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  1. 広島県議会 2002-02-02
    平成14年2月定例会(第2日) 本文


    取得元: 広島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-05
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成14年2月定例会(第2日) 本文 2002-02-25 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 29 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長檜山俊宏君) 選択 2 : ◯議長檜山俊宏君) 選択 3 : ◯議長檜山俊宏君) 選択 4 : ◯議長檜山俊宏君) 選択 5 : ◯多賀五朗選択 6 : ◯議長檜山俊宏君) 選択 7 : ◯知事藤田雄山君) 選択 8 : ◯議長檜山俊宏君) 選択 9 : ◯総務企画部長阪本博臣君) 選択 10 : ◯議長檜山俊宏君) 選択 11 : ◯政策企画局長中川日出男君) 選択 12 : ◯議長檜山俊宏君) 選択 13 : ◯商工労働部長玉川博幸君) 選択 14 : ◯議長檜山俊宏君) 選択 15 : ◯教育長(常盤 豊君) 選択 16 : ◯議長檜山俊宏君) 選択 17 : ◯副議長神川正紀君) 選択 18 : ◯蒲原敏博選択 19 : ◯副議長神川正紀君) 選択 20 : ◯知事藤田雄山君) 選択 21 : ◯副議長神川正紀君) 選択 22 : ◯総務企画部長阪本博臣君) 選択 23 : ◯副議長神川正紀君) 選択 24 : ◯商工労働部長玉川博幸君) 選択 25 : ◯副議長神川正紀君) 選択 26 : ◯福祉保健部長(三浦公嗣君) 選択 27 : ◯副議長神川正紀君) 選択 28 : ◯教育長(常盤 豊君) 選択 29 : ◯副議長神川正紀君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:         午前十時三十二分開議 ◯議長檜山俊宏君) 出席議員六十五名であります。これより会議を開きます。  この場合、知事、行政委員会の長並びに説明員の出席を求めるに御異議ありませんか。         【「異議なし」と言う者あり】 2: ◯議長檜山俊宏君) 御異議なしと認めます。よって、直ちに出席を要求いたします。         【知事、行政委員会委員長並びに各説明員出席】              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 3: ◯議長檜山俊宏君) 諸般の報告がありますので、書記をして朗読いたさせます。         【書 記 朗 読】                               平成14年2月21日  広島県議会議長 檜 山 俊 宏 殿                               広島県人事委員会委員長 丸 山  明           条例案に係る意見について   平成14年2月21日付けで,地方公務員法第5条第2項の規定に基づく意見を求められた次の条例案については,  適当と考えます。   県第21号議案 一般職の任期付研究員の採用等に関する条例案   県第28号議案 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例案   県第29号議案 職員の育児休業等に関する条例及び職員の勤務時間及び休暇等に関する条例の一部を改正する条           例案              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
            自第  一 県第一号議案         至第五十九 報 第 五 号 4: ◯議長檜山俊宏君) これより日程に入ります。日程第一、県第一号議案 平成十四年度広島県一般会計予算から日程第五十九、報第五号 損害賠償額の決定についてまでの各案を一括上程議題といたします。  これより各案に対する質問に入ります。通告者に順次発言を許します。多賀五朗君。         【多賀五朗君登壇】 5: ◯多賀五朗君 自由民主党広島県議会議員会の多賀五朗でございます。今次定例県議会において、会派を代表して最初に質問の機会をいただき、まことに光栄であり、議長を初め、議員各位にまず御礼を申し上げます。  さて、今、新世紀の幕あけとなった昨年を振り返ってみますと、まさに激動の一年であり、社会・経済全体のグローバル化が急速に進んでいることを印象づけられた年でもありました。また、景気の低迷に加え、芸予地震、米国の同時多発テロ、狂牛病など、予測できない事態に対する危機管理ということを、今まで以上に強く意識させられた年でもありました。  さて、ことしはどうなるのか、日本は大丈夫なのか、私たちは大きな岐路に立っております。地方自治体を取り巻く状況を見渡しましても、交付税特別会計を含めた累積する借金残高、不況による税収の大幅減など極めて厳しい局面にあります。こうした中、県行政は、相変わらず日常業務の中で、えてして現行法規への適応性やすべてにおいての公平性、あるいは前例の有無など、いわゆる役所の文化にこだわり、そういう正義がないと仕事をしないパターンに陥ってはいないでしょうか。初めて遭遇する多くの課題を前にして、いたずらに立ちすくんでいるだけではないでしょうか。この時期にあっては、調査でも研究でもありません。今こそスピードある力強い行政が求められているのであります。そして、徹底して県民の気持ちに近づいていただきたい。徹底してその中でシーズを探し育ててほしい。徹底してプロジェクトに仕立てて実行に移してほしい。このような観点から、私は、提言をまじえて県政の重要課題について具体的に質問したいと思います。知事の率直で歯切れのよい答弁を要請いたします。  質問の第一は、県の大規模プロジェクトについてであります。昨年度、二十一世紀における県政の方向を左右するほどの二大プロジェクトが挫折いたしました。リニア鉄道による空港アクセスとがんセンターであります。いずれも、経済社会情勢の変化によるやむを得ない決断であるとの説明でありますが、私は、行政にスピードがあったならば、違った展開になったのではないかとも思うのであります。今や県政中期ビジョンも策定され、やらなければならないことは、だれの目にもはっきりしております。それこそ、計画はできた、実行できるのかどうか、決断に尽きるということであります。  そこで、まず、現在、最も関心度の高い県庁舎の建てかえについてであります。災害はいつ発生するのか、だれにもわかりません。あすにも大地震がこの広島を襲うかもわかりません。そのため、防災上の拠点施設である県庁舎の整備について速やかに立地場所を決定し、建設計画を明示した上で具体的な準備に取りかかることが重要であります。知事は、本会議等で数回にわたり、今年度中に立地場所を決定すると答弁されており、私たちはその発言を重く受けとめております。本県の発展にとって何がベストかを考え、早急に決定を行うことが必要であります。県庁舎の立地場所と今後の進め方について、知事の御決断をお聞かせください。  次に、国際的芸術文化拠点の整備についてであります。拠点施設として、エルミタージュ美術館の分館誘致がありますが、先般、収支シミュレーションが明らかになったことを受け、次の段階へと進まなければなりません。この三月に提言される基本構想を踏まえ、来年度はロシアとの幅広い交流とあわせ、前向きで具体的な施策が必要であります。今後、どのように取り組まれるのか、お考えをお伺いいたします。  続いて、一刻も早い整備が求められている空港への軌道系アクセスについてであります。本県の中枢拠点性を高める上で必要不可欠なグローバルゲートとしての広島空港へのアクセス整備は、最も基本かつ重要なプロジェクトであります。一昨年、空港アクセスの手段がリニアから在来型鉄道に変更されたときから、JRの協力が得られるのか否かが大きな焦点でありました。方針転換以来の対応を見ていると、アクセス鉄道が本当に実現可能なのか、危惧の念が払拭し切れません。早期実現を目指す上からも、目に見える形で前進しなければなりません。今後、どのように取り組まれるのか、JRの協力についての認識を含め、知事の決意をお伺いいたします。  質問の第二は、県政運営の基本的な考え方についてであります。  その一点目は、当初予算編成についてであります。  最初に、予算編成に当たっての基本方針についてお尋ねいたします。知事は、先日の提案説明の中で、一般会計一兆九百四十八億円の当初予算を組んだことを明らかにされました。厳しい財政環境の中で、施策の一層の重点化を図り、元気な広島県づくりを着実に推進していく、元気再生予算ということであります。また、今回の当初予算は、平成十四年度の通年予算であるとともに、今月初め成立した国の二兆五千億円もの二次補正からきた本県分、総額三百三十三億円に上る公共事業を合わせた十四カ月予算で考えるべきだと思います。そこで、まず、こうした予算編成に当たって、知事はどのような基本方針を立てられたのか、お伺いいたします。  次は、その内容に係る選択と集中についてであります。我が自民党県議会議員会は、去る一月、当初予算編成に当たって、元気な広島県づくりとして産業、教育、地方分権を掲げ、知事に要望いたしました。教育については、新年度に向けて、是正指導の徹底に加え、小・中・高にわたっての学力向上、また、これからの日本を背負っていく子供たちへの道徳教育など、着実に前進していると、その熱意が感じられるのであります。また、地方分権改革についても、市町村合併支援として五十一億円余りを計上され、さらに、新たな地方制度について県みずからが考えていこうと、そういう意欲が見える事業予算も計上されております。産業再生関係の予算も前年比一七%の増加で、二十二億円ふえております。これは、昨年既に誘致が決まった企業などに対する助成金が、今年度の十五億円から来年度二十九億円へと十四億円増加している影響が大きいのでありますが、産業分野への重点投資など、当初予算編成に当たって、真の意味で選択と集中はどう実現できているのか、知事の率直な御見解をお伺いいたします。  続いて、財源不足対策についてであります。昨年十二月、財政当局は、当初予算編成方針の基礎ともなった財源不足の見込み額を明らかにされました。その時点では、約五百七十億円にも上る不足が見込まれたのであります。それだけに予算編成に苦心されたことと思いますが、こうした財源不足に対し、具体的にどのような内部努力、施策の見直しが行われ、その結果、最終的な財源不足額は幾らになり、それについてどのように対応されたのか、御所見をお伺いいたします。  次に、民間資金の積極的な導入についてであります。私は、今後の県の財政見通しを踏まえれば、民間資金の活用が不可欠であると思います。その一つであるPFIについては、県において既に導入方針を定められており、新年度、県営住宅の整備やプレジャーボート施設についての調査を行うこととされております。PFI事業を積極的に掘り起こし、民間のノウハウを取り入れた質の高い施策推進を図るべきだと考えます。  その二は、国で既に行われている不動産などを流動化することにより民間資金を導入する証券化手法の活用であります。例えば県庁舎の敷地についても、賃借料という一つの期待収入のような債権を小分けにし証券化すれば、多くの企業が証券を購入することができ、その結果、安定的に資金供給者をふやすことが可能になるのであります。現にマツダでは、在庫圧縮の新手法として新車在庫の証券化というものまでが検討されているとの新聞報道もありました。