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  1. 奈良県議会 2005-02-01
    03月09日-04号


    取得元: 奈良県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-17
    平成17年  2月 定例会(第274回) 平成十七年        第二百七十四回定例奈良県議会会議録 第四号 二月    平成十七年三月九日(水曜日)午後一時二分開議                            由本知己・北中路子速記   --------------------------------    出席議員(四十五名)  一番 井岡正徳          二番 浅川清仁  三番 上村庄三郎         四番 奥山博康  五番 荻田義雄          六番 田中惟允  七番 藤本昭広          八番 山村幸穂  九番 田中美智子        一〇番 今井光子 一一番 上田 悟         一二番 山本進章 一三番 中野雅史         一四番 笹尾保博 一五番 神田加津代        一六番 森下 豊 一七番 畭 真夕美        一八番 上松正知 一九番 吉川政重         二〇番 高柳忠夫 二一番 欠員           二二番 岩田国夫 二三番 粒谷友示         二四番 菅野泰功 二五番 中辻寿喜         二六番 安井宏一 二七番 丸野智彦         二八番 辻本黎士 二九番 吉川隆志         三〇番 岩城 明 三一番 田尻 匠         三三番 欠員 三四番 国中憲治         三五番 秋本登志嗣 三六番 小泉米造         三七番 飯田 正 三八番 米田忠則         三九番 松井正剛 四〇番 出口武男         四一番 新谷紘一 四二番 小林 喬         四三番 服部恵竜 四四番 山下 力         四五番 山本保幸 四六番 中村 昭         四七番 梶川虔二 四八番 川口正志   --------------------------------    欠席議員(一名) 三二番 大保親治   --------------------------------    議事日程一、当局に対する一般質問   -------------------------------- ○議長(米田忠則) これより本日の会議を開きます。 会議時間を午後六時まで延長します。   -------------------------------- ○議長(米田忠則) ただいまより当局に対する一般質問を行います。 順位に従い、二十三番粒谷友示議員に発言を許します。--二十三番粒谷友示議員。(拍手) ◆二十三番(粒谷友示) (登壇)議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。 まず初めに、行財政改革について質問いたします。 私は、平成七年の初当選以来一貫して、県政に民間経営の発想を取り入れ、ドラスチックな改革を進めるよう訴え続けてまいりました。この間、柿本知事にも、行政「経営」、行政にも民間経営の発想をという理念を掲げていただき、行財政改革に取り組んでいただいております。その成果もあってか、県の職員の意識も少しずつ変わってきているようにも見受けられます。 しかしながら、「役所の常識は世間の非常識」などと言われますように、民間の立場、商売人の立場から見ますと、行政の考え方や行動にはまだまだ首をかしげたくなるようなことが多くあります。何かにつけて「予算がない」、「制度上できない」などと言って、県民の求める新しい仕事を嫌う一方で、いつまでも成果の上がらない事業を漫然と続けていたり、「前例がないから」と言って硬直的な事務処理を続けているようにも見受けられます。これに対して民間企業は、スピーディーな決断、実行力、そしてコスト意識がなければ生き残れません。今や、中小の企業も中国の製品や東南アジアの市場を相手にしています。グローバルな競争に勝ち残らなければ、あすの生活もできなくなるのであります。 「行政は営利目的ではない」、「行政は民間とは違う」と言っても、現在、国、地方とも財政は危機的な状況にあります。平成三年度決算では九十八兆円以上あった国と地方の税収は、この間二十兆円近く落ち込み、平成十四年度決算では七十九兆円となっています。一方で、国と地方を合わせた長期債務の残高は、平成十六年度末には七百兆円を超える見込みです。本県においても、右肩下がりの歳入、右肩上がりの県債という状況の中でどのように生き残っていくのか、行政にも一層経営感覚が必要とされていると考えるところであります。 さて、このたび示された平成十七年度一般会計予算の規模は、三位一体の改革による歳入の減少等を受け、対前年度比三・九%の減、四年連続の減となっています。平成十三年度当初予算では五千八百億円を超えていたものが、わずか四年の間に一千億円以上減り、四千八百億円に満たない額となっています。その一方で、合計特殊出生率一・一八と、四十七都道府県中四十五位にある中で喫緊の課題となっている少子化対策、昨年十一月の女児誘拐殺人事件の発生などで県民の不安が高まっているほか、東南海・南海地震等大規模災害の発生に備えた体制の整備が求められている中での生活の安全確保、産学官一体となった関西文化学術研究都市の建設推進等、さまざまな県民ニーズが山積しています。新年度の予算案は、このような状況の中、真剣に行財政改革取り組み、思い切ってめり張りをつけた上で編成されたものだと理解しております。 行財政改革に関しては、これまで県は、県財政全体や公の施設のバランスシート、行政コスト計算書を公表するなど、民間の経営手法を取り入れてきました。また、県立病院の各種業務や水道施設管理業務民間委託を行うなど、民間の活力を生かしてコスト削減を図っています。さらに、行財政改革を担う職員の意識改革は重要であり、職員に経営感覚コスト意識を浸透させる必要があります。職員の民間企業への派遣研修については、昨年六月の県議会一般質問でもお尋ねしたところですが、派遣対象となる職員を管理職にも広げるとともに、研修の成果を県庁全体にフィードバックするための取り組みも行っていると聞いております。これらの取り組みは、これまで私が機会あるごとに求めてきた、「行政にも民間の発想を」との考えに沿うものであり、評価をするものであります。 さらに現在、去る二月二十八日の知事の議案説明にもあったとおり、平成十七年度から三カ年を目途とする第二次新行財政改革実施計画が本年度内に策定されると承知しております。この実施計画の案を拝見しましたが、事務事業の見直しや民間委託の推進、職員定数の削減、さらには指定管理者制度の導入等の公の施設の見直し、各公社・事業団の見直しなど、幅広い内容が掲げられております。個々の内容を見ても、数値目標を掲げるなど踏み込んだものとなっております。また、昨年十二月から本年一月にわたり、素案をパブリックコメントにかけ、広く県民の意見を募集したと聞いております。行財政改革の推進には何よりも県民の理解が欠かせません。もちろん、まずは職員みずからが身を削ることが重要ですが、計画の段階から県民の声を聞き、協力を求めようとする姿勢が大切であります。このような取り組みに対し、一定の評価をしたいと思います。 しかし、一方で、税収が落ち込み、補助金も交付税も削減されて、ようやく改革が始まったのではないか、あるいは、厳しいリストラを行い、難局を乗り越えようとしている民間企業と比べると、まだまだ行政の取り組みには甘いところもあるのではないかという印象もあります。 そこで質問の第一点は、今後どのような心構えで行財政改革に取り組んでいくのか。また、平成十七年度の予算案に対して具体的にどのような取り組みが反映されているのか、総務部長にお伺いをいたします。 また、行財政改革を考える際には、組織のスリム化やコストダウンももちろん大切ですが、いかに歳入を確保するかという視点も不可欠であります。民間企業の場合でも、幾ら経費を節減しても、それ以上に売上げが落ちてしまったのでは収益は確保できません。そのような観点からも、歳入の確保は非常に重要です。県として、地域の経済活動を活性化するための環境を整え、税収の増加に努めることも重要だと考えるところであります。すなわち、暮らしやすい環境を整え、多くの方に住んでいただくこと、観光産業を活性化させ、多くの観光客に来ていただくこと、奈良の土地にふさわしい意欲ある企業に進出してもらうことなどが必要です。これらの政策も行財政改革の一環として必要ではないかと考えます。これらにどう取り組んでいくのか、総論で結構ですから、総務部長にお伺いをいたします。 また、財政難の今日、財産処分により歳入の確保を図る方策も必要かと考えます。民間企業であれば、保有する価値の低い物件を早期に処分するのは当然のことであります。県においても、各種の事業実施に伴って取得した土地は多種多様と思いますが、時代の変遷により、将来も県として利用する見込みのない未利用の物件があるならば、積極的に処分を進めるべきだと考えます。平成十七年度においても未利用県有地の売却を予定しているとのことですが、県有財産の保有と処分に関して県はどのような考え方で取り組もうとされているのか、これもあわせて総務部長にお伺いをいたします。 次に、行財政改革の視点から、土地開発公社及び住宅供給公社健全経営に向けた取り組みについて、お伺いいたします。 土地開発公社の業務の一つである公共事業用地の安定的・計画的な先行取得事業については、今日まで本県の社会資本の整備充実を図る上で大きな役割を果たしてきたこと、また、住宅供給公社については、かつての住宅不足の時代に、主に中堅所得層のニーズに対して安くて良質な住宅を供給するために設立され、一定の成果を上げてきたことは十分認識しているところであります。 一方、昨今の新聞報道によりますと、公社の健全経営化を進めていく上で、土地開発公社が保有する五年以上のいわゆる長期保有地の解消及び住宅供給公社が抱える未分譲地の計画的な処分に向けた取り組みが、全国的な課題として報じられているところであります。本県においても相当の長期保有地なり未分譲地も抱えていると思うが、処理の長期化が進めば、その分県民の負担が増大することになり、民間経営の視点から見れば、公社の経営の健全化に大きな圧迫をかけるのではないかと思うところであります。今日、長期保有地や未分譲地の早期解消に向けた諸施策を検討される時期に来ていると思います。 そこで、土地開発公社長期保有地、また住宅供給公社の未分譲地に対し、公社の健全経営に資するため、どのように取り組んでおられるのか、土木部長にお伺いをいたします。 また、これも行財政改革に関連して、もう一点問題提起をいたします。 県は各種の基盤整備や施設整備を進めています。これらのプロジェクトでは、県民の税金を原資として多額の投資が行われていますが、その効果はどのように把握されているのでしょうか。幾らの投資に対し幾ら回収できたのか、その効果の把握があって初めて次の投資が計画できるのではないでしょうか。例えば施設建設の場合、利用者が年間何人なのか、使用料の収入はどれだけなのかといったのは当然把握していると思います。しかし、それだけではなく、その地域に与えた経済効果は全体としてどれだけなのかといったことまで県民に対して示すべきではないでしょうか。県民の税金を預かって仕事をする以上、そのような姿勢が求められると考えます。このように効果を測定する方法はなかなか難しいかもしれませんが、大規模なプロジェクトに限定して、その地域の税収がどれだけ増加したかを図るということも考えられます。この件については、本日のところは問題提起にとめておきます。 次に、健康寿命の重要性についてお伺いをいたします。 我が国では、少子・高齢化の進展に伴い、年金などいわゆる若年層の負担の問題が叫ばれておりますが、いまひとつ忘れてはならないのが医療費の増嵩の問題であります。身近な例を挙げますと、新年度の本県の予算では老人保健医療給付事業については、平成十年度には五十五億円あったものが、十七年度には七十六億円余りとなっており、その対象医療費は千四十四億円にも上るとのことであります。また、介護給付費負担金も、前年度に比べ一〇%増の八十億円となっています。恐らく日本全国で見ると、こういった公費の負担の累積は大変な額に上っているわけであります。平成十七年度の国一般会計予算では、全体が〇・一%という横ばいの中で、社会保障関係費が二・九%増となっております。 もちろん、医療の進歩は大切であります。病気になった場合、最新・最高の医療が望まれるのは当然でありますが、これらはできれば少ない方が望ましい、いわゆる後ろ向きの経費と言わざるを得ません。今後いかにしてこれを抑制していくか、つまり、できることなら、だれもが病気、けがをせず、健康な体で長生きをすることが、この膨大な医療費などの公費負担を抑制する最高の策となります。国では、国民の健康寿命を今後十年間で二年程度延ばすなどの数値目標を盛り込んだ健康フロンティア戦略を中心とした健康づくり施策を十七年度予算で具体化されました。まさに健康寿命を延伸できるかどうかは、まずは本人、そして家族の幸せに直結する問題であり、また、国、県全体の経費削減問題であります。 以上のように、健康を害したときの対策はもとより、健康を害さないような予防、さらには健康を増進するということに主軸を移していくことが重要であると考えております。そこで、県が進めている健康増進施策についてお伺いをいたします。 私も含め、多くの皆さんは、日常生活の中で、ややもすると健康のありがたさを忘れ、病気になってから、しまったと思うのが常でありましょうが、県ではこのことに着目し、十三年度には「健康なら21計画」を策定し、十五年度には健康増進プランをつくり、県民の健康増進に取り組まれております。その状況はどうなのか、また今後の取り組みについても伺ってまいりたいと思います。 さらに、現在策定中の新長期ビジョンの中でも、このいわゆる健康寿命の問題を取り上げていくべきだと思いますが、その点についてもあわせて健康安全局長にお答えをいただきたいと思います。 これで壇上からの一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(米田忠則) 滝川総務部長。 ◎総務部長(滝川伸輔) (登壇)二十三番粒谷議員のご質問にお答えいたします。 私には、行財政改革について、三点のお尋ねでございました。 まず、今後行財政改革に取り組む心構え、また、十七年度予算への反映の状況でございます。 新年度の本県の財政は、知事からも何度か答弁申し上げましたとおり、平成十六年度にも増して厳しい事態でございますので、まずは安定的な財政基盤の構築が急務であります。そこで、平成十七年度の予算編成に当たりましては、平成十六年度前半から財政特別点検を開始し、県行政全般にわたり制度論を含む見直しを実施したところでございます。今回の予算案には、この財政特別点検事務事業評価の結果に基づきまして、庁舎、公の施設の管理運営に係る経費の節減、特別会計、公営企業会計公社等外郭団体経営合理化等による財政支出の削減、補助金等各般事業見直し等による約九十七億円の節減効果を反映しているところでございます。また、これに加えて、百十四名の定数削減による約十三億円の節減効果も反映しているところでございます。 一方で、このような時期にこそ新たな政策課題への対応や将来を見通した施策が求められており、現在策定中の新長期ビジョンも踏まえ、民間の活力も活用しながら、新規の施策にも積極的に取り組むこととしているところでございます。現在策定中の第二次新行財政改革実施計画、行革の新しい実施計画でございますが、この中でも八つの大きな柱の一つとして「奈良の資源を生かした行政サービスの展開」を掲げまして、新長期ビジョンの関係、あるいは平城遷都一三〇〇年に向けた事業の展開、ボランティア・NPO活動の推進、観光振興施策戦略的展開産研学連携の推進、土地利用規制の見直し、遊休農地の解消・活用といった項目を掲げまして、人、県土、遺産といった戦略資源を活用し、また、必ずしも県の行政がすべてを担うという発想ではなく、民間のアイデアや活力を生かして、県全体としての活力を高めるための取り組みを進めることといたしております。 また、新年度予算案には、これらのほか行財政改革取り組みとして、お尋ねにもございましたが、公の施設における指定管理者制度の導入・推進、県立医科大学地方独立行政法人化に向けた準備といったことについても所要の経費を計上してございます。これらにつきましても、単なるコスト削減ではなく、例えば指定管理者制度であれば、民間事業者等による施設利用者のニーズに応じた柔軟なサービス、運営を、医科大学の地方独立法人化につきましては、中期目標の設定と自律的・機動的運営を通じました教育・研究・診療水準の維持・向上を目指して進める、こういった考えで取り組むことといたしております。 次に、税収増のための政策にどう取り組んでいくのかというお尋ねでございます。 税収増に関しましては、税の徴収強化対策を図ることは当然のこととして、議員ご指摘のように、地域の経済活動を活発化させることにより税収の増加を図ることも、行政「経営」という観点からは重要でございます。先ほども申し上げましたとおり、新たな行革の実施計画におきましては、地域の戦略資源、人、県土、遺産を活用した施策の推進等について取り組むということで、やや繰り返しになりますけれども、一三〇〇年記念事業や観光振興施策戦略的展開ものづくり産業活性化のための産研学連携の推進、シニア世代の経験、知識、技術を活用した本県産業活性化の推進、農業担い手養成研修体制の充実、土地利用規制の見直し、遊休農地対策、さらに奈良の食づくりの推進などといった地域経済の活性化に資する項目もこの行革の計画に盛り込むということとしたところでございまして、平成十七年度予算案にも、それぞれ関連する事業費を計上したところでございます。 なお、行政がすべてを担うのではなく、民間におけるさまざまな取り組みやご努力に着目し、それを支援・促進するという発想に立って取り組むことが、そもそも行政全般として進めていかなければいけないわけでございますが、こうした経済活性化にかかわる施策の実施に当たりましては、特に重要と考えているところでございます。 三点目は、県有財産の保有と処分に関しての考え方でございます。 