設事業及び「くわどり湯ったり村」増築事業を追加するとともに、小林古径邸復原事業及び持ち家住宅低利建築資金貸付金等に係る利子補給補助金の限度額補正を行うものであります。 第3表は、地方債の補正でありますが、歳入予算に計上した市債と同額の限度額補正を行うものであります。 議案第80号は、平成11年度上越市国民健康保険特別会計補正予算であります。 歳入歳出予算総額に1億3,912万円を追加し、予算規模を73億3,926万円といたしました。 この補正は、医療費適正化特別対策事業について補正を行うほか、平成10年度国庫支出金等の精算及び平成10年度決算に伴う繰越金の補正を行うものであります。 歳入歳出差し引き1億3,715万円については、予備費に計上して収支の均衡を図りました。 議案第81号は、平成11年度上越市下水道事業特別会計補正予算であります。 この補正は、予算規模に変更はありませんが、公共下水道事業について事業費の一部を組み替えるものであります。 議案第82号は、上越市病院事業の設置等に関する条例の制定についてであります。 平成12年3月1日に国立高田病院の資産を譲り受け、地域住民の健康の保持に必要な医療を提供し、保健・医療・福祉を連携した「上越市保健医療福祉総合拠点施設整備構想」の中核施設として「上越地域医療センター病院」を設置するものであります。 議案第83号は、上越市自前のまちづくり基金条例の制定についてであります。 春日山土地区画整理組合からの寄附金をもとに基金を設け、「みどりの生活快適都市・上越」の実現を目指して、市民参加に根差した自前のまちづくり事業を推進するものであります。 議案第84号は、上越市少子化対策基金条例の制定についてであります。 国の少子化対策臨時特例交付金をもとに基金を設け、子供の健全な成長を図るための環境を整備し、少子化対策事業を推進するものであります。 議案第85号は、上越市公の施設の使用料の特例を定める条例の制定についてであります。 施設の利便性の向上と利用促進を図るため、利用実態に合わせた時間単位の利用について特例を定めるものであります。 議案第86号は、職員の懲戒の手続及び効果に関する条例の一部改正についてであります。 地方公務員法の一部改正に伴い、条例で引用している同法の条項が「第29条第2項」から「第29条第4項」に変更されたことにより整理を行うものであります。 議案第87号は、上越市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正についてであります。 平成12年4月施行の介護保険制度に向けて、今年10月から要介護認定を開始するため、介護認定審査会委員の報酬を定めるものであります。 議案第88号は、上越市老人デイサービスセンター条例の一部改正についてであります。 デイホーム三郷の開所に伴い、上越農業協同組合に管理委託を行うための改正を行うものであります。 議案第89号及び第90号は、市道路線の廃止及び認定についてであります。 道路の築造、延伸により路線の起点、終点が変わるため、従前の路線を廃止し、改めて認定するほか、直江津駅南地区土地区画整理事業などによる新設路線、生活関連道路や防災上必要な路線の認定を行うものであります。 議案第91号から第95号までは、工事請負契約の締結についてであります。 農業集落排水事業の有田処理施設土木・建築工事を2億7,699万円で高舘・涌井共同企業体と、有田処理施設機械設備工事を1億7,850万円で日立化成テクノ・丸互共同企業体と、津有中部処理施設土木・建築工事を1億9,215万円で田中・大隆共同企業体と、津有中部処理施設機械設備工事を1億6,800万円で荏原・藤塚共同企業体と、また高士西部四辻処理施設土木・建築工事を1億6,989万円で草間・竹田共同企業体と、それぞれ指名競争入札の方法により工事請負契約を締結するものであります。 議案第96号は、工事施行協定締結についてであります。 戸野目川河川激甚災害対策特別緊急事業に伴う下小町橋架換工事を2億4,798万円で新潟県と工事施行協定を締結するものであります。 議案第97号は、事務の委託の変更に関する協議についてであります。 上越地域消防事務組合からの高速自動車道における救急業務に係る支弁金の確認の申請、請求及び受領に関する受託事務について、今秋に全通する上信越自動車道の供用開始区間分を新たに追加するものであります。 議案第98号は、訴えの提起についてであります。 平成9年1月2日に発生したナホトカ号重油流出事故災害に係る損害賠償請求について、油濁損害賠償保障法第10条の規定により、来年1月2日までに裁判上の請求をしない場合には請求権が消滅するために、関係する県、市町村及び商工観光業者とともに損害賠償請求の訴えを提起するものであります。 報告第8号は、7月12日に専決処分いたしました平成11年度上越市下水道事業特別会計補正予算でありますが、歳入歳出予算総額に1億2,400万円を追加し、予算規模を102億4,236万円といたしました。 この補正は、公営企業金融公庫から借り入れた市債のうち、高利のものを低利に借りかえすることとしたものであります。 歳入歳出差し引き254万円は、予備費に計上して収支の均衡を図りました。 以上、提案理由を申し上げましたが、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願い申し上げます。 ○議長(新保清司君) 御苦労さまでした。 この際、しばらくの間休憩いたします。          午前11時47分 休憩          午後 1時 0分 再開 ○議長(新保清司君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 これより質疑に入ります。 質疑の通告がありますので、順次発言を許します。 23番、田村恒夫議員。          〔田 村 恒 夫 君 登 壇〕 ◆23番(田村恒夫君) 御苦労さまでございます。私は、市民ネット議員団を代表して、ただいまより先ほど市長から約2時間にわたりまして提案がありました説明について、何点かの質問をさせていただきたいと思います。 その前に、ちょっと私の感じたことなんですが、市長を初め副市長が新しくできまして、私議場に入りまして、議員の数が26人、スタッフの方がそれに2名ほど足りないかなというぐらいですから、ちょっと今までとは違った雰囲気だなということを申し添えさせていただきます。 議案第67号平成10年度上越市一般会計歳入歳出決算認定、議案第78号平成11年度上越市病院事業会計について、議案第79号上越市一般会計補正予算について、議案第84号上越市少子化対策基金条例についての四つの議案について総括質問いたします。 まず、議案第67号平成10年度上越市一般会計歳入歳出決算認定についてでありますが、先ほども市長から説明がありましたように、国の平成10年度当初予算は財政構造改革、集中改革期間の初年度として1.3%減のマイナス編成をし、7兆1,300億の赤字国債を発行しました。また、平成10年度スタートした金融機関の経営破綻、経営努力を怠った雇用環境の悪化、個人消費の低迷など、4月に総額16兆6,500億円の総合対策、11月には財政構造改革法の凍結と総額24兆円の緊急経済対策を決定し、我が国経済の回復軌道を目指しました。しかし、依然としてその兆しは見えません。そのような経済環境の中で上越市は、国、地方がマイナス予算とする中でふんばり型予算として編成し、上越市景気対策懇談会を立ち上げ、約90億の景気対策の補正を組み、景気回復に向けた取り組みをなされました。しかし、依然として景気の回復は見られないのが現状であります。 さきに私ちょっと東京の方へ参りまして、勉強させてもらってきた中で、財団法人日本都市センターの方で発行している「地方分権と地方税務の諸問題」という中で、法政大学の経済学部の教授である金子勝氏が現在の構造不況についてこんなふうに言っておられました。一つは、国際的な金融不安及び金融システムの不安だろうと。輸出による今までの景気回復は困難になっていると。それを現実問題は、70年代、第1次石油ショックにおいては減量経営をして輸出を回復してきたと。80年代において第2次石油ショックにおいては、やっぱり同じように減量経営をやってきたと。そういう経緯がありますと。それから次に、もう今は成熟した社会に達しているんだという言われ方をしています。85年の円高不況のときに、製造業は空洞化に直面してバブルで景気回復をしてきたと。日本経済は、構造的なショックに対して産業構造を調整する能力は、その当時はあったと。すなわち、60年前後ではエネルギーによって石炭から石油へ移行したと。高度成長期においては鉄鋼から造船の発展、第1次ショックでは自動車、電気、それから第2次石油ショック前後にしては情報機器と半導体機器ということで進めてきたということがあって、それなりに回復はしたんだけども、85年以降は雇用の吸収力の高い産業そのものが出てこなかったという中で、今アメリカでも言われているわけですが、供給サイドの経済学ということで、資源を公共部門から民間部門へ移すという中で、減税の措置、それから政府支出の削減、政府規制の緩和ということがなされているんだけども、なかなかそうもいかないなと。公共事業政策は、地方において財政赤字を膨張させてきたその遠因であるということを言われているわけであります。そういう状況の中で、なかなか上越市としても、市長も一生懸命努力はされてきて、90億という景気対策をされましたけれども、なかなか兆しが見えないなという一つの構造的な中身があるんではないかというふうに言われているわけであります。 そういう中で、地方分権法が成立をして、その中において地方自治体が自己決定、自己責任というのが叫ばれるわけでありますので、したがって質問しましたように、現在この認定の中で、経常収支比率、経常一般財源比率、財政力指数、公債費比率、起債制限比率の各指標、それから指数をどのように分析されて今後の財政運営に生かされていくのかということを特にお聞きしたいと思います。また、細部については、各委員会なりで我がクラブの方でいろいろ質問させていただきますけども、大まかな意味でお聞きをしたいというふうに思っております。 それから、2点目でありますが、特に歳入の主な財源であります市税、これの構成比が約40%を占めているわけでありますけども、8年度では構成比でいって40.5%、9年度では41.4%、それぞれ40%を超えていたわけでありますが、10年度では36.5%に大きく落ち込んでいるわけです。これは、当然景気との絡み、それから個人市民所得税割がそれなりに給与所得の総合的な課税がなかなか伸び悩んでいるということもありますし、減税ということもあるでしょう。それらのいろいろの状況であったかと思いますけども、市税についてどういうふうにお考えになっているのか、またそれに伴って景気回復をどういうふうに考えていかれるのか、その辺特にこれからの財政見通しをお話しいただきたいと思います。先ほどお話ししましたように、地方分権化の中でどういうふうなお考えでおられるのかということだと思います。 ただ、分権法の中でも言われているように、分権法で例えば法定外目的税を新しく創設したり、自治事務の創設ということがあって、いかにも地方で仕事をしていかなきゃいけない、お互いにやっていかなきゃいけないということはあるんでしょうけども、しかし一方では地方に財源そのものを強要するという中身がこれからいろいろの景気回復がなければできないということもありましょう。先ほどもニュースの中で総理がそれなりに地方と国との税率についてお話しになっているようですけども、その分権法の付記の中で、地方の税財源を充実するために経済情勢などを勘案して必要な措置をとると。経済情勢を勘案してということは、それなりに景気回復しなければ基本的にはだめだと、これは大蔵大臣が言っている中身ですから、当然そういうことだろうと思います。そういう中で、地方としてどういうふうに踏ん張っていくのかということについて、お聞かせいただきたいと思います。 それから、財政調整基金、減債基金の基本的な考え方であります。財政調整基金については、きょうの新聞ですか、県の方でも財政調整基金についてそれなりに県としてこれからの財政健全化に向けてどうしようかということでお話があったように聞いております。