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1996-09-27 平成8年第3回定例会(第3日目) 本文
1996-09-27 平成8年第3回定例会(第3日目) 名簿

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  1. 鹿児島県議会 1996-09-27
    1996-09-27 平成8年第3回定例会(第3日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
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    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(鶴田辰巳君)ただいまから、本日の会議を開きます。       ─────────────    △ 代表質問 2 ◯議長(鶴田辰巳君)本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、代表質問    浜 田 みのる 君    梶 原 弘 徳 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 3 ◯議長(鶴田辰巳君)代表質問であります。  浜田みのる君に発言を許可いたします。    [浜田みのる君登壇](拍手) 4 ◯浜田みのる君 ことしは、異例の暑さと言われた夏も、秋分が過ぎましてからややしのぎやすくなったと思ったこのごろ、本日召集されました百三十七回臨時国会の冒頭解散、十月八日公示、二十日投票で、選挙制度改革以来初めての小選挙区比例代表並立制総選挙が実施されることとなりました。この選挙が我が国の政治改革に画期的な役割をしるすものとなるのか、政界再編の第二波のうねりもあわせましてその行方が問われております。
     こうした日本列島を覆う総選挙の渦巻きが秋風に乗って政治の季節の到来を告げているとき、本県では須賀新知事を迎えた初めての定例県議会の開催となりました。このときに当たり、私は社会民主・市民クラブを代表して質問をするに先立ち、須賀龍郎新知事の御就任にまずもって心からのお祝いを申し上げます。  須賀知事、おめでとうございます。(拍手)  須賀県政は、順風を満帆受けての船出となっていないばかりか、波乱含みの船出となっております。まさにこの波乱含みの船出は、まさに大任を果たさんとするあなたに天が与えた試練であり、使命でもあります。そしてあなたならこの使命に必ずこたえ、鹿児島の県政に新しい時代を築くであろうとする大きな期待を持っているのが、このたびの知事選挙であなたを推薦し、支持した政党、県民であったことを肝に銘じ、勇気と自信を持って頑張ってほしいことをここで強く御要請をいたします。  選挙における投票率がよく信任の度合いとして問題になります。このたびの知事選挙もこの投票率におきましては三七・六六%、有権者の三分の二近くが棄権をしたという結果は、自治体は住民みずから治めるという実践があって初めてみずから治まるという地方自治のイロハといいますか、入り口におきまして多くの不参加があったことは、住民みずから治める実践を放棄した行為としてまことに残念であります。  鹿児島大学の篠原隆弘教授は、有権者は私的欲求ばかりを追求をし、公共のことに関心を向けない、「プライバタイゼーション」という言葉を使っていらっしゃいますが、これは「私ごと」と解釈するんでしょうか、これが多くの棄権を生んでいると分析する一方、棄権の責任はまず候補者自身にあると受けとめ、県民に顔が見える知事になってほしいと注文をされております。いずれも当を得た指摘でありましょう。また一方、サイレントマジョリティーと言われる多数の人々の政党政治への不満や厳しい批判が招いた政党離れ、政治離れによる無言の抵抗であることも見逃してはなりません。政治無関心層と一口に片づけることなく、今日の政治総体が信任を失っている現実を直視するところから出発すべきであると思料いたしますが、知事の所見を伺います。  平成八年第三回県議会は、一八八〇年、明治十三年五月十一日第一回県議会が開催されましてから数えて百十六年、幾つかの変遷をたどってまいりましたが、この県議会議場最後の県議会を迎えております。そして知事あなたは、新しい庁舎でのこの一期四年間の任期中に二十一世紀を迎え、鹿児島県のトップリーダーとして在任をされていくのであります。土屋前知事からの単なるバトンタッチではなく、地方分権を初め歴史的転換期に立った須賀知事が、時代の潮流をどのように認識をされ、新しい時代の郷土を築いていく御決意か、県民がひとしく注目をしており、知りたがっていることの一つであります。  知事は、本定例県議会開会における県政に臨む所信表明の中で「明治維新という大きな歴史の変革期において活躍をした先人の英知に学びながら、新しい時代に向けたさまざまな課題を先取りをし、県民の方々が夢と希望を抱けるようなチャレンジ精神に満ちた県政を目指してまいりたい」と述べておられます。昨日の自民党の代表質問におきましても、「進取の気概を持って積極的に取り組んでいく」とこう申されております。このくだりは、須賀知事、あなたが持ち合わせている政治家としての器量として、あなたを支持した多くの県民がひとしく寄せた期待であると思うのであります。知事が、二十一世紀を目前にした今日の政治情勢を、明治維新、戦後の変革期に次ぐ大きな変革期との認識に立って、先人の英知に学ぶ姿勢は共感を持つところであります。  「県民が新しい知事に求めるもの」と題した地元紙の社説の中で、時に毅然として国にノーと言える知事、国と県の主従関係からの脱却、つまり地方分権、地方の時代に先見性のある取り組みや気概を県民に示す知事像を求めているというような趣旨の論述をしております。本議会に提案されている、従来の知事対話を「知事と語るふるさと座談会」と銘打っての取り組みは、県民の中に溶け込んでいく知事の政治スタンスをかいま見る思いがするところでありますが、変革期の劈頭に立つ知事の気概と本県の将来像について、改めて知事の須賀ドリームを聞きたいものであります。  次に、まず公費不正支出とその改善策についてであります。  昨日の自民党の代表質問に答えて多くは答弁されておりますが、新しい知事のスタートの決意として改めてお伺いをしたいのであります。  議会は、調査改善検討委員会の精力的な調査に基づく報告に敬意を表しつつも、県民の間に広がっている疑念と不信を厳しく受けとめ、予算執行改善対策特別委員会の設置をして審査を開始したところであります。先ほど触れた選挙における投票率の低下ともかかわり、真相解明と再発防止は何にも優先する重要かつ喫緊の課題であります。長年の行財政における構造的な疲弊と公金支出に対する厳しさが問い直されております。吹き出したうみは冷やしたらいけないのが治療の初歩であります。知事就任に合わせるかのように吹き出したこの事件を、行政改善にとってまたとない好機ととらえ、これもまた県政刷新の任務として整々としてその任を果たすべきと思料しますが、知事の決意を改めて伺います。  次に、総合基本計画の見直しについてであります。  これにつきましては、知事は、昨日の自民党質問に対しまして「総合基本計画の総仕上げが任務である」と答えておられますが、それは当然なことでありましょう。せんだって知事はインタビューに答えて、総合基本計画は策定から六年経過をしており、状況の変化もあり、見直すべき時期にきた。第三期実施計画の策定作業も来年早々から始めたいと報道をされておりました。私どももこの基本的認識においては同感であります。分野別の見直しについては別な項に譲ることといたしますが、私どもがなぜその見直しの必要を申し上げるかといいますと、その主要な点の第一は、激しい経済情勢の変化と財政政策の転換であります。  総合基本計画が策定されました一九八九年時点におきましては、国の長期経済見通しは、我が国経済は今後二〇〇〇年ごろまでに年平均四・〇%程度の成長を維持するものという見込みに立っておりました。それに比べまして県の意欲的な経済成長努力によって、県内総生産の伸び率を年平均四・二%と見込んで、バブル経済のさなかに策定をされました。そしてバブル期の過大投資、その後の資産価格の暴落、円高など、大きな内外の環境変化によって景気は低迷を続け、一九九〇年以来四年に及ぶゼロ成長、国は、総合経済対策として六回にわたり財政資金約六十四兆円をつぎ込み、てこ入れをしてまいりました。今や国債発行残高二百四十一兆円、地方自治体の借金などを含めますというと、公的長期債務は四百四十兆円を超し、対国内総生産の九割という数字になっております。  去る七月公表された財政制度審議会財政構造改革白書の要旨には、公共事業を初め社会保障に至るまで、聖域なき財政再建を提言をしております。地方財政にも厳しく財政対策の矛先が向けられております。経済企画庁は、公共事業の景気刺激効果に疑問を持ってその見直しを始めております。公共事業依存の本県財政運営から見ましても、その見直しは避けられない情勢であります。  その第二は、二〇一〇年を目標年次とする次期全国総合開発計画、次期全総は来春に策定をされることとなっており、二十一世紀の国土のグランドデザインとして、東京から福岡に至る太平洋ベルト地帯の第一国土軸、東京から東北、北海道の太平洋側を結ぶ北東軸、北海道、本州、九州の日本海沿岸を貫く日本海軸、中京から紀伊半島、四国、九州中南部から沖縄に至る太平洋の新国土軸構想を打ち出しております。これも公共投資への財源が底をついているということを根拠に、あくまでも開発型の軸づくりではないと、くぎを刺しております。  ここで、我が鹿児島県で大きな課題は、九州中南部、沖縄に至る太平洋軸であります。知事がインタビューで、東九州軸、九州西南軸、これに加えまして沖縄から奄美にかけた南の海洋軸構想を国のプロジェクトに位置づけていくという見解を表明されておりますが、これは極めて大切な問題であります。琉球弧は南に将来の発展をかける鹿児島のかけ橋であり、南の海洋軸構想は鹿児島県が主軸となり、我が鹿児島の先端基地、つまり南の拠点となる構想そのものであります。県総合基本計画は南の海洋軸構想に大きく軸足を移して、物流の基本構想の策定や新観光戦略、新しい高齢者福祉施設のあり方など、その方向性を中長期的に将来構想を練り直すことが求められております。  第三点は、県総合基本計画着手から前期五カ年を経過をした今日、進捗状況の総括をもとにした見直しであります。公共部門の整備は、過去六回にわたる緊急経済対策事業や県単独事業の大幅な伸びに支えられまして、一定の成果を見たと思料しますが、民間資本による整備は期待どおりの進捗を見ていないという現状にあります。経済環境の変化で企業の投資余力が低下したこともその状況として考えられますが、もし経済環境の好転を待てば整備が期待できるのか、開発の魅力、民間活力の導入への努力不足に問題があるのか、進捗状況の課題を明らかにするとともに、以上申し上げましたような見直しの三つの視点について、知事の見解を明らかにしていただきたいと存じます。  次に、平成九年度予算編成とかかわりお尋ねをいたします。  緩やかな回復基調と言われながらも、依然として厳しい雇用情勢の中、大型の倒産とその波乱が懸念をされております。国の平成九年度概算要求基準によりますというと、要求総額は、国債費の一一・六%増を含めまして、平成八年度において八・四%増の八十一兆四千四百億円となっていますが、一般歳出予算総額は五四・八%の四十四兆六千二百億円で、平成八年度よりも二・六ポイント落ち込んでおります。公共事業など投資的経費の伸びはゼロ、経常的経費は過去最大の一二・五%の削減で臨んでおります。  平成九年度当初予算編成で財政構造改革元年と銘打った編成方針が貫かれた場合、ウルグアイ・ラウンド関連を含む公共事業の見直し、地方交付税交付金を圧縮するため人件費の歳出削減など地方財政の立て直しなど、本県予算編成への影響も懸念をされます。平成七年度一般会計決算収支見込みによりますというと、県税は法人事業税の増で三・五%増の千三百三十六億七百万円で、二年連続の増となっています。しかし、最近の県内の経済指標を見ますというと、幾らかの指標で好調の兆しがあるものの、公共工事が過年度からの繰り越しが消化をされ、前年同月比二五・一%減を初め、しょうちゅうやかつおぶしの生産など大幅な減産、勤労者世帯の実収入の減、それに伴う勤労者世帯消費支出の大幅な減など、なお不況感の要因は絶えません。九州通産局の調べによる九州地域経済動向調査で、大企業の五〇%が緩やかな回復基調という景況感を持っておるのに対しまして、中小企業は足踏み状態とするのが五三%、緩やかな後退というのが一三%で、六六%が依然として景気好調の見通しを持つに至っておりません。  以上、国の財政運営及び県の経済動向をどのように認識されているか、平成九年度予算編成に臨む知事の所信を伺います。  各論についての質問は後に譲りますが、予算編成にかかわりましてぜひここで伺いたいことの一つは、十四戦略プロジェクトの一つに位置づけられ、リーディング産業関連で当初から取り組まれてきた新種子島空港の整備についてであります。  去る八月十七日のH2四号機の打ち上げの成功など、我が国のロケットは世界の最先端の地位を占め、世界の衛星産業界の注目を集めております。そうした背景の中で、近く宇宙開発事業団は、総投資額四、五十億円の改良型H2ロケットモーターの製造工場の計画が伝えられております。将来、商業衛星打ち上げの大量注文が見込まれるなど、我が鹿児島にようやく壮大な宇宙産業の芽が出ようとするとき、国際的要港として注目される新種子島空港の整備は急がなければなりません。全体事業費二百億円で九四年度から取り組まれてまいりましたが、九六年度十九億三百万円の事業費が措置されながら、用地買収のめどがついていないことから、国の概算要求段階では本年度二億円の予算がついたのみとなっております。平成九年度に向けた新種子島空港の整備について知事の所信を伺うとともに、用地交渉の見通しについて明らかにしていただきたいと存じます。    [知事須賀龍郎君登壇] 5 ◯知事(須賀龍郎君)今回の知事選挙の投票率が結果といたしまして過去最低に終わりましたことは、極めて残念に存じております。低い投票率となりました背景には、全国的な投票率の低下傾向の中で、今回の知事選挙が、前知事の辞意表明から選挙までの期間が短期間であったことや、投票日が夏休みの中の日曜日であったこと、また、ただいま御指摘になられました点なども含めまして、いろいろと指摘をされているところでございます。いずれにいたしましても、私は、県政は常に県民に愛され、親しまれなければならないと考えておりまして、県民の方々が県政を身近なものとして、より関心を持っていただけるような県政にしてまいりたいと、このように考えているところでございます。  次は、これからの二十一世紀にかけまして、本格的な高齢化社会の到来や少子化の進行、国際化、情報化の進展、産業構造の変化や環境問題の重要性の高まりなど、大きな変革の時代であると認識をいたしております。本県におきましては、本県の将来に向けた浮揚発展の基盤となります、新幹線を含めます高速交通体系の整備並びに目覚ましい発展が進んでおりますアジア地域などとの人的、物的交流の促進、また二十一世紀の本県の望ましい産業政策のあり方並びに急速に進む過疎・高齢化に対応した地域社会のあり方や、マルチメディアの進展に伴います県民生活や産業活動の新たな対応など、多くの課題が山積しているところでございます。  このような中におきまして本県は、温暖な気候や魅力ある自然環境、歴史や文化とともに、我が国の食糧供給基地を担う農林水産業、国分・隼人テクノポリス地域を中心といたしました先端産業の集積、またアジアに隣接しております地理的特性など多くのポテンシャルを持っております。  私は、こうした本県の持つ個性や独自性を生かしながら、県土、産業・経済、県民生活それぞれの分野で実力あふれる新しい鹿児島づくりを進めるために、五つの基本政策をもとに、我が国の南の拠点づくりを目指す総合基本計画の着実な推進に努めますとともに、新しい時代に果敢に挑戦する県政を推進し、県民一人一人が、県内のどの地域に住んでおられても、生涯にわたり安心して生き生きと個性豊かな生活ができるような「うるおいと活力に満ちた鹿児島の創造」に全力を尽くしてまいる決意でございます。  次は、予算執行に関する調査改善検討委員会の調査結果によりますと、賃金や旅費等につきまして不適正な事務処理が多くの機関において行われ、その金額も相当な額に上っております。その多くが公務執行のために充てられていたものとはいえ、理由のいかんを問わずあってはならないことであり、私は極めて遺憾にまた残念に思っている次第でございます。  この問題につきましては、先般、県議会の予算執行改善対策特別委員会におきまして御審議をいただき、またその際に、長年にわたりましてこの制度の見直しを行ってこなかったことにつきましても厳しい御指摘をいただいたところでございます。私といたしましては、予算執行にかかわる制度全般を見直しまして、同委員会に対しまして、再発防止と改善方策等についての基本的考え方をお示ししたところでございます。  この問題への対応につきましては、県議会におきますこれまでの御審議や今後の御論議を踏まえまして、二度とこのようなことを起こさないための改善方策を取りまとめまして、着実に実施いたしますとともに、不適正な事務処理にかかわる金額につきましては、全額を返還したいと考えております。また、責任のあり方につきましては、私自身を含めまして具体的な結論を出したいと考えております。今後、県民の皆様方の信頼を一刻も早く取り戻すことができますように全力を傾注してまいる考えでございます。  次に、第三期実施計画の策定に当たりましては、本県の個性や独自性を生かした施策の展開ということを基本といたしまして、計画策定から既に六年が経過いたしておりますことから、見直すべきものは見直してまいりたいと考えております。また、本県の二十一世紀に向けての政策形成の課題でございます、新幹線を含む高速交通体系の整備、アジア地域などとの人的、物的交流の促進などの諸問題への適切な対応と、時代のニーズを踏まえた新たな施策を推進することとしてまいりたいと考えております。さらに、来春策定予定の新しい全国総合開発計画の内容をも反映したものにしたいと、このように考えているところでございます。  なお、具体的な策定につきましては、来年度の早い時期から入ることといたしておりますが、お話のございました経済フレームや東九州軸、九州西岸軸、南の海洋連携軸など、新たな全国総合開発計画との関連のあります地域連携軸の具体的な位置づけ、並びに当初計画どおりに進展をしておりません民間等の事業の計画などにつきましても、第三期実施計画の策定過程におきましてこれは十分検討してまいりたいと考えております。  