県民の貴重な財産である県有財産の有効活用を図るということは非常に重要なことでございます。また、厳しい財政状況の中、歳入を確保するという観点からも、利用可能な土地の効率的な運用を図ってまいったところでございます。特に平成十五年度からは、新たに、利用見込みのない比較的小規模な土地について、一般競争入札による売り払いを実施いたしまして、十五年度、十六年度と合わせまして十件の土地で三億円弱の売却額を上げるなど、積極的に取り組んでまいったところでございます。十七年度におきましても、引き続きまして、中規模程度の土地も売却予定地に加えるなど、利用見込みのない土地については売却を一層推進していく考えでございます。 土地の処分につきましては、こうした住民の方々が利用しやすいような、職員住宅跡地のような比較的小規模な土地につきましては、利用する必要がなくなった場合には、引き続き積極的に売却を進めていくということでございますが、一方、比較的大規模な土地につきましても、土地利用規制や地域のさまざまな事情等にもよるわけでございますが、まずは県の公共利用としての活用方策を探ることとし、さらに、所在市町村等も含め公共的な利用が見込めない場合には、民間への売却も含めまして検討していきたいと考えているところでございます。 以上でございます。 ○議長(米田忠則) 南土木部長。 ◎土木部長(南哲行) (登壇)二十三番粒谷議員のご質問にお答えいたします。 私に対しましては、土地開発公社長期保有土地住宅供給公社の未分譲地への取り組みについてでございます。 土地開発公社及び住宅供給公社は、それぞれの設立目的に従いまして、公有地の取得、工業団地等の造成、それから住宅の供給事業等を展開してきたところでございます。現在は、新規の開発につきましては着手を控えているところでございます。議員お尋ね土地開発公社における長期保有土地の早期処分につきましては、鋭意努力しております。その成果といたしまして、平成十五年度から十六年度にかけまして、学研ならやまの研究施設で一区画、それから学研高山地区で一部売却したところでございます。一方で、住宅供給公社の未分譲地につきましては、真美ヶ丘団地で二十区画、それから芝団地で七区画を販売したところでございます。さらに、一定期間の賃貸方式など多様なニーズに対応した販売方法を活用して、早期の完売にも努めておるところでございます。 このように成果が得られているところではございますが、いまだ手持ちの長期保有土地、それから未分譲地があることも認識しているところでございます。今後とも、公社の健全経営を確保しつつ、一般会計への負担が生じることのないよう、これらの土地を処理していく所存でございます。そのためには、引き続きまして、地道な販売活動に努めますとともに、どのような対応策が効果的なのか、社会情勢も視野に入れながら検討していくことにしております。 以上でございます。 ○議長(米田忠則) 三上健康安全局長。 ◎健康安全局長(三上貞昭) (登壇)二十三番粒谷議員のご質問にお答えいたします。 私に対しましては、健康寿命の重要性について、その中で県民の健康増進に取り組まれている現状と今後の取り組みについて、また、さらには、現在策定作業中の新長期ビジョンの中でもこの問題を取り上げるべきだと思うが、どうかという質問でございます。 健康寿命の延長と早世の減少を目指し策定いたしました「健康なら21計画」の目標を達成するために、昨年度、なら健康増進戦略会議を設置いたしました。参加団体等がみずから健康づくりに取り組む健康増進行動プランを策定しまして、県民参加の実践運動の推進を図っております。 健康寿命を延ばすためには、若い時期からの肥満や運動不足の解消と適切な食生活が重要でございます。健康寿命に最も関連性が高い歩行能力の維持向上を目指し開発いたしましたステップアップ体操やウオーキングが地域に根づきますよう、健康運動出前事業を実施しております。この事業には、昨年十二月末現在、地域の老人会など約九千人が受講しております。また、健康的な食生活の定着に向けまして、野菜たっぷりヘルシーメニューをはじめ、脂肪控え目塩分控え目などの取り組みも実施しております。新年度は新たに、保健所や健康づくりセンターにおきまして健康ビデオの放映を行いまして、正しくわかりやすい健康情報を提供する環境を整備する健康ビデオライブラリー事業を実施予定しております。 また、現在策定中の新長期ビジョンの中でも、健康寿命、すなわち健康で自立して暮らすことができる期間を延ばすことは、非常に重要課題の一つとして検討しているところでございます。引き続き、広く県民に健康寿命の重要性が浸透し、県民が生涯にわたり日常的に健康づくりに関心を持ち、みずからが実践できるよう県としても取り組んでまいる所存でございます。 以上でございます。 ○議長(米田忠則) 二十三番粒谷友示議員。 ◆二十三番(粒谷友示) 今、まず局長からご答弁を賜りまして、いわゆる健康寿命については、新長期ビジョンの中で十二分に反映していきたいとご認識をいただきましたので、本当に評価をするところでございます。というのは、私、このような問題を取り上げたというのは、実は、私の同級生というのは、昨年定年退職したメンバーなんです。先般、一年後にこうして会いますと、いわゆる同じ仲間でも、趣味やサークルを通していわゆるセカンドライフを謳歌している人もいらっしゃいます。しかし一方では、あまり趣味を持たない人なんかは、これという病気じゃないんですけれども、何か病院通いをしている人が大変多うございました。そういう意味、メンバーを見ておりますと、あいつ、ふけよったなあというような仲間が少なくなかったんです。これは、私は人ごとじゃない。いわゆる元気で長生きをしたい。これがやはり、これからの高齢化社会の問題で行政が何ができるのか、何をなすべきかというのは、私は一つの問題だろうなと思っておりましたので、今回は総論の話を、いわゆるエントランスの部分でございますけれども、今後、私もこれは各論についてご意見、ご提言を申し上げていきたいなと、このように思っております。 次に、土木部長からご答弁を賜りましたけれども、正直言うて私、大変不満でございます。昨年の決算委員会でも、私や、当時中村昭議員もこの問題についてかなり厳しく質問いたしました。今部長からご答弁いただいたのが、地道な販売をやっていくということでございます。今そんな地道な形で本当にいいんでしょうかね。 過去にこういう新聞もございました。千葉県の堂本知事が、公社の不動産の時価評価が予想よりも低く、愕然とした、それが特定調停の位置にあると。あるいはまた北海道の高橋知事も、どうしてこんなになるまでほっておいたんだろうな、待ったなしで処理策を考えるということをおっしゃいます。これは、いわゆる会計処理法が時価会計ではなかったということが最たる原因だと思います。奈良県はそうじゃない。時価会計でおやりいただいていると思いますし、強制評価損を導入されておりますから、いわゆる健全経営だと思います。 しかしね、住宅供給公社のこの未分譲地については、もう事業を新たにやらない。いや、それよりも、いかに早くスクラップをするかという話になってくると思うんです。地道な活動よりも、やはり計画的に早く処理をしていくという、そういう時代じゃないでしょうか。やはり今、民間企業でも、不動産というのは、今までは持つ経営から、持たざる経営になってきております。行政も、持つ行政から持たざる行政、いわゆるいかにスリムにそうする行政に変わってきたのと違うかなと思うんです。そういう意味では、あえて答弁は求めませんけれども、やっぱり今、思い切った計画を持って推し進めていただきたいということを、これは強く強く要望しておきます。 次に、総務部長からご答弁を賜りました。かなり真剣にこの行財政改革にお取り組みをいただいているということについては、これはもう高く評価をさせていただきます。ただ、これ、今年度の新年度予算の取り組みは、財政調整基金を取り崩しての話なんですよね。そういう意味では、これはもう、知事をはじめ関係部局、大変この予算についてはご苦労されたと思います。そういう意味では本当に敬意を申し上げたいし、本当にご苦労さまでしたなと、こう申し上げたいと思います。 ところが、それだけじゃないんですね。いわゆる今後、三位一体の改革を含めて、さらに厳しい財政改革が進められてくると思うんですね。そういう意味で、本当に気が早いかもしれませんけれども、来年、じゃあどうなるんだろうな。やはり来年はさらに厳しい中にあるならば、いわゆる行財政改革を前倒しをしてでもやれることはまずやる、そういうふうな物の考え方というのは当然必要だと思うんです。そういう意味で、総務部長、もう一点、もう一度ご答弁いただきたいなと思います。 ○議長(米田忠則) 滝川総務部長。 ◎総務部長(滝川伸輔) 行革に一層厳しく取り組めということで、前倒しも含めてもっと取り組むべきではないか、その考え方はどうかと、こういうお尋ねだったと思います。 十七年度はこの新しい行革実施計画の初年度でございますから、やはりこの進行管理をきちんとやっていく、それによって徹底した行革に取り組むということが基本姿勢だろうと考えております。今回の実施計画策定に当たりましては、できる限り項目ごとの目標を明確にするように努めているところでございますので、そうした目標達成に向けて着実に頑張るということだと思いますけれども、原則としてこの計画、三カ年ということで立てておりますが、三カ年かけてやればいいという考え方ではなくて、ご指摘のように、早期に目標を達成した方が効果があるというものであれば、これは当然速やかに取り組んでまいる必要があると考えております。 具体的なやり方としては、例えば事務事業評価でございますと、これは十六年度から十七年度は予算に評価結果を反映するということを頑張ってやってきたわけですけれども、新年度以降は組織管理、定数管理にもこの事務事業評価を生かせないかといった工夫もしてみたいと考えておりますし、財政特別点検につきましても、今年度の成果を踏まえて、より一層議論を進めていきたいと、こう考えております。 いずれにしても全庁挙げての取り組みが必要になります。ちょっと部内のことになるんですけれども、こうした進行管理でありますとか、全庁的な取り組みを進めていくに当たりまして、端的に言いますと、行政経営課、財政課、人事課とそれぞれの所掌はあるわけですが、特に中心となるこの三課の連携による促進ということを心がけていきたいと、こう考えております。 以上です。 ○議長(米田忠則) 二十三番粒谷友示議員。 ◆二十三番(粒谷友示) 私、昨年の一般質問で、この行財政改革について柿本知事に質問させていただきました。そのときに私、この自席で突拍子もない考え方を申し上げました。いわゆる第二の奈良県庁がもしあったなら、そのトップにカルロス・ゴーンが知事だったら、どんな奈良県財政をやるんだろうなということを申し上げました。しかし、近い将来そういうこともあり得ますよということも申し上げました。いみじくも大阪府のことしの予算において、市場化テストの導入ということについての検討をなさいます。私は、ああ、こういう時期になってきたんかなと。奈良県の場合は民間委託ということで、できることならば民間にというところまで進めてまいっております。しかし、もう大阪府は、特に奈良県よりも厳しい財政でございますから、いよいよ本丸で民間企業と勝負をするというような、そんな市場化テストの導入に向けて一歩足を踏み入れました。私はこの市場化テスト、どうなるのかなと、大変注視をしていきたいなと思っております。 そんな中で、私もこの十年間、一貫して行財政改革ばかりを訴えてまいりました。知事もご理解をいただいておりますけれども、当初は県財政も今ほど厳しくないですから、なかなかご理解をいただけない職員さんも多かったわけでございますけれども、今、まさに三位一体の改革の中で、全庁挙げて、私は、職員さんの中にも、少々血を流してもやむを得ない改革をしたい、そんな気運が盛り上がっていると思います。そういう意味では、今こそが、ある意味では受け皿ができた、職員さんの気持ちの中にも改革をしたいという気持ちがある、そういう時代こそ私はビッグチャンスかなと。私が以前から申し上げておりますように、ドラスチックなイノベーションは今やらなあかんのと違うかな、今こそ職員の皆さん方もそういう改革については気持ちよく受けていただけるんじゃないのかな、そういうふうに思っておりますので、知事はじめ関係部局の皆さん方、どうぞ思い切った改革を今やっていただきますようお願い申し上げまして、私の一般質問を終わります。 ○議長(米田忠則) 次に、四十五番山本保幸議員に発言を許します。--四十五番山本保幸議員。(拍手) ◆四十五番(山本保幸) (登壇)議長のご指名をいただきました。事前に通告いたしております四点につきまして、知事、こども家庭局長、健康安全局長、教育長に質問をしてまいりたいと思います。 まず環境問題について、地球環境問題についての県の取り組みについて、お尋ねをしていきたい。 地球環境問題は、二十一世紀を通じて人類が挑戦すべき課題であり、長期にわたる取り組みが必要であります。温暖化ガスの排出増加に歯どめがかからないとどうなるのか。国立環境研究所の予測では、海面上昇や異常気象の頻発、生態系の破壊など、さまざまな悪影響が懸念されています。昨年のような高温多湿の夏が当たり前になり、超大型台風が生まれやすくなるとしています。既に温暖化の影響と考えられる異変が各地で目立ち始めています。科学者らが集まる「気候変動に関する政府間パネル」が二〇〇一年に出した報告書は、CO2の排出がふえ続けると、二一〇〇年までに平均気温が最高で五・八度上昇、海面も八十八センチ上昇すると指摘しています。 かつて国際自然保護連合は、地球はこの宇宙の中で生命の存在が知られている唯一の場所にもかかわらず、人口と資源消費量の増大で、その生命維持能力を低下させると警告し、そこには、生きていくために苦闘している多数の貧しい人々と、ぜいたくに資源を浪費する少数派が存在しており、今こそ新しい国際的経済秩序と新しい環境倫理の確立が必要であるとしております。そして、我々はこの地球を親から相続したものとしてではなく、子孫から前借りしているのだということを忘れるなと呼びかけました。こうして未来の地球環境を守るためには、平和、人権、貧困の追放、食料、人口などとあわせて推進しなければならないと言っております。この二月、七年たってようやく京都議定書が発効されました。目標達成は決して容易ではなく、国、地方公共団体、事業者、国民といったすべての主体が、それぞれの役割に応じて総力を挙げて取り組むことが不可欠であると言えます。 日本の温暖化対策は、二〇〇二年につくられた温暖化対策推進大綱によって、二〇一二年を目標に三つのステップで進められ、この四月から第二段階に入っていきます。国はこの五月までに二酸化炭素の排出量の多い工場や企業の削減対策をつくるなど、新たな計画を作成する予定になっていると聞いています。奈良県としても、県はもとより市町村、県民、事業者、民間団体などが連携・協調して、温室効果ガスの総排出量を抑制していかなければなりません。 そこで質問いたします。まず一点目は、日本では、平成二年十月に国の地球温暖化防止行動計画が決定され、この行動計画に沿って広範な地球温暖化対策が推進されており、また、地方公共団体においても、地域の状況に応じた地球温暖化防止の取り組みが始められつつあります。平成九年の地球温暖化防止京都会議では、日本は温室ガスの排出量を一九九〇年に対して六%削減することが義務づけられました。これを受けて平成十一年四月には、地球温暖化対策の推進に関する法律が施行され、国、地方公共団体、事業者及び国民のすべてに対して具体的な取り組みが求められているところであります。奈良県の場合、従前の取り組みに加え、十七年度には、奈良県庁ストップ温暖化実行計画(二次)、エコスタイルキャンペーン普及事業、新エネルギー地域自律プロジェクト推進事業等を新規に打ち出されています。しかし、議定書が発効され、産業廃棄物税、森林環境税等導入の動きの中にあって、今日ほど環境問題に対する県民の関心が高まっている状況はかつてないものだと考えています。そこで私は、このような背景を踏まえ、県民、事業者、行政のパートナーシップのもと、地球温暖化防止対策を地域レベルにおいて計画的・体系的に推進するために、(仮称)奈良県地球温暖化防止計画を策定すべきだと考えますが、いかがでしょうか。ご答弁願います。 次に、地球の温暖化は、エネルギーや資源の消費による温室効果ガスの大量排出や、その吸収源となる森林の伐採などが原因となっており、事業活動から日常の生活活動まで、社会経済活動のすべてに深くかかわっています。そのため、地球温暖化問題の解決には、現在の大量生産、大量消費、大量廃棄型の構造そのものを見直し、循環を基調とする持続的な発展が可能な仕組みに変えていく必要があります。京都議定書に定められているのは、二酸化炭素、メタンを含めて六種のガスが対象とされています。温室効果ガスの排出量の大半は二酸化炭素であると言われております。そこで、奈良県内における二酸化炭素の排出量の部門別内訳について、現状どのようになっているのか、教えていただきたいと存じます。 次に、地球温暖化対策推進法の中で、各都道府県に地球温暖化防止活動推進センターの指定や地球温暖化防止活動推進員の委嘱ができることとされています。奈良県では、推進員の委嘱について実施されていることは承知いたしておりますが、地球温暖化防止活動推進センターは、全国的に見ますと、三十二都道府県が既に指定されており、近畿では奈良県と和歌山県だけが指定されていません。活動内容は、広く県民に対する普及啓発、情報提供、推進員の養成、中小規模事業所の研修、相談等々が主たるものであります。積極的な取り組みを求めるものですが、答弁を願います。 次に、里山・里地対策についてお伺いをいたします。 過去、どこの水田にもありふれて生息していたメダカやゲンゴロウ等が絶滅危惧種になり、かつては生物の多様性の宝庫であった里山・里地の危機の深刻さと保全の重要性が、近年認識されるようになりました。一九九四年の環境基本計画や二〇〇二年の新生物多様性国家戦略などで里山・里地が取り上げられ、二〇〇三年には自然再生法が制定されました。また、農林水産省によって「日本の棚田百選」が選定され、各地の棚田が脚光を浴び、棚田保全の機運を高めました。