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  1. 京都府議会 2023-06-01
    令和5年6月定例会(第3号)  本文


    取得元: 京都府議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 令和5年6月定例会(第3号)  本文 2023-06-22 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 51 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長石田宗久君) 選択 2 :  ◯議長石田宗久君) 選択 3 :  ◯岡本和徳選択 4 :  ◯議長石田宗久君) 選択 5 :  ◯知事西脇隆俊君) 選択 6 :  ◯議長石田宗久君) 選択 7 :  ◯岡本和徳選択 8 :  ◯議長石田宗久君) 選択 9 :  ◯教育長前川明範君) 選択 10 :  ◯議長石田宗久君) 選択 11 :  ◯警察本部長白井利明君) 選択 12 :  ◯議長石田宗久君) 選択 13 :  ◯岡本和徳選択 14 :  ◯議長石田宗久君) 選択 15 :  ◯山口勝選択 16 :  ◯副議長林正樹君) 選択 17 :  ◯知事西脇隆俊君) 選択 18 :  ◯副議長林正樹君) 選択 19 :  ◯山口勝選択 20 :  ◯副議長林正樹君) 選択 21 :  ◯知事西脇隆俊君) 選択 22 :  ◯副議長林正樹君) 選択 23 :  ◯警察本部長白井利明君) 選択 24 :  ◯副議長林正樹君) 選択 25 :  ◯山口勝選択 26 :  ◯副議長林正樹君) 選択 27 :  ◯議長石田宗久君) 選択 28 :  ◯渡辺邦子君 選択 29 :  ◯議長石田宗久君) 選択 30 :  ◯知事西脇隆俊君) 選択 31 :  ◯議長石田宗久君) 選択 32 :  ◯渡辺邦子君 選択 33 :  ◯議長石田宗久君) 選択 34 :  ◯知事西脇隆俊君) 選択 35 :  ◯議長石田宗久君) 選択 36 :  ◯教育長前川明範君) 選択 37 :  ◯議長石田宗久君) 選択 38 :  ◯警察本部長白井利明君) 選択 39 :  ◯議長石田宗久君) 選択 40 :  ◯能勢昌博君 選択 41 :  ◯議長石田宗久君) 選択 42 :  ◯知事西脇隆俊君) 選択 43 :  ◯議長石田宗久君) 選択 44 :  ◯能勢昌博君 選択 45 :  ◯議長石田宗久君) 選択 46 :  ◯知事西脇隆俊君) 選択 47 :  ◯議長石田宗久君) 選択 48 :  ◯能勢昌博君 選択 49 :  ◯議長石田宗久君) 選択 50 :  ◯知事西脇隆俊君) 選択 51 :  ◯議長石田宗久君) ↑ ページの先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1: ◯議長石田宗久君) これより本日の会議を開きます。            ───────────────────── 2: ◯議長石田宗久君) 日程に入ります。日程第1、代表質問を行います。  まず、岡本和徳議員に発言を許可します。岡本和徳議員。    〔岡本和徳君登壇〕(拍手) 3: ◯岡本和徳君 府民クラブ京都府議会議員団の岡本和徳です。会派を代表して質問をさせていただきますので、積極的な答弁をよろしくお願いいたします。  まず、今回の補正予算は、長期化する物価高騰などにより深刻な影響を受けている府民生活や事業活動を守る施策を推進するとともに、コロナの第5類移行後も府民の安心・安全を守るために必要な対策を実施するものとなっております。  また、14か月予算で計上した対策に加え、子どもたちの笑顔につながる取組への支援などの「あたたかい京都づくり」に向けた施策も盛り込むなど、現下の状況を踏まえた切れ目ない施策を実施する内容となっており、会派を代表して高く評価させていただきます。  西脇府政による京都府の総合計画は、少子高齢化、人口減少時代における課題、自然災害の頻発化による安心・安全の確保、AI、IoTなどの先端技術を活用した社会の創造など、現代における社会課題を解決し、府民の生活の質を向上させることで2040年に「一人ひとりの夢や希望が全ての地域で実現できる京都府」を目指して、令和元年に策定されました。その後、新型コロナウイルス感染症の拡大で府民の生活、日常、そして社会そのものが大きく変化し、さらにはロシアがウクライナに侵攻したことなどによって世界的な経済システムにも大きな変化をもたらし、原油価格をはじめ食物などの物価が高騰しているほか、食物、半導体、そして多くの製品の供給もこれまでとは異なる形を見せており、日本を取り巻く国際環境、安全保障も不安定な状況となりました。  こうした状況の中、府民が安心して豊かに暮らし夢を実現していくために、総合計画の計画期間満了を待たず、前倒しで総合計画を改定されました。この新総合計画では、福祉、子育て、産業、文化など「8つのビジョンと基盤整備」が示されております。この8つのビジョンの中には、それぞれの重点分野が示されており、到達目標が設定されています。  到達目標として、例えば介護人材の確保数を2021年度は2,685人だったものを今年度中に7,500人にするという短期的な目標に加え、合計特殊出生率を2040年には全国平均並みとなることを目指すという長期的な目標もあります。さらには、人口減少が進む丹後、中丹、南丹及び相楽東部地域を含む京都府への移住者数を2022年から2026年度の5年間で7,000人とするという目標が示されるなど、一つ一つを語ることはできませんが、8つのビジョンの中で多くの具体的な到達目標が示されています。  これら多くの到達目標と併せて分野別の基本施策と数値目標も示されており、今年度の当初予算をはじめ、本定例会においても、これらの目標を達成するための予算が提案されていることと思います。  そして、これらの目標を達成していくためには多くの課題が存在しているものと考えます。その一つに、厳しい財政状況であることにより思い切った予算を編成することが困難であること、また本府は海・山・都市部を持ち、南北に長い地理的特性を持っていること、さらには政令指定都市である京都市をはじめとする多様な自治体が存在し、各自治体との調整・連携など克服すべき課題は山積しています。  また、御承知のとおり、人口減少、少子高齢化は待ったなしの状況で、従来からの構造的な課題も深刻さを増しています。この総合計画の将来像を実現していただくことが、私たち府民の生活をより安心なものにし、より豊かにし、夢に向かって歩ませてくれるものであると信じております。だからこそ、多くの課題を克服し、それらの目標を達成していただかなければなりません。  そこで知事にお伺いいたします。  総合計画を実現し、府民の生活をよりよいものにするために、計画に掲げるこれらの目標達成に向け、どのように方策の実効性を持って進めていくのでしょうか。また、限られた財源での施策の展開、地理的課題、自治体との連携などについてはどのように克服していくのか、お聞かせください。  次に、新条例の制定と少子化対策のさらなる推進についてお伺いいたします。  この少子化問題は、我が国にとって国家的な課題となっております。本府におけます少子化も例外なく進んでおり、京都府の最新の合計特殊出生率は1.18であり、全国40位という数字が発表されました。また、出生数そのものも減少傾向が続いており、第2次ベビーブーム世代の私が生まれたころの昭和49年における京都府の出生数は、年間約4万人の子どもたちが誕生していました。一方で、令和4年に京都府で生まれた子どもの数は1万5,068人となっております。  また、国立社会保障・人口問題研究所の資料によりますと、50歳まで一度も結婚をしたことがない人の割合は男性で約28%、女性で約18%となっております。これは、約30年前の1990年と比べて、男性で約5倍、女性で約4倍となっております。さらに、京都府における25歳から39歳の女性の未婚率は41%となっており、女性の平均初婚年齢は30歳となっております。一方で、夫婦の持つ平均の子どもの数は1.94と、未婚率と比べ30年前から大きくは変わっておりません。  このような状況から、未婚率の上昇を抑え、初婚年齢も下がるような取組が必要かと考えます。すなわち、結婚をしやすい社会をつくっていくことが重要かと考えます。子どもを持たない主な理由の1位、2位である経済的不安と年齢的・身体的不安の解消のためにも、正規雇用を増やし、賃金を高くしていくことは重要です。また、仕事と私生活を両立させるためのタイムパフォーマンスを向上させることも重要です。女性だけではなく、男性が不妊治療を受けることを促進すること、さらには適切な量の喫煙や飲酒、健康維持に対する健康意識を強く持ってもらうための取組も必要で、それらの取組は20代などの若いときから始めることが望ましいと言われております。
     このような状況を背景に、本府ではこれまでに2007年に京都府子育て支援条例を制定し、2015年京都府少子化対策条例を制定してまいりました。これらは全て、少子化を改善させるためのものであり、この条例や令和元年に策定した「京都府子育て環境日本一推進戦略」を基に、多くの施策を展開していただいてまいりました。しかしながら、大きな成果が出てこず、少子化はますます深刻化する状況となっております。  こうした中、本府では、先ほど述べました子育て支援条例と少子化対策条例を一本化する形で、仮称ではありますけれども、京都府子育て環境日本一推進条例の今年度の制定を目指していただいているとお伺いしておりますが、子育て環境日本一推進戦略も、本年の秋頃までに改定すると聞いております。  新しい条例の論点として、出会い・結婚の希望実現、保育・教育の費用負担軽減、住宅費軽減、自由度の高い働き方などがあると伺っており、全国的にも深刻化が叫ばれる少子化の打開に向けた有効な手だてとなるものと期待しますが、一方で、現行の戦略の中にも目指す社会像が示され、重点戦略として、若者の結婚や子育てに対する意識・行動の変革、保育料の無償化、住宅取得にかかる費用助成、多様な働き方を応援する企業環境の整備などが記載されております。両者に同じような文言が見受けられるところです。  そこでお伺いいたします。  まず、戦略を改定することにどのような意義があるのでしょうか、お答えください。また、新しい条例と改定予定の戦略との違いについてお答えください。  さらには、この戦略の改定に当たって、今後どのような過程で改定が進んでいくのか、タイムスケジュールも含めてお聞かせください。  まずは、ここまでよろしくお願いします。 4: ◯議長石田宗久君) 西脇知事。    〔知事西脇隆俊君登壇〕 5: ◯知事西脇隆俊君) 岡本議員の御質問にお答えいたします。  岡本議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、今回の補正予算案に対して高い評価をいただき、厚く御礼を申し上げます。  京都府総合計画に掲げた、将来像の実現に向けた実効性ある方策についてでございます。  新たな総合計画のスタートとなる令和5年度においては、誰もが未来に夢や希望を持てる「あたかい京都づくり」を府民の皆様に実感していただく第一歩として、「安心」「温もり」「ゆめ実現」の3つの視点に基づく施策を力強く発進させるために必要となる予算を編成したところでございます。  併せまして、政策立案部門の総合調整機能の強化を図るため、環境部門と大学部門を政策企画部に統合した総合政策環境部の創設、文化力を生かした府民生活の向上を図る観点での文化生活部の創設や、上下水道業務の一本化による建設交通部の強化など、組織体制の見直しを図ったところでございます。  一方で、行政課題が複雑・多様化している中、総合計画を着実に進めるためには、行政だけでなく府民の皆様との信頼関係を土台に地域や企業、関係団体の皆様と一体となって取り組むことが重要であります。そのため、府民目線に立った具体的な目標を定め、その実現に向けた連携体制を構築すること、現場の当事者等との対話の積み重ねにより多角的な視点で施策を立案すること、施策実施後も目標の達成状況を不断に検証し、有識者等の意見も踏まえた施策の進化を図ることなどを通じて、総合計画の将来像の実現に向けた施策の実効性を高めてまいりたいと考えております。  次に、財源や市町村との連携などの課題についてでございます。財源確保に当たっては、行財政改革プランに基づき、府民ニーズに即した事業の見直しなど業務の効率化を図りますとともに、新たな歳入確保策として、本定例会に提案しておりますふるさと納税について本年度から取り組むこととしております。  また、京都府には、様々な特色のある市町村が存在しておりますが、少子高齢化や人口減少の進展などに伴い、個々の市町村だけで地域の魅力と活力の創造に取り組むことには限界があると考えております。そのため、府と市町村が相互に補完・連携し機動的に対応いたしますとともに、小規模市町村が単独で取り組むことが難しい課題につきましては、府が市町村を積極的に支援するほか、市町村単位を超えた広域連携に取り組むため、新たに「8つの広域連携プロジェクト」を推進するなど、市町村と連携した施策を展開してまいりたいと考えております。  今後も、私を先頭に府職員自らがこれまで以上に府内各地に足を運び、地域ごとの最新の情勢や課題などを肌で感じ、施策の立案・実行につなげていくことで、府民や市町村の皆様とともに総合計画に掲げる将来像の実現に努めてまいりたいと考えております。  次に、子育て環境日本一推進戦略についてでございます。  京都府ではこれまで、「子育て環境日本一」を府政の最重要課題として位置づけ取組を進めており、令和元年には京都府子育て環境日本一推進戦略を策定いたしました。しかし、コロナ禍により子育て世代の孤立化が課題となるほか、昨年の出生数が初めて80万人を下回るなど、我が国の構造的課題である少子化はさらに加速化している状況にあり、今年に入り、国においても「次元の異なる少子化対策」を表明されました。  こうした中、京都府総合計画においては、社会と子どもを育てる京都の実現に向け、「子育て環境日本一」の取組を進化させていくこととしております。これは、社会全体が子育ての主体として負担や苦労、喜びを分かち合うという、将来の到達点を掲げたものでございます。このような到達点を目指すためには、「子育て環境日本一」の取組を戦略的かつ計画的に進めていくとともに、より多様な主体を巻き込み、相互に連携する必要があることから、子育て環境日本一推進戦略を改定したいと考えております。  子育て環境日本一推進条例、仮称でございますが、と戦略の関係についてでございます。  改定する戦略には、出会い・結婚・妊娠・出産への対応といった少子化対策の視点などを踏まえた今後の取組を幅広く盛り込みたいと考えております。そして、条例につきましては、「子育て環境日本一」の理念を広く府民の皆様と共有いたしますとともに、社会を構成する各主体の役割や責務など、条例により定義しないと実行できないような規定などを盛り込むことによりまして、戦略を前に進めるためのエンジンとなるよう検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、戦略改定の進め方についてでございます。  子育て環境をめぐる状況が急速に変化する中においては、最新の知見や子育て支援の当事者の声を踏まえた上で戦略を改定する必要があることを考えまして、現在、私自身が様々な分野の方々から直接御意見を伺っているところであり、「子育ては大変という機運を変えるべき」「少子化には、若者の所得の低下や女性の生き方の選択肢の制限など様々な要因がある」などの御意見をいただいております。  引き続き、有識者や幅広い府民の方々の御意見を踏まえながら、私自身をトップとする子育て環境日本一推進本部におきまして、戦略に盛り込む取組の検討を進め、府議会での御議論を賜りながら、今年秋頃までに戦略を改定したいと考えております。 6: ◯議長石田宗久君) 岡本和徳議員。    〔岡本和徳君登壇〕 7: ◯岡本和徳君 御答弁どうもありがとうございます。  まず、総合計画についてでありますけれども、総合計画については組織の見直し等で進めていただくということですけれども、この8つのビジョン、それと基盤整備、地域振興計画、これが計画の全てだというふうに思っておりますし、この計画を実現していただくことこそが京都の未来をつくっていくという、まさに設計図のようなものであるというふうに思っております。だからこそ、今お話をいただきましたように、しっかりと実現に向けて取り組んでいただきたいというふうに思っております。  知事が、一番初めに当選をされて初めて登庁されたときの3つのお話があったと思いますけれども、徹底的な現場主義ということ、それから先例にとらわれないということ、さらには連携にこだわるというお話がございました。これは私も非常に印象的に残っておりまして、先例にとらわれないというのは、付け加えますと果敢に挑戦をしてほしい、伸び伸びと大胆に仕事をしてほしいとこれは京都府の職員の皆さんに向かってお話をされたことですけれども、連携にこだわるという部分については、縦割り排除は当然だというふうにお話をされておられました。  この後、条例のお話もしますけれども、少子化というのも待ったなしの状況であって、まさにもう一度、先例にとらわれない、果敢に挑戦する、伸び伸びと大胆に仕事をする、こういうような思いをぜひまた職員の皆さんに再徹底をしていただいて、今あるような大きな課題に対して必ず実効性を持って実現をしていただきたいというふうに思っております。  それから、条例のほうにつきましては、これは私も以前からお話ししていますように、個人とか企業とか組織の意識改変というのが非常に重要だと思っております。それに関していいますと、車の運転免許の子育て優先レーンとか、ああいった、お金はかからなくて機運を醸成するような取組というのは非常に重要だと思っておりますし、例えば信号のないところでのお子さん連れの方への横断歩道の優先とか、こういったことを子育て環境を育てる中で充実させていくことが、意識改革の初めのスタートになるのではないかというふうに思いますので、この点も強く進めていただきたいというふうに思っております。  それと、知事のお話にありました「子育ては大変だ、子育てはしんどい」というような思いが現代社会ではあるようですけれども、私の知る限り、例えば江戸時代から明治の初めの頃にアメリカやイギリスからやってこられたような方々の中では、世界中で日本ほど子どもが親切に扱われるところはない、そして、これほど子どもをかわいがる人々を見たことがないと。