次が、平成九年度予算編成についてでございますが、国においては、国債発行残高が平成八年度末見込みで約二百四十兆円に上るということから、極めて悪化した財政状況を踏まえまして、平成九年度の予算編成に当たりましては、財政構造改革元年予算となることを目指しまして、厳しいシーリングを設定した上で、あらゆる経費につきまして聖域を設けることなく抑制を図ることとしております。したがいまして、地方交付税やあるいは地方財政への影響も大変懸念をしているところでございます。また、本県経済は緩やかな回復傾向をたどっておりますが、回復のテンポは極めて緩やかで、回復は中だるみぎみでございまして、今後の景気動向につきましても引き続き注意深く見守り、適切に対応していく必要があると考えております。  本県の来年度予算編成につきましては、こうした国の予算編成の動向や県内の経済動向を踏まえて行うことが必要でございます。また、公債費等の義務的経費が増加してきている一方で、県税収入の大きな伸びを期待できないことから、引き続き厳しい財政状況が続くものと見込んでおります。こうした中ではございますが、企業誘致等によります県税収入などの自主財源の確保とあわせまして、地方交付税や国庫支出金等の充実、確保を国に対し強く働きかけるなど所要の財源の確保に努めながら、戦略プロジェクトを初め総合基本計画関連施策の着実な推進に努めますとともに、新たな時代のニーズに対応した施策にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次は、新種子島空港でございますが、新種子島空港の整備につきましては、これまで工事用道路、調整池並びに進入灯、橋梁工など、本体工事に向けての準備工事を進めてきております。用地買収につきましても、これまでに約六三%の買収を終えたところであります。平成九年度も用地買収をさらに促進をいたしまして、早期開港に向けまして一層の努力をしてまいりたいと考えております。  なお、用地買収の見通しでございますが、一部には共有地等もございましてなかなか難しい点もございますけれども、これらの解決に向けましては、今後とも、地権者を初め地元関係者の方々の御理解と御協力をいただきながら、速やかな用地買収に努めてまいりたいと、このように考えているところでございます。    [浜田みのる君登壇] 6 ◯浜田みのる君 知事が、県の総合基本計画の見直しにつきましては、情勢の変化を敏感に受けとめて大胆な見直しにも着手をするという、気概の入った答弁であったと理解をいたしたいと存じます。  なお、新種子島空港につきましては、これはどの辺まで一体受けとめたらいいのか、大型ロケットの打ち上げ成功に続きまして、この六月には日本の企業七十三社が出資をしておりますロケットシステムとアメリカの大手衛星メーカー、これはヒューズスペース・アンド・コミュニケーション・インターナショナルという会社でしょうか、これから商業ベースに対する人工衛星打ち上げの契約に対しまして基本的な合意ができたと。同じくアメリカの衛星メーカーのスペースシステムローラン社といいますか、これが衛星五機を改良型H2で二〇〇〇年から二〇〇三年に打ち上げるというふうに基本的な合意ができたと、こういうふうな記事が飛び交っております。  これは、二〇〇〇年から二〇〇三年といいますと、もうあと四、五年を待たずしてそういう大型ロケットの打ち上げが種子島の基地からなされると、こういうことを考えますと、今、種子島が国際的な舞台になろうとしているときに、用地交渉が難航するというのは大変困った問題だと考えます。今、鹿児島が世界の鹿児島になろうとしている、この国際舞台をつくろうというときでありますだけに、一刻も早くこの用地交渉を整備をして、これは大型輸送機の離着陸にも必要な滑走路延長問題もあるようでありますし、なおまた一年を通じましてロケットが打ち上げられるという状況になりますというと、漁業海域の漁業権との問題も絡んでまいります。そうした意味から、一刻も早くそういうこのような情報が、事実近々行われるという衛星の打ち上げであるとするならば、一刻も早くこの環境整備を整えて、この国際舞台をつくり上げていかなくちゃならぬと、こんなふうに思うところであります。  なお、総合基本計画につきましては、東京を中心に見ますというと鹿児島は端っこであります。しかし、はるか南の方を見渡しますというと、これは決して端っこじゃないはずであります。私は、南の拠点というのはそういう視野をぐうんと広げたところから発想していくべきではなかろうかと、こういうことも考える次第であります。  次の質問に移ります。  昨年七月施行されました地方分権推進法に基づきまして、地方分権推進委員会がことしの三月末、国から地方への機関委任事務の廃止などを含む、地方分権の具体化の中間報告が打ち出されました。これで地方分権が事実上動き出したわけでありますが、各県の状況を見た場合に、国からの権限移譲の受け入れ検討機関を設置するだけでなくて、既に県から市町村への権限移譲が始まっているようであります。しかし、官官分権という指摘もありますように、だれのための分権かという問題が置き去りにされている面も強くございまして、課題も次第にはっきりしてきておりますが、ちなみに国から県への権限移譲に対応して受け入れ検討機関は、九州・沖縄各県とも地方分権推進会議などの名称で設置をされ、福岡県では四百六十項目の権限移譲要綱をまとめたとも伝えられております。  また、県から市町村への権限の移譲につきましては、佐賀、長崎、熊本、宮崎の各県は、権限移譲の協議会を設置をして、熊本県が六年前から先行して権限を既に移譲している。本年度既に二百十項目を移行する準備をしている。昨年度から市町村に移譲を始めた大分県は、本年度までに二百六十項目の移譲を行い、他の県も本年度から移譲し始めたとの報道がされております。  私どもの鹿児島県は一体どうなっているのか。山間僻地、離島の多い鹿児島県にとりまして、地方分権は殊のほか有効で、市町村の活性化にも役立つと思うのでありますが、まず国から我が鹿児島県への権限の移譲については、どのような県土づくりを目指して、どのような戦略のもとに権限移譲要綱を取りまとめられたのか、その取り組みや現状はどのようになっているのかをお答えください。  次に、県から市町村への権限移譲につきましては、移譲項目をあらかたピックアップして、これから絞り込んでいこうということのようでありますが、この基本的な考え方、組織、スケジュール等についてお答えください。  三点目に、権限移譲には財政保障が問題だとよく指摘をされますが、国の機関委任事務は地方交付税で補てんをするとされておりますが、県で単独に市町村に移譲した場合、財源は一体どのような扱いになるのか、財源問題につきましてはきちんと市町村に対して保障するという立場で対処をすべきだと思いますが、どのように検討されたかについてお答えをください。  次に、情報公開のあり方についてであります。  去る七月二十九日仙台地方裁判所は、宮城県に対しまして、職務上記録された情報に含まれる公務員の役職や氏名は、条例が定める個人に関する情報には当たらないとして、懇談会出席者の氏名や一切の文書の全面開示を命じております。そして県の処分を取り消す判決を下しました。この判決は、県の予算を使って開催される会合で、出席者はいずれも職務で出席をしており、プライバシーが問題になる余地はないとの判断をしたのであります。須賀知事は、仙台地裁の判決をどのように受けとめ、どう対処されるおつもりか、御所見をお聞かせください。  情報を適切に県民に提供をし、県民が自由に情報に接見できるのは、開かれた県政ということになります。また今日の予算執行に関する一切の不祥事の再発防止のためにも、県政の公正さを確保し、県民の信頼を築く上からも、仙台地裁の判決の趣旨を踏まえ、積極的に情報の公開を図るべきだと考えますが、いかがお考えかお聞かせください。また、公的オンブズマン制度の制度化を図るべきだという意見がありますが、これについてどのようにお考えか、あわせて御所見を伺います。  次に、県警本部長にお尋ねをいたします。  去る九月四日、けん銃十丁と実弾二百八十六発を押収し、これらの所持者を逮捕したというニュースがございました。改めて、私どもの住む地域が銃汚染の瀬戸際に立たされていることを感ずる次第であります。国際化の進展という全国的要素と小桜組と山口組の抗争の激化という我が県独自の条件のもとで、銃汚染が進んでいるものと見られますが、県警本部は、これまで県議会でも水際作戦の強化、警察、海上保安庁、税関の三者の連絡・協力態勢の強化、県市モニターの設置などの方針を明らかにしておられますが、その成果が、今回、摘発逮捕になったものと思われます。これまでの県警本部や現場警察署の努力を高く評価するものでありますが、それにしても本年に入ってからの発砲事件、外国船からのけん銃の摘発など目を見張るものがあります。  そこで県警本部長、今回のけん銃の大量摘発に際しまして、県警幹部の発言として、暴力団の勢力からしてまだ銃は持っているはずという趣旨の発言が報道されておりますが、県内における銃汚染の状況をどのように判断をしておられるか。また全国的な状況はどうなっているのか、摘発の状況もあわせて明らかにしていただきたいと存じます。  次に、三月県議会で明らかにされました銃器対策の方針は着実に実施されているのか。わけてもさきに述べた関係三機関の協力態勢はどのようになっているかも明らかにしてください。今後の県内における銃汚染根絶の決意のほどを含めてお答えをいただきますようお願いいたします。  次に、海岸の浸食についてであります。  平成三年十二月以来、台風シーズンのたびに浸食をされる石油備蓄基地背後の柏原海岸は、平成五年に、これ以上浸食は進まないとして、当時二十億円以上を投入して養浜と突堤工事を行いまして、恒久工事として行われました。しかし、翌年の平成六年夏には、養浜海岸が再び大規模に浸食をされ、以前に設置した波どめ用の蛇かごの一部が露出をし、県の恒久工事の効果に地元で、海底から大量のしゅんせつされた砂が、掘ったところに砂がまた戻ってきているという指摘もされております。その後、県は、浸食が進むチリメンジャコ加工場前約二百メートルにコンクリートブロックを施設し、波どめの緩傾斜護岸を構築するなど、これまでに約三十億円の巨費を投入をしてこられました。浸食がけができるたびに重機を入れてがけならしを数百万円単位で工事が行われてきております。  去る八月十三日から十四日にかけて襲来した台風十二号の高波で再び浸食をされ、平成六年に県が設置したブロック護岸よりも北側部分で、柏原海岸と隣接をする大崎町横瀬海岸の一部で顕著な浸食が見られ、被害域が拡大をしております。  これまで段差程度の侵食がけが生じていたものが、今回は高さ約一メートルの顕著な侵食がけが約百連になってつながり、被害が拡大をしております。横瀬海岸は、平成五年県が養浜工事を終了した直後から小さな段差が断続的に生じていたと言われております。こうして見てくると、海岸侵食は台風のたびに繰り返され、その復旧工事は巨額に達し、抜本対策になり得ず、応急工事にしかなっていない結果となっております。このことは、関係地域住民に対しても、県の工事に抜本対策はないのかとの不安が募っております。県はこの際、海岸侵食の原因、例えば海底の土砂、波、陸の背後関係など含め、学問的立場の研究や工事の工法などを含めたシミュレーションを含めまして、あらゆる角度から原因究明を行い、抜本対策を講ずるべきだと思いますが、知事はどのように対処されようとしているか伺います。  今回の台風十二号による海岸侵食は、日置郡日吉町の天神ケ尾海岸で延長約八キロメートルの海岸全線に及ぶ最大幅五・六メートル、高さでは十二メートルの断崖状態の被害を受けております。地元民によりますというと、台風ばかりでなく、大潮のたびに侵食がひどい、沖の海砂採取と関係があるのではないかという疑問が持たれております。また、山川町岡児ケ水の長崎鼻海岸が長さ六百メートル、高さ七メートルの浜がけができる海岸侵食の被害も受けておりますが、このほか県下各地で海岸侵食が生じていることのようでありますが、これらの原因究明と抜本的な対策を講じる必要があると思いますが、知事の所見を伺います。  次に、産業廃棄物に関してお尋ねをいたします。産業廃棄物に関しましては、第二回県議会定例会でも代表質問で取り上げたところでありますが、再度質問をいたします。  現在、本県には産業廃棄物管理型最終処分場は一カ所もありません。県外施設に依存をせざるを得ない状況であります。こうした状況の中で、県は平成三年から産業廃棄物処理施設整備事業に取り組み、将来産業廃棄物の不法投棄や事業活動の停滞等の影響が懸念されている処分場について、公共関与等における計画的な整備を進めるとして毎年予算計上がなされ、普及啓発活動や産業廃棄物セミナーの開催、各地区説明会、先進地視察などを取り組んできておりますが、県下各地で処分場建設の計画が出てくると、住民の反対で断念せざるを得ない状況でございます。県の思惑とは逆の方向に進んでおります。国立公衆衛生院田中廃棄物工学部長は、去る八月二十七日に開催されました産業廃棄物セミナーにおきまして、産業廃棄物は豊かな生活を支える活動に伴って出てくるもので、発生の抑制、再生利用、無害化処分が処理の原則、適正な処分のために処分場は不可欠であるけれども、不適正な処理が目立つことで住民の不信感を買い、施設を建設しにくくしていると指摘をしております。大変注目をすべき指摘であろうと思います。  不適正な処理の最たるものとして、吹上浜の産業廃棄物の処置の問題があります。改善命令が出され、業者は保管から最終処分までの工事計画書を提出しながら実施されていない現状に対する県の対応のまずさがますます住民の不信を増加させ、産廃への反応が敏感になっているのではないでしょうか。産廃は非衛生的で、悪臭や有毒ガスの発生、さらに美観を損ない、日ごろから目にするごみ捨て場や安定型処分場の管理状態などから住民の産廃処分場に対するイメージが悪く、拒絶反応が強くなっているのではないのか。こうしたイメージを克服するために、法的措置がなされていない部分にメスを入れ、指導監督を強化し、住民の信頼を回復するとともに、処分場が建設された後の住民が懸念する水質汚染等被害に対する責任ある対応を明確にするなど、行政として強力な措置を講ずることによって住民の理解と協力を得なければ事業の推進はできないと考えますが、見解を伺います。  次に、病原性大腸菌O-157に関係してお尋ねをいたします。  厚生省は、去る八月二十五日現在でO-157に関して秋田、山形両県を除く四十五都道府県で重症者数九千五百三十人、死亡者十一人と発表しております。病原性大腸菌O-一五七による食中毒が本年最初に確認をされたのが四月十一日、以後各地で続発をし、中でも最大規模は堺市における七月十三日、患者数六千五百人以上の発生であります。本県におきましても五人の患者が出ておりますし、また本県食肉処理場から福岡市内に出荷した牛の内蔵センマイからO-157が検出されたと報道されました。県内においても食品に慎重な対応がなされてまいりました。O-157感染源については種々論議されているものの特定できず、今日に至っております。食品業者、飲食業者など七月から八月にかけ、死活問題にまで発展しかねないほどその影響は大であります。厚生省は去る八月六日、病原性大腸菌O-157による腸管出血性大腸菌感染症を伝染病予防法による伝染病に指定をし、今後の対応を指示したことは御案内のとおりであります。  まず、今日までの本県における患者の発生状況と感染経路についてお伺いをいたします。  県において先日、O-157集団発生のマニュアルを全国に先駆けて作成されたことを高く評価するものでありますが、マニュアルでは堺市の集団発生を教訓にして、平常時の準備と対応について万全を期すとともに、初動体制の重要性から、相談やうわさの増加など情報感知に重点を置いたものとなっております。  そこで、マニュアルの内容についてお尋ねをいたします。  第一に、連絡体制の整備の状況についてでありますが、保健所における連絡体制と作業分担等はどのようになっているのか。また、地域における保健所と市町村、学校、医師会等との連携及び全県的な連携はどのように整備をされているのかお示しください。  第二に、情報感知の重要性では、日ごろ児童生徒の健康状態を個人として、集団としてよく掌握をしている学級担任や診察した医師等が、いかに集団発生を疑うかという初動にかかっていることを強調していますが、これらのことについて保育所、幼稚園や学校等の現場教師や医師に対してどのように周知をされているのかお尋ねをいたします。  第三に、情報の提供についてであります。住民に適切な情報を提供することは、早期治療による重症化防止や二次感染を防ぐとともに、住民に無用な不安を抱かせないために重要なことであります。しかし、これまでの経過を見ますと、過剰反応し過ぎて子供のいじめや偏見を生み、人権問題にさえ発展をしております。O-157に感染しても健康な成人では無症状であったり、数日で自然治癒することがほとんどで、乳幼児や病弱な高齢者が重症に至ると言われております。患者等の人権が損なわれることがないよう、正しい知識の普及啓発が重要でありますが、この点に弱いように思われます。現状と今後の取り組みについて伺います。  これまで幼稚園や保育所、学校においては、食中毒の発生防止のために水質検査や食材の点検、衛生管理の徹底など強化をされてまいりまして、夏休み以後の給食開始後今日まで、食中毒が発生をしていないことは幸いであります。O-157対策としてとられた点検、検査において問題点はなかったのか、それに対する対応は十分であったか伺います。  次に、保存食の二週間保存への変更に伴う冷凍庫及び中心温度計等の整備についてでございます。特に、きのうの自民党の代表質問に、学校等における冷凍庫、中間温度計については整備が進んでいるようでありますが、私立幼稚園などには既存の冷蔵庫では対応できないところも多くなっておりまして、新規工事にも経費がかさみ、行政に対して援助を求める声が出ておりますが、私立幼稚園の整備状況と今後の整備計画について伺います。    [知事須賀龍郎君登壇] 7 ◯知事(須賀龍郎君)仙台地方裁判所におきます宮城県の情報公開条例につきましての一定の判断がなされましたことにつきましては、私も承知をいたしております。しかしながら、情報公開につきましては、それぞれ各自治体がそれぞれの判断に基づきまして、独自に条例や要綱を制定し、制度化しているものでございまして、これを全国的に、また画一的に統一するということはなかなか難しいのではないかと考えております。また、制度のあり方や運用の方法は、それぞれの自治体が制定しております条例や要綱によって異なっているものでございまして、他の自治体の条例に基づく事例に対しまして、司法判断がなされたことにつきましてのコメントは、私は差し控えさせていただきたいと存じます。  ただ、本県の情報公開につきましては、これまで個人情報や事業活動情報など非開示に該当するもの以外はすべて開示をしてきております。