▼最初の箇所へ 午前10時00分開議
◯議長(藤縄喜和君)ただいまから本日の会議を開きます。
本日の議事日程は、県政に対する一般質問並びに議案に対する質疑であります。
それでは、議案第1号「令和元年度鳥取県
一般会計補正予算(第1号)」から第12号「鳥取県
環境影響評価条例の一部を改正する条例」までを一括して議題といたします。
これより一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。
15番
濱辺義孝議員
◯15番(濱辺義孝君)(登壇、拍手)皆様、おはようございます。公明党の濱辺義孝でございます。
昨日は、新潟、山形で震度6強、6弱の地震が発生いたしました。被災地の皆様には、心よりお見舞いを申し上げます。
新しい期に入り、初心に戻り、県民の皆様のお役に立てるよう働いてまいります。どうかよろしくお願い申し上げます。
それでは、通告に従い質問をさせていただきます。
初めに、災害に強い地域づくりについて伺います。
この春、選挙戦で鳥取市内のさまざまな地域を歩きました。そして、多くの人から政治に対する御意見、地域の課題などに対する御意見を伺いました。どれもが重要な御意見でありましたが、心に残った話が中山間地域に居住する御婦人の話でした。中山間地域においては、皆様も御存じのように、少子高齢化、人口減少などが急激に進み、医療、介護、交通、買い物などのさまざまな課題が山積しています。以前は、若い人がいて活気があるときには何も感じなかった集落も、高齢化、人口減少などが進み、空き家がふえ、
ひとり暮らしの高齢者がふえて、地域の活動が低下してきた集落の状況を感じたときに、将来に対する不安の要因になっていることを感じます。そういった現状の中、いまだに7月豪雨、台風24号の爪跡が残る中山間地域においての災害に対する不安の声でした。地震、台風、豪雨になると、いつ裏山が崩れるかわからない、心配で眠れない日が続くと言われていました。近年では、地震、台風、豪雨などで土砂災害、河川の氾濫により浸水災害で家屋が壊され、人の命、財産が奪われる災害が多く発生しています。災害に対する
防災安全対策に強く取り組みを推進すべきだと感じました。
鳥取県では、鳥取県みんなで取り組む中
山間地域振興条例を策定し、目的、定義、県の責務、市町村の役割、基本方針などを定め、平成20年10月に施行されました。そして、平成24年、平成29年と社会情勢の変化や5年ごとの
山間集落実態調査の結果を踏まえて、条例の改正を行い、中山間地域の振興に取り組んできました。この振興条例の第7条に、重点的に取り組む施策が明記されています。内容は、(1)災害に強い安全な地域づくりの推進に関する施策で次に掲げるもの。ア、住民の防災意識を高め、災害への事前の備えの充実、イ、周辺地域の連携と共助の仕組みの確立、ウ、
自主防災組織など消防体制の強化、エ、防災機能、または避難所機能を備えた地域生活を支える拠点の整備、オ、産業または生活の基盤として整備される施設の強靱化及び防災施設の整備などが掲げられています。災害に強い地域づくりに対して明記されています。
これをもとにした中山間地域の振興に対して、これまでの取り組み評価と、これからの課題について、どのように考えているか、知事に伺います。
この御婦人の居住している集落を案内していただき、緊急車両が入れない狭い道路、急傾斜地の下にある家で、近年の自然災害の地震、台風、豪雨などの影響で地盤が緩み、石垣の石が落ちたり、土砂が崩れている様子など、見てまいりました。県内の中山間地域において、高齢化、人口減少など、厳しい状況でも、地域の活性化に向けて元気を出して取り組んでいる集落もありますが、地域活動が低下してきている集落がふえてきている現状もあります。災害から人の命、財産を守るために、災害に対して防災、減災の意識を高めていく必要があると思います。
県の事業で、
治山砂防課所管の防災を目指す
出前裏山診断事業があります。この事業は平成25年度から実施されています。平成28年、29年では7から8集落がこの事業を活用し、防災意識の向上につながったということです。この事業では、集落、小学校単位などで地域の皆さんと危険箇所を調査、点検し、有識者からアドバイス、座談会形式による意見交換が実施できます。中山間地域の避難所、避難道路、避難体制、備蓄品などのハード面、ソフト面における地域の課題解決に向けて、この診断事業を幅広く周知し、防災、減災に対する意識の向上を図り、市町村、地域の皆さんと一体となった取り組みを進めることが重要だと感じますが、知事に伺います。
次に、ひきこもり対策について伺います。
この質問については、昨日、8050問題として同様の質問がありました。社会的に問題になっている課題解決に対する思いを感じていただき、質問が重なることをお許しいただきたいと思います。
福祉保健部補正予算資料に、内閣府と鳥取県のひきこもり調査結果が示されていました。その結果によると、国の調査では、若年層と中高年層を合わせて100万人を超える人がひきこもり状態にあります。県内調査では685人のうち、40歳以上の方が過半数を占めるという調査結果でありました。このことは、8050問題として社会的に大きな課題になっています。県が市町村をリードして、ひきこもり者、家族の皆様のため、支援に対して強く推進していただきたいと思います。
6月
定例会補正予算の事業の中に、ひきこもり
対策推進事業があります。事業内容は、ひきこもり
生活支援センターにおいては、1、相談員の増員、2、市町村が行う相談、支援に対する
後方支援機能、
スーパーバイズの強化、3、訪問支援の積極的な実施、4、西部相談拠点の開設日の増加、週1日から週5日、ひきこもりサポーターの養成研修、市町村における支援体制の構築など、対策、推進事業により、ひきこもり支援が拡充されて大きく支援体制が前進したと感じます。
この事業の中で2点確認させていただきます。
1点目に、市町村が行う相談支援に対する
後方支援機能、
スーパーバイズの強化とは、具体的に何を強化するのか、知事に伺います。
2点目に、訪問支援の積極的な実施とは、どのような形で支援をされるのか、知事に伺います。
以上で壇上からの質問とさせていただきます。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)濱辺議員の一般質問にお答えを申し上げます。
まず、昨晩の地震につきまして、議員のほうからお言葉がございました。午後10時22分、マグニチュード6.7の地震が日本海東縁部で起きました。心から被災された皆様に鳥取県民代表いたしまして、お見舞いを申し上げたいと思います。
昨日の地震は、私どものところとは若干メカニズムが違う地震でありまして、
ユーラシアプレートが日本列島に沈み込む、そこでひずみがたまる、そこにプレート境界もある、そういうような地域で発生をしています。若干陸域に近いところで今回の地震は発生したわけでありますが、恐らく逆断層型ではないかというふうに見られるところでありますが、あそこの特性としては、大きな津波が起こりやすいという特性があります。昨日は、津波注意報が出ましたが、幸い大きな津波には至らなかったわけでございますが、恐らく陸域に近いところで地震が起こったことが、そのように津波の大きさにも影響したのではないかというようにも考えられているところでございます。
いずれにいたしましても、現在のところだけでも21人のけがされた方がいらっしゃって、新潟県、山形県、さらには宮城や石川も含めて、今被災されているところでありますし、液状化現象が起こったり、また、屋根瓦が落ちるなどの一部損壊、さらには、学校の施設の一部倒壊などもございます。これから多分被害が広がって報告されてくるのではないかというふうに思われます。
私ども鳥取県としても、先般、鳥取県中部地震で大変に全国の方からお手伝いをいただいた感謝の気持ちがございます。もし我々でお役に立てることがあれば、ぜひ協力していこうという方針を私ども県としても固めさせていただいております。具体的には、今ふるさと納税の協力があるかというふうに考えられますが、全国のネットワークの中で、山形県を支えるための
ふるさと納税募集に本県としてもその事務作業など、代行をさせていただく方向で今急遽動いているなど、準備体制を整えつつあるところでございます。
次に、災害に強い地域づくりにつきましてお尋ねがございました。
中山間地条例、それとの絡みで、取り組みの評価や課題、さらには
出前裏山診断事業、その重要性等につきましてお尋ねがございました。
この御指摘のありましたみんなで取り組む中
山間地域振興条例という条例の改正は、平成28年10月21日の鳥取県中部地震を契機として改正したものであります。中山間での被害が割と目立つところでありますし、やはりそこでの防災力というのを考えなければならないだろうと。そこで、
防災危機管理条例とあわせて、中山間地の条例や
あいサポート条例等も最近こうして改正を続けてきているところでございます。
そういう考え方は、先ほど議員のほうから条文の御説明もございましたが、それぞれに即した展開が今図られてきています。例えば共助の体制等、そういうことをやろう、また、地域の中でのそうした防災力を高めていく。そういう意味で、
自主防災組織の強化を図ってきて、市町村と一緒に呼びかけを続けていますが、現在86%まで、その組織率が高まってまいりました。また、例えば福祉避難所であるとか、それから、地域における支え愛避難所であるとか、そうしたところでの機材整備なども県の助成措置もとりまして、順次今手挙げ方式で進めてきているところでございます。また、地域での支え愛マップが有効であると、これも中部地震の一つの教訓であったわけでありますが、この作成地域も年を追ってふえてきています。また、たびたび御指摘いただいています防災士、これも現在その数をふやして、1,100人を恐らく今年度達成するのではないかというふうになってきています。こんなような形で、この条例を皆さん、議会のほうで制定していただいた、改正していただいた、その効果として、その対応があらわれてきていると思います。
そういう中で、特に御指摘ありました出前の診断、これの評判もよろしいですし、やはり住民意識を変えていく、そういうきっかけにもなるのではないかなと思います。この
出前裏山診断でございますけれども、鳥取大学の藤村名誉教授、さらには、防災のボランティア、これは県のOBさんで構成されているものであります。また、もちろん市町村職員や県職員も入りまして、こういう裏山診断をするわけであります。具体的には、そこに行って急傾斜地等の状況をみんなで見て、それで判定をしていく。それに基づいて、これからこういう防災対策をやらなければいけないねということを話し合う。そういう重要な契機にしてもらったり、科学的な避難のあり方等の根拠にしてもらうということであります。残念ながら、今急傾斜地だとか、それから、土砂の危険区域、大体4分の1ぐらいまでしか対策工事が進んでいないということであります。これは、全体事業費の関係、あるいは国のほうの割り当ての関係もありまして、一気に進むとはなかなか考えにくい。そういう意味で、先ほどの条例にございましたような、自助、共助、そういうところもしっかりと進めていく必要があります。
例えば、平成29年に岩美町の小田というところで、その出前の裏山診断をしましたけれども、その結果として、その後、実は集中豪雨がございまして、その豪雨のときに、そのときに議論を皆さんでされたちょうど裏山が危ないという、
ひとり暮らしのお年寄りの方を速やかに避難していただくということになりました。こういうように、やはり実情をしっかりと把握をして、近所の人でも助け合いながら、避難所、安全なところへと逃げていく、こういうことが必要なのだというふうに思います。ついせんだって、今月に入りましても、岩美町外邑で、やはり裏山診断をやりましたが、そのとき、ドローンを飛ばして映像を撮っているわけであります。そのドローン映像をもとにしまして、これから学習会をやろうというように地域のほうも盛り上がっているところでございます。こんなようなさまざまな効果が出てくると思います。そういう意味で、この
出前裏山診断、今後とも推進をしていく必要があると考えております。
また、2点目として、ひきこもり対策につきましてお尋ねがございました。
このひきこもり
対策推進事業で、後方支援、スパーバイズの強化をするということは、どういうようなことなのか、また、訪問支援、これを積極的に実施をするということは、どういうようなことなのかということであります。
本県では、特徴的なひきこもり
相談支援センターによる、いわば官民共同体のような形で、民間の活力や知恵、経験を生かしながら、このひきこもり対策を進めてきておりまして、昨年度も84件の訪問などにも結びつく、また、相談件数も大体2,000件近く、毎年あるぐらいでございます。こんなような状況でございまして、実は、他県からも、特にその後の職業訓練に順々に進めていく、そういう手際のよさといいますか、そうしたところはモデルとして評価をされているところであります。
ただ、これを今回さらに強化するということで、東部・中部・西部でのそれぞれの拠点性を高めようと、その予算を今回お願いをさせていただきました。具体的には、そういう支援に当たる方の配置であるとか、それから、市町村等のいわば啓発といいますか、
ネットワーク化、こういうところを重点的に起こしております。モデル的な事業の実施なども含めてやろうと。
と申しますのは、例えば高知県のようなところ、ここは県内で1カ所しかそういうセンター的なものがありません。それから、実は高知県からは鳥取県のやり方を評価していただいているぐらい、そういう意味で限界もある程度感じているということだと思うのですね。ただ、ひきこもり対策をしっかりやるために、市町村を窓口、最前線というふうに位置づけまして、その市町村の支援を一生懸命やっておられると。例えば
ケーススタディのような形で、事例検討を行うでありますとか、また、市町村が訪問支援に行く、そういうもののサポートでありますとか、そうした形をしているわけです。私どもも今少なくとも685名おられると県内の状況を把握していますが、先般も御答弁申し上げましたが、例えば南部町であれば、3,000世帯、全数調査をこれから3年かけてやろうというように言っておられるわけでございますが、そういうふうにやはりこれからもっともっと手を広げていかなければなりません。どちらかというと、向こうから来られるのを待たざるを得ないような、県内3カ所では十分でありませんので、19の市町村それぞれにやはり動いていただく必要があるだろうと。
今最近の状況でも、川崎の登戸であるとか、あるいは東京の練馬区であるとか、そうした意味で、こうしたひきこもりの御家族に寄り添っていくことの必要性、それが非常にクローズアップされてきておりますし、市町村の関心も高まってきていると思います。そうした観点で、市町村に対する
スーパーバイズ機能、これを強化しようということであります。高知でやっているみたいに、いろんな専門的な助言や、あるいは支援ということがありますし、また、実際に活動を行う上での共同作業ということも想定をするということであります。
議員のほうからお尋ねがありました訪問支援、これもまだ数的には十分ではないと思います。やはり市町村が出かけていくということも含めていかなければなりません。今回、この訪問支援の機能も強化して、人数がふえれば出やすくなりますので、そういうようなことで、訪問支援のセンターによる件数自体はふえていくように設定をさせていただいているのですけれども、市町村が訪問支援を行うところに支援をしていく、そういう機能もあわせて重要であります。案件によっては同行支援を求められれば、同行支援をするということもあるだろうと思います。
こんなような形で、解きほぐすようにひきこもり対策ということを進めていかなければなりません。注意しなければならないのは、やはり周りの目だけで、みんなそのとおりにはうまくいかないということですね。と申しますのも、やはり本人の問題でありますので、御本人が警戒するようなことになってはいけないと。今回言われてきたような事件の背景を見ても、私はひきこもりでないといって反発をしているというような報道もなされているところであります。やはりまずは御家族にアプローチをして、それで、本人といろいろと話をしていく。ただ、それもやはり一種のテクニック等が、配慮が必要であります。そうやって心の壁を少しずつ取り除いていって、訓練を経て、社会復帰をしていくということでありますので、そういうことにたけたセンター機能を充実させ、それが
市町村スーパーバイズをし、それで両者によって訪問支援を行っていくと、こういうような体制が組まれていくことが望ましいと思います。そんな背景で今回予算を提案させていただいておりますので、よろしく御審議いただければと思います。
◯議長(藤縄喜和君)15番濱辺議員
◯15番(濱辺義孝君)答弁をいただきました。
災害に強い地域づくりという観点で今回質問させていただいております。知事のほうが全県下的にずっと歩かれていろんなことを御存じだと思うのですけれども、自分自身がこの選挙戦の中で歩いたところでは、まだまだそういう集落、地域の中では、不安を抱えてられる人が多くおられることを今回感じさせていただきました。今回、壇上で話をさせてもらいました、この振興条例であるとか、または裏山の診断であるとか、今それぞれを進めていただいているという答弁をいただきました。しっかりと進めていただきたいと思います。
それと、ひきこもりに関しては、以前から何回か質問をさせていただいております。しかし、根本的にやはり人材が不足している。例えば今回、訪問に関しましても、では、誰が行くのかということになりますと、本当に人材の育成が急務であると思っております。いろいろとその辺のところも知事は御存じだと思いますので、しっかりと進めていただきたいと思います。
それを踏まえまして、何点か追及質問をさせていただきます。
初めに、災害に強い地域づくりについて伺わせていただきます。
中山間地域のこういう問題に関しまして、例えば土砂災害、また河川の氾濫による災害で、地域の人、財産を守るためには、多くの財源が必要になります。そこで、国においては、過疎法であったりとか、山村振興法、特定農山村法といった財源的に支援を受けられる制度があります。この制度を活用できないかどうか、知事に伺います。
また、防災・減災、国土強靱化のための3か年
緊急対策事業など、積極的に活用して、災害に強い地域づくりを推進すべきと考えますが、知事に伺います。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)濱辺議員から重ねてのお尋ねがございました。
やはり主体は市町村や地元になりますので、どうやって財源も確保していくか、もちろん地元で、町内会で頑張って集めてということも当然あるわけでありますが、なかなかそれでもかなわないものもございます。そういう意味で、防災力にも活用できるような財源措置も大いに使っていくべきであるということになります。そういう意味で、中山間地で有力なのは、過疎債、あるいは辺地債というところであろうかと思います。今お話がございました特定農山村とか、なかなか防災には使いにくいようなことがございますが、典型的には、今市町村がやっているのは過疎債、これは起債をして70%が交付税措置で算入されてくるものでございます。辺地債も同様なものでございますが、80%算入されてきます。こういうところで、例えば消防設備、そういうものも、消防ポンプとか、そういうものの配備も可能でございまして、割と一般的に使っておられるところでございます。
ただ、ちょっと過疎法が今改定時期に入っていまして、今国として議論も進めています。これは、隣の島根県の溝口さんが会長をして、過疎法の連盟をつくっておられるわけでありますけれども、それで要望されていました。今、丸山さんにこれが移るのではないかと思いますが、そういう活動を今、これから更新に向けた活動をしている真っ最中なのですが、その要件等は、ぜひ今の過疎地域が対象となっていくように、ある意味工夫がされなければならないだろうなというふうに思います。一つの焦点になるかなと思います。
先般も有力な国会議員とお会いしたのですけれども、ちょっと過疎法について、ぐっと対象地域がおっこってしまう可能性があるということを言っていまして、それは、また人口だけでなくて、高齢者とか、そういう比率なども入れて、今まで工夫していますから、ぜひ配慮してくださいということを申し上げたところです。実は平成27年国調で、それで昭和45年国調と比較をするのですが、32%減というのが現在の基準です。それから、27%減か、あるいは高齢者の比率が36%以上、それから若者の比率が11%以下、こういうどちらかを満たしていてもというようなこともあるのですけれども、こういうものの指標によっては割と中山間地の救済にならなくなるかもしれませんので、この辺は注意が必要かなと思います。
あと、宝くじを活用して
コミュニティーセンターの助成事業がございます。例えば今最近では面影1丁目が集会所をつくりました。こういうものにも充当されていまして、この面影1丁目の
コミュニティーセンターは、避難所とか、あるいは防災拠点として役立てられることになります。また、湖南地区の
自主防災組織に対して、やはり宝くじを活用した防災対策の事業がございます。ここで、倉庫であるとか、そういうものをつくる、そういう事業をされていたりします。こんなように、こういう宝くじ関係の助成事業というのも一つ有力な手段かなというふうに思います。
いずれにいたしましても、県としても防災の交付金を市町村向けにも出していまして、これも地元、それぞれの地域での
自主防災組織も使えるようにさせていただいています。さまざまな形で自助、共助、公助が調和をとれた形で包み込むように中山間地域を守れるよう、我々としても協力をしてまいりたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)15番濱辺議員
◯15番(濱辺義孝君)答弁をいただきました。さまざまと財源をひねり出していただき、しっかりと支援のほうをよろしくお願いいたします。
それと、もう1件、災害に強い地域づくりに関連いたしまして質問させていただきます。
今
河川推進対策で御尽力をいただいております鳥取市の福部町の塩見川の対策工事があります。今回、ここで塩見川の対策工事がありまして、鳥取市の福部町では、駅前の地域の住民の皆さんが中心になって、塩見川の対策工事に対する委員会が発足されました。
