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  1. 広島県議会 2010-12-04
    平成22年12月定例会(第4日) 本文


    取得元: 広島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-05
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成22年12月定例会(第4日) 本文 2010-12-16 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択・全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者の表示切り替え 全 247 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長(林 正夫君) 選択 2 : ◯議長(林 正夫君) 選択 3 : ◯緒方直之君 選択 4 : ◯議長(林 正夫君) 選択 5 : ◯総務局長(藤井雅文君) 選択 6 : ◯議長(林 正夫君) 選択 7 : ◯緒方直之君 選択 8 : ◯議長(林 正夫君) 選択 9 : ◯総務局長(藤井雅文君) 選択 10 : ◯議長(林 正夫君) 選択 11 : ◯緒方直之君 選択 12 : ◯議長(林 正夫君) 選択 13 : ◯総務局長(藤井雅文君) 選択 14 : ◯議長(林 正夫君) 選択 15 : ◯緒方直之君 選択 16 : ◯議長(林 正夫君) 選択 17 : ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 選択 18 : ◯議長(林 正夫君) 選択 19 : ◯緒方直之君 選択 20 : ◯議長(林 正夫君) 選択 21 : ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 選択 22 : ◯議長(林 正夫君) 選択 23 : ◯緒方直之君 選択 24 : ◯議長(林 正夫君) 選択 25 : ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 選択 26 : ◯議長(林 正夫君) 選択 27 : ◯緒方直之君 選択 28 : ◯議長(林 正夫君) 選択 29 : ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 選択 30 : ◯議長(林 正夫君) 選択 31 : ◯緒方直之君 選択 32 : ◯議長(林 正夫君) 選択 33 : ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 選択 34 : ◯議長(林 正夫君) 選択 35 : ◯緒方直之君 選択 36 : ◯議長(林 正夫君) 選択 37 : ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 選択 38 : ◯議長(林 正夫君) 選択 39 : ◯緒方直之君 選択 40 : ◯議長(林 正夫君) 選択 41 : ◯緒方直之君 選択 42 : ◯議長(林 正夫君) 選択 43 : ◯警察本部長(平野和春君) 選択 44 : ◯議長(林 正夫君) 選択 45 : ◯緒方直之君 選択 46 : ◯議長(林 正夫君) 選択 47 : ◯警察本部長(平野和春君) 選択 48 : ◯議長(林 正夫君) 選択 49 : ◯緒方直之君 選択 50 : ◯議長(林 正夫君) 選択 51 : ◯警察本部長(平野和春君) 選択 52 : ◯議長(林 正夫君) 選択 53 : ◯緒方直之君 選択 54 : ◯議長(林 正夫君) 選択 55 : ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 選択 56 : ◯議長(林 正夫君) 選択 57 : ◯緒方直之君 選択 58 : ◯議長(林 正夫君) 選択 59 : ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 選択 60 : ◯議長(林 正夫君) 選択 61 : ◯緒方直之君 選択 62 : ◯議長(林 正夫君) 選択 63 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 64 : ◯議長(林 正夫君) 選択 65 : ◯緒方直之君 選択 66 : ◯議長(林 正夫君) 選択 67 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 68 : ◯議長(林 正夫君) 選択 69 : ◯緒方直之君 選択 70 : ◯議長(林 正夫君) 選択 71 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 72 : ◯議長(林 正夫君) 選択 73 : ◯緒方直之君 選択 74 : ◯議長(林 正夫君) 選択 75 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 76 : ◯議長(林 正夫君) 選択 77 : ◯緒方直之君 選択 78 : ◯議長(林 正夫君) 選択 79 : ◯緒方直之君 選択 80 : ◯議長(林 正夫君) 選択 81 : ◯教育長(榎田好一君) 選択 82 : ◯議長(林 正夫君) 選択 83 : ◯緒方直之君 選択 84 : ◯議長(林 正夫君) 選択 85 : ◯教育長(榎田好一君) 選択 86 : ◯議長(林 正夫君) 選択 87 : ◯緒方直之君 選択 88 : ◯議長(林 正夫君) 選択 89 : ◯教育長(榎田好一君) 選択 90 : ◯議長(林 正夫君) 選択 91 : ◯緒方直之君 選択 92 : ◯議長(林 正夫君) 選択 93 : ◯教育長(榎田好一君) 選択 94 : ◯議長(林 正夫君) 選択 95 : ◯緒方直之君 選択 96 : ◯議長(林 正夫君) 選択 97 : ◯教育長(榎田好一君) 選択 98 : ◯議長(林 正夫君) 選択 99 : ◯緒方直之君 選択 100 : ◯議長(林 正夫君) 選択 101 : ◯緒方直之君 選択 102 : ◯議長(林 正夫君) 選択 103 : ◯選挙管理委員会事務局長(川上俊幸君) 選択 104 : ◯議長(林 正夫君) 選択 105 : ◯緒方直之君 選択 106 : ◯議長(林 正夫君) 選択 107 : ◯選挙管理委員会事務局長(川上俊幸君) 選択 108 : ◯議長(林 正夫君) 選択 109 : ◯緒方直之君 選択 110 : ◯議長(林 正夫君) 選択 111 : ◯選挙管理委員会事務局長(川上俊幸君) 選択 112 : ◯議長(林 正夫君) 選択 113 : ◯緒方直之君 選択 114 : ◯議長(林 正夫君) 選択 115 : ◯議長(林 正夫君) 選択 116 : ◯桑木良典君 選択 117 : ◯議長(林 正夫君) 選択 118 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 119 : ◯議長(林 正夫君) 選択 120 : ◯桑木良典君 選択 121 : ◯議長(林 正夫君) 選択 122 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 123 : ◯議長(林 正夫君) 選択 124 : ◯桑木良典君 選択 125 : ◯議長(林 正夫君) 選択 126 : ◯農林水産局長(冨永嘉文君) 選択 127 : ◯議長(林 正夫君) 選択 128 : ◯桑木良典君 選択 129 : ◯議長(林 正夫君) 選択 130 : ◯企画振興局長(中山雅文君) 選択 131 : ◯議長(林 正夫君) 選択 132 : ◯桑木良典君 選択 133 : ◯議長(林 正夫君) 選択 134 : ◯農林水産局長(冨永嘉文君) 選択 135 : ◯議長(林 正夫君) 選択 136 : ◯桑木良典君 選択 137 : ◯議長(林 正夫君) 選択 138 : ◯農林水産局長(冨永嘉文君) 選択 139 : ◯議長(林 正夫君) 選択 140 : ◯桑木良典君 選択 141 : ◯議長(林 正夫君) 選択 142 : ◯農林水産局長(冨永嘉文君) 選択 143 : ◯議長(林 正夫君) 選択 144 : ◯桑木良典君 選択 145 : ◯議長(林 正夫君) 選択 146 : ◯農林水産局長(冨永嘉文君) 選択 147 : ◯議長(林 正夫君) 選択 148 : ◯桑木良典君 選択 149 : ◯議長(林 正夫君) 選択 150 : ◯土木局長(高垣広徳君) 選択 151 : ◯議長(林 正夫君) 選択 152 : ◯桑木良典君 選択 153 : ◯議長(林 正夫君) 選択 154 : ◯土木局長(高垣広徳君) 選択 155 : ◯議長(林 正夫君) 選択 156 : ◯桑木良典君 選択 157 : ◯議長(林 正夫君) 選択 158 : ◯土木局長(高垣広徳君) 選択 159 : ◯議長(林 正夫君) 選択 160 : ◯桑木良典君 選択 161 : ◯議長(林 正夫君) 選択 162 : ◯土木局長(高垣広徳君) 選択 163 : ◯議長(林 正夫君) 選択 164 : ◯桑木良典君 選択 165 : ◯議長(林 正夫君) 選択 166 : ◯土木局長(高垣広徳君) 選択 167 : ◯議長(林 正夫君) 選択 168 : ◯桑木良典君 選択 169 : ◯議長(林 正夫君) 選択 170 : ◯土木局長(高垣広徳君) 選択 171 : ◯議長(林 正夫君) 選択 172 : ◯桑木良典君 選択 173 : ◯議長(林 正夫君) 選択 174 : ◯土木局長(高垣広徳君) 選択 175 : ◯議長(林 正夫君) 選択 176 : ◯桑木良典君 選択 177 : ◯議長(林 正夫君) 選択 178 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 179 : ◯議長(林 正夫君) 選択 180 : ◯桑木良典君 選択 181 : ◯議長(林 正夫君) 選択 182 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 183 : ◯議長(林 正夫君) 選択 184 : ◯桑木良典君 選択 185 : ◯議長(林 正夫君) 選択 186 : ◯間所 了君 選択 187 : ◯議長(林 正夫君) 選択 188 : ◯副知事(有岡 宏君) 選択 189 : ◯議長(林 正夫君) 選択 190 : ◯間所 了君 選択 191 : ◯議長(林 正夫君) 選択 192 : ◯副知事(有岡 宏君) 選択 193 : ◯議長(林 正夫君) 選択 194 : ◯間所 了君 選択 195 : ◯議長(林 正夫君) 選択 196 : ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 選択 197 : ◯議長(林 正夫君) 選択 198 : ◯間所 了君 選択 199 : ◯議長(林 正夫君) 選択 200 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 201 : ◯議長(林 正夫君) 選択 202 : ◯間所 了君 選択 203 : ◯議長(林 正夫君) 選択 204 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 205 : ◯議長(林 正夫君) 選択 206 : ◯間所 了君 選択 207 : ◯議長(林 正夫君) 選択 208 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 209 : ◯議長(林 正夫君) 選択 210 : ◯間所 了君 選択 211 : ◯議長(林 正夫君) 選択 212 : ◯知事(湯崎英彦君) 選択 213 : ◯議長(林 正夫君) 選択 214 : ◯間所 了君 選択 215 : ◯議長(林 正夫君) 選択 216 : ◯商工労働局長(津山直登君) 選択 217 : ◯議長(林 正夫君) 選択 218 : ◯間所 了君 選択 219 : ◯議長(林 正夫君) 選択 220 : ◯商工労働局長(津山直登君) 選択 221 : ◯議長(林 正夫君) 選択 222 : ◯間所 了君 選択 223 : ◯議長(林 正夫君) 選択 224 : ◯商工労働局長(津山直登君) 選択 225 : ◯議長(林 正夫君) 選択 226 : ◯間所 了君 選択 227 : ◯議長(林 正夫君) 選択 228 : ◯商工労働局長(津山直登君) 選択 229 : ◯議長(林 正夫君) 選択 230 : ◯間所 了君 選択 231 : ◯議長(林 正夫君) 選択 232 : ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 選択 233 : ◯議長(林 正夫君) 選択 234 : ◯間所 了君 選択 235 : ◯議長(林 正夫君) 選択 236 : ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 選択 237 : ◯議長(林 正夫君) 選択 238 : ◯間所 了君 選択 239 : ◯議長(林 正夫君) 選択 240 : ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 選択 241 : ◯議長(林 正夫君) 選択 242 : ◯間所 了君 選択 243 : ◯議長(林 正夫君) 選択 244 : ◯議長(林 正夫君) 選択 245 : ◯議長(林 正夫君) 選択 246 : ◯議長(林 正夫君) 選択 247 : ◯議長(林 正夫君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:         午前十時三十一分開議 ◯議長(林 正夫君) 出席議員五十九名であります。これより会議を開きます。         自第  一 県第八一号議案         至第四十七 報第二三号 2: ◯議長(林 正夫君) これより日程に入ります。日程第一、県第八一号議案 平成二十二年度広島県一般会計補正予算から日程第四十七、報第二三号 損害賠償額の決定についてまでの各案を一括上程議題といたします。  昨日に引き続いて質問を行います。緒方直之君。         【緒方直之君登壇】 3: ◯緒方直之君 皆さん、おはようございます。自民党議員会の緒方直之でございます。今次定例会におきまして一般質問の機会を与えていただき、議長を初め、先輩、同僚各議員に心より感謝を申し上げます。  私は、昨年度、中津委員長のもと、議会運営委員会委員として活動させていただきました。その中で、一般質問の新しい方式として一問一答方式が議論され、また、他県の取り組みなどについても調査いたしました。結果、この六月定例会から試験的に導入が始まったわけでございますが、伝統と格式あるこの広島県議会の歴史において、連綿と続いてきた一括方式に新たに加わったこの方式が、果たしてどういった効果を生み出し、県民の皆様にどのようにとらえられるのかを踏まえて、我が会派で初めての一問一答方式で臨みたいと思います。  なお、本日は、暮らしの安全・安心や教育にかかわることなどを中心に幅広く質問させていただきますので、湯崎知事を初め、執行部の皆様には、夢が持てる明るい答弁、そして、何よりもゆっくりとお答えいただきますようお願いいたしまして、質問用演壇へと移らせていただきます。(質問用演壇に移動)  では、最初に、新公会計制度についてお伺いいたします。  地方分権の進展に伴い、地方公共団体にはこれまで以上に責任ある経営が求められるようになってきております。平成十九年の夕張市の財政破綻問題を契機として、地方財政に対する住民の関心が高まる中、県民に対するわかりやすい財務情報の開示というものも重要になってきております。  こうした中、国において、企業会計の手法を財政の効率化につなげていくための新公会計制度の検討が進められており、本県でも、県及びすべての市町において、バランスシート、いわゆる貸借対照表、行政コスト計算書、純資産変動計算書、そして資金収支計算書の四つの財務諸表が作成されております。  しかし、言うまでもなく、会計制度そのものは、あくまで財政状況を把握するためのツールにすぎないわけであります。道路、橋梁などを含む広島県の資産状況をより正確に把握することにより、危機的な状況にある本県の財政健全化や施策実施するか否かの判断などに役立ててこそ、導入した意義が出てくるわけであります。  そこで、本県においては、作成した財務諸表を現在どのように活用しておられるのか、また、今後、活用の範囲を広げることが可能なのか、可能だとすれば、それによりどのような効果が期待されるのか、あわせてお伺いいたします。 4: ◯議長(林 正夫君) 当局の答弁を求めます。総務局長藤井雅文君。         【総務局長藤井雅文君登壇】 5: ◯総務局長(藤井雅文君) 平成十年度から、企業会計に準じた手法に従い、貸借対照表や行政コスト計算書などを作成・公表することによりまして、県行政の透明性の向上に加えて、予算編成や政策評価などへの活用を図っているところでございます。また、さらなる活用を図るため、現在、部門別で作成しております行政コスト計算書を予算編成段階から事業別に作成することを検討しております。  こうした取り組みによりまして、事業ごとのコストの内容の把握が可能となり、職員のコスト意識が高まるとともに、成果目標との比較等により成果主義の徹底にもつながることから、効果的・効率的な行財政運営に資するものと考えております。 6: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。