世の中はここまで動いております。県という信用力も加味すれば、企業会計で所有している未分譲団地も含め、そろばんは十分はじける物件があるのではないでしょうか。これらPFI及び新たな流れとしての不動産の証券化など、今後の財源対策としての民間資金の導入について知事の御所見をお伺いいたします。  質問の二点目は、政策推進力の強化と機動的な組織体制についてであります。  昨年四月、県は、本庁組織について課・係制を廃止し、組織の機動性を重視したフラット化に踏み切られました。しかし、導入後一年、私の目には、責任を明確にし、意思決定のスピードアップを図るという当初の目的が達成できているとは思えないのであります。むしろ縦割りの弊害がより強く目立っております。先行してフラット化を実施した他県においても、今、大幅な見直しが必要になっていると聞いております。  そこで、私は、事業推進のスピードアップの切り札として、タスク・フォース制の導入を提案いたします。タスク・フォース、聞き慣れないこの言葉は、もともと米軍用語で、機動部隊とか特別編成艦隊という意味であります。企業の組織論において、この言葉は機動戦略部隊と訳され、最近、多くの企業がこの方式を導入し、プロジェクトの推進に効果を上げております。先ほどスピードある行政ということを申し上げましたが、今後、多くのプロジェクトを素早く実行、完成させるためには、現在の県の組織を流動的、効率的に動かす必要があります。県では、従来から、プロジェクトに対し本来の仕事と兼務して参加するマトリックス組織を数多く設置されておりますが、本当の意味での連携は、ほとんどと言っていいほど機能していないと思います。それは、マトリックス組織が極めて中途半端で、責任の所在が明確でないからであります。重要かつ喫緊の取り組みを要する知事直結の案件あるいはプロジェクトに対しては、臨機応変に異なる室の職員をピックアップし、組み合わせてつくる専属チーム、すなわちタスク・フォースで対応させれば、他のことを考えることなく、そのプロジェクトのみに専念できるようになります。このことが、重要案件がスピーディーに展開され、新しい広島像を構築する大きな原動力になると考えるのであります。タスク・フォース制の導入に前向きに取り組むことが必要だと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第三は、地方分権の推進についてであります。  市町村合併特例法の期限である平成十七年までの合併を目指し、国、県、市町村を挙げて、その推進に取り組んでおります。本県では、合併協議会等を設置している市町村は、県内八十六市町村のうち八十一市町村を数え、その割合は九四%にもなっております。そして、新年度では合併支援予算も、今年度の予算約十億円から五倍の五十一億円に大きく伸ばされております。私も、市町村の合併を実現することが地方分権改革に欠かせない最初の取り組みであると認識しており、全国の中で最も進んでいる本県の取り組みを高く評価するものであります。  こうした市町村合併の進展を踏まえ、さらに次の段階では、日本という国のあり方に大きくかかわる地方制度全般の見直しがいよいよ具体的になると考えます。国においても、昨年十一月に設置された第二十七次地方制度調査会で二年間かけて検討することになっておりますし、本県においても、この当初予算に新しい地方政府のあり方についての検討費が計上されております。国、都道府県、市町村という現在の三層制の抜本的な見直し、道州制や連邦制など都道府県の合併の論議、それに基づく税源の再配分など、十分な検討がなされなければなりません。  私は、さらにこうした団体自治の視点からの検討に加え、住民自治の観点からも、踏み込んだ議論を開始すべき時期だと申し上げたいのであります。例えばここ十年来、エネルギー政策や公共事業をめぐっての住民投票が全国各地に広がっておりますが、住民の意思とエネルギー政策という国策との関係がきちんと整理できているのであろうかと、不安に感ずる面もあります。地方分権の議論を矮小化せず、住民自治の観点も踏まえ、国に一歩先行して、それこそ骨太の議論をすることが大切であります。知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第四は、産業・雇用対策についてであります。  本県は、かつて生産県、産業県として、県内はもとより、中四国地方の中枢県として周辺の県外の方々にも働く場を提供してまいりました。しかしながら、例えば製造品出荷額で見ますと、本県は平成三年の全国順位十位を最高に徐々に順位を下げ、平成七年には福岡県に抜かれ、現在、全国で十四位まで低下してきております。また、先週二十二日、内閣府の発表によれば、県勢順位をあらわすとされる県民所得について、十一年度には、残念ながら本県は全国順位が十二位から十四位に落ちていることが明らかになりました。まさしく県内産業の再生は、県政の最重点課題の一つとして緊急に取り組むべき課題であります。もちろん、既存の中小企業を含め、重厚長大産業の活性化や企業誘致が最重要課題であることは論を待ちませんが、ここでは新産業創出に焦点を絞り質問をいたします。  そこで、一点目は、産学官にわたる技術開発、研究開発の促進による産業活性化についてであります。  民間における研究開発投資は、設備投資が抑制される中、右肩上がりに増加しておりますが、その中で大学の果たす役割は大きなものがございます。最近、我が国では、ようやく大学の研究成果を民間で活用してもらう仕組みであるTLOを整備するため、大学等技術移転促進法が成立し、また、教官等がベンチャー企業など営利企業の役員を兼職することを可能とする産業技術力強化法が制定されました。また、国は、三年間で大学発ベンチャーを千社創業する目標を掲げ、国立大学の構造改革や産学連携による技術研究、事業化支援の強化を加速させております。  こうした中、全国では二十六のTLOが設立されるに至っているものの、残念ながら、本県においてはいまだ設立されていないのであります。TLOは、研究開発の成果を民間に移転し、地域産業の高度化と成長力を高めるためにも欠かせないものであり、早急に整備する必要があります。整備に当たっては、かつて私が視察したマサチューセッツ工科大学の特許管理事務所では、企業に技術移転した件数の約六〇%近くは教授みずから開拓し、売り込んだものであるように、行政はあくまでサポート役となり、大学、大学人が積極的で主体的な役割を発揮できる仕組みが不可欠であります。県は、来年度予算に県内の大部分の大学を視野に入れた広島版TLOの設立に向けた検討経費を計上されていますが、どのように取り組もうとされているのか、基本的な枠組みとスケジュールについてお伺いいたします。  質問の二点目は、県の試験研究機関のあり方についてであります。  県は、このたび、試験研究機関の全庁的な一元管理への移行に向けて、先端産業系、工業系、農林水産系、保健環境系など八つの技術センターの研究企画や研究課題を調整し評価するとしております。私は、こうした管理の見直し以前に、むしろ急がれるのは試験研究員のありようを整理することだと思います。例えば工業系センターの場合、その役割は研究、試験、そして技術相談と三つの柱があると言われておりますが、適性によってその役割を振り分けるべきというのが私の持論であります。研究職は若い層を中心に大学等の他の研究機関との連携を密にし、年齢などに応じて依頼試験業務、相談・指導業務、さらには他の職場、例えば教職の道などで豊富な経験を生かすなど、幅広く研究の活性化を図るべきだと考えます。要は、新産業創出に貢献できる研究開発に焦点を合わせ、若手グループなどがテーマに対し専任できる体制を整えることこそ肝要であります。知事の御所見をお伺いいたします。  質問の三点目は、雇用対策についてであります。  雇用・失業情勢は依然悪化の度を強めており、昨年の全国の平均失業率は初めて五%台となりました。企業は工場閉鎖や人員整理などリストラを強化する動きもあり、雇用・失業情勢は今後ますます厳しくなることが懸念される状況にあります。  こうした中、県は昨年十二月、五十五項目の対策を盛り込んだ緊急産業・雇用対策を決定されました。そして、今後三年間で延べ三万人の雇用機会の確保を目標に、セーフティーネットの整備やミスマッチ解消など、雇用の維持・創出につながる施策を実施していくこととされました。しかし、平成十四年度予算に、この三万人雇用の具体的な姿が見えてこないのであります。三万人の雇用といえば、平成十二年国勢調査での広島県の失業者が六万三千人余り、その五年前の平成七年で五万七千人、さらに五年前の平成二年では三万七千人でありますので、いわば十年前の雇用状況に返すことになります。また、最近の有効求職者数がおおむね六万人でありますから、これをほぼ半減させるということであり、よほど大胆な施策を講じていかなければ達成は困難だと考えます。特に、求人があるにもかかわらず、失業率の改善につながらない原因はミスマッチにあると言われております。また、ハローワークのマッチング機能が低下している中、民間へシフトする規制緩和を含めた、そのありようが根本的に問われております。今春闘で、ワークシェアリングなど、民間は賃金を引き下げてでも雇用を守ろうとしております。こうしたとき、まさに役所が率先して痛みを共有する思い切った対策が求められております。知事はどのようにして三万人の雇用を達成しようとされるのか、方策をお示しください。  質問の第五は、環境対策についてであります。  二十一世紀は、環境の世紀であります。我が国でも、循環型社会を構築するため、包装容器リサイクル法など七本のリサイクル関連法が成立を見ております。持続発展が可能な社会を実現し未来に残すことが、私たちに与えられた使命であることは論を待ちません。  そこで、現在、本県の環境問題において大きな課題となっている産業廃棄物対策についてお伺いいたします。県内で発生する廃棄物の現状について見ますと、その排出総量は、一般廃棄物にあっては平成十一年度で百八万トン、産業廃棄物は平成十二年度で千四百三十九万トンであり、それぞれ五年前に比べて約六%と九%の増加となっております。仮にこのまま現在と同量程度の廃棄物が埋め立てられた場合、最終処分場の残余年数は、一般廃棄物が九年、産業廃棄物、特に管理型にあっては、わずか四年となっており、待ったなしの危機的状態に陥っております。  こうした中、知事は昨年十月、各界から幅広い意見を聞くため、廃棄物抑制検討懇話会を設置され、六度にわたる協議・検討を経て、去る二十二日にその提言を受けられたと承知しております。この提言では、廃棄物抑制のためにリサイクル技術の開発促進、あるいはリサイクル施設整備への助成金拡充といった具体的な方策などが盛り込まれており、また、継続的な抑制を行うために、従来の直接的な規制方法に加え、産業廃棄物の排出に対する課税という経済的手法を組み合わせることにも触れられております。知事は、この提言をどのように本県の環境行政に反映し、火急に迫った、しかも、多様な廃棄物問題に今後どのように取り組んでいこうとされているのか、とりわけ県民の関心が高い産業廃棄物の抑制に関する課税の導入についてどのように考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。  質問の第六は、教育問題であります。  いよいよこの四月から、公立学校では毎週土曜・日曜が休みとなる完全学校週五日制が一斉にスタートいたします。これにより現在よりも授業時間数が減り、学習内容も三割削減されることとなるのであります。一方、私立学校で学校週五日制へ移行するのは、本県の場合、中学校二十五校中七校、高校三十五校中十六校と一部にとどまっております。したがって、このままでは公立学校での学力向上に不安を持ち、経済的に無理をしてでも塾に通わせたり、私学へ進学させようとする保護者も多くなると思われます。