• "保健所業務支援"(/)
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  1. 大分県議会 1997-09-01
    09月18日-03号


    取得元: 大分県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-13
    平成 9年 第3回定例会(9月)       平成九年           大分県議会定例会会議録(第三号)       第三回平成九年九月十八日(木曜日)     ----------------------------- 議事日程第三号        平成九年九月十八日     午前十時開議第一 一般質問及び質疑     ----------------------------- 本日の会議に付した案件日程第一 一般質問及び質疑     ----------------------------- 出席議員 四十六名  議長  古手川茂樹  副議長 日野立明      壁村史郎      阿部順治      矢野晃啓      志村 学      安部省祐      佐藤 錬      阿部英仁      堀田庫士      馬場文人      盛田智英      諌山秀夫      和田至誠      荒金信生      佐々木敏夫      岩尾憲雄      古田き一郎      長尾庸夫      牧野浩朗      仲道俊哉      長田助勝      池田秀人      後藤利夫      本多睦治      首藤健次      堤 隆一      久原和弘      賀来和紘      塙  晋      小野弘利      江藤清志      内田淳一      相良勝彦      浜田 博      吉山和人      木許 晃      古屋虔郎      重野安正      挾間 正      菅 正雄      山田軍才      竹中万寿夫      平田宣彦      冨沢泰一      緒方喜代美 欠席議員 一名      友岡春夫     ----------------------------- 出席した県側関係者  知事     平松守彦  副知事    帯刀将人  出納長    池辺藤之  教育委員長  加藤知孝  代表監査委員 原  貢  総務部長   外山邦夫  企画部長   曽根崎和人  企業局長   工藤義見  教育長    田中恒治  警察本部長  関  一  福祉保健部長 小野進一郎  生活環境部長 笠置邦秀  商工労働         永松博文  観光部長  農政部長   相良 浩  林業水産部長 藤田賢水  土木建築部長 吉永一夫  人事委員会         山田裕彦  事務局長  地方労働委員         神田尚三  会事務局長  総務部次長  市橋保彦  財政課長   植松浩二  秘書課長   二宮滋夫     -----------------------------     午前十一時八分 開議 ○日野立明副議長 これより本日の会議を開きます。     ----------------------------- ○日野立明副議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第三号により行います。     ----------------------------- △日程第一 一般質問及び質疑 ○日野立明副議長 日程第一、第九七号議案から第一一四号議案までを一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。 小野弘利君。 〔小野議員登壇〕(拍手) ◆小野弘利議員 おはようございます。三十二番、社会県民クラブの小野弘利でございます。 私はきのう、遅くなったんですけども、安岐の役場を訪ねて、町長から今回の水害の状況についてお聞きをしました。そしてまた、これからの町の対策、対応についても詳しくお聞きをしたところです。さらに、実際に被災者のおうちも何軒か訪ねてみました。県の方が早速、救援物資というか、見舞いの品を届けてくれたということに対する感謝の言葉も何人かからお聞きをしました。 安岐町に限らず、今回の水害に遭われた県下各地区の多くの皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思いますし、同時に、県としてこの被災者への救済措置、そしてまた復旧対策、さらには引き続いて災害に強い県土づくりのために格段の努力を期待するところであります。 わずか二年半の短い期間ですけれども、私自身の歩みを振り返りながら、県政の課題について質問をさせていただきます。二十一世紀に夢をつなぐことのできる、さわやかな答弁を期待するところであります。 初めに、教育問題についてでありますが、まず、ゆとりある学校、楽しい学校づくりについてお伺いをいたします。 九七年度の大分県学校基本調査速報によりますと、長期欠席者の数は、小、中学校ともに過去の調査を超える数値になっております。特にこの中で、病気を理由とする欠席者は減少しているにもかかわらず、学校嫌い、その他がふえ続けていることに注目しなければなりません。 また、九月十日には、文部省の九六年保健室利用状況調査で、不登校予備軍とされる保健室登校の実態が明らかになっております。 いじめや不登校にはそれぞれに複雑な要因が絡まっているとされますが、それを生み出すもの、またその解決の妨げになっているものとして、子供、教職員、学校のゆとりのなさを多くの研究者が指摘しているところであります。 九五年度から月二回の学校五日制が実施されていますが、文部省調査によりますと、小学校の七六%、中学校でも七八%が「月一回から二回になっても子供の学習負担は変わらない」と答えております。 また、平成八年に山口剛・佐賀大学教授が実施した調査では、八八%の教職員がストレスを感じており、「非常に強く感じる」が二二%もあり、サラリーマンの平均一〇%に比べて異常に高いことが明らかにされております。山口教授は、「今の教師には、時間的にも心理的にも余裕がない。これがいじめや自殺等の問題に対応できない遠因にもなっている」と指摘しております。 このような状況のもとで、文部省も九七年より指定研究の三割削減を、さらに九月五日には完全学校五日制に向けての授業時数の削減案を明らかにしております。これを受けて、各県教育委員会も研究指定、教職員研修の整理統合、削減に向けて努力していることは大いに歓迎するところであります。 しかし、学習指導要領の規制緩和、つまり弾力的運用や上意下達の教育行政から下意上達へと発想の転換を図らなければ、真のゆとりは実現できないと思います。学校が楽しい学びの場にならなければならないということであります。子供一人一人に光を当てた学校教育になれば、東大に何人進学させたかということが評価されるのではなく、何をどのように学んだかという過程が尊重され、点数でははかれない人間的な深みを培うことが学校教育の役割になってくるのではないでしょうか。 そこで、中央教育審議会教育課程審議会における審議の内容や文部省の調査研究協力者会議の報告など、教育をめぐる中央の動きを県教育委員会としてどのように受けとめているか。 そして、大分県教育行政基本方針や指導方針が示されていますが、その実現に向けての県教育委員会の決意と現場が主体的に取り組める条件づくりをどう進めるか。 そして、対策会議や研修会、相談活動などを充実、強化させることも大切ではありますが、ゆとりづくりや地域密着、住民参加の視点から、いじめ、不登校、さらには凶悪化、潜在化、低年齢化する少年非行、少年犯罪の防止にどう取り組むか。 さらに、保健室登校の県内の実態はどうなっているのかという点をお伺いしたいと思います。 次に、入試大綱の見直しと高校教育のあり方についてお伺いをいたします。 九五年度から始まった暫定入試制度の見直しが今進められております。九四年三月、入試大綱の見直し案を発表した際、当時の宮本教育長は、暫定の意味について、「三年たったら当初案に戻すということではない。情勢や三年間の実施結果を見て検討する」と述べております。 暫定措置に基づく高校入試の意見聴取もほぽ終えた今、県教育委員会として実施結果をどう評価しているか。 合同選抜が廃止された地域、学区が拡大された地域では、学校間格差は拡大、定着し、受験競争は激しくなっております。暫定入試制度が子供や親の受験準備のための負担を軽くしたり、本当に行きたい学校へ行けるための改革とはなり得なかったことは、県PTA連合会県教職員組合が実施した調査でも明らかであります。 また、推薦制についても、合格を約束するがごとき逆指名や第三者の介入が生じております。 なお、大綱に盛り込まれている複数受験や受験教科の選択についても、問題の生じることは想像にかたくないところであります。 教育長は、昨年第二回定例会で浜田議員の質問に、他県でも順調に実施されている旨の答弁をしていますが、この間のマスコミ報道を見ても、神奈川、埼玉、東京、宮崎、富山、宮城、福岡など、推薦制度についてさまざまな問題が生じていることは周知のとおりであります。 高校教育を改革するには、企業の生き残り策にも似た入試大綱の導入ではなく、学科のあり方、高校のあり方と一体的な改善が必要であり、見直しに当たっては、高校間格差をなくし、受験競争の緩和を図るという教育上の命題と、高校教育を受けたい、受けさせたいという県民の要求を最大限に実現する方向を重視しなければならないと思います。時期は迫っております。中学校における進路指導、受験生や保護者の不安に配慮するならば、早急な発表が望まれるところであります。 八月二十九日、第二回公立高校適正配置等懇話会が非公開で開催され、高校の統廃合について話し合われたと聞いております。生徒数が減るから統廃合するでは、余りにも短絡的であります。市場原理によらない教育の提供が公教育の責務であり、地域的な特例措置としての学級定員の削減や定員九八%枠を一〇〇%に拡大するなどの行政努力なしでは、教育の機会均等の原則は崩れてしまいます。 島根県邑智郡で新しい動きが始まっていると聞いております。郡内に三つの高校があるが、十三年先には中学卒業生が二百人を割る。一校分の定員しかなくなる。そこで、一つの高校も廃校にせず、地域振興策と合致させて三枚を統合して一つの高校とし、旧来の校舎はそのままキャンパスとして使い、地域の実態、生徒や親の希望に応じた多様な講座、学科を開設するという、つまり地域合同総合制高校構想であります。 小、中学校はもちろん、高等学校についてもその存在は地域振興と直結しており、開かれた学校づくりの中で学校が地域コミュニティーの拠点にならなければなりません。そういう意味からも、学校統廃合については、情報公開の原則にのっとったオープンな論議と慎重な姿勢が望まれるところであります。 そこで、暫定入試の実施結果をどう評価し、今後の進め方をどう考えているか。また、公立高校適正配置等懇話会の運営等の進め方も含めて、生徒減少期を迎えての高校教育のあり方についてどう考えているか、あわせてお伺いいたします。 次に、暮らしの安全を求める意味から数点お伺いします。 まず、食の安全についてであります。 食の安全の問題や、生鮮野菜を含めた食料品の輸入の増加と日本の食糧自給率の急速な低下は、私たちの食生活に大きな変化と不安をもたらしております。今日、話題になっている遺伝子組みかえ食品も、世界の自由貿易の促進政策を背景としながら、食の安全と日本の食糧自給率にかかわる重要な問題を含みながら進んでおります。 厚生省は、昨年九月、アメリカ、カナダから除草剤に強い大豆や菜種、害虫に強いトウモロコシやジャガイモなど四作物七品種について、また本年五月にも新たに八品目が認可されました。 遺伝子組みかえは、従来の人工交配や突然変異の利用による品種改良に比べて多くのメリットがあります。私は、遺伝子組みかえ食品を全面的に否定はしません。安全性についても現段階では、厚生省のみでなく、各種機関の安全評価を見る限りでは特に問題はないとも思っております。 ただ、種子づくりの現場が私たちに見えにくい、アレルギー体質等は長期の食用で形づくられるということ、初代の性質がきっちりと次に伝わっていくのかどうか、虫を殺すジャガイモとか除草剤に強い大豆などと聞くと不安を感じますし、一〇〇%の信頼は持ち得ないのであります。 そこで、消費者の知る権利、選択する権利を保障するためにも、遺伝子組みかえ食品であることの表示が必要であり、遺伝子組みかえ作物の安全性と環境影響について行政として十分な独自評価が必要であると考えます。 さらには、食品のさまざまな表示は消費者にとって唯一の情報源であり、それだけに偽りの表示やあいまいな表示は、メーカーと消費者の信頼関係を損ない、消費者に不安を与えることとなります。外国からの圧力、長期保存技術の進歩、流通区域の拡大等を理由に製造年月日は任意表示とし、賞味期限のみを義務づけた国や県の方針については強い不安を感じるところであります。県としてはむしろ併記を奨励、指導することが消費者の不安を軽減し、行政としての信頼を厚くするのではないかと思います。 そこで、県は遺伝子組みかえ食品とその表示についてどう考えるか。また食品、とりわけ生鮮食品についての製造年月日と賞味期限の併記についてどう考えるのか、あわせてお伺いいたします。 次に、産業廃棄物処理ダイオキシン問題についてであります。 全国的には、岐阜県御嵩町、香川県の豊島、県内でも多くの地域で産業廃棄物処理施設やごみ焼却場をめぐる問題が発生しております。いずれも行政のかかわり方の甘さと業者に対する不信感がその根底にあることはひとしく認められるところであります。 あわせて、焼却炉から発生するダイオキシンが大きな問題となっております。 さきの定例会で吉山、竹中両議員より、ダイオキシンの発生や毒性については詳しい話がありましたので、ここでは県としての対応の仕方について質問いたします。 政府は、八月二十六日の閣議で大気汚染防止法廃棄物処理法の政令改正を決め、五年間で九〇%減らし、欧米並みになると言っています。これを受けて、この規制をどう実施するかという段階に入るわけで、いよいよ県及び市町村の積極的な取り組みが期待されるところであります。 そこで、第一に、産業廃棄物処理、焼却施設を持つ市町村や処理業者に対する支援、指導をどうするか。 第二に、産業廃棄物処理場やごみ焼却場の認可の見直しと違法業者への対応をどうするか。 第三に、ダイオキシン発生防止のため、規制の対象にならない企業や学校等の小規模焼却施設への対応をどうするか。 第四に、施設建設や既存施設に関して、住民に対する情報公開をどう進めるか。 以上、四点についてお伺いします。 次に、真の改革を目指すためにお伺いをします。 まず、行政改革、地方分権についてであります。 七月八日、国の地方分権推進委員会は、第二次勧告を橋本首相に提出しました。しかしその内容は、中央省庁や族議員の強い抵抗もあり、昨年三月に提出された中間報告で期待されたものより大きく後退したと言わざるを得ません。 地方自治体の考える分権とは、地域の特性をもっと生かせる条例や計画を、税財源も含めて自治体の責任で策定できるものでなければなりません。 また、地方分権は、国と自治体との関係だけではなく、むしろ自治体と住民との関係が基礎であります。自治体の権限がふえるにつれて一層、住民の協力とチェックが大切になり、分権のかぎを握るのは住民参加であります。つまり、地方分権は、単なる受け皿論ではなく住民自治、いかに地域の住民が主体的にまちづくりに参画していくかがあって初めて可能になると考えます。 さらに、第二次勧告で最も期待された地方財政の抜本的改革については正面からこたえておらず、このままでは中途半端な改革に終わる心配が強いのであります。 知事は、第二次勧告を受けて、「国と地方の対等関係を構築するものであり、地方分権の第一歩として評価できる」というコメントを出されていますが、評価の中身をもう少し明らかにしていただきたいと思います。 七月二十九日、大分県行政改革推進委員会でも、外郭団体、附属機関の見直し、行政の情報化、広域行政の推進、事業の民間委託等を柱とする改革を確認したと聞いております。 そして、九月三日、政府の行政改革会議は、内閣機能の強化と中央省庁の再編に関する中間報告をまとめました。 今回の行政改革は、単に中央省庁再編や権限移譲が目的ではなく、地球規模の変動を見据えた、日本の将来にわたる活動を引き出すためのものであり、重く受けとめなければなりません。各政党はもちろん、私たち議会人にとっても、勧告や中間報告の内容を前向きに受けとめ、しっかりした時代認識を持ち、目先の都合にとらわれず、大局的に論議を進める公的責任があると考えます。 そこで、地方分権推進委員会第二次勧告及び行政改革会議の中間報告をどう受けとめているか、また大分県の行政改革をどう進めるか、その基本的視点と知事の決意をお伺いいたします。 次に、広域行政の推進についてお伺いいたします。 