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平成30年第二部決算特別委員会−10月12日-03号
平成30年第一部決算特別委員会−10月12日-03号

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  1. 札幌市議会 2018-10-12
    平成30年第二部決算特別委員会−10月12日-03号


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-04-26
    平成30年第二部決算特別委員会−10月12日-03号平成30年第二部決算特別委員会  札幌市議会第二部決算特別委員会記録(第3号)               平成30年(2018年)10月12日(金曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 31名(欠は欠席者)     委 員 長  よこやま 峰子      副委員長   中 村 たけし     委   員  武 市 憲 一      委   員  鈴 木 健 雄   欠 委   員  勝 木 勇 人      委   員  こんどう 和雄     委   員  細 川 正 人      委   員  佐々木 みつこ     委   員  北 村 光一郎      委   員  伴   良 隆     委   員  村 松 叶 啓      委   員  村 山 拓 司     委   員  畑 瀬 幸 二      委   員  恩 村 一 郎     委   員  三 宅 由 美      委   員  桑 原   透     委   員  しのだ 江里子      委   員  小 川 直 人     委   員  村 上 ゆうこ      委   員  松 原 淳 二     委   員  かんの 太 一      委   員  涌 井 国 夫     委   員  本 郷 俊 史      委   員  國 安 政 典     委   員  好 井 七 海      委   員  前 川 隆 史     委   員  伊 藤 理智子      委   員  小 形 香 織
        委   員  村 上 ひとし      委   員  平 岡 大 介     委   員  松 浦   忠      委   員  石 川 佐和子       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午後1時     ―――――――――――――― ○よこやま峰子 委員長  ただいまから、第二部決算特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、勝木委員からは、欠席する旨、届け出がございました。  それでは、議事に入ります。  最初に、議案第2号 平成29年度札幌市病院事業会計決算認定の件について質疑を行います。 ◆前川隆史 委員  私からは、北海道胆振東部地震の対応について、それから、DPC特定病院群への移行について、大きく2点について、順次、お伺いいたします。  9月6日未明の北海道胆振東部地震では、北海道全体がブラックアウトに陥り、公共交通機関、経済活動、そして市民の暮らし等に大きな影響を及ぼし、本市においても、1名の方が犠牲になられるとともに、多くのけが人や震災の影響によりまして体調を崩された方も多くいらっしゃったと伺っております。  そうした中、札幌市内の多くの病院においても停電によって大きな影響が出ておりまして、自家発電設備のない病院では、外来患者の受け入れ中止を余儀なくされたり、また、人工透析患者など電源を必要とする患者の転院等の対応に追われたと伺っております。また、在宅で人工呼吸器などの医療機器を使用する患者についても、停電のため、在宅医が調整したようなことも伺っているところでございます。市立札幌病院では、地域医療支援病院として、また、高度急性期病院として、日々、地域の医療機関を支えるほか、災害拠点病院として災害時には患者の命を守る役割を担っております。  そこで、最初の質問でございますが、北海道胆振東部地震発生後、市立札幌病院はどのような対応を行ったのか、お伺いいたします。 ◎関 病院事業管理者  地震発生後の市立札幌病院の対応についてお答えさせていただきます。  まず、発災直後の対応といたしましては、速やかに病院災害対策本部を立ち上げまして入院患者や職員の安全を確認いたしました。それとともに、施設の損害状況、自家発電装置の稼働状況、電子カルテの運用状況等を確認し、病院機能は維持できているというふうに判断いたしました。その後、地震によって被災した方の受け入れ準備を整えると同時に、全ての外来及び入院、手術についても通常どおり運用することが可能と判断いたしましたので、そのような体制を整えました。また、夜間におきましては、医師、看護師などの職員を手厚く配置して万全の体制で対応いたしました。あわせまして、電力確保に不安を生じたほかの医療機関、それから、在宅医からの要請がありましたので、人工呼吸器をつけた患者や人工透析が必要な患者の受け入れなども行いました。これらの患者を含めまして、災害関連で受け入れた患者はこれまでで124件となっております。  また、北海道からの要請を受けまして、災害派遣医療チーム、DMATを医療機関等に派遣いたしましたほか、北海道看護協会からの要請を受けまして救命救急センター看護師災害支援ナースとしてむかわ町の避難所へ派遣いたしました。さらに、健康相談業務のため、清田区避難所へ精神看護専門看護師を派遣するなど、多くの災害関連の医療需要に対して災害拠点病院として全力を挙げて取り組んだところでございます。 ◆前川隆史 委員  電源喪失の中にあって病院機能が停止して、外来患者の受け入れ等ができない病院も多くあった中、市立札幌病院は、発災直後から全ての外来、入院で通常どおりの診察を行っていただきました。また、他院からの要請に基づいて患者を受け入れたり、避難住民の健康相談のための避難所への専門看護師の派遣等の話もございましたが、そういった活動を行うなど、適切な役割をしっかりと果たしていただいたのかなと思っております。  今回の地震で円滑な対応ができたのは、やはり、災害拠点病院として自家発電装置など施設整備を計画的に行い、これまでも災害訓練に取り組むなど、災害に対する対策を周到にしっかり実行してきた結果ではないかと思います。しかし、災害対策にこれでいいというものはございませんので、今回の地震対応を振り返りまして、いつまた起こるか予測できない災害に対して十分に備えていくことが必要ではないかと考えます。  そこで、質問でございますが、今回の地震対応を通じて新たに見えた課題があれば、お伺いしたいと思います。 ◎関 病院事業管理者  今回の地震対応で見えた課題についてお答え申し上げます。  今回の地震に伴う市立札幌病院の対応につきましては、災害拠点病院としての役割は十分果たせたのではないかというふうに考えております。  しかしながら、発災当初、物流の停滞等の影響によりまして食料、医薬品等の物資の十分な調達を見通すことができませんでしたので、安定した診療の継続に不安を抱いたのも事実でございます。幸いにも、当院からの要請に対しまして、多くの企業、多くの団体の皆様から温かいご支援をいただきまして、安心して診療を継続することができました。改めて、必要な物資等の提供について、こういう非常なときにはあらかじめ企業等との連携や協力体制が必要だと感じたところでございます。  また、病院災害対策本部で決定した対応方針が院内全ての職員に伝わるまでにやや時間を要したといった案件もございましたので、情報共有のあり方につきましても、やはり課題があるというふうに考えております。さらには、停電が長引きまして、ほかの医療機関の診療機能が停止してしまった場合や、当院へ多くの患者が搬入された場合など、当院の近隣の医療機関ともども、さまざまな状況を想定してどういった連携がとれるのかということをあらかじめ議論して実際に訓練していくことが今後必要な課題だと思っております。  災害拠点病院として今回の対応についてしっかり振り返りまして、今後の災害発生に備えて万全を期してまいりたいというふうに考えております。 ◆前川隆史 委員  関病院長のお人柄があらわれた非常に謙虚な反省というところに、逆に、今後に向けての期待を強く感じたところでございます。今後も、災害時の最後のとりでにふさわしい災害拠点病院として、今回の地震対応で見えた課題の解決に向けて、病院長がおっしゃったことを中心に取り組んでいただきますよう求めて、この質問については終わりたいと思います。  次に、DPC特定病院群への移行についてお伺いいたします。  市立病院では、診断群分類包括評価、いわゆるDPC制度によりまして入院の医療費を算定しているところでございます。これは、病気の種類により決められました1日当たりの点数に、病院の診療実績などに応じて厚労省によって定められた医療機関別係数を掛け算したものを基本に診療報酬を算定するものでございます。この医療機関別係数のうち、基礎係数は、大学病院に準ずる高度な機能を有すると認められた場合、DPC特定病院群に指定され、係数もアップし、診療報酬も増加すると伺っております。  平成30年第1回定例市議会において、我が会派のわたなべ委員からも質問させていただきまして、その中の答弁で、市立病院は平成30年度からDPC特定病院群になることが表明されました。これは、市立病院の医療体制とこれまでの取り組みが大きく評価されたものと考えられますが、余り市民に知られているとは言い難いと思っているところでございます。  そこで、質問でございますが、DPC特定病院群の指定を受ける取り組みを院内にも院外にも周知し、職員のモチベーションにもつなげていくことが大事かと思いますけれども、ご見解をお伺いいたします。 ◎宇都宮 経営管理部長  DPC特定病院群の指定に係る周知についてお答えいたします。  指定を受けるためには、大学病院と同水準の医療を提供することが条件となっております。そこで、市立病院では、重症な患者を受け入れ、幅広い疾患に対応し、高度な医療や手厚い看護を実施するなど、質の高い医療の提供に向けて職員一丸となって取り組んでまいりました。この取り組みが評価され、市立病院はことし4月からDPC特定病院群になることができました。そのことは、院内では院長みずから全職員向けに講話で伝えるとともに、職員向けには経営通信に特集を組むなどして全職員に周知してきたところでございます。これまでの職員の努力が正しく評価されたものとして、職員一同、大きな励み、モチベーションにつながっているところでございます。  また、院外には地域で連携している医療機関向けの冊子にも掲載しておりまして、今後も、ホームページへの掲載を含め、広報物への記載を充実させ、地域の医療機関を訪問する際にはPRするなど、機会を見つけて院内、院外へ周知を行ってまいりたいと考えております。 ◆前川隆史 委員  DPC特定病院群の指定を受けたことに伴う増収については、平成30年の予算特別委員会では、DPC特定病院群の指定を受け、各種係数がアップして、そのことによって1億数千万円程度に相当する増収が見込まれるといった答弁があったところでございます。実際に、平成30年4月からは新たな係数による算定が始まっておりまして、報酬を上げるその他の取り組みもされていると想定いたします。  そこで、質問でございますが、DPC特定病院群の指定を受けたことに伴う増収額と、平成30年度に入ってからのその他の新たな取り組みについてお伺いいたします。 ◎宇都宮 経営管理部長  まず、DPC特定病院群の指定を受けたことに伴う増収額についてでございますが、DPC基礎係数が1.0296から1.0648に上昇したことに伴いまして、増収額は年間で約1億6,000万円と見込んでおります。  次に、平成30年度に入ってからの新たな取り組みについてでございますが、ことし4月に行われた診療報酬改定で新たに設けられた項目、例えば医療安全対策地域連携加算につきましては、ほかの医療機関と医療安全対策について相互に評価する体制を構築した上で算定を開始いたしました。また、既存の項目につきましても、今、行っている医療が正しく評価されているのか精査を行いまして、必要に応じて算定要件を北海道厚生局に確認しながら、各種報酬や加算の算定強化に取り組んできております。その結果、救急患者を受け入れる際の救急医療管理加算の算定など、今年度の取り組み効果は年間で約6,000万円の増収を見込んでいるところでございます。 ◆前川隆史 委員  DPC特定病院群各種係数アップやら、るる述べられましたさまざまな努力によりまして6,000万円のさらなる増収もあったということでございました。平成30年度に入ってからも、今お話があったように、病院ぐるみの取り組みで増収が続いていることについては評価させていただけると思います。  今後も、医療の質の向上や経営の健全化に向けて、引き続き積極的な取り組みを行っていただきたいと思います。先ほど、市民の生命と健康を守るために、たとえ、よそがだめでも、最後のとりでとしての市立病院の使命についても触れさせていただきましたが、これからも稼ぐ力をしっかり磨いていただきたいと思います。先般の代表質問ではちょっと突っ込んだ意見を申し述べさせていただきましたが、改革も含めて、今後も経営のあり方に関するご検討を積極的に続けていただきまして、札幌市民が誇れる病院へと大成長していただきますことを期待しまして、質問を終わりたいと思います。 ◆村上ひとし 委員  まず最初に、8月23日の経済観光委員会で、主に市立病院の救命救急センターやヘリポートなどを視察させていただきました。大変お忙しい中、病院長を初め、ありがとうございました。  そこで、今回の質問は、そうした視察をもとに、職員の皆さんの生の声を伺いながら、救急対応とドクターヘリについてお伺いしたいと思います。  まず、救急救命センターの現状でありますが、市内の救急搬送人数は2013年度の7万3,850人から2017年度には8万1,411人となり、7,500人以上も増加しております。そして、市内の救急搬送約8万人のうち、市立札幌病院が約3,000人を占めていて、その人数も増加傾向にあるということです。  そこで、最初にお伺いいたしますが、救命救急センターにおける救急患者の受け入れ状況の変化と特徴についてお伺いいたします。  また、民間病院との関係と市立病院の役割についてもお伺いいたします。 ◎宇都宮 経営管理部長  まず、救急患者の受け入れ状況の変化についてでございますが、市立病院の救命救急センターに搬入される3次救急の患者数につきましては、ここ5年間で年間800から900件で推移してきておりまして、年齢別で見ますと、平成25年と29年の比較では、70歳以上の患者は45%から54%と9%増加しております。また、病態別で見ますと、外傷の占める割合は15%から10%と5%減少しており、疾病については39%から54%へ15%の増加となっております。特徴といたしましては、高齢化社会の進展に伴い、救急搬送される患者についても高齢者が増加し、事故やけがによる外傷の患者が少なくなる一方で、心臓疾患を含めた複雑かつ複合した症例がふえてきているところでございます。  次に、市立病院の役割についてでございますが、市立病院では、市内に5カ所ある3次救急を受け入れる医療機関の一つとして、心肺停止など重篤な救急患者を受け入れておりまして、さらに、平成29年5月からは、市内の2次救急体制のバックアップとして、3次救急以外の救急患者についても受け入れを拡大してきております。これにより、3次救急以外も含めた救急車等による搬入数は、平成28年度の2,368件から29年度は3,156件となっておりまして、788件増加したところでございます。  市立札幌病院といたしましては、民間病院では受け入れが難しい複雑かつ複合した疾病を持つ患者を受け入れるなど、地域の医療機関を支える役割があると考えているところでございます。 ◆村上ひとし 委員  視察したときに、救命救急センターの佐藤部長が、受け入れ状況の変化について、例えば、自動車にエアバッグを装着することが普及したことで重篤な外傷の患者は減少している一方で、今、特に70歳以上の高齢者は45%から54%にふえているというお話がありましたが、やはり、救命救急センターでも高齢者の傷病が多く、しかも、いろいろな合併症も持っていて、高度な医療が必要な状況の高齢患者がふえていると話されておりました。また、3次救急の役割のほかに、2次救急のバックアップも拡大して、救急患者も2,368人から3,156人に大きく伸びているということであります。この点でも、佐藤部長は、市立病院の役割として、民間の病院がなかなか受け入れがたいような患者を受け入れているのだ、それは市立病院の大切な使命だと話されておりました。そのあたりではすばらしい医療を提供しているし、私は、それを担っている救急外来の医師を初めとしたスタッフも本当に頑張っているというふうに感じました。  そこで、次の質問に入りますが、救急医療では重症患者の搬送にドクターヘリが使用される場合もあります。市立病院にはヘリポートが設置され、市内の救急医療の中でも極めて重要な役割を担っております。  そこで、ドクターヘリの搬送実績と体制はどのようになっているのか、お伺いいたします。 ◎宇都宮 経営管理部長  ドクターヘリの実績と体制についてでございますが、市立病院における平成29年度のドクターヘリによる患者搬送数は41件でございまして、そのうち、医師が同乗するドクターヘリによる患者搬入数は9件でございました。また、市立病院の医師が同乗し、患者がほかの医療機関に搬送された件数は20件となっております。  次に、ドクターヘリの運航体制についてでございますが、ドクターヘリは札幌市消防局や北海道防災航空室、医師を派遣する医療機関などの連携のもとに運航しているところでございます。  札幌市消防局が運航するヘリの場合、基本的には、市立病院、札幌医科大学の順に医師同乗の要請がございまして、患者は現場から最寄りの救急医療機関に搬送されることとなっております。患者がほかの医療機関に搬送された場合には市立病院に診療報酬は入りませんが、地域の救急医療体制を支えるためには、今後ともドクターヘリの運航に可能な限り協力してまいりたいと考えているところでございます。 ◆村上ひとし 委員  恥ずかしながら、私は、視察に行くまで、ドクターヘリの中にピックアップの体制があることを知りませんでした。  ピックアップというのは、救急対応可能な市立病院の医師がヘリコプターに乗って現地に行く、しかし、ほかの病院に搬送されるということだそうです。それが20件ぐらいあるということですから、そういう意味では、医師体制だとかいろいろな面で相当大変な状況もあるのだなというふうに感じます。特に、ピックアップの場合には、ヘリに乗り込み、市立病院の医師がかかわったとしても、市立病院の収益にはならない、治療が行われる搬送先の医療機関の収益になるということでした。ピックアップ時には、救急対応できる市立病院の医者が不在になるわけですから、医師体制のみならず、経営的にも厳しい状況になるのは当然であります。この部分一つを見ても、民間の医療機関とは担っている役割が違うし、違うのであれば、その点、何らかの収益性の担保があってもいいと思うのですけれども、実際にはないということであります。