〔16番
宮崎誠克議員登壇〕(拍手)
◆16番(
宮崎誠克議員) おはようございます。自由民主党・市民クラブの宮崎誠克でございます。それでは,会派を代表して総括質問をさせていただきますので,御清聴のほどよろしくお願い申し上げます。
最初に,スポーツの振興について質問させていただきます。
まず,昨年の
予算特別委員会でも質問をさせていただきました
東京オリンピック・
パラリンピック等への対応状況についてお伺いをします。
現在,第23回
オリンピック冬季競技大会,
平昌オリンピックが2月9日から2月25日までの17日間の日程で開催されており,日本選手団の活躍に一喜一憂しながら大きな感動をいただいています。そして,
平昌オリンピックが終わると,いよいよ2020
東京オリンピック・
パラリンピックに向けて準備が加速します。
東京オリンピックに向け,本市で国際大会が開かれることでスポーツに対する市民意識の高揚や競技力の向上につながり,また,世界中から注目されると思いますが,市として国際大会の誘致にどう取り組んでいくのかお聞かせください。
また,広島県においても昨年5月,
メキシコ合衆国と26競技の事前合宿を広島県内で受け入れる基本協定を締結し,本市においては,サッカー,体操,ボクシング,テニス,シンクロナイズドスイミングの5競技を広島市で受け入れることが決定いたしました。既に体操競技は体操協会会長の視察を受け入れ,本年5月には強化合宿を行うことが決定していますが,その他の競技について対応状況はどのようになっていますか,お答えください。
次に,本市独自の事前合宿の誘致についてお伺いします。
本市では独自で事前合宿の誘致を進められており,
オーストラリア連邦のホッケー,
キューバ共和国の野球,デンマークの
ハンドボールを中心に事前合宿の誘致に各競技団体や関係機関と連携し,積極的に取り組んでおられますが,現在の取り組み状況についてお聞きします。
まず,
オーストラリア連邦については,広島県・
市ホッケー協会から強豪として知られている
オーストラリア女子の選手団の誘致を図りたいとの意向が示されて以降,
国内女子リーグのトップチームで
オーストラリア人が監督を務めるコカ・コーラレッドスパークスの協力を得ながら積極的に誘致を進められており,既に昨年の8月には2020
東京オリンピックを見据えた
オーストラリア女子ホッケーチームの
広島キャンプが実現するなど事前合宿の誘致の機運も盛り上がってきましたが,一方で,事前合宿の受け入れが決定した場合,練習会場となる広域公園第二球技場の人工芝を
東京五輪仕様に張りかえてほしいという要望がかねてから広島県・
市ホッケー協会から提出されていると同時に,現地視察を行った
オーストラリアホッケー協会からも
東京五輪仕様に張りかえれば2020年の直前キャンプも広島で行いたいとの意向を示されており,施設改修の面で大変心配しておりましたが,今議会,第二球技場の
人工芝張りかえに1億6520万円が予算計上されており,いよいよ本格的に受け入れ体制が整いつつあると感じますが,現在の対応状況についてお答えください。
次に,
キューバ共和国については,昨年1月に松井市長みずからが
キューバ大使館を訪問した際に,大使から,文化・行事などの交流を積み重ね,最高潮のところで合宿につなげたい旨の提案をいただき,昨年の9月には事前合宿に関する本国の検討状況の報告等のため大使が来広され,その節にも,広島市は平和を目指して核兵器のない社会を望む
キューバ共和国と日本を結ぶ象徴的な都市であり,ともに野球が盛んであることから,キューバ政府も実現を望んでおり,具体的に話を詰めたいとの話があったとお聞きしています。本市は非常に高い評価をいただいていると感じますが,一方で他の複数の都市が
キューバ共和国に対して事前合宿の誘致を行っていることもありますので,現在の対応状況についてお答えください。
次に,
デンマーク王国については,昨年の5月に競技団体を通じてデンマーク側の意向を確認されていますが,広島合宿は困難であると聞いています。今後,県・
市ハンドボール協会の意向を踏まえながら,デンマーク以外の国の誘致について可能性を検討し,
ハンドボール競技においてもいずれかの
オリンピック出場国の事前合宿を実現できるよう検討してもらいたいと思いますが,現在の対応状況についてお答えください。
次に,スポーツと平和に関する国際会議についてですが,本市としても被爆75周年という節目の年に開催される東京2020
オリンピック・
パラリンピック競技大会に関連する行事として,本市からスポーツを通じて平和のメッセージを発信することを目的とした国際会議を実現するため,JOC及びスポーツ庁などの関係機関とこれまでも協議してこられましたが,現在の対応状況についてお答えください。
次に,
広島広域公園の活性化の検討についてお伺いします。
現在,
サッカースタジアム建設の検討が行われており,私が所属します
都市活性化対策特別委員会でも重要課題の一つとして調査・研究が進められています。その委員会審議の中や議員同士のやりとりの中で最近よく耳にするのが「
サッカースタジアム建設の議論ももちろん大切だが,その後の広域公園はどうするんだろうか」,「
サッカースタジアム建設の結論は別として,広域公園の活性化を同時並行で検討しないといけないんじゃないか」という話をよく耳にするようになりました。
御承知のとおり,
広島広域公園は平成5年に
アジア競技大会の開催に合わせてオープンしました。
簡単に施設の紹介をしますと,陸上競技場は5万人収容で,県内唯一の日本陸連第1種
公認陸上競技場で,記録を出しやすい競技場として人気があり,近年では男子100メートル
日本記録保持者である桐生選手が高校時代に10秒01を出した競技場としても有名です。
次に,第一球技場ですが,1万人収容規模の天然芝のフィールド,天然芝の球技場としては中国地方2位の規模で,
県高校サッカー選手権の決勝を行うほか,ラグビー,ゲートボールなど多目的に使われています。
次に,第二球技場ですが,3,000人収容の人工芝のフィールドで,
ホッケー日本リーグが開催されるなど
ホッケー球技場としては日本有数の施設であり,先ほどの質問の中で述べさせていただいたとおり,現在,
オーストラリア女子ホッケーチームの
事前合宿誘致が積極的に行われており,それに先駆け,練習会場となる第二球技場の人工芝を
東京五輪仕様に張りかえる予算が今議会に提案されています。
次に,
テニスコートですが,国際的な大会が可能な20面のコート,3,000人収容の
センターコート,1,000人収容のサブコートがあり,平成24年から国際基準となったデコターフに張りかえ中であり,規模でいえば東京の有明テニスの森公園に次ぐ規模となっています。また,本年9月に開催される女子テニスの国際大会,
ジャパンウイメンズオープンテニス2018でも使用される予定となっています。
そのほかにも補助球技場6レーン及び投てき練習などが整備され,周辺にはクスノキの大木を初めイチョウ,ケヤキ,ツツジ等が整備され,四季折々の風情が楽しめるとともに,全国有数の競技施設が集積する
市民スポーツ・
レクリエーション活動の拠点施設となっています。
本市においても来年度,