しかしながら、今回の問題にかんがみまして、情報を開示することによりまして、不適正な事務処理を抑止できるということも考えまして、新たに債権者の事前同意や県職員の理解を得ました上で、今後の支出について情報公開の範囲を拡大するための開示基準を定めたいと考えております。具体的な範囲の拡大といたしましては、賃金は、その支払い先であります臨時職員の氏名等、また旅費は出張者等の職、氏名、食糧費は懇談会等の開催場所並びに県側出席者の職、氏名、その他需用費、使用料、賃借料などは取引の相手、すなわち債権者の名称等の開示を考えておりますが、今後県議会におきますいろいろな御論議も踏まえました上で情報公開の範囲を決定してまいりたいと考えております。 8 ◯総務部長(白崎徹也君)地方分権の推進につきましては、昨年の三月に県の地方分権推進調査研究会が報告書の中で国から県への権限移譲、それから県から市町村への権限移譲、国と地方との財源配分問題、こういう問題につきまして、本県の実態を踏まえました個別、具体的な改善意見を取りまとめまして、これをもとに県の開発促進協議会を通じまして、関係省庁等へその実現を要望しているところであります。国から県への権限移譲につきましては、地域の特性を生かした豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図るため、県民のニーズや地域の実情に応じまして、県が主体的かつ総合的に実施する必要のある施策に関する事務につきましては、基本的にはそのほとんどを国から移譲すべきであるという観点から要望を取りまとめたところでございます。また、九州各県におきましても研究会の設置や提言の取りまとめなど、さまざまな取り組みを行っておられます。九州地方知事会におきましても、地方分権調査研究委員会を設置しまして、地方分権の推進に関する提言を行うなど、九州各県が一体となって取り組んでいるところでございます。  本県としましては、今後とも真に実効性のある地方分権の推進が図られますよう地方の声を十分に反映した地方分権推進計画が作成されるよう、また国と地方公共団体の役割分担に応じました地方税財源の充実確保などにつきまして、県開発促進協議会を初め、全国知事会、九州地方知事会、市町村などと一体となって積極的に国に働きかけてまいりたいと考えております。  また、住民の身近にある市町村で処理する方が自治機能の強化や住民サービスの向上につながるような事務につきましては、市町村に積極的に移譲することが望ましいと考えております。昨年十二月に策定いたしました行政改革大綱におきましても、市町村への権限移譲を積極的に推進することとしているところでございます。県としましては、市町村や関係団体との協議の場を設けまして、年内にも予想されます国の地方分権推進委員会による勧告等を踏まえながら、具体的な移譲事務や移譲に伴う財政措置等につきまして検討してまいりたいと考えております。  公的なオンブズマン制度は、幾つかの地方公共団体において導入されておりますが、これらは一般的には行政に対します住民の苦情を迅速に処理することを目的として設置がなされております。行政に対します苦情、救済につきましては行政事件訴訟法、行政不服審査制度、監査委員制度のほか、国の委任事務や補助事業に関しましては行政監察、それから行政相談、こういう制度がございます。それぞれの目的に沿った運営が行われているところであります。また、本県におきましては、行政手続条例を平成八年の一月一日から施行しまして、申請に対する処分、不利益処分、行政指導等につきまして、県民にわかりやすい審査基準及び事務処理の迅速化のための標準機関を設定いたしまして、県民の権利保護と利便性の向上を図っているところでございます。公的なオンブズマン制度につきましては、このようなさまざまな現行制度もありますことから、これらの現行の各種制度の充実強化を図って対応していきたいと考えているところでございます。  私立幼稚園におきます給食の保存の問題でありますけれども、給食を実施いたしております百五十六園のうち、百三十四の園が幼稚園で保存をいたしております。残り二十二の園につきましては、給食の委託業者が保存をしている現状であります。私立幼稚園の保存用の冷凍庫の整備状況につきましては、百三十四園のうち二十九園が新規で購入しました。残り百五園は、既設の冷凍庫で保存をいたしております。このうちの五十八園につきましては、容量が不足していることやマイナス二十度C以下での保存ができない、こういうことから冷凍庫を買いかえる必要がございます。給食保存用冷凍庫の整備に要する経費につきましては、私立学校運営費一般補助、また魅力ある私立学校づくり補助、こういう補助を毎年度増額をいたしておりますので、これらの経常費補助の中で対応することを現在検討しているところでございます。 9 ◯警察本部長(堀 貞行君)県下におきます銃器汚染の状況につきましては、その確実な把握は極めて困難でございます。先般押収した十丁が一体どの程度の割合に当たるかと、過半数か、三分の一かということは、押収銃に一連番号がついているわけでもございませんので、極めて難しい。ただ十丁程度ではまだまだ不十分だということで氷山の一角、氷山というのは一割が水面上と見ますので、一割にも満たないというふうに私どもは思っておりまして、改めて摘発の決意を固めておるということでございます。  ちなみに、本県でこれまで押収されたけん銃の約七〇%を暴力団関係者の所持ということで占めておりまして、暴力団を中心にかなり銃汚染は進んでいるというふうに見ております。また、暴力団以外の一般市民を不法所持で検挙したという事案ももちろんございまして、総合的に考えますと、県内にはやはり相当数のけん銃が出回っているというふうに判断いたしております。なお、全国的には八月末現在一千六十二丁、県内ではこれまで過去最高ではございますが十四丁を押収しております。関係機関との協力による水際対策につきましては、平成八年三月八日、税関、海上保安部と共同で鹿児島県銃器薬物等取締連絡協議会を設立し、情報交換を密にするとともに、九月十九日には税関、海上保安部と合同で銃器等水際阻止訓練を実施するなどの連携の強化を図り、各機関のトップと繩張り根性を捨てて協力しましょうということを約しているところであります。また、平成八年四月一日に銃器等密輸対策モニター十八名を民間の方、委嘱いたしまして、多くの情報も得ております。銃器摘発につきましてはさらに警察本部の銃器対策室を強化し、また装備資機材の充実を図りながら県民の協力を得て強力に推進してまいりたいと思います。 10 ◯土木部長(横田穰二君)柏原海岸の侵食対策につきましては、専門家の指導を受けこれまでに養浜工、突堤工や緩傾斜護岸等の整備を行ってきたところでございます。また、台風の影響により発生した養浜部の浜がけにつきましては、その都度適切に整地を行ってまいりました。柏原海岸の海岸保全につきましては、今後これまでの調査資料等や現在継続して実施している深浅測量等の結果を踏まえ、さらに建設省土木研究所や海岸工学の専門家の指導を受けながら、土砂移動のメカニズムを解明するなど各種検討を行い、今後の対策に生かしてまいりたいと考えております。  次に、ことしの台風による海岸の被害は、七月十八日に薩摩半島内部に上陸しました台風六号及び八月十四日に薩摩半島西岸を通過いたしました台風十二号により生じ、特に台風十二号は、鹿児島気象台で最大瞬間風速五十八・五メートルの観測史上最高を記録するなど戦後最大級のものであり、また満潮時と重なったことから異常な高潮となり、長崎鼻海岸や日吉町の天神ケ尾海岸等に災害が発生しました。長崎鼻海岸につきましては、建設省の公共土木施設災害復旧事業で対処することとしており、現在国と工法等について協議を進めているところでございます。また、天神ケ尾海岸につきましては、国有林が侵食されたため、鹿児島営林署が護岸工等による復旧計画書を既に林野庁に提出済みであり、所要の復旧予算を確保し、早期着工をする計画であると聞いております。海岸の管理につきましては、今後とも必要に応じ海浜地の状況を調査し、適切な保全整備が図られるよう努めてまいりたいと考えております。 11 ◯環境生活部長(大久保博志君)産業廃棄物処理施設の整備が進まない背景には、現在設置されているものの中に、処理施設やその運営のあり方等に問題があることや不法投棄等がなされていることに対し、住民が不信感を抱いていることがあると思われます。  このため、県におきましては、処理施設の許可に当たりまして、指導要綱に基づき事前に設置予定者に対し、建設計画への住民意見の反映や環境保全協定の締結等を指導するとともに、産業廃棄物処理法に基づき、厳正な審査を行うことといたしております。また、処理施設の必要性や安全性等について普及啓発に積極的に取り組むとともに、不法投棄等に対するため産廃Gメンを配置し、監視体制を強化いたしておりますが、全体といたしまして施設整備に対する住民の理解が十分には得られていない状況にございます。なお、現在国におきまして、廃棄物の減量化、リサイクルの推進、廃棄物処理に関する信頼性と安全性の向上、不法投棄対策の強化、原状回復措置等につきまして、抜本的な法律改正に向けた検討が進められておりまして、県といたしましては、その結果を踏まえ、県民の理解と協力を得ながら廃棄物処理施設の整備が促進されますよう努めてまいりたいと思います。 12 ◯保健福祉部長(安達一彦君)鹿児島市につきましては、中核市でありますことから、伝染病予防法上あるいは食品衛生法上も大部分独立した取り扱いとなっておりますが、この鹿児島市を含めまして、本県における病原性大腸菌O-157による患者等の発生状況につきましては、これまで四名の患者のほか、菌は出ておりますが症状はないという、いわゆる健康保菌者が三名発生しております。これらの患者等の感染源、感染経路等につきましては、それぞれ所管の保健所におきまして、本人や家族等の病状調査、あるいは食事状況の調査等を実施し、その原因究明に努めてまいりましたが、県内の患者及び健康保菌者につきましては、いずれも散発例でありましたことなどから、これまでのところ感染経路は判明しておりません。また、鹿児島市の事例につきましても同様であると聞いております。  次に、県では万一にも病原性大腸菌O-157の集団感染が発生いたしました際には適切に対処できますよう、先般平常時の準備と対応、集団発生時における組織体制の整備と指示系統などを内容といたしましたO-157集団発生マニュアルを取りまとめたところでございます。このマニュアルの中では、平常時の対応といたしまして、休日等における保健所内の連絡体制や作業分担についてあらかじめ取り決めておくこととしており、現在各保健所におきまして、伝染病や食中毒予防対策の中で定めております既存の連絡網や作業分担をもとに、その体制づくりを進めているところでございます。  また、市町村等関係機関との連携につきましては、先般各保健所におきまして、医師会や教育委員会等からなります病原性大腸菌O-157対策地域連絡会議を開催し、その連携強化を図ったところであり、今後各保健所におきまして、関係機関との連絡網を整備することといたしております。また、全県的な連携につきましては、教育庁を含む庁内関係各課、鹿児島市、医師会、大学等から成ります連絡会議を設置し、既に二回の会合を開催いたしましたが、さらに集団発生時におきましては、医師会や教育委員会等から成ります現地及び県の対策本部を設置し、全県的な連携態勢をとることといたしております。  次に、患者を診察した医師や生徒の日ごろの健康状態をよく掌握しておられる学級担任の方々が、いかに集団発生を疑うかということがその後の病原性大腸菌O-157に対する迅速な対応を行う上で極めて重要であり、幼稚園や学校等の教育機関や医療機関等においては、早退や欠席の状況、似通った症状を有する患者の把握などを通じまして集団発生を感知し、保健所等へ相談する体制を整備しておくことが望まれます。  このため、県の保健所におきましては、今後関係機関との連絡網の整備を行いますとともに、各保健所に設置されました病原性大腸菌O-157対策地域連絡会議等を通じまして、教育委員会や医師会等関係機関に対し、早期の感知や連絡の重要性を説明し、あわせて学校や医療機関についての指導と周知をお願いすることといたしております。  次に、県民の方々に適切な情報を提供いたしますことは、病原性大腸菌O-157によります感染の発生防止はもちろんのこと、早期診断、早期治療によります重症化の防止、あるいは二次感染を防ぎますために大切なことであり、これまで本県におきましては、全家庭を対象に、基本的な症状や予防方法等についてのチラシを配布するほか、新聞やテレビ・ラジオ等を通じまして県民の方々に広く普及啓発に努めてまいりました。また、このような病原性大腸菌O-157感染症の基本的な症状や感染経路のほか、患者の発生状況や対応できる医療機関等につきましての適切な情報提供が、県民の方々に無用な不安や偏見等を抱かせないことにつながると考えており、O-157集団発生マニュアルの中でも患者さんのプライバシー等に配慮しつつ予防対策など必要な情報を適切にかつ迅速に提供することといたしております。県といたしましては、今後とも関係機関の御協力も得ながらさまざまな機会をとらえまして、病原性大腸菌O-157に関する正しい知識の普及啓発に努めてまいりたいと思います。 13 ◯教育長(有馬 学君)お示しにもございましたけれども、二学期の学校給食開始に備えまして、県下すべての学校及び共同調理場におきまして、調理員の検便などの健康状態、給食施設の衛生管理などについて夏期休業中に緊急点検を実施をいたしてございます。  その結果、一部の市町におきまして、施設の老朽化や構造上改善すべき点がございましたので必要な措置を取るよう指導し、二学期からの学校給食に万全を期したところでございます。また、上水道を使用していない全学校の水質検査と各学校の受水槽の清掃点検を行いましたが、異常は認められておりません。  さらに、県下二十四カ所の学校給食調理施設を抽出をいたしまして、それぞれ三種類の食材を選定をいたしてO-157の検査を実施いたしましたが、いずれも菌は検出されず、緊急点検等の結果は特に問題はなかったところでございます。なお、調理の際必要な中心温度計につきましては、すべての調理場等に整備がなされております。また、給食の保存用などの冷凍庫につきましては、九月二十五日現在でございますが、学校給食施設三百六十一カ所中三百二十六カ所で整備がなされております。残る未整備の三十五カ所につきましてもすべて発注済みでございますが、全国的な品不足もございまして、現在納品を待っている状況にございます。    [浜田みのる君登壇] 14 ◯浜田みのる君 銃の摘発につきましては氷山の一角というお話で、大変物騒な話でございます。昨日の県警本部長のお話の中に、県警察の使命として、県民がまくらを高くして眠れる安全な地域づくりというお話がございましたが、私どもの周辺に物騒な銃が方々にあるというふうに考えますと、なかなかまくらも高くできない感じがいたします。  地下鉄サリン事件は、非常に安定した公安情勢の日本の、しかもああいう管理された公共の場で毒ガスがまかれたという、そして不特定の人間の殺害をねらったという点で、大変人々を恐怖のどん底に陥れました。また、今回のO-157事件は、これまた近代的な設備を誇る日本の給食施設、あるいは管理された食材の中から恐るべき病原菌が発見されたという点では、地下鉄サリン事件と並ぶ非常に大きな恐怖でございました。私どもが安心して暮らせる社会というのは、こうした数々の問題にあわせまして、特に暴力団のはびこる社会、銃が散乱をする地域というのは、一刻も早くなくしなくちゃならない大きな問題ではなかろうかと思う次第であります。特に、このO-157の学校や幼稚園、こうした集団の生活をする場所における食材の管理というのは、ぜひ万全を期してほしいものであります。今、その取り組みがなされるさなかでございますから、あわせてお願いをしたいと存じます。
     情報公開につきましては、事あるごとに開示をされた情報の中に墨が塗ったのがこうして示されるわけです。私はあれを見るたびに、戦後、戦前の教科書に不適正なところに墨が塗られた教科書が学校に出回りました。あれを連想するわけです。したがいまして、何がどういう理由で開示できないかということは、これはひとしく私どもが共通の認識で合意を持っていかなくちゃならない問題ではなかろうかと思うわけです。したがいまして、何がなぜできないということを明らかにして、それはある意味では開示できないものもこれはあるわけでありますから、そこに基本的な合意を得ることが必要ではなかろうかというふうに思う次第です。仙台における裁判の判決というのは、これは一つのある角度からの判断を示したものでありますから、十分これは参考にしながら県民が合意を得るような情報の開示というものをいろいろ考えていく必要があるように感じる次第でございます。  産廃につきましては、どのような啓発活動や指導をするよりも、まず現在私どもの回りにありますところのいろんな嫌な感じを持つ廃棄物の山積みされている状況をやはり早く解決をする、そのことがどのような言い分にもまさる証拠であろうというふうに思います。県が指導をすれば嫌なものはちゃんと整備をされるという信頼を得ることが何よりも大事じゃなかろうかと思う次第でございます。  次の質問に移ります。  中小企業対策についてでございます。補正予算に、大型店などの攻勢を受けて、転業や廃業がふえている商店街を活性化する空き店舗対策モデル事業を鹿屋市で実施するための予算が計上されておりますが、その成果と今後の事業展開に期待をするものであります。地方の商店街は、相次ぐ大型店の進出や高齢化と後継者難による空き店舗の増加で商店街の魅力が低下をし、客足が減少するという、さらに経営難に拍車がかかり、廃業に追い込まれるという悪循環に陥っております。これまでも多くの商店街で空洞化対策のために商店街診断等が実施をされ、それらを踏まえて共同店舗化や駐車場整備など積極的な取り組みが進んでいるところも見受けられます。しかし、全体的には診断による処方せんが出されても、それが具体化されにくい現状にあります。  そこで、お尋ねをいたします。  まず、このような商店街空洞化の原因をどのように分析をされているか。現行の商店街活性化対策が進まないのはなぜなのか。活性化を誘導すべき融資制度や事業内容に問題はないのか、見解を伺います。それらの総括の上に立った融資条件の緩和や事業見直しの検討が必要と思いますがいかがでしょうか。  今回のモデル事業は、全国で十五市町実施されることになっていますが、鹿屋市の具体的な事業計画の内容と他の地区と比べた特色についてお示しをください。  また、モデル事業の成果を踏まえ、今後他地区への事業展開が期待をされますが、県下都市部における商店街の空き店舗の現状をどのように把握されているのか。