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  1. 東京都議会 1994-11-08
    1994-11-08 平成6年厚生文教委員会 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時七分開議 ◯下村委員長 ただいまから厚生文教委員会を開会いたします。  本日は、教育庁関係の事務事業に対する質疑を行います。  これより教育庁関係に入ります。  これより事務事業に対する質疑を行います。  本件については既に説明を聴取しております。  その際、要求いたしました資料はお手元に配布いたしております。  資料について理事者の説明を求めます。 ◯松木総務部長 過日の委員会でご要求のございました事務事業に係る資料につきまして、お手元の厚生文教委員会資料にまとめてございますので、ご説明申し上げます。  表紙をめくっていただきますと、目次でございます。1の公立中学校卒業者の進路状況の推移から次ページの41、現代美術館についてまで、四十一項目でございます。  一ページをお開きいただきたいと存じます。  公立中学校卒業者の進路状況の推移につきまして過去十年間にわたりお示しいたしました。表の右端の平成五年度をごらんいただきたいと存じます。平成六年三月卒業生のうち進学者は十万一千二百八十三人で、九六・三%となっており、過去十年間では最高の進学率でございます。  二ページをお開きいただきたいと存じます。高等学校就学計画及び実績の推移でございます。  高等学校の就学計画とその実績につきまして、昭和六十年度から平成六年度までについて記載いたしました。都内公立中学校卒業者の推計を計画卒業者数とし、それに公私連絡協議会で決定されました計画進学率を乗じたものが進学者の計画数でございます。  三ページをごらんいただきたいと存じます。平成六年度都立高等学校学級当たり生徒数でございます。  全日制課程普通科の一学級当たり生徒数は、全学年で四十・九人となっております。  四ページをお開きいただきたいと存じます。都立高等学校定時制課程の平成六年度募集停止校の基準及び学級増減基準についてでございます。  定時制課程の入学者充足率の低下による学校の小規模化が進み、一方、生徒の学習希望、学習歴は多様化しております。この現状を踏まえ、都教育委員会は、定時制高等学校の適正規模、適正配置を図るとともに、充実改善に努めております。  五ページでございます。家庭科の男女必履修の実施についてでございます。  家庭科に関する科目の履修計画、施設整備の状況及び教員の配置状況につきましてお示ししてございます。
     六ページをお開きいただきたいと存じます。都立高等学校における中途退学者の推移についてでございます。  昭和五十九年度から平成五年度までの十年間について記載いたしました。中途退学者数は、平成二年度をピークに下降いたしております。  次に七ページでございます。都内公立学校における登校拒否児童生徒数及びいじめの発生件数の推移についてでございます。  この表における登校拒否児童生徒は、当該年度間に、学校嫌いを理由として五十日以上欠席した者でございます。  八ページをお開きいただきたいと存じます。生徒減に伴う適正規模の学校の展望についてでございます。  小学校児童数は昭和五十四年度、また、中学校生徒数につきましては昭和六十年度をピークに減少を続けており、将来を見据えた長期的展望の必要性を強く感じているところでございます。  九ページでございます。肢体不自由養護学校重度重複学級及び児童生徒数についてでございます。  学級数、児童生徒数につきまして記載いたしました。  一〇ページをお開きいただきたいと存じます。肢体不自由養護学校に係る重度重複学級措置率でございます。  重度重複学級の措置率、配置教員数等を、他県と比較してお示ししてございます。  一一ページでございます。平成六年度都立盲・聾・養護学校スクールバス運行所要時間でございます。  各学校別に、スクールバスの運行に要します時間のうち最短と最長のものを記載してございます。  一二ページをごらんいただきたいと存じます。病院に入院している児童生徒の教育実態についてでございます。  教育を受けている児童生徒の割合、教育の実施形態につきましてお示ししてございます。  一三ページでございます。都立高等学校及び盲・聾・養護学校校舎改築計画についてでございます。  改築についての基本的な考え方、改築計画を記載いたしました。  一四ページをお開きいただきたいと存じます。小中高等学校の余裕教室数及び転用状況でございます。  学校種別ごとに、余裕教室数と特別教室や多目的教室等に転用いたしました状況につきましてお示ししてございます。  一五ページでございます。盲・聾・養護学校寄宿舎の整備状況と今後の計画についてでございます。  盲・聾・養護学校十二舎の整備の状況と、表の右端に今後の整備計画につきまして記載いたしました。  一六ページをお開きいただきたいと存じます。教員の休日における部活動指導の実態でございます。  勤務の実態につきましては、学校種別ごとにお示ししてございます。  なお、(1)の表の下に記載いたしましたが、養教とは養護教諭、また、実助とは実習助手のことでございます。  一七ページをごらんいただきたいと存じます。校長、教頭の休日等の勤務の実態及び休日出勤に対する手当でございます。  (1)で勤務の実態を記載いたしましたが、表の下、(2)のところでございますが、管理職員特別勤務手当の支給された者を集計しております。また、出勤の業務といたしましては、学校行事等によるものでございます。  次に、一八ページをごらんいただきたいと思います。教員の定数と現員状況、平成七年度の新規採用計画と選考試験の方法についてでございます。  一八ページに教員の定数と現員について、また、次の一九ページに採用状況と試験について記載いたしました。教員の採用につきましては、近年の児童生徒数の減少によりまして、非常に採用が困難になってきております。  次の二〇ページをお開きいただきたいと存じます。学校教職員の勤務の評定と成績特別昇給についてでございます。  教員等と事務職員等とに分類して、目的、成績特別昇給の定数等につきましてお示ししてございます。  次に、二一ページでございます。教育管理職への成績率導入についてでございます。  導入の経緯、実施時期、対象者等をお示ししてございます。  二二ページをお開きいただきたいと存じます。教員嘱託員の配置状況とその役割、仕事内容についてでございます。  教員嘱託員は、平成六年四月一日現在で三千八百三十三人配置してございます。仕事の内容は、健全育成総合推進指導生活学習指導等でございます。  二三ページをごらんいただきたいと存じます。学校五日制の実施状況についてでございます。  休業日の授業時数の確保の方策と、休業日になった土曜日の午前中の児童生徒の過ごし方について記載してございます。  次に、二四ページをお開きいただきたいと存じます。都立高等学校進級卒業等相談室の相談実績とその内容についてでございます。  相談実績と内容について記載いたしましたが、平成六年度につきましては、平成六年九月三十日までのものでございます。  二五ページをごらんいただきたいと存じます。中学校における脱偏差値後の進路指導の実態についてでございます。  学年別進路指導計画と実際の進路選択までの過程をお示ししてございます。  二六ページをごらんいただきたいと存じます。入学式、卒業式の国旗掲揚、国歌斉唱の実態についてでございます。  入学式、卒業式における国旗掲揚、国歌斉唱の実施状況を学校種別ごとに記載いたしました。  次に、二七ページをごらんいただきたいと存じます。小中高等学校における自然体験学習の実態とその振興策についてでございます。  自然体験学習につきましては、主として林間部、臨海部で実施する移動教室を通して行っております。  次に、二八ページをごらんいただきたいと存じます。児童生徒のボランティア活動の実態についてでございます。  福祉局が所管するボランティア活動普及事業協力校として、公立学校三百十四校が活動しております。  二九ページをごらんいただきたいと存じます。道徳教育の現状についてでございます。  道徳教育の推進状況につきましてお示ししてございます。  次に、三〇ページをお開きいただきたいと存じます。消費者教育の実態についてでございます。  学習指導要領で明確に示されている消費者教育の内容を各学校の教育課程に位置づけて、記載のような指導を行っているところでございます。  三一ページでございます。人権尊重教育の実態についてでございます。  学校教育に関しまして、同和教育に関する事業、在日外国人児童生徒教育に関する事業、男女平等教育に関する事業とに分類し、記載してございます。  次に、三二ページをお開きいただきたいと存じます。コンピューター教育の実態と今後の展望についてでございます。  コンピューターの導入状況及び利用形態、指導内容及び教員の情報教育研修について記載してございます。  次に、三三ページでございます。外国語教育における外国人講師導入の実態と今後の方向性についてでございます。  外国人英語等教育指導員等の授業により、生徒の外国語学習に関する興味、関心、意欲が高まり、一層の指導時間数の拡充が望まれております。  次に、三四ページをお開きいただきたいと存じます。善行児童生徒への表彰制度についてでございます。  都教育委員会は、人命救助等善行のあった児童生徒に対して、昭和五十九年から表彰を実施いたしております。これまでの表彰の総件数は七百四件でございます。  次に、三五ページでございます。公立小中高等学校の学校開放の実施状況についてでございます。  小中学校の開放状況は、全体の九五・五%、また、高等学校においては公開講座で六〇・四%、体育施設で六七・五%となっております。  次に、三六ページをお開きいただきたいと思います。三六ページから三八ページにわたりまして、エイズに関する指導と性教育及び保健教育の実態について示してございます。  それぞれ基本的な考え方、取り組みの現状、課題と今後の対応とに整理して記載いたしました。  三九ページでございます。国際交流事業の実態についてでございます。  平成六年度における教育庁所管の国際交流事業につきましてお示ししてございます。  四〇ページをごらんいただきたいと存じます。四〇ページから四一ページにかけまして、青少年の国際交流の実態とその効果についてでございます。  青少年の国際交流といたしまして、青少年洋上セミナーとスポーツ交流とに分類し、それぞれの実績と効果についてお示ししてございます。  四二ページをお開きいただきたいと存じます。東京都における学校給食の実態についてでございます。  平成五年度における給食の実施状況は、小学校で一〇〇%、中学校で八八・九%となっております。  四三ページでございます。小中高等学校の体育の振興策についてでございます。  学校体育の振興策について、基本的な考え方、取り組みの現状、課題と今後の対応とに分け記載いたしました。  四四ページをお開きいただきたいと存じます。都民の体力づくり推進策とその実態についてでございます。  体育施設において、都民に対する体力づくり事業のほか、各区市町村の指導者に対する研修会等を実施し、都民の体力づくり推進に努めているところでございます。  次に四五ページでございます。現代美術館についてでございます。  現代美術館の美術資料等の収集にかかわる情報の公開につきましては、さきの第三回定例会におけるご審議の中で、皆様から貴重なご意見、ご要望をいただきました。また、都教育委員会といたしましても、情報公開制度の趣旨を踏まえ、個人情報の保護等に留意しながら、できるだけ早期に公開できるよう努めることを申し上げてまいりました。この間、都教育委員会は、広く関係者等の意見を聞きながら、また、他の公立美術館の対応等を参考にいたしながら、東京都美術資料取得基金による美術資料等の収集にかかわる情報の取り扱いについて、次に申し上げるように決定いたしました。  まず、購入金額及び購入先につきましては、原則として開示いたします。ただし、個人情報の保護の観点から、作者の遺族等からの購入の場合は、購入金額は開示いたしますが、購入先は非開示とし、また作者本人からの購入の場合は、都の美術館ということから、作者のご好意により安く譲っていただくということもありますので、購入先は開示いたしますが、購入金額については非開示とさせていただきました。  次に、美術資料評価員会及び収集委員会の委員の氏名につきましては、開示いたします。  次に、美術資料収集委員会の議事録につきましては、委員会での率直な論議を担保し、利害関係者からの過度の働きかけを防止し、また、不採用になった作品に配慮いたしまして、非開示といたします。  以上でございます。今後とも、都民の理解をいただけるように努力してまいりたいと存じます。  さて、ご要求のございました現代美術館に関する資料についてでございますが、この方針に基づきまして、ここの四五ページから四六ページ、四七ページ、四八ページ、四九ページ、五〇ページ、五一ページ、五二ページまで記載してございます。  以上、簡単でございますが、事務事業に関してご要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどをお願いいたします。 ◯下村委員長 説明は終わりました。  ただいまの資料を含め、質疑を行います。  ご発言を願います。 ◯東野委員 要求させていただきました資料に関連いたしまして、大きく、小中高等学校の人事関連、それから都立高等学校の充実に関してという二点に絞りまして質問させていただきます。  最初に、人事関連第一点目でございます。実は私自身への市民相談に基づいての質問になるのでございますが、教員の定期異動というのが、当然ながら定期的に行われるわけですが、数名単位での定期異動が行われる際に、運動関係ですね、部活等における運動関連に意欲を持たれている教員が一時期に異動をしてしまう、特に体位向上という観点で大切な時期である中学校の活発な部活が、そういったいっときの数名の教員の異動により、部が廃部となってしまうケースがあるという中で、そこの学校に通っている中学生、また、これから小学校からその学校に進もうとしている六年生の子供たちが失望する例があるということなんでございますが、こういった教員の異動に際しまして、部活動振興の観点からしましても、この点について配慮することが現実的にはできないのかどうか、この点をまず最初にご質問させていただきます。 ◯福田人事部長 異動に際し、部活動振興の配慮についてでありますが、部活動は教育活動の一端を担うものでありまして、その運営に当たっては、校長の指導のもと、教職員が連携協力して、生徒の意欲を高め、部活動の振興を図ることが大切であると考えております。都教育委員会は、教員の定期異動により、教員の経験を豊かにし、資質の向上を図っておりますが、異動に当たっては、今後も部活動の意義を踏まえて、校長の具申、区市町村教育委員会の内申等を十分考慮いたしまして、適正な配置を行うように努力してまいりたいと存じます。 ◯東野委員 わかりました。  続きまして、生徒のいじめ並びに中途退学者等に関連しまして、三点ほど伺います。  最初に、各区市町村に教育相談室というのが設けられているわけですけれども、いじめとか、それから登校拒否などの対応を実施されているわけでございますが、全体として相談件数そのものがどの程度か、また、相談に応じる体制は現状で十分と判断されているかどうか。資料によりますと、いじめの実態というのは若干減少傾向にあるわけですが、登校拒否の児童生徒数については依然非常に高い数値にある、そういった現状にかんがみまして、まず一点目、お伺いしたいと思います。 ◯買手屋指導部長 まず、教育相談所、あるいは教育相談室という名称のものもございますが、現在、二十三区二十七市一町に設置されてございます。平成五年度における全体としての相談件数は九千五百七件という数字になっております。また、相談に応じる体制についてでございますが、現状では、相談の需要に対応できていない、そういうような声は特に聞いてございません。 ◯東野委員 わかりました。  次に、登校拒否に絞りたいと思うのですけれども、特に登校拒否への対応として、区とか市に適応指導教室が設置されているというふうに聞いているのですけれども、この現状はどうなっているか、お伺いします。 ◯買手屋指導部長 平成六年五月一日現在の調査でございますが、適応指導教室は十二区十五市に三十八教室が設置されてございます。そこには専門の心理カウンセラーが置かれているところもございますが、ほとんどは退職いたしました校長、教頭、あるいは教諭が嘱託といたしまして指導に当たっている。これらの適応指導教室では、学校生活への適応力を育てることに努めております。実際には、学習のおくれを取り戻すような指導、あるいは人とかかわってたくましく生きる力をどうにか身につけさせていく、いわゆる集団指導、こういうことを現実に行っているわけでございます。 ◯東野委員 今お答えいただきましたことに関連しまして、教育相談室なり適応指導教室ですか、その存在そのものをご父兄の方たちが知らずに悩みを抱えて悶々とする、何といいますか、潜在需要というか、そういったものが相当数あろうかなというふうに思います。これは私の主観でございますけれども……。  そういったことを考えた場合、先ほど対応は現状では一応十分だということでございましたけれども、別の観点で、父兄にそういったものがあるという告知、その告知という観点では何らかの手だてというものをとられておられるのかどうか、お伺いしたい。 ◯買手屋指導部長 適応指導教室は義務教育の場合でございますので、区市教育委員会が設置しているという状況になっておりまして、それぞれの区市教育委員会はかなりきめ細かくPR、広報をいたしている、このように伺っております。 ◯東野委員 今後の話になるわけでございますけれども、今後保護者の方々や学校の相談に応じる体制をさらに充実していく、現実的に登校拒否児童の減少をもくろみ、そしていじめの実態の減少をもくろんでいくために、体制の充実ということで、例として、名前がいいのかどうかは知りませんけれども、人材バンクのような形で、退職される校長や教頭の経験や能力を生かす場を、現在ある以上に整備することが必要じゃないかというふうに考えるのですけれども、その点をお聞きしたいと思います。 ◯福田人事部長 退職の校長、教頭の管理職経験者については、その知識や経験を生かして、健全育成指導に係る総合推進業務や教育相談業務に再雇用職員として任用し、学校等に現在配置しているところでございます。参考に、平成六年度の再雇用状況を申し上げますれば、小中学校で七百五十一人、高等学校百一名、心障校で三十二名、計八百八十四名、それから健全育成総合推進指導、教育相談等の従事者数が、小中学校で四百二十二名、高等学校で三十五名、心障校で八名、計四百六十五名、全体で現在千三百四十九名を再雇用として配置しているところでございます。  ご提言の教育人材バンクを含めて、退職の校長、教頭の経験を生かせるような活用方法については、今後十分調査研究してまいりたいと考えております。 ◯東野委員 次に、都立高校の充実という観点で、昨今都立高校という地位ですか、これは比較論になるのかもしれませんけれども、どうやら衰退ぎみであるというようなことがいわれて久しいんでございますが、その一方で、それに対抗する手段というか、その対応策として、特色ある高校、魅力ある高校づくりということも、現実に国際高校等の建設、設立を初め進められていく、そういった現状があるわけでございます。  まず一点目に、青少年の体育、スポーツ振興との観点で、都立高等学校において体育、スポーツにかかわる学科の設置が望まれるのではないか、このように思っております。今後の構想について、ご意見なりございましたら、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
    ◯齋藤学務部長 都立高校におきます体育やスポーツに関する学科についてでございますけれども、現在都立駒場高等学校に専門学科として保健体育科を設置しております。また、ことしの四月から普通学科高校のコース制として、都立南高等学校保健体育コースを設置したところでございます。都立高校に学ぶ生徒の能力、適性、興味関心あるいは進路希望が多様化している中で、東京都教育委員会といたしましても、生徒の体育、スポーツに対するニーズなどを踏まえまして、今後都立高校の活性化を一層推進する面からも、既設校の充実や新たな体育コースの設置について検討してまいりたいと考えております。 ◯東野委員 体育というかスポーツを一生懸命頑張る人というのは、よく勉強もするというふうに一般的にいわれていますし、ご検討をよろしくお願いしたいと思います。  次に、平成七年度、明年度からですが、入学者選抜に新たに推薦制度というのが都立高校に導入されることになったわけでございますけれども、最初に、各高等学校における推薦基準、これがどのようになっているのか、ご説明いただきたいと思います。 ◯齋藤学務部長 推薦入学制度の導入につきましては、来年四月を目途に普通科、商業科に新たに導入する予定で、ただいま準備を進めているところでございます。その中で、推薦に基づく選抜を実施する高等学校は、東京都教育委員会の定めました推薦入学実施方針がございますけれども、その実施方針に示された推薦基準を踏まえまして、各高等学校独自の具体的な推薦基準を定めたところでございます。  先月、十月以降、各学校別の推薦基準一覧表を作成いたしまして、進路指導に関する情報といたしまして、ただいま各中学校に提供しているところでございます。現在、各高等学校がそれぞれ学校説明会というようなものを逐次実施をしておりますけれども、そういう際に、それぞれの学校ごとの推薦基準をわかりやすく、丁寧に周知するようただいま奨励しているところでございます。また、中学校に対しましては、校内の推薦に当たりまして、各高等学校別の推薦基準を参考にしながら、学校としての組織的対応を十分図るよう、あわせて指導、助言をしているところでございます。 ◯東野委員 最後になります。  推薦制度を導入するということは、都立高等学校の活性化という観点からも、一つの画期的な方法というふうに考えられるわけです。現実問題、その推薦制度の導入によって、当局として都立高等学校の活性化が図れるというふうに考えられてやられていると思うんですけれども、どのような観点から活性化ということが図られるというふうにお考えなのか。 ◯齋藤学務部長 推薦に基づく選抜は、当該高等学校を希望し、意欲ある生徒を、中学校長の推薦によりまして、一般選抜とは別に行うものであります。都立高等学校にとっては、次のような意義があると考えております。  一つは、学力検査では評価しがたい中学校在学中の学習成績や意欲、適性などを適切に評価できるということ。次に、各都立高等学校は、それぞれの特色に応じ、一般選抜とは異なる尺度により生徒を評価し、それぞれの学校にふさわしい生徒を選抜することができるということ。もう一つは、目的意識や意欲を持った生徒の入学によりまして、都立高等学校の活性化を図ることができるということがあるというふうに考えております。都立高等学校の活性化を図っていくためには、多面的な対応が必要ではございますけれども、推薦入学制度の導入も、その大きな力の一つであるというふうに考えております。 ◯西田委員 それでは、まず現代美術館の問題について伺います。  この件につきましては、第三回定例会でロイ・リキテンシュタインの作品の契約にかかわりまして取り上げられたところですが、我が党委員がこの議案審議に当たりまして、購入価格、収集委員及び評価員の名簿、議事録などの公開が都民の疑問に答える上からも絶対に欠かせないものであるということを求めたところです。残念ながら、この当然ともいえる要求に対しまして、教育庁はそのときに答えられませんでした。この契約をめぐりまして、マスコミでも引き続き問題が取り上げられております。都民の疑問の声は、議会終了後も寄せられているのです。私は、教育庁がこうした疑問に率直に答えることが、今求められていると考えます。  初めに、九月の委員会ですが、我が党の田中議員が明らかにしたところですが、今回の現代美術館の作品の収集が、美術館の作品収集方針から大きく逸脱しているという問題を取り上げたわけですけれども、実際にロイ・リキテンシュタインの作品を含めると、一億円以上の作品十九点のうち十六点がアメリカの作家の作品ということでした。改めて新美術館の美術資料収集方針を紹介していただきたいと思います。 ◯荻野生涯学習部長 現代美術館の資料収集方針でございますが、収集の基本的考え方といたしましては、内外の現代美術を中心に、次の視点から資料収集するという形にしてございます。  第一点といたしましては、首都東京の視点から、現代美術館の常設展示が我が国の文化的自己表現となるように、日本の美術のすぐれた作品を収集する。第二点といたしましては、国際都市東京の視点から、現代美術館が国際文化交流の拠点となるように、友好都市を含む諸外国の作品を収集する。欧米のみならずアジア等世界各国の作品も収集する。第三点といたしましては、ふるさと東京の視点から、東京にかかわりの深い作家のすぐれた作品を収集する。また、現代社会における美術表現の多様化に対応するために、幅広い分野で収集する。