┌自第129号議案 平成30年度広島市
一般会計補正予算(第6号)
┤
└至第146号議案 変更契約の締結について
(
広島湯来線麦谷2工区
道路改良工事)
(総括質問)
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○永田雅紀 議長 日程第1,第1号議案から第44号議案及び第129号議案から第146号議案を一括議題といたします。
昨日に引き続き総括質問を行います。
発言通告者に順次発言を許します。
35番
村上厚子議員。
〔35番
村上厚子議員登壇〕(拍手)
◆35番(
村上厚子議員) おはようございます。
日本共産党の村上厚子です。
日本共産党市会議員団を代表して,総括質問を行います。
一昨年の7月,国連で
核兵器禁止条約が採択されて以降,条約の制定に向けて批准,賛同する国がふえ続けています。1月30日現在,署名が70カ国,批准が21カ国となり,ことしじゅうにも条約の発効が見通せる状況とも言われています。被爆者は最後の力を振り絞って一日でも早い条約の発効を願い,声を上げ続けています。
カナダに住む広島の被爆者,
サーロー節子さんもその一人です。昨年末,条約への参加を訴える世論をつくることを目的に里帰りされ,滞在中,ハードなスケジュールをこなされたあのエネルギーに勇気づけられたのは私だけではないと思います。市長とも面会されました。被爆地から具体的な行動を起こしてほしいと求められた市長は,驚いたことにもっとリーダーをやってとんがってくれと言われていることはわかっているが,とんがらなくていい,ドングリの背比べでいいと。ドングリの背比べでみんなでやると言われました。このときの様子を放映したNHKの番組は,政府に直接働きかけることに消極的な市長,その言葉はサーローさんの期待とはほど遠いものでしたと結んでいます。
お聞きしますが,市長はとんがらなくていい,ドングリの背比べでいいとはどういう気持ちで言われたのですか。広辞苑で「ドングリの背比べ」を引くと,どれもこれも似たようなもので大したものではないこととあります。横のつながりを広め,みんなで一緒に声を上げていくことは大事なことですが,被爆都市,
平和都市広島の市長は特別な役割があります。被爆者の代表として,誰に対してもはっきりと物が言えなくてはいけません。
幾ら平和首長会議で核廃絶を訴え加盟都市をふやしても,自国の政府にきちんと物申せない市長は説得力を持ちません。被爆都市の市長にふさわしくない姿勢だということをはっきり申し上げておきます。
被爆者の平均年齢は81.5歳,毎年5,000人以上の方の名前が
原爆死没者名簿に記帳されています。73年前のあの惨禍とその後の被爆者の苦悩,体験を後世に語り継ぐことは私たち被爆二世,三世の使命であり,広島の使命です。市は7年前から
被爆体験伝承者の養成事業を始めました。一人一人の被爆者の体験を後世に伝えるというものです。現在何人の伝承者がおられるのですか。どういう活動をされ,それは一人平均どのくらいの活動になっていますか,お聞きします。
市は,2001年度から国の委託を受けて被爆二世健康診断を実施しています。委託契約を行っている県内の医療機関の窓口で被爆二世健診に来たと言えば,
被爆者健康診断とほぼ同じ内容の一般検査を受けることができ,医師が必要と認めた場合はさらに精密検査を受けることができます。まず,市として被爆二世健康診断をどう位置づけてどういう取り組みをされているのかお聞きします。
2017年度の実績で被爆二世健診の受診者数は6,661人ですが,お聞きしたところ市は被爆二世の数はつかんでおらず,したがって被爆二世全体から受診率を見ることができません。希望者のみに次年度の健康診断の案内を送付することにとどまり,二世の受診率を上げていく方針も持っていないのが実態です。何年か後には被爆者がいなくなるということが見えている今,被爆が及ぼす
遺伝的影響を科学的,
医学的見地から解明する上でも被爆二世健康診断は市が全国の
リーダー的存在となって進めていくべき課題と考えます。そのためには,まず二世,三世の実態調査に取り組む必要があります。また,健康診断の受診者証を交付するなどにより二世,三世の自覚を促すことが求められます。また,健康診断の受診対象を二世にとどめず三世も加え,二世・
三世健康診断とすべきと考えます。
以上の3点について,御所見をお聞きします。
次に,
世界遺産原爆ドームの価値を高め保存することについてです。
私たちは,
世界遺産原爆ドームの
バッファーゾーン内につくられたカキ船とカフェポンテは撤去するよう求めてきました。鎮魂と
核兵器廃絶を願う場にふさわしくないという理由からです。私たちは,
元安橋東詰めに
高層マンションの建設問題が浮上したときも,カキ船かなわの移転問題が起きたときも市の平和行政に
大変不信感を抱き,将来を憂慮しています。
バッファーゾーンを保護することにおいては,
文化財保護法,
都市公園法,広島市公園条例,河川法,景観法,広島市景観条例など複数の法律,条例が関係しています。かき船はこれらの法令をうまく使って建築物を船だと言い張り,正当化しました。負の遺産,
世界遺産原爆ドームを保護し,発信することを担うはずの
国際平和推進部は蚊帳の外です。当局は,あの区域は来訪者のための憩いの場,にぎわいの場として必要だと言いますが,
バッファーゾーンの外で幾らでもにぎわいの場をつくればいいではありませんか。もう一つの負の遺産のアウシュビッツ収容所の敷地内には
自動販売機一つなく,
商業的施設は一切ありませんでした。それでいてにぎわいがないのかということではなく,見学者がひしめいています。負の遺産,世界遺産への行政の姿勢の違いを目の当たりしました。私は,改めて
原爆ドームと
バッファーゾーンを保護する総合部署の設置を求めます。市長の御所見をお伺いします。
次に,不要不急の開発の象徴である高速5号線
シールドトンネル工事についてお聞きします。
まず,2016年5月に約200億円で契約した
シールドトンネル本体工一式の契約の増額問題です。そもそもこの契約額には
トンネル内壁の材料費が含まれていなかったとして,公社に増額要請があった2017年2月の時点でその事実を議会と市民に公表し,事業の費用対効果を再検証し,事業着手の再評価を行うべきでした。しかし公社と事業者は21回も増額に関する協議をしながら,市民と議会にその事実を隠し続けてきました。広島市も昨年の7月,事業者の増額要請について協議がされていることを知っていたにもかかわらず知らぬ顔をして9月に掘削工事を始めたことは,県民,市民,議会をだますやり方で許されません。なぜ事業費の増額要請があった時点で公表しなかったのですか。なぜ事業費が足りないことを知りながら掘削工事を始められたのか,その理由をお答えください。
市長は,県,市,公社とのJVからの増額要請への対応についての協議の場において,幾らふえるかの金額が不明のまま増額を承認したのですか。市長は,今回の問題発生について市民に一言も説明されていません。事業の施行者としてきちんと市民に説明すべきです。お答えください。
これまで
広島高速道路公社のトップは県と市の再就職先になっています。2015年に
シールドトンネル工事の公告を行い,以後,事業者と技術提案の協議を続けてきた当時の
高速道路公社の理事長,副理事長の名前と就任前の県,市での職名をそれぞれお聞きしておきます。
昨年12月10日から
トンネル工事はストップしたままです。掘削に重要なマシンの中央部に取りつけている
ツインカッター8個のうち7個が変形,損傷したというのです。しかもホルダーを取りつけている直径13.5メートルの台座が直径2.2メートルにわたって深さ最大27センチメートルもえぐられたということなので,少々の修理では済まない状況ではないでしょうか。原因究明中ということですが,現状はどうなっていますか。そもそも事業費を24億円増額して安全対策の一つとして
シールドマシンの前方に設置した探査機は機能していなかったのですか。今後の見通しはどうなりますか。
先月の閉会中の
建設委員会の緊急質問に対する答弁で,当局は
シールドマシンのカッターの損傷や
増額事業費などを含めた
事業費総額が明らかになった時点で費用対効果を再評価されるとしています。現時点での費用対効果はどうなっていますか。今後,どのくらい事業費がふえると事業対効果の基準となる1を下回るのですか。事業効果が1を下回ることになれば事業の必要性がないという判断になるわけですから,5号線建設は中止すべきです。