環境省でも里山保全モデル事業を開始し、二〇〇四年には、国土交通、農林水産、環境の三省共管による景観法が制定され、同年、文化庁は文化財保護法を改正し、里山等の文化的景観が文化財として指定できるようになったと聞いております。 大和郡山市民に慕われている矢田丘陵、北は生駒市から南は斑鳩町法隆寺付近までの低い丘の連なりであります。このうち子供の森から松尾寺付近までが県立矢田自然公園に指定され、平成八年から奈良県の矢田山遊びの森整備事業が始まり、各種施設、ハイキング道の整備が進められてきました。森をはぐくむ、森とふれ合う、森に学ぶと、文字どおり多くの県民に活用していただいているものと考えております。このように、代表的な里山は整備されてきておりますが、県内を見ると、いまだ各地の里山・里地の面的な保全策が十分展開されているとは言えないのではないでしょうか。光の当たった里山ばかりが日本の里山ではない。影になり、やがて人知れず忘れられていく里山の方が量的には多いと言えます。 そういった中、一部の県、六道県で新たな条例が制定されています。それらの注目すべき内容は、従来の森林の視点に置いた山自体の整備だけではなく、里山周辺、例えば田んぼや畑といった農業、神社やお寺、民家といった文化的財産も含めた景観、循環型社会の構築といった環境対策等、総合的に取り組もうとするものであります。まして今日、農業や林業の利用が低くなりつつある中、今後、里山を地域社会の中で資源、環境、文化としてどう位置づけし、里山と人々がどのような関係を再生し得るのかが大きな課題になっています。本県では、里山林機能回復整備事業を含め、四つの森林対策を行っていこうとされています。重要な施策であり、積極的に取り組んでいただきたく期待をいたしますが、さきに触れましたように、さらに高い理念を持った施策の展開が求められるものと考えます。 千葉県の条例では、里山の保全整備及び活用の基本理念を定め、県の責務及び県民、里山活動団体、土地所有者の役割を明確にし、里山活動認定制度等を設けており、基本理念の中では、里山機能の積極的評価、伝統的な文化の継承、県や県民の役割分担等が明確にされています。他の府県でも、「緑豊かな里づくり」、「緑の保全と創出」など、自治体によって文言は異なりますが、身近な自然である里山を見直し、そこにすむ多様な生物、関連した文化を守り、次世代に引き継ぐことが趣旨で、条例の多くは里山の保全と回復のために市民ボランティアの育成支援を柱にしております。 そこで質問いたします。里山・里地保全の重要性が近年認識される中、県においては農林の視点でどのような基本方針で施策を展開されるのか、お尋ねをいたします。 次に、DV防止法改正について質問を行ってまいります。 昨年、代表質問でも取り上げさせていただきました。平成十六年十二月から、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(配偶者暴力防止法)の改正法が施行されることとなりました。平成十三年四月に公布され、三年経過後見直しが行われました。改正の中身は、一つ、保護者対象の拡大、二つ、対象となる暴力の範囲の拡大、三つ、命令の期間の拡大、退去命令の再度の申立て等、保護命令制度の拡充がなされました。また、今回の見直しにおいて、配偶者からの暴力定義についても、新たに精神的暴力も含まれることとなりました。そして、今回の大きな特徴は、国及び地方公共団体の責務が明確になったことであります。国及び地方公共団体の責務の規定を、「国及び地方公共団体は、配偶者からの暴力を防止するとともに、被害者の自立を支援することを含め、その適切な保護を図る責務を有する」と改められました。都道府県はこの法律に基づき、基本計画の策定、相談センターによる自立支援の明確化、民間団体との連携、福祉事務所、市町村等の役割の明確化、外国人被害者の対応、警察の対応等、それぞれ規定されることとなりました。 さて、本県においても、平成十七年度予算において、女性に対する暴力防止対策として、新たにDV防止法及び被害者支援基本計画を策定するとともに、こども家庭相談センター、女性センター等の関係機関や民間団体との連携・協力のもと、相談支援体制の充実、人材の育成を進めていくこととされています。県はこの三年間、現場でさまざまな女性に対する暴力や人権侵害に直面し、それら被害者の保護や自立に向けた活動、研究を重ねてこられ、改正法案の策定に当たっても、国に対して積極的に働きかけてこられたものと思います。これらの取り組みを踏まえ、なお一層の推進を期待し、以下の質問を行います。 一、平成十三年にDV防止法が制定されましたが、被害者の保護など、県はこれまでどのように取り組んでこられたか。二つ目に、平成十六年十二月に改正DV防止法が施行され、都道府県に基本計画策定が義務づけられたところであり、県として検討委員会を設置し、計画策定に取り組まれると聞いています。ついては、関係機関との連携、市町村における配偶者暴力相談支援センター機能の充実、相談窓口に対する苦情への対応など、配偶者からの暴力の防止や被害者の自立支援など、計画策定に当たっての基本的な考え方についてお聞かせください。 次に、肺がん治療薬イレッサによる副作用に関連して、県立医科大学附属病院及び県立病院の現状と対応についてお伺いをいたします。 イレッサは、夢の薬とうたわれた薬で、今までがんに対しては特効薬がなく、この薬はがん細胞のみに働く薬で、画期的な薬と言われました。がん細胞がわずか二週間で半分になったという報告も上がっています。しかし、先日、テレビで、副作用が問題になっている、あるいは製薬会社が訴訟をされているとの報道がなされていました。この問題は、イレッサという薬自体がだめというわけではなく、医師が他の抗がん剤と併用したり、肺がんのみと言われておるのに別の臓器のがんに使われた例があり、被害が拡大された。また、今まで抗がん剤はヨーロッパ人が効けば東洋人ほかすべての人種が効くとの考え方が常識でしたが、しかし、今回のイレッサを服用していた東洋人の患者さんは、生存の期間が延長したという報告が出ているそうであります。一般の人から見れば、普通、人種によって薬の効き方に差があるとは思われませんが、実際はとても重要なことであったりいたします。 具体的には、既存の抗がん剤で効果が見られなかった患者さんにイレッサを投与する臨床試験では、日本人で七〇・五%、外国人で三八・五%の患者が、がんの進行がとまるという効果が見られ、そのうち日本人の二七・五%でがんの大きさが半分になったという大きな効果があらわれたと聞きます。その一方では、投与された患者に程度を問わず何らかの副作用があったのは九八%に上るとの報告もされております。特に昨年の三月末現在、国内では、急性肺障害や肺炎などの副作用により四百三十八名も死亡したとして、その一部で訴訟も行われております。情報によりますと、医薬品の副作用の報告は医療機関から直接厚生労働省へ報告されるということであり、県内の患者さんの状況報告は困難であると聞いております。 そこで、イレッサの投与に際しては、警告として、肺がん化学療法に十分な経験を持つ医師が使用するとともに、緊急時に十分措置できる医療機関で行うこと、また、高齢者、妊婦、小児に投与する場合や効能・効果に関しての使用上の注意事項がありますが、県として、県立医科大学附属病院や県立病院での抗がん剤であるイレッサの使用状況やその効果について、どのようになっているのか、また、患者の方々に対するインフォームド・コンセントについてどのように行っておられるのか、お伺いをいたします。 最後に、障害児教育についてお伺いいたします。 先月の二十六日から今月五日まで、知的障害のある人たちが日ごろのさまざまなスポーツトレーニングの成果を発表するスペシャルオリンピックス冬季世界大会が長野市で開催されました。競技会では、一人ひとりが精いっぱい力を出し切り、最後まで競技をやり終えた方々全員が表彰をされていました。そのひたむきさに大きな感銘を覚えると同時に、知的障害のある人たちがこのように自分の持てる力を十分に発揮するには、多くの人たちの理解と支援、適切な環境整備が不可欠であることを改めて痛感したところであります。障害に対する理解とそれに応じた適切な支援を行うことは、教育においては何よりも重要なことであります。とりわけ学校教育においては、成長期にあってさまざまな可能性を持つ子どもたちを対象としていることから、障害のある子どもたち一人ひとりの教育的ニーズに応じた適切な教育環境を整えることに可能な限りの努力を払わなければならないと考えます。その意味で、県教育委員会が昨年、養護学校二校の新設や西の京養護学校と七条養護学校の統合などを含む障害児教育諸学校の適正化計画を発表され、障害児教育の充実を図ろうとされていることは、こうした考えの実現に向かうという点ですばらしいことだと考えています。 ところで、年次計画では、平成十七年度に盲学校とろう学校が管理運営面で一体化されるとともに、西の京養護学校と七条養護学校が統合され、知的障害部門と病弱の両部門を備えた奈良東養護学校として生まれ変わろうとしております。先般、自閉症の子どもを持つ親御さんから、この統合問題についての相談を受けました。その内容は、一つ、県の財政難及び障害児教育適正化実施年次計画が教育の切り下げにつながることのないように、二点目に、教員の削減が行われないように、その他安全面や人員配置、教育環境の整備充実でございました。 そこで教育長に伺います。西の京養護学校と七条養護学校の統合はどのように進められるのか。また、安全面、人員配置、施設整備の整備充実についてもお聞かせいただきたいと存じます。 以上で壇上からの一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(米田忠則) 柿本知事。 ◎知事(柿本善也) (登壇)四十五番山本議員のご質問にお答えいたします。 私に対する質問は、環境問題でございます。 その第一点が、地球環境問題についての県の取り組みということで、三点ございます。 まず、この地球環境問題に、地球温暖化防止対策のために奈良県地球温暖化防止計画を策定すべきではないかと、こういうご質問でございます。 地球温暖化対策といたしましては、平成十二年度に奈良県庁ストップ温暖化実行計画というものを策定いたしました。まずはみずからという考え方で率先行動に取り組むとともに、環境フェアの開催や、県が委嘱した地球温暖化防止活動推進員による市民講座の開催など、広く県民に広報啓発に努めてきたところでございます。また、平成十五年度には、温室効果ガスの大部分を占めるエネルギー源の二酸化炭素に焦点を当てて、二〇一〇年における削減目標値を設定し、この目標達成のための取り組みプロジェクトを示した奈良県地域省エネルギービジョンを策定したところでございます。 他方、ご質問でもお触れいただきましたように、京都議定書が発効いたしまして、国におきましては、この議定書による国際公約である温室効果ガス六%の削減目標を確実なものにするために、従来の温暖化対策推進大綱にかえて、さらに対策を強化した新たな達成計画の策定がこの五月にも閣議決定される予定と承っております。そういう段階でございますので、この国の達成計画に準じた地域レベルでの地球温暖化防止計画の策定についてのお尋ねでございますが、今後、まず、この閣議決定に伴い、国において示される新たな追加対策とか目標値を見据えながら、先ほど申し上げました地域省エネルギービジョンの目標値やプロジェクトについて見直しを進めてまいりたいと考えております。また、現行ビジョンに掲げていない非エネルギー起源部門や森林等による二酸化炭素の吸収源などの項目につきましても、目標値の設定方法や推進方策について研究を進めてまいりたいと思います。その上で、お尋ねの県の防止計画につきましては、実効性のある計画策定に向けて検討してまいりたいと考えております。 いずれにしても、地球温暖化防止対策を計画的・体系的に地域レベルで実践することは重要なことであると考えておりまして、引き続き、県も県内の事業者として、率先して省エネルギー、地域温暖化防止に努めるとともに、県民、事業者に対する効果的な取り組み方法についての情報提供に努めまして、いわば県民、事業者と一体となった実践の取り組みを進めてまいりたいと考えております。 次に、この温室効果ガスの排出量の主たる部分を占める二酸化炭素の排出量の部門別内訳についての現状のご質問でございます。 県内におけるエネルギー消費に伴う二酸化炭素排出量を、二〇〇一年、平成十三年度実績で見ますと、全体でまず五百六十八万トンということになっております。これを部門別に見ますと、まず、第一次産業及び第二次産業の活動によるいわゆる産業部門では、全体の一九・二%、百九万トンとなっております。それから、個人及び世帯の家計消費活動による、家庭部門といいますか、これが二六・八%の百五十二万トン、それから、第三次産業及び事務所、ビル等の企業管理部門等の事業活動、このうち運輸関係を除いた業務部門では二二・四%の百二十七万トン、それから運輸部門という人及び物の輸送活動に係る部門、これが三一・六%の百八十万トン、こういうことになっております。この排出量の特徴を全国の部門別排出量の構成比率と比較いたしますと、産業部門が相当低い状況にある反面、運輸部門及び家庭部門に占める割合が高い傾向にございます。これが本県の特徴でございます。 次に、地域温暖化防止活動推進センターの指定についてのお尋ねでございます。 この地球温暖化防止活動推進センターは、地球温暖化対策推進法の規定に基づきまして、温暖化防止に関する啓発・広報・相談活動などを行う公益法人または特定非営利法人の中で、その申請に基づいて各県で一カ所指定するものでございます。本県におきましては、地域のリーダーとしてこの温暖化対策に関する知識の普及啓発を担っていただくために、先ほどご質問いただきましたように、地球温暖化防止活動推進員の方々を県が委嘱しております。こういう方々で設立された活動団体がこのほど、この一月ですが、NPO法人の認証を取得されました。このほか県内には環境問題に熱心に取り組んでおられるその他の活動団体も育ってきているところでございまして、こういう状況から、県民に対する温暖化防止の相談活動や情報提供をより一層充実させるために、認証取得されたNPO法人も含めまして、その他の活動団体の意向も伺いながら、早期にこの推進センターの申請がなされるように必要な指導・助言をしてまいりたいと考えております。 それから、環境問題のもう一点は、里山・里地対策でございます。 里山・里地というのは、一般的に申し上げますと、集落を中心に、その周りに広がる森林や農地、ため池等を包含する自然豊かな空間と、こういうふうにとらえられておりまして、農林業等の生産活動や、薪炭--まきでございますが--をとる生活の営みを通じて保全され、いわゆるふるさとの原風景を形づくってきたところでございますが、生活燃料のまきから石油等への転換とか、農林業の担い手の不足、都市化の進展等に伴いまして、放置される里山・里地が増加しつつあることはご指摘のとおりでございます。 こうしたことから、基本方針というお尋ねでございますが、県では、環境保全、景観形成、生物の多様性の確保等、多面にわたる機能を有するこの里山・里地の重要性にかんがみまして、その保全と活用を積極的に図る、こういう基本方針のもとに、担い手の育成や生産・生活基盤の整備など、農林業の振興、農山村の活性化に向けた施策をいろいろ展開しているところでございます。具体的に申し上げますと、特徴的なものといたしましては、これは国の政策でもございますが、中山間地域等の直接支払いの実施とか、ため池等の水辺空間づくり、あるいは農山村まるごと収穫体験&ウオークとか、直売所のネットワーク、棚田保全活動、あるいは自然遊歩道活動、森林ボランティア、そういう各種の活動を進めているところでございます。 さらに、新年度におきましては、森林環境税の導入によりまして、放置され、荒廃した里山林について、森林ボランティア等の協力を得て地域景観を回復するための整備を行う里山林機能回復整備事業等の実施に向けた検討を行ってまいりたいと考えております。住民参加による農地・農業用水等の資源を適切に保全管理する手法の検討をモデル地区で実施したいと考えております。このほか、歴史的風土保存区域内における里山・里地の景観保存のため、古都保存法による土地の買入れと管理に加えまして、新年度にはNPOとの協働事業として、現地調査とかボランティア活動推進に向けた啓発などに取り組んでまいりたいと思います。ご質問で、面的な里山・里地の保全の拡大と、こういうご指摘がございました。今後ともその趣旨を体しながら、また、県民の方々の一層のご理解とご協力をいただきながら推進してまいりたいと考えております。 以上でございます。
