山梨県議会 2022-09-01
令和4年9月定例会(第3号) 本文
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定例会(第3号) 本文 2022-09-29 文書 前へ 次へ
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◯議長(
久保田松幸君) 2
◯臼井友基君 3
◯議長(
久保田松幸君) 4
◯知事(
長崎幸太郎君) 5
◯議長(
久保田松幸君) 6
◯防災局長(細田 孝君) 7
◯議長(
久保田松幸君) 8
◯福祉保健部長(
成島春仁君) 9
◯議長(
久保田松幸君) 10
◯林政部長(
入倉博文君) 11
◯議長(
久保田松幸君) 12
◯産業労働部長(
山本盛次君) 13
◯議長(
久保田松幸君) 14
◯教育長(
手島俊樹君) 15
◯議長(
久保田松幸君) 16
◯臼井友基君 17
◯議長(
久保田松幸君) 18
◯議長(
久保田松幸君) 19
◯浅川力三君 20
◯議長(
久保田松幸君) 21
◯知事(
長崎幸太郎君) 22
◯議長(
久保田松幸君) 23
◯公営企業管理者(
中澤宏樹君) 24
◯議長(
久保田松幸君) 25
◯議長(
久保田松幸君) 26
◯望月 勝君 27
◯議長(
久保田松幸君) 28
◯知事(
長崎幸太郎君) 29
◯議長(
久保田松幸君) 30
◯林政部長(
入倉博文君) 31
◯議長(
久保田松幸君) 32
◯産業労働部長(
山本盛次君) 33
◯議長(
久保田松幸君) 34
◯農政部長(
大久保雅直君) 35
◯議長(
久保田松幸君) 36
◯警察本部長(
伊藤隆行君) 37
◯議長(
久保田松幸君) 38
◯望月 勝君 39
◯議長(
久保田松幸君) 40
◯スポーツ振興局長(塩野 開君) 41
◯議長(
久保田松幸君) 42
◯望月 勝君 43
◯議長(
久保田松幸君) 44
◯スポーツ振興局長(塩野 開君) 45
◯議長(
久保田松幸君) ↑ リストの先頭へ ↓ 最初の
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ヒット) 1
◯議長(
久保田松幸君)これより本日の会議を開きます。
直ちに日程に入ります。
日程第一、知事提出議案第百七十八号議案ないし第百八十四号議案、認第一号議案、認第第二号議案及び承第四号議案を一括して議題といたします。
これより、上程議案に対する質疑とあわせ、日程第二の県政一般について、代表質問を行います。
この際申し上げます。
今
定例会においては、本会議への出席に当たって、原則としてマスクを着用することとしております。質問・答弁で登壇する際や、飛沫感染防止対策を行っている場合の
発言は、非着用も可能としておりますので、御了承願います。
発言の通告により、臼井友基君に四十分の
発言を許します。臼井友基君。
(臼井友基君登壇)(拍手)
2
◯臼井友基君 自由民主党新緑の会の臼井友基です。私は、会派を代表して、今
定例会に提出されました案件並びに県政一般について質問いたします。議員にならせていただいてから初めての代表質問であり、このような機会をくださった会派代表を初め、同僚議員に改めてお礼申し上げます。
初めに、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、現在闘病されている方々や後遺症で苦しまれている方々に心からお見舞いを申し上げます。
また、治療や感染拡大防止に御尽力されている医療・介護関係者の皆様に衷心より敬意と感謝を捧げます。
感染拡大第七波は、私たちの暮らしに暗い影を落としました。特に高齢者の暮らしの場である介護施設においては、かつてないほどに連日クラスターが発生し、それに合わせるように高齢者の死亡者数も多くなっています。入所高齢者の命を守り、生活の質を守る、その両立を課せられた介護職員の身体的・精神的負担は尋常ではありません。
こうした中、クラスターの早期収束のため、施設で指導に当たられた県CDCの三河医師は、泣きながら働く介護職員の背中に手を添え、その気持ちに寄り添って丁寧に接してくださいました。人命の重さと感染の恐怖に押し潰されそうになっている職員にとって、どれほど救いになったことでしょう。三河先生の温かい心に触れて、もう一度頑張ろうと奮起した職員の話を直接お聞きし、大きな感銘を受けました。現場で奮闘活躍されてる三河先生はもとより、本県の感染症対策を血の通ったものに構築・発展させるべく力を注いでくださった長崎知事を初め県職員の皆様に、私も介護業界に身を置く一人として深く感謝を申し上げます。
長崎知事が重点施策として掲げる社会の基礎条件の充実、その最も重要な一つが介護であります。どんなに大きな企業を誘致したとしても、待ち望んだリニア中央新幹線が開通しても、今日の豊かな山梨をつくってくださった高齢者への感謝を忘れ、人に寄り添えない地となれば、いずれは誰からも見向きもされず、山梨の発展は途絶えることになるでしょう。このことを深く理解されてる長崎知事には引き続き県政運営を担っていただき、我が県の秘めた力を引き出し、全国に誇れる山梨に変貌させるべく御尽力くださいますことを期待いたします。
私たち自由民主党新緑の会も一丸となって県政推進に微力を尽くしてまいることをお誓い申し上げ、以下質問に入ります。
初めに、新山梨環状道路の整備について伺います。
新山梨環状道路は、言うまでもなく、甲府都市圏の発展及びリニア中央新幹線の開通効果を全県に波及させるために整備が不可欠な道路であります。これまでに西部区間と南部区間の全線が供用され、周辺道路の渋滞緩和や地域間の連携強化に寄与しています。
しかし、環状道路は、全区間がつながって輪となることで最大の効果を発揮するものであります。
南部区間全線の供用開始後、終点となる甲府市西下条町付近では、国道三百五十八号との接続部に交通が集中するため、朝夕は激しい渋滞が発生しています。その解消のためにも、東部区間の一日も早い完成を強く望みますが、西下条ランプから小瀬スポーツ公園周辺では盛土や橋の工事の進捗が目に見えて確認できるようになり、供用が間近に迫っているものと期待が高まっています。
そこで、まず、県が整備を進める東部区間の現在の状況と今後の見通しについて伺います。
一方、国が事業主体となる北部区間の整備については、事業計画の決定以来、地元地域から早期整備を待ち望む多くの声が上がっていますが、いまだ供用区間はなく、甲府市桜井町から甲斐市牛句間は事業化にさえも至っておりません。
さらに言えば、全国には整備が待ち望まれる数多くの道路があるためか、現状は国交省にあって全国での優先順位は低いと側聞しています。
北部区間は山間地を通過するため、多額の整備費用と高度な管理水準に伴う管理費が求められ、これらを賄うためにも、私は有料道路事業の導入が最適と考えます。財政にも精通していて、中央省庁にも強力なコネクションを持つ長崎知事だからこそ、何か優れた検討の余地をお持ちではないかと大いに期待していますし、ぜひとも優先順位を上げる手だてをお考えいただきたく思います。
これまでの長い時間的経過を踏まえて、知事には、北部地域の交通アクセスの整備や武田神社、甲斐善光寺、昇仙峡などの観光促進、地元住民の利便性向上などに資する北部区間の整備について、さらなる御尽力、御努力くださいますよう要請いたしますが、お考えをお伺いいたします。
次に、家庭や子供を持つ希望をかなえる賃金改善について伺います。
厚労省の人口動態統計によると、令和三年の全国の出生数は約八十一万人で、前年より三万人弱、率にして三・五%減少しました。
山梨県も例外ではなく、同年の出生数は四千九百六十五人と、初めて五千人を割り込みました。私が生まれた昭和五十一年が一万一千六百十三人ですから、優に半数を下回る勢いで減少し続けており、実に憂慮すべき状況であります。
少子化に歯どめをかけるためには、子育てしやすい環境づくりや女性の活躍推進など、さまざまなアプローチがあり、いずれも重要であると思います。しかし、私は特に、家計の安定により生活にゆとりと希望をもたらすことこそが根本的な処方箋になると考えます。
家庭を持ちたい希望がありながら、今の収入では家族を養っていくのが難しいと絶望して諦めてしまう、あるいはできれば第二子、第三子を授かりたいが、将来の家計負担のことを考えると無理と断念してしまう。このようなケースは枚挙にいとまがなく、私の関わる法人でも年々増加傾向にあると感じています。
多くの働く皆様にとって家計を支えるのは賃金であり、賃金の水準というものが人々の行動の可能性を広げもし、また、制約もする重要な要素と言えます。
我が国の賃金水準は先進国の中でも低位かつ成長がない状況にあり、出生数と賃金の長期低落傾向は連動しているのではないかという推測すら可能です。もとより賃金を決定するのは個々の事業者であり、その水準は企業業績に左右されるものであります。
しかし、家計の安定と将来への明るい見通しをもたらすことこそが究極の少子化対策であるという観点に立てば、民間に任せきりにせず、政策の力を発揮して、賃金の改善を促進していくべきと考えます。
そこで、県では、家庭を持ち、子供を授かりたいという希望をかなえる賃金改善の実現を図るため、どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、企業誘致の実効性を高めるための取り組みについて伺います。
このところ、本県への企業進出の動きが目覚ましく、大手化粧品メーカーや食品メーカーが工場建設を決定したほか、大手芸能事務所の本社機能の県内移転など、山梨への注目度が高まっています。
ネームバリューの高い企業の立地は、雇用や人口の増加に加え、山梨のブランド価値の向上、さらには県民の誇りにもつながる絶大な効果をもたらすものであります。ゆえに、県民の豊かさ実感に直結する重要施策として、企業誘致には引き続き注力していくべきと考えます。
企業が進出先を決定する上で考慮することは、立地企業に経済的メリットを付与する直接的支援や交通・物流ネットワークの充実など、事業を円滑に展開できる条件が整っているかどうかという点です。
このことについては、既に中部横断自動車道や国道百三十八号須走道路・御殿場バイパスの開通などを実現しており、空と海に開かれたネットワークが本県の強みとなりつつあります。加えて、私は、従業員の生活の質が高度に保てる地として企業に認識されるかどうかも重要な要素であると考えます。
この点、山梨県は、元来、移住希望先として上位にランキングされる人気の県であり、近年の地方分散のトレンドも追い風となって移住や二拠点居住者が増加するなど、間違いなく大きなポテンシャルを秘めた地であります。
県では、これまで立地企業への助成金メニューの拡充や税制優遇などさまざまな支援制度を整え、豊かな自然に恵まれた山梨の魅力をアピールしながら、積極的な企業誘致を行ってきました。
全国の自治体が企業誘致にしのぎを削る中、本県の存在を企業に認知してもらうためには、企業支援制度の周知はもちろんのこと、子育て、教育、介護環境の充実など、いわゆる社会の基礎条件の充実に取り組んだ成果を従業員目線でPRするなど、本県の優位性を生かした企業誘致活動を推進していくことが極めて重要と考えます。
そこで、本県への企業誘致活動の実効性をさらに高めるために、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
次に、介護人材の確保・定着について伺います。
介護の現場は、さまざまな要因で慢性的な人材不足に悩まされています。新型コロナウイルス感染症の拡大や高齢者施設でのクラスター続発が追い打ちをかけ、介護職員は心身ともに疲弊がピークに達しており、私は今後、離職者が増加するのではないかと危惧しています。
また、介護施設等からの求人に対する求職者の反応は大変厳しいものがあり、ことし七月時点の介護サービス関連の有効求人倍率は、全職種の平均一・二九倍に対し約三倍の三・七倍となっています。
このような状況が続けば、必要な介護人材が確保できず、残された職員にこれまで以上の負担が重くのしかかり、さらなる離職者を生むという悪循環に陥ることが容易に想像できます。
県では、これまで、介護人材の確保・定着に向け、介護職員の負担の軽減や働きやすい職場環境づくりを推進するなど数々の取り組みを実施していることは承知しています。私も、これまでの取り組みは一定の効果を上げてきたと評価しています。
しかし、二〇二五年以降の人口構造の推移を見ると、これまで介護人材の主な担い手であった現役世代が急速に減少していくと予測されています。
これらを踏まえ、国の社会保障審議会では、総合的な介護人材確保として、人材の裾野を拡大し、高齢者や就業していない女性、若者など、多様な人材の参入促進を図っていくべきであると提唱しています。
また、介護職の業務のうち、特に専門性を要しないものを担う介護助手という新たな働き手の活用にも言及しています。
知事が掲げる介護待機者ゼロ社会の実現の根底には、介護者である家族の負担軽減を図り、県民生活の豊かさ向上を阻む障壁を取り除きたいとの思いがあると理解しており、私も心から賛同いたしますが、それには肝心要の人材の確保・定着という課題をクリアすることが求められ、国の議論も踏まえて、先手の対応で検討を進める必要があると考えます。
そこで、県として、この課題に対しどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
次に、保育の質の向上について伺います。
県では現在、いつでも希望する時期に、希望する保育所に円滑に入所できる新たな姿の待機児童ゼロの実現に向け、保育人材の確保の取り組みを進めています。
保育団体と連携した保育所等見学バスツアーの実施や保育士修学資金貸付制度の創設、さらには保育士の人材バンクを有するやまなし保育士・保育所支援センターを本年六月に開所するなど、私は積極的な保育士確保の取り組みを高く評価しています。
現在、全国の待機児童数は前年の約半数となっていますが、これは少子化の進展と同時に受け皿が拡大されたからであり、ちまたでの保育ニーズは共働きの定着などによって明らかに増加・多様化しており、引き続き保育人材の確保は重要と考えます。
このような中で、過日、静岡県で送迎バスに園児が取り残され、幼い命を奪われるという大変痛ましい事件が発生し、社会に大きな衝撃を与えました。昨年七月には福岡県でも同様の事件が発生しており、本県ではいち早く注意喚起を行い、保育関係者の皆様も、あってはならないとの思いで事故防止に取り組んでいただいていると思います。
しかし、今回の事件は福岡の事案の教訓が生かされずに起こってしまったものであり、深い憤りを禁じ得ませんが、対策を怠れば、同様の事件がまた起こり得ることに注意を向けるべきです。二度とこのような悲惨な事件を起こさぬためにも、保育人材の確保とともに、より一層保育の質の向上を図ることが必要ではないでしょうか。
これからは、仕事と家庭・育児の両立がますます求められてきます。県では、新たな姿の待機児童ゼロに加え、保護者がいつでもどこでも安心して預けられる保育環境の実現にいち早く着手すべきと考えます。
そこで、人材確保と両輪である保育の質の向上に向けて、今後どのような取り組みを行っていくのか、所見を伺います。
次に、里親への支援について伺います。
国では、毎年十月を里親月間と位置づけ、里親制度を推進するための集中的な広報啓発を実施しています。
本県では、十月八日・九日で三十三年ぶりに全国里親大会が開催されることとなり、私も大会参加者の一人として、県民が里親制度への理解を深め、社会全体で支援の気運を高める絶好の機会になると大いに期待を寄せています。
里親制度の転換期は平成二十八年でした。この年、国では、児童虐待の増加等に対応するため児童福祉法を改正し、子供が権利の主体であることを明確にし、実親による養育が困難であれば、里親や特別養子縁組などで対応するよう、家庭養育優先の理念を打ち出しました。
また、本年六月に成立した改正児童福祉法では、里親家庭の養育環境を整え、子供の成長を十分に支援していくため、新たな児童福祉施設となる里親支援センターの創設など支援体制の一層の強化が打ち出され、里親制度はさらなる進化を遂げようとしています。
県においても、やまなし社会的養育推進計画を策定し、要保護児童における里親率の向上などの数値目標を掲げ、児童相談所やフォスタリング機関が中心となり、県里親会などと連携して里親家庭やファミリーホームを支援していると承知しています。
私は、日ごろから里親会の皆様と接する機会を数多くいただいておりますが、児童の養育への御理解のもと、熱意と愛情を持って、里子の人生を預かる不安と戦いながら、みずから養育に関する研さんを積んでおられる姿にいつも感銘を覚えています。
また、里親を離れ自立した子供たちに対しても実家と同じように直接的、間接的な支援を行う姿を見るにつけ、つくづくこの制度が里親の皆様の善意と個人的な御負担によって成り立っていることを感じ、ひたむきに活動される里親の皆様をしっかりお支えしなければならないと思っています。
こうした支援によって、里親が充実感を持って楽しく養育できる環境を整え、その様子を広く伝えることが、ひいては里親の普及・浸透につながり、県の目標達成にも大きく寄与するものと考えます。
そこで、県ではどのように里親支援を行っていくのか、伺います。
次に、犯罪被害者等支援条例の制定について伺います。
先月、東京都渋谷区の路上で、母親と娘の二人が見知らぬ少女にいきなり包丁で切りつけられるという痛ましい事件が発生しました。幸い、命が失われるという最悪の事態には至りませんでしたが、被害者のお二人とその御家族が受けられたショックは察するに余りあります。
この事例のように、誰もがある日突然、予期せず犯罪に巻き込まれ、被害者やその関係者となる可能性があります。ゆえに、私は、被害者やその御家族を社会全体で支援すべきと考え、昨年十一月議会において犯罪被害者等の支援に特化した条例の制定を提案したところ、長崎知事から、具体的な検討を進めるとの大変ありがたい答弁をいただきました。
本年度に入り、県では検討会議を設置し議論を重ねており、犯罪被害者等に幅広い支援が届けられる条例の早期制定を期待するものであります。
私は、以前、性的被害に遭われた方のお気持ちに触れる機会がありましたが、その方は大変つらく悔しい思いをしているにもかかわらず、警察に被害届を出せずに苦しんでおられました。
また、犯罪による直接的な被害のみならず、医療費の負担や失職などにより経済的に困窮するケースもあるため、そのような方々からは見舞金制度などの支援策を求める声も届いています。
このような現状を踏まえ、条例の中に、被害が潜在化しやすい被害者に寄り添った支援や被害者への経済的支援に関する規定を設ける必要があると考えます。さらに、犯罪に遭われた方が地域社会の中で平穏な日常を取り戻していくためには、住民に最も身近な存在である市町村の役割が重要です。
しかし、現在、犯罪被害者等の施策に関する条例を設けているのは十市町村にすぎず、そのうち犯罪被害者支援に特化した条例があるのは韮崎市のみと、充分に取り組まれているとは言えない状況です。
県においても、市町村に対して、市町村条例の制定を含め、支援策の策定・実施を積極的にバックアップしていくことが必要です。
そこで、こうした点を踏まえ、検討会議における条例の検討状況と条例の基本的な考え方について、県の所見を伺います。
次に、森林環境譲与税を活用した森林の整備・保全について伺います。
昨年、新型コロナウイルス感染拡大を契機として、国内の木材価格が高騰するという、いわゆるウッドショックが発生しました。さらに、ロシアのウクライナ侵略により、ウッドショックの長期化、エネルギー調達の困難さが表面化するなど、これまで予測し得なかった変化が起きています。
これらを踏まえ、国内の森林整備を進めて林業を成長産業化するという、森林資源の循環利用への取り組みは、かつてないほどに注目されています。
森林環境譲与税は、水源涵養や県土保全など適切な森林整備を行うための必要な財源を確保すべきという、林業関係者や山村地域を持つ自治体の切実な声を受けて実現した悲願の財源であります。