これだけ大きな問題が起こっているというのに,先日,この月曜日,2月18日から
中山側坑口から
ナトム工法で
トンネル掘削が始まりました。
トンネル工事の契約の増額要請を隠して掘削を始めたように中山側でも知らぬ顔でトンネルを掘り,既成事実をつくるというのでしょうか。事業費の増額金額が判明した時点で,改めて事業の必要性を検証する必要があります。災害の検証,住環境への影響等も踏まえた検証を行い,その上で市民に公開し,事業の再検討が必要です。市長の見解をお聞きします。
次に,災害復旧についてです。
昨年の
西日本豪雨災害で,市内でも規模の大小はあるものの多数の崖崩れが発生しました。広島市南区では,丹那地区において山林の所有者が組合を結成し,山を切り開いて団地を整備する
区画整理事業が進められてきましたが,開発業者の倒産やかたくて大きな岩があるなどの理由から開発が中断したまま長年放置されてきたことが要因の一つになり4カ所で崖崩れが発生し,家屋が流失,全壊の被害が発生し,犠牲者も発生してしまいました。なぜきちんとした
雨水処理対策がされていなかったのか,悔やまれます。現在,
ビニールシートや土のうなどで応急処置はされているものの,抜本的な防災対策はされていません。周辺住民もいつごろどんな対策がされるのか全く説明がないと不安を抱き,ことしの梅雨時期までには安全対策を講じてほしいと願っておられます。広島市には
開発許可権者としての責任があります。民間の開発だからと対岸の火事のような態度では済まされません。
昨年の7月の
建設委員会で,市がイニシアチブをとって丹那地区の防災対策を地域住民に説明することを求めましたが,その後どのように組合を指導され,現状はどうなっているのか,地域に説明をされたのかお聞きします。
新年度予算で,急
傾斜地整備復旧資金融資事業を拡充する予算額で1818万2000円を計上しています。現行の融資要件を自然崖,人工崖を問わず崖の高さを2メートル以上,
保全家屋数は1戸以上を対象にする緩和内容となったことは,小規模の急
傾斜地所有者も対策工事がやりやすくなることは確かです。しかし,無利子とはいえ借りたものは返さなくてはいけません。東区は安佐北区と並んで急
傾斜地崩壊危険箇所が市内で一番多い地域です。市は9月議会で市内のこういった危険箇所の対策に10年程度かかると答弁されています。防災対策を進めていくことは喫緊の課題です。今回の緩和は歓迎するものですが,もう一歩進んで市独自の助成制度を創設することを強く要望しておきます。早急に検討してください。
市長は,就任以来たびたび自助,共助,公助を強調してこられました。まずは自分のことは自分で解決しなさい。その上で,できないことは地域で助け合いなさい。それでも足らないことがあれば公共が助けましょうということです。つまり公助が一番最後に位置づけられています。このことが市民生活に冷淡な今の広島市行政のあり方につながっているのではないかと考えています。この問題は,1995年の政府の
社会保障制度審議会勧告で
社会保障は自助,自立が基本と明確に打ち出して以来だと思います。その後,小泉内閣で
社会保障構造改革を推進し,基本は自助,自立,それが難しければ共助で,それでも対応できない困窮者は公助でカバーするとしました。この流れの中で,
社会保険制度の給付の削減や
保険料引き上げなど市民への負担ふやしが進められてきました。この自助,共助の強調と
社会保障制度の給付削減,
負担増政策の推進や公的扶助について,真に必要な場合にといった言い方もよく行われてきたことから,今日,国では常に自助,共助が先行し公助は最後の手段,どうしてもほかに手段がない場合にやむを得ず公助が実施されるという考え方になってきていると言えます。これは自分や家族,地域がどうしても解決できない場合に最後の手段としてやむを得ず行政が助けてやる,恩恵を与えるといった考え方です。
憲法25条は,第1項で「すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とうたっています。
日本国憲法は,恩恵から契約や法律による権利へと発展してきた
社会保障の歴史を踏まえて,
社会保障を受けることを人間としての権利と定めました。したがって,
社会保障を受けることは一人一人の国民の人間としての権利,人権として保障されているのであって,やむを得ないときに公,行政が助けるというものではありません。必要なときは人権保障の立場で公共機関が積極的に
社会保障制度の適用を行うということであり,さらに社会の発展に応じてその内容も豊かにしていく必要があります。どうしてもやむを得ないときに行政が助ける公助という考え方は,明治・大正時代の援助を受ける人を自立した人間として扱わず,生きていればいいというだけの最小限の恩恵を与える,つまり救済は家族及び親族並びに近隣による扶養や相互扶助にて行うべきであるとし,どうしても放置できない身寄りのない困窮者だけはやむを得ず国庫で救済してよいとされた時代に逆戻りしかねない考え方です。公助の考え方とよく似ています。
2012年の
社会保障制度改革推進法で,
社会保障制度の基本を自助,共助,公助とした以降,松井市長も強調されてきましたが,市長が言われた公助は
社会保障ではありません。
日本国憲法でうたう
社会保障は,今で言えば今日の一般的な社会生活の水準に応じた医療水準が保障され,文化水準を享受できる人間らしい生活が誰でも平等に与えられるべき人権です。憲法25条が保障した
社会保障について,改めて市長のお考えを伺います。
また,憲法25条では第2項で「国は,すべての生活部面について,社会福祉,
社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とし,国は
社会保障の水準を日本社会の発展状況に即して向上,増進させることを義務づけています。国とは
日本国政府及び
地方自治体です。
日本国憲法制定から70年たち,国民の
一般的生活水準は大きく向上しています。日本は世界有数の経済大国の一つとなっています。その国民に保障された生活水準が生きていればいいというだけの最低限度のものであっていいわけはなく,その水準を引き上げることを通じて日本国民の生活水準の底上げを進めていかなければならないのです。先進諸外国に引けをとらない水準の健康で文化的な生活を保障する責任が日本の行政,国と
地方自治体にはあります。広島市行政はどのようにお考えでしょうか,答弁を求めます。
残念なことに,常に世界から注目されてきた広島市でも市民が受ける
社会保障水準は後退の一途ではないでしょうか。政府が
社会保障制度を切り下げれば,広島市は政府の切り下げそのままに執行しています。例えば
生活保護基準が繰り返し切り下げられ,食費を削ったりお風呂の回数を減らしたり,ぎりぎりの生活をさらに切り詰めている家庭がたくさんあります。介護保険のサービスが削られたのに,保険料だけは着々と上がってきました。65歳になった障害福祉サービスを利用していた方には,生活を成り立たせていたサービスの利用が制限された上に新たな負担が生じています。現状でも生活を削って払っている所得実態を無視した高額な国民健康保険料を,今まで以上に際限なく引き上げようとしています。もともと水準の低い高齢者公共交通機関利用助成制度も,実態を無視して廃止しようとしています。
さらに,今の広島市政は広島市だけ独自の福祉施策をやると他の自治体と格差が生じて不公平だなどと言って,例えば障害児の給食費,年間134万円の助成をばっさり打ち切りました。昨年4月から国民健康保険の運営主体が広島県に移ったことで,政府の言いなりで県が一般会計からの決算補填等目的の法定外繰り入れを廃止する方針を受けて,市もこれを了承し廃止するとしました。そうなると,保険料は毎年着実に引き上げられていくことになります。国保料は所得で比較すると組合健保や協会けんぽに比べて非常に高いことが明らかで,全国知事会はせめて協会けんぽ並みに引き下げるために年間1兆円の政府の支出を求めていました。
日本共産党は,全国知事会の提案に賛同するものです。同時に,単に政府の支出をふやすだけにとどまらず,他の健康保険制度にない応益負担,すなわち広島市でいえば均等割と平等割を廃止する必要があります。市としても,所得に比べて国保料が極めて高額だということはよく認識しておられるはずです。医療保険制度として国保も協会けんぽも組合健保も所得に応じた保険料を出し合う点は同じです。しかし,国保だけは応益割があるために所得を無視した高額な保険料となっています。国保は