    ○議長(米田忠則) 上森こども家庭局長。 ◎こども家庭局長(上森健廣) (登壇)四十五番山本議員のご質問にお答えをいたします。 私に対しましては、DV防止法の改正に伴います二点のご質問でございます。 まず一点目は、DV防止法の制定以来、県はこれまでどのように取り組んできたのかというご質問でございますが、平成十三年四月のDV防止法の制定が契機となりまして、DVに関する相談や一時保護の件数が急増をいたしましたことから、DV被害者への相談支援及び保護の一層の充実を図るために、平成十四年から十五年にかけまして、中央こども家庭相談センターの女性部門の建替えを行いました。保護室二室、定員六名を、保護室七室、定員十六名に増設をしたところでございます。また、同伴児のプレイルームにも使用できるように、多目的ルームやカウンセリング業務にも対応できる相談室の新設に加えまして、エレベーター、スロープなどの設置など、バリアフリーにも配慮をした整備を行ったところでございます。なお、センターが配偶者暴力相談支援センターとしての中核的役割を担うということから、平成十四年度には、正規職員を二名、心理担当職員を一名及び夜間の電話相談員一名を配置し、組織面での強化も図ってまいったところでございます。 また、DV被害女性の保護や自立支援を図るためには、住宅、就労、経済面などさまざまな支援が必要なことから、平成十三年度にNPO、福祉関係者、警察、ハローワーク、保健医療機関及び県の関係課で構成をする配偶者等からの暴力被害者支援協議会を発足させ、中央こども家庭相談センターを中心に、関係機関、関係施設等と連携をとりながら、母子生活支援施設への入所、住宅のあっせん、就労相談など総合的な自立支援策を行っているところでございます。 次に、二点目のご質問でありますが、改正のDV防止法の基本計画の策定に当たって、県は基本的にどういうことを考えているかというお尋ねでございますが、今回の法律の改正では、配偶者からの暴力の定義の拡大、保護命令制度の拡充、市町村による配偶者暴力相談支援センターの業務の実施のほか、都道府県には、国の基本方針に則した基本計画の策定が義務づけられたところでございます。国の基本方針におきましては、配偶者からの暴力の防止や被害者の保護、自立支援に関すること等広範多岐にわたる施策を、地域の実情を踏まえ、総合的・計画的に取り組むよう指示をされたところでございます。これを受け、県では、これまで推進をしてきました施策を点検・評価をしながら、平成十七年度中に基本計画を策定することといたしております。 計画策定の基本的な考え方といたしましては、配偶者暴力相談支援センターを中心に、民間支援団体や各関係機関、県及び市福祉事務所との効率的な連携を図るとともに、生活保護や母子生活支援施設への保護など、既存の福祉制度の弾力的な運用を図りながら、DV被害者女性の保護や自立支援、同伴児童の健全な育成等の施策の充実を図る予定でございます。また、より身近な地域で相談対応が可能となるよう、現在、九市三町で設置をされております女性相談窓口等の相談機能の充実や、未設置市町村へ窓口設置を働きかけるほか、配偶者暴力相談支援センター機能が果たせるよう、市町村担当者会議、女性相談機関交流会等での情報提供や職務関係者の研修等の実施により、支援に努めることといたしております。 なお、被害者からの相談窓口に対する苦情の処理につきましては、従来からおのおのの行政機関で適切かつ迅速な対応処理に努めているところでございますが、今後も、窓口対応による二次的被害の防止や被害者の人権に配慮した対応について、担当者会議を通じながらも周知徹底を図る予定でございます。また、計画策定に当たりましては、民間の支援団体をはじめ、有識者、人権擁護機関、市町村等の関係機関で構成をする検討委員会を設置し、DV被害者の発生防止や相談、一時保護、自立支援に至る総合的な対策について、協議をいただきながら策定に取り組むことといたしております。 以上でございます。 ○議長(米田忠則) 三上健康安全局長。 ◎健康安全局長(三上貞昭) (登壇)四十五番山本議員のご質問にお答えいたします。 私に対しましては、肺がん治療薬イレッサによる副作用に関連しまして、県立医科大学附属病院や県立病院での使用状況やその効果はどうか、また、患者の方々に対するインフォームド・コンセントをどのように行っているのかということでございます。 肺がん治療薬イレッサは、英国の製薬会社が一九九〇年代から開発しまして、平成十四年七月、世界に先駆けて日本で輸入承認がなされました。発売当初より副作用による急性肺障害、間質性肺炎などで死亡する症例が相次ぎまして、厚生労働省は、輸入元のアストラゼネガ社に対しまして緊急安全性情報を配布するよう指示し、医療関係者に注意を喚起してまいりました。しかし、一方、このイレッサは、手術ができない、または再発しました非小細胞性肺がん、今までの薬があまり効かない患者さんですが、こういった方々にも効果がある内服薬として注目され、本県におきましても、医科大学附属病院及び県立病院等で使用されております。医科大学附属病院及び県立病院におきます平成十四年発売から平成十七年一月末日までの累計投与症例数は約百例ございまして、うち六例、約六%に急性肺障害、間質性肺炎の発症を認めております。しかし、十八例、約一八%でございますが、におきましては、がんの縮小効果、塊が小さくなる、こういった効果が認められております。 かねてから医科大学附属病院及び県立病院では、医薬品の投与については常に慎重を期すとともに、患者への副作用などの情報提供にも努めてまいりました。特にこのイレッサに関しましては、厚生労働省の指示によりまして、平成十四年十月十五日付で緊急安全性情報が配布され、また、添付文書の改訂がなされたことによりまして、イレッサの投与に当たりましては、一つ目として、副作用の初期症状の説明、また、致命的となる副作用症例があることの説明、二つ目としまして、少なくとも四週間の入院またはそれに準ずる管理のもとでの投与を行うことなど、患者さんに対しまして十分な説明と対応を行っております。今後とも、医薬品の投与につきましては、より一層の適正使用を推進し、重大な副作用発生については未然に防止するよう努めてまいる所存でございます。 以上でございます。 ○議長(米田忠則) 矢和多教育長。 ◎教育長(矢和多忠一) (登壇)四十五番山本議員のご質問にお答えをいたします。 私には、西の京養護学校と七条養護学校の統合にかかわりまして、どのように進めるのか、安全面、人員配置、施設の整備充実についてどのように考えているのか、お尋ねでございます。 このたびの障害児教育諸学校の適正化につきましては、知的障害児の増加や障害の重度・重複化、特別支援教育など、障害のある子どもたちの教育をめぐる情勢の変化に応じまして、希望者全員を受け入れることを基本にしながら、より適切に教育環境を整備するために実施するものでございます。議員お述べの西の京養護学校と七条養護学校の統合につきましては、知的障害児の著しい増加と病弱児の減少という状況に対応するとともに、社会への移行期に当たる高等部教育の充実を図ることを主な目的として実施するものでございます。この統合に当たりましては、これまで西の京養護学校が担ってきた知的障害教育と、七条養護学校が担ってきた病弱教育のそれぞれの専門性を残し、隣接する両校の施設設備の有効活用を図りながら、統合校として必要な整備も行ってまいります。 具体的に申し上げますと、病弱児を対象として使用してきた七条養護の施設設備を知的障害児も使用いたしますことから、四月の開校を控えまして、既に窓ガラスの破損防止や転落防止など安全対策面での整備に努めているところでございます。さらに、学校としての機能を高めるため、校舎間の連絡通路の設置や、平成十八年度の高等養護部の開設に向けまして、職業実習棟の改修も行ってまいります。とりわけ職業実習棟の改修に当たりましては、基本的・基礎的な教育内容を充実させるとともに、将来の社会参加を視野に入れ、園芸や木工といった従来型の実習だけではなく、時代のニーズに応じた介護等にかかわる作業実習も可能となるようにしたいと考えております。また、教員等人員配置につきましては、障害児教育諸学校適正化委員会からの報告を踏まえまして、知的障害、病弱の部門別に学級を編制し、統合校として義務標準法等の法に基づき適正に行う所存でございます。今後も、適正化実施年次計画を着実に実施をし、障害児教育の充実を図ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(米田忠則) 四十五番山本保幸議員。 ◆四十五番(山本保幸) 地球温暖化防止、きのうも衛星放送でテレビでやっていましたんですが、皮肉にも、承認というか、発効していないアメリカのマスメディアが温暖化問題を取り上げておりました。この百年間で地球の温度は平均で〇・六度上がっただけらしいです。ところが、〇・六度が大きな影響を与えておると。北極圏では場所によっては六度も上がっておるところがあるという報告がなされておりました。その結果、食物連鎖、プランクトンがなくなっていく。そして、それを食べる小魚がいなくなる。さらにそれを食べる大きな魚がいなくなる。私たちの海底といいますか、周辺ではそういった事実が報道されておりました。あるいは、これも北極圏だと思いますが、北アメリカの方で、カリブーというトナカイに似た動物が、今まで十六万頭おったのが十三万頭に減ったと。その他さまざまな原因不明の病気が出ておると。日本でもさまざまなそういった、原因のわからないといいますか、自然現象が起きておるという報道がなされております。 この京都議定書、ようやく発効されることになりました。極めて地球規模の問題でありますが、ローカルでもしっかりとした取り組みが求められるわけであります。そういう意味で、最初に知事の方から防止計画の策定に向けて積極的な取り組み姿勢を示されました。また、推進センターについても、いろんな事情があります。NPOを中心に考えておられるということでありますが、他の府県では、財団法人やら、社団法人やら、さまざまな組織も含めながら推進センターの設置もなされておるところであります。早急にこれらの整備なり、あるいは計画の策定が進められるようお願いしたい。 ただ、里山・里地の問題、どちらかといいますと、奈良県の今回出されてきた内容については、里山を中心とした整備、教育や、そういった問題になっておるわけでありますが、知事も答弁なされましたように、面的な、もっと文化という視点なり、あるいは二〇〇四年に景観法が制定されました。奈良県は自然環境に対しては国よりも先んじた条例制定もやってきた経過もあるわけでありますから、ただ、県から網をかぶせてこうしろということじゃなくて、できたらもっと、これからボランティア、NPO団体の人たちが中心になるわけでありますし、あるいは企業もこれから積極的に従業員がボランティア活動をやっていこうという方向にもあります。もっとそういった末端といいますか、第一線で働く方の連携組織とか、あるいはそれを支援する体制というのは、残念ながら不十分と言わざるを得ないというふうに思っております。 そういう意味で、私は、さまざまな、現在五つか六つですか、さらに京都がことしから条例制定をするというふうに言っております。ボランティアの皆さん方なり、あるいは県民の意識をどう、こういう地球温暖化の問題なり、あるいは自然環境に対して取り組んでいただくか、そういう視点での啓発を中心とした条例になっておるわけでありますので、ぜひとも今後、奈良県としても前向きに検討をお願いしたいというふうに思っております。面的な整備、そういった視点からも含めて、これは単に農林だけではなくて、いろんな部門も関係すると思います。知事のリーダーシップを大いに期待をしたいというふうに思います。 その他教育関係、教育長の答弁をいただきました。スクールバスの問題やら、あるいは給食の問題、さまざまな細かい問題も寄せられておりますので、そういった要望書がまたお手元に行くと思いますが、ぜひとも十分に考慮していただきまして、障害者にやさしい教育現場の確立というものを目指していただきたいと思います。 以上で質問を終わります。 ○議長(米田忠則) しばらく休憩します。 △午後二時三十九分休憩    -------------------------------- △午後二時五十九分再開 ○副議長(吉川隆志) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、二十番高柳忠夫議員に発言を許します。--二十番高柳忠夫議員。(拍手) ◆二十番(高柳忠夫) (登壇)通告に従いまして一般質問を行います。昨日の代表質問で民主党会派の基調提案を岩城明議員が行いました。きょうの後半二こまは、民主党議員、昨日の基調に続きまして各課題について質問していきます。私の後にベテラン議員の山下議員が控えておりますので、心丈夫に質問させていただきます。 それでは、一つ目の質問は、国保連合会の生駒総合病院の廃院についてであります。 生駒総合病院の廃院決定に至る過程は、不透明な部分も多く、幾つかの疑問点があります。まず初めに、なぜ近畿大学一つだけが移譲候補先に決定されたのでしょうか。移譲先選定要領では、選定に当たり、生駒総合病院の機能を継承することが条件として記載されています。にもかかわらず、さきの厚生委員会資料によれば、内定の理由として、地元負担が少ないこと、また、既に近畿大学が生駒市において病院を開設している実績が挙げられ、選定要領による条件が抜け落ちてしまっています。選定要領に基づく条件に照らし、それぞれの候補先を比較することのできる文章は明らかにされていません。近大が他の候補先と比較して移譲先として適当であり、内定されるに至った合意内容を示す文書、あるいは確認書もありません。県や市、あるいは関係団体から、このことを問題とする声はなぜ出なかったのでしょうか。 また、移譲候補先を近畿大学と内定したその日に、この時点では、移譲に向けた具体的な協議に入っていく段階であり、また、協議が不成立となる可能性も考えられるにもかかわらず、国保連合会病院運営委員会は、病院の移行時期を三月末とし、職員の整理解雇を決定しています。さらに、その一週間後、国保連合会の常務理事、参与は、生駒総合病院に医師を派遣している大阪医大に出向き、移譲先を近畿大学に内定した旨、書面で通告しています。その結果、大阪医大は臨時教授会を開催し、同病院からの医者の引き揚げを決定いたしました。先日の厚生委員会における県の答弁では、他の移譲候補先を含め、一律に通告したとのことですが、医者を派遣している機関に対してこうした機械的な行動をとったことについては、廃院への既成事実づくりと考えざるを得ません。今日なお移譲先が決まらない中で、医者の引き揚げ、複数診療科の閉鎖、救急からの離脱など医療の縮小のみが進行しています。この現実を招いたことについても、県からも生駒市からも責任を問う声が聞けませんが、どのように考えているのでしょうか。 また、近畿大学との協議について、十二月三日以降協議の内容が伝わってきています。当初、近畿大学は、引き受けに当たり、設備はそのまま引き継ぐ、そして職員は試験で選抜するとの内容を提示していました。これはほかの移譲候補先に比べて有利な条件でしたが、移譲候補先として内定した以降の協議では、近大は、病院の土地を更地にして無償提供することを求めるとともに、医療の開始は二、三年後、診療科は二科または三科という引き受け内容を示したと言われています。移譲に当たっての条件であった、生駒総合病院の持つ機能の継承、すなわち百九十六のベッド数、一般・小児救急、休日夜間診療、地域医療の継続などが、二から三科の診療へと大きく変わってしまいました。また、土地を更地にすることは、病院が新設されるまでの長期間、医療の空白を生じることになります。答申の譲渡条件とは大きくかけ離れた内容になってきました。 このように近畿大学に後出しじゃんけんをされた以降でも、私は何も後出しじゃんけんをしている近大を責めているのではありません。移譲交渉はシビアです。それを許している国保、生駒市、奈良県に責任があると私は思っています。生駒市は、近畿大学が診療を引き継いだ場合、四億円の補助をすると予算発表いたしました。一月の十三日に三日目の近畿大学との協議を行った以降は一度も話し合いをしていない状況で予算計上しているのです。なぜでしょうか。移譲選定要領、答申とも、医療の空白を想定していません。答申は移譲先の選定時期を明記しているのみであります。この空白期の対応は、どこがどのように責任を持つのですか。答申は民間への移譲を排除しておりません。その場合、選定や交渉にはどこが責任主体として当たるのですか。移譲選定要領、答申を適用し、その条件を守らせる責任主体はどこにありますか。新たなルールにより交渉を行うのであれば、その場合、どこがルールをつくり、選定・交渉に当たるのですか。仮に、移譲選定要領、答申とは無関係に民間病院への移行が行われるのであるならば、何のための検討委員会であったのか、問われると思います。 まだまだ疑問はありますが、生駒総合病院の運営に関する検討委員会が出した答申内容にある「公的医療機関による設置運営に移行するよう努めるべき」との原点に返って再スタートをするべきと考えます。このような経緯で生駒総合病院の移譲先が確定していない状況ですが、地域医療を確保していく立場であります知事の所見を伺いたいと思います。 次に、学研高山第二工区に関して、二点質問いたします。 学研高山第二工区の事業予定者である都市再生機構が二〇〇四年七月に独立行政法人化され、国において時価評価が行われた結果、全体としては累積欠損が七千三百億円となっています。資本金が八千六百億円なので、債務超過にはなっていませんが、特に、ニュータウン整備関係において二兆九千億円の評価減となっており、非常に厳しい状況になっていると言えます。このような状況から、都市再生機構が取り組むべき経営改善計画が示されたところであり、学研都市整備事業も、ニュータウン業務として、二〇一三年までに工事を完了するとともに、用地を早期に処分するなどの方針が示されました。この状況下で学研高山第二工区の準備が進められようとしているのです。 そこで、この事業スケジュールに関してですが、オオタカ調査検討会の提言がことしの夏ごろに出され、その後事業計画が策定されると聞いています。事業認可までのスケジュールはどうなっているのですか。都市再生機構が事業計画案を策定するに当たり、下水道処理の問題、オオタカ保全区域の決定や保全方法をどのようにするかという課題も残されていると考えています。また、高山地区総合公園の規模、位置なども定めなければ土地利用計画を作成できないと考えており、高山地区総合公園について、県の検討状況をお伺いしたいと思います。 次に、去る二月十五日に開催された第六回高山地区オオタカ調査検討会の議事要旨によりますと、二〇〇五年のオオタカ調査の結果を待たずに、「二〇〇四年の営巣付近の都市計画道路は、道路整備による地形改変の抑制、工事時期の配慮等により現状の線形で支障はないと思われる」や、「今後営巣地の移動があった場合も適切な保全の対策をとれば、そのたびごとに道路線形や土地利用の変更を検討する必要はない」等の記述があり、あたかもこの検討会が既に結論を出されたかのように見ることができます。環境省の「猛禽類保護の進め方」によると、調査期間としては、営巣地の発見及び少なくとも繁殖に成功した一シーズンを含む二営巣期、すなわち二営巣期を含む一・五年以上の調査期間が必要とされています。オオタカ保護のためには、二〇〇五年のことしの調査結果を待って保護方策のあり方を検討すべきと考えるのですが、県の考え方をお聞きしたいと思います。 三点目の質問は、障害者福祉に関してであります。 奈良県では、「奈良県障害者長期計画二〇〇五」の策定や、奈良県障害者ケアマネジメント推進委員会の活動により、障害者の地域生活を支える基盤を育てていく努力が行われてきたと思います。その基本目標は、障害者が地域で生きることに置かれていることと理解していますが、国会に上程されました自立支援法によって、それがかけ声倒れになることを恐れています。自立支援法によって支援費制度が後退し、サービス支給量の抑制やグループホームを小規模施設化するなど、障害者の地域生活を脅かす内容となっています。この自立支援法では、市町村を基礎とした障害者相談支援体制の確立とケアマネジメントの制度化を打ち出しています。