増留貴朗君に発言を許可いたします。
[増留貴朗君登壇](拍手)
4 ◯増留貴朗君 平成十年第三回定例会に際し、
一般質問いたします。
冒頭に
警察本部長、あなたに御礼を申し上げておきたいと思います。
昨晩、一昨晩、鹿児島市下伊敷町
栄門町内会、私が町内会長でありますけれども、そこで栄門祭りという祭りを二晩続けていたしました。大体多くて三千名ぐらい、二晩ほどたくさんの方々がお見えになったんですが、実は、私の地域にも暴走族が大変ばっこしておりまして、ことしの八月二十日から九月二十日まで、町内で「
地域安全パトロール隊」というものを結成をいたしまして、私もそのうち一カ月間の二十日間、毎晩十時から
パトロールに出てまいりました。
そういう関係もありまして、昨晩、一昨晩のお祭りには、恐らくまた暴走族が出没するんではないだろうか、そういうことで、西警察署を中心にして
管区機動隊の方々までおいでをいただきまして、万全の態勢で対策をとっていただきました。
西署の所長さん、本部の交通部長さんも一昨晩はお見えになりましたけれども、おかげさまで何も大きな事件もなく終わりました。心から頑張っていただいた警察官の
皆さん方に御礼を伝えてほしいと思います。
ただ、実際にその一カ月間の
地域パトロール、また、昨晩、一昨晩と、自分で直接、髪を茶髪に、もう今は赤に染めた者もおりますが、耳にイヤリングをした、この
子供たちと接してみますというと、非常に人権思想が強い。
昨晩は、オープンカーで四名乗って、そして車のカーコンポというんですか、非常に大きな音で走る車に対して、警察の方がカメラあるいはビデオで写真を撮っておりました。反対車線の方から撮っていたんですが、わざわざ車をとめて、その警察官のところへ来て、「何で写真を撮るんだ」と、「
人権じゅうりんだ」というようなことで、写真を撮られたことに対して非常に文句を言っておりました。
謂集をしている
子供たちに会いますというと、駐車場、あるいは特に交通規制の
駐車禁止等のないところにとまっているものについて声をかけますというと、「何も法律的な違反をしていないじゃないか」と、「何でおれたちにあなた方が解散をしろとか、あちらの方へ行けとかという権利があるんだ」ということで、非常に食ってかかりまして、現場の第一線の警察官の方ですら、なかなかてこずっているというのが実情です。
そこまで
子供たちはお互いに研究をし合い、どうすれば対抗できるかという対抗策を既にマニュアルをつくり上げている。
また、見ておりますというと、しょっちゅう携帯電話で連絡をとりながら情報を送って、ここはこういうぐあいであると、こっちはだめだよとかあっちへ行けとか、そういったようなことを言っておる節があります。非常に難しい状況になったなと、実際に私も現場でやってみて思いました。
どうかひとつ大変な状況の中ですけれども、頑張っていただきますように、改めてまた警察の
皆さん方、あるいはまた、
少年補導員の方々、あるいは学校の方々、あ、言い忘れました。昨晩、一昨晩は、
鹿児島市内の公立・私立の
高等学校の生活指導の先生方も半分ずつ出てこられましたので、これは
徳田教育長にも御報告を申し上げて、お礼も言っておきましょう。
それでは、早速通告に従って質問に入ります。
八・六水害、ちょうどこの八月の六日で丸五年が過ぎました。私の家のモルタルの壁には、まだ私よりもうんと高いところにその痕跡が残っております。五年前を思い起こしますというと、まさに悪夢のようなという表現になろうかと思いますが、ことしも関東地方、あるいは中部、四国といったようなぐあいで、大変な水害がありました。いつ、何時また同じことが起こるかもしれませんけれども、特に鹿児島市の都市河川の中で、
甲突川改修に際しまして、大変な御努力をいただいておりますことに、
地域住民にかわりまして、まず知事に御礼申し上げたいと思います。
激特事業二百六十八億、県単
激特助成事業六十五億八千万円、
都市河川改修事業十一億六千五百万円、県単事業四十四億二千四百万円、合計で三百八十九億六千九百万円が、これは平成十一年も入りますけれども、投下をされることになります。支川に
補助事業と県単事業を合わせて六億六千一百万円、遊水池、ダムの調査に三億一千五百万円、優に四百億円になんなんとする大変なお金を使っていただきまして、私どもも何とか今は安心をして眠ることができるようになりました。
しかし、甲突川の河道のさばける流量というのは七百トン、計画では一千トンですから、あと三百トンを何とかしなければならないわけですが、これから先、どういうぐあいに進めていっていただけるのか、甲突川の改修について、まず、お尋ねを
土木部長にいたしたいと思います。
確かに
激特事業、まだ一部分残っておりますけれども、上流の方が手つかずの部分がある。下から参りますというと、小山田町の小山田・谷山線との取りつけ部分の国道の塚田橋、県道の塚田橋は改修をしていただきましたけれども、これとあわせて国道の塚田橋が、ツーピア・スリースパンでありますので、これをワンピアのツースパンに変えるということになっておりますが、これがまだそのままであります。
でき上がった橋がありますが、その結果、幅員はあるんですけれども、一方通行にしてありまして、
地域住民の
皆さん方がそこを「両方から車を通らせてくれよ」と、こういう要望があるんですが、国道三号線との関連で、
公安委員会、警察の許可がおりません。一刻も早くその国道の塚田橋の改修をしていただきたいんですが、それは
国道工事事務所との関係でどうなっておりますでしょうか。
それから、さらに上がってまいりますというと、名越の国道三号線が崩壊をいたしました。ショートカットして河川をつけかえたわけですが、その折に、その地域には、多自然型の
河畔公園をつくりますという約束を当時の土屋知事がしておいででございます。
用地買収をいたしますときに、その地権者は自分の裏山が崩れて、自分の家も八・六水害でぺしゃんこになりました。どこかへ移転をしたいと思っているところを、ここは川を新たに引きますので、どうかひとつ
用地買収をさせていただきたいということで買い上げました。
そういった地域との約束がありますので、この
河畔公園、全然手がついておりませんけれども、どうしていただけるのかお伺いいたします。
それからさらに上流に行きますというと、
小山田小学校というところがありますが、
小山田小学校から上は、
総合治水対策の
小山田遊水池をつくる。大変大きな計画で、四十四ヘクタールを当初、計画をしておいでのようでございましたけれども、この
小山田地域は、水田は八十ヘクタールしかない。そこへ半分の四十四という遊水池をつくることについては、地域は反対だということで、これまでも説明会を受けませんでした。何とか調査だけはさせてほしいということで、測量調査はしていただきましたけれども、いよいよこれも下流の河道改修が済めば、次にかかってもらわなければならない問題です。
その地域の河川については、遊水池をつくりますのでということで、壊れた護岸あるいは洪水のときに溢水をする堤防は、そのままの状態で放ってあります。実際に遊水池ができるまでには、計画から
事業完成まで、私は少なくとも二十年かかるんではないかと思うんですが、それまでにその八・六水害の放ってある堤防等はどうなさるのか。
遊水池構想等について教えていただきたいと思います。
次に、
住宅政策と林業振興についてお尋ね申し上げます。
本年の全国の住宅の着工数は、七月現在で年率に換算をしますというと百十万戸。一番住宅がたくさんできたのは、昭和五十五年二百万戸でありますから、その後、もちろん落ちてまいりまして、大体百五十万から百六十万戸が全国のペースでありましたので、この百十万戸というのがどんなに厳しい状況になっているかというのは御理解いただけるかと思います。
つい最近の地元紙の新聞ですけれども、そういった中で、
アメリカの非常に攻勢が激しゅうございまして、鹿児島市の
鹿児島銀行本店の
別館ホールで、
米国輸入住宅セミナー(在
福岡アメリカ領事館、
ジェトロ鹿児島貿易情報センター共催)ということで、この十七日の日に四人の講師、しかも
米国領事館のマーティン・
マーフィー領事がおいでになられて、米国の住宅は、工程管理がすぐれており、高い機能性を持つ。知識を深め、ビジネスに役立ててくださいということで、鹿児島の
建築工務店の経営者らを呼んでセミナーをして、
アメリカ型の
ツー・バイ・フォーの住宅をつくれと言って、こうしてやってきておいでなんです。
一方で、私どもは、鹿児島の木造、県産材を使った
木造住宅をぜひひとつ県は頑張ってやってくださいということをお願いをしているわけなんですが、数字で見ますというと、鹿児島の木造率が、平成六年度六四・七%、七年度が五八・八、八年度が五六・八、九年度が五三・八%というぐあいにどんどんどんどん実は落ち込んできております。
片っ方では、今申し上げたプレハブ、あるいは
ツー・バイ・フォーの木造の住宅は、全体のシェアの五%から一〇%という
ぐあいに勢いを増しております。
そういう意味で、私は非常に危機感を強めているんでありますが、県の住宅課の方では、この
木造住宅振興について、どういうぐあいに現在はお考えになっておられるのか。
ウッドタウンプロジェクトももちろん存じております。鹿児島県の市町村の
木造住宅は、昭和五十七年に金峰町で、一番最初に十棟つくっていただきました。私の知り合いの木材業者がそれに材木を納めて、半分しか金がもらえなかったと。完全に積算の間違いであったということがありましたけれども、それから鹿児島県は常に全国のトップを走って、公営の
木造住宅等には力を入れていただいてまいりました。その点については、心からのまた敬意を表するわけでありますが、この現在の県の
木造住宅振興の状況というものについてお示しをいただきたいと思います。
その関係の制度でありますが、特に鹿児島の
優良住宅制度は、民間の
