• "一般廃棄物処理基本計画"(1/1)
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  1. 仙台市議会 2017-09-11
    平成29年第3回定例会〔  環境・エネルギー政策調査特別委員会報告書 〕 2017-09-11


    取得元: 仙台市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-24
    1:        環境・エネルギー政策調査特別委員会 報告書  環境・エネルギー政策調査特別委員会の調査の概要について御報告申し上げます。  本委員会は、震災後に増加したごみの減量・リサイクルの一層の推進並びに省エネルギー各種エネルギーの地産地消等の取り組みによる環境負荷の小さい持続可能な都市づくりの促進について調査を行うことを目的に設置されました。  まず初めに、本委員会における運営について協議を行い、「仙台市における震災後の社会経済環境の変化に対応した一層のごみ減量・リサイクル並びに廃棄物系バイオマスの利活用等のエネルギー施策の推進方策について」をテーマとし、特に「ごみ減量・リサイクルの現状と課題並びに推進方策」、「廃棄物系バイオマス利活用等によるエネルギーの地産地消の取り組み」、「環境負荷の軽減に向けた省エネルギー等の取り組み」の三つを観点に調査を行うこととしました。  以下、これまでの活動経過及び調査の中で委員から示された意見等について、御報告いたします。 <ごみ減量・リサイクルの現状と課題並びに推進方策について>  本市におけるごみ減量・リサイクル施策は、プラスチック製容器包装の分別収集や紙類の排出機会の多様化などにより順調に進んできたところですが、東日本大震災後、他市町村の転入者による人口増加と、復旧・復興活動を契機とした経済活動、事業活動の活発化などを起因として、リサイクル率の低下とともにごみ排出量は大幅に増加し、いまだ震災前の水準には戻っていない状況です。  震災後、震災廃棄物をどこよりも早く適正に分別処理を行い、仙台方式として全国的に高く評価された本市として、「使い切り」意識の高揚と合わせ、取り組みの進行状況や目標の達成度合いなど、市民へのわかりやすいごみ減量・リサイクルに関する効果的な周知及び啓発を行うとともに、「見える化」を行いながら施策を推進することが重要です。ごみ総量に大きなウエートを占める事業ごみについても製造者の努力による廃棄物の排出抑制を図ることや、食品廃棄物については、子ども食堂への支援やフードバンクの活用を図るなど、企業との情報共有も含め連携を強化し、ごみ減量・リサイクルのさらなる推進を図ることが必要です。  また、国の施策や企業の技術革新などを適切に把握し、循環型都市として資源ごみを出さない、燃やさない利活用施策について、市民や事業者等と議論を深め、ごみ減量とリサイクルの推進施策を進めていくことが必要と考えます。 <主な意見> ○循環型社会で、生かせる資源は生かそうということでやってきているが、も  っと徹底した市民への啓発が大事である。 ○もう一押し、市民の方にキャンペーンが必要だ。なぜ分別をしなければいけ  ないのか、ごみになった行く末まで含めて、説明を丁寧にもう一度していく  ことが必要である。 ○市民がアプローチしやすい問題提起の仕方や工夫が、これまで以上に必要で
     ある。 ○市民には、具体的な取り組みと効果をわかりやすく示して取り組んでいくこ  とが必要である。 ○市民意識を変えていくためには、市民に対して取り組みをできるだけ具体に、  見える化することが必要である。 ○目標値を書いて、リサイクル率が見えるようなものを取り入れていく、市民  が積極的に参加してもらえるようなアピールが必要である。 ○目標を立てることを考えると、今ごみが増えている要因が一体どこにあるの  かをきちんと分析をすることは大事である。 ○紙を減らせば二、三割はごみが減ると言われている。紙を分別して生かせる  ということを、もう少し市民に徹底して啓発していく、キャンペーン的に宣  伝していくことも大事。リサイクルで一番進んでいるのは紙であり、もう少  し各家庭に分別を徹底させればもっとリサイクルが進むと考える。 ○家庭ごみにおいては、生ごみの重量的割合が多いことから、食品ごみを減ら  すことに重点を置くことが重要である。 ○食品廃棄物をなくすために、フードバンクはとても有効な取り組みである。 ○家庭ごみの減量としては、水切り、水分を減らす取り組みが重要である。 ○高齢者世帯などでは、食生活の変化や、生活行動範囲の制限などにより、ご  みの排出量、出し方に反映してきていることなども視点とすることが必要で  ある。 ○出てきた廃棄物をどうするかという話もあるが、出さない方法も考えていか  なければならない。暮らし方、生活の仕方もあるからトータルに考えて、国  でやるべきこと、広域的にやるべきこと、仙台市がしなければならないこと  に分けて考えていくことが必要である。 ○エコバッグやマイ箸を消費者が持つことは、事業者にとっても経費削減にな  る。そのような双方のメリットを、もっと押し出していくことも重要である。 ○経済社会であるから、減量すれば処理経費も目に見えて削減できるような仕  組みも考えていくことが必要である。 ○目で見てわかる、ハード面で本市の環境施策について理解を深めるための取  り組みも必要である。 ○国に支援を求めるということも当然必要になってくるが、仙台市独自でも、  削減に向けたリサイクルを進めながら社会貢献をしていくという部分が大事  になってくると思うので、これから積極的にもっと前向きに進めてほしいと  考える。 <廃棄物系バイオマス利活用等によるエネルギーの地産地消の取り組みについて>  これからのエネルギー政策を考えた場合、廃棄物系バイオマスの利活用等によりエネルギーの地産地消を図ることは極めて重要な取り組みの一つです。  既に市内において取り組みを始めている民間事業者の実践例があるように、廃棄物系バイオマスは大きな可能性をもち、様々な利点がある一方、採算性や系統連系などの課題もあることから、その特性を十分に踏まえた対応が必要です。特に、本市の廃棄物においては食品系廃棄物の占める割合が多いことから、バイオマスの特徴を踏まえながら、食品廃棄物を排出する家庭、事業所、学校などの公共施設から処理事業者に至るまでの輸送や処理に係るコストをはじめ、堆肥化センターの老朽化などさまざまな課題に対応しながら、エネルギーの地産地消の取り組みを進めることが必要です。 <主な意見> ○食品の一部はフードバンクなどに使えるものもあるが、残渣処理は必要にな  るので、そういったものが市内でうまく回るシステムづくりが必要である。 ○食品残渣については、バイオなどの処理をしなければならないものと、フー  ドバンクやこども食堂などにつなげられるものなど、処理形態を二分化して  いける状況をつくることが、CO2削減や雇用にもつながっていくと考える。 ○食品残渣の有効活用でリサイクルして発電ができる。あるいは肥料化が進め  られるような取り組みに対して支援は必要である。 ○学校給食はもちろん、公共関係ででる食品残渣を、積極的にリサイクルに回  していただけるように要望する。 ○民間のバイオマス施設において処理能力があっても食品残渣が処理能力の  26%しか入っていないという現状から、循環がまだ十分になっていないと  感じる。バイオマスで生産された電気や堆肥といったものの出口まで、循環  させるルートをきちんとつくっていくことが必要である。 ○食品製造会社の食品残渣の排出、処理状況を調査して、受け入れる側となる  バイオマス利活用事業者と連携を図ること、需要と供給の部分で考えること  が大事である。 ○持ち込まれた食品廃棄物でも、包装されたものは一つ一つ人力で処理しなけ  ればならないという、労働集約型のところなので一定の費用がかかるという  ことがある。そういった面ではプラスチックのほうも、できるだけ統一でき  るように製造者に対する働きかけも必要である。 ○バイオマス資源の分類によって、それぞれ処理が違うので非常に大変である。  素材によって処理機械も違ってくるので一概には言えないが、改めてそうい  ったことの研究も必要である。 ○仙台市で食品廃棄物を処理せず、よその地域でやれば仙台市のCO2の排出  はないという単純なことにもなるが、それは広域的に考える、あるいは日本  全体で考えるべきことで、その中で仙台市ができることに分けて考えていか  なければならないと思う。 ○バイオディーゼルは、廃油の排出量と精製した燃料の使用までの全体を考え  ることが必要で、本市の都市規模では回らないのではないかと考える。 <環境負荷の軽減に向けた省エネルギー等の取り組みについて>  東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故発生以降、国のエネルギー環境は大きく変化し、エネルギー分野における研究、技術的進歩、制度的な変化は目覚ましいものがあります。  杜の都と称される本市が、低炭素、循環型都市を構築するために効果的な省エネルギー施策を展開する上で、省エネルギーに関するさまざまな情報の正確な把握が不可欠です。