テニスコートの改修,エディオンスタジアムの個席化,トイレの洋式化,第二球技場の人工芝の張りかえなどに約3億3000万円の予算が計上されると同時に,これまでも東京五輪に向けた
事前合宿誘致,また本年秋には
ジャパンウイメンズオープンテニス2018を誘致するなど懸案事項の解消に向けて努力されており,一定の評価をいたしますが,
サッカースタジアムの検討いかんにかかわらず,
広島広域公園の活性化は今のうちから検討していく必要があると考えます。
先日,
都市活性化対策特別委員会の視察でサッカーの
ナショナルトレーニングセンター,J−
GREEN堺を訪問しました。16面のコートのほか,300名余りが宿泊できる施設があり,年間80万人の来場者でにぎわい,青少年の
スポーツ振興に大きく貢献しており,本市所有の
広島広域公園の活性化を検討していく上で非常に参考になりました。
そこで,
広島広域公園の活性化の検討に向けて数点お伺いします。
まず,
広島広域公園の
有料公園施設における利用者及び観客の推移はどうか,お聞かせください。
次に,
広島広域公園はJ−
GREEN堺に見劣りしないぐらいの日本有数の競技施設が集積しており,J−
GREEN堺同様,合宿可能な施設を整備することで
一流アスリートの招聘や利用度も格段と高まり,中高生が同じフィールドでその高いパフォーマンスを体感することにより青少年の競技力向上につながり,ひいては本市の
スポーツ振興につながると考えますが,お考えをお聞かせください。
また,合宿誘致のためには宿泊や食事が可能な施設,
トレーニングのできる施設,プールや体育館などが考えられますが,
オーストラリア女子ホッケーチームを誘致することもあり,アスリートにとって必須の
トレーニング施設だけでも先行的に整備してはどうかと思いますが,お考えをお聞かせください。
次に,完成後25年が経過し,施設も老朽化してきており,雨漏りや周辺の
インターロッキングもでこぼこしているとお聞きしますが,老朽化対策についてはどのように考えているかお答えください。
最後に,
広島広域公園でゲートボールや
グラウンドゴルフ大会を開催されたときに,高齢者の方から会場へ着くまでの急な坂道が大変きつかったという声があったとお聞きします。将来的にはアストラムラインの延伸も計画されており,車以外で利用される方がふえることが予想されます。今後,
広島広域公園の活性化を検討する上で,高齢者や障害者に配慮した駅から
広島広域公園までのアクセスを検討していただくよう強く要望し,次の質問に移らせていただきます。
次に,恵下埋立地の建設工事のおくれについてお伺いします。
恵下埋立地は,平成31年度末をもって埋め立てを終了する予定の玖谷埋立地に続く新たな
一般廃棄物最終処分場として,平成32年度の開設を目指して整備が進められてきました。しかしながら,先日,市から,現在建設工事におくれが生じているとの説明がありました。恵下埋立地を計画どおり整備することは,市民が健康で安全かつ快適な生活を営むことのできる環境を実現するために必要不可欠なことです。恵下埋立地が計画どおり完成しなければ市民生活に重大な支障が生じることになります。
一方で,建設工事に当たっては,周辺の環境の安全性の確保に十分配慮しながら整備を進める必要があります。
恵下埋立地の工事現場から,平成28年8月に
ダイオキシン類を含む廃タイヤの燃え殻が発見され,さらにその後に行った土壌調査により,鉛による汚染土壌が確認されました。
こうした状況を受け,市では建設工事を一時中断し,燃え殻などの処理を進めており,現在も作業が継続して行われています。恵下埋立地の工事現場から発見された
ダイオキシン類を含む廃タイヤの燃え殻や,鉛による汚染土については,広島市の責任において安全で適切に処理する必要があります。しかしながら,これらの処理に伴う恵下埋立地の建設工事のおくれは市全体のごみ処理にかかわる問題であり,現在,稼働している広島市の最終処分場である玖谷埋立地にも影響が生じることになります。また,恵下埋立地の建設工事が行われている湯来町水内地区や,工事車両が運行している沼田町戸山地区にもさまざまな影響が生じてくると思われます。
こうした状況を踏まえ,数点の質問をさせていただきます。
まず,恵下埋立地の建設工事の状況や,工事現場から発見された燃え殻や鉛による汚染土の処理の状況についてお伺いします。燃え殻や汚染土の処理により生じたおくれを取り戻すため,工程の調整を図りながら工事を進めていくとのことでしたが,現在,恵下埋立地の建設工事はどのような状況なのでしょうか。
次に,廃タイヤの燃え殻の処理については,現在どのような状況なのでしょうか。また,燃え殻の中から燃え残りの廃タイヤや石が確認され,その対応を検討されているとのことでしたが,燃え残りの廃タイヤや石をどのように処理される予定なのかについてもお答えください。
次に,燃え殻の処理と並行して鉛による汚染土の処理も行われていると思いますが,現在の状況と今後の見通しについてお答えください。また,燃え殻や汚染土の処理により工事費の増加が生じていると思いますが,これまでどれくらいの経費がかかっているのでしょうか。今後,追加の経費が発生した場合,どのように対応されるのかについてもお答えください。
次に,こうした燃え殻や鉛による汚染土の処理により,工事の一時中断や工事費の増加が生じているわけですが,こうした状況について市はどのように考えているのかお聞かせください。また,建設工事のおくれは,当然,埋立地の開設時期にも影響を与えることになります。新聞報道によると,開設時期については汚染土の処理が済み次第,改めて算定するとのことでしたが,いつごろ明らかになるのでしょうか。あわせてお答えください。
次に,恵下埋立地の建設工事のおくれは,近隣の水内地区や工事車両が運行する戸山地区などにも影響を与えることになります。水内地区や戸山地区の住民の皆さんは市全体のごみ処理の重要性を理解され,苦渋の決断として恵下埋立地の建設に合意されました。建設工事のおくれにより工事に伴う影響が長引くことになり,住民の皆さんの負担はより大きなものになってきます。こうした状況に対し,市はどのように対応されるのでしょうか。お考えをお聞かせください。
また,これまでの恵下埋立地に対する市の対応について,地元住民の皆さんへの情報提供のおくれがたびたび指摘されています。今回の恵下埋立地の建設工事のおくれについて,地元にいつ情報提供をされているのでしょうか。また,地元住民の皆さんからはどのような御意見が出されているのかについてもお答えください。
次に,恵下埋立地が開設するまでの間の不燃ごみ等の処理についてお伺いをします。
市からは,玖谷埋立地の埋立期間の延伸や
県出島処分場の活用などにより対応するとの説明がありました。玖谷埋立地の埋立期間はどの程度の余裕があるのでしょうか。また,玖谷埋立地の埋立期間を延伸する以外に方法はないのでしょうか,お答えください。
焼却灰の処理については,
県出島処分場を活用する方向で調整するとのことでしたが,焼却灰だけでなく不燃ごみについても
県出島処分場で処分することはできないのでしょうか。また,民間の処分場を活用できないのか検討されたのでしょうか,あわせてお答えください。
