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  1. 鹿児島県議会 2021-09-29
    2021-09-29 令和3年第3回定例会(第7日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(田之上耕三君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、一般質問    米 丸 まき子 君    安 楽 ひでみ 君    山 田 国 治 君    大 園 清 信 君  一、議案第八〇号から議案第九八号まで(議案第八三    号、議案第九二号を除く。)及び報告第三号の常    任委員会付託  一、決算特別委員会の設置、議案第八三号、議案第九    二号及び議案第九九号の同特別委員会付託並びに    決算特別委員の選任
     一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 一般質問 ◯議長(田之上耕三君)まず、一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。  米丸まき子君に発言を許可いたします。    [米丸まき子君登壇](拍手) 3 ◯米丸まき子君 皆様、おはようございます。  本日もたくさんの方に傍聴にお越しいただき感謝申し上げます。本当にうれしいです。  私は、これまで政治にあまり関心がなかった方々に、少しでも関心を持っていただくにはどうすればいいかを常に考えています。世の中をよりよくするためには、選んだ政治家に全てを任せるのではなく、皆様自身も政治に参加していただかなければなりません。  今回も、一般質問を作成するに当たり、県民の皆様、執行部の皆様、姶良市長、各分野のスペシャリスト、多くの方にインタビューをさせていただき、御知恵を頂きました。心から感謝申し上げます。  皆様の御要望が一つでも実現するよう本日も精いっぱい頑張らせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  さて、令和二年度の国勢調査速報で、我が県は戦後初めて人口が百六十万人を割りました。そして、平成三十年度の一人当たりの県民所得は二百五十万九千円と、前年度よりも順位を一つ落とした全国四十四位という残念な結果になりました。  今、県民の所得向上につながる大胆な産業振興への取組を急ぐ必要があります。  また、これまでの政策を改めて振り返り、今後の鹿児島県はどうあるべきかを真剣に議論し、次の時代に向けての準備を進める必要があると考えます。しかし、果たして現在、県政としてそのことがどのぐらい認識され、対応策が打たれているでしょうか。  今回の質問は、産業振興面、教育環境面など、コロナ禍で現れてきた問題点を取り上げたいと思います。  まずは、県の産業振興についてお尋ねします。  塩田知事は、鹿児島県の基幹産業である農林水産業観光関連産業に力を入れていくと常々おっしゃっております。  確かに、コロナ禍になる前の二〇一九年、農業産出額は北海道の一兆円に続き五千億円の生産高を上げ、全国二位になりました。全国トップクラスの一次産業県です。  これまで長きにわたり食料を海外からの輸入に頼ってきた日本において、我が県のように至近距離に一次産業があるのは大きな強みです。しかしながら、本県の産業別就業者数の構成は、一次産業九・五%、二次産業一九・四%、三次産業七一・一%です。農業に関わる人口が一番少ない上に、生産農業所得率は全国最下位です。まだまだ鹿児島県産というブランド力が弱いため、一生懸命たくさんつくってもなかなか収入に反映されない、それが現状ではないでしょうか。  また、思いもよらぬ長期戦となったコロナ禍により、農林水産業観光関連産業ともに、かなりの打撃を受け、関係者の方々からは苦痛の声が聞こえてきます。  昨日、中村素子議員が事業継承のお話をされていましたが、五割の企業で後継者不足とのこと、我が県の二つの基幹産業が今のまま進化しなければ、次世代が夢や希望を持って受け継いでくれるでしょうか。私は鹿児島の将来が不安でたまりません。  知事は御自身のマニフェストの中で、「鹿児島県をアジアの中核都市にする」と掲げておられます。胸躍る構想だと思います。  知事に対して私が初めて行った一般質問の中で、「アジアの中核都市とはいかなるものか」という問いに、知事は、アジアの中核都市のイメージを「九州における北が福岡で南に鹿児島が玄関と、そういう位置づけにならないかという思いです」と述べられました。  なるほど、福岡。現在の福岡の人口は五百十三万人で、鹿児島の三・二倍。二〇一八年度県内総生産は、福岡が十九兆八千八十億円、一方、鹿児島県は五兆五千四百八十七億円、三・五倍です。  先日、マニフェストの「アジアの中核都市」の進捗状況を拝見しました。率直な感想は、もっとスピードアップが必要ではないかということです。今のペースで福岡に追いつくには何年かかるのでしょうか。  そこで質問です。  知事はマニフェスト及び施政方針において、再三にわたり「新産業の創出に取り組む」と述べられておりますが、どのような産業を新産業として捉えているのか、また、新産業の創出にどのように取り組まれるのか、お示しください。  これで、一回目の質問を終わります。    [知事塩田康一君登壇] 4 ◯知事(塩田康一君)新産業創出への取組についてでございます。  新型コロナウイルス感染症の終息後を見据え、今後の県勢発展の基盤をしっかりとつくっていくためには、基幹産業である農林水産業観光関連産業のさらなる振興、製造業の競争力の強化とともに、将来を担う新産業の創出に取り組み、「稼ぐ力」の向上を図っていく必要があります。  新産業については、起業によって新たに創出される幅広い業種の産業を想定しているほか、既存の企業によるデジタルや環境、宇宙など、今後、市場拡大が期待される事業への展開も想定しております。  こうした新産業の創出を図るため、本年四月に新産業創出室を整備し、新たな産業の創出に取り組む企業等のニーズの掘り起こしから事業化・販路拡大まで、各段階に応じた研究開発費の補助や専門家によるコンサルティングなど、一貫した伴走支援を行っているところであります。  また、来年四月のオープンに向けて、県庁十八階にコワーキングスペースを整備し、社会課題の解決をはじめとした様々な新産業の創出を図るほか、アジアをはじめとする海外事業者や異業種とのコミュニティー形成を通じたスタートアップ育成によるイノベーションを支援することとしております。  これらの取組を通じて、鹿児島の「稼ぐ力」を向上させたいと考えております。 5 ◯米丸まき子君 自席より再質問させていただきます。  今、知事から新産業に関していろいろ挙げていただきましたが、総合的・戦略的の中で特に知事が力を注ぎたいと思っておられるのは何でしょう。具体的にお答えください。 6 ◯知事(塩田康一君)鹿児島の将来における新産業の創出というのを考えたときに、やはり、ほかの県等と比べて新規の開業率が高くないということがありますので、そういった新しい産業、地域のいろんな課題に対応した、新しい社会的課題解決に向けた産業の創出をしていくことが必要だと思っております。  そういった観点から、若い方々へのそういう起業マインドの醸成ということにもしっかり取り組んでいきたいと思いますし、そういった起業を考えている方々がどうすれば新しい事業にチャレンジできるかというような、一つのいろんな交流、取組ということで、今回、県庁の十八階にもコワーキングスペースをつくるということで、そういったことも含めてしっかりと支援をしていきたいと思っております。 7 ◯米丸まき子君 具体的にとお願いしたんですが、なかなか具体的には答えていただけないということですね。  次の、先ほど研究開発費の伴走を支援していくということだったんですけど、具体的に今、どのような機関、例えば大学なのか、研究機関なのか、どういったことがどう連携されているのか、お答えください。 8 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)具体的にどのような研究開発費の補助や専門家によるコンサルティングなどを行っているかというような御質問だと捉えております。  具体的には、ベンチャー支援として、大学や企業等を中心とした研究開発費のワーキンググループの活動経費を支援していたりとか、あと、研究開発支援という意味では、新技術・新製品への研究開発経費を支援していくということを考えております。  また、ソフトの支援といたしましては、人材の育成、研究開発、販路開拓、専門家の招聘等の経費を支援していきたいと考えておりますし、また、ハードの面でいえば設備投資等の支援もしていきたいと考えております。    [米丸まき子君登壇] 9 ◯米丸まき子君 知事のマニフェストの進捗状況を拝見いたしました。  聡明な知事らしく、粛々と誠実に公約の実現に向けて取り組まれておられます。また、様々な県の課題に対しても、事あるごとに、国の動向を注視する、県民の声を聞くと発言されています。冷静沈着で思慮深い知事らしい言葉と感じます。  しかし、ふだんから県民の声を聞いている我々議員は、そろそろ知事の本当の声が聞きたいという声を聞きます。  知事はこの県政をどうしていきたいのか、知事が実現したい「稼ぐ力」とは具体的にどういうものなのか。マニフェスト以外にも、知事に就任され、知事という立場で着想を得られたものもあるでしょう。そういった知事の声を県民は聞きたがっています。ぜひその材料を我々議員と議論、議会のテーブルにのせてください。そうでなければ、議論しないまま時間だけが過ぎ、我々の四年間という限られた任期も終わってしまいます。  知事、アフターコロナは今までとは恐らく違う時代です。経済に精通した塩田知事にしかできない斬新なアイデア、力強い方針をどうぞ遠慮なさらずに打ち出してください。  というわけで、私は遠慮せず、批判を恐れず、力強く稼げるアイデアを出させていただきます。  それは、鹿児島のヘルス・アンド・ウェルネス産業についてであります。  農林水産業観光関連産業を柱に据えながらも、最も就業人口の多い第三次産業に関わる県民に活躍してもらう、新たな三本目の柱が必要なのではないかと考えています。それが、ヘルス・アンド・ウェルネス産業だと考えております。  その主な理由は三つです。  一つ目が、コロナ禍において、免疫力向上などの健康志向が国内外でますます高まっています。  二つ目が、ヘルシーフード、フィットネス、ヨガ、美容エステ、温泉、サウナ、予防医学、健康住宅など関連産業の裾野が広く、地域経済への期待ができるということです。  三つ目が、鹿児島県の基幹産業であり、強みでもある一次産業や観光産業とも親和性が高く、相乗効果が望めます。  ヘルス・アンド・ウェルネスとは、身体、心、精神が個人的にも社会的にも健康で幸福な状態を示します。  世界のマーケットでは十年前ぐらいから注目され始め、世界ウェルネス機関最新レポートによると、約五百兆円にまで成長していると言われます。  このヘルス・アンド・ウェルネスを鹿児島の産業として育てるための具体的提案として、今回は三つ挙げさせていただきます。  まず一つ目が、フードダイバーシティーです。つまり食の多様性です。  鹿児島県の農産物、食文化をさらに世界に広めるためには、ブランド力を磨き、食の多様性へ対応する取組が必要です。  世界には、宗教や主義、アレルギー等の健康上の理由などを背景に、食に対して様々な制限を持つ人が数多く存在します。食の多様性、フードダイバーシティーとは、それらの違いを尊重し、受け入れる環境整備を行うことを言います。  観光庁の資料によると、主要百か国・地域におけるベジタリアン・ヴィーガンの人口は、二〇一八年には六・三億人に達しています。そして、世界の有名観光地のメニューには、必ずといっていいほどベジタリアンに向けた特別メニューがあります。  訪日外国人の旅行目的の第一位は、食事だと言われています。インバウンドの視点で見ると、二〇一八年時点、全訪日旅行者のうちベジタリアンは四・六から六・一%を占めました。その市場規模は四百五十億円から六百億円規模と推計されています。  驚くべきは国別比率です。台湾が三九%とその四割を占めています。それもそのはずです。台湾人の一四%がベジタリアンの上、かつ親日家が多いため、訪日ベジタリアン市場で台湾人がマジョリティーを占めるのは必然です。えっ、ほんとにうち、うちの地域には来ていないよ、そう思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、それはひとえに彼らが声を上げていないから気づかないだけなのかもしれません。  台湾との直行便がある我が県ですが、観光客が元に戻るまでにはまだまだ先の見えない状況です。しかし、コロナが終息すれば必ずその需要は戻ってくると考えられます。今はそのときに備えるべきです。  食の多様性への対応に取り組むことをぜひ県として、世界の全ての人に優しい食のまちづくり、フードダイバーシティー宣言を行っていただきたいと考えております。  この宣言では、通常の食事の方も、ベジタリアンなど食に対して様々なタブーを持つ人も安心して食事を楽しむことができる環境を整えます。また、輸出に関しても、世界中どんな方にも食べていただける世界標準のものづくりを目指すものです。  ベジタリアン・イコール・サラダだけではありません。そしてこの理念に共感し、理解していただくために、県民を巻き込んだ講習会や、ハラール・ヴィーガン料理の勉強会・試食会などを開催したり、シェフや旅館の板前の人材育成、食の情報発信などを行っていただきたいと思っております。  もちろん鹿児島県は、鶏肉、豚肉、牛肉という三大ミートが大きな「稼ぐ力」になっています。ベジタリアンをあまり強く打ち出すと、肉を否定してしまうように思えますが、このような世界標準のフードダイバーシティー宣言をすることによって、世界における鹿児島の食の総合価値を高められるのではないでしょうか。  さらに、この取組は、国連が掲げたSDGs、誰も置き去りにしないの理念に沿った活動につながります。まだどこの県も取り組んでいない今、ぜひ一番に手を挙げていただきたいと思います。  次に、錦江湾しおかぜ街道の整備についてであります。  錦江湾しおかぜ街道を利用したサイクリングコースの提案です。  錦江湾の魅力を生かした観光地づくりの一つとして、県はこのたび、九州・山口サイクルツーリズム広域推奨ルートを作成されました。これは非常に高く評価すべき点であります。しかしながら、推奨ルートはまだまだ車の往来が激しく、危険箇所も多く、環境整備が必要です。  そこで、十六年前から取り組んでいる錦江湾しおかぜ街道を改めて見直し、整備を進めることでルートに生かす提案をさせていただきます。  この錦江湾しおかぜ街道と名づけられた街道は、長崎鼻から佐多岬までの錦江湾の沿岸、総延長二百四十一キロメートルの整備を行うという概要です。アメリカのサンフランシスコ・ベイトレイル計画六百四十キロメートルを参考にし、この街道も百年かけて完成する構想でしたが、最近では整備が止まったままの部分も多いようです。  我が姶良市にも、二〇一〇年にこの事業で千二百メートルほど整備されていますが、その後は進む気配がありません。整備が進み、地域の人々が爽やかにウォーキングやサイクリングに積極的に取り組むようになれば、どうでしょう。鹿児島の人々のウェルネスにつながると同時に、世界に類を見ない観光スポットになると思います。  そして三つ目の提案は、鹿児島全体を日本のヨガの聖地にしてはというものです。  突然何をとお思いでしょうが、実は昨年六月、種子島は、ヨガの聖地として全国の自治体で初めて認定されました。ヨガを通して、健康寿命の増進や地方創生と活性化に地域で取り組んだことが評価されたのです。この機運が鹿児島県全体に広がるように働きかけたいと思っています。  と申しますのも、ここ十年でヨガの人気が世界的に高まっているからです。二〇一四年、国連は、六月二十一日を国際ヨガの日としました。また、コロナ禍前ではありますが、厚生労働省までもが、日頃の運動不足解消や健康意識の向上を目的に、神宮球場のグラウンドで千人規模のナイトヨガを実施しています。  二〇二〇年、日本でもヨガ人口は毎年百万人ずつ増え、今では一千万人超え、さらには、世界のヨガ人口は三億人以上とも言われています。この全世界的な動向を見逃す手はありません。  ヨガが鹿児島県全土に広がることで、三つの効果が期待されます。  一つ目は経済効果。  コロナ前ではありますが、横浜のヨガのイベントで三日間で五万人もの参加者が、日本、そして近隣アジア諸国から集まっています。世界的な人気が高まっているヨガを利用して観光客を誘致すれば、観光消費額の増加にもつながると考えています。  二つ目は、鹿児島の食のウェルネス、鹿児島の食の新しいブランドイメージづくりです。  ヨガは、身体的なポーズだけではなく、ライフスタイル全般ウェルネスなものに改善していく健康法です。とりわけ食生活は重要視されます。安心・安全な栽培方法で育てた農作物や、これらを使った商品やメニューの開発などの取組を強化していきます。それによって、既に定着している鹿児島の食・イコール・おいしいに加えて、ウェルネスブランドイメージを生み出せます。  三つ目、これが最も大切です。県民の健康増進です。  人口一人当たりの医療費が年間四十二万三千百円と全国で三番目に高額な我が県。また、先日、大手製薬会社の調査で、鹿児島県民は、全国一ひどい頭痛持ちが多いという驚きの結果が出ました。先ほど来から申し上げている数字を見ますと、鹿児島県のイメージは、一日中、汗水垂らして働いても収入は少ない、頑張って育てた会社の後継ぎもいない、その上、ひどい頭痛持ち、いつも不調が続き病院通い、その上、コロナ不況。  鹿児島県民は、心も身体も健康であると胸を張って言えるでしょうか。様々な解決方法はありますが、これらの解決策の一つとしてヨガは大変有効だと考えられます。ヨガは、子供から高齢者まで優しく日常生活に取り入れられます。全身をゆっくり動かすことにより、身体の柔軟性を高められます。そして、筋力や持久力、バランス能力を向上させます。また、呼吸に意識を向けることでリラックスし、情緒の安定にも役立ちます。県民全ての年代がヨガに取り組めば、健康の維持・増進や疾病予防、ひいては医療費の削減が期待できるのではないでしょうか。  振興策には様々なアイデアが考えられます。現在使われていない県の施設、広場・空間をヨガスペースとして開放する。県庁各部署に大型ディスプレーが導入されたとのことですが、県民体操を改め、県民ヨガを取り入れるなど今から知恵を出して、県の健康施策として取り組んではいかがでしょう。  最終的には、なぜ鹿児島県民は健康で長生きで楽しそうな人生を送っているのかと世界中から注目されるようになってほしいです。そして、世界各国から、鹿児島のウェルネスを視察に来てもらえるようになってほしいと考えています。  そこで質問です。  塩田知事の就任後、ウェルネスの予算が大幅に削られましたが、長期的視点で第三の柱となり得るヘルス・アンド・ウェルネス産業をどう捉えているのか、知事の所見をお示しください。  コロナ終息後、さらなる観光消費額の増加に向けて、より多くの海外観光客を受け入れていくために、食の多様性に対応した受入れ体制づくりにどのように取り組むか、お示しください。  錦江湾しおかぜ街道の整備計画とこれまでの実績をお示しください。  また、今後、錦江湾沿岸を一つなぎで一周できるよう整備していくつもりはあるか、お示しください。  コロナ禍の健康法として国内外で注目され、鹿児島の観光や食とも親和性の高いヨガを活用して、観光や食の振興、県民の健康増進につなげていく考えはないか、認識をお示しください。  以上、二回目の質問を終わります。