全道の広域的な地域における救急医療の重要な役割を担っておりますが、収益的な保障はなく、民間の医療機関での受け入れが困難な患者を受け入れ、さらにドクターヘリピックアップにも応えるなど、民間の医療機関が提供する救急医療とは根本的に違いがあり、経営的にも影響があるということです。  そこで、次の質問に入ります。  救急医療は、札幌市の一般会計から操り出しを認められており、国からも一定の地方交付税が措置されておりますが、救急医療の収支状況と課題についてお伺いいたします。 ◎宇都宮 経営管理部長  救急医療の収支状況と課題についてでございます。  救急医療は、重症の患者に対応するため、医師など手厚い職員体制が必要となります。このため、救急医療は診療報酬のみで採算をとることは難しく、総務省の操出基準により一般会計からの操り出しが認められているところでございます。市立病院の救急医療につきましては、平成29年度の決算は、費用が約12億2,000万円、診療報酬などの収益が約7億7,000万円となっておりまして、収支不足となる約4億5,000万円に対し、一般会計から繰り入れを受けております。  なお、この一般会計の負担に対し、救急医療収支不足分として、国からの地方交付税は約1億8,000万円の措置にとどまっております。  救急医療については、採算が合わない医療であったとしても、政策的に必要な医療であることから、地域の中核的な病院が担うべきと考えておりますが、同時に、収支改善についても取り組んでいかなければならない課題であると考えております。市立札幌病院といたしましては、札幌市内の基幹的な総合病院として、今後とも、可能な限り、断ることなく救急患者を受け入れてまいりたいと考えているところでございます。 ◆村上ひとし 委員  現状では、地方交付税措置がされていても札幌市の一般会計から操り出しをせざるを得ないということで、つまり、救命救急センター単体で黒字にするのはなかなか厳しい状況だと思います。そもそも公的病院が担う救急医療にはその役割と実態に合った国の財政措置が必要ですが、先ほどお話がありましたように、国の交付税措置が約1億8,000万円ということで、到底、それで札幌市の一般会計からの繰り入れがなくなるような交付税ではなくて、なお赤字ということであります。私は、こういう事態に対して、自治体による財政負担や市立病院単独の努力で解決しなければならないこと自体に問題があるというふうに思います。しかし、全道あるいは市内でも重要な役割を担っている市立病院の救急医療でありますから、だからといって効率化を図るとか機能を縮小していくことにはならないわけであります。  先ほど、入院患者の受け入れ口となる救命救急センターでは、救急患者の搬送数が増加傾向であること、搬入される患者も外傷から傷病にシフトし、高齢化に伴い、複雑な症例となり、また合併症の患者も多いことが報告されておりまして、こうした医療を提供することは大変難しい問題もあると思います。しかし、市立病院においては、今後も、高度急性期医療の提供と地域の連携を進める中で、積極的に一般病棟に転棟するなどして入院患者の増加につなげるとともに、病院全体の機能をフルに生かした医療展開も必要であると思います。  そこで、市立札幌病院の救急医療における責任と役割を発揮しながら、経営改善策に結びつけることも可能であると考えますが、認識をお伺いいたします。 ◎宇都宮 経営管理部長  救急医療における責任と役割を発揮しながらの経営改善策についてでございますけれども、市民が安心して暮らしていくためには、地域の中でそれぞれの病院がその特徴を生かし、役割分担しながら切れ目のない医療を提供することが大切であると考えております。  市立札幌病院といたしましては、地域の医療機関を支えるため、民間病院では受け入れが難しい救急患者を受け入れていくことが重要な役割の一つであると考えております。この役割を果たし、救急患者を可能な限り断ることなく受け入れていくことが、結果として患者数の増加、病院収益の増加にもつながるものと考えているところでございます。今後とも、断らない医療を実践し、経営の健全化に努めてまいりたいと考えております。 ◆村上ひとし 委員  断らない医療というのは、市立札幌病院の果たすべき役割の中で極めて重要な一つだと思います。  抜本的には、国が低診療報酬そのものを改善し、市立病院の救急医療について、実態に合った診療報酬に改めたり、あるいは、交付税措置をしていくことが必要であると思います。また、市立病院の責任と役割を果たしていく上でも、どういう医療展開が可能なのか、何をすべきなのかということについて、ぜひ、医師を初め、全職員で議論し実践していただきたいと思います。その一つの窓口として救急部門はかなり難しい患者を受け入れる傾向にあると思いますが、一方、民間では受け入れがたい患者、市民を積極的に受け入れて、そして総合的な医療、高度な医療を提供できる病院ですから、転棟も大いに行いながら病院全体で収益増も図っていくような取り組みも可能かと思います。それを実践していくためには、やはり、職員一人一人の議論が必要であります。  そこで、最後に、医師を初め、救急医療を担う職員体制の維持はもちろん、今後も安定した救急医療を提供していくためには職員体制の充実も含めた検討が必要であると考えますが、認識をお伺いいたします。 ◎宇都宮 経営管理部長  救急医療を担う職員体制についてでございますが、救急医療は、搬入された患者に高度で質の高い医療を提供するため、医師、看護師や薬剤師など多職種が連携し、手厚い職員体制があって初めて成り立つものでございます。そのため、患者の命を守るという使命に立ち向かう現場の職員の労働環境を改善し、職員を確保することは、何よりも重要であると考えているところでございます。  これまでも、救急医療に携わる医師の確保に努めるとともに、看護師の重点的な配置を行ってきたところでございます。また、労働環境の改善に向けては、医師事務作業補助者や看護補助員等を配置してきたところでございます。今後とも、医師や看護師等、現場の職員の負担軽減に向けて、職員体制の充実に向けた取り組みを継続してまいりたいと考えているところでございます。 ◆佐々木みつこ 委員  私からは、市立札幌病院の経営の健全化についてお伺いいたします。  市立札幌病院の経営状況につきましては、新聞紙上やテレビニュースでも取り上げられ、同業者としての民間病院関係者はもちろん、納税者として市民の関心も高いところです。  病院事業会計の決算の推移を見ますと、平成26年度に経常収支が赤字となって以来、平成29年度までの4年間、連続で赤字決算を続けており、累積欠損金については約98億円となっております。そして、平成30年第1回定例市議会におきましては、次期中期経営計画策定までの当面の運転資金不足を解消するため、一般会計からの長期借入金として27億円が補正されたことは記憶に新しいところです。  市民は、市民のためにあるべき市立札幌病院の経営が今どうなっているのか、今後どのようになっていくのかと心配しています。市立札幌病院では、このような厳しい経営状況を打開するため、その役割と経営健全化に関する専門家検討会を立ち上げ、民間病院など医療関係者やコンサルタントなど専門家と議論を重ねて、一昨日、最終報告がまとまったところです。  私は、この5回の専門家検討会を全て傍聴させていただきました。案内をいただいていないので、ホームページで調べて参加した次第です。一昨日で終了した専門家における検討結果は、市立病院が地域医療支援病院として、さらには高度急性期病院として、その役割を全うすれば経営改善につながるというものでした。  どうでしょうか。札幌市内には大学病院のほか高機能な高度急性期病院たり得る民間医療機関もたくさん集積しており、全国的に見てもまれな医療激戦区となっています。その中で、市立病院は、自立している民間医療機関とは異なり、一般会計から多額の補助を受けて運営しているところです。一般会計からの補助については、総務省の操出基準にのっとっているとはいえ、その規模は、平成29年度決算を見ますと、収益的収支に約19億円、資本的収支に約16億円の総額35億円に上っております。専門家検討会の中でも、累積赤字の額の質問が出ました。その額を確認した専門家は、震える金額だと絶句したという話も出ていたところです。これだけの補助を受け、さらに収支不足が約10億円ということですから、コスト削減というレベルではなく、抜本的な経営改革が必要ではないかと思います。  そこで、質問ですが、専門家検討会では、市立病院の役割を全うすれば経営改善につながるとなったところですけれども、一般会計からの補助金を受けて市立病院が存続し続ける意義について、改めて質問します。 ◎関 病院事業管理者  市立札幌病院の存続意義についてご質問がございました。  当院の役割といたしましては、高度急性期の医療を提供する地域医療支援病院といたしまして、地域の医療機関からの紹介患者、それから救急車等で搬送される救急患者を断らずに、切れ目のない医療を市民に提供することが重要な役割というふうに考えております。さらに、地域の基幹病院といたしまして、周産期医療、救急医療、それから災害医療など、公立病院として政策的に必要な医療を提供することも重要な役割であると認識しておりまして、地域の医療機関が担うことができない医療を支えることが当院の存在意義だというふうに考えています。  一般会計からの繰り入れにつきましては、35億円と少なくない額ではありますが、周産期医療、救急医療など、不採算医療ではあるけれども、政策的に必要な医療に関しましては、総務省の操出基準によりまして一般会計から繰り出しが認められていると理解しているところでございます。 ◆佐々木みつこ 委員  札幌市において、公立病院として政策的に必要な医療を提供し、不採算医療を支えていくこと、そのことが切れ目のない医療を市民に提供することになり、そのためには地域の医療機関を支援すること、バックアップしていくことが大切であり、それが市立病院の存在意義であるということでした。  しかし、地域医療支援病院としての役割を果たすのだから幾ら赤字でもいいということにはなりません。大切な限られた税金を多額に持ち出す市立病院の将来について不安を持っている市民に対し、しっかりと説明責任を果たし、改革を進めるべきだと思います。地域医療支援病院としての使命や役割を果たすため、専門家検討会で議論された改善の方策については、手術件数の増や病床稼働率のさらなる向上、稼働率の低い検査機器をほかの医療機関と共同利用するとか、どれも現状の延長上では難しいと思われるものがあり、経営改善を達成するには市立札幌病院として職員全員が相当の覚悟を持って意識を改革して取り組む必要があります。  そこで、質問ですが、今後、専門家検討会で示された改善内容をどのように進めて黒字化を図る考えなのか、お伺いします。 ◎宇都宮 経営管理部長  専門家検討会で示された改善内容の進め方についてでございますが、市立病院に来られる患者は、主に地域の医療機関からの紹介や救急車で搬送されてきた救急患者で構成されております。そのため、地域医療支援病院として地域の医療機関を支え、信頼関係を強めることが患者の増加につながり、結果として経営の健全化につながるものと考えているところでございます。  専門家検討会で示された経営改善の方向性の中には、高度急性期病院としての機能を強化するため、救急や手術室など、高度急性期病院としての体制に医療資源を重点的に配分することも示されております。また、地域医療支援病院としての役割を高める必要があり、外来で31日以上の長期の処方で通院している患者の割合が高いため、専門家検討会の最終報告書には、病状が安定している患者については地域のかかりつけ医療機関に紹介することも改善の方向性として示されております。この取り組みを進めることで、厳しい経営環境の中ではございますが、医師や看護師の重点配置が可能となり、高度急性期病院としての機能を強化することが可能となります。  今後は、専門家検討会での議論を踏まえ、平成31年度から始まる次期中期経営計画の中に改善の方向性を明示するとともに、職員一丸となって地域の医療機関と連携しながら着実に経営健全化の取り組みを実行してまいりたいと考えているところでございます。 ◆佐々木みつこ 委員  地域医療支援病院として地域の医療機関と連携しながら、その役割を果たすことで黒字化を目指していきたいということがわかりました。  しかしながら、市立札幌病院といえば、一般市民の認識ですが、札幌市民の病院であり、たくさんの診療科があるから安心な市民のかかりつけ病院だと考えている方が多いのではないでしょうか。地域医療支援病院であると言われましても、市民の皆さんは地域医療支援病院というものの役割や機能について十分に理解しているとは言えません。  今、答弁のあった改革を進めていくのでしたら、市立札幌病院を利用している患者の皆様に対して、市立病院の役割を高度急性期病院であり、長期にわたる再診や療養を目的とした病院ではなく、地域の医療機関のバックアップのための病院であることを説明し、ご納得いただく必要があるのではないでしょうか。そのような取り組みを進めなければ、このたびの専門家検討会での改善策を達成することができず、経営の健全化を行うことはできないと思います。  そこで、質問ですが、専門家検討会で示された方向性としては、市立札幌病院が地域の医療機関のバックアップ病院であることを市民へ周知し、病状が安定した外来患者を地域の医療機関に紹介するなどの取り組みを進める必要があるとされましたが、これら外来の適正化についてどのように実現されるつもりなのか、お伺いします。 ◎宇都宮 経営管理部長  外来の適正化についてでございますが、これまでも、病状の安定した患者を地域の医療機関に紹介するとともに、地域医療支援病院としての市立札幌病院の役割について医療スタッフが患者に説明を行い、さらには、院内放送やチラシの配布などを行いまして周知に努めてきたところでございます。  しかしながら、依然として外来の再診患者の割合は全体の90%程度となっておりまして、病状が安定していると思われる長期処方の患者につきましては、処方箋を出している患者の約4割となっております。今後とも、患者の皆さんには、かかりつけ医となる地域の医療機関の情報を伝えるとともに、地域の医療機関で急変した場合にはすぐに市立病院で医療を受けることができることなど、地域の医療機関との連携が密接であることを引き続き丁寧に説明を行い、理解を得てまいりたいと考えております。 ◆佐々木みつこ 委員  私は、市立病院は札幌市の中にあって重要な役割を担っていると思います。今回の地震による災害時も、被災地にDMATや看護師の派遣をしたり、電力確保に不安を生じたほかの病院から人工呼吸器や透析などが必要な患者を受け入れたり、帰宅できずに薬不足になった旅行客に対応したことも聞いております。札幌市にとっては大事な病院であると思います。  しかしながら、その経営は、いつでも、幾らでも一般会計から補助をもらうという構造ではなりません。この約半年、専門家の皆さん及び病院局の職員の皆さんは、夜19時から招集され、市立病院の立て直しのために本当に一生懸命検討してくださいました。これらの検討結果をもとに、札幌市から独立して経営できるぐらいの構造転換を目指すべきだと考えます。  最終日に、専門家の方からは一つの懸念が示されました。今回、経営計画検討に携わった事務職員も数年で異動になるということでした。できれば異動しないでほしいという願いだと思います。これから6年の中期計画において今回の健全化を進めていくと思いますが、ぜひ、6年を待たずに早期に黒字化改革を達成できるよう目指すべきです。人がかわり、時間がたつうちに現状の肯定や正当化というふうになることのなきよう、職員、事務方が一丸となってさらなる医療の質の向上と黒字化の両方を達成し、真に札幌市民の幸せを担う市民が誇れる病院になるべきと指摘申し上げ、質問を終わります。 ◆松原淳二 委員  私からも、先ほど来、るる質疑がございました市立札幌病院の役割と経営健全化に関する取り組み状況についてお聞きしたいと思いますが、今ほどございました専門家検討会のお話も少し聞かせていただければと思っております。  市立札幌病院は、特に今回の胆振東部地震において、災害拠点病院として、救急体制とあわせて外来患者の診察や手術の実施においても平時と変わらない対応ができたということで、公立病院として求められる災害時の役割でも大変評価できる取り組みだと思っております。  しかしながら、市立札幌病院は、2014年から経営収支の赤字が続いている状況で、先ほどもございましたが、一般会計から27億円の長期貸し付けを受けております。全国的に見てもまれなほど医療機関が集積する札幌市において、市立札幌病院がどのような役割を果たしていくのか、また、その役割を全うするためにも、安定した財政基盤をどのように築いて経営健全化を図っていくのか、どのラインが経営健全化と言えるのかといったことについてもしっかり議論していかなければいけませんし、これから策定する次期中期経営計画の中ではとても重要な要素になると思います。  それらを明確化するために、先ほど来ございましたが、ことし4月に市立札幌病院の役割と経営健全化に関する専門家検討会を設置し、既に5回開催しており、その中では、公立病院としてのあり方、存続意義、地域連携のあり方の課題、そして、やらなければいけない役割や経営課題などについて多くの意見が寄せられ、議論されてきたと聞いております。  しかしながら、今回、議論されてきたことが実行されるのは次期中期経営計画がスタートする来年ということになりますので、そこで、経営改善に向けた現在の取り組みについて少しお伺いさせていただきたいと思います。