木造住宅建設の推進上、大きな役割を果たしてきていると思います。
地域優良木造住宅、
克灰対策住宅、
克水住宅等々あるわけですが、今回、
住宅金融公庫の制度の見直し等がありました。これまでの
地域特性対応型住宅を二百万円の融資、これは県の
地域木造住宅の抱き合わせで、県の基準に適合すればそれを使ってよろしいということでしたけれども、今回は、その
地域特性対応型住宅から、これを廃止して、
地方公共団体施策住宅ということで、十月の一日から五百万円の
割り増し融資をすることになった。
そして、県との連動はなくとも結構でございますということになってきたわけですが、
鹿児島優良住宅制度、これはぜひ存続をしていただきたいと思うんですが、これについてどのようにお考えか、御検討方の内容をお知らせをいただきたいと思います。
そして、これは私もうっかりしていたんですが、実はこれに
所得制限がついていた。これだけは非常に残念なんですが、この各県つくっておりますけれども、全国で三十の都道府県で、今の申し上げたような
地域優良住宅の
融資制度をつくっておりました。
助成制度をつくっておりました。このうち収入基準に制限のあるところが十三県、基準のないところが十七県で、鹿児島県は基準のあるところの十三県に入っている。
そして、こうして見てみますというと、調べてみますというと、その
所得制限の一番厳しいのが、実は鹿児島県でありました。当初六百八十八万から、現在は、平成十年で七百十六万になっているんですが、木材の振興、少なくとも全国で林業県と言われて木材を振興するんであれば、これは必要なかったと思うんですけれども、どうしても私には合点がいかないんであります。どうして
所得制限がついていたのか。今後これをどういうぐあいになさるおつもりか、お聞かせをいただきたいと思います。
そして、あわせて、
木造住宅の推進のために、
住宅性能保証制度なるものを国が示してまいりました。
住宅登録状況とその
木造住宅に関する
クレーム等を、住宅課の出先と申し上げていいのかどうかわかりませんが、
住宅総合センター等で取り扱っておられるかと思いますけれども、この
住宅性能保証制度の現状について伺いたいと思います。
あわせて
木造住宅をたくさんつくってもらうためには、
住宅産業の技能者の育成が大切であります。大工、左官、かわら屋さん、板金屋さん、あるいは左官屋さん、内装の建具屋さん、畳屋さん等々いっぱいの技能者がいるわけでありますが、その
住宅産業技能者の育成について、鹿児島県
木造住宅推進協議会をつくっていただきました。そして一生懸命にやっていただいているかと思うんですが、こころのところをちょっと、
当該委員会に所属をしておりませんので、その活動の状況を伺っておりませんので、改めてここから伺わせていただきたいと思います。
以上、第一回目の質問といたします。
[
知事須賀龍郎君登壇]
5 ◯知事(須賀龍郎君)
木造住宅の振興につきましては、
木造県営住宅を核といたします
ウッドタウンモデル団地の整備を進めますとともに、
鹿児島優良住宅制度によりまして、個人の
木造住宅建設を支援してきているところであります。
ウッドタウンモデル団地の整備は、昭和六十一年度から積極的に取り組んでまいりましたが、平成九年度末におきます
木造県営住宅の
累積建設戸数は、六百六十七戸となっております。
また、
鹿児島優良住宅制度は、良質な
木造住宅の建設を促進いたしますために、
住宅金融公庫の
割り増し融資と県の補助を連携して行うものでありまして、平成九年度末までに一千戸を超える
建設実績となっております。
この制度の一層の普及を図りますために、本年度から制度の一部見直しを行ったところでありますが、今後、
木造住宅の振興という観点から、さらに検討を行ってまいりたいと考えております。
また、
住宅性能保証制度は、住宅の品質、性能につきまして、
住宅建設業者等が一定の保証を行う制度であります。平成九年度末現在の本県におきます
累積住宅登録戸数は、約四千戸に及んでおりますが、
当該住宅に関しますクレームは、ほとんど寄せられていない状況であります。
なお、
一般住宅に関します相談につきましては、県の
住宅建設総合センターが応じているところでございます。
6
◯土木部長(板垣 治君)甲突川の激特及び
助成事業につきましては、河床掘削が終了し、護岸工事が約九割が完了しており、残る工事につきましても、平成十一年度までに完了させることとしています。
また、国道三号塚田橋につきましては、現在、国と協議をしており、平成十一年度には改築に着手する予定であります。
名越地区の
水辺環境整備につきましては、
名越地区環境整備計画構想に基づき、平成十年度に市と連携を図りながら、調査・検討を行うことにしています。
小山田遊水池につきましては、広大な用地を必要とすることから、買収方式や
借り上げ方式など多方面から調査・検討を行っています。
また、遊水池の整備には、長期間を要することから、現況河川の整備が必要な箇所につきましては、当面、県単事業等で対処することにしたいと考えております。
鹿児島県
木造住宅推進協議会は、平成七年度に設立されて以来、
木造住宅建設技能者の高齢化、
後継者不足等に対処するため、
木造住宅の
建設技能者の育成に関する事業等などを実施しています。
具体的には、
県内中学校、
高等学校の生徒への技能者の
業務内容等の紹介、
パンフレット等の配布、工業高校の生徒を中心とした
木造住宅建築現場などの
見学会等を実施してきています。
平成十年度におきましても、同事業を継続して実施するとともに、新しい
住宅建設技術に関する研修等の実施を計画しています。
県といたしましても、今後とも
木造住宅関連産業の活性化のため、
木造住宅推進協議会の活動を支援してまいりたいと考えております。
[増留貴朗君登壇]
7 ◯増留貴朗君 ぜひひとつ
木造住宅の
優良住宅制度の
所得制限、撤廃、これだけは知事、どうかひとつお願い申し上げておきます。
先ほど申し上げましたように、もうWTOの関係で何とか輸入規制をしてほしい。
アメリカの製品、あるいはそれによる
木造住宅の輸入というのは、何とかならないかということを、一昨日も
農林政務次官になられた
松下忠洋先生にもそういうお願いを業界挙げてやったんですが、なかなか難しい国際間の問題であるということでございました。
そういう中で、先ほど申し上げたように
アメリカの領事がセールスマンになって、日本に
アメリカの
木造住宅はいいですよという宣伝をわざわざしに地方を回っている。そういう事情でございますので、これは何とかしていただきませんというと私はいけないと思います。これはもう林務の仕事ではありません。土木部の住宅課、あるいは建築、あるいは財政の
皆さん方、どうかひとつよろしく御理解いただきたいと思います。
甲突川の遊水池の問題なんですが、これだけははっきりと申し上げておきます。土地の
買い上げ方式は、地域としては絶対に反対です。
借り上げ方式で、将来でき上がった段階で、稲をつくり、洪水があって、その場合において補償をするという方法であれば、何とかまだ説明会をし、話をする余地があると思うんですが、当初の、すべてを買い上げますというのは、もう地域の死活にかかわる問題でありますので、地域では全然受け付ける意思もありません。私もこのことについては全く同感でありますので、
土木部長、ひとつその点で本省の方とも十分な話し合いをしていただきますようにお願いを申し上げます。
次に、
次世代型公共事業についてということで通告をいたしておりますが、こういうことです。
公共事業というのは、単に道路、港湾、治水、あるいは砂防、
農業基盤整備等々だけであるんであろうか。
今、東京、中央においては、新しい
公共事業、新
社会資本の整備ということで、いろいろな分野について、これからの国内の
社会資本整備というものが言われております。
そういう中で、やはり何とか我々も既に考えて手を打たなければいけないと思うんですが、実は、このうちの
情報通信の部分はどうなんだろう。これからの日本の中においては、
情報通信技術の進歩というものが、日本の国を変えますよと。
せんだっての
郵政議員懇話会の中で出てきました
情報通信、政策大綱、
デジタル革命による日本経済の再生というものをいただいておりますけれども、これには、
インターネット市場の拡大と新規産業、雇用の創出、
政策効果、二〇〇〇年における
経済波及効果は一・四兆円。
雇用効果七万人。二十一世紀のマルチメディアの創造、
政策効果、二〇〇〇年度における波及効果、市場規模一・六兆円、
雇用効果六万人と、こういうのを実は郵政省の方はお配りになられたんです。
じゃ、本県はどうなんだと。これから先はどうなんだということで、新
技術情報課なのか、あるいは、
公共事業ですから、財政のどこかなのかというようなことでお願いしたんですが、なかなかその新しい形の
公共事業というものについての回答は参りませんでした。
ちなみに新
社会資本の整備ということで、福岡県、宮崎県、熊本県等に問い合わせをいたしましたところが、返ってきたのは、熊本県、パソコンを配るようにしておりますとか、あるいは
総合通信高度化プランを平成十年から十一年にかけて策定の予定ですとか、まだ実施の段階ではありませんでした。
宮崎県も、特に実績はなく、今後の対応については、現在検討中でありますということで、答えは返ってまいりませんでした。
福岡県だけが、本県のマスタープランの中で、二〇〇五年までの県内の
光ファイバー網整備終了を目標に国及び関係機関との連携を強化してまいりますと、学校へのパソコンを配置しますと、そういう等々が出てまいりましたが、実際に新しい
情報通信の分野が新
社会資本ということで出てきても、なかなかこの地元の企業がそれに参画をし、そしてその仕事を地域に大きく波及させるというのは難しいようです。