中央においても、また大分県においても、過疎・高齢・少子化の中で広域行政推進の必要が言われ、大野、東国東、臼津地区で広域連合がスタートし、竹田・直入地区でも来年四月設立を目指しています。 地方分権の受け皿づくりとしては合併と広域連合の二つの方法があり、大分県が進めている広域連合についても、合併への通過点か、それとも分岐点か、箱物連合ではないか、行政サービスが低下するのではないかなど、とりわけ周辺住民からの心配の声が多く聞かれます。 地方の時代とは、特色ある自治体が数多く存在することであり、一方では行政の効率も考えなければなりません。この二つの命題を調和させる努力が今後、重要であると考えます。 九月一日、自治省が地方制度調査会に提出したアンケート結果では、市町村の首長及び議会議長の六六%は「合併についての検討が必要である」、また都道府県の知事及び議会議長の九五は「合併の推進が必要」となっております。 同日の定例記者会見で平松知事は、「合併となると、それぞれの市町村の利害もある。それよりも広域連合を組んでいく方がより現実的ではないか」と広域連合を積極的に支援していくことを明らかにしております。 地方分権は、地方分責であり、住民参加による住民自決が基本であることを確認した上で、一つ、既にスタートしている大野、東国東、臼津広域連合に対する支援、さらに今後、合併も含めて、連合の拡大をどう考えているか。 二つ、また介護保険や観光等、単一市町村ではやりきれない事業を広域で進めるための具体的施策をどう考えているか、知事の決意と展望をお伺いいたします。 次に、昨日の馬場議員の質問にもありましたが、出向人事及び退職者の再就職についてであります。 行政改革による小さな政府づくり、地方自治体への大幅な権限移譲等が叫ばれる中で、なぜか国から県、県から市町村への出向、いわゆる天下り人事が盛んであります。法に規定された制度でもない習慣的な割愛人事がなぜ続くのか。 共同通信社の調査によりますと、中央省庁から各県への出向者は全国で六百三十五名、そのうち指定席が百八十六ポストを占めております。大分県においても現在、部長級一名、次長級六名、課長級八名の十五名が中央より出向しておるように理解しています。 大分県においても、県職員OBの首長、派遣助役、職員も多く、県と市町村のつながりの強さを感じております。 全国知事会長でもある土屋・埼玉県知事は、「地方分権の流れを加速させるためにも、独占ポストへの中央省庁からの出向組の受け入れを原則的に廃止し、県生え抜きを育てる」旨の発言をしております。 現在の出向者の質を云々するつもりは毛頭ありません。地方分権を推進するに当たっては、県と市町村の新しい関係をつくるためにも幅広い人事の交流が必要であるという側面もある中で、今後、論議しなければならない重要な課題と考えております。 また、毎年のことでありますが、県幹部職員OBの再就職についても県民の間で話題になっております。本年三月末退職者を見ますと、部次長級以上の退職者十四名が、県関連機関と思われるところに九名、民間企業に四名、その他一名と、会長、専務、常務等の重要なポストについております。 八月四日、人事院が勧告とともに提出した報告でも、企業等への天下りについての規制強化が盛り込まれております。退職者の再就職を否定するものではなく、むしろ長い間の経験に裏打ちされた確かな力を県民のために発揮してほしいところでありますが、県民の県政への信頼を厚くするためにも、とりわけ県から民間企業への天下りについては一考を要するものと考えます。 そこで、中央省庁から県、県から市町村への出向の現状と今後のあり方をどう考えているか、また県幹部職員の再就職の現状と今後のあり方をどう考えているか、あわせてお伺いします。 今まさに改革のときです。九月二日だったと思いますが、大分合同新聞のコラムの「漢字ん帳」の解説によりますと、改革の「改」という意味が説明されていました。一つは新しく変える、二つは点検する、そして三つ目によくする、よくなるという、この三つがこの改める改の必要十分条件であるというふうに受けとめています。改善、改良という言葉はあっても、決して改悪になってはならないというようなことを申し添えて、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○日野立明副議長 ただいまの小野弘利君の質問に対する答弁を求めます。 平松知事。 〔平松知事登壇〕 ◎平松守彦知事 小野議員の私に対するご質問にお答えいたします。 行政改革、地方分権についてであります。 地方分権推進委員会の第二次勧告によりますと、第一番目に、いわゆる中央から地方へ下請業務と言われておる機関委任事務でございますが、この機関委任事務の廃止に伴って、これを法定受託事務と自治事務に振り分けると。法定受託事務というのは、法律によって国の事務を地方に受託させるということで、今までのようにあいまいな形で機関委任事務ということで一括して国の仕事を地方が下請するということはなくなりました。また、固有事務と言われておるものを自治事務ということで、この範囲を広げるというようなことが行われることになりました。 第二番目に、いわゆる必置規制、市町村や県にある事務所に置く職員の資格を規制する必置規制、必ず置く規制と書きますが、例えば国費補助のある公立図書館の館長さんは司書の資格を得ることということが今まで明文化されております。こういったことの規制がなくなるということになっております。そういったことで、国がさまざまな形で地方の機関のいろいろな職員についての資格を規制しておった、これが見直されております--全部ではありません。 また第三番目に、国庫補助負担金の整理統合、その運用、また補助基準等の国の関与の仕方を改善する。 第四番目に、地方税、地方交付税等の一般財源の充実確保というようなことで、これまでどうも国と地方が上下関係、横の関係じゃなくてあったものがだんだん国と地方の対等関係を構築するものとして、長年、知事会を通じて、また私自身も国に強く要望していったことがかなりのところで改善をされておるということで、分権の第一歩として私は評価をしていると申し上げておるところであります。 常々私が申し上げておりますが、地方分権は、分権、分財、分人と三本柱でございます。この視点から見ると、まず分権、つまり国から地方への権限移譲でございますが、大分県におきましては、住民に身近な行政は住民で行うということで市町村への権限移譲を進めております。 勧告におきましては、市町村長の、例えば都市計画に係る決定権限が拡大されておるというようなことで、かねがね言っております地方分権の基礎単位は市町村である、市町村への権限移譲が一番大切であるということを申し上げますが、少しずつそれが明確になってきたのではないかと思っております。 第二番目に、分財、つまり財源の移譲でありますが、この勧告の中では、補助金の一般財源化、こういったものにつきまして具体的に百件の例示が明示をされております。この点は評価できると思いますが、一番根本である国と地方との財源配分のあり方、ここが一番ポイントであります。このことについては、表現をかりますと、「中長期的に検討しながら地方税の充実確保を図っていく必要がある」というようなことで、これは国税と地方税のあり方については大蔵省も非常に抵抗しております。 したがって、まだこういった表現にとどまっておりますので、地方行財政の自立性、自主性が生かされるように、もっと徹底した財源の移譲ということを明確にしてほしいと思うのであります。国に分権でおねだりする、財源の移譲をおねだりするんじゃなくてやはり地方主権、地方に主権があると、国は残りのところをやっていくというアメリカ型のような形に移行しないと、この辺のところは改善ができないんではないかというのが私の持論であります。 次に、分人であります。 人間の人材確保というのが大変必要でございます。勧告ではこの地方自治体の人材育成の重要性も指摘をされており、このためにも私は、若者の地方の定住と地方の自治体における人材の確保、このことが必要である、各町村の役場に有為な人材がおる、そのためには、そういった市町村に若者が定住する、こういったことで地方分権と並んで、都市と地方とのインフラの整備がバランスがとれないかぬ。特に太平洋新国土軸、こういったような新しい地方都市のインフラ整備というものを根本的にやる必要があるということで、全国総合開発の早期決定を国に要望したのであります。 先般の知事会議でも特に橋本総理にお願いして、遅くとも来年の四月までには全国総合開発計画を閣議決定するという方向の意思が示されております。この中には、こういった新しい国土軸のことも書かれることになろうかと思っております。 また、分権の受け皿づくりでございます。市町村や都道府県のあり方が今のままでいいのか、三千三百の市町村でいいのか、四十八都道府県でいいのかという問題であります。今回の勧告では、この市町村の規模等については触れられておりません。もともと初めから今回の委員会ではこの問題は棚上げ、そこに一番問題があるわけであります。 そこで、これからどういう方向でいくかと。これから市町村への権限移譲を促進するために広域連合という制度が認められておりますので、私はこれを活用すべきではないかと考えているところであります。 次に、橋本首相を会長とする行政改革会議の中間報告についての評価であります。 内閣、官邸機能の抜本的な拡充強化、また中央省庁の行政目的別な大くくりな再編成、今までの省庁を約半分に再編成するということにつきましては、肥大化し、硬直化した省庁を戦後初めて抜本的に見直そうという構想でございまして、行政改革を進める出発点と、私は基本的に評価できると、こう考えております。 ただ、これはまあ一つの行革の案でございますから、政府・与党間での調整がこれから行われることになっております。また、自民党や各与党間の意見調整がこれから行われると思います。私は、この最終案を決めるときには地方の声をぜひ反映してもらいたいと、先般、知事会議のときにも申し上げたのであります。 なお、この席であえて私の個人的な意見を申し上げさせてもらうと、一つの例でございますが、今回の再編案では農林水産省という名前がなくなっておりまして、これは国土保全省、いわゆる建設省、国土庁が一緒になって国土開発省、国土開発省の中の河川行政は国土保全省のところに入っておりますから、農林水産省と河川行政が一緒になって国土保全省、国土庁と残りの建設省のところが一緒になって国土開発省と、こんな構想のように見えます。 しかし、私に言わせると、地方においては第一次産業--農業、林業、水産業というものはこれから大いに産業として育成していかないかぬ。特にアジアを見据えた場合に、この農業という点は大変大きな問題でありますので、農業がただ国土保全のためのみのものか、また林業も国土保全のためのものかということについてはちょっと、いささか違和感を覚えるのであります。 産業省という名前はありますが、これは通産省の仕事でありますから、二次産業と三次産業が産業省、農業、林業、水産業は国土保全省というんでは、これはちょっと農業者に対しても、生産意欲、農業としての自立というものについての視点が欠けておる。これはやはり地方の声を聞いてもらいたいと、農業の方にも同じような意見があるやに聞いております。今後これは一つの問題であろうと、このように思っております。 また、私は、国、地方を通じる真の行政改革を実現していくためには、省を再編成する、数を減らすということも結構でございますが、もっと徹底的な規制の撤廃、緩和、地方分権をして中央省庁の仕事を少なくする、民間にゆだねる、国の権限を減らすということで機構も人間も縮小していくということが一番大切な行政改革ではなかろうかと思っておりますので、行政改革は地方分権と規制緩和と三位一体ということでやらなければならないと考えておりますので、今後とも検討の推移を注視してまいりたいし、また意見も言わしていただきたいと考えているところであります。 次に、本県の行政改革であります。 私は地方分権の時代をにらんで、これから行政サービスの向上、それから簡素でスリムな新しい行政システムの構築ということで、平成七年の十二月に新行政改革大綱を策定いたしました。二十一世紀までの五年間を重点実施期間ということで、第一に、生活者の視点に立った行政システムの構築、第二番目、変化に柔軟な行政システムの構築、第三番目、簡素で効率的な行政システム、この三つのシステムから総合的、計画的に行政改革を推進しているところであります。 具体的に申し上げますと、これまで国の地方分権に先駆けて、県から市町村への権限移譲というものを行いました。平成七年から九年までの三年間で二十四の事務と三百四十三項目を移譲いたし、市町村によくこの勉強してもらうということでやっております。 また、規制緩和も進めておりまして、本年度の当初予算編成に当たってすべての事務事業をもう一回見直して、本庁組織につきましても、高齢化社会に向かって福祉と保健、医療との連携強化のために、福祉生活部と保健環境部を本年四月から福祉保健部と生活環境部に再編したのであります。 今後とも、議会、行政改革特別委員会のご意見、また民間の有識者で構成する行政改革推進委員会のご意見をいただきながら、これからひとつ公社等の外郭団体、また各種審議会等の附属機関の見直し、これにこれから本格的に取りかかりたい。 また、行政の情報化、地方分権の受け皿としての広域行政、事務事業の民間委託、またこういったことについての簡素化の問題、こういったことを実行していきまして、より効率的で質の高い行政サービスを実現してまいりたい、国と並んで県も積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、広域行政の推進であります。 県下の市町村においては、高齢化、過疎化に加えまして財政の硬直化も進んでおり、厳しい状況であります。今後、地方分権の新たな役割を担い、その責任を果たす基礎単位としての市町村について、より効率的かつ効果的な行政運営に努める必要があります。 また一方、道路がよくなったり、交通機関がよくなり、日常の社会生活圏が拡大していくということで、広域行政の需要も高まってきております。 例えば、介護保険法が施行されますと、介護認定業務を行う市町村で個々の市町村では対応困難であろう。この前、直入・竹田で、介護保険を行ったときに市町村がどのくらいできるかという試行実験をいたして、やはりこれはひとつ連合を組んでやっていくのが一番合理的だという結論に達しております。 こういうことに対していくために町村合併、広域連合といった体制づくりは必要でございますが、合併という問題については、総論賛成、各論反対ということに往々にしてなりやすい問題であります。特に、歴史的な経緯、地理的な条件によるということからなかなか実現が困難であったり、また実現するにしてもかなりの時間を要するということでありますので、もうもはや分権が議論から実行の段階に入ってくるということになりますと、まず国から県への直接的な権限移譲を受けられる広域連合制度というものが現実的であると私は申したのであります。 県下においては既に大野広域連合、東国東広域連合、臼津広域連合、三つの連合が既に発足して、また竹田・直入地区においても、来年の四月発足に向けて準備をされていると聞いているところであります。 こういった広域連合の手順、やり方はどういうことかというご質問でありますが、大野の広域連合の中心は、広域市町村圏計画の策定、連絡調整と並んで、三重町にできる大野広域総合文化センターの設置、管理運営に関する事務ということで、三重町につくる文化センターの管理を連合で行うというのが主業務であります。 東国東になるとさらにこれが拡大して、ごみ処理、それからし尿処理の設置、一般廃棄物の収集、運搬の許可、また観光、それから総合病院、地域病院といったものの設置、運営に関する事務、また消防、救急、伝染病隔離病舎の設置、かなり広範囲に連合でやっていこうということで業務の範囲が十二にわたっております。 臼津の広域連合でございますが、ここになりますと、葬祭場、葬祭場公園--お葬式の場所、伝染病隔離病舎の設置、救急医療施設の運営、またふるさと市町村圏の計画の策定、こういったことでだんだん仕事が広範になりつつあります。こういったことで、こういう仕事をやる広域連合に県からの権限を移譲していくというやり方をしながら実効を上げていくということを考えているわけでございます。 県としても、この広域連合を組んだときに、お互いに連合の中の市町村の連絡をよくしていくために市町村道の整備が必要になりますから、連合を組んだところにおいては、市町村道の整備を助成する広域連合みちづくり事業という財政支援も行っているところであります。今後は、その円滑な運営について引き続き支援をしてまいる、他の圏域についても、その地域の実情を踏まえまして設立について相談に応じたいと、こう考えております。 