塩見川の対策工事、川の拡幅工事が終わり、今後安心・安全なまちづくりに対して大切な時期を迎えております。6月
定例会補正予算の河川改修事業において、塩見川の改修工事の取り組み及び日程をどのように考えておられるのか、知事に伺います。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)塩見川につきましてお尋ねがございました。
ここはある意味特殊な地形でありまして、地元の方もよく御案内のことでありますが、もともとは細川池という池のような形で、そこに鳥取砂丘がせり出してきて、そこで閉塞していくということになりました。ですから、もともと低い土地でありますし、水が逃げにくい、抜けにくい、そういう特性がありまして、ここの水害対策というのは非常に難航をきわめるわけであります。昭和50年代に大きな水害がありまして、それで抜本的な対策をとろうというようになり、今順次その流れの中で工事を進めています。
これは、今とりあえず箭渓川の合流地点までと、それから、如来橋といったボトルネックのところ、こうしたところの工事まで進んできました。如来橋のところ、つまり最終的には川が水を海に流さないといけませんので、その出口のところのその河川の流量というのはふやさなければいけませんが、橋もかかっていて、それをかけかえて流量をふやしていくような、そういう工事を進めていかなければなりませんが、ちょうどそこに山陰近畿道の高速道路の予定もかかってきまして、それとあわせた形でやることになりましたので、ちょっと時間もかかったというような経緯もあるかと思います。
いずれにいたしましても、こうした箭渓川合流までの整備などが進んだことで、このたびも若干、水、例えば去年の豪雨のときも大きな被害には至っていないということであります。そういう意味で、整備効果があらわれてきたということで、地元のほうでもお話をしていただいたということだと思います。
これから、まず中長期的には抜本的に河川断面を広げて、そして、そこにいわば堤防を立てて、それで、この川から逃げないようにということをやっていくのが最終形でありますけれども、まずは、河川断面を広げていく、そういう工事をすることとあわせて、また、放水路を一つつけて、箭渓川の水を逃がしていくというようなこともあわせてやると。これを当面の暫定的な措置として工事を進めていきたいと、こういうことで私どもも地元に説明をいたしたところでございます。ぜひ御地元の協力も得ながら、まずはそうした暫定的なさらなるもう一段の安心に向かい、いずれ、これは大分時間がかかりますが、長期的には最終形に持っていくというようなことになろうかと思います。
◯議長(藤縄喜和君)15番濱辺議員
◯15番(濱辺義孝君)この塩見川に関しましては、地元の方も本当に災害がかなり軽減されて、喜ばれているところもあります。ただ、やはりまだまだ課題があるものですから、ぜひその辺のところを進めていただきたいと思います。そして、委員会が発足いたしましたので、そういう方々のさまざまな御意見を聞きながら、しっかりと進めていただければと思います。
それでは、次に、ひきこもり
対策推進事業について伺います。
私自身は、議場で何回か質問をさせていただきました。ひきこもり支援において、まだまだ課題はありますが、知事初め、担当部局の職員の皆さん、また、ひきこもりセンターと連携をとり合いながらよく取り組んでいただいていると私自身は思っております。そういう状況でありますけれども、今回、事業の中で、ひきこもり
対策推進事業の市町村における支援体制構築についてという事業があります。自分自身が市町村の体制が非常に重要だと感じておりましたので、この支援体制構築というのは非常にこれから期待するものがあると思います。
そこで、伺います。事業の中に八頭町などの取り組みを横展開させると。八頭町では具体的にどのような取り組みをされているのか、知事に伺います。また、モデル事業の検討もされるとのことですが、検討されるモデル事業はどのような内容なのか、知事に伺います。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)濱辺議員から重ねてひきこもりにつきましてお尋ねがございました。
八頭町におきましては、前もちょっと議場でも御紹介したことがございますが、相談支援のほっとという、そういう窓口がございます。町の福祉課がそれをコーディネートするということになるわけであります。これにワーカーズコープさんとか、それから、そのほかのさまざまな支援に当たれるところ、こういうところに入っていただいて、そうしてみんなでいわばワンストップで対応していこうと、こういう調整をするわけです。ひきこもり支援調整会議というのを昨年度設置をされまして、これで機能していくということになります。
そこで、八頭町の一つの特徴としては、集落にいわば支援員のような方もいらっしゃるのですね。その地域の支援を行う、そういう方が地域の中で、それぞれの御家庭の状況がございますので、これをまた関係機関のほうにつないでいくと、そういうのもまたもう一つ加わっていまして、こういうような形で他地域にはない、そういう手厚い形ということを今目指そうというふうにしています。
具体的にもこれまで、例えば御家庭でひきこもりの方がいらっしゃいますけれども、面倒を見られるお母さんのほうもお年を召していき、それで、こうした相談が入りまして、その結果、そのお子様の兄弟のほうは、訓練といいますか、そういうところに向かっていって、また、立ち直りをしていこうと。その片方で、在宅介護というものを入れていこうと、こういうように、高齢者の支援とあわせて、ひきこもりの支援を同時進行でやっていける、そういうようなタイプを目指していらっしゃって、そういう実例も生まれてきているということであります。
恐らくそれぞれの家庭の事情というのは、いろんなものが組み合わさっていまして、例えば生活保護的なことであるとか、そういう所得、経済的な苦しさであるとか、あるいは、また、そうしたひきこもりには精神保健的なアプローチが必要であったりだとか、とても一人の人で対応できない、そういうノウハウ等もございまして、やはり協力体制でやっていかないといけないということです。こういうものをモデル的にも広げていけないだろうかということでございます。
最近、北栄町さんも、やはりこれはひきこもりに限らずということでありますけれども、そういう総合調整の組織を立ち上げられたところであり、倉吉市さんも同じように続いていこうとされておられます。こんなような形で、市町村で機能的にお互い有機的に組織同士のノウハウや力を結びつけ合って、ひきこもり対策を効果的に行い、また、それとあわせて、それぞれ御家庭のアプローチを通じた各種福祉も同時に進行していけるような、そんなようなモデルをふやしていければと思います。決してそんなに難しいことではないというふうに考えていますし、その背景にひきこもり
生活支援センターや、あるいは県、市町村当局がくっついてやっていくということになれば、対応は広がっていき得るのではないかなと思います。そんなモデル事業を今回提案をさせていただきました。
◯議長(藤縄喜和君)15番濱辺議員
◯15番(濱辺義孝君)答弁いただきました。八頭町では、そういう町内で横の連携というか、そういう体制ができているということです。ぜひ力強く進めていただいて、県もサポートしながら、こういう当事者の方、家族の方々の希望になるような支援を進めていただきたいと思います。
本当にピアサポートセンターさんの理事長さんとも以前にお話をさせていただきましたけれども、やはりひきこもりの方への支援というのは、すぐに答えの出るものではなくて、もう何年も何年もかかって、苦労して苦労して、何年もかかってやっとドアをあけてくれたりとか、本当に御苦労をするお話を伺いました。そういう意味では、本当に地道な支援になるかと思いますけれども、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
最後になりますが、この過疎法であるとか、山村振興法、中山間地域を振興、また、ひきこもりの支援については、これまでも公明党は国のほうで強く推進してまいりました。これからもまたしっかりと取り組んでまいりたいと思います。また、知事の4期目、より強く推進していただくことをお願いをして、本日の質問を終わります。何かコメントがあれば、お願いいたします。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)濱辺議員からは、重ねてお考えを御披瀝をいただきました。
先ほどの山村振興法、これもかつては防災対策も入っていまして、現在はちょっとその機能が失われているということでありますけれども、ただ、農山村の振興の上では重要な、例えば集会施設であるとか、さまざまな施設にも充当できるものでありまして、ぜひ国を挙げてお取り組みをいただければというふうに思います。
濱辺議員から中山間地でかつて御活動された、そういう御経験も生かしながら、今回そういうところでの防災対策、あわせてひきこもりのこともお話をいただきました。やはり一人一人の人が大切にされて、そして、そこに社会が正常に向き合っていかなければならないのだと思います。最近、厳しい事件が起こったりしますし、またきょうも被災者が非常に苦しんでいるという状況があります。そんなときに、やはり小さな鳥取県ではありましても、これまでも例えば鳥取県中部地震等々を乗り越えてやってきた実績もあります。また、細かくひきこもり
生活支援センターでお手伝いをいただいていることが全国でも評価されているということも出てきています。そうした鳥取の持つ人の力というのをこれからぜひとも活用させていただき、地域の底力を上げていければというふうに思います。
◯議長(藤縄喜和君)16番尾崎薫議員
◯16番(尾崎薫君)(登壇、拍手)皆様、おはようございます。元気な濱辺議員の後に、ちょっと声のかすれた尾崎薫でございますけれども、頑張ってやっていきたいと思います。
濱辺議員も知事もおっしゃいましたように、昨日夜の地震というのに、私は本当に心配をいたしました。夜逃げるということはどんなことなのか、明かりがないうちにどんな危険があるのか、本当に皆様のことを思うと心が痛みました。心からお見舞い申し上げたいと思います。そして、私たちができることがあれば何でもやっていきたいなという気持ちでおります。
さて、質問に入らせていただきます。
平井知事におかれましては、この4月の選挙で御当選おめでとうございます。そして、私も8年ぶりにこの議場に立ち、光景が随分変わったな、若い方もふえられたな、私が年をとったせいもあるのですけれども、若い方もふえられたなということで頼もしい思いをしております。と同時に、身の引き締まる思いと責任の重さを感じています。1期目、2期目も同じ思いでやってきましたけれども、3期目も変わることなく、県民の皆様に寄り添い、小さかった声、届かなかった声に耳を澄まし、県政に生かしていきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、私は、社会全体が幸せになるには、バランスのとれた政治が必要だと思っています。そのためには、政治の場にさまざまな人生を生きているさまざまな人々が参画しなくてはならない、すなわち議会は社会の縮図であるべきだというのが私の考え方です。女性はもちろんのこと、若い方、障害のある方、シングルマザー、非正規労働の方、高齢の方々などなど、さまざまな人が議会に参画すべきと思います。政治は生活そのものです。ゆえに、さまざまな生活者の声が反映してこそ、ぬくもりのある政治ができると思います。
しかし、残念ながら、現実は全く違います。中でも人口の半分を占めながら参画が少ないのが女性であり、政治に関心の薄いのが若者です。もっと女性の政治参画が必要です。もっと若い人たちが政治に参加しなくてはいけません。日本における女性の議会の参画は、世界でも大変おくれています。2019年3月、列国議会同盟レポートによると、女性国会議員の数は、日本は193カ国中165位、7位順位を落としています。そして、2018年12月の総務省の調査で、全国の全議員数3万3,086人中、女性議員は4,259人、12.9%です。また、ことし2月現在、全国の地方議会で女性ゼロ議会20%、女性1人議会約29%、つまり半数がゼロまたは女性1人の議会です。鳥取の県や市町村議会も例外ではありません。まだ均等には道遠しといった感があります。
さて、昨年、参議院で政治分野における男女共同参画推進法が国会で可決、成立されました。2016年には、鳥取県議会にも女性たちがこの法案の早期成立を国会に要望する旨の陳情を提出し、この場にも多数おられる前議会の議員の皆様の御理解、御協力を得て、趣旨採択されました。ありがとうございました。この法律は、候補者数が男女均等になるように、各政党に努力義務が課せられ、報道は、このたびの統一地方選挙で女性の参画がどれくらいかについて報じていましたが、まだ10%ちょっととのこと。法律ができてもそれほど変わってはいません。各政党がさらに努力をしていかなくてはと思います。
一方、この法律では、地方自治体に対しても政治分野の男女共同参画が進むよう環境を整えることを義務づけられています。どんなことができるのか、まだ模索中の自治体も多いようですが、知事は女性の政治参画の意義についてどう考え、また、現状をどのように捉えておられるでしょうか。加えて、法案成立後、鳥取県としてどんなことを取り組んでこられたか、お聞かせください。
次に、若者の政治参画についてお尋ねいたします。
政治参画といえば、投票率アップは大変大切な問題で、18歳以上の人に選挙権が与えられた前後、有権者教育については、何人かの議員が質問されて、また、県としても出前講座など、多くの試みがなされてきました。しかし、昨日、松田議員が触れられましたように、残念ながら、この4月の統一地方選挙でも、18歳、19歳の投票率はおよそ30数%にしかなりませんでした。今後は取り組みの効果がさらに出るように期待したいと思います。
確かに投票に行くということは大事な政治行動の一つですが、一方で、みずからが議員なり、政治参画をするという被選挙権にも目を向けてほしいと思います。この議会には30代、40代の若い議員が10名おられ、頼もしい限りですが、全国的には地方議会に若者は少ないです。もっと多くの若い人が議員に挑戦したいと思えるためにどんなことをすればよいか。これは議会自身の仕事でもあり、議会としても、高校生議会、大学生議会、議員との懇談など、毎年開催する努力をしています。より一層若者の政治参画を進めるために、車の両輪の一方を担う執行部にも取り組みを期待したいと思いますが、知事の御所見を伺います。
また、学校現場で生徒たちに政治に関心を持つようどんな取り組みをされているでしょうか、教育長にお尋ねいたします。
次に、美術館建設と東部の課題についてお伺いいたします。
この件について言いますと、ほかの議員からやめておいたら、ばあんと撤回というぐらい言わないといけんで、もう議決しとるけえなと、いろいろな御心配をいただきました。私は当時この場にはいませんでしたし、今議会新たに建設される美術館の建設費等の債務負担行為の議案が提案されています。審議をするために幾つか再度確認しておきたい点があります。よろしくお願いいたします。
今予定されている県立美術館建設は、都道府県立としては全国で最後の建設となると聞いています。スタバも全国で最後に鳥取市で開店し、開店の日は朝早くから県内外からお客様が行列して、今か今かと開店を待っていました。すごいニュースになったのを覚えています。これには知事の「スタバはないけど砂場がある」という発言が功を奏したのでしょう。NHKのニュースの全国版にも出ていましたし、英字新聞の一面にも写真つきでスタバの社長のコメントつきで出ていました。全国最後の鳥取県の県立美術館が開館するときには、スタバのように行列がずらりとできてほしいものだと思います。そのためには、全県挙げてわくわくする美術館でなくてはいけません。しかし、丁寧に何度も議論され、アンケートをとり、県民の意見を聞いてつくり上げた県立美術館建設案ですが、建設地決定までの経緯にすとんと胸に落ちないものがあるというのが東部の多くの人たちの思いだと思います。
これまでこの議場で28人もの議員が質問し、白熱した議論が展開されています。あの銀杏議員も鋭く何度も知事に候補地の撤回を迫り、中島議員は検討委員会の議事録から徹底的にこれが誘導的であったということを証拠をつぶさに拾い上げて、知事、教育長に迫り、島谷議員はもともとの桂見の建設予定地問題を取り上げられ、今回、私が取り上げるまでもなく、これまでにたっぷりと議論がなされてきました。
鳥取県美術館整備基本構想検討委員会については、今もって県民、特に東部の県民に疑問が多く残っているとの声をたくさん、そして意見をたくさんたくさん聞きました。例えば次のようなことです。委員の中になぜ芸術家が1名しか入っていないのか、なぜ本県の芸術家が入っていないのか、有識者とはいえ、県外委員が半数を占めているというのはいかがなものか、また、委員の出身地域は東・中・西部公平とされているが、美術館建設のような地域合戦になる検討委員会はそれでよいのか、審議中に傍聴していた中部の県議から場外やじが飛び、その方は退場させられるなどの環境で心静かに議論ができたのだろうか、このような決定に無作為抽出の県民の投票が本当にふさわしいのか、幾ら基本構想の内容をアンケートに入れたとしても、中身よりは場所のみに関心が移るよ、少なくとも各候補地のプレゼンを県民が聞き、その上で判断をするというプロセスがあってもよかったのではないか、もっと丁寧にすべきだった、100メートルレースや選挙でもないのだから、僅差での勝ち負けで決めるのは、鳥取県の将来に本当によかったのか、全県が応援団となれるのかといった疑問が鳥取県の東部の県民の心には残ったままです。
また、次のようなことも聞きました。2015年知事選で、美術館建設が公約に入り、当然、市は桂見に建設するものと思っていた。仮にゼロベースで候補地を見直すのあれば、まずは、そこを検討した上でなければならなかったというような意見もありました。そして、この3月、これらの多くの疑問は県議会で質問され、答弁もされています。そして、この3月には、知事は鳥取市長に面会し、美術館建設については謝罪されています。県政を担うトップとして、責任を持っての行動だったと思います。それでもなお、美術館の機能がなくなる東部の県民は今でも納得のいかない思いが心の中でくすぶっています。
県民立の美術館という言葉も使ってありましたが、西部の県民にとっても、東部の県民にとっても、もちろん中部の県民にとっても、新たに建設される美術館が本当の意味での県民立美術館になるためには、また、そうなるにはまだまだと感じます。この状況を乗り越え、新たな美術館が真に県民立美術館になるためには何が必要と思われるか、知事にお伺いいたします。
また、美術館機能がなくなる東部地域の美術振興について、どんな施策を考えておられるか、教育長に伺います。
これで壇上の質問を終わります。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)尾崎議員の一般質問にお答えを申し上げます。
尾崎議員におかれましては、また8年ぶりですか、こちらのほうで議席を得られたわけでございまして、また、過去の経験、そして、今例えば英語を活用したボランティア、通訳、また教え子もいらっしゃるような教室等々のさまざまな御見識をまた県政に生かしていただければというふうに思います。
さて、お話のほうでは、まず、女性の政治参画、それから若者の政治への興味、関心ということにつきましてお尋ねをいただきました。
教育長のほうにもいろいろとお尋ねもあるのだろうと思いますが、女性につきましては、国のほうでこの政治参加についての均等を図ろうという法律ができました。これ自体は実は世界の潮流だと思っています。世界的には、かなり古い段階で、例えばドイツで比例代表の名簿をつくるときに、必ず何人かに1人、2人と、こういうふうに女性を入れなければいけないということなど、制度が始まりまして、隣の韓国でも法律として、そういう制度ができてきています。いわゆるクォーター制と言われるものでございますが、ある程度割り当てをして男女共同の参画を推進しようということは、世界的な潮流としてあったところでございます。我が国でもそれがいよいよ取り入れられたということであり、そういう候補者について、政党が男女比に配慮をしなければならないと、こういうようになったところでございます。
ただ、まだ努力義務でございますので、これが実際に機能するのかどうかというのは、実績を見ていかなければいけませんが、残念ながら、今回の参議院選挙の候補者の数を見ても、これは与野党問わず、なかなか実現しているとは言い切れないところがあるのではないかなというふうにも思われます。ただ、いずれにしましても、これは難しい議論でございまして、政治的自由ということについて、それは縛られないところがございますし、最後は投票で有権者が決めるという、そういうシステムでもございますので、そこのところについて、法制上はこれがぎりぎりだったというのが多分国会のほうのお考えなのかなというふうにも思います。
ですから、大切なのは、実践のほうだと思うのですね。社会がこういうような国会のメッセージを受けて変わっていけるかどうかと、そちらのほうなのだろうというふうに思います。我が県、鳥取県は実はそうした男女共同参画、政治の世界への参政権、婦人参政権実現などにかなり熱を持って運動した人たちがゆかりで多くいらっしゃるわけであります。碧川かたもそのうちの一人でございますが、三木露風の母親として知られる人でもございます。その碧川かたも離縁をされた後、いろいろと看護師での活躍だとかございますけれども、婦人参政権運動に大正時代に参画をしているわけでありまして、その婦人参政権ができて、国会が一新をされるというときに、国会のほうに行って涙したというようなお話も伝えられているところでございます。また、田中たつさんにおかれては、助産師としての経験を国会へ送るんだというふうにもくろまれまして、最初の衆議院選挙で当選をかち取り、本県における女性国会議員の第1号ということになったところでございました。また、この気高の連合婦人会長をされていた田中さんは、ここ県議会のほうに議席を得られまして、この一つの礎として、本県における連合婦人会活動や女性の社会参画のリーダーを務めてこられたわけでもございました。