各種データを保有する国や大学等の関係研究機関から情報の提供を図るとともに、市民、事業者と本市の三者が、それぞれができることから確実に進めつつ、連携の中で前進させる省エネルギー施策の推進が必要です。  また、低炭素社会の実現に向けた取り組みの指針となる「パリ協定」については、アメリカの離脱表明などさまざまな議論がなされたところですが、後退させない取り組みを国際社会において確認したところであり、この水準を基準にして策定された本市の環境基本計画は、着実に実現していくことが必要であることも、申し添えておきます。 <主な意見> ○環境については、一地方自治体ではなかなか難しい問題で、どうやってほか  の都市と連携をとりながら国への要請をしていくか、また、行政として企業  に対してできる範囲を考えていくことが必要である。 ○環境を守っていくのは、国であり自治体である。行政側からどんどん発信し  ていかないと物事は進まないので、こうすると市民の皆様が得になると、そ  してまた、事業者も同じような形で節電になり経費が浮くなど、そういった  ことが目に見えてわかる取り組みをこれからも持続しながら進めていかなく  てはいけない。 ○持続可能な環境をつくっていく、守っていくという責務に基づいて取り組ま  なくてはいけない課題なので、やはり大きな理念の中で進められていくべき  である。 ○環境都市を目指すのであれば、長期的なスパンになるが、例えば東部沿岸地  域の被災地にエコタウンをつくって、散在する関係企業を集めることも一つ  の手法である。 ○エコタウンとして産業集積を図ることは、市民、さらには教育に対して様々  なメッセージの発信が可能となることと、企業誘致、新規起業や雇用拡大な  ど、環境だけの目線ではない政策的課題への取り組みにもなるものである。 ○環境問題とエネルギー問題は表裏一体で、国としても一生懸命、太陽光、地  熱、風力などを使ってやっているが、なかなか立ち行かない。行政として本  当にやらなければならないし、これから先の未来を託す子どもたちのために  もしっかり環境を守っていかなくてはいけないとともに、それをきちんとう  まく回せる知恵を、これからも民間の力を得て進めていくべきである。 ○省エネルギーについては、個々の意識という部分よりも、エネルギーを一番  使う事業者への働きかけが重要である。熱エネルギーの活用にあたっては、
     補助金もあり、窓を断熱にするなど個々にできるもの。それは同時に補助金  を出した側と、事業者の両方にプラスになっていくもので、どんどんできる  省エネだと思うので、そういう特化すべきものは特化し、事業所としてやっ  ていくのは啓発をしていくという流れになっていくものと思われる。 ○環境に力を入れることによって経費がかかるので、全部民間でという話にも  ならず、どこまで民間にお願いをするのか、どこまで行政として手を加えた  らいいのか、本市としてできること、国にお願いをしていかなければいけな  いこと、広域でやれること、こういった部分の議論を深めるべきである。 ○事業者は、事業経営の問題もあるが、社会的責任も自覚していただくと同時  に、光熱費とか経費削減にもなるという直接のメリットもある。さらに、そ  ういう取り組みを進めることで、環境に配慮している企業だという企業価値  を高めることにもつながるわけで、そういう方向の事業所の努力を後押しし  ていくのが行政に求められている大事な仕事である。 ○環境に貢献できる企業に、何らかの補助ではない企業に対するものをもう少  し行政としてできる範囲を考えるべきである。 まとめ  東日本大震災から6年以上が経過し、市民生活は少なくない課題を抱えながらも一人一人の努力のもと、一定の生活再建の到達を築いてきました。  しかし、震災によってもたらされた生活形態や生活環境、経済活動の変化などが、一般廃棄物の排出にも影響を与えたと考えられ、各家庭や事業所からのごみ排出量は依然高い水準で推移しています。  本市では、震災直後に大量排出された、がれき等の震災廃棄物の処理について、当初から分別を行い適正な処理に努め、環境負荷の低減を実践したにとどまらず、速やかな処理の実現も成し遂げてきました。こうした先駆的な取り組みは全国からも注目され、仙台市の環境都市としての役割と「杜の都」としての仙台市の見識を、市民とともに共有する、大事な確認点にもなりました。  こうした認識を踏まえ、本委員会では、「ごみ減量・リサイクルの現状と課題並びに推進方策」「廃棄物系バイオマス利活用等によるエネルギーの地産地消の取り組み」「環境負荷の軽減に向けた省エネルギー等の取り組み」の三つの観点での調査を行い、先に述べた3点についての提言を取りまとめたところです。  