社会保障制度に重要な柱と位置づけられているにもかかわらず,所得を無視した応益割は
社会保障制度の意義からも公的医療保険制度の意義からも外れたあり方です。特に所得のない子供にまで保険料を課す均等割は前近代的な人頭税と同じであり,早急に廃止すべきものです。国民健康保険料の応益割の問題と高額な保険料の実態について市長はどのようにお考えでしょうか,お聞かせください。
また,所得のない子供にも保険料を課す現行の仕組みをどのようにお考えでしょうか。子供は均等割の対象から外すべきですが,お考えをお伺いします。
広島市独自の生活関連施策をどんどん削ってきています。それでは何のために市民が選んだ人が市長を務める
地方自治体があるのでしょうか。市民生活の実態や市民の意見を踏まえて,市独自の実情に応じた独自の施策を実施するためではないでしょうか。国が決めたことをそのまま市民に流すだけなら,選挙で市長を選ぶ必要はありません。広島市は何のために税金を集めているのでしょうか。市民から集めた血税は,市民生活を守り豊かにしていく,そのことによって広島市を発展させるためではないでしょうか。
そもそも国と自治体は主権者である国民,市民の人権を保障することを使命とする機関です。それに必要な費用を確保するために,税金を徴収することが認められています。その税金は,第一義的に国民生活,市民生活のあらゆる部面における健康で文化的な生活を保障し,常に向上させるために使わなければなりません。経済界の求めに応じて大規模な公共事業を行うための財源を理由に,人権である
社会保障権を損なったり削ったりしてはならないのです。以上について,市長のお考えをお聞かせください。
さて,私ごとですが,私は今期をもって市議会議員を引退します。22年間保育の現場で子供たちの豊かな発達を願って同僚とお母さんたちと一緒に保育運動に携わってきました。議会では,子供と高齢者をテーマに子育ても老後も安心の広島をとライフワークに取り組んでまいりました。国の医療費改悪に伴い,市独自の重度心身障害者医療費補助が打ち切られるというとき昼夜を問わず何度も交渉を重ね,市は助成の継続を決断しました。このときの障害者と家族の方の喜びの笑顔は,その後の私の議会活動の糧になっています。
初当選した1999年の初めての6月議会の真っ最中に,佐伯区,安佐北区の一部で大雨による土砂災害が発生しました。その後,2014年の安佐南区,安佐北区で発生した土石流災害,そして昨年7月の集中豪雨と,この20年間に3度も大きな災害を経験しました。その都度被災者の生活再建最優先で取り組んでまいりました。昨年の西日本豪雨で東区も甚大な被害が発生しました。河川の氾濫で住宅ごと濁流にのみ込まれ亡くなられた方は,14年前から一緒に河川の改修を要求してきた方でした。市は県の事業だといって他人事のように対応。県は予算がない,順番待ちを繰り返すだけでした。その方は災害発生の二,三日前から川の流れが違うことに気づかれ,消防署や区役所に様子がおかしいと何度も電話をされていたということを御家族の方からお聞きし,行政が早く対応していたらここまでの被害はなかったと悔やまれてなりません。
広島県は,全国一土砂災害危険箇所が多い自治体です。2000年に土砂災害防止法がつくられたのは,前年の広島の災害がきっかけでした。何を置いても防災対策に傾注しなくてはいけないはずの県の砂防予算は,この20年間ずっと右肩下がりで減っています。昨年の県議会で,このままでは200年かかるとの答弁がありました。こんなことでは,県民,市民の命と財産は守れません。災害で亡くなられた方と遺族の方の思いに報いるためにも,こういった県政をただしていく決意を持って4月の県議会選挙に立候補することを決意いたしました。
私の決意を申し上げて,総括質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○永田雅紀 議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 村上議員からの御質問にお答えします。
市長の政治姿勢のうち,自助,共助,公助についての御質問がございました。
自助,共助,公助の関係については
日本国憲法第25条を持ち出すまでもなく,広島型・福祉ビジョンにおいてお示ししているところであります。すなわち,今後さらに少子高齢化が進展する我が国において,現在の公助としてのシステムである
社会保障が将来にわたって機能するためには,勤労の権利を有し義務を負う国民がみずからの生活や健康はみずから維持するという自助,地方自治を支える住民が相互に支え合うという共助とともに,公的機関が社会的な義務を果たすために必要となる支援を行うという公助を適切に組み合わせることが重要であると考えておるところであります。こうした考え方のもと,高齢者いきいき活動ポイント事業の実施により高齢者の社会参加の促進や活動の場となる地域団体の活性化を図るなど,自助,共助の精神を踏まえた環境づくりを積極的に進めるとともに,必要な公助はしっかりと行ってきていると考えているところです。
本市としては,現行の国の
社会保障制度を踏まえながら,こうした取り組みが有効に機能するように努めることにより市民の誰もが住みなれた地域でそれぞれに役割を持ち,お互いに支え合い,心豊かに暮らし続けることができる地域共生社会を形成し,「世界に誇れる『まち』広島」を実現していきたいと考えております。
その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。
○永田雅紀 議長 財政局長。
◎手島信行 財政局長 自助,共助,公助についてのうち,大規模な公共事業を行うための財源を理由に
社会保障を削ってはならないと考えるがどうかとの御質問にお答えいたします。
大規模プロジェクトの推進は,新たな投資を呼び込み都市の活力を生み出し,ひいては税源を涵養するために重要であると考えており,将来にわたって
社会保障を機能させるための財源確保に資するものと考えております。
なお,
社会保障に関しましては,国の果たすべき役割と本市が果たすべき役割を整理した上で,引き続き選択と集中の徹底や民間委託などによる財源確保と国からの財源確保をバランスよく行うことにより,その充実に努めてまいります。
○永田雅紀 議長 市民局長。
◎政氏昭夫 市民局長
核兵器禁止条約の発効に向けてについて,サーロー氏との面会の際の市長の発言についてですが,核兵器のない世界の実現に向けて日本を含む各国の取り組みを前進させていくためには,国内外に被爆の実相を伝え,こんな思いをほかの誰にもさせてはならないという被爆者の願いに共感する方々をふやし,ヒロシマの心を市民社会における民意とすることによって,各国の政策転換につながるようにしていくことが重要であると考えています。そのためには被爆都市が頭抜けて平和問題に取り組むというよりも,市民社会を代表する国内外の多くの首長が一緒になって取り組むほうが望ましいと考えており,市長の発言はこのような考えを比喩的に述べたものです。このため,本市では平和首長会議の加盟都市の拡大に努めてきており,国内においては現在では基礎自治体の99%以上が加盟するに至っています。
こうした中で,昨年11月には国内加盟都市会議の総意として日本政府に対して
核兵器禁止条約の締結とNPT等の体制のもとで核軍縮の進展に力を尽くすよう強く求める要請書を提出したところです。今後とも平和首長会議の加盟都市と密に連携し,
核兵器廃絶に向けた取り組みを着実に推進してまいります。
次に,被爆二世健康診断についてのうち,現在何人の
被爆体験伝承者がおられ,一人平均でどのくらいの実践をされているかです。
被爆から70年以上が経過し被爆者の高齢化が進み,みずからの体験を語ることのできる方が少なくなっている中,被爆者の体験や平和への思いを受け継ぎ,被爆者にかわってそれらを伝える
被爆体験伝承者の養成事業を平成24年度から実施しています。現在118名の方が
被爆体験伝承者として活動しており,平和記念資料館において伝承講話を行うとともに国の派遣事業により全国の学校等に出向き,修学旅行の事前学習等として被爆体験を伝えています。