     今回、議論され、役割を全うするために進めようとしている取り組みは、次期中期経営計画がスタートする来年度から行われます。しかし、病院経営を維持する上では、やはり経営健全化というのは待ったなしの状況であり、今こうしている間も経営健全化に向けた改善策に取り組んでいかなければいけない状況でありまして、昨年度より少しでも経営改善すべく、鋭意、頑張っていただきたいと思います。  そこで、質問ですが、現在、経営健全化に向けてどのように取り組みを進めているのか、これまで行ってきたのか、お伺いしたいと思います。 ◎宇都宮 経営管理部長  経営改善に向けた現在の取り組みについてでございます。  現在の市立札幌病院の経常収支不足の要因の一つに、病床の規模に比較して収入が低いということが挙げられます。そこで、ことしの1月に、医療資源の再配分を行うため、1病棟を休止するとともに、診療科ごとのベッド枠を廃止し、ベッドコントロールの一元化を行い、それにより新入院患者数の増加に努めているところでございます。  その結果、新入院患者数は、昨年の1月から8月までは合計1万938人だったところ、ことしは1万1,179人に増加いたしました。それに伴い、病床稼働率は昨年の75.7%から83.1%に上昇し、対前年同月比では7カ月連続して増収となっております。また、費用面におきましても、安価な医療材料への切りかえや委託契約の仕様の見直しなど、経費の節減にも引き続き努めております。  経営の健全化の取り組みは継続することが大切であると考えていることから、一昨日、検討会から報告をいただきました今後の取り組みにつきましても、今からできることは次期中期経営計画の策定を待たずに直ちに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 ◆松原淳二 委員  今できるものはすぐにでもということですので、しっかり行っていただきたいと思います。入院患者の受け入れ拡大による新規入院患者の獲得、また、ベッドコントロールの一元化も、先日、お邪魔させていただいてベッドコントロールを行っている現場を見せていただきましたが、決して休床により分母が減って稼働率の増加につながっただけではない、大変大きな効果があったと思っております。特にベッドコントロールを行っている担当者からは、そういったことが大きくつながったという現場の声も聞かせていただきました。  増収の取り組み、そして、後段にもございましたように、経費の削減といったことについても絶え間なく取り組んでいるということでございます。検討会のアドバイスの中で真っ先にできる取り組みは、ぜひ、いち早く進めていただきながら、市立札幌病院の継続に向けて取り組んでいただきたいと思います。  市立札幌病院で進められている取り組みには、短期で効果が出る取り組みもあれば、また、中長期的な視点で効果が出る項目もございます。将来にわたり継続的に市立札幌病院の役割を実現させていくためには、やはり、中長期的な経営計画に基づく取り組みが必ず必要となってまいります。  そこで、質問ですが、今回、専門家検討会で議論された内容は、今後どのような視点に基づいて整理され、結果としてどのような方向性で取り組みを進めていくのか、お伺いいたします。 ◎宇都宮 経営管理部長  専門家検討会で議論された内容の今後の方向性についてでございます。  このたび提言をいただいた専門家検討会の最終報告は、来年度からスタートする次期中期経営計画に十分反映させていかなければならないと考えております。これらの中には、直ちに取り組むことができるもののほか、中長期的な視点で検討を要するものがございますので、次期計画の取り組み期間である6年間の中で全てを整理することとしたいと考えております。市立札幌病院の経営状況をできるだけ早期に黒字化し、持続可能な財政基盤となるよう、今年度中に中期経営計画をまとめ、それを確実に実行してまいりたいと考えているところでございます。 ◆松原淳二 委員  計画年度の6年間で成果を出すということですので、今後も市立札幌病院が継続的に運営されていくように、ぜひ頑張っていただきたいと思います。特に、先ほど少し触れたのですが、経費の削減において、職場環境や労働条件といった病院職員のモチベーション、また医療機関としての安全、衛生面、さらには受注業者などへのしわ寄せがあってはいけませんので、無理な経費の圧縮は行わないようにぜひとも求めておきたいと思います。  市立札幌病院の次期中期経営計画を達成する6年後に向けて、これからの1年1年が大事になろうかと思います。一つ一つの積み上げが6年後につながると思いますので、ぜひとも頑張っていただきたい、このように求めて、私からの質問とさせていただきます。 ◆石川佐和子 委員  私からは、医療従事者にとっての魅力ある職場環境について伺います。  国は、団塊の世代が全て75歳を迎える2025年に向けて、住みなれた地域や自宅で治療し、生活を支える地域完結型医療の推進や、機能別の病床再編などの医療改革を進めております。患者の需要に合った医療サービスの供給体制を築くことが重要と考えます。  こうした中、市立札幌病院では、地域医療支援病院として、かかりつけ医から紹介された患者の治療のほか、総合周産期母子医療や、精神疾患と身体合併症を有する救急患者の診療など、ほかの医療機関では担えない、しかし、なくてはならない医療を提供しております。そのためには、経営を安定的なものとするとともに、こうした重要な役割を継続して果たしていくことが重要と考えます。  さきの質疑において、病院局の経営健全化に対する考えを確認させていただきましたので、今ここでは触れませんが、こうした市立病院の役割を果たすためには、人材の確保が不可欠であることは言うまでもありませんけれども、医療従事者を取り巻く環境の改善を行い、向上させていくことも重要と考えるところです。医療のあり方が大きく変わろうとしている中で、ぐあいが悪かったり生死にかかわる患者の一番そばで医療を担う医者や看護師が安心して生き生きと働ける環境づくりが今まで以上に大切になると考えます。平成27年度、2015年から取り組んでいる新ステージアッププランにおいては、四つのビジョンの一つに発展する病院を掲げ、研修医等の人材の確保と育成や、働きやすい職場づくり、職員の専門性の向上を取り組み項目として上げており、病院局としても医療従事者を取り巻く環境を重視していることがうかがわれます。  そこで、質問ですが、新ステージアッププランで掲げたビジョンの発展する病院の実現に向けたこれまでの取り組み状況について伺います。 ◎宇都宮 経営管理部長  新ステージアッププランの四つのビジョンのうち、発展する病院に掲げた取り組み状況についてでございます。  まず、看護職を初めとした医療従事者の確保につきましては、病院説明会の実施や教育機関へのPR等を重ね、必要人員を確保できているところでございます。また、研修医につきましては、研修医室の整備や救急患者の診療に従事できる環境の整備などにより、当院での研修を希望する医学生の数が年々ふえ、過去3年連続で定員を大きく上回る応募を得ておりまして、来年度の採用に向けても順調に経過しております。  あわせて、働きやすい職場づくりの面では、医師や看護師が本来業務に専念できる環境を整えるために看護補助員や医師事務作業補助者を計画的に採用しているほか、育児支援制度の活用や勤務形態の見直しなども積極的に推進してきております。また、専門性の向上に関しては、医師や看護師だけでなく、コメディカルスタッフの学会参加や認定看護師資格の取得に対し、可能な範囲で計画的に支援しているほか、看護師においては新たな院内認定制度を構築するなど、ビジョン実現に向けておおむね順調に取り組みを進めてきたところでございます。 ◆石川佐和子 委員  新ステージアッププランは今年度までの計画でありますが、今のご報告で、掲げた取り組みについてはほぼ順調というようなご答弁であったと思います。ここで、より一層、充実させていただけるように求めておきたいと思います。  医療従事者が安心して生き生きと働き続けるために大切なことはさまざまあると思いますが、一番大切なことは、仕事のやりがいを実感できる環境づくりではないかと考えるところです。医者や看護師は、困っている患者を助けたいという純粋な気持ち、モチベーションを持って努力して、高度な知識と技術を身につけ、日々、厳しい医療現場で働いていると思いますが、このモチベーションを維持し、医療従事者一人一人の満足度を高める職場環境を整えることは、市民が安心して受けることができる質の高い医療を提供する上で最も重要ではないかと考えます。  そこで、質問ですが、医療従事者の満足度を高めるために、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、また、今後はどのように取り組みを進めるのか、伺います。 ◎宇都宮 経営管理部長  医療従事者の満足度向上の取り組みにつきましては、例えば、看護師においては、2人1組で担当患者の看護を協働するパートナーシップ・ナーシング・システムの導入を推進してきたところでございます。これにより、互いに助け合いながら負担を平準化できるとともに、看護の質の向上にもつながり、満足度の向上にもつながっております。また、研修医からは、より多くの救急患者の診療を通してさまざまな症例への診療能力を高めたいとの声が多数あり、昨年5月から3次救急以外の救急患者の受け入れをふやしたことで、研修医が望む診療の機会の拡充にもつながったところでございます。この結果、研修医たちは熱心に診療に従事しておりまして、指導医も大きなやりがいを感じているものと認識しております。また、医療従事者が必要と考える医療を提供する上で不可欠な医療機器の調達にも計画的に取り組んでおります。厳しい経営状況の中ではございますが、予算が認められる範囲で優先順位を勘案しながら整えているところでございます。  こうした取り組みによりまして、昨年度の職員満足度調査では、同じ調査を導入している同規模の病院の平均値より高い満足度になっております。さらなる向上に向けまして、最大限に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 ◆石川佐和子 委員  看護師や研修医たちに対して満足度を高めるためのさまざまな取り組みを行ってきたというご答弁をいただきました。こうした満足度を高めるための取り組みは、今後も引き続き充実させていっていただきたいと思います。  医師不足や看護師不足が大きな社会問題となっておりますが、市立病院が職員を確保してきたこうした努力は評価するところであり、こうした取り組みは今後にもつながっていくと考えます。  しかし、とは言っても、今後、医療従事者の確保はますます困難になることが予想され、離職などによって不足することのないように対策を講じていく必要があると考えます。医療従事者にとっての望ましい職場環境の実現に向けては、地道な取り組み方が必要であり、一人一人の職員がどのような不満を抱え、何を望んでいるかなどについて的確に把握し、その期待に応える取り組みを行い、また、実施して終わるのではなく、実施した結果、職員にどう評価されているか、これらを一体的に把握しながら、いわゆるPDCAを機能させることが必要と考えます。  そこで、質問ですけれども、今後、医療従事者にとっての魅力ある職場環境づくりを進めるに当たって、どのように職員の意見を把握していくのか、また、職員からの評価を把握して改善につなげていくようなシステムが必要だと考えますがいかがか、あわせて伺います。 ◎宇都宮 経営管理部長  魅力ある職場環境づくりに向けた職員の意見の把握につきましては、院内に設置しているさまざまな組織横断的な委員会等の議論を通して、現場医療従事者からの意見がボトムアップされているところでございます。また、毎年、病院事業管理者による診療科ヒアリングを実施し、部門の要望を直接把握する仕組みも構築しております。さらには、当院に在籍する非管理職の医師で構成する医局会や労働組合との間でも日常的な意見交換を通して現場ニーズを把握しているほか、部門表彰における職員アンケートの実施や研修医が研修環境を評価するシステムも導入しているところでございます。また、当院では、医療の質を向上していくための院内組織として、病院事業管理者が委員長を務めるクオリティーマネジメント委員会を設置しておりますが、当該委員会に対して医療従事者が改善要望や現場で困っていることなどを自由に伝えられる職員提案相談窓口を本年9月に開設いたしました。  今後は、職員満足度調査とあわせて、職員提案相談窓口も積極的に活用を図りながら、タイムリーな問題解決や業務改善などに役立てるとともに、職員満足度の効果的な向上につなげてまいりたいと考えているところでございます。 ◆石川佐和子 委員  人材の確保など医療現場のさまざまな厳しい状況、また経営の健全化といったたくさんの課題を抱えている中でも、職員にしわ寄せをすることなく、人材をしっかりと確保していくための新たな職員提案の窓口の設置など、ご答弁を確認させていただきました。  当然、病院事業管理者のリーダーシップ、理念が重要だというふうには考えますけれども、現場を支える医療従事者一人一人の意見をしっかりと把握し、反映した上での一致した取り組みが、今後ますます重要だと思います。医療従事者の皆さんが安心して生き生きと働き続けることができる市立札幌病院づくりを求めて、私の質問を終わります。 ○よこやま峰子 委員長  以上で、病院事業会計の質疑を終了いたします。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後2時11分       再 開 午後2時14分     ―――――――――――――― ○よこやま峰子 委員長  委員会を再開いたします。  次に、第3款 保健福祉費 第1項 社会福祉費のうち関係分の質疑を行います。 ◆小形香織 委員  胆振東部地震がありまして、福祉避難所についてさまざまな声が出されておりますので、私は、福祉避難所について質問したいと思います。  国においては、阪神・淡路大震災後、1995年に、災害救助研究会の中でそのときの取り組みの総括がなされて、大規模災害における応急救急のあり方において福祉避難所の指定についての報告がなされました。その後、各自治体で福祉避難所という考えが進んだというふうに認識しておりますが、本市の場合、そもそもいつから福祉避難所という形での協定が結ばれるようになったのか、まず最初に、端的にお聞きしたいと思います。 ◎富樫 総務部長  札幌市はいつから福祉避難場所との協定を結び始めたのかとのご質問についてでございます。  札幌市では、平成23年、西暦で言いますと2011年7月に、相手としましては札幌市老人福祉施設協議会と札幌市知的障がい福祉協会、札幌市身体障がい者福祉事業連携協議会の3団体と締結したのが初めでございます。 ◆小形香織 委員  平成23年、2011年ということでした。  札幌市の福祉避難場所設置要綱は、2013年、平成25年につくっておりますから、実際には、その3団体と協定を結んだ後に設置要綱ができたことになるかと思います。設置要綱の中には、定義が書かれておりまして、要配慮者とは、日常生活を送る上で介助や支援を必要とし、収容避難場所における生活が困難な高齢者や障がい者等と書かれております。また、福祉避難場所については、要配慮者に配慮した器物や消耗器材等を備えた特別な配慮がなされた避難場所というように書かれております。  現在、この協定に基づいて福祉避難場所になり得る施設は本市に何カ所あるのか、伺いたいと思います。  あわせて、市内の要配慮者という方は何人いるのか、2点伺いたいと思います。 ◎富樫 総務部長  協定に基づく福祉避難場所になり得る施設の数と市内の要配慮者の人数についてでございます。  協定に基づいて福祉避難場所になり得る施設につきましては、直近の数字で申し上げますと、高齢者施設で143、障がい者施設で87、そのほかにホテル、旅館や特別支援学校などとも協定を結んでいるところでございます。  次に、要配慮者の人数でございます。  札幌市では、障がいなどによりまして災害時に自分の力だけでは避難所に避難することが困難な方を避難行動要支援者という形で名簿を作成しております。これは、基本的には地域ぐるみで避難支援を行う取り組みということでつくっているものでございますが、この対象者としては約11万人おります。  要配慮者の人数になりますと、これが一つの目安にはなりますけれども、実際には、そのほかに妊産婦の方、あるいは乳幼児連れの方もいらっしゃいます。一方で、家族の介護を受けることができる方もいるため、その時々で人数は大きく変動すると考えております。ただ、必ずしもこの全員が福祉避難場所に避難をするということではなくて、その方のそのときの状況に応じて、例えば、一般の避難所、一般の避難所に設置する福祉避難スペース、そして福祉避難場所、このようなところで過ごしていただくほか、逆に自宅にとどまるほうが安全な場合もあるのかなというふうに思っております。 ◆小形香織 委員  施設数で言いますと、高齢者施設等を全部合わせて230カ所と理解してよろしいでしょうか。  そして、自力では移動が難しい避難行動に対する要支援の対象者が11万人であります。もちろん、全員が福祉避難場所に移動することになるわけではないということは承知しております。しかし、196万人の政令市で230カ所の福祉避難場所ということですから、場合によっては福祉避難場所はどこも満杯だというケースも想定しておかなければならないのではないかと感じているところです。  そこで、質問させていただきますが、福祉避難場所という形で開設された場合は、そこの施設の職員だけでは不足する事態も想定できると思います。その場合は、福祉的な視点から、専門家として経験のある人をそこに配置することが必要だと考えます。新たに専門職員を配置する場合に、どのようにして配置を依頼するのか、現場に来ていただくことになるのか、具体的な流れについて伺いたいと思います。 ◎富樫 総務部長  福祉避難場所における人員体制についてでございます。  札幌市では、大規模災害の発生時に福祉避難場所などへ介護福祉士の支援を得られるように、北海道介護福祉士会と協定を締結しているところでございます。実際に、福祉避難場所で介護職員が不足する場合につきましては、施設からの支援要請を受けまして札幌市が北海道介護福祉士会に派遣の要請を行う流れになっております。 ◆小形香織 委員  今回の震災では、福祉避難場所を必要とする市民が災害発生のときに移動できるのかということが大きな課題の一つになったのではないかと思っております。実際、災害のときは、各区に応急救護所も設置されて、ここには、札幌市医師会と本市の間で交わされた災害時における医療救護活動に関する協定書に基づいて医師や看護師等が派遣されて、被災された方はそこで必要な医療やケアを受けることができる仕組みになっております。しかし、福祉避難場所での避難生活が必要なのかどうかということについては、誰が、どう判断することになるのかということが非常に気になるところでございます。  今回の胆振東部地震で、本市では2カ所の福祉避難場所を設置、開設されて、2名の方がそこに避難したというふうにお聞きしております。今回、福祉避難場所に避難した2名の方は、誰が福祉避難場所への入所が必要だと判断したのか、その点を伺いたいと思います。 ◎富樫 総務部長  今回、福祉避難場所に避難したお2人については、いずれも障がい等により車椅子を使用している方でございました。本人と職員が直接面接をする中で、生活する上で必要な支援などについてしっかりと聞き取りまして、一般の避難所では生活できないというふうに判断しまして、その連絡を受けた関係部局が施設と必要な調整を行い、そして福祉避難場所への入所を決定したということになっております。 ◆小形香織 委員  本市の職員が福祉避難場所に避難することが必要と判断して手配したということでした。今回のように市の職員が判断する場合もあるし、また、当然、医師の判断で福祉避難場所へ移ったほうがいいとされる場合もあるだろうと思いますが、この辺が大事なポイントの一つだと思っております。  今回の地震は、電気がつかないことでの被害が最も多く、それによって避難生活をするということでしたので、深刻なケースではなかったのではないかと思います。しかし、今回以上の大災害が起きることはあり得るわけで、そうしたことを想定すると、要配慮者を安全に福祉避難場所に移動させなければならないと考えております。  今回、福祉避難場所を必要とするのに、学校等の基幹避難所まで移動できない方も実際におられました。例えば、福祉用のベッドを日常的に使っておられる患者、障がいのある方にとっては、避難所、つまり学校体育館の床の上で寝泊まりすること自体、考えただけでもそれは不可能ということであり、初めから不可能な場所に避難するわけにはいかないという気持ちが強く働いたと思うのです。ですから、やはり、基幹避難所に移動してから福祉避難場所に行くという基本ルールでは難しい要配慮者に対しては、別の方法を考えることも必要だというふうに思っております。  そして、私は、10月2日の代表質問で福祉避難場所について取り上げまして、現状の認識と今後の課題について質問いたしました。