    7: ◯緒方直之君 今、御答弁の中で、職員のコスト意識の向上、そして成果主義にも役立っていくということがございましたが、コスト意識とかそういったことについてはいわゆる県庁内部のことだと思います。そこで、次に、これを実際に今度は県民への周知についてどのようにするかということでお伺いしたいと思います。  知事が進める施策について、県民が受益と負担をてんびんにかけてその可否を判断するためには、県の財政状況に関する正確な知識を得ることが不可欠だと思っております。それがこの制度を導入する目的の一つでもありますから、県民にわかりやすい形で財務情報を開示していくことが重要であります。  そこで、県民に対する制度の周知についてどのように取り組んでいこうとお考えなのか、お伺いいたします。 8: ◯議長(林 正夫君) 総務局長藤井雅文君。 9: ◯総務局長(藤井雅文君) 新公会計制度導入の初年度である平成二十年度決算の財務書類につきましては、まずは、県民の皆様の新公会計制度への理解を深めていただくため、新公会計制度の導入の趣旨や作成基準等を明らかにするとともに、財務書類四表の意味を解説しました概要版を作成し、県議会の常任委員会に報告するとともにホームページに掲載したところでございます。  今後とも、類似団体との比較や県民一人当たりの資産や負債を明らかにして、県民の皆様のニーズを踏まえた説明や分析を加えるなど、よりわかりやすい資料作成・公表に努めてまいりたいと考えております。 10: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 11: ◯緒方直之君 今、概要版をつくられて、議会への報告ということでございました。ぜひ、議会だけでなく、そういった情報を必要としている方、あるいは主婦の方であったり、学生だったり、そういったそれぞれに対して広く周知ができるように考えていただければというふうに思っております。  続いてなのですが、では、今後、こうした対応をどのようにされていくのかということを最後にお伺いしたいと思います。  国は、基準モデルと、そして総務省方式改訂モデルの二種類を提案しております。  本県は、対象資産の範囲を狭くすることで評価を簡単にし、負荷が少なくて済む改訂モデルを現在採用していますが、国は、最終的には基準モデルと同様に厳密な評価を行い、資産計上するように求めております。本県も、いずれは県が所有する膨大な固定資産をきちんと把握し、評価をしなければならなくなるわけです。  このシステム開発などに多額の費用がかかり、膨大な作業が必要だということになれば、これは簡単にできるものではないと感じるわけでありますが、今後、新公会計制度への対応をどのように進められるおつもりなのか、お伺いします。 12: ◯議長(林 正夫君) 総務局長藤井雅文君。 13: ◯総務局長(藤井雅文君) 現在、本県が採用しております総務省方式改訂モデルでは、財務書類について、一部発生主義会計が導入されていないこと、また、時価評価が売却可能資産に限られていることなど、改善すべき点もあるものと認識しております。  このため、今年度進めております財務会計システムの更新にあわせまして、発生主義会計の導入を可能とするシステムを平成二十三年度に導入するとともに、資産評価について時価評価を行うことによりまして、平成二十三年度決算から基準モデルへ移行しまして、より実態に即した、精度の高い財務書類の作成に努めてまいりたいと考えております。 14: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 15: ◯緒方直之君 精度の高い資料というふうにおっしゃっていただきましたが、最初に申し上げたとおり、あくまでこの制度というものは、やはり県民の皆さんにわかりやすく提示されて、理解を得てこそ意義あるものになってくると思っております。精度の高い資料と同様に、フォーカスすべき点をさらにしっかりと見きわめていただいて取り組んでいただくよう要望させていただきたいと思います。  続きまして、動物愛護についてお伺いしたいと思います。  知事は、動物を飼われたことがおありでしょうか、私は、昔、ラブラドールレトリバーという犬を飼っていたのですけれども、本当に家族にとって宝物のような存在でした。  今、少子・高齢化や核家族化が進行し、社会的ストレスが増大する中、生活に潤いを与えてくれる、まさに家族のような存在としてペットを飼う人がふえ、ペットフード協会の調査によりますと、平成二十一年の犬と猫の飼育数は二千二百万にも達しているとのことであります。  しかし、空前のペットブームと言われるその陰で、飼い主が亡くなったり、あるいは入院したりというやむを得ない事情ならまだしも、十分な知識を持たずに飼い始め、面倒を見切れない、飽きたなど、飼い主の身勝手な理由で飼育を放棄するケースも後を絶たないと聞いております。この結果、飼育放棄されたり迷子になった犬や猫が地方自治体の動物愛護センターなどに持ち込まれ、引き取り手が見つからないため、行き場もなく、年間に三十万頭近く殺処分されているという現実があるのです。  昭和四十八年に制定された動物愛護管理法は、すべての人が動物は命あるものであることを認識し、虐待することなく、人間と動物がともに生きていける社会を目指すことを基本原則に掲げ、本県でも、この法に基づいて広島県動物愛護管理条例を制定しておりますが、現実は、この法が理想とする社会とはかけ離れた状況だと言わざるを得ません。  そこで、まず、本県の動物愛護センターなどでの動物の引き取り、そして殺処分の状況についてお伺いいたします。 16: ◯議長(林 正夫君) 健康福祉局長佐々木昌弘君。         【健康福祉局長佐々木昌弘君登壇】 17: ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 広島市等を含む県内における平成二十一年度の犬、猫の引き取り頭数は、犬が三千八百九十五頭、猫が六千六百十六頭であり、猫が六割を占め、出生後間もない子猫を拾ったことによる引き取りが多くなっております。また、収容した犬、猫の処分頭数は、犬が三千百四十七頭、猫が六千三百四十二頭とほとんどが処分されておりますが、十年前と比べますと、引き取り頭数、処分頭数ともにほぼ半減している状況にございます。 18: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 19: ◯緒方直之君 はい、わかりました。犬が三千八百九十五に対して三千百四十七、猫が六千六百十六に対して六千三百四十二と、犬、猫ともに非常に殺処分率は高いと思います。十年前から半減したとおっしゃいましたが、それでは、これは数字だけ見てもわからないので、全国的に見て広島県はどういう状況にあるのか、お伺いします。 20: ◯議長(林 正夫君) 健康福祉局長佐々木昌弘君。 21: ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 人口当たりの全国順位につきましては、引き取り頭数は多いほうから十四番目、処分頭数は多いほうから十二番目でございます。 22: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 23: ◯緒方直之君 十年前から半減したとはいえ、今なお十四位、十二位といえば、では、十年前はどうだったのか、全体的に高かったのかもしれませんけれども、まだまだ広島県は高い殺処分状況にあるのではないかと感じております。  そこで、ではこれからどうしたらいいのだろうかという観点から、続けて質問を行ってまいりたいと思います。  先日、民主党がペット税を検討していることが報道されておりました。課税を通じてペットの適切な飼育を促し、税収を処分費用に充てることを想定しているとのこことであります。また、全国の自治体の中には、ペットの持ち込みに当たって引き取り手数料を徴収しているところもあると聞きます。  いずれの方法も、飼い主に金銭的な負担を課すことで安易なペットの購入や飼育放棄を防ぐことをねらっているわけですが、逆に、お金を払うのだから放棄してもよいだろうという誤った発想を生む危険もあると思うのであります。  そこで、こうした金銭的な負担を課すやり方の効果についてどのようにお考えでしょうか、御所見をお伺いします。 24: ◯議長(林 正夫君) 健康福祉局長佐々木昌弘君。 25: ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 現在、本県、愛知県、高知県を除く四十四の都道府県で、犬及び猫の引き取り手数料の徴収が行われており、引き取り頭数が減少することに伴い処分頭数も減少しているところでございます。  このように、結果的には処分する動物の減少につながっており、今後、前向きに検討してまいりたいと考えております。 26: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 27: ◯緒方直之君 今、前向きにという御答弁でございましたが、先ほど申し上げたとおり、お金を払えばいいのかという間違った発想を行わないよう、そういうケアについてもしっかりと同時進行で行っていただきたいと要望しておきます。  もちろん、そういったことも効果があるというふうに言えるのかもしれませんが、ただ、それだけで無責任なペットの飼育放棄がなくなるとも思えないのであります。  実際、ペットショップに行って見てみますと、中には、犬のディスカウントとか激安犬、さらには半年以内に死んだら無料でかわりを差し上げますなど、命を物として扱っているとしか思えないキャッチコピーを見かけることがあります。やはり、飼い主を初めとする社会全体が動物愛護の精神を共有するとともに、ペットを飼うことは命を託されることであり、飼い主はそれだけの自覚と責任が求められているのだということを理解することが問題解決の根本であろうかと思います。  このことは、飼育放棄だけの問題にとどまりません。野良猫にえさを与えることで個体数をふやしてしまったり、リードをつけずに犬を散歩させて迷子にしてしまったなど、知識に欠けるがゆえの行為が動物愛護に反する結果を招いている面もあるのです。  そこで、身勝手な飼育放棄や不本意な迷子などを生まないためには、さまざまな視点からの普及啓発が重要になると考えますが、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。 28: ◯議長(林 正夫君) 健康福祉局長佐々木昌弘君。 29: ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 飼い主への啓発につきましては、正しい動物の飼い方などについてリーフレットを作成・配布するとともに、犬のしつけ方や犬の登録・予防注射の促進などさまざまな講習会等を開催し、周知を図っているところでございます。  また、動物愛護センターにおける動物の譲り渡しに際しましては、講習会の受講を義務づけ、動物愛護思想の高揚と適正な飼育管理の徹底を図っているところでございます。 30: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 31: ◯緒方直之君 今、御答弁いただいたことがしっかりできているのであれば、ではなぜそこまで殺処分率が高い現状があるのかということも、やはり考えなくてはいけないのかと、率直に今感じました。多分、そういった意識の高い人は講習を受けなくても多分大丈夫だろうし、逆に、余りそういった感覚を持っていない人たちにこそ網をかけていくことが実は大切なのではないか、見えないところにそういった原因があるのではないかなという気もいたしましたので、引き続き取り組んでいただければと思います。  それでは、次に譲渡の促進についてお伺いしたいと思います。  不幸にして動物愛護センターなどに収容された動物たちを飼い主のもとに戻し、それがかなわないのであれば次の飼い主を探すことも重要な対策であります。  例えば、先進事例として知られる熊本市動物愛護センターでは、引き取った犬を機械的に処分するのではなく、殺処分ゼロを合い言葉に、あえて嫌われる行政機関になることもいとわない取り組みを行っているそうであります。時には、犬を持ち込んできた飼い主に厳しい態度で接し、翻意や新しい飼い主を見つけるよう求め、みずからも迷い犬をホームページで紹介するとともに、保護した動物については、身ぎれいにし、教育することで里親が見つかりやすい状態にするなど、最大限の努力をしているのです。この結果、引き取りと殺処分数が激減する一方で、飼い主への返還や譲渡の増加などにより生存率は八割を超えるまでになっているとのことであります。  そこで、本県においても、引き取り数の削減や収容された動物の譲渡の促進に向けて効果的な対策が必要と考えますが、どのような取り組みをしておられるのか、お伺いいたします。 32: ◯議長(林 正夫君) 健康福祉局長佐々木昌弘君。 33: ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 本県におきましては、平成二十年三月に策定しました広島県動物愛護管理推進計画において、引き取り頭数の減少を図るため、飼い主が最期まで責任を持って飼うように指導することを基本として、その啓発や引き取り場所の削減等を図ることとしております。  また、動物愛護センターに収容された犬や猫の譲渡に関する情報提供を県のホームページやさまざまな講習会等の機会をとらえて行うとともに、個人だけでなく、譲渡に取り組むボランティア団体等とも連携し、譲渡先の確保に努めているところでございます。 34: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 35: ◯緒方直之君 ぜひ、そうした取り組みをNPO等ともしっかりと手を携えて対応していただけるように要望して、最後の質問に行かせていただきたいと思います。  少し違った角度から一点だけお伺いしたいと思います。  凶悪な犯罪を起こした少年が、その前段階として動物虐待を繰り返しているということを報道などでよく耳にするところであります。  少年犯罪と動物虐待の関係について、専門家でない私には軽々に判断はできませんが、それでも、幼いころから動物を慈しむことは心の成長によい影響を与え、凶悪な少年犯罪の芽を摘むことにも寄与すると確信いたしております。子供たちがリアルに動物と接する中で、命の大切さやはかなさを理解し、生命を育てることの責任感を身につけることで、他人に対する思いやりがはぐくまれ、自分も一人で生きているのではなく、周りの人々によって生かされていることを理解できると思うのであります。  そこで、こうした観点に立って、動物愛護センターなどの見学会を開催するなど、子供たちに対する動物愛護教育を行い、それが収容されている動物の譲渡にもつながっていけばすばらしいことではないかと感じるわけですが、どのようにお考えなのか、お伺いいたします。 36: ◯議長(林 正夫君) 健康福祉局長佐々木昌弘君。 37: ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 県の動物愛護センターでは、施設の見学会に加え、幼稚園や保育所、小学校等に出向き、動物愛護教室を年間八十回程度開催しております。また、毎年、県内各地で市町と連携した県民参加型の「どうぶつ愛護のつどい」を開催するなど、地域に密着した啓発も行っているところでございます。  さらに、本年六月には、新たな制度として、地域に根差した住民への普及啓発等を行う動物愛護推進員を委嘱したところでございます。  県といたしましては、広島県動物愛護管理推進計画の基本方針でもあります人と動物との調和のとれた共生社会の実現に向け、今後とも、県民や市町、関係者等と連携・協働し、犬や猫の正しい飼い方などの普及を図りますとともに、動物愛護を促進してまいります。 38: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 39: ◯緒方直之君 動物にかかわるさまざまな不幸は、人間の心の映し鏡であると思っております。殺す施設から生かす施設へと、ぜひ、今おっしゃっていただいたような積極的な取り組みをさらに加速させていただきたいと思っております。  最後にもう一つ要望でございますが、それでもなお行われる殺処分に現場という最前線で取り組んでおられる職員に対する心身のフォローについてもぜひしっかり取り組んでいただくよう要望させていただいて、次の質問に移らせていただきたいと思います。  次は、警察の留置機能の充実についてお伺いしますので、警察本部長、答弁待機席のほうへお願いいたします。 40: ◯議長(林 正夫君) 警察本部長、答弁待機席へお願いいたします。 41: ◯緒方直之君(続) 皆様御存じのとおり、本県では、平成十五年から「減らそう犯罪」県民総ぐるみ運動を展開した結果、刑法犯認知件数をピーク時から半減させるという非常に大きな成果を上げております。  しかし、犯罪が減少する一方で、本県の被留置者の延べ人員は、平成八年以降毎年増加し、平成十八年には約九万七千人に達しております。その後、二年連続して減少したものの、平成二十一年は再度増加に転じ、十一年前の二倍強という高い水準になっております。  平成二十二年度の警察白書によりますと、本年五月現在の全国の留置施設の平均収容率は五九%となっておりますが、留置施設には、少年と成人、男性と女性、さらにはグループ犯罪の容疑者などについては一緒に留置できないなどの制約があることから、収容率が七割から八割近くに達した時点で実質的に収容力は限界に達するのが一般的と言われております。  そこで、まず、本県における留置施設の収容状況がどうなっているのか、現状についてお伺いいたします。 42: ◯議長(林 正夫君) 警察本部長平野和春君。         【警察本部長平野和春君登壇】 43: ◯警察本部長(平野和春君) 平成二十一年は、年間で述べ八万六千人余を収容いたしまして、収容率は五八・七%であります。同じく広島市域を管轄いたします七警察署では、延べ四万人余を収容し、収容率は八三・三%であります。 44: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 45: ◯緒方直之君 今、御答弁がありましたが、広島市内においては八三%を超えているということでありますから、先ほど私が申し上げた現状になっているのではないかと思っております。そこで、まず、整備拡充についてお伺いしたいと思います。  留置施設の収容力は、円滑な捜査活動を進め、治安基盤を確立する上で欠かすことのできない機能であることはもちろん言うまでもありません。留置施設があいていないからといって犯罪が待ってくれるはずもなく、収容力に余裕がないときに逮捕者が出れば、所轄外の留置施設に委託留置せざるを得ないのであります。この結果、取調官が遠隔地にある警察署に出向いて取り調べざるを得ず、余分な時間を費やすために負担が増し、迅速な捜査活動に支障を来していると聞いております。  こうした現状を踏まえますと、まず、直接的に改善効果があらわれる留置施設の整備拡充をする必要があるのではないかと考えるわけですが、どのようにお考えなのか、お伺いいたします。 46: ◯議長(林 正夫君) 警察本部長平野和春君。 47: ◯警察本部長(平野和春君) 従来から、広島市域における収容率が高く、関係警察署間での委託留置等の状況が見られましたことから、広島市域における整備拡充策として、平成十八年三月に警察本部留置施設が整備されたところであります。  また、同様に収容率が高い水準にありました福山市域につきましては、平成二十年四月に福山北警察署留置施設が整備されております。  今後、仮称でございますが、佐伯警察署の整備を進めてまいります中で、さらに必要な留置施設の確保に努めてまいりたいと考えております。 48: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 49: ◯緒方直之君 福山北署も確かに整備されましたし、そして、今後、佐伯署が整備されれば、先ほど申し上げた広島市の留置施設の状況というものも改善されるというふうにとらえておきたいと思っております。  では、最後に、実際の留置管理業務についてお伺いしたいと思います。  被留置者がふえることや、検察庁等への護送に余分な人員と時間をとられるため、留置管理業務にも支障が出ることに加え、不足する人員を地域部門等の警察官で補完せざるを得ないこともあるそうですから、そういった意味では、特に警察署において、地域警察活動等への影響も懸念されます。  財政状況が厳しい中、ハード面での対応に制約があるとするならば、例えば、被留置者を護送する方法を工夫するなど、別の視点から留置管理業務の効率化を検討することも必要になるのではないかと考えますが、今後どのように取り組んでいくおつもりなのか、お伺いいたします。 50: ◯議長(林 正夫君) 警察本部長平野和春君。 51: ◯警察本部長(平野和春君) 議員御指摘のとおり、限られた人員を有効に活用します上でも、護送を含めた留置業務の運用改善は重要な課題であると認識いたしております。  このため、広島市内の四警察署を巡回し、被留置者を一括して検察庁等に護送します集中護送を昭和五十七年に開始いたしております。その後、段階的に市内他署及び広島市周辺の警察署に拡大いたしまして、現在は、九警察署及び本部留置施設を巡回する集中護送を実施いたしております。  今後とも、他市域での同様の運用を含めまして、留置管理業務のさらなる効率化について検討してまいる所存でございます。 52: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 53: ◯緒方直之君 今、十カ所ということでございましたので、今後、地域がさらに広がって、県内、例えば福山市などもそうだと思いますが、集中護送方式を積極的に取り入れて、留置管理業務の効率化、さらに業務が行いやすくなるように取り組んでいただき、そして捜査員の方がさらに捜査をしっかりしやすくなるように、ぜひ積極的に取り組んでいただくことを要望しておきたいと思います。  続きまして、児童虐待の防止対策についてお伺いいたします。  児童虐待防止法が施行されて十年が経過し、すべての国民に対する通告の義務づけ、教職員や医師の早期発見の義務化、そして行政組織の権限強化など、確かに法的な整備は進みました。