平成30年度の活動実績については,本年1月末現在の10カ月になりますが平和記念資料館における伝承講話が954件,学校等に出向いて行う伝承講話が446件,合わせて1,400件となっており,1人当たりの活動件数は約12件となっています。本市としては,修学旅行のさらなる増加に向けて派遣事業を一層活用したいと考えており,国においても来年度予算の拡充が予定されていることから,今後
被爆体験伝承者の活動件数は増加するものと考えております。
最後に,世界遺産
バッファーゾーンを守ることについて,
バッファーゾーンを保護するための総合部署の設置についてでございます。
現在,
原爆ドームの
バッファーゾーンは文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界の遺産として損傷,破壊等の脅威から保護し保存するという世界遺産条約の目的を達成するため,当条約の指針に定める緩衝地帯として平成8年の世界文化遺産への登録に当たって設定したものです。この
バッファーゾーンについては,国内関係法令等に基づき保護することとしており,これまでも世界文化遺産登録を所管する
国際平和推進部と
文化財保護法,
都市公園法及び広島市公園条例,河川法,景観法及び広島市景観条例などを所管する関係部局とが連携しながら,適切な管理を行っています。今後とも各部局が密に連携することによって,市として
バッファーゾーンの保護に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○永田雅紀 議長
健康福祉局長。
◎古川智之
健康福祉局長 被爆二世健康診断と国民健康保険事業についての御質問にお答えいたします。
まず,被爆二世健康診断の位置づけと取り組みについて,また二世,三世の実態調査,健康診断受診者証の交付及び被爆三世の健康診断についての御質問にお答えいたします。
国からの受託事業として行っている被爆二世健康診断は,被爆二世の方の健康不安の解消及び健康管理に資するため実施しているものです。本市としては,この実施に当たり広報や対象者への受診勧奨を積極的に行うことなどにより,健康不安を抱える被爆二世の方々の不安解消に役立つよう努めているところです。
また,被爆二世や被爆三世の対策については,本来被爆者と同様,国の責任においてなされるべきであり,その実態の把握についても国が行うべきであると考えています。
本市としては被爆二世の健康診断についても同様の考え方に立って,広島,長崎両県市による八者協においてこの内容の充実を国に要望しており,本市独自に受診者証の交付や受診対象の被爆三世への拡大などを行うことは考えておりません。引き続き八者協を通じて被爆二世健康診断の内容の充実について要望していきたいと考えています。
次に,国保料の応益割の問題と高額な保険料についてどのように考えているのか。また,子供が均等割の対象となっていることについての御質問にお答えをいたします。
国保は高齢者や低所得者の加入割合が高くならざるを得ない制度であることから,所得に対する保険料負担が重くなっています。このため,国として低所得者の保険料について法律で軽減措置を講じており,この軽減措置を平成26年度から6年連続で拡充してきていると承知しています。
また,国保料の負担率引き下げについては制度が抱える構造的な課題と捉え,その解決のために国に対して白本要望を行っているところです。
次に,国保料の応益割は国保がお互いを支え合う保険制度であることから設けられているものと承知をしています。子供を均等割の対象とすることについては,保険制度として維持しつつも子供がふえれば一定の軽減を図ることとし,国において平成26年度から毎年度制度拡充されてきているものと承知をしております。
なお,子育て世帯の負担軽減については,国において所要の措置を講ずるべきものであることから,これまでも指定都市市長会や全国市長会などを通じて国に対して支援制度の創設を要望しているところであり,今後も必要に応じて国に要望してまいります。
以上でございます。
○永田雅紀 議長
都市整備局指導担当局長。
◎胡麻田泰江
都市整備局指導担当局長 災害復旧について,丹那地区の防災対策についてどのように朝見原土地区画整理組合を指導しているのかとの御質問がございました。
朝見原土地
区画整理事業区域の防災措置については,発災直後から区画整理組合に対し適切な措置を講じるよう指導を行っており,既に破損した仮設防護柵の撤去や仮排水路の整備などについては工事が完了しています。残る崩落のり面の防災措置についても梅雨時期前までに実施するよう指導を重ねた結果,先月に区画整理組合から防災措置の内容について,事前の市の了解を得た上で5月末までに工事を完了したい旨の報告を受けました。このことについては既に本市から地元の町内会長に説明しており,具体的な工事スケジュールが決まった後には区画整理組合から改めて地元の方々へ説明を行うよう指導しています。本市としましては,地元の方々の不安を払拭できるよう地元説明等を丁寧に行っていくとともに,梅雨時期前に着実に工事を完了させるよう引き続き区画整理組合を指導してまいります。
以上でございます。
○永田雅紀 議長
道路交通局長。
◎谷山勝彦
道路交通局長 市長の政治姿勢についての御質問のうち,高速5号線二葉山トンネルについて6点の御質問に順次お答えいたします。
まず,なぜ最初に事業費の増額請求があった時点で公表しなかったのか。また,事業費が足りないことを知りながら掘削工事を始めた理由は何かについてでございます。
公社からは,JVと工事費についての協議を開始するに当たって,大規模事業で注目を集めている工事であることからこれを公表することとしたとの説明を受けているところであり,公社として最初にJVから増額要請があった時点では,協議することを公表する必要がある事案とは受けとめていなかったことによるものではないかと考えております。
また,JVは請負契約に基づき
トンネル掘削工事を進めながら増額についての協議を行うことで公社と合意していると聞いておりますので,そうした当事者間の合意の中で掘削工事は開始されたものと考えております。
次に,市は金額不明のまま増額を認めたのか。今回の問題について,きちんと市民に説明すべきだと思うがどうかということについてでございます。
本市としては,金額が不明のまま増額を認めたというような事実はなく,またJVが掘削工事を開始したことで本市が増額を認めたということになるものでもございません。シールドトンネルの工事費に関しましては,現在進められている公社とJVとの協議の結果の報告を待って対処すべきものと考えているところでございます。
なお,公社からは協議結果がまとまり次第,直ちに県,市に報告をしたいと考えていると聞いておりまして,その際には公社において公表された内容を議会にも御説明することになると考えております。
次に,
シールドトンネル工事の公告当時の
高速道路公社の理事長,副理事長の名前,就任前の県,市での役職についてでございます。
当時の理事長は高井巌氏で,就任前の役職は本市
道路交通局長でございます。また副理事長は泉谷伸生氏で,就任前の役職は広島県道路企画課長でございました。
次に,
シールドマシン損傷の原因究明の現状と今後の見通し,また追加した前方探査の機構は機能しなかったのかという御質問がございました。
公社からは,JVが調査結果を取りまとめ次第,学識経験者で構成される高速5号線トンネル施工管理委員会を開催し,原因分析や補修方法等について審議する予定と聞いております。再開時期のめど等につきましては,この審議の結果を待たなければならないと考えております。
なお,議員御質問の前方探査の装置につきましては,掘削地点の前方に破砕帯のような脆弱な箇所がないか,また多量の湧水の発生がないかなどについて把握するためのものであり,
シールドマシン損傷に関係するような岩盤の強度を把握するためのものではないと公社から聞いております。
次に,現時点の高速5号線事業の費用対効果はどうなっているのか。また,今後どのぐらい事業費がふえると1を下回るのかについてでございます。
平成28年度に実施した高速5号線事業全体の事業再評価において,費用対効果を示す指標である費用便益比は1.01となっております。今後,費用対効果を検証するに当たっては,費用と便益のそれぞれについて変動する要因を加味して算出する必要があることから,現時点で御質問のような数値の把握は行っておりません。