その中では、一つの特定目的基金の活用も考えていくんだということもありますし、我々とすれば財政調整基金をきちんと積み立てて、その中でいざという場合にどういうふうに活用するかということがあろうかと思いますので、その辺の基本的な考え方についてお聞かせいただきたいと思います。 それから、2点目でありますが、議案第78号平成11年度上越市病院事業会計についてでありますが、市長は昭和61年の厚生省国立病院・療養所の再編を打ち出した流れの中で、上越市として時代のニーズを踏まえて、また地域住民の強い願望に合った病院機能を残すべく、多くの努力を重ねてこられたことは十分わかります。平成9年上越市の超長期ビジョンの中で、新幹線新駅周辺地域整備を具体化すべく、南高田周辺に医療福祉ゾーン、保健ゾーン、文化教育ゾーンを基本に、上越市保健医療福祉総合拠点施設整備基本構想を明らかにして、90年の歴史を持つ国立高田病院の実質的な存続を図られていることだと思います。その辺について深く敬意を表したいと思います。そこで、何点か質問させていただきたいと思います。 一つは、スタッフの確保であります。地域住民にとりましては、病院機能が残ることは大変ありがたいことでありますが、しかし看護婦さん等の医療スタッフが全く新しい人にかわるということになりますと、患者にとりましてはなれるまでの不安があり、この不安を解消するためには顔見知りになっている現在の国立高田病院の医療スタッフに、より多く新病院に残ってもらいたいという希望があると思います。一方、現国立高田病院の皆さんの中でも、転勤、引っ越しをしないで、引き続き上越市に住み、できるだけ新病院で働きたいという意向の方も多くいると聞いております。国も、現国立高田病院の各自の意向を十分尊重すると言っていますし、国立病院等の再編に伴う特別措置に関する法律でも、現病院職員の2分の1以上を引き継げば、無償で国から資産の譲渡を受けることができることになっているわけであります。したがって、患者のため、そして現国立高田病院職員を新病院に引き継ぐようにしていただきたいと強く要望するものであります。したがって、次の具体的な質問にお答えいただきたいと思います。 一つは、新病院に対する現国立高田病院職員の意向は、どのように考慮されているのか。 2点目です。病院運営の中心である看護婦等スタッフの確保の見通しはどうなっているのか。 3点目、スタッフの確保のスケジュールはどうなのかであります。 次に、市に移譲後のリニューアルについてであります。現在高田病院では大規模なリニューアル工事が実施されています。先日工事が完了した第2病棟を視察させていただいたんですが、大変よくなっているのに驚きました。まず、病院に入る前に、正面から見て本当に色もさわやかな色になっていますし、病院の病棟の中そのものも、非常に今までの色と違って明るくて気持ちのいい、そんな色合いになっています。廊下の天井に今まで出ていました鉄管といいますか配管、それについては中に入れてといいますか、配管もなくなっていって、非常に明るいイメージになっています。また、病室も6人部屋が4人部屋になって、それから4人部屋が2人部屋と、それからベッドの周りがゆったりしています。各患者さんのプライバシーの保護もできるという点で格段の進歩であると思います。また、各病室に設置されましたトイレ、洗面台も、使う患者さんの利便性を十分考慮して新しく設置されています。また、浴室も広くなり、入浴の介助もしやすく、かつ安全です。今までなかったのが不思議なくらいの身体障害者用のトイレも新設されています。全く新しい病院に入ったかなという感じがしたわけであります。今後も引き続き、現在第1病棟や外来部門の工事が実施されていますが、次のことについて具体的にお答えいただきたいと思います。 一つは、現在高田病院では国がリニューアル工事を実施していますが、市に移譲された後、市ではどのような工事を実施する予定になっているのでしょうか。 2点目です。医療機器の整備についてはどうでしょうか。 以上、大きな2点についてお聞かせいただきたいと思います。 次に、3点目であります。議案第79号上越市一般会計補正予算についてであります。さきの3月議会において新都市市街地機能強化事業で中心市街地連携構想に基づいて、連続立体交差事業と面整備などを調査する事業計画を検討するということで、319万余の予算化をされました。その後、今回の補正の中で1,239万円が委託されているわけでありますが、8月27日のマスコミによりますと、来年度の概算要求で建設省は新潟駅周辺の連続立体交差事業について、環境影響調査、都市計画などを行う新規着工準備箇所として2.5キロ、総事業費600億の予算要求をしたというふうにも報道されています。このような背景の中で、今議会に新都市市街地機能強化整備構想策定ということで委託されているわけでありますが、その見通しをお聞かせいただきたいと思います。 それから、議案第84号上越市少子化対策基金条例についてであります。少子化問題は、我々現代に生きる者として未来への責任と言ってもいいと私は思っています。今や少子化により高齢化社会の福祉問題、経済活動への影響、将来的には外国人労働者の受け入れ、地球規模の人口増加、食糧危機、環境問題との関連など、社会経済的にも広がりを持つ大きな問題であります。とりわけ先進国における共通な課題であるわけですが、その中でも日本は高齢化が世界に例を見ない速度で進行しております。既に65歳以上の老人人口が15歳未満の年少人口を上回っている状態であります。市長は、常に少子化対策は行政として女性が安心して子供を産み育てる環境づくりであり、子育てに対する経費、医療費の軽減、育児に対する精神的、肉体的不安解消や男女共同参画社会型のライフスタイルの中で十分考慮する必要がある。また、事業者は、女性進出には労働時間、育児休業のとりやすい環境づくりなどを進めるべきだと言われていますが、私も同感であります。そして、他の自治体を一歩リードする多くの施策を具体的にとってこられているわけであります。その中で、今回中央との絡みだとは思うんですが、今回の基金の目的は国の施策としての色合いが非常に濃く、上越市が進めてきた施策とちょっと乖離を感ずるわけであります。大まかに言えばそれは当てはまるわけでありますが、もっとその前にやるべきことがあるんではないかなというのが私の今の考え方であります。したがって、基本条例をつくられた目的と少子化対策の考え方をいま一度お聞かせいただきたいと思います。 以上、4点にわたりまして総括的に質問させていただきました。よろしくお願いします。 ○議長(新保清司君) 宮越馨市長。          〔市  長  登  壇〕 ◎市長(宮越馨君) お答え申し上げますが、田村議員の景気対策、いろんな形で取り組んできたわけでありますが、その効果となると、はっきりと現象としてあらわれているかということになりますと、先般の景気動向調査をした限りにおいては、やや改善の方向性が出ておりますが、まだマイナスの域を完全に脱し切れていないと、こう私は認識をしております。したがって、一般的にはこの秋以降にもう一段と厳しい状況があらわれるんではないかという、そういうことがささやかれている面もあるわけでありますから、一層上越地域の景気動向についても細心の注意を払って対処していかなきゃならんなと、こんなふうに思っております。 公的セクターというか行政サイドからいろんなことをしているわけでありますが、やはりGDPに占める割合は民間の方がはるかにそのウエートが高いわけでありますから、民間経済の動向が回復基調へと大きく動いてこない限りは、根本的な解決はならんだろうというふうに思っております。また、構造的な問題だというふうに言われているわけでありますから、まさに構造的に立ち上がるというか、経済の枠組みを含めたいろんな形が変化を遂げてこないと、安定した景気回復もさることながら、社会そのものが力強さを感じ取るわけにはいかないだろうという面があることは、今田村議員も御指摘したとおりであると私は思ってます。 そういう意味で、できるところから、構造的な改革ということになりますと、私どもの側から言えば行政改革ということはみずからできる範疇でありますもんで、提案理由に申し上げたように、そういう視点で大規模な抜本的な行政改革を今行って、向かっていることを、ぜひこの際、改めて御認識をいただきたいと、こう思っております。行財政改革は、不断の取り組みが必要なことでありますし、ましてやこれ税金で運営しているわけでありますから、一瞬たりとも怠慢な行財政運営があってはならないと、こういうふうに強く意識を固めながら市政運営に取り組んでいるところであります。 御質問、順を追ってお答え申し上げますが、まず経常収支比率はということでありますが、御承知のとおり、この経常収支比率というのは人件費、物件費、扶助費などの経常的に支出される経費でありまして、市税や普通交付税などの一般財源がどれだけ使われたかということを示す比率であります。財政の弾力性をあらわす指標として、経験的におおむね7割~8割の間に分布するのが通常であると、こう言われております。当市の10年度の決算では、先ほども御説明いたしましたとおり、人件費で2.2ポイント、物件費で0.6ポイント下降した一方、ごみ処理経費の増加などに伴って一部事務組合負担金で1.2ポイント上昇したことなどによって、全体では前年度に比べて0.9ポイント下降しました。すなわち、改善をしたと言ってよろしいと思います。したがって、数値も78.1%となったところであります。 これも各自治体の、例えば県内の動向を見ますと、経常収支比率が悪化した方が圧倒的に多いです。悪化した方が15団体、改善したのは5団体、もちろんその中に上越市が5団体の方に含まれております。そして、経常収支比率がこのように変化をしてまいりましたもんで、上越市は県内20市のうちに占める順位は上位から3位ということで、かつての比率から見ると一番よくなっております。 それから、経常一般財源比率では、市税や普通交付税などの経常一般財源収入が標準財政規模、すなわち普通交付税の算定に伴って算出される当該団体の標準的な一般財源の規模に対してどの程度になっているかということをあらわす比率でありますが、これは100%を超える度合いが高いほど、経常一般財源に余裕があり、歳入構造に弾力性があるとされております。しかしながら、経常一般財源比率は特別減税が比率に影響をするという構造的な側面も有しておりまして、平成5年度までには県内20市において、当市を含めてほとんどの団体が100%を上回っておりましたが、特別減税等が実施された平成6年度以降は、逆にほとんどの団体が100%を下回る状況となっております。こうした中で、平成10年度は県内20市のうち16市の比率が前年度よりも下がって、当市においても1ポイント低い96.7%となったところであります。ちなみに、当市は20市中10位に位置しております。 また、財政力指数は、地方公共団体の自己財源力を比較する指標として用いられておりますが、普通交付税の算定に伴って算出される基準財政収入額が基準財政需要額をどの程度満たしているかをあらわすものでありまして、御案内のとおり、この指標が1.0に満たない団体には普通交付税が交付される、いわゆる交付団体ということで、そのような仕組みになっております。平成10年度の当市の財政力指数は、単年度指数が0.748、3カ年平均が0.755と、基本的には3カ年平均で見るという慣習になっております。ここ数年同程度の水準で推移しておるのが当市の現状であります。これも改善というか、率が上がる下がるという話がありますが、下落、つまり悪い方向に動いた団体が20市のうち13団体あります。6団体が上昇しております。私ども上越市は、同じであります。 次に、公債費比率並びに起債制限比率をちなみに申し上げますが、これは経常的に償還しなければならない公債費、すなわち市債の定時償還に経常的に収入される市税等がどのぐらい使用されているかを示す割合でありますが、起債制限比率は現行の地方債許可制度において一定の比率、これは20%をいいますが、20%に達した場合は新たな起債を制限する判定基準として用いられているものであります。当市の公債費比率を見てみますと、私が市長就任以来、健全財政を目指して市政の抑制努力を続けてまいりました結果、平成5年度では全国660余りの都市のうち、その順位が604位でありますから、もう下から数えた方が早いぐらいの順位でありました。