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  1. 愛知県議会 2021-02-01
    令和3年2月定例会(第7号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 令和3年2月定例会(第7号) 本文 2021-03-10 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択・全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者の表示切り替え 全 102 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 2 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 3 :  ◯三十二番(岡明彦君) 選択 4 :  ◯県民文化局長(水野直樹君) 選択 5 :  ◯三十二番(岡明彦君) 選択 6 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 7 :  ◯十四番(しまぶくろ朝太郎君) 選択 8 :  ◯福祉局長(服部克己君) 選択 9 :  ◯十四番(しまぶくろ朝太郎君) 選択 10 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 11 :  ◯七十一番(柴田高伸君) 選択 12 :  ◯保健医療局長(吉田宏君) 選択 13 :  ◯七十一番(柴田高伸君) 選択 14 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 15 :  ◯百三番(筒井タカヤ君) 選択 16 :  ◯政策企画局長(野村知宏君) 選択 17 :  ◯百三番(筒井タカヤ君) 選択 18 :  ◯政策企画局長(野村知宏君) 選択 19 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 20 :  ◯四番(朝日将貴君) 選択 21 :  ◯農林基盤局長(平田誠君) 選択 22 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 23 :  ◯二番(松本まもる君) 選択 24 :  ◯都市整備局長(中川喜仁君) 選択 25 :  ◯二番(松本まもる君) 選択 26 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 27 :  ◯五番(中村竜彦君) 選択 28 :  ◯経済産業局長(伊藤浩行君) 選択 29 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 30 :  ◯十二番(加藤貴志君) 選択 31 :  ◯農林基盤局長(平田誠君) 選択 32 :  ◯四十一番(丹羽洋章君) 選択 33 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 34 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 35 :  ◯議長(神戸洋美君) 選択 36 :  ◯三番(桜井秀樹君) 選択 37 :  ◯建設局長(鎌田裕司君) 選択 38 :  ◯三番(桜井秀樹君) 選択 39 :  ◯議長(神戸洋美君) 選択 40 :  ◯六番(杉浦正和君) 選択 41 :  ◯経済産業局長(伊藤浩行君) 選択 42 :  ◯議長(神戸洋美君) 選択 43 :  ◯十六番(おおたけりえ君) 選択 44 :  ◯労働局長(橋本礼子君) 選択 45 :  ◯十六番(おおたけりえ君) 選択 46 :  ◯議長(神戸洋美君) 選択 47 :  ◯七番(日高章君) 選択 48 :  ◯農業水産局長(中根俊樹君) 選択 49 :  ◯七番(日高章君) 選択 50 :  ◯議長(神戸洋美君) 選択 51 :  ◯九番(杉江繁樹君) 選択 52 :  ◯建設局長(鎌田裕司君) 選択 53 :  ◯議長(神戸洋美君) 選択 54 :  ◯二十一番(嶋口忠弘君) 選択 55 :  ◯建築局長(砂原和幸君) 選択 56 :  ◯議長(神戸洋美君) 選択 57 :  ◯十一番(神谷和利君) 選択 58 :  ◯経済産業局長(伊藤浩行君) 選択 59 :  ◯十一番(神谷和利君) 選択 60 :  ◯議長(神戸洋美君) 選択 61 :  ◯二十五番(鈴木雅博君) 選択 62 :  ◯農林基盤局長(平田誠君) 選択 63 :  ◯二十五番(鈴木雅博君) 選択 64 :  ◯議長(神戸洋美君) 選択 65 :  ◯三十三番(河合洋介君) 選択 66 :  ◯労働局長(橋本礼子君) 選択 67 :  ◯建設局長(鎌田裕司君) 選択 68 :  ◯三十三番(河合洋介君) 選択 69 :  ◯四十番(田中泰彦君) 選択 70 :  ◯議長(神戸洋美君) 選択 71 :  ◯議長(神戸洋美君) 選択 72 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 73 :  ◯三十番(石井拓君) 選択 74 :  ◯農業水産局長(中根俊樹君) 選択 75 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 76 :  ◯四十三番(成田修君) 選択 77 :  ◯経済産業局長(伊藤浩行君) 選択 78 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 79 :  ◯三十六番(樹神義和君) 選択 80 :  ◯建築局長(砂原和幸君) 選択 81 :  ◯三十六番(樹神義和君) 選択 82 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 83 :  ◯四十四番(野中泰志君) 選択 84 :  ◯建設局長(鎌田裕司君) 選択 85 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 86 :  ◯四十六番(南部文宏君) 選択 87 :  ◯農業水産局長(中根俊樹君) 選択 88 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 89 :  ◯五十五番(小山たすく君) 選択 90 :  ◯農林基盤局長(平田誠君) 選択 91 :  ◯警察本部長(後藤和宏君) 選択 92 :  ◯五十五番(小山たすく君) 選択 93 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 94 :  ◯三十二番(岡明彦君) 選択 95 :  ◯農林基盤局長(平田誠君) 選択 96 :  ◯三十二番(岡明彦君) 選択 97 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 98 :  ◯四十八番(藤原宏樹君) 選択 99 :  ◯経済産業局長(伊藤浩行君) 選択 100 :  ◯四十一番(丹羽洋章君) 選択 101 :  ◯副議長(青山省三君) 選択 102 :  ◯副議長(青山省三君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時開議 ◯副議長(青山省三君) おはようございます。  ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 第三号議案令和三年度愛知県一般会計予算か       ら第七十一号議案包括外部監査契約の締結につ       いてまで及び第九十七号議案新型インフルエン       ザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律の       施行に伴う関係条例の整理に関する条例の制定       について 2: ◯副議長(青山省三君) 第三号議案令和三年度愛知県一般会計予算から第七十一号議案包括外部監査契約の締結についてまで及び第九十七号議案新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整理に関する条例の制定についてを一括議題といたします。  なお、第二十二号議案愛知県局設置条例の一部改正についてのうち、職員に関する事項及び第二十七号議案職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正について、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、いずれも妥当なものであると認める旨の回答を受けましたので、御報告いたします。  この際、第三号議案令和三年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳出第一款議会費から第四款福祉医療費までの質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  岡明彦議員。 3: ◯三十二番(岡明彦君) 皆さん、おはようございます。  私からは、歳出第三款県民環境費第二項文化学事振興費第四目陶磁美術館費、説明欄二の(三)に当たります現代陶芸魅力発信事業費について質問いたします。  新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、文化芸術活動は大きな影響を受けました。展覧会や公演の中止が相次ぎ、文化芸術関係者の多くは発表の場を失い、活動継続に今も大変な御苦労をしておられます。  そうした状況の中、本県は、今年度、文化芸術活動を支援するために必要な補正予算を矢継ぎ早に組み、積極的にサポートをしてきました。ほかの都道府県では実施をしていない本県独自の文化芸術活動応援金は、県内の文化芸術関係事業者である法人に二十万円、個人事業者に十万円の応援金を交付するものでしたが、これまでに四千件以上の申請があり、総額で四億円以上を交付したとお聞きしています。県内の文化芸術活動関係者を励まし、活動継続に向けての意欲を向上させる取組であったと評価をしたいと思います。今後のサポートもよろしくお願いしたいと存じます。
     また、支援策の中には、これからの文化芸術活動支援策のモデルとなるのではないかと思われるオンライン配信を活用した二つの事業がありました。一つは、この地域で活動する演劇、音楽、美術、短歌、漫画など、様々なジャンルのアーティストの新作のオリジナル作品をインターネットで配信するAICHI ONLINE、もう一つは、県内の伝統文化団体の無観客公演を映像化して、ケーブルテレビやユーチューブで放映する伝統文化活動緊急支援事業です。  この二つの事業は、アーティスト等に対する支援だけではなく、その活動を支える現場のスタッフ等の支援をも意識して事業が進められた点で、価値ある取組だったと思います。  さて、両事業とも公開された映像作品は関心を集めており、伝統文化活動緊急支援事業については、能、狂言、箏、舞踊、華道の五つの公演のユーチューブの再生回数が合わせて既に二十万回を超えております。伝統文化団体を支援するだけではなく、愛知の伝統文化の魅力を国内外に向けて発信できたのではないかと考えます。  特に箏の公演については、Vチューバーキミノミヤとのコラボレーションによりまして、十万回を超える再生回数となっており、新たな分野との連携は、今後、文化芸術活動を発信していく上で重要なポイントになると思うところです。  コロナ禍にあって、ステイホームを余儀なくされたわけですが、このようなオンライン配信によって、多くの方が文化芸術の存在価値を改めて認識したと思います。  その上で、コロナの感染拡大が終息に向かえば、魅力ある作品を映像だけではなく、直接見たい、あるいは自分で実際に作品を作ってみたいというニーズがこれまで以上に高まってくると推量できます。  今後もしばらく続くウイズコロナ、またその後の文化芸術活動の本格的な再開を見据えると、オンラインを活用した取組を展開していくことは重要であり、オンライン配信へのサポートも引き続き必要であると思います。  さて、私は、しばしば愛知県陶磁美術館の魅力づくりについて質問をしてまいりました。御案内のとおり、陶磁美術館は、日本やアジアをはじめとする世界各地の焼き物の魅力を紹介しており、日本有数の陶磁専門美術館として評価の高い施設です。以前にも申し上げましたが、専門家からは、東京渋谷区の松濤にあります戸栗美術館、大阪中之島の大阪市立東洋陶磁美術館と並び、日本三大陶磁美術館とも言われていますので、その価値の発信に力を入れるべきと要望をしてきました。四年前になりますが、超党派の議員が支える一般社団法人日ロ友好愛知の会が招聘をしましたロシアクラスノヤルスク地方の文化長官が同館を訪問されました。その際、長官は、同館のポテンシャルの高さを評価しまして、SNS等を活用した発信の取組を強化することによって、陶磁美術館の魅力はさらに増すだろうと提案されたことを、コロナ禍の今、改めて思い出します。  また、同館は、実際に陶芸体験をすることができる施設としての評判も高く、今後、その魅力について、オンラインなどを活用しながら発信していけば、コロナ終息後の文化芸術に対するニーズに対応して、これまで陶磁美術館を訪れたことがない方にアプローチすることができるのではないかと考えます。  そこでお尋ねします。  陶磁美術館でのオンライン配信の活用状況と、来年度、実際に御来場いただくためにどのように取り組んでいくのか、お伺いします。 4: ◯県民文化局長(水野直樹君) 陶磁美術館におけるオンライン配信の活用状況と、来年度、実際に御来場いただくための取組についてお答えします。  まず、オンライン配信の活用状況につきまして、陶磁美術館では、今年度、緊急事態宣言の発出などにより外出を控えた方々にも展覧会を御覧いただけるよう、動画配信サービス、ニコニコ動画を提供するドワンゴ株式会社と連携して、二つの展覧会の模様をオンラインで配信いたしました。この配信は、延べ三万七千人の方々に視聴していただき、これまで陶磁美術館に来場されたことがなかった方々にも展覧会を御覧いただくことができました。  さらに、ユーチューブ配信を見ながら、自宅で作品を制作し、陶磁美術館で焼き上げる在宅陶芸おうちで織部も実施いたしました。来年度は、より多くの皆様に実際に陶磁美術館に足を運んでいただけるよう、まず、現代陶芸魅力発信事業を実施いたします。現在、西館で展示している瀬戸、美濃地域で制作された約二百体の陶製の狛犬コレクションを本館に移設し、ロビーの空間全体を生かした芸術であるインスタレーション作品として順次展示することで、新たな魅力を創出してまいります。  また、若手の現代陶芸作家に新たな作品の制作を依頼し、本館の通路や屋外の芝生広場などに展示して、皆様にお楽しみいただくとともに、陶磁美術館が既に所蔵している作品と合わせてSNSで発信するなど、広くPRしてまいります。  さらに、陶芸体験施設である陶芸館の利用を促進するため、使用料の後納を可能とし、旅行業者が企画するツアーなどに組み込んでいただくとともに、二十名以上の団体利用には、個人料金の二割引きとなる使用料区分を新設し、利用しやすい環境を整えてまいります。  今後ともより多くの方々に陶磁美術館へ御来場いただけるよう、さらなる魅力の向上と情報発信に積極的に取り組んでまいります。 5: ◯三十二番(岡明彦君) 要望をさせていただきます。御答弁ありがとうございました。  答弁にありました狛犬のコレクションでありますけれども、答弁どおり西館にあったわけですが、この西館は、一番敷地の奥にある展示でありまして、これまでほとんど目立たないものであったというふうに思います。私も鑑賞して驚きました。瀬戸市内の観光名所として有名な招き猫ミュージアムに匹敵する面白さを感じたわけであります。今の世間の動物人気を考えますと、招き猫と狛犬のコレクション、この組み合わせは、周遊観光として大変に興味深いものになるのではないかと思います。瀬戸地域にあることもありまして、今話題になっておりますジブリパークを軸にした周遊観光の流れにも乗れるものではないかと思いますので、御検討ください。  また、陶磁美術館には、古窯館という展示エリアがございます。ここは、同館の敷地内から発掘された平安時代から鎌倉時代、十二、三世紀の窯を展示しておりまして、八百年前にトリップするかのような空間であります。  公明党県議団でも視察をいたしましたけれども、褐色の乾いた土の露出の面に古い窯穴が大きくぽっかり空いている空間が醸し出す不思議な空間に、ほーっと声が上がったほどでございました。同美術館には、狛犬コレクションと同様、インスタ映えする展示が多くあります。こうした展示を活用した魅力発信は誘客につながると思います。答弁にもありましたとおり、コロナ禍で得た経験を最大限アフターコロナに生かしていただきまして、県民の楽しみを広げていく施策の展開を要望いたします。ポストコロナを見据え、陶磁美術館に限らず、文化芸術振興における反転攻勢の取組を県当局が知恵を凝らしていただきまして行うことをお願いし、質問を終わります。 6: ◯副議長(青山省三君) 進行いたします。  しまぶくろ朝太郎議員。 7: ◯十四番(しまぶくろ朝太郎君) 私からは、歳出第四款福祉医療費第三項児童家庭費のうち、児童虐待対策事業費についてお伺いいたします。  昨年も同趣旨の質問をさせていただきましたが、本年も改めて質問させていただきます。  児童虐待については、児童相談所における児童虐待相談対応件数が年々増加しており、深刻な児童虐待事案も後を絶たないなど、対策を強化しているにもかかわらず、依然として深刻な社会問題となっております。  本県においても児童虐待相談件数は十年連続で過去最多を更新し、昨年度は、児童相談センターの相談対応件数は六千四十五件で、前年度の四千七百三十一件に比べ千三百十四件増加し、過去最多となっております。先日、二月二十五日及び二十六日のことですけれども、福岡県飯塚市と鹿児島市で三人の子供が遺体で見つかった事件で、子供の父親が三人のうち小学生の男の子への暴行でこれまで四回、児童相談所に通告されていたことが分かり、幼い子供の命が失われることを未然に防ぐことはできなかったのかという強い憤りを覚えます。  さて、国の児童虐待防止対策体制総合強化プラン、通称新プランに基づき、体制強化を進めた結果として、児童虐待の早期発見、早期対応に関して、相談対応件数の増加という成果が見られる一方、児童虐待の未然防止に関しては取組が十分ではないと認識しております。  そこでお尋ねいたします。  国の新プランに基づき体制強化を進める過程において、愛知県所管の十か所の児童相談所管内での児童虐待相談の現状と児童虐待対応の課題を県はどのように捉えているのか、まずはお伺いいたします。  次に、来年度予算は、そうした課題の解決に向けた予算と捉えていますが、具体的にはどのような取組を行うのか、お伺いいたします。  最後に、県では、国のプランを踏まえて、児童相談所において児童虐待対応の要となる専門職員の大幅な増員を計画的に進めていると認識しておりますが、専門職員の大幅な増員によるケース対応力、資質向上に具体的にどのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。 8: ◯福祉局長(服部克己君) 児童虐待防止対策についての御質問のうち、初めに、児童相談センターにおける児童虐待相談の現状と課題についてお答えをいたします。  本県の児童相談センターにおける昨年度の児童虐待相談対応件数は六千四十五件で、十年連続で過去最多を更新しており、十年間で約九・五倍となっております。  また、児童や家庭の抱える問題も複雑化し、よりきめ細やかなアセスメントやケースワークが求められるとともに、高圧的な保護者への毅然とした対応が求められるなど、専門的な知識、技能等を要するケースが増加しております。  こうした現状の中、児童虐待の未然防止や早期発見、早期対応を迅速かつ的確に行っていくためには、児童虐待対応の専門機関であります児童相談センターの体制を一層強化するとともに、住民に身近な市町村における相談支援体制の強化が課題であると考えております。  次に、課題解決に向けた取組についてお答えをいたします。  まず、児童相談センターの体制強化につきましては、国の児童虐待防止対策体制総合強化プラン等に基づき、二〇一七年度以降、児童福祉司等の専門職員の増員を計画的に進めておりまして、本年度までに九十六名増員してまいりました。来年度は、さらに児童福祉司を二十六名、児童心理司を十五名、計四十一名を増員し、増加する児童虐待相談に対応してまいります。  また、引き続き警察官OBの配置や弁護士、医師等の専門職との連携により、複雑化、困難化する児童虐待事案により多角的な視点から対応できるよう取り組んでまいります。  次に、市町村の相談支援体制の強化につきましては、児童虐待相談支援の中核となる子供家庭総合支援拠点の設置を促進するため、本県では、今年度から中央児童相談センターに市町村支援を専任で行う児童福祉司二名を配置し、講習会の開催や市町村を訪問して、支援拠点の設置を働き掛けてまいりました。その結果、支援拠点は、現在の十九市町村から、来年度は三十二市町村に設置される予定でございます。来年度も二名の専任児童福祉司を中心に、未設置市町村を対象とした先進事例発表会等を開催いたしまして、支援拠点の設置を働きかけてまいります。  さらに、市町村における虐待対応のポイントをまとめた実務マニュアルや保護者への指導用資料等を新たに作成し、市町村に配付するほか、要保護児童対策地域協議会の担当職員研修などで活用し、市町村における虐待相談対応力の向上を図ってまいります。  最後に、専門職員のケース対応力、資質の向上のための取組についてお答えをいたします。  職員の大幅な増員に伴い、経験年数の短い職員が増加しておりますので、若手専門職員の資質向上は非常に重要でございます。  そこで、本県では、昨年度から法定研修に加え、県独自の研修として、実務経験の少ない若手職員を対象とした実践力強化研修とスーパーバイザー業務を行う主査級以下の職員を対象とした指導技術強化研修を実施して、若手職員のケース対応力と資質向上に取り組んでおります。  まず、実践力強化研修は、保護者への一時保護の通知面接等、対応が難しい様々な場面を想定したロールプレーやグループワークを中心とした計四日間の研修であり、また、指導技術強化研修は、チームマネジメントなどをテーマとした講義や困難事例に対応する部下職員の指導方法についてのグループワークを行う計二日間の研修であります。  今年度は、実践力強化研修に三十五名、指導技術強化研修には十九名が受講しておりましたが、新型コロナウイルス感染拡大のため、研修の一部を来年度に延期することといたしております。来年度におきましては、オンライン研修を導入するなど、開催方法を工夫いたしまして、研修を確実に実施し、専門職員の人材育成を図ってまいります。 9: ◯十四番(しまぶくろ朝太郎君) 御答弁ありがとうございました。  国の新プランに基づき、体制整備を進めていく過程において実際に起こり得る課題に対して的確な現状認識と適切な対応を心がけていると受け止めました。市町村に対する支援強化については特に力を入れていただき、また、新型コロナウイルス感染症の影響により延期を余儀なくされた取組については、状況を見極めつつ進めていってほしいと思います。  児童虐待対応は複雑かつセンシティブで対応に苦慮するケースが多いことは理解できます。事業を進めていくに当たり、現場の声に耳を傾け、現場の疲弊を防ぎつつ、児童虐待件数を一件でも少なくできるように取り組んでいただきたいと思います。  以上です。 10: ◯副議長(青山省三君) 進行いたします。  柴田高伸議員。 11: ◯七十一番(柴田高伸君) 歳出第四款福祉医療費第九項医薬費のうち、自殺・ひきこもり対策事業費に関して、自殺対策について伺います。  警察庁が公表した速報値によれば、昨年一年間の全国の自殺者数は、前の年の確定値より七百五十人多い二万九百十九人となりました。前年を上回るのは、リーマンショック直後の二〇〇九年以来で十一年ぶりとなります。そのうち男性は、対前年比百三十五人減の一万三千九百四十三人で、十一年連続の減少である一方、女性は八百八十五人増の六千九百七十六人で大幅に増加しています。昨年の月別の自殺者数は、新型コロナウイルス感染症の流行第一波後の七月以降、前年を上回る状況が続き、年間累計は十月末時点で前年同期を超えました。昨年の自殺者は女性の増加が目立ち、厚生労働省は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う生活苦が背景にあると見ています。同省がまとめた調査資料によれば、自殺した女性の職業は、事務員や医療保健従事者、販売定員、飲食店員が目立ちます。総務省の労働力調査によれば、一昨年は好調な雇用情勢を背景に全ての月で前年同期を上回りましたが、昨年は状況が一変し、パートやアルバイトなどの非正規雇用労働者数は全国に緊急事態宣言が発令される前の三月に減り始め、七月には過去最大となる百三十一万人のマイナスを記録しました。  野村総合研究所が昨年十二月に二十歳から五十歳代のパートやアルバイトの非正規雇用労働者の女性約五万六千人を対象に実施した調査によれば、その約三割がコロナ以前と比べてシフトが減少していると回答しています。  さらに、シフト減となったパート、アルバイト女性の八割近くが世帯収入が減少、うち四人に一人は半減しておりまして、六割が食費の支出を減らしたり、貯蓄を削って生計維持を図っているとし、また五割以上が金銭的な理由で、この先、生きていくのが難しいと考えることが増えたと、また、六割強が経済状況を理由とした気持ちの落ち込みを感じることが増えたと回答しています。  野村総研の推計によりますと、パート、アルバイト女性の中にシフトが五割以上減少し、かつ休業手当がない一般に統計上の失業者にも休業者にも含まれない実質的失業者が少なくなく、その数は九十万人に上るとしており、さらに、契約社員や派遣社員らを加えると、この数はさらに増えるとしています。  そうしたことから、既存支援策が行き届いていない層を含め、各種支援策を広く、分かりやすく周知することに加え、そうした層が相談できる窓口の設置などの対策が急務であると指摘をしています。  なお、本県の昨年一年間の自殺者数の速報値に触れますと、前の年の確定値より百十一人多い千百七十三人となっており、そのうち男性は対前年比四十二人増の七百八十三人で二年連続で増加し、女性は六十九人増の三百九十人で大幅に増加しています。  