平成23年第1回定例会(第3日 3月 2日) 平成23年3月2日(水曜日)
会 議 録
(第3日)
平成23年3月2日(水曜日)
=午前10時00分開議=
〇出席議員(40名)
1番 甲 斐 征七生 君
2番 江 口 善 明 君
3番 栗 原 伸 夫 君
4番 山 村 太 二 君
5番 今 村 敏 勝 君
6番 田 中 良 介 君
7番 別 府 好 幸 君
8番 石 井 俊 一 君
9番 甲斐田 義 弘 君
10番 後 藤 敬 介 君
12番 藤 林 詠 子 君
13番 坂 本 よう子 君
14番 田 中 功 一 君
15番 吉 住 恵美子 君
16番 秋 吉 秀 子 君
17番 金 丸 憲 市 君
18番 欠 員
19番 原 口 和 人 君
20番 塚 本 篤 行 君
21番 永 田 一 伸 君
22番 市 川 廣 一 君
23番 堺 陽一郎 君
24番 大 熊 博 文 君
25番 森 多三郎 君
26番 上 野 健三郎 君
27番 堀 田 富 子 君
28番 青 栁 雅 博 君
29番 本 村 英 幸 君
30番 坂 井 政 樹 君
31番 石 橋 力 君
32番 吉 田 帰 命 君
33番 原 口 新 五 君
34番 佐 藤 晶 二 君
35番 八 尋 義 伸 君
36番 新 山 正 英 君
37番 江 頭 幹 雄 君
38番 寺 﨑 いわお 君
39番 井 口 正 美 君
40番 川 地 東洋男 君
41番 田 中 多 門 君
42番 秋 吉 政 敏 君
〇欠席議員(1名)
11番 永 松 千 枝 君
〇地方自治法第121条に基づく出席者
市 長 楢 原 利 則 君
副市長 橋 本 政 孝 君
副市長 臼 井 浩 一 君
企業管理者 稲 益 冨支典 君
教育長 堤 正 則 君
企画財政部長 村 上 克 己 君
総務部長 萩 原 重 信 君
契約監理室長 伊 藤 幸 一 君
会計管理者 中 園 雄 介 君
市民部長 川 原 良 郎 君
健康福祉部長 平 塚 文 成 君
子育て支援部長 奈良﨑 洋 治 君
環境部長 中 島 年 隆 君
農政部長 森 山 純 郎 君
商工労働部長 荒 木 猛 夫 君
都市建設部長 赤 星 文 生 君
文化観光部長 辻 文 孝 君
田主丸総合支所長 古 賀 護 君
北野総合支所長 八 尋 幹 夫 君
城島総合支所長 中 園 敬 司 君
三潴総合支所長 平 尾 孝 治 君
上下水道部長 中 尾 泰 治 君
教育部長 大 津 秀 明 君
人権担当部長 森 光 輝 男 君
総務部次長 岡 部 由起男 君
財政課長 鵜 木 賢 君
企画調整課長 甲斐田 忠 之 君
〇
議会事務局出席者
局 長 田 中 俊 博 君
次長(兼)総務課長 吉 田 茂 君
議事調査課長 福 島 光 宏 君
議事調査課課長補佐(兼)主査 橋 本 広 昭 君
議事調査課主査 柿 本 剛 志 君
書 記 丸 山 明 子 君
書 記 古 賀 義 啓 君
〇議事日程(第3号)
第1 一般質問
〇議事の経過
◎ 開 議
○議長(栗原伸夫君) おはようございます。
これより本日の会議を開きます。
◎ 日 程 第 1
○議長(栗原伸夫君) 日程第1、一般質問を行います。
代表質問を順次許します。30番坂井政樹議員。(拍手)
〔30番坂井政樹君登壇〕
○30番(坂井政樹君) 皆さん、おはようございます。
30番、公明党の坂井政樹です。公明党議員団を代表して、通告に従い順次質問させていただきます。
昨年の質問から1年が経過いたしましたが、この間、世界を取り巻く環境は著しく変化いたしました。ギリシャの財政破綻に端を発したEUの不安は拡大し、
リーマンショックに始まった世界的な経済危機は、新興国を中心とした需要の拡大などの影響もあって、緩やかな回復軌道にあると言われていますが、世界的な規模で拡大する気象変動や、群発する地震や火山の爆発、さらには口蹄疫の拡大や
鳥インフルエンザの蔓延など、また中東諸国に発生をしているブログやツイッター、フェイスブックなど、ITを通じた独裁に対する民主化を求める動きの拡大など、間接的に世界経済に多大な影響を与えかねない事象が発生しており、世界経済の先行きに大きな影を投げかけています。
また、国内に目を向けてみましても、国民の一定の期待を受けて誕生した民主党政権は、この1年7カ月の政権運営で、「国民の生活が一番」とのキャッチフレーズとは裏腹に迷走し続け、外交の上でも、災害対応の面でも、危機管理能力のなさを露呈し、その結果、日本の国債の格付けが低下するなど、国民の期待は失望に変わり、政治不信・政治家不信は極限にきていると言っても過言ではありません。
さて一番目の質問ですが、総合計画についてであります。
久留米市では、平成13年度から37年度までの25年間における都市づくりの指針として、「水と緑の人間都市」を基本理念とした新総合計画を策定されました。川地委員長から報告がありましたように、
行財政改革調査特別委員会で政策評価をテーマとした審議をいたしましたが、私はそれぞれ行政分野ごとの施策について、各部局職員からヒアリングをさせていただきました。その際、それぞれの施策について、協働性をどのように加味しているのかをお尋ねしたところ、明確に回答することができた職員は、残念ながら少数でした。
久留米市のあらゆる政策は、総合計画を上位概念として構築されているはずです。しかし、この間の職員とのやりとりの中で、総合計画を意識した回答や発言が見受けられなかったことは、「総合計画とは」との単純な疑問が起こっても不思議ではないでしょう。市の職員がそうですから、そもそも久留米市民の皆様への認知度も推して知るべしと言えるのではないでしょうか。そもそも久留米市の総合計画とは何か、久留米市職員や久留米市民にとってどのような意味を持つのか、そのことを市長は市民の皆様にはっきりと発信していく必要があると考えます。
そこで、基本計画の基本視点である「協働性」と「戦略性」を職員にどう浸透させ、施策展開の中でどう取り込んでいくのか、市長の所見をお尋ねいたします。
続いて2番目の質問ですが、地域主権に対応した組織体制の整備についてであります。
平成12年4月に、地方分権一括法が施行されてから、10年以上が経過し、地方分権・地域主権は大きな流れといえます。今後も国から地方へという地域主権の流れは加速こそすれ、ブレーキがかかることはないと思われます。
一方で、その受け皿となるべき地方自治の現場では、4月の統一地方選挙を目前にして、鹿児島県阿久根市や名古屋市などで見られるように、首長と議会が激しく対立し、我が国の地方自治の根幹であるべき
二元代表制そのものが問われる事態が蜂起しております。
昨年の12月議会で、本年4月に予定されている組織改正のための条例改正が提案され、可決されました。その組織改正の目的は、今述べたような地方分権の流れに対応して、執行部の政策・立案、調整機能を強化されようとするものであると思っております。そこで、新しい組織体制を地域主権の流れに対応できるよう、十分に機能させるため、どのような組織運営や人事配置をされようとしているのか、お尋ねいたします。
また一方で、二元代表制を機能させるためには、議会のスキルアップもまた重要な課題であると思います。そこで、議会を支える議会事務局の機能の強化もまた不可欠であると思われます。それぞれの任命権者と協議の上、全体としての人事配置を調整される市長として、事務局機能の強化について、どのようにお考えか、お尋ねいたします。
続きまして3番目の質問ですが、成長戦略を意識した環境政策の今後についてであります。
私は、これまでも久留米市の環境政策について、たびたび質問させていただきました。地球温暖化に対する取り組みや久留米市独自の環境政策の構築、さらには成長戦略としての緑化産業を基盤とするグリーン・
イノベーションの取り組みなどであります。政府も「グリーン・
イノベーションによる環境・
エネルギー大国戦略」を策定し、2020年までに50兆円の環境関連市場の創出を目標に、総合的な政策パッケージにより、
世界ナンバーワンを目指しています。
去る1月25日に、経済産業省から「新成長戦略実現2011」が発表され、環境・エネルギーを機軸とした経済再興のビジョンが示されております。そこには、総合的なグリーン・
イノベーション戦略、
再生可能エネルギーの導入拡大、
環境未来都市構想の推進、森林・林業再生プランの実行などが盛り込まれております。環境をビジネスチャンスととらえて、暮らしの真の豊かさを実現していく必要があります。そこで、久留米市では、地球温暖化対策などの環境問題の解決を成長戦略としてどのようにとらえてあるのか、お尋ねいたします。
続きまして、4番目の質問ですが、新幹線開業を契機とした久留米市の活性化策についてであります。
新幹線全線開業まで、あと10日となりました。まず、この開業という日を迎えるために、心血を注いでこられた関係者の皆様に対しまして、心から感謝とねぎらいの気持ちをお伝えしたいと思います。
さて、新幹線の開業は、一般論として、移動時間の短縮や輸送力の拡大により、地域経済や産業などに大きな波及効果があるとされております。しかしながら、新幹線駅が開業した年が、すべてプラスの効果が出るわけではなく、大都市圏への一極集中やストロー効果により、地域消費の減退を招くなど、マイナスの効果にさらされている都市があるのも現実であります。この新幹線開業のインパクトを最大限に久留米市の活性化につなげるためには、いかに戦略性を持った取り組みをするかが、大きなかぎであると思っています。
久留米市では、九州新幹線の開業に向け、ハード・ソフトの両面から、戦略性を持って取り組んでおられるものと認識しております。私も視察などでJR久留米駅を利用することが幾度となくありましたが、同規模の都市の駅舎と比較して寂しい思いをしてまいりましたので、新幹線の開業にあわせて進むハード面の整備に伴う現在の駅舎の変貌を見るとき、感慨深い思いがあります。
一方で、新幹線の開業を契機として、たくさんのお客様に久留米を訪れていただく取り組みや、久留米市に移り住んでいただくためのソフト面を中心にした取り組みについては、なかなか見えてきません。
新幹線活用プロモーション実行委員会における取り組みにつきましては、マスコミやメディアなどの媒体への露出もふえてきており、久留米市の認知度の向上やイメージアップにつながっているのではないかと一定の評価をしているところですが、実行委員会の取り組みは、時限的な取り組みであり、開業までは華々しいイベントや関心も高いものがありますが、問題は開業に向けて投じられた200億近い巨額の投資を伴う
ビッグプロジェクトが、その効果を十分に発揮するために、都市の活性化につながる戦略的な取り組みがあるのかが、かぎとなると思いますが、その戦略についてお尋ねいたします。
続きまして5番目の質問ですが、
田主丸地区送水管整備事業についてであります。
この事業につきましては、吉本工業団地に進出した大手自動車企業や隣接に計画されている新工業団地に進出する企業に、水道水を供給する産業振興を目的と、田主丸地区の一般家庭への上水道普及を目的として推進されており、現在、送水管の布設工事が行われていると聞いております。