そのとき、市長は、福祉避難場所がどのような場所で、どのような役割を果たすのかについて、必ずしも市民の皆さんと共通の認識がなされておらず、まず、その認識の共有を図ることが重要というふうにお答えになりました。この代表質問への答弁は、福祉避難場所について市の周知は全く不十分だったというふうにおっしゃったと思いますけれども、これまでどのように市民と共通の認識を共有しようとされてきたのか、今後どのように取り組まれるお考えか、伺いたいと思います。 ◎富樫 総務部長  福祉避難場所の果たす役割に係る市民との認識の共有についてのご質問であります。  国のガイドラインにおきましては、福祉避難場所に関する情報を広く住民に周知することとされております。そこで、札幌市でも、従来から福祉避難場所の仕組みというものを周知することは非常に重要なことであると考えておりまして、そのために専用のチラシを作製して区役所などに配架したり、あるいは、町内会でチラシを回覧してもらったり、ホームページに掲載するなど、さまざまな手法によりまして周知を図ってきたつもりではございました。しかし、市民の皆さんと福祉避難場所の共通の認識ができるところまでは、必ずしも至っていなかったのではないかというふうに考えております。  福祉避難場所が本来の目的を果たすためには、そこがどのような場所で、どのような役割を果たすのかといったことにつきまして、市民の皆さんとそのイメージをしっかり共有して、理解、協力いただくことが必要不可欠なものだと思っております。今後は、チラシの掲載内容そのものや周知方法の見直しも検討して、市民の皆さんにより理解を深めていただけるように取り組んでまいりたいと思っております。 ◆小形香織 委員  今のご答弁ですと、福祉避難場所とはこういうところという意味合いでは、これから周知されていくということでございました。  内閣府が2016年に策定した福祉避難所の確保・運営ガイドラインでは、「あらゆる媒体を活用し、福祉避難所に関する情報を広く住民に周知する。特に、要配慮者及びその家族、自主防災組織、支援団体等に対して、周知徹底を図る。」と記されております。本市のように、災害が起きてから施設と確認をとって福祉避難場所を開設する場合は、施設名の事前公表は要しないということでありました。しかし、福祉避難場所を必要とし、かつ基幹避難所に移動できない障がい者や患者がおり、開設後にどのように周知するのかなど、私は課題があると思っております。  そこで、最後にお聞きしますが、今回の経験で福祉避難場所についてどのように総括されているのか、今後どのように生かそうとお考えか、伺いたいと思います。 ◎富樫 総務部長  福祉避難場所の開設の総括と今後の検証についてでございます。  今回の地震で明らかになった問題については、現在、福祉避難場所の周知の部分も含めて洗い出しを進めている段階でありまして、現時点においてはまだ総括するまでには至っていないところです。しかし、大きな課題の一つとして、例えば今回は停電の影響が非常に大きかったということで、停電時における各施設とのそもそもの連絡体制が大きな課題として挙げられると思っております。今回、地震後の早い段階で、札幌市から各施設に、施設の被災状況とか福祉避難場所としての対応が可能なのかどうかというようなことで電話しましたが、停電の影響で連絡がつかない施設もありました。今回は、地震の当日から翌日にかけて比較的早期に停電が解消したことによりまして、その後、各施設との連絡がとれるようになりましたが、停電時の連絡体制の構築も含めて、福祉避難場所に関するさまざまな課題についてこれからしっかりと検証し、配慮を要する方がより安心して避難できるような取り組みをしっかり進めてまいりたいと思います。 ◆小形香織 委員  これから検証されていくということでした。とりわけ、医療・介護分野の人の配置が鍵になると思っております。あらゆるケースを想定して検討を重ねていただきたいということを求めまして、質問を終わりたいと思います。 ◆伴良隆 委員  私は、発達障がい児と障がい児地域支援マネジメント事業について、順次、伺ってまいります。  さまざまな要因で増加し続ける保健福祉費でありますが、福祉が必要な人をしっかり見きわめ、その人にとって質の高い的確な福祉を充実することで、その人が少しでも自立して生活し、幸せに生きていくことにつながり、長い目で見れば保健福祉費の急激な増大による将来の市民負担増を少しでも抑え、そのことによって、また、真に保健福祉が必要な人への福祉を維持し、ひいては、持続可能な保健福祉行政にもつながるのではないでしょうか。そうした考えをもとに、今回は発達障がいについて質疑してまいります。  発達障がいとは、発達障害者支援法によりますと、自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎生発達障がい、学習障がい、注意欠陥多動性障がい、その他これに類する脳機能障がいであって、その症状は、通常、低年齢において発現するものであるとのことですが、本市は、こうした発達障がい児の症状をどう見きわめているでしょうか。 ◎山本 障がい保健福祉部長  発達障がい児の見きわめについてでございます。  発達障がいのあるお子さんについては、早期発見により必要な支援が受けられることが重要と認識しているところでございます。発達障がいのスクリーニングは、1歳半、3歳、5歳児の乳幼児健診で行われております。また、発達相談の機会も設けており、これらを通じて発達障がいの傾向を把握し、医療機関等につなげております。 ◆伴良隆 委員  早期に的確に捉えるということでございました。  それでは、次に伺ってまいりますが、発達障がいのある子どものうち、適切な療育支援により症状が軽減したケースがあると思いますけれども、どのような要因によって軽減したのか、具体的な事例を交えて教えていただきたいと思います。 ◎山本 障がい保健福祉部長  発達障がい児の症状が軽減した要因についてでございます。  発達の状態や特徴について周囲から理解されず、否定的な評価や叱責が積み重なることで、自尊心や意欲の低下、暴力や犯罪等の2次障がいが生じる場合がございます。しかしながら、発達障がいがあっても、適切な支援が行われ、健全な育ちを支えていくことができれば、社会に適応しながら生活できる方々も数多くいらっしゃいます。  具体的には、周囲からの影響でパニックになりやすい子どもに対して、親がじっくりと向き合い、例えば、時間や指示など目に見えない事柄を視覚化するなどして対応することで、子どもの理解度が深まり、落ちついた生活を送るようになったケースなどが挙げられます。 ◆伴良隆 委員  答弁にありました事例もそうですが、暮らしや学校や職場や子育ての場面で、誰にでもわかり、実行できるように工夫された発達障がいに関する本市の各種指南書でありまして、皆さんもよくご承知のこういう虎の巻があります。これを見ますと、今の答弁にもありましたように、発達障がいは、周囲の理解と生活環境を早いうちから得て、その子の能力を伸ばすことが大切であり、親など身近にいる人の認識と対応が極めて重要である、私も改めてこのように思っているところでございます。  そこで、質問でありますが、発達障がいの子どもを支えていく上で、家庭、つまり親、幼稚園や保育園、学校、そして児童発達支援センターや障がい児通所支援事業所など、関係者と関係機関の連携のあり方について、どのようにあるべきと考えていますでしょうか。 ◎山本 障がい保健福祉部長  家庭と事業所など関係機関との連携のあり方についてでございます。  家庭において安心できる養育がなされることは重要でございまして、親が不安なく子育てできるための支援が必要と考えております。そのためには、家庭と児童が通う幼稚園、保育園、学校や通所支援事業所などの関係機関との連携による適切な支援の提供が重要と認識しております。こういった連携には、児童の成長やライフステージに応じた切れ目のない支援、いわゆる縦方向の支援と、同じ時期に複数の機関がかかわる中で、機関同士が情報交換や情報共有を行う、いわゆる横方向の支援があり、どちらも児童を支えていく上で欠かせないものと考えております。 ◆伴良隆 委員  当然といえば当然ですが、果たして、それが本当にできているのかどうかということは順次聞いてまいります。  今おっしゃったように、その子が今いる環境の中での横のライン、そして、その子の成長に伴って段階を踏んでいく縦のラインが縦横無尽にその子の環境を守っていく、療育を高めていくことが非常に重要だという基本を押さえさせていただきました。  それでは、市内にある障がい児通所支援事業所についてでありますが、本市の事業所数の推移と他都市との比較並びに給付費の推移、また、事業所認可要件、利用者、つまり通所する子どもの要件はどのようになっているのか、端的にご説明いただきたいと思います。 ◎山本 障がい保健福祉部長  障がい児通所支援事業所の置かれた状況についてでございます。  児童発達支援や放課後等デイサービスの障がい福祉サービスを実施している障がい児通所支援事業所は、平成28年4月には315カ所でしたが、平成29年4月には377カ所、平成30年4月には444カ所と箇所数は大きく増加しております。このうち児童発達支援事業所で比較しますと、平成30年4月現在で、札幌市は人口規模の大きい横浜市や名古屋市を大きく上回る351カ所となっており、人口比率で見ると政令指定都市の中で最も多くなっております。  事業所がこれらのサービスを提供するためには、例えば、児童指導員等の人員や設備に関する一定の基準を満たす必要がございます。また、これらの障がい福祉サービスに係る給付費も年々増加しており、平成29年度決算額で見ると約104億円と、前年比で約20%増となっております。  これらの事業所への通所の要件としては、障害者手帳を所持していることが挙げられますが、手帳を所持していない児童の通所の可否に関しては、基本としては、就学前児童については児童相談所などの専門機関への紹介状の交付歴をもとに判断しており、就学児童または紹介状の交付歴がない就学前児童については児童相談所長の意見をもとに判断しております。 ◆伴良隆 委員  事業所数が政令市の中でも1番ということでありまして、利用者の数がふえているわけですから、当然、それに伴って交付金も伸びています。一方で、認可の要件ということで、基準も一定のものがあることを押さえさせていただきました。  答弁のとおり、本市の障がい児通所支援事業所数は全国的に見ても大変多い状況でございますので、次は、各事業所の質が心配であります。
     そこで、今回の決算にも障がい児地域支援マネジメント事業とありますが、この事業を始めた背景と決算額推移はどのようになっているでしょうか、伺います。 ◎山本 障がい保健福祉部長  障がい児地域支援マネジメント事業の実施の背景と決算額の推移についてでございます。  札幌市として、平成24年10月に定めました児童発達支援センターのあり方という基本方針におきまして、児童発達支援事業所と関係機関とのネットワーク構築を目指すべき方針の一つとして、研修会の開催や機関支援を行ってきたところでございます。しかしながら、児童発達支援センターの機能をさらに強化するためには、マンパワーも不足しており、ライフステージに合わせた支援を行う機関の連絡調整を担う事業もございませんでした。このような状況から、平成28年10月に障がい児地域支援マネジメント事業を開始したところでございます。  決算額の推移につきましては、障がい児地域支援マネジャーを1カ所配置した平成28年度が186万円、2カ所に配置した平成29年度が747万2,000円となっており、4カ所に配置した平成30年度の決算見込み額は1,500万円でございます。 ◆伴良隆 委員  決算額がふえている、手厚くなっているという言い方でもいいと思いますが、それでは、次に、事業の担い手について伺ってまいりたいと思います。  障がい児地域支援マネジメント事業におきまして、児童発達支援センターに配置されている障がい児地域支援マネジャーについて、その資格や資質、担当業務内容、委託金額はどのようになっているのか、概略を教えていただきたいと思います。 ◎山本 障がい保健福祉部長  障がい児地域支援マネジャーの概略についてでございます。  障がい児地域支援マネジャーの要件は、社会福祉士、精神保健福祉士、保育士等の専門資格を有し、障がい児に対する療育支援等が可能で、障がい児を支援する専門機関等に勤務経験があり、障がい児等に対する療育支援等に係る十分な技術等を有している者としております。  業務内容は、障がい児通所支援事業所の活動の把握と療育に関する情報発信、療育に係る技術支援や助言、一貫した支援が行われるための関係機関の間の支援調整などでございます。  年間の委託額は、1カ所当たり373万6,000円となっております。 ◆伴良隆 委員  当然、しかるべき方についていただいているということでございますけれども、今度はその中身について聞いてまいりたいと思います。  先ほどの答弁でも、家庭、つまり主に親と、療育や教育の場である幼稚園、保育園、学校と通所支援事業所、こういった関係者と関係機関が連携し、支援していくことが重要で欠かせないというお話がありましたが、発達障がい児にかかわるこうしたさまざまな人や機関の間で現状の横の連携と成長過程での縦の連携が円滑に切れ目なく行われていなければ、期待される療育効果が大きく損なわれてしまいます。あるいは、児童の身近な人、特に親が通所支援事業所に常態的に預けっ放しにしたり、親と通所支援事業所との意思疎通が不足し、親が療育に参加できていない状況がもしもあれば、同じく療育効果が大きく損なわれてしまいます。  そこで、質問でありますが、障がい児地域支援マネジャーの支援を受けている障がい児通所支援事業所について、質はどうなっていると認識されているか、どのような課題や問題となる事例があるでしょうか。 ◎山本 障がい保健福祉部長  障がい児通所支援事業所の課題や問題事例についてでございます。  急増している障がい児通所支援事業所については、提供する療育支援の質の担保が重要であると考えております。マネジャーが訪問する中で、個々の児童の特性を尊重した支援や生活習慣の形成を目指したプログラム等を展開できている事業所がある一方で、発達段階や療育に関する知識が十分ではなく、家族支援が必要な事例であっても保護者とうまくかかわれていない、また、学校や他の関係機関との連携が図られていない事業所があることなどを課題として捉えているところでございます。 ◆伴良隆 委員  当然、いろいろな家庭がありますので、いろいろな状況に対応していかなければならないという中で、今のように家庭とのつながりに課題があるといったことでございました。  そこで、次の質問でありますが、こういった課題や問題がありますけれども、では、どういうふうにしているのかということです。数ある障がい児通所支援事業所に対して、地域支援マネジャーはどのように業務内容をチェックし、どのような支援を行っているのか、また、その実効性はどの程度あらわれているのでしょうか。 ◎山本 障がい保健福祉部長  障がい児地域支援マネジャーの支援内容とその実効性についてでございます。  各事業所の業務内容のチェックにつきましては、札幌市で作成した聞き取り票の様式をもとにして、各マネジャーが事業所を訪問し、聞き取りを行うなどして課題などの把握に努めてまいります。また、事業所への聞き取り等の結果につきましては、札幌市が定めた報告様式を使用して、利用児童の状況や事業所職員が感じている課題、障がい児地域支援マネジャーが見た各事業所の課題や強み、複数回訪問した後の変化などについて報告を受けております。  マネジャーは、各事業所の強みや課題を抽出した上で、それらに対する適切な助言や関係機関との連絡調整などの支援を行っております。これらの支援により、各事業所の職員から積極的な相談が入るようになってきたほか、児童発達支援センター研修への参加者も増加傾向にあり、さらに、児童発達支援センターで行われている療育の様子の見学を希望する事業者も出てくるなど、各事業所の意識の向上につながっているものと考えております。 ◆伴良隆 委員  我々の税をかけて、この子たちにしっかりと手を差し伸べているわけであります。そしてまた、各センターのマネジャーの方々に各事業所を回っていただいて、汎用性のあるきちんとした客観的なシートをもって判断し、また、その実効性についても、発達障がいと言われるものへの対処の効果向上はなかなか難しいですけれども、実際はさまざまな研修を受けたりする中で改善が見られるといったことで、重層的にやられているというお話でございました。  そこで、決算ということでありますけれども、次を見越してお話をしていきたいと思います。  障がい児地域支援マネジャーについて、来年度は配置箇所を市内4カ所から5カ所にして1名ふやしていきたいといった話題もございます。今後もこうして障がい児地域支援マネジメント事業を継続し、障がい児地域支援マネジャーが支援を行っていく中で、今、具体的にどのような課題があると認識されているのか、また、その課題についてどのように対応し、改善していくのでしょうか。 ◎山本 障がい保健福祉部長  障がい児地域支援マネジャーの支援に係る課題とその解決に向けた取り組みについてでございます。  各事業所の療育支援の質の確保、また、家庭や関係機関の縦横の連携については、まだ十分とは言えないものと認識しております。このため、障がい児地域支援マネジャーに対しては、子どもの発達や成長、療育の情報などを記載して、それらを関係者で共有するためのツールであるサポートファイルさっぽろというものがありますが、これを活用した家庭と各関係機関とのネットワークの構築を支援するなど、家族支援に係るノウハウの継承や好事例の紹介、さらには、事業所職員の資質向上に資する研修のサポートなどに期待しているところでございます。また、札幌市としても、さらに支援の質を高めるため、会議などの場で各マネジャーと積極的に意見交換を行っております。  このように各マネジャーが各事業所のさまざまな課題解決に向けたきめ細かな支援を行うことで、各事業所の質を高め、それによって発達障がいなどのあるお子さんに対する療育支援の向上につなげていきたいと考えております。 ◆伴良隆 委員  事業の実効性はもとより、これらの質の高まりということについて確認させていただきました。  児童発達支援事業所は数多くあるため、療育環境やカリキュラム、そして経営などでそれぞれに一定の違いがあるにせよ、決して療育の質に大きな違いがあってはなりません。通所児童の増加に伴う事業所給付も拡大傾向にある中で、答弁でも触れられたように、現にこうした各事業所の現状に課題や問題があるのであれば、まずは、それらにきちんと対処して改善できる体制と取り組みを万全にしていくことを最優先していただきたいと思います。  また、こうした事業の取り組み改善を継続する一方で、療育支援そのものを受けられないような、いわゆる孤立した家庭や子どもたちが少しでもいなくなるように、児童発達支援センターや障がい児通所支援事業所については、通所している子どもたちだけのための役割に限定せず、今後はより広い範囲で社会的役割を担うことも目指していただきたいものであります。こうしたことをきちんと押さえた上で、来年度、再来年度以降の障がい児地域支援マネジメント事業のさらなる充実に向けて、障がい児地域支援マネジャーが配置されていない区の状況を見きわめながら、その配置のあり方や拡大の必要性についても引き続き鋭意検討していただきたいわけであります。  