こんなように、本県でも枚挙にいとまがないわけでございまして、政治への参画について、女性の姿、これを求めようというエネルギーがあり、また、その志も燃えていた地域だと思います。また、それを受け入れる土壌がこの鳥取県には確かにあるのだろうというふうに思います。これからそうした意味でさまざまな方々の機運を盛り上げていくことが一つの務めになってくるのかなということでございます。
最近どういうことがあったかということで、例えば選管のほうでもタイアップをしたという行事にはなりますけれども、連合婦人会のほうが中心になられまして、6月に女性の明るい選挙の集会というのを開かれています。結構伝統的に連合婦人会さんはこういう活動をされているところだろうと思います。そうしたさまざまな活動を私どもも啓発の一環だとか、あるいはよりん彩という施設をつくりました。それも人材のことや、あるいはさまざまな団体のネットワークも含めて、いい形で動いてきていると思います。そうしたよりん彩を通じた支援活動なども県としても行ってきているところでございまして、ぜひ今後もそうした男女共同参画の推進を図っていければというふうに思います。
尾崎議員がいなくなった後、大分変わってきたことの一つとしては、女性管理職の数がようやくふえてきたということです。当時も申し上げていましたけれども、まず、課長さんをつくるためには、課長補佐をつくらなければいけませんし、そのためには係長をつくらなければいけません。そういうのを順番にやって押し上げていかなければならないと。それで今では、こうしてひな壇にも女性の姿がございますけれども、部長さんの数も、それから、課長以上の管理職の数も、今では鳥取県庁は全国ナンバーワンになりました。県庁の職員というのも、そういう意味では、地域の意思決定をすることにかかわる重要なポストだと思います。そうした意味で、我々県庁でもできる事柄として、そうしたことにも邁進をしてきたことを御報告申し上げたいと思います。
また、あわせて、若者についてでありますが、先般の統一地方選挙の結果を見ても、御指摘もございましたが、10代の18歳、19歳のところの投票率は、全国を下回るものになっていました。20代、それから30代のほうにいきますと、ほかの年代よりも、むしろ全国を引き離して、優位に鳥取県は高いということになっています。ですから、若者一般が全部関心がないかというと、そういう意味で、18歳、19歳のところ、まだ選挙権ができたての人たちに対する啓発というのが一つのかなめになるのかなと、こういうように思います。
そういう意味で、公民権教育等、そうした機会、教育の現場でもそうですし、私どもでも、例えば大学のほうに出かけていく出前のそうした講座であるだとか、こうしたことを一生懸命これから地道にやっていく必要があるのかなというふうに思っているところでございます。やはり若い方々にとって大切なのは、結果が出るということ、自分たちが動いてこういうふうに変わったという、そういう手応えではないかと思います。
このたび、香港で大きな活動がございました。昨日は、行政長官が謝罪をするということになりました。まだ運動のほうは満足していないわけでありますが、その主たる担い手は、若い方々でございます。ああやって香港という国というか、地域といいますか、香港では、自分たちでもこれまでさまざまな運動をみずから展開をして、それで、政治の動きというのをつくってきた、そういう結果を出してきているわけですよね。そういう機会があるようで、なかなか日本ではつくりにくいのかもしれません。
そういう意味で、鳥取県では、若い方々の参画推進という意味で、地方創生においての若者の会議でございますとか、それから、平成25年に成立をいたしました鳥取県民参画基本条例におきまして、パートナー県政会議というのを設定をさせていただきました。ここには、意識的に有権者でない高校生や大学生にも入っていただいて、全く同じ資格で意見を言っていただき、それを私どもの県政としても取り入れるということにいたしております。また、若者広聴レンジャーというのも最近始めたわけでございます。この若者広聴レンジャーでは、例えば若いお母さんたちがおひさま2525というグループで提案をされましたけれども、そうしたことに基づいて、いわばお互いにそうした子育て世代のネットワークづくり、こういうものをやったり、居場所ということを考えようと。こういうのを今、町とか、そうしたところとも連携しながら、強化をしようという政策を今展開をし始めているところでございます。また、米子高専の学生さんたちが中心になりまして、最先端技術を生かした、そういう農業の高度化を図れないかというような提案もございました。そういう具体的な提案に基づきまして、今スマート農業の推進のほうも反映をさせていただいているところであります。やはりこういうような形で、いろいろと我々も若い方々が声を上げて聞きっ放しということではなくて、それをしっかりと受けとめて、政策というふうに着実に結びつけていく。それが今後、若い世代の政治参画を育てていく、そういう力になるのではないかなというふうに考えております。
最後に、県立美術館についてお話がございました。
これにつきましては、議員も多分いろいろとお聞きになったと思いますが、この議場が大変に白熱するような議論もございまして、私ども執行部、主は教育委員会のほうにはなりますけれども、私もその中の一つの役割として発言をさせていただいたり、最終的には取りまとめにタッチをさせていただきました。そのときに強調させていただきましたのは、さまざまな議論があることは私はやむを得ないというか、当たり前だと思います。これは西尾県政時代からずっと引きずってきたものがありますし、さらに言えば石破知事の時代からもそういう美術館構想というものがございました。それで、その場所をどうするかということも大きなイシューとして言われてきたわけであります。
私が申し上げましたのは、正直こういう小さな鳥取県でありますので、そこでどこの住所になるかということにだけで勝負すべきではないのではないだろうかということです。そういう意味で、美術関係のネットワークというのをやはりきちんとすべきだろうと。これは議員の皆様からも御提案がございまして、その中には亡くなられた木村議員などもいらっしゃいましたけれども、そういう方々の切実な解決策の道筋としての御提案がございまして、このことをあえてちょっと教育委員会にもお願いをして、今回条例の中にもそのネットワークのことを条文として盛り込んでいただいておるところでございます。こういうような形で、どこかに、確かに中部にできるということになっても、県全体にその効果が及ぶようにしなければならないということであります。
また、当時申し上げまして、いろいろとそれがかえって波紋を呼んだのかもしれませんが、これは足し算であります。つまり、東部の博物館を壊すということでやっているわけではなくて、中部に新しい美術館をつくるということを考えようということであります。したがいまして、壊さない東部の博物館、これも美術館の機能の一部を継承していくことは当然できるわけでありまして、足し算と考えていただければいいのではないかということであります。そういう発想の転換をちょっと教育委員会と十分相談もなく、この議場で申し上げまして、若干波紋を呼んだのかもしれませんが、だけれども、本質はそういうことだと思うのです。ですから、今教育委員会のほうでも、東部の美術家協会の皆さんなどにも当たったり、それから、さまざま例えば市の美術展の関係者、そういう方々にも話もさせていただいて、皆さんのほうからのお話があるのは、やはり博物館での展覧会機能というのを維持してもらいたいと。それはやはりお約束しなければならないことだと思います。
そんなような形で、全県的に波及効果が渡るような形、それから、県民の皆様がつくってよかったなと、後々評価していただけるような姿、それをつくっていかなければならないと思います。そんな意味で、まだ実は緒についたところでありまして、今回条例が出ているぐらいでございます。これからどういうようにPFI等でやっていくかということが具体化、徐々にしていって、それで、建設が始まり、それで、いずれオープンに向けて最終準備をしていくということでありますので、私たちのこの4年の任期では実はおさまり切れない、そういう期間になります。ですから、我々はこの4年間で責任を持って、議員がおっしゃるような県民立とみんなに言っていただけるような、そういう県トータルでの美術館のあり方というのを一歩一歩築いていければと考えております。
◯議長(藤縄喜和君)山本教育長
◯教育委員会教育長(山本仁志君)尾崎議員の一般質問にお答えを申し上げます。
初めに、学校現場での生徒たちが政治に関心を持つような取り組みにつきましてお尋ねがございました。
学校現場では主に主権者教育というくくりが中心になろうと思いますが、そうした中で、生徒が政治に関心を持つような取り組みというものをある程度計画的に取り組んでおるところでございますが、もとより、政治に関する制度、その意義、あるいは公職選挙法でありますとか、選挙の仕組みといった、基礎的な知識を習得させるということに加えて、例えばグループ討議だとか、ディベートだとか、ある意味民主主義の基本である話し合いや討論、そうしたことの進め方だとか、ルールだとか、そうしたことを学んだり、あるいは模擬投票を行ったり、そしてまた、最近では生徒が地域とつながって、地域の課題を主体的に考え、行動していくような力をつけていく、そうした実践的な体験活動を通じて学んでいるところでございます。
こうした中で、例えば境港総合技術高校では市議会を傍聴するという取り組みを行っておりますが、もとより、当然に傍聴するだけではなくて、傍聴して、何に気がついたのか、わかったこと、例えば市議会はどうあるべきだろうか、市議会が仮になければ、この世の中、社会がどうなるのだろうかといったことでありますとか、そうしたテーマを設定して意見交換を行いながら、議員の役割であるとか、議会の役割、あるいは市民の役割について考えさせるような授業を行ったり、あるいは、また、鳥取中央育英高校では、先ほど申し上げました実際に地域に生徒が出かけていって、地域の方々から直接話を聞く、そこの中で抱えておられるような課題を拾い、それに対して何ができるだろうかということを考え、そうしたことをグループの中で討議をしたりということを重ねながら、学習を行っております。そうしたことを踏まえて、北栄町の高校生議会という場を町のほうにつくっていただきまして、そこで自分が課題として考えたこと、あるいは方策などを実際に議員となって、実際の議員さんにいろいろそこでは指導なども仰ぐわけでございますが、執行部に対して、質問、あるいは提案をするといったようなことを行いながら、議員の仕事、あるいは政治参加の重要性について自覚を深めるといったような取り組みを行っておるわけでございます。こうした体験的な取り組みというのが非常に重要ではないかなというふうに思っておりまして、こうしたことを実践事例集という形で、ほかの学校にも紹介するという形で広げていくような取り組みを県教委としても行っておるところでございます。
このほか、県の選挙管理委員会等と連携をした取り組みでありますとか、この議会でもいろいろ御尽力を賜り、高校生議会などの取り組みも行っていただいておりますし、昨年度は、出前総務教育常任委員会というのを青谷高校で開催をしていただいたわけですが、そこにも青谷高校の高校生の代表が加わるといった形で、新たな取り組みも行っていただいているわけでございますが、こうした取り組みなどを通して、政治や選挙の仕組みなど、単に知識だけではなくて、体験的にいろいろ行う中で、みずから考えて、それを吸収していく、そんな形でこの政治への関心を深めるような取り組みを今後も引き続き行ってまいりたいと考えております。
次に、美術館につきまして、県民立美術館になるために、具体的にどんな取り組みがあるのかといったことにつきましてお尋ねがございました。
さき方、るるいろいろお話がありまして、特に鳥取市の方々に対して引き続き丁寧にいろんな説明をしていく必要があるなというふうには思っております。自治連合会の方々に説明を行いましたし、芸術団体の方々にも御説明を行ってまいります。これは当然経緯等の説明も行っておりますが、一方で、新しい美術館がどういう美術館になるのかといった基本計画の説明でありますとか、そのために県民立を目指しているので、協力をいただきたいというような話も含めて、説明を行ってきておるところでございまして、ぜひ、その中で、例えば東部の美術家協会の方々からは、全面的に応援団になるというような決議もいただいて、そこはある程度気持ちを切りかえていただいて、新しくできる美術館に大きな期待を抱いていただいているのかなとも感じるところですが、そうした丁寧な説明をこれからも行ってまいりたいと思っておりますし、また、出前説明会ということで、引き続き御要望があれば出かけていって説明をさせていただくというようなことも行ってまいりたいというふうに思っております。
また、そうしたこととは別に、新しい美術館に対していろいろかかわりを持っていただこうということで、アートの種まきプロジェクトというようなこともこの新年度の予算の中で取り組みを始めております。これは、美術館づくりに県民の方々が参画していただくようなワークショップを開催をして、そうしたものをフリーペーパーで紹介をすることを通じて、県民の方々に関心を持っていただくような取り組みでありますとか、あるいは、芸術文化関係者とディスカッションを行うようなミュージアムサロン、それをある程度オープンにして、聞いていただくような取り組み、そしてまた、今、石谷家住宅でも行っておりますが、県立美術館が所蔵している美術のコレクションを博物館、美術館以外の場所で宅配便という格好で展示をしていただくような、そうしたコレクション宅配便などの取り組みを行っておるわけでございます。また、これも新年度の予算でお願いをいたしましたところでございますが、この県民立の美術館を支える仲間づくりでありますとか、活動などを支援していこうということで、そうした地域ネットワークの形成の取り組みを行っていただくような団体の方に助成をして、そうした活動を広げていただくような、新たな取り組みも行っておりますし、また、PFIの事業者の選定の過程の中で、これはほかではやっていなくて、なかなか難しい部分もあるのですけれども、公開プレゼンテーションのような形で、県民の方々にも事業者決定の過程に参画をしていただくようなことができないのかといったようなことも検討をしておるところでございます。こうしたことを進めながら、県民参画の事業展開をしっかりと進めてまいりたいというふうに思っております。
こうした中、昨年度、中部のほうで県立美術館と共に歩む中部地区の集い協議会というものが立ち上がり、その中でも開館前の段階から県民による美術館づくりへの参画をいざなうような、いろんなフォーラムでありますとか、イベント、例えば子供たちも参画してモザイクの絵を、大きな絵をつくっていったりというようなこともやりながら、取り組みを進めておるところでございますし、さき方、知事のほうから御答弁ありました県全体のネットワークづくりの中で、どこに住んでおられても新しい美術館の機能が享受できる、サービスが享受できる、そうした環境づくりにつきましても引き続き目指してまいりたいというふうに考えております。こうしたことを通じまして、県民立の美術館づくりに尽力してまいりたいと考えております。
また、あわせて、東部の美術振興につきましてもお尋ねがございました。
これはさき方も知事のほうから御答弁ありましたが、県立美術館ができましても、県立博物館は残るわけでございますが、その県立博物館をこの東部の美術振興にどう生かしていただけるのかといったことにつきまして、博物館のほうの改修の基本構想というものの中間まとめを先般取りまとめを行い、県議会にも御報告をさせていただいたところでございますが、企画展示室をある程度、今美術の展覧会を行っているようなものができる規模で残していこうと、そうしたことで、例えば鳥取市民の公募展であります鳥取市民の美術展などが引き続き開催していただけるような、そんな環境をつくっていこうということでありますとか、あるいは、県立美術館ができましても、その県立美術館が主催する美術展を博物館でも実際に行うといった芸術系の企画展の開催などもその中に含めておりますし、また、多目的スペースなどを新たに設けて、美術系のワークショップ、あるいは学芸員の講座などが可能となるような、そんな機能も持たせていこう、そうしたこともこの基本構想の中に盛り込んでおるところでございます。
あわせて、移動美術館でありますとか、学芸員による地域への支援、そうしたことについては、東部地区を含む県内全域を視野に入れて活動を展開するといったようなこと、これは新しい美術館のほうの機能としてそんなことも考えておるわけでございまして、こうしたことをトータルで、この東部の美術振興についても引き続き取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
◯議長(藤縄喜和君)16番尾崎議員
◯16番(尾崎薫君)それぞれに答弁いただきました。
まず、美術館のほうからお聞きしたいと思いますが、知事が今、東部のほうも足し算なのだということで、ちょっと物議を醸したけれども、そういう考え方でいる。それから、教育長のほうも、東部の振興においては、市民展、市展、県展などもできるような、それから、多目的なこと、学芸員がちゃんと活躍できるようなというようなことも話がありました。そういった方向で進めていただきたいと思いますけれども、やはり知事が発信してこそ、東部の県民にも県の思いが伝わるのかなという思いをずっと持っていらっしゃる方は多いと思います。実際に教育委員会が働かれるわけですけれども、今後、これから東部のことも進めていく中においては、知事のほうも積極的にかかわっていただけたらなと思うのでございます。
例えば昨年設立されています鳥取県・鳥取市政策連携懇談会というものがありますけれども、その中に東部の美術環境の醸成などについてのことも議題に加えてはというふうに考えますけれども、知事のお考えをお聞きいたします。
それから、教育長については、確かにいろいろな取り組みがあって、希望が持ててくるのかなという思いもします。しかし、一般の中には、市民のギャラリーとしての場所がありさえすればいいのだという考えの方もおられますが、私はそうではないと思います。やはり芸術文化を振興していくとなると、しっかりとした先導役が必要でして、やはり博物館をそのまま活用していこうとなれば、それなりのキュレーターというものが必要なのではないかなと思ったりもします。これをまた県が続けていくということも考えてもいいのですが、今後は、鳥取市との協力として、県と市が共同でやっていくというわらべ館方式というのはどうかなと思ったりもするのですが、いかがでしょうか。例えば県博では収蔵品を持っていくということはないとは思いますが、方向性を決めていったり、いろいろアドバイスしたりしていくのに、やはりキュレーターというのは非常に重要な人材であると思います。そういったお考えはないか、教育長にお尋ねしたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)尾崎県議から重ねてお尋ねがございました。
これからもこの東部の皆さんも含めて、この美術館のことについては語り合っていく必要はあると思いますし、鳥取市とはもちろん意思疎通も図っていく必要がございます。現に市長さんともフランクなお話し合いもさせていただきましたし、さまざまなチャネルで実はこのことについてはお話をしております。主としては教育委員会が今所掌しているわけで、教育委員会ということになるかもしれませんけれども、それについて、我々のほうでも執行部側でもコミュニケーションをとっております。県と市との間の地域活性化協議会の議題は、実は双方の提案で決めているわけでありまして、県側が何かこれはやるなとかは全然言っていないです。むしろやってもいいのですけれども、ただ、なかなかやはり県、市の優先議題といいますと、やはり駅前のことであるとか、それから観光振興だとか、また、保健所のことなど、焦眉の課題のほうを優先したいと、こういうこともございまして、議題設定はそういうふうになっておりますが、従来も、例えば副知事と副市長でも折に触れてこの問題も話をしているように、今後ともしっかりとコミュニケーションはとってまいりたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)山本教育長
◯教育委員会教育長(山本仁志君)尾崎議員から重ねて、キュレーター、学芸員につきましてお尋ねがございました。
もとより、先ほど知事から答弁がありましたが、鳥取市さんとこれからどんな話し合いができるのかということも一つはあろうかというふうに思いますが、もう一つは、この美術館の議論の中で、県議会からも附帯意見という形で博物館に学芸員をそのまま配置することという項目が一項目入っておりまして、そうしたことについても、どのようにそれを実現していけるのか、我々のほうでもしっかり受けとめて議論していく必要があるというふうに思っております。そうしたことも含めて、これはまたトータルで、先ほどの東部の美術振興をどうするのかといったような議論も含めて、これからいろいろ検討をしていければというふうに思っております。
◯議長(藤縄喜和君)16番尾崎議員
◯16番(尾崎薫君)答弁いただきました。今後も知事も真摯に向き合っていかれるような姿勢だと思いますので、ぜひやっていただきたいと思います。
また、教育長におかれましても、言ってくるのを待つのではなく、やはりともに考えましょうという姿勢が大変大事だと思います。これは知事も一緒だと思います。ともに考えましょうと。言ってくればするよではなくて、ともに考えていく。その姿勢がぜひぜひ必要だということを強く言いたいと思います。後で御答弁いただけたらと思います。
さて、次に、女性、若者政治参画ですけれども、知事がおっしゃったとおり、確かに香港のように成功体験というのが、本当に自分が一歩出ようかと思う気持ちになるのだと思いますね。私も若いお母さん方、若者、いろんな方々にアンケートをとってみました。そうしますと、やはり議員と話がしたいと。それから、自分の意見は政治に反映されないと諦めていることが政治離れの原因ではないかと考えていると。または、議会の件については、夜の仕事が終わった時間帯で、議会があれば傍聴したいというのもありました。それから、学校での政治にかかわる教育をもっと重点的にしてほしいというような意見もありました。やはり議会も頑張っていかなくてはいけないなということも痛感しております。