これはイギリスのイザベラ・バードという方、アメリカのエドワード・モースという方々がお話をされてますけども、当時は、世界的に見て日本というのは子どもを非常にかわいがっている国だというふうに見られていたということです。いつからか、そういった感じではなくて、子育てがしんどいというように思われている。この状況を変えていく必要があるかというふうに思いますので、意識改革、ぜひ進めていただきたいというふうに思います。  次の質問に入ります。次に、教育長に質問をさせていただきます。  多様化する子どもたち、社会のニーズに対応した府立高校づくりと留学支援について、お伺いします。  私は、質問の機会をいただくごとにできるだけ教育に関する質問を取り上げさせていただいております。教育は国家百年の大計といいます。人材こそが宝であり、変革に10年、20年かかったとしても、今から手をつけて将来の京都、日本を担っていくような人材を確実に育てることが肝要だと考えています。  最近は、府民の皆さんから教育に変革をもたらすことに対する期待を大きく感じるようになりました。中学校を卒業し普通科高校へ進学し、大学へ進学した後は会社に就職をする、ほとんどの子どもたちはこのようなルートを歩むという現状で、子どもたちのニーズに応える多様性のある教育を施すことが望まれています。  また、今後の生徒数の推移に目を向けると、府内の中学校の卒業生数は、特に丹後や中丹、口丹地域では急激な減少が見込まれております。将来の公立中学校における3年生の数の推計値を見てみますと、令和4年度と比べて令和16年度では全体で78.1%まで減少し、京都市・乙訓で82.2%、山城で73.1%、中丹で73.3%、口丹で70.1%、丹後では74.7%となることが見込まれています。今後は少子化の影響により、30年前と同じ学校数の規模を維持していくことは困難となることが予想されます。  そこでお伺いいたします。  京都府の場合は、地理的条件等によっても少子化のスピードが随分異なるかと思いますが、人口減少やデジタル社会の進展、グローバル化などの児童生徒を取り巻く環境も刻々と変化する中、教育全般、そして公教育の意義や役割についてどのように捉えているのか、また、現代の京都における教育の課題について、教育長の御所見をお聞かせください。  また、高校においても、中学校卒業者の生徒数の減少と進路状況の変化に伴って小規模化が一層進化する中において、不登校経験がある生徒や特別な教育支援を必要とする生徒が増加傾向にあり、病気療養中の生徒、ヤングケアラー、児童虐待、貧困の問題のほか、積極的に起業に取り組みたい生徒、海外留学を経験したい生徒、プログラミングなどIT技術を専門的に学びたい生徒など、子どもたちのニーズのほか、子どもたちを取り巻く環境・状況も多様化、複雑化し、それに対応する教育の多様性も一層求められる時代となっております。  京都府教育委員会が策定した「府立高校の在り方ビジョン」では、府立高校の果たすべき役割として、公教育の場として教育の機会を保障するとともに、選択肢の多様性を確保すること、全ての生徒が夢や希望を持ち、未来に向かって生き生きと学ぶことができる高校を目指すことがうたわれています。多様性が尊重される社会になり、学校現場も、画一的な教育ではない、個々を尊重する教育へとシフトするべきだと感じております。  そこでお伺いいたします。  多様化する教育に柔軟に対応していくためにも、生徒のニーズや社会の変化に対応した学びを進め、「府立高校の在り方ビジョン」を早急に具現化していく必要があります。その具現化に向けて、昨年11月に設置された「魅力ある府立高校づくり懇話会」では、今年の3月まで6回にわたり外部有識者会議が開催されたと伺っておりますが、全体を通して委員からどのような意見や示唆があったのでしょうか。また、今後の魅力ある府立高校づくりにどのように反映させるおつもりなのか、教育長の御所見をお聞かせください。  次に、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行後の留学支援について、お伺いいたします。  まずは、新型コロナウイルス感染症の影響下にあっても児童生徒の学びを止めることなく、学習機会の確保・充実に御尽力いただいていることに対し、改めて感謝を申し上げます。本年5月8日以降、学校における教育活動に大きな影響を与えてきた新型コロナウイルス感染症が、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律上の5類感染症に移行されたことに伴い、今後は、コロナ禍を通じて再認識された学校の役割も踏まえ、これまで制限されてきた教育活動については積極的に実施していくことが求められるのではないでしょうか。  一方で、コロナ禍においては、GIGAスクール構想によって1人1台端末の整備が一気に進むなど、児童生徒の教育環境におけるデジタル化が大きく進展する中で、デジタル技術のよさを生かした多様な教育活動が新たな取組として実践されてきたことにも目を向ける必要があります。  例えば高校生の留学支援事業については、海外への留学が困難となっている状況を踏まえ、対面形式とオンライン形式のハイブリッドによる異文化理解と語学の研修が府内で実施されました。この府立高校ハイブリッド型英語研修は、令和4年度教育委員会の事務の点検・評価によると、令和3年度実績として22校から194名の生徒が参加しており、コロナ禍での英語力向上に向けた新しい留学支援の形であったと評価しております。  私は本年3月の予算特別委員会総括質疑において、今後のグローバル人材の育成について質問させていただき、教育長からは、コロナ禍によりやむを得ず中止していた高校生の留学支援事業については、令和5年度は全て再開するとの答弁がありました。  令和5年度までは、エディンバラ語学研修やオーストラリア語学研修など、多くの府立高校生が海外の語学研修に参加しておりましたので、留学支援事業の再開を待ちわびた生徒もたくさんいたことでしょう。今後も、国際社会で活躍しようとする生徒の意欲を高められるような取組を充実させ、そうした積極的な取組が10年後、20年後の未来に京都の発展につなげていけるように御尽力いただきたいと思っております。  そこでお伺いいたします。  留学支援事業再開についての学校の受け止めや生徒の反応はいかがでしょうか。さらには、今年度の事業再開を踏まえ、次年度以降どのように取組を充実させていく予定なのか、教育長の御所見をお聞かせください。  また、指導する教員も世代交代が進む中、各校の英語教育を推進しつつ若手教員等の助言者となる人材の育成も急務となってまいります。令和5年度と6年度の2年間で、全府立高校を対象にした英語教育推進教員育成研修が新たに実施されると伺っておりますが、今後どのように取り組み、教員の資質向上を図っていくのか、教育長の御所見をお聞かせください。  次に、府警本部長に質問させていただきます。  御承知のように、近年の技術革新は第5次産業革命とも言われ、私たちの生活を一変するような技術が誕生してきております。このような技術革新は、私たちの生活を便利にさせる一方で、その技術を悪用し犯罪やテロなどに使われることとなっており、私たちの生活を大きく脅かす存在になっております。  特にサイバー空間における脅威は極めて深刻な情勢となっており、私たちの見えないところで幼い子どもたち、若い人たち、高齢の人たちも容易に犯罪に巻き込まれ、様々な新たな手法による事件が発生し、国家的な犯罪やテロへと発展させる可能性も包含しています。  昨年5月、京都市中京区の高級腕時計買取販売店から多数の腕時計が奪われた後、盗まれた腕時計を売却したとして、男女6人が逮捕されるという事件がありました。この犯人たちは、SNS上の闇バイトの募集に応じて、テレグラムと呼ばれる匿名性の高い通信アプリを使って指示を受け腕時計を売却しており、自分が売った腕時計を盗まれたものであるということを知らなかったと主張していたと聞いております。今年5月には、東京銀座の高級腕時計店に覆面をつけた男が押し入って、白昼堂々バールでショーケースを壊し約3億円相当の商品を奪った後、車で逃走し、近くのマンションなどに逃げ込んだところを取り押さえられるという事件が発生しました。この犯人たちの年齢は16歳から19歳であるとのことでした。  これらの事件は無謀かつ稚拙としか言えないような事件ですが、このような事件の背景には、それぞれの人物が犯行に至る前、もしくは闇バイトに応募する際に、例えば家族構成や自宅の住所を知られてしまっていたり、学校に通報すると脅されたり、個人情報が握られてしまったり、脅されて断ることもできないような状態に持ち込まれてしまっている可能性もあるとお伺いしております。  また、京都府内においても、幼稚園、保育園、学校などに対して爆破予告などのメールが送られ、地域に脅威をもたらす事案も頻発しております。メール送信など、単純に見え、今時すぐに犯人が見つかりそうなものでも、最先端の技術が使われており、犯人を特定することも困難であるとお伺いしております。  さらには、インターネットバンキングを利用し、不正にアクセスすることで送金させるような犯罪、インターネット等を介して不正に入手したクレジットカード情報や口座情報をアプリのアカウント情報にひもづけることにより、カード払い、引き落としが容易となる中で、それらを可能にする技術や情報を悪用する形で金品を盗み取ろうとする事犯が増加傾向にあると聞いております。  これらに関連して、昨今、サイバー空間における脅威が日々深刻化する中、これら事象に的確に対応していくため京都府警察では、今年の春、捜査解析能力の高度化やサイバー犯罪からの被害防止対策等を一元的に進めるために、サイバーセンターを新設されたとお伺いしております。  そこでお伺いします。  サイバー犯罪の京都における現状をまずお伝えください。また、犯罪者グループに個人情報等を握られ犯罪に手を染めてしまうことがないような防止対策も必要かと考えますので、その点についても、府警の取組をお聞かせください。  さらには、サイバー犯罪の被害を受けないようにするための被害防止対策のほか、京都府警のサイバー事案への対処能力の向上のための人材育成、捜査力の強化についてどのように進めていくおつもりなのか、お聞かせください。  ここまでよろしくお願いします。 8: ◯議長石田宗久君) 前川教育長。    〔教育長前川明範君登壇〕 9: ◯教育長前川明範君) 岡本議員の御質問にお答えいたします。教育の意義、役割についてでございます。  社会が大きく変化する中で、これからの社会を担う子どもたちに変化を前向きに捉えて主体的に行動し、豊かさや幸せとは何かをしっかり考え、進むべき道を切り開く力を育成していくことが教育の役割であると考えております。特に公教育においては、子どもたち一人一人を大切にし、誰一人取り残すことなく個性や能力を最大限に伸ばすことで、グローバルな視野を持ち、社会を牽引していく人材や地域で活躍する人材など、この国の未来をつくる大切な担い手として育んでいく必要があります。  そのような中、本府では、少子化に伴う生徒数の減少、不登校児童生徒数の増加、子どもたちのニーズの多様化、複雑化などが課題だと考えております。とりわけ高校におきましては、少子化により学校規模が縮小する中、生徒が環境や従来の価値観に左右されることなく将来の夢と希望を持ち学ぶことができるよう、各高校の魅力を高めるとともに、生徒がそれぞれの目的に応じて学校や学科を選択し、学びを深めることができる環境づくりが喫緊の課題だと考えております。  次に、魅力ある府立高校づくりについてでございます。  議員御紹介の懇話会では、生徒のニーズに対応する教育環境や各課程・学科の役割、地域の実情等を踏まえた府立高校の在り方などの観点から、多くの子どもたちが入学する全日制普通科においてはさらなる特色化の推進やその内容を分かりやすく発信していくことの必要性について、地域に果たすべき社会的役割を踏まえた学校づくりや、教育の質を確保するためには一定の学校規模が必要であること、北部と南部とでは子どもたちを取り巻く環境が大きく異なることを踏まえる必要があることなど、非常に重要な観点から御意見等をいただきました。  こうした御意見等に加え、府議会や府民の皆様の御意見をしっかりとお聞きしながら、学校や学科の配置など、新しい時代に応じた教育制度に関わる改革を実行していくことが必要だと考えております。  府教育委員会といたしましては、今後進めていく改革の基本的な方針等を取りまとめる基本計画を今年度中に策定した上で、その計画を具体的に実行していくため、地域別の実施計画を段階的に策定してまいります。  次に、高校生の留学支援事業についてでございます。  本事業は、コロナ禍のときから再開を待ち望む声がたくさん届いておりましたが、今年度に短期や中期の全留学事業を再開したところ、全てで定員を超える応募があり、特にオーストラリア語学研修は過去最多となるなど、改めて本事業に対する期待の大きさを実感したところです。また、応募理由としては、単に語学力を伸ばすだけではなく、海外の文化や歴史を学び、異なる価値観に触れることで人間的な成長につなげたいというものが多く、本事業を将来を見据え主体的かつ意欲的に活用してくれていることがうかがえます。  今後は、こうした状況も踏まえ、様々なニーズを持つ生徒一人一人の夢の実現を後押しするような新たな留学支援の枠組みについても検討するなど、グローバルな視点を持って地域や国際社会に貢献できる人材の育成に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、英語科教員の資質向上についてでございます。  議員御紹介のとおり、今年度から全府立高校を対象に、生徒が自ら進んで英語でコミュニケーションを図りたいと思える授業づくりの理論と実践を系統的に学ぶ研修を実施いたします。具体的には、まず、2年間の研修を通じて各校の中核を担う英語科教員のリーダーを育成することとしており、既にこの研修に参加した教員からは「授業づくりに関する新たな視点を獲得できた」との声も聞いております。さらに、3年目以降は、リーダーを中心に各学校の優れた取組を他校でも取り入れるなど、グローバルな視点を養い、より魅力的で実践的な授業づくりができるさらなる教員の資質向上を進めてまいります。  府教育委員会といたしましては、公教育が果たすべき役割を踏まえながら府立高校における魅力的な学びを推し進めるとともに、一人一人の子どもたちが未来に夢と希望を持って学び続けられるよう全力で取り組んでまいりたいと考えております。 10: ◯議長石田宗久君) 白井警察本部長。    〔警察本部長白井利明君登壇〕 11: ◯警察本部長白井利明君) 岡本議員の御質問にお答えいたします。  老若男女を問わず幅広い世代にスマートフォンが普及するなど、新しい生活様式の定着により、サイバー空間は府民の生活に必要不可欠な重要かつ公共性の高い場所となっております。そして、このような社会の実情を反映して、サイバー空間をはじめ新たな技術やサービスが犯罪に多用される現状が生じております。  府内におけるサイバー犯罪の現状ですが、本年4月末現在、サイバー犯罪に係る相談受理件数は1,865件で、5年前から倍増し、詐欺やクレジットカード不正利用、不正アクセスに関するものが全体の約7割を占めております。府警察においては、こうした相談等を端緒に、昨年中、電子決済を悪用した詐欺や犯罪の温床となるSNSアカウントの不正取得事件などを検挙しているところであります。  被害防止対策については、京都府警察ホームページやSNSなどを活用し、サイバー犯罪の手口や被害防止策を周知しているほか、大学や企業等の有識者からなるネット安心アドバイザーが中心となって、ネットトラブルの疑似体験講座を行うなど、情報モラル等の向上に取り組んでおります。また、企業の情報セキュリティー向上支援のために設立したネットワークを軸に、府内の中小企業や医療機関等を対象に情報発信やセミナーを開催するなどの支援を行っております。  一方、人材育成につきましては、捜査員をIT企業等に派遣するなどして、高度かつ専門的な知識を有するサイバー人材の育成に努めるとともに、高度な解析資機材を活用し、専門捜査員が初動捜査の支援や現場解析、職員に対する助言や指導を行うなど、捜査力の強化を図っております。  府警察では、今後とも、府民が安心してサイバー空間を利用できるよう、産学公連携による効果的な対策を推進するとともに、専門人材の育成等を通じて警察全体の対処能力強化に努めてまいりたいと考えております。 12: ◯議長石田宗久君) 岡本和徳議員。    〔岡本和徳君登壇〕 13: ◯岡本和徳君 御答弁どうもありがとうございました。  まず教育に関しましてですけれども、京都の場合は私学助成を全国でもトップクラスにしていただいているおかげで、多くの子たちが私学にも進学をできるようになっておりますけれども、反対に府立高校には割合でいうと6対4、4割が府立高校、公立の学校に通っているという状況だったかというふうに思います。予算も限られる中で府立高校のハード整備、ソフト整備を進めていただいていることは本当にありがたく思っておりますけれども、教育長の答弁にも、公教育の役割として、変化を捉えて前向きに歩んでいく子どもたちを育て、そして個性や能力を最大限発揮していける、グローバルに活躍、地域で活躍できる子どもをしっかりと育てたいという言葉がありましたので、その言葉のとおりしっかりと前に進めていただきたいというふうに思っております。  先ほどお伝えしたように、先例にとらわれず果敢に挑戦、伸び伸びと大胆に仕事をという言葉が知事からはありましたけれども、教育というのは挑戦なんだというふうに私は思っております。なかなか教育の現場というのは変わらないというのが私の実感ですけれども、ぜひ、そういった意味でも果敢に挑戦をしていただいて、教育委員会の皆さんにも伸び伸びと大胆に仕事をしていただいて、子どもたちの未来を切り開いていただきたいというふうに思っております。  以前からお伝えしてます普通科の改革、職業学科の改革、さらには今日はお話ししませんでしたけれどもバカロレアの導入とかこういったことについても、前向きな答弁はいただいておりますので、確実に進めていただけるようにお願いさせていただきたいというふうに思っております。  さらには、オーストラリアの留学の応募が過去最多だということでお伺いもしましたので、こうした希望についてもしっかりと対応できるように、その受入れの枠も増やしていくべきだというふうに思っております。  時間がなくなりましたので、質問をここまでとさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 14: ◯議長石田宗久君) 次に、山口勝議員に発言を許可します。山口勝議員。    〔山口勝君登壇〕(拍手) 15: ◯山口勝君 公明党京都府会議員団の山口勝です。私は会派を代表し、さきに通告いたしました府政の諸課題、本日は4項目にわたり西脇知事並びに関係理事者に質問いたします。誠実かつ明快なる答弁を求めるものであります。