企業の進出は、言うまでもなく、地域の雇用状況の改善や経済の活性化などであるとは認識しているところです。また、一般家庭への上水道普及率につきましても、我が国の水道が既に97%を超える非常高い普及率になっている現状の中、安全で安定的な水の供給という観点から考えますと、未普及地域となっている田主丸地区における普及整備が図られる必要があると思っているところです。しかしながら、上水道の整備には多額の初期投資が必要です。水道事業は、
地方公営企業法により、公共的な立場から一般会計が負担すべきとされる経費を除き、料金収入によって経営される独立採算制で運用される事業です。要するに投資された資金は、水道料金によって回収される必要があり、投資に当たっては、その的確な収支見通しに基づく判断が重要になってくると思われます。
このことから、地方公営企業は、その本来の設置目的である公共の福祉の増進という見地に立って運営されると同時に、高度に経済性を発揮して、効率的な経営を行うことが求められていると言えます。このような
地方公営企業経営の特殊性を踏まえた上で、現在の工業団地整備の進捗状況を見ますと、企業誘致に係る要請にこたえる必要性は理解できますが、企業経営に影響を及ぼす投資判断は、慎重に行われるべきだと思います。
そこで、
田主丸地区送水管整備事業への着手時期は、投資判断の視点から言って適切だったと考えられているのか。現在の進捗状況と今後の予定についてもあわせてお尋ねいたします。また、この
送水管整備事業は、
産業振興政策推進の立場からの政策的要請にこたえるため、第一に工業団地への給水を前提とした事業であったと思われますが、現実的には、新しい工業団地の整備は遅れており、この給水開始の遅れによる水道事業への影響はないのか。あるとすれば、その対応はどのように検討されているのか、お尋ねいたします。
続きまして、6番目の質問ですが、久留米市の
男女共同参画社会実現の視点からお尋ねします。
その1つ目として、ワーク・ライフ・バランスの推進について、お尋ねします。
我が国の合計特殊出生率は、昭和50年代に人口維持水準と言われる2.08を下回り、その後急速に低下し、平成17年には1.26と過去最低水準となりました。最新の平成21年度は1.37と若干の改善は見られるものの、依然として人口維持水準を大きく下回っていることは御承知のとおりです。久留米市においては、平成21年、1.46と全国平均を若干上回ってはおりますが、全国と同じ傾向で推移しているといえると思います。では、なぜこれほどまでに少子化が進んでしまったのか、厚生労働省が社会保障審議会の中で、平成19年に示した「急速な少子化を招いている要因」分析によりますと、結婚・出産・子育てについての希望と現実の乖離、つまり子供を産み育てる年代に、働くことと結婚・出産・子育ての二者選択が迫られている現実、この解決を図らないと、抜本的な少子化の改善はなかなか見込めないと分析されております。つまり依然として根強い「男性は仕事、女性は家庭」という社会から、男性と女性も「働く」ことと「家庭・育児」が両立できる社会、ワーク・ライフ・バランスが実現できる社会へ抜本的に転換していくことが結果的に少子化を緩和し、経済社会に明るい展望を示す重要な施策と考えるところです。
ワーク・ライフ・バランスを推進するためには、ワーク・ライフ・バランスの推進が生産性向上のため、企業の発展のためにも必要なことを企業自身がしっかりと認識してもらうこと。また、経済社会発展のため不可欠であることを企業にしっかりと理解してもらい、企業みずからがワーク・ライフ・バランスに取り組む活動を積極的に進めることが必要であると思っています。
このワーク・ライフ・バランスについて、久留米市は、平成19年度、市内の商工団体とともに「仕事と
子育て両立支援推進会議」を設置し、産業界と行政が連携してワーク・ライフ・バランスの推進を図る体制を整えたと理解しておりますが、その推進会議でどのような議論が重ねられ、産業界と連携して具体的にどのような取り組みが実施されてきたのか、なかなか見えにくい状況にあります。そこで、「仕事と
子育て両立支援推進会議」について、設置された意向の活動状況と具体的な取り組み状況、そしてその成果についてお尋ねします。また、今後どのように経済界、地場企業に対し、ワーク・ライフ・バランスの考え、理念の理解を促進されようとお考えなのかについて、伺います。
次に、育児休業制度の普及促進についてお尋ねします。
第1子出産前に働いていた女性の7割近くが、出産を機に離職している実態があります。育児休業制度は、仕事をやめることなく、雇用関係を継続しながら、乳幼児の子育てを実現するための支援制度でありますが、平成21年の「久留米市賃金・雇用実態調査」報告書を拝見しますと、事業所に育児休業制度がある事業所は、全体の65.1%、平成16年と比べてもほとんど変化がなく、なかなか普及が進まない実態が明らかとなっております。
育児休業制度は、労働者が取得を申し出たとき、拒むことができないものではありますが、常用労働者を10人以上雇う使用者に義務づけされている就業規則に制度として明記しなければならないことを考えると、10人から29人規模の事業所でも、制度がある事業所は54.5%しかないことは、大きな課題であると思います。
また一方で、産まれてくる子供たちの数は減少しているにもかかわらず、保育所に入所を希望する乳幼児は、全国的にも久留米市でも増加しており、特にゼロ歳児や1歳児の増加が増加の大半を占める状況が生じております。
楢原市長も中期ビジョンの中で、「平成23年度までに年間を通じた待機児童ゼロを目指す」と明言されておりますが、育児休業制度の普及が進まないと、働かざるを得ない保護者が増大している現状から、さらに保育を希望する児童はふえ続け、この公約の実現もできなくなるのではないかと危惧するものです。
また、育児休業制度で支給される給付金の財源は雇用保険会計ですので、国と事業主と労働者であること、保育を支える財源は、国と市町村が折半で負担しているということを考えますと、久留米市が自主財源を投入し、重点的に
制度普及促進事業を行っても財政的にも大いにメリットがあるものとも考えます。
無論、事業所に対する指導・監督の権限は国にあり、一地方自治体として、普及促進活動に限界があることは十分承知しておりますが、商工団体や労働組合、国・県の関係団体で構成する雇用問題協議会や、また先ほどの「仕事と
子育て支援推進会議」などの事業を通じ、制度普及促進のため、例えば育児休業制度の設置促進のため、国・県の指導・監督権限を活用しつつ商工団体と連携し、企業としてワーク・ライフ・バランスに取り組むメリットなどのワークショップを企画するなど、積極的に取り組もうとすれば、久留米市としてやれることは多々あるのではないかと思うのです。ワーク・ライフ・バランス促進の視点から、育児休業制度の普及促進に取り組みについて、久留米市の現状と今後の普及促進のための施策についてお尋ねします。
また、去る1月に
パブリックコメントが実施されていました「第3次久留米市
男女共同参画行動計画・第1期実施計画」の素案の中のワーク・ライフ・バランスの推進事業の中で、育児休業制度の普及について全く言及がありません。私は、育児休業制度は、ワーク・ライフ・バランスを実現をするための重要支援制度と認識しており、制度の普及促進について明記すべきだと考えますが、なぜ実施計画素案の中で明記されていないのか。その考え方・理由についてお尋ねします。
続きまして7番目の質問ですが、久留米市における教育の充実についてであります。
まず教育センターについてですが、中核市に移行して3年目が経過しようとしています。私は、今までもセンターの機能について、さまざま質問してきましたが、この間のセンターの取り組み状況と成果と課題についてお聞かせください。
次に、科学教育の振興についてお尋ねいたします。
民主党政権のもと、鳴り物入りで実施された事業仕分けで、現閣僚である
民主党参議院議員の「なぜ世界一でなければいけないんですか、2位ではだめなのか」との発言の結果、科学技術予算の削減方針を決定。今年度予算では、科学技術予算の中核である
科学技術振興費が27年ぶりに減額されました。科学技術の成果は、教育と一緒で一朝一夕に成果が見えるものではありません。しかし、資源なき日本の経済の優位性を担保してきたものは、科学技術と応用技術といえます。しかし、ここに来て世界をリードしてきたその地位が、中国やインド・韓国などにその地位を奪われつつあるといえるのではないでしょうか。
日本は、1995年に「
科学技術基本法」を制定し、5年ごとに基本計画を策定、科学技術の着実な振興を進めてきましたが、民主党政権の対応は、その流れに水を差す暴挙であるといっても過言ではありません。来年度予算案では、減額の方向であった
科学技術振興費が土壇場で増額となりましたが、昨年の小惑星探査機「はやぶさ」の帰還や、ノーベル化学賞の日本のダブル受賞などが追い風になったようです。久留米市には、物づくりの偉大な先人、東芝の創始者である田中久重氏、ブリヂストンの
創業者石橋正二郎氏などを輩出してきた歴史があります。ところで、その受け皿となる教育現場など、理科教育の現状に目を向けたときに、子供たちの理科離れが顕著になってきており、また世界じゅうから人材が集まるアメリカへの留学生が激減するといった「内向き志向」も懸念されており、将来の科学技術の振興に危険信号が灯っているのではと危惧されています。
そこで、久留米市の理科教育の現状と課題について、お尋ねいたします。
久留米市には、昭和36年に設立された久留米市
小学校理科教育センター、現久留米市
理科教育センターがあり、教職員の科学教育への関心を高めるとともに、科学指導技術の高揚に努められていると思いますが、同センターの役割と取り組みについて、どのように考えておられるのか、お聞かせください。
以上で、第1回目の質問を終わります。
=〔降 壇〕=
○議長(栗原伸夫君) 楢原市長。
○市長(楢原利則君) おはようございます。
公明党議員団を代表しての坂井政樹議員の御質問にお答えをいたします。
1点目の総合計画についてでございますが、久留米市新総合計画は、これからの久留米市が目指す姿、方向を明らかにした長期的な都市づくりの指針でございます。この計画におきましては、新たな都市づくりの構図であります「協働性」と、総合的な視点から最も効果的な施策を選択する「戦略性」を基本的な視点におきまして、市民との計画の共有化を進めながら、都市づくりに取り組むこととしております。
そのような中で、本市の市民との協働による取り組みにつきましては、一定、具体的事業の中で進んできてはいるものの、職員間の市民との協働に関する意識の差があるなど不十分な面もあると感じております。そのため、ことし1月には、市民との協働を推進するための職員の行動指針「さらなる協働推進のために」を策定をし、周知を図っているところでございます。今後、この指針を活用した検証などによりまして、職員の協働に関する共通理解、意識改革を進めますとともに、市民との協働によるまちづくりの意義について、市民の皆様とさらなる認識の共有化を図ることが必要であると認識をしているところでございます。