近年、子供たちの、みずから学ぶ意欲の減退が指摘されておりますが、学校での学習時間が少なくなることで、この傾向にますます拍車がかかるおそれがあり、放置しておけば社会全体の衰退につながるのであります。  そこで、教育問題の最初の質問として、公立学校における学校週五日制のもとでの学力向上対策について伺います。  まず、高等学校における学力向上の具体策についてであります。本県は、数年前まで行き過ぎた同和教育により学力の向上を正面から掲げることができず、大学入試センター試験においても、全国都道府県中四十位前後という低位な状況でありました。しかし、是正指導の徹底と教育改革の取り組みの中で、現在、学力向上対策重点校として二十一校が指定され、本県の学力向上対策の牽引役を担っております。また、各学校がそれぞれ創意工夫して学力向上に取り組むためには、全体における自校の位置を確認することが不可欠であり、そのためにも全校共通の学力テストを実施する必要があると考えます。このようにして、公立高校の学力向上の成果を県民の目に見える形で示すことも公教育の責務であります。高等学校における全校共通の学力テストの実施について教育長の御所見をお伺いいたします。  続いて、小中学校における学力向上についてであります。小中学校での学力向上を図る上で、私は、幼稚園や保育所から小学校、小学校から中学校へのつなぎを特に配慮すべきであると思います。例えば、大きな課題である学級崩壊は小学校入学時から発生しておりますが、これは幼稚園や保育所から小学校へのつなぎがうまくいっていない端的な事例であります。さらに、小学校から中学校へのつなぎについても、新しい中学校での生活になじめず学習意欲が減退する子供がふえており、その要因の一つには、小学校での学級担任制が中学校では教科担任制に変わることが挙げられます。教育委員会では、今年度から小学一年生を対象に少人数授業や複数教員による指導ができる「小学校一年生はばたきプラン」を導入され、その成果に大きな期待をかけているところでありますが、さらに、小学校五、六年生ごろから教科担任を徐々に導入するなど、小と中の円滑なつなぎを図る工夫が必要と考えます。小学校での教科担任制の導入について御見解をお伺いいたします。  最後に、中学校での学力向上対策についてであります。中学校においては、理解度のばらつきがある程度出てくるのは避けられませんが、基礎的な力は着実に身につけさせることが重要であります。そのためには、例えば「小学校一年生はばたきプラン」の中学校版を実施することが必要ではないかと考えております。少なくとも、基本的な教科では子供の学力面での差を正しくとらえ、それぞれに合った指導を実施してこそ、基礎学力の定着・向上を図ることができるのであります。中学校での習熟度別授業の実施について教育長にお伺いいたします。  教育問題の二点目は、社会性、規範意識の育成についてであります。  最初に、生徒指導にかかわり、ゼロトレランスの導入について提案いたします。ゼロトレランスとは、暴力などがはびこっていた米国の教育現場で約十年前から導入された生徒指導の方法であります。トレランスとは寛大あるいは寛容の意味であり、したがって、ゼロトレランスとはトレランスをゼロにする、すなわち寛容ある態度で臨まず、規則に違反した生徒を厳しく罰する指導方法のことであります。一方、我が国の生徒指導は、米国がゼロトレランスの導入を始めた約十年前には、生徒の自主性、主体性尊重という当時の文部省の見解により、校則の見直しを各教育委員会に指示しております。このため、学校生活を律すべき校則は無力化しているのが現実であります。今日、生徒の制服の乱れや携帯をしながらの自転車乗り、食べ残し、飲み残しの放置などなど、目に余る事例は枚挙にいとまがありません。こうした現状は、校則の見直しを初め、子供に強制することを避け、しかることから逃げ、何でも許容してきたことのツケであり、その立て直しが不可欠であります。ゼロトレランスは、罰則を明らかにすることで、生徒に何がどのくらい悪いことなのかを自覚させ、自分の行動に責任をとらせることが目的であります。また、罰則は軽いものから重いものまで段階的に設定し、小さな悪の芽を摘み取ることで、暴力や犯罪に巻き込まれるのを事前に防ぐ効果もあります。生徒が荒れるのは、校則や管理を厳しくするからだという主張がありますが、見当違いであります。生徒が教師に反抗するのは、教師の対応が生徒により、時により違うからであり、この意味でも教師はすべての生徒に平等に対応する一定の基準と罰則を設定する必要があります。校則は、生徒がその学校の生徒として扱われるための行動規定であり、学校という社会の一員としてふるまうためのルールであります。そのルールに違反した場合の罰則規定を設けるのは当然であります。これを入学時に、生徒、保護者ともに了解させ、学校はその規定を厳格に扱うことにより、学校への信頼はより確かなものとなるのではないでしょうか。生徒指導におけるゼロトレランス方式の導入について教育長の御見解をお伺いいたします。  次に、道徳心の育成についてお尋ねいたします。先月、全国各地で行われた成人式の様子がマスコミで報道されました。昨年ほどでないにしても、今日の若者の傍若無人ぶりは私たちの常識とはほど遠い状況があります。さらに、電車の中での化粧や携帯電話、路上べた座りなど、私と公との区別がつかない若者がふえております。また、基本的な生活習慣やしつけは家庭の重要な役割のはずですが、与えることが愛情、親子は友達関係と考える親がいる一方、子供の養育に無関心で、学校や担任に任せる無責任な親がふえております。こうした問題の根底には、社会で最低限守らなければならない人としての基本的なルールの欠如や物事の道理の喪失を強く感じざるを得ません。これらは、戦後からの道徳教育をなおざりにしてきたことに大きな原因があります。特に本県では、道徳的な指導は教育ではないといった考えで、子供たちにも道徳心をはぐくむことを避けてきた面が多分にあります。  しかし、その結果が、親、教師、目上の者に対する敬愛、他人への配慮、公共心を著しく欠いた子供たちを生んでいるのであります。そして、ある程度の人生経験を経た者はだれもが、このままでは大変なことになると感じております。他人の価値を認め、社会の一員としての自覚を持ち、自然との調和を尊重する共生の時代を築くためには、今こそ道徳教育の復権を目指すべきであります。本県では、昨年の九月定例会において、県民総参加による本県教育の躍進を願い、十一月一日を「ひろしま教育の日」として、議員全員の総意で制定いたしましたが、子供の道徳心の育成こそ、学校、家庭、地域が連携して取り組むべき課題の一つであります。幼児期から青少年期を通じて子供たちに豊かな道徳心をはぐくむための仕組みを構築すべきでありますが、その取り組みについて知事並びに教育長にお伺いいたします。  さて、言うまでもなく本年は、本県を発展の軌道に乗せる大変重要な年であります。知事を先頭に職員一人一人がとにかくやるんだという自負を持って変革のエネルギーにしていただきたいと思うのであります。そうすれば、非常に苦しい中、深い暗闇の中でも一条の光は必ず出てくるはずでございます。そして、広島県から、まさに思い切った地方の変革が全国に発信できることを強く念願いたしまして、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 6: ◯議長檜山俊宏君) 当局の答弁を求めます。知事藤田雄山君。         【知事藤田雄山君登壇】 7: ◯知事藤田雄山君) 多賀議員の御質問にお答えを申し上げます。  まず、県庁舎の建てかえについてお尋ねがございました。県庁舎の建てかえにつきましては、県庁舎整備検討懇話会の提言を踏まえ、これまで、現在地の売却及び活用可能性調査や現在地と移転仮想地における将来的な発展性、庁舎建設上の制約事項などについて調査を実施し、各候補地の選定評価を総合的に検討してまいりました。その結果、広島駅北口地区については、JR関連施設の移転に多額の補償経費が必要であろうと考えられること、また、東広島駅貨物ヤード跡地地区については、広島市で策定中の跡地開発整備計画が進行中であることなどの問題がございます。一方で、移転整備をし、現在地に今以上のにぎわいが創出できれば、広島市中心部の活性化や経済効果が期待できます。これらのことを総合的に勘案すれば、私は、現時点で検討中の広島市内の四カ所の中では、広島大学本部跡地が有力と考えます。移転整備については、現段階では現在地の売却及び活用の見通しが立たないこと、旧理学部一号館の撤去が必要なことなどの諸課題があることから、今後、災害時の司令塔としての機能をあわせ持った県庁舎の早期整備に向けてさまざまな課題解決に努力したいと考えております。  次に、国際的芸術文化拠点の整備についてお尋ねがございました。国際的芸術文化拠点の整備につきましては、県民の皆様に世界のトップレベルの芸術文化に触れる機会を提供するとともに、広域的な集客や情報発信を目指したプロジェクトとして、昨年十一月の構想策定委員会設立以来、さまざまな角度から御検討いただいております。これまでの委員会では、お尋ねのように、拠点整備に係る収支のシミュレーションを初めとするさまざまな課題が示され、年度末までにさらに議論を重ねて御提言をいただきたいと考えております。この御提言を踏まえ、来年度は拠点整備に向けた手法、運営主体、立地場所など、具体的な条件の整理やロシアとの新たな交流の推進に向けて積極的に取り組んでまいる所存でございます。  次に、空港への軌道系アクセスについてのお尋ねがございました。一昨年九月の在来線型への方針転換後、需要予測や空港区域内のルート案などについて国との調整を図るとともに、JR西日本の技術的協力を得て、アクセス鉄道の実現に向けた調査・検討を進めてまいりました。その中で、一定の条件下での採算性の見通しや空港ターミナルビル二階に直結するルート案など、新たな事業形態の一部が明らかとなってまいりました。今後、国の補助制度の拡充に向けての働きかけや整備主体、運行主体のあり方、資金計画等のより具体的な検討に取り組んでいくとともに、環境現況調査などの諸調査を実施し、事業化のための熟度を高めてまいりますが、その中でJR西日本にも一定の役割をお願いしたいと考えております。アクセス鉄道の整備は、中四国の拠点を担う広島空港の機能強化のために不可欠であり、早期実現に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。  次に、予算編成に当たっての基本方針についてお尋ねがございました。本県財政を取り巻く環境は極めて厳しい状況にございますが、平成十四年度当初予算は、昨年度策定した県政中期ビジョン及び第三期実施計画を着実に推進し、元気な広島県づくりをさらに進めていくこと、また、現下の厳しい経済情勢に対応して緊急経済・雇用対策を実施すること、以上の二つの課題に取り組むことを基本方針として編成いたしました。このため、人件費の抑制やゼロベースからの徹底した事業見直しなどにより財源を確保し、元気な広島県づくりを推進するための重点課題には思い切って予算の配分を行うことといたしました。さらに、経済情勢に対応した緊急対策として、十三年度の十二月補正予算及び二月補正予算と連携して、雇用・労働対策、中小企業セーフティーネット対策の推進及び公共事業の確保についても、できる限りの予算を措置することといたしました。なお、将来の財政負担を軽減する観点から、県債の発行については、地方交付税の振りかえ措置である臨時財政対策債を除き、前年度を下回ることといたしております。  次に、選択と集中についてのお尋ねがございました。