さらに、現代の美術がどのような変遷をたどって生まれてきたかを知る上で必要な近代の作品も収集するという基本方針に基づいて収集しているところでございます。 ◯西田委員 この収集方針は納得できるというか、理解できるものであります。これに対して、収集の実態が日本の現代美術の収集を基本としたこの収集方針から見て疑問だと、こういうことを田中議員はただしたわけであります。ところが、教育長は、日本の作品は上野美術館で基本的に収集されているとした上で、現代美術の収集は不足している、穴のあいている部分を埋めるものとして、海外の作品や現代美術の主流となっているアメリカの作品が多くなっているというふうに述べておられます。  私は、ちょっとこれはおかしいんじゃないかと思うんです。先ほども述べましたけれども、現代美術館の収集方針ですよね。上野美術館ではないわけです。現代美術館の収集方針は、第一に、現代日本の作家の作品を挙げている。ですから美術関係者の方々が口をそろえて、日本の現代美術の拠点となるような収集をしてほしい、こういわれているのではないでしょうか。新美術館準備ニュース第五号でも、国立西洋美術館の高階館長が、新美術館では特に日本の現代美術のコレクションを充実させてほしいですねと述べられているわけです。美術界からも評価されていた上野美術館の収集方向を百八十度転換させたのではないでしょうか。実際に計算してみますと、一九六〇年代のアメリカのポップアートということで、一億円以上の作品では八七%、五千万円以上の作品でも七九%、購入総額六十四億二千二百二十七万円のうち、五十三億九千六百五十九万円もの巨費がアメリカの作家に投じられているという異様さであります。収集方針と収集結果が大幅に食い違っている、なぜこんなことが起きるのでしょうか。本当に公正、適正に購入が行われたのかが問われているのだと思います。  そこで、具体的に伺いますけれども、当委員会に私が要求いたしました資料が提出されています。五千万円以上の購入価格と購入先、収集委員会と評価員会の名簿です。それにリキテンシュタインの「ヘア・リボンの少女」の購入経過内容というものです。私は、この委員会にこうした資料が公開されたことは評価するものですけれども、同時に、なぜ「ヘア・リボンの少女」の契約が議案として審議された九月の委員会にこうした資料の公開が行われなかったのか、本当に残念に思いますし、また、そのことに疑問を持つわけでもあります。そして、今回の議事録については、かたくなに公開を拒否されていますが、これも納得ができません。なぜ収集委員会の議事録、評価員会の評価内容が公開できないのか、もう一度改めてお伺いしたいと思います。 ◯荻野生涯学習部長 収集委員会の議事録につきましては、率直かつ忌憚のない論議の担保、それから利害関係者からのさまざまな働きかけや批判の防止、不採用となった作品への配慮、そして東京都公文書の開示等に関する条例第九条六号、七号の規定によりまして非開示とするものでござます。あわせまして、昭和六十一年の江戸東京博物館に関する公文書開示審査会答申で非開示とされた事例がありますので、そういうものを総合的に勘案した結果、公開できないということでございます。なお、評価員会につきましては議事録はございません。 ◯西田委員 先ほどと同じ答弁ですけれども、到底納得できません。田中議員も前の委員会で述べましたけれども、これは民間と民間の話ではないんですよね。東京都が都民の税金を使って購入するものなのであります。しかも、二億円以上のものについては議会の承認が要るということで、たった一件だけが出てきたわけですけれども、この議案が諮られなければ、現代美術館が七十五億円もの基金を使って一体どのような作品を購入しているのか、都民には知らされないままだったわけですね。  そこで伺いますが、このような美術品などの購入に当たりまして、地方自治法第九十六条に基づいて議会の議決の必要なものについて政令で定めているわけですが、その基準額は幾らになっておりますか。 ◯荻野生涯学習部長 地方自治法施行令に基づきますと、都道府県が定めます金額は七千万円を定める金額を下らないこととするということになってございます。 ◯西田委員 東京都も九〇年三月議会で条例改正まではこれに準じていたわけですよね。東京都が二億円に独自に引き上げた理由は何でしょうか。 ◯荻野生涯学習部長 議会に付議すべき物品購入の金額は、平成二年の三月に、一つは、昭和四十一年以来七千万円に据え置かれていて、この二十四年間に物価水準が約三倍になり、同倍程度の引き上げの必要があったこと、二つ目には、二十四年間据え置いたために、他府県に比較して東京都の金額が低くなってしまい、均衡を図る必要があったこと、以上の理由によりまして、七千万円から二億円に引き上げられたというふうに聞いてございます。 ◯西田委員 条例改正の経緯につきまして、教育庁の幹部が、高額美術作品の購入を控え、都側も議会も大変になるので引き上げたようだと話すというような新聞記事が実は載ったんですよね。もしこれが事実だとすれば重大な問題なんですけれども、実際に一般的な用品や動産などの購入で議案として提出されたものはほとんどありません。現代美術館の美術品の購入でも、ロイ・リキテンシュタイン作品も含めて四百八十点、六十四億二千万円以上の美術品購入が行われていますが、議会に諮られたのは、今回の六億一千万円の「ヘア・リボンの少女」だけであります。それは二億円以上という条例の定めがあるからなわけですけれども、もし二億円以下ならば議会にかからないということで巨額な美術品購入が進められてきたのではないか、こういう疑惑みたいなことが述べられているわけです。  具体的に伺いますけれども、九〇年十二月、アンディ・ウオーホルの作品の購入価格は幾らでしょうか。 ◯荻野生涯学習部長 一億九千八百万円でございます。 ◯西田委員 議決に必要な二億円との差はわずか二百万円だと。なぜ、このような価格になったのでしょうか。 ◯荻野生涯学習部長 これは収集、評価委員会での審議、評価の結果を踏まえまして、調査及び折衝の過程で、市場価格の動向や最近の取引価格等を参考に交渉を重ねてきた中で、結果的にこのような価格になったというふうに思っております。 ◯西田委員 いろいろ今、折衝の過程等云々というお話がございました。本当にそうなのかなというふうに思います。  九一年の十一月に購入決定しておりますフランク・ステラの作品はどうでしょうか。 ◯荻野生涯学習部長 一億九千九百八十二万円でございます。この作品につきましても同様な結果でございます。 ◯西田委員 いただいた資料を見ますと、それだけではございませんね。今の二点以外にも一億九千万円台の作品は五点もあります。リキテンシュタインを除く一億円以上の作品十八点のうち七点が一億九千万円以上、一億八千九百九十万円というのも一点あります。議会の審議逃れといわれても仕方がないのではないかというふうに思います。  私は、さきの九月議会で、あれだけ購入価格の公開を求めたにもかかわらず、教育庁がそれをかたくなに拒否した理由、これはこんなところにあったのかなというふうに思うんですけれども、なぜ、この九月議会で公開を拒まれたのでしょうか。この資料を見ますと、だれもが納得するんだと思いますが、だれが見ても、一億九千九百八十二万円などという、二億円をわずかしか下回らない価格が設定された、これは疑問が生じるのは当然です。  しかも、私、この委員会を傍聴しておりました。で、議事録を確かめてみました。田中委員の一億円以上の高額作品の国籍別作品点数と金額についてという質問に答えられまして、「一億円以上の作品は十八点ございまして、その中で、アメリカ人の作家につきましては十五人ということで、約十五億円ということでございます。」というふうに答弁されたんですね。  私は、ああ、約一・一億円だなというふうにお聞きをしていたんですが、今回出された資料によりますと、リキテンシュタインを除く米国を主な活動地域にしている作家、この中ではデイビッド・ホックニーも入ると思うんですけれども、合計十五名の購入総額は三十一億二千五百万円になります。間違いないでしょうか。 ◯荻野生涯学習部長 ホックニーを含めまして十五人で、合計三十一億三千三百九万二千三百円となります。 ◯西田委員 繰り上げたかという感じになりますけれども、約、私が申し上げた金額になります、資料から出しておりますので。  この前の委員会では、間違いなく十五億円と答弁されているんですよ。なぜ十五億円とお答えになったのか、何かわけがあるんでしょうか。本当に素直にその答弁を理解すれば、すべて一億円以上の作品ですから、十五人の作品、つまり十五点の作品で合計十五億円、一人一億円の購入価格ということになりますね。  ところが、このとき委員会には、ここにありますように、個々の購入価格は明らかにされていませんでした。明らかにされていたのは、一億円以上、五千万円以上という一覧でした。つまり、この答弁を伺う限りでは、だれも議決の基準の二億円すれすれのものがあるなんていうのは思いもしないですね。私も思いませんでした。一点一億円と考えるのは当たり前ではないでしょうか。問題は六億円のリキテンシュタインの作品だけと思いますよね、当然議会にかかる大きいお金というのは。そういうふうに思うわけですが、このときに契約議案すれすれのものがこんなにたくさんあったともし皆さんわかっていたら、また委員の皆さんも、いろいろ問題にされたのか、あるいは納得されたかどうかというふうに私、思います。  ですから、私たち日本共産党は、こうした経過や収集作品の購入価格を明らかにするように求めたわけですね。そういう点では、ちょっと、その答弁が違っていたということには本当に納得できませんし、どういうことなのかなというふうに思います。  問題はこれだけではありません。九一年六月二十八日に購入決定した一億円以上の作品二点の合計額は幾らになるでしょうか。 ◯荻野生涯学習部長 前回の関係につきましては、十五人の作家と、それから一億円以上という形で、十五億円以上という形で答弁したというふうに記憶してございます。  それから、九一年六月二十八日分の作品二点の合計金額でございますが、三億一千五百四十万円でございます。 ◯西田委員 それでは、同じ九一年の十一月二十二日の分ではどうでしょうか。 ◯荻野生涯学習部長 九一年十一月二十二日の分につきましては、合計金額で五億百六十三万六千円でございます。  なお、三点でございます。 ◯西田委員 モーリス・ルイス、フランク・ステラ、プライス・マーデン、こういう三点ですね。このほかにも翌年には四点で七億三千九百万円、こういうものもあります。ところが、これらは単体では二億円以下ということで、議会にも報告されずに購入されているわけですね。  私は、何よりも二億円と定めた基準が実態に合っていないというふうに思うわけですけれども、少なくとも地方自治法が定める七千万円以上について議決を経るべきものだというふうに思います。といっても、この委員会でこのことを論じるのが目的ではありませんが、少なくともそういう立場に立って教育庁は、五千万円もしくは七千万円以上の購入に当たっては、議会に報告するようにすべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。 ◯荻野生涯学習部長 先ほどの件につきましては、議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例、第三条に基づきますと、契約一件当たりの予定価格がいずれも二億円以下であるということから、議会のご審議をいただかなかったということでございます。  今後につきましては、作品購入に当たりましては、原則として公開していくということにしました。したがいまして、議会に報告をということにつきましては、前回の委員会でも議論がございまして、今後どういう形で公開していくのかということを検討してまいりたいというふうに思っております。 ◯西田委員 改めて強く議会へ報告するように求めておきたいと思います。  購入に当たりまして、購入額一つを見ても疑問がぬぐい切れないのですが、なぜ二億円すれすれの契約が並ぶのか、なぜロイ・リキテンシュタインの作品が購入対象とされるのか、議事録が明らかにされなければ、結局やみの中であります。  次に、購入先の問題ですが、一億円以上で複数の作品を購入した画廊名と点数を教えてください。 ◯荻野生涯学習部長 一億円以上の作品を複数購入した画廊につきましては、細見画廊で、三点、合計四億九千五百十二万一千円でございます。 ◯西田委員 二点が一億九千万円以上ということで二億円に近いわけですね。では、五千万円以上の場合、一番購入点数の多い画廊はどこですか。 ◯荻野生涯学習部長 細見画廊で、五点で、合計六億二千七十八万円余でございます。 ◯西田委員 結局、細見画廊から、一業者からの購入点数ではダントツの五点、合計六億二千万円もの作品が購入されているわけですが、ちなみに、七千万円以上で二点購入しているのが、ほかに二業者ありますし、五千万円以上では、細見画廊を除くと、三点購入が二業者、二点購入が四業者、合計七業者であります。集中が異常だというべきではないでしょうか。  これらの作品は、細見画廊が所有していたものですか。 ◯荻野生涯学習部長 細見画廊からオファーがあったものでございます。 ◯西田委員 仲介ということですか。所有していたわけではなくて仲介だとすると、この業者が、現代美術館の購入予定の作品の先回りをしていたことになるんではないでしょうか。それとも、この業者は、こうした巨額の著名作家の作品、それから作品とのつながりを持っていたことになるわけです。常識ではなかなか理解しにくいことだと思います。  では、五千万円以下のものも含めて、細見画廊から購入した全体の作品点数、それから購入額を教えてください。 ◯荻野生涯学習部長 先ほど申し上げましたように、五点で、合計六億二千七十八万余円でございます。 ◯西田委員 次に、購入中止となったジャクソン・ポロックの作品の購入予定額、購入決定の経過について述べていただきたいと思います。 ◯荻野生涯学習部長 ジャクソン・ポロックにつきましては、抽象表現主義を代表する米国の作家でございまして、現代美術館としてぜひとも収集したい作家であるため、収集委員会、評価員会に諮ったものでございます。予定価格につきましては、非開示でございまして、申し上げられません。 ◯西田委員 そうしますと、収集委員会では正式に購入決定というか、されたわけですね。それがなぜ取りやめになったのか、教えていただけますか。 ◯荻野生涯学習部長 ポロックの作品につきましては、平成五年四月の評価員会及び収集委員会におきまして、収集が妥当との決定を見ましたので、その後、契約に向けて準備を進めていたところでございます。  しかし、議会案件でもございますので、関係局との綿密な調整を図っていたところ、七月に入りまして、相手方の画廊から、所有者の事情で今回の売買契約は見送りたいとの申し出がございまして、見積書の取り下げ願いも出されました。  これらを検討しました結果、やむを得ない事由と判断されましたので、関係者とも協議の上、最終的に購入を断念したものでございます。 ◯西田委員 業者が辞退したということですが、疑惑の告発があったという報道もあります。都教委は、この告発について何か調査されましたでしょうか。 ◯荻野生涯学習部長 私どもといたしましては、この画廊からいろいろと話を聞いた上でいろいろ調査をしまして、あわせまして、ご指摘の、文書が、というふうなこともございましたので、その事実関係についても十分調査をいたしました。で、何事も出てきませんでした。 ◯西田委員 収集委員会で正式に決定されたもの、それが十四億円という、今回のリキテンシュタインの倍以上のものだといわれておりますが、これが都民の知らないところで購入が決められて、また都民の知らないところでいつの間にか取り消されるというのは、どういうことかなというふうに思います。  ところで、このジャクソン・ポロックの作品を持ち込んだ、あるいは取り扱ったといった方がいいんでしょうかね、画廊はどこでしょうか。 ◯荻野生涯学習部長 新生堂という画廊でございます。 ◯西田委員 その新生堂という画廊は――実際には、都にこの作品を紹介したのは細見画廊ではないんでしょうか。そういうふうに新聞報道でお認めになっていらっしゃる方もいらっしゃる。一億円以上で三点、五千万円以上で見ますと五点、合計六億二千万円、全購入額の一割を超す作品を購入している業者ですね。  結局、こうした問題が、議会の場で審議のまないたにのせられることで、初めて都民の前に明らかにされるわけですね。そういう意味では、高額の作品購入に当たりまして、都民の疑問や疑惑にこたえるのはこれからの仕事でありますが、もう議会にかかる契約はないからといって、あいまいにしてよいというものではもちろんありません。我が党は、購入価格、委員の公開とあわせて、議事録の公開を議会における審議にとって不可欠なものだとして要求してまいりました。  今、るる述べてきましたように、まさに都民の疑問や疑惑について解明するかぎとなるのは、評価員会での評価の決定過程、収集委員会の議事録の公開であることは明らかだと思います。今回、購入が明らかにされる中で、この間の美術品の収集が、現代日本の美術を第一にする現代美術館の収集方針から大きく逸脱していることは明らかではないかと思いますが、都教委は、評価員会での評価決定過程、それから収集委員会の議事録を直ちに公開するべきだと考えます。  同時に、現代美術館のオープンを控えて、この現代美術館を文字どおり日本の現代美術の拠点となるようにしていかなければならないと思います。そのためには、美術品の収集に当たりまして、日本の現代美術を育成していく立場から、現代日本の作家の作品を作品収集の基本に据えて、加えて世界の現代美術を視野に入れる立場から、アジア各国や欧米などの世界の現代美術に広く門戸を広げるべきだと考えます。  また、今後の現代美術館の運営に当たりましては、広く都民の参加を保障することが必要だと思います。単なる展示会場としてだけでなくて、これからの創造活動の拠点とするためにも、美術団体が強く求めている公募展などへの会場の開放などにも積極的に努めるべきだと考えます。これらは、意見を述べて、この問題についての質問は以上で終わります。  次に、新指導要領の問題に絡んで質問をさせていただきます。  先ほどご答弁がありましたけれども、改めて、登校拒否、それから、この資料にはいじめの件数もございますが、子供たちの自殺の数が最近の五年間でどのように推移してきているか、明らかにしていただきたいと思います。 ◯買手屋指導部長 自殺の発生件数の推移でございますが、六十三年度は、小学校ゼロ、中学校九、合計九件でございます。平成元年度は、小学校ゼロ、中学校三、合計三件でございます。平成二年度は、小学校一、中学校二、合計三件でございます。平成三年度は、小学校ゼロ、中学校五、計五件でございます。平成四年度は、小学校一、中学校二、合計三件でございます。 ◯西田委員 登校拒否の方はいかがでございますか。 ◯買手屋指導部長 登校拒否でございます。学校嫌いを理由といたしまして年間五十日以上欠席した生徒の数でございますが、小学校、中学校合計いたしまして、平成元年度五千七十五人、平成二年度三千八百十七人、平成三年度四千六百六十八人、平成四年度五千百二十人でございます。 ◯西田委員 登校拒否はどんどんふえていますし、いじめ、それから何かわけのわからない自殺とか性非行とか、子供たちをめぐるこういう問題が、今大きな社会問題になっているわけですね。教育庁といたしましては、このような状態が進行している原因は何なのか、どんなふうに分析していらっしゃいますか。 ◯買手屋指導部長 ただいまいろいろ、自殺あるいは登校拒否、非行等の原因ということでございますが、登校拒否に関しましては、私ども、増加しているというこの状況を大変憂慮しているわけで、厳しく受けとめているわけでございますが、実際のさまざまな問題の原因は、多くのことがふくそうし、絡み合っておりまして、なかなか一つこれが原因だということを申し上げることが難しいわけでございます。登校拒否に関しましては、さまざまなところで研究協議が行われております。例えば、相談所連盟で、登校拒否にかかわりまして来所相談に見えている方の内容を分析したものもございます。個人の資質にかかわるもの、家庭の親子関係等にかかわるもの、あるいは社会にかかわるもの、そして学校教育に深くその原因がかかわっているもの等々がございます。大変複雑でございまして、一つの原因ということで申し上げることがなかなかできないというふうに思っております。 ◯西田委員 一つの原因でというのはもちろん難しい。そんなことはないわけで、いろんな問題が絡み合っているということはそのとおりだと思います。  ところで、私は、今、学校はどうなっているのかということをちょっとお聞きしたいんですが、新学習指導要領が、今年度高等学校まで実施ということでありますけれども、この新学習指導要領のもとで、今、学校は大変な事態に陥っているというふうに申し上げなければならないと思うんですね。どの子も勉強がわかりたい、こう思っています。どの先生も、すべての子供にしっかりと基礎的な学力を身につけさせたい、こう願っています。ところが今、子供たちは授業がわからない、こういって悲鳴を上げて、そして教師の方は教科書が終わらない、こうやって苦悩しているわけですね。その原因は、実ははっきりしていると思うんです。今まで詰め込みだった学習指導要領が、さらに過重、過密の詰め込みになって、重くのしかかっているからだと考えます。  そこで伺いますが、小学校一年生の算数で時計の見方というのを学ぶわけですけれども、これまでの指導要領と新学習指導要領で、学習内容がどう変わったでしょうか。 ◯買手屋指導部長 時計の読み方というところでございますが、これまで二年生で扱っておりましたものが、児童の日常生活との関連から、必要な時刻まで分まで読ませる――時間でございましたのを分まで読ませる、こういうことになりました。 ◯西田委員 一時、二時と読めればよかったものが、一時何分というところまで読ませるという話ですね。そのほか、算数のミリリットル、それからアール、ヘクタール、最大公約数、最小公倍数、それぞれどう変わりましたでしょうか。 ◯買手屋指導部長 まず、ミリリットルでございますが、今まで六年生で扱っておりましたミリリットルを二年生で扱うようになったということでございます。日常生活で、牛乳等でミリリットルという読み方が大変身近になっているということで、早い時期に教えるという趣旨でございます。  次に、アールあるいはヘクタールでございます。これは、今まで六年生で扱っておりましたのが四年生で扱うようになりました。社会科等で、四年生で面積が出てくるときに、同じ種類のものでございますので、そこで習った方がよろしいということで、そちらに行っております。  次に、最大公約数、最小公倍数のことでございますが、これは従来から、公約数の中で一番大きい数、これは最大公約数のことでございます、それから公倍数の中で一番小さい数、これは最小公倍数のことでございますが、そう呼んでいたのを、最大公約数、最小公倍数という熟語で出てくるということで、内容が特に変わっているわけではございません。 ◯西田委員 そういう呼び方で、中学生から小学生におりてきているということではないでしょうか。それから、国語の漢字はどうなっていますか。 ◯買手屋指導部長 失礼いたしました。先ほど、五年生で中学校から――数学の呼び方に関しては先ほどの答弁のとおりでございます。  次に、漢字のことでございます。漢字は、六年間全体で九百九十六文字を習う、これは前学習指導要領でございますが、新学習指導要領では千六字、十字ふえているわけでございます。その内容を見ますと、一年生では四文字ふえている、それから二年生では十九文字ふえている。全体で減った文字もございますので、こういう計算になるわけでございますが、低学年で漢字が増加しているという傾向はございます。 ◯西田委員 今、二学年ぐらいしかお答えいただきませんでしたけれども、漢字は高学年では減っていて、低学年の方へどんとおりてきているわけですね。算数の方も、今お話がありましたように、今度の学習指導要領では特に低学年が超過密になって、上から下へ大量におろされてきているというのが、私は一つの特徴ではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。 ◯買手屋指導部長 漢字が低学年にかなりふえてきた、低学年の学習負担が重くなってきたんではないかということでございますが、漢字の例をとりますと、確かに増加しているわけでございますが、まず低学年における国語の授業時間数が週一時間、一、二年生で増加している、こういう状況がございます。それから、ふえた漢字でございますが、これは昭和五十七年度から六十年度にかけまして、国立国語研究所が小学校の児童を対象に調査を行ったものがございます。そこで児童がどういう言葉をよく使用するか、あるいはその習得率、定着率などを調査しておりまして、そういうことを総合的に勘案して、無理のない漢字をふやしていった、こういう現状がございます。 ◯西田委員 私は、今の指導部長のお話は、本当に現場の実態を知らないお話じゃないかというふうに思います。それは統計は、いろんなレベルのところをとれば、あるいは無理のないというふうにいえるかもしれませんが、例えば漢字でも、私は四年生を受け持った先生のお話を聞きましたけれども、四年生で、週八時間のうち二時間を漢字指導だけに当てているというんですよ。一つの漢字の成り立ちから、書き順から、意味から、全部ちゃんとやりますと、たった二文字しか子供たちは覚えないというんですよね。それで三十五週間やりますと、二文字で大体年間百四十字、これぐらいしか、ちゃんと教えようと思ったらできない。ところが、この四年生では今度また覚える文字がふえて二百字になっているわけですよね。あとの六十字どうするんだろうかって、先生は悩んでいるわけですよ。これはもう、わかろうとわかるまいと、さっさ、さっさとやっていけば、それは教科書は終わりますよね。だけど、そんなことをしたって子供たちは覚えない。覚えないし定着しない。これをどうするのかって、今先生たちは実は悩んでいるわけですよね。  算数の問題でも、一年生が、今まで一時、二時、三時となって、長い針が十二で、短い針が一と、こういうのだとすぐわかったんですね。一時、二時とわかった。みんな喜んで、一時、二時とやっていたのが、ある先生が久しぶりに一年生を持ったら、指導要領が変わっていたわけですよ。それで一時十五分とか、一時何分とか教えなきゃならない。そうしますと、子供は全然わからないというんですね。一というその短い針が一のところにないわけですよ、一のときに。一から二の方へ動いていく。そして、十五分だと長い針が三のところへ来ている。その長い針が三のところに来ていて十五分というのが、幾ら教えてもわからないというんですよ。その先生は本当に困っているんですって、こうおっしゃるわけですね。(「教え方が悪いんだよ」と呼ぶ者あり)教え方が悪いなんていうんじゃないですよ。あなた教えてごらんなさい、ちゃんと一年生に。わかる子もいますよ。わかる子もいますけれども、こんな一年生に、生活体験もまだなくて、五分も十五分も――いいですか、三と十五がなぜそうなるのか、掛け算は習っていないんですから、こんなのはわかれという方が無理ですよ。そういうことを一年生に今の学習指導要領は持ち込んでくるわけですね。ですから、休憩をとってもう一回丁寧に教えていろいろやっても、わからないよ、つまらないよという話になってしまって、わかる子もいるけれども、それがもう本当に飽きてしまうということになっているんですね。