それで、一つの方策として、遠い話でありますが、もう即効薬ではないのですけれども、実際に非常に効果のあった例として、女性や若者の議員をふやす提案を2つしたいと思います。一つは、政策決定の研修会というものを実際にしてみてはどうかと思うのです。福祉、環境、経済、それから教育のさまざまな政策課題がありますけれども、これを課題にしながら、選挙管理委員会の話や実際の議員の話を聞くなど、そんな研修会をしてみてはどうかなと思います。今いろんなところで政治塾みたいなものがありますけれども、それは政党、議員とかがやっているものでありまして、一般に開かれたもの、一般対象にというものがぜひ必要ではないかなというふうに思います。これも県が直というわけにはいかないかもしれません。民間団体がする、そういったものに企画の手伝いや補助金などを支援をしてみてはというふうに思います。
もう1点、海外の先進地を見てくるということは、もうそれこそ本当に即効薬ではないのですが、政治に参画するという非常に大きなインセンティブ、動機づけになっていると思います。さまざまな課題をみずから考えて、日本の制度も見、日本の課題も見、そして、その先進地のところを見学してくる、そういった取り組みというのはこれまでもありました。非常に効果が高かったと思います。実際に私が所属しておりますレディースあすかという団体では、県会議員がこれまでに3名、市町村の議会議員が6~7名でしょうか、それから、本部長ですとか、それから、総合事務所の所長さんですとか、副市長、それから、監査とか、さまざまな方が出ております。もちろん部長さんもたくさん、県の部長さんもおられたりします。そんな中で、この海外研修をしてきた。それはただ単に行ってきたではなくて、行く前に勉強し、課題を見、自分たちで質問をし、質問をつくり、そして、私たちの代のときには、その質問を事前にスウェーデン、フィンランドに送りまして行きました。それに対しての回答、その場で得て、現地を視察し、そして、帰ってからは全部報告書をつくる。3カ所で報告会をし、そして、実ったものを県に報告するというようなことを繰り返してまいりました。こんな活動があったからこそ、今、今日、いろんな方々が活躍できているのではないかなというふうに思ったりいたします。
そういったことに、やはり民間がやることになるでしょうけれども、いろんな支援がしていただけたら。できるとは思いますが、いかがでしょうか、知事の考え、それをお伺いいたします。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)女性や若者の活動支援ということでお尋ねがございました。
議員のほうからも今お話がございましたが、本県の場合、そういう女性の社会参画につきましても、伝統的な一つの活動もございまして、今、レディースあすか、お話がございましたが、浜田妙子議員とか、そうした方々、私ども県庁先輩方もたくさんいらっしゃいますけれども、昭和62年から毎年のように海外のほうへ研修に出られて、それで、報告をするということを続けてこられていました。そうした活動は今でも可能でございまして、現に昨年も琴浦町の男女共同参画の皆さんが台湾に行かれまして、それで、研修をされておられましたし、今日は定期便などもございますから、以前のように経費的な意味でももう少しリーズナブルに組めるかもしれませんし、そんなことは今後も可能ではないかなと思います。
また、さまざまな地域の課題に向き合うような、そういうイベントだとか、フォーラムだとかも可能でありましょうし、議員がおっしゃるように、住民の皆様やいろんな団体がされるのを支援していく、これが効率的ではないかというふうに思います。現実にも、私ども、海外向けでは夢みなと基金の事業がございまして、そういうところで対応することもありますし、例えば福祉だとか、必要に応じて、海外視察の事業を組むというふうなこともないわけではございません。ただ、その辺は、また今後も関係者の方々にお伺いをして、ある程度柔軟性を持って必要な対策がとれるようにできればと思います。
また、例えば倉吉の商工会議所の青年部か、青年会議所かだったと思いますが、高校生等で企画をしてもらってウオークラリーをやると。それをみずからやるのを、これをまた若い方々がサポートをすると。そうして、体験型のそういう地域おこしのイベントをされたりしていました。こういうのを実は県の基金事業、これは令和の基金事業ということになるのですけれども、そうしたことで支援をしたという最近のこともございます。
また、先ほど申し上げましたよりん彩では、そういう男女共同参画にかかわるさまざまなフォーラムとかイベントの支援のスキームを持っていまして、こういうことも活用していただけようかと思いますし、それから、よりん彩で人材バンクの登録をしていまして、お二方もそうではないかと思いますが、100名ほど、今も登録されている方がいらっしゃるわけでございます。そういうような人材を活用しながら、また研修会だとか、ああいう話し合いの場ということも可能かなというふうに思います。
余り行政が介入し過ぎると、一定の特定の方向にということで疑いを持たれてもいけませんので、どちらかというとそうした女性団体だとか、若者の組織などが中心になってやるのを我々が支えていくと、その辺を活発化させていくことかなと思います。令和の新しい時代を開くというのは、そういういろいろな方々の力がいわば一つの融合したベクトルの掛け算になって、それで、社会を進めていくという姿ではないかと思いますし、それは、多分鳥取県は得意な分野ではないかと思います。ぜひそうした方向で事業の展開を図ってまいりたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)山本教育長
◯教育委員会教育長(山本仁志君)尾崎議員から重ねて、東部地区の美術振興につきまして、まず、受けの、待ちの姿勢ではなく、ともに考えていきましょうという姿勢でということでございます。
これまでのいろんな経緯もありまして、なかなか鳥取市さんとはお話ができないような状況もあったわけですが、ここに来て、少し変わってきている部分もあります。東部地区の美術振興ということでいえば、教育委員会だけではなくて、これは知事部局の文化振興全体のことにも絡んでくるわけですが、そこはしっかり連携しながら、まずは私どもとして、そういう気持ちがありますよというようなところからスタートをさせていただければというふうに思っております。
◯議長(藤縄喜和君)16番尾崎議員
◯16番(尾崎薫君)御答弁いただきました。教育長、ぜひその気持ちを忘れずにやっていただきたいと思います。知事も同じようにお願いしたいと思います。
一旦こじれてしまったというのは、なかなか解けなくて、でも、解け出すと早く進むのかなと思います。そのときにやはり誠意を持ってということ、相手のことも考えつつ、お互いがということだと思います。ぜひお願いしたいと思います。
女性参画、若者の政治参画についてですけれども、おっしゃるようにいろんなメニューがあります。琴浦の方もことしですか、3月に行かれた報告も受けました。それから、すばらしいなと思いましたのが、若者の中で学校でもやっていらっしゃいますし、バーモントやジャマイカにも交流推進課を派遣しておられて、浜崎議員が団長として行かれて、非常にこれもその効果はすばらしいと実感されたのではないかなと思いますけれども、また、オーストラリアにも教育委員会としては派遣されている。私もジャマイカの報告会に出たのですけれども、各生徒さんは本当にすばらしいプレゼンをされました。言葉がわからないのにどうするのだというところから始まり、それでもしっかりと交流し、心を伝え合い、そして、ちゃんと得るものを得て帰ってきて、それを報告する。これはすばらしい生徒さんになるな、すばらしい市民になるなというふうに、県民になるなというふうに確信いたしておりました。このように若い人たちというのは、何かきっかけがあったり、成功体験があれば、それがいつの日か必ず花開くと私は思っています。
政策決定の研修会も同様にぜひ進めていきたいなと思いますけれども、いっていただきたいと思いますが、海外の研修は、もう昔のことだよというふうによく言われることがあります。私はそうではないと思います。ある大学生がこんなことを言っていました。鳥取にいると、県内にいると、県内とか国内とか、それから、昔の事例とか、そんなことばかりが参考にされてしまうと。やはりそれではガラパゴス化してしまうというふうに言っていました。彼自身は実際にネットで、スカイプでルワンダの調査をずっと続けておりましたが、ルワンダに飛び立っていきました。そして、現地の調査をしました。そして、去年のタイムズフェスティバルですばらしい報告をしています。そして、その後は、もっともっとそういう人たちの関心をもうちょっと広めようとして、みずから研修会を開いたり、フォーラムをしようとしています。そんなふうに、どんどんと広がりを持っていくのだなということを実感しています。
女性たちや若い人たちがやるときに、やはりネックとなるのは資金面ではないかと思います。先ほど知事が夢みなと基金があるよというふうにおっしゃってくださいましたが、残念ながら、なかなか底をついてきているというのが現状のようでして、いろんなところの補助制度があれば、いろんな情報提供をしていただいて、若者、女性たちがどんどんと活躍できるように下地づくりをこの研修、そして、海外視察していければなというふうに思っています。
こんなふうなことをちょっと言っていらっしゃる方もありました。スウェーデンの福祉分野において見学したい、幼児教育にも興味がある、これは若いお母さんです。やはり若いお母さん、子供、日本の幼児から小学校低学年の教育の視察をしたい。子連れで視察したい。子供がいるなら、子供とともに行って、現地の子供たちと遊ばせて、その遊びの中から学びたい。それから、資金援助してもらうなら行こうと思う。政治教育の進んでいる国の現場を見てみたいなどなど。それから、イタリアの罪を犯した人への自立支援の方法を学ぶことで、排除しない、福祉の向上、多文化共生の考え方を身につけたい。できれば1週間ぐらい行きたい。ユーゲントファームやオルタナティブ教育の進んでいる国を見てみたい。いろんな方々が非常に積極的な考え方を表明していらして、ぜひともいいチャンスを与えたいなと思います。
まずは、情報提供や資金の面ということがネックとなっておりますけれども、知事、最後に応援の言葉をいただきたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)尾崎県議から重ねてのお話がございました。
確かに視野を開くということは、特に若い世代にとりまして重要ではないかと思います。先ほどジャマイカのお話がございましたけれども、浜崎県議にもお世話になりながら、ジャマイカとの交流を進めてきたということで、御紹介もございました。確かに言葉は、私もちょっとお会いしましたけれども、そんなに英語が飛び切りうまいわけではない子供たちではありますけれども、料理だとか、それからダンスだとか、そうしたことを通じて、本当に心がつながるような交流ができる。ですから、やはり人間と人間とが信じ合える関係を結ぶというのは、こうやってやっていくのだということが体感的に理解できたのではないかなというふうに思います。
同じような形で、バーモントは今、実は鳥取県は姉妹提携ができました。その前後を通じて、この若い方々の交流に力を入れているわけでありますが、向こうで生活をしながら、本当の友人となって、日本とアメリカとがしっかりと結ばれていくかけ橋になってくださっていますし、実はあそこで経験した子供たちが今度はまたそれを生かして大学だとか、新しいチャレンジに向かっていく、そういう発射台のような形にもなってきています。アデレート大学も、これも鳥取西高校出身の女性の教授だったかと思いますが、そういう御縁があったり、また、ニュージーランドのほうにも倉吉農業高校とやはりつながりがあったりして、また、米子東高校も台湾ですか、交流をされているとか、そういうようにやはり学校同士の交流や、あるいは地域間の交流というのが若い世代でもそれぞれで工夫されて、続いてきているところであります。しっかりこうしたところを育てていければなというふうに思います。
考えてみますと、日本の国が発展してきた背景には、明治維新のときにヨーロッパやアメリカを訪れた使節団、岩倉具視だとか、そういうところから始まりました。また、戦後もアメリカから輸入されたものを中心としてということでありますが、かなり活発に若い方々が向こうに行って勉強した時代がございます。今そこに陰りがあるということで、文部科学省も外で学ぶということを推奨し始めている。片方で、中国や韓国では海外留学生がふえている。ですから、日本ももっとそういう何かつくり込んだ留学とか研修ではなくて、みずからやはり旅立っていく、そういう若い人たちをつくることも一つ大切なのかなと思います。
今、議員のほうでお話がありましたように、いろいろとガラパゴス的にならないような学習として、海外の事例というのは生きてくるということはあるだろうと思います。例えば民芸を通して、北欧と交流をして、結構向こうでは展覧会をやらせてくれたりとか、そんなようなことになってきた例もありました。オムソーリという言葉がございます。これは今御紹介あったスウェーデンの言葉なのですが、思いやりとか支え合いとか、そういうような独特の概念でありまして、その上に福祉国家がつくられてきているということでございます。そういうただ日本にいてもわからない、事の本質につながるような、そういうことというのはやはり体験してみる値打ちはあるのだろうと思います。
今、夢みなと基金のお話がございましたが、まだ残高はたくさんございますので、そこのやり方はいろいろだろうというふうにも正直思う一方で、実は日本財団さんと今協定を結ばさせていただいています。日本財団さんは、そういう人材育成、それで帰ってきてちゃんと結果を出してもらうようなことをやってくれるのであれば、そういう海外研修も引き受けますと、こう言ってくださっています。ですから、ただ、なかなか鳥取県は皆さん奥ゆかしくて手を挙げる人が少ないという状況がありますけれども、向こうまだ2年ほどは期間がございますし、そんなような人材育成等の応援してくれる手だてはあろうかというふうに思います。
ぜひさまざまな若い方々の夢をかなえたり、あるいは女性のこれからの活躍を支えたり、そうした意味での海外との交流事業につきましても、しっかりとフォローアップをさせていただきたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)16番尾崎議員
◯16番(尾崎薫君)御答弁いただきました。
夢みなと基金がまだまだあるということで、ちょっとほっとしましたけれども、実は日本財団は一度試してみたのですね。ちょっとだめでしたけれども、なかなかハードルが高かったのですが、そういう情報提供というものは頑張って得たいと思いますし、また支援していただければと思います。
あと、教育長にお伺いいたします。もう一つありました。有権者教育、高校等が主にやっていらっしゃいます。北栄町の高校生議会ですか、非常にすばらしい取り組みだなというふうに思います。また、租税教室というのも非常に有効な手だてだと思います。実は私も青色申告会のメンバーとして、これにかかわらせていただいておりまして、税について基本的な知識を教えます。どんな税があるのか、そして、どんなところに使っていくのか、例えば福祉、それから平和だとか、教育だとか、医療だとか、いろいろ、あなたたちのグループはどう使いたいですかということを各グループで決めていったり、そんな学びをいたします。それから、高校生などになりますと、A村からB村に行くのに橋が要ると。その橋がないとA村は生きていけないのだと。その中に5人住んでいる。お金持ちと社長さんとお年寄りと子供と低所得者でしたでしょうか。1,000万円かかるのをどう配分したらいいかということを生徒さんたちが考えるわけですね。その生徒さんたちは一生懸命考えます。いや、全部お金持ちが払えばいいよと。いや、かわいそうだから全員平等だとか、いろいろ考えるわけです。それは、全部これは消費税の考え方と一緒ですよ、そんなふうに言って、やるわけです。ぜひこういったところも活用していただければと思います。
もう時間になりますので、最後、御答弁いただいて終わりたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
山本教育長
◯教育委員会教育長(山本仁志君)尾崎議員から重ねて租税教室についてお尋ねがございました。
実はこの租税教室、租税教育推進協議会という組織で実施をしていただいておりますが、私はその代表幹事をさせていただいておりまして、このたびは尾崎議員にもいろいろ講師で御尽力賜ったことを感謝を申し上げたいと思いますが、お話のとおり、いろんな進め方、単に話を聞くだけではなくて、今いろんなグループで討議したりというような、そうした新しい事業の工夫などもしていただいているということをお伺いしております。こうしたこと、取り組みを県下の高校等にもしっかりと周知をして、取り組みが広がっていくように取り組んでまいりたいと考えております。
◯議長(藤縄喜和君)暫時休憩いたします。
午後の本会議は、午後1時より再開いたします。
午前11時54分休憩
────────────────
午後1時00分再開
◯副議長(福田俊史君)再開いたします。
引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。
28番広谷直樹議員
◯28番(広谷直樹君)(登壇、拍手)午後のトップバッターを務めます広谷です。3期目になりましたけれども、どうかよろしくお願いしたいと思います。
それでは、通告いたしました2項目についてお伺いいたしたいと思います。
まず、漁業について、特に松葉ガニ漁について伺いたいと思います。
本県の重要な産業であります漁業を取り巻く環境は、漁業資源の減少、そして、漁業者の減少や高齢化の進行、魚価の低迷、燃油高騰などによって漁業経営が一層厳しくなってきております。そのような中にあって、本県漁業の中核をなします沖合底びき網漁業は、昨年9月から始まった漁期が先月5月末で終わり、今休漁期に入っております。沖合底びき網漁業の主要な水揚げ魚種は、鳥取県を代表します冬の味覚であります松葉ガニであり、本県はカニの水揚げ量日本一であるとして、蟹取県を標榜し、いろいろなPRイベントをしているのは御承知のとおりであります。
本県のカニの水揚げ量は、一時300トンまで激減しておりましたが、近年は資源管理の効果や各県に割り当てられております漁獲可能量、TACのこともあり、900トン前後の水揚げ量で安定をしております。しかし、平成30年度の漁期、11月6日から本年3月20日までの松葉ガニの水揚げは、漁期初めは好天が続き、海況も良好で、昨年末時点で今漁期の漁獲可能量、TAC870トンの94%、820トンを水揚げした状況でありました。そこで、年明けからは残された漁獲可能量が少なくなり、追加配分があったものの、松葉ガニ漁の期間がまだ3カ月余り残されておる中で、各漁船の漁獲量の規制が始まったことにより、市場では松葉ガニが品薄になり、価格が高騰するなど、市場が混乱したとのことであります。特に若松葉ガニは、例年の2倍、3倍の高値になったとのことでありました。
松葉ガニは、鳥取県を代表する冬の味覚であり、松葉ガニを目当てに鳥取に来られる観光客もおられるわけでありますが、ことしの松葉ガニ漁の状況について、漁業者や仲買、観光業者などの関係者はどのような受けとめ方をしておったのか、お伺いいたしたいと思います。
例年であれば、9月1日から沖合底びき網漁が解禁され、11月6日からは松葉ガニ漁が始まるわけでありますが、漁業関係者の話によりますと、夏ごろには、今期のカニ漁の方向性が決まり、秋ごろには新たな漁獲可能量、TACが示されるのではとのことでありますが、今後はさらに減らされて、760トンぐらいになるのではないかという話でありました。去る4月には、県沖合底びき網漁業協会の役員会で、安定供給につながる自主規制などのルールづくりを促したとのことでありますし、県は安定供給に向けた自主規制の強化や個別漁獲枠方式、IQ方式の導入などを要望したとのことでありますが、漁業関係者の対応、あるいは反応はどうであったのか、お伺いしたいと思います。
また、松葉ガニの操業の自主規制についてでありますが、ルールづくりをする上において、漁業者だけで決めるのではなく、仲買、宿泊施設、観光業界などの方々とも話し合いをする必要があるのではないかと思いますが、知事の所見を伺いたいと思います。
さらに、カニの資源量についてでありますが、ふるさと納税の返礼品に松葉ガニを扱っている自治体がありますが、ことしは松葉ガニが品薄になり、価格も高く、品物が確保できなくなり、注文を早目に切り上げたということも聞きました。蟹取県を標榜している以上、カニの安定供給に努めなければいけませんが、松葉ガニの水揚げ量の減少は、漁業経営にも、そして観光面においても大きな影響を及ぼすと思われます。ことしの場合、当初はカニの量が少ないとの予測でありましたが、漁期が終わってみれば、結果としては水揚げ量が多かったと聞きました。以前、水産課の話では、2年後には松葉ガニの資源が半減するとのことでありました。これが現実のものになれば、各方面に大きな影響を与えることが予想されますので、早急に対策を講じなければならないと思いますが、この予測についてどの程度の信頼性があるのか、そして、対策についてはどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
次に、和牛振興について何点かお伺いします。既に質問として取り上げておりますので、重複する部分があるかと思いますが、よろしくお願いします。
昨年6月、輸出が認められていない和牛の精液や受精卵を検疫所の検査を受けずに大阪からフェリーで中国へ輸出しようとしたが、中国に入国する際に見つかり、中国国内への流出は辛うじて水際で防げたという事件が発生しました。今回の不正持ち出しは氷山の一角という見方もありますが、現在精液や受精卵の不正輸出を直接禁止する法律がなく、取り締まりの強化を含め、実効性のある対策が急がれるところであります。
本県は、人気の高い白鵬85の3、百合白清2の種雄牛を保有しており、造成された凍結精液は白鵬85の3は数量が少ないこともあり、県外には販売されておりませんが、百合白清2の凍結精液は県外に販売されております。そして、この2頭の産子を求め、鳥取中央家畜市場で開催されます牛の競りには全国から多くの買い付け農家が参加し、高値で取引がされております。