県では、平成二十四年から導入した独自の森林環境税と国から配分される森林環境譲与税を財源に、県と市町村が車の両輪として荒廃森林の解消を加速していくこととしていますが、森林環境譲与税については全国的にも五割余りが活用されていないとの報道があり、県内市町村においても五割強が活用されていない状況が続いています。悲願の財源であったはずの税金が有効活用されていないということは極めてもったいないと思います。
本来、譲与税の使途は法律の規定によって各自治体の裁量で決定することができますが、多くの自治体がその判断に迷いを抱えており、さらには専門知識を持つ職員の不足や森林整備の実施に関するノウハウがないということが大きな課題となっている自治体もあり、これらのことが有効活用の障壁になっていると考えられます。
こうした中、自由民主党本部において設置された地球温暖化防止のための森林吸収源対策プロジェクトチームでは、譲与税の活用促進に向け、国と都道府県が連携しながら、責任を持って市町村への支援を行うよう提言を行ったところであります。
そこで質問いたします。本県は、森林面積が県土の約八割を占める全国屈指の森林県であり、地場産業として林業活性化を強力に進めるべきと考えますが、県では、自民党プロジェクトチームが示した提言内容を踏まえ、今後どのように森林環境譲与税の有効活用に向けて取り組んでいくのか、所見を伺います。
次に、果樹産地の維持・発展に向けた高付加価値化の推進について伺います。
本県は、恵まれた自然条件や大消費地に近い立地条件を最大限に生かしながら、生産者のたゆまぬ御努力により、ブドウ、桃、スモモの生産量日本一を誇る果樹産地として発展してきました。
令和三年の県内農業生産額は二十七年ぶりに一千百億円を超えたとのことであり、農業の稼ぐ力が着実に実りつつあることが感じられ、とても喜ばしいことと受けとめています。
特に果実の生産額は前年比百四億円増の六百八十億円と過去最高を記録し、背景には、高級品種シャインマスカットの生産量増加や知事が五月に終息宣言された桃のせん孔細菌病の減少などがあり、私も甲府市内の若手ブドウ栽培者から、シャインマスカットの好調な販売が所得向上と経営安定につながっているとの話を聞いています。
シャインマスカットは国内外の消費者から絶大な人気があり、まだまだ需要は伸び続けていくと感じていますが、最近は一部の農家から、シャインマスカット一辺倒の生産が続くと流通量の増加により需要と供給のバランスが崩れ、いつかは販売価格の低下を招くのではないかといった不安の声も上がっています。果樹の特性上、品種の切替えには数年を要するため、将来にわたり果樹王国やまなしを堅持していくためには、他県に打ち勝つ本県独自のオリジナル品種を継続的に普及させていかなければなりません。
加えて、私は、例えば規格外の果実などを用いて果実加工品として有効利用することにより、地域間競争が激化する農家の所得向上につなげるべきと考えます。そこには、加工技術や商品づくりなどのノウハウを習得するための県からの支援も必要です。
さらに、人口減少に伴い国内市場が縮小に向かう中、高品質な果実生産だけでなく、ブランド価値を高めるため、付加価値を創出して差別化を図る取り組みを積極的に進め、国内外の幅広い消費者に情報発信していくことも重要です。
そこで、将来にわたる本県の果樹産地の維持・発展に向けて、県としてどのように果樹の高付加価値化に取り組んでいくのか、所見を伺います。
次に、消防用設備等の点検報告の促進について伺います。
平成十八年、長崎県大村市の高齢者グループホームで深夜発生した火災は、入所者七人のとうとい命を奪う大惨事となりました。
この火災を受けて、グループホームなど小規模社会福祉施設の防火安全対策の徹底を図るため、平成十九年に消防法施行令が一部改正され、夜間、人が不在の場合でも火災を自動的に感知・消火するスプリンクラーなど、消防用設備等に関する基準が見直されました。
これらの消防用設備等は、火災の発生予防、早期発見、早期通報、初期消火に使用されるものであり、いついかなるときでもその機能が有効に発揮できるものでなければならず、日常的な維持管理が必須であります。
このため、建物管理者には定期的な有資格者による点検または自己点検することが義務づけられており、加えて、一年あるいは三年ごとにその点検結果を消防署に報告しなければなりません。
しかし、令和元年度末時点における消防用設備等の点検報告率は全国平均が半分にも満たない四八・九%、さらに、本県にあっては三六・九%と全国平均を下回る状況にあります。
適正な点検と報告はセットであるため、報告率が低いということは、そもそも必要な点検が行われていないことを示唆するものと考えられ、大変憂慮すべき状況であると思います。
消防に関することは、一義的には市町村消防本部がその任に当たるべき立場と承知していますが、県民の生命・財産を守る観点から、県として、消防用設備等の点検の報告率が向上するよう、どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、文化立県の実現に向けた取り組みについて伺います。
コロナ禍の影響で、ここ数年は文化的価値のあるお祭りやイベントの開催が見送られてきましたが、ことしの夏は行動制限が行われず、さまざまな行事が開催されました。
身近なところでは、先般、古刹甲斐善光寺において令和初の御開帳が七年ぶりに行われ、御利益や文化に触れようとする多くの参拝客でにぎわいました。
甲斐善光寺は、国の重要文化財である本堂・山門をはじめ、県や市の指定文化財を数多く擁する宝庫であり、特に唯一の肖像として名高い木造源頼朝坐像は、大河ドラマの影響もあってか、これを目当てに訪れた方も多く、観光面からも大きな成果を得たと聞いています。
山紫水明の地である山梨県は、ただいま例に挙げた甲斐善光寺のほか、日本遺産昇仙峡、ミレーの美術館として人気のある県立美術館など豊富な文化資産を有し、まさに文化を育む最適地と言えます。
こうした魅力に引かれて、最近では、アーティストやクリエーターが県内の空き家を活用して創作活動を行うケースもふえていると聞いており、芸術と親和性の高い地としても注目を浴びていることがうかがえます。
今こそ、このような強みを生かして、コロナ禍により自粛を余儀なくされてきた文化芸術活動を復興し、本県の発展に波及させていく絶好のチャンスと考えます。
私たちの先人は、これまで歴史や伝統を世代間で継承しながら文化を創造し、暮らしや経済の豊かさを追求し発展させてきました。コロナ禍に直面する現代の私たちも、その流れが途絶えることのないよう全力を傾けるべきであり、そのためには、国や市町村、文化施設、芸術団体などとの連携体制の構築や多様な文化財に精通した人材の育成が急務と考えます。
こうした中、県は、本年三月、文化芸術の力で地域ににぎわいや心の豊かさをもたらす文化立県を目指すためにやまなし文化立県戦略を策定し、文化芸術活動の支援を初め、シナジー効果を創出して、経済の発展や地域活性化、観光振興につなげる取り組みを行うとしています。
そこで、この戦略を実効性のあるものとし、文化立県を実現していくために、県は具体的にどのような取り組みを進めていくのか伺います。
次に、オープン県庁における芝生化の考え方について伺います。
県庁の噴水広場に、目にも鮮やかな緑が映える芝生がお目見えしました。かつて、この場所には白鳳の庭と呼ばれる庭園がありました。これは、昭和二十九年から十数年かけて行われた野呂川流域の総合開発事業の記念として整備されたものであり、庭園には白鳳渓谷の美しさを表現するため、野呂川流域の石が使用され、これが名称の由来になったと聞いています。大変美しく見事な景観をつくり出していた反面、その偉容ゆえに一種の近寄りがたさを醸し出していたようにも記憶しています。
これが一変するきっかけとなったのが、平成二十三年度に策定されたオープン県庁敷地整備計画であります。県民に身近で開かれた敷地、活気やにぎわいを創出というコンセプトのもと、前庭は明るく開放感のある機能的なオープン広場として再整備されました。
私は、このオープン化は単に物理的な意味合いにとどまらず、山梨県政を県民に身近なものとし、県政への参画意識を高める上でも象徴的な意義があったと考えています。そして、今まさに県政に関わる者が、さらなる県政のオープン化の表現として発展的に敢行したのがこのたびの芝生化であると思います。
そうした意味合いにおいて、私は正直申し上げて、もう少し広範囲に芝生を敷設することはできなかったのかという思いを抱いています。少なくともその運用において、県民の皆様が芝生化のメリットを最大限に享受できるように配慮すべきであります。仮にも観賞用としてアクセスを制約するようなことがあれば、それは白鳳の庭の時代に逆戻りすることになります。
そこで、このたびの芝生化の設計思想はどのようなものなのか。また、県庁を訪れる県民の皆様が身近に芝生を感じ、その恩恵を十分に受けられるよう、今後どのような考えで運用に当たるのか伺います。
最後に、休日における運動部活動の地域移行に向けた課題への対応について伺います。
部活動には長い歴史と伝統があり、先輩と後輩、教員と生徒といった立場や年齢が異なる方との交流の中で技術面のみならず協調性や社会性を育むなど、豊かな心の成長にも寄与する極めて重要な教育活動であります。
私も中学生のときサッカー部に所属し、顧問の先生や先輩からの厳しくも温かい御指導により随分成長することができ、今でも懐かしく思い出します。また、保護者にとっても、我が子が大会で活躍する場面、挨拶や礼儀など身につけていく姿を見るたびに部活動の重要性を感じてきたのではないでしょうか。
一方で、部活動は教員への大きな負担になっていることも確かであり、教員の働き方改革を進めていく観点から、国では有識者等の提言を踏まえ、公立中学校等における運動部活動を地域で活動するスポーツ団体などへ段階的に移行することを決めました。
教育的意義の大きい部活動を地域に移行することは決して簡単に進められることではなく、私はこれまで部活動が担ってきた意義・役割をどのように残していくのかが極めて大切であると考えています。
まずは、指導者の確保や費用負担など、これまで学校が主体となりマネジメントしてきたことを、今後は、行政・学校、スポーツ団体など関係機関が連携して具体的にどのように行うのか、早急に示す必要があります。
また、中山間地域が多く、生徒数の減少が著しい本県において、国の提言で示されたような総合型地域スポーツクラブやプロチームなどを活用した指導者派遣のみで対応が可能なのか。さらに、休日の地域部活動に参加するための費用が受益者負担となり保護者への負担が増すことで、地域部活動への参加を断念せざるを得ないケースも生じるのではないか、課題山積であります。
休日における運動部活動の地域移行は、義務教育である公立中学校等が対象である以上、地域や経済的な理由に左右されることなく、全ての生徒が安心してスポーツ活動に参加できなければ意味がありません。
そこで、県では、休日における運動部活動の地域移行に向け、これまで学校教育で担ってきた部活動の教育的意義をどのように残していくのか。また、地域での指導者の確保や参加費用などの負担に関してどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
3
◯議長(
久保田松幸君)臼井友基君の質疑・質問が終わりました。
これより、当局の答弁を求めます。知事、
長崎幸太郎君。
(知事
長崎幸太郎君登壇)
4
◯知事(
長崎幸太郎君)臼井議員の御質問にお答えを申し上げます。
ただいまは、自民党新緑の会を代表され、県政各般にわたり御質問をいただきました。
コロナ禍において、介護施設の現場で日々御苦労いただいている職員の皆様の心情に寄り添われながら、本県の感染症対策に高い御評価を賜りますとともに、私の今後の県政運営に熱い御期待をお寄せいただき、心から感謝を申し上げます。
臼井議員におかれましては、常に高齢者への感謝と温かいまなざしをもって長年にわたり介護の充実に向けて真摯に取り組んでこられ、その御貢献に深く敬意を表するものであります。
私も、県民お一人お一人に寄り添う県政の先に全国へ誇れる山梨を実現するべく、今後においても、臼井議員をはじめ、自由民主党新緑の会の皆様方とともに、全身全霊で取り組み続けるべく最大限の力を尽くしてまいることをお誓いし、以下答弁に入ります。
まず初めに、新山梨環状道路の整備についてです。
新山梨環状道路は、本県の骨格道路網を形成する重要な道路であり、甲府都市圏の交通円滑化やリニア駅と県内各地のアクセス性の向上を図るためには、環状道路全線をつなぐことが必要であります。
県が整備する東部区間七・一キロメートルのうち、先行して整備を進めてきた国道三百五十八号から県道甲府精進湖線までの一・六キロメートルにつきましては、本年十一月に供用を開始する予定であります。これにより、甲府市西下条町付近に集中している交通が分散され、沿線地域の環境が改善されるともに、移動時間の大幅な短縮が図られます。
残る国道二十号までの五・五キロメートルにつきましては、既に約八割の用地取得が完了しており、現在、濁川と平等川を渡河する橋梁工事などを実施しているところです。
また、国が整備する北部区間約十七キロメートルのうち、東側約二キロメートルと西側約五キロメートルが事業化されており、現在、調査設計や用地取得の準備などが進められているところです。
一方、両区間に挟まれました約十キロメートルにつきましては、長年にわたり、地元の皆様が早期実現の熱い期待を込めてさまざまな活動を行ってまいりましたが、いまだ事業化はされておりません。
この区間には二つの長大トンネルが計画されており、その建設や維持管理には多額の費用を要するものと考えられます。国の審議会におきましては、高速道路などにおいて、安全性や道路施設のメンテナンスなど高い管理水準を維持するためには、利用者負担を求めることを基本とすべきとの答申がなされています。
また、これまで無料を前提としてきましたが、事業化のめどが立たない中、他県では有料道路による事業化の例があり、本県においても、国と協議を行いながら、関係自治体との勉強会を重ねてまいりました。
こうしたことを踏まえまして、県といたしましては、まず北部区間全線の早期事業化の実現を最優先に据え、国に対し、有料道路制度のもとでの事業化を求めていくことが適当であると判断をいたしました。
有料道路の導入に当たりましては、地域の合意形成が図られることが最も重要であるため、地域住民の皆様を対象とした負担軽減策の検討や現道の利便性向上などの施策をあわせて検討を行うなど、地域の皆様の御理解が得られるよう丁寧な対応に努めながら、私が先頭となって残る区間の早期事業化を国に働きかけてまいります。
次に、家庭や子供を持つ希望をかなえる賃金改善についてです。
御指摘のとおり、少子化に歯どめをかけていくためには、若い世代が生活のゆとりと将来への確かな希望を持てる社会を実現し、家庭を築き、子供を産み育てたい希望を現実のものとしていく必要があります。そのためには、地域経済が安定的かつ高い付加価値を創出し、充実した賃金として、働く人々に還元されていく姿を目指す必要があると考えております。
そこで、県では、労使の共益関係のもと、働き手がスキルアップをし、企業の収益が上がり、それによって賃金も上がるという好循環を実現するため、豊かさ共創基盤の構築による人材の高度化に取り組んでおります。
過日開催いたしました豊かさ共創会議におきましては、この豊かさ共創の全体スキームについて議論を進めたところであり、今後も、誰一人取り残さず、キャリアアップできる山梨の実現に向け、さらに検討を進めてまいります。
また、賃金の源泉となりますのは県内で創出される付加価値であることから、本県においては、一次産業から三次産業に至るまで幅広い産業の高付加価値化を重要課題として取り組んでおります。特に、本県の主力産業であります機械電子工業に携わる企業に、医療機器や水素・燃料電池といった成長分野への進出を促すことにより、本県製造業に長期的・安定的な成長性を組み込むべく注力をしているところであります。
また、農業におきましては、オリジナル品種やブランド価値の創出、スマート農業の導入による省力化などで収益性を高めていき、農家所得の向上をより高いレベルで実現するべく取り組みを進めております。
さらに、観光産業などのサービス業におきましては、サービスの高付加価値化と薄利多売からの脱却の後押しをし、ハイグレードで働き手にとって憧れの対象となるような業種への発展を促しております。これによりまして、議員御指摘の家計の安定と将来への明るい見通しを若者に届けることができるようになると考える次第であります。
今後とも、本県の若者がその将来を託すに足る県内産業への進化と、そしてそれを支える人材の底上げを図り、家庭を持ち、産み育てる望みを積極的に抱き、かなえることができる山梨県を実現してまいります。
次に、保育の質の向上についてです。
保育所は、乳幼児の生活の場であるだけではなく、人間形成の基礎を培う大きな役割を担っていることから、保育人材の確保とともに保育の質の向上は極めて重要であります。
乳幼児は、年齢差や障害・疾病の有無により発達の度合いに個人差があることから、保育士にはその特性に応じた支援を行うスキルや専門性が求められます。
このため、県では、幼児教育や障害児保育、保健衛生、安全対策などを内容とする初任者研修や経験年数に応じたキャリアアップ研修を行っております。
また、本年三月に策定いたしました幼児教育振興プログラムに基づきまして、これらの研修や特別支援教育などの専門研修などを体系づけ、効果的に資質の向上が図られるよう取り組んでいるところであります。
さらに、今後増加・多様化する保育ニーズに対応するためには、保育の質を確保しながら多忙な保育現場の職場環境を改善するなど、保育士の負担を軽減していくことが必要となります。
そのため、本年六月に開所いたしました保育士・保育所支援センターでは、業務の効率化や処遇の改善を図るため、社会保険労務士などが巡回をし、働き方改革への支援を行っているところであります。
また、センターでは、障害児や医療的ケア児の受入れなど多様なニーズに対応できるよう、経験豊富な看護師や専門職を派遣する体制も整備しております。
こうした取り組みによりまして、保護者が安心して預けられる保育環境の実現に向け、保育関係者と連携をし、県全体で保育の質の向上に取り組んでまいります。
次に、里親への支援についてです。
実親のもとで日常生活を送ることができない子供に対し、家庭と同様の環境で深い愛情を持って養育を行う里親制度の推進は極めて重要と位置づけております。
里親に対しましては、養育に必要な生活費の支給など経済的な支援はもちろんのことですが、特に悩みを抱えることなく安心して養育できるようにすることが重要であり、このため、精神的なサポートの強化に努めているところです。
具体的には、里親支援機関を設置し、子供の成長段階における関わり方を伝える研修を実施するとともに、訪問により子供の養育状況を確認しながら、各家庭に応じた指導や助言を実施しております。
また、児童養護施設などへの里親支援専門相談員の配置を進め、相談支援体制を強化するとともに、里親同士で情報交換ができる交流会を実施するなど里親の精神的負担の軽減につなげております。
さらに、里親の疾病時などに一時的に乳児院などで子供を預かるレスパイトケアにつきまして、本年度からは広くリフレッシュ目的でも利用できることとし、積極的な活用を促しているところです。
こうした中、議員御指摘のとおり、来る十月八日に本県で開催いたします全国里親大会を機に、里親の活動を広く県民に発信し、社会全体で里親を支援する機運の醸成に一層努めてまいります。
次に、犯罪被害者等支援条例の制定についてです。
昨年十一月定例県議会におきまして、議員から、犯罪被害者等の支援に特化した条例制定の御提案をいただきました。議員の被害者支援に対する強い使命感に深く敬意を表しますとともに、県が取り組むべき重要な課題を提起していただいたことに感謝を申し上げます。
条例制定に当たりましては、犯罪被害者を社会全体で支え、誰もが安全に安心して暮らすことができる社会を実現するという考え方のもと、県の責務や施策の方向性などについて検討してまいりました。