また、戦略性に関する取り組みにつきましても、私が市長に就任後、昨年6月に職員とも協議しながら、より選択と集中を徹底した戦略性の発揮と、市民との協働による取り組みを進めていくための指針であります中期ビジョンを策定し、市民の皆様にもお示しをしております。
今後の取り組みでございますが、4月には「協働推進部」を新設し、政策決定や事業調整の中で、市民との協働という視点からの調整機能を担わせまして、全庁的に協働の推進を図ってまいりますとともに、総合政策部を中心に総合調整機能の強化充実を図ってまいりたいと考えております。
また、中期ビジョンにつきましては、刻々と変化する行財政環境の状況を踏まえ、職員との協議も重ねながら、戦略性と協働性について職員へのさらなる浸透を図り、施策の展開に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
2項目めの地域主権に対応した組織体制の整備についてお答えを申し上げます。
まず、基本的な考え方と今回の組織改正についてでございます。
現在、我が国では、国主導から地域主権への転換が進められておりまして、地域の実情やニーズに応じた政策をみずから考え、実行していくなど基礎自治体の役割はますます重要になってきております。厳しい財政状況のもとで、高度化・多様化する行政ニーズに的確に対応しながら、持続可能なまちづくりを行うためには、課題に柔軟に対応できる体制の見直しが不可欠であります。そのため、ことし4月に、一つには総合調整機能の強化、2点目には、組織横断的な課題への対応と市民との協働の推進、3点目には、市政運営方針・中期ビジョンの推進と、簡素で効率的な組織の構築などを主な目的として、組織改正を行うこととしているところでございまして、具体的には、総合調整機能の強化や行政管理機能の一元化を図るために、企画財政部や総務部の見直しを行っております。
また、市民活動の推進や安全安心のまちづくり、人権・同和対策、男女平等政策など、組織横断的な課題へ効果的に対応するとともに、市民との協働を推進するため「協働推進部」を新設をいたします。さらに、児童福祉分野の集約を初めとした部の再編など、中期ビジョンを推進する体制を整備するとともに、簡素で効率的な組織の構築を行う所存でございます。
このように組織体制については、今回一定の整備を図っているところでございますが、組織改正の目的を達成するためには、新しい体制をいかに円滑かつ有効に機能させていくかが重要となります。そのためには、権限や調整機能のあり方など、組織運営面からのさまざまな工夫や適材適所の人事配置により、新しい組織がその機能を十分に発揮できるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。
そこで、議会事務局の体制についてでございますが、御指摘のとおり、議会と首長は、地方自治を担う車の両輪として市民の負託を受け、市民の福祉の増進を図る役割を担っております。特に地域主権への流れが進展する今、議員の皆様と私ども執行部との間で、さまざまな知恵を出し合い、より効果的な施策を実施することは、ますます重要であると思っております。
このような地域主権の進展、そして二元代表制のあり方等が大変注目をされているこの現状を踏まえまして、議員の皆様の政策立案を補助する組織として、議会事務局の役割は非常に重要なものであると認識をしておりまして、今後、職員全体の人事配置を踏まえながら、任命権者と協議の上、必要な体制整備を図ってまいりたいとこのように考えております。
3点目の成長戦略を意識した環境政策の今後についての御質問にお答えをいたします。
まず、現状でございますが、環境問題は、大量生産、大量消費、大量廃棄を前提とした社会活動や市民生活、そして都市化の進展などによって引き起こされております。また、化石燃料への過度な依存は、地球温暖化や天然資源の枯渇の危機を生じさせ、その解決は地球規模の喫緊の課題でございます。
久留米市におきましても、平成12年の「環境基本計画」の策定以降、この計画や行動計画に基づきまして、市民啓発、市民協働、教育などのさまざまな観点から環境対策を実施をしてきたところでございます。
そして現在、環境問題はさらに緊急性・重要性を増しておりまして、総合的かつ中長期的な対策が必要となっております。そのような状況から、久留米市では平成23年度から10年間を期間とする新たな環境基本計画を策定し、持続可能な地域社会の実現を目指すこととしております。計画では、「緑あふれるまち」「環境・経済・社会が一体となってすすむまち」「モノから心への豊かな暮らしを実現するまち」を目指す姿として、環境を保全しながら、経済成長やゆとりのある暮らしを実現していくこととしているところでございます。
環境問題への対応や地球温暖化に当たりましては、これを地域経済活性化や真に豊かな生活実現の好機ととらえております。具体的な展開として、省エネ機器導入による生産コストの縮減や環境関連産業の進展、環境取り組みによる新規事業の拡大など、地域経済の発展や成長の視点で、環境問題に取り組んでいきたいと考えております。また、「モノから心へ真に豊かな社会」を目指しまして、市民の皆さんが環境問題に取り組むことで、生活のゆとりや豊かさを見出せるような環境政策を進めていきたいと考えているところでございます。
4項目めの新幹線開業を契機とした久留米市の活性化策についてでございますが、3月12日、いよいよ九州新幹線が全線開業をいたします。九州新幹線の全線開業は、平成17年の広域合併、平成20年の中核市以降に続く久留米市の都市ポテンシャルが大きく高まる転換点ととらえておりまして、この絶好のチャンスを地域の活性化につなげなくてはならないと強く認識をしているところでございます。そのため、久留米市では、新幹線活用まちづくり戦略を策定し、戦略的にハード・ソフトの両面からの環境整備を行い、受け入れのための準備を進めております。
このまちづくり戦略は、3つの柱で構成しておりまして、「広域交流を支える玄関口づくり」「定住を促す環境づくり」「来街者を引き込む仕掛けづくり」を基本戦略をしております。
まず1点目の「広域交流を支える玄関口づくり」といたしまして、30万都市のシンボル的な玄関口として、新しく生まれかわるJR久留米駅におきまして、交通結節機能の充実強化を図るとともに、良好な市街地の形成を推進してまいりました。具体的には、東口及び西口の駅前広場や、それらを結ぶ東西自由通路、駅につながるアクセス道路など、駅周辺における交通基盤整備、久留米の新たなランドマークとなりました35階建ての超高層ビルを中心に、東口駅前市街地の再開発事業などを進めてまいりました。また、ツツジを初めとした四季折々の草花や花木を水天宮等の名所・旧跡、JA久留米駅から西鉄久留米駅にかけての市街地に植栽し、花と緑による彩り豊かな景観づくりに取り組んでいるところでもございます。
そして2点目の「定住を促す環境づくり」といたしまして、居住の受け皿となる住宅供給や生活基盤の整備によりまして、定住環境の魅力向上を図り、市民が誇りと愛着を持ち、市外からも住んでいただけるような都市づくりを進めております。
現在、新世界地区などにおきまして、特に高齢者や子育て世帯を対象とした良質な賃貸住宅整備などを民間企業や地域の皆様方と連携しながら進めております。
また、JR久留米駅を起点とした二次交通機関の交通結節機能を強化し、多様な機能が集積する中心市街地と結ぶことにより、まちなか居住やコンパクトな都市形成を進めているところです。今後、市外の移住希望者に対しましては、久留米市の魅力的な生活環境をアピールするため、パンフレットの作成やホームページを立ち上げる準備を進めており、定住人口の拡大につなげてまいりたいと考えております。
3点目の「来街者を引き込む仕掛けづくり」としましては、観光基盤の整備や久留米の魅力を戦略的に広く発信することで、久留米のイメージアップを図り、交流人口の拡大へとつなげてまいりたいと考えております。具体的には、坂本繁二郎生家や有馬記念館など、JR久留米駅周辺の観光資源の整備や、これらをつなぐ歴史のプロムナードの整備など、観光拠点づくりを進めますとともに、体験交流型の観光商品としての久留米まち旅博覧会の開催や観光ルートの開発、B級グルメイベントなど、久留米にある魅力を活用した集客事業に取り組んでいるところでございます。
また、ツツジ、ツバキを初めとする緑花木の地域資源が集積する耳納北ろくの魅力につきましても、久留米つばきなど観光の核となる拠点の充実等によりまして、情報発信の強化に努めてまいりたいと考えております。
さらに、官民が一体となりまして、九州新幹線の全線開業を契機としますさまざまな記念イベントや戦略的な情報発信活動に取り組んでいるところでございます。特に久留米ふるさと特別大使の田中麗奈さんに御出演いただきましたポスターやパンフレットを作成をし、PRをしておりますほか、各種旅行雑誌への久留米特集記事の掲載、福岡県やJR久大本線沿線の各自治体等と連携を図りながら、関西地方などへキャンペーン活動を行うなど積極的な魅力発信に努めているところでもございます。
3月11日から13日までは、JR久留米駅におきまして開業記念イベントを開催をし、久留米の花や食、音楽や踊り等の久留米の魅力を十分に発信をしてまいりたいと考えております。今後も全市一丸となり、新幹線開業効果を最大限に久留米の活性化につなげてまいる所存でございます。
御質問の5項目めの
田主丸地区送水管整備事業につきましては、稲益企業管理者から、6項目めの男女共同参画社会の実現に向けては、荒木商工労働部長から回答させていただきます。
○議長(栗原伸夫君) 稲益企業管理者。
○企業管理者(稲益冨支典君) おはようございます。
私のほうから、5番目の
田主丸地区送水管整備事業について、お答えさせていただきます。
この
送水管整備事業は、吉本工業団地に進出いたしました自動車メーカーの要請及び隣接するうきは市を含む新工業団地開発に伴う上水道供給の要請に対しまして、分譲開始予定とされた平成23年1月の給水開始を目指して、平成20年度に着手したものでございます。
また、田主丸地区の民生用として、簡易水道や井戸水による生活用水を下水道の普及等にあわせ、上水道により安全で安定的に給水することを目的としております。整備に当たりましては、立地企業の産業活動や人口推計等を考慮した民生用による需要量推計に基づく収益を前提に収支計画を策定し、事業を着手してまいりました。
産業民生用を含む田主丸地区の水道事業計画につきましては、平成20年8月に、国から久留米市水道事業の計画認可変更、いわゆる田主丸区域への拡張の承認を受けまして、平成35年までを目標に上水道の普及を図ることとしております。
このうち、
送水管整備事業の概要といたしましては、山本町豊田の放光寺浄水場からの配水本管を起点に、田主丸町鷹取の新産業団地入り口までを終点とした整備延長16.7キロメートルを総事業費約25億3,200万円、事業期間を平成20年度より平成23年度までの4カ年を整備計画としております。