     補正予算について一言申し上げます。今定例会に提案されております予算案は、長引く物価高が府民生活に深刻な影響を与えている中、必要な対策を実施するものであり、事業者、府民生活を守るもの、子どもたちの笑顔につながる「あたたかい京都づくり」に向けた施策の推進という基本方針の下、編成されております。  中でも、私ども会派が求めておりました、光熱費の高騰に対して新たにLPガスも加え、消費者の負担を軽減する対策や中小企業への積極的支援、商店街等のプレミアム商品券の発行などを支援する地域商業活性化事業の拡充、新たに子どもの読書活動応援事業などが計上され、時宜にかなう予算案として高く評価するものであり、真摯な審議を重ね、議決後は速やかな執行を望むものであります。    〔議長退席、副議長着席〕  それでは質問に入ります。  質問の第1は、文化と経済政策の今後の展開について伺います。  本年3月27日に文化庁が京都において業務を開始し、5月15日からは本格的に稼働されております。改めて、京都府に文化行政を司る文化庁が来た意義を感得し、京都府の文化政策の一層の充実強化が期待されています。  かつて、文化と経済政策には距離がありましたが、今、世界の潮流では、経済成長の原動力として文化を位置づける動きが広がり、イノベーションを生むアート思考に注目する企業も増加し、文化と経済の好循環の創出は多様な地域文化に彩られている日本においても、地方創生をより強固なものとするためにも欠かせない視点であります。  国においては経済産業省が、文化と経済の好循環の創出の取組を開始しています。その入り口は、21世紀に入り日本がクールジャパンとして、ポップカルチャーを成長の起爆剤としてアニメやゲームをはじめとし積極的に日本の文化を発信し、世界から多くの注目を浴び、コンテンツ産業も徐々に開花したものでありました。以来20年が経過する中で、文化を経済復興の主要なエンジンであるとの宣言も、2021年のG20文化大臣会合で出されました。今まさに、文化と経済の好循環の構築が求められております。  著名な経済学者も、文化創造を支援する政策は周辺産業の活性化につながり、実際に中核的創造芸術である文学、音楽、美術、舞台芸術から中核的文化産業に、そして映画、美術館、博物館、図書館へと広がり、出版、放送、音楽媒体、ゲームなどの広義的な文化産業へ。関連産業としては、ファッション、デザイン、建築、広告へと同心円的に波及し、その文化は地域スポーツや教育の在り方にも影響を与えるとしています。  このような観点に立てば、アート市場への積極的参加と場の提供、京都の強みである伝統産業の職人さんなどの技法やデザイン力の多方面の分野への展開、クールな着物からの素材提供による新たなファッションへの展開、地域文化の差別化を図る中での観光施策の拡充など、期待されます。  今申し上げた視点で京都府においても、これまで「アートコラボレーション京都」というアートフェアを開催し、現代アートの制作・発表・販売の世界拠点としていく取組を行い、京都の伝統産業である西陣織と京友禅、丹後織物とが連携したシルクテキスタイル・グローバル推進コンソーシアムでは、京友禅のサリーを作成し、海外の販路に展開しています。そのほか、京料理の登録無形文化財の登録、食文化を通じての観光施策の展開などが図られています。  今回、改定された京都府総合計画においても、文化力による未来づくりにおいてその理念の中で、2040年を目途に、誰もが文化に親しめ、文化が活力を生み出し、感性豊かで創造的に暮らしの中に多様な文化が息づいている社会の構築を目指しています。そして、その具体策として、43の項目にわたり事業の展開を図られることになっています。  そこで伺いますが、まず、文化庁移転を一つの契機として、京都府として文化と経済の好循環をいかに図っていくのか、基本的な考えを伺います。  また、アートとテクノロジーとの融合による新産業創出や太秦メディアパークの取組等を土台とする京都発の新たなメディア文化等の世界への発信などを進めるとされていますが、具体的な取組についての御所見を伺います。  音楽の分野では、プロ、アマの音楽家をはじめ音楽家を夢見る人々が世界中から交流し、新たな音楽を創造・発信する「ミュージックフュージョン京都国際音楽祭(仮称)」の開催も期待されるところですが、今後、開催実施に向けてスケジュールを含めた取組について伺います。  文化そのものは、誰もが親しめるものにしていくことが大切であります。幅広く、府民の皆様に文化に触れ合う場の提供が重要であります。中でも、今後、次代を担う青少年の方々へ一層の文化・芸術に触れ合う体験学習の実施が重要です。教育委員会、市町村と連携を図り、推進すべきと思いますが、御所見を伺います。  次に、障がい者虐待防止の取組について伺います。  今から約10年前に、虐待を受けたと思われる障がい者を発見した全ての人に速やかな通報義務を課す障害者虐待防止法が施行されました。障がい者の尊厳を守るために、超党派での議員立法として成立いたしました。そして、10年が経過し、改めて全ての人の人権と尊厳が守られるためにも、意思の疎通に障がいを持つ方々の支援を強化するためにも、この法律の趣旨をたがえず常に検証する中で実態を掌握し、より効果的な施策の展開が求められています。  障がい者虐待の増減の推移でありますが、通報先は虐待したのは誰かによって異なり、家族などの養護者や障がい者福祉施設従事者等による場合は市区町村へ、事業主など使用者による場合は市区町村または都道府県になります。少し前の厚生労働省の統計資料によると、全国における相談通報件数、本人を含むものでありますが、そのうち虐待と判断された件数の推移を見ると、法施行後、養護者・施設従事者の場合は、相談及び通報件数ともに右肩上がりで、従事者のほうは虐待判断件数が増加しています。  厚生労働省の見解では、防止法に基づく通報義務が浸透した結果と捉える一方、コロナ禍の影響で使用者からの通報件数は減少しているとしています。令和3年度における障がい者福祉施設従事者等による虐待の内容では、身体的虐待57%、暴言を吐くなどの心理的虐待が42%、性的虐待が15%などであり、虐待を受けた人の障がい種別は知的障害がある人が70%を超え、障害の程度が重く支援が難しい人ほど虐待を受ける傾向性にあります。  この防止法成立の背景は、施設においての相次ぐ虐待事案の発生であり、明るみに出ていたのは氷山の一角と言われていました。この通報の困難さは、自らの施設の中で起こった不祥事を明らかにしていくことなのか、隠蔽してしまうものなのかという施設側の姿勢が誠実なのか、そうではないのかという極めて曖昧な部分を持つところがありましたが、それでも「従事者が正直に通報するようになってきた」と障がい福祉の専門家である曽根直樹日本社会事業大学准教授は評価をしています。その上で、虐待はエスカレートするとの認識を共有することが重要であり、被害を最小限に食い止めるため、施設側には虐待の疑いの段階で通報する習慣づくりが大切であり、通報が虐待する人を懲らしめるという側面ではなく、虐待に対する責任を明らかにし、その責任を果たした上で過ちを改める機会を与え、虐待者自身を救うことも重要と指摘をしています。しかしながら、まだまだ通報しづらい施設や責任者の理事長や管理者が虐待に関わるケースも散見され、組織のリーダーの意識改革が最優先と併せて指摘をしております。  そこで伺いますが、障害者虐待防止法施行以来10年が経過しておりますが、京都府として、障がい者虐待の実態についてどのように認識をされていますでしょうか。また、どう取り組まれてきたのか、また現状の課題についての御所見を伺います。  相談や通報が的確にかつ広く行われることは、潜在化していた事案の把握や、何よりも障がい者の支援につなげていくためにも重要であります。自治体に求められることは、通報に対しての事実確認の調査、虐待の有無の判断、必要に応じての一時保護などの対応ですが、公平かつ公正に、また迅速に実態を把握することであり、実施主体の自治体にばらつきがあってはなりません。全国では、管理職が参加せずに虐待判断を行い、担当者任せの自治体もあり、昨年8月、これらのことを問題視して国からは改善を促す事務連絡を出されました。  行政の意思決定の過程や責任の所在を明確化するなど、必要な行政支援が早期に届くよう、府として府内各市町村と連携を図り、虐待事案に積極的に取り組むことが求められていますが、今後の取組方針を伺います。  次に、生成AIへの評価と今後の活用の可能性について伺います。  ただいま注目を浴びておりますチャットGPTなど生成AIの利用が急速に広がっています。チャットGPTは、人工知能(AI)を使って人間の質問に自然な言葉で回答するサービスであります。アメリカのオープンAIという企業が開発し、昨年の11月の公開から2か月で利用者が1億人を突破いたしました。ウェブ上に流れるオンラインのニュースなどから膨大な情報を学習し、利用者の質問に対する回答には文脈から次に来る確率の高い単語を選択し、自然な文章を作成するものであり、さらに作成された文章が適切だったかの評価を利用者から得ることで学習を重ねる仕組みも備えています。  チャットGPTの利用が広がった背景には、第1に最新のAI技術を誰もが手軽に使えるようにしたこと、第2には完全に間違いはなくせないものの従来よりは精度が高くなっていること、第3には汎用性が高く、政治・経済から身近な生活情報まで多彩な分野の文章を生成できるとともに、質問への回答や要約などの多様なタスクに対応できる点が指摘されています。また、チャットGPTは、詩や小説も書くことができ、必ずしも確率の高い単語を選択せず、つまらない文章になることを回避しあえて低い確率の単語を選択し、味わいのある表現となるよう選択の幅を調整できるようにもなっています。その上で、文章生成の精度を高めるためにAIが自ら学習するとともに、AIが生成した複数の候補に対し人間が順位づけをしてより自然な文章になるよう調整、学習データに使う元の文章も差別表現や犯罪に関する文章が入り込まないよう、人間が慎重に選んでいるなどの特徴もあります。今後、多様なアプリケーション、私たちがふだん使っているワードやエクセルにも組み込まれることも想定され、生成AIの本格活用は間近に迫っているものと思われます。  他方、生成AIの課題も指摘され、政府も先頃、有識者会議「AI戦略会議」を開き、論点整理の原案を示しました。  原案の内容を幾つか紹介しますと、生成AIの可能性については労働力不足の解消から生産性向上まで諸問題の解消に期待がかかるものの、懸念やリスクを低減する措置を同時に講ずることの重要性。基本的な考え方では、国際ルールの策定、AI開発者・サービス提供者に対しての法令やガイドラインの遵守を求めること。懸念されるリスクとしては機密情報の漏えいや個人情報の不適切な利用、振込詐欺や武器・麻薬の製造法に利用されるなどの犯罪の巧妙化や容易化。学校現場では、作文やリポートに生成AIを使うことで、児童生徒の創造力の低下、著作権の侵害、AIをターゲットとした新たなサイバー攻撃の巧妙化などであります。このようなリスクに対して適切な対策を講じながら、医療や介護、行政、教育、金融、製造分野ではその活用が期待されているとも指摘されています。  全国においては、東京都や新潟県、兵庫県、神奈川県などがチャットGPTの活用を模索しています。神奈川県横須賀市では、業務効率化の一環で実証開始。市が始めた実証では、職員がチャットGPTと対話をして事業のアイデアづくりや文書作成に生かしています。横須賀市長は幹部会議で「AIは、福祉の増進や市民の幸せのために何ができるかを考えるツール。職員は人に向き合い、寄り添うことに傾注してほしい」と求めました。香川県の池田知事も記者会見で、「働き方改革にも県民サービス向上にもつながるので、どのような活用があるか考えたい」と表明。兵庫県の斎藤知事も検討チームの立ち上げを公表した上で、「県民サービスの観点で利便性があるとするならば、積極的に活用することも大事」と強調しています。  これに対して、鳥取県の平井知事は、答弁資料作成、予算編成、政策策定での使用の禁止を発表。県によると、職員パソコンからのアクセスも認めず、平井知事は「地域の頭で考えて判断することは可能と信じている。そういう意味で採用しない」と述べました。地域の意思決定は、AIではなく話合いを通じて行われるべきだとして使用禁止を打ち出しました。チャットGPTをめぐっては、情報セキュリティーの観点や、質問に対して示された回答の正確性などの課題が指摘され、千葉県では活用への考え方について、行政では相談業務の可能性があるとの見方を示す一方、拙速に飛びつかない姿勢で臨みたいと語っています。  そこでお伺いしますが、地方自治体においては、生成AIの活用や評価などに対して様々な見解が示されております。一部行政分野での文書作成などに活用する動きがあります。まず、京都府知事として、このチャットGPTなどの生成AIをどのように評価されていますでしょうか。また、今後、京都府において導入を検討されるでしょうか。また、導入するならば、どのような分野で活用されるのか、御所見を伺います。  ここまでの質問に御答弁をお願いいたします。 16: ◯副議長林正樹君) 西脇知事。    〔知事西脇隆俊君登壇〕 17: ◯知事西脇隆俊君) 山口議員の御質問にお答えいたします。  山口議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、今回の補正予算案に対して高い評価をいただき、厚く御礼を申し上げます。  文化と経済の好循環に関する基本的な考え方についてでございます。  京都には、社寺などの文化財や伝統的行催事、茶道、華道、和食といった生活文化、映画やアニメなどのメディア文化など多彩な文化が息づいております。こうした特色を生かし、観光や産業施策などとの連携により文化の力を地域の活性化や経済成長につなげ、文化と経済の好循環を図ることが重要だと考えております。  具体的には、茶道や華道、食文化など生活文化の文化観光への活用、アート思考等の新ビジネスへの活用など、文化の魅力や価値に加え、文化人材の創造性を生かす取組を進めることで、文化と産業の連携による持続的な経済成長を促してまいりたいと考えております。  次に、アートとテクノロジーの融合による新産業創出や新たなメディア文化の世界発信の取組についてでございます。  長い歴史を背景に、活力の源泉となっている文化を土台として伝統の上に革新を積み重ねる柔軟性を持つ京都の強みを生かし、新産業の創出を通じて京都産業の持続的な成長につなげることが必要だと考えております。  新産業創出のためには、国内外の人材と交流し、多様性を生かしたオープンイノベーションが有効であり、今後は、本年秋にオープン予定の「アート&テクノロジー・ヴィレッジ京都」などを活用し、アーティストが設計に関わるスマートハウスの開発や、女性が健康に生活するための最新AI技術の活用などに取り組んでまいりたいと考えております。  また、新たなメディア文化の世界発信につきましては、文化庁メディア芸術祭の後継として、メディアアートなどの振興に向けた新たな芸術祭の京都開催を国に対し要望しているところでございます。加えまして、太秦に集積する映画・アニメ・ゲームなどのコンテンツとメタバースなどの新しい技術や幅広い産業分野との融合モデルを創出いたします太秦メディアパークの取組などを通じまして、京都発の新たなメディア文化の世界発信につなげてまいりたいと考えております。  次に、京都国際音楽祭(仮称)の開催に向けた取組についてでございます。  音楽は子守唄や童謡など子どもの頃から身近に親しむ文化であることから、音楽の親しみやすさを通し、広く府民が興味を持つ機会となるよう、京都府全域で質の高い音楽に触れ学ぶことができる国際音楽祭の開催に向けた検討を進めているところでございます。世界中の人々が関西に集まる2025年の大阪・関西万博に合わせた開催を目指し、世界各国から音楽家を目指す人々が京都に集い、交流する取組となるよう準備を進めてまいりたいと考えております。  次に、次代を担う青少年の文化芸術体験学習についてでございます。  青少年にとって創造性と感性を育む文化に日頃から親しむことは、豊かな人間性を涵養する上で重要だと考えております。そのため、京都府では、府教育委員会や市町村と連携し、学校等に専門講師を派遣し文化芸術を体験・体感する「文化を未来に伝える次世代育み事業」、全国の高校生が京都に集い日頃の成果を披露・交流する「全国高校生伝統文化フェスティバル」などを実施し、青少年が文化に親しみ、理解を深められるよう取り組んできたところでございます。  今後は、検討を進めている国際音楽祭でのプロの音楽家との交流や演奏体験、学校教員も対象とした伝統芸能等の体験教室など、府教育委員会や市町村との連携により、これまで以上に青少年が文化に親しむ機会を充実してまいりたいと考えております。  次に、障害者虐待防止の取組についてでございます。  障害者に対する虐待は障害者の尊厳を害するものであり、その防止は、障害者の自立及び社会参加を実現する上で極めて重要だと考えております。  京都府では、平成24年に京都府障害者・高齢者権利擁護支援センターを設置し、市町村などからの電話相談に対し社会福祉士が速やかに助言を行いますとともに、市町村職員及び事業所の管理者や従事者向けの研修を実施するなど、虐待の通報窓口である市町村を支援してまいりました。  京都府における障害者虐待の状況でございますが、令和3年度と10年前平成24年を比較いたしますと、施設や事業所における虐待の認定件数は4件から16件に、家庭内における虐待の認定件数は32件から86件といずれも増加をしております。また、近年は、介護などの不安やストレス、家庭内での人間関係を要因とする虐待事案など、関係者へのより慎重な事実確認やきめ細かい対応が必要となる事案が大きな割合を占めております。  このような事案の対応に苦慮している市町村に対し、一層の支援が重要だと考えております。このため、市町村からの要請に応じて京都府から、弁護士や社会福祉士などで構成する専門職チームを派遣し、市町村が虐待事案に対して適切に対応できるよう支援を行っているところであり、こうした専門職チームによる支援を積極的に活用するよう、引き続き市町村に呼びかけてまいりたいと考えております。  次に、行政に求められる虐待事案への対応についてでございます。  議員御指摘のとおり、どの市町村におきましても、公平・公正・迅速な実態把握や虐待の有無の判断などを行えることが重要となります。