最後に,事業費の増額金額が判明した時点で災害や住環境への影響等を踏まえた再検証を行い市民に公開し,事業の必要性について再検討が必要と思うがどうかということについてでございます。
本市としては,今回公社とJVで行っている工事費についての協議は,トンネル建設に伴う地表面沈下や
土砂災害等周辺への影響に変化をもたらすものではなく,協議の結果,工事費が確定した場合は事業採算性等を踏まえ事業についての対応方針を県,市と公社で協議することになるものと考えております。こうした対応方針については議会にも御説明するとともに,これまで同様に事業主体である公社が中心となって県,市もサポートしながら地元にも必要な説明を行うことになるものと考えております。
以上でございます。
○永田雅紀 議長 35番村上議員。
◆35番(
村上厚子議員) 私にとりまして最後の登壇となったわけですけれども,松井市長の8年間を私なりに総括といいますかいろいろ考えて,言い残すことがないようにという思いで質問をいたしました。
自助,共助,公助について取り上げたのも,松井市長の8年間を一言で言えばというか,言えないんですけれども,そういう思いがありまして取り上げたわけですけれども,答弁はあっけなくてとても唖然といたしました。もうかみ合わないのでここでは余りがたがた言いませんけれども,選択と集中の徹底とそれから民間委託で財源確保してというふうに言われたんですけれども,そこが一番問題なんですよね。やっぱり市民生活の安心安全が後回しになることがないようにという,これだけは言っておきたいと思います。
それから,再質問なんですけれども,二葉山トンネルについてです。きのうの答弁でも感じたんですけれども,公社からは,公社によるとみたいな枕言葉がついて,すごく人ごとのような印象を与えるような,そういう答弁をされています。質問でも言いましたけれども,この事業は県と市が施行者であって,公社がそれを受けて仕事をしているということですよね。
公社の人事をお伺いをいたしましたけれども,2012年に市長は二葉山トンネルの工事の事業の再開を決定をされました。シールドトンネル,シールド工法で掘削をするからより安全に掘るということで,そういうことで事業の再開を決定をされました。その直後に就任をされたのが広島市の
道路交通局長であります。2014年から2017年,公社の人事としては異例とも言える4年間,理事長と副理事長がかわっていないという,それだけシールド工法で着工するその期間,そういう意味では大変重要な期間を担って就任をされたということであります。市長の命をしっかりと受けて,仕事をされたという,広島市が全く関係ないということは言えないと思います。もう少し主体者であるという認識を示していただきたいと思います。
それから,費用対効果なんですけれども,今の時点で1.01だと。辛うじて1を超えているということですけれども,じゃあ一体今度事業費がどれだけふえたら1を下回ることになるのかという質問に対しては言われませんでした。言われませんでしたけれども,単純計算で費用対効果の計算は費用便益,総便益割る総費用ですから,今の段階で18億円事業費がふえれば1になる。18億円以上になれば,どんどん1を下回るということになるわけです。当然,今,現時点で事業費がふえた時点で計算するのに便益がその計算が変わってきます,数値がね。交通量とかいろんな直近のデータを入れることになりますから総便益も変わってきますけれども,大きく変わるだろうかというのはそういうふうにはちょっと考えられないのではないかなというふうに思います。
それともう一つ,やはり中山側を掘ってるということ,これは納得できません。きょうの中国新聞にも大きく出てますよね。掘削機,契約増額どこまで,見通しめどが立たないという。めどが立たない状態で反対側から掘ってるんですよ。これどういうことですか。おかしいんじゃないでしょうか。納得できません。
今後増額金額が明らかになって,整備計画の見直しをして,費用対効果もきちんと出して,議会にも市民にも説明をして,そして事業の検証をいま一度するべきではないでしょうか。それまで中山側は掘るべきではありません。4日目です。どれだけ穴があいているか。今であっても格好はつきます。ということで,市としての責任をもう少しきちんとどういう気持ちでお持ちなのか。費用対効果,私は18億円というふうにそういう数字言いましたけれども,当局は本会議の場で数字は言えないと思うんですけど,考え方として私が言った考えが間違っていれば正してください。
それから,中山側の
トンネル工事は中断するということに対してお答えを求めます。
○永田雅紀 議長
道路交通局長。
◎谷山勝彦
道路交通局長 再質問に対して順次お答えいたします。
まず,広島市も事業の主体じゃないかというお尋ねでございますが,確かに県,市が出資した
高速道路公社が進めている広島都市高速の事業でございますけれども,
広島高速道路公社が事業主体として現場を預かっておりまして,今回の契約につきましても主体は公社でございます。そういったことで,現場の運営,それと工事費に関する協議というのは
広島高速道路公社が主体となって行っておりますので,県,市としましてはそれを注視しながら今後の対応を報告があった際には県,市,公社とともに協議をしていくという立場でおるということでございます。
2つ目の費用対効果の件でございますが,先ほど議員御紹介されました数字は平成28年12月にこの高速5号線事業全体の事業再評価を行った際の数字かと存じます。御指摘のように,総便益と総費用の差は,当時は18億円でございます。ただ,この費用対効果,費用便益比と申しますものは,過去の投資,これからの建設投資,それと供用開始後の50年間の維持管理費等を現在価値に置きかえて,便益も同じでございますけども比較するものでございまして,単純にその差額が今後投資可能な事業費であるということにはならないものでございます。
先ほど答弁申し上げましたように,今後工事費の変動あるいは今後の工事の進め方等が確定しましたら,その時点で正確に算定いたしまして議会にも御説明していきたいと考えております。現時点での数字は持ち合わせておりません。
最後に中山側の着工でございますけれども,高速5号線事業全体につきましては現在
シールドトンネル工事の工事費の協議が行われているところでございますが,県,市,公社としましてはこの工事費の協議が調ったところで今後の事業の進め方,対応方針についてしっかり検討して,高速5号線事業自体は完成に向けて進めていきたいと考えておりまして,工事,事業の全体としては必要な工事は進めていくという立場で現在進めておるところでございます。
以上でございます。
○永田雅紀 議長 35番村上議員。
◆35番(
村上厚子議員) とても18億円の増額では済まないというのは,もうみんなそういうふうに思うと思います。桁が違うんではないかと思うわけです。それだけのお金を,税金をつぎ込んでもそれでも必要というふうに言われますけれども,やはりここでは費用対効果から見て,情勢も変わってきていますので,事業そのものの再検証が必要であって,そういう中で中山側では既成事実をつくっているというのは,これは到底認められません。しっかりこれからもこの問題,引き続いてやっていきます。
終わります。(拍手)
○永田雅紀 議長 次に,40番太田憲二議員。
〔40番太田憲二議員登壇〕(拍手)
◆40番(太田憲二議員) 皆さん,お疲れさまでございます。
市民連合の太田でございます。会派を代表して,総括質問を行います。しばらくの間,御清聴よろしくお願いいたします。
最初に,平和についてお尋ねいたします。
松井市長は,今期で2期8年間の任期を全うされようとしています。松井市長の取り組みも含めて,これまでの広島市の平和行政の取り組みについて少し振り返っておきたいと思います。
最初に,平和宣言についてです。
広島市長の最初の平和宣言は1947年で,1945年の原爆投下の2年後から平和宣言は続いております。日本国内はもとより,世界に恒久平和と
核兵器廃絶を訴えてきました。
松井市長は,市長就任時から平和宣言には被爆者の体験談や平和への思いを盛り込みたいとして毎回触れられてきました。被爆73年を過ぎて,平和を語り継ぎ継承する難しさの中で,被爆者の声を盛り込むことで世界の人々への理解を深めようとする努力がうかがえると思います。昨年までで8回目の平和宣言となりましたが,この間,市長はどのような考え方で広島市の思いを発信されようとしたのでしょうか。そしてそれは平和宣言の中でしっかり伝わったとお考えなのか,お聞かせください。