     しかし、虐待事件は一向に減ることなく、八月には、福山市で二歳の女の子がとうとい命を落としてしまいました。幾ら法改正がなされても、その法律が人々に求める行動が現実に行われなければ現状は何も改善されないのであります。やはり、地域住民や関係者が、虐待に無関心になることなく、異変のサインとなるものをいかに早くキャッチして対応できるかがかぎになるのであります。  そこで、児童虐待に対する地域のセンサー機能を高め、虐待を未然に防止するためには、県内すべての市町に設置されております、子どもを守る地域ネットワークの活用が重要と思いますが、どのように連携を図っていくおつもりなのか、お伺いいたします。 54: ◯議長(林 正夫君) 健康福祉局長佐々木昌弘君。         【健康福祉局長佐々木昌弘君登壇】 55: ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 児童虐待の防止策の一つとして、地域ぐるみで虐待防止に取り組むネットワーク組織である要保護児童対策地域協議会の設置を市町に働きかけてきており、その結果、平成二十年度末までに、議員御指摘のとおり、同協議会は全市町に設置されたところでございます。  県といたしましては、こども家庭センターの職員を構成員として参画させ、この協議会の円滑な運営を支援しておりますが、今後とも、定期的な情報交換の推進などによりこの協議会が持つ情報共有機能をさらに充実し、身近なところでの虐待の未然防止に向けたネットワーク機能の強化に努めてまいります。 56: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 57: ◯緒方直之君 強化に努めてまいりますという御答弁でありましたが、さらに具体的にどのようにするのか、私たちにもわかりやすく提示していただいて、本当にこのネットワークを生きたネットワークにしていければというふうに思っております。  先般の決算特別委員会におきまして、今、御答弁の中にも出てきましたけれども、虐待問題の相談を受け付けているこども家庭センターで職員一人当たり何件の相談を抱えていらっしゃるのですかという私の質問に対し、児童福祉司三十三名の配置に対し千百八十二件の相談を受けており、一人当たり三十五・八件との御答弁をいただきました。この一人当たり三十五・八件という数字は、担当職員にとって肉体的にも精神的にもかなりの負担であろうというのが、私の率直な印象であります。  言うまでもなく、虐待は子供たちの命にかかわる問題であり、一刻も早く根絶すべき問題でありますが、児童虐待相談件数が過去最多となっている現在の社会情勢を見れば、これらの要因が短期間で改善されるとは考えにくいのも事実であります。  支援体制を強化しながら、今後も長期的な視点を持って粘り強く対策を進めていく必要があるわけですが、今後、必要な体制整備を進めていく上で、人員の適正配置の観点からすると、一人当たり三十五・八件という相談件数をどのようにとらえておられるのか、また、もし適正でないとすれば児童福祉司の配置数を増員する見通しがあるのか、あわせてお伺いいたします。 58: ◯議長(林 正夫君) 健康福祉局長佐々木昌弘君。 59: ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 児童虐待に対応する児童福祉司の配置基準は、児童福祉法の施行令で人口五万人から八万人に一人と定められており、この基準を本県に当てはめますと、児童福祉司の配置数は、下は二十二人から上は三十四人となります。現在、県では三十三人の児童福祉司を配置しておりますので、この基準の上限三十四人のほぼ上限に近い配置となっております。  その一方で、児童福祉司一人当たりの相談件数は、法令等による基準もなく、件数の計上が都道府県によって統一されておりませんことから単純に比較はできませんが、決して少なくなく、相談支援体制の充実が必要と考えております。  このため、当面、現行体制の中で職員のキャリアアップや相談支援方法の効率化等により体制の質的向上に取り組みますとともに、今後、組織体制についても検討してまいります。 60: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 61: ◯緒方直之君 いっぱいいっぱいというところで、そうなってくると、では、私たち県で取り組まなければいけないという厳しい現状もあり、やはり国に対してもっと要望していかなければいけないと、今、すごく感じました。  実際、その限られた人員の中で、ではどうやって最大の効果を出していくかというところなのですが、現在、県のこども家庭センターは広島市を除く広大なエリアを三つのセンターで所管されています。家庭を取り巻く社会環境が劇的に改善されない限り、多少職員を増強したところで対応に限界があるのは明らかであります。やはり、その地域の実情に詳しく、住民に一番近い市町と適切な役割分担を行うとともに、緊密に連携をとっていくことが不可欠ではないでしょうか。  児童福祉法の改正により、すべての市町が児童虐待の通告対応を含む児童相談を受けることができるようになっておりますし、人口規模が三十万人以上の自治体は、政令で個別に指定を受ければ児相、いわゆる児童相談所を設置できるようになっております。そうした制度的な環境は整っているのではないかと感じております。  そこで、児童福祉司の増員は現実的に難しいという御答弁があったと思うのですけれども、その中で、それならば、市町が今以上に主体的に取り組むことができるよう、権限移譲を含めて市町の機能強化を支援していく必要があるのではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか、御所見をお伺いします。 62: ◯議長(林 正夫君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 63: ◯知事(湯崎英彦君) 県では、市町の機能強化の支援に向けて、市町職員の資質向上のために、新任職員を対象とした基礎研修や事例検討を中心といたしましたグループ研修、そして、さらには児童福祉司の任用資格を得るための児童福祉司任用資格講習などを経験や業務に応じてきめ細かく行っておりまして、児童虐待に対応する人材の育成を図っているところでございます。  また、個別事案への対応についても、市町が設置する要保護児童対策地域協議会というのをつくりまして、ケース会議において、こども家庭センター職員が個々の事案の援助方法について助言・指導したり、直接相談に応じているところでございます。  今後とも、こうした支援を充実することによりまして市町の対応能力の向上を図ってまいりたいと考えております。 64: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 65: ◯緒方直之君 現在の虐待問題の根絶に向けて、今、知事からも、局長からも御答弁がありましたように、職員の皆さんがものすごく努力されているということは私も十分理解しております。それはもう本当にすごく努力されている。  しかし、本県において、絶対出したくなかった死亡事件が起きてしまったということ、これもまた事実なのであります。  私たち大人であれば声を上げることができても、虐待問題の当事者である子供たちは声を上げることができない。私たちが積極的に変わっていかなければやはり何も変わらないのかということを感じております。  今の知事の御答弁の中で、一生懸命さまざまなことに取り組んでいる、そして、量だけではなく質を確保していこうという決意も感じることができました。どうか、引き続き、積極的な対応をお願いさせていただきたいと思います。  次は、育休──育児休暇についてお伺いしたいと思います。  このたびの知事の育児休暇は、全国的にも大きな反響を呼び、注目を集めました。一昨日の山下議員の質問に対し、知事からは、私の育児休暇取得により社会的な関心が高まったのは大変望ましいことだと考えているとの御答弁がありましたが、一方で、県民からは多くの反対意見があったのも事実であります。  そもそも、知事は、別に宣言をしなくても育休をとることができたのではないかと思うわけですが、それでも、知事が、県民の皆さんが育休をとりやすい環境をつくりたいとの思いからあえて宣言をされたのだと思っております。  しかし、そうした意味からすると、五日間という結果はインパクトに欠ける感があるのではないでしょうか。インド出張などもあったかとは思いますが、逆に、宣言する時期を考慮されればより効果が上がったのではないかとも思うのであります。  だれもが知事の職が激務だということは理解されているとは思いますが、「ほら見ろ、育休宣言をしてもあの程度しか取得できないじゃないか。」と県民からマイナスに受けとめられれば、せっかくの知事の取り組みが裏目となり、今後の育休取得に悪影響が出るのではないかと危惧するものであります。  そこで、まず、この五日間という結果について、知事御自身はどのように考えておられるのか、お伺いいたします。 66: ◯議長(林 正夫君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 67: ◯知事(湯崎英彦君) 御指摘のとおり、私の育児のための休暇取得については、片や反対の御意見があり、片や少な過ぎるという御意見があるというふうに承知しております。  私のこの休暇取得は、育児は社会全体において重要な活動である、また、育児休暇は社会的によいものである、男女を問わず可能な限り積極的に取得するべきものであるという価値観を訴えて、社会全体の機運を盛り上げていきたいという思いで決断したものでございまして、議員御指摘のとおりでございます。  折しも、第三子が誕生してからの一カ月間は、インドなどへの出張やノーベル平和賞受賞者サミットなど、私自身が対応しなければならない公務が多くございまして、思うように育休を取得することはなかなか難しくございましたけれども、極力日程を調整し、育児にかかわれたことはよかったと思っております。また、今御指摘のございました五日という日にちには計算に入れておりませんけれども、出勤途上で子供を送ることもできておりまして、そういった、今御指摘のこととは別の形での関与ということもできております。  こういった制約等はございましたけれども、実際に育児休暇を取得することによって育児の大変さと同時に子供と過ごす時間を持てたということはありがたいことであったと思っておりまして、今後も、できるだけ育児にかかわっていきたいと改めて思った次第でございます。 68: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 69: ◯緒方直之君 丁寧な御答弁ありがとうございました。ただ、確かに私、時期を考えたらと申し上げましたけれども、そもそも知事にお暇な時期があるのかどうかというのもあるかもしれません。そういった点では、いつでも難しかった、それでも宣言をされたということは一つのスタートを切ったということだと思いますし、ただ、今おっしゃっていた五日以外にもされていた、私たち議員の皆さんも多分同じようなことは経験されていると思います。ただ、それは、だれも育休ということはもちろん言っていなかったと思うのですけれども、宣言されたということで、ぜひそういったことも踏まえておっしゃっていただいていいのではないかとも思います。  そして、今回の取り組みに対する男性の考え方については、一部の強烈な首長を初め、多くの意見が聞こえてきましたが、一方で、忘れてはいけないのが、出産と同時に育児にかかわる女性側がどう受けとめたのかということであります。  そこで、家庭の中に立ち入るような質問で恐縮でございますが、育児休暇によって知事からサポートを受けられた奥様の反応はどのようなものであったのでしょうか、お伺いいたします。 70: ◯議長(林 正夫君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 71: ◯知事(湯崎英彦君) 私の妻は、いろいろ議論が起こっていることに対して余り無理をしないようにというふうに気遣いをしておりましたけれども、いずれにしても、育児にかかわることができたことについてありがたく思ってくれておりますし、また、私のこの育児のための休暇の取得を通じて男性の育児に対する社会全体の理解が進むことを強く期待してくれております。 72: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 73: ◯緒方直之君 実は、私も知事と同じ三人の子を持つ子育て実践世代の人間でもあります。そこで、私も妻に今回のことを聞いてみましたところ、「終日休んだわけでもないんでしょう。送り迎えだけでも助かるものなのよ。」と、感想なのか要望なのかわからない言葉をもらいました。  そこで、最後に、今後のことについてお伺いしていきたいと思います。  知事は、育児休暇に関するメッセージの中で、これからも県民の皆様とともに子育てしやすい環境づくりに取り組みたいとおっしゃっています。  しかし、育児休暇がふえない背景には、一昨日御答弁されたように、マイナス面や意識の問題などさまざまな要因があります。最も多かった要因は、休業中の収入が減少するからというものでしたが、例えば、知事の場合でも、収入が減るとなった場合に、奥様も「それならとってもらうのはちょっと」とためらわれたかもしれません。うちは確実にそうなると思います。もちろん、そうした事情は人それぞれでしょうが、今回の取り組みに関して言えば、育休取得がふえない理由がはっきりしたわけですから、やはり一石を投じた知事御自身が率先して解決する姿勢を見せなければ、県民に対する説得力に欠けるのではないかと思うのであります。  そこで、知事には、これからもお子さんとのスキンシップ、そして奥様のサポートのために積極的に育児休暇を取っていただき、それを県民に情報発信してはどうでしょうか。知事のメッセージを体現する方法として、また、今回の問題提起で盛り上がった機運を一過性のものに終わらせない意味でもよいのではないかと思うのですが、いかがお考えでしょうか、率直な思いをお聞かせください。 74: ◯議長(林 正夫君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 75: ◯知事(湯崎英彦君) 育児のための休暇につきましては、子供が生まれて一カ月しましたところで一区切りをつけたところでございます。私は、日ごろから、仕事が終わった後あるいは休日等にはできる限り育児に携わっておりますし、いろいろな場面で子供といるところをマスコミに取材されることも多々ございます。そこは、ある意味甘んじてプライベートを公開しているわけでございますけれども、こういったことは今後も続けてまいりたいと思っております。  本県では、ことし三月に「みんなで育てるこども夢プラン」を策定いたしまして、子育てしやすい環境づくりに向けて社会全体の機運醸成を図るために、情報発信を含め、ハード・ソフト両面にわたって重点的に取り組んでいるところでございます。  こういった流れの中では、もちろん私自身が育児についての情報発信を行うという場面も引き続き出てくると思っておりますので、そうした機会も含めて有効に活用して、積極的なPRを継続していきたいと思っております。 76: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 77: ◯緒方直之君 今回の育休の取り組みについて、一部、パフォーマンスではないかといった声も出たのは事実でございます。今おっしゃっていただいたことをぜひ積極的にしていただきたい。一区切りついたと先ほどおっしゃっていましたけれども、私もそうですが、子育てがずっと続いていく中で、まだまだ必要とされている場面も多々出てくると思います。社会の価値観を変えるのは相当に高いハードルがあるとおっしゃっていましたが、しかし、いつかは変えなければいけない、越えなければいけないハードルかもしれません。  ちなみに、自民党が、今、まちのあちらこちらにポスターを張らせていただいております。私どもの谷垣総裁が「いちばん」とポーズをとっている、このポーズしているところにグリーンベルトをしています。このグリーンベルトには刻印がしてあります。8819LDP──LDPというのはリベラル・デモクラティック・パーティー、自民党のことですけれども、8819というのは「パパイクキュウ」と、つまり、自民党総裁みずからが育休についてもメッセージを発信しているということをお伝えして、次の質問に行かせていただきたいと思います。  次は、高等学校の学力向上対策についてお伺いしますので、教育長、答弁待機席のほうへお願いいたします。 78: ◯議長(林 正夫君) 教育長、答弁待機席へお願いいたします。 79: ◯緒方直之君(続) 先日の決算特別委員会におきまして学力向上対策についてお伺いいたしました。教育長は、「生徒が与えられた学習課題をこなすだけでなく、学習した内容を深く探求するよう指導する。」と答弁されたところであります。私も、生徒が、教えられたことをうのみにするのではなく、そうした意識を持って学習に励むことが大事であり、そのためには生徒同士が刺激し合える環境が必要だと考えております。  こうした中で、現在、学力向上対策の一つとして、複数の指定校から希望者を集めた合同合宿が行われておりますが、この合宿のねらいと成果についてお伺いいたします。 80: ◯議長(林 正夫君) 教育長榎田好一君。         【教育長榎田好一君登壇】 81: ◯教育長(榎田好一君) 教育委員会では、複数の学校の生徒が他校の生徒と切磋琢磨しながら学習意欲を高めることをねらいとして、高等学校学力向上対策事業の指定校のグループごとに希望者を集めた合同学習合宿を平成十八年度から実施しているところでございます。  本年度の合宿に参加した生徒に対するアンケート調査の結果を見ますと、約三分の二の生徒が、与えられた課題だけでなく、みずから課題を見つけて積極的に取り組もうと思うと回答するなど、学習意欲の向上に効果を上げております。  また、例えば、高い進路目標という観点から見れば、大学入試センター試験の得点が全国平均点を二〇%以上上回る者の数が、平成二十二年度入試では三百三十六人であり、合同学習合宿実施前の一・七倍となるなど、生徒の学力向上につながっていると考えております。 82: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 83: ◯緒方直之君 わかりました。そこで、次に、この合同合宿をさらに進めた形で取り組めないかという観点で質問させていただきます。  私は、学力向上のすそ野を県下の学校全体に広げていくためには、学校ごとの取り組みに加え、複数の学校にまたがって生徒同士が切磋琢磨し、学習意欲を高めることが有効ではないかと考えております。  要は、今ある指定校のみでなく、例えば、トップリーダーハイスクール五校とかだけでなく、すべての学校の生徒を対象として、特に学力向上への意欲の高い生徒を各学校、全部の学校から募って、トップリーダー養成塾のような場を設けてはどうかと考えるわけです。  つまり、トップリーダーハイスクールの五校の中には、残念ながらついていけない生徒もいるでしょうし、指定されていない高校にも学力優秀な生徒は必ずいると思うのです。ですから、すべての学校の生徒を対象として募って、トップリーダー養成塾のような場を設けてもいいのではないかと思います。  そういったところで切磋琢磨した生徒が、今度は各学校に帰っていってフィードバックして、一つの刺激剤として働くことで、学校全体の学力向上にも結びついていくのではないかと思います。  私自身、全国青年都道府県議会議員の会というものがございまして、全国の若手議員と交流しておりますけれども、思いがけない意見を聞いたり、新たな視点を持つことができるなど、大変得るものが多いとも感じております。  