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1998-09-28 平成10年第3回定例会(第6日目) 本文

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  1. 鹿児島県議会 1998-09-28
    1998-09-28 平成10年第3回定例会(第6日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
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    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(溝口宏二君)ただいまから、本日の会議を開きます。       ─────────────    △ 一般質問 2 ◯議長(溝口宏二君)本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、一般質問    増 留 貴 朗 君    浜 田 みのる 君    志 摩 れい子 君    上 原 一 治 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 3 ◯議長(溝口宏二君)一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。
     増留貴朗君に発言を許可いたします。    [増留貴朗君登壇](拍手) 4 ◯増留貴朗君 平成十年第三回定例会に際し、一般質問いたします。  冒頭に警察本部長、あなたに御礼を申し上げておきたいと思います。  昨晩、一昨晩、鹿児島市下伊敷町栄門町内会、私が町内会長でありますけれども、そこで栄門祭りという祭りを二晩続けていたしました。大体多くて三千名ぐらい、二晩ほどたくさんの方々がお見えになったんですが、実は、私の地域にも暴走族が大変ばっこしておりまして、ことしの八月二十日から九月二十日まで、町内で「地域安全パトロール隊」というものを結成をいたしまして、私もそのうち一カ月間の二十日間、毎晩十時からパトロールに出てまいりました。  そういう関係もありまして、昨晩、一昨晩のお祭りには、恐らくまた暴走族が出没するんではないだろうか、そういうことで、西警察署を中心にして管区機動隊の方々までおいでをいただきまして、万全の態勢で対策をとっていただきました。  西署の所長さん、本部の交通部長さんも一昨晩はお見えになりましたけれども、おかげさまで何も大きな事件もなく終わりました。心から頑張っていただいた警察官の皆さん方に御礼を伝えてほしいと思います。  ただ、実際にその一カ月間の地域パトロール、また、昨晩、一昨晩と、自分で直接、髪を茶髪に、もう今は赤に染めた者もおりますが、耳にイヤリングをした、この子供たちと接してみますというと、非常に人権思想が強い。  昨晩は、オープンカーで四名乗って、そして車のカーコンポというんですか、非常に大きな音で走る車に対して、警察の方がカメラあるいはビデオで写真を撮っておりました。反対車線の方から撮っていたんですが、わざわざ車をとめて、その警察官のところへ来て、「何で写真を撮るんだ」と、「人権じゅうりんだ」というようなことで、写真を撮られたことに対して非常に文句を言っておりました。  謂集をしている子供たちに会いますというと、駐車場、あるいは特に交通規制の駐車禁止等のないところにとまっているものについて声をかけますというと、「何も法律的な違反をしていないじゃないか」と、「何でおれたちにあなた方が解散をしろとか、あちらの方へ行けとかという権利があるんだ」ということで、非常に食ってかかりまして、現場の第一線の警察官の方ですら、なかなかてこずっているというのが実情です。  そこまで子供たちはお互いに研究をし合い、どうすれば対抗できるかという対抗策を既にマニュアルをつくり上げている。  また、見ておりますというと、しょっちゅう携帯電話で連絡をとりながら情報を送って、ここはこういうぐあいであると、こっちはだめだよとかあっちへ行けとか、そういったようなことを言っておる節があります。非常に難しい状況になったなと、実際に私も現場でやってみて思いました。  どうかひとつ大変な状況の中ですけれども、頑張っていただきますように、改めてまた警察の皆さん方、あるいはまた、少年補導員の方々、あるいは学校の方々、あ、言い忘れました。昨晩、一昨晩は、鹿児島市内の公立・私立の高等学校の生活指導の先生方も半分ずつ出てこられましたので、これは徳田教育長にも御報告を申し上げて、お礼も言っておきましょう。  それでは、早速通告に従って質問に入ります。  八・六水害、ちょうどこの八月の六日で丸五年が過ぎました。私の家のモルタルの壁には、まだ私よりもうんと高いところにその痕跡が残っております。五年前を思い起こしますというと、まさに悪夢のようなという表現になろうかと思いますが、ことしも関東地方、あるいは中部、四国といったようなぐあいで、大変な水害がありました。いつ、何時また同じことが起こるかもしれませんけれども、特に鹿児島市の都市河川の中で、甲突川改修に際しまして、大変な御努力をいただいておりますことに、地域住民にかわりまして、まず知事に御礼申し上げたいと思います。  激特事業二百六十八億、県単激特助成事業六十五億八千万円、都市河川改修事業十一億六千五百万円、県単事業四十四億二千四百万円、合計で三百八十九億六千九百万円が、これは平成十一年も入りますけれども、投下をされることになります。支川に補助事業と県単事業を合わせて六億六千一百万円、遊水池、ダムの調査に三億一千五百万円、優に四百億円になんなんとする大変なお金を使っていただきまして、私どもも何とか今は安心をして眠ることができるようになりました。  しかし、甲突川の河道のさばける流量というのは七百トン、計画では一千トンですから、あと三百トンを何とかしなければならないわけですが、これから先、どういうぐあいに進めていっていただけるのか、甲突川の改修について、まず、お尋ねを土木部長にいたしたいと思います。  確かに激特事業、まだ一部分残っておりますけれども、上流の方が手つかずの部分がある。下から参りますというと、小山田町の小山田・谷山線との取りつけ部分の国道の塚田橋、県道の塚田橋は改修をしていただきましたけれども、これとあわせて国道の塚田橋が、ツーピア・スリースパンでありますので、これをワンピアのツースパンに変えるということになっておりますが、これがまだそのままであります。  でき上がった橋がありますが、その結果、幅員はあるんですけれども、一方通行にしてありまして、地域住民皆さん方がそこを「両方から車を通らせてくれよ」と、こういう要望があるんですが、国道三号線との関連で、公安委員会、警察の許可がおりません。一刻も早くその国道の塚田橋の改修をしていただきたいんですが、それは国道工事事務所との関係でどうなっておりますでしょうか。  それから、さらに上がってまいりますというと、名越の国道三号線が崩壊をいたしました。ショートカットして河川をつけかえたわけですが、その折に、その地域には、多自然型の河畔公園をつくりますという約束を当時の土屋知事がしておいででございます。  用地買収をいたしますときに、その地権者は自分の裏山が崩れて、自分の家も八・六水害でぺしゃんこになりました。どこかへ移転をしたいと思っているところを、ここは川を新たに引きますので、どうかひとつ用地買収をさせていただきたいということで買い上げました。  そういった地域との約束がありますので、この河畔公園、全然手がついておりませんけれども、どうしていただけるのかお伺いいたします。  それからさらに上流に行きますというと、小山田小学校というところがありますが、小山田小学校から上は、総合治水対策小山田遊水池をつくる。大変大きな計画で、四十四ヘクタールを当初、計画をしておいでのようでございましたけれども、この小山田地域は、水田は八十ヘクタールしかない。そこへ半分の四十四という遊水池をつくることについては、地域は反対だということで、これまでも説明会を受けませんでした。何とか調査だけはさせてほしいということで、測量調査はしていただきましたけれども、いよいよこれも下流の河道改修が済めば、次にかかってもらわなければならない問題です。  その地域の河川については、遊水池をつくりますのでということで、壊れた護岸あるいは洪水のときに溢水をする堤防は、そのままの状態で放ってあります。実際に遊水池ができるまでには、計画から事業完成まで、私は少なくとも二十年かかるんではないかと思うんですが、それまでにその八・六水害の放ってある堤防等はどうなさるのか。遊水池構想等について教えていただきたいと思います。  次に、住宅政策と林業振興についてお尋ね申し上げます。  本年の全国の住宅の着工数は、七月現在で年率に換算をしますというと百十万戸。一番住宅がたくさんできたのは、昭和五十五年二百万戸でありますから、その後、もちろん落ちてまいりまして、大体百五十万から百六十万戸が全国のペースでありましたので、この百十万戸というのがどんなに厳しい状況になっているかというのは御理解いただけるかと思います。  つい最近の地元紙の新聞ですけれども、そういった中で、アメリカの非常に攻勢が激しゅうございまして、鹿児島市の鹿児島銀行本店別館ホールで、米国輸入住宅セミナー(在福岡アメリカ領事館ジェトロ鹿児島貿易情報センター共催)ということで、この十七日の日に四人の講師、しかも米国領事館のマーティン・マーフィー領事がおいでになられて、米国の住宅は、工程管理がすぐれており、高い機能性を持つ。知識を深め、ビジネスに役立ててくださいということで、鹿児島の建築工務店の経営者らを呼んでセミナーをして、アメリカ型のツー・バイ・フォーの住宅をつくれと言って、こうしてやってきておいでなんです。  一方で、私どもは、鹿児島の木造、県産材を使った木造住宅をぜひひとつ県は頑張ってやってくださいということをお願いをしているわけなんですが、数字で見ますというと、鹿児島の木造率が、平成六年度六四・七%、七年度が五八・八、八年度が五六・八、九年度が五三・八%というぐあいにどんどんどんどん実は落ち込んできております。  片っ方では、今申し上げたプレハブ、あるいはツー・バイ・フォーの木造の住宅は、全体のシェアの五%から一〇%というぐあいに勢いを増しております。  そういう意味で、私は非常に危機感を強めているんでありますが、県の住宅課の方では、この木造住宅振興について、どういうぐあいに現在はお考えになっておられるのか。  ウッドタウンプロジェクトももちろん存じております。鹿児島県の市町村の木造住宅は、昭和五十七年に金峰町で、一番最初に十棟つくっていただきました。私の知り合いの木材業者がそれに材木を納めて、半分しか金がもらえなかったと。完全に積算の間違いであったということがありましたけれども、それから鹿児島県は常に全国のトップを走って、公営の木造住宅等には力を入れていただいてまいりました。その点については、心からのまた敬意を表するわけでありますが、この現在の県の木造住宅振興の状況というものについてお示しをいただきたいと思います。  その関係の制度でありますが、特に鹿児島の優良住宅制度は、民間の木造住宅建設の推進上、大きな役割を果たしてきていると思います。地域優良木造住宅克灰対策住宅克水住宅等々あるわけですが、今回、住宅金融公庫の制度の見直し等がありました。これまでの地域特性対応型住宅を二百万円の融資、これは県の地域木造住宅の抱き合わせで、県の基準に適合すればそれを使ってよろしいということでしたけれども、今回は、その地域特性対応型住宅から、これを廃止して、地方公共団体施策住宅ということで、十月の一日から五百万円の割り増し融資をすることになった。  そして、県との連動はなくとも結構でございますということになってきたわけですが、鹿児島優良住宅制度、これはぜひ存続をしていただきたいと思うんですが、これについてどのようにお考えか、御検討方の内容をお知らせをいただきたいと思います。  そして、これは私もうっかりしていたんですが、実はこれに所得制限がついていた。これだけは非常に残念なんですが、この各県つくっておりますけれども、全国で三十の都道府県で、今の申し上げたような地域優良住宅融資制度をつくっておりました。助成制度をつくっておりました。このうち収入基準に制限のあるところが十三県、基準のないところが十七県で、鹿児島県は基準のあるところの十三県に入っている。  そして、こうして見てみますというと、調べてみますというと、その所得制限の一番厳しいのが、実は鹿児島県でありました。当初六百八十八万から、現在は、平成十年で七百十六万になっているんですが、木材の振興、少なくとも全国で林業県と言われて木材を振興するんであれば、これは必要なかったと思うんですけれども、どうしても私には合点がいかないんであります。どうして所得制限がついていたのか。今後これをどういうぐあいになさるおつもりか、お聞かせをいただきたいと思います。  そして、あわせて、木造住宅の推進のために、住宅性能保証制度なるものを国が示してまいりました。住宅登録状況とその木造住宅に関するクレーム等を、住宅課の出先と申し上げていいのかどうかわかりませんが、住宅総合センター等で取り扱っておられるかと思いますけれども、この住宅性能保証制度の現状について伺いたいと思います。  あわせて木造住宅をたくさんつくってもらうためには、住宅産業の技能者の育成が大切であります。大工、左官、かわら屋さん、板金屋さん、あるいは左官屋さん、内装の建具屋さん、畳屋さん等々いっぱいの技能者がいるわけでありますが、その住宅産業技能者の育成について、鹿児島県木造住宅推進協議会をつくっていただきました。そして一生懸命にやっていただいているかと思うんですが、こころのところをちょっと、当該委員会に所属をしておりませんので、その活動の状況を伺っておりませんので、改めてここから伺わせていただきたいと思います。  以上、第一回目の質問といたします。    [知事須賀龍郎君登壇] 5 ◯知事(須賀龍郎君)木造住宅の振興につきましては、木造県営住宅を核といたしますウッドタウンモデル団地の整備を進めますとともに、鹿児島優良住宅制度によりまして、個人の木造住宅建設を支援してきているところであります。  ウッドタウンモデル団地の整備は、昭和六十一年度から積極的に取り組んでまいりましたが、平成九年度末におきます木造県営住宅累積建設戸数は、六百六十七戸となっております。  また、鹿児島優良住宅制度は、良質な木造住宅の建設を促進いたしますために、住宅金融公庫割り増し融資と県の補助を連携して行うものでありまして、平成九年度末までに一千戸を超える建設実績となっております。  この制度の一層の普及を図りますために、本年度から制度の一部見直しを行ったところでありますが、今後、木造住宅の振興という観点から、さらに検討を行ってまいりたいと考えております。  また、住宅性能保証制度は、住宅の品質、性能につきまして、住宅建設業者等が一定の保証を行う制度であります。平成九年度末現在の本県におきます累積住宅登録戸数は、約四千戸に及んでおりますが、当該住宅に関しますクレームは、ほとんど寄せられていない状況であります。  なお、一般住宅に関します相談につきましては、県の住宅建設総合センターが応じているところでございます。 6 ◯土木部長(板垣 治君)甲突川の激特及び助成事業につきましては、河床掘削が終了し、護岸工事が約九割が完了しており、残る工事につきましても、平成十一年度までに完了させることとしています。  また、国道三号塚田橋につきましては、現在、国と協議をしており、平成十一年度には改築に着手する予定であります。  名越地区の水辺環境整備につきましては、名越地区環境整備計画構想に基づき、平成十年度に市と連携を図りながら、調査・検討を行うことにしています。  小山田遊水池につきましては、広大な用地を必要とすることから、買収方式や借り上げ方式など多方面から調査・検討を行っています。  また、遊水池の整備には、長期間を要することから、現況河川の整備が必要な箇所につきましては、当面、県単事業等で対処することにしたいと考えております。  鹿児島県木造住宅推進協議会は、平成七年度に設立されて以来、木造住宅建設技能者の高齢化、後継者不足等に対処するため、木造住宅建設技能者の育成に関する事業等などを実施しています。  具体的には、県内中学校高等学校の生徒への技能者の業務内容等の紹介、パンフレット等の配布、工業高校の生徒を中心とした木造住宅建築現場などの見学会等を実施してきています。  平成十年度におきましても、同事業を継続して実施するとともに、新しい住宅建設技術に関する研修等の実施を計画しています。  県といたしましても、今後とも木造住宅関連産業の活性化のため、木造住宅推進協議会の活動を支援してまいりたいと考えております。    [増留貴朗君登壇] 7 ◯増留貴朗君 ぜひひとつ木造住宅優良住宅制度所得制限、撤廃、これだけは知事、どうかひとつお願い申し上げておきます。  先ほど申し上げましたように、もうWTOの関係で何とか輸入規制をしてほしい。アメリカの製品、あるいはそれによる木造住宅の輸入というのは、何とかならないかということを、一昨日も農林政務次官になられた松下忠洋先生にもそういうお願いを業界挙げてやったんですが、なかなか難しい国際間の問題であるということでございました。  そういう中で、先ほど申し上げたようにアメリカの領事がセールスマンになって、日本にアメリカ木造住宅はいいですよという宣伝をわざわざしに地方を回っている。そういう事情でございますので、これは何とかしていただきませんというと私はいけないと思います。これはもう林務の仕事ではありません。土木部の住宅課、あるいは建築、あるいは財政の皆さん方、どうかひとつよろしく御理解いただきたいと思います。  甲突川の遊水池の問題なんですが、これだけははっきりと申し上げておきます。土地の買い上げ方式は、地域としては絶対に反対です。借り上げ方式で、将来でき上がった段階で、稲をつくり、洪水があって、その場合において補償をするという方法であれば、何とかまだ説明会をし、話をする余地があると思うんですが、当初の、すべてを買い上げますというのは、もう地域の死活にかかわる問題でありますので、地域では全然受け付ける意思もありません。私もこのことについては全く同感でありますので、土木部長、ひとつその点で本省の方とも十分な話し合いをしていただきますようにお願いを申し上げます。  