最後になりますが、私や市民の多くは、発達障がいへの効果的な取り組みがまさに児童の生きる力となり、将来はできる限り福祉に頼らなくても自立して生活し、社会で生き生きと活躍してほしいと願い、期待しております。だからこそ、こうして多額の税金をかけているのでありますから、取り組みを進める中で浮き彫りになった課題や問題に対してはきちんと対処し、本事業のみならず、発達障がいにかかわる取り組みの質をさらに高めていくように強く指摘しまして、私の質問を終わります。 ◆かんの太一 委員  私からは、子ども発達支援総合センターちくたくの地域支援室の現状と今後の充実強化について伺います。  子ども発達支援総合センターちくたくは、医療と福祉を統合させた施設として平成27年度に開設し、3年半がたっています。  我が会派は、平成29年第2回定例市議会の代表質問で、それまでちくたくが果たしてきた役割と今後の取り組みについて質問しました。その中で、ちくたくの役割として、地域のさまざまな機関、施設との連携を深め、地域における子どもの療育、支援体制の底上げを図ることが重要との認識から、今後どのような取り組みを行っていくのか、質問いたしました。これに対し、市は、ちくたくが培ってきたノウハウや人的資源を生かし、関係機関に対する支援や人材育成の充実に努めていくとの答弁でした。  そこで、質問ですが、平成29年の代表質問から1年以上が経過していますけれども、これまでちくたくの地域支援室が行ってきた地域支援の実施状況はどうなっているのか、伺います。 ◎中村 管理担当部長  地域支援の実施状況につきましてお答えいたします。  障がいのある子どもたちが地域で安心して成長していくためには、医療機関が全てを担うのではなく、地域で支援していくことが重要であると考えております。ちくたくでは、これまで培った医療、福祉に関するノウハウや人的資源を生かし、平成29年度は中学校の養護教諭とスクールカウンセラーを対象とした中学生の心の病の研修会や保健師を対象とした各保健センターでの困難事例の検討会、保育士や保健師を対象とした親支援プログラムを地域で実践するための研修などを行い、地域の支援力の強化を図ってまいりました。また、個別支援や機関支援としましては、学校、幼稚園などへの訪問が16件、ケース会議への参加が28件、研修会への講師派遣が10件となっております。  今年度におきましても、従来の親支援プログラムの研修などを継続して行っており、さらに、12月には学習障がいに関するシンポジウムの開催を予定しております。そのほかにも、幼児の発達の問題に関する研修会を実施しており、年度には小学生、中学生を対象としてあと2回実施する予定となっております。また、個別支援や機関支援につきましても平成29年度を上回るペースで実施しているところでございます。 ◆かんの太一 委員  ただいまの答弁の中で、中学校の養護教諭やスクールカウンセラーへの研修会、そしてまた、保健師への研修会や幼稚園や保育園などの研修など、さまざまな場所で研修会などを開いて地域の支援に努めているということですけれども、やはり、子どもの療育の関係機関というのは重層的なものがさまざまありますので、連携という視点からもしっかりと継続して支援を続けていただきたいと思います。  さて、我が会派では、参加している全国政令指定都市の議員団の視察がことしの8月にありまして、ちくたくを訪問したのですが、そこで改めてちくたくの現状について伺う機会がございました。その中で、担当者から、地域支援室の現状ということで、係長が1名、担当者2名の計3名体制で業務をしているというお話を伺っております。先ほど答弁があったとおり地域支援の充実に取り組んでいるものの、一方で、子どもの保護者からの電話相談や来所相談も増加しているとのお話であり、その対応状況がどのようなものであるのか、気になるところです。  そこで、質問ですが、電話による相談、来所による相談、それぞれの件数はどのような状況なのか、また、その相談内容はどういったものなのか、伺います。 ◎中村 管理担当部長  地域支援室の相談件数と相談内容につきましてお答えいたします。  平成29年度実績で、電話による相談が1,725件、来所による相談が448件となっております。年々、相談件数は増加しており、地域支援室が広く周知されてきたものと認識しております。  主な相談内容としましては、子どもの発達や行動の問題に関しての相談や医療機関の受診についての相談、そのほか福祉制度や関係機関との連携に関する相談など保護者からの相談は多岐に及んでおります。 ◆かんの太一 委員  今のお話の中で、地域支援室が徐々に地域に浸透してきて相談件数等もふえていて、電話相談が1,725件、来所相談が448件というご報告でしたが、それが多数に上っていることから現在の体制で大丈夫なのかという懸念も抱いております。  障がいのある子どもが地域で安心して成長し、生活していくためには、地域の支援力の強化は大変重要であり、子どもの発達に関しての相談や医師の診断が必要かどうかを迷っている保護者の相談などにしっかりと寄り添っていくことが大切です。一番身近である保護者の不安を解消するため、集団での親支援に取り組んでいる自治体もあると聞いておりますが、地域支援の重要性、親支援などさまざまな対応等を考えると一層の人材の有効活用、体制整備、人員増等が必要と考えます。  そこで、質問ですが、人員体制も含めた今後の地域支援の充実についてどのように進めていくのか、伺います。 ◎中村 管理担当部長  今後の地域支援の充実につきましてお答えいたします。  今後におきましても、地域の学校や幼稚園、児童発達支援事業所などの職員と日常的な情報交換や連携、研修会の実施などによる地域の人材育成が重要であると考えております。また、保護者を対象とした家族支援も重要でありますことから、ちくたくにおいても、現在行っている親支援プログラムに加え、気軽に参加できる子育て講座を実施するなど、新たな家族支援にも取り組んでまいります。引き続き、研修会などによる地域支援を強化するとともに、ちくたくの人的資源をより一層機能的かつ柔軟に活用できる体制づくりについても検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆かんの太一 委員  最後に要望ですが、私は、以前、保育園で働いておりましたけれども、保育園など子どもにかかわる現場では、発達障がいと思われる子どもがふえており、職員はさまざまなケースに対応する必要があります。保育士は、その子の特性を受けとめて、かかわりを深めていくことで子どもの健全な育ちを確保したいということを希求しておりまして、ちくたくの持つより専門的なサポートが必要であると考えます。また、今回の北海道胆振東部地震でともに助け合う共助の動きが見られましたが、障がいのある子どもが災害の際に安全に行動するためにも、日常的な地域支援で地域との関係性を構築していくことは重要だと考えます。  ちくたくの地域支援の役割をより深化させるためにも、専門性を持った人員の増強などを検討し、障がいのある子どもやその保護者が地域で安心して暮らせる環境を実現するために、今後も積極的に取り組んでいただくよう求めまして、私の質問を終了いたします。 ◆前川隆史 委員  私からは、先ほど来議論されておりましたが、今回の震災における福祉避難場所について、なるべく簡潔にお伺いしたいと思います。  2015年9月の国連サミットで、持続可能な開発目標、いわゆるSDGsが採択されました。持続可能な世界を実現するため、地球上の誰一人として取り残さないことを誓っているものでございます。先般、6月、札幌市がSDGs未来都市として認定されまして、岸副市長が国からの認定書をいただきに行かれたと思いますが、誰一人として取り残さないという精神は、災害時における全ての市民、特に一般の避難所での生活が困難な高齢者、障がい者など配慮が必要な方、いわゆる要配慮者の対応などに当たるときには、まさにSDGsの精神の真価が問われる場面になるのではないかと思います。  今回の北海道胆振東部地震では、要配慮者のための福祉避難場所が札幌市として初めて開設されました。札幌市では、要配慮者の避難の流れは次のようになっております。災害発生時は、まずは小・中学校など一般の避難所に避難していただきます。一般の避難所では、要配慮者のための福祉避難スペースを設置していますが、福祉避難スペースでの生活が困難な方は福祉避難場所へ移動していただくとのことでございます。  まず、ここで確認のために改めて伺いますが、そもそも福祉避難スペースと福祉避難場所の役割や機能というものがどう違うのか、お伺いします。 ◎富樫 総務部長  福祉避難スペースと福祉避難場所の役割や機能の違いについてのご質問でございます。  まず、福祉避難スペースにつきましては、小・中学校の基幹避難所の中に設けられるものでございまして、空き教室などを活用して要配慮者の方に過ごしていただけるように区切られた空間をつくり、自宅の比較的近くで避難生活を送っていただくものでございます。一方、福祉避難場所につきましては、福祉避難スペースでの生活がなかなか難しいといった要配慮者のために、高齢者あるいは障がい者の施設などを活用した2次的な避難場所ということになっております。  あらかじめ各施設の加入する協議会等と協定を結んで、災害発生後には各施設のスタッフの体制、あるいは施設の空き状況、被災状況などを確認しまして、発災後3日目をめどに必要に応じて福祉避難場所として開設する手順となっております。 ◆前川隆史 委員  福祉避難スペースと福祉避難場所は名前が大変似ていますが、似て非なるものといいますか、役割は全然違うものということでございます。  福祉避難スペースの運営を充実させていきますと、ここで過ごすことのできる方がふえてまいります。それは、福祉避難場所でなければ難しい方に確実に福祉避難場所に避難していただくことにつながっていく、言いかえますと、福祉避難場所を真に機能させるために必要不可欠なことではないかと考えます。  そこで、質問いたしますが、福祉避難スペースの充実のために、今後どのように取り組もうとしているのか、お伺いいたします。 ◎富樫 総務部長  福祉避難スペースの充実のための取り組みについてでございますが、今後は、福祉避難スペースにつきまして、ほかの都市などの事例も参考にしながら、委員からご指摘のあったように、どのように設営するか具体的な事例を示して職員向け研修をしっかり行ったり、あるいは、防災訓練時に福祉避難スペースを実際に設営するといった訓練を加えるなど、要配慮者の状況に応じた適切な避難所運営を行えるように努めてまいりたいと考えております。 ◆前川隆史 委員  冒頭に述べましたように、現在の札幌市の取り扱いでは、全ての避難者はまず一般の避難所に行っていただきまして、必要な人はさらに福祉避難場所に移動することになっております。しかし、要配慮者の中には、障がいを抱えていたり、体力がなかったりして移動が大変に困難な方がいらっしゃることも想定されます。市の職員が要配慮者の状況を確認してから個別に福祉避難場所と調整しないと、福祉避難場所が機能しなくなってしまうという札幌市の懸念は理解できるところですが、そもそも一般の避難所にすら行けない、行くのがつらいという方がいるのも事実です。  先ほども触れられておりましたけれども、原則は原則として、例外として、直接、福祉避難場所に行けるような取り扱いも可能にすべきではないかと思いますがいかがか、お伺いいたします。 ◎富樫 総務部長  直接避難場所に行けるような取り扱いについてでございます。  災害の発生時には、まずは命を守っていただくことが第一でございますので、大規模災害のときには、一旦はとにかく近くの避難所に避難していただいて、その後、安全が確認できて、受け入れ可能な施設を福祉避難場所として順次指定し、入所が必要な方を移送することとしておりました。また、自力で避難することが困難な要配慮者の避難支援につきましては、町内会などの地域団体が主体となって取り組むことができるよう、避難行動要支援者名簿の提供、あるいは必要な助言や研修の実施など、その活動を支援しているところでございます。  あくまでも災害の規模とかその時々の状況にもよりますが、要配慮者の要請によりまして、例えば、地域の方々や市の職員が、直接、その方のところに伺って状況を確認した上で、場合によって、直接、福祉避難場所に移送するといった臨機応変な対応が必要なこともあるのではないかというふうに考えております。いずれにしましても、今回の災害対応の検証をしっかり進める中で、要配慮者がより安全に避難して過ごしていただけるような検討を進めてまいりたいと思っております。 ◆前川隆史 委員  今後、臨機応変に対応するようなことも検討していきたいということでございました。  今回は、北海道中が停電になるブラックアウトという中、初めての福祉避難場所の開設で、従事する市の職員も大変な思いをしたことと思います。私も、毎日、避難所を回っておりましたが、現場の職員が市民のために一生懸命に尽くしていまして、職員の方が本当に頑張ってくれているんだよという感謝の声をたくさんのお母さんやお父さんからいただきました。  ただ一方で、きょうはお伺いしませんが、避難所運営につきましては、開設から閉鎖に至るまでさまざまな課題が確認されております。特に、避難所の閉鎖のタイミングや地域性の考慮につきましては、私もいかがなものかと思う場面もありました。職員の生の声は大変貴重かと思いますし、市民の声もまた大事でございます。今後は、市民アンケートを行っていくということも伺っておりますが、ぜひ、現場の声を生かして改善につなげていただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。 ○よこやま峰子 委員長  ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後3時6分       再 開 午後3時25分     ―――――――――――――― ○よこやま峰子 委員長  委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆村上ひとし 委員  私は、無料・低額診療制度について質問させていただきます。  無料・低額診療制度とは、社会福祉法の規定に基づき、生計困難者が経済的な理由により必要な医療を受ける機会を制限されることのないよう、無料または低額な料金で診療を受けることができるための事業であります。  しかし、この制度は、病院の医療行為については無料、低額が適用されますが、薬が処方された場合、調剤薬局では患者負担が発生するという欠陥があります。これは、国が進めてきた医薬分業により、外来通院の場合、患者は受診した病院の外にある調剤薬局で薬をもらうことが当たり前となりましたが、調剤薬局ではこの制度が適用されないという問題が起こりました。診察、検査、薬の処方など全て病院の中で完結できたものが、病院から薬局を外に出す医薬分業を進めた結果、制度上の欠陥となったわけです。その結果、病院、診療所での検査や診断と薬局での投薬がセットになって初めて医療が成立しますが、薬代が払えずにきちんとした治療を受けられない、あるいは、治療を中断してしまう患者が出てしまいます。  そこで、最初にお伺いいたします。  札幌市では、無料・低額診療制度により診療を受けた外来通院の患者及びそのうち院外処方となっている医療機関の患者は年間どの程度いるのか、お伺いいたします。 ◎富樫 総務部長  無料・低額診療制度を利用している外来通院患者の数などについてでございます。  例年、厚生労働省からの照会に基づきまして、札幌市内における無料低額診療事業の実施医療機関に対して利用実績を確認しているところでございます。直近の平成28年度の数字では、通院患者に無料低額診療事業を適用したのは12の医療機関で、外来通院患者数は延べ1万919人でございます。このうち院外処方となっているのは8医療機関でございまして、その外来通院患者数は延べ1万187人でございました。ここ数年は大体1万人程度で推移している状況でございます。 ◆村上ひとし 委員  無料・低額診療制度は、低所得の方の適切な医療を受ける権利を保障するために重要な役割を果たしております。院外処方に適用されていない現状では、制度の機能が十分に発揮できていません。そして、そのことで必要な医療が受けられない市民が存在するということは看過できない事態であります。  病気は、患者それぞれで治療内容や治療期間も異なります。中には、1カ月や3カ月の通院治療と服薬によって回復する患者もいるでしょう。院外調剤薬局での一部負担金など、全て札幌市が助成することが望ましいことには変わりませんが、まず第一歩として3カ月間の助成から開始するという手法もあると思います。  そこで、お伺いいたしますが、北海道でも既に旭川市などの自治体で薬代の助成事業を行っておりますけれども、これらの事例を参考にして、仮に札幌市で3カ月間を限度に助成すると試算した場合、どの程度の費用が見込まれるのか、お伺いいたします。 ◎富樫 総務部長  仮に3カ月間を限度に助成事業を実施する場合の試算についてでございますが、道内のほかの都市での無料低額診療事業に係る助成制度を参考にして、札幌市に当てはめて試算しましたところ、3カ月を限度に助成事業を実施した場合、年間で約1,500万円となる見込みでございます。 ◆村上ひとし 委員  年間で1,500万円ですか。3カ月の数字ではなくて、1年間1,500万円という理解でよろしいですか。もう一度、お願いします。 ◎富樫 総務部長  言葉足らずで、済みません。  3カ月を限度に助成を実施した場合の年間でかかる費用ということで1,500万円です。助成を3カ月ということで試算した結果でございます。 ◆村上ひとし 委員  試算によると、札幌市で助成をした場合には3カ月で1,500万円ということで、これは1カ月ベースで見ると500万円くらいということだと思います。これで生活に困窮した方が受診しやすい仕組みとなり、薬をもらわずに帰る患者も減ることと思いますし、有効な治療に結びつくわけです。そして、生活保護基準ぎりぎりで頑張っている若い世代の生活再建にもつながる場合があるというふうに聞いております。  国民健康保険法の第44条には、特別な理由がある被保険者で保険医療機関等に一部負担金を支払うことが困難であると認められる者に対し、一部負担金を減額する、または一部負担金の支払いを免除するなどの減免が規定されております。この救済内容は、無料・低額診療制度とほぼ同じものだと言えます。しかし、現行では、国保の減免制度というのは、主に災害あるいは事業の休廃止など、一時的な所得激減に陥った人に限定された運用にとどまっており、今後は、国保法の第44条を活用した一部負担金減免制度の改善と普及、拡充が求められておりますが、運営主体である札幌市の運用が狭められていることが民間の医療機関で年間延べ1万人も無料・低額診療制度を利用していることにつながっているというふうにも見ることができると思います。これは、本市が果たすべき役割を民間が果たしているということではないでしょうか。  次に、お伺いいたしますが、無料・低額診療制度は、どういう市民が活用しているのか、また、制度を活用した結果どうなったのか、札幌市では把握しているのか、お伺いいたします。 ◎富樫 総務部長  無料低額診療事業を札幌市ではどのような市民が活用しているのかにつきましては、先ほど述べました厚生労働省からの照会に基づく調査によりまして、入院と外来患者の合計の公的医療保険の加入者と未加入者の人数、あるいは、ホームレスの方、外国人の人数などにつきましては把握しておりますけれども、それ以外のことについて市が独自で把握していることはありません。 ◆村上ひとし 委員  ほぼ把握されていないということでありますが、この制度の利用者というのは何らかの状況により生活に困窮している市民であります。その中には、就学援助を利用している子ども、アルバイト、非正規雇用の若者、さらには、北海道大学で各国から留学している方たちも複数いると聞いておりますし、元受刑者の皆さんもいらっしゃいます。そして、そのほとんどの方たちは、一応、公的な保険に加入してはいるものの、病院を受診したときの自己負担の支払いが困難という方たちであります。あるいは、若者総合支援センターなどの施設から紹介されてこの制度を利用する若者もいるというふうに聞いております。  貧困が拡大する時代だからこそ、こういう人たちを一定期間支えるという医療のセーフティネットとも言うべき重要な制度であります。この制度が十分機能しなければ、基本的には、あとは生活保護を受給するという手段しか残されておりません。国の制度として不十分だとしても、札幌市が一定期間の助成をすることは、札幌市にとっての貧困の解消、それから、福祉の向上に資する大切な施策の一つであると思います。  そこで、他都市でこの助成を実施している事例もありますので、札幌市としても、国の制度を待たず、独自に薬代の助成制度を実施すべきだと考えます。それは、生活に困窮した市民が必要な医療を適切に受けられることを確保し、札幌市の福祉の向上を図ることになると考えますがいかがか、お伺いいたします。 ◎富樫 総務部長  札幌市独自の助成の実施についてでございますが、そもそも無料・低額診療に係る調剤のあり方につきましては、国が進めてきました医薬分業に起因するものでございまして、国が責任を持って対応すべきものだというふうに認識しております。  札幌市としましては、無料・低額診療制度により受診された方の保険調剤薬局での自己負担につきまして早期に社会福祉法に基づく事業として位置づけられるように、平成28年度から、毎年、大都市民生主管局長会議を通じて国に一生懸命要望している状況です。一方、国におきましては、昨年、平成29年12月の参議院における質問主意書に対しまして、内閣総理大臣名で、今後の無料低額診療事業を行う医療機関における調剤のあり方については、厚生労働省の関係部局において現在検討しているところであり、その結果を踏まえて適切に対応してまいりたいという答弁を提出しているところでもありますので、引き続き、国の動向をしっかり注視してまいりたいと考えております。 ◆村上ひとし 委員  札幌市も国に対して要望しておりますし、私どもも、直接、政府交渉で無料・低額診療制度を調剤薬局でも適用できるようにという申し入れをしております。
     国の制度であるというふうに部長はおっしゃいますけれども、確かに、それはそのとおりなのです。ただ、延べで1万人の市民がこの制度を利用している、生活保護基準ぎりぎりで頑張っている方がたくさんいらっしゃるのです。私は、きょう、国民健康保険法の第44条のことも取り上げました。国保法の第44条も趣旨は同じなのです。しかし、運用が災害などと条件が狭められているということで、実際に適用されている市民はほとんどいない。そこで、保険証はあるけれども、お金を払うことができないということで、民間の医療機関の窓口で相談される、そして、初めて無料・低額診療制度が適用されるのです。本来であれば、病院の中に薬局が併設されているときには何の問題もなく無料・低額診療制度を活用して、若者もお年寄りの皆さんも、一定期間、治療を受けて日常生活に戻ったり、また仕事に戻れるというセーフティネットなのです。ところが、薬局で適用にならない、保険分の一部負担が適用にならないのです。  今回、私は、その部分を札幌市で何とか助成すべきだと取り上げましたけれども、そのことは札幌市の福祉の向上に資する重要な施策の一つだと考えております。国の制度であるけれども、利用できない、そのことで受診を控える市民がいるということで、旭川市や苫小牧市など、全国でも市町村独自でもう既に助成をしているのです。引き続き国に申し入れをするということも大いにしていただきたいと思いますが、私は、国が動くまでは何とか助成をしていくことを前向きに検討すべきだと思います。特に、市は、少なくとも、制度の利用状況、どういう人が利用してどういう状況になっているのかということはつかまえるべきだと思いますし、他の市町村の試算のみならず、実施している医療機関の状況をきちんと受けとめながら、札幌市で実施したら金額的にも人数的にもこうなるというもっと正確な数字を出していく努力も必要だと思うのです。  そこで、最後に、この問題は、代表質問でもたびたび取り上げ、そして、国の制度であるので国の動向を待つというような答弁を繰り返しいただいておりますけれども、きょう、初めて細かく質疑をさせていただきましたので、この制度の必要性、あるいは、延べ1万人の市民の皆さんが活用していることを踏まえて、副市長はきょうの質疑全般を捉えてどんなお考えをお持ちなのか、国の制度を待つということを抜きにご見解を伺いたいと思います。 ◎岸 副市長  無料・低額診療制度に係る調剤薬局費用の負担についてということでございます。  質疑の中でもございましたが、根本的には制度的な矛盾が引き起こされた事態というふうな印象を持って聞いておりますけれども、私の認識も、医薬分業を進めた結果としてこういう事態が起きていると感じているところです。札幌市としては、制度を変えてきたことの結果については、やはり、国がしっかりと責任を持って対応していただくのが基本であろうと思いますので、繰り返しになりますけれども、そのことをしっかり国に求めていくことが札幌市の立場だろうというふうに考えております。 ◆村上ひとし 委員  やはり国がというお話ですけれども、私は、それを踏み越えて、札幌市の役割として福祉の増進を図っていく、福祉の向上を図る、そういう意味合いで助成すべきと申し上げてきました。引き続き、これを実施している民間の医療機関の実態や利用状況について数字的にも内容的にも確認しながら、もう少し札幌市での実施を前向きに検討した対応をすべきということを申し上げて、質問を終わります。 ◆しのだ江里子 委員  私からは、このたびの地震を受けまして、災害時における札幌市の要配慮者への対応と避難所運営について伺います。  9月6日に起きました北海道胆振東部地震から既に1カ月が過ぎました。今から2年前の2016年4月、熊本地震が発生しました。多くの市町村に甚大な被害をもたらしましたが、政令指定都市の熊本市におきましてもピーク時には10万人を超える方が避難生活をされるということになりました。  この熊本地震で浮き彫りになった課題にしっかり向き合って、いつか札幌市で被災することがあったときに役立ててほしいという思いから、その年の第2回定例会におきまして、私どもの会派から、震災時の対応について代表質問をさせていただいた経緯がございます。その中で、災害のときの要配慮者対策について、高齢者や障がいのある方には一定の負担がかかることから、福祉避難場所の充実や介護人材不足の対策が重要であることを指摘し、今後の方向性について伺ってまいりました。そのときの答弁としては、社会福祉施設のみならず、さまざまな施設や団体との協定の可能性や医療・福祉系大学との連携による応援体制の構築などを検討していくということでしたので、その後の進捗について伺いたいと思います。  まず、福祉避難場所の充実や人員体制の強化のため、札幌市としてはどのような取り組みを行ってきたのか、また、今後はどこに力点を置いてさらなる充実を図っていくおつもりなのか、あわせて伺います。 ◎富樫 総務部長  これまでの福祉避難場所の充実や人員体制の強化のための取り組みについてでございます。  まず、福祉避難場所の拡充につきましては、従来から協定を締結していた高齢者、障がい者施設が加盟する四つの協議会に加えまして、特別支援学校あるいはホテル、旅館が加盟する三つの組合等と福祉避難場所の設置運営に関する協定を順次締結してきております。  次に、人員体制の強化についてですが、先ほども少し触れましたけれども、昨年、新たに、北海道介護福祉士会、さらに市内六つの医療・看護系学科を設置する大学と介護福祉士や学生ボランティアの派遣協力に関する協定を締結しており、災害時には福祉避難場所等におきまして要配慮者の支援をお願いすることとしております。  今後につきましては、引き続き、新たな施設あるいは団体との連携の可能性について検討していくとともに、協定を締結している各団体等と協議を行いまして、災害時の連絡あるいは運用体制の再整備、各施設などにご参加いただく訓練の充実を図ることによりまして、より実践的な運営体制を構築することに力点を置いて福祉避難場所の機能強化に努めてまいりたいと思っております。 ◆しのだ江里子 委員  今までの四つの協議会に加えて三つの組合であったり、そしてまた、人員体制においてもさまざまな大学との協定などによってしっかりと充実させていただけるということでございます。  きょう、お2人から福祉避難場所に関して質問がございました。今回の震災で札幌市においては、実際には2カ所でお2人の利用だけでしたけれども、やはり、福祉避難場所については市民への周知もまだまだ図られておりませんし、私たち自身もまだわかっていない部分がたくさんあったと思います。こういったことについて、次の災害があってはなりませんけれども、まさに力点を置かれたところをしっかりと充実させていただければと思うところです。そのためには、日ごろからしっかり準備を進めていただくことが何より必要だと思います。  次に、災害時の要配慮者の避難について伺います。  自助、共助、公助と言いますけれども、災害に見舞われたとき、大切になってくるのが共助、とりわけ地域の支え合いであると思います。今回も、発災後には、中・高生が高層階に住む高齢者への給水ボランティアをSNSで呼びかけた事例や、町内会で自家発電機を用意された事例などが報道されまして、地域での自主的な支え合いの輪というものが少しずつ広がってきたのかなと思うところです。  ことし3月の予算特別委員会で、私どもの会派から、地域における要配慮者への避難支援の取り組みの充実についてお尋ねさせていただいたところ、災害時支えあいハンドブックを単位町内会に配付したり、地域に出向いての個別働きかけをしていくとのことでした。こういった取り組みは、ただ自主性を待っているだけでは十分に進むものではなく、行政の立場からもこれらをしっかり支援していくことが有効であると考えます。  例えば、避難行動要支援者名簿の情報提供を受けて避難支援に取り組む意欲の高い町内会などがありましても、日ごろ障がいのある方に接したことがない方にとっては、どのような接し方をすればよいのかわからず、アプローチをする前にためらってしまい、具体的な支援に踏み出すことができないケースがあるかもしれません。要配慮者への避難支援を進めていくためには、まずは、その方が置かれている状況をあらかじめ具体的に把握していきながら、個別に支援の方法を考えていく必要があると思います。  札幌市では、災害時などに町内会などが障がいのある方に対して避難支援を側面的にサポートする誰もが住みやすいあんしんのまちコーディネート事業を実施していると聞いております。  質問ですが、この事業がより多くの町内会などに広がり、自主的な支え合いの機運がさらに高まっていくことが重要と考えますが、今後、周知・啓発をどのように行っていくのか、伺います。 ◎山本 障がい保健福祉部長  誰もが住みやすいあんしんのまちコーディネート事業の周知・啓発についてでございます。  札幌市では、災害発生時に障がいのある方の避難支援を行う町内会、自治会などの取り組みを側面支援するため、誰もが住みやすいあんしんのまちコーディネート事業を実施しております。  この事業では、障がいのある方の避難支援における留意点の解説や、避難支援計画作成の助言等を行うコーディネーターを派遣するほか、多くの方に障がいのある方の避難支援の必要性を知ってもらうため、年1回、災害に備えた地域での支え合い研修会を開催しております。この研修会には、各町内会、自治会のほか、障がい福祉サービス事業者の関係者など、毎回、数百名が参加し、事業の紹介のほか、過去の大規模災害の被災経験者の方によります講話や、先進的な取り組みをしている町内会関係者の事例発表などを行っております。また、今年度からは、避難行動要支援者名簿を各区から町内会等に提供する際に、本事業のコーディネーターが同席して早期に関係づくりを行う取り組みを進めているほか、障がいのある方や障がい福祉サービス事業者に対してもさらに事業の周知を図っているところでございます。  このたびの北海道胆振東部地震では、本事業の支援を受けていた関係者から、実際に障がいのある方に声をかけやすくなった、また、名簿による安否確認を実施できたなどのご報告をいただいており、今後も、研修会の実施や今回の地震発生時の活動事例の紹介などを通して障がいのある方の避難支援につながる本事業の周知に努めてまいりたいと考えております。 ◆しのだ江里子 委員  誰もが住みやすいあんしんのまちコーディネート事業ですが、実際に実施されて効果もあったという部長からのご報告もありました。しかし、このたびの地震のときには、障がいのある方から、誰も声をかけてくれる人がいない、そして、室内の家具が倒れ、車椅子利用者の方は動きがとれなかったとか、呼吸器や電源を必要とする方が電源確保に大変困ったなど、いまださまざまなご意見をいただいております。いざというときに障がいのある方が安心して避難できるよう、ぜひ、この取り組みを推進していただくことをお願い申し上げます。日ごろからこのような方々の支援をされている団体との連携も、ぜひ視野に入れていただければと強く思うところです。  先日、ある報道で、北星学園大学の社会福祉学部の岡田教授から、日ごろから、どこに障がい者や高齢者がいて、緊急時にどんな支援が必要かということを地域単位で把握する仕組みが必要、そして、行政は地域住民と福祉の専門機関をつなぐ専門職の配置を検討すべきと提言があったと書かれておりました。ぜひとも、こういった意見なども参考にし、札幌市にとってよりよいものをつくっていただきたいと思います。  最後に、避難所運営について伺います。  私の住む東区では、元町で市内最大の震度6弱を観測いたしまして、建物や道路などにも大きな被害があり、多くの区民が被災いたしました。6日の午前4時に元町小学校に避難所を開設後、順次、小・中学校20校に開設され、最大避難者数が846名となりました。8日以降、ライフラインが復旧するのに伴いまして多くは帰宅され、9日に5カ所に集約され避難者は200名、さらに、10日に東区体育館1カ所となりまして避難者72名となりました。  一旦、14日に体育館避難所の閉鎖が通知されましたが、全ての世帯の聞き取り調査が終了していなかったために延長し、その後、区及び本庁の保健福祉局、NPOなどによる住宅支援、福祉サービスなどにつなぎ、39名が帰宅され、18日から一時退避所として33名が残られ、22日には地区会館に11名が移られ、転居を待つことになり、最後の方が退避所から転居先に移ったのは10月4日でした。  地震の日から今日まで、東区役所を初めとする行政はもとより、地域の方や企業、NPOの方、ボランティア、その他多くの方たちが被災者支援のために奔走してくださったというのは本当に感謝です。その中で、私も避難所に通うことになりましたが、やはり運営については数多くの課題も見えてまいりました。  まず、避難所内での情報共有のあり方です。  災害に関する最新の情報やライフラインの復旧見通しなど、その時々で避難者が知りたい情報はありますが、停電により情報を入手する手段に乏しい状況になりました。ライフラインが通じるようになってからは、もちろんテレビも入れていただきましたので、テレビからとる、携帯電話からもとることが可能でしたけれども、最初の2日間においてはこういったものからも全く遠ざかっていたと思います。そのようなときには、掲示板を活用し、次々と紙のお知らせを張りつけていくことが有効だと思うのですけれども、実際には掲示板を活用できていないところがあったことも事実です。また、17日以降、東区体育館、地区会館では、市民や企業、NPOによる炊き出しや差し入れがありましたが、これも避難所の職員によって取り扱いがさまざまでありまして、必ずしもその善意が生かされずにお断りするという残念なこともございました。  避難所では、臨機応変な対応が求められるものではありますが、一方で、運営に当たる職員が的確な対応ができるよう、もっと現実に即した実践的なガイドライン的なものも必要なのではないかと感じました。今回は、新卒の職員も含め、多くの東区職員が24時間体制、12時間交代で避難所運営にかかわってくださいました。そこで、どのようなことに困り、避難者からどんな声を聞き、どう対応したのか、それをしっかり検証して今後の災害に備えることが必要だと考えます。  最後の質問ですけれども、今回の経験を踏まえて、避難所の運営方法の見直しや実践的なガイドラインづくりに取り組むべきだと思いますがいかがか、伺います。 ◎富樫 総務部長  避難所の運営方法の見直しや実践的なガイドラインについてのご質問でございます。  災害が発生したときに、市の職員や施設の管理者、さらには避難されてきた地域住民が、避難所でどのようなことに配慮しながら、どう避難所を運営していくのかについては、従来から避難所運営マニュアルとしてまとめていたところではございました。しかしながら、ただいまご指摘があったことも含め、このたびの災害によって実際に避難所を開設し、運営する中でさまざまな課題が見えてきたのも事実でございます。  そこで、今回の災害対応の振り返りをする中で、避難所運営についてもしっかりと検証いたしまして、運営に当たっての手順等を再検討するとともに、具体的な例示を行うなど、このマニュアルをより実践的なものに改定していきたいと考えております。あわせて、従事する職員につきましても研修を充実させまして、災害時に円滑な避難所運営ができるように努めてまいりたいと考えております。 ◆しのだ江里子 委員  要望です。  今回、最後まで残られた方たちは、まさに生活弱者でした。罹災証明書では一部損壊であっても、被災者生活再建支援法や災害救助法では対象とならない方たちばかりです。余震が怖くて帰宅できない、障がいのある家族がいて帰れない、PTSDなど自分自身に障がいがある、生活困窮者、そして生活保護家庭など、さまざまな困難を抱えた方たちの姿がありました。さまざまな困難に対応していくには、市の職員だけではなくて、NPOや医療・福祉団体などさまざまな資源の連携が有効だと考えます。また、市職員採用の際には、ぜひ、避難所訓練などを必ず実施し、職員一人一人が自分のこととして考え、行動できることが必要だと思います。ぜひとも、しっかりと準備を行い、万が一に備えていただければと思います。  昨日の秋元市長の記者会見におきましても、避難所運営、情報提供の方法など多くの課題が見えたと指摘されております。関係部局により避難所全般について検証されなければなりませんが、例えば、段ボールベッドやつい立ての備蓄、非常食のあり方など、避難所の環境整備についても早急に改善を進めることを求め、私の質問を終わります。 ◆好井七海 委員  私からは、成年後見制度の利用促進について、3点伺います。  一つ目は、制度の利用促進に向けた取り組みのスケジュールについてです。  先進諸国で最も早く高齢化が進む我が国では、団塊の世代が75歳以上となる2025年に高齢者の約5人に1人が認知症になることが見込まれており、認知症の方々が尊厳を保ちながら住みなれた地域で暮らし続けることのできる環境づくりに取り組むことが喫緊の課題とされております。  成年後見制度は、認知症高齢者など、判断能力が不十分な方の医療・介護等に関する契約行為や預貯金、不動産などの財産管理を支援する共生社会の推進に資する制度であるものの、その利用数は認知症高齢者の数と比較して著しく少ない状況にあるのが現状であります。また、親族以外の第三者が後見人となるケースの中には、預貯金や不動産等の財産管理が中心となり、本人の心と体や生活の状況を踏まえた医療・介護サービス等の利用が十分に図られず、後見制度を利用することのメリットが感じられない事案があることも指摘されております。  こうした諸課題に対応するべく、我が党が主導となり、成年後見制度利用促進法が成立し、その法に基づき、政府は平成29年3月に成年後見制度利用促進基本計画を閣議決定いたしました。国の基本計画では、2021年度を期限として、各市町村に対し、制度の利用促進に関する施策を盛り込んだ計画を策定することや、利用者に寄り添った制度運用を実現するための体制整備に努めるよう規定しているところであります。  そこで、質問ですけれども、札幌市においても着実に制度の利用促進に向けた取り組みを進めていく必要があるものと考えますが、どのようなスケジュールで進める予定なのか、伺います。 ◎富樫 総務部長  成年後見制度の利用促進に向けた取り組みスケジュールについてでございます。  札幌市では、国の基本計画において期限とされている2021年度までに計画の策定、体制整備といった一連の取り組みを進めていく予定でございます。まず、ことし12月に札幌市附属機関設置条例を改正して、新たな計画の策定等を担う審議会を設置したいと考えているところでございます。また、計画策定の参考にするために、制度の認知度、あるいは、利用の意向などを把握する市民意識調査を今年度中に行う予定でございます。  計画は、2019年度の初頭から策定に着手しまして、法律分野の専門職等を構成員とする審議会を全5回ほど開催する予定でございます。その後、パブリックコメントなどの手続を経て、2020年10月の公表を目指してまいりたいと思っております。計画の策定後につきましては、関係団体と調整を図りながら2021年度中に体制を整備してまいりたい、このように考えております。 ◆好井七海 委員  2021年度中に体制整備をされるということ、ことしの12月に条例を改正して審議会等で進めていくということでした。  2点目は、体制整備の内容についてです。  来年度以降、制度利用を促進するために札幌市が計画の策定や必要な体制整備を進めていくとのことですが、制度の利用促進を図る上では、制度を必要とする方が早期に利用に結びつくための周知や、後見人と本人に身近な医療や福祉の関係者が協力することによって、適切な支援が受けられる体制を整えることが重要ではないかと考えます。  そこで、質問ですが、札幌市はどのような体制を整備していくのか、伺います。 ◎富樫 総務部長  体制整備の内容についてでございます。  国の基本計画には、市町村がとるべき体制の大枠が示されております。札幌市では、その枠組みに沿って体制を整備していきたいというふうに考えております。具体的には、まず、制度ニーズの掘り起こし、適切な支援等において協働するために家庭裁判所や法律分野の専門職団体、さらには、医療、福祉の関係団体などが参画する地域連携ネットワークを整備してまいりたいと思っております。また、これらの団体が成年後見制度の利用促進において適切にそれぞれの役割を果たすことができるよう、関係団体の取りまとめや支援調整においてかなめとなる中核機関を設置したいと考えております。これらの体制につきましては、可能な限り、地域福祉、地域包括ケアなどの既存のネットワークや仕組みを最大限に活用して効率的かつ効果的な体制にしていきたいというふうに思っております。 ◆好井七海 委員  ニーズを掘り起こし、さまざまな職種の方によって地域連携ネットワークを整備し、さらに、その中核機関の整備もしていくということでした。  3点目の質問は、中核機関が備える機能についてです。  適切な支援が受けられる体制を整えるため、多様な団体が参画する地域連携ネットワークとその中核機関を整備するとのことですが、中核機関は、地域連携ネットワークを円滑に機能させ、成年後見制度の利用促進を図る上で非常に重要な機関として位置づけられるものと考えます。  そこで、質問ですが、中核機関は具体的にどのような機能を備えるものなのか、現時点での想定をお伺いいたします。 ◎富樫 総務部長  中核機関が備える機能についてでございますが、中核機関には、成年後見制度の利用促進を図る上で、制度の内容や利用方法を幅広く周知することや、制度を必要とする方の能力や生活環境を踏まえて支援を調整することに加えまして、関係する機関、団体の連携強化を図る役割が必要だと認識しております。こうしたことから、例えば、パンフレットや出前講座などの多様な手法により制度周知を図る広報機能、それに加えまして、制度を必要とする方や後見人に対する相談機能、そして、法律や福祉分野の専門職などへのつなぎを行うコーディネート機能が必要ではないかというふうに考えております。また、地域連携ネットワークに参加する団体の連携を強化しまして、関係団体が自発的に協力するような体制づくりを進める協議会の事務局機能といったものも想定しているところでございます。  中核機関が担うべき機能は、ほかの都市などにおける事例なども参考にしながら、来年度以降に開催する審議会の中で具体的に議論していただくこととなる見込みでございます。 ◆好井七海 委員  最後に、要望ですけれども、成年後見人は幅広く援助をしなくてはならなくて、心身ともに大変な仕事になります。被後見人の方も、どのように制度を利用したらいいのか、利用すると自由がなくなるのではないかなど、不安を抱える声も聞いたことがあります。これからの高齢化時代には必要な制度でありますので、利用促進に向けてはさまざまな課題や問題点を協議しながら丁寧に進めていただくことを要望しまして、質問を終わります。 ◆石川佐和子 委員  私からは、失語症障がいのある方への理解と支援について、それから、パーソナルアシスタンス事業について、2点について伺います。  失語症は、脳卒中や頭部外傷などによって脳に損傷を受け、言語中枢が傷つくことで発症する言語障がいの一つと言われております。今まで話していた言葉を思い出せず、話すことが困難になるだけではなく、一度にたくさん話されるとわからなくなるなど、聞いたことを理解することも困難になるとのことです。また、名前や住所が書けないなど、読み書きにも障がいが及ぶと聞いています。  私は、突然の病気や事故などの後、失語症障がいとなった方のつらさや困り感はほかの方の想像を超える壮絶なものとお聞きしたことから、2014年3定の決算特別委員会において、失語症障がいを取り上げ、失語症障がいに対する理解を深めるとともに、支援の充実を求めました。答弁としましては、障がい全般の理解促進に取り組むことはもとより、当事者のご協力もいただきながら失語症障がいへの理解促進に努めていきたいというものでありました。  その後、札幌市におきましては、2017年12月1日、障がい者コミュニケーション条例が施行され、市の取り組みとして、障がい特性に応じたコミュニケーション手段の理解や利用を促進していくことなどが定められました。この条例のパンフレットには、失語症の方とコミュニケーションをする際に必要な配慮も紹介されております。しかし、当事者やご家族の方のお話を伺ったところでは、失語症障がいについては、公的機関やさまざまな窓口など、市民への理解がまだまだ深まっていないと感じております。  そこで、伺いますが、札幌市は、失語症障がいの方への理解について、どのような認識のもと、どのような取り組みを行ってきたのか、また、現在どのような支援を行っているのか、あわせて伺います。 ◎山本 障がい保健福祉部長  失語症に関するこれまでの施策について、まず、1点目の理解促進に関する認識と施策についてでございます。  失語症は、話すことだけではなく、聞くこと、読むこと、書くことなどにも困難が生じる障がいであり、社会において適切な支援が行われるためには、障がいの特性等について市民の理解が必要不可欠であると認識しております。  札幌市では、これまで、心のバリアフリーガイドや障がい者コミュニケーション条例の周知用パンフレット等の作成、配布、出前講座の実施など、失語症に関する市民理解を促進するための取り組みを進めてまいりました。また、本年9月30日には、失語症の原因や症状に加え、具体的なコミュニケーション支援の方法などについて理解を深めていただくため、市民向けの失語症会話支援講座を開催したところでございます。今後も、失語症に対する市民の理解が広まるよう取り組みを進めてまいりたいと考えております。  次に、失語症者に対する支援についてでございます。  札幌市では、失語症障がいのある方への支援として、札幌市身体障害者福祉センターにおいて、平成3年から言葉の教室、平成19年から聴能言語機能訓練を実施しております。言葉の教室では、市内の病院からの言語聴覚士の派遣、協力を得て、会話を促すための言語訓練を、また、訓練後には会話を楽しむゲームやレクリエーションも実施しており、平成29年度は月1回開催し、毎回平均14人から15人、延べ176人の方が参加しております。また、聴能言語機能訓練では、言語聴覚士の指導により文字の読み書きや声に出して文章を話すなど、失語症の症状である聞く、話す、読む等に対する総合的な訓練を実施しており、平成29年度は37回実施し、毎回平均5人から6人、延べ195人が参加したところでございます。  今後も、これらの取り組みを通して失語症者への支援を行っていきたいと考えております。 ◆石川佐和子 委員  失語症者への支援について、これまで行ってきたリハビリに加えて、新たに市民向けの失語症会話支援講座を始めたということは、本当に大きな一歩であり、前進だというふうに思います。  失語症の方は、周囲との意思疎通が大変難しいため、家に引きこもってしまう方もおり、災害時には孤立するおそれもあると思います。2006年施行の障害者自立支援法は、2013年から障害者総合支援法となり、施行後3年をめどとした見直しの項目として、障がいのため意思疎通を図ることに支障がある障がい者等に対する支援のあり方が取り上げられ、2015年度、厚労省は、意思疎通支援者養成に関する実態調査を行い、これを受けて、各地で統一して用いることができる意思疎通支援者養成のカリキュラムを作成したと聞いております。他都市の取り組みを見てみますと、千葉県我孫子市や八日市市では、先駆的に意思疎通支援者の養成とあわせて派遣も行ってきておりまして、広島市においては、今年度から失語症者向け意思疎通支援事業として支援者養成を行っていると聞いております。札幌市においても、失語症の方への意思疎通支援の取り組みをさらに積極的に進めるべきと考えます。  そこで、伺いますけれども、今年度から、失語症の方の生活をサポートするため、失語症者向け意思疎通支援者養成研修事業が地域生活支援事業の必須事業として位置づけられ、厚生労働省から養成カリキュラムが通知されましたが、このことに対する市の認識を伺います。  また、このカリキュラムに基づき、今後、札幌市においても、失語症障がいの方向けの支援者養成事業及び派遣事業に取り組むべきと考えますがいかがか、あわせて伺います。 ◎山本 障がい保健福祉部長  失語症者向け意思疎通支援者養成研修事業についてでございます。  ご質問の中にもございましたが、平成27年度に厚生労働省が実施した調査におきましては、失語症のある方の7割以上の方が日常生活の意思疎通が困難、またはやや困難と回答しており、特に手続や相談について難しいと感じる割合が高くなっております。失語症者向けの意思疎通支援については、一部の自治体で会話パートナー養成等の取り組みが行われてきましたが、今年度、都道府県、政令指定都市、中核市の必須事業として地域生活支援事業の中に支援者の養成研修が盛り込まれたところであります。  札幌市といたしましても、失語症に関する取り組みの必要性を認識しており、これまで、先ほどお答えした理解促進やコミュニケーション支援に関する取り組みを進めてきたところでありますが、失語症者向けの意思疎通の今後の取り組みについては、北海道とも情報交換しながら検討してまいりたいと考えております。 ◆石川佐和子 委員  失語症の方の意思疎通の難しさをしっかりと認識されているということ、あわせて、厚生労働省の示した事業の認識についても伺いました。  お話ししてまいりましたが、読むこと、書くこと、計算など、今までできていたことがスムーズにできなくなる、また、そういうことから障がいにも多様性がありますし、片麻痺のように外から見て障がいの度合いがわかりづらく、理解されないということも本人たちの本当に大きな悩みになっていると聞いています。  きょう、確認しましたが、言葉の教室では言語聴覚士が派遣されているということですが、言語聴覚士の確保が難しいと聞いております。先ほども北海道言語聴覚士会との連携というお話がありましたが、意思疎通支援の側面で厚生労働省のカリキュラムが通知されたことは大きなことでありますから、この機会を逃すことなく、今後しっかりと取り組んでいただきたい。そのためにも、先ほど申し上げた言語聴覚士の確保についても、この制度を進めるために北海道と連携しながらしっかりと取り組んでいただきたいということを強く求めて、この質問を終わります。  次に、パーソナルアシスタンス事業について伺います。  札幌市では、平成22年度、2010年度から、重度障がいのある方が知人や地域の人材を活用して自立した地域生活を実現するために、独自の介助制度であるパーソナルアシスタンス事業を実施しております。  パーソナルアシスタンス事業は、ヘルパー資格がない地域の方々でも、重度障がい者のある方の介助者となることを可能とする制度であり、障がい福祉の介護現場におけるヘルパー不足という課題に対しても一定程度対応できるものであるため、特に長時間の在宅介護を必要とする地域で暮らす重度障がいの方にとっては、長時間の個別的なニーズに応じた介助の確保という点において大変効果的な制度であると考えます。  この事業においては、重度障がいのある方がみずから選択した地域の方々と直接介助契約を結び、介助に入る時間帯や介助内容などを自分で調整することが可能となっております。しかし一方では、介助を希望する時間帯や希望する介助内容などの条件に合致する介助者を見つけることが難しいといった利用者の声を聞いております。さきに提出いたしました文書質問で、こうした事業における課題を指摘するとともに、その対応について伺ったところでありますが、きょうは、もう少し詳しく伺いたいと思います。  そこで、質問ですが、札幌市では、2017年9月から10月にかけてパーソナルアシスタンス事業の利用者と介助者に対するアンケート調査を実施しておりますけれども、アンケートの調査結果では、利用者の介助者確保に関する意見としてどのようなものがあったのか、改めて伺います。 ◎山本 障がい保健福祉部長  介助者確保に関する利用者の意見についてでございます。  まず、今回のアンケート調査におきましては、当時の全利用者である75名に調査票を送付して46名から回答を得ております。一方、介助者につきましては、当時の全登録者468名に対して調査し、181名から回答を得たところであり、アンケートの回収率は利用者が61%、介助者が39%となっております。  利用者への調査では、半数を超える52%の利用者が介助者探しに苦労した経験がよくあると回答しており、全体的な傾向としては円滑な介助者探しが困難であるという意見が多いものでございました。具体的には、比較的、日中の時間帯に介助者確保が難しいという回答が多かったほか、入浴や排せつに関する身体介助や調理といった家事援助など、介助内容によっても介助者確保が難しいという意見があったところでございます。 ◆石川佐和子 委員  介助者がいらっしゃらなければ寝返りもできないような中で、介助者を求める利用者の声は本当に切実だと思います。利用者の全体的なアンケート結果でわかった傾向としても、介助者の円滑な確保が難しい実態にあるということです。  パーソナルアシスタンス事業の利用者は現在70名を超えているということですが、介助登録者は約550名というふうにも伺っております。利用者と介助者の人数を見る限りでは、一見、利用者に対して介助者が大きく足りないという状況はないようにも見えますけれども、先ほどのアンケート調査の結果では、私が見たところ、希望する時間帯に合う介助者が見つけられなかったために介助を受けられなかった経験がある方が4割もおりまして、利用者が円滑に介助者を確保することが困難となっていることは大きな課題だというふうに考えます。  そこで、2点目の質問ですが、アンケート調査結果を踏まえて、利用者が円滑に介助者を確保することが困難になっている理由はどのようなものと考えられるのか、伺います。 ◎山本 障がい保健福祉部長  利用者が円滑に介助者を確保することが困難な理由についてでございます。  アンケート調査におけます介助者側の意見としましては、介助の提供に当たって重要視する点が、利用者の居住地のほか、介助時間帯や介助内容といった回答が多かったところです。これは、何らかの仕事をしている介助者が68%となっていることから、日によっては介助可能な時間帯が異なる場合があることや、ヘルパー資格が必須ではない地域の方々が介助者であることから、自身が難しいと感じる介助をちゅうちょしてしまう場合などがあるためと考えられます。  介助者に対するこうしたアンケート調査結果も踏まえますと、特に、介助時間帯や介助内容などに関して利用者と介助者の希望が折り合わず、それぞれが希望する条件のミスマッチが生じていることが利用者が円滑に介助者を確保することが困難な理由になっているものと考えているところでございます。 ◆石川佐和子 委員  条件を合わせていくことが困難な理由を伺ったのですが、やはり、そうした状況を乗り越えて条件を合わせていくマッチングが重要であり、そこを進めていくことを強く求めたいと思います。