検討会議におきましては、議員御提案の経済的支援や市町村の役割について意見が出されたほか、対象とする犯罪の定義や支援体制の必要性などの意見をいただいております。これらの意見を踏まえ、先日開催いたしました第三回検討会議では、条例の素案をお示ししたところです。
この素案におきましては、犯罪の定義について、刑罰を科せられる犯罪行為はもとより、犯罪に準ずる行為であって心身に有害な影響を及ぼすものも対象とすることといたしました。
また、県は、性犯罪やDVなど、犯罪の性質により被害を訴えることが困難な方が相談しやすい環境づくりを行うほか、被害者の生活再建を支援することとしております。さらに、市町村が被害者支援施策を策定・実施する際に、被害者の状況に応じ、きめ細やかな支援を行えるよう情報提供や助言をすることを県の責務としております。
今後は、パブリックコメントを行った上で本年中に条例を制定する予定であり、具体的な政策などにつきましては、条例制定後に策定をする支援計画に盛り込んでまいります。
この条例によりまして、県の姿勢や責務を明確に示し、基本的な支援施策を定め、より一層被害者に寄り添った支援ができるよう努めてまいります。
次に、果樹産地の維持・発展に向けた高付加価値化の推進についてです。
本県果樹産地の維持・発展を図るためには、県産果実の高品質化などの機能的価値を高めながら、ブランド価値の向上を図り、国内に限らず、海外需要を取り込むことが重要であります。
このため、県では、高品質果実による差別化を図るため、県オリジナル品種のブドウのブラックキングと甲斐ベリー7、桃の夢みずきと夢桃香への改植などを進め、機能的価値を向上してまいりました。
あわせて、「おいしい未来へ やまなし」のキャッチフレーズのもと、品質の高さに加えSDGsの取り組みなど、おいしさの先を行く付加価値の高い県産果実の魅力をJAなどと連携し、発信しているところです。
また、熟練農家がたくみの技で丹精込めてつくり上げた芸術品であるといった県産果実の生産に係るストーリーを国内外に協力に発信し、ブランド価値を一層高めてまいります。
一方、海外市場では、日本産の高品質な果実への需要が依然旺盛であることから、デジタルとリアルのプロモーションを組み合わせたブランド訴求にも注力をし、県産果実のさらなる輸出拡大を目指していきます。
加えて、商品ラインナップを多様化し、果樹経営のリスクを回避するため、規格外の果実を活用した加工品開発に対しまして、引き続き専門家による助言・指導を行い、加工品の高付加価値化を支援してまいります。
今後は、品質や価格だけの競争から脱却をし、山梨全体のブランド戦略によりコーポレートブランドの価値を高め、山梨県産だからこそ消費者に選んでいただける果実となるよう積極的に取り組んでまいります。
次に、文化立県の実現に向けた取り組みについてです。
文化芸術は、豊かな人間性や想像力を育み、人間相互の理解を促すとともに、新たな需要や高い付加価値を生み出し、地域ににぎわいをもたらす力を有しています。
県では、この力を最大限に生かして、地域経済を支える文化立県の実現に向け、本年三月に策定した戦略に沿った取り組みを強力に進めております。
この一環といたしまして、先月、取り組みの中核を担う組織として、ヤマナシ クリエイターズリンクを設置し、クリエーターからの相談対応などの活動を開始いたしました。また、この活動をさまざまな主体と一体となって進めていくため、市町村や文化芸術団体などをメンバーとする連絡会議を設置し、体制の強化を図っております。
加えて、文化立県の実現には、それを支える専門人材の育成も重要であることから、市町村への専門家派遣や共同研究などによりまして資質の向上に努めています。
こうした取り組みを的確に推進するため、文化芸術の観光活用に知見のある有識者から随時意見を伺うこととしております。さらに、県立美術館につきましては、新たな価値を創造する場とする考えであり、現在、そのためのビジョンを専門家と意見交換しながら策定をしているところです。
まず、今後の美術館は、見る鑑賞にとどまらず、五感を使って立体的にアートを体感できる場となることが必要であると考えます。また、美術館が核となって県内社会・経済にデザイン志向を波及させ、本県産業の高付加価値化を推進するエンジンとなることも期待されます。さらに、本県に集うアーティストや子供たちに世界のアートシーンとの交流の機会を提供するプラットフォームとなるべきであり、これらの要素をビジョンに取り入れ、策定をしてまいります。
そして、これに先駆けまして、新たなビジョンの柱の一つとして想定される最先端デジタル技術の活用に向けて、インターネット上の仮想空間であるメタバースを構築するための経費を九月補正予算に計上いたしました。これによりまして、デジタルアートの鑑賞はもちろんのこと、アーティスト同士の交流や本県の子供たちとのワークショップなどにも取り組み、美術館における活用の可能性を検討していきます。
今後も引き続き戦略に沿ったさまざまな施策を積極的に展開をし、県民が文化芸術により豊かさを実感できる文化立県やまなしの実現を目指してまいります。
最後に、オープン県庁における芝生化の考え方についてです。
議員御指摘のとおり、今般の県庁噴水広場の芝生化は、県民のための県政、県民の県庁の象徴として、オープン県庁をさらに発展させたものにほかならないと考えております。このため、老若男女の憩いの場として気軽に御利用いただき、例えばお昼には芝生の上で人々がお弁当を食べながら歓談するといった楽しい光景が日常的に見られるようになっていけばよいと思います。
また、芝生の設計につきましては、業務上の円滑確保を勘案してのものでありましたが、でき上がった今から振り返れば、保守的に過ぎたものと反省をしております。したがいまして、今般、議員からいただきました御指摘を踏まえまして、より多くの皆様に親しんでいただける場となるよう、改めて芝生の敷設範囲を拡大するべく必要な検討を始めることといたします。
今般の芝生化は、噴水やライトアップとあわせて活用することができるため、憩いの空間としての魅力度の向上が期待されるところです。今後、民間事業者にも休日のイベント開催などに活用していただきながら、自由に集い楽しむことができるオープンな空間を県民の皆様に提供し、楽しんでいただきたいと思います。
以上をもちまして、私の答弁といたします。
その他につきまして、担当の部長等からお答えを申し上げます。
5
◯議長(
久保田松幸君)防災局長、細田孝君。
(防災局長 細田孝君登壇)
6
◯防災局長(細田 孝君)臼井議員の消防用設備等の点検報告の促進についての御質問にお答えします。
火災から県民の生命、財産を守る消防用設備等は、常にその機能を維持することが大切であり、そのための点検報告は非常に重要であります。
このため、消防本部においては建物への立入検査や防火管理者講習を行い、消防用設備等の適正な維持管理について、建物の所有者や管理者を指導しています。
また、令和元年度からは、全ての対象施設について郵送による報告書の受付を実施し、管理者などの負担軽減により点検報告の促進を図っています。
県におきましても、ホームページやツイッターにより管理者などに点検報告の実施を周知・啓発するほか、要配慮者利用施設などへの指導監査の際に点検報告状況の確認を行っているところであります。
また、全国的に小規模施設の報告率が低い状況を踏まえ、消防庁では、これらの施設での点検実施と報告書の作成を支援するアプリを開発し、令和三年三月から本格的な運用を開始しました。
本県におきましても、小規模施設の点検報告は同様の状況にあることから、この取り組みをより広く周知するため、ホームページなどに加え、新聞、テレビ、ラジオによる広報を行うこととしております。
さらに、今後は各消防本部と連携した取り組みを進めるため、新たに検討会を設置し、現状の課題を抽出・分析の上、効果的な対策につなげてまいります。加えて、庁内関係部局と連携し、所管する施設の管理者を対象とした説明会などにおいて点検報告の実施を直接働きかけることにより、消防用設備等の点検報告を一層促進してまいります。
以上でございます。
7
◯議長(
久保田松幸君)福祉保健部長、
成島春仁君。
(福祉保健部長
成島春仁君登壇)
8
◯福祉保健部長(
成島春仁君)臼井議員の介護人材の確保・定着についての御質問にお答えします。
県では、介護職への若年層の参入を促すため、介護アンバサダーを中学校や高校へ派遣し、将来の職業
選択の契機となるようなやりがいを伝えるなど、介護の魅力を発信してまいりました。
また、外国人の確保に向けては、技能実習生などを対象とした研修会を開催するとともに、日本語学習や技術向上などに必要な経費を助成しております。
さらに、介護の職務経験があり再就職を目指す方や、他業種から介護分野に就職しようとする方に対する準備金の貸付けにより、潜在的な人材の発掘も行っております。
このように、多様な人材の確保に努めてきましたが、生産年齢人口が減少していく中、人材の裾野を広げるため、高齢者や就業していない方などを現場の戦力として確保していく必要があります。そのためには、介護の経験を必要としない掃除、配膳などの周辺業務を担い、柔軟な勤務形態で就業できる介護助手の活用は有効な手段であります。
そこで、来年度新たに開設する介護福祉総合支援センターにおいて、施設の状況に応じて介護助手の業務を具体的に助言するとともに、担い手を開拓し、施設とのマッチングを推進してまいります。
今後とも、令和八年度末を目途に、在宅での介護が困難な全ての方々が速やかに入所できる介護待機者ゼロ社会の実現に向けて、国の動向も注視しつつ、人材の確保・定着に鋭意取り組んでまいります。
以上でございます。
9
◯議長(
久保田松幸君)林政部長、
入倉博文君。
(林政部長
入倉博文君登壇)
10
◯林政部長(
入倉博文君)臼井議員の森林環境譲与税を活用した森林の整備・保全についての御質問にお答えをいたします。
森林環境譲与税を活用した森林整備の課題につきましては、議員御指摘のとおり、譲与税の九割が配分される市町村におきまして、情報や専門人材が不足していることであると認識をしております。
このため、県では、整備が必要なエリアを特定するための情報として、航空レーザー計測の解析データや間伐などの施業履歴を提供をしてまいりました。また、出先事務所の普及指導員による指導に加え、県森林協会の窓口に県職員を常駐させるなど、市町村への相談体制を強化してきたところでございます。
この結果、本年度は二十の市町村におきまして森林整備に着手することになりましたが、一方で、当初予算に計上された事業額は本年度譲与額の六七%にとどまっておりました。
このような中、自由民主党の提言を受け、国からは譲与税の幅広い活用例のリストが示され、以降、県では再造林や林道の開設などへの計画的な活用についても市町村と協議してきたところであります。こうした取り組みにより、県内市町村では、本年度の譲与額に対して九五%が事業化される見通しとなりました。
今後とも、国と連携する中で、譲与税のさらなる活用に向け市町村への支援を継続するとともに、県におきましても引き続き林業の活性化に努め、森林の公益的機能の維持・増進を図ってまいります。
以上でございます。
11
◯議長(
久保田松幸君)産業労働部長、
山本盛次君。
(産業労働部長
山本盛次君登壇)
12
◯産業労働部長(
山本盛次君)臼井議員の企業誘致の実効性を高めるための取り組みについての御質問にお答えします。
県では、近年、企業立地の助成制度について、オフィス移転に対する助成の新設や成長分野への加算措置、最大助成額の拡充などの見直しを行ってまいりました。直近三カ年では延べ二十八社に支援を行い、約七百億円の設備投資や七百人を超える新規雇用など、多くの波及効果を生み出しております。
また、蓄電機器やパワー半導体のメーカーによる新たな拠点整備のほか、都内からの大手芸能事務所移転など、多様な企業進出が見られるようになりました。
議員御指摘のとおり、この流れをさらに加速するには、従業員のクオリティー・オブ・ライフの向上に向けた施策も重要であると考えます。
本県は、豊かな自然環境や質の高い子育て、教育環境、充実した介護サービスの提供など安心して生活・就業できる環境が整い、誇るべき強みを持っています。特に、二十五人学級の導入を初め、新たな姿の待機児童ゼロ、介護待機者ゼロの実現に向けた取り組みなど、強いアピールポイントがあります。このため、県では、こうした恵まれた環境を企業訪問などの際、パンフレットやPR動画を活用して積極的に紹介しております。
今後も、本県の魅力を最大限にアピールしながら、市町村と連携しつつ、全庁を挙げたサポート体制の強化を進め、新たな企業の誘致につなげてまいります。
以上でございます。
13
◯議長(
久保田松幸君)教育長、
手島俊樹君。
(教育長
手島俊樹君登壇)
14
◯教育長(
手島俊樹君)臼井議員の休日における運動部活動の地域移行に向けた課題への対応についての御質問にお答えします。
議員御指摘のとおり、中学校における運動部活動は、技術の習得のみならず、学習意欲の向上や連帯感の醸成など、生徒の多様な学びの場として教育的な意義が非常に大きい教育活動であると考えております。
こうした教育的意義を地域移行につなぐためには、地域の指導者などにその意義を御理解いただくことが重要であることから、指導者研修の充実を図るとともに、指導者資格のあり方などを検討してまいります。
また、地域での指導者の確保については、市町村などが人材確保やマッチングに活用することができる仕組みが必要であると考えており、現在、検討を進めているところです。
さらに、費用負担のあり方を含めた部活動の地域移行に関する課題を整理するため、今後、公立小中学校の保護者を対象としたアンケート調査を実施する予定です。この調査から得られる結果などを参考に、国の動向を注視しながら、市町村や関係者との調整を行い、地域移行後における運営経費などの課題に関する基本的な方向性をお示しすべく検討してまいりたいと考えております。
なお、検討に当たっては、議員御指摘のとおり、中学校の部活動は義務教育の一環であるため、地域や経済的理由により左右されてはならないこと、従来、学校、そして教員が個人的に担ってきた負担を地域にシフトさせるという部活動改革の本旨を踏まえるべきこと、その際、県としても積極的な役割を担っていくべきこと、これらをしっかりと踏まえていかなければならないと考えております。
このたびの休日部活動の地域移行は、長らくの間、我が国の学校教育や社会に広く根づいてきた部活動の根幹に係る大改革であります。この改革の実施に際しては多くの困難が予想されますが、子供たちが安心して部活動に取り組めるよう、市町村や関係団体と連携しながら環境整備を進めてまいります。
以上でございます。
15
◯議長(
久保田松幸君)当局の答弁が終わりました。
臼井友基君に申し上げます。再質問はありませんか。
16
◯臼井友基君 ございません。
17
◯議長(
久保田松幸君)これをもって臼井友基君の代表質問を打ち切ります。
暫時休憩といたします。
午前十一時四十六分休憩
───────────────────────────────────────
午後一時零分再開議
18
◯議長(
久保田松幸君)休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第一及び日程第二の議事を継続いたします。
発言の通告により、浅川力三君に四十分の
発言を許します。浅川力三君。
(浅川力三君登壇)(拍手)
19
◯浅川力三君 私は、自由民主党・山梨の浅川力三です。自由民主党・山梨を代表して質問をいたします。
まず、質問に先立ち、新型コロナウイルス感染症により、お亡くなりになられた方々に心から御冥福をお祈りするとともに、感染された方々にはお見舞いを申し上げます。
また、感染リスクが心配される過酷な環境の中で、長期にわたり懸命に従事されている全ての医療関係者の皆様に感謝を申し上げます。
さて、長崎知事におかれては、「停滞から前進へ」というスローガンを掲げ、平成三十一年二月に知事に就任され、以来三年八カ月にわたって県政のかじ取りという重責を担われてきました。
この間、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大という過去に例を見ない大きな課題に直面し、県政の運営は困難をきわめ、このような状況にあっても、知事は国内外の専門家からの知見の提供を受けながら、感染対策の中核を担う専門組織、山梨県CDCを設立されました。また、未知の感染症への対応も可能なグリーン・ゾーン構想を早くから提唱しました。
その取り組みは、全ての都道府県で同様の制度が導入され、感染拡大防止と経済活動を継続的に両立させる先駆的な取り組み、山梨モデルとして各方面から高い評価を得ております。
さらに、中部横断自動車道山梨・静岡全線の開通や県土強靱化に必要な予算の計画的確保など強力に推進され、特に中部横断自動車道については、県負担額を百六十四億円から一億円に大幅削減するなど、その手腕を発揮されています。
加えて、医療機器分野で経済活性化を図り、県民生活を豊かにするメディカル・デバイス・コリドー構想や水素・燃料電池の研究開発拠点の集積、やまなしモデルP2Gシステムの国内外への展開、全国に先駆けた二十五人学級の導入など、山梨県が未来に向かって大きく飛躍するための取り組みも進めています。
また、私がライフワークとしてきた太陽光発電の適正導入に向けた条例制定についても、知事の英断により実現することができ、今後成果を上げることが期待できます。
このように、知事は「県民一人ひとりが豊かさを実感できるやまなし」の実現に向け数多くの成果を上げており、私たち自由民主党・山梨は、知事のスピード感あふれる高度な行政手腕を高く評価しており、この難局に立ち向かって明るい未来の山梨県をつくっていけるのは、長崎知事をおいてほかにはいないと考えます。まさに県民のため、山梨の未来のために県政を継続し、引き続き尽力していただきたいという思いから、明春の知事選挙への立候補表明について賛辞の拍手を大いに送り、再選に向けた船出をこぞって支持することをお約束し、以下質問に入ります。
初めに、やまなしグリーン・ゾーン プレミアム認証制度の推進についてであります。
知事は、新型コロナウイルス感染症拡大初期であった一昨年五月、コロナとの闘いが長期化するとの認識から、感染防止対策と経済活動の両立を図る方策として、グリーン・ゾーン認証制度を打ち出しました。
また、その後も変異株に対応した基準の見直しを初め、緊急点検の実施や県内の感染状況に応じグリーンパスを実施するなど、本県における感染状況に適切かつスピーディーな対応を行ってきた長崎知事の手腕は大いに評価されるものであります。
このグリーン・ゾーン認証制度の仕組みは全国的に注目を集め、多くの自治体やメディアから山梨モデルとして高く評価されました。今では全ての都道府県で導入されており、本県が全国に先駆けてスタートしたこの制度が、日本全体に浸透したことを山梨県人として大変誇らしく感じております。
今後、県では、インバウンドの本格的な再開の際に、多くの海外観光客から本県が旅行先として選ばれるよう、国際衛生基準の対策項目などを認証基準に反映した宿泊事業者向けの上位認証である、やまなしグリーン・ゾーン プレミアムを構築し、この八月二十九日に第一回認証交付式を行ったと承知しております。
来月十一日からは新型コロナの水際対策が緩和され、一日当たりの入国者数の上限が撤廃される方針が示されましたが、山梨県の本格的な観光復活には、海外のお客様に本県に来てもらうことが非常に重要であります。私も、北杜市観光協会長として、こうした取り組みに大きな期待を寄せております。
また、ウイズコロナ・アフターコロナを見据えた国際競争を優位に戦うためにも、感染防止対策と経済活動を維持しつつ、今のうちからインバウンドの再開に向け備えておくことがとても重要であると考えます。
そこで、県では、グリーン・ゾーンプレミアム認証制度を今後どのように展開していくのか、伺います。
次に、肝炎対策についてであります。