次に、次世代型公共事業についてということで通告をいたしておりますが、こういうことです。公共事業というのは、単に道路、港湾、治水、あるいは砂防、農業基盤整備等々だけであるんであろうか。  今、東京、中央においては、新しい公共事業、新社会資本の整備ということで、いろいろな分野について、これからの国内の社会資本整備というものが言われております。  そういう中で、やはり何とか我々も既に考えて手を打たなければいけないと思うんですが、実は、このうちの情報通信の部分はどうなんだろう。これからの日本の中においては、情報通信技術の進歩というものが、日本の国を変えますよと。  せんだっての郵政議員懇話会の中で出てきました情報通信、政策大綱、デジタル革命による日本経済の再生というものをいただいておりますけれども、これには、インターネット市場の拡大と新規産業、雇用の創出、政策効果、二〇〇〇年における経済波及効果は一・四兆円。雇用効果七万人。二十一世紀のマルチメディアの創造、政策効果、二〇〇〇年度における波及効果、市場規模一・六兆円、雇用効果六万人と、こういうのを実は郵政省の方はお配りになられたんです。  じゃ、本県はどうなんだと。これから先はどうなんだということで、新技術情報課なのか、あるいは、公共事業ですから、財政のどこかなのかというようなことでお願いしたんですが、なかなかその新しい形の公共事業というものについての回答は参りませんでした。  ちなみに新社会資本の整備ということで、福岡県、宮崎県、熊本県等に問い合わせをいたしましたところが、返ってきたのは、熊本県、パソコンを配るようにしておりますとか、あるいは総合通信高度化プランを平成十年から十一年にかけて策定の予定ですとか、まだ実施の段階ではありませんでした。  宮崎県も、特に実績はなく、今後の対応については、現在検討中でありますということで、答えは返ってまいりませんでした。  福岡県だけが、本県のマスタープランの中で、二〇〇五年までの県内の光ファイバー網整備終了を目標に国及び関係機関との連携を強化してまいりますと、学校へのパソコンを配置しますと、そういう等々が出てまいりましたが、実際に新しい情報通信の分野が新社会資本ということで出てきても、なかなかこの地元の企業がそれに参画をし、そしてその仕事を地域に大きく波及させるというのは難しいようです。  しかし、それをやらなければいけないと思っておりますので、やっていただきたいわけですが、鹿児島県については、これまでの情報通信の分野で戦略プロジェクトで五十億円の事業が計画をされておりますと。また、県が発注したこの分野での地元企業の参加の状況については、情報分野は、従来、導入した大型コンピューター関連の企業しか開発できないことが多かったため、ほとんど随意契約によっておりましたが、県内企業の参加は、データ入力コンピューター操作など限られたものであったようでありますけれども、近年は、情報関連技術の標準化が進んでまいりましたので、ソフトウエアやLANの開発設計、維持管理等についても県内企業含めた競争入札による契約へ移行しておりますので、できるだけ県内企業の受注をふやしてまいりたい、そう返答が参りました。  大変すばらしいことだと思うんですが、やはり新総合計画の中で、これからの新しいリーディング産業、新しい分野の企業を立ち上げていく、それを育成をしていくということが書いてあります。片っ方においては、恐らく公共事業という概念が多少変わってくるでしょう。  ちなみに調べてみますというと、公共事業というのは、昭和二十四年の緊急失対事業法の中で言葉が出てきて、ああ、これはあの戦後のニューディール政策アメリカのGHQの指導による受け売りで、それが五十年間ずっと続いているんだなという僕は感じでいるんですけれども、そういう状況の変化というものが出てくると思います。  どうかひとつそういう意味で、これはもう回答をいただきませんけれども、通告をいたしておりましたので申し上げますが、どうぞ十分に研究をされ、そして早く地元の企業等、あるいは技術の振興等していただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。  「農業」と「心の教育」。農業施設を体験学習に活用できないか。  せんだって、日本教育新聞という新聞をたまたま見る機会を得ました。そこに、「先進国フランスでは、教育ファームが人気だ。子供たちが自然と触れ合い、体験学習ができる農場として教師の関心も高く、全国約千二百の教育ファームにはたくさんの子供が集まる。同ファームは、日本の教育現場でも重要なテーマ。心の教育や食教育の必要性が叫ばれる中、総合的な学習の受け皿としても期待されるフランスの農場での活動を取材した」という記事が載っておりました。  フランスも大変なようです。農業人口がわずか二%になって、フランスの子供たちすらも、一体自分たちが飲む牛乳っていうのは、どこからどういう形でできてくるのか。チーズを食べるけれども、そのチーズがどういうぐあいにしてできるのか全然わかっていないというのが実情のようです。  そういうことにびっくりしたフランスの政府は、この教育環境を整えるために、農業省、環境省、文部省、青年スポーツ省の四省が協力して、今申し上げた千二百の教育ファームをつくって、子供たちに体験学習をさせているということであります。  この記事を読みながら実は思いましたのは、鹿児島県は今、農業開発総合センターを鹿児島市の谷山から金峰町の方へ移す予定をし、そしてそれに既に着手しております。そうしますというと、あのセンターのすぐ近くに南薩自然の家があるんですね。  それでせんだっては霧島に参りました。霧島の少年ふれあいの施設のそばには、農業大学の本部がある。  そうしますというと、何とかこれを結びつけて、今、申し上げたような、そんなに大型でなくてもいいと思うんですが、片っ方には子供たちが宿泊をする施設がある。片っ方には農業の施設がある。それをうまくつないで、こういった体験学習の施設というものはできないのか。ぜひ早急に御検討いただきたいという提言を申し上げたいと思います。  それとあわせて、教育長、これは教育委員会自体もやらなければいけないと思うんですが、せんだっての代表質問で池畑議員が、農業高校の充実について述べられました。  そういう中で、やはり農業高校の演習地、農地というものが遊んではいないのか。あるいは県立の普通科の高校であっても結構ですが、昔から持っている農地といったようなものが遊んではいないのか。遊休地はないのか。  そういうものがもしあるとするんであれば、やはり地域の小・中学生等を中心とした家庭との契約でも私は結構であるかと思いますので、開放をして体験学習をさせるといったような方法で活用する方法はないのか。そういうことを御検討をしていただきたいものだと思いますが、御回答をお願いを申し上げたいと思います。  次に、本当はこれを一時間ばっかりやりたかったんですけれども、ここへ知事、「鹿児島ジェンダーフリー」という新聞があります。大変に頑張っておられます青少年女性課、女性政策室の皆さん方がおつくりになった新聞なんですが、実はこれを見てびっくりしたんです。  どういう意味でびっくりしたのかといいますというと、新聞自体が「鹿児島ジェンダーフリー」という表現が使ってあったということなんです。  ジェンダーフリーというのは一体どういうことなんだと。  私も興味がありましたので、実は、いろんな文献に当たってみたんですが、確かにジェンダーという言葉については、御回答をいただきますけれども、いろいろあるようです。  しかし、このジェンダーの概念を使った女性解放運動、テミーズと言っていいと思うんですが、これがものすごく急進的なものから穏健なものまである。  そういう中で、本当にどういうぐあいにして理解をしていただけばいいのかということを考えておりますので、まず、この女性参画型社会のあり方と、そしてこのジェンダーという概念をどういうぐあいにして県の方はおつかみになられて、理解をして、こういった新聞をおつくりになって、皆さん方にジェンダーフリーの世の中でなければいけませんと、こういう言い方をされるのか、お聞きをしたいと思います。  ちょっとこれを見た、実は非常に女性問題を扱いますので危険がありますので、女性の方々の意見を聞こうと思って五十人ばかり寄せてこの新聞を見てもらったんです。  私の集める女性の方々ですから、大体四十代から上の女性の方々ですが、一言「品が悪いですねえ。県が品が悪いですねえ」ということでした。この新聞、確かに僕は品が悪いと思います。  しかし、考えようによっては、僕はこういうぐあいにしていちゃもんをつけるようなものが出てくるというのは、こういう新聞をつくった一つの効果だろうと思いますので、そういったねらいもあった上でおやりになったんであろうと思いますので、どうぞひとつ明快な御回答をいただきたいと思います。 8 ◯農政部長(脇田 稔君)自然に親しみ、農業に対する理解と関心を深めていくためには、農作業の直接体験が重要であるとの観点から、小・中学生を対象にした農業体験学習を推進をいたしております。  具体的には、市町村教育委員会と連携を図りながら、小・中学校農業教育支援事業によりまして、本年度県下百の小・中学校におきまして、田植え、稲刈り、サツマイモ収穫などの体験学習を実施をいたしております。  また、県立農業大学校では、県内の小・中学生を対象にジュニア農業大学を開催し、サツマイモの収穫や牛乳絞りなどを体験させておりますほか、霧島自然ふれあいセンターと連携して、農大の施設を活用した研修を受け入れております。  現在、農業開発総合センター整備構想に基づき、農業大学校の整備に向けて作業を進めておりますが、研修部門につきましては、宿泊施設や各種実習施設、体験学習用圃場、農業展示施設の整備を予定をしておりまして、今後の具体的な検討に当たりまして、できるだけ広範な研修ニーズに対応できるように考慮してまいりたいと考えています。  なお、食料・農業・農村基本問題調査会の最終答申の中で、農業と教育に関しましては、学童農園の設置等により、農業体験学習の取り組みを推進し、農業に対する子供たちの理解を深め、関心の醸成を図るとともに、農業に関する教育活動を充実することも重要であるとし、また、児童生徒の農業体験学習については、自然に親しむ機会を与え、豊かな心をはぐくむ役割も果たしており、全国的にこうした活動を一層展開すべきであるとしております。  こうした方向に沿いまして、国の施策も具体化されると見込まれますので、県としましても、こうした動きを見守りながら、適切に対応してまいりたいと考えております。 9 ◯教育長(徳田 穰君)農業高校では、さまざまな形で農場等を地域住民子供たちに開放している学校も見られます。  例えば親子園芸講座等で、子供を持つ家族に野菜畑を開放し、体験学習の機会を設けている学校、ふれあい農園等で幼稚園や小学生を招き、草花やサツマイモ等の植え付けや収穫作業等の体験学習を行っている学校などがあります。  これらの体験学習は、汗を流して作物をつくり、収穫の喜びを味わう貴重な体験活動の機会となるなど、議員のおっしゃるとおり子供たちの心の教育を進めていく上で意義あることと認識いたしております。  また、これらの学習によって農業に対する子供たちの理解が深まり、ひいては後継者育成に資することになるものと考えております。
     今後とも農業高校が体験学習の場として、御指摘の点も勘案いたしまして、地域へ積極的に貢献していくよう、その取り組みを促してまいりたいと考えております。 10 ◯環境生活部長(大久保博志君)県では、平成三年三月に鹿児島女性プラン21を策定し、各種施策の推進に努めてきたところであり、男女共同参画の機運醸成や女性の社会参加のための条件整備も図られてきているところでございます。  しかしながら、最近の我が国の急速な少子・高齢化の進展や核家族化、あるいは国際化など、社会・経済環境の変化に適切に対応し、活力ある社会を築いていくためには、あらゆる分野における男女共同参画が強く求められておりまして、これらに対応するため、鹿児島女性プラン21を見直すこととしたところでございます。  新しいプランの策定に当たりましては、昨年度現行プランの成果や取り組むべき課題等について検討を行ってきたところでございまして、これらを踏まえ、今後、鹿児島女性プラン21推進会議の委員の御意見も伺いながら、本年度中に最終的な案を取りまとめることといたしております。  なお、男女共同参画社会を推進するに当たりましては、人権尊重の視点に立った真の男女平等が求められており、女性と男性が社会的・文化的に形成された性別に固定化されることなく、男女が共同してつくり上げる社会の実現を目指すことが大事であると考えているところであります。  また、啓発の表現のあり方につきましては、今後十分留意をしてまいりたいと考えております。    [増留貴朗君登壇] 11 ◯増留貴朗君 男女共同参画型社会、真に男女が平等して生きていける社会。そうだと思うんです。それについては一つも異議はない。ただ、問題は、真に男女が平等、「真に」の部分で、このジェンダーというのは非常に厳しい。  それがどういうことかといいますというと、大変に申しわけないんですが、ちょっと読ませていただきますと、これ「ジェンダーの社会学」という本です。  先日、放送大学の開所式に行きました。そこでずっと見ておりましたところが、実は、たまたまこれが目にとまりましたので、県教委の方へ大至急にちょっと見せてくれないかと。鹿児島県で放送大学が始まるんなら、「ジェンダーの社会学」、どういう教科書なんですかということで取り寄せていただきまして、見てみました。  その中に、これが一番わかりやすいと思いましたが、「男性と女性の性別学的差異に基づく性別と、性別学的差異に関連する形で社会的・文化的につくられた性別を区別するために、前者を性(セックス)、後者をジェンダーと言う。染色体やホルモンの違いからの女性性、男性性が形成されるのではなく、雄か雌かのレッテルを張ることによってジェンダーが形成されると理解されている。社会によって各性に割り当てられた活動を性役割とも言う。最も一般的に見られる性役割は、男性では、政治・宗教・経済などの領域での役割であり、女性では家庭中心のそれである。このような性役割に対する社会的・文化的な評価が異なることから、男女が手に入れる報酬の分配に不平等が生ずる。これが男女の社会的な位置づけの不平等。権力や収入、富、威信、自由度などにおける不平等につながる。これをジェンダー階層という。また、男らしさ、女らしさの特性と見られている資質。例えば柔順、受動的、依存的、感情などは、女らしいはジェンダーの特性と言われ、それぞれの性の適性と信じられることが多い。」と。こういう分類がしてあるんですね。  非常にだからわかりにくいんですが、ここから出てきまして、実は今、先ほど中心的と言ったのは、あの私どもがフランス人権宣言という、フランス革命で唱えられた、実は人権宣言が、僕はフランス語うまくはないんですが、「デクララシオン デ ドゥルア デ ロム エ ドゥ シトロワイヤン」と、こうフランス語では書いてあるんだそうですが、このロムというところの人間、人間という言葉が、実は男性だけに使われる言葉なんだと。  だから、ルソーの契約論等はあるけれども、このフランス革命によって世界中に伝播をしている、私どものこの国も含めての近代社会というのは、実は男社会なんだと。最初から女は考えていないんだと。そういう論が実は出てまいりまして、その典型が、何もかんも社会の仕組みというのは、だから男のためにつくられたんだと。だから、我々女性がいろんな意味で差別を受けているんだと。  結婚の制度にしても、女性の性を男が取り込むために結婚の制度というのをつくったんだというようなことを、ジェンダー理論を利用して一生懸命に唱えられる女性運動家の方々もおいでなんです。  そういうことを考えてみますというと、ただ単に真の男女平等をつくるために、これだけでいいんですが、ジェンダーが入ってきますと、どうしてもそういったものとぶつかる、あるいはこんがらがってくる。  そういう意味で、これはぜひひとつしっかりと、我々の使うジェンダーはこういうカテゴリーなんだと。したがって、こういう意味で使っておりますということをしっかり言ってもらわないというと、ただ、これからの世の中はジェンダーフリー、そして男女平等の参画型社会ですと、こう言ったんでは、僕は将来、鹿児島県の行政がしたというのはどういうことなんだということになりはせんかなという心配がある。  一番恐れているのは、これが人権と重なって、人権教育、そして男女平等教育ということで、学校の現場に出てきたときです。  もう既にそういうジェンダー理論を使った教育の展開というものはなされているわけですが、これについて、これから教育委員会も含めて、やはりしっかりとした定義をつくっておきませんというと、鹿児島に例えば郷中教育がある。鹿児島の誇り得る教育の伝統である。  しかし、郷中教育というのは、男だけに対する教育ではなかったのかと。じゃ、女性はどうなっていたんだ。男らしくというのは、どういったジェンダーを鹿児島の男たちに吹き込んできたのか。それを今、鹿児島の教育の伝統ということで、子供たちに吹き込んだときにどうなるんだという問いが出てきたときに、私はやはりしっかりとした答えが出るようにしていかないかん。  もちろんそういう意味では、私ども文教委員会に所属をしておりますので、その点の議論はもちろんしてみたいとは思っておりますが、そういうことを心配をいたしますので、あえて申し上げる次第です。  このジェンダーとの関連でフェミニズム、ちょっとこれも申し上げておきますというと、リベラルフェミニズム、ラディカルフェミニズム、マルクス主義フェミニズム、社会主義フェミニズム、ポスト構造主義フェミニズム、エコロジカルフェミニズム、グローバルフェミニズム、同じジェンダーから出たいわゆる女性解放運動、先ほどの参画型社会をつくる運動もあわせてですが、こんなに分かれている。  もうこの一つ一つは申し上げません。もうこの中でどれがどういう感じだということは皆さん方受け取っていただけると思いますので、このあたりをしっかりと私どもはやって、県政の中でも使わないというと、大変になるということを申し上げたいと思います。  社会改革運動という表現をなさる方もおられますが、ある方は社会解体運動という表現をなさる方もおります。