そこで、現在、県内における和牛の精液、あるいは受精卵の流通管理はどのようになっておるのか、お伺いいたします。
精液を譲渡する場合、鳥取県家畜改良協会と鳥取県有種雄牛人工授精用凍結精液県内使用譲渡契約書を締結することになっております。契約書の中には、適正な管理及び報告、そして、違反した場合の契約の解除や違約金の請求などが記載されておりますが、この使用譲渡契約の実効性はどうであったのか、お伺いしたいと思います。
また、受精卵の採卵を繁殖農家で実施した場合、受精卵の所有権は繁殖農家にあるとのことでありますが、使用譲渡契約書には、受精卵については記載されておりませんが、なぜ受精卵の使用譲渡についての記載がないのか、あわせてお伺いいたします。
さらに、受精卵の採卵、移植についてお伺いいたしますが、県は平成25年、牛の受精卵移植機能の向上のため、農家の庭先で和牛の採卵業務をするためのさまざまな機器を搭載したバンタイプの車、ET車を導入し、公益財団法人鳥取県畜産振興協会に委託して取り組んでおります。
鳥取県和牛ビジョンによりますと、受精卵移植産子の頭数を350頭から、令和5年には1,000頭に目標を定めておりますが、現在の畜産振興協会の採卵事業の体制は、ET車1台、採卵技術者1名だけであると聞いております。受精卵移植に取り組む和牛の繁殖農家がふえてきているとお聞きしておりますが、今の設備や技術者の体制で農家の要望に十分応えられる採卵体制なのか、より充実させる必要はないのか、お伺いいたしたいと思います。
次に、ゲノム育種価についてお伺いいたします。
近年、和牛の能力を遺伝子の違いで評価するゲノム育種価を和牛改良に生かす動きが広まっております。従来、種雄牛を選抜するには後代検定試験を行うなど、育種価の数値化がわかるまで長い年月を要しておりましたが、ゲノム育種価では短期間で済むと言われております。本県では、平成27年度からゲノム育種価を活用した次世代の和牛改良推進事業に取り組んでおり、このたび、畜産試験場には都道府県で初めてゲノムの解析機器を導入し、本年8月から調査を始め、枝肉の6形質に加え、オレイン酸やグルタミン酸のゲノムなどを調べるとのことであります。今後の和牛改良を進めていく上においても、ゲノム育種価の数値の重要性が高まり、牛の競りの名簿にもゲノム育種価の数値が記載され、ゲノムの数値によって出品牛のよしあしの判断をするようになるのではと言われております。
このたび、本県は全国で初めて機器が導入されますが、この技術によって白鵬85の3や百合白清2に次ぐ次世代の種雄牛造成につなげることができるのだと思いますが、この機器の今後の活用について、どのような所見をお持ちかお伺いいたします。
以上、壇上での質問とさせていただきます。
◯副議長(福田俊史君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)広谷県議の一般質問にお答え申し上げます。
まず、松葉ガニ漁につきまして何点かお尋ねがございました。
平成30年度の漁期について、漁獲可能量、TACの取り潰しということがございまして、こんなことで漁業者、仲買、観光業者など、関係者はどう考えていたのか、また、この安定供給に向けまして、自主規制の強化などを県として話し合う必要があるのではないだろうか、さらに、これから松葉ガニの資源量が半減するというように言われているけれども、その信頼性や対策はどうなのかと、こういうことでございます。
今お話がありましたように、昨年度は、ある意味、私どもとしてもさまざまな展開があった年でございました。これは、結果としては899トンの漁獲でございまして、過去最高の漁獲金額ということになりまして、関係者は一応一つの締めくくりとしては、大きな成果と思っておられるところはあろうかと思います。23億7,000万円に至るまで、議員がおっしゃるように、かつて300トンぐらいであった、そういう水揚げの増加に向けまして、魚礁に当たるフロンティア漁場とか、いろんな事業をやってきたり、また、漁獲の自主規制等で資源管理を徹底してきたこと、また、片方で、蟹取県という宣伝をさせていただき、カニは鳥取だというイメージを県内外でつくることができたということなどが大きく作用したのではないかなと思います。
そういう意味で、ある意味成果があった年なのかもしれませんけれども、ただ、混乱もあった年でございました。それは、11月の漁期が6日解禁で始まるわけでございますけれども、その11月の間に実に579トンとってしまったということでありまして、これが本県の漁獲割り当て量の3分の2に当たるものでございました。12月が終わってしまうと、もうほとんど取り尽くしてしまうということになりまして、それで1月4日、年が明けてから自主規制の強化ということに入ったわけであります。船当たり1トンに制限をするとか、それから、カニの形状での漁獲を控えるとか、そうしたことや若松葉の割り当てを減らすとか、いろいろと当時、話をまとめたところでございました。
ただ、この間で議員がおっしゃるような、いずれ松葉ガニ漁がここ数年で厳しくなってしまうというような報道がなされた、ちょうどその時期に鳥取県のほうでTACをほぼ取り尽くしてしまうというようなニュースも全国的に流れまして、例えば旅館さんのほうでは、2月、3月、予約がなかなか入らなくなったとか、それから、料理屋さん等々を含めて、どうやって仕入れたらいいのかというようなことでの悩みが出てくるとかということになりました。そこで、私どももそうしたことで、片方で、国のほうに、あるいは関係者のほうに漁獲割り当てなどの対応を求める一方で、県内でもそうした自主規制の強化、さらには、そうした旅館さん等のほうにも観光協会を通じまして毎日毎日の浜の漁獲状況をお知らせをする、それで仲買さんや観光事業者とのいわば仲立ちなどをさせていただく、こういうことなど、緊急避難的対応をせざるを得なくなりました。そして、その状況が価格などにも影響したわけであります。
賀露の仲買さんの中でも、こんなような話もあったわけでありますが、11月にあっという間にとってしまったものですから、値段が下がります。それで、次の船が入ってくるまで売らなければいけないので、下げて売らなければいけないような状態になると。結局安定的に入ってくれば、そこのところの価格帯を維持しながら、ある意味収入も得られるのでしょうけれども、そういう意味で混乱をしたのではないか。また、他県も含めて、本県で急速にとったものですから、相場の攪乱要因になってしまったのではないかというような指摘もあります。さらに、また、年明けには、先ほど申しましたように、カニが今度は手に入らないということになりまして、高騰するということになります。このような乱高下を引き起こすことにもなりまして、これが観光客の獲得も含めて、混乱につながってしまったというような面もあります。でき上がりは23億円を超える過去最高の水揚げ金額ということではありますけれども、その内実としては、いろいろと課題の残った年だったと思います。
そこで、ことし、今年度に入りまして、4月19日にこの松葉ガニ漁の関係の沖合底びき漁業者の集まりがございまして、そこに県の担当者も出席をさせていただき、議員もお話がございましたようなIQと言われます漁獲の船ごとの割り当ての導入であるとか、そのほか、例えば甲羅の幅、これが9.5センチからもっと大きくすべきでないかとか、そういうような漁獲規制、自主規制について幾つか提案をさせていただきました。正直、その場でまとまるような話でもないものですから、その後、継続して御協議を今いただいているところでありますが、大きな流れとしては、一定程度、そうした従来よりも自主規制を強める方向でまとめていただけるのではないかという感触を得ております。
これから6月、7月と因但協議会と呼ばれます但馬と、それからこちら、鳥取側との協議、これで最終的にはこの地域一体となっての漁獲の基本方針というのをつくっていくことになります。これが7月の末ごろには固まってくるのが通年のスケジュールということになりますので、その後、また10月とか、実際のTACが決まるとか、具体的な数字は出てくると思うのですけれども、基本的なとり方の方針だとか、そういうのは今相談をされている真っ最中ということになります。
議員のほうからも御指摘がございましたけれども、観光関係とか、それから宿泊事業者だとか、そうした方々にもこういう状況をお知らせすべきではないかということでございまして、これについては、説明する機会をこの夏以降、持たさせていただく必要があるのではないかなと。これは漁業者の皆様と協力をしながら、去年の反省を含めて、昨年度の反省を含めて対応をとるということを今検討させていただいております。
それで、松葉ガニの漁獲の資源でございますが、これは日本海の海区の研究機関でございます日本海区水産研究所のほうで発表されたデータであります。それは、稚ガニですね、50ミリ以下の稚ガニの生息状況、これの状況からしますと、平成30年から令和3年に向けまして2.2万トンの漁獲が1.2万トンに減るのではないかと、こういう予測でございます。確かなのかというと、それはもう年々やはりいろいろ観測をして、数字がどう変わるかということはこれからあるというふうに思われるところではありますけれども、実は、私どもの水産試験場も調査をしています。そうすると、稚ガニの動向、この稚ガニがやはり減っていると。その稚ガニが大きくならないと漁獲しませんので、その大きくなるまでの間はやはりなかなか厳しいものでございます。今稚ガニが少ないものですから、その次の稚ガニがふえたとしても、当面そこの部分しか漁獲が期待できないということになるわけでありまして、やはり同じような傾向値が得られるのではないかなというのが私どももダブルチェックとして調査をしている状況でございます。
そういうわけで、今後ということでありますが、また、ことしの8月の下旬から、稚ガニの生息状況の調査を県としてもやってみて、今後の漁業者の方針に反映させるように、調査研究を進める必要があるかと思いますし、仮に漁獲が減ったとしても活ガニの状態で出すなど、高価格化を目指す、高付加価値化を目指すと、そういうような開発研究ということも進めていかなければならないのかなと。あとは、先ほど申し上げましたような自主規制などで、将来に向けて漁獲の資源を確保しておくというようなことも重要であろうかと思います。
次に、和牛につきまして何点かお尋ねがございました。
現在の和牛の流通管理の状況、それから、精液についての県内使用譲渡契約書についてはどうか、また、受精卵の使用譲渡について、また、受精卵産子の採卵体制についてお尋ねがございました。
受精卵の関連のことにつきましては、農林水産部長のほうからお答えを申し上げたいと思いますが、これについては、議員も御指摘ありましたけれども、徳島のほうから大阪港を経て中国のほうに大量に流出をするということが今回発覚をしました。非常に残念なことでもありますし、遺伝資源としての大切な和牛というものが失われるのではないか、こういうように関係者が危惧をしているところであります。報道されているところでは、これは氷山の一角ではないかと。さらに多くのものが流出している状況ではないだろうか。こういう傾向に何とか歯どめをかけなければいけないのですが、残念ながら国の法規制などでは限界があるということであります。今回も直接のものではなくて、変な話ですけれども、伝染病などが流出をしないということでの取り締まりをするという、ちょっと苦肉の策で捕まえたというのが実情でありまして、やはり正面からの法規制が必要なのではないかというふうに考えられるところでございます。
こういうような状況の中で、実は本県でも平成26年に県外に流出をしたということがわかりまして、平成27年から関係者の強い御意見と、それから、その御協力によりまして、譲渡契約書を精液についてつけるということで対処をいたしているところであります。この契約書の中で、転売の禁止ということがあったり、また、違反をすれば50万円、ペナルティーを払ってくださいとか、また、それが発覚したときは譲渡を停止しますよと、そういうような取り決めを契約として民と民との関係で結ぶということですね。精液は、実は県の畜産試験場で採取をするわけでありまして、県の独占販売と言っていいようなものでありますが、実態は家畜改良協会に契約をしてもらって、それでお渡しをするという形になります。受けるほうは、授精師さんたちでございます。この家畜授精師の方々と契約を結んで、違反したらペナルティーがありますよと、こういう形でやっています。
効果はございまして、不正な形での流出ということは格段に減りました。それでも実は、このような契約にして以降も2件3名の方について、やはりこういう不適切な流出、これにかかわったということがわかっております。そういう方には、状況によってペナルティーを科すということをしておるわけでございます。おわかりいただけますように、ちょっと限界があるのは、契約でやるということでありますので、抑止力という意味では、50万円を払っても、もっと高く売れればいいということになったらそれで終わりということになるわけでありまして、この辺はやはり限界を感じざるを得ないところがあるわけでございます。
そういうようなことで、今後の対処を考えなければいけないということでありますが、受精卵について、後ほど詳細は申し上げますけれども、受精卵の場合は、県がそうやって独占的に流すものではございませんで、受精卵ができたところで採卵をするということでございますから、そういう意味で、これはなかなか県が預かり切れないところであります。ただ、私たちとしては、その精液と同じようにしてくださいという、そういう指導といいますか、通知をしているというのが今の限界でございます。
それから、ゲノム育種価につきましてお尋ねがございました。
これにつきまして、次世代の種雄牛造成などにつなげられるのではないかと、こういうお話でございます。
このたび、多分この夏、8月ごろだと思いますが、iScanシステムというゲノム育種価の測定セットを導入することになります。これは全国的には家畜改良協会とか、全国的な団体以外で手に入れるというのは、うちが多分実質上初めてというぐらい、思い切ってやってみようということであります。議員がおっしゃったように、種雄牛造成などに大変効果を発揮してくれるのではないかと関係者も期待を集めているところでございます。今まで実は私どもは福島のほうに行って、そこで検査をしてもらうと。その準備などもいろいろとあるわけでございますし、どうしても人の手でやるものですから、その辺は我々自身がやるのと違いまして、どうしても手間だとか、順番だとかもあるのだろうと思います。現状は大体年間800件ぐらい検査ということが現状なのですけれども、これを自前でやるようになると8,000件検査が可能になるということになりますので、格段に能力が上がります。また、検査にかかる期間も、これまで3カ月ほどかかっていたものが一月でできるようになる。スピーディーに農家の御意向に応えたり、さらには家畜改良の性能、能力を上げることができると思います。
この育種価ではいろんなことができまして、ゲノム育種価を使ってBMS、そういう霜降りの状況というものをいい霜降りが出るようにコントロールをすることができるようになりますし、さらには、鳥取県で今売りにしていますオレイン酸、気高号の系統だとこれが多いと言われていまして、ヘルシーな指向、また、おいしさという意味でも追求できるのではないか、このオレイン酸の状況も予測することができる。さらに、グリコーゲン、今鳥取県で新たにこの辺をターゲットにしてみようと考えているわけでありますが、これは赤身の肉のうまさの成分にかかわるわけでございます。このグリコーゲンも含めて、議員がおっしゃったようないい血統をつくっていく。それにこのゲノム育種価を生かすことができるのではないかというふうに期待されます。
これから鹿児島全共も控えるわけでありまして、そういう中でも早速その効用を発揮させていきたいと思います。
◯副議長(福田俊史君)西尾農林水産部長
◯農林水産部長(西尾博之君)受精卵のことにつきまして、補足の答弁をさせていただきます。
受精卵は、獣医師が家畜人工授精所で製造いたしまして、精液と同様に液体窒素充填容器のもとで流通させ、農場で使用されている雌牛に獣医師さん、あるいは家畜人工授精師さんによって移植されるという流通形態をとります。受精卵の採卵は、主に農家の牛舎、庭先で行われるものですので、先ほども知事からもありましたように、県が直接製造するというものではございません。したがいまして、譲渡契約の対象にはこれまで含めていないのが実情でございまして、ただ、その取り扱いは適正にしていただきたいということで、担当課長通知によりまして、基本的に精液と同様の扱いをしていただくようにお願いをしているところでございます。ただ、強制力を持っての流通管理というところでは効力が弱いというふうにも指摘されているところでございまして、それもありまして、鳥取県有種雄牛の精液等の遺伝子資源の適正流通ということで、より実効のある形をとりたいということで、罰則等も踏まえ、条例化も視野に適正流通の検討を進めているところでございます。
また、受精卵の採卵の体制でございますけれども、県では、和牛ビジョンの中で、和牛増頭目標を確実に達成するということから、受精卵を活用した増頭を推進しているところでございます。その一助としまして、平成25年に公益財団法人鳥取県畜産振興協会にET車、広域に受精卵を採卵することが可能となる車を1台導入しまして、農家の庭先で採卵する体制を推進してきたところでございます。その成果もありまして、受精卵から生まれた和牛の頭数は、平成25年の487頭から平成30年は719頭までふえてきているところでございます。ただ、農家採卵は、移動に時間もかかりますし、1日に農家1戸の繁殖雌牛2頭までという対応が限度というところもありまして、複数の採卵希望が重なった場合には、採卵日時をずらすなど対応をとっていますけれども、要望に十分応えられないことがあるというところも事実でございます。
協会のほうでは、要望に応えられ、協会としても計画的に効率よく採卵できる方法ということで、放牧場に採卵牛を預託して、放牧場での採卵を進めているというところでございます。実はまだこの預託による放牧場での採卵は余裕がございますので、県としても協会のほうと相談いたしまして、この採卵方法を推進することで、農家の要望にしっかりと応えてまいりたいと思っております。
◯副議長(福田俊史君)28番広谷議員
◯28番(広谷直樹君)答弁ありがとうございました。
このたび、カニ、牛と、鳥取県のブランド品についてお伺いしたわけでありますけれども、カニの件ですけれども、こんなカニが突然、市場で混乱したというのは僕の記憶では余りなかったので。そして、カニの資源量が半分になるということもあったりする中で、大変危惧したもので今回取り上げさせてもらったわけですけれども、去年、こういう状況であったにしても、先ほど知事の答弁にもあったように、水揚げ額としたら前年より6%ですか、上回った23億7,000万円という額になっておるわけですけれども、この沖合底びき網漁業というのは、カニばかりでなしに、要はハタハタやカレイだったり、エビだったりも一緒にこの漁期の間にとるわけなのです。その中で、カニのウエートがほぼ半分ぐらい占めているという中で、今県内のこの沖合底びき網漁船24隻ありますけれども、その中で、岩美町の船主の船が4分の3、18隻です。
内訳を言いますと、賀露に5隻、境港に3隻、田後港から所属が変わった2隻がありますけれども、岩美町が船主の船が18隻おる中で、この沖合底びき網漁業というのは大体1隻の水揚げが年間1億数千万円から2億円前後というような水揚げ、この大きな額の中での岩美町の地元の地域経済にも大変大きな影響をもたらすということがあるというふうに思います。
その中で、やはりカニの資源の保護、あるいは管理ということについて、これからもうしっかりと自主規制なりをしていかなければいけないと思っておるわけなのですけれども、今回こういうことが起きて、漁業者の方々も、漁業者みずから自主規制をしていくというような流れのようでありますけれども、そういう中で、カニの保護ですね、今フロンティア漁場整備事業というのがずっと行われておるわけなんですけれども、これは、排他的経済水域内でのズワイガニやアカガレイなどを対象とした保護育成場の造成が国の直轄事業ということで、平成19年から行われておるわけですけれども、県もその中の年間4,000万円ぐらい負担をしておるわけですが、この事業効果については、どのように県として判断されておるのか。そして、あと3年余りでこの事業の期間が終わるわけなのですけれども、その後についてはどのような見方をされておるのか、お伺いしたいと思います。
もう1点、カニではないですけれども、水産業全体のことになると思うのですけれども、今現在県は、令和3年度、平成33年度までの指針として、第7次の鳥取県栽培漁業基本計画が策定されておるわけなのですけれども、つくり育てる漁業の振興というのは十分重要性も理解しますけれども、県全体の、水産業全体の基本計画のようなものを策定する必要があるのではないかと思いますけれども、あわせて答弁をお願いしたいと思います。
◯副議長(福田俊史君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)広谷県議から漁業につきまして重ねてのお尋ねがございました。
まず、フロンティア漁場についてでございますけれども、これは国の直轄事業として進めてきました。本県関係は実は2つありまして、一つは、マアジやマイワシ、マサバについて、湧昇流といいますが、ちょうど底のほうに栄養素がありますけれども、そういうものを上昇させまして、それで上のほうにプランクトンなどの発生を誘発して、そこにアジやサバやイワシなど、こういうふうに寄せてくるというタイプのもの、これは令和2年度までを目標に今進めています。あともう一つ、令和3年度までを目標としてフロンティア漁場のもう一つがズワイガニ、それからヒラメのためのものでございます。この後者のほうは、ちょうど隠岐島を取り囲むような形で、それで岩美町の沖合から兵庫のほうに抜けていくような形で区域設定がございまして、そこに魚礁のような形のいわば網が入らないところをつくるわけです。それで、そこで保護されたもの、保護育成されたカニがいずれ漁獲のほうに回ってくるというような考え方でございます。