     その先生は、自分に指導力がないんだろうかとか、他の先生に比べて劣っているんだろうかとか、いろいろ悩むと。しかし、悩んでいたってこれは解決しないから、どうやったらそれを子供たちにわからせることができるか、私はこの研究会に来ましたといって、研究会で発言をしていらしたそうであります。私は、これが今本当に、どの子にも教えたい、こういう願いを持った現場の先生たちの非常な苦悩がにじみ出ている典型的な例じゃないかというふうに思います。いろんな方に聞きましたら、これは一人や二人の話じゃないんですね。みんなそれはもうどうにもならないって、こういっているわけですよ、漢字もそうですし。だから、こういう問題は、もうどんなに教師が頑張っても、教師の努力だけではどうにもならないわけですよ。そういう実態があるんですよね。  今、指導部長から、とにかく大丈夫だという話がありましたけれども、こういう現場の先生たちの苦悩だとか、子供たちの悲痛な叫びというのは、あなたのところには届いていないですか。 ◯買手屋指導部長 私ども指導主事が、区市教育委員会とともに小学校あるいは中学校等を訪問しておりますが、その訪問のときにおいて、またいろいろな場面において、今具体的にお話ございましたようなことは聞いてございません。 ◯西田委員 こういう指導部では、東京の教育はよくなりませんよ。本当に子供たちや先生たちは苦悩して悩んでいるんですよ。親も心配しているんですよ。あなたたちの耳にはそういうことが何にも届いていないなんて、それに耳が開けない指導部では、東京の教育は救われない、そういわなければなりません。  ところで、新学力観というのはどんな学力観ですか。 ◯買手屋指導部長 学力ということがどういうことかということにもかかわってくるわけでございますが、かつての学力観が、知識、理解を中心にした学力観――どのくらい理解しているか、どのくらい覚えているか、そういう学力観が中心でございましたが、みずから学ぶ意欲というのは、学びたいという意味の学力だろうと思います。それから、思考力、判断力、表現力、これは学ぶ力、これも学力の一つだと思います。そして、学んだ結果としての知識、理解、この三つの部分があるわけでございますが、新しい学力観と申しますのは、その三つのいわゆる学力観の中身が、バランスがとれて、どれも重視されている、そういうものでございます。  かつて、知識中心の学力観ということでございましたのを、みずから学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力なども加味して、そういうものも重視した、そういうバランスがとれた学力、これがいわゆる新しい学力観といわれているものだと考えております。 ◯西田委員 そういう中で、教師の役割はどのようになるといわれていますか。 ◯買手屋指導部長 いわゆる新しい学力観を育てていくという教育活動の中では、いわゆる学習活動が、子供一人一人のよさや可能性を引き出す場になっている、こういうことであると思います。その子供の持っている資質を見つけ出し、それを支援しながら高めていく過程で、教師が大きな役割を果たすと思っております。教師が支援するということでございますが、そのときに、教師が一人一人の子供をよく見ていて、何が必要なのか、何が足らないのか、そして、この子供を適時適切にどう指導したらいいのかということをよく見ていなければなりませんので、教師の専門性が今まで以上に大変要求されると考えております。 ◯西田委員 現実に学校で起こっていることは、とてもそんなふうにいえる中身じゃないということを私は聞いております。  指導要領をここに一つ、私、持ってきておりますけれども、ここの指導要領では、教師が何を指導するかとか助言をするかという項目がなくて、支援となっているんです。実際に、今は指導案じゃなくて、学習活動案というんですか、そういう案を使った研究授業を見学に行った方がいらして、跳び箱の授業だったそうですけれども、それぞれ自分の子供たちが目標を持ってどんどん跳んでやっている。けれども、一体この授業で何を子供たちが教えられたのか、何が修得できたのかについては、見学している先生が何にもわからなかったと。ただ、子供たちがわいわい楽しく勝手に跳んだりしているということしか見えなかった。それに対して、指導主事の皆さんは、大変すばらしい、いい授業であった。なぜすばらしい、いい授業かといったら、子供たちが楽しく生き生きと動いていたということだったという話を私は直接伺いました。こういう話はいろんなところで今起きているわけです。  一体、支援とは何なのか、指導とは何なのか。子供の学力というのは、やっぱり知育を通して、日本の、あるいは世界の人々が築いてきた文化をきちんと伝達していく、こういうことが学校の果たす第一義的な役割ではないんでしょうか。ところが、そういうのが、今度の新しい授業では、何か二の次、三の次と、とにかく子供たちがわいわい楽しくやっていればいい、こういうことになっているんです。  評価の点で見ましても、まさにそういう評価になっているわけです。楽しく力いっぱい運動ができたかとか、認め合い、励まし合いながらできたかとか、自己の能力に適した目当てを設定することができたかとか、何ができたか、どういう技術が、あるいは力が身についたかなんという評価は、ここには何にも書いていない、こういうことなんです。私は、これは非常に重大なことではないかと思います。  結局、この指導案のもとでは、できる子は自分の目当てに従ってどんどんできていく。しかし、できない子は、できなくてもいい、だけど喜んで何かとにかくやっていればいい、興味や関心を示していればいい、こういう形で崩されていく、そういうことではないでしょうか。  私は、結局、こういう学力観に基づいた指導要領のもとで、子供たちが、さっきいったような、一年生で一時十五分とか、とてもじゃないけれども、生活体験からも理解できないような、まだまだ生活体験をしてからでなければ理解できないようなものをどんとおろしてきて、わからない子をたくさんつくって、先生を悩まして、落ちこぼしをしながら、そういう子はわからなくてもいいんだよ、意欲や興味や関心があればいい。結局、個に応じた教育だとか、いろいろ新学力観はいいます。そういう美名のもとに、できる子、できない子をえり分けて、そして、分に応じたですよ、分に応じた教育ができればいい。  文部省の指導官がこういう話をしていたという話も聞きました。超高層の基礎としもた屋の基礎は違うんだ。もともと基礎が違うんだから、できる建物も違うんだ。ですから、最初から子供の持っている力というのは、もとが違うんだという前提に立って教えていけばいい、こういう話なんですね。私は、こういう考え方というのは、本当にこれから先、日本の将来、一体子供たちはどういうふうになっていくんだろうかと思えてなりません。  思い出すのですけれども、一昨年、NHKテレビで、国立教育研究所、これは文部省の重要な機構の一つですよね、ここの要職にある人が、皆さんも思い出すと思いますが、学習指導要領は、履修すべき内容であって、修得すべき内容ではない。つまり、履修はするけれども、覚えなくていい。一応のところはみんな教えられるけれども、三割くらいわかったらいい。文部省の国立教育研究所の要職にある人がテレビでこういって問題になりました。お母さんたちも、先生たちも、一体何だと話題になったわけです。  まさに、詰め込み強化の学習指導要領が、多数が落ちこぼれてもいい、早いうちから子供をえり分けていく仕組みになっている、こういうことを私は声を大にしていいたいと思うんです。教育基本法は、すべての子供たちに普遍的な教育を与えるという大前提があります。けれども、そんなものはどうでもいいんだといわんばかりの話ではないでしょうか。  そして、そういう文部省の考え方は、ただ単に文部行政の話だけではなくて、財界や産業界の要求でもあるんです。ちょうどこの指導要領が改訂された一九八九年に、経済同友会が、新しい個の育成を求めてという提言も出しましたし、一九九一年には、選択の教育を目指してという提言も行っています。ここでは、まさに新学力観の目指す方向が明確に読み取れるわけです。  そういう財界の目指す方向を東京都は率先しておやりになって、しかも、現場で先生が悩み、子供が悩み苦しみ、お母さんたちが心配していることについて、そんな声は何にも聞こえていない、私は、こういう今の教育庁の態度というのは断じて許せないし、納得できない。もっと本当の声を聞くべきだと思います。まずそれだけ申し上げておきたいと思います。  さて、そこで、学校五日制についてお聞きいたします。  新指導要領の実施に伴いまして、学校五日制が始まりました。これまで月一回の土曜休日が実施されてきましたけれども、子供たちに真にゆとりをもたらすものとはなっていない、これは多くの皆さんが指摘をしているところです。中学校の現場では、月一回の五日制の実施によって、どのような時間割りが組まれているのでしょうか、例示で答えてください。 ◯買手屋指導部長 月一回の場合の学校週五日制と時間割りの組み方についてでございますが、大きく二つの方法がございます。一つは、時間割りを余り変えないで、年間を通じまして、例えば行事等を精選し、授業時数を確保していく方法。あとは、週ごとに、休業になった土曜日の時間を、例えばゆとりの時間等に組み込んで時間割りを編成していく、この二つの方法をとってございます。併用している学校もございます。 ◯西田委員 ちょっと時間がございませんので、私の質問に的確に答えていただきたいんです、ちゃんと通告もしてあるわけですから。具体的に、時間割りがどういうふうに月火水木金土と組まれているのか、それを示してください。 ◯買手屋指導部長 中学校の場合には、ゆとりの時間――学校裁量の時間といっておりますが、そこに時間を入れる。そして、七時間目にぶら下げるというようなことは中学校では行われていない、こういうことでございます。 ◯西田委員 今、ちょっとごめんなさい。答弁が聞こえなかったんですが……。  私がいろいろ教えていただいたり、現場を見たり――週四日間、六時間の日がある。そういう学校がたくさんあるわけであります。清掃が終わって、学活が終わって、四時を過ぎて、それから部活をやる。こういう大変な過密になっておりまして、子供たちも疲れているという報告が現場からは届いております。  ところで、学校五日制が今度月二回になるということがいわれておりますけれども、この計画については、具体的にどうなっているでしょうか。 ◯買手屋指導部長 今、私ども、文部省の方から、月二回をいつから開始するということについての通知は受けてございませんが、文部省等の動向によりますと、現在、調査研究協力者会議を行っておりまして、間もなくここで月二回を試行した学校の調査結果が出る、それをもとに文部省は最終決断を下す、こういうふうに伺っております。 ◯西田委員 それがいつごろになる可能性なのか、時期ももうちょっとはっきり知りたいわけですが、もしこの週五日制が二回導入されたとなると、中学校の時間割りはどのようになるでしょうか。 ◯買手屋指導部長 具体的に、東京都の公立中学校三校におきまして月二回の学校週五日制を試行していただいておりますが、その例によりますと、月曜日が六時間、火曜日が六時間、水曜日が五時間、木曜日が六時間、金曜日が六時間、土曜日が四時間となっております。 ◯西田委員 物すごい過密なスケジュールですね。恐らく、この中には必修のクラブというのは入らないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。 ◯買手屋指導部長 土曜日の一時間目が道徳、二時間、三時間目は創意の時間となっておりますので、ここにクラブ活動等が入ってくると思います。 ◯西田委員 それはいいんですか。創意の時間二時間というのは、それはそれで拘束で二時間あるんじゃないんですか。それのほかにクラブが入るんじゃないんですか。 ◯買手屋指導部長 A中学校の例は、先ほど申しましたように、二時間、三時間目に創意の時間をとっております。そこでクラブ活動をやる場合もございますし、クラブ活動は部活に代替できるということもございますので、部活動に代替する学校もございます。 ◯西田委員 結局、クラブ活動必修というのは、子供は拘束されて、これはみんなが必ずやらなきゃいけないというものでしょう。部活というのは任意の活動ですよ。それに代替するということで見直しということがやられているわけですよね。そのこと自体を、今私はいいとか悪いとか、やめるべきだという話ではありませんが、結局、そういう形で今の学習指導要領のまま月二回を実施すれば、とにかくいろんなところで今までのやってきたことが崩されてしまう。  ある学校では、林間学校に行ったと。それは行事ですから、授業時数に入らないはずなんですが、これは理科の時間として四時間数えちゃうとか、中間テストをやった、この中間テストも授業時数に入れちゃうとか、それぞれいろいろ学校によって工夫せざるを得ないという状況があるんです。学校全体をこうやって押しなべて見ると、いろんな矛盾が噴き出してくるということにならざるを得ないと思うんです。  私は、もう時間がありませんので、この項はまとめますが、六日制の指導要領で五日をやるわけですから、これはもうもともと無理なんですよ。学習指導要領をこのままにして、五日制を二回やる。本来なら四回やらなきゃいけないわけでしょう。本当にこのまま四回やるなんということになったら、もうどうにもならないことになるのは明らかですよね。いかがでしょうか。 ◯買手屋指導部長 文部省が、全国的に六百四十二校でございましょうか、調査研究協力校で、現行の学習指導要領のもとにおける月二回の学校週五日制につきましては、さまざまな工夫によって必要である、こう結論が出てくるやに伺っておりますし、東京都の二十校の研究校におきましても、ほぼそのような結果が出ております。  ただ、月三回以上になりました場合には、現行の学習指導要領でそのまま入れるかということにつきましては、大変疑問がございますし、改善が必要であると考えております。 ◯西田委員 とにかく、現行の一回でも二回でも大変な事態になって、子供たち同士が磨き合いながら育ち合うという関係を先生たちはとてもつくれないということで、本当に子供たちがばらばらになっている状態を、もうどうにもならないという事態もあるわけですよ。それを努力すれば、昼休みの時間やって、もう食事もそこそこにして、とにかく子供も休む間がない、こういう状況になっているわけで、とてもじゃないけれども、ゆとりのあるなんということはいえないわけですよ。ですから、二日ならいいとかというんじゃなくて、やっぱり私は、本当に子供たちにゆとりのある学校五日制をきちんと実施するというのであれば、この指導要領を変えていく、見直していくということがどうしても必要だということで、都教委からもその点についてははっきりと国に対して物申してほしいと要望しておきたいと思います。  最後になりますが、定時制の募集について伺います。  三年間で定時制高校の統廃合をやるんだというふうに進めてまいりまして、何校か募集停止が行われて、地域の中に定時制がなくなったということで、本当は子供たちは行きたい学校に行けない、こういう状態がつくり出されているわけですね。来年度の定時制高校の募集方針というのはどうなっているのか、まず伺いたいと思います。  あわせて、時間を節約する意味で、この方針案で必ずいくというときには、ちゃんと手続をとらなければならないと思うのですけれども、それはいつ、何時、どこでお決めになるのか、お答えいただきたいと思います。 ◯齋藤学務部長 ただいま検討しております平成七年度の都立高校定時制課程の就学計画でございますけれども、募集校が九十七校二分校、学級数百八十八学級、募集人員は五千六百四十名でございます。今年度に比較しますと、学校数が三校減、学級数が十三学級減、募集人員は三百九十人の減となります。  なお、この減の内訳でございますけれども、募集停止をする学校が、南高校以下三校、学級増減基準によります学級減を行います学校が、向丘高校以下七校七学級、学科改善によります学級減が、王子工業高校以下三校三学級でございます。  なお、この決定でございますけれども、明後日、十一月十日に教育委員会に審議をお願いする予定でございます。 ◯西田委員 十日の教育委員会は、何時、どこで行われるんですか。 ◯齋藤学務部長 十日は九時三十分から教育委員会が開催される予定でございます。 ◯西田委員 そういたしますと、三校の募集停止ということですけれども、まとまった話は節約していただいて、それぞれ学校ごとに、停止にした理由を述べてください。 ◯齋藤学務部長 平成七年度の適正規模、適正配置の実施に当たりましては、勤労青少年の就学の機会を確保することを基本といたしまして、在籍生徒数、学校間の距離、交通状況、学校の特色、地域の特殊性などに配慮し、実施するものでございます。  なお、三校についてそれぞれどのような事情があったかというお尋ねでございますけれども、まず南高校につきましては、現在大田区内の定時制高校普通科は、南高校のほか雪谷高校、大森高校、羽田高校等の四校ございます。平成六年度におきますこの四校の一次募集、二次募集、合計で百五十人でございました。実際の応募数は七十七名でございます。このような状況の中で、この地域における将来にわたる適正配置を考えたということでございます。  次は台東区にございます白鴎高校でございますけれども、現在ここに学びます生徒は八名でございます。また、この学校には近隣校が、上野高校あるいは上野忍岡高校等、同じような普通科の学校がございます。このようなことを配慮いたしました。  それから市ケ谷商業高校でございます。こちらは現在第一学年に学ぶ生徒が七名でございます。また、全学年でも三十六名と、極端に少ない学校となっております。このような小規模化した学校におきましては、少人数によるきめの細かい個別指導ができる反面、集団活動や学校の活性化などの面で課題を生じております。例えば商業科目の中に総合実践という実習科目がございますが、この実習科目は実習室では実施ができないというような実例もございます。  以上、具体的な実情について申し上げましたけれども、総合的に先ほど申し上げました実施基準に基づきまして判断をしているというところでございます。 ◯西田委員 この三校一つ一つまたお聞きすると長くなりますから、とにかくそういうことでお聞きしておきます。  この三校はそれぞれ大変長い歴史を持って、特色ある取り組みも進めてきていると思うのですね。でも、今の説明ですと、どうも一番一年生の数が少ない、そういうところを選ばれたと。いろいろ理屈いいましたけれども、そういうふうにしか受け取れないんです。この学校は本当に特色ある取り組みを進めて、それぞれどこの学校も大きな成果を上げている学校だと聞いているんです。教育委員会の認識はどうなっているのか、各学校についてそれぞれ説明してくださいますか。 ◯買手屋指導部長 まず都立南高等学校でございますが、本校はかつて商業科の併設校であった経歴といいますか、そういう歴史を利用いたしまして、普通科でもワープロやパソコン、あるいは簿記が学べる、こういうようなことを特色としておりますし、そのほか行事等でも、例えば立会演説会、これはスピーチコンテストのようなものでございますが、そういうものもございます。また、全国の高等学校定時制通信制の陸上競技大会におきましても、また、バドミントン大会におきましても上位の成績をおさめている、こういうことでございます。  次に都立白鴎高等学校でございますが、ここは定時制ではなかなか難しい中での選択制の講座をできるだけ取り入れているということ、そのほかLL教室やコンピューター室も完備しておりますので、英語の授業に力を入れている、こういうことがございます。何人かの生徒は大学へ、または専門学校へ進学、企業への就職もございます。なかなか好調でございます。  それから都立市ケ谷商業高等学校でございますが、ここでは、親身な授業というようなことを合い言葉にいたしまして、一人一人の個性に合った個別の授業展開をしているということでございます。そのほかボーリング大会とか、かるた大会等ございます。弁論大会で大変優秀な生徒が出る、こういうようなこともございます。 ◯西田委員 今お話がありましたように、それぞれ、南高校は四十六周年の伝統があって、クラブ活動でも頑張って、今いわれたような成果を上げているとか、また白鴎高校も創立五十周年ということで、非常に歴史と伝統のある学校で、いろいろな取り組みがなされているわけですね。生活体験発表会なんかでも、一昨年も昨年も知事賞などを受賞するとか、読売新聞社賞ももらう人がいるとか、大変頑張っている学校だというふうに私はいずれも思いました。私は先日、ちょうど文化祭が十一月三日にあるというので、白鴎高校、二日の夜に行って見学をさせていただきました。すべての生徒さんが本当に一丸となって準備をしている姿、そして各クラスごとに演劇をやるんですが、四年生二十二名、全員が参加で、これは各学年そうなんですけれども、裏方だとか照明だとか放送だとか、舞台で演技をする人だとか、見ていて胸が熱くなるほどりっぱな演劇で、感動したわけであります。  そういう中で、先生たちの努力があって、実際に勤労体験学習なんということで、農場を借りて、芋を植えて、苗を育てて収穫をしてくるとか、そういうさまざまな取り組みの中で、本当に生徒同士の学び合いや心の響き合いがあるということを、私、短時間でしたけれども、胸の熱くなる思いで見てまいりました。  こういう学校のすばらしい教育実践というのは、一朝一夕にして成るものではないと思うのです。これはこの三つの学校だけじゃなくて、他の定時制の高校も、体験学習発表会なんかの中身を読みますと、みんなそれぞれすばらしい実践をしているわけですが、こういう長い間の教師や父母や生徒の努力が、今の校風を築き上げてきているんだと思うのです。こういう学校は都民の財産として、これからも大事に育てていく必要があるというふうに考えます。あえて、なぜこういう学校を、いろいろ理由は述べられましたけれども、つぶしていかなければならないのか、私は残念でならないわけです。そういう角度から、どうしてここをつぶすのか、もう一回答弁していただきたい。さっきいいましたように、人数が少ないからここを切るというだけの発想じゃないですか。 ◯齋藤学務部長 都立高校の各学校には、それぞれ歴史と伝統と申しますか、そういうもの、それからまた各学校の先生方がそれぞれ努力、工夫をされていろいろな教育活動をやっているということは、先生お話しのとおりだと思っております。しかしながら、近年の定時制課程の少人数化、あるいはそれに伴う教育課程の困難性というようなものを総合的に判断しまして、一昨年から適正規模、適正配置計画を実施しているものでございます。  今回の三校の決定に当たりましても、きわめて慎重に検討し、実施をすべく今準備を進めているところでございますけれども、例えば、先ほど先生人数をおっしゃいましたけれども、同じ都内でも、多摩地域は学校がそれほど過密ではございません。ある学校がなくなることによって生徒が通えなくなるという事態も予測されます。そういう学校は、たとえ生徒が少なくても残しております。そういうことを総合的に判断し、やったわけでございまして、ぜひご理解を賜りたいと存じます。 ◯西田委員 この白鴎高校の例でいいますと、これまでふえ続けてきたんですよね。たまたまことしの一年生が少ない。学校の先生方にいわせますと、内容を充実するためにPRに力が入れられなかったということが述べられておりましたけれども、そういう意味では、たまたまそういうふうに一年だけ少なかった、そういう学校じゃありませんか。