平成十四年度当初予算においては、本県の新たな活力を生み出し、元気を再生するために県政中期ビジョンのプログラムの中から特に緊急かつ最優先で取り組む必要がある五つの重点分野を選択し、思い切った予算配分を行っております。具体的には、第一に、産業の再生については、新産業を創出し育成するため、新規成長分野の共同研究開発の支援制度の創設や緊急物流基盤等整備事業の拡充など、ソフト、ハード両面から重点的に取り組むことといたしております。第二に、教育改革については、学力向上対策や豊かな心をはぐくむ教育の推進など、第三に、合併支援については、合併推進交付金による支援や地域の連携を強化する道路等の整備など、第四に、子育て支援については、小児救急医療体制や子育て支援サービスの充実など、第五に、環境創造については、環境基本計画の改定を初め、環境への配慮を基本とする仕組みづくりなどを中心に重点的に取り組むことといたしております。全体の予算の伸び率が過去最大のマイナスとなる中で、この最重点五分野に前年度比約百十五億円の増となる約五百二十億円の予算を配分しており、私といたしましては、選択と集中によるめり張りのきいた予算編成ができたものと考えております。  次に、住民自治の観点を踏まえた地方分権の推進についてお尋ねがございました。地方分権の推進は、住民に身近な政府である市町村の充実強化を旨として進められるべきものであります。今後、合併が進展し、市町村の行政能力が充実してくることを前提といたしますと、より幅広い事務を市町村が担うことになると考えております。また、現実に分権改革が進み、身近な住民政府がより多くの権限と責任を持つこととなりますと、住民がいかに政策に関与するかという住民自治の議論がますます重要になってくると考えております。県といたしましても、新年度から、都道府県合併や道州制あるいは連邦制など、今後の地方制度の展開をにらんだ研究を進めていく中で、住民自治を一層活性化させるための方策についても研究してまいりたいと考えております。  次に、雇用対策についてお尋ねがございました。完全失業率が過去最悪の水準で推移し、かつ世帯主の失業が増加している中で、失業者の再就職を促進するためには雇用のミスマッチを解消することが何よりも重要であると認識いたしております。このため、まず、再就職支援会社を活用した中高年の再就職活動支援や、国や経済団体と連携した合同企業面接会の実施、民間教育訓練機関への委託による職業訓練の実施など、民間の活力やノウハウを積極的に生かして、就業や能力開発を支援してまいります。また、当面の緊急かつ臨時的な雇用の場を創出するため、NPOとの連携などによる緊急雇用創出基金を活用した事業を推進することといたしております。さらに、継続的な雇用の場をつくり出すためには、新たな産業づくりが不可欠であり、積極的な企業誘致活動の推進を初め、ベンチャー企業への支援や環境、福祉などの新規成長産業の育成にも努めてまいります。今後とも、国、市町村、関係団体等とも連携しながら、三年間で約三万人の雇用機会の確保を目指して、きめ細かな雇用対策に全力を挙げて取り組んでまいります。  次に、産業廃棄物の抑制に関する課税についてお尋ねがございました。複雑・多様化した現在の環境問題は、御指摘のとおり、今世紀だけではなく、後の世代の生存にもかかわる重要な課題であり、私といたしましても、強く問題意識を持っているところでございます。このため、来年度施策の最重点分野の一つに環境創造を掲げ、すべての主体の活動に環境への配慮が織り込まれるような仕組みづくりに取り組んでいくことといたしております。とりわけ、深刻化するさまざまな廃棄物問題に対しては、循環を基本に、環境への負荷の低減を図る資源循環の環づくりに取り組んでまいります。廃棄物抑制検討懇話会におきましても、循環型社会の実現のためには、県民、事業者、行政などが一体となって取り組む必要があるとの提言をいただいたところでございます。具体的には、県民の自主的な行動を促進するための支援、リサイクル産業に対する支援、課税など経済的手法の導入、循環型社会構築に向けた県のビジョンとシナリオの提示など数多くの方策が示されております。御提案いただきました方策につきましては、できる限り速やかに施策として具体化してまいります。産業廃棄物に対する課税につきましては、提言の中でも、排出事業者に対して継続的に廃棄物の減量化を促していく最も有効な経済的手法とされているところでございます。今後、関係者の御理解を求めながら、導入に向け努力してまいりたいと考えております。  次に、道徳心の育成についてのお尋ねがございました。青少年が高い志を持ち、倫理観に基づいて行動できる道徳心を育成していくことが、現在、社会全体に求められている課題であります。このため、完全学校週五日制の実施を契機に、学校、家庭、地域が連携して青少年の豊かな心をはぐくむよう、私を初め、教育長、警察本部長の連名で「元気な広島 子ども夢宣言」を発し、県民の皆様にも呼びかけたところでございます。施策としては、幼児期には日常生活の中でしつけや基本的な生活習慣が身につくための家庭教育の支援、少年期には大人との交流や共同作業を通じて相手への思いやりや社会の約束事を学ぶ「ゆーすふるサンデー」や「とらい・やる事業」の実施、青年期には実践を通じた価値規範の形成につながるボランティア活動や地域活動への支援などを行ってまいります。広島の子供たちが、他人への配慮や地域社会の一員としての自覚と誇りを持ち、国際人としても活躍できるよう豊かな道徳心をはぐくむ青少年の育成活動に総力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁いたさせます。 8: ◯議長檜山俊宏君) 総務企画部長阪本博臣君。         【総務企画部長阪本博臣君登壇】 9: ◯総務企画部長阪本博臣君) 三点についてお答えを申し上げます。  初めに、予算編成に係る財源不足とその対応についてお答えいたします。昨年十二月末時点で職員給与費の抑制や公共事業の一割削減などを盛り込んで試算いたしましたところ、財源不足額は五百六十六億円に上る見込みでありました。この財源不足額は、その後の予算編成過程で歳出の削減と歳入の確保によって圧縮され、最終的には四百四十八億円となっております。具体的には、歳出の削減は事務執行経費の節減、社会経済情勢等の変化を踏まえた事業の縮小・廃止など徹底した事務事業の見直し、及び公共事業の縮減などによるものでございます。歳入の確保は、土地開発基金の活用などによるものでございます。次に、最終的な財源不足額四百四十八億円についてでございますが、財源調整的基金の取り崩し三百六十四億円、財政健全化債の発行八十四億円により補うこととしております。今後とも、財源不足の解消に向けて財政健全化対策に一層努力してまいります。  次に、タスク・フォース制についてお答えいたします。本年度、意思決定の迅速化を図るとともに、機動的かつ弾力的な行政運営を実施するため、本庁組織のフラット化を実施いたしました。フラット化組織では、新たな課題や緊急を要する事案については、総室内や部内において室を超える連携や応援を弾力的に行い、課題に対処しております。また、企業誘致など部局を超える課題に対しましても、企業局や空港港湾局等の分譲担当と商工労働部の企業誘致担当がチームを組んで強力な誘致活動を展開しております。今後とも、御指摘のように、弾力的な組織運営と迅速な意思決定により着実な事業推進に努めてまいります。  次に、県の試験研究機関のあり方についてお答えいたします。このたびの試験研究機関の見直しは、全庁的な視点からの研究課題の総合調整や外部評価の導入などにより、県として推進すべき研究課題の重点化及び戦略化を図ろうとするものでございます。また、この見直しの中では、研究員の資質を高め、試験研究機能のより一層の活性化を図ることにも取り組むこととしております。具体には、研究課題について全庁的な政策議論の場を設定するほか、本庁や大学等との計画的かつ戦略的な人事交流の促進、変化するニーズに機動的に対応するための任期付研究員制度の導入など新たな仕組みを整備いたします。これらの取り組みにより、本県産業の再生を促す戦略的な研究に人的及び物的資源を重点的に投入するとともに、研究員一人一人のモラールや能力の向上を図り、元気な広島県づくりを下支えできる試験研究機関として機能強化を図ってまいります。 10: ◯議長檜山俊宏君) 政策企画局長中川日出男君。         【政策企画局長中川日出男君登壇】 11: ◯政策企画局長中川日出男君) 民間資金の導入についてお答えいたします。  このことにつきましては、これまでも、民間資金やノウハウを活用いたしまして、広島港観音地区の広島フェスティバル・マーケット・プレイスや福山リサイクル発電事業など、地域の活性化につながるプロジェクトを推進しております。PFIにつきましては、昨年八月に策定いたしました広島県におけるPFI導入のための指針に基づきまして、県営上安住宅、放置艇係留施設等の具体的な事業へのPFIの導入を図るほか、先進事例集の作成・配布等による広報活動を継続することによりまして、県内全域でのPFIの普及を図ってまいります。  次に、不動産の証券化につきましては、県有地の利活用のための新たな手法の一つとして、具体的な活用可能性について検討に着手したいと考えております。今後とも、これらの手法の導入により、民間資金やノウハウを積極的に活用してまいりたいと考えております。 12: ◯議長檜山俊宏君) 商工労働部長玉川博幸君。         【商工労働部長玉川博幸君登壇】 13: ◯商工労働部長玉川博幸君) 広島版TLOの基本的枠組みとスケジュールについてお答えを申し上げます。  本県産業の技術力を強化し、国際競争力を回復するためには、知識の創造拠点である大学の研究成果を民間企業が積極的に活用するための仕組みづくりが必要となっております。その有効な手段であるTLOの整備は急務であると認識いたしております。このため、TLOの設立とその枠組みについては既に検討を始めておりまして、まず、基本的方向といたしまして、第一に、県内企業を中心にした技術移転機能を持つものであること、第二に、広島大学を初めとする県内大学の幅広い参画を図ること、第三に、経営革新や創業促進などの機能と一体化することによりまして実効性を高めていくことを柱としております。また、TLOの事業展開に当たりましては、何よりも大学側の熱意と主体的な参画が不可欠であります。県としましては、大学相互の調整や産業界との連携など、コーディネーターとしての役割を積極的に果たしてまいりたいと考えております。産学官で構成いたします協議会を早急に立ち上げ、それぞれの役割分担や事業計画などの詰めを行いながら、できる限り早期の設立を目指してまいります。 14: ◯議長檜山俊宏君) 教育長常盤 豊君。         【教育長常盤 豊君登壇】 15: ◯教育長(常盤 豊君) 五点についてお答え申し上げます。  まず、高等学校における学力テストの実施についてお答え申し上げます。県立高等学校では、現在、学力向上対策重点校を中心に、創意工夫を生かした学力向上対策が行われ、教職員の指導力の向上や生徒の成績向上に着実な成果を上げつつあります。この重点校を中心とした取り組みを県立高校全体に広め、さらなる学力向上を図るため、来年度、すべての県立高校で共通の学力テストを実施したいと考えております。このテストは、県立高等学校の第一、第二学年の生徒を対象として、国語、数学、英語の三教科で行いたいと考えております。テストの結果により、生徒は自分の到達度がどの程度か、また、不得意分野がどこかを理解することができますし、学校は、自校の生徒の学力を県全体の中で相対的に把握し、事業の改善に結びつけることができると考えております。また、結果を分析してとらえられた県立高校生徒の学力状況や学習指導上の課題については、一般にも公表してまいりたいと考えております。  次に、小学校での教科担任制の導入についてお答え申し上げます。