しかし、それをやらなければいけないと思っておりますので、やっていただきたいわけですが、鹿児島県については、これまでの
情報通信の分野で
戦略プロジェクトで五十億円の事業が計画をされておりますと。また、県が発注したこの分野での地元企業の参加の状況については、
情報分野は、従来、導入した
大型コンピューター関連の企業しか開発できないことが多かったため、ほとんど随意契約によっておりましたが、
県内企業の参加は、
データ入力や
コンピューター操作など限られたものであったようでありますけれども、近年は、
情報関連技術の標準化が進んでまいりましたので、ソフトウエアやLANの開発設計、
維持管理等についても
県内企業含めた競争入札による契約へ移行しておりますので、できるだけ
県内企業の受注をふやしてまいりたい、そう返答が参りました。
大変すばらしいことだと思うんですが、やはり新
総合計画の中で、これからの新しい
リーディング産業、新しい分野の企業を立ち上げていく、それを育成をしていくということが書いてあります。片っ方においては、恐らく
公共事業という概念が多少変わってくるでしょう。
ちなみに調べてみますというと、
公共事業というのは、昭和二十四年の緊急失対事業法の中で言葉が出てきて、ああ、これはあの戦後の
ニューディール政策の
アメリカのGHQの指導による受け売りで、それが五十年間ずっと続いているんだなという僕は感じでいるんですけれども、そういう状況の変化というものが出てくると思います。
どうかひとつそういう意味で、これはもう回答をいただきませんけれども、通告をいたしておりましたので申し上げますが、どうぞ十分に研究をされ、そして早く地元の企業等、あるいは技術の振興等していただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。
「農業」と「心の教育」。農業施設を体験学習に活用できないか。
せんだって、日本教育新聞という新聞をたまたま見る機会を得ました。そこに、「先進国フランスでは、教育ファームが人気だ。
子供たちが自然と触れ合い、体験学習ができる農場として教師の関心も高く、全国約千二百の教育ファームにはたくさんの子供が集まる。同ファームは、日本の教育現場でも重要なテーマ。心の教育や食教育の必要性が叫ばれる中、総合的な学習の受け皿としても期待されるフランスの農場での活動を取材した」という記事が載っておりました。
フランスも大変なようです。農業人口がわずか二%になって、フランスの
子供たちすらも、一体自分たちが飲む牛乳っていうのは、どこからどういう形でできてくるのか。チーズを食べるけれども、そのチーズがどういうぐあいにしてできるのか全然わかっていないというのが実情のようです。
そういうことにびっくりしたフランスの政府は、この教育環境を整えるために、農業省、環境省、文部省、青年スポーツ省の四省が協力して、今申し上げた千二百の教育ファームをつくって、
子供たちに体験学習をさせているということであります。
この記事を読みながら実は思いましたのは、鹿児島県は今、農業開発総合センターを鹿児島市の谷山から金峰町の方へ移す予定をし、そしてそれに既に着手しております。そうしますというと、あのセンターのすぐ近くに南薩自然の家があるんですね。
それでせんだっては霧島に参りました。霧島の少年ふれあいの施設のそばには、農業大学の本部がある。
そうしますというと、何とかこれを結びつけて、今、申し上げたような、そんなに大型でなくてもいいと思うんですが、片っ方には
子供たちが宿泊をする施設がある。片っ方には農業の施設がある。それをうまくつないで、こういった体験学習の施設というものはできないのか。ぜひ早急に御検討いただきたいという提言を申し上げたいと思います。
それとあわせて、教育長、これは教育委員会自体もやらなければいけないと思うんですが、せんだっての代表質問で池畑議員が、農業高校の充実について述べられました。
そういう中で、やはり農業高校の演習地、農地というものが遊んではいないのか。あるいは県立の普通科の高校であっても結構ですが、昔から持っている農地といったようなものが遊んではいないのか。遊休地はないのか。
そういうものがもしあるとするんであれば、やはり地域の小・中学生等を中心とした家庭との契約でも私は結構であるかと思いますので、開放をして体験学習をさせるといったような方法で活用する方法はないのか。そういうことを御検討をしていただきたいものだと思いますが、御回答をお願いを申し上げたいと思います。
次に、本当はこれを一時間ばっかりやりたかったんですけれども、ここへ知事、「鹿児島ジェンダーフリー」という新聞があります。大変に頑張っておられます青少年女性課、女性政策室の
皆さん方がおつくりになった新聞なんですが、実はこれを見てびっくりしたんです。
どういう意味でびっくりしたのかといいますというと、新聞自体が「鹿児島ジェンダーフリー」という表現が使ってあったということなんです。
ジェンダーフリーというのは一体どういうことなんだと。
私も興味がありましたので、実は、いろんな文献に当たってみたんですが、確かにジェンダーという言葉については、御回答をいただきますけれども、いろいろあるようです。
しかし、このジェンダーの概念を使った女性解放運動、テミーズと言っていいと思うんですが、これがものすごく急進的なものから穏健なものまである。
そういう中で、本当にどういうぐあいにして理解をしていただけばいいのかということを考えておりますので、まず、この女性参画型社会のあり方と、そしてこのジェンダーという概念をどういうぐあいにして県の方はおつかみになられて、理解をして、こういった新聞をおつくりになって、
皆さん方にジェンダーフリーの世の中でなければいけませんと、こういう言い方をされるのか、お聞きをしたいと思います。
ちょっとこれを見た、実は非常に女性問題を扱いますので危険がありますので、女性の方々の意見を聞こうと思って五十人ばかり寄せてこの新聞を見てもらったんです。
私の集める女性の方々ですから、大体四十代から上の女性の方々ですが、一言「品が悪いですねえ。県が品が悪いですねえ」ということでした。この新聞、確かに僕は品が悪いと思います。
しかし、考えようによっては、僕はこういうぐあいにしていちゃもんをつけるようなものが出てくるというのは、こういう新聞をつくった一つの効果だろうと思いますので、そういったねらいもあった上でおやりになったんであろうと思いますので、どうぞひとつ明快な御回答をいただきたいと思います。
8 ◯農政部長(脇田 稔君)自然に親しみ、農業に対する理解と関心を深めていくためには、農作業の直接体験が重要であるとの観点から、小・中学生を対象にした農業体験学習を推進をいたしております。
具体的には、市町村教育委員会と連携を図りながら、小・中学校農業教育支援事業によりまして、本年度県下百の小・中学校におきまして、田植え、稲刈り、サツマイモ収穫などの体験学習を実施をいたしております。
また、県立農業大学校では、県内の小・中学生を対象にジュニア農業大学を開催し、サツマイモの収穫や牛乳絞りなどを体験させておりますほか、霧島自然ふれあいセンターと連携して、農大の施設を活用した研修を受け入れております。
現在、農業開発総合センター整備構想に基づき、農業大学校の整備に向けて作業を進めておりますが、研修部門につきましては、宿泊施設や各種実習施設、体験学習用圃場、農業展示施設の整備を予定をしておりまして、今後の具体的な検討に当たりまして、できるだけ広範な研修ニーズに対応できるように考慮してまいりたいと考えています。
なお、食料・農業・農村基本問題調査会の最終答申の中で、農業と教育に関しましては、学童農園の設置等により、農業体験学習の取り組みを推進し、農業に対する
子供たちの理解を深め、関心の醸成を図るとともに、農業に関する教育活動を充実することも重要であるとし、また、児童生徒の農業体験学習については、自然に親しむ機会を与え、豊かな心をはぐくむ役割も果たしており、全国的にこうした活動を一層展開すべきであるとしております。
こうした方向に沿いまして、国の施策も具体化されると見込まれますので、県としましても、こうした動きを見守りながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
9 ◯教育長(徳田 穰君)農業高校では、さまざまな形で農場等を
地域住民や
子供たちに開放している学校も見られます。
例えば親子園芸講座等で、子供を持つ家族に野菜畑を開放し、体験学習の機会を設けている学校、ふれあい農園等で幼稚園や小学生を招き、草花やサツマイモ等の植え付けや収穫作業等の体験学習を行っている学校などがあります。
これらの体験学習は、汗を流して作物をつくり、収穫の喜びを味わう貴重な体験活動の機会となるなど、議員のおっしゃるとおり
子供たちの心の教育を進めていく上で意義あることと認識いたしております。
また、これらの学習によって農業に対する
子供たちの理解が深まり、ひいては後継者育成に資することになるものと考えております。
今後とも農業高校が体験学習の場として、御指摘の点も勘案いたしまして、地域へ積極的に貢献していくよう、その取り組みを促してまいりたいと考えております。
10 ◯環境生活部長(大久保博志君)県では、平成三年三月に鹿児島女性プラン21を策定し、各種施策の推進に努めてきたところであり、男女共同参画の機運醸成や女性の社会参加のための条件整備も図られてきているところでございます。
しかしながら、最近の我が国の急速な少子・高齢化の進展や核家族化、あるいは国際化など、社会・経済環境の変化に適切に対応し、活力ある社会を築いていくためには、あらゆる分野における男女共同参画が強く求められておりまして、これらに対応するため、鹿児島女性プラン21を見直すこととしたところでございます。