どうも、キーワードは「障害者相談支援体制の確立とケアマネジメントの制度化」と考えますので、このことに関して県の考えを聞いていきたいと思います。 「奈良県障害者長期計画二〇〇五」では、今後の方向性として、各障害種別ごとに分かれている相談支援事業を、障害福祉圏域を考慮しつつ三障害統合の方向で再編成をする、また、各相談支援センターの窓口には、地域課題の共有化や新たな資源の創出を担うサービス調整会議を設置するなどを掲げられ、数値目標の設定も予定されていると聞いています。しかし、県下の相談支援事業所は絶対的に数が不足しているのが現状です。そして、相談支援事業者の多くが施設に併設されていますが、その活動内容は、併設された施設業務の手伝いをしている形になっているところが残念ながら多くあり、相談支援事業のありようそのものを問わなければならない状況と聞いています。また、関係機関をコーディネートしたり、地域の資源を掘り起こし、育成していくという相談支援事業所への期待に十分こたえられていない現状もあるようであります。また、二年間にわたる障害者ケアマネジメント推進委員会の活動の取りまとめがされ、報告や提言がされると聞いています。 そこで、三点、県の考えをお聞かせください。 自立支援法では、相談支援は市町村の責任と位置づけられていますが、県下の現状を見ますと、その実現可能性に大きな危惧を持ちます。各市町村が単独で相談支援事業所を設置することは困難なケースが大半です。放置すれば、ネグレクトされていく危険があります。奈良県がイニシアチブをとり、圏域を念頭に置きながら、三障害を統合した支援センターを複数市町村が合同で設置することを働きかけていく必要があると思いますが、市町村の意識の違いもあり、困難が予想されます。相談支援は市町村の義務であり、単独では無理な場合は合同で設置する責任があることを何らかの形で明示する必要があると思います。県としての現状認識と今後の進め方についてお聞かせください。 また、より質の高い相談支援センターを設置し、育成していくためには、事業所の選定方法や事業評価が透明である必要があります。ここ数年、支援費制度がスタートしたことも追い風となって、良心的な企業者が県下においても育ちつつあると認識しています。その民間の力をフルに発揮できる場を公的機関がいかに提供できるかが大きなポイントだと考えています。相談支援事業者の指定については、コンペティションを行って決めるなどの方法も十分に可能であると考えますが、考えをお聞かせください。 さらに、人材を活用していく上で、奈良県が主催しておりますケアマネジメント従事者養成研修の修了者を地域の相談支援事業を支えていく中核に育てていくために、ケアマネジメント推進委員会の活動をより活性化することが効果的であると考えます。より意欲のある人材を集めるために、各地域の実情を考慮に入れながら、委員の集め方についても、各地域を活性化していく上でかなめとなる人材に参加していただくなど、工夫の余地はあるように思います。また、重点的な対策が必要な地域には、県が支援をして門戸を広げるなど、さまざまな策が考えられます。県の考えをお聞かせください。 次に、公契約における公正労働基準の確立に向けてをお聞きしたいと思います。 国の三位一体改革が推し進められている中、近年、自治体では、行政改革の一つの手法として、急速に公共サービスの外部化、民間委託化を進めており、奈良県においても、二〇〇三年度の官公需発注実績は一千百億円強で、そのうちの物件、役務の発注実績は四百四十五億円余りとなっています。現在の入札制度は、安ければいいという価格重視の制度となっており、そのため、いわゆる不当廉売を許容することとなり、全国的には、そのことにより、公共サービスの質と労働基準が保障されないと思われるような金額で落札するケースも生じています。他方で談合事件も後を絶たず、現在の入札・委託契約制度が制度疲労を起こしている状況にあります。 公契約における公正労働基準の確保については、日本政府は未批准ですが、国際的にはILO九十四号条約(公契約における労働条項)があります。自治体の委託契約は、公共工事などの建設、製造、労務提供において行われています。公共工事や製造部門には最低制限価格制度が適用されていますが、清掃業務や施設管理、ビルメンテナンス、給食調理、コンピューター管理、医療事務、運転業務、事務作業などの労務提供型請負においては、つい最近までこうした法制度はありませんでしたが、二〇〇二年三月の地方自治法施行令改正により、自治体における労務提供型委託契約にも最低価格制度が適用できることが可能となりました。また、価格一辺倒の入札から、一九九九年二月の地方自治法施行令改正では、自治体において、価格とその他の要素を総合的に判断する総合評価方式の導入が可能となりました。 入札という貴重な機会を活用し、例えば事業者の入札参加に当たっては、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、パート労働法、男女雇用機会均等法、労働組合法、育児休業法、社会保険の加入、障害者雇用促進法、次世代育成法、就業規則整備等のコンプライアンスを参加条件とし、また、特に、過去数年における労働基準法違反企業や不当労働行為企業を入札から排除するなど、価格競争一辺倒の入札から転換を図ることが急務と考えます。公契約における公正労働基準の確立に向け、公共サービスの質の向上をさせつつ、県政が不断に追求している人権、環境、福祉、公正労働、男女平等参画、障害者雇用、地域雇用など、価格以外の要素を総合的に評価する公契約基本条例などの制定も必要であると考えますが、今後の公正労働基準確立に向け、どのように取り組まれるのか、考えをお聞かせいただきたいと思います。 次に、人の命は人権の究極であると言われ、人権が尊重される社会や、教育とは、安全・安心な環境、雰囲気が欠かすことのできない要素という観点から、二点、教育長に伺います。 まず、人権教育についてであります。 一九九五年一月から開始されました「人権教育のための国連十年」に引き続き、国連は、二〇〇五年一月から「人権教育のための世界プログラム」の取り組みを始めました。その世界プログラムの第一段階は、二〇〇五年から二〇〇七年までの三年間、初等・中等教育制度における人権教育の推進に重点が置かれることとなっています。人権教育は、その趣旨からも、本来、学校のみならず地域、職場、家庭など、あらゆる場で実施される必要がありますが、最も基本になるのが学校、中でも初等・中等教育であることは、だれしもが認めるところであります。 県では、「人権教育のための国連十年」に対して、一九九八年三月に「人権教育のための国連十年」奈良県行動計画を策定され、また、市町村においても同様に取り組まれました。さらに、二〇〇一年には、県教育委員会における人権教育推進プランが策定され、人権を尊重する学校文化の具体化を示されたところであります。その内容は、基礎学力の充実、進路(職業・進学)選択する力、生命・環境の大切さ、安全・安心な教育環境など、今日の深刻な社会や教育状況に示唆をするところが大きいと考えます。まさに世界プログラムの行動計画を先取りしたものと思います。一方、文部科学省は、人権啓発に関する基本計画に基づき、二〇〇四年六月には「人権教育の指導方法等の在り方について(第一次とりまとめ)」が発表されたところでもあり、教育分野における人権教育のあり方が取りまとめられつつあると聞いています。こういった時期に、今後の人権教育の推進において、人権教育推進プランの実践は大いに意義のあるものと考えます。 そこで、県は現在、人権教育推進プランの具体化にどのように取り組んでいるのですか。とりわけ学校での人権教育の推進のためにどのように活用されているのか、お伺いしたいと思います。 次に、子どもの食教育の推進について質問いたします。 今日の食生活を取り巻く社会環境の変化は、偏食傾向や朝食を食べないなどの増大など、食生活の乱れや生活習慣病の若年化などにつながっており、猶予ならざる問題になってきています。学校において、将来にわたって望ましい食習慣形成のため、栄養に関する専門性に裏打ちされた食に関する指導を行う必要性が大きくなってきています。こうしたことを背景に、一九九七年、保健体育審議会において、学校における食に関する指導の充実や学校栄養職員の役割の拡大に伴う新たな免許制度の導入を答申し、さらに、二〇〇四年の中央教育審議会におきまして、「食に関する指導体制の整備について」の答申の中で栄養教諭制度創設の提言がなされ、学校教育法の一部改正が行われました。県は、法の趣旨に照らし、学校栄養職員の栄養教諭への移行が速やかに実施されるような条件整備を行うべきと考えますが、その施策について今後どのように進められていくのか、お伺いしたいと思います。 以上で、登壇しての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(吉川隆志) 柿本知事。 ◎知事(柿本善也) (登壇)二十番高柳議員のご質問にお答えいたします。 私に対するご質問は、国保連合会が設立する生駒総合病院についての所見ということのお尋ねでございます。 生駒総合病院は、昭和二十五年四月に、国民健康保険被保険者の受診機会を確保することを目的に設立された病院でございます。以来五十数年にわたり、設立目的に沿った貢献がなされてきたものでございます。しかしながら、現在においては、近隣地域において、民間を含む医療提供体制が確立されてきたことに伴い、当初の設立目的は既に達成され、その使命は終えたものと国保連合会が判断されたところでございます。そのため、国保連合会が生駒総合病院の運営のあり方について諮問する機関として平成十五年十月に設置した検討委員会の答申に沿って、地元生駒市と協議をし、移譲先の選定を進められたところでございます。 国保連合会は、移譲打診先として公的な医療機関である五団体に対して協議を進めた結果、近畿大学が当初示された条件が地元生駒市にとっても最もいい提示内容と判断し、現在協議が進められているものでございます。国保連合会として、三月三十一日での閉院を決定されましたが、生駒総合病院が生駒市内でこれまで果たしてきた小児医療、救急医療、検診事業など、公的医療機関としての役割は大きいものがあったと受けとめております。県といたしましても、閉院に伴うその後の医療の空白期間ができるだけ短くなるように、生駒市の意向を十分受けとめ、新たな病院が早期に開設できるよう関係機関に働きかけるとともに、許認可等の手続についても、できるだけ早期に手続が終えられるよう努力するなど、今後、市と連携を密にしてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(吉川隆志) 藤井企画部長。 ◎企画部長(藤井賢一) 二十番高柳議員のご質問にお答えします。 私には、学研高山第二工区について、大きく二点についてご質問をいただいております。 まず一点目の、事業認可までのスケジュールと高山地区総合公園の県の検討状況についてでございますが、まず、学研高山第二工区の事業認可までのスケジュールについてでございますが、都市再生機構が事業を進めるに当たりましては、設計の概要、施行期間、資金計画を定めました事業計画を策定した上で国土交通大臣の認可を受けることとされているところでございます。機構からは、オオタカ調査検討会の保護方策の提言を踏まえまして事業計画を作成し、その後事業認可手続に入りたいと聞いており、その後、認可までの手続といたしましては、機構が知事及び市長の意見を聞いた上で、事業計画及び知事、市長の意見書を添付し、国土交通大臣に認可を申請、次に、国土交通大臣が事業計画を縦覧し、知事は、利害関係者から意見書が提出された場合、都市計画審議会の意見を付して国土交通大臣に送付をします。それを踏まえて国土交通大臣が意見を審査し、認可をする、そういう手続が法において定められているところでございます。 事業認可の具体的な時期につきましては、オオタカの保護方策の提言が出た後、提言を踏まえて都市再生機構において事業計画の策定を行うものであります。また、さらに、認可申請後に利害関係者から意見が提出された場合は、都市計画審議会に諮る必要があることなどから、現段階において具体的なお答えはできない状況でございます。 次に、高山地区の総合公園の検討状況についてでございますが、この総合公園は、自然環境に配慮した本都市のモニュメントとなるような総合公園の整備を図ると、関西文化学術研究都市の建設に関する計画において位置づけられているところでございます。この建設計画を受けまして、従来からこれまで公園のあるべき機能や位置及び規模につきまして概略的な検討を行った経緯がございますが、基本計画として現段階ではオーソライズするには至っておりません。都市再生機構は、オオタカの保護方策の提言を踏まえまして、高山第二工区全体の土地利用計画を策定することとしており、今後、これについて県としても都市再生機構と協議をしていくこととなりますが、その中で総合公園の検討についても具体的に今後進めていくこととなると考えております。 第二点目のお尋ねでございますが、オオタカ調査検討会についてのお尋ねでございます。 このオオタカ調査検討会は、都市再生機構が、高山地区におけますオオタカの生息環境の保全方策のあり方等について専門家の意見を聞くため、平成十五年十二月に設置したものでございます。これまで六回の検討会が開催され、オオタカの調査方法、調査結果の報告及び保護方策の方向性等について検討がされてきたところでございます。昨年九月に開催されました第四回の検討会では、事業予定地内で一固体の巣立ちが確認されたが、平成十六年繁殖期の調査結果からのみで保護方策について結論を出すことは難しい、もう一営巣期の調査が必要とされたことから、平成十七年の営巣調査等が実施されているものでございます。 先月の十五日に開催されました第六回の検討会におきましては、これまでのオオタカの営巣状況を踏まえた保護方策の検討に向けて意見が交わされたところでございますが、議事要旨には、オオタカとの共生の方向性等に関しました意見が記述されているところでございますが、いずれにしましても、これは結論ではなく、今後も引き続きオオタカの調査が行われるとともに、平成十七年の本年の調査結果を踏まえた保護方策が提言として出されるものと聞いているところでございます。 以上でございます。 ○副議長(吉川隆志) 上森福祉部長。 ◎福祉部長(上森健廣) (登壇)二十番高柳議員のご質問にお答えをいたします。 私に対しましては、障害者の相談支援について、三点のお尋ねでございます。 一点目は、自立支援法において相談支援は市町村の責務とされておりますけれども、現状認識と今後の進め方についてということでございます。 障害者自立支援法案では、相談支援事業は市町村の責務と位置づけられまして、みずからが行うほか、都道府県知事が指定をする相談支援事業者にサービス利用計画案の作成などを委託することができるようになっております。県内における相談支援体制の現況でございますが、障害者を対象とした生活訓練プログラムの実施や総合的相談、情報提供などを行う市町村障害者生活支援事業が五カ所、このほか障害児(者)地域療育等支援事業が三カ所、知的障害者生活支援事業が三カ所、精神障害者地域生活支援センター事業が七カ所など、それぞれ特色を持って相談支援を行っているところでございます。 しかしながら、これらの設置状況は、お述べのとおり、圏域での格差も見られるところでございます。そのため新たな体制づくりが重要であり、現在相談支援センターを設置していない市町村に対しましては、障害者自立支援法への対応も含め、早々にその整備に向けた取り組みを周知してまいる予定であります。また特に、財政基盤の弱い町村におきましては、複数の市町村が共同で相談支援センターを設置することの働きかけなどを行ってまいりたいと考えております。 次に、二点目でございますが、より質の高い相談支援センターを設置あるいは育成するための指定方法についてのお尋ねでございます。 今年度、奈良県障害者ケアマネジメント推進委員会におきまして、県の委託事業でありますが、障害児(者)地域療育等支援事業及び知的障害者生活支援事業の委託先の事業所調査を行ったところであります。その結果、事業内容や事業の実施体制、関係機関との連携など、課題や改善すべき点が見受けられました。このような現状調査を踏まえ、現在、委員会において二カ年間にわたります報告書の取りまとめを行っているところでございます。その中で、事業の質を高めるためにも、相談支援事業所が効果的に事業を実施しているか、その支援方法は適切かなど、定期的な事業評価を行い、それを公表することも必要ではないか、また、委託法人の事業内容が望ましくない場合、委託先の変更も視野に入れ、熱意ある法人において事業が実施されるよう、委託先の選定基準を明確にし、事業実施を希望するすべての法人に平等に機会を与えるべきではないかなど、多くの意見をいただいているところでございます。 県といたしましては、こうした委員会の意見を踏まえ、障害者自立支援法案に基づく新たな制度もにらみながら、相談支援事業者の指定に当たっては、事業者が市町村と連携をすることを基本に、受託法人全体での効果的な事業の推進体制を明らかにすること、また、圏域内においての関係機関とのネットワークを構築するための会議を主宰することなど方針を明確にし、より質の高い相談支援事業が展開されるように努めてまいる所存でございます。 三点目でございますが、支援事業を支える人材を育てていくために、どのような方策を考えているのかということでございます。 障害者ケアマネジメントの手法の普及と体制整備の充実及び人材育成のために、平成十五年から二カ年の間、奈良県障害者ケアマネジメント推進委員会を設置いたしました。平成十五年には、ケアマネジメントの手法を普及し、県内各地で相談支援の実践をされている方々に対し、ケアマネジメントの理念や実施体制が具体的にイメージできるよう、実践事例の担当者に支援の過程やその思いを直接語っていただき、重要なポイントを引き出すなど、工夫をまじえた「奈良県障害者ケアマネジメント事例集」を発行いたしました。また、障害者ケアマネジメント従事者を養成するために、平成十二年度から養成研修を実施し、相談支援に携わる人材の養成を図ってきたところでございます。 一方、研修修了者がすべて地域においてケアマネジメント手法を用いた支援に携わっているわけではなく、人材の有効活用及び援助技術の向上を図る体制など、今後取り組むべき課題もあると認識をいたしております。