このため京都府におきまして、市町村職員などを対象に、虐待事案の事例検討会を開催し、虐待事案に対応する市町村職員の専門能力の向上を図っているところでございます。また、市町村に寄せられる相談や通報に対して適切な判断を行うためには、意思決定の過程や責任の所在を明確にして組織的に対応することが重要だと考えております。  京都府では、これまでから市町村の実情に応じて組織的な対応がなされるよう支援してきたところであり、引き続き会議や研修会を開催するなど支援をしてまいりたいと考えております。今後とも、必要な方に必要な支援が早期に届くよう、京都府障害者・高齢者権利擁護支援センターを核として、市町村としっかり連携協力をし、障害者への虐待の未然防止、早期発見・早期対応、再発防止などの取組を進めてまいりたいと考えております。  次に、生成AIの今後の活用の可能性などについてでございます。  これまでから、新しい技術が誕生した際には、その技術が社会的に受容され恩恵が人々に行き渡る過程において、技術の影響により生じる様々な課題を先人たちは英知を結集して乗り越えてまいりました。私は、生成AIについても同様ではないかと考えております。  生成AIの評価でございますが、生成AIは学習済みのデータを基に新たなコンテンツを創造することが可能であり、AIの中でも近年進化が目覚ましい技術でございます。文章だけではなく、画像や音楽の生成など幅広い分野で急速に利用が広がっており、文章の添削や要約、アイデアの提案などに加え、AIが描いた絵などのコンテンツも次々と生成されており、技術や応用分野も日進月歩の勢いで開発が進んでおります。  生成AIを取り巻く現況は、社会の変革の到来を大きく予感させますとともに、人間の知的活動に大きな影響を与えており、この技術を活用することで生産性の急速な向上や働き方改革などが進む可能性があるのではないかと考えております。  一方で、新しい技術であるがゆえに、例えば個人情報保護委員会から生成AIサービスの利用に関する注意喚起等が公表されているほか、議員御指摘のとおり、機密情報の漏えい、犯罪の巧妙化や容易化、学校現場における不適切な利用、著作権の侵害やAIを標的としたサイバー攻撃の巧妙化などがリスクとして指摘されております。このように生成AIは、行政サービスの向上にも寄与する可能性があるものの、適切にリスクマネジメントしていく必要がある技術だと考えております。  今後の導入と活用についてでございますが、京都府におきましては、4月に生成AI活用の勉強会をスタートさせ、情報収集と検討を進めてまいりました。既に民間事業者において、行政機関での利用も想定した情報漏えいリスクなどを回避した生成AIのサービスが複数開始されたことや、省庁などでも業務利用が開始されたことから、適切なリスクマネジメントの下で活用に向けた実証試験を実施したいと考えております。  実施に当たりましては、職員のスキルやリテラシーの向上を図るとともに、どのような分野で活用の効果が期待できるのか、また生成AIの特徴である自然な対話能力を生かした新たな府民サービスの実現可能性などについても検討してまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、実証試験の結果や国のAI戦略会議における検討状況などを踏まえ、府民生活の向上や産業の高度化、行政サービスの効率化などにつながるよう、生成AIを社会課題の解決に向けて適切に活用してまいりたいと考えております。 18: ◯副議長林正樹君) 山口勝議員。    〔山口勝君登壇〕 19: ◯山口勝君 御答弁ありがとうございました。  昨年改定された京都府総合計画は、府民とともにあたたかい京都づくりというふうにうたわれております。その中で、文化の力を継承し新たな価値観を創造する京都府として、文化の力で世界に貢献する京都の実現、そういった文化施策の一層の充実が展開されていくわけであります。ただ、京都は本当に日本の中にありましても、文化ストック、伝統産業から先進的なものづくり、観光資源など日本の中でも極めてポテンシャルの高いところであります。であるがゆえに、よりアグレッシブに文化と経済の好循環に挑戦をしていかなければならないと思います。  知事のほうからは、人材というキーワードがありました。文化人材、そして次代を担う若者の皆さんにとっても、様々な場面を提供することによって、幅広い人材育成につなげていくということであろうかと思います。何とぞ、そういった視点で広めていただけますようによろしくお願いしたいと思います。  社会的弱者の虐待事案というのは、実は後を絶ちません。今、御紹介申し上げました障がい者のみならず、高齢者の方々が特別養護老人ホームや老健施設、また子どもたちも保育園、こういったところで、本来は安心して過ごすべき施設において、そのような事案が発生しております。このことは本当に著しい人権侵害であり、絶対に許せるものではありません。おのおのの人権が尊重される風土づくりが求められております。未然防止、早期発見、早期解決ということもあります。京都府においては、一人一人が尊厳ある存在として互いに尊べる社会の構築に積極的に取り組まれることを切望する次第でございます。  チャットGPTに関しましては、先日、神奈川県議会で自民党の議員の方がチャットGPTで作成した原稿を読み上げ知事に質問をし、黒岩知事もチャットGPTで作成した文章で答弁をなされたそうであります。チャットGPTの導入促進については、本格導入に向けて準備を進めるという考えを示したそうですが、ただ、私は先ほど申し上げましたとおり、著作権の問題や幾つかの大きな課題もあることも事実でありますので、目的や手段の基準を明確にしつつ府民への行政サービスが向上することが期待できるというふうな上において、活用できる分野において検討を進めていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  最後に、若者の闇バイト防止対策について伺います。  真相の解明はこれからでありますが、先月、東京銀座における人通りもまだ多い夕方の時間帯、若者たちによる高級時計店での強盗事件は、日本国中に大きな衝撃を与えました。その後の捜査で、犯行を犯した若者は互いを全く知らず、指示役と目される人物からの命令で凶行に至ったとのことであります。なぜそのような行動に走るのか、その背景は深刻度を増している闇バイトの問題が指摘されています。  この4月に、1日50万円稼げるとうたう闇バイトに応募し特殊詐欺に関与したとして、群馬県在住の元専門学校生の女性が逮捕されました。その容疑は、昨年12月警察官に成り済まして80代の女性宅を訪問、「あなたの口座から現金が引き出されている」とうそを言ってキャッシュカードを盗んだ疑いで、ATMでお金を引き出そうとしましたが、聞き出した暗証番号が間違っており失敗に終わったというものですが、容疑者の女性は、「お客さんの家に行ってカードをもらってお金を下ろすだけの簡単な仕事」とのSNSの投稿を見て闇バイトに応募、求められるままに自分の実家の表札や自分自身の顔を動画で撮影し、指示役に送っていました。「しまった」とは思ったみたいですが、実家に何かあるかもしれないと感じ、指示を断れなかったとされています。  このように特殊詐欺や強盗の実行役などを担わせる闇バイトの募集は、近年、SNSで多く見られています。募集は一見すると、犯罪に加担するとは思わないような記述がなされており、安易に応募する若者が後を絶たないと見られ、応募の際に身分証などの個人情報を提示した結果、首謀者である犯罪組織から「家族を殺す」などと脅され、抜け出せなくなったケースも多いと思われます。  犯罪の首謀者が実行役となる闇バイトをSNS上で募集することは、世界のどこにいても投稿が可能であり、仮に実行役が逮捕されても捜査の手が自分たちには及ばないようにできると考え、犯罪組織にとって若者たちは使い捨ての駒にすぎないものとなっています。首謀者は、若者らに自分が誰なのかを教えない、連絡手段にはテレグラム、シグナルといった、送受信した文章や画像が一定時間を経過すると自動消去される秘匿性の高い通信アプリが悪用されています。  なぜ、このような危険な闇バイトに違法性を感じながらも若者が安易に加担してしまうのか、その背景には、デジタル化に伴う人とのリアルなつながりの希薄化があると識者は語っています。親や友人とのつながりは、犯罪学上、犯罪を思いとどまらせる社会的絆と呼ばれるものの一つで、これが薄れると人は逸脱行為をしやすくなる。デジタル化が進む中で、いかに社会的絆を強め、他者の痛みを推し量る共感性を育んでいくかが今度の課題であり、同じ感覚を持つ同世代の言葉が最も響くと思われます。  政府は先頃、SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プランを発表いたしました。このプランにおいては、実行犯を生まないための対策、実行を容易にするツールを根絶するための対策、被害に遭わない環境を構築するための対策、首謀者を含む被疑者を早期に検挙するための対策に取り組むとされ、具体的には、若者へのアルバイト感覚で犯罪に加担させない教育、啓発、違法な募集の排除や秘匿性の高いアプリケーションの悪用防止、携帯電話の本人確認強化、高齢者への安全対策の強化、犯罪者グループ等の実態解明に向けた捜査を含む効果的な取締りの推進などが実施されます。全国の警察も啓発を強化し、警視庁ではSNS上に啓発動画を配信、繁華街でのチラシ配布などの注意喚起を行っています。  我が党もこの問題においては国会において繰り返し対策強化を求め、闇バイトの阻止に向け実行犯にならないための消費者教育の徹底、スマホアプリの提携企業と悪用防止のための協議を訴えてまいりました。  そこで伺いますが、闇バイト問題に対しての現状認識と現在の取組について警察本部長にお伺いいたします。  また、京都は大学のまちであり、学生の多くもアルバイトに従事していますが、決して安易に闇バイトに走らないよう、大学との連携強化を図り、啓発の強化、消費生活センター等関係機関からの正しい情報発信、万が一闇バイトに染まったとしても相談体制の強化、また高校生もターゲットであり、より早い段階から生徒児童に対する情報モラル教育の着実な実施、教育委員会、警察本部との連携など全庁横断的にこの対策に取り組むべきと考えますが、知事の御所見を伺います。 20: ◯副議長林正樹君) 西脇知事。    〔知事西脇隆俊君登壇〕 21: ◯知事西脇隆俊君) 闇バイト問題に対する全庁横断的な対策についてでございます。  最近、SNS上で実行犯を募集する手口などを特徴とする、いわゆる闇バイト強盗が各地で発生をしております。また、京都府内で令和4年中に検挙された特殊詐欺事案の被疑者のうち、約6割が闇バイトに応じることで犯罪に加担していることが判明をしております。  こうした中、本年3月に省庁横断で取り組む緊急対策プランを政府が決定したことを踏まえ、京都府においても、青少年が闇バイトを通じて犯罪に加担することがないよう、全庁横断的な対策を強化する必要があると考えております。  具体的には、従来の青少年犯罪の対策と同様、教育機関や企業、防犯関係ボランティアなどと連携し、小学校段階からSNSなどを用いた犯罪について学ぶ情報モラル教育、各大学における闇バイトに対する注意喚起、トラブルを回避する知識、批判的思考力を身につけるデジタル化に対応した消費者教育など、青少年への教育・啓発活動を一層進めてまいりたいと考えております。  また、現在改定に向け議論を進めております「京都府犯罪のない安心・安全なまちづくり計画」の検討委員会において、闇バイト問題など犯罪の背景には、人や地域のつながりの希薄化による社会的孤立が影響しているとの御意見をいただきました。今回の計画改定におきましては、安心・安全なまちづくりを一層進めるため、社会的孤立への対策も検討課題とし、支援の在り方なども盛り込んでまいりたいと考えております。  こうした取組を踏まえ、全ての青少年が闇バイトに関わることなく、犯罪の加害者にも被害者にもならないよう、京都府警察、府教育委員会など庁内連携はもとより、市町村や関係団体などとともに対策に取り組んでまいりたいと考えております。 22: ◯副議長林正樹君) 白井警察本部長。    〔警察本部長白井利明君登壇〕 23: ◯警察本部長白井利明君) 山口議員の御質問にお答えいたします。  SNS等を利用して実行役を募集するなど、いわゆる闇バイトと呼ばれるものに関しまして、特に特殊詐欺につきましては、令和4年中の検挙被疑者44人のうち28人が、SNS上の募集に応じて犯行に加担したことが判明しております。このような状況から、特殊詐欺総合対策をはじめとする組織犯罪対策上、SNS上における実行犯を生まないための対策が非常に重要であると認識しております。  そこで、府警察といたしましては、実行犯の徹底検挙に加えて、これまでからも闇バイトへの対策として、SNS上において特殊詐欺などの実行犯を募っている可能性が高い書き込みを発見した際は、これに応じることがないよう「こちらは京都府警察です」などのメッセージとともに警告内容が記された画像を添付するなどして、警告等の措置を行っております。  このほか、教育機関等と連携した青少年に対する情報モラル教育、学校における非行防止教室、各大学・短期大学や各種機関・団体を通じて、「闇バイトは犯罪」であることを啓発するチラシの配布を行い注意喚起を行うなど、SNS上の犯罪実行役の募集に応じて府民が犯罪へ加担することのないよう対策を講じているところであります。  今後とも、府民が不安を感じる特殊詐欺等の犯罪の取締りを強化していくとともに、府民が犯罪被害に遭わず、犯罪に加担することがないよう、関係機関・団体と連携を深め、より効果的な対策を推進してまいります。 24: ◯副議長林正樹君) 山口勝議員。    〔山口勝君登壇〕 25: ◯山口勝君 御答弁ありがとうございました。
     闇バイトからそのような実行犯になるのは、これまでは特殊詐欺というのが大変多かった中で、本当に衝撃的な、強盗を行うまでのそういった形になっている。今、警察本部長から、44名中28名がというふうなお話がありましたけれども、やはりSNS上においてのそういった募集に対して応募してしまう。常識的に考えれば、1日30万円とか50万円とかそんなアルバイトがあろうはずもないわけですけれども、そういったところら辺に走ってしまう。まずはそこを抑止してしまう情報提供というのが大事だと思います。  この3年間、やはりコロナという、私たちにとっては大変生きづらい、また他者との関わり合いを持つことがなかなか困難であるという時代がありました。私も娘がおりまして、大学院に入って1年間はずっとパソコンの前での勉強で、オンラインで、せっかく友達になれる方と親しくなれなかったというふうなつながりが非常に希薄になったということを聞きました。そういった中で、若い人たちがSNSに依存してしまう、そういった中で、フェイクであるとか様々な悪質な情報に触れ合う中で、このようなバイトに入らないように、とにかくしっかりとした啓発をお願いしたいというふうに思います。  知事には、本当に全庁的なこういった問題意識を持っていただきまして、京都は学生のまちであり、多くの若い方々が生活をしている中にあって、絶対そのような犯罪に染まらないように、本当に犯罪に染まってしまったら一生を棒に振ると言っても過言ではないと私は思います。そういった意味におきまして、京都においてはこういった闇バイトを撲滅していくという強い気概を持ってお取組を進めていただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 26: ◯副議長林正樹君) この際、午後2時50分を目途に本会議を再開することとし、休憩いたします。    午後2時30分 休憩            ─────────────────────    午後2時51分 再開 27: ◯議長石田宗久君) 休憩前に引き続き会議を行います。  次に、渡辺邦子議員に発言を許可します。渡辺邦子議員。    〔渡辺邦子君登壇〕(拍手) 28: ◯渡辺邦子君 自民党議員団の渡辺邦子でございます。去る4月の統一地方選挙改選後初めてとなりますこの定例会におきまして代表質問をさせていただく機会を賜り、誠にありがとうございます。石田宗久議長林正樹議長、荒巻隆三議会運営委員長をはじめ、府内各地から選出されました議員の皆様とともに誠心誠意取り組んでまいる決心の下、数点にわたり質問させていただきますので、積極的な御答弁をどうぞよろしくお願いいたします。  まず初めに、文化庁京都移転を契機とした文化施策の展開について質問いたします。  明治以来初めてとなる本格的な中央省庁の移転となります文化庁の京都移転が実現し、先月5月15日から、ここ京都で本格的に業務を開始されました。ここに至る道のりは決して平坦なものではなく、この時を迎えることができましたのも、多くの方々の御努力があってのものと改めて敬意を表する次第であります。  さて、今回の移転を機に京都で執務をされる都倉長官をトップとして、新たに3つの組織が設置されました。1つは長官自らが戦略的に日本の文化・芸術の国際発信などを行う「長官戦略室」、2つは京都が誇る京料理をはじめ日本の食文化の振興や情報発信などを行う「食文化推進本部」、3つは地域の文化資源を生かした観光振興などを行う「文化観光推進本部」。京都を舞台に新しい文化施策を立案し、日本の文化を世界に向け発信していくにふさわしい体制ができましたことを歓迎するとともに、京都との親和性を考えますと大きな期待を寄せるものであります。  また、昨年、岸田総理が視察に来られたとき、「京都は、古くから伝統文化を大事にしながら新たな文化を国内外に発信し続けている。こうした歴史を重ねてこられた京都に文化庁が移転するということ、これは単に東京の一極集中の是正にとどまらずに、文化芸術のグローバルな展開、文化芸術のDX化、観光や地域創生に向けた文化財の保存活用、こうした新たな文化行政を一層進める上で大きな契機になることを期待しています」と述べられています。  都倉長官や岸田総理の言動に、改めて文化庁移転はゴールではなくスタートだと痛感しているところであります。3年間続いた新型コロナウイルス感染症や少子化の影響などから、伝統文化の担い手不足や活動の機会の減少など、地域文化を取り巻く環境は厳しい状況にありましたが、今後、文化と産業、観光の連携による地域振興と経済の活性化を図っていくことが大変重要であると考えます。  西脇知事は、「本来、中央省庁の移転は地方創生の取組であることを忘れてはならない。日本各地の多様な文化は後継者不足などに直面しているが、こうした文化を掘り起こし、国と地方が連携して新たな文化施策を推進し、地域に活力をもたらすことで担い手不足の解消や地方創生につなげていきたい」と語っておられます。  