小中学校の接続の問題につきましては、現状を見ますと、小学校六年生から中学校一年生に上がる段階で、いじめの発生件数が約八倍に、暴力行為が約六倍に増加しており、必ずしも円滑に小中学校が接続していない状況にあります。その一つの理由として、小学校から中学校へ進学する際に、初めての教科担任制に戸惑う生徒も多いということがあります。このような状況を改善するために、小学校で教科担任制を導入することは一つの有効な方策であると考えております。現在におきましても、専科教員を配置し、実験や実技が中心となる理科、音楽、体育などの教科の指導を行う、あるいは小中学校の兼務発令により中学校の教員が小学校で指導を行うなどの工夫をして、小学校においても一部では教科担任制を実施しております。県教育委員会といたしましては、それぞれの学級担任が得意分野の授業を交換することにより、教科担任制を積極的に実施するよう市町村教育委員会に働きかけております。また、来年度は、国の事業なども積極的に活用しながら、国語や算数などの教科も含めて、小学校におけるより効果的な教科担任制の導入について実践研究を進めてまいりたいと考えております。  次に、中学校での習熟度別授業の実施についてでございます。小中学校の円滑な接続が重要であることは、先ほど申し上げたとおりであります。中学校に入学しますと、教科の学習内容が難しくなること、新たな人間関係が生ずることなどから、一年生の段階で問題行動等が格段に増加する傾向にあります。したがって、この時期に生徒一人一人にきめ細かく対応することが、学力の面でも生徒指導の面でも大変重要であると考えております。このため、平成十四年度から「中学校一年生はつらつプラン」を実施し、少人数授業を行う予定としております。具体的には、中学校の第一学年において、個人差の生じやすい国語、数学、英語の三教科で導入することとし、非常勤講師を配置する予定でございます。  次に、習熟度別の授業ですが、これまで本県におきましては、形式的な平等にとらわれる余り、児童生徒一人一人の能力・適性、あるいは習熟の程度に応じた指導が十分になされておりませんでした。しかしながら、近年、学力の定着・向上を図るという観点から、習熟度別指導の導入が急速に進み、現在、県内の公立中学校の約三〇%において実施されております。これらの実施校からは、生徒たちの授業がわかるようになったという声とともに、授業に対する意欲的な態度が育成されているという成果も聞いておりますので、今後、さらに推進してまいります。  次に、ゼロトレランス方式の導入についてお答え申し上げます。本県の生徒指導上の諸問題の状況が全国を上回る大変厳しい状況にあることは、御指摘のとおりでございます。その要因には、生徒の規範意識が希薄化していること、学校において組織としての統一した指導ができていないこと、さらには、生徒指導の方針について、生徒、保護者の理解が不十分であることが考えられます。御提案のゼロトレランス方式は、違反に対する指導や処分を行う基準や段階を明確にして、規則違反者には統一的に、寛容さなしに指導するものであると承知しておりますが、指導の統一や基準の明示についてはどの学校においても必要なことと考えております。このため、生徒指導主事を中心に、校則に基づく毅然とした指導を統一的に行うこと、生徒集会、保護者懇談会あるいは入学前の学校説明会など、あらゆる機会を利用して、校則など生徒指導の方針を周知徹底することについて重点的に学校を指導してまいりたいと考えております。かつて、本県においては、同和教育に対する誤った考え方から、生徒が問題行動を起こした場合、生徒自身の責任より問題行動の背景にある社会や大人の責任を重視するということがありました。こうした点の反省も踏まえ、先般の県立学校長会議においては、生徒に対して、いけないことはいけないと毅然として指導するよう学校を指導したところでございます。  次に、道徳心の育成についてお答え申し上げます。青少年の規範意識の低下は看過できない状況にございます。特に、本県の学校においては、道徳教育が不十分であるとして是正指導を受けた経緯があり、その充実が今後の重要な課題であると受けとめております。これまでも是正の過程において、各学校が道徳の年間指導計画を作成し、道徳の時間においては学習指導要領に示されている内容、項目のすべてを指導するよう求め、一定の前進が図られてきていると認識しております。しかしながら、授業の内容はいまだ不十分であることから、来年度、新たに小中学校で合わせて十五校を道徳教育の拠点校として指定し、実践研究を行うことを考えております。また、善悪の判断など道徳性の基礎は幼児期から養うことが重要でありますので、幼稚園、保育所による子育て支援を含めて、今後、幼児教育ビジョンを策定し、幼児教育の充実を図ることとしております。さらに、このような道徳性の育成を家庭、地域の協力も得て県民総参加で行うため、仮称ではありますが、「豊かな心を育むひろしま宣言」を来る十一月一日の「ひろしま教育の日」に向けて作成し、アピールしてまいりたいと存じます。 16: ◯議長檜山俊宏君) この際、暫時休憩いたします。午後の会議は二時から開きます。         午前十一時四十六分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後二時二分開議 17: ◯副議長神川正紀君) 出席議員五十六名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続いて質問を行います。蒲原敏博君。         【蒲原敏博君登壇】 18: ◯蒲原敏博君 県民連合会派の蒲原敏博でございます。会派を代表して質問いたします。  戦争に明け戦争の悲惨さに暮れた二十世紀から脱却し、二十一世紀こそは核も戦争もない平和で人間が大切にされる輝かしい未来を創造する世紀にすることを期待して、だれもが新しい世紀を迎えました。しかしながら、新世紀のスタートの昨年は、年明け早々に米海軍潜水艦による実習船「えひめ丸」の沈没事故という暗いニュースで始まり、ニューヨークにおける同時多発テロ事件を初め、アメリカの主導のもと、世界を挙げて報復戦争に暮れた一年でした。多くの人々の平和への願いと期待は打ち砕かれてしまった感がいたします。今回のテロ事件においても、小泉内閣は、アメリカの報復戦争支援のため、明らかに憲法に抵触する自衛隊の海外派兵を強行してしまいました。相も変わらず、日本政府は、世界の先覚である平和憲法を持つ誇りや気概もなく、日米安保条約の堅持と強化を国政の基本に据え、アメリカの一国世界支配主義に追従、迎合する軍事・経済・外交政策を推し進めています。  一方、日本経済は、一層深刻さを増し、ついに完全失業率は五・六%にも達し、六%台突入も目前に迫っています。企業は、経営悪化を理由に容赦ない首切り、リストラを強行し、また、価格競争に打ち勝つために多くの企業が低い人件費を求めて生産拠点を中国など海外に移し、ますます国内の産業空洞化が進んでいます。今や十三億の人口を有する中国が、世界の工場、世界の市場と言われるほど目覚ましい経済成長を続け、十数年後には日本を追い越して世界第二位の経済大国になろうとしています。一方、EU諸国では、この一月から日常生活で統一通貨ユーロの使用が始まり、EUは名実ともに単一の経済圏となり、アメリカに迫る新たな力として台頭しようとしています。  戦後、半世紀が過ぎ、今、私たちは数々の試練に直面し、冷戦後の国際競争市場の嵐の中に立たされ、ハイテク・情報化時代のただ中で真に戦後政治を総括し、人間の尊厳を重視する人道の社会を築くあらゆる努力が求められています。
     また、厚生労働省の人口推計調査によりますと、日本は、五十年後には高齢化率が現在の二倍以上に当たる三五・七%に上昇する見通しとされ、百年後には人口が現在の半分になると予測されております。人口が減少し、高齢化が確実に進む日本社会では、雇用、年金、税制、医療、福祉、教育などさまざまな分野における政策の再検討が強く求められていると思います。かくて今日、政治に課せられたその責任はかつてなく極めて重いのであります。  このような厳しい政治、経済、社会の諸状況の中にあって、藤田県政三期目がスタートしたところでございます。新しい世紀、しかも、厳しい二十一世紀を迎え、これから四年間、県政のかじ取り役として、県民の大きな期待が寄せられています。  そこで、まず最初に、県政の最高責任者としての藤田知事の政治の現状に対する率直な基本認識と基本見解について、知事の政治信念とあわせてお伺いいたします。  今、政治の基本的枠組みが大きく変えられようとしています。国会では、アメリカの同時多発テロ事件や東シナ海での不審船事件を契機に、有事立法の動きが高まっています。また、衆・参両議院では憲法調査会が設置され、憲法改正を視野に入れた議論が展開されています。さらに、教育基本法の見直しに向けた動きも活発になっています。戦後の日本の民主政治、民主教育そのものが根底から崩されようとしています。日本がこれからどのような道を選ぶのか、政治にかかわる私たち議員も、ひとしくその説明責任を負わなければなりません。戦後、憲法と教育基本法が日本の政治や教育の中で果たしてきたその役割は、はかりしれないものがあります。その基本と枠組みが今大きく変えられようとしているのであります。政治の基本とも言える憲法と教育基本法に対する知事の基本認識、つまり憲法及び教育基本法観をお伺いいたします。  さて、政府は、平和憲法に反する有事法制の今国会での成立を進めようとしています。政府は、「有事とは、日本が外国から武力攻撃をされ、防御する必要があるときを指す」と言っていますが、攻撃をされたときとはどういうときなのか明確にしないままで、自衛隊が自衛隊法に基づき防衛の名で出動できるように関連法の整備を行おうとしています。テロや不審船事件を契機に、にわかに有事立法が頭をもたげてきたことに大きな驚きと怖さを感じるのは、私だけではないと思います。二十五年前、福田内閣のときに有事法制の研究が始まって以来、なりをひそめていた立法化が現実のものになろうとしています。  戦時体制に入れば、国民の生活、人権はどうなるか、あの第二次世界大戦の終盤、アメリカ軍から攻撃を受けた沖縄本土や原爆投下後の惨状を見れば一目瞭然です。法律や条例がどうであれ、軍の要求のもとではなすすべはないというのが戦争です。戦後五十六年が経過し、あの悲惨な大戦のことをすっかり忘れ、再び日本が戦争のできる国に変わろうとしています。私たちは、この危険な動きを直視しなければならないと思います。防衛庁は、有事法制関連法案をこの国会に提出するための本格的な作業に入っており、事態は深刻です。現行憲法下での有事の対処であると政府は述べていますが、戦争が起きればそのような理屈は通用するはずもありません。「歴史は繰り返す」と言います。そのようなことに決してならないように地方から声を上げて、平和憲法を踏みにじる法制定をやめさせなければならないと考えます。軍事行動を容易にするために知事の権限に属する空港、港湾、道路を初めとして公共施設などが収用され、軍事的に使用される事態も想定されます。県民の安全を守る知事としてどう対処されるのか、地方自治の面からも知事の判断が問われていると思います。これらのことを踏まえて、有事関連法制定の動きに対する知事の御所見をお聞かせいただきたいと思います。  質問の第二は、提案されている平成十四年度当初予算案についてであります。  三期目の藤田知事は、「元気な広島県をつくろう」を公約に、八十六市町村をくまなく回られ当選を果たされ、さっそうと登壇をされたわけであります。予算編成に当たっては、税収入の大幅な落ち込みのわりには背伸びをした予算になっており、元気な広島県をつくるためにどうすればよいのか、随分と心を砕かれたことと思います。