昨年八月には、対前年同期で大幅な増加に転じており、その速報値が公表されると、知事から県民に向けて、自殺者の増加に係る緊急メッセージを発出し、本県の様々な相談窓口の周知も図ったところであります。  次に、文部科学省が公表した分析結果によれば、昨年一年間に全国で自殺した小、中、高校生は合わせて、前の年より九十九人多い四百九十八人であり、過去最多となりました。学校別の内訳では、小学生が対前年比七人増の十五人、中学生が三十三人増の百四十五人、高校生が五十九人増の三百三十八人といずれも増加しています。特に女子の増加率が高く、小学生の女子は五人から十一人に増加し、高校生の女子は八十人から百四十人と大幅に増加しまた。自殺原因については、進路に関する悩みと学業不振の二つが例年同様に多数を占め、続いて、親子関係の不和が多く、鬱病などの病気の悩みや影響が例年より増加傾向でありました。昨年の自殺者は、コロナ禍の長期休校が明けた六月、短縮された夏休みが明けた八月、九月に突出して多く、高校生の女子が増加するなどのこれまでと異なる傾向が見られることから、文部科学省は、支援や相談に当たっているNPO法人などの現場から話を聞くとともに、情報端末を活用したSOSを出しやすい体制づくりなど、対策の検討を急ぐとしています。  振り返れば、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言は、昨年四月七日に発出され、当初の対象は七都府県でしたが、同月十六日には対象が全国に拡大されました。  三月二日から全国一斉の休校措置と緊急事態宣言による外出自粛によって、子供たちは年度末から年度初めにかけて学校に行くことができず、卒業式や入学式は例年どおりに行うことができませんでした。六月一日から休校措置が明け、学校生活が再開したものの、部活動の大会をはじめ各種行事も中止が相次ぎました。また、その後の夏休みもスケジュールは変則的でありました。  一般に若年層は、夏休みが終わる八月、年度が終わる三月に自殺が多いことで知られています。厚生労働省が昨年九月に新型コロナウイルスによる不安や行動の変化などの影響を調査したところ、二月から九月までの間に何らかの不安を感じた人は半数以上に上り、警察庁の統計でも昨年八月は二十歳未満の自殺の原因動機で最も多かったのは学校問題でした。  こうしたことから、若年層に対する会員制交流サイトなどを活用した相談や児童生徒が抱える悩みや困難の早期発見、早期対応のための学校におけるスクリーニング、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置のさらなる充実が求められます。  なお、本県で昨年に自殺した二十歳未満の数に触れますと、前の年の四十八人から九人多い五十七人となっており、対前年増減率は男子で三・一%増、女子で五〇%増であり、全国と同様、女子の増加が顕著でありました。  さて、厚生労働省が公表している自殺対策白書によれば、我が国の自殺者数を男女別に見ると、男性が女性の約二倍である一方、世界保健機関の統計によれば、国際比較で我が国の自殺死亡率を男女別に見ると、女性が世界第四位で、男性の十五位よりも高いのが現状であります。  また、先進七か国で若年層の死因第一位が自殺であるのは日本だけであります。日本財団が二〇一六年に実施した自殺意識調査によれば、四人に一人が本気で自殺を考えたことがあると回答しており、また自殺を考えた時期については、六十人に一人が今すぐ死にたいと考えていると回答しています。  さらに、日本財団が同調査を基に推計したところによれば、過去一年以内の自殺未遂経験者は五十人に一人に上り、死にたいと考える人や実際に自殺を企て、行動を起こしている人が多数存在することが分かります。  自殺行動は大きく二つの要素に分かれ、一つは、自殺念慮、これは日頃から死にたいと思っている気持ちのことであり、次に自殺衝動、これは今すぐ死にたいという抑えられない衝動のことをいいます。救急外来で今すぐ死にたいという自殺衝動の強い患者の対応をする医師によれば、自殺衝動は長くは続かず、しばらく話を聞くと大方落ち着いてくるといいます。いわく、自殺を直接引き起こしているのは、自殺念慮という死にたい気持ちではなく、自殺衝動という短時間しか存在しない爆発的な衝動であり、今すぐ死にたいという衝動に駆られた瞬間に少しだけやり過ごすことができさえすれば実際の行動には至らないのであり、そのためには、人に相談することは極めて有効だといいます。  しかしながら、さきに紹介した日本財団の調査によれば、本気に死にたいと思っても、相談しなかった人は七割を超え、自殺未遂をしたときに相談しなかった人は五割に上っています。加えて、一般に自殺既遂のケースでもほとんどの人は誰にも相談しないといいます。  こうしたことから、自殺念慮のある人を自殺衝動を抑えるために有効な相談につなぐことができるかは、いかにその不調や異変に周囲が気づくことができるかにかかっているということができます。  そこでお伺いをいたします。  本気で死にたいと考える自殺念慮のある人に対して、県はどのような取組を進めていくのか、お聞かせをください。加えて、自殺念慮のある人の周囲に対して、県はどのような取組を進めていくのか、お聞かせください。 12: ◯保健医療局長(吉田宏君) 自殺対策に関する御質問のうち、初めに、自殺念慮のある方に対する取組についてでございます。  自殺念慮のある方の多くは、様々な問題や生きづらさを抱え、無力感や絶望感にとらわれ、死に向かう気持ちと踏みとどまる気持ちの間で揺れ動いております。このつらい気持ちや不安を信頼できる人に話すことで気持ちが落ち着き、隠れていた生きたいという思いに気づくことができます。  本県では、こうした方が安心して気持ちを話せるよう、匿名で相談できる電話相談窓口として、あいちこころほっとライン三六五を開設しており、昨年十一月からは、新たに夜間深夜帯にLINEを活用した相談も開始いたしました。あいちこころほっとライン三六五には、昨年四月から十二月までに約五千六百件の相談がございました。また、精神保健福祉センターや各保健所におきましても電話や面接相談を実施しておりまして、十二月までの相談件数は約一万五千四百件に上っています。  これらの相談窓口については、リーフレットやポスター、カードを配布するとともに、県のウェブページ等を活用して周知し、利用を呼びかけております。  今後も引き続き様々な機会を捉えて、県民の皆様に相談の大切さを伝えるとともに、不安や悩みを抱える方に寄り添った相談を実施してまいります。  次に、周囲の人に対する取組についてでございます。  自殺の防止には、悩んでいる方の変化に気づき、声をかけ、話に耳を傾けるとともに、専門の相談窓口につなぐゲートキーパーの役割が大変重要でございます。  そのため、本県では、医療従事者を対象とした自殺対策の研修会や悩みを抱える方に接する機会の多い薬剤師や司法書士等を対象とした養成研修会を通じまして、重点的にゲートキーパーの養成に取り組んでおり、二〇一九年度までに約三万二千人の方が受講されました。  さらに、現在、多くの市町村におきましても、自殺対策計画にゲートキーパーの養成を位置づけ、住民の方々や民生委員等を対象に講座を開催しております。  県としましては、こうした取組を市町村など関係機関と連携し、引き続きしっかりと推進してまいります。 13: ◯七十一番(柴田高伸君) 要望を申し上げたいというふうに思います。  まず、御答弁は、県は、自殺に対する危険因子や保護因子を明確にして、それぞれ対象に応じて自殺対策を進めていくということだというふうに理解をいたしました。  その上で要望いたしますが、本県の自殺対策総合計画においても指摘をされておりますとおり、自殺とは、自ら命を絶つ瞬間的な行為としてだけでなく、命を絶たざるを得ない状況に追い込まれるプロセスとして捉えることが大変重要だということでありまして、問題や原因は多岐にわたる、対応すべきテーマは山積しているというふうに思いますので、県におかれましては、全庁的に連携して、実効策を網羅的に講じられるよう要望したいというふうに思います。  先月、国は、昨年来、女性や若年層の自殺が増加し、社会的孤立の深刻さが浮き彫りになったことを受けて、孤独・孤立担当大臣を新設し、内閣官房に孤独・孤立対策担当室を設置いたしました。今週金曜日には、全ての府省庁が関わる連絡調整会議の初会合が開かれるそうでありまして、県や府省庁で行っている対策や課題を洗い直し、今後取るべき施策に組み替えて、月内にも緊急の支援策として取りまとめるとしており、いかに実効性のある具体策を打ち出すことができるのか、注目をしていきたいというふうに思います。  先月二十五日に首相官邸で開かれた緊急フォーラムでは、そこに参加した相談支援団体から新型コロナが長期化する中にあって、人と人とのつながりを保つことがより一層差し迫った状況にあり、したがって、相談件数が急増していると、相談窓口を増やしてほしいとの要望がなされ、一昨日の参議院予算委員会において、担当大臣はそのことに触れて、つながりやタッチポイントをいろんな場面でつくり上げていくと答弁をされています。  本県における相談体制については、精神保健福祉センターや自殺対策推進センター、各保健所などでそれぞれ整備をされております。件数については先ほど答弁いただいたとおりだというふうに思います。しかしながら、その実態は脆弱だというふうに聞き及びます。  そこで、昨年十一月に本県は、深夜、早朝の時間帯における死にたい、誰かとつながりたいというふうに思う、そうした悩みを抱える人のSOSを受け止めるための会員制交流サイトを独自で立ち上げ、夜間相談業務を始めたということは時宜を得ておって、評価できるというふうに思います。  一方、SOSの生の声を受け止める電話相談については、まず、日中のみの運営である上、何度かけても回線がつながらないことが常態化していると聞きます。回線がパンク状態にあるのは、実は民間支援団体も同様で、聞けば一度受話器を上げれば一時間以上に及ぶ相談に応じることも多く、限られた相談員で受けられる件数には限界があるといいます。  そうした中、先月、自殺防止に取り組んでいる全国の支援団体が連携して、新たな電話相談窓口を設置しました。順次、相談員の採用と育成を進めて、フリーダイヤル回線を増やすことで、より多くの相談を二十四時間受けられる体制を整備し、常につながらないという状態を解消したいとしています。コロナ禍において自殺願望の高まりとともに、電話相談が増加する傾向は、それだけ様々な理由で苦しみを抱え、助けを求める人が増えているという証拠でありまして、本県においても電話相談員の増員、受付時間の延長など、早期に体制を拡充する必要があるというふうに思います。例年三月は仕事で資金繰りに困ったり、卒業や進学などで環境が変化したりして自殺者が増える傾向にあることはさきに述べたとおりであります。コロナ禍が続く中、社会や学校、あるいは家庭内のストレスから、メンタルヘルスが悪化し、自傷行為や自殺企図に向かうことが心配されます。相談することで自殺を思いとどまることができる、悩みを抱える人のSOSを受け止める相談が自殺衝動の減退に最も重要かつ有効であり、生きてこそ関係支援機関から必要な支援を受けることが可能となるため、もとより県にはそう導くことができる相談支援体制を拡充されるよう強く要望したいと思います。  あわせまして、コロナ禍で顕在した事象を踏まえ、現行施策の問題点を率直に洗い出し、民間支援団体など外部の意見も取り入れて足りない点を補うなど、多岐にわたる自殺対策の深掘りがなされるよう重ねて要望して、終わります。 14: ◯副議長(青山省三君) 進行いたします。  筒井タカヤ議員。 15: ◯百三番(筒井タカヤ君) 第二款総務企画費第一項政策企画費、ジブリパーク推進事業費について質問いたします。  武漢から始まった新型コロナウイルス感染症は、瞬く間にヨーロッパ、北欧、東欧、アジア、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア、アフリカの世界各国に拡散して、感染患者と感染死亡者は現在もいまだ終息することなく、甚大な被害が出ています。  日本の各都道府県においても、新型コロナウイルス感染症は拡大して、対応に必死に取り組んでいます。  我が愛知県においても、緊急事態宣言を発して、県民に対し、不要不急の外出の自粛を求めるとともに、愛知県内の飲食店に対しても営業時間の制限を求めるなどして、感染拡大阻止に努めてまいりました。
     その間、愛知県における新型コロナウイルス感染症対策予算は、二〇一九年度補正予算二十億円から始まって、二〇二一年度までに何と総額五千七百億円ほどの巨額な予算、まるで天文学的な国家予算を投入し、その対応を行っている事実です。まさに必死の対応であります。これは日本の全都道府県においても同様であります。  こうした百年に一度と言われるような国家的危機対応の中で、愛知県だけは二〇二三年秋の完成を目指すジブリパーク推進事業を延期することなく、不要不急な事業を平然と行っているのは、どこかおかしくはないのかと指摘する声は、愛知県内のみならず、他の都道府県民、すなわち国民の声もあることを忘れてはいけません。他の都道府県からも実際にあるのであります。ましてや緊急事態宣言をしている期間中に県議会であえて議案提出には、私もなぜ今なのかと疑念を抱いた一人であります。  確認のために前もってはっきりさせておきます。  私は、このジブリパーク推進事業を推進する愛知県の計画には、この愛知県議会で賛成した一人で、今も同じであります。しかしながら、令和二年二月定例愛知県議会で、ジブリパーク推進事業を議決後の急激な新型コロナウイルス感染症の拡大は、全く誰も予想し得ないほどの甚大な被害をもたらしていることは事実であります。  こうした事実を見て、昨年六月定例愛知県議会において、議案として提出されたジブリパーク推進事業費の工事契約百六億円について、私、筒井タカヤとしまぶくろ朝太郎議員が反対をいたしました。理由は、今、県民と共に新型コロナウイルス感染症拡大阻止に尽力すべきであり、このジブリパーク推進事業を少し延期するということでありました。令和三年二月定例愛知県議会では、ジブリパーク推進事業費として、青春の丘エリア、ジブリの大倉庫エリア、どんどこ森のエリアの三エリアについては、整備工事費として百十億八千八百二十九万五千円が、展示・演示工事費として四千九百九十二万八千円が計上されています。また、三エリアの開業からおおむね一年後の開業を予定しているもののけの里エリア、魔女の谷エリアの二エリアについては、整備工事費として九億四百二万二千円が、展示・演示計画検討費として五千四百十八万円が計上されており、これらを合わせると百二十億九千六百四十二万五千円が計上され、このほかに百三十四億七百十七万二千円の債務負担行為が設定されています。これらの内訳予算には理解をいたします。  二〇二二年秋開業予定のジブリパーク、次の第二期、二〇二三年秋完成予定工事は、この国家的危機、愛知県の危機でもある時期なのに、少し遅らせる、延期することがあってはならぬということなのでしょうか。  今回の質問は、新型コロナウイルス感染拡大阻止の緊急事態宣言下の時期に平然と不要不急のジブリパーク推進の巨額の予算を議会に提出されたのか、愛知県民に対し、この本会議場でもって御説明をここに求めるものであります。質問です。答弁を求めます。  先般、東京オリンピック組織委員会の席では、森喜朗会長が不適切な発言をなされたことで辞職され、大混乱する中で、橋本聖子会長が後任に選出され、混乱は収束されたことは記憶に新しい。しかし、これだけの問題があったとされた会議の席では、森喜朗会長が重大な発言をした中で、誰一人として注意、発言の趣旨を正した委員はいませんでした。会議の中には、山下JOC会長、スポーツ団体代表、東京都副知事、二名の東京都議会議員の代表者、有識者代表、女性委員も多数おられました。選ばれて重要な会議に出席をして、疑問を正すことができない人物は、その器にないということであります。黙ってあえて見過ごすのは、黙認、認めたことでもあります。せめて発言の趣旨への質問があってしかるべきでありました。  もう一度言います。この愛知県議会二月定例では、各政党を代表する質問者からは、ジブリパーク推進事業費について、どうして緊急事態宣言下で議案が提出されるべきであったのかへの踏み込んだ質問はありませんでした。さらに一般質問された二十一名の議員からも、また、議案質疑においても誰一人としてジブリパーク推進事業に質問をされない異例、異常とも思われる事態に正直驚きました。  私、筒井タカヤは、数多くの県民から緊急事態宣言を県が発している時期に、ましてやこのジブリパーク推進事業を推進するのかについて疑問の問合せが数多く寄せられています。県が考えていることを県民が理解いただけるよう丁寧に優しく誠意のある言葉で、大村知事からこの議場で県民に向かってお話をいただけませんでしょうか。大切なことであります。大村知事の答弁を求めます。  私は、今議会において、大村知事が緊急事態宣言のこの中でジブリパーク推進事業費を少しは期日を延期されて、新型コロナワクチン接種が県民に行き渡った時期を見計らって、ジブリパーク推進事業について、臨時愛知県議会を招集するお考えが少しはあってもよかったのではないかとお尋ねをしているのであります。答弁を求めます。  私たち愛知県議会議員の職務は、県民の誰もが、これはどういうこと、分かりにくいよね、少しおかしくはないのといった声から、これだけは尋ねてほしい、正してほしいという声を議会でもって正すことが職務であることをここに表明し、質問を終えます。  以上です。 16: ◯政策企画局長(野村知宏君) ジブリパークは日本が世界に誇るスタジオジブリの世界観を表現した唯一無二の公園施設であり、その開業については、県民の皆様をはじめ、国内外から非常に高い期待を寄せていただいておりますことから、これが不要不急の事業であるとの御指摘は全く当たらないものと考えます。もちろん新型コロナウイルス感染症対策は、本県の最優先の課題であると認識しており、県民の皆様の生命と健康を守るため、医療提供体制の確保やPCR検査体制の拡充、医療機関に対する支援、また、このコロナ禍において学びを保障するための安心・安全な教育環境の整備などに引き続き全力で取り組んでまいります。また、現在は、コロナ禍による消費の手控えが顕著な状況にありますが、多くの経済専門家やシンクタンクからは、ワクチン接種等の進展により感染拡大が終息傾向になれば、世界中で消費が力強く大きく拡大するとの見通しが出されているところであります。  そのため、ジブリパークにつきましては、ポストコロナを見据えて着実に整備を進め、当初の予定どおり開業させることで、国内外から数多くの来場者を集め、大きな経済波及効果が得られるものと考えております。  さらに、ジブリパークは大変に魅力的なコンテンツであり、世界中から本県に多くの人々を呼び込むことで、新たな産業やにぎわいの創出、多様な人材の育成、ジブリパークを生かした周遊観光の促進など、本県の活力の向上につなげてまいります。 17: ◯百三番(筒井タカヤ君) 再質問させていただきます。  この質問を行う前にも誠意をもって答弁をいただきたい旨を当局に求めてお願いしてまいりました。質問の真意が伝わらないようでありますので、再度この議場で県民に向け、大村知事から心が伝わる答弁を求めます。  今、議会では、百年に一度とも言われる深刻な感染症によって、世界各国が、我が国の日本が危機的な状況に対処する具体的な施策、すなわち新型コロナウイルス感染症拡大の阻止及び終息に向けた新型コロナワクチン接種に向けた真剣な取組への議論がされる場であります。大勢の県民ももちろんのこと、新型コロナウイルス感染症の治療の現場では、患者の急増に深刻な病床の不足、治療機器の不足、対応する医者、看護師の不足も度重なる中で、必死に今も取り組んでいるのであります。それゆえ、緊急事態宣言を発し、県民に対しても不要不急の外出自粛を求め、新型コロナウイルス感染症拡大の一つ一つの要因ともなる県内の飲食店に対しても、幾多の感染症防止への取組を求めるとともに、夜間営業時間短縮にも協力を求めるなど、最大級の県としての取組をしていることを私は評価をいたしております。  このように、百年に一度の危機で行っている中、何ゆえ不要不急のジブリパーク推進事業を今の今、巨額を投じなければならないのかを、これを推進する大村知事から直接話していただきたいのであります。  大村知事就任以来、いつもどおりの中日新聞からの特ダネ記事からでした、いつも。私は、愛知県議会の議員として、十二期四十六年でありますが、県の重要な施策は、これまでは県民を代表する議会に詳細な事前の説明、提示がなされ、議員も議会も開会される前には理解し、議場で活発な議論が展開されたものであります。それが今では、大村知事の考える重要な事案は、中日新聞が特ダネ扱いで知らされ、以後、各種新聞社、テレビ局の追いかけ取材を重ねる中で、もうあたかもこれが既定方針とした上で議会はこれを追認させるがごときの事例が多いのであります。ここに県民から民主的な選挙によって選ばれた各地域の代表として選出された議員がおられます。百年に一度の国家危機にあって、なぜこのジブリパーク推進事業を今せねばならぬのかを議員に大村知事から直接説明をしていただきたい。私は、ジブリパーク推進事業をなぜ今やらなければならぬのか、理解も納得もできていない一人であります。緊急事態宣言を解除後も、愛知県は厳重警戒宣言を今発令しているさなかではないですか。だから、県議会を通じて、県民にもう一度、理解、納得ができるように、大村知事からの発言を求めます。  以上です。 18: ◯政策企画局長(野村知宏君) 新型コロナウイルス感染症対策につきましては、引き続き県民の皆様の安心・安全の確保に全力を注ぐとともに、地域経済の回復を目指し、感染拡大防止とのバランスを図りつつ、需要喚起にも努めてまいります。  一方で、中長期的な視点に立ち、本県の持続的な発展を図っていくためには、ポストコロナを見据えた施策を切れ目なく計画的に進めていくことが重要であります。大きなインパクトを持ち、世界中から数多くの人々を引きつけるジブリパークの開業は、まさしくそうした施策の一つであるということでありますから、予定どおり着実に準備を進めてまいりたいと考えております。 19: ◯副議長(青山省三君) 次に、第三号議案令和三年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳出第五款経済労働費から第七款建設費までの質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  朝日将貴議員。 20: ◯四番(朝日将貴君) 歳出第六款農林水産費第四項土地改良費の農地防災事業のうち、特定農業用管水路特別対策事業費等についてお伺いします。  昨年末から今年にかけて、健康被害が認められているアスベストが含まれている珪藻土バスマットやコースターなどの製品について、テレビや新聞などで多くの報道がなされております。厚生労働省によると、通常使用している範囲では、健康上の問題を生じさせるおそれはないそうですが、削ったり割ったりした場合には、中に含まれるアスベストが飛散し、それを吸い込むと健康被害を起こすおそれがあるとのことで、メーカーや販売者などによる製品の回収が行われているところです。  私も実は使用しておりますこの珪藻土バスマット等の製品は、大手量販店等で手軽に購入できることから、多くの家庭で使用されていることと思いますが、これらの製品は、紙やすりで表面を削るお手入れをするように取扱上の注意が添えられており、こうしたお手入れをされた方は、随分冷やりとされているのではないでしょうか。  この問題のアスベストは、天然の繊維性の鉱物であり、石でありながら、軽い綿のような性質を持っていることから、日本語では石の綿と書いて石綿と表現されるとおり、丈夫で変化しにくいという特性があり、価格も安いことから、珪藻土バスマット等の製品に補強材として珪藻土に混ぜて使われていたとのことです。  アスベストによる健康への影響については、昭和五十年代から問題視されるようになり、平成十七年に大手機械メーカーがアスベストを使った製品の製造に従事していた元職員や周辺住民がアスベストを吸い込んだことにより、中皮腫等の健康被害が発生していることを明らかにしました。  この発表による衝撃は日本全国に及び、それから丸十五年が経過した今でも、新たに中皮腫や肺がんなどの患者が見つかっているとのことです。  こうしたことから、平成十八年九月以降、アスベスト及びアスベストをその重量の〇・一%を超えて含む全ての製品の製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されています。問題となった珪藻土バスマットと同じように、アスベストを混ぜて作られたものに石綿セメント管、いわゆる石綿管があります。戦後の復興下で、鉄材の供給不足を受け、製造が容易で安価な石綿管が多く使われており、本県でも昭和三十年代から五十年代にかけて、小口径の用水管に多く使用されました。石綿管は、珪藻土バスマットと同じように、普通に使用しているだけであれば何ら問題はありません。しかし、漏水等による修繕を行う際は、どうしても管を切ったり削ったりする必要がありますので、健康被害が危惧されることとなります。  私の地元弥富市をはじめとする海部地域の農業地帯でも、多くの農業用石綿管が今もなお現役で使用されています。石綿管を通った水の水質については、健康上、特に問題ないとされていますが、布設から既に四十年以上経過しており、経年劣化に加え、地盤沈下の進行や車両通行の増加等の社会条件の変化による漏水や破損事故が頻発しております。  さらに、大規模地震が発生し、液状化等により石綿管が破損した場合、修繕時の作業員や農業者、周辺住民への影響が懸念されます。  このため、本県では、特定農業用管水路特別対策事業等により、石綿管を塩ビ管へ取り替える等のアスベスト対策を進めていると聞いております。農業、農村を下支えするためのインフラ整備を行う土地改良事業は、農業の生産基盤の整備はもとより、都市部を含めた防災・減災対策や生活環境の整備など、様々な目的で実施されていますが、昨今、改めてクローズアップされたアスベスト対策も県民生活の安全・安心を確保する上で必要不可欠な施策となっています。  そこでお尋ねします。  海部地域における農業用水管のアスベスト対策の実施状況と今後の進め方についてお伺いいたします。 21: ◯農林基盤局長(平田誠君) 海部地域における農業用水管のアスベスト対策の実施状況と今後の進め方についてお答えいたします。  議員お示しのとおり、アスベストによる健康被害が大きな社会問題となりましたことから、農業用水管のアスベスト対策を国に強く働きかけ、二〇〇六年に石綿セメント管を塩ビ管等に取り替える特定農業用菅水路特別対策事業が創設されるなど、本県は全国に先駆けて対応してまいりました。