多くの方々が「文化庁が来て何が変わるの」と聞かれますが、私たち京都に住む者たち自身が文化庁の京都移転を契機に、当たり前に思っている日々の暮らしや生活文化、伝統と革新の中で育まれてきた多くの伝統文化や地域のお祭りなどなどすばらしい資源を再認識し、京都のまちを発展させていく契機になることを強く望んでいます。  今回の文化庁移転を移転のための移転ではなく新たな文化政策の潮流をつくっていくためにも、特に京都には海外に日本の文化を発信する舞台としての役割があり、京都自らも文化を磨き上げていく努力をしていかなければなりません。それらが相まって京都の文化振興、日本の文化振興につながるようにしていくためにも、やはり文化庁との連携が不可欠であります。  そこでお伺いいたします。  知事はこれまでからも文化庁と連携し、全国高校生伝統文化フェスティバルの共同開催や障害者芸術の展覧会「CONNECT(コネクト)展」の京都開催などに取り組んでこられましたが、今後、さらにどのように文化庁と連携して、新たな文化施策の潮流を生み出していこうとされてるのでしょうか。  また、全国の地方創生につながるようなモデル事業の展開についても、現時点でのお考えをお聞かせください。  次に、京都を訪れる多くの方は、京都に来れば日本文化に触れることができるとの期待を持ってこられると思います。確かに京都は、長い歴史の中で積み重ねてきた日本文化の中心であり、府民の生活の中にも文化が息づいておりますが、京都に住んでいる人たちも含め京都を訪れた方たちが、こうしたことをどの程度感じていただいているのでしょうか。日本文化を発信する舞台である京都と日本文化に触れることを期待して京都を訪れる方々がウインウインとなるような仕掛けが必要なのではないでしょうか。  年に一度の行事だけではなく、伝統工芸の体験や、例えば毎月全国各地の様々な伝統芸能が見られるといったように、京都に来ればいつも何らかの文化イベントが開催されてるという環境をつくり出せば、京都観光の幅も広がりまさに文化と観光の融合にもつながると思います。  そこでお伺いいたします。  京都の魅力を高め、日本の文化を世界に発信するための取組について、今後どのように展開していこうとされているのでしょうか。  また、京都の経済界や文化関係団体などオール京都体制で文化庁移転の機運を高める取組を推進する文化庁京都移転プラットフォームが、今年3月には「文化庁連携プラットフォーム」へと再編強化されたところですが、先ほど述べたような具体的な取組を続けていくためには、フットワークの軽い実働部隊を中心としたプラットフォームも必要だと考えますが、いかがでしょうか。  次に、新たに策定されます京都府観光総合戦略についてお伺いをいたします。  3年もの長きにわたる新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大は、観光に大きな影響を与えました。一時期は人の移動そのものが大きく制限され、インバウンドはなく、国内旅行も激減をいたしましたが、その間、観光産業を何とか支えるために京都府においては、観光誘客の拠点となる宿泊施設の感染防止対策の強化や前向き投資などの費用を支援するための「宿泊施設事業継続緊急支援事業補助金」を創設し、宿泊施設の事業継続を支援するとともに、修学旅行の安心・安全サポートなどにも取り組んでこられました。  また、感染状況が落ち着いている時期には、国の予算で府内旅行に対する割引やクーポン配付を行う「きょうと魅力再発見旅プロジェクト事業」を実施し、割引の対象を府民から近隣府県、全国へと広げながら、コロナで厳しい環境にある観光事業者への支援をされるなど、各種施策を講じてこられました。  ようやく今、街には外国人観光客や修学旅行生なども多く、以前のような観光のまち京都に戻ってきたように思います。先日、国においても、コロナ禍を経ても観光は「成長戦略の柱」「地域活性化の切り札」「国際相互理解・国際平和にも重要な役割」と定義された観光立国推進基本計画が閣議決定されたところです。  京都府においても新たな観光戦略を策定しようとされていますが、まずは、戦略の基本的な考え方についてお尋ねいたします。  さらに、先月5月29日には第1回大阪・関西万博きょうと推進委員会が実施されましたが、大阪・関西万博の開催は、観光においても京都が世界にさらに飛躍できる大きなきっかけになると思います。万博には150余りの国・地域が公式に参加表明されており、関係者の多くの来日が期待できるほか、文部科学省においても、学校教育の中での万博の見学や修学旅行などでの活用を通知されていることもあり、国内外から多くの方が関西を目指して来訪されることになります。  この方々を万博会場だけでなく、一足伸ばして隣接している京都にお越しいただく絶好の機会であり、そのための仕掛けが重要になってくると思います。京都市内にとどまらず、「海の京都」「森の京都」「お茶の京都」「竹の里乙訓」と府内全域への周遊と、さらに加えてふだんの暮らしの中での何気ない生活文化に触れたり、伝統工芸品の手づくりなど様々な体験が、新しい観光の魅力につながっていくことを期待しています。それはまさしく、先ほども申し上げた京都に文化庁が移転したことの大きな意義でもあると思います。  私の地元伏見でも一昨年、伏見港の「みなとオアシス」登録を機に、地域の皆様と行政が共に地域活性化や観光振興に取り組んでおられ、今年1月には淀川舟運活性化協議会において、大阪・関西万博までの具体的な目標として舟運の復活に向けた、大阪から八幡、伏見、宇治間の航路確保などが明確にされました。舟運復活の際には、大阪から八幡を経て伏見港まで船で移動し、そこから幕末の歴史あふれる寺田屋近くを流れる宇治川派流を運航している十石舟や三十石船、さらには宇治までの水上アクティビティに乗り換えたり、沿川の京阪電車も利用して伏見や京都府南部へ旅を続けるという新しいネットワーク化や周遊コース実現に向けて、大きな期待が寄せられています。  大阪・関西万博は、京都の観光にとって絶好の好機であり、大きな可能性を秘めています。そこで、観光戦略の中で、大阪・関西万博をどのように京都の観光の発展に生かしていこうとされているのか、お考えをお聞かせください。  最後に、人材の確保・育成についてであります。  先月、帝国データバンクが発表いたしました人手不足に対する企業の動向調査によりますと、正社員の人手不足は51.4%で高止まりが続いており、特に旅館・ホテルについては75%を超える高水準との調査結果が公表されました。この状況は、府内の北部から京都市を含め南部地域まで共通した大きな問題となっており、多くのホテルや旅館で「需要が一気に回復し予約は入ってくるものの、人手が足りないので空き部屋があるのに予約を受け付けることができない」という声があり、100%の施設稼働ができていない状況になっているとお聞きしています。  人口減少社会にあって、観光分野だけではなく多くの業種で人手不足に陥っている中、観光を支える担い手の確保については、正規雇用を増やしていくことはもちろんでありますが、さらに様々な工夫が必要ではないでしょうか。  また、人材確保とともに人材育成や生産性向上なども併せて取り組む必要があると考えますが、観光戦略においては、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。  まずは、ここまでの御答弁をお願いいたします。 29: ◯議長石田宗久君) 西脇知事。    〔知事西脇隆俊君登壇〕 30: ◯知事西脇隆俊君) 渡辺議員の御質問にお答えいたします。  文化庁京都移転を契機とした文化施策の展開についてでございます。  文化庁京都移転の意義は、地域の多様な文化の掘り起こしや磨き上げを行うなど、国と地方が連携した新たな文化政策を総合的に推進し、その取組成果を全国に波及させることで我が国の文化政策の新たな潮流を生み出し、地方創生につなげていこうとするものでございます。  京都には、清水寺などの有形文化財や風流踊りなどの無形文化財、丹後の「ばらずし」などの豊かな食文化、西陣織などの伝統産業など、各地域に特徴ある文化資源を有しております。こうした文化資源を生かし地域の活性化や経済成長につなげるため、魅力あるテーマやストーリー性を持たせるなど、文化と観光をはじめとする産業が相乗効果を生み出す新たな取組を文化庁と連携して進めてまいりたいと考えております。  具体的には、文化庁と共同で「地域文化掘り起こし・磨き上げプロジェクト」の実施や全国展開を提案しており、今後、府内の地域文化の掘り起こし、磨き上げに取り組み、その成果をモデルとして地方創生につながるよう全国へ波及させてまいりたいと考えております。  次に、日本の文化を世界に発信する取組についてでございます。  京都府では、文化庁が推進する「日本博」の一環として、福知山城や天橋立で光のアートイベントを開催してきたほか、海外のギャラリーやコレクターが集う「Art Collaboration Kyoto(アートコラボレーション京都)」を開催するなど、日本文化を世界に発信してまいりました。また、市町村でも、「木津川アート」など地域の文化資源を生かしたイベントに取り組まれており、文化団体等のイベントを合わせると年間を通して様々な取組が実施され、発信されています。  京都府では、本年3月に、京都市、京都商工会議所と連携し、市町村や経済界、文化関係団体などのオール京都体制で文化庁連携プラットフォームを立ち上げたところでございます。今後はそのプラットフォームを中心に、文化をあらゆる分野に生かした新しい取組や、府・市町村・文化団体などが年間を通じて行う文化イベントを切れ目なく発信し、文化庁とも連携して積極的に日本文化の魅力を発信してまいりたいと考えております。  次に、実働部隊を中心としたプラットフォームについてでございます。  文化庁連携プラットフォームでは、その取組の一つとして、各構成団体と文化庁の若手職員などによる意見交換会が今月から開始をされ、実働的な若手職員が府内市町村に出向き、現地の文化を実体験する取組などについて検討されているところでございます。こうした実体験を基に、プラットフォームメンバーと文化庁職員が連携し、具体的な施策を生み出し続けてまいりたいと考えております。  次に、京都府観光総合戦略についてでございます。  新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大とその長期化は、社会の在り方を一変させ、観光はその影響を大きく受けますとともに、個人の価値観の多様化が進み、観光に求められるニーズも大きく変化することとなりました。そのため、社会の変化に対応した新しい京都観光を様々な関係者と一緒に進めていきますとともに、2025年大阪・関西万博を好機に京都観光を大きくステップアップするため、このたび、観光総合戦略を抜本的に見直しすることといたしました。  新しい戦略では、「観光は、人と人との出会いにより絆を生み出し、その土地から気づきや学びを得て人生を豊かにするもの」と定義をし、その上で交流を観光によって活性化し、交流から生まれる体験や新たな人間関係を基盤に将来的には訪問者が地域振興に参加していただくこと、住民が観光に参画するなど地域と観光との連携を強めるとともに、観光によって文化振興や産業振興、地域振興につながる活動が強化され、観光を通じて地域がよくなる持続性の高い観光を実現すること、この2点を基本的な考え方としております。  そうした考えの下、京都観光の満足度を高め、交流人口の増加を図り、その上で関係人口や参加人口へと拡大いたしますとともに、将来的には移住にもつなげるなど、地域活性化にも寄与する、より質の高い観光振興にチャレンジする戦略にしたいと考えております。  次に、大阪・関西万博の観光への活用についてでございます。  国内外から万博に来場する2,800万人を府内各地に誘客し、京都が培ってきた食や歴史、文化や環境、産業などを生かし「ほんものの京都」を体感してもらいますとともに、議員御紹介の淀川舟運のような地域資源を活用した周遊観光の推進や、交流人口・関係人口の拡大に取り組んでまいりたいと考えております。  また、万博に関連して開催される国際会議などに出席される世界各地から来訪される方々に京都にお越しいただくため、京都ならではのユニークベニューの活用によるMICE(マイス)開催地としての魅力向上と地域間交流の促進、京都が持っている食文化や伝統産業などの資源を生かした国際交流の拡大などの取組を進め、京都の魅力を発信いたしますとともに、ビジネスマッチングの機会創出の場やMICE候補地としての京都の存在感を高めてまいりたいと考えております。加えて、万博をゴールではなくスタートとして、若者が活躍する場をつくることも含め京都の観光が新たなステージへ進化するよう取り組んでまいりたいと考えております。  次に、人材の確保・育成についてでございます。  観光産業を支えている最も重要な資源は人でございますが、需要の回復に伴い人手不足は一層深刻になってきております。また、観光を取り巻く状況も大きく変化していることから、求められている人材も多様化するとともに、DXの活用能力が求められるなど高度な人材が求められております。これまで、観光産業は季節による繁閑差が大きく、非正規雇用の割合が高くなっておりましたが、こうした雇用環境では持続可能な観光の実現が難しいと考えております。安定した雇用の実現のためには、まずは観光事業者の生産性を高め収益を確保できるよう支援いたしますとともに、地域の持つ様々な観光資源を活用することで、年間を通じた需要の平準化を進め雇用の質を高めたいと考えております。  一方、人材の確保・育成につきましては、この3月末に設立いたしました京都観光アカデミーを活用し、例えば京都で学ぶ大学生に観光産業の魅力を紹介し、京都の観光産業への就職意欲を高める取組、生産性の向上に向けてのAIやICTの活用の研修、他分野とかけ合わせて新しいサービスを生み出す人材の発掘などの事業を一層強化してまいりたいと考えております。  新たな京都府観光総合戦略については、今議会で御意見をいただき策定し、今後、万博などの世界的イベントでの知見や社会情勢の変化など、必要に応じて改定をしてまいりたいと考えております。 31: ◯議長石田宗久君) 渡辺邦子議員。    〔渡辺邦子君登壇〕 32: ◯渡辺邦子君 ありがとうございました。文化と観光について、本当に様々なことを考えていただいていること、お話を聞いていてわくわくしてまいりました。この機を絶好のチャンスとして皆様とともに、文化都市京都の発展に向けてさらに頑張ってまいりたいと思います。  そしてまた、7月には久しぶりに祇園祭も以前と同じように行われるとお聞きしております。文化庁の長官も先頭を木村理事長とともに山鉾巡行ではお歩きになるとお聞きしてますし、文化庁の職員の方々も京都祇園祭ボランティア21のメンバーとして、引き手として御参加いただけるということでお聞きしております。ぜひとも今後、様々な京都の文化を実感していただきながら、連携を深めていっていただきたいと思います。  一方で、以前、文化庁の新庁舎の内覧会で、1階にある情報発信室が一般府民などにも開放されて、今後、情報発信の拠点となるものとお聞きし、大きな期待を寄せていましたが、現在はセキュリティー管理の関係で関係者のみの利用となっていて少し残念な気がしています。7月末には、隣接する重要文化財である京都府庁旧本館に長年の念願でありましたカフェも開設されることになり、旧本館と連携されながら、府民の皆様が文化庁を身近に感じ、そして文化の発信や交流の場として情報発信室が利活用されますことを期待したいと思います。  では次に、「子育て環境日本一」に関連して質問させていただきます。  本年4月にこども基本法が施行され、こども家庭庁が発足されました。こども基本法においては、子どもの養育については家庭を基本として行われ、父母、その他の保護者が第一義的な責任を有するとの認識の下、これらの者に対して子どもの養育に関し十分な支援を行うとともに、子どもが心身ともに健やかに育成されるようにするという基本理念が掲げられております。  そこでまずは、何よりも大切な子どもの健康と子どもを養育する家庭への支援について質問いたします。  初めに、子どもの目の健康についてです。  弱視の子どもは50人に1人とされており、3歳児健診で発見し早期治療につなげれば改善できると言われています。このため、令和4年度から市町村による屈折検査機器の整備が国の補助対象となりました。それまでは、京都府内26自治体のうち3自治体しか屈折検査が導入されていませんでしたが、国の補助が始まって以降、導入自治体が増加し、今年度は府内全自治体で屈折検査が導入されると伺っています。また、折しも日本眼科医会等の御努力で今年から6月10日が「こどもの目の日」と制定され、子どもの目の発達について普及啓発が進んでいます。  そうした流れの中で、京都府や関係者等から市町村への積極的な勧奨もいただき、弱視の早期発見、早期治療の体制が構築されたことに心から感謝申し上げます。また、さらに今後は検査実施状況の把握や精度管理、また医療機関との連携についても推進していただくよう、重ねてお願いをさせていただきます。  また、子どもの目の健康だけでなく、耳の健康も重要です。難聴の場合、耳からの情報が制約され、子どもの言語発達の遅れ、情緒や社会性の発達にも影響が生じると言われており、早期発見、早期療育が特に求められます。具体的には、難聴児への療育は遅くとも生後6か月頃までに開始することが望ましいとされており、そのためには生後1か月までの新生児聴覚検査及び3か月までの精密検査の実施が望ましいとされています。  府内の状況を伺ってみますと、新生児聴覚検査の公費負担を実施する自治体は増加しているものの、まだ全自治体での実施には至っていないようです。また、検査により支援が必要とされた子どもや家族については、医療だけではなく、身振り、表情や音声、筆談、手話などを言葉として理解し、言語コミュニケーションの発達を促すための支援が必要であり、福祉・教育など他分野との連携が重要となります。  そこでお伺いいたします。  難聴児の早期発見・早期療育に向けた府内での体制構築のために、府としてどのように取り組んでいかれるのか、知事のお考えをお聞かせください。  さらには、子どもの健康に加え、子どもを養育する御家庭への支援も非常に重要です。特にゼロから2歳の子どもを持つ御家庭の約6割が在宅で育児をしていると言われ、核家族化や地域のつながりの希薄化が進む中、孤立した子育てを強いられ、産後鬱による自殺や児童虐待につながる可能性もあります。  こうした方々に対して、心身のケアや育児の支援が求められており、産後ケア施設は育児についての相談や赤ちゃんを一時預かってもらって、母親が睡眠不足や体力を回復できる時間をつくることができる場として大変好評と聞いております。