きのうの自民党の代表質問に、法人化された商店街の七・一%とかという数字が示されておりますが、これは鹿児島市のような多く商店街の集積をするところはほとんどそのような状況はないわけでありますから、この地方に集中して空き店舗が発生をしているというふうに見ますというと、七・一%という数字はこれは平均の数字でありまして、地方都市の状況はもっと惨たんたる状況ではないかと、このように思う次第であります。今後の展望を含めてお伺いをいたします。  次に、不況の長期化と企業の海外進出の影響で、県内への企業誘致も減少をし、ここ数年は十数社前後と厳しい状況が続いております。産業の空洞化の波が県内経済にも暗い影を落としつつあります。県においては、新しい技術や製品を研究開発する企業で担保力が乏しく、資金調達が困難な企業を育成、支援する創造的中小企業創出支援事業をスタートしておられます。これまでの県内の支援実績及び今後の計画について伺います。このベンチャー支援事業は、県新産業育成財団が主体となり、民間のベンチャーキャピタルを通じて間接投資や転換社債を引き受ける際の債務保証を行うもので、ベンチャーキャピタルが操業間もない企業の経営や新技術開発への支援は、リスクが大きいとして手控え傾向にあったものの解決を図ろうとするものであります。産業の成熟化と空洞化がますます高まっていく中で、二十一世紀に向けて新しい産業の創出は重要な課題であり、単に資金面だけの支援にとどまらず、経営指導や不足する技術ノウハウのほか、客観的な技術指導など多面的、総合的なベンチャー支援策が求められていますが、本県での取り組みの現状と今後の展望についてお示しをください。  次に、農業問題について伺います。  一つは、諸外国からの農産物の輸入が急増している現状と本県への影響についてであります。生鮮野菜の輸入量はこの五年間で二・八倍にふえ、約七十四万トンに増加してきておるようでありますが、最近になって緊急輸入制限、つまりセーフガードの発動を要請する声が高まっております。当面、農水省はショウガとニンニクに絞って大蔵省に調査を求めることにしているようであります。鹿児島県の主力品目のカボチャ、ニンジンも例に漏れず、輸入による影響が懸念されていますが、本県における農業生産で最も大きな農業を期待をしている生鮮野菜の輸入による影響について、まず伺います。  また、農水省が実施をした食料品消費モニターによる調査によりますと、輸入野菜を購入しない理由に七八・七%の人が残留農薬への安全性の心配を挙げております。鮮度もよく、価格も安いとしながら七九・三%の人が国産のものを食べたいと答えています。農水省は、今回初めて輸入が急増しているショウガ、ブロッコリー、シイタケ、里芋、ニンニクなど五輸入野菜を、消費者に正確な情報を提供するため、日本農林規格、JAS法に基づく原産国表示品目に指定する方針を決めたと言われております。この原産国表示が義務づけられますというと、輸入業者を含む販売業者、野菜の容器や包装袋に原産国名を、国産の場合は都道府県名を表示をするのが原則とされ、農水省や都道府県が定期検査を実施して、違反した場合は業者名を公表する罰則が科せられることになっておるようであります。今後、輸入量の増加に応じて順次この原産国表示の対象を広げる方針を示しておるようであります。消費者動向から見まして、原産国表示は国内野菜を守る唯一の方法で、特に生鮮野菜の安全にして安定な供給のためにも、厳正な定期検査による法の運用を期待をしていますが、JAS法の運用拡大と本県農業の影響についてどのように対処されようとしているかお考えを伺います。  次に、米の生産調整についてであります。九十五年産の自主流通米は豊作の影響で、価格が九十四年産の政府米より下回るという状況も出ております。政府は、九十四年政府米の値下げ販売をする方針を決定いたしました。この六月から施行される米の販売自由化は、米の値段の二極化を強める一方、とも補償による生産調整による米づくりの新たな仕組みづくりを迫られております。減反による稲作農家の所得低下を農家がお互いに補償し合うとともに、米の価格維持を図る自衛策としてのとも補償は、実効を上げているのかどうか、また課題は何かについてであります。  平成八年度九月補正で三億九千万円、補正後累計で七億八千万円がとも補償基金として計上をされております。とも補償に取り組む県の姿勢と決意は評価をするところでありますが、九十六年産米の本県の減反割り当ては一万七千八百ヘクタールとなっていますけれども、七億八千万円の基金はどのようなとも補償を見込んだものなのか、また実績を伺います。  地域や集落によって取り組みはさまざまと存じますが、自家販米農家はとも補償によるメリットが直接ないわけで、過分の負担となることからその参加が得られない状況にあります。これを補完する何らかの指導の指針と対策がなければならないと存じますが、その見解を伺います。  次に、食糧の安定供給の課題についてであります。  飼料用の輸入穀物相場の高騰で、鶏卵の値上がりが報道されております。飼料用トウモロコシのシカゴ相場が史上最高値を更新し、その影響で配合飼料価格は、この一年間で約三五%上昇したのが原因となっております。世界の農産物輸出の約一五%を占めるアメリカが、ことしの四月に農産物の生産調整をやめて、市場価格にゆだねる新しい農政に転換をしておりますけれども、農産物の国際相場がアメリカの作柄などによって変動しやすくなり、輸入国日本への影響が懸念されるという桜総合研究所のリポートが警告したやさきに、この飼料値上がりは事態を大きく見なければならない原因ではなかろうかと考える次第であります。全国一を誇り、本県における農業収益の三〇%強を占める畜産が、飼料の国際相場の大きな影響下にあることは重く見なくてはなりません。本県農業の戦略はこれでよいのか。この十一月にローマで予定されている世界食糧サミットもアメリカ、オーストラリアなど農産物輸出国と日本など輸入国の間の意見調整の難航が予想されております。食糧を初め農産物の安定供給は今日の最大の課題であることから、知事の見解を伺いたいと存じます。    [知事須賀龍郎君登壇] 15 ◯知事(須賀龍郎君)我が国は、国民の所得水準の向上等から見まして、豊かで多様な食生活を実現してまいりましたが、この間、特に畜産物や油脂の消費増に伴いまして、飼料穀物や油脂原料の輸入は増加しております。これらの輸入農産物の生産に必要な面積は、これは国の試算でございますけれども、国内作付面積の二倍強に相当すると言われております。今後、国民の豊かな食生活を支え、食糧の安定供給を図ってまいりますためには、安定した農産物輸入を確保する一方で、基本的には消費者ニーズに即した国内農産物の優位性、すなわち新鮮さや安全性を生かしながら、国内生産の維持拡大に向けまして、最大限の努力をしていくことが大事であると考えております。  県といたしましては、飼料につきましては国際価格の変動によります影響が緩和されるように、配合飼料価格安定基金の適切な運用を国に要請いたしますとともに、県内の草資源や農場副産物等の未利用資源を最大限活用いたしますほか、農産物全体につきましては広大な畑地や温暖な気象条件など本県の地域特性を最大限に有効活用し、消費者ニーズに即した高品質なかごしまブランド産地の形成を進め、我が国の食糧供給基地としての本県農業の確立に向けまして、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 16 ◯商工労働部長(濱田隆道君)県内の地域商店街におきましては、消費者ニーズの多様化への対応がおくれたこと、モータリングゼーションの進展に対応した駐車場の整備が十分でなかったこと、大型店の進出に対抗した魅力ある商店街づくりへの取り組みがおくれたことなどによりまして、顧客の減少や空き店舗の増加が見られるなど厳しい状況にあるところが多いと認識いたしております。  商店街の活性化を図りますためには、きめ細かなサービスの提供や個別店舗の改造等、個々の商店の努力と商店街全体としての組織的な対応などの自主的な取り組みが重要であると思われますが、経営者の高齢化や後継者不足が進む中で、将来を見据えた積極的な取り組みに踏み出せない商店街が多くある状況にあると考えております。このため、平成七年度から空き店舗の改造等を行います高度化事業の融資要件を緩和したほか、今回新たに空き店舗対策モデル事業へ取り組むなど必要な見直しもあわせて行ってきているところでございます。  県内の法人化されております四十八の商店街におきまして、全店舗の七・五%が空き店舗となっておりますが、鹿児島市では四・六%でありますことに対しまして、鹿児島市以外では九・三%となっておりまして、地方における空き店舗の割合が高くなっております。今回、空き店舗対策モデル事業を行うこととしております鹿屋市の中心商店街は、大型店の郊外への出店や中央地区の居住人口の減少、集客の核となっておりました百貨店の閉店等によります客足が遠のいたこと等により空き店舗が増加し、問題が深刻化している状況にございます。したがいまして、このモデル事業では、ファーストフード等の不足業種を幅広く募集し、実験店舗として出店させるほか、商店街に人を呼び込み、回遊性を高めるため、託児所機能を備えたミニシアターの運営や共同イベント実施などの活性化対策を実験的に行うことといたしております。県といたしましては、この事業の成果を踏まえ、地域の自主的な取り組みを前提としつつ、さらなる対策を検討してまいりたいと考えております。  創造的中小企業創出支援事業につきましては、担保力が乏しい創業期の中小企業が容易に資金調達ができるよう、ベンチャーキャピタルを活用した支援制度として、平成八年三月に創設いたしました。七年度におきましては、電気機械製造業と食品製造業の二社に合計一億円の投資を行っております。また、八年度におきましては、五億円の投資を計画いたしておりますが、先般、本年度一次分といたしまして綿製品製造業、照明器具製造業、畳製造業、超音波応用器具製造業の四社に合計二億八千万円の投資を行うことといたしました。引き続き、投資案件の募集を行っておりまして、今後も創業期にあります中小企業を資金面から支援してまいりたいと考えております。 17 ◯農政部長(松本浩二君)野菜の輸入量でございますけれども、平成六年度の国内の消費量約一千七百万トンの一四%を占めるまでになっているところでございます。本県産と競合する品目につきましては、カボチャ、里芋、エンドウなどがございまして、今後の輸入動向いかんによっては販売環境が厳しくなるなど本県への影響も懸念をされておるところでございます。このような情勢に対応いたしまして、本県といたしましても関係機関・団体一体となって輸入動向の情報の的確な把握に努めながら、機械化、分業化など生産出荷体制を整備をいたしまして、広域ブランド産地育成や畑作野菜営農基地の造成など国際競争に打ち勝てる産地育成を進めているところでございます。なお、輸入野菜の急激な増加を防止するために緊急輸入制限措置、いわゆるセーフガードでございますが、発動など適切な措置が講じられますように国へ要請してまいることといたしておるところでございます。  農林水産省におきましては、青果物につきまして原産地表示を義務づけるJAS法施行令の改正を行いまして、この九月二十日から里芋など五品目を対象に施行がなされておるところでございます。本制度の定着化が図られることによりまして、消費者が品質を正しく判断することが可能になりますとともに、産地における品質の改善、生産の合理化に対する取り組みにつきましても理解が得られ、ひいてはブランド化の推進に寄与するものと期待をいたしておるところでございます。今後、農水省は品目を順次拡大することにいたしておりますので、県といたしましては農業団体と一体となって、本県の主要な野菜でございますカボチャやニンジンなどにつきましても対象品目とするよう、国に対して要請をしてまいることといたしておるところでございます。  とも補償は、米の生産調整を確実に実施するための有効な手段でございますことから、農協、市町村が一体となってその推進に努めてきました結果、八月末現在で三十三市町村におきまして、実施面積おおむね四千五百ヘクタールとなる見込みでございます。その内訳は、とも補償への参加率が四分の三以上の地区が百七十四地区で約三千ヘクタール、三分の二以上の地区が五十三地区で約一千五百ヘクタールとなっているところでございます。九月補正もこれに対応するものでございます。また、本県の稲作経営は極めて規模が小さく、生産調整の達成のためには飯米農家の協力が不可欠でございます。飯米農家のとも補償の拠出金につきましては、とも補償地区内の農家の全員参加、米の出荷農家の負担割合を高めるなど地域の実情に応じました手法によりまして、できるだけ負担軽減が図られますよう、市町村や事業主体であります農協を指導しているところでございます。    [浜田みのる君登壇] 18 ◯浜田みのる君 空き店舗モデル事業でございますが、これは昨年の第三回の県議会の一般質問で、私は鹿屋の特定商業集積整備法に基づくまちづくりに関しまして質問をしてまいりましたが、これでは平成五年にその対象地区としての調査がなされまして認可を受け、商業振興計画法に基づく事業が平成十年ごろ着手される見込みという回答を得ておりますが、今回はそういうまちづくりに先立って、まずできることからやろうという空き店舗対策モデル事業に手をつけたという点で、私は評価をしております。ただ、現在商店街の近代化事業として長期低利の高度化資金とか、あるいはいろんな活性化事業に取り組まれておりますけれども、なかなかそれが効果を上げていない。今回、鹿屋の空き店舗モデル対策事業というのは、この事業が非常に有効な事業であるという判断に立って、県も国の補助を導入されたはずであります。これが有効であるという判断がどういう基準からなされたのかというのが問題でして、もしこれが有効であるとするならば、ほかの県下の主要な町に先行的にこういう取り組みをしてもいいのではないかという気がするわけであります。大口、出水、あるいは枕崎、加世田、あるいは西之表、垂水、非常に多くの商店街が空き店舗になっておる実態がございます。したがって、鹿屋と同じような不足業種といいますか、これを募集をして、客寄せの拠点にしようという試みでありますから、ぜひ他の地区にもこれを及ぼしていきたいもんだと考える次第であります。  品質表示の基準でありますが、私どもが県下に多くの自慢をすべき農産品を持っております。私どもが農産品を買うときに、どこどこのスイカ、どこどこのミカンということを聞きますというと、つい手が出ていくという現状にあります。したがって、私どもが自慢をする農産物を持っているのであれば、それらについてあくまでも産地の表示をして、どこどこのカボチャとして多くの消費者の注目を集めるような売り出しをしていかなくちゃならんのじゃなかろうかと考える次第であります。ぜひ、今後こうしたJASの表示を拡大をして、自慢をできる産品を持っている我が県だけに、ぜひともそうした消費者ニーズに合った販売合戦も展開していただきたいということをお願いをする次第であります。  さて、いよいよ知事の新しいお仕事が始まっておるわけであります。私どもは、今度の知事選挙で須賀候補を支持して選挙戦に臨みました。したがいまして、私どもも知事のいろんな事業の推進につきましては、協力すべきは余すところなく協力をしていく決意であります。そして、ただ私どもはやっぱり知事が持っている一つの政治的な器量といいますか、これを十分知事が発揮されるためにも甘言に乗せることなく、甘い言葉に知事を乗せては知事がその器量を発揮できないというふうに思いますので、あるときは厳しく注文もして、お互いに切瑳琢磨し合うような関係を持ちながら、知事が余すところなく持てる大器を発揮して、鹿児島の県土づくりにお取り組みをいただきますように、私どももそういう面から協力をするつもりでございます。  以上、決意の一端を申し上げまして、私の代表質問を終わります。(拍手) 19 ◯議長(鶴田辰巳君)ここで休憩いたします。  再開は、おおむね午後一時十分からといたします。        午前十一時五十七分休憩       ─────────────        午後 一時  十分開議 20 ◯議長(鶴田辰巳君)再開いたします。  梶原弘徳君に発言を許可いたします。    [梶原弘徳君登壇](拍手) 21 ◯梶原弘徳君 本日九月二十七日午後零時五分、我が国の新しい創造を目指して衆議院は解散されました。  私は、民主刷新会を代表し、県政全般にわたり知事並びに関係部長に対し質問いたします。  私ども民主刷新会は、県議会における新しい会派として、今回初めて代表質問をいたしますが、ここで私どもの民主刷新会の県政に対する基本的な姿勢と取り組みについてまず申し上げ、御理解をいただきたいと存じます。  我々民主刷新会の同志は、民主主義を基本理念として、県民の多様な要望を吸収し、新しい開かれた自由闊達な議論を行い県政を推進するために、新たに会派を結成したものであります。民主刷新会は、議員各自の個性と力量を最大限に発揮することができるように、それぞれが自主性を持ちながらお互いが協力することといたしております。  すなわち、地方自治の振興と県民福祉の向上に寄与し、それぞれの地域の多様なニーズにこたえるために、新しい時代に即応した斬新な県政上の提案を積極的に行うこととし、広く各界各層の人々の声に耳を傾け、今日の政治不信や政党離れなど政治に対する信頼回復に向けて、支持者や県民の期待にこたえるべく努めていかなければならないと決意したからでございます。県民だれしもが賛同し得るような県民の生の声を県政にストレートに反映させるとともに、これまでの政治について悪いところを改めて、新しい視点に立ち県政の刷新を強く望んだからでございます。我々は必ず県民の期待にこたえるべく、県政の推進に取り組んでまいる所存でございます。  さて、須賀新知事におかれましては、このたび県内外の各界各層にわたる皆様の御支援を受けられ、めでたく知事に御就任なされたことに対しまして心からお祝いを申し上げます。  土屋前知事は、平成元年に御就任以来、在任中に県政に数多くの実績を残され、やむなく病気で辞任をされましたが、その御功績は、本県の県政史に大きく記されることと確信をいたすものであります。  須賀知事は立候補に際して、土屋前知事の県政運営の基本姿勢を継承することを明らかにされ、県民党的な立場から立候補し、多くの県民の支持を受けて御当選なされ、今後に大きな期待が持たれているところであります。  須賀知事は「県民とひびきあう県政の推進」を掲げ、これを県政執行に当たる基本姿勢とし、広範な県民との対話から相互理解のうちに県政を進めていくということをお示しになられたことに対し、多くの県民は共感とともに、さらに大きな期待を新知事に寄せたのであります。  私ども民主刷新会も、須賀知事の県政に取り組む基本姿勢に全く同感であり、共鳴するものであります。  今日、国政でも見られるように、政治理念が多様化し、国民は多種多様な政治に対する考え方を持ちつつあります。さらに、一部の政党を除き、保守・革新を問わず、既成政党は離合集散を繰り返しております。