新しいプランの策定に当たりましては、昨年度現行プランの成果や取り組むべき課題等について検討を行ってきたところでございまして、これらを踏まえ、今後、鹿児島女性プラン21推進会議の委員の御意見も伺いながら、本年度中に最終的な案を取りまとめることといたしております。
なお、男女共同参画社会を推進するに当たりましては、人権尊重の視点に立った真の男女平等が求められており、女性と男性が社会的・文化的に形成された性別に固定化されることなく、男女が共同してつくり上げる社会の実現を目指すことが大事であると考えているところであります。
また、啓発の表現のあり方につきましては、今後十分留意をしてまいりたいと考えております。
[増留貴朗君登壇]
11 ◯増留貴朗君 男女共同参画型社会、真に男女が平等して生きていける社会。そうだと思うんです。それについては一つも異議はない。ただ、問題は、真に男女が平等、「真に」の部分で、このジェンダーというのは非常に厳しい。
それがどういうことかといいますというと、大変に申しわけないんですが、ちょっと読ませていただきますと、これ「ジェンダーの社会学」という本です。
先日、放送大学の開所式に行きました。そこでずっと見ておりましたところが、実は、たまたまこれが目にとまりましたので、県教委の方へ大至急にちょっと見せてくれないかと。鹿児島県で放送大学が始まるんなら、「ジェンダーの社会学」、どういう教科書なんですかということで取り寄せていただきまして、見てみました。
その中に、これが一番わかりやすいと思いましたが、「男性と女性の性別学的差異に基づく性別と、性別学的差異に関連する形で社会的・文化的につくられた性別を区別するために、前者を性(セックス)、後者をジェンダーと言う。染色体やホルモンの違いからの女性性、男性性が形成されるのではなく、雄か雌かのレッテルを張ることによってジェンダーが形成されると理解されている。社会によって各性に割り当てられた活動を性役割とも言う。最も一般的に見られる性役割は、男性では、政治・宗教・経済などの領域での役割であり、女性では家庭中心のそれである。このような性役割に対する社会的・文化的な評価が異なることから、男女が手に入れる報酬の分配に不平等が生ずる。これが男女の社会的な位置づけの不平等。権力や収入、富、威信、自由度などにおける不平等につながる。これをジェンダー階層という。また、男らしさ、女らしさの特性と見られている資質。例えば柔順、受動的、依存的、感情などは、女らしいはジェンダーの特性と言われ、それぞれの性の適性と信じられることが多い。」と。こういう分類がしてあるんですね。
非常にだからわかりにくいんですが、ここから出てきまして、実は今、先ほど中心的と言ったのは、あの私どもがフランス人権宣言という、フランス革命で唱えられた、実は人権宣言が、僕はフランス語うまくはないんですが、「デクララシオン デ ドゥルア デ ロム エ ドゥ シトロワイヤン」と、こうフランス語では書いてあるんだそうですが、このロムというところの人間、人間という言葉が、実は男性だけに使われる言葉なんだと。
だから、ルソーの契約論等はあるけれども、このフランス革命によって世界中に伝播をしている、私どものこの国も含めての近代社会というのは、実は男社会なんだと。最初から女は考えていないんだと。そういう論が実は出てまいりまして、その典型が、何もかんも社会の仕組みというのは、だから男のためにつくられたんだと。だから、我々女性がいろんな意味で差別を受けているんだと。
結婚の制度にしても、女性の性を男が取り込むために結婚の制度というのをつくったんだというようなことを、ジェンダー理論を利用して一生懸命に唱えられる女性運動家の方々もおいでなんです。
そういうことを考えてみますというと、ただ単に真の男女平等をつくるために、これだけでいいんですが、ジェンダーが入ってきますと、どうしてもそういったものとぶつかる、あるいはこんがらがってくる。
そういう意味で、これはぜひひとつしっかりと、我々の使うジェンダーはこういうカテゴリーなんだと。したがって、こういう意味で使っておりますということをしっかり言ってもらわないというと、ただ、これからの世の中はジェンダーフリー、そして男女平等の参画型社会ですと、こう言ったんでは、僕は将来、鹿児島県の行政がしたというのはどういうことなんだということになりはせんかなという心配がある。
一番恐れているのは、これが人権と重なって、人権教育、そして男女平等教育ということで、学校の現場に出てきたときです。
もう既にそういうジェンダー理論を使った教育の展開というものはなされているわけですが、これについて、これから教育委員会も含めて、やはりしっかりとした定義をつくっておきませんというと、鹿児島に例えば郷中教育がある。鹿児島の誇り得る教育の伝統である。
しかし、郷中教育というのは、男だけに対する教育ではなかったのかと。じゃ、女性はどうなっていたんだ。男らしくというのは、どういったジェンダーを鹿児島の男たちに吹き込んできたのか。それを今、鹿児島の教育の伝統ということで、
子供たちに吹き込んだときにどうなるんだという問いが出てきたときに、私はやはりしっかりとした答えが出るようにしていかないかん。
もちろんそういう意味では、私ども文教委員会に所属をしておりますので、その点の議論はもちろんしてみたいとは思っておりますが、そういうことを心配をいたしますので、あえて申し上げる次第です。
このジェンダーとの関連でフェミニズム、ちょっとこれも申し上げておきますというと、リベラルフェミニズム、ラディカルフェミニズム、マルクス主義フェミニズム、社会主義フェミニズム、ポスト構造主義フェミニズム、エコロジカルフェミニズム、グローバルフェミニズム、同じジェンダーから出たいわゆる女性解放運動、先ほどの参画型社会をつくる運動もあわせてですが、こんなに分かれている。
もうこの一つ一つは申し上げません。もうこの中でどれがどういう感じだということは
皆さん方受け取っていただけると思いますので、このあたりをしっかりと私どもはやって、県政の中でも使わないというと、大変になるということを申し上げたいと思います。
社会改革運動という表現をなさる方もおられますが、ある方は社会解体運動という表現をなさる方もおります。そのくらいこれは非常に慎重に、そして十分に、そして真の男女平等の社会をつくるためにはどういった施策をすればいいかということを私はやらなければいけないと思いますので、どうかひとつジェンダーの理論、ジェンダーの言葉を使うときには、どうぞひとつ
皆さん方も気をつけていただきたいと思います。
ちなみに
アメリカでは、既にカメラマンという言葉はなくなったそうです。フォトグラファーと言わなきゃいかんそうです。
いろんなそういう言葉の一つ一つの恐らく私どももこれから先、チェックをされる、そういう危険性もありますし、また、そうある部分では、ならなければいかんでしょう。そのあたりがありますので、どうぞひとつそういったことをしっかりと、これからの青少年の教育、そういうものを含めて、どうかひとつジェンダー理論というものについては、十分な考察をしていただきますようにお願いを申し上げて終わります。
以上です。(拍手)
12 ◯議長(溝口宏二君)次は、浜田みのる君に発言を許可いたします。
[浜田みのる君登壇](拍手)
13 ◯浜田みのる君 通告に従いまして、環境保全型農業一本に絞って質問をしてまいります。
昨年、地元の南日本新聞が「有機農業への転換を訴えて」と題しまして、一年有余にわたりましてシリーズをしました。その視点は、基幹産業である鹿児島の農業が行き詰まっているという観点に立ってのものでありました。こと農業の行き詰まりは別に鹿児島に限ったことではございません。後継者のいない農村、そして貿易自由化の波で押し流されている農村の姿、なりわいとしての農業の行き詰まりは鹿児島だけではないわけでありますが、私はこのシリーズに大変大きな関心を持ってずっと見てまいりました。その鹿児島県農業の行き詰まりは一体何であるかという点につきましては、それぞれ意見のあるところでありますが、この有機農業への転換を訴えてと題したシリーズがそのことの意味を象徴的にあらわしているというふうに私は思うわけであります。
鹿児島県の農政を若干振り返ってみますというと、昭和六十年に策定をされました鹿児島県新
総合計画では、産地間競争の激化や輸入圧力の強まりの中で経営規模の拡大、複合経営の推進で競争力の強い農政を展開しましょうというのが、六十年に策定をされた鹿児島県
総合計画の農業方針であります。それに引き続きまして、平成二年に策定をされました鹿児島県総合基本計画では、十四のプロジェクトの中の一つに位置づけられておりまして、それには「食の創造拠点かごしま」と題しておりまして、その考え方は、消費者の本物志向、健康志向、安全性の関心の高まりというニーズの多様化に対応して、かごしまブランドの確立というのを掲げておるわけであります。これには「食生活の長期展望」と題しまして、昭和六十三年にとりましたアンケート調査を棒グラフをもってあらわしておりますが、その棒グラフには、健康志向が八〇%弱で最も多いということをグラフの中にあらわしております。しかしながら、この時点でも環境保全型への農業というような発想はなかったようであります。
そして、平成十年の一月に策定をされましたところの第三期の実施計画で、
戦略プロジェクトも一つふえて十五になっておりますが、内容もかなり練り直されてきております。その中で、「食の創造拠点かごしま」に「環境にやさしい農業の推進」が新たに追加をされております。それには化学肥料や農薬使用量を減らす技術等の開発、そして環境に優しい農業の推進方策を各市町村に呼びかけるという作業になっております。全国の
総合計画案が今つくられておりますけれども、その中には従来の開発から自然環境の保存集中による集積効果から個性的な地域づくりをして、そして個性的な地域間の連携で日本の国土形成をしていこうという趣旨のものがうたわれております。