進捗状況といたしましては、総延長16.7キロメートルのうち、平成22年度までに延長15.8キロを整備することとしておりまして、事業進捗率は、約95%となります。また、平成23年度につきましては、田主丸町石垣から鷹取までの残りの0.9キロメートルを計画しておりまして、吉本工業団地及び、予定されております新産業団地に向けた送水管事業を完了することとしております。
一方、吉本工業団地に隣接する新産業団地については、平成20年秋の
リーマンショックの影響などによりまして、企業誘致の後退により大幅に事業進捗が遅れている状況にございます。給水開始の遅延は、事業費の回収の遅れなど、田主丸
送水管整備事業の収支計画に影響を与えるため、このリスクの軽減と収益の早期開始を図ることが重要となってまいります。
その取り組みといたしまして、一つ目には、国の緊急経済対策として、特例的に平成20年度に限って交付されました国庫補助金及び交付金を最大限に活用いたしまして、約6億9,000万円の負担軽減を図るとともに、二つ目には、吉本工業団地内の自動車メーカーを含む立地企業につきまして、送水管布設が完了する23年度以降、できるだけ早期の上水道への切りかえを促進し、収入の確保を図ること。三つ目には、課題でございます隣接する新産業団地について、関係部局連携の上、早期着手に努めること。四つ目には、事業につながります一般家庭用の給水を可能な限り早めることといたしまして、整備に当たって需要家の意向や他の都市の接続状況等の調査分析を行い、効率的な事業化を図ることなどを行うこととしております。
ところで、御指摘のように、地方公営企業は、自治体政策との一体性を確保する必要がございますが、今後とも経営に影響を及びます投資判断については、企業の経営原則に従いまして、経済状況の変動見通しも含めまして、慎重に行ってまいりたいとこのように考えております。以上でございます。
○議長(栗原伸夫君) 堤教育長。
○教育長(堤正則君) 7項目めの久留米市における教育の充実について、1の教育センターについて、お答えを申し上げます。
久留米市教育センター設立の経緯及び役割についてでございますが、市教育センターは、中核市移行に伴う県費負担教職員の研修事務の移管に対応しますため、平成20年4月、久留米地域地場産業振興センター内に開設して、本年3月で丸3年を迎えます。
開設に伴い、策定をいたしました「久留米市教職員研修基本方針」に基づき、教職員研修事業、教育課題研究事業、教育活動支援事業という研修・研究・支援の3つの視点から、教職員の指導力の向上、信頼される教師の育成に努めてまいりました。また、毎年、県から移管される研修の増加に対応しますため、研修の内容や運営、会場の確保等を工夫しながら機能整備を図ってきております。
久留米市教育センターの取り組みについてでございますが、教職員研修事業においては、経験年数や職務に応じておさめるべき基本研修を初め、本市の教育課題の解決に向けた課題研修、各教科領域の専門性を高める専門研修などの講座を開設しております。この3年間で、34講座から65講座と講座数をふやしますとともに、研修内容の充実を図ってまいりました。このように、基本研修、課題研修については、ほとんどの研修を県から移管できましたが、専門研修については、施設や研修内容への対応能力から、まだ県教育センターの講座を多数利用している状況にございます。
教育課題研究事業においては、学習の進め方や学習規律に関する接続プログラム作成による小中連携教育の推進や、人間関係の醸成を図る人権・同和教育の推進、ワークショップ型を取り入れた校内研修の推進など、本市教育課題の解決に取り組んでいるところでございます。
教育活動支援事業においては、学習指導案等のホームページ上での情報提供や事業づくりに関する教育相談など、教育支援の充実に取り組んでまいりました。本年度は、特にスクール・ニューディール政策で整備された個人用パソコン、デジタルテレビ、電子黒板などの有効活用を図るために、ICT活用に関する市独自の研修会開催や情報教育推進員による各学校への支援、ICT支援員のモデル校への派遣など、ICT活用支援に力を入れてきたところでございます。
このように、市教育センターとしての研修・研究・支援業務の確立、教職員との協働による研究の推進などを図ってまいりましたが、市教育センターのさらなる機能面での充実のためには、施設の限界性も生じてきている現状にあります。したがいまして、暫定施設である教育センターのハード面の充実、専用施設の整備が必要な面もありますことから、自前のセンター整備について、中核市久留米市にふさわしい施設となるよう検討していきたいと考えております。
次に、2の科学教育の振興についてお答えを申し上げます。
理科教育センター設立の経緯及び役割についてでございますが、科学・理科教育の推進は、議員御指摘のとおり、石橋正二郎氏、田中久重氏など、多数の物づくりの先人を輩出しました久留米市にとって、非常に重要で意義あることだと考えております。
久留米市
理科教育センターは、昭和36年、当時先駆的なセンターとして篠山小学校に設立し、そして平成20年、久留米市教育センター内に移して、子供たちの科学・理科学習に対する興味や関心を高め、理科の教員の理科指導力の向上及び理科教育の振興を目指した事業を展開しております。
理科教育センターの取り組みについてでございますが、
理科教育センターでは、すべての小学校から担当者を集め、教育現場のニーズを反映しながら、事業の企画・運営を行っております。子供たちの科学・理科学習に対する興味や関心を育む取り組みといたしましては、小学校理科作品展を毎年9月上旬に2日間開催しまして、科学・理科学習への意欲を喚起いたしております。特に本年度は、久留米工業大学や久留米高専の協力を得て「サイエンスフェア」を開催し、ものづくりや科学遊びなどを行い、これまで最多の2,401名の児童生徒及び保護者の参加を得ることができました。
教員の理科指導力向上の取り組みといたしましては、小学校の教員を対象に、年間2回の授業研究会を実施し、科学的思考を育む学習指導のあり方や、理科ノートの指導のあり方など、具体的な事業の進め方や指導のポイントについて研修を行っております。加えて夏季休業中に、物づくりを通した実験・実技講習会を実施し、新しく加わりました理科教材・教具の紹介、実験器具の安全な取り扱い方、子供の意欲を喚起できる効果的な活用方法等についての研修を行っております。
これらは、科学・理科教育における先駆的な取り組みとしまして、県内でも高く評価をされておりますが、年4回発行の「理科センター便り」や研究紀要として整理をいたしまして、事業の積み上げと学校への還元に努めているところでございます。
今後の対応についてでございますが、これまでの理科教育は、体験活動の不足や問題解決的な学習が不十分であったとの課題に対応して、新学習指導要領におきましては、実感を伴った理解を培うことがポイントとなっております。したがいまして、
理科教育センターでは、新たに加わった指導内容の適切な取り扱い、教材・教具の情報提供や授業改善に向けた指導力向上を図りながら、平成23年度完全実施に向けた準備を進めてきております。今後とも久留米市の先人が大切にされてきたものづくりの心を継承しますために、子供たちの科学的な見方や考え方を豊かにする理科教育が推進できますよう、中学校理科部会との連携を含め、
理科教育センターの充実を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(栗原伸夫君) 荒木商工労働部長。
○商工労働部長(荒木猛夫君) 6番目の男女共同参画社会の実現に向けての1.ワーク・ライフ・バランスの推進についてお答えいたします。
男女共同参画社会の実現に当たりましては、男女がともに働きやすい環境づくりを進めるワーク・ライフ・バランスの取り組みを社会全体に広めていくことが重要であり、中でも仕事と子育ての両立支援は、大切な課題であります。
市では、平成19年に急激な少子化への対策といたしまして、社会全体が一体となって子育ての支援に取り組む必要があるとの認識のもとに、久留米商工会議所などの経済団体と「久留米市仕事と
子育て両立支援推進会議」を設立いたしまして、「仕事と子育て両立支援推進協働宣言」を採択いたしました。宣言では、両立支援を推進することで次代を担う子供たちの成長を支え合い、応援する社会の実現を目的といたしまして、一つに、くるめ子ども・子育てプランの推進、一つに、子育てを行う男女の仕事と子育ての両立を支援するための環境整備の推進、一つに、仕事と生活の調和のため男女とも働きやすい環境整備の推進の3項目につきまして、企業と行政が連携することを確認し、以来、取り組みを進めてきたところでございます。
具体的には、国が推進いたしますワーク・ライフ・バランスの普及と実現に向け、労働基準法や育児・介護休業法の着実な取り組みや、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画策定の普及を基本に、第一に事業主を対象といたしまして育児休業制度の仕組みや国の助成金の情報提供、身近な取り組み事例の紹介などを行う地域セミナーの実施、二つ目に、労働者の皆さんを対象といたしましたワーク・ライフ・バランスに関する講演会の開催などの取り組みを通じまして、市内事業所における労働環境の改善を進めてきたところでございます。
このような推進会議の取り組みとあわせまして、企業訪問によります要請を行いまして、市内の福岡県子育て応援宣言企業の数が、平成19年9月時点の94社から、平成23年2月時点の352社に増加をしているところでございます。
また、本年4月には、一般事業主行動計画の届け入れ義務が、従業員301人以上から101人以上に拡大されることとなっておりますが、福岡労働局からは、筑後地区における新たに対象となる企業からの届け入れが、1月末時点で18社あったと伺っているところでございます。ワーク・ライフ・バランスの理念を普及していくためにも、まず、久留米市仕事と
子育て両立支援推進会議を中心に、身近で実効性の高い事例把握に努め、事業所現場での取り組みの紹介を行うなど、地元企業に対しまして、さらなる仕事と子育て両立支援の環境づくりを進めるよう取り組んでまいりたいと考えております。
二つ目の育児休業制度の普及促進についてでございますが、国は、女性労働者の約7割が第1子出産を機に退職している課題などに対応いたしまして、男女がともに子育てしながら働くことができる社会の実現に向け、育児休業制度の普及促進について、さまざまな対策を講じております。
具体的には、短時間勤務制度や所定外労働の免除の義務化、男性の育児休業取得促進策の導入、パパ・ママ育休プラス制度などを盛り込んだ改正法を施行しますとともに、中小企業子育て支援助成金制度の充実、次世代行動計画策定講習会や個別相談会、さらには男性の育児支援を推進いたしますイクメンプロジェクトの取り組みなどを進めているところでございます。