借金である県債の平成十三年度末の残高は、一般会計、特別会計、企業会計の三会計を合わせますと一兆九千三百七十七億円にも達し、これは県民一人当たり六十七万円余りの借金に相当するものです。この借金返済のための公債費も過去最高で、一般会計において千四百六十八億円が充てられます。これは、予算の一三・四%に相当し、教育費、土木費に次ぐ金額です。また、財源不足のため、来年度予算では新たに千三百七十一億円の借金である県債が計上されています。まさに借金を返すために新たな借金をしなければならない多重債務的財政と言うほかありません。県では、平成十二年度以降、毎年度五百億円から六百五十億円の財源不足が生じることなどから、平成十二年三月に中期財政運営方針を策定し、弾力的な財政構造の早期確立を目指して財政健全化対策を進めています。そこで、まず、この中期財政運営方針に基づく財政健全化対策の進捗状況と今後の財政運営の見通しについてお伺いいたします。  さて、知事は、三期目のスタートの年に当たり、これから広島県政をどのような方向に進めようとされているのか、お伺いいたします。景気の回復も当分期待できず、今後も税収は極めて厳しい状況が見込まれます。今、大きな転換期を迎えているときに、従来のような経済成長追求型県政を目指すことは不可能に近く、どのようにして少子・高齢化やエネルギー、環境問題などに配慮した県政を目指すのか、これからの県政の指針とビジョンを明らかにしていただきたいのであります。知事は、今回の予算案を、どのような指針とビジョンに基づいてどのような方向に県政を推し進めようとして取りまとめられたのか、お尋ねいたします。  質問の第三は、地方自治、地方分権の基本にかかわる市町村合併についてお伺いいたします。  現在、平成十六年度末をめどに、各市町村の中で温度差はあるものの、精力的に合併に向けた協議が進められています。しかし、各市町村の合併に向けた取り組みを見るときに、なぜ合併をしなければならないのか、合併は必要なのかという議論よりも、まず最初に合併ありきから議論が始まっているように思えてなりません。それは、国における地方財政破綻議論に端を発して、平成の、この大合併論議が出てきたからであります。全国三千余りの自治体を千ぐらいの自治体に集約し、財政負担の軽減と合理化を図ろうとするねらいが見え隠れしています。合併が人口だけにスポットを当てて面積は考慮しないため、広大な地域を抱えることになる合併自治体では、どのようにしてそこに住む住民のために自治の権能を発揮できるのか心配です。地方自治を確立し、地方分権を確かなものにするために合併が本当に必要なのか、地方自治の原点に立って、何のための市町村合併なのか、今こそ真剣に考えなければならないと思います。県内には、ふるさと一品運動や村おこしなどで光り輝いている自治体が幾つもあります。こういう自治体が合併後、どのようになるのか、これも心配です。せっかくのすばらしい自治の芽が摘まれ、埋没してしまうとしたら悲しいことです。  地方自治の原則とは、主権在民の精神が尊重され、住民が直接政治に参画する権利が保障され、その土地に住む住民に夢や希望を抱かせ、花開かせることではないでしょうか。合併協議が進んでいる市町村では、合併についての住民の賛否をアンケートで集約しているところもありますが、合併賛成・反対の声をしっかり分析して集約し、自治機能をどう高めていくかが極めて大切なことだと考えます。  いずれにしても、住民の意思を尊重すべきであり、自主的合併こそが基本でなければなりません。決して、行政からの合併の押しつけであってはならないと思います。県は、合併支援のため、来年度も五十一億七千八百万円もの予算を計上し、合併のための優遇措置をちらつかせ、関係市町村に職員まで派遣して合併促進を図っていますが、市町村合併によって地方自治や地方分権がどのように変わり、促進をされるのか、改めてその基本理念を県民、住民に示すべきだと考えます。御所見をお伺いいたします。  質問の第四は、県の雇用政策と労働行政についてであります。  日本もいよいよ大失業時代を迎えようとしており、国の総合雇用対策を受け、本県でも策定した緊急産業・雇用対策では、これから平成十六年度末までの三年間で雇用を三万人創出するとしていますが、常用雇用につながるのかどうか、その効果には大いに疑問を感じないわけにはいきません。厳しい雇用環境を受けて、今年度の広島県における新規学卒者の昨年十二月時点での就職内定率は、高校卒で六六・四%、大学卒で六一・六%となっており、戦後最悪の状況にあり、胸を躍らせ、新しい社会に飛び立とうとする若者の気持ちに思いをいたすとき、胸が痛むわけでございます。  さて、十二月の議会でも、我が会派の大曽根議員から本県の雇用対策の前提となる最も基本的なものとして、広島県の完全失業率や失業者数について正確な数値の把握を強く要請したところでございます。企業の求人ニーズや失業者の実態を正しく知り、初めて具体的な施策や対策が打ち出せると思います。まず初めに調査ありきでなければなりません。国において都道府県別の完全失業率を来月初旬に初めて公表するとの報道がありました。これまでのブロックごとの公表に比べれば一歩前進ではありますが、広島県の実態に即した実効ある雇用施策を実施する上では、きめ細かい実態把握は欠かせないと思います。県独自で雇用実態把握のためにどのように取り組まれようとしているのか、お尋ねいたします。  次に、県の労働行政についてお伺いいたします。  今、失業者がハローワークを訪れて希望される職種は何かといえば、失業前の職業につきたいという人が圧倒的に多いとされています。しかし、そのことが再就職を妨げている一因にもなっています。労働力の移動を容易にし、こうした労働と雇用のミスマッチを解消するためには、職業能力開発のための職業教育訓練は不可欠であると思います。県の高等技術専門校などの公的な職業訓練を受講された方はまだまだ少なく、こういう雇用環境だからこそ、県が労働行政の施策の一環として、求人・求職のニーズを的確に把握した職業訓練の拡大・実施を思い切ってやり、安定した雇用の創出・拡大につながる施策の実施が強く求められていると考えますが、いかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。  質問の第五として、介護保険制度についてお尋ねいたします。  制度がスタートして二年が経過しようとしています。昨年末、事業主体である全国の首長を対象にしたアンケートが実施されていますが、その結果を見ますと、九割の方が、この介護保険を評価していることが明らかにされています。しかし、これは保険者の声ですから、この評価をそのまま受けとめるわけにはいかないと思います。要は、介護を受ける側がどのように感じているかであります。これまでに実施主体であるそれぞれの自治体に寄せられたこの制度に対する要望や改善すべき点など、その指摘は少なくないと思います。介護保険制度の開始から来年度は三年目に当たり、第二期の介護保険事業計画の策定に取り組まれることになりますが、真にこの介護保険制度が介護を必要とする人々にとってより充実したものにするために、県ではどのように対応しようとされているのか、お伺いいたします。  また、この介護保険制度の発足以降、県の指定を受けて、営利を目的に二百カ所余りの介護サービスを提供する事業所が事業を開始しています。しかし、これらの事業所が提供するサービスの内容にはかなりの開きが指摘されており、国が定めた基準をクリアしているかどうか、厳しくチェックする必要があると思います。さらに、ケアマネージャーがプラン作成に専念できない状況もあると伺っています。しかも、そこで働く人々の勤務労働条件も随分と格差があって、福祉専攻の大学を出て意欲に燃えて就職はしたが、余りにも労働が過酷な上に低賃金であるために、失意のうちに職を辞する方も少なくないと言われています。このような状況を放置したままでは、幾ら制度を改善していこうとしても、この制度に対する県民の信頼は生まれてこないと思います。「介護は人なり」と言われますが、特にこうした実態をきちんと調査した上で、県としての適切な対応、指導を行うべきだと考えます。また、調査の実態を県民に明らかにすることも必要ではないかと思います。制度充実に向けた対応とあわせて御所見をお伺いいたします。  質問の第六は、いよいよこの四月から実施される完全学校週五日制についてお尋ねいたします。学校週五日制の完全実施は、明治五年に学制が発布され近代教育がスタートして以来、戦前・戦後を通じて最も大きな制度の改革と言っても過言ではありません。すべての土日が休みとなり、画期的な改革と言えます。  さて、昨年秋実施された文部科学省のアンケート結果を見れば、休みになる土曜日に中高生の多くがゆっくり寝たいと考えていることがわかりました。現在でも、中高生の七〇%以上が休日は朝寝坊や昼寝をしており、日ごろの受験戦争や塾通いで疲れ切っていることがうかがえます。  完全学校週五日制の実施にあわせて四月に実施される新しい学習指導要領では、ゆとりを持って基礎・基本を確実に身につけ、生きる力を育成することを目指すとしています。  また、学習内容の約三割が削減されて、生きる力、考える力をはぐくむ核として「総合的な学習の時間」を新設しているのが特徴です。  しかし、実施を目前にして、学校現場や保護者、地域の中には不安と戸惑いが交錯しているのも事実であります。五日制実施によって、学校外で子供たちが日本の地域のよき文化や芸術、スポーツ、娯楽などに接する条件と機会が保障され、生涯学習を通して子供たちをはぐくみ、受け入れる地域の教育力と環境がどれだけ整備されているのか、受け皿の貧困さを懸念しないわけにはいきません。  また、ゆとりの路線が学力の低下につながる心配から、塾通いがふえることも予想されます。昨今、文部科学省が塾の協力を求めたことは、学力の低下を心配しているからだと思います。地域での社会活動や体験学習などにも参加することができず、塾にも行けない子供たちは、毎週休みになる土日に一体何をしてどのように過ごせばよいのか、県や教育委員会の責任は極めて重いと言わなければなりません。完全学校週五日制が導入される前に、隔週一回の二日制が六年間実施されました。この間の試行実施は、完全実施への課題を把握するための六年間だったと考えます。問題行動のある子供たちがどのようになっているのか、学力はどのようになったのか、地域の受け入れ体制はどのように整備されてきたのか、総括と検証を行い、この四月からの実施に踏み切るのが筋道だと考えます。これだけの改革を断行するからには、ぜひその点をお聞かせいただきたいと思います。  さらに、完全学校週五日制導入の理念と、なぜ実施しなければならないのか、県民にわかりやすく説明していただきたいと思います。そうした説明を行った上で、完全学校週五日制実施の効果を上げるために、県の教育委員会として具体的に何をしようとされているのか、また、地域や保護者にどのような協力をお願いし、健やかな広島の子育てに対する法人を含めた県民の協力をどのように求めようとしているのか、お聞かせください。責任のある、具体的で明快な御答弁をお願いいたします。  質問の第七として、障害児教育についてお伺いいたします。  一九九三年、国連総会で障害者の機会均等に関する基準規則、さらには一九九四年、ユネスコの特別ニーズ教育世界会議で「サラマンカ宣言」が採択され、障害者教育の世界の潮流は、ノーマライゼーションの考え方からさらに一歩踏み込み、障害児を初め、あらゆる特別なニーズを有する子供を子供中心の普通学校で教育すべきだとするインクルージョン、包括教育に移行しています。障害児の就学に当たっては、本人はもとより、保護者の意向や願いが最大限尊重され、地域の学校を希望する者に対しては必要な手だてが講じられるよう支援することが国や自治体の責務であると考えます。