このような産後ケア事業の実施については、母子保健法により市町村の努力義務と位置づけられておりますが、自己負担額がネックになって利用が伸び悩んでいるといった声も聞いているところです。  他方で、昨年度から、在宅育児の御家庭を含めて全ての妊婦や子育て家庭に対し10万円相当の経済的支援を行う出産子育て応援交付金事業が始まっておりますが、全国のほとんどの市町村が現金での給付となっており、せっかくのこの10万円が必ずしも産後ケアも含め出産や子育てのために使われていない状況もあるのではないでしょうか。  そこでお伺いいたします。  京都府として、産後ケア事業の自己負担軽減のために出産・子育て応援交付金が活用される工夫を行うなど、必要な方には産後ケア事業の利用を促進する必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  これまで、まずは子どもの健やかな育ちの原点である健康と家庭について質問させていただきましたが、さらに社会で子どもを育てることの重要性についても述べたいと思います。様々な観点があると思いますが、今回は、PTA活動について教育長にお伺いいたします。  子どもたちが家族や御近所以外で出会う初めての集団が、保育園や幼稚園、そして学校であり、改めてPTAとは、子どもたちの健やかな成長を目的にペアレンツ(保護者)とティーチャー(教職員)が協力し合って様々な活動を行う社会教育団体であります。子どもたちの健全な成長を図るためには、学校、家庭、地域がそれぞれの役割を果たしながら連携し合うことが大切です。特に学校と家庭の協力体制は何よりも必要です。学校と保護者が協働して教育に取り組むことが、子どもたちの健全育成に最も重要なことであり、この協力体制は地域における子どもたちの教育についても重要な役割を果たすと考えています。  さらに、本年4月にこども家庭庁が創設され、常に子どもの最善の利益を第一に考え、子どもに関する取組、政策を社会の真ん中に据えて、社会で子どもを育てることの重要性が大きく打ち出されましたが、一方、PTAについては、負担感が大きいとか、組織の在り方への御意見等、マスコミの報道も含めてマイナスのイメージが広がっていることをPTA経験者として憂慮しています。  以前に比べて就業される保護者の方が増え、状況が変わっているとも思いますが、子どもたちを真ん中にして保護者と教職員の皆様が協力しながら一緒に様々な活動を行ったり、共に学び合える機会は、まさにPTAは子どもがくれた贈り物として、充実した活動をさせていただいたという思いがあります。また、マイナスのイメージがクローズアップされる一方で、「保護者同士の関係性が希薄になっているからこそPTAは必要だと思う」「子どもたちのために何ができるかを考える機会や組織はあり続けてほしいと思う」という御意見があるのも事実です。  中には、年間を通じての委員会制をやめて、個々の行事等についてボランティアメンバーを募集したり、これまでの前例にとらわれずできる範囲での活動に見直しをしたり工夫をしながら、子どもたちの笑顔のためにという原点を大切に活動されているところもあるようです。また、コロナ禍の中、オンライン会議による役員会の開催や組織運営の見直しを行うなど、保護者が参加しやすい環境づくりを進めているところもあると聞いております。さらには、PTAを卒業した後もその経験を生かしながら子どもたちのために何か協力できることをと考えてくださっている方もいらっしゃるかと思います。  そこで、教育長にお尋ねいたします。  PTAがこれまで果たしてきた役割を踏まえて、その意義についてどのようにお考えでしょうか。また、今後の取組についてもお聞かせください。  最後に、自転車ヘルメットの着用率向上に向けた取組についてお伺いいたします。  京都府では、第11次京都府交通安全計画により「令和7年までに年間の24時間以内死者数を40人以下、重症者数を700人以下」とする目標を掲げているところでありますが、令和4年の交通事故死者数は45人で、統計が残る昭和23年以降最少を記録したほか、交通事故の発生件数も平成16年から18年間連続で減少し、重症者数は748人と目標達成に向けて着実に歩みを進めているところです。  一方で、自転車が関係する交通事故については、令和4年は825件の発生で、平成16年の3,986件をピークに18年間連続で減少し、平成16年と比較すると5分の1まで減少していますが、体感的にはまだまだ、信号無視や一時停止場所で止まらない自転車など、交通法規を無視する自転車利用者が依然として多いように感じており、府民の皆様からもこうした声が私のところにも届いています。  実際に交通事故の統計を見てみますと、昨年発生した自転車が関係する交通事故の約7割に、自転車側にも何らかの法令違反が認められたとのことです。自転車は、幼児から高齢者まで幅広い層が多用な用途で利用できる身近な交通手段であり、環境負荷の低減、災害時における交通機能の維持、健康増進等にも資するものとして注目されているほか、新型コロナウイルス感染症の影響による府民の皆様のライフスタイルや交通行動の変化に伴い、通勤・通学や配達を目的とする自転車利用ニーズが高まっています。  このような中、本年4月1日に施行された改正道路交通法により、全ての自転車利用者に対する乗車用ヘルメットの着用が努力義務化されました。警察庁の発表によりますと、平成30年から令和4年の過去5年間に、自転車の事故で亡くなられた方2,005人の約6割が頭部に致命傷を負っており、そのうち96%がヘルメットを着用していなかったとのことです。また、自転車乗車中の事故でヘルメットを着用していなかった方の致死率は、着用していた方に比べ約2.1倍高くなっているとのことです。  京都府内においても、施行後の本年4月9日に木津川サイクリングロードで発生した自転車同士の事故において、ヘルメットを着用されていなかった方は亡くなられ、着用されていた方は後頭部を打撲したものの命に別状はなかったと聞き及んでいます。改めて、自転車乗車用ヘルメットの着用の重要性について痛感させられたところであり、努力義務ではありますが、府民の皆様にはぜひヘルメットを着用していただきたいと思います。  しかしながら、京都府警察の調査によりますと、施行前の2月時点での着用率は3.9%で、施行後の5月時点での着用率は8.4%と着用率は徐々に上がってはきているものの、いまだ1割にも満たない現状を見てみますと、自転車乗車用ヘルメットの着用が浸透しているとは言い難い状況にあります。  これまで道路交通法第63条の11では、「児童または幼児を自転車に乗車させるときは、乗車用ヘルメットをかぶらせるように努めなければならない」とされ、さらに京都府では京都府自転車の安全な利用の促進に関する条例により「自転車に取り付けられた幼児用乗車装置に小学校就学前の者を乗車させるときには、当該者に乗車用ヘルメットをかぶらせなければならない」とされています。また、京都府自転車安全利用促進計画により、令和7年度までに自転車同乗未就学児のヘルメット着用率100%を目指す中、京都府警察を含め関係機関・団体による広報啓発などの御尽力もあり、令和4年度の調査では77.2%と聞き及んでいます。
     今回、道路交通法の改正により、子どもたちのみならず、全ての自転車利用者に対して乗車用ヘルメットの着用が努力義務化されたところではありますが、この改正は、交通事故発生時における頭部保護であったり被害軽減を図るもので、自分自身の命を守るといった意味でも非常に大切なものと認識しており、着用率向上のための一層の取組が必要だと考えています。  そこで、警察本部長にお伺いいたします。  京都府下で過去5年間で自転車の事故で頭部に致命傷を負って亡くなられた方のうち、ヘルメットを着用していなかった方の割合はどれくらいでしょうか。また、自転車ヘルメットの着用を促進するための警察の取組、今後の方針などについてもお聞かせください。  時間がまいりましたので、これからも子どもたちが真ん中、安全・安心、あたたかい京都を目指して、西脇知事を先頭に府民の皆様とともにこれからも日々精進していくことをお誓い申し上げ、質問を結ばせていただきます。  御清聴賜り、誠にありがとうございました。(拍手) 33: ◯議長石田宗久君) 西脇知事。    〔知事西脇隆俊君登壇〕 34: ◯知事西脇隆俊君) 難聴児の早期発見、早期療育についてでございます。  難聴につきましては、早期に発見し早期に療育につなげることにより、言語やコミュニケーション能力の向上を図ることができるため、新生児聴覚検査から診断・治療・療育・教育に至るまで難聴児と家族を切れ目なく支援することが重要となります。  京都府におきましては、新生児聴覚検査の受診券などの統一様式を定めますとともに、市町村の公費負担額の調整を医師会に対し一括して行うなど、市町村が新生児聴覚検査を円滑に実施し難聴児を早期発見できる環境づくりを進めてまいりました。その結果、現在、府内23市町村が新生児聴覚検査に対する公費負担を実施しているところでございます。現時点で未実施であっても、今年度中に公費負担の実施を予定している市町村もあると伺っており、引き続き未実施の市町村に対しましても公費負担の実施に向け、積極的に働きかけてまいりたいと考えております。  また、早期療育の体制につきましては、府立聾学校内にある聴覚支援センターや府立宇治支援学校内にあるスーパーサポートセンターにおいて相談支援などを行いますとともに、聾学校、京都市児童福祉センター、京都聴覚言語障害者福祉協会におきまして、難聴児への教育や療育、リハビリの実施、手話の学習会などの取組を行っているところでございます。  今後は、医療・福祉・教育・行政の関係機関による連絡会議を開催をし、各機関の連携強化に努めるなど、難聴児と家族に対する支援体制の充実を図ってまいりたいと考えております。  次に、産後ケア事業の促進についてでございます。  出産や育児の不安や悩みを抱える妊産婦の方が安心して子育てができる環境をつくるためには、心身のケアや育児のサポートを受けられる産後ケア事業の利用を促進することが重要となります。その一方で、産後ケア事業の利用料が高いなどの理由で、必ずしも利用につながっていない場合があるため、自己負担の軽減も課題と考えております。  こうした中、昨年度から、妊産婦や子育て家庭に10万円相当の経済的支援を行う出産・子育て応援交付金事業が始まっております。京都府としては、この事業を出産・子育てに必要な支援に確実につなげることが重要と考え、本年10月をめどにベビー用品や子育て支援サービスを電子クーポンなどで支給するプラットフォームを府内全域で構築する予定としております。プラットフォームの構築に当たりましては、市町村と連携し、産後ケアを含めた子育て支援サービスの利用券を電子クーポンのラインナップに盛り込みますとともに、妊産婦が必要とするサービスを選びやすくなるようなカテゴリー分けを工夫することによりまして、産後ケアの利用を促進してまいりたいと考えております。 35: ◯議長石田宗久君) 前川教育長。    〔教育長前川明範君登壇〕 36: ◯教育長前川明範君) 渡辺議員の御質問にお答えいたします。  PTAの役割や意義についてでございます。  PTAにつきましては、これまでの長い歴史の中で子どもを中心に学校と保護者や地域をつなぐ架け橋となり、子どもたちの健やかな成長や笑顔あふれる教育の充実に向け取り組んでいただいていると認識しております。また、それぞれの時代に応じて学校の取組に御協力をいただき、学校運営に様々な御意見を聞かせていただくとともに、時に保護者に向けアピールを行っていただくなど、今日の学校はPTAとともに歩んできたという思いでございます。  議員御紹介のように、PTAを経験された方からは、「子どもたちの成長に役に立つことができた」「親同士のつながりができた」「先生の思いをよく知ることができた」など、PTA活動がとても有益であったという声を多くお聞きしております。  PTAの加入は任意ではございますが、PTA活動を通じて子どもたちとともに成長を実感したり、親同士がつながり、自ら学びを実感したりする経験は、保護者の皆様にとっても何物にも代えがたく、また親子ともにその時期にしかできない貴重な経験として非常に意義があるものと考えております。  このため、PTA活動の意義や役割を保護者の皆様に対ししっかりとお伝えしていくとともに、様々な機会を通じ、保護者が意欲的に参加しやすいよう工夫された取組事例をPTAと情報共有することで時代に合わせたPTA活動がより一層進むよう、共に取り組んでまいりたいと考えております。  府教育委員会といたしましては、PTA活動の活性化は社会全体における教育環境の充実にもつながるものと考えており、今後も引き続きPTAと協働していくことにより、子どもたちが「包み込まれている」という感覚を実感し、自己肯定感を育めるよう、学校・家庭・地域がそれぞれの強みを生かした社会総がかりの教育を推進してまいります。 37: ◯議長石田宗久君) 白井警察本部長。    〔警察本部長白井利明君登壇〕 38: ◯警察本部長白井利明君) 渡辺議員の御質問にお答えいたします。  まず、京都府下で過去5年間の自転車事故で頭部に致命傷を負って亡くなられた方のうち、ヘルメットを着用していなかった方の割合についてでございます。  平成30年から令和4年の5年間で、自転車乗車中に亡くなられた方は31人で、6割以上の20人が頭部に致命傷を負っています。そのうちヘルメットを着用していなかった方は19人で、率にすると全国とほぼ同様の95%になります。  次に、自転車ヘルメットの着用を促進するための方針と具体的な取組についてでございます。  府警察では、自転車ヘルメット着用による頭部保護の重要性と被害軽減の効果について理解を深める広報啓発活動、着用の浸透に向けた環境づくりを基本方針として、各種施策に取り組んでいます。  具体的には、着用の重要性と必要性について府民に理解しやすいアニメ動画を制作し、府警公式SNSに登載したり、商業施設等で放映するなど、各種広報媒体を活用した情報発信を行っております。また、企業を「自転車ヘルメット着用促進モデル事業所」に、高校生や大学生を「自転車安全利用プロモーター」に指定しまして、業務や通勤・通学における自転車ヘルメットの着用浸透を図るとともに、地域住民や周囲の学生の模範となる取組を行っています。  さらに、行政・教育機関等に対する自転車ヘルメットの着用促進に関する申入れや、京都府交通対策協議会が定める自転車安全利用推進日等において、自転車利用者に具体的な事故データや事例を用いた着用の重要性と必要性についての指導・啓発活動を行っています。  最近では、自転車を利用する学生に対して、自転車ヘルメット着用の「ヘル」と鍵掛けの「ロック」を呼びかける「ヘル&ロック」と題するロック調の動画を新たに制作し、SNSで公開するなど、若者に身近なこととして感じてもらえるよう創意工夫した取組も行っているところであります。  また、大学生による自由な発想を交通安全対策に反映する施策「ポリス&カレッジ」の本年度のテーマは、「自転車ヘルメット着用の促進」に選定いたしまして、実効性の高いアイデアを今後の施策展開に反映するなどしてまいりたいと考えております。  議員御指摘のとおり、自転車ヘルメットの着用につきましてはいまだ浸透しているとは言い難い状況であり、着用促進に向けて一層の取組が必要と認識しております。特に7月1日からは、自転車と同様のルールとなる特定小型原動機付自転車、いわゆる電動キックボードについてもヘルメットの着用が努力義務となりますことから、自転車と併せましてこれらの利用者に対しても、各種広報媒体を活用した情報発信や指導・啓発活動により、乗車用ヘルメットの購入、着用を促す取組を一層強化してまいりたいと考えております。 39: ◯議長石田宗久君) 次に、能勢昌博議員に発言を許可します。能勢昌博議員。    〔能勢昌博君登壇〕(拍手) 40: ◯能勢昌博君 自民党府会議員団の能勢昌博でございます。改選後の初めての議会、代表質問のトリを務めさせていただく機会を与えていただきました自民党府会議員団の皆様に心より感謝を申し上げます。それでは、質問に入らせていただきます。  ロシアによるウクライナへの侵攻から間もなく1年4か月がたとうとしていますが、いまだ終戦の糸口が見つからず、資源価格高騰の影響等で物価高騰が長期化し、府民生活や事業活動に大きな影響が及んでいます。5月19日に総務省が発表した2020年を100とした4月の全国消費者物価指数は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が104.8と前年同月比3.4%の上昇となっております。  このような状況を受けて政府も電気・ガス料金の負担軽減対策を打ち出し、エネルギー価格は下落したものの、相次ぐ食品等の値上げが物価を押し上げているのが現状であります。また、日本銀行が6月12日に発表した5月の国内企業物価指数は、速報値でありますけれども、119.1となり前年同月比5.1%の上昇となっており、伸び率は先月から縮小したものの、2年3か月連続で前の年を上回っています。  このような状況が続く中、府民や事業者の方々の切実な声に耳を傾け、府民の生活や事業活動をしっかり守っていくことが京都府には求められています。我が自民党府議会議員団としても、それぞれの地元での意見交換やさきの選挙活動の中でも物価高騰の影響について切実な声を聞き、その声を会派としてまとめ、4月には知事への要望として届けさせていただいたところであります。  京都府においては、この間、時期を逸することなく、府民生活や事業者を守るための緊急対策を講じ、4月には、国から可能な限り5月末までに支給するよう要請があったことを踏まえ、食費等の物価高騰に直面し特に影響を受けている低所得の独り親家庭等に対する生活支援に必要な予算を提案され、臨時議会で可決されたところではありますが、今後も物価高騰がさらに長期化することが予想されることから、国の対策を補完しながら、予断を許さない物価高騰等から府民生活と地域の経済活動を守るために総力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。  国の対応に目を転じますと、世界的な物価高に引き続き警戒が必要であるなど今後の動向には予断を許さない状況を受けて、本年3月には第8回の物価・賃金・生活総合対策本部会議を開催し、物価高騰に対する追加策が決定されました。  その追加策では、地方創生臨時交付金1兆2,000億円が積み増しされ、そのうち7,000億円はエネルギー、食品等の物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対して、地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施する取組を支援するとされています。