そのくらいこれは非常に慎重に、そして十分に、そして真の男女平等の社会をつくるためにはどういった施策をすればいいかということを私はやらなければいけないと思いますので、どうかひとつジェンダーの理論、ジェンダーの言葉を使うときには、どうぞひとつ皆さん方も気をつけていただきたいと思います。  ちなみにアメリカでは、既にカメラマンという言葉はなくなったそうです。フォトグラファーと言わなきゃいかんそうです。  いろんなそういう言葉の一つ一つの恐らく私どももこれから先、チェックをされる、そういう危険性もありますし、また、そうある部分では、ならなければいかんでしょう。そのあたりがありますので、どうぞひとつそういったことをしっかりと、これからの青少年の教育、そういうものを含めて、どうかひとつジェンダー理論というものについては、十分な考察をしていただきますようにお願いを申し上げて終わります。  以上です。(拍手) 12 ◯議長(溝口宏二君)次は、浜田みのる君に発言を許可いたします。    [浜田みのる君登壇](拍手) 13 ◯浜田みのる君 通告に従いまして、環境保全型農業一本に絞って質問をしてまいります。  昨年、地元の南日本新聞が「有機農業への転換を訴えて」と題しまして、一年有余にわたりましてシリーズをしました。その視点は、基幹産業である鹿児島の農業が行き詰まっているという観点に立ってのものでありました。こと農業の行き詰まりは別に鹿児島に限ったことではございません。後継者のいない農村、そして貿易自由化の波で押し流されている農村の姿、なりわいとしての農業の行き詰まりは鹿児島だけではないわけでありますが、私はこのシリーズに大変大きな関心を持ってずっと見てまいりました。その鹿児島県農業の行き詰まりは一体何であるかという点につきましては、それぞれ意見のあるところでありますが、この有機農業への転換を訴えてと題したシリーズがそのことの意味を象徴的にあらわしているというふうに私は思うわけであります。  鹿児島県の農政を若干振り返ってみますというと、昭和六十年に策定をされました鹿児島県新総合計画では、産地間競争の激化や輸入圧力の強まりの中で経営規模の拡大、複合経営の推進で競争力の強い農政を展開しましょうというのが、六十年に策定をされた鹿児島県総合計画の農業方針であります。それに引き続きまして、平成二年に策定をされました鹿児島県総合基本計画では、十四のプロジェクトの中の一つに位置づけられておりまして、それには「食の創造拠点かごしま」と題しておりまして、その考え方は、消費者の本物志向、健康志向、安全性の関心の高まりというニーズの多様化に対応して、かごしまブランドの確立というのを掲げておるわけであります。これには「食生活の長期展望」と題しまして、昭和六十三年にとりましたアンケート調査を棒グラフをもってあらわしておりますが、その棒グラフには、健康志向が八〇%弱で最も多いということをグラフの中にあらわしております。しかしながら、この時点でも環境保全型への農業というような発想はなかったようであります。  そして、平成十年の一月に策定をされましたところの第三期の実施計画で、戦略プロジェクトも一つふえて十五になっておりますが、内容もかなり練り直されてきております。その中で、「食の創造拠点かごしま」に「環境にやさしい農業の推進」が新たに追加をされております。それには化学肥料や農薬使用量を減らす技術等の開発、そして環境に優しい農業の推進方策を各市町村に呼びかけるという作業になっております。全国の総合計画案が今つくられておりますけれども、その中には従来の開発から自然環境の保存集中による集積効果から個性的な地域づくりをして、そして個性的な地域間の連携で日本の国土形成をしていこうという趣旨のものがうたわれております。  先般、最終答申がなされました新農業基本法の答申案の中にも、化学肥料や農薬の使用量を低減をさせ、家畜ふん尿の不適切な処理を解消するということが盛り込まれております。環境保全型農業に大きくかじを切った我が鹿児島県の第三期実施計画は、そうした全国総合開発計画やあるいは農業基本法の最終答申に先駆けて第三期実施計画がつくられておる点で、私は極めて画期的な第三期の実施計画がつくり直されたと、こういうふうに評価をしておるところでございます。早速、この県下五十四の市町村が環境保全型農業の基本方針なるものを作成をして、今なおその作業にかかっておるようでありますが、その五十四市町村の環境保全型農業がどういう内容のものであるかということをまず伺いたいと思うわけであります。  と言いますのは、最初触れました鹿児島県農業の行き詰まりという南日本新聞のシリーズの視点は、決してなりわいとしての農業の行き詰まりだけを指しているのではなくて、農業が生産者にも消費者にも重大な問題を与えている、また環境へも。そういうような趣旨から行き詰まりを指摘をしたものだと私はとるわけであります。この環境基本型の農業には幾つかのタイプがあるというふうに思うんです。その一つは、私もそういう農業推進をしている人とおつき合いをしておりますが、人と自然に優しい食べ物づくり、これを求めるところの消費者団体と生産者が、契約栽培によって農業をしておりますけれども、その無農薬、除草薬を使わない農業の輪を広げようというタイプの環境保全型農業、もう一つは鹿児島県は大体これに類すると思いますが、家畜ふん尿など有機資源の有効活用を主流とするタイプのもの、三つ目は比較的少品目大量生産型の集約型農業の場合にそうでありますが、連作や土壌の酷使によって成育障害や病害虫対策に弱り果てて、何とかして新しい転換をしたいというタイプのもの、四つは河川や地下水の汚染を対象にして、水質保全型の環境保全型の農政と、こういうようなものに大体分けることができるのではないかと思いますが、五十四市町村の環境保全型農業のタイプは大体どういうふうに大ざっぱに分類できるか、お教えを願いたいと思います。  それから、冒頭申し上げましたように、今度の第三期計画で環境保全型農政に大きくかじを取った知事の発想、これは大変画期的な転換であるというふうに思うわけでありますが、そういう新しい鹿児島県の農政に転換をしようとした知事の気概といいますか、新しい転換への決意をお聞かせ願いたいと思うわけであります。  鹿児島県における産業廃棄物の六三%は家畜のふん尿になっております。これを良質の肥料に変えて土づくりをする農業への転換というのが大きな課題になっておるわけでありますが、先般県で実施されました食べて安心、これは食と農林漁業と環境を考えるという副題がついているんですが、フォーラムがございました。そのフォーラムの中で、県内で出てくる家畜のふん尿は、窒素量に換算をしますと年間五万トン出てくると言われております。これを窒素の施肥基準と言いますか、窒素に換算をして土に戻した場合の基準から言いますと、農地に還元した場合には一万三千トンで十分だと言われておる。これは鹿大農学部の萬田先生の発言の中に出ておりました。本県で排出される家畜のふん尿は六百七十九万トンとなっておりますから、そのうちの七四%の五百二万トンは土にも返せない過剰廃棄物となるわけでありますが、実態はどうなのか。家畜ふん尿の良質の堆肥化で環境への負荷を解消できる見通しがあるのかないのかということを伺います。  昨年六月に始動したと報道されております高品質の堆肥促進センターは、畜産農家と耕種農家の連携で家畜ふん尿を完熟堆肥として、これを堆肥銀行を通じまして土づくりを進めていこうという趣旨のものであります。これもさきに紹介しましたフォーラムの中で、二千頭規模の地域サポート型の堆肥センターをつくっていかなければいけないということが提言をされておりますが、今後の堆肥センターの推進方針についてお聞かせを願いたいと思います。  次は、これは県の地域振興公社で今、計画をされております有明町の養豚施設についてでありますが、これは地域の反対でとんざをしております。その反対の理由に、「既存の畜産基地による悪臭や河川汚濁も解決されていないのに、これ以上に規模を拡大することはできない」というふうに反対をして、その撤回を求めておられるようであります。建設省の大隅工事事務所と川内川の工事事務所が、九州の二百五十一の河川についてのBODから見た汚濁度ランキングというのを発表いたしましたが、串良川がワーストワンであります。その本流の肝属川がワーストツーとなっております。先ほど申し上げました五十四市町村の環境保全型農政の推進については、この肝属川、串良川の沿線自治体も環境保全型農業の推進方針をおつくりになっているようでありますが、私はこの振興公社が進めております畜産団地は、畜産県鹿児島のためにも発展的な解決策を見出す必要があるというふうに思います。それは反対をされている人たちにも十分こたえたものでなければならないし、これは将来の鹿児島のためにぜひとも発展的な解決策をおつくりいただきたいということを希望しながら御質問をしてまいります。  この川の汚濁の汚名は、環境保全型農業のバロメーターにもなろうかと思うわけでありますが、これは環境管理課が「鹿児島のふるさとの川水質マップ」というのをつくっております。これは一見して各地域の川の汚染度が生活排水によるもの、あるいは畜産排水によるもの、あるいは養殖業によるものというふうに分類がされておりますから、一見してすぐわかる極めていい資料でありますが、これはふるさとの川リバークリーンという副題もついておるようであります。私はこのマップを見ますときに、環境保全型農業という前に、このふるさとの川のクリーン計画、錦江湾にブルー計画がありますように、ふるさとの川のクリーン計画というのがあるべきだというふうに思う立場からお聞きをいたしますが、このふるさとの川のクリーン計画があるのかないのか、今後おつくりになるのかならぬのか、お聞かせを願いたいと思います。  私は先般、四会派の十名による有志の皆さんと自然生態系農業に関する条例を制定をして、有機農業の町として有名な宮崎の綾町を訪問をいたしました。この綾町は宮崎市から二十三キロ離れた片田舎でありまして、人口七千四百と言われておりますが、この人口七千四百の小さな寒村に、県内外から観光客といったらいいんですか、年々訪問者がふえている。平成九年度で百十五万人の人がこの町を訪れておる。大体一日三千人の人が来ておるわけでありますから、綾町に行き交う人たちの四人に一人は町外の人だと考えられるんですね。それほど多くの人たちがこの町を訪れておるようでありますが、この町に住みたいといって町外はもちろん県外からも移住をしてくる人が後を絶たない。平成七年度は昭和六十年度に比べまして人口が百十人ふえているというふうに記録に出ております。  高齢化はここも例外ではなくて、大体主流は六十から七十代の人々でありますが、ゲートボールも忘れてせっせと野菜づくりに励んでいると、こういうふうに言われておりまして、生きがい対策として有機農業を推進する立場から町が五千五百万円、うち県の補助が一千万円と言われていますが、平成元年に綾の手づくり本物センターというものをおつくりになったと、私どもその本物センターに参りましたが、レジの前には買い物客の列ができるという状況であります。平成十年度の農産物の年間売り上げは大体一〇%伸びて三億五千万円と推計をされておるようであります。これはほとんど六十から七十代の高齢者の出す農産物で売り上げがされているというふうになっておるようであります。  それはそれといたしまして、綾町の特徴というのを若干御紹介をいたしますと、それは質問の意味から紹介をいたしますが、この綾町の環境保全型、有機農業と言った方がいいんですか、特徴は行政と農協と農家がそろって一丸となって取り組みをしているということでありますが、まず農協についてでありますけれども、農協は、できた農産物を必ず売りさばいてあげますという農家との約束の中で販路開拓に奔走している。そして県民生協とかグリーンコープ、阪急デパートなどと次々に産直契約を結んでおりまして、最近ではスーパーやデパート、宅配便、通信販売というぐあいに販路が拡大をされまして、販売量と販売額が急速に拡大をしていると、そして生産された農産物のほとんどが産直によって販売をされているというふうに言われております。産直の場合は事前に価格設定をいたします関係上、農家は市況の変動を全く心配する必要がなくて、農家の生産意欲が高まったと、こういうふうに紹介をされております。  これは農協の例でありますが、町ではこれも珍しいと思うんですが、全家庭から出るし尿をこれをただでくみ取りをして、そして液状堆肥化施設でもって発酵させて、酸化処理をして農家の要請にこたえてバキュームカーで散布しておると、それも最盛期には需要にこたえきれないというふうに言われておりまして、その液状堆肥化されたし尿は完全に酸化処理をされております関係で、寄生虫卵やハエの幼虫は全くいない。大腸菌等も殺菌をされまして、完全に衛生的に処理をされたものであるというふうに言われております。その資料も細かなものがつくられておるようであります。そしてその完全に液状化された液状肥は、これは大体一トン当たり千五百十二円のコストがかかるそうでありますけれども、それをトン当たり二百五十円で配っておると、もちろん多少の赤字が出るわけでありますが、それは町が負担をしていると、こういうことであります。  それから、町と農協と農家が一体となった取り組みの一つというのは、極めて厳しい農地管理がされているわけでありまして、大体三つにランク分けされた圃場に厳しい審査があって、これは開発センターの四人の検査員が厳しい圃場の検査をする仕組みになっておりますが、だんだんランクの高い圃場がふえていると、そして化学肥料や除草剤を使わない、全く使わない土壌からつくり上げられたAランクの農産物は、大体全体の七〇%に達しようとしていると言われております。これは除草剤を使わない農業というのは、農業というのは害虫と雑草との戦いと言われているわけでありますけれども、農家にとっても大変大きな負担があるわけでありますけれども、あえて除草剤は使いません。草を取る場合は人手を雇ってやりますと、年間百万円見当の人夫賃を払ったという農家もあるそうでありますけれども、それでも引き合いますと、それは引き合うだけのことを農協が次々に産直で開拓をしていくという自信に裏づけされているわけであります。  三つ目は、これも質問と関連がありますので、紹介をしておきますが、生産者と消費者との交流を、これは町と農協が一体的な取り組みをして行っているということであります。北九州の生協の組合員と言われておりますが、百五十人を二泊三日で毎年招聘をしている。そして生産者の方から会員二百名を募りまして合計三百五十名で人の交流があるわけでありますけれども、そうした交流を通じましてこの有機農業に対する信頼、ここの農産物なら大丈夫という太鼓判を押して消費者が買えるという、そういう交流が続けられておるようであります。  そこで、質問をしてまいりますが、一つは、昭和六十二年から鹿児島の味ふるさと列車という事業がなされまして、当初関東・関西地区を中心に約二千二百十五名の皆さん方が参加をして、県下十四の市町村がそれを受け入れて、この都会の消費者との交流をしてまいりましたが、平成七年には鹿児島の味じゃなくて、鹿児島の味緑ふれあいバスと、このネーミングも変わっておりますが、バスを使っての交流に変わっております。もちろんバスでありますから、対象人員もかなり少なくなっているようでありますが、これが平成九年度で打ち切られて、現在中止されております。私どもはこの議会でも何人かの方が鹿児島の味ふれあい列車については、その事業を評価をし、そしてその事業の拡大を図る立場から御質問もたくさん出ておるようでありますが、なぜこれを打ち切ったのか。私はグリーンツーリズムにこれが発展をする極めて重要な意味を持つ事業だと関心を持ってきただけに大変惜しく思っておりますが、ぜひこれを復活をさせてほしいという立場から御質問をしていきます。除草剤を使わない環境保全型農業というのは、消費者との理解、協力なしには成り立たない事業でありますので、ぜひ消費者の理解を得る事業が側面でなくてはならんと、こう思うわけであります。  環境保全型農業の推進につきまして、全国農協がアンケート調査をとった調査の中に、農家の四四%がつくったものが売れる保障をしてほしいと、また三六%の農家が環境保全型農業の啓蒙とPRをぜひ行政がやってほしいという要求も出ておるようであります。そうした意味からもぜひとも啓蒙、宣伝をする立場でふるさと列車の復活をしてほしいと、こう思うわけであります。  それから、もう一つは、地元紙の社説にこれも出ておりましたが、有機農業の拡大に技術や販路の相談窓口をつくってほしいというのが出ております。私もこれには同感であります。有機農業の技術、販路に関する情報がどうしても足りない。そしてそうした意味からも有機農業の輪が広がっていかないという意味で、有機農業一一〇番のような窓口をつくったらどうだと、こういう提案でありますが、いかがでしょうか。  最後は、今、JAの鹿児島中央会で策定中と言われております認証制度についてであります。新聞報道によりますというと、本年度中にこの認証制度をJAの方でつくるというふうに報道されておりますが、これには有機農産物あるいは転換期間中の有機農産物、あるいは減農薬、無農薬というような幾つかの段階に分けて表示をし、それに一定の認証を与えるというものであろうと思いますが、一体この認証制度はどんな方法でやるのか、その進捗状況をお聞かせ願いたいと思います。  最後に、鹿児島県のかごしまブランドでありますけれども、これは従来の県の総合計画なり農政なりを見たときに、環境保全型の農業という問題は念頭になかったと言っちゃ悪いでしょうが、余り重視してこなかったと、競争力の強い生産性という点に力点を置かれてきたものと私は思うわけでありますが、低コスト高品質の農業というのは、量産をしてコストを下げる、そして品質といっても見ばえのいいものというところに力点が置かれておったように思うわけでありますけれども、より健康に優しい農業という視点に立ちますというと、特に認証制度が確立をしますというと、かごしまブランドのあり方もこれは見直す必要があるのではないかと思いますが、所見をお尋ねいたします。    [知事須賀龍郎君登壇] 14 ◯知事(須賀龍郎君)農業の近代化が進むことによりまして、化学肥料、農薬の使用量の増加や家畜ふん尿の不適切な処理によりまして、地力の低下、地下水の汚染、悪臭の発生などが地域の課題となっております。このような中におきまして、環境の保全、食の安全性の確保に対します県民の機運が高まってきております。また経済性、効率性のみを追求する農業への反省も求められております。また全国屈指の畜産県であります本県におきましては、家畜ふん尿の適正な処理と有効利用が大きな課題となっているところであります。