玖谷埋立地は,当初,平成2年から平成16年度末までの15年間という埋立期間で開設しましたが,その間,市が進めた最終処分場の整備が実現に至らなかったため,平成16年度に地元の理解を得て平成31年度末まで埋立期間を延伸しており,現在の埋立期間は30年間となっています。今回の恵下埋立地の建設工事のおくれに伴い,30年間という長期にわたり負担をおかけしている玖谷埋立地の地元の皆さんにさらなる負担をおかけする事態となり,こうした状況に対して市はどのように対応されるのでしょうか,お答えください。
最後に,玖谷埋立地の埋立期間の延伸についての地元の調整状況についてお伺いをします。
地元の皆さんは埋立期間を再度延伸することについてどのように受けとめられ,どのような意見が出されているのでしょうか。また,市は地元からの御意見や御要望に今後どのように対応していかれるのでしょうか,お考えをお聞かせください。
恵下埋立地の建設工事のおくれに対する質問は以上ですが,ここで少し私の考えを述べさせてもらいます。
一部の人から玖谷埋立地の埋立期間を延伸し,
県出島処分場を活用することにより恵下埋立地の整備を一時中断して計画の見直しを行ってはどうかという意見が出されています。最終処分場の整備や運営に大きな負担を担っている恵下埋立地や玖谷埋立地の地元の皆さんのお気持ちを考えれば,恵下埋立地の整備を一時中断して計画の見直しを行うことはとても受け入れることのできない話だと思います。
先ほど申し上げたとおり,一般廃棄物の最終処分場は市民生活にとって必要不可欠な極めて重要な施設であり,その整備は必ず実現されなくてはなりません。恵下埋立地に関してはこれまでさまざまな問題や課題が発生していますが,今回,建設工事のおくれという事態が生じ,周辺住民の皆さんだけでなく,玖谷埋立地の地元の皆さんにも新たな負担が生じています。もちろんその全てが市の責任ではありませんが,市はこうした状況を真摯に受けとめ,一日でも早く恵下埋立地を完成させる必要があります。また,大きな負担を担っている地元の皆様に誠意を持って対応し,さまざまな工夫によりその負担を少しでも軽くするための努力を続けていただくようお願いをしておきます。
次に,主要地方道広島湯来線の整備の進捗状況についてお伺いをします。
恵下埋立地のおくれと同じく心配なのは,佐伯区湯来町の水内地区と安佐南区沼田町の戸山地区を結ぶ主要地方道広島湯来線の整備の進捗状況です。この水内−戸山間の整備は延長約6.7キロメートルで,区間のほぼ中央に約2.1キロメートルのトンネルを整備するものです。このうち戸山側についてはトンネル入り口部を除いておおむね完成しています。水内側については今回の議会に建設工事の契約締結議案が上程されるなど整備が進んでいます。しかしながら,中央部のトンネル部分についてはいまだに工事着手されていません。これは戸山側のトンネル入り口の用地取得が思うように進んでいないからだと聞いています。
この広島湯来線の整備は,水内地区の住民が湯来町と広島市が合併した経緯も考慮し,地区の環境保全と恵下埋立地の安全確保を絶対条件に,住民の健康と福祉を守り,地域の発展に寄与する水内−戸山間の広島湯来線の整備等に取り組むとの約束をもって広島市からお願いのあった恵下埋立地の建設を受け入れるという苦渋の選択をし,事業が進展したものです。この道路は恵下埋立地への搬入路になるだけでなく,広島市とその周辺市町における中山間地域の活性化に資する重要な路線で,来年度新たに予算計上された戸山地域・湯来地域における連携施策の検討を行う上でもなくてはならない道路だと思います。特に水内地区の住民にとって中心部へのアクセス向上につながり,地域の高齢化が進む中,地域の活性化の担い手となる若者の定住促進を図るなど,地域の発展に必要不可欠なもので,水内地区のいわゆる生命線となるものです。一日も早い完成が住民の悲願であります。
そこでお伺いしますが,水内−戸山間の主要地方道広島湯来線の整備はどのような進捗状況でしょうか,お答えください。
次に,トンネル部分について一部の土地所有者から用地協力が得られていないと聞いていますが,どのような状況なのでしょうか。また,今後どのように対応していかれるお考えなのか,お答えください。
以上で私の総括質問を終わらせていただきます。長時間の御清聴,まことにありがとうございました。(拍手)
○永田雅紀 議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 宮崎議員からの御質問にお答えします。
スポーツの振興についてのうち,国際大会の誘致についての御質問がございました。
本市では,平成28年3月に改定した
スポーツ振興計画において,東京2020
オリンピック・
パラリンピック競技大会を契機とした
スポーツ振興に関する事業の推進を施策に掲げ,市民が国際レベルのスポーツに親しむとともに,市外からの誘客などによりまちのにぎわいづくりを進めるため,国際的なスポーツ大会の誘致に積極的に取り組んでいます。
具体的には,
東京オリンピックから正式種目となったBMXフリースタイルなどを含む都市型スポーツの世界大会FISEがことし4月に日本で初めて開催されるほか,9月には女子テニスの世界ツアー
ジャパンウイメンズオープンテニス,10月には障害のある方を中心としたヨットの世界大会であるハンザクラスワールド,11月にはフィギュアスケートのグランプリシリーズであるNHK杯国際フィギュアスケート競技大会と相次いで大きな国際大会が本市で開催されることが決まっております。
こうした国際大会の開催を契機として,人が動くことで経済への波及をもたらす仕掛けづくりを進めており,例えば4月のFISE開催期間中には,JR線の呉駅から岩国駅までの自由周遊切符や,県内のバス事業者が連携した近隣市町への割引周遊パスを企画するなど,圏域のさらなるにぎわい創出につなげるよう取り組んでおります。また,世界中に広島がにぎわいのある魅力的な都市であるということを配信し,平和への思いを共有してもらえる機会にもしたいと考えております。
多くの市民にとって,スポーツに対する関心を高め,スポーツをする動機づけや競技力向上への意識高揚につながるだけでなく,郷土への誇りを持ってもらうことにもつながると考えており,今後とも,新しいスポーツ王国広島を目指し,国際大会の誘致に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。
○永田雅紀 議長 市民局長。
◎谷本睦志 市民局長 スポーツの振興についてのうち,
東京オリンピック・
パラリンピック等への対応状況について,まず,本市において合宿を受け入れることが決まっている
メキシコ合衆国5競技のうち,合宿が決定している体操競技以外の対応状況についてです。
メキシコ選手団の合宿受け入れについては,事前に競技役員が視察を行い,合宿の人数や期間などの具体的な条件面について調整を行った上で,その翌年度以降に選手団の合宿を受け入れることにしています。体操競技以外のテニス,ボクシング,サッカー,シンクロナイズドスイミングの4競技については,早ければ2018年度中に競技役員の視察が行われ,2019年度に強化合宿を受け入れることになりますが,現時点で2018年度中の視察が決定しているのはテニス,ボクシングの2競技であり,残りのサッカー,シンクロナイズドスイミングの2競技については,引き続き視察の時期についてメキシコ側の意向を確認しているところです。