また、残りの5,000億円は、市町村が地域の実情に応じて実施する低所得世帯支援策に活用することができ、支援対象となった住民税非課税世帯数に3万円を乗じた額が事務費と合わせて市町村に交付されるとお聞きしています。  京都府としても、地域の実情に応じた対策をこの地方創生臨時交付金を活用して、きめ細やかに府民や事業者の方々に届けていく必要があります。事業者にとって、エネルギー価格や原材料価格の高騰が事業経営に与える影響は大変大きく、特に中小企業・小規模事業者の経営を圧迫する要因となっています。中小企業・小規模事業者が多い京都府においては、中小企業の事業継続が府内経済に与える影響は大きく、社会経済活動の回復を確かなものにしていくには、これら中小企業・小規模事業者に対する物価高騰による影響を緩和することが必要に重要だと考えます。  京都府では、コロナ禍や物価高騰等を受けて中小企業の経営改善につながるよう、金融機関と経営支援機関がチームを組んで経営改善の伴走支援をする、全国的にも例のない「金融・経営一体型支援事業」を実施するとともに、金融と経営の一体型支援を推進する「中小企業応援隊」の応援ツールとして中小企業の経営安定と成長をサポートする「WITHコロナ・POSTコロナチャレンジ補助金」を創設し支援され、今回の補正予算では、この補助金の積み増しも盛り込まれています。まさに今、このような支援を差し伸べなければ中小企業の資金繰りも一層深刻化し、事業継続が危ぶまれるおそれがあります。  そこで1点目の質問として、物価高騰の影響を受ける府内中小企業・小規模事業者を取り巻く現状についての京都府の認識と、これまでの金融・経営一体型支援事業による支援の実績や効果について、さらには今回の積み増しはどのような声に応えて、この支援によりどのような経営改善を期待されているのか、お伺いいたします。  次に、農林水産業者への支援についてであります。  当然のように、エネルギー価格や原材料価格の高騰は、農林水産業者にとっても大きな影響を与えていることは言うまでもありません。京都府においても、これまで農林水産業者の生産コスト削減や販売力強化につながる取組をはじめとする様々な支援を実施されてきたことは、評価するところであります。  私は昨年の12月定例会の一般質問において、農業に関する諸問題を取り上げさせていただき、特に個々の地域や農家に合わせての個別の経営支援を含めた伴走支援が必要であると訴えさせていただきました。幾ら支援体制を創設しても、制度が複雑過ぎたり、手続が煩雑で長い期間かかったり、またその制度自体を知らないというようなことがないよう、しっかりと周知しなければなりません。今回の補正予算においては、省エネ機器導入や収益力強化の取組に対して支援を行うことで、電気代や肥料、燃油等の高騰の影響を緩和しようとするものですが、この支援を大規模農林水産業者だけではなく、支援を必要とする全ての農林水産業者に届けられることを切に願います。  2点目の質問として、電気代や肥料・飼料・燃油等の高騰が続く中、府内の農林水産業の現状についてどのように認識し今回の追加の支援策を実施することにしたのか、また支援を必要とする全ての農林水産業者にしっかり支援を届けようとすると、農業改良普及センターをはじめとする支援機関の伴走支援が不可欠と考えますが、御所見をお伺いいたします。  最後に、府民生活、とりわけ生活困窮者への支援についてであります。  物価高騰による生活必需品の値上げは、府民生活にも多大な影響を及ぼしています。私のもとにも、生活困窮者の方とふだん接している方からその様子を伺うことがありました。ふだんの生活をしている中ではなかなか見えにくいその現状は想像を超える悲しみが垣間見え、自分の知らないところでこのような事例はたくさんあるのだろうと改めて考えさせられました。  その中、今回の補正予算においても、子どもの学校等の給食の食材費高騰分に対する支援やプレミアム付商品券の発行による消費者向けの支援なども盛り込まれています。先ほどの農林水産業者のところでも申し上げましたが、ほんとに支援を必要としているところに、ここではとりわけ低所得世帯や独り親家庭が物価高騰の影響を大きく受けている現状を鑑み、支援していくことが必要だと考えます。  京都府では、物価高騰やコロナ禍の影響が長期化する中、社会福祉協議会等を通じた府民生活への緊急支援として、食料費や食事提供、生活必需品等の配付支援も行い、令和5年度においても当初予算と一体的に編成された14か月予算において生活困窮者等物価高騰対策緊急生活支援事業費を計上し、支援が継続されているところであります。  そこで3点目の質問として、コロナ禍から続く物価高騰の長期化による低所得世帯や独り親家庭への影響についての現状認識について、またこの社会福祉協議会や子どもの居場所等を通じた食料品や生活必需品の配布等のこれまでの支援実績と、その支援を通じて得た課題があれば今後の支援にどのように生かしていこうとするのかをお聞かせください。  まずはここまでの答弁をお願いいたします。 41: ◯議長石田宗久君) 西脇知事。    〔知事西脇隆俊君登壇〕 42: ◯知事西脇隆俊君) 能勢議員の御質問にお答えいたします。物価高騰の影響を受ける中小企業の現状と支援についてでございます。  日銀京都支店の5月の経済概況によると、総括判断を「景気は持ち直している」とした上で、海外の経済、物価情勢等が管内経済や物価に与える影響などに注視していく必要があるとされております。また、5月の国内企業物価指数は前年同月比5.1%上昇し、中でも電力・都市ガス・水道は13.1%上昇しており、京都府中小企業団体中央会の5月の調査結果におきましても、「物価の上昇が価格転嫁の値上げ幅を超え、収益につながらない」といった声があるなど、物価の高騰は中小企業の経営を大きく圧迫しているものと認識しております。  京都府では、無利子・無担保・無保証料の融資の返済が令和5年度以降に本格化することも踏まえ、コロナ禍と物価高騰の影響で厳しい経営環境にある中小企業が困難を乗り越えられるよう、金融・経営一体型支援事業により資金繰りと経営改善の両面から伴走支援に取り組んでまいりました。これまで約1,000社に対して伴走支援を行う中で、商工会などが各種補助金などを活用し、販路開拓や生産性向上など中小企業のニーズに迅速・柔軟に対応するとともに、金融機関が融資や返済計画の見直しを行っているところでございます。  支援先の企業からは、「事業計画の見直しに加え、補助金や融資を活用した大型設備の導入により収益が向上した」など評価をいただいており、中小企業の経営改善につながる好事例が増えております。さらに、物価高騰の影響が長期化する中、「インバウンドが回復しつつあるこの機会を逃さず、集客アップに向けた取組を行いたい」など、ビジネスモデル転換に向けた支援を求める声が多数上がっております。  そのため、こうした声に応えられるよう、今定例会に「WITHコロナ・POSTコロナチャレンジ補助金」を増額するための予算案を提案をしております。このほか、国の負担軽減策がないLPガスや特別高圧電力を利用される中小企業への省エネ機器などの導入支援や、燃料費高騰の影響を大きく受けるトラック運送業や公衆浴場業、伝統産業を含む中小企業への重点支援などの、地域や業種ごとの状況に応じた取組を含めて総合的に支援するための予算案を提案しております。これらの取組を通じ、中小企業が物価高騰を乗り越え、新しい時代に対応できるよう全力で取り組んでまいりたいと考えております。  次に、農林水産業者への支援についてでございます。  京都府では、肥料・燃油等の高騰の影響を受け厳しい経営環境にある農林水産業者の経営強化に向け、国の緊急的な激変緩和措置と併せまして、個々の経営状況に応じ生産・販売の両面から長期的に効果が期待できる独自支援策を実施してまいりました。  具体的には、生産面では、コスト削減のため国産有機質肥料や自給飼料の利用拡大、製茶機械の省エネ化などを支援することで、多くの農業者の経営改善につながっているものの、昨年から値上げが続く事業用電気料金への新たな対策が必要となっております。また、販売面では、高価格での販売ができるよう農業者と食品加工業者などの事業者グループを支援してきたことから、新たな付加価値を持つ新商品が開発されてきており、コロナの制限解除を好機と捉え、新たな販路開拓への対策が必要となっております。そのため、電力使用の多い米の乾燥や畜舎の換気などの省エネ化を促進いたしますとともに、新商品の販路開拓を目指す事業者に対し、首都圏のバイヤーや輸出業者との商談会への出展などを支援するため、今定例会に必要な予算案を提案しているところでございます。  今後とも、こうした支援情報をSNSなどを通じて農林水産業者に対ししっかりとお届けしますとともに、農業改良普及センターを核とした「京の農業応援隊」などによる経営実態に応じたきめ細やかな伴走支援を行ってまいりたいと考えております。  次に、生活に困窮されている方々への支援についてでございます。  本年1月から3月にかけて府内の社会福祉協議会が独り親家庭を含む生活に困窮されている世帯に対して実施したアンケート調査では、生活の主な困りごとについて8割の方が「物価高騰による値上がり」と回答されるなど、物価高騰の影響により社会的に弱い立場にある方々の暮らしは大変厳しい状況にあると認識しております。  京都府では、昨年度、生活に困窮されている府内の延べ約3万世帯に対し、社会福祉協議会や支援団体、子どもの居場所等を通じて食料品や生活必需品などを支援したところでございます。支援を受けた府民の皆様からは、「家計が苦しい中、大変助かった」、また「一人で頑張らないといけないという精神的な不安が軽減された」などの声が寄せられております。  一方で、支援を受けた方の中には、コロナ禍で収入が減少した方や借入金を抱えている方も少なくなく、「生活を立て直すまで継続した支援を実施してほしい」との御要望もいただいたところでございます。  今年度の事業実施に当たりましては、生活に困窮されている方々が安心した生活を送ることができるよう、福祉事務所やひとり親家庭自立支援センターなど、幅広い関係機関の連携の下、借入金の返済や家計の改善、就労など一人一人に必要な支援をきめ細やかに行ってまいりたいと考えております。  今後とも、長期化する物価高騰の影響を注視し、生活に困窮されている方々の暮らしをしっかりと支えてまいりたいと考えております。 43: ◯議長石田宗久君) 能勢昌博議員。    〔能勢昌博君登壇〕 44: ◯能勢昌博君 御答弁ありがとうございました。  今朝の新聞で、2022年の府内の観光入込客数が前年の34%増しの2,307万人、これは19年度、コロナが流行する前のときだったんですけれども、それよりも11%増えているということで、大変お客さんがたくさん来てる。私も京都駅とか京都のいろんなところへ行くんですけども、本当に人がたくさんいてて、すごく戻ってきたなという感覚をつかんでるんですけども、今先ほど知事が御答弁いただいたように、でも実際はまだまだ中小企業の方もほんとにやりくりが大変で、おっしゃったようにゼロゼロ融資の返済がこれから始まりますし、ここをまさにしっかりと支えていかなければならないと思ってます。  それは中小企業だけではなくて農林水産業もそうでありますし、ましてや生活困窮者もそうであります。なかなか表に見えない、本当に困られているところへやっぱりきめ細やかに手当てがしっかりと届くように、手が届くようにすることが、知事が求められております「あたたかい京都」につながると思いますんで、ぜひともそういうきめ細やかな御支援をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは次に、災害対策について大きく分けて2点質問いたします。  平成30年7月の豪雨や令和元年の東日本台風をはじめ、激甚化また頻発化する豪雨、またここ最近では全国各地で震度5以上の地震が発生し、南海トラフ地震が発生する可能性も高まっており、風水害や地震などの災害に対して府民の不安は高まっている中で、京都府としても府民の安心・安全を確保するためには、あらゆる危機事象に適時的確に対応するための危機管理体制とハード・ソフト両面の基盤の設備強化、避難所支援対策のさらなる充実が必要であります。  その中でも特にまちづくりを支える下水道事業の整備促進及び老朽化対策は、喫緊の課題であります。汚水対策としては、新名神高速道路の整備や関西文化学術研究都市の開発に伴い目覚ましく開発が進み人口増加している府南部地域、その開発に伴う汚水量の急激な増加により洛南浄化センターの処理能力が逼迫しているため、その増強工事の継続、また全国でも高い下水道処理人口普及率を保つ施設が順次耐用年数を超過し、その改築更新費用が今後急増し、流域下水道では、老朽化対策を計画的に推進させるためには年間約60億円が必要とされています。  私は令和2年の9月の一般質問でも、下水道事業の現状と今後の課題として、施設設備の老朽化が進行しており、目標耐用年数を超過した施設が全体の24%、さらに国が定めた標準耐用年数の超過施設を含めると全体の55%を占めるなど、喫緊の対策が必要だと訴えさせていただきました。  知事からは、汚水流入量の増加に対応する洛南浄化センターの汚水処理施設の増設を推進するとともに、雨水対策としてもいろは呑龍トンネル南幹線の整備を推進しており、これらの新規投資と老朽化対策の両立が必要であるとして、当面の2事業の早期完成に重点を置き、令和5年度を目途に老朽化対策への取組をより強化していく方針であるとの御答弁をいただきました。  また、さらには、京都府流域下水道事業経営戦略についても、府内市町の汚水処理施設管理者等と「広域化、共同化」に関する協議を始めたところであり、今後、他府県事例も研究し、下水道事業における効率的な連携の在り方について議論を進めていくとの答弁もいただきました。  そこで、1点目の質問として、頻発する集中豪雨や自然災害に備えた下水道事業の整備促進、及び老朽化対策について、また下水道事業における効率的な連携の在り方のこれまでの議論がどのように進んだのかをお聞かせください。  次に、いろは呑龍トンネルについてであります。  私はこの事業について一般質問や委員会で何度も取り上げさせていただきましたが、改選期最初の定例会でもありますので、御存じない先生方もいらっしゃるかもしれませんので、再度質問をさせていただきたいと思います。  平城京から桓武天皇が長岡京を造国したにもかかわらず、わずか10年で平安京に遷都された一因とされる浸水被害にたびたび悩まされてきたのが、乙訓地域であります。この雨水対策として、平成7年度から始められた総額約490億円という大変大きな事業が、いろは呑龍トンネルであります。  トンネルの全長は、北幹線、主に京都市の一部地域と向日市の中北部地域の雨水をためるもので約5キロ、南幹線、主に長岡京市域と向日市の南部地域の雨水をためるための内径3.5メートルの巨大雨水貯留トンネル約4キロ、ためた雨水を桂川等に排水する3つのポンプ場や南北幹線の貯水能力を高めるための調整池、南北幹線管渠に流すための11個の接続施設を含めた全施設が完成すると、約24万立米、25メートルプール約800個分の対策が可能となり、平成25年の台風18号を上回る降雨に対しても浸水被害を解消されるとされています。  実際にはまだ完成には至ってませんが、平成25年9月の台風18号や令和3年8月の大雨においても浸水被害を軽減し、令和3年度までの被害軽減額は420億円にも上っています。まさに、このいろは呑龍トンネルが、乙訓地域のまちづくりに欠かすことができないインフラ施設となっております。地域住民も、28年という長い時間がかかりましたが、今年度末の完成を心待ちにしています。  そこで、現時点における事業の進捗状況と現時点での災害対策としての効果をお聞かせください。また、これまで令和5年度完成としていますが、全ての完成とはどのような状態のことをいうのかもお聞かせください。  その一方で、本体の工事は進んでいるものの、肝心の、降った雨水をそのトンネルに流し込む取入口である接続施設がまだ完成していないともお聞きしました。このような現時点の状況を考えますと、全ての完成が今年度中には無理ではないかと考えますが、その原因と今後の対策、そしてその接続施設の完成時期はおよそいつになるかをお聞かせください。  次に、大規模地震における対応についてお伺いいたします。  京都府は、第一次京都府戦略的地震防災対策指針を平成21年に策定、東日本大震災の発生により平成27年には第一次戦略指針を見直して第二次戦略指針を策定し、併せて第二次推進プランを策定。その後、熊本地震や大阪府北部地震等が発生し特徴的な課題が顕在化したほか、新聞やマスコミ等でも取り上げられている南海トラフ地震や直下型地震も近い将来発生する可能性が高まってきている中、従来の対策を超える徹底した地震防災対策に迅速に取り組み、府民の生命と生活を守ることを基本理念として、令和2年に今後の10年を見据えた第三次戦略指針を策定し、併せて令和6年度までの5か年の推進プランを実現されているところであります。減災目標に掲げる「死者数を軽減する」の達成に向け、府民の生命と生活を守るために重要な4項目を挙げております。  そこで1点目の質問として、令和2年6月に策定された5か年の推進プランの進捗状況と現時点でのプランの目標達成に向けた課題、また今年度はどのような取組をされているのか、お聞かせください。  それぞれの地域でもそうでありますが、最も府民が利用できる避難場所や避難施設は市町村が管理する施設が多いのは当然で、身近な場所への避難が多くなるのは当然であります。その施設等の耐震化だけではなく、空調管理や災害時の上下水道施設への災害対策の取組は、管理主体である市町村に委ねられていますが、財源等の問題もあり、市町村の取組状況に隔たりがあるのも事実であります。  実際に大規模地震が発生した場合はもちろんでありますが、減災に対しての取組は市町村が独自で対策するだけではなく、市町村間や、また府県を超えた広域的な連携が必要だと考えます。  各市町村間の連携についての府の責務をどのように考え、どのような取組をされているのか、また今後の展望についてのお考えをお聞かせください。