このために、農業を基幹産業としております本県におきましては、農業の持つ物質循環機能を生かしながら、農業生産活動に伴います環境への負荷をできるだけ少なくするとともに、消費者がより安心できる農産物を安定的に生産していく農業、いわゆる環境保全型農業を広く県内に定着させるために、県総合基本計画第三期実施計画の戦略プロジェクトとして位置づけたところであります。今後とも家畜ふん尿等の有機物資源の良質堆肥化、健全な土づくり、化学肥料や農薬の適正な使用、環境に優しい農業技術の開発、普及など、環境保全型農業に関する施策を総合的かつ重点的に推進しながら、環境の保全や自然との共生を図る農業の推進に努めてまいりたいと考えております。 15 ◯農政部長(脇田 稔君)市町村が策定します環境保全型農業の推進方針には、その地域の実態に応じた特徴のある推進方策が定められております。例えば畜産経営に起因する水質汚染や悪臭等が問題となっている畜産地帯では、家畜ふん尿の適正処理と有効利用を図るための施設整備を主に進める。二番目に連作障害の発生や化学肥料、農薬の使用量が多い畑作地帯では、良質堆肥の土壌還元による健全な土づくりや合理的な作付体系を進める。三番目に花卉や野菜の園芸地帯では健全な土づくりと化学肥料や農薬の使用量の削減を進める。四番目に都市近郊地帯では消費者との交流を盛り込んだ有機農業の推進を、それぞれ最重点課題として進めることにいたしております。またこの方針に即しまして、堆肥生産施設、農薬廃液処理施設の整備や土づくり、有機農産物の販路拡大など、具体的な取り組みが進められておりますので、県としましてもその実現を支援することにいたしております。  家畜ふん尿につきましては、まず環境への負荷を軽減するため適正に処理すること、さらには有機質資源として有効活用を図り、健全な土づくりを進めることが最も重要であります。このため、ふん尿処理施設や良質堆肥生産施設の整備を鋭意進めているところでございますが、仮に県内で排出される家畜ふん尿の全量が堆肥化された場合、現在の施肥基準をもとに推計をしてみますと、県内の需要量を上回ると考えられます。したがいまして、今後は堆肥銀行の設置等により地域内及び全県域での需給調整や広域流通を進めますとともに、既に企業的経営体におきましては、堆肥の県外販売の実績もありますことから、県外流通も視野に入れた対応が必要になってくるものと考えております。  一方、家畜ふん尿の処理システムといたしまして、メタン発酵、鶏ふん発電、固形燃料化によるエネルギーへの転換利用などの開発が進められております。これらにつきましては、今後の実用化の状況も見ながら県としての対応を検討してまいりたいと考えております。  良質堆肥の生産と広域的な流通を促進するため、耕種農家が求める良質な堆肥生産と地域内の需給調整を行う堆肥銀行が、広域農協を単位として既に県内四カ所に発足をしており、地域内をカバーする広域的な処理を行う基幹的な堆肥生産施設の整備を進めております。また、昨年六月に県経済連に発足をしました県高品質堆肥利用促進センターでは、堆肥銀行間の需給調整やその運営指導等を行い、県内全域の良質堆肥づくりと流通促進を図っているところでございます。さらに、今後堆肥銀行を設置する地区におきましても、既存の堆肥生産施設の有効活用とあわせ地域の実情に即した広域的な堆肥生産施設を計画的に整備して、それぞれの作物に適した良質堆肥づくりを推進してまいりたいと考えております。  昭和六十二年度から平成六年度までの鹿児島の味ふるさと列車、平成七年度から平成九年度までの鹿児島の味緑ふれあいバスにつきましては、延べ百二十市町村におきまして二千七百三十六名の参加者の受け入れが行われております。これらの受け入れ市町村では、この事業がきっかけとなりまして、姉妹都市交流や山村留学、各種の体験ツアー、郷土出身者との交流会など、独自の取り組みが行われるようになりました。また村おこしグループ、JA生産集団などでも消費者交流や産直交流などの形で、さまざまな都市・農村交流が展開をされるようになっております。こうしましたことから、県が実施をした事業はその役割を十分に果たし、その成果は県下に定着してきているものと考えております。今後は都市住民にも潤いと安らぎを与えるような農村の整備を進めますとともに、市町村、JA等、関係機関、団体との連携を図りながら、鹿児島の特徴を生かしたグリーンツーリズムなどの都市・農村交流を進め、地域の活性化と本県農業、農産物のPRに努めてまいりたいと考えております。  有機農産物の生産指導につきましては、これまで農業改良普及所を中心に、先進的農家等と一緒になって取り組んできたところでございます。今年度からは普及所単位に有機農産物等の生産に取り組む農家に対しまして、技術、経営の両面から支援するための地域検討会の開催や具体的に農業者の意向調査の実施、指導マニュアルの作成などを行うことによりまして、実践的な指導を実施することにいたしております。また有機農産物の販売につきましては、現状では生産者グループごとに生協等との契約販売や直販、宅配等での流通が主体となっておりますが、今後生産者や流通量の増加に対応した体制を整備する必要があると考えております。このため、県としましてはJA等と連携しながら、有機農産物の生産農家リストの作成及び流通業者、消費者グループへの情報提供、農業者と流通業者、消費者との交流会の実施などを通じて、農産物の円滑な流通を支援することにいたしております。今後とも県内の農業改良普及所を中心に技術指導や流通情報の提供など、市町村、農協、生産、流通グループとの連携を図りながら、各種の相談に応じてまいりたいと考えております。  県経済連におきましては、消費者の安心、安全、健康志向が高まる中、JAグループ鹿児島有機農産物等認証制度を検討しておりまして、先般検討状況について県下各農協等への説明が行われ、今後各農協の意見集約を図った上でなるべく早い時期に発足させたい意向と聞いておりますが、その時期は明確にはされておりません。この中で、有機農産物の表示の基準につきましては、全体としておおむね農水省が示しましたガイドラインに沿った区分となっております。また農協等が栽培責任者となり、経済連が確認責任者になるという考え方で検討が進められております。農水省のガイドラインは強制力を伴う認証制度ではございませんので、現在国におきまして有機農産物等の統一的な基準による検査認証制度が必要であるとしまして、そのあり方について検討が進められております。この中で、公的機関の果たすべき役割につきましても方向性が示されるものと思われますので、県としてもそれを踏まえて対応してまいりたいと考えております。  ブランド産地の育成に当たりましては、環境に優しい農業の推進を図りながら、消費者に信頼される産地づくりを進めることが大切でございます。このため平成九年度から園芸ブランド広域産地拡大対策事業の内容を拡充しまして、完熟堆肥の生産のための堆肥舎、堆肥盤、あるいは堆肥散布機、あるいは深耕を行うための機械、施設等をメニューに加えまして、これらの整備を通じまして土づくり等の推進を図ることといたしております。また、一方で環境に優しい産地づくり推進事業というものを実施しておりますが、これにおきましても野菜で五地区、果樹で四地区のモデル実証圃を設置をいたしておりまして、施肥量の低減、防除回数の削減など、適正な施肥、防除等の実践に取り組んでいるところでございます。今後とも本県の豊富な有機物資源を活用した健全な土づくりを基本に、環境に優しい農業技術の開発、普及等を図りながら消費者の安心、安全、健康のニーズに対応できるブランド産地の育成に取り組んでまいりたいと考えております。 16 ◯環境生活部長(大久保博志君)県では平成八年度に県内の八百四十六河川を対象に、水質の実態調査を行い、それぞれの河川ごとに生活排水、畜産排水、工場・事業場排水などの汚濁要因の割合を示した「鹿児島のふるさとの川水質マップ」を作成、配布し、地域ぐるみで河川の汚濁防止に取り組んでいただくこととしたところでございます。  また、肝属川など一級河川につきましては、河川管理者である国が県や市町村、関係機関、団体等で構成される水質汚濁防止連絡協議会を設置し、相互に連携を図りながら水質汚濁防止に取り組んでいるところでございます。  県としましては、今後ともこの協議会と連携して主要な汚濁源である畜産排水や生活排水対策など、総合的な河川の水質汚濁防止にさらに努めることといたしておるところでありますが、主要な河川のクリーン計画につきましては、今後の検討課題としたいと考えております。    [浜田みのる君登壇] 17 ◯浜田みのる君 先ほど紹介をいたしました「鹿児島のふるさとの川水質マップ」というのはこれでございますが、だんだん汚染度が進むにつれて黄色から黄土色に川が塗り分けられております。一見して自分たちの住む地域の川がどういう状況にあるかということがわかる大変立派なものがつくられております。これは一級河川百五十一、二級河川が三百十、準用河川千二百四十二と、八百八十地点に及んで調査をされたものを整理をされたもので、大変御苦労なさったと思います。このマップには川を汚す原因の割合がきちんと示されておりまして、先ほど環境汚染防止連絡協議会というものが設置をされておるということでありましたけれども、これは町名は別に言う必要はないんですが、大隅半島の一環境保全型の推進方針と、それから薩摩半島の同じ環境保全型の推進方針というのを借りてみました。これにはそれぞれ地域の環境に与える影響については、細かに分析がされておりまして、この大隅半島のこれには地域のふん尿は六〇%から七〇%過剰で、何とか地域外に持っていって処理をしてもらわなければ、もう畜産の容量を超えておりますということがきちんと文章で書いてあります。  ところが、この地域に七〇%近く過剰になっている地域に新たな畜産団地がつくられておるわけでありますから、その出口の問題を解決しなければならないというのは緊急の課題であるはずであります。ところが、これの推進方針の中にもその辺のところの解決については触れてないです、一切触れてありません。ただ、末尾の方にこういう欄があります。生産者団体等が整備することが望ましい機材等というところに、それぞれの畜産廃棄物の処理をする施設等をつくってほしいというのが幾つか列記してありますけれども、これを地域課題として解決をする道筋は何にも示されてないんです。これがその地域の環境保全型農業の推進方針になっておるわけでありますから、文句を言いたくなるわけです。  騒音公害にいたしましても、交通災害等にいたしましても、ドライバーが注意をすればいいというものではないんですね。ドライバーが注意をすると同時に、それに伴う環境の整備というのが相伴わなければ交通災害も防止できない、騒音防止もできないということを考えますときに、単に生産者が施設すべきものというものを書いただけで推進ができるということにならないわけでありますから、こうした環境保全型の農業の推進方針の中に、相伴う環境問題の改善についての道筋がきちんと位置づけをされなくちゃならんのじゃないかと、こういうふうに思うわけであります。せっかく環境管理課がこういうものをつくりまして、あなたたちの地域の川はこうなっていますよということを示しているわけでありますから、これにやはり総合的に地域の問題として取り組む姿勢がぜひ欲しいものだというふうに思います。  それから、この堆肥センターでありますけれども、今、部長の方では県外流通ということも若干小さな声でおっしゃいましたが、県内での流通が主体になっているようでありますね。これは先ほどのいわゆる過剰になっている畜産廃棄物という点から言いますというと、県外流通というものを大幅に考えないというと、基本的には問題は解決しないというふうに一つは思います。それからもう一つは七四%過剰というわけでありますから、県外搬出という問題が検討されなくちゃならんと、それは遠く北海道のあたりまで販路を広げるということになりますというと、相当のコストもかかりますけれども、そういうものも検討する必要があるんじゃないかと、それから県内流通でありますけれども、例えばある専門家の話によりますというと、これはお茶どころの頴娃町あたりでは、あそこの堆肥センターは鶏ふんが主体になっておるそうでありますが、お茶の生産農家はこの鶏ふんの堆肥は大変嫌うんだそうであります。そうした意味からしますというと、かなり広範に県内の流通を図らなければ、地域の堆肥センターの役割は果たせないと、流通が相伴わないとだめだというふうに思います。  これもある専門家の話でありますけれども、豚のふんとか、鶏のふんというのは、何か飼料に銅や亜鉛を混入をするんだそうでありますけれども、これがふん尿の中にたくさん入ってきて成育障害を起こしているというふうに言われております。したがって、銅や亜鉛を添加をする飼料そのものが見直されているというふうにも聞いておりますが、こうした添加物が副次的に及ぼす障害というものもあるそうでありまして、そうした意味からもかなり広い範囲に、そしてこれを混合して土に返すというかなり流通面の広範な努力が必要であるように思います。  それから、ふるさと列車につきましては一定の役割は果たしたと、私はそれにとやかく言うつもりはありません。ともかく行政がやるべき任務というのは、そうした民需を喚起したり、あるいは地域の活性化を促す役割というのが県の大きな持つ役割でもありますから、そうした意味では一定の役割を果たしたと、こういうふうに評価もいたします。この鹿児島の味緑ふれあいバス報告書というのをいただきましたが、これには県がとったそのふれあい列車が火つけになりまして、各地域での交流事業が進められていることが書いてあります。これを見ますというと、かなり県も大きな役割を果たしたと、こういうふうに評価もいたします。ただ、せっかく火つけ役をしたわけでありますから、この地域に芽生えております交流ふれあい事業をぜひさらに促す別な役割もまた果たしてほしいと、こういうことをお願いを申し上げておきます。  それから、認証制度でありますけれども、農協主体で作業が進められております。私はこのことについてはいささか問題を感じます。認証制度というのは生産者の自覚を促すと同時に、消費者に信頼される裏づけになる保証を与えるものでもなくちゃならないと思うわけです。綾町に有機農業が提案をされたときに、綾町の農協はこれに大きな反対をされたそうであります。それは文章になっておりまして、私が申し上げるのはその文章によるものであります。化学肥料や農薬が売れなくては農協の経営が破綻をすると、だから反対だと、こういうふうに反発をされたそうであります。今はその農協が真っ先に有機農業の旗ふり役をされているわけでありますから、その柔軟で斬新な、そして新しい時代を見据えた農協のあり方を自覚された綾町の農協はさすがに偉いと、また一面では思うわけでありますけれども、スタート時には農薬を売らない農協では経営が行き詰まるというふうに反対されたと、こういうふうに言われておるわけであります。それから、農家は農家でやはり除草剤を使わない農業は大変だと、農薬を使わない農業はやっていけないという面がありますから、農協の農薬を売りたいという側と、買ってまきたいという農家との関係というのは持たれ合って、なかなか有機農業への転換が図れなかったといういきさつがあります。  そうした意味からも、私はこの認証制度にはぜひとも県も入って、天下にその認証を証明をするという役割を果たすべきだというふうに思うんです。兵庫や岡山ではその認証制度には県が先頭に立って音頭をとっております。そして兵庫、岡山の場合は無農薬や減農薬というのは認証制度の対象にはしていないと、完全に有機農業でなければだめですよという、大変厳しい制度となっております。それだけに消費者の信頼は高いわけであります。  そうした意味からも、この認証制度については農協主体で傍観をする立場であってはならぬというふうに思いますから、ぜひともこれは県は環境保全型推進本部でしたかね、よく似ているんで。農協の方では環境に優しい農業推進本部ですか、とかよく似たようなものをつくっておりますが、この両方の推進本部がよく連携をして、やはり県内外に信用の高い本県農産物、そして私が知っておるあるデパートでは有機農産物というコーナーがありますが、そこにはひとときも農産物は乗っておりません。そこに立っているおばさんに聞きますというと、ここが真っ先に売れますということでありましたが、ぜひ鹿児島県の農産物が全国にその信頼をかち得て、そして鹿児島県農業の新しい時代を築く農業を展開をしてもらえますようにお願いを申し上げまして、私の一般質問を終わります。(拍手) 18 ◯議長(溝口宏二君)ここで休憩いたします。  再開は、午後一時十五分からといたします。        午前十一時五十七分休憩       ─────────────        午後 一時 十五分開議 19 ◯議長(溝口宏二君)再開いたします。  志摩れい子君に発言を許可いたします。    [志摩れい子君登壇](拍手) 20 ◯志摩れい子君 午前中、二人の大ベテランが質問なさいまして、私の後も中ベテランの議員の方がなさるわけで、私一人が一期目のまだ駆け出しでございますけれども、言いたいことはしっかりと質問させていただきます。  まず初めに、少し時期がずれたんですけれども、ことし二月十一日に九十六歳で他界された寺園勝志元知事に対し、心から哀悼の意を表し、安らかならんことを御祈念申し上げたいと思います。  寺園勝志元知事は、昭和二十二年三月鹿児島県の経済部長に御就任以来、農政部長や副知事を歴任され、昭和三十年四月から四十二年四月まで三期十二年間、鹿児島県知事としてらつ腕を振るわれました。そして庁内はもとより広く県民からも、温情あふれる知事として慕われた方でございました。また、寺園さんは、知事を退任後も愛する郷土鹿児島のために尽くしてこられました。できるだけ車を使わず、歩くことを旨とし、節制した日常生活とおごることのないお人柄で生涯現役を貫かれ、我々県民に与えた影響ははかり知れないものがあると思います。  昭和四十六年十一月三日には、勲二等旭日重光賞をお受けになっていますが、鹿児島県に名誉県民の制度があればと思えてなりません。九州では長崎県に、昭和五十五年十月に制定されました名誉県民条例があり、これまでにお二人の方が名誉県民になっていらっしゃいます。県民表彰の制度は各県にあるようですが、名誉県民の制度は九州では長崎県だけのようです。ぜひ本県でもこの名誉県民の制度をと願うものです。  それでは、通告に従い質問に入ります。  