一方、久留米市におきましても、昨年度実施いたしました雇用実態調査では、社内に育児休業制度を有する事業所のうち、実際に取得実績があったと回答いたしました事業所の割合は、49.5%となっております。この状況を踏まえまして、久留米市における育児休業制度の普及促進は重要課題と認識いたしまして、育児休業制度に向けた経済団体との連携、労働者の意識向上、事業主の理解と職場環境の整備、コストなどを経営上の課題解消などが必要であり、啓発活動の充実に取り組んでいるところでございます。
具体的には、推進体制づくりといたしまして、市内の経済団体と設立いたしています久留米市仕事と
子育て両立支援推進会議を中心といたしまして、事業主を対象に育児休業制度の仕組み、助成金及び取り組み事例の紹介などを行う「両立支援推進地域セミナー」などを開催し、企業みずからが取り組んでいただくよう働きかけを行っています。
2つ目に、一般市民や労働者に対しましては、雇用問題協議会を通じまして、啓発パンフレット、男性も女性も働きやすい職場づくりを作成・配布し、育児・介護休業法の内容や、育児休業給付金などの従業者への支援制度の紹介などの啓発を行っております。
3つ目に、個別企業に対しましては、仕事と子育ての両立に積極的な企業を表彰し、雇用優良事業所として紹介しますとともに、企業訪問などを通じまして、事業主や人事労務者に対しまして、育児休業に対します助成金制度の情報提供をするなどの取り組みを行っているところでございます。
さらに、小規模企業が大半を占めます地元企業につきましては、育児休業の取得によります労務管理などの経営上の課題もございますので、各種助成金制度を活用した業務の効率化、生産性の向上、優秀な人材の確保や従業員のモチベーション向上など、事例の紹介に努めるなど、今後とも育児休業制度の普及促進を図ってまいりたいと考えております。
また、平成23年度から始まります、第3次久留米市
男女共同参画行動計画・第1期実施計画におきましては、重点課題の一つに、ワーク・ライフ・バランスの推進を掲げ、仕事と家事、育児、介護などが両立できるよう、広報・啓発に取り組むとともに、環境整備の推進を図ることとなっております。御指摘の育児休業制度につきましては、男女共同参画社会の実現に向け、普及促進が重要であり、このような視点を踏まえまして、積極的に取り組んでまいる所存であります。以上でございます。
○議長(栗原伸夫君) 30番坂井政樹議員。
〔30番坂井政樹君登壇〕
○30番(坂井政樹君) それでは、2回目の質問、並びに要望をさせていただきます。
総合計画についてですが、現在の基本計画は、当初平成13年度から22年度までの10カ年計画としてスタートしたものを、平成17年2月の合併を機に、前市長のもとで、久留米市の構造そのものが変化したことや、合併後の都市づくりに向けて、また市民福祉のあり方などについて、財源をどのように活用していくのか、その指針となるべき新市建設計画策定にあわせて計画の見直しが迫られていたため、平成17年度から26年度までの10カ年にリプレースされたものであります。
ところで、今、社会経済情勢の急激な変化と中央政界の不安定な状況は、我が久留米市の将来にも多大な影響を与えかねません。平成17年度当時と比べれば、劇的な変化を遂げていると言っても過言ではないと思います。さらには、現在の総合計画期間が終了する平成26年度から、次期計画がスタートする平成27年度は、合併して10年、新市建設計画も一定終了を迎え、合併に伴う国からの財政支援措置も収束に向かうことから考えますと、久留米市の将来像を具体的に描く基本計画については、楢原市長の久留米づくりにかける思いを込めて見直しを図るべきだと思いますが、市長のお考えをお聞かせください。
続きまして、地域主権に対応した組織整備についてでありますが、私は、昨年の決算委員会で一貫して、地域主権の時代に対応するためというテーマで、各部に対して問題提起をさせていただいたつもりです。自己決定、自己責任の時代の到来に向けて、職員一人一人が政策立案の主体者としての自覚に立った取り組みが必要であると主張させていただきました。今回の組織再編については、同じスタンスに立ったものと理解させていただきますが、ここでその先にあるものとしての参考例を紹介させていただきます。それは、人材育成、人づくりを核とする自治体改革の代表的成功事例として、最近注目されている韓国の小さな奇跡と言われる長城郡であります。その取り組みは、初代民選郡守の金興植氏のリーダーシップから始まりました。彼は、「株式会社長城郡」を唱えて自治体革新の推進に取り組みました。この発想は珍しいことではありませんが、CEO型郡守型の彼は、成功のかぎとして「教育・人づくり」を強調し、「世の中を変えさせるのは人だが、人を変えさせることができるのは教育だ」をモットーに、公務員と住民の意識を変革させるために、役人と議会の反対を押し切って教育に対する投資を実行して「長城アカデミー」を誕生させました。ここには、幅広い分野の国を代表するような講師を10年間で500人招き、このアカデミーを通じて学習する地方自治体としての体制を確固たるものにしております。
公務員は、エリートビジネスマンの知識と能力を身につけ、住民も視野の広い見識を得ております。また、この講演会は、首長、公務員と住民が一緒に学習することで共感を形成し、意見を出し、討論をすることで、地域のエネルギーを結集させる仕掛けづくりにもなっているそうです。その成果としては、電子決済システム導入、郡のキャラクター事業、有機農業、観光事業の活性化、農産物の輸出市場開拓、企業誘致による韓国家電メーカーの新しいメッカになったことなどが挙げられます。
ほかにも、参加型行政の進展や行政サービスの向上、今までは、「規定にありません」「慣例にありません」「予算がありません」と、できない理由を得意とした姿勢から、国の法律規制によってできないこと以外は、すべてのことはかなえようとする姿勢への転換などが上げられます。しかも、この試みが前出雲市長の「行政は最大のサービス産業である」や、松下幸之助氏の「松下電器は最高の製品をつくる場所ではなく、最高の人をつくる場所」との教えから多くのヒントを得、そして「官民の意識改革を目指した学習する組織をつくり上げるために、真っ先に必要なのは、トップが率先して謙虚に学ぶ姿勢を見せること」と述懐されているそうです。以上、今後の行政運営に資することがあるのではと思い、紹介させていただきました。
続きまして、議会事務局の機能強化について、協議の上、検討していただけるものと理解いたしますが、私はここで議会改革について一言述べさせていただきたいと思います。
前述したとおり、今、全国で起こっている地域政党の台頭や議会に対する報道などを見るとき、改めて二元代表制の一方の主役である議会が、真剣にそのあるべき姿を議論し、改革していかなければ、早晩市民の皆様から見放されると憂慮しております。いや、現状がマスコミなどの報道に影響を受けているから、一定その形をつくらねばいけないといった受身的な改革ではなく、二元代表制が意味するものは何か、そこでの議会の役目は何かといった能動的な本質的な議論をするべきだと考えているところです。国・地方ともに財政状況が稈迫している現状の中で、税の有効活用と、行政執行のかじ取りを過たず、市民の皆様に最適のサービスを提供するためには、さまざまな民意を代表とする議会が、議員同士の議論の中で一定の議会としての方向性を示し、執行部との協議の中でその精度を高めていく作業が必要であると考えます。また、市民の皆様に信頼していただく議会にするためには、議会の可視化も必要と考えます。私たち公明党議員団では、この4年間で2代の議長に対して議会改革の要望をさせていただきましたが、今回の統一地方選に当たり、具体的な改革の提案をしてまいりたいと思っております。
続きまして、環境政策についてです。英国のサリー大学のティム・ジャクソン教授の提案は、興味深い示唆を与えてくれていると思われるので紹介したいと思います。彼は、英国政府の「持続可能な発展委員会」の委員長として、成長を絶対視する現在の経済にかわるモデルを提言しています。
リーマンショック以来の世界的な経済危機を従来の経済モデルの転換点と位置づけており、3つの課題を示しています。その一つは、信用取引の拡大による実体経済の衰え、二つの大量消費をあおることが精神的な豊かさを喪失させた。3つ目に自然環境の制約が露呈し、気象変動だけではなく、金属や鉱物などの重要な資源が枯渇するということであるとし、その課題解決のためには、第一に、環境負荷の抑制の具体的目標設定するとともに、生物多様性を守るための数値目標の設定、第二に持続可能なマクロ経済の構築であり、消費拡大を目指す投資から低炭素型技術の開発に対する投資や、自然環境という資産を守るための投資にシフトすること。その際に労働生産性を落とす選択をする必要があり、サービス業、特に保健医療・介護・教育が雇用を守りつつ生活の質を高め、環境負荷も小さいことから最適の選択としています。また第三に、人々の能力を守り活用することであり、文化芸術などを通したに内面の豊かさを確保することであるとしています。
答弁では、環境基本計画の策定や、温暖化対策実行計画を策定して実施する中で、「都市像として掲げている緑あふれるまち」「環境・経済・社会が一体となって進むまち」「モノから心への豊かな暮らしを実現するまち」の指針のもと、環境を保全しながら経済成長やゆとりある暮らしの実現を図りたいとのことでしたが、概念として、環境と経済の好循環を計画の柱の一つに据えられていることは評価しますが、新年度、あるいは将来に向けて、グリーン・
イノベーションなど、どのような具体的なビジョンを持たれているのか、お尋ねいたします。
次に、新幹線の件ですが、新幹線を活用したまちづくりの基本的な戦略について回答がありました。ハードの整備につきましては、その様子が目に見えておりますので、よしとするにしても、ソフトの面での戦略については、それで本当に新幹線の開業効果が発揮できるのか、つまり久留米を訪れるお客様がふえるのか、久留米に移り住んでいただく方がふえるのか、疑問を抱かざるを得ません。既に新幹線沿線のみならず、九州の各都市間の競争が始まっており、23年下期の新幹線開業後初の秋、本格的な行楽シーズンに向けた競争が熾烈を極めるのは自明の理であります。定住戦略には、施策の十分な検討と今後の継続的な取り組みを期待しますが、来街者を増加させる取り組みについては、待ったなしの状況下に置かれていると認識しております。
久留米には、魅力的な地域資源があり、その資源に携わり、久留米に来ていただくための取り組みをされている人や団体が数多くいらっしゃいます。行政が中心となった観光戦略だけではなく、そのような取り決めを把握し、点から線へ、線から面へ広げるコーディネーターの役割を行政が担うことにより、市民の郷土愛が引き出され、潜在する久留米の魅力がさらに増すと思います。そこで、来街者を増加させるための具体的な施策、そしてその戦略について、再度お尋ねいたします。
次に、
田主丸地区送水管整備事業については、対応策の検討はされているようですが、それでも給水開始の遅れにより投資資金の回収が遅れ、水道事業経営に少なからぬ影響が出ることになり、最終的には利用者全体にそのツケが回るようなことも懸念されます。そこで、この事業による影響も含め、今後の水道事業経営全体の課題と見通しについて、どのように考えておられるのか、お尋ねいたします。