別に県が旗振るわけじゃありませんが、こういう問題が出てくれば相談に応じて進めていきたいということで、あくまでもこれは市町村が主体的に取り組むものでありますので、地域住民の皆さんのコンセンサスを得ながら、地域の実情に合った体制づくりを進めながら現実的にこれを進めていきたいと。改革は改善であり、改良であり、改悪であってはならないと、肝に銘じてこれから進めてまいりたいと思っております。 その他のご質問につきましては担当部長から……。 ○日野立明副議長 田中教育長。 〔田中教育長登壇〕 ◎田中恒治教育長 まず、ゆとりある学校、楽しい学校づくりについてお答えをいたします。 国の中央教育審議会教育課程審議会などの審議内容の受けとめについてでございますが、中央教育審議会の答申では、変化の激しいこれからの社会における教育は、ゆとりの中で生きる力をはぐくむことが大切であるとしておりまして、これを受けまして、教育課程審議会では教育内容のあり方について検討しているところでございます。 また、調査研究協力者会議では、二十一世紀に向けた地方教育行政のあり方が検討されております。県教育委員会といたしましては、生きる力をはぐくむために、学校、家庭、地域社会の連携、知識を教え込む教育からみずから学び、みずから考える教育への質的な転換、個に応じた指導の充実、教育課程の一層の弾力化などについて鋭意努力をしているところでございます。 次に、大分県教育行政基本方針及び指導方針の進め方についてでございますが、県教育委員会では、当該年度におきまして重点的に取り組む方向を示す大分県教育行政基本方針を策定し、それをさらに具体化するための指導方針を作成しておるところでございます。 また、これらの趣旨を教育現場に生かすために、市町村教育委員会との連携を一層強化をいたしまして、管理職及び各種教職員研修などでその趣旨の徹底を図りますとともに、教職員と子供との触れ合いを重視する観点から、各教科などの研修講座や研究指定校等の削減、縮小を行っているところでもございます。 次に、いじめ、不登校、少年非行対策等についてでございますが、これらの問題の解決に向けましては、各学校におきまして生命や人権を尊重する心をはぐくみますとともに、わかりやすい授業を工夫したり、多彩な生活や体験の場を設けるなど、児童生徒一人一人が存在感や自己実現の喜びを実感できるような学校づくりを進めているところでございます。 また、すべての教職員が一致協力して生徒指導に当たるとともに、学校、家庭、地域社会が一体となって青少年健全育成に向けて一層努力をしてまいる所存でございます。 最後に、いわゆる保健室登校の平成八年度の県内の実態についてでございますが、小学校では三十人、中学校では九十八人、高等学校では四十三人でございました。 次に、暫定入試の評価と今後の進め一方についてお答えをいたします。 暫定措置に基づく高校入試につきましては、今春の入試をもちまして三回目を終了いたしましたが、県民の皆様の大方のご理解が得られたと受けとめておるところでございます。 なお、平成十年度の高校入試は、現行の制度で実施をする旨、既に発表をしているところでございますが、暫定措置終了後の入試制度につきましては、各界の代表者からの意見聴取の結果などを踏まえまして、全国的な情勢などをも勘案の上、策定をし、中学校における進路指導、受験生や保護者の不安などをも十分配慮しながら、可能な限り早く発表したいと考えておるところでございます。 最後に、生徒減少期における高校教育のあり方についてお答えをいたします。 少子化の進む中で、これまで可能な限り、国の定めております学級定員以下で学級を編成したり、学科の改編などを行い、特色ある学校づくりに努めてまいったところでございます。 しかしながら、今後、大幅な生徒減が見込まれますことから、生徒数の少ない学校におきましては、高等学校としての教育水準を維持し、教育効果を高めることも難しい状況になってまいります。したがいまして、本年四月に県内の各界各層からなる大分県公立高等学校適正配置等懇話会を設置いたしまして、平成五年五月の県学校教育審議会答申を具体化するための方策についてご協議を願っているところでございますが、今後必要に応じまして、関係者をお招きして意見や説明を求めるなど、広く県民の理解を得るよう努めてまいりたいと考えておるところでございます。 以上でございます。 ○日野立明副議長 笠置生活環境部長。 〔笠置生活環境部長登壇〕 ◎笠置邦秀生活環境部長 まず、食の安全につきましてお答えいたします。 遺伝子組みかえ食品の表示につきましては、厚生省は、組みかえ食品等の安全性評価指針に基づきましてアレルギー誘発試験、また毒性影響試験等々につきまして慎重な審査を行い、その安全性を確認していること、またこれら食品は従来から行われてきた品種改良技術でつくられた食品と変わりがないことから、既存の食品と区別することは難しいとの見解をとっているところでございます。 県といたしましては、この厚生省の方針に従っているところでありますが、最近、農林水産省におきまして、消費者代表や学識経験者等が参加いたしました懇談会を設置いたしまして、遺伝子組みかえ食品の表示のあり方等について検討がなされていると聞き及んでおりますので、この動向や他県の対応状況等にも留意してまいりたいと考えております。 次に、生鮮食品の製造年月日と賞味期限表示についてでございますが、先般、食品衛生法の改正により食品の日付表示が変更された背景には、近年の食品の製造、加工、保存技術等の著しい進歩によりまして、いつまで大丈夫かという品質保持期限の表示を行うことの方が消費者が食品を選択する上でより理解しやすく、またこの方法は国際的にも採用されているところでございます。県といたしましては、期限表示にあわせて保存方法も明記することとなっておりますので、食品の安全性の確保は図られるものと考えております。 なお、議員ご指摘の期限表示と製造年月日の併記につきましては、これを否定するものではなく、関係者の自主的判断にゆだねられているところでありますので、ご理解賜りたいと思います。 次に、焼却場を持つ市町村や処理業者への指導、支援についてお答えいたします。 本年八月の廃棄物処理法に基づく政省令の改正によりまして、排ガス中のダイオキシン濃度を初めとする構造、維持管理基準の強化が明確に位置づけられたところであり、今後は、施設の改善も含めた厳正な管理を徹底するよう指導を強めてまいりたいと考えております。 なお、施設の改造や更新には多額の経費が必要となりますことから、これまでも九州知事会等を通じまして国に対し、所要の財政支援措置を講ずるよう要望してまいりましたが、今後とも機会あるごとに財政措置の拡充を要望してまいりたいと考えております。 また、産業廃棄物処理業者に対しましては、産業廃棄物処理業協会や環境保全協議会等の関係団体と協力しまして講習会等を開催し、改正法令内容や税制上の優遇措置等についての周知徹底を図り、施設の改善や適正な維持管理、ダイオキシンの測定などについての積極的かつ自主的な取り組みを促してまいりたいと考えております。 次に、処理施設等の認可の見直しと違法業者への対応についてお答えいたします。 本年六月の廃棄物処理法の改正により、廃棄物処理に係る住民の信頼性を確保し、施設の安全性の向上を図るため、施設設置に当たっては環境アセスメントの実施や市町村長の意見聴取等が新たに定められ、また不法投棄対策の強化を図るための罰則の強化等が行われたところでございます。 また、八月の政省令の改正により、すべての最終処分場が許可対象施設に組み込まれたところであります。 さらには、焼却施設についても、小規模のものも規制対象となったのに加えまして、先ほど申し上げましたように施設の構造や維持管理に係る基準の強化が行われたところでございます。 県といたしましては、従来より一歩踏み込んだ対応が可能になると考えておりますので、産業廃棄物処分場の許可に当たっては、地域住民の不安と不信感を除去し、処理施設の円滑な設置が推進されますよう監督、指導を徹底するとともに、特に悪質、違法な業者に対しましては、県警本部とも連携を密にしながら厳正な姿勢で臨んでまいりたいと考えております。 次に、小規模焼却施設への対応についてお答えいたします。 国におきましては、今回の関係法令の改正で規制対象施設を拡大することによりまして、ダイオキシン排出量のおおむね九割が削減できると見込んでいるところでございますが、さらに万全を期すため引き続き、許可対象とならない小規模焼却施設等の実態把握と排出抑制対策の検討が行われることとなっておりますので、その動向を見きわめながら対処してまいりたいと考えております。 しかしながら、ダイオキシン対策は県民の健康管理上極めて重要かつ緊急な課題でございますので、規制対象外の焼却施設につきましても、当面の措一置といたしまして塩ビ系プラスチックごみの分別の処理、また燃焼温度管理の徹底によります排出量の削減対策の推進等について関係者の啓発に積極的に努めてまいりたいと考えております。 最後に、住民に対する情報の公開についてお答えいたします。 県におきましては、国に先駆けて指導要綱を定め、住民に対する説明会等を通じまして施設内容等の情報公開を義務づけるとともに、最終処分場の水質調査結果につきましても、求めに応じて適宜、情報の提供を行っているところでございます。 今般の廃棄物処理法の改正では、本県の指導要綱に準じた情報の公開制度が取り入れられますとともに、施設設置後の事業者の維持管理状況の記録、閲覧等が義務づけられましたので、これらを踏まえ、今後とも、情報公開につきましては積極的な対応を行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○日野立明副議長 外山総務部長。 〔外山総務部長登壇〕 ◎外山邦夫総務部長 出向の現状と今後のあり方についてお答えいたします。 国からの出向人事については、適材適所主義の観点から現在、部長一名、課長級以上十四名、一般職三名の職員を受け入れております。 一方、県から市町村への出向については、市町村からの要請に基づき、現在、助役に六名、大分市の中核市移行に伴う保健所業務支援のために二十四名、建築確認事務の権限移譲に伴う業務支援等のために七名の県職員を派遣しているところであります。 地方行政を円滑に運営していくためには、国、県、市町村が十分に連携し、幅広い行政経験と豊富な情報、専門的な知識を持つ有為な人材を必要に応じて受け入れ、活用していくことも必要ではないかと考えております。 今後とも、国、県、市町村間において、いかに有能な人材を確保し、育成していくかという観点から人材交流が検討されるべきであると考えております。 次に、県幹部職員のOBの再就職についてであります。 県では、部次長級の定年前の早期退職者に限り、団体からの要請に基づいて適材適所の観点から候補者を人選し、推薦しているところであります。推薦に当たっては、議員ご指摘のように県民の県政への信頼を損なうことのないよう、今後とも団体の実情を見きわめながら適切に対応してまいりたいと考えております。 以上であります。 ○日野立明副議長 再質問はありませんか。--小野弘利君。 ◆小野弘利議員 じゃ、自席から……。 教育長に、一点は高校入試の問題で、可能な限り早くというのは、もう相当前からこういう回答をずっと聞いているわけですけども、何せ受験生や親の気持ち、それから学校現場の進路指導の問題等大変な状況だろうと思いますので、いつごろまでにはというようなめどを決めて、それまでに何とか方向を出す努力をするというようなことにならないのかどうか。この、可能な限りが、いつまでが可能なのかというようなことがはっきりしませんから、その点ですね。 それからもう一つは、懇話会の運営等について、討議の中身が私たちによくわからない、新聞報道程度にしかわからないんですけども、公開とかいうようなことは考えられぬのかどうか。 それからもう一点、ごみ焼却場の問題で、今、中央の動きをとかいう回答、部長からありましたけれども、とりわけ学校の焼却炉の問題は県教委の方から地教委を通して通知が出たということでですね、各小中学校、大変今、難儀をしている。分別をどうするか、どこにごみを保管するかというのは、大変な状況になっているわけです。ここらの通知にかかわることで、県教委の考え方をお伺いしたいと思います。 それから生活環境部長に、今の産廃の問題ですが、先ほども申しましたように住民としては総論賛成と言うんですか、やはりそういう施設はなければいけないなという、ここまでは皆一致しているんですね。ただ、それから先、各論のところで、どうしてもそういう施設は過疎地につくられるという、そこの住民にとっては被害感情というようなものを非常に強く持ったりですね。で、その原因はやっぱり行政が認可のしっぱなしとか、行政がどこまでかかわってくれるのかという、この行政のかかわり、関与の仕方と責任の置きどころ、これが一つ。 それから、これまでの経験の中で業者のいろいろな問題が知れ渡っていますから、業者に対する不信感というのが非常に強いわけで、今後そういう点を十分配慮しながら、住民の--住民も全く、絶対反対と言っているわけじゃない、私の接する限りでは。ただ、業者の説明にしても、風がこう吹くと、その調査はどうしたんですかと質問したら、それは気象庁の資料でそうなっていますというようなことしか出てないような状況も聞きますので、そういう点の配慮をよろしくお願いしたい。 以上です。 ○日野立明副議長 田中教育長。 ◎田中恒治教育長 自席からお答えをさせていただきます。 まず、高校入試暫定措置後のことが問題でございますが、ご案内のように県教育委員会といたしましては、四月以降八月末までに各界各層の意見を聞き、あるいはまた県Pや高P等の--(聴取不能)--そういうものを十分勘案しながら現在鋭意検討しておりますし、またなるべく早くというご要望にこたえるために、平成十年度の高校入試についてはこれまでと同じ--(聴取不能)--そういうことも含めまして本当に大がかりな作業であるし、慎重にということもございまして、時期はまだ今のところ言及できませんが、なるべく早くという先生の意見を十分肝に銘じて対処してまいりたいというように考えております。 それから、二点目の懇話会の公開等の問題でございますが、この問題につきましては、平成五年五月に学校教育答申が出ておるわけでございます。この答申をさらに具体化していきたいということで幅広くご意見をお聞きしておるという段階でございますし、またその討議の模様につきましては、担当課長の方から--(聴取不能)--いうことと同時に、先ほども中し上げましたように、今後の審議会等に当たりまして、地域の皆さんのご意見等も十分お聞きをしてまいりたいというように考えておるところでございます。 それから、最後のごみ処理の問題でございますが、これにつきましては、国が--(聴取不能)--通知を出すという段階で、非常に時間がございません。そういうことで文部省と環境庁あるいは厚生省との打ち合わせがまだ全然できてないというような段階でございますし、とりあえずまあ通知を持っていって、とにかくごみの減量化あるいは分別すると、そういったできることからやっていただきたいというようにお願いしておるところでございます。今後、予算等も含めながら検討してまいりたいというように考えております。 以上でございます。 ○日野立明副議長 答弁者は、登壇をして答弁をお願いします。 笠置生活環境部長。 〔笠置生活環境部長登壇〕 ◎笠置邦秀生活環境部長 議員のご要望の件でございますけども、産業廃棄物処分場の設置の課題につきましては、私ども緊急な課題であるし、また重要に取り組まないかぬと心に銘じておるわけでございますけども、現在、産業廃棄物の将来、また中期計画、長期計画につきましては、各市町村長さんも含めまして構成されました協議会が各地、ブロックごとにございますが、その中で将来どうするかということで検討されておるわけでございまして、その検討結果については遅くとも年内につくっていこうということでございますので、その中で議員のご要望の件も十分念頭に置きながら取り組んでまいりたいと思っています。よろしくお願いします。