海部地域では、四百五十五キロメートルの農業用の石綿セメント管が確認されており、この事業等により、昨年度までに百七キロメートルを塩ビ管等に更新しております。本年度は、弥富市の鍋田中部地区をはじめ十三地区、二十一キロメートルのアスベスト対策を進めており、来年度は、二〇二〇年度二月補正予算と合わせた十五か月予算で、前年度比一一四%の約二十二億円の事業費を計上し、二十三キロメートルを実施する予定であります。  また、当地域の石綿セメント管には、過去に地盤沈下対策を目的として整備された独立行政法人水資源機構の施設も含まれていることから、本県から国に対し、ゼロメートル地帯の実情を踏まえた新規制度を要請した結果、水資源機構営事業で地盤沈下対策施設を更新する制度が創設されました。  今後、この制度も活用して、石綿セメント管を取り替えることで、当地域のアスベスト対策を一層加速してまいります。  県といたしましては、県民の皆様の安全・安心の確保に向け、スピード感を持って農業用水管のアスベスト対策の推進に努めてまいります。 22: ◯副議長(青山省三君) 進行いたします。  松本まもる議員。 23: ◯二番(松本まもる君) 私からは、歳出第七款建設費第五項都市交通費のうち、ホームドア設置についてお尋ねいたします。  近年、駅構内のバリアフリーに関しては、数年前と比較しますと、かなり進んでいるように見受けられます。鉄道駅においてはエレベーター、エスカレーターの設置に関して、利用しやすい環境が増えてきました。高齢者はもちろん、小さなお子様連れの利用者、特に車椅子やつえを利用される移動が困難な障害をお持ちの方々にとっては、上下移動の際、エレベーターやエスカレーターを利用することで便利な世の中になりつつあります。我々も地方視察等で大きなスーツケースを抱え移動する際も恩恵を受けているのは御存じのとおりであります。  重たい荷物と一緒に改札を抜け、エレベーターでホームに到着し、列車を待ちます。そのときにもう一つのバリアフリーが設置されていないことに気がつくことがあります。それがホームドアであります。目当ての列車が到着するまで、特に通過列車が入線して、高速でホームを駆け抜けたときには、かなりの風圧になることもあります。皆さんも経験したことがおありだと思います。ちなみに通過列車は、駅通過時にも定時制確保のため基本速度を落としません。列車によっては、百キロ近くで駅を通過する場合もあります。鉄道駅のホームは、欄干のない橋と例えられ、特に障害をお持ちの方にとっての駅のホームは多くの人が行き交い、また列車を待つ人が列をなし、背中にはリュックを背負い、手にはスマホ、横から見れば、ホーム上のかなりの幅を占有している状態で、スマホを見ている当の本人は画面に夢中で、障害者の方が近くを通ろうとしても気づきにくいのが現実で、移動にはかなり神経を使うとお聞きしています。  全国のホームドア設置状況は、昨年度末現在、八百五十八駅の千九百五十三番線となっており、全国に存在する鉄道駅は九千四百六十五駅あり、ホームドア設置は、全体の一割にも満たない状況であります。  今年の夏には、東京オリパラ五輪も予定され、コロナ禍の状況にもよりますが、開催となれば大勢の関係者、中には世界中からパラアスリートの来日の可能性もあります。このままでそういった方々をお迎えするのは、非常に忍びない気持ちになります。  バリアフリー法、障害者差別解消法等、名前は先行していますが、障害者の方々を含めた鉄道駅構内での安全の担保が大幅に遅れていると感じるのは私だけでしょうか。  では、なぜここまでホームドアの設置が遅れているのでしょうか。大まかな理由に、一番の原因は、設置費用が高額であると考えられます。あるデータによりますと、一編成八両として、ホーム上下で、工法にもよりますが、約十億かかると言われています。上下一島で約十億ですから、名古屋駅や金山駅等の総合駅では、その何倍もかかるということになります。  私鉄大手やJRを含めた鉄道事業者は、この問題を喫緊の課題としながらも、今回のコロナ禍で大打撃を受け、今後も早期の回復が見込めない見通しの中で、手をつけられずにいるのが現実だと思います。コロナ禍で、国においては、バリアフリー法に基づく基本方針における次期目標について、次年度、二〇二一年から二〇二五年度を目標として、ホームドア等についてはきめ細やかな進捗をフォローするため、優先的な整備を引き続き推進することとし、十万人以上の駅のみならず、十万人未満の駅を含めた全体についても、番線単位の数値目標を設定するとあります。具体的には、利用者のみならず、転落、接触事故の発生状況、駅やホームの構造、利用実態、駅周辺エリアの状況などを勘案し、全体で三千番線に整備し、そのうち一日当たり平均利用者が十万人以上の駅については、八百番線に整備する。なお、整備実績について、整備番線数とともに整備駅数についても公表するとあります。これは、国においても全国の整備状況において、鉄道会社任せではなく、ホームドアの早期整備に一緒になって取り組んでいく表れだと感じます。  そこでお尋ねいたします。  鉄道利用者の安全を確保する効果が高いホームドアについて、現在設置が進められているJR金山駅の事業の進捗状況と、県内における今後の設置見込みはどのようになっているか。また、ホームドア設置の促進について、県としてどのように取り組んでいくのか伺います。 24: ◯都市整備局長(中川喜仁君) ホームドアの設置促進についてのお尋ねであります。  JR金山駅におけるホームドアの設置については、二〇一九年度からの三か年で東海道本線のホームに設置する事業が進められており、上りはこの三月一日に運用が始まり、下りは本年十二月に運用を開始する予定です。  次に、県内における今後の設置見込みですが、JR線については、刈谷駅において、ホーム拡幅などの駅改良事業に合わせて設置が計画されております。また、名古屋市営地下鉄では、未設置の路線である鶴舞線において、庄内緑地公園駅から平針駅までの十八駅で設置されることとなっており、JR刈谷駅、鶴舞線とも二〇二六年度までに完了する予定です。  バリアフリー法に基づく国の新たな基本方針では、これまで設置が優先されてきた一日当たりの平均的な利用者数が十万人以上の駅に限らず、十万人未満の駅も含め、ホームの構造、高齢者や障害のある方などの利用実態等から、優先度が高いと判断されるホームについて、整備の加速化を目指すものとなっております。  このため、県といたしましては、市町村と連携して、ホームドア設置促進事業費補助金などの補助制度により、鉄道事業者の取組を強く働きかけるとともに、設置が進まない要因となっている高額な費用負担などの課題に対し、国の検討会で示された低コストの新型タイプ導入の検討も促してまいります。  また、駅員による誘導案内の強化をはじめ、ソフト面での利用者支援の充実を鉄道事業者に要請するなど、ホームにおける安全性のさらなる向上に向け、しっかりと取り組んでまいります。 25: ◯二番(松本まもる君) 御答弁いただきまして、ありがとうございました。  要望を述べさせていただきます。  この先の予定として、地下鉄鶴舞線を含め、一歩一歩着実にホームドアの設置が進んでいくのは理解ができました。しかし、コロナ禍においてテレワークが進む中においても、鉄道を利用し、職場まで出勤をし続けなければならない職種の方、学生の方、またお体に障害を持たれ、公共交通を利用しなければ移動困難な特に視覚障害等をお持ちの方など大勢いらっしゃる今、この時間もホームドアのないホームにおいて、不安な気持ちで列車を待たれているかもしれません。コロナ禍においてもそんな状況を憂いてか、鉄道における人身事故が目立っています。例えば昨年のちょうど今頃、三月十六日から二十二日の一週間では、何と三十件以上の人身事故が発生し、十八日から十九日にかけての僅か二日間で十件もの人身事故が起きています。そのうち、駅構内での人身事故は七件発生しています。その七件の中に、残念ながら、愛知県内で発生した人身事故も含まれています。七件の全てがただの人身事故とは考えにくい気がします。これ以上申し上げませんが、ホームドアがあれば防げた人身事故があったかもしれません。このような悲惨でつらい人身事故が一件でも発生しないためにも、早く安心して鉄道利用をしていただけるよう、設置に対する費用面を含め、行政からの今後の熱い支援ができることを期待し、質問を終わります。 26: ◯副議長(青山省三君) 進行いたします。  中村竜彦議員。 27: ◯五番(中村竜彦君) 私からは、第五款経済労働費第二項商工業費のうち、伝統的工芸品月間国民会議全国大会開催費について伺います。  我が国に古くから伝わる工芸品のうち、歴史性など一定の要件を満たすものを伝統的工芸品産業の振興に関する法律の規定により、伝統的工芸品として経済産業大臣が指定をし、国や地方公共団体が協力をして、その振興を支援することとなっています。  令和三年二月末現在、全国で二百三十六品目が指定を受けており、私の地元である豊橋市では、豊橋筆が一九七六年に伝統的工芸品の指定を受けております。豊橋筆は、江戸時代の後期に武士の副業となったことで産地として発展をし、墨になじみやすく、書き味がよいため、多くの名だたる書道家に愛用され、高い評価を受けております。  また、県内の伝統的工芸品には、有松・鳴海絞りや常滑焼をはじめ、今年一月に新たに指定を受けたばかりである名古屋節句飾りなど、全国で五番目に多い十五品目があり、いずれも優れた技術、技法を持つ職人の手によるすばらしい工芸品であります。  伝統的工芸品として指定されるための要件は幾つかありますが、製造技術、技法が百年以上の歴史を持ち、今日まで継続していることや、百年以上の歴史を持つ伝統的な原材料を使用していることといった長きにわたって人々に愛され、使われてきたことが要件となっており、本県の優れたモノづくりのDNAを伝えるものと言えます。伝統的工芸品産業の現状は、生活様式や消費者ニーズの変化、海外からの安価な競合、類似品の流入などの影響により、産地にとって厳しい状況が続いており、加えて、このたびの新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響も生じていると伺っております。  ただ、こうした厳しい状況下においても、伝統的工芸品の産地においては、意欲的な取組が見られます。豊橋筆の事例としましては、県の支援事業を利用し、ペット毛を使用したアクセサリーを新規開発して、クラウドファンディングに挑戦した事例や筆の技術を活用して、子供用の洗顔ブラシを新規開発し、出産祝いの贈物として人気を集めた事例があります。  また、他の産地であっても、最近のものとしては、三州鬼瓦工芸品がテレビアニメ鬼滅の刃とコラボ企画を行い、大変な人気を博したことなど、厳しい状況を乗り越えていこうとする地道な取組が各所でなされています。  そして、国が毎年全国各地で開催をしている伝統的工芸品月間国民会議全国大会が新年度の十一月に本県で三十五年ぶりの開催の運びになったことは、厳しい現況下においても、各産地において努力がなされている中、本県の伝統的工芸品産業が改めて広く注目をされ、持続的な発展のためのチャンスになるものと考えます。各産地も多いに期待していることと思います。  そこでお伺いいたしますけれども、本県での全国大会開催を今後の伝統的工芸品産業の振興につなげていくために、開催に向けてどのように取り組んでいくのか、お聞かせをいただきたいと思います。 28: ◯経済産業局長(伊藤浩行君) 伝統的工芸品月間国民会議全国大会についてであります。  全国大会開催に向けては、昨年八月に準備委員会を立ち上げ、伝統的工芸品の産地団体や関係自治体等と連携、協議しながら、基本計画の策定などの開催準備を進めております。  こうした中、産地団体や関係自治体等とは、今回の全国大会を一過性のものにせず、今後の伝統的工芸品産業の発展につなげていこうということで認識を共有しております。  また、産地団体からは、全国大会に向けて、消費者ニーズに即した新たな商品を開発するといった意気込みや来場者と意見交換をして、今後の事業展開の参考にしたいといった様々な意見をいただいており、適宜基本計画等に反映していく予定です。  今回の全国大会では、工芸品の展示販売をはじめ、職人の実演やワークショップ、学生とのコラボ企画などを実施し、日頃、伝統的工芸品に触れる機会の少ない方を含め、できるだけ多くの方々に間近で伝統的工芸品に見て、触れてもらい、そのすばらしさを体験してもらう機会にしてまいります。  さらに、販路拡大の取組として、会場であるアイチ・スカイ・エキスポ内での商談会に加え、海外のバイヤーに対しては、オンラインでの実施を検討しております。これらの取組を通じて、全国大会が本県の伝統的工芸品産業の将来に向けての持続的発展につながるよう、産地団体等とよく調整し、関係者一体となって大会の成功に向けて万全を期してまいります。 29: ◯副議長(青山省三君) 進行いたします。  加藤貴志議員。 30: ◯十二番(加藤貴志君) 私からは、歳出第六款農林水産費第六項林業費のうち、森林環境譲与税活用事業費についてお伺いいたします。  森林環境譲与税は、令和元年度から全ての都道府県及び市町村に対して譲与されています。これを財源に県は森林環境譲与税活用事業費として、人材育成事業費、木材利用拡大事業費、森林情報整備事業費の三つの項目に取り組むこととしています。このうち、今回は森林情報整備事業費についてお伺いします。  初めに、令和二年版の森林・林業白書の記述を基に森林環境税及び森林環境譲与税についておさらいしておきたいと思います。  森林は、水源の涵養や山地災害の防止、地球温暖化の防止などの公益的機能を有し、国民に広く恩恵を与えてくれています。適切な森林の整備を進めていくことは、国土や国民の生命を守ることにつながる一方で、所有者や境界が分からない森林の増加、担い手不足等が大きな課題となっています。  このような状況の中、パリ協定の枠組みの下における我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止を図るための森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、二〇一九年三月に森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律が成立し、森林環境税と森林環境譲与税が創設されました。森林環境譲与税は、二〇一九年度から譲与が開始されています。その使途は法律に定義されており、市町村においては間伐や人材育成担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用に充てることとされています。  また、都道府県においては、森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用に充てることとされています。この税により、山村地域でこれまで手入れが十分に行われてこなかった森林の整備が進展するとともに、都市部における木材需要を創出し、山村地域で生産された木材を利用することや、都市住民の森林、林業に対する理解の醸成、ひいては山村の振興につながることが期待されています。  一方、本県の森林に目を向けますと、森林面積は約二十二万ヘクタールで、県土の四二%を占め、その多くが三河山間部に広がっています。  本県の森林の特徴の一つに杉やヒノキなどの人工林が多いことがあり、森林に占める人工林の割合、いわゆる人工林率は六三・六%で、全国第三位となっています。  こうした人工林は、戦後に植栽されたものを中心に本格的な利用期を迎えており、一般的に住宅建築材に利用できるとされる四十六年生以上は八割を超えています。人工林の多い本県では、健全な森林の整備は特に重要であり、これまで林業活動による健全な森林の整備や独自課税であるあいち森と緑づくり税を活用した林業活動では整備が進まない人工林の間伐等に取り組んでいただいています。  私の地元である豊田市は、県内市町村の中で最も広い約六万二千ヘクタールの森林を有しており、二〇〇〇年九月の東海豪雨をきっかけに手入れの遅れた人工林の間伐に積極的に取り組んでいますし、二〇一八年に市内で稼働を開始した大型製材工場への丸太供給も合わせて、森林の健全化に重点的に取り組んでいます。さらに、今後、三河山間部の市町村は、森林環境譲与税を活用した森林の整備を着実に進めていく必要があります。財源が措置され、市町村の果たすべき役割は大きくなりましたが、市町村の体制は十分とは言えないことから、県による支援が極めて重要であります。この点、我々公明党県議団は、森林産業を支援するという観点で、一月二十五日、大村知事に対し、県産木材の需要減少により厳しい経営環境が見込まれる林業、木材産業者等への支援を検討することを要望させていただきました。  このような中、二〇二一年度に県は、森林情報整備事業費において、市町村に対する支援の一環として、航空レーザー計測を活用した詳細な森林情報の解析等に取り組むこととされています。健全な森林の整備を進めていくに当たり、対象とする森林の把握や境界の明確化は出発点であり、豊田市としても県の取組に大いに期待しています。県には、市町村の期待に応え、かつ市町村がその役割を果たすことができるよう的確に支援していただくことを期待するところであります。  そこで、まず、航空レーザー計測により取得する詳細な森林情報とはどのようなものか、そして、どのように活用できるのか、お伺いします。また、森林情報整備事業費の二〇二一年度の取組内容についてお伺いいたします。 31: ◯農林基盤局長(平田誠君) 航空レーザー計測によって得られる森林情報とその活用についてお答えいたします。  航空レーザー計測では、航空機から森林に向けてレーザーを照射して、樹木や地表に反射して戻ってくる時間差等を解析することで、詳細な地形情報と森林資源情報を取得することができます。地形情報としては、地形図では把握できない詳細な尾根や谷の位置、細かい斜面の起伏や傾斜、林道、山腹に発生した亀裂や過去の崩壊跡地等を把握することができます。また、森林資源情報としては、一本一本の木の高さや立っている位置、木の種類が分かります。これらの情報の活用でございますが、林道や作業道の最適なルートの検討や林業機械による効率的な木材生産に適した森林の選定、治山事業における山腹の亀裂や過去の崩壊地、渓流に堆積した土砂、落石の発生源などの危険箇所の抽出に活用しております。  また、樹木の込み具合から手入れが遅れていて、間伐が必要な森林が把握できることから、今後、あいち森と緑づくり事業における事業地の選定に活用してまいります。  さらに、森林整備や林業活動を進める上で重要な森林境界につきましても、詳細な森林情報を基に図面上に境界案を示すことで、現地に行かずして隣接所有者同士による確認が可能となります。このように、航空レーザー計測によって得られる詳細な情報は、林業における様々な課題を効率よくスムーズに解決していく強力な武器となりますので、積極的な活用を図ってまいります。
     次に、森林情報整備事業費の二〇二一年度の取組内容についてお答えします。  県は、森林整備に取り組む市町村を支援するため、航空レーザー計測とそのデータ解析により、詳細な森林情報の取得と市町村への提供に取り組んでおります。二〇一八年度以降、森林の多い三河山間部からデータ解析を順次進めており、来年度は、尾張地域など約三万九千ヘクタールの森林の解析を行います。これによって、国有林を除く県内の二十万七千ヘクタール全ての森林の解析が完了いたします。  このデータ解析で得られた詳細な森林情報に、これまで県が保有してきた森林所有者や土地の利用規制などの情報を加えた多種で大量の情報をネットワーク上で市町村や森林組合等の林業事業体と共有する森林クラウドシステムの導入に向けた検討を進めてまいります。  このシステムの導入により、県と市町村が保有している森林情報の一元化や情報の逐次更新が可能となり、市町村や林業事業体等がいつでも最新かつ正確な森林情報を活用できるようになります。  これらの森林情報は、森林整備、木材生産、防災・減災対策など、森林に関わる全ての事業の基となる重要な基礎データであります。クラウド化により、市町村や林業事業体等の関係者が利用しやすい環境を整え、健全な森林の整備にしっかりと取り組むことができるよう支援してまいります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 32: ◯四十一番(丹羽洋章君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 33: ◯副議長(青山省三君) 丹羽洋章議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 34: ◯副議長(青山省三君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午前十一時三十七分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後一時開議 35: ◯議長(神戸洋美君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  桜井秀樹議員。 36: ◯三番(桜井秀樹君) 私からは、歳出第七款建設費第二項道路橋梁費のうち、名古屋高速道路公社出資金・貸付金に関連して伺います。  昨年、令和二年二月に国土交通省道路局高速道路課より、中京圏の新たな高速道路料金に関する具体方針案が示されました。大きくは二点あり、一点目として、料金体系の整理、統一と、ネットワーク整備として、東海環状自動車道の整備の加速化、一宮ジャンクション付近及び東名三好付近における渋滞解消のためのネットワーク拡充に必要な財源確保も考慮し、料金水準を現行の高速道路国道の大都市圏近郊区間を基本とする対距離制を導入し、車種区分を五車種区分に統一され、また、名古屋高速道路につきましては、リニア開業を見据えた都心アクセス関連事業や名岐道路の整備に必要な財源確保に当たり、主要の事業の主体を明確にした上で税負担も活用しつつ、現行の償還期間を延長するとされております。  二点目は、起終点を基本とした継ぎ目のない料金の実現として、交通需要の偏在を防ぐとともに、都心部周辺の環境改善を図るため、東海環状自動車道及び名古屋第二環状自動車道の利用が料金の面において不利にならないよう、経路によらず、起終点の最短距離を基本に料金を決定するとされ、都心部への流入に関しても交通分散の観点から、帰路によらず、起終点の最短距離を基本に料金を決定するとされております。  これまでの御説明の中で、現在の利用者のうち、約七割料金が下がるとされていますが、言い換えれば、三割料金が上がることに問題意識を持っております。  私は、先ほど紹介した方針案が出された当時は、新型コロナウイルス感染症への影響を懸念されていましたが、これほどまで長く引きずるとは、多くの国民、県民の皆さんも感じていなかったと思います。現在、コロナ禍により、県民、企業等が苦しんでいる状況下の中で、改正する必要があるかどうかであります。  今回の料金改定は、名古屋高速道路だけではなく、例えば名神、東名、東海北陸道など、全ての高速道路について、首都圏で採用している大都市近郊料金を特に中京圏について、その定義を加えたものであります。  その結果、例えば大垣から豊田インターほか、中京圏一体の物流コストが上がることに加え、新城市から県庁までの料金も上がることから、遠方で広域連携の対策がされなければ、周辺都市との交流が経済的、心理的にも負担がかかるおそれがあります。  さらには、中小零細企業においては、今回の改定で値上げとなる場合は、名古屋高速道路を利用せずに一般道を走行することにより渋滞増加につながり、突き詰めれば、企業としての生産性低下につながると感じております。  また、先ほど申し上げました方針案に渋滞解消のためのネットワーク拡充に必要な財源確保も考慮とありましたが、例えば、自動車会社が将来の開発費の確保のために次期発売される新型車両の価格に開発費をあらかじめ含めた価格を設定するのと同じように感じるからであります。  次に、今回改定する距離制に関する新料金の考え方であります。  一キロ当たり二十四円を二十九円にするとされていますが、二十九円の根拠として、東京や大阪の大都市圏並みに合わせる都市近郊型料金にするとされていますが、まずはここ、中京圏における自動車を利用した交通手段は六一%であり、これは、東京の二七%、京阪神の三一%と、自動車の利用頻度は約二倍にもなっているにもかかわらず、キロ当たりの料金を上げることには、中京圏の特色からみて違和感を覚えます。  次に、今回の料金改定に当たり、七割の料金が下がるとされていますが、その恩恵を被らないETC非装着車であります。首都高速道路でもETC非装着車は三%強とされている中、愛知県でも四%から五%と言われております。  その現金車の属性は、傾向として中小企業が多いとされていることから、今回の料金改定は、ETC非装着車には全く恩恵がないわけで、利用料金とは関係なく、短距離でも最長料金を徴収することは、走った分だけ負担する公平な料金制度と矛盾すると感じます。  また、先日報道されました首都高全てETC装着車専用化に対して、愛知県も検討を進めていると思いますが、報道されている目的の一つは渋滞解消策とのことでありますが、渋滞問題はETC装着の有無ではなく、ノーチェック出口を増設することが先であると感じます。ETC非装着車に対して、排除するような気がしてなりません。  少し話は逸れますが、先日の令和三年度の予算説明会の中で、二〇二二年秋に開業するジブリパークにおいて、入場チケット販売にスマートフォンを活用することを検討しているとありました。言い換えると、スマートフォンを持っていない方はジブリパークに入場できないのかとも感じました。  スマートフォンを持っていない方は、恐らく高齢者を含めた生活弱者であるとされており、何か先ほど触れましたETC非装着車と同様に排除する社会になるような気がしております。  最後に、名古屋高速道路の位置づけの捉え方であります。  中京圏における高速道路料金は、もはや携帯電話会社以上に競争原理が働かない公共料金といっても過言ではない中、値上げをする必要性に加え、今や形骸化していて、単に数字を膨らませているだけの道路料金の七割以上を占める償還主義の廃止についてであります。  廃止に向けては国の許可を得るとされていますが、名古屋高速道路の出資者は愛知県と名古屋市であり、国は出資者ではないと理解しています。  また、国からの借入金は全体の四分の一であり、言い換えるなら、四分の三は地方からの調達であり、残りの四分の一を返還することを前提に償還主義廃止の議論を進めるべきであります。  