先般、最終答申がなされました新農業基本法の答申案の中にも、化学肥料や農薬の使用量を低減をさせ、家畜ふん尿の不適切な処理を解消するということが盛り込まれております。環境保全型農業に大きくかじを切った我が鹿児島県の第三期実施計画は、そうした全国総合開発計画やあるいは農業基本法の最終答申に先駆けて第三期実施計画がつくられておる点で、私は極めて画期的な第三期の実施計画がつくり直されたと、こういうふうに評価をしておるところでございます。早速、この県下五十四の市町村が環境保全型農業の基本方針なるものを作成をして、今なおその作業にかかっておるようでありますが、その五十四市町村の環境保全型農業がどういう内容のものであるかということをまず伺いたいと思うわけであります。
と言いますのは、最初触れました鹿児島県農業の行き詰まりという南日本新聞のシリーズの視点は、決してなりわいとしての農業の行き詰まりだけを指しているのではなくて、農業が生産者にも消費者にも重大な問題を与えている、また環境へも。そういうような趣旨から行き詰まりを指摘をしたものだと私はとるわけであります。この環境基本型の農業には幾つかのタイプがあるというふうに思うんです。その一つは、私もそういう農業推進をしている人とおつき合いをしておりますが、人と自然に優しい食べ物づくり、これを求めるところの消費者団体と生産者が、契約栽培によって農業をしておりますけれども、その無農薬、除草薬を使わない農業の輪を広げようというタイプの環境保全型農業、もう一つは鹿児島県は大体これに類すると思いますが、家畜ふん尿など有機資源の有効活用を主流とするタイプのもの、三つ目は比較的少品目大量生産型の集約型農業の場合にそうでありますが、連作や土壌の酷使によって成育障害や病害虫対策に弱り果てて、何とかして新しい転換をしたいというタイプのもの、四つは河川や地下水の汚染を対象にして、水質保全型の環境保全型の農政と、こういうようなものに大体分けることができるのではないかと思いますが、五十四市町村の環境保全型農業のタイプは大体どういうふうに大ざっぱに分類できるか、お教えを願いたいと思います。
それから、冒頭申し上げましたように、今度の第三期計画で環境保全型農政に大きくかじを取った知事の発想、これは大変画期的な転換であるというふうに思うわけでありますが、そういう新しい鹿児島県の農政に転換をしようとした知事の気概といいますか、新しい転換への決意をお聞かせ願いたいと思うわけであります。
鹿児島県における産業廃棄物の六三%は家畜のふん尿になっております。これを良質の肥料に変えて土づくりをする農業への転換というのが大きな課題になっておるわけでありますが、先般県で実施されました食べて安心、これは食と農林漁業と環境を考えるという副題がついているんですが、フォーラムがございました。そのフォーラムの中で、県内で出てくる家畜のふん尿は、窒素量に換算をしますと年間五万トン出てくると言われております。これを窒素の施肥基準と言いますか、窒素に換算をして土に戻した場合の基準から言いますと、農地に還元した場合には一万三千トンで十分だと言われておる。これは鹿大農学部の萬田先生の発言の中に出ておりました。本県で排出される家畜のふん尿は六百七十九万トンとなっておりますから、そのうちの七四%の五百二万トンは土にも返せない過剰廃棄物となるわけでありますが、実態はどうなのか。家畜ふん尿の良質の堆肥化で環境への負荷を解消できる見通しがあるのかないのかということを伺います。
昨年六月に始動したと報道されております高品質の堆肥促進センターは、畜産農家と耕種農家の連携で家畜ふん尿を完熟堆肥として、これを堆肥銀行を通じまして土づくりを進めていこうという趣旨のものであります。これもさきに紹介しましたフォーラムの中で、二千頭規模の地域サポート型の堆肥センターをつくっていかなければいけないということが提言をされておりますが、今後の堆肥センターの推進方針についてお聞かせを願いたいと思います。
次は、これは県の地域振興公社で今、計画をされております有明町の養豚施設についてでありますが、これは地域の反対でとんざをしております。その反対の理由に、「既存の畜産基地による悪臭や河川汚濁も解決されていないのに、これ以上に規模を拡大することはできない」というふうに反対をして、その撤回を求めておられるようであります。建設省の大隅工事事務所と川内川の工事事務所が、九州の二百五十一の河川についてのBODから見た汚濁度ランキングというのを発表いたしましたが、串良川がワーストワンであります。その本流の肝属川がワーストツーとなっております。先ほど申し上げました五十四市町村の環境保全型農政の推進については、この肝属川、串良川の沿線自治体も環境保全型農業の推進方針をおつくりになっているようでありますが、私はこの振興公社が進めております畜産団地は、畜産県鹿児島のためにも発展的な解決策を見出す必要があるというふうに思います。それは反対をされている人たちにも十分こたえたものでなければならないし、これは将来の鹿児島のためにぜひとも発展的な解決策をおつくりいただきたいということを希望しながら御質問をしてまいります。
この川の汚濁の汚名は、環境保全型農業のバロメーターにもなろうかと思うわけでありますが、これは環境管理課が「鹿児島のふるさとの川水質マップ」というのをつくっております。これは一見して各地域の川の汚染度が生活排水によるもの、あるいは畜産排水によるもの、あるいは養殖業によるものというふうに分類がされておりますから、一見してすぐわかる極めていい資料でありますが、これはふるさとの川リバークリーンという副題もついておるようであります。私はこのマップを見ますときに、環境保全型農業という前に、このふるさとの川のクリーン計画、錦江湾にブルー計画がありますように、ふるさとの川のクリーン計画というのがあるべきだというふうに思う立場からお聞きをいたしますが、このふるさとの川のクリーン計画があるのかないのか、今後おつくりになるのかならぬのか、お聞かせを願いたいと思います。
私は先般、四会派の十名による有志の皆さんと自然生態系農業に関する条例を制定をして、有機農業の町として有名な宮崎の綾町を訪問をいたしました。この綾町は宮崎市から二十三キロ離れた片田舎でありまして、人口七千四百と言われておりますが、この人口七千四百の小さな寒村に、県内外から観光客といったらいいんですか、年々訪問者がふえている。平成九年度で百十五万人の人がこの町を訪れておる。大体一日三千人の人が来ておるわけでありますから、綾町に行き交う人たちの四人に一人は町外の人だと考えられるんですね。それほど多くの人たちがこの町を訪れておるようでありますが、この町に住みたいといって町外はもちろん県外からも移住をしてくる人が後を絶たない。平成七年度は昭和六十年度に比べまして人口が百十人ふえているというふうに記録に出ております。
高齢化はここも例外ではなくて、大体主流は六十から七十代の人々でありますが、ゲートボールも忘れてせっせと野菜づくりに励んでいると、こういうふうに言われておりまして、生きがい対策として有機農業を推進する立場から町が五千五百万円、うち県の補助が一千万円と言われていますが、平成元年に綾の手づくり本物センターというものをおつくりになったと、私どもその本物センターに参りましたが、レジの前には買い物客の列ができるという状況であります。平成十年度の農産物の年間売り上げは大体一〇%伸びて三億五千万円と推計をされておるようであります。これはほとんど六十から七十代の高齢者の出す農産物で売り上げがされているというふうになっておるようであります。
それはそれといたしまして、綾町の特徴というのを若干御紹介をいたしますと、それは質問の意味から紹介をいたしますが、この綾町の環境保全型、有機農業と言った方がいいんですか、特徴は行政と農協と農家がそろって一丸となって取り組みをしているということでありますが、まず農協についてでありますけれども、農協は、できた農産物を必ず売りさばいてあげますという農家との約束の中で販路開拓に奔走している。そして県民生協とかグリーンコープ、阪急デパートなどと次々に産直契約を結んでおりまして、最近ではスーパーやデパート、宅配便、通信販売というぐあいに販路が拡大をされまして、販売量と販売額が急速に拡大をしていると、そして生産された農産物のほとんどが産直によって販売をされているというふうに言われております。産直の場合は事前に価格設定をいたします関係上、農家は市況の変動を全く心配する必要がなくて、農家の生産意欲が高まったと、こういうふうに紹介をされております。
これは農協の例でありますが、町ではこれも珍しいと思うんですが、全家庭から出るし尿をこれをただでくみ取りをして、そして液状堆肥化施設でもって発酵させて、酸化処理をして農家の要請にこたえてバキュームカーで散布しておると、それも最盛期には需要にこたえきれないというふうに言われておりまして、その液状堆肥化されたし尿は完全に酸化処理をされております関係で、寄生虫卵やハエの幼虫は全くいない。大腸菌等も殺菌をされまして、完全に衛生的に処理をされたものであるというふうに言われております。その資料も細かなものがつくられておるようであります。そしてその完全に液状化された液状肥は、これは大体一トン当たり千五百十二円のコストがかかるそうでありますけれども、それをトン当たり二百五十円で配っておると、もちろん多少の赤字が出るわけでありますが、それは町が負担をしていると、こういうことであります。