    ○日野立明副議長 以上で小野弘利君の質問に対する答弁は終わりました。 暫時休憩いたします。     午後零時十三分 休憩     -----------------------------     午後一時十五分 再開 ○古手川茂樹議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 岩尾憲雄君。 〔岩尾議員登壇〕(拍手) ◆岩尾憲雄議員 平成九年第三回定例会に当たり一般質問の機会をいただきましたので、当面する県政諸課題数点について知事並びに関係部長にお伺いいたします。 まず、果樹の振興についてであります。 果樹は永年性作物であるため、経済樹齢が二十年あるいは三十年に及び、長い期間収入をもたらすという特性を持っております。 そこで、二十年、三十年前を振り返って果樹産業を取り巻く情勢を考えてみると、昭和三十六年、我が国の農政の根幹をなす農業基本法が施行され、自立経営農家の育成を目指して作物の選択拡大が叫ばれたのを、つい昨日のごとく思い浮かべるのであります。県では選択的拡大部門の一つとして、沿岸部でのかんきつ、内陸部でのナシやブドウといった果樹の産地化を図るための施策を講じてきたわけであります。 私は、日田市に劣らぬナシ産地の庄内町を選挙区内に持つ者として、果樹産地の実態に強い関心を抱いております。 今、県下の農村において担い手の高齢化が進行している中にあって、津久見市などの県南地域では、今にも転げ落ちそうな急傾斜地に石垣を積み、温州ミカンや晩かん類を栽培しております。杵築市や日田市、安心院町でも傾斜地で、それぞれの地域特性を生かした形でかんきつ類やナシ、ブドウといった果樹を意欲的に、しかも懸命に栽培している高齢者の姿をよく見かけるのであります。 先日、ミカン一ヘクタール程度を栽培している高齢農家の人に話を聞く機会がありました。その人の話によると、この数年間、価格が安定し、六百万から七百万円の販売額があり、農産物としても結構いいものであるというものでありました。また、日田市のナシ生産者にも同様の話を聞く機会がありましたが、これも威勢のよい話をしておりました。 私の隣町庄内町は、県内でも有数のナシの産地として地形的に恵まれた生産環境の中、従来の「二十世紀」や「菊水」等から赤ナシの「幸水」「豊水」「新高」に随時更新を進めるとともに、防ガ灯や防虫ネットの設置による産地強化の取り組みが行われております。 ところで、農業関係者の近年のあいさつを聞いておりますと、まず「農業を取り巻く環境はまことに厳しい」という言葉から始まります。外から見れば、果樹栽培もそのように見えるかもしれませんが、実際に栽培に携わっている農家の話を聞くと、一概にそうとは言えないようであります。 また、新聞報道によると、平成七年度の大分県の果樹の十アール当たり粗生産額が九州第一位になったことや、県南地域ではかんきつ産地の生産基盤強化のために広域選果場を建設するとか、元気のよい情報も掲載されております。私は、産業の振興のためには、伸び盛りや環境の好転している時期に思い切った投資をすることが将来につながるものと常々考えておるわけでございます。 そこで、果樹産業が今後より一層振興するために県はどのように取り組んでいくお考えなのか、お伺いいたしたいと思います。 次に、水産物の流通対策についてお伺いいたします。 水産物の流通は、漁業者と消費者との間にあって、持続的かつ安定的な漁業経営と健康的で豊かな国民、県民の食生活の維持、増進に重要な役割を果たしております。 水産物は、動物性たんぱく質の供給量全体の四〇%を占めるなど、国民にとっては今なお動物性たんぱく質の最大の供給源となっております。また水産物は、頭の働きをよくし、高血圧、炎症、がん細胞増殖防止などに効果があるとされている栄養素を豊富に含み、健康食品としての評価も近年とみに高まっております。遠い昔から、沿岸でとれたしゅんの魚介類を食してきた我々日本人にとっては欠くことのできない大切な食料であり、これからの二十一世紀を担う子孫のためにこのような水産物を末永く残していくことは、今を生きる私たちの世代の責務であると考えるのであります。 幸いにも本県では、恵まれた海域特性を生かした多種多様な漁業が営まれており、漁獲物も多様性に富んでおります。沿岸漁業の生産額は全国でも七番目の水産県であります。 しかしながら、県内の海面漁業生産量は、昭和六十年を境に減少に転じ、平成八年では八万トンと、昭和六十年の五二%にまで減少しております。今後の動向が懸念されるところであります。このような傾向は、大分県のみならず全国的な傾向でありまして、日本沿岸域の資源が減少していることを示しているものと考えられます。 さらに、本年一月からは、国連海洋法条約の発効に伴う漁獲可能量制度--TAC制度が導入され、科学的根拠に基づいて、資源が枯渇しないように漁獲量が制限されております。 一方、大分県では、全国に先駆けて実施されたマダイの海洋牧場の造成や一斉休漁日設定等に見られるように、漁業者と行政が一体となった取り組みを積極的に実践するなど全国的に高く評価され、水産の先進県として位置づけられているものと考えております。今後とも、栽培漁業を積極的に推進するとともに、資源管理型漁業を一層推進し、漁獲資源の維持、確保に努めるよう期待しております。 さて、このように水産物の生産量が低迷する中、これまでのように漁獲量の伸びを中心とした漁業所得の向上策には限界があろうかと思われます。所得の向上を図り、地域漁業の活性化を進めていくためには、魚価を向上、安定させることが何よりも重要なことであると考えております。 しかしながら、魚価は輸入水産物の増大等により低迷しており、一昨年の県南のブリ養殖におきましても、生産者販売価格の異常な低下により経営は悪化しております。 このような漁業経営の悪化は漁業者の生産意欲の減退を招き、後継者の確保を一層困難なものとし、漁村の活力を低下させる要因となります。沿岸漁業が生き残っていくためには、地域の特性を生かした特産品の流通を促進し、産品の差別化を進めることにより魚価の向上、安定に努め、漁業所得を高めることが最も重要なことであります。 大分県には、関アジ、関サバ、城下カレイに代表されるような全国的に知名度の高い産品があり、現在ではこれらは大分県一村一品を代表する水産物となっているところであって、他産地のものとは比較にならないほど高価で取引されていると聞いております。 そこで、水産物の地域特産品、ブランド品の創出に向けて一層の取り組みを行うことが、漁業者の生産意欲の向上と生産に対する誇りを生み出し、ひいては地域の活性化につながっていくものと思いますが、県行政としての考え方、具体的な取り組みについてお伺いいたします。 次に、県立工科短期大学校についてお尋ねいたします。 大分県の産業は、県北国東地域テクノポリス計画の推進などにより、これまでの鉄鋼業、石油精製業などの基礎素材型産業に加え、県北・国東地域を中心に半導体産業を初めとするエレクトロニクス産業、メカトロニクス産業や自動車産業などの先端的な技術力に支えられた加工組み立て型産業の集積が進められており、県内産業構造の重層化が図られております。これに伴って、これら産業界において即戦力となり得る高度な知識と技能を兼ね備えた実践技術者の育成確保がさらに重要となっておりまして、高等教育機関の役割がますます大きくなっております。 県では、このような産業界の要請に応じるため現在、中津市に県立工科短期大学校の建設を進めており、産業界はもとより県民こぞってその開校に期待を寄せているところであります。 そこでまず、教授陣等の指導員の確保についてお伺いいたします。 平成十年四月の開校に向けて、既に現地では校舎などの建設も計画的に進められており、去る八月二十九日には労働大臣の認可もおりたということで、開校に向けた準備も本格化しているところでありますが、これからの事業の順調な進捗を願うものであります。 一方のソフト面でありますが、設置学科は生産技術科、制御技術科、電子技術科、住居環境科の四科で、各科定員二十名ということであります。 しかし、幾ら立派な施設ができても、産業界で十分な力を発揮できる優秀な学生を育成するためには、教授陣等に優秀なスタッフを迎えることが肝要であると考えるのでありますが、県の取り組みはどのようになっているのか、お伺いいたします。 次に、学生募集についてお伺いいたします。 以前、県が実施した県内高校三年生の進路に関するアンケートでは、職能短大校への進学を希望する生徒が六・二%であったという結果が出ており、この短期大学校への関心が深いことがうかがえますが、少子化現象が続く中、高等学校卒業者は毎年減少し、理工系大学その他の教育施設との競合が考えられること等、厳しい状況があると考えます。このような中、産業界が待望している人材が継続的に供給されるかどうかは、何よりも学生の確保が大切であると考えます。 そこで、県としてこの短大校の学生確保についてどのような対策を進めていこうとしているのか、お伺いいたします。 次に、ダム問題についてお伺いいたします。 国の財政構造改革の一環として全国のダムの建設事業の見直しを進めてきた建設省は八月二十六日、その結果を発表いたしました。それによりますと、全国で沖縄県の満名ダムなど六ダムを中止に、本県の矢田ダムなど十二ダムを休止または一時休止、猪牟田ダムなど七十のダムを足踏み事業とするという内容でした。この措置により、建設省のダム建設事業に関する来年度の予算の概算要求額は、今年度と比較して六・二%減の五千二十億円と聞いております。 ご存じのとおり、平成六年には異常気象により西日本一帯を中心にかつてなかったほどの大渇水に見舞われ、特に福岡市においては二百九十五日にも及ぶ断水により市民は極めて不自由な生活を余儀なくされたために、膨大な予算を投入して海水の淡水化を計画しているようであります。 幸いにも本県は、大分川、大野川、番匠川、筑後川と大きな河川に恵まれ、被害を最小限にとどめることができましたが、県民が健康で快適な生活を営み、また産業活動を支える水を安定的に確保するとともに、県民を災害から守るためにダム建設は極めて重要な事業であります。 しかしながらダム建設は、多数の住宅、農地、山林等の生活基盤を水没させ、地元住民及び地元市町村に多大な影響をもたらし、非常に長い年月を要する事業でありますので、社会経済情勢の変化を勘案しながらも、長期的かつ総合的な視点に立って計画的に進めていくべきものであります。 このような意味からも、今回の建設省の措置は、県政執行の基本方針である災害のない県土づくりの後退を懸念させる重大な問題ではないかと考えます。 そこで、県内に目を向けますと、矢田ダムは大野町の大野川水系の平井川に建設が予定されているもので、大野川の洪水調節、大分市、佐賀関町の水道用水、企業局の工業用水の確保を目的とした多目的ダムであります。 大野川水系においては平成二年、平成五年、豊肥地区を中心に集中豪雨があり、河川のはんらん、がけ崩れなど甚大な被害が発生いたしました。 また、佐賀関町は慢性的な水不足の状況にあり、矢田ダムの早期完成を期待していただけに、今回の突然の決定は残念なことであり、今後の飲用水確保対策に困惑しているのが現状であります。 矢田ダムの地元の大野町、朝地町の水没予定地域では、将来の生活設計が立たず、後継者が流出し過疎化に拍車をかけている、道路の拡幅、改良が行われず農業振興策もおくれているなど、長年ダム計画に振り回されてきたことの不満や、おくれている道路等の基盤整備を求める声が強く、両町の町長も地域振興対策の迅速な実施を要望する意向だと聞いております。 そこで、矢田ダムに関して、次のことに対する所見をお伺いいたします。 第一に、矢田ダムを休止するとはどういう意味なのか。また、今回の措置を県はどのように受けとめているのか。 第二に、矢田ダムで計画されていた大野川の治水対策及び利水対策はどうするのか。 第三に、水没予定地域の住民に長年にわたって迷惑をかけてきた地域振興対策のおくれをどう考えているのか。 次に、猪牟田ダムについてであります。 足踏みダムと位置づけされた猪牟田ダムは、九重町の筑後川水系玖珠川に建設が予定されているもので、筑後川流域の洪水調節、国東地域の農業用水の確保、別府市等の水道用水の確保を目的とした多目的ダムであります。 玖珠川流域においては、平成五年の台風十三号により天瀬町が濁流に洗われ、旅館街に大きな被害を与えたことは記憶に新しいところであります。 また、国東半島地域は雨が少なく、昔から干ばつ常襲地帯と言われ、農業用水の確保が悲願でありました。 さらに、別府市は昨年六月、立命館アジア太平洋大学の立地や交流人口の増加を理由に上水の取水を決定したところであり、私は、別府市の発展のためには水資源の確保が不可欠であると考えているものであります。 このように猪牟田ダムは、県民の安全で快適な生活と産業の発展を図るためには極めて重要な意義を持つダムであると理解しているものであります。 そこで、猪牟田ダムが足踏みダムとして位置づけされたことを県はどう受けとめているのか、また県として今後の方針はどうか、お伺いいたしたいと思います。 最後に、大分県央空港の利活用についてお伺いいたします。 大分県央空港が先日、八月十四日に開港し、いよいよ公共用飛行場としてスタートしましたが、ここに至るまでの地域の方々の熱意と努力に対し敬服いたしておりますとともに、農道空港から一般空港への変更は全国では初めてのケースであり、県当局のご苦労はそれなりに大変なことであったと思うものであります。 豊肥地区の地域農業振興の起爆剤として平成四年にスタートした農道空港は、産地のイメージアップと地域活性化のきっかけとなり、その後、特産のカボスや、新しい産品であるコネギやミツバなどが京浜市場に出荷されているところであります。 しかし、農道空港のままでは施設の利用に対する国の制限が非常に厳しく、農産物輸送のほかには利用できないことから、四年、五年と経過する中で、施設を有効利用することで農産物輸送にかかる経費を減らすことができないか、加えて大分空港への旅客輸送ができれば、地域にとってこの施設が本当に生かされたものとなり、新たな展開が期待されるなどの要望が出され、県当局は運輸省、農林水産省とにたび重なる協議を行い、多目的な利活用が可能な公共用その他飛行場としての大分県央空港がようやく平成九年一月に運輸省の許可を受け、先日の供用開始を迎えたものであります。開港した上は今後の利用に期待するところでありますが、県が管理する公共施設として、空港を有効に利活用し、広く県民の期待にこたえるものでなければならないと考えております。 ところで、県と地元市町村による大分県央空港利用推進協議会が九月三日に発足し、利用促進のための活動を始めることとなったようですが、今後はこの協議会を中心とした地元市町村により、この施設を地域のものとし、地域振興の拠点としての意義を十分に認識した利用促進の努力がなされるものと思うのであります。 その具体的な取り組みにより、利用が地域に定着するまでの当分の間、助成策をとることもやむを得ないものでありますが、私としては早い時期に助成の効果を上げ、現在のチャーター便による不定期航空便から助成を必要としない定期航空便へと事業の展開が図られるよう念願するものであります。 そこで私は、次の点についてお伺いいたします。 その一は、開港後一カ月を経過して、その利用状況はどのようになっているのか、また将来の利活用の展望をどのように考えているのか、お伺いいたしたいと思います。 次に、現在、県央空港で人員輸送に当たっているセスナ172型機は三人乗りでありますが、一人当たりの旅客運賃五千円はどのような考え方で設定されたのか、また際限なく助成されるものなのか、お伺いしたいのであります。 以上をもって私の質問を終わりたいと思います。 ご清聴、どうもありがとうございました。(拍手) ○古手川茂樹議長 ただいまの岩尾憲雄君の質問に対する答弁を求めます。 平松知事。 〔平松知事登壇〕 ◎平松守彦知事 岩尾議員の私に対するご質問にお答えいたします。 矢田ダムの今後の対応についてであります。 今回、ダム事業の総点検を行った建設省によりますと、ダムの休止とは、事業の緊急性や地元状況等から来年度の予算要求を行わず、代替案を含めた見直し検討を行うというものでございまして、建設省直轄の矢田ダムにつきましては、事業の中止か継続かを見直し、検討の結果を踏まえて二、三年内に最終的に判断すると、このように聞いておるところであります。 県といたしましては、矢田ダムにつきましては、昭和四十七年から実施している実施計画調査がほとんど進展していないというこれまでの経緯を勘案いたしますと、今回の建設省の措置についてはやむを得ないと、このような結論に至った次第であります。 なお、今後の対応でございますが、まず、ダム計画のために他の地域に比べておくれております水没予定地域の道路整備等、議員が今ご指摘されました農業の問題等々、こういった地域振興対策につきまして、地元の要望を踏まえて関係機関と協議をしてまいりたいと考えております。 また同時に、河川法が改正されまして、地域の意見を聞いて各水系ごとに河川整備計画をつくることになっておりますので、大野川水系の治水対策についても建設省が計画を策定することになっておりますので、この中で、災害防止のための治水対策など現実的な対応策を早急に建設省と協議してまいりたいと、このように考えているところであります。 次に、猪牟田ダムでございます。 猪牟田ダムは、利水調整のおくれなどから、これまで事業が延び延びになっておりましたが、これは百年の大計ということでこれまで鋭意努力をしてまいりました。昨年、別府市を初め杵築市、日出町が上水の取水を決定をいたしたところであります。国東用水を含めた利水調整がおおむね整いまして、さらに地元の水没地権者協議会から立入調査拒否を解除するという、ダム建設に向けて大きく前進してきたところであります。 