まず、県の職員の方々の名刺についてお伺いいたしたいと思います。  私は、県の職員の名刺が、ほとんどの場合自己負担であるということを最近になって初めて知りました。ある会合で男性の方からこの指摘を受けて、初めてわかったわけです。その男性の話によりますと、県の職員の方が県の用事でその方の会社を訪問なさいました。そこで「名刺を」というふうに言われますと、いえ、名刺は所持していない。なぜ名刺を持っていないのかという質問に対し、名刺は自己負担であるために自分はつくっていない、つまり所持していないという返事だったそうです。それに対しその男性は大変に憤慨を覚えて、このことをぜひ聞いてほしいという要望をなさったわけです。  私はこのことをにわかには信じられませんでしたので、警察を含めた県の職員の方に事情を聞いてみますと、まさに情報どおりでございまして、改めて驚いたわけです。中には、白い紙に自分の名前を書いたゴム印をいっぱい押して、それを切って使い分けているというふうに、大変にいじましいというのでしょうか、県庁職員としては誇りの持てないような話まで私は聞きました。確かにセクションによっては、外部との接触が全くないところもあるわけですから、名刺の必要性もまちまちであるとは思います。一概にすべて必要とは思いませんけれども、せめて県民と接触する機会のある職員の方々については、公費で負担して名刺を配付すべきではないかと思うのです。  そこで、お伺いいたします。本当に当たり前の話だと思います。県ではなぜ名刺は自己負担となっているのでしょうか。ほかの県ではどのようになっているのでしょうか。きめ細かな行政サービスという観点からも、県職員の名刺は必要だと思いますが、公費負担は考えられないのでしょうかお聞かせください。  次に、ザビエル上陸四百五十周年についてお伺いいたします。  こんぺいとう、カステラ、てんぷら、フラノ、ラシャ、メリヤス、モスリン、メリンス、プラチナ、ブランコ、ばんこ、ラーフル、ギヤマン、これはほとんどがポルトガル語です。二、三スペイン語があったりあるいはまたオランダ語があります。今では日本の市民権を得て、すっかり堂々とした日本語になっております。ちなみに、こんぺいとう、カステラ、てんぷら、これは食品です。フラノ、ラシャ、メリヤス、モスリン、これは生地の名称です。ばんこは縁台です。ラーフルは黒板消し、ギヤマンは西洋ガラス。特にばんこ、ラーフルは、鹿児島の方言として我々がふだん何気なく使っているポルトガル語です。  このように日本の食文化あるいは生活文化に多大な影響を与えたポルトガル、また鹿児島とポルトガル、スペインとは大変ゆかりの深い間柄であります。そして何よりも来年平成十一年は、宣教師フランシスコ・ザビエルが「以後よく広まるキリスト教」と中学生のころ覚えた一五四九年八月十五日に鹿児島に上陸してから四百五十年という大変大きな節目に当たります。ことしの薩摩焼発祥四百周年に続き、来年は、広く世界に情報を発信できるザビエル上陸四百五十周年の歴史的な年に当たるわけで、千載一遇、いや四百五十年に一度のチャンスということが言えます。  既に観光かごしま大キャンペーン推進協議会は、「ザビエル歴史街道」と題したパンフレットを日本語版と英語版で作成し、全国の旅行業者やマスコミに配布したと聞いておりますけれども、これによって、鹿児島をぜひ訪れてみたいというような反応がどの程度あるのかお聞かせいただきたいと思います。また、現在ポルトガルで開かれておりますリスボン国際博覧会で今月一日と二日、種子島鉄砲隊が出演したのに合わせて、鹿児島県特産品協会の事務局長や会員の方々が、ポルトガルとザビエルの誕生地スペインを訪問なさったというふうに聞いております。その目的とどのような成果が得られたのかお聞かせください。  一方、来年に向け、先ほどの言葉ですとか食生活、文化を中心に、日本とポルトガルの強い結びつきをアピールしたイベントの開催など、県として検討をしていらっしゃるのでしょうか。計画があれば具体的にお示しいただきたいと思います。  また、薩摩焼発祥四百周年に伴い、東市来町美山の道路も大変整備されて見違えるようにきれいになった、そして観光地に生まれ変わっているようです。ザビエル上陸四百五十周年を記念して、鹿児島市照国町のザビエル教会前の道路、ザビエル滞鹿記念碑のある通称ザビエル公園等を歴史街道の一環として位置づけ、観光鹿児島にふさわしいまちづくりはできないものでしょうか。  私は、ザビエル公園の前をよく通るんですけれども、観光客の姿をほとんどといっていいほど見かけたことはありません。町中にある観光地ですが、本当に観光客を見たことはありません。せっかくの観光スポットが生かされていないように思います。鹿児島市とも協議して、ぜひ観光名所となるように取り組んでほしいと思います。御意見をお伺いいたします。  続きまして、桜島と錦江湾の観光政策についてお伺いいたします。  私ごとで恐縮なんですけれども、先日所用で鹿屋市に行くために鴨池フェリーに乗りました。波穏やかな錦江湾を走るフェリーのデッキに立ちますと、前日の雨が幸いして澄んだ秋空が広がり、心地よい潮風がほおをなで、思わずそのすばらしい景色にくぎづけになってしまいました。いつも見なれた桜島と錦江湾でしたけれども、その日は九月のさわやかな日和も手伝って、殊のほか心を奪われるほど感動し、改めて自然の持つ雄大さ、優しさを体じゅうでかみしめました。  桜島と錦江湾の偉大なポテンシャル、底力をまさにまざまざと見せつけられ、まるで媚薬でも飲まされたようにほれぼれと見とれてしまったのです。眼前に広がる景色は、私の疲れた心身をいやすには十分過ぎる器量で、垂水港到着の船内放送がこれほど無情に聞こえたことはありませんでした。わずかな時間ではありましたが、私の幸福感と満足感ははかり知れないものがありました。行ったことはありませんが、シャングリラ、まるで桃源郷に身を置いたかと思うほどでした。そして今さらながら、我がふるさと鹿児島の持つ偉大な財産、桜島と錦江湾に改めて敬意を払ったのであります。
     「ナポリを見てから死ね」ということわざは、ナポリをまだ見ぬ人たちを誘惑するには余りあるものがあると思います。このことわざに操られるように、人々はナポリに引かれていった感があります。ナポリが世界の観光地ナンバーワンに位置したことも、このことわざなくしてはなし得なかったのではと思います。少なくとも鹿児島を知る人は、鹿児島に住む人たちは、ナポリやベスビオス火山を見て一様に落胆の色を隠せなかったのではないでしょうか。もちろん私もその一人です。「ナポリを見てから死ね」という究極の観光標語の魔法にかかり、イメージを膨らませて出かけてはみたものの、結局、鹿児島のすばらしさを再認識する旅行となりました。  その後、ハワイのサンセットクルージングや香港のアバディーン、水上レストランなども観光で訪れましたけれども、錦江湾一周のクルージングには絶対に勝てるものとは私は思いません。県都鹿児島市の市街地が目前に広がり、鏡のように滑らかな錦江湾、そこに抱かれた雄大な桜島、これ以上のロケーションは世界広しといえどもここをおいてほかにないと自負しております。多分鹿児島の景色を知らない人が、「ナポリを見てから死ね」と言ったのではないでしょうか。そこで、いま一度原点に返り、桜島と錦江湾をあらゆる角度から見詰め直してみてはいかがでしょうか。このままでは宝の持ちぐされ、まことにもったいない話であります。  「ナポリを見て死ね」あるいは「日光を見ずして結構と言うなかれ」といったことわざは、観光客の誘致にはまことにすぐれたキャッチコピーだと思いますが、鹿児島にも過去に「列島南下 気分上昇」という大変すぐれた観光標語がありました。観光客の目は、今や海外から、安・近・短の国内旅行に向いている御時世です。人々がずばり鹿児島に行ってみたい、桜島を見てみたいと思うような観光標語の募集を、国内はもとより海外の姉妹都市にも呼びかけてつくってみてはいかがでしょうか。公募することですぐれた標語ができたり、話題性も期待できるのではと思います。  商工労働部長は鹿児島に対して大変な思い入れをお持ちと、私は受けとめております。桜島と錦江湾を観光資源としてどのようにとらえていらっしゃるのか、また観光標語、いわゆる標語募集とあわせてアグレッシブな御答弁を期待いたします。  次に、雇用対策についてお伺いいたします。  バブル経済がはじけて来年で十年になろうとしております。完全失業率もことし六月には戦後最悪の四・三%となり、雇用環境の悪化はとどまるところをしりません。次々とうれしくない記録を更新し、予断を許さない状況が続いております。不況が長引く中、厳しい雇用情勢が続いていることは、失業手当の受給者がことし六月、二十二年ぶりに百万人を突破したことにも顕著にあらわれていると思います。中でも企業の倒産やリストラに遭い、不本意ながら失業する人や失業させられる非自発的失業者の割合も高くなっていると聞きます。  こうした中で、県の職業安定課や職業安定所「ハローワーク」の職員の方々は、求人確保のために県内の企業を一社一社訪問をするローラー作戦を展開して、成果を上げていらっしゃいます。このことは有効求人倍率にも数字でしっかりとあらわれております。二カ月連続で全国一位の改善率を確保したことは、とりもなおさずこの職員の方々のまさに汗水垂らし、足で稼いだ努力の結果であると、大変高く評価し、敬意を払いたいと思います。  一方、人事削減案の一環として今月二十二日大阪府は、四十五歳以上を対象にした早期奨励退職制度を発表しましたが、一般の企業でも同じようなことが行われており、雇用環境ますます悪化しております。このようなリストラ等の動きの中でまずその対象となるのが、高齢者、女性、それに障害者であり、こういった立場の方々にしわ寄せがいかないようにと願っております。特に本県は、全国に十数年先行して高齢化が進んでおり、高齢者の雇用の確保についてはなお一層の努力が必要とされます。そこで、本県の高齢者の雇用の現状とその対策についてお伺いいたします。あわせて、高齢者の社会参加や生きがい対策としてシルバー人材センターの果たす役割も大きいと考えますが、県内のシルバー人材センターの設立状況と今後の取り組みについてお聞かせください。  次に、私はこれまで、各種審議会に対する質問を二回いたしました。一回目は、審議会の委員にもっと女性を登用してほしいと要望し、二回目は、一人で十近い委員を兼ねる人が男女を問わず見られるので、せめて一人の方が委員を兼務なさるのは三つぐらいにとどめてほしいということでした。これに対し知事は、改善する旨の答弁をなさいましたが、余り芳しい結果は出ていないようです。  なぜこのことにこだわるのかといいますと、一つには、県民の生の声を積極的に県政に反映させる機関としての審議会であれば、より多くの方々を登用し、より多くの意見を聞いてほしいと思うからです。また県民の五五%を占める女性の声ももっと多く聞いていただき、バランスのとれた鹿児島県を目指してほしいと思います。県政モニターや提言ファクス、これは随分と少ないという報道がされております。この提言ファクスもありますけれども、これはボールのやりとりがありませんから、審議会とは本質的に違うものと私は思います。  最近、審議会のメンバーである二、三人から、審議会のあり方や存在そのものについて疑問を投げかけられました。つまり、審議会の形骸化を大きく指摘されまして、審議会の是非や見直しの必要性も提言されました。確かに審議会の入れかえや廃止など、マイナーチェンジをしているのは承知しておりますけれども、現役の委員から否定的な意見が出ていることも頭にとどめていただきたいというふうに考えます。  また女性委員の登用に関しては、目標年次平成十二年、目標数値一五%以上を上げて鋭意努力していると思われますが、目標達成は少々おぼつかないものがあります。原因はどこにあるのか、その原因を取り除くためにはどんな手だてがあるのか、一歩突っ込んだ議論や弾力的な対応ができないのか、目標達成のためにも考える必要があります。  御存じだと思いますが、長崎県は、審議会の委員を年齢あるいは職業を問わず一般の県民から募集するという公募制を実施しております。これは、長崎港周辺の再開発を考える「長崎アーバン・ルネッサンス二〇〇一構想推進会議」の全委員のおよそ二割に当たる十人程度を募集したもので、二十代から七十代までの男女五十四人が応募し、この中から主婦や大学教授ら十二人が選ばれ、六月に初会合も開かれました。もちろん議事録も公開されております。また、本県の総合基本計画に当たる長崎県長期構想の検討委員会の委員も、八月に公募されております。  さらに佐賀県でも、介護保険制度などについて意見を聞く高齢者福祉計画等検討部会の委員を一般県民から募集したところ、七倍を超える応募があり、六人を選んだと新聞が伝えております。県内でも、東町など二、三の町が民間の声を町政に反映させようと、町内外で活躍する人たちから委員を選ぶ方針を打ち出すなど、二十一世紀へ向けて開かれた町政を目指し、努力していることがうかがえます。  閉塞化や硬直化が指摘される本県の審議会にも、ぜひ一般の県民から委員を選ぶ制度が一つあるいは二つぐらいあってもいいのではないかと思料されます。そこで、審議会のこの委員の公募に前向きに検討するお考えはないのか、知事にお伺いしたいと思います。  次に、薩摩大使についてお伺いします。  私の友人で、東京、千葉、大阪に居住する薩摩大使の方々から、みずからこの話題を持ち出して、薩摩大使を返上したいというふうにおっしゃいました。彼らは一様に、所期の目的や一定の役割を終えたというふうに判断しており、県から送られてくるパンフレットなどを手にすると大変重荷に感じ、それにかかる費用ももったいないというふうに話されます。せっかく県から任命された薩摩大使をむげに返上したいとも言えず、ぜひ見直しをと私に要望されます。  そこで、次の四点についてお伺いいたします。  まず、この制度がスタートしてから今日まで、何人を薩摩大使に任命していらっしゃるのか。  二点目は、薩摩大使に対し、県としてどのようなことをお願いし、反対に薩摩大使の方にどのようなことをして差し上げているのか。  三点目に、薩摩大使の方々からの提言はどの程度あり、どのように活用されているのか。  四点目は、この制度がスタートして来年で十五年になりますが、この間に次々と任命しているわけですから、当然数も膨らんでいっております。これに伴って予算も膨大していっていることは明白です。薩摩大使の中には自発的な休止状態にある人も多いというふうに予想されます。例えば大使の任期を何年かに設定するなどの見直しというのは考えられないのか、見解をお伺いいたします。    [知事須賀龍郎君登壇] 21 ◯知事(須賀龍郎君)特産品協会の有志の方々によりますスペイン、ポルトガルへのミッションは、リスボン国際博覧会での種子島鉄砲隊の実演に合わせまして、ザビエル渡来四百五十周年を初め、鹿児島の観光や焼酎をPRいたしますとともに、新たな特産品開発や商談のきっかけを得るために、日本の食文化や工芸品へ影響を与えましたザビエルに関係する両国を訪問したところであります。  スペイン、ポルトガルでは、菓子工場やワイン工場、販売店等を視察いたしまして、現地の関係者と特産品関係等につきまして意見交換を行ったところであります。今後、これらの現地での工場見学や意見交換、交流等を踏まえまして、新たな商品の試作開発や、来年のザビエル渡来四百五十周年に当たりまして、鹿児島で計画されております物産観光展での出品などを通じまして、特産品の商品化や新たな事業展開につながることを期待しているところであります。  また、来年のザビエル上陸四百五十周年につきましては、県内外はもとより海外に向けまして、観光鹿児島をPRする絶好の機会であります。「ザビエル歴史街道マップ」やリーフレットの作成、外国プレスの招待など、観光客誘致のための広報宣伝活動を積極的に展開しているところであります。「ザビエル歴史街道マップ」につきましては、英語版、日本語版をそれぞれ四千部を作成し、旅行エージェントを中心といたしまして配布したところでありますけれども、ザビエルゆかりの地に関する問い合わせ等の大きな反響がございまして、さらに五千部を増刷することといたしております。また、旅行商品企画のための相談も寄せられておりまして、今後とも積極的な広報宣伝と誘客対策に取り組んでまいりたいと考えております。  また、ザビエル渡来四百五十周年事業につきましては、関係機関、関係団体と情報交換、連携を図りますために、近く連絡会議を設置することといたしておりますが、県が主催して行います事業等につきましては、「スペイン・ポルトガル・鹿児島観光物産展」を初め、黎明館におきます「来日四百五十周年大ザビエル展」や記念講演、文化センターでのオペラ等や県立図書館での歴史的文書の展示公開などの事業を計画しているところであります。今後とも、ザビエル上陸四百五十周年事業連絡会議などを通じまして、ザビエルゆかりの市町村や民間団体とも十分連携を図りながら、事業の円滑な実施に努めてまいりたいと考えております。  次は、各種審議会の件でございますが、県の審議会等の委員につきましては、それぞれの審議会の目的に沿った必要な知識、経験等を備えた方々に御就任をお願いすることを基本といたしまして、女性の登用促進や幅広い分野からの人材の登用に努めてきているところであります。長崎県におきまして本年度、各種審議会等のうち三つの委員会につきまして、一部委員の公募制を導入されたことは承知をいたしておりますが、公募制の導入につきましては、それぞれの審議会の目的に照らし、慎重に検討する必要もありますので、今後さらに検討を加えてまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、審議会等の委員の選任に当たりましては、女性の登用促進や県民の方々の意見が適切に反映できるように十分配慮してまいりたいと考えております。 22 ◯総務部長(高田守國君)職員の名刺につきましては、全国的に公費負担の例が少ない状況等もございましたことから、本県におきましても、現在、公費負担を行っていないところでございます。しかしながら、ここ一、二年、他県におきましても公費負担が年々ふえてきておりまして、現在では二十府県が公費負担をされております。また、名刺は、申すまでもなく職員が仕事を円滑に進める上で必要なものでもございます。工夫次第では県政のPRやイメージアップにも活用できますことから、公費負担のあり方につきまして、今後、他県の事例等を十分参考にしながら検討してまいりたいと考えております。 