そのことは、既成政党そのものが従来のしがらみから抜けきれず、国民の多様なニーズに対応し切れなくなり、政治不信や国民の政党離れが起こっていると思われるのであります。そこで、須賀知事が県政に取り組むに当たり、県民党的立場から地方の時代にふさわしい独自性に満ちた県政の積極的な展開が図られるものと期待いたすものであります。  知事は「うるおいと活力に満ちた鹿児島の創造」を掲げておられますが、これは土屋前知事の掲げられた「すこやかな郷土、ゆとりの文化圏域をめざして」に比べ、活力と創造を強調された、真に須賀新知事のカラーたる積極的な姿勢が感じられますが、今日、県民党的立場から県政に臨まれた理由や今後県政を担当される上での基本的姿勢について、須賀知事の決意の御所見をお伺いいたします。  次に、行財政問題についてお尋ねいたします。  我が国の財政は、既に国債の発行残高は、平成八年度末に二百四十兆円が見込まれる状況となってきております。そのために、国は財政再建を第一の政治的な課題としてとらえ、歳出の見直しや削減と新たな財源の確保に真剣に取り組もうとしているところであります。  行政改革、すなわち行政組織の簡素化、統合再編、特殊法人の問題などが山積しており、国・地方を問わず大きな変化が起こりつつあります。さらに、国の予算編成の上からも再検討が求められております、従来の各省庁ごとの囲い込みとシェアの維持といった際限のない要求が予算規模をじりじりと拡大させ、今日見るがごとく、税収五十一兆円に対して歳出七十五兆円という、通常では考えられないような予算編成になってきたと思われるのであります。  既に、機構改革論議の中では、大蔵省主計局の分離独立論が出ております。従来の官僚主導型の予算編成でなく政治主導型の予算編成へ、すなわち政策がリードする予算編成、政策の重要度に応じて重点的に予算を配分するという方向に向かおうとしているのであります。  この傾向は、地方分権論、地方の個性の発揮といった議論と相まって、県の行政にも大きな影響を及ぼしてくるものと思います。  知事はこのような時代の流れに対して、国の権限の移譲、財源の移譲といった面からどのように考えておられるのかお伺いをいたします。  また、国の財源についてでありますが、政府は消費税を三%から五%へ引き上げることを既に閣議決定いたしております。しかしながら、消費税が創設されたときのことを思い起こしていただきたいと思います。消費税を創設するに当たり、出産や食料品など、国民生活に直結するものについては世論の批判を受け、その制度内容についても、数次にわたり見直しが行われてきたことは御承知のとおりであります。  その当時の政府の説明は、一つには高齢化社会などを迎えるに当たって、その対策を立てるための目的税的な性格を有するものであること、そして当時三%の税率は、国民の前に当分の間動かさないということ、さらに、今まさに国民の批判と改革が求められている行財政制度について行政改革を進め、国民の負担を極力少なくすることによって、こういったことを努力するといったことであったはずでございます。  しかし、この当時の政府の説明に反して、高齢化対策などに対応すべく抜本的改革は遅々として進まず、行財政改革に至ってはなきに等しい、そして減税の先取りとはいえ、消費税率を五%に上げてくれといっても国民の大方は納得しないでありましょう。このことは、消費税引き上げに対する八〇%以上の国民が反対であるとの世論調査の結果が示すとおりであります。  我が民主刷新会は、この消費税率五%の引き上げについては、政府は、景気は穏やかながら回復基調にあるといわれており、また大企業や一部の産業は、業績が上向きつつあるとはいえ雇用情勢は依然として厳しく、まだまだ産業界や中小企業を取り巻く現状は厳しく、今日においても不況から脱し切れず、企業倒産は史上まれに見る数字を示しております。なお、消費税率の引き上げについては再度議論を深めていく必要があり、我々民主刷新会は、現時点における今のままでの消費税率引き上げについては、反対の立場を主張するものであります。予想される消費税率の引き上げに伴い、中小企業を初め県内の産業界などに与える経済的影響について、どのように御認識しておられるかお伺いいたします。  次に、今まさに国民の関心と不信を持たれている行政の姿勢と県行政執行における公費問題についてであります。  県民は、県政の財政支出と運用に対し、極めて厳しい目で関心を寄せております。これは、公費の不適正な支出についてであります。このことは、今まさに行政の姿勢と財政運用について、その実態調査と改善を図るべく、本年二月に設置された民間委員などで構成をされました予算執行に関する調査改善検討委員会から先般、調査結果報告書が提出されました。これによると、平成五年度以降、七億八千万円を超える公費が、不適正な処理で支出がなされていたことが判明したとのことであります。  また、県議会においても、先ほど臨時議会を開会し、議会としての立場から予算執行改善対策特別委員会が設置され、九月十七日並びに十八日の両日、深夜にまで及ぶ集中した審議により、鹿児島県の公費支出に関する実態や問題点、さらには再発防止と改善対策などが各面から真剣に論議されたところであります。  なお、調査改善検討委員会での調査結果や県議会の特別委員会でも明らかになったことは、公費の不適正な支出の原因の一つとして、現実に合わない予算編成上の制度的矛盾、すなわちシーリング方式や会計制度などにもあると説明されています。  今後、再発を防止するためには、これらの原因を取り除くべく、予算編成などの制度的な改善や行政としての姿勢などの確立が必要であります。また、県の行財政運営が県民にわかりやすく、また、より透明性の確保されたものにするための制度も必要となってまいります。ついては、さきの深夜に及ぶ県議会の特別委員会の審査においても、論議されました再発防止並びに改善対策の確実な実行により、県民の信頼回復に向けた行財政の運営が重要であると考えますが、今後どのように取り組まれるかお伺いをいたします。  次に、予算執行に関する調査改善検討委員会の報告書によりますと、改善方策の一つとして情報公開の範囲の拡大が上げられております。また、これを受けて九月十八日の予算執行改善対策特別委員会に執行部から提出されました再発防止と改善方策等についての基本的考え方によると、拡大される情報の範囲を具体的に例示され、このうち食糧費については、懇談会などの開催場所や県側出席者の職・氏名を例示されております。さらに、仙台地方裁判所の判決を受けて、宮城県は、食糧費の支出に関する情報を全面公開するといたしたように聞いております。県の仕事の中において、例えば、企業誘致の過程での懇談会や大きなプロジェクトに関しての懇談など他県との企業誘致競争などを考慮したときに、相手方を公開することができないものも多いのではないかと思いますが、県は、相手側の出席者の情報公開については、どのように考えておられるのかお聞かせください。  次に、公務員の国籍条項についてお尋ねをいたします。  人にはそれぞれ尊重されなければならない基本的な人権があります。これは国籍は問わず普遍的なものであるということはいうまでもありません。しかし、これが公務員として、一定の権限を付与され公権力を行使し得る立場に立つとすれば、話はまた別でございます。  現在の国家は、第一次世界大戦後、民族独立の原則に従って、それぞれ帝国主義の桎梏から解放され、民族を単位とする国家を構成し独立してまいりました。アジアにおいては、ヨーロッパ列強植民地から解放され、独立したのが第二次世界大戦後であります。  現在の国家の中には、長い歴史の中で他民族が居住している地域もありますが、国際社会の中での多くの国は、おおむね一つの民族が圧倒的多数を占める民族国家であります。それぞれの国家は、自国の言語と文化・伝統を尊重し、これを守り育てながら現代に伝えてくれた先祖を崇拝しております。さらに磨きをかけて、誇りを持って次の世代に伝えていこうとするものであります。このそれぞれの国の個性を持った伝統的文化が相互に交流し影響しあうところに、国際色豊かな現代文明が築かれるものと思うのであります。  我が国は、この国際社会の中にあって、最も個性的な民族国家の一つであり、それがゆえに社会的な秩序も安定した文化国家としての評価を得ているところであります。私は、公務員が一定の権限を与えられていて、国家あるいは一地方の政治的・社会的事柄に対してこのような影響力を行使し得るとするならば、ただ単に法律の遵守義務のみならず、こういった我が国の文化・伝統に対する確固とした忠誠の心を明らかにし得るものでなければならないと思うのであります。  外国籍で我が国に居住する人々の心の中には、日本で教育を受け公務員になることを希望する方もおられるでありましょうが、まず日本国籍を取得することが、最低限公務員たるの資格を問うものであるとの思いがいたします。この件に関する基本的認識と本県の対応についてどうあるべきかお尋ねをいたします。  次に、警察行政の中で、交通行政についてお尋ねします。  本県は、全国でも非常に高い高齢化率を示している県でもありますが、高齢化社会を迎え、家庭にあっても看護、介護を望んでいる人が極めて多いのであります。これらの要望にこたえるため、各医療機関や施設においては訪問看護、介護を活発に実施し、高齢者並びに高齢者を抱える家族など、各方面から大変喜ばれているのでありますが、困っていることは、この業務に従事している介護者や職員の業務用車両の駐車の問題でございます。  訪問先は多岐にわたる場所で、おおむね住宅街などであり、ある程度時間のかかる業務もあり、その間駐車しておく場所を探すのは容易ではありません。高齢化社会を迎え、今後増大してくるであろうケアを必要とする在宅の高齢者に対する看護、介護、デイサービス、訪問サービスを行う業務用の車両に対して、お年寄りをいたわり在宅福祉の向上を目指す我が県にとって、これら駐車のあり方については、今日まで何らかの対策をとっておられることは承知いたしておりますが、今後さらに、前向きの措置を行うお考えはないかお尋ねいたします。  次に、県庁舎跡地利用対策についてお伺いいたします。  現在の県庁舎は大正十四年に設置され、その後の行政需要の増加などによる庁舎の狭隘化、さらに老朽化が激しいことなどもあり、現在、鴨池新町に新庁舎を建設いたしており、来月二十四日に落成の運びとなっていることは御承知のとおりであります。なお、県庁が移転されることに伴い、今後残される課題は跡地利用への問題であり、周辺地域のさらなる振興にも寄与するとともに、都市部に残された広大な敷地の有効活用を図ることについて、多くの県民が注目いたしているところであります。  また、さきに各機関などで構成された県庁跡地利用協議会において提出されました提言は、多くの県民からの意見や要望、現在の県庁舎周辺の文化的ゾーンとしてのすぐれた特性を踏まえ、また、上町地区の発展にも配慮されるなど、幅広い見地から慎重に検討されたものと理解いたしております。さらに提言された内容を見ますと、今後、高齢化社会を迎えるなど、本県の抱える課題に的確に対応したものとなっておるようであります。ついては知事は、県庁舎の跡地利用計画の具体化に向けて、これからの整備が地域の衰退なき振興についても十分に配慮されていることと思いますが、今後どのように対応されるかお伺いをいたします。    [知事須賀龍郎君登壇] 22 ◯知事(須賀龍郎君)私は、常々から県政の主役は県民であり、県民と一体となった県政を推進していくためには、県政は各界各層の方々から幅広く意見をお聞きしながら進めていくことが極めて大事であると考えております。このような基本的考え方のもとで、今後の県政推進の基本姿勢の一つといたしまして、県民と一体となった行政を展開していくためには、県民から県政へ、県政から県民へとアイディアを投げかけ合い、心のこだまを返し合いながら県政を運営していく、県民と響き合う県政を申し上げてきたところでございます。  また、二十一世紀の鹿児島づくりを目指す現在の総合基本計画の仕上げを行いますために、総合基本計画の着実と積極的な推進をお示しいたしております。社会経済情勢が急激に変化する今日のような時代におきましては、常に新しい時代に向けてさまざまな課題を先取りし、進取の気概を持って県政を推進していかなければならないことから、新たな時代への果敢な挑戦を基本姿勢としているところでございます。  私は、この三つの基本姿勢のもとに、県民の皆様方と一体となりまして、県民の一人一人が県内のどの地域に住んでおられても、生涯にわたり安心して生き生きと個性豊かな生活ができるような潤いと活力に満ちた鹿児島の創造に全力を傾注してまいる決意でございます。  次は、地方分権の推進につきまして、県民のニーズや地域の実情に応じまして、県が主体的かつ総合的に実施する必要のある施策に関する事務は、基本的にはそのほとんどを国から県へ移譲すべきであると考えております。また、実効性ある地方分権を実現するためには、特に地方自治体における財政基盤の確立が不可欠でございます。厳しい財政状況の中ではございますけれども、国と地方との役割分担に応じてそれぞれの地域の実情を踏まえた適切な財源配分が重要であると考えております。今後とも、真に実効性のある地方分権の推進が図られるよう県開発促進協議会等を通じまして、また全国知事会、九州地方知事会、市町村等と一体となりまして、積極的に国に働きかけてまいる考えでございます。  次は、予算執行に関する調査改善検討委員会の調査結果によりますと、賃金や旅費等につきまして不適正な事務処理が多くの機関において行われ、その金額も相当な額に上っておりまして、その多くが公務執行のために充てられていたとは申しましても、このことにつきましては、理由のいかんを問わずあってはならないことでございまして、極めて遺憾にまた残念に存じておる次第でございます。この問題につきましては、先般、県議会の予算執行改善対策特別委員会におきまして御審議をいただき、厳しい御指摘をいただいたところでございます。  県としては、同委員会に再発防止と改善方策等についての基本的考え方をお示しいたしておりますが、まず公費に対する認識、全体の奉仕者としての公務員倫理などの基本的事項の徹底が重要であり、そのためには幅広くかつ繰り返し研修等を実施していかなければならないと考えております。また、実態に即した予算措置や適時適切な予算の運用に努めますとともに、必要な額が措置されていない交際費、備品、タクシー代などにつきましては、実態に即した適切な予算措置を講じますとともに、適宜適切な予算配当や令達等に努める必要があると考えております。  さらに、食糧費、交際費については、具体的な執行基準を定めますとともに予算執行システムの改善等に努めてまいります。また、各部主管課の審査システムの改善強化や監査制度の拡充を図ることといたしております。また、情報を開示することによりまして不適正な事務処理を抑止できる面もございますので、新たに債権者の事前の同意や県職員の理解を得た上で、今後の支出についての情報公開の範囲を拡大することとして、そのための開示基準を定めたいと考えております。  この問題への対応につきましては、県議会におけるこれまでの御審議や今後の御論議を踏まえまして、二度とこのようなことを起こさないための改善方策を取りまとめまして着実に実施いたしますとともに、不適正な事務処理にかかわる金額につきましては、全額を返還したいと考えております。また、責任のあり方につきましては、私を含めまして具体的な結論を出したいと考えております。今後、県民の皆様方の信頼を一刻も早く取り戻すことができますように全力を傾注してまいります。  次が、県庁舎跡地利用協議会からいただきました御提言は、上町地区の発展に配慮しつつ、県民アンケート調査結果など多くの県民の御意見、御要望を参考にしまして、また、県庁舎跡地の置かれている文化ゾーンとしてのすぐれた特性を踏まえて取りまとめておられます。さらに、これから高齢化社会を迎え、また南の拠点づくりを目指す鹿児島の抱えております課題を的確にとらえ、時宜を得た御提言であると受けとめております。今後はこの御提言の趣旨並びに内容をもとにいたしまして、議会でも十分御論議をいただいた上で、できるだけ早い機会に具体的な利用計画を取りまとめ、将来にわたりまして多くの県民に親しまれる施設整備に努めてまいりたいと考えております。 23 ◯商工労働部長(濱田隆道君)消費税の税率につきましては、本年六月二十五日の閣議におきまして、既に法律で規定されております五%を変更せずに平成九年四月一日から施行することが決定をされておりますが、この消費税の引き上げは、所得税、個人住民税の恒久減税、特別減税とあわせて決定されたものと承知いたしております。消費税率が引き上げられました場合には、それが価格に転嫁し得ない状況が生じます場合、経営基盤の弱い中小企業者の経営に影響が出ることも予想されます。このため、県といたしましては、国など関係機関とも連携をとりながら、広報、相談等を通じ円滑な転化や便乗値上げの防止等に取り組んでまいりたいと考えております。 24 ◯総務部長(白崎徹也君)県が行います懇談の中には、企業誘致や用地交渉、国の施策の導入や大きなプロジェクトの推進に関するものなどがございます。これらの懇談会につきましては、相手側を公開いたしますと特定の個人が識別されることになりまして、また、懇談会そのものの開催が困難となることによりまして、事業に必要な情報が得られなくなったり、事業に対する理解や協力が得られなくなるなど事業自体の目的が損なわれ、その後の事務事業の遂行に支障を来す場合も考えられます。したがいまして、相手方名を開示することは考えていないところであります。 25 ◯人事委員会委員長(元井達郎君)県職員採用に当たっての国籍要件についてのお尋ねでございますが、従来から国においては、公務員となるためには日本国籍を必要とする旨の法律上の規定がない場合においても、我が国憲法の国民主権主義、他国の主権の尊重及び公務員の全体の奉仕者としての考え方等を基本として、公権力の行使または公の意思形成への参画に携わる公務員となるためには、日本国籍を必要とし、それ以外の公務員になるためには、必ずしも日本国籍を必要としないこととしており、現在、国及びすべての都道府県において、この見解を踏まえて対処しているところでございます。  本県におきましても、この見解を踏まえて専門的、技術的な業務であり、公権力の行使または公の意思の形成に参画せず、またこれらを行使、参画する職位につく可能性も低いと考えられる保健婦や看護婦などの専門技術職並びに技能労務職につきましては、必ずしも日本国籍を必要とするものではないとして対処しているところでございますが、一般事務職を初め大部分の職につきましては、日本国籍を必要とすると考えているところでございます。 26 ◯警察本部長(堀 貞行君)在宅老人訪問看護従事者の車両に対する特別措置についての御質問でありますが、現下の交通事情から、一律に特別な措置を取り入れるという状況にはございません。このような場合の駐車につきましては、道路交通法第四十五条警察署長の駐車許可で対応しております。この駐車の許可と申しますのは、実際の道路交通事情に基づき所轄警察署長が総合的に判断して、真にやむを得ないと認める場合に限って行っております。この老人訪問看護事業等に使用する車両につきましても、事業者等から申請があれば、警察署長はこれらの事業活動の公益性、駐車の必要性等を考慮し、個々具体的に許可の必要性を判断しているところでございまして、今後もこの方針で対応してまいりたいと考えております。    [梶原弘徳君登壇] 27 ◯梶原弘徳君 知事並びに関係部長からそれぞれ御答弁をいただきました。  須賀知事は、今後の県政に取り組まれる力強い決意と基本姿勢につきまして表明されましたが、県民が新知事に期待することが大であり、知事を先頭に執行部一丸となり、県政の推進に取り組まれることを期待いたします。  公費支出問題につきましては、公費執行のあり方を含め反省と改善への決意が述べられたところでありますが、県民の信頼を回復する上からも、綱紀の粛正と適正な予算の執行、さらに情報公開に臨んでは、県政運営に支障とならないような対応で取り組んでいかれますことを要請いたしておきます。  国籍条項につきましては、一九五三年の内閣法制局見解で、公権力の公私や国家意思の形成に携わる公務員となるためには日本国籍が必要との基準を示しております。ただいまの人事委員会委員長の答弁は了といたします。