そこで、平成十七年度におきましても、奈良県障害者ケアマネジメント推進委員会を設置し、圏域ごとの実情を踏まえ、市町村及び相談支援事業所を中心とした推進体制の整備を図ることとしております。また、あわせて、圏域単位での委員会の開催やサービス調整会議の立ち上げのための技術的援助など、積極的に市町村を支援していく所存でございます。 以上でございます。 ○副議長(吉川隆志) 奥田商工労働部長。 ◎商工労働部長(奥田喜則) (登壇)二十番高柳議員のご質問にお答えをいたします。 公契約における公正労働基準確立に向けてのご質問でございます。 県はかねてより、国とも連携をしながら、労働条件の保障や最低賃金の確保について、労働基準法、最低賃金法、雇用保険法等の労働者保護法令の遵守がなされるよう、労働情報誌の発行や労働セミナーを開催するなど、あらゆる機会を通じて企業や関係団体に広報啓発、指導を行っているところでございます。ご指摘の、公契約にかかわって公正労働基準が確立されることは、労働基準法や最低賃金法、労働安全衛生法等関係する労働者保護法令の遵守を図る意味でも重要な課題であると認識をしているところでございます。しかしながら、公契約における労働条項に関する条約、いわゆるILO九十四号条約については、我が国が批准をしていない現状でありますことから、今後とも国の動向も注視してまいりたいと考えております。 県といたしましては、今後とも、近年社会的な取り組みが求められております男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、障害者雇用促進法、パート労働法等の労働者保護のための関係法令遵守の取り組みが多岐にわたって議論されていることもあり、今後、国との連携を強化しつつ、労使双方に対する指導・啓発を踏まえ、公正労働基準の確立に向けてさらに努力を続けてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(吉川隆志) 矢和多教育長。 ◎教育長(矢和多忠一) (登壇)二十番高柳議員のご質問にお答えをいたします。 私には、子どもの生命と安全にかかわりまして二点お尋ねをいただいております。 一点目は、人権教育推進プランをどのように具体化しているのか、とりわけ学校での人権教育の推進のためにどのように活用しているのか、お尋ねでございます。 「人権教育のための国連十年」奈良県行動計画を受けまして、県の教育委員会では、教育分野における人権教育を推進するため、平成十三年に人権教育推進プラン学校教育編を、平成十四年に社会教育編を策定いたしました。この推進プランは、人権教育を自己実現、共生、人間関係づくりの三点から示し、人権尊重の精神をあらゆる教育活動の基盤として根づかせることを目指したものでございます。昨年三月、県が策定をいたしました奈良県人権施策に関する基本計画の中にもこのプランが位置づけられております。 急激な社会の変化に伴い、学校におきましてもさまざまな課題が生じております。そのようなことから、一人ひとりが人間として大切にされることを基盤としながら、互いに助け合い、安心して生活できる社会づくり、学校づくりを進める必要がございます。そのため、この推進プランで示した理念と内容に沿いまして具体的な取り組みを進めることが重要であると考えております。各学校では、人権教育推進体制の整備が行われ、各教科や人権学習における授業研究の取り組み、児童・生徒会活動などの子どもたちの主体的な取り組み、また、職場体験学習などの地域と連携した取り組みなど、具体的な実践が行われております。 この推進プランのさらなる定着を目指しまして、本年度実施をいたしました人権教育の推進に関する調査におきましても、プランの主な活用方策といたしましては、人権教育推進計画を作成する際に活用する、また、人権教育の概念についての共通理解に活用するという学校は多くございましたが、引き続き、学校訪問等による指導や管理職研修、人権教育推進者研修会などを通しまして、人権教育推進プランのより一層の定着を図っていきたいと考えております。なお、文部科学省から学校における実践事例を踏まえた「人権教育の指導方法等の在り方」の第二次とりまとめが本年六月に出されると聞いております。それらの内容も参考にしながら、取り組みを一層進めてまいりたいと考えております。 二点目は、学校栄養職員の栄養教諭への移行についてでございます。学校栄養職員の栄養教諭への移行が速やかに実施されるような条件整備を行うべきと考えるが、その施策について今後どのように進めていくのか、お尋ねでございます。 議員ご指摘のように、孤食、偏食、欠食など子どもの食生活の乱れが顕著になり、学校におきましても食に関する指導を充実させることが喫緊の課題となっております。そのようなことから、栄養に関する専門性と教育に関する資質をあわせ有する栄養教諭制度を創設することとされ、平成十六年五月、学校教育法の一部が改正をされました。平成十七年度から学校に栄養教諭を置くことができるとされたところでございます。県の教育委員会といたしましては、栄養職員の資質向上を図ることを目的として、すべての栄養職員がおおむね三年以内に栄養教諭免許の取得が可能となる認定講習を実施できるよう、現在、文部科学省と具体的な協議を行っているところでございます。なお、自主的に冬期休業中に大学の講座を活用いたしまして単位を取得し、既に栄養教諭の免許状を取得している者が九名いると把握をいたしております。 以上でございます。 ○副議長(吉川隆志) 二十番高柳忠夫議員。 ◆二十番(高柳忠夫) 再度質問させていただきたいと思います。 質問する項目は、総合病院と学研高山の分なんですけれども、あとの障害者の問題なり、公正労働基準の確立なり、教育の問題、改めて委員会での対応をさせていただきたいというふうに思いますので、お願いしたいと思います。特に公契約における問題、同僚議員がこれからきちっと詰めると言っていますので、よろしくお願いいたしたいと思います。 学研高山の問題です。私はオオタカ調査検討会にすごく期待しておりました。平成十五年に市民団体がオオタカの営巣を発見して、十六年にその検討会が持たれて、十六年、十七年の調査を経まして、きちっと保護策ができるだろうというふうに思っていたんですけれども、どうもどうも、十六年で一定の結論を出していくということが今やられているというふうに私は思っています。それは平成十五年の営巣の位置と十六年の位置と、すごく微妙な関係なんですよ。この検討会は、オオタカの営巣の位置情報を出さないということを隠れみのにしまして、私たち議員のイメージを共有化できない。都市計画道路を挟んで営巣がなされている。だから、すごく緊張感のあるところにオオタカが巣をつくるんですよ。十五年つくったところ、十六年つくったところ、もう一遍十七年に十五年のところに巣をつくれば、非常にややこしいと。で、十五年つくったところ、十六年つくった、その間に十七年度、ことし巣をつくったら、都市計画道路の変更を余儀なくされる、そういう状況になるんですよね。 だから、位置情報を、私も位置は大方わからないですけれども、そういう漠とした感じの中のことをつかんでいる中で、こういう抜け駆け的な、それも議事要旨という、どんな真剣な論議をしていたかわからないような要旨の中で結論だけを出してくるやり方に関して、やはり県はおかしいというふうに私は認識を持っていただきたいというふうに思います。そういうことを押さえておかんと、県立公園の面積の問題、オオタカの保全区域の問題、担当者に聞きました。保全区域の面積、広ければ広いほど、これはどこが持つんですか、いやあ、わかりませんと。都市再生機構に聞いたら、それは地方自治体ですよと、あっさり言うんですよね。そういうことも含めて、やはり委員会なりいろんな場所でオープンにしていっていただきたいというふうに思いますので、もっともっと情報を出していく、その姿勢ですね、もう一度お願いいたします。 もう一つは病院の問題です。答弁では、閉院に伴う空白をなるべく短くして、生駒市の意向に沿って鋭意努力するみたいな、そういう答弁やったと思います。私は、そのときに生駒市の意向プラス答申に出された内容をやはり守ると。公的な医療機関にゆだねるという原点にもう一度戻ってそこのことをしなかったら、おとどし、十月からの振りは何やったんかという話になるんですよ。今のままいったら、公的な機関に移譲先を決めていかない流れになるのであるならば、民間に移譲先を決めるのであれば、新たなルールづくりが必要やと。それも、今の答弁では、生駒市の意向に沿うという形にどうしても私は聞こえます。そういう意味では、その答弁の肉づけをしていただきたいんですけれども、民間に移譲するのであるならば、新たなルール、どういう選考基準、第一回目で質問したように、ルールづくりをぜひとも県が音頭を取ってやっていただきたいなと、そういうふうに思います。 で、この間の流れはあまりにも情報提供されていません。そういう意味ではいろんなうわさが飛び交っています。医療のそういう病院がなくなるなり、新たに来るとかいうときには、本当にさまざまな情報というのか、うさわとか、こんなところで私たちの健康が左右されるのかと思うほどのうわさが飛んでいます。そのことを打ち消すためにも、やはり適時な情報の提供というんですか、公開、そのことは必要ではないでしょうかという質問、二遍目です。 ○副議長(吉川隆志) 柿本知事。 ◎知事(柿本善也) 再質問にお答えします。 生駒総合病院、お答えする前に、当然ご承知のように、これは国保連合会が設立している病院でございます。県がつくっている病院でございませんので、これをしかと確認いたしたいと思います。その上で、確かに、医療期間の空白、あっていいということはございませんので、先ほどお答えしたとおり努力したいと、こういうことでございますが、また、生駒市は地元でございますので、地元の行政機関としてその意向を十分反映する、こういうことは必要なわけです。しかし、この病院は国保連合会が開設している病院でございますので、それを飛び越えて県が何か手を出すということはできません。しかし、医療行政全般としての姿勢として、先ほどお答えしたような姿勢で臨んでいきたいと、こう申し上げたわけでございますので、ご理解を賜りたいと思います。 ○副議長(吉川隆志) 藤井企画部長。 ◎企画部長(藤井賢一) オオタカの検討会についての再質問でございます。 審議の経過についての情報の公開につきましては、いずれにしましても、機構、委員会においてなるべく情報公開をしていくという姿勢で、今回も議事録を、可能な限り可能な範囲で公開をしているものでございます。ただ、先ほど議員のご指摘にもありましたように、営巣地の場所自体は、環境省のマニュアルにも記載してありますように、原則として自然保護、行政機関等以外には非公開とするという記載がございまして、それに沿って対応しているものでございます。いずれにしましても、先ほども申しましたとおり、議事録に記載してあります記述等につきましては、いずれにしても結論ではなく、今後の調査を踏まえて対策等を検討していかれるというふうに理解しておりますので、あとはその経過を踏まえて我々としてもよく説明をいただきたいというふうに考えております。 以上でございます。 ○副議長(吉川隆志) 二十番高柳忠夫議員。 ◆二十番(高柳忠夫) 国保病院だというふうに言われるんですけどね、近大との交渉も、議会答弁では県が参加してないというふうに言うてますけれども、県は参加しているんですよね、三回とも、近大との交渉。で、答申を出したのも、十二名中の委員の中、やっぱり県の関係者は七名なんですよ。そういう形で、やはりそれなりの中で力を発揮してきている中で、詰められたときには国保の病院、なるほどそうですよ。そうですけども、医療審議会なり、さまざまなところで医療の広域的なところで責任を持つのは県なわけでしょう。そういうことで、やはり県が責任を果たしていただきたいということを言うて、質問を終わります。 ○副議長(吉川隆志) 次に、四十四番山下力議員に発言を許します。--四十四番山下力議員。(拍手) ◆四十四番(山下力) (登壇)議長のお許しを得まして、一般質問を行いたいと思います。三点です。議員の皆さん、お疲れでしょうけれども、いましばしのおつき合いをよろしくお願いしたいと思います。 一番目の質問は、森林環境税条例についてであります。 我が県の森林面積は県土の七七%を占め、林野率は全国第六位、吉野林業ブランドで全国に通用してきた優良木材の生産地として、きめ細かな管理が行われてきました。九五%が民有林であっても、豊かな森林が持つ多様な公益的機能により、県民が暮らしの中でさまざまな恵みを享受してきたのは言うまでもないところであります。だからこそ我が県としても、厳しい財政事情の中にあっても、森林造成・管理等の関係事業を積極的に推進してきたところであります。 しかし、現実に山はすさんでいます。安価な輸入木材の急増により、国産材の自給率は一八%にまで落ち込み、林業経営が成り立たないところまで追い込まれてきました。保育・間伐をしない、伐採後の植栽をしないままの放置森林が急増しています。かかる状況を踏まえて、林業基本法が二〇〇一年に改正され、これまでの木材生産重視から森林の多面的機能にシフトチェンジし、林業の持続的な発展を期することになったはずであります。また、一九九七年の京都議定書を批准した我が国政府は、いわゆる三・九%問題確保のために、約三百三十万ヘクタールの森林整備の予算を年間二千億円組むとしてきたはずなのに、どうしたことか、本年度の政府予算に反映されていません。昨年六月議会で「地球温暖化防止のための森林吸収源対策の確実な推進を求める意見書」を議決した本議会としても、承服しがたいところであります。恐らく環境税待ちになっているのではないでしょうか。 ところで、森林環境税ですが、山の荒廃をこれ以上放置することができないという発想からの提案だというのは本当でしょうか。率直に言って私は疑いを持っています。国のまやかしの三位一体改革で、補助事業や直轄事業が激減いたしました。県の予算を見ても、これまで国の補助に大きく寄りかかってきた農林関係予算の落ち込みが特に目立っています。一昨年に二百七十一億一千二百万円であった農林部公共事業予算は、新年度予算案では百十三億二百万円で、実に五八%余の減となっているのであります。国の森林施策の再編が明らかになっていないこの時期に、県は新税で何億円の資金を積み立て、具体的にどのようにして、進行している山の荒廃に歯どめをかけるというのでしょうか。要は、費用対効果の関係です。 皮肉なことですが、県民の森林環境に対する意識は十分に醸成されているのではないでしょうか。懇話会が実施した森林環境に関する新たな課税に関するアンケート調査の結果を見ても、九〇%以上の人が森林環境に関心があると答えていますし、森林の木材生産以外の役割についても、おおむね及第点に達していると私は思います。懇話会が新しい施策としている平野部の里山整備等は、生活環境部でNPOとの協働事業として新規に予算化されております。私が最も必要と考えているのは、増加している放置森林の対策です。一体、保育・間伐を要する四十五年以下の人工林約十万一千ヘクタールのうちどれほどの放置森林があって、森林保有者と県が整備協定を締結し、公的関与による強度な間伐を実施するのにどれぐらいの費用と年月を予定しているのでしょうか。 我が国の農業総生産額は八兆九千億円で、農業対策に投じられている公的資金が、人件費も入れて八兆円だと言われています。我が県の林業生産所得は約八十億円で、林業対策に投じられている県費等の公的資金は、人件費を入れて約七十八億円であります。どちらも環境問題を抜きにして説明がつきません。しかし、県はこれまで、かかる観点から県民に説明責任を果たしてきたでしょうか。森林を守ることは、水田を守ることとともに、今後の行政課題のトップレベルの位置を持つと私は考えています。森林を守るためには、多様な切り口から、新しい施策も含めて、さまざまな対応が求められているのではないでしょうか。あえて特化できない対策に課税自主権を行使するのは、体のいい増税措置ではないのかと私は思います。県内の林業就労者千六百人余の高齢化が心配です。五十歳以上の人が四分の三を占めています。いや、六十歳以上の人が五三%を超している現状にかんがみて、早急に林業就労者確保・育成対策を特化して集中論議する必要があるのではないかと考えています。森林も水田も環境も、守る人あっての物種ではないでしょうか。 二番目の質問は、地域共同体の再生に向けた市町村合併の推進についてであります。 戦後この方、経済が著しく成長し、私たちの生活は一見して安定した様相を呈してきました。医療・福祉制度もまずまず整えられて、女八十五歳、男七十八歳を超える平均寿命は世界のトップレベルにあります。外から見れば、何不自由もない結構な暮らし向きに見えるとしても、実際のところは、解決の難しいさまざまな心配事を抱えての悩みながらの日暮らしではないでしょうか。とりわけ、それら心配事はこれまでの我が国社会であまり経験したことのないたぐいが多く、それだけに不安が募るのであります。 お尋ねしたい一つ目の課題は、老いることの不安の問題です。 間もなく一九四七年から四九年生まれのいわゆる団塊の世代が定年退職期を迎えます。我が国人口の五%強、約七百万人に達するこの世代の動向は、二十一世紀の我が国社会のキーポイントを握っていることだけは確かだと思います。本年のピーク時と比べて、二〇一〇年までに約百二十万人、二〇一五年までに約三百万人もの労働者人口が減少し、二〇一〇年の時点でおおよそ十六兆円のGDPが失われると言うではありませんか。我が県にも当該世代の人たちが約八万四千人在住され、うち五万五千人余が就業中と聞いています。県も手際よく、新年度の予算案に、シニア世代経験活用・就業支援事業、シニアライフセミナーの開催等の施策を時宜に照らして準備されていることを評価いたします。最近の中高年齢層の再就職が極めて困難であった経緯を踏まえて、成果の上がることを祈っています。 しかしながら、高齢者が求めているところの核心に行政は向き合えているのでしょうか。六十五歳以上の男性が、友人、知人、近所の人、親戚の人等と会ったり外出したりする回数は、月三回という調査結果があります。また、子や孫とのつき合い方を問われて、「時々会って食事をする程度でよい」が何と六五%、「一緒に生活したい」というのが一八%であります。