それから、町と農協と農家が一体となった取り組みの一つというのは、極めて厳しい農地管理がされているわけでありまして、大体三つにランク分けされた圃場に厳しい審査があって、これは開発センターの四人の検査員が厳しい圃場の検査をする仕組みになっておりますが、だんだんランクの高い圃場がふえていると、そして化学肥料や除草剤を使わない、全く使わない土壌からつくり上げられたAランクの農産物は、大体全体の七〇%に達しようとしていると言われております。これは除草剤を使わない農業というのは、農業というのは害虫と雑草との戦いと言われているわけでありますけれども、農家にとっても大変大きな負担があるわけでありますけれども、あえて除草剤は使いません。草を取る場合は人手を雇ってやりますと、年間百万円見当の人夫賃を払ったという農家もあるそうでありますけれども、それでも引き合いますと、それは引き合うだけのことを農協が次々に産直で開拓をしていくという自信に裏づけされているわけであります。
三つ目は、これも質問と関連がありますので、紹介をしておきますが、生産者と消費者との交流を、これは町と農協が一体的な取り組みをして行っているということであります。北九州の生協の組合員と言われておりますが、百五十人を二泊三日で毎年招聘をしている。そして生産者の方から会員二百名を募りまして合計三百五十名で人の交流があるわけでありますけれども、そうした交流を通じましてこの有機農業に対する信頼、ここの農産物なら大丈夫という太鼓判を押して消費者が買えるという、そういう交流が続けられておるようであります。
そこで、質問をしてまいりますが、一つは、昭和六十二年から鹿児島の味ふるさと列車という事業がなされまして、当初関東・関西地区を中心に約二千二百十五名の
皆さん方が参加をして、県下十四の市町村がそれを受け入れて、この都会の消費者との交流をしてまいりましたが、平成七年には鹿児島の味じゃなくて、鹿児島の味緑ふれあいバスと、このネーミングも変わっておりますが、バスを使っての交流に変わっております。もちろんバスでありますから、対象人員もかなり少なくなっているようでありますが、これが平成九年度で打ち切られて、現在中止されております。私どもはこの議会でも何人かの方が鹿児島の味ふれあい列車については、その事業を評価をし、そしてその事業の拡大を図る立場から御質問もたくさん出ておるようでありますが、なぜこれを打ち切ったのか。私はグリーンツーリズムにこれが発展をする極めて重要な意味を持つ事業だと関心を持ってきただけに大変惜しく思っておりますが、ぜひこれを復活をさせてほしいという立場から御質問をしていきます。除草剤を使わない環境保全型農業というのは、消費者との理解、協力なしには成り立たない事業でありますので、ぜひ消費者の理解を得る事業が側面でなくてはならんと、こう思うわけであります。
環境保全型農業の推進につきまして、全国農協がアンケート調査をとった調査の中に、農家の四四%がつくったものが売れる保障をしてほしいと、また三六%の農家が環境保全型農業の啓蒙とPRをぜひ行政がやってほしいという要求も出ておるようであります。そうした意味からもぜひとも啓蒙、宣伝をする立場でふるさと列車の復活をしてほしいと、こう思うわけであります。
それから、もう一つは、地元紙の社説にこれも出ておりましたが、有機農業の拡大に技術や販路の相談窓口をつくってほしいというのが出ております。私もこれには同感であります。有機農業の技術、販路に関する情報がどうしても足りない。そしてそうした意味からも有機農業の輪が広がっていかないという意味で、有機農業一一〇番のような窓口をつくったらどうだと、こういう提案でありますが、いかがでしょうか。
最後は、今、JAの鹿児島中央会で策定中と言われております認証制度についてであります。新聞報道によりますというと、本年度中にこの認証制度をJAの方でつくるというふうに報道されておりますが、これには有機農産物あるいは転換期間中の有機農産物、あるいは減農薬、無農薬というような幾つかの段階に分けて表示をし、それに一定の認証を与えるというものであろうと思いますが、一体この認証制度はどんな方法でやるのか、その進捗状況をお聞かせ願いたいと思います。
最後に、鹿児島県のかごしまブランドでありますけれども、これは従来の県の
総合計画なり農政なりを見たときに、環境保全型の農業という問題は念頭になかったと言っちゃ悪いでしょうが、余り重視してこなかったと、競争力の強い生産性という点に力点を置かれてきたものと私は思うわけでありますが、低コスト高品質の農業というのは、量産をしてコストを下げる、そして品質といっても見ばえのいいものというところに力点が置かれておったように思うわけでありますけれども、より健康に優しい農業という視点に立ちますというと、特に認証制度が確立をしますというと、かごしまブランドのあり方もこれは見直す必要があるのではないかと思いますが、所見をお尋ねいたします。
[
知事須賀龍郎君登壇]
14 ◯知事(須賀龍郎君)農業の近代化が進むことによりまして、化学肥料、農薬の使用量の増加や家畜ふん尿の不適切な処理によりまして、地力の低下、地下水の汚染、悪臭の発生などが地域の課題となっております。このような中におきまして、環境の保全、食の安全性の確保に対します県民の機運が高まってきております。また経済性、効率性のみを追求する農業への反省も求められております。また全国屈指の畜産県であります本県におきましては、家畜ふん尿の適正な処理と有効利用が大きな課題となっているところであります。このために、農業を基幹産業としております本県におきましては、農業の持つ物質循環機能を生かしながら、農業生産活動に伴います環境への負荷をできるだけ少なくするとともに、消費者がより安心できる農産物を安定的に生産していく農業、いわゆる環境保全型農業を広く県内に定着させるために、県総合基本計画第三期実施計画の
戦略プロジェクトとして位置づけたところであります。今後とも家畜ふん尿等の有機物資源の良質堆肥化、健全な土づくり、化学肥料や農薬の適正な使用、環境に優しい農業技術の開発、普及など、環境保全型農業に関する施策を総合的かつ重点的に推進しながら、環境の保全や自然との共生を図る農業の推進に努めてまいりたいと考えております。
15 ◯農政部長(脇田 稔君)市町村が策定します環境保全型農業の推進方針には、その地域の実態に応じた特徴のある推進方策が定められております。例えば畜産経営に起因する水質汚染や悪臭等が問題となっている畜産地帯では、家畜ふん尿の適正処理と有効利用を図るための施設整備を主に進める。二番目に連作障害の発生や化学肥料、農薬の使用量が多い畑作地帯では、良質堆肥の土壌還元による健全な土づくりや合理的な作付体系を進める。三番目に花卉や野菜の園芸地帯では健全な土づくりと化学肥料や農薬の使用量の削減を進める。四番目に都市近郊地帯では消費者との交流を盛り込んだ有機農業の推進を、それぞれ最重点課題として進めることにいたしております。またこの方針に即しまして、堆肥生産施設、農薬廃液処理施設の整備や土づくり、有機農産物の販路拡大など、具体的な取り組みが進められておりますので、県としましてもその実現を支援することにいたしております。
家畜ふん尿につきましては、まず環境への負荷を軽減するため適正に処理すること、さらには有機質資源として有効活用を図り、健全な土づくりを進めることが最も重要であります。このため、ふん尿処理施設や良質堆肥生産施設の整備を鋭意進めているところでございますが、仮に県内で排出される家畜ふん尿の全量が堆肥化された場合、現在の施肥基準をもとに推計をしてみますと、県内の需要量を上回ると考えられます。したがいまして、今後は堆肥銀行の設置等により地域内及び全県域での需給調整や広域流通を進めますとともに、既に企業的経営体におきましては、堆肥の県外販売の実績もありますことから、県外流通も視野に入れた対応が必要になってくるものと考えております。
一方、家畜ふん尿の処理システムといたしまして、メタン発酵、鶏ふん発電、固形燃料化によるエネルギーへの転換利用などの開発が進められております。これらにつきましては、今後の実用化の状況も見ながら県としての対応を検討してまいりたいと考えております。
良質堆肥の生産と広域的な流通を促進するため、耕種農家が求める良質な堆肥生産と地域内の需給調整を行う堆肥銀行が、広域農協を単位として既に県内四カ所に発足をしており、地域内をカバーする広域的な処理を行う基幹的な堆肥生産施設の整備を進めております。また、昨年六月に県経済連に発足をしました県高品質堆肥利用促進センターでは、堆肥銀行間の需給調整やその運営指導等を行い、県内全域の良質堆肥づくりと流通促進を図っているところでございます。さらに、今後堆肥銀行を設置する地区におきましても、既存の堆肥生産施設の有効活用とあわせ地域の実情に即した広域的な堆肥生産施設を計画的に整備して、それぞれの作物に適した良質堆肥づくりを推進してまいりたいと考えております。
昭和六十二年度から平成六年度までの鹿児島の味ふるさと列車、平成七年度から平成九年度までの鹿児島の味緑ふれあいバスにつきましては、延べ百二十市町村におきまして二千七百三十六名の参加者の受け入れが行われております。これらの受け入れ市町村では、この事業がきっかけとなりまして、姉妹都市交流や山村留学、各種の体験ツアー、郷土出身者との交流会など、独自の取り組みが行われるようになりました。また村おこしグループ、JA生産集団などでも消費者交流や産直交流などの形で、さまざまな都市・農村交流が展開をされるようになっております。こうしましたことから、県が実施をした事業はその役割を十分に果たし、その成果は県下に定着してきているものと考えております。今後は都市住民にも潤いと安らぎを与えるような農村の整備を進めますとともに、市町村、JA等、関係機関、団体との連携を図りながら、鹿児島の特徴を生かしたグリーンツーリズムなどの都市・農村交流を進め、地域の活性化と本県農業、農産物のPRに努めてまいりたいと考えております。