本委員会での各委員からの意見・議論を取りまとめるに当たり、以上3点を総合的に推進するための大きな視点の一つとして、まずは食品廃棄物に重点を置き、施策化と推進を図るべきと考えます。  「重点項目」    食品廃棄物の減量とリサイクルエネルギー活用の具体化  ○市民との協働    食品廃棄物の排出削減を進めるには、市民との協働は欠かせません。「食   品は使い切る・食べきる・水を切る」などの取り組みを広く広報するとと   もに、負担を感じさせることなく「楽しく」行える工夫と、自らの行いが   どう変化をもたらすのかなどの「見える化」を図り、市民との協働を何よ   りも大事にした取り組みを推進すべきと考えます。  ○事業者との協力    市内にも食品廃棄物の処理とエネルギー化有効活用等に取り組んでい   る民間事業所がありますが、全国的にも多くの事業者がさまざまなノウハ   ウを持って実践している事例があります。こうした事例を学ぶとともに、   本市独自の支援制度のあり方などの検討も行い、民間事業者の協力を得な   がら取り組みを推進すべきと考えます。  ○本市の役割    「杜の都・仙台」にふさわしく、世界に誇れる環境都市として発展する   ためにも、食品廃棄物の処理について計画の中で明確に位置付け、目標設   定も視野に入れた施策の具体化を図りながら、先駆的な取り組みも展開す   るべきではないかと考えます。  環境問題は、施策を推進しても直ちに目に見える結果が出るものではなく、科学的分析と評価を行いながら、息長く続けることが重要です。  仙台市の「杜の都」のブランド力が、広く市民に根付き、浸透していることに確信を持って、「仙台方式」のがれき処理で発揮された高い見識で、引き続き、市民とともに、ごみ減量・リサイクル推進省エネルギー各種エネルギーの地産地消による環境負荷の小さい持続可能な都市づくりの推進に取り組まれるよう要望申し上げ、本委員会の報告といたします。                         平成29年9月11日 仙台市議会   議 長  岡 部 恒 司  様                   環境・エネルギー政策調査特別委員会                        委員長  ふるくぼ 和子              調査の経過概要 1 第1回委員会 平成27年11月30日(月)    委員会の運営について協議    ・テーマ 仙台市における震災後の社会経済環境の変化に対応した一層        のごみ減量・リサイクル並びに廃棄物系バイオマスの利活用等        のエネルギー施策の推進方策について    ・調査事項 ごみ減量・リサイクルの現状と課題並びに推進方策          廃棄物系バイオマス利活用等によるエネルギーの地産地消          の取り組み          環境負荷の軽減に向けた省エネルギー等の取り組み 2 第2回委員会 平成28年1月18日(月)    <当局からの報告>    ・本市の一般廃棄物(ごみ)の減量・リサイクル推進について    ・本市のごみ発電の状況について    ・仙台市の温室効果ガス排出状況及び地球温暖化対策の推進について    ・仙台市創エネルギー導入促進助成制度 3 他都市視察 平成28年1月27日(水)~28日(木)   <広島市>     広島市では平成14年度から、広島市一般廃棄物(ごみ)処理基本計    画(ゼロエミッションシティ広島)に取り組み、一人一日当たりのごみ    排出量が政令市で最も少ない都市として成果を上げている。     15社162店舗が加盟するごみ減量・リサイクル実行委員会を組織    して取り組んで成果を上げている。     NPOがフードバンクとなり、無料で回収を行っている。   <広島市西部水資源センター>     広島市西部水資源再生センターでは下水汚泥燃料化事業として、下水    道汚泥を燃料に再生し竹原火力発電所で使用している。火力発電所での    使用燃料は主に石炭で、使用燃料のうち再生燃料化汚泥の占める割合は    1%未満である。また、燃料化される割合は、総汚泥の16%で100    tの汚泥から16tの燃料化汚泥ができる。   <宇佐市、拝田グリーンバイオ事業所>     宇佐市は平成20年4月にバイオマスタウン構想を策定し、食品廃棄    物の焼酎粕を使用したバイオガス利活用事業、廃食用油のバイオ燃料「B    DF」変換事業、有機性廃棄物堆肥化事業を民間企業と連携して取り組    んでいる。     1日当たりの処理能力は、焼酎粕バイオガス事業が137t、廃食用    油バイオ燃料変換事業が100lで、160事業所と契約を行い年間約1    6000lの廃食用油をBDF燃料化している。     今後は下水、し尿汚泥堆肥化プラントを建設し、バイオマスの利活用    の推進を図っていくところである。