    10 ◯総合政策部長(前田洋一君)ヘルス・アンド・ウェルネス産業に関する所感についてのお尋ねをいただきました。  本県は、温暖な気候、世界自然遺産をはじめとする豊かな自然、美しい景観、豊富な温泉資源、安心・安全な食、トレッキングやマリンスポーツなどの健康づくりに適した環境など、世界に通用する健康・癒やし・長寿に有益な地域資源に恵まれております。  これらの優れた地域資源は、ウェルネスツーリズムやサイクルツーリズムなどの新たな観光旅行分野の開拓、安心・安全な食のさらなるブランド力の向上による農林水産業の振興、伝統的な発酵食品など、健康食品の販路開拓による食品製造業の振興など、様々な分野における活用が考えられます。  このように、観光業や農林水産業をはじめ、様々な産業において、その付加価値を高めるため、健康・癒やし・長寿に関する素材を活用していくことは、本県産業の「稼ぐ力」を向上させるという観点からも重要であると考えております。 11 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)まず、食の多様性に対応しました外国人観光客の受入れについてでございます。  外国人観光客の受入れに当たりましては、観光客の文化や習慣にも対応することが重要だと考えており、県では、これまで、イスラム教徒外国人観光客に対応するため、ムスリムフレンドリーセミナーなどを開催し、県内事業者へのムスリムに対する理解の促進に努めてきたところでございます。  一方、健康志向などを背景に、ヴィーガンなどのベジタリアンの人口は毎年増加傾向にあり、また、世界で約六億三千万人いるベジタリアンのうち約五億人がアジア圏の人々だと言われておりますことから、アジア圏からのさらなる外国人観光客誘致に当たりましては、ベジタリアンへの対応が必要だと考えております。なお、観光庁におきましても、昨年、ベジタリアン対応ガイドを作成したところでございます。  県といたしましては、引き続き、セミナーなどの開催を通じて、飲食店におけるメニューの多言語化や使用食材の表示などを促進することにより、食の多様性にも対応した受入れ体制の充実を図ってまいります。  次に、錦江湾しおかぜ街道の整備についてでございます。  錦江湾しおかぜ街道につきましては、桜島を中心とした錦江湾岸の優れた景観を楽しみながら歩いてもらうことを目的に、薩摩半島と大隅半島の最南端であります長崎鼻から佐多岬までの海岸線を錦江湾しおかぜ街道と位置づけており、錦江湾沿岸部の想定ルート約二百四十キロメートルにおきまして、歩道が整備されていない箇所など約五十六キロメートルを整備予定区間として設定しているところでございます。  これまで、鹿児島港しおかぜ通りや桜島なぎさ遊歩道、道の駅たるみずのボードウォーク、指宿しおかぜ街道、重富海岸沿いの遊歩道など約十四キロメートルを魅力ある観光地づくり事業により整備してきており、現在、鹿屋市天神地区におきまして整備を進めているところでございます。  なお、錦江湾しおかぜ街道は、観光客はもとより、広く県民にも利用していただくことを目的にしておりますことから、この事業の実施に当たりましては、地元市町をはじめ、道路や海岸管理者など関係機関と連携しながら、長期的に進めていく必要があると考えております。  県といたしましては、本県にとって貴重な財産であります桜島や錦江湾が持つ様々な魅力を最大限に生かせるよう、引き続き整備に努めてまいります。  次に、ヨガを活用した振興策についてでございます。  県では、日本初のヨガの聖地に認定されました種子島をはじめ、本県ならではの豊かな自然や美しい景観の中で行うヨガ体験を新たな観光素材といたしまして、旅行会社向けの観光素材説明会やセールス活動などでPRしているほか、個人旅行者に向けましても、ウェブなどの様々な媒体を活用して情報発信に取り組んでいるところでございます。  コロナ終息後は、健康・癒やしに対する志向がより高まると予想されますことから、今後とも、ヨガを有力な観光素材の一つとして、本県の観光振興に活用してまいりたいと考えております。 12 ◯農政部長(松薗英昭君)ヨガ等を活用した食の振興についてであります。  本県では、かごしまブランド産品をはじめとする安心・安全で高品質な農林水産物や、それらを活用した加工品について、かごしまの食ウェブサイトや各種のフェアなど、様々な手法による情報発信を行い、認知度向上に取り組んでいるところであります。  健康面における食へのこだわりが強いヨガ愛好者など、健康志向の高い方々は、SNS等による食の情報の広がりも期待できますことから、これらの方々を活用することは、情報発信の手法の一つとして考えられるところでございます。  県といたしましては、今後とも様々な手法により情報発信を行っていくことは重要であると考えており、引き続き効果的な手法を検討しながら、かごしまブランド産品等の認知度向上を図り、食の振興に取り組んでまいりたいと考えております。 13 ◯くらし保健福祉部長(谷口浩一君)ヨガによる県民の健康増進についてであります。  ヨガは、そらす、ねじる、片足立ちになるなどのポーズを取る運動であり、柔軟性やバランス能力が養われるとされており、ストレス性疾患に有効であるとの研究報告もあるところであります。  健康寿命を延ばすには、適度な運動や適切な食生活、禁煙等が有効であるとされておりまして、県としても、健康かごしま21において、ロコモティブシンドロームの発症・重症化予防等のため、県民に対して、ヨガなども含めた適切な運動の習慣化を支援することとしております。 14 ◯米丸まき子君 自席より質問させていただきます。  知事は、コロナ対応で日々大変御苦労されているのは重々承知しております。また、外出の機会も会合等もなくなっていると思います。しかし、知事が常々重要とおっしゃっている「稼ぐ力」は、机の前でじっとしていては、いいアイデアは浮かんでこないと思います。  ところで、県庁では昭和五十二年から毎日、午後三時に県民体操が四分間流れます。私調べですが、二十七人の県庁の職員の方にお尋ねしたところ、皆さん、やったことはないという回答でした。  ちなみに、知事はこの県民体操をされたことがありますか。 15 ◯知事(塩田康一君)まだ私自身はしておりません。 16 ◯米丸まき子君 知事は自転車振興にも力を入れてくださっていますが、知事が外に出てヨガやサイクリングをやってみませんか。  例えば、イギリスのボリス・ジョンソン首相ですが、自転車愛好家で知られています。世界的に自転車振興が成功しているところは必ず首長が自転車に乗られています。本当に地元のそういった著名なサイクリストが世界に発信することで、県内外で広がると思います。  ちなみに、十月三十一日にツール・ド・おおすみがあります。締切りは今月いっぱいですが、まだ間に合いますが、いかがでしょうか。 17 ◯知事(塩田康一君)十月三十一日の日程がどうだったか私、まだ確認できておりませんけれども、少し、体力をもう一回ちょっと復活させる準備が必要かと思っております。    [米丸まき子君登壇] 18 ◯米丸まき子君 県民体操、この議場にいらっしゃる皆様はどうでしょうか。昭和五十二年から流れる音楽はいつも頭に残っています。しかし、この県民体操、なかなか普及しませんね。私がここで言いたいのは、もしかしたら、これと同じような現象が政策や鹿児島県には山ほどあるのではないでしょうか。これが当たり前だという感覚から抜け出すには、今がチャンスです。  ヘルス・アンド・ウェルネス産業への取組についてですが、私なりに考えた鹿児島の「稼ぐ力」の新しい柱を提案させていただきました。  県内には、コロナ前から既に世界の潮流を察知し、食の多様性に取り組み、実績を上げている飲食店や事業者もあります。ぜひ、県は、そういう先進的な事業者とも対話を進め、前向きに取り組んでいただきたいと切に願います。  次に、かごしま遊楽館の在り方について質問させていただきます。  長年、鹿児島の産業を支援してきた施設、かごしま遊楽館の在り方について、二点お尋ねします。  まず一点目、時代が大きく動く中で、遊楽館がコストに見合う役割を果たしているかについてです。  遊楽館は、今から二十六年前、東京千代田区有楽町に設立されました。首都圏と鹿児島を結ぶ拠点として、鹿児島の特産品や農産物の販売促進、観光情報の発信などを担っています。  言うまでもなく、この地域は日本で一番家賃が高い場所と言っても過言ではありません。しかし、この立地であっても、コロナ禍によりインバウンド消費の減少で売上げが激減し、先行きの見通しが立ちにくい状況が続いています。  遊楽館は、ビルを一階から三階まで県が借り上げており、年間一億七百九十六万円の家賃を払っています。そのうち、入居しているテナントが年間で支払う家賃負担は、一階のさつまいもの館が千二百七十九万円、二階の黒豚しゃぶしゃぶのお店、いちにいさんは四千五百万円となっております。これらを差し引くと年間約五千万円も県が負担していることになります。  これを宣伝費として投資と考えるのであれば、リターンをどう捉えるかが鍵となりますが、民間であれば到底維持不可能な採算度外視の店舗です。県民にとってプラスになっている部分はなんでしょう。  二点目に、これからの時代を見据えた取組をしているか、マーケティングの方向性です。  これからの時代は、世代の変化を重視しなければならないと言われています。なぜなら、国連人口データ二〇一六によると、二〇二五年には、全世界の労働人口のうち七五%を、一九八〇年から一九九五年の間に生まれた、現在二十六歳から四十一歳のミレニアル世代が占めるようになるとも言われているからです。  この世代は、物欲は低く、物の所有にこだわらないと言われています。そして、SNSを通じて人とつながり、インスタ映えなど、共感によって消費・拡散する傾向があります。さらに、環境問題や社会情勢など社会問題への関心が高く、無添加やオーガニック食品、筋トレ、フィットネスなどの健康志向が強いとも言われています。  この世代が消費活動の主役になったときに応えられるほどの準備が県にはできているのでしょうか。リベンジ消費の流れが来たとき、コロナ前あるいは二十六年も前と同じ商売のやり方をして大丈夫でしょうか。遊楽館の在り方はこれまでどおりでいいのでしょうか。  そこで質問します。  遊楽館は、首都圏と鹿児島を結ぶ拠点というコンセプトにおいて、コストに見合う役割を果たしていると考えますか。その根拠はなんでしょう。これからの時代を見据えた遊楽館としての取組、今後の計画をお示しください。  次に、県庁舎未利用財産の有効活用についてお尋ねします。  先日、県庁十八階のコワーキングスペースの整備と運営を行う事業者が選定されました。来年の四月からは、この場が、県内外で活躍する若者や企業、行政など様々な方の交流拠点となります。そして、新たな事業の創出が大きく推進されるものと期待が膨らみます。  そこで、県民から、何か県庁って暗いよねと言われる鹿児島県庁ではありますが、私は、今後、十八階で生まれるであろうにぎわいを県庁全体にも波及させるアイデアを提案いたします。  県庁のロビーには二〇一八年から、休止中のエスカレーターを利用して、県内百十三の蔵元の焼酎瓶が六百三十二本陳列されています。スタート当時は話題を集めましたが、最近では、もはやSNSで話題になったという話も耳にしません。もうそろそろ違う戦略も必要なのではないでしょうか。  年間二百三十万円かかるとされるエスカレーターの再稼働は、今の時代、経費的にも難しいでしょう。また、撤去し改装するにも費用がかかります。今、県民の生活が大変なときに、なかなかそういったことに費用をかけることは難しいと思います。  ならば、動かないエスカレーターとしての他の活用法あるいは撤去費用に見合うだけの収入を得る方法等、もっと知恵を出して模索すべきです。  そこで提案です。  県庁二階のフロアは、現在、お昼寝に活用しておられる方も多いようですが、リラックススペースはそのままに、遊んでいるスペースをもっと有効活用できないものかと感じています。  二階にコーヒースタンドやカフェなどのテナントを入れてみてはいかがでしょうか。喫煙所ばかりではなく、様々な部署の方が偶発的に出会い、もっと気軽にアイデアを出し合い、交流できるような場に有効活用してはいかがでしょうか。十八階と二階のサンドイッチ方式によるにぎわいの創出です。  例えば、県民交流センターにカフェがあります。そこの家賃収入は、四十三・九五坪で年間約二百万円と、有効活用ができております。  一方、県庁舎一階・二階合わせて、有効利用できそうな広大なスペースは二百十一坪あります。単純計算で少なくとも三から五店舗入る計算になります。県庁周辺の家賃相場は坪九千円から一万五千円ですので、場合によっては月六十万円、年間七百万円近い収入を得られることになります。  コンビニは、半径約五百メートルを商圏とし、その中に人口が三千人いないとビジネスが成り立たないというのが定説です。約五百メートル圏内に大手コンビニが六軒ある県庁は、商圏内にかなりの人口を持つと考えられます。  また、県庁周辺には団地が広がり、そして五十件以上の企業オフィスがありますので、県庁に気軽に入れるおしゃれなカフェなどがあれば、これまで県政に興味のなかった方にも県庁に足をお運びいただき、行政にも関心を持っていただけるのではないでしょうか。  そこでお伺いします。  県庁内の一階ロビーまたはエスカレーター、二階フロアの有効活用に関して、今後の取組についてお示しください。 19 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)かごしま遊楽館のコストと役割等についてでございます。  かごしま遊楽館は、コロナ前で年間四十万人を超える入館者があり、令和元年度の売上げは約五億二千万円で、首都圏にある都道府県アンテナショップ三十九店舗の中で六位となっており、首都圏における本県の物産や観光の総合的な情報の受発信拠点としての役割を十分に果たしていると考えております。  なお、他県のアンテナショップの多くは賃料の大半を自治体が負担している中、遊楽館におきましては、一定の賃料を入居者が負担しており、コスト面でも効率的な運営ができていると考えております。  かごしま遊楽館の取組等につきましては、現在、通常の物販やイベント開催に加えまして、インスタグラムによる情報発信を行いますとともに、ウェブを活用した物販も行っているところであり、今後とも、首都圏における総合的な情報の受発信拠点といたしまして、これからの時代も見据えた効果的なPRや販売活動に努めてまいりたいと考えております。 20 ◯会計管理者(片平洋一君)県庁舎の有効活用に向けた取組についてでございます。  県庁舎の一階及び二階につきましては、県民が親しみやすく憩える場として整備し、主に県政情報等の発信などに活用しているところでございます。  現在、エントランスホールにおいて焼酎の展示を行っていますほか、二階県民ホールにおきましては、これまで、警察音楽隊による演奏会の開催や、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界自然遺産登録視聴会、パラリンピック聖火フェスティバル採火式の雨天時の対応など、本県施策のPR等に活用しているところでございます。  県庁一階ロビーや二階フロアにつきましては、ホールとしての本来の機能に支障がないよう、今後とも式典や短期的なイベント等に活用してまいりたいと考えております。 21 ◯米丸まき子君 遊楽館について、もう一つ質問させていただきます。  確かに皆様の御努力は理解いたしました。これまで、焼酎や黒豚、黒牛は、鹿児島を代表する特産品となったのは皆様のお力だと思います。しかし、その後に続く国内外でのヒット商品はありますか。もしあるとすれば何でしょう。そして、ないとすればどこに課題があるのでしょうか。 22 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)本県の特産品、ヒット商品に関するお尋ねでございます。  本県は、黒豚や黒牛のほかにも、サツマイモやお茶、ブリ、カンパチ、ウナギなどの日本一の食材のほか、多くの特産品があり、これまで、遊楽館におけるイベントや量販店・レストランでの鹿児島フェアなどにより、積極的なPRや販路拡大に取り組んできているところでございます。  県といたしましては、引き続き、かごしま遊楽館を積極的かつ効果的に活用することで、黒豚や黒牛に続く、新たなヒット商品をつくり育てることも含め、本県特産品の認知度向上や販売促進、また、新たな販路の開拓に取り組んでまいりたいと考えております。    [米丸まき子君登壇] 23 ◯米丸まき子君 遊楽館は、設立されてから二十六年もの間、全く同じテナントが入ったままになっています。二十六年前というと、ポケットベルが爆発的にはやった時代です。九九九でサンキュー、五九六で御苦労さん、今やそれは遠い過去の思い出となりました。この二十六年間で人々の消費スタイルは大きく変化し、多様化しています。  コロナ禍になる前も、遊楽館の一階の売上げは好調で、二階のレストランも人気ですと執行部の回答を頂きました。しかし、私は、アンテナショップであるべき場所が、売上げを上げることだけが目的になっていないかと疑問に思っています。  また、二階のレストランはこれまでの貢献に非常に感謝しています。しかし、行政の運営施設である以上、県内の他の企業にも公平に出店の機会を広げる検討がなされてもよいのではないでしょうか。  と申しますのも、昨年度のコロナ禍、一階に五百万円、二階に二千万円の使い道自由な首都圏アンテナショップ支援事業という補助金が出されました。このように手厚い補助が県からなされるのであれば、私も東京で挑戦してみたいと思う経営者も出てくるのではないでしょうか。  知事、私は残念なことがあります。  コロナ前ではありますが、鹿児島空港の国際線のお土産売場、一番目立つメインの棚に、北海道の白い恋人をはじめ、他県の有名商品がずらっと我が物顔で並んでいるのです。もっと鹿児島の商品を置いてくださいと空港の売店にお願いしたら、売れるものを売るのは当たり前と回答が返ってきました。それはごもっともと思いました。であれば、鹿児島の商品も売れる力をつけなければならない。売れる商品には、しっかりと消費者に語れる材料があります。魅力的なストーリーがあります。ブランド力があります。売れるものには売れるだけの理由があるのです。  鹿児島の中小企業規模では、マーケティングに費用を費やすことを苦手とする企業も多く存在します。勢いや勘や経験に頼る商品開発や営業活動になりますが、それには限界があります。  東京という最先端のマーケットの現場で市場動向を調査したり、消費者のニーズをつかんだりというマーケティングを行い、売れる力をつけていく場所が、本来の遊楽館の役割ではないでしょうか。  税金という経費がどんどん使われ続けることで、地元企業がその経費以上にもうかって、納税金額が拡大するといった成果主義が必要だと思います。  県庁二階についてはぜひ、十八階と相乗効果の見込める斬新な活用法に取り組んでいただき、県庁全体の活性化につなげていただきたいと思います。  教育問題についてです。  日高議員、鶴丸議員に引き続き、私も特別支援学校の設置について、質問及び要望を出させていただきます。  九月十三日、県立牧之原養護学校を訪問させていただきました。そこで見たのは、年々膨れ上がる生徒の数に追いつかず、もともと教材が置かれていた倉庫までもが教室に改装されている様子でした。また、図書館と言える部屋もありませんでした。全部で約百五十人いる教員の駐車スペースも不足しており、本来児童や生徒の遊び場となる場所まで車が止まっている状態でした。  さらに、放課後ともなると、デイケアを利用する子供たちのお迎えの車が二十台近く渋滞の列をなしていました。  今から四十一年前、八十九人からスタートしたそうです。こんなにも児童が増えるとは想像もされていなかったのでしょう。  さて、県の人口移動調査を見ると、我が姶良市は、この少子化の時代にあっても、人口・世帯数とも増加しています。姶良市の園児・児童生徒数に関してはここ十年毎年増加、現在、小・中学校の児童生徒を合わせると七千十五名が就学しております。それと比例するかのように、特別な支援が必要な子供の数が増えているのも事実です。  令和三年度、姶良市には、支援員による支援が必要な児童生徒数は小・中学校合わせて七百十人おり、そのうち特別支援学級に入っている児童は二百八十二人、六十七の特別支援学級が存在しています。令和二年からすると、何とたった一年で十学級も一気に増えました。  知的障害者と肢体不自由者を対象とした特別支援学校である牧之原養護学校には、在校生三百三十一名のうち、姶良市から七十六名の児童生徒が通っています。霧島市の百七十四名に次ぐ数字です。十年前に比べると一・六倍に増えました。  文部科学省の特別支援学校設置基準案によると、牧之原養護学校は校舎面積が不適合とのことです。  昨日、教育長の答弁では、バス路線の見直しや既存の施設の改修を行っていくとありましたが、もう牧之原養護学校は、限られた敷地内で校舎を増設し、バスを増便するだけでは根本的な解決になっていないところまで来ているのが現状です。  そこで質問です。  姶良市への特別支援学校の設置について、県の考え方をお示しください。