そこで、県内すべての学校で、生徒同士が刺激し合うことにより学習意欲を向上させる新たな取り組みが必要な時期ではないかと考えますが、御所見をお伺いします。 84: ◯議長(林 正夫君) 教育長榎田好一君。 85: ◯教育長(榎田好一君) 本年度の合宿に参加した生徒のアンケート調査結果を見ても、約九〇%の生徒が他校生の学習方法や学習態度が参考になったと回答しており、合同学習合宿は、生徒が互いに切磋琢磨し学習意欲を高めるために非常に有効な方法であると考えております。  こうしたことから、教育委員会といたしましては、高い目標を持つ生徒が指定校の枠を超えて幅広く合同学習合宿に参加できる方策について検討してまいりたいと考えております。 86: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 87: ◯緒方直之君 この取り組みの先にあるのは、やはりこの広島を心から愛する、学力至上主義ではなく真のエリート育成にあると私は思っております。ぜひ、積極的に取り組んでいただければと思います。  時間がなくなってまいりましたので、少し早口でいかせていただきたいと思います。  次は、広島市子ども条例に対する認識についてであります。  このことについては、これまで委員会等では質疑があったようですが、確認の意味を踏まえ、この本会議の場において改めて教育長の御所見をお伺いします。  広島市では、子供の権利の尊重や擁護を基本理念とする子ども条例を制定しようと準備を進めておられますが、その内容をめぐって賛否両論沸き起こっております。  教育長は、当然、この条例素案をごらんになっていると思いますが、まず率直な感想をお伺いいたします。 88: ◯議長(林 正夫君) 教育長榎田好一君。 89: ◯教育長(榎田好一君) 児童の権利に関する条約の発効時において、当時の文部省は、本条約の発効により教育関係について特に法令等の改正の必要はないとした上で、児童生徒の人権に十分配慮し、一人一人を大切にした教育の充実が図られることが肝要であると通知しております。  私も同様の考えであり、これまで、学校の教育活動において、公共の精神や道徳心など、児童生徒の豊かな心をはぐくむ教育の充実に取り組んでまいりました。 90: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 91: ◯緒方直之君 僕の質問の答えとして、何かキャッチボールができていないような気がするのですが、ごらんになったのですよね。わかりました。では、違った形で質問します。  この条例が、子供の生きる権利、教育を受ける権利が認められるということは当然でありますが、一方で、公衆の道徳に優先して自己の意見表明や表現の自由を権利として過度に認めると、しつけや教育が成立しなくなるのは明らかであります。  また、教育長は、平成二十年の予算特別委員会で、我が会派の石橋議員の質問に対し、成長期にある子供にとって規範意識を培うことが重要と御答弁されておりますが、こういった条例が制定されればそうしたことも難しくなるのではないかと思っております。  私は、この条例が制定されれば、本当にこのようにさまざまな問題を引き起こしかねないと懸念いたしておりますが、教育長はいかがお考えでしょうか、御所見をお伺いします。 92: ◯議長(林 正夫君) 教育長榎田好一君。 93: ◯教育長(榎田好一君) 県教育委員会といたしましては、次代を担う子供たちが、自己の権利を主張するだけでなく、他者の権利を尊重し、社会や公共のために貢献しようとする心をはぐくむことが重要であると考えております。
     広島市子ども条例の素案には、子供がみずからにかかわることについて自由に意見を表明し参加する権利や、子どもの権利擁護委員会の設置などが示されております。  このため、子供たちが、学校が定める校則などについて、条例に基づいて意見を表明する権利を主張したり、救済の申し立てを行うといったことにより、円滑な学校運営の妨げになることもあるのではないかと懸念しているところでございます。 94: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 95: ◯緒方直之君 懸念を感じるということでございました。  最後に、仮に、もしこの条例が制定されれば、小中学校においてこの条例が掲げる理念のもとで教育を受けた子供たちがいずれ県立高校に入学してくるわけでございます。  そのときに、これらの子供たちが、これまでの県教育委員会が進めてきた教育方針を素直に理解し、先ほどおっしゃっていましたけれども、学校運営のルールにスムーズになじむことができるのかと不安を感じざるを得ないわけでありますが、教育長はこの点についてどのような見方をしておられるのか、お伺いいたします。 96: ◯議長(林 正夫君) 教育長榎田好一君。 97: ◯教育長(榎田好一君) 県教育委員会といたしましては、平成十四年に「豊かな心を育むひろしま宣言」を発信し、全県を挙げて道徳教育の充実に力を入れてきたところでございます。  今後とも、すべての小中学校において、自己の権利を主張するだけでなく、他者の権利を尊重し社会や公共のために貢献しようとする心をはぐくむことは重要であると考えております。  こうしたこともあり、現在示されている条例の素案には、先ほど申し上げたような懸念につながる内容が含まれていると考え、広島市に対しその旨を伝えているところでございます。 98: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 99: ◯緒方直之君 ぜひ、積極的に強く意見表明をしていただいて、県教委が目指す方向性に沿った子供たちの育成に向けて頑張っていただきたいと思いますし、以前、親学ということの必要性についても申し上げました。こうしたことを通して、子供の権利ではなく親の義務について、少しきちんと力を入れて行っていくことも必要なのではないかということを申し上げておきたいと思います。  それでは、最後の質問として、選挙における投票率の向上対策についてお伺いいたしますので、選挙管理委員会事務局長は答弁待機席のほうへお願いいたします。 100: ◯議長(林 正夫君) 選挙管理委員会事務局長、答弁待機席へお願いいたします。 101: ◯緒方直之君(続) 我が国では、投票率の低下傾向に歯どめがかかっておりません。政権交代で注目を集めた昨年の総選挙ですら六九%、本年七月にあった参議院選挙は五七%でありました。  地方選挙はさらに低調で、直近の広島県知事選挙は三三%、県議会議員選挙は五三%でありました。  私は、平成十九年二月定例会、つまり前回の統一地方選挙の前になりますが、やはり投票率の向上対策についてお伺いし、投票率の向上に向けた効果的な啓発活動を展開している旨の御答弁をいただきました。  そこで、現在まで、投票率を上げるためにどのような取り組みを行ってこられたのか、お伺いいたします。 102: ◯議長(林 正夫君) 選挙管理委員会事務局長川上俊幸君。         【選挙管理委員会事務局長川上俊幸君登壇】 103: ◯選挙管理委員会事務局長(川上俊幸君) 投票率向上のための取り組みといたしましては、従来から幅広い年齢層を対象として、テレビ、ラジオ、新聞、ポスターや街頭啓発などによる広報を実施しております。  さらに、最近の選挙では、若者向けのフリーペーパーへの広告掲載、選挙権を得て間もない有権者への重点的な啓発として県内の大学祭におけるPR活動の実施、ニューファミリー層に人気のある県内ゆかりのマスコットキャラクターの起用など、新たな啓発活動も実施しております。  また、将来の有権者に対する政治参加、投票参加のきっかけづくりとして、平成十九年度から、新たに小中学生を対象に、選挙の仕組みなどに関する講義や模擬投票等を行う選挙出前講座を実施するなど、日ごろからの啓発活動にも地道に取り組んでいるところでございます。 104: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 105: ◯緒方直之君 時代のスピードに合わせてさまざまな取り組みも行っているということは理解はできました。しかし、残念ながら、先ほど申し上げたように、投票率の向上にはまだまだ結びついていないようにも感じております。  そもそも、民間企業においてもそうでありますが、啓発とか広報活動というものは人を動かしていく事業でありますから、そこに十分な社会学的分析に基づいた取り組みがなされるべきであり、当然ながら、このことは選挙管理委員会が行う選挙啓発についても当てはまるのではないでしょうか。  有権者を投票行動へと結びつけるのであれば、その地域の有権者はどのような環境に置かれているのか、どのような特性や行動パターンを持っているのかなどの把握が必要であり、十把一からげのやり方だけでは効果的な対策を打つことはできないのではないかと考えます。  都市部と過疎地域、高齢者と若者では、取り巻く事情や考え方が違うでしょうし、また、地方レベルの選挙では、地域への関心がまだ育っていない転入者の投票率が低い傾向にあるという指摘もあります。そうであるならば、こうしたことを丁寧に分析し、その結果を踏まえながら、それぞれのターゲットに応じた啓発・広報活動を行っていくことが必要ではないでしょうか。つまり、選挙の啓発・広報活動におけるプラン・ドゥー・チェック・アクションのPDCAサイクルが不可欠なのであります。  そこで、これまで投票率向上に向けてどのような分析を行ってこられたのか、その中で成果が上がらない要因をどのようにとらえておられるのか、お伺いいたします。 106: ◯議長(林 正夫君) 選挙管理委員会事務局長川上俊幸君。 107: ◯選挙管理委員会事務局長(川上俊幸君) これまでの調査・分析によりますと、やはり男女ともに年齢が下がるにつれて投票率も低くなる傾向が顕著であり、特に、都市部の若年層の投票率の低さが全体の投票率低下の最大の要因であると考えられます。  投票率と政治的関心には相関関係があり、若年層ほど政治的関心が薄く、また、自分一人くらい投票してもしなくても世の中は変わらない、あるいは投票に行くか行かないかは個人の自由だという意識を持つ割合が非常に高いという傾向が明らかになっております。  このことから、これまでの啓発活動では必ずしもこのような若者の意識を変えるに至っておらず、今後は、若者に政治や選挙への関心を高めていただけるような取り組みが求められていると考えております。 108: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 109: ◯緒方直之君 確かに、今おっしゃったように、都市部の若年層の投票率が低い、その理由として「自分の一票じゃ何も変わらない。」とか「何で行かなきゃいけないんだ。」ということを言われると、やはりそこに一個一個ぶつかっていかなければ変わらないと思うのです。  私は、今、同僚であります佐藤議員、窪田議員とか、あるいは広島市議会、三次市議会、廿日市市議会、江田島市議会の若手議員と一緒に、若年層に対して顔と顔を突き合わせて「なぜ選挙に行かないんだ。」という話を徹底的にします。同じような意見を言われます。そこで、「しかし、一人が百票を持っている人間はいないんだよ。」、「あなたたちの一票でしかこの国は変わらない、日本は変わらないんだ。」ということを熱く訴えれば、彼らもわかってくれます。そして、選挙権も闘いの歴史から得てきたものだということを伝えれば、彼らは必ず「わかりました。」、「こうして話したことはなかった。初めてでした。必ず次の選挙は行きます。」と言ってくれます。  しかし、私たちだけの活動では限界があります。ぜひ、そういったところにも後押しをしていただく、あるいはもっと上から網をかけていただくように、率先して取り組んでいただければと思っております。  時間がなくなってまいりましたが、申し上げておかなくてはいけないのは、この投票率が上がらないのは、そうはいいながら、選挙管理委員会だけの責任ではもちろんありません。最も重要なのは、選ばれる側の政治家が魅力のある政策を提示し、それを実行することであろうと思います。その上で、政治がみずからの生活に大きな影響を与えるのだということを有権者に認識していただくこと、そして、投票を促すための選挙制度の見直しや投票に行きやすい環境づくりが重要だと申し上げているのであります。  選挙制度の見直しは国の所管でありますが、都道府県によっては、県民性や地勢条件などが異なるのですから、それぞれの地域にふさわしいやり方を模索していくべきではないかと思います。開票作業を効率化する工夫として、イチゴパックの使用が効果を上げたことは有名でありますが、選挙に行きやすい環境づくりや啓発活動についても、広島ならではのモデルを生み出していただければとも感じております。  そこで、最後にお伺いいたします。国の事業仕分けで選挙啓発事業が廃止判定を受けるような状況の中、来春には統一地方選挙が控えておりますが、投票率の向上に向けてどのように取り組んでいくおつもりなのか、お伺いいたします。 110: ◯議長(林 正夫君) 選挙管理委員会事務局長川上俊幸君。 111: ◯選挙管理委員会事務局長(川上俊幸君) 投票率向上に向けました抜本的な対策につきましては、これまで行われた投票時間の延長や期日前投票制度の導入などのような選挙制度の見直しが国において検討される必要があると考えております。  県選挙管理委員会といたしましては、これまでの啓発活動に加え、大学生やNPO法人などの幅広い主体と連携した、より効果的な啓発活動について検討を進めているところでございます。  中でも、若年層の投票率の向上に向けては、電子メールによる投票参加の呼びかけや議員と若者との交流活動など、若者の投票参加に取り組んでいる学生団体の先進的な活動事例なども参考にしながら、若者が政治や選挙への関心を高め、自分の一票で世の中が変わるという意識を持っていただけるような啓発活動を実施してまいりたいと考えております。 112: ◯議長(林 正夫君) 緒方直之君。 113: ◯緒方直之君 私たちも実践しておりますので、ぜひ声をかけていただければというふうにも思います。  そして、私たち自身も有権者に対してしっかりとした政策を打ち出し、夢を描き、選挙管理委員会とも協力し合いながら、来年、皆さんにしっかりと選挙に行っていただけるように、そしてまた、私もこの場所で活動できるように努力することをお誓いいたしまして、私の質問を終了とさせていただきます。  御清聴、まことにありがとうございました。(拍手) 114: ◯議長(林 正夫君) この際、暫時休憩いたします。午後の会議は一時から開きます。         午前十一時四十分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後一時一分開議 115: ◯議長(林 正夫君) 出席議員五十一名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続いて質問を行います。桑木良典君。         【桑木良典君登壇】 116: ◯桑木良典君 皆さん、こんにちは。民主県政会、三原市・世羅郡選挙区選出の桑木良典でございます。今次定例会におきまして質問の機会を与えていただき、議長を初め、先輩議員、同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げます。  さて、本県を取り巻く情勢は、長引く景気の低迷が続く中、グローバル化の波もいや応なしに私たちの足元に押し寄せてきており、先行きの不透明感と閉塞感が漂う中、多くの方が将来への不安と心配を抱いております。  そのような社会状況の中で、湯崎知事が就任されて一年がたちました。積極的に県政運営に当たっておられる知事の姿勢に、多くの県民の方々が期待感を示しております。  本日は、私の日常活動の中で皆様から寄せられている地域の課題、とりわけ中山間地域の再生にかかわる問題や有事における広島県の危機管理体制などについて質問いたしますので、知事を初め、執行部の皆様におかれましては、県民の不安や心配を取り除き、また、本日傍聴に来てくださっている方々が県の取り組みに期待感が持てるよう、答弁をよろしくお願いいたします。  このたびの質問は一問一答方式で行いますので、質問台に移らせていただきます。(質問用演壇に移動)  初めに、本県にとっても大きな課題でありますTPP──環太平洋戦略的経済連携協定に関してお伺いいたします。  先月十六日の記者会見で、知事は、TPPへの参加、貿易の自由化については賛成であるという立場を示され、翌日の中国地方知事会においても、各知事において温度差がある中、TPP参加に対し前向きな発言をされたと聞いております。  知事は、賛成の立場をとられる理由として、農業への大きな影響もあるが、日本は貿易立国であり、輸出入の発展が富の増大につながることから、TPPは重要であると考えているということですが、改めて、TPPへ参加することによって本県にどのようなメリット、デメリットがあると認識されているのか、知事にお伺いいたします。 117: ◯議長(林 正夫君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 118: ◯知事(湯崎英彦君) 環太平洋戦略的経済連携協定、いわゆるTPPは、輸出入に係る関税の原則撤廃や人的交流の拡大、投資環境の整備、知的財産の保護等、幅広い経済関係の強化を目的とする協定でございまして、これに参加することは、アジア・太平洋地域の成長を我が県あるいは日本に取り込んで日本経済を活性化するための原動力になると期待されております。  こうした中で、自動車産業などグローバル経済に強く連鎖した輸出型産業のウエートが高い本県におきましては、関税が原則として撤廃されることにより、輸出拡大など国際競争力の強化や県内生産の維持に寄与するものと考えております。一方で、関税の撤廃に伴い、米などを初めとする安価な輸入農産物の増加が予想されまして、稲作を中心とする零細な個別経営が大半を占める県内の農業には少なからず影響があるものと考えております。 119: ◯議長(林 正夫君) 桑木良典君。 120: ◯桑木良典君 知事からも、少なからず農業分野に関して影響があるというお言葉がありました。TPPの参加により最も影響を受ける農業は、中山間地域の主要産業であります。今後の展開によっては中山間地域の衰退に拍車がかかるのではないかと非常に懸念しておりますし、負の影響は中山間地域の衰退だけにはとどまらないのではないかと心配もしております。  農業への影響として、農林水産省が行った試算の中に、カロリーベースの食料自給率が四〇%から一四%に低下するといった数字が出されています。  食料は戦略物資であり、食料自給率四〇%の日本が、広大な農地を有し価格競争力で圧倒的に優位に立つオーストラリアやアメリカといった国と同じ枠組みの中に入ること自体、最初から大きなハンディを背負うということになるとも言えると思いますが、TPP参加により、農林水産省の試算どおり食料自給率が一四%に低下し、海外の依存度が高まれば、命の根幹にかかわる問題に直面する事態も考えられます。  知事は、農業の経営体質の強化に早急に取り組む必要性を訴えておりますが、国内産と品質が余り変わらず、価格の安いものが大量に海外から入ってくれば、消費者の多くが国内産より輸入物を選択することは想像にかたくありません。  農業について述べてまいりましたが、TPPへの参加による影響を受けるのは農業だけでなく、農林水産業全体に影響を及ぼすのではないかと考えております。  県民の食料は県内で確保するくらいの強い気持ちで取り組んでいただきたいのですが、本県産業の中で農林水産業をどう位置づけ、どのような方向に導いていこうとされているのか、知事の御所見をお伺いいたします。 121: ◯議長(林 正夫君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 122: ◯知事(湯崎英彦君) 本県の農林水産業は、県民生活に欠かせない食料や木材などを生産するとともに、議員御指摘のとおり、農山漁村地域の主要な産業として重要な役割を果たしていると認識しております。  