ところが今回、建設省の方から、このダムは足踏みダムというような名前の中に入っていることを突然聞かされまして、私も大変驚きまして、建設省の河川局長に直接確認をしたのでありますが、これは決して事業の中止や休止を前提にしたものではない、国の厳しい財政事情、また公共事業の全般的な見直しというような中で検討した結果であるんで、来年度予算については必要最低限の基礎的な調査のみにとどめるというダムであると。したがって今後、財政状況が好転し得れば予算も増額するし、事業が推進していくならば、それに必要な予算もつけますという見解が示されたのでありまして、これは休止または中止のダムの前提ではないということを改めて県民の皆さんにもお知らせしたところであります。 したがって、県といたしましては、猪牟田ダムは、県民の生命及び財産を災害から守るとともに、長期的な展望に立って別府市及び国東半島地域に水を供給することによって、これまでも水不足がございました国東半島地域における農業利水というような点で水資源の有効活用ができるという、いわば大分県百年の大計のためにもぜひともこのダムは必要なものだと考えておりまして、従来どおり事業を進めていく方針にいささかも変わりはございません。 したがいまして、今後とも、国に対して猪牟田ダムの必要性、緊急性をさらに強く訴え、予算の増額を要望していく、またこの流域関係の皆様方にもご理解を求めるということで、早期着工を目指して積極的に取り組みを進めてまいりたいと考えているところであります。 その他のご質問につきましては担当部長から……。 ○古手川茂樹議長 相良農政部長。 〔相良農政部長登壇〕 ◎相良浩農政部長 まず、果樹振興についてお答えをいたします。 議員ご指摘のように果樹は、生産基盤などの初期投資に多額な資金を必要とするものの、長年にわたって収入が確保されるといった特性を有しております。このようなことから、果樹振興には適地適産を基本に質的レベルの高い果樹産地の育成を図ることが何よりも重要であると考えております。 このため、新農業プラン21の中で果樹三百五十億円プロジェクトを構成し、本年度から実施しております果樹振興総合対策事業の中で、まず作業の軽労働化を図るための園地改造、省力機械、施設等の整備、二番目に安定生産、高品質化を図るためのハウスなどの整備、優秀品種、系統への更新、三番目に単収向上のための土づくりの徹底等々を積極的に推進しているところでございます。 今後とも、生産者、農業団体、市町村と連携しながら、魅力とやりがいのある果樹農業の実現に努めてまいりたいと考えております。 次に、大分県央空港の利活用についてお答えをいたします。 開港後一カ月の農産物輸送の利用状況は、従来どおり引き続き週三便の運航を行っております。また、新しく始まった人員輸送は十五回で二十人、遊覧飛行は七回で十六人が利用し、外来機等の使用は三十三回となっており、利用は着実に進んでおります。 今後は、このような利用に加えて、地域振興につながる周辺観光と組み合わせた遊覧飛行やモーターグライダーの飛行訓練、駐機場としての施設利用も考えられ、利活用は増加するものと期待しております。 次に、旅客運賃は、バスやホーバーなど既存交通機関の運賃と同程度となるよう設定したものでございます。 人員輸送は不定期航空便での試験的な運航と考えており、当面は県と関係十二市町村で構成する大分県央空港利用推進協議会を通して利用者に対する運賃助成を行うことで、利用の促進を図ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○古手川茂樹議長 藤田林業水産部長。 〔藤田林業水産部長登壇〕 ◎藤田賢水林業水産部長 水産物の流通対策についてお答えいたします。 限りある漁業資源を有効に生かし、漁業所得の向上を図っていくためには、地域特産水産物のブランド化による販売価格の向上を実現していくことが極めて重要でありまして、県といたしましてもこれまで、系統団体等と連携しながら関あじ、関さばを初め豊後別府湾ちりめん、くにさき銀たち、豊幸がに等のブランド化に取り組んできたところであります。 また、昨年度より、県下海面漁業の主要魚種の一つであります県南養殖ブリを「豊の活ぶり」としてブランド化し、その品質向上や販売促進などを推進中でございます。 このほか、内水面漁業におきましても、養殖スッポンをブランド産品に育て上げるよう鋭意取り組んでおるところでございます。 今後とも、消費者ニーズの変化を先取りした積極的な流通戦略を強化し、漁業経営の安定向上に努めていく考えでございます。 以上でございます。 ○古手川茂樹議長 永松商工労働観光部長。 〔永松商工労働観光部長登壇〕 ◎永松博文商工労働観光部長 県立工科短期大学校の教授陣等の確保についてお答えをいたします。 教育研究分野はもとより、企業の第一線の技術者等で実践に強い人材も含め幅広い分野から採用することとしており、公募によるほか、県内外の大学や企業を訪問いたし、その確保を図っているところであります。 また、採用しました職員には一層の専門的な知識、経験を持ってもらうために順次研修にも参加させ、資質の向上を図っているところであります。 なお、教授陣等の数につきましては、各科六名の計二十四名体制を予定しております。 次に、学生の募集についてでございます。 本校の学生については、産業界の期待にこたえる人材を育成するため、高校新卒者に限らず、社会人等からの募集も考えているところであります。そのため、市町村を通じてのポスターや学校案内等による啓発のほか、テレビなどのマスメディアによる広報を積極的に進めているところであります。 さらに、高等学校や企業に対しましては職員が直接訪問し、周知、指導についての協力をお願いしているところであります。 今後ともあらゆる機会をとらえて、学生募集を積極的に行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○古手川茂樹議長 曽根崎企画部長。 〔曽根崎企画部長登壇〕 ◎曽根崎和人企画部長 大野川の治水対策及び利水対策についてお答えいたします。 ことし五月の河川法改正によりまして、学識経験者や地方公共団体の長など地域の意見を聞いて、水系ごとに河川整備計画をつくることが明記されまして、大野川水系の治水対策につきましても建設省が計画を策定することになっており、その過程におきまして、矢田ダムの扱いを含めて検討されると聞いております。 建設省におきましても、矢田ダムの持つ治水対策、利水対策の必要性は十分認識していただいているところでありますので、利水対策につきましても、その中であわせて協議してまいりたいと考えております。 次に、水没予定地域の振興対策についてでございます。 建設省の矢田ダム休止の説明を受けまして、早速、地元町、水没地権者への説明に出向きましたが、議員ご指摘のとおり、おくれている道路等の水没予定地域の基盤整備を早急に行うよう強い要請を受けました。建設省も、地元からの要望には誠意を持って対応したいと言っておりますので、県といたしましても、地元の要望を踏まえながら建設省を初め関係機関と協議し、仮にダム建設が中止になった場合、速やかに対応できるよう早期に地域振興策の検討を行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○古手川茂樹議長 再質問はありませんか。--以上で岩尾憲雄君の質問に対する答弁は終わりました。 菅正雄君。 〔菅議員登壇〕(拍手) ◆菅正雄議員 新県政クラブの菅正雄です。 このたびの台風十九号は、県都大分市を通過し、県内各所に大きなつめ跡を残し、今後の県政に重要な問題を提起したと言っても過言ではないと思われます。かかる状況下、ことし二度目の質問に立つ機会を得ましたことは、改めて県民の代弁者としての重責を再認識させられ、本日の質問においてはできるだけ多くの県民の方々の観点に立ち、素朴な疑問と要望に的を絞って質問させていただきますので、何とぞ執行部におかれましても、私のみならず、県民の方々へ理解と協力を得るべく、明快かつ具体的な答弁をお願い申し上げます。 質問通告の中で、ダイオキシン対策と矢田、猪牟田両ダム問題については本日の小野議員、前の岩尾議員の質問の趣旨と一部重複する部分もありますが、私も二日間の徹夜作業で書き上げた貴重な原稿であり、没にするには忍びがたく、残りものに福がある例えのごとく、より突っ込んだ執行部の答弁を期待し、質問に入らせていただきます。 さて、今月十一日には第二次橋本改造内閣が省庁再編を主軸とした行財政改革へ向けて船出をし、翌十二日には首相官邸で全国都道府県知事と新閣僚との質疑応答が行われ、特に高速道路網の整備、環境問題とダイオキシン産業廃棄物処理施設の整備に話題が集中したとの報道を目にしたときに、地方自治体の抱える問題はいずこも共通しているものだと再認識させられたところであります。 私も、平成九年第一回定例会の代表質問において、県民の県政に対する最も関心の高いものは道路問題であるとの観点から、別大国道拡幅事業の見通しについて質問と要望をさせてもいただきました。無論、執行部におかれましても、十分県民ニーズにこたえるべく、前九州地方建設局道路部長吉永一夫氏を本県土木建築部長としてお迎えできたことは、まことに時宜を得た措置と評価されます。 ことし六月、政府は、財政構造会議の最終報告を政府方針とし、公共投資計画を三年間延長し、平成十年度は七%削減することの決定を見るに至っております。政府の財政改革の必要性は今さら論をまつまでもないことであり、将来ともかなり長期間にわたり、厳しい予算措置を覚悟しなければならないものと推測されます。 しかしながら、本県の道路整備は全国的にもおくれており、人口面の過疎化の大きな要因の一つとも考えられております。さらには、二十一世紀の本格的情報化社会に必要不可欠な情報インフラ整備率が全国水準にはるかに及ばない現実を見たとき、将来、都市部に比し、人口面のみならず、情報過疎化も懸念されるところであります。かかる私の懸念を払拭していただけることを期待し、まず道路行政のこれまでの概況と、厳しい財政状況の中、今後の本県道路行政のあり方についてお伺いいたします。 一つ、道路改良率についてでありますが、平成十二年度までに本県の道路改良率を九州中位まで引き上げる計画に支障は出てはいないか。 二点目として、本県においても、広範な県民の要望を把握し、道路行政に生かすべく設置された豊の国道構想委員会の提言をもとに作成された道路整備基本方針の概要と従来の計画との相違点について。 最後に、公共事業抑制下、本県の道路整備が限られた予算で県民の期待する成果を上げるためには、本県においても行財政改革の推進、効果的な重点投資の再検討、組織横断的な情報交換、計画の調整等多くの課題をクリアするための創意と工夫の必要性を感じているところでありますが、執行部の道路行政に取り組む熱意と基本姿勢についてお伺いいたします。 次に、ダイオキシン対策についてお伺いいたします。 史上最強の猛毒と言われるダイオキシンの排出に歯どめをかけようと、政府は排出規制に乗り出しました。事実上、野放しだったダイオキシンにようやく規制の網がかけられることは一歩前進と言えます。本年十二月一日から施行されるダイオキシンの排出に関する法規制は、排出源となる廃棄物処理施設などを対象にそれぞれ抑制基準を設定し、排出の段階でダイオキシンを封じ込めようとしたものであります。 ところで、ダイオキシンによる人体への影響もじわじわ進行しております。人は、ダイオキシンの九割を食品から取り込むと言われています。大気中のダイオキシンが雨水などにまじって河川や海、土壌を汚染し、魚介類や畜産品を通じて人間の体内に入り込みます。特にダイオキシンは脂肪にたまりやすいので、母乳中に多く含まれることになるわけであります。 ことしの二月に世界保健機関の作業部会がダイオキシン類の発がん性を公式に認めているだけに、人体の影響に関して本腰を入れた取り組みが今後迫られるのではないかと考えております。 さて、今後の取り組みの大きな課題の一つは、ダイオキシンが発生しにくい二十四時間稼働の大型焼却施設にいかに集約していくかにあります。これはごみ処理の広域化ということになりますが、最低でも人口十万人当たり百トン以上の焼却場を目安に、望ましい規模は人口三十万人当たり三百トン以上の処理能力が求められております。しかし、大型焼却施設をどこの自治体が請け負うのかなど調整は難しい上、コスト負担をどう分け合うのかといった問題なども残されております。 もう一つの課題は、ごみの減量、リサイクル化、つまり大量消費・大量廃棄型から循環型の経済社会に脱皮する努力をしていくことではないかと考えております。日本の場合、ごみの焼却は衛生的な処理方法だという観念が強く、諸外国との比較でもごみ焼却率が高くなっていることで証明されます。 ところが、ごみを燃やすことで、ダイオキシンのような猛毒ができてしまうわけであります。これに対しオランダやドイツなどでは、ごみは焼いたら毒が出るという考え方が子供たちにまで浸透していると言われております。 日本では学校や家庭でもごみを燃やす習慣がありますが、学校に置かれているようなミニ焼却施設は、高温で燃やせないため、最もダイオキシンなどが発生しやすく、子供の健康への影響とごみ処理の方法に対する認識づくりと二重の意味で、学校でごみを燃やすことは望ましいことではないとも言われるようになってきました。 また、学校だけでなく、病院等にある焼却施設も同じであります。健康を守るはずの施設で毒を発生させるような矛盾は早急に改めなければなりません。 ダイオキシン抑制のため、大気汚染防止法の政令改正と廃棄物処理法の施行規則の改正がことしの十二月一日から施行されることは、先ほど申し上げましたが、これは非常に厳しい基準値となっております。 大気汚染防止法に基づく規制は、発生源の規模や新設、既設の区分けに応じて基準値を設け、排出段階で封じ込めるのがねらいであります。ごみ焼却場や産業廃棄物焼却場の場合、これから新設する炉と既設炉でそれぞれ基準値を設定し、既設炉は五年以内の達成を目指しております。 大気汚染防止法で基準値を超えた場合、県知事が事業者に、強制力はないが是正を勧告できるし、ごみ処理施設を対象とした廃棄物処理法の施行規則改正では、違反に対し施設の使用停止命令など罰則規定も盛り込まれております。 このように法的な枠組みは一応整いましたが、今後は県の積極的な取り組みが不可欠となり、問題がないわけではありません。施設の改善には莫大な財源が必要となり、法の網を逃れるため、小規模の焼却施設がふえることも懸念されます。 そこでお伺いいたしますが、第一点目は、県下で法律の適用を受ける焼却炉などは幾つあるのか、また施設改善が必要になった場合、財政負担を強いられるが、その対応はどのように考えているのかであります。 第二点目は、ごみ処理の広域化問題について市町村の集約はどこまで進んでいるのか、また広域化の問題点をどのように考えているかであります。 第三点目といたしましては、ダイオキシン類の分析調査についてであります。 県民の安全な生活を守るため、国も取り組みの姿勢を見せておりますが、ダイオキシン類の大気、水質などのモニタリング調査の実施と、魚介類を中心とした食品中や母乳中のダイオキシンの濃度調査などを行う考えはないのか。 以上、三点についてお伺いいたします。 また、ダイオキシンの発生を抑えるため、学校などで使っている小型焼却炉については、可能な限りごみ回収にゆだねるなど、校内における焼却処理の抑制、廃止に努めることなどの通知を文部省が出しております。これを受けて、県教育委員会もごみ収集について、市町村関係機関と協議するなどの通知を出しているところであります。教育施設でのごみ焼却廃止は全国的にも動きが広まっておりますし、県内でもその動きが出てきております。 そこでお伺いいたしますが、まず、県内における公立学校のごみ焼却炉に対する県教育委員会の基本的な考え方はどうなっているのか。 次に、私立学校に対するごみ処理の指導はどうなっているのか。 最後に、県の施設におけるごみ処理についてであります。 県の施設関係の中で、例えば県立病院では、ごみの一部を自前の焼却炉で処理しております。また、県の地方の機関などでも、自前の焼却炉で処理しているところもあります。少なくとも県の施設に関しては、原則的にはごみ回収の方向でいくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。 以上、三点についてお伺いいたします。 続きまして、ダム問題についてであります。 建設省の発表したダム建設計画の見直しで、県関係では矢田ダムが休止、猪牟田ダムが足踏みダムとなっております。 矢田ダムについては、計画が発表されてから二十八年が経過しておりますが、事実上の事業の中止であると報道されているところです。報道のとおりであれば、今後は治水、利水の代替案や地域振興策をどうするかに移っていくわけでありますが、今回の結論は、ダム関係者にとっては余りにも深く、大きな傷跡が残るように思えてなりません。 猪牟田ダムについては、洪水調節、農業用水、上水を取水する多目的ダムで、昭和二十八年の水害を教訓に建設計画が持ち上がり、昭和四十一年から四十七年に予備調査が行われ、昭和四十八年に実施計画調査に入り、一部を残し、今日に至っております。 