    24 ◯教育長(東條広光君)姶良市への特別支援学校の設置についてであります。  姶良市の児童生後が通う特別支援学校は、加治木養護学校と牧之原養護学校の二校がありまして、このうち、加治木養護学校は、隣接する南九州病院に病弱で入院歴などのある児童生徒を対象としております。  牧之原養護学校は、姶良市のほか、霧島市、曽於市、志布志市、鹿屋市輝北町の知的障害と肢体不自由の児童生徒を対象としておりますが、同校では、児童生徒数の増加に伴う教室の確保や通学時間の課題が見られ、これまで校舎の増築や通学バスの増便等により対応してきております。  こうした中、このほど特別支援学校の教育環境を改善する観点から、新たに特別支援学校設置基準が定められたところであります。  県教委としては、制定された基準の趣旨を踏まえつつ、各学校の状況を勘案しながら、県全体の特別支援学校の教育環境の改善として、既存施設の改修や学校の分置なども含めて検討し、優先順位を定めて、計画的に対応していきたいと考えておりまして、姶良市の児童生徒の特別支援教育に係る教育環境についても、その中で検討してまいりたいと考えております。    [米丸まき子君登壇] 25 ◯米丸まき子君 鹿児島県全体では人口が減り続けている中、ありがたいことに姶良市は人口が増え、住みよい市であるという評価を頂いています。県では、人口が減ることを前提としたことにはいろいろな施策を考えていらっしゃいますが、姶良市のように、人口が増えているところへも策を講じていくことを重視していただくことを要望に代えさせていただきます。  皆さん、危機という言葉は二つの漢字でできています。一つは、危険の「危」、もう一つは好機の「機」です。このコロナ危機の中で、危険ばかりではなく、いかに好機・チャンスを見いだすことができるか。そこを私たちは問われているのだと思います。  もちろん何よりも大切なことは、現状をどう乗り切るかということです。不況はつらく苦しいものです。先行きの見えない時代だからこそ、動き出すことすら難しい局面も多々あります。しかし、コロナ禍でみんなが一旦ゼロベースになった今、次の飛躍のステップへの絶好の好機でもあります。  知事のおっしゃるとおり、稼ぐ鹿児島県をつくるには、挑戦を促す組織文化・組織風土を育てていくことが大切です。そのためには、失敗を許容する文化、まずは、やってみっがと機運を後押しする施策も必要かと思います。それが、挑戦する文化にもつながっていくと考えます。  この危機、この時代の変わり目、鹿児島県が今変わらないでいつ変わるのでしょう。今でしょう。これを境に、鹿児島のすばらしい文化を残しつつも、旧態依然の体質を改善することが必要です。  こん慣例、何か変じゃなかけと思ったら、一切のものにとらわれず、素直な姿勢で現状をつぶさに見詰め直すことが大切です。次の飛躍に備え、鹿児島県も、我々県民も進化が問われているときです。明るく前向きな態度で、全員一丸となって創意工夫を重ねる努力を続け、難局を乗り切ってまいりましょう。  鹿児島に帰っておいで、鹿児島で暮らそうと次の時代にも胸を張ってバトンタッチできる鹿児島を我々の手でつくり上げていきましょう。  これで、私の一般質問を終わります。(拍手) 26 ◯議長(田之上耕三君)ここで、休憩いたします。  再開は、午前十一時十分といたします。        午前十時五十七分休憩       ────────────        午前十一時十分再開 27 ◯議長(田之上耕三君)再開いたします。  次は、安楽ひでみ君に発言を許可いたします。    [安楽ひでみ君登壇](拍手) 28 ◯安楽ひでみ君 県民連合、安楽ひでみでございます。  県民連合の一員として一般質問させていただきますことに感謝申し上げます。  さて、本年七月から九月にかけて、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックが開催されました。賛否両論ありましたが、参加された選手には敬意を表します。  大会で注目された一つに、大会ボランティアの方のサポート体制があります。裏方として大会運営を支え、選手のために奔走する姿は、海外選手や関係者から高い評価を受けていることが報道等でも取り上げられました。このようなことを契機に、心のバリアフリーに対する認識が変化すること、見直しが始まることを感じられた大会でもありました。  新型コロナウイルス感染症は、世界中で多くの感染者が発生し、残念ながら多くの方々がその大事な命を失うという事態となりました。我が国においても同様であります。お亡くなりになられました方々の御冥福を心からお祈りいたしますとともに、御遺族の方々にお見舞い申し上げます。そして、現在治療中の方々が一日も早く回復されますことをお祈り申し上げます。  さらに、感染拡大の中にありながら、県民の相談や検査・治療に当たっていただいているエッセンシャルワーカーの皆様には、最前線の現場において日々御尽力いただいていることに、心からの敬意と感謝を申し上げます。  新型コロナウイルス感染症の防止対策は、長期化していることもあり、ウイルスだけではなく人の心の健康まで侵してしまいかねません。昨年の緊急事態宣言の延期から、人との交流を制限せざるを得ない状況が続きましたが、感染の不安や行動制限から閉塞感も広がり、自粛警察、マスク警察、帰省警察、ワクチンハラスメントなどが起きる事態となりました。  特に、マスクは、熱中症など体の変調にも影響しますが、マスク越しのコミュニケーションは相手の感情を読み取りづらく対人関係にも影響を及ぼし、社会に微妙な変化をもたらしていると言われます。そのようなときだからこそ、県民お一人お一人がお互いに思いやり、支え合い、他人の痛みに寄り添うことが大事だと思います。  私も、安心の日々が一日も早く取り戻せるよう努力してまいります。  塩田知事が就任されて早いもので一年が過ぎました。新型コロナウイルス感染症の対応に奮闘された一年ではなかったかと思います。  本日は、塩田知事はじめ、執行部の皆様の誠実で前向きな答弁に御期待申し上げ、通告に従い、質問してまいります。  新型コロナウイルス感染症拡大の影響について伺ってまいります。  新型コロナウイルス感染症の影響は、高齢者だけではなく、最近では若年化し、二十歳代から四十歳代の感染者が増加しています。また、十歳代の感染者も増え、先日、大阪で初めて十歳代の死亡者が出たとの報道に衝撃を受けました。  親が感染した場合、子供を親類や祖父母に預けるにも、高齢や遠方であったり、また周囲に預けるにはリスクを伴うため、預け先がない状態もあることなどから、あらゆる面でのシミュレーションを想定して、不安なく療養ができるように対策をしておくべきと考えます。  そこでお伺いいたします。  親が感染し、子供たちの預け先がない場合に、本県ではどのように対応しているのか、お示しください。  自宅待機を選択せざるを得ない家庭に対して、本県でも食事を届ける支援策を独自で講じている市もありますが、県下共通の課題であり、県として講じている支援策についてお聞かせください。  新型コロナウイルス感染症拡大は、人の心にまで影響を与えていますが、十歳代の感染者が増えていることから、子供たちの間での誹謗中傷が絶えません。新型コロナウイルス感染症から回復しても復学するのが怖いなど、心のケアの必要性を感じずにはいられません。  そこでお伺いいたします。  若年化している新型コロナウイルス感染者が、症状が回復し、学校や日常生活に戻りやすい環境整備が必要だと思いますが、どのように心のケアを講じているのか、お示しください。  また、ワクチン接種を希望しない人への誹謗中傷があってはなりません。身体的理由や様々な理由によってワクチンを接種することができない児童生徒など、接種を希望しない人の判断が尊重されるよう周知していく必要があると思いますが、見解をお伺いいたします。  次に、要配慮者への支援に係る諸課題について伺ってまいります。  全国的な感染拡大により要配慮者も感染するケースが出ていますが、要配慮者への対応は個別の対応が求められます。  本年六月十六日、厚労省から都道府県等に発出された通知、「障害者に係る新型コロナウイルス感染症に対応した宿泊療養の運営について」は、新型コロナウイルス感染症への感染が疑われる障害者の方々に対して、宿泊療養、自宅療養を実施する際には、障害の特性を踏まえて適切な配慮が提供されるようにという内容であります。  東京都では、自宅療養者が増加し、夫や子供を残して四十歳代の母親が亡くなった痛ましい事案がありましたが、大きなショックを受けました。  家族の職場で感染者が出ても濃厚接触者との判定、家族の濃厚接触者判定・PCR検査までに約一週間もかかっており、保健所体制の逼迫状況が見てとれます。そのような状況に対する強化策として、他県では訪問看護の活用なども進んでいます。  そこでお伺いいたします。  本県では、健康観察をコールセンターへの業務委託もなされるとの対応が図られていますが、電話対応ができない方への対応についてお聞かせください。  また、障害者など配慮が必要とされる方が宿泊療養対象者、自宅待機となった場合の対応についてお聞かせください。  今後の対策として、他県でも導入が進んでいる訪問看護の活用については要配慮者にとっても有効だと思いますが、考えをお聞かせください。  さきの厚労省からの通知には、遠隔手話サービス、電話リレーサービス、音声認識・筆談アプリの活用についても明記されていますが、障害者など要配慮者も多様であり、対応には様々な工夫が必要です。  議場の皆様には資料を配付しております。資料一を御確認ください。  報道によりますと、茨城県つくば市では、案内スタッフの話し声を字幕として表示案内する透明ディスプレーを市役所の総合案内所に設置しているとのことです。  透明ディスプレーは、筑波大デジタルネイチャー研究室とジャパンディスプレイが共同開発して、シースルーキャプションズ、もともとは聴覚障害者とコミュニケーションするための機器として開発されたものであります。マスク着用、アクリル板設置、ソーシャルディスタンスでは声が聞きにくいため、周囲の環境次第では誰もが会話を補助するツールとして有効であると考えます。また、これまでも、スマホや別画面にこうした文字情報をリアルタイム表示する装置はありましたが、双方の身振り手振りに加えて表情を同時に確認することは難しく、相手を見ながらのコミュニケーションを行う上で制約もあります。  そこでお伺いいたします。  コロナ禍は、聴覚障害者に限らず、アクリル板越しの声は聞きにくいなどの課題があります。先進県を参考に字幕表示のできるディスプレーを県有施設等に設置を検討するお考えはないのか、見解をお聞かせください。  新型コロナ感染症に関する人権相談窓口を本年も設置される予定でありますが、電話対応が困難な聴覚障害者等、要配慮者にはどのような対応がなされるのか、また、人権相談窓口の周知はどのようになされるのか、お答えください。  また、現在の相談窓口については、電話対応が困難な方に対して、ファクスやメール等で御対応いただいておりますが、相談窓口への相談が電話でしかできないと思っている方が少なくありません。相談体制が整備されているということをしっかり伝えていただきたいと思います。  知事の定例会見での周知、あるいは障害者団体との連携で情報伝達、アクセスの方法は確保されていることをぜひ周知していただきたいと思いますが、知事、いかがでしょうか。知事の見解をお伺いいたします。  次に、鹿児島県身障者用駐車場利用証制度、通称パーキングパーミット制度について伺ってまいります。  議場の皆様は資料二を御確認ください。  身障者用駐車場利用証には、赤色、緑色、オレンジ色の三種類があり、赤色は車椅子利用者用、緑色は車椅子利用者を除く障害者・高齢者用です。これら赤色と緑色は五年間で更新が必要です。また、オレンジ色は妊産婦やけが人専用で、こちらは有効期限が設定されています。  まずは、県有施設での身障者用駐車場の現状についてお伺いいたします。  協力施設数及び身障者用駐車場は、これまでどれだけ増えたのか、また、そのうち県有施設の身障者用駐車場はどれだけ増えたのか、また、地域振興局等の施設の台数はどうなっているのか、今後の身障者用駐車場についての考え方も併せてお聞かせください。  身障者用駐車場利用証の更新時の対応についてお伺いいたします。  車椅子利用者用と、車椅子利用者を除く障害者・高齢者用は五年間で更新が必要です。パーキングパーミット制度に係る質問の準備として、全国の身障者用駐車場利用証を調査したところ、それぞれの県で表記や形状に工夫が凝らされており、利便性だけでなく理解促進にもつながると感じました。  例えば岐阜県では、更新時に旧利用証を回収し、新利用証を交付しています。私も身障者用駐車場利用証を利用しています。傷はあるものの掲示するには問題はなく、二〇〇九年制度導入から破損せず大事に使用しておりますが、問題もあります。更新時に有効期限を明記したシールを貼っておりますが、空きスペースに貼って対応しており、破損がない限り空きスペースで対応していますが、有効期限表示は大事であり、希望すれば、身障者用駐車場利用証の更新時に新しい利用証に変更できるようにしてはどうかと考えます。  そこでお伺いいたします。  身障者用駐車場利用証の理解促進はコロナ禍でどのようになされているのか。鹿児島県のPRを兼ねた、例えば桜島の形を利用証にするなど、理解促進を進めるための検討をすべきと考えますが、見解をお伺いいたします。  全国の身障者用駐車場利用証、通称パーキングパーミット制度は四十の県で導入されており、申請した県で取得した利用証は、制度を導入している県であれば他県でも利用でき、とてもよい制度であるにもかかわらず、適正利用や理解促進不足を感じます。理解促進を進め適正利用となり、障害者の方々が利用しやすい環境になることを望むものであります。  二〇二三年には、本県において国体・障害者スポーツ大会が開催されます。できるだけ身障者用駐車場を確保することと、来県された方で必要とする人たちが利用しやすいように県民の理解を進めていく必要があると思います。国体・障害者スポーツ大会のスケジュールを踏まえた今後の取組をお示しください。  パーキングパーミット制度で妊産婦やけが人などは有効期間が一年未満ですが、妊娠七か月から産後三か月までについては、出産予定日の四か月前から申請手続が可能となっています。  九州の中で佐賀県は、妊産婦で、単胎児で妊娠七か月から産後三か月までの利用期間についての申請は、妊娠七か月から受付が可能です。また、多胎児については、妊娠六か月から産後十八か月まで利用でき、妊娠六か月から受付が可能となっています。  産後三か月といえば、やっと子供の首が据わる頃であり、それ以前の外出機会は少ないと思われます。まして多胎児出産の場合、三か月以内に外出する機会はさらに少ないと思われますし、利用する機会がないまま利用期間が終わってしまうという当事者の声をお聞きします。  そこでお伺いいたします。  本県の現在の期間等の考え方について、その考え方の根拠をお示しください。  また、佐賀県などのように受付期間を早めることと、期間の延長なども検討する必要があると思いますが、見解をお聞かせください。  ここで、一回目の質問といたします。 29 ◯くらし保健福祉部長(谷口浩一君)新型コロナウイルス感染症の影響についてのお尋ねのうち、まず、自宅待機者への支援策についてであります。  親が感染し、その子供が陰性で預け先がない場合、国の通知においては、衛生部門と児童福祉部門が相談して、児童養護施設等において実施される市町村の子育て短期支援事業の利用や、児童相談所での一時保護、児童養護施設等への一時保護委託等を行うことが想定されておりまして、本県においても、そのような対応を行った例もあるところであります。  しかしながら、本県においては、親の症状に応じて医療機関への入院または宿泊療養施設への入所となりますが、その際には、親の意向を確認の上、ほとんどの場合、子供を一緒に入院させたり、宿泊療養の場合は、親子で療養できるよう広い部屋に入所いただくなどの対応を行っているところであります。  新型コロナウイルス感染症に感染した自宅待機者に対して、県では、パルスオキシメーターを配布して、毎日の健康観察を行いますとともに、要望に応じて食料品等の生活支援を行っているところであります。  次に、若年化している感染者への心のケアについてであります。  県では、新型コロナウイルス感染症に関する様々な不安やストレスを抱えた、十代を含めた全ての県民の相談に対応するため、昨年七月から、心のケア相談窓口を開設し、今年度は、相談日を土日・祝日にも拡充して対応しているところであります。  また、各保健所においても、感染者等からの様々な相談に応じているところであります。  なお、児童生徒の一般的な心のケアとして、スクールカウンセラーの派遣や、かごしま教育ホットライン24によります相談対応等を行っているところであります。  今後も、各相談窓口等において相談を受ける際は、感染者やその家族に寄り添った対応を心がけますとともに、必要に応じて関係機関と連携を図り、丁寧に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、ワクチン接種を希望しない方への対応についてであります。  ワクチンにつきましては、新型コロナウイルス感染症の発症を予防する効果や重症化を予防する効果が期待されていることから、県としては、県民への接種を呼びかけているところであります。  一方で、基礎疾患やアレルギー等の理由でワクチンの接種ができない方もおり、また、接種を望まない方へ強制するものでありません。  このため、接種はあくまでも本人の意思に基づいて行っていただくものであり、また、接種をしないことを選択した方への誹謗中傷等があってはならず、県としても、これまでも知事メッセージの中で発信しており、今後とも様々な機会を通じて周知してまいりたいと考えております。  続きまして、要配慮者への支援策についてであります。  新型コロナウイルス感染者の療養について、本県においては、医療機関への入院または宿泊療養施設への入所を原則としておりまして、障害のある方については、障害の程度を考慮した上で、医師が入院の必要がないと判断した場合、宿泊療養とし、その方の特性を踏まえた上で必要となる配慮について、その都度検討し、対応しているところであります。  また、配慮に関し必要と思われる通信機器や車椅子等の資機材についても整備しておりまして、これまで、車椅子の方にバリアフリーの部屋に入所いただいたり、食事アレルギー等への細かい対応を行うなど、配慮が必要とされる様々な方に入所いただいているところであります。  また、やむを得ず自宅待機されている配慮が必要な方に対する健康観察については、電話等により、同居する家族の方等を通じて健康状態の確認を行っております。  御提案のあった訪問看護の活用につきましては、先ほども申し上げましたとおり、本県は医療機関への入院または宿泊療養施設への入所を原則としており、今後の検討課題としてまいりたいと考えております。  続きまして、字幕表示できるディスプレーの設置についてであります。  これまで、県では、障害者に対する合理的配慮としまして、筆談、読み上げ、手話、点字、拡大文字等のコミュニケーション手段を用いております。