ちなみに、県内20市の中で18位の16.6%であったものが、9年度には15.9%に改善され、大幅にランクもアップして、全国で416位と、約200位改善されました。当然県内では順位が上がりまして10位となりましたが、10年度にはさらに改善が進み、県内7位の15.4%となったところであります。恐らく全国水準が、全国ランクが発表されれば、さらにこのランクが改善の方向へといくものと思っております。また、起債制限比率も、平成5年度には13.5%であったものが、10年度では1.4ポイントも改善されまして、12.1%となったところであります。 このように各種指標の推移からして、財政健全を旨としている私の基本的な姿勢が、一歩一歩着実に成果を上げてきているものと判断しておりますが、今後ともあらゆる角度から研究を重ね、財源確保に努めるとともに、先を見通した的確な財政運営に努めてまいりたいと考えております。 続いて、市税についてのお尋ねでありますが、提案説明でも触れましたが、平成10年度の市税収入は総合経済対策の一環として特別減税が実施されまして、8億3,400万円余りの影響があったことなどに伴って、個人の市民税の所得割、現年課税分が前年に比べて約6億9,000万円、10.9%減の56億3,998万円に、また法人市民税の法人税割も長引く景気低迷を反映して、前年に比べて1億8,700万円余り、7.9%減の21億8,923万円となりました。景気の影響が比較的少ない固定資産税の伸びがあったものの、市税全体では当初予算を3億2,700万円余り下回る193億1,508万円の決算となり、前年度に比べまして約4億円の減となったところであります。 平成11年度の市税は、現段階ではおおむね予算と同程度で推移しておりまして、法人市民税においても、景気の影響や税制改正に伴う法人税率、国税の引き下げの影響等を考慮して、抑制して予算計上したところでありますが、7月までの申告状況はこの見込みとほぼ同水準で推移をいたしております。景気は、一部に明るさもに見え始めたとは言われているものの、雇用情勢が深刻の度合いを一層増すなど、極めて厳しい状況が続いているわけであります。こうした中で私は、議員も十分御承知のとおり、これまでもさまざまな景気対策に懸命に取り組んできたところでありますし、また今議会においても雇用対策として特採職員の追加採用に伴う補正予算を提案させていただいておりますように、地元の景気回復に精いっぱいの努力を続けているところであります。しかしながら、景気の先行きは依然として予断を許さない状況が続くものと認識をいたしておりますし、今後の財政運営も一段と厳しい状況になることは必至であると考えておりますが、このようなときこそ職員と一丸となって、まさに経営感覚をもって適切な自治体経営に努めてまいりたいと、このように考えています。 次に、財政調整基金、減債基金に対する基本的な考え方でありますが、まず財政調整基金についてでありますが、私はこれまでも多くの事業を積極的に推進しながらも、一方では将来の財源確保に細心の注意を払い、財政に少しでも余裕等が生じた場合には、これを基金に積み立ててきたところであります。そして、平成10年度はこうして蓄えてきた基金も活用しながら、景気対策を初めとしてさまざまな施策に取り組んだところでありますが、効果的かつ効率的な予算執行に努める中で普通交付税が予算を上回って決定されたことなどにより、当初予定しておりました10億円の取り崩しを、結果的には3億円にとどめることができ、平成10年度末の基金保有額は21億5,694万円となりました。 10年度末の保有額を県内20市で比較してみますと、人口1人当たりでは20市の平均が1万6,985円でありますが、当市もほぼ同程度の1万6,233円となっております。また、標準財政規模に対する割合では、20市の平均値7.7%に対し、当市は7.9%であり、おおむね平均的な額を保有しているものと考えております。また、類似団体の平均では、1人当たり保有額は当市より6,100円余り少ない1万81円となっておりますことを参考までに申し上げておきます。 なお、平成11年度におきましても、10億円の取り崩しを予定したところでありますが、繰越金や普通交付税が予算を上回って決定されたことなどから、地方財政法の規定に沿って、平成10年度からの繰越金、これ純繰越金でありますが、それのおおむね2分の1に相当する額、すなわち6億円を積み立てることとしたものであります。 また、減債基金でありますが、既に御承知のとおり、これまで基金を活用して市債の繰上償還を積極的に行ってきたところであり、その結果、平成10年度末の残高は約1億100万円程度となりました。こうしたことから、残高は県内20市の中では少ないものとなりましたが、平成6年度から10年度までの5カ年間の繰上償還によって、後年度で支払わなきゃならない利息が想定されますが、そのうち約2億7,000万円余りの軽減を図ることができたという効果をもたらしております。基金を活用した繰上償還は、極めて大きな効果を上げたものと、このように認識をいたしております。 次に、上越市病院事業の運営の見通しについてでありますが、まずスタッフの確保についてでありますが、私は国の国立病院・療養所再編成計画の中で統廃合の対象に位置づけられまして廃止となる国立高田病院を、地域医療の継続、充実のため、昨年2月に移譲を受けることを決断いたしました。地域医療の継続は、新病院、上越地域医療センター病院となっても、現在国立高田病院で診療を受けておられる多くの市民の皆さんが安心して受診できるようにしなければならないということであります。そのためには、国立高田病院の医療スタッフの皆さんがより多く新病院に残っていただき、診療、看護等に引き続き携わっていただくことによって、スタッフ確保の第一歩がスタートできるものと考えております。また、国においても、国立高田病院の職員について、基本的には柏崎の国立療養所新潟病院に勤務していただくが、個々の職員の希望はできる限り尊重するとして、市並びに上越医師会に対し、移譲後の新病院での職員採用について全面的な協力を要請してきておりますし、国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律では、病院職員の2分の1以上を引き受ける場合には譲渡資産を無償で引き継ぐことができ、さらに病院職員の3分の1以上2分の1未満を引き受ける場合は、譲渡価格が9割引きになるとされております。このようなことから、スタッフの確保に当たり、まず私は患者さんへの不安感の解消のため、そして現国立高田病院職員の意思尊重のため、より多くの国立高田病院職員の皆さんから新病院に引き続き勤務していただけるよう配慮し、運営を委託する上越医師会に協力を求めているところであります。 また、国立高田病院職員の意向調査の結果が11月中には確定すると聞いておりますので、上越医師会ともども必要人員の確保に努力してまいりたいと考えております。さらに、よりよい医療を行うためのかなめとなる医師の確保については、新病院院長候補の笠原自治医科大学教授を中心に、自治医科大学並びに上越医師会とともに全力を傾けているところであります。 次に、市に移譲後のリニューアルについてでありますが、現在御案内のとおり、国立高田病院で実施されている整備工事は、国から移譲を受けるに当たり、私が強く国に働きかけた結果、本来移譲後に市が整備すべきところを特別に国が今前倒しで実施しているものであります。特別というところをよく御認識をひとつお願いしたいと思います。その概要を申し上げますと、第1、第2病棟では、現在の6人部屋を4人部屋に、4人部屋を2人部屋に、2人部屋を個室に改修し、また開放的な食堂、ナースステーションの設置、身体障害者用トイレの新設や外壁、内壁、床の全面改修等も行って、快適かつ良好な入院環境整備を進めているところであります。さらに、中央廊下、外来管理治療棟についても大半を改修し、明るい医療環境の整備に配慮するなど、新たなスタートにふさわしい整備が行われているところであり、10月末に工事がおおむね完了する予定であります。また、医療機器整備についても、国に強く働きかけた結果、最新型のコンピューター断層撮影装置、いわゆるCT装置を初め、エックス線テレビ装置、患者監視装置等が年末までに整備されることとなっております。そして、国からの資産譲渡の契約締結が来年2月末に予定されておりますので、その後、市として外来管理治療棟1階の診療部門、2階管理部門、第3病棟、サービス棟等の改修工事を考えておりますが、今後運営を委託する上越医師会並びに笠原教授の意向をも確認し、医療機器整備も含め、十分に協議検討した上で、より良質な医療環境の整備に努めてまいりたいと考えておるところであります。 次に、御質問の新都市市街地機能強化整備構想策定の考え方と見通しについてでありますが、この構想策定は、「のびやかJプラン」の10大構想の一つである中心市街地連携構想に基づく鉄道立体化プラン、都市内公共交通ネットワークプラン、そして拠点駅周辺整備プランからなる信越本線の連続立体交差事業の実現化を図るための調査を進めているものであります。このため平成9年度から広域的な交通条件、南北にわたる市街地機能のあり方を初めとし、鉄道を囲む高田市街地を中心にした生活商業活動、交通処理機能、さらには補助採択可能区間などの基礎調査を進めてきたところであります。そして、今年度の当初予算では、中心市街地に係る補助採択が可能と想定される区間などの整備手法や事業化に関連する市街地整備事業等を検討する調査費を計上いたしましたが、あわせて本事業の事業主体となる県の調査事業への格上げに努めていきたいという方針についても、今まで御説明してまいりましたことは御案内のとおりであります。 そこで、今回の補正に至った経緯でありますが、そうした基礎調査をより充実させるとともに、去る8月31日に発表された平成12年度建設省予算の概算要求に盛り込まれた連続立体交差事業の拡充施策について、いち早く情報をキャッチし、直ちに検討した結果、現況測量、計画図の作成、さらには事業効果などの追加調査を行うことが、今後県が実施する補助調査の促進を初め、国の補助採択にも資するものと考え、必要な経費を計上したものであります。 また、事業化の見通しについてでありますが、今後JRなど多くの関連機関との調整はもちろんのこと、関係住民の合意など、事業採択までにはクリアしなければならない多くの課題がありますので、現段階では明確にお答えできかねますが、中心市街地の活性化を目指し、また地球環境時代における新たな公共交通体系の確立など、総合的なまちづくりを進めなければならないという観点に立ちながら、国の鉄道高架化推進等の推移を十分に注意しつつ、また北陸新幹線の整備動向をも考え合わせて、積極的に対応してまいりたいと考えております。 最後に、少子化対策基金条例についてでありますが、少子高齢化対策については、私の重点施策の一つとして積極的に取り組んでおりますことは、既に御案内のとおりであります。とりわけ少子化対策については、仕事と育児の両立を支援するため、県内の自治体に先駆けて昨年9月に開設いたしましたファミリーサポートセンターを初め、病気回復期における乳幼児健康支援センターの拡充など、子育て支援事業の整備に意を用いてまいりました。また、今年度から新たに実施しました交通事故防止を図るためのチャイルドシート購入費補助金については、多くの保護者から大きな関心と好評をいただき、当初予算の約6倍にも当たる補正を今議会でも提案させていただいております。 お尋ねの基金の設置目的と少子化対策の考え方でありますが、「Jプラン」に沿って子供が自然に触れ合う体験学習施設や地域における核家族の進行により、3世代交流の促進を図る施設整備などを行い、21世紀を担う子供たちの健全な育成に努めるため、9,510万7,000円を基金といたしましたが、交付金については今回の基金への積立金を含めた1億6,053万7,000円が年度内に交付されることとなっております。具体的な交付金の使途については、少子化時代における子育て機運の醸成や子育て支援体制について考える少子化対策講演会の開催を初め、幼稚園、保育園の遊具なども今年度速やかに取り組むこととして、今議会に補正予算を計上したところであります。 私は、これまでにも保護者の経済的負担の軽減を図るため、保育料軽減措置を初めとして、就学前児童の入院時における乳幼児医療費助成などを行ってまいりました。