     ここまでの答弁をお願いいたします。 45: ◯議長石田宗久君) 西脇知事。    〔知事西脇隆俊君登壇〕 46: ◯知事西脇隆俊君) 下水道事業についてでございます。  下水道事業には、集中豪雨による浸水被害を防ぐための雨水対策と、日常生活や事業活動において発生する汚水を収集及び処理する汚水対策がございます。現在、新たな施設整備に関しましては、議員御紹介のとおり、雨水対策としてのいろは呑龍トンネルや汚水対策としての洛南浄化センターの関連施設等に対しまして重点を置いているところでございます。  一方、これまでに整備してきた施設には40年以上経過したものもあり、老朽化対策や耐震化への対応が課題となっております。そのため、重点的に実施しております施設整備の完了後は、老朽化対策や耐震対策にシフトしてまいりたいと考えております。  次に、下水道事業における効率的な連携の在り方についてでございます。  老朽化や人口減少への対応などは、府内の各下水道事業者の共通的な課題であり、施設統合や事務の共同化といった自治体間の連携は、課題への有効な対応策の一つであると認識をしております。このため、平成30年度から市町村と課題の共有や連携方策の検討などを進め、昨年度に京都府汚水処理事業広域化・共同化計画を策定したところであり、市が回収したし尿の流域下水道施設への受入れや窓口業務の共同化など、地域の実情を踏まえた新たな取組を進めているところでございます。  引き続き、農業集落排水事業との施設統合など一歩進んだ取組を推進するべく、市町村と議論を深めてまいりたいと考えております。  次に、いろは呑龍トンネルについてでございます。  乙訓地域は古来より浸水被害に悩まされ、近年最大の降雨であった平成25年台風第18号の際にも、向日市の一部地域において約100戸が浸水被害に見舞われました。いろは呑龍トンネルは、仮に平成25年台風第18号の約1.5倍の時間最大降雨に見舞われたとしても浸水被害を生じさせないことを最終的な目標としている事業でございます。  目標を達成するためには、雨水を貯留する北と南の幹線管渠、3か所のポンプ場、調整池、雨水を幹線管渠に取り込むための11か所の接続施設などを整備することが必要でございます。現在、南北の幹線管渠と3か所のポンプ場、雨水を取り込む接続施設全11か所のうちの7か所が供用しており、今年度末にはさらに調整池と8か所目の接続施設が供用する予定でございます。  整備効果についてでございますが、現在供用している施設が機能することで、平成25年台風第18号と同等の時間最大降雨に見舞われたといたしましても、浸水被害をおおむね生じさせないものと考えております。  さらに施設の供用が進みます今年度末には、北幹線が受け持っております向日市の大部分と京都市西部の一部地域におきましては最終目標を達成する見込みであり、南幹線が受け持つ長岡京市の大部分や向日市の一部地域におきましても、平成25年台風第18号の約1.1倍から1.2倍の時間最大降雨に対しまして、浸水被害が生じなくなるものと見込んでおります。  本事業のうち残っておりますのは、雨水を南幹線管渠に取り込むための3か所の接続施設でございます。いずれも用地交渉が難航しておりましたが、これらのうち2か所につきましては、近接地での用地協力が得られる見込みが立ったところであり、今年度内の工事着手を予定しております。また、残る1か所につきましては、民有地を取得せずに施工できる構造に変更し、来年度早期に工事着手することを見込んでおります。  いずれも、着手後遅くとも3年以内に供用することを目指したいと考えております。残り3か所の接続施設の供用によりまして、いろは呑龍トンネルの貯留能力を最大限に発揮させ、向日市、長岡京市などの桂川右岸地域が最終的な目標としている安全水準を達成するよう、着実に整備を進めてまいりますので、関係の皆様の御理解と御協力をよろしくお願いしたいと思います。  次に、大規模地震における対応についてでございます。  京都府では、近年の熊本地震などを踏まえ、大規模地震から府民の生命と生活を守るため、令和2年6月に、5年を計画期間とした第三次京都府戦略的地震防災対策推進プランを策定し、施設の耐震化などのハード対策とBCP策定などのソフト対策を合わせた303事業(後刻「333事業」に訂正)を展開しているところでございます。  これまでに、府民に対して災害情報を提供する防災情報システムの整備や地域での防災教育の定着など124事業が完了し、残る209事業のうち、危機管理センターや要配慮者避難体制の整備など199事業が着手済みでございます。  また、近年、大規模地震の可能性が高まっていることから、発災から復旧までの時間経過に伴う被害様相を明らかにした上で、社会活動の維持や復旧対策に取り組むことが必要だと考えております。このため、今年度中に、府内最大の被害が想定される花折断層帯地震の被害想定を見直しますとともに、発災から復旧までのシナリオを作成し、京都大学防災研究所との共同研究による先進的な手法により被害想定の精度を高め、その結果を来年度に改定を予定している次期プランにつなげてまいりたいと考えております。  失礼いたしました。先ほど、推進プランの事業全体を303と申し上げましたが、333事業でございます。訂正をさせていただきます。  また、大規模地震の発生時には被害が広範囲に及ぶことから、京都府内の連携にとどまらず、国や都道府県、関西広域連合と連携した広域的な対応が必要になると考えております。このため、国との間で自衛隊の派遣要請や災害救助法適用の調整、関西広域連合による職員の派遣や救援物資を緊急輸送するプッシュ型の支援、市町村に対する支援では、医師・看護師などの救護班や家屋被害認定調査員の派遣、市町村域を超えた避難者の受入調整を行うこととしております。  今後とも、国や市町村、関係機関と連携し、防災体制の充実と災害発生時の対応力を強化することで、災害に強い京都づくりを目指してまいりたいと考えております。 47: ◯議長石田宗久君) 能勢昌博議員。    〔能勢昌博君登壇〕 48: ◯能勢昌博君 御答弁ありがとうございます。  呑龍トンネルにつきましては、まだ出来上がっていない3つの取入口につきましては計画的に進めていただいて、ほんとに長期間、莫大なお金をかけて造っていただいた施設でありますので、その完成を共に喜びたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。  大規模災害になると、各市町村だけの対応ではなかなかやっぱり厳しいと思っております。千葉県いすみ市というところでは、移動式のエアコンを購入されたんですね。これはなぜかというと、それぞれの市町村が持っている避難所、小学校の体育館等が多いんですけども、なかなか固定式の空調が何億とかかりますんで、それで移動式のやつを買って、それをそれぞれ近隣の市町村とも連携しながら、まだ災害で使われたことはないらしいんですけども、避難所を移動しながら使うというそういうふうな新しい取組も進んでいまし、まさにそういう新しい何か時代の流れの中で、近隣の市町村が連携し合うようなもとをしっかりと京都府として主導しながら支援体制をつくっていただきたいなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  時間がありませんので、次の質問に移らせていただきます。  次に、新型コロナウイルス感染症の5類移行に関連して、これまでのコロナ対策の総括と5類移行後の医療提供体制についてお伺いいたします。  質問に入る前に、これまでの間、我々が経験したことのないウイルスとの闘いの中で、府民の皆様や事業者の皆様に様々な感染防止対策に対して御協力をいただき、改めて厚くお礼を申し上げますとともに、私たちの安心・安全を守るため、昼夜を問わず第一線で御奮闘いただいております医療従事者の皆様をはじめ全ての皆様に心から感謝を申し上げます。  振り返りますと、コロナ感染症は令和2年1月15日に国内で初めて感染症が発生し、府内でも2週間後の1月30日に初めて感染者が確認されました。そこからコロナ感染症との長い長い闘いが始まり、約3年もの月日の間、その時々の感染状況や経済に与える現状を踏まえ累次にわたり様々な対策が講じられてきました。そうした中、本年1月に岸田総理の施政方針演説において、コロナ感染症については感染症法上の新型インフルエンザ等感染症から季節性インフルエンザと同じ5類感染症とする方向で議論が進められることが表明され、政府本部会議等での議論を経て4月27日に5類移行が正式決定されました。  京都府においても、5類移行に向け4月28日に開催された第75回京都府新型コロナウイルス感染症対策本部会議において、移行後の対応について決定し、これまでコロナ対策は限られた医療機関での特別な対応であったものが、幅広い医療機関による自律的な通常の対応に移行していくことや、新型インフルエンザ等対策特別措置法や新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処指針に基づくイベント開催の制限、飲食店における第三者認証制度やガイドライン推進宣言事業所ステッカー事業などについては終了するとされました。また、マスク着用も含め、基本的な感染対策は個人や事業者の判断に委ねられることとし、これまでの知見を生かし、京都府としては、感染が拡大した場合にも必要な治療を受けることができるように備えて、高齢者等の重症化リスクの高い方を守ることを引き続き重点として実施する方針を打ち出されました。  そこで、1点目として、コロナ対策の大きな節目である5類移行から1か月半が経過しましたが、感染状況等を踏まえた現時点における知事の御所見をお伺いいたします。また、現時点で見えてきた課題がありましたら、お聞かせください。  次に、5類移行後の医療提供・相談体制についてお伺いいたします。  厚生労働省は4月28日に、5月8日以降の入院患者の受入体制について都道府県ごとの移行計画を発表されました。その移行計画では、受け入れられる医療機関を増やして間口を広げるとともに、一つの病院当たりの人数を絞って負担軽減を図るとされており、同日の京都府本部会議において、発熱患者等を検査・診療する外来対応医療機関を5月8日以降は1,180施設まで拡充するとの発表がなされました。  入院措置を原則として限られた医療機関による特別な対応から幅広い医療機関による自律的な通常の対応にスムーズに切り替えていくためには、今後とも医療機関の拡充を伴うとともに、府民への広報・周知が重要になります。引き続き、府民の安心・安全の確保に努めていただきたいと願います。  入院医療体制について、重症等患者については入院医療コントロールセンターの流れを組む入院支援センターで入院調整の支援が行われ、軽症等患者については、医療機関同士で入院調整を行う仕組みに変更され、最終的には全てにおいて医療機関同士の調整を基本とする仕組みへ移行するとお聞きしています。また、発熱や後遺症をはじめとする相談については、「きょうと新型コロナ医療相談センター」において24時間体制の相談を継続し、症状悪化時の相談は、既に設置されている京都府と京都市の療養者相談ダイヤルをセンターの機能として位置づけ継続することとされており、引き続き府民の不安を解消するためには必要な対策だと考えます。  その一方で、2022年内閣府の調査分析報告である「地域の経済2022」で、オンライン診療可能な医療機関割合は、京都府は47都道府県で最下位の4.5%で全国平均の16.1%に届いていない現状を認識して、安全性、必要性、有効性の観点から医師、患者及び関係者が安心できる適切なオンライン診療の普及を推進していくことも必要だと考えますが、そのことも含めた新たな医療提供体制、相談体制となって1か月半が過ぎ、現在の運用、医療機関や府民からの声などの現状についてどのように認識し、それらの声を踏まえ今後どのように対応していくのか、お聞かせください。  最後に、2点について要望させていただきたいと思います。  1点目は、阪急長岡天神駅周辺整備についてであります。阪急京都線の特急停車駅でもある長岡天神駅周辺の危険な交通環境の解消は、長岡京市民アンケートでも約8割以上の方が望んでいます。  この間、長岡京市でも阪急長岡天神駅周辺整備基本計画の下、駅周辺の市街地整備事業による面的整備と鉄道の連続立体交差化とを一体的に進めていく取組を始めています。駅の西側については、その土地利用について地権者の方々が議論していただく組織をつくるために動き出したところであり、また駅の東側地区については、連続立体交差事業を見据えながらではありますが、まずは暫定として駅東口に人々が集い憩える場所としての広場を設けるべく整備に取りかかられています。  また、都市計画道路長岡京駅前線については、阪急天神踏切を挟んだ第4工区の整備が進んでおり、あとは長岡天満宮八条ヶ池石段下からの区間を残すのみとなっております。今後は、長岡京市をはじめとした関係者が鋭意整備を進めていかれると思いますが、駅西側、東側地区とともに京都府として助言や支援を惜しむべきではなく、今後も精力的に各種助言や支援を心からお願いいたします。  また、長岡京駅前線についても、踏切部分を除いた部分の完了があともう一歩まで来ています。整備は長岡京市が実施していますが、京都府として市と連携して今後早期の完了に向けて鋭意取り組んでいただきますよう、重ねて要望いたします。  2つ目に、今年10月に開設予定であるアート&テクノロジー・ヴィレッジについて要望させていただきたいと思います。  京都府の文化・芸術の力を生かし、アートとテクノロジーを融合させた新たな産業を創造し、起業を促すとともに、次世代を担う起業家や企業の中核を担う人材を育成するという基本理念の下、令和3年度2月補正予算で4億円、令和4年度6月補正予算で400万円、さらに令和5年度当初予算として3,900万円という予算を組んでいただきました。多種多様な大学、大学院、日本を代表する企業を有する京都の高いポテンシャルを生かし、学生とものづくり企業をはじめとするクリエーティブ産業の若手社員が協働できる、全国的にも前例のない独創的で斬新な空間を整備することで、アートを起点とするイノベーションを起こす拠点となってほしいと願います。  先日、地元の大山崎町の商工会の皆様と完成したアート&テクノロジー・ヴィレッジの中心的な役割を担う交流棟の見学に行かせていただきました。まだ、機械・機材などの搬入はされていませんでしたが、ここから交流と国内外への発信がされると想像すると本当に胸がわくわくと躍る気分になりました。  これから多様なテーマの活動拠点となる企業サイトが次々と整備されていくと思います。今後、京都産業21を中心に運営体制が組まれていく中で、もちろん世界に伍するスタートアップ企業が誕生することを期待するとともに、やはり地元の府議としては、地域に開かれた施設として地域住民との日常的な交流や実証等への参画をぜひとも京都府としても積極的に働きかけていただくことを切に要望して、私の代表質問を終わります。  御清聴賜り、誠にありがとうございました。(拍手) 49: ◯議長石田宗久君) 西脇知事。    〔知事西脇隆俊君登壇〕 50: ◯知事西脇隆俊君) 新型コロナウイルス感染症の対応についてでございます。  京都府における定点医療機関当たりの患者数は、本日京都府で発表しました速報値では4.67人となっており、5類への位置づけ変更直後の2.03人と比較して感染状況は緩やかな増加傾向にあります。  5類への位置づけ変更に伴い、新型インフルエンザ等対策特別措置法や国の基本的対処方針等に基づき実施してきた協力要請等の各種の措置は終了いたしましたが、急激な感染拡大には至らず、移行後においても引き続き確保しております外来・入院医療体制は比較的落ち着いた状況で推移しているものと考えております。  一方で、これまでの経験から、新型コロナウイルス感染症は季節性インフルエンザとは異なり、夏場にも一定の感染拡大が生じる可能性があり、新たな変異株の発生も危惧されるところでございます。また、新規陽性者数は実数による把握から定点把握となりましたが、感染動向を引き続き注視した上で、感染拡大が継続する場合や新たな変異株が発生した場合など状況が変わった際には、府民の皆様と認識を共有し、感染状況に応じた有効な対策をどのタイミングで、いかに講じていくかが課題だと考えております。  そのため、5類への位置づけ変更後も、定点医療機関からの患者報告数に加えまして、医療機関への聞き取りや「きょうと新型コロナ医療相談センター」に寄せられる相談の状況などで感染動向を把握するほか、感染再拡大に備え、京都府新型コロナウイルス感染症対策本部廃止後も連絡本部を設置し、状況に著しい変化があればすぐに対応するための体制を整えております。  府民の皆様の命と健康を守ることを第一に、第8波までの経験を生かし、国や近隣府県などとも連携しながら対応してまいりたいと考えております。  次に、5類移行後の新型コロナウイルス感染症の医療提供体制等についてでございます。  まず医療提供体制につきましては、より多くの医療機関で新型コロナ患者の診療ができるよう、6月20日時点の数字でございますが外来につきましては1,206医療機関を、入院については1,045床の受入病床を確保しているところでございます。現在、感染状況は緩やかな増加傾向にあるものの、外来や入院受入医療機関の状況は比較的落ち着いていると伺っており、入院支援センターへの医療機関からの相談件数につきましても少数にとどまるなど、5類への位置づけ変更後も円滑に医療の提供が行われているものと考えております。  今後は、より多くの医療機関で新型コロナ患者を診療していただけるよう、新たに患者を受け入れる病院や診療所の設備整備を支援するための予算案を今定例会に提案しているところでございます。  オンラインによる診療につきましては、情報セキュリティーの確保や患者の理解促進などの課題があるものの、医師の不足する地域における診療のほか、感染拡大が起きた際の患者の受診機会の確保や医療従事者の感染防止などに有効な手段であると考えております。このため、京都府といたしましては、オンライン診療を希望する医療機関が患者との信頼関係の下、安全で適切な医療を提供できるよう、関係団体とも意見交換しながら必要な支援を行ってまいりたいと考えております。  相談体制につきましては、きょうと新型コロナ医療相談センターにおいて、引き続き24時間体制で発熱患者や陽性者からの相談に応じているところでございます。現在の相談件数は、1日約60件、多い日で100件程度と第8波のピーク時の1割程度となっておりますが、症状や受診に関する相談が継続的に寄せられており、特に医療機関が休診日となる日曜日などは相談件数が増える傾向にございます。このように感染や受診に対する不安をお持ちの府民がおられる中で、相談窓口は重要な役割を果たしていると考えており、当面の間は現在の体制を維持することとしております。  今後とも、新型コロナ患者が幅広い医療機関で必要な医療を受けられるとともに、府民の皆様が安心して相談していただけるよう、適切に対応してまいりたいと考えております。           ───────────────────── 51: ◯議長石田宗久君) 以上で、本日の日程は終了いたしました。  明6月23日午後1時15分から本会議を開きますので、御参集願います。  本日はこれをもって散会いたします。    午後4時41分 散会 発言が指定されていません。 ↑ ページの先頭へ...