     当該ディスプレーについては、話した言葉がリアルタイムで透明パネルに字幕表示され、聴覚障害者等も対面で自然体なコミュニケーションが図れる製品として、茨城県つくば市役所の総合案内で試験導入されていると承知しております。  県としましては、マスクの着用やアクリル板、パーティションの設置など、感染防止対策に取り組む中で、聴覚障害者等との円滑な意思疎通を支援する観点から、この製品について、多くの窓口業務を担う市町村や障害者を雇用する事業所等に情報提供を行うこととしておりまして、県有施設等への設置については、他県の先進事例等を参考に、今後研究してまいりたいと考えております。  続きまして、相談窓口での情報伝達についてであります。  県民の皆様が、新型コロナウイルス感染症に関する理解を深め、感染防止対策を徹底していただくためには、障害者の方々も含め、全ての県民の皆様に正確な情報提供を行うことが重要であると考えております。  県では、コロナ相談かごしま等の相談窓口においては、聴覚障害者の方をはじめ、相談者の利便性の向上を図るため、電話に加え、ファクス及びメールによる相談にも対応しておりまして、相談方法は、県のホームページや新聞、県政広報番組等により周知を図りますとともに、障害者関係団体等にも情報提供を行っているところであります。  今後とも、障害の有無に関係なく、全ての県民が感染状況や感染防止対策に関する理解が深められますよう、様々な媒体を活用して、丁寧かつ分かりやすい情報発信に努めてまいりたいと考えております。  続きまして、鹿児島県身障者用駐車場利用証制度、いわゆるパーキングパーミット制度につきまして、県有施設における身障者用駐車場の現状についてでございます。  身障者用駐車場利用証制度、いわゆるパーキングパーミット制度につきましては、令和二年六月から本年八月までの一年三か月間で、協力施設は六十六施設、駐車区画は二百一区画増加しており、このうち、県有施設につきましては二十九区画、地域振興局・支庁等については一区画、それぞれ増加しております。  県有施設については、今後とも、本制度への理解と協力を求め、身障者用駐車場の確保に努めてまいりたいと考えております。  続いて、身障者用駐車場利用証制度の理解促進への取組についてであります。  パーキングパーミット制度については、協力施設において、チラシの配布や館内アナウンス等により、制度の趣旨や適正利用を呼びかけていただいております。  また、対象駐車場であることが利用者だけでなく県民にも分かるよう、案内表示ステッカーを必要に応じ追加配布するなどして、利用案内の充実に努めているところであります。  現在、県では、より多くの協力施設の確保と適正利用の推進を図りますため、パーキングパーミット制度推進員が県有施設を含む事業者等を訪問し、同制度への協力依頼を行っているところであります。  令和五年に本県で開催されます全国障害者スポーツ大会に向けては、県政広報番組や各種の広報紙等も活用し、事業者や県民に制度への一層の理解と協力を求め、市町村とも連携し、さらなる駐車場の確保に努めてまいりたいと考えております。  なお、利用証の形状について御提案頂きました。  現在の利用証は、平成二十一年の制度導入以降、協力施設や利用者等に親しまれ定着しているものでありますが、他県の取組状況や障害者団体等の御意見を参考にしながら、今後とも、理解促進につながる効果的な取組を検討してまいりたいと考えております。  次に、妊産婦の利用期間、申請時期の考え方等についてであります。  本制度は、身体障害者や介護が必要な高齢者等、歩行が困難と認められる方用に、専用の駐車スペースを確保し、県内共通の利用証を交付することにより、利用者を明確化して適正利用を図る制度であります。  身障者用駐車場については、毎年、利用者数が増加する一方で、一施設当たりの平均駐車区画数は二・二台と限られている中、本県においては、障害者の制度対象者をより重度の等級に絞っている状況にあります。  こうした中で、妊産婦については、母体や乳児の状態から歩行に支障があるという産婦人科医の意見や他県の取扱い等を参考に、一時的に歩行困難と認める者として、妊娠七か月から産後三か月まで期間を定めて利用を認めておりまして、申請時期については、利用期間前で母子健康手帳を基に申請可能日が明確になるような時点の定め方として、出産予定日の四か月前からとしているところであります。  多胎児に係る利用期間の延長については、車椅子利用者なども含め、本制度が本来予定している障害者の優先的利用という点を考慮しますと、慎重に検討する必要があると考えております。 30 ◯男女共同参画局長(奥 一彦君)新型コロナウイルス感染症の影響についてのお尋ねのうち、人権相談窓口の対応及び周知についてでございます。  新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、感染者やその家族、医療関係者、ワクチンの接種ができない方、あるいは接種しないことを選択された方々に対する不当な差別や偏見等が生じております。  県におきましては、こうした人権侵害等に対する相談窓口に係る事業を今回の補正予算において計上しているところでございます。  設置を予定している相談窓口におきましては、電話に加え、メールやファクスによる相談を受けることとしており、必要に応じ相談内容を記入しやすいよう専用のシートを併せて利用していただくなど、聴覚障害者など要配慮者の皆様にも配慮した対応に努めたいと考えております。  窓口の周知に当たりましては、理解を助けるための字幕入り動画やチラシの作成を予定しており、県のホームページや広報誌、県政広報番組、SNSや新聞等の様々な媒体を活用し、市町村や関係機関と連携しながら、広く県民の皆様にお伝えしてまいりたいと考えております。 31 ◯安楽ひでみ君 新型コロナウイルス感染症の影響について、自席より再質問させていただきます。  若年層や妊婦等、四十歳以上の県民への大規模接種で鹿児島市や霧島市でコロナワクチン接種が進んでいます。先ほど申し上げた理由で接種を希望しない方もおられます。  大規模接種会場で一回目の接種を終えた方の中から抽選で五百名に、会場周辺の店舗の商品や特産品、宿泊割引券をプレゼントするとされています。あくまでも新型コロナウイルスワクチンは希望接種でありますが、同調圧力が生まれ、差別や偏見の懸念があります。整合性はどう捉えているのか、塩田知事の見解を求めます。 32 ◯知事(塩田康一君)若年者の方々に、なかなかワクチン接種が促進されていないという状況を踏まえまして、そういった商店街で特産品を売っておられる方の売上げも落ちているというようなことも配慮し、そういった取組をしたところでありますけれども、このワクチンはあくまで希望される方の自主的な判断に基づくものだということは、私の知事メッセージでも繰り返し申し上げているところであり、その辺については誤解のないようにしっかりと対応してまいりたいと考えております。 33 ◯安楽ひでみ君 もう一点、塩田知事にお伺いします。  鹿児島県身障者用駐車場利用証制度、通称パーキングパーミット制度の対象期間拡充についてであります。  質問に当たり、導入の第一号の佐賀県と、佐賀県に続き多胎児利用期間を拡充した岐阜県に独自に調査いたしました。  第一号の佐賀県は、障害者団体等、意見をお伺いしながら、理解を得ることができた一年後の導入、佐賀県を参考にした岐阜県は、半年間で制度を進めたという結果でありました。  もちろん台数に限りがあります。歩行困難の方の利用が前提であります。双子、三つ子を育てる多胎児は荷物もバギーも大きく、場所を必要といたしますことから、利用期間の拡充を検討してみてはどうかと考えます。当事者の意見を聞く必要があれば機会を設けたらと思いますが、知事の見解を求めます。 34 ◯知事(塩田康一君)妊産婦の多胎児の適用期間を延長するという件につきましては、これまで団体のほうからも要望書を頂いておりまして、私もその要望書を拝見しております。  先ほど、取扱いについて申し上げれば、身障者の皆さんでもまだ対象として御利用に不便されている方々もいらっしゃるという中でございますので、その辺の優先順位についてはまたしっかりと検討していきたいと思っております。    [安楽ひでみ君登壇] 35 ◯安楽ひでみ君 それぞれ御答弁頂きました。  新型コロナウイルス感染症の拡大の影響についてであります。  親が感染し、親類や両親に預けるにも高齢や遠方で、周囲に預けるにはリスクを伴うし、預け先がないという御相談をよく頂きます。治療や療養が安心してできる環境と、子供たちが不安にならないような体制をしっかりとつくっていただきますようお願い申し上げます。  また、自宅待機を選択せざるを得ない御家庭に対しても、本県でも、食事を提供するなどしっかりとした支援策を県として講じていただき、市町村で格差が出ないような取組を支援していただきますようお願い申し上げます。  若年化している新型コロナ感染症の感染者が、症状が回復し日常生活に戻りやすい環境整備が求められています。心のケアを講じることで、子供たちや感染者の方々が日常生活にスムーズに戻れるよう、ケア体制の構築をしっかりとしていただきますことをお願いいたします。  また、身体的理由や様々な理由によってワクチン接種をすることができない方、そして、接種を希望しない方の判断が尊重されるように、より一層丁寧な周知をしていただき、差別や偏見のないよう御尽力していただきますことをお願いいたします。  新型コロナ感染症に関する人権相談窓口を本年も設置するとのことであります。電話対応が困難な聴覚障害者等、要配慮者へも気配りをしていただき、障害の有無に関係なく相談窓口へ相談できるようお願いいたします。  鹿児島県身障者用駐車場利用証の対象拡充についてであります。  身障者用駐車場は台数に限りがあります。原則として歩行困難な方の利用が前提ではありますが、双子、三つ子を育てる多胎児は荷物もバギーも大きく、場所を大きく必要とします。現行は、利用期間中の外出機会が少ないまま終わってしまったとの声があります。当事者の声を聞く必要があれば機会を設け、拡充に向け検討いただきますよう要望いたします。  次に、重度心身障害者医療費助成制度について伺ってまいります。  重度心身障害者医療費現物給付について、代表質問でも議論が交わされましたが、さらに私なりの視点で質問してまいります。  重度心身障害者医療費助成は、障害者にとって、お金の心配することなく安心して医療を受けることのできる、まさに命綱のようなものです。しかし、現行の制度は、受診した医療機関の窓口で自己負担分を一旦支払った後に、助成金が支給される償還払い方式となっています。  一昨年七月に結成された、障害者等の医療費現物給付を求める会の委員として、先日もZoom会議で開催された実行委員会に参加いたしました。  コロナウイルス感染防止のため署名活動も制限される中、一万三千八百筆を超える重度心身障害者医療費現物給付への賛同を得る署名が集まり、県内の多くの障害者の方々が待ち望んでおられるのはもちろん、障害のない方々にも御理解頂いていることが分かります。  コロナウイルス感染拡大とも相まって、障害者には大きな不安が付きまとう状態が続いていることから、今後、早急な検討がなされるよう望むものであります。  令和二年第三回定例会に提出された陳情第五〇〇六号重度心身障害者医療費助成制度の現物給付─窓口無料─を求めることについての委員会質疑で、「山梨県以外の県も調査する」との答弁がありました。継続審査となり、その後の令和三年第二回定例会では、「他県への調査が、新型コロナウイルス感染症の全国的な感染拡大の影響により遅れている」との答弁がありました。  重度障害者の中で、現在、保護者等が申請を代理でしている方もおられ、高齢化が進み、親亡き後の手続の簡略化を求める声も多くあります。  そこでお伺いいたします。  他県への調査がコロナ禍で進まない中、どのように検証し、今後どのように進めていくのか。実地調査が現行厳しい中、リモート等を利用し、今できる調査をすべきと考えます。お答えください。  県民連合の代表質問で、「調査結果において最もネックと考えている問題は何か」という質問に対して、「現物給付方式への変更は、県だけではなく市町村や関係機関の意見を伺いながら、検討を進める必要がある」と答弁されました。問題解決に向けてどう取り組んでいかれるおつもりか、見解をお答えください。  財政が厳しい中で現物給付化している県が増えてきている現状について、本県としてどのように受け止めているのか、見解をお伺いいたします。  「重度心身障害者の窓口負担ゼロについて、関係者の御意見をお聞きしながら、実施した他県の事例を参考に、手続の簡略化等の取組を前向きに検討する」と知事の選挙公約にもあります。改めて塩田知事の決意をお聞かせください。  次に、パラサイクリングについてお伺いします。  議場の皆様は資料三を御参考ください。  パラリンピック競技では、多くの障害のある選手の活躍する姿に誰もが元気と勇気を頂いたのではないでしょうか。  私も以前、電動車椅子サッカーの練習に参加する機会があり、中途障害者であることもあり、以前のように走れない今、走るスピード感とボールを蹴る楽しみを経験して、改めてスポーツをすることの楽しさを思い出しました。障害の有無に関係なく誰もがスポーツを楽しむことは、心も体も健康に過ごすことになる、いい機会だと思います。  パラサイクリングとは、障害者の自転車競技の総称で、一般の自転車競技と同じくロードレースとトラックレースに大別されますが、近年注目されつつあるパラスポーツです。  福島県いわき市では、自転車活用推進計画とまちづくりとして、いつでも、誰でも、どこでも自転車に乗れるまちづくりを最終目標として、障害者と健常者が一緒に自転車を楽しめるイベントの計画・実施が予定されています。  自転車を通して、観光と福祉、スポーツと福祉、健康と福祉をそれぞれ組み合わせた取組によって、ハード面とソフト面が一体となり、バリアフリーな都市を実現する。そして地域経済の発展につなげようとした考えに立っています。  紹介しますと、観光としては、障害者にも優しいサイクリングコースの作成やサイクルステーションの運営、サイクルショップや情報発信ショップの設置、インバウンドサイクリストや国内にいる外国人の獲得などを進める。  スポーツとしては、サイクリングクラブやサイクリングアカデミーの設立、高校・大学・実業団、パラスポーツなどの合宿誘致、パラスポーツを含む国際大会や国内大会を開催して、早期に自転車に乗り慣れるようにすること。  健康面では、初心者や障害者、高齢者を対象としたサイクリング教室、小学校での安全教室、ヘルメット着用の呼びかけ、自転車を使った遊び場の提供をするため、しょうがいスポーツ課を設置し、横断的に取り組んでいく計画となっています。  国の進める自転車活用推進計画を理解した上で、本県ではサイクルツーリズム推進事業があります。視覚障害者や脳性麻痺など自分で自転車に乗れない人も自転車を楽しむことができるタンデム自転車導入など、障害の有無に関係なく誰もがサイクリングを楽しむことができる事業にすることで、ハード・ソフト両面にわたるバリアフリーにつながると考えます。  二〇二三年には国体・障害者スポーツ大会が本県で開催されることからも、この機にパラサイクリングを取り入れるなど、この鹿児島からバリアフリーの機運をさらに高めていきたいものであります。  そこでお伺いいたします。  サイクルツーリズム推進事業で、障害者も自転車を楽しむことのできる事業にする考えはないか、見解をお伺いいたします。  また、知事のパラサイクリングについての見解と国体・障害者スポーツ大会を見据えて、障害者も参加可能なサイクルツーリズムにする考えはないのか、お答えください。  ここで、二回目の質問といたします。    [知事塩田康一君登壇] 36 ◯知事(塩田康一君)まず、重度心身障害者医療費助成制度の変更に関するスケジュールを含む制度導入への決意についてでございます。  重度心身障害者医療費助成制度の在り方については、窓口負担ゼロや手続の簡素化など、重度心身障害者とその家族の方々の利便性の向上や、経済的負担の軽減を図るための制度変更について、現在、検討を行っているところであります。  一方で、制度変更に伴う県や市町村の財政への影響も考慮する必要があることから、検討に当たっては、都道府県の調査や市町村等との協議・調整を行いながら、慎重に進めていく必要があると考えております。  したがって、現段階で、見直し時期や制度開始時期についてお示しすることは難しいと考えますが、私のマニフェストに沿って着実に検討を進めてまいります。  次に、障害者も参加可能なサイクルツーリズムについてでございます。  自転車で地域を巡り、沿線の魅力を楽しむサイクルツーリズムは、地域資源を生かした体験・交流型観光の推進に資するとともに、インバウンド向けの新たな観光資源としても有効であると考えております。  このため、県では、本県の豊かな自然・景観を生かしたサイクルツーリズム推進に向けて、本年度、幅広い関係者による協議会を設置し、県内モデルルートの設定や情報発信、受入れ環境整備を進めていくこととしております。  鹿児島県観光振興基本方針では、ユニバーサルツーリズムの促進などで、全ての観光客がストレスなく快適に観光できる環境整備の推進を掲げており、私としては、サイクルツーリズムの推進に当たっても、障害の有無にかかわらず、誰もが安心して楽しめる環境づくりを検討してまいりたいと考えております。 37 ◯くらし保健福祉部長(谷口浩一君)重度心身障害者医療費助成制度に関する他県への調査の今後の見通しについてであります。  同制度の変更に係る検討に当たりましては、まずは、制度変更を行っている他県の状況を調査し、これらを参考にしながら進めていく必要があると考えております。  具体的な調査内容については、制度変更に至った背景や経過、制度変更後の医療費の推移、制度変更時における市町村や関係機関から寄せられた具体的な意見や、審査支払機関におけるシステム改修に係る経費や期間、制度変更を行っていく上での課題・問題点などを想定しており、調査対象を数県に絞った上で、より詳細な調査を実施する予定であります。  しかしながら、新型コロナウイルス感染症の全国的な感染拡大を受けまして、実地による聞き取り調査の実施は現時点では難しい状況であると考えております。  このような状況を踏まえまして、県としては、文書による調査など、調査方法について検討を行っているところであります。  続きまして、問題解決に向けての見解についてでございます。  本県が昨年度実施した調査では、支給方法の変更内容やそれに伴う医療費の推移などについて、情報収集を行ったところであります。  本県と同じ償還払い方式から現物給付方式へ変更した県のうち、支給方式のみ変更した山梨県の医療費助成額は三二%増となっていたところであります。また、現物給付方式の導入と併せて自己負担等を導入した三県の医療費助成額は、それぞれ八%、一五%、二八%の増となっていたところであります。  県としては、これらの調査結果を踏まえますと、現物給付方式などへの変更は、県だけでなく市町村の財政負担も増加することが想定されますことから、事業主体である市町村をはじめとする関係者の御意見を伺いながら、検討を進める必要があると考えております。  続きまして、現物給付化の全国導入が進むことへの見解についてであります。  昨年度実施した調査結果では、現物給付方式を導入している三十八都道府県のうち、三十五都道府県では、自己負担や所得制限を導入しているところであります。また、二十府県では、所得や年齢等に応じて、償還払い方式や自動償還払い方式との併用により、制度を運用しているところであります。  このように、一口に現物給付といっても、それぞれの都道府県の実情を背景に様々な制度的工夫がなされていると認識しております。  一方で、支給方式が償還払い方式のみとなっているのは、本県も含め六県であり、このうち所得制限と自己負担の両方を導入していないのは、本県のみとなっております。  このような状況を踏まえまして、今後、詳細な調査を行い、市町村等の意見も参考にしながら、検討を進めてまいりたいと考えております。  続いて、パラサイクリングについての見解であります。