    4 第3回委員会 平成28年3月22日(火)    他都市視察を踏まえた委員相互の意見交換 5 第4回委員会 平成28年5月13日(金)    <当局からの報告>    ・仙台市一般廃棄物処理基本計画の位置付けについて    ・ごみ減量・リサイクルの今後の取り組みについて    ・ごみ処理・リサイクルの流れ    ・ごみ処理費用等の状況 6 市内視察 平成28年7月6日(水)    <(株)ジェイネックス>     食品廃棄物の利活用(バイオガス発電)施設の現地調査    <新港リサイクル(株)>     容器包装プラスチックリサイクル施設の現地調査 7 第5回委員会 平成28年8月10日(水)    <当局からの報告>    ・バイオマス資源の利活用について    ・JNEXバイオプラント処理状況    ・藻類バイオマスプロジェクトの取り組みについて 8 第6回委員会 平成28年10月18日(水)    <有識者からの意見聴取>    ・テーマ「廃棄物有効利用と自治体の役割について」         ~廃棄物を出さないためのコンセプト~     吉岡 敏明 氏(東北大学大学院環境科学研究科 教授)    <有識者の主な発言>    ・持続可能な社会とは、将来世代がそのニーズを満たす能力を損なうこ     となく、現世世代のニーズを満たす社会ということである。    ・再生可能な資源を使う場合には、それを供給する速度を超えてはいけ     ない。あるいはどうしても再生できないような資源を使う場合には、     それを転換する社会も含めた速度を超えて使い続けてはいけない。さ     らには自然の中で環境汚染物質等を浄化する力を持っているが、これ     を自然に浄化できる速度を超えて汚染物質を排出するようなことはし     てはいけない。(ハーマン・デーリーの3原則)    ・循環型社会とは、製品など廃棄物になることを抑制し、さらに天然資     源の消費を抑制し、適正に処理をしていくということ。この中で、い     わゆる3Rという、リデュース、リユース、リサイクルという言葉が     使われてくる。    ・低炭素社会とは、基本的には温暖化対策を中心に位置づけられてきた     言葉で、温室効果ガスをできるだけ削減して吸収作用を保全強化する、     温暖化に対しての適用を図ることのできる社会ということになる。化     石資源、石油、石炭、天然ガスを含め全て炭素系の資源から排出され     るCO2を想定すると、炭素を使う部分を少なくしましょうというこ     と。    ・産業系の廃棄物は、日本国内で4億から4億5000万トンの排出さ     れており、再生利用、有効利用しているのが半分くらいという位置づ     けになっている。この内訳については、圧倒的に汚泥、動物のふん尿、     瓦れきというものが多く、これらはいわゆる土木資材等あるいは肥料     などに使われる。    ・一般廃棄物の排出状況は、平成24年までのデータでは、5500万     トンから5000万トン、さらには4500万トンと、平成10年代     後半ぐらいから量的にはかなり下がってきている。ある意味、一般社     会においても資源の有効利用あるいは循環型社会の創生などを意識し     たような、いろいろな取り組みがなされてきた結果だと思う。      1日1人当たりの排出量というのは1日平均で1キロを割るぐらい     までここ最近落ちてきたというのが状況である。    ・ごみの歴史ということでは、江戸時代には、3R社会というのが既に     構築されており、明治から大正に関して、衛生の問題で廃棄物処理と     いう行政による回収が始まってきた。それ以降、物資の不足による特     別回収と、さまざまな制度がつくられてきてはいるが、高度成長以降、     東京ごみ戦争を含め、六価クロムの鉱さい、豊島、あるいは青森、岩     手の県境の不法投棄、こういったところに対しての廃棄物の問題とい     うのが顕在化してきたということである。    ・古紙の回収では、昭和30年代初頭までは再生利用が非常に多くて、     製紙産業へは回らなかったことから、回収率は20%で低かった。