また、育児に不安を抱える保護者への相談及び指導を行うとともに、情報交換の場としての子育て広場の実施及び延長保育、一時保育、障害児一時保育に加え、昨年新たに公立保育園における休日一時保育を開始するなど、各種特別保育事業についてさまざまな需要にこたえて積極的に取り組んできているところであります。今後とも市民ニーズの把握に努めながら、少子化対策事業について鋭意検討してまいりたいと考えております。 また、平成10年における合計特殊出生率は、全国が1.38、上越市では1.78でありますが、2.0以上を確保するための施策、立案について、広く市民の皆さんから御意見をお聞きするとともに、有識者の方々からも子育て年金制度を含めた社会保障制度の見直しなど、少子化対策の抜本的な提言をいただき、新しい事業にもチャレンジしてまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、少子化問題の解消を図ることを今後も最重要課題として位置づけ、安心して子供を産み育てられる環境づくりにより一層意を用いてまいりたいと、このように考えております。 以上です。 ○議長(新保清司君) 23番、田村議員。          〔田 村 恒 夫 君 登 壇〕 ◆23番(田村恒夫君) ただいま市長から詳細にわたって御説明いただきまして、ありがとうございました。 特に景気対策については、市長も本当に誠意を込めて、そして行政としてできる範囲ということでいろいろ努力されているということについては十分受けとめていますし、それを一つの起爆剤にして民間の活力を上げるということが今必要ではないかなというふうにも思っています。全体的には構造的な不況ですから、それをどういうふうに克服するかというのは、お互いに勉強していかなきゃいけないんですが、今多くの場で語られていることは、地方分権の時代で自分のまち、市は自分で考えてやる、そしてあれもこれもニーズがあるんだからやるんだということではなくて、一つはそういう例えば景気対策なら景気対策、これをきちっとやるというように、どれをやるかと、どちらを選択するかというのが一番重要ではないかなというふうに思うんです。がまぐちといいますか、入ってくる器がだんだん小さくなっていますから、その器の中で何を効果的にやるかと、効率的にやるかということを今後とも、市長も考えておられますけども、ひとつ積極的にお考えいただきたいなというふうに思います。 そういう中で、経常収支比率であるとか、経常一般財源比率、それから財政力指数ということでいろいろお話がありましたけども、それなりにきちんと努力をされているということはわかりますし、他の市町村と比べても一歩前進しているなということがあるわけで、これをさらにまた進めていただきたいということを強く申し上げておきたいと思いますし、そういう中で特に地方分権に対応する、そういった財政のあり方ということも十分考えていただきたいなというふうに思います。 それと、市税の関係で言えば、確かに全体的には市税が落ち込んできているし、また減税ということもあるんですけども、やっぱり根幹となる市税ですので、それらについても十分今後いろいろな面で施策を考えていただきたいなというふうに思っています。 それと、これは先ほども市長の説明の中にあったんですが、今回上越市で企業会計的分析手法ということで、参考資料として出されました。非常にわかりやすく書いてあるわけですし、この表示の方法であるとか、評価の仕方とか、これからいろいろあるんでしょうけども、しかし市民にとってわかりやすい、そういう財政の現状というものを知ることによって、新しいまた方針を立てていくということが財政の健全化につながるというふうに思いますので、これひとつまた私も参考にさせていただきたいなというふうに思っています。 それから、上越市の病院の関係ですが、特に上越地域の医療として、高田病院をそれなりに市としてこれからしっかりと管理していくということなんですが、先ほど市長からお話がありましたように、特に患者さんの立場に立って考えると、そしてまたそこに働くスタッフの意向も十分酌み入れるということが大事じゃないかなと思います。先ほどスケジュールの中で、11月中には一応大体のスタッフの内容が出てくるというお話でありますけども、できるだけといいますか、少なくとも半分以上の方が、今まで高田病院に働いておられた方が半分以上そこで勤められる、そういう条件整備というものもきちんとやっていただきたいというふうに思います。 それと同時に、新しくリニューアルされて、その中で新しい医療機器、これについても新しい笠原院長さんを初めとして、委託先の医師会と十分相談され、またそこのスタッフの皆さんと相談されてということですので、十分ひとつその辺は御配慮いただきたいなというふうに思っています…… ○議長(新保清司君) 田村議員、要望というより再質問に絞ってください。
    ◆23番(田村恒夫君) はい。 今のは、じゃ要望です。 ○議長(新保清司君) 総括質疑で、余り要望を並べないように。 ◆23番(田村恒夫君) それでは、3番目の新都市市街地の関係で、特に連続立体交差の絡みなんですが、先ほど市長も特に建設省の方針が新しく出てきたという中でお話があったんですが、私が心配するのは、それが果たしてどこまでつながっていくのかなと、ちょっとそれを心配するわけで、その辺についていま一度市長のお考えをいただきたいというふうに思います。 一応以上、要望も兼ねて再質問ということにさせていただきます。 ○議長(新保清司君) 宮越市長。          〔市  長  登  壇〕 ◎市長(宮越馨君) 私に対する行財政運営の評価をいただく中で、要望が主だったような感じがいたします。しかしながら、これからの行財政運営については、大変厳しい環境下に置かれておりますから、細心の注意を払いながら、より一層経営感覚を重視しながら、運営に努めていきたいと思います。 こういった問題は、みずからが行うことによって行える部分と、周りの環境から影響の出る、両方の要因がありますから、なかなか難しいわけでありますが、大事に至らないように、先を見通しながら、私は最近こういう言葉を使っておるんでありますが、予防行政という言葉を使っております。一種の危機管理でもありましょうが、一たん事が起きてから対応するエネルギーとコストを比べたら、あらかじめ先を見通して何をするかということをきちんとやっておれば、結果的にコストが少なく、またいろんな悪影響も最小限に食いとめられるということで、予防行政という観念をしっかりと認識というか、そういう考えを構築しながらやっていかなきゃならんというふうに思っております。 また、行財政というか、特に財政問題は、苦しいんでありますけれども、その中には新しい時代を切り開くというか、そういう新しい行政へのチャレンジも忘れてはならないと思います。つまりそういったことを先端行政と、こう私は言っておりますが、行政も産業と同じように先端産業という技術革新をしていかないと、市民ニーズに十分にこたえられていかないだろうというふうに思って、先端行政という、こういった理念、それからそれを包括する、包含するということで創造行政という、こういうものをしっかりと行政の中に理念づけしていかなきゃならんと、こういうふうに今思っております。バランスシートを発表させていただいたのも、そういった意味で自治体経営ということ数値的に市民の納税者の方々がわかりやすく、資産状況とか、負債状況とか、どうあるかということを認識していただきながら、そしてそれを経年的にどう経過するというそのことを見ていって、客観的に行財政の健全化が図られているかという、そういう外部的チェックをしていただけるような、そういう仕掛けをみずからが行うということで、このバランスシートを発表させていただいたわけであります。これは、既に10年の予算から行っておりますから、予算決算がこれで一体となって完成したわけでありまして、このような視点でこれからも厳しい行財政運営に取り組んでいきたいと、このように思っております。 病院については、これについては先ほどるる申し上げたとおりでありまして、基本的には御理解をいただいていると思います。ただ、最終的なスタッフの要員の問題等についても、今ほどいただきました御意見をまた踏まえながら、スムーズに病院経営が私どもに移譲されるような環境づくりに努めていきたいと。また、名称をどうするかということで議論があったわけでありますが、「上越地域医療センター病院」というふうに名前を御提案をさせていただいておりますが、国立高田病院というなじんだ名前を市立高田病院という考え方も否定はしなかったわけでありますが、これからの地域医療を支えていこうという、こういう理念の方がよりマッチしていくんではないかと、こう思いますし、また御利用いただける方々は、上越市民のみならず、この上越地方全体の方々からも御利用いただいている実態を踏まえながら、そういう実態を踏まえた上での新しい将来に向けての名称というふうにするのも大変重要なことではないかなと、こう思いまして、そのような名称にさせていただくことにいたしましたわけであります。したがって、内容についても、そのような地域医療をしっかりと支えるということを旨として病院経営に努めていきたいと、このように思います。 御案内のとおり、病院経営は大変経営は難しいということはどなたも認識していらっしゃるわけでありますが、といってそれを避けるというわけにもいかないということで、決断してこのようになったことをぜひ御理解を賜りたいと、こう思っております。 それから最後に、新都市交通軸あるいは連続立体交差の整備の問題でありますが、これは積年と言ってはあれですけど、昔からこの信越本線の高架問題がくすぶっていた問題であると思います。そして、今日高速道路が間もなく全通することによって、いわゆる上越市、特に高田地区の西側、山麓側が、交通ネットワークが大変革をするわけでありまして、そうしますと当然従来になかった東西の車の流れが、また人の流れが著しく変化を来すと私は見ています。現在においても、冬期間を含めながら、踏切の利用の不便さについては、市民生活に大きな障害をもたらしているわけでありますから、それに加えてこのような交通ネットワークが大幅に変わるということを見据えて、抜本的に高架化に踏み切るべきではないかと、こういうふうに考えておるところであります。しかしながら、この事業は大変大規模な事業になりますから、数百億の単位で事業が重なるわけでありまして、簡単にはこれは取り組めない問題でもあるということは承知しております。しかしながら、北陸新幹線、世紀的事業がようやく動き出してまいったわけでありますから、百年の大計ではありませんが、このチャンスを逃がしますと、これは再びチャンスはないだろうというふうに思っております。したがって、連続立体交差の範囲でありますが、基本的には北陸新幹線上越駅、仮称でありますが、その新幹線駅から北陸高速道路のそこまでの間を一応対象に考えるべきではないかなと、こう私は思っています。物理的な面も含めてその間を、全部になるか一部になるか、これはこれからの研究検討の結果によるところでありますが、採択要件等も今日の建設省の事業予算の考え方も、やや踏み込んだ形になっていくだろうと、こう思いますもんで、従来の考え方あるいは基準よりも緩和することを期待しながら考えますと、今の区間は不可能ではないんではないかと、こう私は思っております。そして、Jプランに記すような将来を見据えたまちづくりを完成させるためには、どうしても連続立体交差は、今申し上げた区間は最低行っておく必要があるんではないかなと、こう思って、こういったことを専門性を取り入れながら、多角的に検討をしていきたいと、こういうことで、なるたけ早く立ち上がりをしておく必要があるんではないかと、こう思っております。 御案内のとおり、北陸新幹線も20年という基本スキームを10年程度に短縮して供用開始できるようにというふうに願っている私どもの考えとの整合性をとりながら、このような新しい都心と既成市街地の連携軸を構築するというかつくり上げていくという、そういうことに今立ち上がることがタイムリーではなかろうかと、このように思って御提案を申し上げたところを御理解いただきまして、御審議を賜りたいと思います。 以上です。 ○議長(新保清司君) 1番、杉本敏宏議員。          〔杉 本 敏 宏 君 登 壇〕 ◆1番(杉本敏宏君) 私は、日本共産党議員団を代表して、三つの項目について総括質疑を行います。 