南高校にしましても、ことしの一年生十五名いるわけでしょう。生徒の八割以上がこの学校の周りから来ている。いろいろ不便なところのようですけれども、それだけに周りの生徒がこの学校へ来ている。いろいろと近くの学校、あの人はあっち行くから私はこっちとか、すみ分けもあるようですけれども、やはりそういうふうにして、子供たちがあそこに行きたい、こういうことで頑張って通っている学校ですよね。  特に定時制ですから、四年間夜間通います。勤労青少年にとっては大変なことだと思うのです。並み大抵のことではない。それから、全日制高校を途中で中退して、もう一回勉強したくなって定時制高校へ通う、こういう子供たちが四年間通い続けるというのは、並み大抵のことじゃないと思うのです。だけれども、今定時制高校が少人数で、先生たちも熱心で、そしてお互いに励まし合い、育て合える、そういう環境だからこそ、困難を乗り越えて、通い続けていることができるんだと思うのです。そういう点では、近くなければだめなわけです。それから、近いだけじゃなくて、特色がある、あの学校だから私は行ける、こういう学校もあるわけですからね。そういう意味では、この三校の募集停止方針というのは直ちに撤回するべきだと思いますけれども、まあ、今いろいろご答弁がありましたから、私はそのことを強く要求しておきたいと思います。  それから、生徒減に応じて適正に対応することはあり得ることだというふうにはもちろん思います。この三年間の統廃合計画というのは、父母や都民の合意が得られていないまま一方的に都教委の方針で強行されてきたんじゃありませんか。昨年は高校に説明もしないで、ファクス一枚で、おたくの学校は廃校だとか学級減だとか、そういう通告をして問題になりました。とんでもないやり方だと思います。本当に都民合意が持たれていないというのは、例えば南高校のある大田区、昨年のあれは六月の議会だったでしょうか、議会から、大田区内にあるすべての定時制高校は存続するように求める意見書が上がっていますね。各区市や議会、次々と意見書が上がっています。そして、ことしも、十月二十八日現在で八万二千七百三十二名ものこの存続を求める署名が届けられているはずですね。足立や渋谷や調布市などの区市議会の決議が採択されている、こういうことを見ても、皆さんの統廃合方針というのは都民合意を得られていない、こういわざるを得ないと思うのです。私は、この方針を撤回して、とにかく学校関係者を含めて合意に基づいて行うべきではないか、都民の合意を得て行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◯齋藤学務部長 ただいま実施に当たっての都民合意についてどうかというお話いただきました。今年度実施に当たりましては、ある区に出向きまして、実際に区議会で現状を説明させていただいたケースもございます。また、六月ごろから、いわゆる守る会という団体等からの要請をいただきまして、可能な限りお会いしまして、要請を伺ってきております。そういう中で今年度、極めて慎重に三校を決定したいということで今事務を進めているところでございます。よろしくご理解をいただきたいと思います。 ◯西田委員 どこの定時制高校でも、勤労青少年とともに、さっきもいいましたような、中退だとか登校拒否だった生徒が、やはり学びたいということで通学してきているんですよね。冒頭にいいましたけれども、登校拒否の子がふえているとか、いろいろな状況の中にありますが、そういうところで、本当にちゃんと通って、見事に育って、大きな成果を実は上げているわけです。そういう点では、生徒数の減少期にもかかわらず増加の一途をたどっている登校拒否児、こういう生徒たちに受け皿として近くに定時制高校がちゃんと窓口をあけておく、このことは私はとても大切なことだと思うのです。それは、私の経験からしても、皆さんも経験おありだと思いますけれども、中学校のときに警察にご厄介になったような子供が、定時制高校に行って見事に育って、家業を継いでいるとかって、たくさんいるんですよね。そういう意味でいえば、経済効率の問題だけじゃなくて、東京の将来にとってこのことは非常に重要な問題だと考えます。  そこで我が党は、ことしの予算特別委員会で定通の振興法に基づく振興計画を策定することを要求いたしました。教育庁は計画策定をなさったのでしょうか。削減計画は先行するけれども、振興計画はないというのは私は納得できないわけですけれども、その点も含めてご答弁いただきたいと思います。 ◯齋藤学務部長 ただいまの定通法でございますけれども、この法律は昭和二十八年に制定されまして、勤労青少年の教育を充実させるという観点から、定時制通信制課程について総合的な施策を講じるべきであることを規定しております。これに基づきまして、東京都教育委員会といたしましても、定時制高校の生徒受け入れについては、多くの勤労青少年が高等学校教育を受けられるよう、生徒数の動向に対応しまして、毎年度十分な余裕を持って就学計画を策定しているところでございます。  また、振興策といたしまして、学級編制基準を三十人としているほか、生徒の学力や学習歴などの多様化に対応するため、習熟度別学習指導の充実、夜間給食費補助の諸制度を講じております。また、単位制高校の開設、修学年限三年制の導入など、改善充実策をあわせ行っているところでございます。  今後とも、定時制及び通信制の振興につきましては、振興法の趣旨にのっとりまして、総合的な施策を講じてまいりたいと考えております。 ◯西田委員 そういうことですけれども、私は一つだけ、都教委は、少なくなったから切るというのではなくて、本当にすばらしい実践をしている定時制高校のPRをもっと積極的にやるべきだと思いますよ。定時制高校に入られた生徒さんたち、お母さんたちもいわれていますね。こういう学校があることを知らなかったと。本当に知らなかった、こんないい学校にあのお友達も連れていきたい、こういう声があるわけですね。そういう点では予算もちゃんとつけて、この定時制高校の実践、そして内容、こういうものをPRできるような支援をすべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。 ◯齋藤学務部長 今のお話で、お母さん方が定時制の存在を知らなかったというのは、まことに残念でございますけれども、毎年、全日制と同じように定時制につきましても、新聞報道等によりまして募集人員等を発表させていただいております。また、それと並行しまして、いろいろなパンフレットを作成しまして、中学校、あるいはまた、都内に二カ所ございます就学相談所において相談業務等に対応しているところでございます。  確かにPRについては、十分に行うべきであるということは十分に承知しているところでございます。今後とも努力してまいりたいと思います。 ◯西田委員 最後になりますが、教育長にお聞きしたいと思います。  お聞きする前に、私は、ここにたくさんの定時制高校の生徒さんが書いた作文を持っておりまして、全部読み上げてあげたいぐらいの中身です。そうはいきませんので、一つずつだけ紹介させていただきたいと思います。  南高校の生徒さんですが、「僕は今年で十九才になり南高校定時制の一年生です。十六才のころに全日制の高校にも行っていました。けれどもすぐにやめてしまい、仕事をしていて、十八才のときに高校にもう一回行こうと自分で思い家の近くのこの学校をえらびました。全日制の学校に通っていたころは、教員室に行こうなど思う事もありませんでしたが、この学校は、ふんいきもよく、気楽に先生とも話すことができ、教員室にも気楽に入ることができます。昼、仕事して、夜学校に来るのはけっこうつらい時もありますが家から近いという事もあり、この学校だけしかない楽しさがあると思います。この学校はだれでもすぐになじむ事ができていじめなんかまったくなく本当にあったかい学校です。僕はこの学校に来て本当によかったと思っています。そしてこの学校最後の生徒にはなりたくないと思っています。なくさないでください。」こういうふうに書いています。  それから、白鴎高校の一つですが、「私は、全日制高校を中退し、この学校に入りました。高校一年で中退してから二年間は結局勉強をするという行為が圧力になってしまい、ほとんど何も手につかない状態でいながらも、定時制に入り直す事なんて考えもしませんでした。何故なら、だらだらしている、卒業して、就職は出来たとしても、進学は無理に等しい。そして何よりも私のプライドが許さなかったのです。今になってみればおはずかしい話ですが……。心変わりのきっかけは、弟の中学校の担任の先生でした。白鴎高校全日制出身であったその先生に、是非ここへ行ってみなさいと言われて、どうせ定時制なんかと思っていた気持ちが、気がついたら、行事、授業、先生方や友達との会話を通して行くうちに、いろいろな意味での自信につながっていった様に思います。その自信も、他の定時制ではなく、この学校に入る事ができたからなのだと心から感謝しています。その原因はあえて書きませんが、全生徒の団結力が他の学校より優れていることは確かだと思います。私が卒業する事になるこの学校をどうか存続させて下さい。人数の多い少ないで決めるのは絶対に反対です。」こういうふうに述べています。  同じような切々とした訴えがここには全部載っていますけれども、私は、こういう生徒の、生い立ちからくるいろいろな問題を越えながら、ここを本当に心のふるさととしていたいというこの切実な願いを教育長はどのようにお聞きになるのか、最後にお聞きしたいと思います。 ◯市川教育長 ただいま西田先生のご意見並びに子供たちの話、篤と聞かせていただきました。これまで学務部長るるご説明申し上げてきておりますが、ただいま進めている適正規模、適正配置、これはご案内の近年の著しい生徒数の減少によって、充足率五〇%台という状況にもなっており、また、関連して各学校が小規模化が進んでいる、そうした中で、定時制教育の内容の改善充実の方策とあわせて実施したい、このようにかねて考えてきているわけでございます。そしてまた、それに沿ってこれまで慎重に進めてまいったつもりでございます。  基本的には、小規模化、あるいは子供の減少という中で、教育委員会として、定時制高校の小規模化が進んでいるそういう中でのものとして、高等学校の改善検討協議会の報告を受けて、教育効果の面などから多角的に検討し、平成五年度からの三カ年計画といったようなことで実施することとしたわけでございます。また、平成七年度の実施に当たりましても、勤労青少年の就学の機会を確保するということはもちろん基本に置きながら、お話にもございましたように在籍生徒数、あるいは学校間の距離、交通状況、学校の特色、地域の特性等に配慮いたしまして、また近隣校の状況などを勘案し、慎重の上にも慎重に検討をしたものでございまして、三カ年計画の最終年次ということで実施をするというふうに考えております。  私どもといたしましては、今後とも、第二の単位制高校の設置、あるいはまた通信制課程の増設、教職員定数の改善及び施設設備の整備など、定時制教育の改善充実に最大限の努力をしたいというふうに考えておりますので、よろしくご理解を賜りたいと存じております。 ◯西田委員 私は、本当にこういう学校をなくすのはもったいない、東京の将来にとっても損失だと思います。改めてこの方針の撤回を求めて、質問を終わります。 ◯下村委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩いたします。    午後三時二十分休憩      ━━━━━━━━━━    午後三時三十分開議 ◯下村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。  ご発言を願います。 ◯工藤委員 すべての教育関係者はもとより都民の多くは、東京都の教育行政について大いに関心を持っている人もあれば、あるいは多少なりとも不安を感じながら、そして東京都の教育を憂えている人々もあれば、少なくとも不信を抱いている方々もありますし、さらには積極的に、この事業はいいからさらに進めていただきたいという、そんなお話も聞いておりますし、あるいは今後改善かたがた検討も加えていただきたいと願う住民もあります。そういった都民の声を総合的に網羅しながら、私は重要な事項だけにとどめて、時間の制約もございますので、質問をさせていただきたいと存じます。  まず第一点は、一昨年埼玉県から端を発しまして、偏差値、いわゆる業者テストの廃止ということで文部省がその改善に踏み切りました。そして、現在のところ、偏差値なしの進路指導が行われているわけでございます。そのことについて質問させていただきます。  第一点は、先ほどの資料の中で、校内の学力テストをやっているのだという資料がございました。そのテストと従来の業者テストとはどこが違っているのか、お尋ねいたします。 ◯買手屋指導部長 まず、業者テストの方でございますが、これは民間の業者が問題を作成、そして実施するものでございまして、テストの結果を個人別の得点あるいは偏差値としての資料といたしまして学校に提供するものでございます。これに対しまして校内実力テストと申しますのは、校内におきまして生徒の学力の実態を知るために、校内の教員がみずから問題を作成し実施するものでございまして、その資料を進路指導に役立てるものでございます。 ◯工藤委員 二番目でございますけれども、生徒はもとより保護者も含めて非常に不安を持っているのですね。そのことについては、どう対応していらっしゃいますか。 ◯買手屋指導部長 各学校では過去の進学のデータがございます。また、定期テスト、ただいま申し上げました校内実力テストの結果などによりまして進路指導を作成いたしまして、保護者への説明、あるいは生徒との面談、さらには、保護者と生徒と先生三者が面談する、三者面談といっておりますが、そういうものを適宜実施いたしまして、進路選択にかかわる助言、援助をしているところでございます。資料にもお示しいたしましたように、ある学校の例では、進路希望調査を年三回、三者面談を年四回、二者面談、生徒と先生でございますが、年二回、校内実力テスト年二回を行いまして、かなりきめ細かく指導をしているという実態がございます。 ◯工藤委員 急に変わったので、進路の選択に当たって非常にわかりにくい――確かにわかりにくいと思うのですが、今後、わかりやすい進路情報や相談機関というのか、そういうものを設けることはないでしょうか。
    ◯買手屋指導部長 わかりやすい進路情報、あるいは気軽に進路相談をできる機関ということでございますが、ご指摘のように、そのようなものは必要かと思います。現在、教師との相談のほかに、各中学校におきましては進路指導コーナーというのを設けまして、そこに上級学校訪問記録や職場訪問記録、そういうトークものを生徒が自由に利用できるようになっておりますし、外からは東京都教育委員会等もいろいろ工夫いたしまして、資料を配布、また高等学校の入学案内等もそのコーナーにそろえ、生徒がいつでも見られるようにしているところでございます。  進路相談に当たりましては、生徒の一人一人の状況を一番よく知っている担任、あるいは学年の先生方が直接の相談に当たるということが好ましいとは考えておりますので、各中学校におきまして、生徒が先生方に気軽に相談できるような雰囲気づくりが必要かと思いまして、そのような指導もしていきたいと考えております。 ◯工藤委員 ただいまの答弁の中で、進路指導の基本は学級担任である、これは重々私もわかっているのですが、先ほどの資料の中で、嘱託員が相当数いらっしゃいますね。嘱託員にはそれぞれの制約もあれば、いろんなきめ細かい指導もあると思うのですが、嘱託員の教職員を進路指導に使うというか、そういうことはできないものですかね。 ◯買手屋指導部長 各学校に配属されました嘱託員がどういう校務分掌、あるいはどういうお仕事を中でされるか、これは各学校によりましてかなり違いますし、校長先生がお決めになることでございますが、ある中学校の例で、この嘱託の先生が進路指導にかかわっている場合がございます。例えば、進路指導にかかわる資料を収集し、整理あるいは提供したり、進路相談室を訪れた生徒の相談にも気軽に応じているということなどがございます。  今後、配属されました嘱託員の先生がそういう形で生徒の進路相談にも対応できるようなことは、大変有効なことであると考えております。 ◯工藤委員 私、昨年も厚生文教委員会に所属いたしておりましたが、平成六年度、今年度の都立高等学校の入学試験制度が改善されました。その中で、主な改善点の私の記憶の中では、一つは、全日制普通科については、従来のグループに基づく合同選抜方式から学区による単独選抜方式とする。二つ目は、学力検査の教科数の弾力的な設定及び傾斜配点の導入、いわゆる特色を出すためにですね、これは。三点目は、学力検査と調査書の比重の三通りの設定。四番目は、調査書の様式の改善がございました。五番目は、全日制普通科における隣接学区等の設定ですね。それから、もう一つございまして、六番目は、第三志望まで認めた第二次募集及び追加の選考の導入ということが、ことし改善された主なものでございます。  ついてはお尋ねいたします。平成七年度、いわゆる来年度も都立高校の入学試験の改善点はあるのだと聞き及んでおりますが、どのようなものなのか、お答え願います。 ◯齋藤学務部長 制度改正後二年目の入学者選抜を実施するに当たりまして、この新しい制度を定着させることが必要であると考えております。また同時に、制度の趣旨を一層周知させるとともに、来年度は次の点について改善を図りたいと考えております。  一つは、入学者選抜日程の短縮と選抜始期の繰り下げでございます。二つ目は、学力検査問題の各小問ごとの配点を公表したいと考えております。それから、従来入学許可予定者という名称を使っておりましたけれども、わかりにくいという意見がございまして、合格者というふうにわかりやすく呼称を改正いたします。また、既にご案内のとおり、来年度は新たに普通科と商業科に推薦入学制度を実施するということを考えております。今、そのための準備をしているところでございます。 ◯工藤委員 今、四項目の来年度における改善点を答弁としていただいたわけでございます。その中で、四番目の推薦入学制度の実施をもって大きな制度改正の改善としたことというお答えがございました。来年度から普通科と商業科が今度採用されるということなんですね。現在までは、工業科のみが推薦制度というのがあったわけです。  聞くところによりますと、推薦制度は五段階評定の上位から合格採用と聞いておるんですけれども、本来、推薦制度というのは学力検査を免除して、面接重視ということがあるわけですね。こんなことはないと思うんですが、そんな声がちらほら聞こえてくるものですから、その真偽についてお尋ねいたしたいと思います。 ◯齋藤学務部長 推薦に基づきます選抜におきましては、中学校長から提出されます推薦書、調査書、そして推薦入学願書及び各高等学校が行う面接の結果に基づきまして、その結果を選考の資料といたしまして、各高等学校が総合的に判定するものでございます。そういう仕組みになっております。ご指摘の件につきましては、私どもは承知をいたしておらないところでございますけれども、そのようなことがあるとすれば、これは推薦入学の趣旨と相入れないものでございまして、状況を見まして学校を強く指導してまいりたいと考えております。 ◯工藤委員 次の項目ですけれども、いよいよ来年から学校の週五日制が月に二回ということでございますから、それに関連して何点かお尋ねいたします。  五日制のために非常に保護者が心配していることは、学力が低下をしているんじゃないかと。低下しつつあるとか、いろいろと声が保護者の間から聞こえてまいります。その対応について、当然五日になったわけですから、授業時数とか、そういうものが減っているわけですから、どういう対応をとっているのか、お尋ねいたします。 ◯買手屋指導部長 各学校におきましては、教育水準の維持をするためには、二つの側面からいろいろ工夫をしているわけでございます。  まず一つは、授業時数をできるだけ確保するという側面でございます。これに関しましては、例えば学校行事を見直し、精選するというようなこと、あるいは短縮授業、これは特に夏休み前の大変暑い時期でございますが、短縮授業を組んでいる学校がございますが、その期間をできるだけ短くして、授業時数を確保する。あと学校裁量の時間に休業となった土曜日で欠けた時間を補充する等、また、土曜日の休業日の時間を他の曜日へ移す、五時間であったところが六時間になると。この一つだけではございませんが、組み合わせまして、さまざまな対応をしているというのが第一点の側面でございます。  第二点といたしましては、授業時数が全体的に減るということ、それから学校行事もそれほど削ることはできないというような状況の場合には、やはり一時間一時間の授業の内容を先生方が工夫して、より学習効果のある授業方法を工夫していく、この二つの側面からお願いしているところでございます。 ◯工藤委員 週五日制によりまして、教育課程の編成、どのように指導していらっしゃいますか。 ◯買手屋指導部長 私ども、月二回の学校週五日制の実施に向けての調査研究協力校等の研究成果を踏まえまして、教育課程の編成につきましては、次の三つの点に特に配慮するように学校を指導しているわけでございます。  一つは、地域に開かれた学校として、地域や児童生徒の実態に即した教育課程を編成していただきたい、二つ目は、教育水準の維持と児童生徒の学習負担への配慮を十分考慮していただきたい、三番目に、児童生徒の主体性、創造性を育てるためのそういう授業、指導内容、方法の工夫、改善をしていただきたい、この三点について学校を指導しているところでございます。 ◯工藤委員 この五日制によって、特に障害のある子供についての条件整備の考え方についてお尋ねいたします。 ◯荻野生涯学習部長 学校の週五日制は、学校、家庭及び地域社会が一体となりまして、それぞれの教育機能を発揮する中で、これからの時代に生きる子供の望ましい人間形成を図るために実施されるものでございまして、現在各区市町村教育委員会では、学校が休業日でございます第二土曜日に、子供たちが家庭や身近な地域などで豊かな活動に主体的に取り組めるような学習情報の提供とか、活動の機会等場の提供など、地域での活動を支援するための各種の条件整備を行っているところでございます。東京都教育委員会といたしましては、家庭や地域において対応が困難な心身に障害のある児童生徒を対象といたしまして、平成四年九月から、休業日となります土曜日に、文化活動やスポーツ活動などを中心といたしました学校外活動を実施しているところでございます。  また、平成六年度からは、障害を持つ児童生徒が身近な地域で豊かな活動ができるよう地域活動促進事業の実施について、現在区市町村と協議しているところでございます。さらには、区市町村の代表、それからまた関係局で構成します心身に障害のある児童生徒の地域活動促進協議会を平成五年十一月に設置いたしまして、地域活動のあり方や都と区市町村の協力体制について協議しているところでございまして、今後とも、区市町村と連携を図りながら、学校週五日制がスムーズにいくよう条件整備に努めてまいりたいというふうに考えております。 ◯工藤委員 教育とは別に、参考までにしたいと思いますが、私立の小中高等学校の五日制を実施している率というんですか、わかりますか。 ◯買手屋指導部長 私どもが直接私立学校に対して調査いたしてはおりませんが、文部省の私立学校に対する実態調査、これは平成六年の三月に実施されたものでございますが、その結果がございます。その結果によりますと、平成六年四月現在の実施率でございますが、私立の小学校が七二%、中学校が一九・八%、高等学校が二二・八%となっております。 ◯工藤委員 五日制になりますと、児童生徒が校外へ出ていろいろな活動をするわけなんですけれども、学校の校庭とか体育館とか、図書室とかコンピューター教室とか、そういうものの土曜日、日曜日の開放状況、資料に書いてありますけれども、その対応、対策についてのおくれはないかということで質問いたしたいと思います。 ◯荻野生涯学習部長 学校週五日制実施に際しましては、児童生徒が豊かな活動に主体的に取り組めるような場所といたしまして、学校施設を開放することは大切であると考えてございます。このため、都教育委員会及び区市町村教育委員会では、公立小中高等学校の校庭、体育館の土曜、日曜日における開放を次のように実施してございます。公立小学校につきましては、校庭が九一・五%、体育館については九二・五%、公立中学校の校庭につきましては二八・七%、体育館につきましては八〇・九%、都立高校につきましては、校庭につきましては四四・八%、体育館については六・一%の開放を行っているところでございます。今後とも、部活動など学校での利用との調整も図りながら、区市町村教育委員会及び都立高校と連携しながら、土曜、日曜におきます校庭及び体育館の開放を進めてまいりたいというふうに思っております。  それから、図書室の開放につきましては、管理及び読書指導の体制等に課題がございまして、開放状況につきましては、小学校は六・三%、中学校につきましては一・七%となってございます。また、コンピューター教室につきましては、機器の管理及び操作指導等の課題があるため、開放の事例はほとんどなく、現在把握してございますのは、目黒区の二校のみでございます。これらの開放につきましては、学校週五日制が進む中、情報化社会に対応していくためにも重要と考えまして、今後の検討課題として進めてまいりたいというふうに思っております。 ◯工藤委員 次に、小中学校の教育について若干質問させていただきます。  新規採用について、教員の選考試験の難題が多くて、特別な評価が必要な立派な人材が集まりにくい現状はないだろうかということについてお尋ねいたします。 ◯福田人事部長 教員の採用選考でありますが、選考試験は筆記試験、論文、面接、それに一部の教科につきましては実技を課しており、多面的な能力実証を行うことにより、教員としてふさわしい人材の採用に心がけています。受験状況でありますが、平成四年度から増加の傾向にございます。今後とも、教員としてふさわしい人材を確保するため、今年度より試験問題検討委員を増強し、より適切な問題の作成に努めているところでございます。 ◯工藤委員 私は選考試験の方法について資料要求したわけなんですが、このとおり実施しているのかどうか。この資料になくて、試験をやっている教科はないのか、それについてお尋ねします。 ◯福田人事部長 教員の選考方法については、資料のとおり実施してございます。なお、採用困難教科であります中学技術については、大学からの推薦制を取り入れており、一次選考を免除いたしております。また、本年より、採用選考の多元化を図るため、英語科につきまして、海外での居住活動歴等を受験資格とする特別選考を実施しております。この選考においては、論文及び面接による選考になってございます。 ◯工藤委員 今、人事部長さんがおっしゃったとおり、英語科の問題と技術科の問題、この資料に書いてないんですね。なぜ書かなかったんでしょうか。 ◯福田人事部長 大変失礼でございました。私どもとしては、原則的な一般的な方法のみ掲げました。大変落ち度がございましたので、失礼いたしました。 ◯工藤委員 一般的なものはだれでもわかるんですね。昨年、英語科教員特別選考のあらましということで、受験資格が四十歳未満とか、外国で五年以上居住し、活動経験したとか、そういう特殊な試験を今年度から取り入れているわけですよね。私は、それは書くべきだと思うんですよ。この話をすると長くなりますから、割愛させていただきますが、技術科についても書いていないんですね。技術科については採用困難ということで、人が集まらないということの歴史的な経緯があると思うんですが、いわゆる学科を免除して、特別の大学から推薦された者を面接によって採用すると。別に悪いことではないですから、資料として、書くべきだと思うんですが、部長としてはいかがですか。 ◯福田人事部長 まさに先生のおっしゃるとおりでございます。 ◯工藤委員 そこで、一つだけお尋ねいたしますが、技術科については過去の歴史的な経緯の中で、本当に人が集まらない、特定の大学でもって推薦をしていただくということで、私は別にそのことについては異論はないんですが、今後、その特別な大学を経ていない方でも受験をしてまいります。現在まで、その特別でない大学の卒業生が受験をした場合には、学科試験をおやりになっているのかどうか、やっていないのかどうか、免除されているのかどうか、その点についてお尋ねいたします。 ◯福田人事部長 学科試験をしてございます。 ◯工藤委員 そうすると、やはり不公平というのか、不平等というのか、別に私は技術科のことについては、免除ということについては異論はないんですけれども、一方では、免除されていなくて学科試験を受けるということなんですね。このことをいうと、また時間がかかりますから、割愛させていただきますけれども、今後の検討課題としてどうあるべきか、教育の平等、採用の公平さからいって、今後どうとらえていくのか、部長としての考え方をお尋ねいたします。 ◯福田人事部長 ただいまご指摘のとおり、採用困難な時期がありました当時、そのために大学からの推薦により応募者を募っていたわけでございますが、最近、応募状況もかなり改善されております。このような安定した応募者が得られるかどうか、今後推移を見守って、その時点で改めて検討してまいりたいと考えております。 ◯工藤委員 次の質問は、学校長、教頭選考の受験資格及び選考方法について、どうなっているのか、簡潔で結構です。 ◯福田人事部長 校長、教頭の任用については、平成二年度に制度を改正いたしまして、受験資格といたしまして、校長は、教職経験十五年以上、都、公立学校教職経験十年以上、都、公立学校教頭経験三年以上、年齢五十五歳未満、本則は平成八年度であり、本年度は年齢五十七歳未満で行いました。教頭につきましては、教職経験十二年以上、都、公立学校教職経験七年以上、年齢三十七歳以上五十歳未満、本則実施は平成九年度でございますが、本年度は年齢三十七歳以上五十三歳未満で実施いたしました。  制度の改正の趣旨は、受験資格年齢を下げることにより、校長の長期在職化及び教頭の早期任用を図ることでございました。  選考方法といたしましては、筆答試験を論文形式により、校長には二千字程度一問、二時間十分、教頭につきましては二千字程度と千字程度の各一問、二時間四十分、この筆答試験合格者に対して面接を実施し、個人面接一人三十分、面接員四、五人で実施しております。 ◯工藤委員 校長、教頭の年齢が比較的下がっていますね。いわゆる低年齢化傾向について、一部の教員とか、あるいは保護者とか地域社会より、批判の内容は別として、いろいろ現場の中から、私も直接的に、あるいは間接的に、批判があると聞いているんですけれども、そのことについて都教委はどう受けとめていらっしゃいますか。 ◯福田人事部長 制度改正の趣旨は、先ほど申し上げたとおり、受験資格年齢を下げることにより校長の長期在職化及び教頭の早期任用を図ることでありました。ご指摘の点につきましては、教務主任、生活指導主任など、経験を十分積まないまま任用された一部の教頭について、教員に対する指導力不足等の声を仄聞することはありますが、正式な批判としては届いてございません。  都教育委員会といたしましては、制度改正の趣旨に沿って、校長及び教頭等の管理職がその職責を十分果たせるように、校長、教頭の任用前研修を制度化しまして、管理職に必要な自覚と能力の向上を図っているところでございます。 ◯工藤委員 次に、道徳教育についての資料を私は要求したんですが、都の教育委員会としては、この道徳教育については、どういう基本的な考え方をお持ちですか。 ◯買手屋指導部長 道徳教育とは、人間が本来持っております人間としてよりよく生きたいという願いにこたえまして、よりよい生き方を求めて実践する人間の育成を目指し、その基盤となる道徳性を養う教育活動であると考え、大変重要なものと考えております。  東京都教育委員会といたしましては、各区市町村教育委員会と協力いたしまして、特に道徳の時間を通して、道徳的実践力の育成を図っているところでございます。また、家庭、地域との連携を深めながら、児童生徒の健全育成を基盤とした日常生活におきます基本的な生活習慣を身につけさせるための指導を進めてきたところでございます。  今後、道徳教育に関する都及び区市町村の研究会あるいは研修会の拡充を図るとともに、啓発資料等の作成を行いまして、道徳教育が一層定着するように努めてまいりたい、こう考えております。 ◯工藤委員 道徳の時間というのは決められているものの、学校教育の現場にはそれぞれの諸事情があることは私も十分承知しております。しかしながら、この資料によりますと、道徳の時間という既定のルールの時間が確保されてないように私から見たら見受けられますので、一挙にやれということではなくて、今後前向きの姿勢で確保するために、どのような取り組みをしていこうとするのか、その考え方をお尋ねいたします。 ◯買手屋指導部長 ただいま委員のご指摘がございましたように、年間標準時数が三十五時間のところでございますが、小学校、中学校とも、それを下回っているのが現状でございます。また、その理由といたしましても、今、委員のご指摘がございましたように、道徳の時間に教科指導、学校行事等を充ててしまう、こういう実態があるわけでございます。  東京都教育委員会といたしましては、今後、この道徳の時間の確保につきまして、各区市町村教育委員会と連携を密にいたしまして、適切な教育課程の編成と実施を目指しまして、まず各学校に道徳教育の年間の全体計画を立ててもらう、道徳の時間の年間の具体的な指導計画を立ててもらう、学級における指導計画も同時に立てていただく等の整備充実を図っていくように各学校を指導していきたい、こう考えております。 ◯工藤委員 次に、この資料によると、小中学校は比較的に国旗、国歌を実施されている。都立高等学校がなぜにして低いのかなという疑問を感じるんですが、簡単で結構ですから、その主な理由というのを、教育委員会としてとらえているのかどうか、お尋ねします。 ◯買手屋指導部長 国旗の掲揚、国歌の斉唱指導が実施できなかった学校の実態を現実に聞き取ってみますと、実施に大変強く反対する教職員が多いということ、中には、国旗の掲揚、国歌の斉唱指導を実施するならば、式の会場準備等に協力しないなどの強い意見を職員会議で表明することなどがございまして、校長はこれに対して、学校の混乱を避けるということでやむを得ず国旗、国歌を実施できなかった、こういう事情でございます。 ◯工藤委員 個々の教員には個々の思想もあれば哲学もあれば教育に対する思いもあることは十分わかっております。しかしながら、今のお話によりますと、職員団体というんですか、どういう呼び方をしたらいいかわかりませんけれども、そういう組織的な団体の、こういった学校教育への介入というものが実際あるんだろうかということについて、どうなんでしょうか。 ◯買手屋指導部長 現実に職員団体等を中心といたしまして、各学校の教職員に反対するように呼びかける文書や電話連絡、あるいは実施しようとする校長に対します抗議電報の集中、あるいは職場会等における強い反対表明がございまして、職員団体のこのような組織的な抵抗によりまして、式典の混乱等を校長が配慮して実施を見送った、こういう現実でございます。 ◯工藤委員 次に、主任手当についてお尋ねします。  この主任手当について、支給する基本的な考え方はどうなんでしょうか。 ◯福田人事部長 主任制度は、児童生徒の指導の充実を図るために、学校運営における指導組織を整備し、調和のとれた、創意のある学校運営を推進することを目的として導入されたものでございます。学校教育法施行規則において、教務主任、学年主任等の各主任は、当該職務に係る事項について、教職員の間の連絡調整及び関係教職員に対する指導、助言等を行うものとされております。いわゆる主任手当は、こうした主任の職務の困難性に着目し、特殊勤務手当として支給されているものでございます。 ◯工藤委員 この主任手当が、もちろん教員のそれぞれの意思に基づいているとは私は思うんですが、ある職員団体に拠出をしているという話を最近聞いたんですが、その手当というのは、趣旨に反してはいないだろうか、その辺について都教委としてはどうとらえていらっしゃいますか。 ◯福田人事部長 教員の中に、主任手当に反対する目的で、支給された手当相当額を拠出している者がいることは、主任制度の趣旨を形骸化するものであり、極めて遺憾なことと考えております。 ◯工藤委員 都の教育委員会は、現場の校長に対して、このことに関してどのような指導をしていらっしゃるのか、また、この拠出したお金はどのように使っているのか、推定で結構ですから、わかる範囲の中でお知らせ願いたいと思います。 ◯福田人事部長 教育委員会といたしましては、主任制度の趣旨の徹底を図るため、機会あるごとに都立学校及び区市町村教育委員会に対して指導を行ってきておるところであります。また、関係職員団体にも主任制度の趣旨の徹底と主任手当拠出の中止を申し入れておりまして、今後も、このような状況が改善されるようにさらに努力していきたいと存じます。  次に、拠出金の使途についてでございますが、例えば教育センター事業や広島子供派遣団事業などに使用されていると伺っております。 ◯工藤委員 私の推定では、主任手当が年間六億数千万使われているんではないかなと思います。  そこで、今非常に都民の税に対する考え方がシビアになってまいりました。バブルがはじけまして、そういう観点に立って、果たしてこういう都民の税金というものが――拠出しているということについてルール的は別として、道義的に許されるものかどうか、その点、部長としてどうお考えになっていらっしゃいますか。 ◯福田人事部長 主任手当は主任の職責及びその職務の困難度に基づき支給されるものであって、主任制度に反対する目的から職員団体がこの主任手当の拠出を各組合に要請することや各主任が拠出を行うことは、あってはならないことだと考えております。  先ほど申し上げましたように、都教育委員会としては、こうした状況が改善されるように引き続き努力してまいりたいと考えております。 ◯工藤委員 次に、教員の勤務評定は特別昇給と連動していらっしゃいますか。 ◯福田人事部長 特別昇給は、勤務成績が特に良好な職員について昇給期間を短縮して昇給させるものでありまして、職員の士気を高め公務能率を向上させることを目的とした制度でございます。この制度は、適正に運用するためには、所属長が職員の日常の勤務成績を的確に評価することが必要でございます。このため、学校長から推薦者を具申する際に、教員について特別昇給のために過去一年間の勤務成績の評定を実施することといたしてございます。 ◯工藤委員 いわゆる職員団体は、聞くところによりますと、輪番制で校長具申に圧力をかけている――圧力をかけていると私は思いたくないんですが、校長と相談をしている、私はそう解釈して質問いたしますが、その実態はどうなっていますか。 ◯福田人事部長 校長の具申についてでありますが、学校において、成績特昇を適正に実施するためには、所属長が職員の日常の勤務成績を的確に評価した上で、その権限と責任において推薦者を具申することが不可欠だと考えております。しかし現状では、一部に、職員団体と協議し、前回の特別昇給からの経過期間などを基準に機械的に該当者を決定する、いわゆる輪番制などの方法により推薦が行われるなど、必ずしも制度の趣旨に沿った運用が行われているとはいいがたい状況にございました。  このため、都教育委員会としては、平成五年度の特別昇給の実施に当たりまして、区市町村教育委員会、学校長に対し、運用の適正化に向けての通達を出すとともに、実施状況の調査を行ったところでございます。また、本年度、この実施状況の調査結果を踏まえ、成績特別昇給に関する評定の整備や区市町村教育委員会、学校長からの具内申方法の変更など運用の方法の改善を行ってきたところでございます。  今後とも、特別昇給については、制度の目的が達成できるよう改善に努めてまいりたいと存じます。 ◯工藤委員 本年十二月から、たしか幼、小、中、高等学校の管理職への勤勉手当の成績率導入が導入されるというようなことの目的は一体何なんでしょうか。 ◯福田人事部長 平成五年度東京都人事委員会の勧告において、職員の職務と業績に応じた任用給与制度を推進すべきであるとの意見が出されました。これを受けて、東京都として本年十二月から管理職の勤勉手当に成績率を導入することに決定いたしました。  都教育委員会といたしましても、東京都全体の方針に基づきまして、学校経営において重要な職責を担っている校長、教頭などの教育管理職について職責と業績に応じた任用給与制度を推進するため、勤勉手当に成績率の導入を行ったものでございます。 ◯工藤委員 今の勤勉手当の成績率の一般教員への導入というものは、いつから実施する予定なのか、お伺いいたします。 ◯福田人事部長 ただいまも申し上げましたが、平成五年度、それに平成六年度の人事委員会勧告において、職員の職責と業績に応じた任用給与制度を推進すべきであるとの意見が出されました。これは一般職員をも含むすべての職員について述べられたものでございます。  知事部局では、昨年度、勤勉手当の成績率の導入に当たり、一般職員をも含めた制度として検討し、平成六年度は、まず管理職について実施することとしたと聞いております。  本年度においては、総務局は、現在、職員団体と、一般職員への成績率の導入について協議を行っていると伺っております。  都教育委員会といたしましては、ご質問の一般教員への導入については、今後、知事部局の動向を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。 ◯工藤委員 最後の項目でございますけれども、東京都のスポーツ、体育行政について若干質問させていただきます。  先月、広島においてアジア大会が行われまして、日本は、金メダルが五十九個、それからメダルのトータルが二百七個、この成績については、振るわなかったんじゃないかというご意見があり、私もそう感じております。  その参加した六百七十八名の日本選手団のうち、東京都出身の選手が七十七名いらっしゃいます。その成績を見ると、金メダル十個、メダルトータル数三十五個を獲得しています。このことについてはもとより、国際大会での日本の活躍については、いうまでもなく、基本的にはJOC、日本オリンピック委員会や日本体育協会の強化策に負うところであることは私なりに承知しておりますが、国際大会等において東京都出身の選手が活躍をすることは、都民のスポーツ活動の普及に大きな役割を果たすものであると私は信じております。  今後、東京都におけるスポーツ選手の育成と、その競技力向上策を強化すべきだと私は考えますが、そのことについての所見をお伺いいたします。 ◯鳴川体育部長 先生のお話のとおり、広島アジア大会での成績につきましては、開催国の日本といたしましては、もう少しメダルがとれたのではないかというご意見もございます。また、国際大会などで地元の選手が活躍することにつきましては、地域のスポーツ振興に大いに影響を与えるであろうことは、先生ご指摘のとおりでございます。  東京都といたしましては、都民の生涯スポーツ振興を基本としつつも、従来から東京都体育協会への支援を通じまして競技力向上を目指した選手強化を図っているところでございまして、その成果として、先日の国民体育大会愛知大会におきまして、開催地愛知県に続き、男女総合、女子総合とも第二位の成績をおさめたところでございます。  今後も東京都における選手育成とその強化策を継続することによって、都民のスポーツ振興に資するとともに、東京都の選手が国際大会で活躍し、日本の成績向上に貢献できるよう期待していきたいと思っております。 ◯工藤委員 いわゆる競技力を高めていくためには、成長の大変著しい中学校の時代から、その基礎、基本となる体力、運動能力を十分に伸ばすような指導をしていく必要があると考えます。しかしながら、体力、運動能力調査の結果を見ますると、全国との比較において、中学生、高校生の体格は全般的に上回っておりますが、体力、運動能力については、全般的に下回っている傾向があります。  特に全国と比較して、中学一年生女子の反復横跳びでは二・二八点、高校一年男子の千五百メートルの持久走では四十三・七秒というように、各種目とも下回っております。東京都の十年前と比較してみますると、柔軟性を示す立位体前屈の高校二年生の女子では四・〇五センチ、高二の男子の持久走では三十六・八九秒などのように、やはり下回っておる。  こういった現状を東京都としてはどのように受けとめていらっしゃるのか、その解決に向けた体力向上の施策についてお尋ねしたい。 ◯鳴川体育部長 中学生、高校生の体力、運動能力の低下傾向につきましては、学校教育の解決すべき重要な課題であると受けとめております。  体力向上の施策といたしましては、生涯体育、スポーツの観点から、学校での体育授業の改善、充実を図るとともに、体力向上をねらいとした研究協力校や推進校を指定し、体力づくりの研究開発の推進とその普及を図っているところであります。また、体力づくりのための指導資料の作成、配布、高等学校におけるトレーニングルームの充実等の諸施策を推進しているところであります。  なお、生徒の効果的な体力向上の施策につきましては、今後とも多角的な視点から検討してまいる所存でございます。 ◯工藤委員 次に、中学生、高校生のスポーツ活動の振興策についてお伺いします。  現在、生徒の運動やスポーツへの関心、意欲には顕著なものがあると考えます。生徒がみずから自分の好みにあったスポーツを選んで、仲間とともに汗を流し、喜びや苦しみをともにしながら練習に励むクラブ、部活動は、高い運動技能を身につけ、たくましい体力を養い、同時に豊かな人間性をはぐくむということから、教育的にも、また生徒のスポーツ振興にとっても大変意義があるものと考えます。
     東京都の教育委員会が、クラブ、部活動の指導者対象の講習会の開催や運動部活動の研究推進校の指定をしたり、さらに、総合体育大会を初め東京都の中学校、高等学校体育連盟の主催する大会の助成等の振興策を実施されていることは、一定の評価を私はいたしているところでございますが、中学生、高校生のスポーツ振興を今後どのように進めていこうとするのか、お考えをお伺いいたします。 ◯鳴川体育部長 先生ご指摘のとおり、クラブ、部活動は、スポーツに関心、意欲がある生徒にとりまして、高い運動技能を身につけ、体力を高めるとともに、仲間との活動を通じまして豊かな人間性をはぐくむ上で、その教育的意義は極めて高いものと考えております。  したがいまして、東京都教育委員会といたしましては、今後ともクラブ、部活動や各種体育大会の一層の充実を図ってまいりたい、そういうふうに考えてございます。 ◯工藤委員 中学生、高校生のスポーツ振興、中でも競技的な面においては、公立学校に比べまして私立学校の水準が非常に高い。例えば帝京高校のサッカーとか硬式野球とか、国学院久我山高校、本郷高校のラグビーとか、世田谷学園の柔道等々、挙げれば数限りないんですけれども、これらの学校では、学校の特色として、スポーツの振興に非常に力を傾けておりまして、全寮制や奨学金制度及び推薦入学制度等によって、広く都内全域から、スポーツに関心、意欲があって、すぐれた資質を持った生徒の進学のニーズにこたえているものと私は考えます。  公立学校においても、これらの私立学校と同様とは私は望まないけれども、スポーツに関心、意欲があって資質にすぐれた生徒に対して、その進路希望にこたえていく必要があるのではないかと考えますが、東京都の教育委員会としての考え方をお伺いしたい。 ◯鳴川体育部長 ご指摘のとおり、中高生のスポーツ振興につきましては、特に競技的な面において、公立学校に比べて私立学校の水準が高くなっているのは事実でございます。  東京都教育委員会といたしましては、公立学校を目指す生徒の中にも、スポーツに関心、意欲があり、資質にすぐれた生徒が多数いるものと考えております。そのような生徒の希望にこたえ、個性の伸長を図ることは重要であると考えておりまして、今後、都立高等学校における体育学科、コースの設置につきまして、さらに検討してまいりたいと思います。 ◯工藤委員 私は、最近特に叫ばれております特色ある都立高校ということで、それに関連して、体育、スポーツに興味、関心のある生徒に対して、その能力、適性、進路等に応じた個性豊かな教育を行うことが重要であると考えております。  そのために私は、さきの予算特別委員会において、体育高校等についての都教委の見解をお尋ねしたところでございますが、重ねて体育、スポーツの専門高校の問題について、そのあり方等を検討していただくよう要望します。また、体育学科、体育コースを設置している都立高校は、現時点で駒場高校と南高校の二校だけでございますが、今後さらに地域性を考慮して、既設の、現在ある都立高校に体育、健康に関する学科やコースを設置して、その充実を図っていくよう、このことについても要望いたします。  さらに、願わくは、このことは教育だけにとどまらず、東京都全体各般にわたる問題として受けとめていただきたいんですが、都立大学というのがありますね。都立大学に体育学部を新たに設置して、東京都の教育の向上を図ったり、あるいは生涯スポーツの充実、発展、指導者の養成はどうかなというふうに考えるわけでございます。また、私の地元で大変失礼でございますが、葛飾区には、水元公園という、足立区にございます舎人公園に引き続いての膨大な面積を誇る公園がございます。その場所に、都立のスポーツ・レクリエーション――仮称でございますけれども、そういった都立の大学を新たに設置して、スポーツ、体育、レクリエーションの指導者の養成を行ってはどうだろうかというふうに考えております。このことも前向きに検討していただくよう要望いたします。  以上、答弁してください。 ◯鳴川体育部長 体育、スポーツが文化や生活の一部として定着し、いわゆる生涯体育、スポーツの志向が高まっていることは事実でございます。  先生ご指摘のような運動やスポーツに興味、関心を持つ中学生が増加しておるのも事実でございます。このような生徒の希望にこたえるとともに、生徒の持っている豊かな個性を伸長し、生きがいのある明るい生活を営むことができる能力や態度を育てることは、地域から期待される特色ある学校づくりを目指す上からも、体育学科や体育コースの設置がされることは意義あるものと考えます。  ご要望のあったことにつきましては、関係部局と連携をしながら対応してまいりたいと考えております。 ◯工藤委員 最後、もう一点だけ。  次に、性教育についての質問をさせてもらいます。  たしか九月二十一日の東京新聞、産経新聞の夕刊を見ますると、女子高校生等の性非行による補導の実態が報道されていました。私は、このような事実を大変遺憾に思うと同時に、児童生徒の性非行の増加、それ自体が大きな社会問題であるとともに、緊急の教育問題であると考えます。  