有機農産物の生産指導につきましては、これまで農業改良普及所を中心に、先進的農家等と一緒になって取り組んできたところでございます。今年度からは普及所単位に有機農産物等の生産に取り組む農家に対しまして、技術、経営の両面から支援するための地域検討会の開催や具体的に農業者の意向調査の実施、指導マニュアルの作成などを行うことによりまして、実践的な指導を実施することにいたしております。また有機農産物の販売につきましては、現状では生産者グループごとに生協等との契約販売や直販、宅配等での流通が主体となっておりますが、今後生産者や流通量の増加に対応した体制を整備する必要があると考えております。このため、県としましてはJA等と連携しながら、有機農産物の生産農家リストの作成及び流通業者、消費者グループへの情報提供、農業者と流通業者、消費者との交流会の実施などを通じて、農産物の円滑な流通を支援することにいたしております。今後とも県内の農業改良普及所を中心に技術指導や流通情報の提供など、市町村、農協、生産、流通グループとの連携を図りながら、各種の相談に応じてまいりたいと考えております。
県経済連におきましては、消費者の安心、安全、健康志向が高まる中、JAグループ鹿児島有機農産物等認証制度を検討しておりまして、先般検討状況について県下各農協等への説明が行われ、今後各農協の意見集約を図った上でなるべく早い時期に発足させたい意向と聞いておりますが、その時期は明確にはされておりません。この中で、有機農産物の表示の基準につきましては、全体としておおむね農水省が示しましたガイドラインに沿った区分となっております。また農協等が栽培責任者となり、経済連が確認責任者になるという考え方で検討が進められております。農水省のガイドラインは強制力を伴う認証制度ではございませんので、現在国におきまして有機農産物等の統一的な基準による検査認証制度が必要であるとしまして、そのあり方について検討が進められております。この中で、公的機関の果たすべき役割につきましても方向性が示されるものと思われますので、県としてもそれを踏まえて対応してまいりたいと考えております。
ブランド産地の育成に当たりましては、環境に優しい農業の推進を図りながら、消費者に信頼される産地づくりを進めることが大切でございます。このため平成九年度から園芸ブランド広域産地拡大対策事業の内容を拡充しまして、完熟堆肥の生産のための堆肥舎、堆肥盤、あるいは堆肥散布機、あるいは深耕を行うための機械、施設等をメニューに加えまして、これらの整備を通じまして土づくり等の推進を図ることといたしております。また、一方で環境に優しい産地づくり推進事業というものを実施しておりますが、これにおきましても野菜で五地区、果樹で四地区のモデル実証圃を設置をいたしておりまして、施肥量の低減、防除回数の削減など、適正な施肥、防除等の実践に取り組んでいるところでございます。今後とも本県の豊富な有機物資源を活用した健全な土づくりを基本に、環境に優しい農業技術の開発、普及等を図りながら消費者の安心、安全、健康のニーズに対応できるブランド産地の育成に取り組んでまいりたいと考えております。
16 ◯環境生活部長(大久保博志君)県では平成八年度に県内の八百四十六河川を対象に、水質の実態調査を行い、それぞれの河川ごとに生活排水、畜産排水、工場・事業場排水などの汚濁要因の割合を示した「鹿児島のふるさとの川水質マップ」を作成、配布し、地域ぐるみで河川の汚濁防止に取り組んでいただくこととしたところでございます。
また、肝属川など一級河川につきましては、河川管理者である国が県や市町村、関係機関、団体等で構成される水質汚濁防止連絡協議会を設置し、相互に連携を図りながら水質汚濁防止に取り組んでいるところでございます。
県としましては、今後ともこの協議会と連携して主要な汚濁源である畜産排水や生活排水対策など、総合的な河川の水質汚濁防止にさらに努めることといたしておるところでありますが、主要な河川のクリーン計画につきましては、今後の検討課題としたいと考えております。
[浜田みのる君登壇]
17 ◯浜田みのる君 先ほど紹介をいたしました「鹿児島のふるさとの川水質マップ」というのはこれでございますが、だんだん汚染度が進むにつれて黄色から黄土色に川が塗り分けられております。一見して自分たちの住む地域の川がどういう状況にあるかということがわかる大変立派なものがつくられております。これは一級河川百五十一、二級河川が三百十、準用河川千二百四十二と、八百八十地点に及んで調査をされたものを整理をされたもので、大変御苦労なさったと思います。このマップには川を汚す原因の割合がきちんと示されておりまして、先ほど環境汚染防止連絡協議会というものが設置をされておるということでありましたけれども、これは町名は別に言う必要はないんですが、大隅半島の一環境保全型の推進方針と、それから薩摩半島の同じ環境保全型の推進方針というのを借りてみました。これにはそれぞれ地域の環境に与える影響については、細かに分析がされておりまして、この大隅半島のこれには地域のふん尿は六〇%から七〇%過剰で、何とか地域外に持っていって処理をしてもらわなければ、もう畜産の容量を超えておりますということがきちんと文章で書いてあります。
ところが、この地域に七〇%近く過剰になっている地域に新たな畜産団地がつくられておるわけでありますから、その出口の問題を解決しなければならないというのは緊急の課題であるはずであります。ところが、これの推進方針の中にもその辺のところの解決については触れてないです、一切触れてありません。ただ、末尾の方にこういう欄があります。生産者団体等が整備することが望ましい機材等というところに、それぞれの畜産廃棄物の処理をする施設等をつくってほしいというのが幾つか列記してありますけれども、これを地域課題として解決をする道筋は何にも示されてないんです。これがその地域の環境保全型農業の推進方針になっておるわけでありますから、文句を言いたくなるわけです。
騒音公害にいたしましても、交通災害等にいたしましても、ドライバーが注意をすればいいというものではないんですね。ドライバーが注意をすると同時に、それに伴う環境の整備というのが相伴わなければ交通災害も防止できない、騒音防止もできないということを考えますときに、単に生産者が施設すべきものというものを書いただけで推進ができるということにならないわけでありますから、こうした環境保全型の農業の推進方針の中に、相伴う環境問題の改善についての道筋がきちんと位置づけをされなくちゃならんのじゃないかと、こういうふうに思うわけであります。せっかく環境管理課がこういうものをつくりまして、あなたたちの地域の川はこうなっていますよということを示しているわけでありますから、これにやはり総合的に地域の問題として取り組む姿勢がぜひ欲しいものだというふうに思います。
それから、この堆肥センターでありますけれども、今、部長の方では県外流通ということも若干小さな声でおっしゃいましたが、県内での流通が主体になっているようでありますね。これは先ほどのいわゆる過剰になっている畜産廃棄物という点から言いますというと、県外流通というものを大幅に考えないというと、基本的には問題は解決しないというふうに一つは思います。それからもう一つは七四%過剰というわけでありますから、県外搬出という問題が検討されなくちゃならんと、それは遠く北海道のあたりまで販路を広げるということになりますというと、相当のコストもかかりますけれども、そういうものも検討する必要があるんじゃないかと、それから県内流通でありますけれども、例えばある専門家の話によりますというと、これはお茶どころの頴娃町あたりでは、あそこの堆肥センターは鶏ふんが主体になっておるそうでありますが、お茶の生産農家はこの鶏ふんの堆肥は大変嫌うんだそうであります。そうした意味からしますというと、かなり広範に県内の流通を図らなければ、地域の堆肥センターの役割は果たせないと、流通が相伴わないとだめだというふうに思います。
これもある専門家の話でありますけれども、豚のふんとか、鶏のふんというのは、何か飼料に銅や亜鉛を混入をするんだそうでありますけれども、これがふん尿の中にたくさん入ってきて成育障害を起こしているというふうに言われております。したがって、銅や亜鉛を添加をする飼料そのものが見直されているというふうにも聞いておりますが、こうした添加物が副次的に及ぼす障害というものもあるそうでありまして、そうした意味からもかなり広い範囲に、そしてこれを混合して土に返すというかなり流通面の広範な努力が必要であるように思います。
それから、ふるさと列車につきましては一定の役割は果たしたと、私はそれにとやかく言うつもりはありません。ともかく行政がやるべき任務というのは、そうした民需を喚起したり、あるいは地域の活性化を促す役割というのが県の大きな持つ役割でもありますから、そうした意味では一定の役割を果たしたと、こういうふうに評価もいたします。この鹿児島の味緑ふれあいバス報告書というのをいただきましたが、これには県がとったそのふれあい列車が火つけになりまして、各地域での交流事業が進められていることが書いてあります。これを見ますというと、かなり県も大きな役割を果たしたと、こういうふうに評価もいたします。ただ、せっかく火つけ役をしたわけでありますから、この地域に芽生えております交流ふれあい事業をぜひさらに促す別な役割もまた果たしてほしいと、こういうことをお願いを申し上げておきます。
それから、認証制度でありますけれども、農協主体で作業が進められております。私はこのことについてはいささか問題を感じます。認証制度というのは生産者の自覚を促すと同時に、消費者に信頼される裏づけになる保証を与えるものでもなくちゃならないと思うわけです。綾町に有機農業が提案をされたときに、綾町の農協はこれに大きな反対をされたそうであります。それは文章になっておりまして、私が申し上げるのはその文章によるものであります。化学肥料や農薬が売れなくては農協の経営が破綻をすると、だから反対だと、こういうふうに反発をされたそうであります。今はその農協が真っ先に有機農業の旗ふり役をされているわけでありますから、その柔軟で斬新な、そして新しい時代を見据えた農協のあり方を自覚された綾町の農協はさすがに偉いと、また一面では思うわけでありますけれども、スタート時には農薬を売らない農協では経営が行き詰まるというふうに反対されたと、こういうふうに言われておるわけであります。それから、農家は農家でやはり除草剤を使わない農業は大変だと、農薬を使わない農業はやっていけないという面がありますから、農協の農薬を売りたいという側と、買ってまきたいという農家との関係というのは持たれ合って、なかなか有機農業への転換が図れなかったといういきさつがあります。