まず、最初の質問でありますけれども、議案第67号平成10年度上越市一般会計歳入歳出決算の認定についてであります。幾つか細かな質問がありますが、その一つは、市債が発行増となっており、市債残高もふえたことについてであります。市長は、午前中の提案理由の説明の中で、10年度予算は前年度当初に比べ2.3%増のふんばり型予算だと述べておられました。中身を見ますと、一般会計の決算額は歳出総額が513億7,413万円、前年度比で10.7%増であります。歳出の伸びの要因等々についていろいろ述べておられましたけれども、きょうの質疑はそれを問いただすということではありません。歳入の根幹をなす市税が193億円余りの決算となって、前年度に比べておおよそ4億円、2.0%の減少となっているわけであります。歳入の根幹である市税が減収になっているのに歳出総額をふやしたわけですから、どこかにしわ寄せが出てくるのではないだろうかと。そのしわ寄せの一つが、この市債の発行にあるのではないだろうかということであります。市債は、前年度に比べて24.1%増の51億4,600万円、許可額ベースで見ると55億3,590万円の増ということになっております。この私の目から見れば異常とも言える大量の市債の発行によって、平成10年度末における一般会計の部分での市債の残高、これは平成9年度に比べて約20億ふえて455億8,000万余りにもなりました。この市債残高455億8,000万というのは、平成11年度の一般会計当初予算と比べてみますと、おおよそ80%に当たります。ですから、ことしの予算の8割にも上る借金になってしまったというのが実態だろうと思うわけですが、そういうことから、財政運営に本当に誤りはなかったのかどうかということについて、市長の見解をいま一度明らかにしていただきたいということであります。 二つ目は、使用料について述べておられるところで、施設の運営に当たっても、常に経営感覚を持って点検見直しを行いというふうに述べていることについてであります。経営感覚ということが常々強調されておりますけれども、この経営感覚の中には、もちろん効率的な運営というのは当然含まれることだろうと思います。他方で採算というものも経営感覚の重要な要因だと思うわけですが、経営感覚を持って施設の運営に当たるということを強調していった場合に、将来的に施設の使用料の値上げに通じることはないのかどうか。採算という問題を絡めて考えますと、そういう心配があるわけですけれども、利用者である市民の側からすれば最もこの点が関心の高いところではないだろうかと思うわけであります。そういう心配はないということであれば、そのように御答弁をいただきたいというふうに思います。 三つ目でありますけれども、財政調整基金からの繰り入れと積み立ての問題であります。財政調整基金から5億円繰り入れておりますけれども、別にまた財政調整基金に2億円余り積み立てているわけであります。差し引きしてみますと、結果としては、形の上でありますけれども、単に3億円繰り入れただけの形になるわけであります。制度上の問題、いろいろあるだろうと思いますけれども、こういう形での出し入れというのは、財政規模を大きく見せるという効果があるのではないんだろうかと、そういう懸念はないのかどうかという点をお聞きしたいと思います。 四つ目でありますが、先ほどもお話ししました市債残高の問題であります。20億円ふえて456億円余りになったわけでありますけれども、これは一般会計の残高であります。特別会計、これも提案の中でお話がありましたけれども、これは前年度よりも61億5,000万ほど増加して397億円余りとなったということであります。もちろん一般会計と特別会計、性格が違いますから、ごっちゃにして考えるわけにはいかない問題だとは思いますけれども、一応合わせてみますと前年度より81億円ふえました。そして、両方合わせますと853億円であります。最初にも言いましたけれども、11年度の予算総額との比、一般会計ですが、比でもって見ますと、おおよそ1.6倍の借金残高であります。このような市債の大幅な発行というのは、市長も常々言っておられる財政再建あるいは財政の健全化ということに逆行するのではないかと思うんでありますが、どのようにお考えになっておられるか。そしてまた、一般会計の1.6倍にも上るような、こういう市債残高があるわけですが、この返済の見通しをどのように考えておられるのか、お示しをいただきたいと思います。 5点目でありますけれども、実質収支11億円の黒字ということになっております。先ほどもお話ししましたけれども、財政調整基金から5億円繰り入れて2億円積み立てていますから、この出し入れを考えますと、実際の黒字幅というのは8億円ではないのかなというふうに思いますが、もし間違っていれば御指摘いただきたいと思います。それで、この実質収支11億円の黒字ということの中身でありますけれども、これは先ほども申しましたけれども、歳入減を大幅な市債発行で穴埋めをしている形になっているわけですから、悪い言い方かもしれませんが、借金の一部が余ったのを黒字と言っていることにならないのだろうかというふうな感じも受けるわけですけれども、どうでしょうか。 六つ目でありますが、地域振興券の交付事業についてであります。提案理由の中では、たしか2カ所ほどで触れられていたかと思いますけれども、地域振興券の発行事業、景気回復策の重要施策の一つとして取り組んだというような強調のされ方をたしかしておられたかと思います。ちょっと2カ月ほど前の朝日新聞の記事でありますけれども、全国の信用金庫が1万4,071の中小企業に対して行った調査の結果が掲載されておりました。その記事によりますと、売り上げへの影響について「大いにあった」というふうに評価しているところが0.7%、1%にも満たない状況です。それから、「多少あった」、また「若干あった」というのが17%でありまして、その信用金庫の調査を行った全信連総研というところでやったらしいんですが、そこの担当者の方は、「地域振興券は本来中小企業が対象だったはずなのだが、そんなに役立っていないようだ」と、この記事の中でコメントしておられます。その後、発表されました各種の調査でも、おおむね同様の結果になっているというふうに思うわけですが、地域振興券の発行事業が上越地域の地域振興にどの程度役立ったとお考えになっているか、お示しいただきたいと思うわけです。 七つ目ですが、市税の滞納についてであります。この問題は、昨年の9月議会の総括質疑でも私が取り上げまして、収納率の低下の原因と対策についてお聞きしたわけであります。そのときにもお話しいたしましたけれども、職員の方々が一生懸命やっておられるのはわかるわけでありますが、それをさらに頑張って、取れないところからも無理して取ってこいというようなしりたたきをするつもりはありませんと、そのときお話ししました。払えない方々の状況をよく把握して、そういう人たちの相談に乗って、その上でどうしたら滞納したり、払わないというか、そういうことにならないような、そういう対策をもっととっていただきたいという要望もあわせてしておきました。9年度の決算でも、この滞納と不納欠損というのは大変な状況だと思って、それで質問したわけですけれども、この10年度の決算、それがさらに悪化しております。市税の滞納が7,000万円ふえて9億7,892万円、やがて10億になろうとしております。とりわけ不納欠損額、約2,500万円ふえて5,400万円になりました。おおよそ倍加したわけであります。この市税の税収が減少しているということを一番最初にお聞きしたところで話しましたけれども、この滞納と不納欠損というのがそういったことに悪い影響を与えているのではないだろうかということで、市長の認識、そして今後の対応策、ぜひお聞かせいただきたいと思います。 一般会計の決算についての最後の質問でありますけれども、今お話ししました滞納の中で、今のは市税の話でしたけれども、もう一つ住宅新築資金等貸付金の滞納というのがあります。これも昨年質問をさせていただきました。881万円増加して1億4,249万円になっております。昨年の質問では、一昨年になりますが、3月31日をもって法が改正されて、この貸付金制度というのは新たに借りる部分というのはなくなったわけであります。平成6年度以降に借りている方はないわけで、現在のこの返済されているというのは、それ以前の借入金にかかわるものであります。市長は、そのときの答弁の中で、現年度分で60%程度の収納率だというふうにおっしゃいました。私はそれに対して、ほかのものから比べてみると、現年度分の収納率が60%というのはいかにも低いではないかということもお話ししました。その辺の対策、考え方、お示しいただきたいということに対して市長は、私どもこれはルールにのっかってお返しいただく、これは当然のことであります。特別にという話じゃないんでありまして、今後また滞納されている方々に御理解いただきまして、御返済やあるいは納付をいただくということに意を用いて取り組んでいきたいと、こう思いますというふうに答えておられました。昨年の質問でも申しましたけれども、この貸付金の原資は、市債を発行して貸し付けているものであります。住宅新築資金貸付事業債というのがありますけれども、1億9,311万円、この市債を発行しております。その74%、4分の3が滞納されているということになりまして、この市債の金利は上越市が払っているわけですが、全額持ち出しになるんだろうと思います。10年度の返済されるべき金額というのは、私の計算したところによりますと、3,300万円余りだと思いますけれども、そのうち返済されたのは2,435万円、滞納が881万、極めて異常な事態ではないのだろうか。どう対処されてこられたのか、またこれからどうされるのか、市長のお考えをお聞きしたいと思います。 2番目の質問でありますが、議案第79号平成11年度上越市一般会計補正予算についてであります。今ほど田村議員の方からも質問がございましたが、新都市市街地機能強化事業について、別の角度から取り上げさせていただきたいと思います。この新都市市街地機能強化事業、先ほどの話からもわかるわけですが、連続立体交差というのが主な内容になっております。もちろん高田の市街地で信越線が立体交差になれば便利であるということには間違いありません。しかし、問題はその費用をだれが負担するかだろうと思うわけであります。国鉄からJRに変わりました。いろいろ変わったところがありますけれども、こうした鉄道事業のもとになるインフラ整備という問題で見ますと、JRは、とりわけ最近そうなんでありますけれども、鉄道事業に直接必要な投資についても、いろいろな理由をつけて地方自治体に負担させるという方向というか、そういう状況が各地で見られます。この連続立体交差をやるに当たってJRとの費用負担、分担といいますか、これが非常に重要になると思うわけです。市長は、今ほどは国の方の制度が変わりそうだということをお話しになりましたけれども、国の制度が変わったとして、そちらの方から出てくることになれば、じゃJRは一円も出さなくて済むのかというと、そうではないんだろうなと。やはり実際にその線路を使って利益を上げられるJRには、幾ばくかの負担は当然していただかなければならないんではないだろうかと、こう思うわけです。その辺市長はどのように想定をされておられるかということをお聞きしたいわけであります。 特にこの信越線、北陸新幹線が開業されますと、並行在来線ということで第三セクターになることが予定されているわけです。ですから、この北陸新幹線が開業する前と後とでは状況が一変するはずであります、信越線がJRから切り離されるわけですから。それで、どういう見通しというか、想定しているかということの中には、並行在来線として切り離される前と後で、今ほど言いましたように状況変わるわけですから、どういう想定をして、どういう考えで進もうとしておられるのか、その辺をお考えがあればお示しいただきたいというふうに思います。 最後の質問でありますが、議案第78号上越市病院事業会計予算と議案第82号上越市病院事業の設置等に関する条例の制定についてに関連してお聞きしたいと思います。二つありますが、一つは療養型病床群を設けることになっておりますけれども、このことによって国立高田病院の現在持っている医療機能が後退しないかどうかという点であります。私は、この間97年の9月議会、98年の3月議会、それから98年の9月議会などなどで、この国立高田病院の譲渡にかかわる諸問題について質問をさせていただいてまいりました。