例えば、県民の皆さんに、四十年後に名古屋高速道路を無料にするから、明日から料金を値上げして高い料金でもよいのか。もう一つは、四十年後の償還時期には無料にはならないが、明日から今よりも安い料金制度に改定するという二つのアンケートを取ってみてはいかがでしょうか。  私の感覚では、多くの県民の皆さんは後者を選択すると思います。いつまでも東京の指示を仰ぐことではなく、県民の皆さんの意見を反映する、このことこそ地方自治体が目指す自主性であると思います。  以上のことを踏まえまして、以下三点質問させていただきます。  一点目といたしまして、料金改定に関することについて、一キロ当たりの料金、キロ二十四円を二十九円とする理由。東京、大阪とは三百キロ以上離れている上、車に対する依存度も異なる中京圏であるのに値上げをして東京、大阪に合わせる理由について伺います。  二点目として、料金改定に関する影響について、利用者の利便性や本県産業に対し、どのような効果が具体的に期待されるのか。実際に交通流動がどのように変化をすると考えているのか。  また、渋滞や移動時間にどんな効果が発揮されるのかについて、県としてどう分析評価をするのか。  そして、前段で申し上げました三割の方が以前より値上げとなることに対しての対応について、どのように把握して取り組んでいくのか。  併せて、ETC非装着車に対する対応をどう考えているのか伺います。  そして、最後の三点目といたしまして、償還主義の廃止について、今後、県としての考えや取組について、どのように進めていくのか伺います。  以上、よろしくお願いします。 37: ◯建設局長(鎌田裕司君) 中京圏の新しい高速道路料金に関連して、三点お尋ねをいただきました。  まず、料金改定についてであります。  今回の料金改定に当たっては、新たな高速道路料金に関する具体方針案が昨年二月に国から示されており、二つの柱、一つ目は利用度合いに応じた料金体系、二つ目は管理主体を超えたシンプルでシームレスな料金体系とすることが掲げられております。  このうち、大きなポイントは、利用度合いに応じて料金を御負担いただく対距離制料金への移行であります。  具体的には、中京圏の高速道路のうち、現行は名古屋高速道路や名古屋環状二号線が区間均一料金で、短距離利用、長距離利用とも同一料金となっているものを、名古屋環状二号線が全線開通する五月一日より、利用距離に応じた料金とするものであります。  料金算出の基本となる料金水準、キロ当たり料金については、これまで有料道路事業として整備した際の借入金を返済するために、料金改定後も一定の料金収入を確保しなければならないこと。さらに、今後実施する渋滞解消のためのネットワーク整備などの改良費用も確保できる水準とする必要があります。  具体的な料金は国が許認可するものでありますが、このような背景から、大都市圏として成長してきた中京圏においても、東海環状自動車道を含み、その内側については、首都圏、近畿圏と同じ大都市近郊区間の水準を適用するという結果となったものであります。  今回の対距離制料金への移行については、地元経済界とも意見交換を重ねてきました。その中では、物流業界のドライバー不足などに対応していくためには、財源を確保することにより、渋滞対策はもとより、定時性、速達性に優れた高速道路ネットワークを早期に完成してほしいという意見もいただいております。  次に、料金改定に関する影響として、効果と分析、長距離利用者、ETC非装着車への対応についてであります。  今回の改定では、都心の混雑を避け、距離は長くなるものの、環状道路を走行する利用者が料金の面で不利にならないよう、経路によらず起終点の最短距離を基本とした料金とすることにより、長距離交通が環状道路に迂回分散されます。  また、対距離制の導入により短距離利用が増え、一般道から高速道への利用促進も図られるものと考えております。  こうしたことにより、当地域の一般道を含めた交通の円滑化が見込まれ、物流交通の定時性確保や渋滞緩和によるドライバーの労働環境の改善、交通安全の向上などの効果が期待できます。  今後の交通流動の変化などにつきましては、交通量や利用実態など、実際の変化をしっかりと把握し、課題が顕在化した場合には必要な対策を行うなど、その後の道路施策に生かしてまいります。  今回の改定では、例えば名古屋高速道路の利用について、普通車料金で現行の七百八十円が千音寺から錦橋まで約七キロの利用で五百十円になる一方、大高から清須まで約二十二キロでは千円となります。  こうした中で、物流を支える企業などの負担が大幅に増加しないよう、月ごとの利用総額に応じて最大一八%割引する名高速ETCコーポレートカード割引は継続することとしております。  また、現在、現金車の方々にも対距離料金をお支払いいただくためには、ETC車載器を装着していただく必要がありますので、中日本高速道路株式会社と名古屋高速道路公社が協調し、来月一日から始める車載器購入助成キャンペーンにより購入費用を一万円助成するなど、ETC車載器の装着促進に努めてまいります。  最後に、償還主義についてであります。  我が国における有料道路事業制度は、高速道路株式会社や地方道路公社などの有料道路事業者が借入金を用いて道路を整備し、利用者の通行料金で返済や管理に充てる方式、いわゆる償還主義が制度の根幹であります。  本県においても、愛知県道路公社がこの有料道路事業制度により財源を確保して、知多横断道路、衣浦トンネル、猿投グリーンロードなどの幹線道路を短期間で集中的に整備、供用することで、地域の発展に大きく寄与してきたところであります。  今後も、この償還主義をベースとした有料道路事業を有効に活用してまいります。 38: ◯三番(桜井秀樹君) 御答弁ありがとうございました。  私は今回の質問を組み立てるに当たり、自分自身の反省として、先ほど答弁いただきましたが、五月にも料金改定が予定している中での質問をしたことであります。本来なら一年前にすべきだったと反省するわけであります。  あえて料金を凍結する要望は控えさせていただきました。しかし、償還主義廃止について申し上げます。  先日、山口県議会が作成した高速道路料金制度等の見直しに関するレポート、提言書を入手し、見させていただきました。現実直視の発想転換による低コスト出口の多設と料金定額制への移行というサブタイトルがついていました。  その中で、現行の高速道路整備・料金制度をめぐる主な問題点の一つに償還主義破綻への認識欠如とあり、二〇〇五年に道路公団等の民営化で高速道路会社NEXCO等六社が誕生し、各社は高速道路の料金収入を道路建設のために借金返済に充当しており、その額は民営化時点で約四十兆円、二〇一四年では約二十九兆円とされておりました。国は、この返済が終われば高速道路料金を無償化するとし、この終了見込みを二〇五〇年と見込んでいました。  しかし、二〇一二年に中央自動車道笹子トンネル、山梨県ですけど、天井崩落事故が発生したことを受け、今後は老朽化対策にも経費を要するとして、高速道路の有料期間を二〇六五年まで延長する措置を取りました。老朽化対策は今後においても避けられず、むしろ経費の増大が見込まれます。  このような状況下では、実質的に将来の無償化実現は困難と思考すると分析し、償還主義を前提とした道路整備と老朽化対策という方法論は既に破綻していることを直視し、料金無料化の神話と決別する大胆な方針転換が必要とまとめられておりました。  このような償還主義については、地方からも様々な意見が出ています。本当に高速道路が無償化になるのか、その実現性と現状を鑑みた上で、愛知県として発想の転換をしていただくことを期待し、終わります。 39: ◯議長(神戸洋美君) 進行いたします。  杉浦正和議員。 40: ◯六番(杉浦正和君) それでは、私からは、歳出第五款経済労働費のうち、第二項商工業費第一目商工業振興費のデジタル技術活用促進事業費について、お伺いさせていただきます。  二〇一九年四月一日より、働き方改革関連法案の一部が施行され、現在、働き方改革は大企業だけではなく、中小企業にとっても重要な経営課題の一つとして世の中に認知されてきています。  また、新型コロナウイルスの影響により、これまでの働き方が大きく見直されているタイミングでもあります。  本県で大部分を占める中小製造業においても、従来、少品種大量生産であったモノづくりが、社会ニーズの多様化により、多品種少量生産が求められるようになり、熟練工の退職などにより従業員の確保が難しくなることや、働き方改革の推進の中で労働時間の削減が求められています。  また、近年、日本が直面している少子・高齢化に伴う生産年齢人口の減少という課題を解決するためにも、デジタル技術の活用による生産性の向上を達成し、経済成長を実現していかなければならない状況だと認識しております。  このような背景もあり、中小企業のデジタル化を推進するため、本県ではこれまで、デジタルとモノづくりの現場に精通した専門家による活用相談窓口の開設や、IoT、産業用ロボット導入支援講座などの人材育成支援、セミナーによる普及啓発に取り組んでまいりました。  この中の事業の一つとして、企業が抱える様々な課題に対する相談に応じる愛知県スマート技術活用相談窓口が設置されておりますが、こちらに寄せられている相談件数の実績は、一月末現在で六十件程度であると伺いました。この間、新型コロナウイルスの対策として、政府からのテレワークなどの要請があったことなどを考えますと、決して多くない相談件数だと思います。  コロナ禍において、現場の改善まで至らないケースもあるかと思いますが、デジタル化に対する中小企業の経営者の意識が低いことも一因であろうかと考えられます。  また、先日、地元の商工会議所に中小企業のデジタル化についてヒアリングしましたところ、ITやデジタル化の研修会や講演会などを企画しても、思ったよりも集まらない。経営者側の意識がそこまで高くないのではといった状況のようであります。  確かに身近にIT企業が多く存在していない、あるいは、コンサルティング会社などとの接触が少ない地元の豊橋市の経営者が持つデジタル化に対する意識は、名古屋市などの経営者に比べて低いように感じます。IT企業の集積がない県内地域においても同様のことが言えるかと思います。  改めて言うまでもなく、中小企業のデジタル化を促進するためには、まずは経営者の理解、意欲を促すことが重要であります。  そこで、県内全域の中小企業経営者にデジタル技術の重要性や有効性を認識していただくためにどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。  また、経営者がデジタル化に前向きになっても、それを活用し、現場の改善につなげていくための人材が社内にいないと取組が進まないと考えます。  そこで、社内においてデジタル化を推進する人材の育成について、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。 41: ◯経済産業局長(伊藤浩行君) まず、中小企業の経営者にデジタル技術の重要性や有効性を認識していただく取組についてお答えいたします。  経営者がデジタル化に前向きになってもらうため、デジタル技術に関する最近の動向や活用成功企業の事例などを紹介する経営者向けのセミナーを開催し、デジタル化に対する理解や意識の向上を図ってまいります。  加えて、具体的な事例を通して理解を深める観点から、来年度は新たにデジタル技術導入のモデル実証を行い、そのプロセスと結果をモデルケースとして情報発信してまいります。  また、中小企業の経営指導を行う商工会議所、商工会の経営指導員に日々の経営指導の中で中小企業経営者に対してデジタル技術の活用を働きかけていただけるよう、デジタル技術の活用事例に関する研修会を尾張、西三河、東三河の各地域で開催いたします。  これらの施策を通じて、県内全域における中小企業経営者の理解、意欲を高めてまいります。  次に、社内におけるデジタル化を推進する人材育成の取組についてお答えいたします。  社内のデジタル化を推進するためには、それを支える人材の育成が重要です。そのため、来年度は新たに幹部社員や開発リーダーから一般社員まで、各階層や役割に応じた研修会を県において開催し、デジタル活用スキルの向上を図ってまいります。  加えて、デジタル技術関連部署などの若手社員などを中心にデジタル活用のアイデアを募り、有識者などの助言を受けながら、若手社員自身がアイデアを磨く取組も実施してまいります。  さらに、四月から七月にかけて、県内企業におけるデジタル化やデジタル人材の現状と課題に関する調査を実施することとしており、その結果を踏まえ、さらなる効果的な施策を検討してまいります。
     県としましては、これらの取組を着実に実施することで、中小企業におけるデジタル技術の活用を促進してまいります。 42: ◯議長(神戸洋美君) 進行いたします。  おおたけりえ議員。 43: ◯十六番(おおたけりえ君) それでは、歳出第五款経済労働費第四項職業能力開発費第二目技術専門校費のうち、雇用セーフティネット対策訓練費の中で、オンライン公共職業訓練の拡大について伺います。  コロナ禍の中、厚生労働省の二月二十六日までの集計分資料によりますと、愛知県内で四千八百五十六人もの方が解雇あるいは解雇見込みとなっているとのことです。  職を探すにしても、有効求人倍率は一月時点の愛知労働局統計では、全国が一・一〇に対し、愛知県全体が一・〇三、私の地元でありますハローワーク豊川管内では、一月時点での季節調整していない数値ではありますが〇・七六と、県内でも低い状況にあります。  このような中では、今後の労働需要を見据えた労働移動を促す職業訓練が非常に重要になってくると考えます。  しかし、現在の職業訓練制度では、今職をなくして職業訓練を受けたいのに、タイミングよく開講する講座がない、開催場所が名古屋など大都市に多く、通える範囲の講座は限定的など、利便性のよいものにはなっておりません。  そこで、この課題解決の一助になると考えますのは、オンライン職業訓練の実施です。  オンライン職業訓練のメリットは、東三河はじめ、県内のどこにお住いの方でも気軽に受けていただけるようにできるところだと考えます。  コロナ禍の中で、公共の職業訓練でない英会話やIT系をはじめとした民間のオンライン講座は人気を博しているようです。ネットでオンライン講座で検索いたしますと、専門的なスクールからカルチャー講座まで、様々な講座が開かれていることが分かります。  ぜひ、公共職業訓練のオンライン化を進めて、県内のどの地域に在住する方でも、子育てや介護中でも、等しく能力開発できる環境整備をしていくべきと考えます。  そこで、県が民間に委託している職業訓練について、今年度から一部オンラインによる訓練が可能となっておりますが、その訓練の実施状況について伺います。  また、今後需要がさらに増えることが予測されるIT系や地域で必要とされている介護・保育等福祉系訓練など、オンラインで受講可能な講座を増やしていくべきだと考えますが、今後の方向性について伺います。 44: ◯労働局長(橋本礼子君) オンラインによる職業訓練の実施状況についてお答えいたします。  本県では、高等技術専門校において、国の制度を活用して、離職者を対象にした雇用セーフティネット対策訓練を民間の教育訓練機関に委託して実施しております。  昨年来の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、国において制度改正が行われ、自宅でパソコンやスマートフォンを使った同時双方向型のオンラインによる訓練が実施できるようになりました。  一方で、オンラインによる訓練を行うに当たっては、いわゆる座学に限られたことや、総訓練時間のうち、二〇%以上は施設内での訓練が必要となっていることから、本県におきましては、当面、訓練期間三か月で基礎的な知識、技能を学ぶ知識等習得コースにおいて実施することといたしました。  具体的には、今年度は通常実施している通所型の訓練とは別に、新たにオンラインによる訓練を行う事業者を公募し、一月からプログラミング、ウェブデザイン、パソコン事務のIT系の三コースを順次開講したところでございます。  現在、三コースの定員合計五十五名に対しまして三十三名が受講しているところでございます。  次に、オンラインによる訓練の今後の方向性についてであります。  来年度前期の訓練につきましては、既に事業者の公募を終えており、オンラインによる訓練を五月以降、順次六コース実施することとしております。  具体的には、プログラミングや情報マーケティングのIT系のコースを四コース、介護職員初任者研修の資格を取得する福祉系のコースを二コース開講いたします。  新型コロナウイルス感染症の影響や情報通信環境の進展を踏まえますと、離職者それぞれの置かれている状況に配慮してオンラインで訓練を受講できるコースを設定することは、就職するための学び直しの機会を増やし、多様な選択を可能とする意義のある取組と考えております。  こうしたことから、県といたしましては、受講生に対するアンケートや事業者の意向確認を行うなど、今年度及び来年度前期の実施状況を踏まえた上で、今後のオンラインによる訓練の実施内容及び規模等を検討してまいります。 45: ◯十六番(おおたけりえ君) 御答弁ありがとうございました。  それでは、要望させていただきます。  昨年のコロナ禍により、思うように職業訓練ができなくなった後、本県では東京都に次いで全国でもいち早くオンライン公共職業訓練に取り組んでくださいましたことは、本当にありがたいことだと思っております。  対面割合を一定程度確保しなければならないという国の基準を満たす必要があるなど、制約も大変多い中であったと思いますが、何とか少しずつ講座を増やしてくださってきているということです。  ただ、先行的な取組であるため、まだまだ講座数、内容ともに十分なものには至っていないという課題もあります。今、アンケートを取るということをおっしゃっていただきました。オンラインによる訓練の改善点をそういったアンケート等を生かしてPDCAをしっかり回していただき、また、国に対しても必要に応じて要件緩和を求めるなど改善を促して、よりよいものにしていただきたいと要望して終わります。 46: ◯議長(神戸洋美君) 進行いたします。  日高章議員。 47: ◯七番(日高章君) 私からは、歳出第六款農林水産費第一項農業総務費のうち、地産地消流通網構築事業費について伺います。  近年、消費者の農産物に対する安全・安心志向の高まりや生産者の産地ブランド生産などの取組が進む中で、消費者と生産者を結びつける地産地消という考え方が農業政策における大きな柱の一つとして言い続けられてきました。  そして、目下のコロナ禍を経て、ライフスタイルや価値観の変化が生まれる中で、地元農産物の応援消費などもあって、新鮮な農産物を地域内で消費するという考え方がより一層尊重されるようになっています。  ここで少し言葉の定義を整理しておきますと、地産地消とは、地域で生産された農林水産物を地域で消費しようとする取組でありまして、生産者と利用者の結びつきが強くなり、顔が見える関係で取引ができることや、関係者が連携して地元の農林水産物の消費拡大に取り組むことで、地域の活性化といった効果が期待されるものであります。  また、飲食店などの事業者が地元産の食材を利用してフードマイレージ、つまり、食品の輸送距離を短くすることでCO2の排出量が削減されるとともに、生産者の所得向上にもつながると考えられます。  そのような観点では、愛知県は、人口七百五十万人を有する大消費地であると同時に全国有数の農業県でもありますので、身近なところで様々な農産物が生産されており、今以上に地元で利用される機会が増えるポテンシャルを大きく有していると言えます。  具体的な事例としましては、例えば、私の地元には地元農家の自慢の農産物が並ぶファーマーズマーケット、JAあぐりタウンげんきの郷があり、連日多くの人でにぎわっています。また、その近隣には、一昨年、自然と食を愛するカフェ、はたけぞくというこだわりのレストランがオープンし、地元の新鮮な農産物を使った料理を提供していて、大変好評を得ています。  このようなレストランなどの飲食店は、新型コロナウイルス対策の時短要請などにより厳しい状況に置かれていますが、今回のコロナ禍を機に、食の大切さを人々が痛感し、安全・安心な食事をしたいという気持ちの高まりが見られることから、アフターコロナにおいては、地元の安全・安心な農産物を使って差別化を図るなどの取組が有効ではないかと考えます。  また、本県では、一九九八年度から愛知県版の地産地消の取組であるいいともあいち運動を推進しています。生産者、流通関係者、消費者などからなるネットワークの形成や、県産農林水産物を使った商品へのシンボルマークの表示などを推進しており、食に関連する事業者の間でかなり浸透してきたように思います。  しかしながら、いいともあいち運動のウェブページを見ると、県産農林水産物を積極的に扱ういいともあいち推進店として登録された県内の飲食店の三百八店舗のうち、大消費地である名古屋市内の飲食店は僅かに三十八店に過ぎないというのが実情でございます。  従来、農林水産物の流通経路は、大量に生産して大都市圏に大量に運び、売るという広域流通体系が基本であったことから、地元のものを地元に届ける、地元で食べるという簡単なことが実現しにくい仕組みになっているのだと思います。  一方で、新型コロナウイルス感染拡大を契機として、社会のデジタル化や東京一極集中など、これまで十分に対策が進んでいなかった課題において、様々な取組が急速に進展し始めているようです。そのような事象の一つでありましょうか、これまで宅配に向かないと思われていた農林水産物でも、農林水産省が生産者支援対策としてネット通販の送料を補助したこともあり、直接取引が急増しました。  本県においても、六月補正及び九月補正予算において、通販サイトを活用し、外食需要等の縮小により影響を受けている県産の農林水産物やその加工品の販売促進に取り組んでいるところでございます。  この事業において、初めて通販に取り組む生産者も多数あったと聞いておりますが、出展希望者に対して様々なサポートを行ったことで、新たな販路として通販サイトを活用することのハードルが下がったものと承知をしております。  デジタルツールを利用した電子商取引では、飲食店などの事業者と地元の食材の生産者を直接結びつけることも容易になるとも思われます。ゆえに、今後の地産地消の仕組みを考えるきっかけとすべきであると思うわけであります。  本県は、昨年十二月に策定した食と緑の基本計画二〇二五において、農産物の地域内流通網構築の促進に取り組むとしています。地産地消流通網構築事業は、地域内の生産者と事業者を直接結ぶ流通網を構築するとされているので、地産地消の推進につながる取組だと考えるところであります。  そこでお尋ねします。  本事業で実施を目指す地産地消流通とはどのようなものかについて、まずは伺います。  また、地産地消流通網構築事業の具体的な内容についてもお聞かせください。 48: ◯農業水産局長(中根俊樹君) 地産地消流通網構築事業費に関するお尋ねのうち、初めに、本事業で実施を目指す地産地消流通についてお答えいたします。  本事業では、地元の飲食店や小売店などの事業者がスマートフォンなどを利用して県内の生産者から新鮮な農産物を購入し、直接届けてもらえるような地域内流通網の構築を目指してまいります。  具体的には、生産者がウェブ上に販売可能な農産物を出品し、購入者がその情報を見て注文するといったもので、代金決済もウェブ上で行うこととしております。  農産物の受渡しについては、地域内の産地の直売所や農協の支店など、幾つかの施設に集配所になっていただき、共同配送車が各集配所を循環する中で、生産者は指定の時間に最寄りの集配所に出荷し、購入者は最寄りの集配所で受け取るという仕組みをイメージしております。  新しい生活様式では、生産者がインターネットを利用して農産物を販売することが当たり前になりつつあります。生産者と購入者がダイレクトに情報のやり取りをすることで、購入者は安全・安心で新鮮な農産物を直接購入できる上に、生産者のこだわり等も聞くことができますし、生産者は購入者側のニーズを取り込み、例えばイタリア野菜など、小ロットで市場流通に乗せにくい農産物の新たな販路を開拓することもできます。  また、一対一の流通では送料の負担が重くなってしまうため、固定したルートで共同配送車を走らせることや、参加者を増やすことにより物流コストを抑えることができます。  地産地消の推進は、持続可能な社会の実現というSDGsの理念にかなうとともに、新しい生活様式の基での新規事業の開拓にもつながる取組でございますので、県としてこうした新たな流通の仕組みの導入を促してまいりたいと考えております。  次に、地産地消流通網構築事業の内容についてでございます。  新たな地域内流通の仕組みを実際に民間企業等に運用していただくためには、ビジネスとして成り立つことが重要でございます。  このため、この事業では、県が生産者と飲食店や小売店などの購入者側の双方に対して地域内流通のニーズを調査し、そのニーズを基に採算性のある配送ルートや集配場の位置を設計して、多様な事業者間の連携調整等を図りつつ、モデル的に運用いたします。その中で、生産者側と事業者側のマッチングや配送ルート、集配時間など、細部について改善を進め、民間企業等による事業の実現を目指してまいります。  このうち、来年度の取組内容としましては、県内の飲食店や小売店等の事業者と生産者を対象に地元産農産物への関心事項や参加希望の有無、参加希望者の所在地域、希望品目などに関する調査を行い、調査結果を基に効率的な流通網のルート設計までを行います。  この事業を通じて、多くの県民の皆様が地元の農産物を手に取り、味わう機会が増え、地産地消が進むよう、しっかり取り組んでまいります。 49: ◯七番(日高章君) ありがとうございます。  それでは、要望します。  私からというよりも、生産者と地元食材を積極的に取り扱う飲食店オーナーの声を伝えておきたいと思います。  私の地元で聞き取りをしてきましたところ、本案件につきましては、生産者も利用者も大変興味を持って期待の言葉を寄せていただけました。その中で、せっかくなのでぜひとの要望でございます。  一つは生産者からですが、売り物にならないような規格外品についても流通網に乗せていただきたいというものでございます。市場では形が曲がっている、傷があるなどの規格外品は、味や栄養価、安全性については全く遜色がないにもかかわらず、見た目だけで排除されてしまうため、廃棄するしかないものが少なくない量で発生するそうでございます。これらは、利用者が飲食店であれば問題なく使っていただけるのではないかとのことでありました。  