このおかげで、かつて300トンだったものが899トンまで去年も上がってきているわけでありまして、やはり一定程度の効果は得られたのではないかと関係者は見ています。ただ、なかなかつくり方は若干微妙なところがありまして、平成29年度もちょっと手直しをせざるを得なかったような状況がありますが、この保護育成の中に、そこの密度が高まり過ぎるのではないだろうかと。それでちょっと修正をしたりしまして、結局ここにいると網が入らないですから、これがしみ出てこないといけないですね。そこのところのつくり方の問題がやはりあるのだろうと。その辺を修正しながら今継続してやっているわけであります。令和3年度を目標に今進めていまして、もうすぐ、終了するということになるわけでありますが、効果があったことは皆さん認めておられるのではないかなと思います。
ただ、むやみやたらとこれはいっぱいつくればつくるほど、今度は網が入らないところがふえていきますから、ですから、そこのところはもうそろそろよしあしということもあるかもしれません。したがいまして、関係者とよくこれは話をさせていただき、もちろん国の事業でありますので、国とも相談しないといけませんし、実はこれは兵庫県や島根県との共同のものでございます。ですから、そうした関係地域とも意思統一をしながら、まだちょっと日がありますので、終了後どうするかということは今後相談をしてまいりたいと思います。
漁業の計画についてお尋ねがございました。栽培漁業の計画、例えばヒラメやキジハタ等々、これに基づいてつくってきて、大分、前よりはつくり育てる漁業に変わってきていると思います。ただ、そういうことも包摂をしながらということになりますと、現在は浜の活力再生プランという、お聞き及びと思いますが、そういうものが実は計画として設定をさせていただいていまして、さらに、その浜の活力再生プランの広域プランというのもございます。この浜の活力再生プランは、県下の海岸を4つに区切りまして、その全てについてこの計画がございます。かつて沿岸漁業の振興計画がございました。あれが平成25年かになくなった後、こちらのほうに実は国全体が移行しているというふうに考えていただいたら結構かなと思います。それで、計画づくりだけではなくて、そこで何をやるかということに従って、事業を展開していく計画でなければ意味がありません。
そういう形で、この浜の活力再生プランにして、これに位置づけながら、例えば網代だと宝生丸とか、明信丸とか、最近も代船建造が進みました。こういうものは実はこの計画の中で位置づけられてやってきているということになります。また、観光でも活用している瑞風の地びき網とか、ああいうものも、ああいうような漁業の展開、さらには省エネ船にかえていく、こういうような事業、それぞれこのプランと関係づけながら設定をされるようになりました。ですから、こちらでいろいろとやるべきことを盛り込みながら展開をしていくというのが道筋なのかなと思いますし、栽培漁業のように計画的に種苗造成などをしていくと、そういうことについては個別の計画をつくっていくと、こういうような考え方でいかがかなというふうに考えております。
いずれにいたしましても、本県の場合はこの浜の活力再生プランのときも地元のJF、漁協さんとか、関係者にもいろいろと加わっていただいてプランをつくってまいりました。ぜひ今後もこうしたみんなで参加しながら水産業を守り立てる、そういう仕組みを継続、発展させていきたいと思います。
◯副議長(福田俊史君)28番広谷議員
◯28番(広谷直樹君)どうもありがとうございました。
カニの資源保護といいますか、これからしっかりと取り組んでいかなければいけないと思っておりますけれども、先ほど知事の答弁にありました浜の活力再生プランというのは、僕の記憶では、事業期間がたしか5年間だったと記憶しておるのですけれども、もうそろそろ事業期間が過ぎるのではないかなと思ったりしておるのですけれども、それは引き続いて、延長になっておるのか、ちょっと確認をさせてください。
続いて、和牛のほうなのですけれども、精液だったり受精卵の管理というのは、なかなか難しいというのは重々わかるわけなのですけれども、その中で受精卵採卵体制についてですけれども、壇上からも話しましたように、採卵する技術者さんが、獣医さんですか、今1名だということなのですね。それで、この1名の方がずっと県内の農家採卵をしておるという中で、希望者も結構おる中で、1名で対応できるのかなというふうに思って。例えばその1名の方が何か不慮の事故があってできなくなった場合に、この受精卵採卵ができなくなるのではないかなというふうに思ったりしておるのですけれども、獣医師の確保も困難な時代であるので、なかなか難しいのかもわからないです。そのあたりはどのように考えておられるのか、改めてお伺いしたいと思います。
それで、ゲノムの機器も8月には試験場で設置してということで、建物も今建設しているようであります。私も見てきましたけれども、かなりの高額な機器で、3億数千万円、4億円ぐらいかかったのですかね。大変高額な機器でありますので、しっかりとこのゲノムの機器を活用していただいて、これからの鳥取和牛の造成にやはり活用していただきたいというふうに思っております。そういう中で、人気のある種雄牛ということで、家畜市場の競り市にも、6月の競り市にも県内から300頭以上の和子牛が出品されたということもありますし、やはりそういう増頭対策なり、いろいろ効果は上がってきているというふうに思っておりますので、ぜひ引き続けしていただかないといけないというふうに思っております。和牛王国とっとりを復活するという、それを目指しておるわけなんですけれども、その中で、鳥取の和牛をアピールする場はやはり全共、和牛のオリンピックとも言われる全共の場だというふうに思っております。今度、3年後ですか、鹿児島全共があるわけなのですけれども、前回の宮城全共では、私も見に行かせていただきましたけれども、本当に鳥取県の出品牛は立派な成績をおさめて、全国に鳥取和牛をPRできたわけなんですけれども、引き続いて、ぜひ前回の宮城全共の成績を上回るような成績をおさめていただくためにも、しっかりと取り組んでいただかなければいけないと思っておりますし、3年後ということになれば、鹿児島全共の出品牛の生後年齢を考えますと、ことしの冬には12月、1月には人工授精をしなければいけないような時期が来ると思っております。この鹿児島全共に向けての取り組みの現状、あるいは意気込みを伺いたいと思っております。
◯副議長(福田俊史君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)広谷県議から重ねてのお尋ねがございました。
まず、浜の活力再生プランでありますけれども、議員がおっしゃるように、昨年度で一旦終了して、令和元年度から5年度までの今第2期の計画に入っております。今例えばこれからということになりますと、第1期に引き続いて、網代だと昇運丸とか、それから田後だと第二日光丸だとか、そういうような代船建造も今後進んでいくということになるなど、いろいろと今後も継続して、その浜の活力再生プランと関連づけながら展開を図っていくということになります。
また、採卵のことでありますが、これにつきましては、西尾部長のほうから重ねて御答弁を申し上げたいと思います。
議員がおっしゃるようにゲノム育種価は大変高額の機器でもありますし、これをぜひ活用しながら、種雄牛造成、また、全共対策などに結びつけていかなければならないと思います。鹿児島全共につきましては、おっしゃるように、ことしの末から交配ということになってきて、いよいよ出品牛に結びつく動きが出てくることになります。今いろいろと作戦会議を重ねて、一応の対応方針があらあら今出てきております。例えば第6区のところ、これが総合評価群のところになり、種牛の部と肉牛の部と、両方あるわけでございますけれども、ここには元花江を投入すると。第6区の総合評価群は元花江、さらに、第7区のほうに、これが脂肪の質という新しい評価対象になりますが、これに白鵬85の3を投入する。また、さらに、隆福也など、第8区のほうに投入をする。こうやっていろいろとその種牛の状況に応じて区を分けながら、勝負をかけていくということを考えられるのではないか。さらに、今のゲノム育種価も活用しながら、肉牛の部などでも産肉能力を判定するような、そういうゲノム育種価の活用による雌を得て、それで、またその後の出品牛にいずれつなげていくと、こんなようなことの作業を進めたり、また、鹿児島のほうから調教等のいわば講師をつれてきて、定期的に講習会をやる。こうやって、前回、種牛の部のほうでもう一つという声もあったものですから、種牛の部のほうのレベルアップも図っていこうということであります。また、若雄の第1区では、これは元花江を基調としてやっていくという今方針で向かっているところでございますけれども、さらに背筋等、体型をよくしていく、そういうことを評価をしながら、交配を考えていくと。こういうようなことを今もくろんでいるところであります。
まだこれからいよいよ本番に向けまして、大きな物事が動いていく時期になります。ぜひ産地を挙げて、力を合わせて、鹿児島全共での優秀な成績を目指してまいりたいと思います。
◯副議長(福田俊史君)西尾農林水産部長
◯農林水産部長(西尾博之君)受精卵の採卵体制のことについて重ねてお尋ねをいただきました。
議員御指摘のとおり、技術者の確保に大変苦慮しているところでございまして、私どももですけれども、畜産振興協会さんともいろいろと知恵を出すところですけれども、獣医師の確保が思うに任せないという状況でございます。今々ちょっとこれといった改善点が見えないというところはありますけれども、何とかやりくりしながら、ニーズに応えているというところでございます。
ただ、先ほども言いましたように、この要望は、どんどんふえていく状況にございますので、先ほどの繰り返しになりますけれども、放牧場の採卵体制を推進していく等で、要望に応えてまいりたいというふうに思っておりますし、人員の確保については、引き続き協議していきたいと思っております。
◯副議長(福田俊史君)28番広谷議員
◯28番(広谷直樹君)どうも答弁ありがとうございました。
受精卵の採卵の技術者はなかなか確保は難しいと思うのですけれども、ぜひやはり今後の和牛振興のためにも確保できるように取り組んでいただきたいなと思っております。
そういう中で、最後になりますけれども、和牛についてですが、和牛の遺伝資源について言わせていただきますと、近年、海外では和牛肉の人気が高まってくる中で、2018年の牛肉の輸出額は247億円と、前年から3割伸びたと言われておりますけれども、TPPが発効して、国内の畜産農家の不安は高まってきておるというふうに思っております。そのような中にあって、今回和牛の遺伝資源が海外に持ち出されようとしたわけでありますけれども、本県を初めとした和牛産地にとっては、長年種雄牛の改良を続けてきた貴重な遺伝資源を簡単に海外に流出させてしまうような現状を放置させるわけにはいかないというふうに思っております。県も遺伝資源に関する条例制定を11月議会ですか、上程するというような話もありますけれども、家畜改良増殖法では生産された凍結精液は人工授精師から求められれば提供しなければいけないということになっているということであり、和牛の遺伝資源の国外流出を直接禁止する法規制がないということであります。先般も政府、あるいは自民党が海外流出防止に向けて家畜改良増殖法の改正を目指す方針をとのことでありました。
そこで、やはり全国で統一した受精卵や精液を採取から使用、あるいは在庫の状況まで追跡できる体制を構築する必要があるというふうに思っております。現在検討しております県条例の制定も大変重要であると思いますけれども、ぜひ国に対しても実効性のある法整備を含めた対策の強化を求めるべきであると思いますけれども、知事の所見を伺って、今回の質問は終わります。
◯副議長(福田俊史君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)広谷県議から重ねて和牛につきましてお尋ねがございました。
今おっしゃったところにつきましては、農林水産省のほうで現在和牛精液の流通管理に関する検討会を行っておられ、また、地元の赤澤亮正代議士が座長になられまして、和牛精液の流通等に関する専門検討プロジェクトチームというのを動かしておられます。このほど、その状況が報道されているところでございますが、そこで、今検討されているのは、例えば宮崎県のような厳格な管理方式というものを全国に、3年を目途に、徹底をしようとか、また、今でも家畜授精師さんのところ、その授精場以外は取り扱ってはいけないのですけれども、そういうものを罰則も強化をして、徹底をしていくとか、それから、抜き打ち検査をやるとか、そうしたさまざまな対策を今国のほう、国会のほうで、与党ベースで取りまとめをしようとしています。
そういう中で、今おっしゃるような家畜改良法の中で、罰則規定の強化等々、法改正を含めて、秋にでも臨時国会等で議論しようと、こういう流れに今なってきています。私どもとしても、ぜひ六団体協調してということになろうかと思いますが、この適正流通を求める、そういう国への要請活動をやっていかなければいけないかなと思います。一つには、そうした法規制の強化ということ、それからまた、宮崎のようにやろうと思いますとバーコードなどで管理をすることになります。非常にその意味では、機器整備などにお金がかかるところでございまして、そうしたことを畜産振興の事業の中でやはり今の中で展開してもらいたいというような財政支援のお願い、こういうことも必要ではないかなというふうに思います。
あと、あわせて、国のほうは、そういうような体制でございまして、必ずしも今農家やJAさんが望んでいるような厳格な規制までいきにくいところもあります。今よりは大分前進すると思うのですけれども、そういう意味で、やはり県として大切にすべき系統という、その種雄牛にかかわる精液や受精卵、こういうものの流通適正化に向けた、独自の検討も県としてもやる必要があるかなと思います。ただ、ベースとしては、国外の流出が一番問題でありますので、そういうことも入れながら、国全体で検討していただくようにぜひ要望させていただきたいと思います。
◯副議長(福田俊史君)29番野坂道明議員
◯29番(野坂道明君)(登壇、拍手)通告に従い3点につきまして、平井知事、山本教育長、佐野警察本部長にお尋ねいたします。
初めに、官民連携の推進についてお尋ねします。
老朽化した西部総合事務所福祉保健局の移転に伴う新築整備については、PPP、PFIの手法の導入が検討されており、鳥取県で初めての事例になるのではと期待しているところですが、コンサルタントによる導入可能性調査では、公設公営の従来手法からDBO方式、PPP、PFI手法を幅広く比較検討し、その結果、PPP、PFI手法が有利だとして、それぞれのVFMを試算しております。試算結果は、御承知のとおり、PPP手法だとマイナス38.5%、PFI手法だとプラス5.5%となり、PFI手法が最も望ましいと結論づけております。
そもそもこの事業は、直面する福祉保健局の庁舎更新に当たり、西部総合事務所地内の旧米子警察署の除却やエネルギー棟の更新問題などを含め、米子市の中心市街地に保有する県有地を有効活用しながら、民間の力を最大限呼び込む点にあると理解しておりますが、なぜこのようなVFMの開きが生じたのか、この事業の企図するところはどこにあるのか、知事の御所見を伺います。
次に、障害者スポーツの振興についてお尋ねします。
パラスポーツは、1910年のドイツ聴覚障害者スポーツ協会の創設に始まり、1924年、パリでの第1回国際聾者スポーツ競技大会の開催を経て、1948年、車椅子患者のアーチェリー大会がオリンピックで同時開催されたことがパラリンピックの原点であり、近年の関心の高まりにつながっております。
我が国におきましても、東京2020オリンピック・パラリンピック大会を控え、パラリンピックで日本を変えるをスローガンに、2015年、日本財団パラリンピックサポートセンターが設立されました。本県では、日本財団と連携して、日本一のボランティア先進県を目指した全国初の共同プロジェクト協定が締結されております。
今定例会にも障害者スポーツを支える人材育成とフィールドの提供として、布勢運動公園に拠点施設の整備事業が上程されておりますが、日本パラリンピアンズ協会の調査によると、障害を理由に施設利用を断られた、あるいは、条件つきで認められた経験があるとの回答は2割程度あり、ハード、ソフト両面での立ちおくれが大きな課題となっております。
そこで、お尋ねしますが、本県のパラスポーツを取り巻く環境をどのように認識されているのか、また、2033年には2巡目国体が開催されます。全国に先駆けて共生社会の実現を目指し、鳥取県ならではの大会運営を検討されることと思いますが、特に施設整備のあり方は大会を左右する重要な課題だと思います。この点についてどのようにお考えなのか、お聞かせください。
次に、児童虐待のない社会を目指してお尋ねいたします。
平成29年には13万件を超え、年々ふえ続ける児童虐待件数とたび重なる死亡事案に対応するため、児童虐待防止法の改正案がきょうの参議院本会議で全会一致で可決成立いたしました。ことし1月、千葉県野田市で起きた小学4年生の栗原心愛ちゃんの虐待死亡事案では、児童相談所はうその書面を父親に書かされたことを把握しながら自宅に帰す判断をしてしまいました。また、札幌市の池田詩梨ちゃんが衰弱死した事件では、虐待の兆候を把握しながら児童相談所と警察の連携不足が2歳の幼い命を奪う結果となってしまいました。毎日のように飛び込んでくる悲痛な報道に、胸が締めつけられるような気持ちになるのは誰もが同じだろうと思います。
このたびの改正案は、児童福祉司の増員と児童相談所の体制強化や親による体罰禁止が柱ですが、子どもの虹情報研修センターの川崎センター長は、児童福祉司を教育するいわゆるスーパーバイザーをどう活用するかが大きなテーマになると述べ、人材育成の重要性を訴えられています。
その上で、ただそれでもやはり人員的な問題からすれば、国のほうにはもっと1人当たりのケース、例えば40とか、せめて50とか、もう少しきちんとした対応がとりやすいような、そういう体制をとれないかというような要望もする必要があるかなと思ったりもしていますし、また、職員の研修等も意欲を持っておられますので、それを大切に十分行っていく必要があるかなと。
例えば、面接の技術、これは職員の方々も大切だと言っています。それはどういうことかといいますと、子供と接しながら、どうしたのというふうに尋ねるわけですね。そこで、お母さんにたたかれたのと言うと、後で今度これは立件されることがありまして、そのときに証拠能力として誘導尋問的になってしまうと。そこでオープン質問という技法なわけでありますけれども、誘導質問にならないような、どうしたのとか、そのまたいろんな話題も振りながら、子供の心に寄り添いながら正確に事実を把握する技術、こういう面接の技術というのは非常に大切だし、難しいし、こういうことは研修して伸ばしていきたいと職員自身も望んでいまして、そういう研修も行っています。
また、ペアレントトレーニング、これもやはり家庭と接する以上、また児童相談所の場合は警察等と若干違うのは、立ち直りということをやはり一つの目標としても考えるわけですね。そういう家族の再構成などを考える等、そうしたことについての技術、こういうことも職員自身も望んでいるところであります。
こうしたさまざまな研修を実は今やっていまして、階層別研修的なこともあれば、こうした専門研修的なこともあり、職員も実際に案件が入ると研修を抜けなければいけないこともありますけれども、ただ、できるだけ出るようにしているというのが、これが本県の偽らざる状況でございます。ですから、ぜひそうしたレベルアップをこれからも図っていけるように、私たちも職場環境を整えてまいりたいと思います。
議員もおっしゃったような警察とのかかわり合いの中では、警察職員の配置ということもあるのではないだろうか。これは今、警察のほうと協議を始めてきているところでございます。都道府県によっては、警察官の存在というのを非常に嫌うところも正直あります。ただ、本県の場合は、これまでも関係もつくってきていまして、節度あるそういうお互いの協力の仕方という、そうしたものを会得してきている延長線上でありますので、そうした職員配置ということもできるだけ早く実現できないかなと今、協議をしているところであります。
◯副議長(福田俊史君)山本教育長
◯教育委員会教育長(山本仁志君)野坂議員から重ねて児童虐待防止につきましてお尋ねがございました。
研修は大切だろうというふうに思っております。このたび法律も改正になりまして、県教委のほうでも新しくマニュアルをつくろうということをしておりますが、そうしたことをもとにしっかりとした研修を進めてまいりたいというふうに思います。その際、単に一方的に話をするだけではなくて、いろいろグループで話をしたり、ロールプレーイングみたいなものを導入したり、いろいろ工夫をする必要があるのではないかなというふうに思っております。このたび発生した事案など、事例等を含めた研修なども有効ではないかなというふうに思っております。いずれにしても、頭ではわかっていることがきちんとそのときに対応できるような、そうしたことをしっかりと身につけていただけるような研修を実施してまいりたいと思っております。
また、教員の児童相談所等への人事配置につきましては、引き続き知事部局などとも意見交換しながら進めてまいりたいと思っております。
◯副議長(福田俊史君)暫時休憩いたします。午後3時5分より再開いたします。
午後2時54分休憩
────────────────
午後3時05分再開
◯議長(藤縄喜和君)再開いたします。
引き続き、一般質問並びに議案に対する質疑を行っていただきます。
17番浜田妙子議員
◯17番(浜田妙子君)(登壇、拍手)きょう5人目、最後になります。皆様お疲れのことと思いますけれども、できるだけ簡潔に質問を進めたいというふうに思っておりますので、おつき合いください。
それでは通告に従いまして、初めに、職場も教育現場に視点を置きまして、ロービジョンケアについて、まず議論をさせていただきます。
昨年9月、12月、そしてことし2月と、定例議会で取り上げましたロービジョンケアですが、連絡協議会のスタートから始まりまして、随分スピード感を持った取り組みが続きました。広報やマスコミでの情報提供、そしてロービジョンケア外来が鳥取大学医学部附属病院にこの4月からスタートいたしました。このことで格段にその環境は変わりつつあります。