そういう中で、国立高田病院の医療機能は後退させないというのが、市長のこれまでの言明だったと思います。97年の9月議会、2年前になりますけれども、こういうふうにおっしゃっています。「市民に対してサービスが医療サービスあるいは福祉サービスが低下してはならないということが一番大事なことでありますから、これは後ろ向きじゃなくて、むしろ前向きに考えていくことで対応していこうと、このように実は考えております」「そこで、私はもうちょっと整理して申し上げますと、国立病院の医療機能を、これはどんなことがあっても存続するのかというふうに問われれば、私は絶対にこれは存続しようというふうに思っていることは、今ここで申し上げられます」というふうに、2年前のこの場で明言されたわけであります。 昨年の9月議会でお聞きしたときには、この移譲の問題、譲渡の問題に関して、「厚生省より国立高田病院の廃止と後利用方法等についての協力依頼があり、熟慮の末、このまま手をこまねいていては医療の後退になると判断し、住民の要望を十分に取り入れる中で、市長として譲渡を受ける決断をしたところであります」。国立のままでいけば医療の後退になるんで、上越市が引き受ければ医療の後退は絶対させませんよという決意表明だというふうに私は受けとめておりましたけれども、こういった中身のことは、議場だけではなくて、関係地域のJトークのところでも、医療機能の存続についてはお話をされているところであります。私は、この間診療科目等々の問題から、医療機能が後退するんではないかということで質問をさせていただいてまいりましたけれども、今回発表されたものから見ますと、療養型病床群を設けることになっているわけでありますけれども、全体の病床数が150から125に変わりますけれども、それは横に置きまして、今までは全部一般病棟として使われていたものの中に療養型病床群を設けることになれば、一般病床の数がその分減るわけであります。そうすると、それはそういう医療機能の後退にはつながっていかないのだろうかというのがここでの質問であります。 二つ目は、結核の問題でありますが、結核病床、存続すべきではないか。このことについても以前質問をさせていただきました。私ども日本共産党の新潟県内の議員団が7月の26、27日の両日にわたって上京しまして、厚生省などと交渉をしてきたわけですけれども、私も樋口議員もそれに参加しましたが、その厚生省との交渉の中で、ちょうどその日に厚生省が結核非常事態宣言を出したということを報告がありました。結核が過去の病気ではない、現在の新たな感染症の重要な問題としてクローズアップされてきているということで、厚生省がそういう措置をとって、その前後から各マスコミでもこの問題が大きく取り上げられているのは御承知だと思います。現在高田病院には結核病床20床ほどありますけれども、そこに十数人の患者さんがおられるというふうに聞いております。この結核病床がなくなりますと、西新潟の病院まで行かなければならないということになるようでありまして、入院患者の方はそのまま移るということになるんでありましょうが、これも大変なことでありますが、通院されている方がより大変なことになるというふうに思います。市長は、私の以前の質問に、結核療養については、これは県サイドのエリアの問題であって、県として検討するというお話をいただいておりますというふうに答弁しておられました。それで、新病院としての対応をぜひお聞かせいただきたいというふうに思います。 以上です。 ○議長(新保清司君) 宮越馨市長。          〔市  長  登  壇〕 ◎市長(宮越馨君) 順を追ってお答え申し上げます。 まず、財政状況の問題でありますが、平成10年度の状況につきましては、提案説明でも詳しく申し上げ、また先ほど田村議員にもお答えしたところでありますが、極めて厳しい財政環境の中で、私は地元の景気に最大限の配慮を行いながら、当初予算の段階からふんばり型予算を編成し、福祉、環境、基盤整備など、今対応しなければならない施策を力いっぱい推進してきたところであります。特に喫緊の課題である景気対策については、昨年4月早々に上越市景気対策懇談会を立ち上げ、市民の声を反映させながら、大規模な補正予算を組んで、できる限りの対策を講じてきたことは既に御承知のとおりであります。これらの結果、10年度の歳出決算額は、前年度に比べて10.7%増の513億7,400万円余りとなったところであります。こうした中で、平成10年度の市債は、補正予算等の審議の際にも御説明し、議会の御理解をいただいたところでありますが、この追加景気対策事業の財源として11億7,900万円余りの補正予算債を発行したこと、また特別減税の実施に伴う補てん財源として8億1,300万円余りの減税補てん債を発行せざるを得なかったことなどによって、前年度を約10億円上回る51億4,660万円の決算となったものであります。しかし、一方では多くの事業を推進しながらも、いわゆる通常分の市債につきましては引き続き抑制に努め、平成10年度債は当初予算を7,870万円下回る28億3,600万円余りにとどめたところでありますし、また先ほども御説明申し上げましたとおり、公債費比率を初めとする各種指標の推移等を見ても、平成10年度も極めて適切な財政運営であったと、このように考えております。 次に、経営感覚を持って施設の運営に当たった場合、施設利用料の値上げに通じることがないかとの御質問でありますが、まず平成10年度決算における使用料の概況について若干御説明いたしますと、収入総額は前年度に比べて0.5%増の6億8,200万円余りとなりました。主な施設について、行政財産目的外使用料を除いて比較いたしますと、リージョンプラザ上越が9年度より約560万円減の4,920万円余りに、水族博物館は約680万円増加し、1億8,870万円余りに、また総合博物館では9年度の437万円を大きく上回って約1,970万円となりました。各施設の管理運営や利用促進に当たっては、できる限り多くの市民の皆さんから楽しく利用していただけるよう、これまでも創意工夫を凝らしてよりよいサービスに努めてきたところであります。本格的な地方の時代を迎え、私は常日ごろ提唱しております自治体経営の視点が今後ますます欠くことのできないものになると考えておりますし、各公共施設等につきましても、経営感覚を持って効果的、効率的に運営をしていくことは大変重要なことであると考えております。 こうした中で、各施設の使用料につきましては、今議会に関係条例も提案しているところでありますが、これまでも利用者の立場に立って、より利用しやすい設定に努めてきたところであります。また、このたび新たな取り組みとして企業会計的な視点での分析も試みたところであり、参考資料としてお配りいたしましたが、今後ともより多くの角度から検討を加え、より品質の高いサービスの提供に努めるとともに、適正な料金設定に努めてまいりたいと考えております。したがって、御心配の向きはないと、このようにお答えを申し上げます。 続いて、財政調整基金の繰り入れ、積み立ては、財政規模を大きくしていないかとの御質問でありますが、財政調整基金の状況につきましては、先ほども申し上げましたとおりでありますが、平成10年度では当初予定した10億円の繰り入れを年度間の財政運営の中で5億円に縮減するとともに、地方財政法の規定に沿って2億円の積み立てを行ったところであります。歳入歳出それぞれの事情によっての対応であり、総計予算主義の原則にのっとり処理しているものであります。テクニカル的に財政規模を大きく見せているんではないかということでありますが、これは全く見当違いでありまして、もし仮にそれがなかりせば、どっか歳入項目を膨らますとか、あるいはできもしない歳出の削減をするという、こういうことをやってるはずです。ですから、これは結果として財政調整基金を収支の状況を判断しながらどれぐらい取り崩すかということでありますから、財政全体予算規模が云々ということとは全く違った観点で予算計上をしていることを申し添えておきます。 次に、市債残高等についての御質問でありますが、私は市長就任以来、常に財政の健全化を念頭に置いて財政運営を行い、市債の抑制等に努めてきたことは、これまでも再三申し上げておるところであります。また、その効果が着実にあらわれてきていることは、先ほども申し上げたとおりであります。しかしながら、一方で市民生活に欠くことのできない生活基盤の整備を進めていくことが私の責務であり、その財源として必要な市債は、節度を保ちながら有効に活用していくべきものと考えております。平成10年度の市債は、先ほども申し上げましたとおり、いわゆる通常分については引き続き抑制に努めたところでありますが、景気対策事業に伴う補正予算債や減税補てん債、すなわち外的要因と言った方がわかりやすいでしょうか。外的要因でそういった市債を発行したことなどにより、決算額では51億4,660万円の発行となったわけであります。その結果、10年度末の残高が455億8,050万円余りと、前年度に比べて4.6%増加いたしましたが、通常分につきましては0.7%の増加にとどまっております。そして、314億820万円余りとなったわけであります。また、参考までに申し上げますと、10年度末の一般会計債残高に対しては、特別分及び通常分平均でその45%程度が交付税で後に財源措置されることになっております。 また、公共下水道及び農業集落排水事業等の特別会計では、これまで立ちおくれておりました下水道整備に全力を挙げて取り組んでいるところであり、平成10年度末の下水道普及率は公共下水道、農業集落排水を合わせてようやく28.3%となったわけであります。こうした積極的な事業推進の結果として、市債残高は397億2,400万円余りと、前年度に比べて18.3%の増となりましたが、これは下水道債の償還につきましては、本来的には使用料で賄われるべきものの性格であります。すなわち、受益者負担で一種約束をされた債務でありますから、これは後に償還が全く問題なく、下水道を整備しましたが、それを使わなくなると、これはまた問題になりますが、使用していただく限りにおいてはこの使用料で基本的には賄うということでなっていますから、現在市債残高が多い、少ないという議論とは違って、これは将来受益者たる方々から返済していただくという性格のものでありますから、これは心配ないと、このように思っております。そして、元利償還金の約50%は交付税で後に措置されることになっていることも申し上げておきます。 いずれにいたしましても、私の財政健全化に向けた姿勢は、これまでも、そしてこれからもいささかも変わることはありませんし、またいついかなる場合でも、常に的確な見通しに立って行財政運営に当たっておりますので、返済云々との御懸念には及ばないと、このように御安心いただきたいと思います。 次に、実質収支11億円の黒字というが、財調の収支を差し引けば8億円であり、それも市債の発行によっているのではないかとの御質問でありますが、各年度における収支の額は、その年度におけるさまざまな諸支出、諸収入、いろいろな収入行為、支出行為がある状況の中で、すべての歳入と歳出を執行した結果としての剰余金でありますから、御質問のような議論は余り意味のないことではないかと思っております。 次に、地域振興券交付事業が地域振興にどの程度役立ったかということでありますが、本事業は景気対策の一環として国の緊急経済対策に伴い実施したものであり、当初県内の他市同様3月下旬の交付を目途に準備しておりましたが、就職、進学などで消費が活発になる3月を念頭に置いて、県内20市中トップを切って2月28日からの使用開始としたこと、また振興券を受け取りに出向く不便解消と安全、確実に届けることができる郵送方式を県内で最初に採用したことは、既に御案内のとおりであります。最終的な交付者数は3万3,580人、交付総額は6億7,160万円となりましたが、8月31日をもって使用期間が終了し、特定事業者による換金期限は11月30日までとなっているところであります。9月2日現在6億3,617万円の換金請求があり、換金請求率は94.72%となっております。この業種別利用状況を申し上げますと、大型店57.3%、その他小売業15.2%、衣料品等身の回り品小売業13.8%、食料品小売業3.5%、サービス業3.1%などとなっております。