     今回の東京パラリンピックでは、視覚や四肢等に障害のある選手が参加し、三輪自転車やタンデム自転車、ハンドサイクル等によるパラサイクリングが行われました。  本県においては、平成三十年十一月にタンデム自転車による一般道での走行が可能になり、視覚に障害のある方等が参加するタンデム自転車の体験会が行われるなど、徐々に浸透してきているものと承知しております。  パラサイクリングは、視覚障害者をはじめ障害のある方々が、スポーツ・レクリエーションの一環としてサイクリングを楽しめるほか、行動範囲が広がることにより、障害のある方々の生きがいづくりや生活の質の向上につながるものと考えております。  また、自転車を通して、障害のある人とない人との新たな交流も生まれ、お互いに理解を深められることにもつながると考えております。  県においては、障害者の自立と社会参加を促進するため、ハード・ソフト両面においてバリアフリー化を推進しているところであり、今後とも、パラサイクリングを含む障害者スポーツの普及や情報発信等を積極的に行いまして、障害者が生き生きと活躍できる環境づくりに取り組んでまいりたいと考えております。 38 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)サイクルツーリズムの効果の認識と事業対象者の拡充についてでございます。  サイクルツーリズムの推進につきましては、今年度、県や市町村、観光協会、道路管理者、交通管理者、交通事業者、サイクル関係団体等の幅広い関係者により、県サイクルツーリズム推進協議会を設置し、県内モデルルートの設定や情報発信、受入れ環境整備を進めていくこととしたところでございます。  県といたしましては、障害の有無にかかわらず、誰もが安心してサイクルツーリズムを楽しんでいただけるよう、本協議会において関係者間の合意形成を図りながら、情報発信に取り組みますとともに、受入れ環境の整備について検討してまいります。 39 ◯安楽ひでみ君 重度心身障害者医療費助成制度について、自席より知事に再質問させていただきます。  現物給付方式への変更は、県だけではなく市町村や関係機関との意見交換が必要であると御答弁がありました。これまでも、現物給付化すると国庫負担金減額されることから、市町村への負担を伴うと繰り返し答弁がなされています。  制度的な給付率の変更に伴い、医療費の水準は変化することが経験的に知られている、長瀬効果を厚労省も活用していると聞いています。まずは国庫負担金減額されない自動償還払いを導入して、手続の簡略化だけでも導入してはいかがでしょうか。塩田知事の見解を求めます。 40 ◯知事(塩田康一君)重心の医療費助成制度については大変重要な課題であると認識しておりますが、その際に、手続の簡略化という意味で自動償還払いにするということも含めて、どのような対応が必要かということを検討していきたいと思っております。    [安楽ひでみ君登壇] 41 ◯安楽ひでみ君 それぞれ御答弁頂きました。  重度心身障害者医療費助成制度についてであります。  手続の簡略化は、親亡き後の懸念や申請書提出の負担軽減にもつながります。国庫負担金減額されない自動償還払いを導入して手続の簡略化だけでも進めるよう、塩田知事の誠実なリーダーシップの下、現物給付化に向けて御努力いただきますよう強く強く要望いたします。  パラサイクリングについてであります。  二〇二三年には国体・障害者スポーツ大会が本県で開催されることからも、この機にパラサイクリングを取り入れるなど、この鹿児島からバリアフリーの機運をさらに高めていけるようお願いいたします。  今回、要配慮者への支援体制に重きを置いて質問いたしました。  先日報道で、他県での宿泊療養者が、体調の変化で内線電話まで歩くことができず、手元にある携帯電話で救急搬送依頼を手配して入院先に移送してもらい、助かったと言われていました。  要配慮者への支援体制を整えておくことで、障害の有無に関係なく誰もが安心して治療や療養や自宅待機ができると考えられます。今後とも、よりきめ細やかな新型コロナウイルス感染症防止対策になるよう御尽力いただきますようお願いいたします。  新しい県政を県民の皆様とつくっていきたいとおっしゃって就任された塩田知事であります。大変厳しい社会情勢だけに、リーダーシップを発揮しながら、職員の方々が力を十分に発揮できるよう、そして、常に県民に目線を向け、県政の諸課題に取り組んでいただきたいと思います。  県民の皆様が納められた大切な税金は、大切に活用されなければなりません。新型コロナウイルス感染防止対策、教育、医療、福祉、防災など、誰もが安心・安全に暮らすことができるように私も取り組んでまいります。  また、障害者にとって優しい街は、高齢者や子供たち全ての人々に優しい街となります。現役の子育て中の母親として、障害のある当事者として、私だからできる優しい街づくりの実現に向けて、初心を忘れることなくしっかりと取り組んでまいりたいと思います。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 42 ◯議長(田之上耕三君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時二十五分といたします。        午後零時  八分休憩       ────────────        午後一時二十五分再開 43 ◯議長(田之上耕三君)再開いたします。  山田国治君に発言を許可いたします。    [山田国治君登壇](拍手) 44 ◯山田国治君 久しぶりの登壇であります。塩田県政を今まで私もいろいろ評価しながら、あるいは尊敬するところもありますが、眺めさせていただいております。  今日は御案内のとおり、時あたかも自民党の総裁を決める日であります。午前中に鹿児島県連におきましても、党員・党友の方々の投票を頂き、そしてまた、一時から国会議員の投票が開始されるということであり、恐らく私の後に登壇される大園議員の発言の途中であろうかと思いますけれども、次の総裁が決まる可能性もあります。今日はそういう記念すべき日でありまして、巡り合わせというのは不思議なものがあるなと思っております。  私は、県政に送っていただいて、一番最初に鎌田知事でありました。次に土屋知事、そして順を追って次々と替わられましたけれども、須賀知事、そして伊藤知事、三反園知事、塩田知事で、六人目の知事と議会人として向き合っていく、そういう状況になっております。一人一人当時の思い出を話しますと質問の時間が迫ってまいりますけれども、その辺は要約しながら通告に従って質問しますので、どうぞ御容赦いただきたいと思います。  鎌田知事のときには、市農協の問題がありました。県の財源を投入して市農協を助けるのはいかがなものかという意見もありましたけれども、県の財源を投入しなければ市農協が傾く可能性があるという状況でありましたので、議会のほうもそれを認めて、市農協に助成するような形を取りました。  さらに、土屋知事のときには、すばらしい方でありましたけれども、道半ばで病気になられ知事を引退されるような結果になりました。ちょうどそのときに、その年の暮れでありますけれども、柴立議員のお父様、そして吉野正二郎議員、うちの市長、今は退かれておられますけれども、城山のすばらしいところで忘年会をしておりました。私は途中で用事ができましたので、うちの家内を一人残して天文館のほうに下りてまいりましたけれども。  年が明けて二日目であったと思いますけれども、執行部のほうからの知事が倒れたという情報が入りました。私も病院を聞き、いち早く面会に行きましたけれども、病院の入り口で、面会謝絶になっております、そういう病院の方の説明がありましたが、自分の名前を述べて、会いたいと山田国治が来ているから取り次いでくれと、本人の了解が得られなければ帰りますけれど、そういうやり取りをして、最終的には土屋知事と面会することが可能でありました。まだ、そのときは当初でありますので病態はそれほど重くなかったわけであります。非常に残念だなという思いで私なりにいろいろ告げることがありました。それから知事をお辞めになって東京に帰られたわけでありますが、それからの土屋知事の情報というのはそう多くは私も伺っておりません。  次にバトンを受けられたのが、次の県政のトップでありました、当時、その忘年会のときにも同席していただいた須賀知事でありました。須賀知事は、降って湧いたように知事選に向けてのいわゆる立場が回ってきたわけでありますので、全く予期せぬ出来事でありましたけれども、須賀知事で私が思い出しますのは、当時、私も県連の役員をしておりましたので、須賀知事の行かれるところはほとんど同行させていただきましたが、すごいと思ったのは、例えば、あそこのコンビニの前に十名集まっている、あそこの農協の前に五人集まっている、こういう状況になっていれば須賀知事はそこに行かれて、知事選の最中は真夏に近いそういう状況でありますが、来ておられる方々を陰のところに案内して、自分は日が照っている、いわゆるかんかん照りのさなかで、それも言葉を省くことなく県政に対する思いというものをとうとうと述べて、一人一人に説明されて、丁寧な方だなと私も遠くから見ておりまして感銘を受けたことがあります。  そして伊藤県政になりました。伊藤県政は、御案内のとおり、バトンを受けたときに一兆五千億円を超える県債がありましたけれども、英断をもって行財政改革に取り組まれたわけであります。もちろん自分の給与もカットされました。そして県の職員の方々の給与もカットされました。給与をカットされて喜ぶ人は誰もおりません。しかし、県債が増えていく中で誰かがこれに取り組んでいかないといけない、そういう事態もあります。英断をもって取り組まれたことを今でも本当に感謝いたしております。一兆五千億円に膨れ上がった県債を、伊藤知事は三千九百億円ほど軽減されて財政改革されたわけであります。やはり先ほど申し上げましたように、こういう英断をもって県政に携わっていくというのが知事の置かれている立場であります。  質問に入りますけれども、今、鹿児島県の置かれている状況というのは、私の三番目、四番目の質問に入っておりますけれども、まず、中村議員も御質問の中にありましたけれども、北薩の横断道路について、今、御案内のとおり二十一・五キロメートル区間が整備されております。これから着手していただく、あるいは完成している分を含めて、さつま町の広瀬から、さつま町の泊野インターまでの十キロメートル区間を整備することになっておりますけれども、これから、その進捗状況も含めて県の対応をお聞かせいただきたいと思います。  そして、鹿児島空港から野坂までの整備区間でありますけれども、これも地元選出の国会議員のお力添えもありまして、今年の二月四日、整備するということが決まっております。この状況についても県当局で把握しておられれば、これからの流れも含めて御答弁を頂きたいと思います。  以上で、一回目の質問とさせていただきます。 45 ◯土木部長(兒島優一君)北薩横断道路の整備状況についてでございます。  北薩横断道路は、鹿児島空港から阿久根までの全長約七十キロメートルの道路でございまして、今、議員から御説明のありましたように、現在、広瀬道路を鋭意工事中でございます。  隣接する宮之城道路につきましては、昨年度、今年の三月三十日に事業採択を受けまして、今年度から事業をやっているところでございます。  また、阿久根高尾野道路につきましては、昨日御説明したように、鋭意整備を進めているところでございます。  また、鹿児島空港から野坂インターまでの約十四キロメートルを溝辺道路として、令和二年度に事業着手いたしております。  鹿児島空港から県道伊集院蒲生溝辺線までの約二キロメートル区間につきましては、二車線の現道区間を四車線に拡幅する計画で、また、残る野坂インターまでの約十二キロメートル区間につきましては、二車線の自動車専用道路のバイパスとして整備する計画といたしております。  現在、全区間におきまして、ルートや道路構造の検討を行っており、年内には事業説明会を開催し、できる限り早い時期に用地買収に着手したいと考えております。  北薩横断道路は、九州縦貫自動車道と一体となって広域的な幹線道路ネットワークを形成する重要な道路でありますことから、早期完成に向け、引き続き、重点的な整備に努めてまいります。    [山田国治君登壇] 46 ◯山田国治君 御答弁頂きました。  もう随分以前のことでありますけれども、私の先輩が、山田さん、そのまちに足を一歩踏み込んだときに、そのまちの発展性を占う一つの目安があるという話を聞かせてくれました。その一つは、そのまちに住んでいる若者たちの目の輝きであるという話であります。希望に満ちて、将来に向けて何をやろうというその目の輝き、これを見れば、まちの発展性を占うことができる。もう一つは、先ほど御答弁も頂きましたけれども、その地域の道路網の整備だという話でありました。私もこれを聞いておりまして、今でもその先輩の言われたことを体で感じて受け止めております。  道路の整備については、できるだけ早い機会にそういう整備を行っていくという御答弁でありましたので、私のほうからも切にお願い申し上げる次第でございます。  総合体育館の整備についてであります。  総合体育館は、御案内のように紆余曲折、いろんなハードルがありましたけれども、それをその時々で乗り越える努力をして今日に至っております。  先ほど申し上げましたように、昨年の秋に塩田県政がスタートしたわけでありますけれども、遡れば、昭和六十年の鎌田県政時代に総合計画の中で頭出しがされたわけでありますけれども、それから、代々の知事が建設に向けた努力をしてこられました。  今でも記憶に残っておりますのは、伊藤知事の時代、平成二十六年でありますが、このときに県庁東側を整備するという案が提示されました。しかし、途中で進路変更されまして、整備されたドルフィンポートに着目されて、体育館についてはウォーターフロント計画の中で対応していこうという指針が示されたわけであります。  そして三反園知事にバトンが移りました。西鹿児島駅、今の鹿児島中央駅でありますけれども、この西側にあります工業試験場跡に着目されて提案されたわけですが、いろんな団体の方々の意見を聞く中で、交通渋滞を招く、あるいは駐車場が狭いのではないかという意見が出まして、最適地という表現をされましたけれども、矛を収めざるを得ない状況になりました。それから県庁東側の地域を県の総合体育館の整備地域という発信もされましたけれども、なかなか実現に至らず、トンネルの中が続いて先行きを見通せる状況ではありませんでした。  そしてその後、塩田知事が県政を担当されることなりました。長年の県政における大きな大きな懸案であります。塩田知事におかれましては、いろんなことをやるときに、いろんなハードルがあるのは当然のことでありますけれども、体育館建設について、今までの手法と塩田知事の手法は少々異なるところがあります。建設場所ありきではなくて、いろんな分野の専門家で構成する検討委員会というものを立ち上げて、専門家の意見を聞きながら、この前のどなたかの質問の中で、もう四回を迎えているという話でありましたけれども、そういう答申を受けながら、一歩一歩体育館建設に向けて歩を進めておられることは私も承知いたしております。そして、聞くところによりますと、今年そういうものを整理しながら、一定の方向性を出しながら、来年の一月か、遅くとも二月には県の体育館を整備する方向で進んでいくのかな、県当局もそういう見通しでおられるのかなと、私はそういう見解を持っております。  何かやろうとするときに、当然、賛成・反対、こういうものが出てくることは世の流れであります。そういう人たちに知事が、賛成の方は別でありますけれども、反対の方、状況が分からずに県の説明が足りずに不安を持っておられる方々、決断ができない方々には、県当局としてはできるだけ丁寧にその事情を説明して、理解を求める必要があります。  知事も御案内のとおり、今の体育館、これは奄美の海運王と言われた俣野健輔氏が浄財をなげうって、私財をなげうって造ってくださった県の体育館であることは、知事も御承知のとおりであります。入り口のところに俣野健輔氏の胸像があります。すごい方がおられたんだな、奄美の方だな、そういう思いで私も拝見させていただいております。建物にすれば、鉄筋コンクリートにしても、木造建築にしても、おのずからそこには耐用年数というものがあり、限界があることは私も承知いたしております。  そして、昔と違って今のスポーツは多種多様であります。屋内体育館で一番大きな面積を必要とするのは何ですかねとお尋ねしたこともあります。山田さん、ハンドボールだよ、このように教えてくださいました。あるいはバレーボール、いろんなスポーツが六十年前と比較すれば盛んになったり、注目される時代になっていることは私も承知いたしております。  しかし、言うまでもありませんけれども、県の財政、逼迫している状況という表現を執行部はされます。しかし、先ほど申し上げましたように歴代の知事、中でも伊藤知事におかれましては三千数百億円の財政における貢献をされたこの鹿児島県であります。知事もそういう方々の思いを受け止めた上で、どうしても体育館の整備をするならば、その理由、せざるを得ない状況が背景にはあるんだということも含めて、知事の見解をお尋ねいたします。  さらにまた、次の質問でありますけれども、馬毛島における自衛隊施設の整備でございます。  