今議会にも事業予算が上程されています。知事を初め、執行部、鳥取大学医学部、鳥取県眼科医会、マスコミの皆様、そのほかそれぞれの立場で積極的な理解と協力をいただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。
ロービジョンケアの必要な皆様からも、鳥取県を中心とした取り組みに対して元気と勇気をもらい、みずからの人生に明るい未来を見るような気がする、他県への大きな刺激を与えていると、大げさではなくお話を伺います。これまでみずからの人生を悲観せざるを得なかった皆様に光が差し始めたという実感を持たせていただいています。
こうして一年を待たずして進んだ反面、鳥取大学医学部附属病院が米子にあるため、東部へのケア外来設置の希望がより切実になりました。西に偏った医療現場解消のため、県立中央病院でのロービジョンケア外来設置の見通しを、まずお聞きしたいと思います。どこに暮らそうと子供たちを含め、当事者の皆様への利便性への配慮がされねばならないと考えています。可能な限り早く願いに応えていただきたいと思いますが、実情を知事に伺わせてください。
また、ロービジョンの皆様は、生まれて一生を全うするまでの各ステージで的確な環境と支援が必要になります。丁寧に一つ一つ向き合わねばなりませんが、とりわけみずからの可能性をひもとく段階の子供たちの教育現場では、最善の配慮がされねばなりません。県下に存在する90名と言われる対象児童生徒へのパーソナルな配慮の点検をお願いすると同時に、拠点とも言えます盲学校の役割を県下教育現場のみならず、子供を抱える御家庭にも知らしめるべきと考えています。また、教育現場は視覚障害者支援センターや医療とも密接な連携が必要と考えています。
改めてセンター的役割を持つ盲学校の役割と具体的な取り組みについて明確にし、わかりやすい情報提供をお願いしたいと思いますが、教育長の御所見を伺わせてください。
今議会、全部行いますと5人の皆さんが産廃という問題を取り上げることになります。それだけ大変困難な大きな課題だと言えるのかもしれません。既に松田議員の質問もあり、私と随分ダブるところがありまして、御容赦いただきまして質問をさせていただきたいというふうに思います。
次のステージに移ろうとする産廃問題です。16年前、私が議員になりましたとき、既にこの問題は地元の皆様との信頼関係の構築が必要な状況にありました。その後、県が調整役としてかかわることで、よりよい信頼関係をつくり直し、事業者も住民も双方が納得する形で事業を進めるための条例が用意されました。廃棄物審議会が5回、意見調整会議は9回持たれました。しかし、よりよい関係ができるどころか、一部とはいえ亀裂は深まり、不信感が大きくなり、現在、聞く耳すら持てない状況になっていると、私はとても心配しています。
質問するに当たり、私に何ができるのか、随分考えました。そして聞き取りもたくさんたくさんさせていただきました。松田議員と同じような経験を私もさせていただきました。皆様、立場立場により、聞けば聞くほど主張やお考えが違い、難しさを実感すると同時に、物を言いたくてもあえて言わない方々も多く、心を開いて互いの違いを交換し合える状況ではないことを知ってしまいました。結果、調整役である県の役割が、その目的を果たせないまま、次のステージに移る現実を痛感し、非常に憂えています。なぜこのような事態になってしまったのか、過去を振り返り、どう分析しておられるのか、知事の御所見を伺います。
以上、壇上からの質問とさせていただきます。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)浜田妙子議員からロービジョンケア外来の問題と、それから産業廃棄物についての2点お尋ねがございました。
ロービジョンにつきましては、私どもの前の任期の最後にクローズアップされた課題でございました。考えてみますと、かつてパラリンピックに行かれた福留選手のように、こういうロービジョンという課題を抱えながらも大活躍をされる方々がいらっしゃいます。ただ、地域の中でまだそうしたケアという観点では十分な対応ができていないのではないか。そこをもう一つ歩み寄っていく、そういう対策がとられなければならない。この意味で鳥取大学ともまず協議をさせていただき、それから視覚障害者の協会の皆さん、あるいはロービジョンの方々等々、意見を取りまとめながら今日に至っています。
今回、当初予算の中でも御提案を申し上げておりますけれども、いろいろとこうしたことに対する理解を深めていく対策だとか、あるいはきょうお話がございましたような、そういう関係してくださるような専門のお医者さんや、それから機関をふやしていくための理解講座のようなことも必要になる、技術研修も必要になるということだと思います。こうしたことなどを今、提案をさせていただいております。
現状の東部のこと等のお話がございましたが、まず西部といいますか、全県という意味合いだと思うのですが、鳥取大学のほうでロービジョン外来を大松先生のほうでつくっていただき、患者さんもやってこられるようになってきています。そもそも物すごい数がおられるというわけではもともとはないのだと思います。そういう意味で行列をなすとか、そういうことではないのですが、眼科の診療を行っているのと合わせて、このロービジョン外来の専門の日に来られて、そうやって診察を受けられて処方を受けられるという方がふえてきています。
現状、聞こえてくるところでいえば、話を聞いてもらうということで非常にありがたいと。今まで実はそういう悩みや困り事について相談するすべもなかったところが、こうした形で開かれたことに対して意義を感じておられる、そういう声もあります。また、例えば拡大読書機みたいなものがありますけれども、手元作業をするので別の処方をしてもらって、そういう高性能のハイパーな眼鏡をということだと思いますが、そういうようなことで対策をとったと、こういうのはやはり専門家と話し合ってみないと、どういうのがその人の日常生活に適しているのかというのはわからないと。あるいは、例えばちょっと目が白くなることを気にされている女性の方が、それで虹彩のコンタクトレンズ、色の入る、そういうものを処方するというようなことなど、結構きめ細やかなそういう指導なり医療ということを現場のほうでもしてくださっていまして、やはりこうしたことが生まれてきたということは、ロービジョン外来が開かれてよかったのではないかなということだと思います。
それで、東部、中部それぞれにあればいいのですけれども、前からお話ししているように、まずはちょっと一つ、鳥取大学でセンターでやってもらおうということなのですが、その後、当然ながら中央病院や厚生病院等とも話をさせていただいていますが、厚生病院では、残念ながら眼科医さん自体の存在のこともございまして難しいと。東部のほうも、中央病院はなかなか今そこまで手が回らないと、眼科医の数、2名か何かだと思います。そういうようなことでありますし、研修を受けなければいけないのですが、研修の時間を割くという課題があったりして、一朝一夕にはなかなか難しいのかもしれません。ですから、以前からもお話し申し上げていますが、そこと町なかのかかりつけのお医者さんでこうしたロービジョン外来を対応してくださる方、これとのネットワークを組んで、鳥大がセンターになるというのが、当面はちょっとまずは道行きかなと。それで、これを後で東部等でも開いていくように環境を整えていくということかなと思います。
中部のほうでは森広先生がやっていただいておられますし、西部のほうでは前の医師会長の魚谷先生とか、神鳥先生とか、小森先生とか、そうしたことでの外来も始まってきています。東部も今お願いをして歩いているところでございまして、それが実現できれば、鳥大病院と一緒になりまして対応が曲がりなりにも全県的にとれ始めるということになろうかなと思います。
次に、産業廃棄物処分場についてでございますけれども、これにつきましては松田議員初め、今回もいろいろと質問も出てきておりまして、おっしゃるようにやりとりも進んできたところで、若干私のほうも重複するかもしれません。これまで対話をするという、非常に各県あるわけではない特殊な手続でございますが、そういう条例手続を進めてまいりました。2年半ぐらい日にちもかかりました。そこで歩み寄れるところが全然なかったわけではなくて、集落によっては合意に至っているわけでありまして、2集落が合意に至っていないという中で、流れとしてはこういう形になりました。
その中でいろいろとお互いの意見交換の中で、ここはそうだねというふうに了解に達するような部分もないわけではございません。詳細につきましては、生活環境部長からお話を申し上げさせていただきたいと思います。
そういう意味で、やって単なる対立だけで終わったということでもなく、前に進んだ部分もありながらの交錯をしながらだと思いますが、ただ課題が残ってしまったというのもまた事実なのだろうと思うのです。これからの次のステージで、世情報道されているところが実は私自身も若干違和感があるのですが、これで手続が終わってしまったら、次はもう第2ステージに入ってすぐに決まると、こういうようなイメージを持たれるかのような、そういう論調がありますけれども、決してそういうことではなくて、むしろこれからが慎重の上にも慎重を重ねていくべきタイミングになります。
そこで、米子市の御意見を聞くということが法律上定められていますし、関係者の御意見、これをお伺いをすると。そういうことも法律の中で定められています。ですから、これからまだそうした意味で意見交換があるわけでございまして、そういうところでのさまざまな御意見を受けながら、果たして、では生活環境上の問題が本当にあるのかどうか等について専門家も交えた判断をしていくというのが、ここから先のことになってくるわけであります。
また、昨日もお話を申し上げましたとおり、まだ時間も次のステージのスタートまであるわけでございまして、その間、センターも入り、その中で環境協定であるとか、それから地域振興策であるとか、今後そうした話し合いもなされてくるのだろうと思います。これも県もかかわるといいますか、同席するような形も当然考えられるところだと思っています。
また、いろんなことがこれから可能性としてあるのかもしれません。ですから、コミュニケーションを完全にシャットアウトして、あとは機械的に判断をするということだとは考えていないことは御理解いただきたいと思います。その上で、これから私どもとしても、廃棄物処理法の手続に従って、最終的には慎重に判断をしていくということだと御理解をいただければと思います。
◯議長(藤縄喜和君)酒嶋生活環境部長
◯生活環境部長(酒嶋優君)産廃問題に係ります条例手続の結果の評価につきまして補足の答弁を申し上げたいと思います。
御案内のとおり、条例手続でございますが、これは廃棄物処理法の許可の申請前にさまざまな手続を通じまして、事業者と関係住民が相互理解に努めまして自主的に課題解決を図るということを目的とした、条例自体はそういったことを目的としたものでございます。センターでございますが、条例手続開始前から地元自治会等に事業計画の検討状況等につきまして、条例手続前、105回の説明会を重ねております。条例手続に入りましても、説明会の開催、意見書、見解書のやりとり等、またセンターによる事業計画の周知が行われた結果、こういったことの行われた結果、県では廃棄物審議会の意見等を踏まえまして、関係する6自治会のうち、4自治会は理解が得られたというふうに判断したところでございます。そのうち、この結果を踏まえて、関係住民の方2自治会と営農者と個人10名の方が意見調整の申し出というものを県に行われ、それを受けて県のほうでは事前に論点を整理した上で、この申し出を行われた方々を対象に9回にわたりまして意見調整会議を行ったというところでございます。
いろいろセンターとの意見調整に努めたところでございますが、例えば塩川のダイオキシン類調査について、廃掃法の許可申請時には改めて提出する生活環境影響調査書に直近の県データを補足資料として添付し、センターが回答するなど、そういったことについて一定の関係住民の理解が得られた、そういった部分もございましたけれども、多くは双方の意見は平行線というところでございました。そういった意見調整会議の状況を廃棄物審議会のほうに御報告をいたしまして、廃棄物審議会の意見を踏まえまして、先月の31日に条例手続の終結を判断したというところでございます。
県では、この条例の規定に従いまして、約2年半、丁寧に条例手続を進めてきたというふうに考えているところでございますし、また、条例手続全体を意見調整会議ではなく、説明会から意見書、見解書のやりとり等々、全体を通じて関係者の間で広く知見も得ることができたものというふうに考えております。
◯議長(藤縄喜和君)山本教育長
◯教育委員会教育長(山本仁志君)浜田妙子議員の一般質問にお答えを申し上げます。
私には、学校現場におけるロービジョンケアにつきまして、盲学校の役割あるいは取り組み等につきましてお尋ねがございました。
鳥取盲学校は、いわば県内唯一の視覚障害に対応した専門の学校ということでございまして、単に鳥取盲学校に在籍する児童生徒だけではなくて、県内の小・中・高等学校の視覚障害のある児童生徒などに対して、視覚障害の状況や教育的ニーズに応じた専門的な教育を実施する、あるいは教育的支援を行う役割を担っているものと認識をいたしております。
そうした意味合いから、現在、鳥取盲学校には特別支援教育コーディネーターを配置をいたしておりまして、これは乳幼児、小・中・高等学校の教育相談への対応でありますとか、あるいは関係機関等を含めた視覚障害の理解啓発などを行う、そうした視覚障害教育のセンター的な機能を持たせているということでございます。その鳥取盲学校のセンター的機能の中で今、各学校の要請を受けて出かけていって、教育に係る専門的な指導や助言を行うといった取り組みでありますとか、あるいはできました鳥取大学医学部の附属病院ロービジョン外来とも連携をいたしております。これは視能訓練士さんなどともしっかりと連携をし、また、市町村の保健部局などとも連携して、必要な支援を行うといったことも行っておるところでございます。こうしたことを通じて、関係機関などと連携を密にとりながら、子供たちの就学支援等を積極的に行っているところでございます。
視覚障害者の支援センターとの連携のお話もございました。昨年の場合ですと、年4回連携会議というものを設けておりますが、そのほか相互に訪問し合うといったことを通じて情報交換を行いながら、就労でありますとか進学等の支援を行っておるところでございます。特に東部の支援センターは鳥取盲学校の中に事務所がございますので、日々そうした連携もできるわけでございまして、例えば盲学校の各種の大会でありますとか行事にも参加いただいて、今、盲学校がどういうことをやっているかといったこともよく把握していただいているのかなというふうにも思います。
こうした取り組みなどを通じて、今、毎年健康診断でロービジョンという診断を受けた児童生徒につきましては、医療機関ともそのままつながるという形で、医療機関からいろんな指導、助言を受けられるわけですけれども、学校のほうは、そうしたことを本人、保護者ともいろいろやりとりをしながら、特に保護者の方が医療機関から聞いておられるような配慮事項について適切に対応するということで、例えば座席を前にしたり、あるいはまぶしさを感じられる児童の方については、まぶしくないような位置に座席を移したり、あるいは拡大教科書というようなものを使ったり、あるいは拡大鏡というような機械、またタブレットなどのICTの機器など、そうしたものを必要に応じて使用したりというような配慮も実施をしているところでございます。
ロービジョンについての情報提供のお話もございました。ホームページでもいろいろこの視覚障害の理解のための資料等々を掲示をして紹介をしておるところでございますが、本当に必要な方に情報が届いているのかどうなのかといった視点で、まだまだ工夫をする余地があるのかなというふうにも思っておりまして、そうしたことの周知の工夫などを行いながら、わかりやすい情報提供に努めてまいりたいと考えております。
◯議長(藤縄喜和君)17番浜田議員
◯17番(浜田妙子君)御答弁をいただきました。県立中央病院にロービジョンケア外来をということを望まれる方がとても多いわけですね。西部と東部の違い、それは先ほど盲学校が東部にあって西部にないので、逆の現象も出ている、これも確かに現実としてあります。私も病院の状況をいろいろ聞かせていただきました。医大のほうでも1人の眼科医の先生がされる手術は年間200名を下らないということですね。だから忙し過ぎるのですね。それから中央病院のほうも年間600件ぐらい手術があるというふうに伺っていますので、それをこなしていくのにもう精いっぱいで、なかなかロービジョンケア外来をしようと思うと東京まで研修に出なきゃいけませんので、その時間がとれないということで、絶対数ですね、お医者様の数が足りないということだというふうに思いました。
それで、ここをどうするかという問題ですが、やはり開業医さんにお世話にならなければいけないのかなというふうに思います。これもやはり西部のほうがロービジョンケアができる開業医さんがお二人いらっしゃいますね、神鳥先生と魚谷先生とですね。もう一人いらっしゃるかな。中部と東部が1名ずつでいらっしゃるかというふうに理解していますけれども、間違っていたらまた教えていただきたいのですけれども、一般の開業医さんたちにできれば支援をしていただいて、その能力を高めていただくということを一方でやっていないと、東部から西部の医大に来なければいけないということになってしまうとバランスが悪いなというふうに思いますので、よろしくどうぞ、ここは時間が多少かかるかもしれませんけれども、その方向を見定めながらやはり取り組みをやっていただきたいというふうに思います。
学校のほうなのですけれども、センター機能を持っていますので、ですからセンター的な役割をきちっと社会に開かれた場所として役割を果たしていただかないといけません。学校現場も行ったのですね、いろいろお話を伺いましたけれども、弱視と言われる子供たちの状況を十分理解できない先生がまだまだたくさんいらっしゃいました。しかも見えにくさというのはね、眼鏡をかけているから前の席にしてやればいい、光が当たらないところに座らせてやればいいんだというふうに単純に思っておられる先生が非常に多くて、このロービジョンというのは全然見え方が違うのですね。もちろん光に反応するお子さんもありますしいろいろなのですが、ロービジョン外来も私は見学させていただきましたけれども、例えば遮光の眼鏡一つにしても、このくらいな厚さの、何枚も、あれは100枚ぐらいあるのだと思いますが、それを順番に上げて、1個ずつこう見る。だから予約をされて医大のほうは見ておられるのですけれども、午前中のうち1人か2人かなと。だからもう本当にそういう意味では不採算の分野だなというふうに、それだけ丁寧に丁寧に、その人に合ったものを探すというのが、補助具というのがなかなか本当に、視能訓練士の皆さんのあの御努力には私は頭が下がりましたけれども、そのかわりぴたっと合った方は、わあ、よく見えますとおっしゃるのですね。そこを一緒に喜べる、共感し合うということは、そのお仕事なさっていてすばらしいなというふうに思ったりもいたしました。
そういう分野であるということをわかっていただくということが、子供たちに向き合う、先生がどう向き合わなければならないのか、ただ前へすればいいのだ、光が当たらなければいいのだという問題ではないのですね。一人一人がみんな違うのですね。その子に合ったパーソナルな対応をしなければならないということを、まずは先生方にわかっていただきたい。それがないとなかなか難しいなというふうに思います。
それで、多くの対応事例、情報交換が必要になってくるわけですが、何と1961年に日本弱視教育研究会がもう既にでき上がっているのです。ここは、御存じだというふうに思いますが、現在は筑波大学に拠点が置かれています。筑波大学附属盲学校をフィールドに研究が進められています。この研究会は、メンバーは教育・心理・保育・医療・保健・福祉・労働等の基礎と実践の専門家を包含した研究団体で構成されています。その成果が毎年開かれる研究大会で発表され、共有されています。63年からは機関紙も発行されています。この機関紙は盲学校に来ているはずです。2013年には創立50周年大会が開かれました。そしてことし1月には大阪で60回大会が開催されているわけですね。研究は積み重ねられているのですが、どのレベルで鳥取県の教育委員会はこの研究会にかかわりを持っていらっしゃるのか。60年間のスパンでそのかかわりを持っているか持っていないかで、もう格段の差が出てくると思いますね。子供たちの環境というものを考えたときに、最新情報を手に入れるか入れないかで大きく教育環境は変わるのではないでしょうか。
筑波大学も、附属盲学校の生徒さんは多くが大学に進学しています。卒業後、障害をむしろ力に変えて立派な社会人として、その道のエキスパートになっていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるのですね。そのことも知ってほしいと思います。教育委員会のほうが、各学校現場、盲学校ではなくて教育委員会そのものが率先して入会をしていただいて、どんな情報交換をしているのか、どんな新しい情報が手に入るのかを体験してほしいと思います。子供たちの教育環境改善に意識的に取り組むべきだというふうに思いますが、教育長の御所見を伺わせてください。
産廃のほうなのですけれども、ちょっとほっといたしました。どなたも県民です。問題だと怒っていらっしゃる方もお一人の県民で大事にしなければなりません。問題だと思っていらっしゃるからこそ声を上げてくださる、だからこそ私たちは立ちどまらせていただく、問題があるのではないかと考えさせていただける、そういう存在でもいらっしゃるわけですね。ひょっとして次のステージに上がるときに、その方々が切り捨てられる、結果的に、そういうことになってしまってはいけないなというふうに思っています。そうならないで、知事がおっしゃいました、残った課題があるのでこれに対しては慎重に取り組むと、コミュニケーションをきちっとやっていくと、シャットアウトはしないというふうなお言葉をいただきましたので、その道を探っていただきたいというふうに思います。