広島県教育委員会は、一九九七年六月に障害児教育にかかわる基本的な考え方を策定され、九月には県教育委員会の広報紙「くりっぷ」でも、これがそのときの広報紙「くりっぷ」ですが(広報紙を示す)、大きなスペースを割いて絵入りで、「障害児教育は、障害者が自信と誇りを持ち、健常者とともに生きていける社会の実現を目指す教育です。そのためには、障害の克服、軽減だけにとらわれず、障害者の基本的人権の保障の実現に向けて取り組んでいくことが大切です。」と高らかにうたい、「障害者を持つ児童生徒や保護者が主体的に学校を選択し、どこの学校においても障害者としての自信と誇りを失うことなく、安心して充実感を持ち学ぶことができるようにするとともに、そのための教育条件整備にも力を注いでいきたいと考えています。」と、県民に対して障害児教育の基本的理念を表明されています。広島県におけるこれからの障害児教育の進むべき方向が明確に示されたもので、高く評価されるものであります。  ところが、昨年六月に設置された県教育委員会の諮問機関である広島県障害児教育基本構想策定委員会がことし二月に発表した中間報告には、先ほど申し上げた基本的な考え方にあるような障害者と健常者がともに生きるという視点や、本人、保護者による主体的な学校選択といった文言は全く見当たらず、ほぼ盲・ろう・養護学校における専門的な教育に関する記述で埋め尽くされています。このようにわずか五年の間に、県民に十分な説明もないまま、いとも簡単に障害児教育の方向が大きく変えられようとしていることに、多くの関係者は怒りと失望を感じています。ことしの十月には、札幌で障害者インターナショナルの第六回世界大会が開催されます。世界各地から二千名を超える障害者が集まり、障害者に対する正しい理解の推進、バリアフリーでユニバーサルなまちづくりや環境の整備促進及びノーマライゼーションの理念の普及を目指しており、すばらしい大会となることが期待されています。このような世界の流れに抗する広島県の障害児教育の方向転換は、障害児の人権意識を捨て、時代に逆行する恩恵や隔離主義を再びつくり出すものであり、明らかに間違いで、許されることではありません。健常児とともに生き、学び合う中で、つまり共同教育により、障害児はみずからの可能性を花開かせ、健常児も障害者への差別意識を克服し、人権社会を形成していくのです。年度内には、基本構想策定委員会の最終答申も予定されており、県教育委員会は、今なぜ障害児教育を後退させるような方向に進まなければならないのか。二月二十三日付の中国新聞の社説にも、この件が指摘されていますが、県民の皆さんに人権と教育の筋道に立ってきちんと説明する責任があると思います。県教育委員会では、一九九七年に示された広島県における障害児教育の進むべき方向に向けて歩まれるのか、それとも方向を転換され、後退を始めるつもりなのか、もしそうであれば、どのような理由によるものかをお尋ねいたします。教育長の明快な答弁を求めます。  質問の第八は、県庁舎建てかえについてですが、午前中、多賀議員からも御質問がございましたが、改めて所見を交えながらお尋ねをいたします。  現在の県庁舎は、竣工から四十年が経過し、設備、機能、耐震性等に問題があり、建てかえが検討されており、知事は、今年度中に建てかえ場所を決定すると表明されています。午前中の知事の答弁を聞いておりまして、これほど重大なことを決定しようとするにしては、答弁が実におざなりで、安ければよいというものではないと思います。まだ決定しているわけではありませんので、慎重な検討を強く要請しておきたいと思います。  ところで、先般、片山総務相は、「市町村合併が進めば、次は都道府県の再編成に進むべきだ、市町村の権限が強まれば都道府県をどうするかという議論になる」と発言されており、市町村合併の後には県の枠を超えた道州制導入の議論が進めば、庁舎の規模や組織はもとより、庁舎の機能も大きく変えざるを得なくなると思います。だとすれば、今、建てかえ場所を決定したとしても、建設に着手するのは早くて数年後か、それ以上経過した後のことですから、今急いで建てかえ場所を特定する必要はないと思います。現在、精力的に取り組まれている市町村合併の進捗状況や、その後の道州制の動きを見守りながら、先見性を持って、単に広島県だけの庁舎としてではなく、中国五県の中枢性が発揮できる庁舎としての建てかえを考慮すべきではないでしょうか。  また、以上のような視点で建設場所を特定するに当たっても、幅広い慎重な検討が必要だと思います。現在の県庁舎周辺は、都市の中枢機能が集約されています。高度に集約された大型商業施設、市立中央図書館、ひろしま美術館、広島城等の文化施設、都市型ホテル、県立体育館、市民球場、中央公園プール、テニス場等のスポーツ施設、市民球場や官公庁が立ち並んでおり、これだけの都市機能がコンパクトに集約されているということは都市の財産でもあり、このあたりをもっと洗練された都市空間として整備していけば、日本の他都市に類を見ない都市空間を創造できると考えます。新庁舎が現在地を離れる場合、整備の整った東館と分離された庁舎となりますが、県行政を遂行する上で好ましくないことも考えられます。二十一世紀の市民、県民に開かれた新しいタウンホールとしての県庁舎の建てかえをこのような視点で考えられないものかと思いますが、いかがでしょうか。  今後予想される都道府県の再編成の動きを見きわめた上で県庁舎の建てかえ場所の特定を行い、また、場所の特定に当たっては、現在地周辺の都市空間の整備とあわせ、県民に開かれた新しいタウンホールとなるような建てかえを検討することを求めたいと思いますが、知事の率直な御見解をお聞かせください。  最後に、環境行政について要望いたします。  二十一世紀は「環境の時代」と言われ、県もさきに環境局をつくられ、十四年度予算において、次の世代のための環境づくりに取り組むための重点施策の実行を県民に約束されました。環境創造の仕組みづくり、資源の循環、総合的廃棄物処理計画の策定、豊かな自然の保全と共生などであります。これらの施策に強い期待を持つものでございます。もとより、これらの環境施策の実施に当たっては、産業廃棄物の適正処理や環境保全などへの監視を県が厳しく行うことが前提となると思います。まず、これらのことにしっかりと取り組まれた上で環境行政を着実に実行されるよう強く要望いたします。  以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 19: ◯副議長神川正紀君) 当局の答弁を求めます。知事藤田雄山君。         【知事藤田雄山君登壇】 20: ◯知事藤田雄山君) 蒲原議員の御質問にお答えをいたします。  まず、政治の現状に対する基本認識等についてのお尋ねがございました。近年、世界的な規模で社会や経済のあらゆる枠組みが大きく変わっていく中で、これまで我が国の発展を支えてきた社会・経済システムが多方面で制度疲労を起こし、国民の間に根強い閉塞感が漂っております。私は、次の世代の人々が希望を持って生きていくことができる社会・経済システムを構築することが政治の役割であると考えております。このため、国全体で痛みを伴いつつ、社会・経済の構造改革に取り組むこれからの数年間を、知恵と工夫と気概によって広島県がより自立した地域として生まれ変わっていく大切な契機としたいと考えますとともに、その間の県民の痛みができるだけ小さなものとなるよう、県として最大限の努力をしたいと日々念じております。そのような思いから、産業の再生、新たな「教育県ひろしま」の創造、市町村合併、子育てと人づくり、環境創造など、広島県の活力を生み、元気を再生していく取り組みや緊急経済・雇用対策に私が先頭に立って全力で取り組んでまいる決意でございます。  次に、憲法と教育基本法に対する基本認識についてのお尋ねがございました。日本国憲法は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を基本原理とする我が国の最高法規でございます。この憲法の精神は広く国民に浸透しており、行政運営に当たっては、この憲法を尊重し、遵守してまいる所存でございます。しかしながら、憲法制定後五十年余りを経過し、国の内外の情勢も大きく変化しており、国民の代表で構成される衆・参両議院において幅広い議論がなされることも意味のあることであろうかと考えております。  次に、教育基本法は、我が国の教育の基本原則について定めた法律として、戦後、教育の普及や教育水準の向上に役割を果たしてきたと考えております。しかし、法制定後五十年以上を経過し、今日の教育の現状を見ますと、子供たちの問題行動や不登校などの深刻な状況、社会性や規範意識の希薄化など、教育全般についてさまざまな問題が生じております。こうした中で、国においては、新しい時代にふさわしい教育基本法のあり方について、その見直しを含めて検討されているところでございます。私といたしましても、今の教育の現状を見ますと、単に現在の制度を前提とした対症療法にとどまらず、教育の根本にさかのぼって議論されることは意義あることと思います。  次に、有事法制関連法案についてお尋ねがございました。いわゆる有事法制関連法に関しましては、その具体的な内容がいまだ明らかになっておりませんので、現段階ではコメントすることは困難でございます。しかし、従来から申し上げておりますとおり、外交や防衛といった国政の根幹にかかわる事項につきましては、国の権限と責任に基づいて適切に対応されるべきものと認識いたしております。今後検討される有事法制関連法の内容によりましては、県民の日常生活や地域の経済活動に関連する事項が含まれることも想定されます。したがいまして、今後とも、法制化に向けた国の動向に注視しながら、迅速かつ的確な情報の収集に努めるとともに、必要に応じ、全国知事会などを通じて地方公共団体としての意見を申し述べてまいりたいと考えております。  次に、平成十四年度当初予算の目指す方向についてお尋ねがございました。近年、我が国を取り巻く社会・経済情勢が大きく変化する中で、本県の活力の低下が懸念される状況があらわれてきたことから、昨年度、県政中期ビジョン及び第三期実施計画を策定し、時代の変化に速やかに対応して、活力と安心のある元気な広島県づくりを推進することといたしました。少子・高齢化が進展し、成熟社会となる二十一世紀において活力と安心は車の両輪であり、活力があることが心のゆとりと安心を生み、安心できる暮らしがあることで活力も生まれてくるものと考えております。このため、十四年度当初予算におきましては、県内経済の活力を取り戻すための産業の再生や二十一世紀の本県を支える人づくりである教育改革、魅力的で自立した地域づくりを進める合併支援に加え、安心が実感できる県民生活の確保に向けた子育て支援や環境創造の五つの分野に特に優先的に取り組むこととし、予算の重点配分を行ったところでございます。これらの施策を着実に実施することを通じて、産業が再生し、県民が安心して生き生きと働き、元気を取り戻した広島県が、さらに内外の人々や企業を引きつけるという活力ある県づくりを目指して努力してまいりたいと考えております。  次に、市町村合併の基本理念についてお尋ねがございました。少子・高齢化の進展や経済情勢の変化などに直面する今、私たちが全力で取り組まなければならない改革の一つが地方分権の推進であると考えております。真の意味での地方分権は、地方公共団体が自己決定、自己責任の原則に立って自立した行政運営を行っていくことが可能になったときに初めて実現するものと考えております。このため、住民に身近な市町村が、地方分権の中心的な担い手として地域の実情に応じた行政を展開し、個性豊かな活力に満ちた地域社会を形成していくことが求められております。市町村合併は、市町村が地方分権の担い手にふさわしい体制整備を図るために最も有効な手段であり、特に少子・高齢化の進展が著しい中山間地域を多く抱える本県の今後の発展にとっても、極めて重要であると考えております。