御案内のとおり、この馬毛島における空母艦載機の訓練は今まで、東京の持ち物でありまして、東京から千九百キロメートル離れております硫黄島でこの訓練をやっておりました。福岡の領事館に知り合いがおりますので、さらにまた柴立鉄平議員のお父様の御助言もありまして、岩国から米軍の飛行機に乗せていただき、二時間半ほどかけて硫黄島に私も参りました。何を見に行ったかといえば、いわゆるタッチ・アンド・ゴーであります。タッチ・アンド・ゴーの訓練を見るときに、私も、着陸してくる、着艦演習をしている戦闘機の三十メートルほど手前で車の窓を開けて見ておりました。物すごい騒音であります。四百メートル区間を区切って、空母に見立てて演習がされているわけでありますけれども、その四百メートル区間には、ストッパーと言われる、飛行機を止める設備がなされております。四つついております。一つにかからない、二つにかからない、四つともかからない場合には、その戦闘機は急上昇していきます。あの戦闘機はどのくらいの馬力ですかなと聞きましたら、十万馬力のエンジンを二機搭載している。鉄腕アトムは十万馬力でありますけれども、その二倍の馬力のエンジンのついたF15ホーネット、こういう戦闘機が訓練を行っております。  言うまでもありません。戦争というのは、朝はやめよう、真夜中は駄目よ、こういうことは言えないのが戦争でございます。朝昼晩、昼夜を分かたず、期間を限定してこのタッチ・アンド・ゴーの演習をされておりますけれども、帰りの飛行機の中で通訳の方が、山田さん、この飛行機のコックピットの中を見学されませんか。真夜中でありましたけれども、私も甘えてコックピットの中に入らせていただきました。もちろん米軍の方が操縦をされておられるわけでありましたが、コックピットの中には、日本中の空港のある場所が提示されるようになっておりました。来るとき、帰るとき、その戦闘機にもしものことがあれば、それぞれの管制塔に連絡して、そこに着陸させてもらうのだという説明も受けました。  今、整備しようとしている馬毛島における状況、そしてもう一つは、毎日のように報道されておりますけれども、中国が、沖縄県石垣市の尖閣諸島に対して日本との水域のぎりぎりをほとんど毎日航行し、場合によっては領海を侵犯し、そして、日本の漁業をされている漁船に接近するという事例もあると聞いております。誠にゆゆしき問題であります。専門家の話を聞きましたけれども、その方が言われるには、いずれ尖閣諸島は中国の領土であると中国は主張する、そういう時期もそう遠くはないというような話でございます。  我々の尖閣諸島は、昔から日本固有の領土であることは間違いありません。こういう状況を我々は認識しながら、県政運営あるいは国の在り方に対して判断し、言うべきところはしっかり伝えながら、日々努力していかなければならないと思っておりますけれども、馬毛島における自衛隊施設の整備は着々と進んでおりますし、知事も、外薗議長の時代であったと思いますが、国から要人が来られまして、その必要性あるいは規模、訓練のやり方の説明があったと思います。  しかし、西之表市長さんにおいては、国の要請に対して受け入れることができない、容認しがたいという旨を伝えておられます。知事との会談の中でも、もう一度この問題については立ち止まって、山積するいろんな問題をしっかり解決して、それから進めていただきたい。知事との会談の中でもそれがないうちは容認できない旨の発言があったと聞いております。我々もそうでありますけれども、選挙に出る者は、地域の方々が右だと言われるのに、いや俺は左だと、こういうことは常識で考えてもあり得ないことであります。  私が言いたいのは、その地域を代表する方々にこういう大事な問題を相談するときに、水面下におけるいろんな情報発信、根回し、そして語らい、こういうものをしっかり丁寧にやって、その上で結果を見ていくのが世の流れだと私は思っておりますし、政治の在り方であると思っております。  しかし、その年の六月に、西之表市議会においては改選があり、議会の方々は、同意する旨の意見書を発議し、防衛大臣に手渡しておられます。さらに、西之表市以外の中種子町、南種子町議会においても、いろいろ要望はありましたけれども、そういうことを踏まえた意見書が採択され、上京して防衛大臣にその旨を伝えて、意見書も手渡しておられます。  馬毛島における状況は、先ほど申し上げましたような非常に緊迫した状況、憂うるべき状況になっていることは知事も御案内のとおりでありまして、西之表市長とも会われて会談されたこともあるわけでございますので、一県の知事として、この馬毛島における防衛施設の整備についてどのように考えておられるのか。  私も、防衛の問題、外交の問題は国の専管事項であるということは先刻承知いたしております。しかし、繰り返しになりますが、この問題に対して反対、不安を抱いておられる方々には、できるだけ丁寧に説明してあげる本県の知事としての責務があると私は思います。  そういうことも踏まえまして、知事におかれてはこの問題に対してどのように対処していこうというお考えなのか、さらにまた、国の外交・防衛に関する所見があればお聞かせいただきたいと思います。  以上で、二回目の登壇しての質問に代えさせていただきます。    [知事塩田康一君登壇] 47 ◯知事(塩田康一君)まず、総合体育館の整備についてでございます。  現在の県体育館は、築後六十年以上が経過しており、老朽化していることに加えまして、体操競技やハンドボールでは大会規定に適合する競技面積を確保できないこと、バスケットボールやバレーボールなどでは使用できるコートの数が少ないことなど、多くの競技で大会を実施するには狭隘であるという大きな課題を有しております。  また、現在、本県には、ほかにも県大会等の開催に十分な競技面積を有する屋内スポーツ競技施設がないことから、バスケットボールなどでは、複数の会場で大会を分散開催せざるを得ないほか、バドミントンなどでは、試合の消化が進まず大会の終了時刻が夜間に及ぶなど、効率的な運営ができないことで、選手や関係者に多大な負担が生じております。  例えば、熊毛・奄美の中高生は、船舶を利用して大会に参加しておりますが、会場が鹿児島市外の場合や大会が夜間に及ぶ場合などにおきまして、出港時間に間に合わず、表彰式の途中退席や延泊などを強いられている実態があると聞いております。  また、県内には全国大会や国際大会の基準を満たす施設がないことから、県民の皆様に、一流のアスリートの競技を間近に観戦できる機会を満足に提供できないという状況がございます。  こうした状況を踏まえ、県内に十七ある全ての屋内スポーツ競技団体が、新たな総合体育館について、屋内スポーツ競技の中核的な施設として整備することを望んでおります。  このため、県としては、県民の皆様、とりわけ将来を担う子供たちに良質なスポーツ環境を提供するためにも、国際大会にも対応できる快適な競技環境を有する施設の整備に取り組まなければならないと考えております。  新たな総合体育館の整備につきましては、多額の費用を要することが想定されており、有識者や県議会の御意見もお聞きしながら、丁寧に検討を進める必要があると考えております。  私としては、現在の県体育館の老朽化や狭隘への対応は先送りできない課題であり、基本構想の策定後、民間資金の活用可能性調査、基本設計・実施設計、建設など、供用開始まで六、七年という相当の期間を要することを踏まえますと、新たな総合体育館については、早期に、整備に向けた道筋をつけたいと考えております。  次に、馬毛島における自衛隊施設の整備等についてであります。  県では、昨年十月から、馬毛島における自衛隊施設の整備等について、関係自治体の首長との意見交換を行っているところであります。その場においては、騒音による周辺環境への影響や漁業への影響について懸念する声があることや、環境に影響が出てくることがあれば、国に対策を要請してほしいとの御意見などを伺ったところであります。  国の安全保障は、国の専管事項ではありますが、地元への丁寧な説明が必要であると考えております。これまで、国に対しては、関係自治体との意見交換のたびごとに、その内容をお伝えするとともに、関係自治体等への詳細な説明を行うよう重ねて求めてきたところであります。  県としては、今後、国により、環境影響評価等が行われ、住民の皆様方が適切に判断できる材料が示されると考えており、その時期や内容を見極める必要があると考えております。  今後とも、関係自治体の首長と意見交換を行い、その内容を国にお伝えするとともに、国による説明や地元の意見をお聞きした上で、県としての考え方を整理し、対応を検討してまいりたいと考えております。    [山田国治君登壇] 48 ◯山田国治君 昭和二十六年、知事はまだ御幼少の頃であったと思いますけれども、我が国の国論を二分する案件がありました。日米安保条約であります。全権大使であった吉田茂さんがアメリカに乗り込んで安保条約を結ばれた時代であります。国論を二分したという表現をいたしましたけれども、当時は、東大の総長南原繁さんという方を中心とする、いわゆる進歩的文化人と言われる方々は、もし吉田自民党がアメリカと手を結び、安全保障条約を結ぶようなことになれば、日本の若者たちはアメリカの番犬となって、韓国で血を流し、あるいはベトナムで血を流すことになる。こういう条約には断固反対しましょうということで、「安保反対、安保反対」を繰り返しながらデモを行った時代があります。  一方、吉田茂さんを中心とされる政権与党は、取りあえず敗戦の中から日本国が世界に認められるには、不完全ではあるけれども、自由主義国家と手を結び、アメリカと安保条約を結ぶことによって、国際社会における敗戦の中からの日本を復興させる責務がある。しかし、先ほど申し上げましたように、多くの反対の方々がおられました。  しかし、今日、そのときに反対された方々が主張されていた、アメリカの番犬になって韓国やあるいはベトナムで血を流した若者が一人でもいるでしょうか。一人もおりません。  この長い間、日本は防衛の面では力を入れずに、貿易の面で力を入れながら、今日、世界でも冠たる国になっているわけでありまして、あたかも、番犬になるがごとく見せかけて実はアメリカを番犬にしてきている、文句のない外交であったと私は評価いたしております。  るる馬毛島の問題、体育館の問題につきましても知事から直接御答弁を頂きました。財政が厳しいから体育館はやめようという考えであれば、どのような作文でも書けます。知事が先ほど申されたように、多くの競技に対応できるような体育館を、今、設計し、着手して、出来上がるのは六、七年後という御説明でありました。これを聞きまして、私も今までは、大変厳しい状況の中でなぜという思いもありました。しかし、将来に向けて、いつかは県の総合体育館は整備しないといけない時代が来ることは当然であります。  それともう一つは、私も独りよがりのところがありまして、なぜ鹿児島市に造らないといけないのか。鹿児島県のどこかにという発想であれば、我々の鹿児島空港の近くに臨空団地がありますし、また加治木のほうには、加音ホールの近くに大きな面積の広場があります。
     武岡トンネルにしても、交通の渋滞が非常に激しい、だから、もう一つトンネルを掘るんだという説明がありましたけれども、そのときに私の脳裏に浮かべたことは、我々は東京に陳情に行ったときに、東京一極集中を地方の人たちはどなたでも疑問視されます。しかし、私どもの鹿児島県に取ってかえれば、百六十万人になんなんとする県民の方々の多くの六十万人になっているような、そういう鹿児島市こそ一極集中も甚だしいのではないかと思っております。  したがいまして、特に武岡トンネルの整備、あるいは臨港道路の整備、鹿児島市だけにいろんな施設やいろんな整備がなされるのではなく、やはりいつの時代か、地方分散といううたい文句に沿ったような県政運営をしていただければありがたいなと思っております。  最後になりますが、知事におかれては、選挙に出るときにいろいろ公約されております。しかし、この時代であります。選挙の公約よりも、時としては最優先して対応しなければならない問題もあります。英断をもって、勇気を持ってそういう状況を打破していただきますことをお願い申し上げまして、私の一般質問を終わります。(拍手) 49 ◯議長(田之上耕三君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後二時三十五分といたします。        午後二時二十五分休憩       ────────────        午後二時三十五分再開 50 ◯議長(田之上耕三君)再開いたします。  次は、大園清信君に発言を許可いたします。    [大園清信君登壇](拍手) 51 ◯大園清信君 現在、自民党総裁選挙が実施され、今、決戦投票になっているとのことであります。  自民党は、選ばれた新総裁の下、これまで一部、国民の皆様に真摯に対応してこなかったことを謙虚に反省し、政治は国民一人一人のためにあることを再認識し、党挙げて自民党再生に向け、新たな体制ができるものと思います。  私自身も県議会において、県政は県民一人一人のためにあることを肝に銘じ、これからも頑張ってまいります。  塩田知事におかれましては、知事になられて、はや一年以上が経過し、そろそろ県政に塩田カラーが出てきてもいいのではないかと期待しております。また、この一年間で知事を支える県職員幹部の顔も人柄も理解されてきておられるとは思いますが、今回の質問においては知事には少し耳障りな質問もあろうかと思いますが、今後の県政運営に当たり、確かな実績を上げていただきたいとの思いを込めての私の質問であることを御理解頂き、前向きな答弁を期待して質問に入ります。  質問に入る前に、シルバーウイークのさなか、取材並びに答弁を準備していただいた執行部の皆様に、質問通告を一部割愛し、要望に代えさせていただきましたことをおわび申し上げます。  まず、知事の政治姿勢についてであります。  新型コロナウイルス感染症に対する知事の姿勢について。  知事に就任されてから、日夜新型コロナ対策に苦慮されていることと拝察いたします。この一年の県内の新型コロナの発生状況と取組状況を踏まえて、知事は肝煎りで、本年四月に新型コロナウイルス感染症対策室を新たに設置されたものと思いますが、その思いについて伺います。  八月十五日に突然、新型コロナウイルス感染症対策室長の人事異動がなされました。コロナ患者が急激に増加している時期でもあり、コロナ対策も難しい時期になぜ人事異動をなされたのか。議員はじめ、県職員の多くが疑問に思われたことと思います。その理由についてはあえて問いませんが、人事には慎重な対応が望まれます。  また、これまでの新型コロナ対応において、連携が不十分との反省の上に立ってのこととは思いますが、九月八日に、新型コロナウイルス感染症対策室を本庁二階講堂に移された知事の狙いについてお伺いします。  知事は、一九九五年一月十七日に発生した阪神・淡路大震災を記憶されているかと思います。当時、自社さきがけ連立政権下、村山富市内閣で北海道開発庁長官兼沖縄開発庁長官をなされていたのは、本県議会先輩の小里貞利議員でした。大震災の発生を受け、村山総理は英断をもって、三日後の一月二十日、閣内異動により小里議員を両長官職から離して、専任の阪神・淡路大震災復興対策担当大臣に任じ、陣頭指揮に当たらせています。その期待に応えて、議員は見事に復旧・復興を成し遂げられました。後の二〇一一年、東日本大震災において、菅総理の民主党政権下で復旧・復興対策が遅れたのは、小里議員のような陣頭指揮が執れる人材がいなかったこととされています。  今回の新型コロナウイルス感染症を災害との認識を持つのであれば、国は、災害対策担当大臣に匹敵する役職を設け、強力な対策本部を立ち上げ、コロナ対応に当たるべきと思います。本県においては、新型コロナ対策本部会議が国に倣って立ち上げられ、本年四月には新型コロナウイルス感染症対策室が設置され、九月にその対策室が本庁二階講堂に移されました。二階講堂の配置図を見せていただきましたが、対策室の司令塔が誰なのか分かりません。そして、私の個人的提案ではありますが、今回設置した対策室を十分に機能させるため、この対策室の名称を新型コロナウイルス感染症対策本部とし、そのトップに、強力なリーダーシップが執れる、新型コロナウイルス感染症に精通した人材を、新型コロナウイルス感染症対策本部統括官として配置する考えはないか、伺います。  次に、力強い県政運営を進めるための人事の在り方について伺います。  私は、さきの六月議会の一般質問において、人事について質問を準備しておりましたが、執行部の皆さん方の気持ちを察し、以下の要望に代えさせていただきました。  「本年三月の県職員の人事異動では、中村副知事の後任や本庁内の女性部長、局長が不在になったことに対して様々な意見がありました」、また、「人事異動においては、事業の継続性をしっかり保つために、事業内容を把握した職員を半分は残すような人事をしていただきたい」と。  もちろん、人事は行政のほうで慎重になされているとは思いますが、行政を力強く推進するためには、人事によるところも大きいと思います。県庁の役職を見る限りにおいて、技術職の割合が事務職に比べて極端に少なく、女性が少ないと感じるのは私だけでしょうか。技術職や女性職員が県職員に生きがいとやりがいを持てるような人事が求められるのではないでしょうか。  人事の在り方について、知事の見解をお伺いします。  また、車の両輪とされる行政と議会の在り方について。  本会議において、知事はよく、行政と議会は車の両輪であると発言されていますが、行政と議会は本当に車の両輪となっているのでしょうか。県の施策が議員に知らされる前にマスコミ報道が先行したり、新型コロナ対策において専決処分がなされることは致し方ないとしても、専決処分の内容や取組内容が議会に対して丁寧に説明されているのか、疑問に思います。例えば、八月十五日の新型コロナウイルス感染症対策室長の人事異動や中間治療施設の設置など、議会に十分な説明があったのでしょうか。  行政と議会の在り方について、改めて知事の見解を伺います。  次は、危機管理体制についてであります。  自衛隊による離島からの急患搬送体制については、先日、離島を代表して向井議員から質問がなされました。  私は、県立大島病院で三年三か月離島医療に従事し、実際、自衛隊に急患搬送をお願いした者として質問を準備しておりましたが、私の質問に対しなされるであろう答弁が、知事からなされましたので、以下の要望に代えさせていただきます。  今年八月末に防衛省から、海上自衛隊鹿屋航空基地に配備されている救難機UH─60Jについては、令和四年度中に全ての機体が除籍予定であり、これに伴い、同機が所属する鹿屋航空分遣隊は令和四年度末に廃止する予定で、これまで海上自衛隊のUH─60Jが対応してきた離島での急患搬送については、全自衛隊が共同して、引き続き適切に対応していくとの考えが示されていますが、具体的な部隊運用は現時点では決まっていません。  本県は、南北六百キロメートルの県土に二十七の有人離島を有し、離島で重症の患者が発生した場合には、島外の医療機関への急患搬送の必要が多々生じております。悪天候や夜間の搬送体制については、知事からの災害派遣要請に基づき、原則として奄美大島以南は沖縄の陸上自衛隊により、十島村以北は第二十二航空隊鹿屋航空分遣隊により搬送がなされています。  私自身、県立大島病院時代、年間十数回の出動要請をお願いし、貴い命が救われてきました。救難自衛隊ヘリは、離島住民の命を救う最後のとりでであります。今議会、自民党は全会派に呼びかけ、鹿屋救難ヘリ部隊については今後も維持されるように、意見書提出も含めて防衛省への働きかけも行ってまいりたいと考えております。  