また、事業参加に慎重な姿勢をとっていた別府市も、昨年三月に建設計画の受け入れを表明し、日出町、杵築市との間で取水量に関する調整作業が進められていると伺っております。 また、本年三月、国営国東用水事業連絡会第十回幹事会が開催され、猪牟田ダムの平成十年度の概算要求に向けての取り組みの強化と事業申請方式の検討を進めることも確認されたところであります。しかし、今回の措置でゴールがまた遠のいた感を強くしております。 両ダムとも国の公共事業の削減方針に沿った措置ではありますが、どういった基準でこのような結論に至ったのか、その全容ははっきりしておりません。では、この数十年間苦しんだことは一体何だったのか、その関係者の気持ちを察するに、余りにも胸が痛んで仕方がないのであります。 特に、猪牟田ダムについては足踏みと言われ、今後の見通しについて不透明感が一層強まりました。関係者の不安は一段と長引くし、困惑しているのが実情ではないでしょうか。 そこでまず、猪牟田ダムについてお伺いいたします。 一点目として、関係住民や関係市町村の反応をどう整理しているのか。 二点目として、知事も建設省の真意を確認されているようであるが、国の真意はどういった内容だったのか。 三点目として、県の猪牟田ダムに対する基本姿勢とダムの必要性、緊急性について現在どのように理論武装しようとしているのか。 次に、休止となった矢田ダムについてお伺いいたします。 一点目として、建設省の休止通告に対する県の基本的なとらえ方について。 二点目として、地域振興策など今後の地元対策に関する考え方について。 三点目として、大分市を初め佐賀関町など関係市町に対する説明と今後の対応についてどのように考えておられるのか。 以上についてお伺いいたします。 次に、本県政策の基本目標の一つである、アジアとの共生を進展させる施策のあり方について所見を述べつつ、質問させていただきます。 私は、平成七年第四回定例会の一般質問の中で、激動するアジア各国の最新かつ正確な情報収集及び民間交流拡大を目指すための施策の一つとして、各国の大分県人会設立に県当局も努力すべきであるとの要望をさせていただいたところでありますが、ことしの夏にはマレーシア、インドネシア、フィリピンに県人会が設立され、既に活動中の香港、シンガポール、タイとあわせて東南アジアにネットワークが形成され、大分県とアジアとの共生政策も第二段階に至ったと喜んでいるところであります。 この場をおかりして、各国県人会設立に奔走していただいた現地役員の方々と県当局担当者に心より感謝申し上げる次第であります。 さて、次の課題としては、これら各国県人会の組織拡大、活動の発展を目指した県当局としての施策の進め方と、最終目的である、広く県民の方々が必要としているアジア情報の提供や発信のできるシステム構築と、実益の伴う経済、観光面での交流拡大を目指すべきではないでしょうか。 例えば、県内市町村でアジア域内の都市と姉妹提携している国際交流担当者間の情報ネットワーク化を指導しつつ、国際交流センターをインターネットの基地としての役割も担わせる等、さまざまな施策の推進が欠かせないと思われます。 「グローバルに考え ローカルに行動する」は、知事のモットーの一つであります。グローバルに考えるための正確な情報収集、分析力の充実が、本県で現在推進中のFAZ事業、立命館アジア太平洋大学、観光政策等の将来に大きく寄与できるものと確信いたしております。 私見ではありますが、平成七年第四回定例会で急激な経済成長の反動への懸念も一言触れたところでありますが、ことし七月初旬、東アジアの優等生と言われ、好調な経済発展を続けていたタイ国の通貨が、海外投資筋の大量のバーツ売りに耐えかねて変動相場制へ移行し、今日までに約三〇%切り下がり、その余波はマレーシア、フィリピン、インドネシアと続き、知事とも親交のあるマレーシアのマハティール首相をして、「より豊かな生活を目指して私たちは国づくりをしてきたが、投資家たちはたった数日で台なしにしてしまう」と言わしめるほどの金融危機に遭遇しております。今後、同様の道程をたどっている上海、深せん、香港への波及や日本の進出ゼネコン、金融機関への影響が懸念される事態ともなっております。 かかる状況の予測や次の発展時期の見きわめ等、いよいよアジアとの共生を基本政策として進めている県執行部の責任は重くなっているものと考えております。 そこで第一点目として、各国県人会と県当局との交流事業の現況についてお伺いいたします。 最後になりますが、私の所見に対する感想と将来の県民ニーズにこたえるための国際交流事業のあり方について、あわせてお伺いいたします。 以上をもって質問を終わります。 ご清聴、まことにありがとうございました。(拍手) ○古手川茂樹議長 ただいまの菅正雄君の質問に対する答弁を求めます。 平松知事。 〔平松知事登壇〕 ◎平松守彦知事 菅議員の私に対するご質問にお答えいたします。 道路行政の基本姿勢についてであります。 私はかねてより、道路の整備は、地域住民の生活の質の向上を図るとともに新しい産業の創出など、地域の社会、経済の活性化、また若者の地方定住の促進を図っていく上では大変必要なものであると。道路が変われば地域も変わるということで、道路が新しく変わっていけばその地域全体が変わるということは、最近の三二六、あの線がよくなってくると、あの沿線が非常に今お客さんが多くなって、お店が繁盛しているということを見てもわかるわけであります。そういったゆえに道路というものは、これは決して、最近、東京で言われているような、地方にとってぜいたくなものとか、ない物ねだりとか言いますが、我々はこれは必要最小限度の基盤施設、いわゆるシビルミニマムであると、このように考えているところであります。 このために交通体系の整備を県政の最重点課題と位置づけまして、県内六十分・圏域内三十分道路交通圏構想を掲げまして、高速道路から市町村道に至るまで、その整備に今全力を傾注してまいりました。しかしながら、財政構造改革の名のもとに公共事業の一律削減など、道路の整備がおくれておる地方にとっては現状はまことにゆゆしき事態でございます。特に大分県においては、まさにこれから本格的な整備に取りかかろうというときにこのような逆風ということで、ますます情勢は厳しいわけでございますが、全力を尽くして県民の皆さんと一体となって道路予算の地方への重点配分を求めていかなければならない時期であります。 このような状態の中におきまして、去る第二回の定例県議会におきまして、県議会から国への意見書も提出をされました。また、県下各市町村、経済団体が一体となっての道路財源確保の総決起大会も開催されました。さまざまな行動が大分から起こされて、中央に対して強い声を上げたいと、このように考えており、大変意を強くしているところであります。 私といたしましても、国の来年度予算や来年度からの新たな道路整備五カ年計画におきまして十分な投資額が確保され、さらに国の来年度予算が地方へ重点配分されるように、特に道路特定財源の確保ということについて、私も今、全高速道の会長もいたしておりますので、特にこのことを強く国にこれからとも訴えてまいりたいと、このように考えておるわけであります。 とりわけ東九州自動車道につきましての津久見-蒲江間、既に整備計画が出ておりますので、年内にぜひとも整備計画施行命令を出してもらって着工にこぎつけたいと、亀井大臣はそのことを明言されましたので、今度の新しい瓦建設大臣にも先般、官邸での知事会議の席上で強くお願いをいたしておきました。何とか年内に施行命令を出して、この実行に取りかかりたいということを今一番に考えているところであります。 なお、道路全体の計画の考え方でございますが、第一番目は、高規格幹線道路、地域高規格道路といった高速道路網の整備、特に地域高規格道路においては、大分から竹田を通って熊本に至る中九州高規格道路、日田-中津間の地域高規格道路、日出バイパス、また大分市内の街路、こういったようなものについて既にいろいろ計画が決まっております、この整備を急ぎたいと、これに関連するアクセス道路の整備。 第二番目は、市町村間の連携、交流を支える道路網の整備、またこれから新しい国東の西国東地域の高規格道路、日田から日田市郡に至る道路、こういった道路の整備もこれから考えていかなければならないと思います。 第三番目は、二〇〇二年ワールドカップサッカーなど国際化に対応するために、空港、港湾へのアクセス道路の整備。 第四番目、高齢化に対応しての福祉・医療施設を結ぶ道路整備。 こういったもの、いずれも優先度の順序はありませんが、こういった四本のものにつきまして県民の皆さんの意見も十分拝聴しながら、バランスのとれた道路整備を重点的に整備してまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、国の道路予算はかなり厳しくなるということでございますので、これからの事業の実施に当たっては投資の重点化を図るほか、効率的、合理的な執行に努めてまいりたい、県単独予算も有効に活用すると、こういうことを含めて合理的な執行に努めてまいりたいと考えているところであります。 その他のご質問につきましては、担当部長より答弁させます。 ○古手川茂樹議長 吉永土木建築部長。 〔吉永土木建築部長登壇〕 ◎吉永一夫土木建築部長 それでは、道路改良率についてのご質問でございます。 議員のご指摘のとおり、改良率を平成十年度までに九州中位にすることを目的に鋭意努力してまいったところでございます。その結果、平成八年四月の時点での数字でございますが、改良率は六四・四%となっておりまして、九州七県の中では第四位となっております。 なお、交通の円滑さの度合いを示す整備率という指標がございますが、これは、改良率に加えて、改良されている状況に加えてなおかつ交通渋滞もなく円滑に走れると、こういうふうな指標でございますが、これで見ますと九州の第二位ということでございます。 財政構造改革の流れの中で公共事業を取り巻く環境は非常に厳しい状況でございますが、道路整備は極めて重要であると、こういうぐあいに考えておりますので、国に対して地方への重点配分についての働きかけ等も行いながら、今後とも改良率の向上に向け積極的に取り組んでまいりたいと、こういうぐあいに考えております。 次に、道路整備の基本方針についてでございます。 豊の国道構想委員会や県下六ブロックで開催いたしました道づくり委員会などの提案を踏まえまして、快適にスムーズに移動できる道づくり、あるいは新しい交流をはぐくむ道づくり、生活の安全を支える道づくりなど、二十一世紀の活力ある豊の道づくりに向けて八つの基本方針を策定いたしたところであり、国外、国内各地区との新たな交流、連携や、あるいは阪神・淡路大震災の教訓から安全性にも配慮するなど、時代的背景を踏まえた方針といたしておるところでございます。 また、策定に当たりましては、県民の声を広く聞き、その意見、提案等を反映するなど住民参加型をとり、これまでにない、より住民に身近なものとなりますよう工夫を凝らしたところでもございます。 以上でございます。 ○古手川茂樹議長 笠置生活環境部長。 〔笠置生活環境部長登壇〕 ◎笠置邦秀生活環境部長 まず、焼却炉の実態と施設改善の財政負担についてお答えいたします。 本年九月現在の大気汚染防止法に基づく廃棄物焼却炉の届け出施設数でございますが、一般廃棄物焼却炉が四十五施設、産業廃棄物焼却炉が六十五施設であり、総数では百十施設となっております。 次に、施設の改善につきましては、補助対象基準額の四分の一の国庫補助制度がございますが、多額の経費が必要でありますので、県といたしましては国に対しまして、補助率の引き上げや基準事業費のかさ上げ等々の財政支援対策の充実につきまして機会あるごとに要望いたしているところでございます。 次に、ごみ焼却施設の広域化についてお答えいたします。 現在、市町村単独設置は十施設、一部事務組合設置分は十三施設でありますが、ダイオキシン類の削減対策といたしまして、有効な全連続炉への転換や固形燃料化を図るためにはごみ処理の一層の広域化が必要であると考えております。しかしながら、広域化を進めるに当たっては、施設設置に係る関係住民の合意形成、それと施設更新時期の問題、費用負担など現実的には多くの課題がございます。 県といたしましては、現在これらの諸課題につきまして、県内十一のブロックに設置しておりますが、市郡別一般廃棄物対策協議会、この中で各市町村との協議、調整を進めているところでございまして、できるだけ早い時期に県の広域化計画を策定したいと考えております。 最後に、ダイオキシン類の分析調査についてお答えいたします。 大気、水質等の環境状況の把握については、まず、ことしじゅうに大分川で魚類や水底の底質の濃度調査を実施することといたしております。 また、環境状況は地域の発生源と直接的なつながりがありますので、県下の大気等の調査についても検討を進めているところでございます。 食品等につきましては、広域的な流通や総合的な摂取の結果として全国的な状況の中でとらえないと判断ができない部分がありますので、国のダイオキシン類総合調査検討会で調査研究を進めておるところでございますので、その結果を見きわめた上で対応してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○古手川茂樹議長 田中教育長。 〔田中教育長登壇〕 ◎田中恒治教育長 公立学校のごみ焼却炉についてお答えをいたします。 県教育委員会といたしましては、文部省の指導通知を受けまして、ごみの分別収集を徹底し、特にプラスチック系のごみは学校では焼却をしないこと、資源ごみのリサイクル化、ごみの減量化の一層の促進など、学校内における焼却処理の抑制、廃止に努めるよう、市町村教育委員会及び県立学校を指導してきたところでございます。 今後とも、市町村につきましてはこれまでの指導をさらに徹底をいたしますとともに、県立学校にありましては、現在実施をしておりますごみ処理の実態調査結果を踏まえまして、プライバシー保護の問題をも考えながら、抑制、廃止に向けて関係部局と協議をしてまいりたいというように考えておるところでございます。 以上でございます。 ○古手川茂樹議長 外山総務部長。 〔外山総務部長登壇〕 ◎外山邦夫総務部長 私立学校に対するごみの処理指導についてであります。 県下の私立小、中、高等学校十八校中十五校において可燃ごみの処理に学校内の焼却炉を使用しており、そのうち九校については、ごみ回収との併用で処理しております。 県といたしましては、公立学校と同様に、文部省の通知に基づき県下の私立学校に対し、ごみの減量化に努めること、可燃ごみについては可能な限り回収にゆだね、校内における焼却処理の抑制、廃止に努めることなどの指導を行っているところであります。 今後とも、それぞれの学校が地元自治体と十分連携をとるなどして適切なごみ処理を行うよう、さらに指導してまいりたいと考えております。 次に、県の施設におけるごみ処理についてであります。 県の施設から発生するごみは、資源リサイクルによるごみ減量化を図るため、原則として分別の方式により回収を行っており、そのうち紙類等の有価ごみは業者へ売却、その他のごみは業者等による回収にゆだねておりますが、議員ご指摘のとおり地方機関の一部で、紙類等について、個人情報の秘匿や回収ごみの減量化のため、構内の焼却炉で焼却しております。 今後は、有価ごみ以外のごみについて、業者等による回収の方法で処理するよう努めてまいりたいと考えておりますので、ご了承いただきたいと思います。 ○古手川茂樹議長 曽根崎企画部長。〔曽根崎企画部長登壇〕 ◎曽根崎和人企画部長 まず、猪牟田ダムについてお答え申し上げます。 足踏みダムとの発表後、直ちに九重町及び水没地域の関係者に対しまして現状及び今後の方針についての説明を行い、理解をお願いいたしたところでございます。これに対しまして水没地域の地元関係者からは、現在実施されているダムの調査が早急に完了するよう強く要望されたところであります。 また、利水者である国東用水の受益市町村及び上水の受益者である別府市等に対しましても、今回の趣旨について説明し、理解を求めました。その際、国東用水事業促進期成会からは、国東地域の水源確保については猪牟田ダムからの導水が必要であり、建設省に対してダムの必要性と緊急性を引き続き強く訴え、予算の確保を図るとともに、早期着工に向けて努力していくよう要望されたところでございます。 次に、足踏みダムに係る国の真意につきましては、事業の中止や休止を前提にしたものではなく、厳しい予算の中で十年度予算については調査費を減額せざるを得ず、今後財政状況が好転すれば、予算を増額し、事業を推進するということであります。 ダムが計画されている玖珠川は、流域が広く、過去にたびたび洪水に見舞われております。特に平成五年の台風十三号による天瀬町旅館街の大きな被害は記憶に新しいところであります。 一方、国東半島地域は、昔から干ばつ常襲地帯と言われ、農業用水の確保は悲願でありました。 