合併の終局の目的は、それぞれの地域がこれまで培ってきた文化や産業など地域の魅力や特性を生かした将来のまちづくりであります。県といたしましては、地域を取り組く環境や行財政の現状、今後の展望等を踏まえ、住民の積極的な参画のもとで活発な議論が展開されることを期待するとともに、こうした市町村の取り組みに対して最大限の支援を行ってまいります。  次に、県庁舎の建てかえについてお尋ねがございました。市町村合併が進展する中で、今後、都道府県合併や道州制、連邦制など、都道府県のあり方についての議論が急速に高まってくることが予想されます。このような状況の中で県庁舎の建てかえを検討するに当たっては、中国地方全体を視野に入れた拠点としての視点も踏まえる必要があると考えております。また、広島市中心部の都市空間の整備という観点からは、現在地に今以上のにぎわいの創出ができれば、経済効果も期待できるものと考えております。県庁舎の場所につきましては、これらの点も含めて総合的に勘案いたしまして、現時点で検討中の広島市内の四カ所の中では広島大学本部跡地が有力と考えております。しかし、移転整備については、現段階では現在地の売却及び活用の見通しが立たないこと、旧理学部一号館の撤去が必要なことなどの諸課題があるところから、御指摘の県民に開かれた庁舎という視点も含めて、さまざまな課題解決に努力してまいりたいと考えております。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁いたさせます。 21: ◯副議長神川正紀君) 総務企画部長阪本博臣君。         【総務企画部長阪本博臣君登壇】 22: ◯総務企画部長阪本博臣君) 財政健全化対策の進捗状況についてお答え申し上げます。  中期財政運営方針では、毎年度五百億円から六百五十億円の構造的な財源不足が見込まれており、これを県みずからの行財政改革により解消していくこととしております。平成十四年度当初予算の編成に当たっても、引き続き、この方針に沿って財政健全化対策を進めております。具体的には、職員数の削減などによる職員給与費の抑制、内部管理経費の節減などの内部努力を初め、事務事業のゼロベースからの見直し、単独公共建設事業の半減方針の達成など、投資的経費の縮減などを行ったところであります。これらの結果、十四年度当初予算の財源不足額は、中期財政運営方針策定の際に見込まれた六百五十億円に比べ、約二百億円下回る四百四十八億円となり、財政健全化の取り組みは一定の成果を上げていると認識しております。  なお、県債残高が増加することについては、地方全体の収支不足を補てんするための臨時財政対策債を発行することが大きな要因であります。このため、抜本的な地方税財源の充実確保などについて国に働きかけてまいります。  今後の財政運営については、引き続き厳しい状況が続くと想定されますが、県みずからの財政健全化対策を一層推進し、財源不足の圧縮に取り組む中で県債発行の抑制に努め、弾力的な財政構造の早期確立に努めてまいります。 23: ◯副議長神川正紀君) 商工労働部長玉川博幸君。         【商工労働部長玉川博幸君登壇】 24: ◯商工労働部長玉川博幸君) 二点についてお答え申し上げます。  まず、県独自の雇用実態調査への取り組みについてでございます。厳しい雇用・失業情勢の中で本県が要請しておりました都道府県別の完全失業率や失業者数の年平均値が、三月に初めて総務省から公表されることとなりました。県独自の雇用実態把握といたしましては、昨年度に調査いたしました求人・求職のミスマッチのその後の状況変化や県内の雇用実態などを詳細に把握するため、現在、緊急調査を実施しております。この調査では、企業が求めている人材や雇用形態の変化、求職者の意識や求職活動の実態などを把握するため、民間を含めた職業紹介事業所における二万五千人の求人情報の分析、企業二千五百社へのアンケートの実施、ハローワークにおける求職者三千人への出口調査などを行っております。また、先般、民間の職業紹介や人材派遣、再就職支援を行う事業者に意見を伺いましたところ、パートや派遣など雇用形態の多様化が進んでいること、紹介予定派遣や試行的な採用などが雇用のミスマッチの抑止に効果があること、中高年に対するきめ細かな再就職支援が必要であることなどの意見が寄せられたところでございます。今後とも、総務省のデータを多面的に活用いたしますとともに、県独自の調査を行うことにより、的確な雇用実態の把握に努めてまいります。  次に、雇用のミスマッチ解消に向けた職業能力の開発についてお答え申し上げます。これまで実施いたしました求人・求職者の意向調査におきましては、ITや介護に関する訓練、あるいは資格取得に直接結びつく訓練の実施への要望が多く寄せられております。これらのニーズを訓練に反映させるため、高等技術専門校の訓練科目の見直しなどを行ったほか、民間教育訓練機関を活用しました委託訓練の定員を拡大いたしました。さらに、来年度は、高等技術専門校において離職者向けの職業訓練を拡充いたしますとともに、訓練定員を百三十名ふやしまして五百十名といたします。また、訓練生に対する就業相談体制の強化を図ってまいります。委託訓練につきましては、定員を三百名ふやしまして八百名にいたしますとともに、訓練内容も電気・機械、危険物取り扱いなど再就職に有利な資格が取得できる訓練コースの追加や新たに求人企業への訓練委託を行うなど、一層充実いたします。今後とも、ミスマッチを解消し、労働移動を円滑にいたしますために、職業能力開発や就職面接会の開催などを着実に実施いたしまして、安定した雇用の創出・拡大に努めてまいります。 25: ◯副議長神川正紀君) 福祉保健部長三浦公嗣君。         【福祉保健部長三浦公嗣君登壇】 26: ◯福祉保健部長(三浦公嗣君) 介護保険制度の充実に向けた対応について二点のお尋ねがございました。  まず第一点目の第二期介護保険事業計画策定についての県の対応でございますが、本年四月を目途に、国は計画策定のための基本指針を示す予定と伺っております。県といたしましては、これに基づき、過去二年間の実績の評価や今後のサービス利用意向などを踏まえ、市町村において適切な次期計画が策定されるよう支援するとともに、それらを取りまとめた県全体の計画を策定してまいります。  第二点目の介護サービスに関する実態の把握につきましては、施設に対しては二年ごと、在宅サービスを提供する事業者に対しては三年ごとに、それぞれ立ち入って、事業内容に関する実地指導を行っており、国が定めた事業運営等に関する基準に基づく指摘事項等を含めて、結果を公表してまいりたいと考えております。また、事業者に対して、事業内容に関する自己評価の実施と、その結果の公表を求めてきたところでありますが、本年四月からは、県社会福祉協議会が実施する第三者評価の結果等を公表することとしております。さらに、ケアマネージャーによるケアプランの作成状況等につきましては、居宅介護支援事業者に対して、昨年度に県が独自に実施した実態調査や国などからの情報提供により実態の把握を行ってきたところであり、県が行った実態調査につきましては、その結果を公表いたしました。平成十四年度におきましては、ケアマネージャーを支援するケアマネジメントリーダーの養成などを通じて、介護保険制度がより充実したものになるよう努力してまいります。  なお、介護従事者の勤務労働条件につきましては、現在、国において介護報酬の改定に資する目的で介護従事者の給与の状況等を含めた介護事業者の経営実態調査を実施しているところであります。本県といたしましては、当面、国が公表する調査結果を介護サービスの向上に活用することとし、あわせて経営の実態等を踏まえた適切な介護報酬が設定されるよう国に要望してまいります。 27: ◯副議長神川正紀君) 教育長常盤 豊君。         【教育長常盤 豊君登壇】 28: ◯教育長(常盤 豊君) 完全学校週五日制への対応についてお答え申し上げます。  我が国の子供たちの現状について、教育改革国民会議の報告では、「自分自身で考え創造する力、自分から率先する自発性と勇気、苦しみに耐える力、他人への思いやり、必要に応じて自制心を発揮する意思を失っている」と述べております。こうした課題を考えるとき、学校、家庭、地域におけるバランスのとれた教育により、子供たちの健やかな成長を促すことが重要だと考えます。完全学校週五日制については、学校、家庭、地域の連携のもとで、子供たちの生活体験、社会体験、奉仕体験、自然体験などの機会を充実し、子供たちの主体性を高める好機であると考えております。  御指摘のように、これまでの学校五日制の状況を顧みますと、こうした子供たちの体験活動の機会が必ずしも十分ではありません。全国の中学校長会による調査でも、学校五日制の導入前と比べて、塾通いや生徒指導上の問題にはほとんど影響はないが、家でのテレビゲーム、漫画などで過ごす時間が増加したとの見方であります。このため、県教育委員会では、これまでの実施状況も踏まえて、土曜・日曜の子供たちの体験活動プログラムを充実するための具体的な取り組み事例などをまとめて、四領域、約二十項目を示すなど、円滑な完全学校週五日制の実施に向けて、市町村、国公私立の大学、民間企業や報道機関等に協力要請を行っております。また、県みずからの取り組みとしても、県立美術館等の常設展の無料化、大学と連携した公開講座の開催、学校図書館の休日開放などを計画しております。さらに、先週、知事部局、県警察本部と教育委員会の三者による「元気な広島 子ども夢宣言」を発表し、学校、家庭、地域が協力して子供を育てていくことを、PTAを初めとして広く県民の皆様に訴え、協力を求めているところであります。  次に、障害児教育の推進についてお答え申し上げます。  近年、障害児教育をめぐる状況として、幼児、児童生徒の障害の重度重複化や多様化、早期からの教育的対応の必要性、高等部への進学率の上昇、卒業後の進路の多様化などが指摘されております。また、本県は、障害児学校在籍者の率が全国で最も低い状況にありますが、近年では、障害児学校の児童生徒数は増加傾向にあり、専門性に基づく障害児教育の一層の充実が求められているという状況がございます。このようなことから県教育委員会としては、障害児教育のより一層の充実を図るため、昨年、障害児教育基本構想策定委員会を設置し、障害の種類、程度に応じた適正な就学指導のあり方など四項目について諮問したところでございます。  御指摘のとおり、障害のある者も、障害のない者も同じように社会の一員として社会活動に参加し、自立して生活のできる社会を目指すことは極めて重要であります。中間報告に述べられているように、一人一人の教育的ニーズに応じた適正な就学指導を図り、専門性の高い教育を充実することによって子供たちの能力や可能性を伸ばしていくことは、ノーマライゼーションの理念にかなうものであり、子供たちの社会的自立や職業的自立につながるものであると考えます。また、交流教育について、新学習指導要領においては、その機会を設けることが明記されたところであります。本県では、これまでも国からの委嘱事業も受け、その研究を進めてきたところでありますが、地域で学びたいという本人、保護者の皆様の思いを受けとめて、引き続き内容の充実に努力してまいりたいと考えております。  このたびの報告は中間報告であり、本年三月に最終の答申が予定されていることから、それをいただいた上で県教育委員会としての諸施策を取りまとめることとしております。 29: ◯副議長神川正紀君) 明日も引き続いて質問を行います。明日は午前十時三十分から会議を開きます。  本日はこれをもって散会いたします。         午後三時五分散会 発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...