このため、二〇二〇広島県農林水産業チャレンジプランにおきまして、農林水産業を農山漁村地域の産業の核として位置づけまして、農業においては、地域の核となる経営力の高い担い手の育成、「つくったものを売る」から「売れるものをつくる」という生産体制の確立、あるいは産地と実需者や産地と産地が連携をする仕組みづくりなど、また林業では、効率的な木材生産体制の構築、県産材を最大限に活用する木材利用の実現など、また水産業では、経営力の高い担い手の育成、販売戦略を踏まえた生産・流通・販売体制の構築などを推進することとしておりまして、これらの施策を展開することにより、産業として自立できる農林水産業の確立に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。 123: ◯議長(林 正夫君) 桑木良典君。 124: ◯桑木良典君 知事より、多岐にわたる農林水産業の支援策を検討いただいているということでございますが、これはぜひとも成果が実る形にして政策を実施していただきたいと思います。  TPPへの参加に関しましては、農業者を中心に不安に感じている県民も多くおられます。国の動きを注視するだけでなく、県としてもしっかりと戦略を示していただき、中山間地域や小規模農家の方々に広がる不安を払拭するような、早目早目の対応をとっていただくことを要望し、次の質問に移ります。  次の質問も、中山間地域や農業者を大変悩ませている鳥獣被害対策に関してお伺いいたします。  この問題につきましては、これまでも質問させていただいているところでございますが、その被害がおさまる様子がないので、今回も何点か質問いたします。  野生鳥獣は全国的にふえており、有害鳥獣の捕獲数も、十年前と比較して、全国でイノシシは四・五倍、ニホンジカは二・二倍、ニホンザルは一・六倍となっております。このほか、一昨年あたりから、繁殖力が強く、気性の荒いアライグマによる被害が全国的に広がっており、本県でも、三次市でピオーネが食い荒らされたり、家屋がつめで傷つけられたりするといった被害も出ております。アライグマは、見た目がかわいらしいのですが、イノシシやシカを超える大きな被害をもたらすといった見方があり、早期の対策が絶対に必要です。  山が荒廃したため、イノシシやクマなどがえさを求めて人里や、時には市街地にも出没し、地域の方々から不安と駆除の声が多数寄せられております。  今月十一日にも、JR三原駅から二キロほど離れた住宅街の理容院にイノシシが突入し、幸い、けが人は出ませんでしたが、三原市教育委員会が、近くにある田野浦小学校に対し児童の登下校時の安全確保を指導するという事態が発生しております。  そこで、まず、本県において、イノシシ、シカ、猿、クマなど野生鳥獣による人的被害と農作物への被害がどのような状況になっているのか、お伺いいたします。特に、農産物被害については過去三カ年の被害額をお示しください。 125: ◯議長(林 正夫君) 農林水産局長冨永嘉文君。         【農林水産局長冨永嘉文君登壇】 126: ◯農林水産局長(冨永嘉文君) まず、本県の野生鳥獣による人的被害につきましては、調査を行っているツキノワグマによるものが、昨年度までの十年間で十件でございますが、本年度は、現在までで四件でございます。  次に、農作物の被害ですが、平成十九年度が七億八百万円、平成二十年度が六億三千五百万円、平成二十一年度は六億六千八百万円となっておりまして、そのうち、イノシシによるものが六割から七割と大きなウエートを占めております。 127: ◯議長(林 正夫君) 桑木良典君。 128: ◯桑木良典君 被害の大きさが、過去三年間で七億円、六億五千万円と、六億円を超えているということで、改めて被害の大きさを確認したわけでございますが、大切に育てた農作物がこのような被害に遭っている。農業者の方々のお気持ちは察するに余りあるものがございます。  先ほど御答弁にありましたように、鳥獣被害のうち、本県ではイノシシによる被害が最も多いことから、平成二十年度から平成二十一年度でイノシシ三万頭駆除事業を実施しております。  私は、その取り組みと成果に大いに期待しておりましたが、先ほど数字でもあらわされたように、地元の方からも被害の状況が改善されていないという声があるなど、残念ながら駆除事業の成果が上がっていないのではないかと考えております。  イノシシ三万頭駆除事業の事業成果として、二カ年で約三万六千頭を駆除したということを挙げておられます。ただ、数をクリアしただけでは根本的な解決と言えないとも思うわけでございますが、事業成果をどのように検証しておられるのか、お伺いいたします。 129: ◯議長(林 正夫君) 企画振興局長中山雅文君。         【企画振興局長中山雅文君登壇】 130: ◯企画振興局長(中山雅文君) この事業は、新たな過疎対策の一環として緊急的に実施したものであり、十八市町で活用され、駆除の基本となる箱わなの増強や一斉捕獲の強化などにより、二年間で捕獲二万頭余、狩猟一万五千頭余、合わせて三万六千頭余の駆除を達成いたしました。  こうした取り組みにより、市町の捕獲体制はこれまでの年間六千頭から一万頭規模に拡充され、また、農作物の被害額も平成十九年度までの増加傾向に歯どめがかかっていることから、この緊急対策は一定の効果があったものと認識しております。
     しかしながら、農作物への被害は依然として深刻な状況であり、今後とも、被害防止対策に取り組んでいく必要があると考えております。 131: ◯議長(林 正夫君) 桑木良典君。 132: ◯桑木良典君 一定の成果があったという御答弁でございますが、被害額が余り減っていないという御認識は共通であると思いました。ぜひとも、今後もそういった駆除対策事業についても力を入れていただきたいと改めて要望いたします。  一言で三万六千頭と言っても大変な数でありまして、駆除や処分には膨大な労力がかかる大変な作業だと思います。鳥獣の駆除には、市町や猟友会、農業者が連携し、その対策に当たっておられますが、高齢化の波が猟友会などの駆除実務者にも押し寄せています。  全国の狩猟免許の所持者の数を見てみますと、この二十年間で所持者自体が二割以上減っており、そのうち六十歳以上の割合は、平成二年の二割から、平成二十年度には六割を占めるに至っております。野生鳥獣も急増していますが、駆除を行う狩猟者の減少や高齢化等により今後の駆除対策に不安の声が上がっております。  本県においても同様の状態だというふうに考えるわけでございますが、猟友会などの駆除実務者の高齢化が進んでいる現状、どのような対策をとっていこうと考えておられるのか、お伺いいたします。 133: ◯議長(林 正夫君) 農林水産局長冨永嘉文君。         【農林水産局長冨永嘉文君登壇】 134: ◯農林水産局長(冨永嘉文君) 駆除実務者の高齢化に対する方策といたしましては、捕獲技術向上のための射撃訓練のほかに、銃によらず箱わななどを使う狩猟免許の取得を促進するための、イノシシの生態や箱わなの設置などに係る講習会を猟友会に委託して実施しているところでございます。  こうした取り組みの結果、銃による狩猟免許所持者は減少しておりますが、箱わななどを使う狩猟免許所持者はふえておりまして、ここ三年は、全体の狩猟免許所持者数は横ばいで推移しているところでございます。  引き続き、こうした取り組みを推進し、駆除実務者の確保に努めてまいりたいと考えております。 135: ◯議長(林 正夫君) 桑木良典君。 136: ◯桑木良典君 引き続き、その対策に力を入れて、駆除実務に影響のないような取り組みをお願いいたします。  私は、鳥獣被害対策の成果があらわれにくい原因の一つとして、農林水産物被害は農林水産局、保護・管理は環境県民局、過疎対策は企画振興局がそれぞれ担当している縦割り行政の弊害についても指摘し、鳥獣には県境も市町村境も関係ないことから、効果的に鳥獣被害対策を行うために複数の自治体が一丸となって施策を展開する必要性を指摘しておりますが、具体的に、広域連携などの取り組みはどの程度進んでいるのか、お伺いいたします。 137: ◯議長(林 正夫君) 農林水産局長冨永嘉文君。 138: ◯農林水産局長(冨永嘉文君) 広域連携につきましては、県の開催いたします市町等を対象とした担当者会議や技術者研修会等において、野生鳥獣の生態や被害防止対策を情報提供いたしますとともに、市町間の情報交換を行っておりますけれども、具体的な動きにはつながっておりません。  このため、引き続き、市町に対し広域連携を働きかけますとともに、県といたしましても、広域連携を含めた総合的な取り組みを進めていくための体制づくりを検討してまいりたいと考えております。 139: ◯議長(林 正夫君) 桑木良典君。 140: ◯桑木良典君 広域連携がなかなか進んでいないという現状に対する答弁がございました。各市町でそれぞれ実施されているわけでございますが、やはり一斉駆除などを行うことによってその効果を高めていくことは技術的に可能だと思っております。これはぜひ、県のリーダーシップにおいて、そういった仕組みづくりを早急に進めていただいて、各市町の御意見も聞いていただきながら、いち早く広域連携の取り組みにかかっていただくように要望いたします。  鳥獣害対策として、平成二十年度から、国において、鳥獣被害防止総合対策交付金が予算化され、本県においても交付金事業として実施されております。  この交付金事業は、被害対策を行う市町協議会に対して、箱わな購入や狩猟免許取得講習等を開催するための支援と、侵入防止さく等の被害防止施設の整備や捕獲鳥獣を地域資源として活用するための処理加工施設等の整備を行う際に、それぞれ定額、二分の一等の補助を行うものであります。  今年度も残り三カ月となりましたが、これまで、このような取り組みに対してどのような補助を行ってきたのか、鳥獣被害防止総合対策交付金事業の現在の執行率はどの程度になっているのか、お伺いいたします。 141: ◯議長(林 正夫君) 農林水産局長冨永嘉文君。 142: ◯農林水産局長(冨永嘉文君) 鳥獣被害の交付金事業につきましては、十五市町から約四千二百万円の事業実施要望がございましたが、全国段階で国の予算額を大きく超える要望額となったため、本県に対する配分額は約三千七百万円となっております。  現在の執行率は一〇〇%でございまして、その内訳は、技術研修会の実施や箱わなの設置等のソフト対策が十四市町で約一千九百万円、侵入防止さくの設置等のハード対策が三市町で約一千八百万円となっております。 143: ◯議長(林 正夫君) 桑木良典君。 144: ◯桑木良典君 国から交付される予定以上の事業に対する要望があったという答弁でございました。  鳥獣被害対策において、この事業の必要性が本当に明らかであると思います。今年度で期限が切れる鳥獣被害防止総合対策交付金事業の継続のめど、国において来年の予算化等についてのめどはどのようになっているのか、お伺いいたします。 145: ◯議長(林 正夫君) 農林水産局長冨永嘉文君。 146: ◯農林水産局長(冨永嘉文君) この事業は、農林水産省におきまして、今、議員御指摘のとおり、当初、平成二十年度から平成二十二年度までの三カ年事業として計画されておりましたが、平成二十三年度概算要求においても継続して十三億円が要求されております。  また、新たに鳥獣被害緊急対策事業といたしましまして百億円が要求されているところでございまして、これらの予算の動向を見守りたいと考えております。 147: ◯議長(林 正夫君) 桑木良典君。 148: ◯桑木良典君 国においても、事業の継続と、さらにそのメニューの強化というようなことが議論されているようでございます。ぜひ、県といたしましても、こういった事業が予算化されるように、引き続き、強く国に要望していただきたいと思います。  この交付金事業では、捕獲鳥獣を地域の資源として活用するための処理加工施設等の整備も対象になっていると先ほど申しましたが、以前、私は、夏場の駆除イノシシの肉を「おおち山くじら」のブランドの名前で売り出し、地域の特産品として定着させている島根県美郷町の取り組みを御紹介いたしました。  地域活性化の一つとして、県が処理や加工のモデル事業を確立して、特産品化に取り組む市町にそのノウハウを提供するような仕組みづくりや販路の開拓支援を行うなどの取り組みを検討していただくことを今回も引き続き強く要望して、次の質問に移ります。  次は、公共事業の低入札価格調査制度の改善に関してお伺いいたします。  景気の低迷、公共事業の減少などにより、地域の経済や雇用などに重要な役割を果たしている県内の建設業を取り巻く環境は非常に厳しい状況となっております。本年度も、十月末までに三十四件の倒産があり、県全体の企業倒産件数の割合のうち、三年連続で建設業が約三五%を占めているのが現状であります。  公共事業については、ことし十月に公表された本県の中期財政健全化計画骨子案によると、補助公共・単独公共の建設分が平成二十七年度までの五カ年間で二〇%削減されるという目標が示されております。建設業が今後一層厳しい状況になることは確実であり、建設業が主要な産業の中核を担っている中山間地域において、産業の衰退や過疎化にますます拍車がかかるのではないかと懸念しております。  こうした公共事業減少の流れが続く中で、多くの事業者が採算を度外視し赤字覚悟で応札する、いわゆる低価格入札が多数発生したため、平成二十年度に県が建設工事コスト調査を実施したところ、調査対象工事のうち約四割を超える工事が原価割れであったことが確認されました。  この結果を受け、安全対策の確保や工事品質確保の観点から最低制限価格制度及び低入札価格調査制度等が改善され、平成二十一年四月以降に公告または指名通知する建設工事から適用されているところでありますが、平成二十一年五月十五日に、各都道府県知事あてに国土交通省建設流通政策審議官から「最低制限価格制度及び低入札価格調査基準価格制度の適切な活用について」という文書が送られております。  これは、県に中央省庁が採用している算定モデルを超えるような設定をするよう求めた内容となっております。その一部を紹介しますと、「このたび、低入札調査基準価格の設定範囲が約二十年ぶりにこれまでの「三分の二から十分の八・五の範囲」から「十分の七から十分の九の範囲」に引き上げられたので、現下の建設産業を取り巻く環境が極めて厳しい状況にかんがみ、建設業が地域の雇用を確保し、地域産業の中核として持続的に発展することができるよう、適正価格での契約を推進する観点から、これらの制度を一層適切に活用いただくための措置を速やかに講じていただくようお願いします。」とあります。  調べてみますと、この通達に基づき、平成二十一年四月、公契連モデルより高い水準または同水準に見直しを行った都道府県は四十一団体ありました。  無論、本県より財政状況の厳しい団体も改善を行う努力をしているわけでございますが、本県が国土交通省の示した基準への見直しを行っていない理由をお伺いいたします。 149: ◯議長(林 正夫君) 土木局長高垣広徳君。         【土木局長高垣広徳君登壇】 150: ◯土木局長(高垣広徳君) 現在採用しております最低制限価格や低入札価格調査制度における調査基準価格につきましては、平成二十年に本県で独自に実施した建設工事コスト調査の結果を踏まえ、昨年四月に制度の見直しを行ったものでございます。  このうち、一億円未満の工事につきましては、工事の品質を確保する観点から最低限必要と見込まれる額を分析した結果が設計金額の約八二%となったことなどから、これに基づき最低制限価格を算定することとしたものでございます。  また、一億円以上の工事に適用する低入札価格調査制度におきます調査基準価格につきましては、この分析結果を踏まえまして、設計金額の七五%からおおむね八二%に引き上げを行ったものでございます。  現在、制度の見直しの効果の検証をしているところでありますが、さらなる見直しにつきましては、今後とも適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。 151: ◯議長(林 正夫君) 桑木良典君。 152: ◯桑木良典君 具体的にもう少し伺いたいわけでございますけれども、いろいろ県独自の見直しを行って、その取り組みもしておられるということでございますが、国土交通省の示したもう少し高い基準にそれを合わせていこうというような議論は、現在行われているのでしょうか。 153: ◯議長(林 正夫君) 土木局長高垣広徳君。 154: ◯土木局長(高垣広徳君) あくまで現在設定しておりますのは、平成二十年に県内の企業の現状分析、コスト構造の分析をした中で、最低限の価格はどこにあるべきかという議論の中で設定したものでございまして、見直すということになりますと、その分析をさらに深めていくことになろうかと思います。 155: ◯議長(林 正夫君) 桑木良典君。 156: ◯桑木良典君 分析を深めていただく、これは大変重要な作業でございますけれども、先ほど申し上げましたように、局長も御認識のことと思うのですが、建設業を取り巻く状況というのは大変厳しい現状がございますので、皆さんその議論を待てないというのが現実であると思います。  建設業の方に、建設工事について、本県の落札率は他県に比べ低く、受注しても採算がとれず赤字になるケースが多い、先ほどお話し申し上げたことでございますが、こういった声の中で、失格基準の引き上げと、重ねてのことになりますが、入札制度の見直しを行う考えがあるのか、失格基準の引き上げ等についての改正を行うお考えがあるのか、お伺いいたします。 157: ◯議長(林 正夫君) 土木局長高垣広徳君。 158: ◯土木局長(高垣広徳君) 昨年度の最低制限価格制度の見直しによりまして、一億円未満の工事につきましては、落札率の低下に歯どめがかかるなど、一定の効果が発現できていると考えております。  一方で、低入札価格調査を行っております一億円以上の工事につきましては、依然として落札率の低下傾向が見られ、失格基準の引き上げを行っていない三億円以上の工事でより顕著な低下傾向が見られております。  建設業者の皆様は、みずからの経営判断に基づいて、施工可能な金額をもって入札されていると認識しておりますが、入札制度等の見直しにつきましては、県発注工事における安全や品質確保の観点、さらには、下請業者や技能労働者への影響なども踏まえつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。 159: ◯議長(林 正夫君) 桑木良典君。 160: ◯桑木良典君 御答弁いただきましたように、一億円、三億円以上の工事の早急な見直しの着手について検討中ということでございますが、よろしくお願いいたします。  ことし七月に発生した豪雨災害における復旧作業を見てもわかるように、地元の建設業者が果たす役割は大変大きいということは十分認識されているところであります。  技術にすぐれた優良な県内企業の受注機会確保のため、ことし六月以降に公告する工事から、地域優良企業評価型一般競争入札が試行されるほか、下請工事については原則として県内企業に発注することなどが義務づけられるなど、県としても県内企業優先に向けた取り組みを行ってきていただいていることは承知しております。  また、新分野進出にチャレンジする建設業者を支援する取り組みなども実施されていますが、本業である建設工事の受注機会をふやすために、例えば、単独事業に限って県内企業を優先させるような策をとるなど、さらに踏み込んだ取り組みはできないものかと思うわけであります。  県内企業の受注機会の拡大に向けて、今後どのように取り組んでいこうとされているのか、お伺いいたします。 161: ◯議長(林 正夫君) 土木局長高垣広徳君。 162: ◯土木局長(高垣広徳君) 本県の建設工事の発注におきましては、一般競争入札における適切な地域要件の設定や、路線管理や除雪などの実績を評価する総合評価方式の拡充などによりまして、優良な県内企業の育成・強化を推進しているところでございます。  また、大規模で技術的難度の高い工事におきましては、特定建設工事共同企業体制度を活用し、共同企業体の構成員のうち、原則として、少なくとも一社を県内企業とする条件を付して発注するなど、技術力の向上による県内企業の育成に配慮しているところでございます。  