肝炎は、肝臓の細胞が破壊されている状態であり、適切な治療を行わないまま放置すると慢性化し、肝硬変や肝がんといった、より重篤な病態に進行するおそれがあります。中でも、ウイルス性肝炎は肝炎患者の半数に上り、重症化しやすいと言われています。
かつて、本県はC型肝炎ウイルスの感染率が高く、肝がんの七十五歳未満年齢での調整死亡率も全国平均を大きく上回る状況であったため、肝炎やそれに関連する肝硬変、肝がんなどに苦しむ方々の姿を数多く目の当たりにしてきました。
私は、これまでの議員活動において、肝炎・肝がん対策をライフワークとしてきました。そして、その経験を生かし、本県初の議員提案条例である、がん対策推進条例の制定などに積極的に取り組んでまいりました。
従前、完治が困難であったC型肝炎については、県立病院機構の小俣政男理事長の多大な功績によって開発された薬の登場により、肝炎が完治する時代が到来しております。肝炎に苦しんでいた大勢の方々に大きな希望を与え、実際に短期間でほぼ全ての患者のC型肝炎ウイルスを排除し、治療が完了するようになりました。近年では、WHOが、令和十二年までに肝炎ウイルスの排除達成を目指すことをSDGsに貢献する目標として掲げています。
このように、C型肝炎は、その撲滅が視野に入る状況となってきており、その影響もあり、肝がん罹患率は全国的にも本県においても減少傾向にあります。また、本県と全国との罹患率の差を比べると、平成二十八年には四・二ポイント高かったものが、直近の令和元年では〇・五ポイントに縮まり、大幅に改善しました。
一方で、山梨県の肝がん死亡率は、令和二年は十七年ぶりに増加し、今後の動向が懸念されることから、改めて肝炎対策の継続への思いを強くしたところであります。
そこで、これまでの取り組みを踏まえて、県では今後どのように肝炎対策を推進していくのか、所見を伺います。
次に、スポーツによる地域活性化に向けた取り組みについてであります。
本県は、富士山、赤岳を擁する八ヶ岳など名峰が連座し、その裾野には豊かな自然が広がっています。この恵まれた大自然の中で、トレイルランニング、サイクリング、ウオーキングから雪合戦に至るまで、四季折々に競技性・レジャー性に富んださまざまなスポーツが県内各地で開催され、毎年多くの来訪者を迎えております。
私は、多くの来訪者を見込むことができるスポーツイベントやスポーツを目的とした旅行を、観光や地元の文化・産業と密接に結びつけることが地域の活性化につながるという考えのもと、県自転車競技連盟会長として、地元の方々と協力して、八ヶ岳では山麓を周遊するグランフォンドピナレロ八ヶ岳、富士山ではマウント富士ヒルクライムといったサイクルイベントを開催するとともに、東京オリンピック自転車競技ロードレースの山梨県内への誘致にも全力で取り組みました。
知事は、就任時から、スポーツによる地域振興を本県の成長戦略に位置づけ、就任翌年度にはスポーツで収益を生み出す方向性を示したスポーツ成長産業化戦略を策定され、さらに、本年四月には戦略を実現していく組織として、やまなしスポーツエンジンを設立するなど、矢継ぎ早に政策を実行されています。
スポーツをビジネス資源として捉え、地域活性化を推進していく考え方は私の思いと一致し、競技力向上や健康増進のためのスポーツ施策の大きな変革であり、知事の千里眼とも言える、時代を正確に読み取るスキルの高さとスピード感・実行力には目を見張るばかりであり、私としても、今までもこれからも最大限の協力を惜しまない考えであります。
やまなしスポーツエンジンでは、スポーツツーリズムを積極的に進めていくと承知しておりますが、スポーツツーリズムは、スポーツ産業だけではなく、観光、飲食、交通などさまざまな産業に波及効果が期待できるものであり、地域活性化の原動力になると考えております。
そこで、まず、県ではスポーツツーリズムをどのように進めていくのか、伺います。
また、スポーツツーリズムを推進していく上で、多くの来場者が見込める小瀬スポーツ公園や富士北麓公園など県有スポーツ施設の有効活用は、地元経済へ大きな影響をもたらすものと考えております。
そこで、スポーツによる地域活性化に向け、県有スポーツ施設のさらなる活用について、所見を伺います。
次に、リニア中央新幹線の開業に向けた取り組みについてであります。
リニア中央新幹線の開業は、三大都市圏を約一時間圏内で結び、新たな交流・連携の創出によって社会、経済、文化、産業などあらゆる面で飛躍的な発展をもたらすものと期待されています。
現在、JR東海は、品川・名古屋間について二〇二七年の開業を目指し、沿線各地で工事を進めていますが、県内においても明かり区間における高架橋建設など、県民の目に見える形で工事が進められています。
私も、中央リニア新幹線建設促進山梨県議会議員連盟研究委員会の委員長としてリニアの建設促進に取り組み、研究会では、これまで二十回以上の調査研究を重ね、中間駅建設予定地の全てを視察するなど、リニア沿線の状況を把握するとともに、知事へ提言を行ってまいりました。去る五月二十三日には、委員とともに県内の現場を視察し、順調な工事の進捗を確認して、近い将来のリニア開業に思いをはせたところであります。
知事におかれては、リニアがある山梨が目指す姿をリニアやまなしビジョンとして示し、さまざまな施策を先手先手で講じてきました。また、住環境への影響も最小限にすべく、防音・防災フードの設置については、沿線地域の方々の要望を踏まえ、長崎知事を先頭にJR東海に強く要望した結果、技術的制約や沿線の生活環境に影響が少ない箇所を除く全てに設置される方針が示されました。
去る七月には、リニア沿線の都府県で構成するリニア中央新幹線建設促進期成同盟会に静岡県の加盟が認められました。沿線都府県の全てが建設促進で足並みがそろったことは大変喜ばしいことでありますが、それにも増して私が注目したのは、長崎知事の提唱のもと、この期成同盟会にリニア開通後の高速交通の将来像を研究する研究会が設立されたことであります。この研究会では、リニア開通後の東海道新幹線の活用についても取り上げられることと仄聞しておりますが、将来振り返ったとき、この研究会こそがリニア建設の転機となったと位置づけられるのではないかと、改めて知事の慧眼に感服した次第であります。
そこで、このようなことも踏まえ、改めてリニアの開業に向けどのように取り組まれるのか、所見を伺います。
次に、県有地の利活用の考え方について伺います。
知事は、二十五人学級の実現や介護待機者ゼロといった、今後の本県の将来にとって大きな礎となるであろう政策の実現に果敢に取り組んでこられました。これらの政策を、私は先見性のあるものとして高く評価するところであります。
こうした取り組みは、単に一過性のものではなく、真に持続可能なものとして実行していくことが肝要であり、そのためには安定した自主財源の確保が何よりも重要であります。
この点に関して、県有地の高度活用とその前提となる貸付けの適正化を進め、収入の増加を図ることは極めて効果的であり、山中湖畔県有地を巡る裁判なども、このような観点から取り組んでおられるものと理解しております。一部からは政争であるとの指摘もありますが、県民全体の資産を有効に活用し、その利益を広く県民に還元するとの原則からすれば、旧来の取扱いにこだわることなく、地方自治法にのっとり、法の定める要件に従って適正な対価を徴収することは至極当然なことであります。
県では、これまで既に貸付けがなされている県有地について、減免内容も含め、見直しを進めておりますが、知事の目指す政策実現を確固たるものにするためには、これまで積極的に活用されてこなかった土地に目を向ける必要があります。
私の地元、北杜市にある学校寮区画でも、かつては都市部の学生の利用で大いににぎわっていましたが、近年、施設の撤退が相次ぎ、未利用地が増加していますが、県では、この区画の貸付けを自治体や教育機関のセミナーハウスなどの施設に限定しております。その他の県有地に至っては、三十年前に新規貸付けが凍結され、現在まで基本的にその方針が維持されていると承知しております。
私は、県有地を最大限有効に活用する観点から、少子高齢化やポストコロナ局面における森林の活用ニーズの高まりといった社会経済情勢の変化にも柔軟に対応できるよう、貸付けの考え方を転換すべき時期に来ていると考えます。
そこで、未利用地など県有地の有効活用の推進について、県の所見を伺います。
次に、八ヶ岳中信高原国定公園の国立公園化についてであります。
八ヶ岳中信高原国定公園は長野県と山梨県にまたがり、八ヶ岳連峰をはじめとする火山山麓の日本有数の広さと、周囲に清里や美ヶ原など優美な裾野の展開により形成される山岳と森林の自然景観が特徴とされています。また、公園内の豊かな森には八ヶ岳固有の高山植物であるヤツガタケキスミレやヤツガタケキンポウゲが生育し、国指定天然記念物であるヤマネやカモシカが生息するなど希少動植物の宝庫であります。
昭和三十九年に国定公園の指定を受けてから五十八年が経過し、私は清里駅前にある国定公園指定五十周年記念モニュメントを目にするたびに、この豊かな自然を将来にわたってしっかりと引き継いでいくことが私達の使命であると思いを強くするところであります。
折しも、環境省では、平成二十二年から十年以上をかけ、国立・国定公園の総点検事業及びフォローアップを行い、本年六月には国立公園の新規指定や拡張候補地の選定を行いました。
本県関係では、南アルプス国立公園が拡張候補地に選定されており、南アルプスの自然を取り巻く環境が今まで以上にグレードアップされ、後世に引き継がれるのではないかと期待するところであります。
同時に、八ヶ岳についても、そのスケールと傑出した自然の風景は他の国立公園には負けないものであり、国立公園化を図っていくべきではないかと強く感じております。
八ヶ岳国定公園の国立公園化は、貴重な自然の保全が国主導により図られ、将来にわたり継承され、八ヶ岳の魅力あふれる地域資源の保護と利用の促進により、地域の活性化、ひいては知事の目指す山梨の高付加価値化にも貢献するものと考えます。私自身、地元機運の醸成などに率先して取り組んでまいる所存です。
そこで、八ヶ岳中信高原国定公園の国立公園化について、県の所見を伺います。
次に、メディカル・デバイス・コリドー構想のさらなる推進についてであります。
長崎知事は、「外に打って出る」と公約で示されたとおり、医療機器生産金額日本一の静岡県とタッグを組み、医療機器産業の一大集積地化を目指すメディカル・デバイス・コリドー構想を掲げて就任されました。私は、この構想は、これまでの医療機器産業振興策の大きな転換点となり、山梨を豊かにする起爆剤になると確信し、その進捗状況を強い関心を持って見守ってまいりました。
知事は、県内企業待望の専門支援組織であるメディカル・デバイス・コリドー推進センターの設置、静岡県の先端医療総合特区への参画など、我々の予想をはるかに上回るスピードで次々と施策を展開されてきました。改めて、知事の政策構想力、政策実現力に感嘆するとともに、敬意を表する次第であります。
特に、その慧眼に脱帽するのは、本県企業の持つ精密加工、切削加工、研磨加工などの高い技術力を、最も効果的に生かすことができる部材供給を企業支援策の中心に据えたことです。この戦略は見事に的中し、参入企業数は倍増、支援した企業の生産額の伸びも既に百億円を超えたと聞いております。これほど短期間に効果を出すことは全国的にもまれであり、基盤構築期でありながら、医療機器分野における本県の存在感は格段に高まっていると実感しております。
推進計画では、来年度から成長フェーズに、三年後には拡大フェーズへと移行していくとしていますが、医療機器関連分野が本県経済を力強く牽引する産業に成長できるよう、知事の卓越した手腕を発揮していただくことを切に願っております。
そこで、今後、構想の実現に向けてどのように取り組んでいくのか、伺います。
次に、本県農業の振興についてであります。
長崎知事は就任以来、本県農業を将来にわたり成長産業として発展させていくため、担い手の確保・育成を初め、生産者の所得向上、農業基盤の強靱化にスピード感を持って精力的に取り組まれ、大きな成果を上げてこられました。
まず、担い手の確保・育成については、就農希望者に対する相談から就農後の経営安定まで一貫してきめ細かな支援を行い、その結果、令和三年度の新規就農者数は三百二十一人と、現在の調査手法となった平成二十二年度以降最多となりました。また、生産者の所得向上に向け、果樹のオリジナル品種の開発や優良品種の普及を初め、農産物の高品質化、生産性の向上を図るスマート農業やデータ農業の導入などに積極的に取り組まれています。
さらに、「おいしい未来へ やまなし」のキャッチフレーズのもと、おいしさの先を行く付加価値の高い県産農畜水産物をみずから先頭に立ってPRするとともに、県産果実のさらなる輸出拡大に向け効果的なプロモーション活動を展開したことにより、令和三年の県産果実の輸出額は十七億円を超え、過去最高となりました。
先般発表された令和三年の本県の農業生産額は、実に二十七年ぶりに一千百億円を超え、中でも、果実の生産額は六百八十六億円と、昭和二十九年の調査開始以来、最高額を記録いたしました。これらの成果は県内の生産者も実感しており、私もこれまでの知事の取り組みを高く評価しております。
しかしながら、本県農業は、農業従事者の減少や異常気象による農業災害リスクの高まり、人口減少による国内市場の縮小などさまざまな課題を抱えており、最近では円安やウクライナ情勢などにより飼料や肥料の価格が高騰し、農家経営に大きな影響を及ぼしております。私は、本年四月に畜産農家の代表者と、先月には米農家の代表者とともに、知事に厳しい経営状況を直接訴えたところ、知事は真摯に耳を傾けていただきました。
飼料の価格高騰対策については、六月議会でコスト削減や生産性の向上を支援する県独自の制度を創設されたところであり、本県の基幹産業である農業を維持・発展させていくためには、本県農業を取り巻く環境の変化に的確に対応していくことが重要と考えます。
そこで、今後どのように本県農業の振興を図っていくのか、その基本的な考え方について伺います。
次に、県土強靱化の取り組みについてであります。
近年は、気候変動の影響から豪雨が激甚化・頻発化しており、毎年のように全国各地において甚大な被害が発生しています。
過日、北杜市では、レーダーによる解析で一時間に百二十ミリという全国ニュースになるほどの猛烈な雨が降ったとして、記録的短時間大雨情報が発表され、八ヶ岳横断道路が土砂崩れなどにより通行どめとなるなど、甚大な被害が出ました。私も関係者の皆様と現地へ出向き状況を確認しましたが、多くの箇所で、のり面がひどく浸食されるなど、自然災害の恐ろしさ、凄まじさを思い知らされ、県民が安心、安全に暮らせる強靱な県土づくりが急務であると痛切に感じました。
本県は周囲を急峻な山々に囲まれ、他県とつながる交通網が限られていることもあり、令和元年東日本台風で、中央自動車道、国道二十号、JR中央線が同時に被災したときのように幹線道路が交通途絶した場合、県民生活に深刻な影響を及ぼすことが懸念されています。また、令和二年七月豪雨で大規模水害に見舞われた熊本県の人吉盆地と同様な盆地地形をなし、富士川などの急流河川が多く存在することから、水害や土砂災害のリスクも非常に高い状況です。
私が会長を務める自由民主党山梨県国土強靱化議員連盟では、安心、安全な県土づくりを推進するため、市町村議員と連携し、さまざまな活動を行っております。釜無川をまたぐ南アルプス市の鏡中条橋付近や、北杜市においても、交通の隘路となっている須玉町若神子の鯨バイパス、老朽化が心配される白州町横手の駒城橋など、県内各地の現場を視察し、課題等を整理して、県議会の政策提言につなげております。また、国などに対し、インフラ整備が十分に実施できるよう、予算の確保を求める要望活動も展開しています。
私は、令和二年の議員連盟設立当初から、強靱化対策に尽力されている長崎知事とともに、国土交通大臣や自由民主党幹事長などの方々に幾度となく要望を重ねてきました。そのかいもあり、国では、令和七年度までの十五兆円規模となる防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策が決定され、災害に強い県土づくりが進むものと期待しております。
そこで、県では、こうした予算を活用し、どのように県土強靱化に取り組まれているのか、伺います。
また、今後も継続して災害に屈しない強靱化対策を、より一層推進していく必要があると考えますが、県の所見を伺います。
次に、中部横断自動車道長坂以北の早期事業化に向けた県の取り組みについてであります。
長崎知事は、中部横断自動車道に係る県負担額の削減について国との交渉を重ね、約百六十四億円の県負担額をほぼ解消し、約一億円まで削減させるなど、本県にとって非常に大きな効果をもたらせました。
中部横断自動車道は太平洋と日本海を結ぶ高速道路であり、沿線地域の産業や経済活動を支え、災害時には避難・救援の命の道となり、また、新たな観光ルートの形成にも重要な役割を果たすものであります。
昨年八月に全線開通した静岡・山梨間では、物流拠点などの企業立地が進むとともに、大手量販店コストコの進出が新たに決まるなど大きな経済効果が生まれております。このことは、現在ミッシングリンクとなっている長坂から長野・八千穂間においても、つながることによるさまざまな効果が期待できるところであります。
全線整備に向けては、「君は太平洋を見たか、僕は日本海を見たい」のスローガンのもと、さまざまな取り組みが行われており、私も県議会で毎回質問を行うとともに、平成三十年には沿線地域の県議会議員と共に巨摩地域議員連盟を立ち上げ、代表としてさまざまな活動を行っております。長野県の県議会議員らとの意見交換会や要望活動を実施し、さらには、南牧村や川上村の村長とも交流を図りながら、北杜市の沿線住民及び各種団体の方々と早期の事業着手を求める熱い思いを、機会を捉え、知事及び国へ積極的にお伝えしております。
さらに、本年六月には国土交通大臣と道路局長へ知事とともに早期事業化を求める要望も行ったところであり、一方、沿線地域では本年一月に山梨・長野両県十市町村による推進団体が設立され、五月には北杜市において期成同盟会が立ち上がるなど、地元一丸となって早期整備に向け取り組んでおります。
現在、この区間では環境影響評価の現地調査が進められておりますが、次の段階に進むことを地元としても大いに期待しています。
中部横断自動車道長坂以北の現在の状況と早期事業化に向けて、どのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
次に、丘の公園の今後の経営について、幾つかお尋ねします。
まず、指定管理者の選定についてであります。
北杜市清里にある丘の公園は、昭和六十一年の開業以来、八ヶ岳南麓地域の中核的な観光施設であると同時に、地域経済と雇用を支える重要な拠点となっております。
近年の利用者数は逓減傾向にあり、特に新型コロナウイルス感染症の影響が顕著となる前の令和元年度と比べると、利用者数は、令和二年度は約三割の減少、令和三年度は約二割の減少となっています。さらに、本年度においてもコロナ感染症の影響が続いており、予断を許さない状況です。
一方、アウトドア志向は高まっており、ゴルフ場やキャンプ場などの屋外レジャー施設を有する丘の公園にとって、将来的には利用者数が増加する可能性を期待しております。
このような中、指定管理期間が本年度末に終了し、県においては令和五年度からの指定管理者の募集・選定を進めていると承知していますが、丘の公園の活性化に向けて、指定管理者の選定にどのように取り組むのか、所見を伺います。
次に、将来的な丘の公園の管理のあり方についてであります。
開業から三十五年以上が経過し、クラブハウスを初め、施設の老朽化が著しくなっており、地元では丘の公園の将来について心配する声が上がり、私も大変危惧しております。
次の指定管理期間は、県の他の施設と同様に四年間と承知していますが、期間が終了する令和八年度には開業から四十年を迎えることになり、大規模な改修や設備の更新といった老朽化対策が急務であります。