この点について、飲食店のオーナーに尋ねてみたところ、ぜひ使ってみたい、その分お値打ちにしていただけるなら大歓迎ということでございました。  また、そのような飲食店からは、地元食材にこだわって料理を提供していても、食材によっては生産者が見つからず、遠方の食材を使用せざるを得ないこともある。食材ニーズを反映して流通網に乗せてほしい。できればニーズに応じて作付するようにしてほしいとの声も寄せられました。  先ほど、御答弁ではニーズについて調査をするというような御回答もありましたが、そういったことをしっかり反映していただいて、この声にあるように作付にまで反映していただけるようなシステムを構築するなど、これらの点に御留意していただきまして、本事業の取組を進める中で軌道に乗って運営ができるようになれば、しっかりと反映していっていただきたいと要望しまして、私の質問を終ります。 50: ◯議長(神戸洋美君) 進行いたします。  杉江繁樹議員。 51: ◯九番(杉江繁樹君) 私からは、歳出第七款建設費第二項道路橋梁費のうち、道路整備交付金事業、西知多道路早期整備についてお伺いいたします。  西知多道路は、中部国際空港へのアクセス性の向上を図る上で大変重要な道路であります。  中部国際空港は二〇〇五年に開港して以来、中部圏の多くの方に御利用いただくとともに、産業の活性化を促し、当地域の成長を支えてきました。  二〇一九年八月に愛知県国際展示場、アイチ・スカイ・エキスポが開業し、九月にはLCC向け第二ターミナルが供用されるなど、にぎわいのある空港として発展し、二〇一九年度には旅客数が過去最高の年間千二百六十万人を記録しました。  今年度は、新型コロナウイルス感染症拡大により、国内線、国際線ともに運航便数が大幅に減少するなど、非常に厳しい状況にあるものの、徐々に国際線の運航が再開し始めています。  また、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が始まったことを受け、一日も早い終息を期待しているところであります。  終息後の航空需要の早期回復と当地域のさらなる飛躍に向けた取組を推進していく必要があると思います。その中でも、中部国際空港への定時性の確保や利便性の向上に資する西知多道路の早期整備は大変重要と考えています。  また、常滑市では、西知多道路の常滑ジャンクション付近のニュータウン、飛香台地区に二〇二二年一月を目標に市役所の新庁舎の建設を進めており、安全、安心、成長の三つの柱で全ての市民の皆さんにずっと常滑と思ってもらえるまちづくりを目指しています。  この市役所新庁舎は、市民に親しまれ、世代間交流と触れ合いが育まれる市民交流拠点となることを期待しています。  当該地区には消防本部と市民病院が既にあり、大規模自然災害時の復興拠点となります。西知多道路には災害時の救助、援助の輸送路としての役割も期待されています。  そうした中、西知多道路の常滑市内の区間については、二〇一九年十二月に仮称青海インターチェンジの建設予定地で起工式が開催され、工事が開始されました。  現在、工事現場では盛土工事が進み、将来の道路が想像できるようになり、その進捗を肌で感じているところであります。  今後、事業中区間の整備を加速させるためには、事業費の確保が一番の課題と考えます。  昨年五月と六月に西知多道路の早期整備に向けた取組として、有料道路事業の活用について、住民アンケートと地元説明会が開催されるなど、知多市から常滑市区間への有料道路事業導入に向けた取組が現在進められています。ですが、地元には有料道路に対して様々な意見があることは事実であります。  しかし、西知多道路の早期整備が知多地域のみならず本県のさらなる発展を促す上で大変重要と考えており、無料検討区間が設けられていることを考慮すると、私自身、事業費の一部を賄う有料道路事業の活用は効果的な方策であり、事業促進の立場から賛成せざるを得ません。  さらに、残る未事業化区間の約八・五キロの国による早期事業化が必要であると考えます。  この区間のうち、ミッシングリンクとなる長浦インターチェンジから仮称日長インターチェンジ間約一・六キロについては、先月公表された国の調査結果を見ると、国による事業化に向けた整備の方向性が浮かび上がってきたものと理解しており、大変喜ばしく思っております。  未事業化区間である北部区間の沿線には日本経済を支える産業が集積しており、これら産業が今後も国際競争力を高め、日本経済を牽引していくためには、西知多道路の早期全線事業化が必要であります。  そこでお尋ねいたします。  西知多道路の事業中区間の進捗状況と今後の取組についてお伺いいたします。 52: ◯建設局長(鎌田裕司君) 西知多道路は、国際拠点空港の中部国際空港と伊勢湾岸自動車道とを結び、知多半島道路とダブルネットワークを形成し、国土強靱化に資する大変重要な道路であります。  東海市の東海ジャンクションから常滑市の仮称常滑ジャンクションに至る約十八・五キロのうち、二〇一六年度に東海ジャンクション区間約二キロが国の権限代行で事業化され、現在、橋梁や現道部の拡幅工事が進められております。  また、同年度に常滑市内の仮称青海インターチェンジから常滑ジャンクション区間約四キロを県が国庫補助事業により事業化し、現在、用地買収が約六割まで進み、道路築造工事にも取りかかっております。  二〇一九年度には、知多市内の仮称日長インターチェンジから青海インターチェンジ区間約四キロも同様に県にて事業化し、現在、用地買収に向け、用地測量を鋭意進めているところであります。  さらに、西知多道路の整備を加速するため、知多市から常滑市をつなぐバイパス区間につきましては、有料道路事業導入に向けて、今議会に有料道路事業者となる愛知県道路公社の基本計画の変更案を提案しております。  未事業化区間約八・五キロについては、先月二十六日に直轄による権限代行実施の検討を行うための調査結果の公表があり、知多市内の長浦インターチェンジから日長インターチェンジ間約一・六キロが高度な技術力を活用することにより事業実施が可能と示されました。これを受け、直ちに本県から国へ直轄事業による整備について要請を行っております。  西知多道路沿線の名古屋港臨海部は、本県のモノづくり産業の基盤として重要な役割を担っており、経済活動のV字回復の先導を果たすためにも、西知多道路の早期整備が必要であります。
     引き続き沿線市と連携し、全線事業化を国に働きかけるとともに、事業中区間の整備推進にしっかりと取り組んでまいります。 53: ◯議長(神戸洋美君) 進行いたします。  嶋口忠弘議員。 54: ◯二十一番(嶋口忠弘君) 私からは、歳出第七款建設費第九項住宅費第一目住宅総務費、住宅対策事業費のうち、高齢者等居住安定推進事業費について伺います。  全国の総人口は二〇〇八年をピークに既に減少してきており、国の推計によると、本県ではピークが遅く、二〇二〇年を境に減少傾向に入っています。  一方で、本県の総人口に対する六十五歳以上の人口に占める高齢化率では、二〇一二年に高齢化率が二一%を超え、WHO(世界保健機構)や国連の定義による超高齢社会に入っており、二〇一五年の国勢調査では約二三・八%と増加してきております。  さらに、将来推計による高齢化率では、二〇三〇年で二七・三%と、人口の約四分の一を上回り、二〇四五年では三三・一%となり、人口の約三分の一を六十五歳以上の高齢者が占めることが見込まれています。  こうした高齢者の大幅な増加に対応するため、本県では二〇〇九年に高齢者の居住の安定確保に関する法律、いわゆる高齢者住まい法において、高齢者に対する賃貸住宅及び老人ホーム等の供給の目標等を定める制度が創設されたことに伴い、二〇一二年に計画期間を二〇一二年度から二〇二〇年度とする愛知県高齢者居住安定確保計画が策定されました。  国においては、二〇一一年にサービスつき高齢者向け住宅の登録制度、また、二〇一七年に住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅、いわゆるセーフティネット住宅の登録及び住宅確保要配慮居住支援法人の指定制度が創設され、こうした登録等も含め、福祉部局における愛知県高齢者健康福祉計画と連携をしながら、これまで高齢者の居住の安定確保を図る取組が実施されてきておりましたが、今年度、愛知県高齢者居住安定確保計画の計画期間の終了を迎え、引き続き高齢者の居住の安定確保を図るため、愛知県高齢者居住安定確保計画二〇三〇の策定が現在進められています。  本県の高齢者の住まいを取り巻く状況は、人口は二〇二〇年をピークに減少、生産年齢人口についても一九九五年をピークに減少、世帯数については、二〇三〇年まで増加をし、その後、緩やかに減少していくものと推計されています。  高齢者数は二〇一五年の時点で約百七十八万人で、十五年後の二〇三〇年には約二百万人になると推計されており、高齢化率も同様に増加することが見込まれます。  その中でも、高齢者の単身世帯数は年々増加しており、二〇三〇年には約四十万世帯、二〇四〇年には約四十八万世帯になると推計されています。  また、要介護・要支援認定を受けた高齢者の数は、二〇一八年度末現在で約三十万人です。七十五歳以上の後期高齢者の要介護・要支援認定率は二八・九%で、前期高齢者の四・〇%に比べ、約七・二倍となっています。  なお、団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年には約三十七万人と大幅な増加が見込まれています。  このように、高齢者が増加をし、高齢の単身世帯も年々増加、さらには、要介護・要支援認定も増加することが見込まれている中、現在策定中の愛知県高齢者居住安定確保計画二〇三〇においては、基本方針として、一、既存住宅のバリアフリー化等、バリアフリー化等対応住宅の新規供給、二、生活支援サービスつき高齢者向け賃貸住宅の供給促進と適正な管理、三、安心できる入居、居住に対する支援、四、公的賃貸住宅における高齢者対応、五、地域の生活支援との連携やIoT等を活用した見守り、六、人に優しいまちづくりの推進、以上の六つの基本方針を掲げて取り組まれていくとのことでありますが、その中で、とりわけこの計画の中核的な役割を担うサービスつき高齢者向け住宅について、その供給促進と適正な管理に向けた具体的な取組についてお聞かせください。 55: ◯建築局長(砂原和幸君) 初めに、サービスつき高齢者向け住宅の供給促進の取組についてであります。  県としましては、住宅事業者に対し、整備に関する国庫補助や税制優遇などの情報提供を積極的に行うとともに、既存建物の空き室を利用して整備コストを低く抑えた事例等を紹介することにより、供給の促進に努めてまいります。  次に、適正な管理に向けた取組についてであります。  県では、事業者に対し、毎年度、建物の構造、設備の管理状況や生活支援サービスの提供状況などが県への登録内容どおりであるか報告を求めるとともに、順次立入検査を実施し、必要に応じ、指導を行っております。  さらに、県と同様にサービスつき高齢者向け住宅制度を所管する政令市、中核市と情報共有に努め、これら政令市等と連携して住宅が適正に管理されるよう、しっかりと取り組んでまいります。 56: ◯議長(神戸洋美君) 進行いたします。  神谷和利議員。 57: ◯十一番(神谷和利君) 私からは、歳出第五款経済労働費第二項商工業費のうち、第二目中小企業金融対策費について質問させていただきます。  新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、多くの中小・小規模事業者が事業継続のための資金繰りに困窮し、存続の危機に見舞われました。  そうした状況の中、本県においては、昨年二月から愛知県経済環境対応資金のメニューの一つでありますサポート資金の経営あんしんについて、融資対象者の条件緩和を皮切りに、五月に、実質、無利子、無担保、保証料ゼロの新型コロナウイルス感染症対応資金や緊急小口つなぎ資金を実施するまで、事業者の状況や資金ニーズに応じ、融資制度による様々な金融支援を行ってまいりました。  その結果として、コロナ対策の融資制度の実績は過去最大規模となり、中でも感染症対応資金は約一兆千六百五十九億円と、全体の八割程度を占める利用があったと伺っております。  また、民間の信用調査会社の分析、評価によれば、融資制度をはじめとする国や地方自治体の金融支援策が中小・小規模事業者が必要とする当面の資金の調達を可能としたことで、コロナ関連の企業倒産の歯止めに少なからず寄与したとしています。  しかしながら、コロナが終息する時期は依然として不透明であり、中小・小規模事業者を取り巻く環境は厳しい状況が続くとともに、仮にコロナが終息する見通しが立ったとしても、コロナ前の事業環境に戻るとは考えづらく、コロナに起因する新しい生活様式、リモートやオンラインという言葉に代表されるデジタル化などへの対応が不可避であります。  そこでお伺いします。  一点目、中小・小規模事業者の資金繰りを支援する中小企業金融対策貸付金について、どのような観点から実施していく考えか。  二点目、そのための具体的な方策として、どのような見直しを行ったのか。  以上、お伺いをいたします。 58: ◯経済産業局長(伊藤浩行君) 昨年二月以降、実質無利子、保証料ゼロの新型コロナウイルス感染症対応資金など、コロナ対策として実施してきた融資制度の実績は、三月三日時点で一兆四千八百十七億円に上り、倒産の回避や手元資金の確保に一定の成果があったものと認識しております。  一方、飲食業や観光業などにおいては、依然として厳しい経営環境が続いており、今後、多くの企業で借入金の返済開始の時期が到来することから、借入れ過多となっている企業の経営改善や事業再生に向けた取組を支援する融資制度が必要であると考えております。  そこで、その具体的な方策としては、コロナ禍の影響で経営が悪化し、経営資源の効率的な活用など、直近の経営課題を克服するため、中長期的なアクションプランの策定に取り組む中小・小規模事業者を融資対象とした経営改善等支援資金を創設いたします。  この制度では、金融機関が四半期ごとに行うきめ細かなモニタリングや経営課題に対応した専門家の派遣など、継続的な伴走支援を制度融資に取り組むことで、早期に経営改善を図る事業者を金融面と経営面から総合的にサポートいたします。  併せて、優遇措置として、通常より割安な保証料率を適用することで利用促進を図ってまいります。  さらに、地域において有用な経営資源を持ちながら経営の危機に瀕している企業の経営破綻を回避するため、再生・事業承継支援資金の融資限度額の引上げや金利の引下げ等の拡充を行うことで、事業再生に必要な資金の調達コストを軽減し、早期の事業再生に向けた取組を促進してまいります。  こうした見直しにより、資金繰り支援に加えて経営支援を必要とする中小・小規模事業者の資金ニーズに的確に対応してまいります。 59: ◯十一番(神谷和利君) それでは、要望させていただきます。  様々な金融支援策によって事業者が必要とする当面の資金調達を可能としたことで、企業倒産の歯止めに寄与したというふうに申し上げましたが、昨年五月の時点で事業者の皆さんが想定した当面というのはどれくらいの期間であったかであります。半年、あるいは一年であったんじゃないかな、そんなふうに推察するところでございます。想定以上に長引く、終息が見えない状況において、資金繰りの状況が厳しくなった現状から、多くの事業者は追加融資の申請をせざるを得ない状況に追い込まれているのが明らかであります。  そこで懸念されるのが金融機関の貸し渋りでございまして、コロナ禍の厳しい状況を耐え抜いてきた中小・小規模事業者の息の根を止めるようなことがあってはならないわけであります。  そうならないために、県の信用保証協会の役割というのが大変重大になってまいります。追加融資に関しましても、事業者に寄り添った審査、保証をしていただくよう、当局から強く御指導いただくことを要望させていただきます。 60: ◯議長(神戸洋美君) 進行いたします。  鈴木雅博議員。 61: ◯二十五番(鈴木雅博君) 私からは、歳出第六款農林水産費第四項土地改良費第三目農地防災事業費のうち、震災対策農業水利施設整備事業費についてお伺いいたします。  私の地元、豊田市には百三十年もの歴史を有し、延長約七十キロにも及ぶ長大な農業用水路である枝下用水があり、約千六百ヘクタールの農地に水を送っています。  そして、この枝下用水は、二〇〇六年に農業や地域の振興をはじめ、自然、景観、文化など、国土・農村環境の保全に貢献する優れた用水として、農林水産大臣から疎水百選の認定を受けました。  現在の枝下用水幹線水路は、県営事業として一九六四年から一九八五年まで、二十一年の歳月をかけた昭和の大改修によりコンクリート水路として整備されたものですが、この県営事業実施中の一九七二年四月に豊田市一帯は一日当たり三百九ミリという、当時としては記録的な集中豪雨、いわゆる昭和四十七年七月豪雨災害に見舞われました。このため、枝下用水は矢作川からの取水門を閉じ、水路の途中に四か所あった放水門を全開にして周辺河川へ緊急放流するなど、できる限りの警戒態勢に努めていましたが、市街化した台地の上部から流入した雨水や土砂により、幹線水路の十八か所が決壊したため、低平部の市街地に大量の水が流れ出し、大惨事となってしまいました。  この災害を受け、流入してくる雨水を矢作川や籠川など周辺の河川へ排出する放水路を四か所から十一か所に増設する工事を行った結果、枝下用水は豪雨に強い構造となり、高台に降った雨は低平部の市街地には流れ込まず、幹線水路が受け止め、安全に河川へ流せることとなりました。  現在では枝下用水沿いに緑道が整備され、三月末から四月初めにかけて真っ白な花が満開となる四千本のユキヤナギが二キロにわたり植えられた場所があるなど、ウオーキングやジョギングをしながら季節ごとに移り変わる木々や花々を楽しむ市民も多く、憩いの場としても広く親しまれています。  また、毘森公園などの公園や美術館、神社や仏閣と緑道を組み合わせたウオーキングコースも数多く設定され、歴史や文化などを楽しむ場にもなっています。  このように先人の御苦労により造成、改築された地域の発展や憩いの場としても欠かせない枝下用水ですが、最大毎秒八・七立方メートルもの水が市街地の高台をこれからも流れ続けていくことになりますので、万が一、大規模な地震により水路が損壊し大量の水が流れ出してしまった場合に甚大な被害をもたらすことは、一九七二年七月の豪雨災害からも明らかであります。  豊田市は、二〇〇二年度に東海地震防災対策強化地域の拡大に伴い、新たに強化区域に、また、翌年度には東南海・南海地震の地震防災対策推進地域に指定されており、さらに二〇一四年三月には南海トラフ地震防災対策推進地域にも指定されました。  愛知県が実施した被害予測調査によりますと、南海トラフを震源とする大規模地震が発生した場合には震度六弱の揺れが想定されるとのことで、この報告の中にも枝下用水のような地域の重要施設に対する地震防災対策が求められています。  また、第三次あいち地震対策アクションプランでは、基幹的農業水利施設の耐震化などの推進も位置づけられており、そうした面でも枝下用水の耐震化は重要な課題と言えます。  このため、枝下用水を管理する豊田土地改良区と豊田市が一丸となって枝下用水幹線水路の耐震工事を要望した結果、二〇一八年度に市街地中心部で特に被害が大きいと想定される約三キロについて、総事業費五十九億二百万円で枝下用水地区が、二〇二〇年度には残りの約九キロについて、総事業費百六十七億三千六百万円で枝下用水二期地区が県営震災対策農業水利施設整備事業として採択されました。  これによって、枝下用水幹線水路全線約十二キロにわたって県による耐震工事が実施されることになり、地元の皆さんも非常に感謝しており、私からも改めて御礼申し上げます。  昨年の七月二十二日に、地元の皆さんと一緒に、毘森公園の近くで始まった枝下用水幹線水路の耐震工事現場を見学させていただきました。  この工事現場は住宅が立ち並ぶ場所で行うことから、十分な作業スペースが確保できない上に、振動や騒音に対する配慮も必要とのことで、さらに、夏場の工事は水田に必要な水がなみなみと水路を流れている上に、放水時には雨水が流れ込むため、仮廻しの水路を設置することは困難で、水路本体については冬場にしか工事ができないとのことでした。そして、冬場においても下流の農地でキュウリやトマトを栽培していることから、量は少ないながらも仮廻しの水路が必要であるとの説明を受け、大変な難工事だと実感いたしました。  また、枝下用水幹線水路は長大であるため、道路などとも多く交差していますが、特に幹線市道は、乗用車だけでなく工場へ向かう大きなトラックの通行もあり、非常に交通量が多い上に歩行者も多いことから、一斉に通行止めをしてしまっては地域の産業や住民の生活への影響が大きくなってしまいます。  特に枝下用水の周辺では、現在、国道百五十三号豊田北バイパスや四郷駅周辺区画整理事業に合わせて拡幅が計画されている国道四百十九号、豊田市文化会館周辺の文化ゾーンの整備など、事業が進行中の計画もあることから、社会経済活動への影響を最小限に抑えるためには、関係機関と調整しつつ、これらの工事進捗に合わせ、適切な時期に耐震工事を進めることが不可欠であると考えます。  また、先ほども述べましたように、枝下用水の管理用道路は多くが緑地指定され、枝下緑道として梅坪地域から小坂地域までの地域を中心として、歩行者、自転車道としての利用や地域の憩いの場として活用されていますが、現在、管理用道路がなく、また、枝下用水と住宅地などが隣接し、工事用の仮設道路の確保すら困難な市街地の一部や毘森公園周辺では、今回の耐震工事で計画されている片側暗渠水路部の上部を管理用道路として活用し、新しくできた管理用道路を緑道として、より安全で利用しやすく、かつ、連続性の高いものにしていくことも沿線住民から強く望まれています。  そのため、豊田市は枝下用水の耐震工事に合わせ、管理用道路の利活用について、県をはじめとする関係各機関と密接に調整していくことと聞いております。  先月の二月十三日には東日本大震災の余震と思われる震度六強の地震も起き、この地域もいつ地震が発生するか分かりません。  このため、耐震工事は受益者のみならず、緑道を憩いの場としている地域住民からも強く望まれ、この総額二百三十億円に上る一大耐震対策事業が円滑に進み、早期に事業完了されることが期待されております。  そこでお尋ねいたします。  枝下用水の耐震工事について、今後どのように進めていくのかお伺いいたします。 62: ◯農林基盤局長(平田誠君) 枝下用水の耐震工事を今後どのように進めて行くのかについてお答えします。  枝下用水幹線水路は、全体の延長が約十二キロメートルと長く、施設断面も大きいため、まずは水路が損壊した場合に豊田市駅周辺の市街地に被害が及ぶ区間を優先して、二〇一九年度から耐震工事を順次進めております。  来年度は、今年度二月補正予算を含めた十五か月予算で六億六千九百万円を計上し、さらに事業進捗を図ることとしております。  工事に当たっては、議員お示しのとおり、水路本体の工事は仮廻ししながらの施工が可能な冬期に限られるとともに、住宅等と近接した区間では、建物に影響を与えないよう慎重な工事が求められます。  また、約五十か所にわたり道路や河川と交差していることに伴う協議や、豊田市が検討を進めている枝下緑道の整備構想等の調整など、関係者が多岐にわたることから、多大な時間と労力を要します。  こうした課題を踏まえ、冬に水路本体、夏には水路のり面の耐震工事を行うなどの施工上の工夫をしてまいります。  また、今後、工事の本格化に向けて、隣接する緑道を所管する豊田市都市整備部はもとより、市道や河川を所管する同市の建設部、枝下用水を管理する豊田都市改良区などの関係機関が一堂に会する場を設け、迅速に調整することにより、我が国の経済を支える豊田市の産業や住民の生活に支障とならない工事計画を速やかに策定してまいります。  枝下用水幹線水路は、豊田市の約千六百ヘクタールの農地をかんがいするとともに、市街地へ流入する雨水を安全に下流域へ流す排水路の役割も担っている重要な施設であります。国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の予算を活用して、地域の皆様の安全・安心をより早く確保できるよう、しっかりと取り組んでまいります。 63: ◯二十五番(鈴木雅博君) 要望させていただきます。  まずは、地域の関係機関と連携してしっかりと取り組んでいただく旨の答弁をいただき、ありがとうございます。  当地域にもいつ地震が発生するか分からない状況です。地域の皆さんは枝下用水幹線水路の耐震工事がしっかりと行われることにより枝下用水が守られ、ひいては地域の安全・安心が確保されると大きな期待を寄せています。  県におかれましては、こうした地域の皆さんの思いに応えるためにも、先ほど局長が言われましたとおり、関係機関との調整や着実な予算確保により、一層の御尽力をいただくよう要望いたしまして、私の質問を終ります。 64: ◯議長(神戸洋美君) 進行いたします。  河合洋介議員。 65: ◯三十三番(河合洋介君) 私からは、歳出第五款経済労働費第三項労政費、そして、同じく経済労働費第四項職業能力開発費のうちの就職氷河期世代就職支援事業費及び就職氷河期世代デジタル人材育成事業費について、まずは伺ってまいりたいと思います。  就職氷河期世代というキーワードに係る事業について質問をするわけでございます。そもそもこの就職氷河期とは一体何なのか。私も就職氷河期世代なんですけれども、呼ばれているほうはあまり気持ちのいいものじゃありません。言葉の定義的なもので言えば、バブル崩壊を発端にし、一九九三年から二〇〇四年、二〇〇五年頃までに起こった超就職難のことであると定義をしてあるものが多いです。  バブル崩壊後、景気が極度に落ち込んで、企業は人件費の削減のため採用を絞り、その結果、大卒の就職率が史上初めて五〇%台まで低下、大学を卒業しても正社員として就職できないという状況が多発しました。なくなく非正規雇用として働かざるを得なかったり、望んだ職種、業種に求人の募集がなく、マッチングがうまく行かなかったりして高い離職率となり、職を転々とするなど、そのままずるずるという状況もあります。中には、ひきこもりの状態やニートといった言葉が世の中で使われ出し、飛び交ってくるのもこれくらいの時期からであります。  それに加えて、二〇〇一年にはITバブルが崩壊、二〇〇〇年代前半には労働者派遣法の改正などもあり、非正規雇用の数がぐぐぐっと増えることともなりました。基本的には、アルバイト、フリーターや非正規雇用者は正規雇用者と比べて賃金が安く、生活が不安定な傾向にあるのは言うまでもありません。  