     外国にも国籍条項がある以上、日本でも国籍条項は必要であると思います。国際化時代にあっては、なおさら国籍条項は必要でありますとともに、その姿勢をしっかりと持っていただきますよう要望いたしておきます。  福祉関係の介護訪問車両の駐車につきましては、厚生省と警察庁間で協議され、我々の今日までの主張が制度として具体化されたところでありますが、現在、本県の許可台数がわずか五十数台であると聞いております。県下のホームヘルパー数は一千五百十四名、またデイサービスや介護支援センターなどの介護サービス施設百八十四施設、訪問看護ステーション三十六施設、老人福祉施設百五十九施設などからしましても、この許可台数は極めて少ないと感ずるものであります。こうした制度があることを十分認識されていないことが大きな原因かと思われますので、本県が全国三番目の高齢化率の高い現状にかんがみ、福祉の充実に向けて、今後、保健福祉部門におかれても、交通行政担当部門とよく連携されて、関係者や関係機関などへの周知を図り、この制度が十分に生かされますよう格段のお取り組みを要望いたしておきます。  次に、県総合基本計画の過去の推移と今後の見直しについてお尋ねいたします。  知事は、県政に臨むに当たり、県総合基本計画の継承と見直しを掲げておられました。総合基本計画は平成二年に策定され、既に六年を経過いたしております。この間、社会情勢は大きな変化を遂げ、また、国・地方の財政は極めて逼迫した状況に至っております。  そこで、須賀知事におかれましては、今議会における初めての施政方針の中で、県総合基本計画の着実な推進に当たり、新たに「実力あふれる新しい鹿児島づくり」を進めるために、我が国の南の拠点づくりに取り組み、魅力ある県政を目指すことを表明されました。具体的にはどのように取り組まれるおつもりか。また、平成九年以降、総合基本計画の見直しに着手されるやに伺っております。この見直しに当たり、長崎県や宮崎県に見られるように、本県の目玉となり得るような施策を含め、新たな視点に立ってどのように見直しを行うのか、見解をお示しいただきたいのであります。  次に、テクノスーパーライナーについてお尋ねいたします。  テクノスーパーライナーの導入は、海上輸送交通の利便性、高速性を飛躍的に高め、物流に大きな変革をもたらすとともに、企業立地など地域の振興に大きな役割を果たすものとして大きく期待されていることから、これまでも県開発促進協議会の中央陳情での重要課題として、県並びに地元誘致期成会などが一体となって誘致活動を展開してきているところであります。  また、新知事におかれても、広域的な交通・交流ネットワークの整備の観点から、最も重要な課題の一つとして掲げられております。  こうした中で、先月二十七日に、運輸省設置のTSL事業化支援調査委員会のヒアリングが開催されたと聞いておりましたが、先般発表になった来年度政府予算編成の概算要求には、テクノスーパーライナー関連の予算は盛り込まれておりませんでした。そこで、国におけるTSL事業化支援調査の状況と志布志港への導入促進に対する取り組みについてお尋ねいたします。  さきの質問と幾らか重複する点もあるかと思いますが、次に、新種子島空港につきましてお伺いをいたします。  我が国で唯一の衛星打ち上げセンターのある本県、特に実用衛星打ち上げ基地のある種子島宇宙センターは、二十一世紀へ向けて国内外から大きな注目をされているところであります。  特に、去る八月十七日に打ち上げられましたH2-4号機の打ち上げで、N1ロケット以来連続二十八回の打ち上げを成功させた我が国独自の技術力は、その信頼性も国際的に高い評価がなされたところであります。  こうした我が国のロケット打ち上げ成功の信頼性の向上に伴い、アメリカの大手衛星メーカーのヒューズ社やスペース・システムズ・ローラル社などから、二〇〇〇年から二〇〇三年の近い将来にかけて、衛星打ち上げ契約が基本的合意に達したと報じられております。今後、新たな射場の整備やロケットモーターの製造工場の立地などが予定されており、関連する地元産業の活性化にも大きな期待が持たれているところであります。  一方、新種子島空港の供用開始の当初計画は、平成十一年七月の予定でありましたが、さきの六月定例議会におきまして、県当局は「用地買収が難航しているので、当初計画の達成は困難である」とのことでございました。また、新たな供用開始時期に関しては、「用地買収の見通しがはっきりしないと明らかにできない」とのことでございました。  本県の今日までに至る新種子島空港建設に対する御努力には深く敬意を表するものであり、一方、島民生活の生命線の一つでもある空港が、これらの困難な課題を乗り越えて早期に開港されることを強く望むものであります。  しかし、来年度予算につきましては大幅な減額が見込まれており、種子島島民は、大変なショックを隠し切れないところであります。  さらに、商業衛星の打ち上げ基地としての条件整備としましても、また、我が国を初め諸外国の衛星を種子島に直接運び込むためには大型輸送機が離着陸できる空港が必要とされ、関係機関の間で指摘されているところであります。  つきましては、新種子島空港の早期開港はもちろんでありますが、二十一世紀での宇宙産業の重要性と県政推進の上からも、新空港の滑走路を現計画の二千メートルから二千五百メートルに延長し、宇宙産業や関連産業振興のためにも、大型輸送機も離着陸できる空港建設への設計変更のお考えはないかお伺いをいたします。  次に、公共事業の執行と中小建設業者への対策についてお尋ねします。  バブルの崩壊以降、民間の開発事業は減少し、建設業者への発注は、そのほとんどを公共事業が占めるという状況となっております。  建設業界については、今日まで公共事業が景気対策の柱とされ、業界は、それぞれにおいて受注に対応すべく、技術力の開発、機材や人材の確保を図ってきたところでございます。  しかしながら、公共事業については景気対策の効果などその見直しの動きがあり、厳しい財政状況などもあわせ考えると、将来にわたっても大幅な伸びは期待できないものと思料されます。公共事業発注の将来への推移を考慮し、これらの状況に対処していくべきであると考えるものであります。そこで、公共事業の入札資格別発注について、基本的考えをお示し願いたいと思います。  また、さきの阪神・淡路大震災や平成五年の八・六水害当時にも見られたように、局地的な災害に際しても、その地域の中小建設業者は災害復旧などにも機敏に対応し、その地域の住民生活の安全の確保に対しても大きな役割を果たしてまいりました。  ところで、中小建設業者は通常の公共工事に指名願いは登録されながらも、入札の機会に恵まれず、したがって経営体としての評価も必ずしも良好とは言えないかもしれません。今、申し上げた趣旨によって中小零細建設業者に対しても極力受注の機会を確保し、健全な形でその地方で業務を継続し、もって地域の均衡のとれた発展を期すべきものであると考えるのであります。  ついては、公共事業の発注に当たり、中小建設業者への対応などについて、どのように対処されていかれるのか、今後の取り組みについてお尋ねいたします。  次に、国県道の整備についてお伺いいたします。  本県は、南の拠点づくりの形成を図るために諸般の施策を推進いたしておりますが、中でも県土の均衡ある発展を促進する交通ネットワークを確立するための道路網の整備が重要であり、国においては平成五年に第十一次道路整備五箇年計画が策定され、本県においてもこれを受けて県下各地域の道路整備が進められているところであります。ついては、これまでの本県の第十一次道路整備五箇年計画の進捗状況と次期計画に対する取り組みについてお伺いをいたします。  次に、国道二二六号の四車線化についてお伺いいたします。  南薩地域、特に指宿市郡の長年の悲願であります国道二二六号の整備促進について、年二回の県開発促進協議会による中央陳情のほか、機会あるごとに要望活動が行われているところであります。また、指宿地区総合開発期成会も、本路線の産業道路南口交差点から喜入町樋高間の四車線化について、中央陳情を精力的に行われているところであります。国道二二六号の整備を促進することにより、サンオーシャンリゾート構想などの開発プロジェクトを支援し、また県都鹿児島市との円滑な交通を確保する道路にしても重要であり、ぜひともその早急な整備を図っていかなければなりません。  そこで、国道二二六号の四車線化の早期事業化や樋高以南の調査実施について、どのように取り組まれているかお伺いいたします。  次に、道路景観整備についてお尋ねいたします。  本県は、年間八百万人を超える観光客が訪れており、これまでも「観光かごしま」のPRを図るため、全国に向けて観光大キャンペーンを民間関係業界一体となって展開していただいておるところでございます。昨年は九州縦貫自動車道の全線が開通し、北部九州方面からの観光地などへのアクセスも整備されるとともに、ことしになって世界自然遺産に登録されている屋久島の「屋久島環境文化村中核施設」や指宿地域の観光拠点施設となる「フラワーパークかごしま」がオープンするなど、本県の豊かな自然やバラエティーに富んだ観光資源を生かした魅力ある観光地づくりが進められてきました。さらに、総合基本計画には、北薩広域公園や霧島彫刻ふれあいの森、アマミパークなど、さまざまな観光拠点となる施設の整備が予定されております。  今後は、これら観光拠点施設の整備とともに、ゆとりと豊かさを実感できる花と緑に覆われた、彩り豊かで明るいイメージの観光かごしまの形成を促進していくため、周辺環境と調和のとれた道路の景観整備も進めていかなければならないと考えております。  そこで、今回、県内の拠点的な観光地の周辺道路の景観整備を図る「観光拠点周辺道路景観整備事業」が新規事業として提案されておりますが、基本的な考え方並びに事業内容についてお示しをいただきたいと思います。  次に、本県の農政問題についてお尋ねいたします。  我が鹿児島県の産業構造は、その大半を農業とそれに関連する産業によって占められております。農業の浮沈は、すなわち本県経済の浮沈にかかると言っても過言ではありません。七年余りにわたる交渉の末に平成五年十二月に合意されたガット・ウルグアイ・ラウンド農業協定は、戦後我が国が推し進めてきた農政に対して、その抜本的な見直しを迫るものでありました。しかし、このことは我が国にとって奇貨としてとらえ得るべきものかもしれません。我が国が戦後の再建は、荒廃の中から第二次産業である生活必需品のなべ、かま、石けんなどの製造業からでありました。まさにゼロからの再出発であります。  その後、製造業の主力は次第に輸出産業へと振り向けられ、獲得した外貨でもって原材料の輸入を行い、製品化し、これを輸出して生産基盤を拡大していくという加工貿易によって、日本の産業を形成してきたのでございます。その間、今日見るがごとき世界最高水準をいく技術力を蓄積するに至り、加えて恒常的な貿易収支の黒字を生み出してきました。  こうした中で、我が国の農業も厳しい国際競争の中にあっても、より進んだ発想や生産技術、さらに農業経営力をもってすれば、必ずや再生されていくものと確信いたしております。まず、このためには付加価値の高い農業を推進していく上からも、バイオテクノロジーなどのすぐれた技術力の活用、農協を中心にして、合理的にして効率的な農業経営の確立、農業生産規模の拡大などによる生産性の向上などを図ることが重要であると考えます。  ここで申し上げたいのは、我が国の農家にとりましては、この日本列島には世界で最も豊かで、しかも食べ物に敏感な一億二千万人の消費者が住んでいるということであります。消費者のニーズを的確にとらえ、新鮮にして安全な食糧を安価で迅速にお届けする、この努力を積み重ねていくうちに、日本農業は必ず世界最高の水準に達し、一億二千万人の国民の食糧を確保するという農業に課せられた使命を全うすることができると思うのであります。  そこで、お尋ねいたします。  まず、本県農業の振興に対する将来ビジョンをお示しをいただきたいと思います。  第一点として、新農政への課題や問題は山積いたしておりますが、バイオを活用した新品種の開発、病害虫の防除、農業機械の改良などの農業技術の振興と普及に対する取り組み状況についてお聞かせください。  第二点は、農協改革への支援についてであります。  経営は人であります。まず人づくり、次に何をつくり、いかに売るか、すなわち市場の動向の調査と情報の提供、最後に経営管理であります。このことには、農協の果たすべき役割が極めて大きいものと思われます。今日の厳しい農業情勢の中で、農協と農家が協力し、農協みずからが組織の改革に取り組んでこられていますが、県もこれらの改革に対して支援していくべきだと考えますが、どのように取り組まれるのかお聞かせいただきたいと思います。  第三点は、我が国の農産物が国際価格に比較して割高になっている。このことは市場原理に基づく限り克服しなければならない課題であります。そのためには生産性の飛躍的な向上が図られなければなりません。ついては、特に農地流動化など、農業生産規模の拡大について、どのように取り組まれるのかお示しください。  本県が、農産物の鹿児島ブランドの普及宣伝は、本県農業振興に大きく寄与しているところでございます。さらに進んで新しい農産物加工食品の開発、商品化に一層の御努力をすべきであると思われますが、今後どのように取り組まれるのかお伺いをいたします。  次に、農産物の輸送基盤の整備についてお尋ねいたします。  現在、南薩東部広域農道の事業が進行中でありますが、この道路は、頴娃町から開聞、山川、指宿を経由して喜入までに通ずる計画で整備が進められているところであります。南薩地域の農業振興を図るため実施された南薩畑かん事業は大きな成果を上げ、この地域は全国有数の花卉、野菜の主産地として評価を高めております。その結果、大量の農産物を運ぶ車両が国道二二六及び二二五号を利用することなどにより、朝夕のピーク時には大渋滞を引き起こしている現況であります。この計画どおりに農道の整備を喜入町までといたしますと、輸送手段の車両は、交通量がパンク状態にある国道二二六号に合流することになり、新鮮な農産物を一刻も早く消費地へ輸送するという農道整備の所期の目的が果たし得ないことになります。  そこで、当初計画を見直し、喜入から指宿有料道路の谷山インターに直結することにより、効率的な輸送の確保を図るべきと考えますが、どのようにお考えかお尋ねをいたします。    [知事須賀龍郎君登壇] 28 ◯知事(須賀龍郎君)南の拠点づくりは、南九州発展の核となります高次の都市機能の集積に努めながら、アジア地域を中心といたしました海外各地との交流活動を展開いたしますとともに、県内各地域の交流連携を促進することによりまして、県土の均衡ある発展を図っていこうとするものでございます。  こうした南の拠点づくりを進めてまいりますためには、九州新幹線鹿児島ルートの整備促進を初め東九州自動車道、南九州西回り自動車道など、高規格幹線道路網の整備や、空港、港湾等の整備、航空路線網の充実など、高速交通体系の整備に取り組みますとともに、高度情報基盤の充実強化や積極的な国際交流の推進に努めてまいりたいと考えております。  また、同時に南の拠点にふさわしい高次都市機能の充実、国際競争力のある足腰の強い農林水産業の確立、個性的で魅力ある観光リゾート地域づくりや新しい時代を切り開く先進的な産業の導入、育成などに取り組んでまいりたいと考えております。  総合基本計画におきましては、来年度早い時期から第三期実施計画の策定作業に入ることといたしておりますが、第三期実施計画の策定に当たりましては、本県の個性や独自性を生かした施策の展開ということを基本といたしまして、計画策定から既に六年が経過いたしております現在の総合基本計画を見直すべきものは見直してまいりたいと考えております。  また、本県の二十一世紀に向けての政策形成の課題でございます新幹線を含む高速交通体系の整備やアジア地域などとの人的、物的交流の促進、二十一世紀の本県の望ましい産業政策のあり方、これらにつきましてもいろいろな課題とともに適切な対応と時代のニーズを踏まえた新たな施策を推進してまいりたいと考えております。  また、来春策定予定の新しい全国総合開発計画につきましても、その内容を反映したものにしてまいりたいと考えております。  次に、新種子島空港でございますが、新種子島空港は小型ジェット機就航可能な滑走路二千メートルのジェット空港として、平成四年度より鋭意整備促進を図ってきております。現在、用地買収の早期完了に努めておりますが、今後とも早期開港に向けまして、さらに努力をしてまいりたいと考えております。  宇宙開発事業団が進めておりますH2Aロケットの開発等の関連で必要とされております二千五百メートルの滑走路につきましては、宇宙開発事業団等からも要請を受けております。このことにつきましては、今後国との協議調整も必要でございますので、まずは二千メートルの用地買収に全力を挙げてまいりたいと考えております。  次に、本県農業のビジョン、将来ビジョンでございますが、本県農業農村のビジョンにつきましては、本年三月に新たな策定を行ったところでございまして、その中では競争力のある鹿児島ブランドの確立によります戦略的な生産拡大と効率的かつ安定的な経営体の育成等を柱といたしまして位置づけております。施策の積極的な展開を今後図ってまいりますが、その考え方といたしまして、第一に商品性の高い農業生産への一層の転換を図り、競争力のある鹿児島ブランドの確立を図りますために消費者ニーズを的確に踏まえ、ブランド産地の一層の広域化や「かごしま遊楽館」等を核といたしました積極的な販売戦略を展開いたしますとともに、農産物の高付加価値化を図りますため、フードプラントの整備、バイオテクノロジー等を活用いたしました技術開発、畜産県の特性を生かしました環境保全型農業の積極的な推進を図ってまいりたいと考えております。  