しかしながら、本議会に提出された地域振興事業会計の令和三年度の決算書によると、累積赤字は三十六億円余、電気事業会計からの借入金残高は二十六億円余であり、老朽化対策の費用の捻出は、公営企業としての経営上、大変厳しい状況にあると思います。
県が今後も責任を持って地域振興を担っていくためには、施設の管理期間を十五年あるいは二十年など長期に設定し、企業局の経営のもと、民間企業などが老朽化対策を含めて管理を行うべきであります。
指定管理期間については、県議会の議論も踏まえ、現状四年間となっていますが、各施設の状況は変わってきており、個別の事情を踏まえて弾力的に設定するべきであります。
加えて、先月、常任委員会の県外調査において視察をしてまいりましたが、他県では既に導入されているPFIなど民間企業の力を活用した新たな制度を導入することも大いに価値があります。
そこで、丘の公園が長期にわたって地域振興や観光振興に貢献するため、将来を見据えた管理のあり方について、県としてどのように考えるのか、所見を伺います。
次に、やまなしモデルP2Gシステムの国内外に向けた今後の事業展開についてであります。
近年の世界的な異常気象の最も大きな要因は温室効果ガスの排出量の増加による地球温暖化であり、国連の機関も各国に向け早期の対策実施を提言しております。一方、我々の暮らしを支える工業生産、食品加工から物流を含めた経済活動は天然ガスなどの化石燃料から得る熱エネルギーに頼っており、消費される燃料の脱炭素化が地球温暖化のストップにつながるものと考えます。
このような状況下、温室効果ガスを排出しないグリーン水素は、昨今、脱炭素化の切り札として国内外において急速に注目を集めております。
長崎知事は就任以来、いち早く水素の可能性に着目し、県と民間企業との共同事業として、太陽光などの再生可能エネルギーの電力と水からCO2フリーのグリーン水素をつくり出すP2Gシステムの技術開発を進めてまいりました。
さらには、新たなエネルギー産業の創造に向け、国内初のP2G専業企業としてやまなしハイドロジェンカンパニーを立ち上げるなど、我が国のカーボンニュートラルを牽引し、目を見張る成果を生み出しております。
米倉山のP2Gシステムで製造したグリーン水素については、昨年から供給している工場などに加え、四月からは北杜市内のキッツ長坂工場も加わり、水素の利用先は着実に拡大しております。
また、P2Gシステムの普及に向けては、笛吹市内のUCC山梨焙煎所と川越市内の大成建設コンクリート部材工場に加え、今月初めには北杜市内のサントリー白州工場に国内最大級のP2Gシステムの導入が決定するなど着実に実績を上げており、高く評価するものであります。
ふるさと山梨で育ったこの新たな技術が世界中に広がり、未来の地球環境を守る柱になるものと期待し、県の一層の取り組みを求めるものであります。
そこで、知事が強力に推進する、やまなしモデルP2Gシステムの国内外に向けた今後の事業展開について伺います。
最後に、少人数教育の推進についてであります。
長崎知事は、「将来を担う子供たちの教育環境を充実させ、個性を生かしながら、地域で活躍できる人材に育てていくことは山梨発展のための百年の大計である」と明言されました。私も強く共感しており、山梨の未来を担う子供たちの教育環境の充実は山梨の発展に必要不可欠であると思います。
私が政治の師と仰ぐ横内正明元知事も、人づくりを県政の柱に据え、平成二十六年度には小中学校の全学年において、国の基準を上回り、全国でもトップクラスの少人数学級を完全実施しました。横内元知事が政治信念に基づき決断・実行してきたこのような少人数学級の実現は、本県の教育の充実に偉大な足跡を残されたと私は考えております。
長崎知事は、知事就任に当たり、山梨の子供は誰でもどのような家庭環境にあっても、その個性を生かして社会で活躍できるよう、一人一人に向き合ったきめ細かで質の高い教育が受けられる環境を実現することを公約に掲げられました。
中でも、山梨、ひいては日本の将来を担う子供たちを育てるべく少人数学級を強力に推し進め、令和三年度からは小学校一年生に全国初となる二十五人学級を導入し、本年度からは小学校二年生にも導入しています。二十五人学級がスタートしてから一年以上が経ちますが、本県が全国に先駆けて取り組んでいる二十五人学級への学校関係者からの評価は高いものと伺っております。
このことは、長崎県政における顕著な功績であると断言できるものであり、私は引き続き、長崎知事がリーダーシップを思う存分発揮し、本県教育の充実を図るため、少人数学級の計画的・段階的な導入に向けて継続して取り組んでいくことを願っております。
そこで、県では、これまで導入してきた二十五人学級の効果を検証し、本年度、改めて設置した少人数教育推進検討委員会において小学校三年生以降の少人数教育の検討が行われていますが、現時点における今後の少人数教育の方向性についてお伺いします。
以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
20
◯議長(
久保田松幸君)浅川力三君の質疑・質問が終わりました。
これより、当局の答弁を求めます。知事、
長崎幸太郎君。
(知事
長崎幸太郎君登壇)
21
◯知事(
長崎幸太郎君)浅川議員の御質問にお答え申し上げます。
ただいまは、自由民主党・山梨を代表され、県政各般にわたり御質問をいただきました。知事就任から今日までの私の県政運営の実績について高い御評価をいただくとともに、次期知事選挙への立候補を表明した私を引き続きお支えくださるとの大変力強いお言葉を賜り、勇気百倍の思いがいたします。
浅川議員におかれましては、「熱き心で行動する」という信念のもと精力的な活動を続けてこられ、その政治姿勢には私も深い共感を持ち続けているところであります。また、太陽光発電の導入適正化や自転車競技による地域振興など、常に山梨の未来を見据えた政策提言を行っておられますことに対し、深甚なる敬意を表する次第であります。
私も、全県民が共に豊かさと幸せを分かち合える社会を実現するため、これからも浅川議員と共に全力で政策を推進してまいりますことをお誓い申し上げ、以下答弁に入ります。
初めに、やまなしグリーン・ゾーンプレミアム認証制度の推進についてです。
ウイズコロナ時代に本県経済を回復の軌道に乗せ、反転攻勢へとつなげていくためには、海外から多くの観光客を取り込むとともに、高付加価値化により収益性向上を図っていくことが重要であります。
このため、県では、認証制度に対する海外からの評価獲得に向け、国際衛生基準の認証機関と、日本初となる認証互換に取り組み、五つの審査免除項目を獲得いたしました。
さらに、国際衛生基準を参考に、上位認証制度であるグリーン・ゾーンプレミアムを構築し、あわせて認証取得のための機器購入に対する補助制度を設け、過日、初めて三施設を認証したところです。
これらの施設では、より高度な感染対策機器や洗浄度検査など、ハード・ソフト両面において世界レベルの対策を導入しており、海外の富裕層を取り込むための大きなアドバンテージになるものと考えます。
今後は、こうした地域の牽引役となるプレミアム認証施設の拡充を積極的に進めるとともに、外国人富裕層などの利用が見込まれるゴルフ場や高級レストランなどへの対象拡大を検討してまいります。加えて、駐日大使などに認証施設に宿泊をいただくツアーの実施や海外に向けたPR動画の作成により、積極的に制度の周知を図ってまいります。
今後も、グリーン・ゾーンプレミアムの取り組みを全力で推進し、本県経済の回復、反転攻勢につなげてまいります。
次に、肝炎対策についてです。
県では、これまで、肝炎の予防、肝炎ウイルス検査の受検促進、治療を終了した方などへのフォローアップ体制の充実、肝炎患者などを支える体制の整備などに関するさまざまな取り組みを行ってまいりました。こうした取り組みによりまして、これまで全国と比較して高い水準にあった肝がんの年齢調整罹患率が、ほぼ全国平均まで改善するなど、着実に成果が出ております。
一方、肝がんの七十五歳未満の年齢調整死亡率は、依然、全国平均に比べ高いことから、肝炎や肝がんの原因や予防法に関する知識の認知度が低いことなどの課題があります。
こうした中、国は本年三月に肝炎対策の推進に関する基本指針を改正し、肝炎の完全な克服を達成することで、肝硬変または肝がんへの移行者を減らすとの目標が示されました。
この新たな指針の中では、肝がんの罹患率をできるだけ減少させることを具体的な指標として設定すること、肝炎ウイルス検査の未受検者に対して肝炎ウイルス検査に関する効果的な広報に取り組むこと、肝炎医療コーディネーターの育成後の活動状況の把握に努めることなど、今後、地方公共団体が行うべき具体的な対応が求められています。
そこで、県としては、これまでの対策の検証を行い、有識者や県民の皆様の御意見も広く伺う中で、国の指針を踏まえた第三次山梨県肝炎対策推進計画を本年度中に策定し、肝炎対策の一層の推進を図ってまいります。
次に、スポーツによる地域活性化に向けた取り組みについてです。
まず、スポーツツーリズムにつきましては、首都圏からのアクセスのよさや恵まれた自然環境など、本県の強みを最大限に活用し推進することとしております。
この取り組みの第一弾として、来月には南アルプス林道と広河原を会場とし、アウトドアアクティビティーと食を組み合わせたサイクルイベントの実証事業を行うこととしております。また、本県の起伏に富む地形を活用したサイクルツーリズム、eバイクでのフォレストトレイル、湖での足こぎカヤックなど、本県ならではのコンテンツを開発し、今後、県内全域での展開を目指してまいります。
次に、県有スポーツ施設のさらなる活用についてです。
小瀬スポーツ公園など県有スポーツ施設は、プロスポーツや有名アスリートが出場する大会から軽スポーツまで、年間を通じ多くの方々に利用されています。多くの来場者が見込める県有スポーツ施設は、スポーツツーリズムの一翼を担うものであり、今まで以上に有効活用していく必要があると考えております。
このため、前例にとらわれない、より幅広な施設活用を図るため、来年度から、小瀬、富士北麓、御勅使南の三公園の所管をスポーツ振興局に移し、県としても積極的に関与することといたしました。こうした取り組みにより、ほかでは体験できない、より付加価値の高いスポーツツーリズムを強力に推進し、スポーツによる地域活性化につなげてまいります。
次に、リニア中央新幹線の開業に向けた取り組みについてです。
リニア中央新幹線の開業という好機を県民生活の豊かさに直結させていくため、私は、山梨の可能性を生かし切るとの考え方のもと、アクセス環境の整備や本県に人と富が集まる理由づくりに取り組んでおります。
まず、アクセス環境の整備につきましては、開業効果を全県に波及させるための道路ネットワークの整備を進めており、さらに中央道とリニア駅を直結するスマートインターチェンジの整備をスタートさせています。
また、身延線の活用、さらには富士北麓を含む周辺地域への人の流れを意識した検討を進めており、今後、自動運転や空飛ぶ車などの新技術の動向を注視し、新たな夢のある交通手段の活用も視野に入れながらアクセス向上に努めてまいります。
次に、人と富が集まる理由づくりにつきましては、スタートアップを対象に、先端技術の実証を行う場を提供する取り組みを本格化させております。本県で行う実証実験の様子が全国のテレビ・雑誌に取り上げられたり、この事業で採択したスタートアップが経済誌で注目ベンチャーに選出されるなど、実証実験の適地としての本県の評判は高まっています。
今後も、山梨では常に新しいチャレンジが生まれているという評価が定着するよう、積極的なプロモーションに努めてまいります。
なお、リニア全線の開業に向け静岡工区の問題解決は必須ですが、現在、国の有識者会議で行われている専門的な議論に加え、リニア開業後の未来を明らかにし、静岡県民を含む関係者の皆様と共有していくことができれば、課題解決の大きな原動力になると考えます。
例えば、リニアが実現すると東海道新幹線は過密ダイヤが緩和され、より地域の実情を踏まえた運行も可能となりますが、現在、そうした将来像は広く共有されているわけではありません。これらを明らかにすることで、より多くの関心と知見を得て課題解決を進めたい、このような思いで期成同盟会に研究会の設置を提唱いたしました。
今後とも、提唱県の知事として、この議論をリードし、本県も恩恵を受けるこの国家的プロジェクトの実現に貢献をしてまいります。
次に、県有地の利活用の考え方についてです。
自主財源に乏しい本県にありましては、県民全体の財産である県有地を聖域なく最大限に生かし、県民生活向上に役立てていくことが行政の果たすべき重要な役割であり、また責務でもあります。
もとより、地方自治体の普通財産は、その経済的価値を保全・発揮することにより、間接的に地方公共団体の行政に貢献するものとされています。とりわけ、県有地の大部分を占める県有林は、明治末期の水害に苦しむ県民の生活復興に役立てるよう、明治天皇より御下賜されたものであります。
その意味からも、県有林のうち、県土保全や恩賜林経営に必ずしも必要のない普通財産につきましては、収益を最大化するための活用策を探っていくことこそが御下賜の御心に沿うものと信じる次第であります。
こうした中、議員御指摘の北杜市清里の学校寮区画におきましては、近年、少子化による利用者減少などを理由に撤退する施設がふえ、新規の貸付けがない状態が続いております。
このため、県有地を最大限活用する観点から、豊かな自然と静ひつな環境を生かした利用につきましては、今後、教育機関以外の民間事業者への貸付けも認めることといたします。これによりまして、新規の貸付けや撤退を予定している施設の譲渡を促し、賃料収入の確保のみならず、清里地区のさらなる活性化が可能となります。
その他の県有林につきましても、これまで民間事業者への貸付けを、研究・研修施設や教育施設など、特定の用途に限定して認めることとしてきましたが、今後、この方針を抜本的に見直し、周辺環境と調和した質の高い利活用を進めることにより、地域ブランド力の向上と県の収入増加の実現を図ってまいります。
次に、八ヶ岳中信高原国定公園の国立公園化についてです。
本県を代表する観光地である清里高原から成る八ヶ岳国定公園は、個性豊かで多様性に富んだ自然景観や植生に優れ、四季を通じて多くの方々に親しまれています。
議員御指摘のとおり、国が直接管理する国立公園に格上げすることによりまして、保護管理の質の一層の向上や適正利用の増進など、さまざまな効果が期待されます。その実現に向けましては、山梨・長野両県にわたる地元地域全体で国立公園化に対する理解を共有し、一体となって取り組む機運を醸成していくことが重要です。
本県としても、今後の動向を注視し、長野県ともしっかりと連携しながら、必要に応じて助言や情報提供を行うなど、積極的に支援をしてまいります。
次に、メディカル・デバイス・コリドー構想のさらなる推進についてです。
この構想を掲げる以前、本県の医療機器振興策は、ほかの多くの自治体と同様、研究開発支援に偏っており、産業の振興に直接結びついてはおりませんでした。この状況を打破すべく、県内企業の力を最大限に引き出す部材供給を新機軸とした企業支援策の充実、静岡県との連携強化によりまして成果を上げてまいりました。さらなる成果創出に向けまして、本年度は首都圏の医療機器メーカーを集中的に訪問し、部材などの発注ニーズの収集を重点的に進めているところです。
また、九月補正予算では、この基盤を強固なものとするため、オープンイノベーションのマッチングイベントと情報発信の強化に要する経費を計上いたしました。これによりまして、本県企業の技術力やメディカル・デバイス・コリドー推進センターの実績を県内外に広く発信し、県内企業の取引拡大を加速させてまいります。
来年度からのセカンドステージでは、部材供給支援を主軸とはしつつも、さまざまな発展的要素の具体化に取り組んでまいります。
まず、予防医療、健康維持に対する需要の高まりを受け、デジタル・AI技術の活用や衛生用品・健康食品など幅広い分野の企業に参入を促してまいります。また、県内企業の一層の取引拡大を図るため、国内外のスタートアップとの連携を進めるほか、巨大な海外市場参入への挑戦も支援してまいる考えです。
強靱な産業構造の構築、その先の県民の豊かさに向け、メディカル・デバイス・コリドー二・〇の実現のための取り組みを一層加速させてまいります。
次に、本県農業の振興についてです。
議員御指摘のとおり、近年、農業を取り巻く環境は大きく変化しており、こうした変化に的確に対応した持続可能な農業経営を実現していく必要があります。
国内市場縮小への対策につきましては、まずは新たな需要の掘り起こしが重要であり、これまで県では、関係団体と連携して、甲斐ベリー7、富士の介、プレミアムティーなどを開発いたしました。これらは、いずれも高評価を得ておりますが、今後、牧草のみで育てた赤身のグラスフェッドビーフの開発など、市場の動向を踏まえた新商品の開発にしっかりと取り組んでまいります。
また、販売量の減少を単価上昇で補う農畜水産物の高付加価値化に向けまして、「おいしい未来へ やまなし」をキャッチフレーズに、単に品質の高さだけではなく、この魅力をストーリーとして発信していきます。
具体的には、県産果実は、世界農業遺産の地に育まれ、匠の技により磨かれた芸術品であるといったストーリーを発信することで、「やまなし」のブランド価値の構築に取り組んでまいります。また、高級米の需要拡大に向けまして、効果的なプロモーションを展開するなど、積極的に支援をしてまいります。
一方で、世界全体での食の需要は増加していることから、デジタルとリアルのプロモーションを広く海外で展開し、さらに海外需要を取り込んでまいります。
そして、これらの需要を満たすためには生産体制の強化も不可欠であり、具体的には、スマート農業やデータ農業推進による農産物の高品質化や生産性の向上を図る取り組みを進め、あわせて圃場などの基盤整備も計画的に実施してまいります。
また、喫緊の課題であります飼料・肥料の高騰対策では、畜産分野でもDXを導入し、コスト上昇分を吸収できる骨太な経営体質を目指してまいります。加えて、自給飼料の活用、さらには家畜排せつ物や下水汚泥の活用も検討し、この困難を乗り越えてまいります。
こうした施策によりまして持続可能な農業経営を実現し、あわせて生産者の所得が向上することにより新たな担い手が確保されるといった好循環をつくり出し、本県農業の振興を図ってまいります。
次に、県土強靱化の取り組みについてです。
近年の高まる災害リスクに備えまして、県民の生命・財産を守り抜くためには、信頼性の高い強靱な県土を構築していくことが肝要であります。
県では、社会基盤整備に必要な予算を計画的に確保するため、国の五か年加速化対策予算を活用し、令和七年度までの六年間における想定事業量として四千六百億円をお示ししました。このことは、災害時に地域のソフトインフラとして大きな役割を担う建設産業の安定的な経営や担い手の確保につながり、事業者が積極的に投資できる環境づくりに資するものでもあります。これまで国に対して精力的に要望活動を行ってきた結果、本年度当初予算までに計画を上回る約六割の事業量を確保し、県土の強靱化を推進してまいりました。
具体的には、議員御指摘のとおり、令和元年東日本台風による被災などを教訓とした交通強靱化や水害対策に取り組んでおります。
まず、交通強靱化に関しましては、国道四百十三号の防災工事や道志バイパスの整備に加え、広域迂回路となる新たな御坂トンネルの新規事業化など、災害時における信頼性の高い道路ネットワークの整備を進めています。
また、水害対策では、過去の浸水実績などを踏まえまして、四つの流域をモデルケースとして、国、県、市町村で構成する流域治水検討会を立ち上げ、あらゆる関係者が防災意識を共有し、治水対策に取り組むこととしております。
これまでのところ、横川と新名庄川におきまして、流域治水対策に地元自治体と連携して取り組むための確認書を締結したところです。
今後は、河川改修や雨水貯留などのハード対策と水害リスク情報を提供するなどのソフト対策を示したアクションプランの策定を進めてまいります。