23 ◯土木部長(板垣 治君)ザビエル公園前の千石馬場通り線は、幅員十五メートルで都市計画決定され、整備を終えています。公園と一体となった道路整備につきましては、付近の道路は交通量が多いことや密集市街地であることから、スポット的に整備するにしても課題が多く、どのような整備ができるのか、今後、公園管理者である鹿児島市とも協議してまいりたいと考えております。 24 ◯商工労働部長(松尾隆之君)錦江湾につきましては、広大な静穏海域や雄大な桜島などのすぐれた自然を有しておりますとともに、夏場を中心にウォーターフロントフェスティバルやヨットレース、横断遠泳大会などさまざまなイベントが開催されており、世界に誇れる貴重な観光資源であると認識しております。  このため、観光かごしま大キャンペーンの中でも、「錦江湾イベントマップ」二十五万部の作成や観光宣伝隊によりますPR活動など、錦江湾の魅力を県内外に広く情報発信しているところでございます。また、現在、県湾岸十五市町等で構成する錦江湾みらい総合戦略推進協議会におきまして、錦江湾の持つ各種資源を生かしました利活用の方策等を内容とする総合戦略の策定に取り組んでおります。当協議会における戦略や自然体験型観光を推進する「観光かごしまテンミリオンプラン」を踏まえながら、効果的なイベントの開催や国内外への情報発信など、錦江湾を生かした観光振興に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  現在の観光キャッチフレーズであります「いけるところまで行ってみよう-青~いかごしま。赤~いかごしま。-」、これにつきましては平成六年に全国に公募し、一万二千余りの中から選定されたものでございます。南北六百キロメートルに及ぶ広大な県土の中の多彩な観光資源を簡潔に表現したものであり、県内外に広く浸透してきていると考えております。このキャッチフレーズは選定後まだ四年であること等から、当面これを活用しつつ、その時々の観光素材に即したPR標語も工夫しながら、積極的な誘客宣伝活動を展開してまいりたいと考えております。  景気の低迷に伴い、最近、高年齢者の新規求職者が増加しているにもかかわらず、求人が減少しており、雇用情勢は特に厳しい情勢が続いております。このため公共職業安定所では、求人の年齢要件の緩和指導、各種支援制度の活用や積極的な求人開拓等により、再就職の促進に努めているところでございます。また十月は高年齢者雇用促進月間となっていることから、十四日には高年齢者雇用促進大会を開催し、事業主が一堂に会して、高年齢者の雇用問題についての意識の高揚を図ることとしております。  なお、本年四月一日から、法律改正によりまして六十歳以上定年制が義務化されたところであり、継続雇用の定着を促進する助成金等、各種助成措置を活用しつつ、六十歳定年を基盤とした六十五歳までの継続雇用の推進に努め、高年齢者が長年にわたり培ってきた知識、経験等を活用し、六十五歳まで現役として働く社会の実現に努めてまいりたいと考えております。  次に、シルバー人材センターでございますが、現在、県内の四十一市町村にシルバー人材センターが設立され、九州では福岡県に次ぐセンター数となっております。このシルバー人材センター事業は、元気な高齢者が社会の一員として生き生きとして働くことにより、地域の活性化にも大きな役割を果たしているところでございます。県といたしましても、平成九年十月に社団法人鹿児島県シルバー人材センター連合会を設立し、当該事業の発展・拡充を図り、県内一円での事業実施を目指しているところでございます。また、第三期実施計画の戦略プロジェクトである高齢者元気活躍プランにおきましても、シルバー人材センター事業の活動を促進することとしており、今後とも、この事業を通じまして、高齢者がみずからの生きがいの充実や社会参加が図られるよう努めてまいりたいと考えております。 25 ◯企画部長(和田正道君)薩摩大使につきましては、それぞれの立場から県政に対する提言や意見をいただきますとともに、本県の観光や特産品の県外への紹介・宣伝あるいは本県のイメージアップに努めていただいているところでございます。  これまで一千四百人余りの方を薩摩大使として委嘱いたしておりますが、薩摩大使の方々に対しましては、その活動などにお役に立てていただくために、「グラフ鹿児島」や「県政かわら版」などの県政広報紙やあるいは各種イベント案内、薩摩大使の名刺などを送付いたしまして、本県の情報の提供に努めております。また、薩摩大使会議や「鹿児島の夕べ」等に参加をしていただきまして、県政への提言、情報交換等を行っているところでございます。  これまで、薩摩大使の方々からはいろいろな貴重な提言、意見をいただいておりますが、例えば首都圏におきます鹿児島の情報発信機能の強化や鹿児島の魅力を生かした新たな観光ルートの設定などの貴重な意見、提言は、具体的な施策として生かされておるところでございます。また、本県の特産品の販路拡大や観光宣伝等にも多大な御協力をいただいております。  それから薩摩大使制度の見直しにつきましては、例えば任期を設けることにつきましては、現在就任していただいておられます方々の熱意とかあるいは意向等を考慮いたしますと、難しいのではないかと考えておりますけれども、今後とも、この制度のよりよいものにするための検討を行いながら、制度の円滑な運営に努力をしてまいりたいと考えております。    [志摩れい子君登壇] 26 ◯志摩れい子君 それぞれ御答弁いただきましてありがとうございました。  名刺の件ですけれども、名刺を交わすというのは日本の伝統文化の一つではないかというふうに私は考えます。ぜひ、前向きに検討していただく旨の答弁がありましたので、急いでいただきたいというふうに思います。  それから審議会、薩摩大使、この両方に関しては予想したとおりの答弁でございまして、本当に少々がっかりしているところですが、やはりせめて任期を設けるぐらいのことは考えてみる必要があるのではないかなというふうに思います。  それからザビエル上陸四百五十周年記念の行事、これも県としてたくさん考えていらっしゃるようで、ぜひ鹿児島県の観光の起爆剤となるように努めていただきたいというふうに思います。  それから桜島と錦江湾のことに関してですが、郷土鹿児島が輩出した高名な画家に、黒田清輝、和田英作、海老原喜之助、東郷青児、吉井淳二画伯などが挙げられます。もし桜島がなければ、これだけ多くの画家は育たなかったというふうに言われます。つまり桜島がこれほど多くの画家を輩出したということが言えると思います。鹿児島の持つすばらしい桜島そして錦江湾、その他屋久島あるいは阿久根、いろいろあります。持っている力をいま一度見直してみる必要もあると思います。  高齢者対策に関しましてはるる述べていただきました。これからもぜひ頑張っていただきたいと思います。  それでは、後段の質問に入ります。  今や知事の名言ともなった「天からの贈り物」である上野原遺跡は、古代へのロマンや夢を誘い、発見から一年四カ月たった現在でも見学者が後を絶たないわけです。既に県の内外から二十五万人以上の人がここを訪れており、今なお高い関心が寄せられています。上野原遺跡の持つ他に類を見ない特性に加え、係の方々の親切丁寧な説明、上野原フェスタや夏休み期間中の上野原遺跡出土品特別展、こういったものが大きく寄与していることは論をまたないところであります。  全国的に関心の高い上野原遺跡の保存活用策については、上野原遺跡整備構想として現在検討されているとは思いますけれども、整備されるまでの期間も広く全国に向けて、魅力ある情報発信が望まれるところであります。そこで、上野原遺跡の整備等について、二点お尋ねいたします。  まず第一点ですけれども、現在見学者が訪れている復元公開区は、発掘調査状況の理解や縄文体験などの学習には大変効果的ですけれども、当時の景観や雰囲気になるべく近づけるとともに、木陰などをつくるために樹木等を植える、こういった工夫が欲しいと考えますが、いかがでしょうか。  第二点は、見学者に好感を持っていただいている遺跡案内のボランティアの状況とボランティアへの配慮はどうなっているのかお伺いたします。  続いて教育問題について、五点質問いたします。  時間によっては削除するところがあると思います。  六月末だったと記憶しておりますが、NHKテレビで「荒れる学級」というシリーズが放映されました。授業中であるはずの小学一年生のクラスが、まるで遊園地のようにそれぞれが勝手に振る舞い、机の上を飛び回る者、一人黙々と何かをする子、おしゃべりをする子、机を離れ友だちと遊ぶ子など収拾がつかない状態で、私は我が目を疑い、あいた口がふさがらなかったのです。  既に五十歳を迎えたであろうこの女性教師、努力しても努力しても一向に改善されない状況に自信を失って泣き出し、やめたいとまで話しておりました。その教諭の資質とか経験とか情熱といったものをもってしても、問題解決にはつながらないのではないかなと思わせるほど、大きく異様な壁が立ちはだかっているようで、私の頭の中は疑問や憤り、同情などが交錯し、説明のつかない状態でした。果たしてこの子供たちの親はこの状況を知っているのでしょうか。これは間違いなく一種の暴力教室です。もちろんこれがすべての学校で同じ状況とは言いません。またそうあってほしくないと思います。しかし、大なり小なりこれに似た状況が全国で展開されているのではと危惧いたします。  そこで、県内の小・中学校における荒れる学級等の状況はどうなのか、またこのようなクラスを担任した先生方が相談したり、悩みを打ち明けるシステムが構築されているのでしょうか。さらに、これまでそのような理由でやめた先生がいるのか、把握していればお聞かせください。  次に、全国の七府県と一政令都市が平成八年度から実施している教員民間企業等派遣事業も、ことしで三年目を迎えております。このことについてお伺いします。  この事業は、学校の先生に社会勉強の機会を与えた画期的な試みであり、その成果に大きく期待するものであります。その成否を論ずるのは時期尚早かもしれませんが、三年目を迎えた現在の状況をお伺いいたします。  一年目は、四十人の定員に対し百六人が応募しましたが、二年目、三年目はどのくらいあったのでしょうか。また研修を終えた先生方の感想やその後の教育に対する使命感、児童生徒への対応の仕方、進路指導等へどのように生かしているのか教えていただきたいと思います。  次に、学校週五日制の導入に向け、カリキュラムの見直しを進めてきた文部省の諮問機関、教育課程審議会が七月二十九日、二十一世紀の日本の教育の進む道を示した答申を文部大臣に提出しました。答申の骨子を見ますと、ゆとりを目指し、小・中学校の授業内容を現在より三割程度削減することが盛り込んであります。ゆとりの実現や学校の創意工夫等の独自性を促し、さらに具体的な授業内容は学校に任せるなど、自主性をかなり尊重していると思います。  そこで、教育長にお尋ねします。この答申をどのように評価し、鹿児島県の教育にどのように反映させるのか聞かせてください。  次は、四点目、聾学校における手話の授業について質問いたします。  唐突ですけれども、「私の名前は志摩れい子です。私は、夜テレビを見ながら一人で勉強をしています。手話は難しいですが、勉強は楽しいです。私が手話の勉強を始めたのは、障害者の方々の立場に立っていろいろと考えたいと思ったからです。障害者にとって手話はどうしても必要な言葉です。言葉は、人と人、心と心をつなぐ大事なものです。でも、聾学校には時間割に手話の時間はありません。なぜでしょう」。まだ手話を始めて今、半年ぐらいなものですから、これくらいしかできないんですけれども、聞こえない人たちにとって、手話は手で話す言葉であり、生活する上で必要不可欠なものと思います。  しかし、聾学校ではカリキュラムに手話の課程はなく、もっぱらオーラルメソッド、口頭教授法を中心とした時間割しか組まれておりません。確かに教育とは持てる機能や潜在する能力を最大限に引き出すのが目的であることは重々承知しておりますし、否定もいたしません。その努力によって声を出せるようになる人もありますが、わずかであるというふうに聞きます。ですから、ほとんどの子供たちの会話は手話が中心で、手話の勉強はひそかに行われていると聞いています。実態に即した教育が行われていないことに少なからず疑問を抱きます。話す言葉のかわりに手話を勉強したいという願いの生徒たちに、なぜ手話を教える時間割がないのか。また児童はどのような方法で手話を勉強しているんでしょうか。  それから、今回教育課程審議会で答申した中に、盲聾・養護学校の小・中学部、高等学部の新課程も普通の小学校、中学校、高校に合わせてそれぞれ実施するとあります。例えば新設必修とされる総合学習の時間などで手話の対応はできないものかお伺いいたします。  教育問題、五点目です。  鹿児島県は、国に呼応する形で男女共同参画型社会の形成を目指しておりますが、男女の平等は法制化されても、無意識の性差別というのは依然として根強いものがあります。女性政策室の存在自体がそれを物語っているというふうに考えます。社会全体が男性主導で形成された経緯がありますから、戦後五十三年を経過してもなお、男性優先の風潮はそこかしこに見られます。男女平等をうたった戦後の教育に、現在でも残る性差別があるとすれば、それは児童生徒の名簿であり、出席簿ではないでしょうか。ごく当たり前のように、男子の「あ」から始まり、女子に後が続くという従来の名簿は、物心ついた幼稚園に始まるわけですから、無意識のうちに男子が先、男子が上という意識を植えつけていることは否めません。  たかが名簿ではないか、小さなことを言うなという向きもあるかもしれませんが、そう思うこと自体が性差別です。教育のスタート時の小さなことの積み重ねからしか、性差別の意識は改革されていかないのです。これまでの慣例であるとか、女子が先の先例はないといった古い体質では、真の男女共同参画型社会の形成はいつのことになるのか、大変難しい状況です。男女混合名簿の実現に向け、音頭を取っていただきたい教育長に御見解をお願いいたします。  最後に、県警の友人の勧めで一冊の本を手にいたしました。著者は、神奈川県警察本部性犯罪係長板谷利加子さんで、「御直披」というタイトルのノンフィクションです。「御直披」とは親展という意味で、あなただけに読んでいただきたいという強い希望がこのタイトルに込められております。国松前長官も「見事な魂の救済ノンフィクションである」と推薦の言葉を寄せておられます。本の内容は、仕事帰りに見知らぬ男性二人からレイプされた二十六歳の独身女性と著者が交わした往復書簡です。この被害者は、こんな事件は二度と起きてほしくない、不幸にして事件に遭遇した人たちのために私はどんな手助けでもしたいということで、手紙の公開を許可したと書いてあります。事件当日の刻一刻と迫りくる危機、その後の屈辱、無力、葛藤、あきらめ、そして立ち直り、生身を切り裂かれるような痛々しい内容です。一気にこの本を読み終えた私は、同じ女性として激しい憤りと悔しさで感情が高ぶり、あふれる涙を禁じ得ませんでした。  戦後日本では、被害者より加害者の人権を声高に叫んできた風潮があります。最近、レイプや性的虐待など性犯罪被害者と殺人事件や交通事故被害者の遺族のトラウマ、これは精神的外傷といいますが、このトラウマにやっと目が向けられるようになりました。早いもので、和歌山の毒物混入事件から二カ月が経過いたしました。一刻も早い事件の解決を望むところですが、他方では遺族の方や通院生活を余儀なくされた人たち、また不安といらだちで日常生活に支障を来す人など痛ましいケースが目立ち、住民の間には疑心暗鬼や不信、こういったものが生じ、心身のストレスが心の傷を深めるなど、今や地域社会全体がこの事件の被害者となっているようです。新宿のバス焼き打ち事件や地下鉄サリン事件がきっかけとなり、犯罪被害者支援に対する社会的な関心が強まってきました。しかし、心のケアへの配慮は、日本は欧米に比べますと二十年以上もおくれをとっているというふうに言われます。  そこで、県警本部長にお伺いいたします。これまでは犯罪被害者への支援は、犯罪被害者等給付金制度による金銭的な支援だけに頼ったものでしたけれども、鹿児島県においても、鹿児島県犯罪被害者等支援連絡協議会が七月に設立され、被害者等の心のケアに当たるというふうに聞いております。この協議会設立の趣旨、内容、今後の方針等についてお示しください。 27 ◯教育長(徳田 穰君)最近の学校におきましては、小学校段階から、少子化や家庭の教育力の低下など子供を取り巻く環境の変化により、基本的生活習慣や態勢が十分に身についておらず、集団生活にうまく適応できなかったり、集中力を欠いたりする子供たちがいて、授業を円滑に実施しにくい学級が一部にあるという報告は受けていますが、恒常的に授業が成り立たないという、いわゆる学級崩壊というような実態はないものと認識しております。  悩みや不安等を持つ教職員に対しましては、明るい職場環境のもとで職務に専念できるよう、校長や教頭は常に精神的な健康管理に十分配慮しております。また学年会等においてサポートするとともに、若い教職員の悩みについては経験豊かな教職員が親身になって相談に応じております。さらに、メンタルヘルスも含めた健康管理に役立てるための冊子を全教職員に配布しているほか、県立図書館内に教職員相談室を設置して、相談に応じております。  なお、荒れた学級に疲れたためやめたというような、それが直接的な原因によりやめたという先生は、おるということは聞いておりません。  上野原遺跡の植栽の全体計画につきましては、本年度中に策定する上野原遺跡整備基本計画におきまして検討することといたしておりますが、遺跡全体の植栽には時間を要することから、当面、復元公開区にクヌギやクリ等の落葉広葉樹を中心に植栽することとし、今議会に予算を提案しているところであります。  上野原を案内するボランティアは、民間の立場から上野原遺跡の活用等に協力するために設立された上野原縄文の村支援協会に所属しており、現在、三十二名の方々が登録されております。同ボランティアは七月二十日から活動を開始し、現在は三、四名程度が現地に駐在して、主に家族連れや少人数の団体を対象に同遺跡の案内等を行っており、見学者からも、気軽に質問でき、上野原遺跡が身近に感じられるなど好評を得ております。県教育委員会といたしましては、今後とも、同ボランティアの勉強会への講師派遣や説明方法の指導、助言等を行うなど、積極的な案内活動がより円滑に行われるよう配慮してまいりたいと考えております。  