次に,松井市長の迎える平和について総括していただきたいと思います。
直接被爆地を訪れてその実相を体験することは,一番の勉強になることは間違いありません。迎える平和は,広島市の平和の取り組みを推進していく際の基盤となる政策だと思います。特に最近の外国人観光客の急増は,平和にとっても大きな貢献だったと思います。初めて平和記念資料館を訪れる方もふえたのではないでしょうか。
かつて平和は経済効果がないとも言われました。しかし,今では被爆地広島だからこそ観光客が来るということを知らない人はいないでしょう。迎える平和が
核兵器廃絶に向けてはもとより,広島の経済効果にも寄与していると言えるのではないかと思います。
そこで,お伺いいたします。迎える平和としてのこの2期8年間の取り組みはどのようなもので,市長はどのような成果があったとお考えでしょうか,お聞かせください。
次に,被爆体験の継承・伝承についてです。
被爆から70年以上が経過し,被爆者の高齢化は確実に進み,みずからの体験を語ることのできる方が少なくなってきています。厚生労働省の統計によりますと,松井市長が就任された年,全国で約21万人おられた被爆者の方も2017年度では約15万4000人となっており,平均年齢も78.1歳から80.06歳に上がっています。このうち,広島市においても2011年度には約6万6000人おられた被爆者の方が2017年度は約5万人となっています。先月も放射線研究の第一人者で引退後は被爆者として体験証言活動を続けられました広島大学名誉教授の葉佐井博巳さんが亡くなられました。また一人,被爆の惨禍を生き抜き,その体験を語ることで後の世代に被爆の実相を伝えられたとうとい命が失われました。また,このように亡くなられた方々だけではなく,病気や体力の問題からやむを得ず被爆体験証言活動をやめられる被爆者の方もいらっしゃいます。こうした中で,被爆体験の継承・伝承はまさに待ったなしの状況と言えると思います。
そこで,お伺いいたします。人類史上最初の被爆地である広島が将来にわたって被爆の実相を伝え続けることができるよう,これまで被爆体験の継承・伝承にどのように取り組んでこられたのか,改めてお聞かせください。
次に,平和首長会議の取り組みについてです。
平和首長会議は,1982年6月にニューヨークの国連本部で開催された第2回国連軍縮特別総会において当時の荒木広島市長が世界の都市が国境を越えて連帯し,ともに
核兵器廃絶の道を切り開こうと
核兵器廃絶に向けての都市連帯推進計画を提唱したころから始まったものであります。ことしは設立から38年目となります。今では163の国と地域の7,709の都市が加盟し,うち日本国内では全市区町村の99.5%に当たる1,732都市が加盟するに至りました。被爆地広島発の呼びかけが世界中の都市の賛同へと広がり発展したことに誇りを感じるとともに,核兵器のない世界の実現に向けて取り組みを進めていく上で非常に心強く感じています。
平和首長会議では,この世界的なネットワークを生かし,被爆者の平和への思いが市民社会共通の価値観となり,
核兵器廃絶こそ今後目指すべき姿であるとの認識や,それを切望する思いが広く共有されるような環境づくりを目指して取り組みを進めてこられたと思います。具体的に,これまでどのような取り組みを行ってこられたのか,こちらも改めてお聞かせください。
次に,財政についてお尋ねいたします。
広島市は1997年9月に広島市財政健全化計画を策定し,現在では財政運営方針として継続的に取り組みを進めてきました。財政を振り返ってみると,歳出決算額は全会計と一般会計とも1998年ごろからほぼ横ばいです。それは市税収入が同じようにほぼ横ばいで推移しているからでしょう。一方で地方交付税は大きく減らされ,臨時財政対策債に頼るしかない現状もあります。
一方,経費,人件費については,一昨年の県費負担教職員制度による包括的な権限移譲の影響を除くと,1998年ごろから大きな変動はありません。一方で,扶助費については高齢化などにより急激に増加しています。また,投資的経費は1993年の2247億円をピークに右肩下がりで,2017年度決算では700億円台まで減少してきました。減少してきたというより,減少させなければならなかったと言えると思います。実質的な市債残高は,2002年の8483億円をピークとして2017年度決算では6600億円にまで減らしてきました。もちろん先ほども述べたように地方交付税を減らされたことにより臨時財政対策債を使わざるを得ないので見かけ上の市債残高はふえていますが,これは国の政策によるものですので,別なところで議論したいと思います。
細かいところは今回は議論をしませんが,長期的な視点と大局観に立って財政を見ると,大変厳しい財政事情の中でとてもよく頑張ってきたなというのが率直な感想です。改めて行政の皆さんの努力,そして市民の皆さんの御協力に感謝申し上げたいと思います。
今回は,松井市長の8年間の総括の意味で質問いたします。財政については,どのような方針のもとで運営されていたのかお聞かせください。
また,一旦方針を打ち出したとしても,経済情勢や市民ニーズなどの変動の激しい世の中であります。財政運営を円滑に行っていくためには,歳出を抑え歳入をふやすための不断の努力が求められると思います。具体的な取り組みとして,本市は歳入歳出の両面でどのような工夫をされていたのかお伺いいたします。
今後はこれまでの努力に加えさらなる市民の皆さんとの協力によるまちづくりや支え合いの地域づくり,健康増進策の推進,市民の皆さんと一緒につくる広島が大きなテーマになってくると思います。さらに公共施設と民間施設との複合化など,民間活力の導入は今後の大きな課題ともなるでしょう。こうした課題に向けて,市はこれまで財政運営方針や行政改革大綱を策定し取り組まれてきました。今後もこの方向性に変わりはないと思います。私は,それに加えてさらに一歩進めて各部局が取り組むべき市民参加型のまちづくり,民間活力の導入に向けた方針を全庁的に示されてはどうかと思いますが,いかがでしょうか。
ここからは私の提案ですが,私は行動指針のようなものをつくることが有意義だと思っております。予算も現段階ではついていませんけれども,まずは行政で基本計画を策定し,その後,専門委員会を設置しさまざまな提言をいただき具体化をしていけばいいと思います。ぜひ市民の皆さんや民間企業を巻き込んだまちづくりを進めていってもらいたいと思います。
次に,広島市の今後の将来を見る上で重要な政策である200万人広島都市圏構想の取り組みについてお尋ねいたします。
この構想は,広島市の都心部からおおむね60キロ,車で約1時間の圏内の24市町で構成する広島広域都市圏で1993年から圏域の一体的発展に向けた連携,交流を推進しており,現在の圏域人口は約232万人です。しかし,国立
社会保障・人口問題研究所の2013年の推計によると,2040年に圏域人口は200万人を割り,それ以降も減少すると見込まれています。そのため各市町が一丸となってこれに立ち向かい,圏域経済の活性化と圏域内人口200万人超の維持を目指すというのが200万人広島都市圏構想です。
この構想において,広島市は広域都市圏のエンジンとなるべく人口の現状分析,市民などの意識・希望の分析や歴史的・地政学的特徴から見る本市のあるべき姿を踏まえた上で目指すべき将来の方向を定め,人口将来展望を行った「世界に誇れる『まち』広島」人口ビジョンを策定しました。さらにこの人口ビジョンを踏まえ,来るべき人口減少に歯どめをかけるために必要となる基本的な考え方,基本目標と施策などを定めた「世界に誇れる『まち』広島」創生総合戦略を策定しました。同時に広域都市圏として取り組むべき方針として広島広域都市圏発展ビジョンを策定し,総合戦略の取り組みとあわせて推進することで「世界に誇れる『まち』広島」を,また200万人広島都市圏構想を実現していくとしました。
そして2016年2月15日,第1回広島市議会定例会の冒頭で松井市長が連携中枢都市宣言を行い,この構想の実現に向けた具体的な取り組みがスタートいたしました。まだスタートして3年間ではありますが,200万人広島都市圏構想の実現に向けこれまでどのような取り組みが行われ,どのような成果があったのでしょうか。