今後とも、県発注工事の入札状況の分析などにより、公正な競争の確保とともに、技術と経営にすぐれ、地域に貢献する県内企業の受注機会の確保が図られますよう、より効果的な施策について検討してまいりたいと考えております。 163: ◯議長(林 正夫君) 桑木良典君。 164: ◯桑木良典君 建設業者の方が公共工事を受注し赤字となることがないような制度づくりをしていただくことを要望し、次は、県の道路整備計画についてお伺いいたします。  中山間地域における道路は、緊急車両の通行など、地域を支える重要な役割を担っています。  本県では、平成二十年度から平成二十五年度までの六年間を計画期間とする広島県道路整備計画二〇〇八を策定し、今年度までの三年間について、実施計画に基づき事業が進められています。この計画は、三年間の投資規模を一千百三十億円と設定し、優先順位を明確にした上で事業箇所が決定されておりますが、その結果、県内全体で百七カ所、そのうち私の地元である東部建設事務所三原支所管内では十七カ所が一時休止となり、工事がとまっております。  そうした中、補助公共・単独公共の建設分については、先ほども申しましたように、今後五年間で二〇%の削減が示されております。しかし、道路は開通してこそ初めてその効果があり、当然、未着手の箇所についても地域の方々からは早期着手が望まれているところでございます。  来年度からは次期実施計画に基づいて事業箇所数が決められることになるのでしょうが、未着手の箇所の扱いも含めて、次の実施計画についてはどのような考えで策定されようとしているのか、お伺いいたします。 165: ◯議長(林 正夫君) 土木局長高垣広徳君。 166: ◯土木局長(高垣広徳君) 広島県道路整備計画二〇〇八は、前期の三年間が今年度で終了しますことから、平成二十三年度から平成二十五年度までの後期実施計画を策定することとしております。  計画の策定に当たりましては、「ひろしま未来チャレンジビジョン」や現在検討中でございます社会資本未来プランの方針を踏まえることとしております。  なお、事業箇所の選定に当たりましては、本県の強みと潜在能力を最大限に発揮し、最少の経費で最大の効果を発揮できるよう、緊急度や優先度が高い箇所への選択と集中を図り、財政健全化にも配慮しながら選定を進めてまいりたいと考えております。 167: ◯議長(林 正夫君) 桑木良典君。 168: ◯桑木良典君 次期計画の選定、策定につきまして、そういった事業がどのように決められたのかという決定のプロセスでありますとか、そういったことを地域でいろいろ要望しておられる市町の皆様にもしっかりと御説明をお願いしたいと思います。  合併を推進して基礎自治体が広域化している本県では、特に、市町をつなぐ県道の整備が地域にとってまさに重要な事業であります。厳しい財政状況ではありますが、長年にわたり熱心に要望を続けておられる県下の自治体の期待にできるだけこたえていただくようにお願いしまして、次の質問に移らせていただきます。  次は、道路整備のうち、自転車道──サイクリングロードの整備に関してお伺いいたします。  現在、県では「瀬戸内 海の道構想」実証事業として瀬戸内海沿岸、島々をめぐるサイクリングロードの形成に取り組んでおられます。瀬戸内海横断自転車道は、日本で初めて海峡を横断する自転車道で、尾道から今治まで歴史と文化にあふれる六つの島々を結ぶ、全長約七〇キロのコースとなっております。  自転車といえば、知事も乗車を体験されましたが、愛媛県において新たにタンデム自転車による公道走行が認められたことから、本県も広島県道路交通法施行細則を改正し、ことしの十月から県内全域でタンデム自転車の二人乗りが可能となりました。サイクリング目的の観光客誘致の追い風になる取り組みの一つとして、私も期待しております。  しかし、尾道から今治まで自転車で行く場合、六つの橋で五百円の料金が必要で、しかも、それぞれの橋に料金箱が設置されているものの、おつりが出ないことから硬貨を分けて用意しておく必要があり、これがネックとなっております。  利便性の向上や観光客の増を図るためにも、自転車通行料の無料化を県も関係機関に強く働きかけていくべきであると思います。  さきの九月定例会で、我が会派の金口議員が自転車通行料の無料化等への取り組みについての質問を知事にいたしましたところ、自転車等の無料化については、これまでも愛媛県と連携を図りながら要望してきたところであり、引き続き、関係機関に対して要請してまいりたいと思っていると答えられております。  このとき知事が言われた要請によるものかどうかわかりませんが、先月十九日の参議院予算委員会で、愛媛県選出の民主党友近議員が自転車通行料の無料化を求める内容の質問を行ったところ、国も無料化に前向きな考えを示したところであります。  自転車道の通行無料化までもう一歩のところだと思いますが、現在、県ではどのような取り組みをして、無料化の可能性はどの程度あると分析しておられるのか、お伺いいたします。 169: ◯議長(林 正夫君) 土木局長高垣広徳君。         【土木局長高垣広徳君登壇】 170: ◯土木局長(高垣広徳君) 瀬戸内しまなみ海道につきましては、施策提案等におきまして、県民生活の負担軽減や観光客の増加による地域の活性化を図ることを目的に、国などに対しまして自転車等の通行料金の無料化を要請してまいりました。  無料化につきましては、料金収入への影響など課題があると考えられますが、馬淵国土交通大臣の発言を受けまして、今後、本四高速を初め、関係機関と調整が図られるものと期待しているところでございます。  本県といたしましては、引き続き、自転車等の通行料金無料化の実現に向け、愛媛県と連携を図りながら、国を初めとする関係機関に対しまして強く要請してまいりたいと考えております。 171: ◯議長(林 正夫君) 桑木良典君。 172: ◯桑木良典君 県や尾道市などでは、サイクリングブームの台湾など海外からの観光客誘致を含め、観光の目玉としてしまなみサイクリングのPRに力を入れていますが、初心者が全線走破するには、六つの橋を渡るごとに平均五十メートル程度のアップダウンをクリアする必要があることなどから、約十時間程度かかるコースとなっております。  このことは、逆に、ゆっくりサイクリングを楽しむといった目的で島内の宿泊につながる観光メニューができて、プラスの面もあると思うのですが、その分、国内外から来られる人たちに、快適に走り、滞在してもらうために、自転車道の整備や外国語の案内板の整備などが必要不可欠であると思います。  今年度、路面表示などの整備を進めていく予定であると聞いていますが、具体的に、どの程度の整備をいつまでに進める計画なのか、お伺いいたします。
    173: ◯議長(林 正夫君) 土木局長高垣広徳君。 174: ◯土木局長(高垣広徳君) 昨年度には、尾道市が主体となり、世界一のサイクリングロードを目指すための整備促進計画が策定されております。  本県におきましても、この計画を踏まえまして、県管理道路のうち二十四キロメートル区間におきましてサイクリングロードを明示するラインや距離の表示などを整備しているところでございます。進捗状況は、向島では約七割、因島と生口島では約九割の整備が完了しておりまして、本年度末までに整備を完了する予定でございます。  尾道市におきましては、五カ国語を併記しました町並み案内標識の整備を昨年度より進められておりまして、本年度末までに十七基の整備が完了すること、また、市管理道路の四キロメートル区間におきましても県と同様の路面表示の整備を来年度の早期に完了することと伺っております。  今後とも、多くの方に楽しんでいただけるサイクリングロードとなるよう、引き続き、尾道市と連携を図りながら整備に取り組んでまいりたいと考えております。 175: ◯議長(林 正夫君) 桑木良典君。 176: ◯桑木良典君 地域的に整備計画の七割、九割が進んでいるという御答弁でございました。  現地に行ってみますと、意識して見ればわかる標識、表示もあるのですが、初めて来られる方、地の利のわからない方にはまだそういった表示がわかりにくいという課題もあるように感じております。整備されていくその過程も、その後も、そういった整備状況に対する要望にしっかり耳を傾けていただいて、充実した整備を進めていただくようお願いいたします。  しまなみ海道は「瀬戸内 海の道構想」の中心の一つとして位置づけられており、四国との連携も重要な要素となります。自転車道の整備やタンデム自転車の公道走行の件もそうですが、自転車通行料の無料化についても、先ほど明確な答弁はございませんでしたが、これは国のことであるからと思いますけれども、愛媛県に若干その取り組みがおくれをとっているように感じるので、サイクリングロードの整備や本県の魅力ある農林水産物などの特産品のPRでは負けないように引き続き取り組まれるよう要望し、次の質問に移ります。  次は、新たな産業振興策についてお伺いいたします。  知事は、本定例会の開会に当たり、広島版「産業革新機構」について、本県産業が将来にわたって継続的に発展していくためには、県内企業がその強みを生かし、イノベーション力を徹底的に発揮することにより、自立的に成長することが重要であり、こうした意欲ある企業に対して県と民間が連携して投資事業組合を組成し、専門の人材が成長性などを見きわめた上で、中長期的な資金を提供するとともに、技術、人材、マーケティングなどの多面的な支援を行うものであり、投資企業の成長を促進し、県内での雇用の創出や所得の拡大等を図る上で必要なものであると考えていると言われ、十分議論しながら、平成二十三年度の設立に向けて積極的に取り組む姿勢を示されました。  広島版「産業革新機構」の設立は、「瀬戸内 海の道構想」と並んで知事の大きな政策として位置づけられていますが、広島版「産業革新機構」に対しては、これまで、議会においても、常任委員会等で、県が投資活動にかかわる必要性やリスクに対する責任のとり方などについて多くの質疑がなされております。また、昨日、一昨日の一般質問においても、いろいろな視点からさまざまな課題等が指摘されたところであります。  広島版「産業革新機構」の設立目的や必要性、リスク管理等について、これまでの質疑の中で知事は真摯に答弁をしてこられましたが、議会においていまだ十分理解されているといった状況にあると言えず、県民の方々からも不安視する声が上がっております。  私は、景気がなかなか上向かず、雇用状況も相変わらず厳しく、多くの若者が将来への不安を持っている今の現状を少しでも早くよい方向に改善しなければならないと思っております。  知事も、閉塞感が漂う今の状況を一刻でも早く打ち破るため、新たな産業支援策として早期に広島版「産業革新機構」を立ち上げたいという、そうした思いを持っておられるのであれば、県民や議会に対し、この施策の重要性をもっと強く発信し、理解を得ていく必要があると思います。  いろいろな課題等が指摘されておりますが、改めて、広島版「産業革新機構」に対する知事の思い、設立に向けた決意、そして覚悟をお伺いいたします。 177: ◯議長(林 正夫君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 178: ◯知事(湯崎英彦君) 広島版「産業革新機構」の設立を検討しております背景には、人口減少や高齢化、経済活動のグローバル化など、社会経済情勢が今までにないほど大きく変化する中、また、現下の本県を取り巻く経済環境も雇用失業情勢を初めとして極めて厳しい状況が続く中、これまでの取り組みの延長線上にあるやり方を続けているだけではいずれ立ち行かなくなるという強い危機意識がございます。  とりわけ、国内市場の縮小や新興国の台頭等により地域間あるいは国際間の競争がさらに激化する中で、県内企業がその強みを生かし、イノベーション力を徹底的に発揮することによって自立的に成長していくことが求められており、こうした成長を支援するシステムの構築は喫緊の課題であると認識しております。  産業革新機構については、投資という側面が大きく取り上げられておりますけれども、これは本来的に企業の育成に関する非常に重要な施策であると考えております。こういった仕組みについては、国際的にも認知され、また、その有効性が実証的に証明されている方法でございます。  これについて、さまざまな御意見があることは承知しておりますけれども、本県経済を飛躍的に発展させる原動力の一つとして極めて重要なものであると考えておりまして、引き続き、県議会の皆様とも十分に議論し、御理解をいただきながら、平成二十三年度の設立に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 179: ◯議長(林 正夫君) 桑木良典君。 180: ◯桑木良典君 私から申し上げるまでもなく、先ほど知事に御答弁いただきましたとおり、広島版「産業革新機構」は知事の政策の大きな目玉の一つであります。やるからには、必ず成果を上げていただかなければなりません。県民や議会からのいろいろな声を真摯に受けとめ、取り組んでいただくことを要望し、最後の質問に移ります。  最後に、有事における危機管理体制についてお伺いいたします。  先月二十三日に、韓国・延坪島に対し、北朝鮮が突然数十発の砲弾を打ち込み、住民のとうとい命が奪われました。非常に大きなショックを受け、そのときの映像がまだ鮮明に脳裏に焼きついておりますが、北朝鮮は、今後もどのような暴挙に出るかわかりません。国防は国の仕事と考えるのではなく、県民の生命と安全を守る観点から、県としての対策が必要であります。  先月、この北朝鮮の暴挙に対して、日本海に面している島根県では、直ちに関係部署の職員が参集し、韓国方面への修学旅行者の有無や黄海で操業している県内漁船の有無などの確認を行っております。また、鳥取県でも、情報連絡室を設置し、情報収集等の対応をとったということであります。  七月の豪雨災害では災害対策本部の立ち上がりが遅かったと指摘されたばかりですが、本県では一体どのような対応をとったのでしょうか。  本県では、広島県国民保護計画が策定されており、この計画が対象とする事態は武力攻撃事態と緊急対処事態ということで、実際、外国からの武力攻撃や大規模テロ等が発生した場合などを対象としていますが、この計画には、事態の状況に応じて適切な措置を講ずるための県の体制及び職員の参集基準等が定められております。  その基準を見てみますと、国内で武力攻撃事態等の認定につながる可能性のある事態が発生するなどし、情報収集等の対応が必要な場合で、危機管理監が必要であると認めた場合は国民保護担当室が設置され、県内で武力攻撃事態等の認定につながる可能性がある事案が発生するなどし、知事が設置の必要があると認めた場合には国民保護対策連絡室が設置されることなどが定められております。  今回のケースでは、広島県の危機意識は島根や鳥取と比べて希薄だったのではないかと感じてしまうところがあります。そもそも、本県にこのような被害が想定される場合の指揮命令系統や県民の避難誘導などの体制がどのようになっているのか、県民のどれくらいの方が認識しているのか、不安に思うのであります。  知事の最大の責務は、県民の安全、命と財産を守ることにあると思いますが、今回の北朝鮮による韓国への砲撃等が起こった際、一体どのような判断をされ、どのような対応をとられたのか、お伺いいたします。 181: ◯議長(林 正夫君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 182: ◯知事(湯崎英彦君) 本県におきましては、外国からの武力攻撃事態等が発生した場合に県民の安全を守るため、御指摘のございました広島県国民保護計画を策定して、県民の避難や救援、被害の軽減などに努めているところでございます。  また、これも御指摘がございましたが、この計画においては、武力攻撃事態等により本県に被害が想定される場合には、国の避難措置等の指示に基づいて、私が市町長に対して避難指示を行い、市町長が住民に対し避難指示の伝達、避難誘導を行うことになっております。また、これらの措置を円滑に実施するため、国民保護担当室を設置する注意体制、あるいは国民保護対策本部を設置する非常体制など、武力攻撃事態等の状況の推移に応じた体制をとることにしております。  今回の北朝鮮による砲撃事案は、国外の事案であるということ、また、国において武力攻撃事態等の認定がなされていないことから、この広島県国民保護計画に基づく体制というものはとっておりませんけれども、万が一に備え、県民の安全を確保するため、必要な情報収集体制をとったところでございます。  具体的に申し上げますと、国等からの情報収集に努めて、収集した情報は迅速に庁内及び市町、消防等へ情報提供するとともに、翌朝には防災主幹課長会議を開催して、情報共有と連絡体制の徹底を図ったところでございます。 183: ◯議長(林 正夫君) 桑木良典君。 184: ◯桑木良典君 御答弁いただいたようなさまざまな対応措置を本県でもとっていただいたということでございますが、これは、知事を初め、行政の対応としては当然であると認識するわけでございます。私もそういう情報をきちんと把握していないのかもわかりませんが、こういった県の取り組みを、県民の皆様に対し、こういった事態が発生した場合に県はこのようにしっかり取り組みますという情報発信をしっかりしていただきたいと思います。  また、危機が発生した直後の対応、体制ですから、県民の皆様がそれぞれがどのような行動をすればいいのかという行動指針の策定、これは市町とも連携を図っていく必要があると思いますが、国際情勢、そして災害においてもそういった危機が発生するリスクが非常に高くなっておりますので、ぜひとも、引き続き、そういった対応により力を入れていただくようお願いいたします。  質問は以上でございますが、知事は、先月の記者会見でマニフェストレビューについて発表された際、「この一年間は、すべて周到な準備をした上で物事をスタートするということではなく、走りながら考えるということを前提に、できることはすぐやっていくという姿勢で臨んできた。」と発言されました。まさにそのような一年であったかと拝察いたします。  湯崎知事には、多くの県民が期待されている一方、就任後一年たったが、生活に関連した成果が余り見られないといった声もあります。  今回の質問で、地域が抱える課題について何点か申し上げましたが、地域でリーダー的な活動をしておられる方々は、県の財政が厳しいことはよくよく承知をされていて、できるところまではなるべく自分たちの力で課題を解決していこうと努力してくださっています。  こういったことを踏まえ、執行部におかれましては、県の施策の一つ一つが県民の暮らしと命に直結しているということを常に念頭に置かれ、課題に対し積極的に挑戦し、確実に成果を上げていただくことを期待いたしまして質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 185: ◯議長(林 正夫君) 引き続いて質問を行います。間所 了君。         【間所 了君登壇】 186: ◯間所 了君 自由民主党広島県議会刷新議員会・県民会議の間所でございます。いよいよ十二月定例会も私が最後の質問となりました。  この一年間を振り返ってみますと、我が国は、いろいろな意味で新たな局面を迎え、言い知れない不安に包まれた一年であったと言えるのではないでしょうか。記録的な猛暑や本県にも甚大な被害をもたらした集中豪雨など、人知の及ばない異常気象は我々の生活を脅かしました。経済面では、日本が四十年間守ってきた世界第二位の経済大国の座を成長目覚ましい中国に明け渡す日が近づいております。さらに、尖閣列島や北方領土に見られる近隣諸国の高圧的な態度や朝鮮半島での軍事的衝突は、我が国の外交のあり方そのものを揺るがす大きな問題を投げかけました。いろいろな意味で、日本は大丈夫だろうかと何度も問いかけられた一年ではなかったでしょうか。  こうした不安と緊張感が漂う中、本県においては、挑戦と実現を旗印に、湯崎県政が本格的に始動いたしました。湯崎知事の仕事ぶりに対しては県民から高い支持があります。