本事業により一定の経済効果はあったものと推測されますが、この実態を的確に把握することは困難であると考えております。 なお、7月下旬に上越市景気動向調査とあわせて地域振興券利用状況の調査を小売業、サービス業を対象に行ったところ、売り上げ増加の効果については「通常と変化はなかった」が88.9%に対し、「効果があった」が6.4%、消費拡大効果については「変わらないと思う」が77.8%に対し、「拡大したと思う」が6.8%との声が寄せられております。このように受け取り手によって評価が分かれ、はっきりと大きな効果があったと断定することは難しい状況にあることを申し添えさせていただきます。 次に、市税の滞納についての御質問でありますが、御案内のとおり、景気の回復が長引く中で、企業の倒産件数は平成9年の21件に対し、平成10年も22件となり、引き続き高い件数で推移しております。また、事業所・店舗等の閉鎖も前年の81店舗からさらに123店舗に上るなど、極めて深刻な状況にあります。こうした経済情勢のもとで、当市の市税の収入未済額は前年に比べ7,571万円増の9億7,892万円となり、また収納率は現年課税分は前年同率と努力したにもかかわらず、滞納繰り越し分の成果が上がらず、前年度より0.6ポイント低下して94.9%となりました。ちなみに、500万円以上の法人の滞納状況を申し上げますと、13件、3億8,035万円であります。このうち1億円を超える滞納は1件で、6,000万円を超えるものが2件、1,000万円以上が3件、500万円以上が7件であります。滞納額全体の38.8%を占めております。その要因が倒産や営業不振であったり、その他やむを得ない事情があったとしても、血のにじむ汗をして市税を納めていただいている多くの市民の皆さんのことを思うとき、法人の経営者責任あるいは道義的責任が問われてもしかるべきものであり、引き続き納税者としての義務をぜひ果たしていただきたいと考えております。 また、不納欠損については、前年に比べ2,472万円増の5,436万円となりましたが、この要因は平成7年度の滞納処分の執行停止によるものと企業の倒産による公売や競売事件の完了により財産が皆無となったことによるもので、前年に比べ件数、金額ともに増加いたしました。滞納整理については、休日や夜間の訪問を行うとともに、県財務事務所との共同徴収なども実施しながら、当市では初めて2件の不動産を公売しましたし、また債権の換価にも努めました。今後とも継続的な納税相談を実施し、分割納付の指導を行うなど、滞納の長期化や多額化を未然に防止するとともに、収納率の向上に努めてまいりたいと考えております。 次に、住宅新築資金等貸付金の滞納にどう対処しているかについてお答え申し上げます。住宅新築資金等貸付金の返済状況につきましては、就業不安定、本人または家族の病気、さらには近年の不況による営業不振やリストラなどの影響により、29人の貸付金返済が滞っているところであります。このため市では、部落解放同盟上越支部役員の協力も得ながら、滞納者宅を定期的に訪問する回数を前年度より倍にふやすとともに月々の定期的な返済方法について相談するなど、収納率の向上に努めてきたところであります。しかしながら、先ほども申し上げましたとおり、滞納者の生活は至って厳しい状況に変わりはありません。今後も引き続き家庭訪問や家庭状況、収入状況にも配慮した納入指導を行うなど、地道に粘り強く滞納分の納付に一層努めてまいりたいと考えております。 次に、新都市市街地機能強化事業における連続立体交差事業のJRとの費用負担をどのように想定しているかということでありますが、先ほど田村議員にもお答えいたしましたとおり、この事業は中心市街地連携構想に基づく鉄道立体化プラン、都市内公共交通ネットワークプラン、そして拠点駅周辺整備プランから成る信越本線の連続立体交差事業の実現を図るための調査を進めているものであります。お尋ねの事業を実施するとき、経営者がJR東日本と第三セクターでは都市側の負担が違うのではないかということでありますが、まず本事業の実施に係る費用負担の取り扱いにつきましては、運輸省鉄道局と建設省都市局及び道路局で締結されております都市における道路と鉄道との連続立体交差化に関する協定及び道路整備緊急措置法によって規定されているところであります。それによりますと、総事業費に対して鉄道事業者は5%、国と県、市を含めた地方は鉄道事業者の負担額を除いた残事業費の2分の1をそれぞれ負担することになっております。したがって、残りの2分の1が国、そしてその残りの2分の1が県と市で負担するという、こういうルールであります。そこで、第三セクターによる地元負担の違いについてでありますが、第三セクター自体も鉄道事業者になりますので、鉄道事業者としての5%の負担はJR東日本の例の取り扱いと同様になります。しかしながら、当市も第三セクターの出資者になった場合、これは今後の問題でありますが、都市側の負担額のほかに鉄道事業者負担の5%を出資額に応じて負担することになると思いますので、JR東日本のケースより増額するものと考えられます。 また、JR東日本が経営者として事業費を負担してくれるのかということでありますが、今ほども申し上げたとおり、協定によって鉄道事業者が総事業費の5%を負担するものと定められておりますので、事業化が成立した場合には、JR東日本でいく場合はJR東日本が所定の負担をすることは当然のことと考えております。 次に、上越市病院事業に関連して、療養型病床群を設けることによって国立高田病院の医療機能が後退しないかとの御質問でありますが、まず市内の病院病床数の状況は本年8月1日現在で一般病床で1,505床、このうち国立高田病院では結核病床の20床を含めて151床であります。また、国立高田病院の入院患者の現状を見ますと、151床の病床数に対し、平成9年度の1日当たりの平均入院患者数は、結核患者を含め86.4人、平成10年度では1日平均90.7人となっております。この現状を踏まえ、国立高田病院後利用検討委員会や市並びに上越医師会による高田病院(仮称)設立準備室で病床の充足と新たな市民ニーズに伴う病床数について慎重に検討・協議を行うとともに、新病院の院長候補である自治医科大学の笠原教授とも、医療内容等について検討を重ねてまいりました。この中で、これからの高齢社会に対応するため、現在国が進めている慢性期対応病床の設置や来年度から実施される介護保険制度のサービス基盤整備として療養型病床群の設置を行うよう、要望も出されたところであります。これらの意見、要望等を十分に尊重し、さらに先ほど田村議員にもお答えいたしましたとおり、現国立高田病院の療養環境の改善を行うことを国に強く要請し、新病院の病床数を一般病床に105床、療養型病床群を20床としたものであります。このことから、125床でスタートする新病院は、後退するどころか、むしろ新たな需要にもこたえられることができ、医療機能は充実したものになると考えております。 最後に、結核病床を存続すべきではないかとの御質問でありますが、国が去る7月26日に結核緊急事態宣言を発表したことは記憶に新しいところであります。国の調査によりますと、平成9年には全国の新規発生患者数が4万2,715人で、亡くなった人が2,742人と、結核が最大の感染症であると公表されております。また、上越保健所管内では新規登録患者は年々減少しているものの、平成10年には56人が登録されております。このような状況の中で、現在国立高田病院には結核病床20床が設置され、9月1日現在10人の方が入院されておられます。国の国立病院・療養所再編成計画では、結核病床は1県1病院に設置するとの方針により、県内では国立療養所西新潟中央病院で整備されたところでありますが、私は国立高田病院の移譲を受けることを決断したときから結核病床の重要性を認識し、いち早く国並びに県に対し、上越地域での結核患者の入院並びに通院のための医療機能確保を要請してまいりました。こうした中、県においては第2次新潟県地域保健医療計画で上越、中越、下越の各保健医療圏で適切な結核病床数の確保に努めるとしていることから、このたび県から医療計画の実現を図るべく、新病院での結核病床の設置について、私に強い要請がありましたので、直ちに笠原教授並びに運営を委託する上越医師会ともども検討・協議を行い、医の倫理、そして人道的見地から、結核病床の継続について前向きに考えるべきとの結論に達したところであります。今後は、県と設置方法、運営等について詳細な協議を進め、患者の皆さんからも一日も早く安心していただけるようにいたしたいと、このように考えております。 以上です。 ○議長(新保清司君) 1番、杉本議員。          〔杉 本 敏 宏 君 登 壇〕 ◆1番(杉本敏宏君) 御答弁いただきましたが、幾つか再質問をさせていただきます。 施設使用料の値上げ、考えていないというような御答弁でありましたので、ぜひそういうことでやっていただきたいと思います。これは、質問でもないんで、答弁は要りません。 ○議長(新保清司君) 要望、なるべくやめてください。 ◆1番(杉本敏宏君) はい。 それで、市債の問題で、45%交付税に算入されるから、安心してくださいというような御答弁でありました。これは、ことしの3月の総括質疑でこのお話を実はさせていただいたと思うんです。交付税に算入されるということがどういうことなのかということで議論させていただきましたが、そのときにお話ししたのは、市長が就任されたころの状況だと25%ぐらいの算入率だったというようなお話だったと思うんです。それで、当時は40億ぐらいの交付税が来ていて、その25%が借金返済に回るから、一般財源、自由な財源として使えるのは75%、30億ほどありましたねと。今60億ぐらいですから、例えばこれから将来にわたってもそうですけれども、その45%がこの借金返済に回るということになると、一般財源というか、自由に使える方の部分はどうなるんでしょうかというような議論をさせていただいたと思うんです。そのとき最後の質問に対して市長は、将来的には80%、90%算入されるから、もっと大丈夫なんだというようなこともおっしゃられました。私は、それは逆ではないのかなと思いましたけれども、その次の質問は控えさせていただいたわけですけれど、今回のお話もその延長線上の認識からどうも抜け出されておられないのかなと。交付税に算入率がどんどん、どんどん高まっていくと、本来地方自治体が自由に使えるはずの交付税が借金返済にどんどん食われていって、自由に使える部分がどんどん少なくなっていく。そうすると、これは財政の硬直化に将来的には通じるんではないでしょうかということも前回お聞きしたんですが、それについての御答弁は当時もありませんでした。きょうの今ほどの答弁を聞きまして、そういった問題意識、お持ちじゃないのかなとも思いますけれども、私は将来的なこの上越市の財政運営ということを考えた場合に、後年度交付税がどんどん自由に使えなくなっていくという点で、財政運営上非常に問題があるんではないかなというふうに感ずるものですから、前回も今回もこういう質問をさせていただいたわけです。改めてその点で、将来の不安という点では、借金は返せたけれども、そのことによって、自由に使える財源が少なくなったことによって新たな借金がふえていくのではないか、こういうことも懸念されるわけで、本当にそれで財政運営上、安心して任せておいていいのだろうか、御答弁をいただきたいと思います。 市税の滞納、それから住宅新築資金等の滞納について、滞納されている方との接触を十分強化して収納に努めるというお話がありました。ぜひそういうふうにしていただきたいと思うんです。この滞納の問題で私が心配しておりますのは、滞納者が実はこのほかにも、前回もお聞きしたときにお話ししましたけれども、国保税の滞納者もあるわけであります。そして、滞納されている方が市税の滞納も、それから国保税の滞納も、同じような方が滞納をしておられるというのが特徴なんでありますけれども、そこへ今度は来年の4月1日から、御承知のように、介護保険料が上乗せされます。そうすると、この滞納というのが一層拍車がかかるのではないのだろうかと。これは、非常に心配なことでありまして、そういうふうなことにならないように、ぜひとも手を打っていただきたい。そういう来年の4月以降のことも踏まえて、介護保険が加わるということも踏まえて、もう一度御見解があればお話しいただきたいと思います。 連続立体交差の問題ですが、第三セクターの話をさせていただきました。