教員民間企業等派遣研修事業は、平成八年度から実施しており、毎年、派遣予定者の約二倍の応募者がありますが、本年度はその中から三十五人を民間企業と福祉施設に派遣いたしております。研修に参加した教員からは、さまざまな観点から意見や感想が寄せられていますが、それらを集約しますと、学校を外から見詰めることにより、今学校に何が期待され、教職員に何が求められているかを理解できた。お客や入所者を大事にする姿勢や精神に触れ、児童生徒一人一人を大切にした教育活動や保護者との人間関係のあり方について深く考えさせられた。社会の変化に適切に対応するため、さまざまな手だてを講じている企業の姿に経営の厳しさを感じたなど、有意義な研修であったとの報告がなされております。  研修を終えた者は、その成果を各種の職員研修やPTA研修会等において発表いたしますとともに、授業の工夫改善や進路指導等の充実に生かしており、本県の資質向上に寄与しているものと考えております。  去る七月に出された教育課程審議会答申の基本的な方向は、本県教育の充実発展を図っていく上で極めて重要なものであると考えております。特に教育課程の基準が大幅に弾力化、柔軟化されることは、それぞれの地域や学校の特色を生かした創意工夫ある教育活動を展開していく上で大きな意義を持つものと受けとめております。今後、国におきましては、同答申を踏まえ、本年度中にも学習指導要領の改訂を行う予定であります。県教育委員会といたしましては、その内容を見きわめた上で、平成十四年度以降実施される新しい教育課程への円滑な移行を図るため、教職員に研修を通じて改善の趣旨を周知させますとともに、必要な研究を進めてまいりたいと考えております。  本県聾学校での学習指導におけるコミュニケーションの方法といたしましては、学習指導要領に基づき、言葉による意思の相互伝達が活発に行われるように指導方法を工夫することを基本としており、口話法を中心に指導をいたしております。しかし、手話も意思伝達の大きな手段であり、口話法だけで理解困難な子供には手話を取り入れながら指導しており、例えば高等部においては手話クラブを置き、手話の指導、習得も図っております。今後、当面は養護訓練の時間において、必要に応じて積極的に手話の指導を推進してまいりたいと考えております。  なお、総合的な学習の時間での取り扱いにつきましては、本年度中に示される新学習指導要領を踏まえて対応してまいりたいと考えております。  現在、県下の小・中学校におきましては、全体の一割弱の学校が混合名簿を、全部または一部の公簿等に使用いたしております。男女別名簿につきましては、さまざまな意見があることは承知いたしておりますが、男女差別を助長するというような合理的かつ客観的な根拠は示されておらず、保護者を初め社会的なコンセンサスがあるとは言いがたいのではないかと考えております。  学校における名簿のあり方につきましては、事務を円滑に行う観点から、学校の実態に応じて校長が主体的に判断すべきものでありますが、いずれにいたしましても今後とも男女共同参画社会の実現に向けて、男女がお互いのよさを認め、尊重し合う心情を育てる教育を進めてまいりたいと考えております。 28 ◯警察本部長(小野次郎君)被害者対策の問題は大変重要な問題でございますので、手短に背景を含めて答えさしていただきますが、これまでの制度に、さらに被害者の目線に立った施策を警察としては展開しております。レディース相談電話であるとか女性被害相談所と、いずれもこれは婦人が、女性が警察に今まで以上に相談しやすいようにしているものでございます。  また、精神的苦痛につきまして、性犯罪の捜査というのは大変大きな問題でありまして、このために婦人警察官を捜査員に充てたりあるいはカウンセリング技術の研修を受講させるなど、資質の向上を図っております。また、警察だけでこの問題は対応できないものでありますので、産婦人科医師の協力も得て性犯罪被害者ネットワークを構築して、その活動を支援したりなどしております。  さらに、先ほどお話にも出ましたけれども、県医師会、県弁護士会など関係十五機関・団体と連携して、この県犯罪被害者等支援連絡協議会を設立したところでありますが、これは私どもがというか、この団体とタイアップしながら、児童虐待やいじめの被害をこうむった少年に関する問題なども、こうした性犯罪などとともに視野に入れながら、さらに総合的な被害者対策を推進してまいりたいと考えております。  警察という組織は、日夜たくさんの事件、事故を扱っておりますが、それだけに、ややもすると後で御遺族や被害者の方の立場や権利への配慮が十分じゃなかったんじゃないかと指摘を受けることがございます。いずれにいたしましても、被害者対策は人間性に十分に立脚したものにしていかなければならないものでありますので、今後とも、私自身を含めて、県警察といたしましては、部外の方々の御意見、御指導にも十分耳を傾けつつ、組織を挙げて被害者対策に十分に意を払ってまいる所存でございます。    [志摩れい子君登壇] 29 ◯志摩れい子君 それぞれ御答弁いただきましてありがとうございました。  荒れる学級については、鹿児島県内には現在のところそれは見られないということで、私も一応安堵いたしております。子供たちの人権と同じように先生の人権にもスポットを当てていただき、先生が毅然とした態度で授業に臨み、理想的な教育とか学校運営ができるように努めていただきたいと思います。  それから教員派遣事業、これはますます拡充していただきたいというふうに考えます。  それから教課審の答申については、小・中学校二〇〇二年度の新入生から、新しい指導要領によります新課程の授業が始まることになるわけで、その間どうぞ県教委を初め、皆様方のさらなる検討をお願いいただきたいというふうに考えます。  それから手話についてですが、やはり小・中学校では時間割の課程の中には入っておりません。高校でクラブ活動で多少対応しているということでございまして、先ほど申しましたように総合学習、二〇〇二年に始まる総合学習の中でもぜひ教科として取り入れていただければ、つまり本当に何を障害を持った方が求めているのか、その障害者の立場に立って考えていただき、触れ合いを密にしていただきたいと思います。せめて聾学校の卒業式には、校長先生が手話と口話法との両方でなさるぐらいの努力、気配りをしていただければというふうに考えます。  それから男女混合名簿ですが、今聞いてびっくりしました。一割弱しかまだ始めていないということで、教育立県鹿児島であれば、その教育県という名のもとに、やはりそういうことも率先してしていただければというふうに考えます。教育長はまだその原因もはっきりしないというふうにおっしゃいましたが、やはり教育長が男性であるということでそういう回答が出てくるのではないかなという、ちょっと私もひがんだ見方をしてしまいます。やはり男女が対等の立場にあるということが平等ではないかなと思います。男女同権であっても、男女平等ではないという社会がやはりあります。  つい最近まで使われておりました「父兄会」という言葉、これほどおかしな言葉はないと思います。父兄会、PTAというのは、ペアレンツ・アンド・ティーチャーズ・オブ・アソシエーションだと思います。「ペアレンツ」がなぜ「父兄」というふうに変わったのか。これはやはり男性主導でこういうものがつくられたということにほかならないと思います。これを今でも県教委の方は、公式の場で堂々と「父兄会」という言葉を使っていらっしゃいます。ぜひそういう気持ちから改めていただかなければならないというふうに考えます。  やっぱり反対に、例えば保母さんのところに男性が入ってきて「保父さん」という言葉が生まれ、さらにそれが両方ではちょっとおかしいのでということで、はっきりと「保育士」というふうに明文化されておりました。やはり改めるべきところはどんどん改めていただきたい。学校側の事務の都合上この方がいいというのではなく、こういう声があるということをぜひ頭の中に入れて、教育長は旗振りをしていただきたいというふうに私は考えます。  それから警察行政のことについても御答弁いただきました。ぜひ被害者の大変弱い立場の方々にとって、これはすばらしい制度でありますので、皆様方の努力をお願いいたします。  ちょっと質問を欲張り過ぎまして、大変読み方が速くなってしまいまして、わかりづらい面もあったのではないかと思いますけれども、皆様に御答弁いただきありがとうございました。
     それから特に手話に関しましては、一部商工労働部の職安課の石原健吾さんにも御指導いただき、ありがとうございました。  これで質問を終わります。(拍手) 30 ◯議長(溝口宏二君)次は、上原一治君に発言を許可いたします。    [上原一治君登壇](拍手) 31 ◯上原一治君 夏が過ぎて、鹿児島にも秋が訪れようとしています。私たち日本人は、いつでもその季節なりの美しさを感じとることができます。夏の光りやセミの声や、どこまでも高い秋の青空を肌で感じ、懐かしさとともに美しさを見てきました。その感受性は私たちが誇りにすべき資質であります。私たちは目を凝らし耳を澄ませば、日本人が根をおろしている文化の深さに接することができます。それは長い年月を通じて文化の基盤を支えてきた根源であり、そして残念なことに現代人が見落としているものであります。長引く不況はどうにかならないのか、自分の勤める会社は大丈夫なのだろうか、自分はリストラに遭わないのだろうか、今、私たちは日本のすばらしい文化や自然を味わう余裕を失っているように思われます。  戦後五十年、日本は平和を享受し続けてまいりました。昭和二十年八月十五日敗戦、その後の日本はあたかも生まれ変わったのごとくに西欧化してきました。そして半世紀、経済的にだけは豊かになった現在の不思議な繁栄があります。私たち日本人は、この五十年間で一体何をなし遂げてきたのでしょうか。戦後の占領政策によって多くの美徳を切り捨てた日本に、それでも生き残っていた思考力が破壊されるきっかけとなった日本の分岐点は、私は六十年安保であったと思っています。  日米安保条約が改定されるや岸内閣が倒れ、続いて登場した池田内閣が「所得倍増計画」を施政方針として打ち出しました。そして工場生産力が増すにつれて労働者の懐も潤いだし、激しいインフレを上回る賃金の上昇が常識となりました。農村からは労働力が失われ、若者が都市に集まりました。日本人の興味は政治から経済へ移行し、蓄財への関心が高まるにつれて、若者には漫画やテレビやさまざまな娯楽が与えられ、思考力に乏しい若者がふえたと言っていいでしょう。そして、高度成長からバブルを経て現在のデフレスパイラルに至る過程は、日本が思想性を失い、自己保身と経済原理のみを指針にしてきた結果だと言っても過言ではありません。家庭や学校、親子間のひずみが理解を超えた犯罪の温床となり、この国はどこかが狂っていると感じるのは私だけではないと思います。  第二次大線で同じ敗戦国であったドイツは、一九四五年で戦争が終わったと考えることなく、これからが重要な戦いであると認識をし、今日までの五十年間を費やしました。その結果、ヨーロッパで指導的な地位を確立し、ユダヤ人の国イスラエルにおいてすら、最も信頼できる国として認知されてきております。戦後五十年目の式典では、当時のイギリスのメジャー首相、フランスのミッテラン大統領が「あの大戦はドイツも悪かったが、連合国も悪かった」と総括をし、本当の意味で戦争を終わらせました。そして、現在フランスとともにヨーロッパのリーダーとして指導力を発揮いたしております。  それに対し日本は、昭和二十年八月十五日の時点で政治闘争をやめ、アメリカの傘のもとに甘んじ、国際状況から取り残される一方であります。この五十年間で、私たち日本人は、自分たちが国際社会の中でどのような位置にいるのかを忘れ果ててしまっているのではないでしょうか。日本は決して独立国であるとは言いがたい状況にあると思います。なぜ外国人投機筋の都合で株や為替が動かされるのか、なぜ日本発の世界恐慌などとおどされ、公的資金の投入を強要されねばならないのか、これは日本の問題であります。  先日は小渕恵三さんが訪米いたしましたが、日本の経済状況をほかの国から批判され、弁明に総理が出向く、これは訪問しているのでしょうか、呼びつけられていると言っていいでしょう。帰国した総理が記者会見で「日本政府の景気対策を御説明申し上げ、御理解いただいた」などと発表し、まさに子供が親に言いわけをしてきたような発言をしても、だれも不自然に思わない。米国の外債を一番多く引き受けているのはどこの国でありましょうか。為替において日本円というのは米ドルの一部であるような気さえいたします。アメリカの言いなり、なすがままの状況を見ると、まさに日本がアメリカの植民地であるような印象を受けます。戦後のドイツのような粘り強いしたたかな外交を怠った結果、アジアでの指導力も得られず、西欧諸国からの信頼もかち得ていません。ただ単に、お金だけをもうけて現在の地位を維持したいと、自己保身にきゅうきゅうとしている姿しか見えてきません。  日本の中で、恐らく最も高度な教育を受けて、最高の学歴を有する人たちが経営した山一證券が消滅いたしました。このときも飛ばしによって現実を先送りすることしかできず、商いの基本的精神に立ち戻ることはできませんでした。今また長銀問題で、住専問題や山一問題と同じ議論が政権争いに利用されています。何という不毛でしょうか。その原因は、日本人が無責任になり、自己保身にしか興味を示さなくなったということではないでしょうか。自己責任原則を忘れた甘えの構図になれてしまい、それが当たり前だと思っている。我が鹿児島県でも同じような状況ではないでしょうか。  今から質問を開始いたしますが、県当局の皆様も責任を持った答弁を要望いたしておきます。だれもが責任を取らず、すべての問題を国や経済状況のせいにするようなこのような時代に、いろんな問題と取り組まなければならないことは過酷なことではあるでしょう。できれば自己保身に徹し、逃げ出してしまいたいけれども、逃げても仕方がないことはだれもが心の底では知ってしまっているのであります。そして不安を抱えながら飛ばしを行い、先延ばしをしているのであります。経済力によって民族は生き残っていくのではありません。最も必要なのは強い精神力なのであります。歴史や伝統を捨てて未来を得た民族は、いまだ世界史に登場したことがありません。アイデンティティーを失うことによって瓦解し、滅亡するしかないのです。戦争で破れた国民はいつか勝ちます。しかし、思想で破れた民族は必ず消滅をします。私たち鹿児島県が精神性を高め、責任をとって邁進していく姿を若い人々や子供たちに示そうではありませんか。決して先延ばしせず、責任を持って立ち向かっていこうではありませんか。  では、質問を始めますが、他の議員の方との質問の重複を避けるため、また委員会にゆだねたいと考えた点が発生をいたしましたので、事前に通告した内容と内容が若干異なっていることを御了承願いたいと思います。  まず初めに、本日質問において明らかにしたい点を先に申し上げておきます。  それは、石川島播磨重工業の誘致問題を通して、当面する環境問題と大規模プラント建設による雇用の確保を考えてみたいと思っているのであります。予想を超えて深刻化している環境問題と取り組むことを、何とか現在の雇用状況の解消と関連づけて考えることができないかという点であります。この問題を整理して質問したいと思います。  まず、当初の誘致計画を雇用の側面から、つまり何人雇う予定であったかと、現在何人雇っているのかをお答ください。  さらに、昭和四十九年三月に土地売買契約を締結してから、昭和五十九年三月に第一次工事着工、平成三年三月に第二次工事着工となっておりますが、それぞれの工事でどれくらいの規模の施設が建設をされ、何人が雇用されたのかお答ください。  さらに、敷地面積と空き地面積及びその割合、県が造成時に要した費用と、またその費用を現時点に換算してお答えをください。  次に、石播用地の固定資産税は私は鹿児島市に支払われていると思います。その額は莫大な額だと思います。現状と今日に至るまでの総額を御報告ください。  そして、もともと雇用促進のために提供した土地であるにもかかわらず、当初の目的にはほど遠い現状にあります。経済状況云々と申しますが、それだけの税金を支払っているということは、それだけの体力があるということになります。石播誘致当初は、石播側にも県側にも見込み違いなどがあったかもしれませんが、二十年以上もたっています。契約関係から見直しても常識的に考えられない展開であります。第二次工事着工の平成三年からですら既に七年が過ぎておりますが、県と石播との間でこの七年間どのような意見交換がなされているのか、県のどの部署のだれが担当し、どのような方針で対応し、どのような回答を得ているのかを報告してください。  さて、ここで環境問題とのかかわりについて述べたいと思います。  石川島播磨重工業は、本年七月三十日の日刊工業新聞にLCA、すなわちライフサイクル・アセスメントについての記事と広告を掲載しています。環境効率性の重視へ向けて、生産側が製造から使用、廃棄、輸送など、すべての段階を通じての投入資源や環境への廃棄物の排出量などを計測して、地球環境への影響を客観的に評価する手法です。そして焼却炉からバグフィルター、触媒塔や活性炭吸着塔を経て、クリーンガスとして排出するプラントの広告を掲載しています。その中にはガラス瓶、廃プラボトル自動選別など、今問題となっているごみ処理問題を解決するための大型プラントが紹介をされております。ごらんになったかと思いますが、この大きな広告であります。自然メカニズムと共生する社会システムを構築するために、さすがは石播と言いたくなるような立派な広告であります。鹿児島県は現在、高隈問題で揺れておりますが、この石播用地にごみ処理の大型プラントを誘致し、雇用を創設していこうと考えてみたのですが、いかがでしょうか。  欧米では、近年ごみ処理施設は都市部に建設する方向へ向かっております。それは都市部という人目の多い場所につくることにより、監視の目がより厳しく機能し、完全な処理がなされるという考えだそうであります。郡部は水や空気や食糧をつくる場所として自然保護されるべきだという考えです。二十世紀は自然破壊の世紀であったと言われています。化石燃料や鉱物資源、森林資源などを、あたかもそれが無尽蔵であるかのように使い続け、そのために大きなダメージを地球に与えてきました。それらの資源は何十億年という歳月をかけて蓄積されてまいりました。大量生産、大量消費、大量廃棄という社会システムが、既に自然界の物質循環能力を超えて肥大化してしまいました。