したがいまして、県といたしましては、猪牟田ダムは県民の生命及び財産を災害から守るとともに、長期的展望に立った水資源の有効活用の見地からぜひとも必要なダムと考えておりますので、今後は、ダムの恩恵を受ける下流地域や利水者とも連携をとりながら事業の推進に努めてまいる所存であります。 次に、矢田ダムについてでございます。 建設省が実施計画調査を開始してから二十五年を経過していながらほとんど進展していないこれまでの経緯を勘案し、今回の建設省の措置についてはやむを得ないと受けとめている次第であります。 次に、ダム計画のために他の地域に比べておくれている水没予定地域の道路整備等の地域振興対策につきましては、現在、大野、朝地両町で地元の要望を取りまとめておりますので、県といたしましては、これを踏まえながら建設省を初め関係機関と協議し、仮にダム建設が中止となった場合、速やかに対応できるよう検討していきたいと考えております。 また、矢田ダムの利水者である大分市及び佐賀関町に対しましては、今回の建設省の措置を説明し、理解を求めたところであります。 今後の対応につきましては、河川法の改正により、地域の意見を聞いて水系ごとに河川整備計画をつくることとされており、大野川水系の治水対策につきましても建設省が計画を策定することとなっておりますので、大分市及び佐賀関町の利水対策につきましても、その計画策定の過程で協議してまいりたいと考えております。 次に、アジアの各国県人会との交流の現状についてでございます。 本年七月にマレーシア、インドネシア、フィリピンに大分県人会が設立され、既存のタイ、香港、シンガポールの三県人会に加えまして、アジアにおいて六つの県人会ができたわけであります。アジアとの地域間交流を積極的に進めております本県にとりまして、これら県人会には、大分県とアジア諸国との交流のかけ橋になっていただけるものと期待しております。 当面、県からは「広報おおいた」や「大分ウエーブ」などの大分県情報の提供を行い、県人会には、アジア各国の各種情報提供、訪問団派遣の際の便宜提供などについてお願いしているところであります。 今後は、ことし十一月にマレーシアのクアラルンプールで開催予定の大分県物産観光展への支援や来年開催予定の第十三回国民文化祭におけるアジアの民俗芸能の紹介、また立命館アジア太平洋大学の留学生の確保など、本県の各種国際化事業への支援、協力もお願いしたいと考えております。 最後に、今後の交流事業のあり方についてでございます。 二十一世紀はアジアの世紀とも言われており、今後とも持続的な発展を続けていくものと見込まれ、本県の発展を図っていく上でアジアとの共生は大きな課題であると考えております。そのため本県では、相互理解・相互利益を基本理念として、九州・アジア経済構想に基づくアジア九州地域交流サミットの開催や、一村一品運動など地域活性化のノウハウの交換を通じまして、アジアの多くの地域と交流を進めてきたところであります。これらの交流を進めていく上で正確な情報収集と分析力は極めて重要であることは、議員ご指摘のとおりであります。 したがいまして、今後は、これまでの交流で培ったネットワークやアジア県人会、さらにはインターネットによる的確な情報の受発信等を活用し、FAZ計画など産業経済分野を初め、文化、スポーツ、さらには立命館アジア太平洋大学を拠点とした学術交流など幅広い分野において地域間交流を積極的に進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○古手川茂樹議長 再質問はありませんか。--以上で菅正雄君の質問に対する答弁は終わりました。 阿部順治君。 〔阿部(順)議員登壇〕(拍手) ◆阿部順治議員 今回、一般質問の機会を得ました三番、阿部順治です。私が最近、特に関心を寄せている四項目についてお尋ねをいたしますが、質問に入る前に一言申し述べさせていただきます。 実は昨日、一般質問の冒頭、知事より、台風十九号襲来による被災地のお見舞いと被害の現況報告がありました。 そこで昨日、早速、一般質問終了後、県内でも最も被害甚大の地、杵築市を県議会自民党消防防災対策協議会と総合農政振興調査会が現地視察をしたのであります。視察団は、懸命に復旧活動に従事している関係者にお見舞いを申し上げながら、余りにも大きい被害に茫然とし、唖然とするばかりでありました。 私は地元県議として十七日早朝七時過ぎ、杵築市内でも最も被害の大きかった八坂地区の友清、出原、上本庄、下本庄などを訪ねたのであります。ところが、被災者の一人、八十歳ぐらいの老翁が私に言いました。「阿部さん、こうたびたび命からがらの水害に見舞われたら、どうして若者が住みつきますか。どうして過疎化を食いとめられますか。災害に強い県土づくり、どうかどうか、河川改修の一日も早い完成をお願いします」と、私の手を握って訴えられたのであります。私は絶句いたしました。この悲痛な叫びに、私も涙を誘われたのであります。 知事もご承知のとおり、県内でも二級河川では最大の流域を持つ八坂川は過去四十年以来、改修が叫ばれておりますが、いまだに日の目を見ておりません。最近では五十一年、五十七年、そして今回と三度にわたり大水害に見舞われたのであります。県当局もこれまで精力的に事業推進に取り組まれていることは承知しております。また、地元コンセンサスを得るのがおくれたことも承知しております。また、文化財の出土など、工事遂行に当たり進捗が妨げられたことも聞き及んでおります。 しかしながら、大水害は昨日の、またきょうの出来事、大惨事でもあり、興奮覚めやらぬことも若干あろうと思いますが、たとえ文化財とはいえ、茶わんのかけらが大事なのか、それとも人命のとうとさを最優先に行政を進め、事の重要性と地域住民の切なる願いを聞き入れよとの意見が優先するかなど、被災者の口々から飛び出す言葉を私は耳にしているのであります。どうか被災者の惨状をご理解いただき、地域住民の悲願でもある、悲痛な叫びでもあります八坂川改修の早期完成を心から強く強く要望する次第でございます。 それでは一般質問に入ります。 まず最初に農業問題、とりわけ今最も注目されている新しい農業基本法についてお尋ねをいたします。 新しい農業基本法の制定に向け、現在、内閣総理大臣の諮問機関である食料・農業・農村基本問題研究会において、食料、農業、農村の三つの部会が設置され、検討されております。早ければ十二月にも、第一次答申として基本的な考え方が示されると聞いておりますが、この新たな基本法制定は今後の農政の根幹にかかわる極めて重要な問題であるので、これらの国の動きに対する県の姿勢についてお尋ねをいたします。 最初に、食糧の問題についてでございます。 現在、我が国の食糧自給率は四二%であり、穀物自給率で世界百二十六カ国を比較すると、先進国であるヨーロッパ諸国、アメリカ、カナダなどは二十位以内にほとんど入っております。しかし、世界第二位の経済大国である我が日本は何と百十三位であり、約七割は外国の土地を利用して農業を行っていると言っても過言ではありません。 一方、世界の人口約五十七億人のうち約八億人が飢えに苦しんでいると言われております。また、毎年、世界の人口は約八千万ずつ増加し、六百万ヘクタールの農地が砂漠化しているとも言われております。日本の農地が、ご案内のように約五百万ヘクタールでありますので、毎年、我が国の農地より広い農地が地球上からなくなっていることになるのであります。 二十一世紀は深刻な食糧難の時代と言われており、経済大国日本は、金さえあればいつでも輸入できると思っている人が多いのでありますが、金で買える時代は終わっていると思われます。今こそ、海外に依存する食糧供給構造を基本的に見直し、可能な限り国内生産の維持拡大を図るなど、国内における食糧自給率向上に向けた政策展開の必要があると考えますが、目標設定のあり方とあわせて見解をお伺いいたします。 次に、農業のあり方についてでございます。 現在の農業基本法は、農業と他産業との間の生産性や生活水準の格差の是正を目標として、これまで各般の政策が展開されてきたところであります。しかしながら、目まぐるしい経済成長のもとで農地価格の上昇、兼業化の進展等により、基本法が描いた規模拡大による自立経営というシナリオどおりには進まず、格差是正どころか、格差はむしろ拡大している現状にあると思われます。生産性を向上させ競争力を高める政策は、自由経済社会のもとでは当然進めるべきものであり、今後とも可能な限り追求していく課題であります。 このような中、本県農業の実態を見ると、労働時間十時間当たりの労働生産性は六千八百円、全国第三十四位、九州第五位、農業固定資本千円当たりの資本生産性は二百七十一円、全国第四十二位、九州第七位、農業所得は九十九万九千円、全国第三十四位、九州第七位など、全国、九州で比較しても低位に甘んじており、本県の農業経営は極めて厳しい状況に置かれているわけでございます。 そこで、県はこのような現状をどのように受けとめ、生産性の低い農業から国際化へも対応できる足腰の強い農業への脱皮をどのように図ろうとお考えになっておられるのか、お尋ねをいたします。 一方、調査会の農業部会の中では、市場原理を重視する経済効率優先の考え方についてさまざまな議論がなされていると聞いておりますが、県はどのように考えておられるのか、あわせてお伺いをいたします。 次に、農村問題についてでございます。 現在、農村部会の検討項目として、中山間地域の位置づけや中山間地域農業のあり方についてさまざまな議論がなされております。 本県の中山間地域農業の実態を見ると、経営耕地面積は六〇・六九%、農家戸数は六七・六%、農業粗生産額は六七・五%と大変高いウエートを占めており、食糧の供給はもとより、地域経済の発展にも大きな役割を果たしております。しかしながら、過疎化、高齢化の進展により耕作放棄地が拡大し、生産性の低下はもとより集落機能が脆弱化するなど、存立の危機にある集落があることも事実であります。 このような中、お隣の宮崎県では、森林、農地の有する水源涵養、土砂崩壊防止、保健保養機能等の多面的な公益的機能を評価するという新たな視点から、農山村地域の活性化のための施策の導入を目指す国土保全奨励制度を提唱し、その実現に向けて積極的に取り組んでいるようでございます。現在この制度の具現化に向けて、一つの河川、流域をモデル流域として設定し、川下、都市部が川上、中山間地域を支援する制度の構築などが検討されていると伺っております。 このような過疎山村地域は、先ほど農業の生産性向上で申し上げたとおり、経済効率追求や市場メカニズムだけでは論じ切れないところがあり、環境の問題や生活の問題等、新たな視点から見る必要があります。 今回、国は、行政改革の中で国土保全省の考え方を示しました。本県においても今後、これらの農業、農村の有する公益的機能を積極的に評価し、所得補償や第三セクター支援など公的支援を行わなければ、中山間地域の農業は維持できないと考えますが、県の姿勢をお伺いいたします。 次に、国東用水事業についてお尋ねをいたします。 国東半島は大分県北部の瀬戸内海に面した半島で、水稲、麦、ミカン等の果樹、畑作物等の複合経営が営まれておりますが、両子山を中心に放射状に展開する諸河川は流域も狭く、かつ短小であり、さらに瀬戸内気候特有の少雨と相まって、水量が乏しい地域でもあります。古来、多数のため池が築造され水田の補水に供されているものの、常時用水不足に悩まされ、畑地や樹園地の水源は皆無に近く、過去に何度も干害に見舞われてきました。 本事業は、受益面積約八千五百ヘクタールの水田補水と畑地かんがい用水の確保を行うもので、このため地区内の河川及びため池を利用するとともに、新規にダム一カ所を新設し、さらに不足する農業用水については建設省が筑後川水系玖珠川に新設する猪牟田ダムから供給し、導水路、幹支線水路、調整池等を建設し、地区内に導水するものであります。 現在は自然降雨に依存した農業経営が中心であるため、干害による収量の低下等、被害が発生するなどしており、このことが高生産性農業を展開するための阻害要因となっております。 国東用水事業の実施により農業用水が確保されれば、天候に左右されることなく作物選択ができるため多角的な営農が可能となり、農業経営の安定化が図られるものと期待されております。 畑については、水を使った野菜類やハウス園芸の導入などにより高収益農業が可能となります。水田においても、用水の安定的供給とともに、冬季の農業用水が確保されるため裏作やハウス園芸等の導入が可能となるほか、果樹園につきましても、生産性の安定や防除労力の省力化とともに、ハウス栽培も可能となります。 このように、本事業は将来の地域農業振興に大きく貢献するものと想定されます。 昭和四十一年に関係三市八町一村の市町村長、農協長、土地改良区理事長等で国東用水事業促進期成会が設立され、国においても昭和四十八年には国東用水事業全体実施計画に着手したところでありますが、以来二十数年の歳月を経過しており、地域の市町村はこの事業の一日も早い完成を望んでおります。 最近では、国東半島地域の圃場整備や広域農道等の整備も進展しておるところでありますが、将来の社会情勢に対応するため、恒常的な水不足を解消することが極めて重要であると考えます。 昨年、懸案であった別府市、日出町や私の住んでいる杵築市の上水計画も確定するなど、着工への機運が盛り上がっているところでありますが、建設省の発表によりますと、猪牟田ダムが足踏みダムとして位置づけられたようであり、今後の推進に大きな影響を与えるものと危惧されるところであります。 そこで、計画以来二十数年を経過している国東用水事業の将来展望についてお伺いをいたします。 次に、企業進出についてお尋ねをいたします。 八月一日のキヤノン株式会社の杵築市への進出表明は、杵築市にとって大きな夢を与え、二十一世紀のさらなる発展を示すものであり、心から歓迎するところであります。今後、同市におきましては、農工の調和、若者の定住など、キヤノンという大企業の立地がもたらす地域振興へのこれからの波及効果ははかり知れないものがあると考えております。同企業の誘致に多大なご尽力をいただきました平松知事を初め関係者の皆様方に、地元県議としてまずもって厚く厚く御礼申し上げる次第でございます。 さて、今回のキヤノン株式会社の進出表明におきましては、平成十一年四月の操業開始ということでありますが、今後約一年六カ月の間に用地の造成、工場建設と大きな拠点づくりが開始され、関係各位の努力は大変なものであろうと思います。ぜひともこの新しい拠点づくりに万全の体制を願うとともに、私どもも協力を惜しまないものであります。 そこで、企業操業に伴う周辺のインフラ整備につきまして、若干の質問をさせていただきます。 まず初めに、キヤノン株式会社の従業員の地元での住宅確保問題であります。 新聞報道によりますと、十一年四月の操業開始時の従業員数は百五十人、初期投資額は三百億円でありますが、三、四年先には従業員二千名、最終投資額は一千億円にもなり、県内でも有数の企業になる予定と聞き及んでおります。同社の従業員の家族等を含めますと、その数は倍数でふえるものと考えられます。従業員の地元雇用とともに、せっかくの杵築市への企業進出でありますので、ぜひ従業員の皆様方には地元に居住していただき、風光明媚な環境の中で通勤してもらいたいと願うのは、地元の切なる願いであります。 杵築市でも五年前から、賃貸住宅の新築に際しては報奨金を出して奨励しているところであります。しかしながら県内十一市中九番目の人口、九番目の財政力の杵築市といたしましては、これらの従業員住宅をすべて市で確保することは至難のわざと言えましょう。 そこで、住宅の確保問題について今後、県として市をどのように指導し、協力していくのか、お考えをお伺いいたします。 次に、キヤノン株式会社進出地までのアクセス道路についてであります。 予定地の周辺には国道二一三号線、県道日出真那井杵築線、その他熊野農免農道が走っておりますが、同企業の操業に伴う、これまでの道路からの製品や資材の搬出入、従業員の通勤などによる大幅な混雑が予想され、地域住民への生活環境に与える影響は大なるものがあります。特に、同社の製品がOA機器や複写機の消耗品と伺っており、これらの資材搬入については莫大な輸送量の確保が必要であると考えられますので、周辺道路網の整備は操業までの喫緊の課題であると憂慮しているところであります。 現在、この県道日出真那井杵築線につきましては、部分的に改良工事を行っているようでありますが、同社の操業に伴います大量の資材、人員輸送と地域住民の安全確保のため、交差点の改良、右折レーンの新設あるいは歩道の確保など、同線を含めたアクセス道路の早急な改良工事の完成を強くお願いしたいと思うのであります。 最後に、教育問題についてであります。 まず最初に、学校教育の推進について。 戦後五十二年が経過し、二十一世紀を目前に控え、今日の社会はかつて予想できなかったほど大きな変化に直面しております。教育の分野でも、子供たちの発達過程においてさまざまな問題が生じ、学校教育にも課題が山積しております。 