過去この問題は、東部から始まって、中部と拒否され、結果今、西部の課題となっています。考え方を確認したいので質問させていただきますが、迷惑施設と皆様が思っておられるからこそ拒否され、現在も反対が起きているわけですが、これまで拒否し、目の前の問題でなくなった東部、中部の皆様は、今、自分ごとではこの問題はないのでしょうか。過去、自分ごととして経験され、考えられた立場でともに考え、その責任を果たしていただきたいとも私は考えています。その分、今、反対する人たちへの態度は強引であってはならない、むしろ謙虚で丁寧でなければならないと思いますが、いかがでしょうか。当該地域の皆様に、他地域の皆様はお願いする立場であることを認識しなければならないと私は考えています。知事に御所見を伺います。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)浜田県議から重ねてお尋ねがございました。
まず、ロービジョンの問題につきましては、西部のほうでは神鳥先生、それから魚谷先生、小森先生、このお三方で今やっていただけているというふうに考えており、また森広先生に中部のほうで対応していただいています。実は東部のほうは、先ほどもちょっとお話し申し上げて、うまく伝わらなかったかもしれませんが、まだ十分完全には成立していないという状況ではありますけれども、ある先生にそのお願いをさせていただいていまして、そういう意味で東部も含めて全県的な体制がつくれればというふうに考えております。
また、中央病院は、先ほど浜田議員も実は調べていただいたようで、そういう実情がございまして、研修の時間もとれないということと、あと絶対数として眼科医が不足しているということもございまして、そう簡単ではないのかもしれませんが、ただ、まずはこうしてスタートを切ることができましたので、ぜひ進めていければというふうに考えております。
また、産業廃棄物処分場問題につきましては、議員が16年前からというお話がございましたが、小沢見のことだとか、青谷、さらには岩美で一時期話があり、そして倉吉ということもあり、いろいろと変遷をしたということもございます。いずれにせよ全県的な問題であることは事実でありまして、私どものところに設置をぜひというふうに持ってこられる、そういう皆様方は東部の方も中部の方も、西部の方ももちろんいらっしゃいます。ですから全県の課題として、やはりここは丁寧にきちんとコミュニケーションもとりながらやっていかなければいけない、そのことは1番目の条例手続が終わったからといって、これで変わるわけではありません。もともとこの条例手続をつくったころも浜田議員はおられたと思いますけれども、この条例手続をつくる趣旨というのも、実は廃掃法の中でも意見聴取はあるわけです。そこでのいろいろと審議の過程で話を聞くことなどは、当然予定もされていますし、そういう中でも、そこに行く前の段階である程度やりとりをして、修正すべきは修正し、あるいは合意できればそれでよしというふうな手続が必要ではないかということで、この条例手続というのは設けられてきたわけです。
ですから、他県は割とここはあっさりと抜けていくのですね。できなければ次へ行きましょうというだけの話でございます。本県は少しそこを丁寧に2年半かけてやってきたというのが実情なのですけれども、その時間が果たしてプラスだったかマイナスだったのか、それは浜田議員がおっしゃるようにいろいろと評価の分かれるところもあるのだろうなというふうにお伺いをさせていただきました。
ただ、いずれにせよ振り出しにもう一回戻って、これから実際どういう形でこの問題を考えていくのか、きのうもお話がいろいろございましたけれども、審議の過程などで出てくるいろいろな論点に対する、その評価であるだとか、考え方であるだとか、折に触れて県民の皆様にも議論の状況も公開をさせていただきながら、みんなで考えていくということに最終的にはならざるを得ないのだなというふうに思います。
いずれにいたしましても、これから次の段階になりますので、また心を新たに、議員の皆様からもいただいたことを真摯に受けとめて対応してまいりたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)山本教育長
◯教育委員会教育長(山本仁志君)浜田議員から重ねてロービジョンケアにつきまして、日本弱視教育研究会への入会等も含めたことにつきましてお尋ねがございました。
盲学校につきましては、この全国大会に、年によって参加しない年はあるのですけれども、参加して、必要な情報については校内で共有したり、私どものほうにもお話があったりということでございますが、実際に県の教育委員会としてはその大会には参加していないし、入会もしていないという状況でございます。今年度は幸いなことに近くの岡山で全国大会が開かれるということでございますので、ぜひ一度この大会に教育委員会としても職員を派遣をして、状況を確認の上、いろいろ今後のことについて検討してまいりたいと思っております。
◯議長(藤縄喜和君)17番浜田議員
◯17番(浜田妙子君)産廃のほうですけれども、課題に丁寧に向き合っていただいたことは、本当に私は感謝をしたいと思います。丁寧に向き合うという意味は、つまり共有し合うということの意味が深いなというふうに思ったりもします。素通りされていたら私自身もこんなに頭を悩ますこともなかったし、多くの皆さんと出会って、多くの意見交換をすることもなかった、自分の問題として果たして受けとめることができたのだろうかというふうにも思ったりいたしますので、それは大きな意味があったというふうに思います。
ただ、私は大山の裾野にその場所があるという意味では、多少ちょっと気になるところはあります。人々に本当に大きな恩恵を与えてくれる大山です。果たしてその裾野に、これまで東部から、中部からも、忌み嫌われとは言いませんけれども、嫌われ続けてきた、その産廃という施設を本当に抱かせていいのだろうか。昨年は、私たちは1300年祭を祝って、神の山として感謝の気持ちを持って手を合わせた山でした。
私は、今も自問自答しています。大山を愛するがゆえに、その恵みや景観だけでなく、わかりにくい地質学的な課題は、地下水条例を作成することに私もタッチしましたので、大変頭を悩ませた経験から不安も確かに持っています。そこはまた西部広域の一般廃棄物の処分場として用意された土地というふうにも聞いています。そこが産廃になると後はどうなるのか、そうした不安や疑問、疑念も持ったりもいたします。
対象になる西部、とりわけ淀江の皆様のみならず、県民全てを対象として、みんなの問題として取り組むべきこれは問題だと知事もおっしゃいました。正確で丁寧な説明と理解と協力を知事みずから県民の皆様に、ぜひぜひ御説明と協力のお願いをしていただきたいというふうに思いますが、知事の御所見を伺わせてください。
ロービジョンのほうですが、教育長にお話を伺います。
私も医大のケア外来に行きましたけれども、予約が入っているのはどういう方々ですかといったら、おじいちゃん、おばあちゃんばかりでした。子供が一人もいないのですね。大松先生は、子供がいないはずはないのだけれどもというふうにおっしゃっておりました。そこでちょっと気になったのですね。ケア外来についての認識が教育現場にきちっと行き渡っているかどうかということを、そこをもう一回チェックしていただけたらなというふうに思います。学校の先生方に伺いますとね、本当に自分のものにまだ十分にはなっていないというところがありましたので、ケア外来の存在を教育現場に知らしめ、現場の先生の理解を促し、子供をここへつなぐことが必要だと思います。特に高校と大学への受験前の皆さんですね、その人たちにとっては大きな大きな問題ですので、ぜひお願いいたします。
現在は、さすがにないというふうに思いますけれども、過去、県立高校の受験を希望していた弱視・ロービジョンの生徒に対して、高校から中学へ問い合わせがありまして、ハンディキャップの部分について本人に、それはできませんと言わせてしまった。そのために受験ができなかったという事例もあったように伺っています。よりよい対応を知らないがゆえに、よかれと思って、本人のためだと思って意識なしに配慮を欠いてしまっている、そういう事例が起きてはいないか、そこもチェックをしなければならないのではないかと思います。
意識啓発は、新しい情報に常に触れ続け、学び続けねばならない教育現場だというふうに思っています。知らないことの怖さが表に起きないように、ぜひ御配慮をお願いしたいと思います。
調べてみましたら、もう一つ、情報提供ができる場所、日本弱視教育研究会も大きな力になりますが、全国高等教育障害学生支援協議会というのがありました。これは、事務所が東京大学先端科学技術研究センターにあります。大学や高専には多くの弱視学生や障害のある学生が通っているのですが、高等教育における学生支援に関する相互連携や協力をネットワークを張ってやっています。ですから、鳥取県では鳥大と米子高専が加盟しております。ここから十分にノウハウは受け取れるのではないかというふうに思います。ただ、県立環境大学や鳥取短期大学は加盟していないというふうに聞きました。お調べいただきまして、もしそうであれば加盟を促してほしいと思いますが、こちらは知事の受け持ちになるかと思いますので、伺わせてください。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)私のほうには2点お話がございました。
産業廃棄物処分場につきましては、先ほど申し上げた考え方のとおりでございまして、これから真摯に問題をきちんと捉えていかなければいけないと思いますし、全県的な課題としてアプローチをしていかなければいけないのだと思います。
おっしゃるところは、つまりは水の問題等の不安なことがあるということでありますが、そういうことはまさにこれからの廃掃法の手続に移れば、そこで一番の中心課題として皆さんの納得性の得られるような、そういう調査もしてもらわないといけないだろうと思います。これは今までやってきたのとはちょっとレベルの違う意味での調査ということになろうかと思いますが、そういうようなことなどでいろいろと皆さんがみんなで考えて納得できるような、そんな道筋ができるかどうかということだと思います。
議員のほうから、理解と協力を得るように話をしてというお話なのですが、先ほども申しましたように、私も片方でこれからは慎重に判断をしていくという、そちらのほうの廃掃法の許認可権者としての立場もございますので、それを私が何か喧伝して歩けというと、かえって混乱と誤解を招くような気がいたします。ただ、その辺の考え方のことにつきましては、もしあれでしたら副知事のほうから御答弁を申し上げたいと思います。
障害者の高等教育の課題についてでございますが、その高等教育につきましては、この間たしか議論したと思いますが、お話もどこかで伺ったと思いますけれども、それで実は、その後、鳥取短期大学、それから看護大学、また環境大学、これらが未加入でありましたので働きかけをしております。結論から申し上げると、藤田学院さんの、鳥取短期大学、看護大学については手続をこれからとるというところまで意思決定済みでございまして、加入される見込みと考えていただいて結構です。また、環境大学につきましては、現在、その検討を行ってくださっているという、まだその状態だと思います。いずれにしましても、議員のほうのお話を受けて、今、関係機関と調整中であると御理解いただきたいと思います。
◯議長(藤縄喜和君)野川副知事
◯副知事(野川聡君)県民の皆様に産廃について丁寧に説明をしていくべきだと、そういうお話でございました。
私も平成25年から自治会のほうの説明に、事業者とともに立ち会わせていただきました。忘れもしませんのが、上泉と下泉地区の合同会議、1回目のときでありました。あなたも淀江の出身であろうが、なぜうちが5番目の候補地になるのだと、しっかり説明を聞かせてほしいと、そのように言われたことを今でもよく覚えております。
先ほど、知事がお話ししましたように、全県の問題として考えて、途中の審議状況もしっかり県民の皆様方にお知らせしながら丁寧に進めていく、それに尽きるのだと思います。
◯議長(藤縄喜和君)山本教育長
◯教育委員会教育長(山本仁志君)浜田議員から重ねてロービジョンケアにつきましてお尋ねがございました。
ロービジョン外来について、これはしっかり学校現場にも紹介をしてまいりたいというふうに思っております。いろいろその直接行っても、診療上、紹介がないとだめだというような、その手続上の手順もあるようでございます。そうしたことも含めて学校現場には情報が伝わるように取り組んでまいりたいというふうに思いますし、また、高校入試におきます配慮につきましても、もう一度点検をして、本当に配慮につながっているのかどうなのか、そうしたあたりも含めて点検をしながら対応をしてまいりたいというふうに考えております。
◯議長(藤縄喜和君)17番浜田議員
◯17番(浜田妙子君)産廃のほうですけれども、淀江の皆様方には、私の立場で言いますと、きちんと県民みんなで頭を下げて感謝し、何があったとしても、リスクを抱えるというふうに思っていらっしゃる方も非常に多いので、こぞって、税金を使ってでも、手を差し伸べるぐらいの機運と覚悟が生まれねばならないというふうに考えているわけです。そうした信頼関係を、行政も、私たち議員も一緒だというふうに思いますけれども、きちっと保障していくという関係性が積み上げられていかなければならないなというふうに思います。
そして一方で、こうした産廃に向き合うのではなくて、G20で廃プラが大きな問題になりました。原発における核廃棄物にしても喫緊の課題となっています。これからの時代、今後間違いなくつくり始める段階で最終処分が考慮され、廃棄物ゼロを目指して生活活動がされるようなシフトをしていかなければならないと思います。そうすれば、ひょっとすると近い将来は産業廃棄物処分場が必要なくなるかもしれない。生産者責任はそこまで来ているのではないか。また、そうでなければならないなというふうに思っています。まさに今議会でキーワードになりつつあるかと思いますが、SDGsです。サステナーブルの言葉、耳にしてからもうかれこれ30年ぐらいに私はなるかというふうに思います。市民権を得てきて至るところで使われます。それほど手に負えなくなった課題が山積している世の中だと思います。
既に産廃の広域化や一般廃棄物との共用の動きも耳にいたします。厳しい生産者責任、販売責任、使用者責任が加速すると思われます。私たちも4Rの徹底を頭に入れて循環型社会を加速しなければならないかと思います。県もそこにシフトして、産廃業者の皆様にはその技術開発への研究支援をむしろ進めるべきではないかなというふうにも思ったりしますし、国に対しても県からそれを加速するように働きかけるべきだというふうに思いますが、知事の御所見を伺わせてください。
もう一つ、ロービジョンのほうで、実は日本海新聞で鳥取大学医学部のほうに相談窓口設置のニュースが出たのですね。これは果たして本当かどうかということを確かめてほしいと関係者の皆様から言われましたが、医大のほうがその準備ができているかどうか、ちょっと気になっておりますので、そこを確認させてください。
夜盲用の眼鏡がとても進化しています。暗闇の中でもちゃんと色つきで見えるような眼鏡だそうでして、カメラを通して見るようなスタイルになっているそうです。ただ、この眼鏡が、しかも空を仰げばお星様も見えるということで、星取県にとってはとても願ってもない眼鏡だというふうに思いますが、1台が40万円ぐらいするのだそうです。これに対しての支援がないということで、ここの部分についてぜひ御協力を検討してほしいというふうに鳥取大学医学部ケア外来のほうからちょっと声をかけられましたので、ここの点についてもちょっと御意見を伺わせてください。
◯議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねて浜田議員からお尋ねがございました。
今、確かに世界の潮流も、そうした廃プラスチックについては先鋭的に今動いていると思いますし、この議会にも当方からも提案をさせていただいた案件もございます。
つい先日も、6月10日にカナダのトルドー首相が、この廃プラスチック、これについて使い捨てをやめると、2021年からと、こういうようなことをおっしゃいまして、一つまた一石を投じたところかなと思います。また、フランスもそうしたプラスチック容器、これをなくしていこうということにまた近々取り組むことになっていますし、イギリスですとか、あるいはドイツやスウェーデン、こうしたところで、いわゆるデポジット制度、こうした動きが広がってきています。日本でもデポジットというと瓶ですね、牛乳瓶だとか、ああいうものをリターナブルな形でやって、10円だか返してもらえるというようなことをやりました。その分、実は前もってお金を払っているわけでありまして、これによって回収を進めるというものでございますが、こんなような制度をやはり考えていくことにだんだんなってくるのだろうと思います。
実は、産業界、経済界も動いてきていまして、例えばセブン&アイ・ホールディングスさん、あちらのほうではnanacoという電子マネーといいますか、ポイントがございますが、それがリサイクルの機械にペットボトル容器を入れますと、そうするとそのポイントがたまると、こういうようにして回収を促進しようということを打ち出されました。だんだんそういうようなことに国全体がなっていくのではないかと思います。
また、いよいよこのたび廃プラスチックということで、本県では平成24年に東部でやり、それから29、30年と西部、中部と進んできたレジ袋の廃止、有料化ですね。この有料化を国全体で法律的な手続でやろうというふうに踏み切ることになったということでございまして、このようにだんだんと世の中も動いてくるし、そういう意味で排出者責任のところの度合いも強まってくる、そういう時代の流れなのかなと。我々としても、これをさらに国に対しても働きかけていきたいと思います。
あわせて、また議員がおっしゃるような、リサイクルをしてやっていくだけでなくて、プラスチックにかわるものの、それのことであるとか、それからリサイクルの促進だとか、そうしたことを産業政策としても応援すべきだというお話がございました。
これも今回予算の中に入れさせていただいておりますが、例えばエコマさんはペットボトルのキャップを回収してエコマウッドというようなものの素材に使ったりされて、西部を中心として活動されていますし、またケイケイという会社では、生分解性のプラスチック、竹とかでん粉とか、そういうものでプランターといいますか、植木鉢のようなもの、そういうものを製造していくということになりまして、実験してみると、海の中に入っても底に海藻がついたり、フジツボがついたりとか、こういうようなことでございまして、生分解性の、プラスチックとは違った自然に返る、還元されるようなことになってきていると。お客もついていますので、このような産業化を鳥取県の先端産業としてまた育成することも取り組んでいきたいと思います。
さらに、ロービジョンについてでございますけれども、今回提案させていただいた予算の中に入っておりますが、相談の支援センター、これを設置をするという予算が入っています。ここに相談支援員の配置事業でございますが、具体的には鳥取大学の医学部のほうに御協力をいただいて、そちらのほうで相談支援のセンターをつくるということで予算をお願いをさせていただいております。これは、いろいろ紆余曲折が実はあったのですけれども、最終的には鳥大さんのほうで協力をしていただけるということになり、こういう形になりました。
また、その装具でありますけれども、これについて詳細は福祉保健部長からお答えをいろいろ申し上げたいと思いますが、いろんな手段があって、例えば障害者向けの生活用具として給付する事業だとか、そういうこともございます。いろいろと知恵の使いどころかなというふうに思いながら伺っておりました。
◯議長(藤縄喜和君)宮本福祉保健部長
◯福祉保健部長(宮本則明君)鳥大ロービジョン外来の備品に関しまして補足をいたします。
まず、鳥大ロービジョン外来におきまして、その御要望があったと、議員から御指摘の暗所視支援眼鏡というものを、私も今回初めて認識をいたしました。これに関しましてはどのようなものかというのは、先ほど議員から御紹介があったとおりでございまして、これは、さきの議会におきまして、やはり浜田議員のほうから御紹介のありました話せる眼鏡というような、眼鏡の脇のところに小型カメラがあって、視覚的に入ってくるものを音声で、これは机だとか、これは椅子だとか案内するようなシステムのものがありまして、それと機能は異なるのですけれども、最先端の製品であるというところにおいては同類のものなのかなと思います。次から次に市場に出てきますこういった最先端の製品に関しまして、どれを採用してどれを買い上げるのかということに関しましては、すぐれて医療機関の御判断によるところでございますし、また、この医療機関がお買い上げになる場合には、原則としまして診療医療報酬という公費システムにおいて、その中で賄っていくというのが医療機関の備品のそろえ方と認識をしております。
しかしながら、今、議員がおっしゃいましたように、40万円程度もして、個人個人にとってみれば健康保険の対象外というものを、全て試すに当たっても全くすべがないのかと、全部自分で買うという決意をしないと眼鏡屋さんと話ができないのかというと、そういうわけでもございません。まず、このロービジョンの対象者というのは、視覚障害でいきますと3級から6級の方に該当するのではないかと思われるところでございまして、そうであるならば、障害者総合支援法の対象になるので、地域生活支援促進事業といった、いわゆる現物給付のような制度がございまして、国費が2分の1、県が4分の1、市町村も4分の1といったシステムでございます。また、それとは別の角度で、生活困窮者支援制度というものもありまして、市町村のほうが2分の1、国のほうが2分の1といった制度もあるわけでございます。このようなことでいろいろな制度が、すべがあるようでございますので、県のほうで特定の方に対して特定の眼鏡をというようなことまでは今持ち合わせておりませんけれども、いろいろな制度を使えば市町村のほうで御決定があれば何とかなるのではないかと思っております。
◯議長(藤縄喜和君)17番浜田議員
◯17番(浜田妙子君)こうした進化していく補助具ですね、その展示会が先般、山口のほうで開かれました。鳥取県でもそうした展示会を開くようなチャンスがあれば、ぜひお考えいただきたいというふうに最後にお願いして、終わらせていただきます。
◯議長(藤縄喜和君)本日の議事日程は全て終了いたしました。
これをもって散会いたします。
午後4時07分散会
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