自     分のところできちんと回っていた時代であった。    ・1970年の9月に始まった東京ごみ戦争から、有害物質が含まれる     可能性があるから、プラスチックの分別が非常に騒がれたが、今は資     源的な価値としてリサイクルを進める動きになっている。    ・大都市が本格的にごみ減量に取り組んだのは、バブル景気でごみが非     常に増えた時期で、このときの5年間に東京都で増えたごみ増加量分     が、札幌市1市で出しているごみの量と同じであった。そういうこと     で大都市では特にバブル景気以降、ごみに対しての取り組みが強化さ     れてきた。    ・埋め立て処分場に関して、日本全国で埋め立て処分量のキャパシティ     ーがどんどん減っているにもかかわらず、残余年数が増えてきている。     これはその年の残余年数というのは、その年に排出された量がそのま     ま続いた場合の想定になっているので、各自治体を含め、削減に取り     組んでいれば次の年減り、その数字を基準にして割り算することから、     残余年数はむしろ増える方向にあるが、残余年数が永遠に延びるわけ     ではなくて、どこかで急に使えなくなる状況が生じる。そのためにも     延命化させる施策が必要である。    ・市民の行動指針を考えたとき、3Rの優先順位を基本とするのはよい     が、どう考えても明らかに従わないというのがわかった段階では、そ     れに固執しない心構えを持たせるのも大事である。    ・価格が高いと環境負荷が高いという意見もよく聞くが、実際にリサイ     クル製品で価格が高くなるのは、それに携わる人の人件費の問題や、     燃料費の問題、輸送に係る問題がかかってくるので、リサイクルする     ことそのものが高いということにはならない。それをやる上での社会     構造そのものにどこか問題があるのと考える。    ・リデュースを促進する際の注意点として、消費者の選択は重要である     が、環境配慮型の商品の開発とか、コミュニケーションも非常に重要     になってくる。代替品を使うのも非常に大事であるが、マイバッグば     かりいっぱいあっても、環境に配慮した行動とは言えない。マイ箸の     ためにたっぷりの水で洗うというのも行き過ぎた行動と考える。    ・リサイクルをするための施設は、物がきちんと集まるということが前
        提になるし、リサイクルされた製品がきちんと使われないといけない     ので、一定水準の品質がないといけない。当然リサイクル品に対して     も需要がないと出口のないリサイクルになる。事業者が主体となって     動くという話になってくると、経済的な採算性が合わないといけない。     有害物質が入ってはいけない。これがいわゆるリサイクルが成立する     五つの条件と見ている。    ・国内で排出されるプラスチックは年間約1,000万トン、ここ10数     年来変わっていない。大体産廃系が半分、一廃系が半分と、それぞれ     500万トンずつぐらいという数字である。何らかの形で今有効利用     されているのが8割、燃やしっ放し、あるいは埋め立て処分場に行き     っ放しというのが2割ぐらいというのが現状である。10数年前はこ     の数字が逆で、有効利用というのが2割ぐらいで、ここ数年来、これ     が有効利用のほうに移ってきたのが実情である。プラスチックを含め     た容器包装リサイクルなどの推進が図られたというのが一つの理由だ     と思う。    ・例えば700万トンの廃プラを集めたとして、これをもう一回油に戻     すと、もともとプラスチックは油からつくられているので、例えば収     率で50%油に戻すと350万トンの油がつくられる。ナフサがつく     られるとなってくると、実は、石油化学用のナフサの12%を廃プラ     が代替するということになる。輸入ナフサの2割がこれに代替できる     ので、逆にいうと外から買ってくるナフサの2割ぐらいは、実は毎年     街の中にストックされていると考えればこの有効性が見えてくる。    ・容器包装リサイクルで集めたプラスチックは、鉄鋼で石炭のかわりに     コークスになって使われており、化学原料になっているので、ケミカ     ルリサイクルという位置づけになっている。あるいは、コークス炉ガ     スとして、自分のところで発電するのに使われている。あとは、ガス     化というのがあり、アンモニアをつくるための原料にしている。