親の世代との同居の経験をあまり持たなかったこの世代は、子どもとの同居をはなからあきらめているのでしょうか。会社人間の定年後の孤独と寂しさは我らの社会の前史になかったもので、行政の対応が求められているのではないでしょうか。 お尋ねしたい二つ目の課題は、子育てへの不安であります。 少なくとも、我が国の四十歳以上の人々、私もそうでございますけれども、不登校を実感として理解できないのではないでしょうか。少子化の中で育っている子どもらは、他者との関係を築くのが苦手なようであります。他者からの攻撃には傷つきやすく、他者を攻撃してつける傷には鈍感であります。二〇〇二年から減少傾向になってきたとはいえ、全国で今も十三万人余の不登校児童生徒がいます。ひきこもりという言葉を最近よく聞くようになりました。引きこもっている人の六一%以上が不登校経験者で、その数は六十万ないし八十万人と言われています。平均年齢は二十六、七歳です。その治療に当たる専門医は、全国で二百人もいません。既に、ひきこもりの三割以上が三十歳を超しています。 この年代層の人々は、最近、ニートというカテゴリーに入れられるようになっています。ニート、聞きなれない言葉です。学生でもなく、求職やアルバイト、職業訓練もしていない若者のことを言うそうであります。二〇〇二年度の数字で、十五歳から二十四歳で四十万人、二十五歳から三十四歳で三十四万人でありました。要するに、学校へ行くでもなく、職業訓練を受けるでもなく、職探しやアルバイトするでもなく、ほとんど社会とのかかわりを持たずに、いたずらに時をやり過ごすしかない生活をしている若者が約百万人もいるということを、どう考えたらいいのでしょうか。言葉が見つかりません。 しかも、これだけではなく、まだフリーターがあります。派遣労働者、パート、アルバイトや働く意思のある無職の人の含めた総称として、フリーターと言ってきました。二〇〇一年の統計では、十五歳から三十四歳のフリーターの総数は四百十七万人だということであります。この年代の若者の五人に一人がフリーターということになります。そして、その平均年収は百六万円で、同年齢層の正社員の年収の三分の一以下であります。到底、結婚して世帯を持つなど考えられません。この大量のフリーターの存在は社会全体に大きな経済的な損失を与えています。年間で、消費で八兆八千億円、これはGDPにとらえ返しますと一・七%に相当します。税収で一兆二千億円、貯蓄で三兆五千億円の損失があると試算されています。 少子・高齢化がますます進行していく今、十五歳から三十四歳のあすを担っていただかなければならないこの世代の現状を見て、教育行政や労働行政、家庭や企業が抜本的に見直していかなければならない観点があるはずであります。県の見解を示していただきたいと思います。 お尋ねしたい三つ目の課題は、治安に係る不安であります。 昨年の内閣府の世論調査によると、ここ十年で日本の治安が悪くなったと思っている日本人は九〇%、自分や身近な人が犯罪に遭うかもしれないとの不安を感じている人は八〇%で、すこぶる高い数字を示しています。実際に、最悪であった二〇〇二年度の犯罪件数は、十年前と比較して百万件増の三百七十万件に達し、一九八〇年代に六〇%であった検挙率は二〇・八%に低下しています。 この現象の背景となる環境の一つに、大都市圏における急激な高齢化が挙げられています。高度経済成長期に巨大化したニュータウンの第一次入居者が高齢化し、その子どもらの団地離れも進行して、虫食い団地化しています。いわゆるオレオレ詐欺の被害額が、一昨年一年間で四十三億円であったのが、昨年の一月から八月だけで百億円を突破している状況や、昨年末に大胆にも白昼公道上であった奈良市の女児誘拐殺人事件に象徴されているように、犯行の矛先が子どもや高齢者にも容赦なく向けられている現実に、市民の不安が募っています。警察官の増員も必要かもしれません。しかし、それ以上に大切なことは、市民の防犯意識と防犯体制の強化ではないでしょうか。発想の転換という視点で検討されている県警の取り組みがあれば、示していただきたいと思います。 お尋ねしたい四つ目の課題は、市町村合併に係る知事の姿勢であります。 昨年の時点で全国に三千百あった市町村が、来年三月末には千八百九十六に再編される見通しにあるとの報道がありました。減少割合が最も高い広島県では、八十六から二十四に、率にして二七・九%に減少するようであります。我が県は四十七が四十二、宇陀郡が入りますから、もう少し数字は変わるんでしょうけれども、ほとんどかわりばえしていません。我が県の場合、どこかでボタンのかけ違えでもあったのでしょうか。 確かに、明治の合併は小学校を、昭和の合併は新制中学校をつくるためという明確な目標がありました。しかし、平成の大合併にはそうした明確な目標がありません。財政基盤の強化などは、あまりにも専門に過ぎて、わかりにくかったのではないかと思っています。市町村の三役や議員の数が減る、職員の数も減らせられるだろう、有利な特例債であれやこれやの懸案事項をこなしてしまえる等々のあめは用意されていましたが、県内の市町村は動きませんでした。どこの首長も、合併は避けて通れない、財政がパンク寸前と言うけれども、今後のまちづくり、村づくりにとって、これだけの規模の財政力を持った自治体が必要で、住民とともにどんな地域共同体を目指そうとしているのかを首長たちは言わないわけであります。ひっきょう、そこで、地域住民の老いることへの不安、子育ての不安、治安への不安等にかかわっての合併論議を提起することもなく、また高齢者や障害者を支え合うシステムづくりや、DV、児童虐待、老人虐待等の救済システムづくりで市町村が事業主体にならざるを得ない流れの中で、合併論議を組織できてこなかったことに、私は大いに不満があります。 新年度、四月一日から新法に変わります。知事の指導力も当然問われることでしょう。経済の高度成長と国際化、情報化によって崩壊させられた地域共同体を再生させるためにこそ市町村合併が求められていると私は考えています。知事の所見をお聞かせいただきたいと思います。 三番目の質問は、今国会に上程されています障害者自立支援法案に係る問題です。 二〇〇三年に導入された支援費制度は、一九八一年の国際障害年以来、厚生労働省みずからが目標として掲げてきたノーマライゼーションを具現化するための重要な理念の一つである、自己選択、自己決定を保障する施策として評価されてきたものです。地域で自立して生き合いたいと願い続けてきた障害者が、この制度に積極的に対応したのは当たり前のことであります。ホームヘルプやガイドヘルプ等で大きな赤字が出たとのことでありますが、それは障害者に一切責任はなく、単なる役人の見込み違いにすぎません。なのに国は、昨年十月、身体・知的・精神という障害種別に分かれていた福祉サービスを一本化することを軸とした「改革のグランドデザイン案」を作成しましたが、関係者の意見をほとんどくみ取る作業もなしに法案として上げてしまったのであります。この法案がこのまま国会で承認されたら大変なことであります。この間、県と相談し、指導を受けて設立・運営してきた施設やグループホームなどは、解体に追いやられかねません。私がかかわりを持ってきた知的障害者のグループホーム「ガッツの家」の現状をかいつまんで紹介し、県の見解と今後の見通しをお尋ねします。 このグループホームには四人の知的障害者が共同生活を営んでいます。すべて男性です。四十三歳のAさんは、どちらも軽度ではありますが、知的と精神の重複障害で、生活保護を受けています。四十四歳のBさんは、軽度の知的障害で、年金受給者です。二十一歳のC君と二十六歳のD君は、知的と身体の重複障害で、住民票がグループホームに移動されていない関係で、両親と同一世帯と位置づけられています。 お尋ねしたい一つ目の課題は、新法のもとで、グループホーム「ガッツの家」は解体のやむなきに至るのでしょうか。 グランドデザインに従えば、重度扱いのC君とD君はケアホームへ、Bさんは新グループホームへということになるのでしょうか。そして、Aさんはどこへ行けというのでしょうか。重度と軽度とを分けるという発想は、管理の効率性を根拠とするもので、共生の理念とは相入れるものではありません。重度の人が仲間に支えられながら地域で人々の輪の中で暮らしていくとき、それを支える仲間も生き生きとするものであります。それを「ガッツ」は誇りにしてきました。そもそも自立とは、人のつながりの中でそれぞれが役割を持っていくことではなかったのでしょうか。 お尋ねしたい二つ目の課題は、通所授産施設「ひまわりの家」の運営がどう変えられていくのかという心配です。 グランドデザインによれば、既存の授産施設、更生施設等を、就労移行支援事業、就労継続支援事業等に再編して、雇用施策との連携の強化により、障害者の意欲と能力に応じて職業生活を設計・選択できるような支援体制を確立するとのことであります。戦後この方、我が国の障害者雇用の施策はどうあったのでしょうか。いわゆる委託訓練なるものがだらだらと繰り返されてきましたが、障害者を継続して雇用の場に定着させるということは、まれなことでありました。おおむね一カ年間の雇用奨励給付金の打ち切りと同時に職場を離れるというのが常の状態でなかったでしょうか。新しい国の施策に私は期待が持てません。とりわけ今、産業界は中国やインド等との競合でしのぎを削っているときであり、派遣、パート、アルバイト、嘱託、期間工や業務委託契約による疑似・個人事業主、業務請負業者から送り込まれた労働者等と非正社員の割合が三五%に達して、労働者の使い捨てが日常化している状況にかんがみても、厚生労働省の方針はうさん臭いものと言わなければなりません。 「ガッツの家」メンバーの一人であるAさんは、地元の小中学校を出て養護学校に進みました。いい経営者の理解もあって、卒業後十数年間、地元のプラスチック工場で働いてきたのですが、その間何かと世話をやいてくれた先輩が定年退職した後、ほかの人たちとの人間関係がうまくいかなくなって精神状態が不安定になり、工場へ行けなくなったといいます。小学校時代の恩師らに誘われて、無認可作業場時代の「ひまわりの家」へ通所するようになって、少しずつ元気を回復し、二〇〇一年四月に発足した通所授産施設「ひまわり」で、ソーセージ班に所属して頑張っていました。好事魔多しというのでしょうか。その年、同居していた頼りの母親が脳梗塞で倒れ、Aさんはひとり暮らしを余儀なくされたのであります。ほとんど家事をこなせないAさんを何とか支えたのは、「ひまわりの家」の三十三人の仲間とスタッフで、グループホーム「ガッツの家」の予定を早めて、二〇〇二年九月に立ち上げました。もちろんAさんもメンバーの一人で、周辺では陰のドンとささやかれるほどに存在感があり、昨年四月に発足させたデイサービス事業所「ほどらいこ」でも、弁当づくりの中心を担っています。今このように生き生きを目を輝かせて地域で生活しているAさんに、グランドデザインは二年間の訓練でどんな未来を保障できるというのでありましょうか。 お尋ねしたい三つ目の課題は、応益負担一割の重さとつらさについてであります。 国は、今回の方針変更の理由として、現行の支援費制度や精神保健福祉制度は、既存の公的な保険制度と比較して制度を維持管理する仕組みが極めて脆弱で、国民全体の信頼を得られるものではないとし、給付の重点化・公平化や制度の効率化・透明化等を図る抜本的な見直しが不可欠だとしています。その方針変更の大きな柱の一つが、これまでの応能負担を応益負担に変えて、利用者の自己負担を一律にふやそうとしていることであります。 「ガッツの家」のメンバーの負担はどう変わるのでしょうか。現在、四人とも、家賃二万二千五百円、食費と水道光熱費を合わせて合計五万七千五百円の自己負担であります。しかし、今回の制度改革で、新たにグループホームの公費負担分六万六千円と通所授産施設の公費負担分十四万九千円のそれぞれの一割に、昼食費一食六百五十円、月一万四千三百円、合計三万五千八百円が原則として加算されることになります。一割負担については、世帯の収入に応じて上限が設定されていますが、支援費のように、本人の収入だけではなく、三親等以内の同一世帯の収入の合計を見るとなっています。「ガッツの家」のメンバーで当てはめますと、Aさんは一万四千三百円、Bさんは二万九千三百円、CさんとDさんは三万五千八百円がそれぞれ負担増になります。障害者とその家族にとっては何と過酷な制度変更でしょうか。 厚生労働省はこうも言っています。施設入所者には、当事者の手元に生活費が月一万五千円残るように、グループホーム入居者で、低所得一、低所得二の人には二万一千円残るように、個別に減免するというのであります。ほとんどの障害者は、普通に就労して、普通に収入を得ることができません。水道光熱費、被服・履物、家具・家事用品、保健医療、交通・通信、教育あるいは教養娯楽等々その他の支出を月々二万一千円で賄うような生活水準に障害者は甘んじなさいと言っているのであります。また、精神障害者の医療費までもが一割負担になります。これまでどおり医者にもかかれません。今、三宅町にある通所授産施設「ひまわり」に生駒から通っている人がいます。一カ月の定期代は、何と一万五千二百九十円であります。今回の制度変更で、近い将来に介護保険制度への合流がなり、たとえ制度としての持続可能性が確保されたとしても、障害者が自主性を尊重され、地域において自立した日常生活を送ることが極めて困難になるのではと、心を痛めています。県はこの事態をどう受けとめているのか、お教え願いたいと思います。 以上です。(拍手) ○副議長(吉川隆志) 柿本知事。 ◎知事(柿本善也) (登壇)四十四番山下議員のご質問にお答えいたします。 私に対するご質問の第一点は、森林環境税条例に関することでございます。 幾つかの点がございましたが、まず一つは、いろんな点をご指摘いただきましたが、農林関係公共事業の予算の落ち込み等から関連して、森林環境税を導入するについてどのように説明するのかと、こういうご趣旨が第一点だったと思います。 林業対策への公的資金は、持続的な林業経営を通して、森林の持つ公益的機能が維持・発揮されることを基本的な目的として投入されてきたものと考えております。県におきましても、こうした視点から、森林の造成や管理、あるいは林道の整備等を精いっぱい実施してきたところでございます。しかし、近年、林業を取り巻く厳しい状況の中で、このような林業経営を通した森林の整備だけでは立ち行かなくなっていることも事実でございまして、間伐を必要とするが、放置されている森林は、間伐対象森林の約三〇%に当たる二万三千ヘクタールまで増加していると見込まれ、さらに増加傾向にあるのが現状でございます。加えて、台風等による災害の防止・軽減の視点からも、森林が持つ公益的機能の低下は見過ごすことができず、また放置森林の機能回復には相当の期間を要すると考えられますことから、できる限り早急な措置が必要と考えております。このため県といたしましても、県民全体に対し、幅の広い公益的機能を有している森林の環境保全に向けて、県民の方々に理解と協力をいただきながら、新たな財源を求めざるを得ない状況にございます。なお、本県森林の公益的機能評価額について、これは林野庁が平成十二年にやりました手法に基づいて県で計算を行ったところ、年間八千三百六十五億円の評価となるようでございます。 また、ご質問の中で、昨今における本県の林業関係公共事業予算の減少についてお触れいただきました。これは、事業の完了等によって、平均で年々数%程度の減少はあるんですが、ご指摘の大幅な事業費減と指摘された部分は、実は、平成十四年度と十五年度に、国営総合農地開発事業負担金においてそれぞれ五割、三割と繰り上げ償還のために、金額でいいますと、平成十四年度が六十五億円、平成十五年度が百二十九億円、こういうものを償還するため計上したためでございまして、いわば一時的に増加したもので、その反動が出て減少しているわけでございますので、この点は念のため申し添えておきたいと思います。 それから、山林の荒廃に歯どめをかけると。特に、ご指摘にありましたように、放置森林への対策が最も重要だと。私どももご指摘のとおりだと考えております。こうした放置森林への早急な対策が求められる中で、この予定しております新しい税金による実施の事業例として、これをご検討いただきました懇話会の報告書では、一つは、杉やヒノキの放置人工林において、公的な関与により、環境保全のための強度な間伐を緊急に実施するとともに、その前段として、不在村者、村におられない方をはじめとする放置森林の所有者に対して、みずから森林整備を促す普及啓発等を行うと、こういうことを触れられております。また、燃料等の生活様式の変化に伴いまして、放置され、あるいは荒廃した都市近郊等の里山林について、地域景観等を回復するための整備を行うこと、あるいは、このような森林環境に係る取り組みについて県民に一層理解を深めてもらうため、森林環境教育を推進する、こういうことがいわば提言されているわけでございます。この放置森林への対策を柱とした報告書の趣旨に沿いまして、県におきましては、県民の方々から幅広く意見を聞かせていただきながら、新税の導入について一層の理解と納得が得られるよう、新税の使途が一応予定されていますが、今後もさらに具体的に検討してまいりたいと考えております。 なお、新税による税収としては、年間約三億円、計画期間五年間で総額約十五億円を見込んでおりまして、使途としては、放置人工林の整備が特に高い割合を占めることになるだろうと見込んでおります。なお、現時点で、先ほど申し上げました約二万三千ヘクタールと見込まれる放置人工林すべてについて強度な間伐を実施すると仮定いたしますと、確かに数十億円程度の財源が必要と見込まれます。新税の導入だけで放置森林の解消を図れるものではございませんが、喫緊の課題になっておる森林の公益的機能の回復に有効な方策と考えており、最大限効果的に活用してまいりたいと考えております。 それから、同じ点につきまして、この森林環境税の使途、使い道が、やはり林業就労者の確保が大切ではないかと、こういう趣旨のご質問でございました。 森林の保全整備のためには、林業経営におきましても、業界みずからの認識のもとに、経営基盤の強化や県産材の需要拡大など、さまざまな取り組みが必要と考えております。新税につきましては、こうした林業経営等によることができない放置森林の解消に焦点を絞って、県民の方々のご理解をいただきながら導入を考えているものでございます。