こうした県土強靱化の取り組みは、国の示す五か年加速化対策の期間では完了せず長期に及ぶことから、継続して計画的に実施していく必要があります。県といたしましては、五か年加速化対策が完了した後も、この取り組みが継続され、必要な予算措置が講じられるよう、県議会の皆様のお力添えをいただきながら、国に強く働きかけてまいります。
次に、中部横断自動車道長坂以北の早期事業化に向けた県の取り組みについてです。
中部横断自動車道は、太平洋と日本海を結ぶ国土の南北軸となり、広域道路ネットワークの一部を形成する重要な路線であります。この道路の全線整備によりまして、本県は国際拠点港湾であります清水港や新潟港、そして富士山静岡空港と高速道路で直結し、海と空へつながるクロスポイントとなると考えております。
昨年八月の静岡・山梨間の開通は本県に大きな経済効果をもたらしており、県外からの集客もにらんだ倉庫型量販店でありますコストコの進出も決定したところであります。
一方、長野方面では、長坂から八千穂間がいまだミッシングリンクとなっており、中部横断自動車道が本来持っているポテンシャルが最大限発揮されてはおりません。
これまで、国が環境影響評価の現地調査を実施しておりますが、本年七月には、長野県知事らとともに、次の段階に進むための両県が行う都市計画手続が円滑に進められるよう国へ要望してまいりました。その際に、国土交通省幹部から、「機は熟した」との力強い
発言をいただいたところであります。これらもありまして、近いうちに、具体的なルート、インターチェンジの場所、道路構造などが国から示されるものと考えております。
県におきましては、これら国の提示を受けまして、今後、都市計画決定の手続を速やかに進め、引き続き、長野県や沿線自治体と連携しながら、一日も早い事業化を国に働きかけてまいります。
次に、やまなしモデルP2Gシステムの国内外に向けた今後の事業展開についてです。
やまなしモデルP2Gシステムは、最先端の技術により、究極のエネルギーと言われるグリーン水素を製造することができるため、カーボンニュートラルの実現に向け大いに貢献できるものと考えております。このため、米倉山で製造したグリーン水素の利用拡大を図るとともに、システムそのものの普及を図るため、国内外の工場への導入を進めているところです。
今月五日に導入が決定したサントリー白州工場のP2Gシステムにつきましては、設備規模といたしまして、十六メガワットを予定しており、福島県浪江町の十メガワットを上回り、現時点で国内最大となります。
さらに、白州工場でつくり出されたグリーン水素の工場外での利用も計画しており、地域の太陽光などの再エネ資源を活用し、脱炭素化を大規模に推進する、世界でもトップクラスのグリーン水素の製造・利用拠点がここ山梨県に誕生することとなります。
また、P2Gシステムの海外展開に向けましては、国の支援を受け、インドのマルチスズキ工場への導入に向け、エネルギーの利用状況や周辺を含めた再エネの導入動向などの調査を開始しております。
さらに、先日の中央日本四県サミットでの合意に基づきまして、他の都道府県内の大規模熱需要家へのP2Gシステムの導入促進や再エネ資源が豊富な海外での可能性調査へ応募するなど、ユーザー拡大を図っているところです。
今後は、P2Gシステムの導入拡大を加速するため、コンソーシアムを組んでいる東レ、日立造船などのメーカーと密接に連携し、グリーントランスフォーメーション経済移行債など、脱炭素化に向けた国の新たな資金の獲得による開発・生産体制の強化も検討してまいります。
これらの取り組みを通じましてビジネスモデルを確立し、勝ち筋を見いだすことによりまして、水素エネルギー分野のトップランナーとして本県の地位が揺るぎないものとなるよう、鋭意努力をしてまいります。
最後に、少人数教育の推進についてです。
少人数教育の推進につきましては、私の重要公約であり、これまで小学校一年生、二年生に二十五人学級を導入するなど、子供たちの教育環境の充実を図ってまいりました。
この二十五人学級導入の効果につきましては、今年度に設置した少人数教育推進検討委員会におきまして、児童の学力の観点や自己肯定感といった、いわゆる非認知能力の観点などから検証を行っているところです。
検証では、二十五人学級の導入によりまして、例えば、授業での発表への意欲が向上していることや、困ったときに先生や友達に言える子供がふえていることなど、その効果が多岐にわたって確認されています。また、二十五人学級の効果以外の論点について、小学校三年生以降への少人数教育の導入や、その学級規模について議論が行われたところです。
さらに、学級数をふやさず、複数の教員を配置するアクティブクラスにつきましても議論をし、追加配置された教員の勤務時間が午前だけでは短く、午後も可能にすべきとの意見が委員から出されているところです。
検討委員会には、引き続き本県の少人数教育についてのあるべき姿を御議論いただき、年内には小学校三年生以降の少人数教育の方向性について取りまとめていただきたいと思います。
山梨の未来を担う子供たちの教育は、山梨発展の百年の大計であります。この検討委員会での議論を参考にしながら、県民の皆様にお約束をいたしました少人数教育を全力で推進し、知事としての責務を果たしてまいります。
以上をもちまして、私の答弁といたします。
その他につきまして、担当からお答えをいたします。
22
◯議長(
久保田松幸君)公営企業管理者、
中澤宏樹君。
(公営企業管理者
中澤宏樹君登壇)
23
◯公営企業管理者(
中澤宏樹君)浅川議員の丘の公園の今後の経営についての御質問にお答えします。
まず、指定管理者の選定についてであります。
丘の公園の活性化に向けては、指定管理者が県と緊密な連携を図りながら安心・安全な施設管理を行うとともに、利用者ニーズを踏まえた満足度の高いサービスや企画を実施することが重要であります。
このため、選定に当たっては、応募者の経営基盤や施設の維持管理体制、事業計画の内容、地域との連携などについてそれぞれ審査基準を設け、より質の高い指定管理を実現することとしております。
特に、収益性が低いため廃止するテニスコートやパターゴルフ場、屋内プールの新たな活用策、SNSなどによる情報発信の拡大強化、周辺施設と連携したサービスの促進などに事業効果の高い提案を求めたところであります。
今後、有識者から成る選定委員会において、応募者から提案された計画の実現可能性や事業効果などの審査を行い、収益性の向上や八ヶ岳南麓地域の活性化が図られるよう選定を進めてまいります。
次に、将来的な丘の公園の管理のあり方についてであります。
丘の公園が今後も長期にわたって地域振興事業の拠点としての役割を果たすためには、老朽化した施設や機能を更新し、さらなる利用者の増加など収益力の強化を図ることが必要であります。
そのためには、議員御指摘のとおり、施設の老朽化対策や管理期間の長期化など、管理運営の方法について、民間企業の力を活用するという視点から検討することは大変重要と考えております。
なお、指定管理期間の長期化については、これまでの県議会における御議論もあることから、議会の御意見を踏まえる中で検討を進めてまいります。
次期指定管理期間終了後の令和九年度に向けて、地元の方々や有識者の御意見を伺いながら、民間投資を呼び込む事業スキームの導入、新たなレジャー・サービスの提供、ブランド化による集客力の強化など抜本的な対策を検討し、丘の公園の収益最大化や地域の一層の振興を目指してまいります。
以上でございます。
24
◯議長(
久保田松幸君)当局の答弁が終わりました。
浅川力三君に申し上げます。残り時間はありません。
これをもって、浅川力三君の代表質問を打ち切ります。
暫時休憩いたします。
午後二時十分休憩
───────────────────────────────────────
午後二時四十分再開議
25
◯議長(
久保田松幸君)休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第一及び日程第二の議事を継続いたします。
発言の通告により、望月勝君に四十分の
発言を許します。望月勝君。
(望月 勝君登壇)(拍手)
26
◯望月 勝君 私は、自民党勁草の会を代表し、今定例県議会に提出されました案件及び県政一般について質問いたします。
まず、質問に先立ち、今夏、全国で発生しました豪雨災害により犠牲になられた方々、被害に遭われた方々、また、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々への心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。そして、最前線で感染症の対応に御尽力いただいている長崎知事をはじめ県執行部の皆様、医療関係者の皆様に心からの敬意を表し、感謝を申し上げるところであります。
さて、長崎知事が就任をされ、ことしで四年目を迎えております。知事が目指す、県民一人ひとりが豊かさを実感できるやまなしに向けて、幅広い人脈を生かしながら、県民の日常を支える各種施策を矢継ぎ早に次々と展開されており、全国でも類を見ない先進的な取り組みをはじめ、秀逸な施策を数え上げますと枚挙にいとまがありません。
振り返りますと、就任当初には、中部横断自動車道の富沢インターチェンジから六郷インターチェンジ間に係る百六十四億円と見込まれていた県負担額について、知事を先頭に国と積極的に折衝に当たられ、約百六十三億円もの大幅な負担軽減を実現されました。
県民、峡南地域住民の悲願であった中部横断自動車道は、全線開通一周年を迎えました。大手メーカーやホームセンター、物流会社など多くの企業が新たに進出するとともに、人の往来・交流も活発化するなど、本県経済の発展に目に見える大きな成果が生まれております。
次に、知事が重点的に推進してきた施策分野である「三つのK」についてであります。
まずは一点目のK、強靱化について。
令和二年六月に創設したグリーン・ゾーン認証制度は、現在、県内ほとんどの飲食店や宿泊施設が認証を受けるまでに普及しております。県内では、第六波がピークに達した令和四年一月以後も飲食店での会食を通じクラスターが発生していないことや、中学校の修学旅行先ランキングにおいて、令和二年、京都府に次ぐ二位と、前年の十三位から急上昇など、その導入効果は極めて高いものがあります。
そして、二点目のK、高付加価値化については、国が掲げる二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた、太陽光発電でグリーン水素を製造するP2Gシステムの取り組みは、国内外から高い注目を集めるまでに進展しております。
また、本県の基幹産業である機械電子工業に医療機器関連産業への進出を促進するメディカル・デバイス・コリドー構想については、医療機器市場の成長力が本県の製造業にもたらす生産金額の伸びが、これまでに百億円規模と承知しており、さらなる発展に期待が膨らむばかりであります。
三点目のK、基礎条件充実でありますが、子供の可能性を最大限伸ばせるような教育を提供する二十五人少人数学級が小学校一、二年生で導入され、一人一人の児童生徒に対応したきめ細かな指導につながっているところであります。
このように、さまざまな施策の展開に加え、中部横断道沿線地域にさらなる追い風を送ろうと、この七月には、峡南五町と県による峡南地域ネクスト共創会議が立ち上げられました。地域課題の解決のため、各町が同じ目線を持ち、議論を深める場が知事の御提案により設けられたことは、大変心強い限りであります。
長崎知事のこれまでの確かなかじ取りに評価を申し上げるとともに、私自身も改めて山梨県民ファーストで行動し、微力ではございますが、知事とともに今後も県民の皆様のお声を大切にし、初心を忘れず、誠心誠意で取り組んでまいりますことをお誓い申し上げ、以下質問に入ります。
初めに、男女共同参画推進センターの充実についてであります。
本年六月、男女共同参画推進センターぴゅあ峡南が、新たな活動拠点としてリニューアルオープンしました。当日は、私も記念式典に参加させていただき、長崎知事や地域の方々と共にオープンを祝ったところであります。
ぴゅあ峡南は、ぴゅあ総合、ぴゅあ富士に続き、本県三つ目の男女共同参画推進センターとして平成八年に南部町に開館して以来、これまで地域の方々に愛され、活用され、地域特性から生じる課題等にも対応する中で、男女共同参画の峡南地域の拠点として利用されてきました。
ぴゅあ峡南が開館してからこれまでの間には、国では男女共同参画社会基本法が制定され、本県においても男女共同参画推進条例が施行されるなど、ジェンダー平等の実現に向けての制度の整備が進んできたと認識しています。峡南地域においても、各町において男女共同参画推進条例の策定が進み、ぴゅあ峡南におけるリーダー養成講座を受講した地域の女性達がその条例づくりに携わってきました。このように、さまざまな活動を通じて、女性も男性と同じように社会に出て、社会の仕組みを学ぶことで大きなエンパワーメントにつながり、着実に男女共同参画の精神が浸透してきていると感じています。
一方、この七月に発表された世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数において、我が国は百四十六カ国中、百十六位と先進国最下位となっています。女性に対する差別をなくし、女性の人権を保障して、社会の対等な構成員として社会に貢献する女性を支援していくためには、教育や雇用などの政策を断片的に進めていくのではなく、もっと根本的に社会のありようまで変えるという気概を持って臨む姿勢が必要と考えます。
昨年来、施設の老朽化等に伴う男女共同参画推進センターのあり方に端を発し、さまざまな議論が活発に交わされる中、身近に活動の拠点があることの重要性から、新たな活動拠点を整備するとの長崎知事の英断がありました。あらゆる活動の原点は地域住民の自発的・自立的活動であり、そのためには活動の場の確保が重要であります。
新しく生まれ変わったぴゅあ峡南では、男女共同参画に資する講座や写真展、映画上映会が開催されるほか、地域活動を行うキーパーソンを養成する事業もスタートするなど、さまざまな事業が展開されていると承知しています。ぴゅあ峡南がこれまで以上に地域に根づいた活動拠点となり、本県のジェンダー平等の実現に向け、老若男女を問わず一層活用され、発展していくことを私も切に願っています。
そこで、県では、ぴゅあ峡南をはじめ、男女共同参画推進センターの充実について、どのように取り組まれるのか、伺います。
次に、峡南地域ネクスト共創会議についてであります。
日本社会全体の大きな問題である人口減少と少子高齢化は、地域経済を縮小させ、生活・行政サービスや社会インフラの維持が困難になるなど、地域が抱えるさまざまな課題をより深刻にするおそれがあります。
私の地元、峡南地域は、ほぼ全域において過疎化が進んでいることから、地域社会の活力の維持・向上は最も重要な課題であり、この課題解消への積極的な取り組みが肝要であります。
そのような中でも、昨年八月に中部横断自動車道の山梨・静岡間が全線開通してから一年が経過し、沿道の道の駅には県外からの多くの来訪客が訪れてにぎわっており、静岡、浜松、名古屋などの車のナンバーが多く見られ、売上げも大幅に伸びるなど、新型コロナウイルスの影響がある中でも大いに健闘していると伺っております。
私は、この全線開通により、東海や中京圏からの来客の増加が見込め、峡南地域はもとより、本県のほかの地域にも広く効果が及び、さまざまな可能性と期待が広がるものであり、この好機を最大限活用していかなければならないと考えております。
その一方で、インターチェンジから離れた場所にある観光施設については来客が減少する事例も見られるとも伺っておりますので、中部横断自動車道沿線からの面的な広がりも必要だと思います。
そのような中、知事は、本年六月
定例会において、中部横断自動車道の全線開通から一周年を迎えることを契機に、これまでにないレベルで峡南地域の抜本的な活性化に取り組むと答弁されました。
先月には、知事と峡南五町の町長で峡南地域ネクスト共創会議を設立し、去る八月十七日には第一回目の会議を開催したと伺っております。峡南地域に共通する課題の共有と解決に向けた取り組み、また、地域資源の特色を磨き上げ、地域全体の活性化を図るこの会議には、地元の方々も大いに期待をしているところであり、こうした知事の迅速な対応に感謝を申し上げます。
私は、峡南地域の多彩で特色ある資源をより効果的に活用していくためには、県と峡南五町の強力な連携のもと、それぞれの持つ知見やノウハウを持ち寄り、それを積極的に生かし、相乗効果をもたらす取り組みを加速度的に進めていくことが必要であると考えます。
まず、峡南地域ネクスト共創会議では、どのような取り組みを進めていくのかを伺います。
また、峡南地域ネクスト共創会議で議論する課題のうち、特に観光振興については、中部横断自動車道が開通し、静岡方面からのアクセスが向上している今が好機であると捉えています。
これまで、県や峡南五町が参画する道の駅ネットワーク協議会では、道の駅など主要な観光スポットにおいて、イベントの企画や情報発信などにより誘客を促進し、横のつながりが構築され、成果を上げてきたことは承知しております。
一方で、自動車道沿線から離れた観光地まではその効果が出ていないとの声も聞こえています。この地域には、身延山久遠寺をはじめとした歴史ある神社仏閣や温泉、伝統工芸、大自然など恵まれた観光資源が豊富にあります。また、最近では、人気アニメ「ゆるキャン」ファンなど新たな客層により、地域のにぎわいが見られます。これらの地域資源を有効活用しつつ、より広域で観光振興を図ることで大きな力になるのではないでしょうか。
そのためには、県がリーダーシップを発揮して、峡南五町と協働して目指すべき方向性を定め、共有して取り組んでいくことが必要であると考えております。
そこで、県では峡南地域の観光振興にどのように取り組んでいるのかを伺います。
次に、青少年センター体育館のパラスポーツへの活用についてであります。
昨年は、コロナ禍というこれまで経験したことのない困難な状況の中で、東京オリンピック・パラリンピックが開催されました。大会期間中は、無観客開催などさまざまな制約がありましたが、日本選手の活躍に日本中が歓喜し、コロナで疲弊した社会・経済に活気と希望をもたらしてくれました。
特に、パラリンピックにおいて、走り高跳びに出場した本県の鈴木徹選手が四大会連続で入賞するという偉業を達成したことは特筆すべきことではありますが、選手たちが勝利に向かい、ひたむきに力強く競技に取り組む姿は世界中の人々に大きな感動を与え、パラスポーツへの注目度が大きく高まったものと考えております。
県では、この機会を捉えて、パラスポーツの普及をさらに強化するために、本年度からスポーツ振興局内にパラスポーツ担当を設置しております。
一方で、昨年度、スポーツ庁が実施した全国の障害者などのスポーツライフに関する調査研究では、成人されている障害のある人の週一回以上のスポーツ実施率は三一%であり、障害のない人の実施率五六%と比較するとかなり低くなっております。私は、この原因には、障害のある人が身近な地域でスポーツを始める・続けるための活動拠点、参加機会、情報発信などの不足があるのではないかと考えております。
ことし八月にスポーツ庁が公表した障害者スポーツ振興方策に関する検討チーム報告書によると、全国で障害者スポーツセンターを設置しているのは十八都府県にとどまっており、本県を含め、二十九道県には設置されておりません。
また、県が毎年集計している本県の障害者スポーツ大会への参加者数の推移では、障害者数が増加している中、障害者スポーツ大会への参加者数が減少しており、障害のある人が継続してスポーツができる環境づくりが急務であると考えております。
知事は、本年二月議会において、青少年センターの体育館をパラスポーツに活用していくことを検討する方針を示されました。パラスポーツへの関心が高まっている中、知事の判断はまさに時宜を得たものであり、本県のパラスポーツの普及に大きな効果があるものと期待しております。先日、県下の福祉団体の代表者と話す機会がありましたが、県のこうした考えに対して感謝と期待のお気持ちを預からせていただいたところでもあります。