こう     いったところで、実は既存のプロセスの非常に大きな物質としての流     れの中に、回収されたブラスチックをほんのちょっと入れ込んでやる     ことによって、既存の施設に対して負荷をかけずに収益を上げるよう     な、あるいは廃棄物をきちんと循環利用するような、そういったプロ     セス構築を考えないといけないだろう。    ・リサイクルには、どうしても分別が必要であり、仙台市は非常に分別     が進んできた。特にこれが顕著にあらわれたのが東日本大震災のとき     で、仙台市は率先して分別をしていくことで、どこよりも早く適正な     処理で震災廃棄物の処理が進んだと見ているが、容リ法についてはな     かなか難しく赤字体質があると思う。例えば、容リ協会に回収委託料     をメーカーが払っていて、仙台市が一生懸命になってこれを回収して     いるのであれば、仙台市がその分に応じた金額を収納する。仙台市が     地元の事業者を含めたリサイクルを展開するところに、率先してこう     いった費用も含めて物も渡してくるような、そんな仕組みを考えても     いいのではないか。容リ法で集めたプラスチックを仙台で一生懸命集     めているのに、川崎市やほかの自治体のリサイクルしているところに     持っていかなくてもよいのではという一つの提案である。できれば地     元事業者へうまく回るという好ましい姿になればいいと思う。    ・例えば、いろいろな基幹産業があり、少なくとも半径100キロくら     いのところには、既にいろいろなプラントを持っている、技術を持っ     ている事業者がある。こういうところでリサイクルをすることになれ     ば、軽いプラスチックを外に運ばなくても地元でクローズした形がで     きる。リサイクルするような事業者、地元にはこれだけいるので、そ     の意味では地元をもっと有効に利用しながら、そういうところと環境     産業を興していくような取り組みも必要だと思う。そのためには技術     開発がどうしても必要になってくるが、技術というのはいつまでも続     くわけではない。どこかで淘汰されるというのは当然ある。隣を向け     ば、そこで使われている技術をこっちで使えることも当然ある。そう     いうところと横連携を保ちながら、プラスアルファで新しい技術を投     入し技術開発を進めながら理想とする未来社会に突き進んでいくこと     が必要だと思う。 9 第7回委員会 平成28年11月14日(月)    <当局からの報告>    ・省エネルギー等の取り組みについて 8 他都市視察 平成29年1月25日(水)~26日(木)   <黒部市黒部浄化センター>     黒部浄化センターでは、平成23年5月より下水、農業集落排水、浄    化槽などの汚泥と食品残渣である飲料品製造事業所から排出されるコー    ヒーかすを利活用したバイオマスエネルギー利活用事業を行っており、    事業により発電した電力を施設内で有効利用するほか、処理後に排出す    る乾燥汚泥は、肥料や燃料として有効活用されている。黒部市はこの事    業により国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞」の表彰を受けている。   <富山市>     富山市は、市内に18haのエコタウン産業団地を設け、資源循環施    設の拠点としリサイクル施設を集約するとともに団地内のゼロエミッシ    ョン化を進めるエコタウン事業を行っている。集約した事業所は、ハイ    ブリット型廃プラスチック、木質系廃棄物、生ごみ及び剪定枝、自動車、    難処理繊維及び混合廃プラスチック及び廃合成ゴム、廃食用油のリサイ    クル施設がある。     現地視察を行った生ごみ及び剪定枝のリサイクル事業を行う富士グリ    ーンフードリサイクル(株)では、1日当たり食品系廃棄物40t、剪定枝    2~30tのリサイクル処理を行っている。また、廃食用油のリサイク    ルを行っている富山BDF(株)では、年間960klのバイオディーゼル燃    料を製造し、富山市の清掃車、エコタウンのバスの燃料として使用して    いる。 9 第8回委員会 平成29年3月24日(金)    他都市視察を踏まえた委員相互の意見交換    これまでの委員会調査を踏まえた総括的な意見交換 10 第9回委員会 平成29年5月17日(水)    委員会報告を見据えた意見交換 11 第10回委員会 平成29年7月19日(水)    委員会報告の内容について確認...