ちなみに、これまで実施した県民の皆様へのアンケート調査、回答者数は千七百三十三名でございますが、におきましても、個人で年間五百円という負担であれば、多くの方々から負担してもらってもよい旨の回答をいただいておるところでございます。さらに懇話会におきましても、県民の過大な負担とならないよう慎重に検討され、所得の低い方への非課税措置の配慮を行いつつ、県民に対して広く薄く課税する形での新税導入による森林環境の保全は、県民意識に沿った望ましい方向という報告をいただいたところでございます。 また、ご指摘いただきました林業就労者の雇用の確保等についてでございますが、先ほど申し上げているような森林環境保全を行う過程でも特に重要と認識しておりまして、この点は条例案の趣旨にも明記させていただきました。また、放置森林対策の中で高い割合が見込まれる人工林の強度な間伐を例にとりますと、これは事業費当たりの雇用効果が特に高いと考えられるところでございまして、この強度の間伐を実施したとした場合に、試算によると、計画期間で五年間で最大延べ六、七万人、一日八十人ないし九十人程度の雇用を見込むことも可能であると、こういうような試算もしております。林業就労者対策としても効果的なものと考えている次第でございます。 次に、大きな第二点についての何点かのご質問でございます。特に、団塊の世代の退職時期の到来を控えて、シニアライフセミナーの開催等の新規施策については評価するけれども、定年後の孤独等についての行政の対応が求められているのではないか、これについての見解と、こういうお話でございます。 ご質問にございましたように、我が国は本格的な高齢社会を迎えておりまして、今後、戦後生まれのいわゆる団塊の世代が高齢期を迎えることになります。これからの高齢社会では、多様な価値観を持ち、生き方もバラエティーに富んでいる高齢者が、社会の一員として他の世代とともに社会を支えていく必要があると認識している次第でございます。そのため、定年後の高齢者は、いわば第二の現役世代として、より自由な立場を生かして、さまざまな形で社会的に活躍していただくことが求められていると思います。また、同時に、地域社会における人間関係を上手に形成していくことも重要でございまして、現役時代からライフプランを考えて、いわばよく言われます会社人間から社会人間へ転換することが大切ではなかろうかと考えている次第でございます。 そこで、新年度では新たに、社会参加や生きがい対策として、団塊の世代が定年退職後も地域へソフトランディングして、主体的に地域社会で役割を担っていただくためのシニアライフセミナーの開催、あるいは就労対策として、高齢者世代を貴重な人的資源ととらえ、豊富な経験、技術あるいは知識を積極的に活用していくためのシニア世代経験活用・就業支援事業等を実施することとしております。また、高齢者の社会参加、生きがい活動支援、就労支援など、さまざまな社会環境の条件整備が整うことが重要と認識している次第でございまして、そうした生きがいのある人生を全うしたいという高齢者本人の意識も重要でございます。こういうために、県で設立しております健やか奈良支援財団におきましては、ご承知と思いますが、シニアリーダーカレッジの開催とか、サークル活動を支援する仲間づくりでありますとか、コミュニティー・ビジネスの支援事業でありますとか、こういうことも引き続き実施していきたいと思っておりますし、より大切なことは、こうした社会参加活動に関する情報をお伝えするために、情報誌の発行、あるいはホームページを通じて広報啓発、情報提供を行う、あるいは高齢者の相談に応じてまいる、こういうことも考えている次第でございます。 いずれにいたしましても、高齢者が地域社会において、家族とか友達に囲まれながら、そういう言葉があるかどうかわかりませんが、生涯現役というような形で、いろんな形で自分の経験などを発揮される、そういうことにお役に立つような活動の場や機会の確保、あるいは情報の提供等を行うように努力してまいりたいと考えております。 次に、子育て、若者の問題で、ニートとか、フリーターとか、こういう大変憂慮すべき事態に、各般の行政を抜本的に見直す必要があるのではないかというご指摘で、それについてのお尋ねでございます。 本年度中に策定する予定の奈良県次世代育成支援行動計画におきましては、若者の就労支援や次代の親を育成するための望ましい職業観や勤労観の醸成、これは今後取り組むべき重要な施策として位置づける予定でございます。また、国におきましても、関係省庁で「若者自立・挑戦プラン」というものを策定されまして、教育や雇用や産業政策の連携で、官民一体となった総合的な人材対策の強化が予算上方向づけられたと聞いております。ご指摘の点は今日、社会の大きな課題でありまして、やはり各方面から取り組んでいかなければならないと考えております。 そういう観点で、昨年五月にオープンいたしました、ならジョブカフェ(ヤングコーナー)を中心にいたしまして、就職情報の提供から就職に至るまで専門家による就業相談、あるいは就職活動のための実践的セミナー、あるいは高校生就職フォーラム、大学生合同就職面接会等を実施している次第でございます。加えまして、労働局、あるいは経営者協会などと連携いたしまして、若年者の就業意識形成支援等の地域連携につきまして、積極的に地元に出向きまして、高校生の保護者の就職に関する意識啓発、あるいは高校等の進路指導担当者への講習、企業説明会、インターンシップ等の活動における受入れ企業の開拓とか情報提供、企業向けの若年者の採用拡大のための広報啓発等を行っている次第でございます。 また、学校教育におきましては、子どもたちがボランティア活動や職業体験などに積極的に参加しながら、自分の将来像に思いを抱き、みずから考え、行動する力、あるいはコミュニケーション能力など、自立した社会人としての資質を身につけることが大切だと考えている次第でございます。そのため教育委員会では、例えば新年度から、小学校から高等学校まで十二年間を通した系統的・組織的なキャリア教育の推進を計画しているところでございます。また、県立高校の再編におきましても、社会への準備段階として、みずからの生き方を模索する子どもたちが、興味や関心、適性を見きわめながら、みずからの意思で進路選択し、将来の自己実現が図れるような特色と魅力のある学校づくりを進めているところでございます。また、これらの関係組織の取り組みにつきましては、ジョブカフェ運営協議会というような各種の会議におきまして協議し、内容を深めているところでございます。 先ほど申し上げたように、大きな課題でございます。まだまだいろいろな分析やいろいろなアイデアを掘り出していく必要性を感じておる次第でございまして、今後とも、県関係部局の連携のもとに、次世代対策の一環として、子どもたちの成長段階に合わせた職業観、就労意識の醸成にあわせて、若年者がそれぞれの能力を発揮して生き生きと働き続けられるような、そういう気になるような環境づくりに努めてまいりたいと考えております。 もう一点が、市町村合併についてのお尋ねでございます。私、知事の姿勢ということでございます。 地方分権の進展や住民ニーズの高度化、多様化など、社会経済情勢の変化に伴いまして、住民に最も身近な行政サービスの提供主体である市町村の役割はますます増大し、重要となっております。そういう意味で、市町村合併は、行財政基盤を強化し、住民に対して能率的で質の高いサービスを提供していくための有効な手段であり、引き続き推進していく必要があると考えております。本年四月以降は、新しい合併特例法により市町村合併が進められることになります。県におきましては、総務大臣が策定する指針を踏まえて、改めて各地域の実情や意向を十分お聞きし、市町村合併に関する構想の検討を進めるなど、また、市町村合併は今後も引き続き推進する必要があるという基本に立ちまして、新法のもとでの合併論議が冷静に、積極的に進められるよう、その役割を適切に果たしてまいりたいと考えております。 なお、ご質問の中で、地域共同体の再生を目指したまちづくりという提言がございました。その着眼点はよく理解できるところでございますが、行政がそのすべてを担うということではなくて、住民が協力し合い、地域が力を合わせて問題を解決していくようなまちづくりを進めることが極めて重要な視点であろうと考えております。今後、各地域でこれらの点をよくご議論いただくことを期待するものでございます。 以上でございます。 ○副議長(吉川隆志) 菱川警察本部長。 ◎警察本部長(菱川雄治) (登壇)四十四番山下議員のご質問にお答えいたします。 私に対するご質問は、犯罪対策についてであります。 議員ご指摘のとおり、治安を再生し、犯罪に対する県民の不安を解消するためには、警察活動の強化はもとより、地域住民の自主防犯意識の向上を図るとともに、地域、自治体、警察が一体となった自主防犯体制を構築することが重要であるというふうに認識しております。その一環といたしまして、昨年十一月、県民が一体となって犯罪を予防し、世界に誇る安全安心の奈良県を創造するために、安全やまとまちづくり県民会議が設立されまして、地域、事業所、行政、警察が連携して、人づくり、まちづくり、ネットワークづくりに取り組むこととなったところでございます。また、警察といたしましては、こうした県民一体となった活動を支援するために、犯罪発生情報の適時適切な提供、被害防止教室の開催や広報啓発活動といったような従来の活動を継続して行いますとともに、来年度からは新たに、防犯リーダーを育成するためのセミナーの開催、自主防犯マニュアルの作成・配布、防犯活動用腕章等の作成・貸与といった事業を行うこととしているところであります。 以上でございます。 ○副議長(吉川隆志) 上森福祉部長。 ◎福祉部長(上森健廣) (登壇)四十四番山下議員のご質問にお答えをいたします。 私に対しましては、障害者自立支援法案に係り、三点のご質問でございます。 お述べのとおり、グループホーム「ガッツの家」、また通所授産施設「ひまわりの家」について、重度の障害を持つ人が、仲間に支えられながら地域の人々の輪の中で暮らす姿は、まさに障害者福祉のありようが、現実がそこにあると言えるのではないかと思っております。障害のある人が住みなれた地域で生き生きと暮らすため、ともに生きる社会の実現に向けて、県といたしましても、支援費制度の理念であります自己選択、自己実現はさらに発展させなければならないと確信を持ち、行政の推進を行っているところでございます。 障害者自立支援法案は本年の二月十日に今国会に上程をされたところであります。具体的には、成立後において出される政省令において示されるということでありますが、現在までに行政説明のあった範囲で申し上げたいと思います。 まず一点目の、グループホーム「ガッツの家」は解体なのかというお尋ねでございますが、厚生労働省が示しております「障害のある人が普通に暮らせる地域づくり」では、グループホーム利用者の日中活動として、NPO等が運営をする小規模な通所型の事業所や、在宅就労も含めた一般企業等での就労というものがございます。これは、重度の障害者であっても、就労を通して自分が社会の役に立っていると感じたときに生きがいが生まれるのではないかという発想であると言われております。その角度から見れば、日中は事業所に通い、本人の意欲と能力に応じた活動をしながら、住みなれた地域でお互いに支え合いながら住まう場としてのグループホームは、現在のものが解体されるということではなくて、地域生活を支援するという視点から重要であると認識をいたしているところでございます。また、日中活動の援助以外に日常生活における介護が必要な人の場合には、選択の幅を広げるという観点から、地域生活を支援する視点からはケアホームの必要性もあると考えられているところでございます。 二点目でございますが、既存の授産施設や更生施設等を再編するについて、現在の新しい国の施策は効果的なものなのかというお問いでございますが、施設の再編整備は平成十八年の十月から五年程度をかけて順次新しい体系へ移行する予定となっています。見直しの方針といたしましては、地域生活支援、就労支援といった新しい課題に対応するため、自立訓練や就労移行支援等の地域生活への移行のために有効な機能を強化するための事業を実施するということでございます。一つは、入所期間の長期化など、本来の施設機能と入所者の実態の乖離を解消するために、サービス体系を日中活動と住まいの場といった機能に着目をして再編をし、効果的なサービスが提供できる体制を確立するという内容が示されているところでございます。 例えば、現在の通所授産施設につきましては、一般企業就労でも可能な人、障害が重いため、将来も福祉的就労を望んでいる人、また、日中の居場所だけを望んでいる人というように、さまざまな能力と意欲の方が混在をしながら一つの施設で作業に取り組んでいるという実態がございます。しかし、それでは授産施設が本来果たすべき役割の一部しか果たせないのではないかということから、障害者の意欲と能力により機能を明確に区分した事業を、事業者側が幾つか選択をして実施することにより、障害者はさまざまな事業のメニューから自己選択の幅が広がる。また、事業所は、一人ひとりのニーズに沿いながらメニューや期間を決めて、必要な訓練を実施することにより、事業体系ごとに結果を出すことを求められます。このことから、事業者は一層サービスの質の向上に努めなければならず、利用者側から見れば望ましい制度になる可能性があると考えられているところでございます。このような状況を創出しながら、さらに就労意欲のある人に就労を継続させるための支援も必要となります。県内には現在二カ所の障害者就業・生活支援センターを設置し、関係機関のネットワークにより、いつでも相談に応じることのできるようにしておりますが、今後も積極的な体制整備に努める所存でございます。 三つ目でございますが、応能負担から応益負担への変更による利用者への自己負担金の一律の増に対して、県はどのように受けとめるのかというお問いでございますが、ご質問におきまして、利用者負担の個々のケースについて一定のシミュレーションをいただいたところでございますけれども、正直申し上げまして、厚生労働省では、現在、いろいろなケースを想定し、考え方を整理しようとしている段階であるというふうに認識をしております。障害者福祉サービスの利用者負担は、現在の所得のみに着目をした応能負担から、サービス量と所得に着目した仕組みに見直されることとなりますが、これは、必要なサービスを確保するため、制度の効率化、透明化を進めるとともに、その負担を皆で支え合うことが不可欠であるという理由により、在宅と施設のバランスのとれた負担、サービスの利用料に応じた負担を原則としながら、障害者の家計に与える影響やその他の事情をしんしゃくし、一定の上限を設けるとともに、激変緩和措置もとられる予定と聞いております。いずれにいたしましても、今後とも国の動きなどを注視しながら、障害者当事者や関係団体の意見も聞きながら、全国会議等の場を通じ、積極的に声を届けるとともに、必要に応じ、要望活動など適切に対応してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ○副議長(吉川隆志) 四十四番山下力議員。 ◆四十四番(山下力) まずは福祉部長、国の施策のねらいの解説みたいなお話でございましたけれども、定かに決まってないことが多過ぎるという事情も私たちもわかります。ただ、県としても、障害者の実情、我々のグループホーム、ほかにも三つぐらい持っています。そのグループホームのあとの三つの方は、実際に就労している人たちのグループホームでありますけれども、やはり障害者は働ける限り働くという意欲を持っています。あるいはそういう機会をつくります。ただ、継続しない場合がある。周辺の、例えば事業主の理解があったって、一緒に働いている人たちの理解がなければ続きません。そこをやめたときに、もう一回授産施設に来れるような仕組み、何度も挑戦し、彼らは普通の人たちよりも困難を抱えていますから、何度も失敗するでしょうけれども、もう一度戻っていやせる、あるいは戻って出直しできる、そういう措置がぜひとも必要なんです。その辺は注意深く考えてもらいたいと思います。 それから知事、いわゆる森林環境税なんでございますけれども、どうしてそうして急ぐんだろうかと、不思議でかなわんのです。だって、この条例案の中に、里山・里地といっても、放置森林といっても、皆所有者があるんですね。この条例には所有者の協力規定もないじゃないですか。県民には一般に五百円ずつだと言うけれども、県は、私は担当者にも言いました。八十億円の生産額に対して七十八億円の公的資金を投入してきたことを県民に知らせ、そして、かつ、あと五百円お願いしたいんですと言ったかと。そうじゃないでしょうがな。私は、私個人から言うたら、農業の八兆九千億円に対する八兆円の公的資金の投入、あるいはこの森林対策に対する県費の七十八億円の投入というのは当然だと思っています。が、しかし、その数字を出したとき、費用対効果の問題も含めまして、県民が果たして率直に受けとめることができるんだろうか、県はそういうことの説明責任を果たしたんだろうかと、私は疑問に思うわけであります。 さらに、知事、その条例の中に、先ほど言うた所有者の協力規定がございませんし、さらに、来年度から発足させるためには、基金条例を改めてつくらないかんわけですね。このままでは一般会計なんです。一般会計、私が言うように増税なんですよ。増税したけれども、この分はこうした使い方するぞと、基金条例を新たにつくらなあかんわけです。来年度の予算、県会においてつくらなきゃならんということから含めて、そんなにこの条例の制定を急ぐものではない。特に森林労働者の育成・確保のために特化して、条例あるいは基金条例をつくるべきだと、私はそういう意見を持っています。 終わります。   -------------------------------- ○副議長(吉川隆志) 二十四番菅野泰功議員。 ◆二十四番(菅野泰功) 本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。 ○副議長(吉川隆志) お諮りします。 二十四番菅野泰功議員のただいまの動議のとおり決することにご異議ありませんか。        (「異議なし」の声起こる) それでは、さように決し、明三月十日の日程は当局に対する一般質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。 △午後四時五十三分散会...