また、障害のある方が気軽にスポーツを楽しむためには、安心、安全に配慮することも重要と考えます。
そこで、青少年センターの体育館をどのような考え方のもと活用していくのか、御所見を伺います。
次に、第四十九回信玄公祭りの開催についてであります。
長引くコロナ禍で数々のイベントが中止や延期を余儀なくされてきましたが、ことしの夏ごろから、京都の祇園祭、青森のねぶた祭や徳島の阿波おどりなどの名立たる祭りが全国各地で三年ぶりに開催され、多くの人出で大変盛り上がったとの報道を目にするようになりました。
本県でも、甲府の七夕まつり、市川三郷の神明の花火大会や南部の火祭りなどが開催され、少しずつ生活の中に祭りが戻ってきております。
このような中、県民が何より待ち望んでいるのは、本県が全国に誇る信玄公祭りではないかと思います。
信玄公祭りは、ギネス世界記録にも登録され、県外からも多くの観光客が訪れ、地域ににぎわいや潤いをもたらし、県民に活力を与える県下最大級のお祭りであります。ことしこそはと待ち望んでおりましたが、コロナの感染拡大が収まらず、秋に延期されることになりました。
一方で、秋に延期した信玄公祭りを過去最大規模かつ県民総参加で開催するとの発表がなされ、県民は大いに期待しているところであります。
県では、そのファーストステップとして、本年四月、甲府駅北口広場や舞鶴城公園において、信玄公生誕五百年を記念したイベントを開催したところであります。
甲府駅北口広場では、和太鼓やジャズの演奏、伝統芸能の演舞に加え、全県が一体となってお祝いすることを目的に制作した歴史ロマンドラマ「信茂と勝頼」の試写会や、出演者と長崎知事及び小山田信茂が治めていた地域を代表して参加した大月市長によるトークショーが行われました。実際にイベントに参加された方々からも、「太鼓の響きや子供たちのはしゃぐ声など、忘れかけたお祭りの楽しさを思い出すことができた。秋の信玄公祭りでは、平和通りを埋め尽くす勇壮な武者行列を今度こそ見てみたい」といった声が私のところにも届いております。
私は、現在のコロナ禍という状況に立ち向かうためにも、過日、知事が表明された秋の信玄公祭りを県民総参加で開催するとの考えに大いに賛同いたします。県民総参加で行うことにより、これまで甲府にとどまっていると言われてきた信玄公祭りのにぎわいを全県に広げることができ、県下全域の観光の回復に弾みをつける絶好の機会になると考えます。
そこで、県では信玄公祭りをどのような内容で開催するのか、伺います。
次に、子供の貧困対策についてであります。
全国的に人口減少、少子化が進行する中、核家族世帯の増加や地域におけるつながりの希薄化、インターネットの普及など、子供を取り巻く環境は大きく変化し、ヤングケアラーなど子供に関する新たな課題も浮き彫りとなっています。
また、収束の兆しが見えない新型コロナウイルス感染症の拡大は子供に大きな影響を与え、部活動や修学旅行など、これまで普通に行われてきた活動ができなくなり、コロナ禍の生活様式の変化は子供たちにさまざまな面でストレスを与え、加えて長期にわたる制約のある生活が孤独感を深めているとの指摘もされています。
こうした中、これまで以上に表面化してることの一つが子供の貧困であり、厚生労働省が公表した調査結果では、全国の子供の相対的貧困率は一三・五%と、子供の約七人に一人が中間的な所得水準の半分に満たない家庭で生活を送っていることが明らかとなっており、本県の調査でも十人に一人が同様に貧困状態にあると承知しております。
来年四月には、子供政策の司令塔となるこども家庭庁がスタートし、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取り組みや政策を我が国社会の真ん中に据える、こどもまんなか社会を目指した取り組みが始まります。子供の貧困対策も、困難な状況にある子供支援の一つとして位置づけられ、子供の健やかな成長を社会全体で後押しすることとしており、私もこの推進に尽力してまいりたいと考えます。
本県は、元来、無尽など地域における支え合い文化とともに、豊かな自然環境をはじめ、図書館や児童館、公園など子供を取り巻く豊富な地域資源を有しており、子供を地域で見守る関係づくりや子供が安全に過ごせる場所の確保に必要な条件が備わっています。これまで築いてきた地域のつながりに、子ども食堂など新たな資源を生み出し地域の活力としながら、健やかな子供の成長を社会全体で後押ししていくことが必要ではないかと考えます。
県では、これまでも子供の貧困対策を積極的に推進してきたものと承知しておりますが、子供を取り巻く環境が厳しさを増す中で、子供の貧困対策を今後どのように進めていくのか、伺います。
次に、ひきこもり支援の総合対策についてであります。
本県におけるひきこもり対策は、これまでのひきこもり地域支援センターの設置による相談支援をはじめ、ひきこもりサポーターの養成のほか、さまざまな取り組みが行われています。
また、ひきこもり当事者やその家族に対しては、より身近な市町村において支援を行う必要があることから、関係機関と連携して、市町村プラットフォームの構築が進められていることは承知しております。
しかしながら、ひきこもりに対する地域社会の認識はいまだ低く、当事者や家族に問題があるとする偏見から自分ごととして捉えられておらず、結果として、当事者や家族が他に助けを求めることができないまま、悩みを抱え込んでいるケースが多いのではないでしょうか。
本年四月、国が公表した孤独・孤立の実態把握に関する全国調査の結果によると、新型コロナウイルス感染拡大により、「人と直接会ってコミュニケーションを取ることが減った」と回答した方が全体の七割近くを占めており、私は当事者や家族の孤独・孤立の深まりを懸念しております。こうした状況に思いを巡らせると、改めて、行政や関係機関による地域社会と関わるきっかけづくりや支援の手を差し伸べる必要性を強く感じるところであります。
県が令和二年に実施したひきこもりに関する調査によれば、ひきこもりになったきっかけは、「失業した」または「就職できなかった」と回答した方が全体の約四分の一を占めております。長引くコロナ禍による社会経済情勢の変化が、新たにひきこもってしまう方の増加に一層拍車をかけるのではないかと心配しています。
さらに、ひきこもり当事者やその親などの高齢化が進み、いわゆる八〇五〇問題が懸念される中で、早い段階で自立した生活を送ることができるよう支援していくことが不可欠であります。
そこで、まずは就労に向けた支援を充実させ、当事者の社会参加につなげていくことが重要と考えますが、どのように取り組んでいくのか、伺います。
また、ひきこもりの解消に向けては、行政だけでなく、地域でさまざまな活動を行っているNPOなどの民間団体の役割も非常に大きいものがあります。
県では、先般、ひきこもり支援を行う民間団体への助成制度を創設したと聞いておりますが、これにより、当該団体の活動がより充実し、ひきこもり当事者や家族のよりどころとなるよう大いに期待するところであります。
そこで、こうした民間団体の活動を一層強化することに加え、市町村等が行うひきこもり支援に取り込み、有効に活用していくことが重要と考えますが、どのように取り組んでいくのかを伺います。
次に、中部横断自動車道開通後の企業誘致についてであります。
昨年八月の中部横断自動車道山梨・静岡区間の全線開通により、東名・新東名高速道路と中央自動車道が高速道路で結ばれ、清水港や富士山静岡空港とのアクセスが容易になるなど、本県の高速交通ネットワークは飛躍的に向上しました。
私の地元、南部町にもインターチェンジが二カ所設置され、県都甲府市までの移動時間が大幅に短縮したことで、人や物の動きが活発になったことを開通一周年を機に改めて実感いたしました。
経済産業省が本年五月に公表した工場立地動向調査の結果によると、企業が工場を立地する際に重視した項目として、本社や他の自社工場への近接性を挙げている企業の割合が最も多く、高速道路の利用や市場・関連企業への近接性も上位に挙がっていることから、企業が事業拠点や取引先とのアクセスを重要なポイントとしていることが読み取れます。私は、東海・中京圏、さらには関西圏の企業の立地先として峡南地域の魅力が一層高まり、企業を呼び込む絶好のチャンスが到来していると考えます。
県では、これまで市町村が行う工業団地整備への支援のほか、本県に立地した企業に対する産業集積促進助成金の交付や税制優遇など、さまざまな支援を実施することで企業誘致による沿線地域の産業振興や雇用の創出に取り組んでこられたと承知しており、今般の企業立地の進展はこうした県の努力によるものと評価しております。
今後、中部横断自動車道の開通効果を、峡南地域をはじめ県全域における企業誘致のさらなる推進につなげていくためには、より一層積極的な誘致活動を進めることが重要と考えます。
そこで、中部横断自動車道の開通効果を生かした企業誘致のこれまでの成果を伺うとともに、今後の取り組みについて、御所見を伺います。
次に、荒廃農地対策についてであります。
本県農業は、県土の約八割を中山間地域が占める中で、生産者のたゆまぬ努力と長年積み重ねてきた高度な生産技術により、果樹や野菜、水稲など、地域の特性を生かした農業が行われております。
しかしながら、二〇二〇年農林業センサスによると、基幹的農業従事者は約二万五百人と、前回調査からの五年間で約四千二百人減少しております。また、平均年齢は六十九・九歳と高齢化が一層進行しており、今後、リタイヤする農家が増え、耕作できない農地の荒廃化が大変懸念されるところであります。
一度荒廃化した農地を営農が行える状態に戻すには多くの労力や費用がかかり、荒廃の度合いによって、営農を再開しても、以前の収穫量に戻るには長い年月がかかるとも聞いております。
令和三年の農業生産額は一千百億円を超えるなど、成長を続けている本県農業のさらなる発展に向けて、荒廃農地の増加を抑制することが極めて重要であると認識しております。
こうした中、身延町で長年栽培されてきたあけぼの大豆は、本年三月に県内で初めて地域で育まれた高い品質の農産物として地理的表示保護制度による登録がなされ、着々とブランド化に取り組みつつ、荒廃農地も活用しながら産地化が進められております。
このような、荒廃農地を減らし、意欲ある生産者が耕作する有効な農地の活用は、地域農業の活性化につながる優良な事例であると大いに期待しているところであります。
私は、荒廃農地の解消と発生防止を着実に進めるためには、まず生産者が作業しやすいよう、圃場や農道などの基盤をしっかりと整えることが重要であると考えております。
また、今回の農業経営基盤強化法の改正により、将来における農業や農地利用のあり方について地域において話し合う機会を設け、担い手や農地の活用を明確にした市町村別の地域計画を策定することになると伺っております。私は、この取り組みを地域ぐるみで進めることが、荒廃農地の発生を防止する上で極めて重要であると考えております。
そこで、県では、本県農業の維持・発展に向けて、荒廃農地の解消と発生防止にどのように取り組んでいくのか、伺います。
次に、林業の担い手の確保・育成についてであります。
四方を見渡せばそこに山があり、豊かな森林が広がっている、これが我が山梨県の風景であります。
顧みますと、戦後の復興期から高度経済成長期にかけた旺盛な住宅需要などに応えるため、大量の木材が必要となりました。その供給に大きな役割を果たしたのがこの森林であり、先人たちは汗を流して、伐採跡地へ未来のための植林を行ってきました。五十年を超える時を経て、その七割以上が本格的な伐採時期を迎えたことは誠に感慨深く、今後はこれらの貴重な財産をレガシーとして有効に活用し、県内林業の発展につなげていくことこそ、今を生きる我々の責務でもあります。
県では、やまなし森林整備・林業成長産業化推進プランにおいて、令和十一年度までに年間木材生産量を現在の一・五倍に押し上げる目標を掲げています。この達成に向けては、伐採やその後の再造林・保育を行う林業の担い手が今以上に必要となります。一方で、林業への就業の現状に目を向けますと、就業後、数年で退職する方も多く、急峻な地形のもとでの重労働がその要因の一つとも言われております。
こうしたことへの対策として、県では、現在、作業の省力化や効率化を図るスマート林業を推進し、ICTを利用した高性能林業機械の導入支援などに取り組んでいることと承知しております。労働人口が減少傾向にある中、これからの林業には、このような新しい技術に対応できる人材の育成も大事であると考えます。
こうした中、私は、本年四月に開講した専門学校山梨県立農林大学校森林学科が、人材育成の拠点としてその機能を十分に発揮することを大いに期待するものであります。
私は、令和二年九月
定例会において、開講前の本学科の人材育成の方針についての質問をいたしましたが、開講はゴールではなく、スタートに過ぎません。今後は、経営体が求める確かな技術を身につけ、長期にわたり活躍できる人材を育成することはもちろん、着実に就業につなげていくことが強く求められています。
そこで、県では、林業の担い手の確保・育成に向け、森林学科においてどのような教育を行っていくのか、伺います。
次に、国道三百号中之倉バイパスの整備について伺います。
昨年の中部横断自動車道山梨・静岡間の全線開通や、富士北麓地域を経由して峡南地域をつなぐ国道百三十八号須走道路・御殿場バイパスの開通は、峡南地域において、さまざまな効果を発現させています。
この効果をさらに確実なものとするために、峡南地域と富士北麓地域をつなぐ最短ルートである国道三百号の未改良区間の整備や中部横断自動車道のインターチェンジへのアクセス性の向上は重要であり、この地域の産業・経済のさらなる発展を促すために、継続して取り組んでいく必要があります。
また、国道三百号は、発生が懸念されている富士山噴火の際には富士北麓地域からの避難路として命の道の役割も担うことから、安全な通行の確保に大きな期待が寄せられています。
一方、県では、中部横断自動車道の全線開通を峡南地域の観光振興や地域活性化に結びつけるため、地元五町と五つの道の駅からなる峡南道の駅ネットワーク協議会において、県内外の観光客を沿線地域に呼び込む魅力的な観光ルートの作成や地域の特色ある情報の発信を行っていると承知しております。この成果もあって、峡南地域の各道の駅では県外ナンバーの車や、飲食などを楽しんでいる多くの来訪者を目にするようになりました。
中部横断自動車道の全線開通から一年を経過し、地域の特色を生かしたこれらの取り組みを継続し、さらに発展させていくためにも、中部横断自動車道とともに広域周遊観光ルートを形成する国道三百号の整備は大変重要であると考えております。
現在、国道三百号中之倉地内で整備が進められている中之倉バイパスでは、既に常葉川の対岸にトンネルや橋がつくられており、地元の期待も大きく膨らんでいるところであります。
そこで、国道三百号中之倉バイパスの現在の状況と今後の見通しについて伺います。
最後に、高齢者の交通事故防止対策についてであります。
本県では、第十一次山梨県交通安全計画に基づき、令和七年における県内の年間交通事故発生件数を二千件以下、交通事故死者数を二十人以下、重傷者数を二百六十人以下とする目標達成に向け、交通事故防止対策に取り組んでいます。
報道等によりますと、令和三年中に山梨県内で発生した人身交通事故のうち、高齢者が関係する交通事故は全体の四割近くを占め、交通事故死者の約半数が高齢者であると聞いております。
また、本年に入りましても交通事故で亡くなる高齢者は後を絶たず、本年四月には高齢者の交通死亡事故防止情報が発令されるなど、予断を許さない状況が続いています。
高齢運転者は、教習所で運転技術や交通法規を学習してから長い年月が経過しており、自分でも気がつかないうちに、長年の運転経験に基づいた危険な運転につながっているケースがあるのではないでしょうか。
高齢化の進展に伴い、本県でも高齢者の運転免許保有者は引き続き増加する傾向にあるところですが、公共交通機関が県内全域に十分整備されていないため、高齢者にとっても自動車は買い物や通院など日常生活に欠かすことのできない重要な移動手段となっており、高齢者の交通事故が減少しにくい要因になっているのではないかと考えます。
交通事故は、みずからがけがをすることにとどまらず、その多くは相手がいることから、歩行中の子供を巻き込んだ重大事故を発生させるなど取り返しの付かない被害を生じさせる可能性もあり、本県において、高齢者の交通事故防止対策は喫緊の課題であると考えます。
県警察での、こうした高齢者が関係する悲惨な交通事故を防止するため、さまざまな対策に尽力されていることには感謝をいたしておるところですが、県内における高齢者が関係する交通事故の発生状況と高齢者の交通事故防止に向けた県警察の取り組みについて伺います。
以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
27
◯議長(
久保田松幸君)望月勝君の質疑・質問が終わりました。
これより、当局の答弁を求めます。知事、
長崎幸太郎君。
(知事
長崎幸太郎君登壇)
28
◯知事(
長崎幸太郎君)望月議員の御質問にお答え申し上げます。
ただいまは、自民党勁草の会を代表され、県政各般にわたり御質問をいただきました。また、中部横断自動車道の開通を見据えた取り組みとその成果をはじめとして、私の知事就任以来の県政運営に対する高い御評価を賜りましたことに心から感謝を申し上げます。加えて、峡南地域ネクスト共創会議のこれからの施策展開にも御期待をいただき、身の引き締まる思いがいたします。
望月議員の示された山梨県民ファーストで行動し、地域住民の皆様の声を大切にして、誠心誠意で取り組まれるとの御決意には深く敬意を表する次第でございます。私も、山梨県民ファーストの言葉を胸に、三つのKが大輪の花を咲かせる未来に向け、自民党勁草の会の皆様と心を合わせて取り組んでまいりますことをお誓いし、以下答弁に入ります。
初めに、男女共同参画推進センターの充実についてです。
三月に策定した第五次山梨県男女共同参画計画の推進に当たりましては、県と関係機関の緊密な連携による推進体制の強化とともに、男女共同参画推進センターの充実を図ることとしております。
具体的には、オンライン活用による誰もが事業に参加できる仕組みの構築や、男女共同参画に深い見識を有する専門人材の配置による諸団体や個人の活動への支援などを掲げております。
このうち、オンライン活用につきましては、例えば、ぴゅあ峡南の講演会を会場から離れたぴゅあ富士からも参加可能とするなど、可能な限り講座などをオンラインで配信し、広く参加機会の提供に取り組んでいます。
専門人材につきましては、五月に国立女性教育会館の萩原なつ子理事長を委嘱し、県民との意見交換の場である交流サロンをこれまでに二十五回開催しております。交流サロンでは、自治体関係者や女性団体、企業労働者、大学生などの参加者が日ごろから抱えている課題について、意見交換やワークショップを通じてその解決に向けた支援を実施しています。
一方、議員御指摘のとおり、課題解決には地域における自発的・自立的な取り組みが重要であることから、自主的な活動を促進するための補助金を昨年十月に創設いたしました。これまで、ジェンダーに関する絵本の作成や「性の健康デー」シンポジウムの開催などの取り組みを支援しましたが、今年度はこの補助金の予算額を一・五倍に拡充し、より支援体制を強化しています。
なお、国では、六月に女性活躍・男女共同参画の重点方針二〇二二を決定し、国立女性教育会館を男女共同参画のナショナルセンターに位置づけ、各地のセンター機能の強化を図る方針を掲げています。
このような国の動きも注視しながら、引き続きオンラインを活用した事業効果の拡大や専門人材の見識を生かした支援機能の強化などによりまして、男女共同参画推進センターの充実を図ってまいります。
次に、峡南地域ネクスト共創会議について、幾つかお尋ねをいただいております。
まず、峡南地域ネクスト共創会議における取り組みについてです。
議員御指摘のとおり、人口減少・少子高齢化は社会の課題であり、その中で、峡南地域は高齢化率が高く、地域の活性化は喫緊の課題であります。