次に、男女共同参画社会の実現についてでありますが、国連の新組織「UNウイメン」が、紛争解決への貢献や社会参加などをテーマに掲げ、男女平等の促進と女性の地位向上に取り組む活動を開始しております。貧困の負担は、女性の肩にのしかかり、戦争や紛争で女性の払う犠牲も大きいものがあり、社会・政治参加・教育の機会も少ない現実があります。しかし世界が抱えている課題に目を向けると、例えば地球温暖化対策にしても、総論では共通認識に立っているものの、各論に入ると国益の壁があり、なかなか明確な答えを出せないでいるような状況が浮かび上がってきます。
初代の事務局長バチェレ、前チリ大統領は、「女性の強さ、勤勉さ、賢さは、人類のまだ活用されていない資源だ」と語っていますように、私は混迷する現在の社会にあって、貧困を克服するにも、平和を築くにも、閉塞した時代に希望をともすにも、女性の活躍が不可欠であると思うのです。アメリカの詩人でエマソン協会前会長のサーラ・ワイダー博士は、「平和の文化の建設には、世代を超え、文化を超えた心と心の結びつきが不可欠である」と指摘しています。
「21世紀は女性の世紀」と言われていますが、日本では、女性がその力を十分に発揮できる環境が整っているとは言えません。昭和女子大学学長の坂東眞理子さんは、女性の雇用問題を解決するには、制度による職場全体への働きかけと、女性の意識や働き方を変えていくという二面性があるとし、職場への働きかけでいうと、基幹労働力として女性を本気で育てようとする企業が少ない結果、女性たちを鍛える仕組みができていない。女性たちのパワーを磨き、その力を発揮する機会を与えるという施策が遅れていることと、ロールモデル、お手本がいない。互いに支え合うネットワークが不足していると指摘しています。さらに女性の自立を前提にした支え合い、結び合い、絆を持つ「支援社会」、同じ志を持つ人たちが協力し合う「志縁社会」を応援する仕組みづくりが必要だと結論づけています。私は、その手本として、まず久留米市がワーク・ライフ・バランスの意識啓発と育児休業の取り組みを進めるとともに、女性が伸び伸びと活躍できる環境の創造のために、人事管理の上からも積極的な取り決めをしていただきますように、強く要望させていただきます。
最後に教育行政についてですが、教育センターについては提案があります。現在の立地は暫定であり、十分な機能を発揮できていないと思います。予定では、給食センターの隣地に建設の方向でしょうが、財政的な課題など、その実現には相当高いハードルがあるものと思っています。一方、コンピュータカレッジは、平成23年度の新規募集を行わず、現行の在校生が卒業する平成24年3月をもって終了し、職業訓練センターに吸収されると聞き及んでおりますが、その後の施設の活用が課題となっていると思われます。幸い用地は市有地であり、建物については、雇用能力開発機構より無償譲渡されることになっているため、コストをかけず教育センターとして活用できるのではないでしょうか。さらに養護学校とも非常に近い位置にあり、特別支援教育の観点からも最適であると思いますので、ぜひとも検討していただきますよう強く要望いたします。
次に、科学教育についてですが、くるめ少年少女発明クラブの応募状況や、青少年科学館のイベントの参加率、理科作品展への応募状況などを見ると、科学教育に対する市民の関心は高いといえます。子供たちの理科離れを止める試みとして、今100年前の幻の事業を再現することで注目を浴びている団体があります。キュリー夫人の紙芝居と実験ショーで、科学の楽しさを伝える「サイエンススタジオ・マリー」です。主宰者の吉祥瑞枝さんは、「5年先、10年先の人材を育てたい」と全国で70回近い理科教室を開催しています。答弁にあったように、久留米市の先人たちが大切にしてきたものづくりの心や団体の活動の振興や活性化を図っていただきたいと、強く要望いたしまして私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
=〔降 壇〕=
○議長(栗原伸夫君) 楢原市長。
○市長(楢原利則君) 坂井政樹議員の2回目の御質問にお答えをいたします。
まず総合計画についてでございますが、現在の総合計画は、13年度から37年度までのいわゆる基本構想があるわけでございますが、この基本構想についての都市像については、現時点では、むしろその考え方、その時点での考え方が、さらに久留米市の目指すべき都市像として、より強くなっている、そういったような認識をしているわけでございまして、御指摘にあります第2次基本計画でございますが、これにつきましてどうするかというふうなことで、私自身も一定、それについてはもう今後の課題だというふうに認識をしております。
そういった中で、この第2次基本計画でございますが、26年度までということで、27年度からの中長期的なビジョンを明確にした次の基本計画への取り組みをそろそろ始めなければならない、そういったような時期にもきているわけでございます。そこで、新しい計画につきましては、より多くの市民の皆様に参画をしていただきながら、策定をしていく必要がございますので、現在の計画のフォローアップ、あるいは中期ビジョンの検証なども含めまして、3年間は期間が必要であるとそう考えております。このため、平成23年度には、次の計画の策定をどのように進めていくのかを検討をし、24年度には具体的な計画の策定に着手をすると、そのような考え方でおったところでございます。
そして、27年度は、合併後10年が経過をいたしますので、都市づくりも新たな段階を迎え、そして合併に伴う国からの財政支援措置も終息に向かうという、いわゆる節目の年でもございますので、市民参加、そして全庁的な職員参加体制のもとで、27年度以降の中長期的なビジョンを明確にした基本計画の策定を進めたいと、そのように考えておりました。
そういった中で、御指摘の御質問がありましたように、久留米市のまちづくりについてでございますが、中期ビジョンで市長就任後、進めさせていただいておりますが、まず平成23年度には、新総合計画の基本計画との総合性をきちんとした形でチェックをしたいと思っております。
そういった中で、基本計画の見直しが必要であるのか、あるいは一定の手直しが必要であるのか、それによってまた手続き等も非常に変わってまいりますので、そのようなことを総合的に勘案をしながら、今後久留米市の新しい基本計画づくりについての考え方、及びスケジュールを調整をしたいとそのように考えております。
それから、御質問の3項目めの環境政策に関連した中で、グリーン・
イノベーション等についてのどういったビジョンを持っているかという御質問でございましたが、今後の方向性でございますけれども、環境基本計画では、最終年度であります2020年度の数値施策の目標を掲げているところでございます。久留米市の温室効果ガスの排出量を1990年に比べまして25%削減をしますほか、市民1日当たりのごみの排出量を2009年度の945グラムから920グラムに、そして緑の量を2010年度の320ヘクタールから346ヘクタールに、そして、環境に関します市民の皆さんの満足度を2010年度の28.2%から50%以上にするということでそれぞれ設定をしております。
この目標達成に向けました具体的な取り組みといたしまして、久留米市の地域特性を生かした太陽光の利用、そしてバイオマスなどの再生可能のエネルギーの導入促進、二酸化炭素の
吸収源やヒートアイランドの緩和策としての都市緑化を積極的に推進をしていきたいと思っております。特に緑化の推進でございますが、地域の特性であります緑花木の産業の活性化、そして森林資源の保全並びにその利活用など、地域産業の振興の視点を持って取り組みたいと考えております。
また、企業の環境対策の支援や環境関連産業支援に特に積極的に取り組んでいきたいと考えておりまして、エネルギーコストを削減をし、温暖化に貢献をする企業の環境マネジメントシステムであります「エコアクション21」の認証支援や省エネ設備機器の導入支援など、環境関連産業の活性化を図りますとともに、環境保全と経済発展を実現する国の施策の動向や社会情勢などを的確に把握をいたしまして、タイムリーに施策を打ち出していきたいと思っております。
そして、久留米市自体でございますが、新たな環境マネジメントシステムの構築をし、率先して温暖化対策に実効性ある取り組みを行いたいと思っております。職員の環境意識を高めまして、庁内の連携を図りながら、行政の各分野で施策に取り組んでまいりたいとそのように思っております。
次に、4点目の新幹線開業を契機とした久留米市の活性化策の2回目の御質問で、来街者を増加させるための具体的な施策についてのお尋ねがございました。これについてお答えを申し上げます。
今日まで、いわゆる交流人口の拡大につなげるために、さまざまな観光振興施策に取り組んできたところでございますが、そのような中で、特に御指摘にもありましたように、豊かな地域資源を活用した観光振興というのが、まず最も大切であると認識をしておりました。自然や歴史文化、伝統工芸などの魅力ある地域資源を生かしました体験交流型の観光商品づくりをさらに進めたいと。そしてさらには、花や自然、食、文化芸術、歴史などの資源を生かしたテーマ別の散策ルートづくりをさらに磨きをかけたいと思っております。
次に、豊かな農産物や食文化を生かした観光客の誘致、これらについて、旅行エージェント、そして交通事業者と連携をした観光プロモーション活動、そして各種効果的な観光プロモーション活動に力を入れていきたいと考えております。特に観光プロモーション活動につきましては、遠方から新幹線を利用して訪れる旅行者の方々は、行動範囲が広くなる傾向でございますので、JR久大本線沿線地域と連携した観光PRを強く行いながら、魅力の向上と情報発信力の強化に努めていきたいと考えております。
なお、各種学会やスポーツなど多様なコンベンションの誘致にも積極的に取り組んでいくこと等によりまして、ことしの秋以降についても、来街者をふやす取り組みに力を入れていきたいというのが一点と、もう一点は、御指摘にございましたように、行政の力だけではこれは実現できるものではございませんので、市民の皆さんと一体となって、来街者を受け入れる環境づくりを進めていきたいというふうに考えておりまして、既にまち旅博覧会では、約100名の市民の皆様にナビゲーターとして参画をしていただいておりますし、観光ボランティアガイドの育成、そしてイベント等の開催時には、積極的に多くの皆様に御協力をいただいておりますので、自然体でお客様を温かく受け入れることができるような、そのようなおもてなしの機運づくり等、そして例えばタクシー業界の皆様の運転手の皆様の観光に対する対応力の強化、そのようなことも含めまして、市民の皆さんと一緒に「ほとめきのまちづくり」を進めまして、地域の活性化、交流人口の拡大に努めてまいりたいと考えております。私からは、以上でございます。