二十一世紀へ向かって循環型社会システムの構築を急ぐ必要があります。  現在、戦後最大にして最悪の不況だと言われています。失業問題も深刻なものになってきています。新たな雇用を創設するためには、二十一世紀の産業のどこにビジネスチャンスがあり、社会が産業界に何を求めているのかを考えなければなりません。地球環境を破壊することなく、持続的発展が可能な社会をつくるためには、自然界と経済界、人間社会の循環システムを構築することが必要です。二十一世紀のビジネスは環境問題とは切り離すことはできません。  そこで、石川島播磨重工業の問題に戻ります。  石播は環境問題の専門プラントを開発し、技術的にも高いものを有しています。私は試しに石播に電話で連絡をとり、この広告のプラントでダイオキシン問題が発生している焼却灰を処理できるのかと聞いてみましたところ、可能との返答でありました。当初の計画に拘泥し、鋼船修理、大型構造物の製造を行う鉄工所建設に限定することなく、ごみ処理のプラントをここに建設してみたらどんなものでありましょうか。  そこで質問しますが、現在県内に何万トンの焼却灰が埋もれているのかお答えください。これも莫大な数字になるのではないかと思います。それだけの量の焼却灰を掘り起こし、運搬し、再処理を施す、焼却灰処理だけでも膨大な作業量です。どれだけ多くの雇用を創出できることでしょうか。現実問題、ダイオキシンが問題となっているこの焼却灰については、どうしても解決をしなければならないのです。この問題の処理についての県の方針をお答えください。さらに石川島播磨重工業のごみ処理問題に対する広告を見て、どのような見解をお持ちかお答えください。  全国議長会から環境問題を視察するために、オーストラリアのシドニーに派遣をされました。二〇〇〇年のシドニーオリンピックのメーン会場は、ごみ処理場の跡地に建設をされていました。競技場の下に埋没している九百万トンのうち二百万トンは化学薬品、ダイオキシンに汚染されたごみだったそうであります。オーストラリアではこれらのごみを完全密封処理し、その上にオリンピック会場を建設したわけであります。災い転じて福となすというわけでもありませんが、果敢にごみ問題と取り組んでいる姿勢が感じられます。鹿児島県でも臭いものにふたをして先送りということでなく、果敢に取り組んでいきたいと思うのは私だけではないはずです。前向きの答弁を要望いたします。    [知事須賀龍郎君登壇] 32 ◯知事(須賀龍郎君)石川島播磨重工業の昭和四十八年の当初工場建設におきましては、鋼船修理と陸上大型構造物の製造などのための工場建設をすることとし、工場の建屋は約二十万平方メートル、従業員数は約三千人ということでありました。また、就労人口は現在は石播の社員百七十三名、石播の協力企業の従業者三十八名の合計二百十一名となっておりますが、このうちの九割は地元雇用であります。なお、石播用地につきましては全体の敷地面積百三十二・二ヘクタールであります。このうち、昭和六十年四月に操業開始しました第一次工場に十七・五ヘクタール、また平成四年十月に操業開始いたしました第二次工場に二十ヘクタールの合計三十七・五ヘクタールを現在使用しているところであります。第一次工場と第二次工場の施設の規模は、用地としては三十七・五ヘクタールでありまして、三万一千七百平方メートルの建屋がここに建設をされております。  また、雇用につきましては、第一次工場、第二次工場ともに操業開始時に六十九人ずつが採用されているところであります。現在の空き地面積は九十四・七ヘクタールでありまして、これは石播用地全面積の七一・六%に当たっております。  次に、埋め立て造成に要した費用につきましては、当時の事業主体であります鹿児島開発事業団の資料によりますと、埋め立て造成費用は総額で百二十億円でありまして、これを現時点の分譲単価で換算いたしますと五百三十一億円となります。石播が所有しております当該土地の固定資産税につきましては、これは御指摘のとおり鹿児島市税でございまして、県としては把握はいたしておりません。ただ、企業ごとの税額に関しますことは、これは法令上公表できないことになっておりますことも御理解をいただきたいと存じます。  次に、石播との間におきましては、この七年間どのような意見交換がなされたかということでございますが、第二次工場着工後におきましても、県としては再三にわたりまして、石播に責任を持って本県の発展に寄与するような具体的な計画を一日も早く作成してもらいたい、また、全面的な土地利用が図られるようにすべきであるという方針のもとに、これまでも要請をしてきたところであります。また平成五年四月一日には鹿児島開発事業団の解散に伴いまして、県から文書でも要請をした経緯もございます。これまでも石川島播磨重工業の技術やノウハウ等が生かせる橋梁等の大型構造物の製造事業の拡大はもとより、航空、宇宙関連事業、海洋開発事業や、最近では環境新素材関連事業についても事業化の可能性等につきまして、いろいろ話し合い意見交換も行ってきたところであります。これに対しまして石川島播磨重工業としては、この用地は石川播磨重工業の生産拠点として利用していくという従来の考え方に全く変わりはなく、現在、石播を取り巻く経営環境が極めて厳しく、具体的な事業計画は立っておらず、未利用地が残っていることに対しては、県に対し大変申しわけないということを言っておられるところであります。なお、さらに社内におきまして、この鹿児島用地の検討するために社内検討チームを設置をし、土地利用計画の検討をしているということを聞いております。今後とも、石播の責任におきまして未利用地の有効利用が図られますように、さらに要請を強くしてまいりたいと考えております。  なお、石播問題につきましては、これは商工労働部が所管をいたしておりますが、県政上、極めて大事な問題でもありますので、私以下職員が一丸となってこれに取り組んでいるところであります。 33 ◯商工労働部長(松尾隆之君)石川島播磨重工業の企業動向等につきましては、かねてより新聞等を含め情報収集や意見交換を行っているところであり、七月三十日の日刊工業新聞の広告も承知をしております。石播はごみ焼却技術の研究開発、焼却プラントの製造を手がけるなど環境関連ビジネスについても重視しており、未利用地での今後の新たな事業展開について意見交換をしてきたところでございます。ごみ処理施設を石播の未利用地に設置できないかということにつきましては、石播としては、ごみ処理施設の設置につきましては事業の採算性、住民のコンセンサスが得られるかなど難しいが問題が多いことから、事業として行う考えは持っておらず、引き続き、みずからの所有地であるこの土地を同社の事業の重要な生産拠点として保有し、将来その方向で利用していきたいとの強い意向を有しており、県といたしましては、現在のところその設置は難しいと考えているところでございます。  県といたしましては、今後とも石播の企業動向の情報収集に努め、未利用地の活用策、事業の可能性等について意見交換を行い、あらゆる機会を通じまして、石播の責任におきまして、全面的な活用がなされるよう要請してまいりたいというふうに考えております。 34 ◯環境生活部長(大久保博志君)これまで埋め立てられてきた焼却灰の総量につきましては、集約いたしておりませんが、本県内では市町村等の一般廃棄物の焼却灰が、平成七年度の調査で年間約五万二千トン発生いたしており、この四分の三につきましては当該市町村等の管理型最終処分場において適正に処理され、約四分の一については安定型最終処分場等において処分がなされてきております。この安定型最終処分場等で処分することについては、適正な処分方法でないため、県としましては、安定型最終処分場等で焼却灰の埋め立て処分を行っていた市町村等に対しましては、管理型最終処分場の整備や他の管理型最終処分場への処理委託など、適切に最終処分を行うよう指導したところでございます。    [上原一治君登壇] 35 ◯上原一治君 いずれにしましても、石播問題は解決しなければならない問題です。あれだけの土地であります。石播の態度は、言葉遣いは不適切かもしれませんが、悪く言えば県政をばかにしております。このまま放置しておくと、県民の石播に対する不信感が修正不能の状況に陥ってしまいます。また、県に対しましても、一体今まで何をやってきたんだという思いが既にあります。手をこまねいていることなく、さらに早急に執拗に対応してほしいものであります。  学校給食のポリカーボネート食器の問題にしましても、三月議会以来、全会派の議員がそれぞれに質問をし続けているのであります。しかし、国の安全基準を満たしているという答弁のみで、本県独自の姿勢が見られないのであります。再び本県の姿勢を知事に問いたいと思います。  さらに、対応を急いでほしい問題を質問します。  前六月議会で、これも田原鉄可さんが質問されたエンドファイト問題についてでありますが、アメリカ産の牧草を食べた牛が障害を起こし、全国においては数百頭、加世田と枕崎で十五頭が死亡した事件です。牧草に含まれるエンドファイトという菌が原因ということで質問をしたところ、県は「検査済みのを牧草を与えるよう指導している」との答弁でした。アメリカからの牧草の輸入量と鹿児島県への流通量、さらに鹿児島県内でのエンドファイト菌に対する調査結果をお聞かせいただきたい。要するに、先ほどの石播問題にしてもしかり、エンドファイト問題でもしかり、議会の場でのみ善処する旨答弁し、のど元過ぎてしまえば、はっきり言って放ったらかしと言っても過言ではありません。議会軽視ではないでしょうか。それを許してきた私たちもですが、知事並びに執行部の根本的な姿勢は実に問題です。  例えば、前々回の議会で自民党幹事長の加治屋義人さんが知事の政治姿勢をただしたところ、アイドリングストップ運動に県民運動として取り組むと答えられた、これが三月二十四日のことであります。その翌日、三月二十五日、私が県庁行政棟を通りかかりましたところ、県所有のバスみやまが正面玄関で正々堂々とアイドリングをしている。私が見ていただけでも十分以上です。その翌日が西回り高速道路開通の日だったので日にちまで覚えています。このバスの運転手さんがどうのこうの言いたいのではなくて、知事が前日に「アイドリングストップ運動に取り組む」と答弁したことを、末端の職員が全く知らないという組織上の問題を私は問いたいのであります。さらに六月議会で知事が環境基本計画を策定するとともに、具体的行動計画ローカルアジェンダ21を制定し、県職員も積極的に環境問題に取り組むと答弁された直後、議会で議員に配られたうちわがこれであります。プラスチック製品で紙も張られていない。県は紙工業や伝統文化の保護振興を図ると言っておるのですから、うちわならば竹製品に紙を張ったやつを配るべきではないでしょうか、無神経だとは思わないでしょうか。  まだあります。以前議会で環境保全型農業の振興ということで、その中には農業用廃ビニールの対応にも取り組みますと答弁がありました。その後の鹿児島新報に、農業改良普及所が日置郡吹上町の永吉小学校でサツマイモ植えつけ教室を行った記事が掲載されていました。中に、ことしから新たにマルチ農法、すなわちビニールを使用する農法を取り入れたと誇らしげに語り、ビニールの写真入りで掲載されていました。要するに、知事初め執行部の答弁というものは末端には浸透していないのであります。組織として機能していないのであります。県の答弁は、議会を乗り切るためだけの議論のためだけの答弁にすぎないと言われても反論できるでしょうか、議会を軽視した話だと思いませんか、知事の姿勢を問いたいと思います。  さらに、知事の女房役である副知事、こういった組織上の基本的なところは副知事の仕事ではありませんか。知事に恥をかかせていると思いませんか、御答弁ください。    [知事須賀龍郎君登壇] 36 ◯知事(須賀龍郎君)まず、申し上げたいと思います。  県の答弁は、議会を乗り切るための答弁であり、議会を軽視したものではないかという御指摘でございますけれども、そのような考えは毛頭ないということを明確にお答え申し上げておきます。今までも答弁してまいりました内容等につきましては、着実にその取り組み等も行ってきていると私は考えております。  なお、私の考え方が職員に徹底をしていないと御指摘でございますが、これにつきましては、県行政を進めるに当たりましては常に職員との意思の疎通を図りながら、私の基本的な考え方等につきましては、幹部会あるいは庁議等を初め、いろいろな機会を通じまして明確に指示をいたしてきております。ただいまアイドリングにつきましては御指摘をいただきましたけれども、今後、このような事態が起こらないように十分注意をしてまいりますとともに、環境基本計画に基づきます県庁率先行動計画を年内に策定をいたしまして、その徹底を図ってまいりたいと考えております。  次は、ポリカーボネート製の食器でございますが、この食器につきましては、国は現段階においては使用禁止等の措置を講じる必要はないと、こういう見解を示しておりますものの、このことは児童生徒の健康への影響に関することでもありまして、保護者の方々も不安を持っておられると聞いております。県教育委員会といたしましても情報の収集や情報の提供を行いながら、市町村教育委員会をいろいろ指導をしているようでありますけれども、この食器の選定は最終的には市町村が判断することとなっております。恐らく県教委といたしましても隔靴掻痒の感があるのではないかと思いますが、県立の特殊教育諸学校におきましては、これはできるだけ早く食器を切りかえるように準備を進めてまいりたいと考えております。(拍手) 37 ◯副知事(白崎徹也君)知事の政治姿勢は県行政を進める上の基本でございます。職員は、常に知事の考え方、方針を十分理解し、職務に取り組まなければならないと考えております。私も知事の考え方や方針につきましては、かねてから庁議の場、幹部会議、さらには次長さんを集めた会議、またいろんな協議の場や打ち合わせの場等で職員への周知を図っているつもりでございます。御指摘をいただきましたようなこともございます。今後とも、各職場におきまして知事の方針に沿った対応がなされますよう、幹部職員研修、職場研修、いろんな場がございますので、こういう場を通じまして周知徹底に努めてまいりたいと思います。 38 ◯農政部長(脇田 稔君)平成九年度の我が国への乾牧草の輸入量は約百五十二万トンで、このうち米国からは約百二十二万トンが輸入され、うちオレゴン州産のペレニアル・ライグラスは二十二万トンを推計をされております。また本県の志布志港での輸入量は、平成九年度の米国産乾牧草の輸入量は六千九十四トンでありますことから、全国の輸入動向に沿って推計をいたしますと、ペルニアルライグラスは約一千トン程度と考えられますが、県内での流通量は把握はできません。エンドファイトにつきましては、米国乾牧草協会がオレゴン州産の乾牧草を対象に、平成十年三月からオレゴン州立大学に依頼して検査を実施し、毒素の検出がないことを確認した上で輸出することとされております。また、国内におきましては、国の飼肥料検査所が平成十年四月から抜き取り検査を実施をいたしておりますが、九州では福岡飼肥料検査所が、志布志港から荷揚げされました一件を含む五件の米国産乾牧草を検査し、いずれもエンドファイトの毒素は検出されなかったと聞いております。なお、本年はこれまでのところ県内でのエンドファイトによる中毒は発生しておりません。県としましては、現在、農家等から依頼があった場合、国の飼肥料検査所と連携をして、エンドファイトの検査ができるよう対応策を検討をいたしております。 39 ◯保健福祉部長(矢島鉄也君)八〇二〇運動は、生涯を通じての質の高い生活を送るために歯科保健に関する意識の啓発を図り、八十歳になってもかめる自分の歯を二十本以上残すことを目的とする運動でございます。先生から御指摘がございました、このうちわでございますが、このうちわは、この運動推進の一環として啓発用に五千本作製いたしまして、市町村や各関係機関を初め、八〇二〇運動推進県民大会の参加者にも配布したところでございます。啓発用媒体作成に当たりましては、かねてから材質等には配慮されておりまして、今回のこのうちわの骨組みも炭素と水素のみで構成されておりますポリプロピレンという合成樹脂で、焼却をいたしましてもダイオキシンは発生せず、二酸化炭素と水のみということでございまして、いわゆる環境ホルモンの疑いがあると言われております六十七物質にも入っていないものでございます。今後とも、啓発用媒体作成に当たりましては、使用材料についても十分配慮してまいりたいというふうに考えております。    [上原一治君登壇] 40 ◯上原一治君 御答弁をいただきました。  本日マスコミ報道で詳しく知りましたが、長銀系列の日本リースが倒産、負債は二兆四千億円だそうです。国全体の問題の縮図が、鹿児島県の問題なのでしょうか。バブル期に発生した問題にふたをして、上部団体に頼り、役員は自己保身にきゅうきゅうとしている。そのだらしなくも痛ましい結果が、今回の長銀破綻劇であります。私は議員活動を通して主張し続けたいことがあります。鹿児島県を大都市の小型版にしたくないのであります。国にお伺いを立て、他県ではどうこういう状況で、こういうことは聞き飽きたのであります。逆に、全国が鹿児島県を手本としてやっていく、そんな果敢な、したたかで粘り強い県であってほしいのであります。維新を起こした大先輩方は、それだけのものを持っておられました。そして、もともと鹿児島とはそういう土地なのであります。私のような一議員の力は知れておりますが、目の前の問題に対し一つ一つ真摯に、果敢に、したたかに取り組んでいきたいものであります。その姿勢が必ず日本の再生につながると信じるものであります。  以上をもちまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 41 ◯議長(溝口宏二君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ─────────────    △ 日程報告 42 ◯議長(溝口宏二君)明日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問及び議案等の委員会付託であります。       ─────────────    △ 散  会 43 ◯議長(溝口宏二君)本日は、これで散会いたします。         午後三時九分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...