この200万人広島都市圏構想はとても重要な政策だと思っています。人口減少というかつて経験したことのない時代を迎え,将来世代に持続可能な広域都市圏をつくり,残していく。これまで当たり前であった首都圏などへの一極集中の時代を変えていく壮大な政策です。
ただし,現実は厳しい状況です。例えば2月1日の中国新聞朝刊には,東京圏への一極集中加速という記事が掲載されました。このことについて,広島広域都市圏による転出超過数の推移を調べてみたところ,2013年に2,578人だった転出超過数は2018年に2,795人とふえています。この間,若干改善した年はあるものの,平均して約2,300人の転出超過が続いているような状況です。しかし,こうした状況を嘆いてばかりはいられません。厳しい状況の中で,いかに地方が地域の魅力を高めていくための施策を打ち出すことができるかが求められています。
例えば,技術の革新は時にライフスタイルや人々の考え方さえも変えてしまうこともあります。約20年前の1997年の携帯電話の普及率は,人口当たり約16%でした。それが今では人口当たり約135%になっています。この20年間だけを見ても携帯電話の普及で社会が大きくさま変わりしましたが,こうした技術革新の影響によるものの例として首都圏から地方への移住が挙げられると思います。東京にいなくても,インターネットさえあれば仕事ができるからです。この事例一つを見ても,地域の魅力を高めていくことは意外に難しくないと想像できます。
広島広域都市圏は,広島市を中心とした都市部のほか緑豊かな内陸部,瀬戸内海に面した島嶼部,沿岸部を擁した地域であり,住みやすい魅力的な地域です。
先ほど広島広域都市圏全体の転出超過を申し上げましたが,その大きな原因の一つに若い世代の首都圏等への流出があります。近年の推移のうち15歳から29歳の若者について見ると,平均して約1,500人もの転出超過が続いている状況です。この若者世代の人口流出を抑え,今後圏域内の若者人口をふやすために,私はUIJターンの促進は重要な柱になると考えていますが,この点についてどのような政策を進めておられるのでしょうか。
200万人広島都市圏構想の実現には,情報発信がとても重要だと思っています。具体的には都市の魅力を発信するビデオなどを作成し,学校や地域などあらゆるところで上映する,マスコミと連携して定期的,継続的に魅力を発信してもらうなど取り組むことはたくさんあります。しかしながら,実は行政組織,大変失礼ではありますが,情報発信が余り上手ではないと言えると思います。全国の市町ではやっている御当地紹介ビデオなどは一部マスコミで紹介されたりしますが,費用の割には一過性で終わってしまいます。イメージキャラクターもいいのですが,あれは何というほどとても多く存在し,これも多くを望めません。
本市も例外ではなく,2年前の広島市市民意識調査によると,広島広域都市圏の取り組みについての認知度はわずか2割にとどまっています。このため行政だけが主導して行うのではなく,民間事業者のノウハウを活用した情報発信に取り組む必要があると考えますがいかがでしょうか。ちなみに,10代や20代の多くはテレビを余り見ません。パソコンもやりません。ほとんどスマートフォンで完結しているのです。そんな世代に広島広域都市圏に残ってもらうような情報を届けるやり方について,専門家の力も活用しながらぜひ効果的な方法を検討してみていただきたいと思います。
次に,交通問題についてお尋ねいたします。
最初に,広島市総合交通戦略について質問いたします。
広島市の交通政策の基本となる総合交通戦略は,前回2010年に策定されました。今回,2019年度末を目途にその改定を行うわけです。改定を行うに当たり,そもそもの議論をしておきたいと思います。
まずお伺いします。前回23年7月に策定した広島市総合交通戦略の政策理念を教えてください。広島市の資料を見ると,公共交通の1日当たりの利用者は1994年度の67万6000人をピークに減少を続けてきましたが,2002年度の55万1000人以降は全体的に増加傾向にあり,2016年度までの間で約5万人ふえています。公共交通の1日当たりの利用者数が約5万人ふえたことについて,この状況をどう評価し何を要因として考えているのでしょうか。
総合交通戦略の改定に当たってはこうした状況の分析が欠かせないものであり,その結果を生かしていくことが重要だと思いますが,その上で現行の総合交通戦略の成果を踏まえて今後の交通課題という視点からどのような総合交通戦略をつくろうとされているのかお聞かせください。
交通問題について,少し具体的にお尋ねいたします。
私は,昨年を広島市の公共交通改革元年と呼んでいます。市においては地域公共交通網形成計画を策定され,それ以降,この計画に基づいてバス会社と連携しながらさまざまな取り組みを進められています。昨年,バス再編の第一弾として再編実施計画(第1版)を策定し,都心循環バス「エキまちループ」の運行開始となりました。実は,これは画期的なことなのです。これまでバス会社がお互いに競争し合ってそれぞれが思い思いにダイヤを組みバス停をつくって個別に運営していたものを,バス会社同士が協力して利用者にとって便利な乗り物に変えることができました。今までは事業者間の競争や独占禁止法に阻まれてなかなか事業者間での調整が難しかった利用者サービスが,市が事業者の間に入り再編実施計画をつくることで実現したものです。
もう一つ事例を紹介します。西部方面では,彩が丘団地や藤の木団地などからバスセンターに向かう日中のバス便はおおむね1時間から1時間半に1本程度です。これとは別に,各団地からJR五日市駅に向かうフィーダーバスがおおむね30分間隔で運行しています。このため,このフィーダーバスに乗って途中のバス停で別のバスに乗りかえれば30分間隔で都心に行くことが可能なのですが,乗り継ぐことによって運賃が高くなってしまうという問題がありました。そこで,事業者は昨年3月から乗りかえても直通と同じ運賃となるように直通乗り継ぎ割引を導入したのです。これまでに1時間から1時間半に1本のバス便が,30分に1本になったも同然です。驚くべき発想の転換です。
以前,私は次期公共交通網形成計画の特徴は特にバスに重点を置いた公共交通の再編に資する計画であること,協議会を設置して関係者の共通認識のもとに策定したため,実現可能性が高くなっていることなどであると申し上げましたが,実際に事業者独自の動きも出てきています。この計画に位置づけた取り組みが具体的に昨年から実現していることが,まさに昨年を改革元年と呼ぶにふさわしいと感じているところです。
そこで,お伺いいたします。地域公共交通網形成計画の策定以降,事業者においてどういった動きがあるか御紹介ください。
今後,取り組みがあちこちで進み,市の都心部だけではなくデルタ内や郊外部などでも公共交通が利用しやすくなっていくと思いますが,その中でも特に「エキまちループ」に続く第二弾の再編実施計画に期待をしています。
そこで,お伺いいたします。今後,どのように再編実施計画の策定を進めていこうとしているのかお答えください。
私は,いつも議会で皆さんにお話をしています。今ある日本の公共交通の多くは,民間事業者がほとんど補助金を受けることなく独自に経営をしています。ですから赤字になる路線は運行便数が減らされ,最終的には廃止になってしまいます。先ほども紹介しましたが,彩が丘団地,藤の木団地などの直通乗り継ぎ割引は事業者独自のサービスです。今の段階では一部での実施ですが,これを全ての路線で実施するには事業者だけではできません。市民の皆さんの利便性を確保しながら公共交通を維持していくためには,行政のさらなる支援が必要ではないかと思います。行政の財政支援は企業の利益のためではなく,利用者のためなのです。もちろん多額の税金をつぎ込めと言っているわけではありません。年間数億円でできるのです。公共交通に税金を投入することこそが,これからの元気な広島をつくることにもつながります。
公共交通改革元年と述べましたように,これまで実現しなかった取り組みが着々と進められている公共交通政策については,私自身大変評価をしております。そして,今後の取り組みに大いに期待をしています。そういう取り組みの中で,本当の意味での公共交通に税金を投入し持続可能にするために今後どういうことが考えられるのか,さらに検討を始められることを期待をしております。