ぜひ知事にも、離島の皆さんの命を守るという強い信念を持っていただき、行政と議会が一つになって行動に移していただくことを強く要望いたします。    [知事塩田康一君登壇] 52 ◯知事(塩田康一君)まず、新型コロナウイルス感染症に対する姿勢についてでございます。  私は、知事就任以降、新型コロナウイルス感染症への対応が最優先であると考え、感染防止対策をしっかりと講じるとともに、検査体制及び医療提供体制の確保、ワクチン接種の促進等に取り組み、県民の皆様の安心・安全と経済活動、社会活動の両立が図られるよう、緊張感を持って取り組んでまいりました。  新型コロナウイルス感染症対策につきましては、昨年度までは、医療面の対策を中心に、くらし保健福祉部の健康増進課と保健医療福祉課において対応しており、順次職員の増員等を図ってきたところでございますが、専従の組織を設置していなかったところでございます。  しかしながら、医療面の対応に加えまして、感染状況の取りまとめ、分析、総合的な感染防止対策の企画・立案、飲食店等への営業時間短縮の要請及び現地調査、宿泊療養施設の確保・運営、離島搬送、ワクチン接種など多岐にわたる業務について、全庁を挙げて迅速かつ確実に取り組むための中核的な組織が必要だと考えまして、この四月に、新型コロナウイルス感染症対策室を設置したところであります。  医療提供体制の確保や入院調整などをはじめとする医療面の対応につきましては、公衆衛生医師である部長級の医療審議監が、ほぼ専従の状況で、医師等により構成される広域医療調整チームや県医師会等の御協力を頂きながら、着実に業務を遂行してきたところであります。  一方で、医療面以外の政策立案、総合調整機能を強化する必要があったことから、六月には、新型コロナウイルス感染症総括監を配置したところであります。  また、新型コロナウイルス感染症対策のさらなる加速化を図るため、県庁二階講堂内の改修工事を今月初めに完成させた上で、それまで分散していた新型コロナウイルス感染症対策室を二階講堂に集約し、情報共有、意思伝達のさらなる迅速化を図り、全庁的な応援体制も強化するとともに、県内市町村ごとに総合連携窓口となる担当者を配置し、情報伝達・相談体制を強化したところでございます。  新型コロナウイルス感染症対策の推進に当たっては、必要に応じて、私が本部長を務めます県対策本部会議を開催し、感染症や経済の専門家の御意見を聴取した上で、全庁的に各般の対策を講じているところでございます。  また、私自身、新規感染者の状況や県の取組の進捗状況については、ほぼ毎日、直接担当の部局から報告を受け、指示を行うなど、全体を統括しているところであります。  今後とも、県民の皆様方の安心・安全と経済活動、社会活動の両立が図られるよう、県庁が一丸となって、各般の施策を総合的に推進してまいりたいと考えております。  次に、県政運営を進めるための人事の在り方についてでございます。  県職員の人事異動につきましては、業務の円滑な推進を図るため、職員の能力、経験、専門性などを総合的に判断して行っており、適材適所の人事配置に努めているところであります。特に、幹部職員については、幅広い視野や必要な施策を立案・実施する資質なども勘案し登用しているところでございます。  御指摘の技術職員につきましては、専門的知識等が求められる部局において、部長職を含め技術次長や技監等の管理職員に適任者を登用してきているところであり、今年度は、課長級以上の職に占める技術職員の割合は四七・一%となっているところであります。さらに、将来の管理職員への登用を見据えて、今後、幅広い行政経験を積む観点から、自らの専門分野以外の業務にも従事させる人事配置を行ってまいりたいと考えております。  また、女性職員につきましても、職員の能力、経験、専門性などに加え、女性の視点をより県政に生かすことも重要であると考えており、管理職員への積極的な登用に努めており、今年度は、課長級以上の女性職員数は五十二人と過去最多、課長級以上の職に占める割合も一一・四%と過去最高となっているところであります。また、将来の管理職登用に向けた裾野を広げるという視点から、多様な業務を担う部署や政策形成能力が必要な業務を行う部署などへの積極的な配置、人材育成にも努めているところであります。  今後とも、複雑・多様化する行政需要に的確に対応するとともに、職員の士気向上も図ることができるよう、技術職員や女性職員も含め、人材育成や適材適所の人事配置等に努めてまいりたいと考えております。  次に、行政と議会の在り方についてでございます。  県民の皆様方の代表である県議会と執行部はいわば車の両輪であり、県民のため、お互いが知恵を出し合いながら活発な議論を重ね、県議会と執行部が一体となって、県政の重要な課題に適切に対応し、県勢の発展、県民福祉の増進を図っていくべきものだと考えております。  新型コロナウイルス感染症対策につきましては、専決処分などについて節目節目で御説明するとともに、議会の求めに応じて、対策の御説明も行ってきているところでございます。  議会は、幅広く住民の皆様の意見を代表しているものであることから、県政の運営に当たっては、県議会の御意向を十分に踏まえ、必要なものは丁寧に御説明し、議決を頂きながら、各般の施策を推進してまいります。 53 ◯大園清信君 自席から、知事に一点お伺いいたします。  私は、組織にはやっぱり形も必要だろうと思います。組織を立ち上げた以上は、そこのトップは誰なのか、司令塔は誰なのか、そういった明確な立場の人をつくることも大事だと私は思いますけど、このコロナ対策室の司令塔はどなたになるのか教えてください。 54 ◯知事(塩田康一君)先ほどの答弁で申し上げました、六月に新たに配置した新型コロナウイルス感染症総括監が全体の取りまとめ、統括担当責任者としております。    [大園清信君登壇] 55 ◯大園清信君 それぞれ御答弁頂きました。  これまでの県政運営、議会に対しての対応が本当に適切であったのか、議会の皆さんが今、判断されているのではないかと思います。それぞれ節目節目には議会に対しての説明、そしてまた、納得した答えが求められておりますので、知事はじめ執行部の皆さん方はぜひよろしくお願いいたします。  また、人事に関しましては、知事だけの責任ではなく、知事を取り巻く副知事以下県幹部の責任もあるかと思います。技術職であれ、女性であれ、県職員の皆さん方が活躍できる場をぜひ頑張ってつくっていただきますようお願いいたします。  次に、保健福祉行政について伺います。  まず、新型コロナウイルス感染症についてであります。  保健所が果たすべき機能と体制強化。  コロナ禍でこの一年九か月、日夜御苦労されている保健所の業務について伺います。  まず、感染症が発生した際に保健所が本来担うべき業務と、今回の新型コロナウイルス感染症の発生でどのような業務負担が増え、保健所職員の超過勤務状況はどうであったのか。次に、今回の新型コロナの発生を受け、保健所の体制強化を今度どのように図っていかれるのか、伺います。  次に、感染者の濃厚接触者を含めた関係者のPCR検査の拡充についてであります。  新型コロナウイルス感染症は、インフルエンザ等と異なり、発症前に感染を拡大させることが感染防御を困難にしております。そのために、感染者との濃厚接触者は、接触した日から十四日間の隔離、あるいは十四日間の外出の自粛が求められております。  感染者との濃厚接触者は、保健所から連絡を受け行政検査でPCR検査を受けられますが、感染症が爆発し蔓延した今回の場合、保健所が行う濃厚接触者の追跡調査が追いつかず、感染を広げてしまいました。また、濃厚接触者に当たるかどうかのグレーゾーンの方々の検査は行われず、自分も感染しているのではないかとの不安を抱える方々から多くの相談を受けました。感染者との濃厚接触者だけでなく、感染者との接触が少しでも疑われる方々に対してはPCR検査を拡充し、広く検査が受けられる体制を取っていただきたい。見解を伺います。  次に、自宅療養者の急変防止については割愛いたします。  次に、かかりつけ医、市中医療機関と保健所との連携についてであります。  感染者の爆発的増加により自宅療養者や宿泊療養者が急増し、保健所職員はその対応でパンク状態に陥ってしまいました。そのため、コールセンター設置等の負担軽減策が講じられています。しかし、一番の軽減策は、医療機関と保健所との密な連携により、保健所業務の一部を医療機関に担ってもらうことだと思います。  今回、医師会と行政との連携は十分であったのか。自宅療養されている方々には、地域の医療機関による積極的な支援、例えば、地域ごとにその地域の医療機関が朝夕電話で患者さんの健康観察を行い、症状によっては入院の可否を判断し、入院が必要な際には保健所へ連絡したり、入院できないのであれば在宅医療機関に連絡し訪問診療してもらうなど、保健所が行っていた業務を肩代わりできたのではないでしょうか。  今回の新型コロナ対策について、特に自宅療養者の対応について、医療機関と保健所との連携はどうであったのか、伺います。  次に、家庭内感染の感染拡大防止策についてであります。  八月の新型コロナの爆発的感染を受けて、多くの相談が寄せられました。乳幼児を抱える感染されたお母さんから、子供たちに感染しないかとても心配です。何かいい方法はありませんか、子供が感染してほかの子に感染させてしまうのではないか。何か手だてはありませんかなど、乳幼児を抱える方々の心配をひしひしと感じました。  乳幼児が感染した場合や乳幼児を抱える保護者が感染した場合、家庭内感染を防ぐためには宿泊療養施設を有効に活用することが大事だと思います。県の対応をお伺いします。  次に、コロナホットラインの設置についてであります。  新型コロナウイルス感染症は、感染者が急変することも大きな問題となっています。新型コロナに感染した体調不良の患者さんから、保健所に電話してもなかなかつながらないとの苦情の相談もありました。症状の重い患者さんや急変しやすい妊産婦、家庭内感染を心配される乳幼児を抱える方々に対しては、専用のホットラインが必要と考えます。  そこで伺います。  突然の急変患者や乳幼児、妊産婦の感染者に対しては、専用のホットラインを設け、その対応については医師会の医療関係者に委託する体制を取ることはできないのか、伺います。  次に、これまでに新型コロナウイルス感染症患者を受け入れていただいた宿泊療養施設の皆様方には心から敬意と感謝を申し上げます。  県は、新型コロナの爆発的増加に備えて、病院のベッド数確保や宿泊療養施設の確保に尽力されてこられました。閉会中の八月二十五日の環境厚生委員会において、療養施設の利用率が約三〇%であったことから、「もう少し療養施設の利用を図るべきではないか」と質問がなされ、それに対し、「宿泊療養施設の入所者の調整や搬送体制を改善する」と答弁されました。  これまで宿泊療養施設の借り上げに要した費用について、お示しください。  次に、新病院完成移転後の旧病院の活用策についてであります。  県内ではこの二、三年、病院の新築・改築が進んでいます。昨年から私は、新築・改築される病院については、新型コロナの終息の兆しが見えるまでは旧病院建物を残し、新型コロナが再燃し患者が増加した際には旧病院を利用できるように検討していただきたいとお願いしてきましたが、なかなか実行されませんでした。  現在、市内の大病院の移転が十二月に予定されています。県は、当該病院管理者と交渉し、新型コロナの終息の兆しが見えるまでは旧病院を残していただき、新型コロナが再燃した際には旧病院を利用できるように交渉していただきたいと思いますが、見解を伺います。  次に、田畑議員からもお話がありました、抗原検査キットの配布であります。  新型コロナウイルス感染症を拡散させないように、厚労省は学校や高齢者施設等に抗原検査キットを配布しています。しかし、一般の方が自分で正しく検体を採取することは難しく、検体採取時に他の人へ感染させてしまう危険性もあり、安易に抗原検査キットを使用すべきではありません。昨年、新型コロナが発生した際、厚労省は帰国者・接触者相談センターへ、外来受診の目安として三十七度五分以上の発熱が四日以上続く場合という指針を出しましたが、後に、その指針が誤っていたとのことで受診目安項目から除外した例もあることから、厚労省の方針が必ずしも正しいとは限りません。  本県においても、この抗原検査キットの配布には、個人のプライバシー保護等幾つかの課題もあり、慎重でなければならないと思います。県の見解をお伺いします。  次に、新型コロナウイルス感染症の啓蒙につきましては、新型コロナに感染した方々が、自分が何か悪いことをしたように感じる社会であってはならないと思います。誰でも知らず知らずのうちに感染する機会があります。感染した場合には、後ろめたい気持ちを持つのではなく、前向きに治療や療養ができるように、マスコミ等を利用して新型コロナに対する正しい知識を社会に啓蒙していただきたいと思います。  次に、第七次鹿児島県保健医療計画の見直しについて伺います。  平成三十年三月、「県民が健康で長生きでき、安心して医療を受けられる、みんなが元気な鹿児島」を基本理念とする第七次鹿児島県保健医療計画が策定されました。  第七次鹿児島県保健医療計画においては、感染症についての取扱いが少ないことから、今回の新型コロナウイルス感染症を受けて、早急に内容の大幅な見直しが必要と思います。見解をお伺いします。  また、県地域医療構想の見直しについては、県地域医療構想は、二〇二五年における地域の医療提供体制のあるべき姿を示すものです。本構想において、構想区域、構想区域における必要病床数、在宅医療等の必要量を定めています。  しかし、今回の新型コロナウイルス感染症において、感染症ベッドの確保や在宅医療の在り方等、大きな課題が浮き彫りになりました。これを受けて、地域医療構想も大幅に見直すことが必要になってきたものと思います。見解を伺います。
     県地域包括ケア体制の見直しにつきましては、在宅医療の在り方、体制の見直しが求められます。ぜひ検討をお願いします。 56 ◯くらし保健福祉部長(谷口浩一君)まず、保健所が果たすべき機能と体制強化についてであります。  保健所においては、県民からの問合せに対応するとともに、積極的疫学調査及び行政調査を速やかに実施し、感染症の拡大防止に努めております。  また、患者の症状に応じて、医療機関への入院や宿泊療養施設への入所の調整を行いますほか、濃厚接触者や自宅待機者に対しては健康観察を行うとともに、生活支援が必要な場合には関係機関と連携して対応しているところであります。  保健所業務については、これまでも、相談窓口の外部委託、非常勤保健師の配置、本庁や他の保健所等からの保健師の派遣など、その時々の状況に応じた業務の軽減に取り組んでいるところであります。  また、今回の爆発的な感染拡大により、保健所においては、電話相談や疫学調査、健康観察等の業務量が増加し、これに伴い、超過勤務時間も増加したところであります。  このため、自宅待機中の方の健康観察を支援するコールセンターを設置し、保健所の業務軽減を図ったところであります。  今後とも、保健所の業務量を的確に把握し、業務の軽減・効率化を図るよう努めてまいりたいと考えております。  続きまして、PCR検査の拡充についてでございます。  保健所が行う行政検査においては、感染者の濃厚接触者だけでなく、所属している集団の感染リスクに応じて幅広に検査を行っているところであります。  続きまして、自宅待機者に対する医療機関と保健所の連携についてであります。  本県においては、八月に入り、感染が爆発的に拡大し、入所調整に時間を要したことなどにより、自宅待機者が多数発生したところであります。  自宅待機者に対しては、保健所が電話等により、毎日、健康状態を聞き取っているほか、症状の変化に応じて医師の診断を求めるなど、医療機関と連携して適切に対応してきたところであります。  次に、乳幼児等が感染した場合の家庭内感染防止策についてであります。  乳幼児もしくはその親が感染した場合は、患者の症状に応じて医療機関に入院するか宿泊療養施設に入所していただくこととしております。  このうち、宿泊療養施設では、家族の感染状況や検査予定、療養に対する意向等を聞き取った上で、可能な限り親子で療養できるよう、広い部屋への入所等を調整しているところであります。  入所中は、看護師が、入所している乳幼児についても、陽性・陰性にかかわらず朝夕健康観察を行い、特に三歳未満児については、発熱が確認された段階で入院について検討するなど、乳幼児とその家族の療養が適切に行われるよう努めているところであります。  次に、コロナホットラインの設置についてであります。  本県は、原則として、医療機関への入院または宿泊療養施設への入所を基本としており、重症または中等症である方、妊娠後期の妊婦の方など医師が入院が必要と判断した方については、入院をしていただいております。  また、県においては、八月に入り、感染が爆発的に拡大した中においても、自宅待機者に対しては、毎日健康観察を行い、症状の変化が見られる方に対しては、一日に複数回、電話等により健康状態を確認したところであります。  御提案があったことについては、今後、検討課題としてまいりたいと考えております。  宿泊療養施設の借り上げ費用についてであります。  宿泊療養施設については、契約期限満了で閉所した一か所を含めまして、本年八月末までに十二施設を開所したところであります。  費用につきましては、一棟借り上げでの契約を行っており、借り上げ費用として、前年度は四施設に約六億七千八百万円、本年度は、八月までの分として十一施設に約七億九千三百万円を要しております。  続きまして、新病院完成移転後の旧病院の活用策についてであります。  今夏の爆発的な感染拡大に際し、病床を緊急避難的に六百二十二床まで増床し、医師が入院が必要と判断した方には全て入院していただくことができたところであります。  今後、感染が拡大した場合に備えて、緊急的な対応病床として既に六百二十八床まで確保しております。  感染拡大に備えた今後の医療提供体制の構築については、先日、国から基本的な考え方が示され、病床の確保に加えて、臨時の医療施設など病床を補完する機能についても整備を進めることなどが重要であるとされたところであります。  今後、国から、病床・宿泊療養施設確保計画について具体的な考え方が示される予定でありまして、この国の動向を注視してまいりたいと考えております。  続いて、抗原簡易キットの配布についてであります。  抗原簡易キットは、高齢者施設等の従業者等に症状が現れた場合に、早期に陽性者を発見することによって感染拡大を防止する観点から、本年六月に配布が開始されております。  本県には約十七万個が配分され、高齢者施設等に約十四万個を配布し、残りの約三万個についても、随時要望に応じて配布しているところであります。  抗原簡易キットでの検体採取に当たって、鼻腔検体については、医療従事者の管理下、またはあらかじめ検査に関する研修を受けた職員の管理下で、隔離された場所で自己採取することとされておりますほか、鼻咽頭検体については、医師または保健師、看護師等のみが採取できることとするなど、様々な条件を課して、検査の安全性や精度を確保しているところであります。  県としては、抗原簡易キットの使用により早期に陽性者を発見することで、感染症の感染拡大防止につながることから、引き続き適正な使用方法の周知を行いつつ、高齢者施設等からの要望に対応してまいりたいと考えております。  次に、第七次県保健医療計画等の見直しについてであります。  