私自身は、児童生徒の性非行の増加を防ぐ有効な手段の一つとして、学校におけるエイズの指導も含めた性教育の充実がどうしても必要であると考えている一人でございます。  いうまでもなく性教育は、児童生徒の人格を形成しようとする働きの一つであり、人間の生き方や男女のあり方に関する教育であるとともに、エイズに関する指導についても、性教育の一環として指導すべきであるとの認識を強く抱いているものでございます。  中でもエイズに関する問題は、エイズそのものが人間の生き方及び性や身体と直接かかわる問題であることなどを踏まえ、性教育を小学校の段階から、各教科、道徳、特別活動など、学校における教育活動全体を通して、計画的、組織的、継続的に指導の充実強化を図っていくことが今まで以上に重要な課題であると考えております。  そこで、各学校における性教育の取り組みの現状と今後の対応についてお尋ねをいたしたいと存じます。 ◯鳴川体育部長 性非行の増加を防止するためには、学校におけるエイズを含めた性教育の充実強化を図ることが必要であり、先生ご指摘のとおりでございます。  今後は、児童生徒の実態や各学校の指導の現状を的確に把握し、指導内容や方法等の研究を進めるとともに、指導資料の作成や教材開発等を進めながら、性教育の充実強化を図ってまいりたいと考えております。 ◯加藤委員 説明をいただいた教育庁の事務事業について、全般というわけにはいきませんが、幾つか取り上げて質問をさせていただきたいと思います。  まず、児童生徒の健全育成という問題に対してでございますけれども、説明のときにも、いじめ、登校拒否というような問題を取り上げておられましたが、私は、いじめあるいは校内暴力、教師による体罰などということは、児童生徒の健康、心と体という面にとっても、決してあってはならないことだと思っておりますし、なくしていただきたいと思っておりますけれども、登校拒否という問題については、この中で取り上げるときに、ちょっと戸惑いがございます。  少し前には、いわゆる登校拒否というのは、限られた子供に起きる心の問題、心の健康が原因で、子供の側から起きる問題というふうなとらえ方がされていたかと思いますけれども、資料も出されておりますが、今日では、登校拒否ということは、どの子にも起こり得る問題というような形でとらえていかなければならない。そういう意味では、児童の健全育成の問題ということでとらえるよりは、むしろ全体として、学校教育のあり方という点からも大きくとらえていく必要がある重要な問題だと考えるべきだと思いますけれども、教育委員会の方のお答えをいただきたいと思います。お考えをお示しください。 ◯買手屋指導部長 今、加藤理事からご指摘がございました。私どもも全く同様の認識を持っております。 ◯加藤委員 その中で、この事務事業大要の中の二三ページにあります学校不適応対策事業、一つは、学校不適応対策事業として百万円、また、登校拒否対応として七千六百五万一千円という予算が書かれておりますけれども、学校教育全般で受けとめる事業として、どんなことがこの金額の中で行われているのか、この内容についてお聞きをしたいと思います。 ◯買手屋指導部長 まず、第一点の学校不適応対策事業の百万円でございますが、この中には二つの事業がございます。  一つは、学校不適応対策事業推進委員会を設置してございます。これは、登校拒否の問題を中心に、全都的な見地から学校不適応対策事業のあり方を検討する委員会でございまして、外部委員、内部委員から成ってございます。この委員会の委員会費が一つでございます。  もう一つは、学校不適応対策連絡協議会を設置してございます。これは、区市教育委員会におきまして適応指導教室を設置しておりますが、そこの相談員等の代表が集まりまして、横の連絡あるいは研修等を行うもので、適応指導教室の機能発揮を目指したものでございます。この会議費でございます。  百万円は、以上の二つの委員会あるいは推進委員会の設置の費用ということでございます。  それから、登校拒否対策で七千六百余万円のことでございますが、これは、多数の登校拒否児童生徒がいる学校に教員を加配している、こういう費用でございます。 ◯加藤委員 学校教育全体で取りかかる登校拒否対策、不適応への対策事業というふうにはなかなか受け取れないわけですけれども、この根底というか背景にある問題としては、やはり登校拒否を児童生徒の側の問題、児童生徒の心や体の健康の問題というふうに取り上げているのでは、なかなか根本的な解決はできないんだというふうに思います。  先ほど、ほかの委員の質問に対してもお答えになっていましたように、大変複雑な背景の中で、大きな取り組みとして、教育全体を問い直すというような視点で取り組んでいかなければならない重要な問題だというふうに私は考えております。  そうした中で、「とうきょう広報」十月号ということで、児童生徒の健康づくりについて特集が組まれています。この特集を見たときに、今、なぜ全庁を挙げて児童生徒の健康づくりを総合的、計画的に推進しようということになったのかということについて、背景をご説明いただきたいと思います。 ◯鳴川体育部長 東京都は、第三次長期計画の中で、豊かな人生の基礎づくりのために、いきいき健康づくり運動を提唱して、二十一世紀に向けた健康づくりの基本構想、長期目標及び施策の方向が提言されました。  また、平成三年十一月には健康づくり都民会議が発足し、健康都市東京の実現を目指した、いきいき都民の健康づくり行動計画が平成五年二月に作成されました。この行動計画と連動しながら、児童生徒の健康づくりを総合的に推進するため、基本計画を策定したものでございます。 ◯加藤委員 今ちまたでは、勉強は塾で、健康やしつけは学校でというような俗な言葉がありますけれども、じゃ、家庭は一体何をするところだなんていう話もありますが、本来健康づくりというのは、家庭のところでしっかり取り組んでいく問題ということも考えられると思います。もちろん学校で分担をしていただかなければならないところもあるんだと思いますが、学校が教育本来のことをきちんとやっていただく場としてぜひ充実をしていっていただきたいということは、後のテーマにもかかってきますので、このくらいにしておきます。  本来健康というのは、個人のプライバシーを含んだ大変重要な問題であります。小学校入学以前、就学時健診のときから、さまざまな健康に関する情報が学校へ提供されてまいります。これらのデータは、一体どのように取り扱われているんでしょうか。  以前にこの委員会に参りましたときにも同様の質問をさせていただいたんですが、今、医療の現場では、本人への告知の問題やいろいろな問題がいわれております。こうした情報について、小中通して行われる、高校でももちろんありますが、学校で行われる健康診断のデータの管理あるいは廃棄、本人への情報の公開や情報の帰属は、一体どんなふうになっているのか、お教えいただきたいと思います。 ◯鳴川体育部長 学校におきましては、学校保健法の定めるところにより、毎年定期健康診断を実施しているところでございます。これらのデータの管理は、多くの場合、当該の学校の主体性に任されているのが現状でございます。  こうした個人の健康情報は、本来、児童生徒あるいは保護者に帰属するものと考えられまして、プライバシーに十分配慮し、個人の健康管理にも活用できるようなデータ管理が課題となっているところでございます。 ◯加藤委員 健康づくりの中で、将来の成人病の発生が、実は幼児からの健康のあり方にも影響されてくるのではないかというような問題も、この健康づくりの中で指摘されておりまして、情報の提供が求められる場面なども将来出てくるかもしれないですね。そういうときの公開の基準ですとか、そういうこともまた問題になってくるのではないかと思いますので、今後の課題の中で十分取り組んでいただきたいと思います。もちろん学校現場でのプライバシーの保護などについても検討されていると思いますが、今後の課題の中で、総合的に取り組んでいただきたいと思います。  学校の健康づくりの問題に戻りますが、各学校では、教育目標にこの健康づくりを位置づけ、学校保健安全計画の充実を図るというふうに書かれております。従来も学校保健法による計画は行われていたと思うんですけれども、どんなふうに違うのでしょうか、教えてください。 ◯鳴川体育部長 本計画では、自主的で積極的な健康づくり活動を促す役割が重要な骨子となっておりまして、従来の学校保健安全計画を、各学校の健康課題等の特性に応じて、さらに充実を図ることを重要な柱としております。 ◯加藤委員 これまでは、学校の生徒の健康管理という意味では、各学校にいらっしゃる養護の先生が中心になって取り組まれてきたかと思いますが、この計画が、さらに内容が豊富になり、さまざまな計画事業が現場におりてくるかと思いますけれども、こうした中で、現場への、特に養護の先生に仕事が多くかかってくるというようなことがないように配慮をお願いしたいと思います。  また、健康教育の一環として、学校給食の新たな展開を図るとされていますけれども、現実の学校給食はどんな実態になっているのでしょうか。健康のためには、食材料からの吟味や、おいしく楽しく食べるということ、ゆっくり給食が味わえるということも大切だと思いますが、これらの点についてはどのような取り組みを考えておられますか、教えてください。 ◯鳴川体育部長 同計画におきます学校給食の新たな展開といたしまして、東京都教育委員会といたしましては、児童生徒の健康づくりの視点から、学校給食の改善充実方策につきまして、東京都教育委員会の附属機関でございます東京都学校保健審議会に諮問し、現在、審議していただいているところでございます。諮問の内容は三つございまして、まず一つは、義務教育諸学校における児童生徒の健康づくりに向けた学校給食の意義と役割、もう一つは、盲・聾・養護学校における児童生徒の生活自立及び生涯にわたる健康づくりに向けた学校給食の意義と役割、三つ目が、夜間定時制高等学校におきます学校給食の教育的意義及び全日制高等学校における食事環境の整備についての三点でございます。  なお、本審議会の答申は、平成七年七月の予定となってございます。 ◯加藤委員 空き教室を利用してのランチルームの設置など、楽しく食べるという工夫もされていますけれども、給食が学校教育の一環という中で、二十分という時間で用意から食べて片づけまでするというような中では、ゆとりを持って食べるなどということはとても無理で、さまざまな子供が集まっている中で、学校給食も楽しく食べるというような視点での、給食の新たな展開を私は期待をしております。  次に、本年十月一日に施行された予防接種法の改正についてですけれども、日本脳炎など八種類の予防接種は、かかりつけ医師での個別接種ということに変わりました。ポリオ、BCGは当面集団接種ということになりましたが、学校でかかわるのはBCGのみということになりました。学校現場からも、学校での集団予防接種はやめてほしいという要望も上がっているかと思うんですけれども、将来的に個別接種へ移していく、そんな準備をどのようにされておりますでしょうか。現状とこれからの対策ということで、お考えがあったらお示しいただきたいと思います。 ◯鳴川体育部長 先生ご指摘のとおり、このたびの法改正によりまして、予防接種は集団接種から原則個別接種となったものでございますが、結核予防法及び学校保健法に基づきまして、学校におきまして実施されているBCGにつきましては原則として集団接種とされ、接種体制の充実を図ることとなっております。東京都教育委員会といたしましては、こうした法改正の趣旨を踏まえまして、関係機関と十分連携を図りながら、予防接種実施体制の充実確保等につきまして、区市町村教育委員会に対して指導をしているところでございます。  また、BCGの個別接種化につきましては、国の動向を見きわめながら、実施主体でございます区市町村の実情を踏まえつつ、なるべく早期に個別接種に移行できるよう、区市町村教育委員会に働きかけてまいりたい、以上考えております。 ◯加藤委員 次に、学校教育の充実という点について幾つかお伺いしたいと思いますけれども、本年五月、子どもの権利条約が日本でも発効をされているわけですが、これを受けて、教育現場でも対応を変えていかなければならない問題が幾つかあるのではないでしょうか。  まず最初に、子供にわかりやすく子どもの権利条約を知らせる必要があると思いますけれども、各学校での周知はどのようにされているのかということについて、お知らせいただきたいと思います。 ◯買手屋指導部長 学校での児童生徒への周知の点でございますが、先般、外務省がこのようなリーフレットを作成いたしました。このリーフレットを、都内の公立学校全学級分に現在配布してございます。それによりまして、まず条約の趣旨や内容をかみ砕いて、児童生徒への周知をお願いしているところが第一点でございます。  今後でございますが、まず先生方にこの児童の権利に関する条約を理解していただくということは、ひいては児童生徒への周知に大きく有効であるという観点から、都内の公立学校の全教員に、この児童の権利条約本文の英文、そして翻訳文、人権規約等の資料をつけたものを配布する予定にしております。これは間もなくだろうと思います。それから、直接児童生徒向けのパンフレットでございますが、今後、予算の問題でございますが、予算が通れば、来年度には児童生徒一人一人に都教委が作成いたしましたパンフレットを配布したいということで、今その下準備を始めているところでございます。 ◯加藤委員 子どもの権利条約は、主体は子供でありますから、まず子供に知らせていただきたいということ、それから、先生がまず理解をしてから子供というのは、これは子どもの権利条約に関しては逆なんですね。まず子供が知って、それから先生たちもそれを一緒に考えていくということが正しいかと思いますので、訳文をそのまま渡したってちっともおもしろくないわけで、子供がわかりやすいビデオや、子供の言葉にかえた子どもの権利条約の説明というようなものもできているようです。そういうものを参考にしながら、やはり子供たちがわかるという方法を大人たちが編み出してあげることは大切なことですので、ぜひやっていただきたいというふうに思います。  福祉局の方から出されたものではありますけれども、ここに東京都児童環境づくり活動指針というのがございます。その中に、子供の権利として、子供を尊重した教育環境、子供の意見尊重ということが書かれています。その対極にあるのが、やはり教師による体罰の問題ではないでしょうか。オンブズマン制度というようなことも導入されようとしておりますけれども、教師によるこうした体罰をなくしていくための具体策として、どのような論議が進められてきたのかということについて、お知らせいただきたいと思います。 ◯買手屋指導部長 いまだに教育現場で体罰がなかなか根絶できないという事態を、大変深刻に受けとめております。体罰に対する基本的な考え方といたしまして、やはり体罰は、子供の人権を侵害するものでございます。また、教師が体罰を行うことは、みずからの教育観の誤りと指導力の欠如を認めることでございまして、厳に戒めなければならないと考えております。学校教育法第十一条、これは法律でございますが、この法律でも当然体罰は禁止されているものでございます。体罰をなくすための取り組みでございますが、この基本的な考え方のもとに、従来から各区市町村教育委員会や学校長に対しまして、体罰禁止や人権尊重に関する通知や資料を作成配布いたしまして、この趣旨の徹底を図っているところでございます。  教員の研修におきましては、体罰根絶のための――新規採用の教員を初めといたしまして、中堅教員に対しましても、さまざまな研修の機会に、人間関係を重視した生活指導や人権尊重教育をテーマにした研修を行っているところでございます。また、何よりも指導的な立場にございます学校の校長、教頭の管理職の研修におきましても、特に服務監督者として必要な研修を行うとともに、体罰を起こした教員に対しては、当該校長を通しまして厳しく指導するということで、体罰禁止は徹底するように努めているところでございます。 ◯加藤委員 本来、子供たちが生き生きと通うべき学校で、教師による体罰はやっぱりどうしてもあってはならないこととして考えていきたい、根絶をしていきたいというお考えをお聞きしました。本来、学校の中で、教育を受ける子供、授ける先生、こういう関係で進んできた中で、保護者の方からも体罰を要求するというような場面も、私も実際に経験したことがございますけれども、こうした学校の中における関係を変えていくためにも、また子どもの権利条約を学校の中で実践していくためにも、第三者機関としてのオンブズマン制度への期待が大いに高まっているわけです。この研究について進めてこられたと思いますが、現在の進みぐあい、これからの具体的な展開をどのように準備しておられるのか、お答えをいただきたいと思います。 ◯買手屋指導部長 私ども、この四月に、教育指導にかかわる相談苦情申し立て制度に関します研究チームを発足いたしました。その中での主な調査研究事項でございますが、現在まで、まず各種の相談窓口における相談状況にかかわることでございます。東京都にはさまざまな教育にかかわる相談窓口がございますが、そこでどういうような相談が現実に来ているか、こういうところの実態の調査でございます。  二つ目に、相談苦情処理機能のあり方やその制度にかかわることでございます。窓口で苦情処理の機能を果たしているところもあるようでございますが、制度にかかわっていろいろ研究を進めているということでございます。  三番目に、オンブズマン制度にかかわることでございます。東京都の場合、教員を海外にいろいろな形で派遣しておりますが、そのテーマといたしましても、外国における教育指導にかかわる相談苦情申し立て制度、いわゆるオンブズマン制度があるのかないのか、あるとすればどうなっているのかをテーマに、今お願いして聞き取ってきていただいているような状況でございます。今後とも、適宜この会議を開催していきまして、さらに調査研究を進めてまいりたい、こう考えております。 ◯加藤委員 苦情が発せられるうちは、まだ手だてもされると思うんですけれども、やっぱりいい出せないでいる子供たちや保護者たちもまだまだたくさんいらっしゃる。そういう中で、やっぱり学校みずからがこうした体罰をなくしていくという意味でも、オンブズマン制度の導入というのは、私は具体的な方法として、何でもやってみる覚悟で進めなければならないと思います。効果があるのではないかなと期待をしておりますので、ぜひ研究を早急に進めていただきたいと思います。  次に、十月二十日付で教育庁の方から調査結果が発表されております平成五年度都立高等学校中途退学者等の調査について、幾つか質問をいたします。  中途退学者の進路状況について、その後の進路状況についてということで報告がされております。五月一日付ということですけれども、どのように退学後の状況をとらえているのでしょうか。そして調査時点は、きっと退学の翌年の五月一日現在ということだろうと思いますが、退学後のアフターケアということについて、何か取り組みをしているようなことがあったら教えていただきたいと思います。 ◯買手屋指導部長 まず、退学後の進路状況という調査の結果でございますが、これは退学した時点――退学するまでは学校はいろいろ手だてを講ずるわけでございますが、そうして結果的に退学をする、その時点で子供たちがどうなったか、こういう数値でございます。子供たちが退学した後のフォローでございますが、退学した生徒が学校を頼り、いろいろ教師に相談に来るような場合には、教師は快く熱心に相談に乗っているところでございますが、それ以外の生徒につきましては、特に学校が、退学してしまった後の生徒をフォローするというようなことは、現在行っておりません。東京都といたしましては、都立高等学校テレホン相談室や高等学校就学相談所などにおきまして、退学した生徒の進路指導の相談には応じているところでございます。  今後、中途退学後の実態でございますが、その追跡調査につきましては、今年度、文部省が調査内容や方法の検討を今しておりまして、来年度抽出調査をするという予定と聞いております。当然、東京都もこれに参加するわけでございますので、国の動向も踏まえまして、来年度は中途退学者の抽出になりますが、追跡調査を実施することになる、こう考えております。 ◯加藤委員 実は、この資料の中に、調査日が翌年度五月一日現在というふうにありましたもので、五月一日というところで、全数の退学者について、その後の状況というのが、数が入っておりますから、追跡をして、五月一日時点ではこうなっている、中途退学した後の行き先はこうだというフォローの手だてがあるのかと思ったんですよ。それならば、そのアフターケアについても、さらにそこを進めていただければいいわけですから、ぜひやっていただきたいなというふうに思って質問をしたわけですけれども、中途退学をしてしまった後に、もう一回学校に戻ってみようかなというような子供たちがいたときのアフターケアというのが、やっぱりどこかでされていかなければならないんじゃないかというふうに考えておりますので、文部省の検討も始まりますようなので、その中での取り組みをまた見ていきたいというふうに思います。  退学理由のうち、特に全日制で、進路変更ということの割合が多いわけですけれども、この背景を教育庁側ではどのようにとらえていらっしゃるんでしょうか。例えば、学校によっては、内規と称して、無期停学を何回やったら進路変更を次には出さなきゃいけないよというようなことを生徒には伝えているというようなことも聞くわけですけれども、その辺について、教育庁はどのようなとらえ方をしているのか、お聞かせいただきたいと思います。 ◯買手屋指導部長 進路変更とは、本来、学年の途中や学年末におきまして、本人の意思によって、専修学校、各種学校等への進学あるいは就職などへ進路を変更することをいうものでございまして、みずからの選択により、新しい自分の進路を見出して中途退学するような場合に、この項目に入るわけでございます。実態的には、ここの中途退学する過程におきまして、さまざまな事情がございます。  例えば、学業不振、学校生活あるいは学業不適応等がその背景にあるわけで、結果として退学をしていく、進路を変更していく、やむを得ず進路をまた変更せざるを得ない、こういう理由のものも背景としてあるわけでございます。学校側としては、最も主な原因を一つだけ挙げてくださいという調査方法でございますので、どうしてもこの進路変更のところに偏りがちなんでございますが、実態としては、背景の理由の方が大きいという場合もございます。  そういうわけで、進路変更がふえているという実態もあるわけでございますが、今後、調査の段階で、主たる原因になるものを一つ選んで記入するということですが、学校側には、その理由が明確になるようなものを一つ選ぶように、今後、調査に当たりまして指導していきたいという考えでおります。進路変更の中には、いろんな背景のものが入っているということでございます。 ◯加藤委員 進路指導ということが、一たん学校に入ってから行われる件数がこんなに多いのであれば、中学卒業時点での進路の指導が悪かったというだけになってしまうわけですが、実際には、学業不振ですとか、学校になかなかなじめないというようなことで進路変更にならざるを得ない。先ほどのお答えでは、本人の意思による進路変更なんだということが出されたわけですけれども、実際には、本人の気持ちで出すというよりは、出さざるを得ない状況に追い込まれるという状況もたくさんあるわけですので、その辺については、実態の把握、あるいは進路変更をせざるを得ない子供たちについて、もう少しきちんとした対応が必要なのかなというふうに考えております。  都立学校の進級卒業等相談室への相談状況については、資料を提出していただいたわけですけれども、こうした相談状況をどのように見ているでしょうか。都立高等学校テレホン進路相談室というのも設けられていて、ここに電話が殺到したというような話もちょっと耳にしたんですけれども、こちらの状況も教えていただきたいと思います。 ◯買手屋指導部長 都立高等学校進級卒業等相談室で受けます相談は、大変内容が多岐にわたっておりまして、本人の問題、家庭の問題、そして学校との深いかかわりの問題、いろいろ深刻な問題がございます。私ども、それを受けまして、学校とも連絡をとりながら、少しでも解決の方向に行けるように、今、努力しているわけでございます。  かかってくる件数の実態がございますが、むしろここに相談に来ていただける生徒あるいは保護者は、救われるという感じがございます。そういう意味で、今後、私どもが開いております窓口をより一層活用できるような方策はつくっていかなければならないということでございます。  テレホン相談室にかかわりましても、同様なものでございまして、多くの公私立の生徒さん、あるいは親御さんが電話をかけてくる実態でございます。 ◯加藤委員 私も、ラジオでよく教育相談なんかも聞かせていただいているんですけれども、児童生徒がみずから進んで解決を求めて電話をしてくる、相談に来るというのは、本当にまだ望みがあるんだと思うんです。こういう窓口が開かれていることを、まだ児童生徒が知らないという状況が実際にあります。どこにあるのといっても、なかなか学校でも知ることができないという状況がありますので、テレホン相談室あるいは進級卒業等の相談室の存在、電話番号なども、各児童生徒への周知を図っていただきたいと思いますけれども、お考えをお聞きします。 ◯買手屋指導部長 今後とも、さまざまな機会をとらえまして、周知の徹底に努めてまいりたいと考えております。 ◯加藤委員 都立定時制高校については、もう何点か質問もされたわけですけれども、私も、たまたま都立市ケ谷商業高校の定時制の方から、存続を求めているという要請を受けましたので、それに関して、幾つか、市ケ谷商業を例に挙げて――ほかの学校でも多分同じような状況があるのじゃないかとは思いますけれども、教育庁側のお考えをお聞きしたいと思います。  一つは、山手線の内側で唯一商業の定時制ということであるわけですけれども、これが廃止されることは、適正配置ということに沿って考えても、当たっていないのではないかということがいわれているわけですけれども、お考えをお聞かせください。 ◯齋藤学務部長 定時制課程の適正規模、適正配置計画に関連いたしまして、市ケ谷商業高等学校の定時制課程の話をいただきました。現在、市ケ谷商業高校定時制につきましては、在籍生徒数が、第一学年が七人、全学年で三十六人という極端に少ない状況にございます。先ほどもちょっとご説明申し上げましたけれども、例えば、商業科目の総合実践というような実習授業がございますけれども、その授業に対しまして、総合実践室で授業ができないというような例がございます。このような小規模化した学校における教育効果の課題解消という観点を中心に、勤労青少年の就学の機会を確保することを基本にいたしまして、在籍生徒数、交通の要件など総合的に検討した結果、今回、市ケ谷商業高校の商業科を対象としたものでございます。  なお、山手線の云々というお話をいただきました。ご案内のとおり、東京都心部は、交通網が大変発達しておりまして、山手線の駅の周辺には、幾つかの商業高校がございます。私どもいろいろ検討いたしました。実際に、市ケ谷商業高校がなくなっても、山手線の近辺でそれにかわる近隣校が何校かあるということを踏まえまして、対象とさせていただいたわけでございます。よろしくご理解をお願い申し上げます。 ◯加藤委員 時間があれば、それぞれどういう学校があるのかというようなことについても、あるいは通学の時間についても、今、お答えいただいたんですけれども、どんなふうになっているのか、お知らせをいただきたいところですが、それはきょうは省略しておきます。  現在在学している三十六名という数は、極端に少ないとおっしゃいましたけれども、ほかの学校でも、もっと少ないところもございます。そして、人数でやっているんじゃないんだということで、必要に応じては、少人数でも残しておるところもあるんだという意味でいえば、商業の定時制としての市ケ谷の位置というものをどのように考えて今回の募集停止に至ったかということが問われてくるわけでございます。  また、定時制の学校の生徒募集については、先生方も地域を走り回って、あるいは学校の前に看板を掲げたりいたしまして、全力を尽くしているわけですけれども、これから新たに発生してくる、現在の中学三年生ですけれども、こうした三年生の就学希望ということについて、どのような働きかけをし、今後のそうした希望が出てきたときに、市ケ谷商業がもうないんだ、定時制がないんだということでは、どのような対策を地域の方たちに知らせているのか、対象の中学三年生を抱えた周辺の学校に知らせているのか、このことについて内容をお知らせいただきたい。 ◯齋藤学務部長 定時制課程の各都立高校の状況につきましては、冊子をつくりまして、各中学校に配布いたしております。  また、就学相談室におきまして、逐次、電話あるいは来庁を受けまして、相談させていただいております。そういう中で定時制課程のPRに努めているところでございますので、仮に不足があるということがありますれば、さらにその辺を十分に検討しながら進めてまいりたい、このように思っております。 ◯加藤委員 市ケ谷商業の定時制に限らないわけですけれども、先ほどの中途退学者等の数字を見ても、定時制の第一学年の退学率は三十数%台ということで続いています。この背景をどうとらえて解決していこうとされているのか、そういう中での適正配置ということも考えられていると思いますが、その点についてお答えをいただきたいと思います。 ◯買手屋指導部長 定時制の中退率が大変高いというご指摘でございます。中退率が高いのは、さまざまな要因が複雑に絡み合っておりまして、なかなかこれはと指摘しにくいのでございますが、主な要因を整理してみますと、定時制の第一学年に入った生徒は、生活の環境の著しい変化がございますので、それが一層負担になって、学業不振や学校生活不適応につながって中退していく。それから、定時制への入学が不本意なものであったり、学業以外のことに熱中している結果、学業についていけなくなること。勤労と学業を同時に続けることが、生徒にとって肉体的、精神的に困難を伴うこと等々ございますが、やはり、受けとめる高等学校が、生徒一人一人の特性、進路に対しまして、きめ細かな教育相談、あるいは教育指導を行っていく、これが鉄則でございます。そういう意味で、今後とも学校を指導してまいりたい、こう考えております。 ◯加藤委員 定時制に限らず、今、中卒後の進路の状況も資料として出されておりますが、圧倒的な方たちが進学をしているという状況の中で、高等教育全体をどのように組み立てて、定時制の役割をどう位置づけていくのかということが、やはり、この三年間かけてやってきた適正配置のもっと根本のところで必要なんじゃないかというふうに私は思っております。  高等教育の最終的な全体計画をどのように考えて、定時制をその中でどのように位置づけているのかということについて、お考えがあったらお示しいただきたいと思います。 ◯齋藤学務部長 ご案内のとおり、生徒数の減少に伴いまして、定時制だけではなくて、全日制を含めまして、これからの都立高校をどのように計画していくのかというのは、大変大きな課題でございます。現在、そのような状況を踏まえまして、庁内にこれからの都立高校の長期展望といったものについて検討する機関を設けたところでございます。いろいろ調査し、その状況についてまた皆様にお知らせする機会があろうかと思いますけれども、その中で、定時制につきましても、あわせて検討してまいりたい、このように考えております。 ◯加藤委員 受験というハードルがあって、希望どおりの学校に行けなかったというような生徒さんもいらっしゃるわけで、あるいは、いろいろな条件で、先ほどいっておられましたように、学業についても、定時制で学ばざるを得ないという状況の子供さんたちもいらっしゃいます。そうした子供たちが、やっぱり生き生きと学校に通えるという意味で、高等教育のあり方全般についても、定時制を含めて考えていただきたいなと思っております。  最後の質問になりますが、心身に障害のある児童生徒への教育という点についてでございます。  学校施設のバリアフリー化というのは、小、中、高、施設などで進んでいるかと思います。新しくつくる学校からは、当然進められていることと思います。施設、設備は、障害のある人も受けとめられるところに変わってきているんですけれども、では、普通学級、普通学校が障害のあるどの子にも開かれているかといいますと、なかなかそうはなっておりません。国際障害者年以来、昨年は十二月二十日に、国連で障害者の機会均等化に関する標準規則ということも施行され、障害を持つ児童、青年、成人が統合された環境で初等、中等、高等教育を受けることが原則とされるように、その前文でも述べられております。
     都では、これまでに多くの障害を持つ人たちを普通学級で受けとめてきたと思いますけれども、実際には、本人や親の決意、あるいは一部の教職員の努力に負うところが多いというのが実情ではないでしょうか。私が先ほど出した、子どもの権利条約第二条でも、障害による差別の廃止がうたわれています。世界の統合教育の流れは、今、確実なものになっています。そうした意味で、東京都でもこの統合教育に道を開いていただきたいと思うわけです。  まず一点だけを挙げて、このことについて考えていただきたいんですが、就学相談がございます。その就学相談の中には、盲・聾・養護学校への就学、あるいは特殊学級への就学を希望する方の就学相談ということで書かれておるわけですけれども、ハンディを持っている子供たちや親にとってみれば、普通学級でやっていくためには、どう考えていったらいいんだろうか。普通学級でやっていくために、こちらが準備することがあるのか。あるいは、学校に考えていただかなければならないことがあるとすれば、それをお願いしたい、こういう相談もあるわけです。まず、この就学相談において、普通学級に入っていくために、学ぶための相談ということをぜひ開いていただきたいと思いますけれども、そのことについてお考えがあったらお聞きして、質問を終わらせていただきたいと思います。 ◯齋藤学務部長 心身に障害のある児童生徒の就学相談の窓口についてのお尋ねでございます。就学に関する相談窓口は、心身に障害のあるすべての児童生徒に対して開かれてございます。就学相談においては、児童生徒の障害の種類、程度を的確に把握いたしまして、医学的、心理学的、教育的観点から、児童生徒に合った、望ましい教育環境について総合的に判断し、就学措置を講じているところでございます。そのため、区市町村教育委員会と東京都教育委員会が連携いたしまして、保護者に対し、より深い理解が得られるよう就学に関する多様な情報を提供し、児童生徒の将来の自立を見通した、きめ細かな指導を実施しているところでございます。  ちなみに、平成六年度の小中学校の就学相談結果でございますけれども、都立盲・聾・養護学校に入学した方が四百六十六名、区立養護学校に入学した方が十九名、通級学級を含めた区市町村立心身障害学級に入学した方が千三十一名、また、通常の学級に入学した方が四百十一名となっております。 ◯大沢委員 大分時間がたちました。したがって、ちょっと問題を絞って質問したいと思います。  中途退学については、今、質問がございましたし、平成元年から急速に増加して、都教委としては、この対応策を講じてこられたと思います。こうした具体的な対応策をしながら、実際には、平成三年からさらに引き続いて増加している、こういう現実があるわけです。そこで、この理由は何なのか、この対策が不十分であったのかどうなのか、そういったことを含めてお答えをいただきたいと思います。 ◯買手屋指導部長 大沢副委員長ご指摘のように、平成元年度から全日制の高校の中退率が増加の傾向にあって、なかなか歯どめがかからない、こういう現状がございます。東京都教育委員会といたしましては、平成元年度からさまざまな形の中途退学防止の対応をしてきたわけでございますが、平成元年度から学校不適応検討委員会を設置いたしまして、これは平成三年度まで三カ年でございますが、そのうち二年度、三年度の二カ年は、特に高校の中退の実態、あるいは中退を防止するための基本的な考え方をまとめたところでございます。  その検討委員会の報告を受けまして、私ども、例えばコース制の導入によりまして、あるいは学科の改編によりまして生徒の不本意入学を少なくするとか、第一学年のオリエンテーションなどきめ細かな指導の徹底をするとか、進級規程等の校内規則を改正するとか、さまざまなことを行いまして、ある程度中退が減ってきた例が見られます。残念ながら、それ以外の学校では、必ずしも提言の内容が実践されなかったこともございますし、また、それに拍車をかけまして生徒の不本意入学あるいは学習意欲の欠如、あるいは学力不振等がございまして、結果的にふえてきたという状況でございます。 ◯大沢委員 今お話しのように、具体的には現実に中退者が減ったというところもあるし、いい例もあるようでございます。この理由が、進路変更と学業不適応、家庭の事情というのがずっと三本柱であるわけですが、いろいろ中は先ほどお答えのような内容で、違いがあるようでございます。  そこで、今回は引き続き高校の改善検討協議会が持たれて、この問題についてもさらに検討が進められるということになっているわけですが、前の反省を含めて、せっかくやるならば、ここで本当にいいレールをちゃんと引いて、実際に中途退学者が減少していくような対応にしないと、検討会ばかりやっていたのではうまくないと思いますので、その点についてはどういうふうに決意を持っておやりになるのか、お答えをいただきたい。 ◯買手屋指導部長 高等学校改善検討協議会におきまして、中途退学の総合的な対策ということで、今までいろいろな対策を講じてきたわけでございますが、ややもするとそれらが、個々ばらばらということではございませんけれども、横の連絡がなくいろいろな施策があったわけでございますが、今後特に中途退学の多い学校等に関しまして、集中的に今までの反省も含めまして施策を講じていきたい。特に第一学年におきましては、中途退学する生徒が大変多いということから、高校入学してからの適応指導のあり方をどうするか、この辺のところが中途退学の防止に大きな効果がありますし、現在検討の重要な課題になっている。十分検討を進めて、今副委員長のご指摘のようなことを含めまして検討していきたいと考えております。 ◯大沢委員 これは学校のいじめとも直接関係もあると思いますし、私も今実はある問題に遭遇しているものですから感ずるわけでございます。  そこで、一つだけ、高校の制服がありますね。新しい学校はできるだけ制服ということですが、全体としてどの程度の制服が普及されているのか、お答えいただきたいと思います。 ◯買手屋指導部長 平成六年五月一日現在の調査でございますが、全日制課程で制服を定めている学校は百四十八校、七〇・八%でございまして、標準服――制服ほどいきませんが、標準の服を定めている学校が三十七校ございますので、合わせて百八十五校、八八・五%でございます。 ◯大沢委員 この問題をなぜ伺ったかというと、標準服で結構ですけれども、少子化時代、子供が少なくなる中で、非常に今いろいろ学校の問題が指摘をされているわけでございます。特に都立高校については心配の面もありまして伺うわけですが、この点が今の検討の中でも、しっかりとこうした標準服等をちゃんと規定している学校、それ以外の学校等もあると思いますが、その辺も含めて検討の対象にしていただきたい。これは要望だけ申し上げておきます。  時間がありませんので、次に進ませていただきます。  私も実は現代美術館について若干お伺いをいたします。  今回、「ヘア・リボンの少女」の購入から、大変話題を呼びました。ある面では大変な宣伝をしていただいたという面もあるかと思いますけれども、新潮によれば、七十五億円で集めた作品の怪なんて、こんな記事も出ましたし、十月二十日には、議会承認外におさめる二億円の絵、こういう報道がなされています。また二十五日には、非公開の次は非開放、こんな記事も出ておりますし、こうしたことも、現代美術館を含めまして、都の施設が新しくできたときに、これほど話題を呼ぶということも珍しいことではないかと。ある面では反省をしなきゃいけない、ある面では、こういうものを含めて今後の美術館の発展のための糧としなければいけないと私は思います。  そこで若干お伺いしたいと思いますが、読売の記事の中に、都が購入したこうした作品が高いという報道が目立つと。しかし、例えば「ヘア・リボンの少女」なんかについても、いわゆるこうした作品については、価格の問題よりもむしろこうした作品が手に入ったということが非常に大事だという評価もしておりますし、こうした問題の論議が、これから現代美術が十年おくれたのではないかといわれるような画商の嘆きが聞こえてくるなんていう記事もあります。いろいろな見方があるわけですが、私は実は昭和六十二年の予算委員会でこの問題を取り上げました。したがって、それに関連をするという意味で若干質問をしていきたいと思います。  第一番は、六十二年にも申し上げたのですが、作品の収集の基本の考え方、そういう中で、これは都民参加を十分考えていくという意味もありまして、都内の作家の人たちにしっかり参加をしてもらったらどうだろう、そういうことを提言をしたわけですけれども、都内の作家を得るために、どのように呼びかけをされたのか、まずお伺いしたいと思います。 ◯荻野生涯学習部長 現代美術館が都民に親しまれ、また作家の方々を支援し、支援される美術館づくりをしていくことは大切であるというふうに認識しております。そのため、都内を主たる活動地とする数多くの作家の方々に対して、作品収集に当たり個別に協力をお願いしているところでございます。 ◯大沢委員 個別に協力を呼びかけていかれるということですが、それでは作家の協力によって収集した絵画等は何点くらいあるのか。また、積極的に寄贈していただいたのはどのくらいあるのか、お答えをいただきたい。 ◯荻野生涯学習部長 作家の協力によります収集実績といたしましては、購入分が五十五作家、百九十九点、寄贈が十二作家、二十一点ございますけれども、そのうち都内在住在勤、出身の作家の協力によります購入分につきましては、二十六作家で三十八点ございます。また、寄贈分につきましては、八作家、十五点ございます。 ◯大沢委員 私は地元の世田谷区美術館の建設のときに、ちょうど区議会議員だったものですから、参加をしました。世田谷美術館の場合は、区内作家ということで非常に呼びかけまして、現在収集委員会を通った分だけでも二千六百点あるわけです。こういう点で、東京都が、私が六十二年にいっているんですけれども、今回、余りそういうことに力を添えなかったのではないかという感じを実は持っているわけです。これについて今後どのように対応されるのか、お伺いしたいと思います。 ◯荻野生涯学習部長 今後も現代美術館に対します理解を深めていただき、企画展や作品収集を通じまして積極的にご協力をお願いしていきたいというふうに考えております。 ◯大沢委員 これはぜひしっかりとやっていただきたいと思います。  そこで、今回購入部分の問題点がいろいろ出たために、収集がこれから思うようにいかないということになりますと、また心配な面が出てきます。確かに上野美術館の三千点をベースにするということについては理解をしているわけですが、常設展示場が四千平米というような状態を考えますと、これまで収集した作品で十分なのかどうなのか、これからどうするのか、その予算はどうするのか、その点あわせてお答えください。 ◯荻野生涯学習部長 日本美術につきましては、ほぼ戦後の流れをたどれるようになった、また、海外の作品につきましては、重要作家の作品もある程度収集できたのではないかと思っております。しかし、まだ不足している部分もございます。収蔵作品の質と量が館の評価を左右することにもなりますので、開館までに収集できなかった作品につきましては、今後も引き続き努力してまいりたいと思っております。  それから、収集のための予算につきましては、当面は美術資料取得基金の残額、約二十七億円ございますが、それをもって現代美術を体系的に収集していきたいと考えております。  美術作品の持つ特性から、年度に左右されない基金形式による収集が望ましいというふうに考えてございまして、今後とも基金の存続について関係部局の理解が得られるよう努力してまいりたいというふうに思っております。 ◯大沢委員 ちょっと絞ってご質問申し上げますので、お願いをしたいと思います。  特に、先ほど申し上げたように、非公開の次は非開放ということで、都民活動でこれに参加することが非常に大事ではないかと思います。この点が一つと、これから美術館運営の中で企画展が非常に大事になってくると思いますけれども、例えば話題性を呼ぶような企画展の開催ということ――世田谷のことばかりいって申しわけないのですが、秦の始皇帝とその時代背景で、今大変な人気なんですが、こういうことを含めてそうしたことについてはどのようにお考えなのか、伺います。 ◯荻野生涯学習部長 現代美術館につきましては、公募展会場を中心とします東京都美術館との役割分担も踏まえまして、公募展会場としての利用は考えてございませんけれども、館が主催する作家としての活動を展示する展示室とか、各種の講座や文化的催し、研修、講演会等を通じまして、教育普及事業や情報センターで実施します美術情報提供事業を行い、都民の方々が積極的に参加してもらえるような魅力あるプログラムを開発していきたいというふうに考えてございます。  それから企画展につきましても、ご指摘のとおり、話題性を呼ぶような魅力ある展示にしてまいりたいというふうに思っております。 ◯大沢委員 そこで、都内作家のことも含めて、ここでコンクール等を行って、そうしたときに展示された作品を買い上げるとかというような形で、要するに作家の人たちが自分たちの美術館だということで盛り上げていくような方式をとるべきではないかと思いますが、その点はいかがでございましょうか。 ◯荻野生涯学習部長 東京都美術館では、新聞社との共催で美術館賞を設けまして、受賞作品の買い上げを行うなどの育成策を講じてきたところでございます。現代美術館開館後は、このような方策のほかに、館が主催します若手作家の展覧会等での出品作品を購入するなどの方策も検討しまして、作家の方々を支援したり、作家の方々から支援されたりする美術館づくりに努めてまいりたいというふうに考えてございます。 ◯大沢委員 美術館の運営に一番大事なのは、東京都が運営する、あるいは第三セクターで運営するとかは必要なんですけれども、もっと協力者を得るためには、ボランティア等で友の会なんかをつくって具体的に推進をすべきではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。 ◯荻野生涯学習部長 ボランティアや友の会につきましては、現代美術館の今後の活動にとりまして極めて重要であると考えてございます。現在、そのあり方や育成の方法等について鋭意検討を行っているところでございまして、この結果を踏まえまして早急に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。 ◯大沢委員 もう一つは、美術館がああいう環境――臨海部にあるわけですが、周辺の状態その他を含めまして、美術館だけですと非常になじみが薄いという面もありますから、こういう中で音楽会だとかパフォーマンス等も行われるような、そうしたことを考えた方がいいのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょう。 ◯荻野生涯学習部長 企画展示等のアトリウムや野外の展示場等を活用いたしまして、映画、ビデオ放映、パフォーマンス、コンサートなどを実施することを計画しておりまして、ご指摘の点については積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。 ◯大沢委員 そこで、教育委員会がこれをやっているわけですから、これは学校教育とどのように連携をしていくのか、この辺が非常に大事ではないかと思いますので、この点についてのお考えを伺います。 ◯荻野生涯学習部長 現代美術館にとりましては、学校教育との連携は極めて重要なことと考えてございます。そのための組織も整備しているところでございます。連携に当たりましては、学校教育用の鑑賞プログラム等を作成し、きめ細かな対応を図っていきたいというふうに考えてございます。  あわせまして、各区市町村の教育委員会を通じまして、各学校への働きかけを既に行っているところでございまして、教育活動の一環といたしまして、常設展を展示する場合は無料とすることにしてございます。 ◯大沢委員 次に、障害者が参加しやすいようにするというのも非常に温かい配慮ではないかと思います。この点が一つと、運営に当たっては、先ほどから申し上げているように、都民の参加だとか都内の作家の参加を今後さらにしっかりと考えていくべきだと思いますが、この点についてあわせてお答えをいただきたいと思います。 ◯荻野生涯学習部長 現代美術館といたしましては、障害を持つ方や高齢者の方の参加をしやすくするために、東京都における福祉のまちづくり整備指針に基づきまして、車いす用トイレ、エレベーター、エスカレーター、スロープ、手すり、点字ブロックを設置するとともに、また、乳幼児室も設置し、都民の方々が安全かつ快適に施設が利用できるよう諸施設の整備を図っているところでございます。  それから、運営に当たりましての都民の参加、都内の作家をどのように考えているかというご質問でございますけれども、運営に当たりましては、都民の方々の参加を得る方法の一つとして、運営審議会への参加という方法もございます。現在東京都美術館の運営審議会におきましては、都民及び作家の代表者の参加を得ているところでございまして、現代美術館は開館に向けて専門家によります建設推進委員会を現在設置しているところでございます。両館が設置目的に沿いまして一体化した運営を図っていくことが望ましいと考えておりまして、できるだけ早期に運営審議会として一本化を図るとともに、都民の方や作家の方々の声が反映されるように努力してまいりたいというふうに思っております。  また、PRを積極的に行うとともに、アンケートなどを実施し、都民の方の声、作家の方々のご意見を聞く機会もつくってまいりたい。そして、都民に親しまれ、都民に支えられる、国際都市東京にふさわしい美術館づくりに努めてまいりたいというふうに思っております。 ◯大沢委員 最後に、前委員会から大変論議を呼びましたこの現代美術館は、四百三十三億円という巨費を投じてつくられたものでございます。美術館は、今現在だけ評価するのではなくて、将来にわたって大きく、都民、そして世界に開かれた美術館となっていかなきゃならないと思います。また、現代美術の美術館として代表するような美術館となっていかなきゃならないと思いますが、こうした位置づけを考える立場から、前委員会からずっと引き続いて、きょうもたくさんの論議がありました。