以上で私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
○永田雅紀 議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 太田議員の御質問にお答えします。
平和についてのうち,平和宣言と迎える平和についての御質問がございました。
被爆から長い時間が経過し,みずからの被爆体験を語ることができる被爆者の方々は年々少なくなる中,私はその体験を世界の人々に広め,次世代に伝え,そして平和への思いを市民社会全体の共通の価値観にしていくことが極めて重要であると考えています。こうした考えのもと,広島市長の重要な使命の一つである平和宣言において,被爆体験を根底に平和を願う広島市民を代表してその時々の時代認識を踏まえながら,被爆の実相や
核兵器廃絶に向けた決意を宣言の形に凝縮し,広く国内外に訴えてきました。
私の1期目,平成23年から4年間の平和宣言は,広島の原点である被爆の実相や被爆者の体験をしっかりと伝えることを重視する観点から,4カ年にわたり被爆体験談を公募し,直接被爆者の方々からいただいた体験談を宣言文に盛り込みました。2期目となる平成27年からの4年間は,核兵器をめぐる国際情勢が厳しさを増す中,被爆の実相に加え世界の人々,特に為政者に対し相互不信,疑心暗鬼の暗闇から抜け出し,理想の実現に向けて前向きな行動に踏み出してほしいとの考えから,人類愛,情熱,理性といった行動理念を提示いたしました。この8年間の平和宣言を通して,被爆の実相から湧き上がってくる率直な人間としての思いをいつも忘れることなく,さまざまな合理性を加味した思考体系をしっかり持つことの重要性を伝えることができたものと考えております。
また,できるだけわかりやすい表現にすることに努めたことで,次代を担う若い世代を含む世界の多くの方々の理解が深まったものとも考えています。やはり日本は核兵器に反対し続ける国であるべきだと目が覚めた,広島と長崎は自分たちにとって平和の原点であってほしいといった意見に,私は平和宣言で訴えた思いが凝縮されております。
また,国内外からできるだけ多くの人々に広島に来ていただき,被爆の実相に触れ,被爆者の願いを受けとめ,
核兵器廃絶に向けて努力する決意を固めていただくため8年前から迎える平和を提唱し,その取り組みを進めてきております。
例えば国際会議の誘致については,この8年間でNPDI外相会合やG7外相会合,国連軍縮会議など多くの国際会議が本市で開催され,各国政府の要人や国際機関の関係者に本市を訪問していただきました。特にG7外相会合では,核保有国であるアメリカ,イギリス,フランスの外務大臣が初めて広島を訪問されております。また,各国為政者の被爆地訪問については,被爆70周年に当たる平成27年度の平和記念式典には過去最多となる100カ国の大使等が参列されました。さらに平成28年度にはオバマ米国前大統領が来広され,平和のメッセージが広島から発信されることにより国内外における本市の認知度が向上し,平和記念資料館の入館者数は大幅に増加しております。広島を訪問していただいた方々には,被爆の実相に触れ,被爆者の体験や平和への思いをしっかりと受けとめていただいたものと考えています。また,議員御指摘のとおり来訪者が増加するなど経済効果にも寄与しており,こうしたことも迎える平和の成果だと考えております。
その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。
○永田雅紀 議長 市民局長。
◎政氏昭夫 市民局長 平和についてのうち,2点の御質問にお答えいたします。
まず,被爆体験の継承・伝承の取り組みについてでございます。
被爆者の高齢化が進む中,被爆体験を風化させることなく後世に確実に伝えていくことは被爆地広島の使命であると認識しており,これまでもその継承・伝承に向けさまざまな取り組みを行っております。
具体的には,まず平和記念資料館では国の重要文化財である本館の老朽化への対応や被爆の実相をよりわかりやすく伝えるための展示更新を行うため,平成23年度から再整備事業に取り組んできました。平成29年4月には東館を先行してオープンし,本年4月には本館をリニューアルオープンする予定です。原爆被害の惨状を肌で感じ,被爆者や遺族一人一人の苦しみや悲しみに向き合ってもらえるような展示により,これまでにも増して被爆の実相を深く理解していただくことができるものと考えています。
また,修学旅行生等を対象とした被爆体験講話の開催や体験証言ビデオ,体験記の保存活用に引き続き取り組んでおり,加えて平成24年度からは被爆者の体験や平和への思いを受け継ぎ,被爆者にかわってそれらを伝える
被爆体験伝承者の養成事業を実施しています。現在118名の伝承者が平和記念資料館において伝承講話を行うとともに,国の事業により全国の学校等に出向き,修学旅行の事前学習等として被爆体験を伝えています。
さらに,平成28年度からは平和記念資料館観覧料の引き上げに伴う増収相当分を財源として,被爆資料の保存措置の強化や民有被爆建物の保存工事に対する補助限度額の引き上げなど,被爆の実相を守り広め伝える事業に力を入れて取り組んできたところでございます。
次に,平和首長会議の具体的な取り組みについてです。
核兵器の廃絶に向けては,ヒロシマの心を市民社会における民意とすることによって各国の政策転換につながるようにしていくことが重要であり,本市が会長を務める平和首長会議において加盟都市とともに為政者を後押しする環境づくりを進めてきました。具体的には,世界中の多くの市民に核兵器のない平和な世界こそ市民社会が目指すべき姿であるとの認識を共有してもらうための取り組みとして,加盟都市において原爆ポスター展の開催,被爆樹木の種・苗木の育成,スカイプを活用した被爆体験証言や
被爆体験伝承者の講話を聞く会などの実施に取り組むとともに,
核兵器禁止条約の早期締結を求める署名活動を推進していくよう呼びかけています。
また,
核兵器廃絶に向けた国際世論を拡大していくためには,次代の平和活動を担う青少年の育成が極めて重要であることから,重点的に取り組んでいます。平成26年度から署名活動に従事している高校生をNPT再検討会議及びその準備委員会に派遣し,ヒロシマのメッセージを発信してもらっているほか,平成28年度から広島市立大学の夏期集中講座や青少年国際平和未来会議ヒロシマなどに国内外加盟都市の青少年を招聘し,被爆の実相を学ぶとともに広島の青少年等と議論や交流を行う機会を提供しています。
さらに,加盟都市における平和教育の活性化を促進するための新たな取り組みとして,今年度「平和なまち」をテーマにした子供たちによる絵画コンテストや各加盟都市による平和を希求する心を育てる取り組みの好事例のニューズレターやホームページでの紹介を始めたところです。
こうした平和首長会議による環境づくりの取り組みについては,各国の為政者に対して会長である市長がNPT再検討会議等の国際会議でのスピーチや面会等を通じて平和首長会議の取り組みにより為政者のイニシアチブを支援するので,核兵器のない世界の実現に向けて果断なリーダーシップを発揮してほしいと訴えてきたところです。
以上でございます。
○永田雅紀 議長 財政局長。
◎手島信行 財政局長 財政について,3点の御質問に順次お答えいたします。
まず,松井市長の8年の総括として,財政についてはどのような方針のもとに運営してきたのかについてでございます。
本市の財政は,市長が就任した平成23年度当時から市税や地方交付税などの一般財源収入が伸び悩む一方で,
社会保障費や公債費といった義務的経費が増大するなど厳しい状況が続いております。そうした財政上の課題を乗り越え「世界に誇れる『まち』広島」の実現に向けた取り組みを進めていくため,平成23年度,27年度にそれぞれ4年を計画期間とする財政運営方針を策定し,計画的な財政運営を行ってきました。それぞれの財政運営方針では,その理念として,都市としての活力を生み出す財政運営,持続可能な財政構造を確立する財政運営,将来世代のために市債残高を抑制する財政運営の三つを掲げ,その理念のもと,収支の均衡と市債残高の抑制を図りながらさまざまな施策を推進してきたところでございます。
次に,財政運営を行っていくため歳入歳出の両面でどのような工夫を行ってきたのかについてです。