とりわけ、さまざまな課題に対する迅速な対応や行動力は、県民のための政治を実現しようとする知事の意欲のあらわれであり、そうした知事の熱意が県政に対する県民の関心を高め、支持を集めているのだと思います。また、広島市長との会談の復活は、両者が抱えるさまざまな課題の早期解決と都市政策の新たな前進を期待させる大きな出来事となりました。  湯崎県政の真価が問われるのはこれからであります。仕込みと基盤づくりの一年を経て、いよいよ二年目からは具体的な成果を出していかなくてはなりません。  小惑星探査機はやぶさは、六十億キロメートルの旅を終えて、小惑星の微粒子を地球に持ち帰るという快挙をなし遂げました。湯崎知事も、県内を回ってさまざまな宝を見つけたことと思います。その宝を今後どのように活用していくのか、注目と期待が集まるところであります。知事には、はやぶさのような不屈の精神で、日本の政治を広島から変えるというぐらいの気概を持って県政運営に臨んでいただきたいと思います。  県政運営のかじ取りを行うためには、まず、県の役割とは何か、国と市町との関係性を見きわめる必要があります。そこで、本日は、地方分権改革の質問から入りたいと思います。  本県では、平成十二年に広島県市町村合併推進要綱を決め、平成十六年には広島県分権改革推進計画を策定し、広島県型分権システム改革を推進してまいりました。これらの計画に基づいて、市町村合併と基礎自治体への権限移譲を進めるとともに都道府県にかわる新たな広域自治体として道州制を目指してきたところであります。この計画も、本年三月に計画期間が終了し、知事もかわったことですし、ここで一たん、これまで取り組んできた広島県型分権システム改革を検証しておく必要があるのではないでしょうか。  そこで、市町村合併や市町への権限移譲、都道府県再編などについて、一つずつ県の認識を問いただしてまいりたいと思います。なお、質問に当たりましては一問一答方式によって行いたいと思いますので、演壇をかわります。(質問用演壇に移動)  最初の質問は、市町村合併についてであります。  本県では、これまで基礎自治体優先の原則のもと、市町村合併を推進し、その結果、八十六あった市町村が平成十八年三月には二十三となりました。市町村の減少率は、長崎県に次いで僅差の全国二位であります。全国では、平成十一年に三千二百三十二あった市町村が、平成二十二年には千七百二十七まで減少しました。  こうした市町村合併の効果と弊害については、全国町村会が報告書をまとめております。その報告書によれば、合併によるプラス効果として、職員数削減による人件費の減少や重複投資の解消により財政支出が削減されたこと、職員の政策形成力や実行力が向上したことの二点を挙げております。その一方で、市町村合併の弊害としては、役場の存在によって保たれてきた安心感が喪失し、これまで培ってきた行政と住民相互の連帯が弱体化するとともに、地方交付税の大幅削減によって当初の財政計画から大きく乖離した財政運営を余儀なくされていると分析しております。  市町村の減少率を誇るだけでは、真の地方分権先進県とは言えません。  本県における市町村合併の成果と弊害についてどのように認識しておられるのか、複数の局にかかわる問題でありますので、有岡副知事に答弁をお願いいたします。 187: ◯議長(林 正夫君) 当局の答弁を求めます。副知事有岡 宏君。         【副知事有岡 宏君登壇】 188: ◯副知事(有岡 宏君) お答えいたします。  合併によりまして、市町におきましては、総合的な行政主体としての行財政体制の整備が進む中で、子育て支援あるいは危機管理といった専門的な組織の新設等によりまして、これまで以上に専門的な分野での施策展開が可能になったのではないかと考えております。  また、本県につきましては、とりわけ他県に比べまして事務・権限の移譲が進んでいるところでございます。これは、合併の効果、今、議員が財政的な面での効果を指摘されておりましたけれども、もう一つの大きい効果、すなわち人的資源の充実によるところが大きいのではないかと考えております。  ただ、残念ながら厳しい意見もございます。合併によりまして役場が支所になってしまった、したがって、市役所あるいは町の役場に行くのに時間がかかるようになってしまった、その結果、住民の声が届きにくくなったという意見も寄せられているところでございます。  また、今後の問題でございますけれども、御案内のとおり、合併に際しましてはさまざまな特例措置が講じられております。とりわけ、地方交付税を初めといたします財政措置につきましては、今後、その措置が順次縮小あるいは終了していくということになります。こういったことを踏まえますと、これまで以上に効率的・持続的な行財政運営が求められていくのではないかと考えております。  県といたしましても、このような実情にかんがみまして、中長期的な視点から、合併建設計画の検証などを踏まえまして、市町への助言を行うことといたしておりますし、当然ながら、過疎対策を初め、産業、医療、福祉全般にわたりまして市町と連携しながら地域活性化に努めてまいりたいと考えております。 189: ◯議長(林 正夫君) 間所 了君。 190: ◯間所 了君 次の質問は、権限移譲についてであります。  本県では、移譲の対象となる延べ二千四百四十六の事務のうち、これまでに千八百八の事務を移譲し、その進捗率は七三・九%となっております。  こうした権限移譲の成果と課題について、県はこのたび、全市町に対するアンケート調査による検証を行っております。その中間報告では、パスポートの申請・交付事務に象徴されるように、住民サービスの迅速化や手続の簡略化が図られたことについて住民が高く評価しているところであります。  一方で、総合的な行政運営ができているかどうか、権限移譲の効果について評価を保留する市町の様子もうかがえます。市町においては、事務の執行に必要な知識や技能の習得に不安を抱くとともに、厳しい行財政改革の中で十分な体制を確保できていないことを危惧しております。そして、県に対しては、助言や研修など実行性のあるフォローアップを期待しているのであります。  県は、こうした市町の切実な声にこたえ、真に住民に身近な行政を担う自己完結型自治体となるよう、市町への支援を強化していく必要があります。  今回の調査結果をどのように評価し、県として、今後どのように対応していかれるのか、お伺いいたします。 191: ◯議長(林 正夫君) 副知事有岡 宏君。 192: ◯副知事(有岡 宏君) お答えいたします。  議員御指摘の調査結果でございますけれども、住民の方々も、そして市町自体も、事務・権限の移譲は住民サービスの向上に一定の成果が上がっていると評価しているところでございます。とりわけ、パスポートの交付等につきましては、地元で手続ができるということに対しまして積極的な評価が寄せられているところでございます。  その一方で、多くの市町から、体制整備が十分にできていない、あるいは、必要な知識・技能の習得が十分ではないというような課題が提起されているところでございまして、事務・権限の移譲による総合行政の機能が発揮されているかという問いにつきましては、現時点ではどちらとも言えないといった評価になっている状況でございます。  移譲されました事務・権限を今後の総合的なまちづくりに生かし、住民サービスの一層の向上を図っていくためには、市町における事務処理の完結性を高める、市町だけで手続を済ませることができる、そういった完結性を高めますとともに、専門的な分野についてはこれが顕著だと思いますけれども、助言や研修など、市町に対するフォローアップにこれまで以上に取り組む必要があるのではないかと思っております。  今後また、こういった検証を進めたいと思っておりますけれども、事務・権限はまだまだ移譲すべき分野が多数残っております。この分野は、専門性を含めて特に難しいものが多く残っておりますけれども、やはり市町の事務・権限の拡大こそが基礎自治体である総合自治体、市町の機能の強化につながるということを念頭に置きまして、今後とも、市町と十分意見を交換しながら取り組みを進めてまいりたいと考えております。 193: ◯議長(林 正夫君) 間所 了君。 194: ◯間所 了君 よろしくお願いいたします。  昨年六月に示された国の第二十九次地方制度調査会の答申では、今後の市町村の事務処理のあり方を考えるに当たって、共同処理方式による市町村間の広域連携や都道府県による補完など、多様な選択肢を用意すべきであるとしております。  全国町村会が昨年十月に全国の町村にアンケート調査した結果によれば、都道府県による新たな補完の仕組みについて「検討する必要がある」という回答が六七・五%を占めております。  都道府県による補完を求める事務としては、例えば、国民健康保険や介護保険の保険者としての事務が挙げられます。今月初め、厚生労働大臣は、平成二十五年度施行を目指す新たな高齢者医療制度の運営主体を都道府県とする考えを表明したところであります。保険の運営は、規模が大きければ大きいほどスケールメリットが働き、広域行政の事務になじむため、市町村より都道府県による事務処理がふさわしいと言えるのかもしれません。これは、補完の問題というより事務の再配分の問題と言えます。  既に、国民健康保険については法律が改正され、広域化に向けて動き出しております。  法律改正を受け、本県では、今年度、市町の意見を聞きながら国保運営の広域化について検討を行っていると聞いておりますが、現在の検討状況はどうなっているのでしょうか、国保運営の広域化に対する県の認識について、健康福祉局長にお伺いいたします。 195: ◯議長(林 正夫君) 健康福祉局長佐々木昌弘君。         【健康福祉局長佐々木昌弘君登壇】 196: ◯健康福祉局長(佐々木昌弘君) 本年五月の国民健康保険法の改正を受け、本年七月以降、県、市町国保、広島県国民健康保険団体連合会で構成する広域化等連携会議をこれまで夏、秋と二回開催し、今年度は保険料収納率の目標設定等について検討しているところでございます。  県といたしましては、今後、市町間の財政調整の拡充のあり方や保険料算定方式の標準化、保険料徴収の仕組み、市町での医療費適正化への取り組みの確保などの諸課題について、引き続き、市町と検討してまいります。  また、広域化に当たっては、県と市町がそれぞれの役割を踏まえて相互に連携し合うことにより、よりよいサービスの提供を目指す必要があると考えており、あわせて、広域化だけでは解決し得ない制度上の課題については、国において本質的な解決策の検討が進むよう働きかけてまいります。 197: ◯議長(林 正夫君) 間所 了君。 198: ◯間所 了君 続いて、都道府県の再編の問題について、まず、道州制についてお尋ねいたします。  本県では、分権改革推進計画において早期の道州制を目指すことを明記し、道州制導入のメリットを広報するなど道州制に向けた機運醸成を図るとともに、国に対して権限や財源の移譲を求め、州都にふさわしい都市づくりを進めてまいりました。  平成二十年九月に実施した県政モニターアンケートの結果では、道州制を「導入すべき」と「導入もやむを得ない」を合わせると、半数近くの方が道州制に対して一定の理解を示しており、六割近い方が「十年以内に道州制が導入される」と回答するなど、道州制を実現的なものととらえております。  ところが、昨年、国の政権が交代した途端、道州制の議論がばたりととまってしまいました。そればかりか、地域主権改革関連三法案は臨時国会でも成立せず、二度目の継続審議となるなど、国の地方分権改革は遅々として進みません。  今回策定された「ひろしま未来チャレンジビジョン」においても、道州制という言葉は消えております。県民からすれば、はしごを外されたような感覚ではないでしょうか。  広域自治の制度については、道州制のほかに都道府県合併や連邦制、広域連合などがあります。
     知事が考えている広域自治の姿はどういったものなのでしょうか、また、特に、道州制の意義とその導入についてはどのようにお考えなのでしょうか、お伺いいたします。 199: ◯議長(林 正夫君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 200: ◯知事(湯崎英彦君) 我が国が現在置かれております状況にかんがみますと、地域が特色と強みを生かして、みずから力を発揮しつつ地域経済を活性化するということにより、国全体の活力を創出していく必要があると考えております。  そのためには、地域が活力創出のための施策を独自に進めることができるよう、国と地方の役割を再定義して、国と地方を通じた権限と財源の配分の最適化を図る必要があると考えております。  また、最適化された権能を有する自治体が地域の成長戦略を展開するためには、現在の都道府県の枠組みでは限界があると考えておりまして、既に県境を越えて広域化しております経済活動や住民生活の実態も踏まえながら、新たな広域自治体の構築が必要となっていると考えております。  なお、道州制という言葉でございますけれども、これについては、その具体的な姿について必ずしも共通な理解が得られているとは言いがたい感じがしておりまして、あえて使っておりません。  しかしながら、目指すべき姿はこれまでと同様でございまして、広域的な連携を進める中で、現在の県より、いわゆるエリア的にも、あるいは権限的にも、より大きな広域自治体の再編に取り組んでいく必要があると考えているところでございます。 201: ◯議長(林 正夫君) 間所 了君。 202: ◯間所 了君 今月一日には、兵庫県や大阪府など七つの府県が参加する関西広域連合が発足しました。この広域連合には、中国地方から鳥取県も参加しております。この組織は、地方が率先して国の権限や財源の受け皿をつくることでその移譲を促そうとするもので、観光ルートの設定やドクターヘリの広域活用、広域防災計画の策定などに取り組むこととしております。  現在、内閣府の地域主権戦略会議において、国の出先機関の改革について、自治体も交えて議論が進められておりますが、国の土俵で議論するばかりでなく、中国地方のリーダーとして、他県と連携して国の権限を奪いに行くくらいの積極性が必要であると思いますが、いかがでしょうか。  新たな広域自治体の構築に向けた県の考えをお伺いいたします。 203: ◯議長(林 正夫君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 204: ◯知事(湯崎英彦君) 国の出先機関改革に係る事務・権限の受け入れについては、中国地方知事会において、今年度の初めから、ハローワーク、直轄国道、直轄河川などを対象に議論を進めて、先月、全体的な受け入れの用意があることで一致したところでありまして、今後、さらに具体的な検討を進めてまいりたいと思っております。  また、中国五県でブロック内の事務・施設の共同化に向けた検討や、経済界とも連携した広域観光や温暖化対策など、県境を越えた連携事業も行っているところでございます。  引き続き、中国五県で連携して、国の事務事業の受け入れや経済界とも協力した広域的な取り組みを推進するとともに、国に対しては、広域自治体のあるべき姿と、それを踏まえた権限と財源の最適化の実現について、積極的な働きかけを行ってまいりたいと思います。 205: ◯議長(林 正夫君) 間所 了君。 206: ◯間所 了君 次に、広域自治のあり方に関連して、「瀬戸内 海の道構想」についてお伺いいたします。  「瀬戸内 海の道構想」は、知事がしばしばエーゲ海に例える瀬戸内海という県域を超えた壮大なエリアを施策のフィールドとしている点に人々の関心が集まっているのだと思います。そこでは、岡山、山口、愛媛、香川といった他県との連携が必要になってきます。  本県のみならず、自治体はどこでも観光立県を目指して観光客の誘致に取り組んでおります。観光施策はまさに観光客の争奪戦でありますが、一方で、観光資源を補完し合うことができれば、ライバルは頼もしいパートナーにもなるのです。  先ほどありましたように、山陰の鳥取県は、観光振興の分野で関西広域連合に参画しております。  海の道構想においても、積極的に他県との連携を呼びかけて、世界的知名度のある瀬戸内海を目指す必要があると思いますが、そのような考えはないのか、お伺いいたします。 207: ◯議長(林 正夫君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 208: ◯知事(湯崎英彦君) 「瀬戸内 海の道構想」は、先ほど御指摘がございましたように、エーゲ海に例える観光エリア、大きな地域での観光エリアと申し上げておりまして、最近では、もう少し身近に、北海道とも比較して申し上げているところでございます。  いずれにしても、一定の広い地域にたくさんの魅力的な場所を有しているということで、瀬戸内海地域全体を一つの観光エリアとして魅力向上に取り組むものでございます。その構想を具体化するためには、本県だけでなく、瀬戸内海を抱える近隣各県との緊密な連携と協力が不可欠であると考えております。  こうしたことから、これまで、中国地方知事会や、愛媛県知事あるいは岡山県知事との会談など、さまざまな機会をとらえまして構想の考え方について御説明し、御理解と御賛同をいただいているところでございます。  例えば、愛媛県とは、しまなみ海道や周辺の島々をめぐるサイクリングロードの一体的な形成を目指して、関係市町を中心に共通のレンタサイクルシステムの検討などを行っているところでございますし、先般は、いわゆるタンデム自転車の通行について共通化を図ったところでございます。  また、島根県とは、「銀の道から海の道へ」として、石見銀山街道からしまなみ海道に至る沿線地域の食材やものづくり技術を結びつけて、新たなメニューや地場産品の開発、観光ルートの検討などを進めております。  今後も、日本海側の県も含めた北前船などの歴史的資源のつながりや、山口県、岡山県、香川県などとの県境を越えた芸術文化活動、また、まちづくりネットワークの形成など、構想推進に係る具体的なプロジェクト推進について積極的に近隣各県との連携を図ってまいりたいと考えております。 209: ◯議長(林 正夫君) 間所 了君。 210: ◯間所 了君 次の質問は、中国との経済交流についてであります。  十三億の人口を抱える中国は、経済成長に伴う富裕層の台頭や中間層の増加による購買力の拡大が続き、日本を抜いて世界第二位の経済大国になることが確実になっております。世界の企業にとってこの富裕層、新中間層は大変魅力的なマーケットであります。こうした中国人を観光客として誘致することができれば、すそ野の広い観光産業の波及効果は大きなものが期待できるのであります。  こうした中、本県では、今月、県庁内に新たに中国経済交流プロジェクト・チームを設置し、県内企業の販路拡大支援や観光インバウンド対策などに関する中国経済交流プログラムを策定することとしております。  私が会長を拝命しております日中友好広島県議会議員連盟では、中国で事業展開しておられる企業の方を講師に招いた講演会を開催しておりますが、中国に進出しようとする日本企業の中には、ビジネス文化の違いや現地の役所関係の手続に戸惑ったり、業界のキーパーソンにたどり着く困難さにつまずく中小企業が多いと聞いております。  ぜひとも、こうした中小企業を支援していただきたいと思いますが、今回県が策定しようとする中国経済交流プログラムは、こうした企業のニーズにこたえるものなのでしょうか、このプログラムに盛り込もうとしておられる具体的内容についてお伺いいたします。 211: ◯議長(林 正夫君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 212: ◯知事(湯崎英彦君) 少子・高齢化や経済のグローバル化といった状況が一層進展していく中で、本県経済が持続的に発展していくためには、アジアを中心とする成長市場、中でも、世界の消費市場へと変貌を遂げて今後も高い成長が見込まれております中国市場の活力を取り込むことが不可欠であると認識しているところでございます。  このため、県としては、県内企業の販路開拓支援や観光インバウンド対策など、中国との経済交流の拡大に向けて組織横断的かつ戦略的な取り組みを進める必要があると考えております。  