中部横断自動車道の全線開通から一年がたち、沿線地域に吹いている活性化の追い風を最大限活用するには、この機を逃さずに、できることを洗い出し、いち早くアクションを起こすことが重要です。
峡南地域ネクスト共創会議は、私と地元の町長が一堂に会する場であり、峡南五町プラス県の、いわば峡南六者の連携のもと、複数分野にわたる共通の課題を総合的に議論し、施策を展開してまいります。
また、各町が持つ特色につきましては、それらを磨き上げた上で、その強みを持ち寄り、連携・ネットワーク化することで着実な地域活性化へとつなげてまいる考えであります。
先般開催した会議におきましては、地域が抱える課題を共有し、アイデアを出し合う中で、特に関心が高く、相互連携による一層の効果が見込める次の四つの分野について、ワーキンググループで検討を始めたところです。
まず、観光サイクルツーリズムにつきましては、さまざまな観光資源を有する峡南地域のイメージを取りまとめ、それをもとに戦略を立てることにより、地域への新しい人の流れの創出につなげるものであります。
また、富士川水系の河川環境保全は、住民の営みを支えてきた大切な富士川の環境を地域が一体となって守り続けていくことにより、地域のイメージアップと来訪者の増加につなげるものであります。
このほか、公共交通網は地域住民の通院や通学の手段の確保、また山村留学は将来の移住者の増加につなげられるものです。
今後、これらの検討結果をもとに、年内には第二回会議を開催いたします。
峡南地域ネクスト共創会議が峡南地域の飛躍を成し遂げるための牽引役となるよう、峡南六者が一体となり取り組んでまいる所存です。
県としては、この峡南地域の取り組みを全県地域のモデルとできるよう努めてまいります。
次に、峡南地域の観光振興についてです。
議員御指摘のとおり、峡南地域におきましては、豊かな地域資源を有効活用しつつ、各町が連携して広域的な視点で観光振興に取り組む必要があります。
このため、県では、峡南地域の観光の目指す方向性を考えるワークショップを五町と連携して開催し、そこで得た意見を踏まえ、本年度末までに地域の観光振興戦略として取りまとめることとしております。
現在、国内の旅行市場は、主要観光地の回避や自然景観への志向といった傾向が高まっており、また来月には、日本文化や自然に関心の高いインバウンド市場が本格的に再開されます。
一方、峡南地域には、身延山久遠寺をはじめ、県内屈指の歴史ある神社仏閣や本県を代表する伝統工芸、豊かな自然など観光資源が豊富にあり、こうした市場の動きを取り込む大きな可能性を秘めております。これら観光資源を、例えば学びやスポーツなど新たな観点から連携させ、付加価値を高めることにより上質な観光地を創出することとし、そのために必要な施策を戦略的に盛り込んでまいります。
なお、峡南地域では、今、各町を舞台とした人気アニメを活用したツーリズムが盛り上がりを見せており、広域観光が芽吹きつつあります。そこで、この新たな芽を大きく育てるため、周遊観光を促進する二次交通手段としてレンタル電動自転車のシステムを整備することとし、必要な経費を九月補正予算に計上しております。
今後策定する戦略に沿って事業展開をするとともに、今できることは躊躇せず、スピード感を持って実行し、峡南地域の観光振興に積極的に取り組んでまいります。
次に、青少年センター体育館のパラスポーツへの活用についてです。
議員御指摘のとおり、障害者スポーツ大会への参加者数は減少傾向にあるため、障害のある人がスポーツに参加しやすい環境を整備することが喫緊の課題となっております。
このため、県では、貸出しの希望が多く、高価で個人購入が難しいボッチャ用具やスポーツ用車椅子の整備をクラウドファンディングを活用して支援することとしたところであります。
また、関係団体との連携・調整を中心に担うコーディネーターを二名任命するとともに、障害者スポーツ施策を包括的・計画的に行うパラスポーツ推進プロジェクト実行委員会を設置いたしました。この実行委員会におきまして、県内四圏域ごとに地域スポーツの活動の場として特別支援学校を指定し、現在、障害のある人が身近な場所でスポーツに親しめる環境づくりを進めているところであります。
この取り組みの中で、青少年センターの体育館を改修し、県内におけるパラスポーツ活動や情報発信を行う新たな拠点施設として活用することとし、九月補正予算に設計費を計上したところです。
改修に当たりましては、自動ドア、空調設備を新設するとともに、車椅子の方も利用しやすい障害者用トイレやシャワー室などを設け、障害のある人が安心して利用できる施設にすることとしております。
また、アリーナは、ボッチャや車椅子バスケットボールなどのパラアスリートからこれらの競技に関心を持つ方まで、誰もが一緒にパラスポーツを楽しめる場として整備をしてまいります。
なお、整備終了後は日本パラスポーツ協会が認定する障害者スポーツセンターとして登録をしてまいりたいと考えております。
今後は、市町村などの運動施設に対しましてもこの枠組みへの参加を促し、県内全域で障害のある人もない人も共にスポーツに親しみ、社会参加ができる共生社会の実現・充実を目指してまいります。
次に、第四十九回信玄公祭りの開催についてです。
今回の信玄公祭りは三年半ぶりの開催となることから、これを契機として、より広く県民や県内経済に開催効果が及ぶ内容に充実させることとしております。
まず、祭りの目玉となります甲州軍団出陣は、一般からのオープン参加枠を拡大して隊を編成し、勇壮華麗な行進を展開してまいります。この出陣に先立ちましては、県内各地でミニ出陣式を行い、武者姿のまま電車で会場に参集し、祭りの雰囲気を全県に広げてまいります。
また、このお祭りを通じまして、外に開かれた新しい「開の国」が温かく多様性を包摂する地を目指していくことを象徴的に表現するべく、多様なバックグラウンドを持つ方々にお声がけをし、ハロウィンにちなんだ仮装パレードをあわせて実施いたします。
このほか、「かいの国 SHINGEN MARCHE」と銘打った農畜産物や地場産品の即売会を開催し、祭りのにぎわいを広く県内産業に波及させることとしております。
加えて、新型コロナウイルス感染防止対策の徹底を図るため、関係者の抗原検査に要する経費を九月補正予算に計上いたしました。
今回の信玄公祭りを県民総参加、過去最大規模で開催することによりまして、県内観光産業の回復に弾みをつけ、本県経済の力強い再生につなげてまいりたいと考えております。
次に、子供の貧困対策についてであります。
子供は、日々かけがえのない成長の時間を過ごしており、貧困により悩み苦しむ子供や子育て家庭に寄り添った支援を行うことは急務であります。
まず、最優先すべきは子供の成長を支える食であるため、県内各圏域で食料支援のネットワーク構築を進めており、この取り組みを契機に、子ども食堂の新設など地域資源の創出にもつながっています。
また、子ども食堂が行う「Go To キャンプ」などのイベントを支援し、子供や家族に癒やしの時間を提供する中、趣旨に賛同し、活動に参加する学生や団体が増加しています。
県では、こうした支援の輪の広がりを後押しするため、十月から、県内各圏域で子ども食堂の活動や運営方法をPRするセミナーを開催することとしました。
さらに、子供みずからが貧困を克服していくためには、置かれた環境により夢や進学を諦めることのないよう、子供の学習意欲を高めるための支援を強化する必要があります。そのため、無料の学習支援の場を開設して、学力の向上はもとより、生活面の困りごとへの相談にも親身に対応し、世代間での貧困の連鎖を防ぐ取り組みを進めています。
今後はこうした取り組みをさらに充実・強化し、本県の強みである豊富な地域資源を最大限活用しながら、子供の貧困対策を一層強力に推進してまいります。
次に、ひきこもり支援の総合対策についてです。
ひきこもりには、部屋に閉じこもって出られない方から特定の場所であれば外出できる方まで、幾つかの段階があり、その状態に応じた支援を総合的に講ずる必要があります。
県が実施した調査によりますと、ひきこもり状態にある方の約六割が買い物程度の外出ができることから、まずは、こうした外部との接触のある方を対象に就労や社会復帰につなげていくことが肝要であると考えています。
そこで、これらの方が自立した生活を送ることができるよう、キャリアコンサルティングからインターンシップまで一貫した支援を行うことによって、労働体験の機会を提供していくことといたしました。具体的には、キャリアコンサルタントへの委託に要する経費や、インターンシップの日数に応じて支給する手当など、就労への意欲喚起のための経費を九月補正予算に計上したところであります。
また、民間団体の支援を当事者や家族が安心して受けられるよう、一定の基準を満たした団体を県が認証する新たな仕組みを設け、民間団体の信頼性を高めてまいります。さらに、認証団体を市町村などでも積極的に活用していただけるよう、県のホームページなどで広くPRすることといたします。
加えて、市町村と認証団体が連携して支援手法を学ぶ研修会を開催するなど、県、市町村及び民間団体が一体となって、ひきこもり当事者や家族の支援に取り組んでまいります。
最後に、国道三百号中之倉バイパスの整備についてです。
国道三百号は、中部横断自動車道とつながり、新東名高速道路や東富士五湖道路とともに富士山を囲む周遊ルートを形成する路線であります。また、富士山噴火や南海トラフ地震などの大規模災害が発生した際には、避難・救助をはじめ、物資の供給を担う緊急輸送道路であります。
県では、これまでに波高島バイパスや常葉バイパス、古関バイパスなど、順次整備を進めてきたところです。
現在、中之倉地区におきまして、ヘアピンカーブや点在する防災危険箇所の解消を図るため、延長約五キロメートルについて、バイパスなどの整備を進めています。
このうち古関側の一・八キロメートルの区間は橋梁やトンネル工事が完成し、残る舗装や安全施設工事を進め、本年十二月に供用開始する予定であります。これによりまして、四カ所のヘアピンカーブが解消され、大型観光バスなどのすれ違いが可能となり、円滑な通行が確保されます。
また、本栖湖側の三・二キロメートルの区間につきましては、ヘアピンカーブを解消するためのバイパス整備とともに、現道の拡幅整備を実施する計画としております。本年度は測量や地質調査、道路設計を進め、来年度から一部用地取得に着手してまいります。
今後も引き続き、峡南地域と富士北麓地域をつなぎ、人・物・情報の移動を支える信頼性の高い道路ネットワークの整備に取り組んでまいります。
以上をもちまして、私の答弁といたします。
その他につきまして、担当の部長からお答え申し上げます。
29
◯議長(
久保田松幸君)林政部長、
入倉博文君。
(林政部長
入倉博文君登壇)
30
◯林政部長(
入倉博文君)望月議員の林業の担い手の確保・育成についての御質問にお答えをいたします。
県内の林業経営体は、即戦力として現場作業を安全・的確に行うことができ、なおかつ長く林業に携わることができる人材を強く求めております。
このため、農林大学校森林学科では、広大な実習林を活用し、少人数制のもと徹底した反復練習を行うなど、植栽から伐採に至る基本的な技術を見につけさせることを教育の最重点課題として位置づけております。
あわせまして、ICTなどを活用した効率的で安全な林業について学ぶほか、クレーン操作をはじめ、十五種類の資格取得を目指しております。
さらに、現場業務を経験した後、林業経営体の中核として活躍できるよう、事業収支を踏まえた現場管理やマーケティングなど、林業経営に関する知識の習得に必要な教育を行っていきます。
一方、卒業生を確実に林業経営体へ送り出すことも本学科の重要な役割であります。具体的な取り組みといたしましては、意欲的な若手経営者との意見交換やインターンシップなどを通じて林業の魅力を伝え、学生たちのモチベーションを高めてまいります。
また、本学科の教育内容をしっかりと県内の林業経営体へPRするとともに、関係機関と連携をいたしまして、学生たちへの就職先のあっせんに万全を尽くしてまいります。
以上のような取り組みを通じて、県内の林業経営体で長期にわたり活躍する人材を継続的に輩出することにより、林業の成長産業化を推進してまいります。
以上でございます。
31
◯議長(
久保田松幸君)産業労働部長、
山本盛次君。
(産業労働部長
山本盛次君登壇)
32
◯産業労働部長(
山本盛次君)望月議員の中部横断自動車道開通後の企業誘致についての御質問にお答えします。
県では、これまで、交通インフラの整備などによる立地環境の向上を見据えつつ、地域未来投資促進法に基づく計画を策定し、企業誘致活動を進めてまいりました。
こうした中、議員御指摘のとおり、中部横断自動車道の静岡・山梨間の開通を契機として、県内への企業の立地が大きく進展しております。昨年度、総合計画で目標に掲げる事業者の立地計画の承認件数は年間十六件に上り、対前年比で倍増いたしました。
今後、沿線周辺では、大手化粧品メーカーの工場や大規模な物流施設などの新設に加え、県内企業の工場拡張や半導体製造工場の操業再開も予定されています。また、医療機器や半導体、環境エネルギーなどの分野の企業の設備投資も数多く計画されるなど、さらなる産業振興や雇用創出も期待されるところとなっています。
県内の事業用地に対する問合せ件数についても、一昨年度の三十一件に対し昨年度は六十九件と大幅に増加しており、企業の関心の高さが現れております。
こうした状況をさらに加速させるため、県では昨年度、関西圏を中心とした企業を対象とする調査を実施し、本県に関心を持つ企業の掘り起こしを行いました。この成果を踏まえ、中部横断自動車道の開通効果をさらに大きなものとするため、今後は、首都圏企業はもとより、静岡県以西の企業にも積極的なアプローチを行ってまいります。近年進出した企業の中には、国内三十カ所以上の候補地の中から、本県の景観・立地環境・助成制度、行政の丁寧な対応を決め手としたケースもあります。
今後も、市町村と連携を図りながら企業のニーズに一つ一つ丁寧に対応し、選ばれる県となることを目指し、誘致活動に鋭意取り組んでまいります。
以上でございます。
33
◯議長(
久保田松幸君)農政部長、
大久保雅直君。
(農政部長
大久保雅直君登壇)
34
◯農政部長(
大久保雅直君)望月議員の荒廃農地対策についての御質問にお答えします。
県では、令和元年度から昨年度までの三年間で、約九百ヘクタールの荒廃農地を解消し、農業参入する企業に集積するなど、その有効活用を進めてきました。一方で、荒廃農地の総面積は減少しているものの、この三年間で約五百ヘクタールの荒廃農地が発生しております。本県農業を維持・発展させていくためには、荒廃農地の解消とあわせて、今後、発生を防止する取り組みを強化していくことが極めて重要であります。
議員御指摘のとおり、基幹的農業従事者の減少は荒廃農地の増加につながることから、今後も新規就農者の確保に努めるとともに、規模拡大を目指す新規就農者に対して、荒廃農地の有効活用を促してまいります。
また、国の調査結果によると、荒廃農地の主な発生要因として、生産基盤の未整備が挙げられております。このため、本年度も生産条件が不利な中山間地域二十三地区で圃場や農道などの基盤整備を着実に進め、あけぼの大豆のような地域の特産品を栽培する取り組みなどを後押しし、有効活用を図ってまいります。
さらに、農業経営基盤強化促進法が改正され、市町村は、担い手や農地利用のあり方など、地域農業の将来像を明らかにしていくこととなりました。
県では、この地域計画の円滑な策定に向けて、アドバイザーの派遣など市町村を支援するとともに、農地の受け手となる担い手の地域への紹介を県農業会議や農地中間管理機構と連携のもと進めてまいります。
今後は、市町村と連携し、地域計画の実現に向けた効果的な基盤整備と農地の有効活用を着実に進め、荒廃農地の解消と発生防止に鋭意取り組んでまいります。
以上でございます。
35
◯議長(
久保田松幸君)警察本部長、
伊藤隆行君。
(警察本部長
伊藤隆行君登壇)
36
◯警察本部長(
伊藤隆行君)望月議員の高齢者の交通事故防止対策についての御質問にお答えいたします。
本年八月末現在、高齢者の交通事故の件数は四百八十一件、前年とほぼ同数で推移してございます。
また、交通死亡事故のうち、高齢者が第一当事者であるものが約半数に及ぶなど、議員御指摘のとおり、高齢者の交通事故防止対策は重要な課題であると認識しております。
こうした状況から、県警察では、高齢者の重大事故が多発する路線を選定し、発生の多い時間帯にパトカー等による交通街頭活動を集中的に行うなど、対策を強化しております。
また、過去に交通事故を起こしたことのある高齢者が繰り返し事故当事者となるケースが多いことにも着目しております。
そこで、交通事故の第一当事者となった高齢者宅への戸別訪問を行った上で、ドライブレコーダーを貸し出して運転診断を行うなど、個々の特性を踏まえた交通安全指導を推進しております。
さらに、高齢者事故の分析結果から、買い物目的で通行中の事故が多いことにも着目し、昨年十月から、スーパーマーケット等での広報啓発活動も強化しております。
これらに加え、一定の違反歴を有する七十五歳以上のドライバーに対して、免許更新時に運転技能検査を行う制度を適切に運用するとともに、サポートカー限定免許制度の周知にも努めてまいります。
県警察では、交通安全協会や安全運転管理者協議会等、関係団体、関係機関と十分に連携の上、これらの施策を通じて高齢者の交通事故防止を図ってまいります。
以上でございます。
37
◯議長(
久保田松幸君)当局の答弁が終わりました。
望月勝君に申し上げます。再質問はありませんか。望月勝君。
38
◯望月 勝君 青少年センターの体育館のパラスポーツへの活用についての再質問をさせていただきます。
ただいま答弁の中で、障害のある人が身近な地域でスポーツを始める・続けるための活動拠点として、この体育館をパラスポーツに対応できるよう整備していくとの答弁がありましたが、そこで、施設の整備とともに、障害のある方が気軽にスポーツを楽しむために、安心・安全に配慮したソフト面での対応も必要になると考えますが、この御所見を伺いたいと思います。
39
◯議長(
久保田松幸君)スポーツ振興局長、塩野開君。
(スポーツ振興局長 塩野 開君登壇)
40
◯スポーツ振興局長(塩野 開君)望月議員の再質問にお答えをいたします。
障害者が安心、安全にスポーツを行うためには、そのスポーツを指導する指導員、またそのスポーツの内容を熟知している指導員の育成が重要であると考えております。このため、県では、これまで障害者スポーツ指導員を百八十六名育成をしてきております。
この指導者を今後とも育成をしていくことによりまして、その体制を整えていきたいと考えております。
以上でございます。
41
◯議長(
久保田松幸君)再質問はありませんか。望月勝君。
42
◯望月 勝君 また、定例議会の補正予算で青少年センターの体育館の設計費用が計上されており、これから審議されるわけですが、利用開始までの今後の見通しについて伺います。
43
◯議長(
久保田松幸君)スポーツ振興局長、塩野開君。
(スポーツ振興局長 塩野 開君登壇)
44
◯スポーツ振興局長(塩野 開君)望月議員の再質問にお答えをいたします。
申し訳ありません。先ほどの答弁の中で、これまで百八十六名というふうに答弁をいたしましたけれども、百六十七名でございます。訂正をさせていただきたいと思います。
御質問の利用開始までの今後の見通しでございますけれども、設計は障害者スポーツ団体などからの助言も踏まえながら行いまして、設計終了後、来年度から順次改修工事を実施をしてまいります。令和六年度中の供用開始を予定をしてございます。
以上でございます。
45
◯議長(
久保田松幸君)これをもって、望月勝君の代表質問を打ち切ります。
以上で、本日の日程は全部終了いたしました。
明九月三十日、午前十一時、会議を開き、一般質問を行います。
本日は、これをもって散会いたします。
午後三時五十三分散会
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