これについて教育長はどのようにお考えなのか、最後にお話を伺って私の質問を終わります。 ◯市川教育長 新しい現代美術館についてでございますけれども、ご案内のように、東京には現代美術の状況が全体的に見渡せる、いわば常設展示を行う施設がないというようなことで、国内外の美術関係者からも、首都東京に現代美術の動向を知ることのできる美術館を設置してほしいというような要望もあったわけでございます。そしてまた、これもご案内のように、ニューヨークやパリなど世界の主要都市には大規模な現代美術館は必ずございまして、その都市のいわば文化のシンボルといったようなことにもなっているように思っております。  そういったことから、都民の現代文化創造のための基盤を整備して、そして世界都市東京の国際的な文化交流を推進するための大きな一つの要素として現代美術館が必要である、そのようなことで私ども理解をいたしておりまして、都議会においていろいろな形でご意見も賜っております。そうしたことを踏まえながら、関係者一同、作品の収集あるいは運営、そういった問題について全力を尽くしてまいりたい、かように考えております。何分よろしくお願いいたします。 ◯村松委員 初めに、学校図書館の問題について質問をいたしますが、我が党の大山議員の本会議での学校図書館の問題に関する質問に、教育長は、教員が学校における校務分掌の一つとして今の学校図書館活動を行っていると、そういうふうに答えておりますけれども、この校務分掌というのはどういうことなんでしょうか。 ◯買手屋指導部長 学校を経営するに当たりまして、それぞれ学校は組織がございます。例えば教務部、あるいは生活指導部等の組織がございます。校務分掌とは、教員がそれぞれの部に属しましてその機能を果たしていく、こういうことでございまして、学校内の組織ということでございます。 ◯村松委員 ということは、先生が担任を持ちながら図書室の係をしている、そういうことになるのですか。そういうことだと思うのですけれども、それと、現在の学校図書館がどういうふうに活用されているのか、都がその実態をつかんでいるかどうか、お聞きします。 ◯買手屋指導部長 担任を持ちながらそれぞれの組織に属しまして仕事をしているかということでございますが、先生の中には、担任を持たず、その校務分掌専属といいますか、そういう先生もおりますし、また、多くの先生は担任を持ちながらそれぞれの組織に属して仕事をしているということでございます。  それから、学校図書館の実態につきましては、文部省が実施しました学校図書館の現状に関する調査という、平成四年十月一日現在の調査の結果がございます。それによりますと、東京都の場合、学校図書館の例えば週当たりの開館日数が、小学校では毎日開館しているのが八七%、中学校で毎日開館しているのが二〇%、それから、毎日ではないが五日間程度開館しているのが中学校では五三%、こういう数字になってございます。 ◯村松委員 そういう説明はあったのですけれども、今の学校の現状というのは、先ほどから、学校週五日制の問題と新学習指導要領の中で先生方が本当に大変な思いをしていると。担任を持ちながら自分の教育研究、教材研究をしなければならない。で、自分が図書の担任になって、一人一人の子供たちに本当にいい本を読ませてあげたい、紹介をしたい、そういうふうに責任感を持ちながら、そういう仕事をしたいけれども、実際にはなかなかそれができないというのが実態なんですよね。今、あいているパーセントが、小学校が八七%、中学校が二〇%というふうにいっているのですけれども、同じ本会議質問の中で、教育長は学校図書室の問題についてこういうふうにいっているのですよ。学校図書館が学校教育上重要であると考えていると。だけど、実際にはこういう状況。口では確かに重要だ重要だといいながらも、じゃ、これで貸し出しの状況をつかんでいるかどうか、一人一人のリストをきちっとつかんでいるかどうかと聞けば、多分それはつかんでいないのじゃないかと思うのですけれども、どうでしょうか。 ◯買手屋指導部長 先ほど申し上げました調査によりますと、一校一カ月当たりの学校図書館の図書館外貸出冊数、外に借りていくということでございますが、小学校は八百二十冊、中学校は五十九冊でございます。 ◯村松委員 今、全都の中で学校図書室に専門の職員あるいは司書を置いているところがあるのですけれども、どことどこか、つかんでいらっしゃいますか。 ◯福田人事部長 小中学校のすべての実態を把握しているわけではございませんが、区では中野区、市では日野市、府中市、保谷市、国分寺市が、臨時職員を雇用したり、非常勤職員を配置したり、あるいは再雇用職員を活用し、校務分掌の一環としての図書館指導を担当させている学校があるとは伺っております。 ◯村松委員 私が住んでいる日野市では、校務分掌でなくて、専門の嘱託職員を置いているのです。今、三鷹市とか、あるいは多摩市でも、お母さんたちや先生方からの陳情請願が採択をされて、もうそういう方向に動いているのですよね。学校図書館に専門の司書か嘱託職員を置く、そういうふうな動きになっているのです。  私も先日、日野市内の学校図書室を見てきましたけれども、職員の配置によって大きな変化が生まれているのです。例えばある中学校では、九〇年度一年間に千九百七冊の貸し出しがあったのが、九一年では二千八百二十五冊、九二年度には四千七百五十四冊、倍々にふえているのですね。小学校では、九二年度は六千三百一冊で、九三年度が一万三千九百三十冊、こういうふうにふえているのですよ。やっぱり学校の図書室に専門の職員がいれば、本当に子供たちが本に親しんでくるという結果があらわれていると思うのです。で、ここの学校では、授業に基づいて、英語で今度ピーター・ラビットをやれば、その先生と連携とって、じゃ、ここで一番見えるところに置いておこうとか、あるいは「アンネの日記」とか宮沢賢治とか、そういうのなんかがあれば、本当に授業と並行して学校図書室が使用されていると。日野市立図書館から、必要があれば団体の貸し出しをしたりとか、そういうふうにいろんな形で努力はしているのです。そしてそれが大きなあれになっているのですけれども、本当に一人一人の指導ができるという意味では、すごく大きな成果があります。  私は、ここに子供の感想文を持ってきたのですけれども、中学二年生の子供の感想文が載っております。  「私が中学一年生のころ……図書室ではいろいろなイベントのような物をやっていました。  たとえば、市立高幡図書館スタイルのおはなし会。たしか年に二回やりました。先生が暗記したフレーズをみんなで暗記したり、先生が自分で書いたイラストをふしぎな布にはって見せてくれたり、魔女特集のときは国語の先生が魔女の格好で出てきたりしました。そして、最後は、その月に誕生日がある人がろうそくの火を消すのです。みんな、なつかしがっていてとても楽しかったです。  また、その日先生がおもしろいよと紹介してくれた本にはリクエストが殺到して、一カ月以上本がないこともありました。そんなふうにみんな先生が大好きだったので図書室は常連客でいつも満員でした。  図書室にはいろいろな人が来ています。友達と何人かで連れだって来る人、一人で来る人、ボールの方が似合いそうなわきに本を抱えている人、特に先生と仲のいい人は、カウンターで先生と『何かおもしろい本、ある?』なんて話しています。私は部活や塾などでいそがしいのですが、時間をつくって行ってみると、空席がないことがよくありました。  もう一つ私が感心したことは先生の記憶力です。図書室に来た人の顔と名前、どんな本が好きかをおぼえていて、つぎにその人が図書室に来たとき、好きそうな本を紹介してくれるのです。だから、みんなほんとうに先生のことをしたっていて、私も少しずつでも図書室に行くようにしていました。それぐらい魅力があったのです。学校の生徒という決まった客のみが来るその図書館では、司書の方と客とのコミュニケーションが密にとれるのです。それによってよりおもしろい本に出会えるのです。これが市立図書館などにはない、学校図書館の魅力だと私は思います。」  こういうふうに子供たちは、学校に先生がいると本当に楽しみになっていく、本の喜びというのがわかってくると思うのですね。それから、先生たちが授業でこれをやるよといえば、夢中で前に行って、先生この本を教えてください、紹介してくださいということをいえば、教えてくれる。そういうふうに大きな成果があるのです。先生の方も、いろんな工夫をしているのですよね。移動教室があれば、そこのところの資料も取り寄せてくれたりとか、クラスの先生と司書の指導員が物すごく綿密に連携をとり合いながら、本当に効果ある学校図書室の運営がされております。  そういう状況なんですけれども、都は、こういった学校図書室をもっと利用しやすいようにするために、現在実施している自治体に学ぶべきだと思うのですが、今まで比較的に東京都の教育委員会というのは、自治体に指導しますというふうにいうのですけれども、東京都のやっていないことを前もってやっているようなところへ行って学んでくる必要があるのじゃないか。これだけ大きな成果があるようなところでは、これはたまたま日野市の例を出したのですけれども、全国的にいえば、岡山とか、千葉の市川市とか、そのほか都内でもやっていますから、ぜひそういうところに学ぶべきだと思います。  同時に、図書館の実態調査、先ほど国の方で行ったといったのですけれども、東京都独自でやっぱりやるべきじゃないか、そういうふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。 ◯齋藤学務部長 先ほどの答弁の中の国が実施しました学校図書館の現状に関する調査、これは平成四年十月でございましたけれども、実施をしてございます。そのデータがございまして、それをもとに今いろいろ検討をしておりますけれども、そのさらに詳しい実態を独自に調査すべきであるということでございますが、ただいま近隣県の資料等を取り寄せて分析をしているところでございます。東京都といたしましても、その必要性があるかどうか、引き続いて検討していきたいと思います。 ◯村松委員 私がいっているのは、全都の中で、学校図書室に専門の職員、そういう人がいるといないでどう違うのだと、そこら辺をはっきりとわかるように、それから子供たちが本当に今活字離れだというふうにいわれているのですけれども、小さいうちからそういう図書指導をしていけば、嫌いな子はいないと思うのですよね。それがたまたまそういうことをやってなかったから、今の状況があるのだと思うのです。現在、国の方で一・五倍の蔵書計画があるようなんですけれども、どんなに本をふやしても、そこにどんなすばらしい本があったとしても、それは生かされなければ、物をいわない物でしかないのだと思います。都が全国に先駆けて早急に学校図書室に専任の司書の配置を行うべきだと思いますが、どうでしょうか。 ◯福田人事部長 教育長が大山議員のご質問にお答えいたしましたように、児童生徒への図書館の利用指導等は学校教育上、重要なものと考えております。現在、国において、学校図書館の図書整備を図るため、地方交付税の措置を行っているところでございます。また、都教育委員会といたしましても、図書館整備の充実に努めるとともに、司書教諭の再雇用職員の活用により整備を行っているところでございます。今後は、学校図書館の利用指導が円滑に行われるよう、司書教諭以外の教員の再雇用制度等も検討してまいりたいと考えております。 ◯村松委員 前向きに検討するというふうにとらえてよろしいのでしょうか。 ◯福田人事部長 そうおとりになって結構でございます。 ◯村松委員 私、きょうここに学校図書館法というのを持ってきたのですが、この目的が「学校図書館が、学校教育において欠くことのできない基礎的な設備であることにかんがみ、その健全な発達を図り、もって学校教育を充実することを目的とする。」と。それから、第五条では「学校には、学校図書館の専門的職務を掌らせるため、司書教諭を置かなければならない。」そういうふうに書いてあるのですが、ぜひ前向きで一日も早く学校図書室に専任の司書を置くように要望しておきたいと思います。  それから、当面、先ほど答弁がありましたけれども、今やっている日野市や、あるいは保谷市、府中市、国分寺市ですか、そういうところに対する財政的支援を行うことが求められていると思いますが、いかがでしょうか。 ◯松木総務部長 今、村松委員からお話のありましたような各区や各市における試みにつきましては、大変貴重な試みだと思っております。今後の推移を見守りながら、ご指摘の点についても研究させていただきたいと考えております。 ◯村松委員 これも前向きな検討だと、そういうふうに受け取りたいと思うんですが、本来、東京都は全国に先駆けてやっていただきたいし、それで国がいつまでもサボっていると、当分の間は司書教諭は置かないというふうにいっておきながら、四十年間もサボっていることに対して、やはり国に対してもっと早くやってほしいということを東京都の姿勢としていってほしい、そういうふうに思いますし、当面、そういう今やっているようなところに対しては、ぜひ財政的な援助をしていただきたいと思いまして、そのことを強く要望しまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。  私たちのところには、寄宿舎問題、養護学校と盲学校などの寄宿舎の建てかえ問題が、建てかえを急いでほしい、そういった要望がたくさん来ているんですけれども、現在、寄宿舎の建てかえがどうしても必要なところがたくさんあると思うんです。その問題に対して、どのような認識を持っているか、お聞かせください。 ◯加島施設部長 寄宿舎は現在十二舎ございますが、建築後二十七年を経過するところもございまして、経年で劣化しているところもございます。このため、教育委員会といたしましては、昭和六十二年度から順次改築を進めているところでございます。また、大規模改修も実施しているところでございます。六十二年度からこれまで、工事中一校を含みますが、改築四、改修二を実施してきたところでございます。このようなまだ経年劣化をしているものが幾つか残っております。これにつきましては、各寄宿舎ともに敷地が区画整理区内にある等、それぞれ難しい問題も抱えておりますが、さらにその整備について検討を深めてまいりたいと考えております。 ◯村松委員 幾つかのところがまだ手がけていない、そういうお答えだったと思うんですけれども、その幾つかというのは、文京盲学校、八王子盲学校、それから城北養護学校、八王子養護学校、この四つですか。 ◯加島施設部長 かなり経年劣化といいますか、建築後長い年月が経過しているものとしては、文京盲、八王子盲、城北養護、八王子養護学校、こうしたところがございます。 ◯村松委員 私も先日、八王子盲学校と八王子養護学校に行ってみたんですけれども、この一五ページの資料を見てもわかると思うんですが、文京の盲学校、八王子の盲学校は八王子養護学校よりも早くできていて――八王子養護学校や盲学校は、行って本当にびっくりしたんですが、天井は低い、入り口は狭い、それから雨漏りはすると。これでよく我慢してきたなというような感じで、本当に待ったなしの建てかえが必要だと思うんですよ。これは八王子の盲学校や八王子養護学校だけじゃなくて、文京の盲学校とか城北養護学校、本当にみんな似たり寄ったりだと思うんです。私のところに来た要請の中でも、それらがずうっと入っているんですね。これはやはり待ったなしで来年度は予算をつけて、早急に建てかえをする必要があると思うんですが、いかがですか。 ◯加島施設部長 確かに四校につきましては、建築後長い年月がたっているわけでございますが、この四校について、一気に来年度改築予算をとるというようなことについては、かなり困難なことであると認識しております。 ◯村松委員 難しいというのは、区画整理の問題とかということですか。それとも、ほかに理由があるんですか。 ◯加島施設部長 四校には、それぞれ学校として、あるいは寄宿舎としての特別の事情がございますので、そうした事情を配慮しながら今後検討していくことが適切であるというふうに考えております。 ◯村松委員 時間がないそうですから、本当はもっとこの問題では要望したり、お聞きしたいと思っているんですが、養護学校の寄宿舎の必要性というのは、私がいうまでもなく、その子供たちがそこで一日、学校から帰ってきて、寄宿舎で過ごす、その子たちに合ったものをつくらなきゃいけない、それも一日も早くやらなきゃいけない、そういうふうに思うんですよ。ですから、いろいろな問題点はあろうかと思いますが、早急に全力を挙げて、この寄宿舎の改築をぜひお願いしたいと思います。  それから、今、八王子養護学校や八王子盲学校のお母さんや先生たちが本当に心配しているのは、この二つの学校を一つにしようと、そういったことを聞いて、本当に胸を痛めているんですが、私の見てきた範囲では、とてもじゃないけれども、一緒にできないというふうに思うんです。盲学校の生徒というのは、目が不自由なだけに、本当に耳が敏感であると。それから、養護学校の生徒は非常に動きが活発だと、そういうふうに障害の度合いが、障害が全く違う生徒が一つの建物で生活するなどということは、とても無理だというふうに思うんですけれども、その辺ではどうでしょうか。 ◯加島施設部長 八王子の養護学校の寄宿舎と八王子盲学校の寄宿舎は隣接地にあります。改築する場合には、両者の関係について検討を進める必要がございますけれども、寄宿舎のあり方としては、施設配置上、両校の児童生徒の生活空間は区分することが望ましいと考えております。いずれにしましても、今後、両校の寄宿舎の改築計画を進める場合には、学校を初め関係各方面と調整しながら検討を進めてまいる考えでございます。 ◯村松委員 全くそのとおりだと思います。私たちの中にも、また足立の方の養護学校、そこにも寄宿舎を新しくつくってほしいということがありますので、ぜひその辺も今後検討していただきたいと思います。  次に、寄宿舎の指導員について伺いますが、現在養護学校と盲学校の中等部、高等部、男子と女子の比率、それをちょっと教えてください。 ◯福田人事部長 平成六年五月現在の寄宿舎指導員は百七十八名でございます。そのうち、男子の寄宿舎指導員は三十六名でございます。 ◯村松委員 私、ちょっと間違ったかもしれないんですが、養護学校、盲学校の中等部、高等部の男子が何名で女子が何名かということをお聞きしたかったんです。生徒なんです。 ◯齋藤学務部長 寄宿舎がございます盲・聾・養護学校の男女別の人員でございますけれども、実際に生活している生徒の実数でございます。小学部でございますが、男が二十六名、女が二十名、中学部は男が七十五、女が五十一、高等部は男が九十三、女が五十五でございます。 ◯村松委員 本当は各養護学校、盲学校、この数字を出していただければうれしいんですけれども、そういう中で、全体の寄宿舎指導員の中に男性がどのくらいいるのか、本当は一つ一つわかればいいんですが、時間がないものですから、一括してお願いします。 ◯福田人事部長 全体でお答えしますと、平成六年五月現在、寄宿舎指導員百七十八名、そのうち男性が三十六名でございます。 ◯村松委員 圧倒的に女性が多いということで、この三十六人を十二で、単純にはちょっと割れないんでしょうけれども、一つの学校に一人も男性の指導員がいないというところもあるんですね。例えば葛飾の盲学校では、男子指導員が一人もいないという状況なんですが、こういうところでは、男子のトイレ指導とか、おふろ指導というのはどういうふうになっているんですか。 ◯買手屋指導部長 実際には男子の教員が宿泊いたしまして、その教員が男子のおふろ等の指導を行う、こういうことになっております。 ◯村松委員 その男子の教員というのは、俗にいう舎監という、そういう舎監の仕事を持った人ですか。私が聞いた範囲ではそうなんですね。で、寄宿舎の指導員という形では男性はいないんですよね。寄宿舎を管理するということで、一日の仕事が終わって、その先生が寄宿舎へ行って、それで寝泊まりして、おふろ指導とトイレ指導をしているんですよ。それでまた次の日に学校へ行くんです。それがやられているということで、私も本当にびっくりしたんですけれども、これは何としても、葛飾は当たり前のことなんですが、ほかの学校でも女子の指導員はおりますけれども、男子指導員は全体にやはりふやす必要があるんじゃないか。この中等部、高等部の子供たちを見ていても、割合としては男子が多いんですよね。そういう子供たちのおふろ指導、トイレ指導は絶対にふやす必要があると思うんですが、いかがですか。
    ◯福田人事部長 平成三年度から男子寄宿舎指導員を採用してきておりますが、寄宿舎設置校の児童生徒の実態に応じて、今後とも配置してまいりたいと思います。なお、平成四年、五年、六年の男子寄宿舎指導員の採用状況でございますが、全体の採用は、平成四年は十七名中男性が十一名、それから五年度が九名中男性六名、六年度十三名中男性六名でございます。このようにかなり採用の方は改善されたと思いますので、今後とも、こういう形を継続していきたいと考えております。 ◯村松委員 今、どこの養護学校、盲学校でも重度重複というのがふえてきていると思うんです。重度重複児が本当にふえてきているというふうに思うんですが、そういう中で、やはり早急に国基準に引き上げるということが必要だと思うんですが、現在国基準に達していないところがかなりあると思うんです。それを平成十年までにというのがあるみたいなんですが、早急にふやしていただきたいという要望と、それから計画をお聞きしたいんです。 ◯福田人事部長 寄宿舎指導員については、国の第六次義務教育小学校教職員配置計画を踏まえて、都においても平成六年度から増員を図ってきているところでございます。現在、都では、平成六年度から段階的に寄宿舎指導員についてもその改善を行っているところでございますが、今後、平成十年までにできるだけ早急に国の基準に達成するように改善していきたいと考えております。 ◯村松委員 この問題では最後になるわけなんですが、さっきのお話にありました舎監が実際に男子のおふろ指導、それからトイレ指導をやっていると。こんなことをいつまでもやって、人手不足、人員不足を補っている、こんなことは本当に普通考えられないと思うんですよ。今の舎監制度というのは、やはり変えていく必要があると思うんです。その問題についてどういう見解を持っているか、ちょっとお聞かせください。 ◯福田人事部長 各寄宿舎設置校については、舎監といたしまして一名の定数を措置するとともに、兼務舎監を担当する教員一名分の確保につきましては、各学校に週当たり十八時間の講師措置を行っているのが現状でございます。 ◯村松委員 そういう説明みたいなんですけれども、やはり先生方に負担をかけて、人手を補充している、そういう結果になっているし、先生に対する手当ても十分していない、これが現状だと思うんです。これはやはり早急に改善していただきたい、そのことを求めてこの質問は終わりたいと思います。  最後に私は、先ほど日の丸掲揚、君が代の問題で質疑が行われましたので、この問題について私たち日本共産党の見解を申し述べて、質問を終わらせていただきたいと思うんです。  私は、日本国憲法という日野市でつくっている手帳を持って歩いているんですが、この中には、日の丸は国旗で、君が代は国歌だということは一言も書いていないんです。それをなぜそういうふうにやるんだろうと、そういうのがあると思うんですが、これは本当に法律よりも新指導要領の方が上みたいな、そんなようなやり方で今都教委が指導しているみたいなんですが、やはり私たちは憲法に基づいて生活しているし、私自身も学校の入学式や卒業式などに出れば、君が代は歌いませんし、日の丸を掲揚してくださいといっても、起立はしないんです。一人一人の考えをもっと大事にしていただきたいと思います。  それから、このデータにもありましたけれども、君が代の歌詞そのものが小学生は理解できるものじゃないんですよ。そして、憲法にもあるように、主権在民というのは、これは憲法の基本なんですよね。君が代とは本当に相反するものなんです。そういうことを押しつけること自身が無理があるというふうに私は思います。  それから、先ほどなぜ高校生がこういうものを歌わないんだと。やはり高校生になれば、自分でそれを判断する力もありますし、そういうことだと思うんです。それから、日の丸についても、これまでの日本の歴史、侵略戦争の歴史というものがありますので、私たちはそういうものを、憲法にも何にも書いていないようなものを押しつけるということは、絶対に認められないというふうに思います。何よりも必要なことは、学校の中でも、先生たちやお母さんたちは、社会的に合意がされていない、本当に世論の分かれているこの問題を学校教育で強制する、そこに大きな問題があると思うんです。指導要領は法律ではありません。あいまいな根拠と解釈で強制することは、絶対に容認できないと思います。このことを私の見解といたしまして、きょうの質問を終わらせていただきます。 ◯下村委員長 ほかにご発言がなければ、お諮りいたします。  事務事業に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯下村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。  以上で教育庁関係を終わります。  これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。    午後六時二十七分散会...