次に,
オーストラリア連邦ホッケー競技の事前合宿の対応状況についてです。
昨年8月の強化合宿の受け入れと交流事業は高評価であったことに加え,合宿地選定の大きな決定要因となる
広島広域公園第二球技場の人工芝の張りかえを計画していることも伝えており,オーストラリア側からは来年度以降の女子チームの合宿地を本市とする方向で調整していると聞いております。今後は,できるだけ早く正式な合意に至るよう,引き続き県・
市ホッケー協会等と連携してオーストラリア側に働きかけていきたいと考えています。
次に,
キューバ共和国野球競技の事前合宿の対応状況についてです。
昨年9月,駐日キューバ大使が来広された際,広島市での事前合宿についてキューバ政府も前向きであり,今後,本国の担当者による視察を行った上で具体的な協議を進めたいとの意向が示されました。このため,現在,視察の時期等について駐日
キューバ大使館と協議を行っているところであり,今後,人数や期間などの具体的な条件面での調整を進め,事前合宿の受け入れの実現を目指すこととしております。
次に,
デンマーク王国ハンドボール競技の事前合宿の対応状況についてです。
デンマーク
ハンドボール協会の意向を確認したところ,世界レベルの強豪チームと練習ができることが最優先であり,そういったチームの練習が難しい本市での事前合宿は困難であるとのことでした。今後は,県・
市ハンドボール協会の意向を踏まえながら,デンマーク以外の国の
事前合宿誘致が可能かどうか検討してまいります。
最後に,スポーツと平和に関する国際会議の対応状況についてです。
昨年スポーツ庁と協議する中で,毎年春に行われている国連が定めた開発と平和のためのスポーツ国際デーの記念イベントを2020年に本市で開催する方向で検討していくこととなりました。
オリンピック開催年にこの記念イベントを本市で開催すれば,スポーツを通じた国際的な平和友好のメッセージの発信や,世界平和を目指す
オリンピック・ムーブメントの推進にもつながると考えられることから,実現に向けてスポーツ庁と役割分担やイベント内容の調整を進めてまいります。
以上でございます。
○永田雅紀 議長
都市整備局長。
◎山地正宏
都市整備局長 スポーツの振興のうち,
広島広域公園の活性化の検討についての3点の御質問にお答えいたします。
まず,
広島広域公園内の
有料公園施設における利用者数及び観客数の推移についてです。
広島広域公園内には,議員から御紹介のありましたように,陸上競技場のエディオンスタジアム広島など五つの
有料公園施設があります。これらの施設の利用者数は過去5年間では,平成24年度が約32万人,平成25年度が約33万人,平成26年度が約31万人,平成27年度が約38万人,平成28年度が約29万人となっております。
次に,
有料公園施設で開催されたスポーツ大会やコンサートなどの観客数は,平成24年度が約47万人,平成25年度が約46万人,平成26年度が約37万人,平成27年度が約46万人,平成28年度が約38万人となっております。
次に,施設の老朽化対策についてお答えいたします。
広島広域公園は,平成5年4月の供用開始後25年が経過し,陸上競技場では雨漏りが発生し,テニス場ではコート面にひび割れが生じ,周辺の園路の
インターロッキングが破損するなど,各施設の老朽化が進んでおります。このため,雨漏りが発生した場合には,その都度,防水シートの補修などを行うとともに,園路の
インターロッキングなどが破損した場合にも必要な補修を行っているところでございます。さらに来年度からは,陸上競技場の観客席の改修工事に合わせ,本格的な防水工事を行う予定としております。また,テニス場のコート面や陸上競技場のフィールドなどの芝生については,定期的に改修を行うこととしております。
今後とも,引き続き必要な補修を速やかに行うとともに,計画的な改修により施設の適切な維持管理に努めてまいります。
最後に,
広島広域公園は日本有数の競技施設が集積しており,合宿可能な施設を整備することで本市の
スポーツ振興につながると思うがどうか。また,合宿誘致のために
トレーニング施設だけでも先行的に整備をしてはどうかということについてです。
広島広域公園の競技施設を活用した
スポーツ振興については,現在,議員から御紹介のありましたように,本年秋には女子テニスの国際大会である
ジャパンウイメンズオープンテニスが開催されることになっており,2020年の
東京オリンピック大会に向けたメキシコチームの事前合宿も予定されています。さらに,オーストラリアホッケーチームの事前合宿の誘致にも積極的に取り組んでいるところでございます。
こうした取り組みの中で,合宿施設や
トレーニング施設があればさらなる利用促進につながるとの御意見もいただいているところでございます。本市としましては,利用促進のために不可欠な取り組みとして
テニスコートの補修などの施設機能の維持や,第二球技場の人工芝の張りかえなど,現行の施設機能の向上に努めているところですが,
トレーニング施設など新たな機能の整備については,スポーツ団体を初めとする利用者や地域住民の御意見を伺いながら,広島広域都市圏の活性化に資する施策としての位置づけ等も踏まえ,しっかりと検討してまいります。
以上でございます。
○永田雅紀 議長 環境局長。
◎和田厚志 環境局長 恵下埋立地の建設工事のおくれについての数点の御質問に順次お答えをいたします。
まず,恵下埋立地の建設工事の現在の状況についての御質問にお答えします。
本市では,玖谷埋立地に続く新たな
一般廃棄物最終処分場として,平成32年度の開設に向け,恵下埋立地の建設工事を進めてきましたが,平成28年8月に発見された廃タイヤの燃え殻や,その後の調査で発見された鉛による汚染土を適切に処理するための一連の作業が必要となったため,現時点で工期に1年半程度のおくれが生じています。このため,燃え殻や汚染土を適切に処分するための一連の作業をできるだけ迅速に完了させるべく,工事工程の調整を図りながら建設工事の進捗に努めているところです。
次に,廃タイヤの燃え殻の現在の処理状況と,燃え殻の中から確認された石などの処理についての御質問にお答えします。
建設工事の現場から発見された廃タイヤの燃え殻のうちの約3割は埋め立て可能なものであることから,
県出島処分場で処分する方向で関係機関と調整を進めています。また,残り約7割のうち,直径10センチメートルを超える石や廃タイヤの燃え残りについては,受け入れ可能な処理施設と搬入方法等についての調整を進めていますが,それ以外の燃え殻については,埋め立て可能な濃度にすべく,昨年11月から福山市にある処理施設に搬出し,処理しているところです。
次に,鉛による汚染土の現在の処理状況と,今後の見通しについての御質問にお答えします。