鉄道事業法というのが改定されまして、今までは赤字路線であっても、これを廃止する場合には運輸省に許可を受けなければ廃止できませんでした。今度これ法律が変わりまして、鉄道事業者は路線を廃止するときには運輸省に届け出をするだけで済むことになりました。緩和されたわけです。逆に言うと、赤字路線になればさっさと撤退して構わないということにもなるわけであります。それで、三セクになった場合、これが非常に心配でありますし、またJRのままであったとしても、信越線が直江津-長野間で大きな赤字を抱えるということになると、廃止しますという届け出だけで廃止されてしまうんです。そういうことも含めて考えますと、この連続立体交差をすることの意味というのがどういうことになってくるのかなと。これは、もう絶対に黒字を確保できるという保証がない限り、これはやると非常に危険な事業ではないのかなと。JRの場合であろうが、三セクになってしまってもですが、廃止されてしまったら、せっかくつくったけれども、電車は走らないと、投資したお金はどっかへ消えてしまうということになるわけで、そういう点では信越線の経営といいますか、採算性といいますか、黒字経営ができるという保証がないと、安易に手を出せる事業ではないんじゃないかなというふうに思うわけです。そういうことで、その点も含めて将来の見通し、この連続立体交差、確かに先ほど市長が言われたように、条件は緩和されていますから、それはそれで有利な条件だとは思うんですけれども、将来的な見通しということを考えた場合には、必ずしもそうやすやす取り組める事業ではないんじゃないかなと思うわけですが、市長の見解をお聞きしたいと思います。 以上です。 ○議長(新保清司君) 宮越市長。          〔市  長  登  壇〕 ◎市長(宮越馨君) 使用料については、現在の段階ではそういうことでありますから、将来についてまた拘束するということではないと御認識いただきたいと思います。それは、バランスシートも公表したこともありますから、いろんな施設のあり方等、抜本的な検討はこれからまた加えられていくものでありますから、その過程で経営のあり方そのものをどうするか、例えば民営化するとかということも含めながら対応していくべき性格のものでありますから、今ここできちっと使用料を固定するとか、あるいは上げないとか、上げるとかという、こういうことではないということで御認識いただきたいと思います。現在のところ特に問題が特別あるものではないと、こういう認識として受けとめてほしいと思います。 それから、市債の発行で、ふえていって将来交付税として平均45%ということで心配ないということを申し上げましたが、これは後に45%程度が補てんされるから心配というんでなく、返済する能力等財政バランスを考えて、今のところそういう危機的な状況ではないということであるということを申し上げているわけであります。そして、この市債の中にはいわゆる通常分と特例債というもので、例えば財源対策債、あるいは減税の場合の補てん債とか、いろんな臨時的に発行せざるを得ない、そういう債務があるわけでありまして、その割合が25とか30とか45とかという、確かにこれはぶれるんです。ぶれるのはどうしてかというと、通常債の部分の割合と特例債の部分がどう偏在しているかということによって変わります。どうしてかといいますと、通常分の場合は平均的にいろいろ事業によるんでありますけれども、3割から5割ぐらいの割合で後に交付税算入はされます、これは。その一方、特例債は8割から100%、かなり100%で、例えば減税補てん債と言えば、これは100%補てんされます。ですから、見かけがどんとふえた、今回特にそうでありますが、減税とか特例、財源対策債等が市債を押し上げた要因になっておりますが、押し上げた分については100%、後に交付税で補てんされるという、こういうルールになっています。ですから、そういった意味で、そう心配は要りませんよと、こう私は申し上げているわけであります。ただ、基本的には、財政危機宣言等があちらこちらに見受けられる状況でありますし、また私どもも今後の経済社会の推移を見ると大変厳しいものがありますから、市税の減収ということにもなる可能性も十分視野に入れていかなきゃならんわけでありますから、そういう意味で市債の発行については極力抑制すると。特に通常分については、みずからの財源を、主に一般財源を使って返済しなきゃならないわけでありますから、こういったことについては注意を払っていかなきゃならんと、こういうことを申し上げているわけであります。 また、そのことが自転車操業みたいに借金の返済のための借金をということで市債を発行しても有効に使えないんではないかと、こういう御意見のようでありますが、これも一定の程度を超えますと、確かにそういう問題が発生することは間違いないわけでありますが、今日の上越市における財政運営においては、そのような懸念は、将来のことを言うと多少心配があることは否定しませんが、ですから私は極力市債の発行に抑制をかけているということで、そこは考えがつながっているということで、過度に神経質になることはないというふうなことで受けとめていただけるような、そういう財政運営にこれ努めているということで御認識をいただきたいと思います。 それから、市税の滞納の話と関連されまして、今後介護保険料の滞納等が発生する場合の対応についてでありますが、これも従前のとおり、国保とかいろんな保険税も滞納されている実態もあります。従来同様、滞納を発生しないように、これ努めていくことに尽きるわけでありまして、特別ということではないわけでありますが、それよりも介護保険制度が、負担があってサービスがないということのように、適切なサービスが潤沢にというか順調に行われていくならば理解が深まって、保険料の滞納も結果的に発生しないんではないかという、まさに制度の根源的なところをきちっと運営することが何よりも先であると、このように思っておりますし、結果として滞納が発生した場合には、これまで対応してきた考えのもとで対応していくことになろうかと思います。 それから、連続立体交差事業についての取り組みについては、これは確かにまだ並行在来線のしっかりとした確約というか、形は見えてきておりません。そういう状況ではないわけでありまして、一応私どもは並行在来線は地元を中心として、県が責任を持ってこれに当たるという確約は申し上げているわけでありますから、方向性としては第三セクターということが十分に考えられるわけでありますが、ただJR等についてのそういった経営そのものについては具体的に詰めている段階ではないわけでありまして、今新幹線をつくっておりますが、これはあくまでも下物というか、ハードのところの建設でありまして、その上の経営についてどうあるかということは、最終的にはまだ決まっていないわけです。一応JR東日本は、それは同意をしてはおりますが、それはまだ上物の施設整備については2段階で上と下との建設の仕方で今進めておりますから、こういったいろんな事業が絡んでくるという、こういうことについても、一応これからいろんな検討を加えながら、研究しながら、鉄道事業者となる場合でもどうなるかとか、あるいはそれはどの区間をどうするかとか、いろんなことがこれから検討していかなきゃならんのが今日の現状であります。ただ、私は、先ほども田村議員にお答え申し上げたように、連続立体交差事業については大変重要なまちづくりの基盤整備に当たると、こういう認識を持っておりますから、その負担割合について、先ほど申し上げたとおり地元負担も当然ありますが、これは決して不可能であるかと言えば、必ずしも不可能の数字ではないだろうという概略、目の子の計算ではそのような感じでおります。地元負担としては、やっていけるんではないかという、そういう概括的な考えのもとでこのような検討をさらに一歩進めていこうという、こういうことが今日の状況であるわけであります。今後のいろんなまた変化等があろうかと思いますが、まちづくりという観点から一歩踏み出していく必要性があると、このように思って、このたびその検討に必要とする経費を御審議いただくことにいたしたところを御理解を賜りたいと思います。 ○議長(新保清司君) 1番、杉本議員。          〔杉 本 敏 宏 君 登 壇〕 ◆1番(杉本敏宏君) 一つだけ質問をさせていただきますが、交付税の計算方法というのは、配られています決算の概況というのの一番最後のところに計算式が書かれていて、それで計算されて出てくるんだと思います。例えば今の話で100%交付税に算入されるというのが、その計算されて出てきた交付税に上乗せされて来るんであれば、私は別に問題にしないんです。ところが、交付税の額というのは、その計算式で決められた額なわけで、その中に100%算入しますよという、50%算入します、何%ですというのが全部その中に含まれてくるもんだから、今問題としてお話ししているわけで、その算入される分がどんどん上積みされて総額がふえていくんであれば、こんな心配は何もしないんですが、そうじゃないところに心配の種があるわけです。その点市長は、お考え違いはないと思うんですが、改めてそこのところ、そういうことになっていっても心配ないんだというお考えなのかどうか、答えをいただきたいと思います。 ○議長(新保清司君) 宮越市長。          〔市  長  登  壇〕 ◎市長(宮越馨君) 交付税の算定については、もう勉強されていらっしゃいますから、おわかりかと思いますが、いわゆる基準財政需要額と基準財政収入額をベースにして、結果的にその差をどうするかという、こういうことになることは、大原則になっています。しかし、個々の特別事情において発行された市債あるいは債務の償還あるいは交付税算入については、これは考え方は統一的に100%補てんというものと、あるいは5割とか8割とかという、こういうルールに従ってそのようにやっていますから、これはむしろ私どもの事情よりも、国の方から特に減税等、そういったものについてはそういう絡みで参ってますから、それは私どもはちゃんとそれをもらえるという、こういうことでいかなければ、初めから100%ということを、いや半分でいいという、こういう理由は要らないわけでありますし、それは今申し上げたように、基準財政需要とか、収入という、そういう枠組みの中で、これは全国自治体、統一的にやっているわけでありますから、それはそう心配は要らんだろうと。しかしながら、だからといって過大な債務を負うということは、財政の硬直化につながっていくことは間違いないわけでありますから、これは抑制していくのが当然でありますし、また国の財政事情が今日未来に相当激減する場合は、あるいはそういう約束事はあるかもしれないけど、臨時緊急的に交付税特会が自身も膨大な借り入れをしているわけでありますから、そういう一時的な補てんの仕方について、変わらないという保証はないと。それは、その時々の財政事情で多少変化することは、これはあるかもしれませんね。ただ、それは私どもの事情ばかりでなく、もしそうであれば、それは地方からそういうことはないようにと、こういうことで対応する性格のものでありまして、決まりは決まりとしてきちんとそういうことを念頭に置きながら財政運営をしていくことが、私どもの基本的な考え方として認識をしておればいいと、このように思っております。 ○議長(新保清司君) 以上で通告による質疑は終わりました。 ほかに質疑はありませんか。          〔「なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(新保清司君) これにて質疑を終結いたします。 ただいま議題となっております議案第67号より第98号及び報告第8号は、お手元に配付してあります議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。 以上で本日の日程は全部終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。                                      午後3時24分 散会   地方自治法第123条第2項の規定により署名する。            上越市議会議長     新  保  清  司            上越市議会議員     小  林  克  美            上越市議会議員     渡  辺  一太郎...