そうした意味からも、私はこの認証制度にはぜひとも県も入って、天下にその認証を証明をするという役割を果たすべきだというふうに思うんです。兵庫や岡山ではその認証制度には県が先頭に立って音頭をとっております。そして兵庫、岡山の場合は無農薬や減農薬というのは認証制度の対象にはしていないと、完全に有機農業でなければだめですよという、大変厳しい制度となっております。それだけに消費者の信頼は高いわけであります。
そうした意味からも、この認証制度については農協主体で傍観をする立場であってはならぬというふうに思いますから、ぜひともこれは県は環境保全型推進本部でしたかね、よく似ているんで。農協の方では環境に優しい農業推進本部ですか、とかよく似たようなものをつくっておりますが、この両方の推進本部がよく連携をして、やはり県内外に信用の高い本県農産物、そして私が知っておるあるデパートでは有機農産物というコーナーがありますが、そこにはひとときも農産物は乗っておりません。そこに立っているおばさんに聞きますというと、ここが真っ先に売れますということでありましたが、ぜひ鹿児島県の農産物が全国にその信頼をかち得て、そして鹿児島県農業の新しい時代を築く農業を展開をしてもらえますようにお願いを申し上げまして、私の
一般質問を終わります。(拍手)
18 ◯議長(溝口宏二君)ここで休憩いたします。
再開は、午後一時十五分からといたします。
午前十一時五十七分休憩
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午後 一時 十五分開議
19 ◯議長(溝口宏二君)再開いたします。
志摩れい子君に発言を許可いたします。
[志摩れい子君登壇](拍手)
20 ◯志摩れい子君 午前中、二人の大ベテランが質問なさいまして、私の後も中ベテランの議員の方がなさるわけで、私一人が一期目のまだ駆け出しでございますけれども、言いたいことはしっかりと質問させていただきます。
まず初めに、少し時期がずれたんですけれども、ことし二月十一日に九十六歳で他界された寺園勝志元知事に対し、心から哀悼の意を表し、安らかならんことを御祈念申し上げたいと思います。
寺園勝志元知事は、昭和二十二年三月鹿児島県の経済部長に御就任以来、農政部長や副知事を歴任され、昭和三十年四月から四十二年四月まで三期十二年間、鹿児島県知事としてらつ腕を振るわれました。そして庁内はもとより広く県民からも、温情あふれる知事として慕われた方でございました。また、寺園さんは、知事を退任後も愛する郷土鹿児島のために尽くしてこられました。できるだけ車を使わず、歩くことを旨とし、節制した日常生活とおごることのないお人柄で生涯現役を貫かれ、我々県民に与えた影響ははかり知れないものがあると思います。
昭和四十六年十一月三日には、勲二等旭日重光賞をお受けになっていますが、鹿児島県に名誉県民の制度があればと思えてなりません。九州では長崎県に、昭和五十五年十月に制定されました名誉県民条例があり、これまでにお二人の方が名誉県民になっていらっしゃいます。県民表彰の制度は各県にあるようですが、名誉県民の制度は九州では長崎県だけのようです。ぜひ本県でもこの名誉県民の制度をと願うものです。
それでは、通告に従い質問に入ります。
まず、県の職員の方々の名刺についてお伺いいたしたいと思います。
私は、県の職員の名刺が、ほとんどの場合自己負担であるということを最近になって初めて知りました。ある会合で男性の方からこの指摘を受けて、初めてわかったわけです。その男性の話によりますと、県の職員の方が県の用事でその方の会社を訪問なさいました。そこで「名刺を」というふうに言われますと、いえ、名刺は所持していない。なぜ名刺を持っていないのかという質問に対し、名刺は自己負担であるために自分はつくっていない、つまり所持していないという返事だったそうです。それに対しその男性は大変に憤慨を覚えて、このことをぜひ聞いてほしいという要望をなさったわけです。
私はこのことをにわかには信じられませんでしたので、警察を含めた県の職員の方に事情を聞いてみますと、まさに情報どおりでございまして、改めて驚いたわけです。中には、白い紙に自分の名前を書いたゴム印をいっぱい押して、それを切って使い分けているというふうに、大変にいじましいというのでしょうか、県庁職員としては誇りの持てないような話まで私は聞きました。確かにセクションによっては、外部との接触が全くないところもあるわけですから、名刺の必要性もまちまちであるとは思います。一概にすべて必要とは思いませんけれども、せめて県民と接触する機会のある職員の方々については、公費で負担して名刺を配付すべきではないかと思うのです。
そこで、お伺いいたします。本当に当たり前の話だと思います。県ではなぜ名刺は自己負担となっているのでしょうか。ほかの県ではどのようになっているのでしょうか。きめ細かな行政サービスという観点からも、県職員の名刺は必要だと思いますが、公費負担は考えられないのでしょうかお聞かせください。
次に、ザビエル上陸四百五十周年についてお伺いいたします。
こんぺいとう、カステラ、てんぷら、フラノ、ラシャ、メリヤス、モスリン、メリンス、プラチナ、ブランコ、ばんこ、ラーフル、ギヤマン、これはほとんどがポルトガル語です。二、三スペイン語があったりあるいはまたオランダ語があります。今では日本の市民権を得て、すっかり堂々とした日本語になっております。ちなみに、こんぺいとう、カステラ、てんぷら、これは食品です。フラノ、ラシャ、メリヤス、モスリン、これは生地の名称です。ばんこは縁台です。ラーフルは黒板消し、ギヤマンは西洋ガラス。特にばんこ、ラーフルは、鹿児島の方言として我々がふだん何気なく使っているポルトガル語です。
このように日本の食文化あるいは生活文化に多大な影響を与えたポルトガル、また鹿児島とポルトガル、スペインとは大変ゆかりの深い間柄であります。そして何よりも来年平成十一年は、宣教師フランシスコ・ザビエルが「以後よく広まるキリスト教」と中学生のころ覚えた一五四九年八月十五日に鹿児島に上陸してから四百五十年という大変大きな節目に当たります。ことしの薩摩焼発祥四百周年に続き、来年は、広く世界に情報を発信できるザビエル上陸四百五十周年の歴史的な年に当たるわけで、千載一遇、いや四百五十年に一度のチャンスということが言えます。
既に観光かごしま大キャンペーン推進協議会は、「ザビエル歴史街道」と題したパンフレットを日本語版と英語版で作成し、全国の旅行業者やマスコミに配布したと聞いておりますけれども、これによって、鹿児島をぜひ訪れてみたいというような反応がどの程度あるのかお聞かせいただきたいと思います。また、現在ポルトガルで開かれておりますリスボン国際博覧会で今月一日と二日、種子島鉄砲隊が出演したのに合わせて、鹿児島県特産品協会の事務局長や会員の方々が、ポルトガルとザビエルの誕生地スペインを訪問なさったというふうに聞いております。その目的とどのような成果が得られたのかお聞かせください。
一方、来年に向け、先ほどの言葉ですとか食生活、文化を中心に、日本とポルトガルの強い結びつきをアピールしたイベントの開催など、県として検討をしていらっしゃるのでしょうか。計画があれば具体的にお示しいただきたいと思います。
また、薩摩焼発祥四百周年に伴い、東市来町美山の道路も大変整備されて見違えるようにきれいになった、そして観光地に生まれ変わっているようです。ザビエル上陸四百五十周年を記念して、鹿児島市照国町のザビエル教会前の道路、ザビエル滞鹿記念碑のある通称ザビエル公園等を歴史街道の一環として位置づけ、観光鹿児島にふさわしいまちづくりはできないものでしょうか。
私は、ザビエル公園の前をよく通るんですけれども、観光客の姿をほとんどといっていいほど見かけたことはありません。町中にある観光地ですが、本当に観光客を見たことはありません。せっかくの観光スポットが生かされていないように思います。鹿児島市とも協議して、ぜひ観光名所となるように取り組んでほしいと思います。御意見をお伺いいたします。
続きまして、桜島と錦江湾の観光政策についてお伺いいたします。
私ごとで恐縮なんですけれども、先日所用で鹿屋市に行くために鴨池フェリーに乗りました。波穏やかな錦江湾を走るフェリーのデッキに立ちますと、前日の雨が幸いして澄んだ秋空が広がり、心地よい潮風がほおをなで、思わずそのすばらしい景色にくぎづけになってしまいました。いつも見なれた桜島と錦江湾でしたけれども、その日は九月のさわやかな日和も手伝って、殊のほか心を奪われるほど感動し、改めて自然の持つ雄大さ、優しさを体じゅうでかみしめました。
桜島と錦江湾の偉大なポテンシャル、底力をまさにまざまざと見せつけられ、まるで媚薬でも飲まされたようにほれぼれと見とれてしまったのです。眼前に広がる景色は、私の疲れた心身をいやすには十分過ぎる器量で、垂水港到着の船内放送がこれほど無情に聞こえたことはありませんでした。わずかな時間ではありましたが、私の幸福感と満足感ははかり知れないものがありました。行ったことはありませんが、シャングリラ、まるで桃源郷に身を置いたかと思うほどでした。そして今さらながら、我がふるさと鹿児島の持つ偉大な財産、桜島と錦江湾に改めて敬意を払ったのであります。