昨年行った土壌汚染状況調査により,工事現場内の9カ所から鉛による汚染が確認されていますが,これらの汚染区域のうち造成工事に着手している4カ所の区域については,現在,詳細な調査を実施し,掘削方法や処分先等を検討しているところです。また,残りの5カ所の区域は造成工事の着手に合わせ,一連の作業として処理するほうが効果的なことから,その対応方法等の検討を行っているところです。
次に,燃え殻や汚染土の処理などについて,これまでに要した経費と,今後,追加の経費が発生した場合の対応についての御質問にお答えします。
廃タイヤの燃え殻の処理に要する経費としては,現在,業者との間で約5億5000万円の契約を締結しています。この契約には燃え殻処理になじまない直径10センチメートルを超える石などの処理経費は含んでいなかったため,今年度に計上している予算の残予算で対応できるようにいたします。
一方,鉛による汚染土の処理については,今年度の予算に必要経費を計上しておらず,現時点で処理に要する経費が確定できていないため,来年度,建設工事の一連の作業として処理するために所要の予算措置を講じることになると考えています。
次に,燃え殻や鉛による汚染土の処理により,工事の一時中断や工事費の増加などが生じていることについて,どのように考えているのかとの御質問にお答えします。
いじめの問題に関してです。今,御答弁いただいた中で,広島市の認知件数は実態とは違うと,かけ離れているということを認められました。ということは,今,現時点においてもいじめで苦しんでる方が,児童生徒がいらっしゃるかもしれない,いや,もういるというふうに思ったほうがいいというふうに思います。本当に教職員の皆さん,そして教育委員会,そして保護者,地域も含めて今のいじめの定義をしっかりと踏まえて,意識改革という部分の啓発もよろしくお願いしたいというような中で,一つだけ質問させてください。
各学校は学校のいじめ防止等のための基本方針というものを学校ごとにつくらなければならないというようなことになっているかと思うんですけども,これをインターネット上で公開されているのでしょうか。これはインターネットで公開すればいいというものでもないんですけども,やはり一つ一つ,いじめに対して真摯に向き合う,そういったことの一つではないかなというふうに思っております。
ここのところをお聞きして,私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○永田雅紀 議長 教育長。
◎糸山隆 教育長 市立の学校において,学校のホームページでいじめの防止等のための基本方針というのを多くの学校では載せておりますが,必ずしも全てではございません。内訳で申しますと,小学校で申しますと142校中116校,81.6%,中学校で申しますと,63校中42校,66.6%,高等学校は全て100%です。今後,全ての校種において,これは100%を目指してまいります。
以上です。
───────────────────────────────────────
休憩宣告
───────────────────────────────────────
○永田雅紀 議長 この際,暫時休憩いたします。
午前11時31分休憩
───────────────────────────────────────
午後1時04分開議
出席議員 48名
欠席議員 5名
○山田春男 副議長 出席議員48名であります。
───────────────────────────────────────
開議宣告
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○山田春男 副議長 休憩前に引き続き会議を開き,総括質問を行います。
27番米津欣子議員。
〔27番米津欣子議員登壇〕(拍手)
◆27番(米津欣子議員) お疲れさまでございます。公明党の米津欣子でございます。
会派を代表いたしまして,総括質問をさせていただきます。しばらくの御清聴よろしくお願いいたします。
まず,発達障害などのある子どもへの支援についてです。
我が国は,国連の障害者権利条約に平成26年1月に批准しましたが,その過程で,障害者基本法の改正,学校教育法施行令の改正,障害者差別解消法成立など,同条約の趣旨を踏まえたさまざまな法整備等が行われました。こうした取り組みが進められていくことは,発達障害等も含め,障害のある方々が社会参加の機会が確保され,地域社会において他の人々と共生することができるようになるためにとても重要なことであると考えています。
ただ,法整備等が進められたとしても,実際に合理的配慮や個別の支援等が必要な方々に適切な支援がなされなければ意味がありませんし,特に乳幼児期から小・中・高等学校という若年世代において,周囲の理解や必要な支援が適切に行われるかどうかは,当該の子供のその後の人生に大きな影響を及ぼすものと考えます。
そこで,今回は発達障害など特別な教育的支援を必要とする子供たちへの支援のあり方に絞って質問させていただきます。
少し古い話になりますが,文部科学省において平成24年に実施した通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査によりますと,公立小・中学校の通常の学級には,発達障害のある児童生徒が6.5%在籍している可能性があると発表されています。
そこで,本市の状況について伺います。本市の小・中学校においては,このような児童生徒はどのくらいの割合でいるのでしょうか。また,この3年間の推移はどうなっているのでしょうか。
発達障害など特別な教育的支援を必要とする児童生徒の多くは,手厚い支援を受けている特別支援学校や特別支援学級ではなく,通常の学級に在籍しています。このような児童生徒が,学習や生活上の困難の改善や克服に向け,通常の学級に在籍しながら週一,二回,自校内や他校に設置された通級指導教室において,当該児童生徒の障害の状態に応じた個別の指導や支援を受ける通級による指導という仕組みがあります。公立の小・中学校において,通級による指導を受けている児童生徒数は年々増加し,平成28年5月1日現在では全国に9万8311人おり,10年前の約2倍となっています。
現在,多くの自治体において,小・中学校に通級指導教室を設置していますが,そこで個別の指導や支援を受けている児童生徒のうち,義務教育終了後も引き続き個別の指導や支援を必要とする子供たちへのサポートはどのようになっているのでしょうか。義務教育終了後,ほぼ全ての児童生徒が高等学校へ進学しているという一方で,個別の指導や支援を必要とする児童生徒については,特別支援学校の高等部に進学しない限り,困難の改善や克服に向けたサポートを受けながら高等学校で学ぶことは難しいというのが現状です。
我が公明党は,2011年から,高等学校での通級による指導の制度化に向けて訴えてまいりました。その結果,文部科学省は,2014年度からモデル事業を実施し,その成果も踏まえて,2016年12月,高等学校での通級による指導を制度化するための省令などの改正を行いました。本年4月1日には施行されますので,来年度からは本市においても高等学校における通級による指導を行うことができるのです。当然のことながら,通級による指導を行うに当たっては,担当する教員の発達障害等への理解はもちろんのこと,個別の指導や支援を必要とする生徒の状況に応じたきめ細かい指導や支援を行うことができるだけの高い専門性が必要となります。