さらにさらに追い打ちをかけるかのように、二〇〇八年にはリーマンショック、そして、二〇一一年には東日本大震災があり、就職氷河期世代と呼ばれる、当時は若年者、もう若年者じゃないんですけどね、はっきり言って。雇用環境がなかなか上向かずに推移することとなっております。  こういった状況の下ですので、就職氷河期世代はなかなか非正規雇用から抜け出せずに今に至るといったものが多くあります。また、ニートと呼ばれていた人もそのまま歳を取って、危機感ばかりが募る状況にもなっております。  こうした人々は、二〇二一年現在、三十五歳から大体五十歳くらいまででしょうか。この世代は失われた世代、ロストジェネレーションとも呼ばれていて、私もど真ん中であります。  思い返してみますと、就職活動をしている時期は大手企業が採用を大幅に絞ったり、そもそも採用自体がなかったり、みんな苦労をしていた覚えがあります。公務員の採用枠も、教員なんかも含めて非常に少なかった覚えがあります。希望の業種や職種に正社員の募集枠がなく、ミスマッチの上での就職や完全歩合制度など、厳しい環境を余儀なくされた就職なんかも少なくなかったように感じます。  就職氷河期世代、当事者たちは、自分たちではどうしようもない社会情勢であったにもかかわらず、氷河期だの失われた世代だの言われておるように、何とも言えない闇を抱えております。  一九七〇年代前半生まれのいわゆる団塊ジュニアを含むため、広く定義をすると、総人口の約二割が就職氷河期世代とも言え、ここが元気がないと社会全体の活力が上がってきません。この平成不況のあおりを受け続けた就職氷河期世代の苦境は尋常じゃないものがあります。現在、ある意味、働き盛りの年齢であるにもかかわらず、望まない形での非正規雇用の割合は高く、給与額も前後の世代に比べて低い傾向にあります。家庭を持ち、本来であれば内需の中心的な役割を担う世代であるにもかかわらずそれができない。このまま歳を重ねると相当危険な状況になりかねないと、社会的にも大いに危機感を抱えております。  そんなこんなということで、就職氷河期世代を支援していかないといけないという雰囲気が危機感を持って出てきたのは比較的最近です。ちょこちょここの世代を何とかしないといけないとは言われていながらも、過度な自己責任論や働き方の多様化政策などによって、不安定なままずるずるここまで来てしまったといった感想を持ちます。  高齢者人口がピークを迎える二〇四〇年危機という言葉もありますが、これ、まさに就職氷河期世代が高齢者になる時期と重なります。就業を希望しているにもかかわらず無就業の人や、長期失業者が三十万人を超え、正規雇用を希望する非正規雇用の方が五十万人いるといったようなデータもありますし、経済的自立のできないまま両親が介護を必要となるケースも多々出始めています。  かつてニートだった人は、ひきこもりになった人なども合わせ、国はおよそ百万人程度に支援が必要であるという見方も持っております。  かなり遅きに失した感はありますけれども、国は二〇一九年の骨太の方針により、就職氷河期世代の正規雇用者を三年間で三十万人増やすという目標が掲げられ、同七月に政府内に就職氷河期世代支援推進室なるものも設置されました。  愛知県としても、愛知労働局と共同で設置をするあいち就職氷河期世代活躍支援プラットフォームをつくり、そこで策定をした計画に基づく取組によって、就職、正社員化、職場定着及び社会参加を支援するということで、本年度も様々な施策が行われております。  昨年の十一月には氷河期世代向けの合同企業説明会を開催し、そこでは二十五社が出展、二日間で百名以上の求職者が訪れたということも聞いております。  また、公務員も中途採用にこの就職氷河期世代向けに枠を用意するケースもお聞きします。  愛知県職員の採用に当たっては、二〇一六年度から、これ、当時は全国初だったそうでございますが、全国に先駆け、三十歳から四十四歳の就職氷河期世代の中途採用枠を約五名、別枠で設けております。それ以降、毎年続けられ、本年度はその枠を三十歳から五十歳へと広げ、人数も約十名へと拡大をするなど、積極的に応援をされております。ちなみに倍率は、本年六三・一倍、年によっては倍率一〇〇倍を超える応募があるようであります。
     新年度予算の中でも産業労働費の中に就職氷河期世代への取組として様々な事業が予定をされております。就職氷河期世代就職支援事業費に七千八百万円余、就職氷河期世代デジタル人材育成事業、こちらは新規事業でありますが、三千六百万円余りが計上されております。ぜひとも愛知県として就職氷河期世代への支援、積極的に行っていってほしいと思います。  そこで伺います。  愛知県として、就職氷河期世代の就職支援に取り組む意義について、改めてお伺いをします。また、新年度はどのようにこの就職氷河期世代を支援していかれるのか、お聞かせをいただきたいと思います。  もう一つ、建設費の質問に移らせていただきます。  歳出第七款建設費第三項河川海岸費のうち、緊急河川しゅんせつ推進事業費十二億円について質問をさせていただきます。  昨今、この数年を見ただけでも、昨年の令和二年七月豪雨、一昨年の令和元年東日本台風などなど、平成三十年、二十九年と遡っても、ゲリラ豪雨や台風などにより、毎年全国各地で水による災害が、特に河川氾濫による浸水被害が報告をされております。  これらの水災害を受け、国土交通省では平成三十年度からの防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策や令和元年度の安心と成長の未来を拓く総合経済対策などにより河川改修事業を、とりわけ河道掘削、樹木伐採など、河川氾濫を防ぐための対策を全国で進めてまいりました。  水害に対する不安の声は地元でも根強く、毎年、地元から県への要望活動の中でも河川改修を望む要望は継続して上がっております。  県として、もちろんそうした要望にも応えていただき、私の地元も含む阿久比川水系では、河川改修は引き続き行われておりますし、東浦町の豆搗川などでも河川のしゅんせつが実施をされており、こうした水害への不安を取り除く大きな効果を上げていると思っております。  しかし、気候の変動により、雨の降り方が過去のそれとは大きく変化をし、激甚化、また頻発化する傾向にあります。備えるべき時間当たり雨量の考え方も変化をするなど、河川氾濫を防ぐための整備計画もブラッシュアップが必要な場合も出てきております。  抜本的な河川改修を行っていくに当たっては、継続して計画を実施していってほしいとはもちろん思いますけれども、河川に堆積した土砂のしゅんせつに関しては、即効的な治水対策として大変効果的であり、早急に進めていく必要があると考えます。これまでもしゅんせつを実施していただいているところですが、まだまだ必要な箇所があると考えられます。  先日、東浦町の須賀川で近隣住民の皆さんと地元の区長さんや町会議員さん、あとは東浦町役場の職員さんたちと現地を歩いてまいりました。この川は東浦町南部を流れている川ですが、平成二十九年の台風二十一号で短時間で猛烈な雨が降り、大雨が深夜にまで及んで、水量が氾濫危険水位近くまで上昇、河川周辺の四百四十五世帯、千三百二十六人に避難勧告が出されるなど、水災害に関して不安を抱えている地区であります。  この須賀川は、護岸や築堤、橋の整備、落差工の改築を含めた河床掘削など、河川改修が現在も行われておりますが、当時歩いたときに流域全体で川底にひかれている護床ブロックや袋詰めの玉石工の上などに土砂が堆積をしていたり、川の中に結構大きな樹木が繁茂していて、そこにごみが引っかかっていたり土砂がたまっていたりするのを目撃しました。確認をさせていただきました。  抜本的な河川改修の必要性はもちろんでございますが、予算的にもまだ時間がかかることが想定をされる中、即効性の高いしゅんせつや樹木伐採などの必要性を改めて感じたところでもございます。  こうした状況の中、総務省では令和元年東日本台風で大規模な河川氾濫、浸水被害が発生したことや、近年の水災害の状況を鑑み、被災後に大きな費用をかけて復旧に取り組むよりも、事前に河川等の堆積土砂の撤去を行うしゅんせつ、河川内の樹木の伐採などの維持管理が豪雨時のリスクの低減に有効であると考えられ、地方公共団体が緊急かつ集中的に危険箇所のしゅんせつ事業に取り組めるよう、緊急しゅんせつ推進事業債という新たな起債制度を二〇二四年度までを事業期間とした特例措置として創設をされました。  この制度は、地方債充当率一〇〇%、元利償還金に対する七〇%の交付税措置がなされるものであり、しゅんせつ工事に合わせて実施をする樹木の伐採などに係る費用も対象となっており、大変有利な制度であると考えます。  総務省は、対象となる河川を選定する目安として、危険度をa区間、b区間、c区間と区別をしており、a区間が特に維持管理上重要な区間と位置づけられております。本県においても、県管理河川約千八百キロメートルの中、対象となる区間は多かろうと想像できます。  昨年の二月議会で大村知事は、この緊急しゅんせつ推進事業債を有効に活用し、一連区間の土砂掘削等を計画的に行い、河川の流下能力の維持、回復を図っていきたいと表明をされており、本県としても、本事業に大きな期待をしているところであります。  そこでお尋ねをいたします。  新年度、緊急河川しゅんせつ推進事業費による今後の河川しゅんせつについての取組方針をお聞かせください。  また、加えて、具体的な対象河川を今後どのように選定していくのか、併せてお伺いをしたいと思います。  以上、よろしくお願いします。 66: ◯労働局長(橋本礼子君) 就職氷河期世代の就職支援についてお答えいたします。  就職氷河期世代は、バブル経済崩壊後の景気後退期に、個人の希望や能力にかかわらず、正社員として就職できなかった方が多い世代でございます。こうした方々が不安定就労や無業の状態にあり続けることは、御本人やその家族だけの問題ではなく、社会全体として受け止めるべきものであり、我が国の将来に関わる重要な課題とされております。  県といたしましては、様々な問題を抱える就職氷河期世代の活躍支援に地域が一体となって取り組むため、全国に先駆け、国の機関をはじめ、経済団体、労働団体などが参画するあいち就職氷河期世代活躍支援プラットフォームを二〇一九年十月に設置し、二〇二〇年二月に二〇二〇年度からの三年間の事業実施計画を策定しております。  この事業実施計画に基づき、就職氷河期世代一人一人の状況に応じてきめ細かに支援することは、本人の社会的自立を促すだけでなく、正社員として働く場を得ることで、全ての人が輝く愛知の実現に寄与するものと考えております。  次に、来年度の取組についてお答えいたします。  来年度は、マッチングをより効果的に行う新たな取組として、議員からお示しのあった就職氷河期世代就職支援事業及び就職氷河期世代デジタル人材育成事業を実施することとしております。  一つ目の就職氷河期世代就職支援事業は、人材派遣会社が求職者に対して就職活動に向けたモチベーション等の向上を図るためのキャリアコンサルティングや短期間の研修を行います。その後、求職者を二か月間雇用し、紹介予定派遣制度を活用して職場実習を行うことにより、実習先への正社員就職につなげてまいります。  この紹介予定派遣制度は、通常の労働者派遣とは異なり、派遣前に求職者と受入れ企業が面接を行い、双方の合意の下で派遣労働を行うため、仕事内容や勤務条件などのミスマッチが事前に解消され、受入れ企業への就職率が高まることが見込まれているものでございます。  二つ目の就職氷河期世代デジタル人材育成事業は、一つ目の事業と同様、紹介予定派遣制度を活用して実施するものでございますが、就職氷河期世代のうち、既に基礎的なITスキルを有しながらも正社員になれなかった方を対象に、最新のITスキルを身につけるための職業訓練と職場実習を計四か月間行い、デジタル人材を必要としている企業への正社員就職を支援していくものでございます。  今後とも、プラットフォームに参画する関係機関と緊密に連携し、就職氷河期世代の就職支援にしっかりと取り組んでまいります。 67: ◯建設局長(鎌田裕司君) 緊急河川しゅんせつ推進事業費についてであります。  本県では、これまで建設事務所において、各河川、月に一回以上の頻度で行う日常的な河川パトロールや出水期前に職員が堤防を歩いて実施する目視点検により、河川内の土砂の堆積状況を把握し、河川局部改修事業を基本として、今年度までの国の三か年緊急対策も活用しながら、局所的に著しく土砂が堆積し、緊急的に対応が必要な箇所を優先して河川しゅんせつを実施してまいりました。  今後は、これまでの対応に加え、国の緊急しゅんせつ推進事業債を活用し、来年度予算に計上している緊急河川しゅんせつ推進事業費により、市街地を流れる河川のうち、河道の一連区間に連続して土砂が堆積し、洪水による著しい被害が生ずるおそれのある区間を対象に、樹木伐採も行いながら河川しゅんせつを実施し、早期に河川の現況流下能力の維持回復を図ってまいります。  本事業の対象河川につきましては、今年度、これまでの点検結果などを基に、県管理河川全てにおいて土砂堆積状況の精査を行いました。その上で、国の事業債の適用基準を踏まえ、土砂堆積が著しく、しゅんせつによる事業効果の大きい区間として、議員御指摘の洪水予報河川など、維持管理上特に重要なa区間、a区間以外で氾濫による人家への影響が生じるおそれのあるb区間を合わせて、現在のところ、三十二河川、三十五区間を選定し、合計で約三十万立方メートルのしゅんせつを今後四年間で計画的に実施してまいりたいと考えております。  来年度は、このうち、土砂堆積が特に著しい十二河川、十四区間を対象として、合計で約七万立方メートルのしゅんせつを進める予定であります。  緊急河川しゅんせつ推進事業費による河川しゅんせつを集中的かつ効果的に進め、県民の皆様の安心・安全の確保を図ってまいります。 68: ◯三十三番(河合洋介君) それぞれ御答弁ありがとうございました。  時間もないようですので、一点だけ、就職氷河期世代の就職支援について要望させてください。  私もその世代のど真ん中といって、世代代表というわけじゃないですが、やっぱり友人、知人、仲間を見渡してみても、頑張って一生懸命活躍している人間ももちろんいるんですが、本当にどうしようも、どうしようもないというのは、その人間がじゃないですよ。世の中がどうしようもなくて、本当にくすぶっているというか、くすぶっているまま歳を重ねてきてしまったという、そういう人間をたくさん知っています。何とかきっかけを与えて、何とか社会復帰とは言わないですけれども、きちんとした形で就職をして正社員として活躍してほしいと願う一員であります。  一つ、やっぱりコロナが関わってきてしまいましたので、せっかく就職氷河期世代を雇用しようという企業さんも、コロナ禍で既存の雇用の維持で必死なのに、あえてここで就職氷河期の人間を採用するかという、採用意欲は相当低下をしておるんじゃないかというふうに危惧していますし、氷河期世代の人間というのは、半分ちょっとあきらめかけてというか、うなずいていただいた先生もいますが、景気のいい時代を一度も知らないんですよ、正直。なので、ああまたかと。ちょっとコロナ前まで少しいい時代があったじゃないですか、売手市場の。だけどこれでコロナになってしまって、ああ、またかみたいな、これが繰り返されてきています。  ですので、就職氷河期世代って当時は若者でしたが、もう若くないです、はっきり言って。フットワークもにぶいですから、ぜひ、ありとあらゆる手を使って掘り起こしていただいて、引っ張り出していただいて、ぜひ愛知県としても積極的に優しい支援をまたお願いしたいというふうに思います。  以上で発言を閉じます。ありがとうございました。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 69: ◯四十番(田中泰彦君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 70: ◯議長(神戸洋美君) 田中泰彦議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 71: ◯議長(神戸洋美君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後二時四十三分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後三時三十分開議 72: ◯副議長(青山省三君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  石井拓議員。 73: ◯三十番(石井拓君) それでは、私からは、歳出第六款農林水産費第三項水産業費第二目水産業振興費のうち、漁業生産力強化総合対策事業費補助金、額にして五千万円と、水産業強化対策整備事業費、額にして七億八千七百六十一万四千円について伺います。  この二つの事業はともに漁業協同組合などが行う共同利用施設などの整備についての補助事業であると思います。  まず、予算額の高い水産業強化対策整備事業費は、漁業協同組合などが行う製氷、貯氷施設の整備について、国の浜の活力再生・成長促進交付金を活用して行われるものと聞いております。  この国の支援措置は、漁業協同組合などが構成して成る地域水産業再生委員会が国へ提出する浜の活力再生プランに基づき行われるものです。  浜の活力再生プランとは、燃油や資材の高騰、魚価の低迷、漁獲量の減少、漁業者の減少など、厳しい経営環境が続く水産業の持続的な成長を図るため、それぞれの地域が抱える課題を把握し、取組の方向性を明確にし、定める計画であります。  本県における提出地域、提出地区は、南知多地区、碧南地区、常滑地区、蒲郡地区、田原地区、西尾地区の六つの地区となっております。  私の住む碧南市には大濱漁業協同組合があり、当該組合は、碧南市などとともに、碧南地区地域水産業再生委員会を構成しています。この再生委員会から国へ提出された浜の活力再生プランには、老朽化している製氷棟の建て替えを行い、電気使用量の削減を図り、水揚げ後の鮮度維持をこれまで以上に行うことにより、よりよい状態で市場へ流通させるとし、製氷・貯氷施設の建て替えが計画されております。  本県の来年度予算に示すこの水産業強化対策整備事業費の規模ですが、今年度当初予算は八千九百六十一万八千円でしたが、七億八千七百六十一万四千円と随分拡充されております。  これは、県内各地が抱える課題に対して、その共同利用施設の充実の面において課題解決が進み、本県の漁業振興に大いに期待されるところであります。  次に、もう一つの事業、漁業生産力強化総合対策事業費補助金についても尋ねます。  これは、漁協などの施設について整備することにより、強い産地づくりを推進し、持続的な水産業の発展を図る事業として、今年度に引き続き予算措置されているものです。  今年度の名称は漁村活性化総合対策事業費となっており、名称も変わっております。  来年度の規模は、額にして五千万円と、今年度の三千五百万円に比べ拡充されております。これもまた本県の漁業振興に大いに期待されるところであります。  そこでお伺いします。  これら漁業協同組合などの施設整備に関する二つの事業について、これまでの実績はどうであったのか、また、今後どのように取り組んでいくかを教えてください。お願いいたします。 74: ◯農業水産局長(中根俊樹君) 漁業生産力強化総合対策事業費補助金及び水産業強化対策整備事業費に関するお尋ねのうち、初めに、漁業協同組合の施設整備に関する事業の実績についてお答えいたします。  漁業協同組合が所有する市場や製氷施設、給油所などは、組合員である漁業者が効率的に漁業を行えるよう、漁港に集約して設置し、共同利用する、なくてはならない重要な施設でございます。県では、本県水産業の競争力強化や漁業者の収入の向上を図るため、これらの施設整備に対して支援を行っているところであります。  このうち、国の交付金を活用する水産業強化対策整備事業費は、漁村地域が取りまとめた浜の活力再生プランに基づき実施する、地域の拠点となる施設の整備が対象となります。  本事業の実績としましては、二〇一八年度に南知多町の日間賀島漁業協同組合が整備したノリ養殖網や大量に捕獲されたタコを保管するための冷凍施設、二〇一九年度から二〇二〇年度にかけて、蒲郡市の蒲郡漁業協同組合が整備した製氷・貯氷施設などがございます。  また、漁村活性化事業総合対策事業費補助金は、議員お示しの漁業生産力強化総合対策事業費補助金の前身事業であり、国の補助対象とならない小規模な施設を整備するために、県が二〇〇八年度に創設した事業でございます。これまでに、給油施設や、漁船からの漁獲物を陸揚げするためのクレーンなど、百四十九件の共同利用施設の整備を支援してまいりました。  次に、今後の取組についてであります。  近年の水産資源の減少や漁業就業者の減少、コロナ禍における水産物の価格低迷など、水産業を取り巻く厳しい状況の中、将来にわたり持続的に発展できる水産業を実現するため、来年度から漁業協同組合が実施する施設整備への支援を一層充実させてまいります。  このうち、国の交付金を活用した水産業強化対策整備事業費につきましては、国の助成に加え、新たに県の補助として事業費の五分の一を上乗せし、来年度は、碧南市の大濱漁業協同組合、南知多の日間賀島及び篠島漁業協同組合が実施する製氷・貯氷施設の整備を支援してまいります。  また、県独自の支援策である漁業生産力強化総合対策事業費補助金については、来年度、事業費を五千万円に充実させ、漁業協同組合などからの様々な要望に応えてまいります。  今後も、漁業地域の発展のため、これら二つの事業により漁業協同組合が実施する共同利用施設整備の支援にしっかりと取り組んでまいります。 75: ◯副議長(青山省三君) 進行いたします。  成田修議員。 76: ◯四十三番(成田修君) 私からは、歳出第五款経済労働費第二項商工業費のうち、スタートアップ支援事業費についてお伺いいたします。  最先端技術を活用し、新たなビジネスモデルにより急成長を目指す、いわゆるスタートアップは、二〇一四年頃から日本でも盛り上がりを見せており、第四次ブームと呼ばれるようになっております。  大企業もオープンイノベーションの取組を検討し始め、スタートアップへの投資などを積極的に行う企業も少なくありません。こうした動きは、スタートアップが人材、技術、資金を呼び込み、さらに発展するというスタートアップ・エコシステムの形成につながるものと言えます。  また、近年、行政による地方発スタートアップへの支援が活発になりつつあります。首都圏に人、物、金が集約する一方で、地方だからこそ強みを生かし、地域の外からも人材、技術、資金を得て、世界中を股にかけ、事業展開を実施している地方発スタートアップが多数存在しております。  こうした中、本県でも二〇一八年十月にAichi─Startup戦略を策定して、スタートアップの創出、育成や、県外、海外からの誘引の取組を積極的に始めているところであります。  首都圏に、人、物、金が集約する中、地方のスタートアップを取り巻く課題は山積しております。  とりわけ人材不足や資金不足といった問題は、深刻な悩みであります。  人材不足については、地方にはロールモデルとなる先輩起業家が存在しなかったり、ベンチャーキャピタル等の投資機関が都市部に集中しているため、地方でビジネスモデルを具現化し、市場開拓で採算ベースに乗せ、急成長へと導く出口戦略を描くために必要なキーパーソンも不足しております。  スタートアップが一定の成長を遂げれば、販路を確保するための営業マン、研究開発のためのエンジニア、広報活動を務めるマーケッターなど、たくさんの人的リソースが必要でありますが、優秀な人材ほど首都圏へと流出しているのが現状であります。  ただし、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、リモートワークの普及が進んだ今、都市部に拠点を置く企業との立地による地域間格差は縮まってきております。投資家にプレゼンして売り込むピッチイベントや、投資家が最新技術をテーマとした交流会を目的とするミートアップなどがリモート開催されることが一般化したことで、地方のスタートアップでも様々なチャンスがこれまで以上に増えてきております。  Japan Startup Finance二〇二〇によれば、日本のスタートアップの資金調達額は、二〇一二年以降二〇一九年までに約六倍と順調に増えてきました。二〇二〇年においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で経済活動全体に影を落としたため、二〇一九年比で一〇%減となりましたが、それでも千五百三十七社が約四千六百十億円の資金調達を行っております。  一社当たりの平均調達額も同様に、二〇一二年以降増加傾向にあり、二〇二〇年には約三・三億円近くまで増えております。  このように、ベンチャーキャピタル投資額が二〇〇六年には約二千六百億円あったものが二〇〇九年には約六百億円に激減した、いわゆるリーマンショック以降低迷していたスタートアップの資金調達環境は、この十年で大きく改善し、金銭面での起業支援体制が整いつつあることが見て取れます。  近年では、投資する銀行、ベンチャーキャピタルなどが投資先の企業価値向上につながる様々な経営支援も行っておりますが、首都圏は民間が主導であり、地方では行政が関与しないと生まれにくいのが現状であります。  具体的には、シェアオフィスの設置、貸出しから、起業家と投資家やマスメディアなどのネットワーキングイベントの開催、顧客や事業提携先の紹介、人材採用の支援まで多岐にわたります。  主要な資金調達元の一つである都市銀行、地銀、信用金庫は、着実で安定的な成長を求める傾向がありますが、スタートアップにとっては、急激な成長を後押しする起爆剤であるリスクマネーが必要であります。  現状では、投資機関が首都圏に集中しており、ここでも地方発のスタートアップは不利な状況にあります。