     重度障がいのある方が地域で自立した生活をしていくためには、食事や排せつ、入浴などの身体介助、また清掃などの家事援助、そして継続した見守りなどさまざまな介助が必要でありまして、長時間の介助ニーズに応えていくことも重要だと思います。  札幌市では、これまでも、介助者募集に向けては地下鉄掲示板へのポスター掲示や出前講座、研修会などにおいてパーソナルアシスタンス事業の制度周知を行うなどの取り組みを行い、介助登録者数は現在も増加傾向にあるというふうには聞いております。しかし、登録した介助者数の増加が必ずしも利用者の円滑な介助者確保につながっていないことがアンケート結果からも明らかになっていることから、登録介助者の活動を促進させるなど工夫していくことが重要だと思います。  こうした観点も含め、利用者の希望する条件がかなう円滑な介助者確保のためには、札幌市が民間法人への委託によって設置しているPAサポートセンターによる利用者と介助者のマッチング支援が非常に重要だというふうに考えられます。  そこで、最後の質問ですが、利用者が介助者を円滑に確保することが困難な理由を受けて、登録介助者への働き方を含め、PAサポートセンターで行うマッチング支援を今後どのように効果的に進めていくおつもりなのか、伺います。 ◎山本 障がい保健福祉部長  効果的なマッチング支援の進め方についてでございます。  利用者と介助者のマッチングを円滑に進めるためには、介助の提供に関するお互いの希望や状況をそれぞれ理解してもらいながらさまざまな条件をすり合わせていくきめ細かい支援が必要であることから、PAサポートセンターにおいてそれぞれの希望や状況を詳しく聞きながら丁寧に調整を行うよう努めることが重要であると考えております。登録介助者への働きかけとしては、介助者のスキルアップなどを目的として、これまでも介助者講習会を毎年開催し、介助活動を促進するための支援を行っております。また、既存の登録介助者以外にも、利用者がみずからの希望条件に合った介助者を個別に募集することも介助者確保の一つの方法であると考えられるため、PAサポートセンターのホームページにおいて、利用者が希望する介助者の条件を記載して広く介助者募集を行っております。そのほか、求人情報誌やソーシャルメディアなどの媒体を活用した募集方法についても、本年4月に利用者全員への周知を行い、希望者に対して留意すべき点も含めて具体的な助言を行っているところでございます。  今後も、引き続き、登録介助者をふやしていくため、広く制度周知を行うほか、既存の登録介助者の活動促進のための働きかけを積極的に行うとともに、利用者の希望に応じてさまざまな形で個別に介助者を募集することで効果的なマッチング支援に努めてまいりたいと考えております。 ◆石川佐和子 委員  最後に、一言、要望を申し上げたいと思います。  きょうは、介助者を募集することが困難な理由などを伺いました。介助者は地域の方であるがために、利用者が求める条件にぴったりと合致することが難しいというのは理解できますが、利用者にしてみますと、介助者をスムーズに確保して安定して介助を受けられることが生活にとって何よりも必要なことだと思います。  利用者アンケートのことをお話ししましたが、その結果を見ますと、PA制度をより利用しやすい制度とするために、介助登録者の増員を希望する方は57%、PAサポートセンターの支援体制強化を希望している方は52%おられました。こうした声にもしっかりと向き合っていただき、今後も重度障がいのある方が自分らしく地域で安心して暮らすことができるよう、PAサポートセンターを中心とした介助者確保の支援を着実に行うための体制強化や、より効果的なマッチング支援を工夫していただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。 ○中村たけし 副委員長  以上で、第1項 社会福祉費のうち関係分の質疑を終了いたします。  最後に、第4項 生活保護費の質疑を行います。 ◆村上ゆうこ 委員  私からは、自立相談支援事業所ステップにおける支援について、3点質問します。  1点目は、地域から困窮者への支援につなげる取り組みについてです。  2015年4月に自立相談支援事業所として開設された札幌市生活就労支援センター、通称ステップは、仕事や借金、家族の問題や病気など生活におけるさまざまな困り事や不安を抱えている人の相談を広く受け付け、どのような支援が必要かを一緒に考え、具体的な支援プランを作成し、寄り添いながら相談者の課題解決や自立に向けた支援を行っています。  そういった中、どこに相談していいかわからない、困っていても自分からは声を上げられない、みずから相談に来られない方が今も多数いらっしゃるものと推察します。そのため、今、本市では、他の部署の業務で生活困窮者を発見した場合はステップにつなげるよう、庁の各部署との連携をさらに進めていくとお聞きしています。一方で、ステップでの相談者の13%が町内会の回覧板に入る出張相談会のチラシを見て相談に出向いていることを考えると、生活困窮者をより幅広くステップの支援につなげるためには、困窮していると思われる方々に利用を勧めるだけではなく、地域での日常的なかかわりの中で困り事を抱えている方の存在に気づき、地域から必要な支援につなげていくことも重要ではないかと考えます。  そこで、質問ですけれども、庁だけではなく、地域の方々にももっとステップやその事業について知っていただき、困窮者への支援につなげていく必要があると思いますがいかがか、伺います。 ◎野島 保護自立支援担当部長  地域から困窮者への支援につなげる取り組みについてでございます。  地域の皆様やさまざまな関係機関が生活困窮者を発見し、ステップへの相談につなぐことは、困窮者が抱える課題を早期に解決するために大変重要であると認識しているところです。また、みずから相談に来られない方につきましては、地域の中で、ふだんの生活を通して誰かがその方が抱えている困り事に気づくことができれば、より早い段階でステップでの支援につなげることができると考えているところでございます。  先日、ある地区の民生委員・児童委員の皆さんに対して、ステップの事業についての説明会を行わせていただきましたが、その後、他の地区からも開催の希望が寄せられているところでございます。今後も、地域の民生委員や高齢者、障がい者への支援を行う機関への研修会などを通じてステップについて知っていただき、一層の連携を深めることで生活困窮者への早期支援につなげてまいりたいと考えているところでございます。 ◆村上ゆうこ 委員  地域にあるさまざまな団体や組織とネットワークをしっかり構築していくことが、生活困窮者の早期把握、支援につながるものと考えます。ステップと地域が連携を深めることで、みずから声を上げられない対象者の背中を押す役目を、地域にいる民生委員や身近にいる人たちがやってくれることも期待できると思います。これからもステップと地域の連携が進むような取り組みを積極的に行っていただくことを要望し、2点目の質問に入ります。  2点目の質問は、長期にわたって支援を要する方への取り組みについてです。  ステップでの事業が開始されてから3年半が経過いたしましたが、相談者数は年々増加しております。2017年度、平成29年度を見てみますと、新規による相談件数が2,740人となっております。相談者に対する支援を通じて多くの困窮者の課題を解決してきたことについては、評価をしています。  しかし、相談者の数が増加の一途をたどる中、最も大事なこととして、支援の中身、すなわち相談者一人一人の状況に合った必要な支援を適切に、そして丁寧に提供することが求められると思います。相談者の中には、高校や大学を卒業した後、就職などで社会に出ることができず、長期間、家に引きこもる生活をされている方や、就職をしたものの、人間関係がうまくいかず、短期間で退職してしまうなど、さまざまな理由により生きづらさを感じている人が多いと聞いています。  そういった方々は、現在は家族と同居するなどによって生活ができているとしても、家族の傷病などにより収入が減少したり、さまざまな要因で生活困窮に陥ってしまう危険性があります。しかし、ただ就労支援を行うだけでは自立して生活することは難しく、もし就労ができても仕事が続かない場合もあります。  そこで、質問ですが、社会とつながりを回復し、自立するためには、一定程度時間をかけて支援する必要があると思います。このような場合、ステップにおいては具体的にどのような支援を行っているのか、伺います。 ◎野島 保護自立支援担当部長  長期的な支援を要する方への取り組みについてでございます。  長期間の未就労者やひきこもりの方など、社会とのつながりが希薄な方は少なからずおりまして、実際には、高齢の父母からの相談も多い実態にあります。こういった方が就労を希望したとしても、すぐには一般的な求人に応募して働くことは難しいことから、ステップにおいてはそれぞれの相談者の状況に応じた丁寧な支援を時間をかけて行っているところでございます。例えば、協力事業者におきましてボランティア活動をするといった就労準備支援事業への参加のほか、今までの生活状況を踏まえ、まずは訓練という形で就労を開始する認定就労訓練事業の活用を進めているところでございます。この事業は、社会福祉施設などで、3カ月から6カ月程度、清掃や介護補助といった業務内容で訓練を受けるもので、中には訓練終了後にその事業所で採用される方も多いと聞いております。  時間はかかりますが、一人でも多くの方が自立に向けて一歩を踏み出せるよう、これからもきめ細やかな支援を継続していきたいと考えているところでございます。 ◆村上ゆうこ 委員  ステップの相談支援員のお話では、ステップに相談に来られる方は、長期間仕事を離れていた方やニート、ひきこもり、心身に課題があったり精神疾患を抱える方などさまざまな状況の方がいらっしゃるとのことで、生活面や健康面での支援から始まる場合も多いとのことです。  そういう中、相談支援が2年以上にわたるケースもあるとお聞きいたしました。一人一人の状況に合わせてステップアップをしていき、最終的に一般就労につなげていくという本当に息の長い伴走型の支援を行っていることが理解できました。また、認定就労訓練事業は、現在30カ所の事業所に自主事業としてご協力をいただき、すぐには一般就労に従事することが難しくても、短い時間であったり、支援や配慮があれば働くことができる人を受け入れてくれているとのことです。  私は、就労ボランティア体験事業や認定就労訓練事業が、生活困窮者のため、また地域のため、さらには民間の事業所のためにもなっていくと考えております。誰もが支え合う地域社会になっていくことが本当に望まれます。  3点目は、災害を機に生活困窮に陥った方への支援についてです。  このたびの震災により、札幌市内でも多くの方が被災されました。予期せぬ災害によって生活が一変し、困窮状態に陥るというのは、誰の身にでも起こり得ることだと思います。こういった状況において、ステップの相談機能としての役割に対する期待は大きいと考えます。  そこで、質問ですが、震災を機にステップの相談につながった方に対して、ステップにおいてどのような支援を行っているのか、伺います。 ◎野島 保護自立支援担当部長  災害を機に生活困窮に陥った方への支援についてでございますが、震災後に仕事が続けられなくなったなどの理由でステップに相談に来られた方につきましては、既に支援を開始しているところでございます。  ステップにおきましては、それぞれの方の状況に配慮し、災害時の各種支援制度の活用も助言しながら、早期の就労再開に向けたきめ細やかな支援を行っているところでございます。 ◆村上ゆうこ 委員  ステップから伺ったお話では、このたびの震災がきっかけで、例えば、一般企業で常勤で働いている方や、自営業の方たちからの生活困窮の相談はなかったとお聞きいたしました。災害以前から経済的困難を抱えていて、安定した仕事や収入がない方数名から相談があり、今も対応をしているとのことです。  今後、本当に災害は起きてほしくはありませんが、大規模な自然災害等が起こった場合、生活困窮者が一番に直撃を受けると思います。平時からのきめ細かい対策をステップにおいて講じていただくよう求めて、私の質問を終わります。 ◆伊藤理智子 委員  私からは、ことし7月29日に生活保護を受けていた西区の66歳の女性が熱中症で死亡した事件について伺います。  全国各地で猛暑が続き、この日は札幌市でも31度と暑い日となりました。部屋にエアコンも扇風機もあったにもかかわらず、電気をとめられていたことが原因で熱中症となり、発見されたときには死亡していたという痛ましい事件が起きてしまいました。  亡くなられた女性に心から哀悼の意を表したいと思います。  この方がどのような状況の中で電気がとめられたのか、なぜ死に至る前に救うことができなかったのかということを検証して、二度と悲劇を起こさないようにしなければなりません。  我が党は、ケース記録の公開を請求しました。2018年7月29日、西区在住の被保護者の女性が熱中症で死亡した事案にかかわって、保護開始以降、全てのケース記録と医療要否意見書についての文書を入手しました。しかし、保護開始以降のケース記録は、ほとんどが黒塗りされており、医療要否意見書については個人を識別できるものと認められるとして非公開とされました。  それでも中を見て調べてみますと、実態調査補足と書かれた文書は7ページにわたっていること、いつ保護を受けてどれくらいの年数がたっているのかも記録の年月日も黒塗りされていることから、具体的な経過がわからない状態でした。ただ、生活保護が開始されたのは2016年2月だったとマスコミで報道されていますので、2018年1月からは訪問していないとのことですから、ケース記録で推察すると被保護者との接触は23カ月という期間で行われたのではないかと考えられます。この方が保護を申請して決定された後、区役所に来たと思われる来庁と書かれた箇所が19回にも及ぶこと、このケース記録には月々の保護費の増減額で支給する金額が変更になる場合に変更と書かれている箇所が9回、訪問するも不在が3回で、その都度、連絡票を投函してきていると記録に書かれております。家庭訪問、面談が11回、入電、本人からの電話連絡が10回、架電、区役所から被保護者に電話をかけるのが11回、架電するも不通という事態が続けて4回もありました。  ほとんどが黒塗りで、何があって亡くなってしまったのか具体的に知ることはできませんが、これだけの情報でもかなり支援が必要な方だったことがわかります。特に、架電するも不通が続けて4回あったとあり、この時点で支払いが滞っているサインが出ていたと思われることから、金銭管理などを支援する必要があったのではないかと考えます。この時点でどのような対応をしたのか、また、ケースワーカーが定期的な面談に訪れず、ことし1月を最後に訪問していなかったということですが、それまでは家庭訪問や面談、本人の来庁、入電、架電が頻繁に行われていたのに、なぜことしに入ってから訪問されなかったのか、本市として、この事実をどのように分析し、同じ悲劇を繰り返さないためにどのような改善策を検討したのか、伺います。 ◎野島 保護自立支援担当部長  熱中症により死亡した事故の関係の検証についてということでございますが、今回、どういった形で亡くなられたかという点につきましては、年4回の家庭訪問が必要なところ、ことし1月30日以降、約半年間訪問されていなかったということで、正直、最期はどういう状況だったのか、例えば電気代が不払いであったかどうかなども含めて、事実がわからないところがあるものですから、一言でこの事故がどうして起きたかということをこの場で言うことは難しいです。  ただ、半年間近く訪問がなされていなかったということ自体は、やはりケースワーカーの仕事としてはいかがなものかという部分はございます。適切な訪問が行われていれば事故が防げたとまでは必ずしも言えないかもしれませんが、家庭訪問なり相手の要望に応じて対応することはケースワーカーの業務において非常に大切なことですので、今後は、こういったことのないように、家庭訪問についてはきちんと行うように徹底してまいりたいと考えているところでございます。 ◆伊藤理智子 委員  私も生活保護を受けている方の相談を幾つか行っていますが、後見人制度を利用するほどではないけれども、軽度の障がいがあったり、精神的な病気があったり等、金銭管理など丁寧な支援を行う必要がある方がたくさんいらっしゃいます。被保護者がライフラインの支払いを滞らせている場合は、なぜ支払いが滞っているのか、その原因を究明し、どうしたら払っていけるのか、その対策を講じる必要があると思います。  だからこそ、同じようなケースの被保護者が同じようなことで命を落とさないように、この方はどういう経過で生活保護を受けて、どんな病気があったのか、なかったのか、軽度の障がいや精神的な病気があったのか、ケース記録と医療要否意見書を公開するべきであるというふうに思いますがいかがか、伺います。 ◎野島 保護自立支援担当部長  情報公開の件につきましては、今回は個人情報の保護の関係や遺族の関係も考慮しまして非公開とさせていただいたところでございます。  なお、委員からご指摘のありました検証については、もちろん私どもも今後同じようなことがないように取り組まなければなりませんので、先ほども申しましたように、家庭訪問はケースワーカーの基本的な業務の一つでありますから、それをきちんと行うよう徹底してまいることで事故を防ぐようにしたいと思います。  また、お話の中にありましたように、確かに金銭管理に困難を抱えている世帯があるのも事実でございますので、そういった家庭への訪問を行うに当たっては、家庭状況にも配慮しながら、今後とも適切な助言・指導によって必要な支援を行うよう努めていきたいと考えているところでございます。 ◆伊藤理智子 委員  これから冬場を迎えるに当たって、この10月から生活扶助費が引き下げられたこととあわせて、灯油代が高騰している中で、今回のこの対応では、灯油が買えない、電気代が払えない、厳冬期にストーブを使うことができないために、同じようなケースで被保護者の命が奪われることが起こるのではないかという懸念がどうしても心配されます。起きてしまった痛ましい事件から何を教訓にしていくのか、その調査を徹底的に行って、同じ事件を繰り返さず、市民の命を守るのが自治体本来の重要な役割だというふうに思います。  また、札幌市情報公開条例の第1条では、「日本国憲法が保障する住民自治の理念にのっとり、市民の知る権利を具体化するため、公文書の公開を請求する権利を明らかにするとともに、情報公開の総合的推進に関し必要な事項を定め、もって市政について市民に説明する市の責任が全うされるようにし、市民の参加と監視の下にある公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。」と定めています。  さらに、情報公開条例をよく読んでみますと第7条では、公開請求があったときは、非公開情報が記録されている場合を除き、当該公文書を公開しなければならないとしており、この中では、特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあると認められるもの、ただし、次に掲げる情報を除くとして、幾つか書かれている中の一つに、人の生命、健康、生活または財産を保護するため公にすることが必要であると認められる情報については公開していくとされています。  今回のケースは、まさにここに該当しており、本来は公開してどういう対策がとれたのか、また、専門家によってこの方にどういう支援ができたのかということを検証し、市民に説明する市の責任が全うされるべきケースであって、情報公開をしていくべき事例だと思います。ぜひ、今後、さらに対策を強化していくことを求めまして、私の質問を終わりたいと思います。 ○よこやま峰子 委員長  以上で、第4項 生活保護費の質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回は、次週10月16日火曜日午前10時から、保健福祉局関係のうち、高齢保健福祉部、保険医療部、保健所及び衛生研究所の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後4時54分...