通級指導教室を設置すればよいというものではないことはよくわかっていますが,個別の指導や支援を必要とする子供たちに切れ目のない支援を実現し,一人でも多くの子供たちが困難を改善・克服できるよう,早期に設置してほしいと考えています。
そこで,伺います。本市の高等学校における通級による指導の実現に向けた取り組みはどのようになっているのでしょうか。
私は,発達障害に関して,あらゆる角度から10年以上この問題について取り組んでまいりました。10人に1人の割合で発達障害を抱えているとも言われる中,障害を特性と捉え,社会に多様な受け皿を整備していくことが重要だと考えます。発達障害の特性のある子供は個性が非常に強いため,周囲と折り合いをつけることが困難です。
例えばADHDの子は,一言で言うとそそっかしい子と言えます。具体的には,よく動き,落ちつきがない,座っていても手足や上半身が動く,じっと集中して勉強するのが苦手,思いついたらすぐ行動に移す,うっかりミスが多く,よく忘れ物をする。まるで私のことのように思いますが,ADHDの子はそのそそっかしさが強く,そのせいで生活のさまざまな場面で苦しくなってしまいます。ADHDの子の多くは性格的に明るく,おもしろいことがどんどん思い浮かび,発想が豊かです。ただ,ちょっと変わった発想をすることがあるので,周囲がこれをうまく酌み取り,前向きに生かしていく必要があります。子供の気持ちを酌めない了見の狭い大人の中で育つと,その長所を発揮することができず,自信や意欲を低下させてしまうことにつながります。本人の特性をよく理解し,周囲の大人が適切にかかわることが大切なのです。そうすることにより,子供たちは発達障害が生活上の支障につながらないのです。
就学前の幼児期の子供たちは,一人一人の特性に応じたきめ細かい指導や支援を行うことで,自分の好きなことに熱中する体験をたくさん持ち,その体験は自信につながり,結果,心も安定すると考えます。発達障害の特性を持つ子供が幼少期にそうした基盤を築くことにより,小学校入学後は学校生活でうまくいかないことがあっても,周囲からの支援を得ながら乗り越えていくことができるのです。
また,自閉症スペクトラム障害── ASDは,対人関係の築きにくさが顕著にあらわれます。視線を合わせられなかったり,思いをうまく語れなかったりするなどです。耳からの情報は音でしかない,言葉の意味がわからない。文字で書いてもらうとわかるのに言葉で言われると理解できにくい。自分の気持ちや感情を話すことができなくて筆談を用いれば気持ちを伝えられる。コミュニケーションが苦手なだけで,本当はみんなと話したい。
ASDは生まれつきの脳機能障害と言われています。知的障害がある子もない子もいます。全く話せない子,聞き手のことを考えず,自分のペースで話し続ける子など,個々のコミュニケーションの難しさがあります。学校において,教師は,どの学級にも状態の差こそあれ,このような特性を持つ子供たちが在籍していることを念頭に入れ,それぞれの子供の特性を理解し,それに応じた支援をする必要があります。子供たちと接する大人が適切にかかわることによって,障害のある子供を伸ばすことができます。
ADHDとASDを例にお話をしましたが,共通して言えることは,周囲の大人たちが個々の児童生徒の特性に応じた適切な対応や指導・支援を行うことでみずからに自信を持ち,積極的に周囲にもかかわろうとする体験を積み重ねながら,その人らしく成長することができるということです。幼少期に1日の大半の時間を過ごす学校がそのような場であることが必要だと思います。
そこで,伺います。発達障害など特別な教育的支援を必要とする児童生徒に対して,教育委員会はどのような支援を行っているのでしょうか。
加えて,各学校には,通常の学級に在籍する発達障害等の特別な教育的支援を必要とする児童生徒を対象に,特別支援教育アシスタントが配置されております。年々,配置人数はふえていると理解していますが,こうした人材を有効に活用するためには,まずは,子供たちと日々接する教師一人一人がこうした子供たちの特性を適切に見取り,理解し,支援することができるようになることが不可欠です。そして,特別支援教育アシスタントに,具体的にどのような支援をすればよいかを学校として的確に伝えていく必要があります。各学校においては,特別支援教育コーディネーターを核として,特別支援教育アシスタントを有効に活用し,定期的に子供たちへの支援内容を見直し,よりよい支援策を検討することができるような校内の支援体制を構築し,チーム学校として組織的に子供たちを支えることができるようになってほしいと思います。
こうして一人一人の子供たちを理解し,支援することによって,いじめや不登校への対応やマスコミ等で取り上げられるような悲しい事故や事件などを未然に防ぐことができるものと考えています。学校の管理職を初め,各学級担任や特別支援教育コーディネーター,特別支援教育アシスタントなど,チーム学校を構成する一人一人が,それぞれの立場で,みずからの専門性の向上に向け,常に学ぼうとする姿勢を持つことが大切であると考えます。発達障害については,さまざまな講座やワークショップなど理解を深めたり,適切なかかわり方を学んだりする機会はたくさんあります。そうした機会を積極的に活用し,目の前の子供たちにとって最善の指導や支援を行い,切れ目のない支援の実現に向け,次につないでいけるような学校組織であることを強く願い,この質問を終わります。
次に,広島市国民健康保険データヘルス計画に関して何点かお伺いいたします。
平成30年度から実施となる市町村国民健康保険の都道府県化に当たり,保険者機能強化が強調されています。国が保険者に求めるのは,医療費の適正化イコール抑制であり,その指標として与えられるのが,昨今,国が多用する医療費の地域差で,これを埋め医療費を抑制するのが保険者の仕事であるとの方針です。この医療費の地域格差是正に向けた保険機能強化と分かちがたい関係にあるのが,データヘルス事業であると思われます。国は,国民の健康寿命の延伸を旗印に,全ての健康保険組合に対し,レセプト等のデータ分析,それに基づく加入者の健康保持増進のための事業計画として,データヘルス計画の作成,公表,事業実施,評価等の取り組みを求めるとともに,市町村国保が同様の取り組みを行うことを推進する都市市町村国保にデータヘルス計画の策定を求めております。既に本市も計画は策定されておりますが,他都市との比較をさせていただきながら,本市の抱える課題等について議論をさせていただきたいと思います。
まず第一に,特定健康診査についてお伺いいたします。
計画では,特定健康診査,特定健康指導の推進として,まず特定健康診査の受診率の向上が掲げられています。受診率の向上については,国民健康保険中央会が出された市町村国保における特定健康診査実施状況調査の結果についての中で,向上した要因を健診未受診者個人への受診勧奨をトップに,特定健診とがん検診の同時実施,広報活動,受診料の自己負担額の軽減などが挙げられています。未受診者への受診勧奨など,特定健診の受診率の向上を図ることで,市民各個人は生活習慣病のリスクを把握することにより,生活習慣の改善につながり,重症化予防ができます。