     本県のスタートアップにおいて最も大きい課題の一つとして考えられるのは、ベンチャーキャピタルが首都圏に集中していることで、本県の有望なスタートアップや、スタートアップを生み出すシーズにまで目が届きにくい状況であることであります。  日本ベンチャーキャピタル協会に登録する独立系のベンチャーキャピタルは百社以上ありますが、本県に根差して活躍しているベンチャーキャピタルはほとんどおりません。ベンチャーキャピタルのような投資機関の不足が、本県におけるスタートアップの誕生、成長を阻害するような事態は絶対に避けなければならないと考えております。  私の地元、昭和区に整備予定でありますステーションAiは、二〇二四年十月にオープンを予定しております。このステーションAiが有望なスタートアップを誕生させ、成長させていく日本の一大拠点となるためには、今のうちにベンチャーキャピタルなどの投資機関を本県へ誘引するための手を早急に打たねばなりません。  そこでお伺いいたします。  二〇二四年十月に開設するステーションAiに優れたスタートアップを集約させるために、どのように県内スタートアップの流出を食い止め、地域外からのスタートアップを誘引するのか、また、スタートアップの成長を促すために不可欠のベンチャーキャピタルをどのように本県に呼び込んでいくのか、お伺いいたします。 77: ◯経済産業局長(伊藤浩行君) ステーションAiプロジェクト推進事業費のうち、まず、スタートアップの集積についてお答えいたします。  ステーションAiは、この地域の優秀なスタートアップを創出、育成するとともに、地域外の有力なスタートアップを呼び込むことで、新たな付加価値が次々と創出される拠点を目指しており、二〇二四年十月の開設に向け、既に様々なソフト事業を展開しております。  まず、この地域の優秀なスタートアップを創出、育成するための取組としては、県内での起業を後押しするビジネスプランコンテスト、スタートアップキャンプ、起業支援金などの取組を引き続き実施するとともに、新たに本年一月にJ─Startup CENTRALとして選定した、愛知・名古屋及び浜松地域を代表する二十のスタートアップの海外展開を集中的に支援してまいります。  次に、地域外から有力なスタートアップを呼び込む取組としては、首都圏等のスタートアップと県内企業の協業を創出するあいちマッチングや、アメリカ、シンガポール、中国、フランスのスタートアップ支援機関との連携事業を継続して実施するとともに、新たにこの二月に覚書を締結したフランスの政府系投資銀行Bpiフランスとの共同事業を実施してまいります。  また、WeWorkグローバルゲート名古屋内に設置したスタートアップ早期支援拠点について、四月からプレ・ステーションAiとして、起業を志す者、第二創業者、社内起業家など、多様なスタートアップの活動拠点として機能強化いたします。この拠点では、新たに、世界トップレベルのアクセラレーターによる県内、海外スタートアップ向けの事業加速化プログラムを展開し、本県を拠点としたビジネスの拡大と他地域からの誘引を図ってまいります。  二〇二四年十月にステーションAiがロケットスタートできるよう、県内外の多様なスタートアップの集積を図り、イノベーションの創出を拡大してまいります。  次に、ベンチャーキャピタルの本県への誘引についてお答えいたします。  スタートアップは、今までにない製品やサービスを生み出し、市場に投入し、成長を目指す中で、様々な経営課題に直面しますが、資金調達はその存亡に関わる大きな問題であります。  必ずしも事業の成功が約束されていないスタートアップの資金供給源として、中心的な役割を担うのが、外部から資金を集め、自らの目利きによりリスクを取って投資するベンチャーキャピタルであり、現在、首都圏に集中しているベンチャーキャピタルをいかに当地域に呼び込むかが、本県のスタートアップ・エコシステムの構築に向けた大きな課題の一つと認識しております。  そこで、来年度から新たに、本県のスタートアップへの投資に関心が高い首都圏等のベンチャーキャピタルを募り、あいちパートナーベンチャーキャピタルとして認定する制度を創設いたします。  具体的には、本県スタートアップと個別にマッチングする機会を定期的に提供するとともに、スタートアップ向けの資金調達勉強会やビジネスパートナーとなり得る既存企業とのつながりを創出する交流プログラムを実施し、スタートアップとベンチャーキャピタルのネットワークを構築してまいります。  また、四月から新たにWeWorkグローバルゲート名古屋で展開するプレ・ステーションAiの資金調達相談窓口の機能を強化し、常駐する統括マネジャーが、資金調達に関する相談や新規投資案件とするスタートアップの掘り起こしを行ってまいります。  こうした新たな取組を通じて、首都圏等のベンチャーキャピタルの本県スタートアップへの投資意欲を高め、資金面からスタートアップを強力にバックアップし、本県のスタートアップ・エコシステムの構築を加速させてまいります。 78: ◯副議長(青山省三君) 進行いたします。  樹神義和議員。 79: ◯三十六番(樹神義和君) 私からは、歳出第七款建設費第九項住宅費のうち、民間住宅・建築物地震対策推進事業費について伺います。  さて、明日、三月十一日をもって、東日本大震災の発災から丸十年の節目を迎えます。  また、つい先日も、東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震の余震とされる最大震度六強を記録した地震が発生したところですが、私たちは東日本大震災の経験から、改めて自然災害の恐ろしさを痛感させられたと同時に、災害によって住居等を失えば、震災後の仮設住宅や復興住宅の整備等、被災者支援には相当な時間を要するため、避難所や仮設住宅での生活が長期にわたる可能性があり、建物倒壊により長期間御自宅や職場を失うということは、生活基盤そのものが揺らぐことになることも再認識させられました。  また、このことは対岸の火事というわけではなく、本県においても、一九四四年の昭和東南海地震や一九四五年の三河地震、さらには一九四六年の昭和南海地震以降、幸いなことに大規模な地震による被害を受けておりませんが、東海・東南海・南海の三連動地震、いわゆる南海トラフ地震の発生が危惧されており、全国的に見ても、特に大きな地震被害を受ける可能性が高い地域となっております。  この南海トラフ地震に関しては、国の地震調査委員会において、今後三十年以内のマグニチュード八から九クラスの巨大地震が発生する確率が従来の七〇%程度から七〇から八〇%に引き上げられ、本県において、住宅、建築物の耐震化は喫緊の課題となっているところであります。  こうした背景の下、本県ではこれまで、被災後の安全・安心な生活を守るため、公助だけではなく、被災前の自助として耐震化を促進するため、二〇一二年三月にあいち建築減災プラン二〇二〇を策定し、計画策定時点での住宅耐震化率八五%を二〇二〇年度末までに九五%まで引き上げるべく、住宅の耐震改修補助をはじめとした耐震化促進施策に取り組んでこられました。  また、過去の地震被害は、住宅の倒壊等に起因するものが多いことから、大地震を受けても、少しでも命を守れるよう、まず一階部分から耐震化していく段階的耐震改修、さらには寝室など部屋の一部を強固なフレームで覆う耐震シェルターの設置に加え、耐震性の不十分な古い木造住宅の除去工事費に対する補助制度を創設するなど、いわゆる減災化に向けた取組も併せて進めてこられたところです。  そのような中、近年では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、災害時の避難所における感染症防止の観点からも、在宅避難、分散避難がクローズアップされており、住宅の耐震化はますます重要になってきております。  そこで、来年度以降の住宅の耐震化促進についてお尋ねしたいと思いますが、その前に、先ほど申し上げたとおり、あいち建築減災プラン二〇二〇では、今年度末までに住宅の耐震化率九五%を目標にこれまで取り組んでこられましたが、現在までにどれくらい住宅の耐震化が進んだのか、その現状認識についてお尋ねいたします。  また、現在の建築減災プランは、今年度末をもって計画期間終了となることから、次期計画の策定に向け、パブリックコメントを実施していると理解しておりますが、現行計画の達成状況を踏まえ、次期耐震改修促進計画、あいち建築減災プラン二〇三〇における住宅の耐震化の目標と今後の取組についてお尋ねします。  以上、大きくは二点について質問させていただきましたが、御答弁をお願いいたします。 80: ◯建築局長(砂原和幸君) 初めに、住宅の耐震化の状況とその現状認識についてであります。  二〇二一年三月末の住宅の耐震化率は約九一%と想定しており、現計画を策定した二〇一一年度末の約八五%から約六ポイント上昇し、全国値を上回る耐震化率となっているものの、現行計画の目標である九五%には届きませんでした。  その要因としては、市町村や建築関係団体、有識者等との意見交換において指摘されている大地震からの時間経過に伴う関心の低下によるところが大きいと考えております。  南海トラフ地震の発生が危惧されている本県においては、住宅の耐震化により一層取り組む必要があると認識しております。  次に、次期計画における耐震化の目標と今後の取組についてであります。  現在策定中の次期計画では、計画期間の折り返しである二〇二五年度までに住宅の耐震化を九五%とし、二〇三〇年度までに耐震性が不足する住宅をおおむね解消することとしております。  この目標を達成する取組として、本県ではこれまでも耐震改修費補助に加えて、段階的な耐震改修、耐震シェルターの設置や住宅の除却など、所有者の個々の事情に応じられる補助制度や、産学官が連携した低価格耐震改修工法の開発など、様々な施策を行っております。  今後は、耐震に関する関心の低下を踏まえ、市町村、建築関係団体や有識者等と連携して、一層の普及啓発を図るとともに、施策のブラッシュアップに取り組むなど、しっかりと住宅の耐震化を促進してまいります。 81: ◯三十六番(樹神義和君) それぞれ御答弁いただきましたけれども、一点要望させていただきます。  住宅の耐震化については、今御答弁いただいた次期計画に基づき、継続して取り組んでいただきたいと思いますが、それと同時に、自宅にいながら地震によって貴い命を奪われる方が一人でも少なくできるよう、ぜひ家具等の転倒防止策もセットで取り組んでいただくことを要望し、質問を終わります。 82: ◯副議長(青山省三君) 進行いたします。  野中泰志議員。 83: ◯四十四番(野中泰志君) 私からは、歳出第七款建設費のうち、第六項港湾空港費についてお伺いをいたします。  三河港は、一九六四年には重要港湾に指定され、臨海部に立地する製造業のみならず、東三河、西三河から静岡県西部や南信州までの背後企業の物流、生産、雇用など地域産業を支えております。  三河港の臨海部及びその背後圏には、自動車産業の製造拠点や輸入自動車の基地が集積し、世界有数の自動車流通港湾として発展してまいりました。  三河港の完成自動車の取扱量は、台数、金額ともに全国第二位を誇り、特に輸入自動車については、台数、金額ともに、二十八年連続で全国第一位であり、日本経済を牽引する港であります。  こうした重要な役割を担っている三河港について、県では、十年から十五年先を見据えた港湾計画の改定作業を進めていると伺っております。  計画改定に当たっては、国内外の動向を適切に見極めなければなりません。具体的には、三河港は、地域と海外をつなぐゲートウエーであり、世界経済に目を向けると、グローバリゼーションの進展に伴い、人、物、情報の動きは急速に変化しており、将来的には、アジア、中東、アフリカ、中南米等の発展により、世界経済の多極化がより一層進むことが予想されております。  一方で、我が国では今後加速する少子・高齢化や人口減少、労働力不足がもたらす地域産業の縮小や、災害の頻発化、激甚化、地球温暖化対策への国際的な要請などの課題に対して、将来にわたって国際競争力を維持し、地域経済の成長を確保することが求められています。  このように港湾計画の前提となる社会経済情勢が大きく変化していることからも、こうした変化に対応した計画が必要となっています。  三河港の港湾計画は、重要港湾の指定時に計画が策定され、その後、時代の要請に応じて改定しており、現在は二〇一一年五月に改定した第六次港湾計画に基づいた、コンテナターミナルの機能充実、高規格幹線道路の整備、企業立地の進展などにより、完成自動車の増加といった貿易の拡大とともに、地域経済の成長にも寄与してきました。  私の地元であります御津地区でも、御津埠頭の整備をはじめ、工業用地の埋立てや、港から豊川インターチェンジにつながる東三河環状道路の建設など、着実に港湾機能の強化を図っていただいており、これからの豊川市の発展に大きく寄与するものと期待されております。  二〇一一年五月に改定された今の計画が目標年次である二〇二〇年代前半を迎えるため、昨年度より次期港湾計画の改定に向けて、検討委員会が開催されており、まずは二十年から三十年先を描いた長期構想の検討を進めていると伺っておりますが、今回の港湾計画改定に先立つ長期構想について、検討状況と今後の予定についてお伺いをします。 84: ◯建設局長(鎌田裕司君) 三河港の長期構想の検討状況についてであります。  三河港の港湾計画の改定に当たっては、社会経済情勢の大きな変化を捉え、二十年から三十年先の長期的な方向性を定めた上で計画づくりを進めていくため、今回初めて長期構想を策定することといたしました。  長期構想の策定に当たっては、三河港の将来の在り方について、各方面から提言をいただく勉強会を、二〇一八年から二〇一九年にかけ、豊橋・田原地区と豊川・蒲郡地区において開催しました。また、昨年十月には、地元の経済界や関係市で組織されている三河港振興会から、東三河地域の持続可能な発展を支える三河港の目指すべき方向性として、モノづくり産業集積地の発展を支える産業港湾、多様化するサプライチェーンを支える国際物流港湾などの提言をいただきました。  また、学識経験者や港湾関係者、商工会議所などを委員とした三河港港湾計画検討委員会をこれまで二回開催しました。  この中で、物流の視点では、情報通信技術の活用による物流の高度化や広域交通網の充実による背後圏の集荷の拡大を、産業の視点では、脱炭素社会に向けた取組の積極的な導入や、自動車産業の持続的発展とリサイクルや水素エネルギーを含む次世代産業を誘致すべきなどの意見をいただきました。  また、豊富な観光資源の活用によるにぎわいの創出、かつての豊穣な海の回復や災害に強い港づくりなどについても重要とされています。  さらに、船舶の大型化や陸上輸送から海上輸送への転換など、港湾物流の変化に迅速に対応するためには、民間活力の導入を視野に入れた港湾運営のさらなる効率化も必要とされています。  今後は、このような提言や意見を踏まえ、長期構想の案を取りまとめ、パブリックコメントを実施した上で、来年度夏頃には長期構想を取りまとめてまいりたいと考えております。 85: ◯副議長(青山省三君) 進行いたします。  南部文宏議員。 86: ◯四十六番(南部文宏君) 歳出第六款農林水産費第一項農業総務費のうち、半農半X支援事業費について質問をいたします。  半農半X、最近聞くようにはなりましたが、まだなじみの浅い言葉です。インターネットで調べてみましたところ、あるサイトによれば、こうあります。  自分や家族が食べる分の食料を小さな自給農で賄い、残りの時間は自分のやりたいことや、やりがいのある仕事に費やすという生き方とされています。つまり、農業を専業として行わないということです。また、コロナウイルスによる生活様式の変化で、脚光を浴びてきているとあります。  さらに、地方で穏やかに暮らしたいという方に注目されている働き方であり、収入が減少しても心豊かな暮らしをしたいという人たちから共感を集めていて、特に、二十代から四十代が関心を示していると言われています。  私は、今回の事業が、こういった生き方を実践する人たちを本県の農村に呼び込む施策の一つであると解釈をしております。  我が国の農業者は年々減少しております。御承知のことと存じます。中部地区では最大の農業県である本県といえども例外ではなく、この十二月に県が公表した二〇二〇年農林業センサスの結果によれば、本県の二〇二〇年二月一日現在の基幹的農業従事者数は、三万九千九百十一人で、五年前の前回調査と比較して、二八%も減少しています。  また、農業者の高齢化も深刻な問題でありまして、二〇二〇年における基幹的農業従事者の平均年齢は六十七・三歳と、五年前の六十六・八歳から、さらに高齢化が進んでおります。  こうした現状を踏まえると、農業に携わる人材の確保、特に若い世代の確保と育成が急務と考えますが、我が国全体の人口は、二〇〇八年をピークに減少局面に突入しております。このような状況にあっても、かろうじて本県は自然減を社会増で補う形で人口を維持してきましたが、本県も二〇二五年頃をピークに長期的には人口が減少していくと見込まれております。  こうした中、都市部に比べて、農村地域、中山間地域では、今以上に人口減少が加速していくものと予想されます。改めて、申し上げるまでもありませんが、農村地域の人口減少は農業の生産力を低下させるだけでなく、地域住民が共同で行う農地や水路の維持管理を続けることが難しくなり、農村そのものの荒廃をもたらしかねません。農業、農村の維持と発展のためには、第一に農村地域に住み、農業に関わる人材を少しでも多く確保、育成していくことが必要だと考えます。  一方で、農村については、多くの都市住民が、空気がきれい、自然が多く安らぎが感じられるなどのよいイメージを持っていると思われます。  農村に関心を持ち、都市からの移住を希望する、いわゆる田園回帰の動きは、農村地域の持つ価値や魅力が都市部の住民に再評価されているということでもありますが、新型コロナウイルス感染症の影響で、この傾向はさらに進んでいるようであります。  これは、いわゆる新しい生活様式の浸透に伴い、都市部の過密を避けた生活を求める都市住民の意識変化の表れと見ることもできますが、定住先で何らかの形で農業と関わりたいと考えている方は多いので、農村地域に人を呼び込むための施策をこれまで以上に積極的に推進していくチャンスではないでしょうか。  農村地域への移住を後押しする動きの一つとして、現在、情報通信産業を中心に、その普及が急速に進みつつあるテレワークが挙げられます。内閣府の調査によれば、テレワークを実践している人の四人に一人、特に二十代を中心に地方移住に関心を持っているとのことです。  ネットワーク環境さえあれば、今までの仕事を続けながら、農村地域に住むことも可能になるでしょう。テレワークで空いた時間を有効に活用して、農村地域の基幹産業である農業に従事していただくことも考えられます。このような兼業、副業による農業への関わり方であっても、人口減少が進む農村地域にとっては、地域を支える貴重な人材となり得ると考えます。  新しい生活様式の進展をチャンスと捉え、専業農家とともに、兼業、副業により農業に従事する者も併せて確保し、農村地域の維持活性化につなげていく。そのために、これまで以上に、農村地域で生活をしたいと考える都市住民に対して、本県の農業や農村の魅力を積極的にPRし、受入れのための支援を進める必要があるのではないかと考えます。  そこでお尋ねします。  県で推進を考えておられる半農半Xとは、具体的にどのようなものであり、どんなメリットがあるのかお伺いをします。  次に、半農半X支援事業の内容について、どのような取組を行うのか、お伺いいたします。 87: ◯農業水産局長(中根俊樹君) 半農半X支援事業費に関するお尋ねのうち、初めに、半農半Xの具体像とメリットについてお答えいたします。  本県では、昨年十二月に策定した食と緑の基本計画二〇二五において、都市部から農村地域への人の流れを生み出す農村対策の一つとして、半農半Xを推進することとしております。  半農半Xとは、農業とほかの仕事を組み合わせた働き方のことで、半Xに当たる仕事としては、議員お示しのネット環境を活用したテレワークのほかにも、飲食店経営などの自営業や農村地域の地場産業への従事といった様々な形態を想定しております。  また、半農半Xのメリットといたしましては、農業に関わりながら、自分のやりたいこと、大切だと思う仕事をすることができ、生活が健康的で充実したものになると言われております。  一方、受け入れる地域側としても、空き家や耕作放棄地の解消が図られるほか、新たに人が移り住み、様々な地域活動に参加していただくことで、地域の活力が向上するといったメリットもあります。  加えて、初めは小規模な農業であっても、徐々に規模の拡大などを進めていけば、将来的に地域の農業を担う中核的な存在に育っていく可能性もあり、これもまたメリットの一つであると考えております。  次に、半農半X支援事業の内容についてでございます。  この事業では、いわゆる田舎暮らしを考えておられる方に、半農半Xに関心を持っていただくことから始め、移住や就農に至るまでを段階的に支援してまいりたいと考えております。  具体的には、来年度、全国の優良な事例を調査し、有識者からアドバイスをいただいて、半農半Xの魅力や、住みやすく働きやすいという愛知県の強み、移住や就農に係る県や市町村の支援策などの情報を視覚的に分かりやすく取りまとめて、事例集やPR動画を作成いたします。  その上で、これらの動画等を、ウェブなどを活用して、広く県内外に発信してまいります。  その後は、市町村等と連携して、半農半Xに関心を持つ方々を対象としたセミナーや相談会により、具体的な暮らしのイメージを固めていただき、さらに、現地見学会や地域との意見交換会などを通じて、県内への定着を後押ししてまいりたいと考えております。  こうした取組を通じて、県や市町村が取り組む移住・定住施策とも緊密に連携しながら、都市部からの人の流れを生み出し、魅力と活力に満ちた農村の実現を目指してまいります。 88: ◯副議長(青山省三君) 進行いたします。  小山たすく議員。 89: ◯五十五番(小山たすく君) 私からは、歳出第六款農林水産費第六項林業費森林環境譲与税活用事業費のうち、木材利用拡大事業費について伺います。  本県では、県産木材の利用促進に向けた全庁的な取組計画であるあいち木づかいプランを毎年策定し、公共施設や公共工事などでの県産木材利用に取り組んでいるところであります。  また、昨年度からは、国の環境譲与税の取組が始まり、全ての市町村を対象に、私有林人工林面積、林業就業者数及び人口による客観的な基準で案分した額が譲与されており、その使途は、間伐や人材育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用に充てることとされています。  この譲与税によって、山村地域のこれまで手入れが十分に行われてこなかった森林の整備が進展するとともに、都市部の市町村では、山村地域で生産された木材を利用することが期待されるとともに、本県独自の取組である木の香る都市(まち)づくり事業において、都市部を中心に商業施設や子育て支援施設などPR効果の高い施設等の県産木材利用に対して助成を行っていることから、今後さらに県産木材の利用が拡大していくことが考えられます。
     こうしたことから、本県においては、県産木材の需要増加に対する実態に即した支援策がより一層求められることになります。そのため、他県の例も参考にしながら、幾つか質問と提言をさせていただきたいと思います。  私は昨年度、県産木材の利用について先進的な取組をしている秋田県を訪問し、担当者の方から秋田県における県産木材利用拡大の取組を伺うとともに、七か所の木造、木質化の施設を視察してきました。  秋田県では、議員提案条例である秋田県木材利用促進条例に基づき、木材利用の促進に関する指針が策定されており、木材の優先利用を促進するため、県民及び事業者が、日常生活及び事業活動において、他の素材から木材を使用した製品の優先的な利用を促進するウッドファーストあきた県民運動の展開等により、木材優先利用の県民意識の醸成を図るとともに、住宅建築において、県産木材利用率の向上に取り組む工務店等に支援するほか、木造建築物の建築主となり得る事業者等の意識醸成を図るための普及啓発により、企業の社屋等の木造、木質化を推進することや、県産材の新たな用途開拓として畜舎など非住宅分野でのスギ一般流通材の利用や、CLT歩道橋の開発など、土木分野での県産材の新たな用途開拓に取り組んでいることを伺いました。  また、非住宅分野における県産材の需要拡大として、住宅以外の建築物における木造、木質化を促進し、県産材の需要拡大を図るため、新たに都市部とのネットワーク構築を図る取組や需要開拓活動、中高層建築物で利用可能な木質二時間耐火部材の開発を行うとともに、県内における木造設計の人材育成と非住宅木造設計の取組に対して支援を行うことなどの説明を受けました。  その上で、県産木材の利用拡大のためには、県としての取組とともに民間分野での理解と活用をいかに広げるかが重要であるとし、その中でも特に木造建築需要に対応できる設計者や建築技術者等の人材の確保と育成が不可欠であるとの助言をいただきました。  森林・林業白書によると、二〇一九年に全国で着工された建築物の木造率は、住宅分野の六五・三%に対し、商業施設やオフィスなどの非住宅分野では九・八%と低くなっています。  この理由の一つに、非住宅分野で木造化に関する知識を有する建築士が少ないことが挙げられ、木造建築に関わる技術者の育成が重要であることがこの統計からも読み取ることができます。  先の一般質問における平松議員の質問への答弁にあったように、本県でもこの観点は重要であるとの認識の下、令和二年二月に、県内の建築士や木材業界の方々が中心となって、環境都市実現のための木造化・木質化推進あいち協議会が設立され、県もこの協議会と連携し、森林環境譲与税活用事業において、今年度から講習を開催して、木造建築技術者を育成しています。  木造需要の拡大のためには、その需要に応えられるだけの技術者の数及び知識や技能の向上が求められます。  そこで伺います。  木造建築技術者育成の今年度の取組内容及び受講者の意見、それを踏まえた来年度の取組について伺います。  また、公共建築物や民間非住宅の木造化、木質化を進めるためには、育成された技術者を広く知ってもらい、実際の設計に携わってもらうことが必要と考えます。  先に述べた秋田県で伺った話によれば、発注する側は、どこにどういった設計ができる方がいるのか、実績や得意分野は何なのかということの情報を求めており、育成した木造建築技術者の情報を周知共有することが重要であると考えているとのことでした。  そこで、県として育成した技術者をどのように生かし、木材利用につなげていくのか、伺います。  次に、これら技術者を活用した公共部門での木材の優先利用の促進について伺います。  県では、これまで木材利用が進んでいない建築物の木造、木質化に向けて、各部局での取組を進めているところでありますが、県自身が発注する公共建築物の中で、木造、木質化をぜひ積極的に進めていただきたいと考えるのが、交番、駐在所であります。  交番、駐在所は、県内全ての市町村に満遍なく設置されており、同時に老朽化、狭隘化によって定期的に建て替えが必要な施設でもあります。  交番、駐在所の建て替えについては、今後建て替えが必要とされるもののうち、築四〇年以上が経過したものだけでも、その数は百七十七か所に上ります。  そうした中、県内で先行的に木造で建築された駐在所があるとの情報をいただき、その実態を確認すべく、先日、新城市の川合駐在所と日吉駐在所を訪問いたしました。  