医療計画につきましては、医療法改正に伴い、令和六年度を初年度とする次期計画から、新興感染症等の感染拡大時における医療を追加することとされたところでありますが、本県では、これに先立ち、今年度中に行う現行計画の中間見直しにおきまして、新型コロナウイルス感染症への対応等を記載することとしております。  地域医療構想については、国は昨年十二月に、今後の医療提供体制の構築に向けた考え方として、感染拡大時の短期的な医療需要には医療計画に基づいて機動的に対応することを前提に、基本的な枠組みを維持しつつ、着実に取組を進めていく考えを示したところであります。  また、国は今月、新型コロナウイルス感染症に対応する医療提供体制の構築について、地域の医療資源には限りがあることから、病床の確保に加えて、臨時の医療施設などの病床を補完する機能についても着実に整備を進めておくこと等が重要であるとの考えを示しております。  県としては、今後とも国の動向を注視するとともに、一般医療とコロナ医療の両立が図られるよう、新型コロナウイルス感染症に対応した医療提供体制の構築について、現行医療計画の中間見直しの中で検討してまいりたいと考えております。 57 ◯大園清信君 知事と部長にお伺いしますけれども、私は昨年から言っているんですけど、保健所の業務負担が極めて重いと、その業務を軽減するためにもう少し医師会等にお願いして連携したら、保健所の職員の皆さん方の負担が減るんじゃないかということを言っているんです。  私は保健所の業務について、皆さん方が人ごとみたいに言っているほど簡単ではないと思っており、保健所の職員の皆さん方の健康状態、そういったものを考えたときに、今、精神的にも追い詰められた状況だと思いますので、ぜひ医師会ともう少し業務を負担できるような体制ができると私は思います。また、全国でもそういう連携が今、模索されて、実施されているところもありますので、ぜひそういったものをやるつもりはないのか、医師会に対してもう少し積極的に支援のお願いをする気持ちはないのか、お伺いします。 58 ◯知事(塩田康一君)議員御指摘のように、保健所の皆さん、今回の感染が爆発的に拡大している中では、疫学調査に加えまして、健康観察等の業務で大変業務量が増えていたと感じております。  そういったことから、今回、県としては、コールセンターでの委託を通して、できるだけ業務負担を軽減したいということで対応したところでありますけれども、日頃から保健所のほうで健康観察をする上で、発熱等があった場合には医師のほうに診察をお願いしたりというようなこともしてはいるとは聞いておりますけれども、さらにそれを拡大するような形で医師の関与というものができるのかどうかといったようなことは、また医師会等とも協議しながら、いろいろ御意見を承りながら、よりよい体制づくりに努めていきたいと思います。 59 ◯大園清信君 もう一点お伺いします。  デンマークは今、ワクチン接種の普及と、そしてまた頻回なPCR検査によって、普通の生活に戻っていると言われています。ワクチンの接種については、十一月末をめどに接種が行われるであろうけれども、PCR検査については、いつも皆さん方は、回数は言われますけれども、私はPCR検査をやることが患者さんの一番の発見になると思いますので、PCR検査をもう少し積極的にやろうという気持ちはないのか、部長どうですか。 60 ◯くらし保健福祉部長(谷口浩一君)先ほども申し上げましたとおり、まず、ベースになっている行政検査ですね。こちらのほうが、繰り返しになりますけれども、感染者の濃厚接触者だけでなく、所属している集団の感染リスクに応じて幅広に検査を行っていると。これは各保健所において相当幅広に追いかけているというような状況かと思います。  それと加えまして、感染防止対策のPCR検査については、県としては、昨日来申し上げておりますけれども、場所と時期を絞って効果的に、今回は空港、駅等での水際検査というのを重点的にやりましたけれども、そういった、どこでPCR検査を効果的に行うべきかというのをよくよくその状況を見ながら考えて、積極的に打っていく必要があるというような考えで今後もやっていきたいと思っております。    [大園清信君登壇] 61 ◯大園清信君 保健福祉行政については、現場の現状をしっかり見て対応していただきたいと思います。  時間がありませんので、次に、NPO法人奄美青少年支援センターゆずり葉の郷の活動について伺います。  皆さん方のお手元に、今朝の毎日新聞に掲載されております記事を配付させていただきました。  NPO法人奄美青少年支援センターゆずり葉の郷については、これまで県議会での委員会視察や本会議等で質問もなされ、御存じの方も多いかと思いますが、所長三浦一広さんは、非行の最前線は、悲しみの最前線、非行はなくせる、全ての子にチャンスをとの思いで、子供たちに夢と希望を、そして生きる勇気を与え続けています。  先般の我が会派の代表質問で郷原議員は、「多くの少年事件の背景には貧困や虐待があり、発達障害や知的障害が背景にあるケースも少なくなく、事件を本人の責任に帰すだけでは解決にならない。今後一層、少年の非行防止や保護活動の推進が必要になる」とのことから、少年非行防止・保護総合対策の推進に関する取組状況と少年の再犯を防止するための取組状況についてただしたところ、山田警察本部長は、「少年の非行防止に関する活動と被害少年等に関する保護活動については、関係機関と緊密な連携を図りながら被害児童の早期発見や安全確保に取り組んでいる。また、少年の再犯防止に対する取組として、立ち直り支援活動には、少年の特性や家庭環境に合わせた継続的な対応と少年自身やその保護者を支える地域社会の理解が不可欠であることから、引き続き学校等の関係機関との情報共有や少年警察ボランティア等との連携を強化し、支援活動の推進に努めてまいりたい」と答弁されております。  青少年非行防止と立ち直り支援を行っているゆずり葉の郷の活動については、青少年問題に取り組んでいる個人、団体等から高い評価を受けています。  塩田知事は、知事就任前にゆずり葉の郷を訪問されたことがあると伺っておりますが、知事は、その活動についてどのように評価されているのか。また、歴代の警察本部長は、ゆずり葉の郷を訪問し意見交換もされておりますので、山田本部長も今後訪問されると思いますが、本部長は、これまでのゆずり葉の郷の活動をどのように評価し、今後どのような連携をなされていくのか、伺います。  次に、児童相談所と児童家庭支援センターの役割と連携について伺います。  二項目、三項目は割愛いたします。  児童相談所の課題と機能強化についてであります。  虐待件数は増加し、相次ぐ悲惨な虐待は決して他人事ではなくなっています。一見して普通の家庭に見えても、育児ノイローゼや孤立、DVなどにより、深刻な虐待が起こり得ます。虐待や虐待死が起こると、矢面に立たされるのが児童相談所です。本県でも、児童相談所に児童福祉司が増員されましたが、それでも児童福祉司一人当たりが対応する相談件数は多く、児童福祉司には大きな負担が強いられています。また、福祉司のスキルアップの機会も少ないため、現場対応で苦慮することも多いと思います。現状の児童相談所頼みから脱却し、いかに虐待を防止していくかが今、問われております。  そこで、中央児相、大島児相、大隅児相の児童福祉司が一人で抱える令和元年度、二年度の相談件数と、職員の超過勤務時間、そして児童相談所の負担軽減策について伺います。  奄美市においては、大島児相が対処しなければならない事案について、先ほど紹介したNPO法人奄美青少年支援センターゆずり葉の郷が対応している事案もあると聞いています。  大島児相は、離島の虐待や問題行動のある児童等、各分野の支援の中心であり、当然に諸機関や諸団体との連携が図られているものと思います。令和元年度、二年度に大島児相が行った児童福祉施設や里親等との協議会、施設訪問等の活動について、その中で、ゆずり葉の郷との連携についてもお示しください。  次に、桜丘養護学校廃校後の施設、敷地利用計画についてであります。  令和五年四月、県農業試験場跡地に特別支援学校が開校されることにより、桜丘養護学校は廃校となります。それに伴い、廃校後の学校跡の施設、敷地の利用計画も学校建設と同時並行で検討されなければなりません。  現在の桜丘養護学校は、隣接して県こども総合療育センター、中央児童相談所が立地し、教育・医療・福祉の三つの機能が相互連携できる理想的な環境にあります。しかし、人口比一〇%を大きく超えるニーズに対して、十分な支援は難しいとも聞いています。  現在、障害の種別も幅広く、ニーズは軽度から重度まで数が多く、生活している地域で支援できる人材が求められています。県こども総合療育センターのように、医療と教育、福祉が同じ屋根の下で連携した支援を実践し、地域で支援できる人材を養成することが何よりも求められております。  先般の我が会派の代表質問で宝来議員から、医療的ケア児支援センターの設置について質問がありました。今回の桜丘養護学校廃校後の施設、敷地活用については、療育センター支援部と連携した教育・医療・福祉のそれぞれの分野の方々が、医療的ケア児だけでなく、発達障害、育児支援、不登校、愛着障害など広く支援できる子育て総合支援センター─仮称─を整備すること、そしてその一角に医療的ケア児支援センターを併設することも考えられます。  塩田知事には、桜丘養護学校跡に多職種が一堂に学び研さんできる、教育・医療・福祉の子育て総合支援センターを整備していただきたいと思いますが、知事の見解を伺います。    [知事塩田康一君登壇] 62 ◯知事(塩田康一君)NPO法人奄美青少年支援センターゆずり葉の郷の活動についてでございます。  私は、鹿児島の発展を支えようとする人材を育成していくことが、鹿児島県の発展には大変重要だと考えております。  ゆずり葉の郷は、私も何度かお伺いし、三浦所長ともお会いしたことがございます。長年にわたり、不登校、非行など様々な困難を抱える若者等の相談・支援に取り組むとともに、武道や地域活動等を通じた青少年の健全育成に大変尽力されており、また、県における青少年を支援する関係機関・団体が連携したネットワークに参画いただくなど、本県の青少年の育成に貢献いただいていると考えております。  こうした活動の功績が認められ、国などからも多くの表彰を受けていると承知しております。  県においては、次代を担う青少年を育成するため、これまで、郷土に学び・育む青少年運動を通じて、青少年の主体的活動の促進、青少年を守る環境づくりや非行防止活動の推進及び相談体制の充実などに取り組んできたところでございます。引き続き、ゆずり葉の郷などの民間団体や関係機関等と連携・協力しながら、青少年の育成の推進に一層取り組んでまいりたいと考えております。 63 ◯警察本部長(山田好孝君)ゆずり葉の郷の活動に対する評価と今後の連携についてであります。  NPO法人奄美青少年支援センターゆずり葉の郷では、不登校、非行等の問題に悩む少年に対する相談・支援や居場所づくりなどの活動に取り組まれており、このような地道な活動が少年の健全育成に貢献しているものと高く評価しております。  県警察におきましては、ゆずり葉の郷と連携して、これまでに農業体験を通じた立ち直り支援活動やスポーツ交流会など、少年の健全育成活動に取り組んできたところであります。  今後とも、連携して少年の非行防止や健全育成に努めてまいりたいと考えております。 64 ◯子育て・高齢者支援総括監(吉見昭文君)児童相談所の児童福祉司一人当たりの担当ケース数等についてでございます。  児童相談所が令和元年度に受理しました、養育困難に関する相談、障害に関する相談、不登校、情緒面等に関する相談など全ての相談件数を、児童福祉司の総数で除して算出した児童福祉司一人当たりの件数は、約百五十六件となっており、同様に算定した令和二年度の児童福祉司一人当たりの件数は、約百二十三件となっております。  また、児童福祉司一人当たりの超過勤務時間は月平均で、令和元年度は約二十八時間、令和二年度が約十九時間となっております。  県といたしましては、令和元年度から本年度にかけて児童福祉司等を増員いたしますとともに、組織面の強化、運用面の改善を図ることにより、組織的対応力の充実と併せて児相職員の負担軽減にもつながっているものと考えております。  また、令和二年度には、児相の児童福祉司等の手当について支給額の引上げ等を行い、処遇改善も図ったところでございます。  次に、大島児童相談所の活動及び連携等についてでございます。  令和元年度に大島児童相談所が、管内の児童福祉施設、里親等との協議・打合せを行った、あるいは養育状況の確認等のため施設を訪問した回数は、合わせて二百二十二回となっており、同じく令和二年度は百七十四回となっております。  また、市町村要対協に児童相談所も参加して、必要な情報や支援内容に関する協議を行っておりますほか、児童虐待防止に関する研修を通じて、関係機関との連携を図っているところでございます。  NPO法人ゆずり葉の郷は、児童福祉法に規定いたします自立援助ホームの運営法人であり、大島児童相談所は、同施設に対し、児童自立生活援助の実施決定をした入居者等の状況確認、今後の処遇に関する打合せ、その他必要な助言を令和元年度に二十六回、令和二年度に十九回実施するなど、連携を図っているところでございます。 65 ◯くらし保健福祉部長(谷口浩一君)桜丘養護学校廃校後の施設、敷地利用計画についてでございます。  桜丘養護学校は、令和五年四月に鹿児島市西谷山の県農業試験場跡地へ移転する予定でありまして、移転後の建物及び敷地の活用等については、現時点では未定であります。  同学校に隣接するこども総合療育センターは、子供の心身の発達に関する様々な相談に応じるほか、発達障害児等を対象に、医師が診察を行う機能、心理士等の専門職種が訓練を行う機能、保健師等が地域療育の支援を行う機能などを持つ総合的なセンターであります。  同センターと桜丘養護学校は同一の建物内にあることから、移転後の同学校跡地等の取扱いについては、同センターの業務等の実態を踏まえて検討してまいりたいと考えております。    [大園清信君登壇] 66 ◯大園清信君 時間がありませんので再質問は省略して、桜丘養護学校の跡地なんですけれども、やはり今、いろんな特別支援学校・学級、そしてまた児相、いろんな職種の方が、複合障害を持った子供たちの対応に大変苦慮されています。そういう方々の総合的な研修センターとして、またスキルアップする場としてどうしてもセンターが必要だと思っております。  塩田知事には、この跡地の利用についての検討委員会を早急に立ち上げていただいて、今、鹿児島県に必要なのは何なのか、それを皆さん方で検討していただきたいと思います。  ところで、朝一番の米丸議員の鋭い質問に対し、知事の胸の内はいかがだったでしょうか。議会でこれまで多くの議員から提言された内容については、検討に値するものがあるかと思います。上に立つ者は胸襟を開き、素直に耳を傾け、県政に反映していただきたいと思います。  知事、前でもない、今でもない、大変インパクトのある言葉でした。四年後この言葉が御自身に降りかかることがないように、塩田知事には大胆で県民が納得する政策を確実に進めていただきたいと思います。  議場で、知事の穏やかで、議員のどんな質問にも感情を表に出すこともなく淡々と答弁されている姿に、必ずできる知事であるとの強い思いを私は持っております。ぜひ、この厳しいコロナ禍で今後の知事の県政運営に大いに期待し、質問を終わります。  先ほど自民党総裁に岸田氏が選出されたとのことであります。自民党を挙げてこれからもしっかりと国民の皆さんと、そしてまた県民の皆さんの思いを理解しながら、これからも県政に取り組んでまいります。  ありがとうございました。(拍手) 67 ◯議長(田之上耕三君)以上で、通告による質問は全部終了いたしました。
     これで、質問は終結いたします。       ───────────── 68    △ 議案第八〇号─議案第九八号(議案第八三号      及び議案第九二号を除く)、報告第三号委員      会付託 ◯議長(田之上耕三君)次に、議案の委員会付託であります。  今回提出されました議案のうち、議案第八三号及び議案第九二号を除く議案第八〇号から議案第九八号まで及び報告第三号は、配付いたしております議案付託表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。  お諮りいたします。  議案第一〇〇号は、会議規則第三十九条第三項の規定によって、委員会付託を省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    [「異議なし」と呼ぶ者あり] 69 ◯議長(田之上耕三君)御異議なしと認めます。  よって、そのように決定いたしました。       ───────────── 70    △ 決算特別委員会の設置(議案第八三号、議案      第九二号及び議案第九九号同特別委員会付      託) ◯議長(田之上耕三君)お諮りいたします。  議案第八三号令和二年度鹿児島県歳入歳出決算について認定を求める件、議案第九二号令和二年度鹿児島県工業用水道事業特別会計決算について認定を求める件及び議案第九九号令和二年度鹿児島県病院事業特別会計決算について認定を求める件については、十二人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、同特別委員会に付託することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    [「異議なし」と呼ぶ者あり] 71 ◯議長(田之上耕三君)御異議なしと認めます。  よって、議案第八三号、議案第九二号及び議案第九九号は、決算特別委員会を設置し、同特別委員会に付託することに決定いたしました。       ───────────── 72    △ 決算特別委員の選任 ◯議長(田之上耕三君)次に、決算特別委員会の委員の選任を行います。  お諮りいたします。  決算特別委員の選任については、委員会条例第六条第一項の規定によって、配付いたしております決算特別委員名簿のとおり指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    [「異議なし」と呼ぶ者あり] 73 ◯議長(田之上耕三君)御異議なしと認めます。  よって、決算特別委員は、配付いたしております名簿のとおり選任することに決定いたしました。       ━━━━━━━━━━━━━   決算特別委員名簿  決算特別委員会    柴 立 鉄 平   白 石   誠    安 楽 ひでみ   中 村 素 子    向 井 俊 夫   おさだ 康 秀    前 野 義 春   藤 崎   剛    松 田 浩 孝   堀之内 芳 平    鶴 薗 真佐彦   前 原   尉                (十二人)       ━━━━━━━━━━━━━ 74 ◯議長(田之上耕三君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 75    △ 日程報告 ◯議長(田之上耕三君)十月八日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、議案及び請願・陳情の委員長報告、質疑、討論並びに表決などであります。       ───────────── 76    △ 散  会 ◯議長(田之上耕三君)本日は、これで散会いたします。        午後三時三十九分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...