また,地方自治体は重症化予防の効果により医療費の伸びを抑制することができ,ひいては地域社会にとって健康寿命の延伸や健康格差の縮小といった健康増進に大きな貢献を果たすことができると考えます。国民健康保険制度全体を持続可能なものにするためにも,自治体や関係医療機関が一体となって特定健診の受診率向上の施策に取り組む必要があると考えます。
そこで伺います。
1,本市の受診率はどのようになっておりますか。政令市の中でどの位置にあるのかも含め,お答えください。受診率の向上は医療費にどのような効果をもたらすとお考えでしょうか。
2,広島市として,これまで受診率向上を図るため,60歳代の自己負担の無料化と特定健診未受診者に対する受診勧奨,また,さまざまな広報活動などを行うなど,未受診者対策を行っていますが,どのような効果が上げられているのかお伺いいたします。
3,受診者数の月ごとの推移をお示しください。また,そこから見えてくるものはありますか,お聞かせください。
4,政令市の中で最も受診率の高い仙台市は,平成26年度,45.9%,静岡市は平成22年度から平成26年度までに12.7ポイント伸ばして30%となっています。受診率の最も高い仙台市と,最も高い伸びの静岡市,それぞれの受診率向上の取り組みについて,当局の御所見をお聞かせください。反対に,自己負担を無料化しても受診率の向上につながっていない大阪市についてはどのような分析をされているのかお伺いいたします。
5,人間ドック助成事業については,検診受診者が年々減少しているようですが,その要因と今後の対応についてお示しください。
6,以上を踏まえた上で,特定健診未受診者に対する受診勧奨のあり方を含め,今後受診率向上のためどのような施策が有効であるとお考えか,お伺いいたします。
次に,保険者努力支援制度についてお伺いいたします。
厚生労働省は,国民健康保険の財政を改善するため,メタボリック症候群予防を目的とした特定健診の受診率など取り組みに応じて保険者である自治体を財政支援する制度── 保険者努力支援制度を平成30年度から本格化します。具体的には,後発医療品── ジェネリックの使用割合やメタボリック症候群の該当者の減少率,保険料の収納率などの評価指数を設定して点数化し,医療費抑制に努めている自治体は点数が高くなり,点数に応じて優先的に公費が分配される仕組みとなっております。
そこでお伺いいたします。
1,平成28年度の得点はどのような結果になったのでしょうか,お示しください。また,それによって得られる交付額はどれくらいになるのでしょうか。都道府県単位では,1人当たり最大交付額は新潟県の591円,最少交付額は秋田県の380円となっており,平均も476円という結果が出ております。この制度の交付額の配分の仕組みの説明とあわせて,本市の交付額の状況もお示しください。
2,次に,平成28年度の得点の結果から見える課題はどのようなことがあるのでしょうか。
3,平成30年度より本格実施となり,交付額も都道府県への交付分500億円も含めれば,平成28年度の5倍以上の1,000億円が予定されており,評価指数における加点も平成29年度を経てさらに高くなり,特定健診受診率も20ポイントから50ポイントに,重症化予防や収納率も40ポイントから100ポイントに広がり,より効果的な取り組みと結果が求められてきます。こうした状況を踏まえ,今後どのような施策をお考えか,お伺いいたします。
さきに申し述べましたように,特定健診の受診率の向上のため,29年度は無料健診の枠を拡大しましたが,向上のためのインセンティブとしてのさらなる施策も必要と考えますが,いかがでしょうか,お伺いいたします。
次に,がんとの共生について質問いたします。
女性の11人に1人が一生のうちに乳がんにかかると言われています。2016年の推計では9万人が乳がんにかかり,1万4000人が亡くなったと見られています。部位別に女性のがん罹患者数を見ると,乳房が一番多く,40歳代以降を中心に増加傾向にあります。部位別の死亡数では,乳房は大腸,肺,胃,膵臓に続く5番目で,早期発見・治療ができれば治る可能性が高いがんです。そのことから,本市でも取り入れている検診を呼びかけ,それでも受診しなかった人に再度受診を呼びかけるコール・リコールによって,以前は2割程度だった受診率が44.9%まで上昇しました。さらに昨年10月に閣議決定した第3期がん対策推進基本計画では,受診率を50%に,要検査とされた人の精密検査受診率を現在の65から85%を90%に,それぞれ引き上げるとしています。
また,最近のがん治療が以前の長期入院から通院治療へと大きく変わりつつある中で,がんになっても働ける社会の構築が求められています。男性は3人に2人,女性は2人に1人ががんになります。年間101万人が新たにがんと診断され,37万人が命を落としています。そしてこの101万人の3割が65歳以下の働く世代なのです。それでも診断技術や治療方法は飛躍的に進み,がん治癒率に相当する5年相対生存率は全体で約70%,早期がんに限れば95%に達しています。がんは,不治の病とは言えなくなってきました。
ただ,残念なことは,がんと診断された3人に1人が離職しており,そのうちの約4割の人は治療と仕事の両立を断念し,治療の始まる前に仕事をやめてしまうという状況にあります。自営業の場合は,17%が廃業しています。がんと診断されると,1年以内の自殺率は,がん患者以外と比べて20倍になると報告されています。離職者のうち,がんは治らない,仕事と治療の両立は無理と考えている人が多いのが現状です。今や,がん治療の多くは通院によるものです。特に,放射線治療は1回当たり数分ほどで済み,副作用もほとんどありません。欧米ではがん患者の6割が放射線治療を受けていますが,日本は3割にも満たないのが現状です。まずは,がんの症状や治療法によって働き続けられる可能性が高いことを知らなくてはいけません。
第3期がん対策推進基本計画で,がんとの共生が掲げられました。働くがん患者の支援へ,3年以内に治療と仕事両立プランを策定するとともに,がんになっても住みなれた地域で生活できるよう緩和ケアも推進するなどが盛り込まれました。
がんになった人が治療と仕事を両立するケースについて,国立研究開発法人国立がん研究センター編,がんと就労白書では,事例を紹介しています。例えばIT企業でシステムエンジニアとして働いていたTさんは,会社の健康診断から大腸がんが見つかり,休職し,手術を受けました。産業医などの面談を経て復職し,現在,勤務先で週2回,無料でカウンセリングを受けながら働いています。Tさんは,がんについてわかってくれる人と気楽に話せる場所があることはとてもありがたいと感じるそうです。
政府は,治療と仕事の両立実現に関するプランの策定を求めています。患者をサポートする企業側の取り組みがさらに広がっていかなくてはいけないと思います。東京都では,昨年6月より,がんや難病と闘う患者を新たに採用するほか,休職していた人を復帰させた上で継続して働けるような勤務体系や休暇制度などで後押しするなど,治療と仕事の両立を後押しする企業に1人当たり最大60万円支給する制度をスタートさせました。さらに,両立を積極的に支援している優良企業への表彰も行っています。