○議長(栗原伸夫君) 稲益企業管理者。
○企業管理者(稲益冨支典君) 5番目の
田主丸地区送水管整備事業についての2回目の御質問にお答えいたします。
この事業の影響を含めた今後の水道事業経営の課題と見通しということでございますが、この
送水管整備事業につきましては、先ほど述べましたように、国庫補助等を初め、負担軽減、そしてまた収益の早期発現に努めるということにしておりますが、多額の投資を必要とすることから、水需要の発生の遅れは経営に一定の影響を与えるものと認識しております。今後の整備に当たりましては、需要の動向等を的確に踏まえました慎重な事業管理が必要であるとそのように考えております。
一方、老朽化してまいりました水道施設の更新、耐震化の推進、また北野地区における水道サービスの統一、平成25年に予定されています大山ダム完成に伴う受水量の見直しなどの課題がございます。その中で、一方では、人口減少、節水器具の普及によりまして、料金収入の伸びは期待できないという状況でございます。今後も水道事業の経営環境は厳しい状況は続くものと想定しております。
このような状況を踏まえまして、平成22年、今年度に今後5カ年の経営の指標となります「中期経営計画」を策定し、平成24年度から実施する予定でございます料金窓口業務の包括的業務委託等、徹底したコスト縮減に努めることによりまして、純利益は減少するものの一定の収益を確保し、経営の安全性、経営の健全性が保たれるものと推計しているところでございます。今後とも、需要の動向を踏まえた適正規模の投資を意識するとともに、コスト縮減等による経営努力により、確実に収益を確保し、水道事業の健全経営に努めてまいりたいとそのように考えています。以上です。
○議長(栗原伸夫君) この際、暫時休憩いたします。午後1時から再開いたします。
=午前11時31分 休憩=
=午後 1時00分 再開=
○議長(栗原伸夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
代表質問を続行いたします。31番石橋力君。(拍手)
〔31番石橋力君登壇〕
○31番(石橋力君) 31番、清風会議員団の石橋力です。通告に従い順次質問していきたいと思います。
まず、新幹線の経済効果をどれだけ予想しているか。
a.新幹線の受け皿づくりは万全だったか。
合併後の久留米市に残された大きな課題は、新幹線の受け皿づくりを着々と行い、新幹線開業の効果を最大限享受できるよう準備することだと私は思っておりました。また、江藤前市長時代からその準備が進められてまいりました。しかし、思いがけない前市長の病気により、少し準備に陰りが出てきたことは否定できないように思われます。大きな変更点は、観光コンベンションをJR駅前に建設しようとするものですが、既に立体駐車場建設を都市計画決定しているものを、江藤前市長は変更し、観光コンベンション建設にかじを切ろうとした矢先、病気に見舞われました。その後、楢原市長になり、総合都市プラザとして検討委員会を設置、井筒屋跡地になるようですが、その問題は後ほど述べるとして、前市長の病気により、事程左様に新幹線のために計画されていたものが、二転三転して結局立体駐車場は3月12日の新幹線開業に間に合わず、暫定の平面駐車場でスタートしなければならないようになりました。
そして、それ以上に残念なことは、そのほかの受け皿づくりと目されたJR久留米駅の東口、西口の愛称募集や新幹線定期券の補助などもあいまいな状態に立ち消えになろうとしています。駅前広場やコンコースなどは、どこの駅も駅前に整備をしています。また、それは予算さえつければできる話です。しかし、定住促進を目的とした定期券補助などは、特にもう少し真剣に検討し、久留米市独自の受け皿づくりとして、また前市長の時代は計画されていなかった楢原市長のオリジナリティーとしてもう少し真剣に計画してもよかったのではないかと思われてなりません。そして、ついに次年度の予算案としては見送られてしまいました。やれるものはすべてやるという気概を持って新幹線の受け皿づくりをしてほしいと思っていた者にとっては、全く残念としか言いようがありません。
歳入増や新幹線の乗降客増に伴う定住促進に関する予算は、ホームページ作成など形ばかりの予算計上となってしまいました。新幹線の受け皿づくりとして、開業直後のタイムリーな政策と予算計上が求められるソフト事業の政策がほぼ皆無と言わざるを得ない状況になった今、少なくとも受け皿づくりを総括的に見たとき、万全だとはとても言えないし、久留米市としての新幹線に対する意欲も感じられないようになったような気がいたします。この件についての市長の御見解をお伺いいたします。
次に、観光政策の見直しと準備は万全だったか。
ことしの九州経済白書は、アジアを中心に急増する訪日外国人、インバウンドに焦点を当て、「九州アジアインバウンド時代」ということで観光を探っています。九州を訪れる外国人観光客は、圧倒的にアジアが多く、1980年代には90%を超え、全国平均よりも20%も高くなっています。同時に九州・山口では、船舶で港湾から入国する比率が2009年で43.4%に上っています。ちなみに、全国平均は5.7%です。九州・山口には、高速船やフェリーなど海路のネットワークがアジア観光客の気軽な来訪を促しています。さらに観光に高付加価値をつけた医療観光ツーリズムを考えられているそうです。まさに国際観光時代と言っても過言ではありません。
こんなときに、久留米もこの流れに遅れをとってはいけません。つつじマーチが加入している東亜ウオーキングリーグで、済州島や大連との関係を構築したり、姉妹都市合肥などと観光の連携が欲しいものです。また医療都市久留米として高付加価値の医療観光ツーリズムを計画できないことはありません。がんペプチドワクチンは目玉になるかもしれません。医療都市久留米の本領が発揮できるときです。
こうしたアジアからの九州の安・近・短の観光事業を背景に、久留米市の観光は新幹線開業で駅周辺の散策路の開拓を通じ、日田の豆田町、滋賀県長浜市の黒壁の町及び鳥取県境港市のような昔のシャッター通りがよみがえるように、水天宮通りをよみがえらせられないものでしょうか。大分県豊後高田市は、かなり最近行ってまいりましたが、よみがえっております。そして商店街が復活、一店一品が定着してきています。水天宮通りは昭和30年代とまではいきませんが、京隈かいわいめぐり等地元の努力で、昔の少しにぎやかな水天宮通りがよみがえってきています。新幹線開業までには間に合いませんが、復活の萌芽がそこに見えます。こうした地道な努力が方向をたがわせぬように、久留米市の観光を見直し、過去にどれだけの予算を投入したかなどを検証し、どんな観光資源を開拓していくかの方向性を見極める努力が必要です。そして、これこそが新幹線開業後の観光の準備となり、発展が見込まれると思いますが、こうした久留米市の観光全般についての市長の御見解をお伺いをいたします。
次に、新幹線と中心市街地の活性化をどう結びつけるか。
冒頭述べましたように、新幹線開業に向けた立体駐車場を変更し、観光コンベンションをつくる予定が前市長の病気により頓挫し、1年間の検討委員会の答申をもとに、先日の提案理由でも提案されたように、井筒屋跡地に総合都市プラザを持ってくる案が今議会で提案をされています。もともとこの総合都市プラザは、駅前に持ってくるように、久留米大学側からの要請により前市長が考えられたと聞いております。最近の大学病院は、卒業後の医局に残る医師が大学によって偏り、必要な医師を確保できなくなってきている。大学間の競争も激しい。久留米市でもこのような状況に協力していただき、久留米大学主催の学会ぐらいは、久留米市で開けるコンベンションホールが欲しい。しかも駅周辺に欲しいというのが大学側の要請であったと聞いております。では、このことの発端となった大学側の要望は、今回の井筒屋跡地の計画で解決できるのか。できないのか。質問の第1点。
第2点目に、井筒屋東側の「むつもん饅頭」周辺を含めた地域を以前より土地の同意が難しい地域とされていますが、最終的にこの地域を含めた土地の手当てができるのか。
第3点として、六角堂を含めて総合都市プラザの範囲とするということですが、完成して10年も経っていない六角堂をやり直すことに市民に同意が得られると考えておられるのか。そして土地の手当てができない状況で長引けば、合併特例債を使う期限の利益を失い、頓挫することになれば、新幹線に端を発した総合都市プラザ構想は、中心市街地の活性化に結びつかないことになりはしないかという懸念があります。出口が4年間と決められた事業にもかなりのリスクを感じざるを得ません。
そしてもう一つ、観光コンベンションの本来の姿は、ゆとりのある土地に十分な駐車場スペースをとってやるべきであるのに、中心市街地の活性化に拘泥する余りに、本来の総合都市プラザのあるべき姿を見失っていないか。これが第4点目の疑問です。これらの疑問点に対する市長の御見解をお伺いをいたします。
2番目、久留米市の経済成長と生産年齢人口について。
久留米市だけでなく、日本全体の経済成長を分析するとき、デフレの解消が急務だと言われています。特に株価と地価の下落が日本のデフレの現況といわれています。久留米市でも地価の下落は目を覆うものがあります。しかし、これはデフレに陥った後の現象であり、その原因ではありません。この原因について日本政策投資銀行参事役の藻谷浩介氏は、その著「デフレの正体」の中で、生産年齢人口の減少がその主たる原因だと主張しています。生産年齢人口とは15歳から65歳までの人口のことです。この生産年齢人口は、久留米市ではどうなっているでしょうか。
途中、合併を挟んでいるので把握が少し難しいですが、少なくとも平成17年で20万1,000人が、平成22年には19万3,000人と5年間で8,000人減少していることがわかりました。合併したときの人口に比べると、人口は約4,000人減少していますが、生産年齢人口は、その減少のペースの2倍のペースで減少しているようです。もしこれがデフレの正体だとすれば、久留米市は相当早いペースで生産年齢人口が減少する傾向にあります。ますますデフレが拡大する状況のようです。藻谷氏は、これを「人口の波」と呼んで、これこそがデフレの正体だと言っています。しかし、日本全国どこに行っても、団塊の世代がそろそろ生産年齢人口からはみ出す時期なので、これからますますデフレ圧力が高まることになるのは、確実です。
では、この人口の波はどうとめればいいのでしょうか。藻谷氏は、3つのスローガンを挙げています。1.生産年齢人口が減るペースを少しでも弱めよう、2.生産年齢人口に該当する世代の個人所得の総額を維持し、ふやそう。3.生産年齢人口プラス高齢者による個人消費の総額を維持し、ふやそうというものです。