川合駐在所は昨年度から、日吉駐在所は本年二月二十四日から供用開始をされている駐在所でありますが、両駐在所とも木造で建築され、内装等の木質化も行われており、山間部の周りの景観とも調和した造りとなっています。  また、使用された木材は県産木材であり、駐在所の建築工事も地元事業者が担っているとのことであり、こうした地域の木材を利用し、地域の事業者が建設する駐在、交番というものは、地域の雇用、経済にも貢献し、地域住民からもより愛着の持てる施設として、地域との関係性にも、いい循環をもたらすのではないかと考えます。  交番、駐在所の意義は、地域警察官の拠点として、地域住民の日常生活の安全を守るという目的と、地域に溶け込み、地域の要望に添った活動を行うために、地域住民と一体になった常時警戒、有事即応の体制を取ることにあると思います。  そして、その基となるのは、地域住民との信頼関係に基づく地域情報の把握と抑止、協力体制の構築にあると考えます。  そのため、交番、駐在所は、存在そのものが住民に安心感を与え、地域のよりどころであると同時に、地域から愛され、気軽に立ち寄れる施設である必要もあると思います。  先日のますだ議員の栄幹部交番の建て替えについての質問に対し、県警本部長からは、周囲の町並みと調和したデザインとなるよう進めると、まちづくりの観点を取り入れた建て替え方針を示されたことは、地域の声に耳を傾け、地域が求める交番を一緒につくり上げていくという姿勢を示したものと高く評価したいと思います。  もちろん交番、駐在所は、地域防犯の拠点施設であり、建設には一定の制約があることも理解できますし、木造、木質化を進めることのみが地域との関係構築に資するわけでもありません。  しかし、県内には文化的、伝統的な施設の近くにある交番もありますし、逆に都市部だからこそ、外観、内装に木材を使った交番を求める声もあるのではないかと思います。  そうした点から考えれば、交番、駐在所は施設規模こそ大きくありませんが、多くの方が利用する施設であり、また、視認性のよい場所に立地することが多いことから、それら施設を木造、木質化していくことは、地域のシンボルとなり得ることや、地域から愛される交番を造るということとともに、公共建築物の木造、木質化を率先して進めていくという県の姿勢を積極的に示すことにもつながるのではないかと思います。  そこで伺います。  令和三年度予算要求の交番、駐在所建築工事のうち、愛知県産木材を利用して、木造で建て替えを予定している交番、駐在所はあるのか。また、今後の交番、駐在所建て替え工事における構造についての方針を伺います。 90: ◯農林基盤局長(平田誠君) 木造建築技術者育成の今年度の取組内容及び受講者の意見を踏まえた来年度の取組についてお答えします。  商業施設等の非住宅や中高層建築物の木造、木質化を促進するためには、断熱性や湿度を調節する調湿作用などの木材の長所、法律で定められている耐震、防火、耐火の基準、その基準を満たすための木材の利用方法並びに木材の入手方法などの知識を持った建築技術者が必要となります。  このため、環境都市実現のための木造化・木質化推進あいち協議会と連携し、今年度、法的手続や構造設計をはじめとする十八の基礎的な講座を開催したところ、建築士など、七十名の方の参加をいただきました。  講座を受講された方にアンケートを実施したところ、非住宅の木造建築の設計をしたことがないので、実際に設計して理解を深めたい、非住宅木造建築に特有の構造材について、どのような加工がやりやすく、どのような加工が難しいのか知りたいといった旨の御意見をいただきました。  このため、来年度は、木造建築物の設計を依頼されたことを想定した設計演習や、機械加工できる形状などの理解を深めるための木材加工工場の現地実習など、より実践的な内容としてまいります。  次に、育成した木造建築技術者をどのように生かして、木材利用につなげていくのかお答えします。  まずは、講座を修了した技術者に修了証を交付するとともに、修了者の手がけた建築物の実績などを盛り込んだデータベースを作成し、逐次更新してまいります。  データベースの情報につきましては、木造化・木質化推進あいち協議会のメンバーである公益社団法人愛知建築士会や一般社団法人愛知県木材組合連合会と連携して、工務店等の事業者へ提供することとし、育成した木造建築技術者とのマッチングを図ってまいります。  加えて、市町村へも情報提供し、市町村が整備する公共施設の木材利用にもつなげてまいります。  さらに、既に木造建築設計実績のある技術者にもデータベースへの登録を呼びかけるなど、木造、木質化を進めやすい環境を整備してまいります。  将来的には、建築主へ木造、木質化を提案できる方を木材利用を推進する技術者として認定するなど、技術者個人がステップアップできる仕組みも検討してまいります。  県といたしましては、こうした取組を通じて、積極的に木造、木質化に取り組む技術者を増やし、今後の木材需要拡大の要となる非住宅分野での県産木材の利用促進を図ってまいります。 91: ◯警察本部長(後藤和宏君) 愛知県産木材を利用して木造で建て替えを予定している交番、駐在所についてお答えをいたします。  来年度当初予算として、八交番、一駐在所の建て替え工事を予定しており、そのうちの田原警察署堀切駐在所については、愛知県産木材を利用して、木造で建て替えを行う予定でございます。  交番、駐在所の構造につきましては、耐久性、堅牢性、耐火性に優れ、さらにメンテナンス費用が比較的安価な鉄骨造を採用することが多いところでありますけれども、地盤の状態、資材の市場価格、建築業者や技術者の確保の観点から、木造を採用することもあり、建て替えを予定する交番、駐在所ごとに総合的に判断しているものでございます。  また、交番、駐在所の附帯設備につきましても、あいち木づかいプラン等に基づきまして、看板等に木材を使用する場合には、愛知県産とする旨を仕様書等で示し、県産木材の利用促進を図っているところでございます。 92: ◯五十五番(小山たすく君) それぞれ大変前向きな答弁をいただいたというふうに思います。  設計者の方の講座についても、受講者の方からの御意見がたくさん出たということでお話がありましたので、ぜひそうした意見を踏まえて、より実践的な講座となるようにしていただきたいというふうに思いますし、また、県警本部長のほうからも前向きな答弁をいただきました。  それぞれもちろん規制がある中ではありますが、ぜひ木造、木質化というのもぜひ進めていただきたいと思います。  また、その中で、本部長のほうからもメンテナンスも含めてのコストというお話もありましたが、やはりコストというのはどうしても出てくる、その一方で超えていかなければいけない課題ではないかなとは思っております。これは、やはりどの分野においても、環境にはいいけど、高いというものはなかなか現実的には広がっていかないということになるというふうに思います。  一方で、行政としては、そうしたものに対する補助と併せて、ぜひ公共建築物の木造、木質化の採用基準にあっては、もちろん価格も重要でありますが、他の効果も含めた政策誘導的な評価をさらに高めていただきたいと思います。  そして、民間分野に対する県からの支援についてでありますが、先ほど申し上げた、例えば秋田県の例で申し上げますと、木造建築に対する補助と併せまして、木造、木質化に精通した建築人材の育成を図ることを目的に、これを主目的としてでありますが、住宅以外の建築物の設計費に対する補助というものも創設をしております。  また、県産木材を利用して、住宅を新築した場合にポイントを付与しまして、そのポイントを県産のお米であるとか、肉、魚、果物、工芸品などの他の県産品と交換できる制度というものを設けまして、県産木材の需要拡大だけではなくて、県産品のアピールと消費によって、地域経済全体を活性化するということも目的とする制度も設けておられました。  木材の価格というのも、需要の裾野が広がってくれば、価格も下がってきますし、需要が増えれば、例えば、CLTの県内確保に向けた投資が検討される可能性もあるというふうに思いますし、それがもし可能になれば、建築の幅が広がることから、さらに利用が拡大されるというような好循環が期待できるのではないかなというふうに思います。  そして、木造、木質化を進めるに当たっての重要な課題であると思いますが、本当にこれが進んでいかないのがコストなのか、あるいはそれとも規制なのか、あるいはそれとも技術者なのか、そういった本県の課題をぜひ調査検討いただきながら、他県の取組を参考にしながら、本県の実情に応じた取組を進めていただきますことを求めまして、質問を終わりたいと思います。 93: ◯副議長(青山省三君) 進行いたします。  岡明彦議員。 94: ◯三十二番(岡明彦君) 私からは、歳出第六款農林水産費第六項林業費のうち、あいち森と緑づくり事業費について質問をします。  本県では、緑豊かな愛知の実現を目指し、平成二十一年度から、あいち森と緑づくり事業を実施しています。  その取組の一つが、木の香る都市(まち)づくり事業です。同事業は、森林整備の意義や木材利用の効果についての普及啓発を進めるため、PR効果の高いモデル的な施設における県産木材の利用に対して支援をしています。  支援対象は、県民が利用する県内の民間施設等で、県産木材を利用した木造化、内装木質化、木製備品の導入に要する経費の二分の一以内を補助することとされています。  本定例会におきましても、この事業についてしばしば話題になってきましたけれども、改めて木の香る都市(まち)づくり事業についてお伺いをしたいと思います。  令和元年度に、名古屋市緑区徳重にあるあおぞら学童保育クラブ、以下あおぞら学童といいますが、その移転、建築が木の香る都市(まち)づくり事業の支援対象となりました。あおぞら学童については、一般質問において大村知事から御紹介いただきましたが、私の地元の事例ですので、少し詳しく述べたく思います。  学童保育は、御案内のとおり、共働き等で主に日中保護者が家庭にいない小学生児童に対して、学校終了後に適切な居場所を提供し、児童の健全な育成を図るものです。子供たちが長時間過ごしますが、多くがプレハブの施設で、あおぞら学童でも、猛暑や極寒の時期の温度・湿度管理、不快な音の室内反響、快適とは言えない環境が引き起こす子供たちのいらいら、近隣からの騒音苦情など、様々な課題がありました。  同学童では、こうした課題を克服し、子供たちがよりよい環境で過ごすことができるよう、保護者や建築関係者等が力を合わせ、木造での移転、建築に取り組みました。しかしながら、資金集めは深刻で、自己資金や木の香る都市(まち)づくり事業の補助金、金融機関からの借入金のほか、自助努力としてクラウドファンディング等に奔走されておられました。  苦労のかいもありまして、昨年七月に竣工。県産木材をふんだんに利用し完成した木造施設は、暑い日も寒い日も快適で、子供たちは騒音苦情を気にすることなく、ピアノを弾いたり、遊び回ったりしており、好評を得ております。  その結果、多くの方が視察に訪れており、冒頭でも申し上げましたが、十二月には知事にも御視察をいただきました。翌日の読売新聞には施設の特徴や視察の様子とともに、知事の、木に囲まれ、ぬくもりのある、子育てにふさわしい環境になったとの感想も掲載されたところです。地元公職者として大変うれしい限りでございます。  翻って、木造の学びやで思い出されるのは、愛知県教育委員会が東日本大震災復興支援のため、職員を派遣している宮城県東松島市の宮野森小学校であります。同市には議員視察をいたしましたが、大津波の深い傷を癒やす、この木造計画には深い感銘を受けました。震災六年後に竣工した際、校長先生はこう述べておられます。  校舎、屋内運動場ともに木造の小学校は宮城県初で、東北材を中心として、約五千本の無垢材を使用しています。東松島の豊かな自然と地域の人々、そして、学校に関わる全ての人々の思いの詰まった新しいふるさとのような存在になりましたと。  また、この木造化には、我が国を代表する環境保護活動家でありました故C・W・ニコル氏の協力もありまして、被災した子供たちの心を木のぬくもりで癒やしたいとの同氏の思いがあることも伺いました。  さて、あおぞら学童の木造化も、地域の皆様の思いが集まり、コロナ禍でふさぎがちな子供たちに勇気と希望を与えるものとなりました。木材と子供には親和性があり、未来を担う子供が一人でも多く、木材のぬくもりのある環境で健やかに育っていくことを願うばかりであります。  この事例のように、暮らしの中に木材を取り入れていくこと、また、県産木材を利用し、三河山間部の森づくりや山村振興につなげていくことは、全国植樹祭を開催し、SDGs未来都市に選定された本県において重要なことです。そのためにも、県産木材の利用をより積極的にPRし、大きく波及させていくことが必要です。  そこでお尋ねします。  木の香る都市(まち)づくり事業による、これまでの支援の状況についてお伺いします。  併せて、木の香る都市(まち)づくり事業により、県産木材の利用をどのように波及させていくのか、お伺いをいたします。よろしくお願いします。 95: ◯農林基盤局長(平田誠君) あいち森と緑づくり事業のうち、木の香る都市(まち)づくり事業による、これまでの支援の状況についてお答えします。  木の香る都市(まち)づくり事業は、議員お示しのとおり、森林整備の意義や木材利用の効果についての普及啓発を進めるため、二〇一九年度から、PR効果の高いモデル的な施設における県産木材の利用に対して支援しております。  対象とする施設の選定は、木材や建築を専門とする大学教授をはじめとした外部有識者等による事業選定委員会において、木材利用量や利用方法、施設の年間利用者数等を基に県産木材のPR効果を審査し、決定しております。  この事業の実施状況についてでございますが、二〇一九年度は、議員お示しの学童保育施設の木造化や木製ロッカーの設置、病院における木製椅子及びテーブルの設置など、八件に対し三千百三十三万円を支援いたしました。  今年度は、土産物店の内装、外装の木質化や、飲食店における木製椅子及びテーブルの設置など、十七件、三千六百四十七万円を支援する見込みでございます。  このうち、土産物店は、名古屋駅の西側において旅館であったビルを、県産木材を利用して改修した店舗で、外装は角材を格子状に配置し、店内では棚や天井に効果的に木材を利用するなど、木材の温かみを多くの方に感じてもらえるような工夫がなされ、施設の様子はSNS等でも発信されています。  支援を行ったその他の施設につきましても、それぞれに県産木材の利用に工夫を凝らし、木のよさが伝わる施設となっており、利用者からも好評を得ているところでございます。  次に、県産木材の利用をどのように波及させていくのかについてお答えします。  本県林業の振興及び健全な森林の整備を図っていく上で、県産木材の利用を促進していくことは非常に重要であり、木の香る都市(まち)づくり事業による支援を通じて、県産木材の利用をしっかりとPRし、市町村や民間の取組に波及させていく必要があります。  議員お示しのあおぞら学童保育クラブの事例では、子供さんや保護者、保育士、建築関係者が、木材が産出された三河山間部の森林を訪れ、木こり体験を行うことで、森林整備や木材利用の意義について理解を深めています。  また、同クラブは、これらの取組の意義や木造施設のよさ、並びに木の香る都市(まち)づくり事業の活用をSNS等で広く発信しています。  さらに、同クラブは、木造化のノウハウを他の学区の学童保育関係者にも積極的に伝えており、今年度は名古屋市昭和区内において木造化の取組が進行中で、木の香る都市(まち)づくり事業の支援見込みとなっています。  二〇二一年度に向けても新たな計画が進んでおり、学童保育施設における木材利用の輪が広がるとともに、飲食店等の商業施設も合わせて、木の香る都市(まち)づくり事業に関する問合せを約三十件いただいており、県産木材利用の機運が高まりつつあると感じられます。  県といたしましては、こうした民間の動きを好機として捉え、県産木材の利用事例をウェブページや研修会等で広く発信し、官民を挙げて木材利用の促進に取り組んでまいります。  さらに、都市部の市町村における森林環境譲与税の使途として、木材利用への期待が大きいことから、市町村にも積極的に取組事例を情報提供して、木材利用を促進するなど、木の香る都市(まち)づくり事業をきっかけにして、県内全域に木材利用を波及させてまいります。 96: ◯三十二番(岡明彦君) それでは、要望させていただきたいと思います。  まず、あおぞら学童の取組について、今、局長の答弁でも詳しく説明していただきまして、ありがとうございました。  実は、この取組は、先月開催されました脱炭素チャレンジカップ二〇二一で優秀賞に輝きました。同カップは、団体や企業の二酸化炭素削減への取組を広げようと、JNCCA(地球温暖化防止全国ネット)などが呼びかけて始まったもので、地球温暖化防止活動に資する取組として、このあおぞら学童が評価されたことも特筆できると思います。  同学童の移転、建築では、全国植樹祭の会場で利用されていた木材が再利用されております。木の香る都市(まち)づくり事業と併せて、県の支援がなければ実現しなかったわけです。  一方、今も答弁の中にございましたけれども、あおぞら学童の精神を引き継いで、県産木材を利用した学童保育の木造化に取り組む関係者、たくさんおみえになりますが、その中からは、子供たちが木のぬくもりの中で成長していけるよう、木の香る都市(まち)づくり事業で継続的に支援してほしいとの声もあります。  また、私の下には、名古屋市内の集客施設の再生計画で、県産木材を活用したいという相談も来ておりますし、福祉施設や病院等でも木造、木質化を進めたい方が多いことも承知をしています。  また、同事業の支援対象外ではありますが、佐賀県とか栃木県では、県産木材を活用した木の塀の設置に補助制度を設けたところもあります。多くの人の目に触れる外構にもこの支援を広げたらとも思うわけであります。  施設関係者の力も生かしながら、効果的に県産木材の利用の波及を図り、林業の振興や健全な森林の整備につなげていただきたいと思います。  令和三年度は多数の要望が予想されそうですが、県産木材の利用促進、利用拡大につながっていく取組を最大限支援していただくよう要望して終わります。 97: ◯副議長(青山省三君) 進行いたします。
     藤原宏樹議員。 98: ◯四十八番(藤原宏樹君) 私からは、歳出第五款経済労働費第二項商工業費のうち、スタートアップ・サテライト支援拠点事業費についてお伺いいたします。  愛知・名古屋及び浜松地域は、昨年七月にスタートアップ・エコシステム グローバル拠点都市に認定がなされました。  このスタートアップ・エコシステムとは、新しいビジネスモデルや革新的な事業に取り組むスタートアップ企業が、自社だけでは対処できない分野を周りの取り巻く環境が支える仕組みであります。例えば、大学や支援団体、企業がサポートをし、活動しやすい地域、環境を意味しております。  このエコシステムで有名な地域としては、シリコンバレーが挙げられ、様々なエコシステムの構成要素がスタートアップ企業を支えてくれる環境がそろっているからこそ、グーグルなどの世界企業やユニコーンが誕生していると言われております。  この愛知・名古屋及び浜松地域の認定は、内閣府が、世界と戦うことができる、日本型のスタートアップ・エコシステムの拠点の形成と発展を目指し、地方自治体、大学、民間組織が取り組む拠点形成計画を選定するものであり、愛知県、名古屋市、浜松市、名古屋大学、中部経済連合会等で組織したセントラル・ジャパン・スタートアップ・エコシステム・コンソーシアムとして認定がなされたものであります。  ここで私が注目するのは、共同体を意味するコンソーシアムの名前のとおり、日本の中心である中部圏において、愛知県、名古屋市、名古屋大学といった愛知県内に所在する機関のみで構成しているのではなく、自動車、工作機械、ロボット、農林水産業等、本県と共通の産業基盤の集積のある浜松市と広域連合を組まれていることであります。  今回、四か所のスタートアップ・エコシステム グローバル拠点都市の認定がなされました。他の地域でも、東京都、川崎市、横浜市、和光市、つくば市、茨城県等の連合体、また、大阪市、京都市、神戸市等の連合体の選定がなされております。  こうした県境をまたぐ連合体としての取組は、共通の産業構造や密接な地域間のつながりを生かすことができ、共通のビジョンを持つ者同士が手を組むことにより、さらなる相乗効果が期待されるものであります。  スタートアップ・エコシステムの形成、スタートアップ企業を支える仕組みに当たっては、日本は世界に挑戦する立場であり、世界と互角に戦えるスタートアップ・エコシステムを形成するためには、志を同じくする地域が連携をし、コミュニティーを拡大、拡充していくことが必要不可欠であると考えております。  現在、県では、二〇二四年十月のオープンに向け、名古屋市昭和区鶴舞に整備するスタートアップ中核支援拠点、ステーションAiに加え、県内全域にわたるネットワークの形成を目指し、県内各地域の強みや特徴を生かした地域主体のスタートアップ・サテライト支援拠点の設置、促進に取り組まれております。  この取組の中で、他の地域に先行して、昨年四月から、東三河地域の関係機関で構成するプロジェクトチームが創設され、スタートアップ・サテライト支援拠点の設置に向けた検討が進められております。  東三河地域には、スタートアップの支援等に係る取組を行っている機関が複数あり、産学官にわたり、スタートアップ創出、育成に熱心な地域の一つであります。  具体的には、まず、官として、当地域で新産業創出を目指して設立された第三セクター会社である株式会社サイエンス・クリエイトが、二〇一七年からスタートアップのため、コワーキングスペース、スタートアップガレージを運営しております。  次に、産として、輸送用機械器具の製造及び販売を手がける武蔵精密工業株式会社が、豊橋駅に直結したビル内において、二〇一八年からMUSASHi Innovation Lab CLUEを運営しております。  両施設とも、イノベーションに挑戦する多様な人々が集うための場を提供するとともに、新しい価値を創出し、事業化するための支援にも取り組んでおります。  さらに、学としては、豊橋技術科学大学が、二〇一八年十月に、愛知県とスタートアップ・エコシステム形成に関する協定書を締結しており、名古屋大学をはじめとする県内大学等と連携し、起業家教育や大学発スタートアップの支援を推進しております。  このように、東三河地域では、様々なスタートアップに係る取組が行われております。県が展開するステーションAiプロジェクトとの連携の下、相乗効果を生むことで、東三河地域のスタートアップ支援のさらなる拡充、強化を図っていくことが重要であると考えます。  そのような中、今議会で、知事の御答弁にもありましたが、WeWorkグローバルゲート名古屋内にあるステーションAi早期支援拠点を機能強化し、来年度からはプレ・ステーションAiとして開設されると伺いました。  また、この拠点に昨年六月から設置されている統括マネジャーと同様の人材を、新たに東三河地域にも設置する計画とのことであり、冒頭に申し上げた内閣府のスタートアップ・エコシステム グローバル拠点都市の取組の推進に当たっても、東三河地域の統括マネジャーが果たすべき役割は非常に大きいと考えております。  東三河地域と浜松市の経済圏のつながりは、今もなお色濃く続いており、グローバル拠点都市の取組を進めていく上で、東三河地域は浜松市との連携を深めていく連結点となる重要な地域であります。東三河地域のスタートアップ支援の拡充、強化を図っていくことが、愛知・名古屋及び浜松地域におけるスタートアップ・エコシステムの形成につながる要の取組になると考えております。  そこでお尋ねいたします。  この東三河地域に設置する統括マネジャーは具体的にどういった役割を担い、今後どういった取組をされるのか、お伺いをいたします。 99: ◯経済産業局長(伊藤浩行君) スタートアップ・サテライト支援拠点に設置する統括マネジャーについてお答えいたします。  東三河地域の関係機関で構成するスタートアップ・サテライト支援拠点検討プロジェクトチームでは、地元スタートアップを創出、育成し、海外を含めた地域外への事業展開を促進していくとともに、地域外から有力なスタートアップや優秀な人材を東三河地域に呼び込むことを目指しており、東三河地域のスタートアップ支援機関、企業、大学等が一体となった支援体制を構築していくことを検討しているところであります。  東三河地域に新しく設置する統括マネジャーは、ビジネスに係る専門家としての知見、ノウハウとネットワークを生かしながら、地域の取組と一体となったスタートアップ支援や海外を含めた地域外のスタートアップや企業等との連携を促進する役割を担ってまいります。  具体的に、統括マネジャーは、スタートアップを育成するプログラム、先進事例を学ぶための研修会、地元企業との協業に向けたマッチングイベント、地域外への情報発信などを東三河地域の関係機関と連携して行います。こうした取組により、東三河地域のスタートアップの創出、育成、誘致を推進し、東三河地域の支援体制の強化に向けたサポートも行ってまいります。  また、名古屋市内のプレ・ステーションAiに設置する統括マネジャーとも連携を図り、東三河地域の取組をさらに拡充していくとともに、スタートアップ・エコシステム グローバル拠点都市の枠組みを活用し、東三河地域の取組に浜松地域のスタートアップや地元企業の参加を促すなど、浜松地域との連携を促進してまいります。  このように、東三河地域と浜松地域の活動をしっかりと盛り上げ、両地域にわたるネットワークを強化していくことで、世界と互角に戦うことができる広域のスタートアップ・エコシステムの形成につなげてまいります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 100: ◯四十一番(丹羽洋章君) 本日はこれをもって散会し、明三月十一日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 101: ◯副議長(青山省三君) 丹羽洋章議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 102: ◯副議長(青山省三君) 御異議なしと認めます。  明三月十一日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。  本日はこれをもって散会いたします。     午後四時五十六分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...