がん患者に対するサポートはさまざまな面で大切だと考えますが,本市ではどのような取り組みをされているのか,また,これからのお考えをお聞かせください。
最後に,子供の貧困について質問させていただきます。
2013年に子どもの貧困対策法が制定され,対策を講じることが行政に義務づけられ5年。来年は対策の方向性を定める大綱の見直しの年に当たります。2017年の厚生労働省調査によると,経済的に厳しい家庭で育つ17歳以下の子供の割合を示す子どもの貧困率は13.9%,景気回復を背景に前回調査,12年時点より2.4ポイント低下したものの,依然,子供の7人に1人が貧困状態にあることが明らかになりました。
私が子供のときは,貧乏を絵に描いたような同級生がいました。現在,小学校に行っても,放課後児童クラブに行っても,そのような子供は見つかりません。しかし,7人に1人の子が貧困という政府の数字も,ちゃんとした調査に基づいています。見えないけれど,いないわけではないということなのです。かつてのような赤信号がばんばんともっているような絶対的貧困の子は少なくなっているようです。そのかわりに見た目でわかりにくい相対的貧困の子が増大し,抜け出せなくなっているということです。そして,相対的貧困は黄信号で,放っておけば何かのきっかけですぐに赤信号に変わってしまいます。
中でも深刻なのがひとり親世帯で,相対的貧困に陥っている家庭は50.8%,大人が2人以上いる世帯10.7%の約5倍に上ります。
東京都の子供の生活実態調査17年では,学力について,授業が余りわからない,ほとんどわからない,わからないことが多いと回答した子供は,小5の困窮層で学年平均の2倍を超える28.7%,中2の困窮層では51.5%。虫歯の本数や自己肯定感にも経済状況の影響が見られました。
家計の中で削られやすい費目は,主に居住費や食費,教育費,交際費。相対的貧困状態の子供は学校では元気に振る舞っていても,実態は十分な栄養がとれていない,旅行やプレゼントなど普通の子供と同じような体験が欠けている,経済的な理由で進学を断念するといった状況に陥りやすいと言われております。
世帯収入は子供の学力や学歴に影響します。大学などへの進学率は全世帯平均が約73%なのに対し,ひとり親世帯は約41%にとどまり,この結果,貧困の連鎖が生まれやすくなります。将来的に正規雇用で働ける子供が減り,結果として税金や社会保険料などの収入が減る一方で,生活保護などに陥れば公的支出の増加を招くことになり,社会的な損失が発生するということになります。
日本財団子どもの貧困対策チームなどの子どもの貧困の社会的損失推計15年によると,調査時点におけるゼロから15歳児の貧困を放置した場合,将来的な損失は総額で42兆9000億円に上るそうです。これに伴う財政収入の喪失は15兆9000億円で,1年当たりの所得の損失は約1兆円,財政収入の損失は約3500億円に上ると推計しているそうです。
親の事情がどうあれ,本来,子供に責任はないはずです。子供たちは日本の未来そのものであり,いわゆる貧困の連鎖によって,子供たちの将来が閉ざされることがあってはなりません。子供の貧困対策は,本市にとっても喫緊の課題と考えますが,本市として,子供の貧困問題をどのように認識し,どのような取り組みを行っているのか,お考えを伺います。
次に,貧困対策の一つとして,学校給食の重要性が挙げられると思います。貧困の連鎖を防ぐために,学習支援の重要性の指摘とともに,きちんとした食事が伴わなければ,精神的にも安定した状況で勉強ができません。頭が働くための栄養摂取は,不可欠だと考えます。学校給食は,栄養の格差を是正する上で大きく貢献しています。給食の無償化は貧困対策の一つとして重要な施策と考えますが,いかがでしょうか。また,給食費の未払いに対応する教師の負担も軽減され,その分,子供たちと向き合える時間がふえます。社会として,どこにお金を使うのか。全ての子供に食を等しく保障することは,子供たちの健やかな成長にとって極めて重要だと思います。本市のお考えをお伺いいたします。
以上で総括質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○山田春男 副議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 米津議員からの御質問にお答えします。
子供の貧困についての御質問がございました。
貧困状況にある家庭の子供は,学習や生活面において,さまざまな機会が奪われ,学力や健全な成長に悪影響を与えるとともに,進学や就職における選択肢が狭められるなど,将来にわたって困難な状況が生じやすいとされております。
子供自体の数が少なくなっていく現況において,生まれ育った環境だけで可能性の芽を摘むことなく,その能力を最大限に伸ばしていくことは,社会的要請でもあることから,本市としても支援を行っていく必要があると考えております。
このため,広島市子ども・子育て支援事業計画において,子供の貧困の問題に対する総合的な施策の推進を施策の柱の一つとして位置づけ,子供とその保護者に対して,教育の支援,生活の支援,就労の支援,経済的支援に関するさまざまな施策を展開しております。
中でも,小・中学校において実施している就学援助制度は,給食の食材費の無償化,学用品費の負担軽減等を行うものであって,平成28年度の受給者は2万7630人と全体の約27%となっております。また,保育園等において実施している市民税非課税世帯などを対象とした保育料の無料化,平成28年度の対象者は4,345人と全体の約16%となっております。
本市としては,まずは,こうした取り組みを子供の貧困の問題に対する施策として,引き続き実施することが重要であると考えておりますが,国において,子供の教育・保育環境の確保の観点に立った支援施策の充実が図られる中で,国の施策と調和を図りながら効果的な施策を推進していく必要もあると認識しています。
こうした認識のもと,来年度においては,子供に対する支援として,ひとり親家庭等に対する学習支援事業について,小・中学生に加えて高校生を対象とするとともに,実施場所を拡大するほか,ひとり親家庭等居場所づくり事業の実施場所の拡大を図ります。
また,特別研究校に指定した学校において,個別の学習が必要な児童生徒に対して,算数・数学に係る補充学習等を行います。
さらに,保護者に対する支援として,母子家庭等就業支援事業などを引き続き実施するとともに,生活困窮者からの相談や自立に向けた支援を行うくらしサポートセンターを4カ所から8カ所に拡大するなど,支援の一層の充実を図ってまいります。
その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。
○山田春男 副議長 教育長。
◎糸山隆 教育長 子供の貧困についてのうち,給食の無償化は貧困対策の一つとして重要な施策と考えるがどうか,全ての子供に食を等しく保障することは,子供たちの成長にとって極めて重要だと考えるがどうかという御質問にお答えをいたします。