デフレの正体は、生産年齢人口の減少で、その減少は消費の拡大を妨げていると考えれば、生産年齢人口15歳から65歳までの所得を維持し、消費の減少を食いとめることは自明の理です。出生率の拡大や輸出の拡大では間に合わない。一番力を入れるのは生産年齢人口の所得を維持することです。その具体策を久留米市でするには、企業誘致などで所得の高い企業を誘致、雇用を拡大する、所得の高い人たちに久留米に住んでいただく、こんな政策が考えられますが、そういう意味では、先ほど冒頭の新幹線効果のところで申し上げた定住促進政策は重要性があると考えます。もちろん保育所などの福祉を充実させて、子供を安心して育てられる環境づくりも大切ですが、人口の社会像に着目し、生産年齢人口の減少を食いとめる努力も必要です。特に定住促進は必要な政策かもしれません。市長の御見解をお伺いをいたします。
3.子育て支援とセーフティネットについて。
保育所の待機児童予想と解決策について。
平成22年11月作成の「久留米市保育所認可への対応方針」を見ると、平成26年度には、このままの保育所の定員からいくと、550人程度の待機児童が発生すると保育需要の推計が書かれています。この保育需要の推計では、入所希望児童数は、就学前児童数が減少しているものの、低年齢層を中心に増加の傾向にあり、平成26年度には7,436人となる見込みとあります。この7,436人が年間を通じての入所児童数の増加及び入所充足率94%から推計すると、定員数7,900人程度となる見込みだそうです。
まず7,436人が7,900人となるのは、充足率の関係だと思われますが、その相関関係がわかりません。そして、この7,900人が基礎の数字となり、中期的な整備方針として550人程度の待機児童が出る見込みとなり、これに基づいた整備方針が決定されています。その方針は、平成24年までに集中的に短期整備として定員増を図るというものです。そのために市内中央部4地域においては、既存の認可保育所や幼保連携型認定こども園の整備により、定員増を図るとともに、通常保育所1カ所を新設、また夜間保育の受け入れ体制整備を進めるため、夜間認可保育所1カ所を新設するという結論になっております。
私がわからないのは、この推計の根拠です。
7,436人の推計、それが充足率で7,900人になる根拠、そしてその推計を基礎として市中央部で400人程度、そのほかで150人程度、合計550人の待機児童が出る推論の根拠です。その後の幼保連携型認定こども園などの整備の方法にも問題がないわけではありませんが、推計が間違っていればその後の方針も間違ってこざるを得ません。まずは、待機児童550人の推計の根拠をお尋ねをいたします。
次に、学童保育所の将来予想について。
保育所の5年後の将来予想があるのに、就学後の学童保育所の将来予想がないのは、少しおかしいような気がいたします。学童保育所も3年ほど前から入所児童が急激に増加しています。これも
リーマンショック以降の経済状況を反映しているものと思いますが、施設整備も大変な状況になっております。特に学童保育所が学校の敷地内にある学童が多いので、施設整備の際の敷地確保も大変です。しかも厚生労働省は70人を限度として学童を分割する方針で、71人からは施設が2以上となる施設となり、それが敷地増につながり、その確保が大変です。学童保育所の将来予想と今後の方針をお尋ねをいたします。
次に、小・中学校給食と貧困対策について。
日本国憲法第26条は、「義務教育は、これを無償にする」と規定していますが、学校給食は有償です。受益者負担の原則から言えば有償かもしれません。全国全部の小・中学校で給食が行われているわけではありませんから。事前の調査では、給食費の延滞率は0.5%というぐらいということで、さして大問題というわけではありません。しかし生活保護は、昭和25年、制度発足当初は、220万人だったのが、一時は80万人まで減少したそうですが、今は180万人まで増加をしています。総体的貧困率は、OECDの2000年半ばの調査では世界で4番目に高く15.7%、子供の貧困率も14%台と高い。しかし私の聞いたところでは、子ども手当の影響で給食率の延滞率が低くなったという話はどうもないようでございます。今後、急速に延滞率が上がる可能性があるようです。まして、中学校給食が始まり、給食費が払えない子供たちが肩身の狭い思いをするのは、ぜひ食いとめたいものです。前述の共働きの家庭が増加していく経済状況をかんがみ、今後の対応をお伺いをいたします。
4番目、第2期教育改革プランの家庭学習について。
第2期久留米市教育改革プランの中の第2章、学校教育の現状と課題の2、学力の保障と向上の1、子供たちの現状ではいろいろなデータや説明はありますが、久留米市の小・中学生の学力は、全国平均を下回っていることを報告をしています。これは結構ショッキングな話で、久留米市は中核市でもあり、全国平均であるだろうと思っている市民の方が多いのではないでしょうか。これは、久留米市だけが全国平均を下回っているのではなく、福岡県レベルでも同じような状況らしいのですが、それにしてもがっかりする話です。
では、どこに原因があるのでしょうか。都会ほど成績はよいというのは、所得の高いほど成績がよいということなのでしょうか。しかしこれを認めれば今の状態を抜け出せません。しかしこの子供たちの現状の中に、「学校に行く日に授業時間以外で1日にどれくらい勉強しますか」という実態調査があります。これも学年別に久留米市と全国平均が比較されています。この調査が余りにも学力テストの全国平均のグラフと酷似しているのに驚きました。学力テストの全国平均との差は、とりもなおさず家庭学習の差ではないかと思った次第です。違う意見もあるかと思いますが、「みずから学ぶ力を養う」、つまり自分一人で勉強しなければ最終の学力にはなりません。家庭学習時間の差こそが学力の全国平均との差に思えてなりません。もしそうだとすれば、生活習慣も大事ですが、家庭学習時間が全国平均になるようにすることこそが学力向上につながると考えられます。人間性は、家庭や親も関係しますが、学力は学校の責任です。そして教師の本分は、大部分、学力向上だと考えています。それなら家庭学習を自主的にできる子供の習慣をつけさせる努力が必要です。
教育改革プランの中の課題の5番目に、こんなことが書かれています。「自学自習の力の定着、家庭学習を習慣化させるための学校、家庭が連携した取り組みを推進する」とありますが、このことこそが改革プランの最重要課題のような気がいたしますが、いかがお考えでしょうか。
最後に、農業改革に久留米市独自のビジネスモデルを導入できないか。
昨年11月14日に閉幕したAPECにおける大きなニュースの一つが日本のTPP、環太平洋戦略的経済連携協定に対する参加意志の表明でしょう。駒沢大学教授飯田泰之氏は、雑誌Voiceの中でこう言っています。「現在の国際貿易システムでは、利害関係者が多過ぎて、到底実行的な同意に至ることができない他国間協定方式から2国から数カ国間でのFTA・自由貿易協定、さらには人の移動や知的財産政策にまで踏み込んだEPA・経済連携協定へと、その主役がシフトしています。しかし日本はこの流れに大きく取り残されています。その最大の原因とされているのが国内農業の問題です。TPPに参加すれば日本の農業は崩壊する。食糧の自給を守るために、同種の協定に参加すべきではないという意見があります。しかし、国内農業を保護しているのは日本だけではありません。アメリカはもとより、欧州、さらには英国や韓国においても国内農業の保護には大きな予算を割いています。問題の核心は、農業の是非ではなく、自由貿易の是非なのだと、そして関税による農業保護そのものが国際的に時代遅れとなっている」と記述をしています。では、関税は下げて別の方法で農業を保護すればよいのではないでしょうか。そして日本の生命線である自由貿易を守るための努力が必要です。
久留米市では、三井物産出身の参与を迎えられたと聞いております。三井物産は海外に転売先を確保し、九州の農産物を委託生産して、農家の収益アップに寄与していると聞いたこともあります。久留米市には、イチゴやトマトなど輸出しても大丈夫な農産物もあります。これを商社とタイアップして生産拡大のビジネスモデルはできないものでしょうか。従来型の農業の振興もありますが、従来型の農業のあり方が問題となっている今、久留米市独自のビジネスモデルの構築にも挑戦してみてはどうでしょうか。自由貿易が日本の生命線なら、農業でも自由貿易を進めることに挑戦できないものでしょうか。市長の御見解をお伺いをして、第1回の質問を終わります。
=〔降 壇〕=
○議長(栗原伸夫君) 楢原市長。
○市長(楢原利則君) 清風会議員団を代表しての石橋力議員の御質問にお答えいたします。
1項目めの新幹線の経済効果をどれだけ予想しているかとの御質問でございますが、新幹線の受け皿づくりは万全だったか。観光政策の見直しと準備は万全かにつきましては、臼井副市長からお答えをし、私からは、新幹線と中心市街地の活性化をどう結びつけるかをお答えをさせていただきます。
まず、コンベンション機能についてでございますが、御指摘のように、現在久留米市内にはコンベンション開催の拠点となる施設が不十分でありまして、久留米大学を初め、学会などのコンベンションを主催する機関があるにもかかわらず、会議室等の不足により、市外で開催されるケースがあるなど、久留米市として学会などのコンベンション開催に対して、十分に対応できていないといった課題がございます。そのために、市民会館にかわる新しい施設であります総合都市プラザの整備に当たりましては、学会などのコンベンションの開催が可能な大ホールのほか、分科会用の会議室や展示室などの機能を兼ね備えることで、学会など多彩なコンベンションに対応できる施設にしたいと考えております。
立地場所でございますが、六ツ門地区の再整備の各施設として、さらに久留米市の長期的な視点での将来のまちづくりにとって、都市の求心力の再生や文化の街久留米を象徴する施設として、総合都市プラザの整備を図っていくことで、久留米市の文化の発展と地域浮揚につなげていきたいとの考えから、JR久留米駅と西鉄久留米駅という東西の交通結節点の中間に位置した井筒屋跡地と六角堂広場を含む地区とすることが最適であると判断をしたものでございます。
市といたしましては、コンベンション機能をあわせ持った総合都市プラザを六ツ門地区に整備することで、久留米大学等からの要望に対しましては十分に対応できるものと考えております。さらに六ツ門地区が有します高いポテンシャルを有効に活用することで、アフターコンベンション等による周辺商店街などの地域経済への波及が大きく期待できると考えております。
そこで、井筒屋街区の地権者の皆さんの状況でございますが、井筒屋の西側の商業地を含む土地の手当てができるのかというようなお尋ねでございました。井筒屋街区における再開発の取り組みは、平成19年に久留米井筒屋を含む街区全体の地権者による再開発の研究会が立ち上げられまして、民間事業者による再開発事業などの研究が行われてまいりました。さらに昨年12月末、まちづくり会社である株式会社ハイマート久留米が、井筒屋跡地の売買予約契約を締結したことを受けまして、再開発事業の機運が高まり、ことし1月27日に、地元権利者の皆さんにより、「六ツ門8番街地区市街地再開発準備組合」が設立され、事業化に向け会議を重ねられております。準備組合におかれましては、街区全体を事業の対象地域として取り組まれておられます。