現在、中国、とりわけ内陸部の成長拠点であります四川省の市場動向や県内企業のポテンシャルなどについて、詳細な調査を実施しているところでございます。  こうした点を踏まえた上で、県内企業の対中国取引の拡大のための支援や経済交流を促進するために必要となる環境整備などについて、幅広い観点から実効性の高いプログラムを策定したいと考えておりまして、現在、それについて作業を進めているところでございます。 213: ◯議長(林 正夫君) 間所 了君。 214: ◯間所 了君 このプログラムは、中国資本の県内投資の誘致策についても盛り込まれるということですが、近年、中国の富裕層が投資目的で日本国内のマンションや地方のリゾート地のペンションなど付加価値のある不動産を物色していると言われております。  県内に雇用や経済効果を生む中国資本の投資というのがいま一つイメージできないのでありますが、本県が目指そうとしている中国資本の誘致とは、具体的にどういった投資を想定しているのでしょうか、商工労働局長にお伺いいたします。 215: ◯議長(林 正夫君) 商工労働局長津山直登君。         【商工労働局長津山直登君登壇】 216: ◯商工労働局長(津山直登君) 中国資本の対日投資につきましては、メイド・イン・ジャパンのブランド力や高度な技術力に着目いたしたもの、あるいは中国製品の日本国内での販売ルートを確保するもの、こういった事例がございますけれども、投資先企業におきましては、資金面の強化や急成長する中国市場への足がかりが得られたといったメリットが挙げられております。  その一方で、技術の流出や雇用慣習など企業文化の違いを懸念いたしまして、依然として根強い抵抗感があるとの指摘もございます。  中国経済交流プログラムにおきましては、こうしたメリット、デメリットのより詳細な調査・分析を行うとともに、県内企業の意向や中国企業のニーズなども十分に踏まえまして、双方にメリットのある県内への投資のあり方について検討してまいりたいと考えております。 217: ◯議長(林 正夫君) 間所 了君。 218: ◯間所 了君 ぜひとも実効性のあるプログラムをつくっていただきたいと思いますが、気になるのは、両国の緊張関係が続いていることであります。  先月、県職員が四川省を訪れ、経済交流に向けた協議を行ってきたと聞いておりますが、現地での日本企業や日本製品に対する反応を踏まえ、経済交流のリスクと今後の可能性についてどのように分析しておられるのか、局長にお伺いいたします。 219: ◯議長(林 正夫君) 商工労働局長津山直登君。 220: ◯商工労働局長(津山直登君) 先月中旬に、中国の中でも特に経済成長が著しく、本県とも二十六年間にわたる友好提携の蓄積のございます四川省を訪問いたしました。  その際、現地へ進出しております日本企業へのヒアリングにおきましては、商慣習や制度が異なるため、新規に参入いたしましても利益を得るまでには時間がかかるといった課題の指摘もございましたけれども、一方で、このたびの反日デモによる影響は一時的なものにとどまったこと、ジャパンブランドへの信頼性も高く、将来的に中国市場において売り上げ拡大を見込んでいること、工場立地に当たりましては地方政府の支援システムが整備されていることなど、中国進出につきまして前向きに受けとめる御意見を数多くいただきました。  また、四川省人民政府との協議では、これまでの友好提携に基づく交流に加えまして、経済を軸とした互恵的な交流の拡大に向けました相互協力につきまして提案いたし、今後、実務的な協議を進めていくことになったところでございます。  こうした今回の訪問結果からも、中国との経済交流の拡大の可能性は高いものと認識いたしております。 221: ◯議長(林 正夫君) 間所 了君。 222: ◯間所 了君 次の質問は、厳しい経済情勢に対応した雇用対策についてであります。  まず、新卒者の就職支援についてお伺いいたします。  来春卒業予定の大学生の内定率が過去最悪の状況になっております。就職氷河期と言われた平成十五年前後の内定率を割り込み、新就職氷河期に突入したと言われております。県内においても、十月末現在の大学生の就職内定率は四九・四%で、この時期に五〇%を下回るのは平成十六年以来であります。  いまだに内定が得られない学生の不安や焦りは察して余りあります。長く報われない就活の日々に、心のバランスを崩す学生もいると聞いております。広島県の将来を担う若者が働く場を得られず、希望を失うことは、本人はもとより、本県にとっても大きな損失であります。  前回の就職氷河期に就職できなかった若者が、景気回復後もフリーターや非正規社員を余儀なくされ、リーマンショックで派遣切りに遭うなど、新卒時に就職できないことは生涯の人生設計にかかわる大きな問題であります。  こうした若年層の雇用の低迷は、結婚活動にも影響を及ぼします。今年結婚した者は、全国で二十三年ぶりに七十万組を割り込むと見込まれております。景気が回復しても、雇用の改善がおくれ、将来の不安から結婚を手控える動きが顕著になっているのです。こうした傾向は、少子化に一層拍車をかけることにもつながります。  景気が回復すればすべてが解決されるというわけにはいかないようですけれども、本県においては、新就職氷河期が及ぼす社会的影響をどのように認識しておられるのか、商工労働局長にお伺いいたします。 223: ◯議長(林 正夫君) 商工労働局長津山直登君。 224: ◯商工労働局長(津山直登君) 就職氷河期と言われました平成十五年前後におきましては、正規雇用を希望しているにもかかわらず非正規雇用やフリーターとなった若者が増加いたしました。  こうした非正規雇用の増加や次代を担う若者がいわゆるフリーターとして長期固定化いたしますことは、産業活力の維持という観点はもとより、晩婚、非婚による少子化の加速にもつながるなどの課題があるものと、県といたしましても認識いたしております。 225: ◯議長(林 正夫君) 間所 了君。 226: ◯間所 了君 政府においては、今年八月に、省庁をまたがる新卒者雇用・特命チームを立ち上げ、大学におけるキャリアカウンセラー等の倍増、ジョブサポーターの倍増による二万人のマッチングを目指しております。  本県においても、合同就職面接会や就業体験事業など、新卒者の就業支援に積極的に取り組んでおりますが、リーマンショック以降、企業は人材の厳選主義を強め、即戦力としての中途採用を優先するなど、新卒者の雇用環境は厳しくなる一方であります。  また、学歴で人を評価する風潮や知名度の高い会社を目指す学生の根強い大企業志向などを見るとき、短期的な対策のみならず、じっくり腰を据えた対策が必要ではないかと思うのであります。  そこで、県においても、新卒者の就業をめぐる構造的な問題に対処し、高い就職率が維持できるよう、広島方式と言えるような産学官が緊密に連携した中長期的戦略を策定して総合的に取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか、県のお考えを伺います。 227: ◯議長(林 正夫君) 商工労働局長津山直登君。 228: ◯商工労働局長(津山直登君) 新規学卒者の就業支援につきましては、国、産業界、学校などと新卒者就職応援本部あるいは大学・短期大学新卒未就職者支援連絡会議を設置いたしまして、例えば、関係機関が連携いたしました求人開拓、緊急合同就職面接会の開催、緊急雇用対策基金を活用いたしました就業支援など、当面の課題であります就職内定率の向上に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。  引き続き、これらの会議等を活用いたしまして、産学官が緊密に連携を図り、新規学卒者の就業をめぐる各種課題につきまして効果的な対応策を検討してまいりたいと考えております。 229: ◯議長(林 正夫君) 間所 了君。 230: ◯間所 了君 若年層の雇用対策に続いて、障害者の経済的自立についてお伺いいたします。  授産施設や就労継続支援事業所では、働く障害者が仕事で収益を生んだ場合、その一部分が工賃として支払われております。大部分の事業所は、収益が小さいため、工賃も極めて低くならざるを得ません。県内における平成十八年度の工賃の月額平均は一万二千四百十九円で、全国平均の一万二千二百二十二円よりは高いものの、生計を維持するのに十分な額とは言えません。  このため、本県では、平成二十三年度までに工賃月額二万五千円まで引き上げることを目標とする広島県工賃ステップアップ計画を策定し、事業所における製品開発や販路拡大など、経営基盤の強化に向けた取り組みを支援してまいりました。  しかしながら、平成二十一年度の工賃の実績は一万三千二百九十一円で、目標の二万五千円にはいまだ遠く及びません。長引く景気低迷も一つの要因かもしれませんが、もともとこうした施設は、営利追求型の組織ではないため、経営的な視点が不足し、障害の重度化や高齢化による作業力の不足と相まって、収益の向上が難しい状況にあります。  工賃の向上は、働く障害者にとって、充実感や達成感、さらには経済的自立にもつながります。工賃月額二万五千円という目標を達成するため、県として今後どのように取り組まれるのか、健康福祉局長にお伺いいたします。 231: ◯議長(林 正夫君) 健康福祉局長佐々木昌弘君。         【健康福祉局長佐々木昌弘君登壇】 232: ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 県では、授産施設などで就労している障害者の経済的自立を図るため、議員御指摘の広島県工賃ステップアップ計画を昨年三月に策定いたしました。  この計画に基づき、授産施設等の職員を対象とした研修会の開催や中小企業診断士の派遣による授産活動の見直しなど、収益向上に向けた取り組みへの支援を行っているところでございます。  今後は、外部有識者等で構成する広島県障害者自立支援協議会の就労支援部会がございますので、ここにおきましてこれらの事業の検証を行いますとともに、実績のある事業所の取り組み事例について情報発信するなど、工賃のアップや授産活動の充実について積極的に取り組んでまいります。 233: ◯議長(林 正夫君) 間所 了君。 234: ◯間所 了君 障害者の雇用対策に関連して、広島県立視覚障害者情報センターの機能強化についてお伺いいたします。  このセンターの前身である広島県立点字図書館は、昭和三十七年の設立以来、視覚障害者に対する情報提供施設として、点字図書や音声録音図書の作成・貸し出し、図書情報の提供、中途視覚障害者への点字指導などを行ってきました。本年四月に名称が広島県立視覚障害者情報センターに変わって再スタートしたわけですが、中身が大きく変わったわけではありません。  京都府や千葉県の点字図書館では、情報提供施設にとどまらず、歩行訓練やコミュニケーション訓練などの生活訓練も行っており、視覚障害者の総合福祉施設としてワンストップのサービスを提供しております。  広島県内では、平成二十年四月に開設した広島市総合リハビリテーションセンターにおいて視覚障害者の生活訓練を実施しておりますが、県内にいらっしゃる一万人を超える視覚障害者のニーズにこたえることは到底困難であるように思います。  県立視覚障害者情報センターにおいて視覚障害者に対する情報提供から生活訓練、就業支援まで一体的に提供できるように、このセンターの機能強化を図るべきだと思いますが、県の考えをお伺いいたします。 235: ◯議長(林 正夫君) 健康福祉局長佐々木昌弘君。 236: ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 広島県立視覚障害者情報センターは、視覚障害者に対して、点字や音声などによって情報を提供するための図書の製作・貸し出しなどを行うほか、点訳や朗読ボランティアの育成といった情報面での支援を目的として設置している施設でございます。  したがいまして、生活訓練や就業支援に関しましては、市町や社会福祉法人との連携による対応が必要になってまいります。  本定例会では、同センターの指定管理者を指定する議案を提出しておりますが、視覚障害者の円滑な情報・コミュニケーションの支援の充実については、同センターの指定管理者と十分に協議を行い、また、生活訓練や就業支援については、関係機関との連携を一層強化することにより、県全体として視覚障害者の施策をさらに推進してまいります。 237: ◯議長(林 正夫君) 間所 了君。
    238: ◯間所 了君 最後の質問は、矯正施設退所者の再犯防止と就労支援についてであります。  刑務所や少年院などの矯正施設を退所する者の中には、親族などから嫌われて受け入れ先が確保できないばかりか、高齢や障害によって自立した生活を送ることが困難であるにもかかわらず、福祉的支援を受けられていない人が少なくありません。  このため、厚生労働省では、高齢や障害のために福祉的な支援を必要とする者について、矯正施設を退所した後、障害者手帳の発給や社会福祉施設への入所などの福祉サービスにつなげる地域生活定着支援センターを各都道府県に整備することとし、本県においても、今年六月に広島市南区の広島県社会福祉会館内にこのセンターを設置したところであります。  一方、法務省の調査によれば、平成二十一年に刑務所に再入所した者、約一万五千人のうち、無職者が占める割合は七一・八%にも上っております。刑務所に再入所ということは、矯正、立ち直りが見込めるとして一度刑務所から出所した方が、また犯罪をして刑務所に入ったということであります。そういった人たちのうち無職者が占める割合が七一・八%にも上っているということであります。また、平成十七年から五年間の無職の保護観察対象者の再犯率は三六・七%で、就労している者の再犯率の約五倍に上っており、無職者の再犯率の高さが顕著となっております。  このため、法務省では、再犯防止策として、刑務所出所者への就職先の紹介や身元保証、トライアル雇用などを実施してきましたが、昨今の厳しい経済・雇用情勢の中では、なお就職できない出所者は数多く、出所者の就労環境は大変厳しい状況にあります。  矯正施設退所者の就労は、本人の社会復帰はもちろんのこと、再犯防止策として安全な地域社会づくりにも寄与しております。  そこで、地域生活定着支援センターにおいて、高齢や障害のある矯正施設退所者に対する就労支援についても強化を図るべきであると思いますが、県はどのようにお考えでしょうか、健康福祉局長にお伺いいたします。 239: ◯議長(林 正夫君) 健康福祉局長佐々木昌弘君。 240: ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 高齢または障害のある矯正施設退所者の再犯防止を図る観点からは、福祉的支援とともに就労支援が重要な課題であると認識しております。  こうした中で、県は、本年六月に地域生活定着支援センターを設置し、福祉的支援だけではなく、就労を希望する退所者につきましては、雇用に協力が得られる事業者へ取り次ぐなどの支援を行っているところでございます。  なお、これに先立つ四月には、県内の企業や経済団体、更生保護関連団体等で構成するNPO法人広島県就労支援事業者機構が設立され、退所者の就労先の確保に向けた支援が行われるなど、県内でもさまざまな主体により取り組みが進んできているところでございます。  県といたしましては、今後さらに、広島保護監察所やハローワーク、先ほど申し上げました就労支援事業者機構等と連携を深めながら、地域生活定着支援センターでの退所者の就労支援に取り組んでまいります。 241: ◯議長(林 正夫君) 間所 了君。 242: ◯間所 了君 これについてでありますが、少し時間をかりましてお願いをしておきます。  ある県では、建設業者の入札資格に、こういった出所者、少年非行を行った者、そういった人たちを雇用することを条件にしている県があるのです。ということは、明るい地域社会をつくるためにいかに犯罪をなくすかということが必要でありますが、そのためには、こういった立ち直り支援が非常に重要であるという認識が深まってまいりました。  刑務所を幾らつくっても世の中は明るくなりません。厳罰主義でもだめであります。要は、暮らしを確保することが犯罪がなくなる一つのもとであるといった発想のもとに、県がこういった思い切った施策をしているところもございます。どうかひとつ、そういったことを研究してくださって、支援していただきたいと思います。  質問は以上で終わりますが、要望をしておきます。大学コンソーシアムの機構強化についての要望であります。  このことにつきましては、決算特別委員会でも質問いたしましたが、複数の大学が連携して、学生の単位互換制度や社会人向けの生涯学習講座、地域振興のプロジェクトなどに取り組む大学コンソーシアムが全国各地に広がっております。  中でも京都では、公益財団法人をつくって、賛助会員を募りながら、大学教育の高度化を目指した教育システムの研究開発など、先進的な大学連携に意欲的に取り組んでおります。中国地方でも、鳥取、岡山、山口にこうした大学コンソーシアムの組織があります。  本県においては、教育ネットワーク中国という組織があり、現在、三十一の教育機関が参加しておりますが、少子化が進み、大学同士が競合関係にある中では、なかなか連携が進んでいないのが実態であります。県においては、中立的・公益的な立場から率先して大学連携をリードしていく必要があるのではないでしょうか。  大学連携は生涯学習や地域振興のみならず、例えば、図書館の共同利用、学生のインターンシップや合同就職説明会、留学生などの外国人の国際交流、社会人の再教育、現役企業人のスキルアップなど、さまざまな可能性が広がってきております。大学の知的財産をもっと有効に地域に還元するためにも、大学連携を強化していく必要があります。  決算特別委員会では、大学コンソーシアムについて、知事から、やるのであれば日本一を目指したいという趣旨の答弁をいただきました。人づくりを最優先課題に掲げられている湯崎県政であります。ぜひとも京都を上回る大学コンソーシアムを構築していただきたいと思います。  以上で私の質問は終わります。ありがとうございました。(拍手) 243: ◯議長(林 正夫君) これをもって質問を終結いたします。  お諮りいたします。ただいま上程中の議案中、県第一一六号議案 広島県収用委員会委員及び予備委員の任命の同意について並びに県第一一七号議案 広島県名誉県民の選定の同意について、以上二件については、この際、委員会への審査の付託を省略し、直ちに本会議において議決するに御異議ありませんか。         【「異議なし」と言う者あり】 244: ◯議長(林 正夫君) 御異議なしと認めます。  それでは、まず県第一一六号議案 広島県収用委員会委員及び予備委員の任命の同意についてを採決いたします。本案は、原案に同意するに賛成の諸君は御起立願います。         【賛成者起立】 245: ◯議長(林 正夫君) 起立総員であります。よって、本案は原案に同意するに決しました。  次は、県第一一七号議案 広島県名誉県民の選定の同意についてを採決いたします。本案は、原案に同意するに賛成の諸君は御起立願います。         【賛成者起立】 246: ◯議長(林 正夫君) 起立総員であります。よって、本案は原案に同意するに決しました。  その他の各案については、それぞれ所管の常任委員会に審査を付託いたします。議案付託表は後刻お手元に配付いたします。  お諮りいたします。明十七日及び二十日は、委員会審査のため、本会議は休会とするに御異議ありませんか。         【「異議なし」という者あり】 247: ◯議長(林 正夫君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決します。  次回の本会議は、十二月二十一日午前十時三十分から会議を開きます。  本日はこれをもって散会いたします。         午後三時二分散会 発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...