第二に、鹿児島ブランド産地を支える効率的かつ安定的な経営体の育成を図りますために、認定農業者を核といたしまして、農地の利用集積や省力機械の導入などを重点的に実施してまいりますほか、農作業の受委託や農地の利用調整を行う農協の農業管理センターの整備等を行いまして、地域農業システムの確立を図ってまいります。  また、ウルグアイ・ラウンド対策を積極的に活用し、圃場の大区画化、畑かん施設等の整備を重点的、加速的に推進してまいる考えでございます。  第三には、中山間地域等の活性化を図りますために地域の創意工夫を生かし、農業の関連産業の振興、生活環境の整備等、ソフト、ハード両面からの積極的な施策の推進を図ってまいります。  また、今後これらの基本方向を踏まえまして、各般の具体的な施策を積極的に推進し、「食の創造拠点かごしま」の着実な形成に努める考えでございます。 29 ◯企画部長(高田守國君)テクノスーパーライナーにつきましては、本年度国におきまして事業化の有望ルートを選定し、事業化のための条件や課題等を調査するためのTSL事業化支援調査が行われているところでございます。先月二十七日には、事業化の検討がなされている各ルートに対するヒアリングが実施されました。  県といたしましては、関東ルートにつきましては、静岡県の清水港とを結ぶ航路、関西ルートにつきましては、和歌山県の下津港とを結ぶ航路について事業計画案等を説明をし、志布志港の優位性や本県関係者の事業化にかける熱意を強く訴えたところでございます。  なお、国におきましては、本年度具体的な航路ごとに事業化のための条件や課題等を取りまとめ、平成九年度も引き続き事業化支援について検討を進めることとされております。  県といたしましては、今後ともテクノスーパーライナーの志布志港就航に向けて、地元を初め関係業界とも密接な連携を図りながら、国等に対し強力な誘致活動を実施するなど積極的に取り組んでまいりたいたいと考えております。 30 ◯土木部長(横田穰二君)公共事業の発注についてでございますが、本県では、県の入札参加資格審査要綱に基づき、土木一式工事など代表的な六業種において入札参加資格について二つから四つに区分して格付を行い、格付に対応した発注標準金額を定めています。  県工事の発注に際しましては、格付の設定により同程度の格付の業者間で競争をさせ、公平で実質的な競争を確保するとともに、発注標準金額の設定により建設業者の施工能力に応じた発注を行い、県工事の適正な施行を確保しております。  また、県工事の指名に際しては、入札参加資格の格付と発注標準金額の区分に応じ、県の入札参加者等の指名基準等に関する要綱に基づき、工事場所の地域性、建設業者の施工能力及び指名する建設業者数を勘案し、指名回数や手持ち工事量等についても配慮して、厳正公正な執行に努めております。  次に、県内の建設業者の育成につきましては、本県の産業振興や社会資本の整備を促進する上から極めて重要な課題であり、県工事の発注に当たりましては、予算の適正、効率的な執行を基本に、可能な限りの分離分割に努めるとともに、工事場所の地域性等に十分配慮した指名を行っております。  また、本年十月一日からは、県の格付に対応した工事の発注標準金額を引き上げ、中堅から下位の格付業者に対する発注金額を拡大することとしております。  今後とも中小建設業者の育成に配慮した県工事の執行に努めてまいりたいと考えております。  本県の道路整備につきましては、この五カ年計画の期間内において、高規格幹線道路では東九州自動車道に着工されたほか、南九州西回り自動車道の鹿児島―伊集院間の供用が予定されており、地域高規格道路については、北薩横断道路に着工をしています。  さらに国道や県道、市町村道においても、バイパスや現道拡幅について、完成や整備促進に努めているところであり、現在、主な事業の進捗状況は、おおむね順調に推移しているものと考えております。  また、新たな道路計画の策定につきましては、これまで今後の道路整備のあり方について、学識経験者や有識者等で構成する地方懇談会の開催や県政モニターによるアンケート調査等を行ってきており、現在取りまとめ中でございます。  今後これらの意見等を踏まえ、さらに地方懇談会等にも諮りながら、本県の将来の道路整備のあり方や整備の目標等の検討を行い、平成九年度には新たな計画を策定することとしております。  次に、国道二百二十六号の整備については、県においてもこれまで機会あるごとに国に要望を行っているところでございます。現在、国においては、喜入町樋高から産業道路までの間について、四車線化の整備計画の検討が行われています。  また、指宿市から樋高までの間については、これまで交通安全や災害対策として、指宿市西方において線形改良や歩道設置が行われ、また喜入町においては、譲り車線の整備が行われてきたところであり、現在は喜入町前之浜地区において防災事業が、また指宿市麓地区においては、歩道整備が進められております。  県としては、本路線は指宿地域と鹿児島市域を連絡する重要な幹線道路であることから、今後とも本路線の早期整備を図るため、できるだけ早く四車線化に事業着手され、また樋高以南についても調査を検討されるよう、引き続き国に対し要請してまいりたいと考えております。  次に、観光拠点周辺道路景観整備事業につきましては、県内の拠点的な観光地において、県総合基本計画戦略プロジェクトとして整備が進められてきている施設等の周辺道路について、周辺環境と調和のとれた道路の景観対策を重点的に講じ、観光の振興を図ろうとするものでございます。  事業の実施につきましては、当面、花と緑の観光地づくり事業と連携を図りながら、屋久島については「屋久島環境文化村中核施設」、指宿地区については「フラワーパークかごしま」等の周辺アクセス道路について、平成八年度から十年度までの三カ年で整備を行うこととしております。  また、霧島地区については、霧島彫刻ふれあいの森の整備の進捗状況に合わせて、今後検討することとしております。  なお、事業の内容は、旧道路敷地等を活用したふれあいパークの整備、植樹帯の整備、歩道等のカラー舗装、道路案内標識の設置等を行うこととしております。 31 ◯農政部長(松本浩二君)農業関係各試験研究機関におきましては、ここ十年の間に早期水稲の「なつのたより」、スターチス、これは花でございますけれども、サザンピンクなど、二十一品種の育成、青果用のサツマイモやグラジオラスなどの優良種苗の大量増殖技術、チャハマキ天敵利用によります防除技術、ニンジンの畝立てマルチ播種の同時作業機の開発、牛の受精卵移植技術など、かなりの数の成果を上げまして、これらは既に農家などに普及をいたしているところでございます。  現在、遺伝子導入などの先端技術を使いました新品種の育成や胚移植技術によりますところの優良種雄牛の造成など、本県に適する優良品種の育成、家畜の改良に取り組んでいるところでございます。  また、イチゴやかんきつなどにおきますところの天敵や性ホルモンの活用など、環境に配慮した病害虫防除技術や地元企業と連携をいたしました青果用サツマイモの洗浄選別機やネギの調整作業機などの開発も取り組んでいるところでございます。  今後とも農業技術の開発に積極的に取り組みまして、これらの成果は農業改良普及所が中心となりまして、現地に実証圃を設置するなどいたしまして、農家への普及定着に努めてまいることといたしております。  本県の系統農協におきましては、新農協合併構想に基づきまして、農協の広域合併を推進をいたしますとともに、合併農協におきましては、組合員、役職員が一体となりまして、事業機能の強化、組織体制の整備に取り組んでおりまして、農業管理センターの設置、営農指導体制の充実強化、共同育苗施設や集出荷施設など、広域的な共同利用施設の整備などが進められているところでございます。  県といたしましては、これまでも広域農協合併の育成事業や農業構造改善事業を初めといたします各種の補助事業によりまして、農協の営農推進体制や生産流通体制の整備を推進をしてきておるところでございます。今後とも農協中央会等と連携をとりながら、農協が本来の目的でございますところの農業生産力の向上と組合員の福利増進のために、その機能を十分発揮していけるように指導、支援をしてまいる考えでございます。  農地の流動化と規模拡大についてでございますが、県全体の利用権設定面積が年々増加をいたしておりまして、平成七年度で一万一千八百ヘクタールとなっております。また、経営規模三ヘクタール以上の農家数も着実にこのところ増加をしている状況にございます。  県といたしましては、これまで農業委員会によりますところの農地のあっせんや県地域振興公社などによります農地の売買、賃貸借等を通じまして、担い手への利用集積に努めてきたところでございますけれども、さらに本年度から新たに認定農業者規模拡大助成事業を措置をいたしまして、規模拡大を目指す認定農業者への支援を強化をいたしたところでございます。  また、生産コストの低減や農業経営の合理化を図るために、担い手農家による農作業の受委託、生産組織による農業機械の共同利用、農協などによりますところの共同育苗や収穫調整作業などを推進をいたしているところでございます。  今後とも、関係機関、団体一体となりまして、農地の流動化による規模拡大や効率的な生産の仕組みづくりに積極的に取り組むなどいたしまして、コスト低減、生産性の向上に努めてまいることといたしております。  本県の食品製造業でございますけれども、全製造業の出荷額の四五%を占めておりまして、農業の振興と雇用機会の場を提供いたしますとともに、地域経済にとりましても重要な役割を担っておるところでございます。  これまで農産物加工研究指導センターを拠点といたしまして、工業技術センターとも連携を図りながら加工技術の研究、新製品の開発を進めておりますほか、加工企業並びに農産加工グループなどを対象に指導や研修等を行い、付加価値の高い商品づくりを進めてまいっておるところでございます。  また、さつまいもの館やかごしま遊楽館での加工食品の宣伝・販売、県特産品協会を通じての商談会や地域食品フェアーの開催など、消費者ニーズの把握と販路拡大にも努めているところでございます。  特に、農産加工グループなどが手がける地域の素材を生かした新製品の開発や地域食品の国内市場開拓につきましては、地域食品活性化促進事業、これは国の事業でございますけれども、そういった事業を活用しながら、市町村等を通じて支援をいたしておるところでございます。  今後とも加工技術の向上や消費者ニーズを踏まえた新製品の開発、商品化に努めますほか、販路の開拓を積極的に推進をしてまいることといたしております。  広域農道南薩東部地区についてでございますけれども、平成六年度に着工をいたしまして、平成八年度までに二〇・一%の進捗が見込まれておりまして、平成十八年度の完成を目指しておるところでございます。
     また、広域農道の起点、これは北側の喜入町弓指でございますが、この起点と主要地方道谷山・知覧線の区間につきましては、農免農道喜入地区として昭和六十二年度に着工いたしまして、平成八年度までに七七・二%の進捗が見込まれておりまして、平成十三年度の完成を目指しているところでございます。  県といたしましては、今後ともこれらの地区の早期完成が図られるように整備促進に努めてまいることといたしております。  なお、農免農道の起点から谷山インターまで農道を延長することにつきましては、受益となる農地が少なく、また国道二百二十六号や指宿スカイラインとの並行近接路線となりますことなど、バイパス的な性格を有することになりまして、農道整備事業としてこれを位置づけることにつきましては、問題が多いわけでございますので、今後の研究課題であると考えております。    [梶原弘徳君登壇] 32 ◯梶原弘徳君 それぞれ御答弁をいただきました。  総合基本計画につきましては、時代の変化に対応すべく各面での見直しを図っていくとのことでもあり、またその計画の着実な推進を図ることにより、知事の提唱されておられる「県民とひびきあう県政の推進」が図られ、「実力あふれる新しい鹿児島づくり」が促進されますように期待いたす次第であります。  新種子島空港につきましては、いろいろと困難なことがある点につきましては理解するところでありますが、先般開かれました熊毛郡の町議会議員大会におきましても、最重要課題として取り上げられたところでありまして、種子島島民はもとより、国内におけるロケット基地を持つ恵まれた本県の地域振興の上からも格段の御努力をお願いをいたしておきたいと思います。  公共事業の執行と中小建設業者への対応については、今県議会における県単公共事業の大幅な予算の増額に見られるとおり、県土の整備と景気対策の面からも格段の配慮のもとに執行され、またこれからも十分質問の趣旨に沿って本県中小建設業者の育成強化に努めていくとのことであり、入札資格別発注などによる本県中小建設業者への受注機会の拡大を強く要請をいたしておきます。  次に、国道二二六号四車線化につきましては、沿線住民の二十数十年来の悲願でありますので、県勢の発展の上からも、またサンオーシャンリゾート計画の推進のためにも欠くことのできない課題であり、さらに御尽力をいただきますようお願いをいたしておきます。  南薩東部広域農道につきましては、着実に推進されておりますが、日本の食糧基地として京阪神地域を初めとした大消費地などへ新鮮な農産物を迅速に届けることにより、市場価格にも大きな影響があり、今後の農業振興にとっても最も重要な課題でありますので、経済的効果を図る上からも、今後とも御検討のほどをよろしくお願いを申しておきます。  次に、本県漁業問題についてお尋ねをいたします。  周囲を海に囲まれ、また南西諸島や奄美群島を擁する我が県は、豊かな水産県でもあります。しかし、現在我が県の水産業の中で海面漁業については、昭和五十九年の水揚げ量十九万七千七百二十八トンをピークとして、平成六年には十三万八千二百五十トンの水揚げ量となり、その衰退ぶりは目を覆わんばかりの状態にあります。全国的な水揚げ量の減少は、世の趨勢としていかんともしがたいのでありますが、我が県についても水揚げ量の落ち込みに大きな水産業界の危機を感じないわけにはいきません。国は、平成五年に奄美大島の瀬戸内町にクロマグロの養成基地を建設し、さらに県内各地においても栽培漁業などを積極的に推進され、漁業資源の維持培養に励んでおられますが、その成果が本県水産業の振興に大きく寄与されることを期待いたします。  また、我が国の漁業を取り巻く環境は、二百海里体制に伴う漁場の制約に加え、資源の減少、魚価の低迷、就業者の減少など、依然として厳しい状況になっており、このため県におかれては、この危機を打開し、安定した漁業の発展を期するために漁場の整備開発、有用種苗の放流による栽培漁業の推進や資源管理型漁業の確立に努めておられるところであります。  しかし、本県海域においては、対象魚を一網打尽に獲得すると言われている大臣許可漁業の県外漁船などによる沖合底びき網漁業や大中型まき網漁業などの操業も見られ、沿岸漁業者はこれらの操業によって漁獲が減少し、本県将来の漁業経営にとっては、今日の状況を含め大きな不安を抱いているところであります。  ところで、先般熊毛地区水産振興大会において、「周辺海域における沖合底びき網及び大中型まき網漁業の操業禁止区域の拡大を求める決議」がなされました。熊毛海域や奄美海域において、これらの漁業に対し操業禁止区域を拡大するよう、これまで長年にわたり強い要望がなされてきたところでありますが、県はこれまで、この問題をどのように認識し、取り組まれてこられたのか、また、今後の対応についてもお聞かせをいただきたいと思います。  次は、病原性大腸菌O-157の対策についてお伺いいたします。  本年四月に静岡県で病原性大腸菌O-157による食中毒が確認され、その後、全国的に蔓延し、特に堺市における集団感染は著しく、これまでに九千六百名を超える患者の発生や十一名に上る死亡者が出ており、本県でも四名の患者が発生しております。  また、このO-157は感染経路が明確でないことなどから、食品の衛生面などについて国民に大きな不安を与えるなど、極めて憂慮すべき事態となっております。  また、一方では生鮮食料品などについて、消費者の買い控えが続いたため、食料品の卸・小売や飲食店などの売り上げが減少し、関連する中小企業者にとっても影響が出ているものと考えられます。このような状況に対処をするため、国においてはO-157の発生の未然防止や感染防止を図るために、厚生省、農林水産省、文部省などを中心として、各般の対策がとられているところであります。  つきましては、県民が安心して生活できるためにはO-157による予防や原因究明、さらに適切な治療、診断などの対策が急がれておりますが、本県における再発防止に向けた取り組みの状況についてお聞かせいただきたいと思います。  また、今回のO-157問題で売り上げ減少などの影響を受けている中小企業者に対する支援をどうしておられるのか、あわせてお聞かせをいただきたいと思います。  次に、公的介護保険制度についてお尋ねいたします。  我が国は世界でも有数の長寿国であり、平成七年の平均寿命は男性七十六・三六歳、女性は八十二・八四歳と世界で一位となっております。また、六十五歳以上の高齢者の占める割合は一四・九%に上り、二十一世紀初頭には本格的な高齢化社会が到来し、介護を必要とするお年寄りも、現在の二百万人から平成三十五年には五百二十万人に上ると予測されております。また、介護の程度も重度か長期化する傾向にあり、加えて介護する方も高齢化が進むなど、介護への不安や介護する家族に対しても過重な負担となってきております。  なお、本県の平成七年における高齢化率は二〇・一六%で、全国でも高齢者の多い県となってまいっております。さらにひとり暮らしの高齢者世帯や老人夫婦の世帯が増加することから、これからは社会全体での取り組みとしての介護サービスの実施や充実を図り、安心して老後の生活を送れることが重要となっております。  国においては、これらのニーズに対応するため、介護が必要な高齢者に対して訪問看護やホームヘルパーなどによる家庭訪問などを行う在宅サービス並びに老人保健施設や特別養護老人ホームなどでの施設サービスなどを社会全体で支えるために介護保険制度の創設に向けて取り組まれております。しかし、この介護保険法案を見ると、保険者は市町村であり、介護サービスや認定事務の増加、さらに給付費の公費負担分を国、県、市町村で分担することとなるようであります。ついては、介護保険制度の創設が言われておりますが、今後高齢化社会を迎えるに当たり、知事はどのような御認識をお持ちか御見解をお聞かせいただきたいと思います。  最後に、教育行政についてお尋ねをいたします。  