目下、二十一世紀をにらんだ第三の教育改革が進行中でありますが、その最大の関心事は高校教育改革であります。推薦制や受験機会の複数化導入等の入試改革、総合学科の新設等のさまざまな取り組みが本県でも積極的に行われ、各高校の活性化や特色づくりに一応の成果を上げており、それなりに評価できると思っております。 本県では、日田三隈高校に続き本年四月、日出暘谷高校が総合学科に改編されましたが、他県では総合学科の導入がかなり進んでいると聞き及んでおります。 また、国段階においても、第十六期中央教育審議会の答申で中高一貫教育の導入が明記され、必要な法律の改正等の条件整備に入り、教育の複線化が推し進められようとしているところであります。 さらに、全国的に少子化が進み、生徒減少期を迎えております。本県においても中学卒業者数は、平成九年三月の一万五千七百五十一人から平成十七年三月の一万二千四百三十六人となり、三千三百十五人滅少し、現行の算定基準で計算すると、公立高等学校の定員は六十九クラスの減少となります。 このような状況の中で、高校教育の充実や適正配置は極めて大きな関心事であり、県民の大きな注目が寄せられておるところであります。私は、小規模校にはきめ細かく個に応じた指導の充実強化ができるなど、中・大規模校にはない教育のメリットもあると聞き及んでおります。また、高校の統廃合は、地域の活性化にも大きな影響を与える問題であると考えております。 そこで、第一に、全国での総合学科の導入はどうなっているのか、第二に、日田三隈高校、日出暘谷高校に続く総合学科の導入の予定はあるのか、第三に、本県における中高一貫教育導入の展望はどうなっているのか、第四に、公立高校の統廃合の計画はどうなっているのかの四点についてお考えをお伺いいたします。 また、学校教育をめぐる動きは極めて急であり、とりわけいじめや登校拒否などの深刻な問題を契機として、教員の指導力が県民から強く問われている状況であります。 中央教育審議会答申に上げられているように、子供たちに生きる力をはぐくむことのできる教師の育成を急がなければなりません。学校教育の成否は、児童生徒の教育に直接かかわる教員の資質、能力に負うところが極めて大きく、これからの時代に求められる学校教育を実現するためには、教員の資質、能力の向上が重要な前提となっておると思うのであります。 もとより教員の資質、能力の向上は、教員としての日ごろの着実な教育実践を前提に養成、採用、研修の各段階を通じて図られるべきものであり、採用段階のあり方の改善や各種現職研修など研修段階の各種施策の見直し、充実が積極的に進められるべきであることは言うまでもありません。この件につきましては、これまでにも何度も議会で論じられており、県教育委員会の適切な対応については評価するところであります。 とりわけ使命感と責任感、情熱を持った積極的な教員の採用については昨年度より、筆記試験だけではなく各種実技試験を取り入れたり、全国に先駆けてパソコン実技試験の導入や面接試験における試験官に民間人を登用したりして、採用段階での改善に意欲的な取り組みを進めていることに対しては高く評価するところであります。 また、学校の真の活性化は、教師集団をまとめ、リードしていく管理職のリーダーシップに負うところが極めて大であります。そのためには、年齢等に左右されることなく、教育実績を上げている教員は、若手でもどしどし登用することが必要であると思います。それは次に続く者にとって、意欲、やる気につながると思います。最近、県教育委員会でもかなりその姿勢がうかがえますが、さらに積極的な登用をお願いいたします。 ところで、本年度から県教育委員会では、教員の資質、能力の形成に当たり、本質的に重要と考えられる、人との豊かな触れ合いの機会を得ることが期待できる社会体験研修を導入し、民間企業の協力のもとに成果を上げていることは、私も高く評価するところであります。学校とは全く異なる職場や環境の中で教員みずからが社会体験研修に取り組むことで、社会の構成員としての視野をさらに広げ、教育者としての使命感、広く豊かな教養を身につけることができるものと思います。それにより、教員として一層の資質向上を図ることが可能となるのでありましょう。今後とも、短期間の事業に終わることなく、予算を拡充し、継続して実施することが必要であろうと考えられます。 そこで、県教育委員会としてはこの社会体験研修の成果をどのように把握し、今後の見通しについてどのように考えているのか、あわせてお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○古手川茂樹議長 ただいまの阿部順治君の質問に対する答弁を求めます。 平松知事。 〔平松知事登壇〕 ◎平松守彦知事 阿部議員の私に対する質問にお答えいたします。 その前に、ご要望のありました八坂川の改修についてでございます。まずもって、今回の台風十九号により被災をされました地域の皆様方に、心よりお見舞いを申し上げる次第であります。 また、議員もご指摘されましたが、災害から県民の生命、財産を守るとともに、安全な県土基盤を築くことは県政の基本と私も考えているところでございます。 ご要望のございました八坂川の改修につきましても、難航しておりました地元調整も整い、平成五年度から本格的な事業に着手をいたしているところでございまして、今後とも農業基盤整備事業とも連携を図りながら、できるだけ早く効果が出るように事業の推進に努める所存でございます。 ご質問のございました食糧の自給率であります。 中長期的な世界の食糧需給は、開発途上国の人口の増加、またアジアを中心とした経済成長に伴う食生活水準の向上等に伴いまして、今後不安定な局面があらわれることも懸念をされておりまして、いかに食糧の増産を図るかが大きな課題であります。議員ご指摘のとおりでございます。 このような中で、我が国におきましても、国民の食生活が多様化、高度化し、基本食糧でございます米の消費が減少する一方で、畜産物や油脂--油の類、油脂類、油脂の消費に伴う飼料穀物や油脂原料の輸入が増加をしたことなどから、食糧の自給率は低下しております。 カロリーで計算する供給熱量自給率というのがございますが、これが昭和三十五年のときには七九%の自給率でございましたが、平成七年度になりますと四二%まで低下をしておるという数字もあるわけであります。 そこで、国におきまして平成七年の十二月に、我が国の食糧自給率の低下傾向に歯どめをかけることを基本といたしました「農産物の需要と生産の長期見通し」というのを公表しております。これによりますと、平成十七年度の供給熱量自給率は四四ないし四六%と見込まれております。平成七年が先ほど申し上げました四二でございますから、若干の底上げを図るということがこの計画で見込まれておるわけであります。 しかし、世界の食糧の安全保障という観点から見ますと、食糧の安定供給確保は国の基本的な責務でございますし、総理府の世論調査を見ましても、国民の七一%の方が「将来、我が国の食糧事情に不安を感じておる」、また八三%の方が「基本的な食糧については、生産コストを引き下げながら国内で生産することを希望する」ということで、国内の農業生産への期待は大変大きいというのがこの数字で見られます。 私は常々、農業は二十一世紀における花形産業になるということを申し上げておるのも、そういう意味でございまして、これから恐らくアジアの成長率が高まっていくと食糧、特にアジアにおける畜産食糧が非常にふえて穀物が不足するという事態は多くの識者が指摘をしておるところでございますので、これからこの食糧自給率の向上はさらに大きな問題になると。このため、現農業基本法にかわりまして、新たな基本法の制定に当たりましては、必要な農地など増産にたえ得る資源を確保する方法や、我が国の食糧を構成すべき基礎的な食糧作物を明確にすることが必要であるということから、中長期的な食糧自給率の確保、向上策をぜひ盛り込んでもらいたいということを国に要望しておるところでございます。議員と全く同意見であります。 このような基本的な考え方のもとに、今後我が国の農業の進むべき方向を明確にするための国民的な議論、国民的な世論がさらに高まっていくことが何よりも重要であると私も考えているところでございます。 その他のご質問につきましては、担当部長より答弁をいたさせます。 ○古手川茂樹議長 相良農政部長。 〔相良農政部長登壇〕 ◎相良浩農政部長 まず、農業経営の現状と今後の農業振興についてお答えをいたします。 ウルグアイ・ラウンド農業合意に伴う国際化、自由化の進展や激化する産地間競争に対応するために、競争力のある産業として自立する県農業を確立することが必要であると考えております。このため、新農業プラン21に沿いまして、米を基盤としながら施設園芸と肉用牛を振興の柱として、地域資源を積極的に活用し、付加価値の高い農業の振興に努めてきたところでございます。 このような中で、本県は地形が複雑で平野部が少なく、一戸当たりの耕地面積が狭小であることなどから、議員ご指摘のような統計数値となっております。 しかしながら、新農業プラン21の基準年であります昭和六十二年に対する平成七年の労働生産性や生産農業所得などの伸び率は九州でトップとなっております。また、県独自の中核農家を対象とした調査では、一戸当たり四百六十七万九千円、これは販売農家平均の四・七倍の農業所得を得ているなど、これまでの取り組みの成果があらわれてきているものと認識いたしております。 今後とも、地域に密着した各般の施策を講じながら、県農業、農村の活性化と体質強化を図ってまいりたいと考えております。 次に、経済効率優先の考え方についてでございます。 新聞報道などによりますと、食料・農業・農村基本問題調査会農業部会の中では、農業に対して経済効率性を追求すべきであり、WTO体制下における農産物の価格支持の削減や内外価格差の縮小を求める意見もあると聞いております。 確かに経営規模の拡大や農地の流動化による生産性向上に向けた努力が必要でありますが、他方、農業は他の産業と異なり、環境との調和により生産活動を長期的に持続させていること、良質な農産物を安定的に供給しなければならないこと、さらに農業、農村は国土保全や水資源の涵養など公益的機能を担っていることから、一律的に経済効率性のみでとらえることは困難であると考えております。 次に、中山間地域農業に対する公的支援についてでございます。 議員ご指摘のとおり、本県の中山間地域は経営耕地面積、農家戸数、農業粗生産額がそれぞれ県全体の約七割を占めておりまして、これらの地域の活性化こそが本県農業の最大の課題であると言っても過言ではないと思います。そのため、本県ではかねてから、農業公社の設立、運営に対する支援や集落営農システムの構築、さらには中山間地域における圃場整備の農家負担の軽減などを行っているところでございます。 国においても、新たな基本法の制定に当たり、中山間地域など条件不利地域対策の一つとして、直接所得補償などの公的支援の導入について議論がなされているところでございますので、今後とも、国の動向並びに他県の状況を勘案しながら、中山間地域の農業振興に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 最後に、国東用水事業の将来展望についてでございます。 議員ご指摘のように、この計画は長期化しているところでございますが、県といたしましては、国東用水事業は半島地域の振興にとりまして将来の大計であり、猪牟田ダムの建設とあわせ、ぜひとも推進しなければならない事業と考えております。 また、懸案でありました上水計画も決定したことから、国の動向に注目しながら、国東半島地域の関係機関と十分調整の上、本事業のより一層の推進を図る所存でございます。 以上でございます。 ○古手川茂樹議長 永松商工労働観光部長。 〔永松商工労働観光部長登壇〕 ◎永松博文商工労働観光部長 キヤノンの従業員の住宅確保についてお答えをいたします。 現在、杵築市とキヤノンとの間で、必要とする戸数や広さ、それから建設時期等の協議を始めております。杵築市ではこの協議の結果を踏まえて、公営住宅や民間活力を利用した賃貸住宅など、その受け皿づくりについて検討していくと伺っております。 県といたしましても、誘致企業の従業員はできるだけ地元に居住していただきたいと常々考えておりますので、キヤノンの希望も聞きながら関係機関の協力を得て杵築市と一体となって、新工場の操業に支障を来さないよう住宅の確保に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○古手川茂樹議長 田中教育長。 〔田中教育長登壇〕 ◎田中恒治教育長 まず、高校教育改革についてお答えをいたします。 全国の総合学科の導入の状況につきましては、平成六年四月、国立一校を含め七県七校に設置をされて以来、現在では国立二校、私立が四校を含みます、四十の都道府県で七十四校に開設をされているところでございます。 次に、本県におきます総合学科の今後の導入についてでございますが、平成八年七月に出されました第十五期中央教育審議会の第一次の答申におきまして、総合学科につきましては当面、生徒の教育の機会を確保するため、通学範囲には必ず用意されているよう整備を進めることが必要であると、こういうふうに述べられております。したがいまして、本県におきましても、高等学校の特色づくりや各通学区の実情などをも勘案をしながら前向きに検討してまいりたいというふうに考えております。 次に、中高一貫教育の本県への導入についてでございますが、国におきましては、平成九年六月の第十六期中央教育審議会第二次答申を踏まえまして現在プロジェクトチームが設置をされまして、導入に当たっての実施の形態、法令上の位置づけ、教育内容などにつきまして検討が行われておるところでございますので、今後、国の検討状況をも勘案をしながら検討してまいりたいというように考えております。 最後に、公立高校の統廃合についてでございますが、高等学校の学校、学科の適正配置のあり方につきましては、平成五年五月、県学校教育審議会から「生徒減少期に対応する高等学校教育の在り方について」、この答申をいただいているところでございます。 したがいまして、県教育委員会といたしましては、本年四月、大分県公立高等学校適正配置等懇話会を設置いたしまして、高等学校の学校規模の適正化及び学校、学科の適正配置を実施していく上での具体的な方策などについてご協議を願っているところでございますので、今後はこの懇話会の結果を踏まえまして検討してまいりたいというように考えております。 次に、教員の社会体験研修の成果等についてお答えをいたします。 県教育委員会は本年度から新たに、教員の視野の拡大や発想の転換を図ることなどを目的に、小中学校の教頭六名を二カ月間、高等学校の教諭四名を三カ月間、それぞ民間企業に派遣をいたしまして、社会体験研修を実施いたしたところでございます。 これらの研修を通じまして、人間としての幅が広がるとともに、数々の新鮮な体験自体が新たな自己実現の契機となった、あるいは教員としてのみずからの生き方を見つめ、教育に対する使命感や責任感、情熱などを確認する機会となった、または派遣先での顧客のニーズに配慮した業務の進め方等に触れることができまして、児童生徒一人一人を尊重した学習指導や生徒指導を進めたり、あるいは保護者や学校外の人々との円滑な人間関係を形成する上で大変参考になった等の成果を上げることができまして、極めて有意義な研修であったというふうに思っておるところでございます。 したがいまして、県教育委員会といたしましては今後とも、社会体験研修をさらに工夫改善をいたしますとともに、一層の拡大を図ってまいりたいというように考えておるところでございます。 以上でございます。 ○古手川茂樹議長 再質問はありませんか。--阿部順治君。 ◆阿部順治議員 八坂川改修のことにつきましては、格段のご配慮を賜り、また格段のコメントを賜りまして、ありがとうございました。今後とも早急に改修方、重ねてお願い申し上げます。ありがとうございました。 ○古手川茂樹議長 以上で阿部順治君の質問に対する答弁は終わりました。 お諮りいたします。本日の一般質問及び質疑はこの程度にとどめたいと思います。これにご異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○古手川茂樹議長 ご異議なしと認めます。 よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。     ----------------------------- ○古手川茂樹議長 以上をもって、本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。 日程は、決定次第通知いたします。     ----------------------------- ○古手川茂樹議長 本日は、これをもって散会いたします。     午後三時十九分 散会...