最近、青少年非行の実態を見るにつけ、「教育とは何か」をつくづく考えさせられるものがあります。青少年たちは、何ゆえ非行に走り、いじめが起こるのか。ある人は受験競争、偏差値教育への弊害という人があり、またある人は、社会の風潮の影響という人もあります。子供たちのよりよい健全な人間性を育てていくのは、家庭における親であり、学校での教育を担当している教師、さらには地域社会であり、社会全体の問題であります。子供を教育する一番の責任者である親の中には、現代社会の目まぐるしい変化の激しい時代に、子供の教育に自信を失っている状況が見られる側面もあり、時代の変化にどう対応すればよいのか迷い、そして子供たちの生活態度の変化に適切に対応できないでいる、そういう感じがいたします。  親は、子供たちの行動を理解してやる、ただそれだけの役割でありましょうか。決してそうではありません。親は子供たちを厳しくしつけるという役割を持っているはずであります。  かつて我が郷土には、日常の至るところに動作、言葉遣いに至るまで、細かい教えがありました。そして、人として最低限守るべき心得というものが示され、日ごろから厳しく教え、諭されてまいりました。「うそを言うな」、「弱い者をいじめるな」、「年長者を敬え」といった郷中教育でありました。そのことが明治維新を起こした我が薩摩の先達たちであり、近代日本の夜明けを築いた父祖の眠る地の精神であります。こうして教えて育った子供たちは、やがて成人し、大人となってまた後進の子供たちを教え導いていく、そしてやがてはその地方の風俗習慣、秩序といったものを形づくっていったように思います。これは人間として行動していく上での善悪などの判断や礼節を重んじる最低限の基準であったように思うのであります。  思えば、今、子育ての最中にある親たちは、昭和三十年代から四十年代にかけて、我が国が社会的にも精神的にも、学園紛争などに見られるような荒廃のきわみにあったころ、少年時代を送った人たちであります。その時代を過ごした親自身が、日常生活の中で人間性豊かな心を養う指標となるべき生き方の指針を学校教育の中でも十分に教えられず、加えて古い伝統とか、道徳秩序といったものを葬り去られた時代ではなかったでしょうか。やむを得ないといえばそれまでですが、しかし、このような時代といっても、時代を超えて、物事の善悪などを判断する基準は厳然としてありました。学校でも家庭でも自信を持って子供たちにそれを教える必要があるのではないでしょうか。そのことが子供たちをはぐくみ、我が国の将来や鹿児島を背負っていく、心豊かで思いやりのある人間形成につながっていくものと確信をいたすものであります。  そこでお尋ねをいたします。  現在の道徳教育に対する基本的認識についてお示しいただきたいと存じます。  次に、道徳教育の時間はどのような方法、内容で行われているのか。また、道徳教育の中では郷中教育の精神が大切であると思われますが、本県においてはどのような観点でもって、どのような副読本を選定されているのか。また、副読本を通して非行やいじめをなくするために子供たちの教育にどのように寄与しているのかお伺いをいたします。  さらに最近の青少年非行の動向と、この未然防止について、警察行政の面からと教育現場の面からどのように対処しておられるかお伺いをいたします。    [知事須賀龍郎君登壇] 33 ◯知事(須賀龍郎君)沖合底びき網漁業や大中型まき網漁業は、御指摘のとおり農林水産大臣の許可が必要でございます。  県といたしましては、これらの漁業が熊毛や奄美の漁業者の方々に少なからぬ影響を与えておりますことから、地元からの強い御要望も受けまして、操業禁止区域の見直しや、その拡大方につきまして、あらゆる機会をとらえまして国に対し、強く要請を行ってきたところでございます。  また、国が設けております当事者間の協議の場にも、県としまして立ち会いまして、地元の意向が反映されるように努めてきたところでございます。  現在、奄美海域におきましては、地元漁業者の調整案に沿った国の調整が精力的に行われておりまして、この調整が整いますならば地元の要望が認められることになりますので、県としても、さらに努力をしてまいりたいと考えております。  なお、熊毛海域につきましても、地元の意向を踏まえまして、国に対し強く要請してきておりますが、今後とも地元の意向が反映され、またこの解決が早期に図られますようさらに努力をしてまいりたいと考えております。  次に、公的介護保険制度につきましては、本年六月に介護保険制度案大綱が提示されました後、政府・与党のワーキングチームによります中央公聴会の開催等さまざまな論議が行われたところであります。過疎・高齢化が進んでおります本県にとりましては、高齢者が自立した生活を送れるような社会的に支援していくこの制度の導入は、基本的には望ましいと考えておりますが、このような制度を長期にわたり安定した制度とするためには、地方自治体の財政負担に対する明確かつ十分な財政措置など、地方公共団体の意見を十分踏まえた制度の構築を図る必要があると考えております。  このために、県では去る六月に引き続きまして、九月十三日にも全国知事会等を通じまして、その旨国に対し強く要望してきたところでございまして、今後とも国の動向を注視いたしますとともに、地方公共団体の意見が十分反映されるように努めてまいりたいと考えております。 34 ◯保健福祉部長(安達一彦君)病原性大腸菌O―157につきましては、ことしに入りまして現在までに四十五の都道府県で約九千八百人の患者等が報告されますなど、全国的な広がりを見せております。このため、県では学校、病院、福祉施設等に対します注意喚起あるいは集団給食施設等への監視指導の強化、県民への広報啓発等を行いますとともに、七月二十二日には病原性大腸菌O-157緊急防止対策を取りまとめ、使用水の衛生管理についての指導強化、枝肉等の定期検査、検食保存期間の延長、一般住民の無料検査及び相談の実施等の措置を講じてまいりました。また、先般O-157集団発生対策マニュアルを取りまとめたところであり、今後とも関係機関と一体となりまして、病原性大腸菌O-157対策に全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。 35 ◯商工労働部長(濱田隆道君)今般のO-157問題によりまして、全国的に相当数の中小企業者に売り上げ減少等の影響がありましたことから、中小企業庁におきましては、生鮮食料品の卸小売業や飲食業など四十業種につきまして、中小企業信用保険法に基づきます特定業種指定がなされ、信用保険料率の引き下げなど特例措置が講ぜられたところでございます。  県といたしましても、今回の国の特例措置にも対応いたしまして、県中小企業融資制度の長期運転資金におきまして、金利を二・九%から二・六五%に、信用保証料率を〇・七五%から〇・六五%に引き下げ、さらに融資期間を五年から七年に延長するなどの特例措置を速やかに講じますとともに、金融機関、保証機関、市町村等に対しまして、その円滑な運用をお願いいたしましたところでございます。 36 ◯教育長(有馬 学君)道徳教育は、児童生徒が人間としてのあり方を自覚し、人生をよりよく生きるために、その基盤となる道徳性を育成するものであり、教育が人格の完成を目指していますことから、道徳教育は学校教育の基本にかかわるものであると認識しております。  道徳の時間には、節度ある生活慣習、礼儀の意義、正義感や公正さを重んじる心、他人を思いやる心、父母や祖父母、先人や高齢者に対する尊敬と感謝の念、国や郷土を愛し、その発展に尽くす心など、いつの時代にも求められる道徳性の育成が図られるよう、指導が行われております。  道徳の時間に使用する副読本につきましては、郷土の教育的伝統を受けて育った西郷南洲翁、大久保甲東公、木曽川工事総奉行の平田靭負など、我が国や郷土の発展に尽くした先人の生き方をまとめました「郷土の先人」を県教委において作成配付いたしますとともに、学校や児童生徒の実態、道徳教育の重点目標等勘案をいたしまして、各学校で一般の教材を選択して使用をいたしております。  これら副読本は、郷土に対する誇りを高めますとともに、児童生徒一人一人に人間としての生き方等についての自覚を促し、道徳的実践力が育つよう活用されており、いじめや非行防止にも寄与しているものと考えております。  それから、非行の未然防止でございますが、児童生徒の非行の未然防止のためには、学校におきましては生徒指導体制を確立いたしますとともに、教師と児童生徒との触れ合いや教育相談等を通しまして、教師一人一人が児童生徒の実態をきめ細かく把握し、保護者との連携を図りながら、全校挙げて対応することが大切でございます。  また、一人一人の児童生徒を大切にし、わかる授業を展開することにより、学校が子供たちにとって楽しく生き生きと学べる場となるよう努めますとともに、道徳教育の充実や自然体験、勤労体験などさまざまな体験活動を推進することにより、正義感や善悪の判断力を身につけさせ、社会性や情操を培うことが大切でございます。  県教委といたしましては、これらの取り組みが各学校で積極的に行われるよう指導を充実いたしますとともに、各種の生徒指導講座等を通じまして、教職員の指導力の向上を図っております。今後とも学校での取り組みを一層充実いたしますとともに、家庭地域や関係機関との連携を深め、非行の未然防止を図るよう、さらに指導に努めてまいりたいと考えております。 37 ◯警察本部長(堀 貞行君)県下の青少年非行のうちでも、特に警察として重視しております刑法犯少年は、本年七月末現在千百人余りということで、昨年同期に比べまして二三%ほど増加しております。  その内容を見ますと、中・高校生が全体の約八割を占め、非行の主流は万引、自転車・オートバイ等であります。また、性的被害を受けた女子少年も増加しております。  これらの少年非行の背景といたしましては、非行を誘発しやすい環境の増加、地域社会での非行抑止力の低下、あるいは学校や家庭でのしつけ教育が必ずしも十分に機能していないことなどが挙げられますが、警察といたしましては、特に金さえもうかればどんな営業をしても、少年にどんな影響を与えようとも構わないという若干見られます社会の風潮の蔓延を非常に懸念いたしておりますが、いずれにしても私ども警察でございますので、少年の健全育成を基本方針に、学校・家庭・ボランティア等と緊密に連携をとりながら、私ども警察の表芸たる少年の福祉を害する犯罪の徹底的取り締まり、これを最重点に、非行少年の補導、万引等をさせにくい環境づくり等を推進してまいりたいと考えております。    [梶原弘徳君登壇] 38 ◯梶原弘徳君 各般にわたり、御答弁をいただきました。  漁業問題の熊毛海域や、奄美海域における沖合底びき網及び大・中まき網漁業の操業禁止区域拡大につきましては、二十数年来にわたる懸案の課題であり、本県沿岸、沖合漁業資源の確保と水産振興の上からも、今後ともこの問題については、水産庁など関係機関と十分連携をおとりいただきまして、島民の願望が早急に実現されますよう、格段の御努力を強く要請いたします。  教育行政につきましては、学校教育における道徳教育の実態と取り組み、さらにはまた青少年の非行の状況等については、教育長並びに県警本部長から御答弁がなされたところでありますが、要は健全な精神を宿す青少年の教育は、青少年期において善悪の判断と思いやりやいたわり合うような人間性を形成するための礼節やしつけを含めての教えが必要であり、警察行政におきましても、青少年の犯罪の原因と実情をつぶさに事情調査をする中で判明するものであります。警察は、これらの実態について学校当局と十分連携を深め、真の人間形成ができるよう、青少年の健全化をさらに図っていかれることを願うものであります。  以上、私は、民主刷新会を代表いたし、県政全般の三十二項目にわたり質問を展開してまいりました。民主刷新会のめいめいは、自由と民主主義を基本に政治の刷新を図り、地域と県民のニーズを的確にとらえ、政治家としての使命を果たす決意での会派の名称としたところであります。  さらに私たちは、我が国の民族の過去、現在、未来にわたる道筋に敬けんでなければならないと思うのであります。二十世紀が終わろうとする今、大国の冷戦構造は崩れ、世界は大きな歴史的転換期を迎えたのであります。政治、経済、社会とも大胆な改革と刷新の勇気が必要であり、真によりよい社会を築いていくために何が、どこが欠けているのか、みずからの原点をしっかりとつかみ直して、国の再生を図っていくべきときであると思うのであります。  戦後五十年たった今日の平和と繁栄に甘んじ、人はその中に住めば当たり前であると思い込むものであります。しかし、冷戦構造という世界的秩序の中、アメリカという大国の庇護のもとに、我が国は国際社会の中で経済活動にのみ専念でき、国家の繁栄を享受できた五十年であったと言っても過言ではありません。  日本人は、国の成り立ちのこと、つまり歴史観も憲法もアメリカの戦後処理の中で位置づけられ、国防、つまり国を守るという気概が薄れ、ただ平和のみを追い求めているように思われたのであります。  すなわち、「国家百年の大計」、「民族の誇り」などという言葉は死語となりました。既に東西の冷戦は終わり、新しい時代の構築がなされようとしております。戦後の日本は平和の中で繁栄を続けてまいりましたが、これはアメリカの平和、パックスアメリカーナであって、いまだ沖縄の基地問題等に見られるがごとく、真に日本の自立であるとは思いません。  かつてパックスアメリカーナの時代には、我が国は「経済は一流、政治は三流」と日本人が自嘲ぎみに語り、むしろその元凶を肯定しておりました。しかし現在、その一流と言われた経済も、今やバブルの崩壊や財政の硬直化等で一流と言われない状況となっております。時の政治家田中正造翁は、「亡国を知らざれば、これ亡国なり」と言っております。今日の学校内におけるいじめや青少年の非行化、また非情な殺人や放火などの犯罪に見られるがごとく、道義・道徳、公徳心の欠如などであり、今日の社会状況は憂うるべき亡国への道と知らねばならないと思うのであります。  戦後五十年間見詰めようとしなかったものは何か、日本の国とは何かということであります。すなわち、日本という国は、自然の山河のように当然にあるものではなく、悠久の太古から、民族として先人の生命の積み重ねを経ながら今日に伝えられてきたということは、かけがえのない事実であります。  我が薩摩の志士たちが立ち上がり、明治維新をなし遂げつつあったころは、アジア各国はほとんど欧米の植民地になっておりました。民族のアイデンティティー、民族の誇りがなければ真の刷新もできないし、信の平和を希求する国際国家にもなり得ないと思います。何ゆえこの違いが生じたのか、いま一度、我が日本に欠けているものは何なのか、そしてまた我々は何をなすべきなのかを考えてみるときではないでしょうか。  今まさに、我々国民が日本を再生させるためにどうあるべきかの本質を見きわめ、今こそ踏み出す歴史的使命を負って、我々県政に携わる者として崇高な理念と目標を掲げ、県民の負託にこたえるべきときと痛切に感じているものであります。  鹿児島県議会の先達が長年にわたり議会の歴史を編さんし、積み重ね、県政を創造してこられたこの県庁舎の議会棟も、七十年の歴史を静かに閉じようとしております。その足跡をじっとかみしめてみますと、戦前・戦中・戦後の歴史の動乱の中にも地方政治の中に身を置き、本県議会議員の先達は崇高な政治理念を掲げ、持てる力を振り絞りながら活躍しておられる姿が記録に記されており、その姿を思い浮かべるとき、心踊る思いがいたします。  現在の県庁舎は、大正十四年九月三十日、鹿児島市の現中央公民館から山下町の現庁舎へ移転しております。この地での第一回通常県議会は、大正十五年十一月二十二日に開催されております。当時の議事録によりますと、  縣會召集ニ付此日議事堂ニ參着シタル議員左ノ如シ  (四十一名の連名)十一月廿二日午後二時五十五分開會  長野知事登壇左ノ開會ノ辞ヲ述ブ  茲ニ本日ヲ以テ大正十五年通常縣會ヲ召集致シマシテ各位ト相會ユル事ヲ得マシタ事ハ私ノ最モ欣幸トスル所デアリマス提出ノ各案件ハ既ニ夫々オ手許ニオ屆ケ致シテゴザイマス、幸ニ愼重審議ヲ盡サレマシテ適當ノ議决アラン事ヲ切望致シマス之ヲ以テ開會ノ辞ト致シマス  と会議録に記されております。  次に、山下卓馬氏、議長席より、出席四十一名缺席ナシ之ヨリ參事會員ノ選擧ヲ致シマス、其前ニ當リマシテ開票立會人ヲ例ニヨリマシテ二名選擧致シタイト思ヒマス、之ハ先例モアリマスガ、煩ヲ省ク爲メニ當席ヨリ、御指名致ス事ニシテ差支ヘゴザイマセンカ  異議ナシト呼ブモノアリ  と本県会議録に記されております。  質問者の始まりは、議長の指名により吉川前友君となっております。  それ以降、幾度の困難の中に県政の方針、重要案件をこの地において審議し、築いてこられたのであります。さまざまの出来事を繰り返してきたこの県議会議場も、七十年の歴史を閉じ、新天地鴨池新町へ移転いたしますが、私どもは県勢のさらなる発展のために先達に感謝申し上げながら、新県議会で二十一世紀に向け、百八十万県民の負託にこたえるべく、全力を傾注し、未来を切り開く決意であります。  今日、県職員の皆さんにおかれては、公費に係る諸問題について、公務員としての姿勢を問われているところでありますが、日ごろから県勢の発展と県民福祉の向上のために昼夜を問わず尽力されている姿に接し、私どもは本県の職員の皆様は有能ですばらしいシンクタンクであると信じております。なお、今回の問題に対しては、反省すべき点は反省し、県政の執行に当たっては、これからも萎縮することなく、県民の信頼を回復すべく将来に向かって県民の期待にこたえられるよう、県職員の皆さんの英知と創造性を発揮され、県勢のさらなる発展のために活躍されることを切望するものであります。  我々民主刷新会のこの質問が、本会議場における最後の代表質問となりました。  最後に、我が薩摩の偉人西郷南洲翁は、政治の道を志す者の心得としまして、「廟堂に立ちて大政を為すは天道を行ふものなれば、些とも私を挟みては済まぬもの也」と諭されております。このことは、政治の大道を歩む者は、国家・国民のため天地自然の道を行うことであるからして、たとえわずかであっても私心を挟んではならないということを教えております。我々県政に携わる者として、この教えに学び、微力ながらも県勢発展のため努力してまいることを誓いながら、民主刷新会の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 39 ◯議長(鶴田辰巳君)これで、本日の日程は終了いたしました。    △ 日程報告 40 ◯議長(鶴田辰巳君)九月三十日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問及び請願・陳情の委員会付託であります。    △ 散  会 41 ◯議長(鶴田辰巳君)本日は、これで散会いたします。         午後三時十分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...